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亡くなった人の本籍地を調べるには

2025-01-03

1本籍地が分からないときの調べ方

①本籍地欄空欄のまま死亡届

人が死亡したら、市区町村役場に死亡届を提出します。

死亡届を見ると、氏名、生年月日、住所などに並んで、本籍を記載する欄があります。

本籍は、普段記載することが少ないでしょう。

本籍地が分からない場合、本籍地を空欄にしたまま市区町村役場に提出することができます。

空欄のまま提出した場合、市区町村役場で本籍地を調べてもらうことができます。

死亡届は、死亡を知ってから7日以内に提出します。

通常、市区町村役場は、平日の昼間のみ業務を行います。

死亡届は、開庁日以外の休日でも夜間でも受け付けてもらえます。

例えば、名古屋市では夜間の受付は中区役所で受け付けています。

本籍地が分からない場合、通常の業務時間に出向かないと調べてもらえません。

市区町村役場の窓口で調べてもらう方法は、簡単で確実です。

②本籍地入り住民票を請求

多くの場合住所は、知っているでしょう。

住民票を取得すると、本籍地を知ることができます。

住民票に本籍地を記載してもらうことができるからです。

普段目にする住民票は、本籍地が記載されていないかもしれません。

住民票を請求する場合、何も言わないと本籍地は記載省略になります。

亡くなった人の住民票は、相続人が取得することができます。

本籍地入りの住民票を請求すると、亡くなった人の本籍地を調べることができます。

③マイナンバーカードで本籍地入り住民票を取得

身分証明書としてマイナンバーカードを持っている人も多いでしょう。

市区町村によっては、マイナンバーカードを利用して住民票を取得することができます。

マイナンバーカードを使って、コンビニエンスストアなどで住民票を取得することができます。

マイナンバーカードには、顔写真が入っています。

ICチップの入っていない紙製のマイナンバー通知書では住民票を取得することはできません。

コンビニエンスストアは年中休みなく営業しているので、とても便利です。

コンビニエンスストアのマルチコピー機で住民票を取得する場合、記載事項を選択することができます。

本籍地欄にチェックを入れないと、本籍地の記載がない住民票が発行されます。

亡くなった人が自分の家族である場合、自分の本籍地を手掛かりに亡くなった人の本籍地を調べることができます。

マイナンバーカードを使って本籍地入り住民票を取得することで、本籍地を調べることができます。

④マイナンバーカードで戸籍謄本を取得

マイナンバーカードを利用すると、住民票だけでなく戸籍謄本を取得することができます。

戸籍謄本には、本籍地が記載されています。

亡くなった人が自分の家族である場合、同じ戸籍に入っていることがあるでしょう。

同じ戸籍であれば、当然に同じ本籍地です。

別の戸籍であっても、戸籍と読み解いて戸籍をたどると本籍地を調べることができます。

マイナンバーカードを使って戸籍謄本を取得することで、本籍地を調べることができます。

⑤2007年以前の運転免許証で確認

亡くなった人が運転免許証を持っていることがあります。

現在の運転免許証には、本籍地欄はありません。

2007年までの運転免許証には、本籍地欄がありました。

自宅などで遺品整理をすると、古い運転免許証が見つかることがあります。

運転免許証を更新するときに、古い運転免許証を返してもらうことができるからです。

ひょっとすると、亡くなった人が古い運転免許証を保管しているかもしれません。

2007年以前の運転免許証を確認すると、本籍地が判明します。

⑥運転免許証をコンビニのマルチコピー機で読み取り

現在の運転免許証には、本籍地欄はありません。

現在の運転免許証の表面に記載されていないだけで、ICチップに本籍地が入力されています。

コンビニエンスストアのマルチコピー機で、ICチップを読むことができます。

コンビニエンスストアのうち、ファミリーマートとローソンのマルチコピー機が対象です。

亡くなった人が自分の家族である場合、自分の本籍地を手掛かりに亡くなった人の本籍地を調べることができます。

運転免許証をコンビニのマルチコピー機で読み取りすることで、本籍地を調べることができます。

⑦運転免許証をスマートフォンアプリで読み取り

運転免許証のICチップは、スマートフォンアプリで読み取りをすることができます。

iPhoneでもアンドロイドでも、読み取りアプリがあります。

カードリーダーなどの特別な道具は、不要です。

運転免許証の取得や更新などのときに決めた暗証番号を入力する必要があります。

多くの人はスマートフォンを持っているから、スマートフォンアプリを使う方法は手軽です。

運転免許証をスマートフォンアプリで読み取りする方法で、本籍地を調べることができます。

⑧運転免許証を警察署の端末で読み取り

運転免許証のICチップを読み取りすることで、本籍地を調べることができます。

コンビニエンスストアは日本中いたるところにあるから、とても便利です。

スマートフォンアプリを使う方法は、手軽です。

コンビニエンスストアやスマートフォンアプリを使ってICチップを読み取る場合、暗証番号を入力する必要があります。

暗証番号は、2組の4桁の数字です。

暗証番号を使う機会は、ほとんどありません。

ときには、暗証番号を忘れていることがあるでしょう。

暗証番号を忘れてしまったときは、運転免許証を持って警察などに出向くと照会することができます。

たとえ本人であっても、電話などで照会することはできません。

暗証番号を3回間違えると、読み取りがロックされます。

ロックされたら、自動で解除されることはありません。

暗証番号がロックされてしまったときは、警察署や運転免許試験場などに出向いてロック解除をしてもらうことができます。

運転免許証を持って、本人が警察署などに出向く必要があります。

読み取り端末は、警察署や運転免許試験場に設置されています。

暗証番号を覚えていない人やロックされてしまった人は、警察署や運転免許試験場で確認する方法はおすすめです。

警察署や時間によっては、確認端末が設置されていないことがあります。

例えば、愛知県警では中部空港警察署には設置されていません。

中部空港警察署以外の警察署であれば、平日の8時45分~17時30分に受け付けてもらえます。

運転免許試験場・東三河運転免許センターであれば、上記に加えて日曜日8時30分~12時00と12時45分~17時15分に受け付けてもらえます。

運転免許証を警察署や運転免許試験場の端末で読み取りする方法で、本籍地を調べることができます。

⑨マイナポータルの本籍地は市町村のコード番号で表示

マイナポータルとは、マイナンバー制度に伴う行政手続のオンライン窓口です。

マイナポータルからマイナンバーカードを使って、自分の情報を確認することができます。

確認できる情報には、戸籍関係情報があります。

戸籍関係情報のうち、本人情報の一部として本籍コードがあります。

マイナポータルでは、数字5桁の本籍コードが表示されます。

本籍コードは、全国地方公共団体コードの先頭5桁と一致します。

全国地方公共団体コードは、総務省のホームページで確認することができます。

本籍地コードで判明するのは、市区町村までです。

本籍は、変更することができます。

何度も変更していると、どこに本籍を置いているのか分からなくなることがあるでしょう。

本籍の市町村が分かれば、詳しい本籍を思い出せるかもしれません。

マイナポータルの本籍地を調べることで、市町村までの本籍地を調べることができます。

⑩パスポートの本籍地は都道府県までの記載

パスポートを申請する場合、申請書に本籍地を記載し戸籍謄本を提出します。

発行されたパスポートを見ると、本籍が記載されています。

パスポートに記載されている本籍は、都道府県のみ記載されています。

本籍の都道府県が分かれば、詳しい本籍を思い出せるかもしれません。

パスポートの本籍欄を確認することで、都道府県までの本籍地を調べることができます。

⑪在留届で確認

外国に住所や一時滞在場所を決めて、滞在することがあるでしょう。

3か月以上滞在する場合、在留届を提出する義務があります。

在留届には、本籍を記載する欄があります。

過去に在留届を提出した場合、在留届の内容は個人情報として管理されているでしょう。

法令に基づく開示請求によって、開示してもらうことができます。

在留届の開示請求をすることで、本籍地を調べることができます。

⑫親族に尋ねる

子どもが誕生したら、親の戸籍に入ります。

親に本籍を聞くと、分かるかもしれません。

婚姻したら、夫婦のために新しい戸籍が作られます。

配偶者に本籍を聞くと、知っているかもしれません。

死亡した人の親族に尋ねると、本籍地を知っている人がいることがあります。

親族に尋ねるのは、手軽な方法です。

親族に尋ねることで、本籍地を調べることができます。

⑬過去の書類で確認

自宅などで遺品整理をしていると、古い書類が大切に保管されていることに気づくことがあります。

家族が死亡した場合、相続手続をします。

相続手続では、たくさんの戸籍謄本を準備します。

以前、相続手続をしたときに準備した戸籍謄本などが保管されているかもしれません。

以前、提出した死亡届のコピーが保管されているかもしれません。

過去の書類を見ると、本籍地が判明することがあります。

過去の書類を確認することで、本籍地を調べることができます。

2本籍地判明で相続人調査

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②相続人は戸籍謄本で証明

相続が発生したら、法律で決められた人が相続人になります。

だれが相続人になるか、家族にとっては当然のことと軽く考えがちです。

相続手続先の人など第三者に対しては、客観的に証明する必要があります。

客観的に証明するとは、戸籍謄本を集めることです。

その人の身分事項は、戸籍にすべて記録されているからです。

相続人は、戸籍謄本で証明します。

③本人・配偶者・直系血族の戸籍謄本は広域交付の対象

相続手続では、たくさんの戸籍謄本を準備する必要があります。

多くの人は、出生から死亡まで複数の戸籍を渡り歩いているからです。

戸籍は、本籍地の市町村に備えられています。

戸籍謄本は、原則として本籍地の市区町村役場に請求します。

本人・配偶者・直系血族の戸籍謄本は、広域交付の対象です。

広域交付制度を利用すると、本籍地以外の市区町村役場で戸籍謄本を取得することができます。

例えば、名古屋市に本籍を置いている人が名古屋市以外の市区町村役場で、戸籍謄本を取得することができます。

名古屋市以外に本籍を置いている人が名古屋市の各区役所で、戸籍謄本を取得することができます。

本人・配偶者・直系血族の戸籍謄本は、広域交付の対象です。

3相続人確定を司法書士に依頼するメリット

本籍地の変更や国による戸籍の作り直し(改製)で多くの方は、何通もの戸籍を渡り歩いています。

相続手続のために、たくさんの戸籍謄本を集めなければなりません。

古い戸籍は、現在と形式が違っています。

慣れないと、読みにくいものです。

現代とちがって、古い戸籍は手書きで書いてあります。

手書きの達筆な崩し字で書いてあると、分かりにくいものです。

戸籍謄本を準備するのは、想像以上にタイヘンです。

本籍地を何度も変更している人は、たくさんの戸籍を渡り歩いています。

結婚、離婚、養子縁組、離縁を何度もしている人は、戸籍が何度も作り直されています。

戸籍をたくさん渡り歩いているので、戸籍集めは膨大な手間と時間がかかります。

段取りよく要領よく手続するには、ちょっとしたコツがいります。

仕事や家事で忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続をおまかせできます。

相続人調査でお困りのことがあれば、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

家督相続で長男が全財産を相続

2025-01-01

1家督相続は戸主の地位と財産を相続する

①家督相続は戦後廃止された制度

戦前の民法においては、家制度が重視されていました。

その家の戸主が家族を統制し、家を維持していました。

家督とは、戸主の権利義務、家名、家業や家の財産が一体化したものです。

家督相続が発生すると、戸主の権利義務、家名、家業や家の財産が一体となって相続されます。

家督相続制度は、戦後廃止されました。

現代の憲法においては、基本的人権の尊重が重視されます。

戦前の民法は、基本的人権の尊重を重視する憲法に反すると考えられています。

家の維持のため、個人の基本的人権が侵害されることがあるからです。

具体的には、明治31年から昭和22年5月2日までの制度です。

現代の相続では、家督相続は適用されません。

家督相続は、戦後廃止された制度です。

②戸主は戸籍に記載された

戦前の民法においては、戸主が大きな力を持っていました。

戸主は、家族を統制し家を維持する人だからです。

戸籍の筆頭に、戸主が記載されていました。

③家督相続人の順位

家督相続人は、1人だけです。

家督相続人の順位は、次のとおりです。

(1)第一種法定家督相続人

第一種法定推定家督相続人は、直系卑属です。

(2)指定家督相続人

指定家督相続人は、前戸主が指定した人です。

(3)第一種選定家督相続人

第一種選定家督相続人は、被相続人の父が選定します。

家女である配偶者、兄弟、姉妹、家女でない配偶者、兄弟姉妹の直系卑属の順で、選定します。

(4)第二種法定家督相続人

第二種法定家督相続人は、直系尊属です。

複数の直系尊属がいる場合、親等が近い人が優先されます。

男と女で同順位の場合、男が優先されます。

(5)第二種選定家督相続人

第二種選定家督相続人は、親族会で選定します。

正当な理由があるときは、家庭裁判所の許可を得て他人を選定することができます。

④家督相続人は相続放棄ができない

家督相続人は、相続放棄をすることができませんでした。

戸主は、家族を統制し家を維持する人だからです。

⑤戦前は長男が全財産を相続

家督相続があると、家督相続人が相続します。

嫡出男子が最先順位です。

同順位の人が複数いた場合、年長者が家督相続人になります。

戸主の長男が家督相続人になっていました。

戦前は、家督相続人として長男が全財産を相続するのが当然でした。

2遺言書作成で現代に家督相続を実現させる

①遺言書で財産の分け方を決めておく

家督相続は、戦後廃止された制度です。

法律上廃止されても、まだまだ家督相続の意識は残っているかもしれません。

高齢者が経験してきた相続は、家督相続だったでしょう。

自宅などは、家族にとって重要な財産です。

自宅などの財産を長男に受け継いでもらいたいと、考えていることがあります。

被相続人は、生前に自分の財産を自由に処分することができます。

遺言者は遺言書を作成して、自分の財産をだれに引き継ぐのか自由に決めることができます。

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人全員の共有財産になります。

現代の相続では、家督相続は適用されないからです。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。

遺言書を作成して相続財産の分け方を指定した場合、遺言書のとおりに分けることができます。

遺産分割協議は、相続人間でトラブルになりやすい手続です。

遺言書があると、遺産分割協議は原則として不要です。

遺言書を作成して、財産の分け方を決めておくことができます。

②公正証書遺言があっても遺留分侵害額請求ができる

遺言者は遺言書を作成して、自分の財産をだれに引き継ぐのか自由に決めることができます。

自由に決めることができると言っても、無制約の自由にすることはできません。

遺言者の名義になっているとは言っても、ひとりで築いた財産ではないでしょう。

家族の協力があってこそ、築くことができた財産のはずです。

無制約の自由にすると、今まで協力してきた家族に酷な結果となるおそれがあります。

被相続人に近い関係の相続人には、相続財産に対して最低限の権利が認められています。

遺留分とは、相続財産に対して認められる最低限の権利です。

配分された財産が遺留分に満たない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

戦前の家督相続においては、家の財産すべてを家督相続人が相続していました。

現代の相続では、家督相続は適用されません。

長男に全財産を相続させる遺言書を作成した場合、他の相続人はがっかりするでしょう。

遺言書を作成するだけで、他の相続人の遺留分を奪うことはできません。

公正証書遺言があっても、遺留分侵害額請求をすることができます。

③遺言書があっても遺産分割協議ができる

高齢者が経験してきた相続は、家督相続だったでしょう。

自分が家督相続人として、家の全財産を相続したかもしれません。

家督相続が当然の時代だから、他の家族は何も言わなかったでしょう。

長男が全財産を相続して当然だと、考えていることがあります。

長男に全財産を相続させる遺言書を作成するかもしれません。

長男に全財産を相続させる遺言書は、他の相続人にとってあまりに偏った内容と言えるでしょう。

あまりに偏った内容の遺言書をそのまま執行すると、相続人間で大きなトラブルになります。

大きなトラブルになる遺言書なのに、わざわざ執行してトラブルにする必要はありません。

相続人全員の話し合いによる合意で、相続財産の分け方を決める方が合理的です。

遺言書があっても、遺産分割協議をすることができます。

3遺産分割協議で現代に家督相続を実現させる

①家督相続を主張するとトラブルに発展する

法律上廃止されても、まだまだ家督相続の意識は残っているかもしれません。

高齢者が経験してきた相続は、家督相続だったでしょう。

長男は家の跡取りとして、大切に育てていることがあります。

長男自身が家の跡取りとして、長男がすべて相続して当然と思い込んでいることがあります。

現代の相続では、家督相続は適用されません。

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人全員の共有財産になります。

一方的に全財産を相続して当然といった態度を取ったら、他の相続人はびっくりするでしょう。

仮に家督相続が当然の時代だったら、他の家族は何も言わなかったでしょう。

現在では、相続人が平等に相続財産を相続します。

一方的に全財産を相続して当然と主張したら、相続人間で大きなトラブルに発展します。

②相続人全員が合意できないときは遺産分割調停

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

現代の相続では、家督相続は適用されないからです。

家の跡取りとして大切に育てられたなど、無関係な事情です。

相続人全員の合意ができない場合、家庭裁判所の助力を得ることができます。

遺産分割調停は、家庭裁判所のアドバイスを受けてする相続人全員の話し合いです。

相続人だけで話し合いをした場合、感情的になってしまうかもしれません。

家庭裁判所の調停委員に話す場合、少し落ち付いて話ができるでしょう。

家庭裁判所の調停委員から公平な意見を根拠にしてアドバイスがされると、納得できるかもしれません。

調停委員から客観的なアドバイスを受けて、相続人全員の合意を目指します。

4先祖名義の不動産は家督相続による相続登記

①先祖名義のまま相続登記が放置されている

登記簿を確認すると、父母や祖父母の名義のままになっていることがあります。

令和6年4月1日に相続登記が義務になりました。

それまでは、相続登記をしなくてもペナルティーは課されませんでした。

登記をしないと、所有者はソンをします。

登記がないと、権利主張をすることができないからです。

相続登記をするためには、時間と手間がかかります。

時間と手間がかかることを嫌って、相続登記が放置されていることがあります。

不便な地にあるなどの理由で、評価が低い不動産があります。

重要な財産でない場合、権利主張の必要がないかもしれません。

父母や祖父母、それ以前の先祖の名義のままになっていることがあります。

先祖名義のまま、相続登記が放置されていることがあります。

②旧民法適用で家督相続による相続登記

相続が発生したら、相続人は相続手続をします。

被相続人が不動産を持っていた場合、不動産の名義変更を行います。

相続登記は、不動産の名義変更です。

本来であれば相続が発生したときに、当時の法律に従って相続登記をしたはずです。

現在まで放置してしまっていても、当時の法律に従って相続登記をします。

相続が発生したのが旧民法下であれば、家督相続があるでしょう。

登記原因は、「〇年〇月〇日家督相続」です。

戸主の死亡による家督相続においては、〇年〇月〇日は死亡日です。

家督相続届の提出日ではありません。

戸主以外の家族が死亡した場合、家督相続ではなく遺産相続があります。

登記原因は、「〇年〇月〇日遺産相続」です。

現在の相続登記では、「〇年〇月〇日家督相続」「〇年〇月〇日遺産相続」は使いません。

旧民法下で発生した相続は、旧民法適用で家督相続による相続登記をします。

③令和6年4月1日以前に発生した相続も義務化の対象

令和6年4月1日に相続登記が義務になりました。

令和6年4月1日以降に発生した相続は、当然に対象になります。

令和6年4月1日以前に発生した相続であっても、相続登記は義務になります。

相続登記は、3年以内に申請しなければなりません。

相続登記の申請義務を果たしていない場合、ペナルティーが課されます。

令和6年4月1日以前に発生した相続であっても、ペナルティーが課される予定です。

5相続登記を司法書士に依頼するメリット

大切な家族を失ったら、大きな悲しみに包まれます。

やらなければいけないと分かっていても、気力がわかない方も多いです。

相続手続は、一生のうち何度も経験するものではありません。

だれにとっても不慣れで、手際よくできるものではありません。

相続手続で使われる言葉は、法律用語です。

一般の方にとって、日常で聞き慣れないものでしょう。

不動産は重要な財産であることも多いものです。

登記手続は一般の方から見ると些細なことと思えるようなことで、やり直しになります。

日常の仕事や家事のうえに、これらのことがあると、疲労困憊になってしまうことも多いでしょう。

司法書士などの専門家から見れば、トラブルのないスムーズな相続手続であっても、多くの方はへとへとになってしまうものです。

相続手続に疲れてイライラすると、普段は温厚な人でも、トラブルを引き起こしかねません。

司法書士などの専門家は、このような方をサポートします。

相続手続でへとへとになったから先延ばしするより、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

同性婚の相続対策で養子縁組

2024-12-31

1養子は相続人

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②相続人になる配偶者は法律上の配偶者だけ

配偶者は、必ず相続人になります。

配偶者は、法律上の配偶者を指します。

法律上の婚姻をしていない配偶者は、相続人になれません。

日本においては現在のところ同性婚は認められていません。

同性パートナーは、法律上の配偶者ではありません。

相続人になる配偶者は、法律上の配偶者だけです。

③パートナーシップ制度を利用しても相続人になれない

パートナーシップ制度とは、法律上の婚姻と異なる形態のカップルについて各自治体が婚姻に相当する関係と認め証明書を発行する制度です。

たくさんの自治体でパートナーシップ制度が施行されていますが、すべての自治体で施行されているわけではありません。

パートナーシップ制度が施行されている自治体では、パートナーシップ宣誓をすることができます。

自治体から、パートナーシップ宣誓受領証を発行してもらうことができます。

パートナーシップ宣誓受領証を提示することで、婚姻に相当する関係と認めてもらいやすくなるでしょう。

パートナーシップ宣誓をしても、法律上の配偶者ではありません。

パートナーシップ制度を利用しても、相続人になれません。

④養子は相続人

被相続人が養親になる養子縁組をすることがあります。

養子縁組をした場合、養親と養子の間に親子関係が作られます。

養子は、養親の子どもです。

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

被相続人に血縁関係がある子どもがいることがあります。

血縁関係がある子どもがいる場合、血縁関係がある子どもと養子が相続人です。

血縁関係がある子どもと養子は、被相続人の子どもだからです。

2養子縁組で同性パートナーが相続人になる

①大人同士で養子縁組ができる

養子縁組とは、血縁関係による親子関係の他に、法律上の親子関係を作る制度です。

養子縁組には、2種類あります。

普通養子と特別養子です。

大人同士が養子縁組をする場合、特別養子による養子縁組をすることはできません。

特別養子による養子縁組をすることができるのは、養子になる人が15歳未満であることが条件だからです。

普通養子による養子縁組であれば、大人同士で養子縁組をすることができます。

養子になる人の条件は、次のとおりです。

(1)養親より年下であること

(2)養親の尊属でないこと

1日でも早く生まれた方が養親になります。

普通養子による養子縁組をした後、実親との親子関係が存続します。

②同性パートナー間で養子縁組をすると法律上の親子になる

当事者が合意をして市区町村役場に届出をすれば、養子縁組をすることができます。

同性パートナー間で養子縁組をする合意をすることができます。

養子縁組をした場合、養親と養子の間に親子関係が作られます。

同性カップルが養子縁組をした場合、法律上の親子関係が作られます。

同性カップルは、婚姻に相当する関係と考えているでしょう。

婚姻に相当する関係なのに親子関係が作られるから、合意ができないかもしれません。

養子縁組をすることのメリットデメリットを充分に検討して合意できれば、同性パートナー間で養子縁組をすることができます。

同性カップルが養子縁組をした場合、法律上は親子になります。

③養親が死亡したときは養子が相続人になる

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

養子縁組をした場合、当事者は法律上の親子になります。

被相続人が養親となる養子縁組をしていた場合、養子は養親の子どもです。

養親が死亡した場合、養子は相続人です。

養親に実子がいる場合、実子と養子は区別なく子どもです。

同性カップルが養子縁組をした場合で、かつ、養親が死亡した場合、養子が相続人になります。

何も相続対策をしていなければ、同性パートナーは相続人になりません。

相続対策として養子縁組をしたから、同性パートナーは相続人になります。

④養子が先に死亡したときは親などの直系尊属が相続人になる

被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属が相続人になります。

同性カップルが養子縁組をする場合、年長者が養親になります。

同性カップルは、養親と養子の年齢が近いことが多いでしょう。

ときには養子が先に死亡することがあります。

養子が被相続人です。

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

同性カップルに子どもがいることは、あまりないでしょう。

被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属が相続人になります。

同性カップルが養子縁組をした場合、法律上の親子関係が作られます。

養親は、養子の親です。

被相続人に子どもがいない場合、養親が相続人になります。

養子の実親が生きていることがあります。

大人同士の養子縁組は、普通養子による養子縁組です。

普通養子による養子縁組では、実親との親子関係が存続します。

養子の実親が生きている場合、実親は相続人になります。

養子の実親が生きている場合、実親と養親は区別なく相続人です。

何も相続対策をしていなければ、同性パートナーは相続人になりません。

相続対策として養子縁組をしたから、同性パートナーは相続人になります。

⑤相続人が複数なら遺産分割協議が必要

相続が発生した場合、被相続人のものは相続人が相続します。

相続人が相続する財産が相続財産です。

相続人が1人だけであれば、全財産を相続することができます。

相続人が複数いる場合、相続財産は相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

大人同士は、当事者の合意と市区町村役場への届出だけでが養子縁組をすることができます。

当事者が家族に何も知らせていない場合、養子縁組をしたことを知らないでしょう。

相続手続をする場合、戸籍謄本を集めて相続人を確定します。

養子縁組をした場合、戸籍に記載されます。

戸籍謄本を集めて、養子縁組をした事実を知るでしょう。

見知らぬ相続人が現れたのだから、家族は大いに困惑します。

見知らぬ相続人であっても、遺産分割協議から除外することはできません。

相続人全員の合意がない場合、遺産分割協議は無効だからです。

見知らぬ相続人がいる場合、遺産分割協議は難航するでしょう。

相続人が複数いるのに対策をしなかった場合、遺産分割協議が必要になります。

⑥遺言書作成で遺産分割協議は不要

被相続人は、生前に自分の財産を自由に処分することができます。

被相続人は、遺言書を作成して自分の財産を自由に引き継がせることができます。

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

遺言書がある場合、相続人としても遺言者の意思をかなえてあげたいと思うでしょう。

遺言書で遺産分割の方法を指定することができます。

遺言書で遺産分割の方法を指定した場合、遺言書のとおりに分けることができます。

遺言書のとおりに分ければいいから、相続人全員の合意は不要です。

⑦遺言執行者に相続手続をおまかせできる

遺言書は作成するだけでは、意味がありません。

遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。

遺言執行者は、遺言の内容を実現する人です。

遺言書が相続人に不利な内容である場合、遺言執行に協力してくれないでしょう。

遺言執行者は遺言の内容を実現するために、必要な行為をする権限があります。

協力しない相続人が遺言執行を妨害した場合、原則として、妨害行為は無効になります。

遺言執行者はいてもいなくても、遺言書の効力に違いはありません。

遺言執行者がいると、確実に遺言者の意思を実現してもらえますから、安心です。

3パートナーと養子縁組をすると婚姻できない

①養子と婚姻できない

養子縁組をした場合、養親と養子の間に親子関係が作られます。

養親と養子は、親子です。

親子間で、婚姻をすることはできません。

自然血縁関係がある親子だけでなく、養子縁組による親子であっても婚姻をすることはできません。

現在は、同性婚は認められていません。

ひょっとすると将来に法律が改正されるかもしれません。

同性婚が認められた場合であっても、養子縁組をしていると親子間の婚姻になってしまうでしょう。

どのような法改正になるか分かりませんが、親子間の婚姻は認められない可能性が高いでしょう。

②離縁後も養子と婚姻できない

大人同士であれば、当事者の合意と届出の提出だけで養子縁組をすることができます。

大人同士であれば、当事者の合意と届出の提出だけで養子縁組を解消することができます。

養子縁組を解消することを離縁と言います。

養子縁組によって親子になった場合、養親と養子は婚姻をすることはできません。

離縁をした場合、当事者の親子関係はなくなります。

離縁をした後も、養親と養子は婚姻をすることはできません。

過去に親子関係があった人同士の婚姻は、認められません。

将来、同性婚が認められた場合であっても、過去に親子関係があった人同士の婚姻は認められない可能性が高いでしょう。

③養子縁組をするとパートナーシップ制度が利用できない

同性パートナー間で養子縁組をした場合、法律上は親子です。

多くの場合で、パートナーシップ宣誓をすることができなくなります。

パートナーシップ宣誓をする条件に、親子関係がないことがあるからです。

4同性婚の相続対策を司法書士に依頼するメリット

何もしなければ、同性婚のパートナーが死亡しても相続人になることはできません。

養子縁組は、同性婚の相続対策のひとつです。

養子縁組で家族になることができます。

相続が発生したときに、相続人になることができます。

養子縁組は親子になることだから、当事者の気持ちに合わないと感じるかもしれません。

メリットデメリットを充分に検討して、納得して手続をすることが重要です。

養子縁組だけでなく、他の相続対策が必要になることがあります。

同性婚は法律上の婚姻ではないから、考慮しなければならないことがたくさんあります。

相続対策で不安がある方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

連れ子は相続人になれない

2024-12-31

1連れ子は相続人になれない

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②連れ子は被相続人の子どもではない

被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。

被相続人の配偶者に、連れ子がいることがあります。

連れ子は、被相続人の子どもではありません。

配偶者の子どもに過ぎません。

相続が発生しても、連れ子は相続人ではありません。

連れ子は、相続人になれません。

③連れ子は代襲相続人になれない

被相続人の子どもが被相続人より先に死亡することがあります。

相続人になるはずだった子どもが被相続人より先に死亡した場合、死亡した子どもの子どもが相続します。

相続人になるはずだった人の子どもが相続することを代襲相続と言います。

相続人になるはずだった人を被代襲者と言います。

連れ子は、被相続人の配偶者の子どもです。

被相続人の配偶者が被相続人より先に死亡することがあります。

相続人になるはずだった配偶者が被相続人より先に死亡しても、代襲相続は発生しません。

配偶者は、被代襲者にならないからです。

連れ子は、配偶者の代襲相続人になれません。

④数次相続で連れ子が相続する

数次相続とは、相続が発生したときに元気だった相続人が後に死亡することです。

被相続人が死亡したときに元気だった配偶者が後に死亡することがあります。

相続手続中に配偶者が死亡した場合、相続人である配偶者の地位が連れ子に相続されます。

数次相続が発生した場合、被相続人の財産が連れ子に相続されます。

⑤父母が離婚しても子どもは相続人

父母が離婚しても、親子の縁は切れません。

被相続人が離婚しても、子どもは相続人になります。

元配偶者が引き取った子どもは、相続人になります。

被相続人が離婚した後、音信不通になるかもしれません。

長期間、疎遠になっていても、被相続人の子どもは相続人になります。

2養子縁組をして連れ子が相続

①連れ子と養子縁組で相続人になる

連れ子は、配偶者の子どもに過ぎません。

被相続人の子どもではないから、相続人ではありません。

被相続人が生前に、連れ子と養子縁組をすることがあります。

養子縁組とは、血縁関係がある親子関係の他に法律上の親子関係を作る制度です。

養子縁組をすると、血縁関係がなくても親子になります。

被相続人の子どもは、相続人になります。

実子はもちろん、養子も相続人になります。

被相続人と連れ子が養子縁組をした場合、連れ子は相続人になります。

②実子と養子は同じ権利

被相続人に実子がいても、養子は相続人になります。

実子と養子は、同じ権利があります。

実子と養子は、同じ相続分です。

実子と養子は、同じ遺留分です。

実子と養子は、平等に被相続人の子どもだからです。

③普通養子は実親も相続

養子縁組には、2種類あります。

普通養子と特別養子です。

普通養子では、養子縁組をした後も実親との親子関係が継続します。

特別養子では、養子縁組をした後に実親との親子関係が終了します。

一般的に、単に「養子」と言ったら、普通養子を指していることがほとんどです。

普通養子による養子縁組をした場合、養子は実親も相続します。

養子縁組をした後も実親との親子関係が継続するからです。

普通養子は、養親と実親の両方を相続します。

④死後離縁をしても相続人のまま

養子縁組は、養親になる人と養子になる人が合意のうえ市区町村役場に届出をします。

養子縁組の解消は、養親と養子が合意のうえ市区町村役場に届出をします。

養親と養子が合意をして養子縁組を解消できるのは、当事者が生きている間だけです。

死後離縁とは、当事者の一方が死亡した後に養子縁組を解消することです。

死後離縁をした場合、死亡した養親の親族との親族関係が終了になります。

死亡した養親の親族が死亡したときに、養子は相続人になりません。

死後離縁をしても、養子は相続人のままです。

死後離縁をしても、さかのぼって養子でなくなるわけではないからです。

死後離縁をしても、養子は養親を相続します。

3遺言書を作成して連れ子に遺贈

①相続人以外の人に遺贈ができる

遺言書を作成して、自分の財産をだれに引き継ぐか自由に決めることができます。

遺贈とは、遺言書を作成して相続人や相続人以外の人に財産を引き継ぐことです。

相続人以外の人に、遺贈することができます。

連れ子は相続人でないから相続できないけど、遺贈を受けることができます。

②遺言書が無効になると遺贈も無効

遺贈とは、遺言書で財産を引き継ぐことです。

遺言書なしで、遺贈することはできません。

遺言書を作成するのは、高齢になってからが多いでしょう。

高齢になると、認知症になる可能性が高まります。

遺言書が連れ子に遺贈する内容である場合、他の相続人が不満を持つことがあります。

遺言書が無効になると、遺贈も無効になります。

連れ子に遺贈する内容に不満がある場合、遺言書の無効を主張するでしょう。

遺言者に遺言能力がなかった場合、遺言書は無効になります。

遺言能力とは、遺言書の内容を理解して結果を認識する能力です。

重度の認知症になると、遺言能力が失われるでしょう。

一部の相続人が遺言書の無効を主張する場合、相続人間で深刻なトラブルに発展します。

遺言書が無効になると、遺贈も無効になります。

③遺言書があっても実子に遺留分がある

遺言書を作成して、自分の財産を自由に遺贈することができます。

自由に決めることができると言っても、無制約の自由にすることはできません。

被相続人の名義になっていても、被相続人がひとりで築いた財産ではないからです。

家族の協力があってこそ、築くことができた財産のはずです。

無制約の自由にすると、今まで協力してきた家族に酷な結果となるおそれがあります。

被相続人に近い関係の相続人には、遺留分が認められます。

遺留分とは、相続人に認められる最低限の権利です。

遺留分は、兄弟姉妹以外の相続人に認められます。

被相続人に実子がいる場合、実子は遺留分権利者です。

遺言書を作成して連れ子に過大な遺贈をした場合、実子の遺留分を侵害するかもしれません。

配分された財産が遺留分に満たない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺言書があっても、実子に遺留分があります。

④遺言執行者に相続手続はおまかせ

遺言書は作成するだけでは、意味がありません。

遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。

遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者は、遺言書で指名することができます。

遺言執行者がいると確実に遺言書の内容を実現してくれるから、遺言者は安心です。

遺言執行者がいると面倒な相続手続きをおまかせできるから、相続人は安心です。

遺言執行者に、相続手続はおまかせすることができます。

⑤公正証書遺言がおすすめ

遺言書を作成する場合、自筆証書遺言か公正証書遺言を作成することがほとんどです。

自筆証書遺言とは、自分で書いて作る遺言書です。

公正証書遺言は、遺言内容を公証人に伝え公証人が書面に取りまとめる遺言書です。

遺言書には、厳格な書き方ルールがあります。

書き方ルールに違反すると、遺言書は無効になります。

遺言者が法律に詳しいことは、ほとんどないでしょう。

公証人は、法律の専門家です。

公正証書遺言は、書き方ルールの違反で無効になることはあり得ません。

公正証書遺言を作成する場合、公証人は遺言者から遺言内容を聞き取ります。

認知症などで遺言能力を失っている場合、適切に受け答えはできないでしょう。

公証人が関与するから、公正証書遺言は高い信頼性があります。

遺言書を作成するなら、公正証書遺言がおすすめです。

⑥相続税2割加算の対象

相続財産の規模が大きい場合、相続税の対象になります。

連れ子に遺贈する場合、連れ子は相続税の申告と納税が必要です。

財産を受け取る人が配偶者が1親等の血族以外の人である場合、2割加算の対象です。

養子縁組をすると、養子は1親等の血族になります。

遺言書で遺贈すると2割加算の対象ですが、養子縁組をすると2割加算の対象外です。

4被相続人の生前に贈与契約

①110万円までなら贈与税はかからない

被相続人の生前に、財産を引き継ぐことができます。

自分の財産を自由に贈与することができるからです。

高額の贈与をする場合、贈与税の対象になります。

年間110万円まで、贈与税がかからずに贈与することができます。

②過大な贈与で遺留分侵害額請求

生前贈与をすると、相続財産を減らすことができます。

相続財産を減らす目的で、生前贈与を利用することがあります。

連れ子に対して過大な贈与をした場合、相続人の遺留分を侵害することがあります。

相続が発生する1年前までの生前贈与は、遺留分侵害額請求の対象になります。

当事者双方が遺留分権利者に損害を加えると知っていることがあります。

損害を加えると知っている場合、1年以上前であっても遺留分侵害額請求の対象になります。

過大な生前贈与があった場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

5連れ子に財産を引き継ぐ方法の比較

①養子縁組

・メリット

連れ子が相続人になる。

相続税の2割加算の対象外になる。

・デメリット

養子縁組を解消したくても、一方的に解消できない。

②遺言

・メリット

被相続人の気持ちを伝えられる。

・デメリット

相続税の2割加算の対象になる。

③生前贈与

・メリット

年間110万円まで贈与税がかからない。

・デメリット

当事者の合意が必要になる。

6連れ子に財産を渡したくないときは

①連れ子は相続人ではない

配偶者の連れ子は、被相続人の子どもではありません。

養子縁組をしていなければ、相続人ではありません。

連れ子に相続させたくない場合、何もする必要がありません。

連れ子は、相続人ではないからです。

②養子縁組は一方的に解除できない

配偶者の連れ子と養子縁組をした場合、養子は相続人になります。

連れ子に相続させたくない場合、養子縁組を解消することが考えられます。

養子縁組の解消は、養親と養子が合意のうえ市区町村役場に届出をします。

養子縁組の解消には、養親と養子が合意が必要です。

連れ子にに相続させたくないと言っても、一方的に養子縁組を解除することはできません。

当事者で合意できない場合、家庭裁判所の助力を受けることになります。

③遺言書があっても養子は遺留分侵害額請求ができる

実子と養子は、同じ権利があります。

被相続人の実子に遺留分が認められるように、養子にも遺留分が認められます。

養子に相続させたくないと思って、遺言書を作成することがあります。

遺言書を作成するだけで、養子の遺留分を奪うことはできません。

遺言書があっても、養子は遺留分侵害額請求をすることができます。

7再婚歴のある人の相続を司法書士に依頼するメリット

遺言書がない場合、相続財産は相続人全員の共有になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意が不可欠です。

被相続人が再婚歴がある場合、相続財産の分け方の話し合いはまとまりにくくなります。

関係性の薄い相続人がいるからです。

前婚の家族と後婚の家族の関係性がいいことはあまり考えられません。

前婚に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

後婚の連れ子は相続人になりません。

再婚配偶者が死亡した場合、相続人の地位を相続します。

だれが相続財産の話し合いに参加するのか、誤解しそうです。

遺産分割協議に参加すべき人が参加していない場合、協議が無効になります。

相続人の確定が重要になります。

相続人間でトラブルにならないように、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

NISA口座を相続

2024-12-30

1NISAとは少額投資非課税制度

①NISAを利用すると非課税になる

株式や投資信託などの金融商品に投資をしている人がいるでしょう。

株式や投資信託などの金融商品を売却したときに、利益を得ることがあります。

株式や投資信託などの金融商品をと保有している間、配当金を受け取ることがあります。

通常、売却して得た利益や受け取った配当金には、税金がかかります。

NISAとは、少額投資非課税制度です。

NISAを利用して一定の条件を満たせば、税金がかからなくなる制度です。

NISA制度を利用した場合、譲渡益や配当金に税金がかかりません。

NISA制度を利用して投資をする場合、NISA口座を利用します。

NISA口座で、投資した株式や投資信託などの金融商品を管理します。

2024年からNISAは、新しくなりました。

NISAには、2つの投資枠があります。

つみたて投資枠と成長投資枠です。

つみたて投資枠と成長投資枠は、併用ができます。

NISA口座を利用すると、利益や配当金が非課税になります。

②つみたて投資枠は長期に渡った資産形成目的

つみたて投資枠は、長期に渡った資産形成を目的とする投資枠です。

18歳以上の人が利用できます。

年間投資枠は、120万円です。

非課税保有期間は、無期限です。

口座開設期間は、無期限です。

非課税保有限度額は、成長投資枠と合算で1800万円です。

③成長投資枠は高リスク資産での投資目的

成長投資枠は、高いリスクを伴う資産に対して投資を奨励する目的の投資枠です。

18歳以上の人が利用できます。

年間投資枠は、240万円です。

非課税保有期間は、無期限です。

口座開設期間は、無期限です。

非課税保有限度額は、1200万円です。

2NISA口座の相続手続の流れ

①金融機関に死亡連絡でNISA口座凍結

NISA口座の持ち主が死亡した場合、金融機関に連絡します。

金融機関は預金者が死亡したことを確認すると、口座の取引を停止します。

口座の取引を停止することを、口座の凍結と言います。

銀行などの預貯金口座が凍結されることは、知られているかもしれません。

預貯金口座と同じように、NISA口座も凍結されます。

②NISA口座が凍結される理由

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

NISA口座の持ち主が死亡したら、NISA口座の中の財産は相続人が相続します。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。

一部の相続人が勝手に処分することはできません。

一部の相続人が勝手にNISA口座を解約した場合、相続人間で大きなトラブルになるでしょう。

金融機関が安易にNISA口座の解約に応じた場合、他の相続人から強い抗議を受けることになります。

金融機関は、相続人間のトラブルに巻き込まれるでしょう。

被相続人の大切な財産が守られないとなると、金融機関の信用は失墜します。

金融機関としては、何としても信用を守りたいでしょう。

金融機関は相続争いに巻き込まれないため、NISA口座を凍結します。

金融機関に死亡を連絡すると、NISA口座は凍結されます。

③残高証明書を請求する

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人全員の共有財産です。

相続人全員の合意で、相続財産の分け方を決定します。

相続財産にどのような財産があるのか、確認しておく必要があるでしょう。

相続財産の分け方を話し合う前提として、財産調査をします。

各相続人はだれでも単独で、金融機関に対して残高証明書を請求することができます。

残高証明書を請求するときに必要な書類は、おおむね次のとおりです。

(1)金融機関所定の残高証明発行依頼書

(2)被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本

(3)請求者が相続人であることが分かる戸籍謄本

(4)請求者の印鑑証明書

相続財産の確認のため、残高証明書を請求します。

④相続人全員で遺産分割協議

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方を決めるため相続人全員でする話し合いです。

相続財産の分け方について相続人全員で合意ができた場合、合意内容を文書に取りまとめます。

相続人全員の合意内容を取りまとめた文書を、遺産分割協議書と言います。

遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容の証明書です。

遺産分割協議書の内容が合意内容に間違いないことを相続人全員に確認してもらいます。

間違いないことを確認した場合、相続人が記名し実印で押印します。

遺産分割協議書の押印が実印によることを証明するため、印鑑証明書を添付します。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。

⑤相続人のNISA口座に直接引き継げない

NISA口座の相続手続は、被相続人のNISA口座の中身を引き継ぐことです。

NISA口座内の株式や投資信託などの金融商品を移管するため、相続人の口座が必要になります。

金融商品を移管する場合、被相続人のNISA口座がある金融機関で相続人の口座が必要になります。

別の証券会社の口座を移管先として、指定することはできません。

被相続人のNISA口座がある金融機関に相続人がNISA口座を保有している場合、NISA口座を指定することはできません。

指定できるのは、被相続人のNISA口座がある金融機関で特定口座か一般口座です。

特定口座は、金融機関が年間取引報告書を作成してくれる口座です。

一般口座は、自分で年間取引報告書を作成する口座です。

特定口座で源泉徴収ありであれば、多くの場合、便利でしょう。

NISA口座の相続手続では、相続人のNISA口座に直接引き継げません。

⑥非課税口座開設者死亡届出書を提出

金融機関に非課税口座開設者死亡届出書と相続上場株式等移管依頼書を提出します。

被相続人のNISA口座内にある財産は、相続人の口座に移管されます。

非課税口座開設者死亡届出書と相続上場株式等移管依頼書に必要な書類は、おおむね次のとおりです。

(1)被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

(2)相続人全員の戸籍謄本

(3)遺産分割協議書

(4)相続人全員の印鑑証明書

金融機関に非課税口座開設者死亡届出書と相続上場株式等移管依頼書を提出すると、相続人の口座へ移管されます。

3NISA口座の相続手続で注意すること

①相続発生後の譲渡益や配当金は課税対象

NISA制度を利用した場合、譲渡益や配当金に税金がかかりません。

税金がかからないのは、相続が発生するまでです。

相続が発生した時点で、被相続人のNISA口座内にある財産は払い出された扱いがされます。

被相続人が取得してから相続が発生するまでの譲渡益は、非課税です。

相続が発生するまでに確定した配当金は、税金がかかりません。

相続が発生した場合、被相続人のNISA口座内にある財産は、相続人の口座に移管されます。

移管できるのは、相続人の一般口座か特定口座だけです。

一般口座と特定口座は、どちらも課税口座です。

NISA口座のような非課税の取り扱いはされません。

相続が発生してから売却までの譲渡益は、課税対象です。

相続が発生してから確定した配当金は、税金がかかります。

金融機関に連絡が遅れたため配当金が非課税で支払われた場合、さかのぼって課税されます。

相続発生後の譲渡益や配当金は、課税対象です。

②換価分割で確定申告が必要になる

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

換価分割とは、財産を売却してお金に換えた後、お金を分ける方法です。

お金に換えた後で相続人に分配するので、公平に分けることができます。

NISA口座の持ち主が死亡した場合、NISA口座内の財産はそのままでは売却できません。

売却できるのは、相続手続をした後です。

相続が発生した時点で、被相続人のNISA口座内にある財産は払い出された扱いがされます。

NISA制度の利用で譲渡益や配当金に税金がかからないのは、相続発生までです。

相続発生から売却までの間に、値動きがあるでしょう。

株式などは、日々大きな値動きがあるのが通常だからです。

相続が発生した時点の財産の価額と売却した価額を比べて利益が出た場合、税金がかかります。

売却による譲渡益について、確定申告が必要になります。

換価分割をする場合、NISA口座内の財産の移管先が特定口座源泉徴収ありであっても確定申告が必要です。

NISA口座内にある財産を売却して売却代金を分配する場合、売却代金を受け取った相続人全員が確定申告をしなければなりません。

NISA口座内の財産の移管を受けた相続人以外の相続人は、確定申告を忘れがちです。

相続人間のトラブル防止のため、確定申告が必要であることを連絡しましょう。

換価分割をするとき、相続人全員が確定申告が必要になります。

③NISA口座以外の口座も忘れず相続

NISA制度を利用した場合、譲渡益や配当金に税金がかかりません。

メリットが大きいので、NISA口座は人気があります。

NISA制度で税金がかからないためには、一定の条件を満たす必要があります。

被相続人がNISA口座以外の口座を保有していることがあります。

NISA口座の相続手続をする場合、NISA口座以外の口座を確認して一緒に手続をしましょう。

4NISA口座の相続手続を司法書士に依頼するメリット

口座を凍結されてしまったら、書類をそろえて手続すれば解除してもらえます。

口座の凍結解除に必要な書類は、証券会社などの金融機関によってまちまちです。

凍結解除の手続方法や手続にかかる期間も、まちまちです。

金融機関内部で取扱が統一されていないことも、少なくありません。

窓口や電話で確認したことであっても、上席の方に通してもらえないことがあります。

担当者の人の説明どおりにやっても、やり直しになることも多々あります。

口座の相続手続は、スムーズに進められないことが多いのが現状です。

忙しい中で窓口に出向くから、スムーズに手続したいと思う人が多いでしょう。

仕事や家事で忙しい人や高齢、療養中などで手続が難しい人は、手続を丸ごとおまかせできます。

家族にお世話が必要な人がいて、お側を離れられない人からの相談もお受けしております。

凍結口座をスムーズに解除したい人は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

代償金を確実に支払ってもらう方法

2024-12-27

1代償分割で代償金を支払ってもらう

①遺産分割協議は相続人全員の合意で

相続が発生した場合、被相続人のものは相続人が相続します。

被相続人の財産は、相続人全員の共有財産です。

相続人のひとりが勝手に処分することはできません。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

相続財産の分け方について相続人全員でする話し合いを遺産分割協議と言います。

相続財産の分け方について相続人全員の合意ができた場合、合意内容を文書に取りまとめます。

相続人全員の合意内容を取りまとめた文書を遺産分割協議書と言います。

②代償分割は遺産分割協議書に明記

被相続人の財産には、さまざまな財産があるでしょう。

現金や預貯金は、分けやすい財産です。

不動産は、分けにくい財産です。

相続財産の大部分が不動産のような分けにくい財産の場合、相続人全員の合意が難しくなるでしょう。

相続財産の大部分が不動産のような分けにくい財産の場合、代償分割をすることで合意ができることがあります。

代償分割とは、一部の相続人が不動産を相続し、残りの相続人は不動産を相続した人から、その分の代償をもらう方法です。

代償分割をする合意ができた場合、合意内容を遺産分割協議書に取りまとめます。

遺産分割協議書には、代償分割である点をはっきり明記します。

遺産分割協議書に明記していない場合、代償金の支払いなのに単なる贈与と判断されるおそれがあります。

単なる贈与と判断された場合、贈与税の対象となるでしょう。

贈与税は、想像以上に高額になりがちです。

③代償金が支払われなくても債務不履行で解除はできない

代償分割は、分けにくい財産を相続した相続人が他の相続人に代償を払う分割方法です。

代償金を払うと合意したのに、代償金の支払いが惜しくなることがあります。

代償の支払いがない場合、遺産分割協議をやり直ししたいと考えるかもしれません。

一般的な売買契約において、代金を支払わない場合、契約を一方的に解除することができます。

遺産分割協議においては、このような一方的な解除制度はありません。

いったん相続財産の分け方について相続人全員で合意した場合、遺産分割協議は終了します。

遺産分割協議が終了した後は、代償を支払う人と受け取る人の問題になります。

金銭を支払う人と受け取る人の話し合いで解決を図ります。

代償金を支払うと約束した人が支払ってくれなくても、相続財産の分け方の合意をなかったことにはできません。

相続財産の分け方の合意において、代償金の支払が重要な要素であっても債務不履行を理由として解除することはできません。

2代償金を確実に支払ってもらう方法

方法①同時履行で押印と印鑑証明書

相続財産の分け方について相続人全員が合意した場合、遺産分割協議は終了します。

代償分割で代償の支払いがなくても、一方的な解除をすることはできません。

代償分割をする場合、代償を確実に支払ってもらうことが大切です。

代償の支払いと遺産分割協議書の押印を同時履行とするといいでしょう。

代償が高額である場合、銀行振出の小切手による支払をしてもらうことができます。

振込で代償を支払う場合、口座残高はスマートフォンやパソコンで確認することができます。

遺産分割協議書に押印しない場合、相続手続を進めることはできません。

遺産分割協議書に押印と代償の支払いを同時履行とした場合、確実に支払ってもらうことができます。

方法②抵当権の設定

抵当権とは、代償の支払いを確実にするため担保に取る権利です。

代償が支払われなかった場合、抵当権を実行することができます。

抵当権を実行するとは、不動産を取り上げて競売して売却代金から代償を払ってもらうことです。

抵当権を設定した場合、抵当権設定登記をします。

抵当権設定登記には、登録免許税を納めなければなりません。

抵当権設定登記を司法書士などの専門家に依頼した場合、報酬がかかります。

抵当権設定をした場合の費用負担について、合意しておく必要があります。

方法③連帯保証人を立ててもらう

連帯保証人とは、代償の支払いを確実にするため主債務者と同様の返済の義務を負う人です。

代償が支払われなかった場合、連帯保証人に返済を請求することができます。

連帯保証契約は、書面で締結する必要があります。

連帯保証人が相続人以外の第三者である場合、遺産分割協議書とは別に連帯保証契約書を作成します。

連帯保証人は、主債務者に請求して欲しいと文句を言うことはできません。

連帯保証人を立ててもらうことで、代償の支払いを確実にすることができます。

方法④公正証書で遺産分割協議書

遺産分割協議書は、相続財産の分け方について相続人全員の合意内容を取りまとめた文書です。

一般的に遺産分割協議書は、私文書で作成します。

代償金の支払いを確実にするため遺産分割協議書を公正証書にすることができます。

公正証書で遺産分割協議書を作成した場合、強制執行認諾文言を入れることができるからです。

強制執行認諾文言とは「代償金が支払われない場合、直ちに強制執行に服する」といった文言です。

強制執行認諾文言がある場合、公正証書は裁判による判決と同様の効力が与えられます。

代償金が支払われない場合、直ちに強制執行をすることができます。

公正証書で遺産分割協議書を作成する場合、公証役場に手数料を支払う必要があります。

公正証書で遺産分割協議書を作成することで、代償の支払いを確実にすることができます。

方法⑤分割払いの合意には滞納リスクがある

代償金の支払いは、一括払いが一般的です。

相続人が合意できるのであれば、分割払いにすることができます。

代償金の支払いを分割払いにした場合、将来、支払われなくなるリスクがあります。

将来、代償金が支払われなくても、債務不履行で解除はできません。

確実に支払ってもらうために、代償金を分割払いにすることができます。

分割払いにすると、滞納リスクがあります。

方法⑥遅延損害金の合意で心理的プレッシャー

お金の貸し借りをする場合、返済期日までに返済できないときに備えて遅延損害金を払う約束をします。

遅延損害金は、通常の利息より高い利率で約束するでしょう。

高い利率の遅延損害金を払うことになるから、何とかして返済期日までに返済します。

代償金が支払期日までに支払われない場合に備えて、遅延損害金を払う約束をすることができます。

高い利率の遅延損害金を払うことになるから、心理的プレッシャーを与えることができます。

方法⑦現金以外の財産を代償にする

代償分割とは、一部の相続人が不動産を相続し、残りの相続人は不動産を相続した人から、その分の代償をもらう方法です。

代償は、金銭で支払うのが一般的です。

代償金が支払えない場合、当事者が合意できれば、金銭以外の財産を代償にすることができます。

代償を支払う相続人が固有の財産である不動産を代償として、譲渡することができます。

代償として譲渡する不動産は、相続が発生したときの時価で譲渡されたと判断されます。

固有の財産を取得したときから相続が発生したときまでに、不動産が値上がりしていることがあります。

値上がり益に譲渡所得税が課されます。

代償の支払いを確実にするため代償を金銭以外にすることができるけど、税金に注意が必要です。

方法⑧代償分割より換価分割

代償分割は、任意に代償を払ってもらう方法です。

代償金が払われない場合、そもそも代償分割が適切でないかもしれません。

相続財産の分け方には、換価分割の方法があります。

換価分割とは、不動産を売却してお金に換えた後、お金を分ける方法です。

売却代金を分けるから、代償金を払ってもらえないと心配する必要はありません。

換価分割では、不動産を売却してお金に換えます。

せっかく家族が守ってきた不動産を手放すことへの罪悪感にかられて、話し合いがまとまらないおそれがあります。

そもそも代償分割より換価分割が適切かもしれません。

3代償金の支払に応じないときは裁判所で

①遺産分割後の紛争調整調停

相続財産の分け方について相続人全員合意ができた場合、遺産分割協議は成立します。

遺産分割協議で代償金を払うと約束したのに払ってもらえない場合でも、一方的に解除することはできません。

遺産分割協議の合意内容を守ってもらえない場合、遺産分割後の紛争調整調停を申し立てることができます。

遺産分割協議が成立してから長期間経過した後に、紛争調整調停を申し立てることができます。

調停とは、裁判所のアドバイスを受けてする当事者の話し合いです。

当事者同士で話し合いをした場合、感情的になってしまうかもしれません。

家庭裁判所の調停委員と話をすると、冷静に話ができるでしょう。

家庭裁判所の調停委員から公平な意見を根拠にしてアドバイスがされると、納得しやすくなるでしょう。

代償金の支払いについて合意ができた場合、合意内容は調停調書に取りまとめます。

調停調書の内容は、裁判による判決と同様の効力が与えられます。

代償金が支払われない場合、強制執行をすることができます。

②代償金支払い請求訴訟を提起

遺産分割後の紛争調整調停は、当事者の話し合いです。

話し合いで合意を目指します。

遺産分割後の紛争調整調停で話し合っても合意ができない場合、代償金支払い請求訴訟を提起することができます。

代償金支払い請求訴訟は、通常の裁判です。

家庭裁判所でなく、地方裁判所や簡易裁判所の管轄です。

当事者の話し合いで合意できる見込みがない場合、調停をせずに代償金支払い請求訴訟を提起することができます。

代償金支払い請求訴訟を提起した後、判決を得るには相当の時間と費用がかかります。

③履行勧告で心理的プレッシャー

家庭裁判所で決めた取り決めを守らない場合、家庭裁判所から履行勧告をしてもらうことができます。

当事者から代償金を払って欲しいといっても、相手にされないかもしれません。

裁判所から履行勧告があると、心理的プレッシャーを感じるでしょう。

履行勧告には、費用はかかりません。

履行勧告には、強制力はありません。

④履行命令で心理的プレッシャー

家庭裁判所で決めた取り決めを守らない場合、家庭裁判所から履行命令をしてもらうことができます。

履行命令がされたのに命令を守らない場合、裁判所からペナルティーが課されます。

履行勧告より心理的プレッシャーが大きくなるでしょう。

家庭裁判所から履行命令をしてもらっても支払ってもらえない場合、強制執行をするしかありません。

4遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット

遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。

合意がきちんと文書になっているからこそトラブルが防止できるといえます。

書き方に不備があるとトラブルを起こしてしまう危険があります。

せっかくお話合いによる合意ができたのに、取りまとめた文書の不備でトラブルになるのは残念なことです。

トラブルを防止するため、遺産分割協議書を作成したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

離婚後でも子どもは相続人

2024-12-26

1離婚後でも子どもは相続人

①父母が離婚しても親子の縁は切れない

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

被相続人の実の子どもは、もちろん相続人です。

被相続人が離婚しても、親子の縁は切れません。

被相続人が離婚した後、元配偶者が子どもを引き取ることがあるでしょう。

元配偶者が引き取った子どもは、被相続人の子どもです。

元配偶者が引き取っても、親子の縁は切れません。

被相続人の子どもは、相続人になります。

②再婚しても子どもは相続人

離婚した後、被相続人が再婚することがあるでしょう。

再婚して新たな家庭を築いても、親子の縁は切れません。

元配偶者が引き取った子どもは、被相続人の子どもです。

新たな家庭で、新たに子どもが誕生することがあります。

新たな子どもが誕生しても、元配偶者との子どもは被相続人の子どもです。

新たな子どもが誕生しても、元配偶者との子どもと親子の縁が切れることはないからです。

被相続人の子どもは、相続人になります。

③離婚した元配偶者は相続しない

離婚した元配偶者は、相続人ではありません。

配偶者とは、法律上の配偶者です。

被相続人が再婚した場合、再婚配偶者は相続人になります。

離婚した元配偶者は、相続しません。

2離婚後でも子どもには遺留分がある

①元配偶者との子どもと再婚配偶者との子どもは平等

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

子どもに、区別はありません。

元配偶者との子どもと再婚配偶者との子どもは、平等に同じ子どもです。

元配偶者との子どもと再婚配偶者との子どもは、平等に同じ相続分です。

②子どもには遺留分がある

遺言書を作成して、自分の財産をだれに相続させるか自由に決めることができます。

被相続人の名義になっているといっても、被相続人がひとりで財産を築いたわけではないでしょう。

家族の協力があってこそ、築くことができた財産のはずです。

無制約の自由にすると、今まで協力してきた家族に酷な結果となるおそれがあります。

被相続人に近い関係の相続人には、最低限の権利が認められています。

遺留分とは、相続人に認められる最低限の権利です。

被相続人の子どもには、遺留分があります。

③遺言書を作成するだけで遺留分は奪えない

遺言書を作成して、自分の財産をだれに相続させるか自由に決めることができます。

被相続人が離婚しても、親子の縁は切れません。

元配偶者が引き取っても、子どもは被相続人の子どもです。

元配偶者が引き取った子どもは、相続人になります。

元配偶者が引き取った子どもに、遺留分があります。

遺言書を作成するだけで、遺留分は奪えません。

配分された財産が遺留分に満たない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

④過大な生前贈与に遺留分侵害額請求ができる

再婚配偶者と再婚配偶者の子どもに相続させたいと、考えるかもしれません。

遺言書を作成するだけで、元配偶者との子どもの遺留分を奪うことはできません。

再婚配偶者と再婚配偶者の子どもに生前贈与をして、相続財産を減らすことが考えられます。

一部の相続人が過大な利益を得ているのに、考慮しないで財産を分けるのは公平ではありません。

特別受益とは、一部の相続人だけが受けた特別な利益です。

特別受益である財産は、相続財産に持ち戻します。

持ち戻しとは、特別受益を公平に調整する方法です。

特別受益財産を相続財産に算入して、分配します。

相続開始前1年間になされた贈与は、無条件に遺留分算定の基礎財産に算入されます。

当事者双方が遺留分権利者に損害を与えると知ってした贈与は、1年以上前であっても遺留分侵害額請求の対象になります。

遺言書や贈与契約書で、持ち戻し免除の意思表示がされることがあります。

持ち戻し免除の意思表示がされた場合でも、遺留分侵害額請求の対象になります。

持ち戻し免除の意思表示だけで遺留分侵害額請求をできなくすると、不公平だからです。

遺留分は、相続人に認められる最低限の権利です。

遺留分を認めた制度の意義が失われるからです。

過大な生前贈与があった場合、遺留分侵害額請求の対象になります。

⑤相続人の廃除に高いハードル

廃除とは、被相続人の意思で相続人の資格を奪うことです。

相続人の資格を奪うというのは、実質的には、遺留分を奪うことです。

相続人廃除は、家庭裁判所に申立てをして家庭裁判所が判断します。

被相続人が相続人廃除したいと言い相続人が廃除されていいと納得していても、家庭裁判所が相続人廃除を認めないことがあります。

廃除が認められるのは、次の理由が客観的に認められるときです。

・被相続人に対して虐待をした

・重大な侮辱をした

・著しい非行をした

元配偶者との子どもであるなど理不尽な理由で、廃除は認められないでしょう。

相続人の廃除に、高いハードルがあります。

⑥生前の遺留分放棄には家庭裁判所の許可が必要

配分された財産が遺留分に満たない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分侵害額請求を封ずるため、遺留分を放棄させようと考えるかもしれません。

被相続人の生前に遺留分放棄をするためには、家庭裁判所の許可が必要です。

家庭裁判所は遺留分放棄について、次の基準を重視しています。

・本人の自由意思に基づいている

・遺留分放棄をする合理的理由と必要性がある

・遺留分放棄に対して充分な見返りがある

被相続人が一部の相続人の遺留分を無理矢理放棄させる制度ではありません。

元配偶者との子どもであるなど理不尽な理由で、合理的理由と必要性は認められないでしょう。

元配偶者との子どもは充分な見返りを受けていないでしょう。

生前の遺留分放棄には、家庭裁判所の許可が必要です。

3離婚後の相続でよくある誤解

誤解①離婚すると子どもの相続権はなくなる

父母が離婚しても、親子の縁は切れません。

被相続人が離婚しても、被相続人の子どものままです。

被相続人の子どもは、相続人になります。

離婚すると子どもの相続権はなくなるは、誤解です。

被相続人が離婚しても、子どもは相続人になります。

誤解②親権がある親の子どもだけ相続できる

元配偶者が子どもを引き取るとき、被相続人は親権を失うことがあります。

親権を失っても、親子の縁は切れません。

被相続人に親権がなくても、被相続人の子どものままです。

被相続人の子どもは、相続人になります。

親権がある親の子どもだけ相続できるは、誤解です。

親権がない親であっても、子どもは相続人になります。

誤解③再婚したら子どもの相続権はなくなる

離婚した後に、被相続人が再婚することがあるでしょう。

被相続人が再婚しても、被相続人との親子の縁は切れません。

被相続人が再婚しても、被相続人の子どものままです。

離婚した後に、元配偶者が再婚することがあるでしょう。

元配偶者が再婚しても、被相続人との親子の縁は切れません。

元配偶者が再婚しても、被相続人の子どものままです。

被相続人の子どもは、相続人になります。

再婚したら子どもの相続権はなくなるは、誤解です。

再婚しても、子どもは相続人になります。

誤解④元配偶者の再婚相手と養子縁組をすると相続権がなくなる

養子縁組とは、血縁関係がある親子関係の他に法律上の親子関係を作る制度です。

元配偶者が再婚するときに、再婚相手と子どもが養子縁組をすることがあります。

養子縁組には、2種類あります。

普通養子と特別養子です。

普通養子による養子縁組では、養子縁組をした後も血縁関係のある実親との親子関係は続きます。

特別養子による養子縁組では、養子縁組をした後は血縁関係のある実親との親子関係は終了します。

単に「養子」と言ったら、普通養子を指していることがほとんどです。

普通養子による養子縁組をしたら相続権がなくなるは、誤解です。

特別養子による養子縁組をしたら相続権がなくなるは、正解です。

養子縁組をすると、相続権がなくなるケースと相続権があるケースがあります。

誤解⑤戸籍から抜けると相続権がなくなる

元配偶者が子どもを引き取るとき、子どもが被相続人の戸籍から抜けることがあります。

被相続人の戸籍から抜けても、被相続人との親子の縁は切れません。

被相続人の戸籍から抜けても、被相続人の子どものままです。

被相続人の子どもは、相続人になります。

戸籍から抜けると相続権がなくなるは、誤解です。

戸籍から抜けても、子どもは相続人になります。

誤解⑥離婚時に父母が書いた相続放棄の念書は有効

離婚するときに、子どもは相続しないと約束することがあります。

相続放棄は、相続発生後に家庭裁判所に対してする手続です。

相続発生前に、相続放棄をすることはできません。

相続放棄は、相続人本人の意思が重視されます。

子どもの意思とは無関係に、父母が約束しても無効です。

離婚時に父母が書いた相続放棄の念書は有効は、誤解です。

離婚時に父母が相続放棄の念書を書いても、子どもは相続人になります。

4離婚歴がある人は生前対策が欠かせない

①遺産分割協議成立には相続人全員の合意が必要

元配偶者が引き取った子どもは、被相続人の子どもです。

疎遠になって長期間音信不通でも、相続人になります。

再婚配偶者や再婚配偶者との子どもは、面識がないかもしれません。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方を決めるため相続人全員でする話し合いです。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

相続人の多数決で決定することは、できません。

再婚配偶者や再婚配偶者との子どもが元配偶者が引き取った子どもにいい感情を持っていることはないでしょう。

相続財産の分け方を決める話し合いは、難航しがちです。

遺産分割協議成立には、相続人全員の合意が必要です。

②遺言書作成で遺産分割の方法を指定

被相続人が遺言書を作成しておいた場合、遺言書のとおりに分けることができます。

相続財産全部について分け方を指定した場合、遺産分割協議は不要です。

遺言書で遺産分割の方法を指定しても、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分は、相続人に認められた最低限の権利だからです。

元配偶者との子どもに相続させたくないとしても、遺留分程度の財産を相続させるのが得策です。

遺留分侵害額請求がされると、相続人間で大きなトラブルになるからです。

遺言書を作成して、遺産分割の方法を指定するといいでしょう。

③遺言執行者を指名して相続手続はおまかせ

遺言書は作成するだけでは、意味がありません。

遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者は、遺言書で指名することができます。

遺言執行者がいると、相続手続はおまかせすることができます。

5離婚歴のある人の相続を司法書士に依頼するメリット

遺言書を書くというと真っ先に思い浮かぶのが、財産に関することでしょう。

「揉めるほど財産はないから」などと言って、遺言書を書き渋る人は多くいます。

実際は家族でトラブルになって、家庭裁判所の助力が必要になるケースは年々増えています。

家庭裁判所に持ち込まれる事件の3分の1は、資産総額1000万円以下です。

疎遠な相続人がいると、話し合いはまとまりにくくなります。

遺言書があれば、家族のトラブルは確実に減ります。

遺言書があれば、相続手続は格段にラクになります。

判断能力が心配になった時点では、遺言書は作れません。

高齢になると判断能力が心配になる方が多くなります。

家族をトラブルから守りたい方は早めに司法書士などの専門家に遺言書作成を依頼することをおすすめします。

相続登記義務化で相続登記の期限は3年

2024-12-26

1令和6年(2024年)4月1日から相続登記義務化

①令和6年(2024年)4月1日から相続登記は義務

所有権移転登記をしない場合、所有者はソンをします。

不動産に対して権利主張をする人が現れた場合、所有者のはずなのに権利主張ができないからです。

不動産には、不便な場所にあるなどの理由で価値が低い土地が存在します。

所有者にとって利用価値が低い土地に対して権利主張をする人が現れた場合、所有者として権利主張する必要を感じないかもしれません。

相続登記は、手間のかかる手続です。

自分で相続登記をしようとするものの、多くの人は挫折します。

相続登記をする場合、登録免許税を納付しなければなりません。

相続登記を専門家に依頼する場合、専門家に報酬を支払う必要があります。

不動産の価値が低い場合、相続登記で手間と費用がもったいないと考える人が少なくありません。

相続登記がされない場合、登記簿を見ても土地の所有者が分からなくなります。

所有者不明の土地の発生を防止するため、相続登記をすることは義務になりました。

②3年のスタートは知ってから

令和6年4月1日から相続登記は、3年以内に登記申請をする義務が課されました。

相続登記の期限3年のスタートは、知ってからです。

自己のために相続の開始があったことを知って、かつ、不動産を取得することを知った日から、スタートします。

相続が発生したら、近親者には真っ先に連絡するでしょう。

さまざまな家族の事情から、疎遠になっている相続人がいます。

疎遠な相続人は、相続発生から長期間経過してから相続があったことを知るでしょう。

相続があったことを知るまで、期限3年はスタートしません。

相続登記の期限3年のスタートは、知ってからです。

③令和6年(2024年)4月1日以前発生の相続も義務化の対象

令和6年4月1日から、相続登記は義務になりました。

令和6年4月1日以降に発生した相続は、もちろん対象になります。

令和6年4月1日以前発生の相続も、義務化の対象です。

令和6年4月1日以前発生の相続では、令和6年4月1日に期限3年がスタートします。

④相続登記義務化の背景

不動産の権利を取得したら、すぐに登記申請をします。

登記がないと、権利主張ができないからです。

不動産登記簿を見たら、不動産の権利関係が分かります。

不便な場所にあるなど価値の低い土地について、相続登記がされていないことがあります。

相続登記がされていないと、所有者がだれなのか分からなくなります。

不動産を売ってほしい場合だれにお願いしたらいいのか、登記簿を見ても分かりません。

例えば、公共事業のために土地を売ってほしい場合、所有者が分からないと公共事業ができなくなります。

社会全体にとって、大きな損失でしょう。

社会全体の利益のため、相続登記が義務化されました。

2相続登記を怠るとペナルティー

①期限までに登記申請をしないと10万円以下のペナルティー

相続登記の期限3年以内に登記申請をしないと、10万円以下のペナルティーの対象になります。

ペナルティーは行政罰だから、前科は付きません。

ペナルティーを払っても、相続登記を代わりにやってくれることはありません。

②正当理由があるときはペナルティーを免れる

相続登記の期限3年以内に登記申請をしないと、ペナルティーの対象になるのが原則です。

正当理由が認められる場合、ペナルティーが課されません。

例えば、次のケースでは、正当理由があると認められる可能性があります。

・数次相続が発生して相続人が極めて多数に上り、戸籍謄本等の必要な資料の収集や他の相続人の把握に多くの時間を要するケース

・遺言の有効性や遺産の範囲等が争われているケース

・申請義務を負う 相続人自身に重病等の事情があるケース

正当理由があると認められるときは、ペナルティーを免れることができるでしょう。

ペナルティーを免れても、相続登記の義務自体を免れるわけではありません。

③相続登記を放置すると遺産分割協議が困難になる

相続登記の期限3年以内に登記申請をしないと、ペナルティーの対象になります。

相続登記を放置すると、ペナルティー以外にもデメリットがあります。

相続登記を長期間放置すると、遺産分割協議が難しくなります。

長期間経過すると、元気だった相続人が後に死亡することがあります。

死亡した相続人の相続人が遺産分割協議に参加します。

長期間経過すると、元気だった相続人が認知症になることがあります。

認知症の相続人の代わりに、成年後見人が遺産分割協議に参加します。

長期間経過すると、一部の相続人が共有持分を売却するかもしれません。

相続登記を放置すると、相続が複雑になります。

相続登記を放置すると、遺産分割協議が困難になる点が大きなデメリットです。

④相続登記をしないと利活用ができない

相続した不動産を売却したいと考えることがあるでしょう。

不動産を購入して所有権を取得する場合、購入したタイミングですぐに所有権移転登記をします。

売買による所有権移転登記の前に、相続登記を省略することはできません。

相続登記を放置すると、買主が契約をためらうでしょう。

売買だけでなく、担保に差出して融資を受けることもできなくなるでしょう。

所有者名義になっていないと、金融機関が担保として認めないからです。

相続登記がされていないと、不動産を利活用ができなくなります。

3期限までに相続登記ができないときは相続人申告登記

①相続人申告登記で義務を果たす

相続人申告登記とは、相続人が法務局に対し自分が相続人であることを申告する制度です。

申告に基づいて、登記官が職権で相続人の住所や氏名を登記に付記します。

相続人申告登記をしたことで、相続登記の義務を履行したと扱われます。

相続人申告登記は、相続登記の義務を履行しやすくする制度です。

②相続人申告登記をしても相続登記

相続人申告登記をしても、あらためて相続登記は必要です。

相続人申告登記をしても相続登記は必要だから、二度手間になります。

結局のところ、相続人申告登記はペナルティーを免れることができる効果があるだけです。

相続人申告登記をしたことで、相続登記の義務を履行したと扱われます。

③相続人申告登記に登録免許税は課されない

相続人申告登記は、相続人の申告に基づいて登記官が職権で相続人の住所や氏名を登記に付記する制度です。

相続人申告登記では、登録免許税は課されません。

4相続土地国庫帰属制度で国に引き取ってもらえる

①相続した土地の所有権を手放せる

相続土地国庫帰属制度とは、相続した土地の所有権を手放して国に引き取ってもらう制度です。

望まないで不動産を相続した場合、相続登記自体が負担になりがちです。

条件にあてはまれば、相続土地国庫帰属制度を利用することができます。

相続土地国庫帰属制度を利用すると、所有権を手放すことができます。

②相続で引き継いだ人が利用できる

相続土地国庫帰属制度が利用できるのは、土地を相続で取得した人です。

遺贈で土地を取得した法定相続人も、利用できます。

土地の共有者のひとりに相続があった場合、共有者全員で制度を利用することができます。

③相続登記をしていなくても相続土地国庫帰属制度

相続土地国庫帰属制度を利用できるのは、相続で取得した土地のみです。

相続で取得した土地であれば、相続登記をしていなくても相続土地国庫帰属制度を利用できます。

相続登記をしていなくても、相続土地国庫帰属制度で国に引き取ってもらうことができます。

5相続登記をする方法

手順①管轄の法務局を確認

相続登記は、不動産の所在地を管轄する法務局に提出します。

法務局の管轄は、法務局のホームページで確認することができます。

登記は、次の方法で申請します。

・窓口に出向いて申請書を提出

・郵送で申請書を提出

・オンラインで申請

オンラインで申請するためには、電子証明書を取得する必要があります。

相続登記1回のためにオンライン申請をするのは、手間がかかりすぎるでしょう。

オンライン申請以外の申請方法がおすすめです。

手順1は、管轄の法務局を確認です。

手順②必要書類を準備

遺言書がない相続登記で必要になる書類は、次のとおりです。

(1)被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

(2)相続人の現在戸籍

(3)被相続人の住民票の除票

(4)不動産を相続する人の住民票

(5)遺産分割協議書

(6)相続人全員の印鑑証明書

(7)不動産の評価証明書

事例によっては、この他に書類が必要になることがあります。

相続登記で使う書類は、他の相続手続でも必要になるでしょう。

登記申請書の添付書類は、希望すれば返却してもらうことができます。

返却して欲しい書類のコピーを添付して、「原本に相違ありません。」と書いて記名押印します。

手順2は、必要書類を準備です。

手順③登記申請書を作成

法務局のホームページを見ると、典型的な登記申請書のひな型が出ています。

登記申請書のひな型を参考にして、登記申請書を作成します。

パソコンなどで作っても手書きで作っても問題ありません。

手順3は、登記申請書を作成です。

手順④登録免許税を計算

相続登記をするときに、登録免許税が課されます。

納付する登録免許税は、不動産の固定資産財評価額の1000分の4です。

必要な収入印紙を購入して、印紙貼り付け台紙に貼付して納入します。

手順4は、登録免許税を計算です。

手順⑤管轄法務局へ提出

申請書と添付書類を取りまとめて、法務局に提出します。

提出は窓口まで出向いてもいいし、郵送でも差し支えありません。

何か審査で引っかかるようなことがあれば、電話で連絡が来ます。

手順5は、管轄法務局へ提出です。

手順⑥登記識別情報通知を受領

提出した書類に問題がなければ、登記が完了し登記識別情報通知が発行されます。

登記識別情報通知は、不動産の権利証です。

今後、不動産を売却するときや担保に差し出すときに、必要になる大切な書類です。

手順6は、登記識別情報通知を受領です。

6相続登記を司法書士に依頼するメリット

大切な家族を失ったら、大きな悲しみに包まれます。

やらなければいけないと分かっていても、気力がわかない方も多いです。

相続手続きは一生のうち何度も経験するものではないため、だれにとっても不慣れで手際よくできるものではありません。

相続登記は、相続手続の中でも手間がかかる難しい手続です。

不動産は重要な財産であることが多いので、法務局は厳重な審査をします。

一般の人にとって些細なことと思えるようなことでやり直しになります。

売却する予定がないのなら、先延ばししたい誘惑にかられるかもしれません。

実は、相続手続をスムーズにするコツがあります。

それは、はじめに相続登記をすることです。

相続登記は難しい手間がかかる手続なので、司法書士などの専門家に依頼するでしょう。

相続手続で挫折しがちなのは、戸籍謄本などの書類収集や遺産分割協議書の作成です。

書類収集や遺産分割協議書の作成は、司法書士に依頼することができます。

司法書士が戸籍謄本や遺産分割協議書を準備したうえに、法務局の厳重な審査をします。

法務局の審査が通った戸籍謄本や遺産分割協議書だから、銀行などの相続手続先で指摘があることはありません。

銀行などの独自書類の内容などに指摘があるとしても、簡単に済むことがほとんどでしょう。

相続手続をスムーズに進めたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

長期間相続登記等がされていないことの通知

2024-12-25

1長期間相続登記等がされていないことの通知が届く

①所有者が分からない土地は利活用ができない

所有者が分からない土地は、利活用ができません。

土地を買いたい人がいても、だれに売ってもらえばいいか分からないからです。

土地の利活用の内容が公共事業の場合があります。

土地を売ってもらうことができない場合、公共事業が中止したり中断することになります。

②長期間相続登記がされていないことの通知は法務局からのお願い

法務局の調査によって、土地の所有権登記名義人が死亡していることや相続人が判明するでしょう。

相続人あて「長期間相続登記がされていないことの通知」が届きます。

長期間相続登記等がされていないことの通知は、相続手続をしてくださいという内容です。

「長期間相続登記等がされていないことの通知」が届いた場合、自分が相続人になっている土地があります。

相続登記をしないまま、放置されています。

相続登記とは、相続による不動産の名義変更です。

長期間相続登記がされていないことの通知は、法務局からのお願いです。

③長期間相続登記がされていないことの通知は一部の相続人に届く

法務局は、相続人全員に対して長期間相続登記等がされていないことの通知をしているわけではありません。

一部の相続人にのみ送付しています。

送付する人の順位は、次のとおりです。

(1)固定資産課税台帳上の所有者又は納税義務者

(2)当該土地の居住者

(3)当該土地の近郊(当該土地と同一都道府県内)の居住者

(4)その他の者

長期間相続登記等がされていないことの通知を受け取ったの人以外の人は、通知のことを知らないかもしれません。

長期間相続登記がされていないことの通知は、一部の相続人にだけ届きます。

④相続放棄をしても長期間相続登記等がされていないことの通知

長期間相続登記等がされていない土地がある場合、所有権登記名義人の相続人を調査します。

法務局の調査は、戸籍謄本を確認する調査です。

相続が発生した場合、相続人は相続放棄をすることができます。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、家庭裁判所は自主的に市区町村役場などに通知しません。

相続放棄は、戸籍や住民票などに記載されません。

法務局は、相続放棄をしたことに気づかないでしょう。

相続人でなくなったはずなのに、長期間相続登記等がされていないことの通知が届くことがあります。

長期間相続登記等がされていないことの通知を受け取った場合、法務局に連絡しましょう。

法務局は、相続登記をしてもらうために通知をしています。

あらためて調査をして、本来の相続人に通知をする必要があるからです。

相続放棄をしても、長期間相続登記等がされていないことの通知が届くことがあります。

2長期相続登記等未了土地の登記がされる

①法務局職権で長期相続登記等未了土地の付記登記

長期相続登記等未了土地は、法務局の職権で付記登記がされます。

所有権の登記に、付記で「長期相続登記等未了土地」と登記されます。

付記登記とは、主登記に付け加える登記です。

具体的な相続人の名前は、登記されません。

長期相続登記等未了土地の登記は、相続登記の代わりではありません。

所有者の相続人は、あらためて相続登記をする必要があります。

②通知を無視しても相続登記をしてもらえない

長期間相続登記等がされていないことの通知を送るため、法務局は相続人調査をしています。

通知を無視し続けても、法務局が諦めて相続登記をしてくれることはありません。

相続登記は、相続人が申請するものだからです。

③法定相続人情報の作成番号が登記される

長期相続登記等未了土地は、「長期相続登記等未了土地」と登記がされます。

権利者その他の事項欄に、法定相続人情報の作成番号が登記されます。

法定相続人情報とは、法務局が相続人などを調査した内容です。

調査内容を法定相続人情報として取りまとめて、作成番号を付けて管理しています。

登記簿謄本を見ると、法定相続人情報の作成番号が分かります。

3法定相続人情報の提供を受けることができる

①法定相続人情報は法務局の調査内容

長期間相続登記等がされていないことの通知は、相続登記をしてくださいというお願いです。

所有権の登記名義人に相続が発生していることは、法務局が確認しています。

通知を出すため、だれが相続人なのか戸籍謄本で調べています。

法定相続人情報とは、法務局が調査した内容を取りまとめた書類です。

②法定相続人情報で戸籍謄本集めは不要

相続手続をするとき、最初の難関が戸籍謄本の収集です。

被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を準備するのがタイヘンで、途方に暮れる人は少なくありません。

長期間相続登記等がされていないことの通知が届いた場合、法務局が相続人調査をしています。

法務局が調査した内容は、法定相続人情報に取りまとめてあります。

相続人は、法定相続人情報の提供を受けることができます。

法定相続人情報を活用することができるから、相続人がたくさんの戸籍謄本を集める必要はありません。

法定相続人情報があるから不足する戸籍謄本だけ取り寄せれば、手続をすることができます。

③法定相続人情報の提供は郵送請求ができる

法定相続人情報の提供は、郵送で提出することができます。

返信用の封筒と郵便切手を一緒に提出します。

返信方法は、書留郵便など受取確認ができる方法に限られます。

④法定相続人情報の提供は司法書士に依頼できる

法定相続人情報の提供は、司法書士などの専門家に依頼することができます。

相続登記は、一般的に言って、相続手続の中でも難しい手続です。

司法書士などの専門家に依頼する人が多いです。

相続登記と一緒に、法定相続人情報の提供を依頼することができます。

4令和6年4月1日から相続登記義務化

①相続登記は3年以内に申請

相続が発生した場合、相続登記の申請義務が課せられました。

「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ当該所有権を取得したことを知った日」から3年以内に申請しなければなりません。

②令和6年4月1日以降に発生した相続が対象になる

相続登記の申請義務が課せられるのは、令和6年4月1日です。

令和6年4月1日以降に発生した相続は、当然に対象になります。

③令和6年4月1日以前に発生した相続が対象になる

ずっと以前に相続が発生したのに、相続登記を放置している例は少なくありません。

令和6年4月1日以前に発生した相続であっても、相続登記は義務になります。

④相続登記の義務を怠ると10万円以下のペナルティー

相続があったことを知ってから、3年以内に相続登記をする義務が課されました。

相続登記の義務を怠ると、10万円以下のペナルティーが課されます。

長期間相続登記等がされていないことの通知を受け取ったら、相続があったことを知ったと言えるでしょう。

3年以内に相続登記をしないと、10万円以下のペナルティーが課されます。

5相続登記を放置するとデメリットが大きい

デメリット①相続人が死亡して遺産分割協議が難しくなる

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方を決めるための相続人全員による話し合いです。

相続登記を放置すると、元気だった相続人が死亡することがあります。

遺産分割協議は、死亡した相続人の相続人が参加します。

遺産分割協議の参加者が増えると、合意が難しくなるでしょう。

死亡した相続人の相続人は、関係が薄いことが多いでしょう。

連絡が取りにくくなったり、話し合いによる合意が難しくなるでしょう。

相続登記を放置すると、相続人が死亡して遺産分割協議が難しくなります。

デメリット②相続人が認知症などで遺産分割協議が自分でできなくなる

相続登記を放置すると、元気だった相続人が認知症になることがあります。

認知症の人は、自分で遺産分割協議に参加することができません。

認知症の人は、物事のメリットデメリットを適切に判断することができないからです。

認知症の人に代わって、成年後見人が遺産分割協議を行います。

成年後見人が付くと、家族の事情に応じた柔軟な遺産分割協議はできなくなります。

相続登記を放置すると、相続人が認知症などで遺産分割協議が自分でできなくなります。

デメリット③相続人が行方不明などで連絡が取れなくなる

相続登記を放置すると、相続人が行方不明になることがあります。

遺産分割協議の成立には、相続人全員の合意が不可欠です。

行方不明の相続人がいる場合、不在者財産管理人が遺産分割協議を行います。

不在者財産管理人が付くと、家族の事情に応じた柔軟な遺産分割協議はできなくなります。

相続登記を放置すると、相続人が行方不明などで連絡が取れなくなるおそれがあります。

デメリット④不動産の売却ができなくなる

どの相続人も使う予定がない不動産は、売却した方がいいことがあります。

不動産を売却して買主に登記名義を移す場合、前提として相続登記が必要です。

相続登記を放置すると、不動産の売却ができなくなります。

デメリット⑤一部の相続人が自分の持分を売ってしまう

法定相続分で登記するのであれば、相続人は単独で登記ができます。

法定相続分で相続登記をした後、不動産の持分を売却することができます。

経済的に困った相続人がいると、見知らぬ不動産業者と不動産を共有することになります。

不動産業者はビジネスで、買取をしています。

遠慮なく、共有物分割請求をするでしょう。

共有物分割請求とは、共有持分の買取などで不動産を単独所有にすることを求めることです。

相続登記を放置すると、一部の相続人が自分の持分を売ってしまうおそれがあります。

デメリット⑥借金のある相続人の持分が差し押さえられる

債権者は債権の保全のため、債務者の財産を差し押さえることができます。

差押など強制執行の準備のため、相続登記を申請することができます。

差押などの強制執行をするためには、相続人名義である必要があるからです。

相続登記を放置すると、借金のある相続人の持分が差し押さえられるおそれがあります。

デメリット⑦相続登記の手続費用が高くなる

元気だった相続人が死亡すると、死亡した相続人の相続人が相続手続をします。

単純に、集める戸籍謄本が増えます。

保管期限経過などで必要な書類が取得できなくなると、別の書類を準備する必要があります。

通常の相続より、難易度が高くなります。

相続登記を放置すると、相続登記の手続費用が高くなります。

デメリット⑧固定資産税は相続人全員の連帯債務になる

不動産を持っていると、固定資産税が課されます。

遺産分割協議中でも、固定資産税は課されます。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産にかかる固定資産税は、相続人全員の連帯債務です。

遺産分割協議が長引くと、固定資産税がかさむでしょう。

不動産が特定空き家に指定された場合、固定資産税は6倍になります。

特定空き家とは、次のような空き家です。

・そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態

・そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態

・適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態

・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

相続登記を放置すると、固定資産税が相続人全体の連帯債務になります。

6相続登記を司法書士に依頼するメリット

大切な家族を失ったら、大きな悲しみに包まれます。

やらなければいけないと分かっていても、気力がわかない方も多いです。

相続手続は、一生のうち何度も経験するものではありません。

だれにとっても不慣れで、手際よくできるものではありません。

相続手続で使われる言葉は、法律用語です。

一般の人にとって、日常で聞き慣れないものでしょう。

不動産は、重要な財産であることも多いものです。

登記手続は、一般の人から見ると些細なことと思えるようなことでやり直しになります。

日常の仕事や家事をこなしたうえに相続手続があると、疲労困憊になってしまうでしょう。

司法書士などの専門家から見れば、トラブルのないスムーズな相続手続であっても、多くの人はへとへとになってしまうものです。

相続手続きに疲れてイライラすると普段は温厚な人でも、トラブルを引き起こしかねません。

司法書士などの専門家は、このような方をサポートします。

相続手続でへとへとになったから先延ばしするより、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

親を相続放棄しても祖父母を代襲相続できる

2024-12-24

1相続放棄で相続人でなくなる

①相続放棄でプラスの財産もマイナスの財産も引き継がない

相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄をすると、はじめから相続人でなくなります。

被相続人が莫大な借金を抱えて死亡した場合、相続放棄を選択することが多いでしょう。

相続放棄をしたら、プラスの財産もマイナスの財産も引き継ぎません。

②遺産分割協議で相続放棄はできない

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に相続放棄の申立てをします。

家庭裁判所で相続放棄が認められたときだけ、相続放棄のメリットを受けることができます。

さまざまな家族の事情から、一部の相続人がプラスの財産を引き継がない合意をすることがあります。

プラスの財産を引き継がない合意をすることを相続放棄と表現することがあります。

相続財産の分け方について相続人全員で合意することは、遺産分割協議です。

遺産分割協議で、相続放棄をすることはできません。

③相続放棄は家庭裁判所の手続

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄の申立てをします。

提出先は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

家庭裁判所の管轄は、裁判所のホームページで確認することができます。

被相続人の子どもが相続放棄をするときの、必要書類は次のとおりです。

(1)被相続人の住民票の除票または戸籍の附票

(2)被相続人の戸籍謄本

(3)相続放棄をする人の戸籍謄本

被相続人と相続放棄をする人が同じ戸籍に入っている場合、戸籍謄本は1通で差し支えありません。

相続放棄は、家庭裁判所の手続です。

④子ども全員相続放棄をしたら次順位相続人

相続人になる人は、法律で決められています。

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

子どもが相続放棄をした場合、子どもははじめから相続人でなくなります。

子ども全員が相続放棄をした場合、子どもがいない場合になります。

被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属が相続人になります。

親などの直系尊属全員が相続放棄をした場合、兄弟姉妹が相続人になります。

子ども全員相続放棄をしたら、次順位相続人が相続人になります。

2代襲相続とは

①相続人が先に死亡すると代襲相続

相続人になる人は、法律で決められています。

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

相続人になるはずだったのに、子どもが先に死亡することがあります。

被相続人の子どもが先に死亡した場合、死亡した子どもの子どもが相続します。

相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することを代襲相続と言います。

相続人になるはずだった人が先に死亡した場合、代襲相続が発生します。

②相続欠格で代襲相続

相続欠格とは、相続人としてふさわしくない人の相続資格を奪う制度です。

欠格になる理由は、法律で定められています。

主な理由は、被相続人を殺害したり、遺言書を偽造したり、遺言書を隠したりしたなどです。

相続人になるはずだった人が欠格に該当した場合、代襲相続が発生します。

③廃除されると代襲相続

相続人廃除とは、被相続人の意思で相続人の資格を奪う制度です。

例えば、被相続人に虐待をした人に、相続をさせたくないと考えるのは自然なことでしょう。

相続人の廃除は、家庭裁判所に申立てをして家庭裁判所が判断します。

相続人になるはずだった人が廃除された場合、代襲相続が発生します。

3親を相続放棄しても祖父母を代襲相続

①相続放棄は被相続人ごとに手続

相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続を単純承認するか相続放棄をするか、被相続人ごとに判断します。

父の相続で相続放棄をしたが、母の相続で単純承認をするでも差し支えありません。

相続放棄は、被相続人ごとに手続する必要があります。

②親が先に死亡したら祖父母を代襲相続できる

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

被相続人の子どもが先に死亡した場合、死亡した子どもの子どもが相続します。

死亡した子どもの子どもは、代襲相続人です。

祖父母が健在なのに、親が先に死亡することがあります。

親が死亡した後に祖父母が死亡した場合、代襲相続が発生します。

被相続人である祖父母にとって先に死亡した親は、相続人になるはずだった子どもだからです。

被相続人の子どもが先に死亡した場合、死亡した子どもの子どもが相続します。

親が先に死亡した場合、祖父母を代襲相続することができます。

③親を相続放棄したら親の借金は祖父母が相続

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

被相続人である親に莫大な借金がある場合、子ども全員が相続放棄をするでしょう。

子ども全員が相続放棄をした場合、次順位相続人が相続します。

被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属が相続人になります。

相続を単純承認するか相続放棄をするか、各相続人が自分で判断します。

他の相続人の同意は、不要です。

さまざまな事情から、親などの直系尊属が相続を単純承認することがあります。

親である被相続人から見て親などの直系尊属は、祖父母です。

祖父母が親の借金を相続したら、祖父母の借金になります。

相続を単純承認したら、プラスの財産もマイナスの財産も引き継ぐからです。

親を相続放棄した場合、親の借金は祖父母が相続することがあります。

④代襲相続人が相続放棄

親が先に死亡した場合、祖父母を代襲相続することができます。

祖父母の相続で、相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄は、被相続人ごとに判断することができるからです。

相続放棄を希望する場合、あらためて家庭裁判所に手続をする必要があります。

祖父母は、先に死亡した親の借金を相続していることがあります。

親を相続放棄をしても、祖父母の相続で自動で相続放棄になることはありません。

先に死亡した親の借金を相続したくないなら、あらためて相続放棄をします。

親の借金を祖父母が相続した後は、祖父母の借金だからです。

代襲相続人が相続放棄をすることができます。

⑤相続放棄をした人の子どもは代襲相続しない

相続人が先に死亡すると、代襲相続が発生します。

相続人が欠格に該当すると、代襲相続が発生します。

相続人が廃除されると、代襲相続が発生します。

代襲相続が発生するのは、上記の3つです。

相続人が相続放棄をしても、代襲相続は発生しません。

相続放棄をした人の子どもは、相続しません。

借金を引き継がないために相続放棄をした場合、子どもが相続するのではないか心配になるでしょう。

相続放棄をしたら、子どもが代襲相続することはないから安心です。

相続放棄をした人の子どもは、代襲相続しません。

4相続放棄を検討する際の注意点

注意①相続放棄の期限は3か月

相続放棄には、期限があります。

相続放棄の期限は、相続があったことを知ってから3か月です。

「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。

被相続人が死亡して相続が発生しても、疎遠な相続人に連絡することができないことがあります。

被相続人が死亡して相続が発生しても、莫大な借金の存在を知らないことがあります。

相続があったことを知ってから3か月以内であれば、相続放棄が認められるでしょう。

相続放棄の期限は、3か月です。

注意②3か月以内でも撤回ができない

相続放棄は、撤回ができません。

撤回とは、相続放棄が受理されたときには何も問題がなかったのに、後から問題が発生したので、なかったことにすることです。

例えば、「相続財産は借金ばかりだと思っていたから相続放棄をしたのに、プラスの財産は見つかったから相続放棄はなかったことにしたい」は撤回です。

相続放棄が認められた後は3か月以内であっても、撤回することはできません。

注意③財産を利用処分すると単純承認

相続放棄をする前に単純承認をしていた場合、相続放棄はできません。

相続財産を処分したり利用したりした場合、単純承認をしたとみなされます。

相続放棄が撤回できないように、単純承認も撤回できないからです。

家庭裁判所が相続放棄を受理した後でも、相続財産を処分したり、利用した場合は、無効です。

財産を利用処分すると、単純承認になります。

注意④相続発生前に相続放棄はできない

被相続人の生前に、相続放棄をすることはできません。

相続放棄の申立てを家庭裁判所に提出しても、受け付けてもらえません。

相続放棄ができるのは、相続人だけだからです。

相続発生前に、相続放棄はできません。

注意⑤家庭裁判所は次順位相続人に通知しない

子ども全員が相続放棄をした場合、次順位相続人が相続します。

家庭裁判所は、相続放棄の申立てをした人にだけ結果を通知します。

家庭裁判所は、自主的に次順位相続人に対して通知しません。

子どもが相続すると安心していたのに借金の返済を迫られたら、びっくりするでしょう。

相続放棄をしても、次順位相続人に連絡する義務はありません。

できたら、連絡してあげると親切でしょう。

家庭裁判所は、次順位相続人に通知しません。

5代襲相続と相続放棄のよくある誤解

誤解①相続放棄をすると他の相続でも相続できなくなる

相続放棄は、被相続人ごとに判断することができます。

親の相続と祖父母の相続は、別の相続です。

親の相続で単純承認をしたか相続放棄をしたか関係なく、祖父母の相続で判断することができます。

親の相続で相続放棄をしたからと言って、祖父母の相続ができなくなることはありません。

相続放棄をしても、親子の縁は切れないからです。

相続放棄をすると他の相続でも相続できなくなるは、誤解です。

親を相続放棄しても、祖父母を代襲相続することができます。

誤解②先に死亡した人の配偶者は代襲相続できる

代襲相続ができるのは、被代襲者の子どもなど直系卑属のみです。

被代襲者とは、相続人になるはずだった人です。

被代襲者の配偶者は、代襲相続をすることはできません。

数次相続があった場合、死亡した子どもの配偶者は相続人になります。

数次相続とは、元気だった被相続人の子どもが相続手続中に死亡することです。

代襲相続では、相続が発生する前に被相続人の子どもが死亡したときです。

先に死亡した人の配偶者は代襲相続できるは、数次相続と混同していると言えます。

先に死亡した人の配偶者は代襲相続できるは、誤解です。

先に死亡した人の配偶者は、代襲相続できません。

6代襲相続がある相続と相続放棄を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、被相続人のものは相続財産になります。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方を決めるためには、相続人全員の合意が必要です。

相続財産の分け方の話し合いの前提として、相続人の確定はとても重要です。

代襲相続や数次相続が発生している場合、一挙に難易度が上がります。

インターネットが普及したことで、多くの情報を手軽に得ることができるようになりました。

インターネット上では、適切でない情報も有益な情報もたくさん出回っています。

代襲相続や相続放棄が発生している場合、信頼できる専門家のサポートが欠かせません。

相続放棄をした場合代襲相続はできないとだけカンタンに説明している自称専門家はたくさんいます。

相続人確定を間違えると以降の相続手続は、すべて無効になります。

度をよく理解して、自分がどうしたらいいのか適切に判断する必要があります。

スムーズに相続手続を行いたい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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