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相続放棄してもペットの引き取り

2022-10-14

1ペットは相続できない

高齢化社会が到来して、多くの方は長生きになりました。

核家族化が進み、高齢者世帯や単身世帯が増えています。

人生100年時代のさびしさや孤独の辛さから、ペットに癒しを求めている人が増えています。

ペットは「家族」として一緒に暮らすパートナーになったと言えるでしょう。

飼い主にとって、大切な家族であるペットですが、飼い主が死亡しても、相続人にはなれません。

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は次のとおりです。

①配偶者は必ず相続人になる

②被相続人に子どもがいる場合、子ども

③被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

④被相続人に子どももいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

飼い主にとって、ペットは大切な家族ですが、法律上はモノと同じです。

法律上、物に財産を残すことはできません。

ペットは相続人になれません。

2相続の承認と相続放棄

相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も相続人が受け継ぎます。

相続財産というとプラスの財産だけイメージしがちですが、マイナスの財産も含まれます。

マイナスの財産が多い場合、相続放棄をすることができます。

法律で定められた一定の条件にあてはまるときは、単純承認したとみなされます。

単純承認とは、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継ぐものです。

単純承認とみなされたら、相続放棄はできません。

相続放棄はできないのに、家庭裁判所に相続放棄の手続をして、相続放棄が認められても無効です。

家庭裁判所が事情を分からずに相続放棄を認めてしまっても、後から無効になります。

単純承認したとみなされる行為は、法律で定められています。

相続財産を処分した場合、単純承認したとみなされます。

相続財産の名義変更をした、相続財産である銀行の預貯金を引き出して使ってしまった場合が典型的です。

単に、引き出しただけであれば、処分とは言えないことが多いでしょう。

引き出したうえ、自分の口座に送金して保管すると、「処分した」と評価される可能性が高くなります。

相続財産の分け方について、相続人全員で合意をした場合も、相続財産を「処分した」場合に当たります。

3ペットを引き取ってもほとんど問題ない

飼い主にとって、ペットは大切な家族ですが、法律上はモノと同じです。

被相続人のものは、原則として、相続財産です。

被相続人が飼っていたペットも相続財産のひとつです。

①餌やりなどの世話をしても問題ない

ペットは命のある生き物ですから、餌やりなどの世話が欠かせません。

ペットに餌やりなどの世話をすることは、相続財産を維持する行為と言えます。

相続財産を維持するだけであって、処分したとは言えません。

ペットに餌やりなどの世話をすることで相続放棄が無効になることはありません。

②経済的価値のないペットを引き取っても問題ない

ペットを引き取ったことが単純承認であると判断されてしまうことで、相続放棄が無効にならないか心配になるかもしれません。

被相続人のものだからと言って、何ひとつ処分できないというわけではありません。

あきらかにゴミであるものを処分した場合にまで、相続放棄が無効になることは不当です。

経済的価値のないものと形見として持ち帰った場合、相続放棄が無効になることはありません。

通常、一般的に飼われているペットに金銭的価値があることは少ないでしょう。

お金を払ってペットを買い取る人は考えられません。

経済的価値は無いと言えるでしょう。

よほど希少種であるとか珍しい種類のペットであるなどの事情があって、売却すれば高値で取引される場合、ペットを引き取ると単純承認とみなされる可能性があります。

4飼主がペットの行き先を決めてあげるべき

自分の死亡した後、大切な家族であるペットをどうするかが問題になります。

飼い主にとって大切な家族であるペットは、飼主を失うと人間以上に困ります。

ペットは自分では何もできないからです。

ペットの飼育が心配で、ペットを残して逝けないと言う方もいます。

①負担付遺贈

遺贈とは、被相続人が遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげることです。

相続では、法定相続人だけに譲ってあげることができます。

遺贈では、法定相続人に譲ってあげることもできるし、相続人以外の人に譲ってあげることができます。

譲ってあげる相手は、相続人以外の人でも構いませんから、ペットの飼育を引き受けてくれる人にも譲ってあげることができます。

ペットを飼育してもらうことを条件にして、遺言によって、財産を譲ってあげることができます。

遺贈は、遺言によって行います。

遺言書は相続人などの関与なしで作ることができます。

遺言で遺贈や相続のことを定める場合、遺言者が受け取る人の意見を聞かずに、一方的に決めることができます。

遺言に書いてあるからとは言っても、受け取る人が困ることがあります。

受け取る人がペットにアレルギーがあるかもしれません。

ペット飼育禁止のマンションに住んでいるかもしれません。

遺贈は、放棄することができます。

飼主にとって大切な家族だから、飼育をお願いしたいのに放棄されてしまうのは困るでしょう。

財産を受け取る人が遺贈を放棄しない場合でも、適切に飼育しないかもしれません。

財産を受け取った人が適切に飼育をしていない場合、相続人や遺言執行者は家庭裁判所に負担付遺贈に関する遺言の取消を求めることができます。

家庭裁判所に対して遺言の取消を求めるのは、手続が煩雑です。

②負担付死因贈与

死因贈与とは、財産を譲ってあげる人が死亡したら、財産を譲る契約です。

契約なので、財産を譲ってあげる人と譲ってもらう人が合意する必要があります。

遺贈のように、受け取る人の意見を聞かずに、一方的に決めることができません。

財産を譲ってあげる人と譲ってもらう人が合意して決めたことだから、後になって、お断りをすることはできません。

飼主にとって大切な家族を、お断りされることなく飼育してもらえることは、安心できるでしょう。

負担付遺贈も、負担付死因贈与も、財産を受け取った後、受け取った財産は受け取った人のものです。

ペットを適切に飼育しているか、第三者がチェックする仕組みがありません。

受け取った財産で、ペットの飼育以外に浪費をすることもできます。

ペットの飼育が終了した後も、譲ってあげた財産は、受け取った人のものです。

③ペット信託

信託とは、信頼できる人に財産を預かってもらって、自分の決めた人のために利用管理してもらう契約のことです。

信託の仕組みをペットに応用したのが、ペット信託です。

信託財産を管理するための、管理会社を設立しなければならないと称して、高額な報酬を要求する自称専門家がいます。

ペット信託であれば、ほとんどの場合そのようなことは不要でしょう。

あらかじめ、ペット信託をしておくことで、飼主がペットの世話をすることができなくなっても、ペットの飼育をしてもらうことができます。

飼主が死亡したときだけでなく、飼主が入院したり、施設に入所したりして飼育できなくなるときから、飼育をしてもらうことができます。

信託契約をしておくと、信頼できる人に財産を預かってもらうことになります。

相続が発生した場合、相続財産とは別の財産として分離して管理することになります。

相続争いに巻き込まれて、ペットの飼育費が出せなくなるといったトラブルを防ぐことができます。

信託契約では、信託管理人を置くことができます。

信託財産が契約どおりに適切に管理されているか監視や監督をしてもらうことができます。

預けた財産はペットの飼育のためだけに使うと決めておけば、他の用途に浪費することはできません。

信託管理人は、他の用途に浪費されていることを見つけたら、契約に合うように適切に管理するように改善させることができます。

ペット信託が終了したときに、残った財産は誰が受け継ぐか、飼主が決めておくことができます。

ペット信託に限らず、信託契約は信頼できる人と契約することが重要です。

5ペットの生前対策を司法書士に依頼するメリット

ペットは「家族」として一緒に暮らすパートナーになりました。

自分が大切にしている家族の将来が気にならない人はいないでしょう。

自分が死亡した後も、幸せを願うのは当たり前のことです。

残念ながら、飼主がペットはいかに大切にしていようとも、法律上はモノでしかありません。

ペットは自分では何もできないから買主が何もしないと人間以上に困ります。

自分の死後を考えて、大切なペットを飼育してくださいとお願いしていない場合、ペットには厳しい現実が待っています。

ペットを飼っている人は愛情を持って飼育しています。

だから、何も言わなくてもだれかがペットの面倒を見てくれる、新しい飼い主を探してくれると楽観的な希望を持っていることが多いです。

現実には、容赦なく保健所へ連絡する人もいるでしょう。

自分と同じように愛情を持って飼育してくれることは稀です。

制度を知って、上手に生かすことは飼い主だけができることです。

大切な「家族」の幸せのために、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

寄与分がある不動産登記

2022-10-12

1寄与分とは

寄与分とは、被相続人の財産の維持や増加について特別な貢献をした人がいる場合、特別な貢献をした人に対して、相続分以上の財産を受け継いでもらう制度です。

寄与分の制度は、特別な貢献をした人に対して相続分以上の財産を受け取ってもらうことで、相続人間の実質的な公平を図ろうとするものです。

具体的には、被相続人の事業に従事して財産増加に貢献した人、被相続人が重度の介護が必要になった場合にお世話をして財産減少を防いだ人が挙げられます。

これらの人の特別な貢献によって、財産が増加した場合や財産が維持されたと認められる場合、寄与分が認められます。

2寄与分が認められる条件はとても厳しい

①特別の寄与があること

寄与分が認められるのは特別の寄与がある場合のみです。

特別の寄与とは、被相続人との身分関係から考えて、通常期待される程度を超える貢献のことです。

具体的には、被相続人が家事を全く行わず、配偶者が家事労働をしていた場合、通常の貢献と評価されます。

夫婦間の協力扶助義務があるからです。

子どもが高齢の被相続人と同居して家事援助を行っている場合、通常の貢献と評価されます。

親族間の扶養義務や互助義務があるからです。

次のような条件を満たした場合、通常期待される程度を超える貢献と評価されることが多いです。

(1)対価を得ていないこと

完全に無償である場合や無償に近い不釣り合いな低い報酬であった場合です。

(2)一定程度の長期間であること

数か月程度のものではなく、少なくとも1年以上程度継続されていた場合です。

(3)片手間ではなく、つきっきりであること

日常生活の合間に看護介護していたのではなく、つきっきりで看護介護に専念していた場合です。

②財産が実質的に増加したこと

寄与分が認められるのは、実質的に財産の増加した場合のみです。

財産の減少や負債の増加が免れたこと、財産の増加や負債の減少が必要です。

財産の経済的価値の実質的増加が必要ですから、精神的援助は寄与分の対象にはなりません。

具体的には、頻繁にお見舞いに行ったことや話し相手になったことは寄与分の対象になりません。

お見舞いや話し相手で財産が実質的に増加することはないからです。

精神的援助は金銭的評価が困難です。

③特別の寄与と財産増加に因果関係があること

寄与分が認められるのは、特別の寄与が財産の実質的増加につながった行為のみです。

3寄与分の決め方は原則として相続人全員の話し合い

相続が発生した場合、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の話し合いによる合意が不可欠です。

相続財産の分け方を決める話し合いの前提として、相続人全員で寄与分を決めます。

寄与分を決めること自体は、目的ではありません。

最終的に相続人全員が相続財産の分け方について、合意をすればよいのです。

合意をしたら、合意内容を文書に取りまとめます。

遺産分割協議書に、寄与分を明示することもできます。

多くの場合、寄与分を明示せず、寄与分を考慮した後の具体的な分け方だけを記載します。

4法定相続分で登記をしていない場合の相続登記

法定相続分で登記としていない場合、寄与分があっても寄与分がなくても相続登記の手続に違いはありません。

寄与分によって財産を得たのでなく、寄与分を考慮した相続財産の分け方の合意によって財産を得たからです。

相続財産の分け方の合意によって財産を得たから、通常の相続登記と変わりはありません。

遺産分割協議書で記載された相続分で、相続登記を申請します。

多くの場合、遺産分割協議書に寄与分を明示しません。

話し合いの中で寄与分を話し合い、寄与分を考慮した後の具体的な分け方のみ記載します。

事情を知らない人は見ても、寄与分のことには気がつきません。

遺産分割協議書とは別に寄与分を定める協議書を作った場合、寄与分を定める協議書は、相続登記をするときに法務局に提出します。

5法定相続分で登記をした後、寄与分が認められた場合

法定相続分で共有する場合、相続財産の分け方について相続人全員の合意は必要ありません。

長期間に渡って相続財産の分け方について合意ができない場合、法定相続分による相続登記をすることがあります。

寄与分が話し合いの対象になる場合、相続人全員の話し合いがまとまりにくくなります。

ひとまず法定相続分で相続登記を済ませておくことがあります。

①原則として更正登記ができる

相続登記を済ませた後、寄与分の話し合いがまとまった場合、登記の内容を変更する必要があります。

寄与分の話し合いがまとまったことによる変更をする場合、更正登記をすることができます。

登記原因は「錯誤」です。

「寄与分」「寄与分の合意」などは登記原因として認められていないからです。

権利が増える相続人が単独で申請することはできません。

寄与分によって権利が増える相続人を権利者、寄与分によって権利が減る相続人を義務者とする共同申請です。

法定相続分で相続登記をした場合、権利証が発行されていない場合があります。

相続人全員でなく相続人のひとりからであっても、法定相続分で相続登記を申請することができるからです。

権利証は登記申請をした相続人にのみ発行されます。

法定相続分で相続登記を申請をした相続人以外の相続人には、権利証が発行されません。

寄与分の話し合いがまとまったことによる更正登記は、権利者と義務者による共同申請をしなければなりません。

共同申請をする場合、義務者は権利証の提供が必要になります。

更正登記をする場合、第三者の承諾書が必要になるケースがあります。

更正登記を実行することによって権利が否定されることになる第三者がいる場合です。

例えば、寄与分によって権利が減る相続人の持分に抵当権が設定されている場合があります。

更正登記が実行された場合、この抵当権は無効になります。

抵当権がが無効になることについて、承諾書が必要になります。

更正登記をする場合、登録免許税は不動産1個につき1000円です。

②遺産分割による持分移転登記ができる

寄与分を定める協議における合意は、本来、相続人〇〇の寄与分が〇〇万円であると合意するか、相続財産全体に対して〇分の〇に相当すると合意します。

このような合意は、相続財産の分け方の合意とは言えません。

相続財産の分け方がどのようなものなのか分からないからです。

あらためて、寄与分の合意を前提として相続財産の分け方を合意しなければなりません。

ときには、相続人〇〇の寄与分として財産〇〇を相続することに合意する場合があります。

寄与分を定める合意だけでなく相続財産の分け方についての合意があるケースと考えることができます。

寄与分を定める合意と相続財産の分け方についての合意が一体化している場合、遺産分割による持分移転登記をすることができます。

法定相続分による相続登記後に遺産分割を行った場合ですから、法定相続分による相続登記後に遺産分割を行った場合と同じ手続をします。

持分移転登記をする場合、第三者の権利が否定されることはありません。

第三者の承諾書が必要になることはありません。

持分移転登記をする場合、登録免許税は移転する持分の固定資産評価額の1000分の4です。

6寄与分のある相続登記を司法書士に依頼するメリット

寄与分を主張する相続人がいる場合、相続財産の分け方についての話し合いが長引きます。

寄与分は、一部の相続人の苦労に報いるための制度ですが、認められるためのハードルは非常に高いものです。

高いハードルを越えて寄与分が認められた場合であっても、本人が思うような金額になることはほとんどありません。

法律で実質的公平が図られるのは、残念なことですが事実上困難です。

だから、相続財産の分け方の話し合いが長引くのです。

長引くだけでなく家族のトラブルに発展しがちです。

さらに、登記申請も場合に応じて、複雑になります。

このようなことは法務局の登記相談などでも聞かなければ解説してくれません。

財産の分け方を決めるだけでも大変なのに、その後の手続も複雑で困難になります。

司法書士はこのような困難で複雑な登記をサポートします。

寄与分のある相続登記がある方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

Myじんけん宣言

2022-10-11

・ 人権尊重の方針に基づき、事務所内整備を行います。

・ 働きがいのある人間らしい仕事の実現に取り組みます。

・ ハラスメント防止のため、対策を実践します。

・ 共同企業とともに人権デュー・ディリジェンスを実施します。

・ ユニバーサルデザインを推進します。

・ 障害者雇用を促進します。

・ 女性活躍を推進します。

・ 性的志向・性自認への理解・受容を促進します。

任意後見は解除できる

2022-10-10

1任意後見とは

任意後見とは、本人の判断能力がしっかりしているうちに、将来、認知症や障害によって判断能力が低下してしまったときに備えて、信頼できる人にやってもらいたいことを決めて、サポートを依頼する契約です。

契約ですから、本人の判断能力がしっかりしているうちしかできません。

この契約は公正証書でする必要があります。

サポートを依頼された人を任意後見人といいます。

任意後見人はひとりでも、何人でも差し支えありません。

この契約は本人がひとりで決めるのが心配になったら、効力が発生して、後見が始まります。

家庭裁判所は、本人がひとりで決めるのが心配になったら、後見監督人を選任します。

つまり、家庭裁判所が後見監督人を選任したら、任意後見契約の効力が発生して、任意後見人が本人のためにサポートを開始します。

任意後見人は適切に仕事をしているか、任意後見監督人にチェックされます。

任意後見監督人は適切に仕事をしているか、家庭裁判所にチェックされます。

だから、安心して任意後見制度を使えます。

この先あれこれ決められなくなる前に、自分らしい生き方を自分で決めよう、サポートを受けて自分らしく生きようという制度です。

2任意後見契約は解除できる

①任意後見監督人選任前は一方的に解除できる

任意後見契約は、本人の判断能力がしっかりしているうちにします。

判断能力がいつ低下するかは人によってそれぞれでしょう。

10年後かもしれません。

20年後かもしれません。

任意後見契約は、任意後見監督人が選任されてからスタートします。

任意後見契約の効力が発生していないうちは、いつでも一方的に解除できます。

本人の判断能力がはっきりしているうちは、本人の同意はなくても解除ができます。

委任契約は一方的に解約できるからです。

任意後見契約を解除する場合、公証人の認証を受けた書面による必要があります。

本人と任意後見人が合意して解除する場合、任意後見契約合意解除書を作成します。

任意後見契約合意解除書に、本人と任意後見人が署名押印のうえ、公証人の認証を受けます。

本人か任意後見人のいずれかが一方的に解除する場合、任意後見契約解除通知書を作成します。

任意後見契約解除通知書に解除する人が署名押印のうえ、公証人の認証を受けます。

解除書を配達証明付き内容証明郵便で相手方に通知します。

配達されたら証明書のハガキが届きます。

②任意後見監督人選任後の解除は正当理由と家庭裁判所の許可が必要

任意後見契約は、任意後見監督人が選任されてからスタートします。

任意後見監督人は、本人が物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなった場合に選任されます。

任意後見がスタートしたということは、本人は物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなっているという意味です。

物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなっているのに、サポートする人がいなくなると本人は困ります。

任意後見監督人が選任された後は、本人を保護するため一方的に解除することはできません。

任意後見契約を解除するためには、家庭裁判所の許可が必要です。

家庭裁判所は正当な理由がある場合に限り、許可をします。

正当な理由とは、任意後見人の事務が困難と認められる理由です。

具体的には、病気などで療養に専念したい、遠方に転居した、本人や本人の家族と任意後見人の信頼関係がなくなったなどです。

家庭裁判所の許可を得てから、相手方に意思表示をして契約を終了させます。

3任意後見契約を解除したら終了登記

任意後見契約をした場合、公証人が登記申請をしてくれます。

任意後見契約を解除した場合、終了登記は自分でする必要があります。

任意後見契約は、任意後見監督人が選任されてからスタートします。

任意後見監督人が選任される前に任意後見契約を解除する場合も任意後見監督人が選任された後に任意後見契約を解除する場合も、終了登記は必要です。

終了登記は、本人の住所地や本籍地に関係なくすべて東京法務局後見登録課が扱います。

終了登記は、窓口に出向いて申請することも郵送することもできます。

任意後見監督人が選任される前に契約を解除した場合、添付書類は次のとおりです。

①公証人の認証を受けた解除書原本(認証のある謄本でも差し支えありません。)

②配達証明付き内容証明郵便で送ったときの差出人保管の謄本(一方的解除の場合)

③配達証明のハガキ(一方的解除の場合)

任意後見監督人が選任された後に契約を解除した場合、添付書類は次のとおりです。

①任意後見契約解除通知書

②家庭裁判所の許可の審判書

③確定証明書

添付書類は、希望すれば返してもらえます。

返してもらいたい書類がある場合、コピーと返信用封筒を添付します。

コピーに「原本に相違ありません。」と記載して申請人の記名と押印をします。

登記手数料は無料です。

申請に不備があれば連絡がありますが、登記が完了しても連絡はありません。

おおむね、申請が受け付けられてから10日程度で登記が完了します。

終了登記の申請書と一緒に後見登記事項証明書申請書送ると、登記完了後送ってくれます。

後見登記事項証明書は東京法務局以外の法務局でも取得することができます。

4任意後見契約の内容変更でも契約解除の可能性

任意後見契約は、本人の判断能力がしっかりしているうちに締結する契約です。

将来、認知症や障害によって判断能力が低下してしまったときに備えて、信頼できる人にやってもらいたいことを決めて、サポートを依頼します。

信頼できる人にやってもらいたいことを決めてサポートを依頼する点が任意後見契約のポイントです。

信頼できる人とやってもらいたいことは、内容変更をすることはできません。

任意後見人を変更したい場合、現在の任意後見契約をいったん解除してあらためて新たに任意後見契約を締結します。

やってもらいたいことは、代理権目録に記載されています。

代理権目録の内容を変更したい場合、現在の任意後見契約をいったん解除してあらためて新たな任意後見契約を締結します。

新たな任意後見契約でやってもらいたいことを決め直します。

やってもらいたいことを単に増やすだけであれば、追加部分の契約で済みます。

新たな任意後見契約は、公正証書にしなければなりません。

任意後見契約は、必ず公正証書にする必要があるからです。

任意後見は契約ですから、本人が物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなったら契約ができなくなります。

その場合は、成年後見制度を検討する必要があります。

5任意後見を司法書士に依頼するメリット

任意後見とは、本人の判断能力がしっかりしているうちに、将来、認知症や障害によって判断能力が低下してしまったときに備えて、信頼できる人にやってもらいたいことを決めて、サポートを依頼する契約です。

契約ですから、本人の判断能力がしっかりしているうちしかできません。

早め早めに準備するものなので、任意後見が実際にスタートするのは契約してから長期間経過してからです。

実際に任意後見がスタートするまでに事情が変わることもあるでしょう。

任意後見の重要ポイントである任意後見人と代理権の範囲の変更は、契約変更はできません。

いったん契約を解除して、あらためて任意後見契約をする必要があります。

一方で、報酬の変更は重要な内容と言えません。

報酬の変更は、契約の変更で済みます。

契約の変更で済みますが、公正証書にする必要があります。

任意後見契約は締結することばかり注目されがちですが、締結して終わりではありません。

本人のよりよく生きることを支えるために、みんながサポートしています。

任意後見契約を考えている方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続放棄と連帯保証人

2022-10-07

1相続財産とは

相続が発生すると、原則として、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続人が相続する財産が、相続財産です。

相続財産はプラスの遺産とマイナスの遺産があります。どちらも、相続財産です。

①プラスの遺産

一般的に不動産、預金、株式や投資信託などの有価証券、現金などです。

さらに、宝飾品や美術品など価値があるものはプラスの遺産といえるでしょう。

多くの方が財産と言われてたときにイメージしやすいものです。

これ以外にも、賃借権などの権利もプラスの財産になります。

②マイナスの遺産

一般的に借金やローンなどです。

未払の税金や未払の入院費用などもマイナスの遺産になります。

イメージしにくいですが、被相続人が連帯保証人であった場合は、相続人が引き継ぎます。

この連帯保証人の地位もマイナスの遺産と言えます。

2相続放棄とは

相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの遺産もマイナスの遺産も相続人が受け継ぎます。

被相続人のプラスの遺産もマイナスの遺産も受け継がないことを相続の放棄といいます。

相続放棄をすると、プラスの遺産を引き継がなくなりますが、マイナスの遺産も引き継ぐことがなくなります。

連帯保証人の地位もマイナスの遺産の一部ですから、相続放棄をしたら、引き継ぐことがなくなります。

連帯保証人の地位というのは、被相続人が第三者の借金について、連帯保証人になっていた場合という意味です。

3連帯保証契約は別物の契約

お金の貸し借りをする場合、貸主と借主の間で、お金の貸し借りの約束をします。

お金の貸し借りの約束を、金銭消費貸借契約と言います。

お金をきちんと返してもらえるか心配なので、返せないとき肩代わりする連帯保証人を立ててもらうでしょう。

貸主と連帯保証人との間で、お金の貸し借りの肩代わりをする約束をします。

お金の貸し借りの肩代わりをする約束を、連帯保証契約と言います。

金銭消費貸借契約は、貸主と借主の間の契約です。

連帯保証契約は、貸主と連帯保証人との間の契約です。

金銭消費貸借契約と連帯保証契約は、当事者が異なるまったく別の契約です。

4連帯保証人が死亡した場合

被相続人が第三者の連帯保証人になっていた場合、相続人に引き継がれるのは、連帯保証人としての義務です。

相続が発生したときに、すでに発生していた連帯保証債務だけでなく、これから発生するかもしれない連帯保証債務も、相続人に引き継がれます。

相続人が相続放棄をした場合、被相続人の義務を引き継ぐことがなくなります。

相続人は、連帯保証人として被相続人が負っていた義務を引き継ぐことがありません。

被相続人が第三者の連帯保証人になっていても、家族に知らせていないことがあります。

貸主としては、借主から順調に返済されている間は連帯保証人に何も言うことがありません。

返済が滞ってから、連帯保証人に連絡してきます。

ときには相続が発生してから長い間経過してから、連絡してくることがあります。

何も知らなかった相続人は貸主に文句を言いたくなりますが、被相続人と相続人の連絡不足です。

貸主を責めることはできません。

相続放棄の申立ができるのは、3か月以内です。

3か月の起点は、被相続人が死亡してからではなく、相続があったことを知ってからです。

「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。

保証債務の存在を知ってから3か月以内であれば、相続放棄が認められることも多いでしょう。

相続が発生してから長い間経過している場合、相続財産を処分していることもあるでしょう。

相続財産を処分したり、利用した場合、単純承認をしたとみなされます。

相続財産を処分したり、利用した場合は相続放棄ができなくなります。

5相続人が連帯保証人の場合

①連帯保証人の地位に影響はない

相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの遺産もマイナスの遺産も相続人が受け継ぎます。

被相続人が多額の借金を負っていた場合、相続人は相続放棄をすれば、被相続人の借金を受け継ぐことはありません。

被相続人が借金をする場合、家族が連帯保証人になっているケースがあります。

連帯保証人の義務は、連帯保証契約に基づく相続人の固有の義務です。

金銭消費貸借契約に基づく、借金を返す義務とは別の義務です。

相続放棄をしても、連帯保証人の義務には影響がありません。

被相続人の借金を受け継ぐことがなくなっても、連帯保証人の義務は消えません。

相続人がもともと負担していた義務なので、相続があってもなくても、相続放棄をしてもしなくても、変わりはないのです。

②借金は消えない

相続人が相続放棄をしても、借金自体はなくなりません。

相続人全員が相続放棄をした場合でも、借金は存続します。

相続人が不存在の場合、相続財産は相続財産法人になります。

相続財産には、プラスの遺産もマイナスの遺産も含まれます。

相続財産法人は、プラスの遺産だけでなく、マイナスの遺産も含まれます。

③貸主は連帯保証人に請求できる

もともと、お金をきちんと返してもらえるか心配なので、肩代わりをする人を立ててもらっています。

お金を返してもらえなかったら、肩代わりをしてもらうのは当然です。

連帯保証人も、借主がお金を返済できなかったら肩代わりをすると納得しているはずです。

だから、貸主はお金を返してもらえない以上、連帯保証人に請求します。

連帯保証人が保証義務を履行できない場合、相続人自身が自己破産をするなどの債務整理手続をすることになります。

後から自己破産をするのであれば、相続放棄の申立は不要にも見えます。

相続放棄の申立をすることをおすすめします。

相続放棄をしておかないと、連帯保証人になっているもの以外についても対応する必要があるからです。

相続放棄をしておけば、連帯保証人になっている貸主だけ対応すればよくなり、債務整理がラクになるからです。

④求償権

連帯保証人が借主に代わってお金を支払ったら、借主に払ったお金を請求することができます。

借主に払ったお金を請求する権利が、求償権です。

例えば、住宅ローンの連帯保証人になっていた場合、借主に代わって連帯保証人がお金を払うケースもあるでしょう。

連帯保証人が借主に代わってお金を払ったら、連帯保証人は求償権を取得します。

住宅ローンのお金を払っても、住宅は借主の財産です。

住宅が連帯保証人のものになるのではありません。

連帯保証人は借主に払ったお金を請求することができるだけです。

借主が死亡していたら、借主の相続人に請求できます。

借主の相続人全員が相続放棄をしていたら、相続財産法人に請求することになります。

6身元保証人の地位は相続されない

被相続人が就職などの身元保証人になっていることがあります。

身元保証人の地位は、被相続人の一身に専属した義務と考えられています。

身元保証人の地位は、相続されません。

被相続人の死亡によって、義務は消滅します。

相続が発生する前に損害賠償債務が発生している場合、損害賠償債務は相続の対象になります。

すでに発生した債務は、通常の金銭債務だからです。

7上限額のない根保証債務は相続発生後のものは相続されない

根保証とは、一定の範囲内の債務を保証する契約です。

今の民法では、個人が保証人になる場合、保証の限度額を決めていないと無効になります。

古い契約では、保証の上限額を決めていないものもあります。

古い契約であれば、保証の上限を決めていなくても有効です。

だからといって、無制限に肩代わりをするのは、あまりに酷です。

上限額の定めがない根保証人の地位は相続されません。

相続発生の時点ですでに発生している債務は、相続の対象になります。

8相続放棄を司法書士に依頼するメリット

実は、相続放棄はその相続でチャンスは1回限りです。

家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続きを取ることはできますが、高等裁判所の手続きで、2週間以内に申立てが必要になります。

家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。

一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。

被相続人が連帯保証人になっている場合、家族に知らせていないことは珍しいことではありません。

近くに暮らしていない場合など、被相続人の財産状況すらあまり知らないこともよくあります。

借主の経済状況が悪化して、保証債務の履行を求められてはじめて、相続人は連帯保証債務の存在を知ることになります。

ほとんどの場合、相続発生から3か月以上経過しています。

相続発生から3か月以上経っている場合、相続放棄の申立は、原則として認められません。

相続が発生してから3か月以内に届出ができなかったのは止むを得なかったと家庭裁判所に納得してもらって、はじめて、家庭裁判所は相続放棄を認めてくれます。

通常は家庭裁判所に対して、上申書や事情説明書という書類を添えて、説得することになります。

司法書士であれば、家庭裁判所に認めてもらえるポイントを承知していますから、認めてもらいやすい書類を作成することができます。

3か月の期限が差し迫っている方や期限が過ぎてしまっている方は、すみやかに司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

消費者志向自主宣言

2022-10-05

オリーブの木司法書士事務所では、消費者庁の目指す消費者経営を推進しています。

消費者全体の視点に立ち、持続可能な社会の実現を目指すものです。

オリーブの木司法書士事務所は、消費者志向自主宣言をしました。

消費者の視点から、SDGsの推進し消費者経営の趣旨に賛同しています。

SDGsの推進、消費者経営の促進のため、関係団体や消費者と連携に努めます。

1経営理念

・オリーブの木司法書士事務所のサービスを通じてお客さま満足のみならず、地域社会や次世代のために取組を推進し、持続可能な社会への貢献を目指します。

・お客さまの期待に答え、新たな価値を創造し提案をします。

・お客様のお話に耳を傾け、謙虚に誠実に対応します。

2取組方針

①お客さま満足度の向上

私たちは、常にプロ意識を持ち、丁寧、迅速な仕事を行います。

お客さまとのコミュニケ-ションを深化させ、お客さまからの信頼を獲得します。

私たちはお客さま満足度向上に繋がる対応を心掛けます。

お客さまの声を謙虚に受け止め、サービスの品質向上に反映させます。

司法書士業務を通して、地域社会の課題解決の一翼を担います。

②未来・次世代のために取り組むこと

「SDGs の取組方針」を明確化し、社内外に発信しています。

登記実務を通じて、安心な社会社会への貢献を目指します。

③コンプライアンスの強化をすること

消費者関連法規の遵守を徹底します。

情報収集した消費者相談内容等を集約し、コンプライアンスを徹底します。

④消費者・社会の要望を踏まえた改善・開発

お客さまに寄り添うサービス開発を行い、豊かで安心できる暮らしづくりに努めます。

借地権付き建物を相続

2022-10-05

1借地権は相続財産

被相続人がマイホームを持っている場合、土地は被相続人が所有しているケースと土地は借りているケースがあります。

被相続人が土地を借りてマイホームを持っている場合、土地を借りる権利、土地を使う権利があると言えます。

土地の上に建物を所有する目的で、土地を使う権利や土地を借りる権利のことを借地権と言います。

建物を所有する目的があるときだけ、借地権です。

更地で、資材置き場として使う目的や青空駐車場として使う目的の場合、土地を使う権利があったとしても、借地権とは言いません。

借地権は、法律的に言うと、賃借権の場合と地上権の場合があります。

賃借権は土地を借りて使う権利、地上権は土地を使う権利です。

地上権は、賃借権と比べると使う人の権利が強く保護されている権利です。

一般的には、借地権のほとんどは賃借権です。

借地権は、普通借地権と定期借地権があります。

被相続人がマイホームと借地権を持っていた場合、マイホームと借地権は相続財産になります。

2借地権には普通借地権と定期借地権がある

①普通借地権

契約で期限を定めておいても、自動的に借地契約が更新される契約です。

地主側に土地を返してもらう正当な理由がある場合だけ、土地の返還を請求できます。

土地を返してもらう正当な理由を認められるのは非常に限られた場合だけです。

借地人が望む場合、半永久的に借りることができます。

契約終了になったら、地主に建物の買取請求をすることができます。

②定期借地権

定期借地契約は50年以上の期間を決めて土地を利用することができる契約です。

契約更新はできないし、存続期間の延長はできません。

契約終了になっても、建物買取請求をすることはできません。

定期借地契約が終了したら、建物を取り壊して、土地を更地にして地主に返さなければなりません。

3借地権の相続に地主の承諾不要

マイホームなどの建物は被相続人の所有していたものなので、相続人全員で分け方の合意をすれば遺産分割をすることができます。

一般的に、賃借権をだれかに譲渡する場合やだれかに又貸しする場合、地主の承諾が必要になります。

多くの場合、地主の承諾を得るために、承諾料の支払が必要になります。

借地権を相続する場合、地主の承諾は必要ありません。

相続は被相続人の死亡という事実によって発生するものなので、地主といえども承諾の余地がないからです。

地主の承諾の余地がないから、承諾料の支払も必要ありません。

相続財産の分け方について、相続人全員で合意した結果、一部の相続人が相続することになることもあるでしょう。

一部の相続人が相続することになったとしても、地主の承諾は不要ですし、承諾料の支払も不要です。

一部の相続人が相続する合意をした場合であっても、相続によって受け継ぐことに変わりはないからです。

賃借権の相続にあたっては地主の承諾が不要であることを知らずに、当然のことのように承諾料を請求してくることがあります。

地主の承諾不要なのですから、承諾料の支払も不要です。

被相続人のマイホームであったとしても、相続人はそれぞれ自分の自宅があったり、遠方に住んでいる場合もあるでしょう。

建物に住まないのなら土地を明け渡して欲しいと請求してくる場合があります。

このような請求に応じる必要もありません。

被相続人の権利をそのまま受け継ぐものなので、相続が発生したからといって明渡を請求できるものではないからです。

地上権をだれかに譲渡する場合やだれかに又貸しする場合、賃借権と違い、地主の承諾が不要です。

地上権を相続する場合も、地主の承諾は不要です。

地主には相続したことを伝えておくだけでいいでしょう。

4借地権付き建物の相続登記

①登記された建物の相続の場合

相続財産の分け方について、相続人全員の話し合いによる合意ができたら、合意内容を遺産分割協議書に取りまとめます。

借地権と建物があるので、それぞれ忘れずに記載しましょう。

書類ができたら、通常どおり相続登記をします。

めったにありませんが、借地権が地上権であれば一緒に登記されているでしょう。

建物の相続登記をするとき、地上権も一緒に相続登記をするといいでしょう。

一般的に言って、借地権が賃借権の場合、登記されていることはめったにありません。

賃借権は希望すれば登記する制度がありますが、ほとんどの場合、地主が登記に協力しないからです。

登記されていない賃借権が借地権である場合、建物の登記があれば借地権も登記してあるものと同じ効力があります。

②未登記建物の相続の場合

建物の中には登記されていないものがあります。

登記がされていなくても、被相続人のものであれば、相続財産になります。

相続財産なので、相続人全員で分け方の合意をすれば遺産分割をすることができます。

未登記建物と登記されていない借地権を相続する場合、登記がない状態で相続することになります。

この状態で、地主が第三者に土地を売却した場合、土地の買主が土地の明渡を請求してくる心配があります。

この場合、借地権があっても登記がないので、明渡に応じなければなりません。

土地の買主に、借地権があるから出ていきたくないなどと文句を言うことはできません。

この点、登記された建物を所有している場合は、土地に買主に借地権があるから明け渡しには応じないと言うことができます。

建物の登記があれば借地権も登記してあるものと同じ効力があるからです。

土地の買主が現れて、土地の明渡を請求してくる前に建物の登記をした方がいいでしょう。

5借地権が定期借地権の場合

被相続人がマイホームと借地権を持っていた場合、マイホームと借地権は相続財産になります。

借地権が定期借地権である場合も、相続財産になります。

相続人は、被相続が地主と契約した内容を引き継ぐことになります。

定期借地契約は、原則として、解約することができません。

一方的な解約を認めてしまうと、貸主は予定していた賃料が得られなくなるし、借主はせっかく建てた建物を取り壊して明渡をする必要があるからです。

解約が認められるのは、地震や火災などで建物がなくなってしまった場合などごく限られた場合のみです。

地主が解約に応じてくれるのであれば解約できます。

予定していた賃料と残った契約期間を考えて相応の違約金を払うことになるでしょう。

原則として解約できませんから、相続人は別の場所に住んでいたとしても、契約で定められた地代を支払わなければなりません。

契約終了になったら、取壊し費用を負担して建物を取壊して、更地にして返さなければなりません。

このような負担を考えると、定期借地権付き建物を売却したいと思うでしょう。

法律上、定期借地権付き建物を売ることはできます。

法律上、売ることはできますが、買いたい人がいて売れるかというのは別問題です。

定期借地権付き建物を売却したら、買主が契約終了になったら、取壊し費用を負担して建物を取壊して、更地にして返さなければなりません。

このような負担をしてでも、買いたい人はあまりいないでしょう。

さらに、このような負担のある建物に対して銀行などの金融機関は財産価値をあまり認めていません。

買いたい人が見つかったとしても、銀行のローンが通りにくいものです。

ローンがなくても買える人でないと、定期借地権付き建物を買えません。

賃借権をだれかに譲渡する場合やだれかに又貸しする場合、地主の承諾が必要になります。

借地権が定期借地権であっても、賃借権であれば地主の承諾が必要です。

定期借地権付き建物を売却したら、地主に承諾をもらわなければなりません。

地主としても、定期借地権付き建物の買主がきちんと地代を払ってくれる人でないと承諾はできないでしょう。

さらに、譲渡承諾料も負担しなければなりません。

6負担が重いのであれば相続放棄も

被相続人に多額の借金がある場合、相続放棄を検討します。

家庭裁判所で相続放棄を認めてもらったら、相続人でなくなります。

相続人でなくなれば、多額の借金も賃借権も相続することはなくなります。

相続していないので、借金も地代も支払う必要がありませんし、賃貸借契約を解除する必要がありません。

地主から土地を明け渡して欲しいと請求されることがありますが、建物を取壊しをしてはいけません。

建物を処分したことになりますから、相続放棄が無効になります。

相続放棄をした人も、他の人が管理するまで適切に管理する必要があります。

物件を放置して周りの人に迷惑をかけてしまったら、損害賠償請求される可能性があります。

必要であれば、家庭裁判所に相続財産管理人を選んでもらうように申立をすることも考えましょう。

7借地権付き建物の相続を司法書士に依頼するメリット

相続財産の分け方は、相続人全員で合意する必要があります。

相続人全員で話し合いによる合意は、トラブルが起きやすいものです。

相続は、相続人間だけでトラブルが起きるのではありません。

借地に建物を所有している場合、地主が関係します。

相続をきっかけに、譲渡承諾料を請求してくることがあります。

相続を理由に、契約内容をうやむやにすることもあります。

意図的でないにしてもトラブルに巻き込まれがちです。

司法書士は単なる登記の書類を書いているだけではありません。

法律の知識があれば防げるトラブルは多いです。

相続が発生してから、相続人は相続手続に追われてへとへとになっているでしょう。

スムーズに相続手続を完了させたい方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

遺留分の放棄

2022-09-26

1遺留分の放棄とは

被相続人は、原則として、自分の財産をだれに受け継がせるかは自由に決めることができます。

とはいえ、財産は被相続人が1人で築いたものではなく、家族の協力があって築くことができたもののはずです。

被相続人の名義になっているからといって、まったく無制約の自由にすると今まで協力してきた家族に酷な結果となることもあります。

このため、被相続人に近い関係の相続人には相続財産に対して最低限の権利が認められています。

遺留分とは、相続財産に対して、認められる最低限の権利のことです。

遺言書などで遺留分を侵害された相続人は、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分を侵害した相続人に対して遺留分に相当する金銭を請求します。

遺留分の放棄は、相続財産に対して認められる最低限の権利を相続人自身の意思で放棄することです。

相続人自身の意思で、遺留分侵害額請求をしないという制度のことです。

被相続人からすでに充分な贈与を受けている場合や相続争いに巻き込まれたくない場合に遺留分放棄がされます。

遺留分の放棄は最低限の権利を放棄するだけです。

相続放棄とちがい、遺留分を放棄しても相続財産を相続する権利は失われません。

2生前の遺留分放棄の口約束や同意書・念書は無効

一部の相続人に全財産を相続させるような極端な遺言書があった場合、他の相続人の遺留分が侵害されることになります。

何も対策しないまま相続が発生した場合、遺留分を侵害された相続人とトラブルになるでしょう。

トラブルにならないようにするために、遺留分を放棄をさせたいと考えるかもしれません。

被相続人が相続人に対して「遺留分侵害額請求をするな」と命じるケースがあります。

「遺留分侵害額請求をするな」という被相続人の命令は、法律上無効です。

被相続人が相続人に対して「遺留分侵害額請求をしません」と約束させるケースがあります。

「遺留分侵害額請求をしません」という被相続人と相続人の口約束は、法律上無意味です。

被相続人が「遺留分侵害額請求をしません」と念書を書かせるケースがあります。

「遺留分侵害額請求をしません」という念書を書かせた場合、法律上意味はありません。

生前に「遺留分侵害額請求をしません」と他の相続人と合意書を作るケースがあります。

生前に「遺留分侵害額請求をしません」という合意書を作った場合、法律上何の価値もありません。

「遺留分侵害額請求をしません」と被相続人や他の相続人に覚書を書くケースがあります。

「遺留分侵害額請求をしません」という覚書を書いた場合、効力はありません。

遺留分の放棄は、相続人の意思で遺留分侵害額請求をしないという制度です。

被相続人の生前に遺留分を放棄するためには、家庭裁判所の許可が必要です。

家庭裁判所の許可がないのに遺留分の放棄はできません。

被相続人の生前は遺留分は自由に放棄できません。

家庭裁判所の許可なく遺留分を放棄できるとすると、被相続人や他の相続人の干渉を招くことになります。

相続が発生する前から、相続トラブルが発生することになるからです。

相続トラブルの激化を防ぐため、被相続人の生前は家庭裁判所の許可なく遺留分の放棄はできません。

だから、「遺留分侵害額請求をするな」という被相続人の命令は、法律上無効です。

「遺留分侵害額請求をしません」という被相続人と相続人の口約束は、法律上無意味です。

「遺留分侵害額請求をしません」という念書を書かせた場合、法律上意味はありません。

「遺留分侵害額請求をしません」という契約書を作った場合、法律上何の価値もありません。

「遺留分侵害額請求をしません」という申入書を差し入れた場合、効力はありません。

実印を押しても、印鑑証明書があっても無効です。

何の効果もないから、相続発生後に遺留分侵害額請求をされた場合、何の文句も言えません。

念書があるから、契約書があるから、申入書があるから、遺留分侵害額請求を拒むことはできません。

遺留分侵害額請求をしないのが、相続人の意思であるのかを公平に確認するために家庭裁判所の許可が必要になります。

3相続発生前の遺留分の放棄は家庭裁判所の許可が必要

相続が発生する前に遺留分を放棄するためには、家庭裁判所の許可が必要になります。

遺留分は一定の相続人に認められる最低限の権利だからです。

最低限の権利を失うのが遺留分の放棄です。

遺留分を放棄させられるものではなく、相続人の意思で放棄するものです。

法律の専門家でない自称専門家は、遺留分を放棄させれば相続トラブルのない円満な相続ができますなどと安易に説明しています。

無理矢理、気に入らない相続人の遺留分を放棄させることはできません。

家庭裁判所は遺留分の放棄が強要されたものでないか確認します。

遺留分の放棄の申立てができるのは、遺留分がある相続人です。

遺留分の放棄の申立てができるのは、被相続人の生存中です。

遺留分の放棄の申立ては、被相続人の住所地の家庭裁判所です。

家庭裁判所の管轄は、裁判所のホームページで調べることができます。

遺留分の放棄の申立書に添付する書類は、次のとおりです。

①被相続人の戸籍謄本

②申立人の戸籍謄本

③被相続人の財産目録

遺留分の放棄は、相続人の意思が重視されます。

気に入らない相続人の遺留分を放棄させる危険が大きいことから、相続人の意思だけでなく、合理的理由があるかも判断の対象になっています。

合理的理由とは、遺留分の放棄の申立てをする必要性や充分な理由があることです。

遺留分の放棄の申立てをする充分な理由とは、遺留分の放棄をするに見合う充分な代償を得ていることです。

多くの場合、充分な生前贈与を受けている場合や事業などに充分な出資をしてもらっている場合が該当します。

親の言いなりにならないからとか気に入った相続人に財産を受け継がせたいからなどは、認められないでしょう。

遺留分放棄の申立てが家庭裁判所で認められた場合、遺留分放棄が許可されたことが通知されます。

遺留分放棄の申立てが許可されたか却下になったかを、被相続人が確認したい場合もあるでしょう。

被相続人は、遺留分放棄許可証明書を発行してもらうことができます。

家庭裁判所で遺留分放棄が認められた後は、原則として、撤回はできません。

例外は、遺留分の放棄の原因になった事情に大きな変化があった場合や遺留分権利者の意思で遺留分放棄の申立てをした場合でなかった場合などです。

例外にあたる場合、家庭裁判所に遺留分の放棄の許可の取り消しの申立てをします。

家庭裁判所に許可を取り消してもらう必要があります。

4相続発生後の遺留分の放棄は自由にできる

相続が発生した後であれば、遺留分は自由に放棄することができます。

相続が発生した後は、相続権も遺留分も自分に帰属した具体的権利だからです。

具体的な自分の権利だから、家庭裁判所の許可は必要ありません。

遺留分侵害額請求権は、遺留分がある権利者からの請求が必要です。

遺留分を侵害されたとしても、遺留分侵害額請求をしないことができます。

遺留分侵害額請求をしない場合、遺留分を放棄したことと同じ効果になります。

遺留分侵害額請求権は、遺留分が侵害されたことを知ってから1年で時効になります。

それでも遺留分侵害額請求をされるかもしれないと不安になる相続人はいるでしょう。

「遺留分侵害額請求をしません」という念書を書いてあげた場合、安心するでしょう。

5遺言書の付言事項は単なるお願いに過ぎない

一部の相続人に全財産を相続させるような極端な遺言書があった場合、他の相続人の遺留分が侵害されることになります。

何も対策しないまま相続が発生した場合、遺留分を侵害された相続人とトラブルになるでしょう。

遺言書には、付言事項を書くことができます。

付言事項に「遺留分侵害額請求をしないように」と書けばトラブルにならないとすすめる自称専門家がいます。

確かに、何も書かないよりは書いた方が心情に訴えることができるでしょう。

付言事項には、法律上の効果はありません。

法律上は何の効果もないけれど、書かないよりは多少ましになる程度のものです。

付言事項に「遺留分侵害額請求をしないように」と書いてある場合、単なるお願いに過ぎません。

付言事項に「遺留分侵害額請求をしないように」と書いてあっても、遺留分権利者は遺留分侵害額請求ができます。

付言事項に「遺留分侵害額請求をしないように」と書いてあるから、遺留分侵害額請求を拒むことはできません。

付言事項には、財産の分け方を決めた理由と家族の円満を希望している気持ちを書くといいでしょう。

6遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

被相続人は、原則として、自分の財産を誰に受け継がせるかは自由に決めることができます。

自由に決めることができるものの、完全に自由に決めることができるわけではありません。

兄弟姉妹以外の相続人には、遺留分があるからです。

遺留分を侵害するような遺言書である場合、相続発生後に大きなトラブルになりかねません。

侵害された相続人は遺留分侵害額請求をすることができます。

自分の思い通りの遺産分割を実現させるために、遺留分を放棄させようと考えるかもしれません。

相続発生前の遺留分の放棄には家庭裁判所の許可が必要です。

遺留分の放棄をさせれば、自分の思い通りの遺産分割を実現できると思えます。

書類さえ提出すれば、家庭裁判所がカンタンに許可をしてくれるわけではありません。

念書を書かかせても法律上意味はなく、かえってトラブルの火種になります。

遺留分を侵害するような遺言書である場合、遺言書自体が無効だと主張されるおそれがあります。

遺言書自体が無効だと主張される場合、多くは修復困難な家族のもめごとになるでしょう。

あえてトラブルになる遺言書に固執するより遺留分を侵害しない遺言書を作成した方が現実的です。

家族のトラブルを減らすためには、遺留分を侵害しない遺言書を作成する方が有効です。

自分の思い通りの遺産分割と家族の幸せを比べたときに、どちらがより重要か考えましょう。

家族を幸せにしたいと思って生涯をかけて築いた財産のはずです。

生涯をかけて築いた財産で、家族がトラブルになるのであれば本末転倒です。

家族の幸せを思って遺言書を作成したいと考えるのであれば司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

任意後見人が不動産売却

2022-09-19

1任意後見とは

任意後見とは、本人の判断能力がしっかりしているうちに、将来、認知症や障害によって判断能力が低下してしまったときに備えて、信頼できる人にやってもらいたいことを決めて、サポートを依頼する契約です。

契約ですから、本人の判断能力がしっかりしているうちしかできません。

この契約は公正証書でする必要があります。

サポートを依頼された人を任意後見人といいます。

任意後見人はひとりでも、何人でも差し支えありません。

この契約は本人がひとりで決めるのが心配になったら、効力が発生して、後見が始まります。

家庭裁判所は、本人がひとりで決めるのが心配になったら、後見監督人を選任します。

つまり、家庭裁判所が後見監督人を選任したら、任意後見契約の効力が発生して、任意後見人が本人のためにサポートを開始します。

任意後見人は適切に仕事をしているか、任意後見監督人にチェックされます。

任意後見監督人は適切に仕事をしているか、家庭裁判所にチェックされます。

だから、安心して任意後見制度を使えます。

この先あれこれ決められなくなる前に、自分らしい生き方を自分で決めよう、サポートを受けて自分らしく生きようという制度です。

2代理権目録に記載があれば不動産売却ができる

任意後見とは、認知症や障害によって判断能力が低下してしまったときに備えて、信頼できる人やってもらいたいことを決めて、サポートを依頼する契約です。

任意後見契約をすると、法務局の登記簿に記録されます。

①代理権目録に記載があること

本人の判断能力がしっかりしているうちに、やってもらいたいことを契約で決めているはずです。

法務局の登記簿の代理権目録には、やってもらいたいことが書いてあります。

「認知症になったら自宅を売って施設に入れてね」

家族に面倒をかけたくない気持ちでこういう言葉を言う人は多いです。

本人の意思に従って自宅を売って施設に入れようという場合、代理権目録を確認しましょう。

代理権目録に書いてなければ、任意後見人は自宅を処分できません。

任意後見人が代わりにできるのは、代理権目録に書いてあることのみです。

本人の判断能力がしっかりしているうちに、やってもらいたいことを代理権目録に書いたはずだからです。

②家庭裁判所の許可は不要

代理権目録に居住用不動産の処分が書いてあれば、本人の判断能力がしっかりしているうちに、処分権限を与えたことが証明できます。

だから、自宅を売却するという重要な判断であっても、家庭裁判所の許可は不要です。

本人が処分権限を与えていない法定後見では、家庭裁判所の許可がないと居住用不動産の売却はできません。

任意後見では本人の意思が最大限、重視されます。

③任意後見監督人の同意は原則不要

任意後見では、任意後見監督人は必ずいます。

法定後見では、後見監督人がいる場合といない場合があります。

任意後見人は任意後見監督人に監督されます。

任意後見人が不動産を売却する場合、原則として、任意後見監督人の同意は不要です。

任意後見契約で、特に、任意後見監督人の同意を必要とする特約を定めた場合、例外として、任意後見監督人の同意が必要になります。

法定後見で後見監督人がいる場合、必ず、後見監督人の同意が必要になります。

原則として、任意後見監督人の同意は不要ですが、任意後見監督人と相談することをおすすめします。

自宅などの居住用不動産は本人の重要な財産であるからです。

代理権目録に居住用不動産の処分と書いてあっても、好き放題無条件に、本人の不動産を売却することはできません。

本人の利益を害するようなことをすることはできません。

不動産の売却によって、本人に損害を与えたら本人の家族とトラブルになるおそれがあります。

3トラブルになりやすい事例

①見積書が1通だけ

見積書が1通だけでも不動産を売却することはできます。

見積書が1通だけの場合、その不動産業者に便宜をはかったのではないかと疑われてしまいます。

本人の家族とトラブルにならないために、いくつかの不動産業者から見積書を取っておきましょう。

②売却価格が相場より著しく安い

売却の時期によって多少不動産価格に変動はあるものです。

多少の変動の範囲を超えて、著しく安い価格で売却した場合、本人に損害を与えたと言われることがあります。

急な出費をまかなうためやむを得なかったなど、正当な理由があれば差し支えありません。

③不動産の買主が任意後見人の親族等

本人の不動産売却で利益相反になる場合です。

利益相反とは、本人がソンすると、任意後見人がトクをする場合のことです。

本人の不動産売却で任意後見人がトクをして、本人がソンしたと思われる場合があります。

4後見監督人が選任される前は本人が売却できる

任意後見契約は、本人の判断能力がしっかりしているうちにします。

本人がひとりで決めるのが心配になったら、家庭裁判所は後見監督人を選任します。

本人の判断能力がしっかりしているのであれば、家庭裁判所は後見監督人を選任しません。

任意後見契約をしても、後見監督人が選任される前であれば、人の判断能力がしっかりしていると言えます。

本人の判断能力がしっかりしているのであれば、本人の不動産を売却するには何も問題はありません。

通常どおり、契約等の手続ができます。

5認知症対策を司法書士に依頼するメリット

生前対策=相続「税」対策の誤解から、生前対策はする方はあまり多くありません。

争族対策として有効な遺言書ですら、死亡者全体からみると10%未満です。

対策しないまま認知症になると、家族に大きな面倒をかけることになります。

認知症になってからでは遅いのです。

対策できるときには何もせず、問題を感じたときには何もできないのが怖いところです。

任意後見契約は契約ですから、本人の判断能力がしっかりしているうちしかできません。

お元気なうちに準備する必要があります。

お元気なうちに準備すれば、本人の意思や家族の意向を活かすことができます。

なにより自分が困らないために、大切な家族に面倒をかけないために生前対策をしたい方は、すぐに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

アパートローンを相続

2022-09-14

1相続財産とは

相続が発生すると、原則として、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続人が相続する財産が、相続財産です。

相続財産はプラスの財産とマイナスの財産があります。どちらも、相続財産です。

①プラスの財産

一般的に不動産、預金、株式や投資信託などの有価証券、現金などです。

さらに、宝飾品や美術品など価値があるものはプラスの財産といえるでしょう。

多くの方が財産と言われたときにイメージしやすいものです。

不動産には、自宅だけでなく収益不動産も含みます。

②マイナスの財産

一般的に借金やローンなどです。

賃貸マンションや賃貸アパートを経営している場合、アパートローンが残っていることが多いでしょう。

アパートローンは相続財産です。

アパートローンは、相続で相続人に受け継がれます。

未払の税金や未払の入院費用などもマイナスの財産になります。

被相続人が賃貸マンションや賃貸アパートを保有している場合、被相続人は大家の地位があります。

大家の地位は相続財産です。

大家の地位は、相続で相続人に受け継がれます。

被相続人が第三者の連帯保証人であった場合、連帯保証人の地位は相続財産です。

連帯保証人の地位は、相続で相続人に受け継がれます。

被相続人がローン組むときに相続人が連帯保証人になることがあります。

この場合の連帯保証人の地位は相続財産ではありません。

相続とは関係ない相続人の固有の義務です。

2まずは遺産分割協議

相続が発生すると、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

被相続人がアパート経営をしている場合、賃貸アパート、アパートローン、貸主の地位などが相続財産になります。

これらの相続財産は、相続人全員の共有財産になります。

2人以上相続人がいる場合や遺言書がない場合は、遺産の分け方について相続人全員で話し合いをする必要があります。

この相続人全員で話し合いのことを遺産分割協議といいます。

相続財産の分け方について、相続人全員で、合意が不可欠です。

相続人全員で合意がまとまったら、遺産分割協議書に取りまとめておきます。

賃貸アパートは、相続人全員でだれが受け継ぐか合意すれば、その相続人が受け継ぐことができます。

アパートローンが残っている場合、賃貸アパートを相続する人がアパートローンを引き継ぐ合意をすることが多いでしょう。

賃貸アパートを引き継ぐ人がアパートローンを引き継ぐと相続人全員で合意をした場合、合意は相続人間でのみ有効です。

アパートローンを引き継ぐ合意は、相続人の内輪の合意事項に過ぎません。

相続人の内輪の合意事項だから、銀行には関係ない話です。

相続人の内輪の合意事項に関係なく、銀行は、各相続人に法定相続分でローンの返済を求めることができます。

賃貸アパートを引き継ぐ人がアパートローンを引き継ぐ合意をしたから、アパートローンの返済はしないと文句を言うことはできません。

遺産分割協議書に「賃貸アパートを引き継ぐ人がアパートローンを引き継ぐ」と記載して相続人全員が署名して実印押印しても銀行には関係ありません。

3アパートローンの名義変更は銀行の承諾が必要

相続が発生すると、原則として、被相続人の財産は相続人が相続します。

被相続人の財産は、原則としてプラスの財産もマイナスの財産も相続財産です。

賃貸マンションやアパートを建設するとき、アパートローンを組んでいることがあります。

アパートローンも相続財産です。

相続財産は相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意が不可欠です。

相続人全員の合意でアパートローンを特定の代表相続人が引き継ぐことを決めることができます。

代表相続人がアパートローンを引き継ぐと決めた場合であっても、この取り決めは相続人間の内部的な合意に過ぎません。

被相続人が遺言書に「アパートローンは相続人○○に相続させる」と書いた場合も同様です。

遺言書の内容は、相続人間の内部的な取り決めに過ぎません。

相続人間の内部的な取り決めに過ぎませんから、銀行は相続人全員に対して法定相続分でローンの返済を求めることができます。

アパートを引き継がない相続人に対して、銀行は法定相続分でローンの返済を求めることができます。

ローンを引き継ぐと決められた相続人が、債務超過で資力がない場合があるからです。

債務超過で資力がない場合、多くの場合、自己破産することになるでしょう。

自己破産をした場合、銀行はローンを返済してもらえなくなります。

銀行を保護するため、アパートローンを特定の代表相続人が引き継ぐには金融機関の承諾が必要です。

金融機関は新たにローンを組む時と同様に、相続人の返済能力やアパートの収益性を審査をします。

銀行の審査が通らなかった場合、新たに連帯保証人を立てることを求められるでしょう。

銀行の審査が通った場合、債務引受契約を締結します。

不動産に抵当権が設定されている場合、抵当権の債務者変更登記が必要になります。

アパートを引き継がない相続人は、アパートローンの引継ぎができたのか確認しておく必要があります。

4連帯保証人になるとアパート経営から逃げられない

被相続人が賃貸マンションや賃貸アパートを建築するとき、アパートローンを組むことがあります。

多額の融資を受けることになるので、金融機関は連帯保証人を立てることを求めてきます。

被相続人がローンを組む場合、相続人が連帯保証人になっていることがあります。

連帯保証人は、ローンを組んだ人がお金を返せなくなった場合に肩代わりをしますと銀行に約束した人です。

銀行は、ローンを組んだ人がお金を返せなくなっても、肩代わりの人に請求できるので安心してお金を貸せます。

被相続人が多額のローンを残したまま死亡した場合、相続人は相続放棄をすることができます。

相続人が相続放棄をした場合、被相続人の借金を相続することはありません。

相続人として被相続人のアパートローンを返す義務はなくなりますが、肩代わりの義務は残ります。

借金を肩代わりする義務は、銀行と相続人がした契約だからです。

相続とは関係ない相続人の固有の義務だからです。

被相続人が不動産ローンを残したまま死亡した後、相続人が相続放棄をしたら借金を返してもらえなくなります。

ローンを組んだ人がお金を返せなくなった場合に肩代わりをしますと約束してもらったのだから、銀行は約束どおり肩代わりをしてくださいと言ってきます。

相続放棄したから、肩代わりはしませんということはできません。

肩代わりの義務は、相続とは関係ない相続人固有の義務だからです。

相続人として相続放棄をしても、連帯保証人である相続人は連帯保証人として肩代わりの義務は消えません。

連帯保証人である相続人は実質的に相続放棄をすることができなくなります。

連帯保証人である相続人は相続放棄をした場合、連帯保証人として被相続人の借金から逃れられないからです。

銀行は、相続放棄をしてアパート経営を投げ出すことができないようにするために、連帯保証人を立てるように求めてきます。

アパートローンの連帯保証人になると言うことは、実質的にアパート経営を引き継ぐ義務を負うという意味です。

連帯保証人が死亡した場合、連帯保証人の地位は相続人に相続されます。

連帯保証人の配偶者や子どもなどは何も知らないところで連帯保証人の地位を相続してしまうおそれがあります。

順調に不動産ローンが返済されている間は、連帯保証人に何も言って来ないのが通常です。

アパートローンを組んだ人が順調にローン返済ができている間は、銀行は困ることがないからです。

5アパート経営は相続人を巻き込む事業リスクがある

被相続人が賃貸マンションや賃貸アパートを保有していた大家と聞くと、一般的に資産家のイメージが浮かびます。

被相続人が収益不動産を上手に活用して、大きな収益をあげていたかもしれません。

家族が全く関与していない場合、不動産経営に不安を感じることでしょう。

家族が負担する相続税額を心配して、税金を減らす対策をしようと考えるかもしれません。

確かに、現金を保有し続けるよりアパートを建設した方が相続税を少なくすることができることが多いでしょう。

アパート経営は不労所得に見えがちですが、リスクをとって経営する不動産事業です。

相続税を減らすメリットに見合う、事業リスクなのか慎重に判断する必要があります。

相続税を減らすことには成功したが、不動産事業で失敗したら意味はありません。

アパートローンを組む場合、アパート経営を受け継ぐ予定の人は連帯保証人に立てることを求められます。

不動産事業で失敗した場合、連帯保証人でない相続人は相続放棄をすることで、被相続人の借金を相続することはありません。

連帯保証人である相続人は相続放棄をした場合、連帯保証人として被相続人の借金から逃れられません。

アパート経営による事業リスクの大きさを理解していない場合、家族の人生を破綻させる危険があります。

相続人の人生を破綻させないための対策が、相続放棄の制度だからです。

連帯保証人として事実上相続放棄ができない相続人は、借金から逃れられないからです。

6アパート経営は相続トラブルのリスクが大きい

不動産経営がうまくいったとしても、相続トラブルの心配があります。

賃貸マンションや賃貸アパートを複数保有している人の場合、収益のいい不動産と収益の良くない不動産があるでしょう。

大規模の修繕が必要な物件や老朽化した物件がある場合もあるでしょう。

不動産にはそれぞれ個性があるから、簡単に分けることができません。

相続財産が金銭のみであれば、簡単に分けることができます。

分けにくい不動産は、分け方の合意をするのが難しくなります。

収益のいい不動産は価値が高くなります。

収益の高い不動産を受け継ぐ相続人は、他の相続人に代償金を支払わなければならなくなるかもしれません。

代償金の額や支払方法の合意が難しいかもしれません。

相続税を減らす対策のために、家族がトラブルになることは少なくありません。

7賃貸アパートの相続を司法書士に依頼するメリット

賃貸マンションや賃貸アパートを保有している大家と聞くと、資産家のイメージが浮かびます。

相続税を心配してアパート経営を始める人もいるでしょう。

アパート経営は不労所得に見えがちですが、リスクがある不動産事業です。

アパートローンの返済が終わったら、家賃収入を資産として残すことができます。

そのためにはアパート経営をする知識と時間と労力が必要です。

空室にしないためにどのような投資をしていくか経営判断が必要になるでしょう。

被相続人がアパート経営をしていた場合、相続人は関与していなかったことは少なくありません。

相続でアパート経営を引き継ぐ場合、築年数の経過した賃貸アパートになります。

築年数の経過した賃貸アパートは空室が多くなりがちで、修繕の負担が多くなりがちです。

アパート経営に関与していなかった相続人が引き継ぐ場合、難しい経営判断を迫られることになります。

家賃収入を資産として残すどころか、相続人の固有の財産で損失を補填することになるでしょう。

いったん相続をして、損失が大きくならないうちに売却する方がいいかもしれません。

このような相続して売却する場合も司法書士はサポートします。

賃貸マンションや賃貸アパートの相続について、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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