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NISA口座を相続
1NISAとは少額投資非課税制度
①NISAを利用すると非課税になる
株式や投資信託などの金融商品に投資をしている人がいるでしょう。
株式や投資信託などの金融商品を売却したときに、利益を得ることがあります。
株式や投資信託などの金融商品をと保有している間、配当金を受け取ることがあります。
通常、売却して得た利益や受け取った配当金には、税金がかかります。
NISAとは、少額投資非課税制度です。
NISAを利用して一定の条件を満たせば、税金がかからなくなる制度です。
NISA制度を利用した場合、譲渡益や配当金に税金がかかりません。
NISA制度を利用して投資をする場合、NISA口座を利用します。
NISA口座で、投資した株式や投資信託などの金融商品を管理します。
2024年からNISAは、新しくなりました。
NISAには、2つの投資枠があります。
つみたて投資枠と成長投資枠です。
つみたて投資枠と成長投資枠は、併用ができます。
NISA口座を利用すると、利益や配当金が非課税になります。
②つみたて投資枠は長期に渡った資産形成目的
つみたて投資枠は、長期に渡った資産形成を目的とする投資枠です。
18歳以上の人が利用できます。
年間投資枠は、120万円です。
非課税保有期間は、無期限です。
口座開設期間は、無期限です。
非課税保有限度額は、成長投資枠と合算で1800万円です。
③成長投資枠は高リスク資産での投資目的
成長投資枠は、高いリスクを伴う資産に対して投資を奨励する目的の投資枠です。
18歳以上の人が利用できます。
年間投資枠は、240万円です。
非課税保有期間は、無期限です。
口座開設期間は、無期限です。
非課税保有限度額は、1200万円です。
2NISA口座の相続手続の流れ
①金融機関に死亡連絡でNISA口座凍結
NISA口座の持ち主が死亡した場合、金融機関に連絡します。
金融機関は預金者が死亡したことを確認すると、口座の取引を停止します。
口座の取引を停止することを、口座の凍結と言います。
銀行などの預貯金口座が凍結されることは、知られているかもしれません。
預貯金口座と同じように、NISA口座も凍結されます。
②NISA口座が凍結される理由
相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。
NISA口座の持ち主が死亡したら、NISA口座の中の財産は相続人が相続します。
相続財産は、相続人全員の共有財産です。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。
一部の相続人が勝手に処分することはできません。
一部の相続人が勝手にNISA口座を解約した場合、相続人間で大きなトラブルになるでしょう。
金融機関が安易にNISA口座の解約に応じた場合、他の相続人から強い抗議を受けることになります。
金融機関は、相続人間のトラブルに巻き込まれるでしょう。
被相続人の大切な財産が守られないとなると、金融機関の信用は失墜します。
金融機関としては、何としても信用を守りたいでしょう。
金融機関は相続争いに巻き込まれないため、NISA口座を凍結します。
金融機関に死亡を連絡すると、NISA口座は凍結されます。
③残高証明書を請求する
相続が発生したら、被相続人の財産は相続人全員の共有財産です。
相続人全員の合意で、相続財産の分け方を決定します。
相続財産にどのような財産があるのか、確認しておく必要があるでしょう。
相続財産の分け方を話し合う前提として、財産調査をします。
各相続人はだれでも単独で、金融機関に対して残高証明書を請求することができます。
残高証明書を請求するときに必要な書類は、おおむね次のとおりです。
(1)金融機関所定の残高証明発行依頼書
(2)被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本
(3)請求者が相続人であることが分かる戸籍謄本
(4)請求者の印鑑証明書
相続財産の確認のため、残高証明書を請求します。
④相続人全員で遺産分割協議
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。
遺産分割協議とは、相続財産の分け方を決めるため相続人全員でする話し合いです。
相続財産の分け方について相続人全員で合意ができた場合、合意内容を文書に取りまとめます。
相続人全員の合意内容を取りまとめた文書を、遺産分割協議書と言います。
遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容の証明書です。
遺産分割協議書の内容が合意内容に間違いないことを相続人全員に確認してもらいます。
間違いないことを確認した場合、相続人が記名し実印で押印します。
遺産分割協議書の押印が実印によることを証明するため、印鑑証明書を添付します。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。
⑤相続人のNISA口座に直接引き継げない
NISA口座の相続手続は、被相続人のNISA口座の中身を引き継ぐことです。
NISA口座内の株式や投資信託などの金融商品を移管するため、相続人の口座が必要になります。
金融商品を移管する場合、被相続人のNISA口座がある金融機関で相続人の口座が必要になります。
別の証券会社の口座を移管先として、指定することはできません。
被相続人のNISA口座がある金融機関に相続人がNISA口座を保有している場合、NISA口座を指定することはできません。
指定できるのは、被相続人のNISA口座がある金融機関で特定口座か一般口座です。
特定口座は、金融機関が年間取引報告書を作成してくれる口座です。
一般口座は、自分で年間取引報告書を作成する口座です。
特定口座で源泉徴収ありであれば、多くの場合、便利でしょう。
NISA口座の相続手続では、相続人のNISA口座に直接引き継げません。
⑥非課税口座開設者死亡届出書を提出
金融機関に非課税口座開設者死亡届出書と相続上場株式等移管依頼書を提出します。
被相続人のNISA口座内にある財産は、相続人の口座に移管されます。
非課税口座開設者死亡届出書と相続上場株式等移管依頼書に必要な書類は、おおむね次のとおりです。
(1)被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
(2)相続人全員の戸籍謄本
(3)遺産分割協議書
(4)相続人全員の印鑑証明書
金融機関に非課税口座開設者死亡届出書と相続上場株式等移管依頼書を提出すると、相続人の口座へ移管されます。
3NISA口座の相続手続で注意すること
①相続発生後の譲渡益や配当金は課税対象
NISA制度を利用した場合、譲渡益や配当金に税金がかかりません。
税金がかからないのは、相続が発生するまでです。
相続が発生した時点で、被相続人のNISA口座内にある財産は払い出された扱いがされます。
被相続人が取得してから相続が発生するまでの譲渡益は、非課税です。
相続が発生するまでに確定した配当金は、税金がかかりません。
相続が発生した場合、被相続人のNISA口座内にある財産は、相続人の口座に移管されます。
移管できるのは、相続人の一般口座か特定口座だけです。
一般口座と特定口座は、どちらも課税口座です。
NISA口座のような非課税の取り扱いはされません。
相続が発生してから売却までの譲渡益は、課税対象です。
相続が発生してから確定した配当金は、税金がかかります。
金融機関に連絡が遅れたため配当金が非課税で支払われた場合、さかのぼって課税されます。
相続発生後の譲渡益や配当金は、課税対象です。
②換価分割で確定申告が必要になる
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。
換価分割とは、財産を売却してお金に換えた後、お金を分ける方法です。
お金に換えた後で相続人に分配するので、公平に分けることができます。
NISA口座の持ち主が死亡した場合、NISA口座内の財産はそのままでは売却できません。
売却できるのは、相続手続をした後です。
相続が発生した時点で、被相続人のNISA口座内にある財産は払い出された扱いがされます。
NISA制度の利用で譲渡益や配当金に税金がかからないのは、相続発生までです。
相続発生から売却までの間に、値動きがあるでしょう。
株式などは、日々大きな値動きがあるのが通常だからです。
相続が発生した時点の財産の価額と売却した価額を比べて利益が出た場合、税金がかかります。
売却による譲渡益について、確定申告が必要になります。
換価分割をする場合、NISA口座内の財産の移管先が特定口座源泉徴収ありであっても確定申告が必要です。
NISA口座内にある財産を売却して売却代金を分配する場合、売却代金を受け取った相続人全員が確定申告をしなければなりません。
NISA口座内の財産の移管を受けた相続人以外の相続人は、確定申告を忘れがちです。
相続人間のトラブル防止のため、確定申告が必要であることを連絡しましょう。
換価分割をするとき、相続人全員が確定申告が必要になります。
③NISA口座以外の口座も忘れず相続
NISA制度を利用した場合、譲渡益や配当金に税金がかかりません。
メリットが大きいので、NISA口座は人気があります。
NISA制度で税金がかからないためには、一定の条件を満たす必要があります。
被相続人がNISA口座以外の口座を保有していることがあります。
NISA口座の相続手続をする場合、NISA口座以外の口座を確認して一緒に手続をしましょう。
4NISA口座の相続手続を司法書士に依頼するメリット
口座を凍結されてしまったら、書類をそろえて手続すれば解除してもらえます。
口座の凍結解除に必要な書類は、証券会社などの金融機関によってまちまちです。
凍結解除の手続方法や手続にかかる期間も、まちまちです。
金融機関内部で取扱が統一されていないことも、少なくありません。
窓口や電話で確認したことであっても、上席の方に通してもらえないことがあります。
担当者の人の説明どおりにやっても、やり直しになることも多々あります。
口座の相続手続は、スムーズに進められないことが多いのが現状です。
忙しい中で窓口に出向くから、スムーズに手続したいと思う人が多いでしょう。
仕事や家事で忙しい人や高齢、療養中などで手続が難しい人は、手続を丸ごとおまかせできます。
家族にお世話が必要な人がいて、お側を離れられない人からの相談もお受けしております。
凍結口座をスムーズに解除したい人は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
銀行の預貯金が少額でも相続手続
1口座の持ち主が死亡すると口座凍結
①口座凍結のタイミング
口座の持ち主が死亡したら、口座が凍結されます。
口座の凍結とは、口座の取引を停止することです。
・ATMや窓口での引出
・年金などの振込
・公共料金などの引落
上記は、口座の取引の例です。
口座が凍結されると、上記のような取引ができなくなります。
口座の持ち主が死亡後、ただちに凍結するわけではありません。
口座の持ち主が死亡したことを銀行などの金融機関が知ったときに、口座凍結します。
口座凍結までに、タイムラグがあります。
人が死亡したら、医師が死亡診断書を作成します。
医師や病院は、銀行などの金融機関に連絡しません。
医師や病院は、死亡した人がどの銀行に口座を持っているか知りません。
人が死亡したら、市区町村役場に死亡届を提出します。
市区町村役場は、銀行などの金融機関に連絡しません。
市区町村役場は、、死亡した人がどの銀行に口座を持っているか知りません。
人が死亡した事実は、個人情報です。
個人情報を外部に漏らしたら、責任を問われることになるでしょう。
医師や病院、市区町村役場から、銀行などの金融機関に漏れることは考えられません。
口座の持ち主が死亡したら、相続人が銀行に問い合わせをするでしょう。
相続財産の確認や口座の解約方法を確認するためです。
相続人が金融機関に問い合わせをしたときに、口座の持ち主の死亡を知ります。
口座の持ち主の死亡の事実を知ったときに、口座は凍結されます。
②死亡で口座凍結する理由
大切な家族が死亡したら、葬儀を行います。
病院や施設などの費用を清算する必要があります。
葬儀費用や施設病院の費用は、ある程度まとまった金額になることが多いでしょう。
被相続人の預貯金を引き出して、支払いたいと考えるかもしれません。
口座の持ち主が死亡したら、口座が凍結されます。
相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。
被相続人の預貯金は、相続人全員の共有財産です。
一部の相続人が勝手に引き出した場合、他の相続人とトラブルになるでしょう。
被相続人の預貯金が安易に引き出されると、金融機関は他の相続人から強い抗議を受けることになります。
金融機関が相続争いに巻き込まれるかもしれません。
被相続人の大切な預貯金を守れないとなったら、金融機関の信用は失墜するでしょう。
金融機関は信用失墜を避けるため、口座を凍結します。
③遺産分割協議をして口座解約
相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。
被相続人の預貯金は、相続人全員の共有財産です。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。
遺産分割協議とは、相続財産の分け方についての相続人全員による話し合いです。
話し合いによる合意ができたら、合意内容を文書に取りまとめます。
書面の記載内容を相続人全員に確認してもらって、問題がなければ記名し実印で押印してもらいます。
実印による押印であることを証明するために、印鑑証明書を添付します。
遺産分割協議書を提出すれば、口座解約をすることができます。
2少額の預貯金を放置してもペナルティーはない
①預金の仮払い制度利用で引き出しができる
口座の持ち主が死亡したら、口座が凍結されます。
口座凍結解除には、原則として、相続人全員の合意が必要です。
何十年も合意ができない場合、何十年も凍結されたままです。
何十年も経過したからと言って、ペナルティーが課されることはありません。
何十年も合意できなければ、手続できないのは当然だからです。
預金の仮払い制度を利用すれば、遺産分割協議前に引出しをすることができます。
預金の仮払いを受けるには、2つの方法があります。
銀行などの金融機関に手続をする方法と家庭裁判所に手続をする方法です。
どちらかというと、銀行などの金融機関に手続をする方法が簡単です。
家庭裁判所に手続をする方法は、前提として遺産分割調停の申立てが必要だからです。
銀行などの金融機関に手続をする場合、仮払い上限額の計算式は次のとおりです。
仮払いの上限額=死亡時の預金額×1/3×法定相続分
計算式で求められた上限額が150万円を超えた場合、150万円になります。
遺産分割協議前であっても、預金の仮払い制度を利用して引き出しができます。
②休眠口座になると手続がタイヘン
銀行の預貯金を放置しても、ペナルティーが課されることはありません。
口座の持ち主が死亡した後、長期間放置すると解約などの手続が難しくなることがあります。
最後の取引から10年経過した口座は、休眠口座になるからです。
休眠口座になるのは、相続が発生してからではありません。
口座の持ち主が生前に預貯金口座を使っていないことがあるからです。
取引のない口座であっても、管理に手間と時間がかかります。
一部の金融機関は、口座管理料を徴収しています。
休眠口座になると、預金保険機構に移管されます。
休眠口座になっても、解約することができます。
休眠口座になると、手続がタイヘンになります。
3ゆうちょ銀行の預貯金が少額なら簡易手続で引出しができる
①少額の目安は100万円未満
口座の預貯金が凍結された場合、手続をすれば凍結解除をしてもらえます。
原則として、相続人全員が遺産分割協議書に実印を押して印鑑証明書を提出します。
ゆうちょ銀行では、残高が少額と認められた場合、簡易手続で引出しすることができます。
簡易手続とは、代表相続人1名が相続手続請求書に記入して手続できる制度です。
口座の残高が少額と認められるのは、100万円以下のケースです。
複数の口座がある場合、合計額で判断します。
例えば、通常貯金と定額貯金を持っていることがあります。
複数の口座があるから、合計して100万円以下であれば簡易手続をすることができます。
②簡易手続の必要書類
ゆうちょ銀行の簡易手続で必要な書類は、次のとおりです。
(1)相続手続請求書
(2)被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本
(3)被相続人と代表相続人の関係性の分かる戸籍謄本
(4)被相続人のゆうちょ銀行口座の通帳や証書
(5)代表相続人の印鑑証明書
(6)代表相続人の実印
(7)代表相続人の本人確認書類
相続人全員の印鑑証明書は不要です。
③ゆうちょ銀行は日本中どこでも手続ができる
ゆうちょ銀行は、日本中に支店があります。
ゆうちょ銀行は日本中のどこの支店でも、相続手続をすることができます。
金融機関によっては、相続手続は口座を開設した支店のみに限定しています。
相続人が遠方に住んでいる場合、相続手続が負担になるでしょう。
中には、郵送手続を受け付けず支店窓口に出向く必要があることがあります。
相続人にとって遠方の支店である場合、大きな負担になるでしょう。
ゆうちょ銀行は日本中どこでも手続ができるから、とても便利です。
④窓口担当者は相続に詳しくない
ゆうちょ銀行は日本中のどこの支店でも、相続手続をすることができます。
相続手続は、専門的な手続です。
支店窓口は、相続手続の受付をしているに過ぎません。
実際の事務は、全国12か所の貯金事務センターが行っています。
窓口担当者は受付業務だけだから、詳しい手続は分からないことが多いでしょう。
受付してもらっても、貯金事務センターから不備を指摘されることがあります。
窓口担当者に確認して手続をしたのに、二度手間になることがあります。
窓口担当者は、相続に詳しいことはあまりありません。
⑤一部の金融機関も簡易手続
ゆうちょ銀行以外の金融機関は、原則として、残高が少額であっても、相続人全員の印鑑証明書が必要です。
金融機関によっては、ゆうちょ銀行同様に簡易手続をすることができます。
金融機関の独自ルールなので、少額がいくらなのか金融機関によって異なります。
一部の金融機関でも、簡易手続ができることがあります。
⑥他の相続人と情報共有でトラブル防止
ゆうちょ銀行などでは、相続手続の簡易手続をすることができます。
代表相続人がひとりで手続をすることができるから、他の相続人は解約の事実を知らないことがあります。
簡易手続ができると言っても、被相続人の預貯金は相続人全員の共有財産です。
他の相続人が何も知らないうちに、被相続人の預貯金を解約するのはおすすめできません。
代表相続人が独り占めをしているように見えるからです。
相続手続では、普段目にするより大きな金額が動きます。
自分が不利になっているのではないかと疑心暗鬼になりやすいでしょう。
簡易手続ができる金額だから、全体から見るとわずかな金額かもしれません。
相続人間のトラブルを防止するため、他の相続人に情報共有するのがおすすめです。
相続人から反発を受けると、全体の相続手続が進められなくなるおそれがあるからです。
簡易手続で預貯金を解約するときは、他の相続人と情報共有してトラブル防止するのがおすすめです。
4預貯金が少額で負債が高額のときは相続放棄
相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。
相続放棄をする場合、家庭裁判所に対して相続放棄を希望する申立てをします。
預貯金が少額で目立った財産が見当たらないことがあるでしょう。
そのうえ負債が莫大にある場合、相続放棄をすることができます。
相続人になる人は、法律で決められています。
家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなくなります。
相続放棄が認められたら、相続財産は処分することはできません。
相続財産を処分したら、相続放棄をすることはできません。
わずかな預貯金であっても、相続財産を処分したら相続放棄が無効になります。
預貯金を引き出して保管するだけなら、単純承認にならないことが多いでしょう。
預貯金を引き出して自分の口座に入金したら、相続財産を処分したと判断されることか多くなるでしょう。
引き出した預貯金を自分のために使ったら、単純承認をしたと判断されます。
単純承認をしたら、相続放棄はできません。
わざわざ疑いの目を向けられるリスクを冒す必要はありません。
相続放棄をするのなら、相続財産に手を付けないのがおすすめです。
預貯金が少額で負債が高額の場合、相続放棄をすることができます。
5預貯金口座の相続手続を司法書士に依頼するメリット
口座を凍結されてしまったら、書類をそろえて手続きすれば解除してもらえます。
凍結解除に必要な書類は、銀行などの金融機関によってまちまちです。
手続の方法や手続にかかる期間も、まちまちです。
銀行内部で取扱が統一されていないことも、少なくありません。
窓口や電話で確認したことであっても、上席の方に通してもらえず、やり直しになることも多々あります。
口座凍結解除は、スムーズに手続きできないことが多いのが現状です。
日常生活に不可欠な銀行口座だからこそ、スムーズに手続したいと思う方が多いでしょう。
仕事や家事で忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続を丸ごとおまかせできます。
家族にお世話が必要な方がいて、お側を離れられない方からのご相談もお受けしております。
凍結口座をスムーズに解除したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
死亡で銀行口座が凍結するタイミング
1銀行が死亡を知ると口座凍結
①相続手続の問合わせで死亡を知る
銀行などの預貯金は口座は、日常生活に欠かせません。
多くの人が銀行などに、預貯金の口座を持っているでしょう。
預貯金の口座の持ち主が死亡した場合、口座は凍結されます。
口座が凍結されるタイミングは、銀行が口座の持ち主が死亡したことを知ったときです。
人が死亡すると、医師は死亡診断書を作成します。
死亡診断書と死亡届を、市区町村役場に提出します。
死亡診断書を作成しても、医師や病院は金融機関に連絡しません。
死亡届を受け付けても、市区町村役場は金融機関に連絡しません。
人が死亡した事実は、個人情報です。
勝手に金融機関に連絡したら、個人情報の漏洩で責任を問われることになるでしょう。
死亡診断書が作成されても死亡届を受け付けられても、口座は凍結されません。
死亡診断書が作成されても死亡届を受け付けられても、銀行は死亡したことを知らないからです。
口座の持ち主が死亡したら、口座の預貯金は相続人が相続します。
家族が預貯金の有無や相続手続の方法を銀行に問合わせるでしょう。
預貯金の有無や相続手続の方法を問合わせたときに、銀行は口座の持ち主の死亡を知ります。
口座の持ち主の死亡を知ったときに、口座は凍結されます。
家族が銀行に相続手続の方法を問合わせたときに、口座は凍結されます。
②口座凍結すると入出金ができない
預貯金の口座の持ち主が死亡した場合、口座は凍結されます。
口座の凍結とは、口座取引を停止することです。
口座取引には、次のものがあります。
・ATMや窓口での引出し
・年金などの振込み
・公共料金などの引落し
口座が凍結されると、入出金ができなくなります。
③口座凍結を確認する方法
口座が凍結された場合、口座取引が停止されます。
口座が凍結されたら、ATMや窓口での引出しができなくなります。
キャッシュカードを使って、引出しを試してみるといいでしょう。
口座凍結した後にATMで残高照会を試してみると、窓口などを案内するメッセージが表示されます。
口座が凍結されたら、入金や振込みができなくなります。
入金や振込みをしようとしても、エラーになります。
口座が凍結されているから、口座取引が停止されているからです。
口座取引を試してみることで、口座凍結を確認することができます。
④銀行が口座凍結する理由
大切な家族が死亡したら、葬儀を行います。
病院や施設などの費用を清算する必要があります。
葬儀費用や施設病院の費用は、ある程度まとまった金額になることが多いでしょう。
被相続人の預貯金を引き出して、支払いたいと考えるかもしれません。
口座の持ち主が死亡したら、口座が凍結されます。
相続が発生したら、被相続人のものは相続人が相続します。
被相続人の預貯金は、相続人全員の共有財産です。
一部の相続人が勝手に引き出した場合、他の相続人とトラブルになるでしょう。
被相続人の預貯金が安易に引き出されると、金融機関は他の相続人から強い抗議を受けることになります。
金融機関が相続争いに巻き込まれるおそれがあります。
被相続人の大切な預貯金を守れないとなったら、金融機関の信用は失墜するでしょう。
金融機関は信用失墜を避けるため、口座を凍結します。
⑤口座凍結に期限はない
口座の持ち主が死亡したら、口座が凍結されます。
口座凍結に期限はありません。
凍結解除の手続をしなければ、いつまでたっても凍結されたままです。
長期間経過すれば、自動で凍結解除されることはありません。
金融機関が相続争いに巻き込まれないために、口座凍結しているからです。
預貯金の分け方について、相続人全員が合意するまで口座凍結は続きます。
相続財産の分け方について、相続人全員の合意が難しいことがあります。
ときには何十年も合意ができないことがあります。
何十年も合意ができない場合、何十年も凍結されたままです。
口座凍結に、期限はないからです。
⑥凍結解除は半月~1か月かかる
口座凍結がされても、手続をすれば凍結解除をしてくれます。
凍結解除の手続をしなければ、いつまでたっても凍結されたままです。
口座の凍結解除には、手続をしてから半月から1か月程度かかります。
多くの人は、複数の金融機関に預貯金の口座を持っているでしょう。
すべての預貯金口座の凍結解除をするためには、相当の期間がかかります。
⑦口座凍結前に引出すと相続人トラブルのおそれ
死亡診断書が作成されても死亡届を受け付けられても、口座は凍結されません。
被相続人と同居の家族などは、日常的に預貯金の引出しを依頼されていたでしょう。
キャッシュカードの保管場所や暗証番号を共有していたでしょう。
口座が凍結される前であれば、キャッシュカードを使って預貯金を引出すことができます。
葬儀費用や施設病院の費用の支払いに充てるため、手許に資金を準備しておきたいことがあるでしょう。
口座凍結前に預貯金を引出すことは、あまりおすすめできません。
事情を知らない他の相続人がいると、疑いの目を向けられるおそれがあるからです。
相続人トラブルを避けるため、引出した金額や使い途を共有しましょう。
使い途を明らかにするため、請求書や領収書を保管するといいでしょう。
口座凍結前に引出すと、相続人トラブルのおそれがあります。
2口座凍結解除の方法
①遺言書があると口座凍結解除がラク
被相続人が生前に遺言書を作成していることがあります。
遺言書で預貯金を引き継ぐ人が決めてある場合、遺言書のとおりに預貯金を分けることができます。
遺言書を作成する場合、自筆証書遺言か公正証書遺言を作成することがほとんどです。
自筆証書遺言は、自分で書いて作る遺言書です。
ひとりで作ることができるから、手軽な遺言書です。
公正証書遺言は、遺言内容を公証人に伝え公証人が取りまとめて作る遺言書です。
証人2人に確認してもらって作ります。
遺言者が死亡したら、遺言書に効力が発生します。
公正証書遺言は、すぐに執行することができます。
遺言書があると、口座凍結解除がラクです。
遺言書のとおりに、分ければいいからです。
自宅などで見つかった自筆証書遺言は、家庭裁判所に提出して開封してもらう必要があります。
遺言書を家庭裁判所に提出して開封してもらう手続を遺言書検認の申立てと言います。
遺言書検認の申立てをしなくても、遺言書の効力にちがいはありません。
遺言書検認が必要なのに検認をしていない場合、相続手続を進めることはできません。
検認手続をしていない場合、預貯金の凍結解除をすることはできません。
家庭裁判所の遺言書検認手続は、通常、1か月程度かかります。
遺言書を作成するときに、遺言執行者を指名することができます。
遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人です。
遺言執行者がいると、わずらわしい相続手続をおまかせすることができます。
遺言書があると、口座凍結解除がラクです。
できることなら、家族のために公正証書遺言を作成するといいでしょう。
②相続人全員の協力で遺産分割協議
相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。
口座の持ち主が死亡した場合、口座の預貯金は相続財産です。
相続財産は、相続人全員の共有財産です。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。
法定相続分が2分の1だから、預貯金の残高の2分の1は自動で相続できるといったことはありません。
相続人全員の合意で、決める必要があります。
預貯金の分け方について相続人全員の合意ができたら、合意内容を書面に取りまとめます。
相続人全員の合意内容を取りまとめた書面を遺産分割協議書と言います。
遺産分割協議書の内容が合意内容に間違いがないか相続人全員に確認してもらいます。
問題がなければ、相続人全員に記名し実印で押印をしてもらいます。
遺産分割協議書の押印が実印によるものであることを証明するため、印鑑証明書を添付します。
遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明を提出して、口座凍結解除をしてもらうことができます。
③生前に口座を整理しておくと家族がラク
口座の凍結解除には、手続をしてから半月から1か月程度かかります。
多くの人は、複数の金融機関に預貯金の口座を持っているでしょう。
すべての預貯金口座の凍結解除をするためには、相当の期間がかかります。
相続手続をしていると、思いがけない口座が見つかることがあります。
長期間使っていない口座は、多くの場合、必要がない口座でしょう。
相続手続は、想像以上に手間と時間がかかります。
たくさんの口座があれば、何度も相続手続をする必要があります。
生前に使っていない口座を整理しておくと、家族がラクになります。
3口座凍結しても解除前に引出しができる
①預金仮払い制度で引出しができる
葬儀費用や施設病院の費用は、ある程度まとまった金額になることが多いでしょう。
被相続人の預貯金を使って、家族が生活していることがあります。
口座の持ち主が死亡して口座が凍結されると、預貯金は引き出せなくなります。
口座の持ち主が公正証書遺言を作成していた場合、すぐに執行することができます。
遺言書を作成する人は、あまり多くはありません。
遺産分割協議が成立するためには、相続人全員の協力が必要です。
家族の事情や相続財産の内容によっては、相続人全員の合意が難しいことがあります。
遺産分割協議が成立しないと、口座凍結解除ができません。
被相続人の預貯金で生活していた家族は、困窮するでしょう。
預金仮払い制度は、一定の条件下で凍結解除前に引出しを認める制度です。
預金仮払い制度を利用すると、口座凍結しても解除前に引出しができます。
②預金仮払いの上限額は最大150万円
銀行などの金融機関に手続をする場合、仮払い上限額の計算式は次のとおりです。
仮払いの上限額=死亡時の預金額×1/3×法定相続分
計算式で求められた上限額が150万円を超えた場合、150万円になります。
預金の金額が少ない場合や法定相続人が多い場合、150万円の仮払いを受けることができません。
仮払いを受ける対象は、預金だけです。
債券や有価証券、株式などは対象外です。
預金仮払いの上限額は、最大150万円です。
③預金仮払いを申請するときの必要書類
銀行に預金仮払いを申請するときの必要書類は、次のとおりです。
(1)被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
(2)相続人全員の現在戸籍
(3)仮払いを希望する人の印鑑証明書
金融機関によっては、追加で書類が必要になることがあります。
④預金仮払い制度利用で相続放棄ができなくなる可能性
相続が発生した後、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。
相続を単純承認した後で、相続放棄をすることはできません。
相続放棄をすることができないように、単純承認も撤回することができないからです。
法律で定められた一定の条件にあてはまるときは、単純承認したとみなされます。
相続財産の名義変更をした、相続財産である銀行の預貯金を引き出して使ってしまった場合が典型的です。
単に、引き出しただけであれば、処分とは言えないことが多いでしょう。
引出して自分の口座で管理していた場合、単純承認を判断されることが多いでしょう。
被相続人の預貯金を引出して葬儀費用に充てた場合、社会通念上相当の葬儀費用であれば相続放棄が無効になることはありません。
社会通念上相応の葬儀とは、どのような葬儀を指すのか一概に決めることはできません。
○万円以内なら単純承認にならないという明確な基準があるわけではありません。
預金の仮払いを受けられるからと言って、被相続人の預金を使うのはリスクを伴います。
あえて債権者から疑いの目を向けられるリスクをおかす必要はありません。
相続放棄をした人が固有の財産から葬儀費用を支払うのが安全です。
預金仮払い制度利用した場合、単純承認になるおそれがあります。
4預貯金の相続手続を司法書士に依頼するメリット
口座を凍結されてしまったら、書類をそろえて手続すれば解除してもらえます。
必要な書類は、銀行などの金融機関によってまちまちです。
手続の方法や手続にかかる期間も、まちまちです。
銀行内部で取扱が統一されていないことも多いものです。
窓口や電話で確認したことであっても、上席の方に通してもらえないことも少なくありません。
相続手続は、やり直しになることが多々あります。
このためスムーズに手続きできないことが多いのが現状です。
日常生活に不可欠な銀行口座だからこそ、スムーズに手続したいと思う方が多いでしょう。
仕事や家事で忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続を丸ごとおまかせできます。
ご家族にお世話が必要な方がいて、お側を離れられない方からのご相談もお受けしております。
凍結口座をスムーズに解除したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
死亡した人の預貯金をおろした罪
1死亡した人の預貯金引出しで刑事責任は問われない
①同居の親族は刑事事件にならない
銀行口座は、日常生活に欠かせません。
多くの人は、銀行に口座を持っているでしょう。
口座の持ち主が死亡した場合、口座の預貯金は相続人が相続します。
口座の預貯金は、相続財産です。
相続財産は、相続人全員の共有財産です。
共有財産なのに、一部の相続人が勝手に引き出すことがあります。
他人の預貯金を勝手におろした場合、窃盗罪や横領罪になるはずです。
預貯金をおろした人が同居の親族である場合、刑事責任は問われません。
刑法には、親族相盗という特例があるからです。
窃盗罪や横領罪が成立する犯罪であっても、刑が免除されます。
親族間のトラブルは、親族間の自律に任せる方がいいとされているからです。
国家の刑罰権の行使を差し控えて、家族で解決することが望ましいと考えられています。
親族相盗とは、一定の範囲の親族間の犯罪を処罰しない特例です。
親族相盗で刑が免除される親族は、次のとおりです。
(1)配偶者
配偶者は、法律上の配偶者のみ適用されます。
事実婚・内縁の配偶者は、対象外です。
(2)直系血族
養子縁組によって親子関係がある場合、直系血族に含まれます。
兄弟姉妹やいとこは血族であっても、対象外です。
(3)同居の親族
親族は、民法の定めに従います。
民法上の親族とは、6親等内の血族と3親等内の姻族です。
相続が発生した後に預貯金をおろした場合、刑事責任は問われません。
相続が発生する前であっても、刑事責任は問われません。
②親族相盗にあたらないときは刑事責任を問われる
親族相盗とは、一定の範囲の親族間の犯罪を処罰しない特例です。
親族でない第三者が関与していた場合、刑事責任が問われます。
例えば、親族以外の第三者が代理で預貯金をおろす場合です。
同居の親族以外の人が預貯金をおろした場合も、刑事事件になります。
親族相盗にあたらないと、刑事責任が問われます。
③刑事事件にならなくても民事責任
一部の相続人が被相続人の預貯金を勝手におろしても、親族相盗にあたるでしょう。
窃盗罪や横領罪になっても、刑事責任は問われません。
被相続人の預貯金は、相続人全員の共有財産です。
勝手におろして自分のものにすることは、許されることではありません。
他の相続人から、勝手に引き出した金銭を返して欲しいを請求されるでしょう。
他の相続人は、不当利得返還請求や不法行為損害賠償請求をすることができます。
刑事事件にならなくても、民事責任はあるからです。
不当利得返還請求や不法行為損害賠償請求がされると、相続人間で大きなトラブルになるでしょう。
刑事事件にならなくても、民事責任が問われます。
④銀行は責任を問われない
相続が発生したら、被相続人の預貯金は相続人全員の共有財産です。
一部の相続人が勝手に引き出すことは、許されることではありません。
銀行が引き出しに応じたことについて、他の相続人は責任を問うことはできません。
銀行は、だれの意思で預貯金の引出しをしたのか判断することができないからです。
預貯金の引出しに応じても、銀行は責任を問われません。
⑤死亡した人の預貯金口座は凍結される
一部の相続人が勝手に預貯金を引き出した場合、相続人間で大きなトラブルになるでしょう。
銀行が安易に引出しに応じた場合、相続人間のトラブルに巻き込まれるおそれがあります。
口座の持ち主が死亡したことを知った場合、銀行は口座を凍結します。
口座の凍結とは、口座取引を停止することです。
口座取引の代表例には、次のものがあります。
・ATMや窓口での引出
・年金などの振込
・公共料金の引落
相続人間のトラブルに巻き込まれないため、口座を凍結します。
口座の持ち主が死亡しても、病院や市区町村役場から自動で銀行に連絡されることはありません。
病院や市区町村役場から個人情報が漏れたら、大きな責任問題になるからです。
口座凍結のタイミングは、相続人などから連絡があったときです。
相続があったら、口座の有無や相続手続の方法を問い合わせるでしょう。
問合せがあったときに、銀行は相続の発生を知ります。
相続の発生があったことを知ったタイミングで、口座を凍結します。
一部の相続人が勝手に預貯金を引き出す心配がある場合、すみやかに銀行に連絡するといいでしょう。
口座が凍結されると、預貯金は勝手に引き出すことができなくなるからです。
死亡した人の預貯金口座は、凍結されます。
⑥預貯金を勝手におろすと相続放棄ができなくなるおそれ
相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。
相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄をする申立てをします。
家庭裁判所は相続放棄の申立ての書面を見て審査をします。
提出された申立書に問題がなければ、相続放棄を認める決定をするでしょう。
家庭裁判所が相続放棄を認める決定をしても、絶対ではありません。
相続放棄ができないのに、相続放棄の申立てを提出していることがあるからです。
単純承認をした後に、相続放棄をしても無効です。
単純承認をしたら、撤回することはできないからです。
相続財産を利用・処分した場合、単純承認をしたと見なされます。
単純承認をした後に、相続放棄をすることはできません。
被相続人の預貯金を勝手に引き出して自分のものにした場合、単純承認を見なされます。
単純初認をしたら、相続放棄はできません。
家庭裁判所は事情を分からずに、相続放棄を認める決定をしてしまうでしょう。
後から裁判で、相続放棄は無効になります。
被相続人の預貯金を勝手におろすと、相続放棄ができなくなるおそれがあります。
2死亡した人の預貯金を勝手に引出すと相続人間でトラブル
トラブル①相続分を超えて引出し
被相続人と同居している家族は、生前、口座から引出しを依頼されることがあるでしょう。
ときには、預貯金の管理を任されていたかもしれません。
口座の持ち主が死亡した場合、葬儀費用や治療費・介護費の清算をすることになるでしょう。
まとまった金額の支出が予想されます。
口座凍結前であれば、キャッシュカードで引出しをすることがあるでしょう。
銀行口座の預貯金は、本来、相続人全員の共有財産です。
他の相続人からは、不正な引出しに見えるおそれがあります。
相続分の範囲内であれば、自分の相続分の先払いと考えることができます。
遺産分割協議の中で調整しやすいでしょう。
相続分の範囲内であれば、大きなトラブルになりにくいと言えます。
自分の相続分を超える引出しは、大きなトラブルに発展しがちです。
トラブル②引出しが後から判明
葬儀費用や治療費・介護費の清算は、ある程度まとまった金額になるでしょう。
自分の固有の財産から立替えをすることが難しいことがあります。
被相続人の預貯金から引出して、用立てるでしょう。
被相続人の預貯金から引出したことに、負い目を感じるかもしれません。
他の相続人に預貯金の引出しの事実を共有しないことがあります。
ときには、負い目を感じて他の相続人に通帳を見せないかもしれません。
他の相続人に通帳を見せない場合、疑いの目を向けるでしょう。
通帳を見せなくても、他の相続人は自分で調べることができます。
相続人は単独で、被相続人の口座の残高や取引履歴を取り寄せることができるからです。
預貯金の引出しを隠していると、他の相続人は疑心暗鬼になります。
他にも引き出しがあるのではないかと考えて、大きなトラブルになるでしょう。
預貯金の引出しが後から判明すると、大きなトラブルに発展しがちです。
トラブル③使い途が不明
銀行口座の預貯金は、本来、相続人全員の共有財産です。
トラブル防止の観点から、相続発生後に預貯金の引出しはおすすめできません。
葬儀費用や治療費・介護費の清算は、ある程度まとまった金額になるでしょう。
やむを得ず引き出す場合、使い途が分かる書類を保管しましょう。
葬儀費用や治療費・介護費の清算であれば、他の相続人が納得してくれるでしょう。
使い途が分かる請求書や領収書があれば、トラブルに発展することは少ないでしょう。
被相続人のために使ったが何に使ったか細かく覚えていない等は、大きな不信感を抱かせます。
自分のために使ったのだろうと疑われるでしょう。
使い途が不明である場合、大きなトラブルに発展しがちです。
3死亡した人の預貯金を引出す方法
方法①遺言書で相続
被相続人が生前に遺言書を作成していることがあります。
遺言書を作成して、自分の財産をだれに引き継いでもらうか決めておくことができます。
遺言者が死亡したときに、遺言書は発効します。
遺言書で預貯金を相続させると指定された人は、預貯金を相続することができます。
遺言書で相続する場合、他の相続人の同意は不要です。
預貯金を相続させると指定された人は、単独で相続手続をすることができます。
遺言書で相続した場合、相続した人は預貯金を引出すことができます。
方法②相続人全員で遺産分割協議
相続が発生したら、被相続人の財産は相続財産です。
相続財産は、相続人全員の共有財産です。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。
被相続人の預貯金は、相続人全員の協力で分け方を決めます。
相続人全員の合意で分け方を決めたら、合意内容を文書に取りまとめます。
相続財産の分け方について相続人全員の合意内容を取りまとめた文書を遺産分割協議書と言います。
遺産分割協議書の内容は、相続人全員に確認してもらいます。
遺産分割協議書の内容に問題がなければ、記名し実印で押印をしてもらいます。
遺産分割協議書の押印が実印による押印であることを証明するため、印鑑証明書を添付します。
相続人全員で遺産分割協議をした場合、相続した人は預貯金を引出すことができます。
方法③預貯金の仮払い制度を利用
預貯金を引出す場合、原則として相続人全員の合意が必要です。
相続人全員の合意が難しいことがあります。
相続人に認知症の人や行方不明の人がいることがあるからです。
一部の相続人を除外して相続財産の分け方を合意しても、無効の合意です。
一定の条件下で、預貯金の仮払制度を利用することができます。
銀行などの金融機関に手続をする場合、仮払い上限額の計算式は次のとおりです。
仮払いの上限額=死亡時の預金額×1/3×法定相続分
計算式で求められた上限額が150万円を超えた場合、150万円になります。
預金の金額が少ない場合や法定相続人が多い場合、150万円の仮払いを受けることができません。
預貯金の仮払い制度を利用した場合、相続人は預貯金を引出すことができます。
4預貯金の相続手続を司法書士に依頼するメリット
口座を凍結されてしまったら、書類をそろえて手続すれば解除してもらえます。
必要な書類は、銀行などの金融機関によってまちまちです。
手続の方法や手続にかかる期間も、まちまちです。
銀行内部で取扱が統一されていないことも多いものです。
窓口や電話で確認したことであっても、上席の方に通してもらえないことも少なくありません。
相続手続は、やり直しになることが多々あります。
このためスムーズに手続きできないことが多いのが現状です。
日常生活に不可欠な銀行口座だからこそ、スムーズに手続したいと思う方が多いでしょう。
仕事や家事で忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続を丸ごとおまかせできます。
ご家族にお世話が必要な方がいて、お側を離れられない方からのご相談もお受けしております。
凍結口座をスムーズに解除したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
故人の口座から葬儀費用を引き出す方法
1口座の持ち主が死亡すると口座凍結
①銀行が死亡を知ったタイミングで口座凍結
銀行などの預貯金は、日常生活に欠かせません。
多くの人は、銀行などに預貯金の口座を持っているでしょう。
口座の持ち主が死亡したことを銀行などの金融機関が知った場合、口座の取引を停止します。
口座の凍結とは、口座取引を停止することです。
・ATMや窓口での引出
・年金の振込
・公共料金の引落
上記は、口座取引の一例です。
口座凍結がされると、口座取引ができなくなります。
口座凍結がされるのは、口座の持ち主が死亡したことを銀行が知ったときです。
人が死亡した場合、医師が死亡診断書を作成します。
市区町村役場に、死亡届を提出します。
病院や市区町村役場が自主的に金融機関に連絡することはありません。
病院や市区町村役場は、死亡した人がどの金融機関に口座を持っているのか知らないはずです。
病院や市区町村役場が金融機関に連絡したら、個人情報の漏洩になります。
病院や市区町村役場が個人情報の漏洩をしたら、責任を問われることになるでしょう。
実際は金融機関が口座の持ち主の死亡を知ったときに、口座は凍結されます。
多くは、被相続人の家族が相続財産の確認や相続手続の方法を問い合わせるでしょう。
問合せを受けたときに、持ち主の死亡を知ります。
被相続人の家族が金融機関に問合わせをしたときに、口座は凍結されます。
銀行が口座の持ち主の死亡を知ったタイミングで、口座は凍結されます。
②口座凍結する理由はトラブルに巻き込まれないため
口座の持ち主が死亡したことを銀行が知ったとき、口座は凍結されます。
相続人間のトラブルに銀行が巻き込まれないために、口座は凍結されます。
口座の持ち主が死亡した場合、口座の預貯金は相続人が相続します。
口座の預貯金は、相続人全員の共有財産です。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。
一部の相続人が勝手に引き出すことはできません。
勝手に引き出した場合、相続人間で大きなトラブルになるでしょう。
仮に、一部の相続人が勝手に引出しができるとしたら、他の相続人から強い抗議がされるでしょう。
銀行は、相続人間のトラブルに巻き込まれることになります。
被相続人の大切な預貯金を守れないとなったら、銀行の信用は失墜するでしょう。
相続人のトラブルに巻き込まれて信用が失墜するなど、銀行は何としても避けたいはずです。
相続人間のトラブルに巻き込まれないため、口座は凍結されます。
③相続手続をするまで口座は凍結されたまま
口座の持ち主が死亡したことを銀行が知ったとき、口座は凍結されます。
相続手続をするまで、口座は凍結されたままです。
時間が経っても、自動で凍結解除されることはありません。
相続人間のトラブルに巻き込まれないため、口座を凍結しているからです。
相続人間のトラブルに巻き込まれる可能性がある間は、口座凍結が続きます。
相続手続をするまで、口座は凍結されたままです。
2預貯金だけ遺産分割協議ができる
①相続人全員の合意で遺産分割協議
相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。
相続人が相続する財産が相続財産です。
相続財産は、相続人全員の共有財産です。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。
相続人全員の合意ができれば、どのように分けても問題はありません。
相続人全員の合意で、遺産分割協議を成立させることができます。
②相続財産から葬儀費用を支払える
口座の持ち主が死亡したら、口座の預貯金は相続人が相続します。
口座の預貯金は、相続財産です。
葬儀費用は、相続財産ではありません。
被相続人が生前に葬儀費用を負担することはないからです。
葬儀費用は、被相続人から引き継ぐ費用ではありません。
現実にも被相続人が死亡した後、葬儀業者と葬儀契約をします。
葬儀業者の契約で、葬儀費用が発生します。
だれが葬儀契約をするのか、明確に決まっていません。
裁判所や学者は、次のような意見があります。
(1)相続人全員の負担にする説
(2)喪主が負担する説
(3)相続財産から負担する説
(4)地域の慣習で決める説
被相続人や相続人にそれぞれの事情があるから、一概に決められません。
葬儀費用について遺産分割協議の対象とすることができます。
相続財産以外の財産を含めて遺産分割協議をしても、問題はないからです。
相続人全員が納得して相続人全員が合意できる結論を出すことが重要です。
相続人全員が合意できれば、相続財産から葬儀費用を支払うことができます。
③預貯金だけの遺産分割協議書は有効
遺産分割協議を成立させるためには、相続人全員の合意が不可欠です。
相続人全員の合意ができるのであれば、相続財産全部をまとめて分ける必要はありません。
分けやすい財産だけ、相続人全員で合意することができます。
預貯金についてだけ、相続人全員で合意することができます。
相続財産全部の合意でないからと言って、遺産分割協議が無効になることはありません。
一部の財産についての遺産分割協議は、有効な遺産分割協議です。
合意ができた財産から、合意内容を書面に取りまとめます。
相続財産の分け方について合意内容を取りまとめた書面を遺産分割協議書と言います。
一部の財産についての遺産分割協議書は、有効な遺産分割協議書です。
一部の財産についての遺産分割協議は、有効な遺産分割協議だからです。
預貯金だけの遺産分割協議書は、有効な遺産分割協議書です。
3預金仮払い制度を利用する
①預金仮払いの上限額は最大150万円
銀行などの金融機関に手続をする場合、仮払い上限額の計算式は次のとおりです。
仮払いの上限額=死亡時の預金額×1/3×法定相続分
計算式で求められた上限額が150万円を超えた場合、150万円になります。
預金の金額が少ない場合や法定相続人が多い場合、150万円の仮払いを受けることができません。
仮払いを受ける対象は、預金だけです。
債券や有価証券、株式などは対象外です。
預金仮払いの上限額は、最大150万円です。
②複数の銀行に口座があるとき銀行ごとに計算
銀行口座は、日常生活を送るうえで必要不可欠なものです。
多くの人は、用途や目的に応じて複数の銀行口座を持っているでしょう。
被相続人が複数の金融機関に口座を持っていた場合、それぞれの金融機関で仮払いを受けることができます。
預金仮払いの上限額は、最大150万円です。
最大150万円は、金融機関1つ当たりです。
金融機関が3つあれば、最大450万円です。
一つの銀行の複数の支店に口座を持っていることがあります。
③一つの銀行で複数の支店に口座があるときは最大150万円
被相続人が一つの銀行で複数の支店に口座を持っていることがあります。
一つの銀行で複数の支店に口座を持っている場合、全支店をまとめて仮払いを受けることができます。
全支店まとめて預金仮払いの上限額は、最大150万円です。
仮払いを請求する金融機関は、一つだからです。
④預金仮払いを申請するときの必要書類
銀行に預金仮払いを申請するときの必要書類は、次のとおりです。
(1)被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
(2)相続人全員の現在戸籍
(3)仮払いを希望する人の印鑑証明書
金融機関によっては、追加で書類が必要になることがあります。
⑤仮払い額は遺産分割協議で調整
預金者が死亡した場合、預金は相続人全員の共有財産になります。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。
相続人全員の合意ができる前に、預金の仮払いを受けていることがあります。
相続財産全体の分け方を決める際に、預金の仮払いを受けたことを考慮することになります。
預金の仮払いを受けたことを考慮して、相続財産の分け方について相続人全員で合意することになります。
預金の仮払いを受ける場合、葬儀の費用や病院の費用を払うことが多いでしょう。
葬儀の費用や病院の費用を払った場合、領収書を保管しておくことが重要です。
葬儀の費用や病院の費用であれば、相続財産から支払うことに同意してもらえるでしょう。
領収書がないと仮払いを受けた相続人が私的に使ったと疑われるからです。
一部の相続人が使い込みをしているとなったら、強い不信感を持つでしょう。
相続では普段目にしないような大きな金額が動きます。
だれもが自分はソンしたくないから、疑心暗鬼になりがちです。
使い込みをしていなくても、他の相続人には使い込みに見えてしまうことがあります。
預金の仮払いを受けることや葬儀などの費用に支払うことは、他の相続人と共有しましょう。
遺産分割協議では、相続人全員の合意が必要です。
⑥遺言書があると仮払いが受けられない
被相続人が生前に遺言書を作成していることがあります。
多くの場合、遺言書で財産の分け方を指定しているでしょう。
遺言書で財産の分け方を指定した場合、遺言書が効力を発したときに財産は分割されます。
遺言書を作成した場合、相続人以外の第三者に財産を遺贈することがあります。
遺言書で預金全額を遺贈した場合、銀行は仮払いに応じられません。
遺言書が効力を発したときに、預金は遺贈を受けた人のものになっているからです。
仮払いに応じたら、遺贈を受けた人の間でトラブルになるのは明白です。
被相続人が遺言書を残した場合、仮払いが受けられなくなります。
⑦家庭裁判所の仮払い制度には調停・審判の申立てが必要
預金の仮払いを受けるには、2つの方法があります。
銀行などの金融機関に手続をする方法と家庭裁判所に手続をする方法です。
どちらかというと、銀行などの金融機関に手続をする方法が簡単です。
家庭裁判所に申立てをして仮払いを受ける方法は、遺産分割調停や遺産分割審判が申立てが条件だからです。
葬儀費用の支払いをするために、遺産分割調停や遺産分割審判を申し立てるのはハードルが高いでしょう。
家庭裁判所の仮払い制度を利用するためには、調停・審判の申立てが必要です。
⑧預金仮払いを受けると相続放棄ができなくなる可能性
相続が発生した後、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。
相続を単純承認した後で、相続放棄をすることはできません。
相続放棄をすることができないように、単純承認も撤回することができないからです。
法律で定められた一定の条件にあてはまるときは、単純承認したとみなされます。
相続財産の名義変更をした、相続財産である銀行の預貯金を引き出して使ってしまった場合が典型的です。
単に、引き出しただけであれば、処分とは言えないことが多いでしょう。
葬儀費用は、ある程度まとまった金額になります。
死亡の時期がだれにも分からないように、葬儀の時期もだれにも予想できません。
被相続人に預貯金があるのに、預貯金が使えないために葬儀を行えないとなったら非常識な結果になります。
相続人は被相続人の預貯金を使って、社会通念上相応の葬儀を行うことができます。
社会通念上相応の葬儀費用である場合、被相続人の預貯金から支出しても単純承認になりません。
葬儀は社会的儀式として必要性が高いと認められているからです。
社会通念上相応の葬儀とは、どのような葬儀を指すのか一概に決めることはできません。
○万円以内なら単純承認にならないという明確な基準があるわけではありません。
相続放棄をした人が社会通念上相応と考えて相続財産から支出した場合であっても、他の人は不相応に高額な支払いと考えるかもしれません。
債権者は、相続放棄をした相続人に対して被相続人に借金の支払いを求めることができません。
相続放棄が無効の場合、相続放棄が無効だから被相続人の借金を支払って欲しいと交渉することができます。
預金の仮払いを受けられるからと言って、被相続人の預金を使うのはリスクを伴います。
あえて債権者から疑いの目を向けられるリスクをおかす必要はありません。
相続放棄をした人が固有の財産から葬儀費用を支払うのが安全です。
被相続人の預金をを使って葬儀費用の支払いをした場合、単純承認になるおそれがあります。
4預貯金の相続手続を司法書士に依頼するメリット
口座を凍結されてしまったら、書類をそろえて手続すれば解除してもらえます。
必要な書類は、銀行などの金融機関によってまちまちです。
手続の方法や手続にかかる期間も、まちまちです。
銀行内部で取扱が統一されていないことも多いものです。
窓口や電話で確認したことであっても、上席の方に通してもらえないことも少なくありません。
相続手続は、やり直しになることが多々あります。
このためスムーズに手続きできないことが多いのが現状です。
日常生活に不可欠な銀行口座だからこそ、スムーズに手続したいと思う方が多いでしょう。
仕事や家事で忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続を丸ごとおまかせできます。
ご家族にお世話が必要な方がいて、お側を離れられない方からのご相談もお受けしております。
凍結口座をスムーズに解除したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
名義人死亡後に口座凍結を確認する方法
1名義人死亡後に口座凍結を確認する方法
銀行などの預貯金口座は、日常生活に欠かせません。
多くの人は、銀行などに預貯金口座を持っているでしょう。
口座の持ち主が死亡したら、口座が凍結されます。
口座の凍結とは、口座の取引ができなくなることです。
口座の取引が停止されると、入出金、振込、引落ができなくなります。
口座凍結している場合、引き出せなくなります。
口座凍結しているか確認のため、キャッシュカードで引出ししてみるといいでしょう。
口座凍結後にATMなどで残高照会をしてみると、窓口などを案内するメッセージが表示されます。
口座に入金しようとしても振込みをしようとしても、エラーになります。
口座凍結で、口座の取引が停止されているからです。
口座取引を試してみることで、口座凍結を確認することができます。
2金融機関が名義人死亡を知ると口座凍結
①口座凍結のタイミング
口座の持ち主が死亡したら、口座が凍結されます。
口座の持ち主が死亡後、ただちに凍結するわけではありません。
口座の持ち主が死亡したことを銀行などの金融機関が知ったときに、口座凍結します。
口座凍結までに、タイムラグがあります。
人が死亡したら、医師が死亡診断書を作成します。
医師や病院は、銀行などの金融機関に連絡しません。
医師や病院は、死亡した人がどの銀行に口座を持っているか知りません。
人が死亡したら、市区町村役場に死亡届を提出します。
市区町村役場は、銀行などの金融機関に連絡しません。
市区町村役場は、、死亡した人がどの銀行に口座を持っているか知りません。
人が死亡した事実は、個人情報です。
個人情報を外部に漏らしたら、責任を問われることになるでしょう。
医師や病院、市区町村役場から、銀行などの金融機関に漏れることは考えられません。
口座の持ち主が死亡したら、相続人が銀行に問い合わせをするでしょう。
相続財産の確認や口座の解約方法を確認するためです。
相続人が金融機関に問い合わせをしたときに、口座の持ち主の死亡を知ります。
口座の持ち主の死亡の事実を知ったときに、口座は凍結されます。
②口座凍結する理由
大切な家族が死亡したら、葬儀を行います。
病院や施設などの費用を清算する必要があります。
葬儀費用や施設病院の費用は、ある程度まとまった金額になることが多いでしょう。
被相続人の預貯金を引き出して、支払いたいと考えるかもしれません。
口座の持ち主が死亡したら、口座が凍結されます。
相続が発生したら、被相続人のものは相続人が相続します。
被相続人の預貯金は、相続人全員の共有財産です。
一部の相続人が勝手に引き出した場合、他の相続人とトラブルになるでしょう。
被相続人の預貯金が安易に引き出されると、金融機関は他の相続人から強い抗議を受けることになります。
金融機関が相続争いに巻き込まれるおそれがあります。
被相続人の大切な預貯金を守れないとなったら、金融機関の信用は失墜するでしょう。
金融機関は信用失墜を避けるため、口座を凍結します。
③口座凍結に期限はない
口座の持ち主が死亡したら、口座が凍結されます。
口座凍結に期限はありません。
凍結解除の手続をしなければ、いつまでたっても凍結されたままです。
長期間経過すれば、自動で凍結解除されることはありません。
金融機関が相続争いに巻き込まれないために、口座凍結しているからです。
預貯金の分け方について、相続人全員が合意するまで口座凍結は続きます。
相続財産の分け方について、相続人全員の合意が難しいことがあります。
ときには何十年も合意ができないことがあります。
何十年も合意ができない場合、何十年も凍結されたままです。
口座凍結に、期限はないからです。
④口座凍結前の引出は相続人全員で情報共有
銀行などの金融機関が死亡の事実を知ったときに、口座凍結します。
金融機関が死亡の事実を知る前は、引出ができてしまいます。
口座の持ち主が死亡したら、口座の預貯金は相続財産です。
相続財産は、相続人全員の共有財産です。
相続発生後に引出しをすると、他の相続人からは勝手に横領していると見えるでしょう。
葬儀費用や施設病院の費用は、ある程度まとまった金額になります。
引出しをする場合、引き出した金額と使い途について他の相続人に情報共有をしましょう。
情報共有のうえで領収書を保管するのがおすすめです。
⑤口座凍結されたら引落口座の変更
口座が凍結されると、入出金、振込、引落ができなくなります。
公共料金や住宅ローンなどの引落口座に指定されている場合、引落が実行できなくなります。
口座が凍結された場合、引落口座の変更が必要になります。
口座凍結によって引落が実行できなかった場合、納付書などが送られてきます。
納付忘れにならないように、郵便物に注意しましょう。
3口座凍結を解除する方法
①相続人確定
被相続人の預貯金は、相続人全員の共有財産です。
被相続人の預貯金の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。
相続が発生した場合、だれが相続人になるか家族にとっては当然のことでしょう。
銀行などの第三者に対しては、客観的に証明する必要があります。
客観的に証明するとは、具体的には戸籍謄本を用意することです。
戸籍には、その人の身分に関する事項がすべて記載されています。
身分に関する事項とは、結婚や離婚、養子縁組や離縁、認知などの事項です。
結婚や離婚、養子縁組や離縁、認知などの事項を家族には秘密にしていることがあります。
戸籍謄本を揃えると、すべて明るみに出ます。
相続人確定のため、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を準備します。
転籍や改製があった場合、戸籍は作り直しがされます。
戸籍が作り直されたとき、新しい戸籍に書き写される項目と書き写されない項目があります。
書き写されない項目を確認するため、出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要です。
相続人確定には、たくさんの戸籍謄本が必要になります。
②遺産分割協議が必要
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。
一部の相続人を含めずに合意しても、無効の合意です。
相続財産の分け方は、相続人の多数決で決めることができません。
相続人全員の合意が必要です。
相続人全員の合意ができたら、合意内容を書面に取りまとめます。
相続財産の分け方について、取りまとめた書面を遺産分割協議書と言います。
遺産分割協議書の内容に間違いがないか、相続人全員に確認をしてもらいます。
問題がなければ、記名し実印で押印をしてもらいます。
遺産分割協議書の押印が実印による押印であることを証明するため、印鑑証明書を添付します。
遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容の証明書です。
預貯金の分け方について、相続人全員が合意するまで口座凍結は続きます。
たくさんの戸籍謄本と遺産分割協議書を提出することで、相続人全員の合意があることを証明することができます。
相続人全員の合意があることを確認できれば、銀行は口座の凍結を解除してくれます。
③遺言書があると手続がラク
被相続人は、生前に自分の財産を自由に処分することができます。
被相続人は、遺言書で自分の財産をだれに相続させるのか自由に決めることができます。
遺言書は、遺言者の意思を示すものです。
相続人としても、遺言書の内容を実現してあげたいと考えるでしょう。
遺言書がある場合、遺言書の内容のとおり分けることができます。
相続人全員で分け方の合意をする必要はありません。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意が必要です。
1人でも反対の相続人がいると、相続財産の分け方を決めることができません。
遺言書があると、相続人全員で話し合いをする必要がなくなります。
遺産分割協議はトラブルになりやすいから、遺言書があるとトラブル防止になります。
遺言書は、作成するだけでは意味がありません。
遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。
遺言書で遺言執行者を決めておくのがおすすめです。
遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。
遺言執行者は、遺言書の内容を実現するために必要な権限が与えられます。
相続手続は、想像以上に手間と時間がかかります。
遺言執行者がいると、わずらわしい相続手続をおまかせすることができます。
遺言書があると、相続手続がラクになります。
④遺産分割協議前に仮払い制度
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。
相続財産の分け方について、相続人全員の合意が難しいことがあります。
何十年も合意ができない場合、何十年も凍結されたままです。
葬儀費用や施設病院の費用は、ある程度まとまった金額になります。
葬儀会社や施設病院には、期限までの支払う必要があるでしょう。
遺産分割協議前に、仮払い制度を利用することができます。
預金の仮払いを受けるには、2つの方法があります。
銀行などの金融機関に手続をする方法と家庭裁判所に手続をする方法です。
どちらかというと、銀行などの金融機関に手続をする方法が簡単です。
銀行などの金融機関に手続をする場合、仮払い上限額の計算式は次のとおりです。
仮払いの上限額=死亡時の預金額×1/3×法定相続分
計算式で求められた上限額が150万円を超えた場合、150万円になります。
預金の金額が少ない場合や法定相続人が多い場合、150万円の仮払いを受けることができません。
仮払いを受ける対象は、預金だけです。
家庭裁判所に手続をする方法は、遺産分割調停や遺産分割審判が申し立てられていることが前提です。
そのうえで、仮分割の仮処分の申立てをすることができます。
仮払いを受けることができる金額は、家庭裁判所が決定します。
家庭裁判所で認められれば、法律で決められた仮払いの上限額以上の金額の仮払いを受けることができます。
4法定相続情報一覧図があると便利
口座凍結解除は、金融機関ごとに手続が必要です。
被相続人がたくさんの金融機関に口座を持っている場合、それぞれの金融機関に手続をしなければなりません。
相続手続のたびに、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本と相続人の現在戸籍の束を提出します。
大量の戸籍謄本を持ち歩くと汚してしまったり、紛失する心配があるでしょう。
受け取る銀行などの金融機関にとっても、戸籍謄本の束を読解するのは手間のかかる事務です。
被相続人を中心にして、どういう続柄の人が相続人であるのか一目で分かるように家系図のように取りまとめてあると便利です。
この家系図と戸籍謄本等を法務局に提出して、登記官に点検してもらうことができます。
登記官は内容に問題がなかったら、地模様の入った専用紙に認証文を付けて印刷して、交付してくれます。
これが法定相続情報証明制度です。
登記官が地模様の入った専用紙に印刷してくれた家系図のことを法定相続情報一覧図と言います。
多くは家系図のように書きますが、相続人をずらっと書き並べることもできます。
法定相続情報一覧図があると、便利です。
5預貯金口座の相続手続を司法書士に依頼するメリット
口座を凍結されてしまったら、書類をそろえて手続きすれば解除してもらえます。
凍結解除に必要な書類は、銀行などの金融機関によってまちまちです。
手続の方法や手続にかかる期間も、まちまちです。
銀行内部で取扱が統一されていないことも、少なくありません。
窓口や電話で確認したことであっても、上席の方に通してもらえず、やり直しになることも多々あります。
口座凍結解除は、スムーズに手続きできないことが多いのが現状です。
日常生活に不可欠な銀行口座だからこそ、スムーズに手続したいと思う方が多いでしょう。
仕事や家事で忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続を丸ごとおまかせできます。
家族にお世話が必要な方がいて、お側を離れられない方からのご相談もお受けしております。
凍結口座をスムーズに解除したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。