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事実婚・内縁の配偶者が特別縁故者

2024-07-10

1事実婚・内縁の配偶者は相続人になれない

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続します。

相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することを代襲相続と言います。

②相続人になれるのは法律上の配偶者のみ

配偶者は、必ず相続人になります。

配偶者とは、法律上の配偶者を指します。

事実婚・内縁の配偶者は、相続人になれません。

事実婚・内縁関係の場合は、何年一緒にいても相続人になれません。

事実婚・内縁の配偶者に、相続する権利はないからです。

被相続人に莫大な借金があっても、借金を引き継いでしまうことはありません。

事実婚・内縁の配偶者は莫大な借金を心配して、相続放棄をする必要はありません。

長年一緒にいても、事実婚・内縁の配偶者は相続人ではありません。

被相続人の土地などの不動産を相続することもできません。

離婚して法律上の配偶者でなくなった元配偶者も相続人になれません。

法律上の配偶者でなくなった元配偶者が、離婚後、内縁の配偶者であっても、相続人になれません。

2特別縁故者は相続人不存在のとき財産を受け取る人

相続人になる人は、法律で決まっています。

被相続人が天涯孤独であることがあります。

相続人になる人がまったくいない場合、相続人不存在になります。

相続人不存在の人の財産は、最終的には国庫に帰属します。

相続人がいないから、死亡後の財産は周りの人が好きにするだろうと楽観的に考えているかもしれません。

相続人がいないからと言っていても、実際は家族と疎遠であるとか音信不通になっているだけであることが多いものです。

事実婚・内縁の配偶者は、何十年一緒にいても相続人になれません。

特別縁故者とは、相続人がまったくいないときに被相続人の財産を受け取る人です。

相続人ではないけれど、被相続人と特別親しい関係にあった人は相続財産を受け取ることができます。

相続人がまったくいないときだけ、特別縁故者に財産が分与されます。

相続人が存在する場合、特別縁故者に分与はされません。

相続人が音信不通でも行方不明になっていても、相続人不存在とは言えません。

絶縁していても相続人が存在している場合、相続財産は相続人が相続します。

特別縁故者と認められても、相続財産すべてを分与されるとは限りません。

莫大な相続財産があるのにわずかな財産だけ分与されることがあります。

3特別縁故者に認められるためには証拠が重要

①被相続人と生計同一の人

被相続人と同一世帯の属していた人は、特別縁故者として認められます。

事実婚・内縁の配偶者は、同一世帯で共同生活をしているでしょう。

被相続人と同一世帯で共同生活をしていたことは、住民票などで証明することができます。

事実婚・内縁の配偶者であれば、住民票の続柄欄に「夫(未届)」「妻(未届)」と記載されているでしょう。

「夫(未届)」「妻(未届)」と記載がある住民票は、強力な証拠になります。

住民票には、住所を移した日が記載されます。

長年同居していたことを証明できた場合、特別縁故者として認められやすくなります。

②被相続人の療養看護に努めた人

被相続人の生前に献身的に療養看護などのお世話をした人は、特別縁故者として認められます。

自宅でお世話をした場合だけでなく介護施設などへ通ってお世話をした場合も、認められます。

療養看護などのお世話をしたことは、次の証拠で証明します。

(1)医療費や介護費の請求書や領収書

(2)介護施設などの交通費の領収書

(3)介護施設などとのやり取りの分かるメールや手紙

(4) 介護施設などへ訪問したとき一緒に撮影した写真

特別縁故者に対する相続財産分与の申立てをすれば、特別縁故者に認めてもらえるわけではありません。

家庭裁判所が納得できる客観的な証拠が必要です。

介護施設などとのやり取りの分かるメールがあったとしても、それだけ一つだけでは難しいでしょう。

被相続人の生前に献身的に療養看護などのお世話をしたことを証明するため、できるだけ数多くの証拠を準備しておくことが重要です。

看護師や介護士などが仕事として療養看護に努めた場合、原則として特別縁故者には認められません。

仕事として療養看護に努めた場合、相応の対価や報酬を得ているはずだからです。

対価や報酬の程度を大幅に超えて特別献身的にお世話をした場合は、特別縁故者に認められる可能性があります。

③被相続人と特別な縁故のあった人

被相続人が生前から「遺産は〇〇さんに受け継いでもらいたい」と公言していることがあります。

被相続人は遺言書を作成して遺贈することができます。

遺贈とは、遺言書で相続人や相続人以外の人に財産を受け継いでもらうことです。

現実では遺言書を作成する人は、ごくわずかです。

被相続人の気持ちを生かすため、特別縁故者として認められることがあります。

被相続人と特別な縁故のあった人として認められるのは、典型的には家族同然に暮らしてきた内弟子などです。

被相続人が私財を投じて運営にかかわってきた団体なども被相続人と特別な縁故のあった人として認められる可能性があります。

被相続人と特別な縁故のあったことは、次の証拠で証明します。

(1)特別な縁故のあったことが分かるメール、手紙や写真

(2)被相続人が財産を譲る意思があったことが分かる書類、メール、手紙、日記

④相続人がいたら特別縁故者になれない

特別縁故者は、相続人不存在のとき財産を受け取る人です。

特別縁故者に財産が分与されるのは、相続人がまったくいないときに限られます。

相続人になる人は、法律で決まっています。

法律で決められた相続人がいる場合、絶縁していても不仲であっても相続人が相続します。

相続人がいるから、特別縁故者に財産が分与される余地はありません。

⑤法人も特別縁故者になれる

被相続人と特別な縁故のあった人として、法人が認められることがあります。

被相続人が経営にかかわって発展に尽くした会社に財産を受け継いでもらいたいと思うは自然だからです。

被相続人が生涯をかけて会社や団体の発展に尽くしたことが認められた場合、特別縁故者と認めれることがあります。

4特別縁故者に対する相続財産分与の申立ては家庭裁判所で手続

事実婚・内縁の配偶者は、被相続人と同居し生計同一だったでしょう。

被相続人の生前に献身的に療養看護などのお世話をした人でもあったでしょう。

特別縁故者として認められる条件を満たしていても、自動的に相続財産を引き継ぐことができるわけではありません。

特別縁故者に財産が分与されるのは、家庭裁判所で認められた場合だけだからです。

家庭裁判所から特別縁故者を探してくれることはありません。

相続人不存在の場合、相続財産は国庫に帰属するのが原則です。

相続財産を国庫に帰属させる人は、相続財産清算人と言います。

相続財産清算人から特別縁故者を探してくれることはありません。

特別縁故者として認められる条件を満たしていても、何もしないと何も受け取ることはできません。

相続財産を引き継ぐため、特別縁故者に対する相続財産分与の申立てが必要です。

特別縁故者に対する相続財産分与の申立ては、相続人を探す公告終了から3か月以内にする必要があります。

相続人を探す公告終了がいつになるのか、相続財産清算人と打合せをしておくといいでしょう。

特別縁故者に対する相続財産分与の申立ての前提として、相続財産清算人選任の申立てが必要になります。

特別縁故者は、相続財産清算人選任の申立てをすることができます。

5遺言書を作成すると手続がラク

相続人不存在の場合、相続財産は国庫に帰属するのが原則です。

家庭裁判所に特別縁故者として認められた場合だけ、財産が分与されます。

特別縁故者として認められるか認められないかは、家庭裁判所次第と言えます。

特別縁故者として認められる条件を満たしていたとしても、家庭裁判所に納得してもらえないかもしれません。

家庭裁判所に納得してもらえるだけの証拠を準備できないかもしれません。

充分な証拠を準備できない場合、特別縁故者として認めてはもらえません。

家庭裁判所次第になることから、事実婚・内縁の配偶者が財産を受け取れるかは不確実です。

事実婚・内縁の配偶者が家庭裁判所の手続をするのは、負担が大きいでしょう。

事実婚・内縁の配偶者は、相続人になれません。

事実婚・内縁関係の場合は、何年一緒にいても相続人になれません。

事実婚・内縁の配偶者に財産を受け取ってもらいたい場合、遺言書作成がおすすめです。

家庭裁判所の手続と較べるとはるかにラクです。

遺言書は被相続人の意思があれば、作成することができます。

被相続人に相続人がいる場合でも、遺言書で財産を引き継いでもらうことができます。

事実婚・内縁の配偶者に財産を引き継いでもらいたい場合、遺言書作成は欠かせません。

遺言書があれば、財産を引き継ぐ手続もラクになります。

遺言書が無効にならないようにするため、公正証書遺言がおすすめです。

6遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

家族のさまざまな事情から、事実婚・内縁を選択する人がいます。

事実婚・内縁関係であっても、元気であれば不自由が少なくなっています。

事実婚・内縁の配偶者が死亡した場合、相続人になることはできません。

事実婚・内縁の配偶者に財産を受け継いでもらいたい場合、生前から準備しておくことが重要です。

遺言書は、遺言書の意思を示すものです。

遺言書は遺言者の死後に効力を生じるものなので、厳格な書き方ルールがあります。

厳格な書き方ルールに合わない遺言は、無効になります。

せっかく遺言書を作成するのであれば、公証人が関与する公正証書遺言がおすすめです。

公証人は、法律の専門家です。

公正証書遺言は公証人が文書にするから、書き方ルール違反で無効になることは考えられません。

公正証書遺言を作成する場合、事前に公証役場との打ち合わせが必要になります。

何の準備もせず公証役場に出向いても、遺言書作成をすることはできません。

公正証書遺言の作成は、司法書士などの専門家に依頼することができます。

司法書士などの専門家は、公証役場などの打ち合わせをして遺言書作成をサポートします。

司法書士などの専門家に依頼することで、スムーズに遺言書作成をすることができます。

事実婚・内縁の配偶者に財産を受け継いでもらいたい人は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

養子縁組の解消と相続

2024-07-05

1養子と実子は同じ子ども

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②養子縁組で子どもになる

養子縁組は、血縁関係による親子関係の他に、法律上の親子関係を作る制度です。

養子縁組をした場合、養親と養子は親子になります。

被相続人が養親になる養子縁組をした場合、被相続人と養子は親子です。

養子は、養親の子どもです。

③養子は相続人になる

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

被相続人に養子がいる場合、養子は被相続人の子どもです。

被相続人の養子は、相続人になります。

被相続人に実子がいる場合、もちろん実子は被相続人の子どもです。

被相続人の実子は、相続人になります。

被相続人の実子がいる場合であっても、養子は相続人です。

被相続人に養子と実子がいる場合、養子と実子が相続人になります。

養子と実子は、同じ子どもだからです。

2生前の養子縁組解消で相続人にならない

①当事者の合意で離縁する

養子縁組とは、血縁関係による親子関係の他に、法律上の親子関係を作る制度です。

養親と養子が合意して市区町村役場に届出をして、養子縁組をします。

養親と養子が合意して、養子縁組を解消することができます。

養親と養子が合意して市区町村役場に届出をして、養子縁組を解消します。

養子縁組を解消することを離縁と言います。

離縁をしたら、親子関係がなくなります。

養子縁組を解消する場合、まず当事者が話し合いによる合意をします。

②離縁調停で離縁する

当事者の一方が養子縁組を解消したいのに、相手方に拒否されることがあります。

当事者で養子縁組を解消する話し合いができない場合、離縁調停を申立てをすることができます。

離縁調停とは、家庭裁判所のアドバイスを受けてする当事者の話し合いです。

当事者だけで話し合いをした場合、感情的になってしまうかもしれません。

家庭裁判所の調停委員に話す場合、少し落ち付いて話ができるでしょう。

家庭裁判所の調停委員から公平な意見を根拠にしてアドバイスがされると、納得できるかもしれません。

調停委員から客観的なアドバイスを受けて、当事者の合意を目指します。

当事者で合意ができた場合、合意内容を文書にします。

調停が成立した場合、合意内容は調停調書に取りまとめます。

調停が成立しても、市区町村役場に届出をする必要があります。

調停は、当事者が合意するために家庭裁判所の助力を得ることができるだけだからです。

③裁判による判決で離縁する

当事者が一方的な主張をした場合、当事者の合意ができないことがあります。

当事者の話し合いによる合意ができない場合、訴訟を提起することができます。

離縁を認める事由がある場合、判決によって離縁することができます。

離縁を認める事由を離縁事由と言います。

離縁事由は、次のとおりです。

(1)他の一方から悪意で遺棄されたとき

(2)他の一方の生死が三年以上明らかでないとき

(3)その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき

縁組を継続し難い重大な事由とは、正常な親子関係が破綻して回復の見込みがないことです。

当事者の両方またはどちらかに責任があるときに限られません。

養子縁組の継続を強制しても親子関係の正常化が期待できない場合、離縁事由に該当するとされます。

具体的には、次の事情がある場合、離縁事由があると言えます。

(1)暴行、虐待、重大な侮辱

(2)絶縁、長期間の別居

(3)経済的不和、家業継承などの対立

(4)縁組当事者の夫婦関係の破綻

離縁事由がある場合、判決で離縁することができます。

判決が確定しても、市区町村役場に届出をする必要があります。

②離縁後は相続人にならない

離縁後に相続が発生した場合、元養子は相続人になりません。

元養子は、被相続人の子どもでなくなったからです。

元養親に実子がいる場合、実子はもちろん相続人です。

元養親に実子がいないことがあります。

他の養子がいなければ、子どもがいない場合になります。

被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属が相続人になります。

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。

③特別養子の離縁は家庭裁判所の審判

養子には、2種類あります。

普通養子と特別養子です。

一般的に、単に「養子」と言ったら、普通養子を指していることがほとんどです。

普通養子による養子縁組は、当事者の合意で解消することができます。

特別養子では、養子縁組をした後、血縁関係のある実親との親子関係がなくなります。

特別養子の縁組は、同時に実親との親子の縁を切る重大な決定です。

厳格な要件で、家庭裁判所が決定します。

実の父母による著しい虐待がある場合やその他特別の事情がある場合で、かつ、子の利益のため特に必要があるときに、認められます。

特別養子の離縁は、法律に明記された重大な理由があるときだけ、家庭裁判所が決定します。

養親による著しい虐待がある場合やその他特別の事情がある場合など、厳格な要件があてはまるときだけ離縁が認められます。

離縁を認める厳格な要件に「実父母が相当の監護をすることができること」があります。

監護が必要なのは、未成年だけです。

監護が不要になる成年になったら、離縁は認められません。

3死後の養子縁組解消で養親の相続人になる

①養親が死亡しても養子縁組は終了しない

養親が死亡した場合、何もしなければ親子関係は解消されません。

当事者の一方が死亡しても、親子関係は継続します。

養子縁組の効力がある場合、養子は養親だけでなく、養親の親族も扶養する義務があります。

養親が死亡した後も、養親の親族を扶養する義務があります。

養親が死亡した後に、養子縁組を解消することができます。

当事者の一方が死亡した後に養子縁組を解消することを死後離縁と言います。

死後離縁をした場合、親子関係が終了になります。

死後離縁以降は、養親の親族も扶養する義務がなくなります。

養親が死亡しても、死後離縁をするまで養子縁組は継続します。

②死後離縁をしても養親の相続人

死後離縁とは、養親と養子のどちらかが死亡した後に、養子縁組を解消することです。

養親が死亡した後に、死後離縁をすることができます。

死後離縁をした場合、養子は養親を相続することができます。

養親が死亡した時点で、養子は養親の子どもです。

被相続人の子どもは、相続人になります。

相続が発生したとき、養子縁組が有効だったからです。

死後離縁は、死後離縁以降の親子関係を終了する制度です。

親子関係終了の効果は、さかのぼりません。

養親の死亡時は、養子のままです。

被相続人の子どもです。

死後離縁をしても、養親の相続人になります。

③死後離縁後は養親の実子死亡で相続人にならない

死後離縁は、死後離縁以降の親子関係を終了する制度です。

死後離縁以降に、養親の実子が死亡することがあります。

養親の実子に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合があります。

被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。

養子縁組継続中は、養親と養子は親子です。

養子は、養親の子どもと兄弟姉妹になります。

養親の死亡後で死後離縁をする前に養親の実子が死亡した場合、養子は相続人になります。

死後離縁をした場合、親子関係が終了になります。

養親の子どもと兄弟姉妹でなくなります。

死後離縁をした後に養親の実子が死亡した場合、養子は相続人になりません。

④死後離縁で代襲相続人にならない

死後離縁をすると、死亡した養親の親族との親族関係が終了になります。

死亡した養親の親などの直系尊属が死亡しても、代襲相続人になることはありません。

死亡した養親の兄弟姉妹が死亡しても、代襲相続人になることはありません。

死後離縁をした場合、親子関係が終了になります。

代襲相続ができるのは、被代襲者の直系卑属だけだからです。

④死後離縁は家庭裁判所の許可

養親と養子が合意して、養子縁組を解消することができます。

養親と養子が合意できるのは、養親と養子の両方が生きている間だけです。

養親と養子の一方が死亡した後は、養親と養子が合意することはできません。

養子縁組の当事者の一方が死亡した後、離縁しようとするときは、家庭裁判所の許可が必要です。

死後離縁許可の申立てと言います。

死後離縁許可の申立てができるのは、養子縁組当事者のみです。

死亡した養親の親族が申し立てることはできません。

養親と養子の両方が死亡したら、死後離縁をすることはできません。

養子は15歳未満の場合、離縁した後に法定代理人になる人が代わりに手続きをします。

死後離縁許可の申立先は、申立人の住所地の家庭裁判所です。

家庭裁判所の管轄は、裁判所のホームページで調べることができます。

死後離縁許可の申立書に添付する書類は、次のとおりです。

(1)養親の戸籍謄本

(2)養子の戸籍謄本

書類に問題がなければ、原則として、許可されます。

相続や扶養などで多大な恩恵を受けておきながら扶養を免れたい場合や死亡した養子に幼い子どもがいて離縁すると死亡した養子の子どもに重大な支障がある場合は認められません。

死後離縁許可の申立てをしてから、1~2か月ほどで決定がされます。

死後離縁が認められた場合でも、家庭裁判所から自動的に役所へ連絡されることはありません。

家庭裁判所の手続とは別に、市区町村役場に離縁届を提出する必要があります。

4養子がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続税を減らすために、税金の専門家から養子縁組をすすめられることがあります。

税金を減ることだけ強調されて、他のことに考えが及んでいない方も多いです。

税金について考慮することは大切ですが、税金のメリットだけ注目すると後悔することになるでしょう。

死後離縁を考える人の多くは、生前から親族間の関わり合いで疲れ果てています。

養親のためを思って、何も言えないのです。

死亡した養親の相続で、何も対策していないとトラブルが目に見える形になります。

少なくとも、相続財産の分け方で、相続人全員の合意がなくても、相続手続が進められるようにしておきましょう。

被相続人が遺言書を書いておけば、トラブルは大幅に減ります。

内容不備になることの少ない確実な公正証書遺言を作成することをおすすめします。

家族の幸せを思って築いた財産なのに、トラブルのタネになっては悲しいでしょう。

家族のために、公正証書遺言を作成したい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

特別縁故者が遺産を受け取る要件

2024-07-01

1特別縁故者に財産が分与される

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②相続人不存在なら国庫帰属

相続人になる人は、法律で決まっています。

相続人がまったくいない天涯孤独の人がいます。

相続人はいるけど、相続放棄をすることがあります。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなかったと扱われます。

相続人が不存在の場合、相続財産は国庫に帰属します。

③相続人不存在のとき特別縁故者財産分与の申立て

相続が発生したら、被相続人のものは相続人が相続します。

被相続人が生前に遺言書を作成していることがあります。

遺言書がある場合、遺言書の指示どおりに財産を引き継ぐことができます。

遺言書を作成する人は、多くはありません。

遺言書がない場合、相続財産は国庫に帰属するのが原則です。

特別縁故者とは、被相続人に特別な縁故があった人です。

相続財産を国庫に帰属させるより、特別な関係にあった人に分与した方が適切なことがあります。

相続人不存在である場合、家庭裁判所に対して特別縁故者財産分与の申立てをすることができます。

家庭裁判所に特別縁故者と認められれば、相続財産を分与されます。

2特別縁故者に認められる要件

①生計を同じくしていた人

相続が発生したら、一定の範囲の家族が相続人になります。

相続人になる人は、法律で決められています。

例えば、被相続人に配偶者がいる場合、配偶者は必ず相続人になります。

相続人になる配偶者とは、法律上の配偶者です。

事実婚・内縁の配偶者は、相続人ではありません。

事実婚・内縁の配偶者は、被相続人と一緒に暮らして生計を同じくしていたでしょう。

相続人不存在である場合、特別縁故者に認められる可能性があります。

例えば、配偶者に連れ子がいることがあります。

法律上の配偶者は、相続人になることができます。

連れ子は、被相続人の子どもではありません。

被相続人と連れ子は、当事者が合意すれば養子縁組をすることができます。

養子縁組をした場合、養子は養親の子どもになります。

養親が死亡したとき、養子は相続人になります。

養子は、養親の子どもだからです。

養子縁組をしていない場合、連れ子には親族関係がありません。

被相続人の相続人になることはできません。

連れ子が相続人と一緒に暮らして生計を同じくしていることがあります。

相続人不存在である場合、特別縁故者に認められる可能性があります。

特別縁故者に認められるか家庭裁判所が判断します。

家庭裁判所は、当事者の主張だけでなく客観的な証拠を重視します。

被相続人と一緒に暮らして生計を同じくしていた場合、同一の住民票があるでしょう。

事実婚・内縁の配偶者は、住民票に「夫(未届)」「妻(未届)」と記載してもらえます。

長年同居していたことも、住民票で証明することができます。

長年同居して生計を同じくしている場合、特別な縁故があったと認められやすくなるでしょう。

②被相続人の療養看護につとめた人

療養看護につとめた人とは、被相続人の身の回りの世話を献身的にした人です。

例えば、被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

子どもの配偶者は、相続人ではありません。

被相続人のいとこなども相続人ではありません。

子どもの配偶者やいとこが被相続人の療養看護につとめていることがあります。

親族として助け合いをする以上に献身的に療養看護に努めていた場合、特別縁故者に認められる可能性があります。

被相続人から相当の対価を得ていた場合、献身的とは言えないでしょう。

看護師やヘルパーとして対価を得ていた場合、特別縁故者に認められるのは難しいでしょう。

対価を得ていたものの対価の程度を大きく超えて献身的に尽くしていた場合、特別縁故者に認められる可能性があります。

療養看護につとめたことは、次の書類で証明することができます。

(1)医療費や介護費の領収書

(2)療養看護のための交通費の領収書

(3)被相続人と頻繁に交流していたことが分かる手紙、写真、メール、日記

(4)献身的に療養看護につとめていたことが分かる手紙、写真、メール

③その他被相続人と特別な関係にあった人

特別縁故者とは、被相続人に特別な縁故があった人です。

遺言書がなくても、その人に相続財産を受け継がせるのが適当と考えられる特別な関係がある人は特別縁故者と認められる可能性があります。

例えば、被相続人が生前設立し発展に尽力してきた法人があることがあります。

被相続人が心血注いできた法人は、相続財産を受け継がせるのに適切と考えられるでしょう。

被相続人と特別な関係にあったと認められた場合、特別縁故者に認められることがあります。

他にも、被相続人の家族同然に暮らしてきた内弟子がいることがあります。

被相続人がわが子同然に可愛がっていて、事業を引き継がせたいと常々言っていることがあります。

被相続人が後継者にしたいと考えていた人に、相続財産を受け継がせるのに適切と考えられるでしょう。

被相続人と特別な関係にあったと認められた場合、特別縁故者に認められることがあります。

被相続人と特別な関係にあったことは、次の書類で証明することができます。

(1)被相続人と親密な関係にあったことが分かる手紙、写真、メール、日記

(2)被相続人と頻繁に交流していたことが分かる手紙、写真、メール、日記

(3)被相続人が相続財産を引き継がせる意思があったことが分かる書類

④相続人がいたら特別縁故者は認められない

特別縁故者が認められるのは、相続人が不存在のときだけです。

相続人になる人は、法律で決められています。

家族のさまざまな事情から、被相続人と疎遠になっている家族がいることがあります。

音信不通や行方不明の相続人がいることがあります。

音信不通であっても行方不明であっても、法律で決められた人は相続人になります。

相続財産は、相続人が相続します。

相続人がいるのに、特別縁故者が認められることはありません。

⑤死後の縁故は認められない

特別縁故者とは、被相続人に特別な縁故があった人です。

被相続人の生前に特別な関係があったと認められる人が特別縁故者です。

被相続人が死亡した後、被相続人の遺体を引き取ったり葬儀を行ったりする必要があります。

多くの場合、生前にも特別な関係があった人が遺体を引き取ったり葬儀を行ったりするでしょう。

生前にほとんど関与や交流がなかった人が、遺体を引き取ったり葬儀を行ったりすることがあります。

被相続人に身寄りがないため、葬儀や祭祀を行うような事例です。

被相続人の生前に関与や交流がない場合、特別縁故者に認められません。

遺体を引き取ったり葬儀を行ったりすることは、生前にも特別な関係があったことが推察されます。

生前に特別な関係があったことを主張したうえで、遺体を引き取ったり葬儀を行ったりしたことを主張するといいでしょう。

葬儀は、人生最後の儀式として重要なものです。

被相続人の死亡後に葬儀や祭祀のための費用を負担した場合、合理的な金額であれば相続財産から支払われるのが通常です。

3特別縁故者に対する財産分与の申立ての流れ

①相続財産清算人選任の申立て

相続人がまったくいない場合、相続財産は最終的には国庫に帰属します。

相続財産清算人とは、相続財産を清算して国庫に帰属させる人です。

相続人がまったくいない場合、家庭裁判所に相続財産清算人を選んでもらいます。

②債権者受遺者へ申出の公告

家庭裁判所に選任された相続財産清算人から、債権者や受遺者に対して公告が出されます。

債権者は、お金を払ってもらう権利がある人です。

受遺者は、遺言書で財産を受け取る権利がある人です。

債権者は、相続財産から払ってもらいたいと考えるでしょう。

相続財産清算人は、相続財産から支払をして清算します。

債務者は、お金を払う義務がある人です。

相続人がいれば、相続人が受け取ることができるはずです。

相続財産清算人は、きちんと支払をしてもらって清算します。

③相続人不存在が確定

相続人捜索の公告の期間が満了した場合、相続人不存在が確定します。

特別縁故者に対して財産が分与されるのは、相続人がいないときです。

戸籍謄本で確認するだけでなく、相続人捜索の公告をします。

④特別縁故者に対する財産分与の申立て

相続人不存在が確定した場合、特別縁故者に対する財産分与の申立てをすることができます。

特別縁故者に対する財産分与の申立てができるのは、相続人不存在が確定してから3か月以内です。

3か月を過ぎると、申立てができなくなります。

⑤特別縁故者に対する財産分与の審判

家庭裁判所で特別縁故者として認められた場合、相続財産の一部または全部が分与されます。

特別縁故者として認められなかった場合、相続財産は国庫に帰属します。

4特別縁故者に相続税

特別縁故者が多額の財産を受け取る場合、相続するのではありませんが、相続税の対象になります。

相続税がかかるのは、基礎控除を超える場合です。

相続税の基礎控除=3000万円+600万円×法定相続人の人数

特別縁故者が財産を受け取る場合、法定相続人はいないはずです。

3000万円を超えて財産を受け取ったとき、相続税がかかります。

特別縁故者が相続税を納めるとき、通常時の2割加算がされます。

5遺言書があると手続がラク

被相続人が死亡してから、国庫に帰属するまで1年以上の時間がかかります。

相続財産清算人選任の申立てなど裁判所の手続は、時間と労力がかかります。

特別縁故者に対する相続財産分与の申立てをしても、家庭裁判所は必ずしも認めてくれません。

相続人がいない人は、遺言書を書いて財産の行き先を指定しましょう。

お世話になった役所や慈善団体に寄付をして、財産を活かしてもらうことができます。

財産を受け取ってもらうのは、相続人でなければならないというルールはありません。

近年は、おひとりさまなどが慈善団体への寄付を望むことが多いです。

田舎の山林など寄付する財産の種類によっては、寄付を受けてもらえないこともあります。

使い道が指定してある寄付は自由に使えないから困ると言って断られることもあります。

財産の行き先を決める場合、相手方の都合を聞いて決めましょう。

遺言書を書く前に相談することが必要です。

遺言書の内容を実行するために、遺言執行者も指定しておくと安心です。

6遺言書作成と遺言執行を司法書士に依頼するメリット

相続手続はタイヘンですが、相続人がいない場合もタイヘンです。

相続人がいないから、財産は国に持っていかれて、何もしなくていいと軽く考えがちです。

実際は、被相続人が死亡してから、国庫に帰属するまで1年以上の時間がかかります。

財産の内容によっては、100万円以上の費用の負担があることも見逃せません。

国に持っていかれるよりは、お世話になった人に受け継いでもらいたい、自分の気持ちを活かしてくれる慈善団体などに使ってもらいたいという気持ちがある人もいるでしょう。

お世話になった人に受け継いでもらいたい、自分の気持ちを活かしてくれる慈善団体などに使ってもらいたいという意思は遺言書で実現できます。

お世話になった人に受け継いでもらいたい場合、特別縁故者に対する相続財産分与の申立ができますが、必ずしも認められるとは限りません。

認められても、財産の一部のみの場合もあります。

何より、家庭裁判所に対する手続ですから、一般の人には高いハードルです。

遺言書に、遺贈することを書き、遺言執行者を決めておけば、手間はかかりません。

お世話になった人は待っているだけで済みます。

遺言書は書き方に細かいルールがあります。

細かいルールを守っていないと遺言書は無効になってしまいます。

適切な遺言書作成と遺言執行者選任は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

独身者の相続対策で養子縁組

2024-06-24

1養子縁組で親子になる

①独身の人が養子縁組ができる

養子縁組とは、血縁関係による親子関係の他に、法律上の親子関係を作る制度です。

子どものいない夫婦が養子縁組をする、配偶者の連れ子と養子縁組するといったことは日常的に聞くことあります。

一般的に、単に「養子」と言ったら、普通養子を指していることがほとんどです。

特別養子による養子縁組では、養親は配偶者がいる人であることが条件です。

普通養子による養子縁組には、配偶者の有無は問われません。

独身の人が養親になる養子縁組をすることができます。

独身の人が養子になる養子縁組をすることができます。

独身の人が養子縁組ができます。

②独身の人は特別養子による養子縁組はできない

特別養子では、養子縁組をした後、血縁関係のある実親との親子関係がなくなります。

親子の縁を切る重大な決定なので、厳格な要件で家庭裁判所が決定します。

特別養子が認められる条件は、次のとおりです。

(1)実親の同意があること

(2)養親は配偶者がいること

(3)養親の年齢が25歳以上、夫婦の一方は20歳以上

(4)養子の年齢が15歳未満

(5)6か月以上の監護実績

実の父母による著しい虐待がある場合やその他特別の事情がある場合で、かつ、子の利益のため特に必要があるときに、認められます。

特別養子が認められるのは、家庭裁判所に審判の請求をした時点で養子が15歳未満であることが条件です。

養子が15歳になる前から養親に監護されていた場合、18歳になるまでは審判を請求することができます。

養子が成人になったら、特別養子になることはできません。

独身の人は、特別養子による養子縁組をすることはできません。

③大人同士で養子縁組ができる

養子は、未成年に限るものではありません。

大人同士で、養子縁組をすることができます。

大人同士で養子縁組をする場合、普通養子による養子縁組のみです。

普通養子による養子縁組は、養子縁組後も血縁関係がある実親との親子関係が続きます。

相続対策として養子縁組をする場合、大人同士でしょう。

大人同士で、養子縁組をすることができます。

2養子縁組で相続人になる

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②実子がいても養子は相続人

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

独身の人に実子がいることがあります。

独身の人が認知することがあります。

認知された子どもは、相続人になります。

今は独身でも、結婚歴があることがあります。

離婚した元配偶者が子どもを引き取っていることがあります。

離婚しても、子どもは相続人になります。

被相続人の実子は、被相続人の子どもです。

被相続人の養子は、被相続人の子どもです。

被相続人の子どもに、区別はありません。

被相続人の実子と養子は、相続人になります。

被相続人に実子がいても、養子は相続人です。

③実子と養子は同じ相続分と遺留分

養子縁組をした場合、養子は法律上の親子関係がある子どもです。

子どもに区別はありません。

実子と養子は、同じ相続分です。

被相続人は、原則として、自分の財産をだれに受け継がせるかは自由に決めることができます。

財産は被相続人が自分だけで築いたものではないでしょう。

家族の協力があってこそ、築くことができた財産のはずです。

被相続人の名義になっているからといって、まったく無制約の自由にすることはできません。

今まで協力してきた家族に酷な結果となることがあるからです。

被相続人に近い関係の相続人には、相続財産に対して最低限の権利が認められています。

相続財産に対して、認められる最低限の権利を遺留分と言います。

兄弟姉妹以外の相続人には、遺留分が認められています。

遺留分が認められている相続人を遺留分権利者と言います。

被相続人の子どもが相続人になる場合、子どもは遺留分権利者です。

子どもに区別はありません。

実子と養子は、同じ遺留分です。

実子と養子は、同じ相続分と遺留分です。

3普通養子による養子縁組の条件

①成人同士の養子縁組は当事者の合意が重要

成人同士で養子縁組をする場合、特別な条件はありません。

成人同士の養子縁組で重要な条件は、次のとおりです。

(1)養親になる人と養子になる人の合意

(2)養子縁組届を提出

(3)養子は尊属や年長者でない

(4) 養子が結婚しているときは配偶者の同意

普通養子による養子縁組の条件は、他にもたくさんあります。

(5)養親は20歳以上

(6)未成年者を養子にするときは家庭裁判所の許可

(7)結婚している人が未成年者を養子にするときは夫婦共同縁組

(8)後見人が被後見人を養子にするときは家庭裁判所の許可

独身者が相続対策で養子縁組をするときは、あまり気にしなくてもいいでしょう。

②養子の人数に法律上の制限はない

養親になる人と養子になる人の合意で、養子縁組することができます。

養親は、複数の養子と養子縁組をすることができます。

養子縁組の数に、法律上の制限はありません。

養子は、養親の子どもです。

養親が死亡したときに、養子は相続人になります。

被相続人の財産規模によっては、相続税の対象になるでしょう。

相続税を計算する場合、養子の数に制限があります。

被相続人に実子がいる場合、養子は1人までです。

被相続人に実子がいない場合、養子は2人までです。

上記の養子の数の制限は、相続税を計算するときだけの話です。

被相続人に実子がいても、複数の養子がいることがあります。

複数の養子全員が被相続人の子どもです。

被相続人の子ども全員が相続人です。

養子縁組の数に、法律上の制限はないからです。

③養親の人数に法律上の制限はない

養子縁組の数に、法律上の制限はありません。

養子は、複数の養親と養子縁組をすることができます。

養子は、養親の子どもです。

養親が死亡したときに、養子は相続人になります。

最初の養親が死亡したときに、養子は相続人になります。

次の養親が死亡したときに、養子は相続人になります。

最初の養親にとっても次の養親にとっても、養子は子どもだからです。

実親が死亡したときに、普通養子による養子は相続人になります。

実親にとっても、養子は子どもだからです。

子どもは、相続人になります。

養親の人数に法律上の制限は、ありません。

④養子の年齢に制限はない

養親になれるのは、20歳以上の人です。

養子になる人に、年齢制限はありません。

養親より年長者が養子になれないだけです。

高齢者になっても、養子になることができます。

⑤養子縁組に収入要件はない

養子縁組をする場合、収入の基準はありません。

養親になる人も養子になる人も、収入による制限はありません。

4独身者の相続対策で養子縁組をするときの注意点

①養子は相続人になる

独身の人は、子どもがいないことが多いでしょう。

被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属が相続人になります。

被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。

独身の人が高齢である場合、兄弟姉妹が相続人になることが多いでしょう。

独身の人が養子縁組をした場合、養子は子どもです。

養子は、相続人になります。

子どもが相続人になる場合、兄弟姉妹は相続人になりません。

相続が発生するまで養子の存在を知らなかった場合、大いに戸惑うでしょう。

兄弟姉妹が財産を相続できると期待していた場合、相続トラブルに発展するおそれがあります。

②相続人が変わると税金に影響

相続人が変わると税金に影響

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

被相続人に養子がいる場合、養子は相続人です。

養子は、被相続人の子どもだからです。

被相続人に実子がいる場合、養子縁組をすると実子と養子が相続人になります。

相続人が増えると相続税を減らすことができます。

この点を過度に強調して、養子縁組をすすめられることがあります。

被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。

兄弟姉妹が相続人になるはずだったのに、養子縁組をすると養子が相続人になります。

例えば、兄弟姉妹4人が相続人になるはずだったのに、養子1人が相続人になることがあります。

養子縁組をした場合、相続税の基礎控除額は少なくなります。

兄弟姉妹4人なら5400万円、養子1人なら3600万円だからです。

相続税の基礎控除額が少なくなると、たくさんの相続税を納める必要があります。

基礎控除額だけでなく、生命保険の非課税額、退職金の非課税枠なども少なくなります。

大人同士の養子縁組で、税金に影響があります。

③養子が先に死亡

独身の人が相続対策で養子縁組をする場合、養子に相続人になってもらうことを期待しているでしょう。

人の生死は、だれにも予想できません。

養子が先に死亡することがあります。

一般的に、相続人になるはずだった子どもが先に死亡した場合、子どもの子どもが相続します。

これを代襲相続と言います。

養子が先に死亡した場合、養子の子どもが代襲相続できるときと代襲相続ができないときがあります。

代襲相続人になるのは、被相続人の卑属のみです。

被相続人の養子は、被相続人の子どもだから被相続人の卑属です。

被相続人の養子の子どもは、被相続人の卑属である場合と被相続人の卑属でない場合があるからです。

養子縁組をしたときすでに誕生していた子どもは、原則として、被相続人の卑属になりません。

養子縁組をした後に誕生した子どもは、被相続人の卑属になります。

被相続人の卑属は、代襲相続をすることができます。

相続が発生したとき、養子が先に死亡している場合、代襲相続ができます。

④養子縁組で養子は養親の氏

養子縁組をすると、養子は養親の氏を名乗ります。

成人同士で養子縁組をしても、養子は養親の氏を名乗ります。

成人同士で養子縁組をした場合、氏が変更される点に注意する必要があります。

氏の変更は、社会生活上の負担が大きいからです。

養子になる人が結婚していても戸籍の筆頭者の場合、養親の氏に変更されます。

戸籍の筆頭者が養親の氏に変わるから、養子の配偶者の氏も自動で変更されます。

養子になる人が戸籍の筆頭者の配偶者である場合、養親の氏でなく婚姻時に決めた氏を名乗ります。

養子に子どもがいる場合、養子の子どもの氏は自動で変更されません。

養子の子どもの氏を変更したい場合、別の手続が必要です。

⑤養子縁組解消には当事者の同意が必要

養子縁組は、養親になる人と養子になる人の合意で親子関係を作る制度です。

離縁は、養親と養子の合意で親子関係を解消する制度です。

原則として、養子縁組を解消するためには、当事者の合意が必要です。

養子縁組をした後で養子縁組を解消したくなることがあります。

当事者が合意できない場合、家庭裁判所の助力が必要になります。

5相続人調査を司法書士に依頼するメリット

本籍地の変更や国による戸籍の作り直し(改製)で多くの方は、何通もの戸籍を渡り歩いています。

古い戸籍は現在と形式が違っていて、読みにくいものです。

手書きの達筆な崩し字で書いてあって、分かりにくいものです。

慣れないと、戸籍謄本集めはタイヘンです。

本籍地を何度も変更している方や結婚、離婚、養子縁組、離縁を何度もしている方は、戸籍をたくさん渡り歩いています。

戸籍謄本を集めるだけで、膨大な手間と時間がかかります。

戸籍には被相続人の結婚や離婚、子どもや養子の存在といった身分関係がすべて記録されています。

ときには、家族の方が知らない相続人が明らかになることもあります。

相続が発生した後に、認知を求めて裁判になることもあります。

相続人を確定させるために戸籍謄本を集めるだけでも、知識のない一般の人にはタイヘンな作業です。

家族の方が知らない相続人が明らかになると、精神的な負担はさらに大きいものになります。

相続手続のうち、専門家に任せられるものは任せてしまえば、事務負担を軽減することができます。

戸籍謄本や住民票の取り寄せも司法書士は代行します。

相続人調査でお困りの方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

特別縁故者に対する相続財産分与の申立て

2024-06-10

1相続人になる人は法律で決まっている

①相続人になる人

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続します。

相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することを代襲相続と言います。

(1)~(4)の関係の親族は、行方不明であっても、お葬式に来なくても、相続人です。

②相続人になれない人

相続人になれない人は、次のとおりです。

(1)事実婚・内縁関係の配偶者

(2)配偶者の連れ子

(3)養子縁組はしていない事実上の養子

(4)認知していない子ども

(5)子どもの配偶者や配偶者の親など血縁関係がない人

相続人になる人は、法律で決まっています。

民法で決められた人以外の人は、相続人になれません。

2特別縁故者になれる人

①特別縁故者とは

相続が発生したら、被相続人のものは相続人が相続します。

相続人になる人は、法律で決まっています。

法律で決められた相続人がまったくいないケースがあります。

法律で決められた相続人はいるけど、相続人全員が相続放棄することがあります。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、相続放棄をした人ははじめから相続人でなかったと扱われます。

相続人がまったくいない場合、相続財産は最終的には国庫に帰属します。

国庫に帰属するより、被相続人と特別な関係にあった人に分与した方がいいことがあります。

被相続人と特別な関係があったと認められた場合、特別縁故者として相続財産の一部または全部の分与を受けることができます。

特別縁故者として相続財産の分与を受けるためには、家庭裁判所で認められる必要があります。

相続人がいない場合であっても、勝手に財産を引き継ぐことはできません。

②被相続人と生計を同じくしていた者

被相続人と生計を同じくしていた人とは、同一家計で生活していた人です。

被相続人と同居して、事実上、家族として暮らしていた人が該当します。

例えば、次の人が該当します。

(1)事実婚・内縁の配偶者

(2)同性パートナー

(3)配偶者の連れ子

(4)養子縁組はしていない事実上の養子

(5)認知していない子ども

③被相続人の療養看護に努めた者

療養看護に努めたとは、献身的に被相続人のお世話をしたことです。

被相続人が介護施設に入居している場合であっても、頻繁に施設に出向いてお世話していた人は特別縁故者と認められる可能性があります。

相続人でない人が私生活を犠牲にして被相続人に貢献している場合、特別縁故者として認められることがあります。

看護師や介護ヘルパーなどが報酬を得てお世話をしていた場合、特別縁故者となるのは難しいでしょう。

報酬を得てお世話をしていた場合、報酬以上に献身的にお世話をしていたことが要件になります。

④その他被相続人と特別の縁故のあった者

被相続人が生前どのような生活をしていたかは、人それぞれです。

被相続人の生活状況を考えて、相続財産を分与することが相当であることがあります。

上記の人と同様な特別な縁故があると認められる場合、特別縁故者になることができます。

⑤死後の縁故は特別縁故者と認められない

生前被相続人と疎遠であった人が葬儀や埋葬などに尽力することがあります。

葬儀や埋葬などに多額の費用を負担した場合、原則として、特別縁故者とは認められません。

もともと、お葬式の費用は喪主などお葬式を出す人が負担するものだからです。

相続財産があるからと言って、特別縁故者となるのは筋違いだからです。

⑥法人は特別縁故者になれる

被相続人の療養看護に努めた者は、特別縁故者として認められます。

被相続人の療養看護に努めた人が法人であるケースがあります。

特別縁故者は、自然人に限定されていません。

法人であっても法人格のない社団であっても、家庭裁判所に認められる可能性があります。

⑦相続人がいるときは特別縁故者に認められない

特別縁故者が認められるのは、法律で決められて相続人がいない場合に限られます。

相続人がいない場合とは、はじめから不存在であるか相続人全員が相続放棄をした場合です。

相続人は存在するけど疎遠である場合、相続人がいない場合ではありません。

相続人は存在するけど音信不通である場合、相続人がいない場合ではありません。

相続人は存在するけど行方不明の場合、相続人がいない場合ではありません。

相続人がいる場合、特別縁故者に認められることはありません。

3特別縁故者が財産分与を受けるまでの流れ

①相続財産清算人選任の申立て

相続人がまったくいない場合、相続財産は最終的には国庫に帰属します。

相続財産清算人とは、相続財産を清算して国庫に帰属させる人です。

相続人がまったくいない場合、家庭裁判所に相続財産清算人を選んでもらいます。

相続財産を清算する人を家庭裁判所に選んでもらうことを相続財産清算人選任の申立てと言います。

家庭裁判所が相続財産清算人を選任した場合、官報で公告します。

この公告で、相続人捜索の公告も一緒にします。

②債権者受遺者へ申出の公告

家庭裁判所に選任された相続財産清算人から、債権者や受遺者に対して公告が出されます。

債権者は、お金を払ってもらう権利がある人です。

受遺者は、遺言書で財産を受け取る権利がある人です。

被相続人が払うべきお金を払わないまま死亡することがあります。

債権者は、相続財産から払ってもらいたいと考えるでしょう。

相続財産清算人は、相続財産から支払をして清算します。

被相続人が受け取るべきお金を受け取らないまま死亡することがあります。

相続人がいれば、相続人が受け取ることができるはずです。

相続財産清算人は、きちんと支払をしてもらって清算します。

③相続人不存在が確定

相続人捜索の公告の期間が満了した場合、相続人不存在が確定します。

特別縁故者に対して財産が分与されるのは、相続人がいないときです。

相続人がまったくいないと思っていても、戸籍謄本などで確認する必要があります。

戸籍謄本で確認するだけでなく、相続人捜索の公告をします。

ここまで手続を履んで、相続人不存在と言えます。

④特別縁故者に対する財産分与の申立て

相続人不存在が確定した場合、特別縁故者に対する財産分与の申立てをすることができます。

特別縁故者に対する財産分与の申立てができるのは、相続人不存在が確定してから3か月以内です。

3か月を過ぎると、申立てができなくなります。

⑤特別縁故者に対する財産分与の審判

家庭裁判所で特別縁故者として認められた場合、相続財産の一部または全部が分与されます。

特別縁故者として認められなかった場合、相続財産は国庫に帰属します。

4特別縁故者に対する財産分与の申立ての方法

①申立てができる人

特別縁故者になれる人で説明したとおりです。

②申立先

被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

家庭裁判所の管轄は、裁判所のホームページで確認することができます。

③申立てに必要な書類

特別縁故者に対する財産分与の申立書に添付する書類は、次のとおりです。

(1)申立人の戸籍謄本

(2)被相続人の戸籍謄本

④申立手数料

特別縁故者に対する財産分与の申立てにかかる手数料は、800円です。

収入印紙を申立書に貼り付けて納入します。

収入印紙は、貼るだけで消印はしません。

申立書を受け付けたとき、家庭裁判所の人が消印をします。

手数料とは別に、予納郵券を納入します。

予納郵券とは、裁判所が手続で使う郵便切手です。

裁判所や手続の種類によって、納入する切手の種類や枚数がちがいます。

裁判所のホームページを見ると、納入する切手の種類や枚数が記載されていることがあります。

5特別縁故者の相続税

特別縁故者が多額の財産を受け取る場合、相続するのではありませんが、相続税の対象になります。

相続税がかかるのは基礎控除を超える場合です。

相続税の基礎控除=3000万円+600万円×法定相続人の人数

特別縁故者が財産を受け取る場合、法定相続人はいないはずです。

3000万円を超えて財産を受け取ったとき、相続税がかかります。

特別縁故者が相続税を納めるとき、通常時の2割加算がされます。

6遺言書があると手続がラク

被相続人が死亡してから、国庫に帰属するまで1年以上の時間がかかります。

相続財産清算人選任の申立てなど裁判所の手続は、時間と労力がかかります。

特別縁故者に対する相続財産分与の申立てをしても、家庭裁判所は必ずしも認めてくれません。

相続人がいない人は、遺言書を書いて財産の行き先を指定しましょう。

お世話になった役所や慈善団体に寄付をして、財産を活かしてもらうことができます。

財産を受け取ってもらうのは、相続人でなければならないというルールはありません。

近年は、おひとりさまなどが慈善団体への寄付を望むことが多いです。

田舎の山林など寄付する財産の種類によっては、寄付を受けてもらえないこともあります。

使い道が指定してある寄付は自由に使えないから困ると言って断られることもあります。

財産の行き先を決める場合、相手方の都合を聞いて決めましょう。

遺言書を書く前に相談することが必要です。

遺言書の内容を実行するために、遺言執行者も指定しておくと安心です。

7遺言書作成と遺言執行を司法書士に依頼するメリット

相続手続はタイヘンですが、相続人がいない場合もタイヘンです。

相続人がいないから、財産は国に持っていかれて、何もしなくていいと軽く考えがちです。

実際は、被相続人が死亡してから、国庫に帰属するまで1年以上の時間がかかります。

財産の内容によっては、100万円以上の費用の負担があることも見逃せません。

国に持っていかれるよりは、お世話になった人に受け継いでもらいたい、自分の気持ちを活かしてくれる慈善団体などに使ってもらいたいという気持ちがある人もいるでしょう。

お世話になった人に受け継いでもらいたい、自分の気持ちを活かしてくれる慈善団体などに使ってもらいたいという意思は遺言書で実現できます。

お世話になった人に受け継いでもらいたい場合、特別縁故者に対する相続財産分与の申立ができますが、必ずしも認められるとは限りません。

認められても、財産の一部のみの場合もあります。

何より、家庭裁判所に対する手続ですから、一般の人には高いハードルです。

遺言書に、遺贈することを書き、遺言執行者を決めておけば、手間はかかりません。

お世話になった人は待っているだけで済みます。

遺言書は書き方に細かいルールがあります。

細かいルールを守っていないと遺言書は無効になってしまいます。

適切な遺言書作成と遺言執行者選任は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

養子縁組の条件

2024-05-31

1普通養子と特別養子のちがい

①普通養子は実親との親子関係が継続する

養子縁組とは、血縁関係による親子関係の他に、法律上の親子関係を作る制度です。

養子には、2種類あります。

普通養子と特別養子です。

子どものいない夫婦が養子縁組をする、配偶者の連れ子と養子縁組するといったことは日常的に聞くことあります。

一般的に、単に「養子」と言ったら、普通養子を指していることがほとんどです。

普通養子による養子縁組をした場合、血縁関係のある実親との親子関係は継続します。

普通養子は、養親も相続するし実親も相続します。

普通養子は、実親の子どもで、かつ、養親の子どもだからです。

普通養子は、実親との親子関係が継続します。

②特別養子は実親との親子関係が終了する

特別養子による養子縁組をした場合、血縁関係のある実親との親子関係が終了します。

特別養子による養子縁組は、親子の縁を切る重大な決定です。

厳格な要件で、家庭裁判所が決定します。

実の父母による著しい虐待がある場合やその他特別の事情がある場合で、かつ、子の利益のため特に必要があるときに、認められます。

特別養子は、養親を相続しますが実親は相続しません。

配偶者の嫡出子である実子と特別養子縁組をする場合、特別養子は実親である養親の配偶者との親子関係が存続します。

実親である養親の配偶者が死亡した場合、特別養子は相続人になります。

実親である養親の配偶者が死亡した後、実親である養親の配偶者の親が死亡した場合、代襲相続人になります。

特別養子は、実親の子どもでなくなり、養親の子どもです。

特別養子は、実親との親子関係が終了します。

2普通養子による養子縁組の条件

①養親になる人と養子になる人の合意

養子縁組をするためには、当事者の合意が不可欠です。

養子になる人が15歳未満の場合、自分で判断することはできません。

養子になる人の代わりに、親などの親権者が承諾します。

②養子縁組届を提出

養子縁組は、市区町村役場に養子縁組届を提出することで成立します。

養子縁組届の押印は、任意です。

養子縁組の当事者と証人の署名があれば、だれが市区町村役場に持って行っても差し支えありません。

持って行く人は、使者だからです。

持って行くだけであれば、委任状は不要です。

提出先は、養親または養子の本籍地か住所地の市区町村役場です。

③養親は20歳以上

養親になれるのは、20歳以上の人です。

成年になるのは、18歳です。

成年が18歳になっても、養親になるのは20歳以上です。

養親の年齢に、上限はありません。

④養子は尊属や年長者でない

尊属は、養子になることができません。

尊属とは、前の世代の血族です。

本人から見て、父母や祖父母は前の世代の血族です。

年長者は、養子になることができません。

年少者であっても、尊属は養子になることはできません。

伯叔父や伯叔母が年少であることがあります。

伯叔父や伯叔母は、尊属です。

伯叔父や伯叔母が年少であっても、養子になることはできません。

⑤未成年者を養子にするときは家庭裁判所の許可

未成年者を養子にする場合、家庭裁判所の許可が必要です。

養子になる人が自分の卑属や配偶者の卑属である場合、家庭裁判所の許可は不要です。

⑥結婚している人が未成年者を養子にするときは夫婦共同縁組

結婚している人が未成年者を養子にする場合、夫婦が共同で養子縁組をします。

未成年者を養子にする場合、家庭裁判所の許可が必要です。

家庭裁判所の許可を得ても、夫婦ともに養親になる必要があります。

配偶者の連れ子と養子縁組をする場合、夫婦共同縁組をする必要がありません。

⑦養親または養子が結婚しているときは配偶者の同意

養親または養子が結婚している場合、配偶者の同意が必要です。

結婚している人が未成年者を養子にする場合、夫婦が共同で養子縁組をします。

結婚している人が未成年者を養子にする場合でなければ、夫婦共同縁組をする必要はありません。

配偶者の同意を得るだけで済みます。

⑧後見人が被後見人を養子にするときは家庭裁判所の許可

後見人が被後見人を養子にする場合、家庭裁判所の許可が必要です。

後見人の任務が終了した後でも、管理の計算が終わらない間は家庭裁判所の許可が必要です。

家庭裁判所の強化が必要なのは、成年後見人と未成年後見人の両方です。

⑨養子の年齢に制限はない

養親になれるのは、20歳以上の人です。

養子になる人に、年齢制限はありません。

養親より年長者が養子になれないだけです。

高齢者になっても、養子になることができます。

⑩独身の人が養子縁組ができる

普通養子による養子縁組をする場合、独身の人が養親になることができます。

養親または養子が結婚している場合、配偶者の同意が必要です。

配偶者がいない人が養親になれないという意味はありません。

特別養子による養子縁組をする場合、独身の人が養親になることができません。

⑪養子の人数に法律上の制限はない

養親になる人と養子になる人の合意で、養子縁組することができます。

養親は、複数の養子と養子縁組をすることができます。

養子縁組の数に、法律上の制限はありません。

養子は、養親の子どもです。

養親が死亡したときに、養子は相続人になります。

被相続人の財産規模によっては、相続税の対象になるでしょう。

相続税を計算する場合、養子の数に制限があります。

被相続人に実子がいる場合、養子は1人までです。

被相続人に実子がいない場合、養子は2人までです。

上記の養子の数の制限は、相続税を計算するときだけの話です。

被相続人に実子がいても、複数の養子がいることがあります。

複数の養子全員が被相続人の子どもです。

被相続人の子ども全員が相続人です。

養子縁組の数に、法律上の制限はないからです。

⑫養親の人数に法律上の制限はない

養子縁組の数に、法律上の制限はありません。

養子は、複数の養親と養子縁組をすることができます。

養子は、養親の子どもです。

養親が死亡したときに、養子は相続人になります。

最初の養親が死亡したときに、養子は相続人になります。

次の養親が死亡したときに、養子は相続人になります。

最初の養親にとっても次の養親にとっても、養子は子どもだからです。

実親が死亡したときに、普通養子による養子は相続人になります。

実親にとっても、養子は子どもだからです。

子どもは、相続人になります。

養親の人数に法律上の制限は、ありません。

⑬養子縁組に収入要件はない

養子縁組をする場合、収入の基準はありません。

養親になる人も養子になる人も、収入による制限はありません。

養親になる人が共働きであっても、問題にはなりません。

3特別養子による養子縁組の条件は厳しい

①養親は結婚している人であること

特別養子の養親になるためには、配偶者がある人でなければなりません。

配偶者は法律上の配偶者に限られます。

内縁・事実婚の配偶者や同性パートナーは、特別養子を迎えることはできません。

夫婦共同で養親になる必要があります。

養子が一方の血縁関係のある嫡出子である場合は、配偶者のみ特別養子になることができます。

②養親は25歳以上であること

特別養子の養親になるためには、養親は25歳以上でなければなりません。

夫婦のうち一方が25歳以上であれば他方が25歳未満であっても、構いません。

③養子は15歳未満であること

特別養子の申立てをする時点で15歳であれば特別養子になることができます。

家庭裁判所が特別養子を成立させるまでに18歳になってしまったら特別養子になることはできません。

養子が15歳になる前から引き続き監護をされている場合で、かつ、やむを得ない理由で特別養子の申立てができなかった場合は特別養子になることができます。

やむを得ない理由があるかは、家庭裁判所が決定します。

やむを得ない理由があると認められて、かつ、養子が18歳未満であれば特別養子になることができます。

④養子が15歳以上であれば養子の同意があること

特別養子は子どもの福祉のために成立させる制度です。

15歳未満であれば養子の同意は必要ありませんが、子どもの意思は重視されます。

⑤実親の同意があること

特別養子では、養子縁組をした後、血縁関係のある実親との親子関係がなくなります。

実親の同意が必要になります。

次の場合は、実親の同意は必要ありません。

(1)父母が意思表示ができないとき

(2)父母による虐待、悪意の遺棄があるとき

(3)養子となる子どもの利益を著しく害するとき

一定の条件がある場合、父母の同意は撤回することができません。

⑥監護期間が6か月以上あること

養親による監護期間が6か月以上あることが条件になります。

養親による監護期間がスタートしたときには、実親が特別養子に同意していなくても構いません。

実親が特別養子に同意するか同意しないか分からない状態で、監護をスタートするのは精神的に負担が大きいものです。

4成人同士の養子縁組の条件

①成人同士の養子縁組は普通養子のみ

養子縁組には、普通養子と特別養子の2種類があります。

特別養子による養子は、15歳未満であることであることが条件です。

普通養子による養子は、年齢制限がありません。

成人同士が養子縁組をする場合、普通養子による養子縁組だけです。

②成人同士の養子縁組は当事者の合意が重要

成人同士で養子縁組をする場合、特別な条件はありません。

成人同士の養子縁組で重要な条件は、次のとおりです。

(1)養親になる人と養子になる人の合意

(2)養子縁組届を提出

(3)養子は尊属や年長者でない

養子縁組の条件は、先に説明したとおりです。

成人同士で養子縁組をする場合、あまり考慮する必要がないものが多いでしょう。

③養子縁組をすると養親の氏

養子縁組をすると、養子は養親の氏を名乗ります。

成人同士で養子縁組をしても、養子は養親の氏を名乗ります。

成人同士で養子縁組をした場合、氏が変更される点に注意する必要があります。

氏の変更は、社会生活上の負担が大きいからです。

養子になる人が結婚していても戸籍の筆頭者の場合、養親の氏に変更されます。

戸籍の筆頭者が養親の氏に変わるから、配偶者の氏も自動で変更されます。

養子になる人が戸籍の筆頭者の配偶者である場合、養親の氏でなく婚姻時に決めた氏を名乗ります。

養子に子どもがいる場合、養子の子どもの氏は自動で変更されません。

養子の子どもの氏を変更したい場合、別の手続が必要です。

5相続人調査を司法書士に依頼するメリット

本籍地の変更や国による戸籍の作り直し(改製)で多くの方は、何通もの戸籍を渡り歩いています。

古い戸籍は現在と形式が違っていて、読みにくいものです。

手書きの達筆な崩し字で書いてあって、分かりにくいものです。

慣れないと、戸籍集めはタイヘンです。

本籍地を何度も変更している方や結婚、離婚、養子縁組、離縁を何度もしている方は、戸籍をたくさん渡り歩いています。

戸籍謄本を集めるだけで、膨大な手間と時間がかかります。

戸籍には被相続人の結婚や離婚、子どもや養子の存在といった身分関係がすべて記録されています。

時には、家族の方が知らない相続人が明らかになることもあります。

相続が発生した後に、認知を求めて裁判になることもあります。

相続人を確定させるために戸籍を集めるだけでも、知識のない一般の人にはタイヘンな作業です。

家族の方が知らない相続人が明らかになると、精神的な負担はさらに大きいものになります。

相続手続のうち、専門家に任せられるものは任せてしまえば、事務負担を軽減することができます。

戸籍や住民票の取り寄せも司法書士は代行します。

相続人調査でお困りの方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

特別失踪(危難失踪)は危難が去ってから1年で申立て

2024-05-27

1失踪宣告には普通失踪と特別(危難) 失踪がある

①普通失踪は生死不明7年で死亡

一般的に失踪宣告といった場合、普通失踪を指しています。

生死不明の期間を失踪期間と言います。

普通失踪では、失踪期間が7年必要です。

生死不明のまま7年経過した場合に、自動的に死亡と見なされるわけではありません。

家庭裁判所が失踪宣告したときに、死亡と見なされます。

②特別失踪(危難失踪)は事故や災害で生死不明

行方不明の人が大災害や大事故にあっていることがあります。

大災害や大事故に遭った場合、死亡している可能性が非常に高いものです。

特別失踪(危難失踪)とは、次の事情がある人が対象です。

(1)戦地に行った者

(2)沈没した船舶に乗っていた者

(3)その他死亡の原因となる災難に遭遇した者

死亡している可能性が非常に高いので、失踪期間は短い期間です。

特別 (危難) 失踪では、失踪期間が1年です。

生死不明のまま1年経過した場合に、自動的に死亡と見なされるわけではありません。

家庭裁判所が失踪宣告したときに、死亡と見なされます。

③失踪宣告をしなかったら行方不明のまま

相当長期間、行方不明になっている場合、死亡している可能性が高い場合があります。

条件を満たした場合、死亡の取り扱いをすることができます。

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告がされたら、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。

長期間行方不明であっても失踪宣告をしなかったら、単に行方不明のままです。

相当長期間行方不明であっても死亡と扱うことはできません。

生きている扱いがされるから、行方不明の人の財産は行方不明の人のものです。

他の人が勝手に処分することはできません。

④残された家族のため失踪宣告

行方不明が長期化した場合、家族が困ります。

家族であっても、行方不明の人の財産を処分することができません。

行方不明者の配偶者は、再婚することができません。

残された家族のために、行方不明者を死亡したものと扱う制度が失踪宣告の制度です。

失踪宣告がされると、死亡した取り扱いをします。

失踪宣告がされた人に、相続が発生します。

行方不明者の配偶者は死別した扱いになるから、再婚をすることができます。

2特別 (危難) 失踪は危難が去ってから1年で申立て

①特別 (危難) 失踪になる危難とは

大災害や大事故に遭った場合、死亡している可能性が非常に高いものです。

死亡している可能性が非常に高い危難が特別失踪(危難失踪)になる危難です。

民法には、戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者と例示されています。

飛行機やヘリコプターの墜落事故に遭遇した場合、死亡の原因となるべき危難と言えます。

大災害にあった人は、死亡の原因となるべき危難に遭遇した者と言えるでしょう。

例えば、大地震や水害、土砂崩れ、雪崩などです。

大災害でなくても、登山中に行方不明になることがあります。

山の天候は、急変しやすく予想が難しいでしょう。

行方不明になった人の登山経験や登山技術から充分な装備を携行していないことがあります。

登山ルートや標高によっては、凍死する危険があるでしょう。

死亡の原因となるべき危難があったと認められることがあります。

特別 (危難) 失踪になる危難とは、死亡している可能性が非常に高い危難です。

②失踪宣告は利害関係人が申立て

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

人を死亡と見なす手続だから、非常に強い効果があります。

自動的に、失踪宣告がされることはありません。

失踪宣告の申立てをすることができる人は、限定されています。

失踪宣告の申立てができるのは、利害関係人だけです。

法律には利害関係人と書いてありますが、法律上の利害関係がある人と解釈されています。

相当長期間行方不明であっても、家族が行方不明の人の帰りを待っていることがあります。

失踪宣告を受けた人は、死亡と扱われます。

帰ってくると信じて待っている家族にとって、死亡扱いを強制するのは酷でしょう。

検察官は、失踪宣告の申立て人にはなれません。

失踪宣告は、利害関係人からの申立てが必要です。

③1年経過後に失踪宣告の申立て

相当長期間行方不明の場合、家族の気持ちに整理をつけるために失踪宣告の申立てをすることができます。

家族の気持ちの整理がつかないと、失踪宣告の申立てはできないでしょう。

危難が去ってから1年経過以上経過した後であれば、失踪宣告の申立てをすることができます。

1年以上経過した後さらに長期間経過してから、失踪宣告の申立てをすることができます。

④死亡と見なされる日は危難が去ったとき

特別失踪(危難失踪)は、大災害や大事故に遭ったときの失踪宣告です。

大災害や大事故に遭った場合、非常に死亡の可能性が高いものです。

特別失踪(危難失踪)では、危難が去ったときに死亡と見なされます。

危難が去った日が失踪宣告と受けた人の死亡日です。

現実的には、大災害や大事故に遭ったときは危難が去ったときと言えるでしょう。

失踪宣告の申立ては、危難が去ってから1年以上経過してから提出します。

1年経過したときに死亡と見なされるわけではありません。

1年以上経過してから申立てをするけど、死亡と見なされる日は危難が去った日です。

⑤死亡と見なされる日に相続が開始する

失踪宣告がされると、死亡した取り扱いをします。

失踪宣告がされた人に、相続が発生します。

死亡と見なされる日で相続が発生します。

家族の気持ちの整理がつかないと、失踪宣告の申立てをするまでに長期間経過していることがあります。

危難が去ってから失踪宣告を受けるまでの前後で家族が死亡することがあります。

死亡と見なされる日の前に相続人になるはずだった人が死亡した場合、代襲相続が発生します。

死亡と見なされる日の後に相続人が死亡した場合、数次相続が発生します。

相続が発生した場合、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

だれが相続人になるのかよく確認することが大切です。

3認定死亡で死亡と見なされる

①行政機関の報告に基づいて認定死亡

人が死亡した場合、通常、医師が死亡の確認をします。

海難事故や震災などで死亡は確実であっても遺体を確認できない場合があります。

遺体が見つからない場合、医師が死亡の確認をすることができません。

海難事故や震災などで死亡が確実の場合、行政機関が市町村長に対して死亡の報告をします。

死亡の報告書を添えて、市区町村役場に死亡届を提出することができます。

死亡の報告によって死亡が認定され、戸籍に記載がされます。

行政機関による死亡の報告に基づいて、戸籍上も死亡と扱う制度が認定死亡です。

事実上、死亡の推定が認められます。

認定死亡により、相続が開始します。

行政機関による報告に基づいて、死亡が認定されます。

②認定死亡がされたときは相続が開始する

認定死亡の場合、死亡が確実であっても死亡日が分からないことがほとんどです。

推定令和○年○月○日死亡

推定令和○年○月○日頃死亡

令和○年○月○日から同月○日の間死亡

年月日不詳

戸籍を確認した場合に、上記のような記載がされている場合があります。

このような記載であっても、相続が開始しますから相続手続をすることができます。

相続手続をする場合も、戸籍のとおり記載すれば支障はありません。

4生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続が発生した後、相続手続を進めたいのに行方不明の相続人や長期間行方不明で死亡の可能性の高い相続人がいて困っている人はたくさんいます。

自分たちで手続しようとして、挫折する方も少なくありません。

失踪宣告の申立てなどは、家庭裁判所に対して手続が必要になります。

通常ではあまり聞かない手続になると、専門家のサポートが必要になることが多いでしょう。

信託銀行などは、高額な手数料で相続手続を代行しています。

被相続人が生前、相続人のためを思って、高額な費用を払っておいても、信託銀行はこのような手間のかかる手続を投げ出して知識のない遺族を困らせます。

知識のない相続人が困らないように高額でも費用を払ってくれたはずなのに、これでは意味がありません。

税金の専門家なども対応できず、困っている遺族はどうしていいか分からないまま途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして相続手続を進めることができます。

自分たちでやってみて挫折した方も、信託銀行などから丸投げされた方も、相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

普通失踪は生死不明7年で死亡

2024-05-17

1普通失踪と特別失踪(危難失踪)のちがい

行方不明になってから長期間経過している場合、死亡している可能性が高いことがあります。

死亡した可能性が高い行方不明者を法律上死亡した取り扱いにする手続が失踪宣告です。

失踪宣告には、2種類あります。

普通失踪と特別失踪(危難失踪)です。

一般的に失踪宣告といった場合、普通失踪を指しています。

生死不明の期間を失踪期間と言います。

普通失踪の失踪期間は、7年です。

特別失踪(危難失踪)は、行方不明の人が大災害や大事故にあっている場合の失踪宣告です。

大災害や大事故に巻き込まれた場合、死亡の可能性が非常に高いものです。

死亡の可能性が非常に高いから、失踪期間は短い期間です。

特別失踪(危難失踪)の失踪期間は、7年です。

2普通失踪は生死不明7年満了で死亡

①失踪宣告で死亡と見なされる

行方不明の人は、法律上生きている人です。

長期間行方不明になっていても、法律上生きている人のままです。

生きている人だから、行方不明の人の財産を家族が処分することはできません。

財産を処分することができるのは、持ち主本人だけだからです。

生きている人だから、行方不明の人の配偶者は再婚することができません。

失踪宣告は、行方不明のまま相当長期間経過した人に対して死亡と扱うための手続です。

失踪宣告を受けた人は、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いがされます。

死亡と確認されていないのに、死亡と扱うから強い効果があります。

行方不明になってから長期間経過している場合、死亡している可能性が高いことがあります。

法律上死亡の扱いをすることで、家族は気持ちの整理をつけることができます。

失踪宣告は、家族が気持ちの整理をつけて前に向かって進むための制度です。

失踪宣告で死亡と見なされます。

②失踪宣告は申立てが必要

相当長期間行方不明になって死亡の可能性が高い場合、家庭裁判所は失踪宣告をします。

相当長期間行方不明になって死亡の可能性が高い場合であっても、勝手に失踪宣告がされることはありません。

相当長期間行方不明であっても、家族は帰ってくると信じて待っていることがあります。

気持ちの整理をつけていないのに、死亡と扱われるのは家族にとって酷だからです。

申立てがあってから、家庭裁判所が失踪宣告をします。

失踪宣告の申立てができるのは、法律上の利害関係人のみです。

主な申立人は、次のとおりです。

(1)配偶者

(2)推定相続人

(3)受遺者

失踪宣告は、家庭裁判所が職権ですることはできません。

失踪宣告は、市区町村長や検察官が申立てをすることはできません。

失踪宣告は、家族が気持ちの整理をつけて前に向かって進むための制度だからです。

家庭裁判所が失踪宣告をするためには、利害関係人から申立てが必要です。

③死亡日は生死不明7年満了の日

普通失踪の失踪期間は、7年です。

行方不明になってから7年以上経過している場合、家庭裁判所は失踪宣告をすることができます。

家庭裁判所が失踪宣告をするためには、申立てが必要です。

家族が気持ちに整理がつかない場合、7年を大幅に超しても申立てをする気になれないでしょう。

行方不明になってから何十年も経過してから、失踪宣告の申立てをすることがあります。

失踪宣告の申立てをした日は、死亡と見なされる日とは無関係です。

何十年も経過してから失踪宣告の申立てをした場合であっても、死亡と見なされる日は行方不明になってから7年満了した日です。

失踪宣告による死亡日は、死亡と見なされる日です。

最後に生存が確認された日から、7年満了した日に死亡と見なされます。

失踪宣告の申立てをした日より大幅に前の日に死亡と見なされることがあります。

失踪宣告で死亡と見なされるのは、生死不明7年満了の日です。

④死亡届でなく失踪届で戸籍に反映

家庭裁判所が失踪宣告をした場合、失踪宣告を受けた人は死亡と見なされます。

家庭裁判所が失踪宣告をしても、市区町村役場に通知されません。

失踪宣告の申立てをした人は、市区町村役場に届出をする必要があります。

失踪宣告を受けた人について、死亡届ではなく失踪届を提出します。

失踪届が受理されると、戸籍に記載されます。

失踪宣告が戸籍に記録されることで、死亡と見なされたことを戸籍謄本で証明することができます。

死亡届でなく失踪届で、戸籍に反映します。

⑤失踪届と行方不明者届(捜索願)のちがい

家庭裁判所で失踪宣告を受けた場合、申立てをした人は市区町村役場に失踪届を提出します。

失踪届は、家庭裁判所で失踪宣告を受けたことを戸籍に記録してもらうための届出です。

失踪届を受け付けても、市区町村役場は生死不明の人を探しません。

失踪届を提出しても、警察が捜査することはありません。

生死不明の人が事件や事故などに巻き込まれているおそれが高いので探して欲しい場合、警察に行方不明者届を提出します。

行方不明者届は、以前は捜索願と呼んでいました。

生死不明の人や他の人の生命や身体に危険を及ぼすおそれが大きい場合、警察の捜査の対象になります。

3失踪宣告で相続が開始する

①相続開始日は死亡と見なされる日

家庭裁判所で失踪宣告を受けた場合、失踪宣告を受けた人は死亡と見なされます。

たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをするから、相続が開始します。

死亡と見なされる日に、相続が発生します。

失踪宣告による死亡日は、死亡と見なされる日です。

失踪宣告の申立てをした日は、死亡と見なされる日とは無関係です。

死亡と見なされる日を基準にして、相続手続をします。

②死亡と見なされる日で相続人を確認

行方不明になってから何十年も経過してから、失踪宣告の申立てをすることがあります。

失踪宣告の申立てをしてから、裁判所が失踪宣告をするまで長期間かかります。

相続手続の基準になるのが、死亡と見なされる日です。

死亡と見なされる日に、相続が発生します。

被相続人は、死亡と見なされる日に死亡したと扱われます。

死亡と見なされる日を基準にして、相続人を確認します。

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、代襲相続が発生します。

相続が発生したときに元気だった相続人が被相続人より後に死亡した場合、代襲相続が発生しません。

相続が発生したときに元気だった相続人が後に死亡した場合、数次相続が発生します。

数次相続は、相続人の地位が相続されます。

失踪宣告の前後で家族が死亡した場合、相続人の確認が重要になります。

代襲相続も数次相続も、相続が複雑になります。

だれが相続人でだれが相続人でないか、日付をよく確認しましょう。

相続人を間違えると、相続手続がすべてやり直しになります。

相続開始日は、死亡と見なされる日です。

③失踪宣告後に相続放棄ができる

莫大な借金をしたまま、音信不通になる人がいます。

いつか自分に借金が降りかかってくるのではないかと不安になることでしょう。

被相続人の生前に、相続放棄をすることはできません。

行方不明の人は、生きていると判断されます。

相続放棄ができるのは、相続人だけだからです。

行方不明なだけで生きているのだから、相続放棄を受け付けてもらえません。

失踪宣告は、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告がされた場合、相続が発生します。

相続放棄の申立てをする場合、被相続人の戸籍謄本を提出します。

被相続人の戸籍に失踪宣告の記載がされている必要があります。

相続放棄の申立ての期限は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内です。

「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。

失踪宣告後に、相続放棄ができます。

4生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続が発生した後、相続手続を進めたいのに行方不明の相続人や長期間行方不明で死亡の可能性の高い相続人がいて困っている人はたくさんいます。

自分たちで手続しようとして、挫折する方も少なくありません。

失踪宣告の申立などは、家庭裁判所に手続が必要になります。

通常ではあまり聞かない手続になると、専門家のサポートが必要になることが多いでしょう。

信託銀行などは、高額な手数料で相続手続を代行しています。

被相続人が生前、相続人のためを思って、高額な費用を払っておいても、信託銀行はこのような手間のかかる手続を投げ出して知識のない遺族を困らせます。

知識のない相続人が困らないように高額でも費用を払ってくれたはずなのに、これでは意味がありません。

税金の専門家なども対応できず、困っている遺族はどうしていいか分からないまま途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして相続手続を進めることができます。

自分たちでやってみて挫折した方も、信託銀行などから丸投げされた方も、相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

事実婚・内縁の配偶者に相続権はない

2024-05-14

1事実婚・内縁の配偶者に相続権はない

①相続人になれるのは法律上の配偶者のみ

配偶者は必ず相続人になります。

配偶者は法律上の配偶者を指します。

事実婚・内縁の配偶者は、相続人になれません。

事実婚・内縁関係の場合は、何年一緒にいても相続人になれません。

事実婚・内縁の配偶者に相続する権利はないから、被相続人に莫大な借金があっても借金を引き継いでしまうことはありません。

莫大な借金を心配して、相続放棄をする必要はありません。

事実婚・内縁の配偶者は相続人でないから、土地などの不動産を相続することもできません。

離婚して法律上の配偶者でなくなった元配偶者も相続人になれません。

法律上の配偶者でなくなった元配偶者が、離婚後、内縁の配偶者であっても、相続人になれません。

②事実婚・内縁関係の場合は遺留分がない

遺留分とは、相続財産に対する最低限の権利のことです。

兄弟姉妹以外の相続人に認められます。

事実婚・内縁の配偶者は相続人でありませんから、遺留分が認められません。

③事実婚・内縁関係の場合は寄与分がない

寄与分の制度は、特別な貢献をした相続人に対して相続分以上の財産を受け取ってもらう制度です。

事実婚・内縁の配偶者は相続人でないから、寄与分を請求することはできません。

④事実婚・内縁関係の場合は特別寄与者になれない

特別な貢献をした人が相続人でなくても親族である場合、特別寄与者になることができます。

親族にあたるのは次の人です。

(1)6親等内の血族

(2)配偶者

(3)3親等内の姻族

具体的には、配偶者の連れ子や甥姪、甥姪の子や孫、いとこ、はとこなどです。

事実婚・内縁の配偶者は、親族ではありません。

事実婚・内縁の配偶者は親族でないから、特別寄与者になることはできません。

⑤事実婚・内縁関係の場合は配偶者居住権と配偶者短期居住権がない

配偶者居住権と配偶者短期居住権は、いずれも、被相続人の家に住んでいた配偶者が無償で住み続けることができる権利です。

配偶者居住権も配偶者短期居住権も取得することができる配偶者は、法律上の配偶者のみです。

事実婚・内縁の配偶者は、配偶者居住権も配偶者短期居住権も取得することはできません。

2事実婚・内縁の配偶者が死亡しても財産分与を請求できない

事実婚・内縁関係の夫婦が事実婚・内縁関係を解消する場合、法律婚における離婚に準じて扱われます。

法律婚の夫婦が離婚する場合、婚姻期間中に形成した共同財産は、それぞれの寄与の度合いに応じて分け合います。

共同財産を分け合うことを、財産分与と言います。

事実婚・内縁関係の夫婦が事実婚・内縁関係を解消する場合も、財産分与をします。

事実婚・内縁関係の期間中に形成した共同財産について、それぞれの寄与の度合いに応じて分けることを請求することができます。

事実婚・内縁関係の夫婦が財産分与を請求することをできるのは、両当事者が生きている場合に限ります。

事実婚・内縁関係の夫婦の一方が死亡した場合、財産分与を請求することをできません。

共同財産であっても死亡した人の財産として、相続財産になります。

事実婚・内縁の配偶者は、相続人ではありません。

何もしていなければ、相続財産を取得することはできません。

3事実婚・内縁の配偶者が財産を受け継ぐ方法

①事実婚・内縁の配偶者に遺贈する

遺贈とは、被相続人が遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげることです。

相続では、法定相続人だけに譲ってあげることができます。

遺贈では、法定相続人に譲ってあげることもできるし、相続人以外の人に譲ってあげることができます。

譲ってあげる相手は、相続人以外の人でも構いませんから、事実婚・内縁の配偶者にも譲ってあげることができます。

相続では、遺言がなくても相続人が受け取ることができます。

遺贈は、遺言があるときだけ譲ってあげることができます。

事実婚・内縁の配偶者は相続人になれませんから、相続はできません。

遺贈であれば、事実婚や内縁の配偶者に財産を譲ってあげることができます。

遺贈とは、遺言によって、財産を譲ってあげることですから、必ず、遺言書が必要です。

事実婚や内縁の配偶者が特別な寄与をしている場合でも、事実婚や内縁の配偶者は寄与分を請求することはできません。

被相続人は、遺贈をすることで寄与に報いてあげることができます。

②事実婚・内縁の配偶者に生前贈与をする

遺贈は死亡時に財産を受け継いでもらう方法ですが、生前に財産を受け取ってもらうこともできます。

生前贈与をする場合、割高な贈与税がかかることがあります。

贈与税の負担を考慮して、計画的に財産を受け取ってもらう必要があります。

生前贈与も遺贈も相続人の遺留分を侵害してしまった場合、トラブルになるおそれがあります。

③事実婚・内縁の配偶者を生命保険の受取人にする

生命保険の受取人に事実婚・内縁の配偶者を指定することができる場合、死亡保険金を受け取ってもらうことができます。

死亡保険金は、原則として、法律上の配偶者や血縁関係の近い血族のみが受取人になることができます。

保険商品によっては、一定の条件のもとで事実婚・内縁の配偶者を受取人にすることができます。

生命保険の死亡保険金を受け取る権利は、受取人の固有の財産です。

被相続人の相続人と話し合いなしで受け取ることができます。

④遺族年金を受け取れる

遺族年金は、生計を維持していた人が死亡したときに残された遺族が受けることができる年金です。

年金を受け取ることができる配偶者は、法律婚だけでなく事実婚・内縁の配偶者を含みます。

4事実婚・内縁の子どもは相続人

事実婚・内縁配偶者との間に子どもがいる場合があります。

事実婚・内縁配偶者との間に子どもは認知を受けている場合、相続人になります。

認知を受けた子どもは、被相続人の子どもだからです。

法律婚の子どもと事実婚の子どもに違いはありません。

同じ被相続人の子どもとして、相続人になります。

被相続人に莫大な借金がある場合、事実婚・内縁配偶者は何もしなくても借金を受け継ぐことがありません。

事実婚・内縁配偶者との間に子どもは認知を受けている場合、何もしないと借金を受け継ぐことになります。

5相続人不存在の手続

相続人がいないから、財産は事実婚・内縁の配偶者が好きにするだろうと楽観的な意見も聞きます。

相続人がいないと言うとき、単に、家族と疎遠であるとか、行方不明であることが多いものです。

法定相続人と何十年も会っていなくても、音信不通でも、相続人であることは変わりません。

行方不明でも相続人がいれば、事実婚・内縁の配偶者は何も受け取れないのです。

法定相続人がだれもいない場合、相続財産は最終的には国庫に帰属します。

国庫に帰属する前に、たくさんの手続があります。

①相続財産清算人選任の申立て

相続財産清算人とは、被相続人の債権債務を清算して財産を国庫に帰属させる人です。

相続財産清算人は、家庭裁判所に選んでもらいます。

②公告をする

家庭裁判所が相続財産清算人を選びましたとお知らせをします。

相続財産清算人が、官報で債権者はいませんかとお知らせを出します。

債権者をさがすお知らせの期間は2か月です。

債権者をさがすお知らせの2か月経過後、官報に相続人はいませんかとお知らせを出します。

相続人をさがすお知らせの期間は6か月です。

だれも名のり出なければ、相続人不存在が確定します。

③特別縁故者に対する相続財産分与の申立て

特別縁故者とは、被相続人と特に親しい関係があった人です。

家庭裁判所に認めてもらえれば、財産を分けてもらうことができます。

相続人をさがすお知らせの6か月経過後、3か月以内に申立てをする必要があります。

事実婚・内縁の配偶者は、特に親しい関係があった人と言えることが多いものです。

④債権者に弁済する

⑤国庫に帰属する

被相続人が死亡してから、国庫に帰属するまで1年以上の時間がかかります。

相続人がいないから、財産は事実婚・内縁の配偶者が好きにするだろうという人は、事実婚・内縁の配偶者だから特別縁故者になるだろうと言ってるのかもしれません。

事実婚・内縁の.配偶者は、特に親しい関係があった人と言えることが多いものの、家庭裁判所が認めてくれないことがあります。

特別縁故者と認めてくれても、財産すべてを分けてもらえないことも多いものです。

財産が多額にあっても、わずかな額だけ認めてもらえたという例もあります。

何よりも、①~⑤の手続をするのは、だれにとっても時間と労力がかかります。

遺言書1枚あれば、膨大な手間と時間をかけずにラクに財産を譲ることができるのです。

6賃借権を受け継ぐことができる場合

被相続人が賃貸マンションを借りていて、内縁の配偶者と一緒に住んでいることがあります。

賃貸マンションを借りる権利を賃借権と言います。

賃借権も相続財産の一つです。

賃借権も相続財産として、相続人全員で、分け方の合意をします。

賃借権を相続した相続人の賃借権を援用して、内縁の配偶者が賃貸マンションに住み続けることができます。

賃借権を相続した相続人が事実婚・内縁の配偶者をよく思わない場合、明渡を求めてくるかもしれません。

賃借権を相続した相続人であっても、賃貸マンションに居住するなどの事情がないのに事実婚・内縁の配偶者を追い出すことは難しいでしょう。

賃貸マンションは事実婚・内縁の配偶者の生活の本拠だから、権利の濫用にあたると判断されることが多いでしょう。

相続人が不存在の場合、借地借家法という特別の法律で、賃借人の内縁の配偶者は、賃借権を引き継ぐことができます。

賃料を負担することになったとしても、住み慣れた家に住み続けられる可能性があります。

一緒に住んでいた家に住み続けられる可能性はあるものの、法律の明文の規定はありません。

遺言書などで決めておくことが重要になるでしょう。

7遺言書作成と遺言執行を司法書士に依頼するメリット

遺言執行者は遺言書の内容を実現する人です。

相続人が遺言書の内容に納得していて、手続きに協力的であれば、必ずしも、遺言執行者を選任する必要はありません。

相続人がいる場合、内縁の配偶者に遺贈すると自分の取り分が減ると考えて、良い気持がしないのが通常です。

内縁の配偶者の存在を知らない相続人もいるかもしれません。

相続人が遺言執行に協力的とは考えられないのが一般的です。

遺言書の内容に不満を持つ相続人がいた場合、遺言書が無効であると主張することが考えられます。

遺言書は、公証人が関与する公正証書遺言がおすすめです。

公証人が関与するから無効になりにくく、作成後は公証役場で厳重に保管されるからです。

遺言執行者は、相続開始後すみやかに手続を進めることができる時間と知識がある人を選ぶことが重要です。

その意味でも、家族より司法書士などの専門家に遺言執行を依頼する人が増えています。

以前は、遺言執行者は止むを得ない場合だけ、他の人に職務を任せることができるとされていましたが、現在は、止むを得ないなどの理由は不要になりました。

遺言執行者に指名され、職務をしてみたところ、思ったよりタイヘンだという場合、自己の責任で司法書士などの専門家におまかせすることもできます。

今後も、専門家に依頼する人は増えていくでしょう。

遺言執行を司法書士などの専門家に依頼した場合、相続人は基本待っているだけなので、トラブルになることが少なくなるからです。

家族を笑顔にするためにも、遺言書作成し遺言執行者選任しましょう。

家族の幸せのためにも、遺言書作成と遺言執行者選任を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

養子に行っても実親を相続

2024-05-13

1養子には2種類ある

①単に「養子」と言ったら普通養子

養子には2種類あります。

特別養子と普通養子です。

養子縁組とは、血縁関係による親子関係の他に、法律上の親子関係を作る制度です。

子どものいない夫婦が養子縁組をする、配偶者の連れ子と養子縁組するといったことは日常的に聞くことあります。

一般的に、単に「養子」と言ったら、普通養子を指していることがほとんどです。

普通養子では、養子縁組をする当事者が合意が重視されます。

当事者が合意をして、役所に届出をするだけで手続ができます。

特別養子は、子どもの福祉が重視されます。

子どもの福祉のために家庭裁判所が慎重に判断して決定します。

②特別養子になると実親との親子関係はなくなる

特別養子では、養子縁組をした後、血縁関係のある実親との親子関係がなくなります。

親子の縁を切る重大な決定なので、厳格な要件が満たされたときだけ特別養子が認められます。

実の父母による著しい虐待がある場合やその他特別の事情がある場合で、かつ、子の利益のため特に必要があるときです。

特別養子になると、実親との親子関係がなくなります。

特別養子は、養親を相続しますが、実親は相続しません。

特別養子になると実親との親子関係がなくなりますから、父から認知を受けないまま特別養子になった場合、実の父はもはや認知をすることができなくなります。

配偶者の嫡出子である実子と特別養子縁組をする場合、特別養子は実親である養親の配偶者との親子関係が存続します。

実親である養親の配偶者が死亡した場合、特別養子は相続人になります。

実親である養親の配偶者が死亡した後、実親である養親の配偶者の親が死亡した場合、代襲相続人になります。

③普通養子になっても実親との親子関係は続く

普通養子では、養子縁組をした後、血縁関係のある実親との親子関係は続きます。

子どもが第三者の養子になる養子縁組をした後も、実親の子どもです。

養子から見ると、養子縁組をした養親も実親も親です。

2養子に行っても実親を相続

①養子が実親を相続

相続が発生した場合、被相続人の家族が相続人になります。

被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。

被相続人の実子は、被相続人の子どもだから相続人になります。

被相続人の子どもが第三者の養子になる養子縁組をすることがあります。

普通養子による養子縁組である場合、子どもと実親の親子関係は続きます。

被相続人の子どもが第三者の養子になる養子縁組をした場合、普通養子であれば被相続人の子どものままです。

被相続人の子どもだから、養子に行っても相続人になります。

②養子は養親を相続

養子縁組は、法律上の親子関係を作る制度です。

被相続人が第三者と養親になる養子縁組をすることがあります。

養子縁組をしたことで、養子は養親の子どもになります。

養子が実親の子どもであっても実親の子どもでなくなっても、養親の子どもになります。

養親が被相続人に場合、養子は被相続人の子どもです。

被相続人の子どもは、相続人になります。

③複数の養親と養子縁組

養子縁組は、法律上の親子関係を作る制度です。

養子縁組の回数に制限はありません。

養親に複数の養子がいることがあります。

養子に複数の養親がいることがあります。

養子が他の第三者の養子になる養子縁組をすることができます。

被相続人の子どもが第三者の養子になる養子縁組をした場合、実親との親子関係は続きます。

養子が他の第三者の養子になる養子縁組ををした場合、最初の養親との親子関係は続きます。

他の第三者の養子になる養子縁組ををしたことを理由として、自動的に親子関係がなくなることはありません。

最初の養親との親子関係を終了したいのであれば、離縁をする必要があります。

離縁をしない場合、最初の養親と次の養親の間で親子関係があります。

実親にとっても最初の養親にとっても次の養親にとっても、子どもです。

被相続人の子どもだから、相続人になります。

④死後離縁をしても養親を相続

養子縁組を解消することを離縁と言います。

養親と養子の両当事者が生きている場合、当事者の話し合いで離縁をすることができます。

両当事者の一方が死亡した場合、親子関係は終了しません。

養親が死亡しても、養親の親族と養子の親族関係は続きます。

両当事者の一方が死亡した場合、当事者の話し合いで離縁をすることができません。

両当事者の一方が死亡した後は、家庭裁判所の許可を得て離縁をすることができます。

養子縁組の当事者の一方が死亡した後、家庭裁判所の許可を得て離縁することを死後離縁と言います。

養子が死後離縁をした場合、養親を相続します。

養親が死亡したとき、養子は養親の子どもだったからです。

死後離縁は、養子縁組の当事者の一方が死亡した後の手続です。

養親が死亡した後に相続を受けてからの話です。

養子が死後離縁をしても、養親の相続人になります。

⑤特別養子は実親を相続しない

特別養子では、養子縁組をした後、血縁関係のある実親との親子関係がなくなります。

親子の縁を切る重大な決定なので、厳格な要件が満たされたときだけ特別養子が認められます。

養子縁組が特別養子による養子縁組だった場合、実親の子どもでなくなります。

特別養子は、実親の相続人になりません。

3養子に行っても実方の兄弟姉妹を相続

①父母の両方が同じ兄弟姉妹を相続

相続が発生した場合、被相続人の家族が相続人になります。

被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。

父母が同じ兄弟姉妹が死亡した場合、当然、相続人になります。

②父母の一方が同じ兄弟姉妹を相続

兄弟姉妹というと父母が同じ兄弟姉妹だけをイメージしがちです。

父母に再婚歴がある場合、異父兄弟や異母兄弟がいることがあります。

異父兄弟や異母兄弟は、疎遠であることが多いかもしれません。

疎遠であっても会ったことがなくても、兄弟姉妹です。

父母の一方が同じ兄弟姉妹が死亡した場合、相続人になります。

③父が認知した子どもを相続

認知とは、婚姻関係にない男女間に生まれた子どもを自分の子どもと認めることです。

母と子どもは、分娩の事実によって親子関係を確認できるから認知は不要です。

父が認知した子どもに対して、兄弟姉妹という気持ちを持ちにくいことがあるかもしれません。

父が認知した子どもは、兄弟姉妹です。

父が認知した子どもが死亡した場合、相続人になります。

④父母の養子を相続

父母が第三者と養親になる養子縁組をしていることがあります。

養子縁組をしたことで、養子は養親の子どもになります。

父母の養子は、兄弟姉妹です。

父母の養子が死亡した場合、相続人になります。

⑤父母の一方の養子を相続

父母の一方だけが養親になる養子縁組をすることがあります。

父母の一方だけが養親になる養子縁組をした場合、父母の一方の子どもです。

異父兄弟や異母兄弟と同様に、養子縁組においても兄弟姉妹になります。

父母の一方だけが養親になる養子縁組をした養子が死亡した場合、相続人になります。

4遺産分割協議は相続人全員で

被相続人と連絡を取り合っていても、他の相続人とは絶縁状態になっているケースがあります。

被相続人が遺言書を残していなければ、相続財産の分け方は、相続人全員の合意が不可欠です。

絶縁状態の他の相続人に関わりたくなければ、相続放棄をすることも一案です。

相続放棄をすると、はじめから相続人ではなかったとされるからです。

相続人でなくなれば、相続財産の分け方について、相続人全員の話し合いにも参加する必要がなくなります。

相続人が相続を希望する場合、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

関係性の薄い相続人がいる場合、話し合いは難航しがちです。

だれか一人でも合意しない相続人がいると、相続財産を分けることはできません。

相続財産の分け方は、多数決で決めることはできないのです。

5遺言書作成がおすすめ

相続が発生した場合、だれが相続人になるかは法律で決まっています。

相続人を調査すると、思いがけない相続人が見つかることがあります。

思いがけない相続人は、相続人同士の気心が知れていることはありません。

遺産分割協議の成立には、相続人全員の合意が不可欠です。

受け継いでもらう立場であれば、相続人らの関係に気づいているでしょう。

疎遠な相続人がいると話し合いはまとまりにくいものです。

遺言書を書いてあげて、相続手続をスムーズにしてあげるのがいいでしょう。

6遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書を書くというと真っ先に思い浮かぶのが、財産に関することでしょう。

「揉めるほど財産はないから」などと言って、遺言書を書き渋る人は多くいます。

実際は家族でトラブルになって、家庭裁判所の助力が必要になるケースは年々増えています。

その3分の1は資産総額1000万円以下です。

疎遠な相続人がいると話し合いはまとまりにくくなります。

遺言書があれば、家族のトラブルは確実に減ります。

遺言書があれば、相続手続は格段にラクになります。

高齢になると判断能力が心配になる方が多くなります。

判断能力が心配になった時点では、遺言書は作れません。

家族をトラブルから守りたい方は早めに司法書士などの専門家に遺言書作成を依頼することをおすすめします。

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