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遺留分の計算方法
1遺留分は最低限の権利
①遺言書があっても遺留分は保障される
被相続人は、原則として、自分の財産をだれに受け継がせるかは自由に決めることができます。
財産は、被相続人がひとりで築いたものではないでしょう。
家族の協力があってこそ、築くことができた財産のはずです。
被相続人の名義になっているからといって、まったく無制約の自由にすることはできません。
今まで協力してきた家族に、酷な結果となることがあるからです。
被相続人に近い関係の相続人には、相続財産に対して最低限の権利が認められています。
相続財産に対して、認められる最低限の権利のことを遺留分と言います。
遺留分は、法定相続分に総体的遺留分をかけて計算します。
遺言書があっても、遺留分は保障されます。
②遺留分が認められる相続人
相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。
だれが相続人になるかについては、民法で決められています。
相続人になる人は、次のとおりです。
(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。
(1)配偶者は必ず相続人になる
(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども
(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属
(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹
相続人のうち、遺留分が認められる人を遺留分権利者と言います。
相続人でない人は、遺留分権利者になることはありません。
遺留分権利者は、被相続人に近い関係の相続人です。
具体的には、次の人です。
(1)配偶者
(2)子ども
(3)親などの直系尊属
兄弟姉妹は相続人になりますが、遺留分権利者ではありません。
③遺留分放棄をすると遺留分は認められない
遺留分権利者には、相続財産に対して最低限の権利が認められます。
遺留分に満たない財産の配分しか受けられない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。
遺留分放棄とは、相続人自身の意思で遺留分を放棄することです。
遺留分放棄は、相続人の意思が重視されます。
遺留分放棄をすると、相続人は最低限の権利を失います。
相続が発生する前に遺留分放棄をする場合、家庭裁判所の許可の審判が必要です。
家庭裁判所の許可を得て遺留分を放棄した場合、遺留分はなくなります。
遺留分放棄をしても、相続人です。
相続人だから、相続財産を相続することができます。
遺留分放棄をすると、遺留分は認められません。
④廃除された相続人に遺留分は認められない
例えば、被相続人に虐待をした人に、相続をさせたくないと考えるのは自然なことでしょう。
被相続人が相続させたくないと思って、他の相続人にすべての財産を相続させると遺言書を書くことがあります。
遺言書を書くだけで、遺留分を奪うことはできません。
遺留分に満たない財産の配分しか受けられない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。
遺留分侵害額請求をしたら、相続財産のいくらかは虐待した相続人が受け継いでしまいます。
相続人廃除とは、被相続人の意思で相続人の資格を奪う制度です。
相続人の資格を奪うとは、実質的には遺留分を奪うことです。
兄弟姉妹は、遺留分権利者ではありません。
兄弟姉妹を廃除する必要はありません。
兄弟姉妹に相続させたくない場合、遺言書を作成するだけで実現できるからです。
相続人が廃除された場合、代襲相続が発生します。
廃除された相続人の子どもや孫が相続します。
廃除された相続人に、遺留分は認められません。
⑤欠格の相続人に遺留分は認められない
だれが相続人になるかについては、民法で決められています。
同時に、民法では相続人になれない人も決められています。
例えば、被相続人を殺した人が相続することは、社会感情からみても許せない、相続する人としてふさわしくないということは納得できるでしょう。
このような相続人として許せない、ふさわしくない場合、相続人の資格が奪われます。
相続欠格とは、相続人としてふさわしくない人の相続資格を奪う制度です。
相続欠格は、被相続人の意思とは無関係に相続人の資格を奪う制度です。
裁判所などで手続があるわけでなく、当然に相続資格を失います。
相続欠格になると、遺留分も奪われます。
相続人が相続欠格になる場合、代襲相続ができます。
欠格の相続人の子どもや孫が相続します。
欠格の相続人に、遺留分は認められません。
⑥相続放棄した人の子どもは相続人ではない
相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄するか選択することができます。
相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に相続放棄の申立てをします。
家庭裁判所で相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。
相続放棄が認められたら、相続することはできません。
相続放棄が認められたら、遺留分を失います。
遺留分が認められるのは、相続人だけだからです。
相続放棄をしたら、代襲相続は発生しません。
相続放棄をした人の子どもや孫は、相続しません。
2相続分と遺留分の割合
①相続人が配偶者のみ
相続人が配偶者のみの場合、遺留分は相続財産の2分の1です。
例えば、相続財産が6000万円なら、遺留分は3000万円です。
②相続人が配偶者と子ども
相続人が配偶者と子どもの場合、相続分は次のとおりです。
・配偶者の相続分 2分の1
・子どもの相続分 2分の1
子どもが複数いる場合、相続分を平等に分け合います。
相続人が配偶者と子どもの場合、相続人全員の遺留分の合計は相続財産の2分の1です。
相続人全員の遺留分の合計を総体的遺留分と言います。
各相続人の遺留分を個別的遺留分と言います。
個別的遺留分は、総体的遺留分に相続分をかけることで計算することができます。
・配偶者の遺留分 4分の1
・子どもの遺留分 4分の1
子どもが複数いる場合、遺留分を平等に分け合います。
例えば、相続財産が6000万円で相続人が配偶者と長男、長女の場合
・配偶者の遺留分 1500万円
・長男の遺留分 750万円
・長女の遺留分 750万円
長男と長女の遺留分は、それぞれ8分の1です。
③相続人が配偶者と親などの直系尊属
相続人が配偶者と親などの直系尊属の場合、相続分は次のとおりです。
・配偶者の相続分 3分の2
・親などの直系尊属の相続分 3分の1
親などの直系尊属が複数いる場合、相続分を平等に分け合います。
相続人が配偶者と親などの直系尊属の場合、相続人全員の遺留分の合計は相続財産の2分の1です。
個別的遺留分は、総体的遺留分に相続分をかけることで計算することができます。
・配偶者の遺留分 3分の1
・親などの直系尊属の遺留分 6分の1
親などの直系尊属が複数いる場合、遺留分を平等に分け合います。
例えば、相続財産が6000万円で相続人が配偶者と父、母の場合
・配偶者の遺留分 2000万円
・父の遺留分 500万円
・母の遺留分 500万円
父と母の遺留分は、それぞれ12分の1です。
④相続人が親などの直系尊属のみ
親などの直系尊属が複数いる場合、相続分を平等に分け合います。
相続人が配偶者と親などの直系尊属の場合、相続人全員の遺留分の合計は相続財産の3分の1です。
個別的遺留分は、総体的遺留分に相続分をかけることで計算することができます。
例えば、相続財産が6000万円で相続人が父と母の場合
・父の遺留分 1000万円
・母の遺留分 1000万円
父と母の遺留分は、それぞれ6分の1です。
⑤相続人が配偶者と兄弟姉妹
相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合、相続分は次のとおりです。
・配偶者の相続分 4分の3
・兄弟姉妹の相続分 4分の1
兄弟姉妹が複数いる場合、相続分を平等に分け合います。
相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合、相続人全員の遺留分の合計は相続財産の2分の1です。
個別的遺留分は、総体的遺留分に相続分をかけることで計算することができます。
・配偶者の遺留分 2分の1
・兄弟姉妹の遺留分 なし
兄弟姉妹に、遺留分は認められません。
例えば、相続財産が6000万円で相続人が配偶者と兄、姉の場合
・配偶者の遺留分 3000万円
・兄の遺留分 なし
・姉の遺留分 なし
兄弟姉妹は、相続人になることができます。
兄弟姉妹者、遺留分権利者ではありません。
3遺留分の計算方法
①プラスの財産とマイナスの財産
遺留分を計算する場合、遺留分を計算する財産を確認します。
相続財産というと、プラスの財産だけに注目しがちです。
相続財産には、マイナスの財産も含まれます。
遺留分を計算する場合、プラスの財産からマイナスの財産を差引して計算します。
②生前贈与した財産を加算する
被相続人が元気なうちに、相続人に財産を分け与えることがあります。
受け取った財産について何も考慮しないと、財産を受け取っていない相続人は不満に思うでしょう。
一部の相続人だけ特別に得ていた利益を特別受益と言います。
特別受益がある場合、相続財産に持ち戻して遺産分割をすることができます。
特別受益の持ち戻しは、相続人間の公平のための制度です。
遺留分を計算する場合、次の贈与は遺留分を計算する財産に算入します。
(1)特別受益
(2)特別受益以外で、相続開始1年以内にされた贈与
(3)特別受益以外で、遺留分権利者に損害を与えることを知ってされた贈与
③遺留分の割合をかけて計算する
遺留分を計算する財産は、プラスの財産とマイナスの財産と生前贈与等から求めることができます。
遺留分を計算する財産に個別的遺留分をかけて、計算します。
4遺留分を侵害されたら遺留分侵害額請求ができる
①遺留分には期限がある
遺留分は、相続人に認められた最低限の権利です。
遺留分に満たない財産の配分しか受けられなかった場合、遺留分侵害額請求をすることができます。
遺留分を請求しないまま長期間経過した場合、遺留分侵害額請求をすることができなくなります。
遺留分侵害額請求には、時効があるからです。
遺留分侵害額請求の時効は、次のとおりです。
(1)侵害の事実を知ってから1年
(2)侵害されたときから10年
遺留分侵害額請求権は、最短1年で時効消滅します。
②遺留分侵害額請求の順序
遺留分に満たない財産の配分しか受けられなかった場合、不公平な遺言、生前贈与、死因贈与があるでしょう。
遺留分侵害額請求には、順序があります。
遺留分侵害額請求の順序は、遺言→死因贈与→生前贈与の順です。
生前贈与が複数ある場合、日付が新しい生前贈与に遺留分侵害額請求をします。
5遺言書作成を司法書士に依頼するメリット
自筆証書遺言の多くは、専門家のサポートなしで一人で作ります。
その結果、遺言書の厳格な書き方ルールが守られておらず、無効になってしまいます。
形式的な書き方ルールは守られていても、内容があいまいで遺言書を実現できないことも多々あります。
さらに、相続人の遺留分に配慮されておらず、トラブルに発展する例もあります。
せっかく遺言書を作るのなら確実な公正証書遺言をおすすめします。
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認知症の人が遺言書作成
1遺言書作成に遺言能力が必要
①遺言書作成できるのは15歳以上
遺言能力とは、遺言書を作成することができる能力です。
遺言能力は、年齢と判断能力の意味で使われます。
15歳以上の人は、遺言書を作成することができます。
遺言書作成できるのは、15歳以上です。
②遺言書作成に判断能力が必要
判断能力としての遺言能力とは、遺言書に書いた内容を理解し遺言の結果のメリットデメリットを充分に判断できる能力です。
高齢になると、判断能力が低下することが多くなります。
多少判断能力が低下しても、遺言書に書いた内容を理解し遺言の結果のメリットデメリットを充分に判断できるでしょう。
判断能力としての遺言能力があれば、有効に遺言書を作成することができます。
遺言書作成には、判断能力としての遺言能力が必要です。
③認知症の診断後も遺言能力
判断能力が低下すると、認知症の診断を受けることになるでしょう。
認知症の診断を受けても、ごく初期の認知症であることがあります。
ごく初期の認知症である場合、わずかに判断能力が低下しただけでしょう。
重度の認知症である場合、判断能力はほとんど失われているでしょう。
判断能力がほとんど失われた後に、有効な遺言書を作成することはできません。
わずかに判断能力が低下しただけであれば、遺言能力があることがあります。
認知症の診断後も、遺言能力があることがあります。
④要介護認定後も遺言能力
高齢になると、身のまわりのことが不自由になるでしょう。
要介護認定とは、介護サービスの必要度を客観的に判断する制度です。
要介護認定の区分は、本人の生活能力や認知機能などから総合判断して認定されます。
本人の生活能力が著しく低い場合、介護サービスの必要度が高くなるでしょう。
要介護認定の区分が高くても、判断能力が充分にあることがあります。
判断能力としての遺言能力があれば、有効に遺言書を作成することができます。
要介護認定後も、遺言能力があることがあります。
⑤成年後見を利用しても遺言書作成
成年後見とは、認知症などで物事のメリットデメリットを充分に判断することができない人をサポートする制度です。
認知症の人に代わって、成年後見人が判断します。
成年後見人は、認知症の人をサポートする人です。
民法第973条は、成年後見を利用している人が遺言書を作成する方法が定められています。
認知症などで判断能力が多少低下しても、遺言書を作成できることを示しています。
判断能力を失った後では、遺言書を作成できないのは当然です。
成年後見を利用しても、遺言書を作成できることがあります。
2認知症の人が遺言書作成
①公正証書遺言がおすすめ
遺言書を作成する場合、自筆証書遺言か公正証書遺言を作成することがほとんどです。
自筆証書遺言は、自分で書いて作る遺言書です。
ひとりで書いて作ることができるから、手軽です。
公正証書遺言は、遺言内容を公証人に伝え公証人が書面に取りまとめる遺言書です。
証人2人に確認してもらって、作ります。
認知症の人が遺言書を作成する場合、公正証書遺言がおすすめです。
判断能力を失った後で遺言書を作成した場合、無効になるからです。
自筆証書遺言はひとりで作るから、判断能力について分からなくなるでしょう。
遺言内容に不満がある相続人がいる場合、判断能力を失った後に作成した遺言書だから無効であると主張するでしょう。
相続人間で、深刻なトラブルになります。
公正証書遺言は、公証人が関与します。
公証人は、遺言者の意思確認をして書面にします。
遺言者が判断能力を失った場合、適切に公証人と受け答えができないでしょう。
遺言者の意思確認ができない場合、公証人は執務を停止して遺言書を作成しません。
公証人は、法律の専門家であって医師ではありません。
遺言能力の有無は、医学的な判断がされます。
公正証書遺言があっても、遺言能力が否定されることはあり得ます。
公正証書遺言が作成されたことは、公証人が意思確認できたからと言えます。
公証人が関与する公正証書遺言には、高い信頼性があります。
認知症の人が遺言書作成する場合、公正証書遺言がおすすめです。
②シンプルな遺言内容
認知症になると、物事のメリットデメリットを充分に判断することができなくなります。
複雑な内容の遺言書を作成するのは、難しくなるでしょう。
多少判断能力が低下しても、シンプルな内容の遺言書であれば物事のメリットデメリットを充分に判断することができるでしょう。
認知症の人が遺言書作成する場合、シンプルな遺言内容がおすすめです。
③医師の診断書や介護記録は重要な証拠
遺言能力を失った後で遺言書を作成しても、無効になります。
遺言内容に不満がある相続人がいる場合、遺言書の無効を主張するでしょう。
遺言の有効無効を争う場合、証拠が重要です。
医師の診断書や介護記録は、重要な証拠になるでしょう。
遺言書を作成する時点の判断能力を客観的に示すことができるからです。
相続人間の争いに巻き込まれるのをおそれて、主治医が診断書作成を拒否することがあります。
精神科の専門医などに、診断書作成を依頼するといいでしょう。
時期をずらして、複数回の診断書を準備できると安心です。
例えば、成年後見を利用している人は、医師2人以上の立会いで遺言書を作成することができます。
遺言書作成に立会った医師は、遺言者が物事のメリットデメリットを充分に判断できたことを付記して署名押印をします。
成年後見制度を利用していなくても、医師に立会いをしてもらって遺言書を作成することができます。
医師が遺言書作成に立会って遺言者が物事のメリットデメリットを充分に判断できたことを付記してもらえれば、重要な証拠になるでしょう。
遺言の有効無効を争う場合、医師の診断書や介護記録は重要な証拠になります。
④公正証書遺言作成の手順
手順①相続財産の一覧表を作成
手順②相続財産を引き継ぐ人を決める
手順③必要書類の準備
手順④公証人と打合せ
手順⑤証人2人に依頼
手順⑥遺言書文案を確認
手順⑦公正証書遺言の作成
手順⑧公証役場へ手数料の支払い
3遺言能力を判断するときの重要なポイント
ポイント①遺言内容の理解と判断能力
遺言能力の有無を判断する場合、遺言者が遺言内容を正確に理解し法的効果や結果を適切に認識できるかが重要です。
遺言内容がシンプルである場合、多少判断能力が低くても遺言能力は認められやすいでしょう。
遺言内容が複雑である場合、多少判断能力が低いだけでも遺言能力は認められにくいでしょう。
遺言能力を判断するときの重要なポイント1つ目は、遺言内容の理解と判断能力です。
ポイント②精神状態と健康状態
遺言能力の有無を判断する場合、認知症の進行度や精神疾患の有無や進行度が重要な判断基準になります。
認知症の進行度や精神疾患の有無や進行度は、医師の診断書やカルテが有力な証拠になるでしょう。
長谷川式認知症スケールなどの点数は、重要な参考資料になります。
長谷川式認知症スケールで20点以上であると、判断能力があると認められやすいでしょう。
長谷川式認知症スケールで10点以下であると、判断能力はほとんど認められないでしょう。
10点台の場合は、個別事情を考慮して総合的に裁判所が判断します。
遺言能力を判断するときの重要なポイント2つ目は、精神状態と健康状態です。
ポイント③遺言作成の動機と経緯
遺言能力の有無を判断する場合、遺言作成の動機と経緯が重要な判断基準になります。
遺言書を作成する場合、家族のすすめがきっかけになることが多いでしょう。
家族のすすめをきっかけに、自発的意思に基づいて遺言書を作成したと認められる必要があります。
第三者が強制的に遺言書を作成させたといった事情がある場合、遺言能力がなかったと判断されるでしょう。
遺言者が自発的に遺言書を作成した場合、遺言作成の動機や経緯と遺言内容に整合性があるでしょう。
遺言作成の動機や経緯と遺言内容が合理的であり意思形成が自然である場合、遺言能力が認められます。
例えば、長年連れ添った配偶者の行く末を心配して全財産を相続させる遺言書を作成した場合、整合性があり遺言能力が認められやすいでしょう。
見ず知らずの人に複数の財産を譲るなど突飛な内容の遺言書を作成した場合、整合性がなく遺言能力が認められにくいでしょう。
遺言能力を判断するときの重要なポイント3つ目は、遺言作成の動機と経緯です。
ポイント④遺言者の年齢
法律上は、15歳以上の人は遺言能力があるとされます。
高齢になると判断能力が低下することが多いことから、遺言者の年齢は重要な判断基準になります。
高齢になってから遺言書を作成する場合、遺言能力の有無が問題になるのは避けられないと言えるでしょう。
遺言能力を判断するときの重要なポイント4つ目は、遺言者の年齢です。
4不審な遺言書が見つかったら
①遺言書があっても遺産分割協議ができる
遺言書で財産の分け方を決めた場合、原則として遺言書どおりに分けることができます。
遺言書の内容があまりに偏っている場合、そのまま執行すると相続人間でトラブルになるでしょう。
相続人間でトラブルになる遺言書なのに、わざわざ執行してトラブルにする必要はありません。
相続人間で話し合って、相続財産の分け方を決める方が合理的です。
遺言書があっても、相続人全員の合意で遺産分割協議をすることができます。
遺産分割協議とは、相続人全員の話し合いで相続財産の分け方を決めることです。
遺言書の有効無効を差し置いて、トラブルを回避することができます。
相続人全員の合意で、柔軟な遺産分割を実現することができます。
遺言書があっても、遺産分割協議ができます。
②遺言書無効確認調停
遺言能力を失っているのに遺言書を作成しても、無効です。
一部の相続人が遺言書は無効と主張しても、他の相続人は有効と主張することがあります。
遺産分割協議では、相続人全員の合意が必要です。
遺言書を有効と主張する相続人は、遺産分割協議に応じないでしょう。
遺言書無効確認調停とは、家庭裁判所の助力を借りてする話し合いです。
不審な遺言書が見つかったら、当事者で話し合いをするべく遺言書無効確認調停をすることができます。
③遺言書無効確認訴訟
相続人間で話合いができるのなら、話し合いで解決するのがいいでしょう。
遺言書の有効無効を争う場合、相続人間で深刻なトラブルに発展します。
遺言書無効確認訴訟とは、遺言書の無効確認を求める訴訟手続です。
自分の主張を認めてもらうため、適切に証拠を提出し主張立証をします。
遺言書無効確認訴訟になると、相続人間の対立が激化します。
遺言書無効確認訴訟を提起してから判決が出るまで、1年以上かかることが多いでしょう。
不審な遺言書が見つかったら、遺言書無効確認訴訟を提起することができます。
5遺言書作成を司法書士に依頼するメリット
遺言書は、被相続人の意思を示すものです。
自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。
民法に遺言書を作ることができるのは、15歳以上と定められています。
遺言書を作成すれば、法定相続人や法定相続人以外の人に財産を引き継ぐことができます。
遺言書作成は、先延ばししがちです。
先延ばしすると、相続人間のトラブルに発展しがちです。
家族の幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
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相続放棄をした人に遺留分侵害額請求
1相続人は遺留分侵害額請求ができる
①遺留分は最低限の権利
自分の財産は、自由に処分することができます。
遺言書を作成して、自分の財産をだれに引き継ぐか自由に決めることができます。
とはいえ、自分の財産は、ひとりで築いたものではないでしょう。
家族の協力があってこそ、築くことができたもののはずです。
被相続人の名義になっていると言っても、まったく無制約の自由にすることはできません。
今まで協力してきた家族に、酷な結果となるからです。
被相続人に近い関係の相続人には、最低限の権利が認められています。
遺留分とは、被相続人に近い関係の相続人に認められた最低限の権利です。
②遺留分が認められる相続人
相続が発生したら、一定の範囲の親族が相続人になります。
相続人になる人は、次のとおりです。
(1)配偶者は必ず相続人になる
(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども
(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属
(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹
遺留分が認められる相続人は、兄弟姉妹以外の相続人です。
配偶者、子ども、親などの直系尊属には、遺留分が認められます。
③遺留分は金銭で請求
配分された財産が遺留分に満たない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。
遺留分を侵害した人に対して、金銭で請求します。
財産自体を返還してもらうことはできません。
遺留分は、金銭で請求します。
現金で支払うルールは、令和元年7月1日以降に発生した相続に適用されます。
2相続放棄をした人に遺留分侵害額請求
①相続放棄をすると相続人でなくなる
相続が発生すると、相続人は相続を単純承認するか相続放棄するか選択することができます。
被相続人から、生前に贈与を受けていることがあります。
生前贈与を受けても、単純承認するか相続放棄するか自由に選択することができます。
相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄の申立てをします。
家庭裁判所で相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。
②請求可能な財産の範囲
被相続人が元気なうちに、相続人に財産を贈与することがあります。
受け取った財産について何も考慮しないと、財産を受け取っていない相続人は不満に思うでしょう。
一部の相続人だけ特別に得ていた利益を特別受益と言います。
特別受益がある場合、相続財産に持ち戻して遺産分割をすることができます。
特別受益の持ち戻しは、相続人間の公平のための制度です。
遺留分を計算する場合、次の贈与は遺留分を計算する財産に算入します。
(1)特別受益
(2)特別受益以外で、相続開始1年以内にされた贈与
(3)特別受益以外で、遺留分権利者に損害を与えることを知ってされた贈与
家庭裁判所で相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。
相続放棄した人が生前贈与を受けていても、特別受益ではありません。
特別受益とは、相続人が得ていた利益だからです。
相続放棄した人が生前贈与を受けていた場合、次の贈与が遺留分計算の対象になります。
・相続開始1年以内にされた贈与
・遺留分権利者に損害を与えることを知ってされた贈与
相続開始1年以上前にされた生前贈与であっても、損害を与えることを知ってされた贈与は遺留分計算の対象になります。
損害を与えることを知っていたことは、遺留分を請求する人が立証する必要があります。
損害を与えることを知っていたことを立証するのは、非常に困難です。
立証には、客観的証拠が必要になるからです。
例えば、高額の贈与をしていても今後の収入が見込めることがあります。
収入の見込みによっては、損害を与えることを知っていたとは言えないでしょう。
客観的に損害を与えることを知っていたことを立証するのは、高いハードルがあります。
生前贈与のうち条件にあてはまる贈与は、遺留分計算の対象になります。
③持戻しの免除をしても遺留分侵害額請求
特別受益の持戻しは、相続人間の公平のための制度です。
一部の相続人だけ特別に得ていた利益を相続財産に算入して、遺産分割をします。
持戻しの免除とは、特別に得ていた利益を考慮せずに遺産分割することです。
持戻しの免除は、被相続人の意思表示のみで行うことができます。
持戻しの免除があっても、特別に得ていた利益は遺留分計算の対象になります。
遺留分は、相続人に認められた最低限の権利だからです。
持戻しの免除で、遺留分計算の対象から除外することはできません。
被相続人の意思表示のみで遺留分計算の対象から除外できると、遺留分が奪われることになるからです。
被相続人の意思表示のみで、相続人の遺留分を奪うことはできません。
持戻しの免除をしても遺留分侵害額請求の対象にすることができます。
3遺留分侵害額請求をする方法
①遺留分侵害額請求権は最短1年で時効消滅
遺留分を請求しないまま長期間経過した場合、遺留分侵害額請求をすることができなくなります。
遺留分侵害額請求権には、時効があるからです。
遺留分侵害額請求権の時効は、次のとおりです。
(1)侵害の事実を知ってから1年
(2)侵害がされたときから10年
権利が消滅した後に、遺留分侵害額請求があっても拒否することができます。
遺留分侵害額請求権は、最短1年で時効消滅します。
②侵害された遺留分金額不明でも請求できる
遺留分を侵害された場合、遺留分侵害額請求をすることができます。
遺留分は、現金で請求します。
相続で受け取った財産を請求することはできません。
遺留分を侵害された相続人は、遺留分侵害額を計算して請求します。
相続財産が金銭だけであれば、金額を争う余地はないでしょう。
相続財産には、いろいろな種類の財産があるのが通常です。
いろいろな種類の財産をいくらと考えるのか評価方法は複数あります。
被相続人が不動産を所有していることがあります。
不動産をいくらと考えるのか評価方法はいくつかあります。
どの評価方法で不動産を評価するかで、不動産の金額は大きく変わります。
遺留分侵害額請求をする人は、不動産の金額が高く評価されると有利です。
支払われる遺留分侵害額が高くなるからです。
遺留分侵害額請求を受ける人は、不動産の金額が低く評価されると有利です。
支払う遺留分侵害額が少なくなるからです。
評価方法がちがうと、相続財産全体の金額が大きく変わります。
遺留分侵害額請求をする際に、金額を明示する必要はありません。
侵害された遺留分金額不明でも、遺留分侵害額請求をすることができます。
③配達証明付き内容証明郵便で請求
遺留分侵害額請求の方法に、決まりはありません。
口頭で請求してもメールや手紙で請求しても、有効に請求することができます。
口頭で請求した場合、請求したことの証拠が残りません。
遺留分侵害額請求権は、最短1年で時効消滅します。
証拠がないと、言った聞いていないとトラブルになるでしょう。
遺留分侵害額請求は、配達証明付き内容証明郵便で請求するのがおすすめです。
配達証明付き内容証明郵便は、郵便サービスのひとつです。
内容証明は、差し出した書面の内容を郵便局が証明してくれます。
配達証明は、差し出した書面の配達を郵便局が証明してくれます。
配達証明付き内容証明郵便で請求すると、言った聞いていないのトラブルを防止できます。
権利があるのに権利を行使しないまま長期間経過した場合、権利が消滅します。
配達証明付き内容証明郵便で、請求するのがおすすめです。
④請求順序は遺言→死因贈与→生前贈与
遺留分に満たない財産の配分しか受けられなかった場合、不公平な遺言、生前贈与、死因贈与があるでしょう。
遺留分侵害額請求には、順序があります。
遺言→死因贈与→生前贈与の順です。
生前贈与が複数ある場合、日付が新しい生前贈与に遺留分侵害額請求をします。
請求順序は、遺言→死因贈与→生前贈与です。
⑤遺留分侵害額請求をする手順
手順①遺留分侵害額請求の意思表示
配達証明付き内容証明郵便で、遺留分侵害額請求の意思表示をします。
消滅時効が完成する前に、請求することが重要です。
遺留分侵害額請求をする手順1つ目は、遺留分侵害額請求の意思表示です。
手順②交渉
遺留分侵害額請求の意思表示をしたら、相手方と交渉します。
いろいろな種類の財産をいくらと考えるのか評価方法は複数あるからです。
遺留分の支払い方法についても、交渉の余地があるでしょう。
例えば、いつまでに払うか期限を決めたり分割払いの合意ができるかもしれません。
遺留分侵害額請求をする手順2つ目は、交渉です。
手順③遺留分侵害額請求の調停の申立て
当事者間で話し合いがつかない場合、家庭裁判所の助力を得ることができます。
遺留分侵害額請求の調停とは、家庭裁判所の助力を得てする当事者間の話し合いです。
家庭裁判所の調停委員から公平なアドバイスを受けると、冷静に話し合いができるかもしれません。
家庭裁判所の助力を得て、当事者間で合意を目指します。
遺留分侵害額請求の調停の申立先は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所です。
遺留分侵害額請求の調停の申立に必要な書類は、次のとおりです。
(1)遺留分侵害額請求の調停の申立書
(2)被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
(3)相続人全員の現在戸籍
(4)収入印紙1200円分
(5)裁判所が連絡用に使う郵便切手
遺留分侵害額請求の調停は、1か月に1回程度調停期日が設けられます。
遺留分侵害額請求の調停は、半~1年程度かかります。
遺留分侵害額請求をする手順1つ目は、遺留分侵害額請求の意思表示です。
手順④遺留分侵害額請求訴訟
当事者が一方的な主張を続けると、話し合いがつかなくなります。
遺留分侵害額請求の調停で合意ができない場合、調停不成立になります。
調停不成立の場合、遺留分侵害額請求訴訟を提起することができます。
遺留分侵害の事実や損害を与えることを知っていたことは、遺留分を請求する側が立証します。
立証に失敗すると、請求を認めてもらえません。
遺留分侵害額請求訴訟は、1年以上かかることが多いでしょう。
遺留分侵害額請求をする手順4つ目は、遺留分侵害額請求訴訟です。
手順⑤強制執行
遺留分侵害額請求訴訟で勝訴判決を得た場合、強制執行ができます。
銀行預金などの財産に差押をして、支払を受けることができます。
判決の内容を強制的に実現することができます。
遺留分侵害額請求をする手順5つ目は、強制執行です。
4生前対策を司法書士に依頼するメリット
生前対策というと、相続税対策と考えがちです。
税金について検討することは大切ですが、税金だけに注目すると失敗します。
生前対策は、本人や家族が困らないように本人が物事のメリットデメリットを充分に判断できるうちに準備をすることです。
具体的には、①認知症対策②争族対策③相続税対策です。
税金だけに着目した場合、財産の大部分を生前贈与することに合理性があるかもしれません。
一部の相続人に偏った財産配分をした場合、相続発生後にトラブルになります。
財産の大部分を贈与した後、贈与を受けた相続人は相続放棄をすることがあります。
相続が発生する前1年以上の贈与であって、かつ、被相続人と相続放棄をした相続人のいずれかが遺留分権利者に損害を与えることを知らない場合、遺留分侵害額請求をすることができません。
遺留分侵害額請求をすることができなければ、いいだろうとは言えないでしょう。
このようなことがあった場合、家族の絆は決定的に壊されてしまうからです。
自分のためにも、家族のためにも、①認知症対策②争族対策をする必要があります。
自分と家族のために、生前対策を考えている人は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
相続放棄は詐害行為にならない
1詐害行為は取消ができる
①詐害行為は不当な財産減少行為
お金を借りた人は、借りたお金を返さなければなりません。
自分の財産を不当に減少させると、借りたお金を返せなくなります。
自分の財産を不当に減少させると、貸したお金を返してもらえなくなって債権者は困ります。
詐害行為とは、債権者が困ることが分かっているのに自分の財産を不当に減少させることです。
②適法合法な処分であっても詐害行為になる
自分の財産は、自由に処分することができます。
債務超過になっても、贈与ができないと言ったルールはありません。
自分の財産を自由に贈与することができます。
適法合法な贈与であっても、不当な財産減少行為になることがあります。
不当な財産減少行為にあたると、詐害行為になります。
適法合法な処分であっても、詐害行為になる可能性があります。
③詐害行為は債務者債権者の関係で取り消される
不当な財産減少行為と認められたら、詐害行為は取消されます。
詐害行為取消の効果は、債務者と債権者に効力が及びます。
詐害行為が取消されると、取得した財産は返還しなければなりません。
財産自体を返還できないときは、財産の価値分の金額を請求することができます。
詐害行為は、債務者債権者の関係で取り消されます。
2相続放棄は詐害行為にならない
①相続人は自分の判断で相続放棄ができる
相続が発生したら、相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。
相続放棄を希望するときは、家庭裁判所に対して相続放棄の申立てをします。
相続放棄をするにあたって、だれかの同意が必要になることはありません。
各相続人が自分の判断で、相続放棄をすることができます。
家庭裁判所で相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。
相続人は自分の判断で、相続放棄をすることができます。
②被相続人の債権者は詐害行為で取消ができない
被相続人が莫大な借金を抱えて、死亡することがあります。
債権者は、相続人に借金を返してもらいたいと期待するでしょう。
借金を相続をしないため、相続人は相続放棄をすることが考えられます。
相続放棄が認められると、はじめから相続人でなくなります。
相続人に借金を返してもらおうと期待していたのに、相続放棄をすると債権者は困ります。
債権者が困ることが分かっているのに相続放棄をしたのだから、詐害行為として取消したいと考えるかもしれません。
被相続人の債権者は、相続放棄を詐害行為で取消ができません。
相続放棄は、詐害行為ではありません。
③相続人の債権者は詐害行為で取消ができない
被相続人が莫大なプラスの財産を残して、死亡することがあります。
相続人が多額の借金を抱えている場合、債権者は相続した財産から借金を返してもらいたいと期待するでしょう。
相続人は自分の判断で、相続放棄をすることができます。
莫大なプラスの財産があっても、さまざまな家族の事情から相続放棄をすることがあります。
相続放棄が認められると、はじめから相続人でなくなります。
相続すれば莫大な財産がたやすく手に入るのに、相続放棄をしたら相続財産は受け継ぐことはできません。
相続した財産から借金を返してもらおうと期待していたのに、相続放棄をすると債権者は困ります。
債権者が困ることが分かっているのに相続放棄をしたのだから、詐害行為として取消したいと考えるかもしれません。
相続人の債権者は、相続放棄を詐害行為で取消ができません。
相続放棄は、詐害行為ではありません。
④遺産分割協議は詐害行為で取消ができる
相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。
相続財産は、相続人全員の共有財産です。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。
遺産分割協議とは、相続財産の分け方を決めるため相続人全員でする話し合いです。
相続人全員で合意できれば、相続財産はどのように分けても差し支えありません。
一部の相続人が財産を一切相続しない合意をすることがあります。
財産を一切相続しない合意をすることを相続放棄をしたと表現することがあります。
相続放棄をしたと表現しても、相続放棄ではありません。
相続放棄は、家庭裁判所の手続だからです。
財産を一切相続しない合意をすることは、遺産分割協議です。
相続財産は、相続人全員が法定相続分で共有している財産です。
相続放棄は、身分行為であって財産処分行為ではありません。
遺産分割協議は、共有持分の処分行為です。
財産を一切相続しない合意をする場合、自己の財産を減少させる合意をしたと言えます。
不当な財産減少行為は、詐害行為になります。
適法合法な遺産分割協議であっても、不当な財産減少行為になることがあります。
遺産分割協議は、詐害行為で取消ができます。
⑤生前贈与は詐害行為で取消ができる
被相続人の財産がわずかなプラスの財産と莫大なマイナスの財産であることがあります。
莫大なマイナスの財産があっても、生前贈与をすることができます。
自分の財産は、自由に処分することができるからです。
わずかなプラスの財産を生前贈与すると、被相続人には莫大なマイナスの財産だけが残ります。
この後に相続が発生したら、相続人は相続放棄をするでしょう。
相続放棄が認められたら、債権者は相続人に借金の返済を求めることができません。
このようなことが認められると、債権者にとってあまりに理不尽です。
贈与税を納めても贈与税を納めていなくても、債権者にとって理不尽です。
債権者を害することを知ってされた贈与は適法な贈与契約であっても、詐害行為に該当します。
生前贈与は、詐害行為で取消ができます。
⑥相続放棄が詐害行為ではない理由
理由①相続放棄は身分行為だから
詐害行為で取り消すことができるのは、財産行為のみです。
相続放棄は、身分行為と考えられています。
身分行為とは、結婚や離婚、養子縁組や離縁、認知などの行為です。
身分行為は、他の人から強制されるものではありません。
相続放棄をしたのに詐害行為で取り消されるとなると、実質的に相続が強制されます。
身分行為が強制されるのは、許されることではありません。
相続放棄を詐害行為で取り消せない理由1つ目は、相続放棄は身分行為だからです。
理由②相続放棄の存在意義がなくなるから
多額の借金を相続すると、相続人の人生が破綻します。
相続人の人生を守るために、相続放棄の制度が存在します。
相続放棄をしたのに詐害行為で取り消されるとなると、相続放棄の制度の意義がなくなります。
相続放棄を詐害行為で取り消せない理由2つ目は、詐害行為で取消を認めると相続放棄の存在意義がなくなるからです。
理由③債権者が負担するべきリスクの押し付けになるから
お金を貸す人は、債務者が自己破産をするリスクを検討してお金を貸すか決めているはずです。
相続が発生したら、相続人が相続放棄をするリスクも検討してお金を貸すか決めるべきです。
債権者が負担するべきリスクを相続人に押し付けることは、許されることではありません。
相続放棄を詐害行為で取り消せない理由3つ目は、債権者が負担するべきリスクを相続人に押し付けることになるからです。
理由④財産を減少させていないから
詐害行為とは、債権者が困ることを知っているのに不当に財産を減少させることです。
相続放棄をしても、積極的に財産を減少させたわけではありません。
相続放棄を詐害行為で取り消せない理由4つ目は、財産を減少させていないからです。
3破産開始後に相続放棄ができる
①相続発生→破産手続開始決定→相続放棄
破産手続とは、借金の支払を免除してもらう手続です。
破産者のプラスの財産を債権者に公平に分配して、マイナスの財産をなしにします。
マイナスの財産が無くなるから、人生のやり直しの機会を得ることができます。
相続人が破産手続をする場合、相続人に多額の借金があるでしょう。
被相続人が莫大なプラスの財産を残して、死亡することがあります。
莫大なプラスの財産があるのに、破産する相続人が相続放棄をすることがあります。
相続放棄は、詐害行為で取消すことはできません。
債権者の利益を確保するため、破産手続開始決定後の相続放棄は限定承認として効力が認められます。
②破産手続開始決定→相続発生→相続放棄
破産手続開始決定がされた後に取得した財産は、破産手続と関係がありません。
破産手続開始決定以降に取得した財産は、破産者が自由に処分することができます。
破産の制度は、マイナスの財産の財産を無くして人生のやり直しの機会を得るための制度です。
相続人は、相続財産を相続してもいいし相続放棄をしても差し支えありません。
4債権者の対応策
①相続放棄の有無の照会
相続放棄の申立てを受け付けた後、結果は申立てをした人にだけ通知します。
家庭裁判所は、自主的に債権者に通知しません。
相続放棄をするにあたって、だれかの同意が必要になることはありません。
債権者が知らない間に相続放棄の申立てがされて、知らない間に相続放棄が認められます。
相続放棄が認められると、はじめから相続人でなくなります。
相続人でないのに、被相続人の借金を請求することはできません。
債権者は、家庭裁判所に対して相続人が相続放棄をしたか質問することができます。
相続放棄の有無の照会とは、相続放棄をしたか質問する制度です。
相続放棄が認められても、債権者に通知する義務はありません。
できれば、連絡してあげると親切でしょう。
債権者に通知してあげれば、不要な督促を受けなくなるからです。
債権者の対応策1つ目は、相続放棄の有無の照会です。
②相続財産清算人選任の申立て
相続人になる人は、法律で決められています。
被相続人が莫大な借金を抱えて死亡した場合、相続人全員が相続放棄をするでしょう。
相続人が不存在である場合、相続財産は国庫に帰属します。
相続財産清算人とは、相続財産を清算して国庫に帰属させる人です。
債権者は、相続財産に関する利害関係人です。
家庭裁判所に相続財産清算人選任の申立てをすることができます。
相続財産清算人が選任された場合、相続財産から弁済を受ける可能性があります。
債権者の対応策2つ目は、相続財産清算人選任の申立てです。
③詐害行為取消権は裁判で行使
相続人が相続放棄をしても、相続放棄は詐害行為で取消すことができません。
被相続人が理不尽な生前贈与をしていた場合、詐害行為で取消すことができます。
相続人が不当な遺産分割協議を成立させた場合、詐害行為で取消すことができます。
詐害行為取消権は、裁判上行使する必要があります。
債権者の対応策3つ目は、裁判で詐害行為取消権を行使することです。
5相続放棄の手続方法
①被相続人の住所地の家庭裁判所へ申立て
相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に相続放棄の申立てをします。
申立先は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。
家庭裁判所の管轄は、裁判所のホームページで確認することができます。
②相続放棄の期限3か月
相続放棄には、3か月の期限があります。
「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。
③相続放棄の必要書類
家庭裁判所に提出する書類は、次のとおりです。
(1)相続放棄申述書
(2)被相続人の除票
(3)相続放棄する人の戸籍謄本(3か月以内のもの)
(4)収入印紙
(5)裁判所が手続で使う郵便切手
(6)被相続人の戸籍謄本
④相続放棄が認めらないケース
ケース①相続放棄の期限3か月が過ぎてしまった
ケース②相続財産を処分利用した
ケース③家庭裁判所で手続をしていない
6相続放棄を司法書士に依頼するメリット
相続放棄はプラスの財産もマイナスの財産も引き継ぎませんという裁判所に対する申立てです。
相続人間の合意で、相続財産を一切相続しませんと決めることではありません。
家庭裁判所で認められないと、相続放棄とは認められません。
相続放棄をする場合、相続問題だけでなく被相続人や相続人の借金の問題が隠れています。
複雑な事情がある場合、相続人だけでなく債権者を巻き込んでトラブルになりがちです。
あいまいな知識では、余計トラブルが大きくなるでしょう。
相続放棄を考えている人は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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自己破産した人が相続放棄
1自己破産した人は相続人になる
①相続人になる人は法律で決まっている
相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。
だれが相続人になるかについては、民法で決められています。
相続人になる人は次のとおりです。
(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。
(1)配偶者は必ず相続人になる
(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども
(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属
(4)被相続人に子どももいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹
②自己破産しても相続欠格にならない
相続欠格とは、相続人としてふさわしくない人の相続資格を奪う制度です。
相続人になれない人は、民法で決められています。
欠格になるのは、次のような理由がある人です。
(1) 故意に被相続人、同順位以上の相続人を死亡させた人、死亡させようとした人
(2) 被相続人が殺害されたのを知って、告訴や告発をしなかった人
(3) 詐欺・脅迫で遺言の取消・変更をさせたり、妨害した人
(4) 遺言書を偽造・変造・廃棄・隠匿した人
相続人が自己破産をしただけであれば、欠格になることはありません。
③自己破産しても相続人廃除できない
相続人廃除とは、被相続人の意思で、相続人の資格を奪う制度です。
相続人の資格を奪うというのは、実質的には、遺留分を奪うことです。
相続人の廃除は遺留分を奪う重大な決定だから、家庭裁判所は慎重に判断します。
相続人の廃除は、次のような理由があるときに認められます。
(1)被相続人に虐待をした
(2)度重なる重大な親不孝をした
(3)被相続に重大な侮辱をした
(4)重大犯罪をして有罪判決を受けた
(5)多額の借金を被相続人に払わせた
(6)愛人と暮らすなどの不貞行為をする配偶者
単に、相続人が自己破産をしただけであれば相続人廃除が認められることはないでしょう。
自己破産の理由によっては、廃除されるかもしれません。
2相続放棄とは
相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も相続人が受け継ぎます。
被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継がないことを相続の放棄といいます。
被相続人に多額の借金がある場合、相続放棄を考えるといいでしょう。
自己破産をした人だから相続放棄をしなければならないといったことはありません。
相続放棄は、家庭裁判所に対して必要な書類をを添えて相続放棄をしたい旨の申立てをします。
相続放棄の申立ては相続があったことを知ってから、原則として、3か月以内にする必要があります。
3自己破産をすると破産者の財産は債権者に配当される
自己破産とは、借金の支払を免除してもらう手続のことです。
破産者のプラスの財産を債権者に公平に分配して、マイナスの財産をなしにします。
マイナスの財産が無くなるから、人生のやり直しの機会を得ることができます。
自己破産では、自己破産の申立ての後に破産手続開始決定がされます。
破産手続開始決定がされた後、相続が発生しても破産手続が取り消されたり止まったりすることはありません。
4相続が発生した後に破産手続開始決定がされた場合
相続人が自己破産する場合、相続人は多額の借金があります。
被相続人に莫大なプラスの財産がある場合、相続人の債権者はプラスの財産から借金を返してもらいたいと期待するでしょう。
被相続人に莫大なプラスの財産があるのに、自己破産する相続人が相続放棄をすることがあります。
相続放棄をした場合、通常であれば、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継ぐことがありません。
プラスの財産もマイナスの財産も受け継がないとすると、債権者の利益が損なわれることになります。
そこで債権者の利益を確保するため、破産手続開始決定後の相続放棄は限定承認として効力が認められます。
限定承認とは、被相続人のプラスの財産の範囲内でマイナスの財産を相続するものです。
破産手続開始決定がされた時点で、破産者のプラスの財産は債権者に公平に分配されます。
プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を相続した後、債権者に公平に分配されます。
自己破産した人の相続分が債権者に回収されて分配されてしまいます。
相続財産には、自宅不動産など分けにくいものもあるでしょう。
自己破産した人の相続分を回収するため、自宅を売却することになることがあります。
売却手続などを必要とする管財手続になった場合、手続に費用と時間がかかります。
被相続人に莫大なプラスの財産があるだけでなく圧倒的なマイナスの財産がある場合があります。
圧倒的なマイナスの財産がある場合まで、限定承認として手続するのは面倒です。
破産管財人は、相続放棄があったことを知ってから3か月以内に相続放棄のままでいいと家庭裁判所に申立てをすることができます。
破産手続開始決定前の相続放棄は、通常どおり、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継ぐことがありません。
5破産手続開始決定がされた後に相続が発生した場合
破産手続開始決定がされた後に取得した財産は、破産手続と関係がありません。
債権者に公平に分配される財産は、破産手続開始決定がされた時点の財産だからです。
破産手続開始決定以降に取得した財産は、破産者が自由に処分することができます。
自己破産の制度は、マイナスの財産の財産を無くして、人生のやり直しの機会を得るための制度だからです。
被相続人に莫大なプラスの財産がある場合、相続人は相続することができます。
もちろん、相続放棄をすることもできます。
6相続放棄を司法書士に依頼するメリット
自己破産をするといろいろなことが制限されるというイメージがある方は少なくありません。
そのイメージとあいまって、相続することもできないという誤解があります。
自己破産をしても相続権は失われません。
自己破産をしたから相続放棄をしなければならないといったことはありません。
自己破産を検討しているのであれば、早めに準備を進めるのがいいでしょう。
相続の発生が予想されるのであれば、なおさら早めに破産手続き始決定を受けておくことを目指しましょう。
破産手続開始決定を受けた後であれば、取得した財産は破産手続とは無関係になるからです。
大切な家族を失ったら家族は大きな悲しみに包まれます。
大きな悲しみで何もする気になれないことも多いでしょう。
相続手続は一生に何度も経験するものではありません。
だれにとっても不慣れでだれにとっても聞き慣れない言葉でいっぱいです。
相続放棄をはじめとして相続手続全般をサポートしています。
相続放棄を検討している方は、すみやかに司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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相続登記義務化で簡素化された手続
1令和6年(2024年)4月1日から相続登記義務化
①令和6年(2024年)4月1日から相続登記は義務
所有権移転登記をしない場合、所有者はソンをします。
不動産に対して権利主張をする人が現れた場合、所有者のはずなのに権利主張ができないからです。
相続登記は、手間のかかる手続です。
自分で相続登記をしようとするものの、多くの人は挫折します。
相続登記をする場合、登録免許税を納付しなければなりません。
相続登記を専門家に依頼する場合、専門家に報酬を支払う必要があります。
相続登記にかかる手間と費用がもったいないと考える人が少なくありません。
相続登記がされない場合、登記簿を見ても土地の所有者が分からなくなります。
所有者不明の土地の発生を防止するため、相続登記をすることは義務になりました。
②3年のスタートは知ってから
相続登記は、3年以内に登記申請をする義務が課されました。
相続登記の期限3年のスタートは、知ってからです。
自己のために相続の開始があったことを知って、かつ、不動産を取得することを知った日から、スタートします。
相続が発生したら、近親者には真っ先に連絡するでしょう。
さまざまな家族の事情から、疎遠になっている相続人がいます。
疎遠な相続人は、相続発生から長期間経過してから相続があったことを知るでしょう。
相続があったことを知るまで、期限3年はスタートしません。
相続登記の期限3年のスタートは、知ってからです。
③令和6年(2024年)4月1日以前発生の相続も義務化の対象
令和6年4月1日から、相続登記は義務になりました。
令和6年4月1日以降に発生した相続は、もちろん対象になります。
令和6年4月1日以前発生の相続も、義務化の対象です。
令和6年4月1日以前発生の相続では、令和6年4月1日に期限3年がスタートします。
④相続登記義務化の背景
不動産の権利を取得したら、すぐに登記申請をします。
登記がないと、権利主張ができないからです。
不動産登記簿を見たら、不動産の権利関係が分かります。
相続登記がされていないと、所有者がだれなのか分からなくなります。
不動産を売ってほしい場合だれにお願いしたらいいのか、登記簿を見ても分かりません。
例えば、公共事業のために土地を売ってほしい場合、所有者が分からないと公共事業ができなくなります。
社会全体にとって、大きな損失でしょう。
相続登記義務化によって、所有者不明土地解消につなげる目的があります。
2相続人申告登記で手続を簡素化
①相続人申告登記で義務を果たす
相続人申告登記とは、相続人が法務局に対し自分が相続人であることを申告する制度です。
申告に基づいて、登記官が職権で相続人の住所や氏名を登記に付記します。
相続人申告登記をしたことで、相続登記の義務を履行したと扱われます。
相続人申告登記は、相続登記の義務を履行しやすくする制度です。
②相続人申告登記は押印不要オンライン申請でも電子署名不要
相続人申告登記とする場合、法務局に対して相続人申出書を提出します。
相続登記をする場合、登記申請書に申請人が押印する必要があります。
相続人申告登記をする場合、相続人申出書に押印は不要です。
相続登記も相続人申告登記も、オンライン申請をすることができます。
オンラインで相続登記をする場合、申請人は電子署名をする必要があります。
電子署名をするためには、電子証明書が必要になります。
相続登記のために、電子証明書を準備するのは負担が大きいでしょう。
オンラインで相続人申告登記をする場合、申出人の電子署名は不要です。
相続人の負担軽減のため、相続人申告登記では押印や電子署名は不要です。
③相続人であることが分かる戸籍謄本のみでよい
相続人申告登記では、相続人であることが付記で登記されます。
法定相続分は登記されないから、すべての相続人を把握する必要がありません。
例えば、被相続人の配偶者は、必ず相続人になります。
提出する戸籍謄本は、被相続人の死亡が記載された戸籍謄本と配偶者であることが分かる戸籍謄本です。
多くの場合、同じ戸籍謄本でしょう。
相続登記では、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要になります。
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本で、相続人を確定させるからです。
相続人の負担軽減のため、相続人であることが分かる戸籍謄本のみで手続をすることができます。
④一部の相続人から相続人申告登記
相続人になる人が相続人申告登記の申出をします。
相続人申告登記では、自分が相続人のひとりであれば申出をすることができます。
他の相続人について調査することなく、自分が相続人であることを申し出することができます。
相続登記の義務を果たしたと判断されるのは、相続人申告登記をした人のみです。
他の相続人が相続人申告登記をしていない場合、相続登記の義務を果たしていません。
相続人申告書は、複数の相続人が連名で提出することができます。
複数の相続人が連名で、代理人に依頼することができます。
他人の依頼を受けて、業として相続人申告登記に関する手続を代理できるのは、弁護士と司法書士に限られます。
一部の相続人から、相続人申告登記をすることができます。
⑤相続人申告登記に登録免許税は課されない
相続人申告登記は、相続人の申告に基づいて登記官が職権で相続人の住所や氏名を登記に付記する制度です。
相続人申告登記では、登録免許税は課されません。
3相続登記義務化で相続人の負担軽減
①受遺者が相続人なら単独申請ができる
被相続人が生前に遺言書を作成することがあります。
遺言書を作成して、自分の財産を遺贈することができます。
遺贈とは、遺言書で相続人や相続人以外の人に財産を引き継ぐことです。
受遺者とは、遺贈によって財産の引継ぎを受ける人です。
遺贈による所有権移転登記は、原則として権利者と義務者の共同申請です。
受遺者が相続人である場合、事務負担が軽減されました。
受遺者が単独で、遺贈による所有権移転登記をすることができます。
義務者が単独で遺贈による所有権移転登記をする場合、被相続人の権利証が不要です。
義務者が単独で登記申請ができるから、他の相続人の協力が不要です。
他の相続人が遺言書の内容に不満を持つ場合、登記申請に協力してくれないでしょう。
受遺者が相続人である場合、遺贈による所有権移転登記は相続登記義務化の対象です。
手続が簡素化されたから、相続人の事務負担が軽減されました。
受遺者が相続人なら、単独申請をすることができます。
②法定相続で登記した後は単独で所有権更正登記
相続財産は、相続人全員の共有財産です。
相続人全員が法定相続分で共有していると言えます。
遺産分割協議がまとまらない場合、法定相続分で相続人全員名義にする相続登記をすることができます。
遺産分割協議とは、相続財産の分け方を決めるため相続人全員でする話合いです。
相続人全員で共有したままにすると、不自由が多いものです。
相続人のひとりが相続する遺産分割協議を成立させるでしょう。
不動産を相続する相続人に名義を変更する必要があります。
原則として、持分を取得する相続人と持分を失う相続人の共同申請です。
法定相続分で相続人全員名義にする相続登記をした場合、事務負担が軽減されました。
持分を取得する相続人が単独で、所有権更正登記をすることができます。
持分を取得する相続人と持分を失う相続人の共同申請をする場合、固定資産税評価額に応じて登録免許税が課されます。
単独申請をする場合、不動産1件あたり1000円で済みます。
単独申請をする場合、持分を失う相続人の権利証は不要です。
持分を失う相続人の協力がなくても、名義変更をすることができます。
所有権更正登記は、相続登記義務化の対象です。
手続が簡素化されたから、相続人の事務負担が軽減されました。
法定相続で登記した後は、単独で所有権更正登記をすることができます。
③登録免許税の免税措置
相続登記をするとき、登録免許税が課されます。
相続人の負担軽減のため、条件にあてはまるときは登録免許税が免除されます。
登録免許税は課されないのは、次の場合です。
・土地を相続した相続人が相続登記をする前に死亡した場合
・相続した土地の固定資産税評価額が100万円以下の場合
相続人に遺贈された土地も同様に、登録免許税が免除されます。
相続人の負担軽減のため、登録免許税の免税措置があります。
④戸籍謄本等の広域交付
相続登記をする場合、たくさんの戸籍謄本を準備する必要があります。
戸籍謄本は、本籍地の市区町村役場に請求するのが原則です。
本籍地が近隣でない場合、戸籍謄本を準備するのは大きな負担です。
広域交付制度とは、日本全国どこの市区町村役場でも戸籍謄本を取得することができる制度です。
例えば、名古屋市内に本籍地がある人が名古屋市以外の市区町村役場で戸籍謄本を取得することができます。
名古屋市外に本籍地がある人が名古屋市内の各区役所で戸籍謄本を取得することができます。
相続人の負担軽減のため、戸籍謄本等の広域交付が開始されました。
4相続登記義務化でペナルティー
①期限3年を守れないとペナルティー
相続登記の期限3年以内に登記申請をしないと、10万円以下のペナルティーの対象になります。
ペナルティーは行政罰だから、前科は付きません。
ペナルティーを払っても、相続登記を代わりにやってくれることはありません。
②正当理由があるとペナルティーが課されない
相続登記の期限3年以内に登記申請をしないと、ペナルティーの対象になるのが原則です。
正当理由が認められる場合、ペナルティーが課されません。
例えば、次のケースでは、正当理由があると認められる可能性があります。
・数次相続が発生して相続人が極めて多数に上り、戸籍謄本等の必要な資料の収集や他の相続人の把握に多くの時間を要するケース
・遺言の有効性や遺産の範囲等が争われているケース
・申請義務を負う 相続人自身に重病等の事情があるケース
正当理由があると認められるときは、ペナルティーを免れることができるでしょう。
ペナルティーを免れても、相続登記の義務自体を免れるわけではありません。
5相続登記を司法書士に依頼するメリット
大切な家族を失ったら、大きな悲しみに包まれます。
やらなければいけないと分かっていても、気力がわかない方も多いです。
相続手続は一生のうち何度も経験するものではないでしょう。
だれにとっても不慣れで、手際よくできるものではありません。
相続登記は、相続手続の中でも手間がかかる難しい手続です。
不動産は、重要な財産であることが多いものです。
法務局は、厳重な審査をします。
一般の人にとって些細なことと思えるようなことでやり直しになります。
実は、相続手続をスムーズにするコツがあります。
それは、はじめに相続登記をすることです。
相続登記は難しい手間がかかる手続なので、司法書士などの専門家に依頼するでしょう。
相続手続で挫折しがちなのは、戸籍謄本などの書類収集や遺産分割協議書の作成です。
書類収集や遺産分割協議書の作成は、司法書士に依頼することができます。
司法書士が戸籍謄本や遺産分割協議書を準備したうえに、法務局の厳重な審査をします。
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生前贈与を受けても相続放棄
1生前贈与を受けても相続放棄
①生前贈与は贈与者と受贈者の契約
自分の財産は、自由に処分することができます。
生前贈与とは、財産の持ち主が生前に贈与契約をすることです。
贈与は、贈与者と受贈者の契約です。
贈与者と受贈者が合意すれば、贈与をすることができます。
合意があれば、口頭の合意であっても贈与は成立します。
生前贈与をするにあたって、だれかの同意は必要ありません。
家庭裁判所などの関与も、ありません。
生前贈与は、贈与者と受贈者の契約です。
②相続放棄で相続人でなくなる
相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。
相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄の申立てをします。
家庭裁判所で相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。
相続放棄は、相続が発生してから手続します。
生前贈与と相続放棄は、相互に関係がありません。
生前贈与を受けても受けていなくても、相続放棄をすることができます。
生前贈与を受けても受けていなくても、単純承認することができます。
相続放棄をすると、はじめから相続人でなくなります。
2生前贈与と相続放棄が債権者に与える影響
①詐害行為は取消しができる
お金を借りた人は、借りたお金を返さなければなりません。
借りたお金を返さなければならないのに、自分の財産を不当に減少させると借金を返せなくなることがあります。
自分の財産を不当に減少させると、債権者は借金を返してもらえなくなって困ります。
詐害行為とは、債権者が困ることを知っているのに不当に財産を減少させることです。
たとえ、合法適法な贈与であっても、詐害行為になることがあります。
借金を返してもらうため、債権者は詐害行為を取り消すことができます。
②相続放棄は詐害行為ではない
被相続人が多額の借金を抱えて、死亡することがあります。
被相続人の借金は、相続財産です。
相続が発生したら、相続人が相続します。
相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。
被相続人の借金を引き継がないために、相続放棄をすることが考えられます。
相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。
相続人に借金を返してもらおうと思っていたのに、請求できなくなって債権者は困ります。
債権者が困ることを知っていたのに、相続放棄をしたと言えます。
相続放棄は、詐害行為ではありません。
相続放棄について、債権者がとやかく言うことはできません。
債権者は、相続放棄を詐害行為で取り消すことはできません。
③相続放棄が詐害行為ではない理由
理由①相続放棄は身分行為だから
詐害行為で取り消すことができるのは、財産行為のみです。
相続放棄は、身分行為と考えられています。
身分行為とは、結婚や離婚、養子縁組や離縁、認知などの行為です。
身分行為は、他の人から強制されるものではありません。
相続放棄をしたのに詐害行為で取り消されるとなると、実質的に相続が強制されます。
身分行為が強制されるのは、許されることではありません。
相続放棄を詐害行為で取り消せない理由1つ目は、相続放棄は身分行為だからです。
理由②相続放棄の存在意義がなくなるから
多額の借金を相続すると、相続人の人生が破綻します。
相続人の人生を守るために、相続放棄の制度が存在します。
相続放棄をしたのに詐害行為で取り消されるとなると、相続放棄の制度の意義がなくなります。
相続放棄を詐害行為で取り消せない理由2つ目は、詐害行為で取消を認めると相続放棄の存在意義がなくなるからです。
理由③債権者が負担するべきリスクの押し付けになるから
お金を貸す人は、債務者が自己破産をするリスクを検討してお金を貸すか決めているはずです。
相続が発生したら、相続人が相続放棄をするリスクも検討してお金を貸すか決めるべきです。
債権者が負担するべきリスクを相続人に押し付けることは、許されることではありません。
相続放棄を詐害行為で取り消せない理由3つ目は、債権者が負担するべきリスクを相続人に押し付けることになるからです。
理由④財産を減少させていないから
詐害行為とは、債権者が困ることを知っているのに不当に財産を減少させることです。
相続放棄をしても、積極的に財産を減少させたわけではありません。
相続放棄を詐害行為で取り消せない理由4つ目は、財産を減少させていないからです。
④生前贈与に対して詐害行為取消権
生前贈与を受けても受けていなくても、相続放棄をすることができます。
被相続人の財産がわずかなプラスの財産と莫大なマイナスの財産であることがあります。
被相続人は、自分の財産を自由に処分することができます。
わずかなプラスの財産を生前贈与することがあります。
わずかなプラスの財産と莫大なマイナスの財産の場合、贈与契約はできないというルールはありません。
贈与者と受贈者が合意したら、贈与契約をすることができます。
わずかなプラスの財産を贈与したら、残る財産は莫大なマイナスの財産のみです。
この後に相続が発生したら、相続人は相続放棄をするでしょう。
相続放棄が認められたら、債権者は相続人に借金の返済を求めることができません。
このようなことが認められると、債権者にとってあまりに理不尽です。
贈与税を納めても贈与税を納めていなくても、債権者にとって理不尽です。
適法な贈与契約であっても、詐害行為に該当します。
理不尽な生前贈与に対して、詐害行為取消権を行使することができます。
⑤詐害行為取消権は裁判で行使
債権者は、裁判所に訴えて理不尽な生前贈与の取消を請求することができます。
借りたお金を返さなければならないのに、自分の財産を不当に減少させたからです。
債権者が困ることを知っているのに不当に財産を減少させたから、詐害行為にあたります。
裁判所に理不尽な生前贈与と認められたら、詐害行為は取消されます。
理不尽な生前贈与は、相続財産に戻さなければなりません。
債権者は、相続財産から借金の弁済をしてもらうことができます。
債権者が詐害行為取消権を行使しても、相続放棄に影響はありません。
裁判所に訴えて、詐害行為取消権を行使することができます。
3生前贈与と相続放棄が相続人に与える影響
①兄弟姉妹以外の相続人に遺留分がある
自分の財産は、自由に処分することができます。
自分の財産をどのように使うかは、自由に決めることができます。
とはいえ財産はひとりで築いたものではないでしょう。
家族の協力があってこそ、築くことができたもののはずです。
自分の名義になっているからと言って、まったく無制約の自由にすることはできません。
今まで協力してきた家族に、酷な結果となるおそれがあるからです。
被相続人に近い関係の相続人には、最低限の権利が認められています。
遺留分とは、被相続人に近い関係の相続人に認められている最低限の権利です。
遺留分は、兄弟姉妹以外の相続人に認められます。
②生前贈与で遺留分を侵害するおそれ
自分の財産は、自由に処分することができます。
財産の状況によっては、生前贈与によって相続人の遺留分を侵害することがあるでしょう。
適法な贈与契約であっても、遺留分を侵害することがあります。
配分された財産が遺留分に満たない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。
生前贈与をしても、遺留分侵害額請求によって取り戻されます。
生前贈与で、遺留分を侵害するおそれがあります。
③相続人以外の人に遺留分侵害額請求ができる
相続人に対する生前贈与と相続人以外の人に対する生前贈与で、遺留分算定の基礎になるか異なります。
相続放棄をした人は、はじめから相続人でなくなります。
相続人以外の人に対する生前贈与と考えられます。
相続人以外の人に対する生前贈与だから、次の贈与が遺留分算定の基礎になります。
(1)相続開始前1年間にした贈与
(2)被相続人と受贈者双方が遺留分権利者に損害を加えると知ってした贈与
相続放棄をした人は、相続人ではありません。
相続人以外の人に、遺留分侵害額請求ができます。
4相続放棄の手続
①相続放棄は家庭裁判所で手続
相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄の申立てをします。
家庭裁判所で手続せずに、相続放棄をすることはできません。
相続放棄の申立ては郵送提出することができますが、オンラインで提出することはできません。
相続人間の話し合いで、相続財産を一切受け取らない合意をすることがあります。
相続人全員で合意ができれば、相続財産を一切受け取らない合意も有効な合意です。
相続財産を一切受け取らない合意をした場合、相続放棄をしたと表現することがあります。
相続放棄をしたと表現するだけで、相続放棄ではありません。
相続放棄は、家庭裁判所で手続する必要があるからです。
相続人間で相続財産を一切受け取らない合意をした場合、相続放棄ではなく遺産分割協議です。
相続放棄は、家庭裁判所で手続します。
②相続放棄の期限は3か月
相続放棄には、期限があります。
相続があったことを知ってから、3か月以内です。
「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。
相続放棄の期限は、3か月です。
③生前に相続放棄はできない
被相続人が莫大な借金を抱えている場合、借金を引き継いでしまうのではないかと不安になるでしょう。
被相続人の生前に、相続放棄をすることはできません。
相続放棄の申立てを家庭裁判所に提出しても、受け付けてもらえません。
被相続人が相続人になる予定の人と相続放棄をすると約束させていることがあります。
相続放棄をすると約束しても念書を差し入れても、意味はありません。
相続放棄は、家庭裁判所の手続だからです。
被相続人の生前に、相続放棄をすることはできません。
④相続放棄の必要書類
(1)被相続人の戸籍謄本
(2)被相続人の除票
(3)相続放棄する人の戸籍謄本
(4)収入印紙
(5)裁判所が手続で使う郵便切手
5生前贈与を受けた後に相続放棄をしたときの相続税
①基礎控除額以内なら相続税は課されない
相続税には、基礎控除があります。
相続財産が基礎控除額以内なら、相続税は課されません。
基礎控除額は、次の計算式で求めることができます。
基礎控除額=3000万円+600万円×相続人の人数
②相続時精算課税で受け取った財産は相続税の対象
相続時精算課税制度とは、贈与税の計算方法のひとつです。
一定の条件にあてはまる場合に、相続時精算課税制度を選択することができます。
相続時精算課税制度を選択すると、贈与税が課されず相続税の対象になります。
相続時精算課税を選択しても、相続放棄をすることができます。
相続時精算課税を選択して受け取った財産を使ってしまっても、相続放棄は有効です。
相続時精算課税を利用して受け取った財産は、相続税の対象です。
③生前贈与は相続財産に戻して相続税
相続税の対象になる財産を減らすため、毎年生前贈与をする人はたくさんいます。
被相続人が死亡直前3~7年間にした生前贈与は、相続財産に持戻して相続税を計算します。
令和6年以降にする生前贈与について、順次相続開始前7年に延長されます。
相続財産に持戻して相続税を計算するのは、相続人に対する生前贈与のみです。
相続放棄をした人は、はじめから相続人でなくなります。
相続放棄をして相続人でなくなっても、相続財産に持戻して相続税を計算する対象になります。
法律上相続人でなくなるのに、相続税の計算においては相続人扱いされます。
相続放棄をしても、生前贈与は相続財産に持戻して相続税を計算します。
6相続放棄を司法書士に依頼するメリット
相続放棄はプラスの財産もマイナスの財産も引き継ぎませんという裁判所に対する申立てです。
相続人間の合意で、相続財産を一切相続しませんと決めることではありません。
家庭裁判所で認められないと、相続放棄とは認められません。
相続放棄をする場合、相続問題だけでなく被相続人や相続人の借金の問題が隠れています。
複雑な事情がある場合、相続人だけでなく債権者を巻き込んでトラブルになりがちです。
あいまいな知識では、余計トラブルが大きくなるでしょう。
相続放棄を考えている人は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
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不動産相続で更地にするメリットデメリット
1不動産相続で更地にするメリット
①倒壊リスクの回避
被相続人が住んでいた家が空き家になることがあります。
空き家を解体して更地にすることを検討するかもしれません。
空き家のままにしておくと、地震や台風などで倒壊する可能性があります。
だれも住まない家は、老朽化が進みます。
壁や塀などが崩れると、隣地や通行人に損害を与えるおそれがあります。
空き家を解体して更地にすると、倒壊リスクの回避することができます。
メリット1つ目は、倒壊リスクの回避できる点です。
②近隣の景観の維持
建物が老朽化すると、見た目が良くないでしょう。
単純に相続した建物の景観が悪くなるだけでなく、地域の景観が悪くなります。
建物がある地域全体の資産価値にも、影響を及ぼすでしょう。
空き家を解体して更地にすると、近隣の景観悪化を防止することができます。
メリット2つ目は、近隣の景観を維持できる点です。
③管理の手間の削減
空き家を放置すると、加速度的に老朽化します。
近隣に住む相続人などが定期的に、風を通すなどの手入れをすることになるでしょう。
相続人が各地に散らばっている場合、建物管理の手間が負担になります。
空き家を解体して更地にすると、管理の手間の削減することができます。
メリット3つ目は、管理の手間を削減できる点です。
④売却しやすくなる
不動産は、分けにくい財産の代表例です。
相続したものの使う予定がない場合、相続人全員が売却する合意をすることがあります。
売却してお金になれば、分けやすいからです。
土地と建物を売却するより、更地の方が買い手が見つかりやすいでしょう。
更地であれば、買い手がすぐに使うことができるからです。
空き家を解体して更地にすると、売却しやすくなります。
メリット4つ目は、売却しやすくなる点です。
⑤相続土地国庫帰属制度が使える
不動産を相続したものの、どの相続人にとっても利用価値がないことがあります。
望まずに相続した不動産は、価値よりも負担が大きくなりがちです。
相続土地国庫帰属制度は、相続で取得した土地にの所有権を手放して国に引き取ってもらう制度です。
所有権を手放して国に引き取ってもらえるのは、土地だけです。
空き家は、引き取ってもらえません。
建物がある土地も、引き取ってもらえません。
空き家を解体して更地にすると、相続土地国庫帰属制度を利用することができます。
相続土地国庫帰属制度を利用するためには、審査手数料と10年分の土地管理費相当額を納入する必要があります。
建物解体費用と較べて、検討するといいでしょう。
メリット5つ目は、倒相続土地国庫帰属制度を利用できる点です。
⑥土地の状態を確認しやすい
相続した不動産を売却する場合、土地の状態は重要なポイントになるでしょう。
空き家を解体して更地にすると、土壌調査や地盤調査がしやすくなります。
メリット6つ目は、土地の状態を確認しやすくなる点です。
2不動産相続で更地にするデメリット
①建物の財産価値が失われる
多くの場合、不動産は重要な財産でしょう。
建物を解体した場合、重要な財産を失います。
空き家を解体して更地にすると、建物の財産価値が失われます。
デメリット1つ目は、建物の財産価値が失われる点です。
②固定資産税の住宅用地特例がなくなる
不動産を保有していると、固定資産税が課されます。
建物を解体すると、建物の固定資産税は課されなくなります。
建物を解体すると、土地の固定資産税は高くなります。
建物が建っている土地は、住宅用地特例が適用されていたからです。
住宅用地特例とは、建物が建っている土地は税金が安くなる特別ルールです。
住宅用地特例が適用されると、固定資産税が最大6分の1に減額されます。
空き家を解体して更地にすると、固定資産税の住宅用地特例がなくなります。
デメリット2つ目は、固定資産税の住宅用地特例がなくなる点です。
③解体費用がかかる
建物を解体する場合、解体費用がかかります。
建物の構造によって、解体費用は変わります。
建物の解体費用の目安は、次のとおりです。
木造 1坪当たり 4~5万円
鉄骨造 1坪当たり 5~6万円
コンクリート造 1坪当たり 8~15万円
道路の状況や解体の難易度によって、加算があります。
空き家を解体して更地にすると、解体費用がかかります。
デメリット3つ目は、解体費用がかかる点です。
④1か月以内に建物滅失登記
建物を解体したら、建物滅失登記をする必要があります。
建物滅失登記とは、建物を解体したときに届ける登記です。
建物を解体してから、1か月以内にする必要があります。
建物滅失登記をしないと、10万円以下のペナルティーが課されるおそれがあります。
建物滅失登記を放置すると、固定資産税がかかり続けるおそれがあります。
空き家を解体して更地にすると、1か月以内に建物滅失登記をする必要があります。
デメリット4つ目は、1か月以内に建物滅失登記をする必要がある点です。
⑤除草の手間がかかる
空き家を解体すると、空き家の管理の手間から解放されます。
空き家を解体して更地になると、空き地全体に雑草が生い茂るでしょう。
空き地全体の除草の手間がかかります。
空き家を解体して更地にすると、除草の手間がかかります。
デメリット5つ目は、除草の手間がかかる点です。
3相続した家を解体して更地にする注意点
①相続人全員の合意が必要
相続が発生すると、被相続人の財産は相続人が相続します。
相続財産は、相続人全員の共有財産です。
相続人全員の共有財産だから、一部の相続人が勝手に解体することはできません。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。
相続財産である建物を解体する場合、相続人全員の合意が必要です。
空き家を解体して更地にするため、相続人全員で合意します。
注意点1つ目は、相続人全員の合意が必要である点です。
②住宅ローンがあると銀行の同意
不動産を購入するときに、銀行などの金融機関で住宅ローンを組むことがあります。
多くの場合、住宅ローンを組む際に抵当権を設定します。
抵当権とは、住宅ローンが返済できなくなったときに備えて担保に取る権利です。
銀行などの金融機関は、購入した不動産に抵当権を持っています。
銀行などが担保に取ったのに、相続人が勝手に取り壊すことはできません。
銀行などが担保に取った場合、抵当権の登記があるはずです。
不動産の登記簿謄本を確認すると、分かります。
登記簿謄本とは、不動産の権利関係が記録された公的な書類です。
空き家を解体して更地にするため、住宅ローンがあると銀行の同意が必要になります。
注意点2つ目は、住宅ローンがあると銀行の同意が必要になる点です。
③再建築不可物件がある
土地と建物を売却するより、更地の方が買い手が見つかりやすいことが一般的です。
買主は、すぐに建物を建てたいからです。
現存する建物を解体したら、再び建物を建築することができないことがあります。
再建築不可物件とは、再び建物を建築することができない物件です。
接道義務を満たしていないケースや市街化調整区域にあるケースが該当します。
接道義務とは、幅員4メートル以上の道に間口2メートル以上接する義務です。
市街化調整区域とは、新しい建物を建てることが制限されている地域です。
空き家を解体して更地にすると、資産価値が大きく目減りします。
注意点3つ目は、再建築不可物件がある点です。
④解体費用の補助金に予算がある
建物を解体する場合、解体費用がかかります。
建物の規模や構造によっては、まとまった金額になるでしょう。
解体費用を準備できないので、空き家を放置することは割とよくあります。
空き家を放置することは、地域住民にとっても大きなデメリットがあります。
建物の解体費用について、補助金を受けられることがあります。
条件にあてはまれば、活用するといいでしょう。
例えば、名古屋市では名古屋市老朽危険空家等除却費補助金があります。
名古屋市老朽危険空家等除却費補助金とは、老朽化などで安全女問題がある空き家の解体費用を補助する制度です。
条件にあてはまっても、補助金を受けられないことがあります。
地方自治体の補助金には、予算があるからです。
先着順で受け付けて予算に達すると、受付が終了されます。
注意点4つ目は、解体費用の補助金に予算がある点です。
⑤相続空き家3000万円控除には条件がある
相続空き家3000万円控除とは、相続手取得した不動産の売却益を最大3000万円少なくして所得税を減らす特例です。
相続空き家3000万円控除は、空き家を減らして土地を有効活用する目的があります。
相続空き家3000万円控除を利用するためには、次の主な条件を満たす必要があります。
・建築要件 昭和56年5月31日以前に建築された一戸建て
・使用条件 相続発生まで被相続人が住んでいたこと
・譲渡期間 相続発生から3年以内の年末までに売却すること
・譲渡価格 売却価格1億円以下
・利用制限 相続から売却まで事業、貸付、他人が居住していないこと
上記は、主な条件だけです。
相続空き家3000万円控除を確実に適用するためには、税務署などに相談するのがおすすめです。
注意点5つ目は、相続空き家3000万円控除には条件がある点です。
4更地に相続登記の義務がある
①令和6年(2024年)4月1日から相続登記は義務
所有権移転登記をしない場合、所有者は不利益を被ります。
不動産に対して権利主張をする人が現れた場合、所有者のはずなのに権利主張ができないからです。
相続登記は、手間のかかる手続です。
自分で相続登記をしようとするものの、多くの人は挫折します。
相続登記をする場合、登録免許税を納付しなければなりません。
相続登記を専門家に依頼する場合、専門家に報酬を支払う必要があります。
相続登記でかかる手間と費用がもったいないと、考える人が少なくありません。
相続登記がされない場合、登記簿を見ても土地の所有者が分からなくなります。
登記簿とは、不動産の権利関係が記録される公的な帳簿です。
所有者不明の土地の発生を防止するため、相続登記をすることは義務になりました。
②相続登記の期限は3年
令和6年4月1日から相続登記は、3年以内に登記申請をする義務が課されました。
相続登記には、3年の期限が決められました。
相続登記の期限は、相続したことを知った日からスタートします。
自己のために相続の開始があったことを知って、かつ、不動産を取得することを知った日から、スタートします。
相続登記の期限は、3年です。
③相続登記をしなくても建物の解体ができる
空き家を解体して更地にすると、1か月以内に建物滅失登記をする必要があります。
建物解体の前提として、相続登記をする必要はありません。
被相続人名義のまま相続登記をせずに、建物滅失登記をすることができます。
建物の解体には、相続人全員の合意が必要です。
建物解体後の建物滅失登記は、一部の相続人がすることができます。
他の相続人の同意は、不要です。
相続登記をしなくても、建物の解体ができます。
④更地の相続登記は省略できない
建物を解体したときに、土地の相続登記は省略できません。
建物を解体した後、すぐに売却することがあるでしょう。
相続登記をしていないと、買主名義に変更することができません。
相続登記を放置すると、デメリットが多くおすすめできません。
建物を解体しても、土地の相続登記は必要です。
5相続登記を司法書士に依頼するメリット
大切な家族を失ったら、大きな悲しみに包まれます。
やらなければいけないと分かっていても、気力がわかない方も多いです。
相続手続は一生のうち何度も経験するものではないでしょう。
だれにとっても不慣れで、手際よくできるものではありません。
相続登記は、相続手続の中でも手間がかかる難しい手続です。
不動産は、重要な財産であることが多いものです。
法務局は、厳重な審査をします。
一般の人にとって些細なことと思えるようなことでやり直しになります。
実は、相続手続をスムーズにするコツがあります。
それは、はじめに相続登記をすることです。
相続登記は難しい手間がかかる手続なので、司法書士などの専門家に依頼するでしょう。
相続手続で挫折しがちなのは、戸籍謄本などの書類収集や遺産分割協議書の作成です。
書類収集や遺産分割協議書の作成は、司法書士に依頼することができます。
司法書士が戸籍謄本や遺産分割協議書を準備したうえに、法務局の厳重な審査をします。
法務局の審査が通った戸籍謄本や遺産分割協議書だから、銀行などの相続手続先で指摘があることはありません。
銀行などの独自書類の内容などに指摘があるとしても、簡単に済むことがほとんどでしょう。
相続手続をスムーズに進めたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
生命保険を活用した代償分割のメリットと注意点
1代償分割で公平に遺産分割
①代償分割は代償金を払ってもらう方法
相続財産には、いろいろな財産が含まれています。
現金や預貯金は、分けやすい財産です。
不動産は、分けにくい財産です。
相続財産の大部分が分けにくい財産の場合、相続人全員の合意が難しくなるでしょう。
代償分割をすることで、相続人全員の合意が得られることがあります。
代償分割とは、一部の相続人が財産を多く相続し、代わりに他の相続人はお金をもらう方法です。
例えば、一部の相続人が不動産を相続し、代わりに他の相続人は不動産を相続した人から、その分の代償をもらう方法です。
代償金を払ってもらうことで、公平な遺産分割をすることができます。
②代償金は遺産分割協議で決定する
代償分割は、相続財産を分ける方法のひとつです。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。
どのような方法で相続財産を分けるのか、相続人全員の合意で決定します。
代償分割をすると決めた後、代償金について相続人全員の合意で決定します。
代償金をいくらにするのかは、遺産分割協議の一部だからです。
代償金をどのような方法で払うのかは、遺産分割協議の一部だからです。
代償金は、遺産分割協議で決定します。
③代償金の支払は遺産分割の一環
不動産は、分けにくい財産の代表例です。
相続財産の大部分が不動産である場合、代償分割は有効です。
公平な遺産分割を実現しやすいからです。
代償金の支払は、贈与ではなく遺産分割の一環です。
代償金を支払っても代償金を受け取っても、原則として贈与税はかかりません。
贈与とは、贈与者が財産を無償で譲渡し受贈者が財産の譲受けに合意することです。
代償金を払う人は、相続財産を多く相続します。
相続財産を多く相続する代償だから、無償で譲渡するとは言えません。
代償金の支払は、遺産分割の一環です。
2代償分割で生命保険を活用するメリット
①生命保険の死亡保険金は受取人の固有の財産
生命保険の死亡保険金は金額が大きいことが多いので、気になる人も多いでしょう。
原則として、生命保険の保険金を受け取る権利は、相続人の固有の財産です。
固有の財産とは、相続財産ではなく、もとからその人の財産であるという意味です。
受取人が「相続人」と指定してあっても、相続で受け取るものではありません。
被相続人の死亡をきっかけにして、死亡保険金を受け取ります。
保険契約によって、受取人が受け取るものです。
被相続人は、生前に生命保険の死亡保険金を受け取る権利を持っていません。
相続によって、被相続人から受け継いだ財産ではありません。
遺産分割協議をしなくても、死亡保険金を受け取ることができます。
遺産分割協議とは、相続財産の分け方を決めるため相続人全員でする話合いです。
生命保険の死亡保険金は、相続財産ではなく受取人の固有の財産です。
②代償分割のトラブル回避
代償分割をする場合、代償金を払う必要があります。
代償金を払う約束をしたのに代償金を払ってもらえないのは、よくあるトラブルです。
生命保険の死亡保険金は、現金で受け取ることができます。
受け取った死亡保険金は、受取人が代償金の支払いに充てることができます。
生命保険を活用した場合、代償分割のトラブルを回避することができるでしょう。
③公平な遺産分割の実現
代償分割は、代償金を払ってもらうことで公平に遺産分割をする方法です。
不動産や事業用財産などは、公平に分割することが難しいでしょう。
一部の相続人が不動産や事業用財産を相続しても、代償金を受け取ることで合意できることがあります。
生命保険を活用して代償分割をすると、公平な遺産分割を実現することができます。
④代償金の準備ができる
公平な遺産分割のため、代償金を支払います。
不動産や事業用財産を相続したのに代償金を支払えないと、トラブルに発展します。
被相続人が生命保険に加入することで、代償金を準備することができます。
生命保険の死亡保険金は、受取人の固有の財産になるからです。
生命保険を活用することで、代償金を準備することができます。
3 代償分割をするときの遺産分割協議書の書き方
①遺産分割協議書は相続人全員の証明書
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。
相続人全員の合意がまとまったら、合意内容を書面に取りまとめます。
遺産分割協議書とは、相続財産の分け方について相続人全員による合意内容の証明書です。
合意内容を取りまとめた書面は、相続人全員に内容を確認してもらいます。
合意内容に問題がなければ、相続人全員が記名し実印で押印します。
遺産分割協議書の押印が実印によることを証明するため、印鑑証明書を添付します。
遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容の証明書です。
②代償分割を遺産分割協議書に明記
遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容の証明書です。
遺産分割の一環として代償金を支払う場合、遺産分割協議書に記載があるはずです。
代償金の支払い条項がない場合、代償金の合意はなかったと判断されます。
遺産分割協議書に代償金の記載がないのに金銭の支払があれば、単なる贈与になります。
代償金のつもりで金銭を支払っても、遺産分割の一環とは言えません。
単なる贈与と判断されるから、贈与税の対象になります。
贈与税は、想像以上に高額になりがちです。
4代償分割で贈与税がかかる
①代償金は贈与税ではなく相続税の対象
代償分割をする場合、代償金を支払っても代償金を受け取っても贈与税の対象ではありません。
代償金の支払いは、遺産分割の一環だからです。
相続財産の規模が大きい場合、相続税の対象になります。
代償金を受け取った相続人は、代償金に相続税が課されます。
代償金を支払った相続人は、代償金を差し引いて相続税が課されます。
代償金は贈与税ではなく、相続税の対象です。
②代償金名目の贈与は贈与税の対象
代償分割は、相続財産を分ける方法のひとつです。
代償分割をすると決めた後、代償金は相続人全員の合意で決定します。
代償金をいくらにするのかは、遺産分割協議の一部だからです。
代償分割は、代償金を支払うことで公平な遺産分割を実現する方法です。
価値の高い不動産などを相続する人は、代償金を支払います。
価値の高い不動産などを相続できない人は、代償金を受け取ります。
代償金で調整するから、公平な遺産分割になるはずです。
代償金で調整するから、代償金の金額は不動産などの評価額を超えることはできないはずです。
不動産の評価額を超えた場合、評価額を超えた部分は代償金とは言えないでしょう。
不動産の評価額までは、代償金を見ることができます。
不動産の評価額を超えた部分は、贈与というべきでしょう。
相続人全員の合意で代償金を決めても、実質的に代償金とは言えません。
代償金名目で遺産分割協議書に記載しても、贈与であると判断されます。
不動産の評価額を超えた部分は、贈与と判断されて贈与税の対象になります。
③死亡保険金を分割すると贈与税の対象になる
他の相続人が死亡保険金を受け取った場合、分割して欲しいと考えるかもしれません。
死亡保険金を相続人間で、分割することができないわけではありません。
固有の財産は、自由に贈与することができるからです。
例えば、相続人が長男と長女の2人で相続財産は1000万円の預金のみのケースがあります。
相続人2人で、預金は長女が全額相続すると合意することができます。
遺産分割協議を成立させたときに、贈与税は課されません。
生命保険の死亡保険金3000万円の受取人が長男である場合、長男から長女へ1000万円支払ってもらうと贈与税の対象になります。
固有の財産から支払いをするのは、単なる贈与だからです。
遺産分割協議書に明記しても、単なる贈与であることに変わりはありません。
生命保険の死亡保険金を分割すると、贈与税の対象になります。
5代償分割で生命保険を活用する注意点
①契約内容を適切に設定する
代償分割で生命保険を活用する場合、次のように設定するのが一般的です。
・契約者 被相続人
・被保険者 被相続人
・受取人 相続人
受取人には、代償金を支払う相続人を指定します。
代償金を支払う相続人は、不動産や事業用財産を相続する相続人です。
他の相続人を指定してしまうと、代償分割ができなくなるおそれがあります。
生命保険の死亡保険金は、受取人の固有の財産だからです。
代償分割で生命保険を活用する注意点の1つ目は、契約内容を適切に設定することです。
②相続させる財産に見合う保険金額を設定する
代償分割で生命保険を活用する場合、死亡保険金の額が重要です。
代償金の支払いにあてるために、生命保険を活用するからです。
代償金に不足すると、トラブルに発展するおそれがあります。
財産を評価する方法は、複数あります。
代償金を受け取る人は、高く評価される評価基準を主張するでしょう。
代償金を支払う人は、低く評価される評価基準を主張するでしょう。
相続財産を適切に評価して、充分な死亡保険金を準備する必要があります。
代償分割で生命保険を活用する注意点の2つ目は、相続させる財産に見合う保険金額を設定することです。
③早期の生命保険解約で元本割れ
相続対策のため生命保険契約をしても、解約を選択することがあるでしょう。
生命保険を契約してから間もない時期に解約すると、元本割れをします。
生命保険契約をしたことで、財産を大きく目減りさせる可能性があります。
代償分割で生命保険を活用する注意点の3つ目は、早期の生命保険解約で元本割れすることです。
6生命保険を活用した代償分割の手順
手順①生命保険契約をする
被相続人が生命保険契約をします。
・契約者 被相続人
・被保険者 被相続人
・受取人 代償金を支払う予定の相続人
相続させる財産に見合う保険金額を設定します。
手順②相続の発生
被保険者が死亡したら、死亡保険金を請求します。
死亡保険金は受取人の固有の財産だから、迅速に保険金を受け取ることができます。
手順③遺産分割協議
遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話合いです。
相続人全員の合意内容は、遺産分割協議書に取りまとめます。
代償金の金額や支払方法は、遺産分割協議で決定します。
手順④代償金の支払い
遺産分割協議で決定した方法で、代償金を支払います。
遺産分割協議書の記載どおりに、不動産や事業用財産の相続手続をします。
7遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット
遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。
合意がきちんと文書になっているからこそ、トラブルが防止できるといえます。
書き方に不備があると、トラブルを起こしてしまう危険があります。
もともとトラブルの火種があるのなら、いっそう慎重になる必要があります。
遺産分割協議書は公正証書にしなくても済むことが多いものですが、慎重を期して公正証書にした方がいい場合があります。
せっかくお話合いによる合意ができたのに、その後にトラブルになるのは残念なことだからです。
公正証書にするためには、手間と費用がかかります。
公正証書にする手間と費用を惜しむと、裁判をするなど大きな手間と高額な費用を負担することになります。
トラブルを防止するため、遺産分割協議書を公正証書にしたい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
公正証書遺言の証人になれる人なれない人
1公正証書遺言は安心確実な遺言書
公正証書遺言とは、遺言内容を公証人に取りまとめてもらって作る遺言書です。
遺言者が公証人に遺言内容を伝えて、証人2人に確認してもらって作ります。
公正証書遺言を作成した場合、遺言書原本は公証役場で厳重に保管されます。
公正証書遺言は、紛失するおそれがありません。
遺言書の内容に不満がある相続人がいることがあります。
遺言書が自筆証書遺言である場合、相続人が遺言書の偽造や変造をすることがあります。
偽造や変造をしなくても、偽造や変造のおそれが心配になるでしょう。
公正証書遺言は、公証役場で厳重に保管されます。
紛失、偽造、変造の心配は、無用です。
2公正証書遺言の証人になれる人
公正証書遺言は、証人2人に確認してもらって作ります。
証人になる人に、特別な資格はありません。
証人は、遺言書の内容をチェックする人です。
遺言書の内容をチェックする判断能力が必要です。
相続に無関係な人で、かつ、秘密を守ってくれる人が適任です。
3公正証書遺言の証人になれない人
①未成年者
未成年者は、物事のメリットデメリットを充分に判断することができません。
充分に判断することができないので、遺言書の内容を確認したとは言えません。
証人になれない人なのに証人として立ち会った遺言書は、原則として、無効になります。
未成年者は判断能力が不充分だから、証人になれません。
②相続人・受遺者になる予定の人とその人の配偶者や直系血族
遺言者は、遺言書で相続人や相続人以外の人に自分の財産を遺贈することができます。
受遺者とは、財産の遺贈を受ける人です。
相続人・受遺者は、遺言の内容に利害関係がある人です。
相続人・受遺者の配偶者や直系血族は、相続人・受遺者に近い関係の人です。
利害関係がある人に準じて考えられます。
遺言に利害関係がある人は、遺言の内容に強い関心があるでしょう。
利害関係がある人は、自分に有利な遺言をしてもらいたいと考えます。
証人として立ち会った場合、遺言の内容に何らかの影響を与えるかもしれません。
遺言者が真意による遺言をすることが難しくなるおそれがあります。
遺言書は、遺言者の意思を示すものです。
遺言者の真意を損なうことは許されません。
遺言者が真意による遺言をすることができるようにするため、証人になれない人が定められています。
相続人・受遺者になる予定の人など利害関係がある人は遺言書の公正を保持するため、証人になれません。
③公証人の配偶者、4親等内の親族、書記、使用人
公正証書遺言は、遺言内容を公証人に取りまとめてもらって作る遺言書です。
証人は、遺言書の内容をチェックする人です。
公証人に近い関係の人が証人になった場合、チェックしにくいでしょう。
遺言書の内容をチェックする人なのに、チェック機能が働かないおそれがあります。
遺言内容を公証人に取りまとめてもらって、きちんと証人に確認してもらっているから公正証書遺言には高い信頼性があります。
公証人の近い関係の人はチェック機能が働きにくくなるから、証人になれません。
④欠格事由はなくても慎重に選定
被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。
子どもが相続人になる場合、孫は相続人になりません。
孫は、直系血族です。
直系血族だから、孫は証人になることはできません。
孫の配偶者は、相続人になることはありません。
孫の配偶者は、直系血族ではありません。
孫の配偶者は、姻族です。
孫の配偶者は、証人になれない人に該当しません。
証人になれない人ではないけど、おすすめはできません。
孫の配偶者は、利害関係人に近い関係の立場だからです。
遺言書の内容に不満がある相続人がいた場合、トラブルになるおそれがあります。
孫の配偶者に証人になってもらった場合、トラブルに巻き込むかもしれません。
証人になれない人に該当しないけど、慎重に選定する方がいいでしょう。
4証人は2人必要
①証人2人を省略できない
公正証書遺言を作成する場合、証人は2人必要です。
公正証書遺言を作成するときは、次の4人が関わります。
・遺言者本人
・公証人
・証人2人
証人は、遺言者が用意する必要があります。
証人が準備できない場合であっても、証人を省略することはできません。
証人2人に確認してもらっていない場合、公正証書遺言を作成することはできません。
②証人を用意することができないときは
公正証書遺言を作成する場合、司法書士などの専門家にサポートしてもらうことが一般的です。
専門家に相談していた場合、適切なアドバイスを受けることができます。
遺言書文案作成の段階からサポートを受けていると、将来のトラブルの芽を摘むことができるからです。
自分で証人を用意することができない場合、相談を受ける専門家に依頼することができます。
司法書士などの専門家には、守秘義務があります。
遺言の内容が外部に漏れる心配はありません。
5公正証書遺言作成の当日にやること
①証人は作成する場所へ出向く
証人は、公正証書遺言の作成に立会います。
公正証書遺言を作成する場合、原則として、遺言者は公証役場に出向きます。
遺言者の体が不自由などの理由で、公証役場に出向くことができないことがあります。
入院している病院や施設に公証人が出張して、公正証書遺言を作成することができます。
入院している病院や施設で公正証書遺言を作成する場合、証人も出張します。
②遺言内容の確認
公正証書遺言を作成する場合、当日までに遺言内容の打ち合わせをします。
司法書士などの専門家にサポートを依頼する場合、専門家が打合せをしてくれます。
公正証書遺言を作成する当日は、遺言者本人、公証人、証人2人が集まります。
印鑑証明書などを提出してもらって、遺言者本人であることを確認します。
遺言書の内容は、事前に公証人と打合せがされているでしょう。
遺言書の内容に間違いがないか、公証人が読み聞かせをします。
③署名押印
公証人が読み聞かせをした遺言内容に問題がなければ、遺言者、証人2人、公証人が署名押印をします。
④証人が立会いをするとき必要なもの
証人は、遺言書の内容を確認する人です。
証人の本人確認がされます。
証人は、身分証明書を準備します。
身分証明書は、運転免許証やマイナンバーカードなどです。
遺言内容に問題がない場合、証人は署名押印をします。
公正証書遺言作成の当日、遺言書原本に押印する印章を準備します。
印章は、認印で差し支えありません。
⑤証人の責任
証人に守秘義務を定めた法律はありません。
遺言書に記載されている事柄は、プライベートな事柄です。
遺言書は、秘密保持の必要性が非常に高い文書です。
法律で守秘義務が定められなくても、秘密保持の義務を負うのは当然です。
証人は、遺言書の内容をチェックする人です。
相続が発生した後、相続人が遺言書の内容に不満を持つことがあります。
遺言書に不満がある相続人は、遺言書の成立について問題があると言うかもしれません。
・遺言書は本人の真意ではなかった。
・本人は認知症で正常な判断をすることができなかった
一部の相続人が上記の主張をした場合、相続人間で大きなトラブルになります。
ときには、遺言書の有効無効を争って裁判の場に持ち込まれます。
公正証書遺言は、証人2人に確認してもらって作成します。
公正証書遺言の作成時にどのようであったか証言を求められるでしょう。
原則として、証言の拒絶はできません。
万が一、証人の故意や過失で問題点を見逃した場合、相続人から損害賠償を求められるかもしれません。
6遺言書作成を司法書士に依頼するメリット
遺言書は被相続人の意思を示すものです。
自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。
家族がトラブルに巻き込まれることを望む人はいないでしょう。
遺言書があることでトラブルになるのは、ごく稀なケースです。
遺言書がないからトラブルになるのはたくさんあります。
そのうえ、遺言書1枚あれば、相続手続きは格段にラクになります。
家族を幸せにするために遺言書を作ると考えましょう。
実際、家族の絆のためには遺言書が必要だと納得した方は遺言書を作成します。
家族の喜ぶ顔のためにやるべきことはやったと安心される方はどなたも晴れやかなお顔です。
家族の幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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