自分で相続登記

1不動産の名義変更とは

被相続人が生前所有していたものは相続財産になりますから、原則として、相続人全員の共有財産になります。

相続財産は相続人全員で話し合いによる合意をして、分け方を決めることになります。

相続人全員による話し合いによる合意で、不動産を相続する人が決まったら、不動産の名義を書き換えます。

この不動産の名義の書換のことを相続登記といいます。

2自分で相続登記に挑戦してもいいケース

相続が発生すると、相続人はたくさんの相続手続に追われて悲しむ暇もありません。

ほとんどの方は相続を何度も経験するものではないから、手続に不慣れで聞き慣れない法律用語でへとへとになります。

一般的にいって、相続登記は、その中でも難しい手間のかかる手続です。

相続登記を司法書士などの専門家に依頼せずに自分でやりたい方は少なからずいます。

①法律の知識がある

②調べものが好き

③平日の日中に役所に何度も足を運ぶ充分な時間と根気熱意がある

上記にあてはまる人は、相続登記に向いているかもしれません。

そのうえで、基本的な相続であれば、挑戦してみてもいいでしょう。

④相続人は配偶者と子どものみ

⑤相続人が1人か2人程度

⑥相続人が協力的

これらがすべてあてはまるのであれば、登記完了までたどり着けるかもしれません。

3相続登記を専門家に依頼することを検討した方がいいケース

①法律の知識がある

②調べものが好き

③平日の日中に役所に何度も足を運ぶ充分な時間と根気熱意がある

上記にあてはまるケースでも、複雑な相続は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

①兄弟姉妹相続、代襲相続、数次相続など相続人が複雑

相続人を確定するために、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要になります。

兄弟姉妹相続であれば、被相続人の父と母の出生から死亡までの連続した戸籍謄本も必要になります。

代襲相続であれば、死亡した相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要になります。

用意すべき戸籍謄本が複雑かつ大量になります。

戸籍を集める難易度が高くなります。

②祖父名義など被相続人名義以外の不動産

この場合も、用意すべき戸籍が大量かつ複雑になります。

場合によっては、戦前の民法など現在の法律とは異なる法律を調べる必要があります。

③相続人が疎遠で、協力が得にくい

前婚で別れた配偶者が引き取った子どもなども、子どもとして相続人になります。

被相続人が再婚している場合など、相続人調査で疎遠な相続人が見つかることも珍しくありません。

相続財産の分け方は相続人全員の話し合いによる合意が必要です。

協力を得にくい相続人がいると相続手続は難航します。

④代償分割、換価分割などハイレベルな遺産分割協議

代償分割とは、不動産を取得する代償として〇〇万円払うのように、財産を相続する対価として相続しない相続人に対価を支払う分け方の合意のことです。

相続財産の分け方の合意をしたら遺産分割協議書という文書に取りまとめます。

遺産分割協議書の文言の記述によっては、贈与税がかかるおそれがあります。

一般的に、贈与税は想像以上に高額になりがちです。

換価分割とは、相続財産を売却して金銭に変え、売却代金を分ける分け方の合意のことです。

相続財産の分け方の合意だけでも難しいのに、売却手続の合意も必要になります。

換価分割においても、遺産分割協議書の文言の記述によっては、贈与税がかかるおそれがあります。

代償分割、換価分割などハイレベルな手続を望む場合、ハイレベルな知識が必要になります。

⑤すぐに不動産を売却する必要がある

不動産業者が買主を見つけていて、スケジュールを決めている場合です。

スケジュールどおり手続を進めないと関係者みんなに迷惑をかけてしまいます。

⑥不動産が遠方にある

不動産は重要な財産であるので、登記申請は些細と思えるようなことでやり直しになります。

近くの法務局であれば、出向いてやり直しをすることもできますが、遠方の法務局の場合、出向くのは難しいでしょう。

⑦被相続人の死亡が十年以上前

相続登記を申請する場合、戸籍や住民票を添えて提出する必要があります。

戸籍や住民票は、永久保管されているわけではありません。

中の人が死亡したり他の戸籍や住民票に移ってしまってから、一定期間が過ぎると順次廃棄します。

必要な戸籍や住民票が揃えられなくなることがあります。

戸籍や住民票が揃えられない場合、どうしたら登記を認めてくれるのか、法務局と協議が必要になります。

4相続登記の流れ

①不動産調査

相続登記の対象になる不動産を特定します。

固定資産税の課税明細書や名寄帳を取り寄せましょう。

次に、登記簿謄本を取得して現在の状況を確認しましょう。

甲区の所有者が被相続人の住所氏名になっていれば、ひとまず安心です。

②相続人調査

相続人を確定できるように戸籍謄本を取り寄せます。

被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本と相続人の現在戸籍は必ず用意します。

戸籍の解読は想像以上に骨の折れる作業です。

根気よく要領よく戸籍を集めましょう。

③遺産分割協議

相続が発生したら、相続財産は相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員による分け方の合意が不可欠です。

相続人全員による分け方の合意ができたら、遺産分割協議書という書類に取りまとめます。

④管轄法務局を探す

登記簿謄本は全国どこの法務局でも取得することができます。

不動産の登記申請は、不動産の所在場所によって管轄があります。

管轄の法務局以外の法務局に相続登記を申請しても受け付けてくれません。

管轄の法務局は、法務局のホームページで調べることができます。

不動産をいくつも相続する場合、管轄が異なる法務局に申請する必要がある場合があります。

管轄法務局ごとに順番に相続登記を申請します。

⑤登録免許税を計算

相続登記をすると登録免許税が課されます。

課税明細書を見て評価額から登録免許税を計算しましょう。

登録免許税は法務局の窓口であっても現金で納付することはできません。

必要な収入印紙を購入して、印紙貼り付け台紙に貼付して納入します。

収入印紙は法務局の人が消印をしますから、消印をしないまま提出します。

⑥登記申請書作成

登記申請書のひな型は法務局のホームページに出ています。

参考にして、作成しましょう。

パソコンなどで作っても手書きで作っても、問題ありません。

⑦添付書類の原本還付

遺産分割協議書や戸籍や住民票は他の相続手続でも必ず使います。

添付書類は希望すれば、返却してもらえます。

添付書類を返して欲しい場合は、コピーをつけて「原本に相違ありません。」と書いて記名押印が必要です。

⑧法務局へ提出

申請書と添付書類を取りまとめて、法務局に提出します。

提出は窓口まで出向いてもいいし、郵送でも差し支えありません。

返却書類を郵送して欲しい場合は、返信用の封筒を付けておけば郵便で送り返してくれます。

何か審査で引っかかるようなことがあれば、電話で連絡が来ます。

簡単なミスであれば、補正で済みます。

重大なミスの場合はいったん取り下げてやり直しになります。

5相続登記に必要な書類

登記申請書には、通常、相続関係説明図を添えます。

事例によっては追加書類が必要になる場合がありますが、おおむね、次の書類が必要です。

①遺言書がない場合

(1)被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

(2)相続人の現在戸籍

(3)被相続人の住民票の除票

(4)不動産を相続する人の住民票

(5)遺産分割協議書

(6)相続人全員の印鑑証明書

(7)不動産の評価証明書

②遺言書がある場合

(1)被相続人の除籍謄本

(2)相続人の現在戸籍

(3)被相続人の住民票の除票

(4)不動産を相続する人の住民票

(5)遺言書

(6)遺言書検認証明書

(7)不動産の評価証明書

6相続登記を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、相続人は悲しむ暇もなく相続手続に追われます。

ほとんどの人は相続手続は不慣れで、聞き慣れない法律用語で疲れ果ててしまいます。

インターネットの普及で多くの人は簡単に多くの情報を手にすることができるようになりました。

多くの情報の中には正しいものも、適切でないものも同じように混じっています。

相続登記もカンタンにできる、ひとりでできたという記事も散見されます。

不動産は、重要な財産であることも多いものです。

登記手続は、一般の方から見ると些細なことと思えるようなことでやり直しになります。

法務局の登記手続案内を利用すれば、シンプルな事例の申請書類などは教えてもらえます。

通常と異なる事例に関しては、わざわざ説明してくれません。

司法書士などの専門家から見れば、トラブルのないスムーズな相続手続であっても、知識のない一般の方はへとへとになってしまいます。

住所がつながらない場合など、シンプルな事例とは言えない事情がある場合は申請を取下げて、やり直しになることが多いでしょう。

司法書士は登記の専門家です。

スムーズに相続登記を完了させたい方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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