Author Archive

不在者財産管理人選任で不在の事実を証する資料

2026-06-17

1不在者財産管理人が行方不明者の財産を管理する

①不在の事実を証する資料で補充調査をする

不在者財産管理人選任の申立てでは、不在の事実を証する資料を提出します。

不在の事実を証する資料は、家庭裁判所による補充調査の資料です。

家庭裁判所は、捜査機関ではありません。

申立人から提出された不在の事実を証する資料で、補充調査の端緒をつかみます。

不在の事実を証する資料は、完璧である必要はありません。

家族など申立人の調査には、おのずから限界があるからです。

家庭裁判所は、公的機関から取得した公的資料を重視します。

取得しやすい資料から準備するのがいいでしょう。

②不在者財産管理人は行方不明者の代理人

遺産分割協議は、相続人全員の合意がないと成立しません。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話し合いです。

不在者財産管理人は、行方不明者の代理人です。

不在者財産管理人は、家族の希望をかなえる人ではありません。

行方不明の相続人に代わって、遺産分割協議に参加することができます。

不在者財産管理人と他の相続人全員が合意すれば、遺産分割協議が成立します。

③不在者は家庭裁判所が認定する

申立人など家族が主張するだけで、行方不明であると認められることはありません。

不在者財産管理人の選任は、行方不明者の財産権に直接影響するからです。

行方不明であることは、家庭裁判所が認定します。

家庭裁判所は、家族の希望をかなえる機関ではありません。

行方不明であると認定されたら、不在者財産管理人が選任されます。

行方不明であると認定されなかったら、不在者財産管理人が選任されません。

④家庭裁判所不在者と認める判断基準

条件(1)住所・居所から離れていること

住所・居所とは、生活の本拠です。

長期間、自宅に戻っていない場合、生活の本拠から離れていると言えます。

住民票があっても居住実態がない、賃貸借契約が継続していても居住実態がないことがあります。

形式より、実態が重視されます。

居住実態がない場合、住所・居所から離れていると認められます。

条件(2)現在どこにいるか分からないこと

家族・親族・勤務先などだれも、所在を把握していないことです。

連絡手段がすべて途絶して、郵便などが返送される状況です。

単に連絡に応じないだけでは、所在不明とは言えません。

客観的に所在不明である場合、現在どこにいるか分からないと認められます。

条件(3)所在不明が継続していること

所在不明が相当期間経過していることです。

明確な期間基準はないものの、年単位の消息不明が一般的です。

短期間の音信不通程度では、認められません。

年単位の消息不明が継続している場合、所在不明が継続していると認められます。

条件(4)財産管理ができないこと

本人の財産が管理できないまま放置されていることです。

共有関係や相続手続ができないことも、財産管理ができないことです。

不在者財産管理人制度は、行方不明者の財産を守る制度です。

財産管理の必要性があるか、厳しくチェックされます。

共有関係や相続手続ができない場合、財産管理ができないと認められます。

条件(5)いつ戻ってくるのか分からない

所在不明になったまま、いつ帰ってくるのか分からないことです。

旅行や留学など帰ってくる予定が明確である場合、不在者ではありません。

帰ってくる時期が不確実な場合、いつ戻ってくるのか分からないと認められます。

2不在者財産管理人選任で不在の事実を証する資料

①職権消除された住民票や戸籍の附票

行方不明者は、住民票上の住所地に居住していません。

実際にその住所に住んでいないにも関わらず住民票が残ったままだと、行政記録の正確性を維持できません。

職権消除とは、住民基本台帳法に基づいて本人申請なしで住民票が削除されることです。

市区町村は、次の場合に住所について調査をします。

・市区町村からの郵便が届かない

・居住者から申出がある

市区町村の調査で居住が確認できないと判断された場合、住民票は職権で消除されます。

住民票が職権消除されたケースとは、行方不明が公的に確認されたケースと言えます。

住民票や戸籍の附票の取得は、家族にとって最も着手しやすい手段です。

職権消除された住民票や戸籍の附票は、不在の事実を証する資料として提出することができます。

②行方不明者届受理証明書

行方不明者届とは、行方不明者について家族などが警察に対して捜索を求める届出です。

行方不明者届が受理されると、警察は照会や発見活動を行います。

行方不明者届受理証明書は、届出があった事実の証明書に過ぎません。

失踪の事実を直接証明する書類ではないものの、疎明する有力な間接証拠です。

行方不明者届には、いつごろから行方不明なのか、警察に届け出がされているか判明します。

警察署によっては、行方不明者届受理証明書を発行しないことがあります。

家庭裁判所による補充調査の出発点として、重視されます。

行方不明者届受理証明書は、家族にとって比較的着手しやすい手段です。

行方不明者届受理証明書は、不在の事実を証する資料の一部として提出することができます。

③「あて所に尋ねあたりません」で返戻された郵便物

行方不明者に連絡を取ろうとして郵便を出しても、返戻されることがあります。

差し出した郵便物には、「あて所に尋ねあたりません」とスタンプが押してあるはずです。

宛先住所に配達を試みたが、転居先不明等により所在が確認できなかったという意味です。

次のケースで、発生します。

・住民票を移さず転居している

・転送期限が切れている

・表札がなく所在が確認できない

・更地になっている

「あて所に尋ねあたりません」で返戻された郵便物は、その住所で受け取れなかったに過ぎません。

不在の事実を直接証明する書類ではないものの、疎明する有力な間接証拠です。

改めて戸籍の附票を取得すると、新住所が判明するかもしれません。

行方不明のはずなのに郵便が返戻されない場合、転居届を出しているかもしれません。

追跡可能な郵便を利用すると、転居届の有無が判明します。

返戻された郵便物は、家族にとって比較的着手しやすい手段です。

「あて所に尋ねあたりません」で返戻された郵便物は、不在の事実を証する資料の一部として提出することができます。

④金融機関等の取引状況資料

日常生活を送るうえで、金融機関との取引は欠かせません。

本人名義の口座やクレジット契約に利用実績がない場合、生活実態がないことを裏付けます。

金融機関等の取引状況に利用実績がない場合、社会的生活の断絶を示すと言えます。

金融機関等の取引状況資料は、生活実態がない可能性を示すに過ぎません。

例えば、次の可能性を排除できません。

・現金主義で生活している

・別口座を利用している

・海外で生活している

不在の事実を直接証明する書類ではないものの、疎明する有力な間接証拠です。

金融機関等の取引状況資料は、家族が取得できないことが多いでしょう。

取得できなければ、取得できませんでしたと上申書に記載することができます。

金融機関等の取引状況資料は、不在の事実を証する資料の一部として提出することができます。

⑤学校職場などの証明書

通常であれば継続して通学通勤しているはずなのに、一定の時期以降現れていないことの証明書です。

例えば学校などでは、次の書類です。

・最終登校日の証明書

・退学処分通知書

・長期欠席証明書

例えば職場などでは、次の書類です。

・無断欠勤が継続している証明書

・出勤簿やタイムカード

・無断欠勤継続による解雇通知書

・最終出勤日証明書

学校職場などの証明書は、社会生活の一部の痕跡が消えた証拠に過ぎません。

例えば、次の可能性を排除できません。

・転職

・自主退学

・単なる家出

不在の事実を直接証明する書類ではないものの、疎明する有力な間接証拠です。

学校職場などの証明書は、家族が取得できないことが少なくありません。

取得できなければ、取得できませんでしたと上申書に記載することができます。

学校職場などの証明書は、不在の事実を証する資料の一部として提出することができます。

⑥親族や知人からの陳述書

親族や知人からの陳述書で、次の点を上申することができます。

・最終連絡日時

・最終目撃日時

・行方不明になった当時の状況

・行方不明になった以降の捜索状況

具体的内容と経過が整合的で複数人一致すると、一定の信用が生じます。

不在の事実を直接証明する書類ではないものの、疎明する補強証拠です。

親族や知人からの陳述書は、協力してもらえる親族や知人のみで差し支えありません。

疎遠な親族や知人に対して、無理に陳述書を書いてもらう必要はありません。

親族や知人からの陳述書は、不在の事実を証する資料の一部として提出することができます。

⑦民間調査会社はコストパフォーマンスが悪い

家庭裁判所は、客観的に不在者であることを確認します。

職権消除された住民所や戸籍の附票は公的書類だから、高い信頼性があります。

返戻された郵便物は公的書類に準ずるから、高い信頼性があります。

民間調査会社は、調査手法が不明確です。

適切な調査であったのか適切な調査内容であったのか、家庭裁判所は検証できません。

公的機関が作成した資料は、客観的資料として家庭裁判所は高い信頼を置きます。

民間調査会社が作成した資料は、調査手法や調査内容が不透明なためほとんど信頼されません。

民間調査会社を利用すると、非常に高額な費用が発生します。

家庭裁判所からほとんど信用されないうえ費用が高いから、コストパフォーマンスが低いと言えます。

⑧補充調査で見つかったら不在者財産管理人は選任されない

家庭裁判所は、提出された書類のみで判断しません。

提出された書類を参考にして、補充調査をします。

家族などが調査をする場合、公的機関や医療機関は個人情報を盾にして答えてくれません。

家庭裁判所が調査をする場合、公的機関や医療機関は照会に応じます。

家族が行方不明者を探せなくても、家庭裁判所の調査で見つかることがあります。

行方不明者の消息が見つかったら、不在者財産管理人は選任されません。

⑨複数組み合わせて不在の事実を証する資料

不在の事実を証する資料では、次の事項を確認できるように準備します。

・行方不明の開始時期

・生死不明の状態の継続

・捜索をしても行方不明であること

上記の事項をもれなく確認できる書類は、存在しません。

複数の資料を多角的に準備して、不在の事実を証する資料とします。

⑩完璧な資料を準備できなくてもいい

不在の事実を証する資料だけで、不在者財産管理人を選任するか決定することはありません。

家庭裁判所は、補充調査をすることができるからです。

不在の事実を証する資料は、合理的な範囲で調査したことを示せば問題ありません。

例えば行方不明者届受理証明書を発行してもらえなければ、発行してもらえませんでしたと陳述書に記載することができます。

完璧な資料を準備できなくても、不在者財産管理人選任の申立てができないことはありません。

3行方不明者がいるときに最適な選択をする

選択①長期間生死不明なら失踪宣告

失踪宣告とは、行方不明者を死亡扱いにする手続です。

不在者財産管理人制度と失踪宣告の目的は、全く異なります。

不在者財産管理人制度は、失踪宣告の代替手段ではありません。

不在者財産管理人制度を失踪宣告の代替手段にすると、家族の期待がデメリットになります。

不在者財産管理人の選任をしても、デメリットを許容できずに失踪宣告をすることになります。

失踪宣告が適切なのに不在者財産管理人制度を利用すると、二度手間になります。

選択②連絡無視の相続人には遺産分割調停

不在者は、長期間行方不明の人です。

所在が判明しているのに、相続手続に協力してくれない相続人は不在者ではありません。

所在が判明しているのに、連絡を無視する相続人は不在者ではありません。

不在者財産管理人制度では、解決しません。

相続手続に協力してくれない相続人や連絡を無視する相続人がいる場合、遺産分割調停が有効です。

遺産分割調停とは、家庭裁判所の助力を得て話し合いをする手続です。

遺産分割調停で、相続人全員の合意を目指します。

選択③長期間の所在不明は不在者財産管理人

不在者財産管理人制度は、生きている扱いが継続する制度です。

失踪宣告は行方不明者を死亡扱いにするから、心理的負担が大きいでしょう。

家族の平和のため二度手間になることを覚悟して、不在者財産管理人制度を利用するのも選択のひとつです。

4生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続人が行方不明であることは、割とよくあることです。

行方不明の相続人がいると、相続手続を進めることができません。

相続が発生した後、困っている人はたくさんいます。

自分たちで手続しようとして、挫折する方も少なくありません。

困っている遺族はどうしていいか分からないまま、途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。

相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

法定相続情報一覧図に死亡した配偶者は書けない

2026-06-15

1法定相続情報一覧図に先に死亡した配偶者は書けない

①法定相続情報一覧図は公的書類

法定相続情報一覧図は、被相続人を中心にして、どういう続柄の人が相続人であるのかを、取りまとめた書類です。

法定相続情報証明制度とは、たくさんの戸籍謄本と法定相続情報一覧図案を法務局に提出して点検してもらう制度です。

法定相続情報一覧図は、登記官が確認した信頼性が高い証明書です。

法定相続情報一覧図は、公的書類です。

公的書類だから、書き方ルールが厳格に決められています。

②死亡した配偶者は相続人ではない

被相続人に配偶者がいる場合、配偶者は相続人になります。

相続人になる配偶者は、相続発生した時点で生きている配偶者のみです。

被相続人より先に死亡した配偶者は、相続人ではありません。

被相続人より先に死亡した配偶者は、法定相続情報一覧図に記載できません。

相続人でない人を記載すると、法務局から補正を求められます。

被相続人より先に死亡した配偶者を法定相続情報一覧図に記載すると、補正になります。

被相続人より先に死亡した配偶者は、相続人ではないからです。

法定相続情報一覧図は公的書類だから、書き方ルールが厳格に決められています。

③配偶者が先に死亡しても代襲相続は発生しない

代襲相続とは、相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合に相続人になるはずだった人の子どもが相続することです。

相続人になるはずだった子どもが被相続人より先に死亡した場合に相続人になるはずだった子どもの子どもが相続します。

相続人になるはずだった配偶者が被相続人より先に死亡した場合に相続人になるはずだった配偶者の子どもが相続しません。

配偶者が先に死亡しても、代襲相続は発生しないからです。

死亡した配偶者に連れ子がいても、代襲相続人ではありません。

死亡した配偶者の連れ子は、相続に無関係な人です。

死亡した配偶者の連れ子は、法定相続情報一覧図に記載できません。

被相続人の前婚の子どもは、被相続人の子どもです。

子どもは相続人になるから、法定相続情報一覧図に記載します。

相続人でない人を記載すると、法務局から補正を求められます。

法定相続情報一覧図は公的書類だから、書き方ルールが厳格に決められています。

死亡した配偶者の連れ子は、相続関係説明図に記載することはできません。

死亡した配偶者の連れ子は、相続に無関係な人だからです。

相続に無関係な人を記載すると、相続手続先の人が誤解するおそれがあります。

④法定相続情報一覧図は相続人だけ記載

法定相続情報一覧図には、厳格な書き方ルールがあります。

法定相続情報一覧図は、公的書類だからです。

法定相続情報一覧図に、相続人以外の人を書くことはできません。

相続人以外の人を記載したら、法務局から補正を求められます。

法定相続情報一覧図は、公的書類にふさわしい記載方法が求められるからです。

法定相続情報一覧図を見ると、相続人が一目で分かります。

厳格な書き方ルールに従って作成されるから、法定相続情報一覧図は高い信頼性があります。

⑤相続関係説明図に死亡した配偶者を記載する

相続関係説明図は、単なる説明のための家系図です。

法務局の点検や認証文は、ありません。

相続関係説明図に、死亡した配偶者を記載することが一般的です。

単なる説明のための書類に過ぎないので、厳格な書き方ルールはありません。

死亡した配偶者を記載することが一般的ですが、記載しなくても書き直しなどになりません。

⑥法定相続情報一覧図に死亡した配偶者を記載したくなる理由

理由(1)家族関係を見せたいから

法定相続情報一覧図は、戸籍謄本を基に相続人を記載する書類です。

相続人を記載するときに、家族関係を書きたくなります。

被相続人の配偶者を書かないと、家族の欠落感を覚えるからです。

法定相続情報一覧図は、家族関係を書く家系図ではありません。

理由(2)戸籍謄本に記載されているから

人が死亡すると、除籍されます。

戸籍謄本を見ると除籍と記載されているだけで、消えてしまうわけではありません。

実務に慣れていないと、戸籍謄本に記載されているから法定相続情報一覧図にも記載したくなります。

相続手続では、被相続人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本を準備します。

長年連れ添った配偶者は、何度も戸籍謄本で見かけます。

何度も見かけるから、法定相続情報一覧図にも記載したくなります。

理由(3)記載しないと説明不足と指摘されそう

法定相続情報一覧図は、相続手続で利用します。

法務局や金融機関で配偶者が記載されていないと、不備を指摘される不安を覚えます。

情報が多くても不備にはならないけど、情報が少ないと不備を指摘されがちだからです。

法定相続情報一覧図は、情報が多くても少なくても補正を求められます。

法定相続情報一覧図は公的書類だから、書き方ルールが厳格に決められています。

理由(4)家族として共同生活をしてきたから

配偶者は、家族として共同生活をしていたはずです。

法定相続情報一覧図に、長期間の共同生活をアピールしたくなります。

アピールしないと、不安になるかもしれません。

法定相続情報一覧図は、共同生活をアピールする書類ではありません。

法定相続情報一覧図は、余計なことを記載すると補正を求められます。

法定相続情報一覧図は公的書類だから、書き方ルールが厳格に決められているからです。

⑦「元配偶者」「男」「女」と記載できる

法定相続情報一覧図は、相続と関係ない記載をすることはできません。

被相続人に再婚歴があることがあります。

前婚の子どもと後婚の子どもを区別して、記載したいことがあるでしょう。

「元配偶者」「男」「女」であれば、記載することができます。

具体的な氏名や生年月日、死亡年月日を記載することはできません。

2相続発生後に死亡した配偶者は法定相続情報一覧図に記載する

①数次相続があっても相続人から除外できない

相続財産の分け方は、相続人全員による合意で決定します。

相続財産の分け方について話し合いがまとまる前に、相続人が死亡して新たな相続が発生することがあります。

数次相続とは、相続手続中に相続人が死亡して新たな相続が発生することです。

相続手続中に相続人が死亡した場合、死亡した相続人の相続人に引き継がれます。

相続手続中に相続人が死亡しても、相続人から除外することはできません。

②ひとつの相続にひとつの法定相続情報一覧図

(1)最初の法定相続情報一覧図に記載する

数次相続では、最初の相続と次の相続が発生しています。

数次相続が発生している場合、法定相続情報一覧図はまとめて作ることはできません。

最初の相続の法定相続情報一覧図と次の相続の法定相続情報一覧図は、別々に作ります。

相続発生後に死亡した配偶者は、最初の法定相続情報一覧図に記載します。

相続が発生した時点で、配偶者は生きていたからです。

たとえ後に死亡しても、配偶者の死亡日を記載することはできません。

たとえ後に死亡しても、配偶者の連れ子を記載することはできません。

死亡日や連れ子を記載した場合、法務局から補正を求められます。

(2)死亡した配偶者の法定相続情報一覧図は別に作成

ひとつの相続に、ひとつの法定相続情報一覧図を作成します。

複数の相続をまとめた法定相続情報一覧図を作成することはできません。

死亡した配偶者について、あらためて法定相続情報一覧図を作成することができます。

最初の相続における死亡した相続人の相続人は、最初の相続の法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をすることができます。

法定相続情報一覧図を見るときは、相続が発生したときに生きていた相続人が現在は死亡しているかもしれないということに注意する必要があります。

③複数の相続をまとめた相続関係説明図があると便利

相続関係説明図は、単なる説明のための家系図です。

法務局の点検や認証文はありません。

単に説明のために、自由に書くことができます。

数次相続をひとまとめにした相続関係説明図を作ると、相続全体が分かりやすくなります。

複数の法定相続情報一覧図を提出する場合、相続関係説明図を一緒に添付すると親切でしょう。

3相続関係説明図と法定相続情報一覧図のちがい

ちがい①公的証明力

相続関係説明図とは、相続関係の説明資料です。

公的機関で点検を受けていないから、証明書類としての効力がありません。

法定相続情報一覧図は、法務局が発行する公的証明書です。

法務局で点検を受けているから、証明書類として正確性が担保されています。

死亡した配偶者は、相続関係説明図に記載できるのに法定相続情報一覧図には記載できません。

相続関係説明図に記載できるのに法定相続情報一覧図記載できないのは、公的証明力がちがうからです。

ちがい②記載内容の自由度

相続関係説明図は、自由に作成できます。

書き方や様式に、厳格なルールはありません。

相続関係説明図は、相続手続先の人のために任意に作成する説明資料だからです。

法定相続情報一覧図は、厳格な書き方ルールに従う必要があります。

法定相続情報一覧図は、法務局の認証文が入る公的証明書だからです。

相続関係説明図に記載できるのに法定相続情報一覧図記載できないのは、記載内容の自由度がちがうからです。

4死亡した配偶者は法定相続情報一覧図に記載できない人の一例に過ぎない

①死亡した配偶者に特別扱いはない

法定相続情報一覧図は、公的書類にふさわしい厳格な書き方ルールがあります。

死亡した配偶者にだけ適用される特別なルールはありません。

配偶者であっても、特別扱いはされません。

②法定相続情報一覧図に記載できない人は決まっている

(1)被相続人より先に死亡した人

被相続人より先に死亡した人は、相続人ではありません。

配偶者であっても配偶者でなくても、被相続人より先に死亡した人は記載できません。

(2)離婚した元配偶者

離婚した元配偶者は、相続人ではありません。

死亡しても生きていても、離婚した元配偶者は記載できません。

(3)事実婚・内縁の配偶者

事実婚・内縁の配偶者は、相続人ではありません。

相続人になるのは、法律上の配偶者のみです。

死亡しても生きていても、事実婚・内縁の配偶者は記載できません。

(4)廃除された人

廃除とは、相続人の資格を奪う手続です。

廃除された人は、戸籍に記載されます。

廃除されたら、法定相続情報一覧図に記載できません。

(5)相続放棄した人はそのまま記載

家庭裁判所で相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。

相続放棄が認められても、戸籍には記載されません。

相続放棄をした人は、法定相続情報一覧図にそのまま記載します。

法定相続情報一覧図は、戸籍謄本の内容を取りまとめた書類だからです。

たとえ相続放棄申述受理通知書を提出しても、法定相続情報一覧図にそのまま記載する必要があります。

相続放棄申述受理通知書を提出して法定相続情報一覧図の記載を省略すると、補正を求められます。

5相続関係説明図と法定相続情報一覧図の作成を司法書士に依頼するメリット

相続関係説明図は、比較的自由に相続に関係する事項を記入することができます。

提出を受ける人が見やすい書類である必要があります。

法定相続情報一覧図は、法務局が確認して認証文を入れてもらうものです。

書き方に細かいルールがあります。

これらの違いを理解して、ポイントを押さえて作成する必要があります。

前提として、相続人確定のための戸籍収集や遺産分割協議書の作成もあります。

このような戸籍等の取り寄せも含め、手続をおまかせいただけます。

お仕事や家事でお忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続をまるっとおまかせすることができます。

ご家族にお世話が必要な方がいて、お側を離れられない方からのご相談もお受けしております。

間違いのない相続関係説明図の作成や法定相続情報一覧図の作成を考えている方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

公正証書遺言の争いは遺産分割協議で解決

2026-06-12

1公正証書遺言は無効になりにくい

①公正証書遺言は公証人が関与する

遺言書を作成する場合、自筆証書遺言か公正証書遺言を作成することがほとんどです。

自筆証書遺言とは、自分で書いて作る遺言書です。

公正証書遺言とは、遺言内容を公証人に伝え公証人が書面に取りまとめる遺言書です。

公正証書遺言は、公証人が関与して作成します。

②公証人が本人の意思確認をする

(1)公証人は遺言能力を確認する

遺言書を作成する場合、遺言者に遺言能力が必要です。

遺言能力とは、遺言書の内容を理解して遺言の結果を理解する能力です。

重度の認知症になると、遺言能力は失われたと言えるでしょう。

公正証書遺言は、公証人が本人確認のうえ本人の意思確認をして作成します。

遺言能力が失われている場合、意思確認の過程で気が付きます。

遺言能力がないと判断された場合、公証人は公正証書遺言を作成しません。

公正証書遺言を作成したことは、公証人が遺言能力ありと判断したことを示しています。

(2)詐欺強迫などの影響を排除

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

遺言者の真意に基づかない遺言書は、無効です。

詐欺強迫などの影響下にあっては、真意に基づく遺言書を作成できません。

公正証書遺言を作成する場合、相続人になる予定の人は同席することができません。

詐欺強迫などの影響を排除するためです。

③証人2人が確認する

証人2人は公正証書遺言に立会い、遺言書作成手続を見守ります。

遺言書作成手続が適切であることを確認します。

証人2人が署名押印をすることで、形式的にも手続の正当性が担保されます。

証人は、遺言書の有効性と信頼性を支える重要な役割を果たします。

2公正証書遺言の争いは遺産分割協議で解決

①公正証書遺言があっても遺産分割協議

(1)遺産分割協議で合理的決定ができる

遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話し合いです。

公正証書遺言がある場合、遺言書の内容どおりに相続財産を分けることができます。

原則として、遺産分割協議は不要です。

遺言書が無効である場合、遺言書の内容どおりに相続財産を分けることはできません。

遺産分割協議によって、相続財産の分け方を決定します。

遺言書の有効無効をめぐって争いになると、相続人間で深刻なトラブルになります。

遺言書に無効の疑いある場合、わざわざ争って深刻なトラブルにする必要はありません。

遺言書の有効無効を争うより、相続人全員で相続財産の分け方を決定したほうが合理的です。

公正証書遺言があっても、遺産分割協議をすることができます。

(2)遺産分割協議で柔軟な合意形成ができる

遺産分割協議をする場合、自由に遺産分割することができます。

遺言書の内容に縛られずに合意できるから、柔軟な合意形成ができます。

柔軟な合意形成で、不公平感を和らげることができます。

(3)遺産分割協議で裁判手続の回避

遺産分割協議をする場合、遺言書の有効無効の立証をする必要がありません。

遺言書の有効無効を争う場合、多くの時間と手間がかかります。

主張立証を尽くすため、客観的証拠を準備する必要があるからです。

相続人全員で合意できれば、手間と時間を削減できます。

(4)遺産分割協議で家族関係の維持

遺産分割協議は、相続人全員による話し合いです。

話し合いによる合意ができれば、家族関係を壊しにくい結果になります。

遺産分割協議で、感情的対立を緩和することができます。

②公正証書遺言があっても遺留分侵害額請求ができる

(1)遺留分は最低限の権利

遺言書を確認すると、内容が大きく偏っていることがあります。

ときには相続人の遺留分を侵害しているかもしれません。

遺留分とは、相続人に認められた最低限の権利です。

兄弟姉妹以外の相続人に、認められます。

配分された財産が遺留分に満たない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

(2)遺留分を侵害する遺言書も有効

遺言書の内容が大きく偏っている場合、相続人の遺留分を侵害していることがあります。

相続人の遺留分を侵害していても、遺言書は有効です。

遺留分は、相続人の権利だからです。

遺言書の内容に納得できるなら、相続人は遺留分侵害額請求をする必要はありません。

遺言書の内容に納得できないなら、相続人は遺留分侵害額請求をすることができます。

相続人自分で選択できるから、遺言書を無効にする必要はありません。

遺留分を侵害する遺言書も、有効です。

(3)遺留分侵害額請求を認めない遺言書に効力はない

遺言書には、さまざまなことを書くことができます。

法律上意味があることも意味がないことも、書くことができます。

例えば、家族への感謝の気持ちに、法律上の意味はありません。

法律上意味がない事項は、付言事項と言います。

遺言書に遺留分侵害額請求を認めないと書いてあっても、法律上の意味はありません。

遺留分侵害額請求を認めないことは、付言事項だからです。

遺留分は、相続人に認められた最低限の権利です。

配分された財産が遺留分に満たない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺言書に記載するだけで、遺留分を奪うことはできません。

遺留分侵害額請求を認めないと書いてあっても、遺留分侵害額請求をすることができます。

(4)遺産分割協議に応じる義務はない

公正証書遺言がある場合、遺言書の内容どおりに相続財産を分けることができます。

公正証書遺言があっても、遺産分割協議をすることができます。

遺産分割協議ができるのは、相続人全員の合意があるときのみです。

遺留分を侵害する遺言書があっても、他の相続人は遺産分割協議に応じる義務はありません。

遺産分割協議の申し入れを拒否して、様子を見ることが一般的です。

遺産分割協議を申し入れても、他の相続人は拒否することができます。

(5)遺留分侵害額請求は拒否できない

相続人の遺留分を侵害していても、遺言書は有効です。

遺言書が有効であっても、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分侵害額請求を認めないと書いてあっても、遺留分侵害額請求をすることができます。

適切な遺留分侵害額請求は、拒否することができません。

(6)遺留分侵害額請求権は最短1年で時効消滅

配分された財産が遺留分に満たない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分侵害額請求権を行使しないまま長期間経過した場合、時効消滅します。

遺留分侵害額請求権の時効は、最短1年です。

時効期間が経過すると、遺留分侵害額請求ができなくなります。

(7)遺言書の無効を主張しても遺留分侵害額請求

遺言書の無効を主張することと遺留分侵害額請求をすることは、競合しません。

遺言書が無効であると確認されたら、遺言書の内容どおりに相続財産を分けることはできません。

相続人全員で遺産分割協議をします。

遺言書が無効であると確認されるまで、長期間かかることが一般的です。

遺留分侵害額請求権は、最短1年で時効消滅します。

遺言書の有効無効を争う間も、時効期間は経過します。

遺言書の無効を主張しても、遺留分侵害額請求をすることができます。

③家庭裁判所の手続は最終手段

(1)遺言無効確認調停で話し合い

遺言無効確認調停とは、家庭裁判所の助力を得て遺言書の有効無効を協議する手続です。

相続人間で話し合いをして、遺言書の有効無効の合意をします。

家庭裁判所は、有効無効について決定しません。

(2)遺言無効確認訴訟

遺言無効確認訴訟とは、遺言書の有効無効を家庭裁判所に決めてもらう訴訟手続です。

遺言無効確認調停をしてから、遺言無効確認訴訟をするのが望ましいと考えられています。

相続人間で話し合いができない場合、いきなり遺言無効確認訴訟をすることができます。

実際にも、遺言無効確認調停をせず遺言無効確認訴訟をします。

3公正証書遺言の無効主張の現実

①公正証書遺言は有効が推認される

公正証書遺言は、無効になりにくいように制度設計がされています。

作成プロセスに、公証人と証人2人が関与するからです。

公証人の関与によって、手続の適正が担保されます。

公証人の関与が適切であったのか、証人2人が確認します。

公正証書遺言原本は、公証役場で厳重に保管されます。

公正証書遺言は、偽造変造の余地がありません。

公正証書遺言は、有効が強く推認されます。

②遺言能力の証明は作成時点

公正証書遺言の無効を主張する場合、主張する側に重い立証責任があります。

最重要の論点は、遺言者の遺言能力です。

重度の認知症なのに複雑な内容の遺言書を作成した場合、遺言能力がなかったと判断される余地があります。

立証すべきは、遺言書作成時の遺言能力です。

重度の認知症の医療記録だけでは、遺言能力の有無について判断できません。

遺言書作成日前後の状態が重要だからです。

遺言書作成日と離れた時点の診断書は、証拠価値が低いでしょう。

認知症の症状は、日や時間によって異なることが一般的です。

認知症の医療記録があっても、作成時はしっかりしていた可能性があります。

よほど重度の認知症でない限り、遺言能力が否定されるのは困難です。

③詐欺強迫は客観的証拠が少ない

遺言者の自由意思がゆがめられた場合、遺言書は無効になります。

詐欺強迫があったとしても、客観的証拠が出にくいでしょう。

単なる付き添いでは、詐欺強迫とは言えません。

公正証書遺言は、公証人が本人の意思確認をして作成します。

詐欺強迫はなかった証拠と考えられます。

遺言書の無効を主張する人が詐欺強迫があったと主張するだけでは認められません。

④遺言無効確認訴訟は長期化する

遺言無効確認訴訟を提起すると、あらゆる主張立証を尽くすことになります。

相続人間の対立が激化するから、大量の資料を準備することになるでしょう。

遺言無効確認訴訟では、1年以上かかることが多いでしょう。

⑤家族関係が壊滅的に破壊

公正証書遺言の無効の立証には、高いハードルがあります。

遺言無効確認訴訟の結論は、有効か無効しかありません。

柔軟な解決ができないから、家族が鋭く対立します。

判決に納得できなければ、控訴することができます。

いっそう裁判は長期化し、いっそう対立は激化します。

3 遺言書の争いを激化する無効の誤解

誤解①一部の財産しか書いてない遺言書

遺言書は、遺言者が元気なときに作成します。

遺言書を作成してから、財産状況が変わることは少なくありません。

遺言書と財産状況を確認したところ、一部の財産についてのみ記載されていることがあります。

一部の財産のみ記載された遺言書は、有効の遺言書です。

遺言書に記載されていない財産は、遺産分割協議によって分け方を決めることができます。

誤解②作成後に長期間経過した遺言書

遺言書が作成してから長期間経過した後に、相続が発生することがあります。

遺言書に効力が発生するのは、遺言者が死亡したときです。

遺言書が作成されてから長期間経過しても、遺言書は無効になりません。

遺言書の効力に、消滅時効の制度はありません。

誤解③死亡後に長期間経過した遺言書

遺言者が死亡したときに、遺言書に効力が発生します。

遺言書の内容を実現しないまま長期間経過しても、遺言書は無効になりません。

遺言書に、有効期限はないからです。

誤解④勝手に開封した遺言書

公正証書遺言を作成すると、遺言書原本は公証役場で厳重保管されます。

遺言者には、正本と謄本が渡されます。

正本と謄本は、公正証書遺言のコピーです。

多くの場合、公証役場の封筒に入れて封をせず保管するでしょう。

公正証書遺言は、遺言者が死亡したら直ちに執行することができます。

公正証書遺言を勝手に開封しても、遺言書は無効になりません。

勝手に開封しても、相続資格を失うことはありません。

自筆証書遺言は、家庭裁判所に提出して開封してもらいます。

たとえ自筆証書遺言であっても、勝手に開封したことで無効になることはありません。

4生前対策と遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット

遺産分割協議書作成は、相続手続最大の山場です。

相続財産の分け方を決めるのは、トラブルになりやすい手続だからです。

相続手続が大変だったという人は、分け方を決めることができないから大変だったのです。

生前に相続財産の分け方を対策しておくことが相続をラクにします。

相続財産の分け方が決まれば、遺産分割協議書作成は一挙にラクになります。

相続手続がラクに済めば、家族の絆が強まります。

家族の幸せのために、生前対策と遺産分割協議書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

失踪宣告7年の起算点は生存確認できた最後の日

2026-06-10

1失踪宣告で死亡と見なされる

①失踪宣告には条件がある

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

死亡したことが確認できないのに、死亡と見なされます。

失踪宣告には、2種類があります。

普通失踪と特別失踪(危難失踪)です。

死亡と見なされるという強い効果があります。

失踪宣告が認められるためには、次の条件があります。

(1)行方不明の人が生死不明であること

(2)生死不明のまま一定期間継続していること

②普通失踪は7年で死亡と見なされる

一般的に失踪宣告といった場合、普通失踪を指しています。

生死不明の期間を失踪期間と言います。

普通失踪では、失踪期間が7年必要です。

生死不明のまま7年経過した場合に、自動的に死亡と見なされるわけではありません。

家庭裁判所が失踪宣告したときに、死亡と見なされます。

③普通失踪による法的な死亡日は7年満了した日

普通失踪では、失踪期間が7年必要です。

失踪宣告7年の起算日に、法的な効果はありません。

普通失踪による法的な死亡日は、7年満了した日です。

失踪宣告7年の起算点は、単なる事実認定の日に過ぎません。

起算点は、客観的事実に基づいて家庭裁判所が認定します。

2失踪宣告7年の起算点は生存確認できた最後の日

①起算点があいまいなまま申立ができる

家庭裁判所が失踪宣告をするには、家族などの申立人からの申立てが必要です。

失踪宣告の申立てによって、失踪宣告の手続が開始します。

失踪宣告の申立ては、家庭裁判所が失踪宣告をするきっかけに過ぎません。

普通失踪は、7年で死亡と見なされます。

失踪期間のスタートは、申立人が決めることはできません。

申立人が調査をしても、起算日はあいまいなままであることが多いでしょう。

起算日があいまいなまま、失踪宣告の申立てをすることができます。

失踪宣告7年の起算点は、申立人が決めることはできません。

失踪宣告を受けると、その人が死亡扱いになるという重大な法的効果があるからです。

申立人がするべきことは、家庭裁判所に調査の端緒を提供することです。

最後にあった日を覚えていなくても、失踪宣告の申立てをすることができます。

②家庭裁判所が生存確認できた最後の日を調査する

失踪宣告7年の起算点は、客観的に生存確認できた最後の日です。

失踪宣告の申立てを受付けても、申立人の主張をそのまま採用することはありません。

申立人が提出した書類を精査し、家庭裁判所は公的機関などに対して補充調査をします。

生きていれば当然あるはずの生活反応がないか、慎重に調査します。

例えば、生きていれば次のような外部的記録が見つかるでしょう。

・銀行口座の入出金

・住民票や戸籍の異動

・税金などの申告や納税

・運転免許証の更新

・出入国の記録

公的機関などに対して、家族は調査できないことが多いでしょう。

家庭裁判所は、客観的に生存確認できた日を慎重に確認します。

失踪宣告は、重大な法的効果があるからです。

失踪宣告で死亡と扱うから、客観的事実が重視されます。

家族の記憶や主張などで、人為的に操作できる日を起算点にすることはできません。

たとえ家庭裁判所であっても、起算日を人為的に操作することはできません。

③生存情報があれば取下げ・却下

家庭裁判所は、公的機関などに対して調査をすることができます。

家族などが得ることができない情報が寄せられることがあります。

直近の生存情報が見つかって失踪宣告の条件を満たさなくなった場合、失踪宣告はされません。

④補充調査が終わったら官報公告3か月以上

補充調査で生きていれば当然あるはずの生活反応が見つからない場合、官報公告をします。

公的機関が知らない情報を持つ人がいる可能性があるので、官報公告で情報収集します。

官報公告は、広く社会全体に呼び掛けて情報収集する手段です。

失踪宣告がされると死亡扱いになるから、家庭裁判所は慎重に調査します。

⑤失踪宣告7年の起算点は法的な死亡日ではない

生死不明のまま一定期間継続している場合、失踪宣告がされます。

失踪宣告7年の起算点は、生死不明のまま継続する一定期間のスタートです。

失踪宣告7年の起算点は、法的な死亡日ではありません。

失踪宣告7年の起算点に、直接的な法的効果はありません。

失踪宣告による法的な死亡日は、7年満了した日です。

⑥生存確認できた最後の日が重要な理由

理由(1)生きているのに誤って死亡扱いにしないため

失踪宣告を受けると、死亡と見なされます。

失踪宣告を受けた人を被相続人として、相続が発生します。

非常に重大な法的効果があります。

誤って死亡扱いにすると、重大な人権侵害や財産侵害を引き起こします。

最も安全な生存確認できた最後の日から、失踪期間を起算します。

理由(2)行方不明になった日は主観的だから

行方不明になった日は、不確実です。

実際には行方不明になった後も、生きている可能性があります。

主張する人の主観によって、行方不明になった日は容易に動かせます。

主張する人の恣意によって、死亡とみなす重大な法的効果が発生する危険があります。

生存確認できた最後の日は、客観的に確認することができます。

失踪宣告制度の透明性の確保のため、客観的証拠が重視されます。

客観的証拠によって確認できるから、死亡とみなす合理性を確保することができます。

理由(3)不正な利益誘導を排除するため

失踪宣告を受けると、相続が発生します。

普通失踪による法的な死亡日は、7年満了した日です。

死亡日によっては、代襲相続や数次相続が発生します。

死亡日を恣意的に動かせるとすると、都合よく代襲相続や数次相続を操ることになるでしょう。

不正な利益誘導は、許されません。

不正な利益誘導を排除するため、客観的証拠によって生存確認できた最後の日を認定します。

理由(4)法的安定性の確保

失踪宣告を受けると、第三者にも影響があります。

家庭裁判所が自由に起算点を決めると、同一事案に結論が相違します。

法的安定性を確保するため、客観的証拠によって生存確認できた最後の日を認定します。

理由(5)事後検証を可能にするため

失踪宣告をすれば、終わりではありません。

ときには失踪宣告の要件を満たしていたのか、争いになることがあります。

失踪宣告は、不確実な事実を前提に強制的に死亡とみなす制度です。

争いになったとき、起算点は確実に争点になります。

適切な失踪宣告であることを立証するため、厳格に起算点を認定します。

事後検証を可能にするため、客観的証拠を重視します。

3失踪宣告7年の起算点は相続手続の期限と直接関係しない

①失踪宣告がされたら失踪届で戸籍に反映

失踪宣告は、家庭裁判所の審判です。

家庭裁判所が失踪宣告の審判をした後、審判が確定しても市区町村役場に連絡されることはありません。

失踪宣告の審判が確定した後に、市区町村役場に届出が必要です。

失踪宣告の審判が確定した後に市区町村役場に提出する届出を失踪届と言います。

死亡したときに提出する死亡届とは別の書類です。

失踪届は、多くの市区町村役場でホームページからダウンロードができます。

失踪届が受理されることで、失踪宣告がされたことが戸籍に記載されます。

失踪宣告が記載された戸籍謄本を提出することで、生死不明の人が法的に死亡した取り扱いがされることを証明できます。

②相続放棄の期限3か月の起算点は知ってから

(1)失踪宣告を知ってからスタート

失踪宣告を受けた人は、死亡と見なされます。

普通失踪による法的な死亡日は、生存確認できた最後の日から7年満了した日です。

法的な死亡日から長期間経過した後に、失踪宣告されることが多いでしょう。

被相続人が莫大な借金を抱えていた場合、相続人は相続放棄を希望します。

相続放棄の期限3か月が過ぎてしまっていると、不安になるかもしれません。

相続放棄の期限3か月のスタートは、知ってからです。

「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。

(2)官報公告があっても知ってから

失踪宣告があったら、申立人は審判書で内容を知ることができます。

他の相続人など申立人以外の人に、通知されません。

失踪宣告の審判後に、2回目の官報公告をします。

失踪宣告の審判後に行う官報公告は、失踪宣告確定のお知らせです。

官報公告を見ている人は、ほとんどいないでしょう。

失踪宣告があったことに気づかず、3か月以上経過するかもしれません。

相続放棄の期限3か月のスタートは、知ってからです。

失踪宣告があったことに気づかなければ、3か月はスタートしません。

失踪宣告があったことを知ってから3か月以内に、相続放棄の申立てをすることができます。

③相続登記義務化の期限3年の起算点は知ってから

被相続人が不動産を保有していた場合、相続人が相続します。

令和6年4月1日から相続登記は、3年以内に登記申請をする義務が課されました。

相続登記の期限3年のスタートは、知ってからです。

自己のために相続の開始があったことを知って、かつ、不動産を取得することを知った日から、スタートします。

相続があったことを知るまで、期限3年はスタートしません。

4生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続人が行方不明であることは、割とよくあることです。

行方不明の相続人がいると、相続手続を進めることができません。

相続が発生した後、困っている人はたくさんいます。

自分たちで手続しようとして、挫折する方も少なくありません。

失踪宣告の申立ては、家庭裁判所に手続が必要になります。

通常ではあまり聞かない手続になると、専門家のサポートが必要になることが多いでしょう。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。

自分たちでやってみて挫折した方も、信託銀行などから丸投げされた方も、相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

公正証書遺言作成前に知る包括遺贈の影響

2026-06-08

1包括遺贈とは割合を指定して遺贈すること

①遺言書を作成して遺贈ができる

遺贈とは、遺言書を作成して相続人や相続人以外の人に財産を引き継ぐことです。

遺贈と相続は、別の制度です。

被相続人は遺言書を作成して、だれに引き継いでもらうのか自由に決めることができます。

遺言書なしで、遺贈はできません。

②包括遺贈と特定遺贈

遺贈をする場合、包括遺贈と特定遺贈があります。

包括遺贈とは、遺言書に、「財産すべてを包括遺贈する」「財産の2分の1を包括遺贈する」と割合だけ書いて財産を具体的に書いてない場合です。

特定遺贈とは、遺言書に、「財産〇〇〇〇を遺贈する」と財産を具体的に書いてある場合です。

③相続人以外の人に財産を引き継ぐことができる

相続人に財産を引き継ぐ場合、相続させると書くことがほとんどです。

必然的に、遺贈で財産を引き継ぐのは相続人以外の人が多くなります。

相続人になる人は、法律で決められています。

相続人以外の人は、相続することができません。

遺言書を作成すれば、相続人以外の人にも遺贈することができます。

例えば、次の人に遺贈することができます。

・事実婚・内縁の配偶者

・同性婚のパートナー

・配偶者の連れ子

・経営していた会社

・国、都道府県や市町村などの自治体、慈善事業

相続人以外の人に財産を引き継ぎたい場合、遺贈を選択することになります。

2公正証書遺言作成前に知る包括遺贈の影響

①相続人に生じる包括遺贈の影響

(1)相続人が受け取る財産が減る

遺言書で包括遺贈をすると、指定された割合の財産が指定された人に引き継がれます。

包括遺贈をする場合、財産すべてと指定することができます。

遺言書に「財産すべてを包括遺贈する」と書いてある場合、相続人は原則として財産を引き継げません。

(2)全部包括遺贈なら遺産分割協議不要

包括遺贈をする場合、遺言書では具体的な財産を指定しません。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方を決めるため相続人全員でする話し合いです。

包括遺贈をした場合、包括遺贈を受けた人も遺産分割協議に参加するのが原則です。

遺言書で「財産の2分の1を包括遺贈する」などと割合が指定されている場合、遺産分割協議に参加します。

実務で割合が指定されていることは、ほとんどありません。

遺言書に「財産すべてを包括遺贈する」と書いてある場合、遺産分割協議は不要です。

相続財産の分け方を決める余地がないからです。

(3)遺言書を作成するだけで遺留分は奪えない

遺留分とは、相続人に認められた最低限の権利です。

被相続人に近い関係の相続人に認められます。

具体的には、配偶者、子ども、親などの直系尊属に認められます。

兄弟姉妹は相続人になっても、遺留分は認められません。

遺言書で全部包括遺贈をした場合、相続人の遺留分を侵害する可能性があります。

配分された財産が遺留分に満たない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分侵害額請求があると、相続人と包括遺贈を受けた人の間でトラブルになります。

トラブルを防止するため、相続人の遺留分に配慮することが重要です。

②受遺者に生じる包括遺贈の影響

(1)プラスの財産とマイナスの財産の両方を承継

特定遺贈では、遺言書で指定された財産のみを引き継ぎます。

遺言書で指定された財産以外は、引き継ぎません。

包括遺贈では、遺言書で指定された割合で財産を引き継ぎます。

遺言書で指定された割合で、プラスの財産を引き継ぎます。

遺言書で指定された割合で、マイナスの財産を引き継ぎます。

遺言書で財産すべて引き継ぐ場合、マイナスの財産もすべて引き継ぎます。

(2)連帯保証債務も引き継ぐ

連帯保証債務は、相続財産のひとつです。

被相続人が連帯保証人である場合、連帯保証人の地位が引き継がれます。

連帯保証人とは、債務者が借金の返済ができないときに肩代わりをする人です。

連帯保証債務とは、肩代わりの義務です。

遺言書で財産すべて引き継ぐ場合、連帯保証債務もすべて引き継ぎます。

(3)全部包括遺贈なら遺産分割協議不要

包括遺贈をした場合、相続人と遺産分割協議に参加するのが原則です。

遺言書に「財産すべてを包括遺贈する」と書いてある場合、遺産分割協議は不要です。

相続財産の分け方を決める余地がないからです。

(4)遺留分侵害額請求を認めない遺言書に効力はない

配分された財産が遺留分に満たない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺言書を確認すると、遺留分侵害額請求を認めないと書いてあることがあります。

遺言書を作成するだけで、相続人の遺留分を奪うことはできません。

遺留分侵害額請求を認めないと書いても、効力がありません。

遺留分侵害額請求を認めない条項は、付言事項と考えられるからです。

付言事項とは、遺言書に記載してあっても法律上意味がない事項です。

遺留分侵害額請求を認めないと書いても、相続人は遺留分侵害額請求をすることができます。

(5)受遺者が先に死亡すると代襲相続ができない

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

相続人になるはずだったのに、子どもが被相続人より先に死亡することがあります。

被相続人より先に死亡した場合、相続人になるはずだった子どもの子どもが相続します。

代襲相続とは、相続人になるはずだった人が先に死亡したときに相続人になるはずだった人の子どもが相続することです。

相続人になるはずだった人が先に死亡した場合、代襲相続をすることができます。

受遺者になるはずだった人が先に死亡した場合、受遺者になるはずだった人の子どもは受遺者になりません。

受遺者は、相続が発生したときに生きていることが条件です。

遺言書の内容は、代襲相続されないからです。

3公正証書遺言作成前に遺言者が準備すること

①財産内容の共有

包括遺贈をした場合、プラスの財産とマイナスの財産の両方を承継します。

包括遺贈を検討するとき、財産内容を共有しておくことが重要です。

財産内容を共有していないと、思わぬ債務を負担することになるからです。

遺言書に包括遺贈すると書いても、包括遺贈を受ける義務はありません。

包括遺贈は、放棄することができるからです。

包括遺贈を放棄するなら、はじめから包括遺贈をしない方が賢明です。

財産内容を開示して、包括受遺者となる人と情報共有をします。

②遺言執行者の選任

遺言書は、作成するだけでは意味がありません。

遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。

遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者を指名しなくても、遺言書は無効になりません。

遺言書を作成するとき、遺言執行者を指名することがおすすめです。

遺言書の内容を確実に実現する場合、遺言執行者は欠かせません。

遺言執行者がいないと、相続人全員の協力が必要になるからです。

遺言書の内容に不満がある場合、相続人は相続手続に協力してくれません。

不満がなくても相続人にはメリットがないから、相続手続への協力は先延ばしします。

相続人が書類の押印や印鑑証明書の提出に協力しないと、相続手続が進められなくなります。

遺言執行者がいれば、包括受遺者と遺言執行者の協力で内容実現をすることができます。

③相続人の遺留分に配慮する

遺言書を作成するだけで、相続人の遺留分を奪うことはできません。

遺留分は、相続人に認められた最低限の権利です。

相続人の遺留分を侵害する遺言書を作成することは、おすすめできません。

遺留分侵害額請求があると、相続人と包括遺贈を受けた人の間でトラブルになるからです。

わざわざ、トラブルになる遺言書を作成する必要はありません。

相続人の遺留分に配慮した遺言書を作成すれば、トラブルを防止することができます。

相続人が兄弟姉妹や甥姪である場合、財産すべて包括遺贈をしても遺留分侵害額請求をすることはできません。

兄弟姉妹や甥姪には、遺留分が認められないからです。

④公正証書遺言を作成すべき理由

理由(1)自筆証書遺言は厳格な書き方ルール違反で無効になりやすい

遺言書を作成する場合、自筆証書遺言か公正証書遺言を作成することがほとんどです。

自筆証書遺言は、遺言者が自分で書いて作る遺言書です。

ひとりで作ることができるから、手軽です。

公正証書遺言は、遺言内容を公証人に伝え公証人が書面に取りまとめて作る遺言書です。

証人2人に、確認してもらって作ります。

遺言者が法律に詳しいことは、あまりないでしょう。

厳格な書き方ルールに違反すると、遺言書が無効になります。

遺言書が無効になると、遺言書の内容も無効になります。

理由(2)自筆証書遺言は無効の疑いに反論できない

自筆証書遺言は、無効になりやすい遺言書です。

無効と疑われる主な理由は、次のとおりです。

・遺言者が詐欺や強迫にあっていた

・遺言者が認知症で遺言能力がなかった

・遺言書が偽造変造されている

自筆証書遺言は、受遺者が疑いを晴らすことができません。

遺言者がひとりで作るからです。

遺言書が無効になると、遺言書の内容も無効になります。

無効の遺言書で、相続手続をすることできません。

無効の疑いがある遺言で相続手続をすると、相続手続先がトラブルに巻き込まれます。

トラブルに巻き込まれることを回避するため、相続手続先は相続手続を保留します。

有効な遺言書があっても、事実上、相続手続ができなくなります。

受遺者は、無効の疑いを晴らす証拠を用意できないからです。

理由(3)公正証書遺言は確実

公正証書遺言は、公証人が関与して作成します。

公証人が本人確認をしたうえで、本人の意思確認をします。

公証人は本人の意思確認の過程で、遺言者本人の遺言能力を確認しています。

遺言能力を喪失していると判断した場合、公正証書遺言を作成しません。

詐欺や強迫の影響を排除するため、利害関係人は同席することができません。

公証人が適正に職務を行っているか、証人2人が見守っています。

公証人と証人2人が関与するから、公正証書遺言作成の透明性が確保されます。

公正証書遺言には、高い信頼性があります。

4遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書は、被相続人の意思を示すものです。

自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。

実は、民法に遺言書を作ることができるのは15歳以上と定められています。

死期が迫ってから、書くものではありません。

遺言書は被相続人の意思を示すことで、家族をトラブルから守るものです。

遺贈とは、遺言によって相続人や相続人以外の人に、財産を引き継ぐものです。

遺贈は簡単に考えがちですが、思いのほか複雑な制度です。

遺言執行には、法的な知識が必要になります。

遺言の効力が発生したときに、遺言執行者からお断りをされてしまう可能性があります。

遺言書の内容によっては、遺言執行者を家庭裁判所に決めてもらう必要があります。

遺言書の内容に納得していない相続人がいる場合、財産を引渡そうとしないこともあります。

家族をトラブルから守ろうという気持ちを実現するために、せっかく遺言書を書くのですから、スムーズな手続を実現できるように配慮しましょう。

お互いを思いやり幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

複数の相続人から一人が相続する相続登記

2026-06-05

1複数の相続人から一人が相続できる

①相続財産は相続人全員の共有財産

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続人全員の共有財産だから、一部の相続人が勝手に独り占めすることは許されません。

一部の相続人が独り占めをしようとすると、深刻なトラブルになります。

②不動産の取得者が相続登記を申請する

登記手続は、不動産の取得者が申請します。

相続で不動産を取得する人が相続登記を申請します。

不動産の取得者と決まった後に、相続登記をします。

不動産の取得者と決まっていないのに、相続登記を申請することはできません。

③相続登記をしても不動産を取得することはできない

相続登記は、不動産の取得者が申請する手続です。

相続登記をしても、不動産を取得する効果はありません。

登記制度は、不動産の権利者を公示する制度だからです。

不動産の取得者と決まった後に、登記手続をします。

相続登記は、権利を確定する制度ではありません。

相続登記を申請したら、不動産の取得者になるのではありません。

勝手に相続登記をして、不動産を独り占めすることはできません。

権利者が登記申請をするから、登記簿に登載されます。

登記制度は、権利関係を公示する制度です。

登記制度は、権利を取得する制度ではありません。

登記制度は、権利を確定する制度ではありません。

2複数の相続人から一人が相続する相続登記

①遺言書で一人が相続する相続登記

(1)遺言書どおりに遺産分割ができる

相続人になる人は、法律で決められています。

複数の相続人がいることが一般的です。

被相続人が生前に遺言書を作成していることがあります。

遺言書を作成して、どの財産をだれに引き継ぐか決めておくことができます。

遺言書があれば、遺言書のとおりに遺産分割をすることができます。

複数の相続人から一人に、相続させることができます。

(2)遺言書で指定された人が不動産を取得

遺言書で、引き継ぐ財産と引き継ぐ人を決めておくことができます。

遺言者が死亡したときに、遺言書に効力が発生します。

遺言者が死亡したときに、遺言書で指定された人が遺言書で指定された財産を引き継ぎます。

複数の相続人から一人が指定された財産を引き継ぐことができます。

(3)遺言書で指定された人が相続登記

不動産の取得者と決まった後に、相続登記をします。

遺言書で指定された人が不動産を相続するとき、相続登記をします。

遺言書で指定された人が相続登記を申請します。

不動産の取得者と客観的証拠で認められるから、相続登記が認められます。

相続登記が認められるから、不動産の取得者になるのではありません。

(4)相続登記では遺言書を提出する

遺言書で不動産を相続した場合、遺言書を法務局へ提出します。

法務局は、提出された遺言書の記載内容を確認します。

相続登記の申請人が遺言書で相続したと主張するだけでは、法務局は通しません。

遺言書に適切に記載されていないと、内容不明確で登記できないと判断されます。

不動産の取得者であるか、法務局が厳しく審査します。

(5)遺言執行者が相続登記を申請

遺言書は作成するだけでは、意味がありません。

遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。

遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書を作成するとき、遺言執行者を指名することができます。

遺言書の内容を実現するため、遺言執行者は相続登記をすることができます。

②遺産分割協議で一人が相続する相続登記

(1)遺産分割協議には相続人全員の協力が必要

相続が発生したら、相続財産は相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話し合いです。

相続人全員の合意がまとまったら、遺産分割協議は成立します。

遺産分割協議には、相続人全員の協力が必要です。

(2)遺産分割協議で定められた人が不動産を取得

相続財産に不動産が含まれている場合、不動産の取得者は遺産分割協議で決定します。

遺産分割協議で定められた人が不動産を取得します。

複数の相続人から一人が指定された財産を引き継ぐことができます。

(3)遺産分割協議で定められた人が相続登記

相続人全員の合意がまとまったら、遺産分割協議は成立します。

遺産分割協議で定められた人が不動産を取得します。

相続登記は、権利を確定する制度ではありません。

相続登記は、不動産を取得する人が申請します。

不動産を取得する人が一人である場合、一人で相続登記を申請します。

一人で相続登記を申請したから、一人で不動産を取得したのではありません。

遺産分割協議で不動産を相続すると合意できたから、相続登記を申請します。

(4)相続登記に遺産分割協議書を提出する

相続人全員の合意がまとまったら、合意内容を書面に取りまとめます。

遺産分割協議書とは、相続人全員による合意内容の証明書です。

合意内容に間違いがないか、相続人全員に確認してもらいます。

問題がなければ、相続人全員が記名し実印で押印をします。

遺産分割協議書の押印が実印によるものであることを確認するため、印鑑証明書を添付します。

法務局は、遺産分割協議書と印鑑証明書を慎重に審査します。

遺産分割協議書の印影と印鑑証明書の印影にちがいがないか、厳重にチェックします。

相続登記の申請人が相続人全員が合意したと主張するだけでは、法務局は通しません。

相続人全員であるのか、戸籍謄本で確認します。

一部の相続人を含めずに合意しても、無効の合意だからです。

(5)相続人全員の合意がないと遺産分割協議は成立しない

一部の相続人を含めずに、遺産分割協議を成立させることはできません。

たとえ協力しない相続人がいても、相続人全員の合意が必要です。

相続人だけで話し合いが難しい場合、家庭裁判所の遺産分割調停を利用することができます。

たとえ行方不明の相続人がいても、相続人全員の合意が必要です。

行方不明の相続人の代わりに、不在者財産管理人が遺産分割協議に参加します。

たとえ認知症の相続人がいても、相続人全員の合意が必要です。

認知症の相続人の代わりに、成年後見人が遺産分割協議に参加します。

相続人全員の合意がないと、遺産分割協議は成立しません。

③他の相続人全員が相続放棄で一人が相続する相続登記

(1)相続放棄は家庭裁判所の手続

相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄の申立てをします。

家庭裁判所で相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。

(2)子ども全員が相続放棄をしたら次順位相続人

家庭裁判所で相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。

被相続人の子どもが相続放棄をしたら、子どもは相続人でなくなります。

被相続人の子ども全員が相続放棄をしたら、子どもがいない場合になります。

被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属が相続人になります。

親などの直系尊属が先に死亡していた場合、兄弟姉妹が相続人になります。

子ども全員が相続放棄をしたら、次順位の人が相続人になります。

(3)相続登記に相続放棄申述受理通知書を提出する

他の相続人全員が相続放棄をしたら、一人が不動産を取得します。

不動産を取得する相続人が相続登記をします。

相続登記では、他の相続人全員の相続放棄申述受理通知書を添付します。

法務局は、提出された相続放棄申述受理通知書の記載内容を確認します。

相続登記の申請人が他の相続人が相続放棄をしたと主張するだけでは、法務局は通しません。

不動産の取得者であるか、法務局が厳しく審査します。

(4)相続放棄を強制することはできない

相続を単純承認するか相続放棄をするか、相続人が自分で判断します。

他の相続人が相続放棄を強制することはできません。

家庭裁判所は、相続人本人の意思であるか慎重に確認します。

3法定相続で複数の相続人から一人が相続登記

①遺産分割協議中は相続人全員が共有している

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

遺産分割協議は、相続財産の分け方について相続人全員でする話し合いです。

相続人全員による合意がまとまるまで、相続人全員が相続財産を共有しています。

相続人全員が法定相続分で、共有していると言えます。

②法定相続分で共有する相続登記ができる

登記制度は、権利関係を公示する制度です。

遺産分割協議中で相続人全員が共有していることを公示することができます。

法定相続分で相続人全員が共有する相続登記をすることができます。

法定相続分で相続人全員が共有する相続登記をしても、遺産分割協議に影響はありません。

登記簿に記録されても、遺産分割協議中のままです。

遺産分割協議で、不動産の取得者を決めることができます。

③相続人の一人が法定相続で相続登記を申請できる

法定相続分で相続人全員が共有する相続登記は、一部の相続人のみで申請することができます。

他の相続人の同意がなくても、一部の相続人のみで申請することができます。

④勝手に相続登記をしても独り占めはできない

一部の相続人のみで申請しても、独り占めはできません。

一部の相続人のみで申請しても、相続人全員が登記名義人です。

相続登記をした人が不動産の所有者になることはありません。

登記制度は、権利関係を公示する制度だからです。

一部の相続人のみで申請しても、他の相続人を排除することはできません。

相続登記は、独り占めのための制度ではないからです。

⑤法定相続で相続登記をするデメリット

デメリット(1)権利証が発行されない

権利証は、登記名義人が申請人であるときだけ発行されます。

一部の相続人が法定相続分で相続人全員が相続する相続登記を申請した場合、他の相続人に権利証が発行されません。

権利証が発行されなくても、他の相続人は不動産の権利者です。

不動産を売却する場合、権利証が必要になります。

不動産を売却する場合に、他の相続人とトラブルになります。

デメリット(2)申請人が登録免許税全額負担

相続登記をする場合、登録免許税を納めます。

一部の相続人が法定相続分で相続人全員が相続する相続登記を申請する場合、申請人が登録免許税全額を負担します。

申請人の持分にあたる登録免許税だけにする制度は、ありません。

デメリット(3)遺産分割協議成立後に更正登記

遺産分割協議で不動産を取得する人が決まったら、更正登記を申請する必要があります。

結局のところ、二度手間になります。

4相続人申告登記で名義変更はできない

①相続人申告登記はペナルティー回避の制度

令和6年(2024年)4月1日から、相続登記をする義務が課されました。

相続登記の期限は、3年です。

相続登記の期限までに相続登記の義務を履行しないと、ペナルティーの対象になります。

相続人申告登記は、ペナルティー回避の制度です。

相続登記ができなくても相続人申告登記をすれば、ペナルティーを回避することができます。

②複数の相続人から一人が相続人申告登記

複数の相続人がいても、一人が相続人申告登記をすることができます。

相続登記の義務は、相続人全員に課されています。

他の相続人が協力しなくても、相続人申告登記をして自分の義務を履行することができます。

相続人申告登記で義務を履行すれば、相続人申告登記をした人はペナルティーを回避できます。

③相続人申告登記をしても相続登記

相続人申告登記は、ペナルティー回避の効果があるだけです。

相続人申告登記をしても、不動産を取得することはできません。

不動産を取得する人は、あらためて相続登記をする必要があります。

相続登記をするから、不動産を取得できるのではありません。

不動産を取得すると決まった後に、相続登記を申請します。

相続人申告登記をしても相続登記をしても、不動産を取得することはできません。

5相続登記を司法書士に依頼するメリット

大切な家族を失ったら、大きな悲しみに包まれます。

やらなければいけないと分かっていても、気力がわかない方も多いです。

相続手続は一生のうち何度も経験するものではないでしょう。

だれにとっても不慣れで、手際よくできるものではありません。

相続登記は、相続手続の中でも手間がかかる難しい手続です。

相続登記は難しい手間がかかる手続なので、司法書士などの専門家に依頼するでしょう。

相続手続で挫折しがちなのは、戸籍謄本などの書類収集や遺産分割協議書の作成です。

書類収集や遺産分割協議書の作成は、司法書士に依頼することができます。

司法書士が戸籍謄本や遺産分割協議書を準備したうえに、法務局の厳重な審査をします。

法務局の審査が通った戸籍謄本や遺産分割協議書だから、銀行などの相続手続先で指摘があることはありません。

銀行などの独自書類の内容などに指摘があるとしても、簡単に済むことがほとんどでしょう。

相続手続をスムーズに進めたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

不在者財産管理人が権限外行為の許可の申立て

2026-06-03

1不在者財産管理人は行方不明者の代理人

①不在者財産管理人は行方不明者の財産を守る人

不在者財産管理人とは、行方不明者の財産を管理する人です。

行方不明者の財産を守るため、家庭裁判所が選任します。

不在者財産管理人は、行方不明者に不利益な財産管理をすることはできません。

家庭裁判所は、行方不明者に不利益な財産管理を許可しません。

不在者財産管理人制度は、行方不明者の財産を守る制度だからです。

②不在者財産管理人の任務は財産を守ること

不在者財産管理人は、行方不明者の財産を管理する人です。

不在者財産管理人の権限で、行方不明者の財産を守ります。

不在者財産管理人の権限は、行方不明者の財産を減らさないために行使されます。

不在者財産管理人には、行方不明者の利益を守る義務があるからです。

③不在者財産管理人は家族の希望をかなえる人ではない

家族にとって、家族の生活を守ることが行方不明者の利益にかなうと感じるかもしれません。

家族の希望をかなえることは、そのまま家族の生活を守ることのはずです。

法律が求める行方不明者の利益とは、行方不明者の財産を減らさないことです。

不在者財産管理人は、家族の希望をかなえる人ではありません。

家族の希望と行方不明者の利益が一致する場合に限って、家族の希望が考慮されます。

たとえ家族が不在者財産管理人に選任されても、行方不明者の利益を守る義務があります。

不在者財産管理人は、公的な立場だからです。

④処分行為には家庭裁判所による許可が必要

不在者財産管理人には、行方不明者の財産を保存管理する権限が与えられます。

本来、不在者財産管理人は、行方不明者の財産を処分することはできません。

行方不明者の財産を処分する行為は、不在者財産管理人の権限外の行為です。

不在者財産管理人が権限外の行為をする場合、家庭裁判所による許可が必要です。

財産の処分行為は、行方不明者に大きな影響があるからです。

行方不明者本人の意思が確認できないから、慎重に判断すべきです。

財産の処分行為をすると、原状回復が困難です。

家庭裁判所は、財産処分が客観的に合意理的か慎重にチェックします。

家庭裁判所の許可なしで、不在者財産管理人が処分行為をしても無効です。

⑤家庭裁判所が許可する基準

家庭裁判所は、次のポイントを重点的にチェックします。

・行方不明者に不利益ではないか

・処分が必要があるか

・価格は妥当であるか

・タイミングは妥当であるか

・手続が適正であるか

・他の手段で代替できないか

処分行為が必要であり、かつ、処分行為に相当性が認められるときのみ、家庭裁判所は許可します。

実務上は次の場合、許可されないことが多いでしょう。

・今すぐ処分しなくても問題がない場合

・価格や条件が客観的に説明できない場合

・他の方法で対応できる場合

家族の希望や事情は、家庭裁判所の審査の対象ではありません。

家族が希望しても、家庭裁判所は許可しないことがあります。

2不在者財産管理人が権限外行為の許可の申立て

①遺産分割協議

(1) 遺産分割協議は処分行為

相続が発生したら、相続財産の分け方は相続人全員の合意で決定します。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話し合いです。

遺産分割協議を成立させることは、処分行為と考えられています。

遺産分割協議で、相続分を処分するからです。

(2)相続分を確保する→許可

行方不明者の相続分を確保する遺産分割協議案は、許可されやすい代表例です。

行方不明者の相続分を確保すると、行く不明者に不利益がないことが明確だからです。

(3)評価が明確な代償分割→許可

代償分割とは、一部の相続人が不動産を相続し、残りの相続人は不動産を相続した人から、その分の代償をもらう方法です。

他の相続人が不動産を相続し、行方不明者が代償を受け取る遺産分割協議案は、許可されやすい事例です。

代償分割では、不動産が適切に評価されていることが重要です。

不動産が適切に評価されていないと、代償金が適切か判断できないからです。

(4)換価分割で売却代金を取得→許可

換価分割とは、分けにくい財産を売却して金銭に換えた後、金銭を分ける方法です。

一部の相続人が不動産を相続した後に売却し、売却代金を分配します。

実質的に現金化された後に公平に分配するから、許可されやすい事例です。

換価分割で第三者に売却する場合、不動産評価が客観的です。

行方不明者が取得する相続分が明確になります。

(5)特定の相続人に偏った遺産分割→不許可

不在者財産管理人の任務は、財産を減らさないことです。

特定の相続人に偏った遺産分割は、許可されにくい事例です。

行方不明者の相続分が確保されない遺産分割協議に合意することはできません。

たとえ家族が不在者財産管理人であっても、相続分が確保されない遺産分割協議に合意することはできません。

不在者財産管理人は、行方不明者の利益を守る人だからです。

行方不明者の相続分が確保されない遺産分割協議に、家庭裁判所は許可しません。

(6)相続税を節税できる遺産分割→不許可

相続税が節税できることは、家族のメリットです。

家族のメリットは、家庭裁判所の審査の対象外です。

不在者財産管理人は、家族の希望をかなえる人ではありません。

行方不明者に不利益な遺産分割協議に、家庭裁判所は許可しません。

(7)帰来時弁済型遺産分割協議→厳格な条件

帰来時弁済型遺産分割協議とは、条件付きの遺産分割の方法です。

条件は、行方不明者が帰って来た時に代償金を支払うことです。

帰来時弁済型遺産分割協議は、厳格な条件を満たしたときだけ例外的に許可されます。

帰来時弁済型遺産分割協議が認められる条件は、明確ではありません。

次の条件を満たす場合、許可されやすい傾向があります。

・行方不明者が取得する金銭が100万円未満

・行方不明者が高齢

・行方不明者に相続人がいない

・行方不明が長期間

・代償金を払う人が事実上の保護者

・代償金を払う人に充分な資力

(8)必要な資料

・相続人全員を確定するための戸籍謄本

・相続財産目録

・財産評価資料

・遺産分割協議案

・売買契約書案

家庭裁判所は、客観的資料を重視します。

行為の必要性と公平性を客観的に示す資料を準備します。

②相続放棄

(1)相続放棄が認められると相続人でなくなる

家庭裁判所で相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。

相続放棄は、相続人の地位を失う重大な決定です。

相続放棄は、処分行為と考えられます。

(2)相続財産が債務超過→許可

相続財産は、プラスの財産だけでなくマイナスの財産も含まれます。

相続財産が債務超過である場合、相続すると行方不明者に不利益です。

不利益回避が明確である場合、家庭裁判所は許可します。

(3)遺産分割協議から除外したい→不許可

遺産分割協議成立には、相続人全員の合意が必要です。

相続放棄をしたら、はじめから相続人でなくなります。

相続放棄をした人は、遺産分割協議に関与しません。

遺産分割協議に関与してほしくないからなどの理由では、許可されません。

不在者財産管理人は、行方不明者の利益を守る義務があるからです。

たとえ家族の希望があっても、家庭裁判所は相続放棄をする許可をしません。

(4)必要な資料

・相続財産目録

・債務超過を示す資料

③不動産売却

(1)不動産売却は処分行為

不動産を売却すると、不動産が現金に変わります。

不動産売却は、典型的な分行為と考えられています。

元に戻せない行為だから、慎重に判断する必要があります。

(2)管理費や維持費の負担が重い→許可

不動産には、管理の手間がかかります。

不動産が老朽化すれば、多額の修繕費や管理費がかかります。

多額の管理費や維持費がかかると、行方不明者の財産全体が減少するでしょう。

行方不明者の財産を守るため、不動産を売却することが適切と判断されます。

管理費や維持費の負担が重い場合、家庭裁判所は許可します。

(3)共有トラブル解決のため売却→許可

行方不明者が不動産を共有していることがあります。

共有する不動産の管理方針は、不在者財産管理人が他の共有者と協議します。

共有不動産の管理方針が異なる場合、共有者間でトラブルになるでしょう。

大きく異なる場合、共有物全体を売却する以外に、解決できなくなることがあります。

行方不明者の利益保護のため、不動産売却が許可されます。

(4)親族間売買で著しく低額で売却→不許可

第三者に売却する場合、不動産評価が客観的です。

親族に売却する場合、不動産評価が客観的ではありません。

不動産を親族間で売買する場合、相場より低額で売買することがあります。

時価の70%程度で売買する場合、修繕費などの資金需要によっては合理的と判断されることがあります。

時価と比べて著しく低額で売却する場合、行方不明者に不利益な財産処分と判断されるでしょう。

行方不明者に不利益な財産処分に、家庭裁判所は許可しません。

(5)買主が決まっているだけ→不許可

不動産売却の権限外行為の許可にあたって、家庭裁判所は次の点を重視します。

・行方不明者に不利益ではないか

・処分が必要があるか

・価格は妥当であるか

・タイミングは妥当であるか

家庭裁判所は、買主が決まっていることを重視しません。

買主が決まっていることは、プラス材料ですが決定打ではありません。

不在者財産管理人制度は、家族や買主の希望をかなえる制度ではないからです。

たとえ買主が決まっていても、行方不明者の利益を重視します。

行方不明者に不利益な売却は、買主が決まっていても許可されません。

(6)必要な資料

・不動産の登記簿謄本

・不動産の評価資料

・売買契約書案

・管理費や維持費の発生状況が分かる資料

④建物の取壊し

(1)建物の取壊しで財産が消滅する

行方不明者の建物を取壊すと、財産が消滅します。

建物の取壊しは、財産の処分行為と考えられています。

(2)老朽化で倒壊のリスク大→許可

建物が老朽化すると、損傷や倒壊のおそれが大きくなります。

建物が倒壊すると大きな損害になるから、取壊しには高い必要性が認められます。

建物が倒壊する前に、解体した方が少ない損失で済むことがあります。

解体した方が近隣へのリスクを減らせることが多いでしょう。

行方不明者の財産を守るため、建物の取壊しが許可されます。

(3)家族による開発目的→不許可

更地にして家族が開発をしたい場合、行方不明者の利益とは無関係です。

建物の取壊しで行方不明者の財産が消滅することを考えると、不利益と判断されるでしょう。

不在者財産管理人は、家族の希望をかなえる人ではありません。

家族による開発目的で建物の取壊しを希望しても、家庭裁判所は許可しません。

(4)必要な資料

・取壊す建物の外観写真

・登記簿謄本

・建築確認済証

・建築士や不動産鑑定士による劣化状況の報告書

・取壊し費用の見積書

⑤訴訟行為

(1)訴訟行為は処分行為

訴訟行為は、行方不明者の権利義務に大きな影響があります。

訴訟行為は、処分行為と考えられます。

(2)行方不明者の債権を回収→許可

債権を行使しないまま、行方不明になることがあります。

行方不明者のために不在者財産管理人が債権を行使することは、行方不明者の利益になります。

債権の実現のため、必要であれば訴訟行為が必要になります。

行方不明者の利益になる訴訟行為には、家庭裁判所は許可します。

(3)勝訴の可能性が著しく低い→不許可

勝訴の可能性が著しく低い場合、費用倒れになる可能性があります。

行方不明者に不利益になることから、家庭裁判所は許可しません。

(4)応訴→許可不要

応訴とは、裁判などで訴えられた場合に、反論などをすることです。

応訴は、保存行為や管理行為と考えられています。

本人の財産を守るための保存行為や管理行為のため、権限外行為の許可は不要です。

(5)必要な資料

・訴訟対象が分かる資料

・訴訟を行わないときの損害やリスク資料

・訴訟の正当性や必要性を証する資料

・訴訟費用見積書

⑥権限外行為の許可の申立ての流れ

(1)申立人

権限外行為の許可の申立てができるのは、不在者財産管理人のみです。

家族は、関与しません。

(2)申立先

不在者財産管理人を選任した家庭裁判所です。

(3)費用

・手数料

申立手数料は、800円です。

申立書に収入印紙を貼り付けて、納入します。

・連絡用郵便切手

家庭裁判所が手続で使う郵便切手を予納します。

家庭裁判所ごとに、必要な額面や枚数が異なります。

(4)必要書類

権限外行為の許可の申立書に添付する書類は、権限外行為が必要になることの資料です。

(5)許可されるまでの期間

権限外行為の許可の審判がされるまで1~3か月程度かかります。

3権限外行為の許可の範囲のみ権限がある

①不在者財産管理人の権限は確認できる

不在者財産管理人が遺産分割協議や不動産を売却する場合、権限外行為の許可の審判が必要です。

権限外行為の許可の審判書には、提出した遺産分割協議案や売買契約案が添付されています。

添付された遺産分割協議案や売買契約案と異なる内容で、財産処分をすることはできません。

権限外行為の許可は、包括的な許可ではないからです。

異なる内容で財産処分をする場合、あらためて許可を得る必要があります。

②許可なしで財産処分はできない

権限外行為の許可がされなかった場合、不在者財産管理人は財産処分行為ができません。

家庭裁判所の許可なしで、財産処分をしても無効です。

たとえ許可がされなくても、不在者財産管理人の落ち度ではありません。

家庭裁判所は、行方不明者の利益を最優先に判断するからです。

4生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続人が行方不明であることは、割とよくあることです。

行方不明の相続人がいると、相続手続を進めることができません。

相続が発生した後、困っている人はたくさんいます。

自分たちで手続しようとして、挫折する方も少なくありません。

困っている遺族はどうしていいか分からないまま、途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。

相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

受遺者とは遺贈で財産を引き継ぐ人

2026-06-01

1受遺者とは遺贈で財産を引き継ぐ人

①遺言書を作成して遺贈ができる

遺贈とは、遺言書を作成して相続人や相続人以外の人に財産を引き継ぐことです。

遺贈と相続は、別の制度です。

被相続人は遺言書を作成して、だれに引き継いでもらうのか自由に決めることができます。

遺言書なしで、遺贈はできません。

遺言書を作成して、遺言者の思うように財産を引き継ぐことができます。

②相続人以外の人に財産を引き継ぐことができる

受遺者とは、遺贈によって財産を引き継ぐ人です。

相続人になる人は、法律で決まっています。

法律で決められた人以外の人は、相続人になることはできません。

相続人も相続人以外の人も、遺贈を受けることができます。

受遺者は、遺言書で明確に特定する必要があります。

相続人は、相続することができるし遺贈を受けることができます。

相続人以外の人は、相続することができないけど遺贈を受けることができます。

受遺者は、遺贈によって財産を引き継ぐ人です。

③受遺者と相続人のちがい

ちがい(1)指定方法

相続が発生すると、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続人になる人は、法律で決められています。

被相続人が何もしなくても、相続人は相続することができます。

受遺者とは、遺贈によって財産を引き継ぐ人です。

被相続人が遺言書で遺贈すると定めないと、受遺者は財産を受けることができません。

遺言書なしで、遺贈することはできないからです。

ちがい(2)財産の取得方法

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

受遺者は、遺言書の内容により財産を引き継ぎます。

特定遺贈であれば、遺言書で特定された財産のみを引き継ぎます。

包括遺贈であれば、遺言書で指定された割合で引き継ぎます。

具体的に引き継ぐ財産を話し合いで決める必要があるからです。

ちがい(3)代襲相続

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

相続人になるはずだったのに、子どもが被相続人より先に死亡することがあります。

被相続人より先に死亡した場合、相続人になるはずだった子どもの子どもが相続します。

代襲相続とは、相続人になるはずだった人が先に死亡したときに相続人になるはずだった人の子どもが相続することです。

相続人になるはずだった人が先に死亡した場合、代襲相続をすることができます。

受遺者になるはずだった人が先に死亡した場合、受遺者になるはずだった人の子どもは受遺者になりません。

受遺者は、相続が発生したときに生きていることが条件です。

遺言書の内容は、代襲相続されないからです。

ちがい(4)遺産分割協議

相続人は、全員遺産分割協議に参加する権利と義務があります。

遺産分割協議は、相続人全員の合意で成立するからです。

受遺者は、包括遺贈を受けた人のみ参加する権利と義務があります。

包括遺贈とは、遺言書に、「財産すべてを包括遺贈する」「財産の2分の1を包括遺贈する」と割合だけ書いて財産を具体的に書いてない場合です。

特定遺贈を受けた人は、遺産分割協議に参加する権利と義務がありません。

特定遺贈とは、遺言書に、「財産〇〇〇〇を遺贈する」と財産を具体的に書いてある場合です。

④受遺者の説明がバラバラに見える理由

受遺者は、民法上、遺贈によって財産を引き継ぐ人のはずです。

話し手の都合によって受遺者という言葉は、さまざまな意味で使われていることがあります。

受遺者の説明がバラバラに見える理由は、話し手によって立場が異なるからです。

銀行などの金融機関にとって、受遺者は遺産を受け取る人です。

銀行などの金融機関にとって、相続人と受遺者の区別は重要ではありません。

口座の資金を受け取る人に、強い関心があるからです。

税理士にとって、受遺者は税金が高くかかる人です。

相続税申告では、一定の相続人以外の人が財産を受け取ると税金が高くなるからです。

税理士にとって、相続人と受遺者の定義は重要ではありません。

相続税申告に、強い関心があるからです。

ネット記事にとって、単に受遺者は難しい用語の一部です。

相続全体を説明するより、アクセスを集められる一部だけ切り取って説明します。

アクセスを集めることに、強い関心があるからです。

2受遺者がいるときに相続人に与える影響

①相続人が相続する財産が減る

遺言書で財産を遺贈した場合、遺贈した財産は受遺者に引き継がれます。

相続人間で、遺贈された財産以外の財産を分け合います。

必然的に、遺贈された財産分だけ相続人が相続する財産が減ります。

②マイナスの財産は相続人が引継ぐ

特定遺贈を受けた人は、遺言書で指定された財産を引き継ぎます。

特定遺贈を受けた人は、遺言書で指定された財産以外の財産を引き継ぎません。

相続財産にマイナスの財産があっても、特定受遺者は引き継ぎません。

相続財産にマイナスの財産がある場合、相続人と包括受遺者が引き継ぎます。

包括受遺者は、マイナスの財産も遺言書で指定された割合で引き継ぐからです。

③遺産分割協議に参加

特定遺贈を受けた人は、遺言書で指定された財産だけを引き継ぎます。

相続財産の分け方に関与する必要はありません。

特定遺贈を受けた人は、遺産分割協議に参加しません。

包括遺贈を受けた人は、相続財産に対する割合だけ指定されています。

具体的に引き継ぐ財産は、遺産分割協議で決定します。

相続財産の分け方に関与する必要はあります。

包括遺贈を受けた人は、遺産分割協議に参加します。

④遺留分侵害額請求ができる

遺留分とは、相続人に認められた最低限の権利です。

被相続人に近い関係の相続人に認められます。

配分された財産が遺留分に満たない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分侵害額請求は、相続人としての最低限の権利を回復する制度です。

⑤遺贈の放棄によって相続財産になる

遺言者が死亡した後に、受遺者は遺贈を辞退することができます。

受遺者が受け取るはずだった財産は、相続財産になります。

相続人全員による遺産分割協議によって、引き継ぐ人を決定します。

⑥遺言執行に協力が必要

遺言書の内容は、自動で実現しません。

遺言書で遺贈した場合、原則として相続人全員の協力で遺言書の内容を実現します。

遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者がいる場合、遺言執行者が遺言書の内容を実現します。

遺言執行者がいれば、相続人の協力は不要です。

2受遺者になる条件

①遺言書で特定されていること

受遺者になるためには、遺言書で明確に特定されている必要があります。

②相続が発生したときに生きていること

受遺者になるためには、相続が発生したときに生きている必要があります。

受遺者が遺言者より先に死亡した場合、遺言書の該当の項目は無効になります。

遺言者が死亡したときに、遺言書の効力が発生するからです。

胎児が誕生前に遺言者が死亡した場合、胎児は受遺者になることができます。

遺言書に効力が発生したときに、すでに死亡している人は遺贈を受けることができません。

受遺者が先に死亡した場合、受遺者の子どもなどが代わりに遺贈を受けることもできません。

遺言書の内容は、代襲相続できないからです。

③相続欠格に該当しないこと

相続人になる人は、民法で決められています。

相続人になれない人も、民法で決められています。

相続欠格とは、相続人としてふさわしくない人の相続資格を奪う制度です。

相続資格だけでなく、遺贈を受ける資格も奪われます。

相続欠格は、被相続人の意思とは無関係に相続人の資格を奪う制度です。

4遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書は、被相続人の意思を示すものです。

自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。

実は、民法に遺言書を作ることができるのは15歳以上と定められています。

死期が迫ってから、書くものではありません。

遺言書は被相続人の意思を示すことで、家族をトラブルから守るものです。

遺贈とは、遺言によって相続人や相続人以外の人に、財産を引き継ぐものです。

遺贈は簡単に考えがちですが、思いのほか複雑な制度です。

遺言執行には、法的な知識が必要になります。

遺言の効力が発生したときに、遺言執行者からお断りをされてしまう可能性があります。

遺言書の内容によっては、遺言執行者を家庭裁判所に決めてもらう必要があります。

遺言書の内容に納得していない相続人がいる場合、財産を引渡そうとしないこともあります。

家族をトラブルから守ろうという気持ちを実現するために、せっかく遺言書を書くのですから、スムーズな手続を実現できるように配慮しましょう。

お互いを思いやり幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続人が複数なら遺産分割協議後に相続登記

2026-05-29

1相続人が複数でも不動産の取得者が相続登記

①相続人の人数で相続登記は変わらない

被相続人が不動産を保有していた場合、不動産の名義変更をします。

相続登記とは、不動産の名義変更です。

相続人が複数いても、相続登記の方法に違いはありません。

相続人が複数いても、特別なルールはありません。

相続登記は、不動産の取得者が申請します。

相続人がひとりでも複数でも、不動産の取得者が相続登記を申請します。

②不動産の取得者が相続登記

相続登記は、不動産の取得者が申請します。

不動産を取得しない相続人は、相続登記の申請人になりません。

相続登記の申請人とは、相続登記の申請書に記名押印をする人です。

不動産を取得する人は、ひとりであることがほとんどです。

相続人が複数いても、相続登記の申請人はひとりです。

相続登記は、不動産の取得者が申請するからです。

③相続登記の前に不動産の取得者を決める

(1)遺産分割協議で不動産取得者を決定する

相続人が複数いる場合、不動産の取得者を決める必要があります。

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人全員の共有財産になります。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話し合いです。

遺産分割協議で、不動産の取得者を決定します。

遺産分割協議は、相続人全員の合意で成立します。

不動産の取得者が相続登記を申請します。

(2)遺言書で不動産取得者を指定する

被相続人が生前に、遺言書を作成していることがあります。

遺言書を作成して、不動産の取得者を指定することができます。

遺言書がある場合、遺言書のとおりに遺産分割をすることができます。

遺言書で遺言執行者を指名した場合、遺言執行者が相続登記を申請することができます。

遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人だからです。

(3)相続人が1人は珍しい

相続人がひとりなら、その人が全財産を相続します。

不動産があれば、その人が取得します。

相続人がひとりであることは、あまりありません。

(4)法定相続で相続登記

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

遺産分割協議中は、法定相続分で相続人全員が共有していると言えます。

一部の相続人は、相続人全員のため法定相続分で相続登記をすることができます。

2相続人が複数なら遺産分割協議後に相続登記

①相続人全員の合意で不動産の取得者を決める

相続人が複数の場合、遺産分割協議で不動産の取得者を決めるのが一般的です。

遺産分割協議の成立には、相続人全員の合意が不可欠です。

相続人全員の合意で、不動産の取得者を決定します。

②行方不明の相続人を除外できない

一部の相続人を含めずに、合意をしても無効の合意です。

たとえ疎遠な相続人であっても、合意が必要です。

たとえ行方不明の相続人であっても、合意が必要です。

一部の相続人を含めず、遺産分割協議は成立させられないからです。

行方不明の相続人がいる場合、家庭裁判所に不在者財産管理人を選任してもらいます。

不在者財産管理人が遺産分割協議に参加して、合意してもらいます。

③生死不明の相続人を除外できない

長期間生死不明である場合、失踪宣告を申し立てることができます。

失踪宣告とは、生死不明の人を死亡扱いにする手続です。

失踪宣告を受けた人の相続人が遺産分割協議に参加します。

④認知症の相続人を除外できない

認知症になると、判断能力が低下します。

重度の認知症になると、遺産分割協議に自分で参加することはできません。

重度の認知症の相続人がいる場合、家庭裁判所に成年後見人を選任してもらいます。

成年後見人が遺産分割協議に参加して、合意してもらいます。

⑤遺産分割協議が成立したら遺産分割協議書を作成

遺産分割協議に基づいて相続手続を進める場合、遺産分割協議書と印鑑証明書を提出します。

遺産分割協議書とは、相続人全員による合意内容の証明書です。

合意内容を書面に取りまとめて、相続人全員に内容を確認してもらいます。

問題がなかったら、相続人全員に記名し実印で押印してもらいます。

遺産分割協議書の押印が実印によるものであることを確認するため、印鑑証明書を添付します。

遺産分割協議書を作成するため、相続人全員の協力が必要です。

相続人全員の協力がないと、遺産分割協議書を作成できないからです。

⑥相続登記の申請人は不動産の取得者だけ

相続登記の申請人は、相続登記の申請書に記名押印をする人です。

遺産分割協議で不動産の取得者をひとりに決めた場合、相続登記の申請人は不動産の取得者ひとりのみです。

不動産を取得しない他の相続人は、相続登記の申請人になりません。

相続登記の申請人にならなくても、遺産分割協議書に記名し押印する必要があります。

遺産分割協議書と印鑑証明書は、相続登記で提出するからです。

⑦不動産を取得しない他の相続人に不利益はない

相続人が複数であっても不動産の取得者がひとりなら、相続登記の申請人はひとりです。

相続人が複数であっても、相続登記の申請人は複数になりません。

不動産を取得しない他の相続人は、相続登記の申請人になることはできません。

不動産を取得しない他の相続人は、相続登記の申請人にならなくても不利益はありません。

⑧相続登記の申請人複数は取得者が複数のときだけ

複数の相続人が共有で相続することがあります。

複数の相続人が共有で相続する場合、不動産の取得者は複数です。

相続登記の申請人は、不動産の取得者全員です。

相続登記の申請人が複数になるのは、不動産の取得者が複数のときだけです。

不動産を共有すると、申請人が複数になります。

不動産を共有すると、将来の不動産管理でトラブルになりがちです。

⑨不動産の共有はデメリットが大きい

デメリット(1)共有物を処分するには共有者全員の合意が必要

共有財産は、共有している人全員が合意しないと、処分はできません。

処分するとは、共有物を売却する、第三者に賃貸することなどです。

たくさんの人で共有していると合意がまとまりにくくなります。

デメリット(2)共有者に相続が発生する

共有者全員の合意がしにくくなると、売却などの判断は先延ばししがちです。

先延ばしにより長期間経過すると、共有者に相続が発生することがあります。

死亡した共有者の共有持分を、複数の相続人が法定相続分で細分化して共有することがあります。

デメリット(3)共有持分を売却するおそれ

共有物全体を売却するためには共有者全員の合意が必要です。

それぞれの共有者が持っている共有持分を売却するためには、他の共有者の合意は不要です。

共有持分を買い取る業者はビジネスですから、遠慮なく共有者としての権利を主張してきます。

⑩共有を回避して公平に遺産分割する方法

方法(1)現物分割

現物分割とは、相続財産をそのままの形で分ける方法です。

例えば一部の相続人が不動産を相続して、他の相続人が預貯金を相続することができます。

土地が広大である場合、分筆をすることができます。

土地を分筆して分ける方法も、現物分割です。

方法(2)換価分割

換価分割とは、不動産を売却して金銭に代えた後に金銭を分ける方法です。

不動産は分けにくい財産だけど、金銭は分けやすい財産です。

分けやすい金銭で分けるから、公平な遺産分割を実現しやすくなります。

方法(3)代償分割

代償分割とは、一部の相続人が不動産を相続し他の相続人は不動産を相続した相続人から代償金を受け取る方法です。

代償金を受け取れるから、公平な遺産分割を実現しやすくなります。

3相続人が複数でも遺言書どおりに相続登記

①遺産分割協議なしで相続登記ができる

遺言書を作成する場合、財産の分け方について記載することがほとんどです。

遺言書で財産の取得者が決められている場合、遺産分割協議をする必要はありません。

相続人が複数でも、遺言書の内容どおりに相続登記をすることができるからです。

遺言書で決められた不動産の取得者が不動産を取得します。

②遺言執行者が相続登記の申請人

遺言書を作成する場合、遺言執行者を指名することができます。

遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現するため相続登記をすることができます。

遺言執行者は、相続登記の申請人になります。

③遺言書に記載がない財産は遺産分割協議

遺言書の内容を確認すると、一部の財産が記載されていないことがあります。

一部の財産が記載されていなくても、遺言書自体は有効です。

遺言書に記載がない財産は、相続人全員で分け方を決定します。

相続人全員による合意内容を遺産分割協議書に取りまとめます。

遺産分割協議書と印鑑証明書を準備して、不動産の取得者が相続登記をします。

遺言書に記載がない財産は、遺言執行者が手続をすることはできません。

遺言書の内容を実現するわけではないからです。

4相続人が複数で法定相続分で相続登記

①遺産分割協議中は相続人全員で共有している

被相続人の財産は、相続人全員の共有財産です。

遺産分割協議中は、法定相続分で相続人全員が共有していると言えます。

②法定相続分で相続登記ができる

法定相続分で相続人全員が共有している現状を登記することができます。

実際のところ遺産分割協議中に、相続登記をするのはレアケースです。

遺産分割協議が成立した後に、あらためて更正登記をする必要があるからです。

③一部の相続人が相続登記の申請人になれる

相続人全員が法定相続分で共有する相続登記は、一部の相続人が申請人になることができます。

一部の相続人が申請人になって、相続人全員のために相続登記をします。

一部の相続人が申請人になっても、相続人全員が登記名義人になります。

④申請人にならない相続人に権利証が発行されない

権利証とは、不動産の所有者であることの証明書です。

不動産を売却するときや担保に差し出すとき、所有者の本人確認と意思確認のため権利証を提出します。

相続登記をした場合、申請人になった相続人には権利証が発行されます。

相続登記をした場合、申請人にならなかった相続人には権利証が発行されません。

相続登記に関与していないのに権利証を発行すると、所有者本人以外の人が権利証を持つことになるからです。

所有者以外の人が権利証を持つと、不動産の所有者であることの証明書として機能しません。

相続後に不動産を売却するときに、トラブルに発展します。

⑤代表相続人に依頼してもラクにならない

相続登記をした場合、申請人にならなかった相続人には権利証が発行されません。

登記の申請人は、原則として登記申請書に記名し押印が必要です。

複数の申請人がいる場合、代表相続人に申請を依頼することが多いでしょう。

代表相続人に申請を依頼する場合、委任状が必要です。

委任状なしで、代表相続人が勝手に申請をすることはできません。

委任状は、依頼内容の証明書だからです。

委任状には、どのような依頼をしたのか詳しく書く必要があります。

委任状に適切な記載がされていない場合、適切な依頼を受けていないと判断されます。

代表相続人に依頼することは、手続がカンタンになることではありません。

5相続登記を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、相続人はたくさんの相続手続に追われて悲しむ暇もありません。

相続は、何度も経験するものではないでしょう。

手続に不慣れで聞き慣れない法律用語で、へとへとになります。

一般的にいって、相続登記は、その中でも難しい手間のかかる手続です。

不動産は重要な財産であることが多いので、些細なことと思えるようなことでやり直しになります。

簡単そうに見えても、思わぬ落とし穴があることもあります。

数次相続が発生している場合、難易度は高くなります。

相続登記を自分でやってみたけど、挫折した方の相談も受け付けております。

相続登記をスムーズに完了させたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

熟慮期間中の単純承認を回避して相続放棄

2026-05-28

オリーブの木司法書士事務所にご依頼をいただきましてありがとうございました

1 オリーブの木司法書士事務所にご依頼いただく前に、どのようなことでお困りでしたか。

父(夫)の死後、相続放棄するか、否か。

2 たくさんの事務所がある中から、オリーブの木司法書士事務所にご依頼いただきまして、ありがとうございました。

オリーブの木司法書士事務所を知ったきっかけをお聞かせください。

インターネット

3 オリーブの木司法書士事務所に相談をしてから依頼をするまで時間はかかりましたか。

また時間がかかったとしたらどんな理由がありましたか。

かからなかった。

4 オリーブの木司法書士事務所に依頼するときに、重視したことをお聞かせください。

・相続放棄の知識

・初回面談内容

・安心感

5 実際にオリーブの木司法書士事務所にご依頼いただいたご感想をお聞かせください。

・一般的な手続きのみならず、本件固有と思われる問題、状況にも

丁寧柔軟にご対応、ご教示頂いた。

・時間・距離的にも制限のある中で、緊密、丁寧にご対応頂いた。

6 このアンケートをオリーブの木司法書士事務所のホームページやパンフレット等に掲載してよろしいでしょうか。

イニシャルを掲載してよい

イニシャル S.H

オリーブの木司法書士事務所からコメント

オリーブの木司法書士事務所にご依頼をいただきましてありがとうございました。

S.Hさまから、死亡したお父さまの相続放棄をご依頼いただきました。

相続放棄をしたいと決めて、ご相談いただいたのではありません。

相続放棄をするか迷って、ご相談いただきました。

迷っていても、相続手続は押し寄せてきます。

相続放棄をするなら、単純承認になる行為は避ける必要があります。

相続放棄をするか決めかねているのに、次々と判断を迫られます。

相続手続先は、単純承認になる行為であるか分かっていません。

親切のつもりで、手続を進めるように言ってきます。

相続手続先の人のすすめであっても、単純承認は撤回できません。

こちらで聞き取りをしながら、単純承認になる行為についてアドバイスをしました。

相続放棄をするか否か判断できるまで、単純承認を回避するアドバイスをしました。

相続放棄をすると決断し、手続をしました。

無事、家庭裁判所から、相続放棄申述受理通知書が届きました。

今回、ご依頼をいただきましてありがとうございました。

« Older Entries

keyboard_arrow_up

0527667079 問い合わせバナー 事前相談予約