Archive for the ‘不動産登記’ Category
相続登記を家族が代理申請
1相続登記を家族が代理申請
①相続登記は相続人本人が自分で申請できる
被相続人が不動産を所有していた場合、不動産は相続人が相続します。
相続登記は、不動産の名義変更のことです。
不動産を相続する相続人が自分で相続登記をすることができます。
相続登記は、相続手続の中でも複雑で手間のかかる手続です。
不動産は、多くの人にとって重要な財産です。
法務局は、重要な財産の名義変更を慎重に審査するからです。
(1)法律の素養がある
(2)調べものが好き
(3)平日の日中に役所に何度も足を運ぶ充分な時間と根気熱意がある
上記にあてはまる人は、相続登記に向いているかもしれません。
相続登記は、相続人本人が自分で申請することができます。
②無報酬で1回限りなら家族が代理申請できる
相続登記は、相続手続の中でも複雑で手間のかかる手続です。
自分で登記申請をするのが難しい場合は、代わりの人に申請してもらうことができます。
無報酬でかつ、業務として代理するのでないのなら、家族に依頼して申請してもらうことができます。
業務として代理するとは、反復継続する意思が認められることです。
今回が1回目でも今後も同じことをする意思がある場合、業務として代理していると判断されます。
今後も同じことをする意思がある場合、違法になります。
無報酬で1回限りなら、家族が代理で申請することができます。
③報酬を受けて業務として代理できるのは司法書士と弁護士だけ
報酬を受けて業務として代理できるのは、国家資格者だけです。
登記申請を報酬を受けて業務として代理できるのは、司法書士と弁護士だけです。
2代理申請に委任状が必要
①委任状は依頼されたことの証明書
相続登記は、家族に依頼して代理で申請してもらうことができます。
相続人本人以外の人が登記申請をする場合、家族であっても委任状が必要です。
委任状は、相続人本人から依頼されたことの証明書です。
相続登記を申請する場合、たくさんの添付書類と一緒に委任状を法務局に提出します。
相続人本人以外の人が申請する場合、書面で依頼を受けたことを証明する必要があるからです。
申請する権限が認められない場合、相続登記をすることができません。
司法書士や弁護士に依頼する場合であっても家族であっても、委任状は必要です。
委任状は、相続人本人から依頼されたことの証明書です。
②不適切な委任状は認められない
適切な依頼を受けていない場合、相続登記を取り下げることになるでしょう。
適切な依頼を受けていない場合、相続登記を代理する権限が認められないからです。
不動産は、多くの人にとって重要な財産です。
登記申請書だけでなく、委任状についても法務局は慎重に審査します。
委任状は、依頼されたことの証明書だからです。
委任状の記載が不適切であった場合、適切な依頼を受けたとは言えなくなります。
だいたい合っているから大丈夫ではなく、完璧な記載が求められます。
一般の人から見ると、些細なことと思えるようなことでやり直しになります。
相続登記に委任状には、登記申請書の内容と同じ内容を記載します。
登記申請書を訂正することができても、代理人は委任状の記載を訂正できないことが多いものです。
委任状の内容は、本人が依頼した内容だからです。
適切な委任を受けていないと判断されることになります。
適切な委任を受けていない場合、相続登記の申請を取り下げることになります。
不適切な委任状は、相続登記が認められなくなります。
③委任状の押印は認印で良い
委任状は、代理人に依頼した内容を証明する書類です。
依頼した人は、委任状に押印しなければなりません。
押印は、実印である必要はありません。
依頼した人の認印で差し支えありません。
委任状に書き間違いを見つけた場合、名前の横に押した印と同一印を押印して、訂正します。
④委任状に契印・割印
委任状に書くべき内容は、たくさんあります。
複数ページに渡る委任状になることがあります。
1通の委任状であることが分かるように、割印・契印を施します。
クリップでとめるだけなど差し替えができる状態では、委任内容を証明できるとは言えないからです。
適切な委任があったと認められない場合、相続登記を取り下げなければならなくなります。
委任状が複数枚になる場合、割印・契印を施します。
3家族が代理申請をするときの委任状の書き方
司法書士などの専門家に依頼する場合、委任状は司法書士が用意します。
登記申請を依頼するのであれば、司法書士が作成した委任状に記名押印するだけで済みます。
相続登記に必要な委任状には、次のことを記載します。
①相続登記を依頼される人の名前と住所
②相続登記を依頼する旨
「次の登記申請に関する一切の権限を委任します。」と記載すると分かりやすいでしょう。
③登記の目的
④登記原因
⑤相続人
③~⑤は、相続登記の申請書と同じです。
あらかじめ申請書を作ってあるのであれば、そのまま丸写しすれば記載できます。
申請書の記載を書き直す場合、委任状の記載を一緒に書き直す必要があります。
内容が一致していない場合、適切な委任を受けていないと判断されるおそれがあります。
適切な委任を受けていない場合、登記申請を受け付けてもらえないかもしれません。
⑤相続人は、まず括弧をつけて被相続人の氏名をフルネームで記載します。
相続人が複数で共有する場合、相続人の住所氏名だけでなく持分も記載します。
⑥不動産の表示
相続登記の対象になる不動産の表示を記載します。
目的になる不動産の登記簿謄本を確認して、そのまま書き写せば記載できます。
記載事項は、申請書の内容と同じです。
土地であれば、次の事項を記載するといいでしょう。
(1)所在
(2)地番
(3)地目
(4)地積
建物であれば次の事項を記載するといいでしょう。
(1)所在
(2)家屋番号
(3)種類
(4)構造
(5)床面積
建物でも敷地権のあるマンションの一室であれば次の事項を記載するといいでしょう。
(1)一棟の建物の表示
i所在
ii建物の名称
(2)専有部分の建物の表示
i家屋番号
ii建物の名称
iii種類
iv構造
v床面積
(3)敷地権の目的である土地の表示
i土地の符号
ii所在及び地番
iii地目
iv地積
(4)敷地権の表示
i土地の符号
ii敷地権の種類
iii敷地権の割合
相続の対象が土地と建物など不動産が複数ある場合、順番に書き連ねれば差し支えありません。
不動産がたくさんある場合、書くべき項目の書き忘れに注意しましょう。
書くべき項目の書き忘れがあった場合、不動産が特定できないと指摘されるおそれがあります。
不動産を特定できない委任状の場合、登記申請を受け付けてもらえません。
⑦依頼する項目の補足事項
相続登記を申請する場合、登記申請だけでなく付随する手続があります。
手続の一環として一緒にお願いしておくと、手続がスムーズになります。
付随項目を書き忘れてしまうと、代理人が手続できなくなります。
具体的には、次のような項目です。
1.登記識別情報の受領の件及びその受領について復代理人選任に関する一切の件
1.登記識別情報の受領に関する一切の件
1.原本還付請求及び受領に関する一切の件
1.復代理人選任に関する一切の件
1.登記に係る登録免許税の還付金を受領する件
特に「登記識別情報の受領に関する一切の件」は重要です。
登記識別情報とは、権利証のことです。
代わりに登記申請をお願いしたのに、権利証を受け取りするために法務局に出向かなければならなくなるからです。
⑧日付
⑨登記申請をお願いする人の住所氏名
ふだん住所は簡単な記載をしている場合であっても、住民票の記載どおり書きましょう。
⓾押印
名前の横に押印します。
4委任状が不要になる例外
①相続人が未成年で親権者が申請
相続人本人が赤ちゃんであることがあります。
赤ちゃんなどの未成年者は、物事の良しあしを適切に判断することができません。
相続人が赤ちゃんである場合、親などの親権者が代わりに相続登記をすることができます。
未成年者は充分な判断ができないから、親などの親権者があらゆることを代理することが認められています。
未成年者に代わって親などの親権者が相続登記をする場合、委任状は不要です。
委任状の代わりに、親などの親権者であることを証明する書類が必要です。
親などの親権者と言えども、他人だからです。
親などの親権者であることを証明する書類とは、親子関係を証明する戸籍謄本です。
相続登記をする場合、親子関係を証明する戸籍謄本は発行後3か月以内のものでなければなりません。
②相続人が認知症で成年後見人が申請
相続人が認知症であることがあります。
認知症になると、物事のメリットデメリットを充分に判断することができなくなります。
記憶があいまいになることがあるでしょう。
認知症の人は自分で判断することができないから、成年後見人が代わりに判断します。
成年後見人は、認知症の人をサポートする人です。
認知症の人に代わって成年後見人が相続登記をする場合、委任状は不要です。
委任状の代わりに、成年後見人であることを証明する書類が必要です。
成年後見人と言えども、他人だからです。
成年後見制度を利用している場合、登記がされます。
成年後見人であることは、後見登記事項証明書で証明することができます。
相続登記をする場合、成年後見人であることを証明する後見登記事項証明書は発行後3か月以内のものでなければなりません。
③遺言執行者が相続登記
被相続人が遺言書を作成していることがあります。
遺言書がある場合、遺言書の内容どおりに財産を分けることができます。
遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。
遺言執行者は、相続人のため相続登記を申請することができます。
遺言執行者が相続登記を申請する場合、委任状は不要です。
委任状の代わりに、遺言執行者であることを証明する書類が必要です。
遺言執行者が遺言書で指名された場合、遺言書で証明することができます。
遺言執行者が家庭裁判所で選任された場合、選任審判書と確定証明書で証明することができます。
④法定相続で権利証が発行されない
相続人になる人は、法律で決まっています。
相続人になる人の相続分も、法律で決まっています。
法律で決まっている相続分を法定相続分と言います。
相続人は、法定相続分で相続することができます。
法定相続分で相続すると、相続人全員で共有することになります。
不動産の共有はデメリットが多いので、おすすめできません。
相続人全員の合意があれば、法定相続分以外の分け方をすることができます。
多くの場合、相続人全員の合意で分け方を決めます。
相続人全員が法定相続分で共有する相続をする場合、原則として、相続人全員が相続手続に参加します。
相続登記をする場合、相続人全員が申請するのが原則です。
例外として、一部の相続人から委任状なしで相続登記を申請することができます。
一部の相続人から相続登記を申請する場合であっても、相続人全員が登記名義人になります。
相続人全員が登記名義人になるのに、登記申請人になった相続人にだけ権利証が発行されます。
登記申請人になっていない相続人に対して、権利証は発行されません。
後から権利証を発行してもらうこともできません。
一部の相続人が相続人全員のために相続登記をすることができるけど、おすすめできません。
権利証がないと、不動産を売却するときや担保に差し出すときに困るからです。
5相続登記を司法書士に依頼するメリット
相続が発生すると、相続人はたくさんの相続手続に追われて悲しむ暇もありません。
ほとんどの方は、相続を何度も経験するものではありません。
手続に不慣れで、聞き慣れない法律用語でへとへとになります。
一般的にいって、相続登記は、その中でも難しい手間のかかる手続です。
不動産は、重要な財産であることが多いものです。
一般の方からすると、些細なことと思えるようなことでやり直しになります。
本人が自分で申請している場合、些細なことであれば法務局の窓口まで出向いて申請書の記載を補正することができるケースがあります。
申請書の記載誤りがあると、委任状も記載誤りになります。
代理人に依頼して申請している場合、委任状の記載も一緒に補正する必要があります。
委任状の記載内容は、本人が依頼したことのはずです。
代理人が補正することを認めてもらえない場合が多いものです。
申請書と委任状の記載が一致していない場合、適切な委任を受けていないと判断されます。
適切な委任を受けていない場合、申請書は受け付けてもらえません。
いったん申請を取り下げて、やり直しになります。
相続登記は簡単そうに見えても、思わぬ落とし穴があることもあります。
法務局の登記相談に行っても、何が良くないのか分からなかったというケースも多いです。
司法書士はこのような方をサポートしております。
相続登記を自分でやってみたけど、挫折した方の相談も受け付けております。
相続登記をスムーズに完了させたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
相続登記で委任状
1委任状で相続登記の依頼を証明する
①相続登記を依頼するときに委任状が必要
相続登記は、自分で申請することができます。
自分で登記申請をするのが難しい場合は、代わりの人に申請してもらうことができます。
業務として代理人になることができるのは、司法書士と弁護士のみです。
司法書士や弁護士といった国家資格者でなければ、報酬を受けて業務として登記申請の代理はできません。
無報酬で1回だけ家族のために、代わりに登記申請するのであれば、国家資格者でなくても差し支えありません。
自分の代わりに登記申請をしてもらう場合、委任状を一緒に提出します。
司法書士などの専門家に依頼するときも家族に依頼するときも、委任状が必要です。
登記申請を依頼した場合、法務局に対して書面で依頼の事実を証明する必要があるからです。
②不適切な委任状は認められない
委任状は、代理人に依頼した内容を証明する書類です。
委任状の記載が不適切であった場合、適切な依頼を受けたとは言えなくなります。
多くの人にとって、不動産は重要な財産です。
相続登記は、法務局で厳格に審査されます。
だいたい合っているから大丈夫ではなく、完璧な記載が求められます。
一般の人から見ると、些細なことと思えるようなことでやり直しになります。
相続登記に委任状には、登記申請書の内容と同じ内容を記載します。
登記申請書を訂正することができても、代理人は委任状の記載を訂正できないことが多いものです。
委任状の内容は、本人が依頼した内容だからです。
適切な委任を受けていないと判断されることになります。
適切な委任を受けていない場合、相続登記の申請を取り下げることになります。
2他人の登記申請であっても委任状が不要な例外
①未成年者の代わりに親権者が相続登記
身近な家族であっても、自分以外の人は他人として扱われます。
相続人が赤ちゃんである場合、親などの親権者は代わりに相続登記の申請をすることができます。
本人が赤ちゃんなどの未成年者である場合、自分で委任状は書けないでしょう。
未成年者は、物事のメリットデメリットを充分に判断することができません。
充分な判断ができないから、親などの親権者があらゆることを代わりにすることが認められています。
未成年者の代わりに親権者が相続登記をする場合、委任状は不要です。
未成年者の代わりに親権者が相続登記をする場合、他に書類が必要になります。
未成年者といえども、他人の登記申請をすることには変わらないからです。
親などの親権者が申請する場合、親子関係を証明する戸籍謄本が必要になります。
相続人である未成年者のため、親などの親権者が司法書士に依頼することができます。
親などの親権者から司法書士に対する委任状を出して、登記申請を依頼することができます。
司法書士は、親子関係を証明する戸籍謄本と委任状を法務局に提出します。
②認知症の人の代わりに成年後見人が相続登記
本人が重度の認知症である場合、成年後見制度を利用していることがあります。
重度の認知症である場合、物事のメリットデメリットを充分に判断できません。
成年後見制度を利用している場合、成年後見人はあらゆることを代わりにすることが認められています。
認知症の人の代わりに成年後見人が相続登記をする場合、委任状は不要です。
認知症の人の代わりに成年後見人が相続登記をする場合、成年後見人であることを証明する必要があります。
成年後見登記事項証明書で、証明することができます。
相続人である認知症の人のため、成年後見人が司法書士に依頼することができます。
司法書士は、成年後見登記事項証明書と委任状を法務局に提出します。
③相続人の代わりに遺言執行者が相続登記
被相続人が生前に遺言書を作成して遺言執行者を指名していることがあります。
遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人です。
遺言執行者は、遺言執行のため必要な一切の行為をする権利と義務があります。
遺言執行のため遺言執行者が相続登記をする場合、委任状は不要です。
遺言執行のため遺言執行者が相続登記をする場合、遺言執行者であることを証明する必要があります。
遺言執行者を指名している遺言書で、証明することができます。
検認が必要な遺言書の場合、検認済証明書も必要です。
相続人のため、遺言執行者が司法書士に依頼することができます。
司法書士は、遺言書、検認済証明書と委任状を法務局に提出します。
④相続人全員のため一部の相続人が相続登記
相続人になる人は、法律で決まっています。
相続人になる人の相続分も、法律で決まっています。
法律で決まっている相続分を法定相続分と言います。
相続人は、法定相続分で相続することができます。
法定相続分で相続すると、相続人全員で共有することになります。
不動産の共有はデメリットが多いので、おすすめできません。
相続人全員の合意があれば、法定相続分以外の分け方をすることができます。
多くの場合、相続人全員の合意で分け方を決めます。
相続人全員が法定相続分で共有する相続をする場合、原則として、相続人全員が相続手続に参加します。
相続登記をする場合、相続人全員が申請するのが原則です。
例外として、一部の相続人から相続登記を申請することができます。
一部の相続人から相続登記を申請する場合であっても、相続人全員が登記名義人になります。
相続人全員のため、一部の相続人が司法書士に依頼することができます。
司法書士は、一部の相続人からの委任状を法務局に提出します。
相続人全員が登記名義人になるのに、登記申請人になった相続人にだけ権利証が発行されます。
登記申請人になっていない相続人に対して、権利証は発行されません。
後から権利証を発行してもらうこともできません。
一部の相続人が相続人全員のために相続登記をすることができるけど、おすすめできません。
権利証がないと、不動産を売却するときや担保に差し出すときに困るからです。
3相続登記に必要な委任状の書き方
司法書士などの専門家に依頼する場合、委任状は司法書士が用意します。
登記申請を依頼するのであれば、司法書士が作成した委任状に記名押印するだけで済みます。
相続登記に必要な委任状には、次のことを記載します。
①相続登記を依頼される人の名前と住所
②相続登記を依頼する旨
「次の登記申請に関する一切の権限を委任します。」と記載すると分かりやすいでしょう。
③登記の目的
④登記原因
⑤相続人
③~⑤は、相続登記の申請書と同じです。
あらかじめ申請書を作ってあるのであれば、そのまま丸写しすれば記載できます。
申請書の記載を書き直す場合、委任状の記載を一緒に書き直す必要があります。
内容が一致していない場合、適切な委任を受けていないと判断されるおそれがあります。
適切な委任を受けていない場合、登記申請を受け付けてもらえないかもしれません。
⑤相続人は、まず括弧をつけて被相続人の氏名をフルネームで記載します。
相続人が複数で共有する場合、相続人の住所氏名だけでなく持分も記載します。
⑥不動産の表示
相続登記の対象になる不動産の表示を記載します。
目的になる不動産の登記簿謄本を確認して、そのまま書き写せば記載できます。
記載事項は、申請書の内容と同じです。
土地であれば、次の事項を記載するといいでしょう。
(1)所在
(2)地番
(3)地目
(4)地積
建物であれば、次の事項を記載するといいでしょう。
(1)所在
(2)家屋番号
(3)種類
(4)構造
(5)床面積
建物でも敷地権のあるマンションの一室であれば次の事項を記載するといいでしょう。
(1)一棟の建物の表示
i所在
ii建物の名称
(2)専有部分の建物の表示
i家屋番号
ii建物の名称
iii種類
iv構造
v床面積
(3)敷地権の目的である土地の表示
i土地の符号
ii所在及び地番
iii地目
iv地積
(4)敷地権の表示
i土地の符号
ii敷地権の種類
iii敷地権の割合
相続の対象が土地と建物など不動産が複数ある場合、順番に書き連ねれば差し支えありません。
不動産がたくさんある場合、書くべき項目の書き忘れに注意しましょう。
書くべき項目の書き忘れがあった場合、不動産が特定できないと指摘されるおそれがあります。
不動産を特定できない委任状の場合、登記申請を受け付けてもらえません。
⑦依頼する項目の補足事項
相続登記を申請する場合、登記申請だけでなく付随する手続があります。
手続の一環として一緒にお願いしておくと、手続がスムーズになります。
付随項目を書き忘れてしまうと、代理人が手続できなくなります。
具体的には、次のような項目です。
1.登記識別情報の受領の件及びその受領について復代理人選任に関する一切の件
1.登記識別情報の受領に関する一切の件
1.原本還付請求及び受領に関する一切の件
1.復代理人選任に関する一切の件
1.登記に係る登録免許税の還付金を受領する件
特に「登記識別情報の受領に関する一切の件」は重要です。
登記識別情報とは、権利証のことです。
代わりに登記申請をお願いしたのに、権利証を受け取りするために法務局に出向かなければならなくなるからです。
⑧日付
⑨登記申請をお願いする人の住所氏名
ふだん住所は簡単な記載をしている場合であっても、住民票の記載どおり書きましょう。
⓾押印
名前の横に押印します。
4委任状の押印は実印でなく認印でいい
委任状は、代理人に依頼した内容を証明する書類です。
依頼した人は、委任状に押印しなければなりません。
押印は、実印である必要はありません。
依頼した人の認印で差し支えありません。
委任状に書き間違いを見つけた場合、名前の横に押した印と同一印を押印して、訂正します。
5委任状に割印・契印
委任状に書くべき内容は、たくさんあります。
複数ページに渡る委任状になることがあります。
1通の委任状であることが分かるように、割印・契印を施します。
クリップでとめるだけなど差し替えができる状態では、委任内容を証明できるとは言えないからです。
適切な委任があったと認められない場合、相続登記を取り下げなければならなくなります。
6相続登記を司法書士に依頼するメリット
相続が発生すると、相続人はたくさんの相続手続に追われて悲しむ暇もありません。
ほとんどの方は、相続を何度も経験するものではありません。
手続に不慣れで、聞き慣れない法律用語でへとへとになります。
一般的にいって、相続登記は、その中でも難しい手間のかかる手続です。
不動産は、重要な財産であることが多いものです。
一般の方からすると、些細なことと思えるようなことでやり直しになります。
本人が自分で申請している場合、些細なことであれば法務局の窓口まで出向いて申請書の記載を補正することができるケースがあります。
申請書の記載誤りがあると、委任状も記載誤りになります。
代理人に依頼して申請している場合、委任状の記載も一緒に補正する必要があります。
委任状の記載内容は、本人が依頼したことのはずです。
代理人が補正することを認めてもらえない場合が多いものです。
申請書と委任状の記載が一致していない場合、適切な委任を受けていないと判断されます。
適切な委任を受けていない場合、申請書は受け付けてもらえません。
いったん申請を取り下げて、やり直しになります。
相続登記は簡単そうに見えても、思わぬ落とし穴があることもあります。
法務局の登記相談に行っても、何が良くないのか分からなかったというケースも多いです。
司法書士はこのような方をサポートしております。
相続登記を自分でやってみたけど、挫折した方の相談も受け付けております。
相続登記をスムーズに完了させたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
共有名義人の片方死亡後放置は危険
1放置すると遺産分割協議が難しくなる
①遺産分割協議は相続人全員の合意が必要
相続が発生したら、被相続人のものは相続人が相続します。
相続人が相続する財産が相続財産です。
被相続人が第三者と財産を共有していた場合、財産の共有持分を持っています。
被相続人が持っていた共有持分は、相続財産です。
相続財産は、相続人全員の共有財産です。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。
ときには一部の相続人と共有しているかもしれません。
一部の相続人と財産を共有していても、被相続人が持っていた共有持分は相続財産です。
他の共有者である相続人が優先して相続できるわけではありません。
他の共有者である相続人が相続する場合でも、相続人全員の合意が必要です。
共有名義人の片方が死亡した後、放置するのはおすすめできません。
②当初の相続人が死亡する
遺産分割協議の成立には、相続人全員の合意が必要です。
相続手続は、わずらわしいものです。
相続が発生した後、相続手続を放置したくなるかもしれません。
相続手続を放置した場合、当初の相続人が後に死亡することがあります。
当初の相続人の相続人を含めて、話し合いをする必要があります。
当初の相続人は、仲の良い兄弟などで話がしやすかったかもしれません。
死亡した相続人の配偶者や子どもなどが相続するでしょう。
関係が薄い相続人がいると、相続財産の分け方についての話し合いは難航しがちです。
当初の相続人が死亡すると、遺産分割協議が難しくなります。
③相続人が認知症になる
相続人の中には、相当高齢の人がいることがあります。
相続が発生した当時は、元気だったのに後に認知症を発症することがあります。
認知症になると、物事の良しあしを適切に判断することができなくなります。
物事の良しあしを判断することができない人は、自分で相続財産の分け方について合意することはできません。
自分で判断することができないから、サポートする人が代わりに判断します。
子どもなどが勝手に判断することはできません。
勝手に判断して遺産分割協議書を作成しても、無効の書面です。
認知症の人のために、家庭裁判所がサポートする人を選任します。
認知症の人をサポートする人を成年後見人と言います。
成年後見人は、家庭裁判所が選任します。
認知症の人の子どもなど家族を選任することもあるし、家族以外の専門家を選任することもあります。
子どもなど家族が選任されるのは、全体の20%程度です。
成年後見人が認知症の人の代わりに相続財産の分け方について話し合いをします。
成年後見人は、認知症の人の財産を守るために働きます。
家族の意向をかなえてくれる人ではありません。
家族の事情を考慮した柔軟な対応は、認知症の人の利益にならないことが多いでしょう。
成年後見人は、法定相続分を下回る合意をすることはできません。
成年後見人が家族であっても、家族の意向どおりの合意をすることはできません。
成年後見人は、家庭裁判所から監督されているからです。
法定相続分を下回る合意は、認知症の人の利益にならない合意です。
家庭裁判所の同意を得られないでしょう。
子どもなど家族を選任された場合であっても、成年後見人は家庭裁判所から監督されます。
遺産分割協議のために成年後見人を選任しても、相続手続完了後に成年後見制度をやめることはできません。
当初の相続人が後に認知症になると、遺産分割協議が難しくなります。
④相続人が行方不明になる
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。
相続人の中には、さまざまな事情を抱えている人がいるでしょう。
一部の相続人が行方不明になって、連絡が取れなくなることがあります。
連絡が取れないからと言っても、話し合いから除外することはできません。
一部の相続人を除外して相続財産の分け方を合意しても、無効の合意になるからです。
行方不明の相続人がいる場合、代わりに話し合いをする人を家庭裁判所に選んでもらいます。
行方不明の人の代わりに話し合いをする人を不在者財産管理人と言います。
不在者財産管理人が行方不明の人の代わりに、相続財産の分け方について話し合いをします。
不在者財産管理人は、行方不明の人の財産を守るために働きます。
不在者財産管理人は、家族の意向をかなえてくれる人ではありません。
家族の事情を考慮した柔軟な対応は、行方不明の人の利益にならないことが多いでしょう。
不在者財産管理人が相続財産の分け方について合意する場合、家庭裁判所の許可が必要です。
行方不明の人の法定相続分が確保されていない場合、家庭裁判所は許可をしないでしょう。
家族の事情を考慮した柔軟な取り扱いは困難です。
当初の相続人が後に行方不明になると、遺産分割協議が難しくなります。
2放置すると不動産活用ができない
①不動産を売却できない
相続財産の大部分が不動産である場合、相続人間で分け方の合意が難しくなります。
利用する予定のない不動産は、すぐに売却したいことがあります。
実家などはお金を出し合った人で共有していることが多いでしょう。
共有名義人の片方が死亡した後、他の共有名義人が相続人のひとりかもしれません。
他の共有名義人が被相続人の共有持分を相続して、単独所有者になった気持ちでいることがあります。
単独所有者になったつもりでも、客観的には被相続人の共有持分は相続財産です。
共有名義人が死亡した後に何もしないままの場合、被相続人名義のままになっているでしょう。
不動産を売却する場合、買主に名義を移さなければなりません。
被相続人名義から直接買主に名義を移すことはできません。
被相続人が生前に売却したのではないからです。
被相続人が死亡した後に、相続人が売却したはずです。
相続登記を省略することはできません。
被相続人から相続人に所有権が移転したことを公示する必要があるからです。
相続登記をしていない場合、買主に名義を移すことができなくなります。
買主が不動産の所有者であることを対外的に主張する際に登記が必要です。
所有権移転登記をしていないと、対外的に所有者であることを主張することができません。
買主は、とても困ります。
対外的に所有者であることを主張できないのなら、その不動産を買うことを諦めるでしょう。
相続登記をしないまま放置すると、不動産を売却することができなくなります。
②不動産を担保にできない
不動産を担保に金融機関から融資を受けることがあります。
借金の返済が滞ったときに備えて、金融機関は不動産を担保に取ります。
返済が滞ったときに備えて、担保にする権利を抵当権と言います。
お金を貸した人が担保に取りますから、債権者は抵当権者です。
抵当権は、登記をすることができます。
抵当権設定登記をしていないと、対外的に抵当権者であることを主張することができません。
金融機関は、とても困ります。
抵当権は、借金の返済が滞ったときに備えて担保に取る権利です。
具体的には、借金の返済が滞った場合、担保に取った不動産を競売にかけて売却代金から優先的に借金を返してもらうことができます。
対外的に抵当権者であることを主張できない場合、抵当権を設定した意味がなくなります。
被相続人名義のままで、抵当権設定登記をすることはできません。
担保に差し出したのは、相続人だからです。
相続登記を省略することはできません。
被相続人から相続人に所有権が移転したことを公示する必要があるからです。
3放置すると相続登記が困難になる
①相続登記にはたくさんの書類が必要になる
相続による不動産の名義変更を相続登記と言います。
相続登記には、たくさんの書類が必要になります。
遺言書がない場合、おおむね次の書類が必要です。
(1)被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
(2)相続人の現在戸籍
(3)被相続人の住民票の除票
(4)不動産を相続する人の住民票
(5)遺産分割協議書
(6)相続人全員の印鑑証明書
(7)不動産の評価証明書
遺言書がある場合、おおむね次の書類が必要です。
(1)被相続人の除籍謄本
(2)相続人の現在戸籍
(3)被相続人の住民票の除票
(4)不動産を相続する人の住民票
(5)遺言書
(6)遺言書検認証明書
(7)不動産の評価証明書
事例によって追加書類が必要なることがあります
②戸籍謄本や住民票が保存期間経過で廃棄される
相続手続の最初の難関は、戸籍謄本の収集です。
相続登記には、たくさんの書類が必要になります。
戸籍謄本などの書類取集があまりにタイヘンで、挫折する人は少なくありません。
挫折したまま長期間放置すると、ますますタイヘンになります。
戸籍謄本や住民票は、永年保管ではないからです。
保存期間が決められていて、古いものから順次廃棄されます。
保存期間が経過した書類は、請求しても発行してもらえません。
必要な書類を提出できない場合、別の書類が必要になります。
一般的な事例とは異なる場合、法務局と打合せが必要になるでしょう。
長期間放置すると、相続登記が困難になります。
4放置された私道の共有持分の相続は非常に困難
被相続人がマイホームを所有していた場合、自宅の土地建物が相続財産であることは承知しているでしょう。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。
自宅の土地建物について分け方の合意をした後に、私道の共有持分が見つかることがあります。
私道とは、一般私人が設置管理する道路です。
自宅の前面道路が公道ではなく私道であることがあります。
行政が設置管理をする道路が公道です。
多くの場合、私道は自宅に至る道路でしょう。
近隣住民と私道を共有していることがあります。
私道の共有持分は、自宅の土地建物とは別の財産です。
自宅の土地建物を相続した人が自動で相続できるものではありません。
自宅を使う人が私道を使います。
自宅を使う人が私道を使うとしても、私道の共有持分の分け方について別の合意が必要です。
私道の共有持分と自宅の土地建物は、別の財産だからです。
私道の共有持分は、相続登記が見落とされがちです。
自宅の土地建物は財産だと認識していても、道路を自分の財産と認識していないことが多いからです。
被相続人が認識していないと、家族はなおさら認識が薄いでしょう。
相続が発生してから長期間経過した後に、私道の共有持分が見つかります。
相続人が意図していなくても、長期間放置されていたと言えます。
先に説明したとおり、当初の相続人が死亡しているかもしれません。
当初の相続人が認知症になっているかもしれません。
当初の相続人が行方不明になっているかもしれません。
相続が発生した後に長期間放置された場合、相続人の確定が難しくなります。
家庭裁判所の手続が必要になることがあります。
必要な書類を準備できなくなることがあります。
相続が発生した後に長期間放置された場合、相続登記は非常に難しくなります。
5相続登記を司法書士に依頼するメリット
相続が発生すると、相続人は悲しむ暇もなく相続手続に追われます。
ほとんどの人は相続手続は不慣れで、聞き慣れない法律用語で疲れ果ててしまいます。
インターネットの普及で多くの人は簡単に多くの情報を手にすることができるようになりました。
多くの情報の中には正しいものも、適切でないものも同じように混じっています。
司法書士は、登記の専門家です。
スムーズに相続登記を完了させたい方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
私道の共有持分と自宅の相続登記
1私道の共有持分は相続財産
①道路には私道と公道がある
普段、道路を使っていろいろな所へ出かけます。
一般の交通の用に用いるのが道路です。
道路には、2種類あります。
私道と公道です。
行政が設置管理をする道路が公道です。
一般私人が設置管理する道路が私道です。
公道は、設置管理する国や地方自治体の財産です。
私道は、設置管理する人の財産です。
②私道の共有持分と自宅は別の財産
相続が発生した場合、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。
相続財産は相続人全員の合意で、分け方を決定します。
相続人全員の話し合いで、一部の相続財産について先に合意をすることができます。
自宅の分け方について、先に合意をすることができます。
他の財産は、後から合意をすることができます。
私道の共有持分と自宅は、別の財産です。
自宅の分け方について合意した場合、自宅だけの分け方の合意です。
私道の共有持分が自動で付いてくることはありません。
多くの場合、私道は自宅に至る道路でしょう。
自宅を使う人が私道を使います。
自宅を使う人が私道を使うとしても、私道の共有持分の分け方について別の合意が必要です。
私道の共有持分と自宅は、別の財産だからです。
2私道の共有持分と自宅の相続登記
①私道の共有持分は相続登記が必要
私道は、一般私人が設置管理する道路です。
私道は、設置管理する人の財産です。
私道を共有している人が死亡した場合、私道の共有持分は相続財産になります。
相続財産は、相続人全員の合意で分け方を決めることができます。
相続財産の分け方が決まったら、相続登記をします。
自宅だけでなく私道の共有持分についても、相続登記をします。
私道の共有持分に登記がされていないと、権利主張ができないからです。
登記をした人は、この不動産は私のものだと権利主張をすることができます。
登記がしてあることは、権利主張をするときの条件です。
権利主張の条件になることを対抗要件と言います。
対抗要件を備えるため、私道の共有持分に相続登記が必要です。
②私道の共有持分と自宅をまとめて相続登記
私道は設置管理する人の財産だから、相続があったら相続登記をします。
多くの場合、私道は自宅に至る道路です。
自宅を取得する人が私道の共有持分を取得する合意をするでしょう。
自宅は被相続人で単独で所有していた場合、登記の目的は所有権移転です。
私道は共有しているから、登記の目的は○○○○持分全部移転です。
原則として、登記の目的がちがう場合、まとめて登記申請をすることができません。
所有権移転と○○○○持分全部移転は、まとめて登記申請をすることができます。
2種類の登記申請を一度にすることができます。
私道の共有持分と自宅の相続登記をまとめて申請することができます。
3私道の共有持分の登録免許税の計算方法
①相続登記の登録免許税は4/1000
相続登記をするときは、法務局に登録免許税を納めます。
登録免許税は、不動産の評価額を基にして計算します。
不動産の評価額とは、固定資産税評価額のことです。
相続登記の登録免許税の税率は、1000分の4です。
相続登記の登録免許税は、不動産の固定資産税評価額の1000分の4です。
②固定資産税がかかるときは通常どおり4/1000
私道は、設置管理する人の財産です。
設置管理する人の財産だから、固定資産税がかかるのが原則です。
固定資産税がかかる場合、私道の固定資産税評価証明書に評価額が記載されています。
相続登記の登録免許税は、通常どおり、不動産の固定資産税評価額の1000分の4です。
共有持分の相続登記の場合、移転する持分の評価額に対して登録免許税がかかります。
例えば、不動産全体が100万円で共有持分が5分の1の場合、移転する持分の評価額は20万円です。
③公衆用道路の評価額を調べる方法
私道が公衆用道路に該当する場合、固定資産税は非課税になります。
公衆用道路の固定資産税評価証明書を取得すると、不動産の価格が記載されていない場合や0円と記載されている場合があります。
固定資産税評価証明書の記載は、市区町村役場によって異なります。
評価価格、価格、価額など統一されていません。
不動産の評価額が記載されていない場合や0円と記載されている場合でも、登録免許税はかかります。
登録免許税を計算する場合、まず不動産の評価額を調べなければなりません。
私道が公衆用道路として固定資産税が非課税とされている場合、近傍地の評価額を調べます。
近傍地の評価額を調べる方法は、市区町村役場によって対応がちがいます。
(1)公衆用道路の評価証明書に近傍地1平方メートルあたり評価額〇〇円と記載してくれる
(2)公衆用道路の評価証明書の他に近傍地の評価証明書を請求する
(3)公衆用道路の評価証明書を持って管轄法務局で近傍地を指定してもらった後、あらためて近傍地の評価証明書を請求する
近傍地が宅地である場合、宅地の評価額をそのまま使いません。
宅地の評価額の1平方メートルあたりの単価を出します。
1平方メートルあたりの単価の100分の30が公衆用道路の1平方メートルあたりの単価です。
公衆用道路の面積をかけて、公衆用道路全体の評価額を算出します。
④土地の評価額が100万円以下なら登録免許税が非課税
相続登記をするときは、原則として、登録免許税を納めなければなりません。
条件を満たした場合は例外として、土地の登録免許税が非課税になります。
土地の評価額が100万円以下の場合、非課税になります。
日本中どこの土地でも土地の評価額が100万円以下であれば対象になります。
所有権の持分を相続した場合、移転した持分の評価額が、100万円以下であれば非課税になります。
私道の共有持分を相続した場合、広大な土地であることはほとんどないでしょう。
公衆用道路の評価額は、近傍宅地の100分の30です。
高価な土地であることは、めったにありません。
私道の共有持分を相続した場合、移転した持分の価額は少額であることが多いでしょう。
移転した持分の価額が100万円以下の場合、登録免許税が非課税になります。
登記申請書に「租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」と記載します。
記載がないときは、非課税となりません。
結果として非課税になるときであっても、固定資産税評価証明書を提出し近傍地の評価額を調べる必要があります。
租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税になる土地とならない土地をまとめて、相続登記をすることができます。
どの土地が対象の土地であるか相続登記の申請書に記載する必要があります。
土地の評価額が100万円以下の場合、登録免許税が非課税になります。
4自宅の相続登記をした後で私道の共有持分が見つかったら
①自宅だけの遺産分割協議書は有効
被相続人が自宅と私道の共有持分を所有している場合、自宅だけ意識が向きがちです。
私道は、自分が所有している認識が薄れているかもしれません。
本人が意識していない場合、家族はなおさら意識していないでしょう。
相続が発生した後、自宅だけ分け方の合意をしていることがあります。
自宅だけ記載した遺産分割協議書は、自宅について有効な遺産分割協議書です。
私道の共有持分が記載されていなくても、原則として、無効になることはありません。
遺産分割協議書は、相続財産全部について記載しなければならないといったルールはないからです。
私道の共有持分について相続人全員の合意をしていないから、あらためて話し合いが必要です。
自宅を相続する人が自動で相続できるといったことはありません。
②記載がない財産が見つかっても遺産分割協議のやり直しは不要
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。
相続人全員の合意ができたら、相続財産の分け方は確定して話し合いは終了します。
遺産分割協議が成立した後、新しい財産が見つかることがあります。
新しい財産が見つかっても、遺産分割協議のやり直しは原則不要です。
遺産分割協議のやり直しが必要になるのは、ごく例外的な場合です。
遺産分割協議成立後に見つかった財産が重要な財産である場合、遺産分割協議のやり直しができます。
重要な財産があると知っていたら、相続財産の分け方に合意しなかったと言えるような場合です。
私道の共有持分が重要な財産であることは、ほとんどないでしょう。
私道の共有持分が重要な財産でない場合、遺産分割協議のやり直しは不要です。
③記載がない財産の合意があれば再協議不要
遺産分割協議が成立した後、わずかな財産が見つかることは少なくありません。
相続が発生してから何十年も経過してから、新たな財産が見つかることがあります。
わずかな財産のために、相続人全員が分け方の合意をするのはわずらわしいでしょう。
遺産分割協議書に記載がない財産が見つかった場合について、あらかじめ合意しておくことができます。
例えば、「遺産分割協議書に記載がない財産は相続人○○が相続する」などです。
このような記載がある場合、あらためて協議する必要はありません。
新たに見つかった私道持分は、相続人○○が相続すると手続をすることができます。
④私道の共有持分だけ相続登記
自宅の相続登記をした後で私道の共有持分が見つかった場合、あらためて私道の共有持分について相続人全員で分け方の合意をします。
相続人全員の合意ができたら合意内容を文書に取りまとめます。
私道の共有持分だけ相続登記をします。
5私道の共有持分を見落とさない対策
①名寄帳を取得する
名寄帳は「なよせちょう」と読みます。
名寄帳とは、土地や家屋を所有者ごとにまとめた一覧表です。
市町村が税金をかけるために備えている帳簿から一覧表にまとめてくれた書類です。
その市町村が把握している不動産の状況が一目で分かるので、とても便利です。
市区町村役場によっては、非課税の不動産について記載されないことがあります。
機密性の高い個人情報であることを考慮して、名寄帳を発行していない役所があります。
名古屋市などでは、名寄帳を発行していません。
名古屋市では、課税明細書と資産明細書で代用します。
課税明細書には、固定資産税が課税される物件のみが記載されます。
資産明細書には、免税点未満で課税されない物件が記載されます。
課税明細書を請求するとき「課税されていない物件がある場合は、資産明細書も出してください」と記載すると取得することができます。
名古屋市では、私道など非課税地は課税明細書と資産明細書のいずれにも記載されません
②不動産の権利証を確認する
被相続人が不動産を取得したときに、権利証が発行されているはずです。
権利証の不動産の表示に記載されている不動産を所有しているでしょう。
権利証を確認すると、自宅以外に私道の共有持分が見つかることがあります。
③売買契約書を確認する
被相続人が自宅の私道の共有持分を所有している場合、自宅を購入したときに一緒に購入しているでしょう。
私道の共有持分だけで購入することは、ほとんど考えられません。
売買契約書を確認すると、売買の対象となった不動産が記載されています。
売買契約書を確認すると、自宅以外に私道の共有持分が見つかることがあります。
④共同担保目録を確認する
被相続人が自宅を購入したときに、金融機関など住宅ローンを組んでいることがあります。
金融機関で住宅ローンを組む場合、購入する不動産を担保に取ります。
自宅と私道の共有持分がある場合、金融機関は見逃しません。
複数の不動産を担保に取った場合、登記簿謄本の共同担保目録に記載されます。
共同担保目録を確認すると、自宅以外に私道の共有持分が見つかることがあります。
6相続登記を司法書士に依頼するメリット
相続が発生すると、相続人は悲しむ暇もなく相続手続に追われます。
ほとんどの人は相続手続は不慣れで、聞き慣れない法律用語で疲れ果ててしまいます。
インターネットの普及で多くの人は簡単に多くの情報を手にすることができるようになりました。
多くの情報の中には正しいものも、適切でないものも同じように混じっています。
司法書士は、登記の専門家です。
スムーズに相続登記を完了させたい方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
共有名義人の片方死亡後に共有持分の相続登記
1被相続人が共有者であるとき共有持分は相続財産
被相続人が不動産などを第三者と共有している場合があります。
共有している理由はさまざまです。
・夫婦で自宅を購入した。
・相続で不動産を平等に分けた。
・お金を出した親の名義がある。
上記のような理由が、大部分です。
被相続人が不動産などを第三者と共有していた場合、被相続人が持っていた共有持分は相続財産になります。
相続財産は、相続人全員の共有財産です。
相続財産の分け方は、相続人全員の話し合いによる合意が不可欠です。
相続財産の分け方は、相続人全員で、話し合いによる合意ができれば、どのように分けても構いません。
被相続人と不動産を共有していた共有者が相続人である場合、共有者である相続人が相続すると合意することができます。
被相続人と不動産を共有していた共有者でない相続人が相続しても、差し支えありません。
不動産の共有はデメリットが多いので、おすすめできません。
合意できるのなら被相続人と不動産を共有していた共有者である相続人が相続するといいでしょう。
2 共有持分の相続は相続登記が必要
①共有持分の相続登記は単独申請
被相続人の共有持分の分け方について、相続人全員の合意がまとまったら相続登記が必要です。
相続登記ですから、共有持分を相続する人からの単独申請です。
②共有持分の相続登記の必要書類は所有権すべての相続登記と同じ
共有持分の相続登記をする場合、必要な書類は所有権すべての相続登記をする場合とまったく一緒です。
遺産分割協議書を作るとき、合意の対象が不動産の共有持分であることが分かるように記載すればいいでしょう。
③共有持分の相続登記の方法
被相続人が不動産を単独所有していた場合、登記申請書に記載する登記の目的は「所有権移転」です。
被相続人が不動産を共有していた場合、登記申請書に記載する登記の目的は「〇〇持分全部移転」です。
被相続人が不動産を単独所有していた場合、相続人の氏名を記載します。
被相続人が不動産を共有していた場合、相続する持分と相続人の氏名を記載します。
相続人の記載の後に括弧を付けて被相続人の氏名を記載するのは、単独所有の相続の場合も共有持分の相続の場合も共通です。
相続人 (被相続人 〇〇〇〇)
〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号
持分〇分の〇 〇〇〇〇
上記のように記載します。
④共有持分の相続の登録免許税は持分割合の1000分の4
相続登記をする場合、登録免許税を納めなければなりません。
相続登記の登録免許税は、対象になる不動産の固定資産評価額の1000分の4が課されます。
共有持分の相続登記をする場合、固定資産税評価額の持分割合の1000分の4が課されます。
例えば、共有持分が10分の1の場合、固定資産税評価額の10分の1の1000分の4が課されます。
固定資産税評価額が1億円の不動産の場合、移転した持分の価額は1000万円です。
登録免許税は、4万円を納めることになります。
共有持分の評価額が100万円以下になる場合、登録免許税が非課税になります。
固定資産税評価額が500万円の不動産の場合で、かつ、共有持分が10分の1の場合、移転した持分の価額は50万円です。
共有持分の評価額が100万円以下になる場合だから、登録免許税が非課税になります。
申請書に「租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」明記する必要があります。
3不動産の共有はデメリットが大きい
デメリット①共有物を処分するには共有者全員の合意が必要
共有財産は、共有している人全員が合意しないと、処分はできません。
処分するとは、共有物を売却する、第三者に賃貸することなどです。
たくさんの人で共有していると合意がまとまりにくくなります。
1人でも反対の人がいると、処分はできません。
デメリット②共有者に相続が発生する
共有物を売却するためには、共有者全員の合意が必要になります。
共有者全員の合意がしにくくなると、売却などの判断は先延ばししがちです。
先延ばしにより長期間経過すると、共有者に相続が発生することがあります。
共有者に相続が発生すると、共有者の持分は相続財産になります。
このとき、死亡した共有者の共有持分を、複数の相続人が法定相続分で細分化して共有することがあります。
このような相続が何人もの共有者の間で発生すると、共有者がたくさんになり、持分が細分化されます。
適切に相続登記がされないと、だれにどれだけの持分があるのか分からなくなります。
デメリット③共有持分を売却するおそれ
共有物全体を売却するためには共有者全員の合意が必要です。
それぞれの共有者が持っている共有持分を売却するためには、他の共有者の合意は不要です。
あまり知られていませんが、共有者が持っている共有持分を買い取る業者がいます。
共有持分を買い取る業者はビジネスですから、遠慮なく共有者としての権利を主張してきます。
共有持分買取請求や共有物分割請求などです。
話し合いで解決できなければ、当然、裁判所に持ち込まれることになるでしょう。
知識のない一般の人では対応できませんから、弁護士に依頼することになるでしょう。
4共有を解消する場合の登記は共同申請
①共有解消の合意ができたら登記申請が必要
相続などで不動産を共有するのは、デメリットが大きくおすすめできません。
すでに不動産を共有しているのであれば、できるだけ早い時期に共有を解消し単独所有にするように話し合いをするといいでしょう。
他の共有者と話し合いによって、自分の持分を譲り渡す場合や他の共有者の持分を譲り受ける場合、共有持分の名義変更が必要になります。
②共有解消の登記申請の方法
不動産を共有するため名義変更をする場合、相続登記のように単独で申請をすることはできません。
共有持分を譲り受ける人を権利者、譲り渡す人を義務者として共同で申請をします。
登記申請書に記載する登記の目的は「〇〇持分全部権移転」です。
登記申請書に記載する登記原因は、他の共有者との話し合いの内容によって異なります。
権利者と義務者の共同申請なので、権利者と義務者の氏名を記載します。
権利者の氏名を記載するとき、譲り受ける持分も一緒に記載します。
義務者の氏名を記載するとき、譲り渡す持分を記載する必要はありません。
権利者 〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号
持分〇分の〇 〇〇〇〇
義務者 〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号
〇〇〇〇
上記のように記載します。
③共有解消の登録免許税は持分割合の1000分の20
共有解消の登記をする場合、登録免許税を納めなければなりません。
登録免許税は、対象になる不動産の固定資産評価額の1000分の20が課されます。
共有解消の登記をする場合、固定資産税評価額の持分割合の1000分の20が課されます。
例えば、共有持分が10分の1の場合、固定資産税評価額の10分の1の1000分の20が課されます。
固定資産税評価額が1億円の不動産の場合、移転した持ち分の価額は1000万円です。
登録免許税は、20万円を納めることになります。
④共有解消の登記申請の必要書類
共有を解消する場合の登記で必要な書類は、次のとおりです。
(1)登記原因証明情報
(2)登記識別情報
(3)譲り渡す人の印鑑証明書3か月以内のもの
(4)譲り受ける人の住民票
(5)登記委任状
(6)固定資産税評価証明書
譲り渡す人は、実印で押印が必要になります。
5相続登記を司法書士に依頼するメリット
相続が発生すると、相続人はたくさんの相続手続に追われて悲しむ暇もありません。
ほとんどの方は、相続を何度も経験するものではないでしょう。
相続手続に不慣れで聞き慣れない法律用語で、へとへとになります。
相続登記は、相続手続の中でも難しい手間のかかる手続です。
不動産は、重要な財産であることが多いものです。
一般の方から見ると、些細なことと思えるようなことでやり直しになります。
簡単そうに見えても、思わぬ落とし穴があります。
法務局の登記手続案内に行っても、何が良くないのか分からなかったというケースも多いものです。
司法書士は、このような方をサポートしております。
相続登記を自分でやってみたけど、挫折した方の相談も受け付けております。
相続登記をスムーズに完了させたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
相続した建物に所有権保存登記
1表題登記と所有権保存登記のちがい
①不動産登記には2種類ある
不動産登記には、2種類あります。
表題登記と権利登記です。
表題登記とは、土地や建物の物理的状況を表示する登記です。
権利登記とは、土地や建物の権利関係を表示する登記です。
所有権保存登記は、権利登記のひとつです。
②表題登記とは
埋め立てや土地の隆起があった場合、新たな土地が生じます。
新たな土地が生じた場合、土地表題登記をします。
土地の所在や地番、地目などを登記します。
新しく建物を建設した場合、新たな建物が生じます。
新たな建物が生じた場合、建物表題登記をします。
新たな土地が生じることはめったにありません。
単に表題登記といったら、建物表題登記を指すことがほとんどです。
建物の表題部に登記される主な項目は、次のとおりです。
(1)種類
居宅、店舗、事務所など
(2)構造
建物の主たる構成材料、屋根の種類、階数など
(3)構成材料による区分
木造、石造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造など
(4)屋根の種類による区分
瓦葺、スレート葺、亜鉛メッキ鋼板葺、陸屋根など
(5)階数による区分
平家建、2階建など
③所有権保存登記とは
建物表題登記をした後、初めて所有者としてする登記を所有権保存登記と言います。
所有権保存登記をした場合、所有者として第三者に対して権利主張をすることができます。
所有権保存登記をしていない場合、第三者が所有者であると権利主張したときに文句を言うことができません。
所有者として第三者に対して権利主張をすることができるのは、登記の重要な機能です。
所有者として第三者に対して権利主張をすることができる機能を対抗力と言います。
表題登記をした場合、所有者が記録されます。
登記簿の表題部に、所有者が登記されます。
表題部の所有者の登記には、対抗力がありません。
表題部に所有者と登記されても、所有者として第三者に対して権利主張をすることができません。
表題部に所有者と登記された場合には、対抗力がないからです。
所有権保存登記をした場合には、対抗力があります。
2表題部所有者に相続が発生したときの所有権保存登記
①相続した建物は相続財産
新たな建物が生じた場合、建物表題登記をします。
建物表題登記ができたら、所有権保存登記をします。
建物表題登記は、建物完成から1か月以内に登記をしなければなりません。
所有権保存登記は、原則として、登記をする義務はありません。
所有権保存登記をしないと、所有者として第三者に対して権利主張をすることができないだけです。
建物表題登記をした後、所有権保存登記をしないまま長期間経過していることがあります。
建物表題登記をした後、所有権保存登記をしないまま、表題部に所有者と記録された人が死亡することがあります。
相続が発生した場合、原則として、被相続人の財産は相続人が相続します。
相続人が相続する財産が、相続財産です。
被相続人が建物を所有していた場合、所有していた建物は相続財産になります。
建物表題登記をした後、所有権保存登記をしない建物であっても、所有していた建物は相続財産になります。
②相続財産の分け方は相続人全員の合意で決定
相続が発生すると、相続財産は相続人全員の共有財産になります。
2人以上相続人がいる場合や遺言書がない場合は、遺産の分け方について相続人全員で話し合いをする必要があります。
相続財産の分け方について相続人全員でする話し合いのことを遺産分割協議といいます。
相続財産の分け方は、相続人全員による合意で決定します。
相続人全員で合意がまとまったら、相続人全員の合意内容を文書に取りまとめます。
相続人全員の合意内容を取りまとめた文書を遺産分割協議書と言います。
遺産分割協遺書は、相続人全員の合意内容の証明書です。
③建物を相続する相続人から所有権保存登記
所有権保存登記の申請をすることができるのは、原則として、表題部所有者です。
表題部所有者が死亡した場合、表題部所有者の相続人が所有権保存登記の申請をすることができます。
遺産分割協議によって建物を相続する相続人を決めることができます。
建物を相続する相続人が所有権保存登記の申請をすることができます。
④被相続人が生前に建物を売却していたら
所有権保存登記は、原則として、登記をする義務はありません。
建物表題登記をした後、所有権保存登記をしないまま被相続人が建物を売却していることがあります。
被相続人が建物を売却した場合、建物は被相続人のものではありません。
被相続人が建物を所有していない場合、建物は相続財産になりません。
被相続人から建物を買った人は、建物について所有権移転登記をして欲しいと望むでしょう。
所有権移転登記をしていない場合、所有者として第三者に対して権利主張をすることができないからです。
第三者から所有者であると権利主張がされたときに、買主が文句を言うことができなくなります。
被相続人は建物を売却したのだから、買主に対して所有権移転登記をする義務があります。
買主に対して所有権移転登記をする義務を果たさないまま相続が発生することがあります。
相続人全員は、所有権移転登記をする義務を相続します。
相続人全員は、買主に対して所有権移転登記をする義務があります。
買主に対して所有権移転登記をするため、所有権保存登記をしなければなりません。
所有権保存登記は、建物表題登記をした後、初めて所有者としてする登記です。
初めて所有者としてする登記をしないと、所有権移転登記をすることができません。
相続人は所有権保存登記をして、買主に対して所有権移転登記をします。
所有権保存登記は、被相続人が所有者となる登記です。
所有者が死亡した後であっても、死亡した所有者名義の登記をすることができます。
被相続人が過去に所有者だったからです。
被相続人が生前に建物を売却したから、相続人は建物を相続していません。
相続人は建物を相続していないから、相続人名義の所有権保存登記をすることはできません。
区分建物でない建物の場合、買主に対して直接所有権保存登記をすることはできません。
所有権保存登記の申請をすることができるのは、表題部所有者またはその相続人だからです。
建物の買主は、表題部所有者またはその相続人のどちらにも該当しないでしょう。
建物の買主は、所有権保存登記をすることができません。
2表題部所有者に数次相続が発生したときの所有権保存登記
①数次相続とは
相続が発生したら、被相続人の財産は相続人全員の共有財産になります。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。
相続財産の分け方について、話し合いがまとまらないうちに相続人が死亡してしまうことがあります。
数次相続とは、話し合いがまとまらないうちに相続人が死亡して新たな相続が発生することです。
死亡した相続人に相続が発生した場合、相続人の地位が相続されます。
最初の相続で話し合いをする地位が、死亡した相続人の相続人に相続されます。
数次相続は、どこまででも続きます。
法律上の制限は、設けられていません。
②数次相続が発生したときは最終の相続人から所有権保存登記
所有権保存登記の申請をすることができるのは、表題部所有者またはその相続人です。
表題部所有者に数次相続が発生した場合、最終の相続人から所有権保存登記を申請することができます。
数次相続が発生後に所有権保存登記をする場合、中間の相続人が単独である必要はありません。
中間の相続人が単独である場合も中間の相続人が複数である場合も、直接最終の相続人名義の所有権保存登記をすることができます。
通常は、権利登記がされているでしょう。
所有権登記がされている所有者が死亡した場合、所有権移転登記をします。
数次相続が発生後に所有権移転登記をする場合、中間の相続人が単独であるときのみ直接最終の相続人名義の所有権移転登記をすることができます。
所有権移転登記で直接最終の相続人名義にするためには、中間の相続人が単独である必要があります。
中間の相続人が複数である場合、いったん複数の相続人で相続登記をします。
あらためて相続登記をして最終の相続人名義にする必要があります。
数次相続が発生後に所有権移転登記をする場合、中間の相続人が複数であるときは直接最終の相続人名義の所有権移転登記をすることができません。
3相続登記を司法書士に依頼するメリット
相続が発生すると、相続人は悲しむ暇もなく相続手続に追われます。
ほとんどの人は相続手続は不慣れで、聞き慣れない法律用語で疲れ果ててしまいます。
インターネットの普及で多くの人は簡単に多くの情報を手にすることができるようになりました。
多くの情報の中には正しいものも、適切でないものも同じように混じっています。
相続登記も簡単にできる、ひとりでできたという記事も散見されます。
多くの場合、不動産は重要な財産でしょう。
登記手続きは一般の方から見ると些細なことと思えるようなことでやり直しになることも多いものです。
法務局の登記手続案内を利用すれば、シンプルな事例の申請書類などは教えてもらえます。
案内対象と異なる事例に関しては、わざわざ説明してくれません。
知識のない方にとっては、案内対象の事例かどうか判断がつかないでしょう。
司法書士などの専門家から見れば、トラブルのないスムーズな相続手続であっても、知識のない一般の方はへとへとになってしまいます。
表題部所有者などは、一般的には聞き慣れないことがほとんどでしょう。
一般向けの相続登記の解説書などに説明されていることはほとんどありません。
通常の相続登記と異なることにも気づかないでしょう。
司法書士は登記の専門家です。
スムーズに相続登記を完了させたい方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
公正証書遺言で不動産の相続登記
1遺言書の大部分は自筆証書遺言と公正証書遺言
遺言書の種類は、民法という法律で決められています。
大きく分けて普通方式の遺言と特別方式の遺言とあります。
普通方式の遺言は、次の3つです。
①自筆証書遺言
②公正証書遺言
③秘密証書遺言
特別方式の遺言は、次の4つです。
①死亡の危急に迫った者の遺言
②伝染病隔離者の遺言
③在船者の遺言
④船舶遭難者の遺言
特別方式の遺言は、生命の危機に迫っている人や航海中など交通できない人が作る特別の遺言です。
特別方式の遺言は、ごく稀な遺言と言えるでしょう。
多くの方にとって、遺言というと普通方式の遺言です。
なかでも、①自筆証書遺言②公正証書遺言のいずれかを作成される方がほとんどです。
2公正証書遺言は安心確実
①公正証書遺言は公証人が文書に取りまとめてくれる
公正証書遺言とは、遺言内容を公証人に取りまとめてもらって作る遺言書です。
遺言者が公証人に遺言内容を伝えて、証人2人に確認してもらって作ります。
公正証書遺言を作成する場合、原則として、公証役場に出向く必要があります。
遺言者が病気や障害などで公証役場に出向くことが困難なこともあるでしょう。
公証役場に出向くことが困難な場合、病院や自宅などへ公証人に出張してもらうことができます。
②公正証書遺言は無効になりにくい
公証人は、法律の専門家です。
公正証書遺言は、公証人が文書に取りまとめます。
遺言書には、厳格な書き方ルールがあります。
書き方ルールに違反すると、遺言書は無効になります。
公正証書遺言は、公証人が関与します。
公証人は法律の専門家だから、書き方ルールの違反で無効になることは考えられません。
③遺言書原本は公証役場で厳重に保管される
公正証書遺言を作成した後、正本と謄本が渡されます。
公正証書遺言を使って相続手続をする場合、遺言公正証書の正本か謄本を使用します。
正本と謄本は同じ内容ですから、どちらでも相続手続に使うことができます。
正本や謄本は、紛失してしまっても差し支えありません。
遺言書原本は、公証役場で厳重に保管されています。
遺言書を作成した公証役場で手続をすれば、再発行してもらうことができます。
遺言書を作成した公証役場が分からない場合、平成元年以降に作成しているのであれば、公証役場で探してもらうことができます。
遺言書を作成した公証役場が見つかったら、遺言書を作成した公証役場で再発行してもらうことができます。
④公正証書遺言は家庭裁判所の検認手続は不要
遺言書の検認とは、家庭裁判所で遺言書の状態を確認してもらうことです。
公正証書遺言は、家庭裁判所で検認手続をする必要はありません。
公正証書遺言は遺言書作成後、公証役場で厳重に保管されています。
相続人などが改ざんすることはできません。
わざわざ家庭裁判所で遺言書の状態を確認してもらう必要はないからです。
3公正証書遺言で不動産の相続登記
①公正証書遺言があるときの相続登記の必要書類
登記申請書には、通常、相続関係説明図を添えます。
事例によっては追加書類が必要になる場合がありますが、おおむね、次の書類が必要です。
(1)被相続人の除籍謄本
(2)相続人の現在戸籍
(3)被相続人の住民票の除票か戸籍の除附票
(4)不動産を相続する人の住民票
(5)遺言書
(6)不動産の固定資産税評価証明書
遺言書がない場合、相続財産は相続人全員の共有財産になります。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。
相続人全員の合意があることを確認するため、被相続人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本が必要です。
遺言書がある場合、遺言書で財産の分け方が記載されているでしょう。
遺言書のとおりに分ければいいので、相続人全員の合意は不要です。
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を準備する必要はありません。
遺言書は、遺言者が死亡したときに効力を生じます。
遺言者が死亡したことの確認のため、被相続人の除籍謄本を提出します。
相続人になる人は、法律で決まっています。
相続できるのは、相続人だけです。
相続登記をする場合、相続人であることの確認が必要になります。
相続登記を申請する人が相続人であることの確認のため、相続人の現在戸籍を提出します。
②遺言執行者が相続登記
遺言書を書いただけでは、意味がありません。
遺言書の内容は自動的に実現するわけではないからです。
遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。
遺言書を作成する場合、遺言執行者を指名しておくと安心です。
遺言執行者がいない場合、相続人全員の協力が必要になるからです。
遺言書の内容に不満を持つ相続人がいた場合、遺言書の内容の実現に協力してくれないでしょう。
遺言執行者がいる場合、相続人の協力は不要です。
令和元年7月1日以降に作成された遺言書で遺言執行者が指名されている場合、遺言執行者が相続登記を申請することができます。
遺言執行者は、相続登記以外の相続手続をすることができます。
相続手続先がたくさんある場合、法定相続情報一覧図があると便利です。
遺言執行者は、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をすることができます。
わずらわしい相続手続を遺言執行者におまかせできるので、家族はラクになります。
4公正証書遺言で不動産の遺贈の登記
①遺言書に遺贈とあったら遺贈で手続
遺贈とは、被相続人が遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげることです。
遺贈で財産を譲ってあげる人のことを遺贈者、譲ってもらう人を受遺者と言います。
相続では、法定相続人だけに譲ってあげることができます。
遺贈では、法定相続人に譲ってあげることもできるし、相続人以外の人に譲ってあげることができます。
遺言書に「遺贈する」とあれば、譲ってもらう人が相続人であっても相続人以外の人でも、遺贈で手続します。
遺言書に「相続させる」とあっても、譲ってもらう人が相続人以外の場合、遺贈で手続します。
相続できるのは、相続人だけだからです。
遺贈登記は、権利者と義務者が共同で登記申請をします。
受遺者が相続人である場合、登記申請書に権利者と義務者を記載するだけで義務者の関与が不要です。
形式的には共同申請ですが、事実上、受遺者が単独申請をすることができます。
②公正証書遺言があるときの相続登記の必要書類
登記申請書に添付する書類は、次のとおりです。
(1)被相続人の除籍謄本
(2)被相続人の除票か戸籍の除附票
(3)受遺者の住民票か戸籍の附票
(4)不動産の権利証
(5)印鑑証明書
(6)遺言書
(7)不動産の固定資産税評価証明書
印鑑証明書は、発行後3か月以内のものが必要です。
印鑑証明書は、遺贈義務者のものが必要です。
遺言執行者がいる場合、遺贈義務者は遺言執行者です。
遺言執行者がいない場合、遺贈義務者は相続人全員です。
所有権移転登記をする場合、登記原因を証明する書類を提出する必要があります。
(1)遺言書(2)検認証明書(3)被相続人が死亡した記載のある戸籍謄本(4) 被相続人の除票か戸籍の除附票は、登記原因証明情報として提出します。
売買などで所有権移転登記をする場合、法務局報告形式の登記原因証明情報を提出する場合があります。
法務局報告形式の登記原因証明情報に登記義務者が押印することで、内容の真実性が確保できるとされているからです。
遺贈は登記義務者が内容を認めただけでは、真実性が確保されません。
遺贈の真実性の担保のため、遺言書や戸籍謄本の提出が欠かせません。
遺贈の登記では、法務局報告形式の登記原因証明情報を利用することはできません。
③遺言執行者が遺贈登記
遺贈登記は、権利者と義務者が共同で登記申請をします。
権利者は受遺者、義務者は遺贈義務者です。
遺言執行者がいる場合、遺贈義務者は遺言執行者です。
遺言執行者がいない場合、遺贈義務者は相続人全員です。
遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。
遺言執行者は、受遺者であっても構いません。
遺言執行者は、遺言の内容を実現するために必要な行為をする権限があります。
協力しない相続人が遺言執行を妨害した場合、原則として、妨害行為は無効になります。
遺贈登記は、受遺者と遺言執行者が共同で登記申請をします。
④被相続人の住所氏名が登記簿上の住所氏名と違っていたら
不動産を持っている場合、住所や氏名が変わったら、その都度手続するのが原則です。
不動産を売却する予定がない場合、先延ばししていることは割とよくあります。
相続登記では、登記簿上の住所氏名と被相続人死亡時の住所氏名が異なっている場合、住所変更登記や氏名変更登記はする必要がありません。
遺贈の登記では、登記簿上の住所氏名と被相続人死亡時の住所氏名が異なっている場合、住所変更登記や氏名変更登記が必要です。
登記簿上の住所氏名と被相続人死亡時の住所氏名が異なっているのに、住所変更登記や氏名変更登記を申請せずに、遺贈登記を申請した場合、遺贈登記を取下げすることになります。
後から住所変更登記や氏名変更登記を出しても、認められません。
住所変更登記や氏名変更登記は、遺言執行者が申請することができます。
5相続登記を司法書士に依頼するメリット
大切な家族を失ったら、大きな悲しみに包まれます。
やらなければいけないと分かっていても、気力がわかない方も多いです。
不動産は重要な財産であることも多いので、登記手続は一般の方から見ると些細なことと思えるようなことでやり直しになることも多いです。
住所変更登記が必要になるか必要にならないかなどもそのひとつでしょう。
相続手続は、一生のうち何度も経験するものではありません。
だれにとっても不慣れで、手際よくできるものではないでしょう。
相続手続で使われる言葉は法律用語なので、一般の方にとって日常で聞き慣れないものでしょう。
司法書士は、登記の専門家です。
相続手続も、登記手続も、丸ごとお任せいただけます。
相続手続でへとへとになる前に、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
数次相続があったときの相続登記
1数次相続とは
①数次相続は相続手続中に相続人が死亡
相続が発生したら、相続財産は相続人全員の共有財産になります。
共有財産になった相続財産は、相続人全員で話し合いによる分け方の合意が不可欠です。
相続財産の分け方について、話し合いがまとまる前に、相続人が死亡して新たな相続が発生することがあります。
最初の相続の手続中に相続人が死亡して、さらに相続が発生した状態を数次相続と言います。
数次相続は、どこまででも続きます。
どこまで続くかについて、法律上の制限はありません。
最初の相続を一次相続、相続人が死亡した相続を二次相続と言います。
二次相続の相続人が死亡すると、三次相続、さらに、四次相続、五次相続という場合もあります。
相続人が死亡して新たな相続が発生することを、まとめて、数次相続と言います。
②数次相続と代襲相続のちがい
数次相続も代襲相続も相続が複雑になる代表例です。
相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することがあります。
これを代襲相続と言います。
数次相続は、相続が発生した「後」に、相続人が死亡した場合です。
代襲相続は、相続が発生する「前」に、相続人になるはずだった人が死亡した場合です。
数次相続では、死亡した相続人の相続人が最初の相続の遺産分割協議に参加します。
代襲相続では、死亡した相続人の直系卑属が最初の相続の遺産分割協議に参加します。
数次相続と代襲相続では、遺産分割協議に参加する人が異なります。
遺産分割協議に参加すべき人が参加していない場合、相続財産の分け方の合意は無効になります。
遺産分割協議に参加すべきでない人が参加している場合、相続財産の分け方の合意は無効になります。
だれが話し合いに参加すべきか間違えると、せっかく合意をしても合意が無効になります。
慎重に判断しましょう。
2数次相続があったときの相続登記は原則相続ごとに
数次相続とは、最初の相続の手続中に相続人が死亡して、さらに相続が発生した状態です。
数次相続があったときの相続登記は、原則として、発生した相続ごとに順次申請します。
2回相続が発生しているのであれば2回相続登記をします。
3回相続が発生しているのであれば3回相続登記をします。
被相続人の数だけ相続登記をするのが原則です。
1件の申請書でまとめて登記申請をするためには、条件があります。
まとめて登記申請をする条件は「登記の目的」「登記原因」「申請人」が同一であることです。
「登記の目的」「登記原因」「申請人」が同一でない場合、原則として、まとめて登記をすることができません。
登記は、現在の権利関係を公示するだけでなく、権利変動の過程も公示しています。
権利変動の途中の事実を省略して、まとめて登記をすることはできません。
相続人がすでに死亡している場合、死亡した相続人名義で相続登記をすることができます。
登記申請をするときにはすでに死亡していたとしても、生前に相続していたからです。
生前に相続したことを公示するため、死亡した人名義で相続登記をすることができます。
3最終の相続人にまとめて相続登記ができる例外
①中間の相続人が一人だけ
数次相続があったときの相続登記は、被相続人の数だけ相続登記をするのが原則です。
複数の相続が発生した場合であって、かつ、中間の相続人が一人だけの場合、例外的に、最終の相続人にまとめて相続登記をすることができます。
相続は、戸籍を調べれば相続関係が判明します。
権利変動の途中の事実を省略して、まとめて登記をしても問題が少ないためと考えられています。
中間の相続人が一人であれば、何回相続が発生していても、まとめて相続登記をすることができます。
相続人が一人である必要があるのは、中間の相続人です。
最終の相続人が複数で共有する相続登記であっても、まとめて相続登記をすることができます。
②相続放棄で中間の相続人は一人だけ
相続が発生したときには複数の相続人がいたけれど、他の相続人全員が相続放棄をした場合があります。
家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人ではなかった扱いです。
中間の相続人が一人だけとは、相続人が初めから一人しかいない場合だけではありません。
中間の相続において、他の相続人全員が家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、中間の相続人が一人だけになります。
中間の相続人が一人だけの場合、例外的に、最終の相続人にまとめて相続登記をすることができます。
③遺産分割協議で中間の相続人は一人だけ
相続が発生した場合、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。
中間の相続において、相続人のうち一人だけが相続する合意が成立することがあります。
相続人全員の合意で相続人のうち一人だけが相続する合意が成立した場合、中間の相続人が一人だけになります。
中間の相続人が一人だけの場合、例外的に、最終の相続人にまとめて相続登記をすることができます。
4数次相続で最終の相続人が一人になった場合
①遺産分割協議ができない場合
最終の相続人にまとめて相続登記をすることができるのは、中間の相続人が一人だけの場合です。
中間の相続人が一人だけの場合には、遺産分割協議によって相続人のうち一人だけが相続すると相続人全員で合意ができた場合を含みます。
中間の相続人が複数いる場合、遺産分割協議による合意ができないまま相続人が死亡して最終の相続人が一人になることがあります。
遺産分割協議による合意ができないまま最終の相続人が一人になった場合、遺産分割協議の余地はありません。
たとえ最終の相続人が死亡した相続人の相続人であっても、遺産分割協議はできません。
最終の相続人が一人になった場合、話し合いによる合意ができないからです。
遺産分割協議による合意をしていないから、相続人全員が法定相続分で共有する相続をしたと考えます。
法定相続分で相続人全員が相続したのだから、中間の相続人が一人だけではありません。
中間の相続人が複数だから、最終の相続人にまとめて相続登記ができません。
②数次相続で最終の相続人が複数なら遺産分割協議ができる
遺産分割協議による合意ができないまま最終の相続人が一人になった場合、遺産分割協議の余地はありません。
遺産分割協議による合意ができないまま最終の相続人が複数の場合、最終の相続人で遺産分割協議をすることができます。
遺産分割協議の結果、中間の相続人が一人であれば最終の相続人にまとめて相続登記をすることができます。
③遺産分割協議をしていない場合
最終の相続人にまとめて相続登記をすることができるのは、中間の相続人が一人だけの場合です。
中間の相続人が一人だけの場合には、遺産分割協議によって相続人のうち一人だけが相続すると相続人全員で合意ができた場合を含みます。
遺産分割協議による合意ができないまま最終の相続人が一人になった場合、遺産分割協議の余地はありません。
遺産分割協議による合意ができないまま最終の相続人が複数の場合、最終の相続人で遺産分割協議をすることができます。
遺産分割協議をしないで、他の相続人全員が特別受益証明書を作成することがあります。
他の相続人全員が特別受益証明書を作成したことで、最終の相続人が一人になることがあります。
たとえ最終の相続人が死亡した相続人の相続人であっても、遺産分割協議をしていません。
遺産分割協議による合意をしていないから、相続人全員が法定相続分で共有する相続をしたと考えます。
中間の相続人が複数だから、最終の相続人にまとめて相続登記ができません。
④遺産分割協議後に相続人が一人になった場合
遺産分割協議によって相続人のうち一人だけが相続すると相続人全員で合意ができた場合、中間の相続人が一人だけの場合と認められます。
中間の相続人が一人だけの場合、最終の相続人にまとめて相続登記をすることができます。
最終の相続人にまとめて相続登記をする場合、法務局に遺産分割協議書などを提出します。
法務局から見ると、遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書がない場合、相続人全員で合意ができたのか分かりません。
遺産分割協議によって相続人のうち一人だけが相続すると相続人全員で合意ができたのに、合意内容を文書に取りまとめる前に相続人が死亡することがあります。
遺産分割協議の合意後に相続人が死亡した場合、生前に相続人がした合意は有効です。
遺産分割協議は、文書に取りまとめなくても有効だからです。
相続人全員で合意内容を文書に取りまとめていない場合、相続登記をしても認められることはありません。
遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書がない場合、相続人全員で合意ができたのか分からないからです。
遺産分割協議の合意後で遺産分割協議書作成前に相続人が死亡した場合、死亡した相続人の相続人が合意内容を証明することができます。
生存している相続人と死亡した相続人の相続人で、遺産分割協議の内容を証明することができます。
生存している相続人と死亡した相続人の相続人が同一人物である場合、一人で遺産分割協議の内容を証明することができます。
合意後に相続人が死亡した場合であっても生前に相続人がした合意は有効だから、中間の相続人が一人だけになります。
中間の相続人が一人だけの場合、例外的に、最終の相続人にまとめて相続登記をすることができます。
5中間の相続人が不動産を保有していた場合
中間の相続人が一人だけの場合、最終の相続人にまとめて相続登記をすることができます。
最初の被相続人の不動産について、まとめて相続登記をすることができます。
中間の相続人が固有の不動産を持っていることがあります。
最初の被相続人の不動産と中間の相続人の不動産について、まとめて相続登記をすることができません。
最初の被相続人の不動産と中間の相続人の不動産では、登記原因が違うからです。
6相続登記を司法書士に依頼するメリット
相続が発生すると、相続人はたくさんの相続手続に追われて悲しむ暇もありません。
ほとんどの方は相続を何度も経験するものではないから、手続に不慣れで聞き慣れない法律用語でへとへとになります。
一般的にいって、相続登記は、その中でも難しい手間のかかる手続です。
不動産は重要な財産であることが多いので、一般の方からすると些細なことと思えるようなことでやり直しになります。
簡単そうに見えても、思わぬ落とし穴があることもあります。
数次相続が発生している場合、難易度は高くなります。
インターネットなどの情報では、どうしたらいいか分からないことも多いでしょう。
司法書士はこのような方をサポートしております。
相続登記を自分でやってみたけど、挫折した方の相談も受け付けております。
相続登記をスムーズに完了させたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
共有名義にする相続登記を単独申請
1相続財産の分け方を決める方法
①被相続人が遺言書で指定
被相続人が生前に遺言書を作成していることがあります。
遺言書で財産の分け方が指定してある場合、遺言書のとおりに分けることができます。
遺言書には、厳格な書き方ルールがあります。
法律上の書き方ルールに合わない遺言は、無効になります。
被相続人が遺言書のつもりで書いた書面であっても、無効の遺言書で相続手続をすることはできません。
②相続人全員で遺産分割協議
相続が発生した場合、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めることができます。
相続財産の分け方を決める場合は、多数決ではありません。
相続人全員の合意が必要です。
音信不通の相続人がいても行方不明の相続人がいても、相続人全員の合意がない場合は遺産分割協議は成立しません。
相続人全員が合意できた場合、合意内容を書面に取りまとめます。
合意内容に間違いがないことを確認して、相続人全員が記名し実印で押印します。
遺産分割協議書への押印が実印であることの証明として、印鑑証明書を添付します。
③法定相続分で相続人全員が共有
相続が発生した場合、だれが相続人になるのか民法で決められています。
法定相続分とは、相続財産に対する取得割合です。
相続人が取得する法定相続分も、民法で決められています。
遺産分割協議をする場合、法定相続分とは無関係に合意することができます。
相続人全員で合意できるのであれば、法定相続分に従う必要はないからです。
法定相続分は、相続人全員について決められています。
法定相続分で相続登記をする場合、相続人全員で共有する相続登記になります。
2法定相続分で共有する相続登記
①一部の相続人だけで登記申請ができる
登記申請をする場合、原則として、当事者全員が登記申請をします。
法定相続分で相続登記をする場合、原則として、相続人全員が登記申請人になります。
相続登記は、一部の相続人が登記申請をすることができます。
法定相続分による相続登記は、保存行為だからです。
保存行為とは、財産の現状を維持し財産の価値を保存する行為のことです。
財産の現状を維持し財産の価値を保存するため、相続登記は一部の相続人から申請することができます。
相続財産は、相続人全員で共有しています。
共有者全員のために、保存行為をします。
他の共有者の同意を得ることなく、保存行為をすることができます。
他の相続人が反対していても、法定相続分で相続登記をすることができます。
②自分の相続分だけ申請することはできない
法定相続分で相続登記をする場合、相続人全員で共有する相続登記です。
保存行為は、共有者全員のためにされる行為です。
一部の相続人だけが相続登記の申請人になる場合であっても、相続人全員のために登記申請をします。
自分の法定相続分だけ、登記申請をすることはできません。
③実印や印鑑証明書が不要
相続が発生した場合、だれが相続人になるのか民法で決められています。
相続人が取得する法定相続分も、民法で決められています。
法定相続分で共有する相続登記をする場合、民法で決められたとおりに登記をします。
相続人の合意は必要ありません。
合意内容を証明することは、ありません。
相続人全員の合意内容を証明するときは、相続人全員が記名し実印で押印します。
実印であることの証明として、印鑑証明書を添付します。
法定相続分で共有する相続登記をする場合、相続人全員の合意不要だから印鑑証明書も不要です。
④申請人以外の相続人は権利証が発行されない
法定相続分で共有する相続登記をする場合、原則として、相続人全員が登記申請人になります。
法定相続分で共有する相続登記は保存行為だから、一部の相続人だけが登記申請人になることができます。
一部の相続人だけが登記申請人になる場合、申請人になった相続人にだけ権利証が発行されます。
申請人にならなかった相続人は、権利者なのに権利証が発行されません。
申請人にならなかった相続人が、後から権利証を発行して欲しいと法務局などに申し出ることはできません。
不動産を売却するときや担保に差し出す場合、権利証が必要になります。
権利者なのに権利証がない場合、余計な費用や手間がかかります。
⑤登録免許税は申請時に一括納付
相続登記を申請する場合、登録免許税を納めます。
相続登記の登録免許税は、不動産の評価額の1000分の4です。
不動産の評価額によっては、無視できない金額になります。
登録免許税は、登記申請書を提出するときに収入印紙を貼付する方法で一括納入します。
一部の相続人が登録免許税の負担金を渋ると、家族のトラブルに発展するおそれがあります。
3相続登記後に相続放棄
法定相続分で共有する相続登記をする場合、一部の相続人だけが登記申請人になることができます。
一部の相続人だけが登記申請人になって相続登記をした場合、他の相続人は相続登記をしたことを知りません。
相続人の中には、相続放棄をする人がいることがあります。
家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなかったと扱われます。
自分が相続登記をした後で、相続放棄をすることはできません。
相続登記をした場合、単純承認をしたとみなされます。
相続登記をしたことは、相続財産を処分したと言えるからです。
自分が知らないところで他の相続人が相続登記をした場合、単純承認にはなりません。
相続放棄をした人は相続財産を処分したとは言えないからです。
家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、相続放棄をした人にだけ通知されます。
家庭裁判所は自主的に他の相続人に通知することはありません。
法務局は、だれが相続放棄をしたか知ることはできません。
相続放棄をしたことを知らないまま相続登記をした場合、結果として、間違った相続登記がされます。
誤った相続登記をしてしまった場合、あらためて登記の内容を訂正しなければなりません。
一部の相続人だけが登記申請人になって相続登記をした場合、余計な手間と費用がかかるおそれがあります。
4相続登記後に遺産分割協議
相続が発生した場合、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めることができます。
法定相続分で相続人全員が共有する登記をした後であっても、相続財産の分け方を決めることができます。
相続登記があっても相続登記後でも、相続人全員で合意できれば遺産分割協議は有効です。
遺産分割協議の内容と相続登記の内容は、異なる結果になるでしょう。
登記の内容を訂正する必要があります。
法定相続分で相続登記をした後に遺産分割協議が成立した場合、余計な手間と費用がかかります。
5不動産の共有はデメリットが大きい
①共有不動産の処分は共有者全員の同意が必要
共有不動産を処分する場合、共有者全員の同意が必要です。
不動産を処分するとは、不動産を売却する、第三者に賃貸する、担保に差し出すことなどです。
共有者がたくさんいる場合、共有者全員の合意が難しくなります。
共有者全員が合意できる場合であっても、合意するために時間がかかりがちになります。
②共有者に相続が発生する
共有不動産を処分する場合、共有者全員の同意が必要です。
共有者全員の合意が難しくなると、売却などの判断は先延ばししがちです。
先延ばししていると、共有者に相続が発生することがあります。
死亡した共有者の共有持分は、相続財産になります。
死亡した共有者の相続人全員の共有財産になります。
共有者全員の合意が難しくなっている不動産は、適切な管理ができていないかもしれません。
積極的に相続したがらないかもしれません。
死亡した共有者の相続人が法定相続分で共有することがあります。
共有持分が細分化して、相続されます。
何人もの共有者で相続が発生すると、共有者が多人数になり持分が細分化されます。
適切に管理されていない場合、だれにどれだけの持分があるのか分からなくなります。
③共有持分を売却する
共有不動産全体を処分する場合、共有者全員の同意が必要です。
共有者が持っている共有持分を処分する場合、共有者全員の同意は不要です。
共有者が持っている共有持分を買い取る業者がいます。
共有者が経済的に困っている場合、自分の共有持分を売却するかもしれません。
共有持分を買い取る業者は、ビジネスで共有持分を買い取っています。
利益を最大化するため、遠慮なく共有者としての権利を主張します。
6必ず法定相続分で共有する相続登記をするケース
①胎児名義で相続登記
胎児は相続が発生した時点で出生していないけど、すでに生まれたものと見なして相続権を認めています。
胎児は、生きて生まれてくることを条件に相続人になることができます。
胎児は相続人になることができるから、相続財産の共有者のひとりです。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めることができます。
相続人に胎児がいる場合、遺産分割協議はできません。
胎児が合意をすることができないからです。
相続人に赤ちゃんがいる場合、遺産分割協議をすることができます。
赤ちゃんは自分で合意することができないけど、親などの親権者が代わりに合意をすることができるからです。
胎児は、親などが代わりに合意することはできません。
親などが代わりに合意できるのは、生まれてきた後だけだからです。
多くの場合、出生してから遺産分割協議をして相続登記をします。
出生前に相続登記をしておきたい事情があれば、法定相続分で共有する相続登記をすることができます。
②債権者が勝手に相続登記
被相続人が多額のプラスの財産を残して死亡することがあります。
相続人が多額の借金を抱えている場合、お金を貸した人は相続した財産からお金を返してもらいたいと期待するでしょう。
債権者は債権の保全のため、債務者の財産を差し押さえることができます。
差押など強制執行の準備のため、相続登記を申請することができます。
差押などの強制執行をするためには、相続人名義である必要があるからです。
差押の後は、競売をして債権を回収します。
被相続人の債権者も、相続人の債権者も、代わりに相続登記を申請することができます。
税金などを滞納している場合、国や自治体などの役所が代わりに相続登記をすることもあります。
債務者がするべき登記申請を債権者が代わりに登記申請することを代位登記と言います。
債権者は債務者の事情などお構いなしで登記します。
相続人全員の話し合いによる合意がどうなったのか、待つことはありません。
たとえ、相続人全員の話し合いで特定の相続人が相続することが合意されていても、登記されていなければ代位登記ができます。
相続登記をしていなければ、相続人全員の合意内容と違うから消して欲しいなどの文句を言えません。
相続登記を先延ばししていると、代位登記をされるリスクが高くなります。
民間業者であっても、役所であっても、代位登記を事前に知らせてくれることもありません。
相続人の知らないうちに、相続人全員が法定相続分で共有する相続登記が入ります。
債務者だけ相続登記をすることはできないからです。
相続人がだれひとり知らないうちに、相続人全員が法定相続分で共有する相続登記がされるのです。
7相続登記を司法書士に依頼するメリット
相続が発生すると、相続人はたくさんの相続手続に追われて悲しむ暇もありません。
ほとんどの方は相続を何度も経験するものではないから、手続に不慣れで聞き慣れない法律用語でへとへとになります。
相続財産の分け方は相続人全員の話し合いによる合意が不可欠です。
一般的にいって、相続登記は相続手続の中でも難しい手間のかかる手続です。
簡単そうに見えても、思わぬ落とし穴があることもあります。
法務局の登記相談に行っても、法定相続分による相続登記のデメリットは伝えてもらえません。
法定相続分による相続登記のメリットデメリットを充分に判断したうえで、手続の方法のみ相談に行くところだからです。
司法書士は単に申請書を書いているだけではありません。
このような手続のメリットデメリットを判断してサポートをしています。
相続登記をスムーズに完了させたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
死亡した人名義で相続登記
1死亡した人名義で相続登記ができる
不動産を相続する人が決まったら、不動産の名義を書き換えます。
この不動産の名義の書き換えのことを相続登記と言います。
名義の書き換えをしないまま先延ばしをしているうちに、不動産を相続する人が死亡してしまう場合があります。
不動産を相続する人が死亡してしまった場合、相続登記ができなくなることはありません。
不動産を相続する人が死亡してしまった場合でも、相続登記をすることができます。
不動産を複数の相続人が共有して相続する場合があります。
共有する相続人のうち一部の相続人が死亡してしまう場合があります。
不動産を相続する人のうち一部の相続人が死亡してしまった場合でも、相続登記をすることができます。
不動産を相続する人が死亡してしまった場合、相続登記ができなくなることはないからです。
死亡した人名義の相続登記について、どこかしら不思議な気持ちになるかもしれません。
登記は、権利の変動の過程を忠実に反映させる制度です。
生前に不動産を相続したのだから、相続した事実を登記することができます。
権利の変動の過程を忠実に反映させるから、登記制度を信頼することができます。
不動産を複数の相続人が共有して相続する場合、一部の相続人が死亡してしまったときも同じことです。
生前に不動産を相続したのだから、相続した事実を登記することができます。
登記申請をしたときにはすでに死亡してしまっているけれど、生前に相続した事実を登記することができます。
生前に共有していたから、共有していたことを登記することができます。
死亡した人と生きている人が共有している相続登記になりますが、このような登記も有効です。
2相続手続中に相続人が死亡すると手続が複雑になる
①遺産分割協議中に相続人が死亡した場合
相続人は被相続人の権利義務を受け継ぎます。
死亡した相続人が最初の相続について単純承認をした場合、単純承認した地位を受け継ぎます。
死亡した相続人の相続について、単純承認をすることも相続放棄をすることもできます。
死亡した相続人の相続人は相続放棄をする場合、家庭裁判所に手続をする必要があります。
単純承認をする場合、最初の相続について遺産分割協議に参加します。
遺産分割協議書は、死亡した相続人の相続人が押印し、印鑑証明書を添付します。
相続人の肩書は、最初の相続の相続人は「相続人」、死亡した相続人の相続人は「相続人兼被相続人〇〇〇の相続人」と分かりやすく明記します。
②遺産分割協議書に押印し印鑑証明書を添付した後、相続人が死亡した場合
死亡した相続人が押印した遺産分割協議書を使って相続登記をすることができます。
死亡した相続人が生前に取得した印鑑証明書も使うことができます。
相続登記において印鑑証明書は有効期限はありません。
何十年も前の古いものでも差し支えありません
③遺産分割協議書に押印し印鑑証明書を取得せず、死亡した場合
人が死亡した場合、役所に死亡届を提出します。
死亡届を提出すると、戸籍と住民票に死亡したことが記載されます。
住民票と印鑑登録は連動していますから、同時に印鑑登録が抹消されます。
印鑑登録が抹消されると、印鑑証明書は取得できなくなります。
このような場合、死亡した相続人の相続人が上申書を提出します。
「別紙、遺産分割協議書に記載のとおり、被相続人〇〇の遺産分割協議が成立していることを証明する。」といった内容です。
上申書に死亡した相続人の相続人全員が実印で押印し、印鑑証明書を添付します。
この上申書は、単なる事実の証明です。
相続人同士の交渉や話し合いではありません。
死亡した相続人の相続人に、親権者と未成年者がいても、利益相反にはなりません。
死亡した相続人の相続人に未成年者がいても、相続人の相続人である親権者が代理することができます。
利益相反とは、親権者がトクすると、未成年者がソンする関係のことです。
単なる事実の証明だから、誰かがソンするとかトクするとかいう話ではないのです。
親権者は未成年者を代理できますから、家庭裁判所に特別代理人選任の申立は必要ありません。
④遺産分割協議に合意はしたが、遺産分割協議書を作る前に相続人が死亡した場合
遺産分割協議は成立していますから、やり直しは必要ありません。
遺産分割協議書に取りまとめる前に死亡したので、死亡した相続人の相続人全員が上申書を提出します。
「別紙、遺産分割協議書に記載のとおり、被相続人〇〇の遺産分割協議が成立していることを証明する。」といった内容です。
上申書に死亡した相続人の相続人全員が実印で押印し、印鑑証明書を添付します。
3途中の相続人がひとりの場合は直接最終の相続人に相続登記ができる
登記はそれぞれの原因ごとに分けて申請するのが原則です。
権利が移っていった過程もきちんと記録されなければならないからです。
売買などで、A→Bの後、B→Cと所有権が移転した場合、2つの登記申請が必要です。
途中を飛ばして、A→Cとすることはできません。
Bに所有権が移転したことが分からなくなってしまうからです。
相続登記においては、途中の人が1人の場合に限り、途中の人を飛ばして登記することができます。
相続人がだれであるかは戸籍を調べれば分かるから、途中を省略しても差し支えないとされています。
途中の人が1人になる場合とは、最初から1人の場合だけに限りません。
もともとの相続人はたくさんいたけど、他の相続人全員が相続放棄をしたや、遺産分割協議で1人が相続すると合意した場合も含みます。
最初の相続の遺産分割協議中に相続人が死亡した場合でも、最初の相続の他の相続人全員と死亡した相続人の相続人全員で遺産分割協議ができます。
最初の相続の他の相続人全員と死亡した相続人の相続人全員で、最初の相続の相続財産を死亡した相続人が相続することを合意することができます。
このような死亡した相続人が相続する合意をした場合も、遺産分割で1人になった場合に含みます。
遺産分割協議をしないまま、相続人が死亡して、最終の相続人が1人になった場合、途中を省略することはできません。
最終の相続人が複数であれば遺産分割協議ができますが、最終の相続人が1人になった場合は遺産分割協議はできないからです。
相続財産の分け方について合意をしたが、遺産分割協議書に取りまとめる前に、相続人が死亡した場合は別の結論になります。
合意をしたが、文書に取りまとめる前に死亡したのであれば、最終の相続人が1人になった場合でも、途中を省略することができます。
遺産分割は文書に取りまとめてなくても有効だからです。
この場合、1人になった相続人が、死亡した相続人と遺産分割協議をした内容を遺産分割協議証明書という書類に取りまとめます。
遺産分割協議証明書は相続登記において登記原因証明情報として法務局に提出します。
4死亡した相続人名義の相続登記をするときの注意点
①死亡した相続人名義の相続登記は死亡した相続人の相続人が申請
死亡した相続人名義の相続登記をする場合、通常の相続登記との違いはあまりありません。
死亡した相続人は、当然、自分で申請することができないから、死亡した相続人の相続人から申請します。
②死亡した相続人の住民票の除票が必要
所有権の登記名義を付ける場合、登記名義人になる人の住所を証明する書類を提出します。
死亡した相続人名義の相続登記をする場合、死亡した相続人の住所を証明する書類が必要になります。
死亡した相続人の住所は、住民票の除票や戸籍の附票を提出します。
住民票の除票や戸籍の附票は、永年保管ではありません。
現在は150年間保管されていますが、令和元年までは5年でした。
役所は保存期間を過ぎた書類は、順に廃棄します。
役所で廃棄済になった場合、必要な書類を取得することができません。
このような場合、被相続人の最後の本籍地を住所として相続登記をすることができます。
最期の本籍地を住所地として登記をする場合、法務局によっては、廃棄証明書の他に相続人全員から印鑑証明書付き上申書を提出するように言われる場合があります。
③土地について死亡した相続人名義の相続登記は非課税
死亡した相続人に相続登記をする場合、土地の登録免許税が非課税になります。
登記申請書には「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と記載します。
記載しない場合、非課税となりません。
記載を忘れて、通常どおり登録免許税を納めた場合、登録免許税は還付されません。
④死亡した相続人名義の相続登記でも権利証を作ってもらえる
相続登記を申請する場合、権利証を作ってもらうかどうか選択することができます。
死亡した相続人名義の相続登記をした後、すぐに名義人を被相続人とする相続登記をする場合、権利証を作ってもらう必要はないでしょう。
死亡した相続人が生前に遺言書を作成している場合があります。
遺言書を確認したら、相続した不動産を遺贈すると書いてあることがあります。
遺贈の登記をする場合、権利証が必要になります。
権利証がないと手続が複雑になります。
5相続登記を司法書士に依頼するメリット
相続が発生すると、相続人はたくさんの相続手続に追われて悲しむ暇もありません。
ほとんどの方は相続を何度も経験するものではないから、手続に不慣れで聞き慣れない法律用語でへとへとになります。
一般的にいって、相続登記は、その中でも難しい手間のかかる手続です。
不動産は重要な財産であることが多いので、一般の方からすると些細なことと思えるようなことでやり直しになります。
簡単そうに見えても、思わぬ落とし穴があることもあります。
法務局の登記相談に行っても、何が良くないのか分からなかったというケースも多いです。
司法書士はこのような方をサポートしております。
相続登記を自分でやってみたけど、挫折した方の相談も受け付けております。
相続登記をスムーズに完了させたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
