相続関係説明図と法定相続情報一覧図のちがい

1相続関係説明図とは

相続は人生の中で何度も経験するものではありません。

だから、相続が発生すると、多くの方にとって聞き慣れない言葉が多く、戸惑いを覚えます。

相続関係説明図もそのひとつでしょう。

相続関係説明図とは、被相続人を中心にして、どういう続柄の人が相続人であるのかを一目で分かるように、家系図のように取りまとめた書類のことです。

相続人がだれであるのか確定するためには、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本や相続人の戸籍謄本が必要です。

相続人が死亡している場合、その方の相続人を確定する必要がありますから、事例によっては100通以上の戸籍を用意する場合もあります。

このような戸籍の内容を一目で分かりやすく説明した書類が相続関係説明図です。

不動産について相続登記をする場合、相続関係説明図を添えて提出します。

2法定相続情報一覧図とは

相続関係説明図とよく似た書類に、法定相続情報一覧図があります。

法定相続情報一覧図も相続関係説明図と同じように、被相続人を中心にして、どういう続柄の人が相続人であるのかを一目で分かるように、取りまとめた書類のことです。

多くの場合、相続関係説明図と同様に家系図のように書きますが、相続人をずらっと書き並べることもあります。

税務署など連記式の法定相続情報一覧図を提出できない場合もあるのでよく確認しましょう。

法定相続情報一覧図は、作成後、戸籍や住民票と一緒に法務局に提出して内容確認してもらいます。

内容に問題がなければ、地模様や透かしの入った紙に印刷されて、登記官の認証文が入ります。

相続人の関係図を法務局に提出して内容確認してもらう制度のことを法定相続証明制度と言います。

3相続関係説明図と法定相続情報一覧図のちがい

相続関係説明図は戸籍謄本を提出する際に、当事者が内容を説明するものです。

相続手続に戸籍謄本を一緒に提出する必要があります。

法定相続情報一覧図は、法務局で内容を点検し認証文が入ります。

登記官が戸籍の内容を点検しているから、法定相続情報一覧図は信頼があります。

相続関係説明図は、登記官の確認はされません。

当事者が任意で作成した相続人の関係図に過ぎませんから、証明力がありません。

法定相続情報一覧図は戸籍の束と同じ扱いを受けることができます。

銀行などの金融機関の多くやほとんどの役所では、法定相続情報一覧図1通を提出するだけで済みます。

法定相続情報一覧図1通で相続人確定のための戸籍を提出したとして相続手続を進めてもらえます。

別途、たくさんの戸籍謄本を提出する必要はありません。

相続関係説明図と法定相続情報一覧図では、記載できる内容にも違いがあります。

相続関係説明図は相続に必要な情報を比較的自由に記入できます。

具体的には、遺産分割によって相続する人には「相続」、遺産分割によって相続しない人には「分割」、相続放棄した人には「相続放棄」などです。

相続関係説明図には、被相続人より先に死亡した人や離婚した元配偶者などが記載されている例もあります。

法定相続情報一覧図は、戸籍の内容のみ記入できます。

具体的には、相続関係説明図に記入ができた「相続」「分割」「相続放棄」のような内容は記入できません。

これらはいずれも戸籍謄本から判明する内容ではないからです。

相続に関係ない人も記入できません。

具体的には、被相続人より先に死亡した配偶者や離婚した元配偶者は記入できません。

相続人に関係がないからです。

養子は相続人になりますから、忘れず書いておきましょう。

相続登記をするときは、法定相続情報一覧図を提出する場合であっても、相続関係説明図を一緒に提出します。

法定相続情報一覧図では、「相続」「分割」「放棄」などが書いていないため、これを説明する必要があるからです。

相続手続中に相続人が死亡する場合があります。

法定相続情報一覧図では1つの相続に1つの法定相続情報一覧図が必要です。

2つの相続をまとめて1枚の法定相続情報一覧図を作ることはできません。

相続関係説明図では、2つの相続をまとめて作成することができます。

4相続関係説明図の書き方

相続関係説明図は相続に関係する事項を比較的自由に書くことができます。

法律などで書式が決められているものではありません。

手書きで作っても、パソコンなどで作っても差し支えありません。

相続関係説明図は家族の状況に応じて、紙を縦長にしても横長にしても構いません。

提出先の人が分かりやすいように、見やすく作るといいでしょう。

5法定相続情報一覧図のメリット

法務局が点検しているので証明力があります。

役所や銀行などの金融機関には、法定相続情報一覧図を1枚提出するだけで済みます。

法定相続情報一覧図1通あれば相続関係が一目で分かるので、相続手続きがスピーディーに進みます。

大量の戸籍を持ち歩かなくていいので、汚してしまったり、紛失する心配がありません。

必要な数だけ交付してもらえるので、複数の提出先に対して同時進行で相続手続ができます。

不足した場合でも、再交付してもらうことができます。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出も再交付の申出も、手数料は無料です。

6法定相続情報一覧図のデメリット

法務局にいったん提出して点検してもらうので時間がかかります。

書き方が厳格に決まっているので、書き直しによって時間がかかることが多いです。

法務局の混雑により変わりますが2週間程度かかります。

再交付してもらうことができるのは、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をした人のみです。

法定相続情報一覧図の保管は5年間のみなので、この期間を過ぎると再交付を受けることができなくなります。

第1順位の相続人である子ども全員が相続放棄をした場合、次順位の相続人に相続権が移ります。

このような場合、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出はできません。

次順位に移っていることは戸籍謄本からは確認できないからです。

7相続関係説明図と法定相続情報一覧図の作成を司法書士に依頼するメリット

相続関係説明図は比較的自由に相続に関係する事項を記入することができますが、提出を受ける人が見やすいものである必要があります。

法定相続情報一覧図は法務局が確認して認証文を入れてもらうものですから、書き方に細かいルールがあります。

これらの違いを理解して、ポイントを押さえて作成する必要があります。

前提として、相続人確定のための戸籍収集や遺産分割協議書の作成もあります。

このような戸籍等の取り寄せも含め、手続をおまかせいただけます。

お仕事や家事でお忙しい方や高齢、療養中などで手続きが難しい方は、手続きを丸投げできます。

ご家族にお世話が必要な方がいて、お側を離れられない方からのご相談もお受けしております。

間違いのない相続関係説明図の作成や法定相続情報一覧図の作成を考えている方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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