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相続放棄した人がいるときの相続登記
1相続放棄とは
相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの遺産もマイナスの遺産も相続人が受け継ぎます。
被相続人のプラスの遺産もマイナスの遺産も受け継がないことを相続の放棄といいます。
相続放棄をすると、プラスの遺産を引き継がなくなりますが、マイナスの遺産も引き継ぐことがなくなります。
相続放棄は、家庭裁判所に対して、必要な書類をを添えて相続放棄をしたい旨の届出をします。
家庭裁判所に対して、相続放棄をしたい旨の届出をしない場合、相続放棄はできません。
被相続人が生前、相続人になる予定の人と相続放棄をすると約束している場合があります。
相続放棄をすると約束しても、意味はありません。
家庭裁判所に届出をしていないからです。
相続人間で相続放棄をすると念書を書いている場合があります。
相続放棄をすると念書を書いても、無効です。
家庭裁判所が関与していないからです。
父母が離婚する際に、子どもが相続放棄をすると誓約書を渡している場合があります。
子どもが相続放棄をすると誓約書を書いても、子どもには関係ない話です。
家庭裁判所に手続をしていないからです。
被相続人の債権者に相続放棄をすると申し入れをしている場合があります。
債権者に申し入れをするだけでは、何の価値もありません。
家庭裁判所が相続放棄を認めていないからです。
2相続放棄をしたら相続手続に参加しなくてよい
相続放棄をするとはじめから相続人でなくなります。
相続人でなくなりますから、相続人全員でしなければならない手続にも参加する必要がありません。
具体的には、遺産分割協議は相続人全員でする必要があります。
この遺産分割協議にも参加不要です。
遺産分割協議は相続人間の争いが起きやすい手続です。
相続人らと疎遠であったり、相続人間にトラブルがあったり、もともと不仲であったりする場合、相続財産の話し合いに参加するのは大きな負担になります。
遺産分割協議などの手続に参加しなくてよくなるのは大きなメリットといえるでしょう。
相続人全員の合意ができたら、合意内容を文書にとりまとめます。
合意内容を取りまとめた文書を遺産分割協議書と言います。
遺産分割協議にも参加不要だから、遺産分割協議書に署名押印をすることもありません。
3相続登記に相続放棄申述受理通知書が必要
相続放棄は、家庭裁判所に対して、必要な書類をを添えて相続放棄をしたい旨の届出をします。
家庭裁判所は相続放棄を認めた場合、相続放棄を認められたことを通知します。
相続放棄が認められた通知のことを相続放棄申述受理通知書と言います。
家庭裁判所は相続放棄の申出をした人にだけ通知をします。
自主的に、家庭裁判所から役所や法務局に連絡することはありません。
相続登記を申請する場合、相続人が相続放棄をしていることを証明する必要があります。
相続人が相続放棄をしていることを証明する資料として、家庭裁判所が発行した相続放棄申述受理通知書を提出します。
相続放棄をした人が自分で証明書を書いても、法務局は認めてくれません。
相続放棄申述受理通知書は、家庭裁判所によって記載内容が異なります。
家庭裁判所の記載内容によっては、相続放棄申述受理通知書だけでは受け付けてもらえない場合があります。
相続放棄申述受理通知書だけでは受け付けてもらえない場合、相続放棄申述受理証明書を提出します。
相続放棄申述受理証明書は、相続放棄の手続をした家庭裁判所に請求します。
相続放棄申述受理証明書は、相続放棄をした人も請求できるし、相続を承認した他の相続人も利害関係人として請求することができます。
4法定相続分で相続登記後に相続放棄すると手続が複雑
相続登記は相続人が申請します。
相続人がたくさんいる場合、相続人全員で申請するのが原則です。
法定相続分で相続登記をする場合、相続人のうちの1人が相続人全員のために相続登記を申請することができます。
自分の持分だけ、相続登記をすることができないからです。
一部の相続人が法定相続分で相続登記をした後に、相続放棄が認められることがあります。
相続放棄をするとはじめから相続人でなくなります。
結果として、相続登記の内容が間違ったものになります。
登記の内容を実態に合わせて、正しくする必要があります。
実態に合う正しい登記にするためには、手続がとても複雑です。
①第1順位の相続人全員が相続放棄をした後、第2順位の相続人が相続
→抹消登記と相続登記
相続放棄をするとはじめから相続人でなくなります。
第1順位の相続人全員が相続放棄をした場合、相続登記の内容と全く別の第2順位の相続人が相続します。
まったく別の相続だから、更正登記をすることはできません。
いったん法定相続分による登記を抹消します。
そのうえで、第2順位の相続人による相続登記を申請します。
②第1順位の相続人の一部が相続放棄をした後、第1順位の他の相続人が相続
→持分全部移転登記
相続放棄をするとはじめから相続人でなくなります。
各相続人の共有持分に変更が発生します。
相続放棄をした人は持分を失います。
他の相続人が持分を取得します。
相続の放棄を登記原因として、持分全部移転登記を申請します。
持分全部移転登記は、持分が増える人が単独で申請することはできません。
持分が増える他の相続人を権利者、相続放棄をした人を義務者とする共同申請です。
③被相続人の債権者が第1順位の相続人に相続登記をし、
差押の登記した後、第1順位の相続人全員が相続放棄し、
第2順位の相続人が相続
→所有権移転
①の事例と比べると、債権者が差押をしている点が異なります。
第1順位の相続人全員が相続放棄をした後、第2順位の相続人が相続した場合、いったん法定相続分による相続登記を抹消して、あらためて、第2順位の相続人に相続登記を申請します。
いったん法定相続分による相続登記を抹消した場合、差押の登記は効力を失います。
登記が効力を失った場合、債権を回収できなくなって困ります。
差押をした債権者はこのような不利益は受け入れられないでしょう。
このため、所有権移転登記で対応します。
所有権移転登記は、第1順位の相続人全員を義務者、第2順位の相続人を義務者で申請します。
債権者が第1順位の相続人に相続登記をした場合であっても、債権者が手続をすることはできません。
④相続人の債権者が第1順位の相続人に相続登記をし、
差押の登記した後、第1順位の相続人全員が相続放棄し、
第2順位の相続人が相続
→抹消登記と相続登記
③の事例では被相続人の債権者でしたが、④の事例では相続人の債権者である点が異なります。
いったん法定相続分による相続登記を抹消した場合、差押の登記は効力を失います。
相続放棄をするとはじめから相続人でなくなります。
相続放棄をしたから相続財産を処分することはできません。
相続人の債権者も、相続財産を処分することはできません。
相続財産に差押をする権利はないと言えます。
法定相続分による相続登記を抹消した場合、差押をする権利がなくなったのだから、差押の登記に効力がなくなっても困ることがありません。
法定相続分の登記を抹消する申請をする場合、債権者の同意書が必要になります。
差押の登記を抹消することを形式的に不利益と考えるからです。
相続人の債権者は差押をする権利がなくなったのだから、同意する義務があります。
5相続放棄者がいる不動産登記を司法書士に依頼するメリット
大切な家族を失ったら、大きな悲しみに包まれます。
やらなければいけないと分かっていても、気力がわかない方も多いです。
相続手続は一生のうち何度も経験するものではないため、だれにとっても不慣れで手際よくできるものではありません。
相続財産は相続人全員で話し合いによる合意をして、分け方を決めることになります。
相続人全員で話し合いによる合意をせずに、安易に、法定相続分で共有する登記がされるケースがあります。
法定相続分で共有するのはデメリットが大きく、決しておすすめできるものではありませんが、相続手続で疲れていると目先のラクを選んでしまいがちです。
安易な手段を選ぶと、更正登記が必要になり余計な手間と費用がかかります。
更正登記で済めばまだしも、持分移転登記をしなければならない場合、不動産の価額によっては登録免許税だけでも無視できない額になります。
更正登記ができるか、いったん、抹消登記をしてあらためて相続登記をするかは専門的な判断が必要になります。
知識がない相続人が書籍やインターネットなどで調べるのはハードルが高いでしょう。
相続登記がされているが、内容が正しくないことに気づいたら、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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相続登記前に不動産売却
1相続が発生したら相続財産は相続人全員の共有財産
相続が発生した場合、被相続人のものは原則として相続財産になります。
相続財産は、相続人全員の共有財産です。
相続財産は、相続人全員で所有しています。
相続登記をしたから、所有権が移転するのではありません。
相続登記をしても相続登記をしていなくても、相続人全員に所有権は移転しています。
相続が発生した後、相続登記をするまでの間は、所有者と登記名義が異なります。
登記名義を変更していない場合でも、所有権が移転した事実は変わりません。
2相続発生後に不動産を売却したいケース
①住む予定のない実家
相続人がマイホームを持っている場合、実家を相続しても持て余すことになるでしょう。
相続人が遠方に住んで椅子場合、実家は使う予定がないかもしれません。
使い予定がなくても維持管理の手間や固定資産税の負担があります。
②換価分割で相続財産を分ける
相続財産が自宅不動産だけという場合、相続人間で分け方を決められなくなることがあります。
法定相続分で共有にすることも選択肢のひとつですが、デメリットが大きくおすすめできません。
換価分割とは、不動産を売却してお金に換えた後、お金を分ける方法です。
実際に売れてからお金で分けるので、不動産の値段をいくらと考えるか、だれが実際に不動産を相続するのかで話し合いがまとまらないという心配はありません。
③清算型遺言がある
遺言書で相続財産を売却して、得られた金銭を分けるように決めておくことができます。
このような遺言を、清算型遺言と言います。
清算型遺言をする場合、遺言執行者を指名しておくと手続がスムーズです。
遺言執行者がいる場合、遺言執行者が不動産を売却してお金に換えた後、お金を分けてくれます。
3所有権移転を第三者に主張するためには登記が必要
相続人全員が所有者だから相続人全員が協力すれば、売却することもできないとは言い切れません。
相続人全員が協力すれば売却することができるのであれば、相続登記を省略したいと考えるかもしれません。
相続登記をする場合、登録免許税を納める必要があります。
登録免許税は不動産の評価額によって決められますから、評価額の高い不動産の場合はなおさら相続登記を省略したいでしょう。
不動産を買い受けた場合、買主は所有権移転登記を備えたいはずです。
登記を備えていない場合、第三者に対して所有者であることを主張することができないからです。
所有権登記を備えた見知らぬ人から明け渡し請求をされるかもしれません。
不動産を買い受けたのに代金を支払ったのに、明け渡しに応じなければならなくなります。
多くの場合、不動産は高額です。
高額な代金をきちんと支払ったのに明け渡しに応じなければならなくなることは容認できないでしょう。
所有権移転登記を備えておけば、このようなことは防ぐことができます。
このため、売買契約書には所有権移転登記を備えることが記載されています。
4買主に所有権移転登記をする前提として相続登記は必須
実態として、被相続人→相続人→買主と所有権が移転します。
登記は、権利変動の実態を示すものです。
所有権移転の実態を表していない場合、登記制度への信頼が失墜します。
このようなことが許されるはずがありません。
買主に所有権移転登記をする前提として、相続登記は省略することはできません。
所有者であることを第三者に主張するためには、登記が必要です。
売主名義の登記がされていない場合、一般的には、売買契約を締結することが困難でしょう。
買主から見ると、だれが相続したのか登記から分からないからです。
法律上、売買ができないわけではありませんが、事実上、売買契約をする買主は見つけられないと言えます。
買主が安心して売買契約を締結するために、相続登記は不可欠です。
不動産を売却する予定がない場合、相続手続きは先延ばししがちです。
相続が発生してすぐに相続手続きをすれば、手続きがカンタンで、費用も時間も手間も少なく済みます。
相続が発生してから長い期間、放置すると、余計な費用、時間、手間がかかります。
相続人に相続が発生して関係者が増えると、話し合いがまとまりにくくなります。
相続手続きには戸籍謄本などの書類が必要になりますが、役所は保存年限を越した古い戸籍を廃棄してしまいますから、必要な書類が集められなくなるかもしれません。
売却を予定する人も、売却を予定しない人も、相続が発生したら、相続登記はすみやかに済ませましょう。
5不動産売却後に相続発生した場合は相続登記不要
不動産の名義人が有効に不動産の売買契約を締結した後、相続が発生した場合、原則として、相続登記は不要です。
所有権は、被相続人→買主と移動しているからです。
相続人は不動産の所有権を得ていないので、相続登記も必要ありません。
ただし、売買契約書のなかで、売買代金を完済したときに所有権が移転するなどの条項がある場合があります。
このような条項がある場合であって、かつ、生前に売買代金を受け取っている場合は、相続登記は必要ありません。
所有権は、売買代金を受け取ったときに買主に移転しているからです。
このような条項がある場合であって、かつ、売買代金が未払いの場合は、必ず、相続登記が必要です。
売買代金を受け取っていない以上、所有権は名義人のものだからです。
所有権は、名義人が死亡すると相続人に相続されます。
一方、不動産を相続した後に売却する場合、必ず、相続登記が必要です。
所有権は、被相続人→相続人→買主と移動しているからです。
不動産を相続した後に売却する場合、不動産売却の手続をスムーズにするためにも、相続手続は早めに済ませましょう。
6相続登記前に建物を取り壊した場合は相続登記不要
建物を取り壊すと、建物について登記簿は不要になります。
法務局に対して、建物は取り壊しました、登記簿をなくしてくださいと申請をする必要があります。
建物は取り壊しましたという登記申請を、建物滅失登記と言います。
相続した後、建物の取り壊しをした場合、建物の相続登記は省略することができます。
相続した後、土地を売却した場合、土地の相続登記は省略することができません。
土地でも建物でも、相続した後、売却する場合は必ず相続登記が必要です。
被相続人が生前に建物を取り壊していたが建物滅失登記をしていない場合もあります。
建物を取り壊しているので、相続人は建物を相続していません。
だから、建物の相続登記は不要です。
相続人は被相続人がするべきであった建物滅失登記を申請する義務を引き継いでいます。
建物滅失登記を申請する義務は、相続人のひとりが単独ですることができます。
相続人がたくさんいても同意は必要ありません。
建物はすでに取り壊されているので、建物滅失登記を申請しても、他の相続人に不利益は発生しないからです。
相続登記の費用も無視できませんから、勘違いしないようにしましょう。
7相続登記を司法書士に依頼するメリット
相続した不動産を売却したいという方は少なからずいます。
相続も不動産の売却も、一生のうちに何度も経験するものではありません。
だれにとっても慣れない相続手続と売却手続を並行して進めるのは大変なことです。
平日は仕事や家事をしながら、さらに大切な家族を失った悲しみを抱えながら、これらを実行するのは相続以上に大変です。
確実に手続を進めて、日常を取り戻したい方は、手続を丸投げできます。
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相続放棄-借地権付き建物
1借地権は相続財産
被相続人がマイホームを持っている場合、土地は被相続人が所有しているケースと土地は借りているケースがあります。
被相続人が土地を借りてマイホームを持っている場合、土地を借りる権利、土地を使う権利があると言えます。
土地の上に建物を所有する目的で、土地を使う権利や土地を借りる権利のことを借地権と言います。
建物を所有する目的があるときだけ、借地権です。
更地で、資材置き場として使う目的や青空駐車場として使う目的の場合、土地を使う権利があったとしても、借地権とは言いません。
借地権は、法律的に言うと、賃借権の場合と地上権の場合があります。
賃借権は土地を借りて使う権利、地上権は土地を使う権利です。
地上権は、賃借権と比べると使う人の権利が強く保護されている権利です。
一般的には、借地権のほとんどは賃借権です。
借地権は、普通借地権と定期借地権があります。
被相続人がマイホームと借地権を持っていた場合、マイホームと借地権は相続財産になります。
2債務超過なら相続放棄ができる
相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も相続人が受け継ぎます。
被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継がないことを相続の放棄といいます。
相続財産というとプラスの財産だけイメージしがちですが、マイナスの財産も含まれます。
マイナスの財産が多い場合、相続放棄をすることができます。
相続放棄は、相続人の判断ですることができます。
相続財産に借地権がある場合であっても、地主の許可は不要です。
借地権を相続する場合も相続放棄をする場合も、地主の同意は必要ありません。
法律で定められた一定の条件にあてはまるときは、単純承認したとみなされます。
単純承認とは、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継ぐものです。
単純承認とみなされたら、相続放棄はできません。
3相続放棄をしても無効になる場合がある
相続放棄はできないのに、家庭裁判所に相続放棄の手続をして、相続放棄が認められても無効です。
家庭裁判所が事情を知らずに相続放棄を認めても、後から無効になります。
単純承認したとみなされる行為は、法律で定められています。
①相続財産を処分したとき
相続財産の名義変更をした、相続財産である銀行の預貯金を引き出して使ってしまった場合が典型的です。
単に、引き出しただけであれば、処分とは言えないことが多いでしょう。
引き出したうえ、自分の口座に送金して保管すると、「処分した」と評価される可能性が高くなります。
被相続人が払い過ぎた税金などの還付金の支払を受けた場合、「処分した」と判断されます。
相続財産の分け方について、相続人全員で合意をした場合も、相続財産を「処分した」場合に当たります。
②3か月以内に相続放棄の手続をしなかったとき
相続放棄の手続きは、相続があったことを知ってから3か月以内にする必要があります。
3か月以内に手続が間に合わない場合、期間伸長の申立ができます。
4建物取壊しをしたら相続放棄は無効
相続放棄をした場合、はじめから相続人でなかったと取り扱われます。
被相続人に莫大な借金があった場合、次順位の相続人も相続放棄をするでしょう。
相続人になる人全員が相続放棄をした場合、相続人不存在になります。
相続人不存在になるとだれも地代を払ってくれません。
地主が地代を請求してくる場合があります。
地代の支払に応じる必要はありません。
建物に住まないのなら土地を明け渡して欲しいと請求してくる場合があります。
このような請求に応じる必要もありません。
被相続人の所有していた建物がある場合、建物の取壊しを請求してくることもあります。
このような請求に応じる必要もありません。
被相続人が死亡した場合、借地権に影響はありません。
借地権は存続していますから、地主は土地を使うことはできません。
地主は土地を使えないうえに地代が入ってこないために、このような請求をしてきます。
地主に迷惑をかけている気持ちになって、建物を取壊して土地を明け渡す必要があると考えるかもしれません。
相続放棄をしたら、建物も借地権も相続していません。
相続人ではないから、建物も借地権も処分することはできません。
建物の解体をすることができないから、通常は、解体費用を負担することもありません。
建物の名義変更も、することはできません。
相続財産を処分した場合、相続放棄は無効になります。
建物の取壊しは、建物を処分したと判断されます。
建物は相続財産ですから、相続財産を処分したと判断されます。
建物の取壊しをした場合、相続放棄は無効になります。
同じ理由で、地代の支払をした場合、相続放棄が無効になります。
地主から地代の請求を受けた場合や建物の取壊し、土地の明け渡しの請求を受けた場合、相続放棄をしたことを伝えるといいでしょう。
相続放棄が認められた場合、家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が送られてきます。
地主には相続放棄申述受理通知書のコピーを渡すと分かってもらえることが多いです。
5相続人不存在の場合は相続財産管理人選任の申立て
借地権も建物の相続財産です。
相続放棄をしたら、相続人ではなくなりますから、処分はできなくなります。
地主が土地を使えないうえに地代が入ってこないから困っているとしても、何もすることはできません。
このような場合、地主から家庭裁判所に相続財産管理人選任の申立てをしてもらうといいでしょう。
相続が発生したのに相続人が不存在である場合、相続財産は最終的には国庫に帰属します。
相続財産管理人は、相続財産を整理して国庫に帰属させる人です。
相続財産に借地権や建物がある場合、売却して国庫に帰属させます。
被相続人が地代を滞納していた場合、地主は賃料不払いを理由に契約を解除することができます。
相続財産管理人に対して、建物収去土地明け渡しを請求します。
被相続人が地代を滞納していない場合、地主は賃料不払いを理由に契約を解除することができません。
地主が土地を使いたいと思うなら、相続財産管理人に対して借地権や建物を買い取りの交渉をすることができます。
地主が建物を買い取った場合、建物は地主のものになります。
地主は建物を取り壊したいと思うなら、自分の費用で取り壊すことができます。
6共有者である被相続人に相続人がいない場合
被相続人が天涯孤独で親族がいないこともあります。
相続人がいても相続放棄をして相続人でなくなっている場合があります。
①相続債権者がいる場合
相続財産は売却されて、相続債権者への支払にあてられます。
通常、共有持分は売却しようとしても、買い手が見つかりません。
買い手が見つかったとしても、著しく価格が低くなってしまいます。
共有持分を買い取る業者がいますが、買い取り額はおおむね時価の1~3割程度です。
多くの場合、被相続人と共有していた人に買取をお願いすることになります。
被相続人と不動産を共有していた人が対価を支払って、被相続人の共有持分を買い取ることになります。
②相続債権者がいない場合
被相続人と不動産を共有していた人が共有持分を取得します。
7相続放棄を司法書士に依頼するメリット
相続放棄はプラスの財産もマイナスの財産も引き継ぎませんという裁判所に対する届出です。
相続人らとのお話合いで、プラスの財産を相続しませんと申し入れをすることではありません。
つまり、家庭裁判所で認められないとマイナスの財産を引き継がなくて済むというメリットは受けられないのです。
同時に、家庭裁判所で相続放棄が認められたとしても、絶対的なものではありません。
相続放棄の要件を満たしていない場合、その後の裁判で相続放棄が否定されることもあり得ます。
相続の単純承認にあたる行為は、建物の取壊しや高価な宝石などの形見分けなども含まれます。
相続が発生すると、家族はお葬式の手配から始まって膨大な手続きと身辺整理に追われます。
相続するのか、相続を放棄するのか充分に判断することなく、安易に相続財産に手を付けて、相続放棄ができなくなることがあります。
相続に関する手続は、司法書士などの専門家に任せることができます。
手続を任せることで、大切な家族を追悼する余裕もできます。
相続人の調査や相続財産調査など適切に行って、充分に納得して手続を進めましょう。
相続放棄は3か月以内の制限があります。
3か月の期間内に手続するのは思ったよりハードルが高いものです。
相続放棄を考えている方はすみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
相続放棄してもペットの引き取り
1ペットは相続できない
高齢化社会が到来して、多くの方は長生きになりました。
核家族化が進み、高齢者世帯や単身世帯が増えています。
人生100年時代のさびしさや孤独の辛さから、ペットに癒しを求めている人が増えています。
ペットは「家族」として一緒に暮らすパートナーになったと言えるでしょう。
飼い主にとって、大切な家族であるペットですが、飼い主が死亡しても、相続人にはなれません。
相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。
だれが相続人になるかについては、民法で決められています。
相続人になる人は次のとおりです。
①配偶者は必ず相続人になる
②被相続人に子どもがいる場合、子ども
③被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属
④被相続人に子どももいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹
飼い主にとって、ペットは大切な家族ですが、法律上はモノと同じです。
法律上、物に財産を残すことはできません。
ペットは相続人になれません。
2相続の承認と相続放棄
相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も相続人が受け継ぎます。
相続財産というとプラスの財産だけイメージしがちですが、マイナスの財産も含まれます。
マイナスの財産が多い場合、相続放棄をすることができます。
法律で定められた一定の条件にあてはまるときは、単純承認したとみなされます。
単純承認とは、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継ぐものです。
単純承認とみなされたら、相続放棄はできません。
相続放棄はできないのに、家庭裁判所に相続放棄の手続をして、相続放棄が認められても無効です。
家庭裁判所が事情を分からずに相続放棄を認めてしまっても、後から無効になります。
単純承認したとみなされる行為は、法律で定められています。
相続財産を処分した場合、単純承認したとみなされます。
相続財産の名義変更をした、相続財産である銀行の預貯金を引き出して使ってしまった場合が典型的です。
単に、引き出しただけであれば、処分とは言えないことが多いでしょう。
引き出したうえ、自分の口座に送金して保管すると、「処分した」と評価される可能性が高くなります。
相続財産の分け方について、相続人全員で合意をした場合も、相続財産を「処分した」場合に当たります。
3ペットを引き取ってもほとんど問題ない
飼い主にとって、ペットは大切な家族ですが、法律上はモノと同じです。
被相続人のものは、原則として、相続財産です。
被相続人が飼っていたペットも相続財産のひとつです。
①餌やりなどの世話をしても問題ない
ペットは命のある生き物ですから、餌やりなどの世話が欠かせません。
ペットに餌やりなどの世話をすることは、相続財産を維持する行為と言えます。
相続財産を維持するだけであって、処分したとは言えません。
ペットに餌やりなどの世話をすることで相続放棄が無効になることはありません。
②経済的価値のないペットを引き取っても問題ない
ペットを引き取ったことが単純承認であると判断されてしまうことで、相続放棄が無効にならないか心配になるかもしれません。
被相続人のものだからと言って、何ひとつ処分できないというわけではありません。
あきらかにゴミであるものを処分した場合にまで、相続放棄が無効になることは不当です。
経済的価値のないものと形見として持ち帰った場合、相続放棄が無効になることはありません。
通常、一般的に飼われているペットに金銭的価値があることは少ないでしょう。
お金を払ってペットを買い取る人は考えられません。
経済的価値は無いと言えるでしょう。
よほど希少種であるとか珍しい種類のペットであるなどの事情があって、売却すれば高値で取引される場合、ペットを引き取ると単純承認とみなされる可能性があります。
4飼主がペットの行き先を決めてあげるべき
自分の死亡した後、大切な家族であるペットをどうするかが問題になります。
飼い主にとって大切な家族であるペットは、飼主を失うと人間以上に困ります。
ペットは自分では何もできないからです。
ペットの飼育が心配で、ペットを残して逝けないと言う方もいます。
①負担付遺贈
遺贈とは、被相続人が遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげることです。
相続では、法定相続人だけに譲ってあげることができます。
遺贈では、法定相続人に譲ってあげることもできるし、相続人以外の人に譲ってあげることができます。
譲ってあげる相手は、相続人以外の人でも構いませんから、ペットの飼育を引き受けてくれる人にも譲ってあげることができます。
ペットを飼育してもらうことを条件にして、遺言によって、財産を譲ってあげることができます。
遺贈は、遺言によって行います。
遺言書は相続人などの関与なしで作ることができます。
遺言で遺贈や相続のことを定める場合、遺言者が受け取る人の意見を聞かずに、一方的に決めることができます。
遺言に書いてあるからとは言っても、受け取る人が困ることがあります。
受け取る人がペットにアレルギーがあるかもしれません。
ペット飼育禁止のマンションに住んでいるかもしれません。
遺贈は、放棄することができます。
飼主にとって大切な家族だから、飼育をお願いしたいのに放棄されてしまうのは困るでしょう。
財産を受け取る人が遺贈を放棄しない場合でも、適切に飼育しないかもしれません。
財産を受け取った人が適切に飼育をしていない場合、相続人や遺言執行者は家庭裁判所に負担付遺贈に関する遺言の取消を求めることができます。
家庭裁判所に対して遺言の取消を求めるのは、手続が煩雑です。
②負担付死因贈与
死因贈与とは、財産を譲ってあげる人が死亡したら、財産を譲る契約です。
契約なので、財産を譲ってあげる人と譲ってもらう人が合意する必要があります。
遺贈のように、受け取る人の意見を聞かずに、一方的に決めることができません。
財産を譲ってあげる人と譲ってもらう人が合意して決めたことだから、後になって、お断りをすることはできません。
飼主にとって大切な家族を、お断りされることなく飼育してもらえることは、安心できるでしょう。
負担付遺贈も、負担付死因贈与も、財産を受け取った後、受け取った財産は受け取った人のものです。
ペットを適切に飼育しているか、第三者がチェックする仕組みがありません。
受け取った財産で、ペットの飼育以外に浪費をすることもできます。
ペットの飼育が終了した後も、譲ってあげた財産は、受け取った人のものです。
③ペット信託
信託とは、信頼できる人に財産を預かってもらって、自分の決めた人のために利用管理してもらう契約のことです。
信託の仕組みをペットに応用したのが、ペット信託です。
信託財産を管理するための、管理会社を設立しなければならないと称して、高額な報酬を要求する自称専門家がいます。
ペット信託であれば、ほとんどの場合そのようなことは不要でしょう。
あらかじめ、ペット信託をしておくことで、飼主がペットの世話をすることができなくなっても、ペットの飼育をしてもらうことができます。
飼主が死亡したときだけでなく、飼主が入院したり、施設に入所したりして飼育できなくなるときから、飼育をしてもらうことができます。
信託契約をしておくと、信頼できる人に財産を預かってもらうことになります。
相続が発生した場合、相続財産とは別の財産として分離して管理することになります。
相続争いに巻き込まれて、ペットの飼育費が出せなくなるといったトラブルを防ぐことができます。
信託契約では、信託管理人を置くことができます。
信託財産が契約どおりに適切に管理されているか監視や監督をしてもらうことができます。
預けた財産はペットの飼育のためだけに使うと決めておけば、他の用途に浪費することはできません。
信託管理人は、他の用途に浪費されていることを見つけたら、契約に合うように適切に管理するように改善させることができます。
ペット信託が終了したときに、残った財産は誰が受け継ぐか、飼主が決めておくことができます。
ペット信託に限らず、信託契約は信頼できる人と契約することが重要です。
5ペットの生前対策を司法書士に依頼するメリット
ペットは「家族」として一緒に暮らすパートナーになりました。
自分が大切にしている家族の将来が気にならない人はいないでしょう。
自分が死亡した後も、幸せを願うのは当たり前のことです。
残念ながら、飼主がペットはいかに大切にしていようとも、法律上はモノでしかありません。
ペットは自分では何もできないから買主が何もしないと人間以上に困ります。
自分の死後を考えて、大切なペットを飼育してくださいとお願いしていない場合、ペットには厳しい現実が待っています。
ペットを飼っている人は愛情を持って飼育しています。
だから、何も言わなくてもだれかがペットの面倒を見てくれる、新しい飼い主を探してくれると楽観的な希望を持っていることが多いです。
現実には、容赦なく保健所へ連絡する人もいるでしょう。
自分と同じように愛情を持って飼育してくれることは稀です。
制度を知って、上手に生かすことは飼い主だけができることです。
大切な「家族」の幸せのために、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
寄与分がある不動産登記
1寄与分とは
寄与分とは、被相続人の財産の維持や増加について特別な貢献をした人がいる場合、特別な貢献をした人に対して、相続分以上の財産を受け継いでもらう制度です。
寄与分の制度は、特別な貢献をした人に対して相続分以上の財産を受け取ってもらうことで、相続人間の実質的な公平を図ろうとするものです。
具体的には、被相続人の事業に従事して財産増加に貢献した人、被相続人が重度の介護が必要になった場合にお世話をして財産減少を防いだ人が挙げられます。
これらの人の特別な貢献によって、財産が増加した場合や財産が維持されたと認められる場合、寄与分が認められます。
2寄与分が認められる条件はとても厳しい
①特別の寄与があること
寄与分が認められるのは特別の寄与がある場合のみです。
特別の寄与とは、被相続人との身分関係から考えて、通常期待される程度を超える貢献のことです。
具体的には、被相続人が家事を全く行わず、配偶者が家事労働をしていた場合、通常の貢献と評価されます。
夫婦間の協力扶助義務があるからです。
子どもが高齢の被相続人と同居して家事援助を行っている場合、通常の貢献と評価されます。
親族間の扶養義務や互助義務があるからです。
次のような条件を満たした場合、通常期待される程度を超える貢献と評価されることが多いです。
(1)対価を得ていないこと
完全に無償である場合や無償に近い不釣り合いな低い報酬であった場合です。
(2)一定程度の長期間であること
数か月程度のものではなく、少なくとも1年以上程度継続されていた場合です。
(3)片手間ではなく、つきっきりであること
日常生活の合間に看護介護していたのではなく、つきっきりで看護介護に専念していた場合です。
②財産が実質的に増加したこと
寄与分が認められるのは、実質的に財産の増加した場合のみです。
財産の減少や負債の増加が免れたこと、財産の増加や負債の減少が必要です。
財産の経済的価値の実質的増加が必要ですから、精神的援助は寄与分の対象にはなりません。
具体的には、頻繁にお見舞いに行ったことや話し相手になったことは寄与分の対象になりません。
お見舞いや話し相手で財産が実質的に増加することはないからです。
精神的援助は金銭的評価が困難です。
③特別の寄与と財産増加に因果関係があること
寄与分が認められるのは、特別の寄与が財産の実質的増加につながった行為のみです。
3寄与分の決め方は原則として相続人全員の話し合い
相続が発生した場合、相続財産は相続人全員の共有財産になります。
相続財産の分け方は、相続人全員の話し合いによる合意が不可欠です。
相続財産の分け方を決める話し合いの前提として、相続人全員で寄与分を決めます。
寄与分を決めること自体は、目的ではありません。
最終的に相続人全員が相続財産の分け方について、合意をすればよいのです。
合意をしたら、合意内容を文書に取りまとめます。
遺産分割協議書に、寄与分を明示することもできます。
多くの場合、寄与分を明示せず、寄与分を考慮した後の具体的な分け方だけを記載します。
4法定相続分で登記をしていない場合の相続登記
法定相続分で登記としていない場合、寄与分があっても寄与分がなくても相続登記の手続に違いはありません。
寄与分によって財産を得たのでなく、寄与分を考慮した相続財産の分け方の合意によって財産を得たからです。
相続財産の分け方の合意によって財産を得たから、通常の相続登記と変わりはありません。
遺産分割協議書で記載された相続分で、相続登記を申請します。
多くの場合、遺産分割協議書に寄与分を明示しません。
話し合いの中で寄与分を話し合い、寄与分を考慮した後の具体的な分け方のみ記載します。
事情を知らない人は見ても、寄与分のことには気がつきません。
遺産分割協議書とは別に寄与分を定める協議書を作った場合、寄与分を定める協議書は、相続登記をするときに法務局に提出します。
5法定相続分で登記をした後、寄与分が認められた場合
法定相続分で共有する場合、相続財産の分け方について相続人全員の合意は必要ありません。
長期間に渡って相続財産の分け方について合意ができない場合、法定相続分による相続登記をすることがあります。
寄与分が話し合いの対象になる場合、相続人全員の話し合いがまとまりにくくなります。
ひとまず法定相続分で相続登記を済ませておくことがあります。
①原則として更正登記ができる
相続登記を済ませた後、寄与分の話し合いがまとまった場合、登記の内容を変更する必要があります。
寄与分の話し合いがまとまったことによる変更をする場合、更正登記をすることができます。
登記原因は「錯誤」です。
「寄与分」「寄与分の合意」などは登記原因として認められていないからです。
権利が増える相続人が単独で申請することはできません。
寄与分によって権利が増える相続人を権利者、寄与分によって権利が減る相続人を義務者とする共同申請です。
法定相続分で相続登記をした場合、権利証が発行されていない場合があります。
相続人全員でなく相続人のひとりからであっても、法定相続分で相続登記を申請することができるからです。
権利証は登記申請をした相続人にのみ発行されます。
法定相続分で相続登記を申請をした相続人以外の相続人には、権利証が発行されません。
寄与分の話し合いがまとまったことによる更正登記は、権利者と義務者による共同申請をしなければなりません。
共同申請をする場合、義務者は権利証の提供が必要になります。
更正登記をする場合、第三者の承諾書が必要になるケースがあります。
更正登記を実行することによって権利が否定されることになる第三者がいる場合です。
例えば、寄与分によって権利が減る相続人の持分に抵当権が設定されている場合があります。
更正登記が実行された場合、この抵当権は無効になります。
抵当権がが無効になることについて、承諾書が必要になります。
更正登記をする場合、登録免許税は不動産1個につき1000円です。
②遺産分割による持分移転登記ができる
寄与分を定める協議における合意は、本来、相続人〇〇の寄与分が〇〇万円であると合意するか、相続財産全体に対して〇分の〇に相当すると合意します。
このような合意は、相続財産の分け方の合意とは言えません。
相続財産の分け方がどのようなものなのか分からないからです。
あらためて、寄与分の合意を前提として相続財産の分け方を合意しなければなりません。
ときには、相続人〇〇の寄与分として財産〇〇を相続することに合意する場合があります。
寄与分を定める合意だけでなく相続財産の分け方についての合意があるケースと考えることができます。
寄与分を定める合意と相続財産の分け方についての合意が一体化している場合、遺産分割による持分移転登記をすることができます。
法定相続分による相続登記後に遺産分割を行った場合ですから、法定相続分による相続登記後に遺産分割を行った場合と同じ手続をします。
持分移転登記をする場合、第三者の権利が否定されることはありません。
第三者の承諾書が必要になることはありません。
持分移転登記をする場合、登録免許税は移転する持分の固定資産評価額の1000分の4です。
6寄与分のある相続登記を司法書士に依頼するメリット
寄与分を主張する相続人がいる場合、相続財産の分け方についての話し合いが長引きます。
寄与分は、一部の相続人の苦労に報いるための制度ですが、認められるためのハードルは非常に高いものです。
高いハードルを越えて寄与分が認められた場合であっても、本人が思うような金額になることはほとんどありません。
法律で実質的公平が図られるのは、残念なことですが事実上困難です。
だから、相続財産の分け方の話し合いが長引くのです。
長引くだけでなく家族のトラブルに発展しがちです。
さらに、登記申請も場合に応じて、複雑になります。
このようなことは法務局の登記相談などでも聞かなければ解説してくれません。
財産の分け方を決めるだけでも大変なのに、その後の手続も複雑で困難になります。
司法書士はこのような困難で複雑な登記をサポートします。
寄与分のある相続登記がある方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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Myじんけん宣言
・ 人権尊重の方針に基づき、事務所内整備を行います。
・ 働きがいのある人間らしい仕事の実現に取り組みます。
・ ハラスメント防止のため、対策を実践します。
・ 共同企業とともに人権デュー・ディリジェンスを実施します。
・ ユニバーサルデザインを推進します。
・ 障害者雇用を促進します。
・ 女性活躍を推進します。
・ 性的志向・性自認への理解・受容を促進します。

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相続放棄と連帯保証人
1相続財産とは
相続が発生すると、原則として、被相続人の財産は相続人が相続します。
相続人が相続する財産が、相続財産です。
相続財産はプラスの遺産とマイナスの遺産があります。どちらも、相続財産です。
①プラスの遺産
一般的に不動産、預金、株式や投資信託などの有価証券、現金などです。
さらに、宝飾品や美術品など価値があるものはプラスの遺産といえるでしょう。
多くの方が財産と言われてたときにイメージしやすいものです。
これ以外にも、賃借権などの権利もプラスの財産になります。
②マイナスの遺産
一般的に借金やローンなどです。
未払の税金や未払の入院費用などもマイナスの遺産になります。
イメージしにくいですが、被相続人が連帯保証人であった場合は、相続人が引き継ぎます。
この連帯保証人の地位もマイナスの遺産と言えます。
2相続放棄とは
相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの遺産もマイナスの遺産も相続人が受け継ぎます。
被相続人のプラスの遺産もマイナスの遺産も受け継がないことを相続の放棄といいます。
相続放棄をすると、プラスの遺産を引き継がなくなりますが、マイナスの遺産も引き継ぐことがなくなります。
連帯保証人の地位もマイナスの遺産の一部ですから、相続放棄をしたら、引き継ぐことがなくなります。
連帯保証人の地位というのは、被相続人が第三者の借金について、連帯保証人になっていた場合という意味です。
3連帯保証契約は別物の契約
お金の貸し借りをする場合、貸主と借主の間で、お金の貸し借りの約束をします。
お金の貸し借りの約束を、金銭消費貸借契約と言います。
お金をきちんと返してもらえるか心配なので、返せないとき肩代わりする連帯保証人を立ててもらうでしょう。
貸主と連帯保証人との間で、お金の貸し借りの肩代わりをする約束をします。
お金の貸し借りの肩代わりをする約束を、連帯保証契約と言います。
金銭消費貸借契約は、貸主と借主の間の契約です。
連帯保証契約は、貸主と連帯保証人との間の契約です。
金銭消費貸借契約と連帯保証契約は、当事者が異なるまったく別の契約です。
4連帯保証人が死亡した場合
被相続人が第三者の連帯保証人になっていた場合、相続人に引き継がれるのは、連帯保証人としての義務です。
相続が発生したときに、すでに発生していた連帯保証債務だけでなく、これから発生するかもしれない連帯保証債務も、相続人に引き継がれます。
相続人が相続放棄をした場合、被相続人の義務を引き継ぐことがなくなります。
相続人は、連帯保証人として被相続人が負っていた義務を引き継ぐことがありません。
被相続人が第三者の連帯保証人になっていても、家族に知らせていないことがあります。
貸主としては、借主から順調に返済されている間は連帯保証人に何も言うことがありません。
返済が滞ってから、連帯保証人に連絡してきます。
ときには相続が発生してから長い間経過してから、連絡してくることがあります。
何も知らなかった相続人は貸主に文句を言いたくなりますが、被相続人と相続人の連絡不足です。
貸主を責めることはできません。
相続放棄の申立ができるのは、3か月以内です。
3か月の起点は、被相続人が死亡してからではなく、相続があったことを知ってからです。
「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。
保証債務の存在を知ってから3か月以内であれば、相続放棄が認められることも多いでしょう。
相続が発生してから長い間経過している場合、相続財産を処分していることもあるでしょう。
相続財産を処分したり、利用した場合、単純承認をしたとみなされます。
相続財産を処分したり、利用した場合は相続放棄ができなくなります。
5相続人が連帯保証人の場合
①連帯保証人の地位に影響はない
相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの遺産もマイナスの遺産も相続人が受け継ぎます。
被相続人が多額の借金を負っていた場合、相続人は相続放棄をすれば、被相続人の借金を受け継ぐことはありません。
被相続人が借金をする場合、家族が連帯保証人になっているケースがあります。
連帯保証人の義務は、連帯保証契約に基づく相続人の固有の義務です。
金銭消費貸借契約に基づく、借金を返す義務とは別の義務です。
相続放棄をしても、連帯保証人の義務には影響がありません。
被相続人の借金を受け継ぐことがなくなっても、連帯保証人の義務は消えません。
相続人がもともと負担していた義務なので、相続があってもなくても、相続放棄をしてもしなくても、変わりはないのです。
②借金は消えない
相続人が相続放棄をしても、借金自体はなくなりません。
相続人全員が相続放棄をした場合でも、借金は存続します。
相続人が不存在の場合、相続財産は相続財産法人になります。
相続財産には、プラスの遺産もマイナスの遺産も含まれます。
相続財産法人は、プラスの遺産だけでなく、マイナスの遺産も含まれます。
③貸主は連帯保証人に請求できる
もともと、お金をきちんと返してもらえるか心配なので、肩代わりをする人を立ててもらっています。
お金を返してもらえなかったら、肩代わりをしてもらうのは当然です。
連帯保証人も、借主がお金を返済できなかったら肩代わりをすると納得しているはずです。
だから、貸主はお金を返してもらえない以上、連帯保証人に請求します。
連帯保証人が保証義務を履行できない場合、相続人自身が自己破産をするなどの債務整理手続をすることになります。
後から自己破産をするのであれば、相続放棄の申立は不要にも見えます。
相続放棄の申立をすることをおすすめします。
相続放棄をしておかないと、連帯保証人になっているもの以外についても対応する必要があるからです。
相続放棄をしておけば、連帯保証人になっている貸主だけ対応すればよくなり、債務整理がラクになるからです。
④求償権
連帯保証人が借主に代わってお金を支払ったら、借主に払ったお金を請求することができます。
借主に払ったお金を請求する権利が、求償権です。
例えば、住宅ローンの連帯保証人になっていた場合、借主に代わって連帯保証人がお金を払うケースもあるでしょう。
連帯保証人が借主に代わってお金を払ったら、連帯保証人は求償権を取得します。
住宅ローンのお金を払っても、住宅は借主の財産です。
住宅が連帯保証人のものになるのではありません。
連帯保証人は借主に払ったお金を請求することができるだけです。
借主が死亡していたら、借主の相続人に請求できます。
借主の相続人全員が相続放棄をしていたら、相続財産法人に請求することになります。
6身元保証人の地位は相続されない
被相続人が就職などの身元保証人になっていることがあります。
身元保証人の地位は、被相続人の一身に専属した義務と考えられています。
身元保証人の地位は、相続されません。
被相続人の死亡によって、義務は消滅します。
相続が発生する前に損害賠償債務が発生している場合、損害賠償債務は相続の対象になります。
すでに発生した債務は、通常の金銭債務だからです。
7上限額のない根保証債務は相続発生後のものは相続されない
根保証とは、一定の範囲内の債務を保証する契約です。
今の民法では、個人が保証人になる場合、保証の限度額を決めていないと無効になります。
古い契約では、保証の上限額を決めていないものもあります。
古い契約であれば、保証の上限を決めていなくても有効です。
だからといって、無制限に肩代わりをするのは、あまりに酷です。
上限額の定めがない根保証人の地位は相続されません。
相続発生の時点ですでに発生している債務は、相続の対象になります。
8相続放棄を司法書士に依頼するメリット
実は、相続放棄はその相続でチャンスは1回限りです。
家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続きを取ることはできますが、高等裁判所の手続きで、2週間以内に申立てが必要になります。
家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。
一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。
被相続人が連帯保証人になっている場合、家族に知らせていないことは珍しいことではありません。
近くに暮らしていない場合など、被相続人の財産状況すらあまり知らないこともよくあります。
借主の経済状況が悪化して、保証債務の履行を求められてはじめて、相続人は連帯保証債務の存在を知ることになります。
ほとんどの場合、相続発生から3か月以上経過しています。
相続発生から3か月以上経っている場合、相続放棄の申立は、原則として認められません。
相続が発生してから3か月以内に届出ができなかったのは止むを得なかったと家庭裁判所に納得してもらって、はじめて、家庭裁判所は相続放棄を認めてくれます。
通常は家庭裁判所に対して、上申書や事情説明書という書類を添えて、説得することになります。
司法書士であれば、家庭裁判所に認めてもらえるポイントを承知していますから、認めてもらいやすい書類を作成することができます。
3か月の期限が差し迫っている方や期限が過ぎてしまっている方は、すみやかに司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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消費者志向自主宣言
オリーブの木司法書士事務所では、消費者庁の目指す消費者経営を推進しています。
消費者全体の視点に立ち、持続可能な社会の実現を目指すものです。
オリーブの木司法書士事務所は、消費者志向自主宣言をしました。
消費者の視点から、SDGsの推進し消費者経営の趣旨に賛同しています。
SDGsの推進、消費者経営の促進のため、関係団体や消費者と連携に努めます。
1経営理念
・オリーブの木司法書士事務所のサービスを通じてお客さま満足のみならず、地域社会や次世代のために取組を推進し、持続可能な社会への貢献を目指します。
・お客さまの期待に答え、新たな価値を創造し提案をします。
・お客様のお話に耳を傾け、謙虚に誠実に対応します。
2取組方針
①お客さま満足度の向上
私たちは、常にプロ意識を持ち、丁寧、迅速な仕事を行います。
お客さまとのコミュニケ-ションを深化させ、お客さまからの信頼を獲得します。
私たちはお客さま満足度向上に繋がる対応を心掛けます。
お客さまの声を謙虚に受け止め、サービスの品質向上に反映させます。
司法書士業務を通して、地域社会の課題解決の一翼を担います。
②未来・次世代のために取り組むこと
「SDGs の取組方針」を明確化し、社内外に発信しています。
登記実務を通じて、安心な社会社会への貢献を目指します。
③コンプライアンスの強化をすること
消費者関連法規の遵守を徹底します。
情報収集した消費者相談内容等を集約し、コンプライアンスを徹底します。
④消費者・社会の要望を踏まえた改善・開発
お客さまに寄り添うサービス開発を行い、豊かで安心できる暮らしづくりに努めます。

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借地権付き建物を相続
1借地権は相続財産
被相続人がマイホームを持っている場合、土地は被相続人が所有しているケースと土地は借りているケースがあります。
被相続人が土地を借りてマイホームを持っている場合、土地を借りる権利、土地を使う権利があると言えます。
土地の上に建物を所有する目的で、土地を使う権利や土地を借りる権利のことを借地権と言います。
建物を所有する目的があるときだけ、借地権です。
更地で、資材置き場として使う目的や青空駐車場として使う目的の場合、土地を使う権利があったとしても、借地権とは言いません。
借地権は、法律的に言うと、賃借権の場合と地上権の場合があります。
賃借権は土地を借りて使う権利、地上権は土地を使う権利です。
地上権は、賃借権と比べると使う人の権利が強く保護されている権利です。
一般的には、借地権のほとんどは賃借権です。
借地権は、普通借地権と定期借地権があります。
被相続人がマイホームと借地権を持っていた場合、マイホームと借地権は相続財産になります。
2借地権には普通借地権と定期借地権がある
①普通借地権
契約で期限を定めておいても、自動的に借地契約が更新される契約です。
地主側に土地を返してもらう正当な理由がある場合だけ、土地の返還を請求できます。
土地を返してもらう正当な理由を認められるのは非常に限られた場合だけです。
借地人が望む場合、半永久的に借りることができます。
契約終了になったら、地主に建物の買取請求をすることができます。
②定期借地権
定期借地契約は50年以上の期間を決めて土地を利用することができる契約です。
契約更新はできないし、存続期間の延長はできません。
契約終了になっても、建物買取請求をすることはできません。
定期借地契約が終了したら、建物を取り壊して、土地を更地にして地主に返さなければなりません。
3借地権の相続に地主の承諾不要
マイホームなどの建物は被相続人の所有していたものなので、相続人全員で分け方の合意をすれば遺産分割をすることができます。
一般的に、賃借権をだれかに譲渡する場合やだれかに又貸しする場合、地主の承諾が必要になります。
多くの場合、地主の承諾を得るために、承諾料の支払が必要になります。
借地権を相続する場合、地主の承諾は必要ありません。
相続は被相続人の死亡という事実によって発生するものなので、地主といえども承諾の余地がないからです。
地主の承諾の余地がないから、承諾料の支払も必要ありません。
相続財産の分け方について、相続人全員で合意した結果、一部の相続人が相続することになることもあるでしょう。
一部の相続人が相続することになったとしても、地主の承諾は不要ですし、承諾料の支払も不要です。
一部の相続人が相続する合意をした場合であっても、相続によって受け継ぐことに変わりはないからです。
賃借権の相続にあたっては地主の承諾が不要であることを知らずに、当然のことのように承諾料を請求してくることがあります。
地主の承諾不要なのですから、承諾料の支払も不要です。
被相続人のマイホームであったとしても、相続人はそれぞれ自分の自宅があったり、遠方に住んでいる場合もあるでしょう。
建物に住まないのなら土地を明け渡して欲しいと請求してくる場合があります。
このような請求に応じる必要もありません。
被相続人の権利をそのまま受け継ぐものなので、相続が発生したからといって明渡を請求できるものではないからです。
地上権をだれかに譲渡する場合やだれかに又貸しする場合、賃借権と違い、地主の承諾が不要です。
地上権を相続する場合も、地主の承諾は不要です。
地主には相続したことを伝えておくだけでいいでしょう。
4借地権付き建物の相続登記
①登記された建物の相続の場合
相続財産の分け方について、相続人全員の話し合いによる合意ができたら、合意内容を遺産分割協議書に取りまとめます。
借地権と建物があるので、それぞれ忘れずに記載しましょう。
書類ができたら、通常どおり相続登記をします。
めったにありませんが、借地権が地上権であれば一緒に登記されているでしょう。
建物の相続登記をするとき、地上権も一緒に相続登記をするといいでしょう。
一般的に言って、借地権が賃借権の場合、登記されていることはめったにありません。
賃借権は希望すれば登記する制度がありますが、ほとんどの場合、地主が登記に協力しないからです。
登記されていない賃借権が借地権である場合、建物の登記があれば借地権も登記してあるものと同じ効力があります。
②未登記建物の相続の場合
建物の中には登記されていないものがあります。
登記がされていなくても、被相続人のものであれば、相続財産になります。
相続財産なので、相続人全員で分け方の合意をすれば遺産分割をすることができます。
未登記建物と登記されていない借地権を相続する場合、登記がない状態で相続することになります。
この状態で、地主が第三者に土地を売却した場合、土地の買主が土地の明渡を請求してくる心配があります。
この場合、借地権があっても登記がないので、明渡に応じなければなりません。
土地の買主に、借地権があるから出ていきたくないなどと文句を言うことはできません。
この点、登記された建物を所有している場合は、土地に買主に借地権があるから明け渡しには応じないと言うことができます。
建物の登記があれば借地権も登記してあるものと同じ効力があるからです。
土地の買主が現れて、土地の明渡を請求してくる前に建物の登記をした方がいいでしょう。
5借地権が定期借地権の場合
被相続人がマイホームと借地権を持っていた場合、マイホームと借地権は相続財産になります。
借地権が定期借地権である場合も、相続財産になります。
相続人は、被相続が地主と契約した内容を引き継ぐことになります。
定期借地契約は、原則として、解約することができません。
一方的な解約を認めてしまうと、貸主は予定していた賃料が得られなくなるし、借主はせっかく建てた建物を取り壊して明渡をする必要があるからです。
解約が認められるのは、地震や火災などで建物がなくなってしまった場合などごく限られた場合のみです。
地主が解約に応じてくれるのであれば解約できます。
予定していた賃料と残った契約期間を考えて相応の違約金を払うことになるでしょう。
原則として解約できませんから、相続人は別の場所に住んでいたとしても、契約で定められた地代を支払わなければなりません。
契約終了になったら、取壊し費用を負担して建物を取壊して、更地にして返さなければなりません。
このような負担を考えると、定期借地権付き建物を売却したいと思うでしょう。
法律上、定期借地権付き建物を売ることはできます。
法律上、売ることはできますが、買いたい人がいて売れるかというのは別問題です。
定期借地権付き建物を売却したら、買主が契約終了になったら、取壊し費用を負担して建物を取壊して、更地にして返さなければなりません。
このような負担をしてでも、買いたい人はあまりいないでしょう。
さらに、このような負担のある建物に対して銀行などの金融機関は財産価値をあまり認めていません。
買いたい人が見つかったとしても、銀行のローンが通りにくいものです。
ローンがなくても買える人でないと、定期借地権付き建物を買えません。
賃借権をだれかに譲渡する場合やだれかに又貸しする場合、地主の承諾が必要になります。
借地権が定期借地権であっても、賃借権であれば地主の承諾が必要です。
定期借地権付き建物を売却したら、地主に承諾をもらわなければなりません。
地主としても、定期借地権付き建物の買主がきちんと地代を払ってくれる人でないと承諾はできないでしょう。
さらに、譲渡承諾料も負担しなければなりません。
6負担が重いのであれば相続放棄も
被相続人に多額の借金がある場合、相続放棄を検討します。
家庭裁判所で相続放棄を認めてもらったら、相続人でなくなります。
相続人でなくなれば、多額の借金も賃借権も相続することはなくなります。
相続していないので、借金も地代も支払う必要がありませんし、賃貸借契約を解除する必要がありません。
地主から土地を明け渡して欲しいと請求されることがありますが、建物を取壊しをしてはいけません。
建物を処分したことになりますから、相続放棄が無効になります。
相続放棄をした人も、他の人が管理するまで適切に管理する必要があります。
物件を放置して周りの人に迷惑をかけてしまったら、損害賠償請求される可能性があります。
必要であれば、家庭裁判所に相続財産管理人を選んでもらうように申立をすることも考えましょう。
7借地権付き建物の相続を司法書士に依頼するメリット
相続財産の分け方は、相続人全員で合意する必要があります。
相続人全員で話し合いによる合意は、トラブルが起きやすいものです。
相続は、相続人間だけでトラブルが起きるのではありません。
借地に建物を所有している場合、地主が関係します。
相続をきっかけに、譲渡承諾料を請求してくることがあります。
相続を理由に、契約内容をうやむやにすることもあります。
意図的でないにしてもトラブルに巻き込まれがちです。
司法書士は単なる登記の書類を書いているだけではありません。
法律の知識があれば防げるトラブルは多いです。
相続が発生してから、相続人は相続手続に追われてへとへとになっているでしょう。
スムーズに相続手続を完了させたい方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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相続放棄-家族信託
1家族信託とは
所有者はものを自由に売ったり、自由に管理したりして、ものから利益を受け取ることができます。
だから、所有権は、自由にものを売る権利であるし、自由に管理する権利であるし、ものから利益を受け取る権利であるといえます。
所有権はよく見ると、たくさんの権利の集合体といえます。
たくさんの権利の集合体である所有権から、自由に売る権利や自由に管理する権利を信頼できる家族に渡して、自分はものから利益を受け取る権利だけ持っていることができます。
自由に売る権利や自由に管理する権利を信頼できる家族に渡して、自分はものから利益を受け取る権利だけ持つ仕組みを家族のための信託といいます。
この仕組みを利用すると、信頼できる家族は自由にものを売ることができるし、自由に管理することができます。
自由に売る権利や自由に管理する権利を渡す相手は信頼できる家族であればよく、親子でなくても差し支えありません。
2信託財産は独立した財産になる
家族信託をすると、信託財産は信頼できる家族の名義になります。
名義は信頼する家族のものになりますが、その人の財産ではありません。
自由に売る権利や自由に管理する権利を預ける人を、委託者と言います。
自由に売る権利や自由に管理する権利を預かる信頼できる家族のことを受託者と言います。
信託財産は管理や処分をお願いしているだけだから、受託者の固有の財産とは別に扱われます。
信託財産は、受託者の名義になっているだけで、独立した財産です。
信託財産は、委託者の固有の財産でもありません。
信託財産は委託者の財産でもないし、受託者の財産でもなくなります。
信託財産は、だれの財産でもない独立した財産です。
委託者の固有の財産ではないから、委託者に相続が発生した場合、信託財産は相続財産になりません。
相続財産になるのは、委託者の固有の財産だけです。
信託契約では、いつ信託が終了するのか、信託が終了したら信託財産はだれが受け継ぐのか決められます。
信託財産は、信託契約で決められたときに終了し、信託契約で決められた人に受け継がれます。
3家族信託があっても相続放棄はできる
家族信託の委託者に相続が発生した場合、相続財産になるのは委託者の固有の財産だけです。
相続人は、相続放棄をすることができます。
相続放棄をしたら、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け取ることはできません。
受け取ることができないのは、相続財産についての話です。
相続放棄をしたら、相続財産のうちプラスの財産も、相続財産のうちマイナスの財産も受け取ることはできません。
委託者が信託した財産は独立した財産だから、相続放棄の影響を受けません。
信託契約で決められたときに終了し、信託契約で決められた人が受け継ぎます。
委託者が死亡したとき信託が終了すると決められているケースもあるでしょう。
信託が終了したら信託財産を受け継ぐと指定された人が、相続人であることもあるでしょう。
信託が終了したら信託財産を受け継ぐと指定された人がだれであっても、相続人は、相続放棄をすることができます。
相続人として相続放棄をした場合であっても、信託契約は影響を受けません。
信託財産は、信託契約の定めに従って受け継がれます。
相続人が相続放棄をした場合であっても単純承認をした場合であっても、信託契約に従って信託財産を受け継ぐことができます。
4借金逃れで家族信託を悪用することはできない
信託財産は、委託者の固有の財産でもありません。
信託財産は委託者の財産でもないし、受託者の財産でもなくなります。
信託財産は、だれの財産でもない独立した財産です。
原則として、相続放棄をしても、信託が終了したら信託財産を受け継ぐと指定された人は信託財産を受け取ることができます。
例えば、委託者の財産がわずかなプラスの財産と莫大なマイナスの財産であるようなケースで問題になります。
この状況で、委託者がわずかなプラスの財産すべてを信託契約で信託財産にすることが考えられます。
莫大なマイナスの財産は委託者の固有の財産のままです。
この後、相続が発生した場合、相続人は相続放棄をするでしょう。
原則どおりでは、相続財産と信託財産は別物だから、マイナスの財産を受け継がずに、わずかなプラスの財産を受け取ることができるとなってしまいます。
このようなことができると、債権者にあまりに気の毒です。
債権者は、裁判所に訴えて、理不尽な信託の取り消しを請求することができます。
借りたお金を返さなければならないのに、不当に家族信託にして結果、お金を返せなくしているからです。
自分の財産を不当に減少させたら、お金を貸した人はお金を返してもらえなくなる結果になります。
お金を貸した人が困ることを分かっていて、契約した信託を詐害信託と言います。
お金を貸した人が困ることについて、委託者と受益者が知っていた場合、信託は詐害信託と言えます。
裁判所に詐害信託と認められたら、信託は取り消されます。
お金を貸した人が困ることについて、受託者は知っていても知らなくても関係がありません。
受託者は信託財産を預かって管理しているだけだから、保護の必要性がないからです。
お金を貸した人が困ることについて、知っていても知らなくても、受託者は裁判の被告になります。
お金を貸した人が困ることについて、受益者が知っていた場合、第三者に受益権を譲渡することがあります。
詐害信託に認定されると、裁判所から信託財産からの給付が取り消されてしまうからです。
信託財産からの給付を取り消されないようにするために、お金を貸した人が困ることについて、何も知らない第三者に信託受益権を無償で譲渡しようとするのです。
このような行為は、不当な行為です。
このような不当な行為をした場合、お金を貸した人が困ることについて、受益者は知っていても知らなくても、受益者は知っていたと扱われます。
つまり、受益者はお金を貸した人が困ることについて知らなかったから、保護して欲しいとは言えなくなるという意味です。
無償で譲渡するとは、無償のときだけでなく、通常とは不釣り合いな有償の場合を含みます。
わずかな有償は、無償と同視されるという意味です。
わずかな額で、保護されることは不当だからです。
5家族信託を悪用すると取消される
債権者は、裁判所に訴えて、理不尽な信託の取り消しを請求することができます。
さらに、次のような効果があります。
①信託財産からの給付が取消される
信託財産からの給付がされる前の場合で、かつ、受益者全員が債権者が困るのを知っていた場合、信託財産からの給付が取消されます。
信託財産からの給付がされた後の場合で、かつ、債権者が困るのを知っていた受益者について、信託財産からの給付が取消されます。
②信託受益権の譲渡請求ができる
債権者が困るのを知っていた受益者について、信託受益権を委託者に譲渡するように請求することができます。
③自己信託の特例
家族信託は、委託者と受託者が同じ人で設定することができます。
委託者と受託者が同じ人になる信託を、自己信託と言います
自己信託であっても、信託財産と固有の財産は別物と扱うのが原則です。
借金逃れなど債権者を困らせる目的で、自己信託を設定することはやはり許されることではありません。
自己信託が詐害信託である場合、債権者を保護するため、信託財産と固有の財産は別物と扱いません。
債権者は、信託財産であっても差押などの執行をすることができます。
借金逃れなど家族信託を悪用することはできないのです。
6家族信託を司法書士に依頼するメリット
家族信託は、信託契約によって柔軟に設計することができます。
今までの遺言書や後見などでできないことも実現することができます。
柔軟で自由に設計できるからこそ、契約内容や手続きは難しく専門家のサポートが欠かせません。
委託者の固有の財産から切り離して、だれの財産でもない独立した財産にできることも大きな魅力でしょう。
一方で、このような魅力を悪用することを考える人がいるかもしれません。
借金から逃れるために信託を利用するなどは、典型例でしょう。
このようなことをすると大きなトラブルになってしまいます。
これ以外にも、委託者の固有の財産から切り離して、だれの財産でもない独立した財産にできることから、遺留分を侵害する恐れもあります。
遺留分侵害額請求から逃れるために信託を悪用する事例もあります。
委託者、受託者、受益者の関係者がすべて家族で完結するから安心と言えますが、全員に知識がないことが多くトラブルに発展しやすいと言えます。
家族全員が家族信託について話し合い、充分知識をつけて、何でも相談できるのであれば、円滑に運用することができるでしょう。
充分な知識がないのに、信託を設定するとトラブルが起きると言えます。
受託者監督人など家族以外の専門家のサポートを受ける方が安心できる場合もあります。
家族信託は、公正証書で契約しなくても有効になります。
公正証書は公証人という専門家の目も通るし、契約内容についてのトラブルを防ぐこともできます。
やはり専門家のサポートが欠かせないというべきでしょう。
家族信託を考えている方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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