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生活保護受給者の死亡で相続放棄

2023-12-06

1生活保護受給者の権利義務は相続人が引き継ぐ

①生活保護受給権は相続しない

相続が発生した場合、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。

相続人が相続する財産が、相続財産です。

被相続人の財産であっても、相続人に相続されない財産があります。

一身専属権や祭祀用財産は、相続の対象になりません。

一身専属権とは、その人個人しか持つことができない権利や資格のことです。

生活保護受給権は、一身専属権です。

生活保護とは、健康で文化的な最低限度の生活を送れるように国が支援する制度です。

生活に困窮する人は国の支援を受けることができるから、健康で文化的な査定限度の生活が保障されます。

被相続人が生活保護を受けていた場合、被相続人の生活を保障するため国が支援していたと言えます。

生活保護受給者が死亡した場合、その人の生活を保障する必要はなくなります。

生活保護受給者が死亡した場合、生活保護は終了します。

生活保護受給権は、相続されません。

相続人に生活保障の必要がある場合、あらためて相続人が申請をして審査がされます。

②生活保護費返還義務は相続する

利用できる資産を活用してもなお最低限度の生活が維持できない場合、生活保護を受けることができます。

生活保護受給者が収入を得た場合、福祉事務所へ届出をしなければなりません。

福祉事務所は、得た収入を考慮して生活保護の給付を判断するからです。

ときには手続の不手際で、過大な保護費を受け取ってしまうことがあります。

過大に受け取ってしまった保護費は、返還しなければなりません。

生活保護費返還義務を残したまま、生活保護受給者が死亡することがあります。

生活保護費返還義務は、相続人に相続されます。

生活保護受給者が死亡した後に、保護費を過大に受け取った事実が判明することがあります。

相続人は、過大に受け取ってしまった保護費を返還しなければなりません。

福祉事務所からの通知で死亡を知った場合、この通知は死亡の事実を知った証拠になります。

相続放棄をする場合、家庭裁判所へ提出します。

③預貯金を相続する

生活保護を受けるには、利用できる資産を活用してもなお最低限度の生活が維持できないことが条件です。

利用できる資産がある場合、生活保護を受けることができません。

生活保護を受けている場合、預貯金がすべて否定されるわけではありません。

生活必需品が壊れてしまった場合、買い替える資金がないと生活に支障が出てしまいます。

子どもの進学資金などを準備したいことがあるでしょう。

生活保護受給者に預貯金があった場合、預貯金は相続財産です。

相続人が相続することができます。

生活保護は利用できる資産を利用することが条件だから、高額な貯金があることは考えられません。

福祉事務所の考えにもよりますが、おおむね100万円を超えることはできません。

④借金を相続する

生活保護は、健康で文化的な最低限度の生活を送れるように国が支援する制度です。

最低限度の生活を送れるように国が支援しているから、借金をしていることはないだろうと思うかもしれません。

生活保護受給を受ける要件に、借金の有無は関係ありません。

借金があっても借金がなくても、生活保護の要件を満たしていれば生活保護を受給することができます。

生活保護受給中であっても、借金がなくなることはありません。

借金と生活保護は、無関係です。

現実的には、生活保護受給者があらたな借金をすることは難しいでしょう。

実際にお金を貸す人は、あまりいません。

生活保護受給者が借金をした場合、借金が収入であると判断されるおそれがあります。

収入と判断された場合、生活保護は停止されるでしょう。

生活保護受給を始める前に、借金をしている可能性があります。

生活保護費は最低限度の生活を送るための金額だから、借金を返す余裕はないでしょう。

生活保護受給者が借金を残して死亡することを、想定しておく必要があります。

⑤税金の滞納分を相続する

生活保護は、健康で文化的な最低限度の生活を送れるように国が支援する制度です。

国が生活を支援している人から税金を徴収するのは、無意味です。

生活保護受給者は、税金がかかりません。

生活保護受給者に税金がかからないから、税金の滞納があると考えていないことがあります。

生活保護を受給する前に、納めるべき税金を滞納していることがあります。

生活保護受給中は、税金の徴収が停止します。

生活保護受給者が死亡した場合、滞納していた税金は相続人に相続されます。

相続人が生活保護受給者でない場合、税金の徴収の停止が解除されます。

相続人に滞納していた税金を払ってくださいと言ってくることがあります。

⑥病院代を相続する

生活保護受給者は、健康で文化的な最低限度の生活を送れるように国から支援を受けています。

健康で文化的な最低限度の生活のため、原則として、病院の自己負担がありません。

生活保護の医療扶助が適用されない治療を受けていることがあります。

医療扶助が受けられない治療の自己負担は、10割です。

治療内容にもよりますが、高額になることが多いでしょう。

医療扶助が受けられない治療の自己負担は、相続人が負担することになります。

2生活保護受給者の死亡で相続放棄

相続が発生した場合、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。

生活保護受給者が死亡した場合、プラスの財産が多いことはまず考えられません。

そのうえで税金の滞納や借金がある可能性があります。

相続を単純承認した場合、相続人は滞納していた税金を支払い借金を返済しなければならなくなります。

余計なトラブルを避けるため、相続放棄をすることができます。

3相続放棄をするときの注意点

①相続放棄は3か月以内に

相続が発生した場合、単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄の申立てをします。

相続放棄の申立てには、期限があります。

相続の申立ての期限は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内です。

「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。

3か月以内に必要書類を添えて、管轄の家庭裁判所へ手続しなければなりません。

②相続財産を処分すると相続放棄は無効になる

相続放棄をする前に単純承認をしていた場合、相続放棄はできません。

相続放棄が撤回できないように、単純承認も撤回できないからです。

相続財産を処分したり、利用した場合、単純承認をしたとみなされます。

相続財産を処分したり、利用した場合は相続放棄ができなくなります。

家庭裁判所は事情が分からず書類に問題がなければ、相続放棄を受理してしまいます。

家庭裁判所が相続放棄を受理した後でも、相続財産を処分したり利用した場合は、無効です。

③連帯保証人の義務は相続放棄と無関係

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、被相続人の借金は引き継ぐことはありません。

被相続人が賃貸住宅を借りる際に、家族が連帯保証人になっていることがあります。

連帯保証人は、賃借人が家賃などを払えなくなったときに肩代わりをする人です。

賃借人が家賃を払えなかった場合、肩代わりの人が払ってくれるので賃貸人は安心することができます。

賃貸人と賃借人は、家賃を払う契約をします。

賃貸人と連帯保証人は、賃借人が家賃を払えなかったとき肩代わりをしますと契約します。

家賃を払う契約と連帯保証契約は、当事者と内容が違うまったく別の契約です。

賃借人が家賃を滞納したまま死亡した場合、相続人は相続放棄をすることで滞納家賃を引き継がなくても済みます。

賃借人の相続人に払ってもらえないから、賃貸人は連帯保証人に請求します。

連帯保証人は、肩代わりをしますと約束した人です。

肩代わりの義務は、連帯保証人の固有の義務です。

連帯保証人が賃借人の相続人であったとしても、相続とは関係がありません。

相続放棄をしても、肩代わりの義務はなくなりません。

連帯保証の義務は、相続放棄と無関係だからです。

4生活保護受給者の死亡で葬祭扶助

生活保護とは、健康で文化的な最低限度の生活を送れるように国が支援する制度です。

扶養義務者の扶養があってもなお最低限度の生活が維持できないことが条件のひとつです。

生活保護を受給するために、扶養義務者から扶養を受ける必要があります。

生活保護受給者でないにしても、扶養義務者も経済的に困窮していることがあります。

生活保護受給者が死亡した場合、家族が葬儀を執り行うでしょう。

葬儀を執り行う家族が経済的に困窮している場合、葬儀費用の支払いできないことがあります。

生活保護受給者が死亡した場合、最低限度の葬儀ができるように国が支援します。

最低限の葬儀費用を支給する制度を葬祭扶助と言います。

葬儀を執り行う家族に充分な資産がある場合、国の支援はありません。

葬祭扶助は、葬儀を行う前に申請します。

葬儀を執り行う家族が経済的に困窮して、葬儀費用の支払いできないからです。

葬儀の後に申請した場合は、葬祭扶助が認められません。

葬儀を執り行う家族が葬儀費用を負担できる資産があったはずだからです。

葬祭扶助の対象にできるのは、最低限の費用のみです。

具体的には、死亡の確認、遺体の移送、火葬費用、納骨費用のみです。

通夜や告別式をせず、火葬のみ行います。

戒名やお布施は、親族が負担します。

葬祭扶助が適用される場合、葬儀費用は福祉事務所から葬儀業者に直接支払われます。

5生活保護受給者が死亡したときの相続放棄を司法書士に依頼するメリット

生活保護とは、健康で文化的な最低限度の生活を送れるように国が支援する制度です。

生活保護を受けることで親族からあれこれ言われて、疎遠になっていることがあります。

被相続人の生活状況など分からないことが多いでしょう。

生活保護受給者の生活状況は、ケースワーカーが見守っています。

生活保護受給者は、健康で文化的な最低限度の生活ができる保護費を受け取っています。

最低限度の生活ができる程度の保護費だから、大きなプラスの財産があることは考えられません。

一方で、生活保護受給者はマイナスの財産が見つかることがあります。

相続が発生してから数年経過してから、発見されることも少なくありません。

余計なトラブルに巻き込まれないため、相続放棄をしておくと安心でしょう。

司法書士は、相続放棄をはじめとして相続手続全般をサポートしています。

相続放棄を検討している方は、すみやかに司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続放棄でトラブル

2023-11-15

1相続放棄とは

相続が発生した場合、原則として、被相続人のプラスの遺産もマイナスの遺産も相続人が受け継ぎます。

被相続人のプラスの遺産もマイナスの遺産も受け継がないことを相続の放棄といいます。

相続放棄をすると、プラスの遺産を引き継がなくなりますが、マイナスの遺産も引き継ぐことがなくなります。

相続放棄という言葉自体は、日常的に聞く言葉かもしれません。

法律上の相続放棄と日常使う相続放棄は、少し意味が違うかもしれません。

意味が違うことに気づかず、無用に不安になっている場合があります。

意味が違うことに気づかず、重要なリスクが見えていない場合もあります。

2相続放棄でトラブル事例

事例①生前に相続放棄はできない

相続放棄は、家庭裁判所に対して、必要な書類をを添えて相続放棄をしたい旨の申立てをします。

被相続人が相続人に対して「相続放棄をしろ」と命じるケースがあります。

被相続人が「相続放棄をします」と念書を書かせるケースがあります。

「相続放棄をします」と他の相続人と契約書を作るケースがあります。

「相続放棄をします」と被相続人や他の相続人に申入書を差し入れるケースがあります。

いずれも、無効です。

相続放棄するためには、家庭裁判所に対して申立てが必要です。

家庭裁判所に申立てがない場合、相続放棄はできません。

相続放棄をする約束をしていたのに、相続発生後、財産を分けて欲しいと言われても文句を言えません。

相続放棄をする約束を信じていた他の相続人とトラブルになります。

被相続人の死亡する前に相続放棄ができるとすると、相続人になる予定の人が干渉して相続が発生する前からトラブルになることが考えられます。

被相続人の生前に相続放棄の約束をすると、相続トラブルが大きくなります。

事例②他の相続人から相続放棄を迫られる

相続が発生した後であっても、他の相続人から相続放棄を要求されるケースがあります。

相続放棄は、相続人が自由な判断でするものです。

生前にどのような約束をしていたとしても無効の約束です。

他の相続人が相続放棄について干渉すると、トラブルになります。

事例③相続放棄をすると相続権が次順位の相続人に移る

相続放棄が認められると、ばじめから相続人でなくなります。

被相続人の子ども全員が相続放棄をした場合、子どもはいないものと扱われます。

被相続人に子どもがいない場合、次順位の相続人は親などの直系尊属です。

被相続人に莫大な借金がある場合、借金から逃れるために相続放棄をすることができます。

子ども全員に相続放棄が認められた場合、借金は次順位の相続人が引き継ぎます。

債権者は、次順位の相続人から借金を返済してもらおうと考えます。

親などの直系尊属は、急に莫大な借金の返済を求められることになります。

子ども全員が相続放棄をしたことを何も知らない場合、親などの直系尊属はびっくりするでしょう。

相続放棄を認めた場合、家庭裁判所は他の相続人に自主的に連絡はしません。

相続放棄が認められても、次順位の相続人に相続放棄をしたことを通知する義務はありません。

何も知らない相続人は、だれかが知らせてくれてもいいのにと恨みに思うかもしれません。

次順位の相続人に通知する義務はなくても、親族間でトラブルに発展します。

事例④相続放棄をしたのに借金返済を迫られる

家庭裁判所は、相続放棄の申立てをした人だけに結果を通知します。

相続放棄を認めた場合、家庭裁判所は債権者に自発的に連絡はしません。

相続放棄が認められても、債権者に相続放棄をしたことを通知する義務はありません。

債権者から見ると、何も知らないうちに相続放棄の申立てがされて、何も知らないうちに相続放棄が認められたとなります。

債権者は何も知らないから、相続人に借金を返してもらおうと思って催促をします。

相続放棄をした人は、被相続人の借金を引き継ぎません。

借金の催促をされた場合、断ることができます。

債権者は相続放棄をしたことを知らないのが通常だから、相続放棄をしたことを知らせるといいでしょう。

家庭裁判所は相続放棄を認めた場合、相続放棄申述受理通知書を送ってきます。

相続放棄申述受理通知書のコピーを渡すと、分かってもらえるでしょう。

事例⑤財産処分をすると相続放棄は無効になる

相続が発生した場合、相続を承認するか相続放棄をするか判断することができます。

相続を承認するか相続放棄をするか判断した後に、撤回することはできません。

相続放棄をする場合、相続財産を処分することはできません。

相続財産を処分した場合、相続を承認したものと見なされます。

相続を承認した場合、承認を撤回することはできません。

家庭裁判所が事情を知らずに相続放棄を認めてしまった場合、後から無効になります。

家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書を受け取っても、相続放棄は絶対ではありません。

相続財産を処分した場合、相続を承認したと言えるからです。

被相続人の債権者は、相続放棄は無効であると主張して借金を払って欲しいと裁判を起こすことができます。

相続放棄申述受理通知書を見せても、借金の催促が止まらない場合、債権者は相続放棄の無効を主張しているかもしれません。

債権者が裁判を起こした場合、裁判所から訴状が届きます。

訴状が届いたら、直ちに弁護士などの専門家に相談しましょう。

債権者が根拠のない主張をしている場合であっても、適切に主張立証をする必要があるからです。適切に対応しないと、裁判で相続放棄の無効が認められてしまうからです。

事例⑥相続放棄をした後の管理不適切で近所迷惑

相続放棄をすると、はじめから相続人でなくなります。

相続手続から解放されるから、相続に関する責任もなくなると考えがちです。

相続放棄をするとはじめから、相続人でなかったと扱われます。

プラスの財産もマイナスの財産も引き継ぐことがなくなるから、被相続人の遺産などに関与しなくていいと考えてしまうかもしれません。

相続放棄をした人は、相続財産を管理すべき人が管理を始めるまで管理を続けなければなりません。

自分が相続放棄をしたことによって次順位の人が相続人になる場合、その人が相続財産を管理してくれます。

固定資産税などの費用や実家の管理なども、次順位の相続人が引き受けてくれます。

自分の他に相続人がいない場合や相続人全員が相続放棄をした場合、相続放棄をした人は相続財産の管理を続けなければなりません。

不動産の管理不適切の場合、近隣住民に迷惑をかけることがあります。

人が住んでいない建物に、野生動物や病害虫が住み着くことがあります。

管理が不適切なため近隣住民が損害を受けたと認められた場合、損害賠償をしなければならなくなります。

近隣住民との間で、大きなトラブルになるおそれがあります。

事例⑦遺産分割で相続放棄ができると誤解

相続放棄するためには、家庭裁判所に対して申立てが必要です。

家庭裁判所に申立てがない場合、相続放棄はできません。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。

相続人全員の話し合いにおいて、プラスの財産を受け取らないと宣言することを相続放棄を称する場合があります。

自称専門家は、家庭裁判所に対して手続するのは煩雑だから相続人全員の話し合いで宣言することを勧めています。

相続人全員の話し合いにおいて、プラスの財産を受け取らないと宣言することは相続放棄ではありません。

プラスの財産を受け取らないと宣言しても、相続放棄ではありません。

債権者は、被相続人の借金を相続人全員に対して法定相続分で請求することができます。

家庭裁判所で相続放棄を認められた場合、相続人でなくなります。

債権者は、相続放棄が認められた人に対して借金を催促することはできません。

プラスの財産を受け取らないと宣言しても相続放棄ではないから、債権者は法定相続分で請求することができます。

プラスの財産を受け取らないと宣言した相続人は、依然として相続人です。

プラスの財産を受け取らないと宣言したから、借金は払いたくないと文句を言うことはできません。

自称専門家は、そこまで説明はしないでしょう。

手続がカンタンとだけ言って、アピールします。

遺産分割協議と相続放棄を混同すると、トラブルに巻き込まれることになります。

3相続放棄を司法書士に依頼するメリット

相続放棄はプラスの遺産もマイナスの遺産も引き継ぎませんという裁判所に対する申立てです。

相続人らとのお話合いで、プラスの財産を相続しませんと申し入れをすることではありません。

家庭裁判所で認められないとマイナスの財産を引き継がなくて済むというメリットは受けられないのです。

実は、相続放棄はその相続でチャンスは実質的には1回限りです。

家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続を取ることはできますが、高等裁判所の手続で、2週間以内に申立てが必要になります。

家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。

一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。

相続放棄は慎重に判断する必要があります。

相続放棄の知識が不足しているために、思いもよらないトラブルになってしまうケースがあります。

司法書士などの専門家のアドバイスがあれば良かったのにと思えることもあります。

知識がない状態で、3か月の期間内に手続するのは思ったよりハードルが高いものです。

相続放棄を考えている方はすみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

異父兄弟・異母兄弟の死亡で相続放棄

2023-11-06

1相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生すると、配偶者や子どもが相続することは多くの方がご存知でしょう。

相続人になる人は、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

①配偶者は必ず相続人になる

②被相続人に子どもがいる場合、子ども

③被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

④被相続人に子どももいない場合で、かつ、親などの尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

2異父兄弟・異母兄弟の死亡で相続人になる

①父母の一方だけ同じ兄弟姉妹は兄弟姉妹

被相続人に子どもも親などの直系尊属もいない場合、兄弟姉妹が相続人になります。

兄弟姉妹が相続人になるというと、両親が同じ兄弟姉妹を真っ先イメージするでしょう。

被相続人の親に再婚歴があることがあります。

相続人調査をしたところ、父母の一方だけ同じ兄弟姉妹が判明することがあります。

兄弟姉妹が相続人になるときの兄弟姉妹とは、父母が同じ兄弟姉妹に限られません。

父母の一方だけ同じ兄弟姉妹は、兄弟姉妹です。

被相続人に子どもも親などの直系尊属もいない場合、相続人になります。

②異父兄弟・異母兄弟が死亡したときの法定相続分

被相続人に子どもも親などの直系尊属もいない場合、兄弟姉妹が相続人になります。

相続が発生した場合、配偶者は必ず相続人になります。

配偶者と兄弟姉妹が相続人になる場合、法定相続分は次のとおりです。

配偶者 4分の3

兄弟姉妹 4分の1

被相続人と父母が同じ兄弟姉妹も父母の一方だけ同じ兄弟姉妹も、相続人になります。

兄弟姉妹が相続人になる場合、父母が同じ兄弟姉妹と父母の一方だけ同じ兄弟姉妹の法定相続分は同じではありません。

父母の一方だけ同じ兄弟姉妹の法定相続分は、父母が同じ兄弟姉妹の法定相続分の半分です。

配偶者と父母が同じ兄弟姉妹1人と父母の一方だけ同じ兄弟姉妹1人が相続人になる場合、法定相続分は次のとおりです。

配偶者 4分の3

父母が同じ兄弟姉妹 6分の1(12分の2)

父母の一方だけ同じ兄弟姉妹 12分の1

父母が同じ兄弟姉妹が複数いる場合、父母が同じ兄弟姉妹で平等に分けます。

父母の一方だけ同じ兄弟姉妹が複数いる場合、父母の一方だけ同じ兄弟姉妹で平等に分けます。

配偶者と父母が同じ兄弟姉妹3人と父母の一方だけ同じ兄弟姉妹2人が相続人になる場合、法定相続分は次のとおりです。

配偶者 4分の3

父母が同じ兄弟姉妹 16分の1(32分の2)

父母の一方だけ同じ兄弟姉妹 32分の1

異父兄弟・異母兄弟の死亡で相続人になる場合、法定相続分はわずかになることが多いです。

③遺産分割協議は相続人全員で

相続が発生した場合、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。

相続人全員の共有財産だから、一部の相続人が勝手に処分することはできません。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

異父兄弟や異母兄弟がいる場合、被相続人や被相続人の家族と疎遠であることが多いでしょう。

長期間疎遠になっていても、合意が不可欠です。

一部の相続人の合意がない場合、相続手続を進めることができません。

3異父兄弟・異母兄弟の死亡で相続放棄

①相続放棄は知ってから3か月以内に

相続が発生した場合、相続人は単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

単純承認するを希望する場合、特別な手続は不要です。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に相続放棄を希望する申立てをします。

相続放棄を希望する申立ては、3か月以内の期限があります。

期限のスタートは、相続があったことを知ってからです。

相続があったことを知ってからとは、必ずしも、被相続人の死亡してからではありません。

被相続人が死亡した後3か月以上経過してから、相続放棄の届出をして、認められることもあります。

相続放棄ができる3か月以内のスタートは、相続があったことを知ってからだからです。

相続があったことを知らなかった場合、相続放棄ができる3か月がスタートしていません。

このポイントは、相続が発生してから3か月以内に届出ができなかったのはやむを得なかったと家庭裁判所に納得してもらうことです。

被相続人や他の相続人と疎遠になっている場合、相続発生直後に連絡されないことが多いです。

3か月届出ができなかったのは仕方なかったと家庭裁判所が納得できる理由があるときだけは、家庭裁判所も相続放棄を認めてくれるのです。

他の相続人などから手紙が来て相続があったことを知った場合、この手紙と封筒は大切です。

この手紙を見て相続があったことを知ったという証拠になるからです。

封筒には、消印が押してあります。

消印の日付が、証拠になります。

②相続手続に関わりたくないから相続放棄

異父兄弟や異母兄弟がいる場合、被相続人や被相続人の家族と疎遠であることが多いでしょう。

相続財産の話し合いは、気心の知れた家族であってもトラブルになりがちです。

見知らぬ親戚と話し合いをするのは、気が進まないかもしれません。

気が進まない相続手続に協力しても、法定相続分はわずかです。

受け取る相続財産も、わずかになることが多いでしょう。

わずかな財産のために気が進まない親戚と顔を合わせるより、何も受け取らない方が気が楽かもしれません。

わずらわしい相続手続に関わりたくない場合、相続放棄をすることができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に申立てをします。

相続放棄を希望する理由は、被相続人の債務を引き継ぎたくないからが多いです。

相続放棄では、相続放棄の理由は重視されていません。

被相続人に債務があるのか分からないときにも、相続放棄をすることができます。

目立ったプラスの財産がないから万が一にもマイナスの財産があったときのために相続放棄をするケースです。

相続人が裕福で生活に困っていないから相続放棄をするケースもあります。

相続手続に関わりたくないから相続放棄をすることでも、差し支えありません。

相続手続に関わりたくないからが理由であっても、家庭裁判所は相続放棄を認めてくれます。

③生前に相続放棄はできない

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に相続放棄を希望する申立てをします。

相続放棄の申立てをすることができるのは、相続人だけです。

相続人以外の人は、相続放棄ができません。

相続が発生する前は、まだ相続人ではありません。

被相続人の生前に、相続放棄をすることはできません。

被相続人の生前なのに、相続放棄の申立てを家庭裁判所に送っても受け付けてもらえません。

相続放棄の申立てを提出する場合、被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本を提出します。

戸籍謄本を見れば、すぐに分かってしまいます。

④生前の相続放棄の念書や誓約書は無効

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に申立てをします。

相続人同士の約束で、相続放棄はできません。

将来発生する相続について、相続人になる予定の人が話し合いをすることはあります。

話し合いの中で、相続財産を受け取らないと申し入れるかもしれません。

相続人に「相続放棄をします」と念書を書かせることがあります。

法律上、相続放棄の念書に何の価値もありません。

生前に念書を差し入れていても、相続放棄の効果はありません。

生前の念書を見せても、相続手続を進めることはできません。

相続発生後、あらためて相続財産の分け方について相続人全員で合意しなければなりません。

家庭裁判所の関与なしに相続放棄はできないからです。

⑤父母による相続放棄の約束は無効

父母が離婚するときに、子どもが相続放棄をすることを約束していることがあります。

ときには誓約書を書いて渡しているかもしれません。

父母が離婚するときに、勝手にした約束は無効です。

相続放棄は、相続人の意思で相続放棄をするという制度です。

父母が勝手にした約束とは無関係に、単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄は家庭裁判所に申し立てて、認めてもらう必要があります。

家庭裁判所の関与なくして、相続放棄はできません。

相続発生後に財産を分けて欲しいと言われた場合、他の相続人は文句を言えません。

父母が勝手にした相続放棄の約束は無効だから、勝手に書いた誓約書も無効だからです。

4相続放棄を司法書士に依頼するメリット

実は、相続放棄はその相続でチャンスは1回限りです。

家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続を取ることはできますが、高等裁判所の手続です。

しかも2週間以内に申立てが必要になります。

家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。

一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。

相続が発生してから3か月以上経過した後の相続放棄は、難易度が上がります。

3か月以内に申立てができなかったのは止むを得なかったと家庭裁判所に納得してもらう必要があるからです。

やむを得なかったと認められる場合、家庭裁判所は相続放棄を認めてくれます。

通常は家庭裁判所に対して、上申書や事情説明書という書類を添えて、説得することになります。

家庭裁判所が知りたいことを無視した作文やダラダラとした作文では認めてもらうことは難しいでしょう。

司法書士であれば、家庭裁判所に認めてもらえるポイントを承知しています。

認めてもらえやすい書類を作成することができます。

通常の相続放棄と同様に、戸籍や住民票が必要になります。

市区町村役場は、平日の昼間だけ業務を行っています。

仕事や家事、通院などで忙しい人にとっては、書類を準備するだけでも負担が大きいものです。

戸籍や住民票の請求先になる市区町村役場が遠方の場合、郵便による取り寄せもできます。

書類の不備などによる問い合わせは、市区町村役場の業務時間中の対応が必要になります。

やはり負担は軽いとは言えません。

このような戸籍や住民票の取り寄せも司法書士は代行します。

相続放棄を考えている方は、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続放棄で相続登記の義務から逃れる

2023-10-20

1相続登記は義務になる

①所有権移転登記は原則として権利

不動産に対する権利が変動した場合、登記をします。

権利が変動した場合で最もイメージしやすいものは、不動産を購入して所有権を取得した場合でしょう。

不動産を購入して所有権を取得した場合、購入したタイミングですぐに所有権移転登記をします。

登記をしていないと、不動産に対して権利主張をする人が現れた場合に負けてしまうからです。

不動産を購入して所有権を取得したはずなのに、見知らぬ人が不動産は自分のものだから明け渡して欲しいと言ってくるようなケースです。

登記がある場合、不動産は自分のものだから明け渡す必要はないと言い返すことができます。

登記がない場合、不動産を明け渡さなければならなくなるかもしれません。

せっかく不動産を購入したのに、不動産を明け渡さなければならなくなることは何としても避けたいはずです。

不動産は自分のものだと主張するために、購入したタイミングですぐに所有権移転登記をします。

所有権移転登記をしない場合、所有者は権利主張ができません。

所有権移転登記をしない場合、所有者が不利益を受けます。

所有権移転登記をすることは、所有者の権利であって義務ではありません。

②相続登記は義務

所有権移転登記をしない場合、所有者はソンをします。

不動産に対して権利主張をする人が現れた場合、所有者のはずなのに権利主張ができないからです。

不動産には、不便な場所にあるなどの理由で価値が低い土地が存在します。

所有者にとって利用価値が低い土地に対して権利主張をする人が現れた場合、所有者として権利主張する必要を感じないかもしれません。

相続登記は、手間のかかる手続です。

自分で相続登記をしようとするものの、多くの人は挫折します。

相続登記をする場合、登録免許税を納付しなければなりません。

相続登記を専門家に依頼する場合、専門家に報酬を支払う必要があります。

不動産の価値が低い場合、相続登記で手間と費用がもったいないと考える人が少なくありませんでした。

相続登記がされない場合、登記簿を見ても土地の所有者が分からなくなります。

所有者不明の土地の発生を防止するため、相続登記をすることは義務になりました。

③相続登記は3年以内に申請

相続が発生した場合、相続登記の申請義務が課せられました。

「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ当該所有権を取得したことを知った日」から3年以内に申請しなければなりません。

④令和6年4月1日以降に発生した相続が対象になる

相続登記の申請義務が課せられるのは、令和6年4月1日です。

令和6年4月1日以降に発生した相続は、当然に対象になります。

⑤令和6年4月1日以前に発生した相続が対象になる

ずっと以前に相続が発生したのに、相続登記を放置している例は少なくありません。

令和6年4月1日以前に発生した相続であっても、相続登記は義務になります。

⑥相続登記未了であればペナルティーが課せられる

相続登記は、3年以内に申請しなければなりません。

相続登記の申請義務を果たしていない場合、ペナルティーが課されます。

令和6年4月1日以前に発生した相続であっても、ペナルティーが課される予定です。

2相続放棄は家庭裁判所へ手続

相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も相続人が受け継ぎます。

被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継がないことを相続の放棄といいます。

相続放棄は、家庭裁判所に対して相続放棄を希望する旨の申立てをします。

相続放棄をすると、プラスの財産を引き継がなくなりますが、マイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

相続が発生した場合、被相続人の財産は相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めます。

相続人の中には、プラスの財産をまったく受け取らないことがあります。

相続人全員が合意できれば、財産をまったく受け取らない合意をすることができます。

プラスの財産をまったく受け取らないことを相続放棄をしたと表現することがあります。

相続財産の分け方を決める相続人全員の話し合いは、遺産分割協議を言います。

プラスの財産をまったく受け取らない合意をする場合でも、遺産分割協議です。

プラスの財産をまったく受け取らない合意は、相続放棄と表現しても相続放棄ではありません。

相続放棄は、家庭裁判所に対して申立てが必要な手続だからです。

3相続放棄が認められたら相続人でなくなる

相続が発生した場合、相続登記の申請義務が課せられました。

相続登記が義務になったのは、所有者が不明の土地がたくさん発生したからです。

公共事業などで土地を利用する必要がある場合、所有者に土地を売ってもらいます。

所有者が分からない場合、だれにお願いすればいいか分かりません。

公共事業などを進めることができなくなります。

相続登記を義務にして、所有者不明の土地がこれ以上増えないようにしようという制度です。

相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなくなります。

相続人でないから、被相続人のものは何も相続できません。

被相続人が不動産を所有していても、相続放棄した人が相続することはありません。

相続放棄が認められた人は、相続登記をする義務が課されません。

4相続が発生してから3か月以上経過しても相続放棄

①相続放棄の期間3か月のスタートは知ってから

相続放棄は家庭裁判所に申立てをする必要があります。

この申立ての期限は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内です。

相続があったことを知ってから3か月以内の期間のことを熟慮期間と言います。

「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。

被相続人が死亡してから3か月以内ではなく、相続財産を相続することを知ってから3か月以内です。

3か月以内に戸籍や住民票などの必要書類を揃えて管轄の家庭裁判所に提出しなければなりません。

②相続放棄ができる期間は3か月を知らなかったからは認められない

相続放棄の申立ては、相続があったことを知ってから3か月以内にしなければなりません。

相続放棄ができる期間は3か月を知らないまま3か月経過した場合、相続放棄は認められません。

法律の定めを知らなくても、3か月過ぎてしまえば、単純承認になります。

単純承認になったら、相続放棄は認められません。

法律を勉強したことがないからなども、勉強していないから3か月以内という定めを知らなかったといえます。

3か月過ぎてしまえば、単純承認になります。

単純承認になったら、相続放棄は認められません。

③市役所などからの通知が届いたから相続放棄

空き家等の登記名義人が死亡した場合、現在の管理者が適切に管理していないことがあります。

適切な管理を促すため、市区町村役場は相続人に通知を送ります。

空き家等の登記名義人が死亡してから長期間経過している場合、登記名義人の直接の相続人も死亡しているかもしれません。

ほとんど面識のない遠縁の親族の相続人であると聞いて、びっくりするかもしれません。

相続を単純承認した場合、空き家等の管理をすることになります。

相続が発生してから10年以上経過してから、相続人であることを知ることがあります。

絶縁していた相続人が相続放棄をする場合、「知ってから」とは被相続人が死亡したことを知ってからです。

被相続人が死亡したことを知らない場合、相続放棄をするか単純承認をするか判断できないからです。

市役所などから通知が届いたことで相続人であることを知った場合、この通知は重要です。

被相続人の死亡を知った証拠となるからです。

家庭裁判所に対して相続放棄の申立てをする場合、市役所からの通知を添えて提出すると説得力が増します。

被相続人が死亡してから長期間経過した後であっても死亡の事実を知ってから3か月以内である場合、相続放棄が認められます。

5相続放棄を司法書士に依頼するメリット

実は、相続放棄はその相続でチャンスは1回限りです。

家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続を取ることはできますが、高等裁判所の手続で、2週間以内に申立てが必要になります。

家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。

一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。

相続が発生してから3か月以内に申立てができなかったのは止むを得なかったと家庭裁判所に納得してもらって、はじめて、家庭裁判所は相続放棄を認めてくれます。

通常は家庭裁判所に対して、上申書や事情説明書という書類を添えて、説得することになります。

家庭裁判所が知りたいことを無視した作文やダラダラとした作文では認めてもらうことは難しいでしょう。

司法書士であれば、家庭裁判所に認めてもらえるポイントを承知していますから、認めてもらえやすい書類を作成することができます。

さらに、通常の相続放棄と同様に戸籍や住民票が必要になります。

お仕事や家事、通院などでお忙しい人には平日の昼間に役所にお出かけになって準備するのは負担が大きいものです。

戸籍や住民票は郵便による取り寄せもできますが、書類の不備などによる問い合わせはやはり役所の業務時間中の対応が必要になりますから、やはり負担は軽いとは言えません。

このような戸籍や住民票の取り寄せも司法書士は代行します。

3か月の期限が差し迫っている方や期限が過ぎてしまっている方は、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続放棄は家庭裁判所で手続

2023-10-16

1相続放棄とは

相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も相続人が受け継ぎます。

被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継がないことを相続の放棄といいます。

相続放棄をすると、プラスの財産を引き継がなくなりますが、マイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

相続の放棄は被相続人ごとに判断できますから、例えば、父について相続放棄をするが、母について単純承認するでも差し支えありません。

相続の放棄は相続人ごとに判断しますから、例えば、父の相続ついて長男は相続放棄するが、長女は単純承認するでも差し支えありません。

2相続放棄は家庭裁判所で手続

①相続放棄の管轄は被相続人の最後の住所地

相続放棄は、本来、家庭裁判所に対する手続です。

家庭裁判所に対して、必要な書類をを添えて相続放棄をしたい旨の申立てをします。

申立てをする先の家庭裁判所は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所です。

相続が開始した地とは、被相続人の最後の住所地です。

裁判所のホームページで管轄する家庭裁判所を調べることができます。

被相続人の最後の住所地が分からない場合、被相続人の除票や戸籍の附票を取得すると判明します。

被相続人の除票は、被相続人が住民票を置いていた市区町村役場に請求します。

被相続人の戸籍の附票は、被相続人の本籍地の市区町村役場に請求します。

被相続人に関する情報が全く分からない場合、自分の戸籍謄本を取得して順にたどっていきます。

被相続人の戸籍までたどり着いたら、被相続人の本籍地が判明します。

除票や戸籍の附票は、永年保管ではありません。

今でこそ保存期間は150年ですが、令和元年までは5年でした。

保存期間が経過した書類は、順次廃棄されます。

被相続人の除票や戸籍の附票を取得できない場合、死亡届の記載事項証明書で住所を調べることができます。

古い死亡届は、法務局が保管しています。

法務局は、市区町村役場から送付を受けた年度の翌年から27年間保管しています。

戸籍の附票や住民票が廃棄された後でも、死亡届の記載事項証明書を取得できることがあります。

相続放棄をしたい旨の申立ては、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出します。

②相続放棄の期限は知ってから3か月

相続放棄は、家庭裁判所に申立てをする必要があります。

申立ての期限は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内です。

「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。

被相続人が死亡してから3か月以内ではなく、相続財産を相続することを知ってから3か月以内です。

相続放棄ができる期間は3か月を知らないまま3か月経過した場合、相続放棄は認められません。

法律の定めを知らなくても、3か月過ぎてしまえば、単純承認になります。

単純承認になったら、相続放棄は認められません。

③相続放棄の期限は延長してもらえる

相続放棄の申立ての期限は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内です。

被相続人の財産状況を詳しく知らない場合、3か月はあっという間です。

相続放棄をするべきか単純承認をするべきか判断するために時間がかかる場合があります。

相続放棄をするべきか単純承認をするべきか判断するための資料を集めるため、相続放棄の期間3か月を延長してもらうことができます。

相続放棄の期間3か月を延長してもらうことを相続の承認または放棄の期間の伸長の申立てと言います。

相続の承認または放棄の期間の伸長の申立てを受け付けた場合、家庭裁判所が期間延長を認めるか判断します。

相続の承認または放棄の期間の伸長の申立てには、期間内に相続放棄をすべきか単純承認すべきが判断ができない具体的理由や延長が必要な期間を記載します。

判断ができない具体的理由を根拠づける資料を添付して、説得力を持たせるといいでしょう。

期間延長の必要性や理由が妥当なものであると家庭裁判所に納得してもらうことが重要です。

家庭裁判所で期間延長が認められた場合、原則として3か月延長されます。

④相続放棄は郵送で手続できる

相続放棄の申立てをする先の家庭裁判所は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所です。

相続が開始した地とは、被相続人の最後の住所地です。

相続人の住所地を管轄する家庭裁判所ではありません。

被相続人の最後の住所地が相続人の住所地からはるか遠方であることがあります。

相続放棄申述書は、家庭裁判所に出向いて提出することができるし郵送で提出することができます。

郵送する場合は、期限に間に合うように余裕を持って提出しましょう。

相続放棄の申立ての期限は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内です。

普通郵便で送った場合、家庭裁判所に届いたか分かりません。

郵便が迷子になると、探せなくなります。

書留やレターパックなど記録の残る郵便は、追跡番号で探してもらうことができます。

郵送するときは、記録の残る郵便で提出することをおすすめします。

⑤家庭裁判所から照会文書が届く

家庭裁判所に対して相続放棄の申立てをすると、相続放棄照会書が届きます。

相続放棄照会書とは、家庭裁判所から届く相続放棄についての意思確認です。

相続放棄照会書は、家庭裁判所によって名前が違うことがあります。

相続放棄は、影響の大きい手続なので間違いがないように慎重に確認します。

万が一、不適切な回答をすると相続放棄を認めてもらえなくなるかもしれません。

相続放棄の申立ての内容と食い違いが出ないように、書類を提出する前に控えをとっておくといいでしょう。

質問内容は、難しいものではありません。

事実をありのままに書けばいいでしょう。

被相続人が死亡してから3か月以上経過してから申立てをした場合、いつ死亡の事実を知ったかが重要なポイントになります。

相続放棄の申立ての期限は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内だからです。

相続があったことを知ってからですから、知らなかったのであれば3か月がスタートしません。

相続があったことを知ってから3か月以内であれば、相続放棄ができます。

家庭裁判所は、相続があったことを知ったのがいつなのか分かりません。

相続放棄照会書に対して回答する場合、いつ知ったのかを具体的に記載します。

何らかの書類が届いたことによって、自己のために相続があったことを知ったのであれば、この書類は重要な証拠になります。

回答書に添付して提出するといいでしょう。

電話連絡であれば電話連絡で知ったと書けば差し支えありません。

⑥相続放棄申述受理通知書で完了

相続放棄の申立てを受け付けた後、家庭裁判所は認めるか認めないか審査します。

相続放棄を認める判断をした場合、本人に対して、相続放棄申述受理通知書を送ります。

相続放棄申述受理通知書は、相続放棄を認めましたよという本人あてのお知らせです。

相続放棄申述受理通知書が届けば、相続手続は完了です。

相続放棄を認めた場合、家庭裁判所は本人にだけ通知をします。

家庭裁判所から、他の相続人や債権者などに自主的に相続放棄を認めましたと通知することはありません。

債権者などは、相続放棄が認められたことを知りません。

何も知らないから相続人に借金を返してもらおうと考えて、催促をしてきます。

相続放棄が認められたから、被相続人の借金を相続しません。

債権者に相続放棄受理通知書を見せると、分かってくれるでしょう。

相続放棄受理通知書は、本人あてのお知らせです。

いったん本人にお知らせをしたらお知らせは完了するから、再発行はされません。

相続放棄申述受理通知書の原本は保管しておいて、コピーを渡すといいでしょう。

多くの場合、相続放棄申述受理通知書のコピーを渡せば充分です。

相続放棄申述受理通知書を紛失してしまっても、相続放棄は無効になりません。

相続放棄申述受理通知書を紛失してしまった場合、家庭裁判所で相続放棄の証明をしてもらうことができます。

相続放棄の証明を相続放棄申述受理証明書と言います。

相続放棄申述受理証明書は、相続放棄をした人だけでなく債権者や他の相続人など法律上の利害関係がある人は取得することができます。

債権者などの利害関係人は、自分で相続放棄申述受理証明書を取り寄せることができます。

3家庭裁判所で手続しないと相続放棄はできない

①家庭裁判所で相続放棄をしたら相続人でなくなる

相続放棄は、本来、家庭裁判所に対する手続です。

家庭裁判所に対して、必要な書類をを添えて相続放棄をしたい旨の申立てをします。

相続放棄をした場合、はじめから相続人でなくなります。

被相続人の債権者は、被相続人の借金を払って欲しいと請求することはできません。

②遺産分割協議で相続放棄はできない

相続が発生すると、原則として、被相続人の財産は相続人が相続します。

被相続人の財産は、プラスの財産もマイナスの財産も相続財産になります。

相続人が相続する財産が、相続財産です。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

相続財産の分け方を決める相続人全員の話し合いを遺産分割協議と言います。

遺産分割協議において、一部の相続人が相続財産の受け取りをご辞退することがあります。

相続財産の受け取りをご辞退した人は、相続放棄をしたと表現するかもしれません。

相続財産の分け方を決める相続人全員の話し合いでご辞退しても、相続放棄ではありません。

相続放棄は、家庭裁判所で手続が必要だからです。

家庭裁判所で認めてもらわないと、相続放棄の効果は得られません。

③相続財産をご辞退しても借金を相続

相続放棄をした場合、はじめから相続人でなくなります。

被相続人の債権者は、被相続人の借金を払って欲しいと請求することはできません。

相続財産の分け方を決める相続人全員の話し合いでご辞退しても、相続放棄ではありません。

被相続人の債権者は、相続財産をご辞退した人に被相続人の借金を払って欲しいと請求することはできます。

相続財産の分け方についての相続人全員の合意事項は、相続人内部の合意に過ぎないからです。

相続人内部の合意事項だから、債権者などには関係ない話です。

債権者は、相続人全員に対して法定相続分で借金の返済を請求することができます。

相続財産の受け取りをご辞退すると相続人全員の合意で決めても、相続人のままです。

相続財産の受け取りをご辞退するする場合、プラスの財産を受け取っていないでしょう。

プラスの財産を受け取っていなくても、被相続人の借金は負担しなければなりません。

自称専門家は家庭裁判所で相続放棄の手続をするのは面倒だから、相続人間で決める方がいいとアドバイスしています。

自称専門家から自信満々に言われたら、信じてしまうかもしれません。

相続放棄と遺産分割協議は、別の手続です。

充分注意しましょう。

4相続放棄を司法書士に依頼するメリット

相続放棄はプラスの財産もマイナスの財産も引き継ぎませんという裁判所に対する申立てです。

相続人らとのお話合いで、プラスの財産を相続しませんと申し入れをすることではありません。

家庭裁判所で認められないとマイナスの財産を引き継がなくて済むというメリットは受けられません。

家庭裁判所で相続放棄が認められたとしても、絶対的なものではありません。

相続放棄の要件を満たしていない場合、その後の裁判で相続放棄が否定されることもあり得ます。

相続が発生すると、家族はお葬式の手配から始まって膨大な手続きと身辺整理に追われます。

相続するのか、相続を放棄するのか充分に判断することなく、安易に相続財産に手を付けて、相続放棄ができなくなることがあります。

相続に関する手続の多くは、司法書士などの専門家に任せることができます。

手続を任せることで、大切な家族を追悼する余裕もできます。

相続人の調査や相続財産調査など適切に行って、充分に納得して手続を進めましょう。

相続放棄は3か月以内の制限があります。

3か月の期間内に手続をするのは思うよりハードルが高いものです。

相続放棄を考えている方はすみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

借金を知らなかったから相続放棄

2023-10-11

1相続放棄は3か月以内に手続

相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も相続人が受け継ぎます。

被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継がないことを相続の放棄といいます。

相続放棄をすると、プラスの財産を引き継がなくなりますが、マイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

家庭裁判所に対して、必要な書類をを添えて相続放棄をしたい旨の申立てをします。

相続放棄は、いつでもできるわけではありません。

相続人は、相続を単純承認するか相続放棄するか選択することができます。

相続を単純承認するか相続放棄するか決める期間を熟慮期間と言います。

熟慮期間は、3か月以内です。

相続放棄を希望する場合、熟慮期間内に家庭裁判所に必要書類を添えて手続をします。

2借金を知らなかったから相続放棄

①被相続人の死亡後3か月以内に相続放棄

相続放棄ができるのは3か月以内の制限があることは、比較的知られています。

熟慮期間は3か月だから、被相続人の死亡後3か月以内であれば熟慮期間中です。

被相続人の死亡後3か月以内に莫大な借金が見つかった場合、相続放棄の手続をすることができます。

②被相続人の死亡を知ってから3か月以内に相続放棄

被相続人や被相続人の家族と常時連絡を取っていた場合、被相続人の死亡はすぐに連絡されます。

さまざまな家庭の事情から、被相続人や被相続人の家族と疎遠になっている相続人がいるかもしれません。

被相続人や被相続人の家族と音信不通の場合、死亡直後に連絡はされないでしょう。

相続発生から長期間経過してから、相続発生を知ることがあります。

熟慮期間の起算点は、被相続人の死亡時ではありません。

知ってから、3か月以内です。

被相続人の死亡を知ってから3か月以内に莫大な借金が見つかった場合、相続放棄の手続をすることができます。

③自分が相続人と知ってから3か月以内に相続放棄

相続が発生した場合、相続人になる人は法律で決まっています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どももいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

相続放棄をすることができるのは、相続人のみです。

先順位の相続人がいる場合、後順位の人は相続放棄の手続をすることはできません。

先順位の相続人が相続放棄をした場合、はじめから相続人でなかったと扱われます。

先順位の相続人全員が相続放棄をして相続人でなくなった場合、相続放棄の手続をすることはできます。

被相続人の死亡を知った後、長期間経過してから相続人になることがあります。

先順位の相続人について家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、家庭裁判所は本人にだけ通知します。

家庭裁判所から自主的に次順位相続人に連絡することはありません。

先順位の相続人が積極的に相続放棄をしたことを連絡する義務はありません。

相続人になった後、長期間経過してから相続人になったことを知ることがあります。

熟慮期間の起算点は、被相続人の死亡時ではありません。

知ってから、3か月以内です。

相続人になったことを知ってから3か月以内の場合、相続放棄の手続をすることができます。

④借金を相続すると知ってから3か月以内に相続放棄

相続が発生した場合、被相続人のものは相続財産になります。

相続財産には、プラスの財産もマイナスの財産も含まれます。

被相続人と別居していた場合、被相続人の経済状況を詳しく知らないことがほとんどでしょう。

被相続人の自宅などで重要な書類を探しても何も見つからなかった場合、めぼしい財産はないと判断するのも止むを得ません。

めぼしい財産はないと思っていたのに長期間経過してから、借金の支払いの催促を受けることがあります。

熟慮期間の起算点は、被相続人の死亡時ではありません。

知ってから、3か月以内です。

借金を相続すると知ってから3か月以内の場合、相続放棄の手続をすることができます。

⑤上申書を提出して3か月以内を説明

相続放棄を希望する場合、熟慮期間内に家庭裁判所に必要書類を添えて手続をします。

必要書類は、戸籍謄本や除票などです。

家庭裁判所は、提出された書類を見て審査をします。

被相続人の死亡後3か月以上経過しているのに、熟慮期間内であることがあります。

熟慮期間の起算点は、知ってからだからです。

提出された戸籍謄本や除票を見ても、いつ相続人になったことを知ったのか分かりません。

いつ借金の存在を知ったのか家庭裁判所には伝わりません。

被相続人の死亡後3か月以上経過している場合、詳しい事情を分かってもらう必要があります。

詳しい事情を記載した上申書を添えて、家庭裁判所を説得します。

何らかの手紙を受け取ったことで相続人であることや借金の存在を知ったのであれば、この手紙は重要です。

相続人であることや借金の存在を知った証拠になるからです。

この手紙を一緒に家庭裁判所に提出すると説得力が増します。

家庭裁判所が納得してくれた場合、相続放棄が認められます。

3遺産がないと信じることに相当な理由がある

①単に知らなかっただけは認められない

相続放棄ができるのは、3か月以内の制限があります。

被相続人が死亡したことと自分が相続人になったことの両方を知ってから、3か月以内に手続をしなければなりません。

悪質な貸金業者などは、被相続人が死亡してから3か月以上経過してから取立を開始することがあります。

相続人には、相続を単純承認するか相続放棄するか選択する権利があります。

被相続人が死亡してから3か月以上経過してから取立を開始した場合、相続人は借金の存在を知ることができません。

借金の存在を知らない場合、相続人は相続放棄をすることはないでしょう。

実質的に、相続放棄をする権利を奪っていると言えます。

相続人が相続放棄をする権利を不当に奪うことは、許されません。

特別な事情があると認められれば、相続放棄が認められます。

特別な事情とは、相続人が借金は存在しないと信じており、かつ、信じたことに正当な理由がある場合です。

単に、知らなかっただけでは、特別な事情とは認められません。

うっかりしていたなどの理由も、相続放棄が認められるのは難しいでしょう。

相続人が充分に調査をしても借金が判明しなかった場合や被相続人と音信不通であったなどの事情がある場合、信じたことに正当な理由があると認められるでしょう。

②被相続人の借金を調査する方法

相続人が借金は存在しないと信じており、かつ、信じたことに正当な理由がある場合、相続放棄をすることができます。

相続人は、充分な調査をしていたことを分かってもらう必要があります。

被相続人が借金をしていた場合、次の信用情報機関に調査をすることができます。

(1)消費者金融からの借入  日本信用情報機構(JICC)

(2)クレジット会社からの借入 株式会社シー・アイ・シー(CIC)

(3)銀行からの借入       全国銀行協会全国銀行個人信用情報センター

信用情報機関に連帯保証人が登録されている場合があります。

信用情報機関に照会することで、被相続人が連帯保証人になっていたことが判明するかもしれません。

不動産がある場合、抵当権や根抵当権が登記されている場合があります。

不動産を担保として借入がある可能性が高いので必ず確認しましょう。

③個人間の貸し借りは分からない

個人間の貸し借りや金融業者以外の会社からの借り入れは、信用情報機関に登録されていません。

被相続人の保管していた書類を丹念に調べることになります。

④上申書を提出して相当な理由を説明

被相続人の死亡後3か月以上経過している場合で、かつ、借金の存在を知ってから3か月以内に相続放棄をする場合、上申書の提出が有効です。

熟慮期間の起算点は、知ってからだからです。

提出された戸籍謄本や除票を見ても、いつ借金の存在を知ったのか分かりません。

いつ借金の存在を知ったのか家庭裁判所には伝わりません。

被相続人の死亡後3か月以上経過している場合、詳しい事情を分かってもらう必要があります。

詳しい事情を記載した上申書を添えて、家庭裁判所を説得します。

4単純承認をしていると相続放棄はできない

相続人には、相続を単純承認するか相続放棄するか選択する権利があります。

法律で定められた一定の条件にあてはまるときは、単純承認したとみなされます。

単純承認とは、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継ぐものです。

単純承認とみなされたら、相続放棄はできません。

被相続人が払うべきお金を相続財産から支払う場合、単純承認とみなされます。

相続財産を処分したと判断されるからです。

5相続放棄を司法書士に依頼するメリット

実は、相続放棄はその相続でチャンスは1回限りです。

家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続を取ることはできますが、高等裁判所の手続で、2週間以内に申立てが必要になります。

家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。

一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。

相続放棄は撤回ができないので、慎重に判断する必要があります。

被相続人の死亡後3か月以内の相続放棄と較べると、3か月以上経過した相続放棄は難易度が高くなります。

認められる条件を満たしていても、書面で適切に表現しなければ伝わらないからです。

家庭裁判所が知りたいことを無視した作文では何の意味もありません。

相続放棄が認められる条件を満たしていることを家庭裁判所に納得してもらう必要があります。

相続放棄を自分で手続したい人の中には、戸籍や住民票だけで認められるとカンタンに考えている人がいます。

司法書士は、このような難易度が高い相続放棄にも対応しています。

相続放棄を考えている方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

損害賠償債務があっても相続放棄

2023-09-13

1損害賠償債務とは

社会生活を送っていると、わざとでなくても他の人のものを壊してしまったりケガをさせてしまったりすることがあります。

法律や契約に違反して、損害を与えてしまうこともあるでしょう。

他の人の財産や身体に損害を与えてしまった場合、損害を償う必要があります。

損害を償う義務が損害賠償債務です。

物を壊してしまったときの修理代やケガをさせてしまったときの治療費は、損害賠償債務です。

2損害賠償債務は相続放棄ができる

①マイナスの財産もプラスの財産も相続財産

相続が発生した後、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

相続財産というとプラスの財産だけをイメージしがちですが、マイナスの財産も相続財産です。

被相続人が他の人の財産や身体に損害を与えてしまった場合、相続人が損害を賠償しなければなりません。

例えば、交通事故で被害者にケガをさせてしまった場合、被害者の治療費や慰謝料などを負担することになります。

例えば、ビルの高層階から転落して地上の施設を破壊した場合、施設の原状回復費用を賠償することになります。

この後に被相続人が死亡した場合、相続人が損害賠償債務を相続することになります。

②相続放棄とは

相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も相続人が受け継ぎます。

被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継がないことを相続の放棄といいます。

相続放棄をすると、プラスの財産を引き継がなくなりますが、マイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

③損害賠償債務は相続放棄ができる

被害者に大きなケガをさせてしまった場合、被害額が高額になることがあります。

相続人は家庭裁判所で相続放棄の申立てをすることができます。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、損害賠償債務を免れることができます。

相続放棄をした場合、プラスの財産も相続することができなくなります。

相続によって巨額の債務を相続することになると、相続人の人生が破綻してしまいます。

相続放棄の制度は、相続人の人生が破綻しないように相続人を守るためにあります。

相続人が損害賠償債務を免れると、被害者に酷だという意見があるでしょう。

家族が責任を取るべきだと考えるかもしれません。

相続放棄は、相続人の人生を守るためにあるから、やむを得ないと言えます。

3損害賠償額が分からなくても相続放棄をすることができる

相続放棄の申立ては、家庭裁判所に対して手続をします。

家庭裁判所に提出する相続放棄申述書を見ると、相続財産の概略を記載する欄があります。

相続財産の概略で資産と負債の書く様式になっています。

資産と負債を記載しなければならないように感じるかもしれません。

相続財産の概略は、相続人の分かる範囲で記載すれば充分です。

分からなければ、分かりませんと書いて問題はありません。

例えば、鉄道におけるホームからの転落事故など賠償額が甚大になる場合、鉄道会社であっても賠償額はすぐには判明しません。

調査を終えないと、被害額を計算することができないからです。

鉄道会社が損害額を計算するためには、長期間かかるのが通常です。

相続放棄の期限は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内です。

「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。

被相続人にめぼしいプラスの財産がなく、かつ、明らかに甚大な損害賠償債務がある場合、相続放棄の手続をするといいでしょう。

4自己破産の場合は免責されない債務がある

損害賠償額が甚大である場合、まず相続放棄をすることが最初の選択肢です。

相続放棄ができなかった場合、相続してしまった相続人が自己破産をする方法が考えられます。

自己破産をする場合、債務のすべてが免責されるとは限りません。

他の人の生命や身体に対して損害を与えた場合で、かつ、故意や重大な過失がある場合、その損害賠償債務は免責されません。

被相続人が故意や重大な過失で他の人の生命や身体に対して損害を与えた場合であっても、相続人は相続放棄をすることで、損害賠償債務を免れることができます。

相続放棄は、自己破産と較べると強い効力があります。

5相続放棄をした後に自己の財産から支払をすることができる

①相続放棄が認められたら支払いは不要

相続放棄が認められた場合、プラスの財産もマイナスの財産も引き継ぐことはありません。

損害を賠償して欲しいと要求されても、応じる必要はありません。

②相続放棄申述受理通知書の提示が有効

相続放棄が認められたと口頭で伝えるだけでは、信用してもらえないかもしれません。

家庭裁判所が相続放棄を認めた場合、相続放棄申述受理通知書を送ってきます。

相続放棄申述受理通知書のコピーを提示すると納得してもらうことができるでしょう。

③相続放棄をした後に自己の財産から支払をすることができる

相続放棄が認められた場合、本人の債務を引き継ぐことはありません。

債務の支払義務はなくても、家族が迷惑をかけたのだから、いくらか支払いたい場合があります。

相続財産を処分した場合、単純承認したとみなされます。

本人の預貯金で支払をした場合、相続財産を処分したと判断されるおそれがあります。

相続財産を処分した場合であっても、保存行為にあたる場合は、単純承認したとみなされません。

あえてトラブルに巻き込まれる危険を冒す必要はありません。

相続人の固有の財産から支払をした場合、相続財産を処分したと言われることはありません。

家族が迷惑をかけたのだから、被害者に支払いたい場合、相続人の固有の財産から支払をすることをおすすめします。

6相続放棄を司法書士に依頼するメリット

実は、相続放棄はその相続でチャンスは1回限りです。

家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続を取ることはできますが、高等裁判所の手続で、2週間以内に申立てが必要になります。

家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。

一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。

相続放棄では、戸籍や住民票が必要になります。

お仕事や家事、通院などでお忙しい人には平日の昼間に役所にお出かけになって準備するのは負担が大きいものです。

戸籍や住民票は郵便による取り寄せもできますが、書類の不備などによる問い合わせはやはり役所の業務時間中の対応が必要になりますから、やはり負担は軽いとは言えません。

このような戸籍や住民票の取り寄せも司法書士は代行します。

3か月の期限が差し迫っている方や期限が過ぎてしまっている方は、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続時精算課税制度を選択しても相続放棄

2023-08-21

1相続放棄をするととプラスの財産もマイナスの財産も相続しない

相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も相続人が受け継ぎます。

被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継がないことを相続の放棄といいます。

相続放棄をすると、プラスの財産を引き継がなくなりますが、マイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に手続をする必要があります。

一般的に、相続人同士の話し合いにおいて相続財産を受け取らない申出をしたことを相続放棄と表現することがあります。

家庭裁判所で手続をしない場合、相続放棄の効果はありません。

相続人同士で話し合いをしただけでは、相続放棄と認められません。

2相続財産を処分したら相続放棄が無効になる

相続放棄はできないのに、家庭裁判所に相続放棄の手続をして、相続放棄が認められても無効です。

単純承認したとみなされる行為は、法律で定められています。

相続財産の名義変更をした、相続財産である銀行の預貯金を引き出して使ってしまった場合が典型的です。

単に、引き出しただけであれば、処分とは言えないことが多いでしょう。

引き出したうえ、自分の口座に送金して保管すると、「処分した」と評価される可能性が高くなります。

銀行の預貯金を引き出してお葬式の支払にあてた場合、状況によっては、処分したと判断されることもあります。

被相続人が払い過ぎた税金などの還付金の支払を受けた場合、「処分した」と判断されます。

相続財産の分け方について、相続人全員で合意をした場合も、相続財産を「処分した」場合に当たります。

相続財産に株式がある場合、株式に基づく株主権の行使が「処分した」になることがあります。

被相続人が会社役員かつ株主の場合、安易に株主総会を開催して、役員変更すると相続放棄が無効になるおそれがあります。

3相続時精算課税制度を選択しても相続放棄ができる

①相続時精算課税制度とは

相続時精算課税制度とは、贈与税の計算方法のひとつです。

贈与をする人と贈与を受ける人が一定の条件にあてはまる場合に、相続時精算課税制度を選択することができます。

相続時精算課税制度を選択した場合、贈与した財産の累計2500万円までは贈与税がかかりません。

与した財産の累計2500万円を超えた部分に対して一律20%の贈与税がかかります。

贈与者に相続が発生した場合、贈与財産と相続財産を合計して相続税を計算します。

支払い済みの贈与税がある場合、相続税から差し引いて残額の相続税を納めます。

②相続時精算課税制度を選択できる人

相続時精算課税制度は、贈与をする人と贈与を受ける人が一定の条件にあてはまる場合に選択することができます。

贈与をする人の条件は、60歳以上であることです。

贈与を受ける人の条件は、18歳以上であることです。

贈与をする人と贈与を受ける人は、直系の血族でなければなりません。

相続時精算課税制度は、高齢者が持つ資産を現役世代に移転しやすくするための制度だからです。

③相続時精算課税制度を選択しても単純承認にならない

相続時精算課税制度は、高齢者が持つ資産を現役世代に移転しやすくするための制度です。

相続時精算課税制度を選択できる人は、直系血族です。

贈与をする人に相続が発生した場合、贈与を受ける人が相続人なるでしょう。

相続時精算課税制度を選択して財産の贈与を受けた場合、相続財産の前渡しに見えます。

財産の贈与を受けても一定額までは贈与税がかからず、贈与財産は相続財産と合計して課税するからです。

財産の贈与を受けた場合、受け取った財産を使ってしまいます。

相続財産を処分した場合、単純承認したとみなされます。

単純承認をしたとみなされた場合、撤回することはできません。

単純承認をした後で、相続放棄をすることはできません。

単純承認をした事情を知らずに、家庭裁判所が相続放棄を認める決定をすることがあります。

事情を知らずに相続放棄が認められても、後から無効になります。

相続時精算課税制度を選択して財産の贈与を受けた後に財産を使ってしまっても、単純承認になりません。

相続時精算課税制度を選択して財産の贈与を受けることは、単なる生前贈与だからです。

受け取った財産を使ってしまっても、相続放棄は無効になりません。

生前贈与を受けた場合、贈与された財産は贈与を受けた人の固有の財産です。

相続財産ではありません。

相続時精算課税制度を選択して財産の贈与を受けた後に財産を使ってしまっても、相続放棄をすることができます。

④相続放棄をしても相続税申告

相続放棄をした相続人は、相続財産を受け取ることはできません。

相続税は相続財産を受け取った場合に課されます。

相続放棄をした相続人は、原則として、相続税が課されることはありません。

相続時精算課税制度を選択して財産の贈与を受け取った場合、贈与財産は相続財産と合計して相続税を計算します。

贈与財産と相続財産の合計が基礎控除を超える場合、相続税の対象になります。

財産の贈与を受け取った人が相続放棄をした場合でも、相続税の対象になります。

相続時精算課税制度を選択した場合、税務署に対して相続時精算課税選択届出書を提出します。

税務署は、相続税の申告義務があることを把握しています。

相続時精算課税制度の適用を受けて生前贈与を受けた場合、忘れずに相続税の申告の有無を確認しましょう。

4債権者は詐害行為を取り消すことができる

①詐害行為とは

お金を借りた人は、借りたお金を返さなければなりません。

借りたお金を返さなければならないのに、自分の財産を不当に減少させて、結果、お金を返せなくなることがあります。

自分の財産を不当に減少させたら、お金を貸した人はお金を返してもらえなくなる結果になります。

お金を貸した人が困ることを知っているのに、自分の財産を不当に減少させることを詐害行為と言います。

お金を返してもらうため、お金を貸した人は詐害行為を取り消すことができます。

詐害行為として取り消すことができるのは、財産行為のみです。

お金を返さなければならないのに、自分の財産の大部分を贈与した場合、お金を返せなくなるでしょう。

自分の財産の大部分を贈与した場合、お金を返せなくなって、お金を貸した人が困るのは知っていると言えます。

このような贈与は、合法であっても、詐害行為にあたります。

お金を貸した人は、詐害行為を取り消すことができます。

②債権者は生前贈与を取り消すことができる

被相続人の財産がわずかなプラスの財産と莫大なマイナスの財産ということがあります。

この状況で、わずかなプラスの財産を相続人に生前贈与することがあります。

わずかなプラスの財産と莫大なマイナスの財産の場合、贈与契約はできないというルールはありません。

財産を譲り渡す人と譲り受ける人の契約で贈与をすることができます。

被相続人と相続人が相談してこのような契約をしたのでしょう。

贈与契約をした後、被相続人が死亡した場合、相続人は相続放棄をすることができます。

原則どおりでは、相続放棄をしているから、相続人は莫大なマイナスの財産を受け継ぐことはありません。

原則どおりでは、遺贈は相続放棄と別物だから、わずかなプラスの財産を受け取ることができるとなってしまいます。

このようなことが許されると、債権者にとってあまりに理不尽です。

債権者は、裁判所に訴えて、理不尽な生前贈与の取り消しを請求することができます。

借りたお金を返さなければならないのに、自分の財産を不当に減少させて、結果、お金を返せなくしているからです。

自分の財産を不当に減少させたら、お金を貸した人はお金を返してもらえなくなる結果になります。

お金を貸した人が困ることを知っているのに、自分の財産を不当に減少させることを詐害行為と言います。

理不尽な遺贈として裁判所に認められれば、詐害行為は取り消すことができます。

③債権者は相続放棄を取り消すことができない

相続が発生したら、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

被相続人の財産は、プラスの財産もマイナスの財産も相続財産です。

被相続人が多額の借金を抱えたまま死亡した場合、お金を貸した人は相続人にお金を返してもらおうとするでしょう。

相続人は被相続人の借金を引き継がないために、相続放棄をすることが考えられます。

お金を貸した人は相続人にお金を返してもらおうと思っていたのに、相続放棄をされたら、請求できなくなって困ります。

お金を貸した人が困るのは知っていると言えるから、相続放棄を詐害行為として取り消したいと思うでしょう。

このような場合、相続放棄を詐害行為として取り消すことはできません。

相続放棄をしても、自己の財産を不当に減らしたわけではありません。

お金を貸す人は、お金を借りた人が生前に自己破産するリスクを検討してお金を貸すか貸さないか決めているはずです。

お金を借りた人が死亡した後、相続人が相続放棄するリスクも検討してお金を貸すか貸さないか決めべきと言えます。

5相続放棄を司法書士に依頼するメリット

相続放棄はプラスの財産もマイナスの財産も引き継ぎませんという裁判所に対する申立てです。

相続人らとのお話合いで、プラスの財産を相続しませんと申し入れをすることではありません。

家庭裁判所で認められないとマイナスの財産を引き継がなくて済むというメリットは受けられないのです。

相続放棄をする場合、相続問題だけでなく、被相続人や相続人の借金の問題が隠れている場合が多いです。

このような複雑な事情がある場合、相続人だけでなく債権者を巻き込んでトラブルになりがちです。

あいまいな知識では、余計トラブルが大きくなります。

相続放棄を考えている人は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

兄弟姉妹が相続放棄

2023-08-16

1相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は次のとおりです。

①配偶者は必ず相続人になる

②被相続人に子どもがいる場合、子ども

③被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

④被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

2相続人になる兄弟姉妹とは

①父母が同じ兄弟姉妹

先順位の相続人がいない場合、兄弟姉妹が相続人になります。

兄弟姉妹というと、父母が同じ兄弟姉妹だけをイメージしがちです。

②父母の一方が同じ兄弟姉妹

父や母の一方だけ同じ兄弟姉妹がいることがあります。

異父兄弟姉妹や異母兄弟姉妹は、兄弟姉妹として相続人になります。

父や母の一方だけ同じ兄弟姉妹を、半血兄弟姉妹と表現することがあります。

③養子に行っても兄弟姉妹

養子縁組とは、血縁関係による親子関係の他に、法律上の親子関係を作る制度です。

養子には2種類あります。

普通養子と特別養子です。

子どものいない夫婦が養子縁組をする、配偶者の連れ子と養子縁組するといったことは日常的に聞くことあります。

一般的に、単に「養子」と言ったら、普通養子を指していることがほとんどです。

普通養子では、養子縁組をした後、血縁関係のある実親との親子関係は続きます。

特別養子では、養子縁組をした後、血縁関係のある実親との親子関係がなくなります。

被相続人が第三者と普通養子による養子縁組をして養子になっていることがあります。

普通養子による養子縁組をした場合、実親との親子関係は続きます。

被相続人の実親の他の子どもは、被相続人の兄弟姉妹です。

被相続人の実親の他の子どもは、被相続人の兄弟姉妹として相続人になります。

④実親の養子が兄弟姉妹

被相続人の血縁関係のある実親が養親になる養子縁組をしていることがあります。

養子縁組は、法律上の親子関係を作る制度です。

実親と養子縁組をした養子は、実親の子どもになります。

養子と血縁関係がある実子と区別はありません。

被相続人に血縁関係がある兄弟姉妹がいる場合でもいない場合でも、実親の養子は兄弟姉妹になります。

被相続人の実親の養子は、被相続人の兄弟姉妹として相続人になります。

⑤養親の実子が兄弟姉妹

被相続人が第三者と普通養子による養子縁組をして養子になっていることがあります。

被相続人の養親に血縁関係がある実子がいることがあります。

養子縁組をした場合、養子は養親の子どもになります。

養子と血縁関係がある実子と区別はありません。

被相続人に血縁関係がある兄弟姉妹がいる場合でもいない場合でも養親の実子は兄弟姉妹になります。

被相続人の養親の実子は、被相続人の兄弟姉妹として相続人になります。

⑥養子同士で兄弟姉妹

被相続人が第三者と普通養子による養子縁組をして養子になっていることがあります。

養子縁組をするのに、法律上人数制限はありません。

養親に複数の養子がいる場合があります。

養親に何人も養子がいたとしても、養親と養子縁組をした養子は、養親の子どもになります。

何人目の養子であっても区別はされません。

養親の他の養子は、被相続人の兄弟姉妹になります。

養子同士であっても、被相続人の兄弟姉妹として相続人になります。

⑦複数の養親と養子縁組ができる

養子縁組をするのに、法律上人数制限はありません。

養親が複数の養子と養子縁組をすることができます。

同様に、養子が複数の養親と養子縁組をすることができます。

普通養子による養子縁組の場合、実親との親子関係は続きます。

養子が複数の養親と養子縁組をする場合、普通養子による養子縁組であれば最初の養親との親子関係は続きます。

養子には、実親と最初の養親と次の養親がいることになります。

養子縁組を解消する手続は、離縁と言います。

離縁をした場合、戸籍の身分事項で確認することができます。

戸籍の身分事項に離縁が記載されていなければ、親子関係は続いていると判断できます。

複数の養子縁組をしても親子関係は続くからです。

戸籍に記載されている者欄で氏名の下に、父の氏名、母の氏名、養父の氏名、養母の氏名が記載されます。

複数の養子縁組をしている場合、最終の養父の氏名、最終の養母の氏名のみ記載される取り扱いです。

戸籍に記載されている者欄に記載されていない養父や養母がいる場合があり得ます。

被相続人が複数の養親と養子縁組をしている場合、すべての養親のすべての子どもはすべて兄弟姉妹になります。

最初の養親と次の養親に区別はないからです。

すべての養親の子どもは、被相続人の兄弟姉妹として相続人になります。

⑧親が認知した子どもが兄弟姉妹

婚姻関係にないカップルの間に生まれた子どもについて、自分の子どもと認めることを認知と言います。

実親であっても養親であっても、認知した子どもは兄弟姉妹になります。 親が認知した子どもは、被相続人の兄弟姉妹として相続人になります。

3相続放棄とは

①相続放棄は家庭裁判所の手続

相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの遺産もマイナスの遺産も相続人が受け継ぎます。

被相続人のプラスの遺産もマイナスの遺産も受け継がないことを相続の放棄といいます。

相続放棄をすると、プラスの遺産を引き継がなくなりますが、マイナスの遺産も引き継ぐことがなくなります。

借金を引き継がないために相続放棄をするなどのケースが一般的です。

一般的に、相続人全員の話し合いで相続財産をご辞退することを相続放棄と表現することがあります。

本来、相続放棄は家庭裁判所に対する手続です。

相続人に相続財産をご辞退することではありません。

家庭裁判所に対して手続をしていない場合、相続放棄の効果はありません。

②相続放棄ができるのは相続人だけ

相続の放棄は、被相続人のプラスの遺産もマイナスの遺産も受け継がないことの申立てです。

相続放棄ができるのは、相続人だけです。

被相続人の生前は、相続放棄はできません。

相続人になる予定の人であって、まだ相続人でないからです。

先順位の相続人がいる場合、相続放棄はできません。

先順位の人が相続人になるからです。

先順位の相続人全員が相続放棄をした場合、相続放棄の手続をすることができます。

先順位の相続人全員が相続放棄をした場合、相続人になるからです。

順位の異なる相続人は、同時に相続放棄をすることはできません。

先順位の相続人の相続放棄が認められない場合、後順位の人はまだ相続人でないからです。

③相続放棄の期限3か月のスタートは「知ってから」

相続放棄は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内に申立てをする必要があります。

相続があったことを知ってからとは、必ずしも、被相続人の死亡してからではありません。

被相続人が死亡した後3か月以上経過してから、相続放棄の申立てをして認められることがあります。

相続放棄ができる3か月以内のスタートは、相続があったことを知ってからだからです。

相続があったことを知らなかった場合、相続放棄ができる3か月がスタートしていません。

相続放棄の申立てをしてから、家庭裁判所が相続放棄を認める通知が届くまでおよそ1か月程度かかります。

親などの直系尊属は先順位の子ども全員が相続放棄するまで、相続放棄の申立てはできません。

相続放棄の期限3か月が過ぎてしまうのではないかと気が気でないかもしれません。

先順位の子ども全員が相続放棄をしたことを知って自分が相続人であることを知ります。

相続放棄の期限3か月のスタートは知ってからだから、知ってから3か月以内であれば手続をすることができます。

第三順位の兄弟姉妹も同じことです。

第三順位の兄弟姉妹は自分が相続人であることを知るのは、子ども全員が相続放棄をして、次順位の親などの直系尊属全員が相続放棄をした後です。

第三順位の兄弟姉妹は、被相続人が死亡してから3か月以上経過してから自分が相続人であることを知ることになるかもしれません。

相続放棄の期限3か月のスタートは知ってからだから、知ってから3か月以内であれば手続をすることができます。

このポイントは、相続が発生してから3か月以内に届出ができなかったのは止むを得なかったと家庭裁判所に納得してもらうことです。

3か月届出ができなかったのは仕方なかったと家庭裁判所が納得できる理由があるときだけは、家庭裁判所も相続放棄を認めてくれるのです。

家庭裁判所は相続放棄を認めた場合、相続放棄の申立てをした人にだけ通知します。

家庭裁判所から次順位相続人に相続放棄を認めたから相続人になりましたよという通知はありません。

相続放棄が認められた人は、次順位相続人に相続放棄が認められましたと通知する義務はありません。

普段から連絡を取り合っている場合、相続放棄をしたことを知らせてくれるようにお願いしておくといいでしょう。

疎遠な相続人の場合、何も連絡がないことも少なくありません。

債権者や市役所などから手紙が来て相続があったことを知った場合、この通知は大切です。

この手紙を見て相続があったことを知ったという証拠になるからです。

④相続放棄の管轄

相続放棄は、家庭裁判所に対する手続です。

相続放棄の申立ての提出先は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

家庭裁判所の管轄は、裁判所のホームページで調べることができます。

被相続人と疎遠である場合、被相続人の最後の住所地が分からなくなっていることがあります。

被相続人の最後の住所地は、被相続人の除票を取得すれは判明します。

被相続人の除票は、住民票を置いていた市区町村役場に請求します。

被相続人の家族と連絡を取り合っていた場合、住民票を置いていた市区町村は容易に判明するでしょう。

生前に連絡をとりあっていなかった場合、相続が発生した後、長期間経過してから相続人であることを知ることがあります。

音信不通であった場合、被相続人に関する情報が全く分からないかもしれません。

被相続人に関する情報が全く分からない場合、被相続人の最後の住所地を探さなければなりません。

被相続人がどこに住民票を置いていたか分からない場合、戸籍の附票で調べることができます。

被相続人の戸籍の附票は、被相続人の本籍地の市区町村役場に請求します。

被相続人に関する情報が全く分からない場合、まず自分の本籍地の市区町村役場に自分の戸籍謄本を請求します。

自分の本籍地が分からない場合、自分の住民票のある市区町村役場に自分の住民票を請求します。

自分の住民票を請求するときに、本籍地の記載のある住民票と指定します。

自分の住民票に自分の本籍が記載されているから、自分の本籍地は判明します。

自分の戸籍謄本を取得したら、順番に被相続人の戸籍までたどっていきます。

死亡時の戸籍までたどり着いた場合、戸籍の附票を請求すると死亡時の住所が判明します。

4相続放棄を司法書士に依頼するメリット

相続放棄するためには、家庭裁判所に手続をする必要があります。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、プラスの財産もマイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

相続放棄をすると、初めから相続人でなかったと扱われます。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、相続に関する手続には関与しなくて済むと安心してしまいがちです。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合であっても、相続財産を処分した場合、相続放棄が無効になります。

相続放棄は簡単そうに見えて、実はいろいろなことを考慮しなければならない手続です。

相続放棄を考えている方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続放棄しても公共料金

2023-08-11

1未払い公共料金は相続財産

相続が発生すると、原則として、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続人が相続する財産が、相続財産です。

相続財産はプラスの財産とマイナスの財産があります。

どちらも、相続財産です。

プラスの財産は、財産と言われたときにイメージしやすいでしょう。

マイナスの財産は、一般的に借金やローンなどです。

被相続人に未払いの公共料金がある場合、未払いの公共料金は相続財産です。

未払いの公共料金は、相続で相続人に受け継がれます。

2相続放棄をしたら相続財産は受け継がない

①相続放棄が認められたら未払い公共料金の支払いは不要

相続放棄をするためには、家庭裁判所に対して必要書類を添えて申立てをします。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、プラスの財産もマイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

マイナスの財産を引き継ぐことがなくなるから、未払い公共料金を支払う必要はありません。

②相続財産を処分したら相続放棄は無効になる

法律で定められた一定の条件にあてはまるときは、単純承認したとみなされます。

単純承認とは、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継ぐものです。

単純承認とみなされた場合、相続放棄はできません。

相続放棄はできないのに家庭裁判所に相続放棄の手続をして、相続放棄が認められても無効です。

家庭裁判所が事情を分からずに相続放棄を認めてしまっても、後から無効になります。

単純承認したとみなされる行為は、法律で定められています。

相続財産を処分した場合、単純承認したとみなされます。

相続財産である銀行の預貯金を引き出して使ってしまった場合が典型的です。

相続財産を使って未払い公共料金を支払った場合、単純承認になります。

③相続放棄が認められても債権者に連絡されない

家庭裁判所は相続放棄を認めた場合、申立てをした人に通知します。

相続放棄の申立てをする場合、家庭裁判所にたくさんの必要書類を提出します。

相続放棄の申立てで提出する書類は、次のとおりです。

(1)被相続人の戸籍謄本

(2)被相続人の除票

(3)相続放棄する人の戸籍謄本

この他に、裁判所が使う郵便切手や収入印紙が必要です。

必要書類には、債権者の名簿などはありません。

家庭裁判所は、提出された書類を見て審査をします。

被相続人がだれから借金していたのか家庭裁判所は知りません。

家庭裁判所は、被相続人が何を滞納していたのか自主的に調査をすることはありません。

家庭裁判所は債権者がだれなのか知らないから、債権者に連絡することはありません。

債権者から見ると、知らないうちに相続放棄の申立てがされて知らないうちに相続放棄が認められたとなります。

何も知らないから、債権者は被相続人の未払い金を相続人に払ってもらいたいと考えて催促をしてきます。

債権者は何も知らないから、催促されたら相続放棄が認められたことを知らせてあげるといいでしょう。

ほとんどの場合、相続放棄申述受理通知書のコピーを渡せば分かってくれます。

④未払い公共料金は相続人の固有の財産で支払いができる

相続財産を使って未払い公共料金を支払った場合、単純承認になります。

相続人の固有の財産を使って未払い公共料金を支払った場合、単純承認になりません。

相続人の固有の財産を使ったのだから、相続財産の処分ではないからです。

相続放棄が認められた場合、被相続人の債務を引き継ぎません。

被相続人に公共料金の未払いがあっても、支払う義務はありません。

支払い義務はなくても、事業者に申し訳がないから相続人が支払いたいケースがあります。

未払いの公共料金は、相続人の固有の財産から支払うことができます。

電気や水道などの公共料金の未払いが続いた場合、供給が止められてしまいます。

被相続人と相続人が同居していた場合、ライフラインの供給が止められると困ってしまいます。

ライフラインの供給を維持するため、公共料金の未払いを解消する必要があります。

未払いの公共料金は、相続人の固有の財産から支払うことが重要です。

⑤解約や名義変更は単純承認にならない

電気、ガスや水道などのライフラインの契約は、名義変更や解約をしても財産処分にはあたりません。

相続放棄をした場合、相続放棄の連絡だけすれば解約手続が不要になることがあります。

被相続人の契約に手を付けずに、新たに契約をする方法で対応してもらうケースがあります。

新たに契約をする方法であれば、より安心できるでしょう。

3日常家事債務は支払義務がある

①夫婦の日常家事債務は連帯債務

被相続人の配偶者は、日常家事債務について連帯責任があります。

日常家事債務とは、夫婦の共同生活で必要となる債務のことです。

日常家事債務は、夫婦2人の連帯債務です。

日常家事債務は、夫婦2人のそれぞれの固有の義務です。

連帯債務は、債務者がそれぞれ独立して全額の債務を負担します。

債務者のひとりが債務を弁済した場合、他の債務者も債務の弁済を免れます。

公共料金の支払いは、日常家事債務にあたります。

被相続人が電気、ガスや水道などのライフラインの契約をした場合、夫婦の共同生活で必要になるから契約しているはずです。

被相続人の配偶者は契約の当事者でない場合であっても、支払義務があります。

日常家事債務は、夫婦2人の連帯債務だからです。

②相続放棄をしても連帯債務は消えない

相続放棄が認められた場合、被相続人の債務を引き継ぎません。

被相続人のマイナスの財産を引き継ぐことがなくなるから、未払いがあっても支払う必要はありません。

日常家事債務は、夫婦2人の連帯債務です。

被相続人の配偶者は、独立して全額の債務を負担しています。

被相続人のマイナスの財産を引き継がない場合、連帯債務に影響はありません。

日常家事債務は、被相続人の配偶者の固有の義務だからです。

被相続人の配偶者は、独立して全額の債務を負担しています。

債務の2分の1だけ払えば済むといったものではありません。

被相続人の配偶者は、相続放棄をしても公共料金の支払義務があります。

③日常家事債務を相続財産から支出すると単純承認になる

日常家事債務は、夫婦2人の連帯債務です。

被相続人の配偶者は相続放棄をしても、公共料金の支払い義務があります。

被相続人の配偶者に支払い義務があるのは、被相続人の配偶者の固有の義務だからです。

被相続人の配偶者は、固有の財産から公共料金の支払いをする必要があります。

相続財産から支払いをした場合、相続財産の処分になります。

相続財産を処分した場合、単純承認になります。

④夫婦関係が破綻していたら日常家事債務ではない

日常家事債務とは、夫婦の共同生活で必要となる債務のことです。

法律上の夫婦ではあっても夫婦関係が破綻している場合、夫婦の共同生活の実態がなく日常の家事が観念できません。

単なる別居中や離婚のための話し合い中では、夫婦関係が破綻しているとは認められません。

ある程度長期間別居していて生計が別になっている場合、日常の家事が観念できなくなると言えます。

夫婦関係が破綻しており当然に支払い義務がないことは、請求された配偶者が客観的に証明する必要があります。

どのような債務が夫婦の日常家事債務になるのかは、夫婦の関係性によって異なります。

収入や資産規模、地域性によっても一概に言えないから、個別事情を踏まえて判断されます。

4相続放棄を司法書士に依頼するメリット

相続放棄はプラスの財産もマイナスの財産も引き継ぎませんという裁判所に対する届出です。

相続人らとのお話合いで、プラスの財産を相続しませんと申し入れをすることではありません。

つまり、家庭裁判所で認められないとマイナスの財産を引き継がなくて済むというメリットは受けられないのです。

実は、相続放棄はその相続でチャンスは実質的には1回限りです。

家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続を取ることはできますが、高等裁判所の手続で、2週間以内に申立てが必要になります。

家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます

一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。

相続放棄は慎重に判断する必要がありますが、いろいろな誤解から利用をためらう人が多いのも事実です。

利用をためらっていると3か月はあっという間です。

相続が発生すると、家族は親戚や知人へ連絡などで悲しみに浸る暇もないくらい忙しくなります。

3か月以内に必要書類を揃えて手続をするのは想像以上にハードルが高いものです。

相続放棄を考えている方はすみやかに司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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