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法定相続情報一覧図に死亡した配偶者は書けない

2026-06-15

1法定相続情報一覧図に先に死亡した配偶者は書けない

①法定相続情報一覧図は公的書類

法定相続情報一覧図は、被相続人を中心にして、どういう続柄の人が相続人であるのかを、取りまとめた書類です。

法定相続情報証明制度とは、たくさんの戸籍謄本と法定相続情報一覧図案を法務局に提出して点検してもらう制度です。

法定相続情報一覧図は、登記官が確認した信頼性が高い証明書です。

法定相続情報一覧図は、公的書類です。

公的書類だから、書き方ルールが厳格に決められています。

②死亡した配偶者は相続人ではない

被相続人に配偶者がいる場合、配偶者は相続人になります。

相続人になる配偶者は、相続発生した時点で生きている配偶者のみです。

被相続人より先に死亡した配偶者は、相続人ではありません。

被相続人より先に死亡した配偶者は、法定相続情報一覧図に記載できません。

相続人でない人を記載すると、法務局から補正を求められます。

被相続人より先に死亡した配偶者を法定相続情報一覧図に記載すると、補正になります。

被相続人より先に死亡した配偶者は、相続人ではないからです。

法定相続情報一覧図は公的書類だから、書き方ルールが厳格に決められています。

③配偶者が先に死亡しても代襲相続は発生しない

代襲相続とは、相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合に相続人になるはずだった人の子どもが相続することです。

相続人になるはずだった子どもが被相続人より先に死亡した場合に相続人になるはずだった子どもの子どもが相続します。

相続人になるはずだった配偶者が被相続人より先に死亡した場合に相続人になるはずだった配偶者の子どもが相続しません。

配偶者が先に死亡しても、代襲相続は発生しないからです。

死亡した配偶者に連れ子がいても、代襲相続人ではありません。

死亡した配偶者の連れ子は、相続に無関係な人です。

死亡した配偶者の連れ子は、法定相続情報一覧図に記載できません。

被相続人の前婚の子どもは、被相続人の子どもです。

子どもは相続人になるから、法定相続情報一覧図に記載します。

相続人でない人を記載すると、法務局から補正を求められます。

法定相続情報一覧図は公的書類だから、書き方ルールが厳格に決められています。

死亡した配偶者の連れ子は、相続関係説明図に記載することはできません。

死亡した配偶者の連れ子は、相続に無関係な人だからです。

相続に無関係な人を記載すると、相続手続先の人が誤解するおそれがあります。

④法定相続情報一覧図は相続人だけ記載

法定相続情報一覧図には、厳格な書き方ルールがあります。

法定相続情報一覧図は、公的書類だからです。

法定相続情報一覧図に、相続人以外の人を書くことはできません。

相続人以外の人を記載したら、法務局から補正を求められます。

法定相続情報一覧図は、公的書類にふさわしい記載方法が求められるからです。

法定相続情報一覧図を見ると、相続人が一目で分かります。

厳格な書き方ルールに従って作成されるから、法定相続情報一覧図は高い信頼性があります。

⑤相続関係説明図に死亡した配偶者を記載する

相続関係説明図は、単なる説明のための家系図です。

法務局の点検や認証文は、ありません。

相続関係説明図に、死亡した配偶者を記載することが一般的です。

単なる説明のための書類に過ぎないので、厳格な書き方ルールはありません。

死亡した配偶者を記載することが一般的ですが、記載しなくても書き直しなどになりません。

⑥法定相続情報一覧図に死亡した配偶者を記載したくなる理由

理由(1)家族関係を見せたいから

法定相続情報一覧図は、戸籍謄本を基に相続人を記載する書類です。

相続人を記載するときに、家族関係を書きたくなります。

被相続人の配偶者を書かないと、家族の欠落感を覚えるからです。

法定相続情報一覧図は、家族関係を書く家系図ではありません。

理由(2)戸籍謄本に記載されているから

人が死亡すると、除籍されます。

戸籍謄本を見ると除籍と記載されているだけで、消えてしまうわけではありません。

実務に慣れていないと、戸籍謄本に記載されているから法定相続情報一覧図にも記載したくなります。

相続手続では、被相続人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本を準備します。

長年連れ添った配偶者は、何度も戸籍謄本で見かけます。

何度も見かけるから、法定相続情報一覧図にも記載したくなります。

理由(3)記載しないと説明不足と指摘されそう

法定相続情報一覧図は、相続手続で利用します。

法務局や金融機関で配偶者が記載されていないと、不備を指摘される不安を覚えます。

情報が多くても不備にはならないけど、情報が少ないと不備を指摘されがちだからです。

法定相続情報一覧図は、情報が多くても少なくても補正を求められます。

法定相続情報一覧図は公的書類だから、書き方ルールが厳格に決められています。

理由(4)家族として共同生活をしてきたから

配偶者は、家族として共同生活をしていたはずです。

法定相続情報一覧図に、長期間の共同生活をアピールしたくなります。

アピールしないと、不安になるかもしれません。

法定相続情報一覧図は、共同生活をアピールする書類ではありません。

法定相続情報一覧図は、余計なことを記載すると補正を求められます。

法定相続情報一覧図は公的書類だから、書き方ルールが厳格に決められているからです。

⑦「元配偶者」「男」「女」と記載できる

法定相続情報一覧図は、相続と関係ない記載をすることはできません。

被相続人に再婚歴があることがあります。

前婚の子どもと後婚の子どもを区別して、記載したいことがあるでしょう。

「元配偶者」「男」「女」であれば、記載することができます。

具体的な氏名や生年月日、死亡年月日を記載することはできません。

2相続発生後に死亡した配偶者は法定相続情報一覧図に記載する

①数次相続があっても相続人から除外できない

相続財産の分け方は、相続人全員による合意で決定します。

相続財産の分け方について話し合いがまとまる前に、相続人が死亡して新たな相続が発生することがあります。

数次相続とは、相続手続中に相続人が死亡して新たな相続が発生することです。

相続手続中に相続人が死亡した場合、死亡した相続人の相続人に引き継がれます。

相続手続中に相続人が死亡しても、相続人から除外することはできません。

②ひとつの相続にひとつの法定相続情報一覧図

(1)最初の法定相続情報一覧図に記載する

数次相続では、最初の相続と次の相続が発生しています。

数次相続が発生している場合、法定相続情報一覧図はまとめて作ることはできません。

最初の相続の法定相続情報一覧図と次の相続の法定相続情報一覧図は、別々に作ります。

相続発生後に死亡した配偶者は、最初の法定相続情報一覧図に記載します。

相続が発生した時点で、配偶者は生きていたからです。

たとえ後に死亡しても、配偶者の死亡日を記載することはできません。

たとえ後に死亡しても、配偶者の連れ子を記載することはできません。

死亡日や連れ子を記載した場合、法務局から補正を求められます。

(2)死亡した配偶者の法定相続情報一覧図は別に作成

ひとつの相続に、ひとつの法定相続情報一覧図を作成します。

複数の相続をまとめた法定相続情報一覧図を作成することはできません。

死亡した配偶者について、あらためて法定相続情報一覧図を作成することができます。

最初の相続における死亡した相続人の相続人は、最初の相続の法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をすることができます。

法定相続情報一覧図を見るときは、相続が発生したときに生きていた相続人が現在は死亡しているかもしれないということに注意する必要があります。

③複数の相続をまとめた相続関係説明図があると便利

相続関係説明図は、単なる説明のための家系図です。

法務局の点検や認証文はありません。

単に説明のために、自由に書くことができます。

数次相続をひとまとめにした相続関係説明図を作ると、相続全体が分かりやすくなります。

複数の法定相続情報一覧図を提出する場合、相続関係説明図を一緒に添付すると親切でしょう。

3相続関係説明図と法定相続情報一覧図のちがい

ちがい①公的証明力

相続関係説明図とは、相続関係の説明資料です。

公的機関で点検を受けていないから、証明書類としての効力がありません。

法定相続情報一覧図は、法務局が発行する公的証明書です。

法務局で点検を受けているから、証明書類として正確性が担保されています。

死亡した配偶者は、相続関係説明図に記載できるのに法定相続情報一覧図には記載できません。

相続関係説明図に記載できるのに法定相続情報一覧図記載できないのは、公的証明力がちがうからです。

ちがい②記載内容の自由度

相続関係説明図は、自由に作成できます。

書き方や様式に、厳格なルールはありません。

相続関係説明図は、相続手続先の人のために任意に作成する説明資料だからです。

法定相続情報一覧図は、厳格な書き方ルールに従う必要があります。

法定相続情報一覧図は、法務局の認証文が入る公的証明書だからです。

相続関係説明図に記載できるのに法定相続情報一覧図記載できないのは、記載内容の自由度がちがうからです。

4死亡した配偶者は法定相続情報一覧図に記載できない人の一例に過ぎない

①死亡した配偶者に特別扱いはない

法定相続情報一覧図は、公的書類にふさわしい厳格な書き方ルールがあります。

死亡した配偶者にだけ適用される特別なルールはありません。

配偶者であっても、特別扱いはされません。

②法定相続情報一覧図に記載できない人は決まっている

(1)被相続人より先に死亡した人

被相続人より先に死亡した人は、相続人ではありません。

配偶者であっても配偶者でなくても、被相続人より先に死亡した人は記載できません。

(2)離婚した元配偶者

離婚した元配偶者は、相続人ではありません。

死亡しても生きていても、離婚した元配偶者は記載できません。

(3)事実婚・内縁の配偶者

事実婚・内縁の配偶者は、相続人ではありません。

相続人になるのは、法律上の配偶者のみです。

死亡しても生きていても、事実婚・内縁の配偶者は記載できません。

(4)廃除された人

廃除とは、相続人の資格を奪う手続です。

廃除された人は、戸籍に記載されます。

廃除されたら、法定相続情報一覧図に記載できません。

(5)相続放棄した人はそのまま記載

家庭裁判所で相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。

相続放棄が認められても、戸籍には記載されません。

相続放棄をした人は、法定相続情報一覧図にそのまま記載します。

法定相続情報一覧図は、戸籍謄本の内容を取りまとめた書類だからです。

たとえ相続放棄申述受理通知書を提出しても、法定相続情報一覧図にそのまま記載する必要があります。

相続放棄申述受理通知書を提出して法定相続情報一覧図の記載を省略すると、補正を求められます。

5相続関係説明図と法定相続情報一覧図の作成を司法書士に依頼するメリット

相続関係説明図は、比較的自由に相続に関係する事項を記入することができます。

提出を受ける人が見やすい書類である必要があります。

法定相続情報一覧図は、法務局が確認して認証文を入れてもらうものです。

書き方に細かいルールがあります。

これらの違いを理解して、ポイントを押さえて作成する必要があります。

前提として、相続人確定のための戸籍収集や遺産分割協議書の作成もあります。

このような戸籍等の取り寄せも含め、手続をおまかせいただけます。

お仕事や家事でお忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続をまるっとおまかせすることができます。

ご家族にお世話が必要な方がいて、お側を離れられない方からのご相談もお受けしております。

間違いのない相続関係説明図の作成や法定相続情報一覧図の作成を考えている方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

不在者財産管理人が権限外行為の許可の申立て

2026-06-14

1不在者財産管理人は行方不明者の代理人

①不在者財産管理人は行方不明者の財産を守る人

不在者財産管理人とは、行方不明者の財産を管理する人です。

行方不明者の財産を守るため、家庭裁判所が選任します。

不在者財産管理人は、行方不明者に不利益な財産管理をすることはできません。

家庭裁判所は、行方不明者に不利益な財産管理を許可しません。

不在者財産管理人制度は、行方不明者の財産を守る制度だからです。

②不在者財産管理人の任務は財産を守ること

不在者財産管理人は、行方不明者の財産を管理する人です。

不在者財産管理人の権限で、行方不明者の財産を守ります。

不在者財産管理人の権限は、行方不明者の財産を減らさないために行使されます。

不在者財産管理人には、行方不明者の利益を守る義務があるからです。

③不在者財産管理人は家族の希望をかなえる人ではない

家族にとって、家族の生活を守ることが行方不明者の利益にかなうと感じるかもしれません。

家族の希望をかなえることは、そのまま家族の生活を守ることのはずです。

法律が求める行方不明者の利益とは、行方不明者の財産を減らさないことです。

不在者財産管理人は、家族の希望をかなえる人ではありません。

家族の希望と行方不明者の利益が一致する場合に限って、家族の希望が考慮されます。

たとえ家族が不在者財産管理人に選任されても、行方不明者の利益を守る義務があります。

不在者財産管理人は、公的な立場だからです。

④処分行為には家庭裁判所による許可が必要

不在者財産管理人には、行方不明者の財産を保存管理する権限が与えられます。

本来、不在者財産管理人は、行方不明者の財産を処分することはできません。

行方不明者の財産を処分する行為は、不在者財産管理人の権限外の行為です。

不在者財産管理人が権限外の行為をする場合、家庭裁判所による許可が必要です。

財産の処分行為は、行方不明者に大きな影響があるからです。

行方不明者本人の意思が確認できないから、慎重に判断すべきです。

財産の処分行為をすると、原状回復が困難です。

家庭裁判所は、財産処分が客観的に合理的か慎重にチェックします。

家庭裁判所の許可なしで、不在者財産管理人が処分行為をしても無効です。

⑤家庭裁判所が許可する基準

家庭裁判所は、次のポイントを重点的にチェックします。

・行方不明者に不利益ではないか

・処分の必要があるか

・価格は妥当であるか

・タイミングは妥当であるか

・手続が適正であるか

・他の手段で代替できないか

処分行為が必要であり、かつ、処分行為に相当性が認められるときのみ、家庭裁判所は許可します。

実務上は次の場合、許可されないことが多いでしょう。

・今すぐ処分しなくても問題がない場合

・価格や条件が客観的に説明できない場合

・他の方法で対応できる場合

家族の希望や事情は、家庭裁判所の審査の対象ではありません。

家族が希望しても、家庭裁判所は許可しないことがあります。

2不在者財産管理人が権限外行為の許可の申立て

①遺産分割協議

(1) 遺産分割協議は処分行為

相続が発生したら、相続財産の分け方は相続人全員の合意で決定します。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話し合いです。

遺産分割協議を成立させることは、処分行為と考えられています。

遺産分割協議で、相続分を処分するからです。

(2)相続分を確保する→許可

行方不明者の相続分を確保する遺産分割協議案は、許可されやすい代表例です。

行方不明者の相続分を確保すると、行方不明者に不利益がないことが明確だからです。

(3)評価が明確な代償分割→許可

代償分割とは、一部の相続人が不動産を相続し、残りの相続人は不動産を相続した人から、その分の代償をもらう方法です。

他の相続人が不動産を相続し、行方不明者が代償を受け取る遺産分割協議案は、許可されやすい事例です。

代償分割では、不動産が適切に評価されていることが重要です。

不動産が適切に評価されていないと、代償金が適切か判断できないからです。

(4)換価分割で売却代金を取得→許可

換価分割とは、分けにくい財産を売却して金銭に換えた後、金銭を分ける方法です。

一部の相続人が不動産を相続した後に売却し、売却代金を分配します。

実質的に現金化された後に公平に分配するから、許可されやすい事例です。

換価分割で第三者に売却する場合、不動産評価が客観的です。

行方不明者が取得する相続分が明確になります。

(5)特定の相続人に偏った遺産分割→不許可

不在者財産管理人の任務は、財産を減らさないことです。

特定の相続人に偏った遺産分割は、許可されにくい事例です。

行方不明者の相続分が確保されない遺産分割協議に合意することはできません。

たとえ家族が不在者財産管理人であっても、相続分が確保されない遺産分割協議に合意することはできません。

不在者財産管理人は、行方不明者の利益を守る人だからです。

行方不明者の相続分が確保されない遺産分割協議に、家庭裁判所は許可しません。

(6)相続税を節税できる遺産分割→不許可

相続税が節税できることは、家族のメリットです。

家族のメリットは、家庭裁判所の審査の対象外です。

不在者財産管理人は、家族の希望をかなえる人ではありません。

行方不明者に不利益な遺産分割協議に、家庭裁判所は許可しません。

(7)帰来時弁済型遺産分割協議→厳格な条件

帰来時弁済型遺産分割協議とは、条件付きの遺産分割の方法です。

条件は、行方不明者が帰って来た時に代償金を支払うことです。

帰来時弁済型遺産分割協議は、厳格な条件を満たしたときだけ例外的に許可されます。

帰来時弁済型遺産分割協議が認められる条件は、明確ではありません。

次の条件を満たす場合、許可されやすい傾向があります。

・行方不明者が取得する金銭が100万円未満

・行方不明者が高齢

・行方不明者に相続人がいない

・行方不明が長期間

・代償金を払う人が事実上の保護者

・代償金を払う人に充分な資力

(8)必要な資料

・相続人全員を確定するための戸籍謄本

・相続財産目録

・財産評価資料

・遺産分割協議案

・売買契約書案

家庭裁判所は、客観的資料を重視します。

行為の必要性と公平性を客観的に示す資料を準備します。

②相続放棄

(1)相続放棄が認められると相続人でなくなる

家庭裁判所で相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。

相続放棄は、相続人の地位を失う重大な決定です。

相続放棄は、処分行為と考えられます。

(2)相続財産が債務超過→許可

相続財産は、プラスの財産だけでなくマイナスの財産も含まれます。

相続財産が債務超過である場合、相続すると行方不明者に不利益です。

不利益回避が明確である場合、家庭裁判所は許可します。

(3)遺産分割協議から除外したい→不許可

遺産分割協議成立には、相続人全員の合意が必要です。

相続放棄をしたら、はじめから相続人でなくなります。

相続放棄をした人は、遺産分割協議に関与しません。

遺産分割協議に関与してほしくないからなどの理由では、許可されません。

不在者財産管理人は、行方不明者の利益を守る義務があるからです。

たとえ家族の希望があっても、家庭裁判所は相続放棄をする許可をしません。

(4)必要な資料

・相続財産目録

・債務超過を示す資料

③不動産売却

(1)不動産売却は処分行為

不動産を売却すると、不動産が現金に変わります。

不動産売却は、典型的な処分行為と考えられています。

元に戻せない行為だから、慎重に判断する必要があります。

(2)管理費や維持費の負担が重い→許可

不動産には、管理の手間がかかります。

不動産が老朽化すれば、多額の修繕費や管理費がかかります。

多額の管理費や維持費がかかると、行方不明者の財産全体が減少するでしょう。

行方不明者の財産を守るため、不動産を売却することが適切と判断されます。

管理費や維持費の負担が重い場合、家庭裁判所は許可します。

(3)共有トラブル解決のため売却→許可

行方不明者が不動産を共有していることがあります。

共有する不動産の管理方針は、不在者財産管理人が他の共有者と協議して決定します。

共有不動産の管理方針が異なる場合、共有者間でトラブルになるでしょう。

管理方針が大きく異なる場合、共有物全体を売却する以外に、解決できなくなることがあります。

行方不明者の利益保護のため、不動産売却が許可されます。

(4)親族間売買で著しく低額で売却→不許可

第三者に売却する場合、不動産評価が客観的です。

親族に売却する場合、不動産評価が客観的ではありません。

不動産を親族間で売買する場合、相場より低額で売買することがあります。

時価の70%程度で売買する場合、修繕費などの資金需要によっては合理的と判断されることがあります。

時価と比べて著しく低額で売却する場合、行方不明者に不利益な財産処分と判断されるでしょう。

行方不明者に不利益な財産処分に、家庭裁判所は許可しません。

(5)買主が決まっているだけ→不許可

不動産売却の権限外行為の許可にあたって、家庭裁判所は次の点を重視します。

・行方不明者に不利益ではないか

・処分の必要があるか

・価格は妥当であるか

・タイミングは妥当であるか

家庭裁判所は、買主が決まっていることを重視しません。

買主が決まっていることは、プラス材料ですが決定打ではありません。

不在者財産管理人制度は、家族や買主の希望をかなえる制度ではないからです。

たとえ買主が決まっていても、行方不明者の利益を重視します。

行方不明者に不利益な売却は、買主が決まっていても許可されません。

(6)必要な資料

・不動産の登記簿謄本

・不動産の評価資料

・売買契約書案

・管理費や維持費の発生状況が分かる資料

④建物の取壊し

(1)建物の取壊しで財産が消滅する

行方不明者の建物を取壊すと、財産が消滅します。

建物の取壊しは、財産の処分行為と考えられています。

(2)老朽化で倒壊のリスク大→許可

建物が老朽化すると、損傷や倒壊のおそれが大きくなります。

建物が倒壊すると大きな損害になるから、取壊しには高い必要性が認められます。

建物が倒壊する前に、解体した方が少ない損失で済むことがあります。

解体した方が近隣へのリスクを減らせることが多いでしょう。

行方不明者の財産を守るため、建物の取壊しが許可されます。

(3)家族による開発目的→不許可

更地にして家族が開発をしたい場合、行方不明者の利益とは無関係です。

建物の取壊しで行方不明者の財産が消滅することを考えると、不利益と判断されるでしょう。

不在者財産管理人は、家族の希望をかなえる人ではありません。

家族による開発目的で建物の取壊しを希望しても、家庭裁判所は許可しません。

(4)必要な資料

・取壊す建物の外観写真

・登記簿謄本

・建築確認済証

・建築士や不動産鑑定士による劣化状況の報告書

・取壊し費用の見積書

⑤訴訟行為

(1)訴訟行為は処分行為

訴訟行為は、行方不明者の権利義務に大きな影響があります。

訴訟行為は、処分行為と考えられます。

(2)行方不明者の債権を回収→許可

債権を行使しないまま、行方不明になることがあります。

行方不明者のために不在者財産管理人が債権を行使することは、行方不明者の利益になります。

債権の実現のため、必要であれば訴訟行為をすることになります。

行方不明者の利益になる訴訟行為には、家庭裁判所は許可します。

(3)勝訴の可能性が著しく低い→不許可

勝訴の可能性が著しく低い場合、費用倒れになる可能性があります。

行方不明者に不利益になることから、家庭裁判所は許可しません。

(4)応訴→許可不要

応訴とは、裁判などで訴えられた場合に、反論などをすることです。

応訴は、保存行為や管理行為と考えられています。

本人の財産を守るための保存行為や管理行為のため、権限外行為の許可は不要です。

(5)必要な資料

・訴訟対象が分かる資料

・訴訟を行わないときの損害やリスク資料

・訴訟の正当性や必要性を証する資料

・訴訟費用見積書

⑥権限外行為の許可の申立ての流れ

(1)申立人

権限外行為の許可の申立てができるのは、不在者財産管理人のみです。

家族は、関与しません。

(2)申立先

不在者財産管理人を選任した家庭裁判所です。

(3)費用

・手数料

申立手数料は、800円です。

申立書に収入印紙を貼り付けて、納入します。

・連絡用郵便切手

家庭裁判所が手続で使う郵便切手を予納します。

家庭裁判所ごとに、必要な額面や枚数が異なります。

(4)必要書類

権限外行為の許可の申立書に添付する書類は、権限外行為が必要になることの資料です。

(5)許可されるまでの期間

権限外行為の許可の審判がされるまで1~3か月程度かかります。

3権限外行為の許可の範囲のみ権限がある

①不在者財産管理人の権限は確認できる

不在者財産管理人が遺産分割協議や不動産を売却する場合、権限外行為の許可の審判が必要です。

権限外行為の許可の審判書には、提出した遺産分割協議案や売買契約案が添付されています。

添付された遺産分割協議案や売買契約案と異なる内容で、財産処分をすることはできません。

権限外行為の許可は、包括的な許可ではないからです。

異なる内容で財産処分をする場合、あらためて許可を得る必要があります。

②許可なしで財産処分はできない

権限外行為の許可がされなかった場合、不在者財産管理人は財産処分行為ができません。

家庭裁判所の許可なしで、財産処分をしても無効です。

たとえ許可がされなくても、不在者財産管理人の落ち度ではありません。

家庭裁判所は、行方不明者の利益を最優先に判断するからです。

4生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続人が行方不明であることは、割とよくあることです。

行方不明の相続人がいると、相続手続を進めることができません。

相続が発生した後、困っている人はたくさんいます。

自分たちで手続しようとして、挫折する方も少なくありません。

困っている遺族はどうしていいか分からないまま、途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。

相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

不動産のみの遺産分割協議書を作成できる

2026-06-12

1不動産のみの遺産分割協議書を作成できる

①遺産分割協議書は相続人全員による合意内容の証明書

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話し合いです。

相続人全員による合意がまとまったら、遺産分割協議は成立します。

遺産分割協議書とは、相続人全員による合意内容の証明書です。

合意内容を書面に取りまとめて、相続人全員に確認してもらいます。

合意内容に問題がなければ、相続人全員に記名し実印で押印をしてもらいます。

遺産分割協議書には、印鑑証明書を添付します。

遺産分割協議書の押印が実印によるものであることを確認するためです。

②全財産書いていなくても遺産分割協議書は有効

遺産分割協議書に、全財産の分け方を書かなければならないというルールはありません。

一部の財産だけの遺産分割協議書を作成することができます。

相続する財産と相続する人が明確になっていれば、遺産分割協議書は有効です。

遺産分割協議書は、相続人全員による合意内容の証明書だからです。

遺産分割協議書に記載された財産について、分け方が明らかになれば証明書としては充分です。

全財産が記載されていなくても、遺産分割協議書は有効です。

全財産が記載されていなくても、記載された財産だけ相続手続を進めることができます。

③不動産のみの遺産分割協議書で相続登記ができる

被相続人が不動産を保有していた場合、不動産の名義変更をします。

相続登記とは、不動産の名義変更です。

遺産分割協議によって相続登記をする場合、法務局に遺産分割協議書を提出します。

遺産分割協議書に、全財産を書かなければならないというルールはありません。

不動産のみの遺産分割協議書で、相続登記を申請することができます。

法務局は、不動産以外の財産の分け方に関心はないからです。

相続する不動産と相続する人が明確になっていれば、相続登記を進めることができます。

一部の財産だけの遺産分割協議書は、有効だからです。

④一部の財産だけ遺産分割協議をすることができる

遺産分割協議では、相続人全員が相続財産の分け方について話し合います。

全財産の分け方について、まとめて話し合わなければならないというルールはありません。

一部の財産の分け方だけ、合意することができます。

一部の財産についてだけ、遺産分割協議を有効に成立させることができます。

合意できた財産についてだけ、合意内容を書面に取りまとめることができます。

合意できた財産について、遺産分割協議書を作成するとトラブル防止に役立ちます。

書面にしておかないと、合意していないと言い出す相続人が現れるおそれがあるからです。

⑤未分割の財産があっても相続登記ができる

不動産の分け方についてだけ合意ができた場合、不動産のみの遺産分割協議書を作成することができます。

全財産の分け方を書かなければならないというルールはないからです。

他の財産の分け方が決まっていなくても、相続手続をすることができます。

合意できた不動産についてだけ、相続登記を申請することができます。

他の財産の分け方が決まっていなくても、相続登記が止められることはありません。

法務局は、不動産以外の財産の分け方に関心はないからです。

全財産の分け方が決まってから、相続手続を進めなければならないというルールはありません。

2 不動産のみの遺産分割協議書の書き方と注意点

①被相続人を特定する書き方

(1)記載例

被相続人の最後の本籍 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番地

被相続人の最後の住所 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号

被相続人の氏名   〇〇 〇〇

被相続人の生年月日 昭和〇〇年〇〇月〇〇日

被相続人の死亡日 令和〇〇年〇〇月〇〇日

共同相続人である私たちは、上記の相続について、下記のとおり遺産分割の協議をした。

(2)注意点

被相続人の最後の本籍、被相続人の最後の住所、被相続人の氏名、被相続人の生年月日、被相続人の死亡日を記載します。

相続が発生した後、相続手続のために戸籍謄本や住民票を集めているでしょう。

戸籍謄本や住民票の記載どおりに、一字一句間違いなく記載します。

②相続登記用の遺産分割協議書は不動産のみ記載でよい

(1)土地の記載例

所在 〇〇市〇〇町〇丁目

地番 〇番〇

地目 宅地

地積 200㎡

(2)建物の記載例

所在 〇〇市〇〇町〇丁目

家屋番号 〇番〇

種類 居宅

構造 木造瓦葺2階建

床面積 1階 100.00㎡ 2階 100.00㎡

(3)敷地権のあるマンションの記載例

(一棟の建物の表示)

所在 〇〇市〇〇町〇丁目〇番地〇

建物の名称 〇〇〇〇マンション

(専有部分の建物の表示)

家屋番号 〇〇町〇丁目〇番〇の〇

建物の名称 〇〇〇〇

種類 居宅

構造 鉄筋コンクリート造1階建

床面積 〇階部分 〇〇.〇〇㎡

(敷地権の表示)

符号 1

所在 〇〇市〇〇町〇丁目

地番 〇番〇

地目 宅地

地積 〇〇〇.〇〇㎡

(敷地権の種類)

所有権

(敷地権の割合)

持分 〇〇〇〇〇〇分の〇〇〇〇〇〇

符号 2

所在 〇〇市〇〇町〇丁目

地番 〇番〇

地目 宅地

地積 〇〇〇.〇〇㎡

(敷地権の種類)

所有権

(敷地権の割合)

持分 ○○○○○○分の○○○○○○

(4)被相続人が共有持分を持っていたときの記載例

所在 〇〇市〇〇町〇丁目

地番 〇番〇

地目 宅地

地積 200㎡

持分 〇分の〇

(5)複数の不動産があるときの記載例

所在 〇〇市〇〇町〇丁目

地番 〇番〇

地目 宅地

地積 200㎡

所在 〇〇市〇〇町〇丁目

家屋番号 〇番〇

種類 居宅

構造 木造瓦葺2階建

床面積 1階 100.00㎡ 2階 100.00㎡

(6)注意点

遺産分割協議書に不動産を書く場合、合意の対象になった不動産を特定することが重要です。

「自宅」などの記載は、客観的に特定できるとは言えません。

家族にとって、自宅は当然のことかもしれません。

法務局など第三者にとっては、自宅はどこにあるどの不動産なのか分からないからです。

不動産の所在は自宅住所と異なることが多いので、登記簿謄本を書き写します。

固定資産税の課税明細書を書き写すことは、おすすめできません。

登記簿謄本と異なる表記がされていることや内容が省略されていることがあるからです。

登記簿謄本と異なる表記の場合、適切な合意があるとは認められません。

相続登記ができなくなる可能性があります。

③日付を記載する

相続が発生した日以降であれば、いつでも差し支えありません。

日付を空白のままにすると、相続登記はできなくなります。

④相続人全員が記名し実印で押印する

遺産分割協議書は、相続人全員による合意内容の証明書です。

相続人全員が合意内容に間違いないことを確認します。

間違いないことを確認したら、相続人全員が記名し実印で押印します。

住所と氏名は印鑑証明書の記載どおり、一字一句間違いなく記入します。

実印がない人は、あらかじめ印鑑登録をする必要があります。

⑤複数ページの遺産分割協議書は相続人全員の契印が必要

遺産分割協議書が複数ページにわたる場合、相続人全員が実印で契印を施します。

袋とじにして、相続人全員が実印で契印を施しても構いません。

⑥未分割の財産を書くと誤解を招く

不動産のみの遺産分割協議書は、有効な遺産分割協議書です。

他の財産について、記載する必要はありません。

未分割の財産について、記載することはできません。

他の財産は未分割ですなどと、説明する必要もありません。

遺産分割協議書は、相続人全員による合意内容の証明書です。

未分割の財産について記載してあると、相続手続先の人が誤解する可能性があるからです。

⑦相続登記の印鑑証明書に有効期限はない

遺産分割協議書には、印鑑証明書を添付します。

遺産分割協議書の押印が実印によることを確認するためです。

相続登記で提出する印鑑証明書は有効期限がありません。

遺産分割協議が成立する前に取得した印鑑証明書を使うことができます。

相続が発生する前に取得した印鑑証明書を使うことができます。

古い印鑑証明書を使う場合、印鑑証明書の住所や氏名が異なることがあります。

遺産分割協議書と印鑑証明書の記載が異なる場合、住所や氏名の移り変わりを証明する必要があります。

住所や氏名が異なる場合、法務局は別人の印鑑証明書と判断します。

相続手続を進められなくなります。

あらためて取得してもらう方が簡単かもしれません。

3不動産のみの遺産分割協議書を作るケース

ケース①不動産を速やかに売却したい

(1)不動産を売却して金銭で分けたい

不動産は、分けにくい財産の代表例です。

不動産を売却して、金銭にして分けることができます。

金銭で分け方を調節できるから、他の財産の分け方の合意がしやすくなります。

不動産を売却する前提として、相続登記をします。

相続登記をするため、不動産のみの遺産分割協議書を作成します。

(2)固定資産税の負担をなくしたい

固定資産税とは、不動産を保有している人に課される税金です。

相続財産の分け方が決まっていなくても、固定資産税は課されます。

相続人にとって使い道がない不動産であっても、固定資産税は課され続けます。

不動産を手放すまで、固定資産税は課されるからです。

負担だけかさむ財産があると、遺産分割協議は難航しがちです。

速やかに売却できれば、固定資産税の負担から逃れることができます。

(3)空き家の管理負担をなくしたい

被相続人が死亡した後、被相続人の自宅が空き家になることがあります。

空き家を管理する人がいないと、老朽化が進みます。

相続人全員が遠方に住んでいると、管理負担が重くなります。

速やかに売却できれば、空き家の管理負担から逃れることができます。

ケース②預貯金は金融機関の書式で対応できる

銀行などの預貯金の相続手続では、金融機関の独自様式を利用することができます。

金融機関の独自様式で手続ができるから、遺産分割協議書に記載する必要がありません。

遺産分割協議書が必要な財産として、不動産だけが残ります。

結果として、遺産分割協議書に不動産のみ書くのが合理的です。

ケース③不動産の分け方のみ合意できた

一部の財産だけ、遺産分割協議をすることができます。

全財産について合意できなくても、有効な遺産分割協議です。

不動産のみ合意できた場合、不動産のみの遺産分割協議書を作成することができます。

合意できた財産のみの遺産分割協議書を作成しておくと、トラブル防止になるからです。

合意した部分を書面にしておかないと、合意していなかったと言い出すおそれがあるからです。

4相続登記を司法書士に依頼するメリット

相続登記は、たくさんある相続手続の中でも難しい手続です。

相続手続は多くの場合、何度も経験するものではありません。

だれにとっても不慣れで聞き慣れない法律用語で疲れ果ててしまいます。

不動産は重要な財産なので、一般の人が些細なことと思えるようなことでやり直しになります。

インターネットなどで多くの情報を手にすることができるようになりました。

相続登記を自分でやった、カンタンにできたという記事を見かけることもあります。

司法書士などの専門家から見てカンタンな登記申請であっても、一般の人が手続しようとすると思わぬ落とし穴があることがあります。

相続が発生してから長期間経過した後の登記申請は、想像以上に難解です。

自分で登記申請をしてみても、法務局から不足や不備を指摘されるでしょう。

ときには、何が問題なのか分からなかったというケースもあります。

自分でやってみて挫折した場合も司法書士はサポートします。

相続登記をスムーズに終わらせたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

失踪宣告7年の起算点は生存確認できた最後の日

2026-06-10

1失踪宣告で死亡と見なされる

①失踪宣告には条件がある

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

死亡したことが確認できないのに、死亡と見なされます。

失踪宣告には、2種類があります。

普通失踪と特別失踪(危難失踪)です。

死亡と見なされるという強い効果があります。

失踪宣告が認められるためには、次の条件があります。

(1)行方不明の人が生死不明であること

(2)生死不明のまま一定期間継続していること

②普通失踪は7年で死亡と見なされる

一般的に失踪宣告といった場合、普通失踪を指しています。

生死不明の期間を失踪期間と言います。

普通失踪では、失踪期間が7年必要です。

生死不明のまま7年経過した場合に、自動的に死亡と見なされるわけではありません。

家庭裁判所が失踪宣告したときに、死亡と見なされます。

③普通失踪による法的な死亡日は7年満了した日

普通失踪では、失踪期間が7年必要です。

失踪宣告7年の起算日に、法的な効果はありません。

普通失踪による法的な死亡日は、7年満了した日です。

失踪宣告7年の起算点は、単なる事実認定の日に過ぎません。

起算点は、客観的事実に基づいて家庭裁判所が認定します。

2失踪宣告7年の起算点は生存確認できた最後の日

①起算点があいまいなまま申立ができる

家庭裁判所が失踪宣告をするには、家族などの申立人からの申立てが必要です。

失踪宣告の申立てによって、失踪宣告の手続が開始します。

失踪宣告の申立ては、家庭裁判所が失踪宣告をするきっかけに過ぎません。

普通失踪は、7年で死亡と見なされます。

失踪期間のスタートは、申立人が決めることはできません。

申立人が調査をしても、起算日はあいまいなままであることが多いでしょう。

起算日があいまいなまま、失踪宣告の申立てをすることができます。

失踪宣告7年の起算点は、申立人が決めることはできません。

失踪宣告を受けると、その人が死亡扱いになるという重大な法的効果があるからです。

申立人がするべきことは、家庭裁判所に調査の端緒を提供することです。

最後にあった日を覚えていなくても、失踪宣告の申立てをすることができます。

②家庭裁判所が生存確認できた最後の日を調査する

失踪宣告7年の起算点は、客観的に生存確認できた最後の日です。

失踪宣告の申立てを受付けても、申立人の主張をそのまま採用することはありません。

申立人が提出した書類を精査し、家庭裁判所は公的機関などに対して補充調査をします。

生きていれば当然あるはずの生活反応がないか、慎重に調査します。

例えば、生きていれば次のような外部的記録が見つかるでしょう。

・銀行口座の入出金

・住民票や戸籍の異動

・税金などの申告や納税

・運転免許証の更新

・出入国の記録

公的機関などに対して、家族は調査できないことが多いでしょう。

家庭裁判所は、客観的に生存確認できた日を慎重に確認します。

失踪宣告は、重大な法的効果があるからです。

失踪宣告で死亡と扱うから、客観的事実が重視されます。

家族の記憶や主張などで、人為的に操作できる日を起算点にすることはできません。

たとえ家庭裁判所であっても、起算日を人為的に操作することはできません。

③生存情報があれば取下げ・却下

家庭裁判所は、公的機関などに対して調査をすることができます。

家族などが得ることができない情報が寄せられることがあります。

直近の生存情報が見つかって失踪宣告の条件を満たさなくなった場合、失踪宣告はされません。

④補充調査が終わったら官報公告3か月以上

補充調査で生きていれば当然あるはずの生活反応が見つからない場合、官報公告をします。

公的機関が知らない情報を持つ人がいる可能性があるので、官報公告で情報収集します。

官報公告は、広く社会全体に呼び掛けて情報収集する手段です。

失踪宣告がされると死亡扱いになるから、家庭裁判所は慎重に調査します。

⑤失踪宣告7年の起算点は法的な死亡日ではない

生死不明のまま一定期間継続している場合、失踪宣告がされます。

失踪宣告7年の起算点は、生死不明のまま継続する一定期間のスタートです。

失踪宣告7年の起算点は、法的な死亡日ではありません。

失踪宣告7年の起算点に、直接的な法的効果はありません。

失踪宣告による法的な死亡日は、7年満了した日です。

⑥生存確認できた最後の日が重要な理由

理由(1)生きているのに誤って死亡扱いにしないため

失踪宣告を受けると、死亡と見なされます。

失踪宣告を受けた人を被相続人として、相続が発生します。

非常に重大な法的効果があります。

誤って死亡扱いにすると、重大な人権侵害や財産侵害を引き起こします。

最も安全な生存確認できた最後の日から、失踪期間を起算します。

理由(2)行方不明になった日は主観的だから

行方不明になった日は、不確実です。

実際には行方不明になった後も、生きている可能性があります。

主張する人の主観によって、行方不明になった日は容易に動かせます。

主張する人の恣意によって、死亡とみなす重大な法的効果が発生する危険があります。

生存確認できた最後の日は、客観的に確認することができます。

失踪宣告制度の透明性の確保のため、客観的証拠が重視されます。

客観的証拠によって確認できるから、死亡とみなす合理性を確保することができます。

理由(3)不正な利益誘導を排除するため

失踪宣告を受けると、相続が発生します。

普通失踪による法的な死亡日は、7年満了した日です。

死亡日によっては、代襲相続や数次相続が発生します。

死亡日を恣意的に動かせるとすると、都合よく代襲相続や数次相続を操ることになるでしょう。

不正な利益誘導は、許されません。

不正な利益誘導を排除するため、客観的証拠によって生存確認できた最後の日を認定します。

理由(4)法的安定性の確保

失踪宣告を受けると、第三者にも影響があります。

家庭裁判所が自由に起算点を決めると、同一事案に結論が相違します。

法的安定性を確保するため、客観的証拠によって生存確認できた最後の日を認定します。

理由(5)事後検証を可能にするため

失踪宣告をすれば、終わりではありません。

ときには失踪宣告の要件を満たしていたのか、争いになることがあります。

失踪宣告は、不確実な事実を前提に強制的に死亡とみなす制度です。

争いになったとき、起算点は確実に争点になります。

適切な失踪宣告であることを立証するため、厳格に起算点を認定します。

事後検証を可能にするため、客観的証拠を重視します。

3失踪宣告7年の起算点は相続手続の期限と直接関係しない

①失踪宣告がされたら失踪届で戸籍に反映

失踪宣告は、家庭裁判所の審判です。

家庭裁判所が失踪宣告の審判をした後、審判が確定しても市区町村役場に連絡されることはありません。

失踪宣告の審判が確定した後に、市区町村役場に届出が必要です。

失踪宣告の審判が確定した後に市区町村役場に提出する届出を失踪届と言います。

死亡したときに提出する死亡届とは別の書類です。

失踪届は、多くの市区町村役場でホームページからダウンロードができます。

失踪届が受理されることで、失踪宣告がされたことが戸籍に記載されます。

失踪宣告が記載された戸籍謄本を提出することで、生死不明の人が法的に死亡した取り扱いがされることを証明できます。

②相続放棄の期限3か月の起算点は知ってから

(1)失踪宣告を知ってからスタート

失踪宣告を受けた人は、死亡と見なされます。

普通失踪による法的な死亡日は、生存確認できた最後の日から7年満了した日です。

法的な死亡日から長期間経過した後に、失踪宣告されることが多いでしょう。

被相続人が莫大な借金を抱えていた場合、相続人は相続放棄を希望します。

相続放棄の期限3か月が過ぎてしまっていると、不安になるかもしれません。

相続放棄の期限3か月のスタートは、知ってからです。

「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。

(2)官報公告があっても知ってから

失踪宣告があったら、申立人は審判書で内容を知ることができます。

他の相続人など申立人以外の人に、通知されません。

失踪宣告の審判後に、2回目の官報公告をします。

失踪宣告の審判後に行う官報公告は、失踪宣告確定のお知らせです。

官報公告を見ている人は、ほとんどいないでしょう。

失踪宣告があったことに気づかず、3か月以上経過するかもしれません。

相続放棄の期限3か月のスタートは、知ってからです。

失踪宣告があったことに気づかなければ、3か月はスタートしません。

失踪宣告があったことを知ってから3か月以内に、相続放棄の申立てをすることができます。

③相続登記義務化の期限3年の起算点は知ってから

被相続人が不動産を保有していた場合、相続人が相続します。

令和6年4月1日から相続登記は、3年以内に登記申請をする義務が課されました。

相続登記の期限3年のスタートは、知ってからです。

自己のために相続の開始があったことを知って、かつ、不動産を取得することを知った日から、スタートします。

相続があったことを知るまで、期限3年はスタートしません。

4生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続人が行方不明であることは、割とよくあることです。

行方不明の相続人がいると、相続手続を進めることができません。

相続が発生した後、困っている人はたくさんいます。

自分たちで手続しようとして、挫折する方も少なくありません。

失踪宣告の申立ては、家庭裁判所に手続が必要になります。

通常ではあまり聞かない手続になると、専門家のサポートが必要になることが多いでしょう。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。

自分たちでやってみて挫折した方も、信託銀行などから丸投げされた方も、相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

失踪宣告で死亡と見なされる

2026-06-09

1失踪宣告で死亡と見なされる

①残された家族のため失踪宣告

相当長期間、行方不明になっている場合、死亡している可能性が高い場合があります。

条件を満たした場合、死亡の取り扱いをすることができます。

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告がされたら、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。

行方不明が長期化した場合、家族が困ります。

家族であっても、行方不明の人の財産を処分することができません。

行方不明者の配偶者は、再婚することができません。

残された家族のために、行方不明者を死亡したものと扱う制度が失踪宣告の制度です。

②失踪宣告の要件は長期間生死不明と申立て

長期間行方不明であっても、自動で失踪宣告がされることはありません。

失踪宣告は、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

役所や家庭裁判所が勝手に失踪宣告することはありません。

死亡したことが確認できないのに、死亡と見なされる重大な効果があるからです。

失踪宣告が認められるためには、次の条件があります。

(1)行方不明の人が生死不明であること

(2)生死不明のまま一定期間継続していること

家族などの利害関係人が失踪宣告の申立てをして、上記条件を満たしたとき失踪宣告がされます。

失踪宣告の要件は、長期間生死不明と失踪宣告の申立てです。

③普通失踪と特別失踪(危難失踪)のちがい

失踪宣告には、2種類あります。

普通失踪と特別失踪(危難失踪)です。

一般的に失踪宣告といった場合、普通失踪を指しています。

特別失踪(危難失踪)とは、「戦地に行った者」「沈没した船舶に乗っていた者」「その他死亡の原因となる災難に遭遇した者」などを対象にする失踪宣告です。

普通失踪と特別失踪(危難失踪)で、失踪期間が異なります。

失踪期間とは、生死不明の期間です。

普通失踪の失踪期間は、7年です。

生死不明のまま7年以上経過したと認められる場合、家庭裁判所は失踪宣告をすることができます。

特別失踪(危難失踪) の失踪期間は、1年です。

生死不明のまま1年以上経過したと認められる場合、家庭裁判所は失踪宣告をすることができます。

④失踪宣告による法的な死亡日

(1)失踪宣告の申立日は法的な死亡日ではない

失踪宣告を受けるためには、失踪宣告の申立てが必要です。

失踪宣告の申立てをした日は、法的な死亡日と無関係です。

(2)普通失踪は7年満了の日

普通失踪では、生死不明になってから7年間経過したときに死亡と見なされます。

普通失踪による法的な死亡日は、生死不明になってから7年満了した日です。

(3)特別失踪(危難失踪)は危難の去った日

特別失踪(危難失踪)では、危難の去った日に死亡と見なされます。

特別失踪(危難失踪) の失踪期間は、1年です。

生死不明になってから1年満了した日に、死亡と見なされるわけではありません。

特別失踪(危難失踪) による法的な死亡日は、危難の去った日です。

(4)失踪宣告の審判が確定した日は法的な死亡日ではない

失踪宣告の条件を満たしている場合、家庭裁判所は失踪宣告の審判をします。

多くの場合、失踪期間を大幅に超えてから失踪宣告の申立てをします。

失踪宣告の審判があった日も失踪宣告の審判が確定した日も、法的な死亡日ではありません。

⑤失踪宣告で相続が開始する

(1)失踪宣告による相続は相続人確認が重要

失踪宣告を受けると、死亡と見なされます。

死亡と見なされる日に、相続が発生します。

死亡と見なされる日を基準に、相続人を確認します。

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、代襲相続が発生します。

相続が発生したときに元気だった相続人が後に死亡した場合、数次相続が発生します。

失踪宣告の前後で家族が死亡した場合、相続人の確認が重要です。

代襲相続も数次相続も、相続が複雑になる代表例です。

(2)相続登記ができる

被相続人が不動産を保有していた場合、不動産の名義変更をします。

失踪宣告を受けた人が不動産を保有していた場合、不動産の名義変更をします。

失踪宣告を受けると、死亡の扱いを受けるからです。

相続登記には、相続人であることを知ってから3年の期限が決められました。

相続登記の義務を怠ると、ペナルティーの対象になります。

(3)預貯金の相続手続ができる

相続が発生すると、預貯金は相続人が相続します。

失踪宣告を受けた人の預貯金は、相続人が相続します。

失踪宣告で死亡扱いがされるから、相続手続を進めることができます。

(4)生命保険の死亡保険金を受け取れる

行方不明者に生命保険がかけてある場合、死亡保険金を請求することができます。

死亡保険金を請求する場合、多くの保険会社で失踪宣告の審判書と確定証明書が必要です。

失踪宣告の審判書を見ないと、災害特約などに該当しているか分からないからです。

(5)相続放棄ができる

相続人は、相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄には、3か月の期限があります。

相続放棄の期限3か月のスタートは、知ってからです。

死亡と見なされる日から長期間経過していても相続があったことを知ってから3か月以内なら、相続放棄をすることができます。

⑥失踪宣告で行方不明の配偶者と婚姻解消

失踪宣告を受けると、行方不明の配偶者は死亡と見なされます。

行方不明の配偶者との婚姻関係が終了します

失踪宣告がされると、配偶者は再婚をすることができます。

⑦帰ってきたら失踪宣告の取消

(1)生存が判明しても自動で失踪宣告は取消されない

長期間行方不明であっても、新天地で元気に生きていることがあります。

失踪宣告がされても、本人は何も困らず元気に生きているかもしれません。

何らかの手続のために戸籍謄本などを取得すると、失踪宣告がされていることに気が付きます。

失踪宣告がされた人の生存が判明しても、自動で失踪宣告は取消されません。

失踪宣告がされた人の生存が判明したら、家庭裁判所に対して失踪宣告取消の申立てをします。

失踪宣告が取消されると、死亡扱いもなくなります。

(2)失踪宣告取消で財産は返還

失踪宣告によって財産を受け取った人は、失踪宣告の取消で財産を返還する必要があります。

例えば、次の財産を受け取った場合、返還が必要です。

・生命保険の死亡保険金

・相続財産

・遺族年金

財産を受け取った人が行方不明の人が生きていることを知っていても知らなくても、返還義務があります。

返還する財産は、現に利益を受けている限度と考えられています。

現に利益を受けている限度とは、返還時点でその者の財産状態の中に残っている利得です。

例えば、受け取った財産を生活費として費消したら、生活費相当額の利益を受けていると言えます。

生活費相当額を返還する必要があります。

(3)第三者に渡った財産は取り返せない

財産を受け取った人は、自分の財産を処分することができます。

例えば、不動産を相続したら、第三者に売却することがあるでしょう。

財産を受け取った人と第三者の両方とも、行方不明者が生きていることは知らないでしょう。

失踪宣告取消前に第三者に売却した不動産は、取り返せません。

取消前に善意でなされた法律行為は、失踪宣告取消の影響を受けないからです。

失踪宣告の取消を受けた人は、相続人に対して現に利益を受けている限度で返還請求をすることができます。

(4)配偶者の再婚は有効のまま

失踪宣告が取消されたら、婚姻関係は復活します。

失踪宣告を受けた後、残された配偶者は再婚することができます。

再婚した後に、行方不明者が帰ってくることがあります。

行方不明者が帰ってきた場合、再婚は有効のままです。

行方不明者との婚姻関係は、復活しません。

再婚した人の生活の安定を保護するためです。

2失踪宣告後は死亡届でなく失踪届

①失踪届提出で戸籍に記載される

失踪宣告は、家庭裁判所の審判です。

家庭裁判所が失踪宣告の審判をした後、審判が確定しても市区町村役場に連絡されることはありません。

失踪宣告の審判が確定した後に、失踪宣告の申立人は市区町村役場に届出が必要です。

失踪届とは、失踪宣告の審判が確定した後に市区町村役場に提出する届出です。

失踪届には、失踪宣告の審判書と確定証明書を添付します。

失踪届が受理されることで、失踪宣告がされたことが戸籍に記載されます。

失踪宣告が記載された戸籍謄本を提出することで、生死不明の人が法的に死亡した取り扱いがされることを証明できます。

戸籍には次のように記載されます。

【死亡とみなされる日】令和〇年〇月〇日

【失踪宣告の裁判確定日】令和〇年〇月〇日

【届出日】令和〇年〇月〇日

【届出人】親族 ○○○○

②失踪届は行方不明者届(捜索願)とは別物

失踪届は、失踪宣告の審判が確定した後に市区町村役場に提出する届出です。

市区町村役場は、失踪届を受理したら失踪宣告がされたことを戸籍に記載します。

失踪届を出しても、市区町村役場が生死不明の人を探してくれることはありません。

失踪届は、死亡と扱ってもらうための届出だからです。

生死不明の人を探してもらいたい場合、警察へ行方不明者届を提出します。

行方不明者届は、以前は捜索願と呼んでいました。

失踪届と行方不明者届(捜索願)は、まったく別の届出です。

3失踪宣告がされるまで時間がかかる

手順①失踪の事実が発生

長期間、生死不明の状態が続きます。

失踪期間は、次のとおりです。

・普通失踪 7年以上

・特別失踪(危難失踪) 1年以上

手順②失踪宣告の申立て

家族など利害関係人が失踪宣告の申立てを提出します。

失踪宣告の申立日は、法的な死亡日ではありません。

法的な死亡日は、利害関係人などが自由に決めることはできないからです。

手順③家庭裁判所の審査

家庭裁判所は、公的機関などに対して生存の痕跡がないか慎重に調査します。

手順④官報公告

生存の痕跡がない場合、家庭裁判所が官報に公告を出します。

官報公告は、家庭裁判所からの呼びかけです。

官報による公告を出した日は、法的な死亡日ではありません。

官報公告が満了した日は、法的な死亡日ではありません。

手順⑤失踪宣告の審判

官報公告をしても生存情報がない場合、失踪宣告の審判がされます。

失踪宣告の審判によって、民法が定めた日に死亡と見なされます。

死亡と見なされる日は、次のとおりです。

・普通失踪 7年満了した日

・特別失踪(危難失踪) 危難が去った日

手順⑥失踪届の提出

市区町村役場に、失踪届を提出します。

失踪届提出には、失踪宣告の審判書と確定証明書が必要です。

4生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続人が行方不明であることは、割とよくあることです。

行方不明の相続人がいると、相続手続を進めることができません。

相続が発生した後、困っている人はたくさんいます。

失踪宣告の申立ては、家庭裁判所に手続が必要になります。

通常ではあまり聞かない手続になると、専門家のサポートが必要になることが多いでしょう。

困っている遺族はどうしていいか分からないまま、途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。

自分たちでやってみて挫折した方も、信託銀行などから丸投げされた方も、相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

失踪宣告で相続が開始する

2026-06-09

1失踪宣告で死亡と見なされる

①残された家族のため失踪宣告

相当長期間、行方不明になっている場合、死亡している可能性が高い場合があります。

条件を満たした場合、死亡の取り扱いをすることができます。

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告がされたら、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。

行方不明が長期化した場合、家族が困ります。

家族であっても、行方不明の人の財産を処分することができません。

行方不明者の配偶者は、再婚することができません。

残された家族のために、行方不明者を死亡したものと扱う制度が失踪宣告の制度です。

②普通失踪と特別失踪(危難失踪)のちがい

失踪宣告には、2種類あります。

普通失踪と特別失踪(危難失踪)です。

一般的に失踪宣告といった場合、普通失踪を指しています。

特別失踪(危難失踪)とは、「戦地に行った者」「沈没した船舶に乗っていた者」「その他死亡の原因となる災難に遭遇した者」などを対象にする失踪宣告です。

普通失踪と特別失踪(危難失踪)で、失踪期間が異なります。

失踪期間とは、生死不明の期間です。

普通失踪の失踪期間は、7年です。

生死不明のまま7年以上経過したと認められる場合、家庭裁判所は失踪宣告をすることができます。

特別失踪(危難失踪) の失踪期間は、1年です。

生死不明のまま1年以上経過したと認められる場合、家庭裁判所は失踪宣告をすることができます。

③失踪宣告による法的な死亡日

(1)普通失踪は7年満了の日

普通失踪では、生死不明になってから7年間経過したときに死亡と見なされます。

普通失踪による法的な死亡日は、生死不明になってから7年満了した日です。

(2)特別失踪(危難失踪)は危難の去った日

特別失踪(危難失踪)では、危難の去った日に死亡と見なされます。

特別失踪(危難失踪) の失踪期間は、1年です。

生死不明になってから1年満了した日に、死亡と見なされるわけではありません。

特別失踪(危難失踪) による法的な死亡日は、危難の去った日です。

(3)失踪宣告の申立日は法的な死亡日ではない

失踪宣告を受けるためには、失踪宣告の申立てが必要です。

失踪宣告の申立てをした日は、法的な死亡日と無関係です。

(4)失踪宣告の審判が確定した日は法的な死亡日ではない

失踪宣告の条件を満たしている場合、家庭裁判所は失踪宣告の審判をします。

多くの場合、失踪期間を大幅に超えてから失踪宣告の申立てをします。

失踪宣告の審判があった日も失踪宣告の審判が確定した日も、法的な死亡日ではありません。

2失踪宣告で相続が開始する

①死亡と見なされるから相続発生

失踪宣告は、行方不明の人を死亡扱いにする手続です。

失踪宣告を受けたら、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。

失踪宣告を受けた人は死亡扱いがされるから、失踪宣告を受けた人に相続が開始します。

②相続開始日は死亡と見なされる日

失踪宣告を受けると、死亡と見なされます。

失踪宣告による法的な死亡日は、死亡と見なされる日です。

普通失踪による法的な死亡日は、生死不明になってから7年満了した日です。

特別失踪(危難失踪) による法的な死亡日は、危難の去った日です。

相続手続の基準になるのが、死亡と見なされる日です。

③死亡と見なされる日で相続人を確認

失踪宣告の申立てをしてから、裁判所が失踪宣告をするまで長期間かかります。

相続手続の基準は、死亡と見なされる日です。

死亡と見なされる日に、相続が発生するからです。

被相続人の法的な死亡日は、死亡と見なされる日です。

死亡と見なされる日を基準にして、相続人を確認します。

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、代襲相続が発生します。

相続が発生したときに元気だった相続人が後に死亡した場合、数次相続が発生します。

数次相続は、相続人の地位が相続されます。

失踪宣告の前後で家族が死亡した場合、相続人の確認が重要です。

代襲相続も数次相続も、相続が複雑になります。

相続人を間違えると、相続手続がすべてやり直しになります。

④相続人全員の協力で相続手続を進める

(1)相続登記ができる

被相続人が不動産を保有していた場合、不動産の名義変更をします。

失踪宣告を受けた人が不動産を保有していた場合、不動産の名義変更をします。

失踪宣告を受けると、死亡の扱いを受けるからです。

相続登記には、3年の期限が決められました。

相続登記の義務を怠ると、ペナルティーの対象になります。

(2)預貯金の相続手続ができる

相続が発生すると、預貯金は相続人が相続します。

失踪宣告を受けた人の預貯金は、相続人が相続します。

失踪宣告で死亡扱いがされるから、相続手続を進めることができます。

(3)生命保険の死亡保険金を受け取れる

行方不明者に生命保険がかけてある場合、死亡保険金を請求することができます。

死亡保険金を請求する場合、多くの保険会社で失踪宣告の審判書と確定証明書が必要です。

失踪宣告の審判書を見ないと、災害特約などに該当しているか分からないからです。

(4)住宅ローンは団体信用生命保険で完済

団体信用生命保険とは、住宅ローンの返済に特化した生命保険です。

住宅ローンの債務者が死亡したとき、保険金で住宅ローンが完済になります。

民間の金融機関で住宅ローンを組む場合、団体信用生命保険の加入が条件になっているのがほとんどです。

住宅ローンの債務者が失踪宣告を受けた場合、保険金で住宅ローンが完済になります。

失踪宣告は、死亡と見なす制度だからです。

(5)失踪宣告で借金を引き継ぐ

借金を抱えたまま、債務者が行方不明になることがあります。

長期間生死不明のまま、失踪宣告を受けることがあります。

行方不明者の借金は、相続財産です。

行方不明者の相続人が借金を相続します。

(6)相続放棄ができる

相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

長期間生死不明であっても、失踪宣告がされるまでは生きている扱いです。

被相続人の生前は、相続放棄をすることはできません。

失踪宣告を受けた後、相続人は相続放棄をすることができます。

相続放棄には、3か月の期限があります。

相続があったことを知ってから3か月以内に、家庭裁判所に対して相続放棄の申立てをします。

(7)相続税申告が必要になる

失踪宣告を受けた人の財産規模が一定以上である場合、相続税申告が必要になります。

⑤失踪宣告による相続手続でも手続方法は変わらない

(1)相続人全員の協力が必要

失踪宣告を受けた人は死亡扱いがされるから、相続が開始します。

相続手続は、相続人全員の協力で進めます。

相続人全員の協力がないと相続手続が進められないのは、通常の相続と同様です。

失踪宣告による相続は、相続人が複雑になりがちです。

慎重に確認して、相続人全員の協力を得ます。

通常の相続も失踪宣告による相続も、相続人全員の協力が必要です。

(2)必要書類は同じ

相続手続では、たくさんの書類を準備する必要があります。

通常の相続と失踪宣告による相続で、必要書類にちがいはありません。

失踪宣告による相続であることを理由として、特別な書類を準備する必要はありません。

(3)手続方法は全部同じ

失踪宣告による相続手続でも、手続方法にちがいはありません。

通常の相続も失踪宣告による相続も、同じ手続き方法です。

(4)ちがいは戸籍の記載内容だけ

通常の相続手続をする場合、戸籍に死亡が記載されている必要があります。

失踪宣告による相続手続をする場合、戸籍に失踪宣告が記載されている必要があります。

戸籍に失踪宣告が記載されていないと、相続手続を進められなくなります。

通常の相続と失踪宣告による相続のちがいは、戸籍の記載内容だけです。

3失踪宣告後は死亡届でなく失踪届

①失踪届提出で戸籍に記載される

失踪宣告は、家庭裁判所の審判です。

家庭裁判所が失踪宣告の審判をした後、審判が確定しても市区町村役場に連絡されることはありません。

失踪宣告の審判が確定した後に、失踪宣告の申立人は市区町村役場に届出が必要です。

失踪届とは、失踪宣告の審判が確定した後に市区町村役場に提出する届出です。

失踪届には、失踪宣告の審判書と確定証明書を添付します。

失踪届が受理されることで、失踪宣告がされたことが戸籍に記載されます。

失踪宣告が記載された戸籍謄本を提出することで、生死不明の人が法的に死亡した取り扱いがされることを証明できます。

戸籍には次のように記載されます。

【死亡とみなされる日】令和〇年〇月〇日

【失踪宣告の裁判確定日】令和〇年〇月〇日

【届出日】令和〇年〇月〇日

【届出人】親族 ○○○○

②失踪届は行方不明者届(捜索願)とは別物

失踪届は、失踪宣告の審判が確定した後に市区町村役場に提出する届出です。

市区町村役場は、失踪届を受理したら失踪宣告がされたことを戸籍に記載します。

失踪届を出しても、市区町村役場が生死不明の人を探してくれることはありません。

失踪届は、死亡と扱ってもらうための届出だからです。

生死不明の人を探してもらいたい場合、警察へ行方不明者届を提出します。

行方不明者届は、以前は捜索願と呼んでいました。

失踪届と行方不明者届(捜索願)は、まったく別の届出です。

4帰って来たら失踪宣告は取消

①生存が判明しても自動で失踪宣告は取消されない

長期間行方不明であっても、新天地で元気に生きていることがあります。

失踪宣告がされても、本人は何も困らず元気に生きているかもしれません。

何らかの手続のために戸籍謄本などを取得すると、失踪宣告がされていることに気が付きます。

失踪宣告がされた人の生存が判明しても、自動で失踪宣告は取消されません。

失踪宣告がされた人の生存が判明したら、家庭裁判所に対して失踪宣告取消の申立てをします。

失踪宣告が取消されると、死亡扱いもなくなります。

②失踪宣告取消で財産は返還

失踪宣告によって財産を受け取った人は、失踪宣告の取消で財産を返還する必要があります。

例えば、次の財産を受け取った場合、返還が必要です。

・生命保険の死亡保険金

・相続財産

・遺族年金

財産を受け取った人が行方不明の人が生きていることを知っていても知らなくても、返還義務があります。

返還する財産は、現に利益を受けている限度と考えられています。

現に利益を受けている限度とは、返還時点でその者の財産状態の中に残っている利得です。

例えば、受け取った財産を生活費として費消したら、生活費相当額の利益を受けていると言えます。

生活費相当額を返還する必要があります。

5生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続人が行方不明であることは、割とよくあることです。

行方不明の相続人がいると、相続手続を進めることができません。

相続が発生した後、困っている人はたくさんいます。

自分たちで手続しようとして、挫折する方も少なくありません。

困っている遺族はどうしていいか分からないまま、途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。

相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

公正証書遺言作成前に知る包括遺贈の影響

2026-06-08

1包括遺贈とは割合を指定して遺贈すること

①遺言書を作成して遺贈ができる

遺贈とは、遺言書を作成して相続人や相続人以外の人に財産を引き継ぐことです。

遺贈と相続は、別の制度です。

被相続人は遺言書を作成して、だれに引き継いでもらうのか自由に決めることができます。

遺言書なしで、遺贈はできません。

②包括遺贈と特定遺贈

遺贈をする場合、包括遺贈と特定遺贈があります。

包括遺贈とは、遺言書に、「財産すべてを包括遺贈する」「財産の2分の1を包括遺贈する」と割合だけ書いて財産を具体的に書いてない場合です。

特定遺贈とは、遺言書に、「財産〇〇〇〇を遺贈する」と財産を具体的に書いてある場合です。

③相続人以外の人に財産を引き継ぐことができる

相続人に財産を引き継ぐ場合、相続させると書くことがほとんどです。

必然的に、遺贈で財産を引き継ぐのは相続人以外の人が多くなります。

相続人になる人は、法律で決められています。

相続人以外の人は、相続することができません。

遺言書を作成すれば、相続人以外の人にも遺贈することができます。

例えば、次の人に遺贈することができます。

・事実婚・内縁の配偶者

・同性婚のパートナー

・配偶者の連れ子

・経営していた会社

・国、都道府県や市町村などの自治体、慈善事業

相続人以外の人に財産を引き継ぎたい場合、遺贈を選択することになります。

2公正証書遺言作成前に知る包括遺贈の影響

①相続人に生じる包括遺贈の影響

(1)相続人が受け取る財産が減る

遺言書で包括遺贈をすると、指定された割合の財産が指定された人に引き継がれます。

包括遺贈をする場合、財産すべてと指定することができます。

遺言書に「財産すべてを包括遺贈する」と書いてある場合、相続人は原則として財産を引き継げません。

(2)全部包括遺贈なら遺産分割協議不要

包括遺贈をする場合、遺言書では具体的な財産を指定しません。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方を決めるため相続人全員でする話し合いです。

包括遺贈をした場合、包括遺贈を受けた人も遺産分割協議に参加するのが原則です。

遺言書で「財産の2分の1を包括遺贈する」などと割合が指定されている場合、遺産分割協議に参加します。

実務で割合が指定されていることは、ほとんどありません。

遺言書に「財産すべてを包括遺贈する」と書いてある場合、遺産分割協議は不要です。

相続財産の分け方を決める余地がないからです。

(3)遺言書を作成するだけで遺留分は奪えない

遺留分とは、相続人に認められた最低限の権利です。

被相続人に近い関係の相続人に認められます。

具体的には、配偶者、子ども、親などの直系尊属に認められます。

兄弟姉妹は相続人になっても、遺留分は認められません。

遺言書で全部包括遺贈をした場合、相続人の遺留分を侵害する可能性があります。

配分された財産が遺留分に満たない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分侵害額請求があると、相続人と包括遺贈を受けた人の間でトラブルになります。

トラブルを防止するため、相続人の遺留分に配慮することが重要です。

②受遺者に生じる包括遺贈の影響

(1)プラスの財産とマイナスの財産の両方を承継

特定遺贈では、遺言書で指定された財産のみを引き継ぎます。

遺言書で指定された財産以外は、引き継ぎません。

包括遺贈では、遺言書で指定された割合で財産を引き継ぎます。

遺言書で指定された割合で、プラスの財産を引き継ぎます。

遺言書で指定された割合で、マイナスの財産を引き継ぎます。

遺言書で財産すべて引き継ぐ場合、マイナスの財産もすべて引き継ぎます。

(2)連帯保証債務も引き継ぐ

連帯保証債務は、相続財産のひとつです。

被相続人が連帯保証人である場合、連帯保証人の地位が引き継がれます。

連帯保証人とは、債務者が借金の返済ができないときに肩代わりをする人です。

連帯保証債務とは、肩代わりの義務です。

遺言書で財産すべて引き継ぐ場合、連帯保証債務もすべて引き継ぎます。

(3)全部包括遺贈なら遺産分割協議不要

包括遺贈をした場合、相続人と遺産分割協議に参加するのが原則です。

遺言書に「財産すべてを包括遺贈する」と書いてある場合、遺産分割協議は不要です。

相続財産の分け方を決める余地がないからです。

(4)遺留分侵害額請求を認めない遺言書に効力はない

配分された財産が遺留分に満たない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺言書を確認すると、遺留分侵害額請求を認めないと書いてあることがあります。

遺言書を作成するだけで、相続人の遺留分を奪うことはできません。

遺留分侵害額請求を認めないと書いても、効力がありません。

遺留分侵害額請求を認めない条項は、付言事項と考えられるからです。

付言事項とは、遺言書に記載してあっても法律上意味がない事項です。

遺留分侵害額請求を認めないと書いても、相続人は遺留分侵害額請求をすることができます。

(5)受遺者が先に死亡すると代襲相続ができない

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

相続人になるはずだったのに、子どもが被相続人より先に死亡することがあります。

被相続人より先に死亡した場合、相続人になるはずだった子どもの子どもが相続します。

代襲相続とは、相続人になるはずだった人が先に死亡したときに相続人になるはずだった人の子どもが相続することです。

相続人になるはずだった人が先に死亡した場合、代襲相続をすることができます。

受遺者になるはずだった人が先に死亡した場合、受遺者になるはずだった人の子どもは受遺者になりません。

受遺者は、相続が発生したときに生きていることが条件です。

遺言書の内容は、代襲相続されないからです。

3公正証書遺言作成前に遺言者が準備すること

①財産内容の共有

包括遺贈をした場合、プラスの財産とマイナスの財産の両方を承継します。

包括遺贈を検討するとき、財産内容を共有しておくことが重要です。

財産内容を共有していないと、思わぬ債務を負担することになるからです。

遺言書に包括遺贈すると書いても、包括遺贈を受ける義務はありません。

包括遺贈は、放棄することができるからです。

包括遺贈を放棄するなら、はじめから包括遺贈をしない方が賢明です。

財産内容を開示して、包括受遺者となる人と情報共有をします。

②遺言執行者の選任

遺言書は、作成するだけでは意味がありません。

遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。

遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者を指名しなくても、遺言書は無効になりません。

遺言書を作成するとき、遺言執行者を指名することがおすすめです。

遺言書の内容を確実に実現する場合、遺言執行者は欠かせません。

遺言執行者がいないと、相続人全員の協力が必要になるからです。

遺言書の内容に不満がある場合、相続人は相続手続に協力してくれません。

不満がなくても相続人にはメリットがないから、相続手続への協力は先延ばしします。

相続人が書類の押印や印鑑証明書の提出に協力しないと、相続手続が進められなくなります。

遺言執行者がいれば、包括受遺者と遺言執行者の協力で内容実現をすることができます。

③相続人の遺留分に配慮する

遺言書を作成するだけで、相続人の遺留分を奪うことはできません。

遺留分は、相続人に認められた最低限の権利です。

相続人の遺留分を侵害する遺言書を作成することは、おすすめできません。

遺留分侵害額請求があると、相続人と包括遺贈を受けた人の間でトラブルになるからです。

わざわざ、トラブルになる遺言書を作成する必要はありません。

相続人の遺留分に配慮した遺言書を作成すれば、トラブルを防止することができます。

相続人が兄弟姉妹や甥姪である場合、財産すべて包括遺贈をしても遺留分侵害額請求をすることはできません。

兄弟姉妹や甥姪には、遺留分が認められないからです。

④公正証書遺言を作成すべき理由

理由(1)自筆証書遺言は厳格な書き方ルール違反で無効になりやすい

遺言書を作成する場合、自筆証書遺言か公正証書遺言を作成することがほとんどです。

自筆証書遺言は、遺言者が自分で書いて作る遺言書です。

ひとりで作ることができるから、手軽です。

公正証書遺言は、遺言内容を公証人に伝え公証人が書面に取りまとめて作る遺言書です。

証人2人に、確認してもらって作ります。

遺言者が法律に詳しいことは、あまりないでしょう。

厳格な書き方ルールに違反すると、遺言書が無効になります。

遺言書が無効になると、遺言書の内容も無効になります。

理由(2)自筆証書遺言は無効の疑いに反論できない

自筆証書遺言は、無効になりやすい遺言書です。

無効と疑われる主な理由は、次のとおりです。

・遺言者が詐欺や強迫にあっていた

・遺言者が認知症で遺言能力がなかった

・遺言書が偽造変造されている

自筆証書遺言は、受遺者が疑いを晴らすことができません。

遺言者がひとりで作るからです。

遺言書が無効になると、遺言書の内容も無効になります。

無効の遺言書で、相続手続をすることできません。

無効の疑いがある遺言で相続手続をすると、相続手続先がトラブルに巻き込まれます。

トラブルに巻き込まれることを回避するため、相続手続先は相続手続を保留します。

有効な遺言書があっても、事実上、相続手続ができなくなります。

受遺者は、無効の疑いを晴らす証拠を用意できないからです。

理由(3)公正証書遺言は確実

公正証書遺言は、公証人が関与して作成します。

公証人が本人確認をしたうえで、本人の意思確認をします。

公証人は本人の意思確認の過程で、遺言者本人の遺言能力を確認しています。

遺言能力を喪失していると判断した場合、公正証書遺言を作成しません。

詐欺や強迫の影響を排除するため、利害関係人は同席することができません。

公証人が適正に職務を行っているか、証人2人が見守っています。

公証人と証人2人が関与するから、公正証書遺言作成の透明性が確保されます。

公正証書遺言には、高い信頼性があります。

4遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書は、被相続人の意思を示すものです。

自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。

実は、民法に遺言書を作ることができるのは15歳以上と定められています。

死期が迫ってから、書くものではありません。

遺言書は被相続人の意思を示すことで、家族をトラブルから守るものです。

遺贈とは、遺言によって相続人や相続人以外の人に、財産を引き継ぐものです。

遺贈は簡単に考えがちですが、思いのほか複雑な制度です。

遺言執行には、法的な知識が必要になります。

遺言の効力が発生したときに、遺言執行者からお断りをされてしまう可能性があります。

遺言書の内容によっては、遺言執行者を家庭裁判所に決めてもらう必要があります。

遺言書の内容に納得していない相続人がいる場合、財産を引渡そうとしないこともあります。

家族をトラブルから守ろうという気持ちを実現するために、せっかく遺言書を書くのですから、スムーズな手続を実現できるように配慮しましょう。

お互いを思いやり幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

再婚後の相続で直面する制度の現実

2026-06-07

1再婚後の相続で相続人の範囲に直面する

①相続人は心理的な家族観とは無関係な現実

被相続人に再婚歴がある場合、相続トラブルになりがちです。

被相続人の配偶者は、必ず相続人になります。

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

相続人になる人は、法律で決められています。

相続人の範囲は、家族の認識で決まるものではありません。

再婚配偶者にとって、前婚の子どもは家族の認識が持てないでしょう。

前婚の子どもにとって、再婚配偶者は家族の認識が持てないでしょう。

当事者の心理的な家族観とは無関係に、相続で相続人の範囲に直面します。

②配偶者と子どもは両方とも大切な家族

被相続人が再婚した場合、配偶者は大切な家族です。

前婚に子どもがいる場合、前婚の子どもは大切な家族です。

被相続人にとって、配偶者も子どもも同じ家族です。

大切な家族と思っているから、分かってくれるはずと思っています。

配偶者と前婚の子どもに、血縁関係はありません。

もちろん被相続人の生前は、日常生活が成り立っているでしょう。

問題のタネはあっても、あいまいに日常生活を続けることができます。

あいまいな平穏は、相続が発生していないから成り立っているだけです。

生前はトラブル回避を優先していても、相続で相続人の範囲に直面します。

③配偶者の連れ子は相続人にならない

被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。

被相続人の配偶者に、連れ子がいることがあります。

配偶者の連れ子は、被相続人の子どもではありません。

被相続人が再婚しても、配偶者の子どもは被相続人の子どもになりません。

配偶者の連れ子は、相続人ではありません。

配偶者の連れ子は、配偶者にとって家族です。

配偶者にとって家族なのに、相続人になれないことを不合理に感じがちです。

当事者の心理的な家族観とは無関係に、相続人は決められています。

④養子縁組で親子になる

養子縁組とは、血縁関係による親子関係の他に、法律上の親子関係を作る制度です。

養子縁組をすると、養親と養子は親子になります。

養子は養親の子どもだから、養親に相続が発生したら相続人になります。

被相続人が生前に配偶者の連れ子と養子縁組をすることがあります。

被相続人が配偶者の連れ子と養子縁組をした場合、配偶者の連れ子は被相続人の子どもです。

被相続人の子どもだから、被相続人に相続が発生したら相続人になります。

前婚の子どもにとって、被相続人の養子は家族の認識が持てないでしょう。

当事者の心理的な家族観とは無関係に、相続で相続人の範囲に直面します。

2再婚後の相続で遺産分割協議の現実に直面する

①遺産分割協議成立には相続人全員の合意が必要

相続が発生したら、相続財産は相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話し合いです。

遺産分割協議成立には、相続人全員の合意が必要です。

一部の相続人を含めずに合意しても、遺産分割協議は成立しません。

②家族の認識を持てなくても協力が必要

再婚後の相続では、次の人が登場します。

・配偶者

・前婚の子ども

・再婚相手との子ども

・再婚相手の連れ子

それぞれの人に、それぞれの思惑があります。

法律上の立場が異なる人が混在し、利害が衝突します。

各当事者によって家族の範囲は、異なります。

遺産分割協議には相続人全員の合意が必要だから、相続人全員の協力が必要です。

たとえ家族の認識を持てなくても、相続人全員の協力なしに手続を進めることができません。

家族の認識を持てなくても、遺産分割協議成立のため協力が必要になる現実に直面します。

③相続財産が一覧化される

相続手続にあたって、相続財産が一覧化されます。

再婚した人は、夫婦で財産情報を共有するでしょう。

親子で財産情報を共有することはあまりありません。

配偶者は財産情報を知っているのに、前婚の子どもは何も知らされていないことになります。

相続が発生すると、相続財産が可視化されます。

前婚の子どもがイメージした財産状況と大きく異なると、不信感を募らせます。

財産が取られた奪われたなど認識が発生します。

相続財産が一覧化されると、相続人間に不信感が発生する現実に直面します。

④遺産分割協議では家族の貢献が評価対象になる

遺産分割協議では、被相続人に対する家族の貢献が議題に上ります。

生前の関係性の不均衡が法的な主張として可視化されます。

再婚した人が日常生活に不自由すると、同居する配偶者が介護などを担うでしょう。

前婚の子どもは、介護などに関与しないことがあります。

介護などに関与しなくても、相続人として主張するでしょう。

介護の不公平が遺産分割の場面で、強い対立を生みます。

家族の貢献が評価対象になるから、強い対立が発生する現実に直面します。

⑤自宅の分け方で利害が衝突する

相続財産の大部分が自宅である場合、遺産分割協議は難航しがちです。

自宅は、分けにくい財産の代表例だからです。

配偶者にとって、自宅は住む場所であり生活基盤です。

自宅を失うことは、住む場所を失うことに直結します。

前婚の子どもにとって、自宅は最大の財産的価値です。

自宅を失うことは、相続で財産を失うことに直結します。

配偶者が自宅を取得したいのなら、前婚の子どもに代償金を払う必要があるでしょう。

前婚の子どもが自宅を取得したいのなら、配偶者に代償金を払う必要があるでしょう。

どちらも代償金を準備できないなら、自宅を売却することが選択肢になります。

遺産分割協議成立には、相続人全員の合意が必要です。

自宅の分け方で利害が衝突するから、遺産分割協議が成立させられない現実に直面します。

⑥配偶者が取得した財産は配偶者の財産

被相続人にとって、配偶者も子どもも同じ家族です。

配偶者と前婚の子どもに、血縁関係はありません。

自宅を配偶者が取得した後は、自宅は配偶者の財産です。

配偶者が死亡した後は、配偶者の連れ子などの血縁関係者が相続します。

配偶者と前婚の子どもに血縁関係はないから、前婚の子どもは相続人になりません。

もともと被相続人の財産であっても、前婚の子どもが相続することはできません。

配偶者が死亡した後のことを考えると、配偶者が自宅を取得することに同意できなくなります。

⑦遺言書で遺贈は現実的ではない

遺言書で遺贈をする約束をすることを条件として、自宅を配偶者が取得することが考えられます。

遺贈とは、遺言書を作成して相続人や相続人以外の人に財産を引き継ぐことです。

配偶者が遺言書を作成して、前婚の子どもに自宅を遺贈することができます。

前婚の子どもは相続人になることはできなくても、遺贈を受けることができます。

遺贈を条件にして、自宅を配偶者が取得する案は現実的ではありません。

いったん遺言書を作成しても、遺言書は書き直しができるからです。

前婚の子どもに遺贈すると遺言書を作成しても、いつでも書き直しができます。

前婚の子どもに遺贈すると遺言書を作成しても、前婚の子どもの同意なく書き直しができます。

書き直しをしない約束に、効力はありません。

書き直しをしない約束を無視して、書き直しができます。

遺言書は、遺言者の意思が重視されるからです。

遺言書で遺贈をする約束をして自宅の取得を希望するのは、現実的ではありません。

3遺言書作成で現実に直面することを回避できる

①遺言書があれば遺言書どおりに遺産分割ができる

(1)遺言書で遺産分割の方法を指定できる

遺言書を作成して、財産をだれに引き継ぐか決めておくことができます。

遺言書があれば、遺言書のとおりに遺産分割をすることができます。

遺産分割協議で財産の分け方を決める必要がなくなります。

(2)遺言書を作成するだけで遺留分を奪うことはできない

遺留分とは、相続人に認められた最低限の権利です。

被相続人に近い関係の相続人に、認められます。

遺言書を作成して、自分の財産をだれに受け継がせるかは自由に決めることができます。

遺言書を作成するだけで、相続人の遺留分を奪うことはできません。

遺留分には、相続人の生活保障の意味があるからです。

相続人の生活保障なのに、一方的に奪うことは許されません。

(3)遺留分侵害額請求を認めない遺言書に効力はない

遺言書で遺留分侵害額請求を認めないと書くことがあります。

遺留分は、相続人に認められた最低限の権利です。

遺言書を作成するだけで、相続人の遺留分を奪うことはできません。

遺言書には、法律上意味がないことを書くことができます。

遺留分侵害額請求を認めないと書いてある場合、法律上の意味がない条項と考えられます。

遺留分侵害額請求を認めないと書いてあっても、遺留分侵害額請求をすることができます。

(4)配偶者居住権は万能ではない

配偶者居住権とは、被相続人が死亡した後も配偶者が自宅に住み続けられるようにするための権利です。

配偶者居住権を設定したうえで、自宅は前婚の子どもに相続させることができます。

配偶者居住権を設定すると、自宅を相続しなくても配偶者は自宅に住み続けることができます。

配偶者居住権は、万能ではありません。

配偶者は、配偶者居住権を第三者に譲渡することができません。

前婚の子どもは、配偶者居住権の負担がある自宅を第三者に譲渡することができません。

配偶者居住権を設定すると、配偶者と前婚の子ども両方に大きな制約を負わせることになります。

②遺言書で遺言執行者を指名

遺言書は、作成するだけでは意味がありません。

遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。

遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者がいると、遺言者にとって有益です。

遺言書の内容を確実に実現してくれるからです。

遺言執行者がいると、相続人にとって有益です。

手間と時間がかかる相続手続をおまかせできるからです。

③安全確実な公正証書遺言で作成

遺言書を作成する場合、自筆証書遺言か公正証書遺言を作成することがほとんどです。

自筆証書遺言とは、遺言者が自分で書いて作る遺言書です。

公正証書遺言とは、遺言内容を公証人に伝え公証人が書面に取りまとめる遺言書です。

公証人は、法律の専門家です。

法律の専門家が関与するから、書き方ルールの違反などで無効になることがほとんどありません。

自筆証書遺言は、不備があることに気が付けません。

費用をかけてでも、安全確実な公正証書遺言で作成がおすすめです。

公正証書遺言の費用は、遺言書の安全を確保する対価だからです。

遺言書が無効になると、家族が現実に直面します。

4生前対策を司法書士に依頼するメリット

生前対策=相続「税」対策の誤解から、生前対策はする方はあまり多くありません。

争族対策として有効な遺言書ですら、死亡者全体からみると10%未満です。

対策しないまま認知症になると、家族に大きな面倒をかけることになります。

認知症になってからでは遅いのです。

元気なうちに、準備する必要があります。

大切な家族に面倒をかけないために生前対策をしたい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

遺留分侵害額請求を認めない遺言書に効力はない

2026-06-07

1遺留分は相続人の最低限の権利

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②近い関係の相続人に遺留分が認められる

遺言書を作成して、自分の財産をだれに受け継がせるかは自由に決めることができます。

財産は被相続人がひとりで築いたものではないでしょう。

家族の協力があってこそ、築くことができた財産のはずです。

被相続人の名義になっているからといって、まったく無制約の自由にすることはできません。

今まで協力してきた家族に、酷な結果となることがあるからです。

被相続人に近い関係の相続人には、相続財産に対して最低限の権利が認められています。

遺留分とは、相続財産に対して認められる最低限の権利です。

被相続人に近い関係の相続人には、遺留分が認められます。

③兄弟姉妹に遺留分は認められない

相続人のうち、遺留分が認められる人を遺留分権利者と言います。

相続人でない人は、遺留分権利者になることはありません。

遺留分権利者は、被相続人に近い関係の相続人です。

具体的には、次の人です。

(1)配偶者

(2)子ども

(3)親などの直系尊属

兄弟姉妹は相続人になりますが、遺留分権利者ではありません。

④遺留分放棄をした人に遺留分は認められない

遺留分権利者には、相続財産に対して最低限の権利が認められます。

遺留分に満たない財産の配分しか受けられない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分放棄とは、相続人自身の意思で遺留分を放棄することです。

遺留分放棄は、相続人の意思が重視されます。

遺留分放棄をすると、相続人は最低限の権利を失います。

相続が発生する前に遺留分放棄をする場合、家庭裁判所の許可の審判が必要です。

家庭裁判所の許可を得て遺留分を放棄した場合、遺留分はなくなります。

遺留分放棄をしても、相続人です。

相続人だから、相続財産を相続することができます。

遺留分放棄をすると、遺留分は認められません。

⑤廃除された相続人に遺留分は認められない

例えば、被相続人に虐待をした人に、相続をさせたくないと考えるのは自然なことでしょう。

被相続人が相続させたくないと思って、他の相続人にすべての財産を相続させると遺言書を書くことがあります。

遺言書を書くだけで、遺留分を奪うことはできません。

遺留分に満たない財産の配分しか受けられない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分侵害額請求をしたら、相続財産のいくらかは虐待した相続人が受け継いでしまいます。

相続人廃除とは、被相続人の意思で相続人の資格を奪う制度です。

相続人の資格を奪うとは、実質的には遺留分を奪うことです。

兄弟姉妹は、遺留分権利者ではありません。

兄弟姉妹を廃除する必要はありません。

兄弟姉妹に相続させたくない場合、遺言書を作成するだけで実現できるからです。

相続人が廃除された場合、代襲相続が発生します。

廃除された相続人の子どもや孫が相続します。

廃除された相続人に、遺留分は認められません。

⑥相続欠格の人に遺留分は認められない

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

同時に、民法では相続人になれない人も決められています。

例えば、被相続人を殺した人が相続することは、社会感情からみても許せない、相続する人としてふさわしくないということは納得できるでしょう。

このような相続人として許せない、ふさわしくない場合、相続人の資格が奪われます。

相続欠格とは、相続人としてふさわしくない人の相続資格を奪う制度です。

相続欠格は、被相続人の意思とは無関係に相続人の資格を奪う制度です。

裁判所などで手続があるわけでなく、当然に相続資格を失います。

相続欠格になると、遺留分も奪われます。

相続人が相続欠格になる場合、代襲相続ができます。

欠格の相続人の子どもや孫が相続します。

欠格の相続人に、遺留分は認められません。

⑦相続放棄をした人の子どもは相続しない

相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄するか選択することができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に相続放棄の申立てをします。

家庭裁判所で相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。

相続放棄が認められたら、相続することはできません。

相続放棄が認められたら、遺留分を失います。

遺留分が認められるのは、相続人だけだからです。

相続放棄をしたら、代襲相続は発生しません。

相続放棄をした人の子どもや孫は、相続しません。

2遺留分侵害額請求を認めない遺言書に効力はない

①遺言事項は法律で決まっている

遺言書には、厳格な書き方ルールがあります。

書き方ルールだけではなく、遺言書に書くことで有効になることも法律で決められています。

遺言事項とは、遺言書に書くことで有効になることです。

遺言事項は、次の事項です。

(1)財産に関すること

(2)身分に関すること

(3)遺言執行に関すること

(4)それ以外

②遺言書に効力がないことを書くことができる

遺言事項は、法律で決められています。

遺言書には、遺言事項以外のことを書くことができます。

遺言事項以外のことに、法律上の効力はありません。

実際のところ、法律上の効力がないことを書く人はたくさんいます。

家族への感謝の気持ちがあっても、言葉にしていない人がいるでしょう。

遺言書に、家族への感謝の気持ちを書くことができます。

家族仲良く幸せに暮らして欲しいなどの希望に、法律上の効力はもちろんありません。

被相続人の感謝の言葉や希望を読むと、温かな気持ちになるでしょう。

遺言書に法律上の効力がないことを書くことができます。

③付言事項で遺留分侵害額請求を認めない

遺言書を作成する場合、法律上効力があることだけでなく法律上の効力がないことを書くことができます。

付言事項とは、遺言書に書いても法律上の効力がないことです。

付言事項には、家族への感謝の気持ちや希望を書くでしょう。

遺言書で遺留分侵害額請求を認めないと書くことがあります。

遺留分は、相続人に認められた最低限の権利です。

遺言書を作成するだけで、相続人の遺留分を奪うことはできません。

遺言書に遺留分侵害額請求を認めないと書いてある場合、付言事項と考えられます。

付言事項に、法律上の効力はありません。

遺留分侵害額請求を認めない遺言書に、法律上の効力はありません。

④遺留分侵害額請求を認めない遺言書があっても請求できる

遺言書に遺留分侵害額請求を認めないと書いてある場合、付言事項と考えられます。

付言事項に法律上の効力はないから、被相続人からのお願いと言えます。

相続人は被相続人からのお願いをかなえてもいいし、お願いを拒否しても構いません。

被相続人のお願いを拒否しても、他の相続人は文句を言うことはできません。

付言事項に、法律上の効力はないからです。

遺留分侵害額請求を認めない遺言書があっても、遺留分侵害額請求をすることができます。

3遺留分を侵害する遺言書でも無効にならない

①遺留分を侵害する遺言書があっても遺留分侵害額請求ができる

遺留分とは、相続財産に対して認められる最低限の権利です。

さまざまな事情から、遺留分を侵害している遺言書が見つかることがあります。

遺留分を侵害しても、遺言書が自動で無効になるわけではありません。

遺留分を侵害する遺言書を作成するだけで、相続人の遺留分は奪われません。

相続人は遺留分侵害額請求をすることも請求しないことも、選択することができます。

遺留分権利者が遺言書の内容に納得しているのなら、遺留分侵害額請求をしないでしょう。

遺留分権利者が遺言書の内容に納得しているのに、遺言書を無効にする必要はありません。

遺留分を侵害する遺言書でも、有効な遺言書です。

遺留分を侵害する遺言書があっても、遺留分侵害額請求ができるからです。

②遺言書で廃除はハードルが高い

遺留分を侵害する遺言書を作成する場合、一部の相続人に相続させたくないことがあります。

遺留分を侵害する遺言書を作成するだけで、相続人の遺留分を奪うことはできません。

廃除された相続人に、遺留分は認められません。

遺言書で、相続人を廃除することができます。

遺言執行者が家庭裁判所に申立てをして、家庭裁判所が判断します。

遺留分は、相続人に認められた最低限の権利です。

廃除されると遺留分がなくなるから、家庭裁判所は非常に慎重に審査します。

家庭裁判所に廃除を認めてもらうには、客観的証拠が重要です。

例えば、被相続人が虐待を受けた場合、証人として家庭裁判所に虐待の頻度や内容を証言することができます。

虐待を受けた本人であれば、リアリティーがある証言ができるでしょう。

遺言執行者は、詳しい家庭内の事情を知らないでしょう。

家庭裁判所を納得させられる証拠を提出するのは、難しいでしょう。

遺言書で廃除するのは、高いハードルがあります。

③遺言書があっても遺産分割協議

遺言書の内容が大きく偏っている場合、相続人の遺留分を侵害しているでしょう。

配分された財産が遺留分に満たない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

相続人が遺留分侵害額請求をする場合、大きなトラブルになるでしょう。

相続人間でトラブルになる遺言書なのに、あえて執行してトラブルにする必要はありません。

相続人全員で相続財産の分け方を話し合った方が合理的です。

遺言書があっても、相続人全員で遺産分割協議をすることができます。

4遺留分を侵害しない遺言書がおすすめ

①遺留分放棄は強制できない

遺留分放棄をした人は、遺留分侵害額請求をすることができません。

遺留分を侵害する遺言書があった場合、相続人はがっかりするでしょう。

遺留分侵害額請求をすると、相続人間で大きなトラブルになるおそれがあります。

相続させたくない相続人に遺留分放棄をさせれば、トラブルがなくなると考えるかもしれません。

実際のところ、自称専門家は遺留分放棄をさせればいいとアドバイスしています。

遺留分放棄は、相続人の意思が重視されます。

気に入らない相続人に、遺留分放棄を強制するものではありません。

家庭裁判所が遺留分放棄の許可を判断する場合、遺留分放棄をする充分な理由があるか審査します。

遺留分放棄をする充分な理由とは、遺留分放棄に見合う充分な経済的利益を得ていることです。

充分な利益を得ていないのに遺留分放棄をするといっても、家庭裁判所は許可してくれないでしょう。

遺留分放棄は、強制することができません。

②遺留分に配慮して遺言書作成

遺言書を作成する場合、財産の分け方について書くでしょう。

さまざまな事情から、財産の配分が多少偏るのは止むを得ないでしょう。

遺留分は、相続人に認められた最低限の権利です。

遺留分を侵害する遺言書は、相続人間でトラブルになるおそれがあります。

生涯をかけて築いた財産は、家族を幸せにするためだったでしょう。

苦労して築いた財産で家族がトラブルを起こしたら、空しい苦労になります。

遺言書を作成する場合、相続人の遺留分に配慮するのがおすすめです。

5遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺留分を侵害した遺言書であっても、無条件で無効になるわけではありません。

遺言書の内容に不満のある相続人からは、無効だと主張されることが考えられます。

高齢になってから遺言書を作成した場合、認知症で判断能力が低下していたからと言われるでしょう。

遺言書が有効であれば、遺言書の内容どおりに相続手続を進めるのが原則です。

遺言書が有効か無効か争っていると、相続手続が滞ってしまいます。

遺言書作成を考えている方は、早めに取り掛かることをおすすめします。

相続人が争うことのないように、遺言書を作る方がほとんどでしょう。

家族を争族にしないために、遺言書を作ることは大切です。

認知症を疑う余地もないほど元気であるうちに、遺言書作成をすることが最善です。

遺言書など縁起でもないなどと言えるのは、元気な証拠と言えます。

まだまだ死なない!と言える今こそ遺言書作成のときです。

遺言書作成を考えている方は、早めに司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

複数の相続人から一人が相続する相続登記

2026-06-05

1複数の相続人から一人が相続できる

①相続財産は相続人全員の共有財産

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続人全員の共有財産だから、一部の相続人が勝手に独り占めすることは許されません。

一部の相続人が独り占めをしようとすると、深刻なトラブルになります。

②不動産の取得者が相続登記を申請する

登記手続は、不動産の取得者が申請します。

相続で不動産を取得する人が相続登記を申請します。

不動産の取得者と決まった後に、相続登記をします。

不動産の取得者と決まっていないのに、相続登記を申請することはできません。

③相続登記をしても不動産を取得することはできない

相続登記は、不動産の取得者が申請する手続です。

相続登記をしても、不動産を取得する効果はありません。

登記制度は、不動産の権利者を公示する制度だからです。

不動産の取得者と決まった後に、登記手続をします。

相続登記は、権利を確定する制度ではありません。

相続登記を申請したら、不動産の取得者になるのではありません。

勝手に相続登記をして、不動産を独り占めすることはできません。

権利者が登記申請をするから、登記簿に登載されます。

登記制度は、権利関係を公示する制度です。

登記制度は、権利を取得する制度ではありません。

登記制度は、権利を確定する制度ではありません。

2複数の相続人から一人が相続する相続登記

①遺言書で一人が相続する相続登記

(1)遺言書どおりに遺産分割ができる

相続人になる人は、法律で決められています。

複数の相続人がいることが一般的です。

被相続人が生前に遺言書を作成していることがあります。

遺言書を作成して、どの財産をだれに引き継ぐか決めておくことができます。

遺言書があれば、遺言書のとおりに遺産分割をすることができます。

複数の相続人から一人に、相続させることができます。

(2)遺言書で指定された人が不動産を取得

遺言書で、引き継ぐ財産と引き継ぐ人を決めておくことができます。

遺言者が死亡したときに、遺言書に効力が発生します。

遺言者が死亡したときに、遺言書で指定された人が遺言書で指定された財産を引き継ぎます。

複数の相続人から一人が指定された財産を引き継ぐことができます。

(3)遺言書で指定された人が相続登記

不動産の取得者と決まった後に、相続登記をします。

遺言書で指定された人が不動産を相続するとき、相続登記をします。

遺言書で指定された人が相続登記を申請します。

不動産の取得者と客観的証拠で認められるから、相続登記が認められます。

相続登記が認められるから、不動産の取得者になるのではありません。

(4)相続登記では遺言書を提出する

遺言書で不動産を相続した場合、遺言書を法務局へ提出します。

法務局は、提出された遺言書の記載内容を確認します。

相続登記の申請人が遺言書で相続したと主張するだけでは、法務局は通しません。

遺言書に適切に記載されていないと、内容不明確で登記できないと判断されます。

不動産の取得者であるか、法務局が厳しく審査します。

(5)遺言執行者が相続登記を申請

遺言書は作成するだけでは、意味がありません。

遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。

遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書を作成するとき、遺言執行者を指名することができます。

遺言書の内容を実現するため、遺言執行者は相続登記をすることができます。

②遺産分割協議で一人が相続する相続登記

(1)遺産分割協議には相続人全員の協力が必要

相続が発生したら、相続財産は相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話し合いです。

相続人全員の合意がまとまったら、遺産分割協議は成立します。

遺産分割協議には、相続人全員の協力が必要です。

(2)遺産分割協議で定められた人が不動産を取得

相続財産に不動産が含まれている場合、不動産の取得者は遺産分割協議で決定します。

遺産分割協議で定められた人が不動産を取得します。

複数の相続人から一人が指定された財産を引き継ぐことができます。

(3)遺産分割協議で定められた人が相続登記

相続人全員の合意がまとまったら、遺産分割協議は成立します。

遺産分割協議で定められた人が不動産を取得します。

相続登記は、権利を確定する制度ではありません。

相続登記は、不動産を取得する人が申請します。

不動産を取得する人が一人である場合、一人で相続登記を申請します。

一人で相続登記を申請したから、一人で不動産を取得したのではありません。

遺産分割協議で不動産を相続すると合意できたから、相続登記を申請します。

(4)相続登記に遺産分割協議書を提出する

相続人全員の合意がまとまったら、合意内容を書面に取りまとめます。

遺産分割協議書とは、相続人全員による合意内容の証明書です。

合意内容に間違いがないか、相続人全員に確認してもらいます。

問題がなければ、相続人全員が記名し実印で押印をします。

遺産分割協議書の押印が実印によるものであることを確認するため、印鑑証明書を添付します。

法務局は、遺産分割協議書と印鑑証明書を慎重に審査します。

遺産分割協議書の印影と印鑑証明書の印影にちがいがないか、厳重にチェックします。

相続登記の申請人が相続人全員が合意したと主張するだけでは、法務局は通しません。

相続人全員であるのか、戸籍謄本で確認します。

一部の相続人を含めずに合意しても、無効の合意だからです。

(5)相続人全員の合意がないと遺産分割協議は成立しない

一部の相続人を含めずに、遺産分割協議を成立させることはできません。

たとえ協力しない相続人がいても、相続人全員の合意が必要です。

相続人だけで話し合いが難しい場合、家庭裁判所の遺産分割調停を利用することができます。

たとえ行方不明の相続人がいても、相続人全員の合意が必要です。

行方不明の相続人の代わりに、不在者財産管理人が遺産分割協議に参加します。

たとえ認知症の相続人がいても、相続人全員の合意が必要です。

認知症の相続人の代わりに、成年後見人が遺産分割協議に参加します。

相続人全員の合意がないと、遺産分割協議は成立しません。

③他の相続人全員が相続放棄で一人が相続する相続登記

(1)相続放棄は家庭裁判所の手続

相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄の申立てをします。

家庭裁判所で相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。

(2)子ども全員が相続放棄をしたら次順位相続人

家庭裁判所で相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。

被相続人の子どもが相続放棄をしたら、子どもは相続人でなくなります。

被相続人の子ども全員が相続放棄をしたら、子どもがいない場合になります。

被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属が相続人になります。

親などの直系尊属が先に死亡していた場合、兄弟姉妹が相続人になります。

子ども全員が相続放棄をしたら、次順位の人が相続人になります。

(3)相続登記に相続放棄申述受理通知書を提出する

他の相続人全員が相続放棄をしたら、一人が不動産を取得します。

不動産を取得する相続人が相続登記をします。

相続登記では、他の相続人全員の相続放棄申述受理通知書を添付します。

法務局は、提出された相続放棄申述受理通知書の記載内容を確認します。

相続登記の申請人が他の相続人が相続放棄をしたと主張するだけでは、法務局は通しません。

不動産の取得者であるか、法務局が厳しく審査します。

(4)相続放棄を強制することはできない

相続を単純承認するか相続放棄をするか、相続人が自分で判断します。

他の相続人が相続放棄を強制することはできません。

家庭裁判所は、相続人本人の意思であるか慎重に確認します。

3法定相続で複数の相続人から一人が相続登記

①遺産分割協議中は相続人全員が共有している

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

遺産分割協議は、相続財産の分け方について相続人全員でする話し合いです。

相続人全員による合意がまとまるまで、相続人全員が相続財産を共有しています。

相続人全員が法定相続分で、共有していると言えます。

②法定相続分で共有する相続登記ができる

登記制度は、権利関係を公示する制度です。

遺産分割協議中で相続人全員が共有していることを公示することができます。

法定相続分で相続人全員が共有する相続登記をすることができます。

法定相続分で相続人全員が共有する相続登記をしても、遺産分割協議に影響はありません。

登記簿に記録されても、遺産分割協議中のままです。

遺産分割協議で、不動産の取得者を決めることができます。

③相続人の一人が法定相続で相続登記を申請できる

法定相続分で相続人全員が共有する相続登記は、一部の相続人のみで申請することができます。

他の相続人の同意がなくても、一部の相続人のみで申請することができます。

④勝手に相続登記をしても独り占めはできない

一部の相続人のみで申請しても、独り占めはできません。

一部の相続人のみで申請しても、相続人全員が登記名義人です。

相続登記をした人が不動産の所有者になることはありません。

登記制度は、権利関係を公示する制度だからです。

一部の相続人のみで申請しても、他の相続人を排除することはできません。

相続登記は、独り占めのための制度ではないからです。

⑤法定相続で相続登記をするデメリット

デメリット(1)権利証が発行されない

権利証は、登記名義人が申請人であるときだけ発行されます。

一部の相続人が法定相続分で相続人全員が相続する相続登記を申請した場合、他の相続人に権利証が発行されません。

権利証が発行されなくても、他の相続人は不動産の権利者です。

不動産を売却する場合、権利証が必要になります。

不動産を売却する場合に、他の相続人とトラブルになります。

デメリット(2)申請人が登録免許税全額負担

相続登記をする場合、登録免許税を納めます。

一部の相続人が法定相続分で相続人全員が相続する相続登記を申請する場合、申請人が登録免許税全額を負担します。

申請人の持分にあたる登録免許税だけにする制度は、ありません。

デメリット(3)遺産分割協議成立後に更正登記

遺産分割協議で不動産を取得する人が決まったら、更正登記を申請する必要があります。

結局のところ、二度手間になります。

4相続人申告登記で名義変更はできない

①相続人申告登記はペナルティー回避の制度

令和6年(2024年)4月1日から、相続登記をする義務が課されました。

相続登記の期限は、3年です。

相続登記の期限までに相続登記の義務を履行しないと、ペナルティーの対象になります。

相続人申告登記は、ペナルティー回避の制度です。

相続登記ができなくても相続人申告登記をすれば、ペナルティーを回避することができます。

②複数の相続人から一人が相続人申告登記

複数の相続人がいても、一人が相続人申告登記をすることができます。

相続登記の義務は、相続人全員に課されています。

他の相続人が協力しなくても、相続人申告登記をして自分の義務を履行することができます。

相続人申告登記で義務を履行すれば、相続人申告登記をした人はペナルティーを回避できます。

③相続人申告登記をしても相続登記

相続人申告登記は、ペナルティー回避の効果があるだけです。

相続人申告登記をしても、不動産を取得することはできません。

不動産を取得する人は、あらためて相続登記をする必要があります。

相続登記をするから、不動産を取得できるのではありません。

不動産を取得すると決まった後に、相続登記を申請します。

相続人申告登記をしても相続登記をしても、不動産を取得することはできません。

5相続登記を司法書士に依頼するメリット

大切な家族を失ったら、大きな悲しみに包まれます。

やらなければいけないと分かっていても、気力がわかない方も多いです。

相続手続は一生のうち何度も経験するものではないでしょう。

だれにとっても不慣れで、手際よくできるものではありません。

相続登記は、相続手続の中でも手間がかかる難しい手続です。

相続登記は難しい手間がかかる手続なので、司法書士などの専門家に依頼するでしょう。

相続手続で挫折しがちなのは、戸籍謄本などの書類収集や遺産分割協議書の作成です。

書類収集や遺産分割協議書の作成は、司法書士に依頼することができます。

司法書士が戸籍謄本や遺産分割協議書を準備したうえに、法務局の厳重な審査をします。

法務局の審査が通った戸籍謄本や遺産分割協議書だから、銀行などの相続手続先で指摘があることはありません。

銀行などの独自書類の内容などに指摘があるとしても、簡単に済むことがほとんどでしょう。

相続手続をスムーズに進めたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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