Archive for the ‘相続放棄’ Category

市役所から通知が届いて相続放棄

2024-03-13

1相続放棄で借金を相続しない

相続が発生したら、相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

単純承認は、プラスの財産とマイナスの財産を相続します。

相続放棄は、プラスの財産とマイナスの財産を相続しません。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、プラスの財産とマイナスの財産を相続しません。

被相続人が莫大な借金を抱えていても、相続放棄が認められたら相続する必要はありません。

相続放棄は、被相続人ごとに判断できます。

例えば、父について相続放棄をするが、母について単純承認するでも差し支えありません。

相続の放棄は相続人ごとに判断します。

例えば、父の相続人ついて長男は相続放棄するが、長女は単純承認するでも差し支えありません。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、借金を相続しません。

2市役所は相続人を調査して通知する

①相続人代表者指定届のために通知する

毎年5月ごろに市区町村役場から、固定資産税や都市計画税の納税通知書が送られます。

固定資産税や都市計画税は、不動産の所有者が納める税金です。

不動産の所有者が死亡した場合、納税通知書を送ることができなくなって困ります。

相続人も納税通知書を受け取ることができないと、税金を納めることができなくなって困ります。

市区町村役場は、相続人代表者指定届を提出するように通知を出します。

相続人代表者指定届とは、固定資産税や都市計画税の納税通知書を受け取る人を指定するための届出書です。

納税通知書を受け取る人が代表者です。

市区町村役場は、同居していた相続人やその市町村に住民票がある相続人を優先して通知します。

被相続人と疎遠である場合、被相続人の死亡が連絡されないことがあります。

市区町村から相続人代表者指定届を提出するように通知が届いたことで、相続が発生したことを知ることがあります。

②空き家の相続人に通知する

空き家等の登記名義人が死亡した場合、現在の管理者が適切に管理していないことがあります。

適切な管理を促すため、市区町村役場は相続人に通知を送ります。

空き家等の登記名義人が死亡してから、長期間経過していることがあります。

登記名義人の直接の相続人も、死亡しているかもしれません。

ほとんど面識のない遠縁の親族の相続人であると聞いて、びっくりするかもしれません。

相続を単純承認した場合、空き家等の管理をすることになります。

③地籍調査の立会いのために通知する

地籍調査とは、国土調査のひとつです。

土地の所有者、地番、地目を調査して、境界の位置と面積の測量をします。

市区町村役場は境界を確認するため、所有者の立会いを求めます。

所有者が死亡している場合、相続人に立会いをしてもらいます。

市区町村役場から地籍調査の立会いのお願いが届いたことで、自分が相続人であることを知ることがあります。

④被相続人が税金等を滞納していた場合に通知する

被相続人が納めるべき税金を納めないまま、死亡することがあります。

相続が発生した場合、納めるべき税金は相続財産になります。

被相続人が納めるべき税金は、相続人に相続されます。

税金を納める義務は、相続人全員に法定相続分で相続されます。

市区町村役場は、相続人に対して納税義務承継通知書を送ります。

納税義務承継通知書は、滞納していた税金を納める義務が引き継がれましたよというお知らせです。

納税義務承継通知書を無視していると、滞納処分が開始されます。

滞納処分とは、税金を納める義務がある人の財産から強制的に取り立てる手続のことです。

市区町村役場から納税義務承継通知書が届いたことで、自分が相続人であることを知ることがあります。

⑤生活保護受給者が保護費を過誤受給していた場合に通知する

被相続人が親族と疎遠になっている場合、生活保護を受けていることがあります。

生活保護受給中に、資力が回復することがあります。

資力が回復していた期間中、満額の生活保護費を受け取ることはできないでしょう。

受け取り過ぎになった保護費を返還する義務が発生します。

真実ではないことを申請して生活保護を受給していることがあります。

適切な生活保護費と差額があった場合、差額は本来受け取ることができないはずです。

受け取り過ぎになった保護費を返還する義務が発生します。

誤って生活保護費を受け取っていた場合、過大に受け取った分を返還しなければなりません。

市区町村役場から生活保護費の返還通知が届いたことで、自分が相続人であることを知ることがあります。

3相続放棄の期限3か月のスタートは知ってから

相続が発生したら、相続人は各自単純承認をするか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内に申立てをする必要があります。

相続があったことを知ってからとは、必ずしも、被相続人の死亡してからではありません。

被相続人が死亡した後3か月以上経過してから、相続放棄の申立てをして、認められることがあります。

相続放棄ができる3か月以内のスタートは、相続があったことを知ってからだからです。

市区町村役場から通知が届いて相続があったことを知った場合、通知が届いたときに3か月がスタートします。

相続があったことを知らなかった場合、相続放棄ができる3か月がスタートしていません。

このポイントは、相続が発生してから3か月以内に申立てができなかったのは止むを得なかったと家庭裁判所に納得してもらうことです。

3か月以内に申立てができなかったのは仕方なかったと家庭裁判所が納得できる理由があるときだけは、家庭裁判所も相続放棄を認めてくれます。

市区町村役場は、相続が発生してからすぐに通知する場合もありますが、ときには長期間経過してから連絡してくる場合があります。

市区町村役場から手紙が来て相続があったことを知った場合、この通知は大切です。

市区町村役場からの手紙を見て相続があったことを知ったという証拠になるからです。

市区町村役場から通知が来た後に相続放棄を希望する場合、手続先は家庭裁判所です。

通知を送った役所に相談に行って相続放棄をすると話しても、効果はありません。

4相続放棄をしても市区町村役場に連絡されない

家庭裁判所に相続放棄を認めてもらったら、家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書という書類が届きます。

家庭裁判所は相続放棄を認めた場合でも、自主的に市区町村役場に連絡することはありません。

だれが相続放棄をしたか、市区町村役場は知るきっかけがありません。

相続放棄をした場合でも、市区町村役場に届出をするルールはありません。

戸籍や住民票に、相続放棄が記載されることはありません。

市区町村役場は、相続放棄をしたかどうか全く知ることはないのです。

相続放棄が認められた後になって、被相続人が滞納していた税金などを払ってくださいと督促してくることがあります。

相続放棄しているので、払う必要のない税金です。

市区町村役場は相続放棄をしたことを知らないので、相続人に払ってもらおうと考えて催促します。

相続放棄申述受理通知書を提示して事情を説明すれば督促をやめてくれます。

5期限を過ぎた相続放棄を司法書士に依頼するメリット

相続放棄は、その相続でチャンスは1回限りです。

家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続きを取ることはできます。

高等裁判所の手続で、2週間以内に申立てが必要になります。

家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。

一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。

相続が発生してから3か月以内に届出ができなかったのは止むを得なかったと家庭裁判所に納得してもらって、はじめて、家庭裁判所は相続放棄を認めてくれます。

通常は家庭裁判所に対して、上申書や事情説明書という書類を添えて、説得することになります。

家庭裁判所が知りたいことを無視した作文やダラダラとした作文では認めてもらうことは難しいでしょう。

司法書士であれば、家庭裁判所に認めてもらえるポイントを承知しています。

認めてもらいやすい書類を作成することができます。

通常の相続放棄と同様に、戸籍謄本や住民票が必要になります。

仕事や家事、通院などで忙しい人にとって、平日の昼間に市区町村役場に出向くのは負担が大きいものです。

戸籍謄本や住民票は、郵便による取り寄せをすることができます。

書類の不備などによる問い合わせは、市区町村役場の業務時間中の対応が必要になります。

相続人の負担は、軽いとは言えません。

戸籍謄本や住民票の取り寄せは、司法書士におまかせすることができます。

3か月の期限が差し迫っている方や期限が過ぎてしまっている方は、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

 

相続放棄したのに裁判

2024-02-26

1相続放棄で相続人でなくなる

①相続放棄は家庭裁判所の手続

相続が発生した場合、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄を希望する申立てをします。

申立てをする先の家庭裁判所は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所です。

相続が開始した地とは、被相続人の最後の住所地です。

裁判所のホームページで、管轄する家庭裁判所を調べることができます。

被相続人の最後の住所地が分からない場合、被相続人の除票や戸籍の附票を取得すると判明します。

相続放棄の申立ての期限は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内です。

「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。

相続放棄ができる期間は3か月を知らないまま3か月経過した場合、相続放棄は認められません。

法律の定めを知らなくても、3か月過ぎてしまえば、単純承認になります。

単純承認になったら、相続放棄は認められません。

②相続放棄をした人に借金を請求できない

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなくなります。

相続人でなくなるから、被相続人の財産を相続することはできません。

被相続人の財産には、いろいろな種類のものがあるでしょう。

相続人でなくなった場合、プラスの財産とマイナスの財産の両方を相続しません。

一部の財産だけを相続放棄することはできません。

相続放棄をした場合、すべての財産を相続しません。

被相続人が借金を残して、死亡することがあります。

相続人が相続放棄をした場合、被相続人の借金を相続しません。

債権者は、相続放棄をした人に借金の返済を求めることができません。

2相続放棄したのに裁判

①単純承認で相続放棄が無効になる

相続が発生した場合、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

単純承認は、プラスの財産とマイナスの財産の両方を相続します。

相続放棄は、プラスの財産とマイナスの財産の両方を相続しません。

単純承認をしたら、相続放棄をすることはできません。

相続放棄をした後に、相続放棄を撤回することができません。

同じように単純承認をした後に、単純承認を撤回をすることはできないからです。

撤回とは、相続放棄が受理されたときには何も問題がなかったのに、後から問題が発生したので、なかったことにすることです。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に相続放棄を希望する申立てをします。

家庭裁判所は相続放棄の申立てを受け付けた後、受け付けた書類を見て審査をします。

家庭裁判所は、独自で調査をしません。

書類に問題がなければ、家庭裁判所は相続放棄を認める決定をします。

事情が分からずに家庭裁判所が相続放棄を認めてしまっても、無効です。

単純承認をしたら、撤回ができないからです。

単純承認をした後、相続放棄が認められても無効になります。

②相続放棄は絶対でない

家庭裁判所は相続放棄の申立てを受け付けた後、詳しい事情を調査しません。

書類に問題がなければ、相続放棄を認める決定をします。

家庭裁判所で相続放棄が認められても、実際は無効であることがあります。

単純承認をしたのに、相続放棄の申立てをすることがあるからです。

被相続人の財産を処分したり利用したりした場合、単純承認と見なされます。

相続放棄を希望しているのに、相続人が被相続人の財産を処分したり利用したりすることがあります。

相続人が自覚せずに、被相続人の財産を処分したり利用したりすることがあるでしょう。

相続人が自覚していなくても被相続人の財産を処分したり利用したりした場合、単純承認と見なされます。

単純承認をした後に家庭裁判所が相続放棄を認める決定をしても、無効の決定です。

家庭裁判所は詳しい調査をせずに提出された書面だけで、相続放棄の決定をします。

家庭裁判所の決定は、絶対ではありません。

③債権者は裁判で相続放棄の無効を主張できる

単純承認をした後に、家庭裁判所が相続放棄を認めてしまうことがあります。

被相続人の財産を処分したり利用したりした場合、相続放棄をすることはできません。

事情が分からないから家庭裁判所が相続放棄を認めてしまっても、無効の決定です。

家庭裁判所の決定に不服があれば、債権者は裁判で争うことができます。

家庭裁判所の決定は、絶対ではないからです。

相続放棄をした場合、プラスの財産とマイナスの財産の両方を相続しません。

債権者は、相続放棄をした人に被相続人の借金を請求することはできません。

相続放棄が無効の場合、プラスの財産とマイナスの財産の両方を相続します。

債権者は、相続放棄の無効を主張して被相続人の借金を払って欲しいと請求することができます。被相続人の借金を払ってもらうため、債権者は裁判を起こすことができます。

④裁判所の呼出を無視すると欠席裁判

被相続人の財産を処分したり利用したりした場合、単純承認と見なされます。

債権者が裁判を起こした場合、裁判所から訴状が届きます。

被相続人の財産を処分したり利用したりしたことがまったくない場合、訴状を無視したくなるかもしれません。

債権者は相続放棄の有効無効を判断してもらうため、裁判を起こしています。

相続放棄は有効だと主張する場合、裁判に対応しなければなりません。

裁判所からの呼び出しに応答しない場合、欠席裁判になります。

欠席裁判になると、裁判所は債権者の主張を全面的に認める判決をします。

債権者の主張が不適切と考える場合、適切に主張立証をする必要があります。

適切に主張立証をして裁判所に相続放棄は有効だと分かってもらうことが重要です。

被相続人の財産を処分したり利用したりしたことがまったくないのに、適切な主張立証をしていなければ裁判所に分かってもらえません。

債権者の主張が認められた場合、相続放棄が無効になるでしょう。

相続放棄が無効になった場合、被相続人の借金を相続することになります。

3債権者に訴えられた後に相続放棄

①相続放棄3か月のスタートは知ってから

相続が発生した場合、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

被相続人と別居していた場合、被相続人の財産状況を詳しく知らないことが多いでしょう。

財産調査をしても主だった財産が見つからない場合、何も手続しないことが通常です。

相続が発生してから長期間経過した後で、債権者から借金の請求を受けることがあります。

債権者は借金の支払いを求めて、裁判所に訴えを起こすことができます。

債権者から訴えを起こされてはじめて、被相続人の借金の存在を知ることになります。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に相続放棄を希望する申立てをします。

相続放棄ができる期間は、相続があったことを知ってから3か月です。

「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。

債権者から訴えを起こされて借金の存在を知った場合、訴えを起こされたことを知ったときから3か月がスタートします。

②債権者に訴えられた後に相続放棄ができる

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に相続放棄を希望する申立てをします。

訴えを起こされたことを知ったときから、3か月がスタートします。

相続が発生してから長期間経過した後でも、3か月以内です。

債権者が訴えを起こすまで、借金の存在を知らなかったからです。

被相続人の財産を処分したり利用したりしていない場合、単純承認と見なされません。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、被相続人の借金を相続することはありません。

③名古屋家庭裁判所なら即日審判

家庭裁判所に相続放棄を希望する申立てをした場合、家庭裁判所は提出した書類を審査します。

書類に問題がなければ、相続放棄を認める決定をします。

家庭裁判所の混雑状況によりますが、相続放棄が認められるまでにおおむね1か月程度かかります。

債権者が被相続人の借金の支払いを求めて裁判を起こした場合、適切に対応する必要があります。

期日までに答弁書を提出して、裁判所に事情を説明します。

そのうえで相続放棄の手続を完了させる必要があります。

相続放棄の手続を完了するまで、気が気でないでしょう。

条件を満たせば名古屋家庭裁判所本庁では、相続放棄の即日審判をしてもらうことができます。

相続放棄申述受理通知書が発行されたら、すぐに裁判所に提出します。

4続放棄を司法書士に依頼するメリット

相続放棄はプラスの財産もマイナスの財産も引き継ぎませんという裁判所に対する申立てです。

相続人らとの話合いで、プラスの財産を相続しませんと申し入れをすることではありません。

家庭裁判所で認められないと、マイナスの財産を引き継がなくて済むというメリットは受けられません。

家庭裁判所で相続放棄が認められたとしても、絶対的なものではありません。

相続放棄の要件を満たしていない場合、その後の裁判で相続放棄が否定されることもあり得ます。

相続の単純承認にあたる行為は、建物の取壊しや高価な宝石などの形見分けなども含まれます。

相続が発生すると、家族はお葬式の手配から始まって膨大な手続と身辺整理に追われます。

相続するのか、相続を放棄するのか充分に判断することなく、安易に相続財産に手を付けて、相続放棄ができなくなることがあります。

相続に関する手続の多くは、司法書士などの専門家に任せることができます。

手続を任せることで、大切な家族を追悼する余裕もできます。

相続人の調査や相続財産調査など適切に行って、充分に納得して手続を進めましょう。

相続放棄は、3か月以内の制限があります。

3か月の期間内に手続するのは、相続するよりハードルが高いものです。

相続放棄を考えている方は、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

絶縁しても相続放棄

2024-02-20

1相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

①配偶者は必ず相続人になる

②被相続人に子どもがいる場合、子ども

③被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

④被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

2絶縁している相続人も相続人

①音信不通でも相続人

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になるか相続人にならないかは、法律の定めで決まります。

被相続人と絶縁していても、相続人になるかどうかとは関係ありません。

絶縁していたとか、絶交していたとかいう事情は、法律の定めとは無関係です。

たとえ何十年も音信不通でも、親子は親子です。

何十年も会っていなくても、兄弟姉妹は兄弟姉妹です。

音信不通でも、相続人になります。

②戸籍から抜けても相続人

家族間のトラブルがある場合、同じ戸籍ではなく別の戸籍にしたいと考えることがあります。

親の戸籍に入っている場合、分籍をすることで親の戸籍から離れることができます。

戸籍が別になった場合でも、親子の縁が切れるわけではありません。

分籍後の戸籍を取得した場合、父母の氏名が記載されています。

結婚した人は、親の戸籍から離れて新戸籍が編製されます。

結婚した場合、親子の縁が切れるわけではありません。

戸籍が別になっても、相続人になります。

③氏がちがっても相続人

生まれる前に父母が離婚したので、一度も被相続人に会ったことがない人がいます。

被相続人の氏とは別の氏を名乗っているかもしれません。

被相続人の氏とは別の氏を名乗っていても、子どもであることには変わりはありません。

被相続人の氏とは別の氏を名乗っていても、相続人になります。

④扶養をしなくても相続人

被相続人が子どもの養育費を払っていない場合があります。

成人した子どもと親子げんかをして、親への仕送りをやめてしまった場合があります。

親が子どもを扶養していない場合も子どもが親を扶養しない場合も、親子は親子です。

扶養をしていなくても、相続人になります。

⑤絶縁状を作っても相続人

子どもが重大な親不孝をした場合に、親が子どもを勘当にすることがあります。

子どもを勘当にして、絶縁状を作ることがあります。

絶縁状に法的な効力はありません。

家の敷居をまたぐなとか、お葬式に呼ばないなども法的効力はありません。

配達証明付き内容証明郵便で絶縁状が届くと、受け取った人は驚くかもしれません。

絶縁状を受け取っても、子どもは子どもです。

絶縁状に法的な効力はないから、親子の血縁関係を切ることはできません。

絶縁状を作っても、相続人になります。

3相続したくない場合は相続放棄

①関わりたくないからを理由に相続放棄ができる

いろいろな家族関係の中で、家族と音信不通になっているケースはたくさんあります。

被相続人の家族が知らない相続人がいることもあります。

被相続人とは連絡を取り合っていても、被相続人の家族とは疎遠になっているケースもあります。

被相続人が死亡した後、家族が知らない相続人に対してすぐに連絡がされることはないでしょう。

被相続人が死亡してから、長期間経過してから、相続が発生したことを知ることになります。

子どもは、法律の定めによって相続人になります。

相続人として相続するのであれば、相続財産の分け方について相続人全員による合意が不可欠です。

相続財産の分け方について、相続人全員による合意のための話し合いなどに関わりたくないケースもあるでしょう。

合意のための話し合いなどに関わりたくないことを理由に相続放棄をすることができます。

②相続放棄は3か月以内に手続

相続放棄は家庭裁判所に申立てをする必要があります。

相続することを望まないのであれば、家庭裁判所に手続をしなければなりません。

この申立ての期限は、原則として、相続があったことを知ってから3か月です。

「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。

被相続人が死亡してから3か月以内ではありません。

相続財産を相続することを知ってから3か月以内です。

被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから3か月以内であれば、家庭裁判所に手続をすることができます。

家庭裁判所は、相続人がいつ相続があったことを知ったのかが分かりません。

被相続人が死亡してから3か月以上過ぎていれば、相続があったことを知ってから3か月以上経過していると誤解してしまうリスクがあります。

被相続人が死亡してから3か月以上過ぎている場合、相続放棄の申立ての書類に事情説明書を添えて家庭裁判所を説得します。

多くの場合、郵便物で被相続人の死亡の事実を知ることになるでしょう。

被相続人の死亡の事実を知るきっかけになった郵便物は重要です。

相続があったことを知ってから3か月以内であることを裏付ける証拠になるからです。

相続発生から3か月以上経過している場合、相続人であることを知ってから3か月以内であることを家庭裁判所に納得してもらわなければなりません。

このような郵便物を添付して相続放棄の申立てをすると、説得力が増します。

相続人であることを知ってから3か月以内であることを納得してもらえれば、相続放棄が認められます。

4生前に相続放棄はできない

父母が離婚する際に、生まれてきた子どもと親子の縁を切る、相続人にさせないなどと約束する場合があります。

母が、生まれてきた子どもは相続放棄をしますと念書を書くケースもあります。

相続放棄ができるのは、相続人だけです。

相続放棄ができるのは相続人だけとは、相続放棄ができるのは相続が発生してからという意味です。

相続が発生するまでは、相続人になる予定の人であって、相続人ではないからです。

生まれてきた子どもは相続放棄をしますと書いた念書に法的な意味はありません。

母が書いた念書があるから、相続人ではないと主張しても、だれも相手をしてくれません。

金融機関も法務局も相続手続をしてくれません。

親が書く絶縁状が意味がないように、母が書いた念書にも意味はありません。

相続放棄は、相続が発生した後、家庭裁判所に手続する必要があるのです。

5法律的に親子の縁を切る方法

①嫡出否認の訴え

嫡出否認とは、婚姻中や離婚後300日以内に生まれた子どもが夫婦の子どもではないと家庭裁判所に裁判で認めてもらう制度です。

妻の不貞で授かった子どもや離婚後に別の男性との間に授かった子どもに対して、自分の子どもでないと主張することです。

家庭裁判所に訴えることになりますから、確かな証拠が必要になります。

嫡出否認の訴えは、夫が子どもの出生を知ってから1年以内に手続をしなければなりません。

②親子関係不存在確認の訴え

親子関係不存在確認とは、夫が服役中に妻に子どもが授かった場合などに、明らかに夫婦の子どもでないことを家庭裁判所に認めてもらう制度です。

婚姻後200日以内に出生した子どもに対して、自分の子どもでないと主張することもできます。

親子関係不存在確認の訴えも、嫡出否認の訴えも家庭裁判所に認めてもらう必要があります。

単なる憶測や根拠のない思い込みで、家庭裁判所が納得してくれることはありません。

③特別養子

特別養子とは、実親が虐待するなど養育や監護が著しく不適当な場合に実親との縁を切って養子縁組をする制度です。

血縁関係のある実親との親子関係を切ることになるので、家庭裁判所が決定します。

子どものいない夫婦が養子縁組をする、配偶者の連れ子と養子縁組するといったことは日常的に聞くことあります。

一般的に、単に「養子」と言ったら、普通養子を指していることがほとんどです。

普通養子では養子縁組をした後も、血縁関係のある実親との親子関係は続きます。

特別養子では、養子縁組をした後、血縁関係のある実親との親子関係がなくなります。

血縁関係のある実親との親子関係がなくなる重大な決定なので、家庭裁判所が厳格に審査します。

④法律的に親子の縁を切るのは極めて困難

音信不通であっても、絶縁状を受け取っても、家族との血縁関係が切れることはありません。

血縁関係を切れるのは、非常にレアケースです。

子どもが重大な親不孝をした場合に、親が子どもを勘当にすることがあります。

子どもを勘当にして、絶縁状を作ることがあります。

絶縁状に法的な効力はありません。

家の敷居をまたぐなとか、お葬式に呼ばないなども法的効力はありません。

親の言いなりにならない、家に寄り付かない程度のことで、親子の縁を切ることはできません。

父母が離婚する際に、生まれてきた子どもと親子の縁を切る、相続人にさせないなどと約束する場合があります。

父母が約束しても、子どもであることには変わりはありません。

父母が約束した程度のことで、親子の縁を切ることはできません。

血縁関係を切るためには、非常に高いハードルがあります。

6相続放棄を司法書士に依頼するメリット

実は、相続放棄はその相続でチャンスは1回限りです。

家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続を取ることはできます。

高等裁判所の手続で、2週間以内に申立てが必要になります。

家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。

一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。

相続が発生してから3か月以内に届出ができなかったのは止むを得なかったと家庭裁判所に納得してもらって、はじめて、家庭裁判所は相続放棄を認めてくれます。

通常は家庭裁判所に対して、上申書や事情説明書という書類を添えて、説得することになります。

家庭裁判所が知りたいことを無視した作文やダラダラとした作文では認めてもらうことは難しいでしょう。

司法書士であれば、家庭裁判所に認めてもらえるポイントを承知しています。

認めてもらえやすい書類を作成することができます。

さらに、通常の相続放棄と同様に戸籍謄本や住民票が必要になります。

仕事や家事、通院などで忙しい人には平日の昼間に役所に出向いて準備するのは負担が大きいものです。

戸籍謄本や住民票は、郵便による取り寄せもできます。

書類の不備などによる問い合わせはやはり役所の業務時間中の対応が必要になります。

やはり負担は軽いとは言えません。

このような戸籍謄本や住民票の取り寄せも司法書士は代行します。

相続放棄を考えている方は、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

共有名義人の片方死亡後に相続放棄

2024-02-19

1被相続人の共有持分は相続財産

相続が発生した場合、被相続人のものは相続人が相続します。

相続財産は、相続人全員の共有財産になります。

被相続人が不動産などを第三者と共有していることがあります。

被相続人が不動産などを第三者と共有していた場合、被相続人は共有持分を持っています。

被相続人が持っていた共有持分は、相続人が相続します。

被相続人が持っていた共有持分は、相続財産です。

2相続放棄で相続人でなくなる

①相続放棄は家庭裁判所の手続

相続が発生した場合、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄を希望する申立てをします。

申立てをする先の家庭裁判所は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所です。

相続が開始した地とは、被相続人の最後の住所地です。

裁判所のホームページで管轄する家庭裁判所を調べることができます。

被相続人の最後の住所地が分からない場合、被相続人の除票や戸籍の附票を取得すると判明します。

相続放棄の申立ての期限は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内です。

「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。

相続放棄ができる期間は3か月を知らないまま3か月経過した場合、相続放棄は認められません。

法律の定めを知らなくても、3か月過ぎてしまえば、単純承認になります。

単純承認になったら、相続放棄は認められません。

②相続放棄をすると相続できない

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなくなります。

相続人でなくなるから、被相続人の財産を相続することはできません。

被相続人の財産には、いろいろな種類のものがあるでしょう。

相続人でなくなった場合、プラスの財産とマイナスの財産の両方を相続しません。

一部の財産だけを相続放棄することはできません。

相続放棄をした場合、すべての財産を相続することができなくなります。

③相続放棄で次順位相続人

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。

被相続人の子どもが相続放棄をした場合、相続人でなくなります。

被相続人の子ども全員が相続放棄をした場合、被相続人に子どもがいない場合になります。

被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属が相続人になります。

被相続人の子ども全員が相続放棄をした場合、配偶者だけが相続人になるのではありません。

被相続人の子ども全員が相続放棄をした場合、次順位の人が相続人になります。

④相続人全員相続放棄ができる

相続放棄をした場合、プラスの財産とマイナスの財産の両方を相続しません。

相続放棄をする理由は、被相続人の借金を引き継がないためが多いでしょう。

相続放棄が認められた場合、被相続人の借金を返済する必要はなくなります。

相続人全員が相続放棄をした場合、だれも被相続人の借金の責任を取らないことになります。

だれも責任をとらないことに後ろめたく思うかもしれません。

相続放棄は、相続人ひとりひとりが自由に判断することができます。

結果として、相続人全員が相続放棄を選択することになっても、法律上、やむを得ないことです。

被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。

被相続人の兄弟姉妹全員が相続放棄をした場合、次順位の相続人はいません。

借金がどこまでも無限に追いかけてくることはありません。

だれが相続人になるかについては、民法で決められているからです。

民法で決められた人以外の人が相続人になることはありません。

相続人にならない人は、相続できません。

借金が無限に追いかけてくることはありません。

相続人全員が相続放棄をすることができます。

3共有者が持分を取得するまでに費用と時間がかかる

①相続人不存在で相続財産清算人選任の申立て

被相続人が天涯孤独で親族がいないことがあります。

配偶者、子ども、親などの直系尊属、兄弟姉妹がだれもいない場合、相続人不存在になります。

相続人がいても、相続放棄をすることがあります。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなくなります。

相続人不存在の場合、相続財産は清算されます。

相続財産清算人は、相続財産を清算する人です。

利害関係人は家庭裁判所に申立てをして、相続財産清算人を選任してもらいます。

相続財産清算人の申立てをする場合、予納金を納める必要があります。

相続財産の状況によって異なりますが、多くの場合で100万円程度です。

②相続債権者へ支払い

被相続人が払うべきお金を払う前に、死亡することがあります。

相続財産にプラスの財産がある場合、債権者は相続財産から払ってもらいたいと望むでしょう。

相続財産清算人は、弁済請求の公告をします。

被相続人が不動産の共有持分を持っていた場合、プラスの財産があると言えます。

被相続人のプラスの財産は、原則として、売却されて弁済にあてられます。

通常、不動産の共有持分を買いたい人は見つかりません。

仮に、見つかっても著しく低い金額になるでしょう。

多くの場合、他の共有者に買取をお願いすることになります。

他の共有者が対価を払って、被相続人の共有持分を買い取ることになります。

③特別縁故者へ財産分与

特別縁故者とは、被相続人に特別な縁故があった人です。

・内縁の配偶者

・事実上の養子

・被相続人と生計を同じくしていた者

・被相続人の療養看護に努めた者

具体的には、上記の人などです。

被相続人に特別な縁故があった人は、家庭裁判所に認められれば被相続人の財産の分与を受けることができます。

家庭裁判所に申立てをしても、特別縁故者と認められることも認められないこともあります。

家庭裁判所に認められた場合、受け取る財産は家庭裁判所が決めます。

被相続人の財産すべてのこともあるし財産の一部だけのこともあります。

被相続人が莫大な財産を残しても、わずかな財産だけ分与されることもあります。

家庭裁判所に特別縁故者と認められた場合、家庭裁判所が決めた財産が分与されます。

④他の共有者が持分取得

他の共有者が被相続人の共有持分を取得します。

相続人全員が相続放棄をしても、他の共有者が直ちに共有持分を取得できるわけではありません。

他の共有者が被相続人の共有持分を取得するまでには、たくさんの複雑な手続があります。

手続が複雑で、時間と費用がかかります。

他の共有者が被相続人の共有持分を取得するまでに、おおむね1年程度かかります。

4マンションは共有者が取得できない

マンションは、建物部分と敷地権の共有部分があります。

建物部分は単独所有、敷地権は共有です。

建物部分と敷地権の共有部分は、所有者を一致させるルールになっています。

所有者を一致させないと、売却のとき混乱するからです。

相続債権者も特別縁故者もいない場合、相続財産は国庫に帰属します。

建物部分は単独所有なので、国庫に帰属します。

所有者を一致させるルールがあるから、敷地権が共有になっていても、他の共有者が取得することはできません。

所有者を一致させるルールを守れなくなるからです。

建物部分が国庫に帰属しますから、所有者を一致させるルールによって、敷地権も国庫に帰属します。

5遺言書で遺贈ができる

遺贈は、遺言書で相続人や相続人以外の人に財産を受け取ってもらう制度です。

遺言者は、自分の財産をだれに引き継いでもらうか自分で決めることができます。

遺言書を作成して、共有持分を遺贈することができます。

他の共有者に遺贈する遺言書があった場合、遺言書のとおりに引き継ぐことができます。

遺言書がある場合、手続が格段にラクになります。

相続財産清算人を選任してもらったうえで1年以上の期間をかける必要がないからです。

遺言書を作成する場合、一緒に遺言執行者を決めておくといいでしょう。

遺言書を作成するだけでは、自動で実現するわけではないからです。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

わずらわしい相続手続をおまかせすることができます。

6遺言書作成と遺言執行を司法書士に依頼するメリット

相続手続はタイヘンですが、相続人がいない場合もタイヘンです。

相続人がいないから、財産は国に持っていかれて、何もしなくていいと軽く考えがちです。

実際は、被相続人が死亡してから、国庫に帰属するまで1年以上の時間がかかります。

財産の内容によっては、100万円以上の費用の負担があることも見逃せません。

国に持っていかれるよりは、お世話になった人に受け継いでもらいたい、事情を知っている共有者に受け継いでもらいたい人もいるでしょう。

お世話になった人に受け継いでもらいたい、事情を知っている共有者に受け継いでもらいたいという意思は、遺言書で実現できます。

家庭裁判所の手続は一般の人にはハードルが高いものです。

遺言書に、遺贈することを書き、遺言執行者を決めておけば、手間はかかりません。

お世話になった人は待っているだけで済みます。

遺言書は書き方に細かいルールがあります。

適切な遺言書作成と遺言執行者選任は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続放棄の理由は関わりたくないから

2024-02-18

1相続放棄とは

相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も相続人が受け継ぎます。

被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継がないことを相続の放棄といいます。

相続放棄をすると、プラスの財産を引き継がなくなりますが、マイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

家庭裁判所に対して、必要な書類をを添えて相続放棄をしたい旨の申立てをします。

相続放棄はプラスの財産もマイナスの財産も引き継ぎませんという裁判所に対する届出です。

相続人らとのお話合いで、プラスの財産を相続しませんと申し入れをすることではありません。

つまり、家庭裁判所で認められないと相続手続に参加しなければなりません。

相続財産は相続人全員の共有です。

相続財産の分け方を決めるためには、相続人全員の合意が不可欠です。

他の相続人にプラスの財産を相続しませんと申し入れをした場合、相続人であることに変わりはありません。

依然として相続人だから、他の相続人と関わり合いになります。

2関わりたくないからを理由に相続放棄ができる

①相続放棄の理由は重要ではない

相続放棄をすると、プラスの財産を引き継がなくなりますが、マイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

相続放棄の理由で多いのは、「被相続人の借金を引き継ぎたくない」です。

その他でも構いません。

「被相続人や他の相続人と疎遠で、関わりたくない」でも差し支えありません。

「裕福で生活に困っていないから」も問題ありません。

明確な理由がなくても構いません。

プラスの財産がほとんどないから、万が一にもマイナスの財産があったときの安全のため相続放棄をするというケースもあります。

相続放棄をするために重要なのは、相続放棄をする意思です。

相続放棄をする理由は、あまり重要ではありません。

②相続放棄をするときに財産調査は不要

相続放棄をするか相続を単純承認するか判断するために、財産調査をすることが多いものです。

自称専門家が高額な報酬を目的に財産調査は必須と無意味なアドバイスをしています。

相続放棄をする理由が「裕福で生活に困っていないから」の場合、財産調査自体が無意味です。

「被相続人や他の相続人と疎遠で、関わりになりたくない」場合、プラスの財産が多くても相続放棄をするケースは少なくありません。

どのような財産状況であっても相続放棄を希望する場合、財産調査は必要ありません。

相続放棄申述書に被相続人の財産状況を書く欄がありますが、記入しなくても差し支えありません。

③何もしないといつまでも関わることになる

被相続人や他の相続人と疎遠な場合、面倒な相続手続に関わりたくないと考えるでしょう。

見知らぬ相続人から連絡が来ても、返事を先延ばしするかもしれません。

相続財産は相続人全員の共有です。

相続財産の分け方を決めるためには、相続人全員の合意が不可欠です。

相続人である以上、相続財産の分け方について合意がないと手続ができません。

疎遠だから返事を先延ばしすると、いつまでたっても関わることになります。

相続財産の分け方について合意するまで、相続手続ができないからです。

ときには、司法書士などの専門家から連絡が来る場合があります。

見知らぬ他の相続人より司法書士などの専門家の方が話しやすいかもしれません。

司法書士であれば、相続放棄をしたい場合に相談に応じてもらえます。

面倒な相続手続に関わりたくないのであれば、すぐに行動を起こしましょう。

3相続放棄の理由が関わりたくないからの場合の相続放棄申述書の書き方

①関わりたくないからの場合「放棄の理由」欄は6その他

相続放棄をしたい場合、家庭裁判所に対して相続放棄をしたい旨の申立てをします。

相続放棄をしたい旨の申立書のことを、相続放棄申述書と言います。

相続放棄申述書の様式は、家庭裁判所のホームページに出ています。

相続放棄申述書の2ページ目の左下に、放棄の理由欄があります。

1被相続人から生前に贈与を受けている

2生活が安定している

3遺産が少ない

4遺産を分散させたくない

5債務超過のため

6その他(          )

上記のように理由の例が並んでいます。

関わりたくないからを理由に相続放棄をする場合、6その他に○をつけます。

かっこの中に、疎遠なので関わりたくないなどと記入します。

生活が安定しているから関わりたくない場合、2生活が安定しているに○をつけます。

遺産が少ないから関わりたくない場合、3遺産が少ないに○をつけます。

②長文になるなら上申書に書く

相続放棄をする理由は、あまり重要ではありません。

疎遠なので関わりたくないなどで問題はありません。

事情によっては理由を詳細に申し立てたい場合があるでしょう。

相続放棄申述書の「放棄の理由」欄に書き切れない場合、上申書を提出することができます。

③相続放棄照会書の回答書に書いてもよい

家庭裁判所に対して相続放棄をしたい旨の届出をした場合、家庭裁判所から相続放棄照会書が届きます。

家庭裁判所から届く相続放棄照会書とは、相続放棄についての意思確認です。

相続放棄は、影響の大きい手続なので間違いがないように慎重に確認します。

多くの場合、相続放棄照会書には「相続放棄をする理由を具体的に書いてください」といった質問があります。

回答書に具体的な理由を記載するといいでしょう。

相続放棄をするために重要なのは、相続放棄をする意思です。

家庭裁判所は、本人の意思に反して相続放棄の申立てをしたのではないか確認します。

自分の意思で相続放棄の申立てをしたことが伝わるように回答書を書くといいでしょう。

4熟慮期間3か月のスタートは知ってから

相続放棄は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内に申立てをする必要があります。

相続があったことを知ってからとは、必ずしも、被相続人の死亡してからではありません。

被相続人が死亡した後3か月以上経過してから、相続放棄の申立てをして、認められることもあります。

相続放棄ができる3か月以内のスタートは、相続があったことを知ってからだからです。

相続があったことを知らなかった場合、相続放棄ができる3か月がスタートしていません。

このポイントは、相続が発生してから3か月以内に申立てができなかったのは止むを得なかったと家庭裁判所に納得してもらうことです。

被相続人や他の相続人と疎遠になっている場合、相続発生直後に連絡されないことが多いでしょう。

3か月以内に申立てができなかったのは仕方なかったと家庭裁判所が納得できる理由があるときだけは、家庭裁判所も相続放棄を認めてくれるのです。

債権者や市役所などから手紙が来て相続があったことを知った場合、この通知は大切です。

この手紙を見て相続があったことを知ったという証拠になるからです。

5相続放棄を司法書士に依頼するメリット

実は、相続放棄はその相続でチャンスは1回限りです。

家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続を取ることはできますが、高等裁判所の手続で、2週間以内に申立てが必要になります。

家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。

一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。

相続が発生してから3か月以内に届出ができなかったのは止むを得なかったと家庭裁判所に納得してもらって、はじめて、家庭裁判所は相続放棄を認めてくれます。

通常は家庭裁判所に対して、上申書や事情説明書という書類を添えて、説得することになります。

家庭裁判所が知りたいことを無視した作文やダラダラとした作文では認めてもらうことは難しいでしょう。

司法書士であれば、家庭裁判所に認めてもらえるポイントを承知していますから、認めてもらいやすい書類を作成することができます。

さらに、通常の相続放棄と同様に戸籍や住民票が必要になります。

お仕事や家事、通院などでお忙しい人には平日の昼間に役所にお出かけになって準備するのは負担が大きいものです。

戸籍や住民票は郵便による取り寄せもできますが、書類の不備などによる問い合わせはやはり役所の業務時間中の対応が必要になりますから、やはり負担は軽いとは言えません。

このような戸籍や住民票の取り寄せも司法書士は代行します。

3か月の期限が差し迫っている方や期限が過ぎてしまっている方は、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続放棄しても香典・弔慰金

2024-02-14

1相続放棄は家庭裁判所の手続

相続が発生したら、被相続人のものは相続人が引き継ぎます。

被相続人の財産は、プラスの財産とマイナスの財産があります。

相続財産というと、プラスの財産だけ注目しがちです。

マイナスの財産も、相続財産です。

相続が発生した場合、相続人は相続を単純承認するか相続放棄するか選択することができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に相続放棄を希望する申立てをします。

相続放棄は、家庭裁判所で手続が必要です。

家庭裁判所で相続放棄を認められた場合だけ、相続放棄の効果を得ることができます。

家庭裁判所が相続放棄を認めた場合、相続放棄申述受理通知書が届きます。

相続放棄をしたことは、相続放棄申述受理通知書を見せると分かってもらうことができます。

2単純承認をすると相続放棄が無効になる

①相続財産を処分・利用すると単純承認になる

相続が発生した場合、相続人は相続を単純承認するか相続放棄するか選択することができます。

法律で定められた一定の条件にあてはまるときは、単純承認したとみなされます。

単純承認とは、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継ぐものです。

相続財産を利用した場合や処分した場合、単純承認をしたとみなされます。

②単純承認は撤回できない

相続放棄は、撤回ができません。

撤回とは、相続放棄が受理されたときには何も問題がなかったのに、後から問題が発生したので、なかったことにすることです。

例えば「相続財産は借金ばかりだと思っていたから相続放棄をしたのに、プラスの財産は見つかったから相続放棄はなかったことにしたい」は撤回です。

相続放棄の撤回は、認められません。

相続放棄は、相続発生を知った時から、3か月以内に手続をする必要があります。

相続放棄が認められた後、3か月以内であっても撤回することはできません。

相続が発生した場合、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続人は、相続放棄をした後に撤回することはできません。

相続人は、単純承認をした後に撤回することはできません。

相続人は、単純承認と見なされた後に撤回することはできません。

撤回することを認めると、相続手続が混乱するからです。

相続放棄をした後に撤回できないように、単純承認も撤回することはできません。

単純承認と見なされたときも、撤回することはできません。

③家庭裁判所が認めてしまっても相続放棄が無効になる

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に相続放棄を希望する申立てをします。

相続放棄を希望する申立てを受け付けた後、家庭裁判所は審査します。

家庭裁判所は、受け付けた書類を見て審査します。

独自で調査をすることは、ありません。

受け付けた書類に問題がなければ、相続放棄は認められます。

ときには相続放棄ができないのに、相続放棄を希望する申立てが提出されることがあります。

受け付けた書類を見るだけでは、相続放棄ができないことに気付かないでしょう。

事情が分からないから家庭裁判所は、相続放棄を認める決定をしてしまうことがあります。

家庭裁判所の決定は、絶対的なものではありません。

単純承認をした後に、相続放棄をすることはできません。

単純承認を撤回することは、できないからです。

家庭裁判所が相続放棄を認めてしまっても、無効です。

家庭裁判所の決定に不服がある場合、債権者は相続放棄は無効だから借金を払って欲しいと訴えを起こすことができます。

家庭裁判所の決定は、絶対的なものではないからです。

債権者が起こした裁判の中で、相続放棄が無効であるのか有効であるのか裁判所が判断します。

3相続放棄しても香典・弔慰金

①香典は葬儀の主宰者への贈与

被相続人が莫大な借金を残した場合、相続人は相続放棄をしたいと希望するでしょう。

相続人が単純承認をした場合、相続放棄をすることはできません。

相続放棄はできないのに家庭裁判所に相続放棄の手続をして、相続放棄が認められても無効です。

家庭裁判所が事情を分からずに相続放棄を認めてしまっても、後から無効になります。

相続人が相続放棄をした場合、はじめから相続人でなくなります。

相続放棄が認められて相続人でなくなっても、被相続人の家族であることに変わりはありません。

大切な家族を失った場合、葬儀を出すでしょう。

葬儀の会葬者は、香典を持ってきます。

弔問客の意識としては、死亡した人に渡すものであるかもしれません。

被相続人は死亡した後だから、贈与を受け取ることができません。

香典は、葬儀の主宰者への贈与です。

香典を受け取った場合、単純承認になることはありません。

香典は、被相続人の財産ではないからです。

相続財産を処分・利用したものではありません。

香典の受領は、相続とは関係がありません。

香典は葬儀の主宰者への贈与だから、相続放棄が無効になることはありません。

②弔慰金は相続財産ではない

弔慰金とは、死亡した人を弔い遺族の気持ちを慰める気持ちを表すために企業などの団体や国などが支給する金銭です。

弔慰金の支給は、企業などの弔慰金支給規程に基づいて支給されます。

被相続人が生前に弔慰金を受け取る権利はなかったでしょう。

弔慰金を受け取る権利は、相続によって引き継いだものではありません。

弔慰金を受け取った場合、単純承認になることはありません。

弔慰金は、被相続人の財産ではないからです。

相続財産を処分・利用したものではありません。

弔慰金の受領は、相続とは関係がありません。

ときには弔慰金が社会通念に照らして、非常に高額であることがあります。

非常に高額な弔慰金は、弔慰金名目の死亡退職金の意味合いを含むと考えられます。

一定の基準以上の高額な弔慰金は相続財産でなくても、相続税の課税対象になります。

③香典で葬儀費用

葬儀費用の負担は、地域の慣習によるでしょう。

葬儀の主宰者が負担することがあります。

葬儀の会葬者から受け取った香典を葬儀費用に充てることができます。

香典は、葬儀の主宰者への贈与だからです。

香典は、相続財産ではありません。

被相続人の生前に香典を受け取ることはないからです。

香典で葬儀費用の支払いをした場合、単純承認になることはありません。

香典は、被相続人の財産ではないからです。

相続財産を処分・利用したものではありません。

香典で葬儀費用の支払いをした場合、相続とは関係がありません。

④相続放棄をしても葬儀費用

葬儀は、人生最後の儀式として重要なものです。

葬儀費用は、ある程度まとまった金額になります。

死亡の時期がだれにも分からないように、葬儀の時期もだれにも予想できません。

被相続人に預貯金があるのに、預貯金が使えないために葬儀を行えないとなったら非常識な結果になります。

相続人は被相続人の預貯金を使って、社会通念上相応の葬儀を行うことができます。

社会通念上相応の葬儀費用である場合、被相続人の預貯金から支出しても単純承認になりません。

葬儀は社会的儀式として必要性が高いと認められているからです。

⑤葬儀費用は固有の財産から支払いが安全

葬儀費用の支払いが単純承認にならないのは、社会通念上相応と認められた場合のみです。

○万円以内なら単純承認にならないという明確な基準があるわけではありません。

相続放棄をした人が相続財産から支出する場合、社会通念上相応と考える範囲でしょう。

相続放棄をした人にとって社会通念上相応と考える金額であっても、他の人は不相応に高額な支払いと考えるかもしれません。

債権者は、相続放棄をした相続人に対して被相続人に借金の支払いを求めることができません。

相続放棄が無効の場合、相続放棄が無効だから被相続人の借金を支払って欲しいと交渉することができます。

債権者は、相続放棄は無効だから被相続人の借金を支払って欲しいと裁判所に訴えることができます。

債権者は裁判所の決定に不服がある場合、裁判で争うことができるからです。

家庭裁判所は書類だけ見て相続放棄を認めるか判断します。

事情を知らずに相続放棄を認めてしまうことがあるからです。

被相続人にとって社会通念上相当と言える葬儀費用は、明確な基準があるわけではありません。

明確な基準がないから、債権者は相続放棄は無効と争ってくると言えます。

あえて債権者から疑いの目を向けられるリスクをおかす必要はありません。

相続放棄をした人が固有の財産から葬儀費用を支払うのが安全です。

⑥香典返しは葬儀の主宰者の負担

香典は、葬儀の主宰者への贈与です。

香典返しは、香典を持ってきた人に対する贈与です。

被相続人の死亡をきっかけに、贈与するものです。

被相続人の生前に香典返しをする義務はありません。

被相続人から引き継いだ債務ではありません。

相続とは無関係な贈与と言えます。

葬儀の主宰者が行う固有の贈与です。

葬儀の主宰者が行う固有の贈与だから、葬儀の主宰者が負担するものです。

葬儀の主宰者が相続放棄をした場合、相続財産を使うことはできません。

相続財産を利用・処分したと判断されるからです。

相続財産を利用・処分した場合、単純承認をしたと判断されます。

4相続放棄を司法書士に依頼するメリット

相続放棄は、その相続でチャンスは1回限りです。

家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続を取ることはできますが、高等裁判所の手続で、2週間以内に申立てが必要になります。

家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。

一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。

相続放棄は撤回ができないので、慎重に判断する必要があります。

せっかく、相続放棄が認められても、相続財産を処分した判断されたら無効になりかねません。

このような行為をしてしまわないように、あらかじめ知識を付けておく必要があります。

相続放棄を自分で手続したい人の中には、相続放棄が無効になることまで考えていない場合が多いです。

司法書士は、相続放棄が無効にならないようにサポートしています。

せっかく手続しても、相続放棄が無効になったら意味がありません。

相続放棄を考えている方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

成年後見人による相続放棄

2024-02-07

1相続放棄とは

相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も相続人が受け継ぎます。

被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継がないことを相続の放棄といいます。

相続放棄をすると、プラスの財産を引き継がなくなりますが、マイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

相続の放棄は、被相続人ごとに判断できます。

例えば、父について相続放棄をするが、母について単純承認するでも差し支えありません。

相続の放棄は、相続人ごとに判断します。

例えば、父の相続ついて長男は相続放棄するが、長女は単純承認するでも差し支えありません。

2 認知症になると相続手続ができない

①認知症になると自分で相続放棄ができない

認知症になると、物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなります。

記憶があいまいになる人もいるでしょう。

物事のメリットデメリットを充分に判断できない状態では、有効に相続放棄の申立てをすることはできません。

認知症になったら、自分で相続放棄の申立てをすることはできなくなります。

②子どもなどが代理で相続放棄ができない

認知症で物事のメリットデメリットを充分に判断できないのなら、子どもなどが代わりに判断すればいいという考えもあるでしょう。

幼い子どもは、物事のメリットデメリットを充分に判断できません。

親などの法定代理人が代わりに、契約などの法律行為をすることができます。

幼い子どもの代わりに、親などの法定代理人が法律行為ができるのは、未成年だからです。

認知症になっている人は、未成年ではないでしょう。

子どもなどが勝手に相続放棄をすることはできません。

③相続手続の放置はデメリットが大きい

認知症の相続人がいると、相続手続全体が止まってしまいます。

どうしていいか分からずに、なんとなく先延ばししがちです。

相続手続の放置は、おすすめできません。

先延ばしすることにメリットはほとんどなく、デメリットが大きいからです。

3認知症の人は成年後見人が判断して相続放棄

①成年後見人は認知症の人をサポートする人

認知症になると、物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなったり記憶があいまいになったりします。

物事のメリットデメリットを充分に判断できない状態では、自分で適切な判断をすることができません。

成年後見人は、認知症の人をサポートする人です。

認知症の人は相続放棄をしたらどういう結果になるのかメリットデメリットを充分に判断できないから、成年後見人が代わりに判断します。

②成年後見人は本人の財産を守るために代理する

成年後見人は、認知症の人をサポートします。

認知症の人をサポートするとは、認知症の人の財産を守るという意味です。

認知症の人の利益にならないことや認知症の人の財産を守れない行為はすることができません。

成年後見人は認知症の人の財産を守るために、認知症の人の代わりをします。

認知症の家族の人の望みをかなえてくれる人ではありません。

③本人の利益を害する相続放棄はできない

相続の放棄は、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継がないことです。

一般的に、相続放棄をする理由は被相続人の借金を受け継ぎたくないためとか、費用がかかるだけであまり価値のない財産を受け継ぎたくないためといった理由が多いです。

被相続人の借金を受け継ぎたくないためであれば、本人の利益を害することはありません。

費用がかかるだけであまり価値のない財産を受け継ぎたくないためであれば、本人の利益になると言えます。

相続放棄の理由は、それだけではありません。

・裕福で生活に困らないから他の相続人に相続させたい

・一部の相続人に財産を集中させたい

上記の理由で相続放棄をする人がいます。

物事のメリットデメリットを充分に判断できる人が納得して相続放棄をするのであれば、何も問題はありません。

成年後見人は、認知症の人の財産を守るために代理をします。

裕福で生活に困らないから他の相続人に相続させたい場合、本人の利益にならないと判断されます。

相続税対策のため、相続放棄をすることもできません。

相続税対策は、相続人の利益のためにされるからです。

家族が成年後見人であっても家族以外が成年後見人であっても、本人の利益にならない相続放棄をすることはできません。

④成年後見人は利益相反行為ができない

成年後見人は、家庭裁判所が選任します。

成年後見開始の申立てをする際に、本人の家族を成年後見人の候補者として推薦することができます。

家庭裁判所は、家族の人を選任することもあるし、まったく別の人を選任することもあります。

本人の家族が成年後見人に選任された場合、成年後見人は本人の子どもなど近い関係の人が多いでしょう。

本人と成年後見人が同時に相続人になることがあります。

成年後見人は、本人が判断できないことを代わりに判断する人です。

本人の代わりに成年後見人が判断した場合、不適切なことがあります。

本人がソンすると成年後見人がトクをする場合です。

本人と成年後見人が同時に相続人になる場合、一方がトクをすると他方がソンする関係になります。

一方がトクをすると他方がソンする関係のことを利益相反と言います。

成年後見人が実際にトクするかどうかは、関係ありません。

成年後見人がトクしようとしたかどうかも、関係ありません。

一方がトクをすると他方がソンする関係は客観的に判断します。

客観的に見て利益相反になる場合、成年後見人は本人を代理することができません。

成年後見人が相続放棄をした後、本人の相続放棄の代理をする場合、利益相反になりません。

成年後見人と本人の相続放棄を同時に手続する場合、利益相反になりません。

利益相反になるかどうかは、客観的に判断されます。

⑤成年後見監督人がいる場合は成年後見監督人が代理する

成年後見人は、利益相反行為をすることができません。

成年後見(法定後見)では、成年後見監督人が置かれる場合があります。

成年後見監督人を置くか置かないかは、家庭裁判所が判断します。

成年後見監督人は、成年後見人を監督する人です。

普段は、成年後見人の監督やサポートをしています。

成年後見人が利益相反で本人を代理することができない場合、成年後見監督人が本人を代理します。

成年後見監督人が本人を代理する場合、本人の利益のために代理します。

⑥成年後見監督人がいない場合は特別代理人が代理する

成年後見人は、利益相反行為をすることができません。

成年後見(法定後見)では、成年後見監督人が置かれる場合もありますが、置かれない場合もあります。

成年後見監督人が置かれない場合、本人を代理する人がいません。

家庭裁判所に申立てをして、本人の代わりの人を決めてもらいます。

家庭裁判所に代理人を決めてもらうことを特別代理人選任の申立てと言います。

本人の家族が特別代理人に選任された場合、本人の利益のために代理をします。

本人の財産を守るため、特別代理人が本人の代理をします。

家族の意向をかなえるための人ではありません。

特別代理人が本人を代理する場合、本人の利益のために代理します。

4成年後見人による相続放棄の起算点

①相続放棄3か月以内の起算点は成年後見人が知ってから

成年後見人は、家庭裁判所が選任します。

家庭裁判所に成年後見人を選任してもらうことを、成年後見開始の申立てと言います。

事案の複雑さなどで期間は変わりますが、成年後見開始の申立てをしてから成年後見人が選任されるまでは、おおむね3~4か月ほどです。

相続放棄は、期限があります。

家庭裁判所に相続放棄の申立てができるのは、相続があったことを知ってから3か月以内です。

多くの場合、相続が発生してから成年後見開始の申立てをします。

成年後見人が選任されるまでに、3か月以上かかるでしょう。

本人が物事のメリットデメリットを充分に判断できない場合、相続の発生を知っても意味を理解できません。

本人が相続があったことを知ってから3か月以内に手続をしなければならないとしたら、酷な結果になります。

相続があったことを知ってから3か月以内のスタートは、成年後見人が知ってからです。

成年後見人は、認知症の人に代わって判断することができるからです。

②相続放棄3か月以内の起算点は成年後見人に就任してから

成年後見人は、家庭裁判所が選任します。

家庭裁判所が本人の家族を成年後見人に選任することがあります。

本人の家族は、相続の発生を知っているでしょう。

相続放棄は、相続があったことを知ってから3か月以内に家庭裁判所に申立てをする必要があります。

本人の家族が相続があったことを知ってから3か月以内に手続をしなければならないとしたら、酷な結果になります。

家庭裁判所が成年後見人に選任する前は、本人を代理することができないからです。

相続があったことを知ってから3か月以内のスタートは、成年後見人に就任してからです。

5相続放棄が認められた後でも成年後見を解除できない

成年後見人(法定後見人)が解任された場合、新しい成年後見人(法定後見人)が選任されます。

成年後見制度の利用をやめたわけではないからです。

成年後見制度を使い続ける限り、成年後見人(法定後見人)が死亡しても、解任されても、辞任しても、新しい成年後見人(法定後見人)が選任されます。

成年後見制度は、原則として、やめることができません。

成年後見制度をやめることができるのは、本人の判断能力が回復したときです。

判断能力が回復した診断書がある場合、成年後見制度をやめることができます。

本人や家族が、判断能力が回復したと主張するだけでは、成年後見をやめることができません。

相続手続の必要がある場合、成年後見開始の審判を申し立てるきっかけになります。

成年後見制度を使うきっかけとなった相続手続が終わった場合でも、成年後見をやめることはできません。

ひとりで判断することが不安になったり心細くなったりしてしまう人をサポートする制度が成年後見の制度だからです。

ひとりで判断することができない人を放置することは許されません。

家族が成年後見人(法定後見人)は不要だからやめたいと希望しても、本人の保護のため成年後見(法定後見)は続きます。

6認知症の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続が発生した後、相続手続を進めたいのに認知症の相続人がいて困っている人はたくさんいます。

認知症の人は、家族がお世話をしているでしょう。

家庭裁判所に後見開始の申立てや特別代理人の申立てをする必要があります。

法律の知識のない相続人にとって高いハードルとなります。

信託銀行などは、高額な手数料で相続手続を代行しています。

被相続人が生前、相続人のためを思って、高額な費用を払っておいても、信託銀行はこのような手間のかかる手続は知識のない遺族に丸投げします。

知識のない相続人が困らないように高額でも費用を払ってくれたはずなのに、これでは意味がありません。

税金の専門家なども対応できず、困っている遺族はどうしていいか分からないまま途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして相続手続を進めることができます。

自分たちでやってみて挫折した方も、信託銀行などから丸投げされた方も、相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

認知症の人が相続放棄

2024-02-04

1相続放棄とは

相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も相続人が受け継ぎます。

被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継がないことを相続の放棄といいます。

相続放棄をすると、プラスの財産を引き継がなくなりますが、マイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

家庭裁判所に対して、必要な書類をを添えて相続放棄をしたい旨の届出をします。

2 認知症になると相続手続ができない

①認知症になると自分で相続放棄ができない

認知症になると物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなったり、記憶があいまいになったりします。

物事のメリットデメリットを充分に判断できない状態では、有効に相続放棄の届出をすることはできません。

認知症になったら、自分で相続放棄の届出をすることはできなくなるのです。

②子どもなどが代理で相続放棄ができない

認知症で物事のメリットデメリットを充分に判断できないのなら、子どもなどが代わりに判断すればいいという考えもあるでしょう。

幼い子どもは物事のメリットデメリットを充分に判断できないので、親などの法定代理人が代わりに、契約などの法律行為をすることができます。

幼い子どもの代わりに、親などの法定代理人が法律行為ができるのは、未成年だからです。

認知症になっている人は、未成年ではないでしょう。

だから、子どもなどが勝手に相続放棄をすることはできないのです。

③認知症の人は自分で遺産分割協議ができない

相続が発生すると被相続人の財産は、原則として、相続財産になります。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

共有財産の分け方を決めるためには、相続人全員の合意が不可欠です。

認知症になると物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなったり、記憶があいまいになったりします。

物事のメリットデメリットを充分に判断できない状態では、有効に相続財産の分け方の合意をすることはできません。

④認知症の人以外で遺産分割協議をしても無効

認知症の人は物事のメリットデメリットを充分に判断できません。

だからと言って、認知症の人を含まずに相続財産の分け方を合意した場合、合意が無効になります。

相続財産の分け方の合意は、相続人全員であることが不可欠だからです。

⑤相続手続の放置はおすすめできない

認知症の相続人がいると相続手続全体が止まってしまいます。

どうしていいか分からずに、なんとなく先延ばししがちです。

相続手続の放置はおすすめできません。

先延ばしすることにメリットはほとんどなく、デメリットが大きいからです。

3認知症の人は成年後見人が代理で相続放棄の手続をする

認知症の人は、自分で相続放棄の届出をすることはできません。

成年後見人が本人の代わりに手続をします。

家庭裁判所に代理人を決めてもらうことを成年後見の申立と言います。

成年後見人は本人の利益のためにのみ、代理ができます。

成年後見の制度は、本人の財産を守るための制度だからです。

一般的に、相続放棄をする理由は被相続人の借金を受け継ぎたくないためとか、費用がかかるだけであまり価値のない財産を受け継ぎたくないためといった理由が多いです。

なかには、裕福で生活に困らないから他の相続人に相続させたいとか、一部の相続人に財産を集中させたいなどの理由で相続放棄をする人もいます。

成年後見人は、本人の利益のためにのみ代理ができますから、他の相続人に相続させたいとか、一部の相続人に財産を集中させたいなどの理由で相続放棄をすることはできません。

4熟慮期間のスタートは成年後見人が知ってから3か月以内

事案の複雑さなどで期間は変わりますが、成年後見開始の申立をしてから成年後見人が選任されるまでは、おおむね3~4か月ほどです。

相続放棄は、自己のために相続があったことを知ってから3か月以内に手続する必要があります。

自己のために相続があったことを知ってから3か月の期間のことを熟慮期間と言います。

本人が認知症で手続ができない場合、本人が相続人になることを成年後見人が知ってから3か月以内に手続すれば構いません。

認知症の本人が知ってからではなく、成年後見人が知ってからです。

熟慮期間は成年後見人が相続が発生したことを知ってから、3か月です。

認知症の本人は物事のメリットデメリットを充分に判断できないので、相続放棄をしたほうがいいのか相続放棄をしない方がいいのか判断できないからです。

成年後見人が選任されるまでに熟慮期間が経過してしまうことが考えられます。

確実ではありませんが、成年後見人が就任してから3か月以内であれば、相続放棄が認められることが多いです。

この事情を説明し、家庭裁判所に納得してもらうことが重要です。

成年後見人に就任した人が、本人のために相続があったことを知っていて、すでに3か月以上経過していることがあります。

熟慮期間のスタートは、成年後見人として就任してからです。

成年後見人として就任してから3か月以内であれば、相続放棄ができます。

成年後見人に就任するまでは、本人を代理して相続放棄の手続ができないからです。

5利益相反の場合は特別代理人の申立て

成年後見開始の申立てをしたら、家庭裁判所が成年後見人を選任します。

成年後見開始の申立てをするときに、成年後見人の候補者を立てることができます。

家庭裁判所は、候補者を選ぶことも候補者でない人を選ぶこともあります。

80%以上は家族以外の人が成年後見人に選ばれています。

成年後見人に選ばれた家族は、本人の子どもなど血縁関係が近いことが多いでしょう。

本人が相続人になる場合、成年後見人も相続人になることがあります。

通常は、成年後見人は本人に代わって契約などの法律行為ができます。

成年後見人が本人に代わって法律行為をすると、不適切な場合があります。

一方がトクをすると、他方がソンをする関係になる場合です。

本人と成年後見人が相続人になる場合、一方がトクをすると、他方がソンをする関係になります。

このような一方がトクをすると、他方がソンをする関係のことを利益相反と言います。

利益相反する場合、法定代理人なのに本人を代理できません。

成年後見人が相続放棄をした後、本人の相続放棄の代理をする場合、利益相反になりません。

成年後見人と本人の相続放棄を同時に手続する場合、利益相反になりません。

利益相反になるかどうかは、客観的に判断されます。

このような場合、成年後見監督人がいる場合、成年後見監督人が本人の代わりに手続をします。

成年後見監督人がいない場合、家庭裁判所に本人の代理の人を決めてもらいます。

家庭裁判所に代理人を決めてもらうことを特別代理人選任の申立てと言います。

特別代理人が本人の代わりに手続をします。

特別代理人も成年後見人同様、本人の利益のためにのみ代理ができます。

他の相続人に相続させたいとか、一部の相続人に財産を集中させたいなどの理由で相続放棄をすることはできません。

成年後見制度を利用すれば、遺産分割協議をすることができます。

成年後見制度を利用した場合、家族の人の望むような遺産分割協議はできません。

特別代理人選任の申立ての際に、遺産分割協議書の案文を提出するように指示されます。

認知症の人にとって不利な内容の場合、認められないでしょう。

相続税のために有利な遺産分割を望んでも、認知症の人に不利な分割協議はまず認められません。

6遺言書があれば相続手続はラク

遺言書があれば、遺言書どおり手続をすれば済みます。

相続手続がラクになります。

例えば、認知症の相続人以外の人に相続させると指定しておくこともできます。

遺言書では遺言執行者を指定することができます。

遺言執行者がいれば、遺言執行者が相続手続をすべて行ってくれるので、相続人は煩わしい相続手続から解放されます。

遺言執行者は家族などでも構いません。

法律の知識がないと難しいことも多いので、司法書士などの専門家に依頼すると安心です。

遺言書作成は、確実で信頼性の高い公正証書遺言をおすすめします。

公正証書遺言の原本は、公証役場で保管されます。

偽造や隠ぺいなどのトラブルから、家族を守ります。

7認知症の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続が発生した後、相続手続を進めたいのに認知症の相続人がいて困っている人はたくさんいます。

そうでなくても、認知症の人は家族がお世話をしているでしょう。

このうえ、家庭裁判所に後見開始の申立や特別代理人の申立をするなど、法律の知識のない相続人にとって高いハードルとなります。

信託銀行などは、高額な手数料で相続手続を代行しています。

被相続人が生前、相続人のためを思って、高額な費用を払っておいても、信託銀行はこのような手間のかかる手続は知識のない遺族に丸投げします。

知識のない相続人が困らないように高額でも費用を払ってくれたはずなのに、これでは意味がありません。

税金の専門家なども対応できず、困っている遺族はどうしていいか分からないまま途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして相続手続を進めることができます。

自分たちでやってみて挫折した方も、信託銀行などから丸投げされた方も、相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

8遺言書作成をを司法書士に依頼するメリット

高齢化社会になって多くの方が長寿になりましたから、被相続人が100歳を超すことも珍しくありません。

相続人も高齢者ですから、認知症になっていることも多いです。

相続人のなかに認知症の人がいるのであれば、あらかじめ対策しておくことが重要になります。

先延ばししていると、相続が発生してから手続の大変さに驚くことになります。

遺言書1枚あれば、手続が大幅にラクになります。

司法書士は公正証書遺言の作成や遺言執行についてもサポートしています。

相続手続をスムーズにしたいと考えている方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

孤独死で引き取りを拒否しても相続放棄

2024-01-31

1遺体遺骨の引取に法的義務はない

①遺体遺骨の引取は遺族の判断

さまざまな家庭の事情から、連絡を取り合っていない家族がいることがあります。

孤独死が発見された場合、警察などから家族に連絡がされます。

家族が死亡したことの連絡と一緒に、遺体の引取を依頼されるでしょう。

警察などは家庭の事情が分からないから、血縁関係の近い人に連絡するのが一般的です。

家族や親族であっても、遺体の引取は拒否することができます。

遺体の引取をしないことで、他の親族から心無い言葉をかけられるかもしれません。

法的義務はなくても遺体を引き取らなかったことについて、良心がとがめるかもしれません。

親族との関係性や家庭の事情で異なりますから、落ち着いて判断するといいでしょう。

②遺体遺骨の引取を指名されていることがある

死亡した人が遺体や遺骨を引き取る人を指名していることがあります。

遺言書などで指定するケースや口頭で指名するケースです。

書面が作成されていなくても、死亡した人の意思として尊重されます。

死亡した人が一方的に指名しただけなので、指名された人はご辞退することができます。

遺体や遺骨の引取をためらう場合、過去に深い事情があったことでしょう。

遺体遺骨の引取に、法的義務はありません。

引き取るにしても引き取りを拒否するにしても、他の家族の意見を聞いて冷静に判断しましょう。

2遺体遺骨の引取を拒否したら自治体が埋火葬

①身元が分からない死亡者は行旅死亡人として埋火葬

死亡した人の身元が分からない場合、死亡地の自治体が遺体を引き取ります。

身元が分からない死亡者を行旅死亡人と言います。

行旅死亡人は、行旅病人及行旅死亡人取扱法の規定に基づいて自治体が火葬します。

死亡した人が身分証明書を持っていたとしても、本人と断定できないことがあります。

身元が分からない死亡者と同様に扱われます。

②遺体の埋火葬をする人がいないときは自治体が埋火葬

家族や親族であっても、遺体の引取は拒否することができます。

遺体の引取は、遺族の権利で義務でないと考えられています。

家族や親族が引き取りを拒否した場合、埋火葬をする人がないときになります。

遺体の埋火葬をする人がいない場合、死亡地の市町村長が埋火葬をします。

③埋火葬の費用は請求される

埋火葬の費用は、次の順序で負担します。

(1)死亡した人に遺留金銭や有価証券

(2)不足分は相続人の負担

(3)相続人から支払が得られない場合、死亡した人の扶養義務者の負担

(4)最終的に回収できない費用は自治体が負担

3遺体遺骨の引取を拒否しても相続放棄

①相続人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②遺体遺骨の引取と相続は別問題

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になるかどうかは、法律の定めで決まります。

被相続人と絶縁していても、相続人になるかどうかとは関係ありません。

絶縁していたとか絶交していたとかいう事情は、法律の定めとは無関係です。

被相続人の遺体遺骨を引き取っても引取を拒絶しても、相続人になるかどうかとは関係ありません。

さまざまな家庭の事情から、被相続人の遺体遺骨の引取を拒否することがあります。

被相続人の遺体遺骨の引取を拒否しても、相続人になる人は相続人になります。

③相続したくない場合は相続放棄

被相続人と連絡を取っていない状態では、死亡日に死亡の事実を知ることは少ないでしょう。

相続放棄は、家庭裁判所に届出をする必要があります。

この届出の期限は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内です。

「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。

被相続人や被相続人の家族と疎遠になっている場合、死亡直後に連絡されないことがあります。

被相続人が死亡してから何か月も経過した後に、自分が相続人であることを知るということがあり得ます。

被相続人が死亡してから3か月以上経過しているが、自分が相続人であることを知ってから3か月以内である場合、家庭裁判所に手続きすることができます。

死亡した人の遺体の引き取りを拒否した場合、死亡地の自治体が埋火葬をします。

埋火葬の費用は、次の順序で負担します。

①死亡者の財産→②相続人→③扶養義務者

相続人が相続放棄をした場合、はじめから相続人でなくなります。

②相続人として費用負担を求められることはなくなります。

相続人ではなくなっても、死亡した人の扶養義務者である場合は③扶養義務者として費用を請求されます。

4相続放棄をしても祭祀継承者

①遺骨は相続財産ではない

相続が発生した場合、被相続人のものは原則として相続財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

被相続人の遺骨は、被相続人の死後に生じます。

被相続人が生前から所有していたものではありません。

被相続人から相続するものではないから、相続財産ではありません。

②祭祀継承者が遺骨を引き取る

被相続人の遺骨は、被相続人から相続するものではありません。

被相続人の遺骨を相続人で分けるものではないことも理由のひとつです。

被相続人のものであっても、相続財産にならないものがあります。

相続財産にならない財産には、一身専属権や祭祀用財産があります。

祭祀用財産とは、墓地、墓石、仏壇、家系図などの先祖祭祀のための財産です。

被相続人の遺骨は、先祖祭祀のための財産と言えます。

祭祀用財産は、祭祀を主宰すべき人が受け継ぎます。

祭祀を主宰すべき人を、祭祀承継者と言います。

祭祀承継者が被相続人の遺骨を取得します。

③相続放棄と祭祀継承者は別問題

相続放棄をすると、プラスの財産を引き継がなくなりますが、マイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

相続放棄によって受け継ぐことがなくなるのは、相続財産についての話です。

被相続人の遺骨は、相続財産ではありません。

遺骨の引取は、相続放棄とは無関係です。

祭祀承継者が被相続人の遺骨を取得します。

相続放棄をした人が、祭祀承継者になることができます。

祭祀を主宰すべき人になる資格は、特にありません。

相続人であっても相続人以外の人でも、親族であっても親族でなくても、祭祀を主宰すべき人になることができます。

苗字が同じでない人であっても、祭祀承継者になることができます。

相続のルールが適用されるものではありません。

先祖を祀ることは、親族の伝統や慣習、考え、気持ちと切り離せないからです。

祭祀用財産は親族の伝統や慣習、考え、気持ちと切り離せないから、相続財産一般と同様に分配することはできません。

祭祀承継者は、次のように決められます。

(1)被相続人の指定に従う

(2)慣習に従って決める

(3)家庭裁判所で決定する

被相続人が祭祀を主宰すべき人として指定する場合、一方的に指定することができます。

トラブル防止のために、本人の同意をもらっておく方がいいでしょう。

5相続放棄を司法書士に依頼するメリット

祭祀用財産の継承は、相続とは別で扱われます。

被相続人の遺骨は、一般の財産とは同じように扱うことはできないから相続財産ではありません。

被相続人の遺骨は相続財産ではないから、相続放棄とも無関係です。

相続放棄をしても相続放棄をしなくても、被相続人の遺骨を受け継ぐことができます。

被相続人の遺骨は祭祀承継者に受け継がれます。

現代では家意識が薄れていますから、先祖祭祀は家の継承ではなくなっています。

死者に対する慕情、愛情、感謝の気持ちといった心情により行われるものと言えます。

被相続人と緊密な生活関係・親和関係にあって、被相続人に対しこのような心情を最も強く持っている人が受け継ぐといいでしょう。

一方で、祭祀継承者がお墓の近くに住んでいるとは限りません。

親族がお墓の移転にいい顔をしないかもしれません。

お墓の移転には想像以上の費用がかかる場合があります。

このようなことも含めて、相続財産の分け方の話し合いをする必要があります。

相続や祭祀承継者を決める場合、親族のいろいろな考えが表面化します。

相続放棄を考える方は、すみやかに司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

再婚相手が相続放棄

2024-01-25

1 相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

②~④の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

子どもがいるのに、親などの直系尊属が相続人になることはないのです。

①配偶者は必ず相続人になる

②被相続人に子どもがいる場合、子ども

子どもがいたが被相続人より先に死亡していた場合、子どもの子ども

③被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

④被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

兄弟姉妹が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹の子ども

2再婚歴があると相続が複雑になる

配偶者は、必ず相続人になります。

配偶者とは、相続が発生した時点の法律上の配偶者です。

資産家の人が再婚を希望する場合、子どもから強い反発を受けることがあります。

親の結婚を祝福したい気持ちはあっても、将来、発生する相続を考えると賛成できなくなるからです。

被相続人に配偶者がいない場合、相続財産は子どもで分けることになります。

被相続人に配偶者がいる場合、相続財産を配偶者と子どもで分け合うことになります。

配偶者と子どもで相続財産を分ける場合、配偶者の法定相続分は2分の1です。

子どもから見ると、財産を奪われる気持ちになります。

相続財産を脅かす存在に見えても、不思議ではありません。

再婚配偶者と子どもの関係性がいいことは、あまりないでしょう。

3被相続人の生前に相続放棄はできない

結婚するからには、子どもを含め家族から祝福されたいでしょう。

相続放棄をするから結婚を許して欲しいと申し入れするケースがあります。

財産目当てではないと言う気持ちなのでしょう。

実際に、財産放棄契約書を作成して署名のうえ実印押印することがあります。

結婚するときに覚書や念書を書いて相続人になる予定の人に渡しているケースがあります。

このような相続放棄契約書は無効です。

相続放棄は、相続発生後、家庭裁判所に対して手続をして認めてもらうものだからです。

相続発生前に、相続放棄はできません。

無効な契約書に署名しても、実印を押しても、何の価値もありません。

家庭裁判所に対して手続をせず、相続人間で約束しても意味がありません。

相続放棄をする覚書を渡しても、何の意味もありません。

相続放棄をする念書を持っていても、何の効果もありません。

相続放棄契約書に何の意味もないから、相続発生後、相続したいと言うことができます。

再婚配偶者が相続分を主張した場合、相続放棄契約書があるからと文句を言うことはできません。

再婚配偶者は、覚書や念書は無効だから相続したいと主張することができます。

4相続させない遺言書があっても配偶者に遺留分がある

財産目当ての結婚ではないと言う気持ちから、配偶者には財産をまったく相続させない内容の遺言書を書くケースがあります。

財産はすべて子どもに渡すから結婚を認めて欲しいというケースです。

配偶者には財産をまったく相続させない内容の遺言書を書いた場合であっても、配偶者は最低限の財産を請求することができます。

兄弟姉妹以外の相続人には、遺留分があるからです。

配偶者には財産をまったく相続させない場合、配偶者の遺留分が侵害されています。

配偶者は、遺留分侵害額請求をすることができます。

被相続人の生前に遺留分の放棄をしてもらえばいいという意見があるでしょう。

生前の遺留分の放棄は、家庭裁判所に手続をして認めてもらわなければなりません。

家庭裁判所が生前の遺留分の放棄を認めるのは、相当の理由がある場合のみです。

相当な理由とは、具体的には、遺留分の放棄をするに値する充分な対価を得ていることです。

被相続人の生前に遺留分を放棄すると契約書を作成しても意味はありません。

家庭裁判所に手続をせず、相続人になる予定の人に遺留分放棄の念書を渡しても効力はありません。

遺留分侵害額請求をしませんと覚書に署名して実印押印しても、無意味です。

再婚配偶者が遺留分侵害額請求した場合、遺留分放棄契約書があるからと文句を言うことはできません。

再婚配偶者は覚書や念書は無効だから、遺留分侵害額請求をすると主張することができます。

5遺言書は何度でも書き直しができる

配偶者には財産をまったく相続させない内容の遺言書を書けば、子どもから結婚を許してもらえると考える人は少なくありません。

配偶者には財産をまったく相続させない内容の遺言書を預かれば、子どもは安心してしまうかもしれません。

遺言書は、撤回することができます。

遺言書は何度でも書き直しをすることができます。

子どもが大事に預かっている遺言書を撤回するかもしれません。

遺言書を撤回する場合、だれかの許可が必要になることはありません。

子どものあずかり知らぬところで、自由に遺言書を書き直すことができます。

遺言書の内容が矛盾している場合、新しい日付の遺言書が優先されます。

古い日付の遺言書は撤回されたものと見なされます。

遺言書を撤回しない約束は無効です。

公正証書遺言であっても、自筆証書遺言で撤回することができます。

6前婚の子どもにも遺留分はある

子どもが前婚の元配偶者に引き取られている場合、被相続人と子どもが疎遠であることもあります。

相続人になるかどうかは、法律の定めで決まります。

子どもが幼いころに離婚した後、長期間顔を見ていないこともあるでしょう。

被相続人の子どもは相続人になります。

父母が離婚しても、子どもは子どもです。

被相続人と絶縁していても、相続人になるかどうかとは関係ありません。

絶縁していたとか、絶交していたとかいう事情は、法律の定めとは無関係です。

たとえ、何十年も音信不通でも親子は親子です。

父母が離婚したときは無一文だったから、財産を渡したくないと言うのは理由になりません。

養育費を充分に払ってきたのだから相続財産を受け継がせたくないと言うのは関係のない話です。

父母が離婚する際に二度と会わせないと約束したから相続しなくて当然だと言うのも認められません。

前婚の子どもには財産をまったく相続させない内容の遺言書を書いた場合であっても、前婚の子どもは最低限の財産を請求することができます。

兄弟姉妹以外の相続人には、遺留分が認められているからです。

前婚の子どもには財産をまったく相続させない場合、前婚の子どもの遺留分が侵害されています。

前婚の子どもは、遺留分侵害額請求をすることができます。

7遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

再婚配偶者と子どもの関係性がいいことは、あまりないでしょう。

相続人の関係性が良くない場合、高い確率でトラブルに発展します。

トラブルに発展するおそれがある場合、遺言書は不可欠です。

遺言書を書くのであれば、改ざんや隠匿のおそれのない公正証書遺言がおすすめです。

公正証書遺言は、公証人が作成する遺言書です。

公証人は、法律の専門家です。

公証人が関与するから、遺言書の書き方ルールの違反で無効になることは考えられません。

配偶者には財産をまったく相続させない内容の遺言書は公正証書遺言で作ることができてしまいます。

前婚の子どもには財産をまったく相続させない内容の遺言書であっても同じことです。

公証人は、遺言をする人の財産の全体像が分からないからです。

このような内容の遺言書は、相続発生後にトラブルに招くことでしょう。

遺言書は、トラブルにならない内容で確実に作ることが重要です。

トラブルを招く内容になっていないか専門家に確認してもらって公正証書遺言にするのがおすすめです。

そのうえで、相続が発生する前に当事者で意見共有をするのが重要です。

家族の中で意見共有をしたうえで、トラブルにならない遺言書を作成しましょう。

遺言書があるとトラブル防止になるだけでなく、相続手続がラクになります。

遺言書作成を考えている方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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