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死亡した人の預貯金をおろした罪

2024-10-09

1死亡した人の預貯金引出しで刑事責任は問われない

①同居の親族は刑事事件にならない

銀行口座は、日常生活に欠かせません。

多くの人は、銀行に口座を持っているでしょう。

口座の持ち主が死亡した場合、口座の預貯金は相続人が相続します。

口座の預貯金は、相続財産です。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

共有財産なのに、一部の相続人が勝手に引き出すことがあります。

他人の預貯金を勝手におろした場合、窃盗罪や横領罪になるはずです。

預貯金をおろした人が同居の親族である場合、刑事責任は問われません。

刑法には、親族相盗という特例があるからです。

窃盗罪や横領罪が成立する犯罪であっても、刑が免除されます。

親族間のトラブルは、親族間の自律に任せる方がいいとされているからです。

国家の刑罰権の行使を差し控えて、家族で解決することが望ましいと考えられています。

親族相盗とは、一定の範囲の親族間の犯罪を処罰しない特例です。

親族相盗で刑が免除される親族は、次のとおりです。

(1)配偶者

配偶者は、法律上の配偶者のみ適用されます。

事実婚・内縁の配偶者は、対象外です。

(2)直系血族

養子縁組によって親子関係がある場合、直系血族に含まれます。

兄弟姉妹やいとこは血族であっても、対象外です。

(3)同居の親族

親族は、民法の定めに従います。

民法上の親族とは、6親等内の血族と3親等内の姻族です。

相続が発生した後に預貯金をおろした場合、刑事責任は問われません。

相続が発生する前であっても、刑事責任は問われません。

②親族相盗にあたらないときは刑事責任を問われる

親族相盗とは、一定の範囲の親族間の犯罪を処罰しない特例です。

親族でない第三者が関与していた場合、刑事責任が問われます。

例えば、親族以外の第三者が代理で預貯金をおろす場合です。

同居の親族以外の人が預貯金をおろした場合も、刑事事件になります。

親族相盗にあたらないと、刑事責任が問われます。

③刑事事件にならなくても民事責任

一部の相続人が被相続人の預貯金を勝手におろしても、親族相盗にあたるでしょう。

窃盗罪や横領罪になっても、刑事責任は問われません。

被相続人の預貯金は、相続人全員の共有財産です。

勝手におろして自分のものにすることは、許されることではありません。

他の相続人から、勝手に引き出した金銭を返して欲しいを請求されるでしょう。

他の相続人は、不当利得返還請求や不法行為損害賠償請求をすることができます。

刑事事件にならなくても、民事責任はあるからです。

不当利得返還請求や不法行為損害賠償請求がされると、相続人間で大きなトラブルになるでしょう。

刑事事件にならなくても、民事責任が問われます。

④銀行は責任を問われない

相続が発生したら、被相続人の預貯金は相続人全員の共有財産です。

一部の相続人が勝手に引き出すことは、許されることではありません。

銀行が引き出しに応じたことについて、他の相続人は責任を問うことはできません。

銀行は、だれの意思で預貯金の引出しをしたのか判断することができないからです。

預貯金の引出しに応じても、銀行は責任を問われません。

⑤死亡した人の預貯金口座は凍結される

一部の相続人が勝手に預貯金を引き出した場合、相続人間で大きなトラブルになるでしょう。

銀行が安易に引出しに応じた場合、相続人間のトラブルに巻き込まれるおそれがあります。

口座の持ち主が死亡したことを知った場合、銀行は口座を凍結します。

口座の凍結とは、口座取引を停止することです。

口座取引の代表例には、次のものがあります。

・ATMや窓口での引出

・年金などの振込

・公共料金の引落

相続人間のトラブルに巻き込まれないため、口座を凍結します。

口座の持ち主が死亡しても、病院や市区町村役場から自動で銀行に連絡されることはありません。

病院や市区町村役場から個人情報が漏れたら、大きな責任問題になるからです。

口座凍結のタイミングは、相続人などから連絡があったときです。

相続があったら、口座の有無や相続手続の方法を問い合わせるでしょう。

問合せがあったときに、銀行は相続の発生を知ります。

相続の発生があったことを知ったタイミングで、口座を凍結します。

一部の相続人が勝手に預貯金を引き出す心配がある場合、すみやかに銀行に連絡するといいでしょう。

口座が凍結されると、預貯金は勝手に引き出すことができなくなるからです。

死亡した人の預貯金口座は、凍結されます。

⑥預貯金を勝手におろすと相続放棄ができなくなるおそれ

相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄をする申立てをします。

家庭裁判所は相続放棄の申立ての書面を見て審査をします。

提出された申立書に問題がなければ、相続放棄を認める決定をするでしょう。

家庭裁判所が相続放棄を認める決定をしても、絶対ではありません。

相続放棄ができないのに、相続放棄の申立てを提出していることがあるからです。

単純承認をした後に、相続放棄をしても無効です。

単純承認をしたら、撤回することはできないからです。

相続財産を利用・処分した場合、単純承認をしたと見なされます。

単純承認をした後に、相続放棄をすることはできません。

被相続人の預貯金を勝手に引き出して自分のものにした場合、単純承認を見なされます。

単純初認をしたら、相続放棄はできません。

家庭裁判所は事情を分からずに、相続放棄を認める決定をしてしまうでしょう。

後から裁判で、相続放棄は無効になります。

被相続人の預貯金を勝手におろすと、相続放棄ができなくなるおそれがあります。

2死亡した人の預貯金を勝手に引出すと相続人間でトラブル

トラブル①相続分を超えて引出し

被相続人と同居している家族は、生前、口座から引出しを依頼されることがあるでしょう。

ときには、預貯金の管理を任されていたかもしれません。

口座の持ち主が死亡した場合、葬儀費用や治療費・介護費の清算をすることになるでしょう。

まとまった金額の支出が予想されます。

口座凍結前であれば、キャッシュカードで引出しをすることがあるでしょう。

銀行口座の預貯金は、本来、相続人全員の共有財産です。

他の相続人からは、不正な引出しに見えるおそれがあります。

相続分の範囲内であれば、自分の相続分の先払いと考えることができます。

遺産分割協議の中で調整しやすいでしょう。

相続分の範囲内であれば、大きなトラブルになりにくいと言えます。

自分の相続分を超える引出しは、大きなトラブルに発展しがちです。

トラブル②引出しが後から判明

葬儀費用や治療費・介護費の清算は、ある程度まとまった金額になるでしょう。

自分の固有の財産から立替えをすることが難しいことがあります。

被相続人の預貯金から引出して、用立てるでしょう。

被相続人の預貯金から引出したことに、負い目を感じるかもしれません。

他の相続人に預貯金の引出しの事実を共有しないことがあります。

ときには、負い目を感じて他の相続人に通帳を見せないかもしれません。

他の相続人に通帳を見せない場合、疑いの目を向けるでしょう。

通帳を見せなくても、他の相続人は自分で調べることができます。

相続人は単独で、被相続人の口座の残高や取引履歴を取り寄せることができるからです。

預貯金の引出しを隠していると、他の相続人は疑心暗鬼になります。

他にも引き出しがあるのではないかと考えて、大きなトラブルになるでしょう。

預貯金の引出しが後から判明すると、大きなトラブルに発展しがちです。

トラブル③使い途が不明

銀行口座の預貯金は、本来、相続人全員の共有財産です。

トラブル防止の観点から、相続発生後に預貯金の引出しはおすすめできません。

葬儀費用や治療費・介護費の清算は、ある程度まとまった金額になるでしょう。

やむを得ず引き出す場合、使い途が分かる書類を保管しましょう。

葬儀費用や治療費・介護費の清算であれば、他の相続人が納得してくれるでしょう。

使い途が分かる請求書や領収書があれば、トラブルに発展することは少ないでしょう。

被相続人のために使ったが何に使ったか細かく覚えていない等は、大きな不信感を抱かせます。

自分のために使ったのだろうと疑われるでしょう。

使い途が不明である場合、大きなトラブルに発展しがちです。

3死亡した人の預貯金を引出す方法

方法①遺言書で相続

被相続人が生前に遺言書を作成していることがあります。

遺言書を作成して、自分の財産をだれに引き継いでもらうか決めておくことができます。

遺言者が死亡したときに、遺言書は発効します。

遺言書で預貯金を相続させると指定された人は、預貯金を相続することができます。

遺言書で相続する場合、他の相続人の同意は不要です。

預貯金を相続させると指定された人は、単独で相続手続をすることができます。

遺言書で相続した場合、相続した人は預貯金を引出すことができます。

方法②相続人全員で遺産分割協議

相続が発生したら、被相続人の財産は相続財産です。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。

被相続人の預貯金は、相続人全員の協力で分け方を決めます。

相続人全員の合意で分け方を決めたら、合意内容を文書に取りまとめます。

相続財産の分け方について相続人全員の合意内容を取りまとめた文書を遺産分割協議書と言います。

遺産分割協議書の内容は、相続人全員に確認してもらいます。

遺産分割協議書の内容に問題がなければ、記名し実印で押印をしてもらいます。

遺産分割協議書の押印が実印による押印であることを証明するため、印鑑証明書を添付します。

相続人全員で遺産分割協議をした場合、相続した人は預貯金を引出すことができます。

方法③預貯金の仮払い制度を利用

預貯金を引出す場合、原則として相続人全員の合意が必要です。

相続人全員の合意が難しいことがあります。

相続人に認知症の人や行方不明の人がいることがあるからです。

一部の相続人を除外して相続財産の分け方を合意しても、無効の合意です。

一定の条件下で、預貯金の仮払制度を利用することができます。

銀行などの金融機関に手続をする場合、仮払い上限額の計算式は次のとおりです。

仮払いの上限額=死亡時の預金額×1/3×法定相続分

計算式で求められた上限額が150万円を超えた場合、150万円になります。

預金の金額が少ない場合や法定相続人が多い場合、150万円の仮払いを受けることができません。

預貯金の仮払い制度を利用した場合、相続人は預貯金を引出すことができます。

4預貯金の相続手続を司法書士に依頼するメリット

口座を凍結されてしまったら、書類をそろえて手続すれば解除してもらえます。

必要な書類は、銀行などの金融機関によってまちまちです。

手続の方法や手続にかかる期間も、まちまちです。

銀行内部で取扱が統一されていないことも多いものです。

窓口や電話で確認したことであっても、上席の方に通してもらえないことも少なくありません。

相続手続は、やり直しになることが多々あります。

このためスムーズに手続きできないことが多いのが現状です。

日常生活に不可欠な銀行口座だからこそ、スムーズに手続したいと思う方が多いでしょう。

仕事や家事で忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続を丸ごとおまかせできます。

ご家族にお世話が必要な方がいて、お側を離れられない方からのご相談もお受けしております。

凍結口座をスムーズに解除したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

故人の口座から葬儀費用を引き出す方法

2024-09-30

1口座の持ち主が死亡すると口座凍結

①銀行が死亡を知ったタイミングで口座凍結

銀行などの預貯金は、日常生活に欠かせません。

多くの人は、銀行などに預貯金の口座を持っているでしょう。

口座の持ち主が死亡したことを銀行などの金融機関が知った場合、口座の取引を停止します。

口座の凍結とは、口座取引を停止することです。

・ATMや窓口での引出

・年金の振込

・公共料金の引落

上記は、口座取引の一例です。

口座凍結がされると、口座取引ができなくなります。

口座凍結がされるのは、口座の持ち主が死亡したことを銀行が知ったときです。

人が死亡した場合、医師が死亡診断書を作成します。

市区町村役場に、死亡届を提出します。

病院や市区町村役場が自主的に金融機関に連絡することはありません。

病院や市区町村役場は、死亡した人がどの金融機関に口座を持っているのか知らないはずです。

病院や市区町村役場が金融機関に連絡したら、個人情報の漏洩になります。

病院や市区町村役場が個人情報の漏洩をしたら、責任を問われることになるでしょう。

実際は金融機関が口座の持ち主の死亡を知ったときに、口座は凍結されます。

多くは、被相続人の家族が相続財産の確認や相続手続の方法を問い合わせるでしょう。

問合せを受けたときに、持ち主の死亡を知ります。

被相続人の家族が金融機関に問合わせをしたときに、口座は凍結されます。

銀行が口座の持ち主の死亡を知ったタイミングで、口座は凍結されます。

②口座凍結する理由はトラブルに巻き込まれないため

口座の持ち主が死亡したことを銀行が知ったとき、口座は凍結されます。

相続人間のトラブルに銀行が巻き込まれないために、口座は凍結されます。

口座の持ち主が死亡した場合、口座の預貯金は相続人が相続します。

口座の預貯金は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。

一部の相続人が勝手に引き出すことはできません。

勝手に引き出した場合、相続人間で大きなトラブルになるでしょう。

仮に、一部の相続人が勝手に引出しができるとしたら、他の相続人から強い抗議がされるでしょう。

銀行は、相続人間のトラブルに巻き込まれることになります。

被相続人の大切な預貯金を守れないとなったら、銀行の信用は失墜するでしょう。

相続人のトラブルに巻き込まれて信用が失墜するなど、銀行は何としても避けたいはずです。

相続人間のトラブルに巻き込まれないため、口座は凍結されます。

③相続手続をするまで口座は凍結されたまま

口座の持ち主が死亡したことを銀行が知ったとき、口座は凍結されます。

相続手続をするまで、口座は凍結されたままです。

時間が経っても、自動で凍結解除されることはありません。

相続人間のトラブルに巻き込まれないため、口座を凍結しているからです。

相続人間のトラブルに巻き込まれる可能性がある間は、口座凍結が続きます。

相続手続をするまで、口座は凍結されたままです。

2預貯金だけ遺産分割協議ができる

①相続人全員の合意で遺産分割協議

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続人が相続する財産が相続財産です。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。

相続人全員の合意ができれば、どのように分けても問題はありません。

相続人全員の合意で、遺産分割協議を成立させることができます。

②相続財産から葬儀費用を支払える

口座の持ち主が死亡したら、口座の預貯金は相続人が相続します。

口座の預貯金は、相続財産です。

葬儀費用は、相続財産ではありません。

被相続人が生前に葬儀費用を負担することはないからです。

葬儀費用は、被相続人から引き継ぐ費用ではありません。

現実にも被相続人が死亡した後、葬儀業者と葬儀契約をします。

葬儀業者の契約で、葬儀費用が発生します。

だれが葬儀契約をするのか、明確に決まっていません。

裁判所や学者は、次のような意見があります。

(1)相続人全員の負担にする説

(2)喪主が負担する説

(3)相続財産から負担する説

(4)地域の慣習で決める説

被相続人や相続人にそれぞれの事情があるから、一概に決められません。

葬儀費用について遺産分割協議の対象とすることができます。

相続財産以外の財産を含めて遺産分割協議をしても、問題はないからです。

相続人全員が納得して相続人全員が合意できる結論を出すことが重要です。

相続人全員が合意できれば、相続財産から葬儀費用を支払うことができます。

③預貯金だけの遺産分割協議書は有効

遺産分割協議を成立させるためには、相続人全員の合意が不可欠です。

相続人全員の合意ができるのであれば、相続財産全部をまとめて分ける必要はありません。

分けやすい財産だけ、相続人全員で合意することができます。

預貯金についてだけ、相続人全員で合意することができます。

相続財産全部の合意でないからと言って、遺産分割協議が無効になることはありません。

一部の財産についての遺産分割協議は、有効な遺産分割協議です。

合意ができた財産から、合意内容を書面に取りまとめます。

相続財産の分け方について合意内容を取りまとめた書面を遺産分割協議書と言います。

一部の財産についての遺産分割協議書は、有効な遺産分割協議書です。

一部の財産についての遺産分割協議は、有効な遺産分割協議だからです。

預貯金だけの遺産分割協議書は、有効な遺産分割協議書です。

3預金仮払い制度を利用する

①預金仮払いの上限額は最大150万円

銀行などの金融機関に手続をする場合、仮払い上限額の計算式は次のとおりです。

仮払いの上限額=死亡時の預金額×1/3×法定相続分

計算式で求められた上限額が150万円を超えた場合、150万円になります。

預金の金額が少ない場合や法定相続人が多い場合、150万円の仮払いを受けることができません。

仮払いを受ける対象は、預金だけです。

債券や有価証券、株式などは対象外です。

預金仮払いの上限額は、最大150万円です。

②複数の銀行に口座があるとき銀行ごとに計算

銀行口座は、日常生活を送るうえで必要不可欠なものです。

多くの人は、用途や目的に応じて複数の銀行口座を持っているでしょう。

被相続人が複数の金融機関に口座を持っていた場合、それぞれの金融機関で仮払いを受けることができます。

預金仮払いの上限額は、最大150万円です。

最大150万円は、金融機関1つ当たりです。

金融機関が3つあれば、最大450万円です。

一つの銀行の複数の支店に口座を持っていることがあります。

③一つの銀行で複数の支店に口座があるときは最大150万円

被相続人が一つの銀行で複数の支店に口座を持っていることがあります。

一つの銀行で複数の支店に口座を持っている場合、全支店をまとめて仮払いを受けることができます。

全支店まとめて預金仮払いの上限額は、最大150万円です。

仮払いを請求する金融機関は、一つだからです。

④預金仮払いを申請するときの必要書類

銀行に預金仮払いを申請するときの必要書類は、次のとおりです。

(1)被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

(2)相続人全員の現在戸籍

(3)仮払いを希望する人の印鑑証明書

金融機関によっては、追加で書類が必要になることがあります。

⑤仮払い額は遺産分割協議で調整

預金者が死亡した場合、預金は相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

相続人全員の合意ができる前に、預金の仮払いを受けていることがあります。

相続財産全体の分け方を決める際に、預金の仮払いを受けたことを考慮することになります。

預金の仮払いを受けたことを考慮して、相続財産の分け方について相続人全員で合意することになります。

預金の仮払いを受ける場合、葬儀の費用や病院の費用を払うことが多いでしょう。

葬儀の費用や病院の費用を払った場合、領収書を保管しておくことが重要です。

葬儀の費用や病院の費用であれば、相続財産から支払うことに同意してもらえるでしょう。

領収書がないと仮払いを受けた相続人が私的に使ったと疑われるからです。

一部の相続人が使い込みをしているとなったら、強い不信感を持つでしょう。

相続では普段目にしないような大きな金額が動きます。

だれもが自分はソンしたくないから、疑心暗鬼になりがちです。

使い込みをしていなくても、他の相続人には使い込みに見えてしまうことがあります。

預金の仮払いを受けることや葬儀などの費用に支払うことは、他の相続人と共有しましょう。

遺産分割協議では、相続人全員の合意が必要です。

⑥遺言書があると仮払いが受けられない

被相続人が生前に遺言書を作成していることがあります。

多くの場合、遺言書で財産の分け方を指定しているでしょう。

遺言書で財産の分け方を指定した場合、遺言書が効力を発したときに財産は分割されます。

遺言書を作成した場合、相続人以外の第三者に財産を遺贈することがあります。

遺言書で預金全額を遺贈した場合、銀行は仮払いに応じられません。

遺言書が効力を発したときに、預金は遺贈を受けた人のものになっているからです。

仮払いに応じたら、遺贈を受けた人の間でトラブルになるのは明白です。

被相続人が遺言書を残した場合、仮払いが受けられなくなります。

⑦家庭裁判所の仮払い制度には調停・審判の申立てが必要

預金の仮払いを受けるには、2つの方法があります。

銀行などの金融機関に手続をする方法と家庭裁判所に手続をする方法です。

どちらかというと、銀行などの金融機関に手続をする方法が簡単です。

家庭裁判所に申立てをして仮払いを受ける方法は、遺産分割調停や遺産分割審判が申立てが条件だからです。

葬儀費用の支払いをするために、遺産分割調停や遺産分割審判を申し立てるのはハードルが高いでしょう。

家庭裁判所の仮払い制度を利用するためには、調停・審判の申立てが必要です。

⑧預金仮払いを受けると相続放棄ができなくなる可能性

相続が発生した後、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続を単純承認した後で、相続放棄をすることはできません。

相続放棄をすることができないように、単純承認も撤回することができないからです。

法律で定められた一定の条件にあてはまるときは、単純承認したとみなされます。

相続財産の名義変更をした、相続財産である銀行の預貯金を引き出して使ってしまった場合が典型的です。

単に、引き出しただけであれば、処分とは言えないことが多いでしょう。

葬儀費用は、ある程度まとまった金額になります。

死亡の時期がだれにも分からないように、葬儀の時期もだれにも予想できません。

被相続人に預貯金があるのに、預貯金が使えないために葬儀を行えないとなったら非常識な結果になります。

相続人は被相続人の預貯金を使って、社会通念上相応の葬儀を行うことができます。

社会通念上相応の葬儀費用である場合、被相続人の預貯金から支出しても単純承認になりません。

葬儀は社会的儀式として必要性が高いと認められているからです。

社会通念上相応の葬儀とは、どのような葬儀を指すのか一概に決めることはできません。

○万円以内なら単純承認にならないという明確な基準があるわけではありません。

相続放棄をした人が社会通念上相応と考えて相続財産から支出した場合であっても、他の人は不相応に高額な支払いと考えるかもしれません。

債権者は、相続放棄をした相続人に対して被相続人に借金の支払いを求めることができません。

相続放棄が無効の場合、相続放棄が無効だから被相続人の借金を支払って欲しいと交渉することができます。

預金の仮払いを受けられるからと言って、被相続人の預金を使うのはリスクを伴います。

あえて債権者から疑いの目を向けられるリスクをおかす必要はありません。

相続放棄をした人が固有の財産から葬儀費用を支払うのが安全です。

被相続人の預金をを使って葬儀費用の支払いをした場合、単純承認になるおそれがあります。

4預貯金の相続手続を司法書士に依頼するメリット

口座を凍結されてしまったら、書類をそろえて手続すれば解除してもらえます。

必要な書類は、銀行などの金融機関によってまちまちです。

手続の方法や手続にかかる期間も、まちまちです。

銀行内部で取扱が統一されていないことも多いものです。

窓口や電話で確認したことであっても、上席の方に通してもらえないことも少なくありません。

相続手続は、やり直しになることが多々あります。

このためスムーズに手続きできないことが多いのが現状です。

日常生活に不可欠な銀行口座だからこそ、スムーズに手続したいと思う方が多いでしょう。

仕事や家事で忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続を丸ごとおまかせできます。

ご家族にお世話が必要な方がいて、お側を離れられない方からのご相談もお受けしております。

凍結口座をスムーズに解除したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

法定相続情報一覧図が使えない

2024-09-08

1法定相続情報一覧図は便利

①法定相続情報一覧図を使うと相続手続がラク

相続が発生すると、相続人は相続手続をすることになります。

相続手続先は、市区町村役場や銀行などの金融機関です。

相続手続では、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本と相続人の現在戸籍を提出します。

相続手続のたびに、大量の戸籍謄本を提出しなければなりません。

大量の戸籍謄本を持ち歩くと、汚してしまったり紛失したりする心配があるでしょう。

相続手続先にとっても、戸籍謄本の束を読解するのは手間のかかる事務です。

被相続人を中心にして、どういう続柄の人が相続人であるのか一目で分かるように家系図のように取りまとめてあると便利です。

この家系図と戸籍謄本等を法務局に提出して、登記官に点検してもらうことができます。

登記官は内容に問題がなかったら、地模様の入った専用紙に認証文を付けて印刷して、交付してくれます。

これが法定相続情報証明制度です。

地模様の入った専用紙に印刷してくれた家系図のことを法定相続情報一覧図と言います。

多くの場合、家系図のように書きます。

相続人をずらっと書き並べることもできます。

連記式の法定相続情報一覧図は、税務申告などで提出できないことがあります。

②法定相続情報一覧図の取得には時間がかかる

法務局にいったん提出して点検してもらうので、時間がかかります。

法定相続情報一覧図の書き方は、厳格に決まっています。

書き直しになると、時間が余計にかかります。

法務局の混雑により変わりますが、一般的に2週間程度かかります。

法定相続情報一覧図の取得には時間がかかる点がデメリットです。

2法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出ができない

①戸籍謄本等が集められないと保管及び交付の申出ができない

法務局に戸籍謄本等の点検をお願いすることを法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出と言います。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書をするとき、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本をすべて集めて提出しなければなりません。

戸籍には、その人に身分関係が記録されています。

結婚や離婚、子どもや養子の存在を家族には内緒にしている方もいます。

戸籍には、すべて記録されています。

戸籍が新しくなったときに、書き写される項目と書き写されない項目があります。

書き写されない項目を確認するために、出生から死亡までの連続した戸籍謄本を全部揃える必要があります。

例えば、子どもを認知したときは、戸籍に記載されます。

この後、戸籍のお引越し(転籍)や戸籍の作り直し(改製)などで新しい戸籍が作られることがあります。

新しい戸籍には、子どもを認知したことは書き写されません。

最近の戸籍だけ見ていると、認知した子どもがいないと勘違いしてしまうでしょう。

認知された子どもは、相続人になります。

戸籍の中にいた人が全員他の戸籍に移ってしまった場合や死亡した場合、市区町村役場は除籍簿として管理しています。

除籍簿は、保存期間が決められています。

保管期間が過ぎると順次、廃棄処分してしまいます。

廃棄処分してしまったものは、取得できなくなります。

市区町村役場の保存期間内なのに、戸籍がない場合があります。

戸籍が戦災や災害で滅失してしまっていることがあるからです。

必要な戸籍謄本等を大幅に提出できない場合、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出ができません。

旧民法の家督相続による相続であっても、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書を提出することができます。

古い相続では、戸籍等が集められないことが多いでしょう。

戸籍謄本等が集められない場合、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出ができません。

②日本国籍のない人がいると保管及び交付の申出ができない

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書をするとき、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本をすべて集めて提出しなければなりません。

被相続人に日本国籍がないことがあります。

日本国籍がない場合、戸籍謄本等を提出することができません。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書をするとき、相続人の戸籍謄本を提出しなければなりません。

相続人に日本国籍がない場合、戸籍謄本等を提出することができません。

戸籍謄本等を提出できない場合、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書をすることができません。

相続人が帰化した人である場合があります。

帰化した後に相続が発生したのであれば、相続発生時の戸籍謄本を提出することができます。

必要な戸籍謄本等が準備できれば、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書を提出することができます。

3相続人が変更になると法定相続情報一覧図が使えない

①子ども全員が相続放棄すると法定相続情報一覧図が使えない

法定相続情報一覧図は、戸籍謄本や住民票の内容を分かりやすく取りまとめたものです。

戸籍謄本や住民票に現れないことは、記載することができません。

相続放棄した相続人は、そのまま記載します。

戸籍謄本から相続時放棄をしたことが分からないからです。

相続放棄申述受理証明書を提出した場合であっても、相続放棄をしたことを記載することはできません。

被相続人に子どもがいれば、戸籍謄本を見る限り、子どもが相続人になるように見えます。

法定相続情報一覧図に、親などの直系尊属を記載することができません。

親などの直系尊属を記載した場合、書き直しになります。

実際は、子ども全員が相続放棄をした場合、親などの直系尊属が相続人になります。

子ども全員が相続放棄した場合、法定相続情報一覧図を使うことはできません。

②廃除された相続人がいると法定相続情報一覧図が使えない

廃除とは、被相続人の意思で相続人の資格を奪う制度です。

廃除された相続人は、相続人でありません。

廃除された相続人は、法定相続情報一覧図に記載できません。

廃除された相続人の氏名や生年月日、廃除された年月日を記載した場合、書き直しになります。

相続人が廃除された場合、代襲相続が発生します。

法定相続情報一覧図に廃除の代襲相続人を記載することはできません。

廃除された相続人を「被代襲者」と記載する場合であっても、書き直しになります。

被相続人が遺言書で相続人を廃除することがあります。

遺言書で相続人を廃除する場合、遺言執行者が家庭裁判所に対して相続人廃除の申立てをします。

家庭裁判所が廃除の申立てについて判断する前に、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出がされる場合があります。

家庭裁判所の審査中だから、戸籍には何も書いてありません。

法定相続情報一覧図には、通常の相続人同様に記載することになります。

廃除された相続人は、相続人になることができません。

家庭裁判所の決定前に作られた法定相続情報一覧図を使うことはできません。

家庭裁判所が廃除の決定をした後、あらためて、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をすることができます。

廃除された相続人がいる場合、法定相続情報一覧図を使うことはできません。

③欠格の相続人がいると法定相続情報一覧図が使えない

相続欠格とは、相続人としてふさわしくない人の相続資格を奪う制度です。

欠格になった証明書を提出した場合であっても、法定相続情報一覧図に相続欠格であることを記載することはできません。

相続欠格になった相続人は、そのまま記載します。

戸籍謄本から分からないからです。

相続人が欠格である場合、代襲相続が発生します。

法定相続情報一覧図に、欠格の相続人の代襲相続人を記載することはできません。

欠格の相続人は「被代襲者」と記載する場合であっても、書き直しになります。

欠格になった相続人がいる場合、法定相続情報一覧図を使うことはできません。

④死亡後に子どもが認知されると法定相続情報一覧図が使えない

被相続人の子どもは、必ず、相続人になります。

被相続人は、遺言書で認知をすることができます。

遺言書で認知をした場合、遺言執行者が認知届を市区町村役場に提出します。

遺言書で遺言執行者が指定されていない場合、家庭裁判所に対して遺言執行者選任の申立てをします。

父親が死亡した後でも、死亡後3年以内であれば、認知を求める訴えを起こすことができます。

家庭裁判所で親子関係が認められた場合、子どもとして相続人になります。

認知を認める判決書と確定証明書を添えて、判決確定から10日以内に認知届を提出します。

市区町村役場に認知届が提出される前に、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出がされる場合があります。

認知届提出前だから、戸籍には何も書いてありません。

子どもは認知される前だから、法定相続情報一覧図に記載することはできません。

認知前に作られた法定相続情報一覧図を認知後に使うことはできません。

認知届が提出された後、あらためて、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をすることができます。

死亡後に子どもが認知された場合、認知前の法定相続情報一覧図を使うことはできません。

⑤胎児が出生すると法定相続情報一覧図が使えない

被相続人の子どもは、必ず、相続人になります。

相続が発生したときに、子どもが胎児であることがあります。

相続が発生したときに胎児であっても、無事誕生すれば相続人になります。

胎児が誕生するまで、か月かかることがあります。

市区町村役場に出生届が提出される前に、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出がされる場合があります。

胎児が誕生する前だから、戸籍には何も書いてありません。

子どもは誕生していないので、法定相続情報一覧図に記載することはできません。

子どもが誕生した後、子どもが誕生する前に作られた法定相続情報一覧図を使うことはできません。

出生届が提出された後、あらためて、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をすることができます。

死亡後に胎児が出生した場合、出生前の法定相続情報一覧図を使うことはできません。

4相続手続等以外では法定相続情報一覧図が使えない

①住所が記載されても住所証明書として使えない

法定相続情報一覧図は、必要に応じて相続人の住所を記載することができます。

相続手続では、相続人の住所が必要になることが多いでしょう。

法定相続情報一覧図は、相続人の住所を証明する書類として機能します。

法定相続情報一覧図は、原則として、相続手続以外では使うことはできません。

相続手続以外で、住所の証明としても提出しても証明書として認められません。

具体的には、相続人の固有の財産について、登記申請をする場合があります。

不動産を取得する場合、取得する人の住所を証明する書類を提出します。

法定相続情報一覧図は、住所が記載されても住所証明書として提出することができません。

②親子関係が記載されても親権者の証明として使えない

被相続人の配偶者は、常に、相続人になります。

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

多くの場合、被相続人の配偶者は、子どもの親でしょう。

法定相続情報一覧図で親子関係を証明できると言えます。

被相続人が死亡した後に、被相続人の親が死亡することがあります。

被相続人の親が死亡した場合、代襲相続が発生します。

先の被相続人は、相続人になるはずだったからです。

先の被相続人の子どもは、代襲相続人です。

代襲相続人が未成年である場合、自分で遺産分割協議をすることはできません。

物事のメリットデメリットを充分に判断することができないからです。

未成年である代襲相続人の代わりに、親権者が遺産分割協議に参加します。

遺産分割協議書は、親権者である親が記名し親の実印を押印します。

記名押印をしたのが親権者であることを証明する戸籍謄本を提出します。

親権者であることを証明する戸籍謄本の代わりに、法定相続情報一覧図を使うことはできません。

③取締役の変更登記で使える

株式会社の取締役や監査役は、登記されています。

取締役や監査役が死亡退任をした場合、死亡退任を登記する必要があります。

死亡退任の登記を申請する場合、死亡を証明する書類を提出します。

死亡退任の登記は、相続手続ではありません。

死亡を証明する書類として、法定相続情報一覧図を使うことができます。

5法定相続情報一覧図の作成を司法書士に依頼するメリット

法定相続情報一覧図は、後に登記官が認証文を付して交付されます。

書き方が厳格に決まっています。

法定相続情報一覧図と似たものに、相続関係説明図があります。

相続関係説明図は、登記官が点検をしません。

単なる、事情説明の書類に過ぎません。

比較的、自由に書くことができます。

これらの違いを理解して、ポイントを押さえて書くことが重要です。

相続手続が少ない場合など、法定相続情報一覧図を作るまでもないこともあるでしょう。

相続手続をする手続先が多い場合は、法定相続情報一覧図は大変便利です。

仕事や家事で忙しい方は、戸籍謄本などの収集はすべてお任せいただけます。

すみやかな手続を考えている方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

数次相続があるときの法定相続情報一覧図

2024-09-08

1法定相続情報一覧図を使うと相続手続がラク

相続が発生すると、相続人は相続手続をすることになります。

相続手続先は、市区町村役場や銀行などの金融機関です。

相続手続では、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本と相続人の現在戸籍を提出します。

相続手続のたびに、大量の戸籍謄本を提出しなければなりません。

大量の戸籍謄本を持ち歩くと、汚してしまったり紛失したりする心配があるでしょう。

相続手続先にとっても、戸籍謄本の束を読解するのは手間のかかる事務です。

被相続人を中心にして、どういう続柄の人が相続人であるのか一目で分かるように家系図のように取りまとめてあると便利です。

この家系図と戸籍謄本等を法務局に提出して、登記官に点検してもらうことができます。

登記官は内容に問題がなかったら、地模様の入った専用紙に認証文を付けて印刷して、交付してくれます。

これが法定相続情報証明制度です。

地模様の入った専用紙に印刷してくれた家系図のことを法定相続情報一覧図と言います。

多くの場合、家系図のように書きます。

相続人をずらっと書き並べることもできます。

連記式の法定相続情報一覧図は、税務申告などで提出できないことがあります。

2数次相続とは

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意が不可欠です。

相続財産の分け方について、話し合いがまとまらないうちに相続人が死亡してしまうことがあります。

数次相続とは、話し合いがまとまらないうちに相続人が死亡して相続が発生することです。

死亡した相続人に相続が発生した場合、相続人の地位が相続されます。

最初の相続で話し合いをする地位が、死亡した相続人の相続人に相続されます。

数次相続は、どこまででも続きます。

法律上の制限は設けられていません。

3ひとつの相続にひとつの法定相続情報一覧図

①複数の相続をまとめた法定相続情報一覧図を作ることはできない

数次相続では、最初の相続と次の相続が発生しています。

数次相続が発生している場合、法定相続情報一覧図は一緒に作ることはできません。

最初の相続の法定相続情報一覧図と次の相続の法定相続情報一覧図は、別々に作ります。

最初の相続の法定相続情報一覧図には、相続発生の当時生きていた相続人はそのまま記載します。

法定相続情報一覧図は、その相続における相続人を見やすく取りまとめた書類だからです。

法定相続情報一覧図を作成したときには、すでに死亡した相続人について死亡日を書くことはできません。

死亡日を記載した場合、書き直しになります。

死亡した相続人について、あらためて法定相続情報一覧図を作成します。

法定相続情報一覧図を見るときは、相続が発生したときに生きていた相続人が今は死亡しているかもしれないということに注意する必要があります。

②複数の相続をまとめた相続関係説明図があると便利

相続関係説明図は単なる説明のための家系図です。

法務局の点検や認証文はありません。

単に説明のために自由に書くことができます。

数次相続をひとまとめにした相続関係説明図を作ると、相続全体が分かりやすくなります。

複数の法定相続情報一覧図を提出する場合、相続関係説明図を一緒に添付すると親切でしょう。

4数次相続があるときの法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出の方法

①法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出ができる人

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出ができるのは、相続人とその代理人です。

数次相続があるとき、最初の相続における相続人の地位が相続されています。

最初の相続における死亡した相続人の相続人は、最初の相続の法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をすることができます。

死亡した相続人の相続人は、相続人の地位を相続しているからです。

保管及び交付の申出をする人は、相続人であっても代理人であっても押印不要です。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をする場合、家系図に申出人の記載をしなければなりません。

通常の相続であれば申出人は家系図に現れていますから、家系図の氏名の近くに申出人と記載します。

数次相続の場合、死亡した相続人の相続人が最初の相続の法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をすることができます。

死亡した相続人の相続人は、最初の相続の家系図に相続人として現れません。

家系図に現れない人が申出人になる場合、作成者氏名の近くにまとめて記載します。

②複数の相続人で法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出ができる

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出ができるのは、相続人とその代理人です。

相続人が複数いる場合、複数の相続人が共同で申出をすることができます。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をする場合、相続人であっても代理人であっても押印は不要です。

複数の人が一度に保管及び交付の申出をする場合、申出書は、申出人氏名などを連記します。

複数の人が一度に保管及び交付の申出をする場合、いずれか一人が代理人を立てることができます。

遺言執行者は、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出の代理をすることができます。

相続手続を司法書士などの専門家に依頼する場合、一緒に依頼することができます。

③法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書の提出先

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書の提出先は、次の地を管轄する法務局です。

(1)被相続人の死亡時の本籍地

(2)被相続人の最後の住所地

(3)申出人の住所地

(4)被相続人名義の不動産の所在地

被相続人の最後の住所地を管轄する法務局に提出したい場合、被相続人の最後の住所地を証明する書類を提出する必要があります。

複数の人が共同して保管及び交付の申出をする場合、いずれか一人の住所地が管轄であれば、管轄の法務局として申出をすることができます。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出の際に、法定相続情報一覧図の必要数を交付してくれます。

保管及び交付の申出のときに気づいていなかった相続手続が必要になることが多々あります。

法定相続情報一覧図は手続をすれば、再交付をしてもらうことができます。

当初の法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をした人のみが再交付をしてもらうことができます。

複数の人が共同して保管及び交付の申出をした場合、いずれの人も再交付をしてもらうことができます。

再交付の申出を受け付ける法務局は、当初の法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をした法務局です。

④2つの相続の法定相続情報一覧図をまとめて申出ができる

数次相続では、最初の相続と次の相続が発生しています。

最初の相続の法定相続情報一覧図と次の相続の法定相続情報一覧図は、別々に作ります。

法定相続情報一覧図や申出書を別々に作ったら、2つの申出を同時に提出することができます。

数次相続は、最初の相続の相続人が死亡して次の相続が発生した場合です。

多くの場合、提出すべき戸籍謄本が重なり合うでしょう。

同じ戸籍謄本を2通用意する必要はありません。

5法定相続情報一覧図は相続登記と同時申請ができる

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出は、被相続人名義の不動産の所在地を管轄する法務局に提出することができます。

被相続人名義の不動産がある場合、相続登記が必要になります。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出は、相続登記と同時に申請することができます。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出と相続登記は、どちらも司法書士に依頼することができます。

数次相続がある場合の相続登記は、複雑になる相続の典型例です。

法律の知識だけでなく、登記の知識がないと登記申請をすることは難しいでしょう。

法定相続情報一覧図もまとめて依頼してしまうと相続手続がスムーズになります。

6法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出と相続登記を司法書士に依頼するメリット

法定相続情報一覧図は、後に登記官が認証文を付して交付されるので、書き方が厳格に決まっています。

法定相続情報一覧図と似たものに、相続関係説明図があります。

相続関係説明図は、登記官が点検をするものではなく、単なる事情説明の書類に過ぎませんから、比較的自由に書くことができます。

これらの違いを理解して、ポイントを押さえて書くことが重要です。

相続手続が少ない場合など、法定相続情報一覧図を作るまでもないこともあるでしょう。

逆に、銀行口座をたくさん持っているなど、相続手続をする手続先が多い場合は、法定相続情報一覧図は大変便利です。

相続が発生した場合、家族はたくさんの相続手続でとても忙しくなります。

葬儀の費用などの支払のため、銀行口座の相続手続を先行させたいと考えるかもしれません。

自宅不動産などの相続登記を後回しにしがちです。

要領よく相続手続を進めるためには、不動産の相続登記を先行させるのがおすすめです。

相続登記は、相続手続の中でも難易度が高い手続です。

司法書士などの専門家は、相続登記に必要な戸籍謄本などの書類をすべて準備してくれるからです。

お仕事や家事で忙しい方は戸籍謄本などの収集だけでも、タイヘンです。

相続登記が終わった後、登記に使った書類は原本還付をしてもらえます。

難易度の高い相続登記で使った書類がすべてあれば、銀行などで書類の不足を指摘されることは大幅に減ります。

銀行の預貯金などの相続手続についてもサポートを受けることができます。

すみやかな手続を考えている方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

法定相続情報一覧図の申出人

2024-09-01

1法定相続情報一覧図があると便利

相続が発生すると、相続人は相続手続をすることになります。

相続手続先は、多くの市区町村役場や銀行などの金融機関などです。

相続手続では、たくさんの戸籍謄本を提出します。

相続手続のたびに、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本と相続人の現在戸籍の束が必要になるからです。

大量の戸籍謄本を持ち歩くと汚してしまったり、紛失する心配があるでしょう。

受け取る市区町村役場や銀行などの金融機関にとっても、戸籍謄本の束を読解するのは手間のかかる事務です。

被相続人を中心にして、どういう続柄の人が相続人であるのか一目で分かるように家系図のように取りまとめてあると便利です。

この家系図と戸籍謄本等を法務局に提出して、登記官に点検してもらうことができます。

登記官は内容に問題がなかったら、地模様の入った専用紙に認証文を付けて印刷して、交付してくれます。

これが法定相続情報証明制度です。

登記官が地模様の入った専用紙に印刷してくれた家系図のことを法定相続情報一覧図と言います。

多くは家系図のように書きますが、相続人をずらっと書き並べることもできます。

税務申告など連記式の法定相続情報一覧図は提出できない場合があるので、作成前によく確認しましょう。

2法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出の申出人になれる人

①相続人は申出人になれる

相続人は、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出の申出人になることができます。

相続人は、自分で手続をすることができます。

司法書士などの専門家や他の家族を代理人に立てて、手続を依頼することもできます。

相続人は、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出の申出人になることができます。

②相続人の地位を相続した人は申出人になれる

相続が発生したときには生きていたのに、相続手続中に相続人が死亡することがあります。

相続手続中に相続人が死亡して、次の相続が発生することを数次相続と言います。

相続手続中に相続人が死亡した場合、相続人の地位が相続されます。

死亡した相続人の相続人は、相続人の地位を相続した人です。

死亡した相続人の相続人は、最初の相続の相続人ではありません。

相続人の地位を相続した人は、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出の申出人になることができます。

③遺言執行者は申出人になれる

被相続人が生前に遺言書を作成している場合があります。

遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者がいると、相続手続をおまかせすることができます。

遺言者にとっては、遺言書の内容を実現してもらえるので安心です。

相続人にとっても、わずらわしい相続手続をおまかせすることができるのでラクです。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出は、遺言執行の一環と言えます。

遺言執行者は、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出の申出人になることができます。

④受遺者は申出人になれない

被相続人は、自分の死後だれに財産を引き継いでもらうのか自由に決めることができます。

遺言書を作成して、相続人や相続人以外の人に財産を受け継いでもらうことができます。

遺贈とは、遺言書で財産を相続人や相続人以外の人に受け継いでもらうことです。

遺贈で財産を受け取る人を受遺者と言います。

相続人は、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出の申出人になることができます。

相続人でない受遺者は、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出の申出人になることができません。

包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有すると民法にあります。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出の申出人になることができるように思うかもしれません。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出の申出人になることができるのは、戸籍謄本で確認できる人に限られています。

受遺者は、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出の申出人になれません。

⑤成年後見人は認知症の人の代理で手続ができる

相続人は、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出の申出人になることができます。

相続人が認知症であることがあります。

認知症になると、物事のメリットデメリットを充分に判断することができなくなります。

成年後見人は、物事のメリットデメリットを充分に判断することができなくなった人をサポートする人です。

成年後見人は認知症の人に代わって、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をすることができます。

成年後見人は、認知症の人に代わって手続をするだけです。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出の申出人は、認知症の本人です。

成年後見人は、認知症の人に代わって法定相続情報一覧図の作成をすることができます。

法定相続情報一覧図には、作成者の住所と氏名を記載します。

認知症の人の住所と氏名を記載したうえで、成年後見人の住所と氏名を記載します。

成年後見人は、認知症の人に代わって作成しただけだからです。

成年後見人が弁護士や司法書士などの専門家である場合、「弁護士」「司法書士」などの記載はしません。

弁護士や司法書士として依頼を受けて作成したものではないからです。

成年後見人は認知症の人の代理で法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をすることができます。

⑥法定相続情報証明制度を利用できない場合がある

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をする場合、被相続人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本を提出します。

必要な戸籍謄本を提出できない場合、法定相続情報証明制度を利用することができません。

被相続人や相続人に日本国籍がない人が含まれている場合、戸籍謄本を提出できません。

法定相続情報証明制度を利用できない場合、相続人であっても申出人になることはできません。

3申出人は法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書に名前を書く人

①複数の人が申出人になることができる

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書と記載例は、法務局のホームページからダウンロードすることができます。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書に名前を書く人が申出人です。

ダウンロードした申出書の記載例を見ると、申出人の表示欄は一人だけ書いてあります。

申出人は一人に決めなければならないという意味ではありません。

複数の人が申出人になることができます。

②申出人は一覧図に記載が必要

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をするとき、一覧図は自分で作成して提出します。

法務局が一覧図を作ってくれるのではありません。

一覧図を作る場合、申出人を記載する必要があります。

相続人が申出人になる場合、一覧図に名前が出ているでしょう。

名前の近くに申出人と添え書きをします。

相続人の地位を相続した人が申出人になる場合、一覧図に名前が出ていません。

最初の相続が発生したとき、死亡した相続人は生きていたから、死亡した相続人の名前を記載するからです。

法定相続情報一覧図は、被相続人一人につき一つの一覧図を作ります。

2つの相続をまとめた一覧図を作ることはできません。

2つの相続をまとめた一覧図を提出した場合、作り直しになります。

2つの相続をまとめた一覧図を作ることはできないから、最初の相続の一覧図に死亡した相続人の相続人の名前は出ていません。

一覧図に名前が出ていない人が申出人になる場合、右下などに代理人の氏名、作成年月日を書く近くにまとめて書きます。

申出人の記載がない場合、作り直しになります。

③申出書に申出人の押印は不要

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書は、押印不要です。

申出人は、押印をする必要はありません。

④申出人は委任状に押印が不要

申出人は、自分で手続をすることができます。

司法書士などの専門家や他の家族を代理人に立てて、手続を依頼することもできます。

司法書士などの専門家や他の家族に手続を依頼する場合、委任状が必要になります。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書の委任状は、押印不要です。

申出人は、押印する必要はありません。

司法書士などの専門家や他の家族が手続する場合、依頼を受けた専門家や家族は申出書に押印する必要はありません。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出は、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出だけ手続をすることもできるし相続登記と一緒に手続をすることもできます。

相続登記と法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出を一緒に司法書士などの専門家に依頼することができます。

まとめて依頼する場合、司法書士などの専門家にそれぞれ委任をする必要があります。

それぞれの委任事項を1枚の委任状に取りまとめることができます。

1枚の委任状に取りまとめた場合、委任状に押印が必要です。

相続登記の委任状は、押印を省略することができないからです。

4申出人は本人確認書類の提出が必要

①本人確認書類とは

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書には、申出人の本人確認書類を提出する必要があります。

本人確認書類とは、次の書類です。

(1)運転免許証の表裏のコピー

(2)マイナンバーカードの表のコピー

(3)住民票

(4)戸籍の附票

(1)運転免許証の表裏のコピー(2)マイナンバーカードの表のコピーを提出する場合、原本に相違ありませんと記載して申出人が記名します。

記名のみで押印は不要です。

(3)住民票(4)戸籍の附票は、コピーではなく市区町村役場で発行されたものをそのまま提出します。

②本人確認書類は原本還付してもらうことができる

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書には、申出人の本人確認書類の他に被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を提出します。

被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本は、原則として原本還付されます。

原則として原本還付されるから、コピーを提出する必要はありません。

本人確認書類は、原則として原本還付されません。

本人確認書類は、希望したときだけ原本還付されます。

原本還付を希望する場合、本人確認書類のコピーも一緒に添付します。

コピーに、原本に相違ありませんと記載して申出人が記名します。

記名のみで押印は不要です。

余白がない場合は、コピーの裏面に記載することができます。

5法定相続情報一覧図の作成を司法書士に依頼するメリット

法定相続情報一覧図は、後に登記官が認証文を付して交付されるので、書き方が厳格に決まっています。

法定相続情報一覧図と似たものに、相続関係説明図があります。

相続関係説明図は、登記官が点検をするものではなく、単なる事情説明の書類に過ぎませんから、比較的自由に書くことができます。

これらの違いを理解して、ポイントを押さえて書くことが重要です。

相続手続が少ない場合など、法定相続情報一覧図を作るまでもないこともあるでしょう。

銀行口座をたくさん持っているなど、相続手続をする手続先が多い場合は、法定相続情報一覧図は大変便利です。

仕事や家事で忙しい方は、このような手続はすべてお任せいただけます。

すみやかな手続を考えている方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続手続は司法書士に依頼できる

2024-08-18

1相続手続は司法書士に依頼できる

①相続人調査は司法書士に依頼できる

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

相続が発生した場合、たくさんの相続手続をすることになります。

相続手続の最初の難関は、相続人調査です。

家族にとってだれが相続人になるか当然のことでしょう。

相続手続先に対しては、客観的に証明しなければなりません。

相続人を客観的に証明するとは、戸籍謄本で証明することです。

戸籍には、その人に身分事項がすべて記載されているからです。

相続人を客観的に証明するため、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を用意しなければなりません。

戸籍謄本は、本籍地の市区町村役場に請求します。

遠方の市区町村役場に郵送で戸籍謄本を請求するのは、手間がかかります。

古い戸籍は、活字ではなく手書きで記載されています。

現在と書き方ルールがちがううえに手書きで記載されているから、戸籍謄本の解読は骨が折れる作業です。

手間と時間がかかる相続人調査は、司法書士に依頼することができます。

②相続財産調査は司法書士に依頼できる

相続が発生した場合、被相続人のものは相続人が相続します。

被相続人は、いろいろな財産を持っていたでしょう。

相続財産は、プラスの財産だけではありません。

マイナスの財産も、相続財産になります。

相続人と被相続人が別居していた場合、被相続人の財産状況を詳しく知っていることはあまりないでしょう。

預貯金は、通帳やキャッシュカード、金融機関などからの通知を探します。

手がかりが見つかったら、金融機関に口座の有無を照会します。

不動産は、権利書や固定資産税の領収書を探します。

手がかりが見つかったら、市区町村役場に名寄帳を請求します。

機密性の高い個人情報であることを考慮して、名古屋市など名寄帳を発行していない市区町村役場もあります。

名古屋市では、課税明細書と資産明細書で代用します。

株式は、証券会社や信託銀行からのお手紙や株主総会招集通知や配当通知を探します。

手がかりが見つかったら、金融機関に連絡をして残高証明書を請求します。

証券保管振替機構に対して登録済加入者情報の開示請求をして調べることもできます。

借金は、契約書、借入明細書や督促状を探します。

手がかりが見つかったら、貸主に連絡をして残高証明書を請求します。

信用情報機関に照会すると詳しく確認することができます。

(1)消費者金融からのお借入  日本信用情報機構(JICC)

(2)クレジット会社からのお借入 株式会社シー・アイ・シー(CIC)

(3)銀行からのお借入       全国銀行協会全国銀行個人信用情報センター

相続財産は、財産ごとに別々の期間に照会して調べていきます。

照会しても、すぐに返事はもらえないことが少なくありません。

根気良く手続をするのは、気が遠くなる作業です。

手間と時間がかかる相続財産調査は、司法書士に依頼することができます。

③相続放棄は司法書士に依頼できる

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続財産には、プラスの財産とマイナスの財産があります。

相続財産がわずかなプラスの財産と莫大なマイナスの財産である場合、そのまま相続すると相続人の人生が破綻します。

相続人は、相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄を希望する申立てをします。

相続放棄の申立ては、3か月の期限があります。

この申立ての期限は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内です。

相続があったことを知ってから3か月以内の期間のことを熟慮期間と言います。

「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。

相続放棄のチャンスは、1回限りです。

相続放棄の手続は、司法書士に依頼することができます。

④遺産分割協議書の作成は司法書士に依頼できる

相続が発生したら、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。

相続財産は、相続人全員の話し合いによる合意で分け方を決定します。

相続人全員の分け方の合意ができたら、合意内容を書面に取りまとめます。

相続財産の分け方について、相続人全員の合意内容を取りまとめた書面が遺産分割協議書です。

相続人全員の合意ができたら、相続手続を進めます。

遺産分割協議書は、相続手続のため相続手続先の人にも分かるように記載することが大切です。

遺産分割協議書の記載が不適切である場合、相続手続を進めることができません。

相続手続をスムーズに進めるため、遺産分割協議書作成は、司法書士に依頼することができます。

⑤相続登記は司法書士に依頼できる

相続財産に不動産が含まれることがあります。

不動産の名義変更が相続登記です。

不動産は重要な財産であることが多いから、相続登記は厳格に審査されます。

一般的に言って、相続登記は手間のかかる難しい手続です。

些細なミスであれば、やり直しをすることで相続登記を通してもらえます。

重大なミスであればやり直しは認められず、いったん取下げて再提出になります。

一般の人が些細なことと思えるようなことでやり直しになります。

手間のかかる難しい相続登記は、司法書士に依頼することができます。

2裁判所の書類作成は司法書士に依頼できる

①遺言書の検認は司法書士に依頼できる

被相続人が遺言書を作成していることがあります。

公正証書遺言か自筆証書遺言のいずれかを作成される人がほとんどです。

公正証書遺言は、遺言内容を公証人に取りまとめてもらって作る遺言書です。

公正証書遺言は、安心確実な遺言書です。

公正証書遺言は、検認を受ける必要はありません。

検認とは、家庭裁判所で遺言書を点検してもらうことです。

自筆証書遺言は、遺言者が自分で書いて作った遺言書のことです。

自筆証書遺言は、手軽です。

自筆証書遺言を法務局に提出して、保管してもらうことができます。

法務局保管の自筆証書遺言は、検認を受ける必要はありません。

法務局保管でない自筆証書遺言は、検認を受ける必要はあります。

法務局保管でない自筆証書遺言を預かっている人や見つけた人は、家庭裁判所に対して自筆証書遺言検認の申立てをします。

遺言書の検認の書類作成は、司法書士に依頼することができます。

②成年後見人選任の申立ては司法書士に依頼できる

相続財産の分け方は、相続人全員の話し合いによる合意で決定します。

相続人の中に認知症の人がいることがあります。

認知症の人は、物事のメリットデメリットを充分に判断することができません。

物事のメリットデメリットを充分に判断することができない人が自分で相続財産の分け方を合意することはできません。

認知症の人を除いて相続財産の分け方を合意しても、無効の合意です。

認知症の人が遺産分割協議書に記名し押印しても、無効の書類です。

認知症の人は物事のメリットデメリットを充分に判断することができないから、サポートする人をつける必要があります。

成年後見人は、認知症の人をサポートする人です。

成年後見人は、認知症の人の代わりに相続財産の分け方の話し合いをします。

成年後見人は、認知症の人の代わりに遺産分割協議書に記名し押印します。

成年後見人は、家庭裁判所が選任します。

認知症の人や家族は、家庭裁判所に対して成年後見人選任の申立てをすることができます。

成年後見人選任の申立書の作成は、司法書士に依頼することができます。

③不在者財産管理人選任の申立ては司法書士に依頼できる

相続財産の分け方を決定するためには、相続人全員の話し合いによる合意が不可欠です。

相続人の中に行方不明の人がいることがあります。

行方不明の人は、自分で話し合いをすることができません。

行方不明の人を除いて相続財産の分け方を合意しても、無効の合意です。

行方不明の人は自分で話し合いをすることができないから、代わりの人が話し合いに参加します。

不在者財産管理人は、行方不明の人の代わりの人です。

不在者財産管理人は、行方不明の人の代わりに遺産分割協議書に記名し押印します。

不在者財産管理人は、家庭裁判所が選任します。

行方不明の人の家族は、家庭裁判所に対して不在者財産管理人選任の申立てをすることができます。

不在者財産管理人選任の申立書の作成は、司法書士に依頼することができます。

④特別代理人選任の申立ては司法書士に依頼できる

物事のメリットデメリットを充分に判断することができない人が自分で相続財産の分け方を合意することはできません。

未成年者が契約などの法律行為をする場合、親などの親権者が代わりに手続をします。

未成年者が相続人になる場合、親などの親権者も相続人になっているでしょう。

未成年者と親などの親権者が相続人になる場合、親などの親権者は子どもを代理することはできません。

未成年者と親などの親権者が相続人になる場合、利益相反になるからです。

利益相反とは、一方がトクをすると他方がソンをする関係です。

親がトクをすると子どもがソンをするから、親などの親権者は子どもを代理することはできません。

親などの親権者が子どもを代理することができない場合、代わりの人が話し合いに参加します。

特別代理人は、未成年者の代わりの人です。

特別代理人は未成年者の代わりに遺産分割協議書に記名し押印します。

特別代理人は、家庭裁判所が選任します。

未成年者の家族は、家庭裁判所に対して特別代理人選任の申立てをすることができます。

特別代理人選任の申立書の作成は、司法書士に依頼することができます。

3相続手続で司法書士に依頼できないこと

①相続人間に争いがあるときは弁護士

相続手続で司法書士に依頼できることはたくさんあります。

相続手続の過程で紛争に発展した場合、司法書士に依頼することができません。

紛争に発展した場合、代理人となることができるのは弁護士だけです。

司法書士は、相続人に代わって交渉をすることができません。

司法書士は、遺産分割調停の代理人になることもできません。

②相続税申告は税理士

被相続人が資産家である場合、相続税申告が必要になることがあります。

相続材申告が必要になるのは、10%未満の富裕層です。

相続税申告は、司法書士に依頼することはできません。

税務申告の代理は、税理士の業務範囲です。

4相続手続を司法書士に依頼するメリット

相続が発生したら、ご遺族は大きな悲しみに包まれます。

大きい悲しみのなかで、相続財産を調査するのは身体的にも精神的にも大きな負担になります。

負担の大きい財産調査を司法書士などの専門家に依頼することができます。

その後の相続手続がスムーズになります。

被相続人の財産は、相続人もあまり詳しく知らないという例が意外と多いものです。

悲しみの中で被相続人の築いてきた財産をたどるのは切なく、苦しい作業になります。

相続財産調査のためには銀行などの金融機関から、相続が発生したことの証明として戸籍謄本等の提出が求められます。

戸籍謄本等の取り寄せも含め、手続をおまかせいただけます。

仕事や家事で忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続を丸ごとおまかせできます。

家族にお世話が必要な方がいて、頻繁に家を空けられない方からのご相談もお受けしております。

財産調査でお疲れが出る前に、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

遺言書を開封しても無効にならない

2024-08-09

1遺言書を勝手に開封してはいけない

①遺言書を見つけたら家庭裁判所に提出

相続が発生した後に、遺言書を見つけることがあります。

遺言書を作成したから、預かっておいて欲しいと依頼されるかもしれません。

遺言書を見つけた人や預かっていた人は、家庭裁判所に提出をする必要があります。

遺言書を提出する手続を遺言書検認の申立てと言います。

遺言書を見つけたら、家庭裁判所に提出をします。

②遺言書は検認期日で開封

相続人であれば、遺言書の内容が気になるでしょう。

遺言書は、勝手に開封してはいけません。

遺言書を見つけたら、家庭裁判所に届出をする必要があります。

遺言書検認の申立てを受け付けたら、相続人全員を家庭裁判所に呼び出します。

相続人全員に遺言書があることを知らせて、開封に立会いをしてもらうためです。

遺言書は、相続人立会いで家庭裁判所で開封してもらいます。

遺言書は、検認期日で開封してもらいます。

③検認では形状・内容を確認する

遺言書検認の申立てを受け付けたら、家庭裁判所は相続人全員を家庭裁判所に呼び出します。

相続人に立会いをしてもらって、遺言書を開封します。

遺言書を開封した後、遺言書の形状、加除の状態、日付や署名を確認します。

確認した内容は、調書に取りまとめます。

調書を見れば、検認期日時点の遺言書の形状・内容が分かります。

検認期日以降に改ざんや変造をした場合、調書と照らし合わせることで分かってしまいます。

検認期日以降、改ざんや変造を防止することができます。

検認手続は、遺言書の改ざんや変造を防止するための手続です。

検認手続では、遺言書の形状・内容を確認します。

④うっかり開封しても家庭裁判所に提出

遺言書を見つけたら、家庭裁判所に提出をする必要があります。

封筒に遺言書と書いてあれば、中身は遺言書であると気がつくことができるでしょう。

封筒に遺言書と書いてあっても、書いてあることに気がつかないことがあります。

封筒に何も書いていない場合、遺言書であると気がつくことができません。

遺言書であることに気づかず開封してしまうことがあります。

家庭裁判所で開封してもらうルールがあることを知らないかもしれません。

うっかり開封してしまったら、そのまま家庭裁判所に提出をします。

⑤勝手に開封するとペナルティーのおそれ

遺言書の内容が気になっても、勝手に開封してはいけません。

遺言書の検認をしないで、勝手に開封するとペナルティーのおそれがあります。

⑥検認をしないと疑われる

遺言書を見つけたら、家庭裁判所に提出をする必要があります。

家庭裁判所に遺言書検認の申立てをする期限はありません。

遅くならない程度に、申立てをすればいいでしょう。

相続が発生すると、家族は忙しくなります。

日常の仕事や家事に加えて、たくさんの相続手続をしなければならなくなるからです。

裁判所に対する手続は、よく分からないことが多いでしょう。

よく分からないから、先延ばししがちになります。

単に、忙しい、分からないと思って先延ばししているだけなのに、他の相続人にはそう見えないことがあります。

他の相続人からは、遺言書を隠匿しているように見えることがあるからです

不当な利益を得る目的で遺言書を隠匿した場合、相続欠格になります。

相続欠格は、相続人にふさわしくない人の相続権を奪うことです。

欠格になると相続できなくなるし、遺留分も失われます。

遺言書を隠匿した場合、刑事責任を問われることがあります。

遺言書は、権利義務に関する書面です。

権利義務に関する書面を隠匿した場合、私用文書毀棄罪に問われます。

すみやかに遺言書検認の申立てをしないと、他の相続人から疑われます。

2遺言書を開封しても無効にならない

①開封しても遺言書の効力は変わらない

遺言書は、家庭裁判所の検認期日で相続人立会いをしてもらって開封します。

遺言書を勝手に開封するとペナルティーのおそれがあります。

うっかり開封してしまっても、遺言書の効力に変わりはありません。

うっかり開封したから、遺言書が無効になると言ったことはありません。

開封してしまっても、有効の遺言書は有効です。

開封しなくても、無効の遺言書は無効です。

勝手に開封してしまっても、遺言書の効力は変わりません。

②遺言書の改ざん・変造は相続欠格

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

相続人は、遺言者の意思を実現させてあげたいでしょう。

遺言書の改ざん・変造は、遺言者の意思を踏みにじるものと言えます。

相続欠格とは、相続人にふさわしくない行為をした人から相続資格を奪うことです。

遺言者の意思を踏みにじる行為は、相続人にふさわしくない行為だから相続資格が奪われて当然でしょう。

遺言書の改ざん・変造をした場合、相続欠格になります。

③開封しただけなら相続できる

遺言書を見つけても、勝手に開封してはいけません。

遺言書であることに気づかない場合、うっかり開封してしまうことがあるでしょう。

うっかり開封してしまっただけなら、相続欠格になることはありません。

うっかり開封しただけで、遺言書が無効になることもありません。

うっかり開封しただけなら、遺言書を執行して相続することができます。

④勝手に開封すると疑われる

遺言書は、家庭裁判所で相続人立会いで開封してもらいます。

家庭裁判所の検認手続で開封された場合、遺言書は改ざんや変造はされていないと考えられるでしょう。

遺言書を勝手に開封すると、他の相続人から疑われます。

遺言書を見つけた相続人に有利な内容であった場合、いっそう疑いは強まるでしょう。

遺言書の改ざんや変造は、遺言者の意思を踏みにじる行為です。

他の相続人から強い非難が向けられるでしょう。

うっかり開封しただけなら、そのまま家庭裁判所に提出しましょう。

うっかり開封したことを隠そうとすると、よけいに疑いの目を向けられます。

勝手に開封すると、他の相続人から疑われます。

3公正証書遺言は検認不要

①遺言書の種類

遺言書を作成する場合、自筆証書遺言か公正証書遺言を作るケースがほとんどです。

自筆証書遺言は、自分ひとりで書いて作った遺言書です。

自筆証書遺言を作成した後は、原則として、自分で保管します。

作成した自筆証書遺言を法務局に提出して、保管してもらうことができます。

公正証書遺言は、公証人が文書に取りまとめて作る遺言書です。

証人2人に確認してもらって作ります。

②公正証書遺言は公証役場で厳重保管

公正証書遺言を作成した後は、公正証書遺言原本は公証役場で保管されます。

公正証書遺言を作成した場合、遺言書の正本と謄本が渡されます。

手許にある正本や謄本に改ざん変造をしても、意味はありません。

正本や謄本は、言わばコピーだからです。

公正証書遺言原本は、公証役場で厳重に保管されています。

公証役場で厳重に保管されているから、公正証書遺言原本は改ざん変造があり得ません。

あらためて、公正証書遺言の謄本を請求することができます。

新たに取得した謄本と照らし合わせると、改ざんや変造は見つかってしまうでしょう。

③公正証書遺言は家庭裁判所に提出不要

遺言書を見つけた人は、家庭裁判所に提出するルールがあります。

家庭裁判所に提出するのは、遺言書の検認をしてもらうためです。

公正証書遺言は、検認手続をする必要がありません。

遺言書検認手続は、遺言書の改ざんや変造を防止するために行っています。

公正証書遺言原本は、公証役場で厳重に保管されています。

公正証書遺言は、改ざん変造があり得ません。

改ざん変造があり得ないから、公正証書遺言は検認手続をする必要がありません。

公正証書遺言は、家庭裁判所に提出不要です。

4法務局保管の自筆証書遺言は検認不要

①法務局で自筆証書遺言を保管してもらえる

自筆証書遺言を作成した後は、自分で保管するのが原則です。

遺言書にはプライベートな内容が書いてあるから、簡単に人目にさらしません。

自分で保管していると、自分で紛失してしまうかもしれません。

家族と保管場所を共有していないと、相続が発生した後に家族が遺言書を見つけられなくなるかもしれません。

家族と保管場所を共有していると、遺言書の改ざんや変造がされるかもしれません。

自筆証書遺言は、作成後の保管場所に困ります。

自筆証書遺言を法務局に提出して、保管してもらうことができます。

②法務局に提出されたら法務局で厳重保管

法務局に提出された後は、法務局で厳重に保管されます。

法務局は自筆証書遺言を預かるときに、遺言書保管証を発行します。

遺言書保管証に、遺言書の内容は書いてありません。

法務局に預けた自筆証書遺言は、遺言者本人以外には返却されません。

遺言者本人が死亡したら、遺言書を返してもらうことはできなくなります。

法務局保管の自筆証書遺言は、改ざんや変造ができません。

法務局に提出されたら、自筆証書遺言は法務局で厳重保管されます。

③法務局保管の自筆証書遺言は家庭裁判所に提出不要

法務局保管の自筆証書遺言は、検認手続をする必要がありません。

法務局保管の自筆証書遺言は、法務局で厳重に保管されています。

法務局保管の自筆証書遺言は、改ざん変造があり得ません。

改ざん変造があり得ないから、公正証書遺言は検認手続をする必要がありません。

法務局保管の自筆証書遺言は、家庭裁判所に提出不要です。

5遺言書検認の申立てを司法書士に依頼するメリット

自筆証書遺言や秘密証書遺言を預かっている人や見つけた人は家庭裁判所に届出る必要があります。

遺言書を隠したり捨てたりすると、相続人になることができません。

他の相続人から疑いをかけられてトラブルになるのを避けるためにも、すみやかに家庭裁判所に遺言書検認の申立てをしましょう。

遺言書検認の申立てのためには、たくさんの書類が必要になります。

仕事や家事で忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続をおまかせできます。

家族にお世話が必要な方がいて、お側を離れられない方からのご相談もお受けしております。

裁判所に提出する書類を作成できるのは、弁護士と司法書士のみです。

弁護士と司法書士でない人は作成代行はできませんから、充分注意しましょう。

遺言書の検認を司法書士に依頼した場合、遺言書検認申立書の作成だけでなく、家庭裁判所への提出もおまかせいただけます。

遺言書を預かっている方や見つけた方はトラブルになる前に、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

死亡届は提出前にコピー

2024-07-31

1死亡届は返却されない

①人が死亡したら死亡届

死亡届は、戸籍法の定めにより行う届出です。

人が死亡したら、死亡届の提出が義務付けられています。

死亡届を提出する場合、死亡診断書(死体検案書)が必要になります。

死亡届と死亡診断書(死体検案書)は、1枚の用紙に印刷されています。

左半分が死亡届で、右半分が死亡診断書(死体検案書)です。

死亡届は、届出人が記載します。

死亡診断書(死体検案書)は、医師が記載します。

死亡診断書と死体検案書は、人の死亡を医学的・法律的に証明する文書です。

死亡診断書は、医師が診療していた傷病に関連して死亡したときに作成されます。

死体検案書は、医師が診療していた傷病に関連して死亡したとき以外に作成されます。

死亡診断書と死体検案書の効力に、ちがいはありません。

死亡届を提出すると、戸籍に死亡が記録され住民登録が抹消されます。

②死亡届の提出先

死亡届の提出先は、次の市区町村役場です。

(1)死亡した人の本籍地

(2)届出人の住所地

(3)死亡地

③死亡届の提出期限

死亡届の提出には、提出期限があります。

死亡の事実を知ってから、7日以内です。

国外で死亡した場合は、死亡の事実を知った日から3か月以内です。

④死亡届の届出人

死亡届の届出人は、次のとおりです。

(1)同居の親族

(2)その他の同居人

(3)家主、地主又は家屋若しくは土地の管理人

上記の人は順序に関わらず、届出人になることができます。

次の人は、届出をすることができます。

(1)同居の親族以外の親族

(2)後見人、保佐人、補助人、任意後見人

(3)任意後見受任者

死亡届の届出義務は、ありません。

⑤届出人が記入した後に使者が市役所に提出できる

死亡届は、届出人が記載します。

死亡診断書(死体検案書)は、医師が記載します。

届出人と医師が記入したら、死亡届はできあがりです。

できあがった死亡届は、だれが市区町村役場に持って行っても構いません。

市区町村役場に持って行く人は、届出人ではなく使者だからです。

葬儀業者の人が使者として市区町村役場に持って行っても差し支えありません。

⑥死亡届提出後に埋火葬許可証

死亡届の提出と一緒に、埋火葬許可証の発行申請をします。

埋火葬許可証とは、死亡した人を埋火葬する許可を証明する書類です。

死亡してから24時間経過した後、火葬します。

埋火葬許可証がないと、火葬を執行することができません。

火葬を執行すると、埋火葬許可証に執行済のスタンプが押されます。

執行済の埋火葬許可証は、納骨のときにも必要になります。

無くさないように大切に保管しましょう。

2死亡届は提出前にコピー

①死亡届のコピーが必要になるケース

死亡届は、提出先の市区町村役場の窓口に提出します。

書類に問題がなければ、受理されます。

受理された後、死亡届は返却されません。

死亡届を提出する前に、コピーを取っておきましょう。

死亡届と死亡診断書(死体検案書)は、セットになっています。

死亡届と死亡診断書(死体検案書)のコピーが必要になるからです。

例えば、次の手続で必要になります。

(1)健康保険の喪失

(2)雇用保険の喪失

(3)労災保険の請求

(4)生命保険の請求

(5)自動車保険・損害保険の手続

(6)携帯電話の解約

(7)国民年金・厚生年金・共済年金の受給

(8)埋葬料・葬祭費の請求

(9)自動車などの名義変更

(10)公共料金の名義変更

上記を参考にして、多めにコピーを取っておきましょう。

②死亡届のコピーをとるタイミング

死亡が確認されたら、医師が死亡診断書(死体検案書)を作成します。

死亡日当日に死亡診断書(死体検案書)が渡されます。

届出人が死亡届を作成します。

死亡届を市区町村役場に提出するのは、死亡日当日か翌日でしょう。

死亡届を提出する場合、一緒に埋火葬許可証の発行申請をします。

火葬するためには、埋火葬許可証が必要です。

火葬場を予約するため、死亡届の提出が最優先になります。

少なくとも死亡日の翌日までに死亡届のコピーを取っておくのがおすすめです。

家族が死亡すると、親戚や知人への連絡で忙しくなります。

死亡届の提出期限は、7日以内です。

火葬することを考えると、余裕はありません。

葬儀業者の人が市区町村役場に提出をしてもらう場合、コピーも一緒に依頼するといいでしょう。

③死亡届のコピーでできない手続がある

生命保険会社や保険商品によっては、死亡届のコピーでは手続ができません。

高額な保険金の請求は、保険会社専用の死亡診断書が必要になるでしょう。

担当の医師に作成してもらえるように、依頼しましょう。

医師に死亡診断書を作成してもらう場合、1か月程度かかることがあります。

3コピーを忘れたら死亡届記載事項証明書を請求

①死亡届記載事項証明書を請求できる人

市区町村役場で死亡届が受理されたら、返却されません。

死亡届のコピーを忘れた場合、死亡届記載事項証明書を発行してもらうことができます。

死亡届記載事項証明書を請求できるのは、利害関係がある人で、かつ、特別な理由がある場合だけです。

死亡届記載事項証明書を請求できる人は、次のとおりです。

(1)配偶者

(2)6親等内の親族

(3)3親等内の姻族

単に、財産上の利害関係があるだけの人は、死亡届記載事項証明書を請求することはできません。

②死亡届記載事項証明書を請求のため特別な理由が必要

上記の人であっても特別な理由がない場合、死亡届記載事項証明書を請求できません。

例えば、特別な理由には次の理由があります。

(1)簡易生命保険の保険受取人であるため、郵便局に提出する

(2)遺族年金の受取人であるため、市町村役場、日本年金機構、共済組合、労働基準監督署に提出する

(3)婚姻や離婚の無効の裁判の申立てのため、家庭裁判所に提出する

(4)戸籍の記載事項の訂正許可の裁判の申立てのため、家庭裁判所に提出する

(5)帰化申請の許可の申立てのため、法務局に提出する

(6)外国人との婚姻を本国政府に報告するため、大使館、領事館に提出する

(7)日本で出生した子どもについて本国にパスポート申請のため、大使館、領事館に提出する

(8)日本で出生した子どもについて本国にパスポート申請の前提として出生登録のため、大使館、領事館に提出する

企業年金の受取人であることは、特別な事由にあたりません。

③死亡届記載事項証明書の請求先

死亡届記載事項証明書の請求先は、市区町村役場か法務局のいずれかです。

死亡届は、死亡者の本籍地の市区町村役場に提出することができます。

死亡者の本籍地の市区町村役場は、1か月間その市区町村役場で保管します。

死亡届は、届出人の住所地や死亡地の市区町村役場に提出されることがあります。

死亡者の本籍地以外の市区町村役場は、1年間その市区町村役場で保管します。

市区町村役場で保管中であれば、死亡届を保管している市区町村役場に請求します。

市区町村役場の保管期間が経過した場合、法務局で保管されます。

法務局は、市区町村役場から送付を受けた年度の翌年から27年間保管しています。

法務局で保管中であれば、死亡届を保管している法務局に請求します。

④死亡届記載事項証明書請求の必要書類

死亡届記載事項証明書請求の必要書類は、次のとおりです。

(1)請求者の本人確認書類

(2)利害関係人であることが分かる戸籍謄本

(3)特別な事由があることが分かる書類

(4)委任状(代理人が請求する場合)

⑤死亡届記載事項証明書の発行手数料

市区町村役場に請求する場合、死亡届記載事項証明書の発行手数料が必要です。

法務局に請求する場合、死亡届記載事項証明書の発行手数料がかかりません。

⑥死亡届記載事項証明書は郵送請求ができる

死亡届記載事項証明書を請求する場合、窓口まで出向いて請求することもできるし、郵送で請求することもできます。

郵送請求をする場合、返信用の切手と封筒を同封しておくと、証明書を送り返してもらうことができます。

4コピーを忘れたら死亡診断書や埋火葬許可証で

市区町村役場で死亡届が受理されたら、返却されません。

死亡届は、原則として、非公開です。

死亡届記載事項証明書を請求できる人は、限られています。

死亡届記載事項証明書を請求できる人であっても特別な理由が認められない場合、発行してもらえません。

死亡届のコピーを忘れた場合、別の書類を提出することができるかもしれません。

手続先に問い合わせてみましょう。

多くの手続先は、死亡の確認がしたいだけでしょう。

死亡の事実を確認する方法は、複数あります。

医師に依頼して、死亡診断書を作成してもらうことができます。

埋火葬許可証や埋火葬許可証発行済証明書を用意できるでしょう。

死亡の記載がある住民票や戸籍謄本を取得できます。

死亡届のコピーを忘れても、手続ができなくなることはありません。

5遺産承継サポート(遺産整理業務)を司法書士に依頼するメリット

家族が死亡した場合、いちばん最初に行う手続が死亡届の提出です。

ここから、たくさんの相続手続が始まります。

多くの場合、大切な家族を失ったら大きな悲しみに包まれます。

悲しみに包まれていても、日常の家事や仕事をする必要があります。

そのうえ、たくさんの用事と相続手続が押し寄せてきます。

相続は一生の間に何回も経験するものではありません。

相続手続で使われる言葉の多くは法律用語です。

聞き慣れない言葉があふれています。

ほとんどの人にとって、相続手続は不慣れなものです。

大切な家族を亡くして、力を落としているでしょう。

相続手続をするのは、大きな負担になります。

事例によっては、家庭裁判所の助力が必要になる場合があります。

専門家のサポートがないと難しい手続があります。

司法書士は家庭裁判所に提出する書類作成の専門家です。

相続手続を丸ごと依頼することができます。

確実に相続手続をしたい方は司法書士などの専門家に遺産整理業務を依頼することをおすすめします。

検認済証明書の取得方法

2024-07-26

1自筆証書遺言は検認手続が必要

①遺言書の種類

遺言書を作成する場合、自筆証書遺言か公正証書遺言を作るケースがほとんどです。

自筆証書遺言は、自分ひとりで書いて作った遺言書です。

自筆証書遺言を作成した後は、原則として、自分で保管します。

作成した自筆証書遺言を法務局に提出して、保管してもらうことができます。

公正証書遺言は、公証人が文書に取りまとめて作る遺言書です。

証人2人に確認してもらって作ります。

公正証書遺言を作成した後は、公正証書遺言原本は公証役場で保管されます。

②遺言書を見つけたら開封せずに家庭裁判所へ

相続が発生した後、遺言書を見つけることがあります。

生前、遺言者から遺言書を預かっておいて欲しいと依頼されるかもしれません。

自筆証書遺言を見つけた人や預かっている人は、家庭裁判所へ届け出る必要があります。

相続人であれば、遺言書の内容が気になるでしょう。

遺言書を勝手に開封することはできません。

開封せずに、家庭裁判所に提出します。

勝手に開封すると、ペナルティーになるおそれがあります。

封筒に入っていない遺言書であっても、検認は必要です。

封筒に入っているだけで封がされていない遺言書であっても、検認は必要です。

封筒の表書きに遺言書と書いてあれば、中身は遺言書であると気がつくことができます。

表書きに何も書いていない場合、気がつかずに開封してしまうことがあります。

誤って開封してしまったら、そのまま家庭裁判所へ提出します。

家庭裁判所で開封してもらうことを知らない相続人がいるでしょう。

うっかりと開封してしまっても、遺言書の有効無効に影響はありません。

検認前に開封しても、遺言書は無効になりません。

慌てて糊付けなどをすると、他の相続人から怪しまれます。

正直に打ち明けた方がいいでしょう。

遺言書を見つけたら開封せずに、家庭裁判所へ届け出る必要があります。

③自筆証書遺言保管制度利用なら検認不要

自筆証書遺言は、自分ひとりで書いて作った遺言書です。

作成した自筆証書遺言を法務局に提出して、保管してもらうことができます。

保管してもらった自筆証書遺言は、遺言者本人が申し出たときのみ返してもらうことができます。

遺言者本人が死亡したら、遺言書は返してもらうことができません。

自筆証書遺言を受け付けたら、法務局は厳重に保管します。

自筆証書遺言保管制度を利用した場合、検認手続は不要です。

④検認済証明書は検認を受けた証明書

検認済証明書は、家庭裁判所で検認を受けたことの証明書です。

自筆証書遺言を見つけた人や預かっている人は、家庭裁判所へ届け出る必要があります。

検認が必要なのに検認を受けないまま、遺言執行はできません。

不動産の名義変更をしようとしても、法務局が受け付けてくれません。

口座を解約しようとしても、銀行などの金融機関が受け付けてくれません。

検認済証明書は、検認手続が終わった後に家庭裁判所で発行してもらうことができます。

検認済証明書付き遺言書であれば、遺言執行をすることができます。

検認済証明書は、家庭裁判所で検認を受けたことの証明書です。

2検認済証明書の取得方法

①遺言書検認の申立て

自筆証書遺言を見つけた人や預かっている人は、家庭裁判所へ届け出る必要があります。

遺言書を届け出る手続を遺言書検認の申立てと言います。

遺言書の検認とは、家庭裁判所で遺言書の状態を確認してもらうことです。

遺言書が封筒に入っていて封がされている場合は、このとき裁判所で開封してもらいます。

申立先は、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

家庭裁判所の管轄は、裁判所のホームページで調べることができます。

遺言書検認の申立書に添付する書類は、次のとおりです。

(1)申立人の戸籍謄本

(2)申立人の住民票

(3)遺言者の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

(4)遺言者の住民票の除票

(5)相続人の戸籍謄本

(6)相続人の住民票

(7)収入印紙

(8)家庭裁判所が手続きで使う郵便切手 裁判所によって異なります

事案によっては追加で書類が必要ですと言われることがあります。

②検認期日に出席

遺言書検認の申立てを受け取った家庭裁判所は、相続人全員を家庭裁判所に呼出します。

相続人全員に遺言書があることを知らせて、立会いをしてもらうためです。

遺言書は、相続人に立会いをしてもらって開封します。

遺言書検認の申立人は、検認期日に出席をしなければなりません。

申立人が検認期日に遺言書を持って行く必要があるからです。

申立人以外の相続人は、家庭裁判所からの呼び出しがあっても欠席しても差し支えありません。

検認期日に欠席した場合、受け取れるはずの財産を受け取れなくなることはありません。

検認期日に出席した場合、後から相続放棄をすることができます。

検認期日では、遺言書を開封して遺言書の形状や内容を確認します。

家庭裁判所は、検認期日で確認した内容を検認調書に取りまとめます。

検認調書を見ると、検認期日の遺言書の形状や内容が明らかになります。

検認期日以降に遺言書の改ざんや変造があった場合、検認調書と照らし合わせると分かります。

検認調書があるから、改ざんや変造を防止することができます。

検認手続は、改ざんや変造を防止してトラブルを減らすために行います。

③検認済証明書の発行申請

遺言書の検認が終了すると、検認済証明書が発行されます。

検認済証明書の発行には、申請が必要です。

手数料は、150円です。

手数料は、収入印紙を貼り付けて納入します。

収入印紙は、貼り付けるだけで消印は押しません。

遺言書と遺言書が入っていた封筒と証明書が合綴し、裁判所の契印がされて返されます。

検認済証明書が付いた遺言書であれば、遺言執行をすることができます。

法務局も金融機関も、検認済証明書が付いた遺言書であれば相続手続をすることができます。

3検認手続で遺言書の有効無効を判断しない

①検認手続で遺言書の形状・内容を確認する

遺言書の検認手続では、遺言書の形状や内容を確認します。

遺言書の有効無効を確認する手続ではありません。

検認済証明書は、家庭裁判所で検認を受けたことの証明書です。

検認済証明書は、遺言書が有効であることを証明する書類ではありません。

検認手続では、遺言書の有効無効を確認しないからです。

検認期日には、相続人に立会いをしてもらいます。

立会いをした相続人に遺言書の筆跡や印鑑を見てもらいます。

「遺言者の筆跡・印鑑に間違いありません」

「遺言者の筆跡・印鑑であるか分かりません」

「遺言者の筆跡・印鑑ではありません」

立会いをした相続人の述べた内容は、検認調書に記録されます。

検認調書に、記録されるだけです。

立会いをした相続人の陳述内容で遺言書の有効無効が決められることはありません。

検認手続は、遺言書の形状・内容を確認する手続だからです。

検認手続は、改ざんや変造を防止してトラブルを減らすために行うからです。

検認手続では、遺言書の有効無効を判断しません。

②検認しても無効の遺言書は無効のまま

遺言書検認の申立てを受け取った家庭裁判所は、相続人全員を家庭裁判所に呼出します。

検認期日に、相続人に立会いをしてもらって遺言書を開封します。

封筒に入っていた遺言書が無効の遺言書であることがあります。

遺言書には、厳格な書き方ルールがあるからです。

手書きされていない遺言書、日付がない遺言書、記名がない遺言書、押印がない遺言書は、どれも無効の遺言書です。

封筒に入っていた遺言書が無効の遺言書であっても、検認をします。

検認手続をしないと、改ざん変造を防止できないからです。

検認手続は、遺言書の形状・内容を確認する手続です。

無効の遺言書であっても、検認が終われば検認済証明書は発行されます。

検認済証明書は、家庭裁判所で検認を受けたことの証明書だからです。

検認済証明書が発行されても、遺言書が有効であることが証明されたわけではありません。

検認手続は、遺言書の有効無効を判断する手続ではないからです。

無効の遺言書は、検認手続をしても無効の遺言書です。

検認手続をしても、書き方ルールの違反は治癒されないからです。

検認しても無効の遺言書は、無効のままです。

③遺言書の効力は裁判で争う

検認手続は、遺言書の形状・内容を確認する手続です。

検認手続は、遺言書の有効無効を判断する手続ではありません。

検認がされた後の遺言書について、有効無効の争いになることがあります。

検認期日に出席しても、遺言書の有効無効を争うことができます。

検認期日に欠席しても、遺言書の有効無効を争うことができます。

検認期日に出席しても欠席しても、不利な取り扱いを受けることがないからです。

遺言書の有効無効は、最終的には裁判で決着をつけることになります。

4検認済証明書付き遺言書を紛失したら

遺言書の検認が終了すると、遺言書と遺言書が入っていた封筒と証明書が合綴されて返されます。

遺言執行をする場合、合綴された自筆証書遺言を相続手続先に提出します。

相続手続先がたくさんある場合、書類を紛失してしまうことや盗難にあうことがあります。

家庭裁判所は、検認期日で確認した内容を検認調書に取りまとめています。

検認調書は、申請すれば謄本を発行してもらうことができます。

検認調書には、検認をした遺言書のコピーが保管されています。

検認調書の謄本で、相続手続を進めます。

5遺言書検認の申立てを司法書士に依頼するメリット

自筆証書遺言や秘密証書遺言を預かっている人や見つけた人は、家庭裁判所に届け出る必要があります。

遺言書を隠したり捨てたりすると、相続人になることができません。

他の相続人から疑いをかけられてトラブルになるのを避けるためにも、すみやかに家庭裁判所に検認の申立てをしましょう。

申立てのためには、たくさんの書類が必要になります。

仕事や家事で忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続を丸ごとおまかせできます。

家族にお世話が必要な方がいて、側を離れられない方からのご相談もお受けしております。

裁判所に提出する書類を作成できるのは、弁護士と司法書士のみです。

弁護士と司法書士でない人は作成代行はできませんから、充分注意しましょう。

遺言書の検認を司法書士に依頼した場合、遺言書検認申立書の作成だけでなく、家庭裁判所への提出もおまかせいただけます。

遺言書を預かっている方や見つけた方はトラブルになる前に、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

遺言書は検認しなくても無効にならない

2024-07-08

1自筆証書遺言は家庭裁判所で開封

①遺言書の種類

遺言書を作成する場合、自筆証書遺言か公正証書遺言を作るケースがほとんどです。

自筆証書遺言は、自分ひとりで書いて作った遺言書です。

自筆証書遺言を作成した後は、原則として、自分で保管します。

作成した自筆証書遺言を法務局に提出して、保管してもらうことができます。

公正証書遺言は、公証人が文書に取りまとめて作る遺言書です。

証人2人に確認してもらって作ります。

公正証書遺言を作成した後は、公正証書遺言原本は公証役場で保管されます。

②自筆証書遺言を見つけたら家庭裁判所で検認

相続が発生した後、遺言書を見つけることがあります。

遺言者の生前に遺言書を預かっておいて欲しいと依頼されるかもしれません。

自筆証書遺言を見つけた人や預かっている人は、家庭裁判所へ届け出る必要があります。

遺言書を届け出る手続を遺言書検認の申立てと言います。

自筆証書遺言を見つけたら、家庭裁判所で検認手続をします。

③検認前に開封するとペナルティー

相続人であれば、遺言書の内容が気になるかもしれません。

封がされている遺言書は、検認期日に家庭裁判所で開封してもらいます。

勝手に開封すると、ペナルティーになるおそれがあります。

封筒に入っていない遺言書であっても、検認は必要です。

封筒に入っているだけで封がされていない遺言書であっても、検認は必要です。

封筒の表書きに遺言書と書いてあれば、中身は遺言書であると気がつくことができます。

表書きに何も書いていない場合、気がつかずに開封してしまうことがあります。

誤って開封してしまったら、そのまま家庭裁判所へ提出します。

元に戻そうとして糊付けなどをすると、かえって他の相続人から怪しまれます。

正直に打ち明けた方がいいでしょう。

検認前に開封すると、ペナルティーになるおそれがあります。

④検認では形状・内容を確認する

遺言書検認の申立てを受け付けたら、家庭裁判所は相続人全員を家庭裁判所に呼び出します。

相続人に立会いをしてもらって、遺言書を開封します。

遺言書を開封した後、遺言書の形状、加除の状態、日付や署名を確認します。

確認した内容は、調書に取りまとめます。

調書を見れば、検認期日時点の遺言書の形状・内容が分かります。

検認期日以降に改ざんや変造をした場合、調書と照らし合わせることで分かってしまいます。

検認期日以降、改ざんや変造を防止することができます。

検認手続は、遺言書の改ざんや変造を防止するための手続です。

検認手続では、遺言書の形状・内容を確認します。

⑤公正証書遺言は検認不要

公正証書遺言を作成した後は、公証役場で厳重に保管されます。

公正証書遺言原本は公証役場で大切に保管されているから、改ざんや変造はあり得ません。

検認手続は、遺言書の改ざんや変造を防止するための手続です。

公正証書遺言は、改ざんや変造を防止するための手続は不要です。

公正証書遺言は、検認不要です。

⑥法務局保管の自筆証書遺言は検認不要

自筆証書遺言を作成した後に法務局に提出して、保管してもらうことができます。

自筆証書遺言の提出を受け付けたら、法務局は厳重に保管します。

提出された自筆証書遺言は法務局で大切に保管されているから、改ざんや変造はあり得ません。

検認手続は、遺言書の改ざんや変造を防止するための手続です。

法務局保管の自筆証書遺言は、改ざんや変造を防止するための手続は不要です。

法務局保管の自筆証書遺言は、検認不要です。

2遺言書は検認しなくても無効にならない

①検認前に開封しても無効にならない

封がされている遺言書は、検認期日に家庭裁判所で開封してもらいます。

勝手に開封すると、ペナルティーになるおそれがあります。

勝手に開封しても、遺言書が無効になることはありません。

遺言書であることに気づかず、開封してしまうことがあります。

家庭裁判所で開封してもらうルールがあることを知らないかもしれません。

うっかり開封してしまっても、遺言書の有効無効に影響はありません。

検認前に開封しても、遺言書は無効になりません。

②検認期日に欠席しても相続できる

遺言書検認の申立てを受け付けたら、家庭裁判所は相続人全員を家庭裁判所に呼び出します。

遺言書があることを知らせて、検認期日に立会いをしてもらうためです。

家庭裁判所に呼び出されても、欠席しても差し支えありません。

遺言書検認の申立てをした人は、検認期日に出席しなければなりません。

遺言書検認の申立てをした人は、検認期日に遺言書を持って行かなければならないからです。

検認期日に欠席しても、遺言書が無効になることはありません。

検認期日に欠席しても、相続人でなくなることもありません。

検認手続は、遺言書の改ざんや変造を防止するための手続だからです。

検認期日に欠席しても、相続することができます。

③検認しないと相続人間でトラブルのおそれ

自筆証書遺言を見つけた人や預かっている人は、遅滞なく家庭裁判所へ届け出る必要があります。

遺言書検認の申立てには、厳格な期限があるわけではありません。

遅くなり過ぎない程度であれば、問題にならないでしょう。

相続が発生すると、家族は忙しくなります。

日常の仕事や家事に加えて、たくさんの相続手続をしなければならなくなるからです。

裁判所に対する手続は、よく分からないことが多いでしょう。

よく分からないから、先延ばししがちになります。

単に、忙しい、分からないと思って先延ばししているだけなのに、他の相続人にはそう見えないことがあります。

他の相続人からは、遺言書を隠匿しているように見えることがあるからです

不当な利益を得る目的で遺言書を隠匿した場合、相続欠格になります。

相続欠格は、相続人にふさわしくない人の相続権を奪うことです。

欠格になると相続できなくなるし、遺留分も失われます。

遺言書を隠匿した場合、刑事責任を問われることがあります。

遺言書は、権利義務に関する書面です。

権利義務に関する書面を隠匿した場合、私用文書毀棄罪に問われます。

私用文書毀棄罪は、懲役刑のみが定められている重い犯罪です。

検認しないと、相続人間でトラブルになるおそれがあります。

④検認手続で遺言書の有効無効を判断しない

検認手続は、遺言書の改ざんや変造を防止するための手続です。

検認手続は、遺言書の有効無効を確認する手続ではありません。

検認手続と遺言書の効力には、何の関係もありません。

検認手続をしても、無効の遺言書は無効です。

検認手続をしなくても、有効の遺言書は有効です。

無効の遺言書は、検認手続をしても有効になりません。

有効の遺言書は、検認手続をしなくても無効になりません。

検認手続をした後に、遺言書は無効であると争うことができます。

検認期日に欠席した相続人が遺言書は無効であると争うことができます。

検認手続と遺言書の効力には、何の関係もないからです。

検認手続では、遺言書の有効無効を判断されません。

3検認をしないと相続手続ができない

①相続手続先に受付をしてもらえない

検認手続と遺言書の効力には、何の関係もありません。

検認手続は、遺言書の改ざんや変造を防止するための手続だからです。

検認手続をしなくても、有効の遺言書は有効です。

検認手続が必要なのに検認をしていない場合、遺言書を使って相続手続をすることはできません。

相続手続先に、受付をしてもらえないからです。

不動産について相続登記をする場合、法務局が認めてくれません。

預貯金について解約手続をする場合、金融機関が認めてくれません。

検認をしないと、相続手続先に受付をしてもらえません。

②検認証明書は申請が必要

遺言書の検認手続が終わった場合、家庭裁判所で検認証明書を発行してもらうことができます。

遺言執行をする場合、検認証明書が必要になります。

検認証明書を発行してもらうためには、申請が必要です。

検認証明書の手数料は、150円です。

収入印紙を申請書に貼付して納入します。

収入印紙は、貼り付けるだけで消印をしません。

裁判所の人が消印をするからです。

検認証明書は、申請が必要です。

4遺言書の検認をしても遺産分割協議

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

被相続人の財産は、原則として、被相続人の意思が最大限尊重されるべきものでしょう。

相続人としても、被相続人の意思を尊重し、遺言書の内容を実現させてあげたいと思うでしょう。

ときには遺言書の内容があまりに偏ったものであることがあります。

偏った内容の遺言書をそのまま執行すると、大きなトラブルになるおそれがあります。

トラブルになるおそれがある遺言書をわざわざ執行して、相続人間でトラブルにする必要はありません。

相続財産の分け方について、相続人全員で話し合いをして決定した方が合理的でしょう。

相続人全員の合意で、遺産分割協議をすることができます。

遺言書の検認をした後であっても、相続人全員で遺産分割協議をすることができます。

5遺言書検認の申立てを司法書士に依頼するメリット

自筆証書遺言や秘密証書遺言を預かっている人や見つけた人は家庭裁判所に届け出る必要があります。

遺言書を隠したり捨てたりすると、相続人になることができません。

他の相続人から疑いをかけられてトラブルになるのを避けるためにも、すみやかに家庭裁判所に検認の申立てをしましょう。

遺言書検認の申立てを提出するためには、たくさんの書類が必要になります。

仕事や家事で忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続を丸ごとおまかせできます。

家族にお世話が必要な方がいて、側を離れられない方からのご相談もお受けしております。

裁判所に提出する書類を作成できるのは、弁護士と司法書士のみです。

弁護士と司法書士でない人は作成代行はできませんから、充分注意しましょう。

遺言書の検認を司法書士に依頼した場合、遺言書検認申立書の作成だけでなく、家庭裁判所への提出もおまかせいただけます。

遺言書を預かっている方や見つけた方はトラブルになる前に、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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