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代襲相続でトラブル

2024-04-24

1代襲相続は相続人が先に死亡したケース

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

①配偶者は必ず相続人になる

②被相続人に子どもがいる場合、子ども

③被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

④被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することがあります。

これを代襲相続と言います。

相続人になるはずだった人の子どもの子どもが相続することを再代襲相続と言います。

代襲相続ができるのは、相続人になるはずだった人の子どもなど被代襲者の直系卑属だけです。

相続人になるはずだった人を被代襲者と言います。

被代襲者の子どもなど被代襲者の直系卑属以外は、代襲相続ができません。

被代襲者の配偶者も、被代襲者の親などの直系尊属も、被代襲者の兄弟姉妹も、代襲相続ができません。

2代襲相続でトラブルになる

①代襲相続ができることを知らない

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

配偶者や子どもが相続人になることは、多くの人が見聞きしたことがあるでしょう。

被相続人の子どもが被相続人より先に死亡した場合、死亡した子どもの子どもが代襲相続します。

代襲相続について、まったく聞いたことがないかもしれません。

代襲相続ができることを全く知らなくても、代襲相続人であることに変わりはありません。

被相続人の財産は、プラスの財産もマイナスの財産も、相続人が相続します。

被相続人に莫大な借金があることがあります。

相続したくないのであれば、相続放棄の手続をしなければなりません。

相続放棄の手続をしていない場合、莫大な借金を背負うことになります。

代襲相続ができることを全く知らなかったと言っても、意味はありません。

代襲相続ができることを知らないと、相続人間でトラブルに発展しやすくなります。

②代襲相続人と疎遠な関係

相続人の関係が近い場合、気心が知れています。

気心が知れた相続人間では、あまりトラブルに発展しません。

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

被相続人と相続人は面識があっても、相続人間では疎遠な場合があります。

被相続人の兄弟姉妹が相続人になる場合、長い間に疎遠になっていることがあります。

先に死亡した兄弟姉妹とは気心が知れていても、下の世代の代襲相続人とは関係性が薄いことが多いでしょう。

兄弟姉妹の子どもとは、音信不通であることも珍しくありません。

気心の知れた相続人でない場合、トラブルに発展しやすくなります。

③共同相続人が増える

代襲相続が発生した場合、単純に相続人が増えることがあります。

人数が増えると、話し合いによる合意が難しくなりがちです。

共同相続人が増えた場合、トラブルに発展しやすくなります。

④代襲相続人を無視する

代襲相続が発生した場合、下の世代の代襲相続人とは関係性が薄いことが多いでしょう。

代襲相続人の存在を知っているのに、あえて無視することがあります。

関係性の薄い代襲相続人と関わりたくない場合や自分が年長者だから言いなりになって当然だと考えている場合です。

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の話し合いによる合意で決める必要があります。

代襲相続人を無視して、相続財産の分け方の合意をしても無効な合意です。

代襲相続人を無視したら、相続人全員ではないからです。

代襲相続人を無視して相続財産の分け方を合意した場合、大きなトラブルに発展するでしょう。

⑤遺産の全容を教えない

代襲相続人と交流がある場合、代襲相続人を無視して相続手続を進めることは難しいでしょう。

代襲相続人は下の世代の相続人です。

他の相続人と対等に話ができないことがあります。

他の相続人は、年長者でしょう。

年少の代襲相続人は当然言いなりになるべきだと考えていることがあります。

当然言いなりになるべきだと考えていると、話し合いをする気持ちはないでしょう。

当然言いなりになるべきだと考えて、遺産の全容や遺言書の内容を教えないことがあります。

何も聞かされない場合、相続人が疑心暗鬼になります。

遺産の内容を開示すれば、安心して話し合いが進むことも少なくありません。

遺産の全容や遺言書の内容を教えない場合、相続人間で大きなトラブルに発展します。

⑥相続分の放棄を強要

代襲相続人は、若い世代の相続人です。

若い世代の代襲相続人であっても、他の相続人と同様の権利があります。

対等に権利があることに対して、快く思わないことがあります。

下の世代だから上の世代の自分たちに権利を譲るべきだと考えている場合です。

若い代襲相続人に対して、一方的に実印と印鑑証明書を渡すように迫ることがあります。

実印と印鑑証明書を受け取ったら、全権委任を受けたと思うでしょう。

合意もしていないのに、遺産分割協議書を作成して押印するかもしれません。

手間のかかる相続手続を負担してあげたつもりになっていることがあります。

相続分の放棄を強要すると、大きなトラブルになるでしょう。

⑦家族の合意事項を知らない

財産の分け方について、被相続人と相続人が合意していることがあります。

先祖代々引き継いだ不動産は、長男が相続する、親の面倒を見ていた人が自宅を相続するなどの合意です。

関係の近い相続人の場合、合意内容にみんなが納得しているでしょう。

家族間の暗黙の合意事項を知らない相続人がいる場合、自分の利益を主張しがちです。

代襲相続人は下の世代だから、家族間の暗黙の合意事項を知らないかもしれません。

家族間の暗黙の合意事項を知らない場合、トラブルに発展しやすくなります。

3トラブル防止には遺言書が有効

気心が知れた相続人間では、あまりトラブルに発展しません。

代襲相続が発生した場合、関係性の薄い相続人が含まれることになりがちです。

関係性の薄い相続人がいる場合、トラブルに発展しやすくなります。

相続トラブルを防ぐために、被相続人が財産の行き先を決めてあげることが有効です。

遺言書を作成して財産を開示し、財産を受け取る人を指名します。

遺言書がある場合、原則として、遺言書のとおり財産を分ければ済みます。

相続人間で話し合いをしなくても、相続手続を進めることができます。

遺言書を作成する場合、遺言執行者を指名することができます。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する権限が与えられます。

相続手続は、想像する以上に手間と時間がかかります。

遺言執行者がいる場合、わずらわしい相続手続をおまかせすることができます。

相続財産の分け方について合意ができても、相続手続に手間取ってトラブルに発展することがあります。

遺言執行者がいる場合、相続人は相続手続に関与する必要がありません。

遺言執行者は、法律の知識が必要です。

家族などよりは専門家に依頼する方がいいでしょう。

4代襲相続があると戸籍集めがタイヘン

代襲相続とは、相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することです。

相続人調査をする場合、被相続人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本を集めなければなりません。

代襲相続がある場合、先に死亡した人も同様に出生から死亡まで連続した戸籍謄本を取得する必要があります。

家族にとってだれが相続人であるか当たり前のことと軽く考えているかもしれません。

相続手続先に対しては、客観的に証明しなければなりません。

代襲相続人を漏れなく探すため、戸籍謄本を漏れなく準備する必要があります。

代襲相続が発生した場合、収集すべき戸籍謄本がたくさんになります。

5代襲相続がある相続を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、被相続人のものは相続財産になります。

相続財産は相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方を決めるためには、相続人全員の合意が必要です。

相続人の一部を含めない合意や相続人でない人を含めた合意は、無効になります。

相続財産の分け方の話し合いの前提として、相続人の確定はとても重要です。

代襲相続や数次相続が発生している場合、一挙に難易度が上がります。

インターネットが普及したことで、多くの情報を手軽に得ることができるようになりました。

簡単に情報発信ができるようになったこともあって、適切でない情報も有益な情報もたくさん出回っています。

相続の専門家と名乗っていながら、適切でないアドバイスを見かけることも度々あります。

代襲相続や数次相続が発生している場合、信頼できる専門家のサポートが欠かせません。

スムーズに相続手続を行いたい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

大人同士で養子縁組

2024-04-19

1養子縁組で親子になる

①大人同士で養子縁組ができる

養子縁組とは、血縁関係による親子関係の他に、法律上の親子関係を作る制度です。

子どものいない夫婦が養子縁組をする、配偶者の連れ子と養子縁組するといったことは日常的に聞くことあります。

養子は、未成年に限るものではありません。

大人同士で、養子縁組をすることができます。

一般的に、単に「養子」と言ったら、普通養子を指していることがほとんどです。

大人同士で養子縁組をする場合、普通養子による養子縁組のみです。

普通養子による養子縁組は、養子縁組後も血縁関係がある実親との親子関係が続きます。

大人同士で、養子縁組をすることができます。

②大人同士で特別養子による養子縁組はできない

特別養子では、養子縁組をした後、血縁関係のある実親との親子関係がなくなります。

親子の縁を切る重大な決定なので、厳格な要件で家庭裁判所が決定します。

特別養子が認められる条件は、次のとおりです。

(1)実親の同意があること

(2)養親は配偶者がいること

(3)養親の年齢が25歳以上、夫婦の一方は20歳以上

(4)養子の年齢が15歳未満

(5)6か月以上の監護実績

実の父母による著しい虐待がある場合やその他特別の事情がある場合で、かつ、子の利益のため特に必要があるときに、認められます。

特別養子が認められるのは、家庭裁判所に審判の請求をした時点で養子が15歳未満であることが条件です。

養子が15歳になる前から養親に監護されていた場合、18歳になるまでは審判を請求することができます。

養子が成人になったら、特別養子になることはできません。

大人同士では、特別養子による養子縁組をすることはできません。

③独身の人が養子縁組ができる

特別養子による養子縁組では、養親は配偶者がいる人であることが条件です。

普通養子による養子縁組には、配偶者の有無は問われません。

独身の人が養親になる養子縁組をすることができます。

独身の人が養子になる養子縁組をすることができます。

独身の人が養子縁組ができます。

④養子縁組で養親の氏

養子縁組をした場合、原則として、養子は養親の氏を名乗ります。

養子になる人が婚姻によって氏を改めた人であることがあります。

婚姻によって氏を改めた人は、婚姻の際の氏を名乗ります。

養子になる人に子どもがいても、養子の子どもの氏は自動で変わりません。

養子の子どもの氏を変更するには、原則として、家庭裁判所で子の氏の許可の申立てが必要です。

父母が婚姻中であれば、家庭裁判所の許可なしで変更することができます。

2養子縁組で相続人になる

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②実子がいても養子は相続人

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

被相続人の実子は、被相続人の子どもです。

被相続人の養子は、被相続人の子どもです。

被相続人の子どもに、区別はありません。

被相続人の実子と養子は、相続人になります。

被相続人に実子がいても、養子は相続人です。

③実子と養子は同じ相続分と遺留分

養子縁組をした場合、養子は法律上の親子関係がある子どもです。

子どもに区別はありません。

実子と養子は、同じ相続分です。

被相続人は、原則として、自分の財産をだれに受け継がせるかは自由に決めることができます。

財産は被相続人が自分だけで築いたものではないでしょう。

家族の協力があってこそ、築くことができた財産のはずです。

被相続人の名義になっているからといって、まったく無制約の自由にすることはできません。

今まで協力してきた家族に酷な結果となることがあるからです。

被相続人に近い関係の相続人には、相続財産に対して最低限の権利が認められています。

相続財産に対して、認められる最低限の権利を遺留分と言います。

兄弟姉妹以外の相続人には、遺留分が認められています。

遺留分が認められている相続人を遺留分権利者と言います。

被相続人の子どもが相続人になる場合、子どもは遺留分権利者です。

子どもに区別はありません。

実子と養子は、同じ遺留分です。

実子と養子は、同じ相続分と遺留分です。

3大人同士の養子縁組で許可は要らない

①大人同士の養子縁組で家庭裁判所の許可は要らない

養子が未成年者である場合、原則として、家庭裁判所の許可が必要です。

養子が未成年者であっても、自分の直系卑属や配偶者の直系卑属である場合、家庭裁判所の許可は不要です。

直系卑属とは、子どもや孫など下の世代の人です。

大人同士で養子縁組をする場合、原則として、家庭裁判所の許可は不要です。

②大人同士の養子縁組で実親の許可は要らない

養子縁組をするためには、養親になる人と養子になる人の合意が条件です。

養子が幼い子どもである場合、物事のメリットデメリットを充分に判断することはできません。

物事のメリットデメリットを充分に判断できないのに、合意をしても意味がありません。

養子が15歳未満である場合、原則として、親などの法定代理人が代わりに養子縁組を承諾します。

養子の父母で監護する人が他にいるときは、父母の同意が必要です。

養子の父母で親権が停止されている人が他にいるときも、同様です。

養子が15歳以上の場合、自分の意思で養子縁組をすることができます。

実親の意思とは関係なく、養子縁組は有効に成立します。

大人同士の養子縁組をする場合、15歳以上です。

実親が反対しても、養子縁組をすることができます。

大人同士が養子縁組をする場合、実親の許可は不要です。

③配偶者があるときは配偶者の同意が必要

配偶者がある人が未成年者を養子にする養子縁組をする場合、配偶者と共同で養子縁組をしなければなりません。

養子になる人が配偶者の嫡出子である場合、共同で養子縁組をする必要はありません。

配偶者が意思表示をできない場合、共同で養子縁組をする必要はありません。

大人同士で養子縁組をする場合、配偶者と共同で養子縁組をすることは条件ではありません。

夫婦共同縁組をしなくてもいいけど、配偶者の同意を得る必要があります。

養子になる人が配偶者の嫡出子である場合、配偶者の同意を得る必要はありません。

配偶者が意思表示をできない場合、配偶者の同意を得る必要はありません。

④後見人と被後見人は家庭裁判所の許可が必要

後見人が被後見人を養子にする場合、家庭裁判所の許可が必要です。

後見人には、成年後見人と未成年後見人がいます。

どちらでも被後見人を養子にする場合、家庭裁判所の許可を受けなければなりません。

後見人の任務終了後で管理の計算が終了しない間も、家庭裁判所の許可が必要です。

大人同士で養子縁組をする場合、原則として、家庭裁判所の許可は不要です。

養子縁組の当事者が後見人と被後見人である場合、大人同士でも家庭裁判所の許可が必要です。

⑤死後離縁は家庭裁判所の許可が必要

養子縁組とは、法律上の親子関係を作る制度です。

当事者の合意で、法律上の親子関係を作ることができます。

養子縁組の離縁とは、法律上の親子関係を解消する制度です。

当事者の合意で、法律上の親子関係を解消することができます。

法律上の親子になった後、当事者の一方が死亡することがあります。

当事者の一方が死亡しても、何もしなければ親子関係は解消されません。

死後離縁とは、当事者の一方が死亡した後に養子縁組を解消することです。

養子縁組を解消したら、亡くなった養親や亡くなった養子の親族との親族関係が終了になります。

当事者の一方が死亡した後に、当事者が合意することはできません。

当事者の一方が死亡した後は、家庭裁判所の許可を得て離縁をすることができます。

死後離縁をしても、さかのぼって養子でなくなるわけではありません。

養親が死亡した後に死後離縁をしても、養子は養親の相続人です。

4大人同士の養子縁組の注意点

①相続トラブルのおそれ

被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。

兄弟姉妹が相続人になるはずだったのに、養子縁組をすると養子が相続人になります。

被相続人に養子がいる場合、養子は被相続人の子どもだからです。

大人同士の養子縁組では、実親の許可は不要です。

兄弟姉妹の許可も当然不要です。

兄弟姉妹が養子の存在を知らないことがあります。

相続が発生した後に養子の存在を知ると、大いに困惑するでしょう。

兄弟姉妹からみると、相続分を奪われるように感じるかもしれません。

大人同士の養子縁組で、相続トラブルになるおそれがあります。

②養子縁組解消でトラブル

養子縁組は、当時者の合意で解消することができます。

当事者が一方的に解消することはできません。

養子縁組をしても、さまざまな家族の事情から解消したいと思うことがあるでしょう。

当事者の一方が養子縁組を解消したいと思っていても、他方が合意できないことがあります。

大人同士の養子縁組では、養子縁組解消トラブルのおそれがあります。

③同性婚で養子縁組

同性婚のパートナーと相続対策で、養子縁組をすることがあります。

同性婚の配偶者は、法律上の配偶者ではありません。

同性婚の配偶者は、相続人ではありません。

養子縁組をした場合、法律上の親子になることができます。

一方に相続が発生したら、相続人になることができます。

将来、法律が改正されて同性婚が認められるかもしれません。

現在の法律で親子が婚姻することはできません。

養子縁組を解消したら、親子でなくなります。

養子縁組を解消しても、婚姻をすることはできません。

同性婚で養子縁組をした場合、法律が改正されても婚姻できないでしょう。

同性婚で養子縁組で、婚姻ができなくなるおそれがあります。

④養親死亡後に養子縁組はできない

普通養子による養子縁組をする場合、養親になる人と養子になる人の合意が必要です。

養親になる人と養子になる人が合意をしたうえで、市区町村役場に届出をすることで成立します。

養親になる人と養子になる人の合意がない場合、養子縁組をすることはできません。

遺言書に「〇〇を養子にする」と記載してあったとしても、養子縁組をすることはできません。

遺言書は、遺言者が死亡したときに効力が発生します。

遺言者が死亡した後は、養親になる人と養子になる人の合意があるとは言えません。

遺言書に「〇〇を養子にする」と記載してあったとしても、合意があるとは言えません。

当事者の死亡後に、普通養子による養子縁組をすることはできません。

⑤相続人が変わると税金に影響

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

被相続人に養子がいる場合、養子は相続人です。

養子は、被相続人の子どもだからです。

被相続人に実子がいる場合、養子縁組をすると実子と養子が相続人になります。

相続人が増えると相続税を減らすことができます。

この点を過度に強調して、養子縁組をすすめられることがあります。

被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。

兄弟姉妹が相続人になるはずだったのに、養子縁組をすると養子が相続人になります。

例えば、兄弟姉妹4人が相続人になるはずだったのに、養子1人が相続人になることがあります。

養子縁組をした場合、相続税の基礎控除額は少なくなります。

兄弟姉妹4人なら5400万円、養子1人なら3600万円だからです。

相続税の基礎控除額が少なくなると、たくさんの相続税を納める必要があります。

基礎控除額だけでなく、生命保険の非課税額、退職金の非課税枠なども少なくなります。

大人同士の養子縁組で、税金に影響があります。

5養子縁組がある相続を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、被相続人のものは相続財産になります。

相続財産は相続人全員の共有財産ですから、分け方を決めるためには相続人全員の合意が必要です。

相続人の一部を含めない合意や相続人でない人を含めた合意は無効になります。

相続財産の分け方の話し合いの前提として、相続人の確定はとても重要です。

被相続人に養子がいる場合、養子は相続人になります。

代襲相続や数次相続が発生している場合、一挙に難易度が上がります。

インターネットが普及したことで、多くの情報を手軽に得ることができるようになりました。

簡単に情報発信ができるようになったこともあって、適切でない情報も有益な情報もたくさん出回っています。

相続の専門家と名乗っていながら、適切でないアドバイスを見かけることも度々あります。

スムーズに相続手続を行いたい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

同性婚の相続対策で養子縁組

2024-04-10

1養子は相続人

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②相続人になる配偶者は法律上の配偶者だけ

配偶者は、必ず相続人になります。

配偶者は、法律上の配偶者を指します。

法律上の婚姻をしていない配偶者は、相続人になれません。

日本においては現在のところ同性婚は認められていません。

同性パートナーは、法律上の配偶者ではありません。

相続人になる配偶者は、法律上の配偶者だけです。

③パートナーシップ制度を利用しても相続人になれない

パートナーシップ制度とは、法律上の婚姻と異なる形態のカップルについて各自治体が婚姻に相当する関係と認め証明書を発行する制度です。

たくさんの自治体でパートナーシップ制度が施行されていますが、すべての自治体で施行されているわけではありません。

パートナーシップ制度が施行されている自治体では、パートナーシップ宣誓をすることができます。

自治体から、パートナーシップ宣誓受領証を発行してもらうことができます。

パートナーシップ宣誓受領証を提示することで、婚姻に相当する関係と認めてもらいやすくなるでしょう。

パートナーシップ宣誓をしても、法律上の配偶者ではありません。

パートナーシップ制度を利用しても、相続人になれません。

④養子は相続人

被相続人が養親になる養子縁組をすることがあります。

養子縁組をした場合、養親と養子の間に親子関係が作られます。

養子は、養親の子どもです。

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

被相続人に血縁関係がある子どもがいることがあります。

血縁関係がある子どもがいる場合、血縁関係がある子どもと養子が相続人です。

血縁関係がある子どもと養子は、被相続人の子どもだからです。

2養子縁組で同性パートナーが相続人になる

①大人同士で養子縁組ができる

養子縁組とは、血縁関係による親子関係の他に、法律上の親子関係を作る制度です。

養子縁組には、2種類あります。

普通養子と特別養子です。

大人同士が養子縁組をする場合、特別養子による養子縁組をすることはできません。

特別養子による養子縁組をすることができるのは、養子になる人が15歳未満であることが条件だからです。

普通養子による養子縁組であれば、大人同士で養子縁組をすることができます。

養子になる人の条件は、次のとおりです。

(1)養親より年下であること

(2)養親の尊属でないこと

1日でも早く生まれた方が養親になります。

普通養子による養子縁組をした後、実親との親子関係が存続します。

②同性パートナー間で養子縁組をすると法律上の親子になる

当事者が合意をして市区町村役場に届出をすれば、養子縁組をすることができます。

同性パートナー間で養子縁組をする合意をすることができます。

養子縁組をした場合、養親と養子の間に親子関係が作られます。

同性カップルが養子縁組をした場合、法律上の親子関係が作られます。

同性カップルは、婚姻に相当する関係と考えているでしょう。

婚姻に相当する関係なのに親子関係が作られるから、合意ができないかもしれません。

養子縁組をすることのメリットデメリットを充分に検討して合意できれば、同性パートナー間で養子縁組をすることができます。

同性カップルが養子縁組をした場合、法律上は親子になります。

③養親が死亡したときは養子が相続人になる

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

養子縁組をした場合、当事者は法律上の親子になります。

被相続人が養親となる養子縁組をしていた場合、養子は養親の子どもです。

養親が死亡した場合、養子は相続人です。

養親に実子がいる場合、実子と養子は区別なく子どもです。

同性カップルが養子縁組をした場合で、かつ、養親が死亡した場合、養子が相続人になります。

何も相続対策をしていなければ、同性パートナーは相続人になりません。

相続対策として養子縁組をしたから、同性パートナーは相続人になります。

④養子が先に死亡したときは親などの直系尊属が相続人になる

被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属が相続人になります。

同性カップルが養子縁組をする場合、年長者が養親になります。

同性カップルは、養親と養子の年齢が近いことが多いでしょう。

ときには養子が先に死亡することがあります。

養子が被相続人です。

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

同性カップルに子どもがいることは、あまりないでしょう。

被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属が相続人になります。

同性カップルが養子縁組をした場合、法律上の親子関係が作られます。

養親は、養子の親です。

被相続人に子どもがいない場合、養親が相続人になります。

養子の実親が生きていることがあります。

大人同士の養子縁組は、普通養子による養子縁組です。

普通養子による養子縁組では、実親との親子関係が存続します。

養子の実親が生きている場合、実親は相続人になります。

養子の実親が生きている場合、実親と養親は区別なく相続人です。

何も相続対策をしていなければ、同性パートナーは相続人になりません。

相続対策として養子縁組をしたから、同性パートナーは相続人になります。

⑤相続人が複数なら遺産分割協議が必要

相続が発生した場合、被相続人のものは相続人が相続します。

相続人が相続する財産が相続財産です。

相続人が1人だけであれば、全財産を相続することができます。

相続人が複数いる場合、相続財産は相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

大人同士は、当事者の合意と市区町村役場への届出だけでが養子縁組をすることができます。

当事者が家族に何も知らせていない場合、養子縁組をしたことを知らないでしょう。

相続手続をする場合、戸籍謄本を集めて相続人を確定します。

養子縁組をした場合、戸籍に記載されます。

戸籍謄本を集めて、養子縁組をした事実を知るでしょう。

見知らぬ相続人が現れたのだから、家族は大いに困惑します。

見知らぬ相続人であっても、遺産分割協議から除外することはできません。

相続人全員の合意がない場合、遺産分割協議は無効だからです。

見知らぬ相続人がいる場合、遺産分割協議は難航するでしょう。

相続人が複数いるのに対策をしなかった場合、遺産分割協議が必要になります。

⑥遺言書作成で遺産分割協議は不要

被相続人は、生前に自分の財産を自由に処分することができます。

被相続人は、遺言書を作成して自分の財産を自由に引き継がせることができます。

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

遺言書がある場合、相続人としても遺言者の意思をかなえてあげたいと思うでしょう。

遺言書で遺産分割の方法を指定することができます。

遺言書で遺産分割の方法を指定した場合、遺言書のとおりに分けることができます。

遺言書のとおりに分ければいいから、相続人全員の合意は不要です。

⑦遺言執行者に相続手続をおまかせできる

遺言書は作成するだけでは、意味がありません。

遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。

遺言執行者は、遺言の内容を実現する人です。

遺言書が相続人に不利な内容である場合、遺言執行に協力してくれないでしょう。

遺言執行者は遺言の内容を実現するために、必要な行為をする権限があります。

協力しない相続人が遺言執行を妨害した場合、原則として、妨害行為は無効になります。

遺言執行者はいてもいなくても、遺言書の効力に違いはありません。

遺言執行者がいると、確実に遺言者の意思を実現してもらえますから、安心です。

3パートナーと養子縁組をすると婚姻できない

①養子と婚姻できない

養子縁組をした場合、養親と養子の間に親子関係が作られます。

養親と養子は、親子です。

親子間で、婚姻をすることはできません。

自然血縁関係がある親子だけでなく、養子縁組による親子であっても婚姻をすることはできません。

現在は、同性婚は認められていません。

ひょっとすると将来に法律が改正されるかもしれません。

同性婚が認められた場合であっても、養子縁組をしていると親子間の婚姻になってしまうでしょう。

どのような法改正になるか分かりませんが、親子間の婚姻は認められない可能性が高いでしょう。

②離縁後も養子と婚姻できない

大人同士であれば、当事者の合意と届出の提出だけで養子縁組をすることができます。

大人同士であれば、当事者の合意と届出の提出だけで養子縁組を解消することができます。

養子縁組を解消することを離縁と言います。

養子縁組によって親子になった場合、養親と養子は婚姻をすることはできません。

離縁をした場合、当事者の親子関係はなくなります。

離縁をした後も、養親と養子は婚姻をすることはできません。

過去に親子関係があった人同士の婚姻は、認められません。

将来、同性婚が認められた場合であっても、過去に親子関係があった人同士の婚姻は認められない可能性が高いでしょう。

③養子縁組をするとパートナーシップ制度が利用できない

同性パートナー間で養子縁組をした場合、法律上は親子です。

多くの場合で、パートナーシップ宣誓をすることができなくなります。

パートナーシップ宣誓をする条件に、親子関係がないことがあるからです。

4同性婚の相続対策を司法書士に依頼するメリット

何もしなければ、同性婚のパートナーが死亡しても相続人になることはできません。

養子縁組は、同性婚の相続対策のひとつです。

養子縁組で家族になることができます。

相続が発生したときに、相続人になることができます。

養子縁組は親子になることだから、当事者の気持ちに合わないと感じるかもしれません。

メリットデメリットを充分に検討して、納得して手続をすることが重要です。

養子縁組だけでなく、他の相続対策が必要になることがあります。

同性婚は法律上の婚姻ではないから、考慮しなければならないことがたくさんあります。

相続対策で不安がある方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

半血兄弟の相続分は半分のまま

2024-04-03

1相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生すると、配偶者や子どもが相続することは多くの方がご存知でしょう。

相続人になる人は、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

①配偶者は必ず相続人になる

②被相続人に子どもがいる場合、子ども

③被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

④被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

2兄弟姉妹が相続人になるときの兄弟姉妹とは

①両親が同じ兄弟姉妹は兄弟姉妹

被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。

兄弟姉妹が相続人になるというと、両親が同じ兄弟姉妹を真っ先イメージするでしょう。

両親が同じ兄弟姉妹は、相続人になります。

②両親の一方が同じ兄弟姉妹は兄弟姉妹

被相続人の親に再婚歴があることがあります。

相続人調査をしたところ、両親の一方が同じ兄弟姉妹が判明することがあります。

兄弟姉妹が相続人になるときの兄弟姉妹とは、両親が同じ兄弟姉妹に限られません。

両親の一方が同じ兄弟姉妹は、相続人になります。

③第三者と養子縁組をした兄弟姉妹は兄弟姉妹

両親が同じ兄弟姉妹や両親の一方が同じ兄弟姉妹の中で、第三者と養子縁組をして養子になっていることがあります。

養子には、2種類あります。

普通養子と特別養子です。

子どものいない夫婦が養子縁組をする、配偶者の連れ子と養子縁組するといったことは日常的に聞くことあります。

一般的に、単に「養子」と言ったら、普通養子を指していることがほとんどです。

普通養子は、養子縁組をした後も血縁関係のある実親との親子関係が続きます。

血縁関係のある実親との親子関係が続くから、兄弟姉妹関係も続きます。

普通養子による養子縁組をして養子になった兄弟姉妹は、相続人になります。

特別養子は、養子縁組をした後は血縁関係のある実親との親子関係がなくなります。

血縁関係のある実親との親子関係がなくなるから、兄弟姉妹関係もなくなります。

特別養子による養子縁組をして養子になった兄弟姉妹は、相続人になりません。

④親と養子縁組をした養子は兄弟姉妹

被相続人の親が第三者の子どもと養子縁組をして養親になっていることがあります。

養子縁組をした場合、養親と養子の間に親子関係が作られます。

普通養子であっても特別養子であっても、養親と養子は親子です。

養親と養子の間に親子関係が作られるから、養親の実子と兄弟姉妹関係になります。

親と養子縁組をした養子は、相続人になります。

⑤養子同士であっても兄弟姉妹

被相続人の親が第三者の子どもと養子縁組をして養親になっていることがあります。

養子縁組をする場合、養子の人数に制限はありません。

複数の子どもと養子縁組をすることができます。

被相続人の親に複数の養子がいる場合、どの養子も養親と親子関係があります。

養親と養子の間に親子関係が作られるから、養子同士で兄弟姉妹関係になります。

被相続人の親と養子縁組をした養子は、相続人になります。

⑥親と養子縁組をした後に第三者と養子縁組をした養子は兄弟姉妹

被相続人の親が第三者の子どもと養子縁組をして養親になっていることがあります。

養子縁組をする場合、養親の人数に制限はありません。

複数の養親と養子縁組をすることができます。

被相続人の親が第三者の子どもと養子縁組をした後に、養子が別の第三者と養子縁組をすることがあります。

複数の養子縁組をした場合、有効な養子縁組です。

先の養子縁組が無効になることも、後の養子縁組が無効になることもありません。

第三者と養子縁組をした養子が親の養子になる養子縁組をした場合、両方の養子縁組が有効です。

両方の養子縁組が有効だから、両方で親子関係が作られます。

養親と養子の間に親子関係が作られるから、養親の実子や養子同士で兄弟姉妹関係になります。

親と養子縁組をした後に第三者と養子縁組をした養子は、相続人になります。

⑦親が認知した子どもは兄弟姉妹

被相続人の親に婚姻関係にない子どもがいることがあります。

認知とは、婚姻関係にない子どもを自分の子どもと認めることです。

認知によって、親子関係が認められます。

親と認知された子どもに親子関係が認められるから、他の子どもと兄弟姉妹関係が認められます。

親に認知された子どもは、相続人になります。

⑧親に認知されていない子どもは兄弟姉妹ではない

被相続人の親に婚姻関係にない子どもがいる場合、認知を受けていないことがあります。

実際に血縁関係があっても認知を受けていない場合、親子関係が認められません。

親と認知された子どもに親子関係が認められないから、他の子どもと兄弟姉妹関係が認められません。

親に認知されていない子どもは、相続人になりません。

⑨親の配偶者の連れ子は兄弟姉妹ではない

被相続人の親に再婚歴がある場合、親の配偶者に連れ子がいることがあります。

親の配偶者と連れ子には、親子関係があります。

親が再婚した場合、配偶者の連れ子と親子関係は作られません。

親と配偶者の連れ子に親子関係を作りたい場合、別途養子縁組をする必要があります。

親と配偶者の連れ子に親子関係がないから、他の子どもと兄弟姉妹関係が認められません。

配偶者の連れ子は、相続人になりません。

3兄弟姉妹の財産を分け合うときの半血兄弟の相続分

①半血兄弟の相続分は全血兄弟の相続分の半分

被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。

兄弟姉妹が相続人になる場合、全血兄弟と半血兄弟の相続分は同じではありません。

全血兄弟とは、両親が同じ兄弟姉妹です。

半血兄弟とは、両親の一方が同じ兄弟姉妹です。

兄弟姉妹が相続人になる場合、半血兄弟の相続分は全血兄弟の相続分の半分です。

②養子にも半血兄弟はいる

養子縁組をした場合、養親と養子の間に親子関係が作られます。

親子関係が作られるのは、養親と養子の間だけです。

養親が夫婦であっても、自動的に2人に親子関係が作られるわけではありません。

夫婦の一方だけが養親となる養子縁組をすることができます。

夫婦の他方と親子関係は作られません。

両親が同じ兄弟姉妹と両親の一方が同じ兄弟姉妹は、同じ相続分ではありません。

両親の一方が同じ兄弟姉妹は半血兄弟姉妹だから、全血兄弟姉妹の相続分の半分です。

③半血兄弟の子どもが代襲相続

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することがあります。

これを代襲相続と言います。

兄弟姉妹が先に死亡した場合、兄弟姉妹の子どもが代襲相続します。

兄弟姉妹の子どもは、甥姪です。

相続人になるはずだった半血兄弟が先に死亡した場合、半血兄弟の子どもが代襲相続します。

代襲相続人は、相続人になるはずだった人の相続分を引き継ぎます。

代襲相続人が複数いる場合、被代襲者の相続分を平等に分け合います。

半血兄弟の相続分は、全血兄弟の相続分の半分です。

代襲相続人は被代襲者の相続分を分け合うから、相応に少ない相続分になります。

④親に認知されていない子どもに相続分はない

実際に血縁関係があっても認知を受けていない場合、親子関係が認められません。

親に認知されていない子どもは相続人にならないから、相続分は認められません。

⑤親の配偶者の連れ子に相続分はない

親が再婚した場合、配偶者の連れ子と親子関係は作られません。

配偶者の連れ子は相続人にならないから、相続分は認められません。

4親の財産を分け合うときの相続分

①親を相続するときに全血兄弟と半血兄弟の区別はない

兄弟姉妹が相続人になる場合、半血兄弟の相続分は全血兄弟の相続分の半分です。

半血兄弟の相続分が全血兄弟の相続分の半分になるのは、被相続人の兄弟姉妹が相続する場合の話です。

被相続人の子どもが相続する場合、全血兄弟と半血兄弟の区別はありません。

全血兄弟と半血兄弟の区別なく、相続分は平等です。

②親を相続するときに嫡出子と非嫡出子の区別はない

嫡出子とは、法律婚をした夫婦の間に生まれた子どもです。

非嫡出子とは、法律婚をしていない男女間に生まれた子どもです。

被相続人の子どもが相続する場合、現在では嫡出子と非嫡出子の区別はありません。

以前は、非嫡出子の相続分は、嫡出子の半分でした。

平成25年9月4日最高裁判所は、「非嫡出子の相続分は嫡出子の半分」は無効と決定しました。

嫡出子と被嫡出子は同じ子どもだから、平等に扱われるべきだからです。

③親を相続するときに養子と実子の区別はない

養子縁組をした場合、養親と養子の間に親子関係が作られます。

被相続人の子どもが相続する場合、養子と実子の区別はありません。

養子と実子は、被相続人の子どもであることに変わりはないからです。

養子と実子がいる場合、養子が相続できなくなるルールはありません。

養子と実子がいる場合、養子の相続分が少なくなるルールはありません。

養子と実子の区別はないからです。

5半血兄弟とのトラブルを避けるため遺言書作成

①遺言書で財産の分け方を決めておく

被相続人は、生前自分の財産を自由に処分することができます。

被相続人は遺言書を作成して、自分の財産をだれに引き継いでもらうか決めることができます。

被相続人が何も決めないで死亡した場合、被相続人の財産は相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

相続人に半血兄弟が含まれる場合、関係性が薄いことが多いでしょう。

関係性が薄い相続人がいる場合、相続人全員の合意が難航しがちです。

被相続人が遺言書を作成しておいた場合、相続人全員の話し合いが不要です。

半血兄弟とトラブルになることも、少なくなるでしょう。

②遺言執行者を選任しておく

遺言書は、作成するだけでは意味がありません。

遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書で遺言執行者を選任することができます。

遺言執行者がいると、わずらわしい相続手続をおまかせすることができます。

③公正証書遺言がおすすめ

公正証書遺言とは、遺言内容を公証人に取りまとめてもらって作る遺言書です。

遺言者が公証人に遺言内容を伝えて、証人2人に確認してもらって作ります。

遺言書には、厳格な書き方ルールがあります。

公証人は、法律の専門家です。

公正証書遺言は公証人が関与するから、書き方ルールの違反で無効になることがあり得ません。

せっかく遺言書を作成しても、無効な遺言書では意味がありません。

遺言書を作成には、公正証書遺言がおすすめです。

6半血兄弟が相続人になる相続を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、被相続人のものは相続財産になります。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方を決めるためには、相続人全員の合意が必要です。

相続人の一部を含めない合意や相続人でない人を含めた合意は、無効になります。

相続財産の分け方の話し合いの前提として、相続人の確定はとても重要です。

半血兄弟が相続人になる相続では、話し合いの難易度が上がります。

両親の一方だけ同じ半血兄弟姉妹がいる場合、関係性がいいことはあまりないでしょう。

インターネットが普及したことで、多くの情報を手軽に得ることができるようになりました。

簡単に情報発信ができるようになったこともあって、適切でない情報も有益な情報もたくさん出回っています。

相続の専門家と名乗っていながら、適切でないアドバイスを見かけることも度々あります。

代襲相続や数次相続が発生している場合、信頼できる専門家のサポートが欠かせません。

スムーズに相続手続を行いたい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

戸籍謄本等の広域交付が利用できない

2024-03-29

1近隣の市役所で戸籍謄本が請求できる

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②相続人は戸籍謄本で証明する

家族が死亡した後は、相続手続をします。

相続手続先には、相続人であることを証明しなければなりません。

家族にとって相続人になる人は、当然に分かっていることと軽く考えるかもしれません。

家族以外の第三者に対しては、客観的に証明する必要があります。

客観的に証明するとは、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を準備することです。

戸籍とは、その人の身分事項が記録された帳簿です。

結婚や離婚、養子縁組や離縁、認知などを家族に秘密にしている人がいます。

戸籍には、その人の身分事項がすべて記録されています。

被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を確認すると、被相続人の身分事項をすべて確認することができます。

離婚歴や子どもの存在も、すべて明らかになります。

相続人は、戸籍謄本で証明する必要があります。

③戸籍は本籍地の市区町村役場にある

戸籍は、本籍が定めている市区町村役場に備えられています。

戸籍謄本は、本籍地の市区町村役場に請求するのが原則です。

④戸籍謄本等の広域交付を利用できる

相続が発生したら、相続手続先に相続人を証明しなければなりません。

本籍地の市区町村役場に戸籍謄本を請求するのは、大きな手間と時間がかかります。

令和6年3月1日から、戸籍謄本の広域交付が始まりました。

広域交付が利用できるのは、次の人です。

(1)その戸籍に記載がある人

(2)記載がある人の直系血族

広域交付制度を利用すれば、本籍地以外の市区町村役場で戸籍謄本を請求することができます。

広域交付制度を利用して、近隣の市区町村役場で戸籍謄本を取得することができます。

2戸籍謄本等の広域交付が利用できない

①配偶者の戸籍謄本は広域交付が利用できない

相続が発生したら、配偶者は常に相続人になります。

相続手続をする場合、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を提出します。

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になるからです。

被相続人の配偶者は、被相続人と同じ戸籍にいます。

被相続人の配偶者は、広域交付を利用して戸籍謄本を取得することができます。

広域交付で取得できるのは、被相続人と婚姻してから死亡までの戸籍謄本のみです。

被相続人と婚姻するまで、配偶者は別の戸籍にいるはずです。

被相続人の配偶者は、直系血族ではありません。

被相続人の出生から婚姻までの戸籍謄本は、広域交付を利用して取得することができません。

配偶者の戸籍謄本は、広域交付が利用できません。

②兄弟姉妹の戸籍謄本は広域交付が利用できない

被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。

相続手続をする場合、相続人の戸籍謄本を提出します。

相続が発生した時点で、相続人の存在することを証明するためです。

兄弟姉妹の戸籍謄本は、広域交付で請求することはできません。

兄弟姉妹は、直系血族ではないからです。

広域交付を利用して戸籍謄本を請求することができるのは、その戸籍に記載がある人と記載がある人の直系血族だけだからです。

兄弟姉妹が親の戸籍にいる場合、親の戸籍謄本を請求すると一緒に記載されます。

兄弟姉妹が結婚や養子縁組で親の戸籍から離れていることがあります。

兄弟姉妹の戸籍謄本は、広域交付が利用できません。

③代理人請求は広域交付が利用できない

一般的に、戸籍謄本等は代理人を立てて依頼することができます。

本人が作成した委任状を提示して、代理人が戸籍謄本を請求することができます。

相続手続のため戸籍謄本を集める場合、たくさんの手間と時間がかかります。

だれかに依頼して手続をしてもらいたいと考える人もいるでしょう。

代理人が戸籍謄本を請求する場合、広域交付が利用できません。

代理人に依頼する場合、本籍地の市区町村役場に請求する必要があります。

広域交付が利用できるのは、請求人が窓口に出向く場合だけです。

代理人請求では、広域交付が利用できません。

④第三者請求は広域交付が利用できない

戸籍は、その人の身分事項が記載されている帳簿です。

身分事項とは、結婚や離婚、養子縁組や離縁、認知などの事項です。

身分事項は、プライベートな事柄です。

みだりに人目にさらすものではありません。

戸籍謄本を請求することができる人は、原則として、本人と直系血族です。

特別な理由がある場合、第三者が戸籍謄本を請求することができます。

第三者とは、本人と直系血族以外の人です。

被相続人の配偶者が被相続人の出生から婚姻までの戸籍謄本を請求する場合、第三者請求です。

赤の他人であっても、特別な理由を明らかにして請求することができます。

相続手続のため相続人を特定することは、特別な理由に該当します。

一般的に、相続人特定のために第三者が戸籍謄本を請求することができます。

第三者が戸籍謄本を請求する場合、広域交付が利用できません。

第三者請求をする場合、本籍地の市区町村役場に請求する必要があります。

広域交付が利用できるのは、本人や直系血族が窓口に出向く場合だけです。

第三者請求では、広域交付が利用できません。

⑤郵送請求は広域交付が利用できない

戸籍謄本等の広域交付は、市区町村役場の窓口請求のみの対応です。

仕事や家事で忙しい人にとって、市区町村役場の窓口に出向く時間はないでしょう。

市区町村役場の窓口は、平日の昼間だけ業務を行っているからです。

一般的に、戸籍謄本等は郵送で請求することができます。

郵送で請求した場合、返信用封筒を入れておくと郵送で送り返してもらえます。

郵送請求を希望する場合、本籍地の市区町村役場に請求する必要があります。

郵送請求は、戸籍謄本等の広域交付が利用できません。

⑥戸籍の附票は広域交付が利用できない

相続登記をする場合、被相続人の住民票の除票か戸籍の附票を必要になります。

住民票の除票は、住民票を置いている市区町村役場に請求します。

住民票の除票は、住民票を置いている市区町村役場が分からない場合、請求できません。

戸籍の附票は、本籍地の市区町村役場に請求します。

本籍地は、相続人調査で必ず判明します。

戸籍の附票の方が請求しやすいでしょう。

戸籍の附票は、本籍地の市区町村役場に対して請求する必要があります。

戸籍の附票は、戸籍謄本等の広域交付が利用できません。

⑦コンピューター化されていない戸籍は広域交付が利用できない

相続人調査では、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を準備します。

被相続人が高齢で死亡した場合、相当古い戸籍謄本が必要になります。

相当古い戸籍の一部は、コンピューター化されていません。

コンピューター化されていない戸籍謄本は、本籍地の市区町村役場に請求する必要があります。

コンピューター化されていない戸籍謄本は、戸籍謄本等の広域交付が利用できません。

⑧戸籍抄本は広域交付が利用できない

戸籍謄本は、その戸籍に入っている人全員分の証明書です。

戸籍抄本は、その戸籍に入っている一部の人の証明書です。

戸籍の内容は、プライベートな事柄です。

他の人の内容を人目にさらしたくないことがあるでしょう。

戸籍謄本は、広域交付を利用して取得することができます。

戸籍抄本は、本籍地の市区町村役場に請求する必要があります。

戸籍抄本は、戸籍謄本等の広域交付が利用できません。

3広域交付は受付時間・窓口に注意

広域交付を利用すると、とても便利です。

本籍地がどこにあっても、近隣の市区町村役場で戸籍謄本を取得することができるからです。

多くの人は、複数の本籍地があります。

近隣の市区町村役場で請求した場合、本籍地の市区町村役場に確認して戸籍謄本が発行されます。

たくさんの本籍地に確認する場合、連絡が取りにくいことがあるでしょう。

戸籍謄本の請求をしてから交付されるまで、相当長時間かかります。

交付までに長時間かかることを考慮して、受付時間が短縮されていることがあります。

例えば、名古屋市内の各区役所で、最新の現在戸籍の請求は5時15分まで受付してもらえます。

除籍や改製原戸籍といった古い戸籍謄本の請求は、4時までしか受付してもらえません。

受付をしてもらえたとしても、本籍地の市区町村役場に確認ができないことがあります。

戸籍謄本の請求をした当日に交付できずに、あらためて窓口に出向くことになるでしょう。

市区町村役場によっては、休日に窓口を開いていることがあります。

近隣の市区町村役場が休日に窓口を開いていても、本籍地の市区町村役場は業務を行っていないでしょう。

休日窓口などでは、広域交付を受け付けてもらえないでしょう。

広域交付を利用する場合、受付時間・窓口に注意が必要です。

4戸籍謄本の取り寄せはおまかせできる

戸籍謄本は、本籍地の市区町村役場に請求します。

近隣の市区町村役場であれば、窓口で係の人に確認しながら請求することができます。

ときには住所地からはるか遠方の市区町村役場であることがあります。

遠方の市区町村役場に請求する場合、郵送で請求することができます。

郵送で請求する場合、難易度が上がります。

窓口で係の人に確認しながら、請求することができないからです。

適切な書き方をしていない場合、市区町村役場から確認の電話連絡が入ります。

市区町村役場は、平日の昼間しか業務を行いません。

仕事などで忙しい人は、対応が難しいでしょう。

戸籍謄本の取り寄せは、司法書士などの専門家におまかせすることができます。

5相続人調査を司法書士に依頼するメリット

本籍地の変更や国による戸籍の作り直し(改製)で多くの方は、何通もの戸籍を渡り歩いています。

相続手続のために、たくさんの戸籍謄本を集めなければなりません。

古い戸籍は現在と形式が違っています。

慣れないと、読みにくいものです。

現代とちがって、古い戸籍は手書きで書いてあります。

手書きの達筆な崩し字で書いてあると、分かりにくいものです。

戸籍集めは、相続以上にタイヘンです。

本籍地を何度も変更している人は、たくさんの戸籍を渡り歩いています。

結婚、離婚、養子縁組、離縁を何度もしている人は、戸籍が何度も作り直されています。

戸籍をたくさん渡り歩いているので、戸籍集めは膨大な手間と時間がかかります。

段取りよく要領よく手続するには、ちょっとしたコツがいります。

お仕事や家事でお忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続をおまかせできます。

相続人調査でお困りのことがあれば、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

事実婚・内縁の配偶者に相続権はない

2024-03-24

1事実婚・内縁の配偶者に相続権はない

①相続人になれるのは法律上の配偶者のみ

配偶者は必ず相続人になります。

配偶者は法律上の配偶者を指します。

事実婚・内縁の配偶者は、相続人になれません。

事実婚・内縁関係の場合は、何年一緒にいても相続人になれません。

事実婚・内縁の配偶者に相続する権利はないから、被相続人に莫大な借金があっても借金を引き継いでしまうことはありません。

莫大な借金を心配して、相続放棄をする必要はありません。

事実婚・内縁の配偶者は相続人でないから、土地などの不動産を相続することもできません。

離婚して法律上の配偶者でなくなった元配偶者も相続人になれません。

法律上の配偶者でなくなった元配偶者が、離婚後、内縁の配偶者であっても、相続人になれません。

②事実婚・内縁関係の場合は遺留分がない

遺留分とは、相続財産に対する最低限の権利のことです。

兄弟姉妹以外の相続人に認められます。

事実婚・内縁の配偶者は相続人でありませんから、遺留分が認められません。

③事実婚・内縁関係の場合は寄与分がない

寄与分の制度は、特別な貢献をした相続人に対して相続分以上の財産を受け取ってもらう制度です。

事実婚・内縁の配偶者は相続人でないから、寄与分を請求することはできません。

④事実婚・内縁関係の場合は特別寄与者になれない

特別な貢献をした人が相続人でなくても親族である場合、特別寄与者になることができます。

親族にあたるのは次の人です。

(1)6親等内の血族

(2)配偶者

(3)3親等内の姻族

具体的には、配偶者の連れ子や甥姪、甥姪の子や孫、いとこ、はとこなどです。

事実婚・内縁の配偶者は、親族ではありません。

事実婚・内縁の配偶者は親族でないから、特別寄与者になることはできません。

⑤事実婚・内縁関係の場合は配偶者居住権と配偶者短期居住権がない

配偶者居住権と配偶者短期居住権は、いずれも、被相続人の家に住んでいた配偶者が無償で住み続けることができる権利です。

配偶者居住権も配偶者短期居住権も取得することができる配偶者は、法律上の配偶者のみです。

事実婚・内縁の配偶者は、配偶者居住権も配偶者短期居住権も取得することはできません。

2事実婚・内縁の配偶者が死亡しても財産分与を請求できない

事実婚・内縁関係の夫婦が事実婚・内縁関係を解消する場合、法律婚における離婚に準じて扱われます。

法律婚の夫婦が離婚する場合、婚姻期間中に形成した共同財産は、それぞれの寄与の度合いに応じて分け合います。

共同財産を分け合うことを、財産分与と言います。

事実婚・内縁関係の夫婦が事実婚・内縁関係を解消する場合も、財産分与をします。

事実婚・内縁関係の期間中に形成した共同財産について、それぞれの寄与の度合いに応じて分けることを請求することができます。

事実婚・内縁関係の夫婦が財産分与を請求することをできるのは、両当事者が生きている場合に限ります。

事実婚・内縁関係の夫婦の一方が死亡した場合、財産分与を請求することをできません。

共同財産であっても死亡した人の財産として、相続財産になります。

事実婚・内縁の配偶者は、人ではありません。

何もしていなければ、相続財産を取得することはできません。

3事実婚・内縁の配偶者が財産を受け継ぐ方法

①事実婚・内縁の配偶者に遺贈する

遺贈とは、被相続人が遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげることです。

相続では、法定相続人だけに譲ってあげることができます。

遺贈では、法定相続人に譲ってあげることもできるし、相続人以外の人に譲ってあげることができます。

譲ってあげる相手は、相続人以外の人でも構いませんから、事実婚・内縁の配偶者にも譲ってあげることができます。

相続では、遺言がなくても相続人が受け取ることができます。

遺贈は、遺言があるときだけ譲ってあげることができます。

事実婚・内縁の配偶者は相続人になれませんから、相続はできません。

遺贈であれば、事実婚や内縁の配偶者に財産を譲ってあげることができます。

遺贈とは、遺言によって、財産を譲ってあげることですから、必ず、遺言書が必要です。

事実婚や内縁の配偶者が特別な寄与をしている場合でも、事実婚や内縁の配偶者は寄与分を請求することはできません。

被相続人は、遺贈をすることで寄与に報いてあげることができます。

②事実婚・内縁の配偶者に生前贈与をする

遺贈は死亡時に財産を受け継いでもらう方法ですが、生前に財産を受け取ってもらうこともできます。

生前贈与をする場合、割高な贈与税がかかることがあります。

贈与税の負担を考慮して、計画的に財産を受け取ってもらう必要があります。

生前贈与も遺贈も相続人の遺留分を侵害してしまった場合、トラブルになるおそれがあります。

③事実婚・内縁の配偶者を生命保険の受取人にする

生命保険の受取人に事実婚・内縁の配偶者を指定することができる場合、死亡保険金を受け取ってもらうことができます。

死亡保険金は、原則として、法律上の配偶者や血縁関係の近い血族のみが受取人になることができます。

保険商品によっては、一定の条件のもとで事実婚・内縁の配偶者を受取人にすることができます。

生命保険の死亡保険金を受け取る権利は、受取人の固有の財産です。

被相続人の相続人と話し合いなしで受け取ることができます。

④遺族年金を受け取れる

遺族年金は、生計を維持していた人が死亡したときに残された遺族が受けることができる年金です。

年金を受け取ることができる配偶者は、法律婚だけでなく事実婚・内縁の配偶者を含みます。

4事実婚・内縁の子どもは相続人

事実婚・内縁配偶者との間に子どもがいる場合があります。

事実婚・内縁配偶者との間に子どもは認知を受けている場合、相続人になります。

認知を受けた子どもは、被相続人の子どもだからです。

法律婚の子どもと事実婚の子どもに違いはありません。

同じ被相続人の子どもとして、相続人になります。

被相続人に莫大な借金がある場合、事実婚・内縁配偶者は何もしなくても借金を受け継ぐことがありません。

事実婚・内縁配偶者との間に子どもは認知を受けている場合、何もしないと借金を受け継ぐことになります。

5相続人不存在の手続

相続人がいないから、財産は事実婚・内縁の配偶者が好きにするだろうと楽観的な意見も聞きます。

相続人がいないとは、単に、家族と疎遠であるとか、行方不明であることが多いものです。

法定相続人と何十年も会っていなくても、音信不通でも、相続人であることは変わりません。

行方不明でも相続人がいれば、事実婚・内縁の配偶者は何も受け取れないのです。

法定相続人がだれもいない場合、財産は最終的には国庫に帰属します。

国庫に帰属する前に手続があります。

①相続財産管理人選任の申立

相続財産を管理する人を家庭裁判所に選んでもらいます。

②公告をする

家庭裁判所が相続財産管理人を選びましたとお知らせをします。

相続財産管理人が、官報に債権者はいませんかとお知らせを出します。

債権者をさがすお知らせの期間は2か月です。

債権者をさがすお知らせの2か月経過後、官報に相続人はいませんかとお知らせを出します。

相続人をさがすお知らせの期間は6か月です。

ここで誰も名のり出なければ、相続人不存在が確定します。

③特別縁故者に対する相続財産分与の申立

相続人をさがすお知らせの6か月経過後、被相続人と特に親しい関係があった人は、家庭裁判所に認めてもらえれば、財産を分けてもらうことができます。

相続人をさがすお知らせの6か月経過後、3か月以内に申立をする必要があります。

事実婚・内縁関係の配偶者は、特に親しい関係があった人と言えることが多いです。

④債権者に弁済する

⑤国庫に帰属する

被相続人が死亡してから、国庫に帰属するまで1年以上の時間がかかります。

相続人がいないから、財産は事実婚・内縁の配偶者が好きにするだろうという人は、事実婚・内縁関係だから特別縁故者になるだろうと言ってるのかもしれません。

事実婚・内縁関係の人は、特に親しい関係があった人と言えることが多いものの、家庭裁判所が認めてくれない場合もあります。

特に親しい関係があった人と認めてくれても、財産すべてを分けてもらえないことも多いものです。

財産が多額にあっても、わずかな額だけ認めてもらえたという例もあります。

何よりも、①~⑤の手続きをするのは、だれにとっても時間と労力がかかります。

遺言書1枚あれば、膨大な手間と時間をかけずにラクに財産を譲ることができるのです。

6賃借権を受け継ぐことができる場合

被相続人が賃貸マンションを借りていて、内縁の配偶者と一緒に住んでいることがあります。

賃貸マンションを借りる権利を賃借権と言います。

賃借権も相続財産の一つです。

賃借権も相続財産として、相続人全員で、分け方の合意をします。

賃借権を相続した相続人の賃借権を援用して、内縁の配偶者が賃貸マンションに住み続けることができます。

賃借権を相続した相続人が事実婚・内縁の配偶者をよく思わない場合、明渡を求めてくるかもしれません。

賃借権を相続した相続人であっても、賃貸マンションに居住するなどの事情がないのに事実婚・内縁の配偶者を追い出すことは難しいでしょう。

賃貸マンションは事実婚・内縁の配偶者の生活の本拠だから、権利の濫用にあたると判断されることが多いでしょう。

相続人が不存在の場合、借地借家法という特別の法律で、賃借人の内縁の配偶者は、賃借権を引き継ぐことができます。

賃料を負担することになったとしても、住み慣れた家に住み続けられる可能性があります。

一緒に住んでいた家に住み続けられる可能性はあるものの、法律の明文の規定はありません。

遺言書などで決めておくことが重要になるでしょう。

7遺言書作成と遺言執行を司法書士に依頼するメリット

遺言執行者は遺言書の内容を実現する人です。

相続人が遺言書の内容に納得していて、手続きに協力的であれば、必ずしも、遺言執行者を選任する必要はありません。

相続人がいる場合、内縁の配偶者に遺贈すると自分の取り分が減ると考えて、良い気持がしないのが通常です。

内縁の配偶者の存在を知らない相続人もいるかもしれません。

相続人が遺言執行に協力的とは考えられないのが一般的です。

遺言書の内容に不満を持つ相続人がいた場合、遺言書が無効であると主張することが考えられます。

遺言書は、公証人が関与する公正証書遺言がおすすめです。

公証人が関与するから無効になりにくく、作成後は公証役場で厳重に保管されるからです。

遺言執行者は、相続開始後すみやかに手続を進めることができる時間と知識がある人を選ぶことが重要です。

その意味でも、家族より司法書士などの専門家に遺言執行を依頼する人が増えています。

以前は、遺言執行者は止むを得ない場合だけ、他の人に職務を任せることができるとされていましたが、現在は、止むを得ないなどの理由は不要になりました。

遺言執行者に指名され、職務をしてみたところ、思ったよりタイヘンだという場合、自己の責任で司法書士などの専門家におまかせすることもできます。

今後も、専門家に依頼する人は増えていくでしょう。

遺言執行を司法書士などの専門家に依頼した場合、相続人は基本待っているだけなので、トラブルになることが少なくなるからです。

家族を笑顔にするためにも、遺言書作成し遺言執行者選任しましょう。

家族の幸せのためにも、遺言書作成と遺言執行者選任を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

疎遠になっても死亡連絡

2024-03-22

1疎遠になっても相続人

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②会ったことがない相続人が見つかる

相続人調査をすると、思いもよらない相続人が見つかることがあります。

被相続人が再婚歴や子どもの存在を家族に秘密にしていることがあるからです。

家族にとって相続人になる人は、当然のことと軽く考えがちです。

相続手続先などの第三者に対しては、客観的に証明する必要があります。

相続人を客観的に証明するとは、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を準備することです。

戸籍には、その人の身分事項がすべて記録されています。

身分事項とは、結婚や離婚、養子縁組や離縁、子どもの認知などです。

被相続人が家族に秘密にしていても、すべて明るみに出ます。

相続人調査をすると、見知らぬ相続人が見つかることがあります。

③遺産分割協議は相続人全員で

相続が発生したら、被相続人のものは相続人が相続します。

相続人が相続する財産が相続財産です。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

一部の相続人を含めないで合意しても、無効の合意です。

会ったことない相続人であっても、遺産分割協議から除外することはできません。

相続人になる人は、法律で決まっているからです。

遺産分割協議は、相続人全員でする必要があります。

2被相続人の家族から死亡連絡

さまざまな家族の事情から、被相続人や被相続人の家族と疎遠になっていることがあります。

相続が発生した場合、相続人の協力が必要になるでしょう。

各相続人は、相続人調査をすることができます。

相続人確定のため、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得することができます。

被相続人や被相続人の家族と疎遠であっても、戸籍謄本をたどると家族関係は判明します。

戸籍の附票を取得すると、その人の住所が判明します。

戸籍の附票とは、住民票の異動が記載されている書類です。

相続手続への協力のため、被相続人の家族から死亡の連絡がされます。

3家庭裁判所から死亡連絡

①遺産分割調停で呼出し

被相続人の家族から死亡の連絡がされる場合、遺産分割協議の申入れでしょう。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

一部の相続人が相続手続に関わりたくないと無視をしている場合、遺産分割協議ができません。

被相続人の家族から死亡の連絡がされても、手紙を見落としてしまうことがあるでしょう。

遺産分割調停とは、家庭裁判所のアドバイスを受けてする相続人全員の話し合いです。

遺産分割調停の申立てがあった場合、家庭裁判所は相続人を裁判所に呼び出します。

話し合いと言っても、直接顔を合わせて話し合いをするわけではありません。

各相続人が交代で調停委員と話をするだけです。

相続人だけで話し合いをした場合、感情的になってしまうかもしれません。

家庭裁判所の調停委員に話す場合、少し落ち付いて話ができるでしょう。

家庭裁判所の調停委員から公平な意見を根拠にしてアドバイスがされると、納得できるかもしれません。

調停委員から客観的なアドバイスを受けて、相続人全員の合意を目指します。

遺産分割調停のため、家庭裁判所から死亡の連絡がされます。

②自筆証書遺言の検認で呼出し

被相続人が生前に自筆証書遺言を作成していることがあります。

自筆証書遺言とは、遺言者が自分で書いて作った遺言書です。

自筆証書遺言を見つけた人や預かっている人は、家庭裁判所に届出なければなりません。

自筆証書遺言の検認とは、遺言書を開封して確認してもらう手続です。

封がされていない遺言書であっても封筒に入っていない遺言書であっても、検認は必要です。

自筆証書遺言の検認の申立てがあった場合、家庭裁判所は相続人全員を家庭裁判所に呼び出します。

相続人立会いで遺言書を開封してもらって、確認するためです。

自筆証書遺言の検認のため家庭裁判所から呼び出されても、欠席しても差し支えありません。

自筆証書遺言の検認期日に欠席しても、相続できなくなることはありません。

自筆証書遺言の検認の申立てをした人は必ず出席しなければなりません。

申立てをした人以外の人は欠席しても、不利な取り扱いを受けることはありません。

自筆証書遺言の検認のため、家庭裁判所から死亡の連絡がされます。

3法務局から死亡連絡

①自筆証書遺言は法務局で保管してもらえる

被相続人が自筆証書遺言を作成した場合、遺言書は自分で保管するのが原則です。

遺言書を自分で保管すると、紛失してしまう心配があります。

遺言書の保管場所を家族と共有していない場合、家族が遺言書を見つけられないかもしれません。

遺言書の保管場所を家族と共有していた場合、家族が遺言書を破棄・変造する心配があります。

自筆証書遺言は、法務局で保管してもらうことができます。

これが自筆証書遺言保管制度です。

②遺言者が死亡すると通知される

自筆証書遺言保管制度を利用している人が死亡した場合、法務局は通知を出します。

法務局が出す通知は、2種類あります。

指定者通知と関係遺言書保管通知です。

指定者通知とは、遺言者が指定した方への通知です。

法務局が遺言書の死亡を知ったとき、遺言者が指定した方へ通知します。

指定者通知は、遺言者が希望したときだけ実施します。

関係遺言書保管通知は、相続人らが遺言書の閲覧や遺言書情報証明書の交付を受けたときに実施されます。

関係遺言書保管通知は、相続人全員に通知されます。

自筆証書遺言保管制度の利用で、法務局から死亡の連絡がされます。

4遺言執行者から死亡連絡

被相続人が生前に遺言書を作成していることがあります。

遺言書を作成する場合、遺言執行者を選任することができます。

遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者が就任した場合、相続人に対して遺言書の内容を通知しなければなりません。

被相続人が遺言書で遺言執行者を選任していた場合、遺言執行者から死亡の連絡がされます。

5警察から死亡連絡

①事件や事故で死亡すると警察

被相続人が事件や事故に巻き込まれて死亡することがあります。

自宅などで死亡した後に発見された場合、警察が死亡時の調査をするでしょう。

事故や事件の可能性があるからです。

調査の過程で遺留品などから家族の手掛かりを得て、連絡されることがあります。

遺留品などを見ても家族の詳しい事情は、分からないのが通常です。

血縁関係が近いと思われる人に連絡するでしょう。

事件や事故の可能性がある場合、警察から死亡の連絡がされます。

②引取りは拒否できる

家族が死亡したことの連絡と一緒に、遺体の引取を依頼されるでしょう。

家族や親族であっても、遺体の引取は拒否することができます。

遺体の引取をしないことで、他の親族から心無い言葉をかけられるかもしれません。

法的義務はなくても遺体を引き取らなかったことについて、良心がとがめるかもしれません。

親族との関係性や家庭の事情で異なりますから、落ち着いて判断するといいでしょう。

6市役所から死亡連絡

死亡した人の身元が分からない場合、死亡地の自治体が遺体を引き取ります。

身元が分からない死亡者を行旅死亡人と言います。

行旅死亡人は、行旅病人及行旅死亡人取扱法の規定に基づいて自治体が火葬します。

死亡した人が身分証明書を持っていたとしても、本人と断定できないことがあります。

身元が分からない死亡者と同様に扱われます。

埋火葬の費用は、次の順序で負担します。

(1)死亡した人に遺留金銭や有価証券

(2)不足分は相続人の負担

(3)相続人から支払が得られない場合、死亡した人の扶養義務者の負担

市区町村役場は、戸籍をたどって調査をします。

死亡地の自治体が遺体を引き取った場合、市区町村役場から死亡の連絡がされます。

7関わりたくないから相続放棄

①相続放棄は家庭裁判所で手続

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

被相続人の家族と関わりたくない場合、連絡を無視したくなるかもしれません。

一部の相続人が連絡を無視する場合、相続手続を進めることができなくなります。

連絡に応じるまで、連絡してきます。

連絡を無視すると、いつまででも関わらなければならなくなります。

相続放棄をした場合、被相続人の家族と関わる必要がなくなります。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなくなります。

相続放棄をする理由は、あまり重要視されません。

相続放棄の理由で多いのは、「被相続人の借金を引き継ぎたくない」です。

その他でも構いません。

「被相続人や他の相続人と疎遠で、関わりたくない」でも差し支えありません。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、相続手続に関わる必要がなくなります。

②相続放棄の期限3か月のスタートは知ってから

相続放棄は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内に申立てをする必要があります。

相続があったことを知ってからとは、必ずしも、被相続人の死亡してからではありません。

被相続人が死亡した後3か月以上経過してから、相続放棄の申立てをして、認められることもあります。

相続放棄ができる3か月以内のスタートは、相続があったことを知ってからだからです。

相続があったことを知らなかった場合、相続放棄ができる3か月がスタートしていません。

このポイントは、相続が発生してから3か月以内に申立てができなかったのは止むを得なかったと家庭裁判所に納得してもらうことです。

被相続人や他の相続人と疎遠になっている場合、相続発生直後に連絡されないことが多いでしょう。

3か月以内に申立てができなかったのは仕方なかったと家庭裁判所が納得できる理由があるときだけは、家庭裁判所も相続放棄を認めてくれるのです。

債権者や市役所などから手紙が来て相続があったことを知った場合、この通知は大切です。

この手紙を見て相続があったことを知ったという証拠になるからです。

8死亡連絡が来ないときは自分で確認できる

相続が発生した場合、死亡連絡がされないことがあります。

遺言書ですべての財産について行き先を決めておいた場合、遺産分割協議は不要でしょう。

被相続人の家族が相続手続をすることができるから、協力が必要になりません。

被相続人が作成していた遺言書が公正証書遺言で、かつ、遺言執行者が選任されなければ、死亡連絡がされないでしょう。

自分の親や祖父母、子ども、孫などは直系親族だから、自分で戸籍謄本を取得することができます。

戸籍謄本を取得することで、死亡しているのか健在なのか自分で確認することができます。

9相続人調査を司法書士に依頼するメリット

本籍地の変更や国による戸籍の作り直し(改製)で多くの方は、何通もの戸籍を渡り歩いています。

古い戸籍は現在と形式が違っていて読みにくいものです。

手書きの達筆な崩し字で書いてあると、分かりにくいでしょう。

慣れないと戸籍集めはタイヘンです。

本籍地を何度も変更している方や結婚、離婚、養子縁組、離縁を何度もしている方は、戸籍をたくさん渡り歩いているので、膨大な手間と時間がかかることが多くなります。

戸籍には被相続人の結婚や離婚、子どもや養子の存在といった身分関係がすべて記録されています。

家族の方が知らない相続人が明らかになることもあります。

相続人を確定させるために戸籍を集めるだけでも、知識のない一般の人にはタイヘンな作業です。

家族の方が知らない相続人が明らかになると、精神的な負担はさらに大きいものになります。

相続手続のうち、専門家に任せられるものは任せてしまうといいでしょう。

家族の事務負担を軽減することができます。

戸籍や住民票の取り寄せも司法書士は代行します。

相続人調査でお困りの方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

胎児が相続人

2024-03-20

1相続人になる人は民法で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

誰が相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

①配偶者は必ず相続人になる

②被相続人に子どもがいる場合、子ども

③被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

④被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

2胎児は条件付きで相続人になる

①胎児は生まれたものと見なされる

人は、財産を所有したり契約の当事者になることができます。

財産を所有したり契約の当事者になる資格は、人に与えられています。

財産を所有したり契約の当事者になる資格を権利能力と言います。

権利能力は、出生したときに与えられ死亡したときに終了します。

相続権があるのは、相続が発生した時点で生きている人が原則です。

胎児は出生していないから、権利能力がありません。

胎児は、相続が発生した時点で出生していません。

すでに生まれたものと見なして、相続権を認められます。

すでに生まれたものと見なして相続権を認めるけど、これは生きて生まれてきたときの取り扱いです。

死体で生まれたときは、相続権は与えられません。

胎児は、生きて生まれてくることを条件に相続人になることができます。

生きて生まれてきたら、相続人になります。

生きて生まれてきた後、間もなく赤ちゃんが死亡することがあります。

すぐに死亡しても、相続人であることに変わりはありません。

生きて生まれてきた赤ちゃんが相続した後、あらためて次の相続人が相続します。

②胎児は代襲相続人になれる

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することがあります。

これを代襲相続と言います。

相続人になるはずだった人の子どもの子どもが相続することを再代襲相続と言います。

代襲相続ができるのは、相続人になるはずだった人の子どもなど被代襲者の直系卑属だけです。

相続人になるはずだった人を被代襲者と言います。

被代襲者の子どもなど被代襲者の直系卑属以外は代襲相続ができません。

相続人になるはずだった人の子どもが胎児の場合があります。

胎児は、代襲相続人になることができます。

相続の場面では、胎児はすでに生まれたものと見なして相続権を与えられるからです。

③胎児は遺贈を受けることができる

遺贈とは、被相続人が遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげることです。

遺贈で財産を譲ってあげる人のことを遺贈者、譲ってもらう人を受遺者と言います。

相続では、法定相続人だけに譲ってあげることができます。

遺贈では、法定相続人に譲ってあげることもできるし、相続人以外の人に譲ってあげることができます。

譲ってもらう人は自然人でもいいし、法人などの団体でも差し支えありません。

胎児は、遺贈を受けることができます。

胎児はすでに生まれたものと見なして、相続権を与えられます。

同様に、胎児はすでに生まれたものと見なして遺贈を受ける権利が与えられます。

遺言書に「遺贈する」とあれば、譲ってもらう人が相続人であっても相続人以外の人でも、遺贈で手続します。

④胎児がいるときに離婚したら

胎児がいるときに父母が離婚することがあります。

離婚した後に父が死亡した場合、胎児は相続人になります。

父母が離婚しても婚姻中でも、子どもは子どもだからです。

父母の離婚と相続は、関係ないことです。

⑤胎児の相続放棄は出産を待ってから

相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの遺産もマイナスの遺産も相続人が受け継ぎます。

被相続人のプラスの遺産もマイナスの遺産も受け継がないことを相続の放棄といいます。

胎児は、生きて生まれてきたら相続人になります。

何もしなければ被相続人のマイナスの財産も受け継ぐことになります。

被相続人に莫大なマイナスの財産がある場合、相続放棄をすることができます。

胎児は、相続放棄の手続ができません。

出生した後、相続放棄の手続をします。

3胎児がいるときの遺産分割協議

①胎児がいるときの遺産分割協議は出産を待ってから

相続が発生した場合、被相続人の財産は相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の話し合いによる合意が不可欠です。

相続の場面では、胎児はすでに生まれたものと見なして相続権を与えられます。

相続財産の分け方について相続人全員の話し合いによる合意をする場合、胎児を無視することはできません。

仮に、胎児を含めないで相続財産の分け方の合意をしたとしても、その後に胎児が生きて生まれてた場合、相続財産の分け方の合意が無効になります。

胎児がいる場合、出産までは相続人になるのか相続人にならないのか不確かです。

多くの場合、相続手続をせずに出産を待ちます。

胎児が誕生した場合、誕生した子どもは他の相続人と同じ立場の相続人になります。

②未成年の相続人は親権者が代理する

赤ちゃんや幼い子どもは、物事のメリットデメリットを充分に判断ができません。

幼い子どもや赤ちゃんが契約をするなどの法律行為をする場合は、親などの法定代理人が代わりに手続をします。

遺産分割協議は法律行為だから、原則として、親などの親権者が代理します。

③利益相反になるときは親などの親権者が代理できない

未成年者は物事のメリットデメリットを充分に判断ができないから、原則として、親などの親権者が代理します。

未成年者の利益を守るため、親などの親権者が代理できない場合があります。

親などの親権者がトクすると未成年者がソンする場合です。

一方がトクすると他方がソンする関係を利益相反と言います。

親などの親権者と未成年者が相続人になる場合、利益相反になります。

利益相反になる場合、親などの親権者は未成年者を代理することができません。

利益相反になるかどうかは、客観的に判断されます。

親などの親権者がトクする気持ちが全くなくても、利益相反になります。

親などの親権者の意思や気持ちで主観的に判断せず、客観的に判断するからです。

相続財産全部を未成年者に相続させる場合も、利益相反になります。

相続財産には、プラスの財産だけでなくマイナスの財産もあるからです。

不動産などプラスの財産であっても使い勝手が良くない財産や費用がたくさんかかる財産があることが理由のひとつです。

④親などの親権者が相続人でなければ代理できる

親などの親権者と未成年者が相続人になる場合、利益相反になります。

相続が発生する前に親権者が離婚をする場合があります。

離婚した元配偶者は、相続人ではありません。

親などの親権者が相続人でない場合、どのような遺産分割協議をしても親などの親権者がトクをすることはありません。

親などの親権者が未成年者を代理することができない理由は、親などの親権者がトクすると未成年者がソンするリスクがあるからです。

親などの親権者がトクをすることがないから、親などの親権者が未成年者を代理することができます。

離婚などで親などの親権者が被相続人の配偶者でない場合、相続人にはなりません。

親などの親権者が相続人でない場合、親などの親権者が未成年者を代理することができます。

4胎児名義で相続登記ができる

胎児は相続が発生した時点で出生していないけど、すでに生まれたものと見なして相続権を認めています。

被相続人が不動産を所有していた場合、胎児は相続人だから不動産を相続します。

胎児が不動産を相続したことを公示するため、相続登記をすることができます。

胎児はまだ誕生していないため、戸籍がなく名前もありません。

不動産の登記名義は、「亡〇〇〇〇妻□□□□胎児」になります。

胎児名義で相続登記をすることができるのは、法定相続と遺言書による相続の場合です。

遺産分割協議による相続登記をすることはできません。

胎児は出生していないから親権者などが代理することができません。

胎児がいる場合、胎児のまま有効な遺産分割協議ができないからです。

5胎児がいるときの法定相続情報一覧図

①法定相続情報一覧図とは

相続が発生すると、相続人は多くの役所や銀行などの金融機関などで相続手続をすることになります。

相続手続のたびに、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍と相続人の現在戸籍の束を提出しなければなりません。

大量の戸籍を持ち歩くと汚してしまったり、紛失する心配があるでしょう。

受け取る役所や銀行などの金融機関にとっても、戸籍謄本の束を読解するのは手間のかかる事務です。

被相続人を中心にして、どういう続柄の人が相続人であるのか一目で分かるように家系図のように取りまとめてあると便利です。

この家系図と戸籍謄本等を法務局に提出して、登記官に点検してもらうことができます。

登記官は内容に問題がなかったら、地模様の入った専用紙に認証文を付けて印刷して、交付してくれます。

これが法定相続情報証明制度です。

登記官が地模様の入った専用紙に印刷してくれた家系図のことを法定相続情報一覧図と言います。

②胎児が出生した場合は法定相続情報一覧図が使えない

被相続人の子どもは、必ず、相続人になります。

相続が発生したときに、子どもが胎児の場合があります。

相続が発生したときに胎児であっても、無事誕生すれば相続人になります。

胎児が誕生するまで数か月かかることがあります。

役所に出生届が提出される前に、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出がされる場合があります。

胎児が誕生する前だから、戸籍には何も書いてありません。

子どもは誕生していないので、法定相続情報一覧図に記載することはできません。

子どもが誕生した後、子どもが誕生する前に作られた法定相続情報一覧図を使うことはできません。

出生届が提出された後、あらためて、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をすることができます。

6胎児がいる相続を司法書士に依頼するメリット

被相続人が若くして亡くなった場合や代襲相続が発生した場合、未成年の人が相続人になるケースは少なくありません。

被相続人が若くして亡くなった場合などは不意のことが多く、対策していなかった場合がほとんどでしょう。

銀行などの金融機関から預貯金の引き出しや定期預金の解約を断られて、途方に暮れる方も多いです。

特別代理人選任の申立てなど家庭裁判所に手続が必要になる場合など通常ではあまり聞かない手続になると専門家のサポートが必要になることが多いでしょう。

信託銀行などは、高額な手数料で相続手続を代行しています。

信託銀行はこのような手間のかかる手続は引き受けません。

税金の専門家なども対応できず、困っている遺族はどうしていいか分からないまま途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして相続手続を進めることができます。

自分たちでやってみて挫折した方も、銀行などから断られた方も、相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

配偶者は代襲相続できない

2024-03-17

1配偶者は代襲相続とは無関係

①代襲相続とは

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は次のとおりです。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することがあります。

これを代襲相続と言います。

相続人になるはずだった人の子どもの子どもが相続することを再代襲相続と言います。

②被代襲者になれる人

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続します。

相続人になるはずだった人を被代襲者と言います。

被代襲者になれるのは、被相続人の子ども等と兄弟姉妹だけです。

配偶者と親などの直系尊属は、被代襲者になることはできません。

配偶者は、代襲相続の被代襲者になることはありません。

③代襲相続人になれる人

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続します。

相続人になるはずだった人の代わりに相続人になる子どもや子どもの子どもを代襲相続人と言います。

代襲相続人になれるのは、被代襲者の子どもなど被代襲者の直系卑属だけです。

代襲相続人になれるのは、被相続人の卑属でなければなりません。

被代襲者の直系卑属で、かつ、被相続人の卑属だけが代襲相続できます。

被代襲者の配偶者も、被代襲者の親などの直系尊属も、被代襲者の兄弟姉妹も、代襲相続人にはなりません。

2代襲相続ができる原因

①相続人が死亡したら代襲相続する

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合です。

実際に死亡した場合の他に、失踪宣告を受けて死亡したものと扱われる場合も、代襲相続が発生します。

被相続人の死亡後、相続手続の途中で相続人が死亡した場合には、数次相続になります。

相続が発生したときに相続人が健在であれば、その後死亡しても代襲相続にはなりません。

②相続人が欠格になったら代襲相続する

欠格とは、相続人としてふさわしくない人の相続資格を奪う制度のことです。

欠格になる理由は法律で定められています。

主な理由は、被相続人を殺害したり、殺害しようとしたり、遺言書を偽造したり、遺言書を隠したりしたなどです。

法律で決められた理由があれば、家庭裁判所などの手続はなく、当然に、相続資格を失います。

相続人が相続欠格になる場合、代襲相続ができます。

③相続人が廃除されたら代襲相続する

相続人廃除とは、被相続人の意思で、相続人の資格を奪う制度のことです。

例えば、被相続人に虐待をした人に、相続をさせたくないと考えるのは自然なことでしょう。

相続人廃除は家庭裁判所に申立をして、家庭裁判所が判断します。

被相続人が相続人廃除したいと言い、相続人が廃除されていいと納得していても、家庭裁判所が相続人廃除を認めないことがあります。

相続人が相続人廃除になる場合、代襲相続ができます。

3被相続人の配偶者は被代襲者にならない

①配偶者が先に死亡しても配偶者の連れ子は代襲相続しない

被代襲者になるのは、子どもや兄弟姉妹だけです。

配偶者は被代襲者になることはできません。

配偶者は被代襲者になることはできないから、配偶者の連れ子が代襲相続人になることはできません。

配偶者の連れ子は、被相続人の卑属ではありません。

被相続人の卑属ではないから、配偶者の連れ子が代襲相続人になることはできません。

配偶者の連れ子は、直接の相続人になることもありません。

子どもがいる人と結婚した場合、連れ子と同居していても親子関係はありません。

親子関係を作りたい場合、養子縁組をする必要があります。

養子縁組をしたら、被相続人の子どもになります。

子どもとして直接の相続人になることができます。

②配偶者が先に死亡しても配偶者の兄弟姉妹は代襲相続しない

被代襲者になるのは、子どもや兄弟姉妹だけです。

配偶者は被代襲者になることはできません。

配偶者は被代襲者になることはできないから、配偶者の兄弟姉妹が代襲相続人になることはできません。

配偶者の兄弟姉妹は、被相続人の卑属ではありません。

被相続人の卑属ではないから、配偶者の兄弟姉妹が代襲相続人になることはできません。

4配偶者は代襲相続人にならない

①子どもが先に死亡しても子どもの配偶者は代襲相続しない

代襲相続人になることができるのは、被代襲者の子どもなど直系卑属だけです。

配偶者は代襲相続人になることはできません。

被相続人の子どもが被相続人より先に死亡している場合、被相続人の子どもの配偶者は代襲相続をすることができません。

配偶者は代襲相続人になることはできないからです。

子どもの配偶者は、被相続人の卑属ではありません。

被相続人の卑属ではないから、子どもの配偶者が代襲相続人になることはできません。

子どもの配偶者は、直接の相続人になることもありません。

被相続人と被相続人の子どもの配偶者が同居していても結論は同じです。

被相続人と被相続人の子どもの配偶者が同居して介護などの貢献をしていた場合、理不尽に思えるでしょう。

②兄弟姉妹が先に死亡しても兄弟姉妹の配偶者は代襲相続しない

代襲相続人になることができるのは、被代襲者の子どもなど直系卑属だけです。

配偶者は代襲相続人になることはできません。

被相続人の兄弟姉妹が被相続人より先に死亡している場合、被相続人の兄弟姉妹の配偶者は代襲相続をすることができません。

兄弟姉妹の配偶者は、被相続人の卑属ではありません。

被相続人の卑属ではないから、兄弟姉妹の配偶者が代襲相続人になることはできません。

5特別寄与者は財産を受け取れる

寄与分は、被相続人の財産の維持や増加について特別な貢献をした人がいる場合、特別な貢献をした人に対して、相続分以上の財産を受け継いでもらう制度です。

寄与分の制度は、特別な貢献をした人に対して相続分以上の財産を受け取ってもらうことで、相続人間の実質的な公平を図ろうとするものです。

寄与分を請求できるのは、相続人だけです。

子どもの配偶者や配偶者の連れ子は、相続人ではありません。

子どもの配偶者や配偶者の連れ子が被相続人に特別な貢献をしていた場合であっても、何も相続することはできません。

相続人ではない親族が特別な貢献をしていた場合、特別寄与者になることができます。

子どもの配偶者や配偶者の連れ子は相続人ではありませんが、親族です。

子どもの配偶者や配偶者の連れ子が被相続人に特別な貢献をしていた場合、特別寄与者として財産を取得することができます。

6トラブル防止には遺言書作成が有効

①遺言書で財産の行き先を決めておく

相続が発生した場合、被相続人の財産は相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意が不可欠です。

相続トラブルの多くは、相続人全員の合意が難しいために起きています。

相続人の関係性がうすい場合、トラブルに発展しがちです。

被相続人が遺言書を作成して、財産の行き先を決めてあげておくといいでしょう。

遺言書で財産を受け取る人が決めてある場合、そのとおり分ければいいのでトラブルになるリスクを減らすことができます。

②遺留分を侵害しないように配分を決める

遺留分は、相続財産に対する最低限の権利のことです。

兄弟姉妹以外の相続人に認められます。

遺留分侵害額請求がされる場合、大きなトラブルになります。

遺言書に遺留分侵害額請求をしないようにと書くことができますが、効力のない単なるお願いです。

遺留分に配慮した遺言書を作成する方がトラブル防止になるでしょう。

③遺言書は公正証書遺言がおすすめ

遺言書の多くは、公正証書遺言か自筆証書遺言です。

自筆証書遺言は、遺言者が自分で書いて作った遺言書のことです。

専門家の手を借りることなく手軽に作れるので、世の中の大半は自筆証書遺言です。

遺言書には厳格な書き方ルールがあります。

遺言書の書き方ルールに合わない遺言書は無効になります。

専門家の手を借りずに作られることが多いので、法律上効力のない遺言書になってしまうかもしれません。

公正証書遺言は、遺言内容を公証人に取りまとめてもらって作る遺言書です。

遺言者が公証人に遺言内容を伝えて、証人2人に確認してもらって作ります。

公証人は法律の専門家だから、書き方ルールの違反で無効になることは考えられません。

遺言書の内容を伝えておけば、適切な表現で文書にしてもらえます。

作った遺言書の原本は、公証役場で保管されます。

紛失するおそれがありません。

遺言書を作成するのであれば、公正証書遺言がおすすめです。

④遺言執行者を指名しておく

遺言書を作成するだけでは、遺言書の内容は実現されません。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書の中で遺言執行者を決めておくことができます。

相続が発生した後に遺言執行者からご辞退されないように、あらかじめ同意をもらっておくと安心です。

司法書士などの専門家に遺言書作成のサポートを依頼した場合、多くは遺言執行者になってもらうことができます。

7遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書は被相続人の意思を示すものです。

自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。

家族がトラブルに巻き込まれることを望む人はいないでしょう。

遺言書があることでトラブルになるのは、ごく稀なケースです。

遺言書がないからトラブルになるのはたくさんあります。

そのうえ、遺言書1枚あれば、相続手続は格段にラクになります。

家族を幸せにするために遺言書を作ると考えましょう。

実際、家族の絆のためには遺言書が必要だと納得した方は遺言書を作成します。

家族の喜ぶ顔のためにやるべきことはやったと安心される方はどなたも晴れやかなお顔です。

家族の幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

配偶者は常に相続人

2024-03-15

1配偶者は常に相続人

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②相続人になる配偶者は法律上の配偶者のみ

被相続人の死亡時に配偶者がいた場合、配偶者は常に相続人になります。

法律上の配偶者であれば、同居別居の別は問われません。

長期間別居していて夫婦の実態がなくても、法律上の配偶者は相続人です。

死亡時の配偶者であれば、婚姻期間の長短は問われません。

事実婚・内縁の配偶者は、相続人になることはできません。

何年一緒にいても、相続人になることはできません。

離婚した元配偶者は、相続人になることはできません。

死亡時の法律上の配偶者ではないからです。

同性婚のパートナーは、相続人になることはできません。

パートナーシップ制度を利用しても、法律上の配偶者ではないからです。

相続人になる配偶者は、法律上の配偶者のみです。

③配偶者は遺留分権利者

遺留分とは、相続人に認められる最低限の権利です。

被相続人は、生前財産を自由に処分することができます。

被相続人は、自分の死亡後に財産をだれに引き継いでもらうのか自由に決めることができます。

そうは言っても、まったくの無制約にすることはできません。

被相続人の財産は、被相続人が1人で築いた財産ではないからです。

家族の協力があってこそ、築くことができた財産のはずです。

被相続人に近い関係の相続人には、相続財産に対して最低限の権利が認められています。

遺留分が認められる相続人を遺留分権利者と言います。

配偶者は、被相続人に最も近い相続人と言えるでしょう。

配偶者は、遺留分権利者です。

④死後離婚・姻族関係終了届を出しても相続人

被相続人の配偶者は、常に相続人になります。

配偶者が後に姻族関係終了届を提出することがあります。

姻族関係終了届は、死後離婚と言われることがあります。

被相続人が生前に離婚した場合、離婚した元配偶者は相続人ではありません。

死後離婚と言われるものの、被相続人と離婚するものではありません。

姻族関係終了届を出しても、死亡時の配偶者のままです。

姻族関係終了届は、姻族との関係を終了させる届出に過ぎないからです。

姻族とは、配偶者の両親や配偶者の兄弟姉妹などの親族です。

姻族関係終了届を出しても、配偶者は相続人です。

2相続人は配偶者と血族相続人

①配偶者と子どもが相続人

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

配偶者は常に相続人だから、配偶者と子どもが相続人です。

被相続人の子どもは、実子と養子に区別はありません。

嫡出子と非嫡出子にも、区別はありません。

配偶者と子どもが相続人になる場合、相続分は次のとおりです。

配偶者の相続分 2分の1

子どもの相続分 2分の1

子どもが複数いる場合、相続分を平等に分割します。

嫡出子、非嫡出子、養子、普通養子に行った子どもは、すべて平等です。

子どもは、親を選ぶことはできません。

嫡出子として生まれてくることも非嫡出子として生まれてくることも、子どもには責任がありません。

嫡出子、非嫡出子、養子、養子に行った子どもは、すべて平等です。

嫡出子、非嫡出子、養子、養子に行った子どもの相続分は、すべて平等です。

子どもが何人いても、配偶者の相続分は2分の1です。

配偶者と子どもは、遺留分権利者です。

配偶者と子どもが相続人になる場合、遺留分は次のとおりです。

配偶者の遺留分 4分の1

子どもの遺留分 4分の1

子どもが複数いる場合、遺留分を平等に分割します。

子どもが何人いても、配偶者の遺留分は4分の1です。

②配偶者と親などの直系尊属が相続人

被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属は相続人になります。

配偶者は常に相続人だから、配偶者と親などの直系尊属が相続人です。

配偶者と親などの直系尊属が相続人になる場合、相続分は次のとおりです。

配偶者の相続分 3分の2

親などの直系尊属の相続分 3分の1

親などの直系尊属が複数の世代でいる場合、世代が近い人だけが相続人です。

同じ世代の直系尊属が複数いる場合、相続分を平等に分割します。

実父母、養父母は、平等です。

配偶者と親などの直系尊属が相続人になる場合、遺留分は次のとおりです。

配偶者の遺留分 3分の1

親などの直系尊属の遺留分 6分の1

③配偶者と兄弟姉妹が相続人

被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹は相続人になります。

配偶者は常に相続人だから、配偶者と兄弟姉妹が相続人です。

配偶者と兄弟姉妹が相続人になる場合、相続分は次のとおりです。

配偶者の相続分 4分の3

兄弟姉妹の相続分 4分の1

相続人になる兄弟姉妹は、父母同じ兄弟姉妹だけではありません。

異父兄弟や異母兄弟も兄弟姉妹だから、相続人になります。

父母同じ兄弟姉妹と父母一方だけ同じ兄弟姉妹は、同じ相続分ではありません。

父母一方だけ同じ兄弟姉妹を半血兄弟、父母同じ兄弟姉妹を全血兄弟と言います。

半血兄弟の相続分は、全血兄弟の相続分の半分です。

配偶者と兄弟姉妹が相続人になる場合、遺留分は次のとおりです。

配偶者の遺留分 8分の3

兄弟姉妹の遺留分 なし

被相続人に近い関係の相続人には、遺留分が認められています。

大人になれば、兄弟姉妹は別々に生計を立てているでしょう。

兄弟姉妹は、遺留分権利者ではありません。

④相続人は配偶者のみ

被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹は相続人になります。

兄弟姉妹もいない場合、配偶者のみが相続人になります。

被相続人が天涯孤独で血族相続人はだれもいないと、決めつけていることがあります。

被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を揃えて、証明する必要があります。

家族のさまざまな事情から、被相続人が他の家族と疎遠になっていることがあります。

疎遠になっているだけの場合、血族相続人は存在するでしょう。

行方不明になって連絡が取れない人がいることがあります。

行方不明の人は、生きている人です。

血族相続人は、存在します。

相当長期間に渡って生死不明になっている場合、条件を満たせば死亡の取り扱いをすることができます。

死亡の取り扱いをするためには、別の手続をする必要があります。

配偶者のみが相続人であることは、戸籍謄本で証明する必要があります。

3配偶者は代襲相続しない

①配偶者は代襲相続人にならない

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することがあります。

これを代襲相続と言います。

代襲相続人になることができるのは、被代襲者の子どもなど直系卑属だけです。

配偶者は、代襲相続人になることはできません。

被相続人の子どもが被相続人より先に死亡している場合、被相続人の子どもの配偶者は代襲相続をすることができません。

子どもの配偶者は、被相続人の卑属ではありません。

被相続人の卑属ではないから、子どもの配偶者が代襲相続人になることはできません。

②配偶者は被代襲者にならない

被代襲者になるのは、子どもや兄弟姉妹だけです。

配偶者は、被代襲者になることはできません。

配偶者は被代襲者になることはできないから、配偶者の連れ子が代襲相続人になることはできません。

配偶者の連れ子は、被相続人の卑属ではありません。

被相続人の卑属ではないから、配偶者の連れ子が代襲相続人になることはできません。

4不動産相続で配偶者居住権

①遺産分割協議で設定

配偶者居住権とは、被相続人の家に住んでいた配偶者が無償で住み続けることができる権利です。

相続が発生してから配偶者が住む場所を失うことがないように、保護するために作られた権利です。

相続が発生したら、被相続人のものは相続人が相続します。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定する必要があります。

相続人全員による合意で、配偶者居住権を設定することができます。

配偶者居住権を取得することができるのは、法律上の配偶者のみです。

配偶者にとっては、選択肢が増えたと言えます。

②遺言書で遺贈

被相続人は、自分の死亡後に財産をだれに引き継いでもらうのか自由に決めることができます。

被相続人は遺言書を作成して、配偶者居住権を遺贈することができます。

遺産分割協議は、相続財産の分け方についての相続人全員による話し合いです。

各相続人が自分の主張をした場合、話し合いがまとまらないことがあります。

被相続人が遺言書を作成しておいた場合、遺言書のとおり分けることができます。

遺言書で遺言執行者を指名することができます。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者には、遺言書の内容を実現するため必要な権限が与えられています。

相続人の協力がなくても、遺言書の内容を実現することができます。

遺言書を作成した場合、配偶者にとっては心強いと言えるでしょう。

③死因贈与なら生前に仮登記

配偶者居住権は、死因贈与の対象とすることができます。

死因贈与とは、譲渡人の死亡をきっかけに財産を譲る契約です。

譲渡人の死亡をきっかけに配偶者居住権を贈与する合意をすることができます。

死因贈与は、譲渡人と譲受人が合意した契約です。

配偶者居住権を死因贈与した場合、仮登記をすることができます。

仮登記は、被相続人と配偶者が協力して申請します。

相続が発生したら、配偶者居住権が設定されることが公示されます。

配偶者居住権が設定されることが分かっていたら、不動産を購入する人は事実上いないでしょう。

相続が発生してから配偶者が住む場所を失うことがないようにすることができます。

死因贈与による仮登記をした場合、配偶者にとっては心強いと言えるでしょう。

5相続人調査を司法書士に依頼するメリット

本籍地の変更や国による戸籍の作り直し(改製)で多くの方は、何通もの戸籍を渡り歩いています。

古い戸籍は現在と形式が違っているから、読みにくいものです。

活字でなく手書きの達筆な崩し字で書いてあるから、分かりにくいものです。

慣れないと、戸籍謄本集めはタイヘンです。

本籍地を何度も変更している方や結婚、離婚、養子縁組、離縁を何度もしている方は、戸籍をたくさん渡り歩いています。

戸籍謄本を、膨大な手間と時間がかかることが多くなります。

お仕事や家事で忙しい人や高齢、療養中の人は、自分で手続するのが難しいでしょう。

難しい、めんどくさい、手間がかかる手続は、まるっと司法書士などの専門家におまかせできます。

家族にお世話が必要な方がいて、お側を離れられない人からのご相談もお受けしております。

集め始めてみたけど、途中で挫折することがあります。

全部集めたと思ったのに、金融機関や役所からダメ出しされで困っていることがあるでしょう。

司法書士が目を通して、不足分を取り寄せします。

相続人調査でお困りのことがあれば、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

仕事や家事、通院などで忙しい人には平日の昼間に役所にお出かけになって準備するのは負担が大きいものです。

戸籍謄本や住民票は郵便による取り寄せもできます。

書類の不備などによる問い合わせは、市区町村役場の業務時間中の対応が必要になります。

事務の負担は、軽いとは言えません。

このような戸籍や住民票の取り寄せも司法書士は代行します。

相続人調査でお困りの方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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