このページの目次
1NISA口座の中身は相続できる
①NISA口座は非課税で投資ができる
NISAとは、少額投資非課税制度です。
株式や投資信託の売却益や分配金が非課税になる税制優遇制度です。
非課税になる税制優遇があることと相続でトラブルになることは、別問題です。
非課税になる税制優遇があるから、税金はかかりません。
税金がかかっても税金がかからなくても、相続トラブルは発生します。
相続トラブルになるのは、税金が原因ではないからです。
②NISAの非課税メリットは相続発生で終了
被相続人がNISA口座で投資信託などの金融商品を保有していることがあります。
非課税で投資ができるのは、NISA口座の持ち主が生きている間のみです。
被相続人が生前に享受した非課税メリットは、相続人に引き継がれます。
非課税によって増えた財産は、相続財産です。
NISAの非課税メリットは、相続発生で終了します。
③NISA口座の中身は相続財産
被相続人がNISA口座で保有していた投資信託や株式などの金融商品は、相続財産です。
投資信託や株式などの金融商品は、口数や株式数を単位にしています。
法定相続分で、自動的に相続することはできません。
信託や株式会社を監督する権利などがあるからです。
NISA口座の中身を相続するため、遺産分割協議をします。
④投資信託や株式に値動きがある
株式には、日々値動きがあります。
投資信託は、預けたお金を株式や債券で運用する仕組みです。
株式や債券で運用するから、投資信託にも日々の値動きがあります。
相続が発生する前も発生してからも、値動きは止まりません。
相続発生後に急騰しても、相続税評価額は変わりません。
相続発生後に暴落しても、相続税評価額は変わりません。
相続税評価額は、相続税を申告するときの評価額に過ぎないからです。
相続税申告とは無関係に、投資信託や株式は値動きを続けます。
値動きがあるから、相続人に損得感情が生まれます。
相続トラブルになるのは、相続人に損得感情が原因です。
2 NISA口座の相続で遺産分割協議
①NISA口座は被相続人専用
NISA口座をそのまま相続人が引き継ぐことはできません。
NISA口座は、被相続人専用だからです。
NISA口座の持ち主が死亡したら、非課税メリットは終了します。
②NISA口座内の財産は遺産分割協議が必要
(1)NISA口座内の財産は相続財産
NISA口座内には、被相続人が保有していた財産があります。
NISA口座内の財産は、すべて遺産分割の対象です。
NISA口座内の財産は、相続財産だからです。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。
遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話し合いです。
(2)NISA口座の特別扱いは生前の税制優遇に限定
NISA口座内の財産であっても、特別扱いはありません。
NISA口座の特別扱いは、生前の税制優遇に限られています。
特別扱いで、遺産分割協議を省略できることはありません。
(3)NISA口座凍結中も値動きを続ける
NISA口座内に入れたままでも、投資信託や株式は値動きを続けます。
相続が発生したら、口座は凍結されます。
預貯金口座だけでなく、証券口座もNISA口座も凍結します。
NISA口座凍結中も、NISA口座内の財産は値動きを続けます。
遺産分割協議が成立し相続手続をするまで、口座凍結解除はされません。
遺産分割協議中も、NISA口座内の財産は値動きを続けます。
(4)相続税評価額は相続税計算のための数字に過ぎない
相続税評価額は、相続税を計算するための金額に過ぎません。
相続税評価額が変更しないから安心なのは、相続税額が変更されないだけです。
相続税評価額で、相続人が受け取る金額が決まるわけではありません。
相続税評価額が変更しなくても、NISA口座内の財産は値動きを続けます。
(5)相続税評価額と時価評価額は別物
暴落のタイミングでは、時価評価額が非常に小さくなります。
急騰のタイミングでは、時価評価額が非常に大きくなります。
実際に相続人が受け取る金額は、売却時の時価評価額です。
相続税評価額は相続税を計算するための数字に過ぎないから、時価評価額が動いても変更されません。
相続人が受け取る金額は、売却時の時価評価額で決まります。
相続税評価額と時価評価額は、全く別物です。
相続税評価額が変更されなくても、時価評価額は日々動いているからです。
時価評価額に値動きがあるから、相続人に損得感情が生まれます。
③NISA口座は損しない誤解が危険
NISAは、売却益や分配金が非課税になる税制優遇制度に過ぎません。
NISAを利用すると、税金がかからないから税金は損しません。
税金がかからなくても、投資対象にはリスクがあります。
NISAを利用しても、投資対象にはリスクがあります。
非課税とリスクは、無関係だからです。
株式や投資信託には、当然に元本割れのリスクがあります。
非課税であることは、損しないことではありません。
非課税であることは、相続トラブルが起きないことではありません。
非課税であることは、税金だけ限定的な安心です。
金融機関は、金融商品を売って利益を上げています。
元本割れのリスクより税制優遇を強調する判断をすることがあります。
NISA口座は損しないは、大きな誤解です。
NISA口座は損しないから相続トラブルにならないは、大きな誤解です。
④換価分割特有のトラブルがある
遺産分割協議で、換価分割をする合意をすることがあります。
換価分割とは、相続した投資信託を売却して金銭で分ける方法です。
たとえ換価分割の合意をしても、被相続人の名義のまま直接売却することはできません。
いったん相続人の口座に移管してから、売却します。
売却するまで、株式や投資信託は値動きがあります。
値動きがあることは、タイミングのリスクがあるということです。
過去に戻って高値のときに、売却することはできないからです。
たとえ換価分割をする予定であっても、移管手続を優先してくれることはありません。
投資信託の値動きは、だれにも読めません。
代表相続人が売却したときにが偶然暴落したタイミングに重なることがあります。
受け取る金額がイメージした金額をはるかに下回る可能性があります。
受け取る金額は、売却のタイミングによって異なるからです。
売却のタイミングが悪いから損をしたと感じて、責任追及をしたくなるでしょう。
遺産分割協議では、相続人間で充分な合意をしておくのが重要です。
・いつ売却するのか
・だれの判断で売却するのか
・一括で売却するのか、分割で売却するのか
・投資信託の値動きについて責任追及をしないこと
・売却代金の入金先
・取引履歴の開示方法
・売却代金の送金期限
相続人間の合意があいまいな場合、損をしたと感じる可能性が高くなります。
3NISA口座を相続する流れ
①遺言書の確認
被相続人が生前に、遺言書を作成していることがあります。
遺言書があれば、遺言書の内容どおりに遺産分割をすることができます。
自宅などで見つかった自筆証書遺言は、家庭裁判所の検認手続が必要です。
②相続人調査
相続人になる人は、法律で決められています。
家族にとって、だれが相続人になるかは当然のことかもしれません。
相続手続先には、客観的に証明する必要があります。
相続人を客観的に証明するとは、戸籍謄本を準備することです。
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、相続人全員の現在戸籍と準備します。
後から思いもよらない相続人が現れると、遺産分割協議が無効になります。
戸籍謄本で確認した相続人全員で、遺産分割協議を行います。
③遺産分割協議書の作成
遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話し合いです。
投資信託には、日々値動きがあります。
遺産分割協議中であっても、当然に値動きがあります。
値動きがあるから、一部の相続人がソンしたと感じやすくなります。
預貯金などでは、起きにくい相続人間のトラブルが起きる可能性があります。
相続人全員の合意がまとまったら、合意内容は書面に取りまとめます。
遺産分割協議書とは、相続人全員による合意内容の証明書です。
相続人全員に合意内容と間違いがないか、確認してもらいます。
問題がなければ、相続人全員が記名し実印で押印します。
実印による押印であることを確認するため、印鑑証明書を添付します。
遺言書があれば、原則として遺産分割協議は不要です。
④相続人の口座開設
(1)相続人の証券口座が必要
投資信託を相続する場合、相続人の証券口座が必要です。
相続人がその証券会社に口座を持っていない場合、あらかじめ、口座開設が必要になります。
口座開設には、本人確認書類やマイナンバーが分かる書類が必要です。
被相続人の口座から、直接投資信託を売却することはできません。
(2)相続人のNISA口座は使えない
相続人がすでにNISA口座を開設していることがあります。
被相続人のNISA口座内の財産を引き継ぐとき、相続人のNISA口座を使うことはできません。
相続人のNISA口座は、相続人専用の口座だからです。
⑤相続手続書類を提出
投資信託の相続手続は、証券会社ごとに多少異なります。
おおむね、次の書類が必要です。
(1)名義書換請求書
(2)被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
(3)相続人の現在戸籍
(4)相続人全員による遺産分割協議書
(5)相続人全員の印鑑証明書
⑥相続人名義の口座へ移管
(1)移管されてから売却ができる
投資信託を売却できるようになるのは、相続手続が完了してからです。
相続人名義の口座に移管されたら、相続人自身の固有の財産です。
保有し続けることも売却することも、自由にできます。
相続手続書類を提出してから相続人の口座に移管されるまで、1か月程度かかります。
(2)売却してから相続人のNISA口座で購入
被相続人のNISA口座内の財産は、相続人の証券口座に移管されます。
相続人の証券口座から相続人のNISA口座へ直接移すことはできません。
いったん相続人の証券口座から売却し、NISA口座で購入します。
4NISA口座の相続を司法書士に依頼するメリット
金融商品にあまり関心のない相続人は、株式や投資信託がよく分からないでしょう。
一般の預貯金であれば、値動きがありません。
話し合いが長引いても、あまり大きな影響はありません。
投資信託や株式は、日々、大きな値動きがあります。
解約違約金がかかったり、税金がかかったりします。
預貯金などの相続よりトラブルになりやすいものです。
証券会社などの手続も、分かりにくいことが多いものです。
相続手続は司法書士などの専門家に、丸ごとおまかせできます。
トラブルなく円満な相続手続をしたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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