遺言書作成

1 遺言書作成をおすすめするわけ

相続や遺言を話題にすると、親が機嫌を損ねてしまって話ができないという方は多いです。

親としては、自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあるでしょう。

これに加え、自分がいなくなったところで、自分が一生をかけて築いた財産に群がっている様子を想像してしまいます。

群がっているのは自分の家族ですから、何とも寒々としたやりきれない気持ちになります。

遺言書は被相続人の意思を示すものです。

相続人としても、被相続人の意思を尊重してあげたいのが人情です。

相続が発生した後、相続人らは日常の仕事や家事に加え、たくさんの手続きや用事で悲しみに浸るヒマもありません。

遺言書1枚あれば、相続手続きは格段にラクになります。

大切な家族が揉めることも格段に減ります。

「子どもに面倒をかけたくない」を実現できるのが遺言書です。

自分がいなくなったところで、1枚の遺言書があることで、相続人が喜んでいる様子を想像してみましょう。

多くの方は、遺言書を書きあげると晴れやかなお顔になって、ご自身かえってお元気になられます。

2 遺言書を書くのは10%未満

遺言書はほとんどの場合、①遺言者が自筆で書く自筆証書遺言か、②公証役場で作る公正証書遺言です。

自筆証書遺言は、法務局で保管しているものを除いて家庭裁判所で、検認の手続きが必要です。

検認件数を見ると、自筆証書遺言の件数が分かると言えるでしょう。

  ①検認数 ②自筆証書遺言の法務局保管数 ③公正証書遺言数 ④計 ⑤死亡数 割合%④÷⑤
平成25年 16,708   96,020 112,728 1,268,438 8.887151
平成26年 16,843   104,490 121,333 1,273,025 9.531078
平成27年 16,888   110,778 127,666 1,290,510 9.892678
平成28年 17,205   105,350 122,555 1,308,158 9.368517
平成29年 17,394   110,191 127,585 1,340,567 9.517242
平成30年 17,487   110,471 127,958 1,362,470 9.39162
令和元年(平成31年) 18,625   113,137 131,762 1,381,093 9.540415
令和2年 18,277 12,631 97,700 128,608 1,372,648 9.369336



出典

検認数 裁判所 司法統計

自筆証書遺言の法務局保管数 法務省民事局HP

公正証書遺言数 日本公証人連合会HP

死亡数 厚生労働省 人口動態統計

3 遺言書を書かない言い訳

① 自分が死ぬことを前提に考えていることが不愉快、縁起でもない

自分が死ぬなんてあまり気持ちのいい話ではありません。その通りです。

現代では、平均寿命がどんどん伸びています。長生きする人が増えています。

だから、認知症になる方の確率も高くなっています。

一方、いつまで寿命があるかは誰も分かりません。

いつ認知症になるかも分かりません。

急に判断能力が心配になる方もいます。

遺言書は判断能力がしっかりしているうちしか作ることができません。

「子どもに面倒をかけたくない」を実現できるのは、判断能力がしっかりしているうちだけです。

今、自分が死ぬなんてあまり気持ちのいい話ではないといえるのは、判断能力がしっかりしている証拠といえます。

自分が死ぬなんて考えたくないと言える今こそ、遺言書を作るときと言えるでしょう。

② 死期が迫っていないから

遺言書を書いても財産の額が変動するから死ぬ直前でないと書けない、家業を継いでもらう子どもが経営者として向いているか確かめたいから書けない、将来誕生するかもしれない孫にも財産を残したいから、などです。

遺言書を作ると多くの方は晴れやかなお顔になって、ご自身いっそうお元気になられます。

しっかりしているうちしか遺言書は作れないうえに、作ったことでいっそうお元気になられるので、財産や家族関係の変動はあるでしょう。

実は、何度でも遺言書は書き直すことができます。

遺言を書き直すのに相続人になる人の承諾が必要といったこともありません。

遺言者が自由に書き直しができます。

何度か書き直すことでより良い遺言書にすることができるともいえます。

遺言書は被相続人の意思を示すものです。

自分の思いを分かってくれる人はだれなのか、定期的に考えるいいチャンスだととらえるといいでしょう。

③ 遺言書を書くと介護などのお世話をしてもらえなくなるのが心配だから

「子どもに面倒をかけたくない」「子供の世話になりたくない」と思いつつも、認知症になるかもしれません。急に体が不自由になるかもしれません。

その心配があるから、財産を盾に取りたいという気持ちがあるのでしょう。

実際に、生前贈与をしたら子どもが寄り付かなくなったという話は聞くところです。

遺言書は生前贈与と違い、財産を手放すものではありません。

遺言書を作ったことで、安心した子どもが寄り付かなくなったら、遺言書の内容を見直すことができます。

何度でも自由に書き直すことができます。

書き直しをしたことを、将来、相続人になる人に知らせなければいけないといった制約もありません。

どちらかというと、安心してお世話をしてもらうために積極的に遺言書を作るべきでしょう。

4 自分が死んだときのことを考えています

相続や遺言を話題にすると、親が機嫌を損ねてしまって話ができないという方は多いです。

時にはけんかになってしまうこともあるでしょう。

実は、多くの方が自分が死んだ後のことを考えています。

① 生命保険

生命保険は自分が死んだときのことを考えて、家族のために加入します。

「早く死んでほしいのか!」とか「まだまだ死なない!」などと言ってけんかになることはないでしょう。

② お葬式のための互助会

自分が死んだ後のことを考えて、お葬式の場所や祭壇のランクを決めている方はたくさんいます。

お葬式の費用を積み立てるのに、けんかをするというのもあまり聞いたことがありません。

③ 墓石

お盆やお彼岸にお墓参りに行くと赤字で書いてあるお墓を見かけます。

ご健在の方が墓石を用意するときは赤字にします。

これも自分が死んだときのことを考えて建立します。

5遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書は被相続人の意思を示すものです。

自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。

家族がトラブルに巻き込まれることを望む人はいないでしょう。

遺言書があることでトラブルになるのは、ごく稀なケースです。

遺言書がないからトラブルになるのはたくさんあります。

そのうえ、遺言書1枚あれば、相続手続きは格段にラクになります。

家族を幸せにするために遺言書を作ると考えましょう。

実際、家族の絆のためには遺言書が必要だと納得した方は遺言書を作成します。

家族の喜ぶ顔のためにやるべきことはやったと安心される方はどなたも晴れやかなお顔です。

家族の幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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