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家族が成年後見人になるには

2024-03-10

1任意後見と成年後見(法定後見)のちがい

認知症や精神障害や知的障害などで、判断能力が低下すると、物事の良しあしが適切に判断することができなくなります。

また、記憶があいまいになる人もいるでしょう。

このような場合に、ひとりで判断することが不安になったり心細くなったりしてしまう人をサポートする制度が成年後見の制度です。

成年後見は、2種類あります。

任意後見と法定後見です。

任意後見は、本人が元気なうちに本人が選んだ人に任意後見人になってもらう契約をしておくものです。

将来、認知症になったときに備えて、サポートをお願いする契約が任意後見契約です。

法定後見は、本人の判断能力が低下してしまった後に、家庭裁判所に後見人を選んでもらうものです。

すでに認知症になっている人に対して、家庭裁判所が選んだ後見人がサポートするものです。

任意後見と法定後見を比べた場合、任意後見はわずかな件数です。

法定後見の件数が圧倒的です。

だから、単に、成年後見といった場合、法定後見だけを指していることがほとんどです。

2任意後見は後見人を自分で選ぶことができる

任意後見とは、本人の判断能力がしっかりしているうちに、将来、認知症や障害によって判断能力が低下してしまったときに備えて、信頼できる人やってもらいたいことを決めて、サポートを依頼する契約です。

契約ですから、本人の判断能力がしっかりしているうちしかできません。

この契約は公正証書でする必要があります。

任意後見は法定後見と違い、任意後見人を本人が自由に選ぶことができます。

本人の性格や好みをよく知っている家族を選ぶこともできるし、信頼できる司法書士などの家族以外の専門家を指名することもできます。

任意後見契約は本人の判断能力ははっきりしているうちしかできません。

つまり、契約したときは判断能力がはっきりしているのだから、サポートは不要です。

任意後見契約を結んでから、長い時間がたって、本人の判断能力が心配になった場合、任意後見契約の出番になります。

本人の判断能力が心配になったら、任意後見契約の効力を発生させて本人をサポートするため、任意後見監督人を選任してくださいと家庭裁判所に申立てをします。

家庭裁判所が任意後見監督人を選任したら、任意後見契約の効力が発生し、任意後見人がサポートを開始します。

3成年後見(法定後見)は成年後見人を家庭裁判所が選ぶ

成年後見人を選任するのは家庭裁判所です。

成年後見開始の申立ての際に、成年後見人の候補者を立てることはできますが、家庭裁判所が候補者を選任することも候補者を選任しないこともあります。

他の家族が反対すれば、司法書士などの専門家を選ぶことが多いです。

本人の財産が多い場合も、家族以外の専門家を選ぶことが多いです。

実際のところ、家族が成年後見人に選ばれるのは、全体の2~3割です。

選ばれた人が家族でないからとか、意見の合わない人だからなどの理由で、家庭裁判所に不服を言うことはできません。

選ばれた人が家族でないからなどの理由で、成年後見開始の申立てを取り下げることはできません。

成年後見開始の申立を取り下げる場合、家庭裁判所の審査中であっても、家庭裁判所の許可が必要です。

意見の合わない人だからなどの理由で、成年後見人を解任することはできません。

成年後見人を解任するには、横領をしたなど相当の理由が必要です。

4成年後見人になれない人

次の人は、成年後見人になれません。

任意後見でも成年後見(法定後見)でも共通です。

①未成年者

②後見人を解任されたことのある人

③破産者で復権していない人

④本人に訴訟をした人と訴訟をした人の配偶者、直系血族

⑤行方不明の人

①~⑤の理由を欠格事由と言います。

成年後見(法定後見)では①~⑤に該当していない場合であっても、家庭裁判所に選んでもらえないことがあります。

5成年後見(法定後見)で家族が家庭裁判所に選ばれるには

成年後見人を選任するのは家庭裁判所です。

成年後見開始の申立の際に、成年後見人の候補者を立てることはできますが、家庭裁判所が候補者を選任することも候補者を選任しないこともあります。

家族を候補者に立てても選ばれないこともあります。

①本人の財産が少ないこと

家庭裁判所の判断によりますが、本人の資産が1000万円を超す場合、家族が後見人に選ばれにくい傾向があります。

本人の資産が多いと、後見事務が複雑になりやすいからです。

本人の資産が1000万円を超す場合であっても、家族が成年後見人に選ばれることがあります。

後見制度支援信託を利用する希望がある場合です。

後見制度支援信託とは、成年後見(法定後見)制度を利用する人向けの信託です。

日常生活費以外の金銭を信託銀行などに預け、定期的に成年後見人の口座に振り込んでもらうものです。

後見制度支援信託を利用している場合、成年後見人だけの判断で引き出しはできません。

家庭裁判所に報告し、家庭裁判所の指示を受けなければなりません。

家庭裁判所の指示がなければ引き出しができないことから、本人の財産を確実に守ることができます。

②管理が複雑な財産がない

本人の財産が預貯金のみで、各種支払いのみの場合、財産管理は難しいことはないでしょう。

本人が収益不動産を保有している場合、財産管理の一環として収益不動産の管理業務をしなければなりません。

複雑な財産管理を必要とされる場合、家族が成年後見人に選ばれにくい傾向にあります。

③申立てまでの財産管理が適切だったこと

成年後見の申立をする際、本人の通帳のコピーを提出します。

本人が自分で財産管理をすることが難しくなった場合、家族が代わりに通帳やキャッシュカードを預かっているでしょう。

通帳やキャッシュカードを預かっている人が成年後見人の候補者になることが多いです。

成年後見人の候補者の財産管理状況がチェックされます。

本人の通帳を点検して説明のつかない支出が多い場合、成年後見人として資質に疑問符がつけられるでしょう。

本人と同居して生計を同じくしていた場合、お金の出どころを細かく管理することはないでしょう。

説明のつかない支出が出てくることは、多々あります。

④他の家族全員が賛成している

成年後見人の候補者や他の家族に対して、意見聴取がある場合があります。

他の家族が何も知らない状態で、家庭裁判所から書類が来るとびっくりします。

成年後見開始の申立をする場合、申立をすることを家族みんなに知らせておきましょう。

他の家族に対して意見聴取をしないで欲しいなどの要望があっても、家庭裁判所は受け付けてくれません。

家庭裁判所が意見聴取が必要だと判断すれば、他の家族にも意見聴取をします。

家族の中で反対意見が出る場合、候補者が成年後見人に選ばれるのは難しいでしょう。

成年後見人は決して本人の財産を自由気ままに使えるものではありませんが、家族はそのように誤解しているかもしれません。

成年後見人候補者に本人の財産を丸ごと奪われると誤解していたら、反対意見を出すでしょう。

家庭裁判所から意見聴取があることを知らせるときに、成年後見の制度について情報共有をしておきましょう。

家族のトラブルを避けるため、中立的な立場の専門家を選任することになります。

⑤家庭裁判所の候補者面談で良い印象

成年後見人の候補者に対して、家庭裁判所の面接があります。

家庭裁判所の面接では、成年後見人として適切な人物であるか、後見事務の方針が見られます。

家庭裁判所から成年後見人として適切な人物だと思ってもらう必要があります。

家庭裁判所の面接にしっかり対応できるように準備しておくといいでしょう。

6任意後見契約と成年後見開始の申立を司法書士に依頼するメリット

認知症や精神障害や知的障害などで、判断能力が低下すると、物事の良しあしが適切に判断することができなくなります。

また、記憶があいまいになる人もいるでしょう。

このような場合に、ひとりで判断することが不安になったり心細くなったりしてしまう人をサポートする制度が成年後見の制度です。

本人自身も不安になりますし、家族も不安になります。

身のまわりの不自由を補うために、身近な家族がお世話をすることが多くなるでしょう。

任意後見契約をするためには、本人の判断能力があることが重要です。

本人が物事のメリットデメリットを充分に判断できる間だけ、任意後見を選択することができます。

任意後見契約は公正証書で契約しなければなりません。

公正証書で契約することはあまりないでしょう。

一方、成年後見の申立は家庭裁判所へ手続が必要です。

身のまわりのお世話をしている家族が本人の判断能力の低下に気づくことが多いです。

身のまわりのお世話をしながら、たくさんの書類を用意して煩雑な手続をするのは負担が大きいでしょう。

司法書士は公正証書で契約することも裁判所に提出する書類作成もサポートしております。

思うように手続を進められない方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

私道の共有持分と自宅の相続登記

2024-03-08

1私道の共有持分は相続財産

①道路には私道と公道がある

普段、道路を使っていろいろな所へ出かけます。

一般の交通の用に用いるのが道路です。

道路には、2種類あります。

私道と公道です。

行政が設置管理をする道路が公道です。

一般私人が設置管理する道路が私道です。

公道は、設置管理する国や地方自治体の財産です。

私道は、設置管理する人の財産です。

②私道の共有持分と自宅は別の財産

相続が発生した場合、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。

相続財産は相続人全員の合意で、分け方を決定します。

相続人全員の話し合いで、一部の相続財産について先に合意をすることができます。

自宅の分け方について、先に合意をすることができます。

他の財産は、後から合意をすることができます。

私道の共有持分と自宅は、別の財産です。

自宅の分け方について合意した場合、自宅だけの分け方の合意です。

私道の共有持分が自動で付いてくることはありません。

多くの場合、私道は自宅に至る道路でしょう。

自宅を使う人が私道を使います。

自宅を使う人が私道を使うとしても、私道の共有持分の分け方について別の合意が必要です。

私道の共有持分と自宅は、別の財産だからです。

2私道の共有持分と自宅の相続登記

①私道の共有持分は相続登記が必要

私道は、一般私人が設置管理する道路です。

私道は、設置管理する人の財産です。

私道を共有している人が死亡した場合、私道の共有持分は相続財産になります。

相続財産は、相続人全員の合意で分け方を決めることができます。

相続財産の分け方が決まったら、相続登記をします。

自宅だけでなく私道の共有持分についても、相続登記をします。

私道の共有持分に登記がされていないと、権利主張ができないからです。

登記をした人は、この不動産は私のものだと権利主張をすることができます。

登記がしてあることは、権利主張をするときの条件です。

権利主張の条件になることを対抗要件と言います。

対抗要件を備えるため、私道の共有持分に相続登記が必要です。

②私道の共有持分と自宅をまとめて相続登記

私道は設置管理する人の財産だから、相続があったら相続登記をします。

多くの場合、私道は自宅に至る道路です。

自宅を取得する人が私道の共有持分を取得する合意をするでしょう。

自宅は被相続人で単独で所有していた場合、登記の目的は所有権移転です。

私道は共有しているから、登記の目的は○○○○持分全部移転です。

原則として、登記の目的がちがう場合、まとめて登記申請をすることができません。

所有権移転と○○○○持分全部移転は、まとめて登記申請をすることができます。

2種類の登記申請を一度にすることができます。

私道の共有持分と自宅の相続登記をまとめて申請することができます。

3私道の共有持分の登録免許税の計算方法

①相続登記の登録免許税は4/1000

相続登記をするときは、法務局に登録免許税を納めます。

登録免許税は、不動産の評価額を基にして計算します。

不動産の評価額とは、固定資産税評価額のことです。

相続登記の登録免許税の税率は、1000分の4です。

相続登記の登録免許税は、不動産の固定資産税評価額の1000分の4です。

②固定資産税がかかるときは通常どおり4/1000

私道は、設置管理する人の財産です。

設置管理する人の財産だから、固定資産税がかかるのが原則です。

固定資産税がかかる場合、私道の固定資産税評価証明書に評価額が記載されています。

相続登記の登録免許税は、通常どおり、不動産の固定資産税評価額の1000分の4です。

共有持分の相続登記の場合、移転する持分の評価額に対して登録免許税がかかります。

例えば、不動産全体が100万円で共有持分が5分の1の場合、移転する持分の評価額は20万円です。

③公衆用道路の評価額を調べる方法

私道が公衆用道路に該当する場合、固定資産税は非課税になります。

公衆用道路の固定資産税評価証明書を取得すると、不動産の価格が記載されていない場合や0円と記載されている場合があります。

固定資産税評価証明書の記載は、市区町村役場によって異なります。

評価価格、価格、価額など統一されていません。

不動産の評価額が記載されていない場合や0円と記載されている場合でも、登録免許税はかかります。

登録免許税を計算する場合、まず不動産の評価額を調べなければなりません。

私道が公衆用道路として固定資産税が非課税とされている場合、近傍地の評価額を調べます。

近傍地の評価額を調べる方法は、市区町村役場によって対応がちがいます。

(1)公衆用道路の評価証明書に近傍地1平方メートルあたり評価額〇〇円と記載してくれる

(2)公衆用道路の評価証明書の他に近傍地の評価証明書を請求する

(3)公衆用道路の評価証明書を持って管轄法務局で近傍地を指定してもらった後、あらためて近傍地の評価証明書を請求する

近傍地が宅地である場合、宅地の評価額をそのまま使いません。

宅地の評価額の1平方メートルあたりの単価を出します。

1平方メートルあたりの単価の100分の30が公衆用道路の1平方メートルあたりの単価です。

公衆用道路の面積をかけて、公衆用道路全体の評価額を算出します。

④土地の評価額が100万円以下なら登録免許税が非課税

相続登記をするときは、原則として、登録免許税を納めなければなりません。

条件を満たした場合は例外として、土地の登録免許税が非課税になります。

土地の評価額が100万円以下の場合、非課税になります。

日本中どこの土地でも土地の評価額が100万円以下であれば対象になります。

所有権の持分を相続した場合、移転した持分の評価額が、100万円以下であれば非課税になります。

私道の共有持分を相続した場合、広大な土地であることはほとんどないでしょう。

公衆用道路の評価額は、近傍宅地の100分の30です。

高価な土地であることは、めったにありません。

私道の共有持分を相続した場合、移転した持分の価額は少額であることが多いでしょう。

移転した持分の価額が100万円以下の場合、登録免許税が非課税になります。

登記申請書に「租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」と記載します。

記載がないときは、非課税となりません。

結果として非課税になるときであっても、固定資産税評価証明書を提出し近傍地の評価額を調べる必要があります。

租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税になる土地とならない土地をまとめて、相続登記をすることができます。

どの土地が対象の土地であるか相続登記の申請書に記載する必要があります。

土地の評価額が100万円以下の場合、登録免許税が非課税になります。

4自宅の相続登記をした後で私道の共有持分が見つかったら

①自宅だけの遺産分割協議書は有効

被相続人が自宅と私道の共有持分を所有している場合、自宅だけ意識が向きがちです。

私道は、自分が所有している認識が薄れているかもしれません。

本人が意識していない場合、家族はなおさら意識していないでしょう。

相続が発生した後、自宅だけ分け方の合意をしていることがあります。

自宅だけ記載した遺産分割協議書は、自宅について有効な遺産分割協議書です。

私道の共有持分が記載されていなくても、原則として、無効になることはありません。

遺産分割協議書は、相続財産全部について記載しなければならないといったルールはないからです。

私道の共有持分について相続人全員の合意をしていないから、あらためて話し合いが必要です。

自宅を相続する人が自動で相続できるといったことはありません。

②記載がない財産が見つかっても遺産分割協議のやり直しは不要

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

相続人全員の合意ができたら、相続財産の分け方は確定して話し合いは終了します。

遺産分割協議が成立した後、新しい財産が見つかることがあります。

新しい財産が見つかっても、遺産分割協議のやり直しは原則不要です。

遺産分割協議のやり直しが必要になるのは、ごく例外的な場合です。

遺産分割協議成立後に見つかった財産が重要な財産である場合、遺産分割協議のやり直しができます。

重要な財産があると知っていたら、相続財産の分け方に合意しなかったと言えるような場合です。

私道の共有持分が重要な財産であることは、ほとんどないでしょう。

私道の共有持分が重要な財産でない場合、遺産分割協議のやり直しは不要です。

③記載がない財産の合意があれば再協議不要

遺産分割協議が成立した後、わずかな財産が見つかることは少なくありません。

相続が発生してから何十年も経過してから、新たな財産が見つかることがあります。

わずかな財産のために、相続人全員が分け方の合意をするのはわずらわしいでしょう。

遺産分割協議書に記載がない財産が見つかった場合について、あらかじめ合意しておくことができます。

例えば、「遺産分割協議書に記載がない財産は相続人○○が相続する」などです。

このような記載がある場合、あらためて協議する必要はありません。

新たに見つかった私道持分は、相続人○○が相続すると手続をすることができます。

④私道の共有持分だけ相続登記

自宅の相続登記をした後で私道の共有持分が見つかった場合、あらためて私道の共有持分について相続人全員で分け方の合意をします。

相続人全員の合意ができたら合意内容を文書に取りまとめます。

私道の共有持分だけ相続登記をします。

5私道の共有持分を見落とさない対策

①名寄帳を取得する

名寄帳は「なよせちょう」と読みます。

名寄帳とは、土地や家屋を所有者ごとにまとめた一覧表です。

市町村が税金をかけるために備えている帳簿から一覧表にまとめてくれた書類です。

その市町村が把握している不動産の状況が一目で分かるので、とても便利です。

市区町村役場によっては、非課税の不動産について記載されないことがあります。

機密性の高い個人情報であることを考慮して、名寄帳を発行していない役所があります。

名古屋市などでは、名寄帳を発行していません。

名古屋市では、課税明細書と資産明細書で代用します。

課税明細書には、固定資産税が課税される物件のみが記載されます。

資産明細書には、免税点未満で課税されない物件が記載されます。

課税明細書を請求するとき「課税されていない物件がある場合は、資産明細書も出してください」と記載すると取得することができます。

名古屋市では、私道など非課税地は課税明細書と資産明細書のいずれにも記載されません

②不動産の権利証を確認する

被相続人が不動産を取得したときに、権利証が発行されているはずです。

権利証の不動産の表示に記載されている不動産を所有しているでしょう。

権利証を確認すると、自宅以外に私道の共有持分が見つかることがあります。

③売買契約書を確認する

被相続人が自宅の私道の共有持分を所有している場合、自宅を購入したときに一緒に購入しているでしょう。

私道の共有持分だけで購入することは、ほとんど考えられません。

売買契約書を確認すると、売買の対象となった不動産が記載されています。

売買契約書を確認すると、自宅以外に私道の共有持分が見つかることがあります。

④共同担保目録を確認する

被相続人が自宅を購入したときに、金融機関など住宅ローンを組んでいることがあります。

金融機関で住宅ローンを組む場合、購入する不動産を担保に取ります。

自宅と私道の共有持分がある場合、金融機関は見逃しません。

複数の不動産を担保に取った場合、登記簿謄本の共同担保目録に記載されます。

共同担保目録を確認すると、自宅以外に私道の共有持分が見つかることがあります。

6相続登記を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、相続人は悲しむ暇もなく相続手続に追われます。

ほとんどの人は相続手続は不慣れで、聞き慣れない法律用語で疲れ果ててしまいます。

インターネットの普及で多くの人は簡単に多くの情報を手にすることができるようになりました。

多くの情報の中には正しいものも、適切でないものも同じように混じっています。

司法書士は、登記の専門家です。

スムーズに相続登記を完了させたい方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

身体が不自由な人の遺言書作成

2024-03-04

オリーブの木司法書士事務所にご依頼をいただきましてありがとうございました

1 オリーブの木司法書士事務所にご依頼いただく前に、どのようなことでお困りでしたか。

遺言書等 相続について

2 たくさんの事務所がある中から、オリーブの木司法書士事務所にご依頼いただきまして、ありがとうございました。

オリーブの木司法書士事務所を知ったきっかけをお聞かせください。

インターネット

3 オリーブの木司法書士事務所に相談をしてから依頼をするまで時間はかかりましたか。

また時間がかかったとしたらどんな理由がありましたか。

どこの事務所がいいのか悩んだ

4 オリーブの木司法書士事務所に依頼するときに、重視したことをお聞かせください。

話しやすそうな感じの先生だった事

5 実際にオリーブの木司法書士事務所にご依頼いただいたご感想をお聞かせください。

いつも分かりやすく説明して頂いてよかった

6 このアンケートをオリーブの木司法書士事務所のホームページやパンフレット等に掲載してよろしいでしょうか。

イニシャルを掲載してよい     A.Iさま

オリーブの木司法書士事務所からコメント

オリーブの木司法書士事務所にご依頼をいただきましてありがとうございました。

A.Iさまから、身体が不自由なお母さまの遺言書作成をご依頼いただきました。

A.Iさまは「筆記が困難」「大きな声が出しにくい」ことを心配しておられました。

司法書士が面談したところ、確かに聞き取りにくいお声でした。

遺言者の話し方に慣れれば、内容はしっかり聞き取ることができました。

事前打ち合わせで担当公証人に伝え、遺言書作成前に雑談をして話し方に慣れてもらいました。

途中休憩を入れられるように、スケジュールに配慮していただくことができました。

公正証書遺言では、遺言者が署名します。

身体が不自由で署名ができなければ、公証人が付記することで公正証書遺言を作成することができます。

事前打ち合わせでは、署名できないことも想定していました。

時間がかかりましたが、遺言者が自分で署名して遺言書を作成することができました。

公正証書遺言を作りたいという遺言者の意欲に答えたいと、公証人も協力していただけました。

今回、ご依頼をいただきましてありがとうございました。

遺産分割協議の効力

2024-03-01

1相続財産の分け方は相続人全員の合意で

相続が発生した後、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

相続人のひとりが勝手に処分することはできません。

相続財産の分け方について、相続人全員で話し合いによる合意をして分け方を決める必要があります。

相続財産の分け方にについて、相続人全員でする話し合いのことを遺産分割協議と言います。

遺産分割協議がまとまったら、相続人全員の合意内容を文書に取りまとめます。

相続人全員の合意内容を取りまとめた文書のことを遺産分割協議書と言います。

遺産分割協議は、必ず、全員で合意する必要があります。

相続人全員が一つの場所に集まる必要はありません。

電話でもメールでも、差し支えありません。

一度に相続人全員が合意する必要もありません。

一部の相続人と合意をして、次に、残りの相続人と合意をすることでも問題ありません。

最終的に相続人全員が合意できれば良いのです。

全ての財産をまとめて合意しなければならないといったこともありません。

一部の財産についてだけ、合意をすることもできます。

遺産分割協議書は、司法書士などの専門家に作ってもらうこともできるし相続人のひとりが作ることもできます。

2遺産分割協議の効力

①遺産分割協議書は相続人全員の合意内容の証明書

遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容を取りまとめた文書です。

文書にしておかない場合、後からそのような合意をしていなかったと言い出す相続人が現れるかもしれません。

合意内容を文書にしておくことで、言った言わないのトラブルを回避することができます。

遺産分割協議書を作成することで、相続人全員の合意内容を証明することができます。

遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容の証明書です。

②遺産分割協議は債務不履行で一方的解除ができない

相続財産の分け方について相続人全員の話し合いがまとまった場合、合意内容どおりに相続財産を受け取ります。

不動産のように高額で分けにくい財産を受け取った人は、自己の固有の財産から金銭を支払うことで調整することがあります。

一般的な売買契約において代金を支払わない場合、契約を解除することができます。

遺産分割協議においては、解除制度はありません。

いったん相続財産の分け方について相続人全員が合意した場合、遺産分割協議は終了します。

遺産分割協議が終了した後は、代償金を支払う人と受け取る人の問題になります。

金銭を支払う人と受け取る人の話し合いで、解決を図ります。

代償金を支払うと約束した人のに、支払ってくれないことがあります。

支払ってくれなくても、相続財産の分け方の合意をなかったことにはできません。

相続財産の分け方の合意において、代償金の支払が重要な要素であっても債務不履行を理由として解除することはできません。

③公正証書による遺産分割協議書は強制執行ができる

遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容を取りまとめた文書です。

多くの場合、司法書士などの専門家に作ってもらいます。

適切に作成することができるのであれば、相続人のひとりが作ることができます。

遺産分割協議書は、公証役場で公正証書にしてもらうことができます。

公正証書にせず私文書で作成した場合、遺産分割協議書の内容を直ちに強制執行することはできません。

強制執行をするためには、裁判所で訴訟をして勝訴判決などの債務名義を得る必要があります。

公正証書で遺産分割協議書を作成する場合、支払いをしなかったときのことを書いてもらうことができます。

「相続人○○が上記金銭の支払いをしなかったときは、直ちに強制執行に服する旨を認諾した。」

上記のような文言がある場合、公正証書で強制執行をすることができます。

お金を払ってもらう人にとっては、心強いものと言えます。

約束したお金を払ってもらうために裁判をしなければならないとなるとハードルが高いものです。

公正証書による遺産分割協議書は、裁判なしで強制執行ができます。

④遺言書があっても遺産分割協議は有効

被相続人が生前に遺言書を作成していることがあります。

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

被相続人の財産は、原則として、被相続人の意思が最大限尊重されるべきものでしょう。

被相続人が遺言書を作成して相続財産の分け方を指定した場合、相続人全員の話し合いによる合意は必要ありません。

ときには遺言書の内容が相続人の現状を反映していない内容であることがあります。

相続人の現状を反映していない遺言書であった場合、そのまま執行すると相続人が困惑するかもしれません。

遺言書をあえて執行して、相続人を困惑させる必要はありません。

相続財産の分け方について、相続人全員で合意した方が合理的です。

相続人全員が合意すれば、遺言書の内容と異なる内容で遺産分割協議をすることができます。

遺言書があっても、遺産分割協議は有効です。

⑤遺産分割禁止の定めは無視できない

遺言書で遺産分割が禁止されている場合があります。

遺産分割禁止の対象は、相続財産の全部でも一部でも構いません。

遺言書で5年を超えない期間について、遺産分割を禁止することができます。

遺産分割禁止の定めは、遺言書以外の方法で生前に定めることはできません。

遺言書で遺産分割が禁止されている場合、相続人全員の合意があっても遺産分割ができません。

相続人全員の合意で遺産分割協議をした場合、遺産分割協議が無効になります。

遺産分割禁止の定めは、無視できません。

⑥遺産分割協議書のコピーで相続手続はできない

相続財産の分け方について相続人全人の合意ができた後は、相続手続をします。

相続手続において、遺産分割協議書原本を提出しなければなりません。

遺産分割協議書のコピーは、受け付けてもらえません。

遺産分割協議書原本を提出する場合、原本は返して欲しいと依頼しましょう。

相続手続先でコピーをとって返却してくれます。

法務局などでは、遺産分割協議書原本と一緒にコピーを添付してコピーに「原本と相違ない」と記載のうえ記名押印が必要になります。

相続手続先に問い合わせをして、原本還付の方法を確認するといいでしょう。

遺産分割協議書は相続人の人数分作成し、相続人全員が原本を保管します。

相続人全人の合意内容について争いが発生した場合、遺産分割協議書のコピーでは証明力が弱いからです。

遺産分割協議書のコピーで、相続手続はできません。

⑦遺産分割協議の内容に遡及効がある

相続が発生した後、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

相続人全員で相続財産の分け方について話し合いによる合意をして、分け方を決めます。

相続財産の分け方について相続人全員で合意ができた場合、相続人全員の合意は相続発生時にさかのぼって効力が生じます。

相続人全員の合意ができたときに、効力が生ずるのではありません。

相続人全員の合意の効力は相続発生時にさかのぼって効力が生ずることを、遺産分割の遡及効と言います。

遺産分割協議の内容には、遡及効があります。

⑧被相続人の債権者に遺産分割協議の内容を主張できない

相続が発生した後、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

相続財産には、プラスの財産とマイナスの財産があります。

プラスの財産とマイナスの財産の両方が相続財産です。

相続財産は相続人全員で話し合いによる合意をして、分け方を決めます。

マイナスの財産も相続財産だから、相続人全員の合意で分け方を決めることができます。

相続人全員の合意でマイナスの財産の分け方を決めた場合、相続人間の内部的合意です。

被相続人の債権者には、関係のない合意です。

被相続人の債権者は、相続人全員に対して法定相続分で借金の返済を請求することができます。

相続人全員の合意でマイナスの財産は相続人〇〇が負担すると合意したから、借金の請求をしないで欲しいと文句を言うことはできません。

相続人全員の合意でマイナスの財産の分け方を決めた場合、相続人間の内部的合意だからです。

被相続人の債権者に対して、遺産分割協議の内容を主張することはできなせん。

⑨相続人の債権者に遺産分割協議書の内容を主張できない

遺産分割協議の内容には、遡及効があります。

相続人全員の合意の効力は、相続発生時にさかのぼって効力が生じます。

相続人が、莫大な借金を負っていることがあります。

債務者が相続人になる相続が発生した場合、債権者は相続財産から借金を払ってもらえると期待します。

債権者は債権の保全のため、債務者の財産を差し押さえることができます。

債権者は差押など強制執行の準備のため、相続登記を申請することができます。

差押などの強制執行をするためには、相続人名義である必要があるからです。

法定相続分で共有する場合、共有する一部の相続人から相続登記を申請することができます。

債務者が権利行使をしない場合、債権者は債権の保全のため債務者に代わって権利行使をすることができます。

債務者が相続登記をしない場合、債権者は債権保全のため債務者に代わって相続登記をすることができます。

債務者がするべき登記申請を債権者が代わりにすることを代位登記と言います。

代位登記をした後、債権保全のため差押をすることができます。

債権者は、債務者の事情などお構いなしで登記します。

相続人全員の話し合いによる合意がどうなったのか待つことはありません。

遺産分割協議の内容に遡及効があっても、登記されていなければ代位登記ができます。

代位登記と差押の登記がされた後で、相続人全員の合意内容と違うから消して欲しいなどの文句を言えません。

債権者は、差押など強制執行の準備のために代位登記をします。

相続人が勝手に消すことはできません。

相続人の債権者に対して、遺産分割協議書の内容を主張することはできません。

⑩相続人から権利を取得した第三者に遺産分割協議書の内容を主張できない

相続が発生した後、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

相続人全員が法定相続分で共有しています。

相続人全員が法定相続分で共有する場合、共有する一部の相続人から相続登記を申請することができます。

一部の相続人が自分の共有持分を処分することがあります。

不動産を共有する場合、自分の共有持分は自分の判断だけで処分することができます。

他の共有者の同意を受けなくても、売却したり担保に差し出したりすることができます。

不動産の共有持分を買い受けた場合、すぐに持分移転登記をしてもらうでしょう。

登記がないと、権利主張ができないからです。

遺産分割協議の内容に遡及効があっても、登記されていなければ持分移転登記ができます。

持分移転登記がされた後で、相続人全員の合意内容と違うから消して欲しいなどの文句を言えません。

買主の権利主張のために登記をしたものです。

相続人が勝手に消すことはできません。

相続人から権利を取得した第三者に対して、遺産分割協議書の内容を主張することはできません。

3遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット

遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。

合意がきちんと文書になっているからこそトラブルが防止できるといえます。

書き方に不備があると、トラブルを起こしてしまう危険があります。

せっかくお話合いによる合意ができたのに、取りまとめた文書の不備でトラブルになるのは残念なことです。

トラブルを防止するため、遺産分割協議書を作成したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

死後認知された子どもが相続人

2024-02-28

1認知された子どもは相続人

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②認知されると法律上の子どもになる

認知とは、婚姻関係にないカップルの間に生まれた子どもについて自分の子どもと認めることです。

認知をして、自分の子どもだと認めるのは一般的には父親です。

通常、母は出産の事実によって母親であることが確認できるからです。

母親が出産後に、捨て子をしたようなレアケースでは、母親も認知をすることがあり得ます。

認知をすると、法律上の子どもになります。

法律上の子どもにするためには、市区町村役場に認知届を提出する必要があります。

単に、母親に自分の子どもだと認めるだけでは、法律上の認知の効果はありません。

市区町村役場に認知届を提出したら、法律上の子どもになります。

③認知された子どもは相続人になる

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

父が子どもを認知した場合、認知された子どもは父の子どもです。

子どもは相続人になります。

被相続人に嫡出子と非嫡出子がいる場合、子どもに区別はありません。

嫡出子も非嫡出子も子どもだから、同じように相続人になります。

④嫡出子と非嫡出子は同じ相続分

認知された子どもの法定相続分は、以前は嫡出子の半分でした。

この取り扱いは平成25年9月4日最高裁判所決定で違憲であるとされました。

現在は、嫡出子と非嫡出子は同じ相続分です。

被相続人の子どもに、区別はないからです。

2死後認知された子どもが相続人

①認知されないと父の子どもではない

婚姻関係にないカップルの間に生まれた子どもは、何もしなければ父と法律上の親子関係がありません。

認知によって、父と子どもに親子関係を発生させます。

認知されていない子どもは、法律上、父の子どもになりません。

②認知の訴えで認知される

父本人が自分の意思で認知するのが原則です。

父が子どもを認知することに、協力しないことがあります。

父が子どもを認知する前に、死亡することがあります。

父が子どもを認知していない場合、子どもの権利を守るため認知の訴えを起こすことができます。

死後認知とは、父の死亡後に認知の訴えを起こし認知を受けることです。

認知を受けた子どもは、父の子どもです。

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

③認知の訴えができる人

認知の訴えを起こすことができるのは、次の人です。

(1)子ども

(2)子どもの直系卑属

(3)子ども、直系卑属の法定代理人

認知の訴えの相手方は、本来、認知を求める父本人のはずです。

父が死亡した後は、認知の訴えの相手方になることができません。

父の相続人は、認知の訴えの相手方ではなく利害関係人です。

父の相続人は利害関係人として、補助参加をすることができます。

父に代わって検察官が相手方になります。

④認知の訴えは死亡後3年以内

父が死亡した後3年経過すると、認知の訴えをすることはできなくなります。

父が死亡したことを知ってから、3年ではありません。

父の死亡をいつ知ったかに関わらず、死亡後3年で訴えができなくなります。

例外の事例もありますが、非常に厳しい条件です。

⑤死後認知ではDNA鑑定が困難

認知の訴えで重要なのは、有効な証拠を提出することです。

父と子どもの親子関係を立証する場合、最も有効な証拠はDNA鑑定です。

父本人が生きている場合、DNA資料を取得することができるでしょう。

父本人が死亡した後では、DNA資料の取得が非常に困難です。

父本人のDNA資料が取得できない場合、父の近親者の協力を求めます。

父の嫡出子が積極的に協力することは、ほとんどないでしょう。

認知の訴えが認められた場合、認知された子どもは相続人になるからです。

認知の訴えは、形式的には検察官を相手にします。

事実上、父の法律上の配偶者と嫡出子との争いになります。

⑥判決確定後10日以内に認知届を提出

認知請求を認める判決は、当事者に言い渡します。

裁判所は、市区町村役場に判決の内容を連絡しません。

判決が確定した後、市区町村役場に認知届を提出する必要があります。

認知届の提出先は、次の市区町村役場です。

(1)父の本籍地

(2)子どもの本籍地

(3)届出人の所在地

認知届の提出期限は、判決確定後10日以内です。

認知届の添付書類は、次のとおりです。

(1)判決書謄本

(2)確定証明書

(3)届出人の身分証明書

(4)父と子どもの戸籍謄本

本籍地の以外の市区町村役場に提出する場合に必要になります。

3遺言書で認知された子どもが相続人

①遺言書で認知するときは遺言執行者が手続

遺言書に書いておくことで、意味があること、効力があることも法律で決まっています。

遺言書に書いておくことで、意味があること、効力があることは遺言事項と言います。

遺言事項は、次のとおりです。

(1)財産に関すること

(2)身分に関すること

(3)遺言執行に関すること

(4)それ以外のこと

子どもを認知することは、身分に関することです。

遺言書で子どもの認知をすることができます。

遺言書で子どもを認知した場合、遺言執行者が認知届を提出します。

遺言書で子どもの認知をする場合、遺言執行者が必要です。

②父が未成年でも有効に認知ができる

15歳以上であれば未成年であっても、遺言書を作ることができます。

父が未成年であっても、子どもを認知することができます。

未成年者が契約をする場合、親権者の同意が必要です。

未成年の父が子どもを認知する場合、父の親権者の同意は必要ありません。

親権者の同意を受けずに未成年者が契約をした場合、親権者は契約を取り消すことができます。

未成年である父の親権者が、認知を取り消すことはできません。

父が未成年であっても、有効に子どもを認知することができます。

③相続発生後長期間経過後に認知がされることがある

遺言者が遺言書を作成したことを家族と共有していないことがあります。

遺言書を作成しても遺言書の保管場所を共有していないことがあります。

遺言者が死亡してから、長期間経過した後に遺言書が見つかるでしょう。

遺言書に有効期限はありません。

遺言書作成後何年経過しても遺言者が死亡してから何年しても、遺言書は無効になりません。

相続が発生してから長期間経過した後に、子どもが認知されることがあります。

4遺産分割協議は相続人全員で

①遺産分割協議中なら認知された子どもを含めて話し合い

相続が発生したら、被相続人のものは相続人が相続します。

被相続人の財産は、相続人全員の共有財産です。

一部の相続人が勝手に処分することはできません。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意によって決めなければなりません。

相続財産の分け方を決める相続人全員の話し合いを遺産分割協議と言います。

遺産分割協議中に、子どもが認知されることがあります。

認知された子どもは、相続人です。

認知された子どもを含めずに、相続財産の分け方を合意しても無効です。

認知された子どもを含めて遺産分割協議をする必要があります。

相続財産の分け方について相続人全員の合意ができたら、合意内容を文書に取りまとめます。

相続人全員の合意内容を取りまとめた文書を遺産分割協議書と言います。

遺産分割協議書には、認知された子どもも記名し実印で押印します。

遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容の証明書だからです。

②遺産分割協議成立後やり直し不要

相続財産の分け方は、相続人全員の合意によって決めなければなりません。

一部の相続人を含めずに合意をしても、相続人全員の合意があったとは言えません。

相続人全員の合意がない場合、遺産分割協議は成立しません。

相続人全員の合意によって遺産分割協議が成立した後、子どもが認知されることがあります。

認知された子どもは、相続人になります。

遺産分割協議成立後に子どもが認知された場合、遺産分割協議をやり直す必要はありません。

遺産分割協議が成立した時点では、相続人全員だったからです。

遺産分割協議に問題があったとは言えません。

遺産分割協議成立後に認知された場合、遺産分割協議は有効です。

③認知された子どもは金銭請求ができる

認知された子どもは、相続人です。

被相続人の子どもは、嫡出子と非嫡出子に区別はありません。

嫡出子と非嫡出子は、同じ相続分です。

認知された子どもは、自分の相続分に相当する金銭を請求することができます。

金銭請求をする場合、相続財産の総額は認知された子どもが請求するときを基準に考えます。

相続発生時を基準にするものではありません。

相続財産には、さまざまな種類の財産が含まれているでしょう。

不動産や株式などの財産は、大きな価格変動があります。

認知された子どもが遺産分割を請求する場合、相続財産を適切に評価することが重要です。

5相続人調査を司法書士に依頼するメリット

本籍地の変更や国による戸籍の作り直し(改製)で多くの方は、何通もの戸籍を渡り歩いています。

古い戸籍は、現在と形式が違っていて読みにくいものです。

手書きの達筆な崩し字で書いてあって、分かりにくいものです。

戸籍謄本収集は、慣れないとタイヘンです。

本籍地を何度も変更している人や結婚、離婚、養子縁組、離縁を何度もしている人は、戸籍をたくさん渡り歩いています。

たくさんの戸籍謄本を収集する必要があるから、膨大な手間と時間がかかります。

戸籍には、その人の身分関係がすべて記録されています。

ときには家族の方が知らない相続人が明らかになることがあります。

相続が発生した後に、認知を求めて裁判になることもあります。

相続人を確定させるために戸籍を集めるだけでも、知識のない一般の人にはタイヘンな作業です。

家族の方が知らない相続人が明らかになると、精神的な負担はさらに大きいものになります。

相続手続のうち、専門家に任せられるものは任せてしまうことができます。

家族の事務負担を軽減することができます。

戸籍や住民票の取り寄せは、司法書士は代行します。

相続人調査でお困りの方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続放棄したのに裁判

2024-02-26

1相続放棄で相続人でなくなる

①相続放棄は家庭裁判所の手続

相続が発生した場合、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄を希望する申立てをします。

申立てをする先の家庭裁判所は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所です。

相続が開始した地とは、被相続人の最後の住所地です。

裁判所のホームページで、管轄する家庭裁判所を調べることができます。

被相続人の最後の住所地が分からない場合、被相続人の除票や戸籍の附票を取得すると判明します。

相続放棄の申立ての期限は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内です。

「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。

相続放棄ができる期間は3か月を知らないまま3か月経過した場合、相続放棄は認められません。

法律の定めを知らなくても、3か月過ぎてしまえば、単純承認になります。

単純承認になったら、相続放棄は認められません。

②相続放棄をした人に借金を請求できない

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなくなります。

相続人でなくなるから、被相続人の財産を相続することはできません。

被相続人の財産には、いろいろな種類のものがあるでしょう。

相続人でなくなった場合、プラスの財産とマイナスの財産の両方を相続しません。

一部の財産だけを相続放棄することはできません。

相続放棄をした場合、すべての財産を相続しません。

被相続人が借金を残して、死亡することがあります。

相続人が相続放棄をした場合、被相続人の借金を相続しません。

債権者は、相続放棄をした人に借金の返済を求めることができません。

2相続放棄したのに裁判

①単純承認で相続放棄が無効になる

相続が発生した場合、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

単純承認は、プラスの財産とマイナスの財産の両方を相続します。

相続放棄は、プラスの財産とマイナスの財産の両方を相続しません。

単純承認をしたら、相続放棄をすることはできません。

相続放棄をした後に、相続放棄を撤回することができません。

同じように単純承認をした後に、単純承認を撤回をすることはできないからです。

撤回とは、相続放棄が受理されたときには何も問題がなかったのに、後から問題が発生したので、なかったことにすることです。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に相続放棄を希望する申立てをします。

家庭裁判所は相続放棄の申立てを受け付けた後、受け付けた書類を見て審査をします。

家庭裁判所は、独自で調査をしません。

書類に問題がなければ、家庭裁判所は相続放棄を認める決定をします。

事情が分からずに家庭裁判所が相続放棄を認めてしまっても、無効です。

単純承認をしたら、撤回ができないからです。

単純承認をした後、相続放棄が認められても無効になります。

②相続放棄は絶対でない

家庭裁判所は相続放棄の申立てを受け付けた後、詳しい事情を調査しません。

書類に問題がなければ、相続放棄を認める決定をします。

家庭裁判所で相続放棄が認められても、実際は無効であることがあります。

単純承認をしたのに、相続放棄の申立てをすることがあるからです。

被相続人の財産を処分したり利用したりした場合、単純承認と見なされます。

相続放棄を希望しているのに、相続人が被相続人の財産を処分したり利用したりすることがあります。

相続人が自覚せずに、被相続人の財産を処分したり利用したりすることがあるでしょう。

相続人が自覚していなくても被相続人の財産を処分したり利用したりした場合、単純承認と見なされます。

単純承認をした後に家庭裁判所が相続放棄を認める決定をしても、無効の決定です。

家庭裁判所は詳しい調査をせずに提出された書面だけで、相続放棄の決定をします。

家庭裁判所の決定は、絶対ではありません。

③債権者は裁判で相続放棄の無効を主張できる

単純承認をした後に、家庭裁判所が相続放棄を認めてしまうことがあります。

被相続人の財産を処分したり利用したりした場合、相続放棄をすることはできません。

事情が分からないから家庭裁判所が相続放棄を認めてしまっても、無効の決定です。

家庭裁判所の決定に不服があれば、債権者は裁判で争うことができます。

家庭裁判所の決定は、絶対ではないからです。

相続放棄をした場合、プラスの財産とマイナスの財産の両方を相続しません。

債権者は、相続放棄をした人に被相続人の借金を請求することはできません。

相続放棄が無効の場合、プラスの財産とマイナスの財産の両方を相続します。

債権者は、相続放棄の無効を主張して被相続人の借金を払って欲しいと請求することができます。被相続人の借金を払ってもらうため、債権者は裁判を起こすことができます。

④裁判所の呼出を無視すると欠席裁判

被相続人の財産を処分したり利用したりした場合、単純承認と見なされます。

債権者が裁判を起こした場合、裁判所から訴状が届きます。

被相続人の財産を処分したり利用したりしたことがまったくない場合、訴状を無視したくなるかもしれません。

債権者は相続放棄の有効無効を判断してもらうため、裁判を起こしています。

相続放棄は有効だと主張する場合、裁判に対応しなければなりません。

裁判所からの呼び出しに応答しない場合、欠席裁判になります。

欠席裁判になると、裁判所は債権者の主張を全面的に認める判決をします。

債権者の主張が不適切と考える場合、適切に主張立証をする必要があります。

適切に主張立証をして裁判所に相続放棄は有効だと分かってもらうことが重要です。

被相続人の財産を処分したり利用したりしたことがまったくないのに、適切な主張立証をしていなければ裁判所に分かってもらえません。

債権者の主張が認められた場合、相続放棄が無効になるでしょう。

相続放棄が無効になった場合、被相続人の借金を相続することになります。

3債権者に訴えられた後に相続放棄

①相続放棄3か月のスタートは知ってから

相続が発生した場合、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

被相続人と別居していた場合、被相続人の財産状況を詳しく知らないことが多いでしょう。

財産調査をしても主だった財産が見つからない場合、何も手続しないことが通常です。

相続が発生してから長期間経過した後で、債権者から借金の請求を受けることがあります。

債権者は借金の支払いを求めて、裁判所に訴えを起こすことができます。

債権者から訴えを起こされてはじめて、被相続人の借金の存在を知ることになります。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に相続放棄を希望する申立てをします。

相続放棄ができる期間は、相続があったことを知ってから3か月です。

「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。

債権者から訴えを起こされて借金の存在を知った場合、訴えを起こされたことを知ったときから3か月がスタートします。

②債権者に訴えられた後に相続放棄ができる

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に相続放棄を希望する申立てをします。

訴えを起こされたことを知ったときから、3か月がスタートします。

相続が発生してから長期間経過した後でも、3か月以内です。

債権者が訴えを起こすまで、借金の存在を知らなかったからです。

被相続人の財産を処分したり利用したりしていない場合、単純承認と見なされません。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、被相続人の借金を相続することはありません。

③名古屋家庭裁判所なら即日審判

家庭裁判所に相続放棄を希望する申立てをした場合、家庭裁判所は提出した書類を審査します。

書類に問題がなければ、相続放棄を認める決定をします。

家庭裁判所の混雑状況によりますが、相続放棄が認められるまでにおおむね1か月程度かかります。

債権者が被相続人の借金の支払いを求めて裁判を起こした場合、適切に対応する必要があります。

期日までに答弁書を提出して、裁判所に事情を説明します。

そのうえで相続放棄の手続を完了させる必要があります。

相続放棄の手続を完了するまで、気が気でないでしょう。

条件を満たせば名古屋家庭裁判所本庁では、相続放棄の即日審判をしてもらうことができます。

相続放棄申述受理通知書が発行されたら、すぐに裁判所に提出します。

4続放棄を司法書士に依頼するメリット

相続放棄はプラスの財産もマイナスの財産も引き継ぎませんという裁判所に対する申立てです。

相続人らとの話合いで、プラスの財産を相続しませんと申し入れをすることではありません。

家庭裁判所で認められないと、マイナスの財産を引き継がなくて済むというメリットは受けられません。

家庭裁判所で相続放棄が認められたとしても、絶対的なものではありません。

相続放棄の要件を満たしていない場合、その後の裁判で相続放棄が否定されることもあり得ます。

相続の単純承認にあたる行為は、建物の取壊しや高価な宝石などの形見分けなども含まれます。

相続が発生すると、家族はお葬式の手配から始まって膨大な手続と身辺整理に追われます。

相続するのか、相続を放棄するのか充分に判断することなく、安易に相続財産に手を付けて、相続放棄ができなくなることがあります。

相続に関する手続の多くは、司法書士などの専門家に任せることができます。

手続を任せることで、大切な家族を追悼する余裕もできます。

相続人の調査や相続財産調査など適切に行って、充分に納得して手続を進めましょう。

相続放棄は、3か月以内の制限があります。

3か月の期間内に手続するのは、相続するよりハードルが高いものです。

相続放棄を考えている方は、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続で他人の戸籍謄本を取得する

2024-02-25

1相続人確定のため戸籍謄本が必要

①相続人は戸籍謄本で証明する

相続手続の最初の難関が相続人の確定です。

相続が発生した場合、だれが相続人になるのか家族にとっては当然分かっていることでしょう。

家族にとっては当たり前のことでも、第三者には分かりません。

相続の手続先には、客観的に証明する必要があります。

相続人を客観的に証明するとは、戸籍謄本で証明するということです。

戸籍には、その人の身分事項がすべて記載されています。

身分事項とは、その人の出生、結婚、離婚、養子縁組、離縁、認知、死亡、失踪など身分関係の項目です。

過去の身分関係の事項を家族に秘密にしているかもしれません。

戸籍謄本を確認すると、すべて明るみに出ます。

戸籍には、身分事項がすべて記載されているからです。

戸籍謄本をすべて揃えることで、相続人を客観的に証明することができます。

②他人の戸籍謄本は委任状をもらって請求

戸籍には、その人の身分関係が記録されています。

身分関係の項目は、その人のプライベートな項目です。

自分のプライベートな情報は、みだりに他人に知られたくないでしょう。

戸籍謄本は、第三者が興味本位で取得することはできません。

本人が自分の戸籍謄本を取得する場合、本人確認のうえ交付されます。

他人の戸籍謄本を取得する場合、原則として、本人から委任状をもらって請求します。

委任を受けた人の本人確認をしたうえで、交付されます。

③戸籍謄本は郵送で請求することができる

戸籍謄本は、本籍地の市区町村役場に請求します。

住所地の市区町村役場ではありません。

住所地の近隣の市区町村役場であれば、窓口に出向いて手続をするといいでしょう。

ときには住所地からはるか遠方の市区町村役場であることがあります。

戸籍謄本は、郵送で請求することができます。

2委任状なしで他の相続人の戸籍謄本を取得できる

①戸籍に記載されている人が取得

戸籍に記載されている人は、自分の戸籍謄本を請求することができます。

自分の戸籍謄本だから、委任状が要らないのは当然です。

結婚や離婚、養子縁組や離縁などで、その戸籍から別の戸籍に移ることがあります。

別の戸籍に移った後でも、自分の戸籍です。

除籍された後でも、自分の戸籍を取得することができます。

②配偶者、直系尊属、直系卑属が取得

戸籍に記載されている人の配偶者は、委任状なしで戸籍謄本を請求することができます。

本人から、委任状を出してもらう必要はありません。

戸籍に記載されている人の直系尊属と直系卑属は、委任状なしで戸籍謄本を請求することができます。

本人から、委任状を出してもらう必要はありません。

直系とは、親子関係によってつながっている関係のことです。

本人から見て、父母や祖父母は親子関係によってつながっています。

本人から見て、子どもや孫は親子関係によってつながっています。

父母、祖父母、子ども、孫などは、直系です。

尊属とは、前の世代の血族です。

本人から見て、父母や祖父母は前の世代の血族です。

本人から見て、父母や祖父母は直系尊属です。

父母や祖父母は、委任状なしで戸籍謄本を請求することができます。

卑属とは、後の世代の血族です。

本人から見て、子どもや孫は後の世代の血族です。

本人から見て、子どもや孫は直系卑属です。

子どもや孫は、委任状なしで戸籍謄本を請求することができます。

兄弟姉妹は、直系尊属ではありません。

兄弟姉妹は、直系卑属ではありません。

委任状なしで兄弟姉妹の戸籍謄本を請求する場合、他の理由が必要になります。

③権利行使や義務の履行に必要なとき取得

権利行使や義務の履行に必要な場合、委任状なしで戸籍謄本を請求することができます。

権利行使や義務の履行に必要な場合、戸籍を取得するための正当な理由があると言えます。

権利行使や義務の履行に必要な場合であると認められるためには、客観的な具体的な理由が必要です。

客観的な具体的な理由の裏付けとなる書類を準備する必要があります。

会社などの法人が権利行使や義務の履行のため、戸籍謄本が必要になることがあります。

権利行使や義務の履行に必要な場合と認められれば、会社などの法人が請求することができます。

権利行使や義務の履行に必要な場合であることが認められた場合、委任状なしで戸籍謄本を請求することができます。

④国等に提出する必要があるとき取得

国や地方公共団体に提出する必要がある場合、委任状なしで戸籍謄本を請求することができます。

国や地方公共団体に提出する必要がある場合、戸籍を取得するための正当な理由があると言えます。

相続登記をする場合、法務局にたくさんの戸籍謄本を提出します。

相続登記は、国や地方公共団体に提出する必要がある場合です。

国に提出する必要がある場合だから、委任状なしで戸籍謄本を請求することができます。

国や地方公共団体に提出する必要があると認められるためには、客観的な具体的な書類が必要です。

請求者との家族関係が分かる戸籍謄本のコピーなどを準備する必要があります。

国や地方公共団体に提出する必要がある場合であることが認められた場合、委任状なしで戸籍謄本を請求することができます。

3他人の戸籍謄本は広域交付で取得できない

①近隣の市役所で戸籍謄本を取得できる

相続が発生したら、相続手続先に相続人を証明しなければなりません。

本籍地の市区町村役場に戸籍謄本を請求するのは、大きな手間と時間がかかります。

令和6年3月1日から戸籍謄本の広域交付が始まりました。

広域交付制度を利用すれば、本籍地以外の市区町村役場で戸籍謄本を請求することができます。

広域交付制度を利用して、近隣の市区町村役場で戸籍謄本を取得することができます。

②本人と直系血族は広域交付で戸籍謄本を請求できる

広域交付を利用して戸籍謄本を請求することができる人は、次の人です。

(1)その戸籍に記載がある人

(2)記載がある人の直系血族

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

被相続人の子どもは、被相続人の直系血族です。

被相続人の本籍地がどこにあっても、近隣の市区町村役場で戸籍謄本を取得することができます。

本人と直系血族は、広域交付で戸籍謄本を請求することができます。

③第三者請求は広域交付で取得できない

第三者が戸籍謄本を請求できるのは、特別な理由があるときのみです。

戸籍にはその人のプライベートな事柄が記載されています。

特別な理由について、厳格な審査が必要です。

特別な理由が明らかにできない場合、戸籍謄本を発行してもらうことはできません。

第三者が戸籍謄本を請求する場合、広域交付を利用することはできません。

他人の戸籍謄本は、本籍地の市区町村役場に請求する必要があります。

4面倒な相続手続はおまかせできる

①戸籍謄本の取り寄せはおまかせできる

戸籍謄本は、本籍地の市区町村役場に請求します。

近隣の市区町村役場であれば、窓口で係の人に確認しながら請求することができます。

ときには住所地からはるか遠方の市区町村役場であることがあります。

遠方の市区町村役場に請求する場合、郵送で請求することができます。

郵送で請求する場合、難易度が上がります。

窓口で係の人に確認しながら、請求することができないからです。

適切な書き方をしていない場合、市区町村役場から確認の電話連絡が入ります。

市区町村役場は、平日の昼間しか業務を行いません。

仕事などで忙しい人は、対応が難しいでしょう。

戸籍謄本の取り寄せは、司法書士などの専門家におまかせすることができます。

②法定相続情報一覧図はおまかせできる

相続手続では、法定相続情報一覧図を使うと便利です。

たくさんの戸籍謄本を提出するのに代えて、法定相続情報一覧図1枚を提出することができます。

法定相続情報一覧図は、被相続人を中心にして、どういう続柄の人が相続人であるのか取りまとめた書類です。

家系図のように取りまとめてあるから、相続関係が一目で分かります。

家系図と戸籍謄本等を登記官が確認して、模様の入った専用紙に認証文を付けて印刷して、交付してくれます。

登記官に認証文があるから、戸籍謄本の束を提出したことと同じ扱いを受けることができます。

法定相続情報一覧図を発行してもらうためには、法務局に戸籍謄本を提出しなければなりません。

必要な戸籍謄本を取り寄せてから、法定相続情報一覧図を発行してもらいます。

相続手続では、戸籍謄本の取り寄せから逃れられません。

戸籍謄本の取り寄せは、司法書士などの専門家におまかせすることができます。

法定相続情報一覧図を発行してもらう場合、法務局は点検と印刷をするだけです。

家系図は、自分で作成しなければなりません。

登記官の認証文を入れて発行されるから、厳格な書き方ルールがあります。

些細なことと思えるようなことで、書き直しや作り直しになります。

家系図の作成を含めて、司法書士などの専門家におまかせすることができます。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出は、司法書士などの専門家におまかせすることができます。

③相続登記はおまかせできる

相続が発生すると、相続人はたくさんの相続手続に追われて悲しむ暇もありません。

被相続人が不動産を所有していた場合、不動産の名義変更をします。

不動産の名義変更が相続登記です。

相続登記は、相続手続の中でも難しい手間のかかる手続です。

司法書士などの専門家に依頼せず、自分で挑戦する人がいます。

多くの場合、不動産は重要な財産です。

重要な財産の名義変更だから、法務局は厳格に審査します。

知識がない人から見ると些細なことと思えるようなことで、やり直しになります。

やり直しをするように言われたものの、何をどうしていいのか分からないことがあります。

相続登記は、司法書士などの専門家におまかせすることができます。

自分でやってみようと挑戦したけど、挫折することがあります。

相続登記に挫折した後であっても、司法書士などの専門家におまかせすることができます。

5相続人確定を司法書士に依頼するメリット

本籍地の変更や国による戸籍の作り直し(改製)で多くの方は、何通もの戸籍を渡り歩いています。

相続手続のために、たくさんの戸籍謄本を集めなければなりません。

古い戸籍は現在と形式が違っています。

慣れないと、読みにくいものです。

現代とちがって、古い戸籍は手書きで書いてあります。

手書きの達筆な崩し字で書いてあると、分かりにくいものです。

戸籍集めは、相続以上にタイヘンです。

本籍地を何度も変更している人は、たくさんの戸籍を渡り歩いています。

結婚、離婚、養子縁組、離縁を何度もしている人は、戸籍が何度も作り直されています。

戸籍をたくさん渡り歩いているので、戸籍集めは膨大な手間と時間がかかります。

段取りよく要領よく手続するには、ちょっとしたコツがいります。

お仕事や家事でお忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続をおまかせできます。

相続人調査でお困りのことがあれば、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

遺産分割協議書に現金の分け方を書く方法

2024-02-23

1現金は相続財産

①現金は遺産分割の対象

相続が発生したら、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。

被相続人が手元に現金を残したまま死亡した場合、現金は相続財産です。

相続人全員の共有財産になるから、一部の相続人が勝手に取得することはできません。

現金は、遺産分割の対象です。

②相続財産の分け方は相続人全員の合意

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

現金は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

不動産や預貯金などと同様に、現金の分け方を決めるためには、相続人全員の合意が必要です。

③遺産分割協議書は相続人全員の合意の証明

相続財産の分け方を決めるための相続人全員の話し合いを遺産分割協議と言います。

遺産分割協議で相続財産の分け方について合意ができた場合、相続人全員の合意内容を文書に取りまとめます。

遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容を取りまとめた文書です。

相続人全員に内容を確認してもらって記名し実印で押印してもらいます。

遺産分割協議書の押印が実印による押印であることを証明するため、印鑑証明書を添付します。

相続人全員の記名押印は、遺産分割協議書に間違いがないことの証明です。

遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容の証明書です。

遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書で、相続人全員の合意内容を客観的に証明することができます。

④現金を黙っていると使い込みトラブル

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

一部の相続人が勝手に取得することはできません。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があるからです。

自宅などに現金が保管されていた場合、相続人で情報共有することが大切です。

他の相続人に何も言わないと、使い込みトラブルになるおそれがあります。

現金は、存在や金額が客観的に分かりにくいと言えます。

預貯金は、入出金履歴を金融機関に照会することができます。

現金の存在を他の相続人が知らなかったら、遺産分割の対象から外すことができてしまいます。

もちろん、相続財産は相続人全員の共有財産です。

現金を隠したり勝手に取得する行為は、刑法上の横領や窃盗になるおそれがあります。

使い込みをしていなくても、相続人が疑心暗鬼になるとトラブルになります。

被相続人の現金を見つけた場合、相続人間で情報共有することが重要です。

2遺産分割協議書に現金の分け方を書く方法

①現金の金額を書かなくてもいい

金額を書かない記載例

相続人〇〇〇〇は、被相続人の現金をすべて取得する。

金額を書く記載例

相続人〇〇〇〇は、被相続人の現金100万円を取得する。

遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容の証明書です。

相続人全員の合意内容が明らかであれば、必ずしも金額を記載する必要はありません。

具体的な金額を書いた方がいいと思うのであれば、金額を記載しても構いません。

現金は、被相続人の自宅などで保管してあるでしょう。

相続手続が必要になることは、ありません。

遺産分割協議書に金額を書くか書かないかは、相続人が納得することが重要です。

後日、相続人間でトラブルにならないように記載すればいいでしょう。

②相続人で分けるときの書き方

相続人で分けるときの記載例1

相続人〇〇〇〇は、現金100万円を取得する。

相続人□□□□は、現金100万円を取得する。

相続人で分けるときの記載例2

被相続人の現金200万円のうち、相続人〇〇〇〇は、現金100万円を取得し、相続人□□□□は、現金100万円を取得する。

相続人で分けるときの記載例3

被相続人の現金のうち、相続人〇〇〇〇は、100万円を取得し、残りの現金は相続人□□□□はが取得する。

相続人で分けるときの記載例4

被相続人の現金から○○に関する費用を支払い、残額について相続人〇〇〇〇と相続人□□□□が各2分の1の割合で取得する。

③少額の現金は書かないことが多い

現金は、被相続人の自宅などで保管してあるでしょう。

相続手続が必要になることは、ありません。

自宅などに現金を保管しているのは、あまり用心がいいとは言えないでしょう。

多くの場合、被相続人の普段の生活費程度を手元に置いているだけです。

少額の現金が見つかった場合、相続人の口頭の合意だけで済ませることがあります。

わずかな金額の取得をめぐって相続人が争うこともないでしょう。

相続手続が必要になることがないから、わざわざ手間をかける必要はありません。

遺産分割協議書を作成する場合、全財産を網羅しなければならないといったルールはありません。

遺産分割協議書は、単に相続人全員の合意内容の証明書に過ぎません。

一部の財産だけで遺産分割協議書を作成しても、問題がありません。

一部の財産が記載されていなくても、遺産分割協議書が無効になることはありません。

少額の現金について、遺産分割協議書を作成しなくても支障はありません。

④遺産分割協議書作成後に現金

遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容を取りまとめた文書です。

相続人全員の合意がまとまった後に作成します。

遺産分割協議書を作成した後に、新たに現金が見つかることがあります。

新たに財産が見つかった場合、相続人全員の合意は原則として有効です。

すべての財産についてまとめて合意しなければならないといったルールはないからです。

相続人全員で合意できる財産から、合意することができます。

合意ができた財産から順次遺産分割協議書に取りまとめることができます。

すべての財産についてまとめて遺産分割協議書を作成しなければならないといったルールはないからです。

新たに財産が見つかった場合、見つかった財産についてあらためて合意することができます。

新たに見つかった財産について合意ができたら、合意内容を文書に取りまとめることができます。

遺産分割協議書は、複数あっても差し支えありません。

新たに見つかった財産が重要な財産でその財産があることを知っていたら先の合意をしなかったと言えるような特別な場合は、最初の遺産分割協議は無効になります。

多くの場合、重要な財産は家族みんなが情報共有しているでしょう。

新たな財産が見つかったことで遺産分割協議が無効になるのは、ごく稀です。

新たに現金が見つかっても、遺産分割協議が無効になるのはほとんどないでしょう。

3遺産分割協議証明書作成を司法書士に依頼するメリット

遺産分割協議書と遺産分割協議証明書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。

前提として、話し合いによる合意ができていなければ、文書にできません。

話し合いによる合意を適切に文書にする必要があります。

書き方に不備があるとトラブルを起こしてしまう危険があります。

せっかくお話合いによる合意ができたのに、取りまとめた文書の不備でトラブルになるのは残念なことです。

トラブルを防止するため、遺産分割協議書を作成したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

胎児認知で相続人

2024-02-21

1子どもは相続人になる

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②認知された子どもは相続人

認知とは、婚姻関係にないカップルの間に生まれた子どもについて自分の子どもと認めることです。

認知をして、自分の子どもだと認めるのは一般的には父親です。

通常、母は出産の事実によって母親であることが確認できるからです。

母親が出産後に、捨て子をしたようなレアケースでは、母親も認知をすることがあり得ます。

認知をすると、法律上の子どもになります。

法律上の子どもにするためには、市区町村役場に認知届を提出する必要があります。

単に、母親に自分の子どもだと認めるだけでは、法律上の認知の効果はありません。

市区町村役場に認知届を提出したら、子どもになります。

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

③胎児は生まれたものと見なされる

人は、財産を所有したり契約の当事者になることができます。

財産を所有したり契約の当事者になる資格は、人に与えられています。

財産を所有したり契約の当事者になる資格を権利能力と言います。

権利能力は、出生したときに与えられ死亡したときに終了します。

相続権があるのは、相続が発生した時点で生きている人が原則です。

胎児は出生していないから、権利能力がありません。

胎児は、相続が発生した時点で出生していません。

すでに生まれたものと見なして、相続権を認められます。

すでに生まれたものと見なして相続権を認めるけど、これは生きて生まれてきたときの取り扱いです。

死体で生まれたときは、相続権は与えられません。

胎児は、生きて生まれてくることを条件に相続人になることができます。

生きて生まれてきたら、相続人になります。

生きて生まれてきた後、間もなく赤ちゃんが死亡することがあります。

すぐに死亡しても、相続人であることに変わりはありません。

生きて生まれてきた赤ちゃんが相続した後、あらためて次の相続人が相続します。

④胎児は出生してから戸籍に記載される

父は、婚姻関係にないカップルの間に生まれた子どもについて認知することができます。

市区町村役場に認知届を提出した場合、父と子どもに親子関係が発生します。

子どもの出生後に認知届を受理した場合、戸籍に記載されます。

父の戸籍と子どもの戸籍に、認知事項が記載されます。

認知をするのは、子どもが誕生する前であっても差し支えありません。

子どもが出生する前に認知をすることを胎児認知と言います。

胎児認知をした場合、子どもが出生するまで父の戸籍には何も記載されません。

胎児認知届を提出した場合、母の戸籍の附票に記載されます。

子どもが出生した場合、子どもの戸籍が作られます。

子どもの戸籍に、認知事項が記載されます。

子どもが出生したことで、父と子どもに親子関係が発生します。

子どもの出生届が受理された後、父の戸籍に認知事項が記載がされます。

⑤子どもが誕生しなかった場合は戸籍には何も記載されない

仮に子どもが流産や死産であった場合、母の戸籍の附票から認知の記載が削除されます。

父の戸籍は何も記載されていないから、何も影響はありません。

2胎児認知で相続人

①胎児認知には母の承諾

父は、子どもが出生する前に認知をすることができます。

胎児認知をする場合、母の承諾が必要です。

胎児認知届に承諾することを記載することを付記して、署名することで差し支えありません。

②父母が未成年でも有効に認知できる有効に承諾できる

未成年は、物事のメリットデメリットを充分に判断することができません。

未成年が契約などの法律行為をする場合、親などの親権者の同意が必要になります。

親権者の同意なく契約などの法律行為をした場合、契約などの法律行為を取り消すことができます。

父が未成年である場合、父の親権者の同意なく有効に子どもを認知することができます。

母が未成年である場合、母の親権者の同意なく有効に胎児認知を承諾することができます。

親権者の同意なく認知をしても胎児認知を承諾しても、親権者は取り消すことができません。

子どもを認知することや胎児認知を承諾することは、本人が決めることだからです。

③母が婚姻中なら胎児認知はできない

認知とは、婚姻関係にないカップルの間に生まれた子どもについて自分の子どもと認めることです。

母が婚姻中の場合、子どもは母の夫の子どもと推定されます。

母の夫の嫡出子と推定されます。

嫡出の推定が及ぶ子どもについて、認知することはできません。

子どもが出生した後、母の夫は嫡出否認の訴えを起こすことができます。

子どもが出生する前に、嫡出否認の訴えをすることはできないと考えられています。

母が婚姻中は嫡出の推定が及ぶから、胎児認知をすることができません。

④胎児認知の調停の申立て

父が任意に認知をしない場合、認知を求めて裁判所の調停手続を利用することができます。

調停手続とは、家庭裁判所のアドバイスを受けてする当事者の話し合いです。

当事者だけで話し合いをすると、感情的になって話し合いができないかもしれません。

家庭裁判所の調停委員に話す場合、少し落ち付いて話ができるでしょう。

家庭裁判所の調停委員から公平な意見を根拠にしてアドバイスがされると、納得できるかもしれません。

調停委員から客観的なアドバイスを受けて、当事者の合意を目指します。

当事者で合意ができた場合、合意内容は調停調書に取りまとめられます。

⑤胎児認知は強制できない

調停手続とは、家庭裁判所のアドバイスを受けてする当事者の話し合いです。

当事者が話し合いに応じない場合、調停は成立しません。

父が認知を拒否して、話し合いに応じないことがあります。

母が胎児認知の承諾を拒否して、話し合いに応じないことがあります。

子どもが出生した後であれば、裁判で争うことができます。

子どもが胎児の段階では、裁判で争うことはできません。

胎児認知をする場合、父母の合意が必要です。

胎児認知は、強制することができません。

3胎児認知は父が届出で母が提出できる

①胎児認知届の提出先は母の本籍地

胎児認知届の提出先は、母の本籍地がある市区町村役場です。

母の住所地、父の本籍地、父の住所地などの市区町村役場には提出することはできません。

子どもが出生した後に認知届を提出する場合、父の本籍地、子どもの本籍地、届出人の住所地の市区町村役場に提出することができます。

母の本籍地が分からない場合、母の本籍地入り住民票を取得すると判明します。

住民票は、何も言わないと本籍地記載省略になります。

住民票を請求するときに、本籍地を記載してくださいと申し出る必要があります。

②胎児認知届の必要書類

胎児認知届の必要書類は、次のとおりです。

(1)認知届

認知届は、市区町村役場のホームページからダウンロードすることができます。

(2)父の戸籍謄本

胎児認知届は、母の本籍地の市区町村役場に提出します。

父の本籍地が母の本籍地と同じ市区町村役場である場合、提出を省略することができます。

(3)母の承諾書

胎児認知をする場合、母の承諾が必要です。

母の承諾書を作成します。

認知届を見ると、その他欄に「胎児を認知する」項目があります。

胎児を認知するにチェックをつけて、承諾する旨を付記することで差し支えありません。

この認知届を承諾します。

住所 名古屋市〇〇区〇〇町〇丁目〇番〇号

母 氏名 〇〇〇〇 印

上記のように、記載します。

(4)本人確認書類

運転免許証やマイナンバーカードを準備します。

③胎児認知届は母が提出できる

胎児認知届は、父が届出します。

届出人である父が胎児認知届を作成した後は、だれが市区町村役場に提出しても差し支えありません。

市区町村役場に胎児認知届を持って行く人は、届出人の使者だからです。

母が届出人の使者として胎児認知届を提出しても、問題はありません。

使者は、届出人のお使いです。

代理人とちがい、自分の判断で届出書を書き直すことはできません。

市区町村役場の窓口で書き忘れや書き間違いを指摘されても、訂正することはできません。

母ができるのは、届出人が作成した胎児認知届を提出することです。

届出人が作成していないのに、勝手に認知届を作成して提出することはできません。

4胎児がいる相続を司法書士に依頼するメリット

被相続人が若くして亡くなった場合や代襲相続が発生した場合、未成年の人が相続人になるケースは少なくありません。

被相続人が若くして亡くなった場合などは不意のことが多く、対策していなかった場合がほとんどでしょう。

銀行などの金融機関から預貯金の引き出しや定期預金の解約を断られて、途方に暮れる方も多いです。

信託銀行などは、高額な手数料で相続手続を代行しています。

信託銀行はこのような手間のかかる手続は引き受けません。

税金の専門家なども対応できず、困っている遺族はどうしていいか分からないまま途方に暮れてしまいます。

途方に暮れた相続人をサポートして相続手続を進めることができます。

自分たちでやってみて挫折した方も、銀行などから断られた方も、相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

不動産のみの遺産分割協議書

2024-02-20

1遺産分割協議書とは

2人以上相続人がいる場合や遺言書がない場合は、遺産の分け方について相続人全員で話し合いをする必要があります。

相続人全員で話し合いのことを遺産分割協議といいます。

話し合いの合意内容を取りまとめた文書を遺産分割協議書といいます。

遺産分割協議は、相続人全員の合意が不可欠です。

相続人全員の合意の証明として、遺産分割協議書は相続人全員が実印で押印し、印鑑証明書を添付します。

相続登記では遺産分割協議書が必要な場合と必要ない場合があります。

次の場合は、遺産分割協議書が必要ありません。

①相続人がひとりだけの場合

他の相続人が相続放棄をした結果、相続人がひとりになった場合を含みます。

②遺言書があるため相続人全員による合意が必要ない場合

遺言書があれば遺言書のとおり分ければ済みます。

③法定相続をする場合

相続人全員で法定相続分で共有する相続です。

不動産を共有することになりますから、デメリットが大きくあまりおすすめできません。

④遺産分割調停の場合

相続人全員の話し合いで合意ができない場合、家庭裁判所の助力を借ります。

家庭裁判所が作成する調停調書で相続登記をします。

相続登記用の遺産分割協議書は、客観的に適切に作成されていないと相続登記ができなくなります。

遺産分割協議書は相続人のひとりが作成しても差し支えありませんが、相続登記と一緒に専門家に依頼する方が安心です。

2不動産のみの遺産分割協議書は有効

相続が発生した場合、被相続人の財産は相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の話し合いによる合意が不可欠です。

相続人全員の合意ができたら、合意内容を文書に取りまとめます。

遺産分割協議書は、相続人全員の合意を証明する書類です。

相続人全員が記名し実印で押印します。

相続人全員の手間を少なくするため、相続財産すべてについて1通の遺産分割協議書に取りまとめることが多いでしょう。

相続財産すべてについて1通の遺産分割協議書にまとめなければならないといったルールはありません。

相続財産の内容によっては、合意がしやすい財産と合意が難しい財産があります。

合意ができた財産についてだけ、遺産分割協議書に取りまとめることができます。

相続人全員にとって利活用が難しい田舎の実家などは、売却してお金で分けるのが合理的な場合があります。

相続人全員が田舎の実家を売却する方針に合意している場合、田舎の実家についてだけ遺産分割協議書に取りまとめることができます。

他の財産について相続人全員の合意ができていなくても、田舎の実家のみの遺産分割協議書は有効です。

田舎の実家のみの遺産分割協議書を作成して、売却手続を進めることができます。

3不動産のみの遺産分割協議書の書き方と注意点

①被相続人を特定する書き方

被相続人の最後の本籍、被相続人の最後の住所、被相続人のの氏名、被相続人の生年月日、被相続人の死亡日を記載します。

相続が発生した後、相続手続のために戸籍謄本や住民票を集めているでしょう。

戸籍謄本や住民票の記載どおりに、一字一句間違いなく記載しましょう。

記載例

被相続人の最後の本籍 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番地

被相続人の最後の住所 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号

被相続人のの氏名   〇〇 〇〇

被相続人の生年月日 昭和〇〇年〇〇月〇〇日

被相続人の死亡日 令和〇〇年〇〇月〇〇日

共同相続人である私たちは、上記の相続について、下記のとおり遺産分割の協議をした。

②相続登記用の遺産分割協議書は不動産のみ記載でよい

合意の対象となった不動産を特定できるように記載します。

「自宅」などの記載は客観的に特定できるとは言えません。

家族にとっては自宅は当然のことですが、法務局など第三者にとっては自宅はどこにあるどの不動産なのか分からないからです。

不動産の所在は自宅住所と異なることが多いので、登記簿謄本を書き写しましょう。

固定資産税の課税明細書は、登記簿謄本と異なる表記がされていることや内容が省略されている場合があります。

登記簿謄本と異なる表記の場合、相続登記が認められない可能性があります。

登記簿謄本の記載を見て、書き写します。

財産すべてを1通の遺産分割協議書で作成することが多いですが、財産ごとに分けて作っても差し支えありません。

相続登記用の遺産分割協議書は、不動産だけ書いて預貯金などは別に作ることも多いものです。

たくさんの不動産がある場合、法務局の管轄ごとに別に作成することもあります。

それぞれの遺産分割協議書に添付書類を用意すれば、同時に相続登記を進めることができるからです。

(1)土地の記載例

所在 ○○市○○町○丁目

地番 ○番○

地目 宅地

地積 200㎡

(2)建物の記載例

所在 ○○市○○町○丁目

家屋番号 ○番○

種類 居宅

構造 木造瓦葺2階建

床面積 1階 100.00㎡ 2階 100.00㎡

(3)敷地権のあるマンションの記載例

(一棟の建物の表示)

所在 ○○市○○町○丁目○番地○

建物の名称 ○○○○マンション

(専有部分の建物の表示)

家屋番号 ○○町○丁目○番○の○

建物の名称 ○○○

種類 居宅

構造 鉄筋コンクリート造1階建

床面積 ○階部分 ○○.○○㎡

(敷地権の表示)

符号 1

所在 ○○市○○町○丁目

地番 ○番○

地目 宅地

地積 ○○○.○○㎡

(敷地権の種類)

所有権

(敷地権の割合)

持分 ○○○○○○分の○○○○○○

符号 2

所在 ○○市○○町○丁目

地番 ○番○

地目 宅地

地積 ○○○.○○㎡

(敷地権の種類)

所有権

(敷地権の割合) 持分 ○○○○○○分の○○○○○○

(4)被相続人が共有持分を持っていたときの記載例

所在 ○○市○○町○丁目

地番 ○番○

地目 宅地

地積 200㎡

持分 ○分の○

③日付を記載する

相続が発生した日以降であれば、いつでも差し支えありません。

遺産分割協議は、いつまでにやらなければならないといった期限はないからです。

④相続人全員の記名と実印で押印する

遺産分割協議は、相続人全員の合意が不可欠です。

話し合いの合意内容を取りまとめた文書が、遺産分割協議書です。

相続人全員が合意したことの証明として、遺産分割協議書に記名し実印で押印をします。

本人が合意したことの証として、署名した方がよりいいでしょう。

記名でも署名でも、どちらでも問題ありません。

住所と氏名は印鑑証明書の記載どおり、一字一句間違いなく記入します。

遺産分割協議書は実印で押印します。

実印がない人は、あらかじめ印鑑登録をしなければなりません。

印鑑証明書を添付しない場合や印鑑証明書の印影と異なる印影の押印の場合、相続登記は認められません。

⑤未成年は自分で合意ができない

未成年者が相続人である場合、自分で相続財産の分け方の合意ができません。

未成年者は物事のメリットデメリットを充分に判断することができないからです。

合意ができないから、遺産分割協議書に記名押印をしても無効です。

未成年者は契約などの法律行為をする場合、親などの親権者が代理をします。

遺産分割協議は法律行為だから、親などの親権者が代理をするのが原則です。

親などの親権者が代理できる場合、遺産分割協議書には未成年者に代わって親などの親権者が記名押印をします。

未成年者と親などの親権者が2人とも相続人である場合、親などの親権者は未成年者を代理することはできません。

一方がソンすると他方がソンする関係になるからです。

一方がソンすると他方がソンする関係のことを、利益相反と言います。

利益相反になる場合、親などの親権者は未成年者を代理できません。

親などの親権者に代わって遺産分割協議をしてもらう人を選任してもらう必要があります。

親などの親権者に代わって遺産分割協議をしてもらう人を特別代理人と言います。

親などの親権者が代理できない場合、遺産分割協議書には未成年者に代わって特別代理人が記名押印をします。

⑥複数ページになるときは相続人全員の契印が必要

遺産分割協議書が複数ページにわたる場合には、相続人全員が実印で契印を施します。

袋とじにして、相続人全員が実印で契印を施しても構いません。

⑦印鑑証明書に有効期限はない

遺産分割協議書には、印鑑証明書を添付します。

印鑑証明書に有効期限はありません。

以前に取得したものがある場合、古い印鑑証明書を使うことができます。

古い印鑑証明書を添付する場合、印鑑証明書の住所や氏名と遺産分割協議書の氏名や住所が異なる場合があります。

氏名や住所が異なる場合、氏名や住所の移り変わりを証明する必要があります。

4相続登記を申請するときの必要書類

不動産を相続した場合、不動産の名義を書き換えます。

不動産の名義を書き換えを相続登記と言います。

不動産のみの遺産分割協議書を作成した場合、相続登記で法務局に提出します。

相続人全員の合意があることを法務局に分かってもらうため、不動産のみの遺産分割協議書は正確に記載する必要があります。

相続登記をする場合、相続関係説明図に次の書類を添えて提出します。

①被相続人に関する書類

(1) 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

(2) 被相続人の住民票の除票

②相続人に関する書類

(1)相続人全員の現在戸籍

(2)不動産を相続する人の住民票

③不動産の分け方に関する書類

(1)遺産分割協議書

(2)相続人全員の印鑑証明書

不動産に関する書類

(1)固定資産税の評価証明書

5相続登記を司法書士に依頼するメリット

相続登記は、たくさんある相続手続の中でも難しい手続です。

相続手続は多くの場合、何度も経験するものではありません。

だれにとっても不慣れで聞き慣れない法律用語で疲れ果ててしまいます。

不動産は重要な財産なので、一般の人が些細なことと思えるようなことでやり直しになります。

インターネットなどで多くの情報を手にすることができるようになりました。

相続登記を自分でやった、カンタンにできたという記事を見かけることもあります。

司法書士などの専門家から見てカンタンな登記申請であっても、一般の人が手続しようとすると思わぬ落とし穴があることがあります。

相続が発生してから長期間経過した後の登記申請は、想像以上に難解です。

自分で登記申請をしてみても、法務局から不足や不備を指摘されるでしょう。

ときには、何が問題なのか分からなかったというケースもあります。

自分でやってみて挫折した場合も司法書士はサポートします。

相続登記をスムーズに終わらせたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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