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相続手続で印鑑証明書を渡したくない

2024-04-17

1遺産分割協議書に印鑑証明書を添付する

①遺産分割協議書は相続人全員による合意内容の証明書

相続が発生したら、被相続人のものは相続人が相続します。

相続人が相続する財産が相続財産です。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

一部の相続人が勝手に処分することはできません。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。

相続財産の分け方を決めるため相続人全員でする話し合いを遺産分割協議と言います。

相続財産の分け方について相続人全員で合意がまとまったら、確定して話し合いは終了になります。

相続人全員の合意内容は、文書に取りまとめます。

相続人全員の合意内容を取りまとめた文書を遺産分割協議書と言います。

遺産分割協議書は、相続人全員による合意内容の証明書です。

②遺産分割協議書に実印で押印し印鑑証明書を添付する理由

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。

相続財産の分け方について相続人全員で合意がまとまったら、遺産分割協議は成立します。

相続人全員が合意できれば、口頭の合意であっても有効に成立します。

口頭で合意した場合、相続手続先の人は信用できないでしょう。

遺産分割協議書は、相続人全員による合意内容の証明書です。

相続人全員に合意内容を確認してもらって、記名し実印で押印してもらいます。

実印とは、市区町村役場に印影を登録した印章です。

重要な契約や大切な場面では、実印で押印します。

実印は、本人が大切に保管しています。

実印が押印されている場合、本人の意思で押印されたと言えるでしょう。

印鑑証明書は、市区町村役場に登録した印影の証明書です。

印鑑証明書の印影と照らし合わせることで、実印に間違いないことを証明することができます。

遺産分割協議書に実印で押印し印鑑証明書を添付する理由は、第三者に本人の意思であることを信用してもらうためです。

③相続登記で遺産分割協議書が必要なとき実印と印鑑証明書が必要になる

相続人が複数である場合や遺言書がない場合、遺産分割協議が必要になります。

相続登記で遺産分割協議書を提出する場合、実印で押印し印鑑証明書を添付します。

相続人が一人の場合、話し合いをするべき他の相続人はいません。

遺言書がある場合、相続人全員の話し合いは必要ありません。

遺産分割協議が必要ない場合、遺産分割協議書は必要ありません。

遺産分割協議書を作成しない場合、印鑑証明書を提出する必要もありません。

印鑑証明書は、遺産分割協議書の押印が実印によるものであることを証明するために添付するからです。

相続登記で遺産分割協議書と印鑑証明書を提出する場合、印鑑証明書に期限はありません。

古い印鑑証明書を提出しても、差し支えありません。

相続登記で提出した遺産分割協議書と印鑑証明書は、希望すれば原本還付をしてもらうことができます。

④相続税申告で遺産分割協議書が必要なとき実印と印鑑証明書が必要になる

相続税の申告書等の書類には実印を押印する必要はありません。

認印で差し支えありません。

実印で押印が必要になるのは、遺産分割協議書です。

遺産分割協議書に相続人全員が実印で押印する必要があります。

遺産分割協議書に実印で押印したことを証明するために印鑑証明書を添付します。

相続人が一人の場合や遺言書がある場合、印鑑証明書は不要です。

相続税申告で遺産分割協議書と印鑑証明書を提出する場合、印鑑証明書に期限はありません。

古い印鑑証明書を提出しても差し支えありません。

相続税申告で提出した印鑑証明書は、原本還付をしてもらうことができません。

⑤相続放棄に実印と印鑑証明書は不要

家庭裁判所に対して、必要な書類をを添えて相続放棄をしたい旨の申立てをします。

申立先の家庭裁判所は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

家庭裁判所の管轄は、裁判所のホームページで調べることができます。

相続放棄をしたい旨の申立ての書類のことを、相続放棄申述書と言います。

相続放棄申述書は、相続放棄の申立てをする人が押印をします。

実印で押印してももちろんいいのですが、押印は認印で充分です。

実印を押さないから、印鑑証明書を提出することもありません。

にもかかわらず、相続放棄の手続のため実印と印鑑証明書を用意して欲しいと他の相続人に言われたというケースがあります。

相続放棄のためと称していますが、相続放棄の手続のはずがありません。

相続放棄の手続は、相続放棄をする相続人が自分でするものだからです。

相続放棄の手続には、実印も印鑑証明書も不要です。

実印と印鑑証明書を渡して欲しいと言ってきた場合、別の手続をしようとしています。

具体的には、遺産分割協議と相続放棄を混同していると言えます。

自称専門家の場合、遺産分割協議と相続放棄を混同しているケースは度々あります。

2相続手続で印鑑証明書を渡したくないときの対処法

①司法書士などの専門家に相続手続を依頼する

遺産分割協議書は、相続人全員が記名して実印で押印します。

遺産分割協議書の押印が実印であることを証明するために、印鑑証明書を添付します。

相続人全員の印鑑証明書がない場合、原則として、相続手続を進めることはできません。

一部の相続人から一方的に印鑑証明書を渡すように迫られた場合、不安な気持ちになるでしょう。

遺産分割協議の内容に納得しているが、印鑑証明書などの悪用が心配になります。

相続手続は、司法書士などの専門家に依頼することができます。

司法書士などの専門家に依頼して、直接、司法書士に渡すといいでしょう。

相続手続が終わった後も、直接返して欲しい旨を伝えると直接やり取りができます。

②自分が代表相続人として相続手続をする

司法書士などの専門家に依頼しない場合で、自分が代表相続人として相続手続をする方法があります。

相続手続は、一般的に手間と時間がかかります。

自分が面倒な手続をすると申し出ると、喜んで印鑑証明書などの相続書類を渡してくれるかもしれません。

3相続手続で印鑑証明書を渡してもらえないときの対処法

①印鑑登録をしてもらう

遺産分割協議書に押印をしてくれない場合、印鑑登録をしていないことがあります。

印鑑登録をしたはずだけど、実印を紛失してしまっていることもあります。

市町村役場に出向いて印鑑登録をしてもらうといいでしょう。

本人が市区町村役場に出向いた場合、即日、印鑑証明書の発行をしてくれます。

②代償金の支払いと同時履行

被相続人の財産には、さまざまな財産があるでしょう。

現金や預貯金は、分けやすい財産です。

不動産は、分けにくい財産です。

相続財産の大部分が不動産のような分けにくい財産の場合、相続人全員の合意が難しくなるでしょう。

相続財産の大部分が不動産のような分けにくい財産の場合、代償分割をすることで合意ができることがあります。

代償分割とは、一部の相続人が不動産を相続し、残りの相続人は不動産を相続した人から、その分の代償をもらう方法です。

代償金を払うと合意したのに、代償金の支払いが惜しくなることがあります。

代償金を払うと合意したけど、資力に不安があることがあります。

代償の支払いがない場合、遺産分割協議をやり直ししたいと考えるかもしれません。

一般的な売買契約において、代金を支払わない場合、契約を一方的に解除することができます。

遺産分割協議においては、このような一方的な解除制度はありません。

代償金を払ってくれないのではないかと疑心暗鬼になることがあります。

代償の支払いと印鑑証明書の引渡しを同時履行とするといいでしょう。

代償が高額である場合、銀行振出の小切手による支払をしてもらうことができます。

振込で代償を支払う場合、口座残高はスマートフォンやパソコンで確認することができます。

代償金の支払いと印鑑証明書の引渡しを同時履行にしたら、安心してもらえるでしょう。

③遺産分割協議書真否確認の訴え

相続人全員の合意内容を遺産分割協議書に取りまとめて記名押印をしたのに、印鑑証明書を渡してくれない場合があります。

遺産分割協議は、口頭でも成立します。

口頭で成立した遺産分割協議では相続手続ができません。

口頭で遺産分割協議が成立した後、印鑑証明書を渡してくれない場合、相続手続ができなくなって困ります。

印鑑証明書を渡してくれない場合、遺産分割協議書真否確認の訴えを提起することができます。

裁判所で遺産分割協議書が真正であると確認してもらいます。

遺産分割協議書真否確認の訴えの勝訴判決を得ることで、印鑑証明書に代えることができます。

④所有権確認の訴え

相続財産の分け方について相続人全員で合意したのに、遺産分割協議書に押印をしてくれない場合があります。

このような場合は印鑑証明書を渡してくれないでしょう。

遺産分割協議書に押印をしてくれない場合、所有権確認の訴えを提起することができます。

相続財産の分け方について相続人全員で合意した時点で、合意した人の財産になるからです。

裁判所で所有権者であると確認してもらいます。

所有権確認の訴えの勝訴判決を得ることで、協力しない相続人の記名押印と印鑑証明書に代えることができます。

⑤遺産分割調停

一部の相続人が相続財産の分け方について合意していないと主張していることがあります。

合意していないと主張する場合、遺産分割協議書に押印をしてくれないのは当然です。

相続人全員による話し合いで相続財産の分け方について合意をする必要があります。

相続人間で話し合いがつかない場合、遺産分割調停を申し立てることができます。

遺産分割調停とは、家庭裁判所のアドバイスを受けてする相続人全員の話し合いです。

裁判所の助力を借りて、相続人全員の合意を目指します。

遺産分割調停で相続人全員の合意がまとまったら、合意内容は調停調書に取りまとめられます。

調停成立の調停調書があれば、印鑑証明書は不要です。

4遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット

遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。

合意がきちんと文書になっているからこそトラブルが防止できるといえます。

書き方に不備があるとトラブルを起こしてしまう危険があります。

せっかくお話合いによる合意ができたのに、取りまとめた文書の不備でトラブルになるのは残念なことです。

トラブルを防止するため、遺産分割協議書を作成したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続放棄しても不動産の管理義務

2024-04-16

1相続放棄をすると相続人でなくなる

相続が発生したら、原則として、被相続人の財産は相続人が相続します。

プラスの財産もマイナスの財産も、相続人が受け継ぎます。

相続人は、相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続の放棄は、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継がないことです。

相続放棄をすると、はじめから相続人でなくなります。

相続人でなくなるから、プラスの財産を引き継がなくなりますが、マイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

相続放棄をする前に単純承認をしていた場合、相続放棄はできません。

相続放棄が撤回できないように、単純承認も撤回できないからです。

相続財産を処分したり、利用した場合、単純承認をしたとみなされます。

相続財産を処分したり、利用した場合は相続放棄ができなくなります。

家庭裁判所は事情が分からず書類に問題がなければ、相続放棄を受理してしまいます。

家庭裁判所が相続放棄を受理した後でも、相続財産を処分したり、利用した場合は、無効です。

相続放棄をすると、相続人でなくなります。

2相続放棄が認められても無効になるリスクがある

被相続人が自宅を所有して住んでいることがあります。

相続人が就職や進学で実家を離れた後、そのまま実家に住んでいないこともあるでしょう。

相続人が実家を離れて遠方に住んでいる場合、実家を使う人がいないかもしれません。

実家に高い資産価値がある場合、相続して売却するのが選択肢のひとつでしょう。

老朽化しているなど資産価値が低い場合、売却することが難しいかもしれません。

ある程度の資産価値があっても、不便な立地の場合、売却できるまでに長期間かかるかもしれません

実家を売却できるまで、固定資産税などの費用がかかり続けます。

実家以外にめぼしい財産がなく、実家自体にも価値が感じられない場合、相続放棄をすることが考えられます。

家庭裁判所で相続放棄をした場合、プラスの財産もマイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

相続放棄をしたら、実家の中のものは勝手に処分することはできません。

実家の中のものを引き継いでいないからです。

相続財産を処分した場合、相続を単純承認したとみなされます。

相続放棄が撤回できないように、単純承認も撤回できません。

家庭裁判所が相続放棄を認めると決定しても、相続放棄は無効になります。

実家の中のものを処分した場合、相続放棄が無効になるおそれがあります。

だれの目にも明らかにゴミであるようなものや腐りやすいものを処分した場合、相続放棄が無効になることはありません。

使い古した日用品や着古した衣類などを形見分けとして持ち帰ることがあります。

財産的価値がないものを処分した場合、相続放棄が無効になるリスクはないでしょう。

美術品や宝飾品などを持ち帰った場合、相続財産の処分と判断されるでしょう。

経済的価値があるような財産を処分した場合、相続放棄が無効になるでしょう。

相続財産を処分したと判断された場合、相続を単純承認したとみなされます。

3相続放棄をした後も遺産の管理義務がある

相続放棄をするとはじめから、相続人でなかったと扱われます。

プラスの財産もマイナスの財産も引き継ぐことがなくなるから、被相続人の遺産などに関与しなくていいと考えてしまうかもしれません。

相続放棄をした人は、相続財産を管理すべき人が管理を始めるまで管理を続けなければなりません。

自分が相続放棄をしたことによって次順位の人が相続人になる場合、その人が相続財産を管理してくれます。

固定資産税などの費用や実家の管理なども、次順位の相続人が引き受けてくれます。

自分の他に相続人がいない場合や相続人全員が相続放棄をした場合、相続放棄をした人は相続財産の管理を続けなければなりません。

相続財産の管理を続ける義務は、相続財産を管理すべき人が管理を始めるまでです。

相続財産を管理すべき人が管理を始めた場合、管理を終了することができます。

相続財産を管理すべき人が管理を始めるまで、自己の財産と同一の注意をもって管理が必要です。

他人の物を預かる場合、一般的には、善良なる管理者の注意を持って管理しなければなりません。

相続財産を管理するのは、他人の物を預かる場合より軽い注意で済むとされています。

他人の物を預かる場合より軽い注意で済むものの、放置しておくとトラブルに巻き込まれます。

4相続放棄をしても不動産管理をしないとトラブルになる

①被相続人の債権者から損害賠償請求をされるおそれ

被相続人に債権者がいることがあります。

債権者は相続が発生したら、相続人に払ってもらおうと考えるでしょう。

相続人全員が相続放棄をしていた場合、相続人に払ってもらうことはできません。

相続放棄をすると、マイナスの財産を引き継がないからです。

被相続人に財産がある場合、債権者は被相続人の財産から返してもらうことができます。

相続放棄をした人であっても、相続財産を管理しなければなりません。

管理が不適切な場合、財産価値が低下してしまうことがあります。

財産価値が低下すると、弁済がしてもらえなくなくなるかもしれません。

充分な弁済がしてもらえなくなった場合、被相続人の債権者は損害を受けたと言えます。

管理が不適切なため債権者が損害を受けた場合、損害賠償をしなければならなくなります。

不動産管理をしないと、被相続人の債権者から損害賠償請求をされるおそれがあります。

②近隣住民から損害賠償請求をされるおそれ

空き家を放置していると、老朽化します。

壁や屋根が傷んで崩れることがあります。

通行人や近隣の家に被害を及ぼすことがあるでしょう。

人が住んでいない建物に野生動物や病害虫が住み着くことがあります。

管理が不適切なため近隣住民が損害を受けた場合、損害賠償をしなければならなくなります。

③倒壊のおそれのある危険な空き家に指定されるおそれがある

空き家を放置していると、倒壊のおそれのある危険な空き家に指定されるかもしれません。

役所から、適切な管理をするように助言、指導、勧告、命令がされます。

助言、指導、勧告、命令がされても無視される場合、行政代執行がされます。

行政代執行では、多くの場合、空き家が解体されます。

④苦情を受けるおそれがある

管理が不適切で雑草が繁茂している場合、粗大ごみなどが不法投棄されるかもしれません。

犯罪者集団の隠れ家に使われるかもしれません。

空き家が放火される危険もあります。

損害賠償請求がされないまでも、付近住民から苦情を受けることになるでしょう。

5相続放棄後の管理義務を免れるには

自分の他に相続人がいない場合や相続人全員が相続放棄をした場合、相続人不存在であることが考えられます。

法定相続人がいない場合、最終的には国庫に帰属します。

国のものになる前にたくさんの手続があります。

相続財産の管理を続ける義務は、相続財産を管理すべき人が管理を始めるまでです。

相続財産を管理すべき人が管理を始めた場合、管理を終了することができます。

相続人不存在である場合、相続財産清算人が財産を清算し国庫に帰属します。

相続財産清算人は、国庫に帰属するまで相続財産を管理します。

相続財産清算人は、相続財産清算人選任の申立てによって家庭裁判所が選任します。

相続財産清算人選任の申立てをすることができる人は、被相続人の債権者や利害関係人です。

相続放棄をした後、財産を管理している人は、利害関係人です。

利害関係人として、相続財産清算人選任の申立てをすることができます。

相続財産清算人選任の申立てをするためには、予納金を納めなければなりません。

事件によって違いますが、予納金はおおむね100万円程度です。

予納金は、相続財産を整理して国に引き継ぐための経費として使われるお金です。

相続財産は、相続財産清算人に引き継ぐことができます。

相続財産清算人が相続財産を管理し始めたら、相続財産の管理義務がなくなります。

6自治体への寄付は難しい

不動産を相続放棄をしても管理責任があります。

管理責任から逃れるため、相続財産清算人選任の申立てをするためには100万円程度の予納金の負担があります。

自治体に寄付してもいいから手放したいと考えることも少なくありません。

自治体にとってメリットがある不動産であれば、寄付を受け付けてくれます。

自治体で相談するといいでしょう。

自治体にとって使い道のない不動産であれば、ご辞退されるでしょう。

管理責任があるうえに固定資産税という税収を失うことになります。

使い道のない不動産の管理のために、管理費用がかかっても予算がつかないからです。

7相続放棄を司法書士に依頼するメリット

相続放棄するためには、家庭裁判所に手続をする必要があります。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、プラスの財産もマイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

相続放棄をすると、はじめから相続人でなかったと扱われます。

相続放棄が認められたら、相続に関する手続には関与しなくて済むと安心してしまいがちです。

相続財産は引き継ぐことはなくなりますが、管理責任があります。

管理責任があることは、あまり知られていません。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合であっても、相続財産を処分した場合、相続放棄が無効になります。

相続放棄は簡単そうに見えて、実はいろいろなことを考慮しなければならない手続です。

相続放棄を考えている方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続放棄しても遺贈

2024-04-16

1相続放棄をすると相続人でなくなる

相続が発生したら、原則として、被相続人の財産は相続人が相続します。

プラスの財産もマイナスの財産も、相続人が受け継ぎます。

被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継がないことを相続の放棄といいます。

相続放棄をすると、はじめから相続人でなくなります。

プラスの財産を引き継がなくなりますが、マイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

相続の放棄は、被相続人ごとに判断できます。

例えば、父について相続放棄をするが、母について単純承認するでも差し支えありません。

相続の放棄は、相続人ごとに判断します。

例えば、父の相続人ついて長男は相続放棄するが、長女は単純承認するでも差し支えありません。

相続放棄が認められると、はじめから相続人でなくなります。

2遺贈は遺言書で財産を譲ること

遺贈とは、遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげることです。

遺贈で財産を譲ってあげる人のことを遺贈者、譲ってもらう人を受遺者と言います。

相続では、法定相続人だけに譲ってあげることができます。

遺贈では、法定相続人に譲ってあげることもできるし、相続人以外の人に譲ってあげることができます。

譲ってもらう人は自然人でもいいし、法人などの団体でも差し支えありません。

遺言書に「遺贈する」とあれば、譲ってもらう人が相続人であっても相続人以外の人でも、遺贈で手続します。

3相続放棄しても遺贈は受け取れる

相続人が家庭裁判所に相続放棄の申出をした後で、遺言書が見つかることがあります。

自筆証書遺言は、本人が自宅で保管していることが多いものです。

家族が保管場所を共有していない場合、相続発生後、長期間経過してから見つかることも多々あります。

遺言書の内容を確認したところ、法定相続人に遺贈すると書いてあることがあります。

このような遺言書も、有効です。

遺贈では、法定相続人に譲ってあげることもできるし、相続人以外の人に譲ってあげることができるからです。

遺贈を受ける相続人が相続放棄をしていても、差し支えありません。

相続を放棄することと遺贈を受けることは、別問題だからです。

遺贈を放棄するのであれば、あらためて遺贈を放棄する手続が必要です。

相続を放棄した後、遺贈を承認することができます。

相続放棄しても、遺贈を受け取ることができます。

4税金のデメリットがある

①遺贈の登記にかかる登録免許税は5倍になる

相続放棄をしたら、はじめから相続人でなくなります。

相続人であれば受けられた税金のメリットが受けられなくなります。

不動産の遺贈を受ける場合、遺贈による所有権移転登記をする必要があります。

遺贈による所有権移転登記の登録免許税は、相続人の場合、評価額の1000分の4です。

相続人以外の人の場合、評価額の1000分の20です。

相続放棄をしたら、相続人でなくなります。

相続放棄をした人は、相続人以外の人の扱いです。

相続人以外の人は相続人と比べると、登録免許税が5倍になります。

②不動産取得税がかかるおそれがある

不動産を取得した場合、不動産取得税がかかるおそれがあります。

不動産取得税は、特定遺贈で、かつ、相続人以外の人が不動産を取得した場合に発生します。

5遺贈で遺留分を侵害するおそれ

被相続人は、原則として、自分の財産をだれに受け継がせるかは自由に決めることができます。

とはいえ、財産は被相続人がひとりで築いたものないでしょう。

家族の協力があったからこそ、築くことができた財産のはずです。

被相続人の名義になっているからといって、まったく無制約の自由にすることはできません。

今まで協力してきた家族に酷な結果となることがあるからです。

被相続人に近い関係の相続人には、相続財産に対して最低限の権利が認められています。

相続財産に対して、認められる最低限の権利のことを遺留分と言います。

財産の状況によっては、遺贈によって他の相続人の遺留分を侵害してしまうことがあります。

遺留分を侵害された相続人は、遺留分額侵害額請求をすることができます。

6遺贈が無効になることも

①詐害行為になる場合、遺贈が取り消される

原則として、相続放棄をしても遺贈は受け取れます。

被相続人の財産がわずかなプラスの財産と莫大なマイナスの財産ということがあります。

この状況で、わずかなプラスの財産を相続人に遺贈するという遺言書が見つかることがあります。

おそらく、被相続人に頼んで、このような遺言書を書いてもらった場合でしょう。

原則どおりでは、相続放棄をしているから、相続人は莫大なマイナスの財産を受け継ぐことはありません。

原則どおりでは、遺贈は相続放棄と別物だから、わずかなプラスの財産を受け取ることができるとなってしまいます。

このようなことが許されると、債権者にとってあまりに理不尽です。

債権者は、裁判所に訴えて、理不尽な遺贈の取り消しを請求することができます。

借りたお金を返さなければならないのに、自分の財産を不当に減少させて、結果、お金を返せなくしているからです。

自分の財産を不当に減少させたら、お金を貸した人はお金を返してもらえなくなる結果になります。

お金を貸した人が困ることを知っているのに、自分の財産を不当に減少させることを詐害行為と言います。

理不尽な遺贈として裁判所に認められれば、詐害行為は取り消すことができます。

適切な遺言書によってされた遺贈であっても、理不尽な遺贈は詐害行為にあたります。

②相続財産管理人が選任されたら債権者が優先

例えば、相続財産の内容が、少しのプラスの財産と莫大なマイナスの財産の場合があります。

被相続人に「プラスの財産を遺贈する」遺言を書いもらって相続が発生した場合、「相続は放棄するけど遺贈は承認する」が問題になります。

被相続人の債権者はまったくお金を払ってもらえないのに、相続人はプラスの財産を受け取れることになるのは、不公平だからです。

少しのプラスの財産と莫大なマイナスの財産の場合、相続人はいても相続放棄するでしょう。

相続人全員が相続放棄したら、相続人不存在になります。

相続人不存在になったら、利害関係人は家庭裁判所に相続財産管理人を選んでもらうことができます。

相続財産管理人が選任されている場合で、かつ、受遺者と被相続人の債権者両方がいる場合、債権者への弁済が優先されます。

債権者に弁済が済んだ後でないと、遺贈を執行できません。

事実上、遺贈は執行できなくなります。

7相続放棄は詐害行為ではない

①被相続人が借金をしていた場合

被相続人が多額の借金を抱えたまま死亡した場合、お金を貸した人は相続人にお金を返してもらおうとするでしょう。

相続人は被相続人の借金を引き継がないために、相続放棄をすることが考えられます。

お金を貸した人は相続人にお金を返してもらおうと思っていたのに、相続放棄をされたら、請求できなくなって困ります。

お金を貸した人が困るのは知っていると言えるから、相続放棄を詐害行為として取り消したいと思うでしょう。

このような場合、相続放棄を詐害行為として取り消すことはできません。

相続放棄をしても、自己の財産を不当に減らしたわけではないからです。

②相続人が借金をしている場合

被相続人が多額のプラスの財産を残して死亡することがあります。

相続人が多額の借金を抱えている場合、お金を貸した人は相続した財産からお金を返してもらいたいと期待するでしょう。

プラスの財産が多いことを知っていても、他の相続人のために相続放棄をすることがあります。

相続すれば多額の財産がたやすく手に入るのに、相続放棄をしたら相続財産は受け継ぐことはできません。

お金を貸した人は相続財産からお金を返してもらおうと思っていたのに、相続放棄をされたら、返してもらえなくなって困ります。

お金を貸した人が困るのは知っていると言えるから、相続放棄を詐害行為として取り消したいと思うでしょう。

このような場合、相続放棄を詐害行為として取り消すことはできません。

相続放棄をしても、自己の財産を積極的に減らしたわけではありません。

自己の財産が増えるのを消極的に妨げたに過ぎないからです。

8相続放棄を司法書士に依頼するメリット

相続放棄はプラスの財産もマイナスの財産も引き継ぎませんという裁判所に対する届出です。

相続人らとのお話合いで、プラスの財産を相続しませんと申し入れをすることではありません。

つまり、家庭裁判所で認められないとマイナスの財産を引き継がなくて済むというメリットは受けられないのです。

相続放棄をする場合、相続問題だけでなく、被相続人や相続人の借金の問題が隠れている場合が多いです。

このような複雑な事情がある場合、相続人だけでなく債権者を巻き込んでトラブルになりがちです。

あいまいな知識では、余計トラブルが大きくなります。

相続放棄を考えている人は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続登記を家族が代理申請

2024-04-15

1相続登記を家族が代理申請

①相続登記は相続人本人が自分で申請できる

被相続人が不動産を所有していた場合、不動産は相続人が相続します。

相続登記は、不動産の名義変更のことです。

不動産を相続する相続人が自分で相続登記をすることができます。

相続登記は、相続手続の中でも複雑で手間のかかる手続です。

不動産は、多くの人にとって重要な財産です。

法務局は、重要な財産の名義変更を慎重に審査するからです。

(1)法律の素養がある

(2)調べものが好き

(3)平日の日中に役所に何度も足を運ぶ充分な時間と根気熱意がある

上記にあてはまる人は、相続登記に向いているかもしれません。

相続登記は、相続人本人が自分で申請することができます。

②無報酬で1回限りなら家族が代理申請できる

相続登記は、相続手続の中でも複雑で手間のかかる手続です。

自分で登記申請をするのが難しい場合は、代わりの人に申請してもらうことができます。

無報酬でかつ、業務として代理するのでないのなら、家族に依頼して申請してもらうことができます。

業務として代理するとは、反復継続する意思が認められることです。

今回が1回目でも今後も同じことをする意思がある場合、業務として代理していると判断されます。

今後も同じことをする意思がある場合、違法になります。

無報酬で1回限りなら、家族が代理で申請することができます。

③報酬を受けて業務として代理できるのは司法書士と弁護士だけ

報酬を受けて業務として代理できるのは、国家資格者だけです。

登記申請を報酬を受けて業務として代理できるのは、司法書士と弁護士だけです。

2代理申請に委任状が必要

①委任状は依頼されたことの証明書

相続登記は、家族に依頼して代理で申請してもらうことができます。

相続人本人以外の人が登記申請をする場合、家族であっても委任状が必要です。

委任状は、相続人本人から依頼されたことの証明書です。

相続登記を申請する場合、たくさんの添付書類と一緒に委任状を法務局に提出します。

相続人本人以外の人が申請する場合、書面で依頼を受けたことを証明する必要があるからです。

申請する権限が認められない場合、相続登記をすることができません。

司法書士や弁護士に依頼する場合であっても家族であっても、委任状は必要です。

委任状は、相続人本人から依頼されたことの証明書です。

②不適切な委任状は認められない

適切な依頼を受けていない場合、相続登記を取り下げることになるでしょう。

適切な依頼を受けていない場合、相続登記を代理する権限が認められないからです。

不動産は、多くの人にとって重要な財産です。

登記申請書だけでなく、委任状についても法務局は慎重に審査します。

委任状は、依頼されたことの証明書だからです。

委任状の記載が不適切であった場合、適切な依頼を受けたとは言えなくなります。

だいたい合っているから大丈夫ではなく、完璧な記載が求められます。

一般の人から見ると、些細なことと思えるようなことでやり直しになります。

相続登記に委任状には、登記申請書の内容と同じ内容を記載します。

登記申請書を訂正することができても、代理人は委任状の記載を訂正できないことが多いものです。

委任状の内容は、本人が依頼した内容だからです。

適切な委任を受けていないと判断されることになります。

適切な委任を受けていない場合、相続登記の申請を取り下げることになります。

不適切な委任状は、相続登記が認められなくなります。

③委任状の押印は認印で良い

委任状は、代理人に依頼した内容を証明する書類です。

依頼した人は、委任状に押印しなければなりません。

押印は、実印である必要はありません。

依頼した人の認印で差し支えありません。

委任状に書き間違いを見つけた場合、名前の横に押した印と同一印を押印して、訂正します。

④委任状に契印・割印

委任状に書くべき内容は、たくさんあります。

複数ページに渡る委任状になることがあります。

1通の委任状であることが分かるように、割印・契印を施します。

クリップでとめるだけなど差し替えができる状態では、委任内容を証明できるとは言えないからです。

適切な委任があったと認められない場合、相続登記を取り下げなければならなくなります。

委任状が複数枚になる場合、割印・契印を施します。

3家族が代理申請をするときの委任状の書き方

司法書士などの専門家に依頼する場合、委任状は司法書士が用意します。

登記申請を依頼するのであれば、司法書士が作成した委任状に記名押印するだけで済みます。

相続登記に必要な委任状には、次のことを記載します。

①相続登記を依頼される人の名前と住所

②相続登記を依頼する旨

 「次の登記申請に関する一切の権限を委任します。」と記載すると分かりやすいでしょう。

③登記の目的

④登記原因

⑤相続人

③~⑤は、相続登記の申請書と同じです。

あらかじめ申請書を作ってあるのであれば、そのまま丸写しすれば記載できます。

申請書の記載を書き直す場合、委任状の記載を一緒に書き直す必要があります。

内容が一致していない場合、適切な委任を受けていないと判断されるおそれがあります。

適切な委任を受けていない場合、登記申請を受け付けてもらえないかもしれません。

⑤相続人は、まず括弧をつけて被相続人の氏名をフルネームで記載します。

相続人が複数で共有する場合、相続人の住所氏名だけでなく持分も記載します。

⑥不動産の表示

相続登記の対象になる不動産の表示を記載します。

目的になる不動産の登記簿謄本を確認して、そのまま書き写せば記載できます。

記載事項は、申請書の内容と同じです。

土地であれば、次の事項を記載するといいでしょう。

(1)所在

(2)地番

(3)地目

(4)地積

建物であれば次の事項を記載するといいでしょう。

(1)所在

(2)家屋番号

(3)種類

(4)構造

(5)床面積

建物でも敷地権のあるマンションの一室であれば次の事項を記載するといいでしょう。

(1)一棟の建物の表示

i所在

ii建物の名称

(2)専有部分の建物の表示

i家屋番号

ii建物の名称

iii種類

iv構造

v床面積

(3)敷地権の目的である土地の表示

i土地の符号

ii所在及び地番

iii地目

iv地積

(4)敷地権の表示

i土地の符号

ii敷地権の種類

iii敷地権の割合

相続の対象が土地と建物など不動産が複数ある場合、順番に書き連ねれば差し支えありません。

不動産がたくさんある場合、書くべき項目の書き忘れに注意しましょう。

書くべき項目の書き忘れがあった場合、不動産が特定できないと指摘されるおそれがあります。

不動産を特定できない委任状の場合、登記申請を受け付けてもらえません。

⑦依頼する項目の補足事項

相続登記を申請する場合、登記申請だけでなく付随する手続があります。

手続の一環として一緒にお願いしておくと、手続がスムーズになります。

付随項目を書き忘れてしまうと、代理人が手続できなくなります。

具体的には、次のような項目です。

 1.登記識別情報の受領の件及びその受領について復代理人選任に関する一切の件

 1.登記識別情報の受領に関する一切の件

 1.原本還付請求及び受領に関する一切の件

 1.復代理人選任に関する一切の件

 1.登記に係る登録免許税の還付金を受領する件

特に「登記識別情報の受領に関する一切の件」は重要です。

登記識別情報とは、権利証のことです。

代わりに登記申請をお願いしたのに、権利証を受け取りするために法務局に出向かなければならなくなるからです。

⑧日付

⑨登記申請をお願いする人の住所氏名

ふだん住所は簡単な記載をしている場合であっても、住民票の記載どおり書きましょう。

⓾押印

名前の横に押印します。

4委任状が不要になる例外

①相続人が未成年で親権者が申請

相続人本人が赤ちゃんであることがあります。

赤ちゃんなどの未成年者は、物事の良しあしを適切に判断することができません。

相続人が赤ちゃんである場合、親などの親権者が代わりに相続登記をすることができます。

未成年者は充分な判断ができないから、親などの親権者があらゆることを代理することが認められています。

未成年者に代わって親などの親権者が相続登記をする場合、委任状は不要です。

委任状の代わりに、親などの親権者であることを証明する書類が必要です。

親などの親権者と言えども、他人だからです。

親などの親権者であることを証明する書類とは、親子関係を証明する戸籍謄本です。

相続登記をする場合、親子関係を証明する戸籍謄本は発行後3か月以内のものでなければなりません。

②相続人が認知症で成年後見人が申請

相続人が認知症であることがあります。

認知症になると、物事のメリットデメリットを充分に判断することができなくなります。

記憶があいまいになることがあるでしょう。

認知症の人は自分で判断することができないから、成年後見人が代わりに判断します。

成年後見人は、認知症の人をサポートする人です。

認知症の人に代わって成年後見人が相続登記をする場合、委任状は不要です。

委任状の代わりに、成年後見人であることを証明する書類が必要です。

成年後見人と言えども、他人だからです。

成年後見制度を利用している場合、登記がされます。

成年後見人であることは、後見登記事項証明書で証明することができます。

相続登記をする場合、成年後見人であることを証明する後見登記事項証明書は発行後3か月以内のものでなければなりません。

③遺言執行者が相続登記

被相続人が遺言書を作成していることがあります。

遺言書がある場合、遺言書の内容どおりに財産を分けることができます。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者は、相続人のため相続登記を申請することができます。

遺言執行者が相続登記を申請する場合、委任状は不要です。

委任状の代わりに、遺言執行者であることを証明する書類が必要です。

遺言執行者が遺言書で指名された場合、遺言書で証明することができます。

遺言執行者が家庭裁判所で選任された場合、選任審判書と確定証明書で証明することができます。

④法定相続で権利証が発行されない

相続人になる人は、法律で決まっています。

相続人になる人の相続分も、法律で決まっています。

法律で決まっている相続分を法定相続分と言います。

相続人は、法定相続分で相続することができます。

法定相続分で相続すると、相続人全員で共有することになります。

不動産の共有はデメリットが多いので、おすすめできません。

相続人全員の合意があれば、法定相続分以外の分け方をすることができます。

多くの場合、相続人全員の合意で分け方を決めます。

相続人全員が法定相続分で共有する相続をする場合、原則として、相続人全員が相続手続に参加します。

相続登記をする場合、相続人全員が申請するのが原則です。

例外として、一部の相続人から委任状なしで相続登記を申請することができます。

一部の相続人から相続登記を申請する場合であっても、相続人全員が登記名義人になります。

相続人全員が登記名義人になるのに、登記申請人になった相続人にだけ権利証が発行されます。

登記申請人になっていない相続人に対して、権利証は発行されません。

後から権利証を発行してもらうこともできません。

一部の相続人が相続人全員のために相続登記をすることができるけど、おすすめできません。

権利証がないと、不動産を売却するときや担保に差し出すときに困るからです。

5相続登記を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、相続人はたくさんの相続手続に追われて悲しむ暇もありません。

ほとんどの方は、相続を何度も経験するものではありません。

手続に不慣れで、聞き慣れない法律用語でへとへとになります。

一般的にいって、相続登記は、その中でも難しい手間のかかる手続です。

不動産は、重要な財産であることが多いものです。

一般の方からすると、些細なことと思えるようなことでやり直しになります。

本人が自分で申請している場合、些細なことであれば法務局の窓口まで出向いて申請書の記載を補正することができるケースがあります。

申請書の記載誤りがあると、委任状も記載誤りになります。

代理人に依頼して申請している場合、委任状の記載も一緒に補正する必要があります。

委任状の記載内容は、本人が依頼したことのはずです。

代理人が補正することを認めてもらえない場合が多いものです。

申請書と委任状の記載が一致していない場合、適切な委任を受けていないと判断されます。

適切な委任を受けていない場合、申請書は受け付けてもらえません。

いったん申請を取り下げて、やり直しになります。

相続登記は簡単そうに見えても、思わぬ落とし穴があることもあります。

法務局の登記相談に行っても、何が良くないのか分からなかったというケースも多いです。

司法書士はこのような方をサポートしております。

相続登記を自分でやってみたけど、挫折した方の相談も受け付けております。

相続登記をスムーズに完了させたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

登記されていないことの証明書の委任状は押印不要

2024-04-12

1成年後見は登記事項証明書で確認できる

①成年後見は登記される

成年後見は、物事のメリットデメリットを充分に判断することができなくなった人をサポートする制度です。

成年後見制度を利用している人は、自分で判断することができません。

後見人などの保護者が本人のために契約などの法律行為をします。

本人のために契約するとは言うものの、そのための権限があるのか分かりません。

成年後見制度を利用している人は、登記されています。

後見人などの保護者の権限内容や任意後見契約の内容は、登記事項証明書で確認することができます。

②成年後見制度を利用していない人は登記されていないことの証明書

成年後見制度を利用していない人は、登記されていません。

成年後見制度を利用していないことを証明してもらうことができます。

成年後見制度を利用していないことの証明書が、登記されていないことの証明書です。

2登記されていないことの証明書の取得方法

①申請書はダウンロードできる

登記されていないことの証明申請書は、法務局のホームページに出ています。

ホームページからダウンロードして使うことができます。

②申請できる人

登記されていないことの証明申請書を提出することができるのは、次の人です。

(1)証明対象者本人

(2))証明対象者本人の4親等内の親族

(3)上記(1)(2)の人から委任を受けた人

③申請書の提出先

登記されていないことの証明申請書の提出先は、次のとおりです。

(1)東京法務局後見登録課

(2)全国の法務局、地方法務局本局の戸籍課

愛知県であれば、名古屋法務局本局のみです。

名古屋市内には、熱田出張所や名東出張所があります。

熱田出張所や名東出張所では、登記されていないことの証明書の申請書は受け付けてもらえません。

名古屋市外にある各支局でも、登記されていないことの証明書の申請書は受け付けてもらえません。

④郵送で申請できる

登記されていないことの証明申請書の提出先は、愛知県であれば、名古屋法務局本局のみです。

名古屋法務局本局に出向くのは難しい人もいるでしょう。

登記されていないことの証明書の申請書は、郵送で提出することができます。

郵送で提出する場合は、東京法務局後見登録課のみの対応です。

郵送先

〒102-8226

東京都千代田区九段南1-1-15

九段第2合同庁舎

東京法務局 民事行政部

後見登録課 あて

名古屋法務局本局に郵送しても、受け付けてもらえません。

⑤オンライン申請はおすすめできない

登記されていないことの証明書は、窓口請求や郵送請求の他にオンラインで請求することができます。

オンラインで請求することができるものの、おすすめできる方法ではありません。

登記されていないことの証明申請には、電子署名をする必要があります。

電子証明書を取得するのに、手間と時間がかかります。

電子証明書は、氏名と住所の情報が確認できるものに限られています。

基本型証明書や司法書士電子証明書は、住所の確認ができないため、使うことができません。

3委任状なしで4親等内の親族が請求できる

①4親等内の親族は登記されていないことの証明書を取得できる

成年後見開始の申立てをする場合、登記されていないことの証明書が必要になります。

成年後見開始の申立てとは、認知症などの人のためにサポートする人を選任してもらう手続です。

認知症などで判断力が低下した場合、成年後見開始の申立てをします。

認知症などになった場合、徐々に判断力が低下していきます。

物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなっていく様子は、近くでお世話をしている家族が気がつきます。

認知症になると、委任状の意味が分からないでしょう。

意味が分からずに、委任状を書いても無効です。

成年後見開始の申立ては、認知症の人の家族がします。

4親等内の親族は、認知症の人のため登記されていないことの証明書を取得することができます。

4親等内の親族が登記されていないことの証明書を請求する場合、委任状は不要です。

②4親等内の親族が申請するときの必要書類

4親等内の親族が申請する場合、登記されていないことの証明申請書には、次の書類を添付します。

(1) 4親等内の親族の本人確認書類

運転免許証、健康保険証、マイナンバーカード等です。

(2) 4親等内の親族であることが分かる書類

発行から3か月以内の戸籍謄本や住民票です。

住民票には、続柄の記載が必要です。

4親等内の親族であることが分かる戸籍謄本が現在戸籍でない場合、発行後3か月以上経過したものでも差し支えありません。

4親等内の親族が登記されていないことの証明書を請求する場合、委任状は不要です。

委任状の代わりに、4親等内の親族であることが分かる書類が必要です。

③必要書類は原本還付してもらえる

4親等内の親族は登記されていないことの証明書を取得する場合、4親等内の親族であることが分かる書類が必要になります。

4親等内の親族であることが分かる書類は、希望すれば原本還付をしてもらうことができます。

原本還付を希望する場合、還付してもらいたい書類をコピーして一緒に提出します。

コピーの余白に「原本に相違ありません」と記載して記名します。

余白がない場合、裏面に記載しても差し支えありません。

記名するだけで押印は不要です。

④4親等内の親族はオンライン申請ができない

4親等内の親族が登記されていないことの証明申請をする場合、親族関係を証明する書類が必要です。

オンラインにより送信可能な電子化した戸籍謄本を発行している市区町村はありません。

事実上、4親等内の親族はオンライン申請ができません。

4委任状を出して代理人に依頼ができる

①委任状は手書きでいい

委任状は、依頼したことの証明書です。

委任状の様式は、法務局のホームページからダウンロードすることができます。

ホームページの様式を印刷して、手書きで作成することができます。

法務局の様式を使わずに、自分で作成した委任状でも差し支えありません。

委任状には、次の項目を記載します。

(1)代理人の住所、氏名

(2)依頼した内容

(3)日付

(4)申請人の住所、氏名

②委任状は押印不要

登記されていないことの証明申請書は押印不要です。

代理人を立てて、登記されていないことの証明申請書を提出することができます。

代理人に依頼して手続をする場合、委任状が必要です。

委任状は、押印不要です。

③法人を代理人に立てることができる

登記されていないことの証明申請書は、代理人を立てて依頼することができます。

代理人は、自然人だけでなく法人でも差し支えありません。

法人が代理人になる場合、代表者資格証明書が必要です。

代表者資格証明書は、発行から3か月以内のものでなければなりません。

登記されていないことの証明申請書に、会社法人等番号を記載することができます。

会社法人等番号を記載した場合、代表者資格証明書の提出を省略することができます。

④委任状は原本還付されない

登記されていないことの証明申請書の必要書類は、希望すれば原本還付を受けることができます。

代表者資格証明書は、原本還付を受けることができます。

登記されていないことの証明申請のためだけに作成された書類は、原本還付を受けることができません。

代理人を立てるために委任状を作成する場合、登記されていないことの証明申請のためだけの書類です。

コピーをつけて「原本に相違ありません」と記載のうえ記名しても、委任状は原本還付してもらうことはできません。

5成年後見開始の申立てを司法書士に依頼するメリット

認知症や精神障害や知的障害などで、判断能力が低下すると、物事の良しあしが適切に判断することができなくなります。

記憶があいまいになる人もいるでしょう。

ひとりで判断することが不安になったり心細くなったりしてしまう人をサポートする制度が成年後見の制度です。

本人自身も不安になりますし、家族も不安になります。

身のまわりの不自由を補うために、身近な家族がお世話をすることが多くなるでしょう。

成年後見の申立ては家庭裁判所へ手続が必要です。

身のまわりのお世話をしている家族が本人の判断能力の低下に気づくことが多いです。

身のまわりのお世話をしながら、たくさんの書類を用意して煩雑な手続をするのは負担が大きいでしょう。

司法書士は、裁判所に提出する書類作成もサポートしております。

成年後見開始の申立てが必要なのに忙しくて手続をすすめられない方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

養子の兄弟姉妹が相続人

2024-04-11

1相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生すると、配偶者や子どもが相続することは多くの方がご存知でしょう。

相続人になる人は、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

①配偶者は必ず相続人になる

②被相続人に子どもがいる場合、子ども

③被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

④被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

2養子には普通養子と特別養子の2種類がある

養子には2種類あります。

①普通養子とは

養子縁組とは、血縁関係による親子関係の他に、法律上の親子関係を作る制度です。

子どものいない夫婦が養子縁組をする、配偶者の連れ子と養子縁組するといったことは日常的に聞くことあります。

一般的に、単に「養子」と言ったら、普通養子を指していることがほとんどです。

養子縁組をした後も、血縁関係のある実親との親子関係は続きます。

普通養子は、養親も相続するし、実親も相続します。

②特別養子とは

特別養子では、養子縁組をした後、血縁関係のある実親との親子関係がなくなります。

親子の縁を切る重大な決定なので、厳格な要件で家庭裁判所が決定します。

実の父母による著しい虐待がある場合やその他特別の事情がある場合で、かつ、子の利益のため特に必要があるときに、認められます。

特別養子は、養親を相続しますが、実親は相続しません。

3養子も実子も同じ子どもで区別はない

被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。

子どもというと血縁関係がある実子だけをイメージするかもしれません。

被相続人と養子縁組をした養子は、被相続人の子どもです。

被相続人に血縁関係がある実子がいる場合でもいない場合でも、養子は被相続人の子どもです。

被相続人と養子縁組をした養子と血縁関係がある実子に区別はありません。

同じ被相続人の子どもだから、同じように相続人になります。

被相続人と血縁関係がある実子が第三者と養子縁組をして養子になっている場合があります。

普通養子による養子縁組をした場合、血縁関係のある実親との親子関係は続きます。

実親との親子関係は続くから、養子縁組後も被相続人の子どもです。

特別養子による養子縁組の場合、血縁関係のある実親との親子関係がなくなります。

普通養子による養子縁組の場合、養子縁組後も被相続人の子どもだから、同じように相続人になります。

養子縁組が普通養子による養子縁組であれば、第三者と養子縁組をした実子と第三者と養子縁組をしていない実子にも区別はありません。

4養子の兄弟姉妹が相続人になる場合

①養親の実子は兄弟姉妹

養親と養子縁組をした養子は、養親の子どもになります。

養親が死亡した場合、養子は養親を相続します。

養親に実子がいても実子がいなくても、実子と養子は区別されないからです。

養子に子どもや親などの尊属がいない状態で養子が死亡したとき、養子の兄弟姉妹が相続人になります。

養親の実子は、養子の相続人になります。

養親の実子と養子は区別されないからです。

養親と血縁関係がある実子が第三者と養子縁組をして養子になっている場合、普通養子による養子縁組であれば相続人になります。

普通養子による養子縁組は、実親との親子関係が続くからです。

②養親の他の養子は兄弟姉妹

養親と養子縁組をした養子は、養親の子どもになります。

養子縁組をするのに、法律上人数制限はありません。

養親に複数の養子がいる場合があります。

養親に何人も養子がいたとしても、養親と養子縁組をした養子は、養親の子どもになります。

何人目の養子であっても区別はされません。

養親の他の養子は相続人になります。

養子同士であっても、兄弟姉妹になるからです。

③養子が別の養親の養子になることができる

養子縁組をするのに、法律上人数制限はありません。

養親が複数の養子と養子縁組をすることができます。

同様に、養子が複数の養親と養子縁組をすることができます。

普通養子による養子縁組の場合、実親との親子関係は続きます。

養子が複数の養親と養子縁組をする場合、普通養子による養子縁組であれば最初の養親との親子関係は続きます。

養子には、実親と最初の養親と次の養親がいることになります。

養子縁組を解消する手続は、離縁と言います。

離縁をした場合、戸籍の身分事項で確認することができます。

戸籍の身分事項に離縁が記載されていなければ、親子関係は続いていると判断できます。

複数の養子縁組をしても親子関係は続くからです。

戸籍に記載されている者欄で氏名の下に、父の氏名、母の氏名、養父の氏名、養母の氏名が記載されます。

複数の養子縁組をしている場合、最終の養父の氏名、最終の養母の氏名のみ記載される取り扱いです。

戸籍に記載されている者欄に記載されていない養父や養母がいる場合があり得ます。

親子関係は続くから、養親の子どもは兄弟姉妹になります。

最初の養親と次の養親に区別はないからです。

④養親が認知した子どもは兄弟姉妹

婚姻関係にないカップルの間に生まれた子どもについて、自分の子どもと認めることを認知と言います。

養親が認知した子どもは、養親の実子だから養親の子どもです。

養子の相続人になります。

養子の兄弟姉妹だからです。

⑤実親の子どもは兄弟姉妹

普通養子による養子縁組をした場合、血縁関係のある実親との親子関係は続きます。

実親と親子関係は続くから、実親の子どもは相続人になります。

実親の子どもは、兄弟姉妹だからです。

⑥実親の一方だけ同じ子どもは兄弟姉妹

兄弟姉妹というと、父母同じ兄弟姉妹だけをイメージしがちです。

父母のうち一方だけ同じ兄弟姉妹であっても、兄弟姉妹になります。

父母のうち一方だけであっても、実親であることに変わりはないからです。

5兄弟姉妹が先に死亡したら代襲相続が発生する

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することがあります。

これを代襲相続と言います。

代襲相続ができるのは、相続人になるはずだった人の子どもなど被代襲者の直系卑属だけです。

相続人になるはずだった人を被代襲者と言います。

被代襲者になれるのは、被相続人の子どもなどの直系卑属と被相続人の兄弟姉妹だけです。

被相続人の配偶者は、被代襲者になることはできません。

被相続人の親などの直系尊属は、被代襲者になることはできません。

代襲相続ができるのは、被相続人の卑属で、かつ、被代襲者の子どもなどの直系卑属だけです。

兄弟姉妹が被相続人より先に死亡した場合、代襲相続が発生します。

兄弟姉妹の子どもが代襲相続することができます。

兄弟姉妹の代襲相続は、一代限りです。

兄弟姉妹の子どもが被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹の子どもの子どもは代襲相続をすることができません。

被代襲者が兄弟姉妹の場合、再代襲相続はできません。

6養子がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続税を減らすために、税金の専門家から養子縁組をすすめられることがあります。

税金を減ることだけ強調されて、他のことに考えが及んでいない方も多いです。

特に養子が未成年である場合、手続は大変複雑です。

特別代理人選任の申立など家庭裁判所に手続が必要になる場合など通常ではあまり聞かない手続になると専門家のサポートが必要になることが多いでしょう。

信託銀行などは、高額な手数料で相続手続を代行しています。

信託銀行はこのような手間のかかる手続は引き受けません。

税金の専門家なども対応できず、困っている遺族はどうしていいか分からないまま途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は司法書士の専門分野です。

書類作成だけでなく、途方に暮れた相続人をサポートして相続手続を進めることができます。

自分たちでやってみて挫折した方も、銀行などから断られた方も、相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

遺産分割協議書を強制執行

2024-04-08

1遺産分割協議は相続人全員による合意の証明書

相続が発生した場合、被相続人のものは相続人が相続します。

被相続人の財産は、相続人全員の共有財産です。

相続人のひとりが勝手に処分することはできません。

相続財産の分け方は、相続人全員による合意で決めなければなりません。

相続財産の分け方について、相続人全員でする話し合いを遺産分割協議と言います。

相続財産の分け方について相続人全員の合意ができた場合、合意内容を文書に取りまとめます。

相続人全員の合意内容を取りまとめた文書を遺産分割協議書と言います。

遺産分割協議書は、相続財産の分け方について相続人全員による合意内容の証明書です。

2遺産分割協議は一方的解除ができない

①代償金を払わなくても一方的解除はできない

一般的な売買契約において代金を支払ってもらえない場合、契約を一方的に解除することができます。

被相続人の財産には、さまざまな財産があるでしょう。

現金や預貯金は、分けやすい財産です。

不動産は、分けにくい財産です。

相続財産の大部分が不動産のような分けにくい財産の場合、相続人全員の合意が難しくなるでしょう。

相続財産の大部分が不動産のような分けにくい財産の場合、代償分割をすることで合意ができることがあります。

代償分割とは、一部の相続人が不動産を相続し、残りの相続人は不動産を相続した人から、その分の代償をもらう方法です。

遺産分割協議で代償金を払う合意をしたのに、代償金が惜しくなることがあります。

代償金の支払いがない場合、遺産分割協議をやり直したいと考えるかもしれません。

遺産分割協議では、一方的に解除することができません。

一般的な売買契約において代金を支払ってもらえない場合、契約を一方的に解除することができます。

遺産分割協議において代償金を支払ってもらえない場合、遺産分割協議を一方的に解除することができません。

②不動産を引き渡さなくても一方的解除はできない

代償分割とは、一部の相続人が不動産を相続し、残りの相続人は不動産を相続した人から、その分の代償をもらう方法です。

代償は、金銭で支払われるのが一般的です。

不動産を相続した相続人に代償を支払う現金が用意できないことがあります。

相続人が合意できるのであれば、代償は金銭以外の財産でも差し支えありません。

不動産を相続した相続人が代償として、固有の財産である不動産を譲渡する合意をすることができます。

遺産分割協議で不動産を譲渡する合意をしたのに、不動産が惜しくなることがあります。

不動産を引き渡してもらえない場合、遺産分割協議をやり直したいと考えるかもしれません。

遺産分割協議では、一方的に解除することができません。

遺産分割協議において不動産を譲渡してもらえない場合、遺産分割協議を一方的に解除することができません。

③遺産分割協議のやり直しは相続人全員による合意が必要

一般的な売買契約において、契約を一方的に解除することができます。

遺産分割協議において、遺産分割協議を一方的に解除することができません。

遺産分割協議において、相続人全員が合意できれば遺産分割協議のやり直しをすることができます。

相続人の多数決では、不足です。

遺産分割協議のやり直しは、相続人全員による合意が必要です。

一般的に代償を払ってもらえない場合、代償を払う人と払ってもらう人の話し合い解決を図ります。

他の相続人を含めて全員がやり直しに賛成することは、あまりありません。

遺産分割協議のやり直しは、高いハードルがあります。

3遺産分割協議書を公正証書にして強制執行

①強制執行認諾文言で金銭債権を強制執行

遺産分割協議書は、相続財産の分け方について相続人全員の合意内容を取りまとめた文書です。

一般的に遺産分割協議書は、私文書で作成します。

私文書とは、一般の民間人が個人的に作成した文書です。

遺産分割協議書は、公証役場で公正証書にしてもらうことができます。

遺産分割協議書を公正証書にした場合、代償金の支払いを確実にすることができます。

公正証書で遺産分割協議書を作成する場合、強制執行認諾文言を入れることができるからです。

強制執行認諾文言とは「代償金が支払われない場合、直ちに強制執行に服する」といった文言です。

強制執行認諾文言がある場合、公正証書は裁判による判決と同様の効力が与えられます。

公正証書で遺産分割協議書を作成する場合、公証役場に手数料を支払う必要があります。

代償金が支払われない場合、直ちに強制執行をすることができます。

「代償金が支払われない場合、直ちに強制執行に服する」と約束しているからです。

②不動産の引渡しで公正証書は債務名義にならない

代書分割をする場合、代償は金銭以外の財産でも差し支えありません。

遺産分割協議書は、公証役場で公正証書で作成してもらうことができます。

公正証書で強制執行できるのは、金銭債権だけです。

代償金の支払いは、金銭債権です。

代償金の支払いがされなかった場合、公正証書で強制執行をすることができます。

金銭以外の財産の引渡しは、金銭債権ではありません。

金銭以外の財産の引渡しは、公正証書で強制執行をすることができません。

金銭以外の財産の引渡しを強制執行するためには、別の方法で債務名義を得る必要があります。

債務名義とは、裁判所が強制執行を許可する前提となる文書です。

金銭以外の財産の引渡しでは、公正証書は債務名義にはなりません。

4裁判手続で債務名義を得る

①遺産分割後の紛争調整調停で調停調書

相続財産の分け方について相続人全員合意ができた場合、遺産分割協議は成立します。

遺産分割協議で代償金を払うと約束したのに払ってもらえない場合でも、一方的に解除することはできません。

遺産分割協議の合意内容を守ってもらえない場合、遺産分割後の紛争調整調停を申し立てることができます。

遺産分割協議が成立してから長期間経過した後に、紛争調整調停を申し立てることができます。

調停とは、裁判所のアドバイスを受けてする当事者の話し合いです。

当事者同士で話し合いをした場合、感情的になってしまうかもしれません。

家庭裁判所の調停委員と話をすると、冷静に話ができるでしょう。

家庭裁判所の調停委員から公平な意見を根拠にしてアドバイスがされると、納得しやすくなるでしょう。

代償金の支払いについて合意ができた場合、合意内容は調停調書に取りまとめます。

代償金が支払われない場合、強制執行をすることができます。

調停調書は、債務名義になります。

②代償金支払い請求訴訟を提起して勝訴判決

遺産分割後の紛争調整調停は、当事者の話し合いです。

話し合いで合意を目指します。

遺産分割後の紛争調整調停で話し合っても合意ができない場合、代償金支払い請求訴訟を提起することができます。

代償金支払い請求訴訟は、通常の裁判です。

家庭裁判所でなく、地方裁判所や簡易裁判所の管轄です。

当事者の話し合いで合意できる見込みがない場合、調停をせずに代償金支払い請求訴訟を提起することができます。

代償金支払い請求訴訟を提起した後、判決を得るには相当の時間と費用がかかります。

代償金支払い請求訴訟で勝訴した場合、強制執行をすることができます。

代償金支払い請求訴訟の勝訴判決は、債務名義になります。

5遺産分割協議の内容を守ってもらうために

①同時履行で押印と印鑑証明書

相続財産の分け方について相続人全員が合意した場合、遺産分割協議は終了します。

代償分割で代償の支払いがなくても、一方的な解除をすることはできません。

代償分割をする場合、代償を確実に支払ってもらうことが大切です。

代償の支払いと遺産分割協議書の押印を同時履行とするといいでしょう。

代償が高額である場合、銀行振出の小切手による支払をしてもらうことができます。

振込で代償を支払う場合、口座残高はスマートフォンやパソコンで確認することができます。

遺産分割協議書に押印しない場合、相続手続を進めることはできません。

遺産分割協議書に押印と代償の支払いを同時履行とした場合、確実に支払ってもらうことができます。

②抵当権の設定

抵当権とは、支払いを確実にするため担保に取る権利です。

代償が支払われなかった場合、抵当権を実行することができます。

抵当権を実行するとは、不動産を取り上げて競売して売却代金から代償を払ってもらうことです。

抵当権を設定した場合、抵当権設定登記をします。

抵当権設定登記には、登録免許税を納めなければなりません。

抵当権設定登記を司法書士などの専門家に依頼した場合、報酬がかかります。

抵当権設定をした場合の費用負担について、合意しておく必要があります。

③連帯保証人を立ててもらう

連帯保証人とは、代償の支払いを確実にするため主債務者と同様の返済の義務を負う人です。

代償が支払われなかった場合、連帯保証人に返済を請求することができます。

連帯保証契約は、書面で締結する必要があります。

連帯保証人が相続人以外の第三者である場合、遺産分割協議書とは別に連帯保証契約書を作成します。

連帯保証人は、主債務者に請求して欲しいと文句を言うことはできません。

連帯保証人を立ててもらうことで、代償の支払いを確実にすることができます。

④分割払いの合意には滞納リスクがある

代償金の支払いは、一括払いが一般的です。

相続人が合意できるのであれば、分割払いにすることができます。

代償金の支払いを分割払いにした場合、将来、支払われなくなるリスクがあります。

将来、代償金が支払われなくても、法定解除はできません。

確実に支払ってもらうために、代償金を分割払いにすることができます。

分割払いにすると、滞納リスクがあります。

⑤遅延損害金の合意で心理的プレッシャー

お金の貸し借りをした場合、返済期日までに返済できないときに備えて遅延損害金を払う約束をします。

遅延損害金は、通常の利息より高い利率で約束するでしょう。

高い利率の遅延損害金を払うことになるから、何とかして返済期日までに返済します。

代償金が支払期日までに支払われない場合に備えて、遅延損害金を払う約束をすることができます。

高い利率の遅延損害金を払うことになるから、心理的プレッシャーを与えることができます。

⑥代償分割より換価分割

代償分割は、任意に代償を払ってもらう方法です。

代償金が払われない場合、そもそも代償分割が適切でないかもしれません。

相続財産の分け方には、換価分割の方法があります。

換価分割とは、不動産を売却してお金に換えた後、お金を分ける方法です。

売却代金を分けるから、代償金を払ってもらえないと心配する必要はありません。

換価分割では、不動産を売却してお金に換えます。

せっかく家族が守ってきた不動産を手放すことへの罪悪感にかられて、話し合いがまとまらないおそれがあります。

そもそも代償分割より換価分割が適切かもしれません。

6遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット

遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。

合意がきちんと文書になっているからこそトラブルが防止できるといえます。

書き方に不備があるとトラブルを起こしてしまう危険があります。

せっかくお話合いによる合意ができたのに、取りまとめた文書の不備でトラブルになるのは残念なことです。

トラブルを防止するため、遺産分割協議書を作成したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

遺言書作成後に書き換えができる

2024-04-07

1遺言書は書き換えができる

遺言書は遺言者の意思を示すものです。

遺言書の書き方ルールは民法という法律で、細かく決められています。

遺言書を書くこと自体を大げさに考えて、書いたら終わりと思われがちです。

民法には、いつでも、遺言書の撤回ができるとはっきり書いてあります。

遺言書は、新たな遺言書で書き換え(撤回)ができます。

書き直しをするのも遺言書なので、本人以外が書き直しをすることはできません。

他の人が代理で書き直すことはできませんし、相続人が撤回することもできません。

自筆証書遺言で、かつ、些細な書き間違いであれば、内容訂正する程度でも差し支えありません。

大きな修正をする場合は改めて作った方がいいでしょう。

一度書いたら書き直しがなくて済む場合もありますが、状況が変われば書き直しすることは割とよくあることです。

新たに誕生した孫や曽孫に財産を譲りたい場合、新たに書き直すことができます。

遺言書で財産を相続させる子どもがお世話をしてくれないのであれば、お世話をしてくれる子どもに財産を相続させると書き直すことができます。

何度も書き直すことで、よりいい遺言書にすることができます。

2遺言書を書き換えるときの注意点

①遺言書の書き換えをしたら原則新しい遺言書が有効    

新しい遺言書と古い遺言書がある場合、新しい遺言書が優先します。

古い遺言書は撤回されたと考えられるからです。

この場合、両立できない部分だけ、撤回されたと考えます。

古い遺言書

〇〇銀行の預貯金は相続人〇〇に相続させる

不動産〇〇は相続人◇◇に相続させる

新しい遺言書

不動産〇〇は相続人〇〇に相続させる

上記のように遺言書があった場合、新しい遺言書で、不動産についてのみ書き直されたと考えます。

預貯金については古い遺言書が効力を持っています。

複数の遺言書が見つかった場合でも、内容が両立できる部分は撤回されません。

新しい遺言書で内容が反映されていないと、トラブルの火種となります。

後から誤解を招くおそれがあることから、新たにすべての内容の遺言書を作成したほうがいいでしょう。

新しい遺言書の内容に〇年〇月〇日付遺言書は全部撤回するとして、撤回理由も書くと相続人も納得しやすくトラブルが減ります。

このうえで、古い遺言書を破り捨てると安心でしょう。

②遺言書の書き換えはいつでも何度でもできる

遺言書の書き直しは、遺言者が生きている間はいつでも何度でもできます。

相続人らと遺言書の書き直しはしませんと約束しても無効です。

書き直し回数の上限もありません。

何度でも書き直すことができます。

新たに孫や曽孫が誕生したから書き換える、財産の内容が変化したから書き直すこともよくあることです。

③遺言書の書き換えに承諾は不要

書き直しをするために相続人の承諾をもらう必要はありません。

書き直しをしたことをだれかに知らせなければならないといったこともありません。

最初に作った遺言書が公正証書遺言である場合、公正証書を作った公証役場に連絡する必要はありません。

新たに公正証書遺言を作る場合、以前公正証書遺言を作成したことを申告する必要はありません。

④自筆証書遺言でも公正証書遺言でも書き換えができる

遺言書を書き直す場合、遺言書の方式は問われません。

遺言の方式とは、自筆証書遺言、公正証書遺言といった遺言書の種類のことです。

自筆証書遺言、公正証書遺言いずれの方式でも書き換えることができます。

いずれの方式でも日付の新しいものが優先されます。

理論上は、日付の古い公正証書遺言を日付の新しい自筆証書遺言で書き直すことができます。

公正証書遺言は遺言内容を聞いた公証人が作るので、様式に不備がなく遺言書が確実に作ることができます。

自筆証書遺言はだれの確認も受けずに遺言者がひとりで作ることが多いので、遺言書が無効になりがちです。

後から書いた自筆証書遺言が無効になった場合、家族がトラブルになることが予想できるでしょう。

遺言書の書き直しは、できるだけ、公正証書遺言にすることをおすすめします。

⑤撤回遺言を撤回した場合は最初の遺言は復活しない

遺言書の書き換えはいつでも何度でもできます。

相続が発生した後、複数の遺言書が見つかることがあります。

例えば、1番目の遺言書が作られた後、2番目の遺言書が作られて、さらに3番目の遺言書が作られたようなケースです。

2番目の遺言書の内容が「1番目の遺言書を撤回する」の場合、1番目の遺言書は無効になります。

3番目の遺言書の内容が「2番目の遺言書を撤回する」の場合、2番目の遺言書は無効になります。

2番目の遺言書の内容が「1番目の遺言書を撤回する」で、かつ、3番目の遺言書の内容が「2番目の遺言書を撤回する」の場合、1番目の遺言書は復活しません。

2番目の遺言書で、撤回したからです。

「遺言書を撤回する」内容の遺言書を撤回遺言と言います。

撤回遺言を撤回した場合、最初の遺言書は無効のままです。

⑥撤回遺言を取り消した場合は最初の遺言は復活する

遺言書は遺言者の意思を示すものです。

遺言者が自分の意思で書くものです。

ときには、だれかに強迫されたりだまされて遺言書を書かされてしまう場合があります。

例えば、1番目の遺言書が作られた後、2番目の遺言書が作られた場合で、2番目の遺言書がだれかに強迫されたりだまされて書かされた遺言書であるケースです。

2番目の遺言書の内容が「1番目の遺言書を撤回する」の場合、通常は、1番目の遺言書は無効になります。

2番目の遺言書は、だれかに強迫されたりだまされて書いた遺言書です。

遺言者が自分の意思で書いた遺言書ではありません。

遺言者が自分の意思で書いたのではないから、遺言書を取り消すことができます。

2番目の遺言書を取り消した場合、2番目の遺言書は無効になります。

2番目の遺言書を取り消した場合、1番目の遺言書は復活します。

「1番目の遺言書を撤回する」は、遺言者の意思ではなかったからです。

⑦自筆証書遺言は検認が必要

遺言書の書き換えはいつでも何度でもできます。

自筆証書遺言を見つけた人は、家庭裁判所に対して検認の申立てをしなければなりません。

自筆証書遺言書がたくさんある場合、検認手続を何度もすることになります。

自筆証書遺言はだれの確認も受けずに遺言者がひとりで作ることが多いので、遺言書が無効になりがちです。

遺言書作成は書き換えも含めて公正証書遺言をおすすめします。

3撤回とみなされる行為がある

古い遺言書は新しい遺言書で撤回することができます。

新しい遺言書がなくても、撤回したとみなされることがあります。

撤回したとみなされるのは次の場合です。

①遺言書の内容と抵触する生前処分がされた場合

遺言書で不動産〇〇〇を相続人〇〇に相続させると書いた後、不動産〇〇〇を売ったり、贈与したりする場合です。

②遺言書を書いた人が故意に遺言書を捨てた場合

公正証書遺言原本は公証役場で保管されていますから、捨てることができません。

公正証書遺言を作成した後、正本と謄本が渡されます。

手元にある正本と謄本を破り捨てても意味はありません。

遺言書原本は公証役場に厳重に保管してあるからです。

公正証書遺言を撤回するためには、新たに遺言書を作る必要があります。

新たに作る遺言書は、トラブル防止のためにも、公正証書遺言をおすすめします。

③遺言書を書いた人が故意に目的物を捨てた場合

捨てるのは、物理的に捨てることをいいますが、経済的な意味で使えなくすることも捨てると同様だと解釈されます。

4家族信託契約は勝手に書き換えができない

家族信託では、信託契約の中でいろいろなことを自由に決めることができます。

家族信託がいつ終了するのか、信託契約の中で決めておくことができます。

信託が終了したら、だれが信託財産を受け継ぐのか、信託契約の中で決めておくことができます。

家族信託は契約ですから、当事者が一方的に書き換えをすることはできません。

家族の中に不信感がある場合、それぞれが自分に有利な遺言書を書いてもらいたいと考えます。

遺言書は何度でも書き換えができるからです。

身のまわりが不自由になって不安になっているときに、優しい言葉をかけられると有利な遺言書を書いてあげたくなります。

物事のメリットデメリットを充分に判断することが難しくなっても、遺言書の書き換えは続きます。

公正証書遺言を作成するのは、ほんの1時間程度でしょう。

見知らぬ公証人がいるときは、気丈にふるまうことが多いです。

1時間程度では気付かれずに遺言書を作ることができてしまいます。

家族信託契約の中で、だれが信託財産を受け継ぐのか決めておく方がいい場合があります。

家族信託契約は当事者が一方的に撤回することができないから、家族でよく話し合って契約することが重要です。

5遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書は遺言者の意思を示すものです。

自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。

いろいろ言い訳を考えて先延ばしします。

先延ばしした結果、認知症などで遺言書を作れなくなって、その先には家族のもめごとが待っています。

家族がトラブルに巻き込まれることを望む人はいないでしょう。

死んだ後のことを考えるのは不愉快などと言えるのは、判断力がしっかりしている証拠ですから、まず遺言書を書くことをおすすめします。

遺言書があることでトラブルになるのは、ごく稀なケースです。

遺言書がないからトラブルになるのはたくさんあります。

そのうえ、遺言書1枚あれば、相続手続きは格段にラクになります。

状況が変われば、遺言書は何度でも書き直すことができます。

家族を幸せにするために遺言書を作ると考えましょう。

遺言書の書き直しのご相談もお受けしています。

家族の喜ぶ顔のためにやるべきことはやったと安心される方はどなたも晴れやかなお顔です。

家族の幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

半血兄弟の相続分は半分のまま

2024-04-03

1相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生すると、配偶者や子どもが相続することは多くの方がご存知でしょう。

相続人になる人は、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

①配偶者は必ず相続人になる

②被相続人に子どもがいる場合、子ども

③被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

④被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

2兄弟姉妹が相続人になるときの兄弟姉妹とは

①両親が同じ兄弟姉妹は兄弟姉妹

被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。

兄弟姉妹が相続人になるというと、両親が同じ兄弟姉妹を真っ先イメージするでしょう。

両親が同じ兄弟姉妹は、相続人になります。

②両親の一方が同じ兄弟姉妹は兄弟姉妹

被相続人の親に再婚歴があることがあります。

相続人調査をしたところ、両親の一方が同じ兄弟姉妹が判明することがあります。

兄弟姉妹が相続人になるときの兄弟姉妹とは、両親が同じ兄弟姉妹に限られません。

両親の一方が同じ兄弟姉妹は、相続人になります。

③第三者と養子縁組をした兄弟姉妹は兄弟姉妹

両親が同じ兄弟姉妹や両親の一方が同じ兄弟姉妹の中で、第三者と養子縁組をして養子になっていることがあります。

養子には、2種類あります。

普通養子と特別養子です。

子どものいない夫婦が養子縁組をする、配偶者の連れ子と養子縁組するといったことは日常的に聞くことあります。

一般的に、単に「養子」と言ったら、普通養子を指していることがほとんどです。

普通養子は、養子縁組をした後も血縁関係のある実親との親子関係が続きます。

血縁関係のある実親との親子関係が続くから、兄弟姉妹関係も続きます。

普通養子による養子縁組をして養子になった兄弟姉妹は、相続人になります。

特別養子は、養子縁組をした後は血縁関係のある実親との親子関係がなくなります。

血縁関係のある実親との親子関係がなくなるから、兄弟姉妹関係もなくなります。

特別養子による養子縁組をして養子になった兄弟姉妹は、相続人になりません。

④親と養子縁組をした養子は兄弟姉妹

被相続人の親が第三者の子どもと養子縁組をして養親になっていることがあります。

養子縁組をした場合、養親と養子の間に親子関係が作られます。

普通養子であっても特別養子であっても、養親と養子は親子です。

養親と養子の間に親子関係が作られるから、養親の実子と兄弟姉妹関係になります。

親と養子縁組をした養子は、相続人になります。

⑤養子同士であっても兄弟姉妹

被相続人の親が第三者の子どもと養子縁組をして養親になっていることがあります。

養子縁組をする場合、養子の人数に制限はありません。

複数の子どもと養子縁組をすることができます。

被相続人の親に複数の養子がいる場合、どの養子も養親と親子関係があります。

養親と養子の間に親子関係が作られるから、養子同士で兄弟姉妹関係になります。

被相続人の親と養子縁組をした養子は、相続人になります。

⑥親と養子縁組をした後に第三者と養子縁組をした養子は兄弟姉妹

被相続人の親が第三者の子どもと養子縁組をして養親になっていることがあります。

養子縁組をする場合、養親の人数に制限はありません。

複数の養親と養子縁組をすることができます。

被相続人の親が第三者の子どもと養子縁組をした後に、養子が別の第三者と養子縁組をすることがあります。

複数の養子縁組をした場合、有効な養子縁組です。

先の養子縁組が無効になることも、後の養子縁組が無効になることもありません。

第三者と養子縁組をした養子が親の養子になる養子縁組をした場合、両方の養子縁組が有効です。

両方の養子縁組が有効だから、両方で親子関係が作られます。

養親と養子の間に親子関係が作られるから、養親の実子や養子同士で兄弟姉妹関係になります。

親と養子縁組をした後に第三者と養子縁組をした養子は、相続人になります。

⑦親が認知した子どもは兄弟姉妹

被相続人の親に婚姻関係にない子どもがいることがあります。

認知とは、婚姻関係にない子どもを自分の子どもと認めることです。

認知によって、親子関係が認められます。

親と認知された子どもに親子関係が認められるから、他の子どもと兄弟姉妹関係が認められます。

親に認知された子どもは、相続人になります。

⑧親に認知されていない子どもは兄弟姉妹ではない

被相続人の親に婚姻関係にない子どもがいる場合、認知を受けていないことがあります。

実際に血縁関係があっても認知を受けていない場合、親子関係が認められません。

親と認知された子どもに親子関係が認められないから、他の子どもと兄弟姉妹関係が認められません。

親に認知されていない子どもは、相続人になりません。

⑨親の配偶者の連れ子は兄弟姉妹ではない

被相続人の親に再婚歴がある場合、親の配偶者に連れ子がいることがあります。

親の配偶者と連れ子には、親子関係があります。

親が再婚した場合、配偶者の連れ子と親子関係は作られません。

親と配偶者の連れ子に親子関係を作りたい場合、別途養子縁組をする必要があります。

親と配偶者の連れ子に親子関係がないから、他の子どもと兄弟姉妹関係が認められません。

配偶者の連れ子は、相続人になりません。

3兄弟姉妹の財産を分け合うときの半血兄弟の相続分

①半血兄弟の相続分は全血兄弟の相続分の半分

被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。

兄弟姉妹が相続人になる場合、全血兄弟と半血兄弟の相続分は同じではありません。

全血兄弟とは、両親が同じ兄弟姉妹です。

半血兄弟とは、両親の一方が同じ兄弟姉妹です。

兄弟姉妹が相続人になる場合、半血兄弟の相続分は全血兄弟の相続分の半分です。

②養子にも半血兄弟はいる

養子縁組をした場合、養親と養子の間に親子関係が作られます。

親子関係が作られるのは、養親と養子の間だけです。

養親が夫婦であっても、自動的に2人に親子関係が作られるわけではありません。

夫婦の一方だけが養親となる養子縁組をすることができます。

夫婦の他方と親子関係は作られません。

両親が同じ兄弟姉妹と両親の一方が同じ兄弟姉妹は、同じ相続分ではありません。

両親の一方が同じ兄弟姉妹は半血兄弟姉妹だから、全血兄弟姉妹の相続分の半分です。

③半血兄弟の子どもが代襲相続

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することがあります。

これを代襲相続と言います。

兄弟姉妹が先に死亡した場合、兄弟姉妹の子どもが代襲相続します。

兄弟姉妹の子どもは、甥姪です。

相続人になるはずだった半血兄弟が先に死亡した場合、半血兄弟の子どもが代襲相続します。

代襲相続人は、相続人になるはずだった人の相続分を引き継ぎます。

代襲相続人が複数いる場合、被代襲者の相続分を平等に分け合います。

半血兄弟の相続分は、全血兄弟の相続分の半分です。

代襲相続人は被代襲者の相続分を分け合うから、相応に少ない相続分になります。

④親に認知されていない子どもに相続分はない

実際に血縁関係があっても認知を受けていない場合、親子関係が認められません。

親に認知されていない子どもは相続人にならないから、相続分は認められません。

⑤親の配偶者の連れ子に相続分はない

親が再婚した場合、配偶者の連れ子と親子関係は作られません。

配偶者の連れ子は相続人にならないから、相続分は認められません。

4親の財産を分け合うときの相続分

①親を相続するときに全血兄弟と半血兄弟の区別はない

兄弟姉妹が相続人になる場合、半血兄弟の相続分は全血兄弟の相続分の半分です。

半血兄弟の相続分が全血兄弟の相続分の半分になるのは、被相続人の兄弟姉妹が相続する場合の話です。

被相続人の子どもが相続する場合、全血兄弟と半血兄弟の区別はありません。

全血兄弟と半血兄弟の区別なく、相続分は平等です。

②親を相続するときに嫡出子と非嫡出子の区別はない

嫡出子とは、法律婚をした夫婦の間に生まれた子どもです。

非嫡出子とは、法律婚をしていない男女間に生まれた子どもです。

被相続人の子どもが相続する場合、現在では嫡出子と非嫡出子の区別はありません。

以前は、非嫡出子の相続分は、嫡出子の半分でした。

平成25年9月4日最高裁判所は、「非嫡出子の相続分は嫡出子の半分」は無効と決定しました。

嫡出子と被嫡出子は同じ子どもだから、平等に扱われるべきだからです。

③親を相続するときに養子と実子の区別はない

養子縁組をした場合、養親と養子の間に親子関係が作られます。

被相続人の子どもが相続する場合、養子と実子の区別はありません。

養子と実子は、被相続人の子どもであることに変わりはないからです。

養子と実子がいる場合、養子が相続できなくなるルールはありません。

養子と実子がいる場合、養子の相続分が少なくなるルールはありません。

養子と実子の区別はないからです。

5半血兄弟とのトラブルを避けるため遺言書作成

①遺言書で財産の分け方を決めておく

被相続人は、生前自分の財産を自由に処分することができます。

被相続人は遺言書を作成して、自分の財産をだれに引き継いでもらうか決めることができます。

被相続人が何も決めないで死亡した場合、被相続人の財産は相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

相続人に半血兄弟が含まれる場合、関係性が薄いことが多いでしょう。

関係性が薄い相続人がいる場合、相続人全員の合意が難航しがちです。

被相続人が遺言書を作成しておいた場合、相続人全員の話し合いが不要です。

半血兄弟とトラブルになることも、少なくなるでしょう。

②遺言執行者を選任しておく

遺言書は、作成するだけでは意味がありません。

遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書で遺言執行者を選任することができます。

遺言執行者がいると、わずらわしい相続手続をおまかせすることができます。

③公正証書遺言がおすすめ

公正証書遺言とは、遺言内容を公証人に取りまとめてもらって作る遺言書です。

遺言者が公証人に遺言内容を伝えて、証人2人に確認してもらって作ります。

遺言書には、厳格な書き方ルールがあります。

公証人は、法律の専門家です。

公正証書遺言は公証人が関与するから、書き方ルールの違反で無効になることがあり得ません。

せっかく遺言書を作成しても、無効な遺言書では意味がありません。

遺言書を作成には、公正証書遺言がおすすめです。

6半血兄弟が相続人になる相続を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、被相続人のものは相続財産になります。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方を決めるためには、相続人全員の合意が必要です。

相続人の一部を含めない合意や相続人でない人を含めた合意は、無効になります。

相続財産の分け方の話し合いの前提として、相続人の確定はとても重要です。

半血兄弟が相続人になる相続では、話し合いの難易度が上がります。

両親の一方だけ同じ半血兄弟姉妹がいる場合、関係性がいいことはあまりないでしょう。

インターネットが普及したことで、多くの情報を手軽に得ることができるようになりました。

簡単に情報発信ができるようになったこともあって、適切でない情報も有益な情報もたくさん出回っています。

相続の専門家と名乗っていながら、適切でないアドバイスを見かけることも度々あります。

代襲相続や数次相続が発生している場合、信頼できる専門家のサポートが欠かせません。

スムーズに相続手続を行いたい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

甥姪に相続させる遺言書

2024-04-01

1甥姪が相続人になるケース

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②甥姪と養子縁組で相続人になる

被相続人が養親になる養子縁組をしていることがあります。

養子縁組とは、血縁関係による親子関係の他に法律上の親子関係を作る制度です。

養子縁組をした場合、養親と養子は親子になります。

養子は、養親の子どもです。

養親に相続が発生した場合、養子は相続人になります。

養子は、養親の子どもだからです。

被相続人が兄弟姉妹の子どもと養子縁組をすることがあります。

養子は、養親の子どもです。

兄弟姉妹の子どもは、被相続人から見ると甥姪です。

兄弟姉妹の子どもと養子縁組をした場合、被相続人の子どもの身分と甥姪の身分があります。

養子は、被相続人の子どもになります。

相続が発生した場合、甥姪が相続人になります。

③甥姪が代襲相続人になる

被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。

相続人になるはずだった人が先に死亡した場合、相続人になるはずだった人の子どもが相続します。

相続人になるはずだった人が先に死亡した場合、相続人になるはずだった人の子どもが相続することを代襲相続と言います。

兄弟姉妹が相続人になるはずだったのに被相続人より先に死亡した場合、代襲相続が発生します。

相続人になるはずだった兄弟姉妹の子どもが代襲相続人です。

被相続人の兄弟姉妹の子どもは、被相続人から見ると甥姪です。

被相続人の兄弟姉妹が先に死亡した場合、甥姪が代襲相続人になります。

2相続できるのは相続人だけ

相続人になる人は、法律で決まっています。

相続が発生した場合、被相続人のものは相続人が相続します。

相続ができるのは、相続人だけです。

相続人以外の人は、相続することはできません。

被相続人の死亡をきっかけに、財産を譲る方法はいくつか考えられます。

相続人以外の人に財産を譲りたい場合、相続以外の方法で譲ります。

生前に何の準備をしていなくても、相続人は被相続人のものを相続します。

生前に何の準備をしていないと、相続人以外の人は被相続人の財産を受け取ることはできません。

「財産○○を相続人○○に相続させる」遺言書があれば、相続手続がラクになります。

遺言書で遺言執行者を指名しておくと、相続手続は遺言執行者におまかせできます。

甥姪が相続人になる場合、生前に何の準備をしていなくても相続することができます。

甥姪が相続人でない場合、生前に何の準備もしていないと財産を受け取ることはできません。

相続人でない甥姪に財産を受け取ってもらいたい場合、生前に財産を譲る準備が必須です。

自称専門家は、財産を譲ることをすべて相続と称して混乱させています。

相続ができるのは、相続人だけです。

相続人以外の人は、相続することはできません。

知識がない自称専門家に、充分注意しましょう。

3甥姪に遺贈ができる

遺贈とは、被相続人が遺言によって、相続人や相続人以外の人に、財産を譲ってあげることです。

遺贈で財産を譲り渡す人のことを遺贈者、譲り受ける人を受遺者と言います。

相続では、法律で決められた相続人だけが相続します。

遺贈では、相続人に譲ってあげることもできるし、相続人以外の人に譲ってあげることができます。

甥姪が相続人でない場合、遺言書で財産を譲ってあげることができます。

相続に対して遺贈することができるし、相続人以外の人に遺贈することができるからです。

遺贈には、2種類あります。

特定遺贈と包括遺贈です。

特定遺贈とは、遺言書に「財産〇〇〇〇を遺贈する」と財産を具体的に書いてある場合です。

包括遺贈とは、遺言書に「財産すべてを包括遺贈する」「財産の2分の1を包括遺贈する」と割合だけ書いて財産を具体的に書いてない場合です。

包括遺贈では、具体的な財産は書いてありません。

「財産の2分の1を包括遺贈する」とあった場合、財産の2分の1とは、どの財産なのか分かりません。

包括遺贈を受けた場合、相続人全員と遺産分割協議が不可欠です。

具体的にどの財産を受け取るのか、相続人全員と話し合いで決めなければなりません。

遺言書の記載は2分の1などの割合だけで、具体的財産の記載がないからです。

包括遺贈では、財産を譲ってもらう人は相続人と同一の権利義務が与えられます。

4甥姪に相続させる遺言書の注意点

①兄弟姉妹以外の相続人に遺留分がある

被相続人は、原則として、自分の財産をだれに受け継がせるかは自由に決めることができます。

財産は被相続人が一人で築いたものではないでしょう。

家族の協力があってこそ、築くことができた財産のはずです。

被相続人の名義になっているからといって、まったく無制約の自由にすることはできません。

今まで協力してきた家族に、酷な結果となることがあるからです。

被相続人に近い関係の相続人には、相続財産に対して最低限の権利が認められています。

相続財産に対して、認められる最低限の権利のことを遺留分と言います。

遺留分は、兄弟姉妹以外の相続人に認められます。

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

子どもが相続人になる場合、甥姪は原則として相続人になりません。

子どもが相続人になる場合、子どもには遺留分が認められます。

被相続人が「財産すべてを包括遺贈する」遺言書を作成して死亡することがあります。

全財産を遺贈した場合、相続人である子どもは何も相続することはできません。

相続財産に対して認められる最低限の権利すら相続できない場合、遺留分が侵害されています。

相続人である子どもは、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分侵害額請求がされる場合、相続人間で深刻なトラブルに発展します。

遺言書を作成する場合、相続人の遺留分に配慮することが大切です。

兄弟姉妹以外の相続人には、遺留分があります。

②相続人が兄弟姉妹なら遺留分侵害額請求はできない

遺留分は、相続人に認められる最低限の権利です。

被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。

兄弟姉妹は、相続人になっても遺留分が認められません。

被相続人が「財産すべてを包括遺贈する」遺言書を作成して死亡することがあります。

全財産を遺贈した場合、他の相続人は何も相続することはできません。

兄弟姉妹が相続人になる場合、遺留分は認められません。

兄弟姉妹は何も相続できなかった場合、何も請求することができません。

兄弟姉妹が被相続人より先に死亡していることがあります。

相続人になるはずだった兄弟姉妹が先に死亡した場合、代襲相続が発生します。

相続人になるはずだった兄弟姉妹の子どもが相続します。

代襲相続が発生した場合、被代襲者の相続分と遺留分を引き継ぎます。

兄弟姉妹は、相続人になっても遺留分が認められません。

相続人になるはずだった兄弟姉妹に遺留分はないから、兄弟姉妹の子どもにも遺留分はありません。

被相続人が「財産すべてを包括遺贈する」遺言書を作成して死亡した場合、兄弟姉妹や甥姪から遺留分を請求されることはありません。

③遺言書の内容は具体的に記載

相続財産の内容は、不動産、預貯金、株式、借金などいろいろな種類があるのが通常です。

遺言書で相続財産の分け方を指定する場合、遺産のうちどの財産についての記載なのか特定することが重要です。

遺言書は、相続人など家族だけが見るものではないからです。

相続が発生した後、遺言書を執行します。

相続手続先の人が見ても、内容を特定できる必要があります。

内容が特定できない場合、遺言書を執行することができません。

自宅を譲ってあげたい場合、「自宅」と記載したくなるかもしれません。

家族以外の第三者は、自宅とはどこの土地どこの建物なのか分かりません。

あいまいな表記では、第三者には分からないのです。

多くの場合、自宅には土地と建物があるでしょう。

土地と建物両方を別々に記載する必要があります。

登記事項証明書を見て書き写すといいでしょう。

遺言書の内容は、第三者にも分かるように具体的に記載することが大切です。

④遺言書の内容は代襲相続しない

遺言者は、遺言書で相続財産の分け方を指定することができます。

遺言者は、遺言書で相続財産を遺贈することができます。

相続人〇〇に相続させると遺言書に記載しても、相続人が先に死亡することがあります。

財産を受け取る人が先に死亡した場合、遺言書のその記載は無効になります。

遺言書は、相続が発生したときに効力が発生するからです。

相続人に子どもがいても、子どもが受け取ることはできません。

遺言書の内容は、代襲相続されないからです。

〇〇に遺贈すると遺言書に記載しても、受遺者が先に死亡することがあります。

財産を受け取る人が先に死亡した場合、遺言書のその記載は無効になります。

遺言書は、相続が発生したときに効力が発生するからです。

受遺者に子どもがいても、子どもが受け取ることはできません。

遺言書の内容は、代襲相続されないからです。

5公正証書遺言がおすすめ

①遺言書の種類

遺贈とは、被相続人が遺言によって、相続人や相続人以外の人に、財産を譲ってあげることです。

遺贈をしたい場合、遺言書を作成する必要があります。

遺言書の種類は、民法という法律で決められています。

大きく分けて普通方式の遺言と特別方式の遺言とあります。

普通方式の遺言は、次の3つです。

(1)自筆証書遺言

(2)公正証書遺言

(3)秘密証書遺言

特別方式の遺言は、次の4つです。

(1)死亡の危急に迫った者の遺言

(2)伝染病隔離者の遺言

(3)在船者の遺言

(4)船舶遭難者の遺言

特別方式の遺言は、生命の危機に迫っている人や航海中など交通できない人が作る特別の遺言です。

ごく稀な遺言と言えるでしょう。

多くの方にとって、遺言というと普通方式の遺言です。

自筆証書遺言か公正証書遺言を作成する人がほとんどです。

②公正証書遺言は費用がかかるけど安心確実

公正証書遺言は、遺言内容を公証人に取りまとめてもらって作る遺言書です。

遺言者が公証人に遺言内容を伝えて、証人2人に確認してもらって作ります。

せっかく遺言書を作成するのであれば、公正証書遺言がおすすめです。

費用はかかってしまうものの、メリットが大きいからです。

公正証書遺言の主なメリットは、次のとおりです。

(1)公証人が文面を取りまとめてくれる

(2)遺言書の書き方ルールの違反などで無効になりにくい

(3)相続発生後に家庭裁判所で検認手続が不要

(4)公証人が遺言者の意思確認をしているからトラブルになりにくい

(5)遺言書の紛失や改ざんがない

公正証書遺言がある場合、トラブルに発展するのはごくわずかです。

遺言書を作成するのであれば、公正証書遺言がおすすめです。

6遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

遺言書がある場合、遺言書の内容を実現してあげたいと思うでしょう。

相続が発生した場合、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。

相続財産は、相続人全員の合意で分け方を決めます。

相続人以外の人に財産を残したい場合、遺言書の作成は欠かせません。

インターネットが普及したから、たくさんの情報を手軽に入手することができます。

インターネット上には、適切な情報も適切でない情報も入り混じっています。

自称専門家は、相続人でない人が相続できるなどと曖昧な情報発信をしています。

スムーズな財産承継のため、信頼できる専門家のサポートが必要です。

家族をトラブルから守ろうという気持ちを実現するために、せっかく遺言書を書くのですから、スムーズな手続を実現できるように配慮しましょう。

相続人以外の他人に財産を残したい方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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