Archive for the ‘財産調査’ Category

未支給年金は相続財産ではない

2024-07-17

1口座凍結で未支給年金が発生する

①口座の持ち主が死亡すると口座凍結

銀行などの口座は、日常生活に欠かせません。

多くの人は、銀行などに口座を持っているでしょう。

口座の持ち主が死亡したら、口座は凍結されます。

口座凍結とは、口座取引をできなくすることです。

口座が凍結されると、預入れや引出しなどの口座取引はすべてできなくなります。

口座の持ち主が死亡すると、口座は凍結されます。

②年金は死亡月まで支給される

口座が凍結されると、口座取引はすべてできなくなります。

振込みもできないし、公共料金などの引落しもできなくなってしまいます。

年金を受け取っている人は、口座振り込みで受け取っているでしょう。

年金は、後払いで支給されます。

例えば、4月分と5月分の年金は、6月に支給されます。

年金は、死亡月まで支給されます。

年金を受け取っている人が4月に死亡した場合、4月分の年金まで支給されます。

4月分の年金は、6月に振込みがされます。

多くの場合、6月には口座が凍結しているでしょう。

4月分の年金は、受け取ることができません。

未支給年金とは、受け取ることができなかった年金です。

年金は後払いだから、必ず未支給年金が発生します。

口座凍結で、未支給年金が発生します。

2公的年金の未支給年金は相続財産ではない

①未支給年金は遺産分割協議の対象ではない

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。

被相続人が年金を受け取っていたから、受け取るはずの年金は相続財産に見えるかもしれません。

公的年金の未支給年金は、相続財産ではありません。

相続財産は、民法に基づいて相続人が相続します。

未支給年金は、別の法律に基づいて一定の遺族に支給されます。

公的年金の未支給年金は、相続人全員で分け方を決めることはできません。

公的年金の未支給年金は、遺産分割協議の対象ではないからです。

②相続放棄をしても未支給年金

相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄の申立てをします。

家庭裁判所で相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。

相続財産は、相続人が相続します。

はじめから相続人でなくなるから、相続財産を相続することはできません。

プラスの財産もマイナスの財産も、相続することはありません。

公的年金の未支給年金は、相続財産ではありません。

一定の遺族は、未支給年金を受け取ることができます。

一定の遺族の中には、相続人である人もいるし相続人でない人もいるでしょう。

相続人である人も相続人でない人も、一定の遺族であれば未支給年金を請求することができます。

公的年金の未支給年金を受け取る権利は、一定の遺族の固有の権利です。

相続財産を処分した場合、単純承認をしたとみなされます。

単純承認をした場合、相続放棄をすることはできません。

未支給年金を受け取る権利は、相続財産ではありません。

未支給年金は、法律で一定の遺族に認められた権利です。

死亡した被相続人が受け取るはずの年金を受け継いだものではありません。

法律で認められた遺族の固有の権利です。

被相続人から相続した相続財産ではないから、相続放棄とは無関係です。

相続人が相続放棄をした場合でも相続放棄をしない場合でも、法律の定めに基づいて未支給年金を受け取ることができます。

未支給年金を受け取っても、相続の単純承認をしたと言われることはありません。

未支給年金を受け取る権利は、相続財産ではなく遺族の固有の財産だからです。

相続放棄をした後に未支給年金を請求した場合、相続放棄が無効になることはないし、未支給年金を返還するように言われることはありません。

未支給年金を受け取った後に相続放棄をした場合、相続放棄が無効になることはないし、未支給年金を返還するように言われることはありません。

未支給年金を受け取る権利は、遺族の固有の権利だから、相続放棄とは無関係です。

すでに相続放棄をした場合でも、これから相続放棄をするつもりでも、未支給年金を受け取ることができます。

③事実婚・内縁の配偶者が未支給年金

公的年金の未支給年金は、一定の遺族に支給されます。

一定の遺族の条件に、死亡した年金受給者に生計を維持されていた人という条件があります。

相続人になる人は、民法で決まっています。

相続人になる人には、生計を維持されていた人という条件はありません。

配偶者は、死亡した年金受給者に生計を維持されていた人でしょう。

死亡した年金受給者に生計を維持されていた配偶者は、法律上の配偶者でないことがあります。

相続人になる配偶者は、法律上の配偶者に限られます。

事実婚・内縁の配偶者は、相続人になりません。

事実婚・内縁の配偶者は、公的年金の未支給年金を請求することができます。

公的年金の未支給年金を請求する権利は、一定の遺族の固有の権利だからです。

公的年金の未支給年金は相続財産ではないから、事実婚・内縁の配偶者が受け取ることができます。

3未支給年金の受取方法

①未支給年金を請求できる人

未支給年金を受け取ることができるのは、次の人のうち優先順位の高い人です。

(1)配偶者

(2)子

(3)父母

(4)孫

(5)祖父母

(6)兄弟姉妹

(7)その他これら以外の3親等内の親族

未支給年金は、年金を受け取っていた人と生計を同じくしていた人が受け取ることができます。

遺族年金と未支給年金は、別の制度です。

遺族年金を受け取ることができる場合で、かつ、未支給年金を受け取ることができる場合、それぞれの手続が必要です。

②未支給年金を請求に必要な書類

未支給年金を受け取るためには、受給権者死亡届と未支給年金・未払い給付金請求書の提出が必要です。

受給権者死亡届に添付する書類は、次のとおりです。

(1)年金証書

(2)死亡の事実を明らかにできる書類

(2)死亡の事実を明らかにできる書類は、戸籍謄本、市区町村長に提出した死亡診断書のコピー、死亡届の記載事項証明書などです。

未支給年金・未払い給付金請求書に添付する書類は、次のとおりです。

(1)年金証書

(2)被相続人と請求者の続柄が分かる戸籍謄本

(3)被相続人と請求者が生計を同じくしていたことが分かる住民票と除票

(4)受け取りを希望する金融機関の通帳

(5)生計同一についての申立書(被相続人と請求者が別世帯の場合)

(2)戸籍謄本(3)住民票は、死亡日より後に発行されたものが必要です。

(2)戸籍謄本(3)住民票は、原本を返してもらうことができます。

③未支給年金は5年以内に請求

未支給年金を受け取るためには、請求をしなければなりません。

未支給年金を受け取る権利は、何もしないで放置すると時効で消滅します。

年金支払い日の翌月の初日から起算して5年で時効消滅します。

5年経過で時効消滅すると、未支給年金を受け取ることができなくなります。

未支給年金を受け取る権利が亡くなる前に、請求しましょう。

④繰り下げ受給の待機中の死亡は未支給年金で請求できる

被相続人が年金の繰り下げ受給の待機中に死亡する場合があります。

年金の繰り下げ受給の待機中に死亡した場合、本人が受け取るはずだった年金を遺族が請求することができます。

65歳から死亡した月の分までの年金が、未支給年金として支給されます。

未支給年金には、待機した分の増額は反映されません。

この場合、時効の起算は65歳からです。

⑤未支給年金が振り込まれるまでに3か月

未支給年金を請求した後、問題がなければ3か月程度で振り込まれます。

未支給年金の請求書を提出した後、未支給年金支給決定通知書が発送されます。

支給されないときは、不該当通知書が発送されます。

⑥未支給年金に相続税はかからない

公的年金の未支給年金は、相続財産ではありません。

相続税法は、相続財産でないのに相続税がかかる財産を定めています。

相続財産でないのに相続税がかかる財産をみなし相続財産と言います。

公的年金の未支給年金は、見なし相続財産でもありません。

公的年金の未支給年金は、相続税の対象ではありません。

⑦未支給年金は受取人の所得になる

未支給年金は、法律で一定の遺族に認められた権利です。

受取人の固有の財産だから、受取人の所得になります。

受け取る年金や金額によっては、所得税がかかります。

受け取った年の翌年3月15日までに確定申告が必要になる場合があります。

4企業年金の未支給は相続税の対象になる

①現職死亡の企業年金は死亡退職金扱い

社員が現職で死亡し企業年金が遺族に支払われた場合、死亡退職金と見なされます。

死亡退職金は、相続財産でないのに相続税がかかる財産です。

死亡退職金には、非課税限度額があります。

非課税限度額=500万円×法定相続人の数

死亡退職金が非課税限度額以下である場合、相続税は課税されません。

相続人以外の人が死亡退職金を受け取った場合、非課税の適用はありません。

②企業年金受給中の死亡は定期金扱い

企業年金受給中に死亡し遺族に未支給年金が支払われた場合、定期金と見なされます。

定期金に関する権利は、相続財産です。

定期金にかかる権利は、非課税枠はありません。

5私的年金の未支給は相続税の対象になる

被相続人が個人年金の契約を締結していることがあります。

年金受給中に死亡し遺族に未支給年金が支払われた場合、年金受給権を相続したと言えます。

私的年金の年金受給権は、相続財産です。

私的年金の年金受給権は、非課税枠はありません。

6財産調査を司法書士に依頼するメリット

相続が発生したら、ご遺族は大きな悲しみに包まれます。

大きい悲しみのなかで、もれなく迅速に相続財産を調査するのは身体的にも精神的にも大きな負担になります。

負担の大きい財産調査を司法書士などの専門家に依頼すれば、遺族のお疲れも軽減されるでしょう。

その後の相続手続もスムーズになります。

被相続人の財産は、相続人もあまり詳しく知らないという例が意外と多いものです。

悲しみの中で被相続人の築いてきた財産をたどるのは切なく、苦しい作業になります。

調査のためには銀行などの金融機関から、相続が発生したことの証明として戸籍謄本等の提出が求められます。

戸籍謄本の取り寄せも含め、手続をおまかせいただけます。

仕事や家事でお忙しい方や高齢、療養中などで手続きが難しい方は、手続きを丸ごとおまかせできます。

家族にお世話が必要な方がいて、頻繁に家を空けられない方からのご相談もお受けしております。

財産調査でお疲れが出る前に、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

失踪宣告で借金を相続

2024-07-03

1失踪宣告で相続が開始する

①失踪宣告で死亡と見なされる

相当長期間、行方不明になっている場合、死亡している可能性が高い場合があります。

条件を満たした場合、死亡の取り扱いをすることができます。

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告がされたら、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。

行方不明が長期化した場合、家族が困ります。

家族であっても、行方不明の人の財産を処分することができません。

行方不明者の配偶者は、再婚することができません。

残された家族のために、行方不明者を死亡したものと扱う制度が失踪宣告の制度です。

失踪宣告がされると、死亡した取り扱いをします。

失踪宣告がされた人に、相続が発生します。

相続財産は、相続人全員の共有財産になります。

相続人全員の合意があれば、相続財産を自由に分けることができます。

遺産分割協議によって相続した後は、相続人が自由に処分をすることができます。

②普通失踪は生死不明7年

一般的に失踪宣告といった場合、普通失踪を指しています。

生死不明の期間を失踪期間と言います。

普通失踪では、失踪期間が7年必要です。

生死不明のまま7年経過した場合に、自動的に死亡と見なされるわけではありません。

家庭裁判所が失踪宣告したときに、死亡と見なされます。

生死不明の人の家族や利害関係人は、家庭裁判所に失踪宣告の申立てをすることができます。

家庭裁判所に失踪宣告の申立てをした後、家庭裁判所が死亡と認めていいか調査します。

家庭裁判所の状況や事件の内容によっては、調査のために1年ほどかかる場合もあります。

生死不明のまま7年以上経過したと認められる場合、家庭裁判所は失踪宣告をすることができます。

③特別失踪(危難失踪) は生死不明1年

行方不明の人が大災害や大事故にあっていることがあります。

大災害や大事故に遭った場合、死亡している可能性が非常に高いものです。

特別失踪(危難失踪)とは「戦地に行った者」「沈没した船舶に乗っていた者」「その他死亡の原因となる災難に遭遇した者」などを対象にする失踪宣告です。

死亡している可能性が非常に高いので、失踪期間は短い期間です。

特別失踪(危難失踪)では、失踪期間が1年で済みます。

生死不明のまま1年以上経過したと認められる場合、家庭裁判所は失踪宣告をすることができます。

④死亡と見なされる日に相続開始

失踪宣告がされると、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。

普通失踪では生死不明になってから7年間経過したときに、死亡したものと見なされます。

特別失踪(危難失踪)では危難が去ったときに、死亡したものと見なされます。

たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをするから、相続が開始します。

死亡と見なされる日が、相続が開始する日です。

失踪宣告の手続は、長期間かかります。

相続が開始する日は、失踪宣告の申立てをした日ではありません。

裁判所が失踪宣告をした日でもありません。

相続手続の基準になるのが、死亡と見なされる日です。

2行方不明なら家族に取立てができない

①家族に返済義務はない

お金を借りたら、借りたお金を返さなければなりません。

お金を返す義務は、お金を借りた人だけの義務です。

お金を借りた後、借金を返せなくなることがあります。

借金を返せなくなった場合、お金を借りた人が責任を取ります。

お金を返す義務は、お金を借りた人だけの義務だからです。

借金がきっかけになって、行方不明になることがあります。

借金の返済を滞らせて行方不明になっても、家族に返済義務はありません。

お金を借りた人の責任であって、家族はお金を借りた人ではないからです。

借金を滞らせても、家族が自動で借金を返済する義務を負うことはありません。

②連帯保証人は肩代わりの義務がある

お金を借りるときに、連帯保証人を立てることがあります。

連帯保証人は、借金を返せなくなったときに肩代わりをする人です。

借金を返せなくなった場合でも肩代わりをしてくれるから、安心してお金を貸すことができます。

お金を借りるときに、家族が連帯保証人になることがあります。

お金を借りた人が返済を滞らせた場合、連帯保証人は肩代わりをしなければなりません。

お金を借りた人が返済を滞らせたまま行方不明になった場合、代わりに返済をしなければなりません。

連帯保証人は、借金を返せなくなったときに肩代わりをしますと約束した人だからです。

連帯保証人は、肩代わりの義務があります。

③第三者への取立ては違法行為

お金を返す義務は、お金を借りた人だけの義務です。

連帯保証人には、肩代わりに義務があります。

家族であっても、お金を返す義務はありません。

連帯保証人になっていないのに、自動で借金を返済する義務を負うことはありません。

債権者は借金を返してもらいたいから、家族に連絡を取ってくるでしょう。

お金を返す義務がない人に対して、みだりに催促する行為は違法です。

貸金業者は、行政から監督を受けています。

執拗な催促をする場合、行政に苦情を申し入れることができます。

違法な取り立てと認められた場合、業務停止などの行政処分が行われます。

第三者への取立ては、違法行為です。

3失踪宣告後は借金は相続財産

①失踪宣告で相続人に返済義務

失踪宣告がされると、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。

失踪宣告で、相続が発生します。

相続が発生すると、被相続人のものは相続人が相続します。

被相続人のプラスの財産とマイナスの財産が相続財産です。

被相続人が借金を抱えたまま死亡した場合、借金は相続人全員に相続されます。

借金は相続されるから、相続人は借金の返済義務を相続します。

失踪宣告がされると、相続人全員に借金の返済義務が引き継がれます。

②失踪宣告後は借金の調査ができる

お金を返す義務は、お金を借りた人だけの義務です。

借金がいくらあるかなどの信用情報は、重要な個人情報です。

お金を借りた人が生きている間、家族が勝手に借金を調査することはできません。

お金を借りた人に失踪宣告がされた場合、相続人は借金の調査をすることができます。

消費者金融やクレジット会社は、指定信用情報機関に加入しています。

信用情報を確認すると、ローンやクレジットなどの取引内容、返済状況が詳しく分かります。

(1)日本信用情報機構(JICC)

(2)株式会社シー・アイ・シー(CIC)

(3)全国銀行協会全国銀行個人信用情報センター(KSC)

相続人は、信用情報機関に対して情報開示を請求することができます。

信用情報機関に開示請求をすることで、被相続人の借金を調べることができます。

③失踪宣告後は相続放棄ができる

失踪宣告がされるまでは、行方不明の人は生きている扱いです。

相続が発生した後、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄を希望する申立てをします。

被相続人が生きている間は、相続放棄をすることできません。

相当長期間行方不明であっても、失踪宣告されずに行方不明のままなら生きている扱いです。

行方不明のままなのに相続放棄の申立てを提出しても、受け付けてもらえません。

④相続放棄をしても生命保険の死亡保険金

相続が発生した後、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

単純承認と見なされる行為は、法律で定められています。

相続財産の名義変更をした、相続財産である銀行の預貯金を引き出して使ってしまった場合が典型的です。

単純承認をしたのに、家庭裁判所で相続放棄が認められても無効です。

単純承認をしたら、撤回することはできないからです。

失踪宣告がされると、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。

行方不明になった人に生命保険がかけてあった場合、生命保険の死亡保険金が支払われます。

原則として生命保険の保険金を受け取る権利は、相続人の固有の財産です。

受取人が「相続人」と指定してあっても、相続で受け取るものではありません。

被相続人の死亡をきっかけにして、保険契約によって受取人が保険金を受け取るものです。

相続によって、被相続人から受け継いだものではありません。

相続人の固有の財産だから、相続放棄をした人は生命保険の保険金を受け取ることができます。

生命保険の保険金を受け取ったことで、相続放棄が無効になることはありません。

相続放棄をした場合、消費者金融の借金を引き継ぐことはありません。

相続放棄をしても、生命保険の死亡保険金を受け取ることができます。

債務者の家族であっても、生命保険の死亡保険金で債務者の借金を返済する義務はありません。

4失踪宣告を受けた人が生きていたら

①失踪宣告の取消は家庭裁判所で手続

失踪宣告がされたけど、実は本人は新天地で元気に生きていたということがあります。

失踪宣告をされた人が生きていると分かっても、自動的に失踪宣告が取り消されるわけではありません。

家庭裁判所は失踪宣告された人が、その後、生きているかどうか分からないからです。

失踪宣告された人が生きていることが分かった場合や失踪宣告されたときと異なる時期に死亡したことが判明した場合、家庭裁判所に失踪宣告の取消の審判の申立てをします。

家庭裁判所が失踪宣告を取消した場合、失踪宣告による死亡の効果がなかったことになります。

失踪宣告の取消をしたときも、官報にお知らせを出します。

②財産は返還しなければならない

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとする手続です。

失踪宣告がされると、相続が開始します。

失踪宣告が取り消されると、行方不明者が死亡したことはなかったことになります。

死亡がなかったことになりますから、相続もなかったことになります。

相続によって財産を得た人は、行方不明者に財産を返さなければなりません。

たとえ、行方不明者が生きているとは思わなかったとしても、財産は返す必要があります。

返す財産は、現に利益を受けている限度とされています。

相続人が遊興費などで使ってしまっている場合は、返す必要がありません。

生活費や自分の借金の返済に充てている場合などは、現に利益を受けていると言えます。

その分は、返還が必要です。

現に利益を受けている限度とは、同じ形で残っている意味ではありません。

形を変えて残っている場合も含みます。

生活費として使ったのであれば、自分のお金をその分使わずに済んでいます。

生活費分の利益を得ていると言えます。

③生命保険も返還しなければならない

死亡により支払われるものとして、生命保険の保険金は高額なものでしょう。

失踪宣告が取り消されると、返還しなければなりません。

住宅ローンを組むときに団体信用生命保険に加入している場合、生命保険金で住宅ローンの残額を支払っているでしょう。

住宅ローンの残額を支払わなくてもよくなったという形で利益が残っていると考えられます。

現に利益を受けていると言えますから、この利益を返還しなければなりません。

5生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続人が行方不明であることは、割とよくあることです。

行方不明の相続人がいると、相続手続を進めることができません。

相続が発生した後、困っている人はたくさんいます。

自分たちで手続しようとして、挫折する方も少なくありません。

失踪宣告の申立ては、家庭裁判所に手続が必要になります。

通常ではあまり聞かない手続になると、専門家のサポートが必要になることが多いでしょう。

信託銀行などは、高額な手数料で相続手続を代行しています。

被相続人が生前、相続人のためを思って、高額な費用を払っておいても、信託銀行はこのような手間のかかる手続を投げ出して知識のない遺族を困らせます。

知識のない相続人が困らないように高額でも費用を払ってくれたはずなのに、これでは意味がありません。

税金の専門家なども対応できないでしょう。

困っている遺族はどうしていいか分からないまま、途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。

自分たちでやってみて挫折した方も、信託銀行などから丸投げされた方も、相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続した借金の時効援用

2024-06-19

1借金と連帯保証人の地位は相続される

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②債務者が死亡したら借金は相続される

相続が発生したら、被相続人のものは相続人が引き継ぎます。

被相続人のものには、さまざまなものがあるでしょう。

相続財産というと、プラスの財産だけ想像しがちです。

相続財産には、マイナスの財産が含まれます。

被相続人が借金をしたまま、死亡することがあります。

被相続人の借金は、相続人全員が相続します。

債務者が死亡しても、借金はなくならないからです。

債務者が死亡したら、債務者の相続人全員が借金を相続します。

③連帯保証人が死亡したら保証債務は相続される

被相続人が第三者の借金について、連帯保証人になっていることがあります。

連帯保証人とは、債務者が借金を返せないときに肩代わりをする人です。

連帯保証人には、肩代わりの義務があります。

保証債務とは、連帯保証人が負う肩代わりの義務です。

保証債務は、連帯保証人の相続人全員が相続します。

連帯保証人が死亡しても、肩代わりの義務はなくならないからです。

連帯保証人が死亡したら、連帯保証人の相続人全員が借金を相続します。

2相続した借金の時効援用

①消滅時効で権利行使ができなくなる

消滅時効とは、長期間権利行使をしない場合に権利が行使できなくなる制度です。

債権者は、借金を払って欲しいと請求する権利があります。

債務者の事情を察して、借金を請求せずに長期間経過することがあります。

借金を請求せずに長期間経過した場合、条件にあてはまれば権利行使が許されなくなります。

②消滅時効の利益を受けるため時効援用通知

長期間経過しても、自動的に借金がなくなるわけではありません。

消滅時効が完成すると、借金を払う必要がなくなります。

借金を払わなくてよくなることを、債務者が不道徳と思うことがあります。

お金を借りたのだからきちんとお金を返すべきだと考えている債務者に対して、消滅時効を押し付けるべきではありません。

消滅時効によって利益を受けるか受けないか、債務者は判断することができます。

時効の利益を受ける意思表示を時効の援用と言います。

時効を援用する場合、配達証明付き内容証明郵便で通知するのがおすすめです。

③消滅時効援用は各相続人が判断

被相続人の借金は、相続人全員が相続します。

債権者は、各相続人に対して法定相続分で借金を請求することができます。

消滅時効によって利益を受けるか受けないか、各相続人が判断することができます。

借金を払わなくてよくなることを不道徳と思う相続人に対して、消滅時効を押し付けるべきではないからです。

時効を援用する場合、時効援用を通知します。

一部の相続人だけが時効援用通知をした場合、通知した相続人だけ効果があります。

相続人全員が時効援用を希望する場合、相続人全員が連名で時効援用を通知します。

家族のさまざまな事情から、相続人が疎遠になっていることがあります。

相続人全員に連絡が取れないことがあるでしょう。

相続人全員で時効援用通知をする義務はありません。

消滅時効によって利益を受けるか受けないか、各相続人が判断することができるからです。

3連帯保証人が借金の時効援用

①消滅時効で保証債務を免れる

連帯保証人は、債務者が借金を返せないときに肩代わりをする人です。

債権者は、借金を肩代わりして欲しいと請求する権利があります。

債務者の事情を察して、借金の肩代わりを請求せずに長期間経過することがあります。

借金の肩代わりを請求せずに長期間経過した場合、条件にあてはまれば権利行使が許されなくなります。

②消滅時効の利益を受けるため時効援用通知

消滅時効が完成すると、借金を払う必要がなくなります。

借金がなくなれば、自動で肩代わりの義務はなくなります。

消滅時効によって利益を受けるか受けないか、債務者は判断することができます。

債務者の判断とは別に、連帯保証人は独自で判断することができます。

連帯保証人は、主債務と連帯保証債務の消滅時効を援用することができます。

主債務の消滅時効を援用しても連帯保証債務の消滅時効を援用しても、肩代わりの義務はなくなります。

借金がなくなれば、自動で肩代わりの義務はなくなるからです。

時効を援用する場合、配達証明付き内容証明郵便で通知するのがおすすめです。

③消滅時効援用は各相続人が判断

被相続人の肩代わりの義務は、相続人全員が相続します。

債権者は、各相続人に対して法定相続分で肩代わりを請求することができます。

消滅時効によって利益を受けるか受けないか、各相続人が判断することができます。

肩代わりをしなくてよくなることを不道徳と思う相続人に対して、消滅時効を押し付けるべきではないからです。

時効を援用する場合、時効援用を通知します。

一部の相続人だけが時効援用通知をした場合、通知した相続人だけ効果があります。

消滅時効援用は、各相続人が判断することができます。

4時効期間が経過しても請求してくる

①時効援用するまで請求してくる

債権者は、借金を払って欲しいと請求する権利があります。

時効期間が経過しても、債権者には借金を払って欲しいと請求する権利があります。

借金を払わなくてよくなることを、債務者が不道徳と思うことがあるからです。

債権者から借金を払って欲しいと請求されたら、借金を払ってくれるかもしれません。

借金を払ってくれるかもしれないと考えるから、消滅時効が完成していることを知っていても請求してきます。

被相続人の借金は、相続人全員が相続します。

被相続人の取引状況について、相続人はよく分からないことが多いでしょう。

債権者から借金を払って欲しいと請求されたら、相続人が払ってくれることが多いでしょう。

消滅時効によって利益を受けるか受けないか、債務者は判断することができます。

時効援用するまで、債権者は借金を請求してきます。

②債務承認で時効が更新される

債権者から被相続人の借金を返して欲しいと言われたら、びっくりするでしょう。

被相続人の借金が多額である場合、返済は待って欲しいと言ってしまうかもしれません。

債権者から一括返済が難しいなら分割返済でもいいと言われたら、承諾するかもしれません。

返済は待って欲しいと言った場合、債務を承認したと言えます。

借金の存在を前提にして、返済の猶予を申し出ているからです。

分割返済を承諾した場合、債務を承認したと言えます。

借金の存在を前提にして、分割返済を承諾しているからです。

債務を承認した場合、時効は更新されます。

時効が更新された場合、借金は消滅しません。

③時効期間経過後に主債務者が債務承認

債務を承認した場合、時効は更新されます。

時効期間経過後に、主債務者が債務承認をすることがあります。

消滅時効によって利益を受けるか受けないか、主債務者は判断することができるからです。

債務承認をした主債務者は、借金を払わなければなりません。

債務者の判断とは別に、連帯保証人は独自で判断することができます。

主債務者が債務承認をしても、連帯保証人は消滅時効を援用することができます。

消滅時効を援用した連帯保証人は、借金を肩代わりする義務がなくなります。

④時効期間経過後に連帯保証人が債務承認

時効期間経過後に、連帯保証人が債務承認をすることがあります。

連帯保証人が債務承認をした場合、承認したのは肩代わりの義務です。

連帯保証人には、もともと肩代わりに義務しかないからです。

連帯保証人が債務承認をしても、主債務者は消滅時効を援用することができます。

主債務者には、借金を返す義務があります。

連帯保証人が債務承認をしても、借金を返す義務には影響がないからです。

主債務者は消滅時効を援用した場合、借金がなくなります。

借金がなくなれば、自動で肩代わりの義務はなくなります。

肩代わりの義務を承認しても、借金がなくなれば自動で肩代わりの義務はなくなります。

借金がなくなったのに、肩代わりの義務だけ残ることはありません。

5時効援用で相続放棄が無効になる

①相続放棄をすると一切相続できない

被相続人が借金をしたまま死亡した場合、相続人は相続放棄を検討するでしょう。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなくなります。

相続放棄をした場合、被相続人の借金を相続することはありません。

借金だけでなく、プラスの財産も相続することはできなくなります。

相続放棄をすると、一切相続できません。

②相続放棄や単純承認の撤回はできない

相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に相続放棄を希望する申立てをします。

相続放棄をしたら、相続放棄を撤回することはできません。

相続放棄が撤回できないように、単純承認を撤回することはできません。

相続放棄や単純承認の撤回を認めると、相続手続が混乱するからです。

③相続財産を処分すると単純承認

単純承認をしたら、相続放棄をすることはできません。

相続放棄はできないのに、家庭裁判所に相続放棄の手続がされることがあります。

家庭裁判所は事情を知らないから、相続放棄が認めてしまうでしょう。

事情を知らない家庭裁判所が相続放棄を認めても、無効です。

単純承認したとみなされる行為は、法律で定められています。

相続財産の名義変更をした、相続財産である銀行の預貯金を引き出して使ってしまった場合が典型的です。

単に、引き出しただけであれば、処分とは言えないことが多いでしょう。

引き出したうえ、自分の口座に送金して保管すると、「処分した」と評価される可能性が高くなります。

銀行の預貯金を引き出してお葬式の支払にあてた場合、状況によっては、処分したと判断されることもあります。

相続財産を処分する場合、単純承認になります。

④時効援用は単純承認になる

被相続人の借金すべてが時効完成していた場合、消滅時効を援用するといいでしょう。

消滅時効を援用した場合、借金を引き継ぐことなくプラスの財産を引き継ぐことができます。

被相続人の借金について消滅時効を援用することは、財産を処分することです。

相続財産を処分した場合、相続を単純承認したと判断されます。

単純承認をしたのに、相続放棄が認められても無効です。

消滅時効は、更新されることがあります。

消滅時効が更新された場合、あらためて時効が進行します。

被相続人が複数の借金をしていることがあります。

一部の借金が消滅時効を援用できたとしても、他の借金の消滅時効は完成していないことがあります。

被相続人のマイナスの財産の全容が明らかでない状態で、消滅時効を援用するのは危険です。

消滅時効を援用すると、相続を単純承認したと判断されるからです。

6相続放棄を司法書士に依頼するメリット

相続放棄は、その相続でチャンスは1回限りです。

家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続を取ることはできます。

高等裁判所の手続で、2週間以内に申立てが必要になります。

家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。

一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。

相続が発生してから3か月以内に届出ができなかったのは止むを得なかったと家庭裁判所に納得してもらって、はじめて、家庭裁判所は相続放棄を認めてくれます。

通常は家庭裁判所に対して、上申書や事情説明書という書類を添えて、説得することになります。

家庭裁判所が知りたいことを無視した作文やダラダラとした作文では認めてもらうことは難しいでしょう。

司法書士であれば、家庭裁判所に認めてもらえるポイントを承知しています。

認めてもらえやすい書類を作成することができます。

通常の相続放棄と同様に戸籍謄本や住民票が必要になります。

仕事や家事、通院などでお忙しい人には平日の昼間に役所にお出かけになって準備するのは負担が大きいものです。

戸籍や住民票は郵便による取り寄せもできます。

書類の不備などによる問い合わせは、市区町村役場の業務時間中の対応が必要になります。

やはり負担は軽いとは言えません。

このような戸籍謄本や住民票の取り寄せも司法書士は代行します。

3か月の期限が差し迫っている方や期限が過ぎてしまっている方は、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

親子共有名義で片方死亡したときの相続

2024-06-03

1共有者でも優先されない

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについて、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続します。

相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することを代襲相続と言います。

②共有者が自動的に相続するわけではない

被相続人が不動産を共有している場合、被相続人の共有持分は相続人に相続されます。

被相続人が相続人のひとりと不動産を共有していた場合、何となく共有者が相続すると思うかもしれません。

共有者のひとりが相続人である場合、自動的に被相続人の共有持分を相続できるといったことはありません。

共有者であっても、優先権はないからです。

共有者が相続人だから、自動的に相続するといったルールはありません。

③共有者が取得するのは相続人不存在のとき

相続が発生したら、被相続人のものは相続人が相続します。

被相続人が不動産を共有していた場合、被相続人は不動産の共有持分を持っています。

被相続人の共有持分は、相続人が相続します。

共有者の片方が死亡した場合、他の共有者が共有持分を取得することを聞いたことがあるかもしれません。

共有者の片方が死亡した場合に他の共有者が共有持分を取得するのは、相続人が不存在の場合です。

被相続人が天涯孤独の場合、法律で決められた相続人は存在しないでしょう。

法律で決められた相続人はいても、相続人全員が相続放棄をすることがあります。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなくなります。

法律で決められた相続人全員が相続放棄をした場合、相続人不存在と言えます。

被相続人が払うべきお金を払わないまま、死亡することがあります。

相続人不存在であれば、相続人に払ってもらうことはできません。

被相続人の財産があれば、被相続人の財産から払ってもらいたいと望むでしょう。

被相続人が不動産を共有していた場合、共有持分は財産と言えます。

被相続人に特別縁故者がいることがあります。

特別縁故者とは、被相続人に特別な縁故があった人です。

家庭裁判所に特別縁故者と認められた場合、財産が分与を受けることができます。

受け取る人がいない財産は、国庫に帰属します。

国庫に帰属すべき財産が共有持分である場合、他の共有者が取得します。

被相続人に相続人がいる場合、相続人不存在ではありません。

共有者のひとりが死亡しても、自動で他の共有者が被相続人の共有持分を取得することはできません。

2親子共有名義の建物で配偶者居住権

①配偶者短期居住権は親子共有名義の建物で認められる

配偶者短期居住権と配偶者居住権は、相続発生後に配偶者が住み場所を失わないようにするために作られた権利です。

配偶者短期居住権が認められる要件は、次のとおりです。

(1)法律上の配偶者であること

(2)被相続人の所有していた建物であること

(3)相続開始時に居住していたこと

配偶者短期居住権は、要件が満たされれば自動で認められます。

配偶者短期居住権が認められるためには、被相続人単独所有の建物に限られません。

被相続人が第三者と共有している建物であっても、配偶者短期居住権は認められます。

被相続人が配偶者以外の人と共有している建物であっても、差し支えありません。

配偶者短期居住権は、親子共有名義の建物で認められます。

②配偶者居住権は親子共有名義の建物で認められない

配偶者居住権が認められる要件は、次のとおりです。

(1)法律上の配偶者であること

(2)被相続人の所有していた建物であること

(3)相続開始時に居住していたこと

(4)配偶者居住権を設定

配偶者居住権は、自動で発生しません。

配偶者居住権を設定する必要があります。

配偶者居住権が認められるためには、被相続人単独所有の建物に限られません。

被相続人と配偶者の共有建物について、配偶者居住権が認められます。

配偶者以外の第三者と共有する建物について、配偶者居住権が認められません。

配偶者居住権は、原則として配偶者が終身居住する権利です。

配偶者以外の第三者と共有する建物である場合、配偶者居住権は大きな負担になります。

他の共有者にとって過大な負担になるから、配偶者以外の第三者と共有する建物である場合配偶者居住権は認められません。

配偶者居住権は、親子共有名義の建物で認められません。

3相続で共有を解消する

①共有持分を取得して他の財産を取得しない

相続が発生したら、被相続人のものは相続人が相続します。

親子で不動産を共有していた場合、他の共有者は相続人のひとりでしょう。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

被相続人と不動産を共有していても、自動で共有持分を相続することはできません。

他の共有者である相続人が共有持分を取得して、他の財産を取得しない合意をするといいでしょう。

相続人全員で合意できれば、相続をきっかけにして共有を解消することができます。

他の相続人にとって公平と思えるだけの財産がない場合、分け方の合意はできないでしょう。

②共有持分を取得して代償金の支払い

相続財産は、分けやすい財産と分けにくい財産があるでしょう。

不動産は、分けにくい財産の代表例です。

相続財産の大部分が不動産である場合、そのまま分けるのは難しいでしょう。

一部の相続人が不動産を取得した場合、他の相続人は不公平を感じるからです。

法定相続分と較べて高価な財産を取得する場合、代償分割をすることで合意できることがあります。

代償分割とは、一部の相続人が高価な財産を相続し、他の相続人は高価な財産を相続した人から、その分のお金をもらう方法です。

他の共有者である相続人が共有持分を取得して、他の相続人に代償を払う合意をするといいでしょう。

相続人全員で合意できれば、相続をきっかけにして共有を解消することができます。

共有持分を取得する相続人は、代償金を支払わなければなりません。

共有持分を取得する相続人が代償金を準備できない場合、分け方の合意はできないでしょう。

代償金を支払うと約束したのに、支払ってもらえないと相続人間でトラブルになります。

③不動産全体を売却してお金で分ける

代償分割では、不動産を相続する人が代償金を準備する必要があります。

不動産が高価である場合、代償金を準備することが難しいでしょう。

相続財産の大部分が高価な不動産である場合、換価分割をすることで合意ができることがあります。

換価分割とは、不動産を売却してお金に換えた後、お金を分ける方法です。

換価分割は、実際に売れてからお金で分ける方法です。

相続人全員で不動産全体を売却して、お金で分ける合意をするといいでしょう。

相続人全員で合意できれば、相続をきっかけにして共有を解消することができます。

不動産の価値をいくらと考えるか、だれが実際に不動産を相続するのかで話し合いがまとまらないという心配はありません。

せっかく家族が守ってきた不動産を手放すことへの罪悪感にかられるかもしれません。

売却しようとしたのに買い手がつかないと相続手続きが長引くおそれがあります。

④共有持分の細分化はデメリットが大きい

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

相続財産は、複数の分け方があります。

相続人にもさまざまな考えがあるでしょう。

相続人全員の話し合いがまとまらないことは、少なくありません。

被相続人の共有持分を相続人全員で共有する方法は、話し合いが不要です。

相続人全員で法定相続分で共有するから、一見して公平に見えます。

話し合いがまとまらないと、先延ばしをしたくなります。

被相続人の共有持分をさらに細分化することはおすすめできません。

先延ばししても、メリットはないからです。

先延ばしすると、共有者にさらに相続が発生するでしょう。

共有者の共有持分は、共有者の相続人が相続します。

さらに共有者が増えることになります。

適切に相続登記をしていないと、だれにどれだけの持分があるのか分からなくなります。

共有物を処分する場合、共有者全員の合意が必要になります。

共有者が増えると、単純に話し合いが難しくなります。

気心が知れた兄弟で共有している場合、話し合いは比較的容易です。

相続で疎遠な親族と共有している場合、話し合いは難しくなるでしょう。

見知らぬ親族と共有している場合、話し合いはできなくなって先延ばしになるでしょう。

事実上、不動産の利活用ができなくなります。

共有持分の細分化はデメリットが大きいので、おすすめできません。

4相続前にできること

①遺言書作成

被相続人は生前に、自分の財産を自由に処分することができます。

被相続人は死亡後に、自分の財産をだれに引き継いでもらうか遺言書で自由に決めることができます。

遺言書で財産の行き先が決めてある場合、遺言書のとおりに分けることができます。

相続人全員で分け方の話し合いをする必要はありません。

遺言書は、作成するだけでは意味がありません。

遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。

遺言書を作成する場合、遺言執行者を選任することができます。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現するために必要な権限があります。

遺言執行者がいると、わずらわしい相続手続をおまかせすることができます。

遺言書を作成すると、家族がラクになります。

②共有持分を生前贈与

被相続人は生前に、自分の財産を自由に処分することができます。

自分の持っている共有持分を生前贈与することができます。

共有持分全部を一度に贈与することもできるし、共有持分を分割して複数回に分けて贈与することもできます。

贈与する財産によっては、贈与税が課せられるかもしれません。

一般的に言って、贈与税は想像以上に高額になりがちです。

高額な贈与をする場合、税務署や税理士に相談するといいでしょう。

③子どもには遺留分がある

被相続人は生前に、自分の財産を自由に処分することができます。

被相続人は死亡後に、自分の財産をだれに引き継いでもらうか遺言書で自由に決めることができます。

財産は被相続人が1人で築いたものではないでしょう。

家族の協力があってこそ築くことができた財産のはずです。

被相続人の名義になっているからといって、まったく無制約の自由にすることはできません。

今まで協力してきた家族に、酷な結果となることがあるからです。

被相続人に近い関係の相続人には、相続財産に対して最低限の権利が認められています。

相続財産に対して、認められる最低限の権利のことを遺留分と言います。

配偶者は、必ず相続人になります。

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

配偶者と子どもは、遺留分が認められています。

遺留分が認められる人のことを遺留分権利者と言います。

遺留分を侵害するような遺言書であっても、作成することはできます。

公正証書遺言であっても、遺言書作成だけで遺留分を奪うことはできません。

遺留分を侵害するような生前贈与であっても、することはできます。

遺留分を侵害した場合、遺留分権利者は遺留分侵害額請求をするでしょう。

相続人間の大きなトラブルに発展します。

遺言書作成や生前贈与をする場合、遺留分に注意しましょう。

5遺言書作成と遺言執行を司法書士に依頼するメリット

不動産を共有している場合、共有者は親子や兄弟などの近い関係の人が多いでしょう。

共有者の片方に相続が発生した場合、他の共有者が相続人であることが多いでしょう。

遺産分割協議が必要なのに、共有者だから当然に相続できると誤解しているかもしれません。

相続人でもないのに、一方的に相続すると言われても困惑するでしょう。

相続人間のトラブルに発展しがちです。

相続手続は、タイヘンです。

単なる相続人の誤解や無理解で、トラブルに発展するからです。

不動産の共有は、デメリットが大きいのでおすすめできません。

事前の対策で、防げるトラブルと言えます。

司法書士は、相続対策をサポートすることができます。

相続対策をするために、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

夫婦共有名義で片方死亡したときの相続

2024-05-15

1共有者でも優先されない

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについて、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続します。

相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することを代襲相続と言います。

②共有者が自動的に相続するわけではない

被相続人が不動産を共有している場合、被相続人の共有持分は相続人に相続されます。

被相続人が相続人のひとりと不動産を共有していた場合、何となく共有者が相続すると思うかもしれません。

共有者のひとりが相続人である場合、自動的に被相続人の共有持分を相続できるといったことはありません。

共有者であっても、優先権はないからです。

共有者が相続人だから、自動的に相続するといったルールはありません。

③共有者が取得するのは相続人不存在のとき

相続が発生したら、被相続人のものは相続人が相続します。

被相続人が不動産を共有していた場合、被相続人は不動産の共有持分を持っています。

被相続人の共有持分は、相続人が相続します。

共有者の片方が死亡した場合、他の共有者が共有持分を取得することを聞いたことがあるかもしれません。

共有者の片方が死亡した場合に他の共有者が共有持分を取得するのは、相続人が不存在の場合です。

被相続人が天涯孤独の場合、法律で決められた相続人は存在しないでしょう。

法律で決められた相続人はいても、相続人全員が相続放棄をすることがあります。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなくなります。

法律で決められた相続人全員が相続放棄をした場合、相続人不存在と言えます。

被相続人が払うべきお金を払わないまま、死亡することがあります。

相続人不存在であれば、相続人に払ってもらうことはできません。

被相続人の財産があれば、被相続人の財産から払ってもらいたいと望むでしょう。

被相続人が不動産を共有していた場合、共有持分は財産と言えます。

被相続人に特別縁故者がいることがあります。

特別縁故者とは、被相続人に特別な縁故があった人です。

家庭裁判所に特別縁故者と認められた場合、財産が分与を受けることができます。

受け取る人がいない財産は、国庫に帰属します。

国庫に帰属すべき財産が共有持分である場合、他の共有者が取得します。

被相続人に相続人がいる場合、相続人不存在ではありません。

共有者のひとりが死亡しても、自動で他の共有者が被相続人の共有持分を取得することはできません。

④ローンの有無を確認

夫婦で不動産を共有している場合、夫婦でお金を出し合って不動産を購入したケースでしょう。

不動産を購入するときに、夫婦それぞれがローンを組んでいることがあります。

被相続人にローンがある場合、ローンは相続財産です。

被相続人のローンは、原則として相続人が相続します。

多くの場合、被相続人がローンを組む際に団体信用生命保険に加入します。

ローン返済中に死亡した場合、保険金でローンは完済になります。

ローンを組む際に団体信用生命保険に加入することは義務ではありません。

ローン契約者の健康状態によっては、団体信用生命保険に加入できないことがあります。

団体信用生命保険に加入していない場合、そのままローンの返済義務が残ります。

ローンの返済義務は、相続人に相続されます。

2夫婦共有名義の建物で配偶者居住権

①配偶者短期居住権は夫婦共有名義の建物で認められる

配偶者短期居住権と配偶者居住権は、相続発生後に配偶者が住み場所を失わないようにするために作られた権利です。

配偶者短期居住権が認められる要件は、次のとおりです。

(1)法律上の配偶者であること

(2)被相続人の所有していた建物であること

(3)相続開始時に居住していたこと

配偶者短期居住権は、要件が満たされれば自動で認められます。

配偶者短期居住権が認められるためには、被相続人単独所有の建物に限られません。

被相続人が第三者と共有している建物であっても、配偶者短期居住権は認められます。

被相続人が配偶者以外の人と共有している建物であっても、差し支えありません。

配偶者短期居住権は、夫婦共有名義の建物で認められます。

②配偶者居住権は夫婦共有名義の建物で認められる

配偶者居住権が認められる要件は、次のとおりです。

(1)法律上の配偶者であること

(2)被相続人の所有していた建物であること

(3)相続開始時に居住していたこと

(4)配偶者居住権を設定

配偶者居住権は、自動で発生しません。

配偶者居住権を設定する必要があります。

配偶者居住権が認められるためには、被相続人単独所有の建物に限られません。

被相続人と配偶者の共有建物について、配偶者居住権が認められます。

配偶者以外の第三者と共有する建物について、配偶者居住権が認められません。

配偶者居住権は、原則として配偶者が終身居住する権利です。

配偶者以外の第三者と共有する建物である場合、配偶者居住権は大きな負担になります。

他の共有者にとって過大な負担になるから、配偶者以外の第三者と共有する建物である場合配偶者居住権は認められません。

配偶者居住権は、夫婦共有名義の建物で認められます。

3夫婦共有名義の片方死亡したときの相続で注意すること

①前婚の子どもは相続人

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

子どもは、夫婦の子どもだけではありません。

被相続人に再婚歴がある場合、前婚配偶者との間に子どもがいることがあります。

前婚配偶者は、離婚した元配偶者は相続人になりません。

被相続人が離婚しても、子どもは被相続人の子どものままです。

離婚した元配偶者が引き取っても、被相続人の子どもです。

離婚した元配偶者の氏を名乗っていても、被相続人の子どもです。

相続が発生したら、被相続人の財産は相続財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。

相続財産の分け方を決める話し合いを遺産分割協議と言います。

被相続人に前婚の子どもがいる場合、子どもは相続人です。

前婚の子どもを含めて、分け方の合意をしなければなりません。

一部の相続人を含めないで合意をしても、有効な合意ではありません。

前婚の子どもは、相続人になります。

②未成年の子どもに特別代理人

被相続人の子どもが赤ちゃんなどの未成年であることがあります。

未成年者は、物事のメリットデメリットを適切に判断することができません。

未成年者が契約などの法律行為をする場合、原則として親などの親権者が代わりに行います。

未成年者が相続人になる場合、親などの親権者は被相続人の配偶者でしょう。

被相続人の配偶者は、常に相続人になります。

未成年者と親などの親権者が同時に相続人である場合、親などの親権者は未成年者を代理することはできません。

親などの親権者の行為は、利益相反になるからです。

利益相反とは、一方がソンすると他方がトクをする関係です。

未成年者がソンをすると親などの親権者がトクする関係になるから、代理することはできません。

未成年にソンさせる意思はないなどの主張は、意味がありません。

親などの親権者の主観は、関係ありません。

客観的に利益相反と判断される場合、代理をすることができません。

親などの親権者が利益相反で代理ができない場合、家庭裁判所で代わりに人を選任してもらう必要があります。

代わりの人は、特別代理人と言います。

特別代理人は、未成年者の代わりに遺産分割協議に参加します。

未成年の子どもが相続人になる場合、特別代理人の選任が必要になります。

③自分のローンは残る

不動産を購入するときに、夫婦それぞれがローンを組んでいることがあります。

債務者がローン返済中に死亡した場合、団体信用生命保険の保険金でローンは完済になります。

ローンが完済になるのは、被相続人の債務だけです。

生存配偶者のローンは、今までどおり返済が必要です。

④抵当権抹消登記は申請が必要

ローンの返済が滞ったときに備えて、銀行は不動産を担保にします。

返済が滞ったときに備えて、担保にする権利を抵当権と言います。

ローンを組んだときに、不動産には抵当権設定登記がされています。

債務者がローン返済中に死亡した場合、団体信用生命保険の保険金でローンは完済になります。

ローンが完済になると、抵当権はなくなります。

抵当権がなくなっても、抵当権の登記は自動でなくなりません。

金融機関が自動で消してくれることはありません。

抵当権抹消登記は、当事者からの申請が必要です。

4相続前にできること

①遺言書作成

被相続人は生前に、自分の財産を自由に処分することができます。

被相続人は死亡後に、自分の財産をだれに引き継いでもらうか遺言書で自由に決めることができます。

遺言書で財産の行き先が決めてある場合、遺言書のとおりに分けることができます。

相続人全員で分け方の話し合いをする必要はありません。

遺言書は、作成するだけでは意味がありません。

遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。

遺言書を作成する場合、遺言執行者を選任することができます。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現するために必要な権限があります。

遺言執行者がいると、わずらわしい相続手続をおまかせすることができます。

遺言書を作成すると、家族がラクになります。

②おしどり贈与を活用して共有持分を生前贈与

被相続人は生前に、自分の財産を自由に処分することができます。

自分の持っている共有持分を生前贈与することができます。

共有持分全部を一度に贈与することもできるし、共有持分を分割して複数回に分けて贈与することもできます。

贈与する財産によっては、贈与税が課せられるかもしれません。

おしどり贈与とは、贈与税の配偶者控除の特例です。

婚姻期間が20年以上の夫婦で居住用不動産を贈与したときに適用されます。

おしどり贈与の適用を受ければ、基礎控除とは別に2,000万円の控除が受けられます。

一般的に言って、贈与税は想像以上に高額になりがちです。

高額な贈与をする場合、税務署や税理士に相談するといいでしょう。

③子どもには遺留分がある

被相続人は生前に、自分の財産を自由に処分することができます。

被相続人は死亡後に、自分の財産をだれに引き継いでもらうか遺言書で自由に決めることができます。

財産は被相続人がひとりで築いたものではないでしょう。

家族の協力があってこそ築くことができた財産のはずです。

被相続人の名義になっているからといって、まったく無制約の自由にすることはできません。

今まで協力してきた家族に、酷な結果となることがあるからです。

被相続人に近い関係の相続人には、相続財産に対して最低限の権利が認められています。

相続財産に対して、認められる最低限の権利のことを遺留分と言います。

配偶者は、必ず相続人になります。

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

配偶者と子どもは、遺留分が認められています。

遺留分が認められる人のことを遺留分権利者と言います。

遺留分を侵害するような遺言書であっても、作成することはできます。

公正証書遺言であっても、遺言書作成だけで遺留分を奪うことはできません。

遺留分を侵害するような生前贈与であっても、することはできます。

遺留分を侵害した場合、遺留分権利者は遺留分侵害額請求をするでしょう。

相続人間の大きなトラブルに発展します。

遺言書作成や生前贈与をする場合、遺留分に注意しましょう。

5遺言書作成と遺言執行を司法書士に依頼するメリット

不動産を共有している場合、共有者は親子や兄弟などの近い関係の人が多いでしょう。

共有者の片方に相続が発生した場合、共有者が相続人であることが多いでしょう。

共有者だから当然に相続できると誤解していることがあります。

他の相続人から見ると一方的に相続すると言われているのだからいい気持ちはしません。

相続人間のトラブルに発展しがちです。

相続手続は、タイヘンです。

単なる相続人の誤解や無理解で、トラブルに発展するからです。

不動産の共有は、デメリットが大きいのでおすすめできません。

相続人全員が合意できるのであれば、共有者が被相続人の共有持分を相続するのがおすすめです。

相続人全員の合意ができれば、です。

相続人全員が正しい知識があれば、防げるトラブルと言えます。

司法書士は、相続人をサポートすることができます。

適切な遺産分割協議をするために、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

現金を相続するときの注意点

2024-05-10

1現金は相続財産

①現金は遺産分割の対象

相続が発生したら、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。

被相続人が手元に現金を残したまま死亡した場合、現金は相続財産です。

相続人全員の共有財産になるから、一部の相続人が勝手に取得することはできません。

現金は、遺産分割の対象です。

②相続財産の分け方は相続人全員の合意で決定

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

現金は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

不動産や預貯金などと同様に、現金の分け方を決めるためには、相続人全員の合意が必要です。

③遺産分割協議書は相続人全員の合意の証明

相続財産の分け方を決めるための相続人全員の話し合いを遺産分割協議と言います。

遺産分割協議で相続財産の分け方について合意ができた場合、相続人全員の合意内容を文書に取りまとめます。

遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容を取りまとめた文書です。

相続人全員に内容を確認してもらって記名し実印で押印してもらいます。

遺産分割協議書の押印が実印による押印であることを証明するため、印鑑証明書を添付します。

相続人全員の記名押印は、遺産分割協議書に間違いがないことの証明です。

遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容の証明書です。

遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書で、相続人全員の合意内容を客観的に証明することができます。

④現金を黙っていると使い込みトラブル

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

一部の相続人が勝手に取得することはできません。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があるからです。

自宅などに現金が保管されていた場合、相続人で情報共有することが大切です。

他の相続人に何も言わないと、使い込みトラブルになるおそれがあります。

現金は、存在や金額が客観的に分かりにくいと言えます。

預貯金は、入出金履歴を金融機関に照会することができます。

現金の存在を他の相続人が知らなかったら、遺産分割の対象から外すことができてしまいます。

もちろん、相続財産は相続人全員の共有財産です。

現金を隠したり勝手に取得する行為は、刑法上の横領や窃盗になるおそれがあります。

使い込みをしていなくても、相続人が疑心暗鬼になるとトラブルになります。

被相続人の現金を見つけた場合、相続人間で情報共有することが重要です。

2現金を相続するメリット

①現金の相続は名義変更が不要

現金の相続では、名義変更手続は不要です。

銀行などの預貯金は、現金ではありません。

預貯金の相続では、相続手続が必要です。

銀行などの預貯金は、銀行から預貯金を引き出す権利だからです。

銀行から預貯金を引き出す権利をだれが相続するのか、相続人全員で合意する必要があります。

現金を相続する場合も、現金をだれが相続するのか相続人全員で合意する必要があります。

現金であっても銀行の預貯金であっても、相続人全員の合意で分け方を決める必要があります。

相続人全員の合意ができれば、すぐに現金を取得することができます。

相続人全員の合意ができるまで、一部の相続人が勝手に使うことはできません。

現金は名義変更手続が不要である点がメリットです。

②現金はすぐに使うことができる

現金の相続では、名義変更手続は不要です。

遺産分割協議ができれば、すぐに取得することができます。

例えば、不動産を相続した場合、相続登記をする必要があります。

売却してお金で分けたいと合意しても、思うようにいかないことが多いでしょう。

相続人全員が納得するような値が付かないことがあります。

売却することに納得できても、時期がよくないと考えるかもしれません。

現金はすぐに使うことができる点がメリットです。

③公平に分けやすい

相続財産には、いろいろな種類の財産があることが通常です。

現金や預貯金は、分けやすい財産です。

不動産は、分けにくい財産の代表です。

相続財産の大部分が不動産であることがあります。

相続財産の分け方について、相続人全員の合意は難航しがちです。

不動産は、分けにくい財産だからです。

相続財産の分け方は、次の方法があります。

(1)現物分割

(2)換価分割

(3)代償分割

(4)共有

(5)用益権設定による分割

どの方法にも、メリットデメリットがあります。

不動産は、公平に分けることが難しいものです。

現金や預貯金は、1円単位まで簡単に分けることができます。

現金は公平に分けることができる点がメリットです。

④遺留分侵害額請求などに対応しやすい

被相続人は、原則として、自分の財産をだれに受け継がせるかは自由に決めることができます。

財産は被相続人が1人で築いたものではないでしょう。

家族の協力があってこそ、築くことができた財産のはずです。

被相続人の名義になっているからといって、まったく無制約の自由にすることはできません。

今まで協力してきた家族に、酷な結果となることがあるからです。

被相続人に近い関係の相続人には、相続財産に対して最低限の権利が認められています。

相続財産に対して、認められる最低限の権利のことを遺留分と言います。

分配を受けた財産が遺留分に満たない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分を侵害した人は、遺留分侵害額請求を拒否することはできません。

遺留分侵害額請求は、遺留分に相当する金銭を請求します。

原則として、すぐに現金で支払いをしなければなりません。

現金を相続した場合、遺留分侵害額請求に対応しやすいでしょう。

現金は遺留分侵害額請求などに対応しやすい点がメリットです。

3現金を相続したときの相続税

①相続税がかかるのは基礎控除額を超えたとき

資産家や有名人が死亡した後に、多額の相続税を納付した話を聞くことがあります。

高額な相続税を想像して、不安になるかもしれません。

相続税がかかるのは、相続財産が基礎控除額を超えたときのみです。

基礎控除額は、次の計算式で求められます。

基礎控除額=3000万円+600万円×相続人の人数

相続財産が基礎控除額に収まっていれば、相続税はかかりません。

相続税の申告をしなければならない人は、実際のところ10%にも満たないわずかな人です。

相続税の申告が必要なだけで、納税は必要ない人もたくさんいます。

相続税がかかるのは、基礎控除額を超えたときのみです。

②配偶者には相続税がほとんどかからない

相続税には、配偶者控除があります。

相続税の配偶者控除は、次のうちいずれか大きい方です。

・1億6000万円

・法定相続分

相続人が配偶者のみである場合、配偶者はすべての財産を相続します。

すべての財産が配偶者控除の対象です。

配偶者は、手厚く保護されています。

配偶者控除を適用すると、配偶者が相続税を納めることは稀です。

配偶者には、相続税がほとんどかかりません。

③現金は相続税対策がしにくい

相続税の対象額は、対象となる相続財産を評価して計算します。

現金を相続する場合、額面そのままの評価額です。

不動産を相続する場合、購入額より低い評価額になることが多いでしょう。

土地の相続税評価額は、時価の80%程度が多いです。

建物の相続税評価額は、時価の70%程度が多いです。

不動産には、相続税を少なくする特例や控除が複数設けられています。

不動産を相続する場合、相続税対策がしやすいと言えます。

現金には、相続税を少なくする特例や控除がありません。

現金を相続する場合、相続税対策がしにくいと言えます。

④自宅で現金が見つかったら

遺品整理をしていると、金庫や家具などから手許現金が見つかることがあります。

被相続人の現金であれば、相続財産です。

相続税の申告が必要な財産規模である場合、手許現金は申告する必要があります。

手許現金は、有無が分かりにくい財産です。

相続税申告をした後に、多額の現金が見つかることがあります。

申告すべき財産を見つけた場合、すぐに修正申告をする必要があります。

自主的に修正申告をした場合、加算税が免除されます。

税務調査などで指摘された後に修正申告をする場合、延滞税や過少申告加算税が課されます。

意図的な財産隠しと認められる場合、さらに重加算税が課されます。

自宅で現金が見つかったら、ただちに修正申告が必要です。

4遺産分割協議証明書作成を司法書士に依頼するメリット

遺産分割協議書と遺産分割協議証明書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。

前提として、話し合いによる合意ができていなければ、文書にできません。

話し合いによる合意を適切に文書にする必要があります。

書き方に不備があるとトラブルを起こしてしまう危険があります。

せっかくお話合いによる合意ができたのに、取りまとめた文書の不備でトラブルになるのは残念なことです。

トラブルを防止するため、遺産分割協議書を作成したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

消費者金融の借金があるのに死亡

2024-05-09

1消費者金融の借金は相続財産

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②返済義務があるのは債務者だけ

お金を借りたら、借りたお金は返さなければなりません。

原則として、消費者金融の契約には保証人は不要です。

保証人とは、お金が返せなくなったときに肩代わりをする人です。

保証人には、肩代わりをする義務があります。

返済義務があるのは、債務者だけです。

たとえ債務者の家族であっても保証人でなければ、肩代わりをする義務はありません。

ドラマや映画の中では、家族の借金だから返済して当然などと言って取立てをしていることがあります。

債務者が返済に行き詰っても、家族には借金を返済する義務も肩代わりの義務もありません。

返済義務があるのは、債務者だけです。

③債務者が死亡しても契約はなくならない

債務者が生きている間、返済義務があるのは債務者だけです。

債務者が死亡した場合、契約は相続の対象になります。

債務者が借金苦を理由に死亡しても、契約は消えてなくなりません。

住宅ローンの債務者が死亡した場合、団体信用生命保険の保険金でローンが完済になります。

奨学金を受けていた奨学生が死亡した場合、奨学金の返済は認められれば免除されることがあります。

消費者金融の借金は、債務者が死亡しても返済が免除されることはありません。

債務者が死亡しても、契約はなくならないからです。

④消費者金融の借金は相続人が相続する

債務者が死亡した場合、契約は相続の対象になります。

相続が発生したら、被相続人のものは相続人が相続します。

被相続人のプラスの財産とマイナスの財産が相続財産です。

消費者金融の借金は、相続財産のひとつです。

消費者金融の借金は、法定相続分で相続人が相続します。

2消費者金融の借金を調べる方法

①自宅で書類を探す

相続が発生した後に遺品整理をしていると、借入明細書や督促状が見つかることがあります。

多くの場合、被相続人が生前に銀行の預貯金口座を保有していたでしょう。

預貯金の通帳を記帳すると、消費者金融の引落が見つかることがあります。

消費者金融の引落が見つかったら、借り入れの状況を尋ねるといいでしょう。

自宅保管している書類を探すことで、被相続人の借金が判明します。

②信用情報機関に開示請求をする

消費者金融から借金があるかもしれないと不安になることがあります。

被相続人と別居している場合、詳しい財産状況は分からないことが多いでしょう。

被相続人に借金があるかもしれないと不安な場合、信用情報機関に照会することができます。

信用情報は、個人情報の一部です。

信用情報には、本人を特定するための情報とローンやクレジットなどの取引内容、返済状況に関する情報があります。

消費者金融やクレジット会社は、指定信用情報機関に加入しています。

信用情報を確認すると、ローンやクレジットなどの取引内容、返済状況が詳しく分かります。

(1)日本信用情報機構(JICC)

(2)株式会社シー・アイ・シー(CIC)

(3)全国銀行協会全国銀行個人信用情報センター(KSC)

消費者金融やクレジット会社が複数の信用情報機関に加入していることがあります。

信用情報機関は、信用情報を相互に共有することができます。

信用情報は、本人や本人の相続人が開示請求をすることができます。

信用情報機関に開示請求をすることで、被相続人の借金を調べることができます。

3相続放棄で借金の相続を免れる

①相続放棄は家庭裁判所の手続

債務者が死亡しても、借金を返済する義務はなくなりません。

消費者金融の借金は、相続財産です。

相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄を希望する申立てをします。

家庭裁判所の手続をせずに、相続放棄をすることはできません。

相続放棄の期限は、相続があったことを知ってから3か月です。

「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。

家庭裁判所で相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。

消費者金融に莫大な借金があっても、相続放棄をして借金を免れることができます。

②相続放棄をしても契約はなくならない

相続放棄をしたら、はじめから相続人でなくなります。

相続放棄が認められても、契約は消えてなくなりません。

被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。

子どもが相続放棄をしたら、はじめから相続人でなくなります。

子ども全員が相続放棄をしたら、子どもがいない場合になります。

被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属が相続人になります。

子どもに相続放棄が認められても、契約は消えてなくならないからです。

相続人が相続放棄をすると、次順位の人が相続人になります。

次順位の人も相続放棄を希望するのであれば、家庭裁判所に対して手続をする必要があります。

相続放棄をしても、借金を返済する義務はなくなりません。

③相続人全員が相続放棄できる

相続人になる人は、法律で決まっています。

相続放棄は、多くの場合、被相続人のマイナスの遺産を引き継がないために行われます。

相続人が全員相続放棄をしたら、被相続人の借金なのに、だれも責任をとらないことになります。

だれも責任をとらないことに対して、後ろめたく思う人もいるかもしれません。

相続放棄は、相続人ひとりひとりが自分の意思で自由に判断できるものです。

結果として、相続人全員が相続放棄を選択することになっても、法律上、やむを得ないことです。

配偶者と子ども全員が相続放棄をした場合、次順位の親などの直系尊属が相続人になります。

親などの直系尊属全員が相続放棄をした場合、次順位の兄弟姉妹が相続人になります。

兄弟姉妹全員が相続放棄をした場合、次順位の相続人はいません。

借金がどこまでも無限に追いかけてくることはありません。

だれが相続人になるかについては、法律で決められているからです。

相続人全員が相続放棄をした場合、相続人不存在になります。

相続人不存在になっても、相続人でない人が借金の返済を迫られることはありません。

相続人全員が相続放棄をすることができます。

④単純承認をすると相続放棄は無効になる

家庭裁判所で相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。

消費者金融の莫大な借金があっても、相続することはありません。

相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

単純承認したとみなされる行為は、法律で定められています。

相続財産の名義変更をした、相続財産である銀行の預貯金を引き出して使ってしまった場合が典型的です。

単純承認をしたのに、家庭裁判所に対して相続放棄を希望する申立てをすることがあります。

単純承認をした後に、相続放棄をすることはできません。

相続放棄はできないのに、家庭裁判所に相続放棄の手続をして、相続放棄が認められても無効です。

相続放棄の申立てがあった場合、家庭裁判所は提出した書類を見て審査をします。

提出書類に問題がなければ、相続放棄を認める決定をしてしまいます。

家庭裁判所で相続放棄が認められても、無効の決定です。

単純承認をした場合、債権者は相続放棄は無効だから借金を返済して欲しいと裁判を起こすことができます。

単純承認をすると、相続放棄は無効になります。

⑤相続放棄をしても生命保険の死亡保険金

被相続人に生命保険がかけてある場合、死亡保険金が支払われます。

原則として生命保険の保険金を受け取る権利は、相続人の固有の財産です。

受取人が「相続人」と指定してあっても、相続で受け取るものではありません。

被相続人の死亡をきっかけにして、保険契約によって受取人が保険金を受け取るものです。

多くの場合、被相続人は生前に生命保険の死亡保険金を受け取る権利を持っていなかったでしょう。

相続によって、被相続人から受け継いだものではありません。

相続人の固有の財産だから、相続放棄をした人は生命保険の保険金を受け取ることができます。

生命保険の保険金を受け取ったことで、相続放棄が無効になることはありません。

相続放棄をした場合、消費者金融の借金を引き継ぐことはありません。

相続放棄をしても、生命保険の死亡保険金を受け取ることができます。

債務者の家族であっても、生命保険の死亡保険金で債務者の借金を返済する義務はありません。

4消滅時効が完成しても借金の請求

①消滅時効の援用で借金から免れる

被相続人の借金が相当古いものであることがあります。

相当古い借金である場合、時効が完成するために必要な期間を経過しているかもしれません。

時効完成後の借金は、消滅時効を援用することで返済を免れることができます。

消費者金融は消滅時効が完成した借金であっても、請求してくることがあります。

消滅時効が完成するために必要な期間を経過しても、借金はなくなったわけではないからです。

債務者が消滅時効の利益を受けることを潔しとするか、分からないと言う理由もあります。

債務者が消滅時効の利益を受けることを希望する場合、時効援用の意思表示をする必要があります。

②時効援用でプラスの財産を相続

消費者金融の借金が時効消滅している場合、相続人は消滅時効を援用することができます。

被相続人に莫大なマイナスの財産と莫大なプラスの財産があることがあります。

莫大なマイナスの財産の時効消滅を援用したら、マイナスの財産を引き継ぐことなくプラスの財産を引き継ぐことができます。

③債務承認で時効が更新される

債務者に相続が発生したら、消費者金融は戸籍謄本等で相続人を調査することができます。

相続人に借金を返済してもらおうと考えて、連絡してくることがあります。

時効援用の意思表示をする前に債務承認をした場合、時効は更新されます。

例えば、次のような行為があると時効が更新されます。

・借金の一部の返済

・借金の返済猶予の申出

・借金の分割払いの申出

時効が更新されると、消滅時効の利益を受けることができなくなります。

被相続人に古い借金がある場合、慎重な対応が必要です。

④消滅時効を援用すると単純承認になる

消滅時効を援用することは、相続財産の処分行為です。

相続財産を処分した場合、相続を単純承認したと判断されます。

ひょっとしたら他にも莫大な借金が見つかるかもしれません。

新たに見つかった借金は、時効消滅していない可能性があります。

単純承認をした後に、相続放棄をすることはできません。

相続放棄は撤回できないように単純承認も撤回することができないからです。

被相続人に古い借金がある場合、慎重な対応が必要です。

5消費者金融の借金を残して死亡したときの相続を司法書士に依頼するメリット

大切な家族を失ったら、大きな悲しみに包まれます。

やらなければいけないと分かっていても、気力がわかない方も多いものです。

相続財産と聞くと、プラスの財産だけイメージしがちです。

被相続人の財産内容を家族が詳細に知っていることは、ほとんどありません。

相続手続の過程で被相続人に借金があったことを知ることになります。

消費者金融の借金は、相続以上に高額になることがあります。

司法書士が、必要な手続や適切な対応についてサポートします。

相続手続を済ませていない方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

兄弟共有名義で片方死亡したときの相続

2024-03-27

1兄弟共有名義で片方死亡したときの相続

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについて、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続します。

相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することを代襲相続と言います。

②先順位の人がいたら兄弟姉妹は相続人にならない

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属が相続人になります。

兄弟姉妹が相続人になるのは、被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合です。

先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になりません。

先順位の人がいたら、兄弟姉妹は相続人になりません。

③共有者が取得するのは相続人不存在のとき

相続が発生したら、被相続人のものは相続人が相続します。

被相続人が不動産を共有していた場合、被相続人は不動産の共有持分を持っています。

被相続人の共有持分は、相続人が相続します。

共有者の片方が死亡した場合、他の共有者が共有持分を取得することを聞いたことがあるかもしれません。

共有者の片方が死亡した場合に他の共有者が共有持分を取得するのは、相続人が不存在の場合です。

被相続人が天涯孤独の場合、法律で決められた相続人は存在しないでしょう。

法律で決められた相続人はいても、相続人全員が相続放棄をすることがあります。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなくなります。

法律で決められた相続人全員が相続放棄をした場合、相続人不存在と言えます。

被相続人が払うべきお金を払わないまま、死亡することがあります。

相続人不存在であれば、相続人に払ってもらうことはできません。

被相続人の財産があれば、被相続人の財産から払ってもらいたいと望むでしょう。

被相続人が不動産を共有していた場合、共有持分は財産と言えます。

被相続人に特別縁故者がいることがあります。

特別縁故者とは、被相続人に特別な縁故があった人です。

家庭裁判所に特別縁故者と認められた場合、財産が分与を受けることができます。

受け取る人がいない財産は、国庫に帰属します。

国庫に帰属すべき財産が共有持分である場合、他の共有者が取得します。

被相続人に相続人がいる場合、相続人不存在ではありません。

共有者のひとりが死亡しても、自動で他の共有者が被相続人の共有持分を取得することはできません。

2兄弟共有名義の建物で配偶者居住権

①配偶者短期居住権は兄弟共有名義の建物で認められる

配偶者短期居住権と配偶者居住権は、相続発生後に配偶者が住み場所を失わないようにするために作られた権利です。

配偶者短期居住権が認められる要件は、次のとおりです。

(1)法律上の配偶者であること

(2)被相続人の所有していた建物であること

(3)相続開始時に居住していたこと

配偶者短期居住権は、要件が満たされれば自動で認められます。

配偶者短期居住権が認められるためには、被相続人単独所有の建物に限られません。

被相続人が第三者と共有している建物であっても、配偶者短期居住権は認められます。

被相続人が配偶者以外の人と共有している建物であっても、差し支えありません。

配偶者短期居住権は、兄弟共有名義の建物で認められます。

②配偶者居住権は兄弟共有名義の建物で認められない

配偶者居住権が認められる要件は、次のとおりです。

(1)法律上の配偶者であること

(2)被相続人の所有していた建物であること

(3)相続開始時に居住していたこと

(4)配偶者居住権を設定

配偶者居住権は、自動で発生しません。

配偶者居住権を設定する必要があります。

配偶者居住権が認められるためには、被相続人単独所有の建物に限られません。

被相続人と配偶者の共有建物について、配偶者居住権が認められます。

配偶者以外の第三者と共有する建物について、配偶者居住権が認められません。

配偶者居住権は、原則として配偶者が終身居住する権利です。

配偶者以外の第三者と共有する建物である場合、配偶者居住権は大きな負担になります。

他の共有者にとって過大な負担になるから、配偶者以外の第三者と共有する建物である場合配偶者居住権は認められません。

配偶者居住権は、兄弟共有名義の建物で認められません。

3共有を継続するとデメリットが大きい

デメリット①共有物を処分するには共有者全員の合意が必要

共有財産は、共有している人全員が合意しないと、処分はできません。

処分するとは、共有物を売却する、第三者に賃貸することなどです。

たくさんの人で共有している場合、合意がまとまりにくくなります。

共有者の多数決では、ありません。

1人でも反対の人がいると、共有者全員の合意があるとは言えなくなります。

1人でも反対の人がいると、処分はできません。

デメリット②共有者に相続が発生する

共有物を処分するためには、共有者全員の合意が必要です。

共有者が多くなると、共有者全員の合意が難しくなります。

簡単に、合意ができなくなります。

共有者全員の合意ができないから、売却などの判断は先延ばししがちです。

せっかくの資産なのに、事実上、利活用ができなくなります。

判断の先延ばしにより長期間経過すると、共有者に相続が発生することがあります。

共有者に相続が発生すると、共有者の共有持分は相続財産になります。

相続財産とは言うものの、利活用が難しい財産です。

共有者の相続人は、だれも積極的に相続したがらないでしょう。

死亡した共有者の共有持分を、相続人全員が法定相続分で細分化して共有することがあります。

だれもが相続したがらないから、やむを得ないともいえます。

このような相続が何人もの共有者の間で発生することがあります。

さらに共有者がたくさんになり、共有持分がさらに細分化されます。

相続したくない財産だから、相続登記を先延ばししがちです。

だれにどれだけの共有持分があるのか登記簿謄本を見ても、分からなくなります。

デメリット③共有持分を売却するおそれ

共有物全体を売却する場合、共有者全員の合意が必要です。

それぞれの共有者が持っている共有持分を売却する場合、他の共有者の合意は不要です。

あまり知られていませんが、共有者が持っている共有持分を買い取る業者がいます。

共有持分を買い取る業者は、ビジネスです。

遠慮なく共有者としての権利を主張します。

共有者としての権利とは、共有持分買取請求や共有物分割請求などです。

共有者間で話し合いができなければ、当然、裁判所に持ち込まれることになるでしょう。

共有持分を買い取る業者は、弁護士を付けてくるでしょう。

知識のない一般の人では、対応できません。

弁護士に依頼することになるでしょう。

一部の共有者が自分の共有持分を売却した場合、大きなトラブルに巻き込まれることになります。

4相続が発生する前にできること

①共有を解消する

不動産の共有は、デメリットが多くおすすめできません。

すでに不動産を共有しているのであれば、早期に単独所有にすることをおすすめします。

共有不動産を処分するには、共有者全員の合意が必要です。

気心が知れた兄弟で共有している場合、話し合いは比較的容易でしょう。

共有を解消するためには、次の方法があります。

(1)自分の共有持分を売渡す

(2)相手の共有持分を買取る

(3)共有者全員で不動産全体を売却する

どの方法をとるにしても、相手方との合意が不可欠です。

共有者のひとりに相続が発生した場合、共有者の共有持分は相続人が相続します。

気心が知れた兄弟だから気軽に話せたのに、兄弟の相続人となると気軽に話せないでしょう。

共有を解消するための合意が難しくなります。

共有のまま相続が発生した場合、家族が苦労します。

不動産を共有している場合、早めに共有を解消することをおすすめします。

②遺言書を作成して共有持分を遺贈

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になりません。

兄弟姉妹が相続人になるのは、被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合です。

兄弟姉妹が相続人にならない場合、兄弟姉妹が相続することはできません。

相続人にならないであっても、財産を引き継いでもらうことができます。

被相続人は、生前に遺言書を作成することができます。

遺言書で、自分の財産を相続人や相続人以外の人に譲ってあげることができます。

遺贈とは、遺言書で相続人や相続人以外の人に財産を譲ってあげることです。

兄弟姉妹は、相続人以外の人として遺贈を受けることができます。

遺言書は、作成するだけでは意味がありません。

遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。

遺言書を作成する場合、遺言執行者を選任することができます。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現するために必要な権限があります。

遺言執行者がいると、わずらわしい相続手続をおまかせすることができます。

遺言書を作成して、他の共有者に共有持分を遺贈することができます。

5遺言書作成と遺言執行を司法書士に依頼するメリット

不動産を共有している場合、共有者は親子や兄弟などの近い関係の人が多いでしょう。

共有者の片方に相続が発生した場合、他の共有者が相続人であることが多いでしょう。

兄弟姉妹で共有している場合、相続人でないことがあります。

相続できないにもかかわらず、共有者だから当然に相続できると誤解しているかもしれません。

相続人でもないのに、一方的に相続すると言われても困惑するでしょう。

相続人間のトラブルに発展しがちです。

相続手続は、タイヘンです。

単なる相続人の誤解や無理解で、トラブルに発展するからです。

不動産の共有は、デメリットが大きいのでおすすめできません。

事前の対策で、防げるトラブルと言えます。

司法書士は、相続対策をサポートすることができます。

相続対策をするために、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

投資信託を相続

2024-03-06

1投資信託は相続財産

①投資信託は金融商品

相続が発生したら、被相続人のものは相続人が相続します。

被相続人が生前保有していた財産が相続財産です。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

預貯金や株式以外に、いろいろな金融商品が販売されています。

被相続人が生前に投資信託を保有していることがあります。

投資信託は、金融商品のひとつです。

投資信託は、内容が複雑なものも多いものです。

投資に詳しくないから、よく分からないと思ってしまうかもしれません。

お金を預けて、資産運用の専門家が株式や債券で運用して、運用成果を分配してもらう仕組みです。

投資信託は、株式や債券で運用します。

投資信託の権利は、受益権と言います。

投資信託の受益権は、財産的な価値があります。

被相続人が保有していた投資信託の受益権は、相続財産です。

②投資信託に通帳はない

被相続人が銀行などに預貯金の口座を持っていた場合、通帳を持っているでしょう。

被相続人が投資信託を法有していた場合、通帳にあたるものがはじめからありません。

投資信託を保有している場合、証券会社などから手紙が届きます。

運用報告書や取引残高報告書などです。

自宅でこれらの書類がないか探してみましょう。

被相続人の預貯金の通帳を確認すると、証券口座への入出金履歴が見つかることがあります。

投資信託を保有していたことを知っている場合、どこの証券会社に口座があるのか探します。

取引していた証券会社が判明したら、証券会社に連絡します。

相続人は、証券会社に対して取引残高証明書の発行を請求することができます。

取引残高証明書には、どの投資信託を何口持っていたのか詳しく記載されています。

取引残高証明書の発行は、各相続人が単独で請求することができます。

③投資信託の受益権は当然分割されない

投資信託を相続するとは、運用成果を分配してもらう権利を相続することです。

投資信託の受益権は、口数を単位にしています。

当然に分割できると思うかもしれません。

投資信託の権利は、相続人全員の合意で分け方を決める必要があります。

仮に相続分が2分の1だからと言っても、被相続人の保有していた投資信託の口数の2分の1を相続できるわけではありません。

投資信託の受益権は、運用成果を分配してもらう権利だけではありません。

投資信託が適切に運用されているのか監督する権利があります。

投資信託の受益者は、出資者だからです。

投資信託の受益権は、単純な金銭支払請求権ではありません。

被相続人が投資信託を保有していた場合、投資信託を監督する権利も持っていたはずです。

投資信託を監督する権利は、分割することができません。

投資信託を監督する権利を含めて、投資信託の権利の分け方は相続人全員で決めなければなりません。

投資信託の受益権は、当然分割されません。

④投資信託の収益金は当然分割されない

投資信託は、運用成果を分配してもらう仕組みです。

あらかじめ決めらた日に、収益の分配金や償還金が支払われます。

投資信託の受益権は、当然分割されません。

投資信託の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

なかなか相続人全員の合意ができないことがあります。

相続人全員が話し合いの途中であっても、決められた日になれば収益の分配金や償還金が支払われます。

相続発生後に相続人の話し合い中に発生した分配金や償還金は、当然に分割されません。

仮に相続分が2分の1だからと言っても、分配金や償還金の2分の1を相続できるわけではありません。

分配金や償還金を受け取る権利は、投資信託の受益権の一部と言えるからです。

分配金や償還金を受け取る権利だけを切り離すことはできません。

投資信託の受益権の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

分配金や償還金を受け取るためには、相続人全員の合意が必要になります。

投資信託の収益金は、当然分割されません。

2相続発生で証券口座が凍結される

相続が発生したことを証券会社が知った場合、証券口座を凍結します。

口座の凍結とは、口座取引をすべて停止することです。

銀行の預貯金の口座と同様に相続手続が完了するまで、投資信託の処分などができなくなります。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

投資信託の権利は、相続人全員の合意で分け方を決める必要があります。

相続人全の合意ができないうちに、一部の相続人が勝手に投資信託を売却することがあります。

相続人全員の共有財産なのに勝手に独り占めをしたら、大きなトラブルになるでしょう。

証券会社などは他の相続人から強い抗議を受けることになります。

抗議を受けるだけでなく、相続人のトラブルに巻き込まれることになるかもしれません。

被相続人の財産が守られないとなったら、証券会社の信用は失墜するでしょう。

大切な財産を預かているのだから、信用失墜は何としても避けたいはずです。

相続人間のトラブルに巻き込まれないため、相続発生を知ったら証券口座は凍結されます。

3投資信託の相続手続

①遺産分割協議で相続人全員の合意

被相続人が保有していた投資信託は、相続財産です。

相続財産を分けるためには、相続人全員で話し合いによる合意をする必要があります。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

一部の相続人が勝手に処分することはできません。

投資信託の分け方について相続人全員の合意ができたら、合意内容を文書に取りまとめます。

相続財産の分け方について相続人全員合意内容を取りまとめた文書を遺産分割協議書と言います。

遺産分割協議書は、相続人全員が確認のうえ記名し実印で押印します。

遺産分割協議書の押印が実印によるものであることを証明するため、印鑑証明書を添付します。

②相続手続書類を提出

投資信託の相続手続は、証券会社ごとに多少異なります。

おおむね、次の書類が必要です。

(1)名義書換請求書

(2)被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

(3)相続人の現在戸籍

(4)相続人全員による遺産分割協議書

(5)相続人全員の印鑑証明書

③相続人の口座開設

投資信託を相続する場合、相続人の証券口座が必要です。

相続人がその証券会社に口座を持っていない場合、あらかじめ、口座開設が必要になります。

被相続人の口座から直接投資信託を売却することはできません。

口座開設には、本人確認書類やマイナンバーが分かる書類が必要です。

④相続人名義の口座へ移管

投資信託を売却できるようになるのは、相続手続が完了してからです。

相続人名義の口座に移管されたら、相続人自身の固有の財産です。

保有し続けることも売却することも、自由にできます。

⑤被相続人の口座閉鎖

被相続人の資産がすべて移管された段階で、被相続人の口座は閉鎖されます。

4投資信託を相続するときの注意点

①投資信託は価格変動する

投資信託は、株式や債券で運用します。

株式や債券は、日々大きな値動きがあります。

売却時期や方法で、売却金に大きな差が出ることがあります。

相続人全員の話し合いをしている間にも、大きな値動きがあります。

売却時期や方法で、トラブルになるおそれがあります。

相続人間のトラブルを防止するため、売却時期や方法について合意しておくといいでしょう。

合意内容は、遺産分割協議書に明記するのがおすすめです。

②遺産分割協議中も収益分配金が入金される

相続財産の分け方について、相続人全員で合意できるまで長引くことがあります。

相続人全員の話し合いをしている間にも、収益分配金が入金されることがあります。

収益分配金相当額をどうするのかについても、話し合いで合意しておく必要があります。

これらの合意事項は、忘れず遺産分割協議書に盛り込みましょう。

③遺産分割協議書の書き方不備で贈与税

投資信託をどのように分けるか、相続人全員の合意で決定します。

特定の相続人が投資信託を相続して、他の相続人はその分のお金をもらう方法があります。

投資信託を売却して、売却金を相続人で分ける方法でもいいでしょう。

これらの合意事項は、忘れず遺産分割協議書に盛り込みます。

遺産分割協議書の書き方が不適切な場合、贈与とみなされて贈与税がかかるおそれがあります。

一般的に、贈与税は想像以上に高額です。

④投資信託を売却する場合、解約違約金に注意

投資信託の種類によっては一定の期間に投資信託を売却した場合、解約違約金がかかる特約を定めていることがあります。

投資信託を売却して、売却金を相続人で分ける方法を検討する場合、解約違約金がかかるのか確認しましょう。

解約違約金がかかってでも売却するのか、解約違約金がかからない時期まで待って売却するのか、充分に検討する必要があります。

投資信託は、株式や債券で運用します。

価値が大きく上がることも、大きく下がることもあります。

解約違約金がかからない時期まで待って売却する場合、投資信託自体の価値が大きく下がることもあり得ます。

売却時期や方法でトラブルになることのないように、話し合いで合意しておく必要があります。

⑤投資信託を売却するときの税金に注意

投資信託は、価値が大きく上がることも大きく下がることもあります。

被相続人が投資信託を購入したときと比べて、売却するときには大きく値上がりしていることがあります。

投資信託の値上がり益は、課税対象になります。

5投資信託の相続を司法書士に依頼するメリット

金融商品にあまり関心のない相続人は、投資信託がよく分からないでしょう。

一般の預貯金であれば、値動きがありません。

話し合いが長引いても、あまり大きな影響はありません。

投資信託は、株式や債券で運用します。

日々、大きな値動きがあります。

解約違約金がかかったり、税金がかかったりします。

預貯金などの相続よりトラブルになりやすいものです。

証券会社などの手続も、分かりにくいことが多いものです。

相続手続は司法書士などの専門家に、丸ごとおまかせできます。

トラブルなく円満な相続手続をしたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

共有名義人の片方が死亡したときの相続

2024-02-02

1共有者であっても優先権はない

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについて、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続します。

相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することを代襲相続と言います。

②共有者が自動的に相続するわけではない

被相続人が不動産を共有している場合、被相続人の共有持分は相続人に相続されます。

被相続人が相続人のひとりと不動産を共有していた場合、何となく共有者が相続すると思うかもしれません。

共有者のひとりが相続人である場合、自動的に被相続人の共有持分を相続できるといったことはありません。

共有者であっても、優先権はないからです。

共有者が相続人だから、自動的に相続するといったルールはありません。

③共有者が共有持分を取得するためには遺産分割協議

相続が発生したら、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。

被相続人の共有持分は、相続財産になります。

相続人のうちだれが相続するのか、相続人全員の合意で決めなければなりません。

相続人が共有者のひとりであっても、自動的に共有持分を相続することはできません。

共有者のひとりである相続人が自動的に相続できると誤解しているかもしれません。

誤解があると、相続人間で話し合いが付かなくなるおそれがあります。

相続人全員の合意ができるのであれば、共有者である相続人が相続できるといいでしょう。

相続人全員の合意が難しい場合、安易に共有にすることはおすすめできません。

不動産の共有は、デメリットが大きいからです。

2不動産の共有はデメリットが大きい

デメリット①共有物を処分するには共有者全員の合意が必要

共有財産は、共有している人全員が合意しないと、処分はできません。

処分するとは、共有物を売却する、第三者に賃貸することなどです。

たくさんの人で共有している場合、合意がまとまりにくくなります。

共有者の多数決では、ありません。

1人でも反対の人がいると、共有者全員の合意があるとは言えなくなります。

1人でも反対の人がいると、処分はできません。

デメリット②共有者に相続が発生する

共有物を処分するためには、共有者全員の合意が必要です。

共有者が多くなると、共有者全員の合意が難しくなります。

簡単に、合意ができなくなります。

共有者全員の合意ができないから、売却などの判断は先延ばししがちです。

せっかくの資産なのに、事実上、利活用ができなくなります。

判断の先延ばしにより長期間経過すると、共有者に相続が発生することがあります。

共有者に相続が発生すると、共有者の共有持分は相続財産になります。

相続財産とは言うものの、利活用が難しい財産です。

共有者の相続人は、だれも積極的に相続したがらないでしょう。

死亡した共有者の共有持分を、相続人全員が法定相続分で細分化して共有することがあります。

だれもが相続したがらないから、やむを得ないともいえます。

このような相続が何人もの共有者の間で発生することがあります。

さらに共有者がたくさんになり、共有持分がさらに細分化されます。

相続したくない財産だから、相続登記を先延ばししがちです。

だれにどれだけの共有持分があるのか登記簿謄本を見ても、分からなくなります。

デメリット③共有持分を売却するおそれ

共有物全体を売却する場合、共有者全員の合意が必要です。

それぞれの共有者が持っている共有持分を売却する場合、他の共有者の合意は不要です。

あまり知られていませんが、共有者が持っている共有持分を買い取る業者がいます。

共有持分を買い取る業者は、ビジネスです。

遠慮なく共有者としての権利を主張します。

共有者としての権利とは、共有持分買取請求や共有物分割請求などです。

共有者間で話し合いができなければ、当然、裁判所に持ち込まれることになるでしょう。

共有持分を買い取る業者は、弁護士を付けてくるでしょう。

知識のない一般の人では、対応できません。

弁護士に依頼することになるでしょう。

一部の共有者が自分の共有持分を売却した場合、大きなトラブルに巻き込まれることになります。

3共有者である被相続人に相続人がいないときの共有持分の行方

①相続債権者がいる場合

被相続人が天涯孤独で親族がいないこともあります。

配偶者、子ども、親などの直系尊属、兄弟姉妹がだれもいない場合、相続人不存在になります。

相続人がいても、相続放棄をすることがあります。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなくなります。

相続人不存在の場合、相続財産は清算されます。

原則として、相続財産は売却して、相続債権者への支払にあてられます。

被相続人が共有持分を持っていた場合、共有持分は相続財産になります。

共有持分は売却しようとしても、買い手が見つからないのが通常です。

買い手が見つかったとしても、著しく価格が低くなってしまいます。

確かに、共有持分を買い取る業者はいます。

買い取り額は、おおむね時価の1~3割程度です。

多くの場合、他の共有者に買取をお願いすることになります。

被相続人と不動産を共有していた人が対価を支払って、被相続人の共有持分を買い取ることになります。

②特別縁故者がいる場合

特別縁故者とは、被相続人に特別な縁故があった人です。

内縁の配偶者や事実上の養子など被相続人と生計を同じくしていた者や被相続人の療養看護に努めた者などです。

家庭裁判所に認められれば、特別縁故者は被相続人の財産を受け取ることができます。

受け取る財産は、家庭裁判所が決めます。

被相続人の財産の全部であることもあるし、一部だけのこともあります。

被相続人がたくさんの財産を残しても、特別縁故者が受け継ぐ財産はほんの少ししか認められないこともあります。

③相続債権者も特別縁故者もいない場合

被相続人と不動産を共有していた人が共有持分を取得します。

4マンションは共有者が取得できない

マンションは、建物部分と敷地権の共有部分があります。

建物部分は単独所有、敷地権は共有です。

建物部分と敷地権の共有部分は、所有者を一致させるルールになっています。

所有者を一致させないと、売却のとき混乱するからです。

相続債権者も特別縁故者もいない場合、相続財産は国庫に帰属します。

建物部分は単独所有なので、国庫に帰属します。

敷地権が共有になっていても、他の共有者が取得することはできません。

所有者を一致させるルールがあるからです。

他の共有者が取得すると、所有者を一致させるルールを守れなくなるからです。

敷地権は、建物部分と一緒に国庫に帰属します。

所有者を一致させるルールが優先されるからです。

5共有者が受け継ぐのは費用と時間がかかる

共有持分を持つ人が死亡した場合、被相続人の共有持分は相続財産になります。

相続財産は、相続人が相続します。

相続人不存在の場合、相続債権者に支払われます。

債権者に支払っても余りがある場合、特別縁故者に分与されます。

特別縁故者に分与しても余りがある場合、他の共有者が受け継ぎます。

他の共有者が受け継ぐまで、手続が複雑です。

共有者が特別縁故者と話し合いをしたり財産を勝手に分けたりすることはできません。

家庭裁判所に相続財産清算人を選んでもらうところから、手続がスタートします。

相続財産清算人と家庭裁判所の手を借りて、ひとつひとつ手続をするしかありません。

相続財産清算人を選んでもらうためには、家庭裁判所に予納金を納める必要があります。

予納金は管理する財産の状況によって違いますが、100万円程度かかるのが目安です。

他の共有者が受け継ぐまで、たくさんの費用がかかります。

被相続人が死亡してから、共有者が受け継ぐまで1年以上の時間がかかります。

他の共有者が受け継ぐまで、長い時間がかかります。

6遺言書があると手続がラク

不動産を共有している人は、遺言書を書いて財産の行き先を指定しましょう。

共有持分は、遺言書で共有者に遺贈することや死因贈与をすることができます。

共有者に自分の共有持分を受け取ってもらう気持ちがある場合、遺言書は有効です。

遺言書1枚あると、手続がラクになるからです。

遺言書がない場合、家庭裁判所の手を借りて1年以上の時間をかけて手続することになります。

遺贈とは、遺言書で、相続人や相続人以外の人に、財産を受け取ってもらう制度です。

だれに受け取ってもらうかは、遺言者本人が決めることができます

共有持分を特別縁故者に遺贈することや死因贈与をすることができます。

家庭裁判所は特別縁故者と認めてくれることも、認めてくれないこともあります。

7遺言書作成と遺言執行を司法書士に依頼するメリット

不動産を共有している場合、共有者は親子や兄弟などの近い関係の人が多いでしょう。

共有者の片方に相続が発生した場合、共有者が相続人であることが多いでしょう。

共有者だから当然に相続できると誤解していることがあります。

他の相続人から見ると一方的に相続すると言われているのだからいい気持ちはしません。

相続人間のトラブルに発展しがちです。

相続手続は、タイヘンです。

単なる相続人の誤解や無理解で、トラブルに発展するからです。

不動産の共有は、デメリットが大きいのでおすすめできません。

相続人全員が合意できるのであれば、共有者が被相続人の共有持分を相続するのがおすすめです。

相続人全員の合意ができれば、です。

相続人全員が正しい知識があれば、防げるトラブルと言えます。

司法書士は、相続人をサポートすることができます。

適切な遺産分割協議をするために、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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