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不在者財産管理人選任の申立ての方法

2026-05-27

1不在者財産管理人が行方不明者の財産管理をする

①不在者財産管理人制度は生きている扱いが続く

不在者財産管理人とは、行方不明者の財産を管理する人です。

不在者財産管理人制度を利用しても、行方不明者は生きている扱いのままです。

死亡扱いにしなくて済むから、家族の心理的抵抗が少なく済みます。

②不在者財産管理人は不利益な財産管理はできない

不在者財産管理人は、行方不明者のために財産管理をする人です。

行方不明者のためにとは、行方不明者に不利益な財産管理ができないという意味です。

不在者財産管理人は、家族の希望通りに財産を動かすことができません。

不在者財産管理人には、善管注意義務があるからです。

不在者財産管理人は、家族の代理人ではありません。

たとえ家族が望んでも、行方不明者に不利益な財産管理は許されません。

たとえ家族が不在者財産管理人に選任されても、不利益な不利益な財産管理はできません。

不在者財産管理人は、公的な立場だからです。

不在者財産管理人は、適切な財産管理を行っているか家庭裁判所の監督を受けます。

2不在者財産管理人選任の申立ての方法

①不在者財産管理人選任の申立ての条件

条件(1)行方不明であること

不在者財産管理人選任の申立ての対象になるのは、行方不明者です。

行方不明者とは、従来の住所や居所を去り、容易に戻る見込みがない人です。

客観的に、帰ってくる見込みが分からないことが重要です。

具体的には、次の人について不在者財産管理人選任の申立てをすることができます。

・家を出たまま数年単位で消息不明

・住民票上の住所があるが居住実態がない、連絡が取れない

・連絡不能で所在が全く分からない

・海外に転出後、所在不明で連絡が取れない

・住民票が職権消除されている

単に連絡を拒否しているだけの人に、不在者財産管理人選任の申立てをすることはできません。

条件(2)財産管理人が置かれていないこと

不在者財産管理人制度は、財産管理をする人がいないときの補充制度です。

行方不明者に財産管理人がいる場合、不在者財産管理人制度を利用する必要はありません。

行方不明者に任意後見人がいる場合、任意後見人が財産管理をしているはずです。

行方不明者に成年後見人がいる場合、成年後見人が財産管理をしているはずです。

行方不明者に任意財産管理人がいる場合、任意財産管理人が財産管理をしているはずです。

財産管理をする人がいる場合、不在者財産管理人選任の申立てをすることはできません。

②不在者財産管理人選任の申立てをする典型的ケース

・遺産分割協議ができない

・預貯金の口座凍結解除ができない

・不動産の売却ができない

・不動産の管理費や維持費がかさむ

③申立てができる人は利害関係人のみ

(1)遺産分割協議のために他の相続人が申立て

相続人に行方不明者がいると、遺産分割協議を成立させることができなくなります。

遺産分割協議を成立させるため、他の相続人は不在者財産管理人選任の申立てをすることができます。

(2)不動産売却で家族が申立て

行方不明者の推定相続人は、法律上の利害関係があると考えられます。

推定相続人とは、将来行方不明者が死亡したときに相続人になる予定の人です。

推定相続人によって、行方不明者の財産は将来相続する予定の財産です。

行方不明者の財産が減少すると、将来相続する予定の財産が減少すると言えます。

(3)共有物の処分のため他の共有者が申立て

一部の共有者が行方不明になると、共有物を処分することができなくなります。

共有物の処分には、共有者全員の合意が必要だからです。

(4)債権債務の実現のため債権者と債務者

行方不明者が財産を残したまま、返済を滞らせていることがあります。

債権者は債権の実現のため、不在者財産管理人選任の申立てをすることができます。

返済を受けないまま行方不明になり、債務者が返済できないことがあります。

債務者は正当な弁済をすることで、債務から解放されることができます。

家族以外であっても利害関係人であれば、不在者財産管理人選任の申立てをすることができます。

④申立先

不在者財産管理人選任の申立先は、行方不明者の住所地を管轄する家庭裁判所です。

家庭裁判所の管轄は、裁判所のホームページで調べることができます。

⑤費用

(1)手数料

手数料は、800円です。

申立書に収入印紙800円分を貼り付けて、納入します。

(2)連絡用郵便切手

裁判所が手続で使う郵便切手を予納します。

裁判所によって予納する郵便切手の額面や枚数が決められています。

例えば、名古屋家庭裁判所では、次のとおりです。

・350円 5枚

・110円 20枚

・10円 20枚

合計 3050円

(3)予納金

行方不明者の財産管理に必要な費用は、行方不明者の財産から支出されます。

行方不明者の財産内容によっては、費用に不足が出ることが考えられます。

予納金とは、不在者財産管理人が円滑に事務を行うように納付する金銭です。

申立後に、家庭裁判所から予納金を納付するように指示されます。

事案によっては、100万円程度になります。

不在者財産管理人の任務が終了した時点で余りがあれば、返還されます。

⑥申立てに必要な書類

(1)不在者財産管理人選任の申立書

不在者財産管理人選任の申立書は、家庭裁判所のホームページからダウンロードすることができます。

司法書士などの専門家に依頼する場合、専門家が準備します。

(2)行方不明者の戸籍謄本

行方不明者の実在を証明するために、提出します。

行方不明者の本籍地の市区町村役場で、取得します。

配偶者や直系血族は、戸籍謄本の広域交付を利用することができます。

(3)行方不明者の住民票または戸籍の附票

最後の住所の特定するために、提出します。

従来の住所を去った事実の基礎資料です。

住民票は、住民票を置く市区町村役場で取得します。

戸籍の附票は、本籍地の市区町村役場で取得します。

(4)不在者財産管理人候補者の住民票

不在者財産管理人選任の申立てにおいて、不在者財産管理人の候補者を立てることができます。

不在者財産管理人の候補者を立てても、家庭裁判所は自由に不在者財産管理人を選任することができます。

候補者を選任することも、候補者以外の専門家を選任することもできます。

不在者財産管理人の候補者の実在を証明するために、提出します。

(5)不在の事実を証する資料

●行方不明者の調査報告書

申立人の主張だけでは、不在者財産管理人を選任してもらえません。

行方不明者の調査報告書を作成して、提出します。

具体的には、次の事項を詳細に記述します。

・最後に連絡が取れた時期

・家族や友人知人に照会した結果

・郵便の返送状況

・電話やメールの状況

・警察などに相談した内容

客観的に調査を尽くしても、所在不明であることが重要です。

いつから不明か、どのような経緯で不明かを具体的に裏付けします。

●行方不明者届受理証明書

行方不明者届とは、捜索願の新しい名称です。

警察に行方不明者届を提出していた場合、受理証明書を発行してもらうことができます。

警察に行方不明者届を提出しても、警察署によっては受理証明書を発行しないことがあります。

受理証明書の発行を拒否されたことを家庭裁判所に報告します。

●職権消除された住民票または戸籍の附票

職権消除とは、その住所に居住していない場合に市区町村が本人申請なしで住民票を削除する手続です。

職権消除は、行政記録を正確に保つための措置です。

市区町村が実地調査などして、行方不明であると確認したときに職権消除をします。

職権消除された住民票は、市区町村が行方不明を確認した証明書と言えます。

●「あて所に尋ねあたりません」「転居先不明」の手紙

行方不明者に手紙を送っても、郵便は返戻されます。

差し出した郵便物に「あて所に尋ねあたりません」「転居先不明」とスタンプが押されます。

差出人に戻ってきた郵便物は、郵便局が行方不明を確認した証明書と言えます。

(6)行方不明者の財産に関する資料

●固定資産税課税明細書

不動産を持っていると、固定資産税が課されます。

課税明細書を確認すると、次のことが分ります。

・不動産の所有者

・固定資産税が課される不動産

・固定資産税評価額

不在者財産管理人が管理すべき財産が分かります。

●預貯金の通帳

金融資産が存在することを証明するため、提出します。

通帳の表紙と2ページ目、残高のページのコピーを提出します。

(7)利害関係を証する資料

●共同相続人が申し立てるケース

相続関係が分かる戸籍謄本を提出します。

●推定相続人が申し立てるケース

相続関係が分かる戸籍謄本を提出します。

●共有者が申し立てるケース

共有者であることが分る登記簿謄本を提出します。

●債権者や債務者が申し立てるケース

賃貸借契約書や金銭消費貸借契約書など、債権が分かる書類を提出します。

⑦申立てから選任されるまでの期間

不在者財産管理人選任の申立てを受付けたら、家庭裁判所で調査があります。

家庭裁判所が行方不明であることを認めたとき、不在者財産管理人が選任されます。

申立てから選任されるまでの期間は、半年程度かかります。

⑧不在者財産管理人が権限外行為の許可の申立て

不在者財産管理人の権限は、行方不明者の財産を保存管理する権限のみです。

遺産分割協議や不動産の売却は、保存管理する権限外です。

遺産分割協議や不動産の売却は、処分行為だからです。

不在者財産管理人が遺産分割協議や不動産の売却をする場合、あらためて家庭裁判所の許可が必要です。

たとえ家族が望んでも、行方不明者の相続分が確保されない遺産分割協議は許可されません。

行方不明者の相続分が確保されない遺産分割協議は、不利益な財産処分だからです。

⑨不在者財産管理人の任務は継続

遺産分割協議や不動産の売却が終了しても、不在者財産管理人の任務は継続します。

不在者財産管理人は、行方不明者の財産管理をする人だからです。

遺産分割協議や不動産の売却で取得した財産は、不在者財産管理人が管理します。

相続した財産や売却代金は、家族に渡されません。

たとえ家族が望んでも、家族に渡すと職務怠慢と評価されます。

⑩不在者財産管理人選任の流れ

手順(1)必要書類の準備

不在者財産管理人選任の申立てでは、たくさんの書類が必要になります。

手順(2)不在者財産管理人選任の申立て

不在者財産管理人選任の申立書と必要書類を取りまとめて、家庭裁判所に提出します。

窓口に出向いても、郵送でも提出することができます。

手順(3)家庭裁判所で審理

不在者財産管理人選任の申立書を受付けたら、家庭裁判所で審査します。

家庭裁判所の審査は、提出された書類の審査です。

提出書類に不足や不備がある場合、申立人に連絡があります。

その都度、速やかに対応すれば問題ありません。

手順(4)不在者財産管理人選任の審判

不在者財産管理人選任の申立てから半年ほどで、審判があります。

3失踪宣告と不在者財産管理人制度は目的がちがう

不在者財産管理人制度を利用しても、行方不明者は生きている扱いのままです。

失踪宣告は、行方不明者を死亡扱いにする手続です。

失踪宣告と不在者財産管理人制度は、目的がちがいます。

不在者財産管理人制度は、失踪宣告の代替手段ではありません。

失踪宣告の代替手段にしようとすると、家族の期待がデメリットになります。

4生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続人が行方不明であることは、割とよくあることです。

行方不明の相続人がいると、相続手続を進めることができません。

相続が発生した後、困っている人はたくさんいます。

自分たちで手続しようとして、挫折する方も少なくありません。

困っている遺族はどうしていいか分からないまま、途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。

相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

特定遺贈と包括遺贈のちがい

2026-05-25

1受遺者とは遺贈で財産を引き継ぐ人

①相続人以外の人でも財産を引き継ぐことができる

受遺者とは、遺贈によって財産を引き継ぐ人です。

受遺者は、遺言書で明確に特定する必要があります。

相続人になる人は、法律で決まっています。

法律で決められた人以外の人は、相続人になることはできません。

相続人も相続人以外の人も、遺贈を受けることができます。

②遺言書を作成して遺贈ができる

被相続人は、生前に自分の財産を自由に処分することができます。

遺言書を作成して、だれに引き継いでもらうのか自由に決めることができます。

遺贈とは、遺言書を作成して相続人や相続人以外の人に財産を引き継ぐことです。

遺言書なしで、遺贈はできません。

遺言書を作成して、遺言者の思うように財産を引き継ぐことができます。

③特定遺贈と包括遺贈

遺贈には、2種類あります。

特定遺贈と包括遺です。

特定遺贈とは、遺言書に「財産〇〇〇〇を遺贈する」と財産を具体的に書いてある場合です。

包括遺贈とは、遺言書に「財産すべてを包括遺贈する」「財産の2分の1を包括遺贈する」と割合だけ書いて財産を具体的に書いてない場合です。

2特定遺贈と包括遺贈のちがい

ちがい①引き継ぐ対象がちがう

(1)特定遺贈で引き継ぐのは遺言書に記載されている財産だけ

特定遺贈では、遺言書に記載されている財産だけ引き継ぎます。

特定遺贈では、遺言書に記載されていない財産は一切引き継ぎません。

たとえ相続財産に借金があったとしても、一切引き継ぎません。

(2)包括遺贈ではマイナスの財産も含めて引き継ぐ

包括遺贈では、遺言書に記載されている割合で引き継ぎます。

包括遺贈では、遺言書には具体的な財産は記載されていません。

相続財産には、プラスの財産とマイナスの財産があるでしょう。

包括遺贈では、指定された割合でプラスの財産とマイナスの財産の両方を引き継ぎます。

包括遺贈ではマイナスの財産も含めて、指定された割合で引き継ぎます。

ちがい②遺産分割協議の参加がちがう

(1)特定遺贈は遺産分割協議に参加しない

遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話し合いです。

特定遺贈では、遺産分割協議に参加する必要はありません。

特定受遺者は、遺産分割協議に参加する権利と義務がありません。

特定受遺者が引き継ぐ対象は、遺言書で具体的に指定されているからです。

相続財産の分け方について、話し合いをする必要はありません。

(2)包括遺贈は原則として遺産分割協議に参加する

包括遺贈では、原則として遺産分割協議に参加する必要があります。

包括受遺者は、遺産分割協議に参加する権利と義務があります。

包括受遺者が引き継ぐ対象は、遺言書で割合だけ指定されているからです。

割合だけ指定されていて、具体的な財産は指定されていません。

具体的に引き継ぐ財産は、遺産分割協議で決定します。

相続財産の分け方について、話し合いをする必要があります。

遺産分割協議で合意できれば、希望する財産を引き継ぐことができます。

遺産分割協議で合意できなければ、希望する財産を引き継ぐことができません。

遺言書で遺言執行者が指名されていても、遺産分割協議に参加するのは包括受遺者です。

遺言執行者は、遺産分割協議に参加しません。

遺言執行者は、相続財産の分け方を決める人ではないからです。

(3)全部包括遺贈は遺産分割協議不要

包括遺贈では、財産すべてを遺贈することができます。

財産すべてを包括遺贈する場合、遺産分割協議は不要です。

ちがい③遺贈の放棄の手続がちがう

(1)遺言書があっても遺贈は放棄できる

遺言書は、遺言者がひとりで作成します。

財産を受け取る人の同意や承諾なく、一方的に遺言書を作成することができます。

遺言者が死亡した後に、遺贈を受けるか遺贈を辞退するか決めることができます。

(2)特定遺贈の放棄は遺贈義務者へ通知

遺贈の放棄とは、遺贈を辞退することです。

特定遺贈の放棄をする方法は、法律で決められていません。

いつでも、遺贈の放棄をすることができます。

口頭で、遺贈の放棄をすることができます。

実務ではトラブル防止のため、遺贈義務者に配達証明付内容証明郵便で通知します。

遺贈義務者とは、次の人です。

・遺言執行者がいるとき 遺言執行者

・遺言執行者がいないとき 相続人

(3)包括遺贈の放棄は家庭裁判所の手続

包括遺贈の放棄は、家庭裁判所の手続です。

口頭で手続することはできません。

包括遺贈の放棄は、相続放棄同様に3か月の期限があります。

3特定遺贈と包括遺贈の共通点

共通①遺留分侵害額請求を受ける

遺留分とは、相続人に認められた最低限の権利です。

被相続人に近い関係の相続人に認められます。

配分された財産が遺留分に満たない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺言書を作成するだけで、相続人の遺留分を奪うことはできません。

遺留分を侵害する遺言書であっても、有効な遺言書です。

有効な遺言書があっても、遺留分侵害額請求をすることができます。

特定受遺者も包括受遺者も、遺留分侵害額請求を受ける可能性があります。

適切な遺留分侵害額請求がある場合、拒否することはできません。

特定受遺者も包括受遺者も、遺留分を払う義務があります。

共通②遺言執行者がやること

遺言書は、作成するだけでは意味がありません。

遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。

遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書の内容を実現するため、受遺者と遺言執行者が協力して相続手続を行います。

遺言執行者がいない場合、相続人全員と受遺者が協力して遺言書の内容を実現します。

相続人が遺言書の内容に不満を持つと、実印を押すなどの協力を渋るでしょう。

相続人が遺言書内容に不満を持たなくても、印鑑証明書を渡すのを先延ばしするでしょう。

特定受遺者も包括受遺者も、相続人の協力が得られないと手続が進められなくなります。

遺言執行者がいる場合、遺言執行者と受遺者が協力して遺言書の内容を実現します。

相続人全員の協力は、不要です。

たとえ相続人が反対していても、遺言執行者は遺言書の内容を実現することができます。

特定遺贈であっても包括遺贈であっても、遺言執行者の役割は同じです。

遺言執行者がいなければ、特定遺贈であっても包括遺贈であっても相続人全員の協力が必要です。

特定遺贈であっても包括遺贈であっても、相続人全員の協力なしで相続手続を進めることはできなくなります。

共通③遺言なしで遺贈はできない

遺贈とは、遺言書を作成して相続人や相続人以外の人に財産を引き継ぐことです。

遺言なしで、遺贈をすることはできません。

特定遺贈であっても包括遺贈であっても、遺言なしで遺贈をすることはできません。

遺言書が無効になると、遺言書の内容も無効になります。

遺言書に遺贈すると書いてあっても、無効になります。

遺言書を作成する場合、自筆証書遺言か公正証書遺言を作ることがほとんどです。

自筆証書遺言とは、遺言者がひとりで書いて作る遺言書です。

公正証書遺言とは、遺言内容を公証人に伝え公証人が書面に取りまとめる遺言書です。

自筆証書遺言は無効になりやすいだけでなく、無効でないか疑いがかけられやすい遺言書です。

無効を疑われるのは、主に次の点です。

・遺言者が認知症だったのではないか

・遺言者が詐欺強迫にあっていたのではないか

・偽造変造された遺言書ではないか

無効の疑いがあると、相続手続先は手続を保留にします。

無効の疑いがあっても、死亡した遺言者は反論できません。

遺言者が完璧に遺言書を作成しても、受遺者は無効の疑いを晴らす証拠を準備できません。

特定遺贈であっても包括遺贈であっても、受遺者が無効の疑いを晴らす証拠を準備できなければ手続を進められなくなります。

公正証書遺言は、公証人が本人確認のうえ本人の意思確認をして作成します。

公証人が関与して作成するから、公正証書遺言には高い信頼性があります。

特定遺贈であっても包括遺贈であっても、公正証書遺言がおすすめです。

公正証書遺言は、非常に無効になりにくいからです。

4遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書は、被相続人の意思を示すものです。

自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。

民法に遺言書を作ることができるのは、15歳以上と定められています。

死期が迫ってから、書くものではありません。

遺言書は被相続人の意思を示すことで、家族をトラブルから守るものです。

遺贈とは、被相続人が遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげるものです。

遺贈は簡単に考えがちですが、思いのほか複雑な制度です。

受け継いでもらう財産に不動産がある場合、譲ってもらう人だけでは登記申請ができません。

遺言執行者がいない場合、相続人全員の協力が必要です。

遺言書で遺言執行者を決めておきましょう。

遺言執行には、法的な知識が必要になります。

遺言の効力が発生したときに、遺言執行者からお断りをされてしまう心配があります。

遺言の効力が発生した後の場合、遺言執行者は家庭裁判所に決めてもらう必要があります。

不動産以外の財産であっても、遺言書の内容に納得していない相続人がいる場合、受遺者に引渡そうとしないこともあります。

せっかく遺言書を書くのですから、スムーズな手続を実現できるように配慮しましょう。

遺言執行者を選任することで、家族をトラブルから守ろうという気持ちを実現することができます。

お互いを思いやり幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続人申告登記で他の相続人が協力しない影響

2026-05-22

1相続人申告登記でペナルティー回避

①令和6年(2024年)4月1日から相続登記義務化

所有権移転登記をしない場合、所有者は不利益を被ります。

不動産に対して権利主張をする人が現れた場合、所有者のはずなのに権利主張ができないからです。

相続登記がされない場合、登記簿を見ても土地の所有者が分からなくなります。

登記簿とは、不動産の権利関係が記録される公的な帳簿です。

所有者不明の土地の発生を防止するため、相続登記をすることは義務になりました。

②相続登記の期限3年を守れないとペナルティー

令和6年(2024年)4月1日から、相続登記をする義務が課されました。

相続登記の期限は、3年です。

令和6年(2024年)4月1日以降に発生した相続は、当然に対象になります。

相続があったことを知ってから、相続登記の期限3年がスタートします。

令和6年(2024年)4月1日以前に発生した相続も、義務化の対象です。

過去の相続は、令和6年4月1日に期限3年がスタートします。

相続登記義務化がスタートしてから、3年間の猶予があると言えます。

過去の相続は令和9年3月31日を経過すると、ペナルティーの対象になります。

相続登記の期限3年が経過すると、ペナルティーの対象になります。

③相続人申告登記で相続登記の義務を履行

相続人申告登記とは、相続人が法務局に対し自分が相続人であることを申告する制度です。

申告に基づいて、登記官が職権で相続人の住所や氏名を登記に付記します。

相続人申告登記をしたことで、相続登記の義務を履行したと扱われます。

相続人申告登記は、相続登記の義務を履行しやすくする制度です。

2相続人申告登記で他の相続人が協力しない影響

①他の相続人が協力しない状況は珍しくない

相続が発生したら、相続人全員が協力して相続手続をします。

相続人全員が協力できないと、相続手続が進まなくなります。

他の相続人が協力しない状況は、珍しくありません。

感情的対立がなくても、相続手続に協力できないことがあります。

相続手続に協力できないさまざまな事情や状況があるからです。

例えば、疎遠な相続人、行方不明の相続人、認知症の相続人には、協力が難しい事情があります。

相続人本人の意思や感情とは無関係に、協力しない相続人と扱われます。

②他の相続人が協力しなくても自分の義務を履行できる

被相続人が不動産を保有していた場合、不動産の名義変更をします。

相続登記とは、不動産の名義変更です。

相続登記をするためには、相続人全員の協力が不可欠です。

他の相続人の関与なく、相続人申告登記をすることができます。

一部の相続人が単独で、相続人申告登記をすることができます。

相続人申告登記をすると、相続登記の義務を履行したと扱われます。

相続登記の義務を履行したと扱われるのは、相続人申告登記をした人のみです。

一部の相続人が相続人申告登記をして、相続登記の義務を履行することができます。

他の相続人が協力しなくても、自分の義務を履行できます。

③ペナルティーを回避できるのは相続人申告登記をした人のみ

相続人申告登記は、各相続人が個別に相続登記の義務を履行する制度です。

一部の相続人が単独で、相続人申告登記をすることができます。

相続人申告登記をした人のみ、相続登記の義務を履行したと扱われます。

他の相続人が協力しなくても、相続人申告登記が無効になることはありません。

他の相続人が協力しなくても、相続登記義務化のペナルティーを課されることはありません。

相続人申告登記をした人のみ、相続登記義務化のペナルティーを回避できます。

相続人申告登記は、各相続人が個別に相続登記の義務を履行する制度だからです。

④他の相続人が勝手に相続人申告登記をしても影響はない

相続人申告登記は、一部の相続人が単独ですることができます。

自分が何も知らないところで、他の相続人が相続人申告登記をすることがあります。

他の相続人が勝手に相続人申告登記をしても、影響はありません。

相続人申告登記をしたら、相続登記の義務を履行したと扱われるに過ぎません。

相続人申告登記をした人が相続登記義務化のペナルティーを回避できるだけです。

相続人申告登記をした人以外の相続人は、相続登記義務化のペナルティーを回避できません。

相続人申告登記は、各相続人が個別に相続登記の義務を履行する制度だからです。

他の相続人が勝手に相続人申告登記をしても、相続人の資格を奪われることはありません。

相続人申告登記は、相続における権利関係に一切影響がありません。

3相続人申告登記後に他の相続人が協力しない影響

①相続人申告登記をしても相続登記

相続人申告登記は、相続登記義務化に伴い新設された制度です。

相続人申告登記は、期限内に相続登記ができないときの救済措置です。

相続人申告登記をしても、ペナルティーを回避する効果があるに過ぎません。

相続人申告登記をしても、不動産の名義は被相続人のままです。

相続人申告登記をしても、相続登記が必要になります。

②相続人申告登記をしても遺産分割協議は進まない

相続人申告登記は、相続人であることを法務局に申告する制度です。

相続人申告登記の効果は、相続登記義務化のペナルティー回避に限定されています。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話し合いです。

遺産分割協議成立には、相続人全員の合意が不可欠です。

相続人申告登記は、各相続人が単独で完結する制度です。

相続人申告登記をしても、遺産分割協議を進めるトリガーになりません。

相続人申告登記は、各相続人の利害関係に関与しません。

相続人申告登記をしても、相続における権利関係に一切影響がありません。

相続人全員の合意形成に、与える影響は全くありません。

相続人申告登記をしても、遺産分割協議は進みません。

③相続人申告登記をしたから遺産分割協議が長期化

相続登記義務化のペナルティーは、相続人全員にとって遺産分割協議を進める理由になり得ます。

相続人申告登記は、相続登記義務化のペナルティー回避の効果があります。

相続人全員が相続人申告登記をした場合、相続人全員がペナルティーを回避することができます。

ペナルティーの心配なく、心理的余裕を持って遺産分割協議をすることができます。

心理的余裕は、そのまま先延ばしを誘発する可能性があります。

遺産分割協議が長期化する主たる理由は、次のとおりです。

・利害対立

・感情的対立

・相続人の非協力

・判断の先送り

相続人申告登記をしても、遺産分割協議は進みません。

相続人申告登記をしても、長期化する主たる理由は何も解決しないからです。

ときには、相続人申告登記をしたことが先延ばしの言い訳になります。

相続人申告登記をしたから、遺産分割協議が長期化するおそれがあります。

④相続人申告登記だけで事実上売却ができない

相続人申告登記をすると、相続人であることが登記簿に記載されます。

他の相続人が勝手に売却しようと、動くかもしれません。

相続人申告登記をしただけで、不動産を売却することも担保に差し出すこともできません。

相続人申告登記をしても、不動産の名義は被相続人のままだからです。

相続人であることが登記されても、不動産を取得する可能性があるに過ぎません。

相続人であることが登記されても、不動産を取得しない可能性もあります。

登記簿を見ても、客観的にはだれが所有者なのか分からないと言えます。

不動産の名義は被相続人のままだから、不動産会社は媒介契約を締結しません。

不動産の名義は被相続人のままだから、買主は売買契約を締結しません。

不動産の名義は被相続人のままだから、金融機関は融資の審査を通しません。

客観的にはだれが所有者なのか分からないから、処分権限があるとは判断されません。

⑤相続人代表者と見られて固定資産税

不動産を所有していると、固定資産税が課されます。

遺産分割協議中であっても、固定資産税は課されます。

相続人申告登記をすると、市町村から相続人の代表者と判断されやすいでしょう。

相続人代表者と見られて、固定資産税の納付書が送られてきます。

⑥あやしい不動産業者から営業

不動産の登記簿謄本は、手続し手数料を払えばだれでも取得することができます。

相続人申告登記がされている場合、相続人間でトラブルがあることが想像されるでしょう。

不動産の共有持分を売ってほしいなどの営業を受けることがあります。

4相続登記を司法書士に依頼するメリット

大切な家族を失ったら、大きな悲しみに包まれます。

やらなければいけないと分かっていても、気力がわかない方も多いです。

相続手続は一生のうち何度も経験するものではないでしょう。

だれにとっても不慣れで、手際よくできるものではありません。

相続登記は、相続手続の中でも手間がかかる難しい手続です。

相続登記は難しい手間がかかる手続なので、司法書士などの専門家に依頼するでしょう。

相続手続で挫折しがちなのは、戸籍謄本などの書類収集や遺産分割協議書の作成です。

書類収集や遺産分割協議書の作成は、司法書士に依頼することができます。

司法書士が戸籍謄本や遺産分割協議書を準備したうえに、法務局の厳重な審査をします。

法務局の審査が通った戸籍謄本や遺産分割協議書だから、銀行などの相続手続先で指摘があることはありません。

銀行などの独自書類の内容などに指摘があるとしても、簡単に済むことがほとんどでしょう。

相続手続をスムーズに進めたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

不在者財産管理人の終了事由は家庭裁判所が判断

2026-05-20

1不在者財産管理人が行方不明者の財産を管理する

①不在者財産管理人は行方不明者の財産を守る人

不在者財産管理人とは、行方不明者の財産を管理する人です。

行方不明者の財産を守るため、家庭裁判所が選任します。

不在者財産管理人は、行方不明者に不利益な財産管理をすることはできません。

家庭裁判所は、行方不明者に不利益な財産管理を許可しません。

不在者財産管理人制度は、行方不明者の財産を守る制度だからです。

②不在者財産管理人は行方不明者の代理人

相続人の中に行方不明の人がいると、とても困ります。

相続手続は、相続人全員の協力が必要だからです。

遺産分割協議は、相続人全員の合意がないと成立しません。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話し合いです。

不在者財産管理人は、行方不明者の代理人です。

行方不明の相続人に代わって、遺産分割協議に参加することができます。

不在者財産管理人と他の相続人全員が合意すれば、遺産分割協議が成立します。

行方不明の相続人がいても、相続手続を進めることができます。

③家族の希望を実現する制度ではない

不在者財産管理人は、行方不明者の財産を守る人です。

不在者財産管理人は、家族の希望をかなえる人ではありません。

家族の希望どおりに、財産処分をしてくれる人ではありません。

不在者財産管理人は、行方不明者に不利益な財産管理をすることはできません。

たとえ家族が希望しても、行方不明者に不利益な財産管理をすることはできません。

家族にとって合理的な財産管理であっても、行方不明者にとって不利益な管理になることがあるからです。

不在者財産管理人を立てると、家族は思いどおりの財産管理ができると期待しています。

不在者財産管理人制度は、家族の思いどおりの財産管理を実現する制度ではありません。

④不在者財産管理人は不利益な財産管理はできない

不在者財産管理人の任務は、行方不明者のために財産管理をすることです。

行方不明者のためにとは、行方不明者に不利益な財産管理ができないという意味です。

不在者財産管理人は、家族の希望通りに財産を動かすことができません。

不在者財産管理人には、善管注意義務があるからです。

たとえ家族が望んでも、行方不明者に不利益な財産管理は許されません。

たとえ家族が不在者財産管理人に選任されても、不利益な不利益な財産管理はできません。

不在者財産管理人は、公的な立場だからです。

不在者財産管理人は、適切な財産管理を行っているか家庭裁判所の監督を受けます。

2不在者財産管理人の終了事由は家庭裁判所が判断

①行方不明者が帰ってきたとき終了する

行方不明者が帰ってくることがあります。

行方不明者が帰って来たら、自分の財産は自分で管理できるはずです。

不在者財産管理人は必要ないから、不在者財産管理人の任務は終了します。

実際に任務が終了するのは、家庭裁判所の審判が告知された後です。

不在者財産管理人の終了は、家庭裁判所が判断します。

行方不明者が帰って来たと家族が主張するだけで、不在者財産管理人の任務は終了しません。

家族の主張だけで財産を引き渡すと、不在者財産管理人は責任を問われます。

②行方不明者が自分で管理人を置いたとき終了する

行方不明になる前に、行方不明者が自分で財産管理人を置くことがあります。

行方不明中に、行方不明者が自分で財産管理人を置くことがあります。

行方不明者が自分で財産管理人を置いた場合、不在者財産管理人の任務は終了します。

現実的に行方不明者が自分で財産管理人を置く例は、ほとんどありません。

家庭裁判所は、行方不明者が自分で財産管理人を置いたのか慎重に審査します。

行方不明者が自分で財産管理人を置いたと認められるのは、行方不明者の意思が明確に確認できるときに限られます。

客観的証拠によって、行方不明者本人の生存確認と行方不明者本人の意思確認ができたときに認められます。

行方不明者が自分で財産管理人を置いたと家族が主張するだけでは、任務は終了しません。

あいまいな証拠で不在者財産管理人の任務を終了すると、行方不明者に不利益になるおそれがあるからです。

不在者財産管理人制度は、行方不明者の利益を守るための制度です。

行方不明者の利益が守られるか、家庭裁判所は慎重に判断します。

③管理すべき財産がなくなったとき終了する

(1)費用の支払いで財産がなくなった

不在者財産管理人は、行方不明者の財産を減らさないように管理します。

行方不明者の財産を管理するために、費用を支出する必要があります。

不在者財産管理人の報酬は、行方不明者の財産から支出します。

行方不明が長期間になる場合、やがて管理すべき財産が尽きるでしょう。

管理すべき財産が尽きたら、不在者財産管理人が管理すべき財産はありません。

管理すべき財産がなくなったら、不在者財産管理人の任務は終了します。

(2)金銭を供託して任務終了

不在者財産管理人を選任するきっかけは、遺産分割協議や不動産売却が多いでしょう。

遺産分割協議で行方不明者が財産を取得した場合、財産は不在者財産管理人が管理します。

不動産売却で行方不明者が売却代金を取得した場合、売却代金は不在者財産管理人が管理するのが原則です。

不在者財産管理人が管理する財産が金銭である場合、金銭を法務局に供託することができます。

供託とは、管理すべき金銭を法務局に預けることです。

法務局が厳重に管理するから、不在者財産管理人の任務は終了します。

(3)供託した金銭は行方不明者に渡される

不在者財産管理人が供託した金銭は、行方不明者が受け取れます。

たとえ家族であっても行方不明者以外の人は、供託した金銭を受け取ることはできません。

(4)不動産があれば任務継続

行方不明者が不動産を保有している場合、不動産は供託できません。

不動産の管理を継続するため、不在者財産管理人の任務は終了しません。

(5)不動産売却は許可されにくい

不動産売却で行方不明者が売却代金を取得した場合、売却代金は金銭です。

不在者財産管理人が管理する財産が金銭である場合、金銭を法務局に供託することができます。

不在者財産管理人が不動産を売却する場合、家庭裁判所の許可が必要です。

行方不明者にとって不動産は、重要な財産であることが多いからです。

家庭裁判所は、次の条件を満たしたときに限って許可します。

・行方不明者に不利益な売却でないこと

・売却する必要があること

・売却代金が妥当であること

家族が売却してほしいと希望しても、行方不明者に不利益な売却に許可されません。

不在者財産管理人の任務終了のために不動産を売却したいなどは、売却する必要があると認められません。

たとえ買主が見つかっていると主張しても、不利益な売却に許可されません。

④行方不明者の死亡が確認されたら終了する

(1)相続人に財産を引き継ぎ

行方不明者の死亡が確認されることがあります。

死亡が確認された場合、相続が発生します。

行方不明者の財産は、相続財産です。

不在者財産管理人は、管理していた財産を相続人に引き継ぎます。

(2)相続財産清算人に引き継ぎ

行方不明者に相続人がいない場合、相続財産は国庫に帰属します。

相続財産清算人とは、相続財産を清算して国庫に帰属する人です。

家庭裁判所に対して相続財産清算人選任の申立てをして、相続財産清算人に引き継ぎます。

⑤失踪宣告が確定したら終了する

失踪宣告とは、長期間生死不明の人を死亡扱いにする手続です。

失踪宣告を受けると、行方不明者は死亡と見なされます。

死亡とみなされるから、相続人や相続財産清算人に引き継ぎます。

⑥遺産分割協議や売却が終わっても終了しない

不在者財産管理人選任の申立てをするとき、遺産分割協議や不動産の売却などのきっかけがあります。

遺産分割協議や売却が終わっただけでは、不在者財産管理人の任務は終了しません。

遺産分割協議で取得した財産や売却代金を管理する必要があるからです。

不在者財産管理人には、遺産分割協議で取得した財産や売却代金を家族に渡す権限はありません。

たとえ家族が希望しても、遺産分割協議で取得した財産や売却代金を渡すことはできません。

間違って家族に渡したら、任務懈怠と判断されるでしょう。

強い言い方をすれば、背任や横領の評価になりかねません。

⑦家族で管理できるから辞めてほしくても終了しない

不在者財産管理人制度は、家族の希望をかなえる制度ではありません。

家族で財産管理ができるから辞めてほしいと主張しても、家庭裁判所は終了を認めません。

行方不明者の利益を守るため、財産管理の公正性と透明性を確保する必要があるからです。

たとえ家族で財産管理ができるとしても、公正性と透明性を確保するため不在者財産管理人の任務は継続します。

⑧不在者財産管理人家族の希望をかなえてくれなくても終了しない

不在者財産管理人は、行方不明者の財産を守る人です。

不在者財産管理人は、家族の希望をかなえる人ではありません。

不在者財産管理人には、行方不明者の利益を守る義務が課されています。

たとえ家族が不在者財産管理人に選任されても、利益を守る義務は免除されません。

行方不明者の利益と家族の希望は、一致しないことがあります。

不在者財産管理人家族の希望をかなえてくれないと主張しても、家庭裁判所は終了を認めません。

不在者財産管理人制度は、家族の希望を優先する制度ではないからです。

3不在者財産管理人制度は失踪宣告の代替策にはならない

①不在者財産管理人は行方不明者が生きている扱い

不在者財産管理人は、行方不明者が生きている前提です。

死亡扱いにしなくて済むから、家族の心理的抵抗が少なく済みます。

②失踪宣告は行方不明者を死亡と見なされる

行方不明者が生きている扱いのままであると、デメリットが積み重なっていきます。

失踪宣告を受けると、行方不明者は死亡と見なされます。

失踪宣告が確定すると、相続が発生します。

③不在者財産管理人制度と失踪宣告は比べるものではない

不在者財産管理人制度を利用しても、行方不明者は生きている扱いのままです。

失踪宣告は、死亡扱いにする制度です。

不在者財産管理人制度と失踪宣告は、まったく目的が違う制度です。

不在者財産管理人制度は、失踪宣告の代替ではありません。

失踪宣告の代替として不在者財産管理人制度を利用すると、家族の期待がデメリットになります。

家族の事情によっては、失踪宣告の検討が必要になります。

4生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続人が行方不明であることは、割とよくあることです。

行方不明の相続人がいると、相続手続を進めることができません。

相続が発生した後、困っている人はたくさんいます。

自分たちで手続しようとして、挫折する方も少なくありません。

困っている遺族はどうしていいか分からないまま、途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。

相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

自筆証書遺言と公正証書遺言のちがい

2026-05-18

1自筆証書遺言と公正証書遺言で失敗したくない

①遺言書の効力にちがいはない

自筆証書遺言と公正証書遺言は、どちらも遺言の方式です。

遺言の方式がちがうだけで、効力に違いはありません。

公正証書遺言に、強い効力があるといったことはありません。

公正証書遺言に、優先的な効力があるといったことはありません。

②遺言書の無効リスクに大きなちがいがある

自筆証書遺言と公正証書遺言の無効リスクに、大きなちがいがあります。

自筆証書遺言は、無効リスクが大きい遺言書です。

公正証書遺言は、無効リスクがほとんどありません。

公正証書遺言は公証人が関与するから、高い信頼性があります。

③遺言書の失敗は取り返しがつかない

遺言書に効力が発生するのは、遺言者が死亡したときです。

遺言書の厳格な書き方ルールに違反したら、遺言書は無効です。

遺言者が死亡した後で、遺言の書き方ルール違反が見つかっても取り返しがつきません。

遺言者が死亡した後で、書き直しができないからです。

遺言書の記載内容があいまいな場合、解釈をめぐってトラブルになることがあります。

遺言者が死亡した後で、解釈をめぐるトラブルが発生しても取り返しがつきません。

本当はどうしたかったのか、聞き返すことはできないからです。

2自筆証書遺言と公正証書遺言のちがい

①自筆証書遺言は手軽

(1)遺言者がひとりで作る

遺言書を作成する場合、自筆証書遺言か公正証書遺言を作成することがほとんどです。

自筆証書遺言とは、自分で書いて作る遺言書です。

ひとりで作ることができるから、手軽です。

(2)費用がかからない

筆記用具と印鑑さえあれば、作ることができます。

費用は、ほとんどかかりません。

(3)専門家が関与しない

自筆証書遺言は、専門家が関与することがほとんどありません。

遺言者本人が法律の専門家であることは、あまりないでしょう。

遺言書の厳格な書き方ルールについて、自分で判断します。

書き方ルールに違反すると、遺言書は無効になります。

専門家が目を通せば、書き方ルール違反に気が付くでしょう。

ひとりで作ると、遺言内容は遺言者の自己責任になります。

(4)認知症の疑い

遺言書を有効に作成するためには、遺言能力が必要です。

遺言能力とは、遺言書を作成することができる能力です。

遺言書を作成することができる判断能力の意味で使われます。

判断能力としての遺言能力とは、遺言書に書いた内容を理解し遺言の結果のメリットデメリットを充分に判断できる能力です。

判断能力を失った後で遺言書のつもりで書面を作成しても、無効の書面です。

遺言書を作成する人は、相当に高齢であることが多いでしょう。

相当に高齢である場合、判断能力の低下が問題になることがあります。

自筆証書遺言は、ひとりで作ります。

遺言書を作成する時点で、判断能力があったのか客観的に証明することはできません。

遺言書を作成する時点の判断能力が問題になる場合、相続人間で深刻なトラブルになります。

(5)詐欺強迫の疑い

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

遺言者の自由な意思に基づいて作成されていない遺言書は、無効です。

遺言者がだまされて作成した遺言書は、遺言者の自由な意思に基づいていません。

遺言者が強迫されて作成した遺言書は、遺言者の自由な意思に基づいていません。

遺言書の内容が非常に不自然な場合、詐欺強迫の疑いが残ります。

自筆証書遺言は、ひとりで作ります。

遺言書を作成したとき、だまされていたのか強迫されていたのか客観的に証明することはできません。

詐欺強迫によって遺言書を作成したのか問題になる場合、相続人間で深刻なトラブルになります。

(6)紛失改ざんの疑い

自筆証書遺言は、自分で保管するのが原則です。

自筆証書遺言は、保管場所に困ります。

保管場所を家族と共有しないと、自分で紛失するリスクがあります。

死亡した後に、家族が見つけられなくなるリスクがあります。

保管場所を家族と共有すると、家族が破棄や偽造変造をするリスクがあります。

たとえ偽造変造をしなくても、他の相続人から偽造変造を疑われるリスクがあります。

遺言書の偽造変造が問題になる場合、相続人間で深刻なトラブルになります。

(7)相続手続先はトラブルを嫌う

自筆証書遺言は、無効になるリスクが非常に高い遺言書です。

無効の遺言書に基づいて、相続手続を進めることはできません。

銀行などの相続続先は、相続人間のトラブルに巻き込まれることを非常に嫌います。

無効になる可能性がわずかでもあれば、相続手続を進められなくなります。

(8)適切な遺言書であってもリスクに見える

たとえ遺言者本人が適切に作成した遺言書であったとしても、相続手続先にはリスクがあると見えます。

相続手続先には、遺言者が認知症であったか分かりません。

相続手続先には、遺言者が詐欺強迫を受けていたか分かりません。

相続手続先には、遺言書が偽造変造されたか分かりません。

無効になるリスクがある遺言書で、相続手続を進めることはできないと考えます。

家族は、遺言者が認知症でなかったことを客観的に証明できません。

家族は、遺言者が詐欺強迫を受けていなかったことを客観的に証明できません。

家族は、遺言書が偽造変造されていないことを客観的に証明できません。

せっかく遺言書を作成しても、家族と金融機関の間でトラブルに発展します。

(9)法務局保管制度は保管だけ安心

自筆証書遺言を作成した後、法務局に提出して保管してもらうことができます。

法務局は、受付けた自筆証書遺言を厳重に保管します。

自筆証書遺言の法務局保管制度は、保管だけ安心な制度です。

自筆証書遺言の内容は、遺言者本人の自己責任です。

内容があいまいで執行できなくなる可能性があっても、法務局は保管を受付けます。

遺留分を侵害してトラブルになる可能性があっても、法務局は保管を受付けます。

法務局が保管を受付けたことは、安心材料ではありません。

自筆証書遺言の法務局保管制度を利用しても、トラブル防止効果はありません。

(10)検認手続が必要

検認手続とは、自宅などで見つかった自筆証書遺言を家庭裁判所に提出して開封してもらう手続です。

相続が発生した後、すぐに相続手続を進めることはできません。

検認手続が必要なのに検認済証明書がないと、相続手続先が相続手続を進めないからです。

自筆証書遺言は、作成するときは手軽です。

遺言者が死亡した後に、家族の事務負担があります。

②公正証書遺言は安心確実

(1)公証人が取りまとめる

公正証書遺言とは、遺言内容を公証人に伝え公証人が書面に取りまとめる遺言書です。

証人2人に確認してもらって、作ります。

公証人は、法律の専門家です。

法律の専門家が関与するから、書き方ルールの違反は考えられません。

安心して、作成できます。

(2)公証人の手数料がかかる

公正証書遺言は、公証人が取りまとめます。

公証人手数料がかかります。

遺言書の内容や財産の価額によっては、高額な費用になることがあります。

(3)公証人が本人確認

公正証書遺言は、公証人が取りまとめます。

公正証書遺言を作成する際に、公証人が遺言者の本人確認をします。

身分証明書を確認して、なりすましを防止します。

本人確認ができなければ、公正証書遺言を作成しません。

公正証書遺言は、偽造があり得ません。

(4)公証人が本人の意思確認

公正証書遺言を作成する際に、公証人が遺言者本人の意思確認をします。

遺言者本人の意思確認は、遺言書の有効性を担保するための実質的な審査です。

遺言書は、遺言者の自由な意思に基づいて作成します。

遺言書を作成するとき、相続人になる予定の人は同席することができません。

遺言者の自由な意思を確保するためです。

相続人になる予定の人から、影響を受けることを排除します。

詐欺や強迫を排除した環境で、遺言書を作成します。

(5)遺言能力に疑いがあるときは作成しない

公正証書遺言を作成する際、公証人と遺言者は直接対話をします。

対話をする中で、公証人は次の点を確認します。

・遺言者が遺言をしていることを理解しているか

・財産や家族関係を把握しているか

・遺言内容の意味や効果を理解しているか

・説明に矛盾や変遷がないか

・理由付けが不自然ではないか

遺言者の判断能力が低下している場合、遺言能力が失われていることがあります。

遺言能力が失われた場合、遺言書は無効です。

遺言能力が失われていると判断された場合、公証人は公正証書遺言を作成しません。

遺言能力に疑いがあるとき、公証人は作成しない判断をします。

公正証書遺言を作成した事実は、少なくとも公証人は遺言能力があると判断できたと言えます。

(6)証人2人が確認する

公正証書遺言を作成する際に、証人2人が立ち会います。

証人は、適切に遺言書が作成されたか確認する証拠装置です。

証人2人が確認するから、後日の無効主張を封じることができます。

公証人だけでなく証人も、遺言者の自由な意思に基づき遺言したことを確認します。

遺言に利害関係がある人は、証人になれません。

利害関係人を排除することで、証言の信用性を確保します。

証人は、手続の適正を補強していると言えます。

(7)公正証書遺言原本は公証役場で厳重保管

公正証書遺言を作成したら、遺言書原本は公証役場で厳重に保管します。

公正証書遺言は、紛失リスクがありません。

相続人などの手に渡らないから、変造リスクがありません。

(8)検認手続は不要

遺言者が死亡した後、公正証書遺言はすぐに執行することができます。

公正証書遺言は、検認手続が不要だからです。

3自筆証書遺言と公正証書遺言の失敗しない選び方

①自筆証書遺言がおすすめの人

(1)法律知識が充分にある人

自筆証書遺言は、遺言者がひとりで作ることができるから手軽です。

遺言内容が適切であるのか、記載方法は適切であるのか、遺言者が自分で考えます。

自筆証書遺言は、自己責任の遺言書です。

弁護士や司法書士レベルの法律知識がある人は、自筆証書遺言がおすすめです。

(2)家族がトラブルにならない人

自筆証書遺言は遺言者がひとりで作るから、さまざまなリスクが内在しています。

・紛失リスク

・改ざんや変造の疑い

・遺言能力の疑い

・詐欺強迫の疑い

自筆証書遺言に内在するリスクが家族のトラブルを招きます。

弁護士や司法書士レベルの法律知識があっても、内在するリスクから逃れられません。

弁護士や司法書士レベルの法律知識がある人で、かつ、家族がトラブルにならない人は、自筆証書遺言がおすすめです。

(3)公正証書遺言を作成する時間的余裕がない人

公正証書遺言を作成するためには、公証人との打ち合わせが必要です。

打ち合わせをしたうえで予約をして、公正証書遺言を作成します。

公正証書遺言作成には、時間がかかるのが通常です。

体の状態が急に悪化したなど、公正証書遺言を作成する時間的余裕がないことがあります。

緊急時には、自筆証書遺言のメリットを活用することができます。

公正証書遺言を作成する時間的余裕がない人は、自筆証書遺言がおすすめです。

②公正証書遺言がおすすめの人

公正証書遺言を作成するためには、時間と費用がかかります。

時間と費用をかけてでも、内容の安全性が確保される価値があります。

遺言内容を実現することが困難になったら、遺言書を作成する意味がないからです。

内容の有効性を確保した遺言は、公正証書遺言です。

公証人が関与することで、圧倒的な信頼があります。

ほとんどの人に、公正証書遺言がおすすめです。

③初心者がとりあえず遺言書を作るなら公正証書遺言

遺言書は、遺言者が死亡したときに効力が発生します。

やり直しは、できません。

初心者が遺言書作成に失敗したくないなら、外さないことが重要です。

初心者がとりあえず遺言書を作る場合、公正証書遺言一択です。

公正証書遺言は、自筆証書遺言のさまざまなリスクを回避できるからです。

4遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。

いろいろ言い訳を考えて、先延ばしします。

先延ばしした結果、認知症などになると遺言書を作れなくなります。

その先には、家族のもめごとが待っています。

家族がトラブルに巻き込まれることを望む人はいないでしょう。

死んだ後のことを考えるのは不愉快などと言えるのは、判断力がしっかりしている証拠です。

まず、遺言書を書くことをおすすめします。

遺言書があることでトラブルになるのは、ごく稀なケースです。

遺言書がないから、トラブルになることはたくさんあります。

遺言書1枚あれば、相続手続きは格段にラクになります。

状況が変われば、遺言書は何度でも書き直すことができます。

家族をトラブルから守りたい人は、司法書士に遺言書作成を依頼することをおすすめします。

相続人全員で相続人申告登記をするメリット

2026-05-15

1相続登記義務化で相続人申告登記がスタート

①令和6年(2024年)4月1日から相続登記は義務

所有権移転登記をしない場合、所有者は不利益を被ります。

不動産に対して権利主張をする人が現れた場合、所有者のはずなのに権利主張ができないからです。

相続登記がされない場合、登記簿を見ても土地の所有者が分からなくなります。

登記簿とは、不動産の権利関係が記録される公的な帳簿です。

所有者不明の土地の発生を防止するため、相続登記をすることは義務になりました。

②期限3年経過でペナルティーの対象

令和6年(2024年)4月1日から、相続登記をする義務が課されました。

相続登記の期限は、3年です。

令和6年(2024年)4月1日以降に発生した相続は、当然に対象になります。

相続があったことを知ってから、相続登記の期限3年がスタートします。

相続登記の期限3年を経過すると、ペナルティーの対象になります。

令和6年(2024年)4月1日以前に発生した相続も、義務化の対象です。

過去の相続は、すでに3年を経過していることが多いでしょう。

過去の相続は、令和9年3月31日が期限になります。

相続登記の期限3年が経過すると、ペナルティーの対象になります。

③相続人申告登記で義務を果たす

相続人申告登記とは、相続人が法務局に対し自分が相続人であることを申告する制度です。

申告に基づいて、登記官が職権で相続人の住所や氏名を登記に付記します。

相続人申告登記をした場合、相続登記の義務を履行したと扱われます。

相続人申告登記は、相続登記の義務を履行しやすくする制度です。

相続人申告登記で、相続登記の義務を果たすことができます。

④相続人1人でも相続人申告登記ができる

相続登記をするためには、相続人全員の協力が必要です。

相続人全員の協力が得られないと、相続登記ができなくなります。

相続人全員の協力が得られないから、相続登記を放置する原因になっていました。

相続人全員の協力がなくても、相続人申告登記をすることができます。

相続人1人でも、相続人申告登記ができるからです。

⑤相続人申告登記でペナルティーを回避

相続登記には、3年の期限が決められました。

相続登記の期限3年が経過すると、ペナルティーの対象になります。

遺産分割未了は、言い訳になりません。

相続登記ができなくても相続人申告登記をしたら、相続登記の義務を履行したと扱われます。

相続登記の義務を履行したと扱われるから、ペナルティーを回避することができます。

2相続人全員で相続人申告登記をするメリット

①相続登記の義務を履行できる

相続人全員の協力がなくても、相続人申告登記をすることができます。

一部の相続人が相続人申告登記をした場合、相続登記の義務を履行したのは相続人申告登記をした人のみです。

他の相続人は、相続登記の義務を履行していないままです。

一部の相続人が相続人申告登記をしても、他の相続人の義務に影響はありません。

相続登記をする義務は、各相続人に課されています。

各相続人が相続人申告登記をすることで、各相続人の義務を履行した扱いになります。

相続人全員が相続人申告登記をすることで、相続人全員が義務を履行した扱いを受けることができます。

②相続登記義務化のペナルティー回避

相続人申告登記をした場合、相続登記の義務を履行したと扱われます。

一部の相続人が単独で相続人申告登記をすることができます。

相続人申告登記をすると、相続登記義務化のペナルティーを回避することができます。

一部の相続人が相続人申告登記をしても、他の相続人の義務に影響はありません。

各相続人が相続人申告登記をすることで、各相続人がペナルティーを回避することができます。

相続人全員が相続人申告登記をすることで、相続人全員がペナルティーを回避することができます。

③心理的余裕を持って遺産分割協議ができる

遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話し合いです。

相続人全員の合意がまとまらないと、遺産分割協議は成立しません。

相続登記は、遺産分割協議がまとまった後にするのが一般的です。

遺産分割協議がまとまらなくても、相続登記の義務は免除されません。

遺産分割協議がまとまらなくても、相続人申告登記をすることができます。

相続人申告登記をすれば、相続登記義務化のペナルティーを回避することができます。

相続人全員が相続人申告登記をすれば、相続人全員がペナルティーを回避できます。

ペナルティーの心配なく、心理的余裕を持って遺産分割協議をすることができます。

④相続人申告登記で相続手続はラクにならない

相続人申告登記には、相続登記の義務を履行した効果しかありません。

相続人申告登記をしても、相続手続はほとんどラクになりません。

たとえ相続人全員が相続人申告登記をしても、相続人全員であるか戸籍謄本で確認する必要があります。

各相続人が相続人申告登記をすることができるからです。

相続人申告登記がされているから、確かにその人は相続人のひとりであることは分かります。

相続人申告登記をすることで、相続手続がラクになるのは非常に限定的です。

⑤相続人申告登記で相続人間のトラブル防止効果はない

一部の相続人が単独で相続人申告登記をすることができます。

相続人申告登記で相続人間のコミュニケーションを促進する機能はありません。

相続人申告登記をしても、相続人の権利関係に影響はありません。

相続人申告登記をすることで、相続手続を進める動機付けになる可能性があります。

相続手続を進める動機付けにできれば、相続人間のトラブルを抑制できるかもしれません。

相続人申告登記をすることで、相続登記の先延ばしの可能性があります。

相続登記の先延ばしにつながれば、相続人間のトラブルにつながるかもしれません。

相続人間のトラブル防止効果は、非常に限定的です。

⑥相続人全員で相続人申告登記をする方法

(1)各相続人が個別に相続人申告登記

各相続人がそれぞれ申請書を作成し、法務局に提出します。

他の相続人の関与なく、相続人申告登記をすることができます。

申請書に添付する戸籍謄本は、申請人が相続人であることが分る範囲で差し支えありません。

各相続人が相続人申告登記ができるから、自分のペナルティーリスクは自分で回避できます。

(2)委任状を発行して依頼

相続人申告登記は、代理人を立てて依頼することができます。

申請人は、代理人に委任状を発行します。

手続をスムーズにするため、委任状に押印は不要です。

申請書を1枚に取りまとめることができます。

相続人全員が協力して、司法書士などの専門家に依頼することができます。

(3)法定相続情報一覧図利用は慎重に検討

相続人申告登記を申請する場合、戸籍謄本に代えて法定相続情報一覧図を提出することができます。

法定相続情報一覧図とは、相続関係を家系図状に取りまとめた書類です。

法定相続情報一覧図は、法務局で発行してもらうことができます。

あらかじめ法定相続情報一覧図がある場合、発行された法定相続情報一覧図を利用できます。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をする場合、相続人全員を確定できる戸籍謄本を提出する必要があります。

法務局が戸籍謄本収集を代行してくれる制度ではありません。

法定相続情報一覧図案は、申出人が作成する必要があります。

法務局が法定相続情報一覧図案の作成代行をしてくれる制度ではありません。

相続人全員が相続人申告登記をするために法定相続情報一覧図を利用しようとすると、だれが法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をするのか話し合いが必要になります。

相続人申告登記をする場合、遺産分割協議がまとまらないケースがほとんどです。

だれが法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をするのか、話し合いがまとまらないでしょう。

相続人の協力体制がない中で、申出人を決めるのは現実的ではありません。

法定相続情報一覧図を利用できますが、慎重な検討が必要です。

3相続人全員で相続人申告登記をした後の注意点

注意①相続人申告登記をしても相続登記

相続人申告登記をしても、自動で相続登記はされません。

相続人申告登記をしても、相続登記は必要です。

登記名義は被相続人のままで、変更されないからです。

相続人申告登記は、相続登記ができないときの救済措置に過ぎません。

遺産分割協議が成立した後、あらためて相続登記が必要です。

相続人申告登記は、相続登記の代わりになりません。

遺産分割協議成立後3年以内に相続登記をしないと、相続登記の義務違反になります。

相続した後、不動産を売却したり担保に差し出すことがあります。

不動産を売却したり担保に差し出す場合、相続登記が不可欠です。

相続登記をしていないと、だれが所有者なのか分からないからです。

だれが所有者なのか分からないまま、不動産の売買契約を締結することはできません。

だれが所有者なのか分からないまま、金融機関はローン審査を通しません。

相続人申告登記をしても、相続登記は必要です。

相続人申告登記は、相続登記義務化のペナルティー回避効果があるだけです。

結局のところ、相続人申告登記は二度手間になります。

注意②相続登記では相続人を確定する戸籍謄本が必要

相続登記では、相続人全員の協力が必要です。

相続人全員が相続手続に関与していることを確認するため、たくさんの戸籍謄本が必要です。

相続人申告登記では、相続人のひとりであることが分かる戸籍謄本のみで手続ができます。

相続人全員で相続人申告登記をしても、あらためて相続人全員であることを確認する必要があります。

注意③あやしい不動産業者から営業

不動産の登記簿謄本は、手続し手数料を払えばだれでも取得することができます。

相続人申告登記がされている場合、相続人間でトラブルがあることが想像されるでしょう。

不動産の共有持分を売ってほしいなどの営業を受けることがあります。

4相続登記を司法書士に依頼するメリット

大切な家族を失ったら、大きな悲しみに包まれます。

やらなければいけないと分かっていても、気力がわかない方も多いです。

相続手続は一生のうち何度も経験するものではないでしょう。

だれにとっても不慣れで、手際よくできるものではありません。

相続登記は、相続手続の中でも手間がかかる難しい手続です。

相続登記は難しい手間がかかる手続なので、司法書士などの専門家に依頼するでしょう。

相続手続で挫折しがちなのは、戸籍謄本などの書類収集や遺産分割協議書の作成です。

書類収集や遺産分割協議書の作成は、司法書士に依頼することができます。

司法書士が戸籍謄本や遺産分割協議書を準備したうえに、法務局の厳重な審査をします。

法務局の審査が通った戸籍謄本や遺産分割協議書だから、銀行などの相続手続先で指摘があることはありません。

銀行などの独自書類の内容などに指摘があるとしても、簡単に済むことがほとんどでしょう。

相続手続をスムーズに進めたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

不在者財産管理人の権限と家族の期待に落差

2026-05-13

1不在者財産管理人が行方不明者の財産を管理する

①不在者財産管理人は行方不明者の利益を守る人

不在者財産管理人とは、行方不明者の財産を管理する人です。

行方不明者の利益を守るため、家庭裁判所が選任します。

不在者財産管理人は、行方不明者に不利益な財産管理をすることはできません。

家庭裁判所は、行方不明者に不利益な財産管理を許可しません。

不在者財産管理人制度は、行方不明者の利益を守る制度だからです。

②家族が期待する行方不明者の利益

行方不明者は、家族の希望を尊重してくれていたかもしれません。

行方不明者は、家族の生活を支えることを重視していたかもしれません。

家族の生活を守ることが行方不明者の利益にかなうと感じるでしょう。

不在者財産管理人は、行方不明者の利益を守る人です。

家族が期待する行方不明者の利益とは、家族の生活を守ることと考えがちです。

家族の生活を守るため、不在者財産管理人は家族の希望をかなえる人と期待しがちです。

③法律が求める行方不明者の利益

不在者財産管理人は、行方不明者に不利益な財産管理をすることはできません。

法律が求める行方不明者の利益とは、行方不明者の財産を減らさないことです。

たとえ家族が希望しても、行方不明者の財産を減らすことは許されません。

家族の希望と行方不明者の利益が一致しないことがあります。

不在者財産管理人は、行方不明者の利益を基準に権限を行使します。

不在者財産管理人は、家族の希望を基準に権限を行使できません。

④家族の期待と法律の落差

家族の希望は、家族の生活を守ることです。

行方不明前の本人は、家族を支える行動をしていたかもしれません。

法律の趣旨は、行方不明者の財産を減らさないことです。

家族の期待と法律に、大きな落差があります。

不在者財産管理人は法律の趣旨に従って、権限を行使します。

家族の期待をかなえるため、権限を行使することはできません。

2不在者財産管理人の権限と家族の期待に落差

①不在者財産管理人の権限で財産を守る

不在者財産管理人は、行方不明者の財産を管理する人です。

不在者財産管理人の権限で、行方不明者の財産を守ります。

不在者財産管理人の権限は、行方不明者の財産を減らさないために行使されます。

不在者財産管理人には、行方不明者の利益を守る義務があるからです。

②不在者財産管理人は家族の希望をかなえる人ではない

家族にとって、家族の生活を守ることが行方不明者の利益にかなうと感じるかもしれません。

家族の希望をかなえることは、そのまま家族の生活を守ることのはずです。

法律が求める行方不明者の利益とは、行方不明者の財産を減らさないことです。

不在者財産管理人は、家族の希望をかなえる人ではありません。

家族の希望と行方不明者の利益が一致する場合に限って、家族の希望が考慮されます。

③不在者財産管理人の権限で保存行為ができる

保存行為とは、財産の現状を維持する行為です。

不在者財産管理人は、保存行為を単独で行うことができます。

④不在者財産管理人が行う保存行為の具体例

具体例(1)建物の軽微な補修

建物に雨漏りがしている場合、雨漏り補修が必要になります。

財産の現状を維持するため、軽微な補修をすることができます。

具体例(2)不法侵入の防止

第三者が無断で侵入することを防止するため、鍵の交換をすることができます。

行方不明者の不動産を権限なく利用することがないようにするためです。

空き家を狙った侵入者などを排除する目的です。

具体例(3)時効完成を阻止

第三者が長期間不動産を占有していた場合、取得時効が完成することがあります。

明渡請求などをして、取得時効の完成を阻止します。

貸金債権があるのに長期間請求をしない場合、消滅時効が完成することがあります。

貸金返還請求などをして、消滅時効の完成を阻止します。

具体例(4)固定資産税など費用の支払い

不動産を保有していると、固定資産税が課されます。

行方不明になっても、固定資産税は免除されません。

固定資産税などの費用の支払いは、保存行為です。

⑤不在者財産管理人の権限で管理行為ができる

管理行為とは、財産の利用や改良をする行為です。

不在者財産管理人は、管理行為を単独で行うことができます。

⑥不在者財産管理人が行う管理行為の具体例

具体例(1)日常的な契約管理

だれも住まない建物は、傷みやすくなります。

清掃・管理委託契約を締結して、管理を委託することができます。

第三者による無断侵入を防止するため、警備契約をすることができます。

具体例(2)預貯金の管理

行方不明者の預貯金は、不在者財産管理人が管理します。

元本を維持する範囲の運用がされます。

具体例(3)返済金の受領

金銭などを貸したまま、債権者が行方不明になることがあります。

債務者は不在者財産管理人に返済して、債務から解放されることができます。

返済金の受領すると、債権は金銭に変わります。

債権という財産が金銭に変わるから、管理行為と考えられます。

⑦処分行為は不在者財産管理人の権限外

不在者財産管理人は、行方不明者のために財産管理をする人です。

保存行為と管理行為をする場合、単独で行うことができます。

不在者財産管理人は、本来、処分行為をする権限はありません。

処分行為とは、財産の内容価値を不可逆的に変更する行為です。

処分行為は、本来、不在者財産管理人の権限外です。

不在者財産管理人が処分行為をする場合、家庭裁判所の許可が必要です。

権限外行為の許可の申立ては、不在者財産管理人が行います。

家族は、権限外行為の許可の申立てに関与しません。

家庭裁判所の許可を得ずに処分行為をしても、無効です。

⑧家族でも専門家でも同じ義務

不在者財産管理人は、家庭裁判所が選任します。

家族が選任されることも、家族以外の専門家が選任されることもあります。

不在者財産管理人には、行方不明者の利益を守る義務があります。

家族でも家族以外の専門家でも、同じ義務を負います。

不在者財産管理人は、公的な立場だからです。

家族が不在者財産管理人に選任されても、不利益な財産管理をすることはできません。

家族が不在者財産管理人に選任されても、家族の希望を優先することはできません。

行方不明者の利益を守る義務に違反したら、任務懈怠と判断されます。

強い言い方をすれば、背任や横領と評価されるおそれがあります。

家族が不在者財産管理人に選任されれば、自由に財産管理ができると考えるのは誤解です。

3権限外行為の許可の現実

①行方不明者に不利益な処分に許可をしない

不在者財産管理人は、行方不明者に不利益な財産管理をすることはできません。

家庭裁判所は、不在者財産管理人が適切な財産管理をしているか監督をします。

権限外行為の許可の審判は、形式的なものではありません。

不在者財産管理人が行方不明者に不利益な処分行為をしようとしても、家庭裁判所は許可しません。

家庭裁判所は、不利益な処分行為でないか実質的に厳しくチェックします。

家庭裁判所の許可なしで、不在者財産管理人は処分行為をすることができません。

②遺産分割協議で権限外行為の許可が必要

(1)遺産分割協議は処分行為

遺産分割協議では、相続人全員の合意で相続財産の分け方を決定します。

遺産分割協議は、処分行為です。

各相続人が持つ相続分を処分する行為だからです。

不在者財産管理人が遺産分割協議をする場合、家庭裁判所の許可が必要です。

(2)不在者財産管理人は行方不明者の相続分を確保

不在者財産管理人は、行方不明者に不利益な財産管理はできません。

行方不明者の相続分を確保できない遺産分割協議に合意できません。

行方不明者の相続分を確保できない遺産分割協議は、不利益な財産管理だからです。

たとえ家族が望んでも、行方不明者に不利益な財産管理はできません。

不在者財産管理人は、家族の希望をかなえる人ではないからです。

たとえ相続税を節税できる遺産分割協議であっても、不利益な財産管理はできません。

(3)家族が不在者財産管理人になっても相続分を確保

家族が不在者財産管理人に選任されても、家族の希望を優先することはできません。

家族が不在者財産管理人に選任されても、相続分を確保する必要があります。

不在者財産管理人は、行方不明者に不利益な財産管理はできないからです。

(4)相続手続に権限外行為の許可の審判書

遺産分割協議が成立したら、相続手続を行います。

遺産分割協議書には、不在者財産管理人の選任審判書と権限外行為の許可の審判書を添付します。

権限外行為の許可の審判書には、遺産分割協議書案が添付されています。

不在者財産管理人は、審判書添付の遺産分割協議をする権限のみが与えられています。

審判書添付の遺産分割協議の内容と異なる内容の遺産分割協議をすることはできません。

家庭裁判所の許可は、協議書案を前提に、その内容で行うことだけが認められる許可です。

異なる内容の遺産分割協議をする場合、あらためて許可が必要です。

③不動産売却で権限外行為の許可が必要

(1)行方不明者の利益になるときだけ許可

不在者財産管理人の任務は、財産を管理して減らさないことです。

不在者財産管理人は、行方不明者に不利益な財産管理はできません。

不動産の売却が行方不明者に利益になるときだけ、不在者財産管理人は売却をすることができます。

(2)売却の必要性があるときだけ許可

行方不明者の財産を管理するだけでなく、わざわざ売却する必要性が求められます。

単に家族が売却したいと望むだけでは、売却の必要性がないと判断されるでしょう。

不在者財産管理人は、家族の希望をかなえる人ではないからです。

たとえば次の場合、売却の必要性が認められる可能性があります。

・共有関係で紛争化して売却する以外に解決できないケース

・固定資産税などの費用が過大で維持することが不合理であるケース

・老朽化しているケース

上記のケースでも、客観的資料で家庭裁判所を説得する必要があります。

(3)価格が妥当なときだけ不動産売却

不在者財産管理人には、善管注意義務があります。

価格の妥当性が認められない場合、不在者財産管理人は不動産を売却することはできません。

親族間売買などで相場より安い場合、行方不明者に不利益な売却と判断されます。

(4)買主が決まっていても行方不明者の利益

買主が決まっていることは、プラス材料ですが決定打ではありません。

不在者財産管理人制度は、家族や買主の希望を叶える制度ではないからです。

たとえ買主が決まっていても、行方不明者の利益を重視します。

(5)所有権移転登記に権限外行為の許可の審判書

不動産を売却したら、名義変更をします。

不動産の所有権移転登記申請では、不在者財産管理人の選任審判書と権限外行為の許可の審判書を提出します。

権限外行為の許可の審判書には、売買契約書案が添付されています。

不在者財産管理人は、審判書添付の売買契約をする権限のみが与えられています。

家庭裁判所の許可は、契約書案を前提に、その内容で行うことだけが認められる許可です。

審判書添付の売買契約の内容と異なる内容の売買契約をすることはできません。

③権限外行為の許可があっても財産は使えない

(1)相続した財産は家族が自由に使えない

遺産分割協議が成立したら、行方不明者の相続分は確保されているはずです。

行方不明者の相続分が確保されないと、家庭裁判所が許可しないからです。

相続分に相当する財産は、行方不明者の財産です。

不在者財産管理人が行方不明者の財産を管理します。

相続分に相当する財産を家族が自由に使うことはできません。

不在者財産管理人は、家族に財産を渡す権限がないからです。

たとえ家族が不在者財産管理人に選任されても、家族が自由に使うことはできません。

(2)売却代金は家族が自由に使えない

行方不明者の不動産を売却したら、売却代金を取得します。

売却代金は、行方不明者の財産です。

不在者財産管理人が行方不明者の財産を管理します。

売却代金を家族が自由に使うことはできません。

不在者財産管理人は、家族に財産を渡す権限がないからです。

たとえ家族が不在者財産管理人に選任されても、家族が自由に使うことはできません。

④権限外行為の許可があっても不在者財産管理人の任務継続

不在者財産管理人選任の申立てをするに当たって、きっかけがあるはずです。

遺産分割協議をしたいから、行方不明者の不動産を売却したいからなどです。

申立てのきっかけとなった遺産分割協議や売却が終わっても、不在者財産管理人の任務は継続します。

不在者財産管理人の任務は、行方不明者の財産を管理することだからです。

相続した財産や売却代金を管理する必要があります。

不在者財産管理人の任務は継続するから、不在者財産管理人の報酬がかかり続けます。

4生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続人が行方不明であることは、割とよくあることです。

行方不明の相続人がいると、相続手続を進めることができません。

相続が発生した後、困っている人はたくさんいます。

自分たちで手続しようとして、挫折する方も少なくありません。

困っている遺族はどうしていいか分からないまま、途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。

相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

死亡した相続人がいるときの法定相続情報一覧図

2026-05-12

1法定相続情報一覧図は被相続人の死亡時の証明書

①法定相続情報一覧図は家系図状の公的証明書

相続手続では、たくさんの戸籍謄本を準備します。

相続人は、客観的に証明する必要があるからです。

法定相続情報一覧図とは、戸籍の内容を家系図状に取りまとめた公的書類です。

たくさんの戸籍謄本と法定相続情報一覧図案を法務局に提出して、点検してもらいます。

内容に問題がなければ、地模様が入った専用紙に認証文を入れて印刷して交付してくれます。

法定相続情報一覧図は、登記官の公印がある公的書類です。

②相続が発生した時点の相続人を証明する

法定相続情報一覧図は、相続が発生した時点の相続人を証明する書類です。

法定相続情報一覧図には、相続と無関係なことは記載できません。

相続が発生した時点で、既に死亡した人は相続人ではありません。

法務局は、相続が発生した時点の相続人を基準に審査します。

たとえ家族であっても、相続人でない人は記載することはできません。

法定相続情報一覧図は、相続が発生した時点の相続人を証明する書類だからです。

相続人であった人が後に死亡しても、相続人であった事実は消滅しません。

たとえ現在は死亡してしまっても、相続人は記載する必要があります。

法定相続情報一覧図は、相続が発生した時点の相続人を証明する書類だからです。

相続人でないのに記載すると、書き直しになります。

相続人なのに記載しないと、書き直しになります。

法定相続情報一覧図は、公的書類だからです。

公的書類としての信頼を維持するため、法務局は厳しく審査します。

③法定相続情報一覧図は戸籍の内容を取りまとめる

相続人を確定するためには、たくさんの戸籍謄本を確認します。

法定相続情報一覧図は、たくさんの戸籍謄本を取りまとめた公的書類です。

たくさんの戸籍謄本と法定相続情報一覧図案を法務局に提出して、点検してもらいます。

戸籍謄本で確認できないことは、法定相続情報一覧図に記載できません。

法務局は、戸籍謄本で確認できるかを基準に審査します。

戸籍に記載していないことを法定相続情報一覧図案に記載すると、書き直しになります。

2数次相続と代襲相続は死亡の順番のちがい

①数次相続とは被相続人死亡後に相続人が死亡

相続が発生したときに元気だった相続人が後に、死亡することがあります。

数次相続とは、被相続人が死亡した後に相続人が死亡して、新たな相続が発生することです。

最初の相続手続中に新たな相続が発生すると、相続手続が複雑になります。

数次相続は、どこまでも続きます。

どこまで続くか、法律上の制限はありません。

最初の相続を一次相続、相続人が死亡した相続を二次相続と言います。

相続人が死亡して新たな相続が発生することを、まとめて、数次相続と言います。

②代襲相続とは被相続人死亡前に相続人が死亡

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡することがあります。

代襲相続とは、相続人になるはずだった人が先に死亡したため相続人になるはずだった人の子どもや孫が相続することです。

数次相続と代襲相続は、死亡の順番がちがいます。

数次相続では、被相続人が先に死亡して相続人が後に死亡したケースです。

代襲相続では、相続人が先に死亡して被相続人が後に死亡したケースです。

複数の相続が発生すると、相続手続が複雑になります。

数次相続と代襲相続は、どちらも相続手続が複雑になります。

3数次相続があるときの法定相続情報一覧図

①ひとつの相続にひとつの法定相続情報一覧図

数次相続では、最初の相続と次の相続が発生しています。

法定相続情報一覧図は、複数の相続をまとめて作ることはできません。

ひとつの相続に、ひとつの法定相続情報一覧図を作成します。

複数の相続をまとめて作成すると、書き直しになります。

②死亡した相続人はそのまま記載

法定相続情報一覧図は、被相続人の死亡時の証明書です。

被相続人が死亡したときに元気だった相続人は、そのまま記載します。

法定相続情報一覧図を作成した時点で既に死亡していても、死亡したことを記載できません。

死亡した相続人の記載を省略すると、書き直しになります。

死亡した相続人の死亡日を記載すると、書き直しになります。

法定相続情報一覧図は、相続が発生した時点の相続人を証明する書類だからです。

死亡した相続人の最後の住所を記載するができます。

法定相続情報一覧図を見るときは、記載されている相続人の現在は死亡している可能性があることに注意する必要があります。

③死亡した相続人の法定相続情報一覧図はあらためて作成

法定相続情報一覧図は、複数の相続をまとめて作ることはできません。

被相続人の法定相続情報一覧図には、相続人が後に死亡したことを記載することができません。

死亡した相続人の法定相続情報一覧図は、あらためて作成します。

④複数の相続をまとめた相続関係説明図があると便利

相続関係説明図は、戸籍の内容を家系図状に取りまとめた説明書類です。

法定相続情報一覧図と違い、公的書類ではありません。

法務局は、点検していません。

登記官による認証文や公印は、ありません。

相続関係説明図は、単なる説明のための家系図です。

公的書類ではないから、ルールにに縛られず自由に書くことができます。

数次相続をひとまとめにした相続関係説明図を作ると、相続全体が分かりやすくなります。

複数の法定相続情報一覧図を提出する場合、相続関係説明図を一緒に添付すると親切でしょう。

⑤死亡した相続人の相続人は最初の相続の申出人になれる

最初の相続における死亡した相続人の相続人は、最初の相続の法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をすることができます。

死亡した相続人の相続人は、相続人の地位を相続しているからです。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をする場合、法定相続情報一覧図案に申出人を記載します。

通常の相続であれば、申出人は法定相続情報一覧図案に現れています。

法定相続情報一覧図案の氏名の近くに、申出人と記載します。

数次相続の場合、死亡した相続人の相続人が最初の相続の法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をすることができます。

死亡した相続人の相続人は、最初の相続の法定相続情報一覧図案に相続人として現れません。

法定相続情報一覧図案に現れない人が申出人になる場合、作成者氏名の近くにまとめて記載します。

4代襲相続があるときの法定相続情報一覧図

①代襲相続ではひとつの法定相続情報一覧図

代襲相続とは、相続人になるはずだった人が先に死亡したため相続人になるはずだった人の子どもや孫が相続することです。

代襲相続が発生した場合、ひとつの法定相続情報一覧図に取りまとめます。

代襲相続人は、直接の相続人だからです。

②被代襲者の氏名は記載できない

被代襲者とは、代襲相続で先に死亡した人です。

相続人になるはずだった人が被代襲者です。

法定相続情報一覧図には、被代襲者の氏名は記載できません。

「被代襲者」と記載して、死亡年月日を記載します。

被相続人より先に死亡した被代襲者は、相続人ではないからです。

相続とは無関係な人だから、氏名を記載することはできません。

被代襲者の氏名を記載すると、書き直しになります。

③相続放棄をしても代襲相続は発生しない

相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に相続放棄の申立てをします。

家庭裁判所に相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。

法定相続情報一覧図を作成する場合、相続放棄をした人はそのまま記載します。

法定相続情報一覧図は、相続が発生した時点の相続人を証明する書類だからです。

相続放棄をした場合、相続放棄をした人の子どもなどは代襲相続しません。

相続放棄は、代襲相続の発生原因ではないからです。

相続放棄をした人を被代襲者と記載すると、書き直しになります。

相続放棄をした人の子どもなどを記載すると、書き直しになります。

相続と無関係な記載と考えられるからです。

④相続人が廃除されたら法定相続情報一覧図に記載できない

廃除とは、被相続人の意思で相続人の資格を奪う手続です。

相続人が廃除されたら、相続人でなくなります。

相続人が廃除されたら、代襲相続が発生します。

相続人が廃除された場合、法定相続情報一覧図に記載することはできません。

廃除された場合、相続人になることはできないからです。

相続人が廃除されたら、戸籍に記載されます。

廃除された相続人は、戸籍謄本を見ると確認することができます。

廃除された相続人を記載すると、書き直しになります。

⑤相続人が欠格になったら法定相続情報一覧図に記載する

相続欠格とは、法律上当然に相続資格を失う制度です。

相続人が重大な不正行為をしたときに、相続欠格に該当します。

相続人が欠格になった場合、法定相続情報一覧図にそのまま記載します。

相続欠格は、戸籍に記載されないからです。

相続欠格の相続人は、戸籍謄本を見ると確認することができません。

法定相続情報一覧図に記載していないと、書き直しになります。

欠格になった場合、相続人になることはできません。

欠格に該当する証明書を添付しても、相続欠格であることを記載することはできません。

欠格になった相続人は、被代襲者と記載することもできません。

廃除された相続人の代襲相続人を記載することもできません。

5相続人がいない子どもは法定相続情報一覧図に書けない

法定相続情報一覧図には、被相続人の相続に関係ないことを記載することはできません。

被相続人の子どもであっても、被相続人より先に死亡していて、かつ、子どもの子どもなど代襲相続をする人がいない場合、死亡した子どもを書くことはできません。

死亡した子どもは、相続とは関係がないからです。

たとえ家族であっても、死亡した子どもは記載できません。

相続人がいない子どもを記載すると、書き直しになります。

6死亡した配偶者がいるときの法定相続情報一覧図

①先に死亡した配偶者は相続人ではない

法定相続情報一覧図には、被相続人の相続に関係ないことを記載することはできません。

被相続人より先に死亡した配偶者は、法定相続情報一覧図に記載することはできません。

被相続人より先に死亡した配偶者は、相続人ではないからです。

被相続人より先に死亡した配偶者を記載すると、書き直しになります。

離婚した元配偶者も、法定相続情報一覧図に書けません。

内縁・事実婚の配偶者も、法定相続情報一覧図に書けません。

どちらも、相続人ではないからです。

具体的な氏名や生年月日、死亡年月日を記載せず、「元配偶者」「男」「女」であれば書き直しにはなりません。

②相続関係説明図に先に死亡した配偶者を記載する

相続関係説明図は、戸籍の内容を家系図状に取りまとめた説明書類です。

相続関係説明図は単に説明書類なので、自由に記載することができます。

相続関係説明図には、死亡した配偶者や離婚した配偶者も記載します。

相続の実情が分かるように、見やすく書きます。

7相続関係説明図と法定相続情報一覧図の作成を司法書士に依頼するメリット

相続関係説明図は比較的自由に相続に関係する事項を記入することができます。

手続先の人が見やすいものを作る必要があります。

法定相続情報一覧図は、法務局が確認して認証文を入れてもらうものです。

法定相続情報一覧図は、書き方に細かいルールがあります。

これらの違いを理解して、ポイントを押さえて作成する必要があります。

前提として、相続人確定のための戸籍収集や遺産分割協議書の作成もあります。

このような戸籍等の取り寄せも含め、手続をおまかせいただけます。

お仕事や家事でお忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続をまるっと依頼できます。

ご家族にお世話が必要な方がいて、お側を離れられない方からのご相談もお受けしております。

間違いのない相続関係説明図の作成や法定相続情報一覧図の作成を考えている方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

失踪宣告で死亡と見なされる

2026-05-12

1失踪宣告で死亡と見なされる

①残された家族のため失踪宣告

相当長期間、行方不明になっている場合、死亡している可能性が高い場合があります。

条件を満たした場合、死亡の取り扱いをすることができます。

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告がされたら、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。

行方不明が長期化した場合、家族が困ります。

家族であっても、行方不明の人の財産を処分することができません。

行方不明者の配偶者は、再婚することができません。

残された家族のために、行方不明者を死亡したものと扱う制度が失踪宣告の制度です。

失踪宣告がされると、死亡した取り扱いをします。

失踪宣告がされた人に、相続が発生します。

相続財産は、相続人全員の共有財産になります。

相続人全員の合意があれば、相続財産を自由に分けることができます。

遺産分割協議によって相続した後は、相続人が自由に処分をすることができます。

②失踪宣告の要件は長期間生死不明と申立て

失踪宣告には、2種類があります。

普通失踪と特別失踪(危難失踪)です。

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

死亡したことが確認できないのに、死亡と見なされます。

死亡と見なされるという強い効果があります。

失踪宣告が認められるためには、次の条件があります。

(1)行方不明の人が生死不明であること

(2)生死不明のまま一定期間継続していること

2普通失踪は7年で死亡と見なされる

一般的に失踪宣告といった場合、普通失踪を指しています。

生死不明の期間を失踪期間と言います。

普通失踪では、失踪期間が7年必要です。

生死不明のまま7年経過した場合に、自動的に死亡と見なされるわけではありません。

家庭裁判所が失踪宣告したときに、死亡と見なされます。

生死不明の人の家族や利害関係人は、家庭裁判所に失踪宣告の申立てをすることができます。

家庭裁判所に失踪宣告の申立てをした後、家庭裁判所が死亡と認めていいか調査します。

家庭裁判所の状況や事件の内容によっては、調査のために1年ほどかかる場合もあります。

生死不明のまま7年以上経過したと認められる場合、家庭裁判所は失踪宣告をすることができます。

3特別失踪(危難失踪)は1年で死亡と見なされる

行方不明の人が大災害や大事故にあっていることがあります。

大災害や大事故に遭った場合、死亡している可能性が非常に高いものです。

特別失踪(危難失踪)とは「戦地に行った者」「沈没した船舶に乗っていた者」「その他死亡の原因となる災難に遭遇した者」などを対象にする失踪宣告です。

死亡している可能性が非常に高いので、失踪期間は短い期間です。

特別失踪(危難失踪)では、失踪期間が1年で済みます。

生死不明のまま1年以上経過したと認められる場合、家庭裁判所は失踪宣告をすることができます。

4失踪宣告による法的な死亡日

①普通失踪は7年満了の日

普通失踪では、生死不明になってから7年間以上経過したときに失踪宣告をすることができます。

生死不明になってから7年間経過したときに、死亡したものと見なされます。

生死不明になってから7年間経過した日が死亡日です。

失踪宣告により死亡と見なされる日は、失踪宣告の申立日ではありません。

失踪宣告により死亡と見なされる日は、失踪宣告の審判があった日ではありません。

失踪宣告により死亡と見なされる日は、失踪宣告の審判が確定した日ではありません。

生死不明になってから7年間経過した日に死亡と見なされます。

②特別失踪(危難失踪)は危難の去った日

特別失踪(危難失踪)では、生死不明になってから1年間以上経過したときに失踪宣告をすることができます。

危難の去った日に、死亡したものと見なされます。

特別失踪(危難失踪)では、生死不明になってから1年間以上経過したときに死亡したものと見なされるわけではありません。

危難の去った日が死亡日です。

5失踪宣告後は死亡届でなく失踪届

①失踪届提出で戸籍に記載される

失踪宣告は、家庭裁判所の審判です。

家庭裁判所が失踪宣告の審判をした後、審判が確定しても市区町村役場に連絡されることはありません。

失踪宣告の審判が確定した後に、市区町村役場に届出が必要です。

失踪宣告の審判が確定した後に市区町村役場に提出する届出を失踪届と言います。

失踪届が受理されることで、失踪宣告がされたことが戸籍に記載されます。

失踪宣告が記載された戸籍謄本を提出することで、生死不明の人が法的に死亡した取り扱いがされることを証明できます。

戸籍には次のように記載されます。

【死亡とみなされる日】令和〇年〇月〇日

【失踪宣告の裁判確定日】令和〇年〇月〇日

【届出日】令和〇年〇月〇日

【届出人】親族 ○○○○

②失踪届は行方不明者届(捜索願)とは別物

失踪届は、失踪宣告の審判が確定した後に市区町村役場に提出する届出です。

市区町村役場は、失踪届を受理したら失踪宣告がされたことを戸籍に記載します。

失踪届を出しても、市区町村役場が生死不明の人を探してくれることはありません。

失踪届は、死亡と扱ってもらうための届出だからです。

生死不明の人を探してもらいたい場合、警察へ行方不明者届を提出します。

行方不明者届は、以前は捜索願と呼んでいました。

失踪届と行方不明者届(捜索願)は、まったく別の届出です。

6失踪宣告後生きていたら

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

死亡したことが確認できないのに、死亡と見なされます。

失踪宣告がされた後、帰ってくることがあります。

失踪宣告がされた人が帰ってきた場合、失踪宣告を取り消してもらう必要があります。

失踪宣告された人が生きていることが分かった場合、家庭裁判所に失踪宣告の取消の審判の申立てをします。

失踪宣告されたときと異なる時期に死亡したことが判明した場合も同様に、家庭裁判所で失踪宣告を取り消してもらう必要があります。

失踪宣告がされると、死亡と見なされるからです。

失踪宣告がされた場合、たとえ生きていても死亡したと扱われます。

失踪宣告を受けた人が生きている場合でも、家庭裁判所で失踪宣告を取り消されるまで死亡したと扱われます。

家庭裁判所で失踪宣告が取り消された後、審判が確定しても市区町村役場に連絡されることはありません。

失踪宣告取消の審判書と確定証明書を添えて、市町村役場に10日以内に届出が必要です。

7失踪宣告で相続が開始する

失踪宣告は、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告を受けた人は、死亡したと取り扱われます。

死亡と見なされる日に、相続が発生します。

死亡と見なされる日を基準として、相続人を確認します。

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、代襲相続が発生します。

相続が発生したときに元気だった相続人が被相続人より後に死亡した場合、代襲相続が発生しません。

相続が発生したときに元気だった相続人が後に死亡した場合、数次相続が発生します。

数次相続は、相続人の地位が相続されます。

失踪宣告の前後で家族が死亡した場合、相続人の確認が重要になります。

代襲相続も数次相続も、相続が複雑になります。

だれが相続人でだれが相続人でないか日付をよく確認しましょう。

相続人を間違えると、相続手続がすべてやり直しになります。

8生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続人が行方不明であることは、割とよくあることです。

行方不明の相続人がいると、相続手続を進めることができません。

相続が発生した後、困っている人はたくさんいます。

自分たちで手続しようとして、挫折する方も少なくありません。

失踪宣告の申立ては、家庭裁判所に手続が必要になります。

通常ではあまり聞かない手続になると、専門家のサポートが必要になることが多いでしょう。

信託銀行などは、高額な手数料で相続手続を代行しています。

被相続人が生前、相続人のためを思って、高額な費用を払っておいても、信託銀行はこのような手間のかかる手続を投げ出して知識のない遺族を困らせます。

知識のない相続人が困らないように高額でも費用を払ってくれたはずなのに、これでは意味がありません。

税金の専門家なども対応できないでしょう。

困っている遺族はどうしていいか分からないまま、途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。

自分たちでやってみて挫折した方も、信託銀行などから丸投げされた方も、相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

法務局保管制度とは保管だけ安心の制度

2026-05-11

1法務局保管制度とは保管だけ安心の制度

①自筆証書遺言は保管場所に困る

遺言書を作成する場合、自筆証書遺言か公正証書遺言を作成することがほとんどです。

自筆証書遺言とは、自分で書いて作る手軽な遺言書です。

公正証書遺言とは、遺言内容を公証人に伝え公証人が書面に取りまとめる遺言書です。

公正証書遺言作成後は、公証役場で厳重保管されます。

自筆証書遺言作成後は、保管場所に困ります。

保管場所を家族と共有すると、破棄や改ざんのリスクがあります。

保管場所を家族と共有しないと、紛失や見つからないリスクがあります。

自筆証書遺言は、保管場所に困ります。

②法務局に提出して保管してもらえる

自筆証書遺言を作成後、作成した遺言書を法務局に保管してもらうことができます。

提出された自筆証書遺言は、法務局で厳重に保管されます。

法務局保管制度は、保管の不安を軽減する制度です。

法務局が厳重に保管するから、紛失や改ざんの心配がなくなります。

自筆証書遺言の法務局保管制度を利用すると、保管リスクに対処することができます。

③保管以外のリスクは自己責任

自筆証書遺言の法務局保管制度は、保管にのみ特化した制度です。

遺言書の内容は、自己責任です。

自筆証書遺言の法務局保管制度は、公正証書遺言の代替手段ではありません。

2自筆証書遺言の法務局保管制度でできること

できる①自筆証書遺言を保管してもらえる

自筆証書遺言の法務局保管制度は、作成した自筆証書遺言を提出して預かってもらう制度です。

自筆証書遺言の法務局保管制度を利用することで、保管に関するリスクを軽減することができます。

保管に関するリスクとは、次のリスクです。

・遺言書を紛失する

・遺言書を破棄・改ざんされる

・遺言書を見つけてもらえない

法務局で安全に保管してもらえるから、保管に関するトラブルを回避できます。

できる②遺言書の保管の有無を確認できる

法務局は自筆証書遺言を預かったら、原本と画像データを管理保管します。

遺言者が死亡した後、相続人は遺言書保管事実証明書の発行を請求することができます。

遺言書保管事実証明書とは、遺言書の保管の事実の有無を証明する書類です。

遺言書が保管されている場合、保管されていることが証明されます。

遺言書が保管されていない場合、保管されていないことが証明されます。

自宅などで保管していると、遺言書があるのか分かりません。

本人以外の人が保管していると、だれが保管しているのか分かりません。

法務局で証明書が発行されるから、遺言書の保管の有無を確認することができます。

できる③遺言書の内容を証明してもらえる

遺言書保管事実証明書を見ても、遺言書の具体的内容は確認できません。

遺言書の具体的内容は、遺言書情報証明書で確認することができます。

法務局は、預かった自筆証書遺言の画像データを管理しています。

遺言書情報証明書で、遺言書の内容を実現します。

できる④遺言書保管通知がされる

遺言者が死亡したことを法務局が確認した場合、遺言書保管通知がされます。

遺言者が遺言書を作成したことを一切伝えないまま死亡しても、遺言書保管通知で遺言書の存在を知ることができます。

通知対象者は、遺言者が決めることができます。

遺言書保管通知を受け取っても、遺言書保管事実証明書を請求できるのは相続関係者のみです。

できる⑤検認手続が不要

検認手続とは、自筆証書遺言を家庭裁判所で提出して開封してもらう手続です。

自宅などで見つけた自筆証書遺言は、家庭裁判所の検認手続が必要です。

法務局保管制度を利用した自筆証書遺言は、家庭裁判所の検認手続が不要です。

検認手続は、遺言書の変造や改ざんを防止する手続です。

法務局に提出した自筆証書遺言は、法務局が厳重に保管するからです。

3自筆証書遺言の法務局保管制度でできないこと

できない①内容の有効性・実現性はチェックされない

自筆証書遺言の保管申請を受け付けるとき、法務局は形式チェックをします。

形式チェックの具体的内容は、次の点です。

・自書してあるか

・署名があるか

・日付があるか

・押印があるか

形式面に問題がなければ、保管を受付けます。

内容の有効性は、チェックされません。

内容があいまいで執行できない遺言書であっても、保管を受付けます。

法務局が保管を受付けても、執行できる遺言書になることはありません。

法務局が保管を受付けても、無効の遺言書は無効の遺言書のままです。

遺言書の内容を自分で適切に整えるためには、弁護士や司法書士レベルの法律知識が必要です。

知識がないまま遺言書を作成すると、保管されたのに最悪の結果になりかねません。

できない②内容の相談はできない

法務局は、法律相談の機関ではありません。

遺言書の文言に問題がないか、相談することはできません。

自筆証書遺言の法務局保管制度を利用しても、法務局からアドバイスを受けることはできません。

内容があいまいな遺言書であっても、法務局は保管を受付けます。

遺言書の内容は、遺言者の自己責任だからです。

法務局が保管を受付ければ、安心とは言い切れません。

できない③相続人間のトラブル防止機能はない

自筆証書遺言の法務局保管制度を利用することで、保管に関するリスクを軽減することができます。

遺言書の保管に関するトラブルは、軽減することができます。

保管以外のトラブルを防止する機能は、ありません。

例えば、遺留分を侵害する遺言書であっても、法務局は保管を受付けます。

法務局が保管を受付けても、遺留分侵害額請求を防止することはできません。

遺留分は、相続人に認められた最低限の権利だからです。

遺留分侵害額請求があると、相続人間で深刻なトラブルに発展するでしょう。

自筆証書遺言の法務局保管制度を利用しても、相続人間のトラブルを防止することはできません。

できない④代理人による保管申請はできない

自筆証書遺言の法務局保管制度を利用する場合、遺言者本人が法務局に出向く必要があります。

遺言者本人以外の人が保管申請をすることはできません。

公正証書遺言を作成する場合、公証人に自宅や病院に出張してもらうことができます。

自筆証書遺言の法務局保管制度では、出張してもらう制度はありません。

体が不自由な人や病気で外出が難しい場合、法務局保管制度の利用は難しくなります。

遺言者に体力があっても、時間が作れないことがあります。

法務局の業務時間は、平日の昼間のみだからです。

法務局の業務時間に出向くことができないと、法務局保管制度を利用することはできません。

4法務局保管制度利用がおすすめの人

①保管だけ心配な人はおすすめ

法務局保管制度の最大のメリットは、遺言書を安全に保管できることです。

保管だけ心配な人は、法務局保管制度がおすすめです。

具体的には、弁護士や司法書士レベルの法律知識がある人です。

②とりあえず遺言書を作りたい人は公正証書遺言

とりあえず遺言書を作成したいと考える人は、おすすめできません。

法務局が遺言書を保管していても、トラブルに発展する可能性があるからです。

法務局が保管を受付けたことは、安心材料にはなりません。

③内容実現の確実性が心配な人は公正証書遺言

公正証書遺言は、公証人が関与して作成します。

公証人は、遺言者の本人確認をして本人の意思確認をしたうえで公正証書遺言を作成します。

公証人は、法律の専門家です。

書き方ルールの違反で遺言書が無効になることは、考えられません。

遺言書内容があいまいで執行できなくなることは、考えられません。

確実に実現したい内容がある場合は、公証人が関与する公正証書遺言が安全です。

保管だけ心配な人は、法務局保管制度がおすすめです。

内容実現の確実性が心配な人は、公証人が関与する公正証書遺言がおすすめです。

5自筆証書遺言の法務局保管制度を利用する流れ

手順①自筆証書遺言の作成

遺言者が自筆証書遺言を作成します。

法務局は、自筆証書遺言の内容について相談に応じません。

自筆証書遺言の内容は、遺言者の自己責任です。

手順②法務局に事前予約

予約なしで法務局に行っても、対応してもらえません。

自筆証書遺言の法務局保管制度を利用する場合、窓口の手続はすべて予約が必要です。

保管申請をする法務局に対して、電話か法務局手続案内予約サービスで予約します。

当日の予約をすることは、できません。

手順③本人が保管申請

遺言者本人が法務局に出向いて、必要書類を添えて遺言書保管申請をします。

保管申請で必要な書類は、次のとおりです。

・住民票

・本人確認書類 運転免許証、マイナンバーカード

代理人による保管申請は、できません。

手順④法務局による形式チェック

自筆証書遺言の保管申請を受け付けるとき、法務局は形式チェックをします。

形式チェックで問題がなければ、保管を受付けます。

手数料は、遺言書1通につき3900円です。

手順⑤保管証を受け取る

自筆証書遺言の保管申請が受付けられたら、保管証が発行されます。

保管証には、次の事項が記載されています。

・遺言者の氏名、生年月日

・手続をした法務局の名称

・保管番号

保管証は、再発行されません。

手順⑥遺言者死亡後に遺言書保管通知

遺言者が死亡したことを法務局が確認した場合、遺言書保管通知がされます。

遺言書保管通知を見ても、遺言書の内容は確認できません。

あらためて、遺言書情報証明書を請求をします。

遺言書の具体的内容は、遺言書情報証明書で確認することができます。

6遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

自筆証書遺言書は、紙とペンと印鑑さえあれば作ることができます。

だれの助けも借りずに作ることができるので、もっとも多い遺言書です。

保管場所に困ったり、紛失したり、廃棄・隠匿・改ざんのリスクが問題でした。

これらの問題点を軽減できる自筆証書遺言書保管制度はメリットがあります。

専門家の関与がないことが多いので、無効になる例が後を絶ちません。

自筆証書遺言書保管制度を利用する場合、法務局で形式チェックをしてくれます。

形式チェックを過度に期待して、内容チェックもしてくれるとの誤解しているかもしれません。

法務局は内容チェックはしてくれません。

形式面に問題がなくても、相続人を特定できない、財産を特定できない、相続人がトラブルになるなどの内容に問題がある遺言書はたくさんあります。

法務局は内容についてはチェックしませんから、問題がある遺言書も保管を受け付けます。

法律の知識があって問題のない遺言書を書くことができる方以外は、専門家の確認をする方が安心でしょう。

内容面で問題のある遺言書は、家庭裁判所の検認を受けても有効にはなりません。

家族が安心できる遺言書を作成したいと考える方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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