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自己破産しても相続人

2026-01-29

1自己破産をしても相続人

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②自己破産をすると財産は債権者に配当される

自己破産とは、借金の支払を免除してもらう手続です。

破産者のプラスの財産を債権者に公平に分配して、マイナスの財産をなしにします。

マイナスの財産が無くなるから、人生のやり直しの機会を得ることができます。

自己破産では、自己破産の申立ての後に破産手続開始決定がされます。

破産手続開始決定がされた後、相続が発生しても破産手続が取り消されたり止まったりすることはありません。

③自己破産しても相続欠格にならない

相続人が自己破産をしただけであれば、欠格になることはありません。

相続欠格とは、相続人としてふさわしくない人の相続資格を奪う制度です。

相続人になれない人は、民法で決められています。

欠格になるのは、次のような理由がある人です。

(1) 故意に被相続人、同順位以上の相続人を死亡させた人、死亡させようとした人

(2) 被相続人が殺害されたのを知って、告訴や告発をしなかった人

(3) 詐欺・脅迫で遺言の取消・変更をさせたり、妨害した人

(4) 遺言書を偽造・変造・廃棄・隠匿した人

④自己破産しても相続人廃除できない

自己破産の理由によっては、廃除されるかもしれません。

相続人廃除とは、被相続人の意思で、相続人の資格を奪う制度です。

相続人の資格を奪うというのは、実質的には、遺留分を奪うことです。

相続人の廃除は遺留分を奪う重大な決定だから、家庭裁判所は慎重に判断します。

相続人の廃除は、次のような理由があるときに認められます。

(1)被相続人に虐待をした

(2)度重なる重大な親不孝をした

(3)被相続に重大な侮辱をした

(4)重大犯罪をして有罪判決を受けた

(5)多額の借金を被相続人に払わせた

(6)愛人と暮らすなどの不貞行為をする配偶者

単に、相続人が自己破産をしただけであれば、相続人廃除が認められることはないでしょう。

2相続発生後に破産手続開始決定

①相続財産は相続人全員の共有財産

相続が発生した場合、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

相続に財産の分け方を決めるための相続人全員の話し合いを遺産分割協議と言います。

遺産分割協議が成立するまでは、相続財産に対して各相続人が共有持分を持っています。

相続財産に対する共有持分は、各相続人の財産です。

各相続人は、法定相続分で相続財産に対して財産を持っていると言えます。

②相続財産は破産財団に組み込まれる

自己破産をした場合、破産者の財産は債権者に公平に分配されます。

債権者に公平に分配するため、破産者は財産の管理処分権を失います。

破産管財人は、中立公平の立場で破産手続を進める人です。

中立公平の立場から、破産管財人が債権者に財産を分配します。

債権者に分配されるのは、破産手続開始決定がされた時点の破産者の財産です。

相続発生後に破産手続開始決定がされた場合、各相続人の共有持分は破産財団に組み込まれます。

相続財産に対する共有持分は、各相続人の財産だからです。

破産管財人は、中立公平の立場で破産者の財産を管理処分します。

③遺産分割協議は破産管財人が参加

相続人は、法定相続分で相続財産に対して財産を持っていると言えます。

相続人が自己破産をした場合、相続財産に対する法定相続分は債権者に公平に分配されるべき財産です。

破産者の財産を債権者に公平に分配するため、遺産分割協議は破産管財人が参加します。

破産者は財産の管理処分権を失っているから、自分で遺産分割協議に参加することはできません。

遺産分割協議は、相続財産に対する法定相続分を処分することだからです。

遺産分割協議書に記名し押印をするのは、破産管財人です。

④破産者の相続分は債権者に分配される

自己破産をした場合、破産者の財産は債権者に公平に分配されます。

相続財産を取得した場合、破産者が取得した財産は債権者に分配されます。

⑤相続放棄をすると家族に財産を渡せる

相続が発生した場合、相続人は単純承認をするか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に相続放棄の申立てをします。

家庭裁判所で相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。

相続放棄をした後に破産手続開始決定がされた場合、相続財産は破産財団に組み込まれません。

自己破産の申立てをした人は、相続人ではないからです。

相続財産は、破産手続とは無関係な財産です。

自己破産する人は、どちらにしても相続財産を引き継ぐことはできません。

単純承認をしたら、破産財団に組み込まれます。

相続放棄をしたら、他の相続人が引き継ぐことができます。

相続発生後に破産手続開始決定の場合は、どちらかを選択します。

⑥相続放棄は詐害行為ではない

相続人が多額の借金を抱えている場合、債権者は相続財産から借金を返してもらいたいと期待するでしょう。

相続すれば多額の財産が手に入るのに、相続放棄をしたら相続財産は受け継ぐことはできません。

詐害行為とは、債権者が困ることを知っているのに自分の財産を不当に減少させる行為です。

債権者は裁判所に訴えて、詐害行為を取り消すことができます。

相続放棄は、詐害行為ではありません。

相続放棄は、財産処分行為ではないからです。

相続人が相続放棄をした場合、詐害行為として取り消すことはできません。

3破産手続開始決定後に相続発生

①自己破産で人生をやり直す

自己破産をした場合、破産者の財産は債権者に公平に分配されます。

破産手続開始決定がされた時点以降に、破産者が財産を取得することがあります。

破産手続開始決定がされた時点以降に取得した財産は、債権者に分配されません。

自己破産の制度は、人生のやり直しの機会を得る制度だからです。

破産手続開始決定がされた時点以降に取得した財産を債権者に分配できるとしたら、破産者は人生のやり直しをすることができなくなります。

②自己破産した人が遺産分割協議

相続が発生した場合、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。

相続人は、法定相続分で相続財産に対して財産を持っていると言えます。

相続人が相続財産の共有を始めたのは、相続が発生したときです。

破産手続開始決定がされた時点以降に相続が発生した場合、破産手続開始決定がされた時点以降に相続財産の共有持分を取得したと言えます。

破産手続開始決定がされた時点以降に取得した財産は、自己破産した人が人生のやり直しをするための財産です。

自己破産した人が自由に処分することができます。

遺産分割協議は、相続財産に対する法定相続分を処分することです。

自己破産した人が自由に処分できるから、遺産分割協議は自分で参加することができます。

4破産手続開始決定直前の遺産分割協議

①遺産分割協議が詐害行為になる

遺産分割協議とは、相続財産の分け方を決めるため相続人全員でする話し合いです。

破産手続開始決定がされる前であれば、財産の管理処分権があります。

自己破産をした場合、引き継いだ財産は破産財団に組み込まれます。

他の相続人が相続する合意をしようと、考えるかもしれません。

遺産分割協議は、相続財産に対する共有持分を処分することです。

遺産分割協議で、債権者が困ることを知っているのに自分の財産を不当に減少させたと言えます。

自己破産予定で財産を取得しない遺産分割協議をすることは、債権者を困らせる行為です。

自己破産予定で財産を取得しない遺産分割協議をすることは、不当な財産減少行為です。

自己破産する人が財産を取得しない遺産分割協議は、詐害行為です。

②破産管財人が否認権行使して取り返される

破産管財人は、詐害行為にあたる遺産分割協議に対して否認権を行使することができます。

破産管財人は否認権を行使して、財産を取り返すことができます。

5相続放棄を司法書士に依頼するメリット

自己破産をするといろいろなことが制限されるというイメージがある方は少なくありません。

そのイメージとあいまって、相続することもできないという誤解があります。

自己破産をしても相続権は失われません。

自己破産をしたから相続放棄をしなければならないといったことはありません。

自己破産を検討しているのであれば、早めに準備を進めるのがいいでしょう。

相続の発生が予想されるのであれば、なおさら早めに破産手続き始決定を受けておくことを目指しましょう。

破産手続開始決定を受けた後であれば、取得した財産は破産手続とは無関係になるからです。

大切な家族を失ったら家族は大きな悲しみに包まれます。

大きな悲しみで何もする気になれないことも多いでしょう。

相続手続は一生に何度も経験するものではありません。

だれにとっても不慣れでだれにとっても聞き慣れない言葉でいっぱいです。

相続放棄をはじめとして相続手続全般をサポートしています。

相続放棄を検討している方は、すみやかに司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

生前の遺留分放棄には家庭裁判所の許可が必要

2026-01-29

1生前の遺留分放棄はサインで済む手続ではない

①遺留分は最低限の権利

被相続人は、生前自分の財産を自由に処分することができます。

遺言書を作成して、自分の財産をだれに引き継がせるか自由に決めることができます。

被相続人の名義になっていても、被相続人がひとりで築いた財産ではありません。

被相続人に近い関係の相続人には、最低限の権利が認められています。

遺留分とは、被相続人に近い関係の相続人に認められる最低限の権利です。

遺留分の制度は遺言の自由を原則としつつ、完全な自由にはしない調整機能があります。

②遺留分が認められる人

相続人になる人は、法律で決められています。

配偶者、子ども、親などの直系尊属、兄弟姉妹です。

遺留分が認められる人は、被相続人に近い関係の相続人です。

具体的には、配偶者、子ども、親などの直系尊属に遺留分が認められます。

兄弟姉妹は相続人になっても、遺留分は認められません。

③家庭裁判所の許可は相続人を守る

遺留分は、希望すれば放棄することができます。

相続発生前に遺留分を放棄する場合、家庭裁判所の許可が必要です。

家庭裁判所の許可が必要な理由は、弱い立場の相続人を保護するためです。

遺留分を放棄すると、法律で保障された最低限の権利を失います。

家庭裁判所の許可は、第三者によるチェック機能です。

家庭裁判所は、自由な意思で遺留分を放棄するのか慎重にチェックします。

④念書で遺留分放棄はできない

(1)家庭裁判所の許可なしで生前の遺留分放棄はできない

実印を押して念書を作成しても、無効の念書です。

実印を押しても家庭裁判所の許可を得ずに、生前の遺留分放棄はできないからです。

念書があっても、相続発生後に遺留分侵害額請求をすることができます。

(2)被相続人に念書を書いても無効

被相続人が相続人に遺留分を放棄するように、命令することがあります。

被相続人の命令に、法律上の意味はありません。

被相続人に差し入れた念書は、無効の念書です。

念書があっても、相続発生後に遺留分侵害額請求をすることができます。

(3)相続人間で念書を書いても無効

相続人間で遺留分を放棄すると、合意することがあります。

相続人間の合意に、法律上の効力はありません。

相続人間で取り交わした念書は、無効の念書です。

念書があっても、相続発生後に遺留分侵害額請求をすることができます。

(4)元配偶者が念書を書いても無効

被相続人が離婚する際に、子どもが遺留分を請求しない取り決めをすることがあります。

被相続人と元配偶者の取り決めに、法律上の意味はありません。

被相続人と元配偶者が取り交わした念書は、無効の念書です。

念書があっても、相続発生後に遺留分侵害額請求をすることができます。

(5)念書・契約書・合意書・誓約書すべて無効

家庭裁判所の許可を得ずに、生前の遺留分放棄はできません。

家族間で念書を作成しても、すべて無効です。

文書の名称は、関係ありません。

念書・契約書・合意書・誓約書すべて無効です。

生前の遺留分放棄には、家庭裁判所の許可が必要だからです。

(6)念書を書かせる行為自体がトラブルを招く

念書を書かせる行為自体がトラブルを招きます。

被相続人や他の相続人に対して、不信感を抱くからです。

遺留分を放棄する念書は、法律上無効です。

将来、遺留分侵害額請求があると、さらに相続人間のトラブルが深刻になります。

遺留分放棄の念書の存在は、圧力があった証拠になるからです。

⑤家族間合意で遺留分の放棄ができない理由

遺留分の放棄は、家族間の力関係が影響します。

心理的支配や経済的依存が絡むため、家族間の合意では自由意思を確保できません。

立場の弱い相続人を保護するため、家庭裁判所の許可が必要です。

2生前の遺留分放棄には家庭裁判所の許可が必要

①遺留分放棄の許可の申立ての方法

(1)申立てができる人

遺留分が認められている相続人です。

(2)申立てができる時期

相続が発生する前です。

(3)申立先

被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所です。

家庭裁判所の管轄は、裁判所のホームページで確認することができます。

(4)必要書類

遺留分放棄の許可の申立書には、次の書類を添付します。

・被相続人の戸籍謄本

・申立人の戸籍謄本

・被相続人の住民票または戸籍の附票

(5)申立てにかかる費用

申立手数料は、1人800円です。

手数料は、収入印紙を申立書に張り付けて納入します。

手数料とは別に、家庭裁判所が手続で使う郵便切手を予納します。

予納する切手の額面や枚数は、家庭裁判所ごとに異なります。

②家庭裁判所が遺留分放棄を許可する基準

条件(1)自由な意思によること

家庭裁判所が遺留分放棄を許可する基準は、明文化されていません。

過去の裁判例や実務の運用が積み重なって、事実上基準と考えられています。

遺留分放棄をする人の自由な意思があることは、最重要です。

被相続人や他の相続人から強迫や圧力があると、許可されません。

遺留分放棄の念書を欠かされた事実は、圧力があったことの証拠にできます。

経済的心理的圧力が認められると、許可は極めて困難です。

家庭裁判所は、面談での供述内容から遺留分放棄の理由の一貫性を見ています。

条件(2)遺留分を充分理解していること

遺留分を放棄するためには、遺留分とは何か充分に理解している必要があります。

遺留分放棄をすると何ができなくなるのか将来起きうることを理解できないと、許可されません。

高齢者など判断能力に疑問符が付くと、特に慎重に審査されます。

条件(3)生活保障の確保

遺留分は、相続人の生活保障の側面があります。

審査にあたって、家庭裁判所は次の点を総合的に評価します。

・遺留分放棄をする人の年齢、職業、収入

・遺留分放棄をする人の家族の扶養状況

・遺留分放棄をする人の資産状況

遺留分放棄をする人が経済的弱者である場合、特に慎重に審査されます。

条件(4)遺留分の放棄に見合う財産を得ていること

遺留分とは、相続人に認められる最低限の権利です。

法律が認めた保障を失うから、経済的利益を得ていることが重視されます。

・現金の給付

・不動産の贈与

・生命保険金の受取人指定

遺留分の放棄に見合う充分な経済的利益を得ていないと、許可されません。

家庭裁判所は、形式的に財産を与えたかではなく経済的実質を慎重に審査します。

経済的実質が低いと、充分な経済的利益を得ていないと判断されます。

例えば、次の財産は実質的交換価値が著しく低いと判断されるでしょう。

・買い手がつかない不動産、市場価値が著しく低い不動産

・維持管理費が発生する不動産、固定資産税がかかるだけで使えない不動産

・単独て使えない共有土地、他の共有者と紛争リスクがある不動産

むしろ負担の転嫁と、評価されかねません。

処分困難な不動産を押し付けて形式的贈与の形をとることは、制度趣旨に反します。

形式的に贈与しても負担の転嫁では、許可は極めて困難です。

条件(5)合理性や必要性

遺留分を放棄するためには、合理性や必要性が審査されます。

生前に遺留分を放棄する場合、相続財産は未確定です。

将来における未確定の権利処分だから、政策上、慎重にせざるを得ません。

生前の遺留分放棄は、被相続人による親子、扶養、経済的支配関係の中にいます。

立場の弱い相続人を不当な圧力から守る必要があります。

不当な圧力によって遺留分の放棄を認めると、遺留分制度が空洞化します。

合理性や必要性が認められない遺留分の放棄は、不当な支配関係によると考えるべきです。

不当な圧力から守るため、家庭裁判所は合理性や必要性について、慎重に審査します。

条件(6)総合的に判断

家庭裁判所は被相続人の自由のためではなく、相続人の保護を重視して判断します。

条件(1)~条件(5)のうち1つでも著しく低い評価になると、家庭裁判所による許可は困難です。

③遺留分放棄が許可されない典型例

ケース(1)前婚の子どもに充分な養育費を払った

養育費の支払いは、親としての法的な義務の履行です。

当然すべき義務を履行したことを理由として、遺留分の放棄は許可されません。

遺留分は相続人に認められる最低限の権利だから、性質が異なります。

扶養義務を果たしたから、最低保障を不要とは判断しません。

例えば、養育費水準を大幅に超える経済的支援があったなどを証明できれば、許可される余地があります。

ケース(2)前婚配偶者に充分な財産分与をした

離婚時の財産分与は、夫婦共有財産の清算です。

子どもの遺留分とは、無関係です。

離婚で財産が減ったことを理由として、遺留分の放棄は許可されません。

前婚配偶者に渡したから子どもは我慢すべきと、判断しません。

ケース(3)今までいろいろしてやった

家庭裁判所は、客観的資料で判断します。

いろいろしてやったは、抽象的過ぎて内容不明確と判断されます。

抽象的で内容が不明確なのに、遺留分の放棄は許可されません。

具体的時期や具体的金額を客観的証拠で示して、充分な対価を得たか判断します。

世話をしたや面倒を見たなどは、遺留分放棄の合理性とは直結しません。

被相続人による感情的要素のみと、評価されるでしょう。

例えば、全体の財産と比較して高額な学費を全額負担した、住宅取得資金を援助したなどを証明できれば、許可される余地があります。

ケース(4)家族が望んでいる

家庭裁判所は、家族が望んでいるか審査の対象にしていません。

遺留分放棄をする人の自由な意思があることは、家庭裁判所の審査で最重要です。

家族の多数意見があることは、自由意志をゆがめていると判断するでしょう。

遺留分放棄をする人の自由な意思がないと、遺留分の放棄は許可されません。

④遺留分を放棄しても相続人のまま

遺留分の放棄が認められても、相続人の資格は奪われません。

遺留分放棄は、相続放棄とは別の制度だからです。

遺留分放棄は、相続放棄の代替的制度ではありません。

3公正証書遺言を作成しても遺留分は奪えない

①遺留分を侵害しても遺言書は有効

遺言書に記載する内容というと、財産の配分をイメージするでしょう。

一部の相続人の遺留分を侵害する遺言書を作成することができます。

一部の相続人の遺留分を侵害する遺言書であっても、有効の遺言書です。

②遺言書の内容は絶対ではない

遺言書があれば、遺言書の内容どおりに遺産分割をすることができます。

有効な遺言書があっても、遺留分侵害額請求をすることができます。

公正証書遺言があっても、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺言書の内容は、絶対ではありません。

遺留分は、相続人に認められた最低限の権利だからです。

③遺留分侵害額請求を認めない遺言書に効力はない

遺言書を確認すると、遺留分侵害額請求を認めないと書いてあることがあります。

遺言書を作成するだけで、遺留分を奪うことはできません。

遺留分は、相続人に認められた最低限の権利だからです。

遺言書には、法律上意味がないことを書くことができます。

家族への感謝の気持ちや幸せに暮らしてほしい希望など、もちろん法律上意味はありません。

遺留分侵害額請求を認めないと書いても、法律上意味はありません。

遺留分侵害額請求を認めないと書いてあっても、遺留分侵害額請求をすることができます。

④相続人を廃除するのは極めて困難

遺言書を作成して、相続人の資格を奪うことができます。

廃除とは、相続人の資格を奪う制度です。

相続人の資格を奪うとは、実質的に遺留分を奪う手続です。

例えば次のケースでは、廃除は認められません。

・親の言いなりにならない、親の期待どおりに行動しない

・連絡を取らない、実家に寄り付かない

・仕送りをしてくれない、親子喧嘩

廃除は、被相続人の人格生活を破壊したものに最低保証を与えない制度です。

被相続人の感情的うっぷん晴らしのための制度ではありません。

相続人の資格を奪うか、家庭裁判所が判断します。

廃除は、家庭裁判所が非常に慎重に判断します。

廃除が認められる条件は、次のとおりです。

・被相続人に対する虐待

・被相続人に対する重大な侮辱

・著しい非行

被相続人との身分関係を破壊するレベルであると、客観的証拠で証明する必要があります。

4遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

被相続人は、原則として、自分の財産を誰に受け継がせるかは自由に決めることができます。

自由に決めることができるものの、完全に自由に決めることができるわけではありません。

遺留分を侵害するような遺言書である場合、相続発生後に大きなトラブルになりかねません。

侵害された相続人は遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分を侵害するような遺言書である場合、遺言書自体が無効だと主張されるおそれがあります。

遺言書自体が無効だと主張される場合、多くは修復困難な家族のもめごとになるでしょう。

あえてトラブルになる遺言書に固執するより遺留分を侵害しない遺言書を作成した方が現実的です。

家族のトラブルを減らすためには、遺留分を侵害しない遺言書を作成する方が有効です。

家族の幸せを思って遺言書を作成したいと考えるのであれば司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

事実婚・内縁関係を証明するには

2026-01-28

1事実婚・内縁関係は戸籍謄本で証明できない

①法律婚は戸籍謄本で一目瞭然

法律上婚姻関係と認められるためには、婚姻届を提出する必要があります。

婚姻届を提出すると、戸籍に記載されます。

法律婚は、戸籍謄本で証明することができます。

事実婚・内縁関係とは、婚姻届を出さない夫婦関係です。

婚姻届を提出しないから、戸籍には何も記載されません。

事実婚・内縁関係は、戸籍謄本で証明できません。

②第三者は資料で判断する

事実婚・内縁関係の当事者は、当然、夫婦であると認識しているでしょう。

夫婦だから分かってもらえると、誤解しがちです。

第三者は、事実婚・内縁関係を資料で判断します。

事実婚・内縁関係は、当事者が積極的に証明する必要があります。

事実婚・内縁関係には、戸籍謄本のような決定的証拠はありません。

客観的資料を積み重ねて、証明する必要があります。

③事実婚・内縁関係と認められる条件

条件(1)婚姻意思があること

婚姻意思があることとは、お互いに夫婦として共同生活を営む意思があることです。

形式的な届出の有無ではなく、実質的な夫婦である意思が重視されます。

条件(2)同一世帯で共同生活の実態があること

同一世帯で共同生活の実態があることとは、社会通念上夫婦と認められる生活実態があることです。

次の事項が重視されます。

・同居していること

・家計の共同があること

・協力扶助があること

条件(3)社会的承認があること

社会的承認があることとは、社会的に夫婦と認識されていることです。

周囲から夫婦であると認められ、対外的に夫婦であると振舞っていることです。

④決定的証拠がないから複数資料で補強する

事実婚・内縁関係には、決定的証拠がありません。

客観的資料を複数積み重ねて、証明します。

事実婚・内縁関係は、複数の資料によって3つの条件を総合的に判断されます。

単独の資料だけで、事実婚・内縁関係が認められるのは難しいでしょう。

単独の資料は、決定打にはならないからです。

複数の資料で相互に補強するほど、説得力が高まります。

一部の条件が弱くても、他の条件や資料で補強することができます。

やみくもに、たくさんの資料を準備する必要はありません。

第三者は、客観的に確認できる資料を重視するからです。

公的機関が確認した資料は、強い証拠力があります。

当事者だけで作成した資料は、補助的な役割を果たします。

事実婚・内縁関係と認められる条件を客観的に証明できるように、資料を準備します。

社会的承認があることは、公的な資料や準公的な資料が見込めません。

弱い証拠力だからこそ、さまざまな角度から承認されていることをバランスよく示す必要があります。

できるだけ証拠力のある資料をバランスよく、複数準備することがおすすめです。

過去の生活実態に基づく資料は、散逸していることも多いでしょう。

現在準備できる資料を組み合わせて、説明することが重要です。

⑤事実婚・内縁を証明するシーン

シーン(1)健康保険の扶養家族に入る

シーン(2)国民年金3号被保険者になる

シーン(3)遺族年金を受け取る

シーン(4)未支給年金を受け取る

シーン(5)公営住宅の入居

2事実婚・内縁関係で婚姻意思を証明するには

①パートナーシップ宣誓書

事実婚・内縁関係が認められるには、婚姻意思が認められる必要があります。

婚姻意思がないと、単なる同棲になるからです。

当事者が婚姻意思があると思っているだけでは、証明になりません。

パートナーシップ宣誓制度とは、お互いを人生のパートナーであると宣誓する制度です。

自治体がパートナーシップ宣誓を受付けたことを証明します。

パートナーシップ宣誓には、法的な効力はありません。

パートナーシップ宣誓書は公的な書類だから、高い証拠力があります。

自治体によっては、事実婚・内縁関係の人は制度利用ができないことがあります。

②婚姻契約公正証書

婚姻契約公正証書とは、夫婦が結婚生活に関する取り決めを公正証書にしたものです。

婚姻契約公正証書では、お互いをパートナーとする意思を明確にします。

生活費の負担や共有財産の範囲などを盛り込むことができます。

公正証書とは、公証人が作成する公文書です。

公正証書は、公証人が本人確認のうえ本人の意思を確認して作成します。

婚姻契約公正証書を作成しても、法律婚の効力を変えることはできません。

公正証書には、高い信頼性と高い証拠力があります。

③結婚証明書

結婚証明書とは、結婚式で新郎新婦が結婚する証明としてサインする書類です。

結婚証明書は単なる結婚式の演出のひとつで、公的書類ではありません。

ゲストの前でサインすることで、結婚の誓いを形に残すことができます。

婚姻届とちがい、法的効力はありません。

結婚証明書は公的書類ではないから、結婚証明書だけでは弱い証拠です。

④婚姻意思は後から証明できない

事実婚・内縁関係は、過去の事実の積み重ねで証明します。

事実婚・内縁配偶者が死亡した後、婚姻意思を証明することは難しくなります。

3事実婚・内縁関係で同一世帯で共同生活の実態を証明するには

①住民票で同一世帯を証明できる

事実婚・内縁関係が認められるには、同一世帯で共同生活の実態を認められる必要があります。

住民票は、世帯ごとに作成されます。

世帯とは、同一の住居に居住し、かつ、生計を共にする人の集まりと考えられています。

事実婚・内縁関係であっても、それぞれが世帯主で別の住民票になっていることがあります。

それぞれが世帯主で別の住民票になっていると、共同生活の実態が認められにくいでしょう。

例えば、シェアハウスで暮らしている人は、同一住所であっても共同生活の実態はありません。

事実婚・内縁関係であれば、共同生活をしているでしょう。

希望すれば、住民票を同一世帯にしてもらうことができます。

住民票は公的書類だから、高い証拠力があります。

②住民票の続柄に「夫(未届)」「妻(未届)」

住民票を確認すると、世帯主から見た続柄が記載されます。

同一世帯であっても、事実婚・内縁関係であるか分かりません。

例えば、友人同士でルームシェアをする場合や単なる同棲の場合、事実婚・内縁関係はありません。

住民票の世帯主から見て、同居人であると言えます。

事実婚・内縁関係がある場合、同居人ではなく「夫(未届)」「妻(未届)」が適切でしょう。

住民票の異動届を提出して、続柄を「夫(未届)」「妻(未届)」にしてもらうことができます。

住民票の異動届を提出する際に、事実婚・内縁関係の実態を説明する必要があります。

自治体によっては口頭の説明だけでなく、次の資料を準備すると納得してもらいやすいでしょう。

・不動産の賃貸借契約書

・生活費の共同が分かる書類

・パートナーシップ宣誓書

・婚姻契約公正証書

自治体から事実婚・内縁関係が認められたら、続柄が「夫(未届)」「妻(未届)」に変更されます。

平成24年2月10日総行住17号で総務省自治行政局長から「住民基本台帳事務処理要領の一部改正について(通知)」が発出されています。

「未届(夫)」「未届(妻)」と記載できないと言われた場合、できない理由を確認するといいでしょう。

住民票は公的書類だから、高い証拠力があります。

③住民票で長期間の同居を証明できる

事実婚・内縁関係が認められるには、共同生活の実態が重視されます。

共同生活が短期間である場合、事実婚・内縁関係とは認められにくいでしょう。

共同生活が長期間安定的に継続している場合、法律婚の夫婦と同様の生活実態があると認められやすくなります。

住民票を取得すると、共同生活の期間が判明します。

共同生活の期間は決定的な証拠にはなりませんが、長期間の共同生活の事実は補強証拠になります。

④賃貸借契約書の記載

事実婚・内縁関係が認められるために、賃貸借契約書は有効です。

賃貸借契約書は、生活の本拠を共有していることを示すことができます。

同一住所で共同生活をしていることを客観的に示すことができるからです。

連名で賃貸借契約をしている場合や互いに連帯保証人になっている契約は、高い証拠力があります。

賃貸借契約書の同居人欄に記載があり、住民票の続柄と整合性があるといいでしょう。

⑤家賃・公共料金・通信費の支払記録

共同生活をしている場合、生計同一の証明が重要です。

共同口座から引き落としをしている場合、生計同一をしていると言えます。

同一のクレジットカードや銀行口座を利用している場合、経済的結びつきを示すことができます。

長期間の支払いをしている場合、安定的な共同生活を証明することができます。

⑥社会保障や扶養関係

健康保険の扶養家族になっている場合、保険者から扶養関係が認められたと言えます。

遺族年金の支給を受けている場合、日本年金機構から遺族と認められたと言えます。

ひとつひとつの証拠力は弱くても、たくさんの証拠があると強力な証拠になります。

⑦共同生活の実態は婚姻意思の補強証拠になる

当事者が婚姻意思があると思っていると、共同生活をするようになるでしょう。

共同生活の実態を証明することは、婚姻意思があることの補強証拠になります。

4事実婚・内縁関係で社会的承認があることを証明するには

①民生委員発行の事実婚証明書

民生委員とは、厚生労働大臣から嘱託された地方公務員です。

地域の身近な相談にのり、行政や専門機関につなぐパイプ役です。

地域の民生委員に依頼すると、事実婚証明書を発行してくれることがあります。

事実婚証明書を発行してくれるか、民生委員の考えによります。

民生委員が確認した事実関係によって、証拠力が強くなることも弱くなることもあります。

②勤務先で家族扱い

勤務先で家族扱いを受けている場合、第三者である勤務先が家族と認めていると言えます。

勤務先で家族扱いを受ける場合、一定の審査があるから証拠力が比較的強いと言えるでしょう。

例えば、事実婚・内縁の配偶者を対象にして、扶養手当が支給されていることがあります。

扶養手当が支給されている給与明細書は、社会的承認がある資料として有効です。

勤務先の慶弔規程に基づいて、配偶者と扱われることがあります。

結婚祝い金の支給、配偶者として弔慰金の支給などがあれば、社会的承認がある資料として有効です。

勤務先に、緊急連絡先を登録するでしょう。

緊急連絡先は、勤務先が最も信頼できる家族と扱う対象です。

社内システムの緊急連絡先欄に登録されている記録は、社会的承認がある資料として有効です。

③親族からの上申書

親族から家族扱いを受けている場合、身近な第三者である親族が家族と認めていると言えます。

身近な第三者である親族が明確に夫婦と認めている上申書は、社会的承認がある資料として有効です。

親族の集まりに夫婦として参加している事実は、社会的承認の外形として非常に有効です。

結婚式や葬儀に夫婦参加をする場合、夫婦で記帳しているでしょう。

お盆や正月などへの夫婦参加をする場合、家族写真に写っていることがあります。

夫婦の記帳や家族写真は、社会的承認がある資料として有効です。

④社会的承認は婚姻意思の補強証拠になる

当事者が婚姻意思があると思っていると、社会的承認を求めるようになるでしょう。

社会的承認を証明することは、婚姻意思があることの補強証拠になります。

5事実婚・内縁関係を証明しても相続できない

①相続人は法律上の配偶者のみ

被相続人に配偶者がいる場合、配偶者は必ず相続人になります。

相続人になる配偶者は、法律上の配偶者のみです。

事実婚・内縁関係の配偶者は、相続人になることはできません。

事実婚・内縁関係を証明できても、相続では限界があります。

②特別縁故者は家庭裁判所が判断

被相続人に相続人がいない場合、原則として相続財産は国庫に帰属します。

被相続人に特別な縁故がある人がいる場合、国庫に帰属させるより特別縁故者に分与する方が適切なことがあります。

特別縁故者とは、被相続人に特別な縁故がある人です。

事実婚・内縁関係の配偶者は、特別縁故者に認められる可能性があります。

特別縁故者であるか家庭裁判所が判断するから、財産が分与されるか不確定です。

特別縁故者に期待するより、遺言書を作成して遺贈がおすすめです。

遺言書で遺贈すれば、確実だからです。

6遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

家族のさまざまな事情から、事実婚・内縁を選択する人がいます。

事実婚・内縁関係であっても、元気であれば不自由が少なくなっています。

事実婚・内縁の配偶者が死亡した場合、相続人になることはできません。

事実婚・内縁の配偶者に財産を受け継いでもらいたい場合、生前から準備しておくことが重要です。

遺言書は、遺言書の意思を示すものです。

遺言書は遺言者の死後に効力を生じるものなので、厳格な書き方ルールがあります。

厳格な書き方ルールに合わない遺言は、無効になります。

せっかく遺言書を作成するのであれば、公証人が関与する公正証書遺言がおすすめです。

公証人は、法律の専門家です。

公正証書遺言は公証人が文書にするから、書き方ルール違反で無効になることは考えられません。

公正証書遺言を作成する場合、事前に公証役場との打ち合わせが必要になります。

何の準備もせず公証役場に出向いても、遺言書作成をすることはできません。

公正証書遺言の作成は、司法書士などの専門家に依頼することができます。

司法書士などの専門家は、公証役場などの打ち合わせをして遺言書作成をサポートします。

司法書士などの専門家に依頼することで、スムーズに遺言書作成をすることができます。

事実婚・内縁の配偶者に財産を受け継いでもらいたい人は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続手続で銀行口座の残高証明書を取得する方法

2026-01-26

1残高証明書で口座の残高が分かる

①被相続人死亡時の残高証明書を取得する

多くの人は、銀行口座を持っているでしょう。

残高証明書とは、指定した日の残高を証明する書類です。

口座がある銀行に請求すると、発行してもらうことができます。

相続で必要になるのは、被相続人の死亡日の残高証明書です。

相続が発生すると、被相続人の財産は相続人全員の共有財産になるからです。

相続手続では、被相続人の死亡日の残高証明書を取得します。

②残高証明書が必要になる理由

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

どのような財産があるのか相続人間で情報共有できないと、話し合いが進まないでしょう。

たとえ、通帳を持っていても、実際の残高と異なることがあります。

正確な財産状況を確認するため、残高証明書が必要になります。

③残高証明書を参考にして遺産分割協議書を作成する

相続財産の分け方について相続人全員の合意がまとまったら、合意内容を書面に取りまとめます。

遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容の証明書です。

遺産分割協議書には、どの財産をどの相続人が相続するのか特定できるように記載します。

銀行名、支店名、預金種別、口座名義人があれば、預貯金を特定することができます。

ほとんどの場合、遺産分割協議書に金額を記載しません。

金額を記載しなくても、預貯金を特定することができるからです。

残高証明書を参考にして、遺産分割協議書を作成します。

④残高証明書は相続税申告で必要になる

被相続人の財産規模が大きい場合、相続税の対象になります。

相続税申告をする場合、残高証明書は必須の書類ではありません。

相続税申告が適切に行われていない場合、重いペナルティーを受けることになるでしょう。

適切に相続税申告をするため、残高証明書は実質的に必要不可欠な書類です。

残高証明書は、相続税申告で必要になります。

2相続手続で銀行口座の残高証明書を取得する方法

①各銀行ごとに窓口で請求

多くの人は、複数の銀行を使い分けているでしょう。

残高証明書は、各銀行に個別に請求する必要があります。

電話などで請求することは、できません。

窓口に出向いて、請求します。

金融機関によっては、来店予約が必要です。

来店予約をしていないと、手続がまったくできないケースや長時間待たされることがあります。

窓口に出向く場合は、あらかじめ手続方法を電話などで詳細に確認しておくといいでしょう。

②各相続人が単独で請求できる

残高証明書は、各相続人が単独で請求することができます。

残高証明書を請求するために、他の相続人の同意をもらう必要はありません。

被相続人の通帳は、一部の相続人が管理しているでしょう。

被相続人の通帳を見せて欲しいと、言い出しにくいことがあります。

通帳を見せてもらえなくても、各相続人が残高証明書を請求することができます。

残高証明書は、各相続人が単独で請求することができます。

③必要書類は原本還付してもらえる

銀行によりますが、残高証明書を発行してもらうときに必要な書類は、次のとおりです。

(1)被相続人の死亡の戸籍謄本

(2)相続人の戸籍謄本

(3)請求人の実印と印鑑証明書

(4)本人確認書類

上記の必要書類の有効期限は、銀行が独自で決めています。

発行日から3~6か月以内の書類であることが多いでしょう。

残高証明書の発行請求で必要な書類は、他の相続手続でも必要になる書類です。

忘れずに、提出書類を返却してもらうようにしましょう。

提出書類の原本還付の方法は、銀行によって異なります。

提出時に申出たら、その場で返してもらえることもあるし、後日郵送されることもあります。

残高証明書は、各銀行に個別に請求する必要があります。

提出書類が返してもらえるまで、次の銀行で残高証明書を請求することができません。

残高証明書を取得するだけでも、時間がかかることになります。

必要書類の有効期限を考慮して、どの順番で請求するのがいいのか考える必要があります。

希望すれば、残高証明書の必要書類は原本還付してもらうことができます。

④通帳キャッシュカード紛失でも調べてもらえる

残高証明書は、各相続人が単独で請求することができます。

残高証明書の取得方法を電話などで問合せると、通帳やキャッシュカードを持ってくるように言われることがあります。

通帳やキャッシュカードがなくても、残高証明書を発行してもらうことができます。

通帳やキャッシュカードがあると、口座番号が分かります。

単に手続がスムーズになるから、依頼しているに過ぎません。

通帳やキャッシュカードを紛失している場合、口座の有無や口座番号などを調べてもらうことができます。

すべての本支店を対象にして、調べてもらうのがおすすめです。

通帳やキャッシュカードがなくても、調べてもらうことができます。

⑤請求から発行まで即日~1か月程度

残高証明書の請求から発行されるまでの期間は、銀行によってまちまちです。

最短で、即日で発行してもらうことができます。

長いと、1か月程度かかることは少なくありません。

口座の有無や口座番号などを調べてもらう場合、長期間かかる傾向があります。

発行された残高証明書の受取方法も、銀行によってまちまちです。

即日発行される場合、その場で受け取ることができます。

後日発行される場合、あらためて窓口に受取りにくる方法と郵送してもらう方法があります。

⑥発行手数料は1000円程度

残高証明書の発行請求には、発行手数料がかかります。

発行手数料は、1000円程度で銀行によってまちまちです。

残高証明書の発行請求をするときに、現金で支払います。

発行手数料は、1000円程度です。

⑦代理人におまかせできる

残高証明書は、各銀行の窓口に出向いて請求します。

仕事や家事で忙しい人にとって、平日の昼間15時までに時間を作るのは難しいでしょう。

単に相続人の家族であるだけでは、残高証明書を請求することはできません。

残高証明書の発行請求は、代理人を立てて依頼することができます。

委任状を発行して、家族を代理人に立てて残高証明書の発行請求をしてもらうことができます。

銀行によっては、銀行独自様式の委任状を使わないと認められないことがあります。

残高証明書の発行請求は、代理人に依頼することができます。

⑧遺言執行者が残高証明書の発行請求ができる

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者がいると、面倒な相続手続をおまかせすることができます。

遺言書で遺言執行者を指名することができます。

遺言執行者は遺言書の内容を実現するため、残高証明書を請求することができます。

⑨主要銀行の残高証明書の取得方法

●ゆうちょ銀行

(1)発行方法

近くのゆうちょ銀行窓口で残高証明書の発行を請求

通帳の記号番号が分からないときは現存調査が必要

(2)手数料

1通につき1100円

(3)必要書類

口座名義人死亡の戸籍謄本

請求人の戸籍謄本

請求人の実印

請求人の印鑑証明書

●三菱UFJ銀行

(1)発行方法

近くの三菱UFJ銀行で残高証明書の発行を請求

事前に死亡連絡が必要

来店予約が必要

(2)手数料

1通につき770円

(3)必要書類

口座名義人死亡の戸籍謄本

請求人の戸籍謄本

請求人の実印

請求人の印鑑証明書

●三井住友銀行

(1)発行方法

近くの三井住友銀行で残高証明書の発行を請求

事前に死亡連絡をしないと追加手続がある

来店予約が必要

(2)手数料

1通につき880円

(3)必要書類

口座名義人死亡の戸籍謄本

請求人の戸籍謄本

請求人の実印

請求人の印鑑証明書

通帳・キャッシュカード

3残高証明書を請求するときの注意点

①複数の支店・複数の口座すべて取得する

多くの人は、複数の口座を使い分けているでしょう。

ときには1つの銀行で複数の支店に口座を持っていることがあります。

ときには1つの支店で複数の口座をを持っていることがあります。

通帳やキャッシュカードがなくても、口座の有無や口座番号などを調べてもらうことができます。

残高証明書の発行請求をする場合、すべての本支店で口座がないか確認してもらうのがおすすめです。

残高証明書を請求するときは、複数の支店・複数の口座を確認して全部取得します。

②残高証明書を請求すると口座凍結

口座の持ち主が死亡したら、銀行は口座取引を停止します。

口座凍結とは、口座取引を停止することです。

口座取引には、次のような取引があります。

・ATMや窓口での預金の引出し

・年金などの振込み

・公共料金などの引落し

口座凍結がされると、上記の取引はできなくなります。

残高証明書を請求するときに、戸籍謄本を提出します。

戸籍謄本を確認すれば、口座の持ち主が死亡したことが分かります。

口座の持ち主が死亡したことを銀行が知った時点で、口座は凍結されます。

預貯金の引出しができなくなると、一部の相続人による使い込みを防ぐことができます。

口座凍結は、メリットかもしれません。

公共料金などの引落しができなくなると、振込などの対応が必要になるでしょう。

残高証明書を請求する前に、引落し口座の変更手続をするといいでしょう。

残高証明書を請求すると、口座は凍結されます。

③経過利息計算書は別途請求する必要がある

残高証明書とは、指定した日の残高を証明する書類です。

例えば、定期預金などには、死亡日までに生じた利息があるでしょう。

死亡日までに生じた利息は、相続財産です。

残高証明書を請求するだけでは、経過利息計算書は発行してもらえません。

経過利息計算書は、別途請求する必要があります。

④取引履歴は別途請求する必要がある

残高証明書は、残高だけが証明されています。

通帳を見ると、過去の取引履歴が分かります。

ひょっとすると、ネット銀行などに送金した履歴が見つかるかもしれません。

ときには、一部の相続人に贈与したことが分かるかもしれません。

残高証明書を請求するだけでは、取引履歴は発行してもらえません。

取引履歴は、別途請求する必要があります。

⑤法定相続情報一覧図があると手続が早くなる

残高証明書を請求するときに、戸籍謄本を提出します。

戸籍謄本などの必要書類は、原本還付してもらえます。

即日で原本還付してもらえることもあれば、残高証明書を発行するまで還付してもらえないこともあります。

返してもらえるまで次の銀行に請求できないので、時間がかかる要因でした。

法定相続情報一覧図とは、法務局で発行する公的書類です。

戸籍謄本の内容を一枚の家系図にして、証明文が付いています。

法定相続情報一覧図は、希望した枚数を発行してもらうことができます。

複数の銀行で同時進行で、残高証明書の発行請求をすることができます。

法定相続情報一覧図があると、手続が早くなります。

4預貯金口座の相続手続を司法書士に依頼するメリット

口座を凍結されてしまったら、書類をそろえて手続すれば解除してもらえます。

必要な書類は、銀行などの金融機関によってまちまちです。

手続にかかる方法や手続にかかる期間も、まちまちです。

銀行内部で取扱が統一されていないことも、少なくありません。

窓口や電話で確認したことであっても、上席の方に通してもらえず、やり直しになることも多々あります。

スムーズに手続できないことが多いのが現状です。

日常生活に不可欠な銀行口座だからこそ、スムーズに手続したいと思う方が多いでしょう。

仕事や家事で忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続を丸ごとおまかせできます。

家族にお世話が必要な方がいて、そばを離れられない方からの相談もお受けしております。

凍結口座をスムーズに解除したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

任意後見監督人の役割と責任

2026-01-23

1任意後見契約でサポートを依頼する

①信頼できる人と任意後見契約

認知症や精神障害や知的障害などで判断能力が低下すると、物事の良しあしを適切に判断することができなくなります。

記憶があいまいになる人もいるでしょう。

任意後見とは、将来に備えて信頼できる人にサポートを依頼する契約です。

任意後見は、だれと契約するのか本人が自分で決めることができます。

任意後見契約をした場合、物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなった後にサポートしてもらいます。

自分の財産管理などを依頼するから、信頼できる人と契約します。

多くの場合、本人の子どもなど近い関係の家族でしょう。

家庭裁判所で成年後見開始の審判をしてもらう場合、成年後見人は家庭裁判所が決めます。

家族が成年後見人に選ばれるのは、わずか20パーセント程度です。

任意後見契約では、本人が選んだ人にサポートを依頼することができます。

②サポート内容は自分で決める

任意後見は、サポートを依頼する契約です。

サポート内容は、契約書にはっきり記載します。

サポート内容がはっきりしていないと、サポートする人が困ります。

サポートする人が勝手にやったことと、判断されるからです。

任意後見契約の内容は、登記簿に記録されます。

サポートする人の権限は、登記簿謄本で証明することができます。

サポート内容は、自分で決めることができます。

③任意後見監督人は不要にできない

任意後見契約をするだけでは、任意後見はスタートしません。

本人が元気なときに、任意後見契約を締結するからです。

任意後見契約をしたときは本人は元気だから、サポートは不要のはずです。

任意後見がスタートするのは、本人の判断能力が低下したときです。

本人の判断能力が低下した場合、家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立てをします。

任意後見監督人が選任されたら、任意後見がスタートします。

任意後見人は、任意後見監督人に監督されます。

任意後見監督人は、家庭裁判所に監督されます。

みんなで監督するから、適切に本人をサポートすることができます。

家族が任意後見人であっても、公平性や透明性を確保する必要があるからです。

任意後見監督人は、不要にできません。

2任意後見監督人の役割と責任

①任意後見人の監督

任意後見監督人は、任意後見人を監督する人です。

任意後見人を監督して、サポート内容の透明性を確保します。

監督と聞くと、日常を監視されるイメージがあるかもしれません。

どちらかというと、任意後見監督人は任意後見人の相談相手です。

任意後見人は、法律などに詳しいことはあまりないでしょう。

知識不足から、不適切なサポートをするかもしれません。

サポートにおいて不安があるとき、家庭裁判所に相談することは重要です。

家庭裁判所は身近な役所ではないから、気軽に相談することは難しいでしょう。

任意後見監督人には、家庭裁判所より身近に相談することができます。

任意後見監督人は任意後見人の相談相手になって、適切なサポートができるように監督します。

任意後見監督人は、公平性や透明性を確保するために重要な存在です。

任意後見人は任意後見人を監督して、公平性や透明性を確保する責任があります。

任意後見監督人の役割1つ目は、任意後見人の監督です。

②財産管理の監査

任意後見人は、本人の財産管理をします。

任意後見監督人は、本人の財産状況報告書や収支状況報告書を提出してもらいます。

任意後見監督人が財産管理を監査するから、任意後見人の不正を防止することができます。

任意後見人は任意後見人の財産管理を監査して、不正を防止する責任があります。

任意後見監督人の役割2つ目は、財産管理の監査です。

③身上監護の確認

任意後見人は、本人の身上監護をします。

身上監護とは、日常生活や、健康管理、介護などの重要な決定をすることです。

任意後見監督人は、福祉サービスの利用状況や医療機関の利用状況を確認します。

任意後見監督人が身上監護を確認するから、本人は適切な生活支援を受けることができます。

任意後見人は身上監護を確認して、本人の生活支援を見守る責任があります。

任意後見監督人の役割3つ目は、身上監護の確認です。

④家庭裁判所へ報告

任意後見監督人は、年に一度家庭裁判所に報告する義務があります。

財産管理状況や本人の生活のサポート状況を家庭裁判所と情報共有します。

任意後見人は、任意後見監督人から監督されます。

任意後見監督人は、家庭裁判所から監督されます。

本人の財産管理状況や身上監護状況は家庭裁判所と共有されるから、本人の利益が守られます。

任意後見監督人の役割4つ目は、家庭裁判所へ報告です。

⑤任意後見人の解任請求

任意後見人は、本人の財産管理や身上監護をします。

大きな権限があるから不適切なサポートをすると、本人の利益が損なわれます。

任意後見人が不適切なサポートをした場合、任意後見監督人には解任請求をする権限があります。

本人は判断能力を失っても、安心してサポートを受けることができます。

任意後見人は任意後見人の解任請求をして、公平性や透明性を確保する責任があります。

任意後見監督人の役割5つ目は、任意後見人の解任請求です。

⑥利益相反時に本人の代理

利益相反とは、一方がトクをすると他方がソンをする関係です。

任意後見人は、本人と近い関係の家族であることが多いでしょう。

例えば、本人と任意後見人が同時に相続人になる相続が発生することがあります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

本人と任意後見人が同時に相続人になる場合、任意後見人は本人を代理することはできません。

遺産分割協議は、利益相反になるからです。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方を決めるため相続人全員でする話し合いです。

任意後見人がトクをすると、本人がソンします。

利益相反取引をする場合、任意後見監督人が本人を代理します。

本人の利益を確保するため、任意後見人ではなく任意後見監督人が代理します。

任意後見人は本人を代理して、本人の利益を確保する責任があります。

任意後見監督人の役割6つ目は、利益相反時に本人の代理です。

⑦緊急事態の対応

任意後見人が急病になることがあるでしょう。

任意後見人が職務に就けなくても、本人のサポートを止めることはできません。

緊急の事情がある場合、任意後見監督人が任意後見人の代理をします。

任意後見人は任意後見人を代理して、本人のサポートをする責任があります。

任意後見監督人の役割7つ目は、任意後見人の代理です。

3任意後見監督人の選任方法

①任意後見監督人の申立てのタイミング

任意後見がスタートする条件は、次の2つです。

・本人の判断能力が低下すること

・家庭裁判所が任意後見監督人を選任すること

本人の判断能力が低下したら、家庭裁判所に対して任意後見監督人選任の申立てをします。

本人の判断能力が低下したことは、医師の診断で確認することができます。

②任意後見監督人の申立てができる人

任意後見監督人選任の申立てができる人は、次のとおりです。

(1)本人

(2)配偶者

(3)4親等内の親族

(4)任意後見人になる予定の人

本人以外の人が任意後見人選任の申立てをする場合、本人の同意が必要です。

本人が意思表示ができないときは、必要ありません。

本人の判断能力が低下したら、サポートを依頼された人が任意後見人選任の申立てをすることができます。

任意後見監督人選任の申立てには、大量の書類が必要になります。

任意後見監督人選任の申立てにあたって、司法書士などの専門家のサポートを受けるのがおすすめです。

③任意後見監督人になれる人なれない人

任意後見監督人は、家庭裁判所が選任します。

任意後見監督人の申立てをするときに、候補者を立てることができます。

本人のために適任者がいるときは、候補者を立てるといいでしょう。

候補者を立てても、候補者を選ぶか選ばないか家庭裁判所次第です。

候補者以外の専門家が選ばれても、家庭裁判所に異議を述べることはできません。

候補者以外の専門家が選ばれても、任意後見監督人選任の申立てを取り下げることはできません。

多くの場合、任意後見人は本人の近い関係の家族でしょう。

任意後見監督人は家族ではなく、法律の専門家が選ばれます。

次の人は、任意後見監督人になれません。

・任意後見受任者の配偶者、直系血族、兄弟姉妹

・任意後見人の配偶者、直系血族、兄弟姉妹

・未成年者

・過去に後見人などを解任されたことがある人

・親権喪失・管理権喪失の宣告を受けた人

・破産者

・行方不明の人

任意後見受任者とは、任意後見契約でサポートを依頼された人です。

任意後見監督人は、家庭裁判所総合的に判断して適任者を選任します。

④任意後見監督人に報酬の支払い

任意後見人の報酬は、任意後見契約で決めておきます。

家族が任意後見人になる場合、無報酬の合意をすることができます。

任意後見監督人の報酬は、家庭裁判所が公平に決定します。

家庭裁判所は、次の事項を考慮して報酬を決定します。

・監督業務の内容

・監督業務の難易度

・地域性

⑤任意後見監督人の報酬の目安

成年後見監督人の報酬の目安は、次のとおりです。

・資産5000万円以下 月額2万円

・資産5000万円以上 月額3万円

複雑な財産整理が発生した場合、追加して付加報酬が認められることがあります。

⑥任意後見監督人の報酬は本人の財産から

任意後見監督人の報酬は、本人の財産から支払われます。

家族が支払う必要はありません。

4任意後見人と任意後見監督人の役割のちがい

ちがい①主な任務

任意後見人は、財産管理と身上監護の面で本人をサポートします。

任意後見人は、直接的に本人をサポートする人です。

任意後見監督人は、任意後見人を監督します。

任意後見監督人は、間接的に本人をサポートする人です。

ちがい1つ目は、主な任務です。

ちがい②サポートの基盤

任意後見人は、任意後見契約に基づいて本人をサポートします。

任意後見監督人は、家庭裁判所の選任により監督します。

ちがい2つ目は、サポートの基盤です。

ちがい③本人との関係

任意後見人は、本人がサポートを依頼した人です。

多くの場合、本人と近い関係の家族です。

任意後見監督人は、家庭裁判所が選任する専門家です。

多くの場合、本人も家族も見知らぬ人です。

ちがい3つ目は、本人との関係です。

ちがい④財産管理

任意後見人は、本人の預貯金や資産を管理します。

本人の財産状況報告書や収支状況報告書を作成します。

任意後見監督人は、任意後見人が適切に財産管理をしているかチェックします。

ちがい4つ目は、財産管理です。

ちがい⑤身上監護

任意後見人は、本人の生活支援や医療福祉サービスを手配します。

任意後見監督人は、任意後見人が適切に身上監護をしているかチェックします。

ちがい5つ目は、身上監護です。

ちがい⑥報告義務

任意後見人は、任意後見監督人に本人の財産状況報告書や収支状況報告書を提出します。

任意後見監督人は、年に一度家庭裁判所に報告します。

ちがい6つ目は、報告義務です。

5任意後見契約を司法書士に依頼するメリット

任意後見は、あらかじめ「必要になったら後見人になってください」とお願いしておく契約です。

認知症が進んでから、任意後見契約をすることはできません。

重度の認知症になった後は、成年後見(法定後見)をするしかなくなります。

成年後見(法定後見)では、家庭裁判所が成年後見人を決めます。

80%のケースで、家族以外の専門家が選ばれます。

任意後見契約では、本人の選んだ人に後見人になってもらうことができます。

家族以外の人が成年後見人になることが不安である人にとって、任意後見制度は有力な選択肢になるでしょう。

本人が自分らしく生きるために、みんなでサポートする制度です。

任意後見制度の活用を考えている方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

任意後見人による不動産売却の注意点

2026-01-22

1任意後見契約でサポートを依頼する

①将来に備えてサポートを依頼する契約

成年後見には、2種類あります。

任意後見と法定後見です。

任意後見とは、将来に備えてサポートを依頼する契約です。

法定後見とは、判断能力が低下した後で家庭裁判所がサポートする人を決める制度です。

②任意後見人は自分で決める

任意後見は、財産管理や身上監護を依頼する契約です。

信頼する人を自分で決めて、任意後見契約をします。

任意後見では、サポートする人を自分で選ぶことができます。

多くの場合、本人の子どもなど近い関係の家族でしょう。

任意後見人を自分で決めることができるから、安心です。

③サポート内容は自分で決める

サポートしてもらいたいことは、任意後見契約書にはっきり書いておきます。

任意後見では、サポート内容をひとつひとつ具体的に契約書に書いておきます。

例えば、自宅を売却して施設に入りたい場合、自宅を売却する権限や施設入所契約をする権限を与えておくことができます。

自宅を売却して欲しくない場合、自宅を売却する権限を与えないでおくことができます。

④任意後見契約の内容は登記される

任意後見契約を締結したら、契約内容は登記簿に記録されます。

登記事項証明書を取得すると、任意後見契約の内容を証明することができます。

登記事項証明書とは、法務局が発行する公的証明書です。

任意後見人ができるのは、本人がサポートしてもらいたいことだけです。

サポートしてもらいたいことは、任意後見契約書に書いてあるはずです。

任意後見人が本人をサポートする場合、登記事項証明書で権限を証明することができます。

⑤任意後見人には善管注意義務がある

任意後見人になると、たとえ家族であっても公的な立場になると考えられます。

任意後見人には、善管注意義務があります。

本人の利益のために、後見事務を行う義務があるという意味です。

任意後見人が家族であっても、家族の希望をかなえる人ではありません。

本人の利益を損なうような財産管理をすることはできません。

不適切な財産管理をした場合、家庭裁判所から解任されることがあります。

2 任意後見人による不動産売却の注意点

①任意後見契約を結んだだけで売却はできない

任意後見契約を締結できるのは、本人が元気な間だけです。

契約締結には、判断能力が必要だからです。

任意後見契約を結んだ時点では、本人は充分な判断能力があるはずです。

任意後見契約を結んだだけで不動産を売却できるは、誤解です。

任意後見契約を結んだだけで、家族が不動産を売却することはできません。

本人は家族のサポートがなくても、自分で判断ができるはずだからです。

自分で判断ができるから、家庭裁判所も任意後見監督人も関与しません。

任意後見契約は、判断能力が低下したときの備えです。

本人が元気なうちに不動産を売却する場合、本人が自分で判断します。

家族には、何の権限もありません。

たとえ任意後見契約を締結しても、任意後見人になる予定の人に権限はありません。

②判断能力が低下したらサポート開始

本人の判断能力が低下したら、任意後見人によるサポートが必要になります。

任意後見契約に効力が発生するのは、次の条件を満たしたときです。

・本人の判断能力の低下

・家庭裁判所が任意後見監督人を選任

本人の判断能力が低下したら、家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立てをします。

家庭裁判所が任意後見監督人を選任したら、任意後見契約に効力が発生します。

任意後見契約に効力が発生したら、任意後見人がサポートを開始します。

③任意後見人が不動産を売却できるのは権限を与えられたときだけ

サポートしてもらいたいことは、本人が自分で決めることができます。

サポートしてもらいたいことは、任意後見契約書にはっきり書いてあります。

任意後見人ができるサポートは、本人がサポートしてもらいたい内容のみです。

任意後見契約で不動産売却権限が定められていない場合、不動産を売却することはできません。

任意後見契約を締結する時点で不動産売却を予定していないと、権限を与えないことが多いでしょう。

たとえ家族が望んでも、任意後見人が勝手に不動産を売却することはできません。

④任意後見人の権限は後見登記事項証明書で確認

任意後見人の権限は、後見登記事項証明書で確認することができます。

任意後見契約の内容は、法務局で登記されています。

法務局で後見登記事項証明書を取得すると、任意後見契約の内容を確認することができます。

任意後見契約をすると、公証人が自動で登記を嘱託するからです。

不動産の売買契約をするときも、後見登記事項証明書を提出します。

売買契約の当事者も、任意後見人の権限を確認する必要があるからです。

⑤任意後見契約で任意後見監督人の同意特約

不動産の売却は、多くの場合、高額な財産の処分です。

本人の生活基盤に直結するから、慎重に対応すべきでしょう。

任意後見契約において、任意後見監督人の同意特約を定めることができます。

任意後見契約で同意特約を定めた場合、任意後見監督人の同意が必要です。

任意後見監督人の同意を受けたうえで、不動産を売却します。

⑥同意特約がなくても相談は欠かせない

任意後見人が不動産を売却する場合、任意後見監督人の同意は必須条件ではありません。

任意後見監督人に、同意権は付与されていません。

同意は必須条件でなくても、実務上、相談は欠かせません。

任意後見監督人は、任意後見人を監督する人だからです。

家族が任意後見人になれば自由に不動産を売却できるは、誤解です。

定期的な報告や日常的な相談を受けて、適切な後見事務を行えるように任意後見人をサポートします。

⑦家族の都合で不動産売却はできない

家族が任意後見人になっても、本人の不動産を自由に処分することはできません。

任意後見人は、本人の代理人に過ぎないからです。

任意後見人は、本人の利益のためだけに権限を行使できます。

任意後見人は、本人から与えられた範囲のみで権限を行使できます。

不動産を売却するためには、本人の生活保障のために合理的である理由が必要です。

家族の都合だけで、不動産売却はできません。

家族の都合は、本人の利益と無関係だからです。

例えば、次の事情がある場合、本人の利益になると判断されやすいでしょう。

・施設入居費用の確保

・医療費の支払い

・維持費が過大

本人の現在と将来の生活保障の観点から、合理的であるか判断されます。

施設入居費用の確保のためであっても、施設入居する可能性があるだけなら本人の利益を損なうと判断されるでしょう。

医療費の支払いのためであっても、預貯金が充分にあるなら本人の利益にならないと判断されるでしょう。

例えば、次の事情がある場合、本人の利益にならないと判断されやすいでしょう。

・不動産が遠方で、管理に手間がかかりすぎる

・固定資産税を払いたくない

・本人が死亡したときの相続税対策をしたい

たとえ家族であっても、任意後見人は本人の利益を損なう財産管理をすることはできません。

⑧居住用不動産の売却は特に慎重

売却予定の不動産が本人の居住用不動産である場合、特に慎重な判断がされます。

本人の居住用不動産は、他の財産と違って生活基盤の側面があるからです。

居住用の不動産を売却すると、次のような重大な影響があるからです。

・地域との関係の喪失

・心理的安定性の喪失

売却権限を与えたとしても、重大な生活変化にそのまま適用していいか判断する必要があります。

権限を与えることと権限を自由に行使することは、意味が違うからです。

居住用不動産を売却する場合、法定後見では家庭裁判所による許可の審判が必要です。

任意後見では、家庭裁判所による許可の審判は必要とされていません。

許可の審判が必要ないだけで、法定後見と同様の慎重さが求められます。

任意後見でも法定後見でも、生活基盤を失う重大な財産処分だからです。

特に任意後見人が家族である場合、外形的には家族の利益が絡む構造です。

本人の利益を犠牲にして、家族の利益を優先する疑いがあります。

相続税対策のために不動産を売却したい希望は、典型的ケースです。

任意後見でも法定後見でも、本人の利益を犠牲にすることは許されません。

居住用不動産の売却は、特に慎重になります。

⑨売却代金は家族が自由に使えない

任意後見人が不動産を売却しても、家族が自由に使うことはできません。

売却代金は、本人の財産だからです。

本人の財産だから、本人名義の口座に入金します。

任意後見人が本人の利益のために管理します。

たとえ家族が任意後見人であっても、自由に使うことはできません。

任意後見人になると、公的な立場になるからです。

次の用途は、不適切な財産管理と判断されます。

・孫など家族への援助

・家族の借金返済

・家族の住宅購入資金

・相続税対策目的の贈与

不適切な財産管理と判断されたら、任意後見人を解任されるでしょう。

業務上横領など、刑事事件に発展するおそれがあります。

⑩相続する予定でも家族は使えない

本人が死亡したら、家族が相続人になるでしょう。

どうせ相続するのだから財産を使ってもいいと、感じるかもしれません。

相続するのは、本人が死亡した後です。

本人が生きている間は、完全に本人の財産です。

相続する予定でも、家族が自由に使うことは許されません。

3任意後見監督人の存在が公平性と透明性を確保する

①任意後見監督人は不要にできない

任意後見でサポートを受けるときに、任意後見監督人は欠かせません。

任意後見監督人は、任意後見人を監督する人です。

任意後見監督人が監督するから、任意後見の公平性と透明性を確保することができます。

家族が任意後見人であっても、任意後見監督人を不要にできません。

任意後見監督人選任の申立てがされないと、任意後見監督人は選任されません。

家庭裁判所は、本人の判断能力の低下を知ることができないからです。

契約締結だけで、任意後見契約に効力ありません。

任意後見がスタートするのは、任意後見監督人が選任された後です。

任意後見監督人が選任されないと、任意後見契約に効力が発生しません。

任意後見監督人選任の申立てがされないと、任意後見によるサポートを受けることができません。

②任意後見監督人は任意後見人の相談相手

任意後見人のほとんどは、本人の子どもなど近い関係の家族です。

法律の専門家であることは、ほとんどないでしょう。

不適切であることに気づかずに、不適切な財産管理を行ってしまうことがあります。

不適切な財産管理かもしれないと、不安になりながら財産管理をすることもあるでしょう。

任意後見監督人は任意後見人を監視する人ではなく、任意後見人の相談相手です。

任意後見監督人は、定期的な報告や日常的な相談を受けています。

どのような支出が本人の利益になるのか、相談をすることができます。

どのような支出が合理的な支出なのか、サポートを受けることができます。

家庭裁判所は、あまり身近な存在ではありません。

制度に詳しくない任意後見人が家庭裁判所に直接相談するのは、心理的負担が大きいでしょう。

家庭裁判所に直接相談するのは、任意後見監督人が担ってくれます。

③任意後見監督人と家庭裁判所は家族のトラブルの盾になる

不動産は、本人だけでなく家族にとっても重要な財産です。

不動産を売却すると、他の家族から不満が出ることがあります。

一部の家族が勝手に、不動産を売却したように見えるからです。

任意後見では、任意後見人が独断で不動産を売却することはできません。

任意後見人、任意後見監督人、家庭裁判所が確認しながら、売却手続を進めます。

任意後見監督人と家庭裁判所は、任意後見の公平性と透明性を確保しています。

任意後見人は、家族間トラブルの矢面に立たなくて済みます。

任意後見監督人と家庭裁判所は、家族のトラブルから任意後見人を守る役目があります。

4任意後見契約を司法書士に依頼するメリット

任意後見は、あらかじめ「必要になったら後見人になってください」とお願いしておく契約です。

認知症が進んでから、任意後見契約をすることはできません。

重度の認知症になった後は、成年後見(法定後見)をするしかなくなります。

成年後見(法定後見)では、家庭裁判所が成年後見人を決めます。

80%のケースで、家族以外の専門家が選ばれます。

任意後見契約では、本人の選んだ人に後見人になってもらうことができます。

家族以外の人が成年後見人になることが不安である人にとって、任意後見制度は有力な選択肢になるでしょう。

本人が自分らしく生きるために、みんなでサポートする制度です。

任意後見制度の活用を考えている方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続登記義務化で相続登記の期限は3年

2026-01-22

1令和6年(2024年)4月1日から相続登記義務化

①令和6年(2024年)4月1日から相続登記は義務

所有権移転登記をしない場合、所有者はソンをします。

不動産に対して権利主張をする人が現れた場合、所有者のはずなのに権利主張ができないからです。

不動産には、不便な場所にあるなどの理由で価値が低い土地が存在します。

所有者にとって利用価値が低い土地に対して権利主張をする人が現れた場合、所有者として権利主張する必要を感じないかもしれません。

相続登記は、手間のかかる手続です。

自分で相続登記をしようとするものの、多くの人は挫折します。

相続登記をする場合、登録免許税を納付しなければなりません。

相続登記を専門家に依頼する場合、専門家に報酬を支払う必要があります。

不動産の価値が低い場合、相続登記で手間と費用がもったいないと考える人が少なくありません。

相続登記がされない場合、登記簿を見ても土地の所有者が分からなくなります。

所有者不明の土地の発生を防止するため、相続登記をすることは義務になりました。

②3年のスタートは知ってから

令和6年4月1日から相続登記は、3年以内に登記申請をする義務が課されました。

相続登記の期限3年のスタートは、知ってからです。

自己のために相続の開始があったことを知って、かつ、不動産を取得することを知った日から、スタートします。

相続が発生したら、近親者には真っ先に連絡するでしょう。

さまざまな家族の事情から、疎遠になっている相続人がいます。

疎遠な相続人は、相続発生から長期間経過してから相続があったことを知るでしょう。

相続があったことを知るまで、期限3年はスタートしません。

相続登記の期限3年のスタートは、知ってからです。

③令和6年(2024年)4月1日以前発生の相続も義務化の対象

令和6年4月1日から、相続登記は義務になりました。

令和6年4月1日以降に発生した相続は、もちろん対象になります。

令和6年4月1日以前発生の相続も、義務化の対象です。

令和6年4月1日以前発生の相続では、令和6年4月1日に期限3年がスタートします。

④相続登記義務化の背景

不動産の権利を取得したら、すぐに登記申請をします。

登記がないと、権利主張ができないからです。

不動産登記簿を見たら、不動産の権利関係が分かります。

不便な場所にあるなど価値の低い土地について、相続登記がされていないことがあります。

相続登記がされていないと、所有者がだれなのか分からなくなります。

不動産を売ってほしい場合だれにお願いしたらいいのか、登記簿を見ても分かりません。

例えば、公共事業のために土地を売ってほしい場合、所有者が分からないと公共事業ができなくなります。

社会全体にとって、大きな損失でしょう。

社会全体の利益のため、相続登記が義務化されました。

2相続登記を怠るとペナルティー

①期限までに登記申請をしないと10万円以下のペナルティー

相続登記の期限3年以内に登記申請をしないと、10万円以下のペナルティーの対象になります。

ペナルティーは行政罰だから、前科は付きません。

ペナルティーを払っても、相続登記を代わりにやってくれることはありません。

②正当理由があるときはペナルティーを免れる

相続登記の期限3年以内に登記申請をしないと、ペナルティーの対象になるのが原則です。

正当理由が認められる場合、ペナルティーが課されません。

例えば、次のケースでは、正当理由があると認められる可能性があります。

・数次相続が発生して相続人が極めて多数に上り、戸籍謄本等の必要な資料の収集や他の相続人の把握に多くの時間を要するケース

・遺言の有効性や遺産の範囲等が争われているケース

・申請義務を負う 相続人自身に重病等の事情があるケース

正当理由があると認められるときは、ペナルティーを免れることができるでしょう。

ペナルティーを免れても、相続登記の義務自体を免れるわけではありません。

③相続登記を放置すると遺産分割協議が困難になる

相続登記の期限3年以内に登記申請をしないと、ペナルティーの対象になります。

相続登記を放置すると、ペナルティー以外にもデメリットがあります。

相続登記を長期間放置すると、遺産分割協議が難しくなります。

長期間経過すると、元気だった相続人が後に死亡することがあります。

死亡した相続人の相続人が遺産分割協議に参加します。

長期間経過すると、元気だった相続人が認知症になることがあります。

認知症の相続人の代わりに、成年後見人が遺産分割協議に参加します。

長期間経過すると、一部の相続人が共有持分を売却するかもしれません。

相続登記を放置すると、相続が複雑になります。

相続登記を放置すると、遺産分割協議が困難になる点が大きなデメリットです。

④相続登記をしないと利活用ができない

相続した不動産を売却したいと考えることがあるでしょう。

不動産を購入して所有権を取得する場合、購入したタイミングですぐに所有権移転登記をします。

売買による所有権移転登記の前に、相続登記を省略することはできません。

相続登記を放置すると、買主が契約をためらうでしょう。

売買だけでなく、担保に差出して融資を受けることもできなくなるでしょう。

所有者名義になっていないと、金融機関が担保として認めないからです。

相続登記がされていないと、不動産を利活用ができなくなります。

3期限までに相続登記ができないときは相続人申告登記

①相続人申告登記で義務を果たす

相続人申告登記とは、相続人が法務局に対し自分が相続人であることを申告する制度です。

申告に基づいて、登記官が職権で相続人の住所や氏名を登記に付記します。

相続人申告登記をしたことで、相続登記の義務を履行したと扱われます。

相続人申告登記は、相続登記の義務を履行しやすくする制度です。

②相続人申告登記をしても相続登記

相続人申告登記をしても、あらためて相続登記は必要です。

相続人申告登記をしても相続登記は必要だから、二度手間になります。

結局のところ、相続人申告登記はペナルティーを免れることができる効果があるだけです。

相続人申告登記をしたことで、相続登記の義務を履行したと扱われます。

③相続人申告登記に登録免許税は課されない

相続人申告登記は、相続人の申告に基づいて登記官が職権で相続人の住所や氏名を登記に付記する制度です。

相続人申告登記では、登録免許税は課されません。

4相続登記の必要書類の有効期限

①被相続人の戸籍謄本に有効期限はない

相続登記では、たくさんの戸籍謄本が必要になります。

相続登記では、戸籍謄本に有効期限はありません。

②相続人の戸籍謄本は相続発生後に取得

相続人の戸籍謄本は、相続発生時に相続人が健在だったことを証明するために提出します。

相続人の戸籍謄本は、相続発生後に取得する必要があります。

③被相続人の住民票は相続発生後に取得

登記簿には、所有者の住所と氏名が記録されています。

被相続人の戸籍謄本には、本籍と氏名が記録されています。

被相続人の住民票は、登記簿の所有者と被相続人が同一人物であると証明するために提出します。

④不動産を相続する人の住民票に有効期限はない

不動産を相続する人の住民票は、不動産を相続する人の住所を証明するために提出します。

相続登記では、住民票に有効期限はありません。

⑤遺産分割協議書に有効期限はない

相続財産の分け方について相続人全員による合意がまとまったら、合意内容は書面に取りまとめます。

遺産分割協議書とは、相続人全員による合意内容の証明書です。

遺産分割協議書に、有効期限はありません。

⑥相続人全員の印鑑証明書に有効期限はない

遺産分割協議書は、相続人全員が記名し実印で押印します。

実印による押印であることを証明するため、印鑑証明書を添付します。

印鑑証明書に、有効期限はありません。

遺産分割協議書を作成する前に取得した印鑑証明書であっても、差し支えありません。

相続発生前に取得した印鑑証明書であっても、差し支えありません。

⑦固定資産税の評価証明書は登記申請年度のもの

相続登記をする際に、登録免許税が課されます。

登録免許税は、登記申請年度の固定資産税評価額をもとにして計算します。

⑧遺言書に有効期限はない

遺言書を作成しても、遺言書に効力はありません。

遺言書の効力発生時期は、遺言者が死亡したときです。

遺言書を作成してから長期間経過しても、遺言書の効力が無くなることはありません。

遺言者が死亡してから長期間経過しても、遺言書の効力が無くなることはありません。

5相続登記を司法書士に依頼するメリット

大切な家族を失ったら、大きな悲しみに包まれます。

やらなければいけないと分かっていても、気力がわかない方も多いです。

相続手続きは一生のうち何度も経験するものではないため、だれにとっても不慣れで手際よくできるものではありません。

相続登記は、相続手続の中でも手間がかかる難しい手続です。

不動産は重要な財産であることが多いので、法務局は厳重な審査をします。

一般の人にとって些細なことと思えるようなことでやり直しになります。

売却する予定がないのなら、先延ばししたい誘惑にかられるかもしれません。

実は、相続手続をスムーズにするコツがあります。

それは、はじめに相続登記をすることです。

相続登記は難しい手間がかかる手続なので、司法書士などの専門家に依頼するでしょう。

相続手続で挫折しがちなのは、戸籍謄本などの書類収集や遺産分割協議書の作成です。

書類収集や遺産分割協議書の作成は、司法書士に依頼することができます。

司法書士が戸籍謄本や遺産分割協議書を準備したうえに、法務局の厳重な審査をします。

法務局の審査が通った戸籍謄本や遺産分割協議書だから、銀行などの相続手続先で指摘があることはありません。

銀行などの独自書類の内容などに指摘があるとしても、簡単に済むことがほとんどでしょう。

相続手続をスムーズに進めたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

失踪宣告による法的な死亡日は7年満了した日

2026-01-21

1失踪宣告で死亡と見なされる

①残された家族のため失踪宣告

相当長期間、行方不明になっている場合、死亡している可能性が高い場合があります。

条件を満たした場合、死亡の取り扱いをすることができます。

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告がされたら、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。

行方不明が長期化した場合、家族が困ります。

家族であっても、行方不明の人の財産を処分することができません。

行方不明者の配偶者は、再婚することができません。

残された家族のために、行方不明者を死亡したものと扱う制度が失踪宣告の制度です。

②長期間生死不明でも自動で死亡扱いにならない

失踪宣告は、家庭裁判所の手続です。

たとえ長期間生死不明であっても、自動で失踪宣告がされることはありません。

失踪宣告がされると、極めて重大な法的効果があるからです。

家庭裁判所が関与して、社会的に正当な手続で慎重に確定させる必要があるからです。

法的効果の重大性を考慮して、家庭裁判所は公平中立的に審査します。

③普通失踪と特別失踪(危難失踪)

失踪宣告には、2種類があります。

普通失踪と特別失踪(危難失踪)です。

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

死亡したことが確認できないのに、死亡と見なされます。

死亡と見なされるという強い効果があります。

失踪宣告が認められるためには、次の条件があります。

(1)行方不明の人が生死不明であること

(2)生死不明のまま一定期間継続していること

2失踪宣告による法的な死亡日は7年満了した日

①家庭裁判所が失踪宣告する

失踪宣告における家庭裁判所の役割は、死亡の効果を宣言することです。

民法が定めた基準に従って、法的な死亡日はすでに定まっています。

家庭裁判所は、法的な死亡日を決める権限がありません。

法的な死亡日は民法が定めるから、家庭裁判所は死亡日を変更する裁量が認められていません。

家庭裁判所が失踪宣告をすることで、法的な効果を確定させます。

法的な死亡日を確定させるまで、さまざまな手続を行います。

失踪宣告には重大な効果があるから、慎重に手続を進める必要があるからです。

失踪宣告では複数の日付が登場するため、どれが死亡日か分かりにくくなりがちです。

特に、審判日や官報公告日は区切りとして印象に残りやすく、誤解が生じやすい日付です。

②普通失踪は7年満了日に死亡と見なされる

(1)普通失踪の失踪期間は7年

一般的に失踪宣告といった場合、普通失踪を指しています。

失踪期間とは、生死不明の期間です。

普通失踪では、失踪期間が7年必要です。

7年は生存の可能性と残された家族の生活の限界における均衡点として、法律が定めた期間です。

生死不明とは、客観的に生きている情報も死亡した情報も得られない状態です。

普通失踪による法的な死亡日は、7年満了した日です。

(2)失踪期間7年の起算点

失踪宣告の申立てを受付けたら、家庭裁判所はさまざまな公的機関に調査をします。

失踪期間7年の起算点は、客観的に最後に消息が確認できた日です。

例えば、次の日が起算点になります。

・最後に会った日

・最後に電話やメール等で連絡が取れた日

・最後に生存が確認できた日

生死不明の人がいつの間にか、いなくなっていることがあるでしょう。

さまざまな調査から遅くともこのころには生死不明だったと、家庭裁判所が認定することができます。

家庭裁判所が認定した日から、起算します。

最後に消息が確認できた日は、家庭裁判所が判断します。

失踪宣告で死亡と扱うから、客観的事実が重視されます。

家族の記憶や主張などで、人為的に操作できる日を起算点にすることはできません。

失踪期間7年の起算点は、失踪宣告の要件を満たしているか確認するための日に過ぎません。

(3)7年満了日に死亡と見なされる

普通失踪では、生死不明のまま7年満了した日に死亡と見なされます。

普通失踪による法的な死亡日は、7年満了した日です。

例えば、令和2年2月14日に最後に生存が確認された場合、令和9年2月14日に失踪期間7年が満了します。

法的な死亡日は、令和9年2月14日です。

(4)初日不算入の影響を受けない

失踪期間7年の起算点は、最後に消息が確認できた日です。

最後に消息が確認できた日は、失踪期間7年の初日です。

死亡と見なされる日は、令和9年2月14日であって令和9年2月15日ではありません。

③特別失踪(危難失踪)は危難が去ったときに死亡と見なされる

(1)特別失踪(危難失踪)の失踪期間は1年

特別失踪(危難失踪)は、事故や災害などで生死不明になったときに適用されます。

死亡の可能性が非常に高いときに認められる特別な失踪宣告です。

失踪期間は短いのは、生存の可能性が非常に低いからです。

特別失踪(危難失踪)の失踪期間は、1年です。

(2)生死不明1年で失踪宣告の申立てができる

たとえ長期間生死不明であっても、自動で失踪宣告がされることはありません。

家族など利害関係人から、失踪宣告の申立てが必要です。

帰りを待つ家族の心情に、配慮するためです。

特別失踪(危難失踪)では、生死不明から1年経過すると失踪宣告の申立てができます。

(3)危難が去ったときに死亡と見なされる

普通失踪の失踪期間は、7年です。

普通失踪では、生死不明のまま7年満了した日に死亡と見なされます。

特別失踪(危難失踪)の失踪期間は、1年です。

特別失踪(危難失踪) では、危難が去ったときに死亡と見なされます。

失踪期間が満了したときに、死亡と見なされるのではありません。

生死不明1年は、失踪宣告の申立てができる要件に過ぎません。

④失踪宣告の審判日は死亡の効果を宣言した日

(1)家庭裁判所は死亡の効果を確定するのみ

失踪宣告の手続には、家庭裁判所が関与します。

失踪宣告を受けると、死亡と見なされます。

家庭裁判所は、死亡の効果を宣言するに過ぎません。

失踪宣告の審判日は、法的な死亡日ではありません。

失踪宣告の審判日は、死亡の効果を確認した日です。

(2)家庭裁判所は死亡日を創作できない

失踪宣告の審判日は、法的な死亡日ではありません。

失踪宣告の審判日を法的な死亡日にすると、家庭裁判所が死亡日を創作することになるからです。

家庭裁判所が死亡日を創作できるとすると、事件や審理期間で死亡日が異なることになります。

公平性や中立性の観点から、大きな問題になります。

失踪宣告は死亡の効果があるから、相続などに大きな影響を与えます。

相続や身分関係の安定性を害することは許されません。

(3)失踪宣告の審判確定日も法的な死亡日ではない

失踪宣告の審判は2週間経過で、確定します。

失踪宣告の審判が確定した日も、法的な死亡日ではありません。

失踪宣告の審判が確定した日も、失踪宣告に必要な手続日のひとつに過ぎません。

⑤官報公告日は法的な死亡日ではない

(1)官報公告は失踪宣告の手続の一部

失踪宣告の申立てを受付けたら、家庭裁判所は慎重に審査します。

官報公告は、失踪宣告の手続の途中の一部です。

官報公告をしても、死亡と見なされるわけではありません。

(2)官報公告で情報収集する

失踪宣告の手続で、家庭裁判所は官報に公告を出します。

官報公告の内容は、次のとおりです。

・次の人に失踪宣告の申立てがありました。

・該当の人や該当の人の生死を知る人は、家庭裁判所に届出をしてください。

・届出がないと、失踪宣告されます。

家庭裁判所は、官報公告で情報収集します。

官報公告は、家庭裁判所の調査が透明で公平であることの表れです。

官報公告日は、法的な死亡日ではありません。

ときには、本人や本人の生存情報が寄せられることがあります。

生存情報が寄せられたら、もちろん死亡扱いはされません。

(3)公告期間満了日も死亡日ではない

官報公告には、公告期間が定められています。

公告期間は、次のとおりです。

・普通失踪3か月以上

・特別失踪(危難失踪) 1か月以上

公告期間が満了しても、死亡扱いはされません。

公告期間満了日も、法的な死亡日ではありません。

(4)公告期間は家庭裁判所が判断する

公告期間は、情報収集のための便宜的期間に過ぎません。

公告期間は、事件の性質や家庭裁判所判断で適宜左右されます。

公告期間満了日を法的な死亡日にすると、家庭裁判所が死亡日を創作することになります。

公平性や中立性の観点から、大きな問題になります。

家庭裁判所が恣意的に死亡日を創作することは、許されることではありません。

相続や身分関係の安定性を維持するため、公告期間満了日も法的な死亡日にはなりません。

3失踪宣告後は失踪届で戸籍に反映

①失踪宣告確定後は死亡届でなく失踪届

失踪宣告は、家庭裁判所の審判です。

家庭裁判所が失踪宣告の審判をした後、審判が確定しても市区町村役場に連絡されることはありません。

失踪宣告の審判が確定した後に、市区町村役場に届出が必要です。

失踪届とは、失踪宣告の審判が確定した後に市区町村役場に提出する届出です。

死亡したときに提出する死亡届とは、別の書類です。

失踪届は、多くの市区町村役場でホームページからダウンロードができます。

失踪届が受理されると、失踪宣告がされたことが戸籍に記載されます。

②失踪宣告がされたときの戸籍の記載例

戸籍には次のように記載されます。

【死亡とみなされる日】令和〇年〇月〇日

【失踪宣告の裁判確定日】令和〇年〇月〇日

【届出日】令和〇年〇月〇日

【届出人】親族 〇〇〇〇

③失踪宣告が記載された戸籍で相続手続

失踪宣告を受けると、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。

失踪宣告を受けた人を被相続人として、相続が発生します。

相続手続の基準になるのが、死亡と見なされる日です。

死亡と見なされる日が、相続発生の日です。

4失踪宣告がされるまで時間がかかる

手順①失踪の事実が発生

長期間、生死不明の状態が続きます。

失踪期間は、次のとおりです。

・普通失踪 7年以上

・特別失踪(危難失踪) 1年以上

手順②失踪宣告の申立て

家族など利害関係人が失踪宣告の申立てを提出します。

失踪宣告の申立日は、法的な死亡日ではありません。

法的な死亡日は、利害関係人などが自由に決めることはできないからです。

手順③家庭裁判所の審査

家庭裁判所は、公的機関などに対して生存の痕跡がないか慎重に調査します。

手順④官報公告

生存の痕跡がない場合、家庭裁判所が官報に公告を出します。

官報公告は、家庭裁判所からの呼びかけです。

官報による公告を出した日は、法的な死亡日ではありません。

官報公告が満了した日は、法的な死亡日ではありません。

手順⑤失踪宣告の審判

官報公告をしても生存情報がない場合、失踪宣告の審判がされます。

失踪宣告の審判によって、民法が定めた日に死亡と見なされます。

死亡と見なされる日は、次のとおりです。

・普通失踪 7年満了した日

・特別失踪(危難失踪) 危難が去った日

手順⑥失踪届の提出

市区町村役場に、失踪届を提出します。

失踪届提出には、失踪宣告の審判書と確定証明書が必要です。

5生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続人が行方不明であることは、割とよくあることです。

行方不明の相続人がいると、相続手続を進めることができません。

困っている遺族はどうしていいか分からないまま、途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。

相続手続で不安がある方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出

2026-01-20

1法定相続情報一覧図とは

相続が発生すると、相続人は多くの役所や銀行などの金融機関などで相続手続をすることになります。

相続手続のたびに、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本と相続人の現在戸籍の束を提出しなければなりません。

大量の戸籍謄本を持ち歩くと汚してしまったり、紛失する心配があるでしょう。

受け取る役所や銀行などの金融機関にとっても、戸籍謄本の束を読解するのは手間のかかる事務です。

被相続人を中心にして、どういう続柄の人が相続人であるのか一目で分かるように家系図のように取りまとめてあると便利です。

この家系図と戸籍謄本等を法務局に提出して、登記官に点検してもらうことができます。

登記官は内容に問題がなかったら、地模様の入った専用紙に認証文を付けて印刷して、交付してくれます。

これが法定相続情報証明制度です。

登記官が地模様の入った専用紙に印刷してくれた家系図のことを法定相続情報一覧図と言います。

多くは家系図のように書きますが、相続人をずらっと書き並べることもできます。

税務申告など連記式の法定相続情報一覧図は提出できない場合があるので、作成前によく確認しましょう。

2法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出の方法

①家系図は法務局で作ってくれない

法務局に戸籍謄本等の点検をお願いすることを法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出と言います。

法務局は、戸籍謄本等と家系図を点検して印刷するだけです。

法務局で家系図を作ってくれるわけではありません。

②法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書はダウンロードできる

法定相続情報一覧図を取得するためには、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書を法務局に提出しなければなりません。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書は、法務局のホームページからダウンロードすることができます。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書は、申出人も代理人も押印不要です。

押印した場合でも、受け付けてもらえます。

③法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出ができる人

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出ができるのは、相続人とその代理人です。

遺言執行者は、遺言執行の一環として法定相続情報一覧図の保管及び申出の申出人になることができます。

保管及び交付の申出をする人は、相続人であっても代理人であっても押印不要です。

従来どおり、押印して提出した場合であっても、受理されます。

複数の人が共同で保管及び交付の申出をすることができます。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書は、申出人氏名などを連記します。

複数の人が一度に保管及び交付の申出をする場合、いずれか一人が代理人を立てることができます。

後日、法定相続情報一覧図が追加で必要になるかもしれません。

法定相続情報一覧図は、再交付をしてもらうことができます。

再交付をしてもらえるのは、最初の申出で申出人になった人だけです。

複数の人が共同で保管及び交付の申出をした場合、各自で再交付の申出をすることができます。

遺言執行者は、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出の代理をすることができます。

相続手続が終わらないうちに、相続人が死亡した場合、死亡した相続人の相続人が法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出ができます。

相続手続を司法書士などの専門家に依頼する場合、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出を一緒に依頼することができます。

死亡した相続人の相続人に相続が発生した場合で、かつ、相続人不存在の場合があります。

相続人不存在の場合、家庭裁判所は相続財産管理人を選任します。

死亡した相続人の相続人に相続人がいない場合、相続人の相続人の財産は亡〇〇相続財産になります。

相続財産管理人は、最初の相続について法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出ができます。

相続財産管理人は、亡〇〇相続財産の代理人として扱われるからです。

申出人氏名は亡〇〇相続財産、申出人住所は死亡した相続人の最後の住所地、代理人氏名は相続財産管理人氏名です。

④法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書の提出先

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書の提出先は次の地を管轄する法務局です。

(1)被相続人の死亡時の本籍地

(2)被相続人の最後の住所地

(3)申出人の住所地

(4)被相続人名義の不動産の所在地

被相続人の最後の住所地を管轄する法務局に提出したい場合、被相続人の最後の住所地を証明する書類を提出する必要があります。

複数の人が共同で保管及び交付の申出をすることができます。

複数の人が共同で保管及び交付の申出をする場合、いずれか一人の住所地が管轄であれば、管轄の法務局として申出をすることができます。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出は、遺言執行の一環として遺言執行者が申出人になることができます。

遺言執行者は申出人になることができるけど、遺言執行者の住所地の法務局に提出することはできません。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書は、郵送で提出することができます。

申出書に法定相続情報一覧図の必要数を書く欄がありますから、必要数送ってもらえます。

法定相続情報一覧図を自宅に送ってもらいたい場合、宛先を記載した返信用封筒と郵便切手を一緒に提出します。

返信は書留など記録が残る郵便の方が安心ですが、普通郵便でも差し支えありません。

窓口で提出して、窓口まで受け取りに行くこともできます。

提出した戸籍謄本や住民票は、返してもらうことができます。

⑤法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書の手数料

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をする場合、法務局に対して手数料を払う必要はありません。

法定相続情報一覧図の発行に、手数料はかかりません。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をする際に、法定相続情報一覧図の必要数を記載します。

必要であれば、何通でも発行してもらえます。

たくさん発行してもらう場合であっても、追加料金がかかることもありません。

不適切に多い場合、法務局から使用目的のお尋ねがあるかもしれません。

自宅に送り返してもらいたい場合、郵送料は負担する必要があります。

司法書士などの専門家に依頼する場合、別途、司法書士報酬がかかります。

3法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書に必要な書類

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書と家系図に添付する書類は次のとおりです。

①被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

多くの人は、結婚や離婚、転籍などでいくつもの戸籍を渡り歩いています。

被相続人の身分に関することは、必ず、戸籍に記載されます。

戸籍が作り直しになる場合、出生事項は書き写される項目です。

結婚歴や子どもがいることを家族に秘密にしているかもしれません。

出生から死亡までの戸籍をすべて確認したら、秘密にしていたことが明るみに出ます。

戸籍が作り直しになる場合に、新しい戸籍に書き写しがされない項目があります。

被相続人が子どもを認知した場合、戸籍に記載されます。

認知した後、新しい戸籍が作られる場合、子どもを認知したことは新しい戸籍に書き写されません。

被相続人の最終の戸籍謄本だけを確認した場合、認知した子どもがいることに気づくことができないでしょう。

被相続人が認知した子どもは相続人になります。

このような子どもを見落とさないために、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要です。

②被相続人の住民票の除票

被相続人の死亡時の住所を証明するためだから、死亡後に発行してもらったものである必要があります。

被相続人の戸籍の附票でも構いません。

戸籍の附票は、本籍地のある役所に請求します。

住民票の除票は、住民票のある役所に請求します。

相続登記をする場合、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を用意します。

戸籍謄本は、本籍地のある役所に請求します。

本籍地のある役所に戸籍を請求するときに一緒に戸籍の附票も請求すると効率よく書類を集めることができます。

被相続人の住民票の除票は、本籍地の記載が必要です。

戸籍謄本には、本籍の記載はあるけど住所地の記載がないからです。

提出した一連の戸籍謄本と住民票の除票が同一人物のものであることを証明するために、住民票の除票に本籍地の記載をしてもらう必要があります。

③相続人全員の現在戸籍

相続人の戸籍は、相続が発生した時に相続人が健在であったことを証明するためのものです。

相続が発生した時に相続人が健在であったことを証明するため、相続人の戸籍謄本は相続発生後に取得したものでなければなりません。

④申出人の本人確認書類

本人確認書類とは、次の書類です。

(1)運転免許証の表裏のコピー

(2)マイナンバーカードの表のコピー

(3)住民票

(4)戸籍の附票

(1)運転免許証の表裏のコピー(2)マイナンバーカードの表のコピーを提出する場合、原本に相違ありませんと記載して申出人が記名します。

記名のみで押印は不要です。

(3)住民票(4)戸籍の附票は、コピーではなく役所で発行されたものをそのまま提出します。

本人確認書類は、希望した場合だけ原本還付がされます。

(3)住民票(4)戸籍の附票を本人確認書類として提出した場合で、かつ、原本還付を希望する場合、本人確認書類のコピーも一緒に添付します。

コピーに、原本に相違ありませんと記載して申出人が記名します。

記名のみで押印は不要です。

余白がない場合は、コピーの裏面に記載することができます。

⑤相続人全員の住民票

法定相続情報一覧図は、相続人の住所を記載してもいいし記載しなくても構いません。

相続人の住所を記載しても記載しなくても、書き直しにはなりません。

多くの場合、相続手続で相続人の住所確認がされることから住所が記載してあると便利です。

法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載する場合、相続人全員の住民票を一緒に提出します。

⑥委任状

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出は、代理人を立てて依頼することができます。

依頼を受けて代理人になることができるのは、親族と司法書士などの専門家だけです。

代理人が親族の場合も司法書士などの専門家の場合も、委任状に押印は不要です。

(1)親族が代理人になる場合

代理人が親族であることが分かる戸籍謄本が追加で必要になります。

(2)司法書士などの専門家が代理人になる場合

資格者の身分証明書のコピーが追加で必要です。

4法定相続情報一覧図の作成を司法書士に依頼するメリット

法定相続情報一覧図は、後に登記官が認証文を付して交付されるので、書き方が厳格に決まっています。

法定相続情報一覧図と似たものに、相続関係説明図があります。

相続関係説明図は、登記官が点検をするものではなく、単なる事情説明の書類に過ぎませんから、比較的自由に書くことができます。

これらの違いを理解して、ポイントを押さえて書くことが重要です。

相続手続が少ない場合など、法定相続情報一覧図を作るまでもないこともあるでしょう。

逆に、銀行口座をたくさん持っているなど、相続手続をする手続先が多い場合は、法定相続情報一覧図は大変便利です。

仕事や家事で忙しい方はこのような手続はすべてお任せいただけます。

すみやかな手続を考えている方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

任意後見監督人選任の申立ての最適なタイミング

2026-01-19

1任意後見契約でサポートを依頼する

①信頼できる人と任意後見契約

認知症や精神障害や知的障害などで判断能力が低下すると、物事の良しあしを適切に判断することができなくなります。

任意後見とは、将来に備えて信頼できる人にサポートを依頼する契約です。

任意後見は、だれと契約するのか本人が自分で決めることができます。

任意後見契約をした場合、物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなった後にサポートしてもらいます。

自分の財産管理などを依頼するから、信頼できる人と契約します。

多くの場合、本人の子どもなど近い関係の家族でしょう。

家庭裁判所で成年後見開始の審判をしてもらう場合、成年後見人は家庭裁判所が決めます。

家族が成年後見人に選ばれるのは、わずか20パーセント程度です。

②任意後見監督人は任意後見人と監督する

任意後見人とは、本人をサポートする人です。

任意後見監督人とは、任意後見人を監督する人です。

任意後見監督人は、家庭裁判所が監督します。

家庭裁判所は任意後見監督人を通して、任意後見人を監督します。

③本人が元気なうちに任意後見契約

任意後見契約は、本人の判断能力が充分あるときに締結します。

本人の判断能力が低下した後は、契約を締結することができないからです。

任意後見は、公正証書による契約が必要です。

公正証書とは、公証人が作成する公文書です。

本人の判断能力が低下している場合、公証人は公正証書を作成できません。

任意後見契約は、本人が元気なうちに締結します。

④任意後見監督人は不要にできない

任意後見契約をした時点では、本人は任意後見人によるサポートは必要ないはずです。

本人の判断能力が低下した後、任意後見人によるサポートが必要になります。

本人の判断能力が低下したら、任意後見監督人選任の申立てをします。

家庭裁判所が任意後見監督人を選任したら、任意後見契約に効力が発生します。

任意後見契約に効力が発生したら、任意後見人がサポートを開始します。

任意後見人によるサポート開始は、任意後見監督人が選任された後です。

任意後見監督人は、不要にできません。

任意後見監督人の選任は、任意後見によるサポート開始の条件だからです。

2任意後見監督人選任の申立ての最適なタイミング

①早すぎる申立てのリスク

リスク(1)家庭裁判所が申立てを却下する

任意後見監督人選任の申立ては、早ければ安心と言ったものではありません。

早すぎる申立ては、制度趣旨に反するリスクがあります。

任意後見監督人の選任は、本人の判断能力が低下したことが要件です。

任意後見監督人選任の申立てが早すぎると、本人の判断能力が充分に残っているでしょう。

任意後見監督人選任の申立書には、医師の診断書を提出します。

医師は、判断能力が保たれていると評価した診断書を作成するでしょう。

医師が判断能力が保たれていると評価するのに、任意後見人によるサポートは不要です。

家庭裁判所は、任意後見人を選任する必要はないと判断します。

リスク(2)本人の自己決定権を不当に制限する

任意後見が開始すると、本人の代わりに任意後見人が財産管理や身上監護を行います。

身上監護とは、本人の日常生活や健康管理、介護など生活全般について重要な決定をすることです。

任意後見監督人選任の申立てが早すぎると、本人の判断能力が充分に残っているでしょう。

本人は自分の意思で、自由に契約することができなくなります。

本人の判断能力が充分に残っているのに、自己決定権が制限されてしまいます。

本人の判断能力が充分に残っているのに、契約などを制限することは不当です。

任意後見制度は、本人が自分らしく生きていくための制度のはずです。

自己決定権が制限されると、制度の趣旨に反します。

リスク(3)任意後見監督人報酬が早期に発生する

任意後見監督人が選任されると、任意後見監督人に報酬が発生します。

毎月1~3万円程度、本人の財産から支出されます。

本人の判断能力が充分に残っているのに、不必要な任意後見監督人報酬を負担することになります。

リスク(4)任意後見人の負担が大きくなる

任意後見監督人が選任されると、任意後見人によるサポートが開始します。

任意後見人は、本人に代わって財産管理や身上監護をする義務を負います。

本人の判断能力が充分に残っているのに、任意後見人が行う後見事務が不必要に増えてしまいます。

本人が自分でできるはずなのに任意後見人がサポートすると、本人が自分やることと任意後見人がやるべきことの境界があいまいになります。

リスク(5)家族のトラブルを誘発する

本人の判断能力が充分に残っていると、家族は本人の判断で契約などができると期待しています。

本人の代わりに任意後見人が財産管理を行うと、財産管理を任せている理由が見えにくくなります。

任意後見制度への理解不足から、家族間で不信感が発生します。

・まだ元気なのに、なぜ任意後見人がサポートするのか

・任意後見人が財産管理する必要があるのか

本人が自分の財産を管理できないことに対して、家族は不信感を覚えます。

本人の判断能力が充分に残っているから、家族のトラブルの火種になります。

②遅すぎる申立てのリスク

リスク(1)本人が財産に損害を与えてしまう

本人の判断能力が低下したまま放置すると、本人が次の行為をするおそれがあります。

・必要ないのに高額な契約を締結する。

・悪質商法などの被害にあう。

・キャッシュカードや通帳など重要書類を紛失する

・不動産屋預貯金を不適切に処分する

本人の判断能力が低下しているから、自分の財産に損害を与えていることが理解できません。

リスク(2)本人の生活が破綻する

本人の判断能力が低下したまま放置すると、本人は自分で適切に判断することができません。

物事のメリットデメリットを判断できないまま、先延ばししがちです。

任意後見人のサポートを受けられないまま、介護サービスの契約ができなくなります。

家賃や公共料金の支払いを滞らせると、生活維持が困難になります。

リスク(3)市区町村長申立てで法定後見開始

本人の生活が破綻すると、行政が介入することになるでしょう。

市区町村長による後見開始の申立てがされる可能性があります。

家庭裁判所は、本人の保護を最優先します。

任意後見監督人選任の申立てが遅れると、生活や財産に混乱が発生します。

混乱が発生した後では、任意後見では保護が不充分と判断することがあります。

家庭裁判所は任意後見監督人の選任をしないまま、法定後見を選択することがあります。

リスク(4)本人の意思を生かすことができない

任意後見契約は、本人がやってもらいたいことを決めて信頼できる人にやってもらう制度です。

任意後見監督人選任の申立てが遅すぎると、法定後見が選択されることがあります。

本人の意思表示である任意後見契約があっても、生かされないリスクがあります。

リスク(5)任意後見人に説明責任

任意後見契約では、本人の判断能力が低下したら任意後見監督人選任の申立てをする義務が定められます。

任意後見監督人選任の申立てをする義務を怠って本人の生活が破綻した場合、家族から説明を求められるでしょう。

③申立てがされないまま放置されるリスク

任意後見は、契約するだけでは意味がありません。

契約するだけでは、任意後見人としてサポートすることはできないからです。

任意後見監督人選任の申立てをしないまま放置すると、いつまでたっても任意後見はスタートしません。

本人と同居している家族などは、判断能力が低下する前から財産管理をサポートしているでしょう。

本人の判断能力が充分であるうちは、本人の意思に基づくサポートと言えます。

他の家族も、あれこれ言うことは少ないでしょう。

本人の判断能力が低下すると、同じサポートであっても評価が変わります。

本人の意思に基づかない財産管理に見えるからです。

同じサポートであっても、評価が変わります。

評価の転換が家族間で深刻なトラブルを誘発する大きな要因です。

任意後見監督人からの監督がないままでは、透明性を確保できません。

適切な財産管理をしても、第三者からは自分のために財産を使っているように見えます。

申立てがされない状態が長く続くほど、家族の疑念を引き起こします。

任意後見がスタートしないままにすると、家族から説明を求められる場面が増加します。

④家庭裁判所の判断基準

(1)法律上の基準

家庭裁判所は次の条件を満たすとき、任意後見監督人を選任することができます。

・任意後見契約が登記されていること

・本人の判断能力が低下していること

・任意後見監督人選任の申立てがあること

・本人の同意があること

(2)任意後見監督人を選任できない基準

次の場合、任意後見監督人を選任できません。

・本人が未成年

親権者が保護するので、任意後見人は不要です。

・すでに法定後見が開始しており法定後見を優先すべきとき

本人が不利になる契約をしても、任意後見人は契約を取消すことができません。

本人が浪費家で不利な契約を締結しがちの場合、法定後見を優先すべきと考えられます。

・任意後見人が不適格

任意後見人が法律上の欠格者である場合、任意後見人にすることはできません。

(3)家庭裁判所が実務上重視する基準

・判断能力の低下の程度

家庭裁判所は、医師による診断書の記載内容を重視します。

日常的な金銭管理が困難、重要事項の決定が不安定などの事情があれば、判断能力の低下と認められます。

・本人保護に充分な任意後見契約の内容

任意後見は、本人がやってもらいたいことを決めて契約します。

契約内容が極端に狭いケースや極端に不合理なケースでは、本人の保護に充分な内容ではないと判断されるでしょう。

・任意後見人の誠実性

家庭裁判所は、任意後見人の適格性を判断します。

誠実性や財産管理能力、家族との関係を総合的に判断します。

・家族間トラブルの有無

家族間で深刻なトラブルがある場合、任意後見人は適切に本人をサポートできないでしょう。

任意後見をスタートさせず、法定後見を選択することがあります。

⑤任意後見監督人選任の申立てをする目安

任意後見監督人選任の申立てをする場合、唯一の正解はありません。

家族が迷い始めるときは、検討すべき時期と言えます。

・物忘れや判断ミスが継続して繰り返される

・不要な契約を結びそうで、家族が見守らないと不安

・家族の支援に限界を感じる

・医師による意見を聞きたい場面が多くなった

上記の目安のうち複数当てはまったら、専門家などに相談するといいでしょう。

3任意後見監督人がいるから安心して任意後見事務ができる

①任意後見監督人は任意後見人をサポートする

任意後見監督人は、任意後見人を監督する人です。

監督と聞くと、監視されるイメージを持つかもしれません。

監視するより、任意後見人をサポートする人です。

任意後見人は、本人が自由に選ぶことができます。

本人の子どもなど、身近な家族がほとんどです。

本人の子どもなどは、法律に詳しいことはあまりないでしょう。

適切に後見事務を行っているのか、不安になることがあります。

不安になったとき、任意後見監督人に相談することができます。

任意後見監督人は、相談を通して適切な後見事務ができるように監督します。

②任意後見監督人が制度の公平性と透明性を確保する

任意後見では、任意後見監督人を不要にできません。

任意後見監督人は、任意後見人が本人のために事務を行っているのか監督します。

預貯金の通帳や契約書類は、任意後見監督人が定期的に確認します。

不正や不適切な行為があれば、家庭裁判所に報告する義務があります。

任意後見監督人自身も、家庭裁判所から監督を受けています。

家庭裁判所に対する定期報告における透明性が確保されます。

任意後見監督人は、専門家などの第三者が選任されます。

権限がある人と監督する人が身内であると、公平性と透明性が確保できないからです。

4任意後見契約を司法書士に依頼するメリット

任意後見は、あらかじめ「必要になったら後見人になってください」とお願いしておく契約です。

認知症が進んでから、任意後見契約をすることはできません。

重度の認知症になった後は、成年後見(法定後見)をするしかなくなります。

成年後見(法定後見)では、家庭裁判所が成年後見人を決めます。

80%のケースで、家族以外の専門家が選ばれます。

任意後見契約では、本人の選んだ人に後見人になってもらうことができます。

家族以外の人が成年後見人になることが不安である人にとって、任意後見制度は有力な選択肢になるでしょう。

本人が自分らしく生きるために、みんなでサポートする制度です。

任意後見制度の活用を考えている方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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