Archive for the ‘成年後見’ Category

任意後見契約締結後にやること

2024-07-19

1任意後見契約締結だけでは効力はない

①任意後見契約は元気なときに締結

認知症や精神障害などにかかると、判断能力が低下します。

人によっては、記憶があいまいになります。

任意後見とは、将来に備えて信頼できる人にサポートを依頼する契約です。

だれにサポートを依頼するのか、本人が自分で決めます。

どんなことをサポートしてもらいたいのか、本人が自分で決めます。

任意後見契約は、自分らしく生きるための契約です。

自分で、いろいろなことを決めなければなりません。

本人が自分で判断することができなくなったら、契約することはできません。

任意後見契約は、本人が元気なときに締結します。

②任意後見監督人選任で任意後見がスタート

任意後見契約を締結した直後、サポートすることはありません。

本人は元気で、判断能力があるはずだからです。

本人の判断能力が充分にある間は、自分で判断できます。

サポートをしてもらう必要は、ありません。

本人がひとりで判断することが不安になったら、効力が発生します。

本人が自分で決めることが心細くなったら、家庭裁判所が任意後見監督人を選任します。

任意後見監督人が選任されるまで、サポートを開始しません。

任意後見監督人が選任された後、任意後見がスタートします。

2任意後見監督人は不要にできない

①任意後見監督人は任意後見人をサポートする

任意後見監督人は、任意後見人を監督する人です。

監督と聞くと、監視されるイメージを持つかもしれません。

任意後見人は、監視する人というよりサポートする人です。

任意後見契約は、本人が信頼できる人をする契約です。

本人が信頼できる人は、本人の子どもなど近い関係の家族でしょう。

本人の家族が法律などに詳しいことは、あまりありません。

法律の知識がないから、不安になりながら後見事務をすることになります。

法律の知識不足から、不適切な事務をしてしまうかもしれません。

心配な点があれば、家庭裁判所に相談することは大切です。

家庭裁判所は、身近な役所ではないでしょう。

任意後見監督人は、任意後見人の良き相談相手です。

任意後見監督人は、任意後見人から相談を受けて適切な事務をサポートします。

任意後見監督人は、任意後見人をサポートする人です。

②任意後見人の家族は任意後見監督人になれない

任意後見監督人が選任された後、任意後見がスタートします。

任意後見監督人選任の申立てをする際に、任意後見監督人の候補者を立てることができます。

候補者を立てても立てなくても、家庭裁判所は自由に任意後見監督人を選任します。

候補者を選任することも候補者以外の人を選任することも、あります。

任意後見監督人に選任されるのは、原則として、家族以外の専門家です。

家庭裁判所が選んだ人について、不服を言うことはできません。

候補者以外の人が選任されても、任意後見監督人選任の申立てを取り下げることはできません。

次の人は、任意後見監督人になることはできません。

(1)任意後見受任者や任意後見人の配偶者

(2)任意後見受任者や任意後見人の直系血族

(3)任意後見受任者や任意後見人の兄弟姉妹

任意後見受任者や任意後見人の家族は、任意後見監督人にふさわしくないという意味です。

任意後見人が不正をした場合、指摘して不正をたださなければなりません。

任意後見監督人が家族の場合、任意後見人の不正を見つけてもわざと見逃すかもしれません。

多くの場合で任意後見人が本人の家族だから、任意後見監督人は専門家がふさわしいといえます。

原則として、任意後見人の家族は任意後見監督人になることができません。

③任意後見監督人解任は正当事由があるとき家庭裁判所が判断

任意後見人として家庭裁判所が選んだ人について、不服を言うことはできません。

家族や任意後見人が任意後見監督人を解任することはできません。

家族や任意後見人は、家庭裁判所に任意後見人解任の申立てをすることができます。

任意後見監督人は、正当理由があれば解任されます。

解任するのは、家庭裁判所です。

正当事由があるか家庭裁判所が判断します。

正当理由とは、任意後見監督人が不正行為をしたなどの重大な理由です。

3任意後見がスタートしたら金融機関へ届出

①成年後見の届出が必要

任意後見契約は、将来に備えてサポートを依頼する契約です。

任意後見人がサポートを開始した場合、金融機関に届出が必要です。

金融機関は、口座の持ち主が認知症などになっても分かりません。

任意後見監督人が選任されても、家庭裁判所は金融機関などに通知しません。

任意後見人はサポートの一部として、口座を管理することを知らせる必要があります。

成年後見の届出に必要な書類は、おおむね次のとおりです。

(1)成年後見の届出書

(2)成年後見登記事項証明書

(3)任意後見監督人選任審判書

(4)確定証明書

金融機関によって、必要な書類が異なります。

事前に必要書類を問い合わせをして、窓口を予約しておくとスムーズに手続ができます。

銀行の利用者全体から見ると、後見制度を使う人は多くはありません。

事前打ち合わせをせずに窓口に行った場合、担当者不在で手続ができないことがあります。

任意後見人に就任した場合、成年後見の届出が必要です。

②口座名義が変更で引落ができなくなる可能性

口座名義の取り扱いは、金融機関によって異なります。

成年後見の届出をした際、口座名義が変更されることがあります。

「成年被後見人○○○○成年後見人□□□□」などです。

成年後見人の名義に変更することは、できません。

成年後見人は、財産管理のサポートをする人であるに過ぎないからです。

銀行口座から引き落としがされているでしょう。

公共料金などの支払いは、本人の生活に欠かせないものです。

口座の名義が「○○○○」から「成年被後見人○○○○成年後見人□□□□」に変更された場合、

引落ができなくなることがあります。

名義が変更されても引き続き公共料金が引き落とされるのか、銀行窓口で確認することをおすすめします。

口座名義が変更されても、しばらくは引落ができることが多いものです。

一定期間経過すると、口座名義相違で引落ができなくなることがあります。

引き落としができない場合、引落機関に依頼して対応が必要になります。

③貸金庫契約に届出が必要

任意後見人が財産管理だけでなく、重要な書類の管理を依頼されることがあります。

本人が以前から貸金庫を利用していた場合、成年後見の届出が必要です。

成年後見の届出は、口座と貸金庫は別々に必要になります。

本人は貸金庫を利用していなかった場合でも、重要書類を貸金庫で保管することが適切なことがあります。

任意後見人は、本人のために貸金庫契約をして重要書類を保管することができます。

貸金庫契約をする場合、任意後見人名義で契約するのは不適切です。

本人の財産と任意後見人の財産の分別管理をする必要があります。

任意後見人は、他人の財産を預かっているだけだからです。

本人の家族であっても、他人の財産を預かる立場だからです。

任意後見人名義ではなく「成年被後見人○○○○成年後見人□□□□」名義などが適切でしょう。

④証券会社に届出が必要

本人が株式や有価証券を保有していることがあります。

任意後見契約で株式や有価証券の管理を依頼されることがあります。

証券会社に、成年後見の届出が必要です。

株式を保有している場合、配当金が支払われることがあるでしょう。

銀行口座に振り込まれるのであれば、特別な手続は不要です。

配当金受領に手続が必要になる場合、本人は自分で手続できないでしょう。

株主名簿管理人を確認して、配当金受領の書類を任意後見人に送付してもらう必要があります。

任意後見人に議決権行使を依頼している場合、議決権行使書類についても同様に送付先を変更してもらう必要があります。

4任意後見契約を司法書士に依頼するメリット

任意後見制度は、あらかじめ契約で「必要になったら後見人になってください」とお願いしておく制度です。

認知症が進んでから任意後見契約をすることはできません。

重度の認知症になった後は、成年後見(法定後見)をするしかなくなります。

成年後見(法定後見)では、家庭裁判所が成年後見人を決めます。

家族が成年後見人になれることも家族以外の専門家が選ばれることもあります。

任意後見契約では、本人の選んだ人に後見人になってもらうことができます。

家族以外の人が成年後見人になることが不安である人にとって、任意後見制度は有力な選択肢になるでしょう。

一方で、任意後見制度では、必ず任意後見監督人がいます。

監督という言葉の響きから、不安に思ったり反発を感じる人もいます。

任意後見人が不正などをしないように監督する人と説明されることが多いからでしょう。

せっかく家族が後見人になるのに、あれこれ外部の人が口を出すのかという気持ちになるのかもしれません。

任意後見監督人は任意後見人のサポート役も担っています。

家庭裁判所に相談するより、ちょっと聞きたいといった場合には頼りになることが多いでしょう。

任意後見契約は締結して終わりではありません。

本人が自分らしく生きるために、みんなでサポートする制度です。

任意後見制度の活用を考えている方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

認知症になったら自宅を売却して施設に入りたい

2024-06-12

1認知症になると自宅を売却できない

①自宅を売却するためには判断能力が必要

高齢になると、身のまわりのことが不自由になることが多くなります。

身のまわりのことが思うようにならなくなると、家族がかかり切りでお世話をすることになります。

子どもらの世話になるより、自宅を売って施設でお世話をしてもらいたいことがあります。

身体が不自由になったから施設に入りたい場合、判断能力は充分にあるでしょう。

自宅を売却する場合、自宅の持ち主の判断能力の有無が重要になります。

物事のメリットデメリットを充分に判断する能力がない場合、売買契約などの法律行為はできません。

自宅を売却するためには、自宅の持ち主の判断能力が必要です。

②認知症になると判断ができなくなる

認知症になると、物事の良しあしを適切に判断することができなくなります。

記憶があいまいになる人もいます。

物事の良しあしを適切に判断できない場合、売買契約などの法律行為はできません。

認知症になると、自宅の持ち主であっても売却ができなくなります。

自宅を売却するためには、判断能力が必要だからです。

③認知症の人が売買契約をしても無効になる

認知症の人は、物事のメリットデメリットを充分に判断することができません。

重度の認知症になると、自宅を売却することの意味も分からないでしょう。

意味が分からないまま、売買契約書を作成しても無効です。

自宅を売却するためには、判断能力が必要だからです。

不動産取引には、たくさんの人が関与します。

売買契約が無効になると、たくさんの人に迷惑がかかります。

売買契約が無効になると、損害賠償請求や訴訟に発展するでしょう。

不動産の買主は、不動産を使いたいから購入したはずです。

売買契約が無効になると、不動産が使えなくなります。

不動産の購入のため、金融機関は融資を実行したでしょう。

売買契約が無効になると、融資も不要になります。

不動産の売買には、司法書士が登記を担当するでしょう。

売買契約が無効になると、司法書士は懲戒処分を受けます。

不動産の売買には、不動産業者が仲介をするでしょう。

売買契約が無効になると、不動産業者は行政処分を受けます。

不動産の持ち主が判断能力がないのは、非常に重要な問題です。

不動産取引に関与する人は、不動産の持ち主の判断能力の有無について非常に慎重に判断します。

物事のメリットデメリットを充分に判断できないまま、売買契約をしても無効になるからです。

売買契約書を作成して押印さえすればいいといったものではありません。

認知症の人が売買契約をしても、無効になります。

④施設入所のためでも売却ができない

施設に入所するときには、まとまった金額が必要になります。

自宅を売却する理由が、売却代金を入所費用に充てるためというのは割とよくあります。

本人のためになるから、売却できると思うかもしれません。

物事のメリットデメリットを充分に判断できないまま、売買契約をしても無効になります。

売却しないと施設に入れなくなるなども、理由になりません。

物事のメリットデメリットを充分に判断できないから、自宅を売却できなくなるのです。

⑤子ども等が代わりに判断できない

自宅の持ち主が認知症になった場合、自宅の持ち主であっても売却することができなくなります。

認知症になると、物事の良しあしを適切に判断することができなくなるからです。

自宅の持ち主が判断できなければ、子どもなどの家族が代わりに判断すればいいと思うかもしれません。

自宅の持ち主の代わりに、家族が代わりに判断することはできません。

赤ちゃんなどが契約などの法律行為をする必要があることがあります。

赤ちゃんは、自分で物事のメリットデメリットを充分に判断することができません。

赤ちゃんが契約などの法律行為をする場合、親などの親権者が代わりに判断します。

親などの親権者が代わりに判断することができるのは、赤ちゃんが未成年者だからです。

認知症の人は、未成年者ではないでしょう。

未成年ではないから、子ども等が代わりに判断できません。

⑥空き家になっても売却できない

自宅を売却しないまま施設に入った場合、自宅が空き家になることがあります。

重度の認知症になった場合、自宅に帰る見込みはほとんどないでしょう。

だれも住むことがなくなった家であっても、管理はしなければなりません。

自宅に帰る見込みがなくなっても、固定資産税などの費用負担は続きます。

管理の手間と費用がかかるから、自宅を売却したいと思うかもしれません。

自宅を売却するためには、自宅の持ち主の判断能力が必要です。

空き家になっても、自宅を売却することはできません。

⑦銀行の預貯金も凍結される

認知症になると、自宅を売却することができなくなります。

凍結される資産は、自宅などの不動産だけではありません。

銀行の預貯金も、凍結されます。

認知症になると、物事のメリットデメリットを充分に判断することができなくなります。

口座の持ち主が認知症であることを知ると、銀行が口座を凍結します。

口座の凍結とは、引出や解約、引落などの口座取引をできなくすることです。

口座の預貯金を管理することは、できないでしょう。

不必要な取引をしてしまったり不利益になる契約をしてしまうかもしれません。

認知症であることに付け込んでくる悪質業者の被害を受けるおそれがあります。

自分自身がお金を引き出した事実を忘れて、混乱することも考えられます。

本人をトラブルから守るため、銀行は口座を凍結します。

認知症になると、あらゆる資産が凍結されます。

2認知症の人の代わりに成年後見人

①成年後見人が代わりに判断する

認知症になると、自分で物事の良しあしを適切に判断することができなくなります。

成年後見人は、自分で物事の良しあしを適切に判断することができなくなった人をサポートする人です。

契約などの法律行為をする場合、認知症の人に代わってメリットデメリットを判断します。

成年後見人は、認知症の人に代わって判断してくれる人です。

②成年後見人は家庭裁判所が選任する

認知症の人にサポートが必要になった場合、家庭裁判所に申立てをします。

家庭裁判所は、サポートの必要の有無を判断します。

成年後見人は、家庭裁判所が選任します。

申立てをするときに、成年後見人の候補者を立てることができます。

候補者を選任することも候補者以外の人を選任することもあります。

認知症の人の家族が成年後見人に選ばれるのは、20%程度です。

家庭裁判所が家族以外の専門家を選任した場合、不服を述べることはできません。

家族が成年後見人に選ばれなくても、申立てを取り下げることはできません。

いったん申立てを出したら審判がされる前であっても、取下げには家庭裁判所の許可が必要です。

成年後見人は、家庭裁判所が選任します。

③成年後見人は家族の希望をかなえる人ではない

成年後見人は、認知症の人をサポートする人です。

認知症の人に利益のために、働きます。

自宅の売却が認知症の人のために必要ないと判断されたら、売却をしてもらえません。

認知症の人の利益にならないことはできません。

たとえ家族が望んでも、客観的に認知症の人の利益にならないと判断されることはできません。

成年後見人は、家族の希望をかなえる人ではないからです。

預貯金が充分にあるのに、家族が自宅を売却を希望することがあります。

認知症の人が帰るべき自宅を失うことは、認知症の人にとって大きな不利益です。

管理の手間や費用がかかるとしても、圧倒的大きな不利益があると言えます。

成年後見人も家庭裁判所も、自宅の売却は認めてくれないでしょう。

家族の希望をかなえてくれないのは、成年後見人が家族以外の専門家だからではありません。

家族が成年後見人であっても、家族の希望をかなえることできないでしょう。

成年後見人は、家庭裁判所の監督を受けます。

認知症の人に不利益な行為を見逃してはくれません。

認知症の人に不利益な行為を見つけたら、厳重注意になるでしょう。

重大な不利益の場合、財産管理不適切を理由に解任されるおそれがあります。

成年後見人は、家族の希望をかなえる人ではありません。

④自宅売却後も成年後見は続く

成年後見人は、物事のメリットデメリットを充分に判断できない人をサポートする人です。

成年後見人を選任してもらうきっかけが、自宅の売却であったかもしれません。

自宅の売却が完了した後も、成年後見は続きます。

自宅を売却した後も、認知症の人は物事のメリットデメリットを充分に判断できないからです。

自宅を売却した後も、財産管理ができないからです。

物事のメリットデメリットを充分に判断できるようになるまで、成年後見は続きます。

事実上、認知症の人が死亡するまで成年後見は終了しません。

3認知症になる前にできること

①任意後見契約

後見制度には、2種類あります。

任意後見と法定後見です。

任意後見は、認知症になったときに備えて信頼できる人にサポートを依頼する契約です。

任意後見人は、自分で選ぶことができます。

認知症になる前だけ、契約することができます。

法定後見は、認知症になった後に家庭裁判所にサポートする人を選んでもらう制度です。

成年後見人は、家庭裁判所が選任します。

成年後見人には、家族を選任してもらいたいという希望は少なくありません。

法定後見の場合、家族を選任してもらいたいと希望しても認めれらないケースがほとんどです。

任意後見人は、自分で選ぶことができます。

認知症になる前に、任意後見契約をしておくといいでしょう。

②家族信託

所有者はものを自由に売ったり、自由に管理したりして、ものから利益を受け取ることができます。

だから、所有権は、自由にものを売る権利であるし、自由に管理する権利であるし、ものから利益を受け取る権利であるといえます。

所有権はよく見ると、たくさんの権利の集合体といえます。

たくさんの権利の集合体である所有権から、自由に売る権利や自由に管理する権利を信頼できる家族に渡して、自分はものから利益を受け取る権利だけ持っていることができます。

自由に売る権利や自由に管理する権利を信頼できる家族に渡して、自分はものから利益を受け取る権利だけ持つ仕組みを家族のための信託といいます。

この仕組みを利用すると、信頼できる家族は自由にものを売ることができるし、自由に管理することができます。

家族信託は、信頼できる家族とする契約です。

認知症になる前に、自宅を信託することができます。

信託された家族は、信託契約に基づいて自宅を売却することができます。

自宅の持ち主が何も対策しないまま認知症になったら、自宅を売却することはできません。

認知症になる前に家族信託を契約したら、認知症になった後も、家族が自宅を売却することができます。

信託された家族は、自分の判断で信託契約の範囲内で売却などの処分ができるからです。

認知症になる前に、自宅や預貯金を信託する信託契約をするといいでしょう。

4認知症対策を司法書士に依頼するメリット

高齢化社会が到来したといわれて、多くの方は長生きになりました。

平均寿命は男性も女性も80歳を超して、認知症になる方が多くなりました。

認知症になると、物事のメリットデメリットが充分に判断できなくなります

本人の財産は、本人しか処分できません。

本人が判断できなくなると、資産が凍結されてしまいます。

本人が介護施設入所するためであっても、家族が不動産を勝手に売却することはできません。

本人の実の子どもであっても、本人の定期預金を解約することはできません。

一部の金融機関では、本人以外の家族がキャッシュカードを使っていることを確認したら、キャッシュカードを回収しています。

本人の意思確認を重視する流れは、他の金融機関にも広がっていくでしょう。

認知症対策は、本人の判断能力がしっかりしているうちしかできません。

いつか認知症対策をしようではなく、今なら元気だから対策しようが正解です。

認知症になると、本人はもとより家族も困ります。

自分のためにも家族のためにも認知症対策を考えている方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

成年後見人であることを証明する方法

2024-05-26

1成年後見人は認知症の人をサポートする

①成年後見人の権限は財産管理と身上保護

認知症、精神障害や知的障害などになると、ひとりで判断することが不安になることがあります。

判断能力が低下すると、物事の良しあしを適切に判断することができなくなります。

記憶があいまいになる人もいるでしょう。

ひとりで決めることが心細くなった人をサポートする制度が成年後見の制度です。

成年後見の制度を利用して、本人の思いを分かち合い一緒に考えお手伝いをします。

成年後見人は、認知症などの人をサポートする人です。

成年後見人は、財産管理と身上保護の両面でサポートします。

財産管理とは、不動産や預貯金の管理、遺産分割協議などの手続をすることです。

身上保護とは、介護・福祉サービスの利用契約、施設入所契約などの手続をすることです。

②成年後見人は本人の代わりに契約をする

ひとりで判断することが不安な状態になると、自分に不利益になることが分からなくなります。

不利な契約をしてしまったり、不必要な契約をしてしまうことがあります。

そのような状態をつけこんでくる悪質な業者等の被害を受けてしまうかもしれません。

成年後見人は、本人の代わりに契約などの内容を判断します。

成年後見人が必要であると判断したら、本人の代わりに契約などの法律行為をします。

成年後見人には、大きな権限が与えられると言えます。

③成年後見人の権限は公的書類で証明

成年後見人は、認知症などの人をサポートする人です。

ひとりで判断できない人の代わりに、契約などの内容を判断します。

本人の代わりに契約などの法律行為をします。

契約の相手方から見ると、本当に権限があるのか心配になるでしょう。

成年後見人が認知症などの人の代わりに事務を行う場合、公的書類の提出を求められます。

成年後見人の権限は、公的書類で証明します。

2成年後見人であることを証明する方法

①後見開始の審判書謄本と審判確定証明書を提示する

成年後見人は、家庭裁判所が選任します。

成年後見制度を利用するためには、成年後見開始の申立てをして選任の審判がされる必要があります。

審判がされたら、審判書謄本が届きます。

審判の内容は、申立人、成年後見人に文書で告知されます。

審判書謄本を見れば、成年後見人に選任されたことが分かります。

成年後見開始の審判がされた場合、不服申し立てをすることができます。

成年後見開始の審判に対する不服申し立ては、即時抗告と言います。

即時抗告の期間は、審判書謄本を受け取ってから2週間です。

審判書謄本を受け取ってから2週間以内に即時抗告の申立てがなければ、審判は確定します。

成年後見人であることは、審判書を見ると分かります。

審判書謄本だけでは、審判が確定したことは分かりません。

審判が確定したことは、確定証明書で証明することができます。

成年後見人の権限があることは、審判書謄本と確定証明書で証明できます。

②成年後見登記事項証明書を提示する

成年後見開始の審判が確定したら、家庭裁判所から登記が嘱託されます。

成年後見制度を利用している場合、登記がされます。

成年後見登記事項証明書は、登記された内容の証明書です。

成年後見登記事項証明書には、次の事項が記載されています。

(1)法定後見の種類

(2)成年後見人の氏名、住所

(3)成年被後見人の氏名、本籍、住所

家庭裁判所から登記嘱託がされた場合、登記が完了するまでに2週間から1か月程度かかります。

登記手続中は、成年後見登記事項証明書を請求することができません。

成年後見人であることは、成年後見登記事項証明書を見ると分かります。

成年後見人の権限があることは、成年後見登記事項証明書で証明できます。

③成年後見は戸籍謄本に記載されない

成年後見制度を利用している場合、登記がされます。

成年後見を利用しても、戸籍に記載されることはありません。

戸籍謄本を取得しても、成年後見人であることは証明できません。

3成年後見人であることの証明書を取得する方法

①審判書謄本は自動で届く

成年後見開始の審判がされたら、審判書謄本が届きます。

申立人、本人、成年後見人に審判の内容を告知するためです。

成年後見開始の申立てをしたら、手続をしなくても審判書謄本が送られてきます。

必要であれば、審判書謄本を追加で発行してもらうことができます。

審判書謄本の交付請求先は、審判をした家庭裁判所です。

手数料は、150円です。

手数料は、申請書に収入印紙を貼付する方法で納入します。

収入印紙は貼り付けるだけで、消印を押しません。

収入印紙に消印をするのは、家庭裁判所の人だからです。

②確定証明書は申請が必要

審判書謄本だけでは、審判が確定したことは分かりません。

審判が確定したことは、確定証明書で証明することができます。

審判書謄本は、特別な手続をしなくても自動で届きます。

確定証明書は、自動で届けられることはありません。

確定証明書を取得するためには、申請が必要です。

確定証明書の交付請求先は、審判をした家庭裁判所です。

手数料は、150円です。

手数料は、申請書に収入印紙を貼付する方法で納入します。

収入印紙は貼り付けるだけで、消印を押しません。

収入印紙に消印をするのは、家庭裁判所の人だからです。

③成年後見登記事項証明書の取得方法

成年後見制度を利用している場合、登記がされます。

後見登記がされたら、成年後見登記事項証明書を請求することができます。

成年後見登記事項証明書は、法務局の窓口に出向いて請求する方法と郵送で請求する方法があります。

法務局の窓口に出向いて請求する場合、すべての法務局で対応しているわけではありません。

東京都の窓口請求先は、東京法務局後見登録課のみです。

東京都以外の窓口請求先は、各法務局・地方法務局の本局の戸籍課だけです。

愛知県であれば、窓口請求先は名古屋法務局本局の戸籍課だけです。

法務局の支局や出張所が近所にあっても、手続できません。

名古屋市内であっても、熱田出張所や名東出張所では手続することができません。

住所や本籍がどこにあっても、上記窓口に出向けば手続できます。

法務局・地方法務局に出向くのが難しい人は、郵送請求がいいでしょう。

郵送請求は、東京法務局後見登録課のみの取り扱いです。

名古屋法務局本局の戸籍課に郵送しても、受け付けてもらえません。

不動産や会社などの登記簿謄本は、だれでも取得することができます。

成年後見登記事項証明書は、請求できる人が制限されています。

成年後見登記事項証明書は、重要な個人情報だからです。

成年後見登記事項証明書を請求できるのは、次の人です。

(1)成年被後見人本人

(2)4親等内の親族

(3)成年後見人

窓口請求する場合、必要なものは次のとおりです。

(1)登記事項証明申請書

(2)本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード等)

(3)認印

(4)親族関係を確認できる戸籍謄本(発行日から3か月以内のもの)

(5)委任状(代理人が請求する場合)

会社や法人が代理人になる場合、代表者からの委任状が必要になります。

代表者の資格を証明するために、3か月以内の登記事項証明書が必要になります。

登記事項証明申請書は、窓口備え付けの申請書を使うことができます。

ホームページからダウンロードした申請書を使うことができます。

(2)本人確認書類は原本を窓口で提示します。

本人確認書類は、次の書類です。

・運転免許証

・マイナンバーカード

・パスポート

証明書の発行手数料は、収入印紙で納入します。

収入印紙は、法務局、郵便局の郵便窓口で購入することができます。

4成年後見人であることの証明書の有効期限

①証明書自体に有効期限はない

成年後見人であることを証明する方法は、2通りあります。

審判書謄本と確定証明書を提示する方法と成年後見登記事項証明書を提示する方法です。

審判書謄本は、審判の内容を当事者に告知するための書類です。

審判書謄本自体に、有効期限令和〇年〇月〇日と記載されてはいません。

確定証明書は、審判の内容が確定したことを証明する書類です。

確定証明書に、有効期限令和〇年〇月〇日と記載されてはいません。

成年後見登記事項証明書は、登記された内容を証明する書類です。

成年後見登記事項証明書自体に、有効期限令和〇年〇月〇日と記載されてはいません。

成年後見人であることの証明書自体に、有効期限はありません。

②不動産登記では3か月以内の証明書

成年後見人は、財産管理の面で認知症の人をサポートします。

財産管理のひとつに、認知症の人が相続人になるときの相続手続があります。

認知症の人が相続人として不動産を相続する場合、成年後見人が代わりに手続をします。

成年後見人が認知症の人の代わりに相続登記をする場合、成年後見人であることを証明しなければなりません。

法務局に対して成年後見人であることを証明する書類を提出する場合、有効期限が決められています。

成年後見人が不動産登記をする場合、発行後3か月以内の書類を提出しなければなりません。

③年金事務所は3か月以内の証明書

成年後見人にサポートをしてもらっている人は、判断能力が低下している人です。

年金に関する通知書を受け取っても、理解することが難しいでしょう。

成年後見人は、本人をサポートするため通知書の送付を受けることができます。

成年後見人が認知症の人の代わりに通知書を受け取りたい場合、年金事務所に年金受給権者通知書等送付先変更申出書を提出します。

年金事務所に対して成年後見人であることを証明する書類を提出する場合、有効期限が決められています。

成年後見人が年金受給権者通知書等送付先変更申出書を提出する場合、発行後6か月以内の書類を提出しなければなりません。

④手続先が独自ルールで有効期限を決めている

成年後見人は、本人のサポートのため幅広い権限が認められています。

サポートが必要になる手続先で、成年後見人であることの証明を求められます。

手続先は、独自ルールで有効期限を決めています。

一度証明書を提出しても、手続の度に必要にあることが多いでしょう。

手続先が独自ルールを確認して、手続を進める必要があります。

5成年後見開始の申立てを司法書士に依頼するメリット

認知症や精神障害や知的障害などで、判断能力が低下すると、物事の良しあしが適切に判断することができなくなります。

記憶があいまいになる人もいるでしょう。

ひとりで判断することが不安になったり心細くなったりしてしまう人をサポートする制度が成年後見の制度です。

本人自身も不安になりますし、家族も不安になります。

身のまわりの不自由を補うために、身近な家族がお世話をすることが多くなるでしょう。

成年後見の申立ては家庭裁判所へ手続が必要です。

身のまわりのお世話をしている家族が本人の判断能力の低下に気づくことが多いです。

身のまわりのお世話をしながら、たくさんの書類を用意して煩雑な手続をするのは負担が大きいでしょう。

司法書士は裁判所に提出する書類作成もサポートしております。

成年後見開始の申立てが必要なのに忙しくて手続をすすめられない方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

登記されていないことの証明書の委任状は押印不要

2024-04-12

1成年後見は登記事項証明書で確認できる

①成年後見は登記される

成年後見は、物事のメリットデメリットを充分に判断することができなくなった人をサポートする制度です。

成年後見制度を利用している人は、自分で判断することができません。

後見人などの保護者が本人のために契約などの法律行為をします。

本人のために契約するとは言うものの、そのための権限があるのか分かりません。

成年後見制度を利用している人は、登記されています。

後見人などの保護者の権限内容や任意後見契約の内容は、登記事項証明書で確認することができます。

②成年後見制度を利用していない人は登記されていないことの証明書

成年後見制度を利用していない人は、登記されていません。

成年後見制度を利用していないことを証明してもらうことができます。

成年後見制度を利用していないことの証明書が、登記されていないことの証明書です。

2登記されていないことの証明書の取得方法

①申請書はダウンロードできる

登記されていないことの証明申請書は、法務局のホームページに出ています。

ホームページからダウンロードして使うことができます。

②申請できる人

登記されていないことの証明申請書を提出することができるのは、次の人です。

(1)証明対象者本人

(2))証明対象者本人の4親等内の親族

(3)上記(1)(2)の人から委任を受けた人

③申請書の提出先

登記されていないことの証明申請書の提出先は、次のとおりです。

(1)東京法務局後見登録課

(2)全国の法務局、地方法務局本局の戸籍課

愛知県であれば、名古屋法務局本局のみです。

名古屋市内には、熱田出張所や名東出張所があります。

熱田出張所や名東出張所では、登記されていないことの証明書の申請書は受け付けてもらえません。

名古屋市外にある各支局でも、登記されていないことの証明書の申請書は受け付けてもらえません。

④郵送で申請できる

登記されていないことの証明申請書の提出先は、愛知県であれば、名古屋法務局本局のみです。

名古屋法務局本局に出向くのは難しい人もいるでしょう。

登記されていないことの証明書の申請書は、郵送で提出することができます。

郵送で提出する場合は、東京法務局後見登録課のみの対応です。

郵送先

〒102-8226

東京都千代田区九段南1-1-15

九段第2合同庁舎

東京法務局 民事行政部

後見登録課 あて

名古屋法務局本局に郵送しても、受け付けてもらえません。

⑤オンライン申請はおすすめできない

登記されていないことの証明書は、窓口請求や郵送請求の他にオンラインで請求することができます。

オンラインで請求することができるものの、おすすめできる方法ではありません。

登記されていないことの証明申請には、電子署名をする必要があります。

電子証明書を取得するのに、手間と時間がかかります。

電子証明書は、氏名と住所の情報が確認できるものに限られています。

基本型証明書や司法書士電子証明書は、住所の確認ができないため、使うことができません。

3委任状なしで4親等内の親族が請求できる

①4親等内の親族は登記されていないことの証明書を取得できる

成年後見開始の申立てをする場合、登記されていないことの証明書が必要になります。

成年後見開始の申立てとは、認知症などの人のためにサポートする人を選任してもらう手続です。

認知症などで判断力が低下した場合、成年後見開始の申立てをします。

認知症などになった場合、徐々に判断力が低下していきます。

物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなっていく様子は、近くでお世話をしている家族が気がつきます。

認知症になると、委任状の意味が分からないでしょう。

意味が分からずに、委任状を書いても無効です。

成年後見開始の申立ては、認知症の人の家族がします。

4親等内の親族は、認知症の人のため登記されていないことの証明書を取得することができます。

4親等内の親族が登記されていないことの証明書を請求する場合、委任状は不要です。

②4親等内の親族が申請するときの必要書類

4親等内の親族が申請する場合、登記されていないことの証明申請書には、次の書類を添付します。

(1) 4親等内の親族の本人確認書類

運転免許証、健康保険証、マイナンバーカード等です。

(2) 4親等内の親族であることが分かる書類

発行から3か月以内の戸籍謄本や住民票です。

住民票には、続柄の記載が必要です。

4親等内の親族であることが分かる戸籍謄本が現在戸籍でない場合、発行後3か月以上経過したものでも差し支えありません。

4親等内の親族が登記されていないことの証明書を請求する場合、委任状は不要です。

委任状の代わりに、4親等内の親族であることが分かる書類が必要です。

③必要書類は原本還付してもらえる

4親等内の親族は登記されていないことの証明書を取得する場合、4親等内の親族であることが分かる書類が必要になります。

4親等内の親族であることが分かる書類は、希望すれば原本還付をしてもらうことができます。

原本還付を希望する場合、還付してもらいたい書類をコピーして一緒に提出します。

コピーの余白に「原本に相違ありません」と記載して記名します。

余白がない場合、裏面に記載しても差し支えありません。

記名するだけで押印は不要です。

④4親等内の親族はオンライン申請ができない

4親等内の親族が登記されていないことの証明申請をする場合、親族関係を証明する書類が必要です。

オンラインにより送信可能な電子化した戸籍謄本を発行している市区町村はありません。

事実上、4親等内の親族はオンライン申請ができません。

4委任状を出して代理人に依頼ができる

①委任状は手書きでいい

委任状は、依頼したことの証明書です。

委任状の様式は、法務局のホームページからダウンロードすることができます。

ホームページの様式を印刷して、手書きで作成することができます。

法務局の様式を使わずに、自分で作成した委任状でも差し支えありません。

委任状には、次の項目を記載します。

(1)代理人の住所、氏名

(2)依頼した内容

(3)日付

(4)申請人の住所、氏名

②委任状は押印不要

登記されていないことの証明申請書は押印不要です。

代理人を立てて、登記されていないことの証明申請書を提出することができます。

代理人に依頼して手続をする場合、委任状が必要です。

委任状は、押印不要です。

③法人を代理人に立てることができる

登記されていないことの証明申請書は、代理人を立てて依頼することができます。

代理人は、自然人だけでなく法人でも差し支えありません。

法人が代理人になる場合、代表者資格証明書が必要です。

代表者資格証明書は、発行から3か月以内のものでなければなりません。

登記されていないことの証明申請書に、会社法人等番号を記載することができます。

会社法人等番号を記載した場合、代表者資格証明書の提出を省略することができます。

④委任状は原本還付されない

登記されていないことの証明申請書の必要書類は、希望すれば原本還付を受けることができます。

代表者資格証明書は、原本還付を受けることができます。

登記されていないことの証明申請のためだけに作成された書類は、原本還付を受けることができません。

代理人を立てるために委任状を作成する場合、登記されていないことの証明申請のためだけの書類です。

コピーをつけて「原本に相違ありません」と記載のうえ記名しても、委任状は原本還付してもらうことはできません。

5成年後見開始の申立てを司法書士に依頼するメリット

認知症や精神障害や知的障害などで、判断能力が低下すると、物事の良しあしが適切に判断することができなくなります。

記憶があいまいになる人もいるでしょう。

ひとりで判断することが不安になったり心細くなったりしてしまう人をサポートする制度が成年後見の制度です。

本人自身も不安になりますし、家族も不安になります。

身のまわりの不自由を補うために、身近な家族がお世話をすることが多くなるでしょう。

成年後見の申立ては家庭裁判所へ手続が必要です。

身のまわりのお世話をしている家族が本人の判断能力の低下に気づくことが多いです。

身のまわりのお世話をしながら、たくさんの書類を用意して煩雑な手続をするのは負担が大きいでしょう。

司法書士は、裁判所に提出する書類作成もサポートしております。

成年後見開始の申立てが必要なのに忙しくて手続をすすめられない方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

家族が成年後見人になるには

2024-03-10

1任意後見と成年後見(法定後見)のちがい

認知症や精神障害や知的障害などで、判断能力が低下すると、物事の良しあしが適切に判断することができなくなります。

また、記憶があいまいになる人もいるでしょう。

このような場合に、ひとりで判断することが不安になったり心細くなったりしてしまう人をサポートする制度が成年後見の制度です。

成年後見は、2種類あります。

任意後見と法定後見です。

任意後見は、本人が元気なうちに本人が選んだ人に任意後見人になってもらう契約をしておくものです。

将来、認知症になったときに備えて、サポートをお願いする契約が任意後見契約です。

法定後見は、本人の判断能力が低下してしまった後に、家庭裁判所に後見人を選んでもらうものです。

すでに認知症になっている人に対して、家庭裁判所が選んだ後見人がサポートするものです。

任意後見と法定後見を比べた場合、任意後見はわずかな件数です。

法定後見の件数が圧倒的です。

だから、単に、成年後見といった場合、法定後見だけを指していることがほとんどです。

2任意後見は後見人を自分で選ぶことができる

任意後見とは、本人の判断能力がしっかりしているうちに、将来、認知症や障害によって判断能力が低下してしまったときに備えて、信頼できる人やってもらいたいことを決めて、サポートを依頼する契約です。

契約ですから、本人の判断能力がしっかりしているうちしかできません。

この契約は公正証書でする必要があります。

任意後見は法定後見と違い、任意後見人を本人が自由に選ぶことができます。

本人の性格や好みをよく知っている家族を選ぶこともできるし、信頼できる司法書士などの家族以外の専門家を指名することもできます。

任意後見契約は本人の判断能力ははっきりしているうちしかできません。

つまり、契約したときは判断能力がはっきりしているのだから、サポートは不要です。

任意後見契約を結んでから、長い時間がたって、本人の判断能力が心配になった場合、任意後見契約の出番になります。

本人の判断能力が心配になったら、任意後見契約の効力を発生させて本人をサポートするため、任意後見監督人を選任してくださいと家庭裁判所に申立てをします。

家庭裁判所が任意後見監督人を選任したら、任意後見契約の効力が発生し、任意後見人がサポートを開始します。

3成年後見(法定後見)は成年後見人を家庭裁判所が選ぶ

成年後見人を選任するのは家庭裁判所です。

成年後見開始の申立ての際に、成年後見人の候補者を立てることはできますが、家庭裁判所が候補者を選任することも候補者を選任しないこともあります。

他の家族が反対すれば、司法書士などの専門家を選ぶことが多いです。

本人の財産が多い場合も、家族以外の専門家を選ぶことが多いです。

実際のところ、家族が成年後見人に選ばれるのは、全体の2~3割です。

選ばれた人が家族でないからとか、意見の合わない人だからなどの理由で、家庭裁判所に不服を言うことはできません。

選ばれた人が家族でないからなどの理由で、成年後見開始の申立てを取り下げることはできません。

成年後見開始の申立を取り下げる場合、家庭裁判所の審査中であっても、家庭裁判所の許可が必要です。

意見の合わない人だからなどの理由で、成年後見人を解任することはできません。

成年後見人を解任するには、横領をしたなど相当の理由が必要です。

4成年後見人になれない人

次の人は、成年後見人になれません。

任意後見でも成年後見(法定後見)でも共通です。

①未成年者

②後見人を解任されたことのある人

③破産者で復権していない人

④本人に訴訟をした人と訴訟をした人の配偶者、直系血族

⑤行方不明の人

①~⑤の理由を欠格事由と言います。

成年後見(法定後見)では①~⑤に該当していない場合であっても、家庭裁判所に選んでもらえないことがあります。

5成年後見(法定後見)で家族が家庭裁判所に選ばれるには

成年後見人を選任するのは家庭裁判所です。

成年後見開始の申立の際に、成年後見人の候補者を立てることはできますが、家庭裁判所が候補者を選任することも候補者を選任しないこともあります。

家族を候補者に立てても選ばれないこともあります。

①本人の財産が少ないこと

家庭裁判所の判断によりますが、本人の資産が1000万円を超す場合、家族が後見人に選ばれにくい傾向があります。

本人の資産が多いと、後見事務が複雑になりやすいからです。

本人の資産が1000万円を超す場合であっても、家族が成年後見人に選ばれることがあります。

後見制度支援信託を利用する希望がある場合です。

後見制度支援信託とは、成年後見(法定後見)制度を利用する人向けの信託です。

日常生活費以外の金銭を信託銀行などに預け、定期的に成年後見人の口座に振り込んでもらうものです。

後見制度支援信託を利用している場合、成年後見人だけの判断で引き出しはできません。

家庭裁判所に報告し、家庭裁判所の指示を受けなければなりません。

家庭裁判所の指示がなければ引き出しができないことから、本人の財産を確実に守ることができます。

②管理が複雑な財産がない

本人の財産が預貯金のみで、各種支払いのみの場合、財産管理は難しいことはないでしょう。

本人が収益不動産を保有している場合、財産管理の一環として収益不動産の管理業務をしなければなりません。

複雑な財産管理を必要とされる場合、家族が成年後見人に選ばれにくい傾向にあります。

③申立てまでの財産管理が適切だったこと

成年後見の申立をする際、本人の通帳のコピーを提出します。

本人が自分で財産管理をすることが難しくなった場合、家族が代わりに通帳やキャッシュカードを預かっているでしょう。

通帳やキャッシュカードを預かっている人が成年後見人の候補者になることが多いです。

成年後見人の候補者の財産管理状況がチェックされます。

本人の通帳を点検して説明のつかない支出が多い場合、成年後見人として資質に疑問符がつけられるでしょう。

本人と同居して生計を同じくしていた場合、お金の出どころを細かく管理することはないでしょう。

説明のつかない支出が出てくることは、多々あります。

④他の家族全員が賛成している

成年後見人の候補者や他の家族に対して、意見聴取がある場合があります。

他の家族が何も知らない状態で、家庭裁判所から書類が来るとびっくりします。

成年後見開始の申立をする場合、申立をすることを家族みんなに知らせておきましょう。

他の家族に対して意見聴取をしないで欲しいなどの要望があっても、家庭裁判所は受け付けてくれません。

家庭裁判所が意見聴取が必要だと判断すれば、他の家族にも意見聴取をします。

家族の中で反対意見が出る場合、候補者が成年後見人に選ばれるのは難しいでしょう。

成年後見人は決して本人の財産を自由気ままに使えるものではありませんが、家族はそのように誤解しているかもしれません。

成年後見人候補者に本人の財産を丸ごと奪われると誤解していたら、反対意見を出すでしょう。

家庭裁判所から意見聴取があることを知らせるときに、成年後見の制度について情報共有をしておきましょう。

家族のトラブルを避けるため、中立的な立場の専門家を選任することになります。

⑤家庭裁判所の候補者面談で良い印象

成年後見人の候補者に対して、家庭裁判所の面接があります。

家庭裁判所の面接では、成年後見人として適切な人物であるか、後見事務の方針が見られます。

家庭裁判所から成年後見人として適切な人物だと思ってもらう必要があります。

家庭裁判所の面接にしっかり対応できるように準備しておくといいでしょう。

6任意後見契約と成年後見開始の申立を司法書士に依頼するメリット

認知症や精神障害や知的障害などで、判断能力が低下すると、物事の良しあしが適切に判断することができなくなります。

また、記憶があいまいになる人もいるでしょう。

このような場合に、ひとりで判断することが不安になったり心細くなったりしてしまう人をサポートする制度が成年後見の制度です。

本人自身も不安になりますし、家族も不安になります。

身のまわりの不自由を補うために、身近な家族がお世話をすることが多くなるでしょう。

任意後見契約をするためには、本人の判断能力があることが重要です。

本人が物事のメリットデメリットを充分に判断できる間だけ、任意後見を選択することができます。

任意後見契約は公正証書で契約しなければなりません。

公正証書で契約することはあまりないでしょう。

一方、成年後見の申立は家庭裁判所へ手続が必要です。

身のまわりのお世話をしている家族が本人の判断能力の低下に気づくことが多いです。

身のまわりのお世話をしながら、たくさんの書類を用意して煩雑な手続をするのは負担が大きいでしょう。

司法書士は公正証書で契約することも裁判所に提出する書類作成もサポートしております。

思うように手続を進められない方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

家族が成年後見人になるときの注意点

2024-02-08

1成年後見(法定後見)とは

認知症や精神障害や知的障害などで、判断能力が低下すると、物事の良しあしが適切に判断することができなくなります。

また、記憶があいまいになる人もいるでしょう。

このような場合に、ひとりで判断することが不安になったり心細くなったりしてしまう人をサポートする制度が成年後見の制度です。

ひとりで判断することが不安な状態になると、自分に不利益になることが分からずに契約をしてしまったり、不必要であることが分からずに契約をしてしまうことがあります。

さらにそのような状態をつけこんでくる悪質な業者等の被害を受けてしまうことも考えられます。

本人がこのような被害を受けないようにするため、成年後見人をつけてサポートします。

成年後見人は本人の財産を管理することになりますから、大きな権限が与えられます。

成年後見人が心得違いをして、本人の財産を自分のものにしたり、自分のために使ったりすることがないようにルールが決められています。

2家族が成年後見人になるときの注意点

成年後見の申立をする場合、成年後見人の候補者を立てることができます。

成年後見人の候補者を立てても、家庭裁判所は見知らぬ第三者を成年後見人に選任することも、候補者になった家族を成年後見人に選任することもあります。

家族が成年後見人に選ばれる場合、多くは子ども、甥姪、孫などです。

注意①いったん後見人になると簡単にやめることはできない

一度、成年後見人に就任したら、原則として、辞めることはできません。

基本的に本人が死亡するまで、成年後見人を続けなければなりません。

成年後見人を辞任するためには、正当理由が必要です。

仕事が忙しくなったから、面倒になったから、自分の家族のことに専念したいからなどは認められません。

注意②財産管理で他の家族とトラブルになる可能性がある

成年後見人は、本人のために財産を預かっているものです。

財産管理の方針を理解してくれない他の家族がいる場合があります。

預かっている財産は、本人のものだから成年後見人の思うように使うことはできません。

本人の自宅を売却する場合など、本人のためになるものであっても家庭裁判所の許可が必要になります。

成年後見人は本人のために財産を預かっていますから、本人の利益にならないことはできません。

本人の財産を贈与することは、本人の利益とは言えないでしょう。

生前贈与などはできなくなります。

相続税を減らすための対策も、本人の利益のためではなく相続人の利益のための行為です。

本人の利益にならないことは、家庭裁判所から指摘注意を受けることになります。

注意③家庭裁判所への報告をする負担が重い

成年後見人は、他人の財産を預かる立場とされます。

本人の大切な財産を預かっているのですから、家庭裁判所の監視下に置かれます。

特に、多額の財産を預かっていることから、成年後見人が横領をする心配があります。

親や祖父母、叔父叔母など血縁関係が近い親族の場合、元気であれば、他人の財産という意識は少なかったでしょう。

例えば、家族総出で食事や旅行に行ったとき、元気なころであれば年長の親や祖父母などが家族全員の代金を負担していたケースも多いものです。

成年後見人に就任した後、親や祖父母の財産から家族全員の食事代や旅行代を支出することはできなくなります。

このような支出をすると、家庭裁判所から厳重注意を受けることになるでしょう。

厳重注意で済めばいいほうで、解任になることもあります。

実際、成年後見人による横領事件の90%以上は家族後見人によるものです。

このようなことがないように、事務報告書などを提出することが求められます。

親族だから、素人だから、事務仕事は苦手だからなど言っても、家庭裁判所は許してくれません。

負担が重いのであれば、専門家に書類作成を依頼することができますが、専門家への報酬は成年後見人の負担になります。

注意④報酬を請求するか請求しないかは自由

家族が成年後見人になる場合であっても報酬を請求することができます。

本人の財産を減らさないため、報酬を辞退して請求しないケースも多いです。

報酬を請求する場合、家庭裁判所に対して、報酬付与の申立てをする必要があります。

1年に1度くらいの頻度で申立をするといいでしょう。

報酬を請求する場合、他の家族にも情報共有することをおすすめします。

報酬でトラブルに発展することがあるからです。

3家族が成年後見人になるメリット

①本人の性格や好みを知っている安心感

成年後見が始まったときには、本人は判断能力が低下して適切な判断ができなくなっています。

本人をサポートするためとはいえ、全く知らない人からあれこれ言われると安心できなくなることも多いでしょう。

家族であれば、しっかりしていた頃の本人の性格や好みを知っていることが多いことから、本人の希望を活かしてあげることができます。

②報酬の支払が不要

まったく知らない専門家が成年後見人に選ばれたら、必ず、報酬を支払うことになります。

家族が成年後見人に選ばれたら多くの場合、報酬の受取を辞退されるでしょう。

③財産状況を外部の人に知られない

まったく知らない人に本人の財産状況を知られるのは、家族にとって精神的負担が大きいです。

家族だけで完結すれば、精神的負担が少なく済みます。

4家族が成年後見人になれないケース

成年後見の申立をする場合、成年後見人の候補者を立てることができます。

成年後見人の候補者を立てても、家庭裁判所は見知らぬ第三者を成年後見人に選任することも、候補者になった家族を成年後見人に選任することもあります。

成年後見人になれない人は次のとおりです。

①未成年者

②法定代理人や保佐人、補助人を解任された人

③本人に対して訴訟をした人とその人の配偶者、直系血族

④行方不明の人

①~④にあてはまる人は、成年後見人に選ばれることはありません。

本人の財産が多額の場合、司法書士などの専門家が選ばれます。

目安としては、預貯金が1000万円以上の場合、家族が成年後見人に選ばれることは難しいでしょう。

親族に対立がある場合、トラブルに発展しやすいです。

家庭裁判所は、家族を成年後見人に選ばず、見知らぬ専門家を選ぶ傾向があります。

成年後見人選任の申立ての時点で財産管理が不明瞭な場合、専門家が後見人に選任されます。

財産管理の実情が不明瞭の場合、本人の保護が難しくなるからです。

本人が収益不動産を保有している場合など、管理が複雑になりがちな場合もやはり、家族は成年後見人に選任されにくくなります。

5成年後見を司法書士に依頼するメリット

認知症や精神障害や知的障害などで、判断能力が低下すると、物事の良しあしが適切に判断することができなくなります。

また、記憶があいまいになる人もいるでしょう。

このような場合に、ひとりで判断することが不安になったり心細くなったりしてしまう人をサポートする制度が成年後見の制度です。

判断能力が低下すると、本人自身も不安になりますし、家族も不安になります。

成年後見に限らず、制度にはメリットデメリットがあります。

本人にとって気にならないデメリットもあります。

家族がサポートすれば問題のないデメリットもあるでしょう。

他の制度を活用すれば、差支えがないものもあります。

本人や家族の意見共有が重要です。

身のまわりの不自由を補うために、身近な家族がお世話をすることが多くなるでしょう。

成年後見の申立をする場合、家庭裁判所へ手続が必要です。

身のまわりのお世話をしている家族が本人の判断能力の低下に気づくことが多いです。

身のまわりのお世話をしながら、たくさんの書類を用意して煩雑な手続をするのは負担が大きいでしょう。

司法書士は裁判所に提出する書類作成もサポートしております。

成年後見開始の申立が必要なのに忙しくて手続をすすめられない方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

登記されていないことの証明書

2024-02-05

1 成年後見は本人をサポートする制度

①成年後見は任意後見と法定後見の2種類

認知症や精神障害や知的障害などになると、判断能力が低下します。

物事の良しあしが適切に判断することができなくなります。

記憶があいまいになる人もいるでしょう。

成年後見は、物事のメリットデメリットを充分に判断することができなくなった人をサポートする制度です。

成年後見には、2種類あります。

任意後見と法定後見です。

②任意後見は当事者の契約

任意後見は、あらかじめ契約で「必要になったら任意後見人になってください」とお願いしておく制度です。

認知症や精神障害や知的障害などで判断能力が低下する前に、任意後見人になってもらう人にお願いをしておきます。

お願いをした時点では、任意後見人は何もすることはありません。

本人が自分でいろいろなことを判断できるからです。

本人が自分で決めることができなくなったとき、任意後見がスタートします。

本人が物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなったとき、家庭裁判所は任意後見監督人を選任します。

任意後見監督人が選任された後、任意後見がスタートします。

③法定後見は家庭裁判所の決定

法定後見は、判断能力が低下した人を保護するため家庭裁判所がサポートする人を決める制度です。

法定後見は3種類に分かれています。

法定後見は(1)補助(2)保佐(3)後見の3種類です。

法定後見でサポートしてもらう人は、それぞれ(1)被補助人(2)被保佐人(3)成年被後見人と言います。

(1)被補助人は判断能力が不十分な方

(2)被保佐人は判断能力が著しく不十分な方

(3)成年被後見人は判断能力が欠けているのが通常の方

法定後見は、本人の判断能力の程度や心配の度合いに応じて3種類の制度があるということです。

2成年後見は登記事項証明書で確認できる

①成年後見は登記される

成年後見は、物事のメリットデメリットを充分に判断することができなくなった人をサポートする制度です。

成年後見制度を利用している人は、自分で判断することができません。

後見人などの保護者が本人のために契約などの法律行為をします。

本人のために契約するとは言うものの、そのための権限があるのか分かりません。

成年後見制度を利用している人は、登記されています。

後見人などの保護者の権限内容や任意後見契約の内容は、登記事項証明書で確認することができます。

②成年後見制度を利用していない人は登記されていないことの証明書

成年後見制度を利用していない人は、登記されていません。

成年後見制度を利用していないことを証明してもらうことができます。

成年後見制度を利用していないことの証明書が、登記されていないことの証明書です。

③登記されていないことの証明書が必要になるとき

登記されていないことの証明書は、さまざまな資格の登録申請で必要になります。

例えば、弁護士、司法書士、行政書士などです。

成年後見制度を利用する人は、物事の良しあしが適切に判断することができません。

資格登録申請において、成年被後見人ではないことを証明する必要があります。

成年被後見人ではないことを証明するため、登記されていないことの証明書を提出します。

〇〇業許可、〇〇営業許可などの許認可申請でも、同様です。

成年被後見人ではないことを証明するため、登記されていないことの証明書を提出します。

④平成12年3月31日以前は身分証明書で証明

成年後見制度は、平成12年4月1日にスタートしました。

平成12年3月31日以前、禁治産者、準禁治産者で、戸籍に記録されていました。

平成12年3月31日以前の期間について証明してもらいたい場合、登記されていないことの証明書では証明してもらうことができません。

禁治産者、準禁治産者は戸籍に記録されていたから、市区町村役場で証明してもらうことができます。

禁治産者、準禁治産者でないことは、身分証明書(身元証明書)で証明してもらいます。

資格の登録や許認可申請において、成年被後見人ではないことを証明するため登記されていないことの証明書を提出します。

禁治産者、準禁治産者でないことを証明するため身分証明書(身元証明書) を提出します。

登記されていないことの証明書と身分証明書(身元証明書)の両方が必要になります。

3登記されていないことの証明書の取得方法

①申請書はダウンロードできる

登記されていないことの証明申請書は、法務局のホームページに出ています。

ホームページからダウンロードして使うことができます。

②申請できる人

登記されていないことの証明申請書を提出することができるのは、次の人です。

(1)証明対象者本人

(2))証明対象者本人の4親等内の親族

(3)上記(1)(2)の人から委任を受けた人

③申請書の提出先

登記されていないことの証明申請書の提出先は、次のとおりです。

(1)東京法務局後見登録課

(2)全国の法務局、地方法務局本局の戸籍課

愛知県であれば、名古屋法務局本局のみです。

名古屋市内には、熱田出張所や名東出張所があります。

熱田出張所や名東出張所では、登記されていないことの証明書の申請書は受け付けてもらえません。

名古屋市外にある各支局でも、登記されていないことの証明書の申請書は受け付けてもらえません。

④郵送で申請できる

登記されていないことの証明申請書の提出先は、愛知県であれば、名古屋法務局本局のみです。

名古屋法務局本局に出向くのは難しい人もいるでしょう。

登記されていないことの証明書の申請書は、郵送で提出することができます。

郵送で提出する場合は、東京法務局後見登録課のみの対応です。

郵送先

〒102-8226

東京都千代田区九段南1-1-15

九段第2合同庁舎

東京法務局 民事行政部

後見登録課 あて

名古屋法務局本局に郵送しても、受け付けてもらえません。

⑤本人が申請するときの必要書類

本人が申請する場合、登記されていないことの証明申請書には、次の書類を添付します。

(1)本人確認書類

運転免許証、健康保険証、マイナンバーカード等です。

郵送請求をする場合、コピーを提出します。

⑥4親等内の親族が申請するときの必要書類

4親等内の親族が申請する場合、登記されていないことの証明申請書には、次の書類を添付します。

(1) 4親等内の親族の本人確認書類

運転免許証、健康保険証、マイナンバーカード等です。

(2) 4親等内の親族であることが分かる書類

発行から3か月以内の戸籍謄本や住民票です。

住民票には、続柄の記載が必要です。

⑦代理人に依頼するときの必要書類

登記されていないことの証明申請書の提出を代理人に依頼する場合、上記に追加して次の書類が必要です。

(1) 代理人の本人確認書類

運転免許証、健康保険証、マイナンバーカード等です。

(2)委任状

(3)代理人が法人の場合、代表者資格証明書

代表者資格証明書は、発行から3か月以内のものが必要です。

登記されていないことの証明申請書に会社法人番号を記載した場合、代表者資格証明書の提出を省略することができます。

⑧手数料

登記されていないことの証明申請書の手数料は、1通につき300円です。

手数料は、収入印紙を貼り付けて納入します。

収入印紙は、貼り付けるだけで割印はしません。

名古屋法務局本局で手続をする場合、収入印紙は2階の収入印紙売りさばき窓口で購入することができます。

⑨登記されていないことの証明申請書は押印不要

登記されていないことの証明申請書は、申請人も代理人も押印不要です。

代理人が登記されていないことの証明申請書を提出する場合、委任状を提出します。

委任状への押印も廃止されました。

4成年後見開始の申立てを司法書士に依頼するメリット

認知症や精神障害や知的障害などで、判断能力が低下すると、物事の良しあしが適切に判断することができなくなります。

記憶があいまいになる人もいるでしょう。

ひとりで判断することが不安になったり心細くなったりしてしまう人をサポートする制度が成年後見の制度です。

本人自身も不安になりますし、家族も不安になります。

身のまわりの不自由を補うために、身近な家族がお世話をすることが多くなるでしょう。

成年後見の申立ては、家庭裁判所へ手続が必要です。

身のまわりのお世話をしている家族が本人の判断能力の低下に気づくことが多いです。

身のまわりのお世話をしながら、たくさんの書類を用意して煩雑な手続をするのは負担が大きいでしょう。

司法書士は、裁判所に提出する書類作成もサポートしております。

成年後見開始の申立てが必要なのに忙しくて手続をすすめられない方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

成年後見登記事項証明書の取得方法

2024-01-05

1成年後見人が認知症の人をサポートする

認知症や精神障害や知的障害などで、判断能力が低下すると、物事の良しあしが適切に判断することができなくなります。

記憶があいまいになる人もいるでしょう。

ひとりで判断することが不安になったり心細くなったりしてしまう人をサポートする制度が成年後見の制度です

成年後見は、法定後見と任意後見の2種類があります。

法定後見制度は、3種類に分かれています。

法定後見は①補助②保佐③後見の3種類です。

法定後見でサポートしてもらう人は、それぞれ①被補助人②被保佐人③成年被後見人と言います。

法定後見でサポートする人は、それぞれ①補助人②保佐人③成年後見人と言います。

サポートしてもらう人の判断能力に応じて、ひとりでできることの範囲が違います。

サポートしてもらう人が、ひとりでできることの範囲が違うから、サポートする範囲や権限が違います。

①補助②保佐③後見の3種類のうち、圧倒的に③後見が多く、①補助②保佐はわずかです。

2成年後見登記事項証明書で権限を証明

成年後見登記事項証明書とは、成年後見人が成年被後見人をサポートする人であることを公的に証明する書類です。

成年後見制度を使っていても、戸籍に記載されることはありません。

成年被後見人の戸籍を見ても、成年被後見人であるかどうか分かりません。

成年後見制度を使っている場合、成年後見登記がされます。

成年後見登記がされている場合、登記事項証明書で確認ができます。

登記事項証明書を見ると、成年被後見人や成年後見人が記載されています。

成年後見人は、一人とは限りません。

成年後見人が複数名選任されている場合があります。

複数名の成年後見人が選ばれた場合、権限分掌の定めが置かれることがあります。

分掌権限以外の事務は、成年後見人であっても代理することはできません。

成年後見人は、本人をサポートします。

必要に応じて、本人の代わりに口座を解約したり、不動産の売却をします。

口座を解約したり、不動産の売却をする際に、成年後見登記事項証明書を提出します。

本人のために契約する代理権があることを証明する必要があるからです。

家庭裁判所が成年後見人を選任したとき、選任審判書をいう書類を出します。

選任審判書と成年後見登記事項証明書は、別の書類です。

成年後見人の選任審判書は、家庭裁判所が出す書類です。

成年後見登記事項証明書は、法務局が出す書類です。

成年後見人の選任審判書は、成年後見人を選任しましたよというお知らせです。

成年後見人の選任審判書をどこかに提出することは、通常はありません。

家庭裁判所が成年後見人を選任した場合、成年後見の登記が嘱託されます。

成年後見の登記が完了するまで、およそ1か月かかります。

成年後見の登記が完了するまで、成年後見登記事項証明書は取得できません。

成年後見登記事項証明書が取得できるようになるまでに、手続が必要になることがあります。

この1か月間に成年後見人として事務を行う場合は、成年後見人の選任審判書と確定証明書を提示します。

3法務局・地方法務局で窓口請求がおすすめ

成年後見登記事項証明書を請求する方法は、3種類あります。

①法務局・地方法務局の窓口に出向いて、請求する

②東京法務局後見登録課に郵送で、請求する

③オンライン請求

おすすめは、①法務局・地方法務局の窓口に出向いて請求する方法です。

成年後見登記事項証明申請は、すべての法務局で対応しているわけではありません。

東京都の窓口請求先は、東京法務局後見登録課のみです。

東京都以外の窓口請求先は、各法務局・地方法務局の本局の戸籍課だけです。

法務局の支局や出張所が近所にあっても、手続できません。

住所や本籍がどこにあっても、上記窓口に出向けば手続できます。

法務局・地方法務局に出向くのが難しい人は、郵送請求がいいでしょう。

郵送請求は、東京法務局後見登録課のみの取り扱いです。

③オンライン請求は請求するための準備が煩雑なので、あまりおすすめできません。

窓口まで出向く場合、分からないことは係の人に確認することができます。

書類に不備がある場合であっても、その場で補正して提出することができます。

法務局・地方法務局が業務を行う時間に、出向く必要があります。

成年後見登記事項証明書を請求することができるのは、次の人です。

(1)成年被後見人本人

(2)4親等内の親族

(3)成年後見人

窓口請求する場合、必要なものは次のとおりです。

(1)登記事項証明申請書

(2)本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード等)

(3)認印

(4)親族関係を確認できる戸籍謄本(発行日から3か月以内のもの)

(5)委任状(代理人が請求する場合)

会社や法人が代理人になる場合、代表者からの委任状が必要になります。

代表者の資格を証明するために、3か月以内の登記事項証明書が必要になります。

登記事項証明申請書は、窓口備え付けの申請書を使うことができます。

ホームページからダウンロードした申請書を使うことができます。

(2)本人確認書類は原本を窓口で提示します。

本人確認書類は、次の書類です。

運転免許証

マイナンバーカード

パスポート

証明書の発行手数料は、収入印紙で納入します。

収入印紙は、法務局、郵便局の郵便窓口で購入することができます。

4郵送は東京法務局後見登録課へ請求

成年後見登記事項証明書は、郵送で請求することができます。

郵送請求は、東京法務局後見登録課のみの取り扱いです。

成年後見登記事項証明申請に対応する法務局・地方法務局は、北海道を除いて各都府県で1か所です。

成年後見登記事項証明申請に対応する法務局・地方法務局に出向くのが難しい人は、郵送請求が便利です。

各地の法務局・地方法務局は、窓口請求すれば証明書を発行してくれますが、郵送では対応してくれません。

郵送請求する場合は、すべて東京法務局後見登録課のみの対応です。

成年後見登記事項証明書を請求することができるのは、窓口請求できる人と同じです。

成年後見登記事項証明書を郵送申請する場合、必要なものは窓口申請する場合の必要なものに加えて、返信用の切手と封筒です。

(2)本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード等)はコピーを添付することで差し支えありません。

4親等内の親族や4親等内の親族の代理人が請求する場合、親族関係を確認できる戸籍謄本は希望すれば返してもらうことができます。

戸籍謄本を返してもらいたい場合、戸籍謄本のコピーを添えます。

戸籍謄本のコピーに、原本に相違ありませんと書いて記名押印をします。

提出書類に不備がなければ、郵送で送り返してくれます。

郵送請求する場合は、送り返してもらう時間も見越して早めに請求しましょう。

5成年後見登記事項証明書の有効期限

①成年後見登記事項証明書自体に有効期限はない

成年後見登記事項証明書には、有効期限はありません。

成年後見登記事項証明書に「有効期限令和〇年〇月〇日」と記載されることはありません。

登記事項証明書は、発行した時点の内容の証明だからです。

②相続登記で3か月以内の成年後見登記事項証明書

成年後見登記事項証明書とは、成年後見人が成年被後見人をサポートする人であることを公的に証明する書類です。

認知症の人の代理で、遺産分割協議などの法律行為をすることができます。

成年後見登記事項証明書で、成年後見人の権限を証明することができます。

相続登記を申請する場合、成年後見登記事項証明書を提出します。

成年後見人が認知症の人の代わりに遺産分割協議をしたことを証明する必要があるからです。

成年後見登記事項証明書は、発行後3か月以内のものを提出しなければなりません。

代理権限証明情報は、発行後3か月以内のものである必要があるからです。

相続登記以外でも不動産登記で代理権限証明情報は、発行後3か月以内の有効期限があります。

③金融機関などは独自ルールで有効期限

成年後見登記事項証明書の提出を求める金融機関などは社内の独自ルールで有効期限を定めています。

古い発行日の成年後見登記事項証明書は、受け付けてもらえないことが多いものです。

成年後見制度はやめたいと思っても、原則として、やめることはできません。

成年後見人は、仕事が忙しいからなどの理由で簡単に辞めることもできません。

辞めることができないのだから、成年後見登記事項証明書は古くてもいいと考えがちです。

受け取る側から見ると、そうとも言えません。

当初は成年後見人はひとりであったものの、後に追加で選任されることがあるからです。

追加で成年後見人が選任された場合、権限分掌の定めが置かれる場合があります。

分掌権限以外の事務は、成年後見人であっても代理することはできません。

古い証明書しか確認していなかったとなると、銀行は不注意があったと言われるでしょう。

他の家族から抗議を受けるかもしれません。

提出を求める金融機関などとしては、古い成年後見登記事項証明書では受付できないと考えるでしょう。

将来必要になることを見越して多めに取得しておいた場合、使えなくなってしまうおそれがあります。

6成年後見を司法書士に依頼するメリット

認知症や精神障害や知的障害などで、判断能力が低下すると、物事の良しあしが適切に判断することができなくなります。

また、記憶があいまいになる人もいるでしょう。

このような場合に、ひとりで判断することが不安になったり心細くなったりしてしまう人をサポートする制度が成年後見の制度です。

成年後見を利用する場合、本人の家族を成年後見人に選んで欲しいと望む家族はとても多いものです。

成年後見人が家庭裁判所が選ぶので、家族が選ばれる場合も、家族以外の専門家が選ばれる場合もあります。

成年後見人として家族が選ばれた場合、事務負担の重さに驚くことになります。

成年後見登記事項証明書の取得もそのひとつでしょう。

成年被後見人のために事務を行うたびに、成年後見登記事項証明書の提出が求められます。

法務局・地方法務局が近くにあれば、窓口に出向けばその日のうちに成年後見登記事項証明書を受け取ることができます。

その日のうちに受け取ることができるとは言うものの、法務局は平日の昼間しか業務を行っていません。

郵送請求をする場合、往復の郵送の時間も見越して手続をする必要があります。

手続の方法を調べることも負担になるでしょう。

お仕事や家事で忙しい人にとっては事務負担が大きいものです。

成年後見人が選ばれれば終わりではありません。

成年後見人が選ばれた後の手続についても、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

成年後見監督人は家庭裁判所が決める

2023-11-08

1成年後見は本人をサポートする制度

認知症や精神障害があると、記憶があいまいになることがあります。

症状によっては、判断能力が低下して物事の良しあしを適切に判断することができなくなります。

ひとりで判断することが不安になった人や心細くなった人をサポートする制度が成年後見です。

成年後見には、2種類あります。

任意後見と成年後見(法定後見)です。

任意後見と成年後見(法定後見)は、どちらも本人のサポートのための制度です。

ひとりで判断することが不安になった人や心細くなった人に成年後見にをつけてサポートします。

物事の良しあしを適切に判断することができなくなると、自分が不利益になるのに気づかずに契約をしてしまうことがあります。

このような状態につけこんで来る悪質な業者の被害を受けてしまうおそれがあります。

ひとりで判断することが不安になった人や心細くなった人の利益を守るため、成年後見人は本人をサポートします。

成年後見人が適切に本人をサポートできるように、監督するのが成年後見監督人です。

成年後見監督人が適切に監督できるように、監督するのが家庭裁判所です。

本人を適切にサポートするため、成年後見人と成年後見監督人と家庭裁判所が協力します。

2成年後見人の家族は後見監督人になれない

成年後見人は、ひとりで判断することが不安になった人や心細くなった人をサポートする人です。

本人の財産を管理することで本人をサポートします。

成年後見人は本人の財産を管理するから、不適切な財産管理がされると本人が困ります。

成年後見人がサポートをしている場合、本人は物事のメリットデメリットを充分に判断するすることはできません。

不適切な財産管理がされても、不適切な財産管理だからやめてほしいと言えません。

後見監督人は、適切な財産管理ができるように監督します。

次の人は、成年後見人にも後見監督人にもなることはできません。

①未成年者

②後見人を解任されたことのある人

③破産者で復権していない人

④本人に訴訟をした人と訴訟をした人の配偶者、直系血族

⑤行方不明の人

次の人は、後見監督人になることはできません。

①成年後見人の配偶者

②成年後見人の直系血族

③成年後見人の兄弟姉妹

成年後見人の家族は、後見監督人にふさわしくないという意味です。

後見監督人は、成年後見人が適切に職務を行うようにサポートする人です。

不適切な財産管理を見つけたら、指摘して正さなければなりません。

後見監督人と成年後見人が家族の場合、不適切な財産管理を見逃すかもしれません。

成年後見人が家族である場合、家族が後見監督人に選ばれることは難しいでしょう。

3任意後見では後見監督人を不要にできない

①任意後見人は本人が自分で決める

任意後見は、認知症などになったときに備えてサポートを依頼する契約です。

任意後見は契約だから、だれと契約するのか本人が自分で決めることができます。

任意後見契約をした場合、物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなった後にサポートしてもらいます。

自分の財産管理などを依頼するから、信頼できる人と契約します。

多くの場合、本人の子どもなど近い関係の家族でしょう。

任意後見契約では、本人が選んだ人にサポートを依頼することができます。

②任意後見監督人は家庭裁判所が決める

任意後見は、サポートを依頼する契約です。

任意後見契約は契約だから、契約当事者が契約内容のメリットデメリットを充分に判断する必要があります。

認知症や精神障害などで判断能力を失った場合、契約などの法律行為はできません。

任意後見契約を締結した時点では、本人の判断能力は充分あるはずです。

本人は判断能力が充分にあるから、まだサポートは必要ありません。

サポートが必要になるのは、物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなったときです。

物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなったとき、家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立てをします。

任意後見監督人選任の申立てにおいて、任意後見監督人の候補者を立てることができます。

家庭裁判所は、候補者を選任することもあるし第三者を選任することもあります。

家庭裁判所が任意後見監督人を選任したら、任意後見人はサポートを開始します。

4成年後見(法定後見)は後見監督人がつかないことがある

①成年後見(法定後見)人は家庭裁判所が決める

本人が元気なうちに将来に備えて任意後見契約をした場合、本人が選んだ人がサポートをします。

本人が元気なうちは、今日元気だからこれからもずっと元気でいられるだろうと思いがちです。

明日は元気でいられても、ずっと元気でいるのは難しいかもしれません。

将来に備えないまま判断能力を失った場合、家庭裁判所に成年後見開始の申立てをします。

成年後見開始の申立てには、本人の家族を成年後見(法定後見)人の候補者に立てることができます。

サポートする人は、家庭裁判所が決めます。

成年後見人の候補者である家族を選任することもあるし、見知らぬ専門家を選任することもあります。

成年後見人の候補者である家族を選任しなくても、家庭裁判所に文句を言うことはできません。

見知らぬ専門家を選任したから、成年後見開始の申立てを取り下げることはできません。

②後見監督人の必要不要は家庭裁判所が決める

任意後見では家庭裁判所が任意後見監督人を選任したら、任意後見人はサポートを開始します。

成年後見(法定後見)では開始の審判が確定したら、成年後見(法定後見)人はサポートを開始します。

成年後見(法定後見)では開始の審判で、後見監督人が選任されることがあります。

成年後見(法定後見)では、後見監督人が選任されることも選任されないこともあります。

家族が後見監督人をつけないで欲しいなど意見することはできません。

後見監督人をつけたから、成年後見開始の申立てを取り下げることはできません。

任意後見では、任意後見監督人を不要にすることはできません。

任意後見監督人を選任してから、任意後見人がサポートを開始するからです。

成年後見(法定後見)では、家庭裁判所が必要と認めたとき後見監督人が選任されます。

後見監督人をつけるか後見監督人をつけないか家庭裁判所が決めます。

本人の親族が成年後見人に選任された場合、後見監督人も選任されることが多いです。

次のような理由がある場合、後見監督人が選任されやすいです。

(1)本人の収入や保有資産が多いケース

(2)後見人が高齢や病気がちで職務に不安があるケース

(3)本人の財産状況が不明確なケース

(4)親族間の紛争があるケース

(5)不動産の売却など専門的知識を要する行為が予定されているケース

(6)遺産分割協議など利益相反行為が予定されているケース

(7)本人と後見人にお金の貸し借りがあるケース

③後見監督人は家庭裁判所が決める

後見監督人は、家庭裁判所が必要と認めたとき選任されます。

後見監督人として選任されるのは、多くの場合見知らぬ専門家です。

見知らぬ専門家だから変えて欲しいなどと家庭裁判所に言うことはできません。

④後見開始後に後見監督人を選任する

成年後見(法定後見)では後見開始の審判で、後見監督人が選任されることがあります。

後見監督人が選任されるのは、後見開始の審判をするときだけではありません。

後見開始がされた後で、後見監督人が選任されることがあります。

本人や親族は後見人の職務に不安がある場合、後見監督人選任の申立てをすることができます。

家庭裁判所が後見人の職務に不安を感じることがあります。

後見監督人選任の申立てがなくても、家庭裁判所は職権で後見監督人を選任することができます。

5後見監督人の職務

①後見監督人は成年後見人をサポートする

後見監督人は、成年後見人が適切に職務を行うように監督するのが職務です。

監督と言われると日常生活を監視されるイメージから不安に感じるかもしれません。

任意後見人は、多くの場合、本人の家族です。

成年後見(法定後見)人にも、本人の家族が選ばれることがあります。

本人の家族が法律の専門家であることはあまりないでしょう。

客観的には不正と判断されることを知識不足によってやってしまうことがあります。

後見事務の範囲を逸脱してしまう可能性があります。

法律の知識がないから不安になりながら後見事務をすることになります。

適切な事務を行うため、家庭裁判所に相談することは大切です。

家庭裁判所は、一般の人にとって身近な役所ではないでしょう。

後見監督人は、成年後見人の相談相手です。

成年後見人と後見監督人は、協力して本人をサポートする人だからです。

②利益相反行為は後見監督人が本人を代理する

本人と成年後見人で利益が相反することがあります。

利益相反とは、一方がソンすると他方がトクする関係のことです。

本人がソンすると成年後見人がトクする関係になる場合、成年後見人は本人を代理することができません。

典型的には、遺産分割協議です。

本人と成年後見人が相続人になる場合、利益相反になります。

本人を代理することができないから、遺産分割協議ができません。

成年後見監督人が、本人を代理して遺産分割協議をします。

成年後見人が選任されていない場合、特別代理人の選任の申立てをします。

家庭裁判所が選任した特別代理人が本人を代理して遺産分割協議をします。

③重要な行為の同意をする

成年後見人が重要な法律行為をする場合、後見監督人の同意を得る必要があります。

同意が必要になる主な行為は、次のとおりです。

(1)借金をすること

(2)不動産の取引

(3)訴訟行為

(4)不動産の新築、改築、大修繕

(5)相続放棄、遺産分割協議

④後見監督人の報酬は家庭裁判所が決める

多くの場合、後見監督人は家族以外の専門家が選任されます。

家族が成年後見人になった場合、報酬をご辞退することがあります。

家族以外の専門家は仕事として就任しているので、報酬を請求します。

後見監督人の報酬は、家庭裁判所が決定します。

家庭裁判所が決めた報酬額は、本人の財産から支払われます。

成年後見人が報酬を請求した場合、成年後見人の報酬と後見監督人の報酬を支払うことになります。

6成年後見を司法書士に依頼するメリット

任意後見制度は、あらかじめ契約で「必要になったら後見人になってください」とお願いしておく制度です。

認知症が進んでから任意後見契約をすることはできません。

重度の認知症になった後は、成年後見(法定後見)をするしかなくなります。

成年後見(法定後見)では、家庭裁判所が成年後見人を決めます。

家族が成年後見人になれることも家族以外の専門家が選ばれることもあります。

任意後見契約では、本人の選んだ人に後見人になってもらうことができます。

家族以外の人が成年後見人になることが不安である人にとって、任意後見制度は有力な選択肢になるでしょう。

一方で、任意後見制度では、必ず任意後見監督人がいます。

監督という言葉の響きから、不安に思ったり反発を感じる人もいます。

任意後見人が不正などをしないように監督する人と説明されることが多いからでしょう。

せっかく家族が後見人になるのに、あれこれ外部の人が口を出すのかという気持ちになるのかもしれません。

任意後見監督人は任意後見人のサポート役も担っています。

家庭裁判所に相談するより、ちょっと聞きたいといった場合には頼りになることが多いでしょう。

任意後見契約は締結して終わりではありません。

本人が自分らしく生きるために、みんなでサポートする制度です。

任意後見制度の活用を考えている方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

成年後見人をやめるには

2023-09-15

1成年後見制度は任意後見と成年後見(法定後見)の2種類ある

①任意後見は本人と任意後見人の契約

任意後見とは、本人が信頼できる人にサポートを依頼する契約です。

認知症などになると、物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなるおそれがあります。

物事を充分に判断できる間に、将来に備えて、やってもらいたいことを決めてサポートを依頼します。

契約ですから、本人の判断能力がしっかりしているうちしかできません。

この契約は公正証書でする必要があります。

サポートを依頼された人を任意後見人といいます。

任意後見人はひとりでも、何人でも差し支えありません。

契約をしたときは、本人の判断能力に問題はないはずです。

任意後見契約をするだけでは、後見が開始しません。

この契約は本人がひとりで決めるのが心配になったら、効力が発生します。

本人が物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなったら、家庭裁判所は任意後見監督人を選任します。

任意後見監督人が選任されたら、任意後見契約が効力が発生して任意後見人がサポートを開始します。

任意後見人は適切に仕事をしているか、任意後見監督人にチェックされます。

任意後見監督人は適切に仕事をしているか、家庭裁判所にチェックされます。

だから、安心して任意後見制度を使えます。

②成年後見(法定後見)は家庭裁判所が選任する

法定後見とは、家庭裁判所が選んだ人がサポートする制度です。

任意後見契約は、自分で選んだ人と契約します。

将来に備えて、信頼できる人と契約するでしょう。

何の準備もしないまま物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなった場合、家庭裁判所がサポートする人を決めます。

申立てをするときに、家庭裁判所に同居の家族を選任してもらいたいなどと候補者の希望を出すことができます。

家庭裁判所は、候補者を選任することも見知らぬ専門家を選任することもあります。

成年後見人に家族が選ばれるのは、およそ20%程度です。

物事のメリットデメリットを充分に判断できない人は、自分に不利益になることが分からずに契約をしてしまったり、不必要であることが分からずに契約をしてしまうことがあります。

物事のメリットデメリットを充分に判断できないことに付け込んでくる、悪質な業者の被害にあうかもしれません。

本人が被害にあわないようにするために、成年後見人は本人をサポートします。

2任意後見契約は解除できる

①任意後見監督人選任前は一方的に解除できる

任意後見契約は、本人の判断能力がしっかりしているうちにします。

判断能力がいつ低下するかは人によってそれぞれでしょう。

10年後かもしれません。

20年後かもしれません。

任意後見契約は、任意後見監督人が選任されてからスタートします。

任意後見契約の効力が発生していないうちは、いつでも一方的に解除できます。

本人の判断能力がはっきりしているうちは、本人の同意はなくても解除ができます。

委任契約は一方的に解約できるからです。

任意後見契約を解除する場合、公証人の認証を受けた書面による必要があります。

本人と任意後見人が合意して解除する場合、任意後見契約合意解除書を作成します。

任意後見契約合意解除書に、本人と任意後見人が署名押印のうえ、公証人の認証を受けます。

本人か任意後見人のいずれかが一方的に解除する場合、任意後見契約解除通知書を作成します。

任意後見契約解除通知書に解除する人が署名押印のうえ、公証人の認証を受けます。

解除書を配達証明付き内容証明郵便で相手方に通知します。

配達されたら証明書のハガキが届きます。

②任意後見監督人選任後の解除は正当理由と家庭裁判所の許可が必要

任意後見契約は、任意後見監督人が選任されてからスタートします。

任意後見監督人は、本人が物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなった場合に選任されます。

任意後見がスタートしたということは、本人は物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなっているという意味です。

物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなっているのに、サポートする人がいなくなると本人は困ります。

任意後見監督人が選任された後は、本人を保護するため一方的に解除することはできません。

任意後見契約を解除するためには、家庭裁判所の許可が必要です。

家庭裁判所は正当な理由がある場合に限り、許可をします。

正当な理由とは、任意後見人の事務が困難と認められる理由です。

具体的には、病気などで療養に専念したい、遠方に転居した、本人や本人の家族と任意後見人の信頼関係がなくなったなどです。

家庭裁判所の許可を得てから、相手方に意思表示をして契約を終了させます。

3成年後見(法定後見)人をやめるには正当理由と家庭裁判所の許可

①正当理由と認められないと辞任は許可されない

成年後見(法定後見)人は、物事のメリットデメリットを充分に判断できない人をサポートする人です。

本人をサポートするために、大きな権限が与えられます。

成年後見人が心得違いをしないように、家庭裁判所にチェックされます。

いったん成年後見人に就任したら、原則として、辞めることはできません。

本人は物事のメリットデメリットを充分に判断できないから、サポートを失うととても困るからです。

基本的に、本人が死ぬまで成年後見人を続ける必要があります。

成年後見人を辞任するためには、正当理由が必要です。

正当な理由とは、任意後見人の事務が困難と認められる理由です。

例えば、次のような理由は正当理由として認められやすいでしょう。

・病気などで療養に専念したい。

・遠方に転居した、転勤になった。

・本人や本人の家族と信頼関係がなくなった。

このような理由があったとしても成年後見事務を続けられる場合はやめる必要がありません。

正当理由があると言えるかどうかは、家庭裁判所が判断します。

家族が勝手に決めつけて辞任をさせることはできません。

②簡単に正当理由と認めてもらえない

例えば、次のような理由は正当理由として認められにくいでしょう。

・不動産売却のために成年後見人に就任したが、売却ができた。

・成年後見監督人がつくことになったので、わずらわしい。

・本人の家族からいろいろ要望が多く、面倒だ。

・本人の財産が少ないから、報酬が少ない。

・家庭裁判所に提出する書面作成の手間がかかる。

成年後見開始の申立てをする場合、本人の家族を選んで欲しいと候補者を立てることができます。

家庭裁判所は候補者を選ぶことも候補者以外の人を選ぶこともあります。

いったん選ばれたら、簡単にやめることはできません。

本人の家族であっても、他人の財産を預かる立場になります。

本人の大切な財産を管理する立場だから、家庭裁判所の監視下に置かれます。

本人が元気であれば財産を管理する場合、他人の財産という意識はあまりないことが多いでしょう。

家庭裁判所からあれこれ言われると、わずらわしく感じるかもしれません。

事務仕事をやったことがない、苦手だなどの理由で報告を怠った場合、厳重指導になるでしょう。

家庭裁判所の注意や指導がわずらわしいことを理由にやめたいと言っても、認めてもらうことは難しいでしょう。

4成年後見を解除することはできない

①判断能力が回復したら成年後見をやめることができる

成年後見人(法定後見人)が辞任したら、新しい成年後見人(法定後見人)が選任されます。

成年後見制度の利用をやめたわけではないからです。

成年後見制度を使い続ける限り、成年後見人(法定後見人)が死亡しても、解任されても、辞任しても、新しい成年後見人(法定後見人)が選任されます。

成年後見制度は、原則として、やめることができません。

成年後見制度をやめることができるのは、本人の判断能力が回復したときです。

判断能力が回復した診断書がある場合、成年後見制度をやめることができます。

本人や家族が、判断能力が回復したと主張するだけでは、成年後見をやめることができません。

②遺産分割や不動産の売却が終わっても成年後見をやめることはできない

認知症の人が相続人になる相続が発生した場合があります。

認知症の人の不動産を売却する必要がある場合があります。

遺産分割協議や不動産の売却の必要がある場合、成年後見開始の審判を申し立てるきっかけになります。

成年後見制度を使うきっかけとなった遺産分割や不動産売却が終わった場合でも、成年後見をやめることはできません。

ひとりで判断することが不安になったり心細くなったりしてしまう人をサポートする制度が成年後見の制度だからです。

ひとりで判断することができない人を放置することは許されません。

家族が成年後見人(法定後見人)は不要だからやめたいと希望しても、本人の保護のため成年後見(法定後見)は続きます。

5成年後見開始の申立てを司法書士に依頼するメリット

認知症や精神障害や知的障害などで、判断能力が低下すると、物事の良しあしが適切に判断することができなくなります。

また、記憶があいまいになる人もいるでしょう。

このような場合に、ひとりで判断することが不安になったり心細くなったりしてしまう人をサポートする制度が成年後見の制度です。

本人自身も不安になりますし、家族も不安になります。

身のまわりの不自由を補うために、身近な家族がお世話をすることが多くなるでしょう。

成年後見の申立ては家庭裁判所へ手続が必要です。

身のまわりのお世話をしている家族が本人の判断能力の低下に気づくことが多いです。

身のまわりのお世話をしながら、たくさんの書類を用意して煩雑な手続をするのは負担が大きいでしょう。

司法書士は裁判所に提出する書類作成もサポートしております。

成年後見開始の申立てが必要なのに忙しくて手続をすすめられない方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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