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相続登記を家族が代理申請

2024-04-15

1相続登記を家族が代理申請

①相続登記は相続人本人が自分で申請できる

被相続人が不動産を所有していた場合、不動産は相続人が相続します。

相続登記は、不動産の名義変更のことです。

不動産を相続する相続人が自分で相続登記をすることができます。

相続登記は、相続手続の中でも複雑で手間のかかる手続です。

不動産は、多くの人にとって重要な財産です。

法務局は、重要な財産の名義変更を慎重に審査するからです。

(1)法律の素養がある

(2)調べものが好き

(3)平日の日中に役所に何度も足を運ぶ充分な時間と根気熱意がある

上記にあてはまる人は、相続登記に向いているかもしれません。

相続登記は、相続人本人が自分で申請することができます。

②無報酬で1回限りなら家族が代理申請できる

相続登記は、相続手続の中でも複雑で手間のかかる手続です。

自分で登記申請をするのが難しい場合は、代わりの人に申請してもらうことができます。

無報酬でかつ、業務として代理するのでないのなら、家族に依頼して申請してもらうことができます。

業務として代理するとは、反復継続する意思が認められることです。

今回が1回目でも今後も同じことをする意思がある場合、業務として代理していると判断されます。

今後も同じことをする意思がある場合、違法になります。

無報酬で1回限りなら、家族が代理で申請することができます。

③報酬を受けて業務として代理できるのは司法書士と弁護士だけ

報酬を受けて業務として代理できるのは、国家資格者だけです。

登記申請を報酬を受けて業務として代理できるのは、司法書士と弁護士だけです。

2代理申請に委任状が必要

①委任状は依頼されたことの証明書

相続登記は、家族に依頼して代理で申請してもらうことができます。

相続人本人以外の人が登記申請をする場合、家族であっても委任状が必要です。

委任状は、相続人本人から依頼されたことの証明書です。

相続登記を申請する場合、たくさんの添付書類と一緒に委任状を法務局に提出します。

相続人本人以外の人が申請する場合、書面で依頼を受けたことを証明する必要があるからです。

申請する権限が認められない場合、相続登記をすることができません。

司法書士や弁護士に依頼する場合であっても家族であっても、委任状は必要です。

委任状は、相続人本人から依頼されたことの証明書です。

②不適切な委任状は認められない

適切な依頼を受けていない場合、相続登記を取り下げることになるでしょう。

適切な依頼を受けていない場合、相続登記を代理する権限が認められないからです。

不動産は、多くの人にとって重要な財産です。

登記申請書だけでなく、委任状についても法務局は慎重に審査します。

委任状は、依頼されたことの証明書だからです。

委任状の記載が不適切であった場合、適切な依頼を受けたとは言えなくなります。

だいたい合っているから大丈夫ではなく、完璧な記載が求められます。

一般の人から見ると、些細なことと思えるようなことでやり直しになります。

相続登記に委任状には、登記申請書の内容と同じ内容を記載します。

登記申請書を訂正することができても、代理人は委任状の記載を訂正できないことが多いものです。

委任状の内容は、本人が依頼した内容だからです。

適切な委任を受けていないと判断されることになります。

適切な委任を受けていない場合、相続登記の申請を取り下げることになります。

不適切な委任状は、相続登記が認められなくなります。

③委任状の押印は認印で良い

委任状は、代理人に依頼した内容を証明する書類です。

依頼した人は、委任状に押印しなければなりません。

押印は、実印である必要はありません。

依頼した人の認印で差し支えありません。

委任状に書き間違いを見つけた場合、名前の横に押した印と同一印を押印して、訂正します。

④委任状に契印・割印

委任状に書くべき内容は、たくさんあります。

複数ページに渡る委任状になることがあります。

1通の委任状であることが分かるように、割印・契印を施します。

クリップでとめるだけなど差し替えができる状態では、委任内容を証明できるとは言えないからです。

適切な委任があったと認められない場合、相続登記を取り下げなければならなくなります。

委任状が複数枚になる場合、割印・契印を施します。

3家族が代理申請をするときの委任状の書き方

司法書士などの専門家に依頼する場合、委任状は司法書士が用意します。

登記申請を依頼するのであれば、司法書士が作成した委任状に記名押印するだけで済みます。

相続登記に必要な委任状には、次のことを記載します。

①相続登記を依頼される人の名前と住所

②相続登記を依頼する旨

 「次の登記申請に関する一切の権限を委任します。」と記載すると分かりやすいでしょう。

③登記の目的

④登記原因

⑤相続人

③~⑤は、相続登記の申請書と同じです。

あらかじめ申請書を作ってあるのであれば、そのまま丸写しすれば記載できます。

申請書の記載を書き直す場合、委任状の記載を一緒に書き直す必要があります。

内容が一致していない場合、適切な委任を受けていないと判断されるおそれがあります。

適切な委任を受けていない場合、登記申請を受け付けてもらえないかもしれません。

⑤相続人は、まず括弧をつけて被相続人の氏名をフルネームで記載します。

相続人が複数で共有する場合、相続人の住所氏名だけでなく持分も記載します。

⑥不動産の表示

相続登記の対象になる不動産の表示を記載します。

目的になる不動産の登記簿謄本を確認して、そのまま書き写せば記載できます。

記載事項は、申請書の内容と同じです。

土地であれば、次の事項を記載するといいでしょう。

(1)所在

(2)地番

(3)地目

(4)地積

建物であれば次の事項を記載するといいでしょう。

(1)所在

(2)家屋番号

(3)種類

(4)構造

(5)床面積

建物でも敷地権のあるマンションの一室であれば次の事項を記載するといいでしょう。

(1)一棟の建物の表示

i所在

ii建物の名称

(2)専有部分の建物の表示

i家屋番号

ii建物の名称

iii種類

iv構造

v床面積

(3)敷地権の目的である土地の表示

i土地の符号

ii所在及び地番

iii地目

iv地積

(4)敷地権の表示

i土地の符号

ii敷地権の種類

iii敷地権の割合

相続の対象が土地と建物など不動産が複数ある場合、順番に書き連ねれば差し支えありません。

不動産がたくさんある場合、書くべき項目の書き忘れに注意しましょう。

書くべき項目の書き忘れがあった場合、不動産が特定できないと指摘されるおそれがあります。

不動産を特定できない委任状の場合、登記申請を受け付けてもらえません。

⑦依頼する項目の補足事項

相続登記を申請する場合、登記申請だけでなく付随する手続があります。

手続の一環として一緒にお願いしておくと、手続がスムーズになります。

付随項目を書き忘れてしまうと、代理人が手続できなくなります。

具体的には、次のような項目です。

 1.登記識別情報の受領の件及びその受領について復代理人選任に関する一切の件

 1.登記識別情報の受領に関する一切の件

 1.原本還付請求及び受領に関する一切の件

 1.復代理人選任に関する一切の件

 1.登記に係る登録免許税の還付金を受領する件

特に「登記識別情報の受領に関する一切の件」は重要です。

登記識別情報とは、権利証のことです。

代わりに登記申請をお願いしたのに、権利証を受け取りするために法務局に出向かなければならなくなるからです。

⑧日付

⑨登記申請をお願いする人の住所氏名

ふだん住所は簡単な記載をしている場合であっても、住民票の記載どおり書きましょう。

⓾押印

名前の横に押印します。

4委任状が不要になる例外

①相続人が未成年で親権者が申請

相続人本人が赤ちゃんであることがあります。

赤ちゃんなどの未成年者は、物事の良しあしを適切に判断することができません。

相続人が赤ちゃんである場合、親などの親権者が代わりに相続登記をすることができます。

未成年者は充分な判断ができないから、親などの親権者があらゆることを代理することが認められています。

未成年者に代わって親などの親権者が相続登記をする場合、委任状は不要です。

委任状の代わりに、親などの親権者であることを証明する書類が必要です。

親などの親権者と言えども、他人だからです。

親などの親権者であることを証明する書類とは、親子関係を証明する戸籍謄本です。

相続登記をする場合、親子関係を証明する戸籍謄本は発行後3か月以内のものでなければなりません。

②相続人が認知症で成年後見人が申請

相続人が認知症であることがあります。

認知症になると、物事のメリットデメリットを充分に判断することができなくなります。

記憶があいまいになることがあるでしょう。

認知症の人は自分で判断することができないから、成年後見人が代わりに判断します。

成年後見人は、認知症の人をサポートする人です。

認知症の人に代わって成年後見人が相続登記をする場合、委任状は不要です。

委任状の代わりに、成年後見人であることを証明する書類が必要です。

成年後見人と言えども、他人だからです。

成年後見制度を利用している場合、登記がされます。

成年後見人であることは、後見登記事項証明書で証明することができます。

相続登記をする場合、成年後見人であることを証明する後見登記事項証明書は発行後3か月以内のものでなければなりません。

③遺言執行者が相続登記

被相続人が遺言書を作成していることがあります。

遺言書がある場合、遺言書の内容どおりに財産を分けることができます。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者は、相続人のため相続登記を申請することができます。

遺言執行者が相続登記を申請する場合、委任状は不要です。

委任状の代わりに、遺言執行者であることを証明する書類が必要です。

遺言執行者が遺言書で指名された場合、遺言書で証明することができます。

遺言執行者が家庭裁判所で選任された場合、選任審判書と確定証明書で証明することができます。

④法定相続で権利証が発行されない

相続人になる人は、法律で決まっています。

相続人になる人の相続分も、法律で決まっています。

法律で決まっている相続分を法定相続分と言います。

相続人は、法定相続分で相続することができます。

法定相続分で相続すると、相続人全員で共有することになります。

不動産の共有はデメリットが多いので、おすすめできません。

相続人全員の合意があれば、法定相続分以外の分け方をすることができます。

多くの場合、相続人全員の合意で分け方を決めます。

相続人全員が法定相続分で共有する相続をする場合、原則として、相続人全員が相続手続に参加します。

相続登記をする場合、相続人全員が申請するのが原則です。

例外として、一部の相続人から委任状なしで相続登記を申請することができます。

一部の相続人から相続登記を申請する場合であっても、相続人全員が登記名義人になります。

相続人全員が登記名義人になるのに、登記申請人になった相続人にだけ権利証が発行されます。

登記申請人になっていない相続人に対して、権利証は発行されません。

後から権利証を発行してもらうこともできません。

一部の相続人が相続人全員のために相続登記をすることができるけど、おすすめできません。

権利証がないと、不動産を売却するときや担保に差し出すときに困るからです。

5相続登記を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、相続人はたくさんの相続手続に追われて悲しむ暇もありません。

ほとんどの方は、相続を何度も経験するものではありません。

手続に不慣れで、聞き慣れない法律用語でへとへとになります。

一般的にいって、相続登記は、その中でも難しい手間のかかる手続です。

不動産は、重要な財産であることが多いものです。

一般の方からすると、些細なことと思えるようなことでやり直しになります。

本人が自分で申請している場合、些細なことであれば法務局の窓口まで出向いて申請書の記載を補正することができるケースがあります。

申請書の記載誤りがあると、委任状も記載誤りになります。

代理人に依頼して申請している場合、委任状の記載も一緒に補正する必要があります。

委任状の記載内容は、本人が依頼したことのはずです。

代理人が補正することを認めてもらえない場合が多いものです。

申請書と委任状の記載が一致していない場合、適切な委任を受けていないと判断されます。

適切な委任を受けていない場合、申請書は受け付けてもらえません。

いったん申請を取り下げて、やり直しになります。

相続登記は簡単そうに見えても、思わぬ落とし穴があることもあります。

法務局の登記相談に行っても、何が良くないのか分からなかったというケースも多いです。

司法書士はこのような方をサポートしております。

相続登記を自分でやってみたけど、挫折した方の相談も受け付けております。

相続登記をスムーズに完了させたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

共有名義人の片方死亡後放置は危険

2024-03-18

1放置すると遺産分割協議が難しくなる

①遺産分割協議は相続人全員の合意が必要

相続が発生したら、被相続人のものは相続人が相続します。

相続人が相続する財産が相続財産です。

被相続人が第三者と財産を共有していた場合、財産の共有持分を持っています。

被相続人が持っていた共有持分は、相続財産です。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。

ときには一部の相続人と共有しているかもしれません。

一部の相続人と財産を共有していても、被相続人が持っていた共有持分は相続財産です。

他の共有者である相続人が優先して相続できるわけではありません。

他の共有者である相続人が相続する場合でも、相続人全員の合意が必要です。

共有名義人の片方が死亡した後、放置するのはおすすめできません。

②当初の相続人が死亡する

遺産分割協議の成立には、相続人全員の合意が必要です。

相続手続は、わずらわしいものです。

相続が発生した後、相続手続を放置したくなるかもしれません。

相続手続を放置した場合、当初の相続人が後に死亡することがあります。

当初の相続人の相続人を含めて、話し合いをする必要があります。

当初の相続人は、仲の良い兄弟などで話がしやすかったかもしれません。

死亡した相続人の配偶者や子どもなどが相続するでしょう。

関係が薄い相続人がいると、相続財産の分け方についての話し合いは難航しがちです。

当初の相続人が死亡すると、遺産分割協議が難しくなります。

③相続人が認知症になる

相続人の中には、相当高齢の人がいることがあります。

相続が発生した当時は、元気だったのに後に認知症を発症することがあります。

認知症になると、物事の良しあしを適切に判断することができなくなります。

物事の良しあしを判断することができない人は、自分で相続財産の分け方について合意することはできません。

自分で判断することができないから、サポートする人が代わりに判断します。

子どもなどが勝手に判断することはできません。

勝手に判断して遺産分割協議書を作成しても、無効の書面です。

認知症の人のために、家庭裁判所がサポートする人を選任します。

認知症の人をサポートする人を成年後見人と言います。

成年後見人は、家庭裁判所が選任します。

認知症の人の子どもなど家族を選任することもあるし、家族以外の専門家を選任することもあります。

子どもなど家族が選任されるのは、全体の20%程度です。

成年後見人が認知症の人の代わりに相続財産の分け方について話し合いをします。

成年後見人は、認知症の人の財産を守るために働きます。

家族の意向をかなえてくれる人ではありません。

家族の事情を考慮した柔軟な対応は、認知症の人の利益にならないことが多いでしょう。

成年後見人は、法定相続分を下回る合意をすることはできません。

成年後見人が家族であっても、家族の意向どおりの合意をすることはできません。

成年後見人は、家庭裁判所から監督されているからです。

法定相続分を下回る合意は、認知症の人の利益にならない合意です。

家庭裁判所の同意を得られないでしょう。

子どもなど家族を選任された場合であっても、成年後見人は家庭裁判所から監督されます。

遺産分割協議のために成年後見人を選任しても、相続手続完了後に成年後見制度をやめることはできません。

当初の相続人が後に認知症になると、遺産分割協議が難しくなります。

④相続人が行方不明になる

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

相続人の中には、さまざまな事情を抱えている人がいるでしょう。

一部の相続人が行方不明になって、連絡が取れなくなることがあります。

連絡が取れないからと言っても、話し合いから除外することはできません。

一部の相続人を除外して相続財産の分け方を合意しても、無効の合意になるからです。

行方不明の相続人がいる場合、代わりに話し合いをする人を家庭裁判所に選んでもらいます。

行方不明の人の代わりに話し合いをする人を不在者財産管理人と言います。

不在者財産管理人が行方不明の人の代わりに、相続財産の分け方について話し合いをします。

不在者財産管理人は、行方不明の人の財産を守るために働きます。

不在者財産管理人は、家族の意向をかなえてくれる人ではありません。

家族の事情を考慮した柔軟な対応は、行方不明の人の利益にならないことが多いでしょう。

不在者財産管理人が相続財産の分け方について合意する場合、家庭裁判所の許可が必要です。

行方不明の人の法定相続分が確保されていない場合、家庭裁判所は許可をしないでしょう。

家族の事情を考慮した柔軟な取り扱いは困難です。

当初の相続人が後に行方不明になると、遺産分割協議が難しくなります。

2放置すると不動産活用ができない

①不動産を売却できない

相続財産の大部分が不動産である場合、相続人間で分け方の合意が難しくなります。

利用する予定のない不動産は、すぐに売却したいことがあります。

実家などはお金を出し合った人で共有していることが多いでしょう。

共有名義人の片方が死亡した後、他の共有名義人が相続人のひとりかもしれません。

他の共有名義人が被相続人の共有持分を相続して、単独所有者になった気持ちでいることがあります。

単独所有者になったつもりでも、客観的には被相続人の共有持分は相続財産です。

共有名義人が死亡した後に何もしないままの場合、被相続人名義のままになっているでしょう。

不動産を売却する場合、買主に名義を移さなければなりません。

被相続人名義から直接買主に名義を移すことはできません。

被相続人が生前に売却したのではないからです。

被相続人が死亡した後に、相続人が売却したはずです。

相続登記を省略することはできません。

被相続人から相続人に所有権が移転したことを公示する必要があるからです。

相続登記をしていない場合、買主に名義を移すことができなくなります。

買主が不動産の所有者であることを対外的に主張する際に登記が必要です。

所有権移転登記をしていないと、対外的に所有者であることを主張することができません。

買主は、とても困ります。

対外的に所有者であることを主張できないのなら、その不動産を買うことを諦めるでしょう。

相続登記をしないまま放置すると、不動産を売却することができなくなります。

②不動産を担保にできない

不動産を担保に金融機関から融資を受けることがあります。

借金の返済が滞ったときに備えて、金融機関は不動産を担保に取ります。

返済が滞ったときに備えて、担保にする権利を抵当権と言います。

お金を貸した人が担保に取りますから、債権者は抵当権者です。

抵当権は、登記をすることができます。

抵当権設定登記をしていないと、対外的に抵当権者であることを主張することができません。

金融機関は、とても困ります。

抵当権は、借金の返済が滞ったときに備えて担保に取る権利です。

具体的には、借金の返済が滞った場合、担保に取った不動産を競売にかけて売却代金から優先的に借金を返してもらうことができます。

対外的に抵当権者であることを主張できない場合、抵当権を設定した意味がなくなります。

被相続人名義のままで、抵当権設定登記をすることはできません。

担保に差し出したのは、相続人だからです。

相続登記を省略することはできません。

被相続人から相続人に所有権が移転したことを公示する必要があるからです。

3放置すると相続登記が困難になる

①相続登記にはたくさんの書類が必要になる

相続による不動産の名義変更を相続登記と言います。

相続登記には、たくさんの書類が必要になります。

遺言書がない場合、おおむね次の書類が必要です。

(1)被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

(2)相続人の現在戸籍

(3)被相続人の住民票の除票

(4)不動産を相続する人の住民票

(5)遺産分割協議書

(6)相続人全員の印鑑証明書

(7)不動産の評価証明書

遺言書がある場合、おおむね次の書類が必要です。

(1)被相続人の除籍謄本

(2)相続人の現在戸籍

(3)被相続人の住民票の除票

(4)不動産を相続する人の住民票

(5)遺言書

(6)遺言書検認証明書

(7)不動産の評価証明書

事例によって追加書類が必要なることがあります

②戸籍謄本や住民票が保存期間経過で廃棄される

相続手続の最初の難関は、戸籍謄本の収集です。

相続登記には、たくさんの書類が必要になります。

戸籍謄本などの書類取集があまりにタイヘンで、挫折する人は少なくありません。

挫折したまま長期間放置すると、ますますタイヘンになります。

戸籍謄本や住民票は、永年保管ではないからです。

保存期間が決められていて、古いものから順次廃棄されます。

保存期間が経過した書類は、請求しても発行してもらえません。

必要な書類を提出できない場合、別の書類が必要になります。

一般的な事例とは異なる場合、法務局と打合せが必要になるでしょう。

長期間放置すると、相続登記が困難になります。

4放置された私道の共有持分の相続は非常に困難

被相続人がマイホームを所有していた場合、自宅の土地建物が相続財産であることは承知しているでしょう。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

自宅の土地建物について分け方の合意をした後に、私道の共有持分が見つかることがあります。

私道とは、一般私人が設置管理する道路です。

自宅の前面道路が公道ではなく私道であることがあります。

行政が設置管理をする道路が公道です。

多くの場合、私道は自宅に至る道路でしょう。

近隣住民と私道を共有していることがあります。

私道の共有持分は、自宅の土地建物とは別の財産です。

自宅の土地建物を相続した人が自動で相続できるものではありません。

自宅を使う人が私道を使います。

自宅を使う人が私道を使うとしても、私道の共有持分の分け方について別の合意が必要です。

私道の共有持分と自宅の土地建物は、別の財産だからです。

私道の共有持分は、相続登記が見落とされがちです。

自宅の土地建物は財産だと認識していても、道路を自分の財産と認識していないことが多いからです。

被相続人が認識していないと、家族はなおさら認識が薄いでしょう。

相続が発生してから長期間経過した後に、私道の共有持分が見つかります。

相続人が意図していなくても、長期間放置されていたと言えます。

先に説明したとおり、当初の相続人が死亡しているかもしれません。

当初の相続人が認知症になっているかもしれません。

当初の相続人が行方不明になっているかもしれません。

相続が発生した後に長期間放置された場合、相続人の確定が難しくなります。

家庭裁判所の手続が必要になることがあります。

必要な書類を準備できなくなることがあります。

相続が発生した後に長期間放置された場合、相続登記は非常に難しくなります。

5相続登記を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、相続人は悲しむ暇もなく相続手続に追われます。

ほとんどの人は相続手続は不慣れで、聞き慣れない法律用語で疲れ果ててしまいます。

インターネットの普及で多くの人は簡単に多くの情報を手にすることができるようになりました。

多くの情報の中には正しいものも、適切でないものも同じように混じっています。

司法書士は、登記の専門家です。

スムーズに相続登記を完了させたい方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

私道の共有持分と自宅の相続登記

2024-03-08

1私道の共有持分は相続財産

①道路には私道と公道がある

普段、道路を使っていろいろな所へ出かけます。

一般の交通の用に用いるのが道路です。

道路には、2種類あります。

私道と公道です。

行政が設置管理をする道路が公道です。

一般私人が設置管理する道路が私道です。

公道は、設置管理する国や地方自治体の財産です。

私道は、設置管理する人の財産です。

②私道の共有持分と自宅は別の財産

相続が発生した場合、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。

相続財産は相続人全員の合意で、分け方を決定します。

相続人全員の話し合いで、一部の相続財産について先に合意をすることができます。

自宅の分け方について、先に合意をすることができます。

他の財産は、後から合意をすることができます。

私道の共有持分と自宅は、別の財産です。

自宅の分け方について合意した場合、自宅だけの分け方の合意です。

私道の共有持分が自動で付いてくることはありません。

多くの場合、私道は自宅に至る道路でしょう。

自宅を使う人が私道を使います。

自宅を使う人が私道を使うとしても、私道の共有持分の分け方について別の合意が必要です。

私道の共有持分と自宅は、別の財産だからです。

2私道の共有持分と自宅の相続登記

①私道の共有持分は相続登記が必要

私道は、一般私人が設置管理する道路です。

私道は、設置管理する人の財産です。

私道を共有している人が死亡した場合、私道の共有持分は相続財産になります。

相続財産は、相続人全員の合意で分け方を決めることができます。

相続財産の分け方が決まったら、相続登記をします。

自宅だけでなく私道の共有持分についても、相続登記をします。

私道の共有持分に登記がされていないと、権利主張ができないからです。

登記をした人は、この不動産は私のものだと権利主張をすることができます。

登記がしてあることは、権利主張をするときの条件です。

権利主張の条件になることを対抗要件と言います。

対抗要件を備えるため、私道の共有持分に相続登記が必要です。

②私道の共有持分と自宅をまとめて相続登記

私道は設置管理する人の財産だから、相続があったら相続登記をします。

多くの場合、私道は自宅に至る道路です。

自宅を取得する人が私道の共有持分を取得する合意をするでしょう。

自宅は被相続人で単独で所有していた場合、登記の目的は所有権移転です。

私道は共有しているから、登記の目的は○○○○持分全部移転です。

原則として、登記の目的がちがう場合、まとめて登記申請をすることができません。

所有権移転と○○○○持分全部移転は、まとめて登記申請をすることができます。

2種類の登記申請を一度にすることができます。

私道の共有持分と自宅の相続登記をまとめて申請することができます。

3私道の共有持分の登録免許税の計算方法

①相続登記の登録免許税は4/1000

相続登記をするときは、法務局に登録免許税を納めます。

登録免許税は、不動産の評価額を基にして計算します。

不動産の評価額とは、固定資産税評価額のことです。

相続登記の登録免許税の税率は、1000分の4です。

相続登記の登録免許税は、不動産の固定資産税評価額の1000分の4です。

②固定資産税がかかるときは通常どおり4/1000

私道は、設置管理する人の財産です。

設置管理する人の財産だから、固定資産税がかかるのが原則です。

固定資産税がかかる場合、私道の固定資産税評価証明書に評価額が記載されています。

相続登記の登録免許税は、通常どおり、不動産の固定資産税評価額の1000分の4です。

共有持分の相続登記の場合、移転する持分の評価額に対して登録免許税がかかります。

例えば、不動産全体が100万円で共有持分が5分の1の場合、移転する持分の評価額は20万円です。

③公衆用道路の評価額を調べる方法

私道が公衆用道路に該当する場合、固定資産税は非課税になります。

公衆用道路の固定資産税評価証明書を取得すると、不動産の価格が記載されていない場合や0円と記載されている場合があります。

固定資産税評価証明書の記載は、市区町村役場によって異なります。

評価価格、価格、価額など統一されていません。

不動産の評価額が記載されていない場合や0円と記載されている場合でも、登録免許税はかかります。

登録免許税を計算する場合、まず不動産の評価額を調べなければなりません。

私道が公衆用道路として固定資産税が非課税とされている場合、近傍地の評価額を調べます。

近傍地の評価額を調べる方法は、市区町村役場によって対応がちがいます。

(1)公衆用道路の評価証明書に近傍地1平方メートルあたり評価額〇〇円と記載してくれる

(2)公衆用道路の評価証明書の他に近傍地の評価証明書を請求する

(3)公衆用道路の評価証明書を持って管轄法務局で近傍地を指定してもらった後、あらためて近傍地の評価証明書を請求する

近傍地が宅地である場合、宅地の評価額をそのまま使いません。

宅地の評価額の1平方メートルあたりの単価を出します。

1平方メートルあたりの単価の100分の30が公衆用道路の1平方メートルあたりの単価です。

公衆用道路の面積をかけて、公衆用道路全体の評価額を算出します。

④土地の評価額が100万円以下なら登録免許税が非課税

相続登記をするときは、原則として、登録免許税を納めなければなりません。

条件を満たした場合は例外として、土地の登録免許税が非課税になります。

土地の評価額が100万円以下の場合、非課税になります。

日本中どこの土地でも土地の評価額が100万円以下であれば対象になります。

所有権の持分を相続した場合、移転した持分の評価額が、100万円以下であれば非課税になります。

私道の共有持分を相続した場合、広大な土地であることはほとんどないでしょう。

公衆用道路の評価額は、近傍宅地の100分の30です。

高価な土地であることは、めったにありません。

私道の共有持分を相続した場合、移転した持分の価額は少額であることが多いでしょう。

移転した持分の価額が100万円以下の場合、登録免許税が非課税になります。

登記申請書に「租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」と記載します。

記載がないときは、非課税となりません。

結果として非課税になるときであっても、固定資産税評価証明書を提出し近傍地の評価額を調べる必要があります。

租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税になる土地とならない土地をまとめて、相続登記をすることができます。

どの土地が対象の土地であるか相続登記の申請書に記載する必要があります。

土地の評価額が100万円以下の場合、登録免許税が非課税になります。

4自宅の相続登記をした後で私道の共有持分が見つかったら

①自宅だけの遺産分割協議書は有効

被相続人が自宅と私道の共有持分を所有している場合、自宅だけ意識が向きがちです。

私道は、自分が所有している認識が薄れているかもしれません。

本人が意識していない場合、家族はなおさら意識していないでしょう。

相続が発生した後、自宅だけ分け方の合意をしていることがあります。

自宅だけ記載した遺産分割協議書は、自宅について有効な遺産分割協議書です。

私道の共有持分が記載されていなくても、原則として、無効になることはありません。

遺産分割協議書は、相続財産全部について記載しなければならないといったルールはないからです。

私道の共有持分について相続人全員の合意をしていないから、あらためて話し合いが必要です。

自宅を相続する人が自動で相続できるといったことはありません。

②記載がない財産が見つかっても遺産分割協議のやり直しは不要

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

相続人全員の合意ができたら、相続財産の分け方は確定して話し合いは終了します。

遺産分割協議が成立した後、新しい財産が見つかることがあります。

新しい財産が見つかっても、遺産分割協議のやり直しは原則不要です。

遺産分割協議のやり直しが必要になるのは、ごく例外的な場合です。

遺産分割協議成立後に見つかった財産が重要な財産である場合、遺産分割協議のやり直しができます。

重要な財産があると知っていたら、相続財産の分け方に合意しなかったと言えるような場合です。

私道の共有持分が重要な財産であることは、ほとんどないでしょう。

私道の共有持分が重要な財産でない場合、遺産分割協議のやり直しは不要です。

③記載がない財産の合意があれば再協議不要

遺産分割協議が成立した後、わずかな財産が見つかることは少なくありません。

相続が発生してから何十年も経過してから、新たな財産が見つかることがあります。

わずかな財産のために、相続人全員が分け方の合意をするのはわずらわしいでしょう。

遺産分割協議書に記載がない財産が見つかった場合について、あらかじめ合意しておくことができます。

例えば、「遺産分割協議書に記載がない財産は相続人○○が相続する」などです。

このような記載がある場合、あらためて協議する必要はありません。

新たに見つかった私道持分は、相続人○○が相続すると手続をすることができます。

④私道の共有持分だけ相続登記

自宅の相続登記をした後で私道の共有持分が見つかった場合、あらためて私道の共有持分について相続人全員で分け方の合意をします。

相続人全員の合意ができたら合意内容を文書に取りまとめます。

私道の共有持分だけ相続登記をします。

5私道の共有持分を見落とさない対策

①名寄帳を取得する

名寄帳は「なよせちょう」と読みます。

名寄帳とは、土地や家屋を所有者ごとにまとめた一覧表です。

市町村が税金をかけるために備えている帳簿から一覧表にまとめてくれた書類です。

その市町村が把握している不動産の状況が一目で分かるので、とても便利です。

市区町村役場によっては、非課税の不動産について記載されないことがあります。

機密性の高い個人情報であることを考慮して、名寄帳を発行していない役所があります。

名古屋市などでは、名寄帳を発行していません。

名古屋市では、課税明細書と資産明細書で代用します。

課税明細書には、固定資産税が課税される物件のみが記載されます。

資産明細書には、免税点未満で課税されない物件が記載されます。

課税明細書を請求するとき「課税されていない物件がある場合は、資産明細書も出してください」と記載すると取得することができます。

名古屋市では、私道など非課税地は課税明細書と資産明細書のいずれにも記載されません

②不動産の権利証を確認する

被相続人が不動産を取得したときに、権利証が発行されているはずです。

権利証の不動産の表示に記載されている不動産を所有しているでしょう。

権利証を確認すると、自宅以外に私道の共有持分が見つかることがあります。

③売買契約書を確認する

被相続人が自宅の私道の共有持分を所有している場合、自宅を購入したときに一緒に購入しているでしょう。

私道の共有持分だけで購入することは、ほとんど考えられません。

売買契約書を確認すると、売買の対象となった不動産が記載されています。

売買契約書を確認すると、自宅以外に私道の共有持分が見つかることがあります。

④共同担保目録を確認する

被相続人が自宅を購入したときに、金融機関など住宅ローンを組んでいることがあります。

金融機関で住宅ローンを組む場合、購入する不動産を担保に取ります。

自宅と私道の共有持分がある場合、金融機関は見逃しません。

複数の不動産を担保に取った場合、登記簿謄本の共同担保目録に記載されます。

共同担保目録を確認すると、自宅以外に私道の共有持分が見つかることがあります。

6相続登記を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、相続人は悲しむ暇もなく相続手続に追われます。

ほとんどの人は相続手続は不慣れで、聞き慣れない法律用語で疲れ果ててしまいます。

インターネットの普及で多くの人は簡単に多くの情報を手にすることができるようになりました。

多くの情報の中には正しいものも、適切でないものも同じように混じっています。

司法書士は、登記の専門家です。

スムーズに相続登記を完了させたい方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

法定相続情報一覧図を使って相続登記

2024-01-29

1法定相続情報一覧図とは

①法定相続情報一覧図があると相続人が一目で分かる

相続が発生すると、相続人は多くの役所や銀行などの金融機関などで相続手続をすることになります。

相続手続のたびに、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍と相続人の現在戸籍の束を提出しなければなりません。

大量の戸籍を持ち歩くと汚してしまったり、紛失したりする心配があるでしょう。

受け取る役所や銀行などの金融機関にとっても、戸籍謄本の束を読解するのは手間のかかる事務です。

被相続人を中心にして、どういう続柄の人が相続人であるのか一目で分かるように家系図のように取りまとめてあると便利です。

この家系図と戸籍謄本等を法務局に提出して、登記官に点検してもらうことができます。

登記官は内容に問題がなかったら、地模様の入った専用紙に認証文を付けて印刷して、交付してくれます。

これが法定相続情報証明制度です。

登記官が地模様の入った専用紙に印刷してくれた家系図のことを法定相続情報一覧図と言います。

②法定相続情報一覧図の取得方法

法務局に戸籍謄本等の点検をお願いすることを法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出といいます。

法務局は、戸籍謄本等と家系図を点検して印刷するだけです。

法務局で家系図を作ってくれるわけではありません。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出ができるのは、相続人と代理人です。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書の提出先は、次の地を管轄する法務局です。

(1)被相続人の死亡時の本籍地

(2)被相続人の最後の住所地

(3)申出人の住所地

(4)被相続人名義の不動産の所在地

被相続人の最後の住所地を管轄する法務局に提出したい場合、被相続人の最後の住所地を証明する書類を提出する必要があります。

法務局が認証文を入れて発行するものなので、厳格な書き方ルールがあります。

細かな書き方ルールが守られているか、厳しく点検されます。

内容に問題がなかったら、法定相続情報一覧図を発行してくれます。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書には、必要枚数を書く欄があります。

相続手続先の数を書いておけば、複数枚であっても発行してくれます。

③法定相続情報一覧図の添付書類

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書には、次の書類を添付します。

(1)被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

(2)被相続人の住民票の除票

(3)相続人全員の現在戸籍

(4)申出人の本人確認書類

(5)相続人全員の住民票

法定相続情報一覧図は、相続人の住所を記載してもいいし記載しなくても構いません。

相続人の住所を記載しても記載しなくても、書き直しにはなりません。

多くの場合、相続手続で相続人の住所確認がされます。

法定相続応報一覧図には、住所が記載してあると便利です。

法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載する場合、相続人全員の住民票を一緒に提出します。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出は、代理人を立てて依頼することができます。

代理人を立てて依頼する場合、委任状が必要になります。

依頼を受けて代理人になることができるのは、親族と司法書士などの専門家だけです。

代理人が親族であっても司法書士であっても、委任状に押印は不要です。

④添付書類は原本還付される

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出に添付する戸籍謄本は、コピーを添付しなくても原本還付されます。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をする場合、本人確認書類を提出します。

本人確認書類とは、次の書類です。

(1)運転免許証の表裏のコピー

(2)マイナンバーカードの表のコピー

(3)住民票

(4)戸籍の附票

法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載する場合、住所を証明する書類として相続人の住民票を提出します。

住民票1通で、相続人の住所を証明する書類と申出人の本人確認書類を兼ねることができます。

申出人の本人確認書類としての住民票は、希望したときだけ原本還付されます。

原本還付を希望する場合、コピーを一緒に提出します。

コピーに「原本に相違ありません」と記載して申出人が記名します。

記名だけで申出人の押印は、不要です。

2法定相続情報一覧図を利用すると書類が少なく済む

登記申請書には、通常、相続関係説明図を添えます。

遺言書がない場合では、おおむね次の書類が必要です。

①被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

②相続人の現在戸籍

③被相続人の住民票の除票

④不動産を相続する人の住民票

⑤遺産分割協議書

⑥相続人全員の印鑑証明書

事例によっては、追加書類が必要になることがあります。

法定相続情報一覧図を使って相続登記をする場合、①被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本②相続人の現在戸籍は提出する必要はありません。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をするときに、被相続人の死亡時の住所や相続人の住所を記入した家系図を提出することができます。

相続手続では、被相続人の死亡時の住所や相続人の住所を必要とされることが多いものです。

被相続人や相続人の住所を記載していない家系図を提出しても差し支えありませんが、住所が記載されている方が便利でしょう。

被相続人の死亡時の住所や相続人の住所を記入した家系図を提出する場合、相続人の住民票を一緒に提出します。

法定相続情報一覧図に相続人の住所が記載されている場合、相続登記で④不動産を相続する人の住民票も提出不要です。

法定相続情報一覧図を使って相続登記をすると、添付書類が少なく済みます。

3 法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出と相続登記は同時申請ができる

法定相続情報一覧図を利用して相続登記をする場合、添付書類が少なく済みます。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をしたときに、あらかじめ戸籍謄本などの点検がされているからです。

法定相続情報一覧図を取得するために、手間と時間がかかります。

法定相続情報一覧図を取得するために手間と時間をかけた後、相続登記のために手間と時間がかかります。

二重に手間と時間がかかるのは、無駄と言えるでしょう。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出と相続登記は、同時申請ができます。

まとめて申請すると、一度の手間で済みます。

法定相続情報一覧図は、法務局の認証文が入ります。

公式な文書だから、厳格な書き方ルールがあります。

一般の人から見ると些細なことと思えるようなことで、書き直しになります。

家系図を専門家に作成してもらいたい人も多いでしょう。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出は、司法書士以外の専門家であっても依頼することができます。

相続登記を依頼することができるのは、司法書士と弁護士だけです。

登記の専門家である弁護士は、ほとんどいません。

登記については、弁護士も司法書士に依頼するのが実情です。

相続登記がある場合、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出と相続登記をまとめて、司法書士に依頼するのがスムーズです。

法定相続情報一覧図御保管及び交付の申出と相続登記をまとめて申請ができるのは、実質的に司法書士だけだからです。

4最初に法定相続情報一覧図と相続登記がおすすめ

大切な家族が死亡した場合、家族は大きな悲しみに包まれます。

家族は悲しみに包まれているのに、たくさんの相続手続をする必要があります。

相続を何度も経験する人は、あまりいません。

だれもが初めての経験で、分からないことや不慣れなことばかりです。

家族だけで相続手続を進めようとすると、スムーズに行かないケースは少なくありません。

相続手続の中では、相続登記は後回しにされがちです。

相続手続をスムーズに進めるためには、最初に相続登記をするのがおすすめです。

相続登記は、相続手続の中でも難しい手続です。

相続登記を司法書士に依頼した場合、戸籍収集や遺産分割協議書作成など難しい手続を司法書士が担当します。

相続登記で使った書類であれば、他の相続手続先でも問題なく使えます。

相続登記以外にたくさんの相続手続先がある場合、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出も一緒に手続するといいでしょう。

各相続手続先の書類だけであれば、それぼど難しいことはありません。

戸籍収集や遺産分割協議書作成が適切に作られていない場合、相続手続がスムーズに進みません。

難しい手続は専門家に任せつつ家、族でできることは家族でやる方法がいいでしょう。

相続手続を要領よく進めることができて、費用を抑えることができます。

5法定相続情報一覧図の作成を司法書士に依頼するメリット

法定相続情報一覧図は、後に登記官が認証文を付して交付される文書です。

法定相続情報一覧図の書き方は、厳格に決まっています。

法定相続情報一覧図と似たものに、相続関係説明図があります。

相続関係説明図は、登記官が点検をするものではありません。

単なる、事情説明の書類に過ぎません。

相続関係説明図は、比較的自由に書くことができます。

これらの違いを理解して、ポイントを押さえて書くことが重要です。

相続手続が少ない場合など、法定相続情報一覧図を作るまでもないこともあるでしょう。

銀行口座をたくさん持っているなど、相続手続をする手続先が多い場合は、法定相続情報一覧図は大変便利です。

お仕事や家事で忙しい方は、このような手続はすべてお任せいただけます。

すみやかな手続を考えている方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

共有名義人の片方死亡後に共有持分の相続登記

2024-01-25

1被相続人が共有者であるとき共有持分は相続財産

被相続人が不動産などを第三者と共有している場合があります。

共有している理由はさまざまです。

・夫婦で自宅を購入した。

・相続で不動産を平等に分けた。

・お金を出した親の名義がある。

上記のような理由が、大部分です。

被相続人が不動産などを第三者と共有していた場合、被相続人が持っていた共有持分は相続財産になります。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の話し合いによる合意が不可欠です。

相続財産の分け方は、相続人全員で、話し合いによる合意ができれば、どのように分けても構いません。

被相続人と不動産を共有していた共有者が相続人である場合、共有者である相続人が相続すると合意することができます。

被相続人と不動産を共有していた共有者でない相続人が相続しても、差し支えありません。

不動産の共有はデメリットが多いので、おすすめできません。

合意できるのなら被相続人と不動産を共有していた共有者である相続人が相続するといいでしょう。

2 共有持分の相続は相続登記が必要

①共有持分の相続登記は単独申請

被相続人の共有持分の分け方について、相続人全員の合意がまとまったら相続登記が必要です。

相続登記ですから、共有持分を相続する人からの単独申請です。

②共有持分の相続登記の必要書類は所有権すべての相続登記と同じ

共有持分の相続登記をする場合、必要な書類は所有権すべての相続登記をする場合とまったく一緒です。

遺産分割協議書を作るとき、合意の対象が不動産の共有持分であることが分かるように記載すればいいでしょう。

③共有持分の相続登記の方法

被相続人が不動産を単独所有していた場合、登記申請書に記載する登記の目的は「所有権移転」です。

被相続人が不動産を共有していた場合、登記申請書に記載する登記の目的は「〇〇持分全部移転」です。

被相続人が不動産を単独所有していた場合、相続人の氏名を記載します。

被相続人が不動産を共有していた場合、相続する持分と相続人の氏名を記載します。

相続人の記載の後に括弧を付けて被相続人の氏名を記載するのは、単独所有の相続の場合も共有持分の相続の場合も共通です。

相続人 (被相続人 〇〇〇〇)

〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号

持分〇分の〇 〇〇〇〇

上記のように記載します。

④共有持分の相続の登録免許税は持分割合の1000分の4

相続登記をする場合、登録免許税を納めなければなりません。

相続登記の登録免許税は、対象になる不動産の固定資産評価額の1000分の4が課されます。

共有持分の相続登記をする場合、固定資産税評価額の持分割合の1000分の4が課されます。

例えば、共有持分が10分の1の場合、固定資産税評価額の10分の1の1000分の4が課されます。

固定資産税評価額が1億円の不動産の場合、移転した持分の価額は1000万円です。

登録免許税は、4万円を納めることになります。

共有持分の評価額が100万円以下になる場合、登録免許税が非課税になります。

固定資産税評価額が500万円の不動産の場合で、かつ、共有持分が10分の1の場合、移転した持分の価額は50万円です。

共有持分の評価額が100万円以下になる場合だから、登録免許税が非課税になります。

申請書に「租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」明記する必要があります。

3不動産の共有はデメリットが大きい

デメリット①共有物を処分するには共有者全員の合意が必要

共有財産は、共有している人全員が合意しないと、処分はできません。

処分するとは、共有物を売却する、第三者に賃貸することなどです。

たくさんの人で共有していると合意がまとまりにくくなります。

1人でも反対の人がいると、処分はできません。

デメリット②共有者に相続が発生する

共有物を売却するためには、共有者全員の合意が必要になります。

共有者全員の合意がしにくくなると、売却などの判断は先延ばししがちです。

先延ばしにより長期間経過すると、共有者に相続が発生することがあります。

共有者に相続が発生すると、共有者の持分は相続財産になります。

このとき、死亡した共有者の共有持分を、複数の相続人が法定相続分で細分化して共有することがあります。

このような相続が何人もの共有者の間で発生すると、共有者がたくさんになり、持分が細分化されます。

適切に相続登記がされないと、だれにどれだけの持分があるのか分からなくなります。

デメリット③共有持分を売却するおそれ

共有物全体を売却するためには共有者全員の合意が必要です。

それぞれの共有者が持っている共有持分を売却するためには、他の共有者の合意は不要です。

あまり知られていませんが、共有者が持っている共有持分を買い取る業者がいます。

共有持分を買い取る業者はビジネスですから、遠慮なく共有者としての権利を主張してきます。

共有持分買取請求や共有物分割請求などです。

話し合いで解決できなければ、当然、裁判所に持ち込まれることになるでしょう。

知識のない一般の人では対応できませんから、弁護士に依頼することになるでしょう。

4共有を解消する場合の登記は共同申請

①共有解消の合意ができたら登記申請が必要

相続などで不動産を共有するのは、デメリットが大きくおすすめできません。

すでに不動産を共有しているのであれば、できるだけ早い時期に共有を解消し単独所有にするように話し合いをするといいでしょう。

他の共有者と話し合いによって、自分の持分を譲り渡す場合や他の共有者の持分を譲り受ける場合、共有持分の名義変更が必要になります。

②共有解消の登記申請の方法

不動産を共有するため名義変更をする場合、相続登記のように単独で申請をすることはできません。

共有持分を譲り受ける人を権利者、譲り渡す人を義務者として共同で申請をします。

登記申請書に記載する登記の目的は「〇〇持分全部権移転」です。

登記申請書に記載する登記原因は、他の共有者との話し合いの内容によって異なります。

権利者と義務者の共同申請なので、権利者と義務者の氏名を記載します。

権利者の氏名を記載するとき、譲り受ける持分も一緒に記載します。

義務者の氏名を記載するとき、譲り渡す持分を記載する必要はありません。

権利者 〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号

持分〇分の〇 〇〇〇〇

義務者 〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号

〇〇〇〇

上記のように記載します。

③共有解消の登録免許税は持分割合の1000分の20

共有解消の登記をする場合、登録免許税を納めなければなりません。

登録免許税は、対象になる不動産の固定資産評価額の1000分の20が課されます。

共有解消の登記をする場合、固定資産税評価額の持分割合の1000分の20が課されます。

例えば、共有持分が10分の1の場合、固定資産税評価額の10分の1の1000分の20が課されます。

固定資産税評価額が1億円の不動産の場合、移転した持ち分の価額は1000万円です。

登録免許税は、20万円を納めることになります。

④共有解消の登記申請の必要書類

共有を解消する場合の登記で必要な書類は、次のとおりです。

(1)登記原因証明情報

(2)登記識別情報

(3)譲り渡す人の印鑑証明書3か月以内のもの

(4)譲り受ける人の住民票

(5)登記委任状

(6)固定資産税評価証明書

譲り渡す人は、実印で押印が必要になります。

5相続登記を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、相続人はたくさんの相続手続に追われて悲しむ暇もありません。

ほとんどの方は、相続を何度も経験するものではないでしょう。

相続手続に不慣れで聞き慣れない法律用語で、へとへとになります。

相続登記は、相続手続の中でも難しい手間のかかる手続です。

不動産は、重要な財産であることが多いものです。

一般の方から見ると、些細なことと思えるようなことでやり直しになります。

簡単そうに見えても、思わぬ落とし穴があります。

法務局の登記手続案内に行っても、何が良くないのか分からなかったというケースも多いものです。

司法書士は、このような方をサポートしております。

相続登記を自分でやってみたけど、挫折した方の相談も受け付けております。

相続登記をスムーズに完了させたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続した建物に所有権保存登記

2024-01-15

1表題登記と所有権保存登記のちがい

①不動産登記には2種類ある

不動産登記には、2種類あります。

表題登記と権利登記です。

表題登記とは、土地や建物の物理的状況を表示する登記です。

権利登記とは、土地や建物の権利関係を表示する登記です。

所有権保存登記は、権利登記のひとつです。

②表題登記とは

埋め立てや土地の隆起があった場合、新たな土地が生じます。

新たな土地が生じた場合、土地表題登記をします。

土地の所在や地番、地目などを登記します。

新しく建物を建設した場合、新たな建物が生じます。

新たな建物が生じた場合、建物表題登記をします。

新たな土地が生じることはめったにありません。

単に表題登記といったら、建物表題登記を指すことがほとんどです。

建物の表題部に登記される主な項目は、次のとおりです。

(1)種類

居宅、店舗、事務所など

(2)構造

建物の主たる構成材料、屋根の種類、階数など

(3)構成材料による区分

木造、石造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造など

(4)屋根の種類による区分

瓦葺、スレート葺、亜鉛メッキ鋼板葺、陸屋根など

(5)階数による区分

平家建、2階建など

③所有権保存登記とは

建物表題登記をした後、初めて所有者としてする登記を所有権保存登記と言います。

所有権保存登記をした場合、所有者として第三者に対して権利主張をすることができます。

所有権保存登記をしていない場合、第三者が所有者であると権利主張したときに文句を言うことができません。

所有者として第三者に対して権利主張をすることができるのは、登記の重要な機能です。

所有者として第三者に対して権利主張をすることができる機能を対抗力と言います。

表題登記をした場合、所有者が記録されます。

登記簿の表題部に、所有者が登記されます。

表題部の所有者の登記には、対抗力がありません。

表題部に所有者と登記されても、所有者として第三者に対して権利主張をすることができません。

表題部に所有者と登記された場合には、対抗力がないからです。

所有権保存登記をした場合には、対抗力があります。

2表題部所有者に相続が発生したときの所有権保存登記

①相続した建物は相続財産

新たな建物が生じた場合、建物表題登記をします。

建物表題登記ができたら、所有権保存登記をします。

建物表題登記は、建物完成から1か月以内に登記をしなければなりません。

所有権保存登記は、原則として、登記をする義務はありません。

所有権保存登記をしないと、所有者として第三者に対して権利主張をすることができないだけです。

建物表題登記をした後、所有権保存登記をしないまま長期間経過していることがあります。

建物表題登記をした後、所有権保存登記をしないまま、表題部に所有者と記録された人が死亡することがあります。

相続が発生した場合、原則として、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続人が相続する財産が、相続財産です。

被相続人が建物を所有していた場合、所有していた建物は相続財産になります。

建物表題登記をした後、所有権保存登記をしない建物であっても、所有していた建物は相続財産になります。

②相続財産の分け方は相続人全員の合意で決定

相続が発生すると、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

2人以上相続人がいる場合や遺言書がない場合は、遺産の分け方について相続人全員で話し合いをする必要があります。

相続財産の分け方について相続人全員でする話し合いのことを遺産分割協議といいます。

相続財産の分け方は、相続人全員による合意で決定します。

相続人全員で合意がまとまったら、相続人全員の合意内容を文書に取りまとめます。

相続人全員の合意内容を取りまとめた文書を遺産分割協議書と言います。

遺産分割協遺書は、相続人全員の合意内容の証明書です。

③建物を相続する相続人から所有権保存登記

所有権保存登記の申請をすることができるのは、原則として、表題部所有者です。

表題部所有者が死亡した場合、表題部所有者の相続人が所有権保存登記の申請をすることができます。

遺産分割協議によって建物を相続する相続人を決めることができます。

建物を相続する相続人が所有権保存登記の申請をすることができます。

④被相続人が生前に建物を売却していたら

所有権保存登記は、原則として、登記をする義務はありません。

建物表題登記をした後、所有権保存登記をしないまま被相続人が建物を売却していることがあります。

被相続人が建物を売却した場合、建物は被相続人のものではありません。

被相続人が建物を所有していない場合、建物は相続財産になりません。

被相続人から建物を買った人は、建物について所有権移転登記をして欲しいと望むでしょう。

所有権移転登記をしていない場合、所有者として第三者に対して権利主張をすることができないからです。

第三者から所有者であると権利主張がされたときに、買主が文句を言うことができなくなります。

被相続人は建物を売却したのだから、買主に対して所有権移転登記をする義務があります。

買主に対して所有権移転登記をする義務を果たさないまま相続が発生することがあります。

相続人全員は、所有権移転登記をする義務を相続します。

相続人全員は、買主に対して所有権移転登記をする義務があります。

買主に対して所有権移転登記をするため、所有権保存登記をしなければなりません。

所有権保存登記は、建物表題登記をした後、初めて所有者としてする登記です。

初めて所有者としてする登記をしないと、所有権移転登記をすることができません。

相続人は所有権保存登記をして、買主に対して所有権移転登記をします。

所有権保存登記は、被相続人が所有者となる登記です。

所有者が死亡した後であっても、死亡した所有者名義の登記をすることができます。

被相続人が過去に所有者だったからです。

被相続人が生前に建物を売却したから、相続人は建物を相続していません。

相続人は建物を相続していないから、相続人名義の所有権保存登記をすることはできません。

区分建物でない建物の場合、買主に対して直接所有権保存登記をすることはできません。

所有権保存登記の申請をすることができるのは、表題部所有者またはその相続人だからです。

建物の買主は、表題部所有者またはその相続人のどちらにも該当しないでしょう。

建物の買主は、所有権保存登記をすることができません。

2表題部所有者に数次相続が発生したときの所有権保存登記

①数次相続とは

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

相続財産の分け方について、話し合いがまとまらないうちに相続人が死亡してしまうことがあります。

数次相続とは、話し合いがまとまらないうちに相続人が死亡して新たな相続が発生することです。

死亡した相続人に相続が発生した場合、相続人の地位が相続されます。

最初の相続で話し合いをする地位が、死亡した相続人の相続人に相続されます。

数次相続は、どこまででも続きます。

法律上の制限は、設けられていません。

②数次相続が発生したときは最終の相続人から所有権保存登記

所有権保存登記の申請をすることができるのは、表題部所有者またはその相続人です。

表題部所有者に数次相続が発生した場合、最終の相続人から所有権保存登記を申請することができます。

数次相続が発生後に所有権保存登記をする場合、中間の相続人が単独である必要はありません。

中間の相続人が単独である場合も中間の相続人が複数である場合も、直接最終の相続人名義の所有権保存登記をすることができます。

通常は、権利登記がされているでしょう。

所有権登記がされている所有者が死亡した場合、所有権移転登記をします。

数次相続が発生後に所有権移転登記をする場合、中間の相続人が単独であるときのみ直接最終の相続人名義の所有権移転登記をすることができます。

所有権移転登記で直接最終の相続人名義にするためには、中間の相続人が単独である必要があります。

中間の相続人が複数である場合、いったん複数の相続人で相続登記をします。

あらためて相続登記をして最終の相続人名義にする必要があります。

数次相続が発生後に所有権移転登記をする場合、中間の相続人が複数であるときは直接最終の相続人名義の所有権移転登記をすることができません。

3相続登記を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、相続人は悲しむ暇もなく相続手続に追われます。

ほとんどの人は相続手続は不慣れで、聞き慣れない法律用語で疲れ果ててしまいます。

インターネットの普及で多くの人は簡単に多くの情報を手にすることができるようになりました。

多くの情報の中には正しいものも、適切でないものも同じように混じっています。

相続登記も簡単にできる、ひとりでできたという記事も散見されます。

多くの場合、不動産は重要な財産でしょう。

登記手続きは一般の方から見ると些細なことと思えるようなことでやり直しになることも多いものです。

法務局の登記手続案内を利用すれば、シンプルな事例の申請書類などは教えてもらえます。

案内対象と異なる事例に関しては、わざわざ説明してくれません。

知識のない方にとっては、案内対象の事例かどうか判断がつかないでしょう。

司法書士などの専門家から見れば、トラブルのないスムーズな相続手続であっても、知識のない一般の方はへとへとになってしまいます。

表題部所有者などは、一般的には聞き慣れないことがほとんどでしょう。

一般向けの相続登記の解説書などに説明されていることはほとんどありません。

通常の相続登記と異なることにも気づかないでしょう。

司法書士は登記の専門家です。

スムーズに相続登記を完了させたい方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

失踪宣告後に相続登記

2023-12-20

1失踪宣告で死亡と見なされる

①単なる音信不通で失踪宣告はされない

相当長期間、行方不明になっている場合、死亡している可能性が高い場合があります。

被相続人や他の相続人と音信不通で連絡先が分からない程度であれば、生死不明とは言えません。

条件を満たした場合、死亡の取り扱いをすることができます。

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告がされたら、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。

死亡した取り扱いをしますから、失踪宣告がされた人に相続が発生します。

②失踪宣告には家庭裁判所の調査がある

家庭裁判所は、失踪宣告の申立書を受け付けた後、独自で調査をします。

家庭裁判所は、官報と裁判所の掲示板にお知らせを出します。

申立人にいろいろな書類の提出を求めたり、文書で照会したりします。

ときには、家庭裁判所から呼出がある場合もあります。

失踪宣告は死亡と見なす手続だから、丁寧に調査します。

③失踪宣告の審判が確定したら失踪届

家庭裁判所の調査で生存が確認されることがあります。

生存が確認された場合、失踪宣告の申立ては取り下げることになります。

どこからも届出がなければ、家庭裁判所は失踪宣告の審判をします。

家庭裁判所が審判をした後に不服を言う人がいなければ、失踪宣告の審判は確定します。

家庭裁判所が審判をした後に不服を言うことができる期間は、2週間です。

失踪宣告の審判がされた後なにごともなく2週間経過すると、失踪宣告の審判は確定します。

失踪宣告が確定した場合、家庭裁判所はあらためて官報にお知らせを出します。

このお知らせは「失踪宣告がされました」という意味です。

④市区町村役場に失踪届を提出

家庭裁判所が失踪宣告の審判をした場合、申立人に審判書謄本が送られます。

審判書謄本と確定証明書を添えて市区町村役場に失踪届を提出します。

⑤戸籍に失踪宣告が記載される

市区町村役場に届出をして、はじめて戸籍に記載がされます。

相続手続では、失踪宣告の記載のある戸籍が必要になりますから、届出をしないと相続手続が進まなくなります。

戸籍には次のように記載されます。

【死亡とみなされる日】令和〇年〇月〇日

【失踪宣告の裁判確定日】令和〇年〇月〇日

【届出日】令和〇年〇月〇日

【届出人】親族 ○○○○

2失踪宣告を受けたら相続が開始する

①失踪宣告を受けた人が被相続人になるケース

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告を受けた人は死亡したと扱われますから、相続が開始します。

失踪宣告された人を被相続人として、相続手続をします。

相続が発生する日は、死亡とみなされる日です。

失踪宣告の申立てをした日ではありません。

普通失踪であれば、生死不明になってから7年間経過したときです。

特別失踪であれば、危難が去ったときです。

相当長期間、行方不明になっていた後に失踪宣告がされる場合があります。

失踪宣告を受けた人が死亡とみなされる日に生きていた相続人が後に死亡することがあります。

生きていた相続人が後に死亡した場合、数次相続になります。

失踪宣告を受けた人が死亡とみなされる日に相続人になるはずだった人がすでに死亡していることがあります。

相続人になるはずだった人がすでに死亡している場合、代襲相続になります。

相続手続に参加する人が異なります。

②失踪宣告を受けた人が相続人になるケース

相続人調査をすると、ときには思いもよらない相続人が判明することがあります。

相続人であることを知っていても、連絡を取ったことがない人やどこに住んでいるのか分からない人が現れることがあります。

親族だれも連絡を取っていないまま、長期間行方不明になっていることがあります。

相続人が行方不明になっている場合、相続財産の分け方についての相続人全員の合意ができません。

相当長期間、行方不明になっている場合、死亡している可能性が高い場合があります。

行方不明になっている相続人が失踪宣告を受けた場合、死亡したと扱われます。

失踪宣告を受けた相続人に相続が発生する日は、死亡とみなされる日です。

相当長期間、行方不明になっていた後に失踪宣告がされる場合があります。

行方不明の相続人に失踪宣告がされた場合、被相続人の死亡日より後に死亡と見なされることがあります。

被相続人の死亡日より後に死亡と見なされた場合、数次相続になります。

行方不明の相続人に失踪宣告がされた場合、被相続人の死亡日より前に死亡と見なされることがあります。

被相続人の死亡日より前に死亡と見なされた場合、代襲相続になります。

相続手続に参加する人が異なります。

相続財産の分け方は、相続人全員での合意しなければなりません。

相続手続に参加する人を間違えると、遺産分割協議は無効になります。

3相続財産に不動産があれば相続登記

①失踪宣告を受けて相続が発生しても相続登記は通常どおり

失踪宣告は、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告を受けた人は、死亡とみなされる日に死亡したとみなされます。

失踪宣告を受けた人が不動産を所有していた場合、相続登記をします。

失踪宣告であっても、通常の死亡と変わることはありません。

相続登記をする場合、通常の相続登記と同じです。

行方不明になってから長期間経過しているので、数次相続や代襲相続など複雑な相続になりやすいです。

相続が発生したら、相続財産は相続人全員の共有財産です。

相続手続に参加する人を間違えないようにしましょう。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

相続人全員による分け方の合意ができたら、合意内容を文書に取りまとめます。

相続人全員の合意内容を取りまとめた文書を遺産分割協議書と言います。

登記申請書には、通常、相続関係説明図を添えます。

遺言書がない場合、おおむね、次の書類が必要です。

(1)被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

(2)相続人の現在戸籍

(3)被相続人の住民票の除票

(4)不動産を相続する人の住民票

(5)遺産分割協議書

(6)相続人全員の印鑑証明書

(7)不動産の固定資産税評価証明書

事例によっては追加書類が必要になる場合があります。

被相続人が失踪宣告を受けた場合、戸籍に失踪宣告の記載がされます。

法務局に提出する戸籍謄本は、失踪宣告の記載がされた戸籍謄本である必要があります。

失踪届を提出した直後に戸籍謄本を請求した場合、失踪宣告の記載がされているか確認しましょう。

②相続人が失踪宣告を受けても相続登記は通常どおり

失踪宣告を受けた人は、死亡とみなされる日に死亡したとみなされます。

被相続人が不動産を所有していた場合、相続登記をします。

相続人が失踪宣告を受けても、通常の死亡と変わることはありません。

相続が発生したら、相続財産は相続人全員の共有財産です。

相続手続に参加する人を間違えないようにしましょう。

相続財産の分け方を決める場合、相続人全員による合意が不可欠です。

相続人全員による分け方の合意ができたら、合意内容を文書に取りまとめます。

相続人全員の合意内容を取りまとめた文書を遺産分割協議書と言います。

失踪宣告が確定するまでに、他の相続人で相続財産をどのように分けるか話し合いをしているでしょう。

失踪宣告が確定した後に、相続人全員で遺産分割協議書を作成します。

4生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続が発生した後、早く平穏な日常を取り戻したいでしょう。

相続手続を進めたいのに、長期間行方不明の相続人や生死不明の相続人がいて困っている人はたくさんいます。

自分たちで手続しようとして、挫折する人も少なくありません。

失踪宣告の申立てなどは、家庭裁判所で手続が必要になります。

通常ではあまり聞かない手続になると、専門家のサポートが必要になることが多いでしょう。

信託銀行などは、高額な手数料で相続手続を代行しています。

高額な費用を受け取っていても、信託銀行はこのような手間のかかる手続を投げ出します。

知識のない家族は、どうしていいのか分からなくなります。

知識のない相続人が困らないように高額でも費用を払ってくれたはずです。

自称専門家なども、対応できないでしょう。

困っている遺族はどうしていいか分からないまま途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。

相続手続で不安がある方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続登記で委任状

2023-12-18

1委任状で相続登記の依頼を証明する

①相続登記を依頼するときに委任状が必要

相続登記は、自分で申請することができます。

自分で登記申請をするのが難しい場合は、代わりの人に申請してもらうことができます。

業務として代理人になることができるのは、司法書士と弁護士のみです。

司法書士や弁護士といった国家資格者でなければ、報酬を受けて業務として登記申請の代理はできません。

無報酬で1回だけ家族のために、代わりに登記申請するのであれば、国家資格者でなくても差し支えありません。

自分の代わりに登記申請をしてもらう場合、委任状を一緒に提出します。

司法書士などの専門家に依頼するときも家族に依頼するときも、委任状が必要です。

登記申請を依頼した場合、法務局に対して書面で依頼の事実を証明する必要があるからです。

②不適切な委任状は認められない

委任状は、代理人に依頼した内容を証明する書類です。

委任状の記載が不適切であった場合、適切な依頼を受けたとは言えなくなります。

多くの人にとって、不動産は重要な財産です。

相続登記は、法務局で厳格に審査されます。

だいたい合っているから大丈夫ではなく、完璧な記載が求められます。

一般の人から見ると、些細なことと思えるようなことでやり直しになります。

相続登記に委任状には、登記申請書の内容と同じ内容を記載します。

登記申請書を訂正することができても、代理人は委任状の記載を訂正できないことが多いものです。

委任状の内容は、本人が依頼した内容だからです。

適切な委任を受けていないと判断されることになります。

適切な委任を受けていない場合、相続登記の申請を取り下げることになります。

2他人の登記申請であっても委任状が不要な例外

①未成年者の代わりに親権者が相続登記

身近な家族であっても、自分以外の人は他人として扱われます。

相続人が赤ちゃんである場合、親などの親権者は代わりに相続登記の申請をすることができます。

本人が赤ちゃんなどの未成年者である場合、自分で委任状は書けないでしょう。

未成年者は、物事のメリットデメリットを充分に判断することができません。

充分な判断ができないから、親などの親権者があらゆることを代わりにすることが認められています。

未成年者の代わりに親権者が相続登記をする場合、委任状は不要です。

未成年者の代わりに親権者が相続登記をする場合、他に書類が必要になります。

未成年者といえども、他人の登記申請をすることには変わらないからです。

親などの親権者が申請する場合、親子関係を証明する戸籍謄本が必要になります。

相続人である未成年者のため、親などの親権者が司法書士に依頼することができます。

親などの親権者から司法書士に対する委任状を出して、登記申請を依頼することができます。

司法書士は、親子関係を証明する戸籍謄本と委任状を法務局に提出します。

②認知症の人の代わりに成年後見人が相続登記

本人が重度の認知症である場合、成年後見制度を利用していることがあります。

重度の認知症である場合、物事のメリットデメリットを充分に判断できません。

成年後見制度を利用している場合、成年後見人はあらゆることを代わりにすることが認められています。

認知症の人の代わりに成年後見人が相続登記をする場合、委任状は不要です。

認知症の人の代わりに成年後見人が相続登記をする場合、成年後見人であることを証明する必要があります。

成年後見登記事項証明書で、証明することができます。

相続人である認知症の人のため、成年後見人が司法書士に依頼することができます。

司法書士は、成年後見登記事項証明書と委任状を法務局に提出します。

③相続人の代わりに遺言執行者が相続登記

被相続人が生前に遺言書を作成して遺言執行者を指名していることがあります。

遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者は、遺言執行のため必要な一切の行為をする権利と義務があります。

遺言執行のため遺言執行者が相続登記をする場合、委任状は不要です。

遺言執行のため遺言執行者が相続登記をする場合、遺言執行者であることを証明する必要があります。

遺言執行者を指名している遺言書で、証明することができます。

検認が必要な遺言書の場合、検認済証明書も必要です。

相続人のため、遺言執行者が司法書士に依頼することができます。

司法書士は、遺言書、検認済証明書と委任状を法務局に提出します。

④相続人全員のため一部の相続人が相続登記

相続人になる人は、法律で決まっています。

相続人になる人の相続分も、法律で決まっています。

法律で決まっている相続分を法定相続分と言います。

相続人は、法定相続分で相続することができます。

法定相続分で相続すると、相続人全員で共有することになります。

不動産の共有はデメリットが多いので、おすすめできません。

相続人全員の合意があれば、法定相続分以外の分け方をすることができます。

多くの場合、相続人全員の合意で分け方を決めます。

相続人全員が法定相続分で共有する相続をする場合、原則として、相続人全員が相続手続に参加します。

相続登記をする場合、相続人全員が申請するのが原則です。

例外として、一部の相続人から相続登記を申請することができます。

一部の相続人から相続登記を申請する場合であっても、相続人全員が登記名義人になります。

相続人全員のため、一部の相続人が司法書士に依頼することができます。

司法書士は、一部の相続人からの委任状を法務局に提出します。

相続人全員が登記名義人になるのに、登記申請人になった相続人にだけ権利証が発行されます。

登記申請人になっていない相続人に対して、権利証は発行されません。

後から権利証を発行してもらうこともできません。

一部の相続人が相続人全員のために相続登記をすることができるけど、おすすめできません。

権利証がないと、不動産を売却するときや担保に差し出すときに困るからです。

3相続登記に必要な委任状の書き方

司法書士などの専門家に依頼する場合、委任状は司法書士が用意します。

登記申請を依頼するのであれば、司法書士が作成した委任状に記名押印するだけで済みます。

相続登記に必要な委任状には、次のことを記載します。

①相続登記を依頼される人の名前と住所

②相続登記を依頼する旨

 「次の登記申請に関する一切の権限を委任します。」と記載すると分かりやすいでしょう。

③登記の目的

④登記原因

⑤相続人

③~⑤は、相続登記の申請書と同じです。

あらかじめ申請書を作ってあるのであれば、そのまま丸写しすれば記載できます。

申請書の記載を書き直す場合、委任状の記載を一緒に書き直す必要があります。

内容が一致していない場合、適切な委任を受けていないと判断されるおそれがあります。

適切な委任を受けていない場合、登記申請を受け付けてもらえないかもしれません。

⑤相続人は、まず括弧をつけて被相続人の氏名をフルネームで記載します。

相続人が複数で共有する場合、相続人の住所氏名だけでなく持分も記載します。

⑥不動産の表示

相続登記の対象になる不動産の表示を記載します。

目的になる不動産の登記簿謄本を確認して、そのまま書き写せば記載できます。

記載事項は、申請書の内容と同じです。

土地であれば、次の事項を記載するといいでしょう。

(1)所在

(2)地番

(3)地目

(4)地積

建物であれば次の事項を記載するといいでしょう。

(1)所在

(2)家屋番号

(3)種類

(4)構造

(5)床面積

建物でも敷地権のあるマンションの一室であれば次の事項を記載するといいでしょう。

(1)一棟の建物の表示

i所在

ii建物の名称

(2)専有部分の建物の表示

i家屋番号

ii建物の名称

iii種類

iv構造

v床面積

(3)敷地権の目的である土地の表示

i土地の符号

ii所在及び地番

iii地目

iv地積

(4)敷地権の表示

i土地の符号

ii敷地権の種類

iii敷地権の割合

相続の対象が土地と建物など不動産が複数ある場合、順番に書き連ねれば差し支えありません。

不動産がたくさんある場合、書くべき項目の書き忘れに注意しましょう。

書くべき項目の書き忘れがあった場合、不動産が特定できないと指摘されるおそれがあります。

不動産を特定できない委任状の場合、登記申請を受け付けてもらえません。

⑦依頼する項目の補足事項

相続登記を申請する場合、登記申請だけでなく付随する手続があります。

手続の一環として一緒にお願いしておくと、手続がスムーズになります。

付随項目を書き忘れてしまうと、代理人が手続できなくなります。

具体的には、次のような項目です。

 1.登記識別情報の受領の件及びその受領について復代理人選任に関する一切の件

 1.登記識別情報の受領に関する一切の件

 1.原本還付請求及び受領に関する一切の件

 1.復代理人選任に関する一切の件

 1.登記に係る登録免許税の還付金を受領する件

特に「登記識別情報の受領に関する一切の件」は重要です。

登記識別情報とは、権利証のことです。

代わりに登記申請をお願いしたのに、権利証を受け取りするために法務局に出向かなければならなくなるからです。

⑧日付

⑨登記申請をお願いする人の住所氏名

ふだん住所は簡単な記載をしている場合であっても、住民票の記載どおり書きましょう。

⓾押印

名前の横に押印します。

4委任状の押印は実印でなく認印でいい

委任状は、代理人に依頼した内容を証明する書類です。

依頼した人は、委任状に押印しなければなりません。

押印は、実印である必要はありません。

依頼した人の認印で差し支えありません。

委任状に書き間違いを見つけた場合、名前の横に押した印と同一印を押印して、訂正します。

5委任状に割印・契印

委任状に書くべき内容は、たくさんあります。

複数ページに渡る委任状になることがあります。

1通の委任状であることが分かるように、割印・契印を施します。

クリップでとめるだけなど差し替えができる状態では、委任内容を証明できるとは言えないからです。

適切な委任があったと認められない場合、相続登記を取り下げなければならなくなります。

6相続登記を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、相続人はたくさんの相続手続に追われて悲しむ暇もありません。

ほとんどの方は、相続を何度も経験するものではありません。

手続に不慣れで、聞き慣れない法律用語でへとへとになります。

一般的にいって、相続登記は、その中でも難しい手間のかかる手続です。

不動産は、重要な財産であることが多いものです。

一般の方からすると、些細なことと思えるようなことでやり直しになります。

本人が自分で申請している場合、些細なことであれば法務局の窓口まで出向いて申請書の記載を補正することができるケースがあります。

申請書の記載誤りがあると、委任状も記載誤りになります。

代理人に依頼して申請している場合、委任状の記載も一緒に補正する必要があります。

委任状の記載内容は、本人が依頼したことのはずです。

代理人が補正することを認めてもらえない場合が多いものです。

申請書と委任状の記載が一致していない場合、適切な委任を受けていないと判断されます。

適切な委任を受けていない場合、申請書は受け付けてもらえません。

いったん申請を取り下げて、やり直しになります。

相続登記は簡単そうに見えても、思わぬ落とし穴があることもあります。

法務局の登記相談に行っても、何が良くないのか分からなかったというケースも多いです。

司法書士はこのような方をサポートしております。

相続登記を自分でやってみたけど、挫折した方の相談も受け付けております。

相続登記をスムーズに完了させたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続登記で不動産番号

2023-12-11

1不動産番号で不動産を特定できる

①不動産番号は13桁の数字

不動産番号は、一筆の土地または一棟の建物ごとに付けられた番号です。

不動産番号は、13桁の数字です。

13桁の数字で、不動産を特定することができます。

不動産番号は、表示に関する登記事項のひとつです。

登記簿謄本を取得すると、表題部に記載されています。

②所在・地番や所在・家屋番号は分かりやすい

土地の登記簿謄本を取得すると、表題部に土地の所在と地番が記載されています。

地番とは、一筆の土地ごとに付けられた番号です。

土地の所在と地番を組み合わせて、土地を特定することができます。

建物の登記簿謄本を取得すると、表題部に建物の所在と家屋番号が記載されています。

家屋番号は、一棟の建物ごとに付けられた番号です。

建物の所在と家屋番号を組み合わせて、建物を特定することができます。

地番と番地は、別のものです。

番地は、住居表示です。

番地は、街を分かりやすく表示するために付けられた番号です。

地域によっては、地番と番地が同じことがあります。

土地の所在や建物の所在は、〇〇市〇〇区〇〇町〇丁目などと表現されます。

書類に取りまとめた場合、所在・地番や所在・家屋番号は分かりやすい書類になります。

③不動産番号で登記簿謄本を請求することができる

不動産番号で、不動産を特定することができます。

登記簿謄本は、インターネットを使って請求することができます。

不動産番号を記載するだけで、インターネット請求をすることができます。

13桁の数字を入力するだけなので、ラクに手続をすることができます。

不動産番号で登記簿謄本を請求できるのは、インターネットで請求する場合だけです。

法務局の窓口で請求する場合や申請書を郵送して請求する場合は、従来どおり、所在・地番や所在・家屋番号を記載します。

登記簿謄本は不要だけど、登記の内容を知りたいことがあるでしょう。

インターネットを使って、登記情報を取得することができます。

登記情報を取得する場合、不動産番号を記載するだけで請求することができます。

13桁の数字を間違えて入力すると、まったく別の不動産になってしまいます。

不要な登記簿謄本や登記情報を取得してしまうおそれがあります。

不動産番号はカンタンで便利な反面、分かりにくいのが欠点です。

④不動産番号がない不動産がある

インターネットを使って取得した登記簿謄本や登記情報には、必ず、不動産番号が記載されています。

登記簿は、コンピュータ化されている登記簿とコンピュータ化されていない登記簿があります。

コンピュータ化されていない登記簿の不動産には、不動産番号がありません。

コンピュータ化されていない登記簿は、インターネットで登記簿謄本を請求することができません。

⑤登記識別情報は不動産の所有者の証明

不動産について権利を取得した場合、原則として、権利証が発行されます。

権利証は、古いものは登記済証、現在では登記識別情報と言います。

オンライン指定庁になったときから、登記識別情報が発行されています。

登記識別情報は、12桁の数字とアルファベットの組み合わせです。

登記識別情報は、不動産の権利者であることの証明です。

不動産を売却するときや担保に差し出すとき、不動産に登記申請をします。

不動産の権利者が登記申請に関与していることの証明として、登記識別情報を法務局に提供します。

登記申請以外で、登記識別情報が必要になることはありません。

通常は、登記申請直前に開封して直ちに申請します。

登記識別情報を他人に知られると、権利書が奪われた場合と同じ危険があります。

登記識別情報は不動産の所有者の証明だから、他の人に知られないようにする必要があります。

2相続登記の申請書で不動産番号

①不動産を特定して相続登記

相続による不動産の名義変更を相続登記と言います。

相続登記をする場合、名義変更をする不動産を特定しなければなりません。

家族にとって自宅などは当然知っていることです。

法務局などの第三者には、どこにあるどの不動産なのか分からないからです。

申請の対象となる不動産を特定して、相続登記をします。

②不動産番号だけ記載して相続登記ができる

不動産番号のみ記載するときの記載例

不動産番号 1234567890123

不動産番号 2345678901234

不動産番号 3456789012345

不動産番号は、不動産を特定するための番号です。

相続登記をする場合、不動産を特定して登記申請をしなければなりません。

相続登記の申請書に、不動産番号を記載することができます。

不動産番号で不動産を特定することができるからです。

不動産番号だけ記載して、相続登記をすることができます。

③不動産番号と所在・地番の両方記載がおすすめ

(1)不動産番号と所在・地番の両方記載の記載例

不動産番号 1234567890123

所在 ○○市○○町○丁目

地番 ○番○

地目 宅地

地積 200㎡

(2)不動産番号と所在・家屋番号の両方記載の記載例

不動産番号 2345678901234

所在 ○○市○○町○丁目

家屋番号 ○番○

種類 居宅

構造 木造瓦葺2階建

床面積 1階 100.00㎡ 2階 100.00㎡

不動産番号を記載すれば、不動産を特定することができます。

不動産番号は、13桁の数字です。

一目でどの不動産なのか分かりにくいのが欠点です。

13桁の数字を記載するときに間違えてしまっても、気がつきにくいでしょう。

関係ない不動産に相続登記を申請してしまうことがないように、所在・地番や所在・家屋番号を記載する方が安全です。

相続登記をする場合、不動産番号と所在・地番や所在・家屋番号の両方を記載することができます。

土地について申請する場合、次の事項を記載します。

(1)所在

(2)地番

(3)地目

(4)地積

建物について申請する場合、次の事項を記載します。

(1)所在

(2)家屋番号

(3)種類

(4)構造

(5)床面積

不動産番号を記載した方が法務局にとって審査しやすいでしょう。

法務局が相続登記を受付した場合、受付のお知らせが発行されます。

相続登記の申請に不動産番号と所在・地番や所在・家屋番号の両方を記載した場合、受付のお知らせにも両方記載されます。

受付のお知らせを見ることで、確実に登記申請をしたことが確認できます。

不動産番号と所在・地番や所在・家屋番号の両方を記載した場合、申請内容が一目瞭然です。

④不動産番号を間違えたら登記できない

不動産番号は、13桁の数字です。

一目でどの不動産なのか分かりにくいのが欠点です。

数字を間違えた場合、まったく別の不動産になります。

相続登記を申請しても、認められません。

不動産は重要な財産であることが多いから、厳格に審査されます。

軽微なミスであれば、申請を補正することができます。

相続登記の対象となる不動産を間違えた場合、軽微なミスとは言えません。

重大なミスでは、申請を補正することができません。

いったん登記申請を取り下げて、やり直しになります。

⑤敷地権付マンションは不動産番号だけでは不足

敷地権のあるマンションの記載例

(一棟の建物の表示)

所在 ○○市○○町○丁目○番地○

建物の名称 ○○○○マンション

(専有部分の建物の表示)

不動産番号 3456789012345

家屋番号 ○○町○丁目○番○の○

建物の名称 ○○○

種類 居宅

構造 鉄筋コンクリート造1階建

床面積 ○階部分 ○○.○○㎡

価格 金○○○○万円

(敷地権の表示)

符号 1

所在 ○○市○○町○丁目

地番 ○番○

地目 宅地

地積 ○○○.○○㎡

(敷地権の種類)

所有権

(敷地権の割合)

持分 ○○○○○○分の○○○○○○

符号 2

所在 ○○市○○町○丁目

地番 ○番○

地目 宅地

地積 ○○○.○○㎡

(敷地権の種類)

所有権

(敷地権の割合)

持分 ○○○○○○分の○○○○○○

分譲マンションのように1棟の建物の一部を独立して所有できる建物を区分建物と言います。

区分建物が建っている土地が、敷地です。

敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利を一体化して処分するようにしたのが、敷地権付区分建物です。

敷地権付区分建物の場合、マンションを売買するとき敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利は一緒についてきます。

敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利は、命運を共にする運命共同体です。

新しいマンションのほとんどは、敷地権付区分建物です。

敷地権付マンションは、お部屋の権利に不動産番号が付いています。

敷地権付マンションの相続登記は、敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利の名義変更です。

敷地権付マンションの相続登記をする場合、不動産番号だけでは不足です。

敷地を使う権利を含めて相続登記をするからです。

3相続登記の委任状に不動産番号

相続登記は、相続手続の中でも難しい手続です。

多くの人は、司法書士などの専門家に依頼します。

司法書士などの専門家に依頼する場合、法務局に委任状を提出します。

委任状は、代理人に依頼した内容を証明する書類です。

どの不動産について、どういう内容の登記を依頼したのか委任状で明らかにします。

委任状に不動産を記載する場合、不動産番号だけ記載することができます。

不動産番号だけ記載した場合、分かりにくいのが欠点です。

分かりやすさを考えるのであれば、不動産番号と所在・地番や所在・家屋番号の両方記載がおすすめです。

不動産番号の記載誤りがあった場合、適切な委任があったとは認められません。

多くの場合、いったん取下げてやり直しになるでしょう。

4遺産分割協議書に不動産番号は記載しなくてもよい

相続が発生した場合、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

相続人全員の合意内容を取りまとめた文書が遺産分割協議書です。

遺産分割協議書は、相続人全員に確認してもらいます。

問題がなければ、相続人全員が記名し実印で押印します。

相続人全員が確認するときに、分かりやすい表現をするといいでしょう。

不動産番号で不動産を特定することができます。

相続人は13桁の数字を見て、どの不動産なのか分からないでしょう。

土地であれば、所在、地番、地目、地積を記載するといいでしょう。

建物であれば、所在、家屋番号、種類、構造、床面積を記載するといいでしょう。

13桁の数字を記載する場合、間違いやすいものです。

記載しても問題にはなりませんが、よく注意して間違いのないようにしましょう。

記載誤りが心配ならば、あえて記載する必要はありません。

5相続登記を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、相続人は悲しむ暇もなく相続手続に追われます。

ほとんどの人は相続手続は不慣れで、聞き慣れない法律用語で疲れ果ててしまいます。

インターネットの普及で多くの人は簡単に多くの情報を手にすることができるようになりました。

多くの情報の中には正しいものも、適切でないものも同じように混じっています。

相続登記もカンタンにできる、ひとりでできたという記事も散見されます。

不動産は、重要な財産であることも多いものです。

登記手続は、一般の方から見ると些細なことと思えるようなことでやり直しになります。

法務局の登記手続案内を利用すれば、シンプルな事例の申請書類などは教えてもらえます。

通常と異なる事例に関しては、わざわざ説明してくれません。

司法書士などの専門家から見れば、トラブルのないスムーズな相続手続であっても、知識のない一般の方はへとへとになってしまいます。

住所がつながらない場合など、シンプルな事例とは言えない事情がある場合は申請を取下げて、やり直しになることが多いでしょう。

司法書士は登記の専門家です。

スムーズに相続登記を完了させたい方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

公正証書遺言で不動産の相続登記

2023-11-29

1遺言書の大部分は自筆証書遺言と公正証書遺言

遺言書の種類は、民法という法律で決められています。

大きく分けて普通方式の遺言と特別方式の遺言とあります。

普通方式の遺言は、次の3つです。

①自筆証書遺言

②公正証書遺言

③秘密証書遺言

特別方式の遺言は、次の4つです。

①死亡の危急に迫った者の遺言

②伝染病隔離者の遺言

③在船者の遺言

④船舶遭難者の遺言

特別方式の遺言は、生命の危機に迫っている人や航海中など交通できない人が作る特別の遺言です。

特別方式の遺言は、ごく稀な遺言と言えるでしょう。

多くの方にとって、遺言というと普通方式の遺言です。

なかでも、①自筆証書遺言②公正証書遺言のいずれかを作成される方がほとんどです。

2公正証書遺言は安心確実

①公正証書遺言は公証人が文書に取りまとめてくれる

公正証書遺言とは、遺言内容を公証人に取りまとめてもらって作る遺言書です。

遺言者が公証人に遺言内容を伝えて、証人2人に確認してもらって作ります。

公正証書遺言を作成する場合、原則として、公証役場に出向く必要があります。

遺言者が病気や障害などで公証役場に出向くことが困難なこともあるでしょう。

公証役場に出向くことが困難な場合、病院や自宅などへ公証人に出張してもらうことができます。

②公正証書遺言は無効になりにくい

公証人は、法律の専門家です。

公正証書遺言は、公証人が文書に取りまとめます。

遺言書には、厳格な書き方ルールがあります。

書き方ルールに違反すると、遺言書は無効になります。

公正証書遺言は、公証人が関与します。

公証人は法律の専門家だから、書き方ルールの違反で無効になることは考えられません。

③遺言書原本は公証役場で厳重に保管される

公正証書遺言を作成した後、正本と謄本が渡されます。

公正証書遺言を使って相続手続をする場合、遺言公正証書の正本か謄本を使用します。

正本と謄本は同じ内容ですから、どちらでも相続手続に使うことができます。

正本や謄本は、紛失してしまっても差し支えありません。

遺言書原本は、公証役場で厳重に保管されています。

遺言書を作成した公証役場で手続をすれば、再発行してもらうことができます。

遺言書を作成した公証役場が分からない場合、平成元年以降に作成しているのであれば、公証役場で探してもらうことができます。

遺言書を作成した公証役場が見つかったら、遺言書を作成した公証役場で再発行してもらうことができます。

④公正証書遺言は家庭裁判所の検認手続は不要

遺言書の検認とは、家庭裁判所で遺言書の状態を確認してもらうことです。

公正証書遺言は、家庭裁判所で検認手続をする必要はありません。

公正証書遺言は遺言書作成後、公証役場で厳重に保管されています。

相続人などが改ざんすることはできません。

わざわざ家庭裁判所で遺言書の状態を確認してもらう必要はないからです。

3公正証書遺言で不動産の相続登記

①公正証書遺言があるときの相続登記の必要書類

登記申請書には、通常、相続関係説明図を添えます。

事例によっては追加書類が必要になる場合がありますが、おおむね、次の書類が必要です。

(1)被相続人の除籍謄本

(2)相続人の現在戸籍

(3)被相続人の住民票の除票か戸籍の除附票

(4)不動産を相続する人の住民票

(5)遺言書

(6)不動産の固定資産税評価証明書

遺言書がない場合、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

相続人全員の合意があることを確認するため、被相続人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本が必要です。

遺言書がある場合、遺言書で財産の分け方が記載されているでしょう。

遺言書のとおりに分ければいいので、相続人全員の合意は不要です。

被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を準備する必要はありません。

遺言書は、遺言者が死亡したときに効力を生じます。

遺言者が死亡したことの確認のため、被相続人の除籍謄本を提出します。

相続人になる人は、法律で決まっています。

相続できるのは、相続人だけです。

相続登記をする場合、相続人であることの確認が必要になります。

相続登記を申請する人が相続人であることの確認のため、相続人の現在戸籍を提出します。

②遺言執行者が相続登記

遺言書を書いただけでは、意味がありません。

遺言書の内容は自動的に実現するわけではないからです。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書を作成する場合、遺言執行者を指名しておくと安心です。

遺言執行者がいない場合、相続人全員の協力が必要になるからです。

遺言書の内容に不満を持つ相続人がいた場合、遺言書の内容の実現に協力してくれないでしょう。

遺言執行者がいる場合、相続人の協力は不要です。

令和元年7月1日以降に作成された遺言書で遺言執行者が指名されている場合、遺言執行者が相続登記を申請することができます。

遺言執行者は、相続登記以外の相続手続をすることができます。

相続手続先がたくさんある場合、法定相続情報一覧図があると便利です。

遺言執行者は、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をすることができます。

わずらわしい相続手続を遺言執行者におまかせできるので、家族はラクになります。

4公正証書遺言で不動産の遺贈の登記

①遺言書に遺贈とあったら遺贈で手続

遺贈とは、被相続人が遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげることです。

遺贈で財産を譲ってあげる人のことを遺贈者、譲ってもらう人を受遺者と言います。

相続では、法定相続人だけに譲ってあげることができます。

遺贈では、法定相続人に譲ってあげることもできるし、相続人以外の人に譲ってあげることができます。

遺言書に「遺贈する」とあれば、譲ってもらう人が相続人であっても相続人以外の人でも、遺贈で手続します。

遺言書に「相続させる」とあっても、譲ってもらう人が相続人以外の場合、遺贈で手続します。

相続できるのは、相続人だけだからです。

遺贈登記は、権利者と義務者が共同で登記申請をします。

受遺者が相続人である場合、登記申請書に権利者と義務者を記載するだけで義務者の関与が不要です。

形式的には共同申請ですが、事実上、受遺者が単独申請をすることができます。

②公正証書遺言があるときの相続登記の必要書類

登記申請書に添付する書類は、次のとおりです。

(1)被相続人の除籍謄本

(2)被相続人の除票か戸籍の除附票

(3)受遺者の住民票か戸籍の附票

(4)不動産の権利証

(5)印鑑証明書

(6)遺言書

(7)不動産の固定資産税評価証明書

印鑑証明書は、発行後3か月以内のものが必要です。

印鑑証明書は、遺贈義務者のものが必要です。

遺言執行者がいる場合、遺贈義務者は遺言執行者です。

遺言執行者がいない場合、遺贈義務者は相続人全員です。

所有権移転登記をする場合、登記原因を証明する書類を提出する必要があります。

(1)遺言書(2)検認証明書(3)被相続人が死亡した記載のある戸籍謄本(4) 被相続人の除票か戸籍の除附票は、登記原因証明情報として提出します。

売買などで所有権移転登記をする場合、法務局報告形式の登記原因証明情報を提出する場合があります。

法務局報告形式の登記原因証明情報に登記義務者が押印することで、内容の真実性が確保できるとされているからです。

遺贈は登記義務者が内容を認めただけでは、真実性が確保されません。

遺贈の真実性の担保のため、遺言書や戸籍謄本の提出が欠かせません。

遺贈の登記では、法務局報告形式の登記原因証明情報を利用することはできません。

③遺言執行者が遺贈登記

遺贈登記は、権利者と義務者が共同で登記申請をします。

権利者は受遺者、義務者は遺贈義務者です。

遺言執行者がいる場合、遺贈義務者は遺言執行者です。

遺言執行者がいない場合、遺贈義務者は相続人全員です。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者は、受遺者であっても構いません。

遺言執行者は、遺言の内容を実現するために必要な行為をする権限があります。

協力しない相続人が遺言執行を妨害した場合、原則として、妨害行為は無効になります。

遺贈登記は、受遺者と遺言執行者が共同で登記申請をします。

④被相続人の住所氏名が登記簿上の住所氏名と違っていたら

不動産を持っている場合、住所や氏名が変わったら、その都度手続するのが原則です。

不動産を売却する予定がない場合、先延ばししていることは割とよくあります。

相続登記では、登記簿上の住所氏名と被相続人死亡時の住所氏名が異なっている場合、住所変更登記や氏名変更登記はする必要がありません。

遺贈の登記では、登記簿上の住所氏名と被相続人死亡時の住所氏名が異なっている場合、住所変更登記や氏名変更登記が必要です。

登記簿上の住所氏名と被相続人死亡時の住所氏名が異なっているのに、住所変更登記や氏名変更登記を申請せずに、遺贈登記を申請した場合、遺贈登記を取下げすることになります。

後から住所変更登記や氏名変更登記を出しても、認められません。

住所変更登記や氏名変更登記は、遺言執行者が申請することができます。

5相続登記を司法書士に依頼するメリット

大切な家族を失ったら、大きな悲しみに包まれます。

やらなければいけないと分かっていても、気力がわかない方も多いです。

不動産は重要な財産であることも多いので、登記手続は一般の方から見ると些細なことと思えるようなことでやり直しになることも多いです。

住所変更登記が必要になるか必要にならないかなどもそのひとつでしょう。

相続手続は、一生のうち何度も経験するものではありません。

だれにとっても不慣れで、手際よくできるものではないでしょう。

相続手続で使われる言葉は法律用語なので、一般の方にとって日常で聞き慣れないものでしょう。

司法書士は、登記の専門家です。

相続手続も、登記手続も、丸ごとお任せいただけます。

相続手続でへとへとになる前に、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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