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伯叔父・伯叔母が死亡して甥姪が相続人
1相続人になる人は法律で決まっている
相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。
だれが相続人になるかについては、民法で決められています。
相続人になる人は次のとおりです。
②~④の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。
①配偶者は必ず相続人になる
②被相続人に子どもがいる場合、子ども
③被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属
④被相続人に子どももいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹
2代襲相続で甥姪が相続人になる
①代襲相続とは
相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することがあります。
これを代襲相続と言います。
相続人になるはずだった人の子どもの子どもが相続することを再代襲相続と言います。
代襲相続ができるのは、相続人になるはずだった人の子どもなど被代襲者の直系卑属だけです。
相続人になるはずだった人を被代襲者と言います。
被代襲者の子どもなど被代襲者の直系卑属以外は代襲相続ができません。
②兄弟姉妹の代襲相続は一代限り
被相続人の兄弟姉妹が相続する場合で、かつ、兄弟姉妹が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹の子どもが代襲相続をすることができます。
兄弟姉妹の子どもが被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹の子どもの子どもは代襲相続をすることができません。
兄弟姉妹が相続する場合、代襲相続ができる範囲は一代限りだからです。
被相続人の子どもが相続する場合で、かつ、子どもが被相続人より先に死亡している場合、子どもの子どもが代襲相続をすることができます。
子どもの子どもが被相続人より先に死亡している場合、子どもの子どもの子どもは代襲相続をすることができます。
被相続人の子どもが相続する場合、下の世代の範囲に制限はありません。
子どもが被代襲者の場合、再代襲相続はできます。
兄弟姉妹が被代襲者の場合、再代襲相続はできません。
③甥姪の子どもが代襲相続できる例外
現在の法律では兄弟姉妹が相続する場合、代襲相続ができる範囲は一代限りです。
かつての法律では、兄弟姉妹が相続する場合、再代襲相続ができました。
被相続人が昭和23年1月1日から昭和55年12月31日に死亡した場合、兄弟姉妹の再代襲相続ができました。
④配偶者がいるときの甥姪の相続分
被相続人に配偶者がいる場合、配偶者は常に相続人になります。
配偶者と兄弟姉妹が相続人になる場合、法定相続分は次のとおりです。
・配偶者 4分の3
・兄弟姉妹 4分の1
甥姪が相続人になる場合、甥姪は兄弟姉妹の相続分を引き継ぎます。
被相続人に兄弟姉妹が複数いる場合、人数で均等に分割します。
兄弟姉妹は、実父実母同じ兄弟姉妹だけではありません。
異父兄弟姉妹や異母兄弟姉妹が含まれるからです。
父だけ同じ兄弟姉妹や母だけ同じ兄弟姉妹は、父母同じ兄弟姉妹の半分になります。
父だけ同じ兄弟姉妹や母だけ同じ兄弟姉妹は、半血兄弟と言います。
代襲相続の場合、法定相続分は受け継がれます。
死亡した被代襲者の法定相続分を代襲相続人が人数で均等に分割します。
半血兄弟の法定相続分は全血兄弟の法定相続分の2分の1なので、代襲相続人の相続分が相応に少なくなります。
⑤甥姪に遺留分はない
被相続人は、原則として、自分の財産をだれに受け継がせるかは自由に決めることができます。
とはいえ、財産は被相続人が1人で築いたものではなく、家族の協力があって築くことができたもののはずです。
被相続人の名義になっているからといって、まったく無制約の自由にすると今まで協力してきた家族に酷な結果となることもあります。
このため、被相続人に近い関係の相続人には相続財産に対して最低限の権利が認められています。
相続財産に対して、認められる最低限の権利のことを遺留分と言います。
遺留分は、兄弟姉妹以外の相続人に認められます。
兄弟姉妹は遺留分が認められないから、甥姪も遺留分がありません。
3数次相続で甥姪が相続人になる
①数次相続とは
相続が発生したら、相続財産は相続人全員の共有財産になります。
共有財産になった相続財産は、相続人全員で話し合いによる分け方の合意が不可欠です。
相続財産の分け方について、話し合いがまとまる前に、相続人が死亡して新たな相続が発生することがあります。
最初の相続の手続中に相続人が死亡して、さらに相続が発生した状態を数次相続と言います。
数次相続は、どこまででも続きます。
どこまで続くかについて、法律上の制限はありません。
最初の相続を一次相続、相続人が死亡した相続を二次相続と言います。
二次相続の相続人が死亡すると、三次相続、さらに、四次相続、五次相続という場合もあります。
相続人が死亡して新たな相続が発生することを、まとめて、数次相続と言います。
②数次相続と代襲相続のちがい
数次相続も代襲相続も相続が複雑になる代表例です。
相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することがあります。
これを代襲相続と言います。
数次相続は、相続が発生した「後」に、相続人が死亡した場合です。
代襲相続は、相続が発生する「前」に、相続人になるはずだった人が死亡した場合です。
数次相続では、死亡した相続人の相続人が最初の相続の遺産分割協議に参加します。
代襲相続では、死亡した相続人の直系卑属が最初の相続の遺産分割協議に参加します。
数次相続と代襲相続では、遺産分割協議に参加する人が異なります。
遺産分割協議に参加すべき人が参加していない場合、相続財産の分け方の合意は無効になります。
遺産分割協議に参加すべきでない人が参加している場合、相続財産の分け方の合意は無効になります。
だれが話し合いに参加すべきか間違えると、せっかく合意をしても合意が無効になります。
③数次相続なら甥姪の子どもは相続人になる
数次相続では、複数の相続が発生しています。
最初の相続が発生した時点で被相続人の兄弟姉妹が被相続人より先に死亡している場合、代襲相続が発生します。
被相続人の甥姪が代襲相続人になります。
最初の相続が発生した時点で被相続人の兄弟姉妹と被相続人の甥姪が被相続人より先に死亡している場合、甥姪の子どもは相続人にはなりません。
兄弟姉妹が相続する場合、代襲相続ができる範囲は一代限りだからです。
最初の相続が発生した時点で元気だった甥姪が後に死亡した場合、甥姪の子どもは相続人です。
代襲相続人である甥姪の地位を相続したからです。
数次相続に制限はありません。
4甥姪は特別寄与者になれるがハードルが高い
①特別寄与料は親族が請求できる
特別の寄与が認められるのは、相続人以外の親族です。
寄与分の制度は、特別な貢献をした人に対して相続分以上の財産を受け取ってもらうことで、相続人間の実質的な公平を図ろうとしたものです。
特別な貢献をしたのに相続人ではない場合、寄与分を請求することはできません。
例えば、被相続人に子どもがいるけど疎遠になっていることがあります。
被相続人に離婚歴があって子どもが幼いうちに元配偶者が引き取ったケースなどです。
子どもには頼れないから甥姪などが被相続人に献身的にお世話をしていることがあります。
被相続人に子どもがいる場合、兄弟姉妹も甥姪も相続人ではありません。
相続人でないから寄与分を請求して貢献が報われることがありません。
特別な貢献をした人が親族である場合、特別寄与料を請求することができます。
親族にあたる人は、法律で決められています。
具体的には、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族です。
被相続人の甥姪は、親族です。
甥姪が特別な貢献をしたと認められる場合、特別寄与料を請求して貢献が報われます。
②特別寄与料を請求する条件はとても厳しい
特別寄与料の請求が認められるのは、次の条件がすべて満たされた場合です。
(1) 特別の寄与があること
特別の寄与とは、被相続人との身分関係から考えて、通常期待される程度を超える貢献のことです。
(2) 財産が実質的に増加したこと
寄与分が認められるのは、実質的に財産の増加した場合のみです。
財産の減少や負債の増加が免れたこと、財産の増加や負債の減少が必要です。
財産の経済的価値の実質的増加が必要ですから、精神的援助は寄与分の対象にはなりません。
具体的には、頻繁にお見舞いに行ったことや話し相手になったことは寄与分の対象になりません。
お見舞いや話し相手で財産が実質的に増加することはないからです。
精神的援助は金銭的評価が困難です。
(3) 特別の寄与と財産増加に因果関係があること
寄与分が認められるのは、特別の寄与が財産の実質的増加につながった行為のみです。
5甥姪が相続人になるときは遺言書作成がおすすめ
被相続人の兄弟姉妹が相続人になる場合、相続人同士の関係が希薄になっていることが多いです。
甥姪の世代になると、被相続人の配偶者や兄弟姉妹と較べると若いことでしょう。
関係が希薄になっているうえに、相続に対する考え方も異なります。
相続人同士が話し合うとしても、簡単に合意ができることは少ないものです。
相続人間の関係が希薄である場合、遺言書の作成がおすすめです。
遺言書を作成して財産の行き先を指定すれば、相続人全員の話し合いは不要になるからです。
財産の行き先を指定するだけでなく、遺言書で遺言執行者を指定することができます。
遺言執行者は、遺言書の内容を実現してくれる人です。
遺言執行者がいる場合、わずらわしい相続手続はすべてお任せをすることができます。
相続人間にトラブルが懸念される場合はもちろんのこと、トラブルの懸念がないときも遺言書の作成はおすすめです。
6遺言書作成を司法書士に依頼するメリット
自筆証書遺言の多くは、専門家のサポートなしで一人で作ります。
その結果、遺言書の厳格な書き方ルールが守られておらず、無効になってしまいます。
形式的な書き方ルールは守られていても、内容があいまいで遺言書を実現できないことも多々あります。
さらに、相続人の遺留分に配慮されておらず、トラブルに発展する例もあります。
せっかく遺言書を作るのなら確実な公正証書遺言をおすすめします。
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司法書士からトータルでサポートを受けると、遺言者は確実な遺言を遺せるので安心できるでしょう。
相続発生後も、相続人は面倒な相続手続から解放されます。
遺言者も家族も安心できる公正証書遺言作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
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危険な家族信託でトラブル
1家族信託とは
所有者はものを自由に売ったり、自由に管理したりして、ものから利益を受け取ることができます。
だから、所有権は、自由にものを売る権利であるし、自由に管理する権利であるし、ものから利益を受け取る権利であるといえます。
所有権はよく見ると、たくさんの権利の集合体といえます。
たくさんの権利の集合体である所有権から、自由に売る権利や自由に管理する権利を信頼できる家族に渡して、自分はものから利益を受け取る権利だけ持っていることができます。
自由に売る権利や自由に管理する権利を信頼できる家族に渡して、自分はものから利益を受け取る権利だけ持つ仕組みを家族のための信託といいます。
この仕組みを利用すると、信頼できる家族は自由にものを売ることができるし、自由に管理することができます。
自由に売る権利や自由に管理する権利を渡す相手は信頼できる家族であればよく、親子でなくても差し支えありません。
2家族信託のメリット
認知症になると、記憶があいまいになったり、物事のメリットデメリットを適切に判断することができなくなります。
自分の財産を管理したり処分したりすることができなくなります。
自分の貯金があるのに、引き出すことができなくなります。
自分の不動産があるのに、売却することができなくなります。
家族信託は、自由に売る権利や自由に管理する権利を信頼できる家族に渡します。
自由に売る権利や自由に管理する権利を信頼できる家族が管理するから、財産を活用することができます。
家族信託は、裁判所などの監督を受けません。
信託契約の目的の範囲内で信託契約で与えられた権限を行使します。
成年後見などより柔軟な資産活用をすることができます。
2危険な家族信託でおきるトラブルと対策
①受託者が権限を濫用する
家族信託は、自由に売る権利や自由に管理する権利を信頼できる家族に渡します。
受託者は、自由に売る権利や自由に管理する権利を行使する人です。
信託目的達成のため、受託者には大きな権限が与えられています。
受託者が適切な権限行使をするように、多くの義務を課せられています。
受託者が権限を乱用してしまう可能性はあります。
認知症対策のために家族信託を利用する場合、委託者兼受益者は相当高齢でしょう。
一時の気まぐれで、信託契約の内容を変更したり信託を終了させた場合、信託目的を達成できなくなります。
受託者が円滑に信託事務を行うため、委託者兼受益者の権限を制限することができます。
委託者兼受益者の権限を制限した場合、受託者の権限濫用を止められなくなるおそれがあります。
信託契約において、委託者兼受益者の権限を制限できるように受託者の権限を制限することができます。
信託監督人を置く定めや信託監督人の同意がないと権限行使ができない定めなどです。
受託者の権限を制限した場合、柔軟な財産管理が難しくなるおそれがあります。
成年後見における家庭裁判所などの報告や相談と同様になってしまいます。
この対策としては、信頼できる家族を受託者にすることです。
信頼できる家族が受託者として適切に信託事務を行った場合でも、他の家族には不満があるかもしれません。
家族信託に納得していない家族には、権限濫用に見えることがあります。
家族信託は、多くの人に良く知られている制度とは言えません。
信託契約を考えたときから、家族みんなでよく話し合っておく必要があります。
②受託者が財産管理をできなくなる
認知症対策のために家族信託を利用する場合、委託者兼受益者の死亡は家族みんなが意識しています。
委託者兼受益者が元気でいるのに、受託者が病気やけがで財産管理ができなくなることがあります。
信託契約は、締結して終わりではなく長期間に継続するからです。
受託者は、自由に売る権利や自由に管理する権利を行使する人です。
受託者がいなくなると、信託が機能しなくなります。
受託者が財産管理をできなくなったときに備えて、信託契約で後継受託者を決めておくことができます。
後継受託者とは、受託者が財産管理をできなくなったときに次の受託者になる人です。
あらかじめ次の受託者を決めておくことでスムーズな引き継ぎをすることができます。
受託者が欠けた場合、委託者と受益者は新たな受託者を選任する必要があります。
本人の認知症リスクに備えるために家族信託を利用した場合、認知症を発症している可能性があります。
委託者兼受益者が認知症を発症していた場合、新たな受託者を選任することができません。
受託者が不在のまま1年経過したら信託は終了になります。
③信託契約締結時の判断能力に疑い
本人の認知症リスクに備えるために家族信託を利用した場合、本人は委託者兼受益者として、信頼できる家族は受託者として信託契約を締結します。
物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなると、契約などの法律行為ができなくなります。
契約書を作成しても、充分な判断能力がなければ意味のない文書です。
本人の認知症リスクに備えるために家族信託を利用した場合、本人は相当高齢でしょう。
家族信託に不満がある家族がいた場合、本人の判断能力の有無を争います。
契約締結をした当時、本人が物事のメリットデメリットを充分に判断することができない場合、契約は無効になるからです。
家族信託を利用する場合、本人の判断能力が争う余地がない程度の段階で信託契約を締結することがおすすめです。
信託契約は、委託者兼受益者と受託者のみで契約書を作成しても有効です。
公正証書にしなくても無効になりません。
委託者兼受益者と受託者のみで契約書を作成した場合、本人の判断能力に疑いを持つ家族に何も言えません。
信託契約書を公正証書にする場合、公証人が関与します。
公証人は、本人確認書類の提示などを求めて本人確認をします。
公証人は、当事者の意思確認をして信託契約書を公正証書にします。
本人が物事のメリットデメリットを充分に判断することができない場合、公証人は意思確認ができません。
公証人が意思確認をできない場合、公正証書作成は断られます。
家族信託に不満がある家族が本人の判断能力を疑った場合、公正証書にしてあることで有効性を主張しやすくなります。
④信託口口座が開設できない
家族信託をするとき、委託者兼受益者と受託者で信託契約を締結します。
信託契約で信託の対象とする財産が決められます。
信託の対象とする財産が信託財産です。
信託財産は委託者の財産であった財産ですが、信頼する家族の名義になります。
財産が受託者の名義になっても、受託者の固有の財産ではありません。
受託者の固有の財産とは別管理をします。
信託口口座とは、信託財産を受託者が管理するための口座です。
信託財産管理用の口座と分かるように明示した口座のことです。
信託口口座はまだ一部の金融機関のみの取り扱いです。
信託口口座の開設条件は、金融機関によって異なります。
信託法上問題がない信託契約であっても金融機関独自の開設条件に合わない場合、信託口口座の開設をお断りされます。
信託契約を締結する前に信託口口座を開設したい金融機関と打合せが必要になります。
信託契約を公正証書にする場合、公証人とも打合せが必要です。
⑤遺留分を侵害している
信託財産は委託者の財産でもないし、受託者の財産でもなくなります。
信託財産は、だれの財産でもない独立した財産です。
相続財産とは別に、信託が終了したら信託財産を受け継ぐと指定された人は信託財産を受け取ることができます。
例えば、委託者が財産のほとんどを信託契約で信託財産にすることがあります。
信託契約で、信託終了時に一部の相続人に信託財産を引き継がせると決めることができます。
遺留分制度を免れる目的で、信託契約を悪用することは許されません。
公序良俗に反するとして、遺留分侵害額請求がされるおそれがあります。
遺留分を侵害するような信託契約であっても、信託法上無効になるものではありません。
家族でトラブルに発展させないため、信託設計時点から他の相続人の遺留分に配慮するといいでしょう。
⑥抵当権付き不動産を信託財産にする
信託契約で信託の対象とする財産が決められます。
本人の認知症リスクに備えるために家族信託を利用した場合、本人所有の不動産を信託財産にする希望が多いです。
本人の不動産にローンが残っている場合、不動産を担保に差し出しているでしょう。
ローンを組むときに、金融機関は不動産を担保に取っています。
抵当権は、不動産を担保に取る権利です。
ローンを組む契約と担保に取る契約において、不動産の名義を変更するときは金融機関の承諾を得るという条項が入っています。
金融機関の承諾なしで家族信託にした場合、契約違反になります。
金融機関は契約違反だからローンの一括返済を要求するでしょう。
信託法上、抵当権付き不動産を信託財産にすることは可能です。
家族信託を検討する場合、金融機関に事情を話して承諾を得ておくといいでしょう。
金融機関が対応しない場合、他の金融機関に借り換えを検討することができます。
⑦思いがけない税金や費用がかかる
本人の認知症リスクに備えるために家族信託を利用した場合、本人は委託者兼受益者です。
委託者と受益者が同一の場合、贈与税はかかりません。
委託者と受益者が別の場合、贈与税はかかります。
本人のみを受益者とせず本人と配偶者を受益者とした場合、委託者から受益者に贈与があったと判断されます。
贈与税は想像するより高額になりがちです。
単に本人と配偶者の生活費を支払う目的であれば、本人のみを受益者にすれば充分です。
本人の扶養義務の範囲内で配偶者の生活費は支払えばいいからです。
贈与税などがかかる場合であっても信託法上、信託契約が無効になるわけではありません。
思いがけない税金がかかる場合、納得がいかない家族が出てくることがあります。
適切な専門家のアドバイスを受けることが大切です。
家族信託を利用する場合、最初に高額の費用がかかりがちです。
全体で考えると成年後見などよりは費用を抑えられることが多いものです。
最初にかかる高額な費用だけでなく、全体的な費用感をすり合わせておくことが重要です。
⑧損益通算ができない
家族信託の仕組みを使う財産と使わない財産があった場合に問題になります。
収益不動産をいくつも持っていると、赤字になる不動産、黒字になる不動産があるでしょう。
通常は、赤字分と黒字分を通算して、不動産所得を計算します。
家族信託の仕組みを使う財産と使わない財産があった場合、赤字分と黒字分を通算することはできません。
家族信託を利用することによって所得税の負担が大きくなる可能性があります。
収益不動産を保有している場合、大規模修繕が必要になります。
大規模修繕の高額な経費を通算することができなくなるのは痛手です。
信託契約をする前に大規模修繕を済ませておくといいでしょう。
他の財産を信託した後、大規模修繕を済ませたタイミングで追加信託をすることを選択することもできます。
3家族信託を司法書士に依頼するメリット
家族信託は、信託契約によって柔軟に設計することができます。
今までの遺言書や後見などでできないことも実現することができます。
柔軟で自由に設計できるからこそ、契約内容や手続きは難しく専門家のサポートが欠かせません。
委託者の固有の財産から切り離して、だれの財産でもない独立した財産にできることも大きな魅力でしょう。
委託者、受託者、受益者の関係者がすべて家族で完結するから安心と言えますが、全員に知識がないことが多くトラブルに発展しやすいと言えます。
家族全員が家族信託について話し合い、充分知識をつけて、何でも相談できるのであれば、円滑に運用することができるでしょう。
充分な知識がないのに、信託を設定するとトラブルが起きると言えます。
受託者監督人など家族以外の専門家のサポートを受ける方が安心できる場合もあります。
家族信託は、公正証書で契約しなくても有効になります。
公正証書は公証人という専門家の目も通るし、契約内容についてのトラブルを防ぐこともできます。
やはり専門家のサポートが欠かせないというべきでしょう。
家族信託を考えている方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
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相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
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代襲相続人の相続割合
1代襲相続とは
①代襲相続とは相続人になるはずだった人の子どもが相続すること
相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。
だれが相続人になるかについては、民法で決められています。
相続人になる人は次のとおりです。
(1)配偶者は必ず相続人になる
(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども
(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属
(4)被相続人に子どももいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹
相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することがあります。
これを代襲相続と言います。
相続人になるはずだった人の子どもの子どもが相続することを再代襲相続と言います。
②数次相続と代襲相続のちがい
数次相続も代襲相続も相続が複雑になる代表例です。
数次相続は、相続が発生した「後」に、相続人が死亡した場合です。
代襲相続は、相続が発生する「前」に、相続人が死亡した場合です。
数次相続では、死亡した相続人の相続人が最初の相続の遺産分割協議に参加します。
代襲相続では、死亡した相続人の直系卑属が最初の相続の遺産分割協議に参加します。
数次相続と代襲相続では、遺産分割協議に参加する人が異なります。
数次相続も代襲相続も、死亡した相続人の相続分を引き継ぎます。
数次相続が発生した場合と代襲相続が発生した場合では、相続分を引き継ぐ人が違います。
引き継ぐ人と引き継ぐ相続分は十分に確認して手続を進めましょう。
2代襲相続ができる原因
①相続人が死亡したら代襲相続する
相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合です。
実際に死亡した場合の他に、失踪宣告を受けて死亡したものと扱われる場合も、代襲相続が発生します。
被相続人の死亡後、相続手続の途中で相続人が死亡した場合には、数次相続になります。
相続が発生したときに相続人が健在であれば、その後死亡しても代襲相続にはなりません。
②相続人が欠格になったら代襲相続する
欠格とは、相続人としてふさわしくない人の相続資格を奪う制度のことです。
欠格になる理由は法律で定められています。
主な理由は、被相続人を殺害したり、殺害しようとしたり、遺言書を偽造したり、遺言書を隠したりしたなどです。
法律で決められた理由があれば、家庭裁判所などの手続はなく、当然に、相続資格を失います。
相続人が相続欠格になる場合、代襲相続ができます。
③相続人が廃除されたら代襲相続する
相続人廃除とは、被相続人の意思で、相続人の資格を奪う制度のことです。
例えば、被相続人に虐待をした人に、相続をさせたくないと考えるのは自然なことでしょう。
相続人廃除は家庭裁判所に申立をして、家庭裁判所が判断します。
被相続人が相続人廃除したいと言い、相続人が廃除されていいと納得していても、家庭裁判所が相続人廃除を認めないことがあります。
相続人が相続人廃除になる場合、代襲相続ができます。
④相続人が相続放棄をしたら代襲相続しない
家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなくなります。
相続人でなくなるから、代襲相続もあり得ません。
被相続人の子どもが相続放棄をした場合、子どもの子どもは相続しません。
被相続人の借金から逃れるために相続放棄をした場合、代襲相続がされないので安心です。
被相続人の子ども全員が相続放棄をした場合、子どもがいない場合になります。
子どもがいない場合、親などの直系尊属が相続します。
3代襲相続人になる条件
①被代襲者は被相続人の子どもか兄弟姉妹
相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続します。
相続人になるはずだった人を被代襲者と言います。
被代襲者になれるのは、被相続人の子ども等と兄弟姉妹だけです。
配偶者と親などの直系尊属は、被代襲者になることはできません。
②代襲相続人になれる人
相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続します。
相続人になるはずだった人の代わりに相続人になる子どもや子どもの子どもを代襲相続人と言います。
代襲相続人になれるのは、被代襲者の子どもなど被代襲者の直系卑属だけです。
代襲相続人になれるのは、被相続人の卑属でなければなりません。
被代襲者の直系卑属で、かつ、被相続人の卑属だけが代襲相続できます。
③甥姪も被相続人より先に死亡したら代襲相続しない
被相続人の兄弟姉妹が相続する場合で、かつ、兄弟姉妹が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹の子どもが代襲相続をすることができます。
兄弟姉妹の子どもが被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹の子どもの子どもは代襲相続をすることができません。
兄弟姉妹が相続する場合、代襲相続ができる範囲は一代限りだからです。
被相続人の子どもが相続する場合で、かつ、子どもが被相続人より先に死亡している場合、子どもの子どもが代襲相続をすることができます。
子どもの子どもが被相続人より先に死亡している場合、子どもの子どもの子どもは代襲相続をすることができます。
被相続人の子どもが相続する場合、下の世代の範囲に制限はありません。
兄弟姉妹が被代襲者の場合、再代襲相続はできません。
子どもが被代襲者の場合、再代襲相続はできます。
現在は兄弟姉妹が相続する場合、代襲相続ができる範囲は一代限りです。
昭和23年1月1日から昭和55年12月31日に開始した相続については、再代襲相続ができました。
4代襲相続人の相続割合
①代襲相続人は被代襲者の法定相続分を引き継ぐ
配偶者がいる場合、法定相続分は次のとおりです
(1)相続人が配偶者と子ども 配偶者2分の1 子ども2分の1
(2)相続人が配偶者と直系尊属 配偶者3分の2 直系尊属3分の1
(3)相続人が配偶者と兄弟姉妹 配偶者4分の3 兄弟姉妹4分の1
兄弟姉妹が数人いる場合、人数で均等に分割します。
兄弟姉妹は、実父実母同じ兄弟姉妹だけではありません。
異父兄弟姉妹や異母兄弟姉妹が含まれるからです。
父だけ同じ兄弟姉妹や母だけ同じ兄弟姉妹は、父母同じ兄弟姉妹の半分になります。
父だけ同じ兄弟姉妹や母だけ同じ兄弟姉妹は、半血兄弟と言います。
代襲相続の場合、法定相続分は受け継がれます。
死亡した被代襲者の法定相続分を代襲相続人が人数で均等に分割します。
半血兄弟の法定相続分は全血兄弟の法定相続分の2分の1なので、代襲相続人の相続分が相応に少なくなります。
②他の相続人の法定相続分に影響はない
代襲相続人は、被代襲者の相続分を引き継ぐだけです。
代襲相続が発生しても代襲相続が発生しなくても、他の相続人の相続分は変わりません。
代襲相続が起きなければ、被代襲者が引き継いだはずの相続分です。
代襲相続が発生したことによって相続人が多人数になることがあります。
相続人が増えたからと言っても、他の相続人の相続分が奪われることはありません。
代襲相続人は、被代襲者の相続分を引き継ぐだけだからです。
③代襲相続人は被代襲者の遺留分を引き継ぐ
遺留分とは、相続財産に対して認められる最低限の権利のことです。
兄弟姉妹以外の相続人に認められます。
被代襲者が子どもや子どもの子どもの場合、遺留分権利者です。
被代襲者が遺留分権利者の場合、代襲相続人は被代襲者の遺留分を引き継ぎます。
被代襲者が兄弟姉妹の場合、遺留分は認められません。
兄弟姉妹の子どもは代襲相続ができる場合であっても、遺留分を主張することはできません。
5養子の連れ子は代襲相続ができない
被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。
子どもがいたが被相続人より先に死亡していた場合、子どもの子どもが相続人になります。
被相続人の子どもが養子であっても、養子は相続人になります。
養子がいたが被相続人より先に死亡していた場合、養子の子どもは相続人になる場合と相続人にならない場合があります。
代襲相続ができるのは、被相続人の卑属のみだからです。
養子縁組は、養親と養子の間で法律上の親子関係を作るものです。
養親と養子の子どもらには、親族関係が作られません。
養子縁組の時点で誕生していた養子の子どもは、養子縁組があっても、養親の直系卑属ではないのです。
養子縁組後に、誕生した養子の子どもは、養親の直系卑属になります。
養子がいたが被相続人より先に死亡していた場合、養子縁組前に誕生した養子の子どもは、相続人になりません。
養子がいたが被相続人より先に死亡していた場合、養子縁組後に誕生した養子の子どもは、相続人になります。
養子縁組の時点で誕生していた養子の子どもは、養子縁組があっても、養親の直系卑属ではないのが原則です。
養子縁組の時点で誕生していた養子の子どもが、実子の子どもである場合があります。
実子の子どもは、当然、直系卑属です。
直系卑属は、代襲相続ができます。
養子がいたが被相続人より先に死亡していた場合、養子縁組前に誕生した養子の子どもで、かつ、実子の子どもである場合は、相続人になります。
6代襲相続がある相続を司法書士に依頼するメリット
相続が発生すると、被相続人のものは相続財産になります。
相続財産は相続人全員の共有財産ですから、分け方を決めるためには相続人全員の合意が必要です。
相続人の一部を含めない合意や相続人でない人を含めた合意は無効になります。
相続財産の分け方の話し合いの前提として、相続人の確定と相続分の確認はとても重要です。
代襲相続や数次相続が発生している場合、一挙に難易度が上がります。
インターネットが普及したことで、多くの情報を手軽に得ることができるようになりました。
簡単に情報発信ができるようになったこともあって、適切でない情報も有益な情報もたくさん出回っています。
相続の専門家と名乗っていながら、適切でないアドバイスを見かけることも度々あります。
代襲相続や数次相続が発生している場合、信頼できる専門家のサポートが欠かせません。
スムーズに相続手続を行いたい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
遺産分割協議書に割印・契印
1遺産分割協議書で相続人全員の合意を証明する
①相続財産は相続人全員の合意で分け方を決める
相続が発生した場合、相続財産は相続人全員の共有財産になります。
相続人のひとりが勝手に処分することはできません。
相続人全員で相続財産の分け方について話し合いをします。
相続人全員による合意をして、相続財産の分け方を決める必要があります。
相続財産の分け方にについて、相続人全員でする話し合いのことを遺産分割協議と言います。
遺産分割協議は、必ず、全員で合意する必要があります。
相続人全員が一つの場所に集まる必要はありません。
電話でもメールでも差し支えありません。
一度に相続人全員合意する必要はありません。
一部の相続人と合意をして、次に、残りの相続人と合意をすることでも問題ありません。
最終的に相続人全員が合意できれば良いのです。
全ての財産をまとめて合意しなければならないといったこともありません。
一部の財産についてだけ合意をすることもできます。
②遺産分割協議書は合意内容の証明書
相続財産は、相続人全員の合意で分け方を決めなければなりません。
相続人全員で合意したら、確定して話し合いは終了になります。
口頭の合意であっても、合意は有効です。
相続財産の分け方について相続人全員で合意した後は、相続手続をします。
口頭の合意をしたと言っても、相続手続先には信用してもらえません。
相続手続先には信用してもらうために、相続人全員の合意内容を文書に取りまとめます。
合意内容を取りまとめた文書を遺産分割協議書と言います。
③遺産分割協議書に記名して実印で押印
遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容を証明する書面です。
遺産分割協議書には、相続人全員が記名して実印で押印します。
実印は、大切な場面で使われる印章です。
本人が大切に保管しているはずです。
実印で押印してあるということは、遺産分割協議書の内容を本人自身が確認したと言えます。
相続人全員について本人自身が確認した証拠として実印で押印してもらいます。
④遺産分割協議書に印鑑証明書を添付
実印は、市区町村役場で登録してある印章です。
市区町村役場で印鑑証明書を発行してもらうことができます。
遺産分割協議書に実印で押印したうえで、印鑑証明書を添付します。
印鑑証明書を添付することで、実印であることを証明することができるからです。
相続人全員が実印で押印した遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書を提出することで、相続人全員が合意したことを信用してもらえます。
⑤相続登記の印鑑証明書は古いものでいい
相続登記を申請するときに、多くの場合、遺産分割協議書と印鑑証明書を提出します。
相続登記で提出する印鑑証明書は、期限はありません。
古い印鑑証明書を提出しても、問題なく受け付けてもらえます。
遺産分割協議書の日付より、古い印鑑証明書でも問題ありません。
相続が発生した日付より、古い印鑑証明書でも問題ありません。
相続手続先によっては、独自ルールで印鑑証明書の日付の期限を決めていることがあります。
2遺産分割協議書に割印・契印
①割印・契印はなくても遺産分割協議書は有効
遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容をとりまとめた書面です。
割印・契印はなくても、遺産分割協議書は有効です。
相続財産の分け方についての相続人全員の合意は、口頭の合意であっても有効だからです。
口頭の合意では相続手続先に信用してもらえないから、文書が必要になるだけです。
相続手続先に信用してもらうために、割印・契印をします。
②ページの抜き取りや差し替えができる状態では相続手続を進められない
遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容を取りまとめた文書です。
合意内容を文書に取りまとめた後、間違いないことを確認して相続人全員が記名し実印で押印します。
記名押印がされた後に一部のページが抜き取られたり差し替えがあった場合、文書の内容は真正な合意内容ではなくなってしまいます。
遺産分割協議書が抜き取りや差し替えができる状態である場合、文書の内容は真正な内容でないおそれがあります。
遺産分割協議書の内容が真正でないおそれがある場合、相続手続先は相続人全員の合意があると信用することはできないでしょう。
相続手続を進めることができなくなります。
遺産分割協議書をクリップなどで簡単に綴じただけの場合、相続手続を進めることは難しいでしょう。
③相続人全員で割印・契印を施す
遺産分割協議書の内容が多い場合、複数ページに渡ることがあります。
複数ページに渡る場合、一般的なのが契印を施すことです。
契印とは、文書が複数ページに渡るときに1通の文書であることを証明するためページの見開きにまたがって押印することです。
見開きにまたがって押印することを割印と呼ぶ人もいます。
契印は、最初のページから最後のページまで施します。
最初のページから最後のページまで契印がある場合、書類の改ざんがないことを証明できます。
遺産分割協議書では、相続人全員が実印で契印を施します。
記名押印がされた後に一部のページが抜き取られたり差し替えがあった場合、契印がつながらなくなります。
契印がつながっている場合、改ざんがないと言えます。
④袋とじにして相続人全員で割印・契印を施す
財産内容が複雑であったり、相続財産の分け方の合意内容が複雑である場合、遺産分割協議書は長文になります。
ときには何十ページにも及ぶことがあります。
最初のページから最後のページまで契印を施すのは、手間がかかります。
遺産分割協議書を袋とじにするといいでしょう。
袋とじにするとき、製本テープを使うと便利です。
袋とじにしてあれば、最初のページから最後のページまで契印を施す必要はありません。
製本テープと文書にまたがるように相続人全員の契印が必要になります。
⑤割印・契印がないと相続手続ができない可能性
相続手続先に信用してもらうために、割印・契印をします。
契印がつながっていることで、一部のページの抜き取りや差し替えがされていないことを証明できるからです。
割印・契印がない場合、相続手続先によっては抜き取りや差し替えがされたかもしれないと考えます。
抜き取りや差し替えがされた場合、相続人全員の合意がないおそれがあります。
相続人全員合意がない場合、相続手続を進めることはできません。
割印・契印がない場合、相続手続を進めることはできなくなる可能性があります。
3遺産分割協議書に割印・契印をなしにする方法
①遺産分割協議書が1枚なら割印・契印は不要
一部のページの抜き取りや差し替えがされていないことを証明するため、割印・契印をします。
遺産分割協議書が1枚の場合、抜き取りや差し替えはできません。
遺産分割協議書が1枚なら、割印・契印は不要です。
②両面印刷する
遺産分割協議書の内容が2ページ以内の場合、紙の両面に印刷することができます。
2ページ以内の制約はあるものの、両面印刷は手軽にすることができるのでおすすめです。
遺産分割協議書を両面印刷した場合、抜き取りや差し替えはできません。
遺産分割協議書を両面印刷した場合、割印・契印は不要です。
③A3に見開きで印刷する
一般的な家庭用プリンターではA4の紙しか印刷ができない場合が多いでしょう。
A4の紙を2枚並べて、A3の紙にコピーすることができます。
コピーした紙に相続人全員が記名し実印で押印をすることができます。
A3の紙にコピーするのであれば、コンビニエンスストアのコピー機で作ることができます。
A3に見開きで印刷した場合、抜き取りや差し替えはできません。
A3に見開きで印刷した場合、割印・契印は不要です。
④財産ごとに複数の遺産分割協議書を作る
遺産分割協議書は、すべての財産についてまとめて作成してもいいし、一部の財産について作成しても構いません。
まとめて作成した遺産分割協議書も、一部の財産についてだけ作成した遺産分割協議書も有効です。
相続登記用の遺産分割協議書の場合、不動産だけについて合意した遺産分割協議書を作るのが通例です。
財産ごとに遺産分割協議書を作った場合、1枚で収まることが多いでしょう。
遺産分割協議書が1枚なら、割印・契印は不要です。
4遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット
遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。
合意がきちんと文書になっているからこそトラブルが防止できるといえます。
つまり、書き方に不備があるとトラブルを起こしてしまう危険があります。
せっかくお話合いによる合意ができたのに、取りまとめた文書の不備でトラブルになるのは残念なことです。
トラブルを防止するため、遺産分割協議書を作成したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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相続人が死後離婚・姻族関係終了届
1姻族関係終了届(死後離婚)とは
姻族とは、配偶者の両親や配偶者の兄弟姉妹などの親族のことです。
配偶者の生前に離婚したら、当然に姻族関係は終了します。
配偶者と離婚しないまま配偶者が死亡した場合、姻族関係は終了しません。
配偶者が死亡した場合、希望すれば、復氏をすることができます。
生存配偶者が復氏をしても、姻族関係は終了しません。
配偶者が死亡した後、希望すれば、姻族関係を終了させることができます。
姻族関係を終了させる届出のことを、姻族関係終了届と言います。
役所に姻族関係終了届を提出することで、姻族関係を終了させることができます。
姻族関係終了届を俗に死後離婚と言います。
2姻族関係終了届(死後離婚)をしても死亡配偶者の遺産を相続できる
姻族関係終了届は、配偶者の死亡後、死亡配偶者の両親や兄弟姉妹などとの関係を終了させるものに過ぎません。
姻族関係終了届を提出しても、死亡配偶者との婚姻関係がなくなることはありません。
姻族関係終了届を提出しても、相続発生時の配偶者であることに変わりはありません。
相続発生時の法律上の配偶者は、常に、相続人になります。
死亡配偶者の相続人になりますから、遺産を相続することができます。
過去に相続した財産が、無効になることもありません。
他の相続人が姻族関係終了届を提出したことを不満に思うかもしれません。
他の相続人から相続放棄をするように迫られることもあるでしょう。
生存配偶者は相続人ですから、当然、遺産分割を求める権利があります。
相続財産の分け方を決めるためには、相続人全員の合意が不可欠です。
姻族関係終了届を提出した生存配偶者を含めないで合意をしても、無効です。
他人になったのだから遺産を返すように要求されることもあるでしょう。
相続する権利があるのですから、このような不当な要求に応じる必要はありません。
3姻族関係終了届(死後離婚)をしても遺族年金を受け取ることができる
遺族年金を受け取ることと姻族関係終了届の提出は全く関係がありません。
姻族関係終了届を提出しても提出しなくても、遺族年金を受け取る要件を満たしている人は遺族年金を受け取ることができます。
遺族年金を受け取っている人が姻族関係終了届を出しても、年金を返還しなければならなくなることもありません。
姻族関係終了届を提出しても、死亡配偶者との婚姻関係がなくなることがないからです。
遺族年金は再婚すると失権しますから、それ以降、年金を受け取ることはできなくなります。
死亡配偶者との間に子どもがいる場合、要件を満たせば、子どもが遺族年金を受け取ることができます。
4姻族関係終了届(死後離婚)のメリット
①扶養義務がなくなる
法律上の扶養義務は、原則として、直系血族と兄弟姉妹です。
場合によっては、3親等内の親族も扶養義務を負うことがあります。
生存配偶者は、死亡配偶者の両親や兄弟姉妹について扶養義務を負うことがあります。
姻族関係が終了した場合、これらの親族に対する扶養義務がなくなります。
法律上の扶養義務がない場合でも、社会通念上、嫁は親の介護をして当然などとお世話を要求されることがあります。
姻族関係が終了していれば、社会通念上の義務などからも逃れやすくなるでしょう。
②精神的負担が軽くなる
生存配偶者と死亡配偶者の親族らと折り合いが良くないこともあるでしょう。
姻族関係終了届と提出することで、死亡配偶者の親族らとの交際を見直しやすくなるかもしれません。
精神的な負担になっていた死亡配偶者の親族らから解放されて、気分が一新されることもあるでしょう。
5姻族関係終了届(死後離婚)のデメリット
①撤回ができない
いったん姻族関係終了届が受理されると、撤回はできません。
充分検討して、提出することを決めましょう。
②援助が受けられない
姻族関係が終了した場合、死亡配偶者の両親や兄弟姉妹に対する扶養義務がなくなります。
このことは同時に、死亡配偶者の両親や兄弟姉妹から扶養を受けることもできなくなることを意味しています。
経済的に困ることがあっても、援助は受けられなくなるでしょう。
死亡配偶者との間に子どもがいる場合、子どものための援助も受けにくくなるでしょう。
③死亡配偶者の法要に参加しにくい
死亡配偶者の法要を死亡配偶者の両親や兄弟姉妹が主催する場合、参加しにくくなるかもしれません。
死亡配偶者の血縁関係者から参加を拒まれることも考えられます。
死亡配偶者のお墓が私有地にある場合、お墓参りも難しくなるかもしれません。
共同墓地などだれでもお墓参りができる場所に葬るなどするといいでしょう。
④お墓が別々になる
死亡配偶者のためにお墓を新たに建立せず、家のお墓に葬ることがあるでしょう。
姻族関係終了届を提出すると、自分が死亡したとき、そのお墓に入れてもらうことは難しくなるでしょう。
死亡配偶者と同じお墓に眠ることはできなくなります。
⑤子どもの理解を得られない
死亡配偶者との間に子どもがいる場合、子どもと死亡配偶者の両親や兄弟姉妹の親族関係は影響がありません。
子どもと死亡配偶者の両親や兄弟姉妹の親族関係はそのまま続きます。
子どもから抵抗されることもあるでしょう。
子どもにとって、精神的ダメージであることも想定しておく必要があります。
死亡配偶者の親が死亡した場合、子どもは代襲相続人になります。
相続財産の分け方について、相続人全員の話し合いに参加する必要があります。
子どもが気まずい思いをするかもしれません。
子どもが未成年であれば、子どもの法定代理人として姻族関係終了届を出した生存配偶者自身が参加しなければなりません。
6姻族関係終了届の手続方法
姻族関係終了届は、生存配偶者のみが提出することができます。
生存配偶者の同意があっても、死亡配偶者の両親や兄弟姉妹は提出することはできません。
死亡配偶者の両親や兄弟姉妹から生存配偶者に対して、姻族関係を終了させることはできません。
生存配偶者が姻族関係終了届を提出する際に、死亡配偶者の両親や兄弟姉妹の許可や同意は不要です。
家庭裁判所の許可や審判等も必要ありません。
いうなれば、生存配偶者の独断で姻族関係終了届を提出することができます。
生存配偶者の意思で届出を出す必要があります。
役所の窓口に届出を持っていくのは、だれでも構いません。
提出に期限はありません。
配偶者が死亡してから長期間経過した後でも、届出を提出することができます。
生存配偶者が死亡するまでいつでも提出することができます。
姻族関係終了届が受理されたら、姻族関係終了が戸籍に記載されます。
姻族関係終了届を提出しても、死亡配偶者との婚姻関係がなくなることはありません。
婚姻関係がなくなることはありませんから、死亡配偶者と同じ戸籍のままです。
姻族関係が終了するだけであれば、戸籍から消されて、新戸籍が作られるようなこともありません。
戸籍に記載されたからと言っても、役所が自主的に死亡配偶者の両親や兄弟姉妹に連絡するようなことはありません。
死亡配偶者の両親や兄弟姉妹が何も知らないところで、姻族関係が終了しています。
知らせたいのであれば、積極的に自分から手紙などを出してお知らせしましょう。
姻族関係終了届は、死亡配偶者の両親や兄弟姉妹などとの関係を終了させるだけのものです。
姻族関係終了届のことを、俗に、死後離婚と呼ぶことがありますが、離婚するものではありません。
死亡した後に離婚することはできません。
姻族関係終了届を提出しても、死亡配偶者との婚姻関係がなくなることはありません。
姻族関係終了届を提出しても、氏が自動的に変更されることもありません。
旧姓に戻したい場合は、別途、復氏届が必要です。
復氏届で旧姓に戻る場合、新しい戸籍が作られます。
姻族関係終了届を出した後、復氏で新しく作られた戸籍には、姻族関係終了は書き写されません。
復氏で新しく戸籍が作られた後、姻族関係終了届を出した場合、新しい戸籍に姻族関係終了が記載されます。
復氏届で復氏ができるのは、生存配偶者のみです。
死亡配偶者との間の子どもの氏を変更したい場合、別の手続が必要です。
家庭裁判所で子の氏の変更の許可を得て、入籍届を提出します。
死後離婚という言葉の響きから、遺言書に「私が死亡したら離婚をします」と書くケースがあります。
「私が死亡したら離婚をします」と書いた場合、まったく意味がない無効の記載です。
単に別のお墓に埋葬して欲しいのであれば、死後事務委任契約をする必要があります。
7姻族関係終了届について司法書士に相談するメリット
姻族関係終了届は、マスコミなどから死後離婚と称して取り上げられています。
本来、配偶者の死別によって婚姻関係が終了しています。
配偶者の一方が死亡した後に、離婚することはできません。
死亡配偶者の両親や兄弟姉妹との関係性を解消する点に注目されたものです。
法律上の扶養義務から逃れられる以上に、嫁は親の介護をして当然など社会通念の押し付けから逃れられるのが大きいでしょう。
死亡配偶者の両親や兄弟姉妹がお金を無心することや生活に過剰に干渉することにストレスをためているケースもあります。
姻族関係終了届は、配偶者の死亡後、死亡配偶者の両親や兄弟姉妹などとの関係を終了させるものに過ぎません。
死亡配偶者の両親や兄弟姉妹などの誤解から、相続放棄をするように迫られることもあるでしょう。
死亡配偶者の両親や兄弟姉妹などが感情的になって、すでに相続した財産を返すように要求されることもあるでしょう。
姻族関係終了届を提出しても、死亡配偶者の財産は相続できます。
相続手続をスムーズに終わらせるために、まず正しい知識を手に入れましょう。
姻族関係終了届は、相続に影響はありません。
遺族年金にも、影響はありません。
生命保険の受け取りにも、影響はありません。
姻族関係終了届のことでご心配があれば、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
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家族信託の受託者になれる人なれない人
1家族信託の受託者とは
①家族信託で財産管理をおまかせできる
所有者はものを自由に売ったり、自由に管理したりして、ものから利益を受け取ることができます。
だから、所有権は、自由にものを売る権利であるし、自由に管理する権利であるし、ものから利益を受け取る権利であるといえます。
所有権はよく見ると、たくさんの権利の集合体といえます。
たくさんの権利の集合体である所有権から、自由に売る権利や自由に管理する権利を信頼できる家族に渡して、自分はものから利益を受け取る権利だけ持っていることができます。
自由に売る権利や自由に管理する権利を信頼できる家族に渡して、自分はものから利益を受け取る権利だけ持つ仕組みを家族のための信託といいます。
この仕組みを利用すると、信頼できる家族は自由にものを売ることができるし、自由に管理することができます。
自由に売る権利や自由に管理する権利を渡す相手は信頼できる家族であればよく、親子でなくても差し支えありません。
②家族信託の受託者の役割が重要
家族信託を利用した場合、自由に売る権利や自由に管理する権利を信頼できる家族に渡します。
受託者は、信託目的の達成のため自由に売る権利や自由に管理する権利を行使します。
受託者が適切に権利行使をすることで、信託目的が達成されます。
家族信託は、上手に利用すればメリットが大きい制度です。
信託契約で受託者の権限が決められます。
信託契約で大きな権限を与えることもできるし、信託契約で権限を制限することもできます。
受託者は、受益者のため自由に売る権利や自由に管理する権利を行使します。
認知症リスクに備えるために家族信託を利用する場合、委託者と受益者は同じ人でしょう。
受託者は委託者兼受託者の思いを受け止めて行動する必要があります。
信託目的には、受託者兼受益者の思いが込められているからです。
委託者兼受託者の思いを受け止めて財産管理をすることで信託目的が達成されます。
受託者がする財産管理が家族信託ではとても重要です。
家族信託では、受託者は重要な役割を担っています。
2家族信託の受託者になれる人なれない人
①何親等の家族でも受託者になれる
家族信託を利用した場合、自由に売る権利や自由に管理する権利を信頼できる家族に渡します。
信頼できる家族が受託者です。
信託法上、受託者になる人に制限はありません。
何親等の家族でも受託者になることができます。
家族でない人でも受託者になることができます。
受託者になってもらうとき重要なのは、何親等であるかより信頼できる家族であるかという点です。
②甥姪が受託者になれる
何親等の家族でも受託者になることができます。
信託法上、受託者になる人に制限はないからです。
甥や姪が受託者になることができます。
信頼できる家族が甥姪であれば、甥姪に受託者になってもらうのがいいでしょう。
③未成年・成年被後見人・被保佐人は受託者になれない
家族信託は、自由に売る権利や自由に管理する権利を信頼できる家族に渡して、自分はものから利益を受け取る権利だけ持つ仕組みです。
受託者は、自分の判断で自由に売る権利や自由に管理する権利を行使します。
受託者が物事のメリットデメリットを充分に判断できない場合、適切に権利行使をすることができません。
物事のメリットデメリットを充分に判断できない人は、受託者になることができません。
未成年者は充分な判断能力がないから、親などの親権者がサポートします。
成年被後見人は充分な判断能力がないから、成年後見人がサポートします。
被保佐人は充分な判断能力がないから、保佐人がサポートします。
サポートを受けている人は、自分で充分な判断ができません。
未成年・成年被後見人・被保佐人は、受託者になることはできません。
成年被後見人・被保佐人でなかった人が受託者になった後に成年後見開始や保佐開始の審判を受けた場合、原則として受託者の任務終了になります。
信託契約において、受託者が成年後見開始や保佐開始の審判を受けた場合でも任務終了しない定めをおくことができます。
④破産者は受託者になれる
破産をした場合、さまざまな権利が制限されることがあります。
家族信託の受託者になることは制限されていません。
信頼できる家族が破産者である場合、その人に受託者になってもらうのがいいでしょう。
破産者でなかった人が受託者になった後に破産者になった場合、原則として受託者の任務終了になります。
成年被後見人・被保佐人同様に、信託契約において、受託者が破産者になった場合でも任務終了しない定めをおくことができます。
破産した場合、破産管財人が置かれることがあります。
破産管財人がいる場合、信託財産の管理処分は破産管財人が行います。
⑤委託者が受託者になれる
家族信託は、自由に売る権利や自由に管理する権利を信頼できる家族に渡して、自分はものから利益を受け取る権利だけ持つ仕組みです。
多くの場合、委託者兼受益者と受託者が信託契約を締結します。
委託者が自ら受託者となって、他の人のために信託を設定することができます。
委託者が受託者となる信託を自己信託と言います。
自己信託は、原則として公正証書で設定します。
自己信託は、段階的な事業承継を円滑に行うときや障害がある家族のための財産承継に利用されます。
家族信託は、財産管理の仕組みです。
障害がある家族の生活をサポートするためには、家族信託だけでは不充分でしょう。
成年後見制度や任意後見制度、遺言などを組み合わせて総合的にサポートすることが重要です。
⑥受益者が受託者になったとき1年で信託終了
家族信託は、自由に売る権利や自由に管理する権利を信頼できる家族に渡して、自分はものから利益を受け取る権利だけ持つ仕組みです。
自由に売る権利や自由に管理する権利とものから利益を受け取る権利を同一人物が持っている場合、わざわざ家族信託をする意義がありません。
ストレートに財産を贈与するだけでいいでしょう。
当初から受益者が受託者になることはできないと考えられています。
当初は受益者と受託者は別の人であったけど後に受益者と受託者が同一人物になることがあります。
受益者が受託者になって1年間経過した場合、信託法の定めで信託が終了します。
信託の終了事由について、信託法をくわしく見ると次のように定めています。
受託者が受益権の全部を固有財産で有する状態が一年間継続したとき
受益者が受託者になって1年間経過した場合であっても受益権の全部でない場合、信託は終了しません。
受益者が複数いる場合、受益権の全部を持っていることはありません。
一部の受益者が受託者を兼任した場合であっても、信託は終了しません。
⑦公務員は副業禁止に抵触するおそれ
家族信託を利用した場合、自由に売る権利や自由に管理する権利を信頼できる家族に渡します。
収益不動産を信託財産にして、管理を受託者に任せることができます。
公務員が家族信託の受託者となって収益不動産を管理する場合、副業禁止に抵触するおそれがあります。
委託者から財産を預かって収益を管理するのは受託者だからです。
公務員が副業をする場合、原則として人事院や任命権者の許可が必要になります。
次の範囲の不動産投資であれば、許可は不要です。
(1)5棟10室以下であること
(2)賃料収入が年間500万円未満であること
(3)駐車場の駐車台数10台未満であること
上記以上の規模であっても不動産管理会社などに管理を委託する場合、許可は不要です。
本人の認知症対策のため自宅をを家族信託にするなどであれば、まったく問題にはなりません。
⑧株式会社や一般社団法人が受託者になれる
信託法上、受託者になる人に制限はありません。
信頼できる人は家族が多いですが、家族以外でも差し支えありません。
株式会社や一般社団法人などの法人でも、受託者になることができます。
家族信託は、長期間継続することを想定していることがあります。
組織的に運営した方が事業の安定性や永続性が期待できるでしょう。
⑨営業で受託者になるためには信託業の許可が必要
信託法上、受託者になる人に制限はありません。
営業で受託者になるためには、信託業の許可が必要です。
営業とは、営利の目的で反復継続して信託の引受をすることです。
信託業の許可を受けているのは、信託会社や信託銀行などです。
⑩弁護士・司法書士・税理士などは受託者になれない
信託法上、受託者になる人に制限はありません。
信頼できる家族が偶然にも弁護士・司法書士・税理士などの場合、受託者となるのに問題はありません。
家族信託のサポートをする場合、弁護士・司法書士・税理士などに受託者になってほしいと言われることがあります。
営業で受託者になるためには、信託業の許可が必要です。
弁護士・司法書士・税理士などが信託法の許可を得ていることは、ほとんどないでしょう。
信託法の許可を得ずに営業として受託者になることは、禁止されています。
3家族信託を司法書士に依頼するメリット
高齢化社会が到来したといわれて、多くの方は長生きになりました。
平均寿命は男性も女性も80歳を超して、認知症になる方が多くなりました。
認知症になると、物事のメリットデメリットが充分に判断できなくなります
本人の財産は本人しか処分できないため、本人が判断できなくなると資産が凍結されてしまいます。
たとえ、本人が介護施設入所のためであっても、本人の不動産を勝手に売却することはできません。
たとえ、本人の実の子どもであっても、本人の定期預金を解約することはできません。
一部の金融機関では、本人以外の家族がキャッシュカードを使っていることを確認したら、キャッシュカードを回収しています。
本人の意思確認を重視する流れは、他の金融機関にも広がっていくでしょう。
認知症対策は、本人の判断能力がしっかりしているうちしかできません。
いつか認知症対策をしようではなく、今なら元気だから対策しようが正解です。
認知症になると、本人はもとより家族も困ります。
家族信託は認知症対策として有効です。
自分のためにも家族のためにも認知症対策を考えている方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
成年後見人をやめるには
1成年後見制度は任意後見と成年後見(法定後見)の2種類ある
①任意後見は本人と任意後見人の契約
任意後見とは、本人が信頼できる人にサポートを依頼する契約です。
認知症などになると、物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなるおそれがあります。
物事を充分に判断できる間に、将来に備えて、やってもらいたいことを決めてサポートを依頼します。
契約ですから、本人の判断能力がしっかりしているうちしかできません。
この契約は公正証書でする必要があります。
サポートを依頼された人を任意後見人といいます。
任意後見人はひとりでも、何人でも差し支えありません。
契約をしたときは、本人の判断能力に問題はないはずです。
任意後見契約をするだけでは、後見が開始しません。
この契約は本人がひとりで決めるのが心配になったら、効力が発生します。
本人が物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなったら、家庭裁判所は任意後見監督人を選任します。
任意後見監督人が選任されたら、任意後見契約が効力が発生して任意後見人がサポートを開始します。
任意後見人は適切に仕事をしているか、任意後見監督人にチェックされます。
任意後見監督人は適切に仕事をしているか、家庭裁判所にチェックされます。
だから、安心して任意後見制度を使えます。
②成年後見(法定後見)は家庭裁判所が選任する
法定後見とは、家庭裁判所が選んだ人がサポートする制度です。
任意後見契約は、自分で選んだ人と契約します。
将来に備えて、信頼できる人と契約するでしょう。
何の準備もしないまま物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなった場合、家庭裁判所がサポートする人を決めます。
申立てをするときに、家庭裁判所に同居の家族を選任してもらいたいなどと候補者の希望を出すことができます。
家庭裁判所は、候補者を選任することも見知らぬ専門家を選任することもあります。
成年後見人に家族が選ばれるのは、およそ20%程度です。
物事のメリットデメリットを充分に判断できない人は、自分に不利益になることが分からずに契約をしてしまったり、不必要であることが分からずに契約をしてしまうことがあります。
物事のメリットデメリットを充分に判断できないことに付け込んでくる、悪質な業者の被害にあうかもしれません。
本人が被害にあわないようにするために、成年後見人は本人をサポートします。
2任意後見契約は解除できる
①任意後見監督人選任前は一方的に解除できる
任意後見契約は、本人の判断能力がしっかりしているうちにします。
判断能力がいつ低下するかは人によってそれぞれでしょう。
10年後かもしれません。
20年後かもしれません。
任意後見契約は、任意後見監督人が選任されてからスタートします。
任意後見契約の効力が発生していないうちは、いつでも一方的に解除できます。
本人の判断能力がはっきりしているうちは、本人の同意はなくても解除ができます。
委任契約は一方的に解約できるからです。
任意後見契約を解除する場合、公証人の認証を受けた書面による必要があります。
本人と任意後見人が合意して解除する場合、任意後見契約合意解除書を作成します。
任意後見契約合意解除書に、本人と任意後見人が署名押印のうえ、公証人の認証を受けます。
本人か任意後見人のいずれかが一方的に解除する場合、任意後見契約解除通知書を作成します。
任意後見契約解除通知書に解除する人が署名押印のうえ、公証人の認証を受けます。
解除書を配達証明付き内容証明郵便で相手方に通知します。
配達されたら証明書のハガキが届きます。
②任意後見監督人選任後の解除は正当理由と家庭裁判所の許可が必要
任意後見契約は、任意後見監督人が選任されてからスタートします。
任意後見監督人は、本人が物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなった場合に選任されます。
任意後見がスタートしたということは、本人は物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなっているという意味です。
物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなっているのに、サポートする人がいなくなると本人は困ります。
任意後見監督人が選任された後は、本人を保護するため一方的に解除することはできません。
任意後見契約を解除するためには、家庭裁判所の許可が必要です。
家庭裁判所は正当な理由がある場合に限り、許可をします。
正当な理由とは、任意後見人の事務が困難と認められる理由です。
具体的には、病気などで療養に専念したい、遠方に転居した、本人や本人の家族と任意後見人の信頼関係がなくなったなどです。
家庭裁判所の許可を得てから、相手方に意思表示をして契約を終了させます。
3成年後見(法定後見)人をやめるには正当理由と家庭裁判所の許可
①正当理由と認められないと辞任は許可されない
成年後見(法定後見)人は、物事のメリットデメリットを充分に判断できない人をサポートする人です。
本人をサポートするために、大きな権限が与えられます。
成年後見人が心得違いをしないように、家庭裁判所にチェックされます。
いったん成年後見人に就任したら、原則として、辞めることはできません。
本人は物事のメリットデメリットを充分に判断できないから、サポートを失うととても困るからです。
基本的に、本人が死ぬまで成年後見人を続ける必要があります。
成年後見人を辞任するためには、正当理由が必要です。
正当な理由とは、任意後見人の事務が困難と認められる理由です。
例えば、次のような理由は正当理由として認められやすいでしょう。
・病気などで療養に専念したい。
・遠方に転居した、転勤になった。
・本人や本人の家族と信頼関係がなくなった。
このような理由があったとしても成年後見事務を続けられる場合はやめる必要がありません。
正当理由があると言えるかどうかは、家庭裁判所が判断します。
家族が勝手に決めつけて辞任をさせることはできません。
②簡単に正当理由と認めてもらえない
例えば、次のような理由は正当理由として認められにくいでしょう。
・不動産売却のために成年後見人に就任したが、売却ができた。
・成年後見監督人がつくことになったので、わずらわしい。
・本人の家族からいろいろ要望が多く、面倒だ。
・本人の財産が少ないから、報酬が少ない。
・家庭裁判所に提出する書面作成の手間がかかる。
成年後見開始の申立てをする場合、本人の家族を選んで欲しいと候補者を立てることができます。
家庭裁判所は候補者を選ぶことも候補者以外の人を選ぶこともあります。
いったん選ばれたら、簡単にやめることはできません。
本人の家族であっても、他人の財産を預かる立場になります。
本人の大切な財産を管理する立場だから、家庭裁判所の監視下に置かれます。
本人が元気であれば財産を管理する場合、他人の財産という意識はあまりないことが多いでしょう。
家庭裁判所からあれこれ言われると、わずらわしく感じるかもしれません。
事務仕事をやったことがない、苦手だなどの理由で報告を怠った場合、厳重指導になるでしょう。
家庭裁判所の注意や指導がわずらわしいことを理由にやめたいと言っても、認めてもらうことは難しいでしょう。
4成年後見を解除することはできない
①判断能力が回復したら成年後見をやめることができる
成年後見人(法定後見人)が辞任したら、新しい成年後見人(法定後見人)が選任されます。
成年後見制度の利用をやめたわけではないからです。
成年後見制度を使い続ける限り、成年後見人(法定後見人)が死亡しても、解任されても、辞任しても、新しい成年後見人(法定後見人)が選任されます。
成年後見制度は、原則として、やめることができません。
成年後見制度をやめることができるのは、本人の判断能力が回復したときです。
判断能力が回復した診断書がある場合、成年後見制度をやめることができます。
本人や家族が、判断能力が回復したと主張するだけでは、成年後見をやめることができません。
②遺産分割や不動産の売却が終わっても成年後見をやめることはできない
認知症の人が相続人になる相続が発生した場合があります。
認知症の人の不動産を売却する必要がある場合があります。
遺産分割協議や不動産の売却の必要がある場合、成年後見開始の審判を申し立てるきっかけになります。
成年後見制度を使うきっかけとなった遺産分割や不動産売却が終わった場合でも、成年後見をやめることはできません。
ひとりで判断することが不安になったり心細くなったりしてしまう人をサポートする制度が成年後見の制度だからです。
ひとりで判断することができない人を放置することは許されません。
家族が成年後見人(法定後見人)は不要だからやめたいと希望しても、本人の保護のため成年後見(法定後見)は続きます。
5成年後見開始の申立てを司法書士に依頼するメリット
認知症や精神障害や知的障害などで、判断能力が低下すると、物事の良しあしが適切に判断することができなくなります。
また、記憶があいまいになる人もいるでしょう。
このような場合に、ひとりで判断することが不安になったり心細くなったりしてしまう人をサポートする制度が成年後見の制度です。
本人自身も不安になりますし、家族も不安になります。
身のまわりの不自由を補うために、身近な家族がお世話をすることが多くなるでしょう。
成年後見の申立ては家庭裁判所へ手続が必要です。
身のまわりのお世話をしている家族が本人の判断能力の低下に気づくことが多いです。
身のまわりのお世話をしながら、たくさんの書類を用意して煩雑な手続をするのは負担が大きいでしょう。
司法書士は裁判所に提出する書類作成もサポートしております。
成年後見開始の申立てが必要なのに忙しくて手続をすすめられない方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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損害賠償債務があっても相続放棄
1損害賠償債務とは
社会生活を送っていると、わざとでなくても他の人のものを壊してしまったりケガをさせてしまったりすることがあります。
法律や契約に違反して、損害を与えてしまうこともあるでしょう。
他の人の財産や身体に損害を与えてしまった場合、損害を償う必要があります。
損害を償う義務が損害賠償債務です。
物を壊してしまったときの修理代やケガをさせてしまったときの治療費は、損害賠償債務です。
2損害賠償債務は相続放棄ができる
①マイナスの財産もプラスの財産も相続財産
相続が発生した後、相続財産は相続人全員の共有財産になります。
相続財産というとプラスの財産だけをイメージしがちですが、マイナスの財産も相続財産です。
被相続人が他の人の財産や身体に損害を与えてしまった場合、相続人が損害を賠償しなければなりません。
例えば、交通事故で被害者にケガをさせてしまった場合、被害者の治療費や慰謝料などを負担することになります。
例えば、ビルの高層階から転落して地上の施設を破壊した場合、施設の原状回復費用を賠償することになります。
この後に被相続人が死亡した場合、相続人が損害賠償債務を相続することになります。
②相続放棄とは
相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も相続人が受け継ぎます。
被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継がないことを相続の放棄といいます。
相続放棄をすると、プラスの財産を引き継がなくなりますが、マイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。
③損害賠償債務は相続放棄ができる
被害者に大きなケガをさせてしまった場合、被害額が高額になることがあります。
相続人は家庭裁判所で相続放棄の申立てをすることができます。
家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、損害賠償債務を免れることができます。
相続放棄をした場合、プラスの財産も相続することができなくなります。
相続によって巨額の債務を相続することになると、相続人の人生が破綻してしまいます。
相続放棄の制度は、相続人の人生が破綻しないように相続人を守るためにあります。
相続人が損害賠償債務を免れると、被害者に酷だという意見があるでしょう。
家族が責任を取るべきだと考えるかもしれません。
相続放棄は、相続人の人生を守るためにあるから、やむを得ないと言えます。
3損害賠償額が分からなくても相続放棄をすることができる
相続放棄の申立ては、家庭裁判所に対して手続をします。
家庭裁判所に提出する相続放棄申述書を見ると、相続財産の概略を記載する欄があります。
相続財産の概略で資産と負債の書く様式になっています。
資産と負債を記載しなければならないように感じるかもしれません。
相続財産の概略は、相続人の分かる範囲で記載すれば充分です。
分からなければ、分かりませんと書いて問題はありません。
例えば、鉄道におけるホームからの転落事故など賠償額が甚大になる場合、鉄道会社であっても賠償額はすぐには判明しません。
調査を終えないと、被害額を計算することができないからです。
鉄道会社が損害額を計算するためには、長期間かかるのが通常です。
相続放棄の期限は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内です。
「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。
被相続人にめぼしいプラスの財産がなく、かつ、明らかに甚大な損害賠償債務がある場合、相続放棄の手続をするといいでしょう。
4自己破産の場合は免責されない債務がある
損害賠償額が甚大である場合、まず相続放棄をすることが最初の選択肢です。
相続放棄ができなかった場合、相続してしまった相続人が自己破産をする方法が考えられます。
自己破産をする場合、債務のすべてが免責されるとは限りません。
他の人の生命や身体に対して損害を与えた場合で、かつ、故意や重大な過失がある場合、その損害賠償債務は免責されません。
被相続人が故意や重大な過失で他の人の生命や身体に対して損害を与えた場合であっても、相続人は相続放棄をすることで、損害賠償債務を免れることができます。
相続放棄は、自己破産と較べると強い効力があります。
5相続放棄をした後に自己の財産から支払をすることができる
①相続放棄が認められたら支払いは不要
相続放棄が認められた場合、プラスの財産もマイナスの財産も引き継ぐことはありません。
損害を賠償して欲しいと要求されても、応じる必要はありません。
②相続放棄申述受理通知書の提示が有効
相続放棄が認められたと口頭で伝えるだけでは、信用してもらえないかもしれません。
家庭裁判所が相続放棄を認めた場合、相続放棄申述受理通知書を送ってきます。
相続放棄申述受理通知書のコピーを提示すると納得してもらうことができるでしょう。
③相続放棄をした後に自己の財産から支払をすることができる
相続放棄が認められた場合、本人の債務を引き継ぐことはありません。
債務の支払義務はなくても、家族が迷惑をかけたのだから、いくらか支払いたい場合があります。
相続財産を処分した場合、単純承認したとみなされます。
本人の預貯金で支払をした場合、相続財産を処分したと判断されるおそれがあります。
相続財産を処分した場合であっても、保存行為にあたる場合は、単純承認したとみなされません。
あえてトラブルに巻き込まれる危険を冒す必要はありません。
相続人の固有の財産から支払をした場合、相続財産を処分したと言われることはありません。
家族が迷惑をかけたのだから、被害者に支払いたい場合、相続人の固有の財産から支払をすることをおすすめします。
6相続放棄を司法書士に依頼するメリット
実は、相続放棄はその相続でチャンスは1回限りです。
家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続を取ることはできますが、高等裁判所の手続で、2週間以内に申立てが必要になります。
家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。
一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。
相続放棄では、戸籍や住民票が必要になります。
お仕事や家事、通院などでお忙しい人には平日の昼間に役所にお出かけになって準備するのは負担が大きいものです。
戸籍や住民票は郵便による取り寄せもできますが、書類の不備などによる問い合わせはやはり役所の業務時間中の対応が必要になりますから、やはり負担は軽いとは言えません。
このような戸籍や住民票の取り寄せも司法書士は代行します。
3か月の期限が差し迫っている方や期限が過ぎてしまっている方は、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
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提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
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祖父母など直系尊属が相続人
1祖父母は直系尊属
①相続人になる人は法律で決まっている
相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。
だれが相続人になるかについては、民法で決められています。
相続人になる人は次のとおりです。
(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。
(1)配偶者は必ず相続人になる
(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども
(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属
(4)被相続人に子どももいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹
相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続します。
相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することを代襲相続と言います。
②直系尊属とは
直系とは、親子関係によってつながっている関係のことです。
本人から見て、父母や祖父母は親子関係によって繋がっています。
本人から見て、子どもや孫は親子関係によって繋がっています。
父母、祖父母、子ども、孫などは、直系です。
養子縁組は、血縁関係がなくても親子関係を作る制度です。
養子縁組によって、親子関係が作られます。
養子縁組であっても、親子関係によってつながっている関係は直系です。
同じ祖先から親子関係でつながっているけど別の直系でつながっている人を傍系と言います。
本人から見て、伯叔父、伯叔母、甥姪は同じ祖先から親子関係でつながっているけど別の直系でつながっています。
伯叔父、伯叔母、甥姪は、直系ではありません。
尊属とは、前の世代の血族です。
本人から見て、父母や祖父母は前の世代の血族です。
本人から見て、父母や祖父母は尊属です。
後の世代の血族は、卑属と言います。
本人から見て、子どもや孫は後の世代の血族です。
本人から見て、子どもや孫は卑属です。
血族には、自然血族と法定血族がいます。
自然血族は、通常の血縁関係がある人です。
法定血族は、養子縁組をして血縁関係がある人と同様の扱いを受ける人です。
2祖父母など直系尊属が相続人になる
①父母や祖父母は直系尊属
本人から見て、父母や祖父母は親子関係によって繋がっています。
父母や祖父母は、直系です。
本人から見て、父母や祖父母は前の世代の血族です。
父母や祖父母は、尊属です。
父母や祖父母だけでなく、曽祖父母、高祖父母などもみな直系、かつ、尊属です。
父母や祖父母などは、直系尊属です。
②祖父母など直系尊属が相続人になる条件
祖父母など直系尊属が相続人になる条件は、次の2つです。
(1)被相続人の子どもがいないこと
(2)被相続人の親がいないこと
親などの直系尊属が相続人になるのは、被相続人に子どもがいない場合です。
相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、代襲相続が発生します。
相続人になるはずだった人の子どもなど子孫がいない場合、親などの直系尊属が相続人になります。
直系尊属に該当するのは、被相続人の親だけではありません。
父母、祖父母、曽祖父母、高祖父母などもみな直系尊属です。
被相続人の直系尊属のうち、複数の世代の人が健在であることがあります。
複数の世代の直系尊属が健在の場合、被相続人と最も近い世代の人が相続人になります。
相続が発生したときに父母と祖父母が健在である場合、父母が相続人になります。
祖父母は、直系尊属ではあっても相続人になりません。
父母と祖父母では、父母の方が近い世代の人だからです。
③親が相続放棄をすると祖父母など直系尊属が相続人になる
祖父母など直系尊属が相続人になる条件の2つ目は、被相続人の親がいないことです。
被相続人の親がいないとは、被相続人の親が被相続人より先に死亡した場合や相続放棄をした場合です。
家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなかったと扱われます。
被相続人の親が相続放棄した場合、相続人でなくなるから祖父母が相続人になります。
祖父母が相続するのは、代襲相続ではありません。
親の次に世代が近い人だから相続人になります。
相続放棄をした場合、代襲相続はできません。
子どもが相続放棄をした場合、子どもの子どもは相続人にはなりません。
④被相続人の親が養子であっても祖父母が相続人
被相続人の親が養子になる養子縁組をしていることがあります。
被相続人の親が養子縁組をして養子になった後に被相続人が誕生した場合、養親は被相続人の直系尊属になります。
養親は、被相続人の祖父母になります。
祖父母など直系尊属として、相続人になります。
⑤被相続人が養子の連れ子のときは相続人にならない
被相続人の親が養子縁組をして養子になる前に被相続人が誕生していることがあります。
養子縁組は、血縁関係がなくても親子関係を作る制度です。
養子縁組をした場合、養親と養子の間に親子関係が作られます。
すでに誕生している被相続人との間には、親族関係が作られません。
養親は、被相続人の祖父母ではありません。
養親は直系尊属ではないから、相続人にはなりません。
⑥養親の親は祖父母ではない
被相続人が養子になる養子縁組をしていることがあります。
養子縁組は、血縁関係がなくても親子関係を作る制度です。
養親と養子の間に親子関係が作られます。
養親の父母と養子の間に親族関係は作られません。
養親の父母は養子の祖父母ではありませんから、相続人にはなりません。
3祖父母など直系尊属が相続人になるときの注意点
①祖父母など直系尊属に遺留分がある
遺留分とは、相続財産に対して、認められる最低限の権利のことです。
兄弟姉妹以外の相続人に認められます。
祖父母など直系尊属が相続人になる場合、遺留分が認められます。
被相続人に配偶者がいる場合、配偶者は常に相続人になります。
配偶者と祖父母が相続人になる場合、あまり親しい関係でないことがあります。
相続人の関係性が薄い場合、相続財産の分け方の話し合いがまとまりにくい傾向があります。
祖父母が相続人になる場合、被相続人は若いことが多いでしょう。
相続財産は、自宅不動産だけの場合があります。
住宅ローンは団体信用生命保険で返済しなくて済むかもしれません。
祖父母など直系尊属が遺留分を請求した場合、資金が用意できないかもしれません。
自宅を担保にして借金をするか、自宅を売却することを検討する必要があります。
②認知症など判断能力がないと遺産分割協議ができない
被相続人の祖父母など直系尊属が相続人になる場合、相続人は相当高齢でしょう。
相続人が高齢である場合、認知症になっている可能性が高くなります。
相続が発生した場合、被相続人のものは相続財産になります。
相続財産は相続人全員の共有財産だから、一部の相続人が勝手に処分することはできません。
相続人全員の話し合いによる合意をして相続財産の分け方を決めなければなりません。
相続人のひとりが認知症になっている場合、自分で話し合いができなくなります。
認知症になると、物事のメリットデメリットを充分に判断することができなくなるからです。
遺産分割協議書に印鑑さえ押せばいいものではありません。
相続人が自分で物事のメリットデメリットを充分に判断できない場合、家庭裁判所に代わりの人を決めてもらわなければなりません。
認知症の人の代わりに判断する人を成年後見人と言います。
家庭裁判所に成年後見人を選んでもらった場合、本人が死亡するまで成年後見をやめることはできません。
遺産分割協議をするために成年後見人を選任してもらったのに、遺産分割協議後も成年後見は続きます。
成年後見は、認知症の人をサポートするための制度だからです。
4配偶者と祖父母など直系尊属が相続人になるときの法定相続分
被相続人に配偶者がいる場合、配偶者は必ず相続人になります。
配偶者と親などの直系尊属が相続人になる場合、法定相続分は次のとおりです。
・配偶者 3分の2
・親などの直系尊属 3分の1
相続が発生したときに、親などの直系尊属が複数健在の場合があります。
複数の直系尊属が健在の場合、世代が近い人が相続人になります。
祖父母と曽祖父母が健在の場合、祖父母が相続人になり曽祖父母は相続人になりません。
祖父母が複数いる場合、法定相続分を平等に分け合います。
祖父母が2人健在の場合、1人あたり6分の1です。
5祖父母など直系尊属が相続人になる相続を司法書士に依頼するメリット
相続が発生した場合、配偶者や子どもなどの家族が相続人になることは多くの人が知っています。
子どもの次の順位の相続人は、親などの直系尊属です。
多くの人にとって相続というと、高齢者の相続だけがイメージされます。
親などの直系尊属が相続人になるケースはイメージしにくいものでしょう。
インターネットな書籍などを調べても、あまり詳しい情報は得られないかもしれません。
だれが相続人になるのかを間違えると、相続手続が難航します。
親などの直系尊属が相続人になる場合、相続人が認知症などになっていると自分で手続をすることができません。
認知症になっていなくても、体が不自由であることがあります。
通常の相続手続よりも難易度が上がると言えます。
司法書士などの専門家のサポートを受けながら、相続手続を進めるといいでしょう。
スムーズな相続手続のため、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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共有持分があるときの遺産分割協議書
1被相続人が共有者であるとき共有持分は相続財産
①共有持分とは
被相続人が不動産などを第三者と共有している場合があります。
被相続人が不動産などを第三者と共有していた場合、被相続人が持っていた共有持分は相続財産になります。
相続財産は、相続人全員の共有財産です。
相続財産の分け方を決めるためには、相続人全員の話し合いによる合意が不可欠です。
相続財産は、相続人全員で話し合いによる合意ができれば、どのように分けても構いません。
被相続人と不動産を共有していた共有者が、相続人である場合があります。
被相続人の共有持分は、共有者である相続人が相続すると合意することができます。
共有者でない相続人が相続すると合意することができます。
話し合いによる合意ができれば、どちらでも構いません。
どのような合意をするかについて、他の共有者に承諾を得る必要はありません。
被相続人の共有持分をだれが相続するかについて、他の共有者は不服を言うことはできません。
一般的に、共有はデメリットが多いものです。
合意できるのなら、被相続人と不動産を共有していた共有者である相続人が相続するといいでしょう。
②被相続人が私道を共有している場合がある
普段、道路を使っていろいろな所へ出かけます。
一般の交通の用に用いるのが道路です。
行政が設置管理をする道路が公道です。
一般私人が設置管理する道路が私道です。
私道は、ひとりで所有していることも、近隣住民とみんなで所有していることもあります。
私道をみんなで共有している場合、分割した割合で道路を所有しています。
被相続人が自宅を所有している場合、自宅の土地と建物を所有しています。
土地建物の他に、自宅に至る私道を近隣住民とみんなで所有している場合があります。
現実には、私道であっても公道と同じように地域の人が通行しているでしょう。
所有者本人も私道を近隣住民とみんなで所有していることを忘れているかもしれません。
所有者本人が忘れている場合、家族はなおさら認識すらしていないでしょう。
土地や建物を所有している場合、固定資産税がかかります。
条件を満たした場合、私道には固定資産税が課されません。
固定資産税が課されないから、固定資産税の課税明細書に記載されません。
土地を購入したときの売買契約書や自宅の権利証を確認すると、判明することがあります。
2共有持分があるときの遺産分割協議書
①共有持分があるときの遺産分割協議書の記載例
所在 ○○市○○町○丁目
地番 ○番○
地目 宅地
地積 200㎡
持分 ○分の○
所在 ○○市○○町○丁目
家屋番号 ○番○
種類 居宅
構造 木造瓦葺2階建
床面積 1階 50.00㎡ 2階 50.00㎡
持分 ○分の○
②共有持分があるときの遺産分割協議書の注意点
相続財産は、相続人全員の話し合いによる合意で分け方を決めます。
相続人全員の合意内容を取りまとめた文書が遺産分割協議書です。
遺産分割協議書には、相続財産の分け方についてのみ記載します。
被相続人が共有者の一人であったとしても、他の共有者について記載する必要はありません。
被相続人の共有持分は、共有者である相続人が相続すると合意することができます。
遺産分割協議書には、被相続人の共有持分についてのみ記載します。
共有者である相続人がもともと持っていた分については、何も書きません。
共有者である相続人がもともと持っていた分は、相続財産ではないからです。
被相続人の共有持分は、共有者でない相続人が相続すると合意することができます。
どのような合意をするかについて、他の共有者に承諾を得る必要はありません。
遺産分割協議書に他の共有者が記名押印することはありません。
他の共有者から、別途書類を書いてもらう必要はありません。
被相続人の共有持分をだれが相続するかについて、他の共有者は不服を言うことはできないからです。
③相続登記用の遺産分割協議書は不動産のみ記載でよい
合意の対象となった不動産を特定できるように記載します。
「自宅」などの記載は客観的に特定できるとは言えません。
家族にとっては自宅は当然のことですが、法務局など第三者にとっては自宅はどこにあるどの不動産なのか分からないからです。
不動産の所在は自宅住所と異なることが多いので、登記簿謄本を書き写しましょう。
固定資産税の課税明細書は、登記簿謄本と異なる表記がされていることや内容が省略されている場合があります。
登記簿謄本と異なる表記の場合、相続登記が認められない可能性があります。
登記簿謄本の記載を見て、書き写します。
財産すべてを1通の遺産分割協議書で作成することが多いですが、財産ごとに分けて作っても差し支えありません。
相続登記用の遺産分割協議書は、不動産だけ書いて預貯金などは別に作ることも多いものです。
たくさんの不動産がある場合、法務局の管轄ごとに別に作成することもあります。
それぞれの遺産分割協議書に添付書類を用意すれば、同時に相続登記を進めることができるからです。
3後から共有持分が見つかったら
自宅の土地や建物は相続財産と認識していても、私道持分は見落としがちです。
被相続人のものは、原則として、相続財産になります。
相続財産は、相続人全員の共有財産です。
自宅の土地や建物のみ分け方の合意をして遺産分割協議書を作成した場合、原則として、自宅の土地や建物のみの合意として有効です。
私道については、相続人全員の共有財産のままです。
自動的に、自宅の土地や建物を相続する相続人のものになることはありません。
私道持分について合意がない場合であっても、相続財産全体について合意をやり直す必要はありません。
私道持分を見落としていた場合、あらためて、私道部分について相続人全員で合意をすることができます。
相続財産を分け方は、相続人全員の合意が必要です。
相続人全員の合意ができるのであれば、相続財産全部についてまとめて合意をする必要はありません。
合意できる財産から、順次合意した方が合理的なこともあるでしょう。
一部の相続財産だけ合意した遺産分割協議書も問題はありません。
私道持分は相続財産であることを見落とされがちです。
自宅の土地や建物について分け方の合意をしてから長期間経過した後、私道持分があることに気づくケースが少なくありません。
相続が発生した後に長期間経過した場合、相続人全員による合意が難しくなりがちです。
当初の相続人が行方不明になっているかもしれません。
当初の相続人が認知症になっているかもしれません。
当初の相続人が死亡しているかもしれません。
時間が経過すれば、相続人の事情が変わることがあります。
相続財産の分け方の合意は、できる限り早く済ませましょう。
4遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット
遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。
前提として、話し合いによる合意ができていなければ、文書にできません。
話し合いによる合意を適切に文書にする必要があります。
自宅や収益不動産を家族と共有している場合、被相続人も家族も共有していることをよく認識しているでしょう。
私道持分などを近隣住民とみんなで所有している場合、被相続人も家族も共有していることを見落としがちです。
私道持分がないと私道を使う権利がありません。
宅地を使うために、ガスや水道などの引き込み工事が必要になります。
私道持分がないと、引き込み工事ができなくなります。
他人の土地を勝手に掘り起こすことはできないからです。
宅地だけでは資産価値が著しく低下します。
自宅の土地と建物の分け方について合意しても、自宅の土地と建物の分け方についてのみの合意です。
自動で私道について合意があったとされることはありません。
相続人全員で合意をして、合意内容を文書にすることが重要です。
相続手続では、このようなトラブルに知らず知らずに巻き込まれてしまいます。
相続手続で不安になったら、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
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