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遺贈を受けた人に不動産取得税

2024-07-24

1不動産取得税は取得時1回のみ

①不動産を取得する人に課税

不動産取得税とは、不動産を取得したときに1回だけ課される税金です。

有償で取得しても無償で取得しても、課税されます。

登記をしても登記をしなくても、課税されます。

不動産の取得とは、売買、建築、増改築、贈与、交換です。

不動産取得税は、不動産を取得した人に課される税金です。

②不動産を取得したら県税事務所に申告

不動産取得税は、都道府県税です。

不動産を取得したら、都道府県税事務所に申告をします。

申告期限は、都道府県によって異なります。

愛知県は、不動産を取得してから60日以内です。

郵送で申告することができます。

申告期限までに登記がされた場合、原則として申告は不要です。

不動産取得税が軽減される場合、不動産取得税減額等申請書を提出します。

③不動産取得税に免税点

不動産取得税には、免税点があります。

取得した不動産の価格が次の金額未満の場合、不動産取得税は課されません。

(1)土地 10万円

(2)家屋 

新築、増築、改築 23万円

その他 12万円

④納税通知書が届いたら納付

不動産の取得から1年以内に不動産取得税の納税通知書が届きます。

基本的には、納税が必要に人にのみ納税通知書が送られます。

納税通知書に記載された金額を納付します。

不動産取得税がかからないはずなのに、納税通知書が届くことがあります。

納税通知書記載の県税事務所に、納税の必要について確認しましょう。

2遺贈を受けた人に不動産取得税がかかる

①特定遺贈で相続人以外の人が不動産取得は課税

遺贈とは、遺言書を作成した相続人や相続人以外の人に財産を引き継いでもらうことです。

相続で財産を引き継ぐことができるのは、相続人だけです。

相続人になる人は、法律で決められています。

相続人は、相続で財産を引き継ぐことができるし遺贈で財産を引き継ぐことができます。

相続人以外の人は、相続で財産を引き継ぐことができないけど遺贈で財産を引き継ぐことができます。

遺贈には、2種類あります。

特定遺贈と包括遺贈です。

特定遺贈とは、遺言書に、「財産〇〇〇〇を遺贈する」と財産を具体的に書いてある場合です。

包括遺贈とは、遺言書に、「財産すべてを包括遺贈する」「財産の2分の1を包括遺贈する」と割合だけ書いて財産を具体的に書いてない場合です。

相続人以外の人に不動産を遺贈することができます。

特定遺贈で相続人以外の人が不動産取得した場合、不動産取得税が課されます。

②相続時精算課税制度で不動産取得は課税

相続時精算課税制度とは、贈与税の制度です。

相続時精算課税を選択すると、2500万円まで特別控除があります。

累計2500万円までの贈与が非課税になります。

贈与した財産を相続財産に算入して、相続税を計算する制度です。

次の条件に該当する場合、相続時精算課税制度を選択することができます。

(1)贈与する人 60歳以上の父母または祖父母

(2)贈与を受ける人 18歳以上の子どもや孫

相続時精算課税制度を適切に利用したら、大きな節税が期待できるでしょう。

相続時精算課税制度を利用して、不動産を取得することができます。

相続時精算課税制度を利用して不動産を取得する場合、不動産取得税が課されます。

相続時精算課税制度を利用して不動産を取得するのは、贈与扱いだからです。

③夫婦間の居住用不動産の特例で不動産取得は課税

夫婦間の居住用不動産の特例とは、贈与税の制度です。

夫婦間の居住用不動産の特例を利用すると、最高2000万円まで配偶者控除を受けることができます。

次の条件に該当する場合、夫婦間の居住用不動産の特例を受けることができます。

(1)夫婦の婚姻期間20年を過ぎた後の贈与

(2)贈与された財産は居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭

(3)贈与を受けた年の翌年3月15日までに贈与を受けた人が現実に居住

夫婦間の居住用不動産の特例を受けることで、大きな節税が期待できるでしょう。

夫婦間の居住用不動産の特例を利用して、不動産を取得することができます。

夫婦間の居住用不動産の特例を利用して不動産を取得する場合、不動産取得税が課されます。

夫婦間の居住用不動産の特例を利用して不動産を取得するのは、贈与扱いだからです。

④死因贈与で不動産取得は課税

遺贈とは、遺言書を作成した相続人や相続人以外の人に財産を引き継いでもらうことです。

遺言書は、遺言者がひとりで作成することができます。

遺言書を作成するときに、相続人や財産を受け取る人の同意は不要です。

贈与は、贈与をする人と贈与を受け取る人の契約です。

死因贈与は、贈与をする人が死亡したときに効力が発生する贈与契約です。

贈与契約は、贈与をする人と贈与を受け取る人の合意があれば口約束でも成立します。

口約束の贈与契約は立証が難しいのでおすすめしませんが、口約束の死因贈与契約も有効です。

死因贈与で財産を受け取った場合、相続税の対象になります。

死因贈与契約によって、不動産を取得することができます。

死因贈与契約によって不動産を取得する場合、不動産取得税が課されます。

死因贈与契約によって不動産を取得するのは、贈与扱いだからです。

⑤遺産分割協議やり直しで不動産取得は課税

遺産分割協議は、相続人全員の合意があればやり直しをすることができます。

遺産分割協議のやり直しをした場合、相続財産の分け方に変更があるでしょう。

遺産分割協議のやり直しによって、不動産を取得することができます。

法律上は遺産分割協議のやり直しであっても、税務上は贈与の扱いです。

遺産分割協議のやり直しによって不動産を取得する場合、不動産取得税が課されます。

遺産分割協議のやり直しによって不動産を取得するのは、贈与扱いだからです。

3相続人に不動産取得税がかからない

①相続で不動産取得は非課税

相続人になる人は、民法で決まっています。

相続人が相続で不動産を取得することができます。

相続で不動産を取得する場合、不動産取得税が課されません。

相続で不動産を取得する場合、不動産種痘税の申告書の提出は不要です。

②特定遺贈で相続人が不動産取得は非課税

遺贈とは、遺言書を作成した相続人や相続人以外の人に財産を引き継いでもらうことです。

相続人は、相続で財産を引き継ぐことができるし遺贈で財産を引き継ぐことができます。

遺言書を作成して、相続人に不動産を遺贈することができます。

特定遺贈で相続人が不動産を取得する場合、不動産取得税が課されません。

③包括遺贈で不動産取得は非課税

包括遺贈とは、遺言書に、「財産すべてを包括遺贈する」「財産の2分の1を包括遺贈する」と割合だけ書いて財産を具体的に書いてない場合です。

遺言書を作成して、相続人や相続人以外の人に包括遺贈をすることができます。

遺言書で一部包括遺贈を受けたら、遺産分割協議が必要です。

遺言書には割合だけ書いてあって、具体的財産は書いてないからです。

遺産分割協議で包括受遺者全員と相続人全員の合意で相続財産の分け方を決定します。

遺産分割協議で、不動産を取得することができます。

包括遺贈で不動産を取得する場合、不動産取得税が課されません。

包括遺贈を受けた人が相続人であっても相続人以外の人であっても、不動産取得税が課されません。

④死因贈与で相続人が不動産取得は課税

死因贈与は、贈与をする人が死亡したときに効力が発生する贈与契約です。

被相続人と相続人間で死因贈与契約をすることがあります。

死因贈与契約によって、不動産を取得することができます。

死因贈与契約によって不動産を取得する場合、不動産取得税が課されます。

死因贈与契約によって不動産を取得するのは、贈与扱いだからです。

相続人が不動産を取得する場合であっても、死因贈与契約による場合は不動産取得税が課されます。

4不動産取得税の計算方法

①不動産取得税=不動産価格×税率

不動産取得税は、不動産価格×税率で計算できます。

不動産価格は、原則として固定資産税評価額を用います。

実際の売買価格や建築費用で計算されません。

贈与を受けた場合や交換で不動産を取得した場合、金銭のやり取りはないでしょう。

金銭のやり取りがなくても、不動産取得税は課されます。

不動産取得税には、さまざまな控除があります。

都道府県税事務所や税理士に確認するといいでしょう。

②税率に軽減措置がある

税率は、原則として4%です。

令和9年3月31日までに取得があった不動産については、軽減措置があります。

土地と住宅は、3%に軽減されます。

5不動産取得税以外にも税金がかかる

①登記申請をするときに登録免許税

不動産を取得したら、名義変更をします。

名義変更をする場合、登録免許税が課されます。

遺贈を受けた場合にも、登録免許税を納める必要があります。

遺贈を受けた場合の税率は、次のとおりです。

(1)相続人が遺贈を受けた場合、1000分の4

(2)相続人以外の人が遺贈を受けた場合、1000分の20

②固定資産税は毎年

固定資産税は、固定資産を保有している人に課される税金です。

不動産取得税は1回だけの税金ですが、固定資産税は毎年課されます。

地域によっては、都市計画税も課されます。

③遺贈を受けたら相続税

遺贈を受けた場合、贈与税でなく相続税が課されます。

相続税には、基礎控除があります。

基礎控除額は次の計算式で求めることができます。

基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の人数

相続財産が基礎控除額以内であれば、相続税は課されません。

相続税が課されるのは、全体の10%にも満たないわずかな富裕層です。

6遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。

民法に遺言書を作ることができるのは、15歳以上と定められています。

死期が迫ってから書くものではありません。

遺言書は遺言者の意思を示すことで、家族をトラブルから守るものです。

遺贈とは、遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげるものです。

遺贈は簡単に考えがちですが、思いのほか複雑な制度です。

特に、受け継いでもらう財産に不動産がある場合、譲ってもらう人だけでは登記申請ができません。

遺言執行者がいない場合、相続人全員の協力が必要です。

遺言書で遺言執行者を決めておきましょう。

遺言執行には法的な知識が必要になりますから、遺言の効力が発生したときに、遺言執行者からお断りをされてしまう心配もあります。

遺言の効力が発生した後の場合、遺言執行者は家庭裁判所に決めてもらう必要があります。

不動産以外の財産であっても、遺言書の内容に納得していない相続人がいる場合、受遺者に引渡そうとしないこともあります。

家族をトラブルから守ろうという気持ちを実現するために、せっかく遺言書を書くのですから、スムーズな手続を実現できるように配慮しましょう。

お互いを思いやり幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

遺言執行者に相続人を選任できる

2024-07-15

1遺言執行者とは遺言書の内容を実現する人

①遺言執行者は遺言書で選任できる

遺言者は、自分の死後に自分の財産をだれに引き継がせるか自由に決めることができます。

遺言書は、作成するだけでは意味がありません。

遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書の内容を実現するために、必要な権限が与えられます。

遺言執行者は、遺言書で選任することができます。

遺言書を作成する前に、遺言執行者に選任する人に承諾をもらっておくといいでしょう。

遺言書は、遺言執行者を選任しても選任しなくても有効です。

遺言書の内容によっては、遺言執行者が不可欠です。

遺言書を作成する場合、遺言執行者を選任しておくのがおすすめです。

②相続手続は遺言執行者におまかせできる

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書の内容を実現するとは、相続手続をすることです。

相続手続は、何度も経験することはないでしょう。

多くの人にとって、想像以上にわずらわしく手間がかかる手続です。

遺言執行者がいると、わずらわしい相続手続をおまかせすることができます。

相続財産に不動産がある場合、不動産の名義変更をする必要があります。

不動産の名義変更を相続登記と言います。

相続登記は、相続手続の中でも手間がかかる難しい手続です。

知識がない人が相続登記をするのは、難しいことが多いでしょう。

遺言執行のために必要であれば、遺言執行者が相続登記をすることができます。

わずらわしい相続手続は、遺言執行者におまかせすることができます。

③相続人は遺言執行者の妨害行為はできない

遺言執行者がいない場合、遺言書の内容は相続人全員が協力して実現させます。

相続人全員が遺言書の内容に納得している場合、協力は得られやすいでしょう。

遺言書の内容に不満がある相続人がいる場合、協力してもらうのは難しいでしょう。

遺言執行者がいる場合、相続人は遺言の対象になった相続財産について処分をすることができません。

相続人は、遺言執行者の妨害行為をすることはできません。

2遺言執行者に相続人を選任できる

①遺言執行者になれない人

遺言執行者は、遺言書で選任することができます。

遺言執行者になるために、特別な資格はありません。

次の人は、遺言執行者になることはできません。

(1)未成年者

(2)破産者

上記の人以外であれば、だれでも遺言執行者になることができます。

相続人を遺言執行者に選任しても差し支えありません。

遺言執行者になれないのは、未成年者と破産者だけだからです。

②相続人が遺言執行者になるときの注意点

相続人を遺言執行者に選任しても、法律上、問題はありません。

相続人が遺言執行者である場合、相続人間でトラブルになる可能性があります。

遺言書の内容によっては、一部の相続人が不満を持つことがあります。

多くの場合、遺言執行者に選任された相続人は財産を多く受け取る相続人でしょう。

不満を持つ相続人が遺言執行に干渉することがあります。

知識がない相続人を遺言執行者に選任した場合、スムーズに遺言執行ができないことがあります。

スムーズに遺言執行がされないと、余計に不満を募らせるでしょう。

相続手続は、想像以上の手間と時間がかかります。

不満がある相続人から、手際の悪さを責められるかもしれません。

相続人を遺言執行者に選任するときは、相続人間でトラブルになるおそれがあることを知っておく必要があります。

③遺言執行者は専門家がおすすめ

遺言執行には、法律の知識が必要になります。

遺言執行者は、知識がない相続人よりは、司法書士などの専門家を選任する方がいいでしょう。

司法書士などの専門家は、中立な立場から公平な遺言執行をします。

相続人を遺言執行者に選任するより、トラブルになりにくいでしょう。

遺言執行者は、公正中立な司法書士などの専門家を選任するのがおすすめです。

3遺言執行者に就任する義務はない

遺言執行者は、遺言書で選任することができます。

遺言書は、遺言者がひとりで作成することができます。

遺言者が一方的に、遺言執行者を選任することができます。

相続が発生した後、遺言執行者に就任するか辞退するのか選択することができます。

一方的に選任されただけだから、自由に辞退することができます。

遺言執行者に選任されても、就任する義務はありません。

遺言執行者に就任せず辞退する場合、理由を言う必要はありません。

何となく気が進まないでも面倒だからやりたくないでも、構いません。

遺言執行者がいる場合、相続人は相続手続をおまかせできると思っているでしょう。

辞退するのであれば、すみやかに連絡するといいでしょう。

遺言執行者に就任するのであれば、すみやかに就任通知を発送します。

相続人が遺言執行者の存在を知らないことがあるからです。

遺言執行者の存在を知らずに相続手続を進めることがあります。

勝手に相続手続を進めると、トラブルになるでしょう。

遺言執行者に選任された場合、就任するのか辞退するのかすみやかに決定しましょう。

4遺言執行者を辞任するときは家庭裁判所の許可が必要

相続が発生した後、遺言執行者に就任するか辞退するのか選択することができます。

遺言執行者に就任せず辞退する場合、理由を言う必要はありません。

どんな理由であっても、辞退することができます。

遺言執行者に就任した後は、軽々しく辞任することはできません。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人だからです。

遺言者の意思の実現という大きな責任があります。

遺言執行者を辞任するためには、正当な理由と家庭裁判所の許可が必要です。

正当な理由とは、例えば、次のような理由が挙げられます。

(1)遺言執行者が病気で長期の療養が必要

(2)仕事で長期の出張がある

(3)遠隔地に転居が必要で遺言執行が困難

上記の理由に該当すると言えるか、家庭裁判所が判断します。

単に、遺言執行が面倒、やる気を失ったなどの理由は、正当理由があると認められないでしょう。

遺言執行者に就任せず辞退する場合と就任後に辞任する場合では、遺言執行者をやめる難易度が大きく変わります。

遺言執行者に就任するか辞退するかは、慎重に判断するといいでしょう。

5家庭裁判所が遺言執行者を解任

相続人が遺言執行者である場合、相続人間でトラブルになることがあります。

遺言書の内容によっては、相続人が不満を持つことがあるからです。

相続人によっては、自分が遺言執行者になりたかったと考えるかもしれません。

遺言執行者を解任したいと考えることがあります。

遺言執行者が適切に遺言執行をしない場合、解任されることがあります。

遺言執行者は、相続人が解任することはできません。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人だからです。

遺言者の意思の実現という大きな責任があります。

不満を持つ相続人が軽々しく解任できるものではありません。

相続人は、家庭裁判所に対して遺言執行者の解任の申立てをすることができます。

正当な理由が認められる場合に、家庭裁判所が遺言執行者を解任します。

正当な理由とは、例えば、次のような理由が挙げられます。

(1)遺言執行者の職務を行っていない、職務を怠けている

(2)病気やけがで職務ができない

(3)相続財産の使い込みをした

(4)一部の相続人に不公平な扱いをしている

(5)遺言執行者が長期不在や行方不明

(6)遺言の執行状況を報告しない

上記の理由に該当する言えるか、家庭裁判所が判断します。

相続人が上記の理由に該当すると主張するだけでは、家庭裁判所は認めれくれないでしょう。

正当理由があるといえる客観的な証拠を提出することが重要です。

6遺言書作成と遺言執行を司法書士に依頼するメリット

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

相続人が遺言書の内容に納得していて、手続に協力的であれば、必ずしも、遺言執行者を選任する必要はありません。

子どもの認知など遺言執行者しかできない手続がある場合、遺言執行者を選任しておかないと、相続人に余計な手間をかけさせることになります。

遺言執行者は、相続開始後すみやかに手続を進めることができる時間と知識がある人を選ぶことが重要です。

その意味でも、家族より司法書士などの専門家に遺言執行を依頼する人が増えています。

以前は、遺言執行者は止むを得ない場合だけ、他の人に職務を任せることができるとされていました。

現在は、止むを得ないなどの理由は不要になりました。

遺言執行者に指名され、職務をしてみたところ、思ったよりタイヘンだということがあります。

遺言執行者は、自己の責任で司法書士などの専門家におまかせすることもできます。

今後も、専門家に依頼する人は増えていくでしょう。

遺言執行を司法書士などの専門家に依頼した場合、トラブルになることが少なくなります。

相続人は面倒な相続手続から解放されて、待っているだけで済むからです。

家族を笑顔にするためにも、遺言書作成と遺言執行者選任しましょう。

家族の幸せのためにも、遺言書作成と遺言執行者選任を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

遺言書で延命治療は拒否できない

2024-06-21

1遺言書で延命治療は拒否できない

①遺言者の死亡時に遺言書の効力発生

病気やけがなどで回復の見込みがなくなった後も、治療が続けられることがあります。

延命治療とは、生命維持を目的に行われる治療です。

具体的には、人工呼吸器による呼吸管理や点滴や胃ろうなどによる栄養管理などの医療行為を指します。

延命治療には、苦痛を伴うことがあります。

意識を失った後も延命治療が続けられることで、自分らしさが失われると感じるかもしれません。

自分らしさを維持するため、延命治療を拒否したいというニーズがあります。

延命治療を拒否するために遺言書を作成するのは、意味がありません。

遺言書で、延命治療を拒否できません。

遺言書は、遺言者が死亡したときに効力が発生します。

遺言者が生きている間は、効力がありません。

延命治療は、生きている間に行われるものです。

遺言書は遺言者が死亡した後に効力が発生するから、延命治療を拒否することができません。

②遺言事項は法律で決められている

遺言書は、厳格な書き方ルールがあります。

遺言書に書くことで法律上意味がある事項は、法律で決められています。

遺言書に書くことで法律上意味がある事項を遺言事項と言います。

遺言事項は、次のとおりです。

(1)財産に関すること

(2)身分に関すること

(3)遺言執行に関すること

(4)それ以外のこと

延命治療は拒否することは、遺言事項にありません。

遺言書には、法律上意味がないことを書くことができます。

例えば、家族への感謝の気持ちや家族仲良く幸せに暮らして欲しいなどの気持ちです。

家族仲良く幸せに暮らして欲しい気持ちに、法的な拘束力はもちろんありません。

延命治療は拒否することを書いても、法的効力はありません。

③遺言書は死亡後に開封される

遺言書は、プライベートな内容が書かれています。

遺言者本人が積極的に家族に見せることは、あまりありません。

家族にとっても、遠慮して見ないことが多いでしょう。

封筒に入った自筆証書遺言は、相続発生後に家庭裁判所で開封してもらいます。

法務局保管の自筆証書遺言は、相続発生後に遺言書保管事実証明書や遺言書情報証明書の発行請求をすることができます。

公正証書遺言は、相続発生後に相続人が謄本請求をすることができます。

遺言者の生前は、家族が遺言書の内容を知らないことが大部分でしょう。

遺言書に延命治療を拒否すると書いても、生前に家族は気づきません。

家族から延命治療を拒否する希望を伝えてもらうことができません。

2尊厳死宣言公正証書で延命治療拒否を表示する

①尊厳死と安楽死はちがう

延命治療を拒否することを、安楽死や尊厳死と表現することがあります。

安楽死と尊厳死には、さまざまな見解があります。

大きな苦痛を伴いながら過剰な延命治療を受け続けることは、自分らしくないとも考えられます。

尊厳死は、過剰な延命治療を行わずに尊厳を保持しつつ自然な死を迎えるものです。

尊厳死は、死に至るまでの方法と言えます。

尊厳死を直接認める法律はありません。

日本医師会や学会などは、尊厳死を認める意見です。

安楽死は、激しい苦痛から解放されるために薬剤などを使って積極的に死を迎えるものです。

安楽死は、死を選択することと言えます。

尊厳死では、本人の意思と緩和ケアによる生命の質の確保が前提になります。

②延命治療の拒否は意思表示が重要

尊厳死では、本人の意思が重視されます。

多くの場合、延命治療を受けるか受けないか判断する場面において本人が意志表示をすることはできません。

意識がもうろうとしていたり話ができなかったりするためです。

延命治療の拒否を希望する場合、あらかじめ医師や家族に意思を伝えておく必要があります。

終末期における治療に関してする意思表示を一般的にリビングウィルと言います。

医師や家族が本人の希望を知らなかった場合、延命治療を選択するでしょう。

③公正証書は信用がある

公正証書は、公証人が作成する公文書です。

公証人は、法律の専門家です。

公正証書は公証人が関与して作られるから、高い信用力があります。

公証人の前で延命治療を拒否することを宣言し、公正証書にすることができます。

延命治療の拒否は、医師にとっても悩ましい問題です。

延命治療を行わないと、死期を早めることになるでしょう。

延命治療を行わない判断や延命治療を中止する決定について、家族が不満に思う可能性があります。

家族が本人の希望を知らなかった場合、医師に強く抗議するでしょう。

大きなトラブルに発展することをおそれて、延命治療を行うことになるでしょう。

公正証書を作成する場合、公証人が本人確認と本人の意思確認をします。

公正証書を作成した後は、公正証書原本は公証役場で厳重保管されます。

本人が尊厳死を希望する意思があることを公正証書で示すことができます。

公正証書には、高い信用があります。

④治療を続けるか医師が判断

現在の日本では、尊厳死は法制化されていません。

延命治療を拒否する意思表示をしても、治療をする判断は医師に委ねられています。

一部の医師が回復の見込みがなくなったと言っても、他の医師は回復の見込みがあると判断するかもしれません。

同じ治療をしても、救命治療であるか延命治療であるか区別することはできないでしょう。

尊厳死宣言公正証書を見せて意思表示をした場合、医師は本人の強い意志があると判断するでしょう。

日本医師会や学会などは、尊厳死を容認しています。

本人の強い意思を尊重する判断をしやすくなるでしょう。

日本尊厳死協会のアンケート結果によると、尊厳死宣言を示したことによる尊厳死の認容率は9割を超えています。

尊厳死宣言公正証書に法律上の効力はなくても、医師や家族に意思表示をする意味があると言えます。

3尊厳死宣言公正証書を作る方法

①尊厳死宣言公正証書の作成の流れ

尊厳死宣言公正証書の作成の流れは、次のとおりです。

(1)尊厳死宣言公正証書の原案作成

(2)公証役場に提出して打合せ

(3)公証人の面談予約

(4)尊厳死宣言公正証書の作成

(5)尊厳死宣言公正証書の正本と謄本の受領

公証役場の混雑状況によりますが、原案作成から公正証書作成まで1か月程度かかります。

②尊厳死宣言公正証書の必要書類

尊厳死宣言公正証書を作成する場合、次の書類のうちいずれかが必要になります。

(1)印鑑登録証明書と実印

(2)運転免許証と認印

(3)パスポートと認印

(4)マイナンバーカードと認印

(5)その他の顔写真入り公的証明書と認印

③公証役場に手数料がかかる

尊厳死宣言公正証書を作成する場合、公証役場に手数料を支払う必要があります。

手数料は、作成手数料と謄本代で15000円程度です。

公証役場に出向くことができない場合、公証人に出張してもらうことができます。

出張してもらうときは、10000円程度加算されます。

④尊厳死宣言公正証書の文例

4尊厳死宣言公正証書と公正証書遺言の同時作成がおすすめ

尊厳死宣言は、終末期の医療に対する意思決定です。

自分自身の生き方を考えているでしょう。

自分の財産は、生きている間は自分で自由に処分することができます。

自分が死亡した後、だれに引き継がせるか自由に決めることができます。

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

尊厳死宣言公正証書と公正証書遺言は、どちらも公証人の関与で作成します。

尊厳死宣言公正証書を作成するのなら、公正証書遺言を一緒に作成するといいでしょう。

公証役場と打合せをするのも公証役場に出向くのも、まとめて済ませることができるからです。

尊厳死宣言公正証書と公正証書遺言の同時作成がおすすめです。

5尊厳死宣言を司法書士に依頼するメリット

生前対策=相続「税」対策の誤解から、生前対策をする人はあまり多くありません。

争族対策として有効な遺言書ですら、死亡者全体からみると10%未満です。

尊厳死宣言は、人間としての尊厳を維持したいという希望を文書にしたものです。

家族は元気だったときの姿を知っているから、ベッドに横たわるだけの姿を見ると動揺します。

回復の見込みのない状態だと分かっていても、判断ができません。

大きな苦痛を伴うことを知っていても、どうするかを判断したくない気持ちになるでしょう。

何も判断したくない、判断を先延ばししたいという気持ちから、延命治療が続けられます。

延命治療が続けられれば、苦痛も続きます。

延命治療が続く間、本人も苦痛が続き、見ている家族も苦痛が続くのです。

家族は、後々になっても、本人を苦しめてしまったのではないかと後悔するのです。

尊厳死宣言は、自己決定権を尊重するものです。

自分がどのような治療や措置を受けたいのか、どのような治療や措置を受けたくないのか、どのような最期を迎えたいのか意思を示すものです。

家族は、本人の意思をかなえてあげることができると救われます。

自分自身のためにも、大切な家族のためにも、意思を示してあげましょう。

大切な家族に面倒をかけないために尊厳死宣言書を作成したい方は、すぐに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

遺言書作成して特定遺贈

2024-06-18

1遺言書を作成して特定遺贈

①特定遺贈と包括遺贈

遺贈とは、遺言書を作成して財産を引き継いでもらうことです。

遺贈には、2種類あります。

特定遺贈と包括遺贈です。

特定遺贈とは、遺言書に、「財産〇〇〇〇を遺贈する」と財産を具体的に書いてある場合です。

包括遺贈とは、遺言書に、「財産すべてを包括遺贈する」「財産の2分の1を包括遺贈する」と割合だけ書いて財産を具体的に書いてない場合です。

2種類を組み合わせることもできます。

遺贈を受ける人のことを受遺者と言います。

②特定遺贈で具体的財産を引き継いでもらう

特定遺贈は、遺言書を作成して特定された具体的な財産を引き継いでもらうことです。

遺言書に書いてない財産を引き継ぐことはありません。

相続財産には、さまざまな種類の財産があるでしょう。

財産を引き継いでもらう場合、遺言書に基づいて相続手続をします。

相続手続先の人が分かるように、財産を特定することが重要です。

特定遺贈では、遺言書で特定された具体的な財産を引き継いでもらいます。

③相続人にも相続人以外の人にも引き継いでもらえる

特定遺贈は、遺言書を作成して相続人や相続人以外の人に財産を引き継いでもらうことです。

相続では、相続人が財産を引き継ぎます。

相続人以外の人が財産を相続することはできません。

会社などの法人やボランティア団体などが財産を相続することはできません。

会社などの法人やボランティア団体などは、相続人ではないからです。

相続人になる人は、法律で決められています。

法律で決められた人以外は、相続人になることはできません。

遺贈は、相続人に財産を引き継いでもらうことができます。

遺贈は、相続人以外の人に財産を引き継いでもらうことができます。

会社などの法人やボランティア団体などに対して、財産を遺贈することができます。

国や地方自治体などに対して、財産を遺贈することができます。

遺言書を作成して相続人や相続人以外の人に対して、遺贈をすることができます。

④特定遺贈がされたら遺産分割協議の対象外

特定遺贈は、遺言書を作成して特定された具体的な財産を引き継いでもらうことです。

特定遺贈をしたら、遺言書で特定された財産は受遺者に引き継がれます。

遺言書で、引き継ぐ人と引き継がれる財産が指定されているからです。

遺言書で引き継ぐ人が指定されていない財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は相続人全員の合意で決める必要があります。

相続財産の分け方を決めるため相続人全員でする話し合いを遺産分割協議と言います。

遺言書で引き継ぐ人が指定されている財産は、分け方を決める必要がありません。

特定遺贈をされた財産は、遺産分割協議は不要です。

特定遺贈を受けた人は、遺産分割協議に参加する必要はありません。

⑤特定遺贈を受けても債務を引き継がない

特定遺贈は、遺言書を作成して特定された具体的な財産を引き継いでもらうことです。

特定遺贈では、遺言書で特定された財産以外を引き継ぐことはありません。

相続財産には、さまざまな種類の財産があるでしょう。

プラスの財産とマイナスの財産両方が相続財産です。

特定遺贈を受けた場合、被相続人のマイナスの財産を引き継ぐことはありません。

包括遺贈では、被相続人のマイナスの財産も引き継ぎます。

特定遺贈を受けても、債務を引き継ぎません。

2特定遺贈は放棄ができる

①特定遺贈の放棄は遺贈義務者へ通知

特定遺贈は、遺言書を作成して財産を引き継いでもらうことです。

遺言書は、遺言者がひとりで作ります。

相続人や財産を受け取る人の同意なく、一方的に遺言書を作ることができます。

財産を引き継ぐことができるとは言っても、ありがた迷惑であることがあります。

遺言書に書いてあるからと言っても、相続人に気兼ねすることがあります。

相続人とトラブルになりたくないから、ご辞退したいことがあるでしょう。

遺贈は、放棄することができます。

特定遺贈を放棄する場合、遺贈義務者に通知します。

遺言執行者がいる場合、遺言執行者が遺贈義務者です。

遺言執行者がいない場合、相続人が遺贈義務者です。

遺言執行者も相続人もいない場合、相続財産清算人が遺贈義務者です。

特定遺贈の放棄は、遺贈義務者へ通知します。

②特定遺贈は一部放棄ができる

特定遺贈は、遺言書を作成して特定された具体的な財産を引き継いでもらうことです。

特定遺贈は、一部の財産だけ受け取って他の財産を放棄することができます。

例えば「現金500万円と土地を遺贈する」遺言書があった場合、次の選択をすることができます。

(1)現金500万円と土地を受け取る

(2)現金500万円のうち100万円と土地を受け取る(現金400万円を放棄する)

(3)現金500万円のうち100万円だけ受け取る(現金400万円と土地を放棄する)

(4)何も受け取らない(特定遺贈すべてを放棄する)

具体的に分けることができるのであれば、一部だけ受け取ることができます。

特定遺贈は、一部だけ放棄することができます。

③特定遺贈の放棄に期限はない

特定遺贈を放棄する場合、3か月以内などの期限はありません。

相続が発生してから何年も経過した後であっても、特定遺贈を放棄することができます。

遺言書に書いてあるのに特定遺贈を承認するのか放棄するのか分からないと、相続人が困ります。

遺贈義務者や利害関係人は、相当の期間を決めて特定遺贈を承認するのか放棄するのか質問することができます。

遺贈義務者や利害関係人からの質問に、返事をしないと遺贈を承認したものと見なされます。

遺贈を放棄したい場合は、期間内に放棄することを通知しましょう。

トラブルにならないように、配達証明付き内容証明郵便で通知するといいでしょう。

特定遺贈の放棄に、期限はありません。

④相続放棄をしても特定遺贈

特定遺贈は、遺言書を作成して相続人や相続人以外の人に財産を引き継いでもらうことです。

相続人に対して、特定遺贈をすることができます。

相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄の申立てをします。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなくなります。

相続放棄をした場合、相続することはできません。

相続放棄をした場合、特定遺贈を受けることができます。

相続と遺贈は、別の制度だからです。

相続放棄が認められたからと言って、遺贈を受ける資格がなくなることはありません。

相続放棄をしたうえで特定遺贈を受けたくない場合、あらためて特定遺贈を放棄する通知をする必要があります。

相続放棄をしても、特定遺贈を受けることができます。

3特定遺贈をするときの注意点

①遺言書を作っても遺留分が優先

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

遺言者の財産だから、遺言者の意思は最大限尊重されるべきでしょう。

遺言者の名義になっているとは言っても、遺言者ひとりで築いた財産ではないからです。

家族の協力があってこそ、築くことができたはずです。

遺言者名義の財産であっても、まったくの無制約の自由にすることはできません。

今まで協力してきた家族に酷な結果となるからです。

被相続人に近い関係の家族には、最低限の権利が認められています。

相続財産に対して認められる最低限の権利を遺留分と言います。

遺留分が認められる相続人を遺留分権利者と言います。

遺留分は最低限の権利だから、遺言書を作成するだけで遺留分を奪うことはできません。

遺留分に満たない財産しか配分されなかった場合、遺留分権利者は遺留分侵害額請求をすることができます。

財産の大部分を特定遺贈した場合、遺留分を侵害してしまうことがあります。

遺留分を侵害すると、大きなトラブルになるでしょう。

遺留分に配慮した遺言書作成をおすすめします。

遺言書を作っても、遺留分が優先します。

②遺言執行者選任で相続手続をおまかせできる

遺言書は、作成するだけでは意味がありません。

遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書のの愛用を実現するために、必要な権限が与えられます。

遺言執行者は、遺言書で選任することができます。

遺言執行者がいない場合、相続人全員の協力で遺言書の内容を実現します。

遺言書で特定遺贈をする場合、相続人に配分される財産が減ることになります。

相続人の中には、不満に思うことがあるでしょう。

不満を持つ相続人は、遺言執行に協力してくれないでしょう。

遺言執行者がいる場合、相続人は遺言執行を妨害することはできません。

遺言書の内容は、確実に実現してくれます。

遺言執行者がいると、わずらわしい相続手続はすべておまかせすることができます。

③財産が特定できないと遺言執行ができない

特定遺贈は、遺言書を作成して特定された具体的な財産を引き継いでもらうことです。

遺言書の記載があいまいである場合、具体的に特定できません。

遺言書に基づいて、相続手続を進めることができなくなるでしょう。

例えば、不動産で「自宅」などの記載は不明確です。

土地や建物などの不動産は、登記簿謄本を見て書き写します。

土地であれば、所在地、地番、土地の種類、地積を書いて特定します。

建物であれば、所在地、家屋番号、構造、面積を書いて特定します。

不動産の所在と住所が異なることは、たびたびあります。

固定資産税の課税明細書は、記載が省略されていることがあります。

遺贈する財産が特定できないと、遺言執行ができなくなります。

④不動産の特定遺贈で不動産取得税

不動産取得税とは、不動産を取得したときに1回だけ課される税金です。

遺言書を作成して、不動産を特定遺贈することができます。

有償取得でも無償取得でも、課税されます。

登記をしても登記をしていなくても、課税されます。

不動産の購入、建物の建築、贈与など、取得したときに課されます。

相続で不動産を取得した場合、不動産取得税は課されません。

包括遺贈で不動産を取得した場合、不動産取得税は課されません。

特定遺贈で不動産を取得した場合、不動産取得税が課されるときと課されないときがあります。

相続人が不動産を取得した場合、不動産取得税は課されません。

相続人以外の人が不動産を取得した場合、不動産取得税は課されます。

⑤農地の特定遺贈で農地法の許可

遺言書を作成して、不動産を特定遺贈することができます。

不動産が田や畑と言った農地であることがあります。

農地には、特別な規制があります。

農地は食糧生産のために重要なものだからです。

農地の名義変更をする場合、原則として農地法の許可を得る必要があります。

農地法上の許可が必要なのに許可が得られない場合、法律行為は無効です。

売買しても、無効になります。

名義変更も、できません。

有償取得でも無償取得でも、農地法の許可を得る必要があります。

相続で不動産を取得した場合、農地法上の許可は不要です。

包括遺贈で不動産を取得した場合、農地法上の許可は不要です。

特定遺贈で不動産を取得した場合、農地法上の許可が必要なときと不要なときがあります。

相続人が不動産を取得した場合、農地法上の許可は不要です。

相続人以外の人が不動産を取得した場合、農地法の許可を得る必要があります。

農地法上の許可なしで農地を取得した場合、農地法上の届出が必要です。

4遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。

遺言書は遺言者の意思を示すことで、家族をトラブルから守るものです。

遺贈とは、遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげるものです。

遺贈は簡単に考えがちですが、思いのほか複雑な制度です。

遺言執行には法的な知識が必要になります。

遺言の効力が発生したときに、遺言執行者からお断りをされてしまう心配があります。

せっかく遺言書を書くのですから、スムーズな手続を実現できるように配慮しましょう。

お互いを思いやり幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

司法書士に遺言執行を依頼する

2024-06-02

1遺言執行者とは

①遺言執行者は遺言書の内容を実現する人

遺言書は、遺言者の意思を示したものです。

遺言書を書いただけでは、意味がありません。

遺言書を書いただけで、自動的に遺言内容が実現するわけではないからです。

遺言書の内容を実現する人が遺言執行者です。

相続人は遺言の内容を見たら、被相続人の意思を尊重し、実現してあげたいと思うでしょう。

相続人にとって不利な内容になっている場合、遺言の実現に協力してくれないこともあります。

遺言執行者を選任しておくと、遺言執行者が遺言書の内容を実現してくれます。

遺言執行者は遺言の内容を実現するために必要な行為をする権限があります。

協力しない相続人が遺言執行を妨害した場合、原則として、妨害行為は無効になります。

遺言執行者はいてもいなくても、遺言書の効力に違いはありません。

遺言執行者がいると、確実に遺言者の意思を実現してもらえますから、安心です。

②遺言執行者の選任方法

遺言執行者を決める方法は、次の3つがあります。

(1)遺言書で指名する

(2)遺言執行者を指名する人を遺言書で指名する

(3)遺言者が死亡した後、家庭裁判所に選んでもらう

(3)家庭裁判所に遺言執行者を選んでもらうことを遺言執行者選任の申立てと言います。

相続発生後に、家族が家庭裁判所で手続をするのは手間がかかります。

家族に面倒をかけるより、遺言書で遺言執行者を指名するのがおすすめです。

遺言者は、遺言執行者を自由に指名することができます。

親族のうちから選んでも構わないし、司法書士などの専門家に依頼することもできます。

家族から選んだ場合、相続人同士の関係性や財産状況が分かっているので相続手続がスムーズに進むかもしれません。

難易度の高い相続手続や財産状況が複雑な場合、対応しきれなくなることがあります。

司法書士などの専門家に遺言執行者になってもらう場合、専門性や中立性の面から安心です。

③遺言執行者がいると家族がラク

遺言執行者がいても遺言執行者がいなくても、遺言書の効力にちがいはありません。

遺言執行者がいる場合、遺言執行者が遺言書の内容を実現します。

遺言執行者がいない場合、相続人全員の協力で遺言書の内容を実現します。

相続人全員が遺言書の内容に納得していて相続手続に協力できる場合、必ずしも遺言執行者を選任する必要はありません。

相続人の中には遺言書の内容に納得していても、相続手続に協力する時間的余裕がない人がいるでしょう。

相続手続に協力する気持ちがあっても、知識不足から行き違いを起こすことがあります。

相続手続は何度も経験するものではないから、だれにとっても不慣れでスムーズに手続を進めることができません。

相続が発生したら、膨大な手続があります。

相続手続をする先は、銀行などの金融機関や役所、法務局、家庭裁判所などです。

いずれも、平日の昼間しか手続できません。

相続手続をカンタンに考えていると、スムーズに行かない手続にイライラします。

仕事や家事で忙しい人にとって、不慣れな手続にさらにイライラが募ります。

遺言執行者がいる場合、面倒な相続手続をおまかせすることができます。

家族は待っているだけです。

遺言執行者がいると、家族はラクができます。

2遺言執行者になれる人なれない人

①未成年・破産者は遺言執行者になれない

未成年・破産者は、遺言執行者になることができません。

遺言書を作成したとき、未成年者であっても相続が発生したときに成年に達していれば遺言執行者になることができます。

結婚している人は未成年であっても、成年扱いされます。

破産申立の後、裁判所から免責許可決定を受けていれば、遺言執行者になることができます。

②相続人・受遺者は遺言執行者になれる

遺言者は、遺言執行者を自由に指名することができます。

財産を受け継いでもらう人を遺言執行者に指名することができます。

遺言書で相続人や相続人以外の人に財産を受け継いでもらうことを遺贈と言います。

遺贈で財産を譲り受ける人を受遺者と言います。

受遺者を遺言執行者に指名することができます。

多くの場合、遺贈で財産を受け継いでもらうのは相続人以外の人です。

相続人に財産を受け継いでもらう場合、相続させればいいからです。

不動産を遺贈する場合、遺贈登記が必要になります。

遺言執行者がいない場合で、かつ、相続人以外の人が受遺者として遺贈登記を申請する場合、相続人全員の協力が必要になります。

相続人以外の人が財産を受け取ることに、納得できない相続人がいるかもしれません。

遺言書の内容に納得できない相続人は、遺贈登記に協力してくれないでしょう。

遺言執行者がいる場合、相続人全員の協力は不要です。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人だからです。

協力しない相続人が遺言執行を妨害した場合、原則として、妨害行為は無効になります。

③司法書士に遺言執行を依頼できる

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

相続手続を相続人全員の代わりにやってくれます。

相続手続はカンタンに考えがちですが、想像以上に面倒で手間と時間がかかります。

相続手続は法律の知識が必要になることも少なくありません。

家族を遺言執行者に指名することができますが、荷が重いものです。

司法書士は、相続手続をはじめとする法律の専門家です。

司法書士などの専門家に遺言執行を依頼することができます。

家族がわずらわしい相続手続から解放されるから、家族のトラブルが軽減されます。

④遺言執行者が司法書士に遺言執行を依頼できる

遺言執行者は、未成年や破産者でなければだれでも指名することができます。

遺言執行者に就任した後、あまりの大変さに音を上げることがあります。

相続手続はだれにとっても経験が少ないためスムーズに進めるのが難しいからです。

遺言執行者は、司法書士などの専門家に遺言執行を依頼することができます。

2019年7月1日以前作成の遺言書で遺言執行者に指名された場合、止むを得ない理由があれば司法書士などの専門家にその任務を任せることができます。

遺言執行者に指名されたのが2019年7月1日以降作成の遺言書であれば、遺言執行者は自己の責任で司法書士などの専門家にその任務を任せることができます。

止むを得ない理由がなくても、専門家に任せることができるように変更になりました。

遺言執行は法律知識が必要な手続が多いので、専門家に任せる方がスムーズでしょう。

法律改正で、専門家に任せやすくなったといえます。

3遺言執行者の役割

①遺言執行者就任を通知する

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書の内容を実現するために必要な権限があります。

遺言執行者のやることは細々とあります。

遺言書の内容と遺言執行者に就任したことを相続人や遺贈を受ける人にお知らせします。

遺言執行者に指名されてもお断りができます。

お断りの理由を言う必要はありません。

仕事が忙しいでも、自信がないでも、何となく気が進まないでも構いません。

断るときは、すみやかに意思表示をしましょう。

②遺言書の検認の申立て

法務局保管でない自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合、遺言書の検認が必要です。

公正証書遺言は、検認不要です。

遺言書の検認には時間がかかることから、遺言書作成は公正証書遺言がおすすめです。

③相続人調査

被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍を取り寄せます。

戸籍の取り寄せは、思う以上に時間や労力がかかります。

古い戸籍は現在の戸籍と書き方が違ううえに、手書きなので読み解くのに苦労するかもしれません。

④財産調査

相続財産には、プラスの財産とマイナスの財産があります。

不動産の権利証や預貯金の残高証明書や借入金等を調査して、財産の全容を明らかにします。

財産を一覧表に取りまとめ、すみやかに相続人に交付します。

⑤遺言内容の執行

(1)預貯金などの解約

ほとんどの場合、相続財産に預貯金が含まれています。

銀行などの金融機関は口座の持ち主が死亡したことを確認すると口座を凍結します。

銀行の預貯金口座は日常生活に不可欠なので、すみやかに手続きする必要があります。

遺言書の内容を越えて手続きすることはできません。

例えば、〇〇銀行〇〇支店 普通預金 口座番号〇〇〇〇を相続人〇〇に相続させる

上記遺言がある場合、普通預金だけ解約できます。

別の支店の口座や定期預金は解約できません。

(2)不動産の名義変更

遺贈をする場合も、相続する場合も、遺言執行者が登記申請ができます。

遺言執行者は、司法書士や弁護士に依頼することができます。

(3)家庭裁判所へ申立てや役所への届出

子どもの認知や相続人廃除の申立て、相続人廃除の取消の申立てなどは遺言執行者がします。

申立てが認められた後、戸籍の届出も遺言執行者が行います。

⑥相続財産の換価

財産を売却して得られたお金を相続人に平等に分けるように指定してあることがあります。

不動産の場合、売却が指定してある場合でも、相続登記が必要です。

⑦遺言執行の完了報告

すべての任務が終了したら、相続人全員に職務完了を報告します。

4遺言執行を司法書士に依頼するメリット

遺言執行者は遺言書の内容を実現する人です。

相続人が遺言書の内容に納得していて、手続に協力的であれば、必ずしも、遺言執行者を選任する必要はありません。

子どもの認知など遺言執行者しかできない手続がある場合、遺言執行者を選任しておかないと、相続人に余計な手間をかけさせることになります。

遺言執行者は、相続開始後すみやかに手続を進めることができる時間と知識がある人を選ぶことが重要です。

その意味でも、家族より司法書士などの専門家に遺言執行を依頼する人が増えています。

以前は、遺言執行者は止むを得ない場合だけ、他の人に職務を任せることができるとされていましたが、現在は、止むを得ないなどの理由は不要になりました。

遺言執行者に指名され、職務をしてみたところ、思ったよりタイヘンだという場合、自己の責任で司法書士などの専門家におまかせすることもできます。

今後も、専門家に依頼する人は増えていくでしょう。

遺言執行を司法書士などの専門家に依頼した場合、相続人は基本待っているだけなので、トラブルになることが少なくなるからです。

家族を笑顔にするためにも、遺言書作成と遺言執行者選任しましょう。

家族の幸せのためにも、遺言書作成と遺言執行者選任を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

農地があるときの遺言書で農地法の許可

2024-05-22

1農地の名義変更に農地法の許可が必要

①農地の権利移動で農地法3条の許可が必要

農地は、食糧生産のために重要な役割を担っています。

勝手に手放したり勝手に農業をやめてしまうと、国の食糧生産に大きな影響があります。

農地の権利移動には、農地法第3条の許可が必要です。

許可が必要になる権利移動は、売買、贈与、賃貸などです。

農地法第3条の許可の要件は、次のとおりです。

(1) 全部効率利用要件

全部効率利用要件とは、農地の全部をつかって効率よく農業をすることです。

農地を耕作するのに充分な労働力が確保されているか技術があるか審査されます。

労働力が不足する場合、充分な能力がある機械があるか審査されます。

(2)農作業常時従事要件

農作業常時従事要件とは、農作業に常時従事することです。

常時とは、年間150日以上とされています。

住居と生計を同一する家族が満たせば認められます。

権利者本人だけでなく家族で助け合えば、要件を満たすことができます。

(3)下限面積要件

下限面積要件とは、農地を取得する人の耕作する面積の要件です。

下限面積は、5000平方メートルです。

すでに耕作している土地がある場合、合算して審査されます。

地域によっては、下限面積要件を緩和しています。

新規の就農者を増やしたいことがあるからです。

(4)地域調和要件

地域調和要件とは、地域の取組に協力的であることです。

地域の活動に支障がある場合、許可されにくくなります。

例えば、地域全体で無農薬栽培に取り組んでいる場合、協力しない人には許可されにくいでしょう。

②農地の転用で農地法4条の許可が必要

農地の転用とは、農地を農地以外の土地にすることです。

例えば、農地を宅地にして家を建てる場合、農地の転用に該当します。

農地の転用には、農地法第4条の許可が必要です。

③農地の転用と権利移動で農地法5条の許可が必要

農地の転用と権利移動をする場合があります。

例えば、農地を売却したうえで宅地にして家を建てる場合です。

農地の転用と権利移動をするには、農地法第5条の許可が必要です。

④許可がないと権利取得ができない

農地の権利移動には、農地法第3条の許可が必要です。

農地法の許可は、権利移動の効力発生要件です。

農地法の許可書が到達したときに、権利が移転します。

農地法の許可がないと、権利を取得することはできません。

2農地を相続させる遺言書

①農地を相続させる遺言書の記載例

遺言者は、次のとおり遺言する。

第1条

次の財産を、相続人○○に、相続させる。

所在 ○○市○○町○丁目

地番 ○番○

地目 畑

地積 200㎡

②相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

③相続で農地を取得するときは3条の許可不要

相続人になる人は、法律で決まっています。

法律で決められた人だけが相続人になります。

相続できるのは、相続人だけです。

相続人が農地を取得する場合、農地法第3条の許可は不要です。

被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。

子どもが農業をしないことがあります。

子どもは農業をしないけど、子どもの子どもが農業をすることがあります。

孫に農地を相続させたいと考えることがあります。

子どもが相続人になる場合、孫は相続人ではありません。

孫に相続させることはできません。

孫に農地を受け継いでもらいたい場合、別の方法を考える必要があります。

相続で農地を取得するときは、農地法第3条の許可は不要です。

④3条の許可なしで農地を取得したときは届出が必要

農地を取得する場合、原則として、農地法第3条の許可が必要です。

相続で農地を取得した場合、例外として、農地法第3条の許可が不要です。

農地法第3条の許可を得ずに農地を取得した場合、農地法第3条の3の定めにより届出が必要です。

農地法第3条の3の定めによる届出は、農業委員会に対して提出します。

提出期限は、相続があったことをしてから10か月以内です。

3農地を特定遺贈する遺言書

①農地を特定遺贈する遺言書の記載例

遺言者は、次のとおり遺言する。

第2条

次の財産を、◇◇に、遺贈する。

所在 ◇◇市◇◇町◇丁目

地番 ◇番◇

地目 畑

地積 300㎡

②特定遺贈は指定した財産を譲る

遺贈とは、被相続人が遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげることです。

特定遺贈とは、遺言書に、「財産◇◇◇◇を遺贈する」と財産を具体的に書いてある場合です。

特定遺贈では、遺言書に書いてある特定の財産を受け継ぐだけです。

遺言書に書いていない他の財産を受け継ぐことはありません。

③相続人以外の人に特定遺贈するときは3条の許可が必要

遺贈は、遺言書で財産を受け継ぐことです。

遺贈は、相続ではありません。

相続人以外の人が特定遺贈で財産を受け継ぐことができます。

相続人以外の人が特定遺贈で農地を受け継ぐ場合、農地法第3条の許可が必要です。

相続人以外の人に特定遺贈をしたい場合、許可されるのか農業委員会に確認しておくといいでしょう。

農業委員会の許可が得られない場合、遺言の内容は実現できなくなります。

子どもが相続人になる場合、孫は相続人ではありません。

孫に相続させることはできません。

孫に遺贈することができます。

孫が特定遺贈で農地を受け継ぐ場合、農地法第3条の許可が必要です。

孫は、相続人以外の人だからです。

④相続人に特定遺贈するときは3条の許可が不要

相続人や相続人以外の人に、遺贈することができます。

相続人に対して、農地を相続させることができます。

相続人に対して、農地を特定遺贈することができます。

相続人が特定遺贈で農地を受け継ぐ場合、農地法第3条の許可が不要です。

農地法第3条の許可なしで、農地を取得することができます。

農地法第3条の許可なしで農地を取得したときは、農地法第3条の3の定めによる届出が必要です。

4農地を全部包括遺贈する遺言書

①全部包括遺贈する遺言書の記載例

遺言者は、次のとおり遺言する。

第3条

全財産を、◇◇に、遺贈する。

②全部包括遺贈は全財産を譲る

遺贈とは、被相続人が遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげることです。

包括遺贈とは、遺言書に割合だけ書いて財産を具体的に書いてない場合です。

全部包括遺贈は、「財産すべてを包括遺贈する」と記載してある場合です。

全部包括遺贈をする場合、法定相続人や法定相続人以外の人に全財産を譲ってあげることができます。

③全部包括遺贈は遺産分割協議不要

全部包括遺贈を受けた場合、相続財産は相続人と共有することがありません。

相続が発生したときに、遺言書が効力を発します。

遺言書が効力を発したときに、全部包括受遺者が財産すべてを受け継ぎます。

全部包括受遺者は、遺産分割協議をする必要がありません。

相続人や全部包括受遺者が遺産分割協議を望んでも、遺産分割協議の余地がありません。

④相続人以外の人に包括遺贈するときは3条の許可が不要

包括遺贈を受けた場合、相続人と同一の権利と義務があります。

包括遺贈で農地を受け継ぐ場合、農地法第3条の許可が不要です。

農地法第3条の許可なしで、農地を取得することができます。

農地法第3条の許可なしで農地を取得したときは、農地法第3条の3の定めによる届出が必要です。

5農地を一部包括遺贈する遺言書

①一部包括遺贈をする記載例

遺言者は、次のとおり遺言する。

第3条

全財産の10分の1を、◇◇に、遺贈する。

②一部包括遺贈は指定した割合で譲る

遺贈とは、被相続人が遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげることです。

包括遺贈とは、遺言書に割合だけ書いて財産を具体的に書いてない場合です。

一部包括遺贈は、「財産の2分の1を包括遺贈する」と記載してある場合です。

包括遺贈では、何を遺贈するのか具体的財産は記載されていません。

③一部包括遺贈を受けたら遺産分割協議

一部包括遺贈は、指定した割合で財産を譲るものです。

一部包括遺贈を受けた場合、遺産分割協議に参加します。

包括受遺者が遺産分割協議に参加するのは、権利であるし義務でもあります。

遺言書は割合だけ書いてあるだけで、具体的な財産は記載されていないからです。

相続財産は、包括遺贈を受けた人と相続人全員で共有しています。

相続財産の分け方について、包括遺贈を受けた人と相続人全員で合意する必要があります。

包括受遺者がいるのに、相続人全員だけで遺産分割協議をしても無効です。

包括受遺者は、相続人と同一の権利義務が与えられているからです。

遺産分割協議の結果次第では、農地を受け取ることができないかもしれません。

一部包括遺贈を受けただけでは、何を受け取るのか決められていないからです。

一部包括遺贈を受けたら、遺産分割協議が必要です。

④相続人以外の人に包括遺贈するときは3条の許可が不要

包括遺贈を受けた場合、相続人と同一の権利と義務があります。

包括遺贈で農地を受け継ぐ場合、農地法第3条の許可が不要です。

農地法第3条の許可なしで、農地を取得することができます。

農地法第3条の許可なしで農地を取得したときは、農地法第3条の3の定めによる届出が必要です。

遺言書を作成して、孫に一部包括遺贈をすることができます。

孫が包括遺贈で農地を受け継ぐ場合、農地法第3条の許可が不要です。

⑤包括遺贈は負債も受け継ぐ

特定遺贈では、遺言書に書いてある特定の財産を受け継ぐだけです。

遺言書に書いていない他の財産を受け継ぐことはありません。

特定遺贈では、負債を受け継ぐことはありません。

包括遺贈を受けた場合、相続人と同一の権利と義務があります。

相続財産に負債がある場合、指定された割合で負債を引き継ぎます。

農業を営んでいる場合、多額の負債があることがあります。

包括遺贈を受ける場合、農地だけでなく多額の負債を引き継ぐことになります。

6遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書は、被相続人の意思を示すものです。

自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。

民法に遺言書を作ることができるのは、15歳以上と定められています。

死期が迫ってから、書くものではありません。

遺言書は被相続人の意思を示すことで、家族をトラブルから守るものです。

遺贈とは、被相続人が遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげるものです。

遺贈は簡単に考えがちですが、思いのほか複雑な制度です。

受け継いでもらう財産に不動産がある場合、譲ってもらう人だけでは登記申請ができません。

遺言執行者がいない場合、相続人全員の協力が必要です。

遺言書で遺言執行者を決めておきましょう。

遺言執行には、法的な知識が必要になります。

遺言の効力が発生したときに、遺言執行者からお断りをされてしまう心配があります。

遺言の効力が発生した後の場合、遺言執行者は家庭裁判所に決めてもらう必要があります。

不動産以外の財産であっても、遺言書の内容に納得していない相続人がいる場合、受遺者に引渡そうとしないこともあります。

せっかく遺言書を書くのですから、スムーズな手続を実現できるように配慮しましょう。

遺言執行者を選任することで、家族をトラブルから守ろうという気持ちを実現することができます。

お互いを思いやり幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

遺言書の内容は代襲相続できない

2024-05-19

1代襲相続とは

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

①配偶者は必ず相続人になる

②被相続人に子どもがいる場合、子ども

③被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

④被相続人に子どももいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することがあります。

これを代襲相続と言います。

相続人になるはずだった人の子どもの子どもが相続することを再代襲相続と言います。

2遺贈する遺言は代襲相続できない

①遺贈とは

遺贈とは、被相続人が遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげることです。

遺贈で財産を譲ってあげる人のことを遺贈者、譲ってもらう人を受遺者と言います。

相続では、法定相続人だけに譲ってあげることができます。

遺贈では、法定相続人に譲ってあげることもできるし、相続人以外の人に譲ってあげることができます。

譲ってもらう人は自然人でもいいし、法人などの団体でも差し支えありません。

遺言書に「遺贈する」とあれば、譲ってもらう人が相続人であっても相続人以外の人でも、遺贈で手続します。

②死亡した受遺者の子どもは代襲相続できない

遺言書に「□□に財産□□を遺贈する」と書いてあるケースがあります。

遺言書によって財産を譲ってもらう人が遺言者より先に死亡している場合、遺言のその部分は無効になります。

□□が遺言者より先に死亡している場合、「□□に財産□□を遺贈する」は無効になります。

□□の子どもが□□に代わって財産を受け取ることはできません。

遺言は死亡時に効力が発生するので、死亡時に受取人が存在している必要があるからです。

遺言によって財産を受け取る権利は、本人限りです。

遺贈する遺言内容は、代襲相続ができません。

「□□に財産□□を遺贈する」は無効になりますから、財産□□は遺言書に記載がない財産になります。

③財産は相続人全員の共有財産

□□が遺言者より先に死亡している場合、「□□に財産□□を遺贈する」は無効になります。

「□□に財産□□を遺贈する」が無効になるから、財産□□は遺言書に記載のない財産になります。

遺言書に記載のない財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

どのような分け方をする場合でも、受遺者の親族などの同意は必要ありません。

④予備的遺言が有効

遺言書がある場合、相続手続がスムーズに進みます。

遺言書がある場合、相続財産は遺言書のとおりに分ければいいからです。

受遺者が先に死亡した場合、遺言書の記載が無効になります。

せっかく遺言書を作成しても、相続人全員で相続財産の分け方の話し合いが必要になります。

遺言書を作成する際に、一工夫が必要になります。

「□□に財産□□を遺贈する」の他に「受遺者□□が遺言者より先に死亡した場合、受遺者の子ども□□□に財産□□を遺贈する」と書くことができます。

「受遺者□□が遺言者より先に死亡した場合、受遺者の子ども□□□に財産□□を遺贈する」を予備的遺言と言います。

⑤相続発生時に生きていた受遺者は遺贈を受けることができる

被相続人が死亡したときに、受遺者が生きていたのに相続手続中に受遺者が死亡することがあります。

被相続人が死亡したときに受遺者が生きていた場合、「□□に財産□□を遺贈する」は有効です。

相続手続中に受遺者が死亡しても、遺言書の内容は無効になりません。

受遺者□□は死亡後であっても、財産□□を受け取ることができます。

受遺者□□が財産を受け取った後、受遺者□□の相続人が財産□□を相続します。

3相続させる遺言は代襲相続できない

①死亡した相続人の子どもは代襲相続人

代襲相続とは、相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することです。

被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。

被相続人の子どもが被相続人より先に死亡した場合、子どもの子どもが代襲相続をします。

②遺言書の内容は相続人の子どもが代襲相続できない

遺言書に「相続人〇〇に財産〇〇を相続させる」と書いてあるケースがあります。

遺言書によって財産を譲ってもらう人が遺言者より先に死亡している場合、遺言のその部分は無効になります。

相続人〇〇が遺言者より先に死亡している場合、「相続人〇〇に財産〇〇を相続させる」は無効になります。

相続人〇〇の子どもが相続人〇〇に代わって財産を受け取ることはできません。

遺言は死亡時に効力が発生するので、死亡時に受取人が存在している必要があるからです。

遺言によって財産を受け取る権利は、本人限りです。

相続させる遺言内容は、代襲相続ができません。

「相続人〇〇に財産〇〇を相続させる」は無効になりますから、財産〇〇は遺言書に記載がない財産になります。

③財産は相続人全員の共有財産

相続人〇〇が遺言者より先に死亡している場合、「相続人〇〇に財産〇〇を相続させる」は無効になります。

「相続人〇〇に財産〇〇を相続させる」が無効になるから、財産〇〇は遺言書に記載のない財産になります。

遺言書に記載のない財産は、相続人全員の共有財産です。

相続人〇〇の子どもは、代襲相続人になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

相続人〇〇の子どもは代襲相続人として、相続財産の分け方の話合いに参加します。

相続人全員の合意が得られた場合、財産〇〇を相続することができます。

④予備的遺言が有効

受遺者も相続人も先に死亡した場合、遺言書の記載が無効になります。

せっかく遺言書を作成しても、相続人全員で相続財産の分け方の話し合いが必要になります。

「〇〇に財産〇〇を相続させる」の他に「受遺者〇〇が遺言者より先に死亡した場合、相続人〇〇の子ども〇〇〇に財産〇〇を相続させる」と書くことができます。

予備的遺言をすることでスムーズな相続手続が実現できます。

⑤相続発生時に生きていた相続人は相続することができる

被相続人が死亡したときに、相続人が生きていたのに相続手続中に相続人が死亡することがあります。

被相続人が死亡したときに相続人が生きていた場合、遺言書の内容は有効です。

相続人〇〇は死亡後であっても、財産〇〇を受け取ることができます。

相続人〇〇が財産を受け取った後、相続人〇〇の相続人が財産〇〇を相続します。

4遺言書は書き換えができる

遺言書は遺言者の意思を示すものです。

遺言書の書き方ルールは民法という法律で、細かく決められています。

遺言書を書くこと自体を大げさに考えて、書いたら終わりと思われがちです。

民法には、いつでも、遺言書の撤回ができるとはっきり書いてあります。

遺言書は、新たな遺言書で書き換え(撤回)ができます。

書き直しをするのも遺言書なので、本人以外が書き直しをすることはできません。

他の人が代理で書き直すことはできませんし、相続人が撤回することもできません。

自筆証書遺言で、かつ、些細な書き間違いであれば、内容訂正する程度でも差し支えありません。

大きな修正をする場合は改めて作った方がいいでしょう。

一度書いたら書き直しがなくて済む場合もあります。

状況が変われば書き直しすることは、割とよくあることです。

新たに誕生した孫や曽孫に財産を譲りたい場合、新たに書き直すことができます。

遺言書で財産を相続させる子どもがお世話をしてくれないのであれば、お世話をしてくれる子どもに財産を相続させると書き直すことができます。

財産を受け取ってもらいたい人が先に死亡した場合、引き継いでもらう内容を大きく変更したいことがあるでしょう。

予備的遺言で対応しきれない場合や複雑になる場合、遺言書の書き換えがおすすめです。

何度も書き直すことで、よりいい遺言書にすることができます。

5遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。

いろいろ言い訳を考えて、先延ばしします。

先延ばしした結果、認知症などになると遺言書を作れなくなります。

その先には、家族のもめごとが待っています。

家族がトラブルに巻き込まれることを望む人はいないでしょう。

死んだ後のことを考えるのは不愉快などと言えるのは、判断力がしっかりしている証拠です。

まず、遺言書を書くことをおすすめします。

遺言書があることでトラブルになるのは、ごく稀なケースです。

遺言書がないから、トラブルになることはたくさんあります。

遺言書1枚あれば、相続手続きは格段にラクになります。

状況が変われば、遺言書は何度でも書き直すことができます。

家族をトラブルから守りたい人は、司法書士に遺言書作成を依頼することをおすすめします。

不動産を相続させるときの遺言書の書き方

2024-04-16

1遺言書があると相続人の話し合いが不要

①分けにくい財産があると相続人全員の話し合いは難航する

相続財産にはいろいろな財産が含まれています。

不動産のように分けにくい財産もあるし、金銭のように分けやすい財産もあります。

相続が発生した場合、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

相続財産の大部分が不動産のような分けにくい財産の場合、相続財産の分け方についての合意が難しくなるでしょう。

②関係の薄い相続人がいると相続人全員の話し合いは難航する

相続人になる人は法律で決まっています。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

被相続人に離婚歴がある場合、元配偶者が引き取った子どもは、子どもとして相続人になります。

被相続人自身も、長期間疎遠にしていたかもしれません。

被相続人の配偶者が子どもの存在を知らなかったかもしれません。

絶縁していても行方不明になっていても、相続人です。

相続財産の分け方を決めるためには、相続人全員の合意が必要です。

相続が発生してからお互いの存在を知ったような場合、話し合いが難しくなります。

関係の薄い相続人がいる合、相続財産の分け方についての合意が難しくなるでしょう。

③遺言書で財産の行き先を決めておく

相続が発生したら、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

何も対策していなかったら、相続人全員で相続財産の分け方についての合意が不可欠です。

遺産分割協議はそうでなくても、トラブルになりやすい手続です。

話し合いが難航すると、トラブルに発展するおそれがあります。

難航するおそれがある場合、遺言書を作成することがおすすめです。

遺言書があれば、遺言書の内容とおり分ければいいからです。

2不動産を相続させるときの遺言書の書き方のポイント

①不動産を相続したら相続登記

不動産を相続したら、不動産の名義を変更します。

相続による不動産の名義変更を相続登記と言います。

不動産は重要な財産であることが多いので、相続登記は法務局が厳格に審査します。

遺言書の内容に従って相続登記をする場合、遺言書を法務局に提出します。

遺言書の書き方が不適切な場合、名義変更が認められません。

不動産を相続させるために遺言書を作成する場合、相続登記ができるように書くことが重要です。

②不動産は登記簿謄本を書き写す

対象の不動産は、客観的に特定します。

客観的に分からない場合、法務局は不動産を特定できないからです。

「自宅」などの記載は、客観的に特定できるとは言えません。

家族にとっては、自宅は当然のことでしょう。

法務局など第三者にとっては、自宅はどこにあるどの不動産なのか分からないからです。

不動産の所在は自宅住所と異なることが多いので、登記簿謄本を書き写しましょう。

固定資産税の課税明細書は、登記簿謄本と異なる表記がされていることや内容が省略されている場合があります。

登記簿謄本の記載を見て、書き写します。

③土地は所在、地番、地目、地積で特定する

「自宅」などの記載は、客観的に特定できるとは言えません。

自宅に住所があるのだから、住所を書けばいいだろうと考えがちです。

土地の所在は、土地の所在する場所を表すものです。

登記簿を調べると、住所地に複数の土地が所在していることがあります。

複数の土地がある場合、地番が異なります。

地番は、土地についている番号です。

同一の所在で同一の地番の土地が複数あることはありません。

登記簿謄本の記載を見て、土地の所在と土地の地番を書き写します。

念のため、地目と地積を書き写して特定します。

④建物は所在、家屋番号、種類、構造、床面積で特定する

「自宅」などの記載は、客観的に特定できるとは言えません。

人によっては、自宅が複数あることがあります。

建物の場合も、住所と建物の所在は別物です。

広い土地に建物が複数あることはよくあることです。

複数の建物がある場合、家屋番号が異なります。

家屋番号は、建物についている番号です。

建物が建っている主たる土地の地番と同じ番号が付けられることが多いです。

同一の所在で同一の家屋番号の建物が複数あることはありません。

登記簿謄本の記載を見て、建物の所在と建物の建物を書き写します。

念のため、種類、構造、床面積を書き写して特定します。

⑤敷地権付きマンションは特定するための項目が多い

マンションには、2種類あります。

敷地権付きマンションと敷地権がないマンションです。

分譲マンションのように1棟の建物の一部を独立して所有できる建物を区分建物と言います。

区分建物が建っている土地が敷地です。

敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利を一体化して処分するようにしたのが、敷地権付区分建物です。

敷地権付区分建物の場合、マンションを売買するとき敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利は一緒についてきます。

敷地を使う権利だけ取引することやお部屋だけ担保に差し出すことはできません。

敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利は、命運を共にする運命共同体です。

新しいマンションのほとんどは、敷地権付区分建物です。

敷地権付区分建物を特定するためには、次の項目を記載します。

(1)一棟の建物の表示

家屋番号、種類、構造、床面積で特定する

(2)専有部分の建物の表示

家屋番号、建物の名称、種類、構造、床面積で特定する

(3)敷地権の表示

土地の符号、所在、地番、地目、地積で特定する

マンションを特定するためには、たくさんの項目を記載しなければなりません。

⑥敷地権がないマンションは土地と建物を別々に特定する

古いマンションの中には、敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利を一体化して処分できるルールができる前に建てられた場合があります。

ルールができる前に建てられたマンションは、敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利を一体化していない場合があります。

土地と建物を特定する項目は、先に説明したとおりです。

土地は、所在、地番、地目、地積で特定します。

建物は、一棟の建物の表示として家屋番号、建物の名称、種類、構造、床面積を記載します。

専有部分の建物の表示として家屋番号、建物の名称、種類、構造、床面積を記載します。

土地は、マンションの所有者全員で共有しているでしょう。

共有持分の割合も記載します。

3土地を相続させるときの遺言書の記載例

①単独所有の土地の記載例

遺言者は、次のとおり遺言する。

第1条

次の財産を、相続人○○に、相続させる。

所在 ○○市○○町○丁目

地番 ○番○

地目 宅地

地積 200㎡

②土地の共有持分の記載例

遺言者は、次のとおり遺言する。

第2条

次の財産を、相続人○○に、相続させる。

所在 ○○市○○町○丁目

地番 ○番○

地目 宅地

地積 200㎡

持分 4分の1

③公衆用道路の記載例

遺言者は、次のとおり遺言する。

第3条

次の財産を、相続人○○に、相続させる。

所在 ○○市○○町○丁目

地番 ○番○

地目 公衆用道路

地積 3㎡

持分 10分の1

公衆用道路も土地のひとつです。

通常の宅地などと同様に、登記簿があります。

登記簿の記載を書き写せば問題ありません。

公衆用道路は、付近住民と共有していることが多いでしょう。

共有持分を一緒に記載します。

4建物を相続させるときの遺言書の記載例

遺言者は、次のとおり遺言する。

第4条

次の財産を、相続人○○に、相続させる。

所在 ○○市○○町○丁目

家屋番号 ○番○

種類 居宅

構造 木造瓦葺2階建

床面積 1階 50.00㎡ 2階 50.00㎡

5敷地権付きマンションを相続させるときの遺言書の記載例

遺言者は、次のとおり遺言する。

第5条

次の財産を、相続人○○に、相続させる。

(一棟の建物の表示)

所在 ○○市○○町○丁目○番地○

建物の名称 ○○○○マンション

(専有部分の建物の表示)

家屋番号 ○○町○丁目○番○の○

建物の名称 ○○○

種類 居宅

構造 鉄筋コンクリート造1階建

床面積 ○階部分 ○○.○○㎡

価格 金○○○○万円

(敷地権の表示)

符号 1

所在 ○○市○○町○丁目

地番 ○番○

地目 宅地

地積 ○○○.○○㎡

(敷地権の種類)

所有権

(敷地権の割合)

持分 ○○○○○○分の○○○○○○

符号 2

所在 ○○市○○町○丁目

地番 ○番○

地目 宅地

地積 ○○○.○○㎡

(敷地権の種類)

所有権

(敷地権の割合)

持分 ○○○○○○分の○○○○○○

6遺言書作成と遺言執行を司法書士に依頼するメリット

遺言書は遺言者の意思を示すものです。

遺言書の書き方ルールは民法という法律で、細かく決められています。

自分が死んだ後のことは考えたくないという気持ちから、先延ばししがちです。

いろいろ言い訳を考えてしまうかもしれません。

不動産は、分けにくい財産の代表例です。

目立った財産がないから、家族がもめ事を起こすことはないという言い訳はよく聞きます。

相続財産は自宅不動産だけの場合、目立った財産がない場合と言えるでしょう。

分けにくい不動産だけの場合、家族がトラブルになりやすいケースです。

家族がトラブルに巻き込まれることを望む人はいないでしょう。

死んだ後のことを考えるのは不愉快などと言えるのは、判断力がしっかりしている証拠ですから、まず遺言書を書くことをおすすめします。

トラブルにならない場合でも、遺言書があると相続手続は格段にラクになります。

状況が変われば、遺言書は何度でも書き直すことができます。

家族を幸せにするために遺言書を作ると考えましょう。

遺言書の書き直しのご相談もお受けしています。

家族の喜ぶ顔のためにやるべきことはやったと安心される方はどなたも晴れやかなお顔です。

家族の幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

遺言書作成後に書き換えができる

2024-04-07

1遺言書は書き換えができる

遺言書は遺言者の意思を示すものです。

遺言書の書き方ルールは民法という法律で、細かく決められています。

遺言書を書くこと自体を大げさに考えて、書いたら終わりと思われがちです。

民法には、いつでも、遺言書の撤回ができるとはっきり書いてあります。

遺言書は、新たな遺言書で書き換え(撤回)ができます。

書き直しをするのも遺言書なので、本人以外が書き直しをすることはできません。

他の人が代理で書き直すことはできませんし、相続人が撤回することもできません。

自筆証書遺言で、かつ、些細な書き間違いであれば、内容訂正する程度でも差し支えありません。

大きな修正をする場合は改めて作った方がいいでしょう。

一度書いたら書き直しがなくて済む場合もありますが、状況が変われば書き直しすることは割とよくあることです。

新たに誕生した孫や曽孫に財産を譲りたい場合、新たに書き直すことができます。

遺言書で財産を相続させる子どもがお世話をしてくれないのであれば、お世話をしてくれる子どもに財産を相続させると書き直すことができます。

何度も書き直すことで、よりいい遺言書にすることができます。

2遺言書を書き換えるときの注意点

①遺言書の書き換えをしたら原則新しい遺言書が有効    

新しい遺言書と古い遺言書がある場合、新しい遺言書が優先します。

古い遺言書は撤回されたと考えられるからです。

この場合、両立できない部分だけ、撤回されたと考えます。

古い遺言書

〇〇銀行の預貯金は相続人〇〇に相続させる

不動産〇〇は相続人◇◇に相続させる

新しい遺言書

不動産〇〇は相続人〇〇に相続させる

上記のように遺言書があった場合、新しい遺言書で、不動産についてのみ書き直されたと考えます。

預貯金については古い遺言書が効力を持っています。

複数の遺言書が見つかった場合でも、内容が両立できる部分は撤回されません。

新しい遺言書で内容が反映されていないと、トラブルの火種となります。

後から誤解を招くおそれがあることから、新たにすべての内容の遺言書を作成したほうがいいでしょう。

新しい遺言書の内容に〇年〇月〇日付遺言書は全部撤回するとして、撤回理由も書くと相続人も納得しやすくトラブルが減ります。

このうえで、古い遺言書を破り捨てると安心でしょう。

②遺言書の書き換えはいつでも何度でもできる

遺言書の書き直しは、遺言者が生きている間はいつでも何度でもできます。

相続人らと遺言書の書き直しはしませんと約束しても無効です。

書き直し回数の上限もありません。

何度でも書き直すことができます。

新たに孫や曽孫が誕生したから書き換える、財産の内容が変化したから書き直すこともよくあることです。

③遺言書の書き換えに承諾は不要

書き直しをするために相続人の承諾をもらう必要はありません。

書き直しをしたことをだれかに知らせなければならないといったこともありません。

最初に作った遺言書が公正証書遺言である場合、公正証書を作った公証役場に連絡する必要はありません。

新たに公正証書遺言を作る場合、以前公正証書遺言を作成したことを申告する必要はありません。

④自筆証書遺言でも公正証書遺言でも書き換えができる

遺言書を書き直す場合、遺言書の方式は問われません。

遺言の方式とは、自筆証書遺言、公正証書遺言といった遺言書の種類のことです。

自筆証書遺言、公正証書遺言いずれの方式でも書き換えることができます。

いずれの方式でも日付の新しいものが優先されます。

理論上は、日付の古い公正証書遺言を日付の新しい自筆証書遺言で書き直すことができます。

公正証書遺言は遺言内容を聞いた公証人が作るので、様式に不備がなく遺言書が確実に作ることができます。

自筆証書遺言はだれの確認も受けずに遺言者がひとりで作ることが多いので、遺言書が無効になりがちです。

後から書いた自筆証書遺言が無効になった場合、家族がトラブルになることが予想できるでしょう。

遺言書の書き直しは、できるだけ、公正証書遺言にすることをおすすめします。

⑤撤回遺言を撤回した場合は最初の遺言は復活しない

遺言書の書き換えはいつでも何度でもできます。

相続が発生した後、複数の遺言書が見つかることがあります。

例えば、1番目の遺言書が作られた後、2番目の遺言書が作られて、さらに3番目の遺言書が作られたようなケースです。

2番目の遺言書の内容が「1番目の遺言書を撤回する」の場合、1番目の遺言書は無効になります。

3番目の遺言書の内容が「2番目の遺言書を撤回する」の場合、2番目の遺言書は無効になります。

2番目の遺言書の内容が「1番目の遺言書を撤回する」で、かつ、3番目の遺言書の内容が「2番目の遺言書を撤回する」の場合、1番目の遺言書は復活しません。

2番目の遺言書で、撤回したからです。

「遺言書を撤回する」内容の遺言書を撤回遺言と言います。

撤回遺言を撤回した場合、最初の遺言書は無効のままです。

⑥撤回遺言を取り消した場合は最初の遺言は復活する

遺言書は遺言者の意思を示すものです。

遺言者が自分の意思で書くものです。

ときには、だれかに強迫されたりだまされて遺言書を書かされてしまう場合があります。

例えば、1番目の遺言書が作られた後、2番目の遺言書が作られた場合で、2番目の遺言書がだれかに強迫されたりだまされて書かされた遺言書であるケースです。

2番目の遺言書の内容が「1番目の遺言書を撤回する」の場合、通常は、1番目の遺言書は無効になります。

2番目の遺言書は、だれかに強迫されたりだまされて書いた遺言書です。

遺言者が自分の意思で書いた遺言書ではありません。

遺言者が自分の意思で書いたのではないから、遺言書を取り消すことができます。

2番目の遺言書を取り消した場合、2番目の遺言書は無効になります。

2番目の遺言書を取り消した場合、1番目の遺言書は復活します。

「1番目の遺言書を撤回する」は、遺言者の意思ではなかったからです。

⑦自筆証書遺言は検認が必要

遺言書の書き換えはいつでも何度でもできます。

自筆証書遺言を見つけた人は、家庭裁判所に対して検認の申立てをしなければなりません。

自筆証書遺言書がたくさんある場合、検認手続を何度もすることになります。

自筆証書遺言はだれの確認も受けずに遺言者がひとりで作ることが多いので、遺言書が無効になりがちです。

遺言書作成は書き換えも含めて公正証書遺言をおすすめします。

3撤回とみなされる行為がある

古い遺言書は新しい遺言書で撤回することができます。

新しい遺言書がなくても、撤回したとみなされることがあります。

撤回したとみなされるのは次の場合です。

①遺言書の内容と抵触する生前処分がされた場合

遺言書で不動産〇〇〇を相続人〇〇に相続させると書いた後、不動産〇〇〇を売ったり、贈与したりする場合です。

②遺言書を書いた人が故意に遺言書を捨てた場合

公正証書遺言原本は公証役場で保管されていますから、捨てることができません。

公正証書遺言を作成した後、正本と謄本が渡されます。

手元にある正本と謄本を破り捨てても意味はありません。

遺言書原本は公証役場に厳重に保管してあるからです。

公正証書遺言を撤回するためには、新たに遺言書を作る必要があります。

新たに作る遺言書は、トラブル防止のためにも、公正証書遺言をおすすめします。

③遺言書を書いた人が故意に目的物を捨てた場合

捨てるのは、物理的に捨てることをいいますが、経済的な意味で使えなくすることも捨てると同様だと解釈されます。

4家族信託契約は勝手に書き換えができない

家族信託では、信託契約の中でいろいろなことを自由に決めることができます。

家族信託がいつ終了するのか、信託契約の中で決めておくことができます。

信託が終了したら、だれが信託財産を受け継ぐのか、信託契約の中で決めておくことができます。

家族信託は契約ですから、当事者が一方的に書き換えをすることはできません。

家族の中に不信感がある場合、それぞれが自分に有利な遺言書を書いてもらいたいと考えます。

遺言書は何度でも書き換えができるからです。

身のまわりが不自由になって不安になっているときに、優しい言葉をかけられると有利な遺言書を書いてあげたくなります。

物事のメリットデメリットを充分に判断することが難しくなっても、遺言書の書き換えは続きます。

公正証書遺言を作成するのは、ほんの1時間程度でしょう。

見知らぬ公証人がいるときは、気丈にふるまうことが多いです。

1時間程度では気付かれずに遺言書を作ることができてしまいます。

家族信託契約の中で、だれが信託財産を受け継ぐのか決めておく方がいい場合があります。

家族信託契約は当事者が一方的に撤回することができないから、家族でよく話し合って契約することが重要です。

5遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書は遺言者の意思を示すものです。

自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。

いろいろ言い訳を考えて先延ばしします。

先延ばしした結果、認知症などで遺言書を作れなくなって、その先には家族のもめごとが待っています。

家族がトラブルに巻き込まれることを望む人はいないでしょう。

死んだ後のことを考えるのは不愉快などと言えるのは、判断力がしっかりしている証拠ですから、まず遺言書を書くことをおすすめします。

遺言書があることでトラブルになるのは、ごく稀なケースです。

遺言書がないからトラブルになるのはたくさんあります。

そのうえ、遺言書1枚あれば、相続手続きは格段にラクになります。

状況が変われば、遺言書は何度でも書き直すことができます。

家族を幸せにするために遺言書を作ると考えましょう。

遺言書の書き直しのご相談もお受けしています。

家族の喜ぶ顔のためにやるべきことはやったと安心される方はどなたも晴れやかなお顔です。

家族の幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

甥姪に相続させる遺言書

2024-04-01

1甥姪が相続人になるケース

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②甥姪と養子縁組で相続人になる

被相続人が養親になる養子縁組をしていることがあります。

養子縁組とは、血縁関係による親子関係の他に法律上の親子関係を作る制度です。

養子縁組をした場合、養親と養子は親子になります。

養子は、養親の子どもです。

養親に相続が発生した場合、養子は相続人になります。

養子は、養親の子どもだからです。

被相続人が兄弟姉妹の子どもと養子縁組をすることがあります。

養子は、養親の子どもです。

兄弟姉妹の子どもは、被相続人から見ると甥姪です。

兄弟姉妹の子どもと養子縁組をした場合、被相続人の子どもの身分と甥姪の身分があります。

養子は、被相続人の子どもになります。

相続が発生した場合、甥姪が相続人になります。

③甥姪が代襲相続人になる

被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。

相続人になるはずだった人が先に死亡した場合、相続人になるはずだった人の子どもが相続します。

相続人になるはずだった人が先に死亡した場合、相続人になるはずだった人の子どもが相続することを代襲相続と言います。

兄弟姉妹が相続人になるはずだったのに被相続人より先に死亡した場合、代襲相続が発生します。

相続人になるはずだった兄弟姉妹の子どもが代襲相続人です。

被相続人の兄弟姉妹の子どもは、被相続人から見ると甥姪です。

被相続人の兄弟姉妹が先に死亡した場合、甥姪が代襲相続人になります。

2相続できるのは相続人だけ

相続人になる人は、法律で決まっています。

相続が発生した場合、被相続人のものは相続人が相続します。

相続ができるのは、相続人だけです。

相続人以外の人は、相続することはできません。

被相続人の死亡をきっかけに、財産を譲る方法はいくつか考えられます。

相続人以外の人に財産を譲りたい場合、相続以外の方法で譲ります。

生前に何の準備をしていなくても、相続人は被相続人のものを相続します。

生前に何の準備をしていないと、相続人以外の人は被相続人の財産を受け取ることはできません。

「財産○○を相続人○○に相続させる」遺言書があれば、相続手続がラクになります。

遺言書で遺言執行者を指名しておくと、相続手続は遺言執行者におまかせできます。

甥姪が相続人になる場合、生前に何の準備をしていなくても相続することができます。

甥姪が相続人でない場合、生前に何の準備もしていないと財産を受け取ることはできません。

相続人でない甥姪に財産を受け取ってもらいたい場合、生前に財産を譲る準備が必須です。

自称専門家は、財産を譲ることをすべて相続と称して混乱させています。

相続ができるのは、相続人だけです。

相続人以外の人は、相続することはできません。

知識がない自称専門家に、充分注意しましょう。

3甥姪に遺贈ができる

遺贈とは、被相続人が遺言によって、相続人や相続人以外の人に、財産を譲ってあげることです。

遺贈で財産を譲り渡す人のことを遺贈者、譲り受ける人を受遺者と言います。

相続では、法律で決められた相続人だけが相続します。

遺贈では、相続人に譲ってあげることもできるし、相続人以外の人に譲ってあげることができます。

甥姪が相続人でない場合、遺言書で財産を譲ってあげることができます。

相続に対して遺贈することができるし、相続人以外の人に遺贈することができるからです。

遺贈には、2種類あります。

特定遺贈と包括遺贈です。

特定遺贈とは、遺言書に「財産〇〇〇〇を遺贈する」と財産を具体的に書いてある場合です。

包括遺贈とは、遺言書に「財産すべてを包括遺贈する」「財産の2分の1を包括遺贈する」と割合だけ書いて財産を具体的に書いてない場合です。

包括遺贈では、具体的な財産は書いてありません。

「財産の2分の1を包括遺贈する」とあった場合、財産の2分の1とは、どの財産なのか分かりません。

包括遺贈を受けた場合、相続人全員と遺産分割協議が不可欠です。

具体的にどの財産を受け取るのか、相続人全員と話し合いで決めなければなりません。

遺言書の記載は2分の1などの割合だけで、具体的財産の記載がないからです。

包括遺贈では、財産を譲ってもらう人は相続人と同一の権利義務が与えられます。

4甥姪に相続させる遺言書の注意点

①兄弟姉妹以外の相続人に遺留分がある

被相続人は、原則として、自分の財産をだれに受け継がせるかは自由に決めることができます。

財産は被相続人が一人で築いたものではないでしょう。

家族の協力があってこそ、築くことができた財産のはずです。

被相続人の名義になっているからといって、まったく無制約の自由にすることはできません。

今まで協力してきた家族に、酷な結果となることがあるからです。

被相続人に近い関係の相続人には、相続財産に対して最低限の権利が認められています。

相続財産に対して、認められる最低限の権利のことを遺留分と言います。

遺留分は、兄弟姉妹以外の相続人に認められます。

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

子どもが相続人になる場合、甥姪は原則として相続人になりません。

子どもが相続人になる場合、子どもには遺留分が認められます。

被相続人が「財産すべてを包括遺贈する」遺言書を作成して死亡することがあります。

全財産を遺贈した場合、相続人である子どもは何も相続することはできません。

相続財産に対して認められる最低限の権利すら相続できない場合、遺留分が侵害されています。

相続人である子どもは、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分侵害額請求がされる場合、相続人間で深刻なトラブルに発展します。

遺言書を作成する場合、相続人の遺留分に配慮することが大切です。

兄弟姉妹以外の相続人には、遺留分があります。

②相続人が兄弟姉妹なら遺留分侵害額請求はできない

遺留分は、相続人に認められる最低限の権利です。

被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。

兄弟姉妹は、相続人になっても遺留分が認められません。

被相続人が「財産すべてを包括遺贈する」遺言書を作成して死亡することがあります。

全財産を遺贈した場合、他の相続人は何も相続することはできません。

兄弟姉妹が相続人になる場合、遺留分は認められません。

兄弟姉妹は何も相続できなかった場合、何も請求することができません。

兄弟姉妹が被相続人より先に死亡していることがあります。

相続人になるはずだった兄弟姉妹が先に死亡した場合、代襲相続が発生します。

相続人になるはずだった兄弟姉妹の子どもが相続します。

代襲相続が発生した場合、被代襲者の相続分と遺留分を引き継ぎます。

兄弟姉妹は、相続人になっても遺留分が認められません。

相続人になるはずだった兄弟姉妹に遺留分はないから、兄弟姉妹の子どもにも遺留分はありません。

被相続人が「財産すべてを包括遺贈する」遺言書を作成して死亡した場合、兄弟姉妹や甥姪から遺留分を請求されることはありません。

③遺言書の内容は具体的に記載

相続財産の内容は、不動産、預貯金、株式、借金などいろいろな種類があるのが通常です。

遺言書で相続財産の分け方を指定する場合、遺産のうちどの財産についての記載なのか特定することが重要です。

遺言書は、相続人など家族だけが見るものではないからです。

相続が発生した後、遺言書を執行します。

相続手続先の人が見ても、内容を特定できる必要があります。

内容が特定できない場合、遺言書を執行することができません。

自宅を譲ってあげたい場合、「自宅」と記載したくなるかもしれません。

家族以外の第三者は、自宅とはどこの土地どこの建物なのか分かりません。

あいまいな表記では、第三者には分からないのです。

多くの場合、自宅には土地と建物があるでしょう。

土地と建物両方を別々に記載する必要があります。

登記事項証明書を見て書き写すといいでしょう。

遺言書の内容は、第三者にも分かるように具体的に記載することが大切です。

④遺言書の内容は代襲相続しない

遺言者は、遺言書で相続財産の分け方を指定することができます。

遺言者は、遺言書で相続財産を遺贈することができます。

相続人〇〇に相続させると遺言書に記載しても、相続人が先に死亡することがあります。

財産を受け取る人が先に死亡した場合、遺言書のその記載は無効になります。

遺言書は、相続が発生したときに効力が発生するからです。

相続人に子どもがいても、子どもが受け取ることはできません。

遺言書の内容は、代襲相続されないからです。

〇〇に遺贈すると遺言書に記載しても、受遺者が先に死亡することがあります。

財産を受け取る人が先に死亡した場合、遺言書のその記載は無効になります。

遺言書は、相続が発生したときに効力が発生するからです。

受遺者に子どもがいても、子どもが受け取ることはできません。

遺言書の内容は、代襲相続されないからです。

5公正証書遺言がおすすめ

①遺言書の種類

遺贈とは、被相続人が遺言によって、相続人や相続人以外の人に、財産を譲ってあげることです。

遺贈をしたい場合、遺言書を作成する必要があります。

遺言書の種類は、民法という法律で決められています。

大きく分けて普通方式の遺言と特別方式の遺言とあります。

普通方式の遺言は、次の3つです。

(1)自筆証書遺言

(2)公正証書遺言

(3)秘密証書遺言

特別方式の遺言は、次の4つです。

(1)死亡の危急に迫った者の遺言

(2)伝染病隔離者の遺言

(3)在船者の遺言

(4)船舶遭難者の遺言

特別方式の遺言は、生命の危機に迫っている人や航海中など交通できない人が作る特別の遺言です。

ごく稀な遺言と言えるでしょう。

多くの方にとって、遺言というと普通方式の遺言です。

自筆証書遺言か公正証書遺言を作成する人がほとんどです。

②公正証書遺言は費用がかかるけど安心確実

公正証書遺言は、遺言内容を公証人に取りまとめてもらって作る遺言書です。

遺言者が公証人に遺言内容を伝えて、証人2人に確認してもらって作ります。

せっかく遺言書を作成するのであれば、公正証書遺言がおすすめです。

費用はかかってしまうものの、メリットが大きいからです。

公正証書遺言の主なメリットは、次のとおりです。

(1)公証人が文面を取りまとめてくれる

(2)遺言書の書き方ルールの違反などで無効になりにくい

(3)相続発生後に家庭裁判所で検認手続が不要

(4)公証人が遺言者の意思確認をしているからトラブルになりにくい

(5)遺言書の紛失や改ざんがない

公正証書遺言がある場合、トラブルに発展するのはごくわずかです。

遺言書を作成するのであれば、公正証書遺言がおすすめです。

6遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

遺言書がある場合、遺言書の内容を実現してあげたいと思うでしょう。

相続が発生した場合、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。

相続財産は、相続人全員の合意で分け方を決めます。

相続人以外の人に財産を残したい場合、遺言書の作成は欠かせません。

インターネットが普及したから、たくさんの情報を手軽に入手することができます。

インターネット上には、適切な情報も適切でない情報も入り混じっています。

自称専門家は、相続人でない人が相続できるなどと曖昧な情報発信をしています。

スムーズな財産承継のため、信頼できる専門家のサポートが必要です。

家族をトラブルから守ろうという気持ちを実現するために、せっかく遺言書を書くのですから、スムーズな手続を実現できるように配慮しましょう。

相続人以外の他人に財産を残したい方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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