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失踪宣告7年の起算点は生存確認できた最後の日

2026-06-10

1失踪宣告で死亡と見なされる

①失踪宣告には条件がある

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

死亡したことが確認できないのに、死亡と見なされます。

失踪宣告には、2種類があります。

普通失踪と特別失踪(危難失踪)です。

死亡と見なされるという強い効果があります。

失踪宣告が認められるためには、次の条件があります。

(1)行方不明の人が生死不明であること

(2)生死不明のまま一定期間継続していること

②普通失踪は7年で死亡と見なされる

一般的に失踪宣告といった場合、普通失踪を指しています。

生死不明の期間を失踪期間と言います。

普通失踪では、失踪期間が7年必要です。

生死不明のまま7年経過した場合に、自動的に死亡と見なされるわけではありません。

家庭裁判所が失踪宣告したときに、死亡と見なされます。

③普通失踪による法的な死亡日は7年満了した日

普通失踪では、失踪期間が7年必要です。

失踪宣告7年の起算日に、法的な効果はありません。

普通失踪による法的な死亡日は、7年満了した日です。

失踪宣告7年の起算点は、単なる事実認定の日に過ぎません。

起算点は、客観的事実に基づいて家庭裁判所が認定します。

2失踪宣告7年の起算点は生存確認できた最後の日

①起算点があいまいなまま申立ができる

家庭裁判所が失踪宣告をするには、家族などの申立人からの申立てが必要です。

失踪宣告の申立てによって、失踪宣告の手続が開始します。

失踪宣告の申立ては、家庭裁判所が失踪宣告をするきっかけに過ぎません。

普通失踪は、7年で死亡と見なされます。

失踪期間のスタートは、申立人が決めることはできません。

申立人が調査をしても、起算日はあいまいなままであることが多いでしょう。

起算日があいまいなまま、失踪宣告の申立てをすることができます。

失踪宣告7年の起算点は、申立人が決めることはできません。

失踪宣告を受けると、その人が死亡扱いになるという重大な法的効果があるからです。

申立人がするべきことは、家庭裁判所に調査の端緒を提供することです。

最後にあった日を覚えていなくても、失踪宣告の申立てをすることができます。

②家庭裁判所が生存確認できた最後の日を調査する

失踪宣告7年の起算点は、客観的に生存確認できた最後の日です。

失踪宣告の申立てを受付けても、申立人の主張をそのまま採用することはありません。

申立人が提出した書類を精査し、家庭裁判所は公的機関などに対して補充調査をします。

生きていれば当然あるはずの生活反応がないか、慎重に調査します。

例えば、生きていれば次のような外部的記録が見つかるでしょう。

・銀行口座の入出金

・住民票や戸籍の異動

・税金などの申告や納税

・運転免許証の更新

・出入国の記録

公的機関などに対して、家族は調査できないことが多いでしょう。

家庭裁判所は、客観的に生存確認できた日を慎重に確認します。

失踪宣告は、重大な法的効果があるからです。

失踪宣告で死亡と扱うから、客観的事実が重視されます。

家族の記憶や主張などで、人為的に操作できる日を起算点にすることはできません。

たとえ家庭裁判所であっても、起算日を人為的に操作することはできません。

③生存情報があれば取下げ・却下

家庭裁判所は、公的機関などに対して調査をすることができます。

家族などが得ることができない情報が寄せられることがあります。

直近の生存情報が見つかって失踪宣告の条件を満たさなくなった場合、失踪宣告はされません。

④補充調査が終わったら官報公告3か月以上

補充調査で生きていれば当然あるはずの生活反応が見つからない場合、官報公告をします。

公的機関が知らない情報を持つ人がいる可能性があるので、官報公告で情報収集します。

官報公告は、広く社会全体に呼び掛けて情報収集する手段です。

失踪宣告がされると死亡扱いになるから、家庭裁判所は慎重に調査します。

⑤失踪宣告7年の起算点は法的な死亡日ではない

生死不明のまま一定期間継続している場合、失踪宣告がされます。

失踪宣告7年の起算点は、生死不明のまま継続する一定期間のスタートです。

失踪宣告7年の起算点は、法的な死亡日ではありません。

失踪宣告7年の起算点に、直接的な法的効果はありません。

失踪宣告による法的な死亡日は、7年満了した日です。

⑥生存確認できた最後の日が重要な理由

理由(1)生きているのに誤って死亡扱いにしないため

失踪宣告を受けると、死亡と見なされます。

失踪宣告を受けた人を被相続人として、相続が発生します。

非常に重大な法的効果があります。

誤って死亡扱いにすると、重大な人権侵害や財産侵害を引き起こします。

最も安全な生存確認できた最後の日から、失踪期間を起算します。

理由(2)行方不明になった日は主観的だから

行方不明になった日は、不確実です。

実際には行方不明になった後も、生きている可能性があります。

主張する人の主観によって、行方不明になった日は容易に動かせます。

主張する人の恣意によって、死亡とみなす重大な法的効果が発生する危険があります。

生存確認できた最後の日は、客観的に確認することができます。

失踪宣告制度の透明性の確保のため、客観的証拠が重視されます。

客観的証拠によって確認できるから、死亡とみなす合理性を確保することができます。

理由(3)不正な利益誘導を排除するため

失踪宣告を受けると、相続が発生します。

普通失踪による法的な死亡日は、7年満了した日です。

死亡日によっては、代襲相続や数次相続が発生します。

死亡日を恣意的に動かせるとすると、都合よく代襲相続や数次相続を操ることになるでしょう。

不正な利益誘導は、許されません。

不正な利益誘導を排除するため、客観的証拠によって生存確認できた最後の日を認定します。

理由(4)法的安定性の確保

失踪宣告を受けると、第三者にも影響があります。

家庭裁判所が自由に起算点を決めると、同一事案に結論が相違します。

法的安定性を確保するため、客観的証拠によって生存確認できた最後の日を認定します。

理由(5)事後検証を可能にするため

失踪宣告をすれば、終わりではありません。

ときには失踪宣告の要件を満たしていたのか、争いになることがあります。

失踪宣告は、不確実な事実を前提に強制的に死亡とみなす制度です。

争いになったとき、起算点は確実に争点になります。

適切な失踪宣告であることを立証するため、厳格に起算点を認定します。

事後検証を可能にするため、客観的証拠を重視します。

3失踪宣告7年の起算点は相続手続の期限と直接関係しない

①失踪宣告がされたら失踪届で戸籍に反映

失踪宣告は、家庭裁判所の審判です。

家庭裁判所が失踪宣告の審判をした後、審判が確定しても市区町村役場に連絡されることはありません。

失踪宣告の審判が確定した後に、市区町村役場に届出が必要です。

失踪宣告の審判が確定した後に市区町村役場に提出する届出を失踪届と言います。

死亡したときに提出する死亡届とは別の書類です。

失踪届は、多くの市区町村役場でホームページからダウンロードができます。

失踪届が受理されることで、失踪宣告がされたことが戸籍に記載されます。

失踪宣告が記載された戸籍謄本を提出することで、生死不明の人が法的に死亡した取り扱いがされることを証明できます。

②相続放棄の期限3か月の起算点は知ってから

(1)失踪宣告を知ってからスタート

失踪宣告を受けた人は、死亡と見なされます。

普通失踪による法的な死亡日は、生存確認できた最後の日から7年満了した日です。

法的な死亡日から長期間経過した後に、失踪宣告されることが多いでしょう。

被相続人が莫大な借金を抱えていた場合、相続人は相続放棄を希望します。

相続放棄の期限3か月が過ぎてしまっていると、不安になるかもしれません。

相続放棄の期限3か月のスタートは、知ってからです。

「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。

(2)官報公告があっても知ってから

失踪宣告があったら、申立人は審判書で内容を知ることができます。

他の相続人など申立人以外の人に、通知されません。

失踪宣告の審判後に、2回目の官報公告をします。

失踪宣告の審判後に行う官報公告は、失踪宣告確定のお知らせです。

官報公告を見ている人は、ほとんどいないでしょう。

失踪宣告があったことに気づかず、3か月以上経過するかもしれません。

相続放棄の期限3か月のスタートは、知ってからです。

失踪宣告があったことに気づかなければ、3か月はスタートしません。

失踪宣告があったことを知ってから3か月以内に、相続放棄の申立てをすることができます。

③相続登記義務化の期限3年の起算点は知ってから

被相続人が不動産を保有していた場合、相続人が相続します。

令和6年4月1日から相続登記は、3年以内に登記申請をする義務が課されました。

相続登記の期限3年のスタートは、知ってからです。

自己のために相続の開始があったことを知って、かつ、不動産を取得することを知った日から、スタートします。

相続があったことを知るまで、期限3年はスタートしません。

4生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続人が行方不明であることは、割とよくあることです。

行方不明の相続人がいると、相続手続を進めることができません。

相続が発生した後、困っている人はたくさんいます。

自分たちで手続しようとして、挫折する方も少なくありません。

失踪宣告の申立ては、家庭裁判所に手続が必要になります。

通常ではあまり聞かない手続になると、専門家のサポートが必要になることが多いでしょう。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。

自分たちでやってみて挫折した方も、信託銀行などから丸投げされた方も、相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

不在者財産管理人が権限外行為の許可の申立て

2026-06-03

1不在者財産管理人は行方不明者の代理人

①不在者財産管理人は行方不明者の財産を守る人

不在者財産管理人とは、行方不明者の財産を管理する人です。

行方不明者の財産を守るため、家庭裁判所が選任します。

不在者財産管理人は、行方不明者に不利益な財産管理をすることはできません。

家庭裁判所は、行方不明者に不利益な財産管理を許可しません。

不在者財産管理人制度は、行方不明者の財産を守る制度だからです。

②不在者財産管理人の任務は財産を守ること

不在者財産管理人は、行方不明者の財産を管理する人です。

不在者財産管理人の権限で、行方不明者の財産を守ります。

不在者財産管理人の権限は、行方不明者の財産を減らさないために行使されます。

不在者財産管理人には、行方不明者の利益を守る義務があるからです。

③不在者財産管理人は家族の希望をかなえる人ではない

家族にとって、家族の生活を守ることが行方不明者の利益にかなうと感じるかもしれません。

家族の希望をかなえることは、そのまま家族の生活を守ることのはずです。

法律が求める行方不明者の利益とは、行方不明者の財産を減らさないことです。

不在者財産管理人は、家族の希望をかなえる人ではありません。

家族の希望と行方不明者の利益が一致する場合に限って、家族の希望が考慮されます。

たとえ家族が不在者財産管理人に選任されても、行方不明者の利益を守る義務があります。

不在者財産管理人は、公的な立場だからです。

④処分行為には家庭裁判所による許可が必要

不在者財産管理人には、行方不明者の財産を保存管理する権限が与えられます。

本来、不在者財産管理人は、行方不明者の財産を処分することはできません。

行方不明者の財産を処分する行為は、不在者財産管理人の権限外の行為です。

不在者財産管理人が権限外の行為をする場合、家庭裁判所による許可が必要です。

財産の処分行為は、行方不明者に大きな影響があるからです。

行方不明者本人の意思が確認できないから、慎重に判断すべきです。

財産の処分行為をすると、原状回復が困難です。

家庭裁判所は、財産処分が客観的に合意理的か慎重にチェックします。

家庭裁判所の許可なしで、不在者財産管理人が処分行為をしても無効です。

⑤家庭裁判所が許可する基準

家庭裁判所は、次のポイントを重点的にチェックします。

・行方不明者に不利益ではないか

・処分が必要があるか

・価格は妥当であるか

・タイミングは妥当であるか

・手続が適正であるか

・他の手段で代替できないか

処分行為が必要であり、かつ、処分行為に相当性が認められるときのみ、家庭裁判所は許可します。

実務上は次の場合、許可されないことが多いでしょう。

・今すぐ処分しなくても問題がない場合

・価格や条件が客観的に説明できない場合

・他の方法で対応できる場合

家族の希望や事情は、家庭裁判所の審査の対象ではありません。

家族が希望しても、家庭裁判所は許可しないことがあります。

2不在者財産管理人が権限外行為の許可の申立て

①遺産分割協議

(1) 遺産分割協議は処分行為

相続が発生したら、相続財産の分け方は相続人全員の合意で決定します。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話し合いです。

遺産分割協議を成立させることは、処分行為と考えられています。

遺産分割協議で、相続分を処分するからです。

(2)相続分を確保する→許可

行方不明者の相続分を確保する遺産分割協議案は、許可されやすい代表例です。

行方不明者の相続分を確保すると、行く不明者に不利益がないことが明確だからです。

(3)評価が明確な代償分割→許可

代償分割とは、一部の相続人が不動産を相続し、残りの相続人は不動産を相続した人から、その分の代償をもらう方法です。

他の相続人が不動産を相続し、行方不明者が代償を受け取る遺産分割協議案は、許可されやすい事例です。

代償分割では、不動産が適切に評価されていることが重要です。

不動産が適切に評価されていないと、代償金が適切か判断できないからです。

(4)換価分割で売却代金を取得→許可

換価分割とは、分けにくい財産を売却して金銭に換えた後、金銭を分ける方法です。

一部の相続人が不動産を相続した後に売却し、売却代金を分配します。

実質的に現金化された後に公平に分配するから、許可されやすい事例です。

換価分割で第三者に売却する場合、不動産評価が客観的です。

行方不明者が取得する相続分が明確になります。

(5)特定の相続人に偏った遺産分割→不許可

不在者財産管理人の任務は、財産を減らさないことです。

特定の相続人に偏った遺産分割は、許可されにくい事例です。

行方不明者の相続分が確保されない遺産分割協議に合意することはできません。

たとえ家族が不在者財産管理人であっても、相続分が確保されない遺産分割協議に合意することはできません。

不在者財産管理人は、行方不明者の利益を守る人だからです。

行方不明者の相続分が確保されない遺産分割協議に、家庭裁判所は許可しません。

(6)相続税を節税できる遺産分割→不許可

相続税が節税できることは、家族のメリットです。

家族のメリットは、家庭裁判所の審査の対象外です。

不在者財産管理人は、家族の希望をかなえる人ではありません。

行方不明者に不利益な遺産分割協議に、家庭裁判所は許可しません。

(7)帰来時弁済型遺産分割協議→厳格な条件

帰来時弁済型遺産分割協議とは、条件付きの遺産分割の方法です。

条件は、行方不明者が帰って来た時に代償金を支払うことです。

帰来時弁済型遺産分割協議は、厳格な条件を満たしたときだけ例外的に許可されます。

帰来時弁済型遺産分割協議が認められる条件は、明確ではありません。

次の条件を満たす場合、許可されやすい傾向があります。

・行方不明者が取得する金銭が100万円未満

・行方不明者が高齢

・行方不明者に相続人がいない

・行方不明が長期間

・代償金を払う人が事実上の保護者

・代償金を払う人に充分な資力

(8)必要な資料

・相続人全員を確定するための戸籍謄本

・相続財産目録

・財産評価資料

・遺産分割協議案

・売買契約書案

家庭裁判所は、客観的資料を重視します。

行為の必要性と公平性を客観的に示す資料を準備します。

②相続放棄

(1)相続放棄が認められると相続人でなくなる

家庭裁判所で相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。

相続放棄は、相続人の地位を失う重大な決定です。

相続放棄は、処分行為と考えられます。

(2)相続財産が債務超過→許可

相続財産は、プラスの財産だけでなくマイナスの財産も含まれます。

相続財産が債務超過である場合、相続すると行方不明者に不利益です。

不利益回避が明確である場合、家庭裁判所は許可します。

(3)遺産分割協議から除外したい→不許可

遺産分割協議成立には、相続人全員の合意が必要です。

相続放棄をしたら、はじめから相続人でなくなります。

相続放棄をした人は、遺産分割協議に関与しません。

遺産分割協議に関与してほしくないからなどの理由では、許可されません。

不在者財産管理人は、行方不明者の利益を守る義務があるからです。

たとえ家族の希望があっても、家庭裁判所は相続放棄をする許可をしません。

(4)必要な資料

・相続財産目録

・債務超過を示す資料

③不動産売却

(1)不動産売却は処分行為

不動産を売却すると、不動産が現金に変わります。

不動産売却は、典型的な分行為と考えられています。

元に戻せない行為だから、慎重に判断する必要があります。

(2)管理費や維持費の負担が重い→許可

不動産には、管理の手間がかかります。

不動産が老朽化すれば、多額の修繕費や管理費がかかります。

多額の管理費や維持費がかかると、行方不明者の財産全体が減少するでしょう。

行方不明者の財産を守るため、不動産を売却することが適切と判断されます。

管理費や維持費の負担が重い場合、家庭裁判所は許可します。

(3)共有トラブル解決のため売却→許可

行方不明者が不動産を共有していることがあります。

共有する不動産の管理方針は、不在者財産管理人が他の共有者と協議します。

共有不動産の管理方針が異なる場合、共有者間でトラブルになるでしょう。

大きく異なる場合、共有物全体を売却する以外に、解決できなくなることがあります。

行方不明者の利益保護のため、不動産売却が許可されます。

(4)親族間売買で著しく低額で売却→不許可

第三者に売却する場合、不動産評価が客観的です。

親族に売却する場合、不動産評価が客観的ではありません。

不動産を親族間で売買する場合、相場より低額で売買することがあります。

時価の70%程度で売買する場合、修繕費などの資金需要によっては合理的と判断されることがあります。

時価と比べて著しく低額で売却する場合、行方不明者に不利益な財産処分と判断されるでしょう。

行方不明者に不利益な財産処分に、家庭裁判所は許可しません。

(5)買主が決まっているだけ→不許可

不動産売却の権限外行為の許可にあたって、家庭裁判所は次の点を重視します。

・行方不明者に不利益ではないか

・処分が必要があるか

・価格は妥当であるか

・タイミングは妥当であるか

家庭裁判所は、買主が決まっていることを重視しません。

買主が決まっていることは、プラス材料ですが決定打ではありません。

不在者財産管理人制度は、家族や買主の希望をかなえる制度ではないからです。

たとえ買主が決まっていても、行方不明者の利益を重視します。

行方不明者に不利益な売却は、買主が決まっていても許可されません。

(6)必要な資料

・不動産の登記簿謄本

・不動産の評価資料

・売買契約書案

・管理費や維持費の発生状況が分かる資料

④建物の取壊し

(1)建物の取壊しで財産が消滅する

行方不明者の建物を取壊すと、財産が消滅します。

建物の取壊しは、財産の処分行為と考えられています。

(2)老朽化で倒壊のリスク大→許可

建物が老朽化すると、損傷や倒壊のおそれが大きくなります。

建物が倒壊すると大きな損害になるから、取壊しには高い必要性が認められます。

建物が倒壊する前に、解体した方が少ない損失で済むことがあります。

解体した方が近隣へのリスクを減らせることが多いでしょう。

行方不明者の財産を守るため、建物の取壊しが許可されます。

(3)家族による開発目的→不許可

更地にして家族が開発をしたい場合、行方不明者の利益とは無関係です。

建物の取壊しで行方不明者の財産が消滅することを考えると、不利益と判断されるでしょう。

不在者財産管理人は、家族の希望をかなえる人ではありません。

家族による開発目的で建物の取壊しを希望しても、家庭裁判所は許可しません。

(4)必要な資料

・取壊す建物の外観写真

・登記簿謄本

・建築確認済証

・建築士や不動産鑑定士による劣化状況の報告書

・取壊し費用の見積書

⑤訴訟行為

(1)訴訟行為は処分行為

訴訟行為は、行方不明者の権利義務に大きな影響があります。

訴訟行為は、処分行為と考えられます。

(2)行方不明者の債権を回収→許可

債権を行使しないまま、行方不明になることがあります。

行方不明者のために不在者財産管理人が債権を行使することは、行方不明者の利益になります。

債権の実現のため、必要であれば訴訟行為が必要になります。

行方不明者の利益になる訴訟行為には、家庭裁判所は許可します。

(3)勝訴の可能性が著しく低い→不許可

勝訴の可能性が著しく低い場合、費用倒れになる可能性があります。

行方不明者に不利益になることから、家庭裁判所は許可しません。

(4)応訴→許可不要

応訴とは、裁判などで訴えられた場合に、反論などをすることです。

応訴は、保存行為や管理行為と考えられています。

本人の財産を守るための保存行為や管理行為のため、権限外行為の許可は不要です。

(5)必要な資料

・訴訟対象が分かる資料

・訴訟を行わないときの損害やリスク資料

・訴訟の正当性や必要性を証する資料

・訴訟費用見積書

⑥権限外行為の許可の申立ての流れ

(1)申立人

権限外行為の許可の申立てができるのは、不在者財産管理人のみです。

家族は、関与しません。

(2)申立先

不在者財産管理人を選任した家庭裁判所です。

(3)費用

・手数料

申立手数料は、800円です。

申立書に収入印紙を貼り付けて、納入します。

・連絡用郵便切手

家庭裁判所が手続で使う郵便切手を予納します。

家庭裁判所ごとに、必要な額面や枚数が異なります。

(4)必要書類

権限外行為の許可の申立書に添付する書類は、権限外行為が必要になることの資料です。

(5)許可されるまでの期間

権限外行為の許可の審判がされるまで1~3か月程度かかります。

3権限外行為の許可の範囲のみ権限がある

①不在者財産管理人の権限は確認できる

不在者財産管理人が遺産分割協議や不動産を売却する場合、権限外行為の許可の審判が必要です。

権限外行為の許可の審判書には、提出した遺産分割協議案や売買契約案が添付されています。

添付された遺産分割協議案や売買契約案と異なる内容で、財産処分をすることはできません。

権限外行為の許可は、包括的な許可ではないからです。

異なる内容で財産処分をする場合、あらためて許可を得る必要があります。

②許可なしで財産処分はできない

権限外行為の許可がされなかった場合、不在者財産管理人は財産処分行為ができません。

家庭裁判所の許可なしで、財産処分をしても無効です。

たとえ許可がされなくても、不在者財産管理人の落ち度ではありません。

家庭裁判所は、行方不明者の利益を最優先に判断するからです。

4生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続人が行方不明であることは、割とよくあることです。

行方不明の相続人がいると、相続手続を進めることができません。

相続が発生した後、困っている人はたくさんいます。

自分たちで手続しようとして、挫折する方も少なくありません。

困っている遺族はどうしていいか分からないまま、途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。

相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

不在者財産管理人選任の申立ての方法

2026-05-27

1不在者財産管理人が行方不明者の財産管理をする

①不在者財産管理人制度は生きている扱いが続く

不在者財産管理人とは、行方不明者の財産を管理する人です。

不在者財産管理人制度を利用しても、行方不明者は生きている扱いのままです。

死亡扱いにしなくて済むから、家族の心理的抵抗が少なく済みます。

②不在者財産管理人は不利益な財産管理はできない

不在者財産管理人は、行方不明者のために財産管理をする人です。

行方不明者のためにとは、行方不明者に不利益な財産管理ができないという意味です。

不在者財産管理人は、家族の希望通りに財産を動かすことができません。

不在者財産管理人には、善管注意義務があるからです。

不在者財産管理人は、家族の代理人ではありません。

たとえ家族が望んでも、行方不明者に不利益な財産管理は許されません。

たとえ家族が不在者財産管理人に選任されても、不利益な不利益な財産管理はできません。

不在者財産管理人は、公的な立場だからです。

不在者財産管理人は、適切な財産管理を行っているか家庭裁判所の監督を受けます。

2不在者財産管理人選任の申立ての方法

①不在者財産管理人選任の申立ての条件

条件(1)行方不明であること

不在者財産管理人選任の申立ての対象になるのは、行方不明者です。

行方不明者とは、従来の住所や居所を去り、容易に戻る見込みがない人です。

客観的に、帰ってくる見込みが分からないことが重要です。

具体的には、次の人について不在者財産管理人選任の申立てをすることができます。

・家を出たまま数年単位で消息不明

・住民票上の住所があるが居住実態がない、連絡が取れない

・連絡不能で所在が全く分からない

・海外に転出後、所在不明で連絡が取れない

・住民票が職権消除されている

単に連絡を拒否しているだけの人に、不在者財産管理人選任の申立てをすることはできません。

条件(2)財産管理人が置かれていないこと

不在者財産管理人制度は、財産管理をする人がいないときの補充制度です。

行方不明者に財産管理人がいる場合、不在者財産管理人制度を利用する必要はありません。

行方不明者に任意後見人がいる場合、任意後見人が財産管理をしているはずです。

行方不明者に成年後見人がいる場合、成年後見人が財産管理をしているはずです。

行方不明者に任意財産管理人がいる場合、任意財産管理人が財産管理をしているはずです。

財産管理をする人がいる場合、不在者財産管理人選任の申立てをすることはできません。

②不在者財産管理人選任の申立てをする典型的ケース

・遺産分割協議ができない

・預貯金の口座凍結解除ができない

・不動産の売却ができない

・不動産の管理費や維持費がかさむ

③申立てができる人は利害関係人のみ

(1)遺産分割協議のために他の相続人が申立て

相続人に行方不明者がいると、遺産分割協議を成立させることができなくなります。

遺産分割協議を成立させるため、他の相続人は不在者財産管理人選任の申立てをすることができます。

(2)不動産売却で家族が申立て

行方不明者の推定相続人は、法律上の利害関係があると考えられます。

推定相続人とは、将来行方不明者が死亡したときに相続人になる予定の人です。

推定相続人によって、行方不明者の財産は将来相続する予定の財産です。

行方不明者の財産が減少すると、将来相続する予定の財産が減少すると言えます。

(3)共有物の処分のため他の共有者が申立て

一部の共有者が行方不明になると、共有物を処分することができなくなります。

共有物の処分には、共有者全員の合意が必要だからです。

(4)債権債務の実現のため債権者と債務者

行方不明者が財産を残したまま、返済を滞らせていることがあります。

債権者は債権の実現のため、不在者財産管理人選任の申立てをすることができます。

返済を受けないまま行方不明になり、債務者が返済できないことがあります。

債務者は正当な弁済をすることで、債務から解放されることができます。

家族以外であっても利害関係人であれば、不在者財産管理人選任の申立てをすることができます。

④申立先

不在者財産管理人選任の申立先は、行方不明者の住所地を管轄する家庭裁判所です。

家庭裁判所の管轄は、裁判所のホームページで調べることができます。

⑤費用

(1)手数料

手数料は、800円です。

申立書に収入印紙800円分を貼り付けて、納入します。

(2)連絡用郵便切手

裁判所が手続で使う郵便切手を予納します。

裁判所によって予納する郵便切手の額面や枚数が決められています。

例えば、名古屋家庭裁判所では、次のとおりです。

・350円 5枚

・110円 20枚

・10円 20枚

合計 3050円

(3)予納金

行方不明者の財産管理に必要な費用は、行方不明者の財産から支出されます。

行方不明者の財産内容によっては、費用に不足が出ることが考えられます。

予納金とは、不在者財産管理人が円滑に事務を行うように納付する金銭です。

申立後に、家庭裁判所から予納金を納付するように指示されます。

事案によっては、100万円程度になります。

不在者財産管理人の任務が終了した時点で余りがあれば、返還されます。

⑥申立てに必要な書類

(1)不在者財産管理人選任の申立書

不在者財産管理人選任の申立書は、家庭裁判所のホームページからダウンロードすることができます。

司法書士などの専門家に依頼する場合、専門家が準備します。

(2)行方不明者の戸籍謄本

行方不明者の実在を証明するために、提出します。

行方不明者の本籍地の市区町村役場で、取得します。

配偶者や直系血族は、戸籍謄本の広域交付を利用することができます。

(3)行方不明者の住民票または戸籍の附票

最後の住所の特定するために、提出します。

従来の住所を去った事実の基礎資料です。

住民票は、住民票を置く市区町村役場で取得します。

戸籍の附票は、本籍地の市区町村役場で取得します。

(4)不在者財産管理人候補者の住民票

不在者財産管理人選任の申立てにおいて、不在者財産管理人の候補者を立てることができます。

不在者財産管理人の候補者を立てても、家庭裁判所は自由に不在者財産管理人を選任することができます。

候補者を選任することも、候補者以外の専門家を選任することもできます。

不在者財産管理人の候補者の実在を証明するために、提出します。

(5)不在の事実を証する資料

●行方不明者の調査報告書

申立人の主張だけでは、不在者財産管理人を選任してもらえません。

行方不明者の調査報告書を作成して、提出します。

具体的には、次の事項を詳細に記述します。

・最後に連絡が取れた時期

・家族や友人知人に照会した結果

・郵便の返送状況

・電話やメールの状況

・警察などに相談した内容

客観的に調査を尽くしても、所在不明であることが重要です。

いつから不明か、どのような経緯で不明かを具体的に裏付けします。

●行方不明者届受理証明書

行方不明者届とは、捜索願の新しい名称です。

警察に行方不明者届を提出していた場合、受理証明書を発行してもらうことができます。

警察に行方不明者届を提出しても、警察署によっては受理証明書を発行しないことがあります。

受理証明書の発行を拒否されたことを家庭裁判所に報告します。

●職権消除された住民票または戸籍の附票

職権消除とは、その住所に居住していない場合に市区町村が本人申請なしで住民票を削除する手続です。

職権消除は、行政記録を正確に保つための措置です。

市区町村が実地調査などして、行方不明であると確認したときに職権消除をします。

職権消除された住民票は、市区町村が行方不明を確認した証明書と言えます。

●「あて所に尋ねあたりません」「転居先不明」の手紙

行方不明者に手紙を送っても、郵便は返戻されます。

差し出した郵便物に「あて所に尋ねあたりません」「転居先不明」とスタンプが押されます。

差出人に戻ってきた郵便物は、郵便局が行方不明を確認した証明書と言えます。

(6)行方不明者の財産に関する資料

●固定資産税課税明細書

不動産を持っていると、固定資産税が課されます。

課税明細書を確認すると、次のことが分ります。

・不動産の所有者

・固定資産税が課される不動産

・固定資産税評価額

不在者財産管理人が管理すべき財産が分かります。

●預貯金の通帳

金融資産が存在することを証明するため、提出します。

通帳の表紙と2ページ目、残高のページのコピーを提出します。

(7)利害関係を証する資料

●共同相続人が申し立てるケース

相続関係が分かる戸籍謄本を提出します。

●推定相続人が申し立てるケース

相続関係が分かる戸籍謄本を提出します。

●共有者が申し立てるケース

共有者であることが分る登記簿謄本を提出します。

●債権者や債務者が申し立てるケース

賃貸借契約書や金銭消費貸借契約書など、債権が分かる書類を提出します。

⑦申立てから選任されるまでの期間

不在者財産管理人選任の申立てを受付けたら、家庭裁判所で調査があります。

家庭裁判所が行方不明であることを認めたとき、不在者財産管理人が選任されます。

申立てから選任されるまでの期間は、半年程度かかります。

⑧不在者財産管理人が権限外行為の許可の申立て

不在者財産管理人の権限は、行方不明者の財産を保存管理する権限のみです。

遺産分割協議や不動産の売却は、保存管理する権限外です。

遺産分割協議や不動産の売却は、処分行為だからです。

不在者財産管理人が遺産分割協議や不動産の売却をする場合、あらためて家庭裁判所の許可が必要です。

たとえ家族が望んでも、行方不明者の相続分が確保されない遺産分割協議は許可されません。

行方不明者の相続分が確保されない遺産分割協議は、不利益な財産処分だからです。

⑨不在者財産管理人の任務は継続

遺産分割協議や不動産の売却が終了しても、不在者財産管理人の任務は継続します。

不在者財産管理人は、行方不明者の財産管理をする人だからです。

遺産分割協議や不動産の売却で取得した財産は、不在者財産管理人が管理します。

相続した財産や売却代金は、家族に渡されません。

たとえ家族が望んでも、家族に渡すと職務怠慢と評価されます。

⑩不在者財産管理人選任の流れ

手順(1)必要書類の準備

不在者財産管理人選任の申立てでは、たくさんの書類が必要になります。

手順(2)不在者財産管理人選任の申立て

不在者財産管理人選任の申立書と必要書類を取りまとめて、家庭裁判所に提出します。

窓口に出向いても、郵送でも提出することができます。

手順(3)家庭裁判所で審理

不在者財産管理人選任の申立書を受付けたら、家庭裁判所で審査します。

家庭裁判所の審査は、提出された書類の審査です。

提出書類に不足や不備がある場合、申立人に連絡があります。

その都度、速やかに対応すれば問題ありません。

手順(4)不在者財産管理人選任の審判

不在者財産管理人選任の申立てから半年ほどで、審判があります。

3失踪宣告と不在者財産管理人制度は目的がちがう

不在者財産管理人制度を利用しても、行方不明者は生きている扱いのままです。

失踪宣告は、行方不明者を死亡扱いにする手続です。

失踪宣告と不在者財産管理人制度は、目的がちがいます。

不在者財産管理人制度は、失踪宣告の代替手段ではありません。

失踪宣告の代替手段にしようとすると、家族の期待がデメリットになります。

4生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続人が行方不明であることは、割とよくあることです。

行方不明の相続人がいると、相続手続を進めることができません。

相続が発生した後、困っている人はたくさんいます。

自分たちで手続しようとして、挫折する方も少なくありません。

困っている遺族はどうしていいか分からないまま、途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。

相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

不在者財産管理人の終了事由は家庭裁判所が判断

2026-05-20

1不在者財産管理人が行方不明者の財産を管理する

①不在者財産管理人は行方不明者の財産を守る人

不在者財産管理人とは、行方不明者の財産を管理する人です。

行方不明者の財産を守るため、家庭裁判所が選任します。

不在者財産管理人は、行方不明者に不利益な財産管理をすることはできません。

家庭裁判所は、行方不明者に不利益な財産管理を許可しません。

不在者財産管理人制度は、行方不明者の財産を守る制度だからです。

②不在者財産管理人は行方不明者の代理人

相続人の中に行方不明の人がいると、とても困ります。

相続手続は、相続人全員の協力が必要だからです。

遺産分割協議は、相続人全員の合意がないと成立しません。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話し合いです。

不在者財産管理人は、行方不明者の代理人です。

行方不明の相続人に代わって、遺産分割協議に参加することができます。

不在者財産管理人と他の相続人全員が合意すれば、遺産分割協議が成立します。

行方不明の相続人がいても、相続手続を進めることができます。

③家族の希望を実現する制度ではない

不在者財産管理人は、行方不明者の財産を守る人です。

不在者財産管理人は、家族の希望をかなえる人ではありません。

家族の希望どおりに、財産処分をしてくれる人ではありません。

不在者財産管理人は、行方不明者に不利益な財産管理をすることはできません。

たとえ家族が希望しても、行方不明者に不利益な財産管理をすることはできません。

家族にとって合理的な財産管理であっても、行方不明者にとって不利益な管理になることがあるからです。

不在者財産管理人を立てると、家族は思いどおりの財産管理ができると期待しています。

不在者財産管理人制度は、家族の思いどおりの財産管理を実現する制度ではありません。

④不在者財産管理人は不利益な財産管理はできない

不在者財産管理人の任務は、行方不明者のために財産管理をすることです。

行方不明者のためにとは、行方不明者に不利益な財産管理ができないという意味です。

不在者財産管理人は、家族の希望通りに財産を動かすことができません。

不在者財産管理人には、善管注意義務があるからです。

たとえ家族が望んでも、行方不明者に不利益な財産管理は許されません。

たとえ家族が不在者財産管理人に選任されても、不利益な不利益な財産管理はできません。

不在者財産管理人は、公的な立場だからです。

不在者財産管理人は、適切な財産管理を行っているか家庭裁判所の監督を受けます。

2不在者財産管理人の終了事由は家庭裁判所が判断

①行方不明者が帰ってきたとき終了する

行方不明者が帰ってくることがあります。

行方不明者が帰って来たら、自分の財産は自分で管理できるはずです。

不在者財産管理人は必要ないから、不在者財産管理人の任務は終了します。

実際に任務が終了するのは、家庭裁判所の審判が告知された後です。

不在者財産管理人の終了は、家庭裁判所が判断します。

行方不明者が帰って来たと家族が主張するだけで、不在者財産管理人の任務は終了しません。

家族の主張だけで財産を引き渡すと、不在者財産管理人は責任を問われます。

②行方不明者が自分で管理人を置いたとき終了する

行方不明になる前に、行方不明者が自分で財産管理人を置くことがあります。

行方不明中に、行方不明者が自分で財産管理人を置くことがあります。

行方不明者が自分で財産管理人を置いた場合、不在者財産管理人の任務は終了します。

現実的に行方不明者が自分で財産管理人を置く例は、ほとんどありません。

家庭裁判所は、行方不明者が自分で財産管理人を置いたのか慎重に審査します。

行方不明者が自分で財産管理人を置いたと認められるのは、行方不明者の意思が明確に確認できるときに限られます。

客観的証拠によって、行方不明者本人の生存確認と行方不明者本人の意思確認ができたときに認められます。

行方不明者が自分で財産管理人を置いたと家族が主張するだけでは、任務は終了しません。

あいまいな証拠で不在者財産管理人の任務を終了すると、行方不明者に不利益になるおそれがあるからです。

不在者財産管理人制度は、行方不明者の利益を守るための制度です。

行方不明者の利益が守られるか、家庭裁判所は慎重に判断します。

③管理すべき財産がなくなったとき終了する

(1)費用の支払いで財産がなくなった

不在者財産管理人は、行方不明者の財産を減らさないように管理します。

行方不明者の財産を管理するために、費用を支出する必要があります。

不在者財産管理人の報酬は、行方不明者の財産から支出します。

行方不明が長期間になる場合、やがて管理すべき財産が尽きるでしょう。

管理すべき財産が尽きたら、不在者財産管理人が管理すべき財産はありません。

管理すべき財産がなくなったら、不在者財産管理人の任務は終了します。

(2)金銭を供託して任務終了

不在者財産管理人を選任するきっかけは、遺産分割協議や不動産売却が多いでしょう。

遺産分割協議で行方不明者が財産を取得した場合、財産は不在者財産管理人が管理します。

不動産売却で行方不明者が売却代金を取得した場合、売却代金は不在者財産管理人が管理するのが原則です。

不在者財産管理人が管理する財産が金銭である場合、金銭を法務局に供託することができます。

供託とは、管理すべき金銭を法務局に預けることです。

法務局が厳重に管理するから、不在者財産管理人の任務は終了します。

(3)供託した金銭は行方不明者に渡される

不在者財産管理人が供託した金銭は、行方不明者が受け取れます。

たとえ家族であっても行方不明者以外の人は、供託した金銭を受け取ることはできません。

(4)不動産があれば任務継続

行方不明者が不動産を保有している場合、不動産は供託できません。

不動産の管理を継続するため、不在者財産管理人の任務は終了しません。

(5)不動産売却は許可されにくい

不動産売却で行方不明者が売却代金を取得した場合、売却代金は金銭です。

不在者財産管理人が管理する財産が金銭である場合、金銭を法務局に供託することができます。

不在者財産管理人が不動産を売却する場合、家庭裁判所の許可が必要です。

行方不明者にとって不動産は、重要な財産であることが多いからです。

家庭裁判所は、次の条件を満たしたときに限って許可します。

・行方不明者に不利益な売却でないこと

・売却する必要があること

・売却代金が妥当であること

家族が売却してほしいと希望しても、行方不明者に不利益な売却に許可されません。

不在者財産管理人の任務終了のために不動産を売却したいなどは、売却する必要があると認められません。

たとえ買主が見つかっていると主張しても、不利益な売却に許可されません。

④行方不明者の死亡が確認されたら終了する

(1)相続人に財産を引き継ぎ

行方不明者の死亡が確認されることがあります。

死亡が確認された場合、相続が発生します。

行方不明者の財産は、相続財産です。

不在者財産管理人は、管理していた財産を相続人に引き継ぎます。

(2)相続財産清算人に引き継ぎ

行方不明者に相続人がいない場合、相続財産は国庫に帰属します。

相続財産清算人とは、相続財産を清算して国庫に帰属する人です。

家庭裁判所に対して相続財産清算人選任の申立てをして、相続財産清算人に引き継ぎます。

⑤失踪宣告が確定したら終了する

失踪宣告とは、長期間生死不明の人を死亡扱いにする手続です。

失踪宣告を受けると、行方不明者は死亡と見なされます。

死亡とみなされるから、相続人や相続財産清算人に引き継ぎます。

⑥遺産分割協議や売却が終わっても終了しない

不在者財産管理人選任の申立てをするとき、遺産分割協議や不動産の売却などのきっかけがあります。

遺産分割協議や売却が終わっただけでは、不在者財産管理人の任務は終了しません。

遺産分割協議で取得した財産や売却代金を管理する必要があるからです。

不在者財産管理人には、遺産分割協議で取得した財産や売却代金を家族に渡す権限はありません。

たとえ家族が希望しても、遺産分割協議で取得した財産や売却代金を渡すことはできません。

間違って家族に渡したら、任務懈怠と判断されるでしょう。

強い言い方をすれば、背任や横領の評価になりかねません。

⑦家族で管理できるから辞めてほしくても終了しない

不在者財産管理人制度は、家族の希望をかなえる制度ではありません。

家族で財産管理ができるから辞めてほしいと主張しても、家庭裁判所は終了を認めません。

行方不明者の利益を守るため、財産管理の公正性と透明性を確保する必要があるからです。

たとえ家族で財産管理ができるとしても、公正性と透明性を確保するため不在者財産管理人の任務は継続します。

⑧不在者財産管理人家族の希望をかなえてくれなくても終了しない

不在者財産管理人は、行方不明者の財産を守る人です。

不在者財産管理人は、家族の希望をかなえる人ではありません。

不在者財産管理人には、行方不明者の利益を守る義務が課されています。

たとえ家族が不在者財産管理人に選任されても、利益を守る義務は免除されません。

行方不明者の利益と家族の希望は、一致しないことがあります。

不在者財産管理人家族の希望をかなえてくれないと主張しても、家庭裁判所は終了を認めません。

不在者財産管理人制度は、家族の希望を優先する制度ではないからです。

3不在者財産管理人制度は失踪宣告の代替策にはならない

①不在者財産管理人は行方不明者が生きている扱い

不在者財産管理人は、行方不明者が生きている前提です。

死亡扱いにしなくて済むから、家族の心理的抵抗が少なく済みます。

②失踪宣告は行方不明者を死亡と見なされる

行方不明者が生きている扱いのままであると、デメリットが積み重なっていきます。

失踪宣告を受けると、行方不明者は死亡と見なされます。

失踪宣告が確定すると、相続が発生します。

③不在者財産管理人制度と失踪宣告は比べるものではない

不在者財産管理人制度を利用しても、行方不明者は生きている扱いのままです。

失踪宣告は、死亡扱いにする制度です。

不在者財産管理人制度と失踪宣告は、まったく目的が違う制度です。

不在者財産管理人制度は、失踪宣告の代替ではありません。

失踪宣告の代替として不在者財産管理人制度を利用すると、家族の期待がデメリットになります。

家族の事情によっては、失踪宣告の検討が必要になります。

4生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続人が行方不明であることは、割とよくあることです。

行方不明の相続人がいると、相続手続を進めることができません。

相続が発生した後、困っている人はたくさんいます。

自分たちで手続しようとして、挫折する方も少なくありません。

困っている遺族はどうしていいか分からないまま、途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。

相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

不在者財産管理人の権限と家族の期待に落差

2026-05-13

1不在者財産管理人が行方不明者の財産を管理する

①不在者財産管理人は行方不明者の利益を守る人

不在者財産管理人とは、行方不明者の財産を管理する人です。

行方不明者の利益を守るため、家庭裁判所が選任します。

不在者財産管理人は、行方不明者に不利益な財産管理をすることはできません。

家庭裁判所は、行方不明者に不利益な財産管理を許可しません。

不在者財産管理人制度は、行方不明者の利益を守る制度だからです。

②家族が期待する行方不明者の利益

行方不明者は、家族の希望を尊重してくれていたかもしれません。

行方不明者は、家族の生活を支えることを重視していたかもしれません。

家族の生活を守ることが行方不明者の利益にかなうと感じるでしょう。

不在者財産管理人は、行方不明者の利益を守る人です。

家族が期待する行方不明者の利益とは、家族の生活を守ることと考えがちです。

家族の生活を守るため、不在者財産管理人は家族の希望をかなえる人と期待しがちです。

③法律が求める行方不明者の利益

不在者財産管理人は、行方不明者に不利益な財産管理をすることはできません。

法律が求める行方不明者の利益とは、行方不明者の財産を減らさないことです。

たとえ家族が希望しても、行方不明者の財産を減らすことは許されません。

家族の希望と行方不明者の利益が一致しないことがあります。

不在者財産管理人は、行方不明者の利益を基準に権限を行使します。

不在者財産管理人は、家族の希望を基準に権限を行使できません。

④家族の期待と法律の落差

家族の希望は、家族の生活を守ることです。

行方不明前の本人は、家族を支える行動をしていたかもしれません。

法律の趣旨は、行方不明者の財産を減らさないことです。

家族の期待と法律に、大きな落差があります。

不在者財産管理人は法律の趣旨に従って、権限を行使します。

家族の期待をかなえるため、権限を行使することはできません。

2不在者財産管理人の権限と家族の期待に落差

①不在者財産管理人の権限で財産を守る

不在者財産管理人は、行方不明者の財産を管理する人です。

不在者財産管理人の権限で、行方不明者の財産を守ります。

不在者財産管理人の権限は、行方不明者の財産を減らさないために行使されます。

不在者財産管理人には、行方不明者の利益を守る義務があるからです。

②不在者財産管理人は家族の希望をかなえる人ではない

家族にとって、家族の生活を守ることが行方不明者の利益にかなうと感じるかもしれません。

家族の希望をかなえることは、そのまま家族の生活を守ることのはずです。

法律が求める行方不明者の利益とは、行方不明者の財産を減らさないことです。

不在者財産管理人は、家族の希望をかなえる人ではありません。

家族の希望と行方不明者の利益が一致する場合に限って、家族の希望が考慮されます。

③不在者財産管理人の権限で保存行為ができる

保存行為とは、財産の現状を維持する行為です。

不在者財産管理人は、保存行為を単独で行うことができます。

④不在者財産管理人が行う保存行為の具体例

具体例(1)建物の軽微な補修

建物に雨漏りがしている場合、雨漏り補修が必要になります。

財産の現状を維持するため、軽微な補修をすることができます。

具体例(2)不法侵入の防止

第三者が無断で侵入することを防止するため、鍵の交換をすることができます。

行方不明者の不動産を権限なく利用することがないようにするためです。

空き家を狙った侵入者などを排除する目的です。

具体例(3)時効完成を阻止

第三者が長期間不動産を占有していた場合、取得時効が完成することがあります。

明渡請求などをして、取得時効の完成を阻止します。

貸金債権があるのに長期間請求をしない場合、消滅時効が完成することがあります。

貸金返還請求などをして、消滅時効の完成を阻止します。

具体例(4)固定資産税など費用の支払い

不動産を保有していると、固定資産税が課されます。

行方不明になっても、固定資産税は免除されません。

固定資産税などの費用の支払いは、保存行為です。

⑤不在者財産管理人の権限で管理行為ができる

管理行為とは、財産の利用や改良をする行為です。

不在者財産管理人は、管理行為を単独で行うことができます。

⑥不在者財産管理人が行う管理行為の具体例

具体例(1)日常的な契約管理

だれも住まない建物は、傷みやすくなります。

清掃・管理委託契約を締結して、管理を委託することができます。

第三者による無断侵入を防止するため、警備契約をすることができます。

具体例(2)預貯金の管理

行方不明者の預貯金は、不在者財産管理人が管理します。

元本を維持する範囲の運用がされます。

具体例(3)返済金の受領

金銭などを貸したまま、債権者が行方不明になることがあります。

債務者は不在者財産管理人に返済して、債務から解放されることができます。

返済金の受領すると、債権は金銭に変わります。

債権という財産が金銭に変わるから、管理行為と考えられます。

⑦処分行為は不在者財産管理人の権限外

不在者財産管理人は、行方不明者のために財産管理をする人です。

保存行為と管理行為をする場合、単独で行うことができます。

不在者財産管理人は、本来、処分行為をする権限はありません。

処分行為とは、財産の内容価値を不可逆的に変更する行為です。

処分行為は、本来、不在者財産管理人の権限外です。

不在者財産管理人が処分行為をする場合、家庭裁判所の許可が必要です。

権限外行為の許可の申立ては、不在者財産管理人が行います。

家族は、権限外行為の許可の申立てに関与しません。

家庭裁判所の許可を得ずに処分行為をしても、無効です。

⑧家族でも専門家でも同じ義務

不在者財産管理人は、家庭裁判所が選任します。

家族が選任されることも、家族以外の専門家が選任されることもあります。

不在者財産管理人には、行方不明者の利益を守る義務があります。

家族でも家族以外の専門家でも、同じ義務を負います。

不在者財産管理人は、公的な立場だからです。

家族が不在者財産管理人に選任されても、不利益な財産管理をすることはできません。

家族が不在者財産管理人に選任されても、家族の希望を優先することはできません。

行方不明者の利益を守る義務に違反したら、任務懈怠と判断されます。

強い言い方をすれば、背任や横領と評価されるおそれがあります。

家族が不在者財産管理人に選任されれば、自由に財産管理ができると考えるのは誤解です。

3権限外行為の許可の現実

①行方不明者に不利益な処分に許可をしない

不在者財産管理人は、行方不明者に不利益な財産管理をすることはできません。

家庭裁判所は、不在者財産管理人が適切な財産管理をしているか監督をします。

権限外行為の許可の審判は、形式的なものではありません。

不在者財産管理人が行方不明者に不利益な処分行為をしようとしても、家庭裁判所は許可しません。

家庭裁判所は、不利益な処分行為でないか実質的に厳しくチェックします。

家庭裁判所の許可なしで、不在者財産管理人は処分行為をすることができません。

②遺産分割協議で権限外行為の許可が必要

(1)遺産分割協議は処分行為

遺産分割協議では、相続人全員の合意で相続財産の分け方を決定します。

遺産分割協議は、処分行為です。

各相続人が持つ相続分を処分する行為だからです。

不在者財産管理人が遺産分割協議をする場合、家庭裁判所の許可が必要です。

(2)不在者財産管理人は行方不明者の相続分を確保

不在者財産管理人は、行方不明者に不利益な財産管理はできません。

行方不明者の相続分を確保できない遺産分割協議に合意できません。

行方不明者の相続分を確保できない遺産分割協議は、不利益な財産管理だからです。

たとえ家族が望んでも、行方不明者に不利益な財産管理はできません。

不在者財産管理人は、家族の希望をかなえる人ではないからです。

たとえ相続税を節税できる遺産分割協議であっても、不利益な財産管理はできません。

(3)家族が不在者財産管理人になっても相続分を確保

家族が不在者財産管理人に選任されても、家族の希望を優先することはできません。

家族が不在者財産管理人に選任されても、相続分を確保する必要があります。

不在者財産管理人は、行方不明者に不利益な財産管理はできないからです。

(4)相続手続に権限外行為の許可の審判書

遺産分割協議が成立したら、相続手続を行います。

遺産分割協議書には、不在者財産管理人の選任審判書と権限外行為の許可の審判書を添付します。

権限外行為の許可の審判書には、遺産分割協議書案が添付されています。

不在者財産管理人は、審判書添付の遺産分割協議をする権限のみが与えられています。

審判書添付の遺産分割協議の内容と異なる内容の遺産分割協議をすることはできません。

家庭裁判所の許可は、協議書案を前提に、その内容で行うことだけが認められる許可です。

異なる内容の遺産分割協議をする場合、あらためて許可が必要です。

③不動産売却で権限外行為の許可が必要

(1)行方不明者の利益になるときだけ許可

不在者財産管理人の任務は、財産を管理して減らさないことです。

不在者財産管理人は、行方不明者に不利益な財産管理はできません。

不動産の売却が行方不明者に利益になるときだけ、不在者財産管理人は売却をすることができます。

(2)売却の必要性があるときだけ許可

行方不明者の財産を管理するだけでなく、わざわざ売却する必要性が求められます。

単に家族が売却したいと望むだけでは、売却の必要性がないと判断されるでしょう。

不在者財産管理人は、家族の希望をかなえる人ではないからです。

たとえば次の場合、売却の必要性が認められる可能性があります。

・共有関係で紛争化して売却する以外に解決できないケース

・固定資産税などの費用が過大で維持することが不合理であるケース

・老朽化しているケース

上記のケースでも、客観的資料で家庭裁判所を説得する必要があります。

(3)価格が妥当なときだけ不動産売却

不在者財産管理人には、善管注意義務があります。

価格の妥当性が認められない場合、不在者財産管理人は不動産を売却することはできません。

親族間売買などで相場より安い場合、行方不明者に不利益な売却と判断されます。

(4)買主が決まっていても行方不明者の利益

買主が決まっていることは、プラス材料ですが決定打ではありません。

不在者財産管理人制度は、家族や買主の希望を叶える制度ではないからです。

たとえ買主が決まっていても、行方不明者の利益を重視します。

(5)所有権移転登記に権限外行為の許可の審判書

不動産を売却したら、名義変更をします。

不動産の所有権移転登記申請では、不在者財産管理人の選任審判書と権限外行為の許可の審判書を提出します。

権限外行為の許可の審判書には、売買契約書案が添付されています。

不在者財産管理人は、審判書添付の売買契約をする権限のみが与えられています。

家庭裁判所の許可は、契約書案を前提に、その内容で行うことだけが認められる許可です。

審判書添付の売買契約の内容と異なる内容の売買契約をすることはできません。

③権限外行為の許可があっても財産は使えない

(1)相続した財産は家族が自由に使えない

遺産分割協議が成立したら、行方不明者の相続分は確保されているはずです。

行方不明者の相続分が確保されないと、家庭裁判所が許可しないからです。

相続分に相当する財産は、行方不明者の財産です。

不在者財産管理人が行方不明者の財産を管理します。

相続分に相当する財産を家族が自由に使うことはできません。

不在者財産管理人は、家族に財産を渡す権限がないからです。

たとえ家族が不在者財産管理人に選任されても、家族が自由に使うことはできません。

(2)売却代金は家族が自由に使えない

行方不明者の不動産を売却したら、売却代金を取得します。

売却代金は、行方不明者の財産です。

不在者財産管理人が行方不明者の財産を管理します。

売却代金を家族が自由に使うことはできません。

不在者財産管理人は、家族に財産を渡す権限がないからです。

たとえ家族が不在者財産管理人に選任されても、家族が自由に使うことはできません。

④権限外行為の許可があっても不在者財産管理人の任務継続

不在者財産管理人選任の申立てをするに当たって、きっかけがあるはずです。

遺産分割協議をしたいから、行方不明者の不動産を売却したいからなどです。

申立てのきっかけとなった遺産分割協議や売却が終わっても、不在者財産管理人の任務は継続します。

不在者財産管理人の任務は、行方不明者の財産を管理することだからです。

相続した財産や売却代金を管理する必要があります。

不在者財産管理人の任務は継続するから、不在者財産管理人の報酬がかかり続けます。

4生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続人が行方不明であることは、割とよくあることです。

行方不明の相続人がいると、相続手続を進めることができません。

相続が発生した後、困っている人はたくさんいます。

自分たちで手続しようとして、挫折する方も少なくありません。

困っている遺族はどうしていいか分からないまま、途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。

相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

失踪宣告で死亡と見なされる

2026-05-12

1失踪宣告で死亡と見なされる

①残された家族のため失踪宣告

相当長期間、行方不明になっている場合、死亡している可能性が高い場合があります。

条件を満たした場合、死亡の取り扱いをすることができます。

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告がされたら、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。

行方不明が長期化した場合、家族が困ります。

家族であっても、行方不明の人の財産を処分することができません。

行方不明者の配偶者は、再婚することができません。

残された家族のために、行方不明者を死亡したものと扱う制度が失踪宣告の制度です。

失踪宣告がされると、死亡した取り扱いをします。

失踪宣告がされた人に、相続が発生します。

相続財産は、相続人全員の共有財産になります。

相続人全員の合意があれば、相続財産を自由に分けることができます。

遺産分割協議によって相続した後は、相続人が自由に処分をすることができます。

②失踪宣告の要件は長期間生死不明と申立て

失踪宣告には、2種類があります。

普通失踪と特別失踪(危難失踪)です。

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

死亡したことが確認できないのに、死亡と見なされます。

死亡と見なされるという強い効果があります。

失踪宣告が認められるためには、次の条件があります。

(1)行方不明の人が生死不明であること

(2)生死不明のまま一定期間継続していること

2普通失踪は7年で死亡と見なされる

一般的に失踪宣告といった場合、普通失踪を指しています。

生死不明の期間を失踪期間と言います。

普通失踪では、失踪期間が7年必要です。

生死不明のまま7年経過した場合に、自動的に死亡と見なされるわけではありません。

家庭裁判所が失踪宣告したときに、死亡と見なされます。

生死不明の人の家族や利害関係人は、家庭裁判所に失踪宣告の申立てをすることができます。

家庭裁判所に失踪宣告の申立てをした後、家庭裁判所が死亡と認めていいか調査します。

家庭裁判所の状況や事件の内容によっては、調査のために1年ほどかかる場合もあります。

生死不明のまま7年以上経過したと認められる場合、家庭裁判所は失踪宣告をすることができます。

3特別失踪(危難失踪)は1年で死亡と見なされる

行方不明の人が大災害や大事故にあっていることがあります。

大災害や大事故に遭った場合、死亡している可能性が非常に高いものです。

特別失踪(危難失踪)とは「戦地に行った者」「沈没した船舶に乗っていた者」「その他死亡の原因となる災難に遭遇した者」などを対象にする失踪宣告です。

死亡している可能性が非常に高いので、失踪期間は短い期間です。

特別失踪(危難失踪)では、失踪期間が1年で済みます。

生死不明のまま1年以上経過したと認められる場合、家庭裁判所は失踪宣告をすることができます。

4失踪宣告による法的な死亡日

①普通失踪は7年満了の日

普通失踪では、生死不明になってから7年間以上経過したときに失踪宣告をすることができます。

生死不明になってから7年間経過したときに、死亡したものと見なされます。

生死不明になってから7年間経過した日が死亡日です。

失踪宣告により死亡と見なされる日は、失踪宣告の申立日ではありません。

失踪宣告により死亡と見なされる日は、失踪宣告の審判があった日ではありません。

失踪宣告により死亡と見なされる日は、失踪宣告の審判が確定した日ではありません。

生死不明になってから7年間経過した日に死亡と見なされます。

②特別失踪(危難失踪)は危難の去った日

特別失踪(危難失踪)では、生死不明になってから1年間以上経過したときに失踪宣告をすることができます。

危難の去った日に、死亡したものと見なされます。

特別失踪(危難失踪)では、生死不明になってから1年間以上経過したときに死亡したものと見なされるわけではありません。

危難の去った日が死亡日です。

5失踪宣告後は死亡届でなく失踪届

①失踪届提出で戸籍に記載される

失踪宣告は、家庭裁判所の審判です。

家庭裁判所が失踪宣告の審判をした後、審判が確定しても市区町村役場に連絡されることはありません。

失踪宣告の審判が確定した後に、市区町村役場に届出が必要です。

失踪宣告の審判が確定した後に市区町村役場に提出する届出を失踪届と言います。

失踪届が受理されることで、失踪宣告がされたことが戸籍に記載されます。

失踪宣告が記載された戸籍謄本を提出することで、生死不明の人が法的に死亡した取り扱いがされることを証明できます。

戸籍には次のように記載されます。

【死亡とみなされる日】令和〇年〇月〇日

【失踪宣告の裁判確定日】令和〇年〇月〇日

【届出日】令和〇年〇月〇日

【届出人】親族 ○○○○

②失踪届は行方不明者届(捜索願)とは別物

失踪届は、失踪宣告の審判が確定した後に市区町村役場に提出する届出です。

市区町村役場は、失踪届を受理したら失踪宣告がされたことを戸籍に記載します。

失踪届を出しても、市区町村役場が生死不明の人を探してくれることはありません。

失踪届は、死亡と扱ってもらうための届出だからです。

生死不明の人を探してもらいたい場合、警察へ行方不明者届を提出します。

行方不明者届は、以前は捜索願と呼んでいました。

失踪届と行方不明者届(捜索願)は、まったく別の届出です。

6失踪宣告後生きていたら

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

死亡したことが確認できないのに、死亡と見なされます。

失踪宣告がされた後、帰ってくることがあります。

失踪宣告がされた人が帰ってきた場合、失踪宣告を取り消してもらう必要があります。

失踪宣告された人が生きていることが分かった場合、家庭裁判所に失踪宣告の取消の審判の申立てをします。

失踪宣告されたときと異なる時期に死亡したことが判明した場合も同様に、家庭裁判所で失踪宣告を取り消してもらう必要があります。

失踪宣告がされると、死亡と見なされるからです。

失踪宣告がされた場合、たとえ生きていても死亡したと扱われます。

失踪宣告を受けた人が生きている場合でも、家庭裁判所で失踪宣告を取り消されるまで死亡したと扱われます。

家庭裁判所で失踪宣告が取り消された後、審判が確定しても市区町村役場に連絡されることはありません。

失踪宣告取消の審判書と確定証明書を添えて、市町村役場に10日以内に届出が必要です。

7失踪宣告で相続が開始する

失踪宣告は、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告を受けた人は、死亡したと取り扱われます。

死亡と見なされる日に、相続が発生します。

死亡と見なされる日を基準として、相続人を確認します。

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、代襲相続が発生します。

相続が発生したときに元気だった相続人が被相続人より後に死亡した場合、代襲相続が発生しません。

相続が発生したときに元気だった相続人が後に死亡した場合、数次相続が発生します。

数次相続は、相続人の地位が相続されます。

失踪宣告の前後で家族が死亡した場合、相続人の確認が重要になります。

代襲相続も数次相続も、相続が複雑になります。

だれが相続人でだれが相続人でないか日付をよく確認しましょう。

相続人を間違えると、相続手続がすべてやり直しになります。

8生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続人が行方不明であることは、割とよくあることです。

行方不明の相続人がいると、相続手続を進めることができません。

相続が発生した後、困っている人はたくさんいます。

自分たちで手続しようとして、挫折する方も少なくありません。

失踪宣告の申立ては、家庭裁判所に手続が必要になります。

通常ではあまり聞かない手続になると、専門家のサポートが必要になることが多いでしょう。

信託銀行などは、高額な手数料で相続手続を代行しています。

被相続人が生前、相続人のためを思って、高額な費用を払っておいても、信託銀行はこのような手間のかかる手続を投げ出して知識のない遺族を困らせます。

知識のない相続人が困らないように高額でも費用を払ってくれたはずなのに、これでは意味がありません。

税金の専門家なども対応できないでしょう。

困っている遺族はどうしていいか分からないまま、途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。

自分たちでやってみて挫折した方も、信託銀行などから丸投げされた方も、相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

失踪宣告の申立人は法律上の利害関係人のみ

2026-05-07

1失踪宣告で死亡と見なされる

①残された家族のため失踪宣告

相当長期間、行方不明になっている場合、死亡している可能性が高い場合があります。

条件を満たした場合、死亡の取り扱いをすることができます。

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告がされたら、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。

②普通失踪と特別失踪(危難失踪)

失踪宣告には、2種類があります。

普通失踪と特別失踪(危難失踪)です。

死亡したことが確認できないのに、死亡と見なされます。

死亡と見なされるという強い効果があります。

失踪宣告が認められるためには、次の条件があります。

(1)行方不明の人が生死不明であること

(2)生死不明のまま一定期間継続していること

普通失踪は、7年で死亡と見なされます。

特別失踪(危難失踪)は、1年で死亡と見なされます。

③死亡と見なされる日に死亡

失踪宣告は、家庭裁判所の審判です。

失踪宣告の審判が確定した後に、市区町村役場に届出が必要です。

失踪宣告の審判が確定した後に市区町村役場に提出する届出を失踪届と言います。

失踪届が受理されることで、失踪宣告がされたことが戸籍に記載されます。

普通失踪は行方不明になってから、7年経過した日に死亡と見なされます。

特別失踪(危難失踪)は危難が去ったときに、死亡と見なされます。

死亡と見なされる日は、家庭裁判所が判断します。

失踪宣告の審判日は、死亡日と無関係です。

死亡と見なされる日に、死亡したと扱われます。

2失踪宣告の申立人は法律上の利害関係人のみ

①利害関係人ではなく法律上の利害関係人に限定

失踪宣告の申立人は、民法上、利害関係人と定められています。

利害関係人と定められているものの、法律上の利害関係人に限定されると考えられています。

単なる利害関係人は、申立人になることはできません。

法律上の利害関係人に限定される理由は、次のとおりです。

・失踪宣告は、死亡扱いと言う重大な効果があるため。

・失踪宣告の悪用や濫用を防止するため。

・本人の権利や利益を保護すべきだから。

法律上の具体的な利害関係がある人だけが申立人になることができます。

②配偶者は法律上の利害関係人

(1)配偶者は常に相続人

行方不明者が死亡すると、配偶者は相続人になります。

行方不明者に財産があれば、財産を相続することができます。

(2)死亡により婚姻関係が消滅

行方不明者が死亡すると、配偶者は再婚することができます。

行方不明者が死亡すると、婚姻関係が消滅するからです。

単に再婚したいだけなら、失踪宣告をする必要がないかもしれません。

配偶者が3年以上生死不明である場合、離婚訴訟によって離婚ができるからです。

③相続人は法律上の利害関係人

(1)行方不明者が被相続人になるときの相続人

行方不明者が死亡すると、相続が発生します。

行方不明者に財産があれば、財産を相続することができます。

(2)行方不明者が共同相続人になるときの他の相続人

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

一部の相続人が生死不明になると、相続財産の分け方について話し合いができなくなります。

④後順位相続人は法律上の利害関係人ではない

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

子どもが相続人になるから、親などの直系尊属や兄弟姉妹は相続人になりません。

行方不明者が死亡しても、財産を取得することはありません。

後順位相続人は事実上の利害関係があったとしても、法律上の利害関係が認められません。

⑤相続人以外の親族は法律上の利害関係人ではない

相続人以外の親族は、法律上の利害関係人に該当しません。

行方不明者が死亡しても、財産を取得することはありません。

相続人以外の親族は事実上の利害関係があったとしても、法律上の利害関係が認められません。

⑥受遺者は法律上の利害関係人

受遺者とは、遺贈を受ける人です。

遺贈とは、遺言書で相続人や相続人以外の人に財産を引き継ぐことです。

行方不明者が死亡すると、遺言書に効力が発生します。

遺言書に遺贈すると書いてあれば、財産を引き継ぐことができます。

失踪宣告の申立をする場合、受遺者であると証明する必要があります。

公正証書遺言を預かっている場合は、公正証書遺言で証明することができます。

封筒に入った自筆証書遺言や法務局保管の自筆証書遺言では、証明することができません。

受遺者と証明できないと、申立人と認められないでしょう。

⑦生命保険の死亡保険金の受取人は法律上の利害関係人

行方不明者に生命保険がかけてあった場合、死亡保険金が支払われます。

行方不明者が死亡すると、受取人は死亡保険金を受け取ることができます。

失踪宣告の申立をする場合、死亡保険金の受取人であると証明する必要があります。

生命保険の保険証書などを準備する必要があります。

⑧行方不明者の保証人は法律上の利害関係人

保証人とは、借金を肩代わりする人です。

借金を抱えたまま、債務者が長期間生死不明になることがあります。

債務者が返済を滞らせたまま生死不明になると、債権者は保証人に請求します。

保証人は肩代わりの約束をしているから、債権者からの請求を拒めません。

保証人は肩代わりをした後、債務者に請求することができます。

債権者からの請求を拒めない点と債務者に求償できる点に、法律上の利害関係があると考えられます。

⑨行方不明者の債権者は法律上の利害関係人ではない

行方不明者が死亡すると、債務は相続人に相続されます。

相続人に相続されても、債権自体に変化はありません。

債権者に利害関係があるとしても、事実上の利害関係に過ぎません。

失踪宣告は、債権回収の便宜のための制度ではありません。

行方不明の債務者に財産があるのなら、債権者は不在者財産管理人選任の申立てをすることができます。

不在者財産管理人とは、行方不明の人の財産を管理する人です。

債権者は、行方不明者の財産から債権を回収する手段があります。

債権者に利害関係があるとしても、事実上の利害関係に過ぎません。

⑩推定相続人の債権者は法律上の利害関係人ではない

行方不明者が死亡すると、行方不明者の財産は相続人に相続されます。

行方不明者の財産を相続したら、相続財産から借金の返済を期待するかもしれません。

相続財産を相続するか相続放棄するか、相続人が自由に決めます。

推定相続人の債権者があれこれ言うことではありません。

債権者に利害関係があるとしても、事実上の利害関係に過ぎません。

⑪行方不明者の債務者は法律上の利害関係人ではない

行方不明者が死亡しても、債務者には影響がありません。

債権者が行方不明で弁済ができない場合、受領不能を理由に供託をすることができます。

債務者に利害関係があるとしても、事実上の利害関係に過ぎません。

⑫不法行為加害者が法律上の利害関係人

不法行為加害者とは、故意または過失によって他人に損害を与えた人です。

例えば、交通事故の加害者は、典型的な不法行為加害者です。

交通事故で被害者が死亡した場合、近親者は固有の慰謝料を請求することができます。

近親者が行方不明者である場合、不法行為加害者は法律上の利害関係人と言えます。

近親者が交通事故の前に死亡したと見なされたら、近親者による固有の慰謝料を請求されないからです。

近親者による固有の慰謝料請求権の発生の有無が法律上の利害関係です。

⑬不在者財産管理人は法律上の利害関係人

不在者財産管理人は、行方不明者が帰ってくるまで財産管理を続けます。

行方不明者が死亡すると、不在者財産管理人の任務は終了します。

行方不明者の財産は、相続人が相続するからです。

不在者財産管理人は、行方不明者の金銭を法務局に供託することができます。

行方不明者の財産が金銭のみであれば、供託することで不在者財産管理人の任務終了になります。

わざわざ失踪宣告をする必要はないでしょう。

⑭不動産の共有者は法律上の利害関係人

不動産など共有物の管理の決定は、持分割合の過半数で決定します。

不動産など共有物の処分の決定は、共有者全員の同意が必要です。

共有者の一部に行方不明者がいると、管理や処分の決定が停滞します。

行方不明者が死亡すると、共有持分は相続人が相続します。

相続人が意思決定に参加するから、他の共有者の法的地位が安定します。

⑮事実婚・内縁の配偶者は法律上の利害関係人ではない

法律婚の配偶者は、法律上の利害関係人です。

事実婚・内縁の配偶者は、法律上の利害関係人ではありません。

婚姻関係や相続関係に、具体的な権利がないからです。

事実婚・内縁関係の人は、遺言書を作成していることがあります。

遺言書で遺贈を受ける人であれば、法律上の利害関係があります。

事実婚・内縁の配偶者で法律上の利害関係がなくとも、受遺者なら法律上の利害関係があります。

⑯単なる友人知人は法律上の利害関係人ではない

「心配だから」「困っているから」だけの第三者は、法律上の利害関係人ではありません。

感情的理由だけで法律上の利害関係がないと、失踪宣告の申立てをすることはできません。

⑰役所や検察官は申立てができない

不在者財産管理人選任の申立ては、検察官が申立人になることができます。

失踪宣告の申立ては、役所や検察官が申立人になることができません。

財産管理と死亡扱いは、法的影響力の重さが大きく違います。

国家や自治体が職権で進める制度設計ではありません。

行方不明者の帰りを待つ親族の気持ちを尊重する目的もあります。

3失踪宣告の申立人になれないときの現実的対処法

①利害関係人に申立てを依頼

自分が法律上の利害関係人でなくても、法律上の利害関係人に依頼することはできます。

法律上の利害関係人が失踪宣告の申立てをすれば、結果的に失踪宣告がされます。

②不在者財産管理人選任の申立てをする

不在者財産管理人選任の申立ては、申立てできる人が広く認められています。

不在者財産管理人選任の申立てをして、不在者財産管理人が失踪宣告の申立てをすることができる可能性があります。

不在者財産管理人選任の申立てでは、予納金を納める必要があります。

事件によっては、予納金が100万円程度かかることがあります。

③所在等不明共有者持分取得制度を利用

所在等不明共有者持分取得制度とは、行方不明の共有者の持分を買取ることができる制度です。

不動産の共有者が行方不明者である場合、失踪宣告や不在者財産管理人制度より使いやすいことがあります。

④家庭裁判所で法律相談はできない

家庭裁判所は、法律相談をする機関ではありません。

裁判所の管轄や必要書類の有無を相談することはできます。

4生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続人が行方不明であることは、割とよくあることです。

行方不明の相続人がいると、相続手続を進めることができません。

相続が発生した後、困っている人はたくさんいます。

自分たちで手続しようとして、挫折する方も少なくありません。

失踪宣告の申立ては、家庭裁判所に手続が必要になります。

通常ではあまり聞かない手続になると、専門家のサポートが必要になることが多いでしょう。

信託銀行などは、高額な手数料で相続手続を代行しています。

被相続人が生前、相続人のためを思って、高額な費用を払っておいても、信託銀行はこのような手間のかかる手続を投げ出して知識のない遺族を困らせます。

知識のない相続人が困らないように高額でも費用を払ってくれたはずなのに、これでは意味がありません。

税金の専門家なども対応できないでしょう。

困っている遺族はどうしていいか分からないまま、途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。

自分たちでやってみて挫折した方も、信託銀行などから丸投げされた方も、相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

子どもがいなくても相続人は配偶者のみではない

2026-05-06

1子どもがいないと相続人は配偶者だけで当然と感じる理由

理由①夫婦の財産は夫婦のものが夫婦の常識

夫婦は、相互に助け合って生活しているはずです。

夫婦で築いた財産は、夫婦のものと考えるのは当然でしょう。

夫婦の財産は夫婦のものが夫婦の常識です。

夫婦の一方が死亡したら、当然に生存配偶者だけが相続人になると感じるでしょう。

子どもがいないと、相続人は配偶者だけで当然と感じやすくなります。

理由②生活共同体感覚が判断基準

相続を同居や家計の継続と、感じています。

相続人には、同居や家計の一体性だけが重点的に評価されると感じています。

生活共同体感覚が強いのは、配偶者のみと考えるのは当然でしょう。

親などの直系尊属や兄弟姉妹に、同居や家計の一体性はないことがほとんどです。

被相続人と別世帯であれば、生活共同体感覚はありません。

生活共同体感覚を基準にすると、配偶者以外は相続人になりません。

子どもがいないと、相続人は配偶者だけで当然と感じやすくなります。

理由③配偶者の心理的距離が判断基準

子どもがいないと、夫婦は日常生活や家計運営を共同しています。

夫婦の心理的距離は、当然に近いはずです。

配偶者は日常生活や家計運営において、労力や感情的コストを投下しています。

相続で、労力や感情的コストの対価を受け取るべきと感じます。

心理的距離が近いから、財産をだれが受け取るのか決めていいと感じます。

心理的距離が近いから、自分の判断が合理的と自然に感じます。

自分の判断こそ合理的だから、労力や感情的コストの対価を配偶者のみ受けとると判断します。

親などの直系尊属や兄弟姉妹は、配偶者から見て心理的距離が近くありません。

配偶者からは、合理的判断ができない存在と感じます。

配偶者の心理的距離を判断基準にすると、配偶者以外は相続人になりません。

子どもがいないと、相続人は配偶者だけで当然と感じやすくなります。

2子どもがいなくても相続人は配偶者のみではない

①相続人は配偶者の「当然」で決まらない

相続が発生したら、一定の範囲の親族が相続人になります。

相続人になる人は、法律で決められています。

だれが相続人になるか、生活共同体感覚は無関係です。

だれが相続人になるか、心理的距離は無関係です。

法律の定めに基づいて、客観的に相続人は決まるからです。

相続人は配偶者だけで当然と感じても、法律の定めが優先されます。

②相続人になる人は法律で決まっている

相続人になる人は、次のとおりです。

(1)配偶者は、必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になりません。

相続人になる人は、家族の感情や家族の常識で決めることはできません。

法律の定めに基づいて、客観的に相続人は決まるからです。

相続人は配偶者だけで当然と感じても、法律の定めが優先されます。

③子どもがいなくても相続人は配偶者のみにならない理由

理由(1)前婚の子どもが相続人になる

被相続人に、離婚歴があることがあります。

前婚配偶者との間に、子どもがいることがあるでしょう。

前婚配偶者との間の子どもは、被相続人の子どもです。

被相続人の子どもは、相続人になります。

養育費を払っていても払っていなくても、相続人になります。

被相続人が親権者であっても親権者でなくても、相続人になります。

被相続人が引き取っても前婚配偶者が引き取っても、相続人になります。

子どもは、被相続人の子どものままだからです。

被相続人が離婚しても、子どもは被相続人の子どものままです。

前婚の子どもが相続人になると、相続人は配偶者のみになりません。

理由(2)認知された子どもが相続人になる

認知とは、婚姻関係にないカップルの間に生まれた子どもについて自分の子どもと認めることです。

認知された子どもは、被相続人が自分の子どもと認めた子どもです。

被相続人の子どもは、相続人になります。

認知された子どもの存在を配偶者などの家族に秘密にしていることがあります。

被相続人が秘密にしても、相続の場面では明るみに出ます。

配偶者が認知された子どもの存在を知らなくても、相続人になります。

認知された子どもが相続人になると、相続人は配偶者のみになりません。

理由(3)普通養子による養子縁組をしても相続人になる

被相続人が離婚をするときに、前婚配偶者が子どもを引き取ることがあります。

前婚配偶者が再婚するとき、再婚相手と子どもが養子縁組をすることがあります。

普通養子による養子縁組をしても、実親との親子関係は継続します。

普通養子による養子縁組をしても、子どもは被相続人の子どものままです。

被相続人の子どもは、相続人になります。

普通養子による養子縁組をしても、被相続人の子どもは続人になります。

養子縁組をした子どもが相続人になると、相続人は配偶者のみになりません。

理由(4)親などの直系尊属が高齢でも相続人

被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属が相続人になります。

相続人に年齢制限は、ありません。

相続が発生した時点で、生きていれば相続人になります。

親などの直系尊属が高齢でも寝たきりでも重度の認知症でも、相続人になります。

高齢でも寝たきりでも重度の認知症でも、相続資格を奪うことはできません。

親などの直系尊属が相続人になると、相続人は配偶者のみになりません。

理由(5)疎遠になっても兄弟姉妹が相続人になる

被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。

配偶者の生活実感からは、家族の認識が持てないかもしれません。

配偶者の家族認識とは無関係に、相続人になります。

相続人になる人は、法律で決められているからです。

長期間連絡を取っていなくても、兄弟姉妹は相続人になります。

連絡が取れないまま行方不明になっても、兄弟姉妹は相続人になります。

配偶者との心理的距離は、無関係です。

疎遠な相続人がいると、相続人は配偶者のみになりません。

理由(6)半血兄弟が相続人になる

兄弟姉妹が相続人になると聞くと、父母が同じ兄弟姉妹だけ想像しがちです。

兄弟姉妹には、父母の一方だけ同じ兄弟姉妹が含まれます。

半血兄弟とは、異父兄弟と異母兄弟をまとめた言い方です。

異父兄弟と異母兄弟は、被相続人自身も知らないかもしれません。

異父兄弟と異母兄弟は、被相続人自身も家族と感じないかもしれません。

被相続人や配偶者の認識とは無関係に、半血兄弟は相続人になります。

相続人になる人は、法律で決められているからです。

半血兄弟が相続人になると、相続人は配偶者のみになりません。

理由(7)兄弟姉妹が先に死亡したら甥姪が相続人になる

兄弟姉妹が相続人になるはずだったのに、被相続人より先に死亡することがあります。

被相続人より先に死亡した場合、甥姪が代襲相続します。

配偶者の生活感覚では、甥姪は家族でないかもしれません。

相続人は法律で決まるから、甥姪が相続人になります。

甥姪が相続人になると、相続人は配偶者のみになりません。

理由(8)遺留分がなくても相続人になる

遺留分とは、相続人に認められた最低限の権利です。

被相続人に近い関係の相続人に、認められています。

兄弟姉妹や甥姪には、遺留分は認められていません。

遺留分がなくても、相続人から排除することはできません。

遺留分がないことと相続人であることは、別の話だからです。

遺留分がなくても相続人がいると、相続人は配偶者のみになりません。

④相続人は配偶者のみは限定的

子どもがいない夫婦は、相続人は配偶者のみと誤解しがちです。

配偶者のみになる条件は、次のとおりです。

・子どもがいない

・親などの直系尊属がいない

・兄弟姉妹がいない

・甥姪がいない

配偶者の生活感覚では、相続人は配偶者のみが常識です。

相続は、法律に従って手続します。

相続人は配偶者のみは、限定的です。

3相続人は配偶者だけで当然が違和感になる

①夫婦の常識が家族の常識に拡張する

夫婦の財産は夫婦のものが夫婦の常識です。

夫婦の一方が死亡したら、当然に生存配偶者だけが相続人になると感じるかもしれません。

夫婦の一方が死亡したら、夫婦の常識は家族の常識に拡張しがちです。

相続では、生存配偶者以外の家族が関与するからです。

生存配偶者は、相続人は配偶者だけで当然は家族の常識と信じます。

②被相続人の財産は相続財産

夫婦の財産は夫婦のものは、夫婦のみの常識のはずです。

夫婦の一方が死亡したら、被相続人の財産は相続財産です。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続人は配偶者のみは、限定的です。

相続財産は、配偶者のみの財産ではありません。

他の相続人全員と共有する財産です。

③他の相続人は家族の常識を共有していない

夫婦の財産は夫婦のものは、夫婦のみの常識のはずです。

生存配偶者は家族の常識と信じても、信じる家族は生存配偶者のみです。

他の家族は、生存配偶者が信じる家族の常識を共有していません。

④家族の常識がトラブルになる

家族の常識だから相続人は配偶者だけで当然と言っても、反発を招きます。

他の相続人にも、相続人としての権利があるからです。

他の相続人が家族の常識を共有してれば、配偶者が全財産を相続することに同意するでしょう。

配偶者が全財産を相続することに同意しないのは、家族の常識を押し付けているからです。

家族の常識を押し付けると、無自覚に他の相続人の権利を踏みにじることになります。

たとえ無自覚であっても、他の相続人の権利を奪う行為は深刻なトラブルになります。

配偶者にとって家族と感じない人が相続人になる場合、家族の常識が家族の常識でないことが少なくありません。

4配偶者に全財産を相続させる遺言書を作成

①遺言書を作成して遺産分割の方法を指定

子どもがいない夫婦であっても、残された配偶者のみが相続人になるのは珍しいケースです。

長年疎遠になっていても、相続手続では協力してもらう必要があります。

被相続人が遺言書を作成して、相続財産の分け方を指定することができます。

遺言書で遺産分割の方法を指定した場合、遺言書のとおりに分けることができます。

遺言書を作成して、遺産分割の方法を指定することができます。

②遺言執行者を指名して相続手続をおまかせ

遺言書を作成するだけでは、意味がありません。

遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書の中で、遺言執行者を指名することができます。

遺言執行者がいる場合、手間と時間がかかる相続手続をおまかせできます。

遺言執行者に相続手続をおまかせできるから、残された配偶者は安心です。

遺言執行者が遺言書の内容を実現してくれるから、遺言者は安心です。

遺言執行者を指名して、相続続をおまかせすることができます。

5遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。

実は、民法に遺言書を作ることができるのは15歳以上と定められています。

死期が迫ってから、書くものではありません。

遺言書はいつか書くものではなく、すぐに書くものです。

遺言書は遺言者の意思を示すことで、家族をトラブルから守るものです。

子どものいない夫婦の場合、遺言書の威力は大きいものです。

遺言書があることで、残された配偶者が守られます。

お互いを思いやり幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

失踪宣告の申立書に失踪を証する資料

2026-05-05

1失踪宣告で死亡とみなされる

①失踪宣告は家族を救済する手段

相当長期間、行方不明になっている場合、死亡している可能性が高い場合があります。

条件を満たした場合、死亡の取り扱いをすることができます。

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告がされたら、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。

行方不明が長期化した場合、家族が困ります。

家族であっても、行方不明の人の財産を処分することができません。

行方不明者の配偶者は、再婚することができません。

失踪宣告は、家族を救済する手段です。

残された家族のために、行方不明者を死亡したものと扱う制度が失踪宣告の制度です。

失踪宣告がされると、死亡が確認できなくても死亡と見なされます。

実際に、死亡したと証明する制度ではありません。

②失踪期間は普通失踪7年と特別失踪(危難失踪)1年

失踪宣告には、2種類があります。

普通失踪と特別失踪(危難失踪)です。

一般的に失踪宣告といった場合、普通失踪を指しています。

生死不明の期間を失踪期間と言います。

普通失踪では、失踪期間が7年です。

特別失踪(危難失踪)とは「戦地に行った者」「沈没した船舶に乗っていた者」「その他死亡の原因となる災難に遭遇した者」などを対象にする失踪宣告です。

特別失踪(危難失踪)では、失踪期間が1年です。

2失踪宣告の申立書に失踪を証する資料

①失踪宣告の申立書に添付する必要書類

失踪宣告の申立書に、次の書類を添付します。

(1)行方不明者の戸籍謄本

(2)行方不明者の戸籍の附票

(3)失踪を証する資料

(4)利害関係を証する資料

②失踪を証する資料で失踪の事実を説明する

失踪を証する資料は、法律上必要になる書類ではありません。

実務上、ほぼ必須の書類です。

失踪宣告がされると、行方不明者は死亡と見なされるという重大な法的効果があるからです。

家庭裁判所は失踪宣告の審判をする前提として、失踪の事実を厳格に確認します。

完璧な資料は、もともと存在しません。

できる範囲で、資料を準備すれば問題はありません。

失踪の事実を厳格に確認したうえで、独自調査をします。

家庭裁判所は、捜査機関ではありません。

調査の端緒は、申立人が提供する必要があります。

申立人が行方不明と主張するだけでは、調査の端緒になりません。

失踪を証する資料で、失踪の事実を客観的に説明する必要があります。

失踪を証する資料で示された端緒に基づいて、家庭裁判所が補充調査をします。

③失踪を証する資料の具体例

(1)職権消除された住民票や戸籍の附票

行方不明者は、住民票上の住所地に居住していません。

実際にその住所に住んでいないにも関わらず住民票が残ったままだと、行政記録の正確性を維持できません。

職権消除とは、住民基本台帳法に基づいて本人申請なしで住民票が削除されることです。

市区町村は、次の場合に住所について調査をします。

・市区町村からの郵便が届かない

・居住者から申出がある

市区町村の調査で居住が確認できないと判断された場合、住民票は職権で消除されます。

住民票が職権消除されたケースとは、行方不明が公的に確認されたケースと言えます。

職権消除された住民票や戸籍の附票は、失踪を証する資料として提出することができます。

(2)行方不明者届受理証明書

行方不明者届とは、行方不明者について家族などが警察に対して捜索を求める届出です。

行方不明者届が受理されると、警察は照会や発見活動を行います。

行方不明者届受理証明書は、届出があった事実の証明書に過ぎません。

失踪の事実を直接証明する書類ではないものの、疎明する有力な間接証拠です。

行方不明者届には、いつごろから行方不明なのか、警察に届け出がされているか判明します。

警察署によっては、行方不明者届受理証明書を発行しないことがあります。

家庭裁判所による補充調査の出発点として、重視されます。

行方不明者届受理証明書は、失踪を証する資料の一部として提出することができます。

(3)「あて所に尋ねあたりません」で返戻された郵便物

行方不明者に連絡を取ろうとして郵便を出しても、返戻されることがあります。

差し出した郵便物には、「あて所に尋ねあたりません」とスタンプが押してあるはずです。

宛先住所に配達を試みたが、転居先不明等により所在が確認できなかったという意味です。

次のケースで、発生します。

・住民票を移さず転居している

・転送期限が切れている

・表札がなく所在が確認できない

・更地になっている

「あて所に尋ねあたりません」で返戻された郵便物は、その住所で受け取れなかったに過ぎません。

失踪の事実を直接証明する書類ではないものの、疎明する有力な間接証拠です。

改めて戸籍の附票を取得すると、新住所が判明するかもしれません。

行方不明のはずなのに郵便が返戻されない場合、転居届を出しているかもしれません。

追跡可能な郵便を利用すると、転居届の有無が判明します。

「あて所に尋ねあたりません」で返戻された郵便物は、失踪を証する資料の一部として提出することができます。

(4)金融機関等の取引状況資料

日常生活を送るうえで、金融機関との取引は欠かせません。

本人名義の口座やクレジット契約に利用実績がない場合、生活実態がないことを裏付けます。

金融機関等の取引状況に利用実績がない場合、社会的生活の断絶を示すと言えます。

金融機関等の取引状況資料は、生活実態がない可能性を示すに過ぎません。

例えば、次の可能性を排除できません。

・現金主義で生活している

・別口座を利用している

・海外で生活している

失踪の事実を直接証明する書類ではないものの、疎明する有力な間接証拠です。

金融機関等の取引状況資料は、失踪を証する資料の一部として提出することができます。

(5)学校職場などの証明書

通常であれば継続して通学通勤しているはずなのに、一定の時期以降現れていないことの証明書です。

例えば学校などでは、次の書類です。

・最終登校日の証明書

・退学処分通知書

・長期欠席証明書

例えば職場などでは、次の書類です。

・無断欠勤が継続している証明書

・出勤簿やタイムカード

・無断欠勤継続による解雇通知書

・最終出勤日証明書

学校職場などの証明書は、社会生活の一部の痕跡が消えた証拠に過ぎません。

例えば、次の可能性を排除できません。

・転職

・自主退学

・単なる家出

失踪の事実を直接証明する書類ではないものの、疎明する有力な間接証拠です。

学校職場などの証明書は、失踪を証する資料の一部として提出することができます。

(6)親族や知人からの陳述書

親族や知人からの陳述書で、次の点を上申することができます。

・最終連絡日時

・最終目撃日時

・行方不明になった当時の状況

・行方不明になった以降の捜索状況

具体的内容と経過が整合的で複数人一致すると、一定の信用が生じます。

失踪の事実を直接証明する書類ではないものの、疎明する補強証拠です。

親族や知人からの陳述書は、失踪を証する資料の一部として提出することができます。

(7)複数組み合わせて失踪を証する資料

失踪を証する資料では、次の事項を確認できるように準備します。

・行方不明の開始時期

・生死不明の状態の継続

・捜索をしても行方不明であること

上記の事項をもれなく確認できる書類は、存在しません。

複数の資料を多角的に準備して、失踪を証する資料とします。

(8)完璧な資料を準備できなくてもいい

失踪を証する資料だけで、失踪宣告するか決定することはありません。

家庭裁判所は、補充調査をすることができるからです。

失踪を証する資料は、合理的な範囲で調査したことを示せば問題ありません。

例えば行方不明者届受理証明書を発行してもらえなければ、発行してもらえませんでしたと陳述書に記載することができます。

完璧な資料を準備できなくても、失踪宣告の申立てができないことはありません。

④失踪を証する資料で軽率な申立てを抑制する

(1)相当の手間と時間がかかる

失踪宣告の申立書には、失踪を証する資料を添付する必要があります。

失踪を証する資料を準備するためには、相当の手間と時間がかかります。

軽い気持ちで、失踪宣告をすることができなくなります。

(2)虚偽申立てを抑制

失踪を証する資料は、行方不明の客観的裏付けです。

虚偽申立てをしようとすれば、発覚する可能性が高くなります。

失踪を証する資料の準備で、軽率な申立てを抑制することができます。

⑤自動で失踪宣告はされない

失踪期間が経過したら、家庭裁判所に対して失踪宣告の申立てをすることができます。

失踪期間が経過するだけでは、何も起きません。

国家や家庭裁判所が自動で、失踪宣告することはありません。

失踪宣告は、家族が行方不明になって困っている人を救済する制度だからです。

失踪宣告の申立ては、家族が救済を求める手続です。

家族が救済を求めていないのに、自動で失踪宣告がされることはありません。

3不在者財産管理人制度では財産を自由に使えない

①失踪宣告に家族が反対する理由

理由(1)行方不明者の財産を自由に使えなくなる

行方不明者の財産は、家族が日常的に管理しているでしょう。

生活の現状を維持する限り、家族が困ることはありません。

財産を処分するときになって、行方不明者本人による手続が必要になります。

家族による手続ができないから、初めて困ることになります。

家族が困るまで、失踪宣告の申立てを渋ります。

理由(2)他の相続人から説明を求められる

失踪宣告を受けると、死亡扱いがされます。

失踪宣告を受けた人を被相続人として、相続が発生します。

相続手続の過程で、被相続人の財産状況を明らかにする必要があります。

過去の財産の使い道について、他の相続人から説明を求められる場面があるでしょう。

失踪宣告を放置しておけば、心理的にも実務的にもラクです。

理由(3)手続負担を先延ばししたい

失踪宣告の申立てには、失踪を証する資料が必要です。

失踪宣告の申立てをする手続負担があります。

失踪宣告がされると、相続が発生します。

相続手続をする手続負担があります。

手続負担を先延ばししたいから、失踪宣告の申立てを渋ります。

②不在者財産管理人は行方不明者の利益を守る人

失踪宣告を受けると、死亡した扱いがされます。

不在者財産管理人制度を利用したら、行方不明者は生きている扱いです。

失踪宣告に対する家族の抵抗があるから、不在者財産管理人制度を利用することを考えるかもしれません。

不在者財産管理人とは、行方不明者の財産を管理する人です。

不在者財産管理人は、家族の希望をかなえる人ではありません。

不在者財産管理人は、行方不明者の利益を守る義務があるからです。

今まで家族が日常的に管理していたように、自由な管理はできなくなります。

たとえ不動産を売却できても、売却代金は行方不明者の財産です。

売却代金を家族が自由に使うことは、許されません。

不在者財産管理人制度を利用すると、行方不明者の財産を自由に使えなくなります。

③二度手間になる現実

不在者財産管理人は、一見して便利な制度です。

あくまで、一時しのぎの制度です。

不在者財産管理人を選任してもらっても、死亡扱いをすることができないからです。

最終的には、失踪宣告をすることになります。

結局のところ二度手間になる現実を知ったうえで、判断することが重要です。

4生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続人が行方不明であることは、割とよくあることです。

行方不明の相続人がいると、相続手続を進めることができません。

困っている遺族はどうしていいか分からないまま、途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。

相続手続で不安がある方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

戸籍謄本の郵送請求で定額小為替の買い方

2026-05-03

1戸籍謄本の郵送請求で定額小為替が必要になる

①戸籍謄本は郵送で請求することができる

戸籍謄本は市区町村役場の窓口に出向いて請求する他に、郵送で請求することができます。

戸籍謄本の郵送請求では、次の書類を準備します。

・戸籍に関する証明書交付請求書

・本人確認書類

・定額小為替

・返信用封筒

市区町村役場によっては、郵送受付センターなどを設置していることがあります。

窓口がある市区町村役場に送付すると、余計な時間がかかってしまいます。

②戸籍謄本は本籍地の市区町村役場へ請求

戸籍は、本籍地の市区町村役場が管理しています。

戸籍謄本は、本籍地の市区町村役場に請求します。

相続手続をする場合、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を用意します。

出生から死亡まで同じ本籍地であれば、1か所の市区町村役場ですべての戸籍謄本を取得することができます。

出生から死亡まで同じ本籍地であることは、多くはありません。

多くの場合、複数の市区町村役場に請求することになります。

③本籍地が分からないときの調べ方

(1)本籍地入り住民票を請求

住民票を請求するとき、本籍地を記載してもらうことができます。

普段目にする住民票は、本籍地が記載されていないかもしれません。

住民票を請求する場合、何も言わないと本籍地は記載省略になります。

(2)マイナンバーカードで本籍地入り住民票を取得

市区町村によっては、マイナンバーカードを利用して住民票を取得することができます。

マイナンバーカードを使って、コンビニエンスストアなどで住民票を取得することができます。

コンビニエンスストアのマルチコピー機で住民票を取得する場合、記載事項を選択することができます。

本籍地欄にチェックを入れないと、本籍地の記載がない住民票が発行されます。

(3) 運転免許証をスマートフォンアプリで読み取り

運転免許証のICチップは、スマートフォンアプリで読み取りをすることができます。

iPhoneでもアンドロイドでも、読み取りアプリがあります。

運転免許証の取得や更新などのときに決めた暗証番号を入力する必要があります。

(4)広域交付で戸籍謄本を請求

広域交付とは、本籍地以外の市区町村役場で戸籍謄本を取得できる制度です。

広域交付の対象になる戸籍謄本は、次のとおりです。

・本人

・配偶者

・直系血族

自分の戸籍謄本は、広域交付の対象です。

戸籍謄本を読み取って、被相続人の戸籍までたどります。

④返信用封筒はレターパックが手軽

戸籍謄本を郵送請求する場合、返信用の封筒と切手を準備するのが原則です。

請求するときには取得できる戸籍謄本が分からないから、準備すべき切手の額面に困ります。

レターパックとは、書類などを簡単に発送できる郵便サービスです。

レターパックでは、A4サイズで4キロまで全国一律料金で信書を送ることができます。

料金不足の心配がなくなるから、安心です。

レターパックの問い合わせ番号を控えておくと、配達状況を追跡することができます。

⑤発行手数料は定額小為替で納入する

市区町村役場の窓口に出向いて戸籍謄本を請求した場合、発行手数料は窓口で現金などで支払います。

戸籍謄本を郵送で請求する場合、定額小為替で納入することが一般的です。

定額小為替は、「ていがくこがわせ」と読みます。

現金で納入することができる市区町村役場であれば、現金封筒で現金を一緒に送ることができます。

現金は、普通郵便で送ることができません。

現金封筒を送る場合、書留料金が追加でかかります。

定額小為替は、普通郵便で送ることができます。

⑥定額小為替の受取人欄は記載しない

定額小為替を見ると、指定受取人おなまえ欄があります。

本来、受取人欄に受取人の名前を記入して送るものです。

戸籍謄本の請求のために定額小為替を送る場合、受取人欄を記入しないことが一般的です。

市区町村役場によっては、空欄のまま送るように指定されている場合があります。

あえて記載すると書き間違いをしてしまうおそれがあります。

購入した定額小為替をそのまま郵送すれば、問題はありません。

何も書かなければ書き間違いは、あり得ません。

⑦定額小為替は多めに郵送する

相続手続をする場合、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄が必要になります。

戸籍謄本を請求する場合、戸籍が何通になるのか分からないのが通常です。

あらかじめ市区町村役場に問い合わせても、答えてはくれません。

不足しないように、多めに入れておくと安心です。

定額小為替が不足した場合、市区町村役場から連絡があります。

すぐに追加発送します。

不足分が到着するまで、戸籍謄本を発行してくれません。

⑧お釣りは原則定額小為替で返ってくる

定額小為替は、戸籍謄本の発行手数料に不足しないように多めに郵送します。

お釣りは、原則として、定額小為替で返してもらえます。

市区町村役場によっては、定額小為替でなく郵便切手で返してくることがあります。

お釣りを郵便切手で返してくる市区町村役場であっても、発行手数料を郵便切手で納入することはできません。

⑨定額小為替は郵便局で換金できる

受け取った定額小為替は、郵便局の貯金窓口に持っていくと換金することができます。

換金するときに必要なものは、本人確認書類と認印です。

定額小為替は、発行日から5年経過すると換金できなくなります。

忘れないうちに、換金しておきましょう。

2定額小為替の買い方

①定額小為替は郵便局の貯金窓口で購入コンビニで買えない

定額小為替は、郵便局の貯金窓口で購入することができます。

定額小為替振出請求書に必要事項を書いて、窓口に提出します。

貯金窓口は、郵便窓口と別になっていることが多いものです。

業務取扱時間も、郵便窓口とは異なることがあります。

登記簿謄本を取得するときは、収入印紙で手数料を納入します。

収入印紙は、郵便の郵便窓口で購入することができます。

郵便の郵便窓口以外にも、コンビニエンスストアや法務局などで購入することができます。

定額小為替は、郵便の郵便窓口ではなく貯金窓口で購入します。

定額小為替は、コンビニエンスストアや法務局などで購入できません。

定額小為替は、郵便局の貯金窓口で購入できます。

②定額小為替購入は現金のみ切手やクレジットカードで購入できない

定額小為替を購入するときは、現金のみの取り扱いです。

切手で定額小為替を購入することは、できません。

10万円を超えるときは、本人確認書類が必要になります。

郵便窓口では、クレジットカードなどで支払いをすることができます。

郵便局や取扱商品によっては、キャッシュレス決済を利用することができます。

貯金窓口は、クレジットカードやキャッシュレス決済などで支払いをすることはできません。

定額小為替は、貯金窓口での取り扱いです。

定額小為替は、クレジットカードやキャッシュレス決済で購入することはできません。

定額小為替購入は、現金のみです。

切手やクレジットカードで、購入できません。

③定額小為替の種類

定額小為替は、次の種類があります。

・50円

・100円

・150円

・200円

・250円

・300円

・350円

・400円

・450円

・500円

・750円

・1000円

必要な金額分を組み合わせて購入します。

④定額小為替の発行手数料は1枚200円消費税込

定額小為替を購入する場合、発行手数料は消費税込で1枚200円かかります。

1回200円ではなく、1枚200円です。

例えば、450円の定額小為替1枚を購入するために、200円の発行手数料がかかります。

50円と400円の定額小為替2枚を購入するために、400円の発行手数料がかかります。

⑤定額小為替の有効期限は6か月

定額小為替には、有効期限があります。

発行されてから、6か月以内です。

有効期限が過ぎてしまった場合、書き換えをすることができます。

書き換え手数料は、消費税込で1枚200円です。

書き換えは、時間がかかります。

書き換えをするより、換金してあらためて購入した方が手間がかかりません。

⑥土日祝日は定額小為替を購入できない

定額小為替は、郵便局の貯金窓口で購入することができます。

コンビニエンスストアなどで、定額小為替を購入することはできません。

郵便局が業務を行っていない日は、購入することはできません。

地域の中央郵便局などの大きな郵便局には、ゆうゆう窓口が設置されています。

ゆうゆう窓口では、夜間や土日祝日などでも郵便業務を行っています。

切手や収入印紙は、ゆうゆう窓口で購入することができます。

ゆうゆう窓口で行っているのは、郵便業務の一部のみです。

定額小為替は、貯金業務です。

ゆうゆう窓口の取り扱いの範囲外です。

ゆうゆう窓口で、定額小為替を購入することはできません。

定額小為替を購入するには、郵便局の業務時間に窓口に出向く必要があります。

土日祝日は、定額小為替を購入できません。

3定額小為替は評価証明書や住民票の郵送請求でも使える

相続手続をする場合、たくさんの書類を準備しなければなりません。

戸籍謄本以外にも、市区町村役場から住民票や固定資産税評価証明書を取得する必要があります。

住民票は、住民票を置いている市区町村役場に請求します。

固定資産税評価証明書は、不動産の所在地の市区町村役場や市税事務所へ請求します。

住民票や固定資産税評価証明書は、郵送で請求することができます。

住民票や固定資産税評価証明書を郵送請求する場合も、発行手数料がかかります。

戸籍謄本を請求する場合と同様に、定額小為替で納入します。

4相続人調査を司法書士に依頼するメリット

本籍地の変更や国による戸籍の作り直し(改製)で多くの方は、何通もの戸籍を渡り歩いています。

古い戸籍は現在と形式が違っていて読みにくかったり、手書きの達筆な崩し字で書いてあって分かりにくかったりしますから、慣れないと戸籍集めはタイヘンです。

本籍地を何度も変更している方や結婚、離婚、養子縁組、離縁を何度もしている方は、戸籍をたくさん渡り歩いています。

膨大な手間と時間がかかることが多くなります。

役所や法務局の手続では、通常、戸籍や住民票の期限は問われません。

銀行預金の解約など銀行の手続では、銀行独自で期限を設けている場合があります。

集めた戸籍や住民票を手続後、返却してくれる場合、返却してくれない場合があります。

期限があって、かつ、返却してくれるところから優先して手続するといいでしょう。

集めた戸籍や住民票を返却してくれないところをはじめに手続すると、集めた戸籍や住民票の集め直しになるからです。

段取りよく要領よく手続するにはちょっとしたコツがいります。

お仕事や家事でお忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続をおまかせできます。

家族にお世話が必要な方がいて、お側を離れられない方からのご相談もお受けしております。

集めてみたけど途中で挫折した方や全部集めたと思ったのに金融機関や役所からダメ出しされた方もいらっしゃいます。

このような場合、司法書士が目を通して不足分を取り寄せします。

相続人調査でお困りのことがあれば、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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