相続放棄してもペットの引き取り

1相続放棄してもペットの引き取り

①ペットは法律上モノ扱い

ペットは「家族」として、一緒に暮らすパートナーになりました。

被相続人にとって大切な家族ですが、法律上はモノ扱いです。

ペットは、法律上、被相続人の財産のひとつです。

被相続人が死亡すると、被相続人の財産は相続財産になります。

被相続人のペットは、相続財産の一部です。

②相続放棄をすると相続財産を引き継がない

相続が発生したら、相続人は相続放棄をすることができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に相続放棄の申立てをします。

家庭裁判所で相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。

相続人でなくなるから、相続財産は一切引き継ぎません。

③相続財産を利用処分すると相続放棄が無効になる

相続放棄をした人は、はじめから相続人でなくなります。

相続人でないから、相続財産を利用処分する権限はありません。

相続財産を利用処分することは、相続人であることを認めた行為と考えられます。

相続人であることを認めた行為は、単純承認です。

単純承認と見なされた場合、相続放棄は無効です。

家庭裁判所は詳しい事情を知らないまま、相続放棄を認める決定をしてしまうことがあります。

家庭裁判所が認める決定をしても、絶対的な効力はありません。

相続財産を利用処分すると、相続放棄は無効になります。

被相続人のペットは、相続財産です。

被相続人のペットを引き取る行為は、相続財産を利用処分する行為と考えられる可能性があります。

うかつに被相続人のペットを引き取ると、相続放棄が無効になる可能性があります。

自分が引き取る以外に、保護団体などに引き渡すことがあります。

保護団体などに引き渡すことは、相続財産の処分行為です。

うかつに保護団体などに引き渡すと、単純承認とみなされる可能性があります。

④経済的価値がないペットを処分しても単純承認にならない

被相続人のものだからと言って、何ひとつ処分できないというわけではありません。

経済的価値がない財産を処分したときまで、単純承認になるのは不当だからです。

被相続人のものであっても、経済的価値がないことがあります。

腐りかけた弁当や古新聞を処分しても、単純承認になることはありません。

腐りかけた弁当や古新聞には、経済的価値がないからです。

経済的価値がないものを処分しても、相続放棄は無効になりません。

一般家庭で飼われているペットに、金銭的価値があることは少ないでしょう。

たとえ20万円で購入したペットでも、成長した後は20万円の価値はありません。

成長したら、取り引き価値はなくなるのが通常です。

お金を払って、被相続人のペットを買い取る人はほとんど考えられません。

経済的価値は、ないと言えるでしょう。

経済的価値がないペットを処分しても、相続放棄は無効になりません。

経済的価値がないペットを引き取っても、単純承認になることはありません。

⑤経済的価値があるペットは単純承認になる可能性

ごくまれに、被相続人が飼っていたペットがよほどの希少種であることがあります。

売却すれば高値で取引される場合、ペットを引き取ると単純承認とみなされる可能性があります。

⑥ペットの世話は保存行為

ペットは命のある生き物ですから、餌やりなどの世話が欠かせません。

ペットに餌やりなどの世話をすることは、相続財産を維持する行為と言えます。

動物病院に連れて行くことは、応急処置的な行為と言えます。

ペットの世話は、保存行為と考えられます。

相続財産を維持するだけの保存行為であって、処分したとは言えません。

ペットに餌やりなどの世話をすることで、相続放棄が無効になることはありません。

2相続放棄してもペットを引き取る流れ

手順①ペットの経済的価値を調べる

被相続人の財産は、相続財産になります。

被相続人のペットは、相続財産です。

ペットに資産価値があれば、相続放棄は無効になります。

ペットに資産価値がなければ、相続放棄は無効になりません。

ペットの資産価値は、次の方法で調べることができます。

・ペットショップやブリーダーなどで、取引価格の査定を依頼する。

・買取り業者に買取価格の有無を確認する。

・購入時の契約書や血統書を確認する。

ペットショップやブリーダーなどから査定書を発行してもらって、保管しておきます。

経済的価値があるペットだったのではないかと、債権者などから疑いの目を向けられるおそれがあります。

ペットに資産価値がないことを客観的証拠で示せないと、相続放棄が無効になるリスクがあります。

手順②資産価値がないとき引き取りができる

経済的価値がないペットを引き取っても、単純承認になることはありません。

経済的価値がない財産を処分しても、相続放棄は無効になりません。

手順③念のため譲渡の記録を残すと安心

経済的価値がない財産であっても、債権者から疑われる余地があります。

経済的価値の有無は、あいまいな基準と言えるからです。

できることなら、ペットを相続した相続人から購入する方法や譲渡を受ける方法が安全です。

相続人全員が相続放棄をした場合、家庭裁判所に相続財産清算人を選任してもらうことができます。

相続財産清算人とは、相続財産を清算して国庫に帰属させる人です。

被相続人のペットは、相続財産のひとつです。

相続財産清算人から購入する方法や譲渡を受ける方法が安全です。

購入や譲渡を受ける場合、契約書などで記録を残しておくと安心です。

3飼主が行き先を決めておくとペットと相続人が安心

①飼主が元気なうちに生前贈与

ペットを飼うことは、ペットに対して最後まで責任を持つことです。

人間だれしも、急な病気やけがで倒れる可能性があります。

飼い主は急に倒れると、救急搬送をしてもらうことができます。

飼い主を失うと、ペットは人間以上に困ります。

ペットは、自分では何もできないからです。

救急隊などは、ペットに対して何もできません。

救急隊の使命は、人命救助だからです。

ペットは、自宅などで孤立します。

ペットを手放して信頼できる人に託すことは、責任の取り方のひとつです。

飼主が元気なうちにペットを生前贈与することで、ペットも相続人も安心することができます。

②遺言書を作成して負担付遺贈

遺贈とは、遺言書で相続人や相続人以外の人に財産を引き継ぐことです。

ペットと飼育費相当の金銭を遺贈することができます。

遺贈するにあたって、ペットの飼育を負担として付けることができます。

遺言書を作成して負担付遺贈する場合、遺言者の生前に対応することができません。

遺言書に効力が発生するのは、遺言者が死亡したときだからです。

③飼主が元気なうちに負担付死因贈与契約

贈与は、贈与する人と贈与を受ける人の契約です。

死因贈与契約とは、贈与する人が死亡したときに効力が発生する贈与契約です。

ペットと飼育費相当の金銭を贈与することができます。

贈与契約をするにあたって、ペットの飼育を負担として付けることができます。

贈与する人と贈与を受ける人が合意して契約したはずです。

一方的に、契約を解除することは少ないでしょう。

遺言書よりは、安心です。

死因贈与契約は、遺言書同様に飼い主が死亡したときに効力が発生します。

負担付死因贈与契約をする場合、贈与者の生前に対応することができません。

④ペット信託なら生前から死後まで一貫して安心

ペット信託を利用すると、生前から死後までペットの将来を守ることができます。

複数のリスクをすべて想定して、契約設計ができるからです。

ペット信託なら、生前から死後まで一貫して安心です。

4ペットの生前対策を司法書士に依頼するメリット

ペットは「家族」として一緒に暮らすパートナーになりました。

自分が大切にしている家族の将来が気にならない人はいないでしょう。

自分が死亡した後も、幸せを願うのは当たり前のことです。

残念ながら、飼主がペットはいかに大切にしていようとも、法律上はモノでしかありません。

ペットは自分では何もできないから買主が何もしないと人間以上に困ります。

自分の死後を考えて、大切なペットを飼育してくださいとお願いしていない場合、ペットには厳しい現実が待っています。

ペットを飼っている人は愛情を持って飼育しています。

だから、何も言わなくてもだれかがペットの面倒を見てくれる、新しい飼い主を探してくれると楽観的な希望を持っていることが多いです。

現実には、容赦なく保健所へ連絡する人もいるでしょう。

自分と同じように愛情を持って飼育してくれることは稀です。

制度を知って、上手に生かすことは飼い主だけができることです。

大切な「家族」の幸せのために、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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