生前対策はじめどき

1 平均寿命は男女とも80歳超

高齢化社会と言われるようになってから、多くの方が長生きできるようになりました。

今や、男性も女性も平均寿命が80歳を超しています。

多くの方は平均寿命を聞くと、平均だから自分もそれくらいは生きられるだろうと思います。

そして、いま元気だから、これからも元気だろう。と思いがちです。

つまり、80歳くらいは、いまと同じくらいの気力や体力があるだろうと考えている方がとても多いのです。

平均寿命は平均してその歳まで生きられるだろうという予想に過ぎません。

決して、その歳までいまと同じように元気でいられるとか、認知症にならないとか、介護が必要ないという保証があるものではありません。

2 いつ認知症になるか分からない

いま元気な方は、いま元気だから明日も元気でこれからもずっと元気と考えがちです。

認知症の発症率は60歳くらいからじわじわと増え始め、80歳前後で急激に増加します。

80歳後半ではおよそ2人に1人が認知症になっているというデータもあります。

このころになると、つい昨日まで元気だったのに急に日常生活が送れなくなることがあります。

病気やけがで療養したところ、一挙に体力を失い、一緒に気力も失うおそれがあります。

いま元気だから明日も元気と思いたい気持ちも分かりますが、実際はいつ元気を失ってしまうかは分かりません。

いつの間にか認知症を発症して身の回りのことができず、食事を充分摂れなくなると、認知症以外の病気にもなってしまいます。

逆に、急に梗塞や脳出血を発症して脳細胞がダメージを受けて、認知症を発症することもあります。

3 認知症になると資産が凍結される

認知症になると、記憶があいまいになったり、物事のメリットデメリットを適切に判断することができなくなります。

自分の財産を管理したり処分したりすることができなくなります。

本人が誰より困りますが、家族や周囲の人も困ります。

子どもであっても、本人の不動産を売却することはできません。

本人の財産は本人だけが自由に利用・活用できるものだから、子どもであっても代わりに処分ができないからです。

「認知症になったら自宅を売って老人ホームに入れてね」は事前に対策しないと無理なのです。

銀行などの金融機関も本人が認知症だと知って、本人の預貯金を守るため口座を凍結する例もあります。

認知症は日常生活全般に支障が出て、資産が凍結される病気です。

そうなると、定期預金を解約することも、預貯金を引き出すこともできませんから、家族は本人のために介護費用等を立替をしなければならなくなります。

逆に、お通帳やキャッシュカードを預かって、事実上、財産管理をしている例もあります。

引き出した預貯金を本人のために使わず、自分の生活費に使ってしまう例もあります。

本人のために本人の預貯金を使っただけなのに、何も知らない家族から使い込みを疑われてトラブルになるケースもあります。

トラブルをなくすことはできませんが、本人が元気でいるうちに認知症対策をすることで無用なトラブルは減らすことができます。

4 認知症対策は元気なうちしかできない

認知症に備えることは、この先あれこれ決められなくなる前に、自分らしい生き方を自分で決めようという前向きな考えがベースです。

サポートを受けて自分らしく生きようとするもので、どう生きたいのか、どういうサポートを受けたいのか家族と共有しましょう。

サポートを受けるためにどんな制度があるのか、どう活用できるのか制度を知って、メリットデメリットを理解しておく必要があります。

おそらく、聞き慣れない法律用語や見知らぬ制度の話になりますから、気力と体力がないと理解が難しいでしょう。

サポートを受けるのは契約をするということなので、判断能力がしっかりしているうちしか、対策はできません。

これは認知症になる前に対策しましょうという意味だけでなく、気力体力が充実しているうちという意味でとらえる必要があります。

日常生活が支障なく健康的に過ごせるものとして、健康寿命という考えがあります。

健康寿命をいつまでと考えるかはいろいろな意見がありますが、男性も女性もおおむね70歳前半と考える意見が多いです。

多くの人の実感としても納得できる年齢でないかと思います。

病気やけがで体調や気力に変化を感じたときは、対策できる最後のチャンスです。

70歳前半を迎えるまでに、認知症対策をしておくのがいいでしょう。

意外にも「まだ早い」と言ってはいられないことに気がつきます。

5 認知症対策を司法書士に依頼するメリット

生前対策=相続「税」対策の誤解から、生前対策はする方はあまり多くありません。

争族対策として有効な遺言書ですら、死亡者全体からみると10%未満です。

対策しないまま認知症になると、家族に大きな面倒をかけることになります。

認知症になってからでは遅いのです。

対策できるときには何もせず、問題を感じたときには何もできないのが怖いところです。

お元気なうちに準備する必要があります。

なにより自分が困らないために、大切な家族に面倒をかけないために生前対策をしたい方は、すぐに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

keyboard_arrow_up

0527667079 問い合わせバナー 事前相談予約