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相続放棄しても香典・弔慰金

2024-02-14

1相続放棄は家庭裁判所の手続

相続が発生したら、被相続人のものは相続人が引き継ぎます。

被相続人の財産は、プラスの財産とマイナスの財産があります。

相続財産というと、プラスの財産だけ注目しがちです。

マイナスの財産も、相続財産です。

相続が発生した場合、相続人は相続を単純承認するか相続放棄するか選択することができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に相続放棄を希望する申立てをします。

相続放棄は、家庭裁判所で手続が必要です。

家庭裁判所で相続放棄を認められた場合だけ、相続放棄の効果を得ることができます。

家庭裁判所が相続放棄を認めた場合、相続放棄申述受理通知書が届きます。

相続放棄をしたことは、相続放棄申述受理通知書を見せると分かってもらうことができます。

2単純承認をすると相続放棄が無効になる

①相続財産を処分・利用すると単純承認になる

相続が発生した場合、相続人は相続を単純承認するか相続放棄するか選択することができます。

法律で定められた一定の条件にあてはまるときは、単純承認したとみなされます。

単純承認とは、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継ぐものです。

相続財産を利用した場合や処分した場合、単純承認をしたとみなされます。

②単純承認は撤回できない

相続放棄は、撤回ができません。

撤回とは、相続放棄が受理されたときには何も問題がなかったのに、後から問題が発生したので、なかったことにすることです。

例えば「相続財産は借金ばかりだと思っていたから相続放棄をしたのに、プラスの財産は見つかったから相続放棄はなかったことにしたい」は撤回です。

相続放棄の撤回は、認められません。

相続放棄は、相続発生を知った時から、3か月以内に手続をする必要があります。

相続放棄が認められた後、3か月以内であっても撤回することはできません。

相続が発生した場合、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続人は、相続放棄をした後に撤回することはできません。

相続人は、単純承認をした後に撤回することはできません。

相続人は、単純承認と見なされた後に撤回することはできません。

撤回することを認めると、相続手続が混乱するからです。

相続放棄をした後に撤回できないように、単純承認も撤回することはできません。

単純承認と見なされたときも、撤回することはできません。

③家庭裁判所が認めてしまっても相続放棄が無効になる

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に相続放棄を希望する申立てをします。

相続放棄を希望する申立てを受け付けた後、家庭裁判所は審査します。

家庭裁判所は、受け付けた書類を見て審査します。

独自で調査をすることは、ありません。

受け付けた書類に問題がなければ、相続放棄は認められます。

ときには相続放棄ができないのに、相続放棄を希望する申立てが提出されることがあります。

受け付けた書類を見るだけでは、相続放棄ができないことに気付かないでしょう。

事情が分からないから家庭裁判所は、相続放棄を認める決定をしてしまうことがあります。

家庭裁判所の決定は、絶対的なものではありません。

単純承認をした後に、相続放棄をすることはできません。

単純承認を撤回することは、できないからです。

家庭裁判所が相続放棄を認めてしまっても、無効です。

家庭裁判所の決定に不服がある場合、債権者は相続放棄は無効だから借金を払って欲しいと訴えを起こすことができます。

家庭裁判所の決定は、絶対的なものではないからです。

債権者が起こした裁判の中で、相続放棄が無効であるのか有効であるのか裁判所が判断します。

3相続放棄しても香典・弔慰金

①香典は葬儀の主宰者への贈与

被相続人が莫大な借金を残した場合、相続人は相続放棄をしたいと希望するでしょう。

相続人が単純承認をした場合、相続放棄をすることはできません。

相続放棄はできないのに家庭裁判所に相続放棄の手続をして、相続放棄が認められても無効です。

家庭裁判所が事情を分からずに相続放棄を認めてしまっても、後から無効になります。

相続人が相続放棄をした場合、はじめから相続人でなくなります。

相続放棄が認められて相続人でなくなっても、被相続人の家族であることに変わりはありません。

大切な家族を失った場合、葬儀を出すでしょう。

葬儀の会葬者は、香典を持ってきます。

弔問客の意識としては、死亡した人に渡すものであるかもしれません。

被相続人は死亡した後だから、贈与を受け取ることができません。

香典は、葬儀の主宰者への贈与です。

香典を受け取った場合、単純承認になることはありません。

香典は、被相続人の財産ではないからです。

相続財産を処分・利用したものではありません。

香典の受領は、相続とは関係がありません。

香典は葬儀の主宰者への贈与だから、相続放棄が無効になることはありません。

②弔慰金は相続財産ではない

弔慰金とは、死亡した人を弔い遺族の気持ちを慰める気持ちを表すために企業などの団体や国などが支給する金銭です。

弔慰金の支給は、企業などの弔慰金支給規程に基づいて支給されます。

被相続人が生前に弔慰金を受け取る権利はなかったでしょう。

弔慰金を受け取る権利は、相続によって引き継いだものではありません。

弔慰金を受け取った場合、単純承認になることはありません。

弔慰金は、被相続人の財産ではないからです。

相続財産を処分・利用したものではありません。

弔慰金の受領は、相続とは関係がありません。

ときには弔慰金が社会通念に照らして、非常に高額であることがあります。

非常に高額な弔慰金は、弔慰金名目の死亡退職金の意味合いを含むと考えられます。

一定の基準以上の高額な弔慰金は相続財産でなくても、相続税の課税対象になります。

③香典で葬儀費用

葬儀費用の負担は、地域の慣習によるでしょう。

葬儀の主宰者が負担することがあります。

葬儀の会葬者から受け取った香典を葬儀費用に充てることができます。

香典は、葬儀の主宰者への贈与だからです。

香典は、相続財産ではありません。

被相続人の生前に香典を受け取ることはないからです。

香典で葬儀費用の支払いをした場合、単純承認になることはありません。

香典は、被相続人の財産ではないからです。

相続財産を処分・利用したものではありません。

香典で葬儀費用の支払いをした場合、相続とは関係がありません。

④相続放棄をしても葬儀費用

葬儀は、人生最後の儀式として重要なものです。

葬儀費用は、ある程度まとまった金額になります。

死亡の時期がだれにも分からないように、葬儀の時期もだれにも予想できません。

被相続人に預貯金があるのに、預貯金が使えないために葬儀を行えないとなったら非常識な結果になります。

相続人は被相続人の預貯金を使って、社会通念上相応の葬儀を行うことができます。

社会通念上相応の葬儀費用である場合、被相続人の預貯金から支出しても単純承認になりません。

葬儀は社会的儀式として必要性が高いと認められているからです。

⑤葬儀費用は固有の財産から支払いが安全

葬儀費用の支払いが単純承認にならないのは、社会通念上相応と認められた場合のみです。

○万円以内なら単純承認にならないという明確な基準があるわけではありません。

相続放棄をした人が相続財産から支出する場合、社会通念上相応と考える範囲でしょう。

相続放棄をした人にとって社会通念上相応と考える金額であっても、他の人は不相応に高額な支払いと考えるかもしれません。

債権者は、相続放棄をした相続人に対して被相続人に借金の支払いを求めることができません。

相続放棄が無効の場合、相続放棄が無効だから被相続人の借金を支払って欲しいと交渉することができます。

債権者は、相続放棄は無効だから被相続人の借金を支払って欲しいと裁判所に訴えることができます。

債権者は裁判所の決定に不服がある場合、裁判で争うことができるからです。

家庭裁判所は書類だけ見て相続放棄を認めるか判断します。

事情を知らずに相続放棄を認めてしまうことがあるからです。

被相続人にとって社会通念上相当と言える葬儀費用は、明確な基準があるわけではありません。

明確な基準がないから、債権者は相続放棄は無効と争ってくると言えます。

あえて債権者から疑いの目を向けられるリスクをおかす必要はありません。

相続放棄をした人が固有の財産から葬儀費用を支払うのが安全です。

⑥香典返しは葬儀の主宰者の負担

香典は、葬儀の主宰者への贈与です。

香典返しは、香典を持ってきた人に対する贈与です。

被相続人の死亡をきっかけに、贈与するものです。

被相続人の生前に香典返しをする義務はありません。

被相続人から引き継いだ債務ではありません。

相続とは無関係な贈与と言えます。

葬儀の主宰者が行う固有の贈与です。

葬儀の主宰者が行う固有の贈与だから、葬儀の主宰者が負担するものです。

葬儀の主宰者が相続放棄をした場合、相続財産を使うことはできません。

相続財産を利用・処分したと判断されるからです。

相続財産を利用・処分した場合、単純承認をしたと判断されます。

4相続放棄を司法書士に依頼するメリット

相続放棄は、その相続でチャンスは1回限りです。

家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続を取ることはできますが、高等裁判所の手続で、2週間以内に申立てが必要になります。

家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。

一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。

相続放棄は撤回ができないので、慎重に判断する必要があります。

せっかく、相続放棄が認められても、相続財産を処分した判断されたら無効になりかねません。

このような行為をしてしまわないように、あらかじめ知識を付けておく必要があります。

相続放棄を自分で手続したい人の中には、相続放棄が無効になることまで考えていない場合が多いです。

司法書士は、相続放棄が無効にならないようにサポートしています。

せっかく手続しても、相続放棄が無効になったら意味がありません。

相続放棄を考えている方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

投資信託があるときの遺産分割協議書

2024-02-09

1投資信託は相続財産

①投資信託は当然に分割されない

投資信託は、口数でカウントされます。

例えば、被相続人が○○ファンドを10万口保有していることがあります。

相続が発生した場合、被相続人の投資信託は相続の対象になります。

相続人が複数いる場合、被相続人の投資信託は相続人全員の共有財産です。

仮に相続人2人が平等に相続する場合、5万口ずつ当然に分割されることはありません。

○○ファンド10万口を相続人2人が共有しているだけです。

自動で1人5万口相続するわけではありません。

投資信託は、当然に分割されることはありません。

②投資信託が当然に分割されない理由

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

投資信託は口数でカウントされるから、当然に法定相続分で分割されると誤解しがちです。

投資信託を購入する人は、投資信託から利益を得たいと考えているでしょう。

投資信託の金銭支払請求権だけに注目してしまうかもしれません。

投資信託が適切に利益をあげるために、投資する人は投資信託を監督する機能があります。

例えば、投資信託の財産に関する帳簿書類を見せてもらう権利があります。

信託財産に関する帳簿書類を見せてもらう権利は、分割できる権利ではありません。

投資信託には、金銭支払請求権以外の権利が含まれています。

分割できない権利が含まれているから、投資信託は当然に分割することはできません。

③投資信託の分け方は相続人全員の合意で決める

被相続人が投資信託を保有していることがあります。

投資信託保有中に相続が発生した場合、投資信託は相続人全員の共有財産です。

投資信託が口数でカウントされていても、当然に分割されることはありません。

相続財産は、相続人全員の合意で分け方を決めなければなりません。

相続人全員の合意ができるまで、投資信託は相続人全員で共有になります。

投資信託は債権と案が得られることから、正確には準共有と言います。

投資信託の分け方について相続人全員の合意がまとまったら、合意内容を文書に取りまとめます。

相続人全員の合意内容を取りまとめた文書を遺産分割協議書と言います。

遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容の証明書です。

相続人全員で合意内容を確認して、記名し実印で押印します。

遺産分割協議書の押印が実印によるものであることを証明するため、印鑑証明書を添付します。

2投資信託があるときの遺産分割協議書

①投資信託やMRFの記載例

記載例

相続財産中、次の被相続人名義の財産については、相続人○○○○が相続する。

取扱金融機関 ○○証券○○支店

商品名 ○○ファンド

口数 ○○○○口

商品名 ○○マネーリザーブファンド

口数 ○○○○口

②遺産分割協議中も価格変動がある

相続が発生した場合、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。

相続財産に投資信託が含まれていた場合、投資信託は相続人の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

相続人全員の合意ができるまで、ある程度時間がかかるでしょう。

相続人全員の合意ができるまで、長期間かかることがあります。

投資信託は、日々値動きがあります。

投資信託の分け方を決める話し合いをしている間、値上がりし値下がりします。

投資信託の分け方を相続人全員で合意した後、値上がりし値下がりします。

相続財産の分け方について話し合いをする場合、他の相続人が受け取る財産の内容が気になるでしょう。

自分が投資信託を取得する合意をした後、値下がりしても合意を無効にすることはできません。

他の相続人が投資信託を取得する合意をした後、値上がりしても値上がり益の分配を求めることはできません。

投資信託は値動きがあることを承知したうえで、分け方について合意をする必要があります。

③遺産分割協議中も分配金が支払われる

投資信託の保有者には、定期的に元本償還金や収益分配金が支払われます。

投資信託の保有者が死亡しても、支払われます。

投資信託の分け方を決める話し合いをしている間も、支払いがされます。

元本償還金や収益分配金が支払われる投資信託である場合、支払スケジュールを確認しておきましょう。

支払われた元本償還金や収益分配金を含めて、相続財産の分け方を合意することでより公平な遺産分割をすることができます。

④解約違約金の特約がある可能性

投資信託には、購入から一定期間に売却する場合に解約違約金が発生する特約が付いていることがあります。

投資信託を相続した後、売却したいと考えていることがあるでしょう。

相続した後すぐに売却すると、結果として受け取る金額が少なくなるおそれがあります。

相続した後しばらく保有していた方が解約違約金の点から有利かもしれません。

投資信託は、日々値動きがあります。

解約違約金がかからなくなるまで保有し続けたことで、投資信託自体の値段が下がるおそれがあります。

解約違約金と値下がりリスクを充分に判断する必要があります。

⑤売却益に税金

投資信託を相続した後、売却したいと考えていることがあるでしょう。

投資信託を相続した場合、被相続人が投資信託を取得したときの取得価額は引き継がれます。

被相続人が投資信託を取得したときの価額から値上がりをしていることがあります。

値上がりしただけで投資信託を売却していない場合、売却益は得ていません。

値上がりした投資信託を売却した場合、売却益を得ることができます。

売却益は、課税対象です。

売却益は、譲渡所得にあたります。

売却益を得た場合、税金がかかります。

3投資信託があるときの相続手続

①死亡の連絡で口座凍結

口座の持ち主が死亡したことを証券会社に連絡します。

証券会社は口座の持ち主が死亡したことを知った時点で口座を凍結します。

口座の凍結とは、口座の取引をできなくすることです。

相続が発生した場合、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

相続人全員の合意がまとまらないうちに、一部の相続人が口座を解約してしまうことがあります。

相続人全員の合意が必要なのに、口座を解約したら相続人間で大きなトラブルになります。

証券会社は相続人間のトラブルに巻き込まれることになるでしょう。

他の相続人から強い抗議を受けることになります。

被相続人の財産を守れなかったとなると、証券会社の信用は失墜します。

証券会社は、信用失墜は何としても避けたいでしょう。

相続人間のトラブルに巻き込まれないため、被相続人が死亡した連絡を受けたら口座を凍結します。

②証券会社に書類を提出

口座の持ち主が死亡した場合、口座は凍結されます。

口座が凍結されると、口座の取引をすることができなくなります。

証券会社所定の相続手続をすれば、凍結解除してくれます。

証券会社によって違いはありますが、おおむね次の書類が必要です。

(1)遺言書がある場合

・遺言書

・遺言書の検認済証明書(法務局保管でない自筆証書遺言のみ)

・被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本

・遺言執行者の印鑑証明書

・遺言執行者がいない場合、相続人の印鑑証明書

(2)遺産分割協議をする場合

・被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

・相続人全員の現在戸籍

・遺産分割協議書

・相続人全員の印鑑証明書

(3)遺産分割調停・審判をする場合

・遺産分割協議調停調書または審判書

・相続人の印鑑証明書

相続によって追加で書類が必要になることがあります。

③相続人が口座を開設

被相続人の投資信託を相続するためには、相続人名義の口座が必要になります。

相続人が口座開設をします。

④被相続人の口座から移管

証券会社に相続手続をした場合、提出した書類の審査がされます。

問題がなければ、被相続人の投資信託は相続人の口座に移管されます。

相続人の口座に移管された後は、相続人が自由に処分することができます。

相続人の口座に移管された後は、被相続人の口座が自動で閉鎖されます。

4投資信託の相続を司法書士に依頼するメリット

金融商品にあまり関心のない相続人は、投資信託がよく分からないでしょう。

一般の預貯金であれば値動きがありません。

話し合いが長引いても、あまり大きな影響はありません。

投資信託は、株式や債券で運用します。

日々、大きな値動きがあります。

解約違約金がかかったり、税金がかかったりします。

投資信託は、預貯金などよりトラブルになりやすいものです。

証券会社などの手続も、分かりにくいことが多いものです。

このような手続は司法書士などの専門家に、丸ごとお任せできます。

トラブルなく円満な相続手続をしたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

家族が成年後見人になるときの注意点

2024-02-08

1成年後見(法定後見)とは

認知症や精神障害や知的障害などで、判断能力が低下すると、物事の良しあしが適切に判断することができなくなります。

また、記憶があいまいになる人もいるでしょう。

このような場合に、ひとりで判断することが不安になったり心細くなったりしてしまう人をサポートする制度が成年後見の制度です。

ひとりで判断することが不安な状態になると、自分に不利益になることが分からずに契約をしてしまったり、不必要であることが分からずに契約をしてしまうことがあります。

さらにそのような状態をつけこんでくる悪質な業者等の被害を受けてしまうことも考えられます。

本人がこのような被害を受けないようにするため、成年後見人をつけてサポートします。

成年後見人は本人の財産を管理することになりますから、大きな権限が与えられます。

成年後見人が心得違いをして、本人の財産を自分のものにしたり、自分のために使ったりすることがないようにルールが決められています。

2家族が成年後見人になるときの注意点

成年後見の申立をする場合、成年後見人の候補者を立てることができます。

成年後見人の候補者を立てても、家庭裁判所は見知らぬ第三者を成年後見人に選任することも、候補者になった家族を成年後見人に選任することもあります。

家族が成年後見人に選ばれる場合、多くは子ども、甥姪、孫などです。

注意①いったん後見人になると簡単にやめることはできない

一度、成年後見人に就任したら、原則として、辞めることはできません。

基本的に本人が死亡するまで、成年後見人を続けなければなりません。

成年後見人を辞任するためには、正当理由が必要です。

仕事が忙しくなったから、面倒になったから、自分の家族のことに専念したいからなどは認められません。

注意②財産管理で他の家族とトラブルになる可能性がある

成年後見人は、本人のために財産を預かっているものです。

財産管理の方針を理解してくれない他の家族がいる場合があります。

預かっている財産は、本人のものだから成年後見人の思うように使うことはできません。

本人の自宅を売却する場合など、本人のためになるものであっても家庭裁判所の許可が必要になります。

成年後見人は本人のために財産を預かっていますから、本人の利益にならないことはできません。

本人の財産を贈与することは、本人の利益とは言えないでしょう。

生前贈与などはできなくなります。

相続税を減らすための対策も、本人の利益のためではなく相続人の利益のための行為です。

本人の利益にならないことは、家庭裁判所から指摘注意を受けることになります。

注意③家庭裁判所への報告をする負担が重い

成年後見人は、他人の財産を預かる立場とされます。

本人の大切な財産を預かっているのですから、家庭裁判所の監視下に置かれます。

特に、多額の財産を預かっていることから、成年後見人が横領をする心配があります。

親や祖父母、叔父叔母など血縁関係が近い親族の場合、元気であれば、他人の財産という意識は少なかったでしょう。

例えば、家族総出で食事や旅行に行ったとき、元気なころであれば年長の親や祖父母などが家族全員の代金を負担していたケースも多いものです。

成年後見人に就任した後、親や祖父母の財産から家族全員の食事代や旅行代を支出することはできなくなります。

このような支出をすると、家庭裁判所から厳重注意を受けることになるでしょう。

厳重注意で済めばいいほうで、解任になることもあります。

実際、成年後見人による横領事件の90%以上は家族後見人によるものです。

このようなことがないように、事務報告書などを提出することが求められます。

親族だから、素人だから、事務仕事は苦手だからなど言っても、家庭裁判所は許してくれません。

負担が重いのであれば、専門家に書類作成を依頼することができますが、専門家への報酬は成年後見人の負担になります。

注意④報酬を請求するか請求しないかは自由

家族が成年後見人になる場合であっても報酬を請求することができます。

本人の財産を減らさないため、報酬を辞退して請求しないケースも多いです。

報酬を請求する場合、家庭裁判所に対して、報酬付与の申立てをする必要があります。

1年に1度くらいの頻度で申立をするといいでしょう。

報酬を請求する場合、他の家族にも情報共有することをおすすめします。

報酬でトラブルに発展することがあるからです。

3家族が成年後見人になるメリット

①本人の性格や好みを知っている安心感

成年後見が始まったときには、本人は判断能力が低下して適切な判断ができなくなっています。

本人をサポートするためとはいえ、全く知らない人からあれこれ言われると安心できなくなることも多いでしょう。

家族であれば、しっかりしていた頃の本人の性格や好みを知っていることが多いことから、本人の希望を活かしてあげることができます。

②報酬の支払が不要

まったく知らない専門家が成年後見人に選ばれたら、必ず、報酬を支払うことになります。

家族が成年後見人に選ばれたら多くの場合、報酬の受取を辞退されるでしょう。

③財産状況を外部の人に知られない

まったく知らない人に本人の財産状況を知られるのは、家族にとって精神的負担が大きいです。

家族だけで完結すれば、精神的負担が少なく済みます。

4家族が成年後見人になれないケース

成年後見の申立をする場合、成年後見人の候補者を立てることができます。

成年後見人の候補者を立てても、家庭裁判所は見知らぬ第三者を成年後見人に選任することも、候補者になった家族を成年後見人に選任することもあります。

成年後見人になれない人は次のとおりです。

①未成年者

②法定代理人や保佐人、補助人を解任された人

③本人に対して訴訟をした人とその人の配偶者、直系血族

④行方不明の人

①~④にあてはまる人は、成年後見人に選ばれることはありません。

本人の財産が多額の場合、司法書士などの専門家が選ばれます。

目安としては、預貯金が1000万円以上の場合、家族が成年後見人に選ばれることは難しいでしょう。

親族に対立がある場合、トラブルに発展しやすいです。

家庭裁判所は、家族を成年後見人に選ばず、見知らぬ専門家を選ぶ傾向があります。

成年後見人選任の申立ての時点で財産管理が不明瞭な場合、専門家が後見人に選任されます。

財産管理の実情が不明瞭の場合、本人の保護が難しくなるからです。

本人が収益不動産を保有している場合など、管理が複雑になりがちな場合もやはり、家族は成年後見人に選任されにくくなります。

5成年後見を司法書士に依頼するメリット

認知症や精神障害や知的障害などで、判断能力が低下すると、物事の良しあしが適切に判断することができなくなります。

また、記憶があいまいになる人もいるでしょう。

このような場合に、ひとりで判断することが不安になったり心細くなったりしてしまう人をサポートする制度が成年後見の制度です。

判断能力が低下すると、本人自身も不安になりますし、家族も不安になります。

成年後見に限らず、制度にはメリットデメリットがあります。

本人にとって気にならないデメリットもあります。

家族がサポートすれば問題のないデメリットもあるでしょう。

他の制度を活用すれば、差支えがないものもあります。

本人や家族の意見共有が重要です。

身のまわりの不自由を補うために、身近な家族がお世話をすることが多くなるでしょう。

成年後見の申立をする場合、家庭裁判所へ手続が必要です。

身のまわりのお世話をしている家族が本人の判断能力の低下に気づくことが多いです。

身のまわりのお世話をしながら、たくさんの書類を用意して煩雑な手続をするのは負担が大きいでしょう。

司法書士は裁判所に提出する書類作成もサポートしております。

成年後見開始の申立が必要なのに忙しくて手続をすすめられない方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

成年後見人による相続放棄

2024-02-07

1相続放棄とは

相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も相続人が受け継ぎます。

被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継がないことを相続の放棄といいます。

相続放棄をすると、プラスの財産を引き継がなくなりますが、マイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

相続の放棄は、被相続人ごとに判断できます。

例えば、父について相続放棄をするが、母について単純承認するでも差し支えありません。

相続の放棄は、相続人ごとに判断します。

例えば、父の相続ついて長男は相続放棄するが、長女は単純承認するでも差し支えありません。

2 認知症になると相続手続ができない

①認知症になると自分で相続放棄ができない

認知症になると、物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなります。

記憶があいまいになる人もいるでしょう。

物事のメリットデメリットを充分に判断できない状態では、有効に相続放棄の申立てをすることはできません。

認知症になったら、自分で相続放棄の申立てをすることはできなくなります。

②子どもなどが代理で相続放棄ができない

認知症で物事のメリットデメリットを充分に判断できないのなら、子どもなどが代わりに判断すればいいという考えもあるでしょう。

幼い子どもは、物事のメリットデメリットを充分に判断できません。

親などの法定代理人が代わりに、契約などの法律行為をすることができます。

幼い子どもの代わりに、親などの法定代理人が法律行為ができるのは、未成年だからです。

認知症になっている人は、未成年ではないでしょう。

子どもなどが勝手に相続放棄をすることはできません。

③相続手続の放置はデメリットが大きい

認知症の相続人がいると、相続手続全体が止まってしまいます。

どうしていいか分からずに、なんとなく先延ばししがちです。

相続手続の放置は、おすすめできません。

先延ばしすることにメリットはほとんどなく、デメリットが大きいからです。

3認知症の人は成年後見人が判断して相続放棄

①成年後見人は認知症の人をサポートする人

認知症になると、物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなったり記憶があいまいになったりします。

物事のメリットデメリットを充分に判断できない状態では、自分で適切な判断をすることができません。

成年後見人は、認知症の人をサポートする人です。

認知症の人は相続放棄をしたらどういう結果になるのかメリットデメリットを充分に判断できないから、成年後見人が代わりに判断します。

②成年後見人は本人の財産を守るために代理する

成年後見人は、認知症の人をサポートします。

認知症の人をサポートするとは、認知症の人の財産を守るという意味です。

認知症の人の利益にならないことや認知症の人の財産を守れない行為はすることができません。

成年後見人は認知症の人の財産を守るために、認知症の人の代わりをします。

認知症の家族の人の望みをかなえてくれる人ではありません。

③本人の利益を害する相続放棄はできない

相続の放棄は、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継がないことです。

一般的に、相続放棄をする理由は被相続人の借金を受け継ぎたくないためとか、費用がかかるだけであまり価値のない財産を受け継ぎたくないためといった理由が多いです。

被相続人の借金を受け継ぎたくないためであれば、本人の利益を害することはありません。

費用がかかるだけであまり価値のない財産を受け継ぎたくないためであれば、本人の利益になると言えます。

相続放棄の理由は、それだけではありません。

・裕福で生活に困らないから他の相続人に相続させたい

・一部の相続人に財産を集中させたい

上記の理由で相続放棄をする人がいます。

物事のメリットデメリットを充分に判断できる人が納得して相続放棄をするのであれば、何も問題はありません。

成年後見人は、認知症の人の財産を守るために代理をします。

裕福で生活に困らないから他の相続人に相続させたい場合、本人の利益にならないと判断されます。

相続税対策のため、相続放棄をすることもできません。

相続税対策は、相続人の利益のためにされるからです。

家族が成年後見人であっても家族以外が成年後見人であっても、本人の利益にならない相続放棄をすることはできません。

④成年後見人は利益相反行為ができない

成年後見人は、家庭裁判所が選任します。

成年後見開始の申立てをする際に、本人の家族を成年後見人の候補者として推薦することができます。

家庭裁判所は、家族の人を選任することもあるし、まったく別の人を選任することもあります。

本人の家族が成年後見人に選任された場合、成年後見人は本人の子どもなど近い関係の人が多いでしょう。

本人と成年後見人が同時に相続人になることがあります。

成年後見人は、本人が判断できないことを代わりに判断する人です。

本人の代わりに成年後見人が判断した場合、不適切なことがあります。

本人がソンすると成年後見人がトクをする場合です。

本人と成年後見人が同時に相続人になる場合、一方がトクをすると他方がソンする関係になります。

一方がトクをすると他方がソンする関係のことを利益相反と言います。

成年後見人が実際にトクするかどうかは、関係ありません。

成年後見人がトクしようとしたかどうかも、関係ありません。

一方がトクをすると他方がソンする関係は客観的に判断します。

客観的に見て利益相反になる場合、成年後見人は本人を代理することができません。

成年後見人が相続放棄をした後、本人の相続放棄の代理をする場合、利益相反になりません。

成年後見人と本人の相続放棄を同時に手続する場合、利益相反になりません。

利益相反になるかどうかは、客観的に判断されます。

⑤成年後見監督人がいる場合は成年後見監督人が代理する

成年後見人は、利益相反行為をすることができません。

成年後見(法定後見)では、成年後見監督人が置かれる場合があります。

成年後見監督人を置くか置かないかは、家庭裁判所が判断します。

成年後見監督人は、成年後見人を監督する人です。

普段は、成年後見人の監督やサポートをしています。

成年後見人が利益相反で本人を代理することができない場合、成年後見監督人が本人を代理します。

成年後見監督人が本人を代理する場合、本人の利益のために代理します。

⑥成年後見監督人がいない場合は特別代理人が代理する

成年後見人は、利益相反行為をすることができません。

成年後見(法定後見)では、成年後見監督人が置かれる場合もありますが、置かれない場合もあります。

成年後見監督人が置かれない場合、本人を代理する人がいません。

家庭裁判所に申立てをして、本人の代わりの人を決めてもらいます。

家庭裁判所に代理人を決めてもらうことを特別代理人選任の申立てと言います。

本人の家族が特別代理人に選任された場合、本人の利益のために代理をします。

本人の財産を守るため、特別代理人が本人の代理をします。

家族の意向をかなえるための人ではありません。

特別代理人が本人を代理する場合、本人の利益のために代理します。

4成年後見人による相続放棄の起算点

①相続放棄3か月以内の起算点は成年後見人が知ってから

成年後見人は、家庭裁判所が選任します。

家庭裁判所に成年後見人を選任してもらうことを、成年後見開始の申立てと言います。

事案の複雑さなどで期間は変わりますが、成年後見開始の申立てをしてから成年後見人が選任されるまでは、おおむね3~4か月ほどです。

相続放棄は、期限があります。

家庭裁判所に相続放棄の申立てができるのは、相続があったことを知ってから3か月以内です。

多くの場合、相続が発生してから成年後見開始の申立てをします。

成年後見人が選任されるまでに、3か月以上かかるでしょう。

本人が物事のメリットデメリットを充分に判断できない場合、相続の発生を知っても意味を理解できません。

本人が相続があったことを知ってから3か月以内に手続をしなければならないとしたら、酷な結果になります。

相続があったことを知ってから3か月以内のスタートは、成年後見人が知ってからです。

成年後見人は、認知症の人に代わって判断することができるからです。

②相続放棄3か月以内の起算点は成年後見人に就任してから

成年後見人は、家庭裁判所が選任します。

家庭裁判所が本人の家族を成年後見人に選任することがあります。

本人の家族は、相続の発生を知っているでしょう。

相続放棄は、相続があったことを知ってから3か月以内に家庭裁判所に申立てをする必要があります。

本人の家族が相続があったことを知ってから3か月以内に手続をしなければならないとしたら、酷な結果になります。

家庭裁判所が成年後見人に選任する前は、本人を代理することができないからです。

相続があったことを知ってから3か月以内のスタートは、成年後見人に就任してからです。

5相続放棄が認められた後でも成年後見を解除できない

成年後見人(法定後見人)が解任された場合、新しい成年後見人(法定後見人)が選任されます。

成年後見制度の利用をやめたわけではないからです。

成年後見制度を使い続ける限り、成年後見人(法定後見人)が死亡しても、解任されても、辞任しても、新しい成年後見人(法定後見人)が選任されます。

成年後見制度は、原則として、やめることができません。

成年後見制度をやめることができるのは、本人の判断能力が回復したときです。

判断能力が回復した診断書がある場合、成年後見制度をやめることができます。

本人や家族が、判断能力が回復したと主張するだけでは、成年後見をやめることができません。

相続手続の必要がある場合、成年後見開始の審判を申し立てるきっかけになります。

成年後見制度を使うきっかけとなった相続手続が終わった場合でも、成年後見をやめることはできません。

ひとりで判断することが不安になったり心細くなったりしてしまう人をサポートする制度が成年後見の制度だからです。

ひとりで判断することができない人を放置することは許されません。

家族が成年後見人(法定後見人)は不要だからやめたいと希望しても、本人の保護のため成年後見(法定後見)は続きます。

6認知症の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続が発生した後、相続手続を進めたいのに認知症の相続人がいて困っている人はたくさんいます。

認知症の人は、家族がお世話をしているでしょう。

家庭裁判所に後見開始の申立てや特別代理人の申立てをする必要があります。

法律の知識のない相続人にとって高いハードルとなります。

信託銀行などは、高額な手数料で相続手続を代行しています。

被相続人が生前、相続人のためを思って、高額な費用を払っておいても、信託銀行はこのような手間のかかる手続は知識のない遺族に丸投げします。

知識のない相続人が困らないように高額でも費用を払ってくれたはずなのに、これでは意味がありません。

税金の専門家なども対応できず、困っている遺族はどうしていいか分からないまま途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして相続手続を進めることができます。

自分たちでやってみて挫折した方も、信託銀行などから丸投げされた方も、相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

再配達削減のための取組

2024-02-06

オリーブの木司法書士事務所では、再配達削減の取組に協力しています。

働き方改革を推進し、働きやすい環境づくりを進めます。

オリーブの木司法書士事務所がお約束することは、次のとおりです

○ 時間帯指定の活用します
○ 各事業者の提供しているコミュニケーション・ツール等(メール・アプリ等)の活用します
○ コンビニ受取や駅の宅配ロッカー、置き配など、多様な受取方法の活用します
○ 発送時に送付先の在宅時間を確認します

再配達削減のために送る立場、受け取る立場で協力します。

不動産相続で配偶者居住権

2024-02-01

1相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

②~④の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

①配偶者は必ず相続人になる

②被相続人に子どもがいる場合、子ども

③被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

④被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続します。

相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することを代襲相続と言います。

2再婚歴があると相続が複雑になる

配偶者は、必ず相続人になります。

配偶者とは、相続が発生した時点の法律上の配偶者です。

資産家の人が再婚を希望する場合、子どもから強い反発を受けることがあります。

親の結婚を祝福したい気持ちはあっても、将来、発生する相続を考えると賛成できなくなるからです。

被相続人に配偶者がいない場合、相続財産は子どもで分けることになります。

被相続人に配偶者がいる場合、相続財産を配偶者と子どもで分け合うことになります。

配偶者と子どもで相続財産を分ける場合、配偶者の法定相続分は2分の1です。

子どもから見ると、財産を奪われる気持ちになります。

相続財産を脅かす存在に見えても不思議ではありません。

再婚配偶者と子どもの関係性がいいことは、あまりないでしょう。

3再婚した配偶者が相続した財産の行方

相続が発生したら、配偶者は必ず相続人になります。

自分が死亡した後も配偶者が自宅で安心して住み続けられるように、遺言書を書いておこうと考えるケースがあります。

遺言書を書くことで、トラブルを防止しようとするものです。

再婚の場合、もう少し先を考える必要があります。

被相続人が再婚である場合、前婚配偶者との間の子どもと後婚配偶者の間に血縁関係がありません。

被相続人の財産が後婚配偶者に相続された後、後婚配偶者が相続した財産は後婚配偶者の血縁関係者に相続されます。

前婚配偶者との間の子どもは、被相続人の後婚配偶者と血縁関係がないので後婚配偶者の相続人にはなりません。

被相続人の子どもにとって思い入れのある実家や先祖伝来の土地を、血縁関係がない後婚配偶者が相続した場合に問題になります。

後婚配偶者が相続したら、その後は、後婚配偶者の連れ子などが先祖伝来の土地を相続することになるからです。

先祖代々守ってきた土地を血縁関係のない人に相続されることに心理的抵抗を感じ、トラブルに発展します。

由緒がある家柄であると、被相続人自身も血縁関係のある人に受け継いでもらいたいと考えていることがあります。

自分が死亡した後、配偶者が自宅で住み続けられるようにしてあげたいが、配偶者死亡後は自分の血縁関係者が受け継いでもらいたいといった希望です。

この場合、自分の子どもに遺贈する旨の遺言を書いてもらうという方法も考えられます。

配偶者が遺言書を書くかどうかは、配偶者の気持ち次第です。

たとえ配偶者が遺言書を書いたとしても、自分が死亡した後に書き換えるかもしれません。

遺言書は何度でも書き直しができるし、何度でも撤回ができます。

書き直しや撤回はしませんという約束は無効です。

4配偶者居住権は住居を確保する制度

①配偶者居住権とは

配偶者居住権は、相続が発生してから配偶者が住む場所を失うことがないように保護するために作られた制度です。

配偶者居住権は、自動的に発生することはありません。

遺言書や遺産分割協議などで、権利を設定する必要があります。

②配偶者居住権は法律上の配偶者のみ

配偶者居住権は、法律上の配偶者だけ取得することができます。

事実婚・内縁の配偶者は、配偶者居住権を取得することはできません。

配偶者以外の相続人も取得することはできません。

③配偶者居住権は原則配偶者の終身存続

配偶者短期居住権は期間制限があります。

配偶者居住権の存続期間は、原則として終身です。

遺言書や遺産分割協議などによって、存続期間を決めることもできます。

④配偶者居住権は登記できる

配偶者居住権は、登記をすることができます。

要件を満たせば、配偶者短期居住権と配偶者居住権のいずれも、登記をしなくても成立します。

配偶者居住権はせっかく登記できるのに、登記しないと大きな不利益があります。

例えば、建物所有者が建物を売却してしまうことがあります。

建物の買主は、建物を使うため立ち退きを求めるでしょう。

配偶者居住権の登記があれば、建物の買主に立ち退きたくないなどと文句を言うことができます。

登記がしてあれば、建物の買主に配偶者居住権を盾にそのまま住み続けることができます。

登記がしてなければ、建物の買主に配偶者居住権があるから立ち退きたくないなどと文句を言うことはできません。

建物の買主に立ち退きたくないなどと文句を言うことができるのは、登記の重要な効力です。

配偶者居住権が成立する場合、建物所有者は配偶者を追い出すことはできません。

建物所有者は、配偶者居住権設定の当事者です。

配偶者居住権の登記があっても登記がなくても、配偶者居住権の行使の邪魔をすることはできません。

配偶者が建物から立ち退かなければならなくなったのは、もとはと言えば、建物所有者が建物を売却したせいです。

建物所有者が建物を売却したことで、配偶者は追い出されたと言えます。

配偶者が追い出されたことは、建物所有者が配偶者居住権の行使の邪魔をしたことと言えます。

配偶者居住権の行使の邪魔をしたことに対して、配偶者は損害賠償請求をすることができます。

配偶者は損害賠償請求をすることができますが、住み慣れた自宅を立ち退くこと負担は大きいと言えます。

5住む権利と所有権を分けて相続することができる

①配偶者居住権で相続財産の分け方の選択肢が増えた

配偶者居住権は、配偶者が自宅に住み続けることができる権利です。

配偶者居住権を設定した場合、建物所有権から配偶者居住権を分離したと言えます。

建物所有権は、配偶者居住権の負担付き所有権です。

相続財産に建物がある場合、住む権利と所有権を分けて相続することができます。

配偶者居住権は、自動的に発生することはありません。

相続財産の分け方の選択肢を増やすものです。

従来どおり、住む権利と所有権を分けずに相続することができます。

②配偶者居住権は遺言書で設定できる

被相続人の気持ちとしては、自分が死亡した後も配偶者が自宅で住み続けられるようにしてあげたいでしょう。

被相続人に再婚歴がある場合、最終的には自分の血縁関係がある子どもに受け継いでもらいたい気持ちもあるでしょう。

被相続人は遺言書を作成して、配偶者居住権を遺贈することができます。

遺言書で、自分の血縁関係がある子どもに配偶者居住権の負担付所有権を相続させることができます。

遺言書で遺言執行者を決めておくことができます。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者は、配偶者居住権設定登記や相続登記をすることができます。

遺言執行者がいると確実に遺言内容を実現してもらえるので安心です。

③配偶者居住権は遺産分割協議で設定できる

配偶者居住権は、設定行為が必要です。

相続財産は、相続人全員の合意で分け方を決定します。

相続財産に被相続人の自宅がある場合、相続人全員の合意で配偶者居住権を設定することができます。

配偶者居住権を設定することは、相続財産の分け方の選択肢のひとつだからです。

④配偶者の死亡で配偶者居住権は消滅

配偶者居住権の存続期間は、原則として終身です。

配偶者が死亡した場合、配偶者居住権は終了します。

配偶者は、所有権を相続したのでないから配偶者の連れ子などに引き継がれることはありません。

子どもが相続した配偶者居住権の負担付き所有権は、負担のない所有権になります。

先祖伝来の地は自分の家系の人に受け継いでもらいたいという気持ちをかなえることができます。

6配偶者居住権がある相続を司法書士に依頼するメリット

相続財産のほとんどが自宅不動産のみである場合、相続財産の分け方を決める話し合いは難航します。

住み慣れた自宅で住み続けたい相続人と相続財産を受け取りたい相続人が合意できないからです。

被相続人に再婚歴がある場合、相続人になる子どもと配偶者は血縁関係がありません。

被相続人の配偶者は、相続財産を脅かす存在に見えてしまいます。

相続人になる子どもと配偶者に血縁関係がある場合、配偶者の死亡後に配偶者が受け継いだ財産を相続することができます。

相続人になる子どもと配偶者に血縁関係がない場合、配偶者の死亡後に配偶者が受け継いだ財産を相続することができません。

配偶者の連れ子などが相続人になります。

被相続人の配偶者が自宅に住み続けることに賛成できても、後に配偶者の血縁関係者に相続されることに賛成できないことがあります。

配偶者居住権の制度ができたことで、住む権利と所有権を分けて相続することができるようになりました。

配偶者居住権は、新しい選択肢です。

メリットばかりでなくデメリットもあります。

メリットデメリットを充分に理解して納得して合意することが重要です。

配偶者居住権の設定を検討する方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

孤独死で引き取りを拒否しても相続放棄

2024-01-31

1遺体遺骨の引取に法的義務はない

①遺体遺骨の引取は遺族の判断

さまざまな家庭の事情から、連絡を取り合っていない家族がいることがあります。

孤独死が発見された場合、警察などから家族に連絡がされます。

家族が死亡したことの連絡と一緒に、遺体の引取を依頼されるでしょう。

警察などは家庭の事情が分からないから、血縁関係の近い人に連絡するのが一般的です。

家族や親族であっても、遺体の引取は拒否することができます。

遺体の引取をしないことで、他の親族から心無い言葉をかけられるかもしれません。

法的義務はなくても遺体を引き取らなかったことについて、良心がとがめるかもしれません。

親族との関係性や家庭の事情で異なりますから、落ち着いて判断するといいでしょう。

②遺体遺骨の引取を指名されていることがある

死亡した人が遺体や遺骨を引き取る人を指名していることがあります。

遺言書などで指定するケースや口頭で指名するケースです。

書面が作成されていなくても、死亡した人の意思として尊重されます。

死亡した人が一方的に指名しただけなので、指名された人はご辞退することができます。

遺体や遺骨の引取をためらう場合、過去に深い事情があったことでしょう。

遺体遺骨の引取に、法的義務はありません。

引き取るにしても引き取りを拒否するにしても、他の家族の意見を聞いて冷静に判断しましょう。

2遺体遺骨の引取を拒否したら自治体が埋火葬

①身元が分からない死亡者は行旅死亡人として埋火葬

死亡した人の身元が分からない場合、死亡地の自治体が遺体を引き取ります。

身元が分からない死亡者を行旅死亡人と言います。

行旅死亡人は、行旅病人及行旅死亡人取扱法の規定に基づいて自治体が火葬します。

死亡した人が身分証明書を持っていたとしても、本人と断定できないことがあります。

身元が分からない死亡者と同様に扱われます。

②遺体の埋火葬をする人がいないときは自治体が埋火葬

家族や親族であっても、遺体の引取は拒否することができます。

遺体の引取は、遺族の権利で義務でないと考えられています。

家族や親族が引き取りを拒否した場合、埋火葬をする人がないときになります。

遺体の埋火葬をする人がいない場合、死亡地の市町村長が埋火葬をします。

③埋火葬の費用は請求される

埋火葬の費用は、次の順序で負担します。

(1)死亡した人に遺留金銭や有価証券

(2)不足分は相続人の負担

(3)相続人から支払が得られない場合、死亡した人の扶養義務者の負担

(4)最終的に回収できない費用は自治体が負担

3遺体遺骨の引取を拒否しても相続放棄

①相続人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②遺体遺骨の引取と相続は別問題

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になるかどうかは、法律の定めで決まります。

被相続人と絶縁していても、相続人になるかどうかとは関係ありません。

絶縁していたとか絶交していたとかいう事情は、法律の定めとは無関係です。

被相続人の遺体遺骨を引き取っても引取を拒絶しても、相続人になるかどうかとは関係ありません。

さまざまな家庭の事情から、被相続人の遺体遺骨の引取を拒否することがあります。

被相続人の遺体遺骨の引取を拒否しても、相続人になる人は相続人になります。

③相続したくない場合は相続放棄

被相続人と連絡を取っていない状態では、死亡日に死亡の事実を知ることは少ないでしょう。

相続放棄は、家庭裁判所に届出をする必要があります。

この届出の期限は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内です。

「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。

被相続人や被相続人の家族と疎遠になっている場合、死亡直後に連絡されないことがあります。

被相続人が死亡してから何か月も経過した後に、自分が相続人であることを知るということがあり得ます。

被相続人が死亡してから3か月以上経過しているが、自分が相続人であることを知ってから3か月以内である場合、家庭裁判所に手続きすることができます。

死亡した人の遺体の引き取りを拒否した場合、死亡地の自治体が埋火葬をします。

埋火葬の費用は、次の順序で負担します。

①死亡者の財産→②相続人→③扶養義務者

相続人が相続放棄をした場合、はじめから相続人でなくなります。

②相続人として費用負担を求められることはなくなります。

相続人ではなくなっても、死亡した人の扶養義務者である場合は③扶養義務者として費用を請求されます。

4相続放棄をしても祭祀継承者

①遺骨は相続財産ではない

相続が発生した場合、被相続人のものは原則として相続財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

被相続人の遺骨は、被相続人の死後に生じます。

被相続人が生前から所有していたものではありません。

被相続人から相続するものではないから、相続財産ではありません。

②祭祀継承者が遺骨を引き取る

被相続人の遺骨は、被相続人から相続するものではありません。

被相続人の遺骨を相続人で分けるものではないことも理由のひとつです。

被相続人のものであっても、相続財産にならないものがあります。

相続財産にならない財産には、一身専属権や祭祀用財産があります。

祭祀用財産とは、墓地、墓石、仏壇、家系図などの先祖祭祀のための財産です。

被相続人の遺骨は、先祖祭祀のための財産と言えます。

祭祀用財産は、祭祀を主宰すべき人が受け継ぎます。

祭祀を主宰すべき人を、祭祀承継者と言います。

祭祀承継者が被相続人の遺骨を取得します。

③相続放棄と祭祀継承者は別問題

相続放棄をすると、プラスの財産を引き継がなくなりますが、マイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

相続放棄によって受け継ぐことがなくなるのは、相続財産についての話です。

被相続人の遺骨は、相続財産ではありません。

遺骨の引取は、相続放棄とは無関係です。

祭祀承継者が被相続人の遺骨を取得します。

相続放棄をした人が、祭祀承継者になることができます。

祭祀を主宰すべき人になる資格は、特にありません。

相続人であっても相続人以外の人でも、親族であっても親族でなくても、祭祀を主宰すべき人になることができます。

苗字が同じでない人であっても、祭祀承継者になることができます。

相続のルールが適用されるものではありません。

先祖を祀ることは、親族の伝統や慣習、考え、気持ちと切り離せないからです。

祭祀用財産は親族の伝統や慣習、考え、気持ちと切り離せないから、相続財産一般と同様に分配することはできません。

祭祀承継者は、次のように決められます。

(1)被相続人の指定に従う

(2)慣習に従って決める

(3)家庭裁判所で決定する

被相続人が祭祀を主宰すべき人として指定する場合、一方的に指定することができます。

トラブル防止のために、本人の同意をもらっておく方がいいでしょう。

5相続放棄を司法書士に依頼するメリット

祭祀用財産の継承は、相続とは別で扱われます。

被相続人の遺骨は、一般の財産とは同じように扱うことはできないから相続財産ではありません。

被相続人の遺骨は相続財産ではないから、相続放棄とも無関係です。

相続放棄をしても相続放棄をしなくても、被相続人の遺骨を受け継ぐことができます。

被相続人の遺骨は祭祀承継者に受け継がれます。

現代では家意識が薄れていますから、先祖祭祀は家の継承ではなくなっています。

死者に対する慕情、愛情、感謝の気持ちといった心情により行われるものと言えます。

被相続人と緊密な生活関係・親和関係にあって、被相続人に対しこのような心情を最も強く持っている人が受け継ぐといいでしょう。

一方で、祭祀継承者がお墓の近くに住んでいるとは限りません。

親族がお墓の移転にいい顔をしないかもしれません。

お墓の移転には想像以上の費用がかかる場合があります。

このようなことも含めて、相続財産の分け方の話し合いをする必要があります。

相続や祭祀承継者を決める場合、親族のいろいろな考えが表面化します。

相続放棄を考える方は、すみやかに司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

20年前の亡父の相続

2024-01-27

オリーブの木司法書士事務所にご依頼をいただきましてありがとうございました

1オリーブの木司法書士事務所にご依頼いただく前に、どのようなことでお困りでしたか。

亡くなった父名義の土地、20年以上前から相続手続をしないままで、追徴課税が多額にならないか心配だった。

2たくさんの事務所がある中から、オリーブの木司法書士事務所にご依頼をいただきまして、ありがとうございました。

オリーブの木司法書士事務所を知ったきっかけをお聞かせください。

司法書士会からの紹介

3オリーブの木司法書士事務所に依頼するときに、重視したことをお聞かせください。

何もわからないので、一から十まで伝えていただけること。

4実際にオリーブの木司法書士事務所にご依頼いただいたご感想をお聞かせください。

妻の養子の話まで、今件と関係ないが、役に立つことを教えていただき、大変感謝しています。

5このアンケートをオリーブの木司法書士事務所のホームページやパンフレット等に掲載してよろしいでしょうか。

氏名を掲載してよい

氏名 石黒達也 60歳代

オリーブの木司法書士事務所からコメント

オリーブの木司法書士事務所にご依頼をいただきましてありがとうございました。

石黒達也さまから、20年以上前に死亡したお父さまの相続登記をご依頼いただきました。

相続登記では、原則として、被相続人の除票を提出します。

除票は、市区町村役場に請求します。

今でこそ、除票の保管期間は150年です。

令和元年までは、たった5年でした。

今回は20年前の相続なので、被相続人の除票は取得できませんでした。

イレギュラーなケースでは、法務局によって取り扱いが異なります。

自分で相続登記をするときは、このようなイレギュラーなことが難しいかもしれません。

今までの相続登記の経験から、管轄法務局で必要をされる書類を準備しました。

結果、スムーズに登記完了しました。

今回、ご依頼をいただきましてありがとうございました。

遺言書作成して生命保険受取人を変更

2024-01-26

1遺言書を作成して生命保険の受取人変更ができる

①遺言書の書き方ルールは厳格に決まっている

法律的に有効な遺言をするには、民法の定めに従わなくてはなりません。

遺言者が死亡した後に、遺言書は効力が発生します。

遺言書の書き方ルールは、厳格に決まっています。

②遺言事項は法律で決まっている

法律の定めに従った遺言であれば、何を書いてもいいというわけではありません。

遺言書に書いておくことで、意味があること、効力があることも法律で決まっています。

遺言書に書いておくことで、意味があること、効力があることを遺言事項と言います。

遺言事項は、次のとおりです。

(1)財産に関すること

(2)身分に関すること

(3)遺言執行に関すること

(4)それ以外のこと

生命保険の保険金の受取人変更は、(4)それ以外のことです。

遺言書に書くことで、生命保険の保険金の受取人変更ができます。

保険契約の中で、保険金の受取人は配偶者や一定の血族に限定されていることが多いでしょう。

保険商品によっては、親族関係のない第三者を受取人にできるケースがあります。

③遺言書に付言事項を書くことができる

遺言書を作成する場合、法律上意味のないことを書くことがあります。

付言事項とは、遺言書に書いておくことで意味がないこと、効力がないことです。

法律上意味のないことを書いてはいけないというルールはありません。

現実に、法律上意味のないことを書く方はたくさんいます。

生命保険の保険金の受取人変更を書いた場合、以前、受取人だった人はびっくりするでしょう。

なぜ受取人変更をするのか、遺言書に理由を書いておくといいでしょう。

受取人を変更する理由は、法律上の効力はありません。

以前受取人だった人へのメッセージです。

変更する理由を詳細に書いておいた場合、受取人変更に納得しやすくなります。

そのうえで家族への感謝の気持ちや家族仲良く幸せに暮らして欲しいといった気持ちが書いておくといいでしょう。

家族仲良く幸せに暮らして欲しいなどに、法的な拘束力はもちろんありません。

これらの言葉があることで、家族のトラブルは確実に減ります。

2遺言書で受取人変更するとトラブルになる可能性がある

遺言書で受取人変更することができことは、保険法で明文化されました。

保険法は、平成22年4月1日施行されました。

平成22年4月1日より前の保険契約は、原則として、遺言書で受取人変更はできないとされています。

平成22年4月1日施行の法律だから、平成22年3月31日までにされた契約には適用されないからです。

保険会社によっては、保険契約の内容によっては、遺言書による受取人の変更を受け付けてくれる場合もあります。

遺言書による受取人の変更ができないのに、遺言書に受取人変更の記載があると相続人間のトラブルになることは容易に想像できるでしょう。

適切な遺言書で条件を満たせば、生命保険の受取人変更をすることはできます。

相続人間のトラブルになることを防止する観点からは、できるだけ生前に受取人を変更した方が確実です。

遺言書で生命保険の受取人を変更できるとしても、あまりおすすめできるものではありません。

受取人の変更を家族に知られたくない、相続人以外の人を受取人にしたいなど特段の事情がある場合でなければ、生前に手続をすることをおすすめします。

3旧受取人に支払われる可能性がある

①保険会社と旧受取人は遺言書の内容を知らない

適切な遺言書で条件を満たせば、生命保険の受取人変更をすることはできます。

遺言書の内容は、保険会社は通常知りません。

旧受取人も知らないことがあるでしょう。

生命保険がかけてある人が死亡した場合、死亡保険金が支払われます。

旧受取人は、何も知らずに死亡保険金を請求するでしょう。

保険会社は、請求があればすみやかに死亡保険金を支払います。

遺言書の内容を保険会社に知らせる前に、死亡保険金が支払済みになることがあります。

保険会社も旧受取人も、遺言書の内容を知らないからです。

変更後の受取人が保険会社に請求しても保険金は支払われません。

旧受取人に保険金が支払われた後だからです。

変更後の受取人は、保険会社に文句を言うことはできません。

遺言書の内容を保険会社に知らせる前に、死亡保険金が支払われたからです。

遺言書の内容を保険会社に知らせる前だから、保険会社に非はありません。

②旧受取人は引渡しに応じてくれない

支払い済みになった後、変更後の受取人が保険会社に請求しても保険金は支払われません。

新受取人は、旧受取人に保険金の引き渡しを請求することができます。

旧受取人に引渡しを請求しても、容易に引渡してくれることは少ないでしょう。

引渡しをめぐって、大きなトラブルになることが予想されます。

4相続人が受取人変更を保険会社に通知しない

①保険金が支払われる前に保険会社に通知

相続が発生したら、遺言書の内容を執行します。

生命保険の受取人変更がある場合、直ちに保険会社に連絡することが重要です。

旧受取人に保険金が支払われた後は、変更後の受取人が請求しても保険金は支払われないからです。

遺言書の内容を保険会社に知らせる前に、旧受取人に保険金が支払われた場合、変更後の受取人は保険会社に文句を言うことはできません。

旧受取人に保険金が支払われる前に、保険会社に通知しなければなりません。

②相続人は保険会社に通知しない

生前に受取人を変更すれば、旧受取人に支払われることはありません。

遺言書で受取人を変更する場合、旧受取人は相続人でしょう。

受取人変更を家族に知られたくないから、遺言書を作成したのでしょう。

変更後の受取人は、相続人以外の人であることが多いものです。

相続人以外の人に受取人を変更する場合、相続人が協力するのはレアケースです。

相続人が保険会社に遺言書の内容を伝えないことが想定されます。

③遺言執行者から保険会社に通知してもらう

保険会社に遺言書の内容を知らせるのは、相続人でも遺言執行者でも差し支えありません。

実質的に、相続人の協力は得られないと考えるべきでしょう。

遺言書で遺言執行者を指名することができます。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者から保険会社に連絡をしてもらうように手配するといいでしょう。

中立公正な立場から、遺言書の内容を実現してもらうことができます。

適切かつ公正な職務執行をする法律の専門家に遺言執行を依頼するのがいいでしょう。

遺言執行者は、生命保険の受取人変更を保険会社に通知することができます。

④家庭裁判所の検認手続は時間がかかる

遺言書は、多くの場合、自筆証書遺言と公正証書遺言です。

法務局保管でない自筆証書遺言は、家庭裁判所で開封してもらう必要があります。

家庭裁判所で開封してもらう手続を遺言書の検認と言います。

遺言書検認の申立てをしてから検認期日まで、およそ1~2か月かかります。

家庭裁判所で検認を受けていない遺言書は、受け付けてもらうことができません。

⑤公正証書遺言がおすすめ

遺言書で生命保険の受取人を変更する場合、すみやかに保険会社に連絡することが重要です。

家庭裁判所の検認手続が必要になる場合、すみやかに連絡することはできません。

検認期日までに旧受取人は保険金を請求するでしょう。

保険金が支払済みになったら、変更後の受取人は保険金を受け取ることができません。

生命保険の受取人変更がある場合、特に公正証書遺言がおすすめです。

公正証書遺言は、相続が発生した後に家庭裁判所の関与が不要です。

公正証書遺言は、すぐに執行することができます。

遺言書を作成する場合、公正証書遺言がおすすめです。

5公正証書遺言は相続人のトラブル防止に有効

適切な遺言書で条件を満たせば、生命保険の受取人変更をすることができます。

相続人以外の人に受取人を変更する場合、旧受取人が遺言書をよく思わないでしょう。

遺言書は脅されるなどして無理矢理書かされたものだとか、認知症が相当進んでいて意味を分かっていなかったなどと主張することが考えられます。

作成した遺言書が自筆証書遺言である場合、このようなトラブルに発展しがちです。

自筆証書遺言は、だれにも知られず一人で作ることができるからです。、

トラブル防止の観点から、公正証書遺言がおすすめです。

公正証書遺言は、遺言内容を公証人に取りまとめてもらって作る遺言書です。

遺言者が公証人に遺言内容を伝えて、証人2人に確認してもらって作ります。

公証人が関与して証人2人がいるところで、無理矢理書かされたなどあり得ません。

認知症が相当進んでいて意味を分かっていなかった場合、公証人は遺言書の作成はできないと判断するでしょう。

公証人は法律の専門家です。

厳格な遺言書の書き方ルールについて、精通しています。

公正証書遺言は、もっとも確実な遺言書を作ることができます。

トラブルを回避することが期待できます。

公正証書遺言原本は、公証役場で厳重に保管されます。

偽造・変造・隠匿・紛失などの心配もありません。

6遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書は、遺言者が死亡してから効力が発生します。

遺言者の死亡後に効力が発生するから、厳格な書き方ルールがあります。

自筆証書遺言は、専門家などの関与なくひとりで作られることがほとんどです。

厳格な書き方ルールの違反で、無効になりがちです。

せっかく相続人がトラブルに巻き込まれないように願って作った遺言書が無意味になります。

無意味になるだけでなく、トラブルのタネになりかねません。

生命保険の受取人の変更は、従来、遺言書で変更できるかについて争いがありました。

平成22年4月1日施行の保険法によって、遺言書で変更できることが明文化されました。

法律上は、遺言書で受取人の変更をできるようになりました。

あまりおすすめできるものではありません。

相続対策の一番大事な点は、相続人がトラブルに巻き込まれないようにすることです。

遺言書は、相続対策で重要な役割を果たします。

遺言書で受取人を変更する場合、トラブルに発展する危険が大きいからです。

やむを得ず、遺言書で生命保険の受取人変更をする場合、トラブルに発展するリスクを充分に理解したうえで実行する必要があります。

家族をトラブルに巻き込まないために遺言書作成を考えている方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

遺言書作成して相続させたくない

2024-01-26

1法定相続人と遺留分権利者とは

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

②~④の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

①配偶者は必ず相続人になる

②被相続人に子どもがいる場合、子ども

③被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

④被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続します。

このような相続を代襲相続と言います。

遺留分は①配偶者②子ども③直系尊属に認められます。

④兄弟姉妹は遺留分がありません。

遺留分が認められる人のことを遺留分権利者と言います。

代襲相続があった場合、法定相続分と遺留分は受け継がれます。

④兄弟姉妹は遺留分がありませんから、兄弟姉妹が被相続人より先に死亡したため、兄弟姉妹の子どもが相続する場合、兄弟姉妹の子どもは遺留分がありません。

故意に被相続人や先順位・同順位の相続人を殺害した人や殺害しようとした人などは、相続欠格者となります。

相続欠格者は相続資格を失いますから、遺留分も失います。

被相続人に対して、虐待や重大な侮辱をした人は、廃除されます。

相続廃除者は相続資格を失いますから、遺留分も失います。

2絶縁しても絶交しても相続人

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になるかどうかは、法律の定めで決まります。

被相続人と絶縁していても、相続人になるかどうかとは関係ありません。

絶縁していたとか、絶交していたとかいう事情は、法律の定めとは無関係です。

たとえ何十年も音信不通でも親子は親子です。

何十年も会っていなくても兄弟姉妹は兄弟姉妹です。

子どもが重大な親不孝をした場合に、親が子どもを勘当にすることがあります。

子どもを勘当にして、絶縁状を作ることがあります。

絶縁状を配達証明付き内容証明郵便で送られてきても、法的な効力はありません。

家の敷居をまたぐなとか、お葬式に呼ばないなども法的効力はありません。

生まれる前に父母が離婚したので、一度も被相続人に会ったことがない人もいます。

生まれてから一度も会ったことがなくても、子どもであることには変わりはありません。

3相続させたくない場合は廃除の申立て

被相続人を虐待したなど重大な理由がある場合、相続をさせたくないと考えることは自然と言えます。

絶縁状に法的な効力はありません。

家の敷居をまたぐなとか、お葬式に呼ばないなども法的効力はありません。

生きている間、交際をしない宣言に過ぎません。

相続をさせたくないと思ったら、まず、遺言書に虐待などをした相続人に相続をさせないと書くことが思い浮かぶでしょう。

虐待などをした相続人が兄弟姉妹であれば、遺言書を作成することで相続させないことが実現できます。

配偶者、子ども、親などの直系尊属に関しては、遺言書に書くだけでは不十分です。

兄弟姉妹以外の法定相続人には、遺留分があるからです。

遺言書を書いても、遺留分を奪うことはできません。

遺留分侵害額請求をしたら、相続財産のいくらかは虐待した相続人が受け継いでしまいます。

被相続人の意思で、相続人の資格を奪うのが、相続人廃除です。

相続人の資格を奪うというのは、実質的には、遺留分を奪うことです。

相続人廃除は家庭裁判所に申立てをして、家庭裁判所が判断します。

相続人が廃除されると、遺留分が奪われます。

相続人廃除の申立は被相続人が生前に申立てることもできるし、遺言書で行うこともできます。

遺言書で相続人廃除の意思表示を行った場合、相続が発生した後、遺言執行者が家庭裁判所に申立てを行います。

遺言書で遺言執行者が選任されていない場合、家庭裁判所に遺言執行者を選任してもらわなければなりません。

4「相続させない」遺言はトラブルのもとになる

絶縁状を渡した子どもに相続させたくない場合、「〇〇に相続させない」という遺言書を書くことが考えられます。

①子どもには遺留分がある

絶縁していたとか、絶交していたとかいう事情は、法律の定めとは無関係です。

たとえ何十年も音信不通でも親子は親子です。

子どもは、相続人になります。

兄弟姉妹以外の相続人には、遺留分があります。

子どもには、遺留分があります。

絶縁状を渡していても、子どもは相続人になります。

音信不通でも、子どもには遺留分があります。

「〇〇に相続させない」という遺言書を書いた場合、家族のトラブルに発展するでしょう。

子どもは遺留分侵害額請求をすることができます。

②「相続させない」遺言は廃除の意思があるのか分からない

遺言書を書く場合は、内容を明確にしておかなければなりません。

「〇〇に相続させない」という遺言書は、遺言者の意思があいまいです。

(1)〇〇に財産を相続させないけど、遺留分侵害額請求をすることを認める。

(2)〇〇に財産を相続させないうえに、遺留分侵害額請求をすることも許さない。

「〇〇に相続させない」という遺言書は、(1)と(2)のいずれなのか分からないからです。

(2)「遺留分侵害額請求をすることも許さない」場合、遺言執行者は家庭裁判所に対して、相続人廃除の申立てをしなければなりません。

遺言書で遺言執行者を選任しておいても、明らかにトラブルになる遺言書であれば、就任をご辞退されるでしょう。

遺言執行者に選任しても、就任前であれば、ご辞退ができます。

「〇〇に相続させない」という遺言書の解釈をめぐって、家族のトラブルになるのは明らかです。

遺言書で遺言執行者が選任されていない場合、家庭裁判所に遺言執行者を選任してもらわなければなりません。

家庭裁判所が遺言執行者を選任する場合、司法書士などの専門家が選ばれることがほとんどです。

家庭裁判所が選任した遺言執行者は家族の事情を全く知りません。

専門家は遺言執行者に選任されたら、遺言書に書いてあるとおりに相続人廃除の申立てをしてくれるでしょう。

相続人廃除の申立てをしてくれた場合であっても、相続人廃除が認められる可能性はとても低いでしょう。

家庭裁判所が選任した遺言執行者は、家族の事情を全く知らないからです。

家族の事情を全く知らない場合、相続人廃除が認められるような証拠を集めることは困難です。

家族のトラブルになるのは明らかですから、他の相続人が積極的に協力することは望めません。

被相続人は死亡していますから、家庭裁判所で証言することもできません。

(1)「遺留分侵害額請求をすることを認める」場合、遺留分に相当する財産を相続させる方がいいでしょう。

相続させたくない気持ちは分かりますが、家族をトラブルにしてまで相続させたくないのか充分に考える必要があります。

(2)「遺留分侵害額請求をすることも許さない」場合、生前に自ら相続人廃除の申立てをする方がいいでしょう。

家族の事情が分かっているから、証拠を集めることが容易です。

何よりも自ら家庭裁判所で証言することができますから、説得力が違います。

それでも家庭裁判所が廃除を認めることはめったにありません。

相続人廃除は、相続人の遺留分を奪う重大な決定だからです。

単に子どもが気に入らないとか、長期間会っていないからとか、再婚したから前婚の子どもには相続させたくないからなどの理由では認められません。

5遺言書を作れば兄弟姉妹に相続させないことができる

疎遠になっている兄弟姉妹より、配偶者に全財産を渡したい人も少なくありません。

兄弟姉妹には遺留分がありません。

配偶者に全財産を相続させる場合、兄弟姉妹は遺留分侵害額請求はできません。

財産を渡す相手は、親族以外でも構いません。

公益団体などに全財産を遺贈した場合でも、兄弟姉妹は何も言えません。

遺言書を作れば、兄弟姉妹に相続をさせないことが実現できます。

6遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

疎遠になっている相続人に相続させたくない人は少なくありません。

自分の財産は、原則として、自分の思いどおりに処分することができます。

だから、自分の財産を自分の思いどおりに相続させたいと思うのでしょう。

兄弟姉妹以外の相続人には、遺留分があります。

遺留分は、遺言書によっても侵害することはできません。

被相続人の名義になっている財産であっても家族の協力によって築いたものだからです。

遺留分を侵害するような遺言書は、トラブルに発展することが予想されます。

生前贈与して相続財産を減らせばよいと指南する自称専門家も散見します。

生前贈与に対して、遺留分侵害額請求をすることができます。

生命保険契約をして相続財産を減らせばよいと指南する自称専門家も散見します。

過大な生命保険に対して、遺留分侵害額請求をすることができます。

被相続人の財産は家族の協力があって築くことができたもののはずです。

すべてを自分の思いどおりにするより、家族へ感謝を伝えてあげる方が家族を幸せにすることができます。

一生をかけて築いた財産は、家族を幸せにするためのものだったでしょう。

せっかく築き上げた財産で家族がトラブルになったら、空しい苦労になります。

疎遠になっている相続人にも感謝を伝えてあげることで、家族も自分も幸せにすることができます。

トラブルになりにくい遺言書作成を考えている方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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