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数次相続があったときの相続登記
1数次相続とは
①数次相続は相続手続中に相続人が死亡
相続が発生したら、相続財産は相続人全員の共有財産になります。
共有財産になった相続財産は、相続人全員で話し合いによる分け方の合意が不可欠です。
相続財産の分け方について、話し合いがまとまる前に、相続人が死亡して新たな相続が発生することがあります。
最初の相続の手続中に相続人が死亡して、さらに相続が発生した状態を数次相続と言います。
数次相続は、どこまででも続きます。
どこまで続くかについて、法律上の制限はありません。
最初の相続を一次相続、相続人が死亡した相続を二次相続と言います。
二次相続の相続人が死亡すると、三次相続、さらに、四次相続、五次相続という場合もあります。
相続人が死亡して新たな相続が発生することを、まとめて、数次相続と言います。
②数次相続と代襲相続のちがい
数次相続も代襲相続も相続が複雑になる代表例です。
相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することがあります。
これを代襲相続と言います。
数次相続は、相続が発生した「後」に、相続人が死亡した場合です。
代襲相続は、相続が発生する「前」に、相続人になるはずだった人が死亡した場合です。
数次相続では、死亡した相続人の相続人が最初の相続の遺産分割協議に参加します。
代襲相続では、死亡した相続人の直系卑属が最初の相続の遺産分割協議に参加します。
数次相続と代襲相続では、遺産分割協議に参加する人が異なります。
遺産分割協議に参加すべき人が参加していない場合、相続財産の分け方の合意は無効になります。
遺産分割協議に参加すべきでない人が参加している場合、相続財産の分け方の合意は無効になります。
だれが話し合いに参加すべきか間違えると、せっかく合意をしても合意が無効になります。
慎重に判断しましょう。
2数次相続があったときの相続登記は原則相続ごとに
数次相続とは、最初の相続の手続中に相続人が死亡して、さらに相続が発生した状態です。
数次相続があったときの相続登記は、原則として、発生した相続ごとに順次申請します。
2回相続が発生しているのであれば2回相続登記をします。
3回相続が発生しているのであれば3回相続登記をします。
被相続人の数だけ相続登記をするのが原則です。
1件の申請書でまとめて登記申請をするためには、条件があります。
まとめて登記申請をする条件は「登記の目的」「登記原因」「申請人」が同一であることです。
「登記の目的」「登記原因」「申請人」が同一でない場合、原則として、まとめて登記をすることができません。
登記は、現在の権利関係を公示するだけでなく、権利変動の過程も公示しています。
権利変動の途中の事実を省略して、まとめて登記をすることはできません。
相続人がすでに死亡している場合、死亡した相続人名義で相続登記をすることができます。
登記申請をするときにはすでに死亡していたとしても、生前に相続していたからです。
生前に相続したことを公示するため、死亡した人名義で相続登記をすることができます。
3最終の相続人にまとめて相続登記ができる例外
①中間の相続人が一人だけ
数次相続があったときの相続登記は、被相続人の数だけ相続登記をするのが原則です。
複数の相続が発生した場合であって、かつ、中間の相続人が一人だけの場合、例外的に、最終の相続人にまとめて相続登記をすることができます。
相続は、戸籍を調べれば相続関係が判明します。
権利変動の途中の事実を省略して、まとめて登記をしても問題が少ないためと考えられています。
中間の相続人が一人であれば、何回相続が発生していても、まとめて相続登記をすることができます。
相続人が一人である必要があるのは、中間の相続人です。
最終の相続人が複数で共有する相続登記であっても、まとめて相続登記をすることができます。
②相続放棄で中間の相続人は一人だけ
相続が発生したときには複数の相続人がいたけれど、他の相続人全員が相続放棄をした場合があります。
家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人ではなかった扱いです。
中間の相続人が一人だけとは、相続人が初めから一人しかいない場合だけではありません。
中間の相続において、他の相続人全員が家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、中間の相続人が一人だけになります。
中間の相続人が一人だけの場合、例外的に、最終の相続人にまとめて相続登記をすることができます。
③遺産分割協議で中間の相続人は一人だけ
相続が発生した場合、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。
中間の相続において、相続人のうち一人だけが相続する合意が成立することがあります。
相続人全員の合意で相続人のうち一人だけが相続する合意が成立した場合、中間の相続人が一人だけになります。
中間の相続人が一人だけの場合、例外的に、最終の相続人にまとめて相続登記をすることができます。
4数次相続で最終の相続人が一人になった場合
①遺産分割協議ができない場合
最終の相続人にまとめて相続登記をすることができるのは、中間の相続人が一人だけの場合です。
中間の相続人が一人だけの場合には、遺産分割協議によって相続人のうち一人だけが相続すると相続人全員で合意ができた場合を含みます。
中間の相続人が複数いる場合、遺産分割協議による合意ができないまま相続人が死亡して最終の相続人が一人になることがあります。
遺産分割協議による合意ができないまま最終の相続人が一人になった場合、遺産分割協議の余地はありません。
たとえ最終の相続人が死亡した相続人の相続人であっても、遺産分割協議はできません。
最終の相続人が一人になった場合、話し合いによる合意ができないからです。
遺産分割協議による合意をしていないから、相続人全員が法定相続分で共有する相続をしたと考えます。
法定相続分で相続人全員が相続したのだから、中間の相続人が一人だけではありません。
中間の相続人が複数だから、最終の相続人にまとめて相続登記ができません。
②数次相続で最終の相続人が複数なら遺産分割協議ができる
遺産分割協議による合意ができないまま最終の相続人が一人になった場合、遺産分割協議の余地はありません。
遺産分割協議による合意ができないまま最終の相続人が複数の場合、最終の相続人で遺産分割協議をすることができます。
遺産分割協議の結果、中間の相続人が一人であれば最終の相続人にまとめて相続登記をすることができます。
③遺産分割協議をしていない場合
最終の相続人にまとめて相続登記をすることができるのは、中間の相続人が一人だけの場合です。
中間の相続人が一人だけの場合には、遺産分割協議によって相続人のうち一人だけが相続すると相続人全員で合意ができた場合を含みます。
遺産分割協議による合意ができないまま最終の相続人が一人になった場合、遺産分割協議の余地はありません。
遺産分割協議による合意ができないまま最終の相続人が複数の場合、最終の相続人で遺産分割協議をすることができます。
遺産分割協議をしないで、他の相続人全員が特別受益証明書を作成することがあります。
他の相続人全員が特別受益証明書を作成したことで、最終の相続人が一人になることがあります。
たとえ最終の相続人が死亡した相続人の相続人であっても、遺産分割協議をしていません。
遺産分割協議による合意をしていないから、相続人全員が法定相続分で共有する相続をしたと考えます。
中間の相続人が複数だから、最終の相続人にまとめて相続登記ができません。
④遺産分割協議後に相続人が一人になった場合
遺産分割協議によって相続人のうち一人だけが相続すると相続人全員で合意ができた場合、中間の相続人が一人だけの場合と認められます。
中間の相続人が一人だけの場合、最終の相続人にまとめて相続登記をすることができます。
最終の相続人にまとめて相続登記をする場合、法務局に遺産分割協議書などを提出します。
法務局から見ると、遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書がない場合、相続人全員で合意ができたのか分かりません。
遺産分割協議によって相続人のうち一人だけが相続すると相続人全員で合意ができたのに、合意内容を文書に取りまとめる前に相続人が死亡することがあります。
遺産分割協議の合意後に相続人が死亡した場合、生前に相続人がした合意は有効です。
遺産分割協議は、文書に取りまとめなくても有効だからです。
相続人全員で合意内容を文書に取りまとめていない場合、相続登記をしても認められることはありません。
遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書がない場合、相続人全員で合意ができたのか分からないからです。
遺産分割協議の合意後で遺産分割協議書作成前に相続人が死亡した場合、死亡した相続人の相続人が合意内容を証明することができます。
生存している相続人と死亡した相続人の相続人で、遺産分割協議の内容を証明することができます。
生存している相続人と死亡した相続人の相続人が同一人物である場合、一人で遺産分割協議の内容を証明することができます。
合意後に相続人が死亡した場合であっても生前に相続人がした合意は有効だから、中間の相続人が一人だけになります。
中間の相続人が一人だけの場合、例外的に、最終の相続人にまとめて相続登記をすることができます。
5中間の相続人が不動産を保有していた場合
中間の相続人が一人だけの場合、最終の相続人にまとめて相続登記をすることができます。
最初の被相続人の不動産について、まとめて相続登記をすることができます。
中間の相続人が固有の不動産を持っていることがあります。
最初の被相続人の不動産と中間の相続人の不動産について、まとめて相続登記をすることができません。
最初の被相続人の不動産と中間の相続人の不動産では、登記原因が違うからです。
6相続登記を司法書士に依頼するメリット
相続が発生すると、相続人はたくさんの相続手続に追われて悲しむ暇もありません。
ほとんどの方は相続を何度も経験するものではないから、手続に不慣れで聞き慣れない法律用語でへとへとになります。
一般的にいって、相続登記は、その中でも難しい手間のかかる手続です。
不動産は重要な財産であることが多いので、一般の方からすると些細なことと思えるようなことでやり直しになります。
簡単そうに見えても、思わぬ落とし穴があることもあります。
数次相続が発生している場合、難易度は高くなります。
インターネットなどの情報では、どうしたらいいか分からないことも多いでしょう。
司法書士はこのような方をサポートしております。
相続登記を自分でやってみたけど、挫折した方の相談も受け付けております。
相続登記をスムーズに完了させたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。
共有名義にする相続登記を単独申請
1相続財産の分け方を決める方法
①被相続人が遺言書で指定
被相続人が生前に遺言書を作成していることがあります。
遺言書で財産の分け方が指定してある場合、遺言書のとおりに分けることができます。
遺言書には、厳格な書き方ルールがあります。
法律上の書き方ルールに合わない遺言は、無効になります。
被相続人が遺言書のつもりで書いた書面であっても、無効の遺言書で相続手続をすることはできません。
②相続人全員で遺産分割協議
相続が発生した場合、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めることができます。
相続財産の分け方を決める場合は、多数決ではありません。
相続人全員の合意が必要です。
音信不通の相続人がいても行方不明の相続人がいても、相続人全員の合意がない場合は遺産分割協議は成立しません。
相続人全員が合意できた場合、合意内容を書面に取りまとめます。
合意内容に間違いがないことを確認して、相続人全員が記名し実印で押印します。
遺産分割協議書への押印が実印であることの証明として、印鑑証明書を添付します。
③法定相続分で相続人全員が共有
相続が発生した場合、だれが相続人になるのか民法で決められています。
法定相続分とは、相続財産に対する取得割合です。
相続人が取得する法定相続分も、民法で決められています。
遺産分割協議をする場合、法定相続分とは無関係に合意することができます。
相続人全員で合意できるのであれば、法定相続分に従う必要はないからです。
法定相続分は、相続人全員について決められています。
法定相続分で相続登記をする場合、相続人全員で共有する相続登記になります。
2法定相続分で共有する相続登記
①一部の相続人だけで登記申請ができる
登記申請をする場合、原則として、当事者全員が登記申請をします。
法定相続分で相続登記をする場合、原則として、相続人全員が登記申請人になります。
相続登記は、一部の相続人が登記申請をすることができます。
法定相続分による相続登記は、保存行為だからです。
保存行為とは、財産の現状を維持し財産の価値を保存する行為のことです。
財産の現状を維持し財産の価値を保存するため、相続登記は一部の相続人から申請することができます。
相続財産は、相続人全員で共有しています。
共有者全員のために、保存行為をします。
他の共有者の同意を得ることなく、保存行為をすることができます。
他の相続人が反対していても、法定相続分で相続登記をすることができます。
②自分の相続分だけ申請することはできない
法定相続分で相続登記をする場合、相続人全員で共有する相続登記です。
保存行為は、共有者全員のためにされる行為です。
一部の相続人だけが相続登記の申請人になる場合であっても、相続人全員のために登記申請をします。
自分の法定相続分だけ、登記申請をすることはできません。
③実印や印鑑証明書が不要
相続が発生した場合、だれが相続人になるのか民法で決められています。
相続人が取得する法定相続分も、民法で決められています。
法定相続分で共有する相続登記をする場合、民法で決められたとおりに登記をします。
相続人の合意は必要ありません。
合意内容を証明することは、ありません。
相続人全員の合意内容を証明するときは、相続人全員が記名し実印で押印します。
実印であることの証明として、印鑑証明書を添付します。
法定相続分で共有する相続登記をする場合、相続人全員の合意不要だから印鑑証明書も不要です。
④申請人以外の相続人は権利証が発行されない
法定相続分で共有する相続登記をする場合、原則として、相続人全員が登記申請人になります。
法定相続分で共有する相続登記は保存行為だから、一部の相続人だけが登記申請人になることができます。
一部の相続人だけが登記申請人になる場合、申請人になった相続人にだけ権利証が発行されます。
申請人にならなかった相続人は、権利者なのに権利証が発行されません。
申請人にならなかった相続人が、後から権利証を発行して欲しいと法務局などに申し出ることはできません。
不動産を売却するときや担保に差し出す場合、権利証が必要になります。
権利者なのに権利証がない場合、余計な費用や手間がかかります。
⑤登録免許税は申請時に一括納付
相続登記を申請する場合、登録免許税を納めます。
相続登記の登録免許税は、不動産の評価額の1000分の4です。
不動産の評価額によっては、無視できない金額になります。
登録免許税は、登記申請書を提出するときに収入印紙を貼付する方法で一括納入します。
一部の相続人が登録免許税の負担金を渋ると、家族のトラブルに発展するおそれがあります。
3相続登記後に相続放棄
法定相続分で共有する相続登記をする場合、一部の相続人だけが登記申請人になることができます。
一部の相続人だけが登記申請人になって相続登記をした場合、他の相続人は相続登記をしたことを知りません。
相続人の中には、相続放棄をする人がいることがあります。
家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなかったと扱われます。
自分が相続登記をした後で、相続放棄をすることはできません。
相続登記をした場合、単純承認をしたとみなされます。
相続登記をしたことは、相続財産を処分したと言えるからです。
自分が知らないところで他の相続人が相続登記をした場合、単純承認にはなりません。
相続放棄をした人は相続財産を処分したとは言えないからです。
家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、相続放棄をした人にだけ通知されます。
家庭裁判所は自主的に他の相続人に通知することはありません。
法務局は、だれが相続放棄をしたか知ることはできません。
相続放棄をしたことを知らないまま相続登記をした場合、結果として、間違った相続登記がされます。
誤った相続登記をしてしまった場合、あらためて登記の内容を訂正しなければなりません。
一部の相続人だけが登記申請人になって相続登記をした場合、余計な手間と費用がかかるおそれがあります。
4相続登記後に遺産分割協議
相続が発生した場合、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めることができます。
法定相続分で相続人全員が共有する登記をした後であっても、相続財産の分け方を決めることができます。
相続登記があっても相続登記後でも、相続人全員で合意できれば遺産分割協議は有効です。
遺産分割協議の内容と相続登記の内容は、異なる結果になるでしょう。
登記の内容を訂正する必要があります。
法定相続分で相続登記をした後に遺産分割協議が成立した場合、余計な手間と費用がかかります。
5不動産の共有はデメリットが大きい
①共有不動産の処分は共有者全員の同意が必要
共有不動産を処分する場合、共有者全員の同意が必要です。
不動産を処分するとは、不動産を売却する、第三者に賃貸する、担保に差し出すことなどです。
共有者がたくさんいる場合、共有者全員の合意が難しくなります。
共有者全員が合意できる場合であっても、合意するために時間がかかりがちになります。
②共有者に相続が発生する
共有不動産を処分する場合、共有者全員の同意が必要です。
共有者全員の合意が難しくなると、売却などの判断は先延ばししがちです。
先延ばししていると、共有者に相続が発生することがあります。
死亡した共有者の共有持分は、相続財産になります。
死亡した共有者の相続人全員の共有財産になります。
共有者全員の合意が難しくなっている不動産は、適切な管理ができていないかもしれません。
積極的に相続したがらないかもしれません。
死亡した共有者の相続人が法定相続分で共有することがあります。
共有持分が細分化して、相続されます。
何人もの共有者で相続が発生すると、共有者が多人数になり持分が細分化されます。
適切に管理されていない場合、だれにどれだけの持分があるのか分からなくなります。
③共有持分を売却する
共有不動産全体を処分する場合、共有者全員の同意が必要です。
共有者が持っている共有持分を処分する場合、共有者全員の同意は不要です。
共有者が持っている共有持分を買い取る業者がいます。
共有者が経済的に困っている場合、自分の共有持分を売却するかもしれません。
共有持分を買い取る業者は、ビジネスで共有持分を買い取っています。
利益を最大化するため、遠慮なく共有者としての権利を主張します。
6必ず法定相続分で共有する相続登記をするケース
①胎児名義で相続登記
胎児は相続が発生した時点で出生していないけど、すでに生まれたものと見なして相続権を認めています。
胎児は、生きて生まれてくることを条件に相続人になることができます。
胎児は相続人になることができるから、相続財産の共有者のひとりです。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めることができます。
相続人に胎児がいる場合、遺産分割協議はできません。
胎児が合意をすることができないからです。
相続人に赤ちゃんがいる場合、遺産分割協議をすることができます。
赤ちゃんは自分で合意することができないけど、親などの親権者が代わりに合意をすることができるからです。
胎児は、親などが代わりに合意することはできません。
親などが代わりに合意できるのは、生まれてきた後だけだからです。
多くの場合、出生してから遺産分割協議をして相続登記をします。
出生前に相続登記をしておきたい事情があれば、法定相続分で共有する相続登記をすることができます。
②債権者が勝手に相続登記
被相続人が多額のプラスの財産を残して死亡することがあります。
相続人が多額の借金を抱えている場合、お金を貸した人は相続した財産からお金を返してもらいたいと期待するでしょう。
債権者は債権の保全のため、債務者の財産を差し押さえることができます。
差押など強制執行の準備のため、相続登記を申請することができます。
差押などの強制執行をするためには、相続人名義である必要があるからです。
差押の後は、競売をして債権を回収します。
被相続人の債権者も、相続人の債権者も、代わりに相続登記を申請することができます。
税金などを滞納している場合、国や自治体などの役所が代わりに相続登記をすることもあります。
債務者がするべき登記申請を債権者が代わりに登記申請することを代位登記と言います。
債権者は債務者の事情などお構いなしで登記します。
相続人全員の話し合いによる合意がどうなったのか、待つことはありません。
たとえ、相続人全員の話し合いで特定の相続人が相続することが合意されていても、登記されていなければ代位登記ができます。
相続登記をしていなければ、相続人全員の合意内容と違うから消して欲しいなどの文句を言えません。
相続登記を先延ばししていると、代位登記をされるリスクが高くなります。
民間業者であっても、役所であっても、代位登記を事前に知らせてくれることもありません。
相続人の知らないうちに、相続人全員が法定相続分で共有する相続登記が入ります。
債務者だけ相続登記をすることはできないからです。
相続人がだれひとり知らないうちに、相続人全員が法定相続分で共有する相続登記がされるのです。
7相続登記を司法書士に依頼するメリット
相続が発生すると、相続人はたくさんの相続手続に追われて悲しむ暇もありません。
ほとんどの方は相続を何度も経験するものではないから、手続に不慣れで聞き慣れない法律用語でへとへとになります。
相続財産の分け方は相続人全員の話し合いによる合意が不可欠です。
一般的にいって、相続登記は相続手続の中でも難しい手間のかかる手続です。
簡単そうに見えても、思わぬ落とし穴があることもあります。
法務局の登記相談に行っても、法定相続分による相続登記のデメリットは伝えてもらえません。
法定相続分による相続登記のメリットデメリットを充分に判断したうえで、手続の方法のみ相談に行くところだからです。
司法書士は単に申請書を書いているだけではありません。
このような手続のメリットデメリットを判断してサポートをしています。
相続登記をスムーズに完了させたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。
死亡した人名義で相続登記
1死亡した人名義で相続登記ができる
不動産を相続する人が決まったら、不動産の名義を書き換えます。
この不動産の名義の書き換えのことを相続登記と言います。
名義の書き換えをしないまま先延ばしをしているうちに、不動産を相続する人が死亡してしまう場合があります。
不動産を相続する人が死亡してしまった場合、相続登記ができなくなることはありません。
不動産を相続する人が死亡してしまった場合でも、相続登記をすることができます。
不動産を複数の相続人が共有して相続する場合があります。
共有する相続人のうち一部の相続人が死亡してしまう場合があります。
不動産を相続する人のうち一部の相続人が死亡してしまった場合でも、相続登記をすることができます。
不動産を相続する人が死亡してしまった場合、相続登記ができなくなることはないからです。
死亡した人名義の相続登記について、どこかしら不思議な気持ちになるかもしれません。
登記は、権利の変動の過程を忠実に反映させる制度です。
生前に不動産を相続したのだから、相続した事実を登記することができます。
権利の変動の過程を忠実に反映させるから、登記制度を信頼することができます。
不動産を複数の相続人が共有して相続する場合、一部の相続人が死亡してしまったときも同じことです。
生前に不動産を相続したのだから、相続した事実を登記することができます。
登記申請をしたときにはすでに死亡してしまっているけれど、生前に相続した事実を登記することができます。
生前に共有していたから、共有していたことを登記することができます。
死亡した人と生きている人が共有している相続登記になりますが、このような登記も有効です。
2相続手続中に相続人が死亡すると手続が複雑になる
①遺産分割協議中に相続人が死亡した場合
相続人は被相続人の権利義務を受け継ぎます。
死亡した相続人が最初の相続について単純承認をした場合、単純承認した地位を受け継ぎます。
死亡した相続人の相続について、単純承認をすることも相続放棄をすることもできます。
死亡した相続人の相続人は相続放棄をする場合、家庭裁判所に手続をする必要があります。
単純承認をする場合、最初の相続について遺産分割協議に参加します。
遺産分割協議書は、死亡した相続人の相続人が押印し、印鑑証明書を添付します。
相続人の肩書は、最初の相続の相続人は「相続人」、死亡した相続人の相続人は「相続人兼被相続人〇〇〇の相続人」と分かりやすく明記します。
②遺産分割協議書に押印し印鑑証明書を添付した後、相続人が死亡した場合
死亡した相続人が押印した遺産分割協議書を使って相続登記をすることができます。
死亡した相続人が生前に取得した印鑑証明書も使うことができます。
相続登記において印鑑証明書は有効期限はありません。
何十年も前の古いものでも差し支えありません
③遺産分割協議書に押印し印鑑証明書を取得せず、死亡した場合
人が死亡した場合、役所に死亡届を提出します。
死亡届を提出すると、戸籍と住民票に死亡したことが記載されます。
住民票と印鑑登録は連動していますから、同時に印鑑登録が抹消されます。
印鑑登録が抹消されると、印鑑証明書は取得できなくなります。
このような場合、死亡した相続人の相続人が上申書を提出します。
「別紙、遺産分割協議書に記載のとおり、被相続人〇〇の遺産分割協議が成立していることを証明する。」といった内容です。
上申書に死亡した相続人の相続人全員が実印で押印し、印鑑証明書を添付します。
この上申書は、単なる事実の証明です。
相続人同士の交渉や話し合いではありません。
死亡した相続人の相続人に、親権者と未成年者がいても、利益相反にはなりません。
死亡した相続人の相続人に未成年者がいても、相続人の相続人である親権者が代理することができます。
利益相反とは、親権者がトクすると、未成年者がソンする関係のことです。
単なる事実の証明だから、誰かがソンするとかトクするとかいう話ではないのです。
親権者は未成年者を代理できますから、家庭裁判所に特別代理人選任の申立は必要ありません。
④遺産分割協議に合意はしたが、遺産分割協議書を作る前に相続人が死亡した場合
遺産分割協議は成立していますから、やり直しは必要ありません。
遺産分割協議書に取りまとめる前に死亡したので、死亡した相続人の相続人全員が上申書を提出します。
「別紙、遺産分割協議書に記載のとおり、被相続人〇〇の遺産分割協議が成立していることを証明する。」といった内容です。
上申書に死亡した相続人の相続人全員が実印で押印し、印鑑証明書を添付します。
3途中の相続人がひとりの場合は直接最終の相続人に相続登記ができる
登記はそれぞれの原因ごとに分けて申請するのが原則です。
権利が移っていった過程もきちんと記録されなければならないからです。
売買などで、A→Bの後、B→Cと所有権が移転した場合、2つの登記申請が必要です。
途中を飛ばして、A→Cとすることはできません。
Bに所有権が移転したことが分からなくなってしまうからです。
相続登記においては、途中の人が1人の場合に限り、途中の人を飛ばして登記することができます。
相続人がだれであるかは戸籍を調べれば分かるから、途中を省略しても差し支えないとされています。
途中の人が1人になる場合とは、最初から1人の場合だけに限りません。
もともとの相続人はたくさんいたけど、他の相続人全員が相続放棄をしたや、遺産分割協議で1人が相続すると合意した場合も含みます。
最初の相続の遺産分割協議中に相続人が死亡した場合でも、最初の相続の他の相続人全員と死亡した相続人の相続人全員で遺産分割協議ができます。
最初の相続の他の相続人全員と死亡した相続人の相続人全員で、最初の相続の相続財産を死亡した相続人が相続することを合意することができます。
このような死亡した相続人が相続する合意をした場合も、遺産分割で1人になった場合に含みます。
遺産分割協議をしないまま、相続人が死亡して、最終の相続人が1人になった場合、途中を省略することはできません。
最終の相続人が複数であれば遺産分割協議ができますが、最終の相続人が1人になった場合は遺産分割協議はできないからです。
相続財産の分け方について合意をしたが、遺産分割協議書に取りまとめる前に、相続人が死亡した場合は別の結論になります。
合意をしたが、文書に取りまとめる前に死亡したのであれば、最終の相続人が1人になった場合でも、途中を省略することができます。
遺産分割は文書に取りまとめてなくても有効だからです。
この場合、1人になった相続人が、死亡した相続人と遺産分割協議をした内容を遺産分割協議証明書という書類に取りまとめます。
遺産分割協議証明書は相続登記において登記原因証明情報として法務局に提出します。
4死亡した相続人名義の相続登記をするときの注意点
①死亡した相続人名義の相続登記は死亡した相続人の相続人が申請
死亡した相続人名義の相続登記をする場合、通常の相続登記との違いはあまりありません。
死亡した相続人は、当然、自分で申請することができないから、死亡した相続人の相続人から申請します。
②死亡した相続人の住民票の除票が必要
所有権の登記名義を付ける場合、登記名義人になる人の住所を証明する書類を提出します。
死亡した相続人名義の相続登記をする場合、死亡した相続人の住所を証明する書類が必要になります。
死亡した相続人の住所は、住民票の除票や戸籍の附票を提出します。
住民票の除票や戸籍の附票は、永年保管ではありません。
現在は150年間保管されていますが、令和元年までは5年でした。
役所は保存期間を過ぎた書類は、順に廃棄します。
役所で廃棄済になった場合、必要な書類を取得することができません。
このような場合、被相続人の最後の本籍地を住所として相続登記をすることができます。
最期の本籍地を住所地として登記をする場合、法務局によっては、廃棄証明書の他に相続人全員から印鑑証明書付き上申書を提出するように言われる場合があります。
③土地について死亡した相続人名義の相続登記は非課税
死亡した相続人に相続登記をする場合、土地の登録免許税が非課税になります。
登記申請書には「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と記載します。
記載しない場合、非課税となりません。
記載を忘れて、通常どおり登録免許税を納めた場合、登録免許税は還付されません。
④死亡した相続人名義の相続登記でも権利証を作ってもらえる
相続登記を申請する場合、権利証を作ってもらうかどうか選択することができます。
死亡した相続人名義の相続登記をした後、すぐに名義人を被相続人とする相続登記をする場合、権利証を作ってもらう必要はないでしょう。
死亡した相続人が生前に遺言書を作成している場合があります。
遺言書を確認したら、相続した不動産を遺贈すると書いてあることがあります。
遺贈の登記をする場合、権利証が必要になります。
権利証がないと手続が複雑になります。
5相続登記を司法書士に依頼するメリット
相続が発生すると、相続人はたくさんの相続手続に追われて悲しむ暇もありません。
ほとんどの方は相続を何度も経験するものではないから、手続に不慣れで聞き慣れない法律用語でへとへとになります。
一般的にいって、相続登記は、その中でも難しい手間のかかる手続です。
不動産は重要な財産であることが多いので、一般の方からすると些細なことと思えるようなことでやり直しになります。
簡単そうに見えても、思わぬ落とし穴があることもあります。
法務局の登記相談に行っても、何が良くないのか分からなかったというケースも多いです。
司法書士はこのような方をサポートしております。
相続登記を自分でやってみたけど、挫折した方の相談も受け付けております。
相続登記をスムーズに完了させたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。
マンションの相続登記
1不動産を相続したら相続登記はすみやかに
相続が発生すると、原則として、被相続人の財産は相続人が相続します。
相続人が相続する財産が、相続財産です。
相続財産に不動産が含まれていたら、相続登記が必要です。
相続登記をするには費用と手間がかかります。
すぐに不動産を売却するのでなければ、目に見える不利益に気付きにくいため先延ばししがちです。
先延ばしすればするほど、デメリットは大きくなります。
相続手続は早めに済ませましょう。
相続登記を先延ばしすると、デメリットが大きくメリットはほとんどありません。
2敷地権付マンションと敷地権のないマンションがある
分譲マンションのように1棟の建物の一部を独立して所有できる建物を区分建物と言います。
区分建物が建っている土地が敷地です。
敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利を一体化して処分するようにしたのが、敷地権付区分建物です。
敷地権付区分建物の場合、マンションを売買するとき敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利は一緒についてきます。
敷地を使う権利だけ取引することやお部屋だけ担保に差し出すことはできません。
敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利は、命運を共にする運命共同体です。
新しいマンションのほとんどは、敷地権付区分建物です。
敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利は、切り離すことができないから権利証は1つだけです。
古いマンションの中には、敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利を一体化して処分できるルールができる前に建てられた場合があります。
ルールができる前に建てられたマンションは、敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利を一体化していない場合があります。
マンションのお部屋の権利とは別に、敷地を使う権利があります。
多くの場合、敷地を使う権利はマンションのお部屋の持ち主全員で共有しています。
敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利が一体化していないから、敷地の権利証とマンションのお部屋の権利証は別々です。
何筆もの土地の上にマンションが建っている場合、その土地の数の分の権利証があります。
敷地権付区分建物であるか敷地権のない区分建物であるか確認する方法は登記簿謄本を見ることです。
敷地権付区分建物の場合、表題部(専有部分の建物の表示)に続いて、表題部(敷地権の表示)が記載されています。
敷地権のない区分建物の場合、表題部(専有部分の建物の表示)のみで、敷地権の表示は記載されていません。
レアケースですが、同じマンションなのに敷地権付区分建物と敷地権のない区分建物が混在している場合があります。
該当のお部屋の登記簿謄本を見て確認しましょう。
3別で登記されている共用部分は見落としがち
共用部分というと、まず支柱、廊下、階段、エレベーター、電気ガス水道などのライフライン設備などをイメージするでしょう。
これらは、法定共用部分と言います。
法定共用部分は、登記することができません。
構造上、利用上の独立性がないからです。
法定共用部分は、お部屋の権利と一緒に移転します。
共用部分には、法定共用部分の他に、規約共用部分があります。
規約共用部分とは、マンション管理のための施設のことです。
例えば、集会所、管理人室、駐車場、ポンプ室、ごみステーションなどが代表例です。
上記のような施設は、単独で建物として登記することができます。
その後、規約によって共用部分になったことを登記することができます。
規約によって共用部分になったことが登記してあれば、お部屋の権利と一緒に権利が移転します。
共用部分の権利はお部屋の権利と一体化しています。
一体化していれば、共用部分だけ権利が移ったり、お部屋の権利だけ移って共用部分はそのままになることがありません。
規約によって共用部分になったことが登記してない場合、規約共用部分を使う権利とマンションのお部屋の権利が一体化していません。
規約によって共用部分になったことが登記してない場合、規約共用部分がお部屋の持ち主全員で共有しています。
規約共用部分を使う権利とマンションのお部屋の権利が一体化していないから、規約共用部分の権利証とマンションのお部屋の権利証は別々です。
お部屋の権利証とは別に、集会所の権利証、駐車場の権利証など施設の数だけ権利証があります。
権利証が別々になっているかどうかは、登記簿謄本を見て確認することができます。
建物の表題部を見て、「〇年〇月〇日規約設定 共用部分」と記載がある場合、規約によって共用部分になったことが登記されています。
相続登記をするする場合、原則として、権利証は必要ありません。
相続登記で権利証を必要とする例外がありますから、権利証を確認しておくとお部屋と一体化していない権利を見つけられることがあります。
マンションを購入したときにローンを組んでいる場合、抵当権を設定します。
多くの場合、お部屋の権利だけでなくその他の権利も一緒に抵当権を設定します。
登記簿謄本の共同担保目録の欄を確認するといいでしょう。
お部屋の権利と一体化していない場合、他の権利は見落としがちです。
お部屋の権利にだけ注目している場合、一体になっていない権利について分け方の合意を忘れられることが多いでしょう。
相続してから長期間経過してから、一体になっていない権利について分け方の合意をしていないことが発覚します。
分け方の合意をしていない場合、相続人全員の共有財産です。
あらためて、相続人全員で分け方の合意をしなければなりません。
4マンションの相続登記における不動産の表示
①敷地権付マンションの記載例
(一棟の建物の表示)
所在 ○○市○○町○丁目○番地○
建物の名称 ○○○○マンション
(専有部分の建物の表示)
家屋番号 ○○町○丁目○番○の○
建物の名称 ○○○
種類 居宅
構造 鉄筋コンクリート造1階建
床面積 ○階部分 ○○.○○㎡
価格 金○○○○万円
(敷地権の表示)
符号 1
所在 ○○市○○町○丁目
地番 ○番○
地目 宅地
地積 ○○○.○○㎡
(敷地権の種類)
所有権
(敷地権の割合)
持分 ○○○○○○分の○○○○○○
価格 金○○○○万円
符号 2
所在 ○○市○○町○丁目
地番 ○番○
地目 宅地
地積 ○○○.○○㎡
(敷地権の種類)
所有権
(敷地権の割合)
持分 ○○○○○○分の○○○○○○
価格 金○○○○万円
②敷地権のないマンションの記載例
(一棟の建物の表示)
所在 ○○市○○町○丁目○番地○
建物の名称 ○○○○マンション
(専有部分の建物の表示)
家屋番号 ○○町○丁目○番○の○
建物の名称 ○○○
種類 居宅
構造 鉄筋コンクリート造1階建
床面積 ○階部分 ○○.○○㎡
価格 金○○○○万円
所在 ○○市○○町○丁目
地番 ○番○
地目 宅地
地積 ○○○.○○㎡
持分 ○○○○○○分の○○○○○○
価格 金○○○○万円
所在 ○○市○○町○丁目
地番 ○番○
地目 宅地
地積 ○○○.○○㎡
持分 ○○○○○○分の○○○○○○
価格 金○○○○万円
③附属建物があるときの記載例
所在 ○○市○○町○丁目○番地○
家屋番号 ○○町○丁目○番○の○
種類 集会所
構造 鉄筋コンクリート造2階建
床面積 1階 ○○.○○㎡
2階 ○○.○○㎡
持分 ○○○○○○分の○○○○○○
価格 金○○○○万円
5マンションの相続登記の登録免許税の計算方法
ステップ①固定資産税評価額を調べる
相続登記をするときは、法務局に登録免許税を納めます。
登録免許税は、不動産の評価額を基にして計算します。
固定資産税評価額は、固定資産税評価証明書を取得すると判明します。
マンションを相続した場合、敷地と建物があります。
市区町村役場によっては、土地と建物は別々に固定資産税評価証明書を発行します。
登記申請用の固定資産税評価通知書を発行する場合があります。
登記申請用の固定資産税評価通知書は、多くの市区町村役場は無手数料です。
固定資産税評価証明書、固定資産税評価通知書、課税明細書には、年度が記載されています。
固定資産税評価証明書、固定資産税評価通知書、課税明細書は、毎年4月1日に新年度になります。
相続登記を申請するときに、最新年度の証明書を提出します。
3月中に取得した証明書を添付して、4月に相続登記を申請すると証明書を取り直すように言われます。
新年度になると、固定資産税評価額が変更されます。
ステップ②不動産の評価額を計算する
マンションを相続した場合、敷地と建物があります。
被相続人がマンションのお部屋を単独所有していた場合であっても、土地は共有しています。
敷地権付マンションであれば、敷地権の割合で土地の評価額を計算します。
敷地権のないマンションであれば、土地の共有持分の割合で土地の評価額を計算します。
ステップ③土地の評価額が100万円以下であれば非課税
土地の評価額が100万円以下の場合、非課税になります。
日本中どこの土地でも土地の評価額が100万円以下であれば対象になります。
所有権の持分を相続した場合、土地の評価額×持分の割合で計算した価額が、100万円以下であれば非課税になります。
敷地権付マンションの敷地権が100万円以下であれば、非課税になります。
数筆の土地に対して敷地権がついている場合があります。
一部の敷地権が非課税になって、他の敷地権は課税される場合があります。
土地の評価額が100万円以下になることによって非課税になる場合、、「租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」と記載します。
ステップ④土地と建物の評価額を合計する
マンションを相続した場合、敷地と建物があります。
土地の評価額と建物の評価額を合計します。
ステップ⑤1000円未満の端数を切り捨て
登録免許税は、不動産の評価額を基にして計算します。
土地と建物の評価額の合計から、1000円未満の端数を切り捨てます。
ステップ⑥相続登記の登録免許税は1000分の4
相続登記の登録免許税の税率は、1000分の4です。
端数切捨てた額に1000分の4をかけた金額を計算します。
ステップ⑦100円未満の端数を切り捨て
1000分の4をかけた金額を納めるわけではありません。
1000分の4をかけた金額から100円未満の端数を切り捨てます。
100円未満の端数を切り捨てた金額が登録免許税です。
6抵当権の登記の抹消・変更も忘れずに
被相続人がマンションを購入するときに、住宅ローンを組んでいる場合があります。
住宅ローンを組んでいる場合、銀行などに抵当権を設定しているでしょう。
住宅ローンが残っているのであれば、抵当権の債務者の変更の登記が必要になります。
もっとも、住宅ローンを組む場合、債務者が団体信用生命保険に加入しているケースが多いです。
債務者が死亡したことで、団体信用生命保険の保険金が支払われる場合、住宅ローンの残りは保険金で返済されます。
団体信用生命保険の保険金で住宅ローンの支払いがなくなった場合、抵当権は消滅します。
抵当権が消滅しても、抵当権の登記は自動で消えません。
法務局は住宅ローンがなくなったかどうか分からないからです。
相続登記とは別に、抵当権の抹消登記の申請が必要です。
相続登記は、相続人が単独申請をすることができます。
抵当権の抹消登記は、相続人を権利者、銀行を義務者として共同申請をしなければなりません。
7相続登記を司法書士に依頼するメリット
相続が発生すると、相続人は悲しむ暇もなく相続手続に追われます。
ほとんどの人は相続手続は不慣れで、聞き慣れない法律用語で疲れ果ててしまいます。
インターネットの普及で多くの人は簡単に多くの情報を手にすることができるようになりました。
多くの情報の中には正しいものも、適切でないものも同じように混じっています。
登録免許税の計算を間違えた場合、法務局から補正指示がされます。
計算間違いで納付不足の場合、追加納付をすれば済みます。
計算間違いで納め過ぎの場合、過誤納額還付請求書を提出すれば、還付してもらえます。
登録免許税が還付されるまでに、1か月程度かかります。
司法書士は登記の専門家です。
スムーズに相続登記を完了させたい方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。
相続登記の登録免許税の計算方法と納付方法
1登録免許税とは
相続による不動産の名義変更のことを相続登記と言います。
不動産の名義変更をするときに、かかる税金が登録免許税です。
相続でかかる税金というと相続税だけ注目しがちです。
相続税の申告が必要になる人は、多くはありません。
相続税の申告が必要になる人は10%にも満たないわずかな人です。
申告が必要なだけで相続税がかからない人も少なくありません。
相続税の納付が必要な人は、さらにわずかな人です。
自宅など不動産を所有している人は、たくさんいます。
相続が発生した場合、名義変更が必要になります。
相続登記を申請するとき、登録免許税を納入します。
2相続登記の登録免許税の計算方法
ステップ①固定資産税評価額を調べる
相続登記をするときは、法務局に登録免許税を納めます。
登録免許税は、不動産の評価額を基にして計算します。
不動産の評価額とは、固定資産税評価額のことです。
固定資産税評価額は、固定資産税評価証明書を取得すると判明します。
固定資産税評価証明書は、不動産が所在する市区町村役場に請求すると発行してもらうことができます。
市区町村役場によっては、登記申請用の固定資産税評価通知書を発行する場合があります。
登記申請用の固定資産税評価通知書は、多くの市区町村役場は無手数料です。
固定資産税は、5月ごろ納付書が届きます。
納付書の表紙に課税明細書が添付されています。
課税明細書にも、固定資産税評価額が記載されています。
固定資産税評価額は、最新のものである必要があります。
固定資産税評価証明書、固定資産税評価通知書、課税明細書には、年度が記載されています。
固定資産税評価証明書、固定資産税評価通知書、課税明細書は、毎年4月1日に新年度になります。
相続登記を申請するときに、最新年度の証明書を提出します。
3月中に取得した証明書を添付して、4月に相続登記を申請すると証明書を取り直すように言われます。
新年度になると、固定資産税評価額が変更されます。
ステップ②1000円未満の端数を切り捨て
登録免許税は、不動産の評価額を基にして計算します。
評価証明書を見ると、不動産の価格以外にたくさんの数字が書いてあります。
評価証明書に記載してある課税標準金額は使うことができません。
評価証明書に記載してある課税標準金額は、固定資産税を計算するときに使う金額だからです。
最新の固定資産税評価額から、1000円未満の端数を切り捨てます。
ステップ③相続登記の登録免許税は1000分の4
相続登記の登録免許税の税率は、1000分の4です。
端数切捨てた額に1000分の4をかけた金額を計算します。
ステップ④100円未満の端数を切り捨て
1000分の4をかけた金額を納めるわけではありません。
1000分の4をかけた金額から100円未満の端数を切り捨てます。
100円未満の端数を切り捨てた金額が登録免許税です。
3相続登記の登録免許税の納付方法
①登録免許税は相続登記の申請時に納付する
登録免許税は、相続登記をするときに納めます。
相続登記を申請するのは法務局だから、登録免許税も法務局に納入します。
相続登記を申請するときに納入しますから、納期限はありません。
相続登記を放置するとデメリットが大きいので、できるだけ早く相続登記を済ませましょう。
②収入印紙を収入印紙貼付台紙に貼って納入
登録免許税は、収入印紙貼付台紙に貼付して納入することが一般的です。
税務署や金融機関で納付書を受け取って納入することもできます。
収入印紙は法務局の人が消印をしますから、消印をしないまま提出します。
消印をしやすいように縦に並べて、台紙の右側に寄せて貼付するといいでしょう。
登記申請書と収入印紙貼り付け台紙は契印を施します。
収入印紙は、法務局窓口、郵便局、コンビニエンスストアで購入することができます。
コンビニエンスストアは高額の印紙の在庫がないことが多いのでおすすめできません。
法務局の窓口まで出向いて相続登記を申請する場合であっても、現金で納入することはできません。
相続登記をオンライン申請した場合、ペイジーで納入することができます。
③相続登記の必要書類
登記申請書には、通常、相続関係説明図を添えます。
遺言書がない場合、おおむね、次の書類が必要です。
(1)被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
(2)相続人の現在戸籍
(3)被相続人の住民票の除票
(4)不動産を相続する人の住民票
(5)遺産分割協議書
(6)相続人全員の印鑑証明書
事例によっては追加書類が必要になる場合があります。
④相続登記の申請
相続登記の必要書類が集まったら、相続登記を申請します。
登記申請書は、専用の申請書があるわけではありません。
法務局のホームページに記載例があるので、参考にしながら作成するといいでしょう。
パソコンなどで作っても、手書きしても差し支えありません。
4相続登記の登録免許税が非課税になる場合とは
①死亡した相続人への相続登記
登記名義人から死亡した相続人に相続登記をする場合、土地の登録免許税が非課税になります。
登記簿には、死亡した相続人に名義が変更になります。
現に生きている人だけでなく、死亡した人も登記名義をつけることができます。
すでに死亡していても、生前、その不動産を所有していたからです。
登記名義人から死亡した相続人に相続登記をする場合、死亡した相続人の相続人が申請します。
登記申請書には「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と記載します。
記載しない場合、非課税となりません。
記載を忘れて、通常どおり登録免許税を納めた場合、登録免許税は還付されません。
②死亡した相続人への遺贈登記
登記名義人から死亡した相続人に遺贈登記をする場合、土地の登録免許税が非課税になります。
遺贈とは、被相続人が遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげることです。
遺贈によって、法定相続人に対して財産を譲ってあげることも、法定相続人以外の人に対して財産を譲ってあげることもできます。
登録免許税が非課税になるのは、財産を譲ってあげる相手が法定相続人の場合だけです。
法定相続人以外の人に対して財産を譲ってあげる場合、登録免許税が非課税になりません。
財産を譲ってあげる相手が法定相続人以外の人の場合、通常どおり登録免許税がかかります。
遺言書に「遺贈する」とあれば、譲ってもらう人が相続人であっても相続人以外の人でも、遺贈で手続します。
③土地の評価額が100万円以下の場合
土地の評価額が100万円以下の場合、非課税になります。
日本中どこの土地でも土地の評価額が100万円以下であれば対象になります。
登記申請書に「租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」と記載します。
この記載がないときは非課税となりません。
記載を忘れて、通常どおり登録免許税を納めた場合、登録免許税は還付されません。
5被相続人が不動産を共有していた場合の計算方法
①登録免許税は移転する持分の評価額を基にして計算
登録免許税は、不動産の評価額を基にして計算します。
被相続人が第三者と不動産を共有している場合があります。
被相続人の共有持分について相続登記をする場合、移転する持分の評価額を基にして計算します。
例えば、被相続人が持分3分の1で不動産を共有していた場合、3分の1の評価額を基にして計算します。
不動産の固定資産税評価額が6000万円なら、持分3分の1だから評価額は2000万円です。
2000万円に登録免許税の税率1000分の4をかけて計算します。
登録免許税は8万円納入します。
②移転する持分の評価額が100万円以下なら非課税になる
土地の評価額が100万円以下の場合、非課税になります。
被相続人が土地を共有していた場合、移転する持分の評価額が100万円以下になることがあります。
例えば、被相続人が持分3分の1で150万円の土地を共有していた場合、移転した土地の評価額は50万円です。
移転した土地の評価額は50万円だから、100万円以下になります。
登記申請書に「租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」と記載して、非課税にしてもらうことができます。
租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税になるのは、土地のみです。
建物は対象外です。
6被相続人がマンションを所有していた場合の計算方法
被相続人が分譲マンションを所有している場合があります。
分譲マンションの多くは、敷地権付の区分建物です。
マンションの登記事項証明書を確認すると、敷地権割合の項目があります。
敷地権割合とは、マンションの敷地の持分割合のことです。
分譲マンションを所有している場合、お部屋は所有していて土地は共有している状態と言えます。
土地を共有していたから、固定資産税評価額に敷地権割合をかけて移転する持分の評価額を計算します。
登録免許税は、移転する持分の評価額を基にして計算するからです。
移転する持分の評価額が100万円以下になる場合、非課税になります。
分譲マンションを所有している場合、お部屋を所有しています。
お部屋についても相続登記をしますから、建物の固定資産税評価額を確認します。
市区町村役場によっては、土地と建物は証明書が別になっています。
建物の固定資産評価額に1000分の4をかけて登録免許税を計算します。
7公衆用道路があった場合の計算方法
被相続人が自宅の土地建物の他に、自宅に至る私道を持っている場合があります。
自宅に至る私道が公衆用道路である場合、固定資産税はかかりません。
公衆用道路の固定資産評価証明書を見ると、不動産の価格が記載されていない場合や0円と記載されています。
固定資産評価証明書に不動産の価格が記載されていない場合や0円と記載されている場合でも、登録免許税はかかります。
不動産の価格が記載されていない場合や0円と記載されている場合、隣接地の評価額の100分の30と定められています。
隣接地の1㎡あたりの評価額に公衆用道路の土地の面積をかけて、土地の評価額を計算します。
土地の評価額が出たら、相続登記の税率1000分の4をかけて登録免許税を計算します。
8登録免許税の過誤納は還付される
相続登記を申請するとき、登録免許税を納入します。
登記申請をしたけど、法務局の審査で添付書類の不足や不備が判明することがあります。
些細なミスの場合、法務局へ出向いて補正することができます。
重大なミスの場合、いったん登記申請を取下げなければなりません。
登記申請を取下げた場合、納付した登録免許税は結果として過誤納になります。
計算誤りをして登録免許税を納め過ぎることがあります。
納め過ぎのことを過誤納と言います。
登録免許税の過誤納があった場合、還付申請書を提出すると返金してもらえます。
還付手続は、税務署が担当します。
返金されるまでに1か月ほどかかります。
9相続登記を司法書士に依頼するメリット
相続が発生すると、相続人は悲しむ暇もなく相続手続に追われます。
ほとんどの人は相続手続は不慣れで、聞き慣れない法律用語で疲れ果ててしまいます。
インターネットの普及で多くの人は簡単に多くの情報を手にすることができるようになりました。
多くの情報の中には正しいものも、適切でないものも同じように混じっています。
登録免許税の計算を間違えた場合、法務局から補正指示がされます。
計算間違いで納付不足の場合、追加納付をすれば済みます。
計算間違いで納め過ぎの場合、過誤納額還付請求書を提出すれば、還付してもらえます。
登録免許税が還付されるまでに、1か月程度かかります。
司法書士は登記の専門家です。
スムーズに相続登記を完了させたい方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。
遺言書がないときの相続登記の必要書類
1不動産の名義変更とは
被相続人が生前所有していたものは相続財産になります。
相続財産は、原則として、相続人全員の共有財産になります。
相続財産は相続人全員で話し合いによる合意をして、分け方を決めることになります。
相続人全員による話し合いによる合意で、不動産を相続する人が決まったら、不動産の名義を書き換えます。
この不動産の名義の書換のことを相続登記といいます。
ほとんどの場合、相続人全員の話し合いによる合意で分け方を決めます。
ときには、相続人全員が法定相続分で不動産を共有する場合があります。
不動産を共有した場合、デメリットが大きいのでおすすめできません。
2遺言書がないときの相続登記の必要書類
相続登記をする場合、相続関係説明図に次の書類を添えて提出します。
①被相続人に関する書類
(1) 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
被相続人の最終の戸籍謄本を確認すると、出生事項と死亡事項が記載されています。
出生事項と死亡事項が記載されているから、出生から死亡までの戸籍があると誤解してしまうかもしれません。
多くの人は、結婚や離婚、転籍などでいくつもの戸籍を渡り歩いています。
被相続人の身分に関することは、必ず、戸籍に記載されます。
戸籍が作り直しになる場合、出生事項は書き写される項目です。
結婚歴や子どもがいることを家族に秘密にしているかもしれません。
出生から死亡までの戸籍をすべて確認したら、秘密にしていたことが明るみに出ます。
戸籍が作り直しになる場合に、新しい戸籍に書き写しがされない項目があります。
被相続人が子どもを認知した場合、戸籍に記載されます。
認知した後、新しい戸籍が作られる場合、子どもを認知したことは新しい戸籍に書き写されません。
被相続人の最終の戸籍謄本だけを確認した場合、認知した子どもがいることに気づくことができないでしょう。
被相続人が認知した子どもは相続人になります。
このような子どもを見落とさないために、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要です。
被相続人が認知した子どもがいない場合も、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本は欠かせません。
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本は、認知した子どもがいないことの証明になるからです。
認知した子どもがいないことは、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を揃える以外で証明できないからです。
(2) 被相続人の住民票の除票
被相続人の住民票の除票は、被相続人の死亡時の住所を証明するために提出します。
被相続人の死亡時の住所を証明するためだから、死亡後に発行してもらったものである必要があります。
被相続人の戸籍の附票でも構いません。
戸籍の附票は、本籍地のある役所に請求します。
住民票の除票は、住民票のある役所に請求します。
相続登記をする場合、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を用意します。
戸籍謄本は、本籍地のある役所に請求します。
本籍地のある役所に戸籍を請求するときに一緒に戸籍の附票も請求すると効率よく書類を集めることができます。
被相続人の住民票の除票は、本籍地の記載が必要です。
戸籍謄本には、本籍の記載はあるけど住所地の記載がないからです。
登記簿には所有者の住所だけ登記されています。
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本だけを見ても、登記簿の所有者と同一人物であるとは証明できません。
被相続人の住民票の除票に住所と本籍が記載してあるから、登記簿の所有者と戸籍謄本の被相続人が同一人物であると認めてもらえます。
②相続人に関する書類
(1)相続人全員の現在戸籍
相続人の戸籍は、相続が発生した時に相続人が健在であったことを証明するためのものです。
相続が発生した時に相続人が健在であったことを証明するため、相続人の戸籍謄本は相続発生後に取得したものでなければなりません。
(2)不動産を相続する人の住民票
不動産を相続する人の住民票は、不動産を相続する人の住所を証明するために提出します。
住民票を取得してから、何年経過していても問題はありません。
住民票を取得してから長期間経過した場合、相続人が転居する場合や住居表示が実施される場合があります。
古い表記の住民票は、相続する人の住所を証明する書類とは言えません。
最新の住所が記載されている住民票を取り直す必要があります。
③不動産に関する書類
(1)固定資産税の評価証明書
相続登記をする場合、登録免許税を納める必要があります。
登録免許税は、登記申請年度の固定資産税評価額をもとにして計算します。
固定資産税の評価証明書は、4月1日に新年度になります。
登記申請が4月1日を越して新年度になった場合、新年度の固定資産税の評価証明書が必要です。
登記申請が3月31日までであれば、登記完了が4月以降になったとしても、新年度の固定資産税の評価証明書は必要ありません。
3遺産分割協議で相続登記をするときの追加の必要書類
相続財産は、原則として、相続人全員の共有財産になります。
相続財産は相続人全員で話し合いによる合意をして、分け方を決めることになります。
①遺産分割協議書
相続人全員で合意がまとまったら、遺産分割協議書に取りまとめます。
1通の遺産分割協議書に取りまとめ相続人全員が記名押印する形式が多いです。
相続人全員の人数分の遺産分割証明書に各自が記名押印する形式でも差し支えありません。
相続人が集まりやすいのであれば、1通の遺産分割協議書に相続人全員が記名押印する形式がいいでしょう。
相続人が各地に散らばっている場合、相続人全員の人数分の遺産分割証明書に各自が記名押印する形式が便利です。
相続人全員を証明できるのであれば形式はいずれでも構いません。
②相続人全員の印鑑証明書
相続人全員で合意がまとまったら、遺産分割協議書に取りまとめます。
相続人全員が合意したことを証明するために、記名し実印で押印します。
押印が実印によるものであることを証明するために、印鑑証明書を添付します。
相続登記で提出する印鑑証明書に期限はありません。
4相続人全員で共有する相続登記の追加の必要書類
①相続人全員の住民票
相続人全員で法定相続分で共有する相続登記の場合、相続人全員の住民票が必要になります。
共有者全員が法定相続分で共有する場合、必要書類は少なく済みます。
5不動産を共有するデメリット
①共有物を処分するには共有者全員の合意が必要
共有財産は、共有している人全員が合意しないと、処分はできません。
処分するとは、共有物を売却する、第三者に賃貸することなどです。
たくさんの人で共有していると合意がまとまりにくくなります。
合意できる場合でも、合意するために時間がかかりがちになります。
売却したいという場合でも、合意に時間がかかるとチャンスを逃すことになります。
親族同士であっても共有物の管理方針が違うと、共有者の意見対立が起きやすくなります。
②共有者に相続が発生する
共有物を売却するためには、共有者全員の合意が必要になります。
共有者全員の合意がしにくくなると、売却などの判断は先延ばししがちです。
先延ばしにより長期間経過すると、共有者に相続が発生することがあります。
共有者に相続が発生すると、共有者の持分は相続財産になります。
死亡した共有者の共有持分を、複数の相続人が法定相続分で細分化して共有することがあります。
このような相続が何人もの共有者の間で発生すると、共有者がたくさんになり、持分が細分化されます。
適切に相続登記がされないと、だれにどれだけの持分があるのか分からなくなります。
③共有持分を売却するおそれ
共有物全体を売却するためには共有者全員の合意が必要です。
それぞれの共有者が持っている共有持分を売却するためには、他の共有者の合意は不要です。
あまり知られていませんが、共有者が持っている共有持分を買い取る業者がいます。
ひょっとすると、経済的に困っている共有者がいる場合、共有持分を売却してしまうかもしれません。
通常、市場価格よりはるかに低廉な価格でしか売れません。
共有持分を買い取る業者はビジネスですから、遠慮なく共有者としての権利を主張してきます。
6相続登記を司法書士に依頼するメリット
相続登記は、たくさんある相続手続の中でも難しい手続です。
相続手続は多くの場合、何度も経験するものではありません。
だれにとっても不慣れで聞き慣れない法律用語で疲れ果ててしまいます。
不動産は重要な財産なので、一般の人が些細なことと思えるようなことでやり直しになります。
インターネットなどで多くの情報を手にすることができるようになりました。
相続登記を自分でやった、カンタンにできたという記事を見かけることもあります。
司法書士などの専門家から見てカンタンな登記申請であっても、一般の人が手続しようとすると思わぬ落とし穴があることがあります。
相続が発生してから長期間経過した後の登記申請は、想像以上に難解です。
自分で登記申請をしてみても、法務局から不足や不備を指摘されるでしょう。
ときには、何が問題なのか分からなかったというケースもあります。
自分でやってみて挫折した場合も司法書士はサポートします。
相続登記をスムーズに終わらせたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。
法定相続情報一覧図と相続登記の同時申請
1法定相続情報一覧図は登記官の認証がされている
相続が発生すると、相続人は多くの役所や銀行などの金融機関などで相続手続をすることになります。
相続手続のたびに、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍と相続人の現在戸籍の束を提出しなければなりません。
大量の戸籍を持ち歩くと汚してしまったり、紛失する心配があるでしょう。
受け取る役所や銀行などの金融機関にとっても、戸籍謄本の束を読解するのは手間のかかる事務です。
被相続人を中心にして、どういう続柄の人が相続人であるのか一目で分かるように家系図のように取りまとめてあると便利です。
この家系図と戸籍謄本等を法務局に提出して、登記官に点検してもらうことができます。
登記官は内容に問題がなかったら、地模様の入った専用紙に認証文を付けて印刷して、交付してくれます。
これが法定相続情報証明制度です。
登記官が地模様の入った専用紙に印刷してくれた家系図のことを法定相続情報一覧図と言います。
多くは家系図のように書きますが、相続人をずらっと書き並べることもできます。
税務申告など連記式の法定相続情報一覧図は提出できない場合があるので、作成前によく確認しましょう。
2法定相続情報一覧図を使って相続登記をすると添付書類が少なく済む
登記申請書には、通常、相続関係説明図を添えます。
事例によっては追加書類が必要になる場合がありますが、遺言書がない場合ではおおむね次の書類が必要です。
①被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
②相続人の現在戸籍
③被相続人の住民票の除票
④不動産を相続する人の住民票
⑤遺産分割協議書
⑥相続人全員の印鑑証明書
法定相続情報一覧図を使って相続登記をする場合、①被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本②相続人の現在戸籍は提出する必要はありません。
法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をするときに、被相続人の死亡時の住所や相続人の住所を記入した家系図を提出することができます。
相続手続では、被相続人の死亡時の住所や相続人の住所を必要とされることが多いものです。
被相続人や相続人の住所を記載していない家系図を提出しても差し支えありませんが、住所が記載されている方が便利でしょう。
被相続人の死亡時の住所や相続人の住所を記入した家系図を提出するする場合、③被相続人の住民票の除票や相続人の住民票を一緒に提出します。
法定相続情報一覧図に、被相続人の死亡時の住所や相続人の住所が記載されている場合、相続登記で③被相続人の住民票の除票④不動産を相続する人の住民票も提出不要です。
法定相続情報一覧図を使って相続登記をすると添付書類が少なく済みます。
3法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出と相続登記は同時申請ができる
法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出と相続登記は同時申請ができます。
法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出に添付する戸籍謄本は、コピーを添付しなくても原本還付されます。
法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をする人の本人確認書類として提出する住民票の写しは原則として原本還付されません。
原本還付を希望する場合、住民票のコピーに「原本に相違ありません。」と記載して記名する必要があります。
住民票のコピーは記名が必要ですが、押印は不要です。
法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出と相続登記を同時申請する場合、司法書士などの専門家が記名することができます。
法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出と相続登記を司法書士などの専門家に依頼する場合、それぞれ委任が必要です。
委任状を2枚書いてもいいし、1枚の委任状にまとめて記載しても差し支えありません。
法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出の委任状は、記名のみで押印不要です。
相続登記の委任状は押印が必要です。
4法定相続情報一覧図のメリット
相続が発生すると、相続人は多くの役所や銀行などの金融機関などで相続手続をすることになります。
相続手続のたびに、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍と相続人の現在戸籍の束を提出しなければなりません。
法定相続情報一覧図は、たくさんの戸籍謄本の束の代わりに銀行などの金融機関に提出することができます。
被相続人を中心にして、どういう続柄の人が相続人であるのか一目で分かるように家系図のように取りまとめてあるからとても便利です。
一目で分かるから、金融機関などの手続がスムーズに進みます。
金融機関なども、戸籍の束を読み解くのは手間のかかる事務です。
複雑な相続である場合、戸籍の束でなく法定相続情報一覧図を提出するように求められることがあります。
5法定相続情報一覧図のデメリット
①法務局で手続する手間と時間がかかる
法定相続情報一覧図は書き方が厳格に決まっています。
登記官は、提出された戸籍謄本等と家系図の点検をするだけです。
法務局で家系図を作ってくれるわけではありません。
必要な事項が書いてなかったり、余計なことが書いてあると書き直しになります。
法定相続情報一覧図の書き方ルールに合わない場合、何度でも書き直しになります。
登記官は内容に問題がなかったら、地模様の入った専用紙に認証文を付けて印刷して、交付してくれます。
登記官が点検して認証文を付けて問題がない場合だけ、法定相続情報一覧図を交付してくれるのです。
一般の人から見て、些細なことと思えるようなことで書き直しになります。
相続手続をする先が1か所か2か所であれば、戸籍の束を提出した方がいいかもしれません。
②法定相続情報一覧図が使えない場合がある
法務局に戸籍謄本等の点検をお願いすることを法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出といいます。
戸籍等が集められないと保管及び交付の申出ができません。
戸籍謄本は保存期間があります。
古い戸籍謄本は、順次処分されてしまいます。
戸籍が戦災や災害で滅失してしまっている場合があります。
被相続人に日本国籍がない場合、戸籍等を提出することができません。
相続人に日本国籍がない場合、戸籍等を提出することができません。
戸籍謄本が集められない場合、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出はできません。
③相続人が変更になると法定相続情報一覧図が使えなくなる
法定相続情報一覧図は、戸籍謄本や住民票の内容を分かりやすく取りまとめたものです。
戸籍謄本や住民票に現れないことは、記載することができません。
相続放棄した相続人は、そのまま記載します。
戸籍謄本から分からないからです。
廃除された相続人は相続人でないから、法定相続情報一覧図に記載できません。
欠格になった証明書を提出した場合であっても、法定相続情報一覧図に相続欠格であることを記載することはできません。
法定相続情報一覧図が交付された後に、子どもが認知される場合があります。
父親が死亡した後でも、死亡後3年以内であれば、認知を求める訴えを起こすことができるからです。
6法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出と相続登記を司法書士に依頼するメリット
法定相続情報一覧図は、後に登記官が認証文を付して交付されるので、書き方が厳格に決まっています。
法定相続情報一覧図と似たものに、相続関係説明図があります。
相続関係説明図は、登記官が点検をするものではなく、単なる事情説明の書類に過ぎませんから、比較的自由に書くことができます。
これらの違いを理解して、ポイントを押さえて書くことが重要です。
相続手続が少ない場合など、法定相続情報一覧図を作るまでもないこともあるでしょう。
逆に、銀行口座をたくさん持っているなど、相続手続をする手続先が多い場合は、法定相続情報一覧図は大変便利です。
相続が発生した場合、家族はたくさんの相続手続でとても忙しくなります。
葬儀の費用などの支払のため、銀行口座の相続手続を先行させたいと考えるかもしれません。
自宅不動産などの相続登記を後回しにしがちです。
要領よく相続手続を進めるためには、不動産の相続登記を先行させるのがおすすめです。
相続登記は、相続手続の中でも難易度が高い手続です。
司法書士などの専門家は、相続登記に必要な戸籍謄本などの書類をすべて準備してくれるからです。
お仕事や家事で忙しい方は戸籍謄本などの収集だけでも、タイヘンです。
相続登記が終わった後、登記に使った書類は原本還付をしてもらえます。
難易度の高い相続登記で使った書類がすべてあれば、銀行などで書類の不足を指摘されることは大幅に減ります。
銀行の預貯金などの相続手続についてもサポートを受けることができます。
すみやかな手続を考えている方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。
相続登記で原本還付される書類
1相続登記の必要書類
事例によっては追加書類が必要になる場合がありますが、おおむね、次の書類が必要です。
①遺言書がない場合
(1)被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
(2)相続人の現在戸籍
(3)被相続人の住民票の除票
(4)不動産を相続する人の住民票
(5)遺産分割協議書
(6)相続人全員の印鑑証明書
(7)固定資産税評価証明書
②遺言書がある場合
(1)被相続人の除籍謄本
(2)相続人の現在戸籍
(3)被相続人の住民票の除票
(4)不動産を相続する人の住民票
(5)遺言書
(6)遺言書検認証明書
(7)固定資産税評価証明書
2相続登記で原本還付される書類
①添付書類は請求しないと返ってこない
相続手続には、たくさんの書類が必要になります。
相続登記の申請書には、たくさんの添付書類を提出します。
法務局に提出する相続登記の添付書類は、銀行などの相続手続でも必要になる書類です。
相続登記の申請書に添付した書類は、何も請求しなければ返ってきません。
添付書類を返してもらえれば、次の手続先で使うことができます。
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本をすべて取得するのは、想像以上に時間と手間がかかります。
相続手続をする手続先がたくさんある場合、添付書類の原本還付を請求すると便利です。
添付書類を返してもらえないと、あらためて手間と時間をかけてたくさんの書類を取り寄せなければならなくなるからです。
②相続登記の添付書類はほとんど原本還付される
原本還付がされる書類は、法令や先例で決められています。
登記のためだけに作られた書類は、原本還付をしてもらえません。
相続登記のために準備する添付書類のほとんどは、登記のためだけに作られた書類ではありません。
登記のためだけに作られた書類でないから、原本還付を請求することができます。
③相続登記の添付書類で原本還付を請求できない書類
登記のためだけに作られた書類は、原本還付をしてもらえません。
登記のためだけに作られた書類のイメージがしにくいかもしれません。
相続登記は、相続手続の中でも難しい手続です。
多くの人は、司法書士などの専門家に相続登記を依頼します。
相続登記を依頼する場合、司法書士に登記委任状を渡します。
司法書士が相続登記を申請する場合、登記委任状を添付します。
登記委任状は、登記のためだけに作られた書類です。
登記委任状は、原本還付請求をしても返してもらえません。
特別な事情がある場合、法務局に対して相続人全員から上申書を提出します。
相続人全員から提出する上申書は、登記のためだけに作られた書類です。
上申書は、原本還付請求をしても返してもらえません。
法務局に対する上申書は、相続人全員から提出する必要があります。
遺産分割協議書も、相続人全員の記名と押印が必要です。
相続人全員の手間を省くため、法務局に対する上申書と遺産分割協議書を1枚の紙に取りまとめることがあります。
上申書と遺産分割協議書を1枚の紙に取りまとめた場合、原本還付を請求することができます。
3添付書類の原本還付の請求方法
①添付書類をコピーする
相続登記の添付書類はほとんど原本還付されます。
登記委任状や法務局あての上申書以外は、他の相続手続でも使います。
原本還付をしてもらいたい添付書類をコピーします。
すべてのページを、等倍片面でコピーします。
縮小するとコピーがないと扱われて、原本還付してもらえなくなるおそれがあります。
戸籍謄本、住民票、印鑑証明書などは市区町村によってはマイナンバーカードを使ってコンビニエンスストアで取得することができます。
コンビニエンスストアで取得した戸籍謄本、住民票、印鑑証明書は、裏表両方をコピーする必要があります。
②「原本に相違ありません」と記載して記名押印する
原本還付をしてもらいたい添付書類のコピーの余白に「原本に相違ありません」と記載して、記名押印をします。
申請書に押印した印章と同一印で押印します。
添付書類のコピーの余白がない場合、コピーの裏に「原本に相違ありません」と記載して、記名押印をしても構いません。
コピーがたくさんある場合、コピーの長辺を綴じて契印を施します。
③相続関係説明図を提出すれば戸籍のコピーは不要
相続関係説明図とは、被相続人を中心にして、どういう続柄の人が相続人であるのかを一目で分かるように、家系図のように取りまとめた書類のことです。
通常、相続登記を申請する場合、添付書類の内容を説明するために一緒に添えて提出します。
相続関係説明図を添えて相続登記を申請する場合、戸籍謄本のコピーを提出しなくても戸籍謄本を原本還付してもらえます。
複雑な相続登記をする場合、戸籍謄本が大量になることがあります。
相続関係説明図を利用すれば、大量の戸籍謄本をコピーをしたり契印を施す手間と時間を省くことができます。
4法定相続情報一覧図を利用すれば戸籍謄本等の提出が不要
法定相続情報一覧図も相続関係説明図と同じように、被相続人を中心にして、どういう続柄の人が相続人であるのかを一目で分かるように、取りまとめた書類のことです。
法定相続情報一覧図は、作成後、戸籍や住民票と一緒に法務局に提出して内容確認してもらいます。
内容に問題がなければ、地模様や透かしの入った紙に印刷されて、登記官の認証文が入ります。
法定相続情報一覧図は、あらかじめ登記官が確認しているので証明力があります。
法定相続情報一覧図を利用する場合、戸籍謄本の提出を省略することができます。
法定相続情報一覧図は、被相続人や相続人の住所を記載することができます。
被相続人や相続人の住所が記載された法定相続情報一覧図の場合、被相続人の除票や相続人の住民票の提出も省略することができます。
5原本還付される書類は郵便で受け取ることができる
相続登記の申請書は、窓口まで出向いて提出することもできるし、郵送で提出することもできます。
相続登記が完了した場合、登記識別情報と完了証は窓口まで出向いて受け取ることもできるし、郵送で受け取ることもできます。
原本還付してもらいたい添付書類も同様に、窓口まで出向いて受け取ることもできるし、郵送で受け取ることもできます。
郵送で送り返してもらいたい場合、相続登記の申請書に「送付の方法による添付書類の原本還付を希望する」と記載します。
返信用の封筒と切手を一緒に提出する必要があります。
切手を多めに入れておけば、余った分は返してもらえます。
6相続登記を司法書士に依頼するメリット
相続が発生すると、相続人はたくさんの相続手続に追われて悲しむ暇もありません。
ほとんどの方は相続を何度も経験するものではないから、手続に不慣れで聞き慣れない法律用語でへとへとになります。
一般的にいって、相続登記は、その中でも難しい手間のかかる手続です。
不動産は重要な財産であることが多いので、一般の方からすると些細なことと思えるようなことでやり直しになります。
簡単そうに見えても、思わぬ落とし穴があることもあります。
法務局の登記相談に行っても、何が良くないのか分からなかったというケースも多いです。
司法書士はこのような方をサポートしております。
相続登記を自分でやってみたけど、挫折した方の相談も受け付けております。
相続登記をスムーズに完了させたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。
相続登記の必要書類の有効期限
1相続登記に必要な書類とは
登記申請書には、通常、相続関係説明図を添えます。
遺言書がない場合、おおむね、次の書類が必要です。
①被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
②相続人の現在戸籍
③被相続人の住民票の除票
④不動産を相続する人の住民票
⑤遺産分割協議書
⑥相続人全員の印鑑証明書
⑦固定資産税の評価証明書
事例によっては追加書類が必要になる場合があります。
相続登記では、特段の事情がある場合を除いて、権利証は提出不要です。
2相続登記に必要な書類に原則有効期限はない
①被相続人の戸籍に有効期限はない
相続手続では、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要になります。
戸籍謄本は本籍地のある役所に請求します。
多くの人は、結婚や離婚、転籍などでいくつもの戸籍を渡り歩いています。
死亡時の戸籍から順番に、本籍地を確認して戸籍を取得します。
相続手続の最初の難関が戸籍集めです。
司法書士などの専門家の手を借りずに、自分で手続に挑戦した場合、戸籍集めの大変さにびっくりするケースが多いです。
戸籍集めを始めたけど、あまりの大変さに途中で挫折してしまうことも少なくありません。
途中で断念してしばらく放置してしまった場合、すでに集めた戸籍を使えるのか心配になるかもしれません。
戸籍謄本に有効期限はありません。
相続登記で戸籍を提出する場合、取得後、〇か月以内でなければ受付しませんといったことはありません。
何年も前に取得した戸籍謄本を提出しても、問題なく相続登記を受け付けてもらえます。
被相続人の戸籍謄本は、死亡まで提出する必要があります。
最終の戸籍謄本は、死亡の記載のある戸籍謄本でなければなりません。
被相続人が健在のうちに取得した場合、最終の戸籍謄本に死亡の記載がありません。
最終の戸籍は、被相続人が死亡後に取得し直しになります。
②相続人の戸籍は相続発生後の戸籍
相続人の戸籍は、相続が発生した時に相続人が健在であったことを証明するためのものです。
相続が発生した時に相続人が健在であったことを証明するため、相続人の戸籍謄本は相続発生後に取得したものでなければなりません。
相続発生後に取得した戸籍謄本であれば、取得後に何年経過していても問題はありません。
相続登記で戸籍を提出する場合、取得後、〇か月以内でなければ受付しませんといったことはありません。
何年も前に取得した戸籍謄本を提出しても、問題なく相続登記を受け付けてもらえます。
③被相続人の住民票の除票に有効期限はない
登記簿には所有者の住所と氏名が登記されています。
被相続人の戸籍謄本には、本籍と氏名が記載されています。
登記と戸籍謄本だけでは、名前が同じ別の人かもしれないと考えられます。
被相続人の住民票の除票は、戸籍謄本の被相続人と登記されている所有者が同一人物であることを証明するために提出します。
被相続人の住民票の除票には、被相続人の氏名、住所、本籍が記載されているからです。
被相続人の住民票の除票は、被相続人の死亡後に取得する必要があります。
被相続人の死亡後にに取得した除票であれば、取得後に何年経過していても問題はありません。
相続登記で被相続人の住民票の除票を提出する場合、取得後、〇か月以内でなければ受付しませんといったことはありません。
何年も前に取得した被相続人の住民票の除票を提出しても、問題なく相続登記を受け付けてもらえます。
④不動産を相続する人の住民票に有効期限はない
不動産を相続する人の住民票は、不動産を相続する人の住所を証明するために提出します。
住民票に有効期限はありません。
住民票を取得してから、何年経過していても問題はありません。
相続登記で相続人の住民票を提出する場合、取得後、〇か月以内でなければ受付しませんといったことはありません。
何年も前に取得した相続人の住民票を提出しても、問題なく相続登記を受け付けてもらえます。
住民票を取得してから長期間経過した場合、相続人が転居する場合や住居表示が実施される場合があります。
古い表記の住民票は、相続する人の住所を証明する書類とは言えません。
最新の住所が記載されている住民票を取り直す必要があります。
⑤遺産分割協議書に有効期限はない
相続財産の分け方は、相続人全員の合意が必要です。
相続人全員で合意したことを遺産分割協議書に取りまとめます。
遺産分割協議が終わった後、一部の財産について相続手続を忘れている場合があります。
遺産分割協議から長期間経過してから、相続手続が忘れられていたことが判明するかもしれません。
何年も前に終わった遺産分割協議についても、相続登記が必要になります。
遺産分割が終わったとき、遺産分割協議書にとりまとめてあるでしょう。
遺産分割協議書に有効期限はありません。
遺産分割協議書については、作成後に何年経過していても問題はありません。
相続登記で遺産分割協議書を提出する場合、作成後、〇か月以内でなければ受付しませんといったことはありません。
何年も前に作成した遺産分割協議書を提出しても、問題なく相続登記を受け付けてもらえます。
⑥相続人全員の印鑑証明書に有効期限はない
相続財産の分け方は、相続人全員の合意が必要です。
相続人全員の合意があったことを遺産分割協議書にとりまとめ、相続人全員の印鑑証明書を添付します。
一部の相続人が印鑑証明書を出し渋っている場合、すでに印鑑証明書を取得した相続人の印鑑証明書の期限が気になるかもしれません。
相続登記をする場合、遺産分割協議書に添付する印鑑証明書に期限の定めはありません。
不動産を売買するときなどで、発行後3か月以内の印鑑証明書を用意してくださいと言われたことがある場合もあるでしょう。
申請する登記の種類や内容によっては、確かに、発行後3か月以内の印鑑証明書が必要になる場合があります。
遺産分割協議書に添付する印鑑証明書については、発行後〇か月以内の印鑑証明書が必要といった定めはありません。
遺産分割協議書に添付する印鑑証明書については、取得後に何年経過していても問題はありません。
相続が発生する前に取得した印鑑証明書であっても差し支えありません。
相続登記で印鑑証明書を提出する場合、取得後、〇か月以内でなければ受付しませんといったことはありません。
何年も前に取得した印鑑証明書を提出しても、問題なく相続登記を受け付けてもらえます。
印鑑証明書には、印鑑登録をした人の住所が記載されています。
印鑑証明書を取得してから長期間経過した場合、相続人が転居する場合や住居表示が実施される場合があります。
不動産を相続する人は、最新の住所が記載された住民票を提出する必要があります。
印鑑証明書の住所と住民票の住所が違う場合、法務局は別の人であると判断します。
同一人物であることを証明するために、住所の移り変わりを証明しなければなりません。
印鑑証明書の住所から住民票の住所までの住所の移り変わりを証明する書類が追加で必要になります。
⑦固定資産税の評価証明書は登記申請年度のもの
登録免許税は、登記申請年度の固定資産税評価額をもとにして計算します。
固定資産税の評価証明書は、4月1日に新年度になります。
登記申請が4月1日を越して新年度になった場合、新年度の固定資産税の評価証明書が必要です。
たとえ、固定資産税評価額が昨年度と同じであったとしても、新年度の固定資産税の評価証明書を取得しなければなりません。
登記申請が3月31日までであれば、登記完了が4月以降になったとしても、新年度の固定資産税の評価証明書は必要ありません。
3法務局以外の機関は独自ルールで有効期限を決めている
相続手続をするのは、法務局だけではありません。
法務局以外にもたくさんの機関に対して手続をする必要があります。
相続の手続先は、銀行や保険会社などがイメージしやすいでしょう。
銀行や保険会社などは、独自で書類の有効期限を決めています。
取得してから長期間経過した場合、取得し直してくださいと言われます。
銀行や保険会社などの独自ルールなので、一概には言えませんが、多くは3か月や6か月で取得し直しと言われてしまいます。
相続税の申告が必要な場合、原則として、書類の有効期限はありません。
相続税は、10か月以内に申告する必要があります。
4期限切れの戸籍等で法定相続情報一覧図を取得することができる
相続手続のたびに、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍と相続人の現在戸籍の束を提出しなければなりません。
大量の戸籍を持ち歩くと汚してしまったり、紛失する心配があるでしょう。
被相続人を中心にして、どういう続柄の人が相続人であるのか一目で分かるように家系図のように取りまとめてあると便利です。
この家系図と戸籍謄本等を法務局に提出して、登記官に点検してもらうことができます。
登記官は内容に問題がなかったら、地模様の入った専用紙に認証文を付けて印刷して、交付してくれます。
登記官が地模様の入った専用紙に印刷してくれた家系図のことを法定相続情報一覧図と言います。
法務局に戸籍謄本等の点検をお願いすることを法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出と言います。
法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をする場合、取得してから長期間経過した戸籍謄本や住民票を提出しても差し支えありません。
取得してから長期間経過した戸籍謄本や住民票を提出しても、内容が適切であれば、地模様の入った専用紙に認証文を付けて印刷して交付してくれます。
法定相続情報一覧図には、交付した日付が記載されています。
銀行や保険会社などの独自ルールによりますが、法定相続情報一覧図の交付日から3か月や6か月以内であれば期限内の書類として受け付けてもらえます。
法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をしてから5年間は、再交付の申出ができます。
法定相続情報一覧図の交付日から3か月や6か月の期限が切れてしまった場合、法務局に対して法定相続情報一覧図の再交付をしてもらうことができます。
法定相続情報一覧図の再交付をしてもらえば、新しい交付日の法定相続情報一覧図を取得することができます。
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍と相続人の現在戸籍は大量にある場合、取り直しをする負担は大きいものです。
銀行や保険会社など手続先がたくさんある場合、3か月や6か月はあっという間に過ぎてしまいます。
法定相続情報一覧図を上手に活用すると、スムーズに相続手続ができます。
5相続登記を司法書士に依頼するメリット
相続が発生すると、相続人は悲しむ暇もなく相続手続に追われます。
ほとんどの人は相続手続は不慣れで、聞き慣れない法律用語で疲れ果ててしまいます。
インターネットの普及で多くの人は簡単に多くの情報を手にすることができるようになりました。
多くの情報の中には正しいものも、適切でないものも同じように混じっています。
相続登記も簡単にできる、ひとりでできたという記事も散見されます。
不動産は重要な財産であることも多いので、登記手続きは一般の方から見ると些細なことと思えるようなことでやり直しになることも多いものです。
法務局の登記相談を利用すれば、シンプルな事例の申請書類などは教えてもらえますが、通常と異なる事例に関しては、相談する側から話さないとわざわざ説明してくれません。
知識のない方にとっては、通常と異なっているかどうか判断がつかないでしょう。
司法書士などの専門家から見れば、トラブルのないスムーズな相続手続であっても、知識のない一般の方はへとへとになってしまいます。
住所がつながらない場合など、シンプルな事例とは言えない事情がある場合は申請を取下げて、やり直しになることが多いでしょう。
司法書士は登記の専門家です。
スムーズに相続登記を完了させたい方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。
遺言執行者が相続登記
1遺言執行者が遺言書の内容を実現してくれる
遺言書は遺言者の意思を示したものです。
遺言書を書いただけでは、意味がありません。
遺言書を書いただけで、自動的に遺言内容が実現するわけではないからです。
遺言書の内容を実現する人が遺言執行者です。
遺言執行者の職務は、遺言書の内容を実現することです。
相続が開始したら、膨大な手続があります。
手続きする先は、銀行などの金融機関や役所、法務局、家庭裁判所などです。
いずれも、平日の昼間しか手続できません。
相続人は遺言の内容を見たら、被相続人の意思を尊重し、実現してあげたいと思うでしょう。
相続人にとって不利な内容になっている場合、遺言の実現に協力してくれないこともあります。
協力してくれない場合に備えて、遺言執行者を選任しておくことが有効です。
遺言執行者は遺言の内容を実現するために、必要な行為をする権限があります。
協力しない相続人が遺言執行を妨害した場合、原則として、妨害行為は無効になります。
遺言執行者はいてもいなくても、遺言書の効力に違いはありません。
遺言執行者がいると、確実に遺言者の意思を実現してもらえますから、安心です。
2遺言執行者は相続登記ができる
「不動産〇〇を相続人〇〇に相続させる。」
被相続人が上記のような遺言書を作成している場合があります。
特定の財産を特定の相続人に相続させる遺言です。
特定の財産を特定の相続人に相続させる遺言のことを、特定財産承継遺言と言います。
特定財産承継遺言がある場合、遺産分割協議は必要ありません。
相続が発生した時に、その財産はその相続人に帰属するからです。
財産がその相続人に帰属する場合でも、自動で相続登記がされることはありません。
相続登記は法務局に対して申請が必要だからです。
特定財産承継遺言がある場合、遺言執行者は相続手続をすることができます。
遺言執行者は相続手続のひとつとして、相続登記をすることができます。
遺言執行者が相続登記をすることができるのは、令和元年7月1日以降作成の遺言書に限られます。
遺言執行者がいる場合でも、相続人は自分で相続登記をすることができます。
遺言執行者が相続登記を申請することができるから、遺言執行者から司法書士などの専門家に相続登記を依頼することができます。
司法書士などの専門家に相続登記を依頼する場合、遺言執行者が委任状に記名押印をします。
3遺言執行者は遺贈の登記ができる
「不動産□□を□□に遺贈する。」
被相続人が上記のような遺言書を作成している場合があります。
遺贈とは、被相続人が遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげることです。
相続では、法定相続人だけに譲ってあげることができます。
遺贈では、法定相続人に譲ってあげることもできるし、相続人以外の人に譲ってあげることができます。
譲ってもらう人は自然人でもいいし、法人などの団体でも差し支えありません。
遺言書に「遺贈する」とあれば、譲ってもらう人が相続人であっても相続人以外の人でも、遺贈で手続します。
遺贈には、2種類あります。
特定遺贈と包括遺贈です。
特定遺贈とは、遺言書に「財産〇〇〇〇を遺贈する」と財産を具体的に書いてある場合です。
包括遺贈とは、遺言書に「財産すべてを包括遺贈する」「財産の2分の1を包括遺贈する」と割合だけ書いて財産を具体的に書いてない場合です。
特定遺贈では、受け継ぐ財産が具体的に特定されています。
具体的に特定されているから、特定遺贈では遺産分割協議は必要ありません。
相続が発生した時に、その財産は遺贈を受け取る人に帰属するからです。
財産が遺贈を受け取る人に帰属する場合でも、自動で遺贈の登記がされることはありません。
遺贈の登記は法務局に対して申請が必要だからです。
遺贈する遺言がある場合、遺言執行者は相続手続をすることができます。
遺言執行者は、遺贈を受け取る人と協力して遺贈の登記をすることができます。
遺言執行者がいる場合、相続人全員は遺贈を受け取る人と協力して遺贈の登記をすることができません。
遺言執行者がいる場合、遺贈の登記は必ず遺言執行者が遺贈を受け取る人と協力して登記申請をする必要があります。
遺言執行者が遺贈登記を申請することができるから、遺言執行者から司法書士などの専門家に遺贈の登記を依頼することができます。
司法書士などの専門家に遺贈の登記を依頼する場合、遺言執行者が委任状に記名押印をします。
遺贈の登記申請書に添付する印鑑証明書は、遺言執行者の印鑑証明書です。
4遺言執行者は遺贈の登記の前提として住所変更登記ができる
①遺贈の登記の前提として住所変更登記が必要
被相続人の財産調査のため登記簿を確認すると、登記簿上の住所が古い住所のままになっていることがあります。
遺贈の登記を申請するためには、前提として、住所変更登記をする必要があります。
遺言執行者は遺贈の登記を申請するために、前提として、住所変更登記をすることができます。
遺言執行者が住所変更登記を申請することができるから、遺言執行者から司法書士などの専門家に住所変更登記を依頼することができます。
司法書士などの専門家に住所変更登記を依頼する場合、遺言執行者が委任状に記名押印をします。
②相続登記の前提として住所変更登記が不要だが証明書類が必要
相続登記をする場合、前提として、住所変更登記をする必要はありません。
住所変更登記をする必要がないだけで、被相続人の住所の移り変わりを確認する必要はあります。
被相続人の住所の移り変わりを確認できない場合、法務局は同じ名前の別の人と判断するからです。
同じ名前の別の人に相続があったと判断された場合、相続登記は認めてもらえません。
被相続人の住所の移り変わりを公的書類で証明すれば、相続登記をすることができます。
5遺言執行を専門家に委任することができる
遺言者は、遺言執行者を自由に指名することができます。
親族のうちから選んでも構いませんし、司法書士などの専門家に依頼することもできます。
家族から選んだ場合、相続人同士の関係性や財産状況が分かっているので、手続がスムーズに進むかもしれません。
一方で、難易度の高い相続手続や財産状況が複雑な場合、対応しきれなくなることがあります。
司法書士などの専門家に遺言執行者になってもらう場合、専門性や中立性の面から安心です。
遺言執行者がするべき職務は、多岐に渡ります。
専門知識を必要とすることも多いものです。
令和元年7月1日以前作成の遺言書で遺言執行者に指名された場合、止むを得ない理由があれば司法書士などの専門家にその任務を任せることができます。
遺言執行者に指名されたのが令和元年7月1日以降作成の遺言書であれば、遺言執行者は自己の責任で司法書士などの専門家にその任務を任せることができます。
止むを得ない理由がなくても、司法書士などの専門家に任せることができるように変更になりました。
遺言執行は法律知識が必要な手続が多いので、専門家に任せる方がスムーズでしょう。
法律改正で、専門家に任せやすくなったといえます。
6遺言書作成と遺言執行を司法書士に依頼するメリット
遺言執行者は遺言書の内容を実現する人です。
相続人が遺言書の内容に納得していて、手続に協力的であれば、必ずしも、遺言執行者を選任する必要はありません。
子どもの認知など遺言執行者しかできない手続がある場合、遺言執行者を選任しておかないと、相続人に余計な手間をかけさせることになります。
遺言執行者は、相続開始後すみやかに手続を進めることができる時間と知識がある人を選ぶことが重要です。
その意味でも、家族より司法書士などの専門家に遺言執行を依頼する人が増えています。
以前は、遺言執行者は止むを得ない場合だけ、他の人に職務を任せることができるとされていましたが、現在は、止むを得ないなどの理由は不要になりました。
遺言執行者に指名され、職務をしてみたところ、思ったよりタイヘンだという場合、自己の責任で司法書士などの専門家におまかせすることもできます。
今後も、専門家に依頼する人は増えていくでしょう。
遺言執行を司法書士などの専門家に依頼した場合、相続人は基本待っているだけなので、トラブルになることが少なくなるからです。
家族を笑顔にするためにも、遺言書作成と遺言執行者選任しましょう。
家族の幸せのためにも、遺言書作成と遺言執行者選任を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。
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