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1遺言書を見せない理由
理由①スムーズに相続手続をしたい
遺言書がある場合、遺言書のとおりに遺産分割をすることができます。
遺産分割協議をする場合、相続人全員の合意が必要です。
相続人の合意が不要だから、自分の判断で相続手続を進められると考えます。
他の相続人へ説明したくないと、感じます。
他の相続人へ説明すると、感情的対立に巻き込まれると考えるからです。
他の相続人へ遺言書を見せずに、自分の判断で相続手続を進めようとします。
理由②他の相続人に口を出されたくない
遺言書を見せなければ、他の相続人は遺言書の内容を知りません。
他の相続人から口を出されないと、感じます。
遺言書を見せなければ、説明せずに済むと感じます。
他の相続人の反応を受け止める負担があると感じます。
他の相続人から口を出されずに、自分の思いどおりに相続手続を進められると考えます。
理由③他の相続人の感情的反応が不安
遺言書を見せないという場合、見せたくない相続人に有利な遺言書であることがほとんどです。
遺言書を見せると、感情的反応を向けられると感じます。
不公平だと感じて不満を向けられるのではないか、不安になります。
不満を覚えた相続人が相続手続を妨害するのではないか、心配になります。
他の相続人の感情的反応から逃れるため、遺言書を見せたくないと感じます。
理由④遺留分侵害額請求を回避したい
遺言内容が大きく偏っている場合、一部の相続人の遺留分を侵害していることがあります。
遺留分とは、相続人に認められる最低限の権利です。
配分された財産が遺留分に満たない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。
遺留分侵害額請求がされたら、拒否することはできません。
大きく偏った遺言書を見せると、遺留分侵害額請求を受ける可能性があります。
遺留分侵害額請求を回避したい気持ちから、遺言書を見せたくないと感じます。
2遺言書を見せない行動が相続手続に重大なリスク
①他の相続人が不安と疑念を抱く
遺言書を見せないと、スムーズに相続手続ができると感じます。
スムーズに相続手続ができると感じるのは、自分が遺言書を見ているからです。
だれが何を相続するのか、情報を持っているからです。
現実は遺言書を見せないことで最も損をするのは、見せない人です。
遺言書を見せてもらえなくても、相続人の権利は失われません。
遺言書を見ていない相続人は、だれが何を相続するのか情報を持っていません。
相続手続が進んでいるのか、分かりません。
遺言執行者が何をしているのか、分かりません。
分からない状態に置かれるから、不安を感じます。
自分が不利益を受けているのではないか、不安になります。
何か権利を失うのではないか、不安になります。
自分が知らないところで何か決められていないか、不安になります。
相続手続で取り返しがつかないことに関する不安です。
強い不安があるのに情報がないと、推測で補う他ありません。
遺言書を見せないのは、後ろめたいことがあるのでないか疑います。
不正に財産を動かそうとしているのではないか、疑います。
遺言書を都合よく解釈して財産を奪おうとしているのではないか、疑います。
強い不安は、疑念に変わります。
強い不安と疑念は、そのままで終わりません。
だれが何を相続するのか、確認を繰り返します。
金融機関や相続手続先に、問合せをします。
結果として、スムーズな相続手続は実現しません。
遺言書を見せないと、説明負担が激増します。
他の相続人の不安と疑念が行動になり、相続手続の摩擦につながります。
②他の相続人の善意が口出しになる
遺言書を見せないと、他の相続人に口を出されないと感じます。
現実は遺言書を見せないことで最も損をするのは、見せない人です。
遺言書を見せないと、他の相続人は遺言執行者の存在を知りません。
どこまで相続手続を進めているのか、分かりません。
責任感がある相続人は、自分で相続手続をしようとします。
相続人全員のため、善意で相続手続をします。
良かれと思って、金融機関に問合せをします。
良かれと思って、預貯金の解約手続を進めようとします。
相続手続を進めて、感謝されると信じています。
勝手に預貯金の解約手続をされると、遺言書の内容を実現できなくなることがあります。
遺言執行者からは、勝手な相続手続が口出しに見えます。
他の相続人と遺言執行者の温度差が深刻なトラブルになります。
相続人に、遺言執行者に口出しをする意図はありません。
純粋に善意だったからこそ、温度差がトラブルを招きます。
遺言書を見せないから、自ら口出しを招いたと言えます。
③妨害行為でなくても口座凍結解除ができない
現実は遺言書を見せないことで最も損をするのは、見せない人です。
金融機関は口座の持ち主が死亡したことを知ったら、口座を凍結します。
口座凍結とは、口座取引を停止することです。
口座凍結がされても、手続をすれば口座凍結解除をすることができます。
遺言書を見せないと、他の相続人は遺言執行者の存在を知りません。
自分で、口座凍結解除をしようとするでしょう。
本来遺言執行者がいれば、相続人は相続財産を管理処分する権限はありません。
金融機関は、権限がある者からの請求に応じます。
遺言書を見せないと、相続人は強い不安を覚えるのが通常です。
遺言書を見せないのは、遺言書が無効だからではないかと疑念を持ちます。
遺言書が無効である場合、遺言執行者の権限も無効です。
遺言執行者の権限について、疑念があることを金融機関にも伝えるでしょう。
遺言執行者の権限に疑念がある場合、権限がある者からの請求とは言いにくくなります。
金融機関は、トラブルに巻き込まれることを非常に嫌います。
被相続人の財産を守れなかったとなると、信用失墜になるからです。
相続人間で遺言書の有効無効が争われる場合、トラブルが顕在化したと言えます。
トラブルに巻き込まれることを回避するため、相続人全員の同意書を要求します。
他の相続人には、遺言執行の妨害行為をしようとする意図はありません。
遺言書を見せないから、強い不安と疑念を持っただけです。
強い不安と疑念から、金融機関で相続手続をしようとしただけです。
金融機関には、遺言執行の妨害行為をしようとする意図はありません。
信用失墜を回避するため、慎重姿勢をとったに過ぎません。
遺言書を見せないから、口座凍結解除ができなくなります。
④遺留分侵害額請求から逃げられない
(1)遺留分を奪われる不安
遺言書を見せないと、他の相続人が不安と疑念を抱きます。
遺言内容が分からないと、不利益の可能性を想定するのが自然です。
遺留分すら確保されていない可能性を考えるのは、当然の流れです。
遺言内容を知らされない相続人は、強い不安で不利益の可能性を増幅させるからです。
(2)相続手続が終わると遺留分を奪われたと感じる
遺言書を見せなければ、スムーズに相続手続が進められると感じます。
他の相続人が遺言内容を知らないまま、相続手続が終了するかもしれません。
遺言内容が大きく偏っていても、相続手続を完了させることはできます。
大きく偏った遺言書をそのまま執行した場合、他の相続人は遺留分を侵害されたと感じます。
(3)遺留分侵害額請求がトラブルに発展する
遺言書を見せなくても、遺留分は奪われません。
相続手続を完了させた後であっても、遺留分侵害額請求をすることができます。
現実は遺言書を見せないことで最も損をするのは、見せない人です。
遺留分を奪う意図で遺言内容を知らせないのだと、考えます。
現実にも遺留分侵害額請求を回避したいから、遺言書を見せません。
相続人同士のトラブルは、単に感情的トラブルに過ぎません。
遺留分侵害額請求は、深刻なトラブルに発展します。
(4)弁護士の介入
遺留分侵害額請求をすることは、複雑です。
多くの場合、弁護士に依頼して請求をします。
知識がない人は、弁護士を相手に対等に交渉することはできないでしょう。
一方が弁護士に依頼した時点で、相手方も弁護士に依頼することになります。
弁護士が介入する原因は、遺留分侵害額請求を回避しようとしたことです。
遺留分侵害額請求を回避する目的で、遺言書を見せなかったことです。
(5)法的解決だけで進められる
弁護士が介入した時点で、家族関係や家族の感情は考慮されません。
弁護士は、依頼者の利益を最大化する人で仲介者ではありません。
徹底的に法的手段を使って、依頼者の利益を最大化します。
(6)高額な費用があるからトラブルが激化
遺留分侵害額請求をする側も受ける側も、高額な費用がかかります。
トラブルが長引けば長引くほど、費用は高額になります。
高額な費用を負担したのだから、引けないという心理になります。
高額な費用がかかるから、トラブルが激化します。
⑤遺言書を見せないと最も損をする
遺言書を見せないと、相続人は不安になります。
遺言書を見せたくない動機がすべて、逆になります。
遺言書を見せない行動が重大なリスクになります。
遺言書を隠すことで、相続手続を進められなくなるからです。
3遺言書内容は自分で確認できる
①公正証書遺言は謄本請求ができる
(1)公正証書遺言は公証役場で厳重保管
遺言書を作成する場合、公正証書遺言か自筆証書遺言を作成することがほとんどです。
公正証書遺言とは、遺言内容を公証人に伝え公証人が書面に取りまとめる遺言書です。
公正証書遺言を作成したら、遺言書原本は公証役場で厳重に保管されます。
(2)公正証書遺言の有無を調べることができる
遺言者が死亡した後、相続人は単独で公証役場に公正証書遺言の有無を調べることができます。
公正証書遺言の有無は、日本中どこの公証役場でも調べてもらうことができます。
適切な書類があれば、相続人はだれでも調べることができます。
(3)謄本請求で内容確認ができる
公正証書遺言が作成されていることが判明したら、相続人は謄本請求をすることができます。
公正証書遺言の謄本を取得したら、遺言書の内容を知ることができます。
相続人は単独で、公正証書遺言の謄本を取得することができます。
公正証書遺言は、隠す余地がない遺言書です。
②法務局保管制度利用の自筆証書遺言は遺言書情報証明書
(1)自筆証書遺言を法務局で保管してもらえる
自筆証書遺言は、遺言者が自分で書いて作る遺言書です。
自筆証書遺言は、保管場所に困ります。
保管場所を家族と共有すると、改ざんや破棄のリスクがあります。
保管場所を家族と共有しないと、紛失や見つけてもらえないリスクがあります。
自筆証書遺言を法務局に提出して、保管してもらうことができます。
法務局保管制度を利用すると、法務局が厳重に保管します。
(2)遺言書情報証明書で内容確認ができる
法務局保管制度を利用すると、自筆証書遺言を預かっていることが相続人に通知されます。
相続人に通知されるのは、自筆証書遺言を保管している事実のみです。
通知書で遺言書の内容を知ることはできません。
遺言書情報証明書とは、遺言書の内容の証明書です。
遺言書情報証明書を取得したら、遺言書の内容を知ることができます。
相続人は単独で、遺言書情報証明書を取得することができます。
法務局保管制度利用の自筆証書遺言は、隠す余地がない遺言書です。
③自宅保管の自筆証書遺言は検認手続
(1)検認とは家庭裁判所で開封してもらう手続
自宅などで遺品整理をしていると、自筆証書遺言が見つかることがあります。
自筆証書遺言を見つけた人や預かっていた人は、家庭裁判所へ届け出る必要があります。
検認手続とは、自筆証書遺言を家庭裁判所へ提出して開封してもらう手続です。
(2)検認調書謄本で内容確認
検認期日では、遺言書の内容や形状を確認します。
家庭裁判所が確認した内容は、検認調書に取りまとめられます。
検認手続は、遺言書の偽造変造を防止する手続だからです。
相続人は単独で、検認調書の閲覧やコピーを請求することができます。
たとえ検認期日に欠席しても、検認調書の閲覧やコピーを請求することができます。
検認調書を見れば、遺言書の内容を知ることができます。
検認調書は、相続人間で隠す余地がありません。
④他の相続人に開示義務はない
遺言書を保管している相続人に遺言書の開示を求めても、意味はありません。
遺言書を保管していても、他の相続人に開示する義務はないからです。
相続人は、自分で遺言書を確認する方法があります。
⑤遺言書を見せてもらえなくても遺留分侵害額請求ができる
遺言書は、自分で確認することができます。
相続財産は、自分で調査することができます。
相続手続が完了していても、遺留分侵害額請求をすることができます。
遺留分侵害額請求権は、最短1年で時効消滅します。
速やかに、行動を起こすことが重要です。
4遺言書作成を司法書士に依頼するメリット
遺言書がある場合、相続財産について、相続人全員で、分け方を合意する必要はありません。
遺産分割協議で、相続人全員で合意をしなくていいのは大きなメリットです。
せっかく遺言書を作成しても、遺族に見つけてもらえなければ意味がありません。
同時に、死亡する前に自分に都合の悪い遺言書を隠したり捨ててしまったりする心配があります。
さらに、遺言書には厳格な書き方ルールがあります。
ルールが守られていない遺言書は無効になります。
書き方のルールは守られていても、内容があいまいだったり、不適切であったために、実現できない遺言書も少なくありません。
せっかく遺言書を書くのであれば、家族を幸せにできる遺言書を確実に作りましょう。
司法書士は確実な遺言書を作るお手伝いをします。
家族のために適切で確実な遺言書を作りたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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