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賃貸マンションがあるときの相続放棄

2024-04-18

1相続放棄で相続財産を引き継がない

相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も相続人が受け継ぎます。

被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継がないことを相続の放棄といいます。

相続放棄をすると、プラスの財産を引き継がなくなりますが、マイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

相続放棄をする前に単純承認をしていた場合、相続放棄はできません。

相続放棄が撤回できないように、単純承認も撤回できないからです。

相続財産を処分したり、利用した場合、単純承認をしたとみなされます。

相続財産を処分したり、利用した場合は相続放棄ができなくなります。

家庭裁判所は事情が分からず書類に問題がなければ、相続放棄を受理してしまいます。

家庭裁判所が相続放棄を受理した後でも、相続財産を処分したり、利用した場合は、無効です。

2賃貸マンションを借りる権利は相続財産

被相続人が賃貸マンションやアパートに住んでいることがあります。

お部屋を借りる権利のことを、賃借権と言います。

原則として、お部屋を借りている人が死亡しても、賃貸借契約は終了しません。

相続が発生すると、原則として、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続人が相続する財産が、相続財産です。

相続財産はプラスの財産とマイナスの財産があります。どちらも、相続財産です。

一般的に不動産、預金、株式や投資信託などの有価証券、現金などがイメージしやすいでしょう。

これ以外にも、賃借権などの権利もプラスの財産になります。

賃貸借契約よっては、お部屋を借りている人が死亡したら契約終了になるものがあります。

3賃貸マンションの明渡を求められたら

①マンションの賃貸借契約を合意解除するのは危険

被相続人が賃貸マンションを借りて一人暮らしをしているケースがあります。

しばらく姿を見ていなかったと思っていたら部屋で亡くなっていたということもあるでしょう。

このような場合、相続人が引き続き部屋を借りてくれることはないでしょう。

大家は相続人に対して、契約を解除して部屋を明け渡して欲しいと請求します。

原則として、大家は借主の所有物を勝手に処分することはできません。

相続人からクレームになることをおそれて、相続人に処分を要求するのが通常です。

相続放棄をするのであれば、被相続人の財産を処分することはできません。

被相続人の財産を処分したら、単純承認になるからです。

家庭裁判所が事情が分からずに相続放棄を認めてしまっても、後から無効になります。

賃貸マンションを借りる権利は、賃借権という財産です。

被相続人の賃借権ですから、相続財産にあたります。

賃貸マンションを借りる契約を解除することは、賃借権を処分することです。

相続財産の処分ですから、単純承認になります。

賃貸マンションを借りる契約を解除すると、相続放棄ができなくなるということです。

大家との合意で賃貸借契約を解除するのは、避けるのが賢明です。

②大家は家賃不払いで一方的に解除ができる

契約を解除しないと、マンションの家賃がかかり続けます。

マンションを借りるときに、保証人を立てていれば保証人に賃料の請求が行くことにもなるでしょう。

賃貸借契約を解除しなければ、家賃がかかり続けているはずです。

家賃を払わなければ、大家は賃料不払いを理由に一方的に解除することができます。

大家が一方的に解除したのであって、相続人は何もしていません。

相続財産を処分したのでないから、単純承認になる心配はありません。

大家に迷惑をかけている気持ちから、解除に応じるべきでないかと不安になる場合もあるでしょう。

相続放棄を考えるということは、被相続人に大きなマイナスの財産があるのでしょう。

契約の解除に応じた場合、大きなマイナスの財産を引き受けることがありますから、リスクが大きすぎます。

③価値のある家財道具は処分しない

大家は新たな募集をするために、部屋の片づけをして明け渡して欲しいと請求するでしょう。

相続財産を処分した場合、単純承認になります。

部屋の中のものを片付けたと言っても、無条件で相続放棄が無効になることはありません。

だれが見てもゴミであるようなものや腐りやすいものを片付けた場合にまで、相続財産の処分というのは不当です。

相続財産の処分でないのであれば、相続放棄が無効になることはありません。

着古した衣類や使い古した日用品などは、経済的価値はありません。

経済的価値がないものを片付けたとしても、相続財産の処分とは言えないでしょう。

経済的価値がない思い出の品を形見分けとして、持ち帰っても通常は問題になりません。

売れば値段がつくような美術品や高性能な家電品を処分するのは危険です。

次順位の相続人などが管理できるようになるまで管理するにとどめましょう。

多くの場合、大家はこのようなリスクも考えて賃貸借契約をするときに保険に加入しています。

保険に加入する以外に敷金を預かっています。

保険金や敷金を使って、大家に処分してもらえばいいでしょう。

大家が自分の責任で何かすることについて、相続人の相続放棄と関係ないのは当然です。

大家が部屋の中のものを処分しても、相続人に費用を請求することはできません。

経済的価値がないものを片付けたとしても、相続財産の処分とは言えません。

このことを、捨てるのなら相続財産の処分にならないと誤解している人がいます。

経済的価値があるものを捨てるのは、単純承認になります。

経済的価値があるものを相続したから、処分できたと言えるからです。

同じ捨てる行為でも、経済的価値のないものの場合、単純承認になりません。

経済的価値があるものを捨てる場合、単純承認になります。

④電気・ガス・水道は解約できる

相続放棄をする場合でも、電気、ガス、水道などの生活インフラは解約して差し支えありません。

生活インフラの解約は相続財産の処分にあたらないとされています。

電気会社、ガス会社などに連絡して、供給を止めてもらいましょう。

4相続人が賃貸マンションに住み続けたい場合

被相続人が借りていた部屋に引き続き住み続けたいケースもあるでしょう。

部屋を借りる権利は、本来、賃借権という相続財産です。

相続放棄をしたのであれば、被相続人の財産を引き継ぐことはできません。

賃借権も引き継ぐことはできないのです。

建前として、いったん、退去します。

同じ部屋を借りたい場合、あらためて、大家と賃貸借契約をし直します。

大家と相続人が、単に、マンションを借りる契約をするだけですから相続とは関係ありません。

賃貸マンションを契約しても、相続放棄に影響はありません。

あらためて、契約をし直すとしても被相続人が家賃を滞納していた場合、いい印象を持たないでしょう。

相続人が保証人であれば、保証人として賃料を支払うことができます。

保証人でなかった場合でも、相続人が固有の財産から賃料を払うこともできます。

相続人が自分の固有の財産から支払う場合は、相続財産の処分ではありません。

相続放棄が無効になることはありません。

5相続人が保証人になっている場合

①相続放棄をしても、保証契約は無関係

被相続人が賃貸マンションを借りたとき、相続人が保証人になっている場合があります。

相続人が相続放棄をした場合、被相続人のマイナスの財産を相続することはありません。

被相続人の未払い家賃などを支払う義務は相続していませんから、相続人は支払う必要がありません。

相続人が保証人であれば、相続人は保証人として請求されることになります。

保証契約は賃貸借契約とは別の契約だからです。

賃貸借契約とは別に、大家と保証人が家賃が滞納になったら肩代わりをしますと約束します。

相続放棄をしても、保証契約は無関係です。

保証人はマンションの賃貸借契約を解除することはできません。

②家賃減収分の損害賠償は応じなくていい

大家としても、部屋を明け渡してもらわないと、新たな募集をすることができません。

新たな募集をすることができないから、その間の家賃相当額を損害賠償として請求されることがあります。

自殺や殺人事件など入居者に故意や過失がある場合は、損害賠償が認められます。

単なる孤独死や病死の場合は、損害賠償が認められないでしょう。

単なる孤独死であれば、保証人が家賃相当額の損害賠償に応じる必要はないでしょう。

③過大な原状回復費用に注意

原則として、保証人は入居者が負担すべき原状回復費用を本人に代わって支払わなければなりません。

原状回復とは、入居者の故意や過失など通常の使用方法を超える使用によって発生した傷みを直すことです。

通常の使用で発生する傷みや経年劣化や次の入居者のためのクリーニングは、入居者が負担するものではありません。

被相続人が一人暮らしをしていたケースでは、フローリングやクロスなどの内装を新品にして請求されることがあります。

フローリングやクロスなどの内装には、耐用年数があります。

耐用年数が経過していれば、残存価値は無いと言えるでしょう。

6相続放棄を司法書士に依頼するメリット

実は、相続放棄はその相続でチャンスは1回限りです。

家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続きを取ることはできますが、高等裁判所の手続きで、2週間以内に申立てが必要になります。

家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。

一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。

相続放棄は撤回ができないので、慎重に判断する必要があります。

せっかく、相続放棄が認められても、相続財産を処分したと判断されたら無効になりかねません。

このような行為をしてしまわないように、予め知識を付けておく必要があります。

相続放棄を自分で手続きしたい人の中には、相続放棄が無効になることまで考えていない場合が多いです。

司法書士は、相続放棄が無効にならないようにサポートしています。

せっかく手続きしても、相続放棄が無効になったら意味がありません。

相続放棄を考えている方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

分譲マンションがあるときの相続放棄

2024-04-18

1相続放棄で相続財産を引き継がない

相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も相続人が受け継ぎます。

被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継がないことを相続の放棄といいます。

相続放棄をすると、プラスの財産を引き継がなくなりますが、マイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

相続放棄をする前に単純承認をしていた場合、相続放棄はできません。

相続放棄が撤回できないように、単純承認も撤回できないからです。

相続財産を処分したり、利用した場合、単純承認をしたとみなされます。

相続財産を処分したり、利用した場合は相続放棄ができなくなります。

家庭裁判所は事情が分からず書類に問題がなければ、相続放棄を受理してしまいます。

家庭裁判所が相続放棄を受理した後でも、相続財産を処分したり、利用した場合は、無効です。

2相続放棄が認められても無効になるリスクがある

被相続人が分譲マンションを所有して住んでいることがあります。

相続人が就職や進学で実家を離れた後、そのまま実家のマンションに住んでいないこともあるでしょう。

相続人が実家を離れて遠方に住んでいる場合、実家を使う人がいないかもしれません。

リゾート地の開発を見込んで、リゾートマンションを所有していることもあります。

開発されないまま、不便な立地でリゾートマンションが老朽化しているかもしれません。

マンションに高い資産価値がある場合、相続して売却するのが選択肢のひとつでしょう。

マンションが老朽化しているなど資産価値が低い場合、売却することが難しいかもしれません。

ある程度の資産価値があっても、不便な立地の場合、売却できるまでに長期間かかるかもしれません。

マンションを売却できるまで、固定資産税などの費用がかかり続けます。

遠方に住んでいるのにマンションの管理組合の役員などをしなければならなくなる可能性があります。

マンション以外にめぼしい財産がなく、マンション自体にも価値が感じられない場合、相続放棄をすることが考えられます。

家庭裁判所で相続放棄をした場合、プラスの財産もマイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

プラスの財産もマイナスの財産も引き継いでいませんから、マンションの中のものは勝手に処分することはできません。

相続財産を処分した場合、相続を単純承認したとみなされます。

家庭裁判所が事情を知らずに相続放棄を認めると決定しても、相続放棄は無効になります。

マンションの中のものを処分した場合、相続放棄が無効になるおそれがあります。

だれの目にも明らかにゴミであるようなものや腐りやすいものを処分した場合、相続放棄が無効になることはありません。

家財道具とは言っても財産的価値がない日用品や着古した衣類などを形見分けとして持ち帰った場合、相続放棄が無効になるリスクはないでしょう。

経済的価値があるような美術品や宝飾品などを持ち帰った場合、相続財産の処分と判断されるでしょう。

相続財産を処分したと判断された場合、相続を単純承認したとみなされます。

3相続放棄をした後も遺産の管理義務がある

相続放棄をするとはじめから、相続人でなかったと扱われます。

相続人でないから、被相続人の遺産などに関与しなくていいと考えてしまうかもしれません。

相続放棄をした人は、相続財産を管理すべき人が管理を始めるまで管理を続けなければなりません。

自分が相続放棄をしたことによって次順位の人が相続人になる場合、その人が相続財産を管理してくれます。

固定資産税などの費用やマンションの管理組合の役員なども、次順位の相続人が引き受けてくれます。

自分の他に相続人がいない場合や相続人全員が相続放棄をした場合、相続放棄をした人は相続財産の管理を続けなければなりません。

相続財産の管理を続ける義務は、相続財産を管理すべき人が管理を始めるまでです。

相続財産を管理すべき人が管理を始めた場合、管理を終了することができます。

4相続放棄をしても管理費や修繕積立金を払う義務がある

相続放棄をした人は、相続財産を管理すべき人が管理を始めるまで管理を続けなければなりません。

分譲マンションの場合、管理はお部屋の中だけにとどまりません。

例えば、エレベーターなどの施設の点検やセキュリティーシステムの管理などによって、マンションの価値が維持されています。

このようなマンションの管理は、所有者が直接するものではありません。

マンション所有者は、専門の管理会社に管理費を支払うことによって間接的に管理しています。

相続放棄をした場合であっても、管理会社は相続発生以降の管理費を請求することができます。

相続人は相続財産を管理する義務があるから、管理費を支払う義務があります。

相続が発生するまでの管理費は、被相続人の債務です。

相続放棄をした場合、被相続人の債務を引き継ぐことはありません。

相続発生までに滞納管理費があった場合、管理会社は相続人に請求することはできません。

相続放棄をした相続人に請求できるのは、相続発生後の未払い管理費のみです。

相続人が管理義務を負うのは、相続発生後だけだからです。

マンション所有者は、通常の管理費の他に大規模な修繕のために修繕積立金を負担しています。

同様に、マンションの管理組合は、所有者に修繕積立金を請求することができます。

5マンション管理義務を免れるには

相続財産の管理を続ける義務は、相続財産を管理すべき人が管理を始めるまでです。

相続財産を管理すべき人が管理を始めた場合、管理を終了することができます。

自分の他に相続人がいない場合や相続人全員が相続放棄をした場合、相続人不存在であることが考えられます。

法定相続人がいない場合、最終的には国庫に帰属します。

国庫に帰属する前にたくさんの手続があります。

たくさんの手続が終わるまで、相続財産を管理する必要があります。

相続財産を管理する人を家庭裁判所に選んでもらいます。

相続財産を管理する人を家庭裁判所に選んでもらうことを相続財産清算人選任の申立てと言います。

相続財産清算人選任の申立てをするためには、予納金を納めなければなりません。

事件によって違いますが、予納金はおおむね100万円程度です。

家庭裁判所が相続財産清算人を選んだ場合、相続財産は相続財産清算人に引き継ぐことができます。

相続財産清算人が相続財産を管理し始めたら、相続財産の管理義務がなくなります。

相続財産清算人は、相続財産を管理すべき人だからです。

相続財産清算人が管理を始めた後は、相続財産の管理義務がなくなりますから、管理費や修繕積立金を支払う義務がなくなります。

6マンションの新所有者が滞納管理費を負担する

家庭裁判所が相続財産清算人を選んだ場合、相続財産を管理します。

マンションの滞納管理費は、相続財産から相続財産清算人が支払をします。

マンション管理費以外の債務についても、原則として、相続財産から弁済をします。

相続人全員が相続放棄をする場合、めぼしいプラスの財産は無いことが多いでしょう。

マンションに抵当権が設定されている場合、抵当権のある債権者は抵当権を実行します。

抵当権を実行するとは、マンションを競売して売却代金からお金を返してもらうことです。

担保権のない債権者は裁判で判決を得ることで、マンションを競売にかけることができます。

競売によってマンションの買主が現れた場合、マンションの滞納管理費は買主が負担します。

競売によるマンションの買主が、マンションの滞納管理費があることを知っていても知らなくても関係ありません。

競売による買主は、滞納管理費を支払う義務があります。

7相続放棄を司法書士に依頼するメリット

相続放棄するためには、家庭裁判所に手続をする必要があります。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、プラスの財産もマイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

相続放棄をすると、初めから相続人でなかったと扱われます。

このことから、相続放棄が認められたら相続に関する手続には関与しなくて済むと安心してしまいがちです。

相続財産は引き継ぐことはなくなりますが、管理責任があります。

管理責任があることは、あまり知られていません。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合であっても、相続財産を処分した場合、相続放棄が無効になります。

相続放棄は簡単そうに見えて、実はいろいろなことを考慮しなければならない手続です。

相続放棄を考えている方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続放棄しても不動産の管理義務

2024-04-16

1相続放棄をすると相続人でなくなる

相続が発生したら、原則として、被相続人の財産は相続人が相続します。

プラスの財産もマイナスの財産も、相続人が受け継ぎます。

相続人は、相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続の放棄は、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継がないことです。

相続放棄をすると、はじめから相続人でなくなります。

相続人でなくなるから、プラスの財産を引き継がなくなりますが、マイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

相続放棄をする前に単純承認をしていた場合、相続放棄はできません。

相続放棄が撤回できないように、単純承認も撤回できないからです。

相続財産を処分したり、利用した場合、単純承認をしたとみなされます。

相続財産を処分したり、利用した場合は相続放棄ができなくなります。

家庭裁判所は事情が分からず書類に問題がなければ、相続放棄を受理してしまいます。

家庭裁判所が相続放棄を受理した後でも、相続財産を処分したり、利用した場合は、無効です。

相続放棄をすると、相続人でなくなります。

2相続放棄が認められても無効になるリスクがある

被相続人が自宅を所有して住んでいることがあります。

相続人が就職や進学で実家を離れた後、そのまま実家に住んでいないこともあるでしょう。

相続人が実家を離れて遠方に住んでいる場合、実家を使う人がいないかもしれません。

実家に高い資産価値がある場合、相続して売却するのが選択肢のひとつでしょう。

老朽化しているなど資産価値が低い場合、売却することが難しいかもしれません。

ある程度の資産価値があっても、不便な立地の場合、売却できるまでに長期間かかるかもしれません

実家を売却できるまで、固定資産税などの費用がかかり続けます。

実家以外にめぼしい財産がなく、実家自体にも価値が感じられない場合、相続放棄をすることが考えられます。

家庭裁判所で相続放棄をした場合、プラスの財産もマイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

相続放棄をしたら、実家の中のものは勝手に処分することはできません。

実家の中のものを引き継いでいないからです。

相続財産を処分した場合、相続を単純承認したとみなされます。

相続放棄が撤回できないように、単純承認も撤回できません。

家庭裁判所が相続放棄を認めると決定しても、相続放棄は無効になります。

実家の中のものを処分した場合、相続放棄が無効になるおそれがあります。

だれの目にも明らかにゴミであるようなものや腐りやすいものを処分した場合、相続放棄が無効になることはありません。

使い古した日用品や着古した衣類などを形見分けとして持ち帰ることがあります。

財産的価値がないものを処分した場合、相続放棄が無効になるリスクはないでしょう。

美術品や宝飾品などを持ち帰った場合、相続財産の処分と判断されるでしょう。

経済的価値があるような財産を処分した場合、相続放棄が無効になるでしょう。

相続財産を処分したと判断された場合、相続を単純承認したとみなされます。

3相続放棄をした後も遺産の管理義務がある

相続放棄をするとはじめから、相続人でなかったと扱われます。

プラスの財産もマイナスの財産も引き継ぐことがなくなるから、被相続人の遺産などに関与しなくていいと考えてしまうかもしれません。

相続放棄をした人は、相続財産を管理すべき人が管理を始めるまで管理を続けなければなりません。

自分が相続放棄をしたことによって次順位の人が相続人になる場合、その人が相続財産を管理してくれます。

固定資産税などの費用や実家の管理なども、次順位の相続人が引き受けてくれます。

自分の他に相続人がいない場合や相続人全員が相続放棄をした場合、相続放棄をした人は相続財産の管理を続けなければなりません。

相続財産の管理を続ける義務は、相続財産を管理すべき人が管理を始めるまでです。

相続財産を管理すべき人が管理を始めた場合、管理を終了することができます。

相続財産を管理すべき人が管理を始めるまで、自己の財産と同一の注意をもって管理が必要です。

他人の物を預かる場合、一般的には、善良なる管理者の注意を持って管理しなければなりません。

相続財産を管理するのは、他人の物を預かる場合より軽い注意で済むとされています。

他人の物を預かる場合より軽い注意で済むものの、放置しておくとトラブルに巻き込まれます。

4相続放棄をしても不動産管理をしないとトラブルになる

①被相続人の債権者から損害賠償請求をされるおそれ

被相続人に債権者がいることがあります。

債権者は相続が発生したら、相続人に払ってもらおうと考えるでしょう。

相続人全員が相続放棄をしていた場合、相続人に払ってもらうことはできません。

相続放棄をすると、マイナスの財産を引き継がないからです。

被相続人に財産がある場合、債権者は被相続人の財産から返してもらうことができます。

相続放棄をした人であっても、相続財産を管理しなければなりません。

管理が不適切な場合、財産価値が低下してしまうことがあります。

財産価値が低下すると、弁済がしてもらえなくなくなるかもしれません。

充分な弁済がしてもらえなくなった場合、被相続人の債権者は損害を受けたと言えます。

管理が不適切なため債権者が損害を受けた場合、損害賠償をしなければならなくなります。

不動産管理をしないと、被相続人の債権者から損害賠償請求をされるおそれがあります。

②近隣住民から損害賠償請求をされるおそれ

空き家を放置していると、老朽化します。

壁や屋根が傷んで崩れることがあります。

通行人や近隣の家に被害を及ぼすことがあるでしょう。

人が住んでいない建物に野生動物や病害虫が住み着くことがあります。

管理が不適切なため近隣住民が損害を受けた場合、損害賠償をしなければならなくなります。

③倒壊のおそれのある危険な空き家に指定されるおそれがある

空き家を放置していると、倒壊のおそれのある危険な空き家に指定されるかもしれません。

役所から、適切な管理をするように助言、指導、勧告、命令がされます。

助言、指導、勧告、命令がされても無視される場合、行政代執行がされます。

行政代執行では、多くの場合、空き家が解体されます。

④苦情を受けるおそれがある

管理が不適切で雑草が繁茂している場合、粗大ごみなどが不法投棄されるかもしれません。

犯罪者集団の隠れ家に使われるかもしれません。

空き家が放火される危険もあります。

損害賠償請求がされないまでも、付近住民から苦情を受けることになるでしょう。

5相続放棄後の管理義務を免れるには

自分の他に相続人がいない場合や相続人全員が相続放棄をした場合、相続人不存在であることが考えられます。

法定相続人がいない場合、最終的には国庫に帰属します。

国のものになる前にたくさんの手続があります。

相続財産の管理を続ける義務は、相続財産を管理すべき人が管理を始めるまでです。

相続財産を管理すべき人が管理を始めた場合、管理を終了することができます。

相続人不存在である場合、相続財産清算人が財産を清算し国庫に帰属します。

相続財産清算人は、国庫に帰属するまで相続財産を管理します。

相続財産清算人は、相続財産清算人選任の申立てによって家庭裁判所が選任します。

相続財産清算人選任の申立てをすることができる人は、被相続人の債権者や利害関係人です。

相続放棄をした後、財産を管理している人は、利害関係人です。

利害関係人として、相続財産清算人選任の申立てをすることができます。

相続財産清算人選任の申立てをするためには、予納金を納めなければなりません。

事件によって違いますが、予納金はおおむね100万円程度です。

予納金は、相続財産を整理して国に引き継ぐための経費として使われるお金です。

相続財産は、相続財産清算人に引き継ぐことができます。

相続財産清算人が相続財産を管理し始めたら、相続財産の管理義務がなくなります。

6自治体への寄付は難しい

不動産を相続放棄をしても管理責任があります。

管理責任から逃れるため、相続財産清算人選任の申立てをするためには100万円程度の予納金の負担があります。

自治体に寄付してもいいから手放したいと考えることも少なくありません。

自治体にとってメリットがある不動産であれば、寄付を受け付けてくれます。

自治体で相談するといいでしょう。

自治体にとって使い道のない不動産であれば、ご辞退されるでしょう。

管理責任があるうえに固定資産税という税収を失うことになります。

使い道のない不動産の管理のために、管理費用がかかっても予算がつかないからです。

7相続放棄を司法書士に依頼するメリット

相続放棄するためには、家庭裁判所に手続をする必要があります。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、プラスの財産もマイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

相続放棄をすると、はじめから相続人でなかったと扱われます。

相続放棄が認められたら、相続に関する手続には関与しなくて済むと安心してしまいがちです。

相続財産は引き継ぐことはなくなりますが、管理責任があります。

管理責任があることは、あまり知られていません。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合であっても、相続財産を処分した場合、相続放棄が無効になります。

相続放棄は簡単そうに見えて、実はいろいろなことを考慮しなければならない手続です。

相続放棄を考えている方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続放棄しても遺贈

2024-04-16

1相続放棄をすると相続人でなくなる

相続が発生したら、原則として、被相続人の財産は相続人が相続します。

プラスの財産もマイナスの財産も、相続人が受け継ぎます。

被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継がないことを相続の放棄といいます。

相続放棄をすると、はじめから相続人でなくなります。

プラスの財産を引き継がなくなりますが、マイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

相続の放棄は、被相続人ごとに判断できます。

例えば、父について相続放棄をするが、母について単純承認するでも差し支えありません。

相続の放棄は、相続人ごとに判断します。

例えば、父の相続人ついて長男は相続放棄するが、長女は単純承認するでも差し支えありません。

相続放棄が認められると、はじめから相続人でなくなります。

2遺贈は遺言書で財産を譲ること

遺贈とは、遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげることです。

遺贈で財産を譲ってあげる人のことを遺贈者、譲ってもらう人を受遺者と言います。

相続では、法定相続人だけに譲ってあげることができます。

遺贈では、法定相続人に譲ってあげることもできるし、相続人以外の人に譲ってあげることができます。

譲ってもらう人は自然人でもいいし、法人などの団体でも差し支えありません。

遺言書に「遺贈する」とあれば、譲ってもらう人が相続人であっても相続人以外の人でも、遺贈で手続します。

3相続放棄しても遺贈は受け取れる

相続人が家庭裁判所に相続放棄の申出をした後で、遺言書が見つかることがあります。

自筆証書遺言は、本人が自宅で保管していることが多いものです。

家族が保管場所を共有していない場合、相続発生後、長期間経過してから見つかることも多々あります。

遺言書の内容を確認したところ、法定相続人に遺贈すると書いてあることがあります。

このような遺言書も、有効です。

遺贈では、法定相続人に譲ってあげることもできるし、相続人以外の人に譲ってあげることができるからです。

遺贈を受ける相続人が相続放棄をしていても、差し支えありません。

相続を放棄することと遺贈を受けることは、別問題だからです。

遺贈を放棄するのであれば、あらためて遺贈を放棄する手続が必要です。

相続を放棄した後、遺贈を承認することができます。

相続放棄しても、遺贈を受け取ることができます。

4税金のデメリットがある

①遺贈の登記にかかる登録免許税は5倍になる

相続放棄をしたら、はじめから相続人でなくなります。

相続人であれば受けられた税金のメリットが受けられなくなります。

不動産の遺贈を受ける場合、遺贈による所有権移転登記をする必要があります。

遺贈による所有権移転登記の登録免許税は、相続人の場合、評価額の1000分の4です。

相続人以外の人の場合、評価額の1000分の20です。

相続放棄をしたら、相続人でなくなります。

相続放棄をした人は、相続人以外の人の扱いです。

相続人以外の人は相続人と比べると、登録免許税が5倍になります。

②不動産取得税がかかるおそれがある

不動産を取得した場合、不動産取得税がかかるおそれがあります。

不動産取得税は、特定遺贈で、かつ、相続人以外の人が不動産を取得した場合に発生します。

5遺贈で遺留分を侵害するおそれ

被相続人は、原則として、自分の財産をだれに受け継がせるかは自由に決めることができます。

とはいえ、財産は被相続人がひとりで築いたものないでしょう。

家族の協力があったからこそ、築くことができた財産のはずです。

被相続人の名義になっているからといって、まったく無制約の自由にすることはできません。

今まで協力してきた家族に酷な結果となることがあるからです。

被相続人に近い関係の相続人には、相続財産に対して最低限の権利が認められています。

相続財産に対して、認められる最低限の権利のことを遺留分と言います。

財産の状況によっては、遺贈によって他の相続人の遺留分を侵害してしまうことがあります。

遺留分を侵害された相続人は、遺留分額侵害額請求をすることができます。

6遺贈が無効になることも

①詐害行為になる場合、遺贈が取り消される

原則として、相続放棄をしても遺贈は受け取れます。

被相続人の財産がわずかなプラスの財産と莫大なマイナスの財産ということがあります。

この状況で、わずかなプラスの財産を相続人に遺贈するという遺言書が見つかることがあります。

おそらく、被相続人に頼んで、このような遺言書を書いてもらった場合でしょう。

原則どおりでは、相続放棄をしているから、相続人は莫大なマイナスの財産を受け継ぐことはありません。

原則どおりでは、遺贈は相続放棄と別物だから、わずかなプラスの財産を受け取ることができるとなってしまいます。

このようなことが許されると、債権者にとってあまりに理不尽です。

債権者は、裁判所に訴えて、理不尽な遺贈の取り消しを請求することができます。

借りたお金を返さなければならないのに、自分の財産を不当に減少させて、結果、お金を返せなくしているからです。

自分の財産を不当に減少させたら、お金を貸した人はお金を返してもらえなくなる結果になります。

お金を貸した人が困ることを知っているのに、自分の財産を不当に減少させることを詐害行為と言います。

理不尽な遺贈として裁判所に認められれば、詐害行為は取り消すことができます。

適切な遺言書によってされた遺贈であっても、理不尽な遺贈は詐害行為にあたります。

②相続財産管理人が選任されたら債権者が優先

例えば、相続財産の内容が、少しのプラスの財産と莫大なマイナスの財産の場合があります。

被相続人に「プラスの財産を遺贈する」遺言を書いもらって相続が発生した場合、「相続は放棄するけど遺贈は承認する」が問題になります。

被相続人の債権者はまったくお金を払ってもらえないのに、相続人はプラスの財産を受け取れることになるのは、不公平だからです。

少しのプラスの財産と莫大なマイナスの財産の場合、相続人はいても相続放棄するでしょう。

相続人全員が相続放棄したら、相続人不存在になります。

相続人不存在になったら、利害関係人は家庭裁判所に相続財産管理人を選んでもらうことができます。

相続財産管理人が選任されている場合で、かつ、受遺者と被相続人の債権者両方がいる場合、債権者への弁済が優先されます。

債権者に弁済が済んだ後でないと、遺贈を執行できません。

事実上、遺贈は執行できなくなります。

7相続放棄は詐害行為ではない

①被相続人が借金をしていた場合

被相続人が多額の借金を抱えたまま死亡した場合、お金を貸した人は相続人にお金を返してもらおうとするでしょう。

相続人は被相続人の借金を引き継がないために、相続放棄をすることが考えられます。

お金を貸した人は相続人にお金を返してもらおうと思っていたのに、相続放棄をされたら、請求できなくなって困ります。

お金を貸した人が困るのは知っていると言えるから、相続放棄を詐害行為として取り消したいと思うでしょう。

このような場合、相続放棄を詐害行為として取り消すことはできません。

相続放棄をしても、自己の財産を不当に減らしたわけではないからです。

②相続人が借金をしている場合

被相続人が多額のプラスの財産を残して死亡することがあります。

相続人が多額の借金を抱えている場合、お金を貸した人は相続した財産からお金を返してもらいたいと期待するでしょう。

プラスの財産が多いことを知っていても、他の相続人のために相続放棄をすることがあります。

相続すれば多額の財産がたやすく手に入るのに、相続放棄をしたら相続財産は受け継ぐことはできません。

お金を貸した人は相続財産からお金を返してもらおうと思っていたのに、相続放棄をされたら、返してもらえなくなって困ります。

お金を貸した人が困るのは知っていると言えるから、相続放棄を詐害行為として取り消したいと思うでしょう。

このような場合、相続放棄を詐害行為として取り消すことはできません。

相続放棄をしても、自己の財産を積極的に減らしたわけではありません。

自己の財産が増えるのを消極的に妨げたに過ぎないからです。

8相続放棄を司法書士に依頼するメリット

相続放棄はプラスの財産もマイナスの財産も引き継ぎませんという裁判所に対する届出です。

相続人らとのお話合いで、プラスの財産を相続しませんと申し入れをすることではありません。

つまり、家庭裁判所で認められないとマイナスの財産を引き継がなくて済むというメリットは受けられないのです。

相続放棄をする場合、相続問題だけでなく、被相続人や相続人の借金の問題が隠れている場合が多いです。

このような複雑な事情がある場合、相続人だけでなく債権者を巻き込んでトラブルになりがちです。

あいまいな知識では、余計トラブルが大きくなります。

相続放棄を考えている人は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続放棄で収入印紙と予納郵券

2024-03-21

1相続放棄は家庭裁判所へ手続

相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も相続人が受け継ぎます。

被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継がないことを相続の放棄といいます。

相続放棄は、家庭裁判所に対して相続放棄を希望する旨の申立てをします。

相続放棄をすると、プラスの財産を引き継がなくなりますが、マイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

相続が発生した場合、被相続人の財産は相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めます。

相続人の中には、プラスの財産をまったく受け取らないことがあります。

相続人全員が合意できれば、財産をまったく受け取らない合意をすることができます。

プラスの財産をまったく受け取らないことを相続放棄をしたと表現することがあります。

相続財産の分け方を決める相続人全員の話し合いは、遺産分割協議を言います。

プラスの財産をまったく受け取らない合意をする場合でも、遺産分割協議です。

プラスの財産をまったく受け取らない合意は、相続放棄と表現しても相続放棄ではありません。

相続放棄は、家庭裁判所に対して申立てが必要な手続だからです。

2相続放棄の必要書類

相続放棄は、必要な書類を添えて相続放棄を希望する旨の申立てをします。

この申立ては、相続があったことを知ってから、原則として、3か月以内にする必要があります。

相続放棄を希望する旨の申立てを相続放棄申述書と言います。

相続放棄申述書に添付する書類は、次のとおりです。

①被相続人の戸籍謄本

②被相続人の除票

③相続放棄する人の戸籍謄本(3か月以内のもの)

④収入印紙

⑤裁判所が手続で使う郵便切手

基本的には①~⑤の書類を添えて届出をすれば充分ですが、場合に応じてこの他のものが必要になることがあります。

相続放棄申述書は、窓口に出向いて提出することもできるし郵送で提出することもできます。

提出書類や相続放棄申述書の書き方に不安な人は、家庭裁判所の受付で目を通してもらうと安心です。

3相続放棄の申立てで収入印紙が必要になる

①相続放棄の申立書に収入印紙800円貼付

相続放棄は、相続放棄申述書に必要な書類を添えて家庭裁判所に提出します。

相続放棄申述書の様式や記入例は、裁判所のホームページからダウンロードすることができます。

家庭裁判所の窓口で受け取ることもできます。

相続放棄申述書の様式を見ると、右上に収入印紙の貼り付け欄があります。

相続放棄を希望する人1人あたり、収入印紙800円分必要です。

成年も未成年も、同じ金額です。

1枚で800円の収入印紙はありません。

400円の収入印紙2枚など複数の枚数で準備します。

複数の相続人がまとめて相続放棄をする場合、連名で相続放棄申述書を作成することはできません。

1人1通相続放棄申述書を作成します。

1通づつ収入印紙800円分貼り付けて納入します。

②収入印紙に消印をしない

収入印紙は、相続放棄をするときの手数料を納入するために貼り付けます。

手数料を受け取った家庭裁判所が消印を押します。

相続放棄を希望する人は、消印を押しません。

一般的に、領収書や契約書などに収入印紙を貼り付けます。

領収書や契約書などに収入印紙を貼り付けるのは、印紙税の課税文書だからです。

収入印紙を貼って消印をすることで、印紙税を納入します。

相続放棄をするときに収入印紙を貼るのは、手数料納入のためです。

印紙税の納入のためではないから、提出する人は消印を押してはいけません。

③収入印紙を購入できる場所

(1)郵便局

郵便局の郵便窓口で収入印紙を購入することができます。

大きな郵便局には、ゆうゆう窓口が設置されています。

ゆうゆう窓口も収入印紙を取り扱っています。

ゆうゆう窓口であれば24時間利用可能だから、好きなときに収入印紙を購入することができます。

(2)コンビニエンスストア

コンビニエンスストアは、いたるところにあり24時間営業しています。

昼間に時間が取れない人にとって、コンビニエンスストアで購入できるのは便利です。

コンビニエンスストアでは、主に200円印紙のみの取り扱いです。

収入印紙を4枚貼り付けることになります。

手間がかかりますが、貼り付けてあれば差し支えありません。

(3)法務局の印紙売りさばき窓口

法務局の印紙売りさばき窓口で収入印紙を購入することができます。

法務局の業務時間中のみ購入することができます。

(4)裁判所の売店

裁判所に売店が設置されていることがあります。

裁判所の売店で収入印紙を購入できることがあります。

裁判所の業務時間中のみ購入することができます。

名古屋家庭裁判所では、収入印紙を購入することはできません。

2相続放棄の申立てで予納郵券が必要になる

①予納郵券は裁判所が使う連絡用の切手

相続放棄の申立てをする場合、相続放棄申述書と一緒に予納郵券を提出します。

予納郵券とは、家庭裁判所が手続や連絡用で使う郵便切手のことです。

相続放棄申述書を提出した後、家庭裁判所から相続放棄照会書が送られてきます。

相続放棄照会書を送るときや回答書を返送するときの郵便料は、予納郵券で提出した切手を使います。

家庭裁判所は、切手代を負担してくれません。

②相続放棄の提出先は最後の住所地の家庭裁判所

相続放棄申述書は、担当の家庭裁判所へ提出します。

提出先の家庭裁判所は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

被相続人の最後の住所地は、被相続人の除票を取得すると判明します。

相続放棄の申立てをする場合、相続放棄申述書を一緒に被相続人の除票を提出します。

家庭裁判所は、被相続人の除票を確認して、管轄が間違いないか点検します。

③予納郵券は家庭裁判所ごとにちがう

相続放棄の申立てをする場合、相続放棄申述書を一緒に予納郵券を提出します。

予納郵券は、家庭裁判所ごとに事件の種類ごとに異なります。

名古屋家庭裁判所で相続放棄申述書を提出する場合、予納郵券は次のとおりです。

84円切手 5枚

10円切手 5枚

名古屋家庭裁判所で失踪宣告の申立書を提出する場合、予納郵券は次のとおりです。

500円切手 2枚

350円切手 8枚

100円切手 1枚

84円切手 20枚

10円切手 10枚

2円切手 10枚

名古屋家庭裁判所のホームページに、申立添付書類等一覧表が出ています。

収入印紙と予納郵券を申立添付書類等一覧表で確認することができます。

切手の種類と枚数を間違えないように準備しましょう。

合計額が同じでも、切手の種類と枚数が間違っている場合、後から切手を追送することになります。

ホームページに掲載していない家庭裁判所は、電話などで直接問い合わせをします。

④余った切手は返してもらえる

予納郵券は、家庭裁判所が手続や連絡用で使う郵便切手です。

手続や連絡用で使わなかったら、事件が完了したときに返してもらうことができます。

事件の内容によっては郵送物が増えてしまうことがあります。

予納郵券が不足した場合、追加で予納するよう指示されます。

⑤切手を貼り付けて送らない

予納郵券は、家庭裁判所が手続や連絡用で使う郵便切手です。

家庭裁判所が郵送物に貼り付けて使用します。

切手を紙に貼り付けて提出した場合、家庭裁判所が困ります。

切手をそのまま提出すると扱いにくく、紛失する心配があります。

小さな袋に切手を入れて相続放棄申述書にクリップ止めをするといいでしょう。

切手に直接クリップをつけると、クリップで切手が破損してしまうおそれがあります。

3相続放棄申述受理証明書申請書に収入印紙が必要になる

家庭裁判所が相続放棄を認める場合、本人に対して相続放棄申述受理通知書を送ります。

相続放棄申述受理通知書は、相続放棄を認めましたよという本人あてのお知らせです。

家庭裁判所は、相続放棄を認めた場合、本人にだけ通知をします。

相続放棄が認められた人や債権者などの利害関係人は、相続放棄が認められたことを証明してもらうことができます。

相続放棄申述受理証明書は、家庭裁判所で相続放棄を認められたことの証明書です。

相続放棄申述受理証明書を取得するためには、家庭裁判所に相続放棄申述受理証明書申請書を提出します。

相続放棄申述受理証明申請書は、家庭裁判所のホームページからダウンロードすることができます。

家庭裁判所によっては、相続放棄申述受理通知書と一緒に、送られてくることもあります。

手数料を払って手続をすれば何枚でも発行してくれるし、再発行もしてくれます。

相続放棄申述受理証明申請書の手数料は、証明書1通あたり150円です。

相続放棄申述受理証明書申請書に150円分の収入印紙を貼り付けて納入します。

4相続放棄の有無の照会は収入印紙不要

相続放棄申述受理証明書を取得したい場合、家庭裁判所に相続放棄申述受理証明書申請書を提出します。

相続放棄申述受理証明書申請書には、事件番号を記載する必要があります。

事件番号は、相続放棄申述受理通知書を確認すると判明します。

事件番号が分からない場合、家庭裁判所に照会することができます。

家庭裁判所に照会する制度を相続放棄の有無の照会と言います。

相続放棄の有無の照会をした場合、相続放棄がされたか、されていないか、相続放棄がされた場合は事件番号を回答してもらうことができます。

相続放棄申述の有無の照会に手数料はかかりません。

相続放棄申述の有無の照会は、手数料がかからないから収入印紙は不要です。

郵送で相続放棄申述の有無の照会をすることができます。

相続放棄申述の有無の照会を郵送で提出する場合、返信用の封筒と切手を同封すると送り返してもらえます。

5相続放棄を司法書士に依頼するメリット

相続放棄はプラスの財産もマイナスの財産も引き継ぎませんという裁判所に対する申立てです。

相続人らとのお話合いで、プラスの財産を相続しませんと申し入れをすることではありません。

家庭裁判所で認められないとマイナスの財産を引き継がなくて済むというメリットは受けられないのです。

実は、相続放棄はその相続でチャンスは実質的には1回限りです。

家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続を取ることはできますが、高等裁判所の手続で、2週間以内に申立てが必要になります。

家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。

一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。

司法書士であれば、家庭裁判所に認めてもらえるポイントを承知していますから、認めてもらえやすい書類を作成することができます。

先順位の相続人がいる場合、相続放棄をしたのかしていないのか分からないと、不安な日々を送ることになります。

相続放棄は簡単そうに見えて、考慮しなければならないことがたくさんある手続です。

3か月の期間内に手続きするのは思ったよりハードルが高いものです。

相続放棄を考えている方はすみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

市役所から通知が届いて相続放棄

2024-03-13

1相続放棄で借金を相続しない

相続が発生したら、相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

単純承認は、プラスの財産とマイナスの財産を相続します。

相続放棄は、プラスの財産とマイナスの財産を相続しません。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、プラスの財産とマイナスの財産を相続しません。

被相続人が莫大な借金を抱えていても、相続放棄が認められたら相続する必要はありません。

相続放棄は、被相続人ごとに判断できます。

例えば、父について相続放棄をするが、母について単純承認するでも差し支えありません。

相続の放棄は相続人ごとに判断します。

例えば、父の相続人ついて長男は相続放棄するが、長女は単純承認するでも差し支えありません。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、借金を相続しません。

2市役所は相続人を調査して通知する

①相続人代表者指定届のために通知する

毎年5月ごろに市区町村役場から、固定資産税や都市計画税の納税通知書が送られます。

固定資産税や都市計画税は、不動産の所有者が納める税金です。

不動産の所有者が死亡した場合、納税通知書を送ることができなくなって困ります。

相続人も納税通知書を受け取ることができないと、税金を納めることができなくなって困ります。

市区町村役場は、相続人代表者指定届を提出するように通知を出します。

相続人代表者指定届とは、固定資産税や都市計画税の納税通知書を受け取る人を指定するための届出書です。

納税通知書を受け取る人が代表者です。

市区町村役場は、同居していた相続人やその市町村に住民票がある相続人を優先して通知します。

被相続人と疎遠である場合、被相続人の死亡が連絡されないことがあります。

市区町村から相続人代表者指定届を提出するように通知が届いたことで、相続が発生したことを知ることがあります。

②空き家の相続人に通知する

空き家等の登記名義人が死亡した場合、現在の管理者が適切に管理していないことがあります。

適切な管理を促すため、市区町村役場は相続人に通知を送ります。

空き家等の登記名義人が死亡してから、長期間経過していることがあります。

登記名義人の直接の相続人も、死亡しているかもしれません。

ほとんど面識のない遠縁の親族の相続人であると聞いて、びっくりするかもしれません。

相続を単純承認した場合、空き家等の管理をすることになります。

③地籍調査の立会いのために通知する

地籍調査とは、国土調査のひとつです。

土地の所有者、地番、地目を調査して、境界の位置と面積の測量をします。

市区町村役場は境界を確認するため、所有者の立会いを求めます。

所有者が死亡している場合、相続人に立会いをしてもらいます。

市区町村役場から地籍調査の立会いのお願いが届いたことで、自分が相続人であることを知ることがあります。

④被相続人が税金等を滞納していた場合に通知する

被相続人が納めるべき税金を納めないまま、死亡することがあります。

相続が発生した場合、納めるべき税金は相続財産になります。

被相続人が納めるべき税金は、相続人に相続されます。

税金を納める義務は、相続人全員に法定相続分で相続されます。

市区町村役場は、相続人に対して納税義務承継通知書を送ります。

納税義務承継通知書は、滞納していた税金を納める義務が引き継がれましたよというお知らせです。

納税義務承継通知書を無視していると、滞納処分が開始されます。

滞納処分とは、税金を納める義務がある人の財産から強制的に取り立てる手続のことです。

市区町村役場から納税義務承継通知書が届いたことで、自分が相続人であることを知ることがあります。

⑤生活保護受給者が保護費を過誤受給していた場合に通知する

被相続人が親族と疎遠になっている場合、生活保護を受けていることがあります。

生活保護受給中に、資力が回復することがあります。

資力が回復していた期間中、満額の生活保護費を受け取ることはできないでしょう。

受け取り過ぎになった保護費を返還する義務が発生します。

真実ではないことを申請して生活保護を受給していることがあります。

適切な生活保護費と差額があった場合、差額は本来受け取ることができないはずです。

受け取り過ぎになった保護費を返還する義務が発生します。

誤って生活保護費を受け取っていた場合、過大に受け取った分を返還しなければなりません。

市区町村役場から生活保護費の返還通知が届いたことで、自分が相続人であることを知ることがあります。

3相続放棄の期限3か月のスタートは知ってから

相続が発生したら、相続人は各自単純承認をするか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内に申立てをする必要があります。

相続があったことを知ってからとは、必ずしも、被相続人の死亡してからではありません。

被相続人が死亡した後3か月以上経過してから、相続放棄の申立てをして、認められることがあります。

相続放棄ができる3か月以内のスタートは、相続があったことを知ってからだからです。

市区町村役場から通知が届いて相続があったことを知った場合、通知が届いたときに3か月がスタートします。

相続があったことを知らなかった場合、相続放棄ができる3か月がスタートしていません。

このポイントは、相続が発生してから3か月以内に申立てができなかったのは止むを得なかったと家庭裁判所に納得してもらうことです。

3か月以内に申立てができなかったのは仕方なかったと家庭裁判所が納得できる理由があるときだけは、家庭裁判所も相続放棄を認めてくれます。

市区町村役場は、相続が発生してからすぐに通知する場合もありますが、ときには長期間経過してから連絡してくる場合があります。

市区町村役場から手紙が来て相続があったことを知った場合、この通知は大切です。

市区町村役場からの手紙を見て相続があったことを知ったという証拠になるからです。

市区町村役場から通知が来た後に相続放棄を希望する場合、手続先は家庭裁判所です。

通知を送った役所に相談に行って相続放棄をすると話しても、効果はありません。

4相続放棄をしても市区町村役場に連絡されない

家庭裁判所に相続放棄を認めてもらったら、家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書という書類が届きます。

家庭裁判所は相続放棄を認めた場合でも、自主的に市区町村役場に連絡することはありません。

だれが相続放棄をしたか、市区町村役場は知るきっかけがありません。

相続放棄をした場合でも、市区町村役場に届出をするルールはありません。

戸籍や住民票に、相続放棄が記載されることはありません。

市区町村役場は、相続放棄をしたかどうか全く知ることはないのです。

相続放棄が認められた後になって、被相続人が滞納していた税金などを払ってくださいと督促してくることがあります。

相続放棄しているので、払う必要のない税金です。

市区町村役場は相続放棄をしたことを知らないので、相続人に払ってもらおうと考えて催促します。

相続放棄申述受理通知書を提示して事情を説明すれば督促をやめてくれます。

5期限を過ぎた相続放棄を司法書士に依頼するメリット

相続放棄は、その相続でチャンスは1回限りです。

家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続きを取ることはできます。

高等裁判所の手続で、2週間以内に申立てが必要になります。

家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。

一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。

相続が発生してから3か月以内に届出ができなかったのは止むを得なかったと家庭裁判所に納得してもらって、はじめて、家庭裁判所は相続放棄を認めてくれます。

通常は家庭裁判所に対して、上申書や事情説明書という書類を添えて、説得することになります。

家庭裁判所が知りたいことを無視した作文やダラダラとした作文では認めてもらうことは難しいでしょう。

司法書士であれば、家庭裁判所に認めてもらえるポイントを承知しています。

認めてもらいやすい書類を作成することができます。

通常の相続放棄と同様に、戸籍謄本や住民票が必要になります。

仕事や家事、通院などで忙しい人にとって、平日の昼間に市区町村役場に出向くのは負担が大きいものです。

戸籍謄本や住民票は、郵便による取り寄せをすることができます。

書類の不備などによる問い合わせは、市区町村役場の業務時間中の対応が必要になります。

相続人の負担は、軽いとは言えません。

戸籍謄本や住民票の取り寄せは、司法書士におまかせすることができます。

3か月の期限が差し迫っている方や期限が過ぎてしまっている方は、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

 

相続放棄したのに裁判

2024-02-26

1相続放棄で相続人でなくなる

①相続放棄は家庭裁判所の手続

相続が発生した場合、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄を希望する申立てをします。

申立てをする先の家庭裁判所は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所です。

相続が開始した地とは、被相続人の最後の住所地です。

裁判所のホームページで、管轄する家庭裁判所を調べることができます。

被相続人の最後の住所地が分からない場合、被相続人の除票や戸籍の附票を取得すると判明します。

相続放棄の申立ての期限は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内です。

「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。

相続放棄ができる期間は3か月を知らないまま3か月経過した場合、相続放棄は認められません。

法律の定めを知らなくても、3か月過ぎてしまえば、単純承認になります。

単純承認になったら、相続放棄は認められません。

②相続放棄をした人に借金を請求できない

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなくなります。

相続人でなくなるから、被相続人の財産を相続することはできません。

被相続人の財産には、いろいろな種類のものがあるでしょう。

相続人でなくなった場合、プラスの財産とマイナスの財産の両方を相続しません。

一部の財産だけを相続放棄することはできません。

相続放棄をした場合、すべての財産を相続しません。

被相続人が借金を残して、死亡することがあります。

相続人が相続放棄をした場合、被相続人の借金を相続しません。

債権者は、相続放棄をした人に借金の返済を求めることができません。

2相続放棄したのに裁判

①単純承認で相続放棄が無効になる

相続が発生した場合、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

単純承認は、プラスの財産とマイナスの財産の両方を相続します。

相続放棄は、プラスの財産とマイナスの財産の両方を相続しません。

単純承認をしたら、相続放棄をすることはできません。

相続放棄をした後に、相続放棄を撤回することができません。

同じように単純承認をした後に、単純承認を撤回をすることはできないからです。

撤回とは、相続放棄が受理されたときには何も問題がなかったのに、後から問題が発生したので、なかったことにすることです。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に相続放棄を希望する申立てをします。

家庭裁判所は相続放棄の申立てを受け付けた後、受け付けた書類を見て審査をします。

家庭裁判所は、独自で調査をしません。

書類に問題がなければ、家庭裁判所は相続放棄を認める決定をします。

事情が分からずに家庭裁判所が相続放棄を認めてしまっても、無効です。

単純承認をしたら、撤回ができないからです。

単純承認をした後、相続放棄が認められても無効になります。

②相続放棄は絶対でない

家庭裁判所は相続放棄の申立てを受け付けた後、詳しい事情を調査しません。

書類に問題がなければ、相続放棄を認める決定をします。

家庭裁判所で相続放棄が認められても、実際は無効であることがあります。

単純承認をしたのに、相続放棄の申立てをすることがあるからです。

被相続人の財産を処分したり利用したりした場合、単純承認と見なされます。

相続放棄を希望しているのに、相続人が被相続人の財産を処分したり利用したりすることがあります。

相続人が自覚せずに、被相続人の財産を処分したり利用したりすることがあるでしょう。

相続人が自覚していなくても被相続人の財産を処分したり利用したりした場合、単純承認と見なされます。

単純承認をした後に家庭裁判所が相続放棄を認める決定をしても、無効の決定です。

家庭裁判所は詳しい調査をせずに提出された書面だけで、相続放棄の決定をします。

家庭裁判所の決定は、絶対ではありません。

③債権者は裁判で相続放棄の無効を主張できる

単純承認をした後に、家庭裁判所が相続放棄を認めてしまうことがあります。

被相続人の財産を処分したり利用したりした場合、相続放棄をすることはできません。

事情が分からないから家庭裁判所が相続放棄を認めてしまっても、無効の決定です。

家庭裁判所の決定に不服があれば、債権者は裁判で争うことができます。

家庭裁判所の決定は、絶対ではないからです。

相続放棄をした場合、プラスの財産とマイナスの財産の両方を相続しません。

債権者は、相続放棄をした人に被相続人の借金を請求することはできません。

相続放棄が無効の場合、プラスの財産とマイナスの財産の両方を相続します。

債権者は、相続放棄の無効を主張して被相続人の借金を払って欲しいと請求することができます。被相続人の借金を払ってもらうため、債権者は裁判を起こすことができます。

④裁判所の呼出を無視すると欠席裁判

被相続人の財産を処分したり利用したりした場合、単純承認と見なされます。

債権者が裁判を起こした場合、裁判所から訴状が届きます。

被相続人の財産を処分したり利用したりしたことがまったくない場合、訴状を無視したくなるかもしれません。

債権者は相続放棄の有効無効を判断してもらうため、裁判を起こしています。

相続放棄は有効だと主張する場合、裁判に対応しなければなりません。

裁判所からの呼び出しに応答しない場合、欠席裁判になります。

欠席裁判になると、裁判所は債権者の主張を全面的に認める判決をします。

債権者の主張が不適切と考える場合、適切に主張立証をする必要があります。

適切に主張立証をして裁判所に相続放棄は有効だと分かってもらうことが重要です。

被相続人の財産を処分したり利用したりしたことがまったくないのに、適切な主張立証をしていなければ裁判所に分かってもらえません。

債権者の主張が認められた場合、相続放棄が無効になるでしょう。

相続放棄が無効になった場合、被相続人の借金を相続することになります。

3債権者に訴えられた後に相続放棄

①相続放棄3か月のスタートは知ってから

相続が発生した場合、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

被相続人と別居していた場合、被相続人の財産状況を詳しく知らないことが多いでしょう。

財産調査をしても主だった財産が見つからない場合、何も手続しないことが通常です。

相続が発生してから長期間経過した後で、債権者から借金の請求を受けることがあります。

債権者は借金の支払いを求めて、裁判所に訴えを起こすことができます。

債権者から訴えを起こされてはじめて、被相続人の借金の存在を知ることになります。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に相続放棄を希望する申立てをします。

相続放棄ができる期間は、相続があったことを知ってから3か月です。

「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。

債権者から訴えを起こされて借金の存在を知った場合、訴えを起こされたことを知ったときから3か月がスタートします。

②債権者に訴えられた後に相続放棄ができる

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に相続放棄を希望する申立てをします。

訴えを起こされたことを知ったときから、3か月がスタートします。

相続が発生してから長期間経過した後でも、3か月以内です。

債権者が訴えを起こすまで、借金の存在を知らなかったからです。

被相続人の財産を処分したり利用したりしていない場合、単純承認と見なされません。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、被相続人の借金を相続することはありません。

③名古屋家庭裁判所なら即日審判

家庭裁判所に相続放棄を希望する申立てをした場合、家庭裁判所は提出した書類を審査します。

書類に問題がなければ、相続放棄を認める決定をします。

家庭裁判所の混雑状況によりますが、相続放棄が認められるまでにおおむね1か月程度かかります。

債権者が被相続人の借金の支払いを求めて裁判を起こした場合、適切に対応する必要があります。

期日までに答弁書を提出して、裁判所に事情を説明します。

そのうえで相続放棄の手続を完了させる必要があります。

相続放棄の手続を完了するまで、気が気でないでしょう。

条件を満たせば名古屋家庭裁判所本庁では、相続放棄の即日審判をしてもらうことができます。

相続放棄申述受理通知書が発行されたら、すぐに裁判所に提出します。

4続放棄を司法書士に依頼するメリット

相続放棄はプラスの財産もマイナスの財産も引き継ぎませんという裁判所に対する申立てです。

相続人らとの話合いで、プラスの財産を相続しませんと申し入れをすることではありません。

家庭裁判所で認められないと、マイナスの財産を引き継がなくて済むというメリットは受けられません。

家庭裁判所で相続放棄が認められたとしても、絶対的なものではありません。

相続放棄の要件を満たしていない場合、その後の裁判で相続放棄が否定されることもあり得ます。

相続の単純承認にあたる行為は、建物の取壊しや高価な宝石などの形見分けなども含まれます。

相続が発生すると、家族はお葬式の手配から始まって膨大な手続と身辺整理に追われます。

相続するのか、相続を放棄するのか充分に判断することなく、安易に相続財産に手を付けて、相続放棄ができなくなることがあります。

相続に関する手続の多くは、司法書士などの専門家に任せることができます。

手続を任せることで、大切な家族を追悼する余裕もできます。

相続人の調査や相続財産調査など適切に行って、充分に納得して手続を進めましょう。

相続放棄は、3か月以内の制限があります。

3か月の期間内に手続するのは、相続するよりハードルが高いものです。

相続放棄を考えている方は、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

絶縁しても相続放棄

2024-02-20

1相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

①配偶者は必ず相続人になる

②被相続人に子どもがいる場合、子ども

③被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

④被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

2絶縁している相続人も相続人

①音信不通でも相続人

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になるか相続人にならないかは、法律の定めで決まります。

被相続人と絶縁していても、相続人になるかどうかとは関係ありません。

絶縁していたとか、絶交していたとかいう事情は、法律の定めとは無関係です。

たとえ何十年も音信不通でも、親子は親子です。

何十年も会っていなくても、兄弟姉妹は兄弟姉妹です。

音信不通でも、相続人になります。

②戸籍から抜けても相続人

家族間のトラブルがある場合、同じ戸籍ではなく別の戸籍にしたいと考えることがあります。

親の戸籍に入っている場合、分籍をすることで親の戸籍から離れることができます。

戸籍が別になった場合でも、親子の縁が切れるわけではありません。

分籍後の戸籍を取得した場合、父母の氏名が記載されています。

結婚した人は、親の戸籍から離れて新戸籍が編製されます。

結婚した場合、親子の縁が切れるわけではありません。

戸籍が別になっても、相続人になります。

③氏がちがっても相続人

生まれる前に父母が離婚したので、一度も被相続人に会ったことがない人がいます。

被相続人の氏とは別の氏を名乗っているかもしれません。

被相続人の氏とは別の氏を名乗っていても、子どもであることには変わりはありません。

被相続人の氏とは別の氏を名乗っていても、相続人になります。

④扶養をしなくても相続人

被相続人が子どもの養育費を払っていない場合があります。

成人した子どもと親子げんかをして、親への仕送りをやめてしまった場合があります。

親が子どもを扶養していない場合も子どもが親を扶養しない場合も、親子は親子です。

扶養をしていなくても、相続人になります。

⑤絶縁状を作っても相続人

子どもが重大な親不孝をした場合に、親が子どもを勘当にすることがあります。

子どもを勘当にして、絶縁状を作ることがあります。

絶縁状に法的な効力はありません。

家の敷居をまたぐなとか、お葬式に呼ばないなども法的効力はありません。

配達証明付き内容証明郵便で絶縁状が届くと、受け取った人は驚くかもしれません。

絶縁状を受け取っても、子どもは子どもです。

絶縁状に法的な効力はないから、親子の血縁関係を切ることはできません。

絶縁状を作っても、相続人になります。

3相続したくない場合は相続放棄

①関わりたくないからを理由に相続放棄ができる

いろいろな家族関係の中で、家族と音信不通になっているケースはたくさんあります。

被相続人の家族が知らない相続人がいることもあります。

被相続人とは連絡を取り合っていても、被相続人の家族とは疎遠になっているケースもあります。

被相続人が死亡した後、家族が知らない相続人に対してすぐに連絡がされることはないでしょう。

被相続人が死亡してから、長期間経過してから、相続が発生したことを知ることになります。

子どもは、法律の定めによって相続人になります。

相続人として相続するのであれば、相続財産の分け方について相続人全員による合意が不可欠です。

相続財産の分け方について、相続人全員による合意のための話し合いなどに関わりたくないケースもあるでしょう。

合意のための話し合いなどに関わりたくないことを理由に相続放棄をすることができます。

②相続放棄は3か月以内に手続

相続放棄は家庭裁判所に申立てをする必要があります。

相続することを望まないのであれば、家庭裁判所に手続をしなければなりません。

この申立ての期限は、原則として、相続があったことを知ってから3か月です。

「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。

被相続人が死亡してから3か月以内ではありません。

相続財産を相続することを知ってから3か月以内です。

被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから3か月以内であれば、家庭裁判所に手続をすることができます。

家庭裁判所は、相続人がいつ相続があったことを知ったのかが分かりません。

被相続人が死亡してから3か月以上過ぎていれば、相続があったことを知ってから3か月以上経過していると誤解してしまうリスクがあります。

被相続人が死亡してから3か月以上過ぎている場合、相続放棄の申立ての書類に事情説明書を添えて家庭裁判所を説得します。

多くの場合、郵便物で被相続人の死亡の事実を知ることになるでしょう。

被相続人の死亡の事実を知るきっかけになった郵便物は重要です。

相続があったことを知ってから3か月以内であることを裏付ける証拠になるからです。

相続発生から3か月以上経過している場合、相続人であることを知ってから3か月以内であることを家庭裁判所に納得してもらわなければなりません。

このような郵便物を添付して相続放棄の申立てをすると、説得力が増します。

相続人であることを知ってから3か月以内であることを納得してもらえれば、相続放棄が認められます。

4生前に相続放棄はできない

父母が離婚する際に、生まれてきた子どもと親子の縁を切る、相続人にさせないなどと約束する場合があります。

母が、生まれてきた子どもは相続放棄をしますと念書を書くケースもあります。

相続放棄ができるのは、相続人だけです。

相続放棄ができるのは相続人だけとは、相続放棄ができるのは相続が発生してからという意味です。

相続が発生するまでは、相続人になる予定の人であって、相続人ではないからです。

生まれてきた子どもは相続放棄をしますと書いた念書に法的な意味はありません。

母が書いた念書があるから、相続人ではないと主張しても、だれも相手をしてくれません。

金融機関も法務局も相続手続をしてくれません。

親が書く絶縁状が意味がないように、母が書いた念書にも意味はありません。

相続放棄は、相続が発生した後、家庭裁判所に手続する必要があるのです。

5法律的に親子の縁を切る方法

①嫡出否認の訴え

嫡出否認とは、婚姻中や離婚後300日以内に生まれた子どもが夫婦の子どもではないと家庭裁判所に裁判で認めてもらう制度です。

妻の不貞で授かった子どもや離婚後に別の男性との間に授かった子どもに対して、自分の子どもでないと主張することです。

家庭裁判所に訴えることになりますから、確かな証拠が必要になります。

嫡出否認の訴えは、夫が子どもの出生を知ってから1年以内に手続をしなければなりません。

②親子関係不存在確認の訴え

親子関係不存在確認とは、夫が服役中に妻に子どもが授かった場合などに、明らかに夫婦の子どもでないことを家庭裁判所に認めてもらう制度です。

婚姻後200日以内に出生した子どもに対して、自分の子どもでないと主張することもできます。

親子関係不存在確認の訴えも、嫡出否認の訴えも家庭裁判所に認めてもらう必要があります。

単なる憶測や根拠のない思い込みで、家庭裁判所が納得してくれることはありません。

③特別養子

特別養子とは、実親が虐待するなど養育や監護が著しく不適当な場合に実親との縁を切って養子縁組をする制度です。

血縁関係のある実親との親子関係を切ることになるので、家庭裁判所が決定します。

子どものいない夫婦が養子縁組をする、配偶者の連れ子と養子縁組するといったことは日常的に聞くことあります。

一般的に、単に「養子」と言ったら、普通養子を指していることがほとんどです。

普通養子では養子縁組をした後も、血縁関係のある実親との親子関係は続きます。

特別養子では、養子縁組をした後、血縁関係のある実親との親子関係がなくなります。

血縁関係のある実親との親子関係がなくなる重大な決定なので、家庭裁判所が厳格に審査します。

④法律的に親子の縁を切るのは極めて困難

音信不通であっても、絶縁状を受け取っても、家族との血縁関係が切れることはありません。

血縁関係を切れるのは、非常にレアケースです。

子どもが重大な親不孝をした場合に、親が子どもを勘当にすることがあります。

子どもを勘当にして、絶縁状を作ることがあります。

絶縁状に法的な効力はありません。

家の敷居をまたぐなとか、お葬式に呼ばないなども法的効力はありません。

親の言いなりにならない、家に寄り付かない程度のことで、親子の縁を切ることはできません。

父母が離婚する際に、生まれてきた子どもと親子の縁を切る、相続人にさせないなどと約束する場合があります。

父母が約束しても、子どもであることには変わりはありません。

父母が約束した程度のことで、親子の縁を切ることはできません。

血縁関係を切るためには、非常に高いハードルがあります。

6相続放棄を司法書士に依頼するメリット

実は、相続放棄はその相続でチャンスは1回限りです。

家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続を取ることはできます。

高等裁判所の手続で、2週間以内に申立てが必要になります。

家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。

一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。

相続が発生してから3か月以内に届出ができなかったのは止むを得なかったと家庭裁判所に納得してもらって、はじめて、家庭裁判所は相続放棄を認めてくれます。

通常は家庭裁判所に対して、上申書や事情説明書という書類を添えて、説得することになります。

家庭裁判所が知りたいことを無視した作文やダラダラとした作文では認めてもらうことは難しいでしょう。

司法書士であれば、家庭裁判所に認めてもらえるポイントを承知しています。

認めてもらえやすい書類を作成することができます。

さらに、通常の相続放棄と同様に戸籍謄本や住民票が必要になります。

仕事や家事、通院などで忙しい人には平日の昼間に役所に出向いて準備するのは負担が大きいものです。

戸籍謄本や住民票は、郵便による取り寄せもできます。

書類の不備などによる問い合わせはやはり役所の業務時間中の対応が必要になります。

やはり負担は軽いとは言えません。

このような戸籍謄本や住民票の取り寄せも司法書士は代行します。

相続放棄を考えている方は、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

共有名義人の片方死亡後に相続放棄

2024-02-19

1被相続人の共有持分は相続財産

相続が発生した場合、被相続人のものは相続人が相続します。

相続財産は、相続人全員の共有財産になります。

被相続人が不動産などを第三者と共有していることがあります。

被相続人が不動産などを第三者と共有していた場合、被相続人は共有持分を持っています。

被相続人が持っていた共有持分は、相続人が相続します。

被相続人が持っていた共有持分は、相続財産です。

2相続放棄で相続人でなくなる

①相続放棄は家庭裁判所の手続

相続が発生した場合、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄を希望する申立てをします。

申立てをする先の家庭裁判所は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所です。

相続が開始した地とは、被相続人の最後の住所地です。

裁判所のホームページで管轄する家庭裁判所を調べることができます。

被相続人の最後の住所地が分からない場合、被相続人の除票や戸籍の附票を取得すると判明します。

相続放棄の申立ての期限は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内です。

「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。

相続放棄ができる期間は3か月を知らないまま3か月経過した場合、相続放棄は認められません。

法律の定めを知らなくても、3か月過ぎてしまえば、単純承認になります。

単純承認になったら、相続放棄は認められません。

②相続放棄をすると相続できない

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなくなります。

相続人でなくなるから、被相続人の財産を相続することはできません。

被相続人の財産には、いろいろな種類のものがあるでしょう。

相続人でなくなった場合、プラスの財産とマイナスの財産の両方を相続しません。

一部の財産だけを相続放棄することはできません。

相続放棄をした場合、すべての財産を相続することができなくなります。

③相続放棄で次順位相続人

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。

被相続人の子どもが相続放棄をした場合、相続人でなくなります。

被相続人の子ども全員が相続放棄をした場合、被相続人に子どもがいない場合になります。

被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属が相続人になります。

被相続人の子ども全員が相続放棄をした場合、配偶者だけが相続人になるのではありません。

被相続人の子ども全員が相続放棄をした場合、次順位の人が相続人になります。

④相続人全員相続放棄ができる

相続放棄をした場合、プラスの財産とマイナスの財産の両方を相続しません。

相続放棄をする理由は、被相続人の借金を引き継がないためが多いでしょう。

相続放棄が認められた場合、被相続人の借金を返済する必要はなくなります。

相続人全員が相続放棄をした場合、だれも被相続人の借金の責任を取らないことになります。

だれも責任をとらないことに後ろめたく思うかもしれません。

相続放棄は、相続人ひとりひとりが自由に判断することができます。

結果として、相続人全員が相続放棄を選択することになっても、法律上、やむを得ないことです。

被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。

被相続人の兄弟姉妹全員が相続放棄をした場合、次順位の相続人はいません。

借金がどこまでも無限に追いかけてくることはありません。

だれが相続人になるかについては、民法で決められているからです。

民法で決められた人以外の人が相続人になることはありません。

相続人にならない人は、相続できません。

借金が無限に追いかけてくることはありません。

相続人全員が相続放棄をすることができます。

3共有者が持分を取得するまでに費用と時間がかかる

①相続人不存在で相続財産清算人選任の申立て

被相続人が天涯孤独で親族がいないことがあります。

配偶者、子ども、親などの直系尊属、兄弟姉妹がだれもいない場合、相続人不存在になります。

相続人がいても、相続放棄をすることがあります。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなくなります。

相続人不存在の場合、相続財産は清算されます。

相続財産清算人は、相続財産を清算する人です。

利害関係人は家庭裁判所に申立てをして、相続財産清算人を選任してもらいます。

相続財産清算人の申立てをする場合、予納金を納める必要があります。

相続財産の状況によって異なりますが、多くの場合で100万円程度です。

②相続債権者へ支払い

被相続人が払うべきお金を払う前に、死亡することがあります。

相続財産にプラスの財産がある場合、債権者は相続財産から払ってもらいたいと望むでしょう。

相続財産清算人は、弁済請求の公告をします。

被相続人が不動産の共有持分を持っていた場合、プラスの財産があると言えます。

被相続人のプラスの財産は、原則として、売却されて弁済にあてられます。

通常、不動産の共有持分を買いたい人は見つかりません。

仮に、見つかっても著しく低い金額になるでしょう。

多くの場合、他の共有者に買取をお願いすることになります。

他の共有者が対価を払って、被相続人の共有持分を買い取ることになります。

③特別縁故者へ財産分与

特別縁故者とは、被相続人に特別な縁故があった人です。

・内縁の配偶者

・事実上の養子

・被相続人と生計を同じくしていた者

・被相続人の療養看護に努めた者

具体的には、上記の人などです。

被相続人に特別な縁故があった人は、家庭裁判所に認められれば被相続人の財産の分与を受けることができます。

家庭裁判所に申立てをしても、特別縁故者と認められることも認められないこともあります。

家庭裁判所に認められた場合、受け取る財産は家庭裁判所が決めます。

被相続人の財産すべてのこともあるし財産の一部だけのこともあります。

被相続人が莫大な財産を残しても、わずかな財産だけ分与されることもあります。

家庭裁判所に特別縁故者と認められた場合、家庭裁判所が決めた財産が分与されます。

④他の共有者が持分取得

他の共有者が被相続人の共有持分を取得します。

相続人全員が相続放棄をしても、他の共有者が直ちに共有持分を取得できるわけではありません。

他の共有者が被相続人の共有持分を取得するまでには、たくさんの複雑な手続があります。

手続が複雑で、時間と費用がかかります。

他の共有者が被相続人の共有持分を取得するまでに、おおむね1年程度かかります。

4マンションは共有者が取得できない

マンションは、建物部分と敷地権の共有部分があります。

建物部分は単独所有、敷地権は共有です。

建物部分と敷地権の共有部分は、所有者を一致させるルールになっています。

所有者を一致させないと、売却のとき混乱するからです。

相続債権者も特別縁故者もいない場合、相続財産は国庫に帰属します。

建物部分は単独所有なので、国庫に帰属します。

所有者を一致させるルールがあるから、敷地権が共有になっていても、他の共有者が取得することはできません。

所有者を一致させるルールを守れなくなるからです。

建物部分が国庫に帰属しますから、所有者を一致させるルールによって、敷地権も国庫に帰属します。

5遺言書で遺贈ができる

遺贈は、遺言書で相続人や相続人以外の人に財産を受け取ってもらう制度です。

遺言者は、自分の財産をだれに引き継いでもらうか自分で決めることができます。

遺言書を作成して、共有持分を遺贈することができます。

他の共有者に遺贈する遺言書があった場合、遺言書のとおりに引き継ぐことができます。

遺言書がある場合、手続が格段にラクになります。

相続財産清算人を選任してもらったうえで1年以上の期間をかける必要がないからです。

遺言書を作成する場合、一緒に遺言執行者を決めておくといいでしょう。

遺言書を作成するだけでは、自動で実現するわけではないからです。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

わずらわしい相続手続をおまかせすることができます。

6遺言書作成と遺言執行を司法書士に依頼するメリット

相続手続はタイヘンですが、相続人がいない場合もタイヘンです。

相続人がいないから、財産は国に持っていかれて、何もしなくていいと軽く考えがちです。

実際は、被相続人が死亡してから、国庫に帰属するまで1年以上の時間がかかります。

財産の内容によっては、100万円以上の費用の負担があることも見逃せません。

国に持っていかれるよりは、お世話になった人に受け継いでもらいたい、事情を知っている共有者に受け継いでもらいたい人もいるでしょう。

お世話になった人に受け継いでもらいたい、事情を知っている共有者に受け継いでもらいたいという意思は、遺言書で実現できます。

家庭裁判所の手続は一般の人にはハードルが高いものです。

遺言書に、遺贈することを書き、遺言執行者を決めておけば、手間はかかりません。

お世話になった人は待っているだけで済みます。

遺言書は書き方に細かいルールがあります。

適切な遺言書作成と遺言執行者選任は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続放棄しても香典・弔慰金

2024-02-14

1相続放棄は家庭裁判所の手続

相続が発生したら、被相続人のものは相続人が引き継ぎます。

被相続人の財産は、プラスの財産とマイナスの財産があります。

相続財産というと、プラスの財産だけ注目しがちです。

マイナスの財産も、相続財産です。

相続が発生した場合、相続人は相続を単純承認するか相続放棄するか選択することができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に相続放棄を希望する申立てをします。

相続放棄は、家庭裁判所で手続が必要です。

家庭裁判所で相続放棄を認められた場合だけ、相続放棄の効果を得ることができます。

家庭裁判所が相続放棄を認めた場合、相続放棄申述受理通知書が届きます。

相続放棄をしたことは、相続放棄申述受理通知書を見せると分かってもらうことができます。

2単純承認をすると相続放棄が無効になる

①相続財産を処分・利用すると単純承認になる

相続が発生した場合、相続人は相続を単純承認するか相続放棄するか選択することができます。

法律で定められた一定の条件にあてはまるときは、単純承認したとみなされます。

単純承認とは、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継ぐものです。

相続財産を利用した場合や処分した場合、単純承認をしたとみなされます。

②単純承認は撤回できない

相続放棄は、撤回ができません。

撤回とは、相続放棄が受理されたときには何も問題がなかったのに、後から問題が発生したので、なかったことにすることです。

例えば「相続財産は借金ばかりだと思っていたから相続放棄をしたのに、プラスの財産は見つかったから相続放棄はなかったことにしたい」は撤回です。

相続放棄の撤回は、認められません。

相続放棄は、相続発生を知った時から、3か月以内に手続をする必要があります。

相続放棄が認められた後、3か月以内であっても撤回することはできません。

相続が発生した場合、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続人は、相続放棄をした後に撤回することはできません。

相続人は、単純承認をした後に撤回することはできません。

相続人は、単純承認と見なされた後に撤回することはできません。

撤回することを認めると、相続手続が混乱するからです。

相続放棄をした後に撤回できないように、単純承認も撤回することはできません。

単純承認と見なされたときも、撤回することはできません。

③家庭裁判所が認めてしまっても相続放棄が無効になる

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に相続放棄を希望する申立てをします。

相続放棄を希望する申立てを受け付けた後、家庭裁判所は審査します。

家庭裁判所は、受け付けた書類を見て審査します。

独自で調査をすることは、ありません。

受け付けた書類に問題がなければ、相続放棄は認められます。

ときには相続放棄ができないのに、相続放棄を希望する申立てが提出されることがあります。

受け付けた書類を見るだけでは、相続放棄ができないことに気付かないでしょう。

事情が分からないから家庭裁判所は、相続放棄を認める決定をしてしまうことがあります。

家庭裁判所の決定は、絶対的なものではありません。

単純承認をした後に、相続放棄をすることはできません。

単純承認を撤回することは、できないからです。

家庭裁判所が相続放棄を認めてしまっても、無効です。

家庭裁判所の決定に不服がある場合、債権者は相続放棄は無効だから借金を払って欲しいと訴えを起こすことができます。

家庭裁判所の決定は、絶対的なものではないからです。

債権者が起こした裁判の中で、相続放棄が無効であるのか有効であるのか裁判所が判断します。

3相続放棄しても香典・弔慰金

①香典は葬儀の主宰者への贈与

被相続人が莫大な借金を残した場合、相続人は相続放棄をしたいと希望するでしょう。

相続人が単純承認をした場合、相続放棄をすることはできません。

相続放棄はできないのに家庭裁判所に相続放棄の手続をして、相続放棄が認められても無効です。

家庭裁判所が事情を分からずに相続放棄を認めてしまっても、後から無効になります。

相続人が相続放棄をした場合、はじめから相続人でなくなります。

相続放棄が認められて相続人でなくなっても、被相続人の家族であることに変わりはありません。

大切な家族を失った場合、葬儀を出すでしょう。

葬儀の会葬者は、香典を持ってきます。

弔問客の意識としては、死亡した人に渡すものであるかもしれません。

被相続人は死亡した後だから、贈与を受け取ることができません。

香典は、葬儀の主宰者への贈与です。

香典を受け取った場合、単純承認になることはありません。

香典は、被相続人の財産ではないからです。

相続財産を処分・利用したものではありません。

香典の受領は、相続とは関係がありません。

香典は葬儀の主宰者への贈与だから、相続放棄が無効になることはありません。

②弔慰金は相続財産ではない

弔慰金とは、死亡した人を弔い遺族の気持ちを慰める気持ちを表すために企業などの団体や国などが支給する金銭です。

弔慰金の支給は、企業などの弔慰金支給規程に基づいて支給されます。

被相続人が生前に弔慰金を受け取る権利はなかったでしょう。

弔慰金を受け取る権利は、相続によって引き継いだものではありません。

弔慰金を受け取った場合、単純承認になることはありません。

弔慰金は、被相続人の財産ではないからです。

相続財産を処分・利用したものではありません。

弔慰金の受領は、相続とは関係がありません。

ときには弔慰金が社会通念に照らして、非常に高額であることがあります。

非常に高額な弔慰金は、弔慰金名目の死亡退職金の意味合いを含むと考えられます。

一定の基準以上の高額な弔慰金は相続財産でなくても、相続税の課税対象になります。

③香典で葬儀費用

葬儀費用の負担は、地域の慣習によるでしょう。

葬儀の主宰者が負担することがあります。

葬儀の会葬者から受け取った香典を葬儀費用に充てることができます。

香典は、葬儀の主宰者への贈与だからです。

香典は、相続財産ではありません。

被相続人の生前に香典を受け取ることはないからです。

香典で葬儀費用の支払いをした場合、単純承認になることはありません。

香典は、被相続人の財産ではないからです。

相続財産を処分・利用したものではありません。

香典で葬儀費用の支払いをした場合、相続とは関係がありません。

④相続放棄をしても葬儀費用

葬儀は、人生最後の儀式として重要なものです。

葬儀費用は、ある程度まとまった金額になります。

死亡の時期がだれにも分からないように、葬儀の時期もだれにも予想できません。

被相続人に預貯金があるのに、預貯金が使えないために葬儀を行えないとなったら非常識な結果になります。

相続人は被相続人の預貯金を使って、社会通念上相応の葬儀を行うことができます。

社会通念上相応の葬儀費用である場合、被相続人の預貯金から支出しても単純承認になりません。

葬儀は社会的儀式として必要性が高いと認められているからです。

⑤葬儀費用は固有の財産から支払いが安全

葬儀費用の支払いが単純承認にならないのは、社会通念上相応と認められた場合のみです。

○万円以内なら単純承認にならないという明確な基準があるわけではありません。

相続放棄をした人が相続財産から支出する場合、社会通念上相応と考える範囲でしょう。

相続放棄をした人にとって社会通念上相応と考える金額であっても、他の人は不相応に高額な支払いと考えるかもしれません。

債権者は、相続放棄をした相続人に対して被相続人に借金の支払いを求めることができません。

相続放棄が無効の場合、相続放棄が無効だから被相続人の借金を支払って欲しいと交渉することができます。

債権者は、相続放棄は無効だから被相続人の借金を支払って欲しいと裁判所に訴えることができます。

債権者は裁判所の決定に不服がある場合、裁判で争うことができるからです。

家庭裁判所は書類だけ見て相続放棄を認めるか判断します。

事情を知らずに相続放棄を認めてしまうことがあるからです。

被相続人にとって社会通念上相当と言える葬儀費用は、明確な基準があるわけではありません。

明確な基準がないから、債権者は相続放棄は無効と争ってくると言えます。

あえて債権者から疑いの目を向けられるリスクをおかす必要はありません。

相続放棄をした人が固有の財産から葬儀費用を支払うのが安全です。

⑥香典返しは葬儀の主宰者の負担

香典は、葬儀の主宰者への贈与です。

香典返しは、香典を持ってきた人に対する贈与です。

被相続人の死亡をきっかけに、贈与するものです。

被相続人の生前に香典返しをする義務はありません。

被相続人から引き継いだ債務ではありません。

相続とは無関係な贈与と言えます。

葬儀の主宰者が行う固有の贈与です。

葬儀の主宰者が行う固有の贈与だから、葬儀の主宰者が負担するものです。

葬儀の主宰者が相続放棄をした場合、相続財産を使うことはできません。

相続財産を利用・処分したと判断されるからです。

相続財産を利用・処分した場合、単純承認をしたと判断されます。

4相続放棄を司法書士に依頼するメリット

相続放棄は、その相続でチャンスは1回限りです。

家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続を取ることはできますが、高等裁判所の手続で、2週間以内に申立てが必要になります。

家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。

一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。

相続放棄は撤回ができないので、慎重に判断する必要があります。

せっかく、相続放棄が認められても、相続財産を処分した判断されたら無効になりかねません。

このような行為をしてしまわないように、あらかじめ知識を付けておく必要があります。

相続放棄を自分で手続したい人の中には、相続放棄が無効になることまで考えていない場合が多いです。

司法書士は、相続放棄が無効にならないようにサポートしています。

せっかく手続しても、相続放棄が無効になったら意味がありません。

相続放棄を考えている方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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