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任意後見は解除できる

2022-10-10

1任意後見とは

任意後見とは、本人の判断能力がしっかりしているうちに、将来、認知症や障害によって判断能力が低下してしまったときに備えて、信頼できる人にやってもらいたいことを決めて、サポートを依頼する契約です。

契約ですから、本人の判断能力がしっかりしているうちしかできません。

この契約は公正証書でする必要があります。

サポートを依頼された人を任意後見人といいます。

任意後見人はひとりでも、何人でも差し支えありません。

この契約は本人がひとりで決めるのが心配になったら、効力が発生して、後見が始まります。

家庭裁判所は、本人がひとりで決めるのが心配になったら、後見監督人を選任します。

つまり、家庭裁判所が後見監督人を選任したら、任意後見契約の効力が発生して、任意後見人が本人のためにサポートを開始します。

任意後見人は適切に仕事をしているか、任意後見監督人にチェックされます。

任意後見監督人は適切に仕事をしているか、家庭裁判所にチェックされます。

だから、安心して任意後見制度を使えます。

この先あれこれ決められなくなる前に、自分らしい生き方を自分で決めよう、サポートを受けて自分らしく生きようという制度です。

2任意後見契約は解除できる

①任意後見監督人選任前は一方的に解除できる

任意後見契約は、本人の判断能力がしっかりしているうちにします。

判断能力がいつ低下するかは人によってそれぞれでしょう。

10年後かもしれません。

20年後かもしれません。

任意後見契約は、任意後見監督人が選任されてからスタートします。

任意後見契約の効力が発生していないうちは、いつでも一方的に解除できます。

本人の判断能力がはっきりしているうちは、本人の同意はなくても解除ができます。

委任契約は一方的に解約できるからです。

任意後見契約を解除する場合、公証人の認証を受けた書面による必要があります。

本人と任意後見人が合意して解除する場合、任意後見契約合意解除書を作成します。

任意後見契約合意解除書に、本人と任意後見人が署名押印のうえ、公証人の認証を受けます。

本人か任意後見人のいずれかが一方的に解除する場合、任意後見契約解除通知書を作成します。

任意後見契約解除通知書に解除する人が署名押印のうえ、公証人の認証を受けます。

解除書を配達証明付き内容証明郵便で相手方に通知します。

配達されたら証明書のハガキが届きます。

②任意後見監督人選任後の解除は正当理由と家庭裁判所の許可が必要

任意後見契約は、任意後見監督人が選任されてからスタートします。

任意後見監督人は、本人が物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなった場合に選任されます。

任意後見がスタートしたということは、本人は物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなっているという意味です。

物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなっているのに、サポートする人がいなくなると本人は困ります。

任意後見監督人が選任された後は、本人を保護するため一方的に解除することはできません。

任意後見契約を解除するためには、家庭裁判所の許可が必要です。

家庭裁判所は正当な理由がある場合に限り、許可をします。

正当な理由とは、任意後見人の事務が困難と認められる理由です。

具体的には、病気などで療養に専念したい、遠方に転居した、本人や本人の家族と任意後見人の信頼関係がなくなったなどです。

家庭裁判所の許可を得てから、相手方に意思表示をして契約を終了させます。

3任意後見契約を解除したら終了登記

任意後見契約をした場合、公証人が登記申請をしてくれます。

任意後見契約を解除した場合、終了登記は自分でする必要があります。

任意後見契約は、任意後見監督人が選任されてからスタートします。

任意後見監督人が選任される前に任意後見契約を解除する場合も任意後見監督人が選任された後に任意後見契約を解除する場合も、終了登記は必要です。

終了登記は、本人の住所地や本籍地に関係なくすべて東京法務局後見登録課が扱います。

終了登記は、窓口に出向いて申請することも郵送することもできます。

任意後見監督人が選任される前に契約を解除した場合、添付書類は次のとおりです。

①公証人の認証を受けた解除書原本(認証のある謄本でも差し支えありません。)

②配達証明付き内容証明郵便で送ったときの差出人保管の謄本(一方的解除の場合)

③配達証明のハガキ(一方的解除の場合)

任意後見監督人が選任された後に契約を解除した場合、添付書類は次のとおりです。

①任意後見契約解除通知書

②家庭裁判所の許可の審判書

③確定証明書

添付書類は、希望すれば返してもらえます。

返してもらいたい書類がある場合、コピーと返信用封筒を添付します。

コピーに「原本に相違ありません。」と記載して申請人の記名と押印をします。

登記手数料は無料です。

申請に不備があれば連絡がありますが、登記が完了しても連絡はありません。

おおむね、申請が受け付けられてから10日程度で登記が完了します。

終了登記の申請書と一緒に後見登記事項証明書申請書送ると、登記完了後送ってくれます。

後見登記事項証明書は東京法務局以外の法務局でも取得することができます。

4任意後見契約の内容変更でも契約解除の可能性

任意後見契約は、本人の判断能力がしっかりしているうちに締結する契約です。

将来、認知症や障害によって判断能力が低下してしまったときに備えて、信頼できる人にやってもらいたいことを決めて、サポートを依頼します。

信頼できる人にやってもらいたいことを決めてサポートを依頼する点が任意後見契約のポイントです。

信頼できる人とやってもらいたいことは、内容変更をすることはできません。

任意後見人を変更したい場合、現在の任意後見契約をいったん解除してあらためて新たに任意後見契約を締結します。

やってもらいたいことは、代理権目録に記載されています。

代理権目録の内容を変更したい場合、現在の任意後見契約をいったん解除してあらためて新たな任意後見契約を締結します。

新たな任意後見契約でやってもらいたいことを決め直します。

やってもらいたいことを単に増やすだけであれば、追加部分の契約で済みます。

新たな任意後見契約は、公正証書にしなければなりません。

任意後見契約は、必ず公正証書にする必要があるからです。

任意後見は契約ですから、本人が物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなったら契約ができなくなります。

その場合は、成年後見制度を検討する必要があります。

5任意後見を司法書士に依頼するメリット

任意後見とは、本人の判断能力がしっかりしているうちに、将来、認知症や障害によって判断能力が低下してしまったときに備えて、信頼できる人にやってもらいたいことを決めて、サポートを依頼する契約です。

契約ですから、本人の判断能力がしっかりしているうちしかできません。

早め早めに準備するものなので、任意後見が実際にスタートするのは契約してから長期間経過してからです。

実際に任意後見がスタートするまでに事情が変わることもあるでしょう。

任意後見の重要ポイントである任意後見人と代理権の範囲の変更は、契約変更はできません。

いったん契約を解除して、あらためて任意後見契約をする必要があります。

一方で、報酬の変更は重要な内容と言えません。

報酬の変更は、契約の変更で済みます。

契約の変更で済みますが、公正証書にする必要があります。

任意後見契約は締結することばかり注目されがちですが、締結して終わりではありません。

本人のよりよく生きることを支えるために、みんながサポートしています。

任意後見契約を考えている方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

家族が成年後見人になるには

2022-09-12

1任意後見と成年後見(法定後見)のちがい

認知症や精神障害や知的障害などで、判断能力が低下すると、物事の良しあしが適切に判断することができなくなります。

また、記憶があいまいになる人もいるでしょう。

このような場合に、ひとりで判断することが不安になったり心細くなったりしてしまう人をサポートする制度が成年後見の制度です。

成年後見は、2種類あります。

任意後見と法定後見です。

任意後見は、本人が元気なうちに本人が選んだ人に任意後見人になってもらう契約をしておくものです。

将来、認知症になったときに備えて、サポートをお願いする契約が任意後見契約です。

法定後見は、本人の判断能力が低下してしまった後に、家庭裁判所に後見人を選んでもらうものです。

すでに認知症になっている人に対して、家庭裁判所が選んだ後見人がサポートするものです。

任意後見と法定後見を比べた場合、任意後見はわずかな件数です。

法定後見の件数が圧倒的です。

だから、単に、成年後見といった場合、法定後見だけを指していることがほとんどです。

2任意後見は後見人を自分で選ぶことができる

任意後見とは、本人の判断能力がしっかりしているうちに、将来、認知症や障害によって判断能力が低下してしまったときに備えて、信頼できる人やってもらいたいことを決めて、サポートを依頼する契約です。

契約ですから、本人の判断能力がしっかりしているうちしかできません。

この契約は公正証書でする必要があります。

任意後見は法定後見と違い、任意後見人を本人が自由に選ぶことができます。

本人の性格や好みをよく知っている家族を選ぶこともできるし、信頼できる司法書士などの家族以外の専門家を指名することもできます。

任意後見契約は本人の判断能力ははっきりしているうちしかできません。

つまり、契約したときは判断能力がはっきりしているのだから、サポートは不要です。

任意後見契約を結んでから、長い時間がたって、本人の判断能力が心配になった場合、任意後見契約の出番になります。

本人の判断能力が心配になったら、任意後見契約の効力を発生させて本人をサポートするため、任意後見監督人を選任してくださいと家庭裁判所に申立てをします。

家庭裁判所が任意後見監督人を選任したら、任意後見契約の効力が発生し、任意後見人がサポートを開始します。

3成年後見(法定後見)は成年後見人を家庭裁判所が選ぶ

成年後見人を選任するのは家庭裁判所です。

成年後見開始の申立の際に、成年後見人の候補者を立てることはできますが、家庭裁判所が候補者を選任することも候補者を選任しないこともあります。

他の家族が反対すれば、司法書士などの専門家を選ぶことが多いです。

本人の財産が多い場合も、家族以外の専門家を選ぶことが多いです。

実際のところ、家族が成年後見人に選ばれるのは、全体の2~3割です。

選ばれた人が家族でないからとか、意見の合わない人だからなどの理由で、家庭裁判所に不服を言うことはできません。

選ばれた人が家族でないからなどの理由で、成年後見開始の申立を取り下げることはできません。

成年後見開始の申立を取り下げる場合、家庭裁判所の審査中であっても、家庭裁判所の許可が必要です。

意見の合わない人だからなどの理由で、成年後見人を解任することはできません。

成年後見人を解任するには、横領をしたなど相当の理由が必要です。

4家族が成年後見人になれないケース

次の人は成年後見人になれません。

任意後見でも成年後見(法定後見)でも共通です。

①未成年者

②後見人を解任されたことのある人

③破産者で復権していない人

④本人に訴訟をした人と訴訟をした人の配偶者、直系血族

⑤行方不明の人

成年後見(法定後見)では①~⑤に該当していない場合であっても、家庭裁判所に選んでもらえないことがあります。

①~⑤の理由を欠格事由と言います。

5成年後見(法定後見)で家族が家庭裁判所に選ばれるには

成年後見人を選任するのは家庭裁判所です。

成年後見開始の申立の際に、成年後見人の候補者を立てることはできますが、家庭裁判所が候補者を選任することも候補者を選任しないこともあります。

家族を候補者に立てても選ばれないこともあります。

①本人の財産が少ないこと

家庭裁判所の判断によりますが、本人の資産が1000万円を超す場合、家族が後見人に選ばれにくい傾向があります。

本人の資産が多いと、後見事務が複雑になりやすいからです。

本人の資産が1000万円を超す場合であっても、家族が成年後見人に選ばれることがあります。

後見制度支援信託を利用する希望がある場合です。

後見制度支援信託とは、成年後見(法定後見)制度を利用する人向けの信託です。

日常生活費以外の金銭を信託銀行などに預け、定期的に成年後見人の口座に振り込んでもらうものです。

後見制度支援信託を利用している場合、成年後見人だけの判断で引き出しはできません。

家庭裁判所に報告し、家庭裁判所の指示を受けなければなりません。

家庭裁判所の指示がなければ引き出しができないことから、本人の財産を確実に守ることができます。

②管理が複雑な財産がない

本人の財産が預貯金のみで、各種支払いのみの場合、財産管理は難しいことはないでしょう。

本人が収益不動産を保有している場合、財産管理の一環として収益不動産の管理業務をしなければなりません。

複雑な財産管理を必要とされる場合、家族が成年後見人に選ばれにくい傾向にあります。

③申立てまでの財産管理が適切だったこと

成年後見の申立をする際、本人の通帳のコピーを提出します。

本人が自分で財産管理をすることが難しくなった場合、家族が代わりに通帳やキャッシュカードを預かっているでしょう。

通帳やキャッシュカードを預かっている人が成年後見人の候補者になることが多いです。

成年後見人の候補者の財産管理状況がチェックされます。

本人の通帳を点検して説明のつかない支出が多い場合、成年後見人として資質に疑問符がつけられるでしょう。

本人と同居して生計を同じくしていた場合、お金の出どころを細かく管理することはないでしょう。

説明のつかない支出が出てくることは、多々あります。

④他の家族全員が賛成している

成年後見人の候補者や他の家族に対して、意見聴取がある場合があります。

他の家族が何も知らない状態で、家庭裁判所から書類が来るとびっくりします。

成年後見開始の申立をする場合、申立をすることを家族みんなに知らせておきましょう。

他の家族に対して意見聴取をしないで欲しいなどの要望があっても、家庭裁判所は受け付けてくれません。

家庭裁判所が意見聴取が必要だと判断すれば、他の家族にも意見聴取をします。

家族の中で反対意見が出る場合、候補者が成年後見人に選ばれるのは難しいでしょう。

成年後見人は決して本人の財産を自由気ままに使えるものではありませんが、家族はそのように誤解しているかもしれません。

成年後見人候補者に本人の財産を丸ごと奪われると誤解していたら、反対意見を出すでしょう。

家庭裁判所から意見聴取があることを知らせるときに、成年後見の制度について情報共有をしておきましょう。

家族のトラブルを避けるため、中立的な立場の専門家を選任することになります。

⑤家庭裁判所の候補者面談で良い印象

成年後見人の候補者に対して、家庭裁判所の面接があります。

家庭裁判所の面接では、成年後見人として適切な人物であるか、後見事務の方針が見られます。

家庭裁判所から成年後見人として適切な人物だと思ってもらう必要があります。

家庭裁判所の面接にしっかり対応できるように準備しておくといいでしょう。

6任意後見契約と成年後見開始の申立を司法書士に依頼するメリット

認知症や精神障害や知的障害などで、判断能力が低下すると、物事の良しあしが適切に判断することができなくなります。

また、記憶があいまいになる人もいるでしょう。

このような場合に、ひとりで判断することが不安になったり心細くなったりしてしまう人をサポートする制度が成年後見の制度です。

本人自身も不安になりますし、家族も不安になります。

身のまわりの不自由を補うために、身近な家族がお世話をすることが多くなるでしょう。

任意後見契約をするためには、本人の判断能力があることが重要です。

本人が物事のメリットデメリットを充分に判断できる間だけ、任意後見を選択することができます。

任意後見契約は公正証書で契約しなければなりません。

公正証書で契約することはあまりないでしょう。

一方、成年後見の申立は家庭裁判所へ手続が必要です。

身のまわりのお世話をしている家族が本人の判断能力の低下に気づくことが多いです。

身のまわりのお世話をしながら、たくさんの書類を用意して煩雑な手続をするのは負担が大きいでしょう。

司法書士は公正証書で契約することも裁判所に提出する書類作成もサポートしております。

思うように手続を進められない方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

家族が成年後見人になるときの注意点

2022-08-22

1成年後見(法定後見)とは

認知症や精神障害や知的障害などで、判断能力が低下すると、物事の良しあしが適切に判断することができなくなります。

また、記憶があいまいになる人もいるでしょう。

このような場合に、ひとりで判断することが不安になったり心細くなったりしてしまう人をサポートする制度が成年後見の制度です。

ひとりで判断することが不安な状態になると、自分に不利益になることが分からずに契約をしてしまったり、不必要であることが分からずに契約をしてしまうことがあります。

さらにそのような状態をつけこんでくる悪質な業者等の被害を受けてしまうことも考えられます。

本人がこのような被害を受けないようにするため、成年後見人をつけてサポートします。

成年後見人は本人の財産を管理することになりますから、大きな権限が与えられます。

成年後見人が心得違いをして、本人の財産を自分のものにしたり、自分のために使ったりすることがないようにルールが決められています。

2家族が成年後見人になるときの注意点

成年後見の申立をする場合、成年後見人の候補者を立てることができます。

成年後見人の候補者を立てても、家庭裁判所は見知らぬ第三者を成年後見人に選任することも、候補者になった家族を成年後見人に選任することもあります。

家族が成年後見人に選ばれる場合、多くは子ども、甥姪、孫などです。

注意①いったん後見人になると簡単にやめることはできない

一度、成年後見人に就任したら、原則として、辞めることはできません。

基本的に本人が死亡するまで、成年後見人を続けなければなりません。

成年後見人を辞任するためには、正当理由が必要です。

仕事が忙しくなったから、面倒になったから、自分の家族のことに専念したいからなどは認められません。

注意②財産管理で他の家族とトラブルになる可能性がある

成年後見人は、本人のために財産を預かっているものです。

財産管理の方針を理解してくれない他の家族がいる場合があります。

預かっている財産は、本人のものだから成年後見人の思うように使うことはできません。

本人の自宅を売却する場合など、本人のためになるものであっても家庭裁判所の許可が必要になります。

成年後見人は本人のために財産を預かっていますから、本人の利益にならないことはできません。

本人の財産を贈与することは、本人の利益とは言えないでしょう。

生前贈与などはできなくなります。

相続税を減らすための対策も、本人の利益のためではなく相続人の利益のための行為です。

本人の利益にならないことは、家庭裁判所から指摘注意を受けることになります。

注意③家庭裁判所への報告をする負担が重い

成年後見人は、他人の財産を預かる立場とされます。

本人の大切な財産を預かっているのですから、家庭裁判所の監視下に置かれます。

特に、多額の財産を預かっていることから、成年後見人が横領をする心配があります。

親や祖父母、叔父叔母など血縁関係が近い親族の場合、元気であれば、他人の財産という意識は少なかったでしょう。

例えば、家族総出で食事や旅行に行ったとき、元気なころであれば年長の親や祖父母などが家族全員の代金を負担していたケースも多いものです。

成年後見人に就任した後、親や祖父母の財産から家族全員の食事代や旅行代を支出することはできなくなります。

このような支出をすると、家庭裁判所から厳重注意を受けることになるでしょう。

厳重注意で済めばいいほうで、解任になることもあります。

実際、成年後見人による横領事件の90%以上は家族後見人によるものです。

このようなことがないように、事務報告書などを提出することが求められます。

親族だから、素人だから、事務仕事は苦手だからなど言っても、家庭裁判所は許してくれません。

負担が重いのであれば、専門家に書類作成を依頼することができますが、専門家への報酬は成年後見人の負担になります。

注意④報酬を請求するか請求しないかは自由

家族が成年後見人になる場合であっても報酬を請求することができます。

本人の財産を減らさないため、報酬を辞退して請求しないケースも多いです。

報酬を請求する場合、家庭裁判所に対して、報酬付与の申立てをする必要があります。

1年に1度くらいの頻度で申立をするといいでしょう。

報酬を請求する場合、他の家族にも情報共有することをおすすめします。

報酬でトラブルに発展することがあるからです。

3 家族が成年後見人になるメリット

①本人の性格や好みを知っている安心感

成年後見が始まったときには、本人は判断能力が低下して適切な判断ができなくなっています。

本人をサポートするためとはいえ、全く知らない人からあれこれ言われると安心できなくなることも多いでしょう。

家族であれば、しっかりしていた頃の本人の性格や好みを知っていることが多いことから、本人の希望を活かしてあげることができます。

②報酬の支払が不要

まったく知らない専門家が成年後見人に選ばれたら、必ず、報酬を支払うことになります。

家族が成年後見人に選ばれたら多くの場合、報酬の受取を辞退されるでしょう。

③財産状況を外部の人に知られない

まったく知らない人に本人の財産状況を知られるのは、家族にとって精神的負担が大きいです。

家族だけで完結すれば、精神的負担が少なく済みます。

4家族が成年後見人になれないケース

成年後見の申立をする場合、成年後見人の候補者を立てることができます。

成年後見人の候補者を立てても、家庭裁判所は見知らぬ第三者を成年後見人に選任することも、候補者になった家族を成年後見人に選任することもあります。

成年後見人になれない人は次のとおりです。

①未成年者

②法定代理人や保佐人、補助人を解任された人

③本人に対して訴訟をした人とその人の配偶者、直系血族

④行方不明の人

①~④にあてはまる人は、成年後見人に選ばれることはありません。

本人の財産が多額の場合、司法書士などの専門家が選ばれます。

目安としては、預貯金が1000万円以上の場合、家族が成年後見人に選ばれることは難しいでしょう。

親族に対立がある場合、トラブルに発展しやすいです。

家庭裁判所は、家族を成年後見人に選ばず、見知らぬ専門家を選ぶ傾向があります。

成年後見人選任の申立ての時点で財産管理が不明瞭な場合、専門家が後見人に選任されます。

財産管理の実情が不明瞭の場合、本人の保護が難しくなるからです。

本人が収益不動産を保有している場合など、管理が複雑になりがちな場合もやはり、家族は成年後見人に選任されにくくなります。

5成年後見を司法書士に依頼するメリット

認知症や精神障害や知的障害などで、判断能力が低下すると、物事の良しあしが適切に判断することができなくなります。

また、記憶があいまいになる人もいるでしょう。

このような場合に、ひとりで判断することが不安になったり心細くなったりしてしまう人をサポートする制度が成年後見の制度です。

判断能力が低下すると、本人自身も不安になりますし、家族も不安になります。

成年後見に限らず、制度にはメリットデメリットがあります。

本人にとって気にならないデメリットもあります。

家族がサポートすれば問題のないデメリットもあるでしょう。

他の制度を活用すれば、差支えがないものもあります。

本人や家族の意見共有が重要です。

身のまわりの不自由を補うために、身近な家族がお世話をすることが多くなるでしょう。

成年後見の申立をする場合、家庭裁判所へ手続が必要です。

身のまわりのお世話をしている家族が本人の判断能力の低下に気づくことが多いです。

身のまわりのお世話をしながら、たくさんの書類を用意して煩雑な手続をするのは負担が大きいでしょう。

司法書士は裁判所に提出する書類作成もサポートしております。

成年後見開始の申立が必要なのに忙しくて手続をすすめられない方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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