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生前贈与を受けても相続放棄

2025-02-18

1生前贈与を受けても相続放棄

①生前贈与は贈与者と受贈者の契約

自分の財産は、自由に処分することができます。

生前贈与とは、財産の持ち主が生前に贈与契約をすることです。

贈与は、贈与者と受贈者の契約です。

贈与者と受贈者が合意すれば、贈与をすることができます。

合意があれば、口頭の合意であっても贈与は成立します。

生前贈与をするにあたって、だれかの同意は必要ありません。

家庭裁判所などの関与も、ありません。

生前贈与は、贈与者と受贈者の契約です。

②相続放棄で相続人でなくなる

相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄の申立てをします。

家庭裁判所で相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。

相続放棄は、相続が発生してから手続します。

生前贈与と相続放棄は、相互に関係がありません。

生前贈与を受けても受けていなくても、相続放棄をすることができます。

生前贈与を受けても受けていなくても、単純承認することができます。

相続放棄をすると、はじめから相続人でなくなります。

2生前贈与と相続放棄が債権者に与える影響

①詐害行為は取消しができる

お金を借りた人は、借りたお金を返さなければなりません。

借りたお金を返さなければならないのに、自分の財産を不当に減少させると借金を返せなくなることがあります。

自分の財産を不当に減少させると、債権者は借金を返してもらえなくなって困ります。

詐害行為とは、債権者が困ることを知っているのに不当に財産を減少させることです。

たとえ、合法適法な贈与であっても、詐害行為になることがあります。

借金を返してもらうため、債権者は詐害行為を取り消すことができます。

②相続放棄は詐害行為ではない

被相続人が多額の借金を抱えて、死亡することがあります。

被相続人の借金は、相続財産です。

相続が発生したら、相続人が相続します。

相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

被相続人の借金を引き継がないために、相続放棄をすることが考えられます。

相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。

相続人に借金を返してもらおうと思っていたのに、請求できなくなって債権者は困ります。

債権者が困ることを知っていたのに、相続放棄をしたと言えます。

相続放棄は、詐害行為ではありません。

相続放棄について、債権者がとやかく言うことはできません。

債権者は、相続放棄を詐害行為で取り消すことはできません。

③相続放棄が詐害行為ではない理由

理由①相続放棄は身分行為だから

詐害行為で取り消すことができるのは、財産行為のみです。

相続放棄は、身分行為と考えられています。

身分行為とは、結婚や離婚、養子縁組や離縁、認知などの行為です。

身分行為は、他の人から強制されるものではありません。

相続放棄をしたのに詐害行為で取り消されるとなると、実質的に相続が強制されます。

身分行為が強制されるのは、許されることではありません。

相続放棄を詐害行為で取り消せない理由1つ目は、相続放棄は身分行為だからです。

理由②相続放棄の存在意義がなくなるから

多額の借金を相続すると、相続人の人生が破綻します。

相続人の人生を守るために、相続放棄の制度が存在します。

相続放棄をしたのに詐害行為で取り消されるとなると、相続放棄の制度の意義がなくなります。

相続放棄を詐害行為で取り消せない理由2つ目は、詐害行為で取消を認めると相続放棄の存在意義がなくなるからです。

理由③債権者が負担するべきリスクの押し付けになるから

お金を貸す人は、債務者が自己破産をするリスクを検討してお金を貸すか決めているはずです。

相続が発生したら、相続人が相続放棄をするリスクも検討してお金を貸すか決めるべきです。

債権者が負担するべきリスクを相続人に押し付けることは、許されることではありません。

相続放棄を詐害行為で取り消せない理由3つ目は、債権者が負担するべきリスクを相続人に押し付けることになるからです。

理由④財産を減少させていないから

詐害行為とは、債権者が困ることを知っているのに不当に財産を減少させることです。

相続放棄をしても、積極的に財産を減少させたわけではありません。

相続放棄を詐害行為で取り消せない理由4つ目は、財産を減少させていないからです。

④生前贈与に対して詐害行為取消権

生前贈与を受けても受けていなくても、相続放棄をすることができます。

被相続人の財産がわずかなプラスの財産と莫大なマイナスの財産であることがあります。

被相続人は、自分の財産を自由に処分することができます。

わずかなプラスの財産を生前贈与することがあります。

わずかなプラスの財産と莫大なマイナスの財産の場合、贈与契約はできないというルールはありません。

贈与者と受贈者が合意したら、贈与契約をすることができます。

わずかなプラスの財産を贈与したら、残る財産は莫大なマイナスの財産のみです。

この後に相続が発生したら、相続人は相続放棄をするでしょう。

相続放棄が認められたら、債権者は相続人に借金の返済を求めることができません。

このようなことが認められると、債権者にとってあまりに理不尽です。

贈与税を納めても贈与税を納めていなくても、債権者にとって理不尽です。

適法な贈与契約であっても、詐害行為に該当します。

理不尽な生前贈与に対して、詐害行為取消権を行使することができます。

⑤詐害行為取消権は裁判で行使

債権者は、裁判所に訴えて理不尽な生前贈与の取消を請求することができます。

借りたお金を返さなければならないのに、自分の財産を不当に減少させたからです。

債権者が困ることを知っているのに不当に財産を減少させたから、詐害行為にあたります。

裁判所に理不尽な生前贈与と認められたら、詐害行為は取消されます。

理不尽な生前贈与は、相続財産に戻さなければなりません。

債権者は、相続財産から借金の弁済をしてもらうことができます。

債権者が詐害行為取消権を行使しても、相続放棄に影響はありません。

裁判所に訴えて、詐害行為取消権を行使することができます。

3生前贈与と相続放棄が相続人に与える影響

①兄弟姉妹以外の相続人に遺留分がある

自分の財産は、自由に処分することができます。

自分の財産をどのように使うかは、自由に決めることができます。

とはいえ財産はひとりで築いたものではないでしょう。

家族の協力があってこそ、築くことができたもののはずです。

自分の名義になっているからと言って、まったく無制約の自由にすることはできません。

今まで協力してきた家族に、酷な結果となるおそれがあるからです。

被相続人に近い関係の相続人には、最低限の権利が認められています。

遺留分とは、被相続人に近い関係の相続人に認められている最低限の権利です。

遺留分は、兄弟姉妹以外の相続人に認められます。

②生前贈与で遺留分を侵害するおそれ

自分の財産は、自由に処分することができます。

財産の状況によっては、生前贈与によって相続人の遺留分を侵害することがあるでしょう。

適法な贈与契約であっても、遺留分を侵害することがあります。

配分された財産が遺留分に満たない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

生前贈与をしても、遺留分侵害額請求によって取り戻されます。

生前贈与で、遺留分を侵害するおそれがあります。

③相続人以外の人に遺留分侵害額請求ができる

相続人に対する生前贈与と相続人以外の人に対する生前贈与で、遺留分算定の基礎になるか異なります。

相続放棄をした人は、はじめから相続人でなくなります。

相続人以外の人に対する生前贈与と考えられます。

相続人以外の人に対する生前贈与だから、次の贈与が遺留分算定の基礎になります。

(1)相続開始前1年間にした贈与

(2)被相続人と受贈者双方が遺留分権利者に損害を加えると知ってした贈与

相続放棄をした人は、相続人ではありません。

相続人以外の人に、遺留分侵害額請求ができます。

4相続放棄の手続

①相続放棄は家庭裁判所で手続

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄の申立てをします。

家庭裁判所で手続せずに、相続放棄をすることはできません。

相続放棄の申立ては郵送提出することができますが、オンラインで提出することはできません。

相続人間の話し合いで、相続財産を一切受け取らない合意をすることがあります。

相続人全員で合意ができれば、相続財産を一切受け取らない合意も有効な合意です。

相続財産を一切受け取らない合意をした場合、相続放棄をしたと表現することがあります。

相続放棄をしたと表現するだけで、相続放棄ではありません。

相続放棄は、家庭裁判所で手続する必要があるからです。

相続人間で相続財産を一切受け取らない合意をした場合、相続放棄ではなく遺産分割協議です。

相続放棄は、家庭裁判所で手続します。

②相続放棄の期限は3か月

相続放棄には、期限があります。

相続があったことを知ってから、3か月以内です。

「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。

相続放棄の期限は、3か月です。

③生前に相続放棄はできない

被相続人が莫大な借金を抱えている場合、借金を引き継いでしまうのではないかと不安になるでしょう。

被相続人の生前に、相続放棄をすることはできません。

相続放棄の申立てを家庭裁判所に提出しても、受け付けてもらえません。

被相続人が相続人になる予定の人と相続放棄をすると約束させていることがあります。

相続放棄をすると約束しても念書を差し入れても、意味はありません。

相続放棄は、家庭裁判所の手続だからです。

被相続人の生前に、相続放棄をすることはできません。

④相続放棄の必要書類

(1)被相続人の戸籍謄本

(2)被相続人の除票

(3)相続放棄する人の戸籍謄本

(4)収入印紙

(5)裁判所が手続で使う郵便切手

5生前贈与を受けた後に相続放棄をしたときの相続税

①基礎控除額以内なら相続税は課されない

相続税には、基礎控除があります。

相続財産が基礎控除額以内なら、相続税は課されません。

基礎控除額は、次の計算式で求めることができます。

基礎控除額=3000万円+600万円×相続人の人数

②相続時精算課税で受け取った財産は相続税の対象

相続時精算課税制度とは、贈与税の計算方法のひとつです。

一定の条件にあてはまる場合に、相続時精算課税制度を選択することができます。

相続時精算課税制度を選択すると、贈与税が課されず相続税の対象になります。

相続時精算課税を選択しても、相続放棄をすることができます。

相続時精算課税を選択して受け取った財産を使ってしまっても、相続放棄は有効です。

相続時精算課税を利用して受け取った財産は、相続税の対象です。

③生前贈与は相続財産に戻して相続税

相続税の対象になる財産を減らすため、毎年生前贈与をする人はたくさんいます。

被相続人が死亡直前3~7年間にした生前贈与は、相続財産に持戻して相続税を計算します。

令和6年以降にする生前贈与について、順次相続開始前7年に延長されます。

相続財産に持戻して相続税を計算するのは、相続人に対する生前贈与のみです。

相続放棄をした人は、はじめから相続人でなくなります。

相続放棄をして相続人でなくなっても、相続財産に持戻して相続税を計算する対象になります。

法律上相続人でなくなるのに、相続税の計算においては相続人扱いされます。

相続放棄をしても、生前贈与は相続財産に持戻して相続税を計算します。

6相続放棄を司法書士に依頼するメリット

相続放棄はプラスの財産もマイナスの財産も引き継ぎませんという裁判所に対する申立てです。

相続人間の合意で、相続財産を一切相続しませんと決めることではありません。

家庭裁判所で認められないと、相続放棄とは認められません。

相続放棄をする場合、相続問題だけでなく被相続人や相続人の借金の問題が隠れています。

複雑な事情がある場合、相続人だけでなく債権者を巻き込んでトラブルになりがちです。

あいまいな知識では、余計トラブルが大きくなるでしょう。

相続放棄を考えている人は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

不動産相続で更地にするメリットデメリット

2025-02-17

1不動産相続で更地にするメリット

①倒壊リスクの回避

被相続人が住んでいた家が空き家になることがあります。

空き家を解体して更地にすることを検討するかもしれません。

空き家のままにしておくと、地震や台風などで倒壊する可能性があります。

だれも住まない家は、老朽化が進みます。

壁や塀などが崩れると、隣地や通行人に損害を与えるおそれがあります。

空き家を解体して更地にすると、倒壊リスクの回避することができます。

メリット1つ目は、倒壊リスクの回避できる点です。

②近隣の景観の維持

建物が老朽化すると、見た目が良くないでしょう。

単純に相続した建物の景観が悪くなるだけでなく、地域の景観が悪くなります。

建物がある地域全体の資産価値にも、影響を及ぼすでしょう。

空き家を解体して更地にすると、近隣の景観悪化を防止することができます。

メリット2つ目は、近隣の景観を維持できる点です。

③管理の手間の削減

空き家を放置すると、加速度的に老朽化します。

近隣に住む相続人などが定期的に、風を通すなどの手入れをすることになるでしょう。

相続人が各地に散らばっている場合、建物管理の手間が負担になります。

空き家を解体して更地にすると、管理の手間の削減することができます。

メリット3つ目は、管理の手間を削減できる点です。

④売却しやすくなる

不動産は、分けにくい財産の代表例です。

相続したものの使う予定がない場合、相続人全員が売却する合意をすることがあります。

売却してお金になれば、分けやすいからです。

土地と建物を売却するより、更地の方が買い手が見つかりやすいでしょう。

更地であれば、買い手がすぐに使うことができるからです。

空き家を解体して更地にすると、売却しやすくなります。

メリット4つ目は、売却しやすくなる点です。

⑤相続土地国庫帰属制度が使える

不動産を相続したものの、どの相続人にとっても利用価値がないことがあります。

望まずに相続した不動産は、価値よりも負担が大きくなりがちです。

相続土地国庫帰属制度は、相続で取得した土地にの所有権を手放して国に引き取ってもらう制度です。

所有権を手放して国に引き取ってもらえるのは、土地だけです。

空き家は、引き取ってもらえません。

建物がある土地も、引き取ってもらえません。

空き家を解体して更地にすると、相続土地国庫帰属制度を利用することができます。

相続土地国庫帰属制度を利用するためには、審査手数料と10年分の土地管理費相当額を納入する必要があります。

建物解体費用と較べて、検討するといいでしょう。

メリット5つ目は、倒相続土地国庫帰属制度を利用できる点です。

⑥土地の状態を確認しやすい

相続した不動産を売却する場合、土地の状態は重要なポイントになるでしょう。

空き家を解体して更地にすると、土壌調査や地盤調査がしやすくなります。

メリット6つ目は、土地の状態を確認しやすくなる点です。

2不動産相続で更地にするデメリット

①建物の財産価値が失われる

多くの場合、不動産は重要な財産でしょう。

建物を解体した場合、重要な財産を失います。

空き家を解体して更地にすると、建物の財産価値が失われます。

デメリット1つ目は、建物の財産価値が失われる点です。

②固定資産税の住宅用地特例がなくなる

不動産を保有していると、固定資産税が課されます。

建物を解体すると、建物の固定資産税は課されなくなります。

建物を解体すると、土地の固定資産税は高くなります。

建物が建っている土地は、住宅用地特例が適用されていたからです。

住宅用地特例とは、建物が建っている土地は税金が安くなる特別ルールです。

住宅用地特例が適用されると、固定資産税が最大6分の1に減額されます。

空き家を解体して更地にすると、固定資産税の住宅用地特例がなくなります。

デメリット2つ目は、固定資産税の住宅用地特例がなくなる点です。

③解体費用がかかる

建物を解体する場合、解体費用がかかります。

建物の構造によって、解体費用は変わります。

建物の解体費用の目安は、次のとおりです。

木造 1坪当たり 4~5万円

鉄骨造 1坪当たり 5~6万円

コンクリート造 1坪当たり 8~15万円

道路の状況や解体の難易度によって、加算があります。

空き家を解体して更地にすると、解体費用がかかります。

デメリット3つ目は、解体費用がかかる点です。

④1か月以内に建物滅失登記

建物を解体したら、建物滅失登記をする必要があります。

建物滅失登記とは、建物を解体したときに届ける登記です。

建物を解体してから、1か月以内にする必要があります。

建物滅失登記をしないと、10万円以下のペナルティーが課されるおそれがあります。

建物滅失登記を放置すると、固定資産税がかかり続けるおそれがあります。

空き家を解体して更地にすると、1か月以内に建物滅失登記をする必要があります。

デメリット4つ目は、1か月以内に建物滅失登記をする必要がある点です。

⑤除草の手間がかかる

空き家を解体すると、空き家の管理の手間から解放されます。

空き家を解体して更地になると、空き地全体に雑草が生い茂るでしょう。

空き地全体の除草の手間がかかります。

空き家を解体して更地にすると、除草の手間がかかります。

デメリット5つ目は、除草の手間がかかる点です。

3相続した家を解体して更地にする注意点

①相続人全員の合意が必要

相続が発生すると、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続人全員の共有財産だから、一部の相続人が勝手に解体することはできません。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

相続財産である建物を解体する場合、相続人全員の合意が必要です。

空き家を解体して更地にするため、相続人全員で合意します。

注意点1つ目は、相続人全員の合意が必要である点です。

②住宅ローンがあると銀行の同意

不動産を購入するときに、銀行などの金融機関で住宅ローンを組むことがあります。

多くの場合、住宅ローンを組む際に抵当権を設定します。

抵当権とは、住宅ローンが返済できなくなったときに備えて担保に取る権利です。

銀行などの金融機関は、購入した不動産に抵当権を持っています。

銀行などが担保に取ったのに、相続人が勝手に取り壊すことはできません。

銀行などが担保に取った場合、抵当権の登記があるはずです。

不動産の登記簿謄本を確認すると、分かります。

登記簿謄本とは、不動産の権利関係が記録された公的な書類です。

空き家を解体して更地にするため、住宅ローンがあると銀行の同意が必要になります。

注意点2つ目は、住宅ローンがあると銀行の同意が必要になる点です。

③再建築不可物件がある

土地と建物を売却するより、更地の方が買い手が見つかりやすいことが一般的です。

買主は、すぐに建物を建てたいからです。

現存する建物を解体したら、再び建物を建築することができないことがあります。

再建築不可物件とは、再び建物を建築することができない物件です。

接道義務を満たしていないケースや市街化調整区域にあるケースが該当します。

接道義務とは、幅員4メートル以上の道に間口2メートル以上接する義務です。

市街化調整区域とは、新しい建物を建てることが制限されている地域です。

空き家を解体して更地にすると、資産価値が大きく目減りします。

注意点3つ目は、再建築不可物件がある点です。

④解体費用の補助金に予算がある

建物を解体する場合、解体費用がかかります。

建物の規模や構造によっては、まとまった金額になるでしょう。

解体費用を準備できないので、空き家を放置することは割とよくあります。

空き家を放置することは、地域住民にとっても大きなデメリットがあります。

建物の解体費用について、補助金を受けられることがあります。

条件にあてはまれば、活用するといいでしょう。

例えば、名古屋市では名古屋市老朽危険空家等除却費補助金があります。

名古屋市老朽危険空家等除却費補助金とは、老朽化などで安全女問題がある空き家の解体費用を補助する制度です。

条件にあてはまっても、補助金を受けられないことがあります。

地方自治体の補助金には、予算があるからです。

先着順で受け付けて予算に達すると、受付が終了されます。

注意点4つ目は、解体費用の補助金に予算がある点です。

⑤相続空き家3000万円控除には条件がある

相続空き家3000万円控除とは、相続手取得した不動産の売却益を最大3000万円少なくして所得税を減らす特例です。

相続空き家3000万円控除は、空き家を減らして土地を有効活用する目的があります。

相続空き家3000万円控除を利用するためには、次の主な条件を満たす必要があります。

・建築要件 昭和56年5月31日以前に建築された一戸建て

・使用条件 相続発生まで被相続人が住んでいたこと

・譲渡期間 相続発生から3年以内の年末までに売却すること

・譲渡価格 売却価格1億円以下

・利用制限 相続から売却まで事業、貸付、他人が居住していないこと

上記は、主な条件だけです。

相続空き家3000万円控除を確実に適用するためには、税務署などに相談するのがおすすめです。

注意点5つ目は、相続空き家3000万円控除には条件がある点です。

4更地に相続登記の義務がある

①令和6年(2024年)4月1日から相続登記は義務

所有権移転登記をしない場合、所有者は不利益を被ります。

不動産に対して権利主張をする人が現れた場合、所有者のはずなのに権利主張ができないからです。

相続登記は、手間のかかる手続です。

自分で相続登記をしようとするものの、多くの人は挫折します。

相続登記をする場合、登録免許税を納付しなければなりません。

相続登記を専門家に依頼する場合、専門家に報酬を支払う必要があります。

相続登記でかかる手間と費用がもったいないと、考える人が少なくありません。

相続登記がされない場合、登記簿を見ても土地の所有者が分からなくなります。

登記簿とは、不動産の権利関係が記録される公的な帳簿です。

所有者不明の土地の発生を防止するため、相続登記をすることは義務になりました。

②相続登記の期限は3年

令和6年4月1日から相続登記は、3年以内に登記申請をする義務が課されました。

相続登記には、3年の期限が決められました。

相続登記の期限は、相続したことを知った日からスタートします。

自己のために相続の開始があったことを知って、かつ、不動産を取得することを知った日から、スタートします。

相続登記の期限は、3年です。

③相続登記をしなくても建物の解体ができる

空き家を解体して更地にすると、1か月以内に建物滅失登記をする必要があります。

建物解体の前提として、相続登記をする必要はありません。

被相続人名義のまま相続登記をせずに、建物滅失登記をすることができます。

建物の解体には、相続人全員の合意が必要です。

建物解体後の建物滅失登記は、一部の相続人がすることができます。

他の相続人の同意は、不要です。

相続登記をしなくても、建物の解体ができます。

④更地の相続登記は省略できない

建物を解体したときに、土地の相続登記は省略できません。

建物を解体した後、すぐに売却することがあるでしょう。

相続登記をしていないと、買主名義に変更することができません。

相続登記を放置すると、デメリットが多くおすすめできません。

建物を解体しても、土地の相続登記は必要です。

5相続登記を司法書士に依頼するメリット

大切な家族を失ったら、大きな悲しみに包まれます。

やらなければいけないと分かっていても、気力がわかない方も多いです。

相続手続は一生のうち何度も経験するものではないでしょう。

だれにとっても不慣れで、手際よくできるものではありません。

相続登記は、相続手続の中でも手間がかかる難しい手続です。

不動産は、重要な財産であることが多いものです。

法務局は、厳重な審査をします。

一般の人にとって些細なことと思えるようなことでやり直しになります。

実は、相続手続をスムーズにするコツがあります。

それは、はじめに相続登記をすることです。

相続登記は難しい手間がかかる手続なので、司法書士などの専門家に依頼するでしょう。

相続手続で挫折しがちなのは、戸籍謄本などの書類収集や遺産分割協議書の作成です。

書類収集や遺産分割協議書の作成は、司法書士に依頼することができます。

司法書士が戸籍謄本や遺産分割協議書を準備したうえに、法務局の厳重な審査をします。

法務局の審査が通った戸籍謄本や遺産分割協議書だから、銀行などの相続手続先で指摘があることはありません。

銀行などの独自書類の内容などに指摘があるとしても、簡単に済むことがほとんどでしょう。

相続手続をスムーズに進めたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

生命保険を活用した代償分割のメリットと注意点

2025-02-14

1代償分割で公平に遺産分割

①代償分割は代償金を払ってもらう方法

相続財産には、いろいろな財産が含まれています。

現金や預貯金は、分けやすい財産です。

不動産は、分けにくい財産です。

相続財産の大部分が分けにくい財産の場合、相続人全員の合意が難しくなるでしょう。

代償分割をすることで、相続人全員の合意が得られることがあります。

代償分割とは、一部の相続人が財産を多く相続し、代わりに他の相続人はお金をもらう方法です。

例えば、一部の相続人が不動産を相続し、代わりに他の相続人は不動産を相続した人から、その分の代償をもらう方法です。

代償金を払ってもらうことで、公平な遺産分割をすることができます。

②代償金は遺産分割協議で決定する

代償分割は、相続財産を分ける方法のひとつです。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

どのような方法で相続財産を分けるのか、相続人全員の合意で決定します。

代償分割をすると決めた後、代償金について相続人全員の合意で決定します。

代償金をいくらにするのかは、遺産分割協議の一部だからです。

代償金をどのような方法で払うのかは、遺産分割協議の一部だからです。

代償金は、遺産分割協議で決定します。

③代償金の支払は遺産分割の一環

不動産は、分けにくい財産の代表例です。

相続財産の大部分が不動産である場合、代償分割は有効です。

公平な遺産分割を実現しやすいからです。

代償金の支払は、贈与ではなく遺産分割の一環です。

代償金を支払っても代償金を受け取っても、原則として贈与税はかかりません。

贈与とは、贈与者が財産を無償で譲渡し受贈者が財産の譲受けに合意することです。

代償金を払う人は、相続財産を多く相続します。

相続財産を多く相続する代償だから、無償で譲渡するとは言えません。

代償金の支払は、遺産分割の一環です。

2代償分割で生命保険を活用するメリット

①生命保険の死亡保険金は受取人の固有の財産

生命保険の死亡保険金は金額が大きいことが多いので、気になる人も多いでしょう。

原則として、生命保険の保険金を受け取る権利は、相続人の固有の財産です。

固有の財産とは、相続財産ではなく、もとからその人の財産であるという意味です。

受取人が「相続人」と指定してあっても、相続で受け取るものではありません。

被相続人の死亡をきっかけにして、死亡保険金を受け取ります。

保険契約によって、受取人が受け取るものです。

被相続人は、生前に生命保険の死亡保険金を受け取る権利を持っていません。

相続によって、被相続人から受け継いだ財産ではありません。

遺産分割協議をしなくても、死亡保険金を受け取ることができます。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方を決めるため相続人全員でする話合いです。

生命保険の死亡保険金は、相続財産ではなく受取人の固有の財産です。

②代償分割のトラブル回避

代償分割をする場合、代償金を払う必要があります。

代償金を払う約束をしたのに代償金を払ってもらえないのは、よくあるトラブルです。

生命保険の死亡保険金は、現金で受け取ることができます。

受け取った死亡保険金は、受取人が代償金の支払いに充てることができます。

生命保険を活用した場合、代償分割のトラブルを回避することができるでしょう。

③公平な遺産分割の実現

代償分割は、代償金を払ってもらうことで公平に遺産分割をする方法です。

不動産や事業用財産などは、公平に分割することが難しいでしょう。

一部の相続人が不動産や事業用財産を相続しても、代償金を受け取ることで合意できることがあります。

生命保険を活用して代償分割をすると、公平な遺産分割を実現することができます。

④代償金の準備ができる

公平な遺産分割のため、代償金を支払います。

不動産や事業用財産を相続したのに代償金を支払えないと、トラブルに発展します。

被相続人が生命保険に加入することで、代償金を準備することができます。

生命保険の死亡保険金は、受取人の固有の財産になるからです。

生命保険を活用することで、代償金を準備することができます。

3 代償分割をするときの遺産分割協議書の書き方

①遺産分割協議書は相続人全員の証明書

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

相続人全員の合意がまとまったら、合意内容を書面に取りまとめます。

遺産分割協議書とは、相続財産の分け方について相続人全員による合意内容の証明書です。

合意内容を取りまとめた書面は、相続人全員に内容を確認してもらいます。

合意内容に問題がなければ、相続人全員が記名し実印で押印します。

遺産分割協議書の押印が実印によることを証明するため、印鑑証明書を添付します。

遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容の証明書です。

②代償分割を遺産分割協議書に明記

遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容の証明書です。

遺産分割の一環として代償金を支払う場合、遺産分割協議書に記載があるはずです。

代償金の支払い条項がない場合、代償金の合意はなかったと判断されます。

遺産分割協議書に代償金の記載がないのに金銭の支払があれば、単なる贈与になります。

代償金のつもりで金銭を支払っても、遺産分割の一環とは言えません。

単なる贈与と判断されるから、贈与税の対象になります。

贈与税は、想像以上に高額になりがちです。

4代償分割で贈与税がかかる

①代償金は贈与税ではなく相続税の対象

代償分割をする場合、代償金を支払っても代償金を受け取っても贈与税の対象ではありません。

代償金の支払いは、遺産分割の一環だからです。

相続財産の規模が大きい場合、相続税の対象になります。

代償金を受け取った相続人は、代償金に相続税が課されます。

代償金を支払った相続人は、代償金を差し引いて相続税が課されます。

代償金は贈与税ではなく、相続税の対象です。

②代償金名目の贈与は贈与税の対象

代償分割は、相続財産を分ける方法のひとつです。

代償分割をすると決めた後、代償金は相続人全員の合意で決定します。

代償金をいくらにするのかは、遺産分割協議の一部だからです。

代償分割は、代償金を支払うことで公平な遺産分割を実現する方法です。

価値の高い不動産などを相続する人は、代償金を支払います。

価値の高い不動産などを相続できない人は、代償金を受け取ります。

代償金で調整するから、公平な遺産分割になるはずです。

代償金で調整するから、代償金の金額は不動産などの評価額を超えることはできないはずです。

不動産の評価額を超えた場合、評価額を超えた部分は代償金とは言えないでしょう。

不動産の評価額までは、代償金を見ることができます。

不動産の評価額を超えた部分は、贈与というべきでしょう。

相続人全員の合意で代償金を決めても、実質的に代償金とは言えません。

代償金名目で遺産分割協議書に記載しても、贈与であると判断されます。

不動産の評価額を超えた部分は、贈与と判断されて贈与税の対象になります。

③死亡保険金を分割すると贈与税の対象になる

他の相続人が死亡保険金を受け取った場合、分割して欲しいと考えるかもしれません。

死亡保険金を相続人間で、分割することができないわけではありません。

固有の財産は、自由に贈与することができるからです。

例えば、相続人が長男と長女の2人で相続財産は1000万円の預金のみのケースがあります。

相続人2人で、預金は長女が全額相続すると合意することができます。

遺産分割協議を成立させたときに、贈与税は課されません。

生命保険の死亡保険金3000万円の受取人が長男である場合、長男から長女へ1000万円支払ってもらうと贈与税の対象になります。

固有の財産から支払いをするのは、単なる贈与だからです。

遺産分割協議書に明記しても、単なる贈与であることに変わりはありません。

生命保険の死亡保険金を分割すると、贈与税の対象になります。

5代償分割で生命保険を活用する注意点

①契約内容を適切に設定する

代償分割で生命保険を活用する場合、次のように設定するのが一般的です。

・契約者 被相続人

・被保険者 被相続人

・受取人 相続人

受取人には、代償金を支払う相続人を指定します。

代償金を支払う相続人は、不動産や事業用財産を相続する相続人です。

他の相続人を指定してしまうと、代償分割ができなくなるおそれがあります。

生命保険の死亡保険金は、受取人の固有の財産だからです。

代償分割で生命保険を活用する注意点の1つ目は、契約内容を適切に設定することです。

②相続させる財産に見合う保険金額を設定する

代償分割で生命保険を活用する場合、死亡保険金の額が重要です。

代償金の支払いにあてるために、生命保険を活用するからです。

代償金に不足すると、トラブルに発展するおそれがあります。

財産を評価する方法は、複数あります。

代償金を受け取る人は、高く評価される評価基準を主張するでしょう。

代償金を支払う人は、低く評価される評価基準を主張するでしょう。

相続財産を適切に評価して、充分な死亡保険金を準備する必要があります。

代償分割で生命保険を活用する注意点の2つ目は、相続させる財産に見合う保険金額を設定することです。

③早期の生命保険解約で元本割れ

相続対策のため生命保険契約をしても、解約を選択することがあるでしょう。

生命保険を契約してから間もない時期に解約すると、元本割れをします。

生命保険契約をしたことで、財産を大きく目減りさせる可能性があります。

代償分割で生命保険を活用する注意点の3つ目は、早期の生命保険解約で元本割れすることです。

6生命保険を活用した代償分割の手順

手順①生命保険契約をする

被相続人が生命保険契約をします。

・契約者 被相続人

・被保険者 被相続人

・受取人 代償金を支払う予定の相続人

相続させる財産に見合う保険金額を設定します。

手順②相続の発生

被保険者が死亡したら、死亡保険金を請求します。

死亡保険金は受取人の固有の財産だから、迅速に保険金を受け取ることができます。

手順③遺産分割協議

遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話合いです。

相続人全員の合意内容は、遺産分割協議書に取りまとめます。

代償金の金額や支払方法は、遺産分割協議で決定します。

手順④代償金の支払い

遺産分割協議で決定した方法で、代償金を支払います。

遺産分割協議書の記載どおりに、不動産や事業用財産の相続手続をします。

7遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット

遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。

合意がきちんと文書になっているからこそ、トラブルが防止できるといえます。

書き方に不備があると、トラブルを起こしてしまう危険があります。

もともとトラブルの火種があるのなら、いっそう慎重になる必要があります。

遺産分割協議書は公正証書にしなくても済むことが多いものですが、慎重を期して公正証書にした方がいい場合があります。

せっかくお話合いによる合意ができたのに、その後にトラブルになるのは残念なことだからです。

公正証書にするためには、手間と費用がかかります。

公正証書にする手間と費用を惜しむと、裁判をするなど大きな手間と高額な費用を負担することになります。

トラブルを防止するため、遺産分割協議書を公正証書にしたい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

公正証書遺言の証人になれる人なれない人

2025-02-10

1公正証書遺言は安心確実な遺言書

公正証書遺言とは、遺言内容を公証人に取りまとめてもらって作る遺言書です。

遺言者が公証人に遺言内容を伝えて、証人2人に確認してもらって作ります。

公正証書遺言を作成した場合、遺言書原本は公証役場で厳重に保管されます。

公正証書遺言は、紛失するおそれがありません。

遺言書の内容に不満がある相続人がいることがあります。

遺言書が自筆証書遺言である場合、相続人が遺言書の偽造や変造をすることがあります。

偽造や変造をしなくても、偽造や変造のおそれが心配になるでしょう。

公正証書遺言は、公証役場で厳重に保管されます。

紛失、偽造、変造の心配は、無用です。

2公正証書遺言の証人になれる人

公正証書遺言は、証人2人に確認してもらって作ります。

証人になる人に、特別な資格はありません。

証人は、遺言書の内容をチェックする人です。

遺言書の内容をチェックする判断能力が必要です。

相続に無関係な人で、かつ、秘密を守ってくれる人が適任です。

3公正証書遺言の証人になれない人

①未成年者

未成年者は、物事のメリットデメリットを充分に判断することができません。

充分に判断することができないので、遺言書の内容を確認したとは言えません。

証人になれない人なのに証人として立ち会った遺言書は、原則として、無効になります。

未成年者は判断能力が不充分だから、証人になれません。

②相続人・受遺者になる予定の人とその人の配偶者や直系血族

 遺言者は、遺言書で相続人や相続人以外の人に自分の財産を遺贈することができます。

受遺者とは、財産の遺贈を受ける人です。

相続人・受遺者は、遺言の内容に利害関係がある人です。

相続人・受遺者の配偶者や直系血族は、相続人・受遺者に近い関係の人です。

利害関係がある人に準じて考えられます。

遺言に利害関係がある人は、遺言の内容に強い関心があるでしょう。

利害関係がある人は、自分に有利な遺言をしてもらいたいと考えます。

証人として立ち会った場合、遺言の内容に何らかの影響を与えるかもしれません。

遺言者が真意による遺言をすることが難しくなるおそれがあります。

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

遺言者の真意を損なうことは許されません。

遺言者が真意による遺言をすることができるようにするため、証人になれない人が定められています。

相続人・受遺者になる予定の人など利害関係がある人は遺言書の公正を保持するため、証人になれません。

③公証人の配偶者、4親等内の親族、書記、使用人

公正証書遺言は、遺言内容を公証人に取りまとめてもらって作る遺言書です。

証人は、遺言書の内容をチェックする人です。

公証人に近い関係の人が証人になった場合、チェックしにくいでしょう。

遺言書の内容をチェックする人なのに、チェック機能が働かないおそれがあります。

遺言内容を公証人に取りまとめてもらって、きちんと証人に確認してもらっているから公正証書遺言には高い信頼性があります。

公証人の近い関係の人はチェック機能が働きにくくなるから、証人になれません。

④欠格事由はなくても慎重に選定

被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。

子どもが相続人になる場合、孫は相続人になりません。

孫は、直系血族です。

直系血族だから、孫は証人になることはできません。

孫の配偶者は、相続人になることはありません。

孫の配偶者は、直系血族ではありません。

孫の配偶者は、姻族です。

孫の配偶者は、証人になれない人に該当しません。

証人になれない人ではないけど、おすすめはできません。

孫の配偶者は、利害関係人に近い関係の立場だからです。

遺言書の内容に不満がある相続人がいた場合、トラブルになるおそれがあります。

孫の配偶者に証人になってもらった場合、トラブルに巻き込むかもしれません。

証人になれない人に該当しないけど、慎重に選定する方がいいでしょう。

4証人は2人必要

①証人2人を省略できない

公正証書遺言を作成する場合、証人は2人必要です。

公正証書遺言を作成するときは、次の4人が関わります。

・遺言者本人

・公証人

・証人2人

証人は、遺言者が用意する必要があります。

証人が準備できない場合であっても、証人を省略することはできません。

証人2人に確認してもらっていない場合、公正証書遺言を作成することはできません。

②証人を用意することができないときは

公正証書遺言を作成する場合、司法書士などの専門家にサポートしてもらうことが一般的です。

専門家に相談していた場合、適切なアドバイスを受けることができます。

遺言書文案作成の段階からサポートを受けていると、将来のトラブルの芽を摘むことができるからです。

自分で証人を用意することができない場合、相談を受ける専門家に依頼することができます。

司法書士などの専門家には、守秘義務があります。

遺言の内容が外部に漏れる心配はありません。

5公正証書遺言作成の当日にやること

①証人は作成する場所へ出向く

証人は、公正証書遺言の作成に立会います。

公正証書遺言を作成する場合、原則として、遺言者は公証役場に出向きます。

遺言者の体が不自由などの理由で、公証役場に出向くことができないことがあります。

入院している病院や施設に公証人が出張して、公正証書遺言を作成することができます。

入院している病院や施設で公正証書遺言を作成する場合、証人も出張します。

②遺言内容の確認

公正証書遺言を作成する場合、当日までに遺言内容の打ち合わせをします。

司法書士などの専門家にサポートを依頼する場合、専門家が打合せをしてくれます。

公正証書遺言を作成する当日は、遺言者本人、公証人、証人2人が集まります。

印鑑証明書などを提出してもらって、遺言者本人であることを確認します。

遺言書の内容は、事前に公証人と打合せがされているでしょう。

遺言書の内容に間違いがないか、公証人が読み聞かせをします。

③署名押印

公証人が読み聞かせをした遺言内容に問題がなければ、遺言者、証人2人、公証人が署名押印をします。

④証人が立会いをするとき必要なもの

証人は、遺言書の内容を確認する人です。

証人の本人確認がされます。

証人は、身分証明書を準備します。

身分証明書は、運転免許証やマイナンバーカードなどです。

遺言内容に問題がない場合、証人は署名押印をします。

公正証書遺言作成の当日、遺言書原本に押印する印章を準備します。

印章は、認印で差し支えありません。

⑤証人の責任

証人に守秘義務を定めた法律はありません。

遺言書に記載されている事柄は、プライベートな事柄です。

遺言書は、秘密保持の必要性が非常に高い文書です。

法律で守秘義務が定められなくても、秘密保持の義務を負うのは当然です。

証人は、遺言書の内容をチェックする人です。

相続が発生した後、相続人が遺言書の内容に不満を持つことがあります。

遺言書に不満がある相続人は、遺言書の成立について問題があると言うかもしれません。

・遺言書は本人の真意ではなかった。

・本人は認知症で正常な判断をすることができなかった

一部の相続人が上記の主張をした場合、相続人間で大きなトラブルになります。

ときには、遺言書の有効無効を争って裁判の場に持ち込まれます。

公正証書遺言は、証人2人に確認してもらって作成します。

公正証書遺言の作成時にどのようであったか証言を求められるでしょう。

原則として、証言の拒絶はできません。

万が一、証人の故意や過失で問題点を見逃した場合、相続人から損害賠償を求められるかもしれません。

6遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書は被相続人の意思を示すものです。

自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。

家族がトラブルに巻き込まれることを望む人はいないでしょう。

遺言書があることでトラブルになるのは、ごく稀なケースです。

遺言書がないからトラブルになるのはたくさんあります。

そのうえ、遺言書1枚あれば、相続手続きは格段にラクになります。

家族を幸せにするために遺言書を作ると考えましょう。

実際、家族の絆のためには遺言書が必要だと納得した方は遺言書を作成します。

家族の喜ぶ顔のためにやるべきことはやったと安心される方はどなたも晴れやかなお顔です。

家族の幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

養子縁組で代襲相続

2025-02-09

1養子には普通養子と特別養子がある

①普通養子は実親との親子関係が継続する

養子縁組とは、血縁関係による親子関係の他に、法律上の親子関係を作る制度です。

養子縁組には、2種類あります。

普通養子と特別養子です。

子どものいない夫婦が養子縁組をする、配偶者の連れ子と養子縁組するといったことは日常的に聞くことあります。

一般的に、単に「養子」と言ったら、普通養子を指していることがほとんどです。

普通養子は、縁組後も実親との親子関係が継続します。

普通養子は、養親を相続するし実親を相続します。

普通養子は、実親との親子関係が継続します。

②特別養子は実親との親子関係が終了する

特別養子は、縁組後に実親との親子関係が終了します。

特別養子縁組をすることは、親子の縁が切れることです。

親子の縁を切る重大な決定だから、厳格な要件で家庭裁判所が判断します。

実の父母による著しい虐待がある場合やその他特別の事情がある場合で、かつ、子の利益のため特に必要があるときに、認められます。

特別養子は、養親を相続しますが実親は相続しません。

特別養子は、実親との親子関係が終了します。

③養子が死亡しても養子縁組は終了しない

養子縁組は、養親と養子が合意して市町村役場に届出をします。

養子縁組の解消は、養親と養子が合意して市町村役場に届出をします。

養親と養子のどちらかが死亡しても、何もしなければ養子縁組は終了しません。

養親と養子のどちらかが死亡しても、親子関係は続きます。

養子が死亡しても、養子縁組は終了しません。

2養子縁組で代襲相続

①養子縁組後に出生した子どもは代襲相続ができる

相続が発生したら、相続人が相続します。

相続人になる人は、法律で決められています。

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

相続人になるはずだった子どもが被相続人より先に死亡することがあります。

相続人になるはずだった子どもの子どもが相続します。

代襲相続とは、相続人になるはずだった人の子どもが相続することです。

養子は、養親の子どもです。

養親に相続が発生したら、養子は相続人になります。

相続人になるはずの養子が被相続人より先に死亡することがあります。

相続人になるはずだった養子の子どもが相続します。

代襲相続ができるのは、養子縁組後に出生した子どものみです。

養子縁組後に出生した子どもは、養親の卑属になるからです。

養子縁組後に出生した養子の子どもは、代襲相続ができます。

②養子縁組前に出生した子どもは代襲相続ができない

養子縁組をしたときに、子どもがすでに出生していることがあります。

養子の連れ子は、代襲相続をすることができません。

養子縁組前に出生した子どもは、養親の卑属にならないからです。

養子縁組前に出生した養子の子どもは、代襲相続ができません。

③養子の子どもが実子の子ども

実子の配偶者と養子縁組をすることがあります。

養子の子どもは、実子の子どもです。

相続人になるはずの養子が被相続人より先に死亡することがあります。

相続人になるはずだった養子の子どもが相続します。

養子縁組後に出生した子どもは、代襲相続をすることができます。

養子縁組前に出生した子どもは、代襲相続をすることができます。

養子の子どもは、実子の子どもだからです。

養子縁組前に出生しても養子縁組前に出生しても、養親の卑属になるからです。

養子の子どもが実子の子どもである場合、養子縁組の前後不問で代襲相続をすることができます。

④死後離縁で代襲相続しない

養親と養子のどちらかが死亡しても、何もしなければ養子縁組は終了しません。

死後離縁とは、養親と養子のどちらかが死亡した後に養子縁組を解消することです。

養親が死亡した後に死後離縁をしても、養子は相続人です。

死後離縁をした後に養親の親が死亡した場合、養子は代襲相続しません。

死後離縁によって、養子縁組は終了したからです。

死後離縁で、代襲相続しません。

⑤特別養子になると実親の代襲相続をしない

特別養子は、実親との親子関係が終了します。

実親が死亡しても、特別養子は相続しません。

実親が死亡した後に実親の親が死亡することがあります。

被相続人である実親の親から見ると、実親は子どもです。

相続人になるはずだった子どもが被相続人より先に死亡したと言えます。

相続人になるはずだった子どもの子どもが相続します。

特別養子は、代襲相続をしません。

特別養子は、実親との親子関係が終了しているからです。

相続人になるはずだった子どもの子どもではありません。

特別養子になると、実親の代襲相続をしません。

3代襲相続の注意点

注意①養子縁組をした孫は代襲相続ができる

被相続人が孫と養子縁組をすることがあります。

養子は、養親の子どもになります。

養子縁組をして被相続人の子どもになっても、孫であることは変わりません。

孫である身分と子どもの身分を持っています。

被相続人の実子が孫の実親です。

被相続人の実子である孫の実親が被相続人より先に死亡することがあります。

相続人になるはずだった子どもが先に死亡したから、子どもの子どもが相続します。

養子になった孫は、子どもの子どもです。

養子になった孫は、代襲相続人になります。

養子になった孫は、被相続人の子どもの立場で相続し、代襲相続人の立場で相続します。

被相続人の子どもの立場で相続するから、代襲相続人の立場で相続できないといったルールはありません。

養子と実子に、区別はないからです。

養子になった孫には、子どもの相続分と孫の相続分があります。

代襲相続の注意点1つ目は、養子縁組をした孫は代襲相続ができる点です。

注意②養子縁組で兄弟姉妹になると代襲相続

被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。

被相続人の親が養子縁組をしていることがあります。

親の養子は、兄弟姉妹です。

養子縁組で、兄弟姉妹になります。

相続人になるはずの兄弟姉妹が被相続人より先に死亡することがあります。

相続人になるはずだった兄弟姉妹の子どもが相続します。

被相続人の親と養子縁組をして兄弟姉妹になった場合、養子縁組前に出生した子どもは代襲相続をすることができません。

養子縁組前に出生した子どもは、養親の卑属にならないからです。

養子縁組後に出生した子どもは代襲相続をすることができます。

代襲相続の注意点2つ目は、養子縁組で兄弟姉妹になると代襲相続ができるときと代襲相続できないときがある点です。

注意③代襲相続人は遺産分割協議に参加する

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定する必要があります。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話合いです。

代襲相続人は、遺産分割協議に参加する必要があります。

代襲相続人を含めないで遺産分割協議をしても、無効です。

代襲相続の注意点3つ目は、代襲相続人は遺産分割協議に参加する点です。

注意④代襲相続人が相続放棄

相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄の申立てをします。

家庭裁判所から相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。

代襲相続の注意点4つ目は、代襲相続人は相続放棄が必要になる点です。

4代襲相続する条件

①代襲相続が発生する原因

(1)相続人になるはずだった人が死亡

相続が発生したときには元気だった人が相続手続中に死亡したときは、代襲相続ではありません。

相続が発生したときには元気だった人が相続手続中に死亡したときは、数次相続です。

数次相続では、死亡した相続人の相続人が相続します。

代襲相続と数次相続では、相続手続に参加する人が異なります。

代襲相続が発生する原因1つ目は、相続人になるはずだった人が死亡したときです。

(2)相続人が廃除

相続人廃除とは、被相続人の意思で、相続人の資格を奪う制度です。

相続人廃除は家庭裁判所に申立てをして、家庭裁判所が判断します。

相続人が被相続人に対して重大な侮辱をしたり虐待をしたと家庭裁判所に認められた場合、廃除されます。

単なる親子げんかや相続人が気に入らないなどで、廃除は認められません。

家庭裁判所で廃除が認められた場合、代襲相続が発生します。

代襲相続が発生する原因2つ目は、相続人が廃除されたときです。

(3)相続人が欠格

欠格とは、相続人としてふさわしくない人の相続資格を奪う制度です。

欠格になる理由は、法律で決められています。

主な理由は、被相続人を殺害したり、殺害しようとしたり、遺言書を偽造したり、遺言書を隠したりしたなどです。

相続人としてふさわしくない理由に該当した場合、相続資格を失います。

相続人が欠格になったら代襲相続が発生します。

代襲相続が発生する原因3つ目は、相続人が欠格になったときです。

②子どもの子孫は何代でも代襲相続

相続人になるはずだった人を被代襲者と言います。

被相続人の子どもが被代襲者の場合、被相続人の子どもの子どもが代襲相続人になります。

子どもの子どもも被相続人より先に死亡した場合、子どもの子どもの子どもが代襲相続人になります。

相続人になるはずだった人の子どもの子どもが相続することを再代襲相続と言います。

被代襲者が子どもや子どもの子孫の場合、再代襲相続に制限はありません。

子どもの子孫は、何代でも代襲相続をすることができます。

③兄弟姉妹の代襲相続は一代限り

相続人になるはずだった兄弟姉妹が先に死亡した場合、兄弟姉妹の子どもが代襲相続をします。

兄弟姉妹の代襲相続は、一代限りです。

兄弟姉妹の子どもが被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹の子どもの子どもは代襲相続をすることができません。

被代襲者が兄弟姉妹の場合、再代襲相続はできません。

昭和23年1月1日から昭和55年12月31日に開始した相続については、再代襲相続ができました。

兄弟姉妹の代襲相続は、一代限りです。

5代襲相続がある相続を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、被相続人のものは相続財産になります。

相続財産は相続人全員の共有財産ですから、分け方を決めるためには相続人全員の合意が必要です。

相続人の一部を含めない合意や相続人でない人を含めた合意は無効になります。

相続財産の分け方の話し合いの前提として、相続人の確定はとても重要です。

代襲相続や数次相続が発生している場合、一挙に難易度が上がります。

インターネットが普及したことで、多くの情報を手軽に得ることができるようになりました。

簡単に情報発信ができるようになったこともあって、適切でない情報も有益な情報もたくさん出回っています。

相続の専門家と名乗っていながら、適切でないアドバイスを見かけることも度々あります。

代襲相続や数次相続が発生している場合、信頼できる専門家のサポートが欠かせません。

スムーズに相続手続を行いたい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

遺贈の放棄が相続に与える影響

2025-02-09

1特定遺贈と包括遺贈がある

①特定遺贈は特定の財産を指定する

遺贈とは、遺言書を作成して相続人や相続人以外の人に財産を引き継ぐことです。

遺贈には、2種類あります。

特定遺贈と包括遺贈です。

特定遺贈とは、遺言書に、「財産〇〇〇〇を遺贈する」と財産を具体的に書いてある場合です。

遺言書を作成して特定遺贈をする場合、引き継ぐ財産と引き継ぐ人は遺言書で指定します。

例えば、次ような記載です。

・不動産を〇〇〇〇さんに遺贈する

・〇〇銀行〇〇支店普通預金口座番号〇〇〇〇〇〇〇の預金を〇〇〇〇さんに遺贈する

・預貯金のうち100万円を〇〇〇〇さんに遺贈する

遺言者の意思を具体的に書くから、遺言者の気持ちを実現させることができます。

特定遺贈は、遺言書を作成して引き継ぐ財産を指定します。

②包括遺贈は割合で指定する

包括遺贈とは、遺言書に、「財産すべてを包括遺贈する」「財産の2分の1を包括遺贈する」と割合だけ書いて財産を具体的に書いてない場合です。

遺言書は、遺言者が元気なときに作成します。

遺言者が死亡するまでに、長期間経過することが多いでしょう。

財産内容が大きく変動することがあります。

特定遺贈する予定だった財産を処分するかもしれません。

特定された財産が処分された場合、特定遺贈する遺言の条項は無効になります。

包括遺贈は財産内容が大きく変動しても、一定の割合で遺贈することができます。

包括遺贈は、遺言書を作成して引き継ぐ財産の割合を指定します。

③遺贈を放棄することができる

遺言書は、遺言者がひとりで作ります。

遺言書で財産について定めるとき、相続人や受遺者の同意は不要です。

受遺者とは、遺贈で財産を引き継ぐ人です。

言わば一方的に、遺言書作ることができます。

遺言書に書いてあっても、相続人に気兼ねすることがあります。

トラブルになりたくないから、遠慮したいことがあるでしょう。

財産を受け取れると言っても、ありがた迷惑であることがあります。

遺言書に書いてあっても、遺贈を受ける義務はありません。

遺贈を放棄することができます。

2特定遺贈を放棄する方法

①特定遺贈の放棄に期限はない

特定遺贈の放棄の方法に、決まりはありません。

特定遺贈は、いつでも放棄することができます。

特定遺贈の放棄は、期限がありません。

②遺贈義務者に通知

特定遺贈を放棄する場合、遺贈義務者に通知します。

遺贈義務者とは、次の人です。

(1)遺言執行者がいる場合 遺言執行者

(2)遺言執行者がいない場合 相続人

(3)遺言執行者と相続人がいない場合 相続財産清算人

特定遺贈の放棄を遺贈義務者に通知する方法に、決まりはありません。

口頭の通知でも、差し支えありません。

口頭の通知では、後日トラブルになるおそれがあります。

例えば、配達証明付き内容証明郵便を利用すると、通知した証拠を残すことができて安心です。

特定遺贈の放棄は、遺贈義務者に通知します。

③特定遺贈は一部放棄ができる

具体的に財産を分けることができれば、特定遺贈全部を放棄することも一部だけ放棄することもできます。

例えば、「不動産と預貯金100万円を遺贈する」と書いてある場合、次の選択肢があります。

選択肢①特定遺贈全部を放棄する

選択肢②預貯金100万円を受け取って、不動産を放棄する

選択肢③預貯金60万円を受け取って、不動産と預貯金40万円を放棄する

特定遺贈は、一部放棄ができます。

3包括遺贈を放棄する方法

①包括遺贈の放棄の期限は3か月

包括遺贈を放棄する場合、相続を放棄する場合と同じ手続をします。

包括遺贈の放棄の期限は、遺贈があったことを知ってから3か月以内です。

包括遺贈の放棄の期限は、3か月以内です。

②手続先は家庭裁判所

包括遺贈を放棄する場合、家庭裁判所に包括遺贈を放棄する申立てをします。

提出先は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

家庭裁判所の管轄は、裁判所のホームページで確認することができます。

包括遺贈の放棄の手続先は、家庭裁判所です。

③必要書類

包括遺贈の放棄で必要になる書類は、次のとおりです。

(1)遺言書

(2)遺言者の住民票

(3)受遺者の戸籍謄本(3か月以内のもの)

(4)収入印紙800円分

(5)家庭裁判所が使う郵便切手

家庭裁判所が使う郵便切手は、裁判所ごとに必要な金額や枚数が異なります。

4遺贈の放棄の注意点

注意①遺贈の放棄をしても相続人

遺贈によって、相続人に対して財産を引き継ぐことができます。

遺贈を放棄しても、相続人であることは変わりません。

遺贈を放棄しても、相続人として相続することができます。

相続したくない場合は、あらためて相続放棄の手続をする必要があります。

遺贈の放棄と相続放棄は、別の手続です。

遺贈の放棄の注意点1つ目は、遺贈の放棄をしても相続人であることです。

注意②相続放棄をしても遺贈

相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に相続放棄の申立てをします。

家庭裁判所で相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。

相続放棄をしても、遺贈を受けることができます。

遺贈は、相続人以外の人に財産を引き継ぐことができるからです。

遺贈を受けたくない場合は、あらためて遺贈の放棄の手続をする必要があります。

遺贈の放棄と相続放棄は、別の手続です。

遺贈の放棄の注意点2つ目は、相続放棄をしても遺贈を受けることができる点です。

注意③放棄された財産は遺産分割協議で決定

遺言書を作成して遺贈しても、遺贈を放棄することができます。

遺贈が放棄されたら、遺贈した財産は行き先を失います。

遺贈が放棄されたら、相続財産になります。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、遺産分割協議で決定します。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話合いです。

遺贈の放棄の注意点3つ目は、放棄された財産は遺産分割協議で決定することです。

注意④放棄の撤回はできない

遺贈されたことを知ったら、遺贈を単純承認するか遺贈を放棄するか選択することができます。

特定遺贈を放棄するときは、遺贈義務者に通知します。

包括遺贈を放棄するときは、家庭裁判所に包括遺贈の放棄の申立てをします。

遺贈の放棄をしたら、撤回することはできません。

相続放棄が撤回できないのと同様です。

撤回を認めると、相続が混乱するからです。

遺贈の放棄の注意点4つ目は、放棄の撤回はできないことです。

注意⑤催告に返答しないと承認

特定遺贈は、遺贈の放棄に期限がありません。

いつまでたっても単純承認をするのか放棄するのか決めないと、相続手続が進められません。

相続人は受遺者に対して早く決めて欲しいと、催告することができます。

催告期間内に返答をしないと、遺贈を承認したと見なされます。

遺贈の放棄の注意点5つ目は、催告に返答しないと承認と見なされることです。

注意⑥包括遺贈は一部放棄ができない

特定遺贈では、遺贈の一部放棄をすることができます。

包括遺贈では、一部放棄ができません。

相続放棄と同じです。

相続放棄は、一部放棄ができません。

遺贈の放棄の注意点6つ目は、包括遺贈は一部放棄ができないことです。

5遺贈の放棄のメリットデメリット

メリット①負担の回避ができる

遺言書で不動産を遺贈されることがあります。

不動産は重要な財産である一方で、固定資産税や除草などの負担があります。

相続財産全体の規模が大きいと、相続税が課されます。

ときには、遺贈がありがた迷惑であるかもしれません。

遺贈を放棄することで、負担を回避することができます。

遺贈の放棄のメリット1つ目は、負担の回避ができる点です。

メリット②相続人とのトラブル回避

相続人の中には、遺言書の内容に不満を持っている人がいるかもしれません。

遺言書に書いてあると言っても、相続人に気兼ねすることがあるでしょう。

遺贈を放棄することで、相続人とのトラブルを回避することができます。

遺贈の放棄のメリット2つ目は、相続人とのトラブル回避です。

メリット③特定遺贈は一部放棄ができる

具体的に分けることができれば、特定遺贈は一部放棄をすることができます。

受け取りたい財産だけ選んで、遺贈を受けることができます。

遺贈の放棄のメリット3つ目は、特定遺贈は一部放棄ができる点です。

メリット④遺贈を放棄しても相続できる

遺贈の放棄と相続放棄は、別の制度です。

相続人に対して遺贈があった場合、遺贈の放棄をしても相続人のままです。

相続放棄をしても、遺贈を受けることができます。

遺贈の放棄のメリット4つ目は、遺贈を放棄しても相続できる点です。

デメリット①放棄は撤回できない

遺贈を放棄すると、撤回できません。

遺贈を放棄した後に、財産の価値が急上昇することがあります。

いったん放棄をすると、財産は取り戻せません。

遺贈の放棄のデメリット1つ目は、放棄は撤回できない点です。

デメリット②包括遺贈の放棄に期限3か月

包括遺贈の放棄は、3か月の期限があります。

法律の知識がないと、3か月の期限があるルールを知らないでしょう。

手続しないまま3か月が過ぎると、包括遺贈の放棄ができません。

遺贈の放棄のデメリット1つ目は、包括遺贈の放棄に期限3か月がある点です。

デメリット③相続人とのトラブル

遺言書で遺贈された財産は、相続人が受け取りたくない財産であることがあります。

例えば、遠方にある不動産などです。

遺贈を放棄すると、財産は相続財産になります。

相続人が引き継ぐことになるから、相続人とトラブルになるおそれがあります。

遺贈の放棄のデメリット3つ目は、相続人とのトラブルになるおそれがある点です。

デメリット④包括遺贈の放棄の手続が煩雑

包括遺贈の放棄は、家庭裁判所に対して包括遺贈の放棄の申立てをします。

裁判所に提出する書類作成は、知識がないと難しいことが多いでしょう。

遺贈の放棄のデメリット4つ目は、包括遺贈の放棄の手続が煩雑な点です。

6相続放棄と遺贈の放棄を司法書士に依頼するメリット

相続放棄も包括遺贈の放棄もプラスの財産もマイナスの財産も引き継ぎませんという裁判所に対する申立てです。

相続人らとのお話合いで、プラスの財産を相続しませんと申し入れをすることではありません。

家庭裁判所で認められないとマイナスの財産を引き継がなくて済むというメリットは受けられません。

放棄ができるのは、その相続でチャンスは実質的には1回限りです。

家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続を取ることはできます。

高等裁判所の手続で、2週間以内に申立てが必要になります。

家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。

一挙に、ハードルが上がると言ってよいでしょう。

司法書士であれば、家庭裁判所に認めてもらえるポイントを承知しています。

認めてもらえやすい書類を作成することができます。

相続放棄も遺贈の放棄も、原則として、撤回ができません。

3か月の期間内に手続するのは、想像以上にハードルが高いものです。

相続放棄を考えている方は、すみやかに司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

ペットのための生前対策

2025-02-07

1ペットに相続させることはできない

①相続人になるのは人間だけ

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になるのは人間だけです。

ペットは、相続人になれません。

②ペットはモノ扱い

相続人になるのは、人間だけだけです。

ペットは「家族」として、一緒に暮らすパートナーになったと言えるでしょう。

法律上は、モノ扱いです。

ペットが財産を引き継ぐことはできません。

ペットは、モノ扱いです。

③財産をペットのために使ってもらう

ペットは、大切なパートナーです。

ペットに、相続させることはできません。

ペットに相続させたい人は、自分の財産をペットのために使って欲しいと考えていると言えるでしょう。

ペットのために財産を使ってもらえれば、ペットに相続させるのと同じ効果を得ることができます。

自分の財産をペットのために使ってもらうことができます。

2遺言書を作成して負担付遺贈

①ペットと財産を引き継ぐ

受け入れがたいかもしれませんが、ペットは法律上モノ扱いです。

ペットは、被相続人の財産の一部です。

ペットを遺贈することができます。

遺贈とは、遺言書を作成して相続人や相続人以外の人に財産を引き継ぐことです。

ペットを飼育してくれる人を指定して、ペット自身を引き継ぐことができます。

指定するのは、信頼できる家族や知人などが多いでしょう。

ボランティア団体などでも、差し支えありません。

ペットと一緒に財産を引き継ぐことができます。

遺贈するときに、負担を付けることができます。

ペットを大切に飼育することを負担として、ペットと財産を引き継ぎます。

遺言書を作成して、ペットと財産を引き継ぐことができます。

②遺贈は放棄できる

遺言書は、遺言者がひとりで作成します。

相続人や遺贈を受ける人の同意や承諾は、不要です。

いわば一方的に遺言書を作成することができます。

財産を引き継ぐとは言うものの、ありがた迷惑であることがあります。

遺言書に書いてあるとは言うものの、相続人とトラブルになるおそれがあります。

遺言書に書いてあっても、遺贈を受けるか遺贈を辞退するか選択することができます。

遺言書の内容を押し付けることはできないからです。

ペットを飼育して欲しいと思って遺言書を書いても、遺贈は放棄することができます。

③ペットは自分で移動できない

大切なペットと自分が死ぬまで一緒にいたいと、考える人が多いでしょう。

自宅でだれにも気づかれずに死亡する人は、たくさんいます。

ペットは世話をする人を失うと、とても困ります。

ペットは、自分では何もできないからです。

自分が死亡した後に、ペットが自分で新しい飼い主のところへ移動することができません。

ペットは、自宅で飼っているでしょう。

自宅に立ち入ることができるのは、家族など限られた人だけです。

遺言書でペットを遺贈すると書くだけでなく、自宅に立ち入ってペットを引き取る必要があります。

だれかが適当にやってくれるだろうという考えは通用しません。

ペットは、自分で移動できません。

④遺言者死亡で遺言書の効力発生

遺言書に効力が発生するのは、遺言者が死亡したときです。

急病で病院に運ばれる人も、たくさんいます。

身の回りのことが不自由になって、施設などに入所することがあるでしょう。

施設などにペットを連れていくことはできないでしょう。

ペットのことを思うのなら、元気なうちにペットを引き渡す方がいいでしょう。

遺言者が死亡したときに、遺言書の効力が発生します。

⑤遺言書が無効になると遺贈も無効

ペットを遺贈するときに、多額の財産を一緒に遺贈することがあります。

相続人の中には、家族以外の人の財産を遺贈することを良く思わないかもしれません。

遺贈しなければ、相続財産になるはずだったからです。

遺言書なしで、遺贈をすることはできません。

遺言書が無効になると、遺贈も無効になります。

⑥公正証書遺言がおすすめ

遺言書を作成するためには、遺言能力が必要です。

遺言能力とは、遺言書の内容を理解して結果を認識する能力です。

重度の認知症になると、遺言能力が失われます。

遺言書の内容に不満がある場合、遺言書の無効を主張するでしょう。

遺言者が高齢であった場合、遺言書の無効を主張して遺言能力の有無を争うでしょう。

遺言書に書いてあるとは言うものの相続人とトラブルになる場合、遺贈を放棄するでしょう。

公正証書遺言は、遺言内容を公証人に伝え公証人が文書に取りまとめる遺言書です。

公正証書遺言を作成する場合、公証人は遺言者の意思を確認します。

遺言能力を失っている場合、適切に受け答えができないでしょう。

公証人が関与して作るから、公正証書遺言には高い信頼性があります。

公正証書遺言は、トラブル防止に役立ちます。

遺言書を作成する場合、公正証書遺言がおすすめです。

3負担付贈与契約

①贈与者と受贈者の合意で契約

遺言書は、遺言者が一方的に作成することができます。

相続が発生した後に、遺贈を放棄されるかもしれません。

自分の財産は、生きている間に自由に処分することができます。

贈与は、契約です。

贈与者と受贈者の合意で、贈与契約をすることができます。

ペットを飼育してくれる人と合意して、ペット自身を引き継ぐことができます。

ペットと一緒に財産を贈与することができます。

贈与するときに、負担を付けることができます。

ペットを大切に飼育することを負担として、ペットと財産を引き継ぎます。

贈与者と受贈者の合意で贈与契約をするから、贈与する人は安心です。

②死因贈与契約は贈与者の死亡で効力発生

贈与者と受贈者の合意で、贈与契約をします。

死因贈与とは、贈与者が死亡したときに贈与する契約です。

遺贈のときと同様に、ペットの引取が問題になります。

ペットは、自分で新しい飼い主のところへ移動できないからです。

ペットのことを思うのなら、元気なうちにペットを引き渡す方がいいでしょう。

贈与者が死亡したときに、死因贈与契約の効力が発生します。

③公正証書で死因贈与契約がおすすめ

死因贈与は、当事者の合意による契約です。

当事者が合意したら、贈与契約は成立します。

合意できれば、口頭の合意でも差し支えありません。

口約束の合意では、信用されないことが多いでしょう。

死因贈与契約は、贈与者が死亡したときに効力が発生します。

贈与者の家族は、死因贈与契約のことを何も知らないことがあります。

死因贈与契約をしたことを客観的に明らかにするため、書面にすることが重要です。

死因贈与契約は、公正証書にすることができます。

公正証書には、高い信頼性があります。

せっかく大切なペットの飼育を引き受けてくれたのだから、トラブルに巻き込まないように配慮することが大切です。

4ペット信託で信託監督人

①信託契約でペットの世話を依頼する

信託の仕組みを活用して、ペットの飼育を任せることができます。

信託は、委託者と受託者による契約です。

委託者兼受益者になるのは、当初の飼い主です。

受託者になるのは、新しい飼い主です。

委託者兼受益者は、受託者に対してペットと飼育費などの財産を信託します。

受託者は、信託契約に基づいてペットの世話をする義務を負います。

②適切に飼育しているか監督してもらえる

ペット信託では、信託監督人を置くことができます。

信託監督人とは、契約上の義務を果たしているか監督する人です。

受託者が適切にペットを飼育しているか、監督します。

信託監督人がいると、適切に飼育してもらえるから安心です。

親族とトラブルにならないようにするため、信託契約は公正証書にするのがおすすめです。

③ペット信託の流れ

ペット信託をする流れは、次のとおりです。

(1)受託者や信託監督人を決める

大切なペットの飼育を依頼するから、信頼できる人がいいでしょう。

(2)信託内容を決める

信託契約は、契約でやってもらいたいことを決めることからスタートします。

大切なペットをどのように飼育して欲しいか、不安に思うことを書き出すといいでしょう。

(3)契約書を作成する

契約内容を文書に取りまとめます。

(4)公正証書にする

私文書でも信託契約をすることができますが、公正証書にすることがおすすめです。

公正証書にすると、手数料がかかります。

5死後事務委任契約で飼育を依頼

①死後事務委任契約で依頼できること

死後事務委任契約とは、委任者が死亡した後の事務を依頼する契約です。

依頼する内容は、次のような事項が多いでしょう。

・親族や知人への連絡

・葬儀、火葬、納骨などに関する事務

・医療費や施設費などの清算

・税金や債務などの支払い

・健康保険や年金などの届出

上記の他に、ペットの世話を依頼することができます。

②死後事務委任契約で依頼できないこと

次のことは、死後事務委任契約で依頼できません。

・相続に関すること

・身分に関する事項

・生前に発生する手続

死後事務委任契約は、当時者で合意できればいろいろな事を依頼することができます。

相続や身分に関する事項は、遺言書を活用することです。

生前に発生する事務は、別途財産管理契約や後見契約で依頼する必要があります。

③公正証書で死後事務委任契約がおすすめ

死後事務委任契約は、委任者が死亡したときに効力が発生する契約です。

贈与契約などと同様に委任者の家族は、死後事務委任契約のことを何も知らないことがあります。

死後事務委任契約をしたことを客観的に明らかにするため、書面にすることが重要です。

死後事務委任は、公正証書にすることができます。

公正証書には、高い信頼性があります。

トラブルに巻き込まないように、配慮することが大切です。

④死後事務委任契約の流れ

死後事務委任契約をする流れは、次のとおりです。

(1)受任者を決める

大切なペットの飼育を依頼するから、信頼できる人がいいでしょう。

(2契約内容を決める

死後事務委任契約は、契約でやってもらいたいことを決めることからスタートします。

自分の死後にやってもらいたいこと、大切なペットをどのように飼育して欲しいか書き出すといいでしょう。

(3)契約書を作成する

契約内容を文書に取りまとめます。

(4)公正証書にする

私文書でも信託契約をすることができますが、公正証書にすることがおすすめです。

公正証書にすると、手数料がかかります。

6ペットのための生前対策の比較

①負担対遺贈

メリット

・遺言でペットと財産を引き継ぐことができる

・法的効力がある

デメリット

・遺贈を放棄するおそれがある

・遺言が無効になると遺贈も無効になる

②負担付贈与契約

メリット

・当事者が合意するから確実

デメリット

・贈与者と受贈者の合意しても家族が知らないおそれがある

③ペット信託

メリット

・財産はペットのためにしか使えない

・信託監督人に監督してもらうことができる

・ペットの死亡後の財産の引き継ぎ先を決めることができる

デメリット

・信託契約書作成に専門家の費用がかかる

④死後事務委任契約

メリット

・ペットの世話以外にもさまざまなことを依頼することができる

デメリット

・依頼できないことがある

・生前の事務は別途依頼する必要がある

7ペットの生前対策を司法書士に依頼するメリット

人生100年時代のさびしさや孤独の辛さから、ペットに癒しを求めている人が増えています。

ペットは「家族」として一緒に暮らすパートナーになったと言えるでしょう。

自分では何もできないペットの行く末を心配するのは当然のことです。

ペットは法律上は「モノ」に過ぎませんが、大切な家族です。

単なるモノとは違う配慮が必要になります。

飼い主にとって大切な家族であっても、他の親族からはそう思っていないこともあります。

制度にはメリットデメリットがあります。

この他にも、家族信託の仕組みをペットに応用する方法もあります。

制度を知って上手に生かすこと、は飼い主だけができることです。

大切な「家族」の幸せのために、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

投資信託を相続

2025-02-06

1投資信託は相続財産

①投資信託は金融商品

相続が発生したら、被相続人のものは相続人が相続します。

被相続人が生前保有していた財産が相続財産です。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

預貯金や株式以外に、いろいろな金融商品が販売されています。

被相続人が生前に投資信託を保有していることがあります。

投資信託は、金融商品のひとつです。

投資信託は、内容が複雑なものも多いものです。

投資に詳しくないから、よく分からないと思ってしまうかもしれません。

お金を預けて、資産運用の専門家が株式や債券で運用して、運用成果を分配してもらう仕組みです。

投資信託は、株式や債券で運用します。

投資信託の権利は、受益権と言います。

投資信託の受益権は、財産的な価値があります。

被相続人が保有していた投資信託の受益権は、相続財産です。

②投資信託に通帳はない

被相続人が銀行などに預貯金の口座を持っていた場合、通帳を持っているでしょう。

被相続人が投資信託を保有していた場合、通帳にあたるものがはじめからありません。

投資信託を保有している場合、証券会社などから手紙が届きます。

運用報告書や取引残高報告書などです。

自宅でこれらの書類がないか探してみましょう。

被相続人の預貯金の通帳を確認すると、証券口座への入出金履歴が見つかることがあります。

投資信託を保有していたことを知っている場合、どこの証券会社に口座があるのか探します。

取引していた証券会社が判明したら、証券会社に連絡します。

相続人は、証券会社に対して取引残高証明書の発行を請求することができます。

取引残高証明書には、どの投資信託を何口持っていたのか詳しく記載されています。

取引残高証明書の発行は、各相続人が単独で請求することができます。

③投資信託の受益権は当然分割されない

投資信託を相続するとは、運用成果を分配してもらう権利を相続することです。

投資信託の受益権は、口数を単位にしています。

当然に分割できると思うかもしれません。

投資信託の権利は、相続人全員の合意で分け方を決める必要があります。

仮に相続分が2分の1だからと言っても、被相続人の保有していた投資信託の口数の2分の1を相続できるわけではありません。

投資信託の受益権は、運用成果を分配してもらう権利だけではありません。

投資信託が適切に運用されているのか監督する権利があります。

投資信託の受益者は、出資者だからです。

投資信託の受益権は、単純な金銭支払請求権ではありません。

被相続人が投資信託を保有していた場合、投資信託を監督する権利も持っていたはずです。

投資信託を監督する権利は、分割することができません。

投資信託を監督する権利を含めて、投資信託の権利の分け方は相続人全員で決めなければなりません。

投資信託の受益権は、当然分割されません。

④投資信託の収益金は当然分割されない

投資信託は、運用成果を分配してもらう仕組みです。

あらかじめ決めらた日に、収益の分配金や償還金が支払われます。

投資信託の受益権は、当然分割されません。

投資信託の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

なかなか相続人全員の合意ができないことがあります。

相続人全員が話し合いの途中であっても、決められた日になれば収益の分配金や償還金が支払われます。

相続発生後に相続人の話し合い中に発生した分配金や償還金は、当然に分割されません。

仮に相続分が2分の1だからと言っても、分配金や償還金の2分の1を相続できるわけではありません。

分配金や償還金を受け取る権利は、投資信託の受益権の一部と言えるからです。

分配金や償還金を受け取る権利だけを切り離すことはできません。

投資信託の受益権の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

分配金や償還金を受け取るためには、相続人全員の合意が必要になります。

投資信託の収益金は、当然分割されません。

2相続発生で証券口座が凍結される

相続が発生したことを証券会社が知った場合、証券口座を凍結します。

口座の凍結とは、口座取引をすべて停止することです。

銀行の預貯金の口座と同様に相続手続が完了するまで、投資信託の処分などができなくなります。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

投資信託の権利は、相続人全員の合意で分け方を決める必要があります。

相続人全の合意ができないうちに、一部の相続人が勝手に投資信託を売却することがあります。

相続人全員の共有財産なのに勝手に独り占めをしたら、大きなトラブルになるでしょう。

証券会社などは他の相続人から強い抗議を受けることになります。

抗議を受けるだけでなく、相続人のトラブルに巻き込まれることになるかもしれません。

被相続人の財産が守られないとなったら、証券会社の信用は失墜するでしょう。

大切な財産を預かっているのだから、信用失墜は何としても避けたいはずです。

相続人間のトラブルに巻き込まれないため、相続発生を知ったら証券口座は凍結されます。

3投資信託の相続手続

①遺産分割協議で相続人全員の合意

被相続人が保有していた投資信託は、相続財産です。

相続財産を分けるためには、相続人全員で話し合いによる合意をする必要があります。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

一部の相続人が勝手に処分することはできません。

投資信託の分け方について相続人全員の合意ができたら、合意内容を文書に取りまとめます。

相続財産の分け方について相続人全員合意内容を取りまとめた文書を遺産分割協議書と言います。

遺産分割協議書は、相続人全員が確認のうえ記名し実印で押印します。

遺産分割協議書の押印が実印によるものであることを証明するため、印鑑証明書を添付します。

②相続手続書類を提出

投資信託の相続手続は、証券会社ごとに多少異なります。

おおむね、次の書類が必要です。

(1)名義書換請求書

(2)被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

(3)相続人の現在戸籍

(4)相続人全員による遺産分割協議書

(5)相続人全員の印鑑証明書

③相続人の口座開設

投資信託を相続する場合、相続人の証券口座が必要です。

相続人がその証券会社に口座を持っていない場合、あらかじめ、口座開設が必要になります。

被相続人の口座から直接投資信託を売却することはできません。

口座開設には、本人確認書類やマイナンバーが分かる書類が必要です。

④相続人名義の口座へ移管

投資信託を売却できるようになるのは、相続手続が完了してからです。

相続人名義の口座に移管されたら、相続人自身の固有の財産です。

保有し続けることも売却することも、自由にできます。

⑤被相続人の口座閉鎖

被相続人の資産がすべて移管された段階で、被相続人の口座は閉鎖されます。

4投資信託を相続するときの注意点

①投資信託は価格変動する

投資信託は、株式や債券で運用します。

株式や債券は、日々大きな値動きがあります。

売却時期や方法で、売却金に大きな差が出ることがあります。

相続人全員の話し合いをしている間にも、大きな値動きがあります。

売却時期や方法で、トラブルになるおそれがあります。

相続人間のトラブルを防止するため、売却時期や方法について合意しておくといいでしょう。

合意内容は、遺産分割協議書に明記するのがおすすめです。

②遺産分割協議中も収益分配金が入金される

相続財産の分け方について、相続人全員で合意できるまで長引くことがあります。

相続人全員の話し合いをしている間にも、収益分配金が入金されることがあります。

収益分配金相当額をどうするのかについても、話し合いで合意しておく必要があります。

これらの合意事項は、忘れず遺産分割協議書に盛り込みましょう。

③遺産分割協議書の書き方不備で贈与税

投資信託をどのように分けるか、相続人全員の合意で決定します。

特定の相続人が投資信託を相続して、他の相続人はその分のお金をもらう方法があります。

投資信託を売却して、売却金を相続人で分ける方法でもいいでしょう。

これらの合意事項は、忘れず遺産分割協議書に盛り込みます。

遺産分割協議書の書き方が不適切な場合、贈与とみなされて贈与税がかかるおそれがあります。

一般的に、贈与税は想像以上に高額です。

④投資信託を売却する場合、解約違約金に注意

投資信託の種類によっては一定の期間に投資信託を売却した場合、解約違約金がかかる特約を定めていることがあります。

投資信託を売却して、売却金を相続人で分ける方法を検討する場合、解約違約金がかかるのか確認しましょう。

解約違約金がかかってでも売却するのか、解約違約金がかからない時期まで待って売却するのか、充分に検討する必要があります。

投資信託は、株式や債券で運用します。

価値が大きく上がることも、大きく下がることもあります。

解約違約金がかからない時期まで待って売却する場合、投資信託自体の価値が大きく下がることもあり得ます。

売却時期や方法でトラブルになることのないように、話し合いで合意しておく必要があります。

⑤投資信託を売却するときの税金に注意

投資信託は、価値が大きく上がることも大きく下がることもあります。

被相続人が投資信託を購入したときと比べて、売却するときには大きく値上がりしていることがあります。

投資信託の値上がり益は、課税対象になります。

5投資信託の相続を司法書士に依頼するメリット

金融商品にあまり関心のない相続人は、投資信託がよく分からないでしょう。

一般の預貯金であれば、値動きがありません。

話し合いが長引いても、あまり大きな影響はありません。

投資信託は、株式や債券で運用します。

日々、大きな値動きがあります。

解約違約金がかかったり、税金がかかったりします。

預貯金などの相続よりトラブルになりやすいものです。

証券会社などの手続も、分かりにくいことが多いものです。

相続手続は司法書士などの専門家に、丸ごとおまかせできます。

トラブルなく円満な相続手続をしたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

同性婚は相続対策が不可欠

2025-02-06

1同性パートナーは遺産相続ができない

①相続人になる配偶者は法律上の配偶者だけ

配偶者は、必ず相続人になります。

配偶者は、法律上の配偶者を指します。

法律上の婚姻をしていない配偶者は、相続人になれません。

日本においては現在のところ同性婚は認められていません。

同性パートナーは、法律上の配偶者ではありません。

相続人になる配偶者は、法律上の配偶者だけです。

②パートナーシップ制度を利用しても相続人になれない

パートナーシップ制度とは、法律上の婚姻と異なる形態のカップルについて各自治体が婚姻に相当する関係と認め証明書を発行する制度です。

愛知県や名古屋市ではファミリーシップ制度が施行されていますが、すべての自治体で施行されているわけではありません。

パートナーシップ制度が施行されている自治体では、パートナーシップ宣誓をすることができます。

自治体から、パートナーシップ宣誓受領証を発行してもらうことができます。

パートナーシップ宣誓受領証を提示することで、婚姻に相当する関係と認めてもらいやすくなるでしょう。

パートナーシップ宣誓をしても、法律上の配偶者ではありません。

パートナーシップ制度を利用しても、相続人になれません。

③同性パートナーに遺留分がない

遺留分とは、相続財産に対する最低限の権利のことです。

兄弟姉妹以外の相続人に認められます。

同性パートナーは、相続人になれません。

同性パートナーには、遺留分が認められません。

④同性パートナーに寄与分がない

寄与分の制度は、特別な貢献をした相続人に対して相続分以上の財産を受け取ってもらう制度です。

同性パートナーは、相続人になれません。

同性パートナーは、寄与分を請求することはできません。

⑤同性パートナーは特別寄与料を請求できない

特別な貢献をした人が相続人でなくても親族である場合、特別寄与者になることができます。

親族にあたるのは、次の人です。

(1)6親等内の血族

(2)配偶者

(3)3親等内の姻族

同性パートナーは、親族ではありません。

同性パートナーは、特別寄与者になることはできません。

⑥同性パートナーに配偶者居住権と配偶者短期居住権がない

配偶者居住権と配偶者短期居住権は、いずれも、被相続人の家に住んでいた配偶者が無償で住み続けることができる権利です。

配偶者居住権も配偶者短期居住権も取得することができる配偶者は、法律上の配偶者のみです。

同性パートナーは、配偶者居住権も配偶者短期居住権も取得することはできません。

死亡したパートナー名義の自宅で暮らしていた場合、住む家を失うおそれがあります。

2遺言書を作成して財産を引き継ぐ

①同性パートナーに遺贈する

遺贈とは、被相続人が遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげることです。

相続では、法定相続人だけに譲ってあげることができます。

遺贈では、法定相続人に譲ってあげることもできるし、相続人以外の人に譲ってあげることができます。

譲ってあげる相手は、相続人以外の人でも構いません。

同性パートナーにも譲ってあげることができます。

相続では、遺言がなくても相続人が受け取ることができます。

遺贈は、遺言があるときだけ譲ってあげることができます。

同性パートナーは相続人になれませんから、相続はできません。

遺贈であれば、同性パートナーに財産を譲ってあげることができます。

遺贈とは、遺言によって、財産を譲ってあげることです。

遺贈をするためには、遺言書が不可欠です。

同性パートナーが特別な寄与をしている場合でも、同性パートナーは寄与分を請求することはできません。

被相続人は、遺贈をすることで寄与に報いてあげることができます。

②遺言書より遺留分が優先

遺留分とは、相続財産に対する最低限の権利のことです。

兄弟姉妹以外の相続人に認められます。

被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。

被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属が相続人になります。

被相続人の子どもや親などの直系尊属が相続人になる場合、遺留分があります。

相続人の遺留分を侵害するような遺言書を作成した場合、大きなトラブルになります。

遺留分権利者は、遺留分侵害額請求をすることができるからです。

遺言書を作成するだけで、遺留分を奪うことはできません。

遺留分は、相続人に認められた最低限の権利だからです。

遺言書の内容より遺留分は、優先します。

③遺言執行者選任で手続をおまかせできる

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

遺言書は、作成するだけでは意味がありません。

遺言書の内容は、自動的に実現するわけではないからです。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者がいない場合、相続人全員が協力して遺言書の内容を実現します。

相続人の中には、遺言書の内容を快く思わないことがあります。

遺言書の内容に賛成できない場合、遺言書の内容を実現することに協力をしないでしょう。

遺言執行者がいる場合、遺言執行者が遺言書の内容を実現してくれます。

相続人全員の協力は、不要です。

遺言書の内容に反対の相続人がいても、協力してもらう必要はありません。

遺言執行者は、遺言書の中で選任することができます。

遺言執行者を選任しておくと相続手続をおまかせすることができるから、安心です。

④公正証書遺言がおすすめ

遺言書の種類は、法律で決められています。

遺言書を作成する場合、自筆証書遺言か公正証書遺言を作るケースがほとんどです。

自筆証書遺言は、専門家の関与がなくひとりで作ることができるのでお手軽です。

遺言書には、厳格な書き方ルールがあります。

厳格な書き方ルールに合わない遺言書は、無効になります。

法律の知識がない人が遺言書を作ることがあります。

厳格な書き方ルールに抵触して無効になってしまう可能性があります。

公正証書遺言は、公証人が文書に取りまとめて作る遺言書です。

公証人は、法律の専門家です。

法律の専門家が関与するから、書き方ルールで遺言書が無効になることは考えられません。

作成した遺言書は、公証役場で厳重に保管されます。

紛失や改ざんの心配がありません。

公正証書遺言を作るのは手間がかかりますが、メリットが圧倒的に大きい遺言書です。

遺言書を作る場合は、公正証書遺言がおすすめです。

3養子縁組で相続人になる

①養子縁組で養親の子どもになる

養子縁組とは、法律上の親子関係を作る制度です。

同性パートナーの気持ちは、婚姻に相当する関係でしょう。

親子関係を作るのは、違和感があるかもしれません。

養親になる人と養子になる人が合意すれば、養子縁組をすることができます。

養子縁組をすることで、養子は養親の子どもになります。

養子は、養親の氏を名乗ります。

養子は、養親の親族になります。

養親が死亡した場合、子どもは相続人になります。

②パートナーシップ宣誓をすることができなくなる

同性パートナー間で養子縁組をした場合、法律上は親子です。

多くの場合で、パートナーシップ宣誓をすることができなくなります。

パートナーシップ宣誓をする条件に、親子関係がないことがあるからです。

③相続税の基礎控除が少なくなる可能性

同性パートナーが死亡したときに、相続税がかかることがあります。

相続財産が基礎控除の範囲内であれば、相続税はかかりません。

基礎控除は、次の計算式で求めることができます。

基礎控除=3000万円+600万円×法定相続人の人数

養子縁組をしなかった場合、兄弟姉妹が相続人であることがあります。

例えば、法定相続人になる兄弟姉妹が3人いた場合、基礎控除は4800万円です。

同性パートナー間で養子縁組をした場合、養子1人が法定相続人になるでしょう。

基礎控除は、3600万円になります。

養子縁組をすることで、たくさんの相続税を払うことになるおそれがあります。

4死因贈与契約で贈与

①遺留分は無視できない

死因贈与とは、贈与者が死亡したときに贈与する契約です。

死因贈与は契約だから、贈与する人と贈与を受ける人の合意で成立します。

贈与する人と贈与を受ける人の合意があっても、相続人の遺留分を奪うことはできません。

相続人の遺留分を侵害するような死因贈与契約を締結した場合、大きなトラブルになります。

遺留分権利者は、遺留分侵害額請求をすることができるからです。

死因贈与契約の内容より遺留分は、優先します。

②死因贈与執行者に手続はおまかせできる

死因贈与契約をする場合、執行者を選任することができます。

執行者は、死因贈与契約の内容を実現する人です。

執行者がいない場合、相続人全員が協力して死因贈与契約の内容を実現します。

執行者がいる場合、執行者が死因贈与契約の内容を実現してくれます。

相続人全員の協力は、不要です。

執行者を選任しておくと手続をおまかせすることができるから、安心です。

③贈与契約書は公正証書がおすすめ

死因贈与契約には、遺言書のような厳格な書き方ルールはありません。

贈与する人と贈与を受ける人の合意があれば、文書がなくても有効です。

死因贈与契約をしたと言っても、書面がないとだれも信用してくれないでしょう。

相続人とトラブルになることを避けるため、死因贈与契約は書面に取りまとめましょう。

死因贈与契約は公正証書にするのがおすすめです。

5特別縁故者は期待できない

①特別縁故者で財産を引き継ぐ

特別縁故者とは、被相続人に特別な縁故があったと認められた人です。

相続が発生したら、被相続人のものは相続人が相続します。

相続人になる人は、法律で決まっています。

相続人になる人がまったくいない場合、被相続人の財産は国庫に帰属します。

特別縁故者と家庭裁判所に認められた場合、被相続人の財産を引き継ぐことができます。

同性パートナーは法律上の配偶者でないだけで、事実上の配偶者でしょう。

同性パートナーが特別縁故者として認められることがあります。

特別縁故者として認められる可能性があるから、何も対策しなくていいという考えはおすすめできません。

②特別縁故者は相続人不存在のときだけ

法律上の相続人がいる場合、被相続人の財産は相続人が相続します。

特別縁故者が財産を受け継ぐ余地はありません。

③相続財産清算人選任の申立てに高額な予納金

特別縁故者として認めてもらう前提として、相続財産の清算が必要です。

被相続人の債権者がいる場合、債権者の支払いが先だからです。

相続財産の清算をする人は、家庭裁判所で選任してもらいます。

相続財産清算人選任の申立てには、予納金を納める必要があります。

財産規模にもよりますが、予納金は100万円程度になることが多いものです。

④特別縁故者はハードルが高い

特別縁故者は、家庭裁判所で認めてもらう必要があります。

特別縁故者であると主張するだけでは、認めてもらうことはできません。

家庭裁判所が納得する客観的証拠を準備する必要があります。

特別縁故者として認められるか認められないか家庭裁判所が判断します。

特別縁故者として認められても、わずかな財産だけ引き継ぐ決定がされる可能性があります。

6遺言書作成と遺言執行を司法書士に依頼するメリット

相続手続はタイヘンですが、相続人がいない場合もタイヘンです。

相続人がいないから、財産は国に持っていかれて、何もしなくていいと軽く考えがちです。

実際は、被相続人が死亡してから、国庫に帰属するまで1年以上の時間がかかります。

財産の内容によっては、100万円以上の費用の負担があることも見逃せません。

国に持っていかれるよりは、お世話になった人に受け継いでもらいたい、自分の気持ちを活かしてくれる慈善団体などに使ってもらいたいという気持ちがある人もいるでしょう。

お世話になった人に受け継いでもらいたい、自分の気持ちを活かしてくれる慈善団体などに使ってもらいたいという意思は遺言書で実現できます。

遺言書に、遺贈することを書き、遺言執行者を決めておけば、手間はかかりません。

お世話になった人は待っているだけで済みます。

遺言書は、書き方に細かいルールがあります。

細かいルールを守っていないと、遺言書は無効になってしまいます。

適切な遺言書作成と遺言執行者選任は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

認知された子どもは戸籍で判明

2025-02-06

1認知されると親子関係が発生する

芸能人や政治家などの有名人に隠し子がいたとか、認知したとか言う話題を聞いたことがある人もいるでしょう。

婚姻関係にないカップルの間に生まれた子どもについて、自分の子どもと認めることを認知と言います。

認知をして、自分の子どもだと認めるのは一般的には父親です。

婚姻関係にないカップルの間に生まれた子どもについて出生届が提出された場合、母の戸籍に入ります。

母が戸籍の筆頭者でない場合、新たに母が筆頭者の戸籍が作られます。

新しい戸籍に母と子どもが入ります。

同じ戸籍に入ることができるのは、2世代までだからです。

子どもの戸籍には、母は記載されますが父は空欄です。

出産の事実によって、母と子どもに親子関係が発生します。

出生届が出されただけでは、父と子どもに親子関係が発生しないからです。

母親が出産後に、捨て子をしたようなレアケースでは、母親も認知をすることがあり得ます。

認知をするには、市区町村役場に認知届を提出する必要があります。

母親に自分の子どもだと認めるだけでは、法律上の認知の効果はありません。

子どもは父に対して扶養を請求することも父を相続することもできません。

市区町村役場に認知届を提出した場合、戸籍に記載されます。

認知をしたことを家族に内緒にしておいても、戸籍を見れば分かります。

認知された子どもは、相続人になります。

2誕生後に認知届を提出すると戸籍に記載される

①父の戸籍に認知事項が記載される

役所に認知届を提出した場合、父と子どもに親子関係が発生します。

父が未成年である場合でも、単独で認知をすることができます。

親などの親権者の同意は不要です。

父と子どもに親子関係が発生しますから、父の戸籍に認知事項が記載がされます。

記載されるのは、次の事項です。

身分事項 認知

認知日 令和〇年〇月〇日

認知した子の氏名 〇〇〇〇

認知した子の戸籍 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号  〇〇〇〇

認知をしたことを家族に内緒にしておいても、戸籍を見れば分かります。

認知届を出すだけでは、認知された子どもが父の戸籍に入ることはありません。

認知された子どもは父の戸籍に入りませんが、父自身の戸籍の認知事項が記載されます。

他の家族が戸籍を見た場合、認知した事実が判明します。

②子どもの戸籍に認知事項が記載される

役所に認知届を提出した場合、父と子どもに親子関係が発生します。

子どもの戸籍の父の欄に、父の氏名が記載されます。

父と子どもに親子関係が発生しますから、子どもの戸籍に認知事項が記載がされます。

記載されるのは、次の事項です。

身分事項 認知

認知日 令和〇年〇月〇日

認知者の氏名 〇〇〇〇

認知者の戸籍 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号  〇〇〇〇

送付を受けた日 令和〇年〇月〇日

受理者 〇〇県〇〇市長

③認知された子どもの住所は子どもの戸籍の附票で判明

認知された子どもは、相続人になります。

被相続人が認知された子どもの存在を家族に秘密にしていることがあります。

家族は戸籍謄本収集の過程で、認知された子どもの存在を知るでしょう。

認知された子どもに相続手続の協力を求めたくても、連絡先が分かりません。

認知された子どもの戸籍謄本を取得したら、一緒に戸籍の附票を請求します。

戸籍の附票は、住民票の異動が記録されている書類です。

戸籍の附票は、本籍地のある市区町村役場に請求します。

相続人調査で戸籍謄本を集めますから、本籍は必ず判明します。

住民票上の住所は、戸籍の附票で調べることができます。

3胎児認知をしたら戸籍の附票に記載される

①胎児認知には母の承諾が必要

父親は子どもが誕生する前に認知届を出すことができます。

子どもが誕生する前に認知届を出すことを胎児認知と言います。

胎児認知をする場合、母の承諾が必要です。

母が未成年である場合でも、単独で承諾をすることができます。

親などの親権者の同意は不要です。

②胎児認知をしたら母の戸籍の附票に記載される

胎児認知届を提出した場合、子どもが誕生するまでは父の戸籍には何も記載されません。

母の戸籍の附票に記載がされるのみです。

③子どもの戸籍に認知事項が記載される

子どもの出生届が提出された時点で、子どもの戸籍が作られ認知事項が記載されます。

記載されるのは次の事項です。

身分事項 認知

胎児認知日 令和〇年〇月〇日

認知者の氏名 〇〇〇〇

認知者の戸籍 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号  〇〇〇〇

④父の戸籍に認知事項が記載される

子どもが誕生したことで父と子どもに親子関係が発生します。

出生届が提出されてから、父の戸籍に認知事項が記載がされます。

記載されるのは次の事項です。

身分事項 認知

胎児認知日 令和〇年〇月〇日

認知した子の氏名 〇〇〇〇

認知した子の戸籍 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号  〇〇〇〇

送付を受けた日 令和〇年〇月〇日

受理者 〇〇県〇〇市長

⑤子どもが誕生しなかった場合は戸籍には何も記載されない

仮に子どもが流産や死産であった場合、母の戸籍の附票から認知の記載が削除されます。

父の戸籍は何も記載されていないから、何も影響はありません。

4父の戸籍から認知事項が消える

戸籍の作り直し(改製)がされる場合や戸籍のお引越し(転籍)をする場合があります。

戸籍が新しく作り直しがされる場合、新しい戸籍に書き写される項目と書き写されない項目があります。

父の戸籍の認知事項は、新しい戸籍に書き写されない項目です。

父が認知したときの戸籍に認知事項が記載されても、作り直し(改製)やお引越し(転籍)があった場合、書き写されません。

新しい戸籍だけを見ると、認知事項がないから認知した子どもの存在に気付かないでしょう。

相続人調査をする場合、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要になります。

認知した子どもの存在の有無は、出生から死亡までの連続した戸籍謄本で証明できるからです。

5父の氏を名乗り父の戸籍に入るためには家庭裁判所の手続

認知届を出すだけでは、認知された子どもが父の戸籍に入ることはありません。

認知届を出すだけでは、認知された子どもが父の氏を名乗ることはありません。

子どもが父の氏を名乗り父の戸籍に入るためには家庭裁判所で手続が必要です。

子どもが父の氏を名乗り父の戸籍に入る手続を、子の氏の変更許可申立てと言います。

子の氏の変更許可申立ての提出先は、子どもの住所地を管轄する家庭裁判所です。

家庭裁判所の管轄は裁判所のホームページで調べることができます。

子の氏の変更許可申立てができるのは、子どもです。

子どもが15歳未満の場合は、親などの法定代理人が代理します。

子の氏の変更許可申立てに添付する書類は以下のとおりです。

①子どもの戸籍謄本

②父母の戸籍謄本

家庭裁判所で子の氏の変更許可がされた場合、市区町村役場へ届出が必要です。

市区町村役場へ届出をする場合、家庭裁判所が出す審判書謄本の他に戸籍謄本が必要になることがあります。

6相続人調査を司法書士に依頼するメリット

本籍地の変更や国による戸籍の作り直し(改製)で多くの方は、何通もの戸籍を渡り歩いています。

古い戸籍は現在と形式が違っていて読みにくかったり、手書きの達筆な崩し字で書いてあって分かりにくかったりしますから、慣れないと戸籍集めはタイヘンです。

本籍地を何度も変更している方や結婚、離婚、養子縁組、離縁を何度もしている方は、戸籍をたくさん渡り歩いているので、膨大な手間と時間がかかることが多くなります。

戸籍には被相続人の結婚や離婚、子どもや養子の存在といった身分関係がすべて記録されています。

ですから、時には家族の方が知らない相続人が明らかになることもあります。

相続が発生した後に、認知を求めて裁判になることもあります。

相続人を確定させるために戸籍を集めるだけでも、知識のない一般の人にはタイヘンな作業です。

家族の方が知らない相続人が明らかになると、精神的な負担はさらに大きいものになります。

相続手続のうち、専門家に任せられるものは任せてしまえば、事務負担を軽減することができます。

戸籍や住民票の取り寄せも司法書士は代行します。

相続人調査でお困りの方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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