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代襲相続人の相続割合

2023-09-27

1代襲相続とは

①代襲相続とは相続人になるはずだった人の子どもが相続すること

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は次のとおりです。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どももいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することがあります。

これを代襲相続と言います。

相続人になるはずだった人の子どもの子どもが相続することを再代襲相続と言います。

②数次相続と代襲相続のちがい

数次相続も代襲相続も相続が複雑になる代表例です。

数次相続は、相続が発生した「後」に、相続人が死亡した場合です。

代襲相続は、相続が発生する「前」に、相続人が死亡した場合です。

数次相続では、死亡した相続人の相続人が最初の相続の遺産分割協議に参加します。

代襲相続では、死亡した相続人の直系卑属が最初の相続の遺産分割協議に参加します。

数次相続と代襲相続では、遺産分割協議に参加する人が異なります。

数次相続も代襲相続も、死亡した相続人の相続分を引き継ぎます。

数次相続が発生した場合と代襲相続が発生した場合では、相続分を引き継ぐ人が違います。

引き継ぐ人と引き継ぐ相続分は十分に確認して手続を進めましょう。

2代襲相続ができる原因

①相続人が死亡したら代襲相続する

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合です。

実際に死亡した場合の他に、失踪宣告を受けて死亡したものと扱われる場合も、代襲相続が発生します。

被相続人の死亡後、相続手続の途中で相続人が死亡した場合には、数次相続になります。

相続が発生したときに相続人が健在であれば、その後死亡しても代襲相続にはなりません。

②相続人が欠格になったら代襲相続する

欠格とは、相続人としてふさわしくない人の相続資格を奪う制度のことです。

欠格になる理由は法律で定められています。

主な理由は、被相続人を殺害したり、殺害しようとしたり、遺言書を偽造したり、遺言書を隠したりしたなどです。

法律で決められた理由があれば、家庭裁判所などの手続はなく、当然に、相続資格を失います。

相続人が相続欠格になる場合、代襲相続ができます。

③相続人が廃除されたら代襲相続する

相続人廃除とは、被相続人の意思で、相続人の資格を奪う制度のことです。

例えば、被相続人に虐待をした人に、相続をさせたくないと考えるのは自然なことでしょう。

相続人廃除は家庭裁判所に申立をして、家庭裁判所が判断します。

被相続人が相続人廃除したいと言い、相続人が廃除されていいと納得していても、家庭裁判所が相続人廃除を認めないことがあります。

相続人が相続人廃除になる場合、代襲相続ができます。

④相続人が相続放棄をしたら代襲相続しない

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなくなります。

相続人でなくなるから、代襲相続もあり得ません。

被相続人の子どもが相続放棄をした場合、子どもの子どもは相続しません。

被相続人の借金から逃れるために相続放棄をした場合、代襲相続がされないので安心です。

被相続人の子ども全員が相続放棄をした場合、子どもがいない場合になります。

子どもがいない場合、親などの直系尊属が相続します。

3代襲相続人になる条件

①被代襲者は被相続人の子どもか兄弟姉妹

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続します。

相続人になるはずだった人を被代襲者と言います。

被代襲者になれるのは、被相続人の子ども等と兄弟姉妹だけです。

配偶者と親などの直系尊属は、被代襲者になることはできません。

②代襲相続人になれる人

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続します。

相続人になるはずだった人の代わりに相続人になる子どもや子どもの子どもを代襲相続人と言います。

代襲相続人になれるのは、被代襲者の子どもなど被代襲者の直系卑属だけです。

代襲相続人になれるのは、被相続人の卑属でなければなりません。

被代襲者の直系卑属で、かつ、被相続人の卑属だけが代襲相続できます。

③甥姪も被相続人より先に死亡したら代襲相続しない

被相続人の兄弟姉妹が相続する場合で、かつ、兄弟姉妹が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹の子どもが代襲相続をすることができます。

兄弟姉妹の子どもが被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹の子どもの子どもは代襲相続をすることができません。

兄弟姉妹が相続する場合、代襲相続ができる範囲は一代限りだからです。

被相続人の子どもが相続する場合で、かつ、子どもが被相続人より先に死亡している場合、子どもの子どもが代襲相続をすることができます。

子どもの子どもが被相続人より先に死亡している場合、子どもの子どもの子どもは代襲相続をすることができます。

被相続人の子どもが相続する場合、下の世代の範囲に制限はありません。

兄弟姉妹が被代襲者の場合、再代襲相続はできません。

子どもが被代襲者の場合、再代襲相続はできます。

現在は兄弟姉妹が相続する場合、代襲相続ができる範囲は一代限りです。

昭和23年1月1日から昭和55年12月31日に開始した相続については、再代襲相続ができました。

4代襲相続人の相続割合

①代襲相続人は被代襲者の法定相続分を引き継ぐ

配偶者がいる場合、法定相続分は次のとおりです

(1)相続人が配偶者と子ども 配偶者2分の1 子ども2分の1

(2)相続人が配偶者と直系尊属 配偶者3分の2 直系尊属3分の1

(3)相続人が配偶者と兄弟姉妹 配偶者4分の3 兄弟姉妹4分の1

兄弟姉妹が数人いる場合、人数で均等に分割します。

兄弟姉妹は、実父実母同じ兄弟姉妹だけではありません。

異父兄弟姉妹や異母兄弟姉妹が含まれるからです。

父だけ同じ兄弟姉妹や母だけ同じ兄弟姉妹は、父母同じ兄弟姉妹の半分になります。

父だけ同じ兄弟姉妹や母だけ同じ兄弟姉妹は、半血兄弟と言います。

代襲相続の場合、法定相続分は受け継がれます。

死亡した被代襲者の法定相続分を代襲相続人が人数で均等に分割します。

半血兄弟の法定相続分は全血兄弟の法定相続分の2分の1なので、代襲相続人の相続分が相応に少なくなります。

②他の相続人の法定相続分に影響はない

代襲相続人は、被代襲者の相続分を引き継ぐだけです。

代襲相続が発生しても代襲相続が発生しなくても、他の相続人の相続分は変わりません。

代襲相続が起きなければ、被代襲者が引き継いだはずの相続分です。

代襲相続が発生したことによって相続人が多人数になることがあります。

相続人が増えたからと言っても、他の相続人の相続分が奪われることはありません。

代襲相続人は、被代襲者の相続分を引き継ぐだけだからです。

③代襲相続人は被代襲者の遺留分を引き継ぐ

遺留分とは、相続財産に対して認められる最低限の権利のことです。

兄弟姉妹以外の相続人に認められます。

被代襲者が子どもや子どもの子どもの場合、遺留分権利者です。

被代襲者が遺留分権利者の場合、代襲相続人は被代襲者の遺留分を引き継ぎます。

被代襲者が兄弟姉妹の場合、遺留分は認められません。

兄弟姉妹の子どもは代襲相続ができる場合であっても、遺留分を主張することはできません。

5養子の連れ子は代襲相続ができない

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

子どもがいたが被相続人より先に死亡していた場合、子どもの子どもが相続人になります。

被相続人の子どもが養子であっても、養子は相続人になります。

養子がいたが被相続人より先に死亡していた場合、養子の子どもは相続人になる場合と相続人にならない場合があります。

代襲相続ができるのは、被相続人の卑属のみだからです。

養子縁組は、養親と養子の間で法律上の親子関係を作るものです。

養親と養子の子どもらには、親族関係が作られません。

養子縁組の時点で誕生していた養子の子どもは、養子縁組があっても、養親の直系卑属ではないのです。

養子縁組後に、誕生した養子の子どもは、養親の直系卑属になります。

養子がいたが被相続人より先に死亡していた場合、養子縁組前に誕生した養子の子どもは、相続人になりません。

養子がいたが被相続人より先に死亡していた場合、養子縁組後に誕生した養子の子どもは、相続人になります。

養子縁組の時点で誕生していた養子の子どもは、養子縁組があっても、養親の直系卑属ではないのが原則です。

養子縁組の時点で誕生していた養子の子どもが、実子の子どもである場合があります。

実子の子どもは、当然、直系卑属です。

直系卑属は、代襲相続ができます。

養子がいたが被相続人より先に死亡していた場合、養子縁組前に誕生した養子の子どもで、かつ、実子の子どもである場合は、相続人になります。

6代襲相続がある相続を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、被相続人のものは相続財産になります。

相続財産は相続人全員の共有財産ですから、分け方を決めるためには相続人全員の合意が必要です。

相続人の一部を含めない合意や相続人でない人を含めた合意は無効になります。

相続財産の分け方の話し合いの前提として、相続人の確定と相続分の確認はとても重要です。

代襲相続や数次相続が発生している場合、一挙に難易度が上がります。

インターネットが普及したことで、多くの情報を手軽に得ることができるようになりました。

簡単に情報発信ができるようになったこともあって、適切でない情報も有益な情報もたくさん出回っています。

相続の専門家と名乗っていながら、適切でないアドバイスを見かけることも度々あります。

代襲相続や数次相続が発生している場合、信頼できる専門家のサポートが欠かせません。

スムーズに相続手続を行いたい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続人が死後離婚・姻族関係終了届

2023-09-20

1姻族関係終了届(死後離婚)とは

姻族とは、配偶者の両親や配偶者の兄弟姉妹などの親族のことです。

配偶者の生前に離婚したら、当然に姻族関係は終了します。

配偶者と離婚しないまま配偶者が死亡した場合、姻族関係は終了しません。

配偶者が死亡した場合、希望すれば、復氏をすることができます。

生存配偶者が復氏をしても、姻族関係は終了しません。

配偶者が死亡した後、希望すれば、姻族関係を終了させることができます。

姻族関係を終了させる届出のことを、姻族関係終了届と言います。

役所に姻族関係終了届を提出することで、姻族関係を終了させることができます。

姻族関係終了届を俗に死後離婚と言います。

2姻族関係終了届(死後離婚)をしても死亡配偶者の遺産を相続できる

姻族関係終了届は、配偶者の死亡後、死亡配偶者の両親や兄弟姉妹などとの関係を終了させるものに過ぎません。

姻族関係終了届を提出しても、死亡配偶者との婚姻関係がなくなることはありません。

姻族関係終了届を提出しても、相続発生時の配偶者であることに変わりはありません。

相続発生時の法律上の配偶者は、常に、相続人になります。

死亡配偶者の相続人になりますから、遺産を相続することができます。

過去に相続した財産が、無効になることもありません。

他の相続人が姻族関係終了届を提出したことを不満に思うかもしれません。

他の相続人から相続放棄をするように迫られることもあるでしょう。

生存配偶者は相続人ですから、当然、遺産分割を求める権利があります。

相続財産の分け方を決めるためには、相続人全員の合意が不可欠です。

姻族関係終了届を提出した生存配偶者を含めないで合意をしても、無効です。

他人になったのだから遺産を返すように要求されることもあるでしょう。

相続する権利があるのですから、このような不当な要求に応じる必要はありません。

3姻族関係終了届(死後離婚)をしても遺族年金を受け取ることができる

遺族年金を受け取ることと姻族関係終了届の提出は全く関係がありません。

姻族関係終了届を提出しても提出しなくても、遺族年金を受け取る要件を満たしている人は遺族年金を受け取ることができます。

遺族年金を受け取っている人が姻族関係終了届を出しても、年金を返還しなければならなくなることもありません。

姻族関係終了届を提出しても、死亡配偶者との婚姻関係がなくなることがないからです。

遺族年金は再婚すると失権しますから、それ以降、年金を受け取ることはできなくなります。

死亡配偶者との間に子どもがいる場合、要件を満たせば、子どもが遺族年金を受け取ることができます。

4姻族関係終了届(死後離婚)のメリット

①扶養義務がなくなる

法律上の扶養義務は、原則として、直系血族と兄弟姉妹です。

場合によっては、3親等内の親族も扶養義務を負うことがあります。

生存配偶者は、死亡配偶者の両親や兄弟姉妹について扶養義務を負うことがあります。

姻族関係が終了した場合、これらの親族に対する扶養義務がなくなります。

法律上の扶養義務がない場合でも、社会通念上、嫁は親の介護をして当然などとお世話を要求されることがあります。

姻族関係が終了していれば、社会通念上の義務などからも逃れやすくなるでしょう。

②精神的負担が軽くなる

生存配偶者と死亡配偶者の親族らと折り合いが良くないこともあるでしょう。

姻族関係終了届と提出することで、死亡配偶者の親族らとの交際を見直しやすくなるかもしれません。

精神的な負担になっていた死亡配偶者の親族らから解放されて、気分が一新されることもあるでしょう。

5姻族関係終了届(死後離婚)のデメリット

①撤回ができない

いったん姻族関係終了届が受理されると、撤回はできません。

充分検討して、提出することを決めましょう。

②援助が受けられない

姻族関係が終了した場合、死亡配偶者の両親や兄弟姉妹に対する扶養義務がなくなります。

このことは同時に、死亡配偶者の両親や兄弟姉妹から扶養を受けることもできなくなることを意味しています。

経済的に困ることがあっても、援助は受けられなくなるでしょう。

死亡配偶者との間に子どもがいる場合、子どものための援助も受けにくくなるでしょう。

③死亡配偶者の法要に参加しにくい

死亡配偶者の法要を死亡配偶者の両親や兄弟姉妹が主催する場合、参加しにくくなるかもしれません。

死亡配偶者の血縁関係者から参加を拒まれることも考えられます。

死亡配偶者のお墓が私有地にある場合、お墓参りも難しくなるかもしれません。

共同墓地などだれでもお墓参りができる場所に葬るなどするといいでしょう。

④お墓が別々になる

死亡配偶者のためにお墓を新たに建立せず、家のお墓に葬ることがあるでしょう。

姻族関係終了届を提出すると、自分が死亡したとき、そのお墓に入れてもらうことは難しくなるでしょう。

死亡配偶者と同じお墓に眠ることはできなくなります。

⑤子どもの理解を得られない

死亡配偶者との間に子どもがいる場合、子どもと死亡配偶者の両親や兄弟姉妹の親族関係は影響がありません。

子どもと死亡配偶者の両親や兄弟姉妹の親族関係はそのまま続きます。

子どもから抵抗されることもあるでしょう。

子どもにとって、精神的ダメージであることも想定しておく必要があります。

死亡配偶者の親が死亡した場合、子どもは代襲相続人になります。

相続財産の分け方について、相続人全員の話し合いに参加する必要があります。

子どもが気まずい思いをするかもしれません。

子どもが未成年であれば、子どもの法定代理人として姻族関係終了届を出した生存配偶者自身が参加しなければなりません。

6姻族関係終了届の手続方法

姻族関係終了届は、生存配偶者のみが提出することができます。

生存配偶者の同意があっても、死亡配偶者の両親や兄弟姉妹は提出することはできません。

死亡配偶者の両親や兄弟姉妹から生存配偶者に対して、姻族関係を終了させることはできません。

生存配偶者が姻族関係終了届を提出する際に、死亡配偶者の両親や兄弟姉妹の許可や同意は不要です。

家庭裁判所の許可や審判等も必要ありません。

いうなれば、生存配偶者の独断で姻族関係終了届を提出することができます。

生存配偶者の意思で届出を出す必要があります。

役所の窓口に届出を持っていくのは、だれでも構いません。

提出に期限はありません。

配偶者が死亡してから長期間経過した後でも、届出を提出することができます。

生存配偶者が死亡するまでいつでも提出することができます。

姻族関係終了届が受理されたら、姻族関係終了が戸籍に記載されます。

姻族関係終了届を提出しても、死亡配偶者との婚姻関係がなくなることはありません。

婚姻関係がなくなることはありませんから、死亡配偶者と同じ戸籍のままです。

姻族関係が終了するだけであれば、戸籍から消されて、新戸籍が作られるようなこともありません。

戸籍に記載されたからと言っても、役所が自主的に死亡配偶者の両親や兄弟姉妹に連絡するようなことはありません。

死亡配偶者の両親や兄弟姉妹が何も知らないところで、姻族関係が終了しています。

知らせたいのであれば、積極的に自分から手紙などを出してお知らせしましょう。

姻族関係終了届は、死亡配偶者の両親や兄弟姉妹などとの関係を終了させるだけのものです。

姻族関係終了届のことを、俗に、死後離婚と呼ぶことがありますが、離婚するものではありません。

死亡した後に離婚することはできません。

姻族関係終了届を提出しても、死亡配偶者との婚姻関係がなくなることはありません。

姻族関係終了届を提出しても、氏が自動的に変更されることもありません。

旧姓に戻したい場合は、別途、復氏届が必要です。

復氏届で旧姓に戻る場合、新しい戸籍が作られます。

姻族関係終了届を出した後、復氏で新しく作られた戸籍には、姻族関係終了は書き写されません。

復氏で新しく戸籍が作られた後、姻族関係終了届を出した場合、新しい戸籍に姻族関係終了が記載されます。

復氏届で復氏ができるのは、生存配偶者のみです。

死亡配偶者との間の子どもの氏を変更したい場合、別の手続が必要です。

家庭裁判所で子の氏の変更の許可を得て、入籍届を提出します。

死後離婚という言葉の響きから、遺言書に「私が死亡したら離婚をします」と書くケースがあります。

「私が死亡したら離婚をします」と書いた場合、まったく意味がない無効の記載です。

単に別のお墓に埋葬して欲しいのであれば、死後事務委任契約をする必要があります。

7姻族関係終了届について司法書士に相談するメリット

姻族関係終了届は、マスコミなどから死後離婚と称して取り上げられています。

本来、配偶者の死別によって婚姻関係が終了しています。

配偶者の一方が死亡した後に、離婚することはできません。

死亡配偶者の両親や兄弟姉妹との関係性を解消する点に注目されたものです。

法律上の扶養義務から逃れられる以上に、嫁は親の介護をして当然など社会通念の押し付けから逃れられるのが大きいでしょう。

死亡配偶者の両親や兄弟姉妹がお金を無心することや生活に過剰に干渉することにストレスをためているケースもあります。

姻族関係終了届は、配偶者の死亡後、死亡配偶者の両親や兄弟姉妹などとの関係を終了させるものに過ぎません。

死亡配偶者の両親や兄弟姉妹などの誤解から、相続放棄をするように迫られることもあるでしょう。

死亡配偶者の両親や兄弟姉妹などが感情的になって、すでに相続した財産を返すように要求されることもあるでしょう。

姻族関係終了届を提出しても、死亡配偶者の財産は相続できます。

相続手続をスムーズに終わらせるために、まず正しい知識を手に入れましょう。

姻族関係終了届は、相続に影響はありません。

遺族年金にも、影響はありません。

生命保険の受け取りにも、影響はありません。

姻族関係終了届のことでご心配があれば、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

祖父母など直系尊属が相続人

2023-09-11

1祖父母は直系尊属

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どももいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続します。

相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することを代襲相続と言います。

②直系尊属とは

直系とは、親子関係によってつながっている関係のことです。

本人から見て、父母や祖父母は親子関係によって繋がっています。

本人から見て、子どもや孫は親子関係によって繋がっています。

父母、祖父母、子ども、孫などは、直系です。

養子縁組は、血縁関係がなくても親子関係を作る制度です。

養子縁組によって、親子関係が作られます。

養子縁組であっても、親子関係によってつながっている関係は直系です。

同じ祖先から親子関係でつながっているけど別の直系でつながっている人を傍系と言います。

本人から見て、伯叔父、伯叔母、甥姪は同じ祖先から親子関係でつながっているけど別の直系でつながっています。

伯叔父、伯叔母、甥姪は、直系ではありません。

尊属とは、前の世代の血族です。

本人から見て、父母や祖父母は前の世代の血族です。

本人から見て、父母や祖父母は尊属です。

後の世代の血族は、卑属と言います。

本人から見て、子どもや孫は後の世代の血族です。

本人から見て、子どもや孫は卑属です。

血族には、自然血族と法定血族がいます。

自然血族は、通常の血縁関係がある人です。

法定血族は、養子縁組をして血縁関係がある人と同様の扱いを受ける人です。

2祖父母など直系尊属が相続人になる

①父母や祖父母は直系尊属

本人から見て、父母や祖父母は親子関係によって繋がっています。

父母や祖父母は、直系です。

本人から見て、父母や祖父母は前の世代の血族です。

父母や祖父母は、尊属です。

父母や祖父母だけでなく、曽祖父母、高祖父母などもみな直系、かつ、尊属です。

父母や祖父母などは、直系尊属です。

②祖父母など直系尊属が相続人になる条件

祖父母など直系尊属が相続人になる条件は、次の2つです。

(1)被相続人の子どもがいないこと

(2)被相続人の親がいないこと

親などの直系尊属が相続人になるのは、被相続人に子どもがいない場合です。

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、代襲相続が発生します。

相続人になるはずだった人の子どもなど子孫がいない場合、親などの直系尊属が相続人になります。

直系尊属に該当するのは、被相続人の親だけではありません。

父母、祖父母、曽祖父母、高祖父母などもみな直系尊属です。

被相続人の直系尊属のうち、複数の世代の人が健在であることがあります。

複数の世代の直系尊属が健在の場合、被相続人と最も近い世代の人が相続人になります。

相続が発生したときに父母と祖父母が健在である場合、父母が相続人になります。

祖父母は、直系尊属ではあっても相続人になりません。

父母と祖父母では、父母の方が近い世代の人だからです。

③親が相続放棄をすると祖父母など直系尊属が相続人になる

祖父母など直系尊属が相続人になる条件の2つ目は、被相続人の親がいないことです。

被相続人の親がいないとは、被相続人の親が被相続人より先に死亡した場合や相続放棄をした場合です。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなかったと扱われます。

被相続人の親が相続放棄した場合、相続人でなくなるから祖父母が相続人になります。

祖父母が相続するのは、代襲相続ではありません。

親の次に世代が近い人だから相続人になります。

相続放棄をした場合、代襲相続はできません。

子どもが相続放棄をした場合、子どもの子どもは相続人にはなりません。

④被相続人の親が養子であっても祖父母が相続人

被相続人の親が養子になる養子縁組をしていることがあります。

被相続人の親が養子縁組をして養子になった後に被相続人が誕生した場合、養親は被相続人の直系尊属になります。

養親は、被相続人の祖父母になります。

祖父母など直系尊属として、相続人になります。

⑤被相続人が養子の連れ子のときは相続人にならない

被相続人の親が養子縁組をして養子になる前に被相続人が誕生していることがあります。

養子縁組は、血縁関係がなくても親子関係を作る制度です。

養子縁組をした場合、養親と養子の間に親子関係が作られます。

すでに誕生している被相続人との間には、親族関係が作られません。

養親は、被相続人の祖父母ではありません。

養親は直系尊属ではないから、相続人にはなりません。

⑥養親の親は祖父母ではない

被相続人が養子になる養子縁組をしていることがあります。

養子縁組は、血縁関係がなくても親子関係を作る制度です。

養親と養子の間に親子関係が作られます。

養親の父母と養子の間に親族関係は作られません。

養親の父母は養子の祖父母ではありませんから、相続人にはなりません。

3祖父母など直系尊属が相続人になるときの注意点

①祖父母など直系尊属に遺留分がある

遺留分とは、相続財産に対して、認められる最低限の権利のことです。

兄弟姉妹以外の相続人に認められます。

祖父母など直系尊属が相続人になる場合、遺留分が認められます。

被相続人に配偶者がいる場合、配偶者は常に相続人になります。

配偶者と祖父母が相続人になる場合、あまり親しい関係でないことがあります。

相続人の関係性が薄い場合、相続財産の分け方の話し合いがまとまりにくい傾向があります。

祖父母が相続人になる場合、被相続人は若いことが多いでしょう。

相続財産は、自宅不動産だけの場合があります。

住宅ローンは団体信用生命保険で返済しなくて済むかもしれません。

祖父母など直系尊属が遺留分を請求した場合、資金が用意できないかもしれません。

自宅を担保にして借金をするか、自宅を売却することを検討する必要があります。

②認知症など判断能力がないと遺産分割協議ができない

被相続人の祖父母など直系尊属が相続人になる場合、相続人は相当高齢でしょう。

相続人が高齢である場合、認知症になっている可能性が高くなります。

相続が発生した場合、被相続人のものは相続財産になります。

相続財産は相続人全員の共有財産だから、一部の相続人が勝手に処分することはできません。

相続人全員の話し合いによる合意をして相続財産の分け方を決めなければなりません。

相続人のひとりが認知症になっている場合、自分で話し合いができなくなります。

認知症になると、物事のメリットデメリットを充分に判断することができなくなるからです。

遺産分割協議書に印鑑さえ押せばいいものではありません。

相続人が自分で物事のメリットデメリットを充分に判断できない場合、家庭裁判所に代わりの人を決めてもらわなければなりません。

認知症の人の代わりに判断する人を成年後見人と言います。

家庭裁判所に成年後見人を選んでもらった場合、本人が死亡するまで成年後見をやめることはできません。

遺産分割協議をするために成年後見人を選任してもらったのに、遺産分割協議後も成年後見は続きます。

成年後見は、認知症の人をサポートするための制度だからです。

4配偶者と祖父母など直系尊属が相続人になるときの法定相続分

被相続人に配偶者がいる場合、配偶者は必ず相続人になります。

配偶者と親などの直系尊属が相続人になる場合、法定相続分は次のとおりです。

・配偶者 3分の2

・親などの直系尊属 3分の1

相続が発生したときに、親などの直系尊属が複数健在の場合があります。

複数の直系尊属が健在の場合、世代が近い人が相続人になります。

祖父母と曽祖父母が健在の場合、祖父母が相続人になり曽祖父母は相続人になりません。

祖父母が複数いる場合、法定相続分を平等に分け合います。

祖父母が2人健在の場合、1人あたり6分の1です。

5祖父母など直系尊属が相続人になる相続を司法書士に依頼するメリット

相続が発生した場合、配偶者や子どもなどの家族が相続人になることは多くの人が知っています。

子どもの次の順位の相続人は、親などの直系尊属です。

多くの人にとって相続というと、高齢者の相続だけがイメージされます。

親などの直系尊属が相続人になるケースはイメージしにくいものでしょう。

インターネットな書籍などを調べても、あまり詳しい情報は得られないかもしれません。

だれが相続人になるのかを間違えると、相続手続が難航します。

親などの直系尊属が相続人になる場合、相続人が認知症などになっていると自分で手続をすることができません。

認知症になっていなくても、体が不自由であることがあります。

通常の相続手続よりも難易度が上がると言えます。

司法書士などの専門家のサポートを受けながら、相続手続を進めるといいでしょう。

スムーズな相続手続のため、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

連れ子は相続人になれない

2023-08-30

1相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は次のとおりです。

②~④の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

だから、子どもがいるのに、親などの直系尊属が相続人になることはないのです。

①配偶者は必ず相続人になる

②被相続人に子どもがいる場合、子ども

子どもがいたが被相続人より先に死亡していた場合、子どもの子ども

③被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

④被相続人に子どももいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

兄弟姉妹が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹の子ども

2連れ子は相続人にならない

①父母が離婚しても子どもは相続人になる

被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。

子どもは実の子どもはもちろんのこと、養子縁組した養子、認知した子ども、出生前の胎児も含まれます。

離婚した後、元配偶者が引き取った子どもも、子どもとして相続人になります。

被相続人が離婚しても、親権をどちらが持っていたとしても、長年音信不通であったとしても、子どもであることには変わらないからです。

被相続人の子どもが養子に出されたとしても、普通養子であれば、相続人になります。

特別養子である場合は相続人になれません。

特別養子は実の親との親子関係を切るものだからです。

②再婚後に生まれた子どもは相続人になる

再婚後に誕生した子どもは被相続人の子どもです。

父母が離婚しても、結婚していても、子どもは子どもです。

前婚の子どもも後婚の子どもも、権利は全く一緒です。

③再婚した配偶者の連れ子は相続人ではない

子どもとは、被相続人と血縁関係がある子どもの他に、被相続人と養子縁組をした子どもを指します。

再婚した配偶者の連れ子は被相続人と血縁関係がありませんから、相続人にはなりません。

再婚した配偶者が被相続人より先に死亡した場合、配偶者の子どもだから代わりに相続できると考えるかもしれません。

被相続人の子どもが被相続人より先に死亡した場合、子どもの子どもが代襲相続をすることができます。

子どもの子どもは、被相続人の卑属だからです。

配偶者の子どもは、代襲相続をすることができません。

代襲相続ができるのは、被相続人の卑属だけです。

再婚した配偶者の連れ子は、被相続人の卑属ではないからです。

④連れ子は特別寄与者になることがある

寄与分とは、被相続人の財産の維持や増加について特別な貢献をした人がいる場合、特別な貢献をした人に対して、相続分以上の財産を受け継いでもらう制度です。

民法上、寄与分があるのは相続人と定めています。

配偶者の連れ子は相続人ではありませんから、寄与分の主張はすることができません。

特別な貢献をした人が相続人でなくても親族である場合、特別寄与者になることができます。

配偶者の連れ子は3親等内の姻族だから、親族です。

配偶者の連れ子が特別な貢献をした場合、特別寄与者になることができます。

3数次相続が発生すると連れ子は相続人の地位を相続する

数次相続とは、最初の相続の手続中に相続人が死亡して、さらに相続が発生した状態のことです。

最初の相続では、配偶者の連れ子は相続人ではありません。

最初の相続では、配偶者は相続人です。

相続人だった配偶者が相続の手続中に死亡することがあります。

配偶者の連れ子は、配偶者の相続人になります。

配偶者は相続人だったから、連れ子は相続人の地位を相続します。

最初の相続では連れ子は相続人ではなかったけど、相続人の地位を相続したから、相続財産の分け方の話し合いに参加します。

相続財産の分け方の話し合いには、相続人全員の合意が不可欠です。

相続人全員とは、相続人の地位を相続した人も含まれます。

連れ子は相続人の地位を相続したから、相続人全員のひとりとして合意が不可欠です。

4連れ子に財産を渡すためには対策が必要

①養子縁組をする

連れ子には被相続人と血縁関係がありませんから、通常、相続人にはなりません。

被相続人と配偶者の連れ子が養子縁組をした場合、被相続人の子どもになります。

被相続人の血縁関係がある子どもと同じ子どもとして、相続人になります。

②遺言書を書いて遺贈をする

遺贈とは、被相続人が遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげることです。

遺言書を書くことで、相続人以外の人に財産を受け継いでもらうことができます。

兄弟姉妹以外の相続人には、遺留分があります。

遺留分とは、最低限受け取ることができる財産の割合のことです。

連れ子に受け継いでもらう財産があまりに過大であった場合、他の相続人の遺留分を侵害してしまうおそれがあります。

遺留分のある相続人が、遺留分に満たないわずかな財産しか相続できなかった場合、侵害された分を取り返すことができます。

遺言書を書くときは、このような相続人間のトラブルにならないように充分に配慮しましょう。

③生前贈与をする

被相続人が元気なうちに、財産を贈与することができます。

生前に贈与する場合、財産の価格によっては贈与税がかかります。

贈与税は想像以上に高額になります。

5連れ子に財産を渡したくない場合は

①養子縁組をしていないなら何もしなくていい

再婚した配偶者の連れ子は被相続人と血縁関係がありませんから、相続人にはなりません。

再婚した配偶者が被相続人より先に死亡した場合でも、代襲相続することはできません。

血縁関係のない配偶者の連れ子は、相続できません。

②養子縁組を解消したら相続人にならない

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

被相続人に養子がいる場合、養子は子どもです。

血縁関係のある子どもも養子縁組をした養子も、同じ子どもとして相続人になります。

配偶者の連れ子と養子縁組をした場合、配偶者と離婚したら当然に連れ子との関係を解消されると誤解しているかもしれません。

配偶者と離婚しても、養子縁組の効果はなくなりません。

養子縁組を解消するためには、離縁の手続が必要です。

配偶者と離婚しても離縁をしていない場合、配偶者の連れ子は子どものままです。

離縁しないまま相続が発生した場合、養子は子どもとして相続人になります。

養親が死亡した後に、養子縁組を解消することができます。

死亡後に養子縁組を解消することを、死後離縁と言います。

死後離縁をした場合、相続人であることに変わりはありません。

死後離縁をしたから、相続できないことはありません。

死後離縁をした場合でも、相続財産の分け方の話し合いに参加する必要があります。

③子どもには遺留分がある

遺留分とは、最低限受け取ることができる財産の割合のことです。

子どもには、遺留分があります。

連れ子との養子縁組を解消できない場合、遺言書で他の相続人に相続させることができます。

相続人や相続人以外の人に、財産を譲ってあげることができます。

被相続人が生きているうちに、贈与することも考えられます。

余りにも極端なことをすると、連れ子の遺留分を侵害することがあります。

遺言書よりも遺留分は優先します。

遺留分を侵害した場合、相続人間に大きなトラブルになるおそれがあります。

6再婚歴のある人の相続を司法書士に依頼するメリット

遺言書がない場合、相続財産は相続人全員の共有になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意が不可欠です。

被相続人が再婚歴がある場合、相続財産の分け方の話し合いはまとまりにくくなります。

関係性の薄い相続人がいるからです。

前婚の家族と後婚の家族の関係性がいいことはあまり考えられません。

前婚に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

後婚の連れ子は相続人になりません。

再婚配偶者が死亡した場合、相続人の地位を相続します。

だれが相続財産の話し合いに参加するのか、誤解しそうです。

遺産分割協議に参加すべき人が参加していない場合、協議が無効になります。

相続人の確定が重要になります。

相続人間でトラブルにならないように、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

養子縁組で代襲相続

2023-07-31

1養子には普通養子と特別養子の2種類がある

①普通養子とは

養子には2種類あります。

養子縁組とは、血縁関係による親子関係の他に、法律上の親子関係を作る制度です。

子どものいない夫婦が養子縁組をする、配偶者の連れ子と養子縁組するといったことは日常的に聞くことあります。

一般的に、単に「養子」と言ったら、普通養子を指していることがほとんどです。

養子縁組をした後も、血縁関係のある実親との親子関係は続きます。

普通養子は、養親も相続するし、実親も相続します。

②特別養子とは

特別養子では、養子縁組をした後、血縁関係のある実親との親子関係がなくなります。

親子の縁を切る重大な決定なので、厳格な要件で家庭裁判所が決定します。

実の父母による著しい虐待がある場合やその他特別の事情がある場合で、かつ、子の利益のため特に必要があるときに、認められます。

特別養子は、養親を相続しますが、実親は相続しません。

2代襲相続とは

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は次のとおりです。

①配偶者は必ず相続人になる

②被相続人に子どもがいる場合、子ども

③被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

④被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することがあります。

これを代襲相続と言います。

相続人になるはずだった人の子どもの子どもが相続することを再代襲相続と言います。

代襲相続ができるのは、相続人になるはずだった人の子どもなど被代襲者の直系卑属だけです。

相続人になるはずだった人を被代襲者と言います。

被代襲者になれるのは、被相続人の子どもなどの直系卑属と被相続人の兄弟姉妹だけです。

被相続人の配偶者は、被代襲者になることはできません。

被相続人の親などの直系尊属は、被代襲者になることはできません。

代襲相続ができるのは、被相続人の卑属で、かつ、被代襲者の子どもなどの直系卑属だけです。

被代襲者の配偶者も、被代襲者の親などの直系尊属も、被代襲者の兄弟姉妹も、代襲相続ができません。

被相続人の孫や孫の子孫などの直系卑属は、代襲相続人になることができます。

甥姪は、代襲相続人になることができます。

3養親が死亡しても養子縁組は解消されない

①養子と実子は区別なく相続人になる

養子縁組をした場合、養子は養親の子どもになります。

養親に実子がいた場合、養子と実子にちがいはありません。

養親が死亡した場合、養子縁組した効果は消滅しません。

養親が死亡した後も、養子は養親の子どものままです。

被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。

養子も実子も区別なく、子どもです。

養子も実子も区別なく、相続人です。

実子がいるから養子は相続人になれないといったルールはありません。

実子がいるから養子は相続分が少ないといったルールはありません。

養子と実子に区別はないからです。

②養子と実子は区別なく代襲相続人になる

養親が死亡した場合、養子と実子は区別なく相続人になります。

養親が死亡した場合、養子縁組した効果は消滅しないからです。

養親が死亡した時点で健在だった養親の親が後に死亡した場合、代襲相続が発生します。

養親の親から見ると、養親は子どもです。

相続人になるはずだった子どもが先に死亡したから、子どもの子どもが相続します。

養親の子どもが代襲相続人です。

養子と養親の実子は区別なく、養親の子どもです。

養親が死亡した場合であっても、養子は養親の親の直系卑属のままです。

養子と養親の実子は区別なく、代襲相続人になります。

③養親の兄弟姉妹が死亡したら養子は代襲相続人になる

養子縁組をすると、養親と養子が親子になります。

養親の兄弟姉妹がいる場合、養親の兄弟姉妹の傍系卑属になります。

養親が死亡した時点で健在だった養親の兄弟姉妹が後に死亡することがあります。

養親が死亡した場合、養子縁組した効果は消滅しません。

養親が死亡した後も、養子は養親の子どものままです。

被相続人に子どもや親などの直系尊属がいない場合、兄弟姉妹が相続します。

被相続人の兄弟姉妹が相続人になる場合、養親は兄弟姉妹だから相続人になるはずだった人です。

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡しているから、代襲相続になります。

養親の兄弟姉妹が死亡した場合、養子は代襲相続人になります。

4養子になった孫は代襲相続ができる

被相続人が養親となる養子をした場合、養子は被相続人の子どもになります。

被相続人が孫と養子縁組をすることがあります。

養子縁組をした場合、孫は子どもになります。

養子縁組をして被相続人の子どもになった場合、孫であることに変わりはありません。

養子になった孫は、被相続人の子どもの立場と孫の立場を持っています。

被相続人の実子が孫の実親です。

被相続人の実子である孫の実親が被相続人より先に死亡することがあります。

被相続人の実子は、相続人になるはずだった子どもです。

相続人になるはずだった子どもが先に死亡したから、子どもの子どもが相続します。

養子になった孫は、子どもの子どもです。

養子になった孫は、代襲相続人になります。

養子になった孫は、被相続人の子どもの立場で相続し、代襲相続人の立場で相続します。

被相続人の子どもの立場で相続するから、代襲相続人の立場で相続できないといったルールはありません。

養子と実子に区別はないからです。

5養子の子どもは代襲相続をする条件がある

①養子縁組前に出生した養子の子どもは代襲相続ができない

代襲相続ができるのは、被相続人の卑属で、かつ、被代襲者の子どもなどの直系卑属だけです。

養子縁組をした場合、養親と養子は親子関係が作られます。

養親と養子の子どもに親族関係は作られません。

養子縁組前に出生した養子の子どもは、養親の卑属ではありません。

養子縁組前に出生した養子の子どもは、代襲相続ができません。

②養子縁組後に出生した養子の子どもは代襲相続ができる

養子縁組後に養子に子どもが出生した場合、出生した養子の子どもは養親と親族関係が作られます。

養子縁組後に出生した養子の子どもは、養親の卑属です。

養子縁組後に出生した養子の子どもは、代襲相続ができます。

③養親の兄弟姉妹が被相続人の場合養子の子どもは代襲相続ができない

養親と養子が先に死亡した後、養親の兄弟姉妹が死亡することがあります。

養親の兄弟姉妹が死亡した場合、養親は被相続人の兄弟姉妹で養子は兄弟姉妹の子どもです。

被相続人の兄弟姉妹が養親である場合、養子の子どもは代襲相続ができません。

養子縁組前に誕生していても養子縁組後に誕生していても、代襲相続ができません。

兄弟姉妹相続の代襲相続は一代限りだからです。

昭和23年1月1日から昭和55年12月31日に開始した相続については、再代襲相続ができました。

④死後離縁後の相続は代襲相続ができない

離縁とは、養子縁組によって発生した親族関係を将来に向かって消滅させることです。

養親と養子が生存中は、当事者の合意や裁判所の助力を得て離縁をすることができます。

養親と養子の一方が死亡した場合、家庭裁判所の許可を受けて離縁をすることができます。

死後離縁をした場合、親子関係が将来に向かって消滅します。

家庭裁判所の許可を受けて死後離縁をしても、相続人の地位は失いません。

養親が死亡した後に死後離縁をした場合、養子は養親の相続人です。

養親が死亡した時点で健在だった養親の親が後に死亡することがあります。

死後離縁後に養親の親が死亡した場合、養子は代襲相続をしません。

死後離縁によって養子は養親の子どもでなくなったからです。

6代襲相続人は遺産分割協議に参加する

相続が発生した後、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

相続人のひとりが勝手に処分することはできません。

相続人全員で相続財産の分け方について話し合いによる合意をして、分け方を決める必要があります。

相続財産の分け方にについて、相続人全員でする話し合いのことを遺産分割協議と言います。

遺産分割協議では、代襲相続人の合意も必要です。

養子と実子に区別はありません。

養子の子どもが代襲相続人である場合、養子の子どもの合意が必要です。

養子の子どもを含まない遺産分割協議は無効になります。

7代襲相続をしたくない場合

①相続発生後なら相続放棄

相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も相続人が受け継ぎます。

被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継がないことを相続の放棄といいます。

相続放棄をすると、プラスの財産を引き継がなくなりますが、マイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

相続の放棄は、被相続人ごとに判断できます。

養子が死亡した場合、養子の子どもは相続人になります。

養子の相続について、養子の子どもは相続を単純承認することも相続放棄をすることもできます。

養子の相続について単純承認しても相続放棄をしても、養親の相続について自由に判断することができます。

養子の相続について単純承認しても相続放棄をしても、養親の相続について相続を単純承認することも相続放棄をすることもできます。

養親の相続について代襲相続をしたくない場合、養子の子どもは相続放棄をすることができます。

相続放棄は家庭裁判所に対して相続放棄の申立てをします。

他の相続人に相続財産を受け取らないと宣言するだけでは、相続放棄の効果はありません。

②相続発生前なら離縁

養親と養子の一方が死亡した場合、家庭裁判所の許可を受けて離縁をすることができます。

死後離縁をした場合、親子関係が将来に向かって消滅します。

死後離縁後に養親の親が死亡した場合、養子は代襲相続をしません。

8代襲相続がある相続を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、被相続人のものは相続財産になります。

相続財産は相続人全員の共有財産ですから、分け方を決めるためには相続人全員の合意が必要です。

相続人の一部を含めない合意や相続人でない人を含めた合意は無効になります。

相続財産の分け方の話し合いの前提として、相続人の確定はとても重要です。

代襲相続や数次相続が発生している場合、一挙に難易度が上がります。

インターネットが普及したことで、多くの情報を手軽に得ることができるようになりました。

簡単に情報発信ができるようになったこともあって、適切でない情報も有益な情報もたくさん出回っています。

相続の専門家と名乗っていながら、適切でないアドバイスを見かけることも度々あります。

代襲相続や数次相続が発生している場合、信頼できる専門家のサポートが欠かせません。

スムーズに相続手続を行いたい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

配偶者は代襲相続できない

2023-06-28

1配偶者は代襲相続とは無関係

①代襲相続とは

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は次のとおりです。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どももいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することがあります。

これを代襲相続と言います。

相続人になるはずだった人の子どもの子どもが相続することを再代襲相続と言います。

②被代襲者になれる人

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続します。

相続人になるはずだった人を被代襲者と言います。

被代襲者になれるのは、被相続人の子ども等と兄弟姉妹だけです。

配偶者と親などの直系尊属は、被代襲者になることはできません。

配偶者は、代襲相続の被代襲者になることはありません。

③代襲相続人になれる人

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続します。

相続人になるはずだった人の代わりに相続人になる子どもや子どもの子どもを代襲相続人と言います。

代襲相続人になれるのは、被代襲者の子どもなど被代襲者の直系卑属だけです。

代襲相続人になれるのは、被相続人の卑属でなければなりません。

被代襲者の直系卑属で、かつ、被相続人の卑属だけが代襲相続できます。

被代襲者の配偶者も、被代襲者の親などの直系尊属も、被代襲者の兄弟姉妹も、代襲相続人にはなりません。

2代襲相続ができる原因

①相続人が死亡したら代襲相続する

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合です。

実際に死亡した場合の他に、失踪宣告を受けて死亡したものと扱われる場合も、代襲相続が発生します。

被相続人の死亡後、相続手続の途中で相続人が死亡した場合には、数次相続になります。

相続が発生したときに相続人が健在であれば、その後死亡しても代襲相続にはなりません。

②相続人が欠格になったら代襲相続する

欠格とは、相続人としてふさわしくない人の相続資格を奪う制度のことです。

欠格になる理由は法律で定められています。

主な理由は、被相続人を殺害したり、殺害しようとしたり、遺言書を偽造したり、遺言書を隠したりしたなどです。

法律で決められた理由があれば、家庭裁判所などの手続はなく、当然に、相続資格を失います。

相続人が相続欠格になる場合、代襲相続ができます。

③相続人が廃除されたら代襲相続する

相続人廃除とは、被相続人の意思で、相続人の資格を奪う制度のことです。

例えば、被相続人に虐待をした人に、相続をさせたくないと考えるのは自然なことでしょう。

相続人廃除は家庭裁判所に申立をして、家庭裁判所が判断します。

被相続人が相続人廃除したいと言い、相続人が廃除されていいと納得していても、家庭裁判所が相続人廃除を認めないことがあります。

相続人が相続人廃除になる場合、代襲相続ができます。

3被相続人の配偶者は被代襲者にならない

①配偶者が先に死亡しても配偶者の連れ子は代襲相続しない

被代襲者になるのは、子どもや兄弟姉妹だけです。

配偶者は被代襲者になることはできません。

配偶者は被代襲者になることはできないから、配偶者の連れ子が代襲相続人になることはできません。

配偶者の連れ子は、被相続人の卑属ではありません。

被相続人の卑属ではないから、配偶者の連れ子が代襲相続人になることはできません。

配偶者の連れ子は、直接の相続人になることもありません。

子どもがいる人と結婚した場合、連れ子と同居していても親子関係はありません。

親子関係を作りたい場合、養子縁組をする必要があります。

養子縁組をしたら、被相続人の子どもになります。

子どもとして直接の相続人になることができます。

②配偶者が先に死亡しても配偶者の兄弟姉妹は代襲相続しない

被代襲者になるのは、子どもや兄弟姉妹だけです。

配偶者は被代襲者になることはできません。

配偶者は被代襲者になることはできないから、配偶者の兄弟姉妹が代襲相続人になることはできません。

配偶者の兄弟姉妹は、被相続人の卑属ではありません。

被相続人の卑属ではないから、配偶者の兄弟姉妹が代襲相続人になることはできません。

4配偶者は代襲相続人にならない

①子どもが先に死亡しても子どもの配偶者は代襲相続しない

代襲相続人になることができるのは、被代襲者の子どもなど直系卑属だけです。

配偶者は代襲相続人になることはできません。

被相続人の子どもが被相続人より先に死亡している場合、被相続人の子どもの配偶者は代襲相続をすることができません。

配偶者は代襲相続人になることはできないからです。

子どもの配偶者は、被相続人の卑属ではありません。

被相続人の卑属ではないから、子どもの配偶者が代襲相続人になることはできません。

子どもの配偶者は、直接の相続人になることもありません。

被相続人と被相続人の子どもの配偶者が同居していても結論は同じです。

被相続人と被相続人の子どもの配偶者が同居して介護などの貢献をしていた場合、理不尽に思えるでしょう。

②兄弟姉妹が先に死亡しても兄弟姉妹の配偶者は代襲相続しない

代襲相続人になることができるのは、被代襲者の子どもなど直系卑属だけです。

配偶者は代襲相続人になることはできません。

被相続人の兄弟姉妹が被相続人より先に死亡している場合、被相続人の兄弟姉妹の配偶者は代襲相続をすることができません。

兄弟姉妹の配偶者は、被相続人の卑属ではありません。

被相続人の卑属ではないから、兄弟姉妹の配偶者が代襲相続人になることはできません。

5特別寄与者は財産を受け取れる

寄与分は、被相続人の財産の維持や増加について特別な貢献をした人がいる場合、特別な貢献をした人に対して、相続分以上の財産を受け継いでもらう制度です。

寄与分の制度は、特別な貢献をした人に対して相続分以上の財産を受け取ってもらうことで、相続人間の実質的な公平を図ろうとするものです。

寄与分を請求できるのは、相続人だけです。

子どもの配偶者や配偶者の連れ子は、相続人ではありません。

子どもの配偶者や配偶者の連れ子が被相続人に特別な貢献をしていた場合であっても、何も相続することはできません。

相続人ではない親族が特別な貢献をしていた場合、特別寄与者になることができます。

子どもの配偶者や配偶者の連れ子は相続人ではありませんが、親族です。

子どもの配偶者や配偶者の連れ子が被相続人に特別な貢献をしていた場合、特別寄与者として財産を取得することができます。

6トラブル防止には遺言書作成が有効

①遺言書で財産の行き先を決めておく

相続が発生した場合、被相続人の財産は相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意が不可欠です。

相続トラブルの多くは、相続人全員の合意が難しいために起きています。

相続人の関係性がうすい場合、トラブルに発展しがちです。

被相続人が遺言書を作成して、財産の行き先を決めてあげておくといいでしょう。

遺言書で財産を受け取る人が決めてある場合、そのとおり分ければいいのでトラブルになるリスクを減らすことができます。

②遺留分を侵害しないように配分を決める

遺留分は、相続財産に対する最低限の権利のことです。

兄弟姉妹以外の相続人に認められます。

遺留分侵害額請求がされる場合、大きなトラブルになります。

遺言書に遺留分侵害額請求をしないようにと書くことができますが、効力のない単なるお願いです。

遺留分に配慮した遺言書を作成する方がトラブル防止になるでしょう。

③遺言書は公正証書遺言がおすすめ

遺言書の多くは、公正証書遺言か自筆証書遺言です。

自筆証書遺言は、遺言者が自分で書いて作った遺言書のことです。

専門家の手を借りることなく手軽に作れるので、世の中の大半は自筆証書遺言です。

遺言書には厳格な書き方ルールがあります。

遺言書の書き方ルールに合わない遺言書は無効になります。

専門家の手を借りずに作られることが多いので、法律上効力のない遺言書になってしまうかもしれません。

公正証書遺言は、遺言内容を公証人に取りまとめてもらって作る遺言書です。

遺言者が公証人に遺言内容を伝えて、証人2人に確認してもらって作ります。

公証人は法律の専門家だから、書き方ルールの違反で無効になることは考えられません。

遺言書の内容を伝えておけば、適切な表現で文書にしてもらえます。

作った遺言書の原本は、公証役場で保管されます。

紛失するおそれがありません。

遺言書を作成するのであれば、公正証書遺言がおすすめです。

④遺言執行者を指名しておく

遺言書を作成するだけでは、遺言書の内容は実現されません。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書の中で遺言執行者を決めておくことができます。

相続が発生した後に遺言執行者からご辞退されないように、あらかじめ同意をもらっておくと安心です。

司法書士などの専門家に遺言書作成のサポートを依頼した場合、多くは遺言執行者になってもらうことができます。

7遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書は被相続人の意思を示すものです。

自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。

家族がトラブルに巻き込まれることを望む人はいないでしょう。

遺言書があることでトラブルになるのは、ごく稀なケースです。

遺言書がないからトラブルになるのはたくさんあります。

そのうえ、遺言書1枚あれば、相続手続は格段にラクになります。

家族を幸せにするために遺言書を作ると考えましょう。

実際、家族の絆のためには遺言書が必要だと納得した方は遺言書を作成します。

家族の喜ぶ顔のためにやるべきことはやったと安心される方はどなたも晴れやかなお顔です。

家族の幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

兄弟姉妹が先に死亡したときの代襲相続人

2023-05-31

1代襲相続とは

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は次のとおりです。

①配偶者は必ず相続人になる

②被相続人に子どもがいる場合、子ども

③被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

④被相続人に子どももいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することがあります。

これを代襲相続と言います。

相続人になるはずだった人の子どもの子どもが相続することを再代襲相続と言います。

代襲相続ができるのは、相続人になるはずだった人の子どもなど直系卑属だけです。

相続人になるはずだった人を被代襲者と言います。

被代襲者の子どもなど被代襲者の直系卑属以外は代襲相続人になることができません。

被代襲者の配偶者も、被代襲者の親などの直系尊属も、被代襲者の兄弟姉妹も、代襲相続ができません。

2兄弟姉妹が先に死亡したら甥姪が代襲相続人になる

①半血兄弟の子どもが代襲相続人になる

被相続人に子どももいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。

兄弟姉妹とは、実父実母同じ兄弟姉妹だけイメージしがちです。

実父の子ども、実母の子どもすべてが、兄弟姉妹に含まれます。

被相続人が養子縁組をした養子の場合、養親の子どもも兄弟姉妹に含まれます。

実父の子どもには、母が違う異母兄弟姉妹、父が認知した子ども、父と養子縁組をした養子、父の実子で普通養子に出した子どももすべて含まれます。

養親の子どもには、養親の実子、養親が認知した子ども、養親と普通養子縁組をした養子、養親の実子で普通養子に出した子どももすべて含まれます。

実父の子ども、実母の子ども、養親の子どもすべてが、相続人になります。

兄弟姉妹が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹の子どもが代襲相続人になります。

②養子に行った兄弟姉妹の子どもが代襲相続人になる

兄弟姉妹には、実父の子ども、実母の子どもすべて含まれます。

兄弟姉妹の中には、第三者と養子縁組をしている場合があります。

養子縁組には、2種類あります。

普通養子と特別養子です。

第三者と養子縁組をしている場合、普通養子であれば兄弟姉妹として相続人になります。

普通養子になった兄弟姉妹が被相続人より先に死亡した場合、養子に行った兄弟姉妹の子どもが代襲相続人になります。

特別養子になった兄弟姉妹は相続人になりません。

特別養子は、実親との親子関係を切るものだからです。

特別養子になった兄弟姉妹が被相続人より先に死亡した場合、養子に行った兄弟姉妹の子どもは代襲相続人になりません。

③養子の連れ子は代襲相続人にならない

兄弟姉妹には、親と養子縁組をした養子が含まれます。

養子の子どもには親族関係がある場合とない場合があります。

代襲相続人になることができるのは、被相続人の卑属のみです。

親族関係がない場合、代襲相続人になることはできません。

養子縁組をしたときに、養子に子どもがいる場合があります。

養子縁組をしたときにすでに誕生していた子どもは、養親と親族関係が生じません。

養子の連れ子は、養親の卑属ではありません。

養親の卑属ではないから、代襲相続人にはなりません。

④甥姪も被相続人より先に死亡したら代襲相続しない

被相続人の兄弟姉妹が相続する場合で、かつ、兄弟姉妹が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹の子どもが代襲相続をすることができます。

兄弟姉妹の子どもが被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹の子どもの子どもは代襲相続をすることができません。

兄弟姉妹が相続する場合、代襲相続ができる範囲は一代限りだからです。

被相続人の子どもが相続する場合で、かつ、子どもが被相続人より先に死亡している場合、子どもの子どもが代襲相続をすることができます。

子どもの子どもが被相続人より先に死亡している場合、子どもの子どもの子どもは代襲相続をすることができます。

被相続人の子どもが相続する場合、下の世代の範囲に制限はありません。

兄弟姉妹が被代襲者の場合、再代襲相続はできません。

子どもが被代襲者の場合、再代襲相続はできます。

現在は兄弟姉妹が相続する場合、代襲相続ができる範囲は一代限りです。

昭和23年1月1日から昭和55年12月31日に開始した相続については、再代襲相続ができました。

3代襲相続人の相続割合

①代襲相続人は被代襲者の法定相続分を引き継ぐ

配偶者がいる場合、法定相続分は次のとおりです

(1)相続人が配偶者と子ども 配偶者2分の1 子ども2分の1

(2)相続人が配偶者と直系尊属 配偶者3分の2 直系尊属3分の1

(3)相続人が配偶者と兄弟姉妹 配偶者4分の3 兄弟姉妹4分の1

兄弟姉妹が数人いる場合、人数で均等に分割します。

兄弟姉妹は、実父実母同じ兄弟姉妹だけではありません。

異父兄弟姉妹や異母兄弟姉妹が含まれるからです。

父だけ同じ兄弟姉妹や母だけ同じ兄弟姉妹は、父母同じ兄弟姉妹の半分になります。

父だけ同じ兄弟姉妹や母だけ同じ兄弟姉妹は、半血兄弟と言います。

代襲相続の場合、法定相続分は受け継がれます。

死亡した被代襲者の法定相続分を代襲相続人が人数で均等に分割します。

半血兄弟の法定相続分は全血兄弟の法定相続分の2分の1なので、代襲相続人の相続分が相応に少なくなります。

②兄弟姉妹には遺留分がない

遺留分とは、相続財産に対して認められる最低限の権利のことです。

兄弟姉妹以外の相続人に認められます。

兄弟姉妹が被代襲者である場合、代襲相続人は遺留分が認められません。

4代襲相続がある相続を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、被相続人のものは相続財産になります。

相続財産は相続人全員の共有財産ですから、分け方を決めるためには相続人全員の合意が必要です。

相続人の一部を含めない合意や相続人でない人を含めた合意は無効になります。

相続財産の分け方の話し合いの前提として、相続人の確定はとても重要です。

代襲相続や数次相続が発生している場合、一挙に難易度が上がります。

インターネットが普及したことで、多くの情報を手軽に得ることができるようになりました。

簡単に情報発信ができるようになったこともあって、適切でない情報も有益な情報もたくさん出回っています。

相続の専門家と名乗っていながら、適切でないアドバイスを見かけることも度々あります。

代襲相続や数次相続が発生している場合、信頼できる専門家のサポートが欠かせません。

スムーズに相続手続を行いたい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

代襲相続人の遺留分

2023-05-29

1代襲相続とは

①代襲相続とは相続人になるはずだった人の子どもが相続すること

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は次のとおりです。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どももいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することがあります。

これを代襲相続と言います。

相続人になるはずだった人の子どもの子どもが相続することを再代襲相続と言います。

②代襲相続が発生する原因

(1) 相続人が死亡したら代襲相続する

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合です。

実際に死亡した場合の他に、失踪宣告を受けて死亡したものと扱われる場合も、代襲相続が発生します。

(2) 相続人が欠格になったら代襲相続する

欠格とは、相続人としてふさわしくない人の相続資格を奪う制度のことです。

(3) 相続人が廃除されたら代襲相続する

相続人廃除とは、被相続人の意思で、相続人の資格を奪う制度のことです。

例えば、被相続人に虐待をした人に、相続をさせたくないと考えるのは自然なことでしょう。

③被代襲者になる人

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続します。

相続人になるはずだった人を被代襲者と言います。

被代襲者になれるのは、被相続人の子ども等と兄弟姉妹だけです。

配偶者と親などの直系尊属は、被代襲者になることはできません。

④代襲相続人になる人

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続します。

相続人になるはずだった人の代わりに相続人になる子どもや子どもの子どもを代襲相続人と言います。

代襲相続人になれるのは、被代襲者の子どもなど被代襲者の直系卑属だけです。

代襲相続人になれるのは、被相続人の卑属でなければなりません。

被代襲者の直系卑属で、かつ、被相続人の卑属だけが代襲相続できます。

2遺留分とは

①遺留分が認められるのは兄弟姉妹以外の相続人

遺留分とは、相続財産に対して認められる最低限の権利のことです。

被相続人は、原則として、自分の財産を誰に受け継がせるかは自由に決めることができます。

とはいえ、財産は被相続人が1人で築いたものではなく、家族の協力があって築くことができたもののはずです。

被相続人の名義になっているからといって、まったく無制約の自由にすると今まで協力してきた家族に酷な結果となることもあります。

遺留分は、兄弟姉妹以外の相続人に認められます。

②遺留分割合は法定相続分の2分の1、直系尊属だけのときは3分の1

事例1

相続人が配偶者、子どもが2人の場合

法定相続分は、配偶者2分の1、子どもはそれぞれ4分の1です。

遺留分は、配偶者4分の1、子どもはそれぞれ8分の1です。

事例2

相続人が配偶者、父母同じ兄弟姉妹2人の場合

法定相続分は、配偶者4分の3、父母同じ兄弟姉妹それぞれ8分の1です。

遺留分は、配偶者8分の3、父母同じ兄弟姉妹それぞれ16分の1です。

事例3

相続人が配偶者、父だけ同じ兄弟姉妹1人、父母同じ兄弟姉妹2人の場合

法定相続分は、配偶者4分の3、父だけ同じ兄弟姉妹20分の1、父母同じ兄弟姉妹それぞれ10分の1です。

遺留分は、配偶者8分の3、父だけ同じ兄弟姉妹40分の1、父母同じ兄弟姉妹それぞれ20分の1です。

兄弟姉妹が数人いる場合、人数で均等に分割します。

兄弟姉妹は、実父実母同じ兄弟姉妹だけではありません。

異父兄弟姉妹や異母兄弟姉妹が含まれるからです。

父だけ同じ兄弟姉妹や母だけ同じ兄弟姉妹は、父母同じ兄弟姉妹の半分になります。

父だけ同じ兄弟姉妹や母だけ同じ兄弟姉妹は、半血兄弟と言います。

3代襲相続人は被代襲者の遺留分を引き継ぐ

①子どもの遺留分を孫が引き継ぐ

遺留分は、兄弟姉妹以外の相続人に認められます。

被相続人の子どもには、遺留分があります。

子どもが被相続人より先に死亡した場合、子どもの遺留分は孫に引き継がれます。

孫が複数いる場合、死亡した子どもの遺留分が細分化します。

代襲相続があっても代襲相続がなくても、他の相続人の遺留分に影響はありません。

代襲相続人は被代襲者の遺留分を引き継ぐだけだからです。

②子どもが相続放棄をしたら孫は代襲相続しない

代襲相続が発生する場合は、(1) 相続人が死亡(2) 相続人が欠格(3) 相続人が廃除のときです。

相続人が相続登記をしたときは、代襲相続が発生しません。

子どもが相続放棄をした場合、孫は代襲相続をしませんから孫は相続人になりません。

③子どもが遺留分放棄をしたら孫は遺留分がない

被相続人の子どもには、遺留分があります。

被相続人の子どもが生前、家庭裁判所の許可を得て遺留分を放棄している場合があります。

家庭裁判所で遺留分の放棄が認められた場合、子どもは遺留分がありません。

遺留分を放棄した子どもが死亡した場合、孫には遺留分がありません。

孫は、子どもの遺留分を引き継ぐだけだからです。

④子どもが養子の場合養子の子どもが代襲相続する場合と代襲相続しない場合がある

被相続人の子どもが養子であっても、養子は相続人になります。

養子がいたが被相続人より先に死亡していた場合、養子の子どもは相続人になる場合と相続人にならない場合があります。

代襲相続ができるのは、被相続人の卑属のみだからです。

養子縁組は、養親と養子の間で法律上の親子関係を作るものです。

養親と養子の子どもらには、親族関係が作られません。

養子縁組の時点で誕生していた養子の子どもは、養子縁組があっても、養親の直系卑属ではないのです。

養子縁組後に、誕生した養子の子どもは、養親の直系卑属になります。

養子がいたが被相続人より先に死亡していた場合、養子縁組前に誕生した養子の子どもは、相続人になりません。

養子がいたが被相続人より先に死亡していた場合、養子縁組後に誕生した養子の子どもは、相続人になります。

養子縁組後に誕生した養子の子どもは、養子の遺留分を引き継ぎます。

⑤兄弟姉妹に遺留分がないから甥姪に遺留分はない

遺留分は、兄弟姉妹以外の相続人に認められます。

兄弟姉妹は、相続人であっても遺留分は認められません。

兄弟姉妹に遺留分がないから、甥姪に遺留分は認められません。

兄弟姉妹の子どもは代襲相続ができる場合であっても、遺留分を主張することはできません。

⑥甥姪が先に死亡しても甥姪の子どもは代襲相続しない

被相続人の子どもが相続する場合、下の世代の範囲に制限はありません。

兄弟姉妹が被代襲者の場合、再代襲相続はできません。

子どもが被代襲者の場合、再代襲相続はできます。

現在は兄弟姉妹が相続する場合、代襲相続ができる範囲は一代限りです。

昭和23年1月1日から昭和55年12月31日に開始した相続については、再代襲相続ができました。

4遺留分請求には時効がある

①遺留分侵害額請求はすみやかに

遺留分とは、相続財産に対して認められる最低限の権利のことです。

被相続人は、原則として、自分の財産を誰に受け継がせるかは自由に決めることができます。

相続人に認められる最低限の権利を侵害してしまうことがあります。

遺留分が侵害されている場合、遺留分を侵害している人に請求する必要があります。

遺留分を請求する権利は、1年で時効により消滅します。

相続が開始したことと遺留分が侵害されていることの両方を知ってから、1年です。

相続が開始してから10年経過すると除斥期間によって権利消滅します。

②遺産分割協議の申し入れが遺留分侵害額請求にならない場合がある

被相続人が遺言書を作成していた場合、遺留分を侵害していることがあります。

相続人が遺言書が無効であると主張して遺産分割協議を申し入れる場合、遺産分割協議で合意できるのは難しいでしょう。

相続人全員の合意ができるまでに1年以上かかるでしょう。

遺留分を請求する権利は、1年で時効により消滅します。

相続財産に対して認められる最低限の権利が失われてしまいます。

遺産分割協議の申し入れをするとともに、予備的に遺留分侵害額請求をする意思を明示する必要があります。

遺言書の内容が「特定の人に全財産を相続させる」場合、遺産分割協議の申し入れは遺留分侵害額請求の意思があると言えます。

5遺産分割協議の後に遺留分侵害額請求はできない

代襲相続人は下の世代の相続人だから、他の相続人より若い場合が多いでしょう。

遺産分割協議では、他の相続人に気圧されて何も言えなかったということがあります。

相続財産の分け方に納得していないけど、記名押印をしてしまったという場合があります。

遺留分とは、相続財産に対する最低限の権利のことです。

相続財産に対する最低限の権利を奪われた相続人は、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺産分割協議の後になって、遺留分を取り返したいと思うかもしれません。

遺産分割協議で受け取る財産が遺留分より少なかった場合であっても、遺留分侵害額請求をすることはできません。

遺産分割協議は、相続人全員の合意が必要だからです。

相続人全員が納得して合意したものだから、権利を奪われた相続人ではないはずです。

相続発生後、相続人は遺留分を放棄することができます。

遺留分より少ない相続分で遺産分割協議に合意した場合、遺留分を放棄したと考えられます。

遺産分割協議後に、遺留分侵害額請求をすることはできません。

6代襲相続がある相続を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、被相続人のものは相続財産になります。

相続財産は相続人全員の共有財産ですから、分け方を決めるためには相続人全員の合意が必要です。

相続人の一部を含めない合意や相続人でない人を含めた合意は無効になります。

相続財産の分け方の話し合いの前提として、相続人の確定と相続分の確認はとても重要です。

代襲相続や数次相続が発生している場合、一挙に難易度が上がります。

インターネットが普及したことで、多くの情報を手軽に得ることができるようになりました。

簡単に情報発信ができるようになったこともあって、適切でない情報も有益な情報もたくさん出回っています。

相続の専門家と名乗っていながら、適切でないアドバイスを見かけることも度々あります。

代襲相続や数次相続が発生している場合、信頼できる専門家のサポートが欠かせません。

スムーズに相続手続を行いたい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

失踪宣告を受けた人が生きていたら

2023-05-17

1失踪宣告の申立てとは

長期間、行方不明になっている人の中には死亡している可能性が高い人もいます。

このような場合、条件を満たせば失踪宣告の申立てをすることができます。

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとする手続です。

失踪宣告がされたら、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。

行方不明の人を含めず、遺産分割協議をすることができます。

2失踪宣告されても本人は困らない

失踪宣告はたとえ死亡していなくても、死亡した取り扱いをする制度です。

失踪宣告がされたけど、実は本人は新天地で元気に生きていたということがあります。

たとえ失踪宣告がされて死亡した扱いになった場合でも、本人の生活自体にはほとんど影響がありません。

失踪宣告がされて死亡した扱いになった場合でも、権利が制限されることはありません。

死亡した扱いになるからと言って、死者との契約だから無効だと言われることもありません。

元気で生きているから、当然、契約は有効です。

本人の知らないところで、財産が相続されてしまいます。

3失踪宣告の取消は家庭裁判所に手続が必要

失踪宣告をされた人が生きていると分かっても、自動的に失踪宣告が取り消されるわけではありません。

家庭裁判所は失踪宣告された人が、その後、生きているかどうか分からないからです。

失踪宣告された人が生きていることが分かった場合や失踪宣告されたときと異なる時期に死亡したことが判明した場合、家庭裁判所に失踪宣告の取消の審判の申立てをします。

家庭裁判所が失踪宣告を取消した場合、失踪宣告による死亡の効果がなかったことになります。

失踪宣告の取消が確定した場合でも、家庭裁判所から自主的に市町村役場に連絡が行くことはありません。

失踪宣告取消の審判書と確定証明書を添えて、市町村役場に10日以内に届出が必要です。

失踪宣告の取消が確定した場合、家庭裁判所は官報にお知らせを出します。

失踪宣告が確定したときも官報にお知らせを出しますから、取消をしたときもお知らせを出すのです。

4財産は返還しなければならない

①相続財産は返還しなければならない

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとする手続です。

失踪宣告がされると、相続が開始します。

失踪宣告が取り消されると、行方不明者が死亡したことはなかったことになります。

死亡がなかったことになりますから、相続もなかったことになります。

相続によって財産を得た人は、行方不明者に財産を返さなければなりません。

たとえ、行方不明者が生きているとは思わなかったとしても、財産は返す必要があります。

返す財産は、現に利益を受けている限度とされています。

相続人が遊興費などで使ってしまっている場合は、返す必要がありません。

生活費や自分の借金の返済に充てている場合などは、現に利益を受けていると言えます。

その分は、返還が必要です。

現に利益を受けている限度とは、同じ形で残っている意味ではありません。

形を変えて残っている場合も含みます。

生活費として使ったのであれば、自分のお金をその分使わずに済んでいます。

生活費分の利益を得ていると言えます。

失踪宣告取消前に、行方不明者から相続した財産を売却している場合があります。

行方不明者が生きていることを知らずにした行為は、例外的にそのまま効力を持ちます。

失踪宣告が取消されることですべての行為が無効になると、安心して取引ができなくなります。

失踪宣告の事情を知らない第三者にとって、契約が取り消されると不利益が大きいからです。

行方不明者が生きていることを知らずにしたとは、相続人と売買の買主の両方が、行方不明者が生きていることを知らなかった場合です。

相続人が行方不明者の生存を知っていたら、売買の買主は知らなくても取引は無効になります。

失踪宣告によって相続した財産を売却した場合、行方不明者が生きていることを知らずにしたのであればそのまま有効です。

②生命保険も返還しなければならない

死亡により支払われるものとして、生命保険の保険金は高額なものでしょう。

失踪宣告が取り消されると、返還しなければなりません。

住宅ローンを組むときに団体信用生命保険に加入している場合、生命保険金で住宅ローンの残額を支払っているでしょう。

住宅ローンの残額を支払わなくてもよくなったという形で利益が残っていると考えられます。

現に利益を受けていると言えますから、この利益を返還しなければなりません。

5残された配偶者は再婚ができる

失踪宣告がされると、行方不明者は死亡した取り扱いがされます。

行方不明者に配偶者があれば、残された配偶者は再婚ができます。

行方不明者とは死別した取り扱いです。

残された配偶者が再婚していた場合、前婚は復活せず後婚のみ有効という意見が有力です。

後婚のみ有効になるのは、残された配偶者と再婚相手が行方不明者が生きていることを知らなかった場合だけと考えられます。

一方で、残された配偶者と再婚相手の認識を問わず、後婚のみ有効と考える意見もあります。

失踪宣告の取消がされると、前婚が復活して重婚になると考える意見もあります。

最終的には、裁判所の判断によります。

そもそも、再婚するためであれば、必ずしも、失踪宣告をする必要はありません。

3年以上の生死不明であれば、離婚理由に該当します。

婚姻を継続しがたい重大な事由にも、あたります。

悪意の遺棄にあたることもあるでしょう。

離婚事由がある場合、裁判所に離婚の訴えを起こすことができます。

裁判所に認められれば、離婚することができるからです。

6生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続が発生した後、相続手続を進めたいのに行方不明の相続人や長期間行方不明で死亡の可能性の高い相続人がいて困っている人はたくさんいます。

自分たちで手続しようとして挫折する方も少なくありません。

失踪宣告の申立など家庭裁判所に手続が必要になる場合など通常ではあまり聞かない手続になると専門家のサポートが必要になることが多いでしょう。

信託銀行などは、高額な手数料で相続手続を代行しています。

被相続人が生前、相続人のためを思って、高額な費用を払っておいても、信託銀行はこのような手間のかかる手続を投げ出して知識のない遺族を困らせます。

知識のない相続人が困らないように高額でも費用を払ってくれたはずなのに、これでは意味がありません。

税金の専門家なども対応できず、困っている遺族はどうしていいか分からないまま途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして相続手続を進めることができます。

自分たちでやってみて挫折した方も、信託銀行などから丸投げされた方も、相続手続きで不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続人が生死不明なら失踪宣告

2023-05-10

1遺産分割協議は相続人全員で

相続が発生した後、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

相続財産を分けるためには、相続人全員の合意が必要になります。

相続人調査をすると、ときには思いもよらない相続人が判明することがあります。

相続人であることを知っていても、連絡を取ったことがない人が現れることがあります。

相当長期間、行方不明で親族のだれとも連絡を取れていない場合など、死亡の可能性が高い場合があります。

このような場合であっても、相続財産の分け方は、相続人全員での合意しなければなりません。

連絡が取れないからと言って、一部の相続人を含めないで遺産分割協議をしても無効です。

銀行などの金融機関は口座の解約や名義変更に応じてくれないし、法務局も不動産の名義変更に応じてくれません。

被相続人と音信不通だったからとか、お葬式にも来ていないのにという気持ちは分かりますが、相続財産の分け方は相続人全員で合意する必要があるのです。

2失踪宣告とは

①失踪宣告がされると行方不明の人は死亡と見なされる

相当長期間、行方不明になっている場合、死亡している可能性が高い場合があります。

条件を満たした場合、死亡の取り扱いをすることができます。

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告がされたら、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。

死亡した取り扱いをしますから、失踪宣告がされた人に相続が発生します。

失踪宣告には、普通失踪と特別失踪の2種類があります。

②普通失踪とは

普通失踪とは、行方不明の人について7年間生死不明の場合、申立てができるものです。

普通失踪の申立てをした場合、失踪宣告がされるまでおよそ3か月以上かかります。

家庭裁判所の状況や事件の内容によっては、1年ほどかかる場合もあります。

生死不明になってから7年間経過したときに、死亡したものと見なされます。

③特別失踪(危難失踪)

特別失踪とは、「戦地に行った者」「沈没した船舶に乗っていた者」「その他死亡の原因となる災難に遭遇した者」について、危難が去ってから1年間生死不明の場合、申立てができるものです。

特別失踪の申立てをした場合、失踪宣告がされるまでおよそ1か月以上かかります。

危難が去ったときに、死亡したものと見なされます。

④失踪宣告後生きていることが分かったら失踪宣告の取消

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告がされたら、たとえ生きていても死亡した取り扱いがされます。

行方不明の人に失踪宣告がされた後、本人が帰ってくることがあります。

失踪宣告がされた後、生きていることが分かった場合、失踪宣告を取り消してもらいます。

失踪宣告した日と違う日に死亡していたことが判明する場合があります。

失踪宣告がされた後、失踪宣告した日と違う日に死亡していたことが分かった場合、失踪宣告を取り消してもらいます。

失踪宣告をするときも失踪宣告を取り消すときも、家庭裁判所の関与が必要です。

失踪宣告は、死亡したと扱う重大な手続だからです。

3失踪宣告の申立ての手続方法

①失踪宣告の申立てができる人

(1)行方不明の人の配偶者

(2)相続人にあたる人

(3)債権者などの利害関係人

不在者財産管理人選任の申立と異なり検察官は申立できません。

失踪宣告は死亡した取り扱いをするという強力な効果があるから、行方不明の人の帰りを待つ家族の心情に配慮したものです。

②失踪宣告の申立先

失踪宣告の申立先は、行方不明の人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

家庭裁判所の管轄は裁判所のホームページで調べることができます。

③失踪宣告の申立ての添付書類

失踪宣告の申立書に添付する書類は以下のとおりです。

(1)行方不明の人の戸籍謄本

(2)行方不明の人の戸籍の附票

(3)行方不明であることが分かる資料

(4)利害関係の分かる資料

4失踪宣告の手続の流れ

①家庭裁判所が失踪の調査をする

家庭裁判所は、申立書を受け付けた後、独自で調査をします。

申立人にいろいろな書類の提出を求めたり、文書で照会したりします。

ときには、家庭裁判所から呼出がある場合もあります。

②公示催告をする

家庭裁判所は、官報と裁判所の掲示板にお知らせを出します。

お知らせは、以下の内容です。

・失踪宣告の申立てが出されています。

・本人は生きていますと届出を出してください。

・本人の生死を知っている人はその旨届出をしてください。

官報と裁判所の掲示板に出すお知らせの期間は、普通失踪の場合で3か月以上です。

特別失踪の場合で1か月以上です。

③審判

官報と裁判所の掲示板に出すお知らせの期間中に、だれからも届出がなければ家庭裁判所は失踪宣告の審判をします。

④審判の確定

家庭裁判所が審判をした後に、不服を言う人がいなければ失踪宣告の審判は確定します。

家庭裁判所が審判をした後に不服を言うことができる期間は、2週間です。

失踪宣告の審判がされた後、なにごともなく2週間経過すると失踪宣告の審判は確定します。

失踪宣告が確定した場合、家庭裁判所はあらためて官報にお知らせを出します。

このお知らせは「失踪宣告がされました」という意味です。

⑤審判の確定証明書の取得

失踪宣告の審判がされたら、家庭裁判所から審判書謄本が送付されます。

審判書が届いても、審判が確定するわけではありません。

失踪宣告の審判がされた後、2週間は不服を言う人が現れるかもしれないからです。

なにごともなく2週間経過すると失踪宣告の審判は確定します。

確定しても何も連絡はありません。

2週間経過後に家庭裁判所に申請をして、確定証明書を取得します。

確定証明書の請求は、家庭裁判所に出向いて手続をすることもできるし、郵送で手続をすることもできます。

⑥失踪届を提出する

失踪宣告の審判が確定した後でも、家庭裁判所から市区町村役場に連絡がされることはありません。

審判が確定した後、審判書謄本と確定証明書を添えて10日以内に市区町村役場に届出が必要です。

⑦戸籍に失踪宣告が記載される

市区町村役場に届出をして、はじめて戸籍に記載がされます。

相続手続では、失踪宣告の記載のある戸籍が必要になりますから、届出をしないと相続手続が進まなくなります。

戸籍には次のように記載されます。

【死亡とみなされる日】令和〇年〇月〇日

【失踪宣告の裁判確定日】令和〇年〇月〇日

【届出日】令和〇年〇月〇日

【届出人】親族 ○○○○

5失踪宣告されたら相続が開始する

失踪宣告されたら、行方不明の人は死亡した取り扱いをします。

失踪宣告された人は、死亡した取り扱いなので相続が開始します。

失踪宣告された人を被相続人として相続手続をします。

相続が発生する日は、死亡とみなされる日です。

失踪宣告の申立てをした日ではありません。

だれが相続人になるのかよく確認して手続を進めましょう。

6行方不明の相続人に失踪宣告がされたら

①被相続人の死亡日より前に死亡と見なされたら代襲相続

失踪宣告により死亡と見なされる日は、失踪宣告の申立日ではありません。

普通失踪であれば、生死不明になってから7年間経過したときです。

特別失踪であれば、危難が去ったときです。

相当長期間、行方不明になっていた後に失踪宣告がされる場合があります。

行方不明の相続人に失踪宣告がされた場合、被相続人の死亡日より前に死亡と見なされることがあります。

失踪宣告により死亡と見なされる日は、失踪宣告の申立日ではないからです。

被相続人の死亡日より前に死亡と見なされる場合、代襲相続が発生します。

相続手続に参加するのは、失踪宣告がされた人の子どもなど代襲相続人です。

②被相続人の死亡日より後に死亡と見なされたら数次相続

行方不明の相続人に失踪宣告がされた場合、被相続人の死亡日より後に死亡と見なされることがあります。

被相続人の死亡日より後に死亡と見なされる場合、代襲相続が発生しません。

被相続人の死亡日より後に死亡と見なされる場合、数次相続になります。

数次相続が発生した場合、失踪宣告された人の相続人が相続します。

代襲相続ではないから、直系卑属に限られません。

死亡と見なされる日が被相続人の死亡日の前になるのか後になるのかよく確認しましょう。

失踪宣告がされた人の相続人を確定するために、死亡とみなされた日は重要です。

相続手続に参加する人を間違えると手続が無効になりかねません。

7遺言書があれば遺産分割協議は不要

相続が発生したら、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

何も対策していなかったら、相続人全員で相続財産の分け方についての合意が不可欠です。

相続人の中に、疎遠な人や行方不明の人がいる場合、残されたれた相続人は大変な負担を負うことになります。

遺産分割協議はそうでなくても、トラブルになりやすい手続です。

対策しておけば、遺産分割協議を不要にすることができます。

この対策は、遺言書を書いておくことです。

遺言書があれば、相続財産の分け方について、相続人全員の合意は不要になります。

相続人に行方不明の人がいても、いなくても、遺言書のとおり分ければいいからです。

遺言書は隠匿や改ざんのおそれのない公正証書遺言がおすすめです。

8生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続が発生した後、相続手続を進めたいのに行方不明の相続人や長期間行方不明で生死不明の相続人がいて困っている人はたくさんいます。

自分たちで手続しようとして挫折する方も少なくありません。

失踪宣告の申立など家庭裁判所に手続きが必要になる場合など通常ではあまり聞かない手続になると専門家のサポートが必要になることが多いでしょう。

信託銀行などは、高額な手数料で相続手続を代行しています。

被相続人が生前、相続人のためを思って、高額な費用を払っておいても、信託銀行はこのような手間のかかる手続を投げ出して知識のない遺族を困らせます。

知識のない相続人が困らないように高額でも費用を払ってくれたはずなのに、これでは意味がありません。

税金の専門家なども対応できず、困っている遺族はどうしていいか分からないまま途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして相続手続を進めることができます。

自分たちでやってみて挫折した方も、信託銀行などから丸投げされた方も、相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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