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遺産分割未了なのに相続登記義務化
1令和6年(2024年)4月1日から相続登記義務化
①令和6年(2024年)4月1日から相続登記は義務
所有権移転登記をしない場合、所有者は不利益を被ります。
不動産に対して権利主張をする人が現れた場合、所有者のはずなのに権利主張ができないからです。
相続登記は、手間のかかる手続です。
自分で相続登記をしようとするものの、多くの人は挫折します。
相続登記をする場合、登録免許税を納付しなければなりません。
相続登記を専門家に依頼する場合、専門家に報酬を支払う必要があります。
相続登記でかかる手間と費用がもったいないと、考える人が少なくありません。
相続登記がされない場合、登記簿を見ても土地の所有者が分からなくなります。
登記簿とは、不動産の権利関係が記録される公的な帳簿です。
所有者不明の土地の発生を防止するため、相続登記をすることは義務になりました。
②3年のスタートは知ってから
令和6年4月1日から相続登記は、3年以内に登記申請をする義務が課されました。
相続登記には、3年の期限が決められました。
相続登記の期限は、相続したことを知った日からスタートします。
自己のために相続の開始があったことを知って、かつ、不動産を取得することを知った日から、スタートします。
相続が発生したら、近親者には真っ先に連絡するでしょう。
さまざまな家族の事情から、疎遠になっている相続人がいます。
疎遠な相続人は、相続発生から長期間経過してから相続があったことを知るでしょう。
相続があったことを知るまで、期限3年はスタートしません。
相続登記の期限3年のスタートは、知ってからです。
③令和6年(2024年)4月1日以前発生の相続も義務化の対象
令和6年4月1日から、相続登記は義務になりました。
令和6年4月1日以降に発生した相続は、もちろん対象になります。
令和6年4月1日以前発生の相続も、義務化の対象です。
令和6年4月1日以前発生の相続では、令和6年4月1日に期限3年がスタートします。
④相続登記義務化の背景
不動産の権利を取得したら、すぐに登記申請をします。
登記がないと、権利主張ができないからです。
不動産登記簿を見たら、不動産の権利関係が分かります。
不便な場所にあるなど価値の低い土地について、相続登記がされていないことがあります。
相続登記がされていないと、所有者がだれなのか分からなくなります。
不動産を売ってほしい場合だれにお願いしたらいいのか、登記簿を見ても分かりません。
例えば、公共事業のために土地を売ってほしい場合、所有者が分からないと公共事業ができなくなります。
社会全体にとって、大きな損失でしょう。
社会全体の利益のため、相続登記が義務化されました。
2遺産分割未了なのに相続登記義務化
①遺産分割未了は言い訳にならない
相続が発生したら、相続財産は相続人全員の共有財産です。
不動産を共有するのは、不自由が多いでしょう。
多くの場合、相続人全員で不動産の分け方の合意をします。
さまざまな家族の事情から、分け方の合意が難しいかもしれません。
相続登記には、3年の期限が決められました。
相続財産の分け方に合意ができないから相続登記ができないは、言い訳になりません。
自己のために相続の開始があったことを知って、かつ、不動産を取得することを知っているからです。
相続登記の期限3年が経過すると、ペナルティーの対象になります。
遺産分割未了は、言い訳になりません。
②遺産分割未了でも法定相続で相続登記
遺産分割未了でも、相続登記の義務があります。
遺産分割協議中は、相続人全員が法定相続分で不動産を共有しています。
遺産分割協議とは、相続財産の分け方を決めるため相続人全員でする話合いです。
遺産分割協議中に、法定相続分で相続人全員の名義にする相続登記をすることができます。
法定相続分で相続人全員の名義にする場合、遺産分割協議書は不要です。
一部の相続人が相続人全員のために、法定相続で相続登記をすることができます。
法定相続で相続登記をすることは、保存行為だからです。
遺産分割未了でも、法定相続で相続登記をすることができます。
③遺産分割協議成立後3年以内に所有権更正登記
遺産分割協議が長引いても、相続人のひとりが相続する遺産分割協議が成立させるでしょう。
不動産を相続する相続人に名義を変更する必要があります。
原則として、持分を取得する相続人と持分を失う相続人の共同申請です。
法定相続分で相続人全員名義にする相続登記をした場合、事務負担が軽減されました。
持分を取得する相続人が単独で、所有権更正登記をすることができます。
所有権更正登記は、相続登記義務化の対象です。
遺産分割協議成立後3年以内に、所有権更正登記をする必要があります。
④遺産分割未了でも相続人申告登記
相続人申告登記とは、相続人が法務局に対し自分が相続人であることを申告する制度です。
申告に基づいて、登記官が職権で相続人の住所や氏名を登記に付記します。
相続人申告登記をしたことで、相続登記の義務を履行したと扱われます。
遺産分割協議中に、自分が相続人であることを申告することができます。
相続人申告登記をしたことで、相続登記の義務を履行したと扱われます。
遺産分割未了でも、相続人申告登記をすることができます。
⑤遺産分割協議成立後3年以内に相続登記
相続人申告登記には、相続登記義務化のペナルティー回避の効果しかありません。
相続人申告登記をしても、あらためて相続登記をする必要があります。
遺産分割協議成立後、3年以内に相続登記をする必要があります。
⑥遺産分割調停で遺産分割
相続人間で話し合いができないとき、家庭裁判所の助力を得ることができます。
遺産分割調停とは、調停委員のアドバイスを受けてする話合いです。
相続人だけで話し合いをすると、感情的になって話し合いができないかもしれません。
調停委員から公平な意見を根拠にしてアドバイスがされると、納得できるかもしれません。
調停委員のアドバイスを受けて、相続人全員で合意を目指します。
相続人全員の合意ができたら、合意内容は調停調書に取りまとめます。
相続人全員で合意ができたら、相続登記をすることができます。
3相続登記義務化でペナルティーが課される
①10万円以下の過料が課される可能性
令和6年4月1日から相続登記をする義務が課されました。
相続登記の義務を果たしていない場合、ペナルティーが課されます。
ペナルティーの内容は、10万円以下の過料です。
過料とは、行政上の義務違反に対するペナルティーです。
過料は刑罰ではないから、前科が付きません。
前科が付かないと言っても、10万円以下のペナルティーは負担が重いでしょう。
相続登記の義務を果たしていないと、10万円以下の過料が課される可能性があります。
②期限3年経過でペナルティーの対象
令和6年(2024年)4月1日から、相続登記をする義務が課されました。
相続登記の期限は、3年です。
令和6年(2024年)4月1日以降に発生した相続は、当然に対象になります。
相続があったことを知ってから、相続登記の期限3年がスタートします。
相続登記の期限3年を経過すると、ペナルティーの対象になります。
令和6年(2024年)4月1日以前に発生した相続も、義務化の対象です。
過去の相続は、すでに3年を経過していることが多いでしょう。
過去の相続は、令和6年4月1日に期限3年がスタートします。
相続登記義務化がスタートしてから、3年間の猶予があると言えます。
過去の相続は令和9年3月31日を経過すると、ペナルティーの対象になります。
相続登記の期限3年が経過すると、ペナルティーの対象になります。
③正当理由でペナルティーの対象外
行政上の義務に違反すると、ペナルティーが課されます。
正当な理由があれば、ペナルティーの対象外です。
法務省ホームページで、正当な理由について次のように示しています。
(1)相続登記の義務に係る相続について、相続人が極めて多数に上り、かつ、戸籍関係書類等の収集や他の相続人の把握等に多くの時間を要する場合
(2)相続登記の義務に係る相続について、遺言の有効性や遺産の範囲等が相続人等の間で争われているために相続不動産の帰属主体が明らかにならない場合
(3)相続登記の義務を負う者自身に重病その他これに準ずる事情がある場合
(4) 相続登記の義務を負う者が配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成13年法律第31号)第1条第2項に規定する被害者その他これに準ずる者であり、その生命・心身に危害が及ぶおそれがある状態にあって避難を余儀なくされている場合
(5) 相続登記の義務を負う者が経済的に困窮しているために、登記の申請を行うために要する費用を負担する能力がない場合
正当な理由があると認められれば、ペナルティーの対象外になります。
4相続登記の手順
手順①不動産調査
相続登記の対象になる不動産を特定します。
固定資産税の課税明細書や名寄帳を取り寄せると判明します。
手順②相続人調査
相続登記には、たくさんの戸籍謄本が必要です。
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本と相続人の現在戸籍は必ず用意します。
戸籍謄本の解読は、想像以上に骨の折れる作業です。
手順③遺産分割協議
相続人全員で分け方の合意ができたら、合意内容は書面に取りまとめます。
遺産分割協議書は、分け方の合意内容についての証明書です。
相続人全員が記名し実印で押印します。
実印による押印であることを証明するため、印鑑証明書を添付します。
手順④登記申請書を作成
登記申請書のひな型は、法務局のホームページに出ています。
参考にして、作成します。
手順⑤法務局へ提出
申請書と添付書類を取りまとめて、法務局に提出します。
提出は窓口まで出向いてもいいし、郵送でも差し支えありません。
5相続登記を司法書士に依頼するメリット
大切な家族を失ったら、大きな悲しみに包まれます。
やらなければいけないと分かっていても、気力がわかない方も多いです。
相続手続は一生のうち何度も経験するものではないでしょう。
だれにとっても不慣れで、手際よくできるものではありません。
相続登記は、相続手続の中でも手間がかかる難しい手続です。
不動産は、重要な財産であることが多いものです。
法務局は、厳重な審査をします。
一般の人にとって些細なことと思えるようなことでやり直しになります。
実は、相続手続をスムーズにするコツがあります。
それは、はじめに相続登記をすることです。
相続登記は難しい手間がかかる手続なので、司法書士などの専門家に依頼するでしょう。
相続手続で挫折しがちなのは、戸籍謄本などの書類収集や遺産分割協議書の作成です。
書類収集や遺産分割協議書の作成は、司法書士に依頼することができます。
司法書士が戸籍謄本や遺産分割協議書を準備したうえに、法務局の厳重な審査をします。
法務局の審査が通った戸籍謄本や遺産分割協議書だから、銀行などの相続手続先で指摘があることはありません。
銀行などの独自書類の内容などに指摘があるとしても、簡単に済むことがほとんどでしょう。
相続手続をスムーズに進めたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
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愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
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相続放棄の理由は関わりたくないから
1相続放棄とは
相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も相続人が受け継ぎます。
被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継がないことを相続の放棄といいます。
相続放棄をすると、プラスの財産を引き継がなくなりますが、マイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。
家庭裁判所に対して、必要な書類をを添えて相続放棄をしたい旨の申立てをします。
相続放棄はプラスの財産もマイナスの財産も引き継ぎませんという裁判所に対する届出です。
相続人らとのお話合いで、プラスの財産を相続しませんと申し入れをすることではありません。
つまり、家庭裁判所で認められないと相続手続に参加しなければなりません。
相続財産は相続人全員の共有です。
相続財産の分け方を決めるためには、相続人全員の合意が不可欠です。
他の相続人にプラスの財産を相続しませんと申し入れをした場合、相続人であることに変わりはありません。
依然として相続人だから、他の相続人と関わり合いになります。
2関わりたくないからを理由に相続放棄ができる
①相続放棄の理由は重要ではない
相続放棄をすると、プラスの財産を引き継がなくなりますが、マイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。
相続放棄の理由で多いのは、「被相続人の借金を引き継ぎたくない」です。
その他でも構いません。
「被相続人や他の相続人と疎遠で、関わりたくない」でも差し支えありません。
「裕福で生活に困っていないから」も問題ありません。
明確な理由がなくても構いません。
プラスの財産がほとんどないから、万が一にもマイナスの財産があったときの安全のため相続放棄をするというケースもあります。
相続放棄をするために重要なのは、相続放棄をする意思です。
相続放棄をする理由は、あまり重要ではありません。
②相続放棄をするときに財産調査は不要
相続放棄をするか相続を単純承認するか判断するために、財産調査をすることが多いものです。
自称専門家が高額な報酬を目的に財産調査は必須と無意味なアドバイスをしています。
相続放棄をする理由が「裕福で生活に困っていないから」の場合、財産調査自体が無意味です。
「被相続人や他の相続人と疎遠で、関わりになりたくない」場合、プラスの財産が多くても相続放棄をするケースは少なくありません。
どのような財産状況であっても相続放棄を希望する場合、財産調査は必要ありません。
相続放棄申述書に被相続人の財産状況を書く欄がありますが、記入しなくても差し支えありません。
③何もしないといつまでも関わることになる
被相続人や他の相続人と疎遠な場合、面倒な相続手続に関わりたくないと考えるでしょう。
見知らぬ相続人から連絡が来ても、返事を先延ばしするかもしれません。
相続財産は相続人全員の共有です。
相続財産の分け方を決めるためには、相続人全員の合意が不可欠です。
相続人である以上、相続財産の分け方について合意がないと手続ができません。
疎遠だから返事を先延ばしすると、いつまでたっても関わることになります。
相続財産の分け方について合意するまで、相続手続ができないからです。
ときには、司法書士などの専門家から連絡が来る場合があります。
見知らぬ他の相続人より司法書士などの専門家の方が話しやすいかもしれません。
司法書士であれば、相続放棄をしたい場合に相談に応じてもらえます。
面倒な相続手続に関わりたくないのであれば、すぐに行動を起こしましょう。
3相続放棄の理由が関わりたくないからの場合の相続放棄申述書の書き方
①関わりたくないからの場合「放棄の理由」欄は6その他
相続放棄をしたい場合、家庭裁判所に対して相続放棄をしたい旨の申立てをします。
相続放棄をしたい旨の申立書のことを、相続放棄申述書と言います。
相続放棄申述書の様式は、家庭裁判所のホームページに出ています。
相続放棄申述書の2ページ目の左下に、放棄の理由欄があります。
1被相続人から生前に贈与を受けている
2生活が安定している
3遺産が少ない
4遺産を分散させたくない
5債務超過のため
6その他( )
上記のように理由の例が並んでいます。
関わりたくないからを理由に相続放棄をする場合、6その他に○をつけます。
かっこの中に、疎遠なので関わりたくないなどと記入します。
生活が安定しているから関わりたくない場合、2生活が安定しているに○をつけます。
遺産が少ないから関わりたくない場合、3遺産が少ないに○をつけます。

②長文になるなら上申書に書く
相続放棄をする理由は、あまり重要ではありません。
疎遠なので関わりたくないなどで問題はありません。
事情によっては理由を詳細に申し立てたい場合があるでしょう。
相続放棄申述書の「放棄の理由」欄に書き切れない場合、上申書を提出することができます。
③相続放棄照会書の回答書に書いてもよい
家庭裁判所に対して相続放棄をしたい旨の届出をした場合、家庭裁判所から相続放棄照会書が届きます。
家庭裁判所から届く相続放棄照会書とは、相続放棄についての意思確認です。
相続放棄は、影響の大きい手続なので間違いがないように慎重に確認します。
多くの場合、相続放棄照会書には「相続放棄をする理由を具体的に書いてください」といった質問があります。
回答書に具体的な理由を記載するといいでしょう。
相続放棄をするために重要なのは、相続放棄をする意思です。
家庭裁判所は、本人の意思に反して相続放棄の申立てをしたのではないか確認します。
自分の意思で相続放棄の申立てをしたことが伝わるように回答書を書くといいでしょう。
4熟慮期間3か月のスタートは知ってから
相続放棄は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内に申立てをする必要があります。
相続があったことを知ってからとは、必ずしも、被相続人の死亡してからではありません。
被相続人が死亡した後3か月以上経過してから、相続放棄の申立てをして、認められることもあります。
相続放棄ができる3か月以内のスタートは、相続があったことを知ってからだからです。
相続があったことを知らなかった場合、相続放棄ができる3か月がスタートしていません。
このポイントは、相続が発生してから3か月以内に申立てができなかったのは止むを得なかったと家庭裁判所に納得してもらうことです。
被相続人や他の相続人と疎遠になっている場合、相続発生直後に連絡されないことが多いでしょう。
3か月以内に申立てができなかったのは仕方なかったと家庭裁判所が納得できる理由があるときだけは、家庭裁判所も相続放棄を認めてくれるのです。
債権者や市役所などから手紙が来て相続があったことを知った場合、この通知は大切です。
この手紙を見て相続があったことを知ったという証拠になるからです。
5相続放棄を司法書士に依頼するメリット
実は、相続放棄はその相続でチャンスは1回限りです。
家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続を取ることはできますが、高等裁判所の手続で、2週間以内に申立てが必要になります。
家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。
一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。
相続が発生してから3か月以内に届出ができなかったのは止むを得なかったと家庭裁判所に納得してもらって、はじめて、家庭裁判所は相続放棄を認めてくれます。
通常は家庭裁判所に対して、上申書や事情説明書という書類を添えて、説得することになります。
家庭裁判所が知りたいことを無視した作文やダラダラとした作文では認めてもらうことは難しいでしょう。
司法書士であれば、家庭裁判所に認めてもらえるポイントを承知していますから、認めてもらいやすい書類を作成することができます。
さらに、通常の相続放棄と同様に戸籍や住民票が必要になります。
お仕事や家事、通院などでお忙しい人には平日の昼間に役所にお出かけになって準備するのは負担が大きいものです。
戸籍や住民票は郵便による取り寄せもできますが、書類の不備などによる問い合わせはやはり役所の業務時間中の対応が必要になりますから、やはり負担は軽いとは言えません。
このような戸籍や住民票の取り寄せも司法書士は代行します。
3か月の期限が差し迫っている方や期限が過ぎてしまっている方は、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
特別縁故者に期待するよりも遺言書作成で遺贈
1遺言書を作成して遺贈
①相続人以外の人に遺贈ができる
遺言書を作成して、自分の死後だれに財産を引き継がせるか自由に決めることができます。
遺贈とは、相続人や相続人以外の人に財産を引き継がせることです。
相続人になる人は、法律で決まっています。
相続人以外の人は、相続することができません。
遺言書を作成して、相続人以外の人に遺贈ができます。
②特定遺贈と包括遺贈
遺贈には、2種類あります。
特定遺贈と包括遺贈です。
特定遺贈とは、遺言書に、「財産〇〇〇〇を遺贈する」と財産を具体的に書いてある場合です。
包括遺贈とは、遺言書に、「財産すべてを包括遺贈する」「財産の2分の1を包括遺贈する」と割合だけ書いて財産を具体的に書いてない場合です。
③遺言執行者に相続手続をおまかせできる
遺言者を作成するだけでは、意味がありません。
遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。
遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人です。
遺言執行者がいると確実に遺言書の内容を実現してくれるから、遺言者は安心です。
遺言執行者がいると相続手続をおまかせできるから、財産を受け取る人も安心です。
遺言執行者に、相続手続をおまかせできます。
④遺言が無効になると遺贈も無効
遺贈とは、遺言書を作成して相続人や相続人以外の人に財産を引き継ぐことです。
遺言書なしで、遺贈をすることはできません。
遺言書が無効になると、遺贈も無効になります。
⑤公正証書遺言がおすすめ
遺言書を作成する場合、自筆証書遺言か公正証書遺言を作成することがほとんどです。
自筆証書遺言とは、自分で書いて作る遺言書です。
ひとりで作ることができるから、手軽です。
公正証書遺言とは、遺言内容を公証人に伝え公証人が書面に取りまとめる遺言書です。
証人2人に確認してもらって、作ります。
遺言書には、厳格な書き方ルールがあります。
遺言者が法律に詳しいことは、あまりないでしょう。
書き方ルールに違反すると、遺言書が無効になります。
遺言書が無効になると、遺贈も無効になります。
公証人は、法律の専門家です。
公正証書遺言が書き方ルールの違反で無効になることは考えられません。
公証人が関与するから、公正証書には高い信頼性があります。
遺言書を作成する場合、公正証書遺言がおすすめです。
2特別縁故者は相続人不存在のときだけ
①相続人になる人は法律で決まっている
相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。
だれが相続人になるかについては、民法で決められています。
相続人になる人は、次のとおりです。
(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。
(1)配偶者は必ず相続人になる
(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども
(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属
(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹
②相続人不存在なら国庫帰属
相続人になる人は、法律で決まっています。
天涯孤独の人には、相続人がまったくいません。
相続人はいるけど、相続放棄をすることがあります。
家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなくなります。
相続人が不存在の場合、相続財産は国庫に帰属します。
③相続人不存在のときだけ特別縁故者財産分与の申立て
相続が発生したら、被相続人のものは相続人が相続します。
相続人不存在の場合、相続財産は国庫に帰属するのが原則です。
特別縁故者とは、被相続人に特別な縁故があった人です。
相続財産を国庫に帰属させるより、特別な関係にあった人に分与した方が適切なことがあります。
家庭裁判所に特別縁故者と認められれば、相続財産が分与されます。
相続人不存在の場合だけ、特別縁故者財産分与の申立てをすることができます。
3特別縁故者に認められる要件
①生計を同じくしていた人
相続が発生したら、一定の範囲の家族が相続人になります。
相続人になる人は、法律で決められています。
例えば、被相続人に配偶者がいる場合、配偶者は必ず相続人になります。
相続人になる配偶者とは、法律上の配偶者です。
事実婚・内縁の配偶者は、相続人ではありません。
事実婚・内縁の配偶者は、被相続人と一緒に暮らして生計を同じくしていたでしょう。
相続人不存在である場合、特別縁故者に認められる可能性があります。
例えば、配偶者に連れ子がいることがあります。
法律上の配偶者は、相続人になることができます。
連れ子は、被相続人の子どもではありません。
被相続人と連れ子は、当事者が合意すれば養子縁組をすることができます。
養子縁組をした場合、養子は養親の子どもになります。
養親が死亡したとき、養子は相続人になります。
養子は、養親の子どもだからです。
養子縁組をしていない場合、連れ子には親族関係がありません。
被相続人の相続人になることはできません。
連れ子が相続人と一緒に暮らして生計を同じくしていることがあります。
相続人不存在である場合、特別縁故者に認められる可能性があります。
特別縁故者に認められるか家庭裁判所が判断します。
家庭裁判所は、当事者の主張だけでなく客観的な証拠を重視します。
被相続人と一緒に暮らして生計を同じくしていた場合、同一の住民票があるでしょう。
事実婚・内縁の配偶者は、住民票に「夫(未届)」「妻(未届)」と記載してもらえます。
長年同居していたことも、住民票で証明することができます。
長年同居して生計を同じくしている場合、特別な縁故があったと認められやすくなるでしょう。
②被相続人の療養看護につとめた人
療養看護につとめた人とは、被相続人の身の回りの世話を献身的にした人です。
例えば、被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。
子どもの配偶者は、相続人ではありません。
被相続人のいとこなども相続人ではありません。
子どもの配偶者やいとこが被相続人の療養看護につとめていることがあります。
親族として助け合いをする以上に献身的に療養看護に努めていた場合、特別縁故者に認められる可能性があります。
被相続人から相当の対価を得ていた場合、献身的とは言えないでしょう。
看護師やヘルパーとして対価を得ていた場合、特別縁故者に認められるのは難しいでしょう。
対価を得ていたものの対価の程度を大きく超えて献身的に尽くしていた場合、特別縁故者に認められる可能性があります。
療養看護につとめたことは、次の書類で証明することができます。
(1)医療費や介護費の領収書
(2)療養看護のための交通費の領収書
(3)被相続人と頻繁に交流していたことが分かる手紙、写真、メール、日記
(4)献身的に療養看護につとめていたことが分かる手紙、写真、メール
③その他被相続人と特別な関係にあった人
特別縁故者とは、被相続人に特別な縁故があった人です。
遺言書がなくても、その人に相続財産を受け継がせるのが適当と考えられる特別な関係がある人は特別縁故者と認められる可能性があります。
例えば、被相続人が生前設立し発展に尽力してきた法人があることがあります。
被相続人が心血注いできた法人は、相続財産を受け継がせるのに適切と考えられるでしょう。
被相続人と特別な関係にあったと認められた場合、特別縁故者に認められることがあります。
他にも、被相続人の家族同然に暮らしてきた内弟子がいることがあります。
被相続人がわが子同然に可愛がっていて、事業を引き継がせたいと常々言っていることがあります。
被相続人が後継者にしたいと考えていた人に、相続財産を受け継がせるのに適切と考えられるでしょう。
被相続人と特別な関係にあったと認められた場合、特別縁故者に認められることがあります。
被相続人と特別な関係にあったことは、次の書類で証明することができます。
(1)被相続人と親密な関係にあったことが分かる手紙、写真、メール、日記
(2)被相続人と頻繁に交流していたことが分かる手紙、写真、メール、日記
(3)被相続人が相続財産を引き継がせる意思があったことが分かる書類
④相続人がいたら特別縁故者は認められない
特別縁故者が認められるのは、相続人が不存在のときだけです。
相続人になる人は、法律で決められています。
家族のさまざまな事情から、被相続人と疎遠になっている家族がいることがあります。
音信不通であっても行方不明であっても、法律で決められた人は相続人になります。
相続人がいるのに、特別縁故者が認められることはありません。
⑤死後の縁故は認められない
特別縁故者とは、被相続人の生前に特別な関係があったと認められる人です。
被相続人が死亡した後、被相続人の遺体を引き取ったり葬儀を行ったりする必要があります。
多くの場合、生前にも特別な関係があった人が遺体を引き取ったり葬儀を行ったりするでしょう。
生前にほとんど関与や交流がなかった人が、遺体を引き取ったり葬儀を行ったりすることがあります。
被相続人の生前に関与や交流がない場合、特別縁故者に認められません。
遺体を引き取ったり葬儀を行ったりすることは、生前にも特別な関係があったことが推察されます。
生前に特別な関係があったことを主張したうえで、遺体を引き取ったり葬儀を行ったりしたことを主張するといいでしょう。
葬儀は、人生最後の儀式として重要なものです。
被相続人の死亡後に葬儀や祭祀のための費用を負担した場合、合理的な金額であれば相続財産から支払われるのが通常です。
死後の縁故だけでは、特別縁故者に認められることはありません。
4特別縁故者に期待するよりも遺言書作成で遺贈
①特別縁故者財産分与の申立ての期限は3か月
特別縁故者財産分与の申立ての期限は、3か月です。
相続人不存在が確定してから、3か月がスタートします。
相続人不存在が確定しても、だれも連絡してくれません。
期限3か月は、想像以上に短いでしょう。
特別縁故者財産分与の申立ての期限は、3か月です。
②特別縁故者は家庭裁判所が判断
相続人不存在の場合、相続財産は国庫に帰属するのが原則です。
特別縁故者に認められた場合、相続財産の分与を受けることができます。
特別縁故者に認められる要件は、先に説明したとおりです。
特別縁故者に認められるか、家庭裁判所が判断します。
主観的に特別縁故者であると思っても、証拠がないと家庭裁判所は認めてくれないでしょう。
家庭裁判所は、客観的な証拠を基に判断するからです。
特別縁故者に認められるのは、想像以上に高いハードルがあります。
特別縁故者は、家庭裁判所が判断します。
③分与される財産は家庭裁判所が判断
相続財産から分与される財産は、家庭裁判所の裁量で判断します。
莫大な相続財産があっても、わずかな財産だけ分与されることがあります。
わずかな縁故だけであれば、わずかな財産だけ分与されるでしょう。
主観的に深い縁故があると思っても、証拠がないと家庭裁判所は認めてくれないでしょう。
家庭裁判所は、客観的な証拠を基に判断するからです。
特別縁故者に認められても全財産が分与されるには、想像以上に高いハードルがあります。
分与される財産は、家庭裁判所が判断します。
④遺言書作成で迅速確実に遺贈
特別縁故者に対する相続財産分与の申立てをしてから財産が分与されるまで、1年程かかります。
特別縁故者と認められるか、家庭裁判所が判断します。
分与される財産は、家庭裁判所が判断します。
特別縁故者として財産分与を受けるためには、想像以上に高いハードルがあります。
遺言書を作成しておけば、確実に遺贈することができます。
遺言執行者を指名すれば、いっそう確実になるでしょう。
特別縁故者に期待するより、遺言書を作成して遺贈がおすすめです。
⑤公正証書遺言作成の手順
手順①相続財産の一覧表を作成
手順②相続財産を引き継ぐ人を決める
手順③必要書類の準備
手順④公証人と打合せ
手順⑤証人2人に依頼
手順⑥遺言書文案を確認
手順⑦公正証書遺言の作成
手順⑧公証役場へ手数料の支払い
5遺言書作成を司法書士に依頼するメリット
遺言書は、被相続人の意思を示すものです。
自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。
民法に遺言書を作ることができるのは、15歳以上と定められています。
遺言書を作成すれば、法定相続人や法定相続人以外の人に財産を引き継ぐことができます。
遺言書があって遺言執行者がいれば、相続手続はおまかせできます。
遺言者にとっても財産を受け取る人にとっても、安心です。
相続人がいない場合、想像以上に手間と時間がかかります。
手間と時間をかけても、確実に財産を引き継ぐことができるわけではありません。
お互いを思いやる方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
公正証書遺言があっても一部放棄
1公正証書遺言と自筆証書遺言は同じ効力
①遺言書の種類
遺言書の種類は、民法という法律で決められています。
大きく分けて、普通方式の遺言と特別方式の遺言とあります。
普通方式の遺言は、次の3つです。
(1)自筆証書遺言
(2)公正証書遺言
(3)秘密証書遺言
特別方式の遺言は、次の4つです。
(1)死亡の危急に迫った者の遺言
(2)伝染病隔離者の遺言
(3)在船者の遺言
(4)船舶遭難者の遺言
特別方式の遺言は、生命の危機に迫っている人や航海中など交通できない人が作る特別の遺言です。
ごく稀な遺言と言えるでしょう。
多くの方にとって、遺言というと普通方式の遺言です。
なかでも(1)自筆証書遺言(2)公正証書遺言のいずれかを作成される方がほとんどです。
②自筆証書遺言は手軽
自筆証書遺言は、遺言者が自分で書いて作った遺言書です。
専門家の手を借りることなく、手軽に作ることができます。
世の中の大半の遺言書は、自筆証書遺言です。
ひとりで作ることができるので、作るだけであれば費用はかかりません。
自筆証書遺言は、専門家の手を借りずに作られることが多いものです。
法律の知識が少ないと、法律上効力のない遺言書になってしまうかもしれません。
自筆証書遺言は、手軽な遺言書です。
③公正証書遺言は安心確実
公正証書遺言は、遺言内容を公証人に取りまとめてもらって作る遺言書です。
遺言者が公証人に遺言内容を伝えて、証人2人に確認してもらって作ります。
遺言の内容を伝えておけば、適切な表現で文書にしてもらえます。
公証人は、法律の専門家です。
公証人が関与するから、法律上の不備があって遺言書が無効になることは考えられません。
作った遺言書原本は、公証役場で保管されます。
紛失するおそれがありません。
相続人らに偽造や変造されたり、捨てられたりする心配もありません。
遺言書が作られていることが分かっていれば、容易に探してもらえます。
公正証書遺言は、安心確実な遺言書です。
④公正証書遺言と自筆証書遺言の効力にちがいはない
自筆証書遺言は、手軽な遺言書です。
公正証書遺言は、安心確実な遺言書です。
公正証書遺言と自筆証書遺言の効力に、ちがいはありません。
公正証書遺言は、公証人が作成します。
法律の専門家が関与するから、法律上の不備があることは考えられません。
法律上の不備で無効になることは、ほとんどありません。
自筆証書遺言は、遺言者がひとりで作成します。
法律の専門家が関与することは、あまりありません。
遺言者は、法律の知識が少ないでしょう。
法律上の不備で無効になることが、少なくありません。
法律上の不備がない遺言書であれば、有効な遺言書です。
有効な遺言書であれば、公正証書遺言も自筆証書遺言も遺言書です。
効力にちがいはありません。
公正証書遺言の方が強い効力があるといったことはありません。
2相続と遺贈のちがい
①相続は相続人に受け継ぐこと
相続が発生した場合、一定の親族が相続人になります。
相続人になる人は、法律で決まっています。
法律で決められた人が、相続人になります。
相続するのは、相続人のみです。
相続は、相続人に引き継ぐことです。
相続人以外の人は、相続することはできません。
②遺贈は相続人以外の人にも引き継ぐことができる
相続が発生した場合、原則として、被相続人のものは相続人が相続します。
相続人以外の人に財産を受け取ってもらいたいケースがあります。
被相続人は遺言書を作成して、相続人や相続人以外の人に財産を引き継ぐことができます。
遺言書を作成して相続人や相続人以外の人に財産を引き継ぐことを遺贈と言います。
相続人に対して遺贈をすることができるし、相続人以外の人に遺贈をすることができます。
遺言書に「相続させる」とあるときは、相続で手続をします。
遺言書に「遺贈する」とあるときは、遺贈で手続をします。
③包括遺贈と特定遺贈がある
遺贈には、2種類あります。
包括遺贈と特定遺贈です。
包括遺贈とは、遺言書に「財産すべてを包括遺贈する」「財産の2分の1を包括遺贈する」と割合だけ書いて財産を具体的に書いてない場合です。
特定遺贈とは、遺言書に「財産〇〇〇〇を遺贈する」と財産を具体的に書いてある場合です。
遺言書は、財産を受け取ってもらう人の関与なしに作ることができます。
遺言で遺贈や相続のことを定める場合、遺言者が受け取る人の意見を聞かずに、一方的に決めることができます。
遺言書で決められたことは、ご辞退することができます。
3相続放棄・包括遺贈は一部放棄ができない
①相続放棄をすると相続人でなくなる
相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も相続人が受け継ぎます。
被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継がないことを相続の放棄といいます。
相続放棄をすると、プラスの財産を引き継がなくなりますが、マイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。
相続放棄をすると、はじめから相続人でなくなります。
例えば、相続人が配偶者と子どもである場合、子ども全員が相続放棄をしたら子どもはいないものとして扱われます。
子どもがいない場合、次順位の相続人は親などの直系尊属になります。
②相続放棄・包括遺贈の放棄は家庭裁判所で手続
相続が発生した場合、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。
単純承認をした場合、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継ぎます。
相続放棄をした場合、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継ぎません。
相続放棄と包括遺贈の放棄は、家庭裁判所で手続します。
必要な書類をを添えて、相続放棄の申立てをします。
家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、相続人でなくなります。
相続人でないから、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も引き継ぎません。
相続人でないから、一部だけ引き継ぐことはあり得ません。
相続人でないから、一部だけ放棄することはあり得ません。
プラスの財産は引き継ぐけどマイナスの財産は引き継がないといったことは、できません。
相続放棄と包括遺贈の放棄は、財産の選り好みはできません。
③遺言書があっても遺産分割協議
被相続人が遺言を作成していた場合、相続人は被相続人の意思を実現してあげたいと思うでしょう。
多くの場合、遺言書の内容どおりに財産を分けることになります。
遺言書が作成されてから相続が発生するに、長期間経過するのか通常です。
遺言書が作成されたときとは、大きく事情が変わっていることがあります。
遺言書が作成されたときには、適切な内容であったかもしれません。
大きく事情が変わってしまった後では、相続人全員にとって不都合な内容であることがあります。
相続人全員にとって不都合な内容になってしまった遺言書を、あえて執行する必要はありません。
相続人全員で話し合って、相続財産の分け方を決めた方が合理的です。
公正証書遺言があっても、遺産分割協議をすることができます。
自筆証書遺言があっても、遺産分割協議をすることができます。
公正証書遺言と自筆証書遺言の効力に、ちがいはないからです。
遺言書に「相続人〇〇〇〇に財産〇〇〇〇を相続させる」とあるのに、相続人〇〇〇〇が財産〇〇〇〇を相続したくないことがあります。
他の相続人が財産〇〇〇〇を相続したいかもしれません。
相続人全員の合意ができれば、他の相続人が財産〇〇〇〇を相続することができます。
このような合意をすることを、俗に相続放棄をしたと表現することがあります。
受け取りたくない財産を他の相続人が相続したから、一部の財産の相続放棄をしたと表現することがあります。
相続人全員の合意で、相続放棄をすることはできません。
相続放棄は、家庭裁判所で手続をする必要があるからです。
相続人全員の合意で相続財産の分け方を決めることは、遺産分割協議と言います。
4特定遺贈は一部放棄をすることができる
①特定遺贈は放棄をすることができる
遺言書は、受け取る人の意見を聞かずに一方的に決めることができます。
遺言書の内容によっては、受け取る人が困ることがあります。
遺言書で決められたことは、ご辞退することができます。
遺言書で特定遺贈をすることが定められていることがあります。
特定増を受け取る人は、ご辞退をすることができます。
②特定遺贈全部を放棄することができる
特定遺贈は、遺言書に「財産〇〇〇〇を遺贈する」と財産を具体的に書いてある場合です。
遺言書に書いてある特定遺贈すべてを放棄することができます。
③一部の財産を放棄することができる
特定遺贈では、遺贈する財産が具体的に書いてあります。
財産ひとつだけ遺贈することもあるし、複数の財産を遺贈することもあります。
複数の財産を遺贈すると書いてある場合、一部の財産だけ受け取って一部の財産を放棄することができます。
例えば「株式と金100万円を遺贈する」とある場合、株式は受け取るが金100万円は辞退することができます。
④財産の一部を放棄することができる
分割できる財産を遺贈の対象にすることがあります。
現金は、分割できる財産の代表例です。
例えば「金100万円を遺贈する」とある場合、金30万円を受け取るが金70万円は辞退することができます。
⑤特定遺贈の放棄は遺贈義務者へ通知
相続放棄と包括遺贈の放棄は、家庭裁判所で手続が必要です。
特定遺贈を放棄する場合、家庭裁判所で手続する必要はありません。
特定遺贈の放棄を希望する場合、遺贈義務者に通知します。
遺贈義務者は、次のとおりです。
遺言執行者がいる場合 遺言執行者
遺言執行者がいない場合 相続人
遺言執行者も相続人もいない場合 相続財産清算人
遺贈義務者に通知すれば、特定遺贈は放棄できます。
単に通知するだけの場合、後から言った言わないのトラブルに発展するおそれがあります。
トラブルにならないように、配達証明付き内容証明郵便で通知するのがおすすめです。
⑥特定遺贈の放棄に期限はない
特定遺贈の放棄を希望する場合、遺贈義務者に通知します。
特定遺贈の放棄の通知に、期限はありません。
相続放棄と包括遺贈の放棄は、期限があります。
相続があったことを知ってから、3か月以内です。
「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。
3か月以内に戸籍や住民票などの必要書類を揃えて管轄の家庭裁判所に提出しなければなりません。
5相続放棄を司法書士に依頼するメリット
相続放棄は、その相続でチャンスは1回限りです。
家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続を取ることはできます。
高等裁判所の手続で2週間以内に申立てが必要になります。
家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。
一挙に、ハードルが上がると言ってよいでしょう。
相続が発生してから3か月以内に申立てができなかったのは止むを得なかったと家庭裁判所に納得してもらって、はじめて、家庭裁判所は相続放棄を認めてくれます。
通常は家庭裁判所に対して、上申書や事情説明書という書類を添えて、説得することになります。
家庭裁判所が知りたいことを無視した作文やダラダラとした作文では認めてもらうことは難しいでしょう。
司法書士であれば、家庭裁判所に認めてもらえるポイントを承知しています。
認めてもらえやすい書類を作成することができます。
通常の相続放棄と同様に戸籍や住民票が必要になります。
仕事や家事、通院などで忙しい人には平日の昼間に市区町村役場に出向いて手続するのは負担が大きいものです。
戸籍謄本や住民票は、郵便による取り寄せもできます。
書類の不備などによる問い合わせは、市区町村役場の業務時間中の対応が必要になります。
負担は、軽いとは言えません。
手続に必要な戸籍謄本や住民票の取り寄せも、司法書士は代行します。
3か月の期限が差し迫っている方や期限が過ぎてしまっている方は、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
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オリーブの木司法書士事務所にご依頼をいただきましてありがとうございました。
細川信明さまから、合資会社の解散登記をご依頼いただきました。
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司法書士が登記簿を確認したところ、細川信明さまの会社の出資者はすでに全員死亡していました。
出資者の地位を相続する相続人も、すでに複数死亡していました。
数次相続が複数発生している大変複雑な相続です。
大変複雑な相続で、相続人が多数いました。
手間と時間がかかる複雑な相続は、受けて頂けない事務所は少なくありません。
オリーブの木司法書士事務所では、複雑な相続であってもサポートをしております。
合資会社の解散は、出資者全員の同意が必要になります。
相続人が多数いましたが、全員の同意をいただくことができました。
解散登記と清算結了の登記を完了しました。
今回、ご依頼をいただきましてありがとうございました。


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公正証書遺言を作っても遺留分侵害額請求
1公正証書遺言は安心確実
①公正証書遺言は公証人が取りまとめる
遺言書を作成する場合、自筆証書遺言か公正証書遺言がほとんどです。
自筆証書遺言は、自分で書いて作る遺言書です。
ひとりで通ることができるから、手軽です。
公正証書遺言は、遺言内容を公証人に伝え公証人が書面に取りまとめる遺言書です。
証人2人に確認してもらって、作ります。
遺言書には、厳格な書き方ルールがあります。
書き方ルールに違反すると、遺言書が無効になります。
公証人は、法律の専門家です。
公正証書遺言は公証人が取りまとめるから、書き方ルールに違反することは考えられません。
公正証書遺言は、安心確実です。
②公正証書遺言は公証役場で厳重保管
自筆証書遺言を作成したら、原則として遺言者が保管します。
自筆証書遺言は、保管場所に困ります。
保管場所を家族と共有していないと、遺言書を見つけてもらえない可能性があります。
保管場所を家族と共有していると、遺言書の破棄や改ざんの可能性があります。
公正証書遺言を作成したら、遺言書原本は公証役場で厳重に保管されます。
相続人らの手に渡らないから、破棄や改ざんのリスクはありません。
公正証書遺言は、安心確実です。
③遺言書の形式で効力にちがいはない
公正証書遺言は、安心確実です。
公証人が関与するから、無効になりにくいからです。
有効な遺言書であれば、他の形式の遺言書と同じ効力です。
例えば、有効な自筆証書遺言と有効な公正証書遺言は、同じ効力です。
公正証書遺言が強い効力があると言ったことはありません。
2遺留分は相続人の最低限の権利
①配偶者・子ども・親などの直系尊属に遺留分が認められる
遺言書を作成して、自分の財産をだれに引き継がせるか自由に決めることができます。
被相続人の名義になっていても、ひとりで築いた財産ではないでしょう。
家族の協力があってこそ、築くことができたはずです。
被相続人の名義になっていても、無制約の自由にすることはできません。
今まで協力してきた家族に、酷な結果となるからです。
被相続人に近い関係の相続人には、最低限の権利が認められています。
遺留分とは、相続人に認められる最低限の権利です。
配偶者・子ども・親などの直系尊属に、遺留分が認めらます。
②兄弟姉妹に遺留分は認められない
遺留分が認められるのは、被相続人と近い関係の相続人のみです。
兄弟姉妹は相続人になっても、遺留分権利者ではありません。
遺留分権利者とは、遺留分が認められる人です。
・兄弟姉妹は関係が遠いから
・兄弟姉妹は代襲相続ができるから
・兄弟姉妹は生計が別だから
上記の理由によって、兄弟姉妹には遺留分は認められません。
③相続人廃除で遺留分は奪われる
例えば、被相続人に虐待をした人に、相続をさせたくないと考えるのは自然なことでしょう。
相続人廃除とは、被相続人の意思で相続人の資格を奪う制度です。
相続人の資格を奪うというのは、実質的には、遺留分を奪うことです。
相続人廃除は、次の理由があるときに認められます。
・相続人が重大な侮辱をした
・暴力を振るうなどの虐待をした
・重大な非行があった
家庭裁判所に申立てをしたうえで、家庭裁判所が判断します。
家庭裁判所に廃除を認めてもらうためには、廃除の根拠になる客観的証拠が不可欠です。
相続人廃除は、非常にハードルが高い手続です。
相続人廃除で、遺留分が奪われます。
④遺留分権利者と遺留分割合
事例(1) 相続人が配偶者、子どもが2人の場合
法定相続分は、配偶者2分の1、子どもはそれぞれ4分の1です。
遺留分は、配偶者4分の1、子どもはそれぞれ8分の1です。
事例(2)相続人が配偶者、実親2人の場合
法定相続分は、配偶者3分の2、実親それぞれ6分の1です。
遺留分は、配偶者3分の1、実親それぞれ12分の1です。
事例(3) 相続人が配偶者、兄弟姉妹2人の場合
法定相続分は、配偶者4分の3、兄弟姉妹それぞれ8分の1です。
遺留分は、配偶者2分の1、兄弟姉妹なしです。
3公正証書遺言を作っても遺留分侵害額請求
①遺留分を侵害しても遺言書は有効
遺言書を作成して、財産をだれに引き継ぐか自由に決めることができます。
さまざまな家族の事情から、大きく偏った内容であるかもしれません。
一部の相続人の遺留分を侵害するような内容であっても、遺言書は無効になりません。
遺留分は、相続人の権利だからです。
遺留分権利者が遺言書の内容に納得すれば、何もしません。
遺言書の内容に納得できなければ、遺留分侵害額請求を行使することができます。
遺留分権利者は権利を行使することも行使しないことも、選択することができます。
遺留分権利者が遺言書の内容に納得できるなら、遺言書を無効にする必要はありません。
遺留分を侵害しても、遺言書は有効です。
②遺言書作成だけで遺留分は奪えない
遺留分は、相続人に認められた最低限の権利です。
相続人の遺留分を奪う手続は、相続人廃除です。
遺言書を作成するだけで、相続人の遺留分を奪うことはできません。
③持戻しの免除をしても遺留分侵害額請求
一部の相続人だけが被相続人から特別に利益を受けていることがあります。
一部の相続人だけが特別に利益を受けているのに、相続財産をそのまま分けるのは不公平です。
特別に受けた利益を相続財産に算入して、遺産分割をします。
持戻しとは、特別に受けた利益を相続財産に算入して遺産分割をすることです。
被相続人の意思で、持戻しの免除をすることができます。
持戻しの免除があると、特別に受けた利益を相続財産に算入せずに遺産分割をします。
遺留分を計算するとき、持戻しの免除をしても特別に受けた利益を相続財産に算入します。
持戻しの免除で、相続人の遺留分を一方的に奪うことになるからです。
持戻しの免除をしても、遺留分侵害額請求をすることができます。
④公正証書遺言があっても遺留分侵害額請求
遺留分は、相続人に認められた最低限の権利です。
遺言書を作成するだけで、相続人の遺留分を奪うことはできません。
公正証書遺言があっても、遺留分侵害額請求をすることができます。
⑤遺留分侵害額請求は金銭で請求する
遺留分が侵害されたら、遺留分侵害額請求をすることができます。
請求するときは、遺留分に相当する金銭を請求します。
不動産などの現物を請求することはできません。
⑥遺留分侵害額請求の手順
手順(1)遺留分権利者であることの確認
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を取得して、相続人を確定します。
自分が相続人であることと遺留分権利者であることを確認します。
手順1つ目は、遺留分権利者であることの確認です。
手順(2)遺留分侵害額の計算
相続財産全体の内容や一部の相続人が受けた特別な利益を整理して、遺留分を計算します。
配分された財産と遺留分を確認して、遺留分侵害額を計算します。
手順2つ目は、遺留分侵害額の計算です。
手順(3)遺留分侵害額請求の意思表示
遺留分を侵害した人に対して、遺留分侵害額請求をします。
遺言執行者がいる場合、遺言執行者にも通知します。
遺留分侵害額請求は、配達証明付き内容証明郵便がおすすめです。
遺留分侵害額請求権は、最短1年で時効消滅するからです。
例えば、令和7年4月1日に相続があったことを知った場合、令和8年3月31日までに請求する必要があります。
配達証明付き内容証明郵便を利用すると、請求の事実と日付を郵便局が証明してくれます。
手順3つ目は、遺留分侵害額請求の意思表示です。
手順(4)相手方と交渉
財産の評価方法は、複数あります。
相手方と意見が異なることが多いでしょう。
財産の評価方法や支払の方法について、相手方と協議します。
合意ができた場合、合意内容は書面に取りまとめます。
手順4つ目は、相手方と交渉です。
手順(5)家庭裁判所で手続
当事者間で話し合いができない場合、家庭裁判所の助力を得ることができます。
遺留分侵害額請求調停を申立てることができます。
調停は、家庭裁判所の調停委員のアドバイスを受けてする話し合いです。
調停で合意ができない場合、遺留分侵害額請求訴訟を提起します。
手順5つ目は、家庭裁判所で手続です。
4公正証書遺言が無効になるケース
①形式不備は極めて稀
公正証書遺言作成におけるルール違反があった場合、公正証書遺言は無効になります。
公正証書遺言は、公証人が関与して作成します。
手続不備で無効になることは、考えられません。
1年間に作成された公正証書遺言数万件に対して、無効判例はわずか数件です。
公証人は法律の専門家だから、手続不備がないように厳重にチェックするからです。
②遺言能力がないと無効
遺言書を有効に作成するには、次の条件を満たす必要があります。
・遺言者が15歳以上であること
・遺言者に遺言能力があること
遺言能力とは、遺言書に書いた内容を理解し遺言の結果のメリットデメリットを充分に判断できる能力です。
高齢になると、判断能力が低下することが多くなります。
多少判断能力が低下しても遺言書に書いた内容が簡単なら、遺言の結果のメリットデメリットを充分に判断できるかもしれません。
大幅に判断能力が低下して、かつ、遺言内容が複雑なら、遺言の結果のメリットデメリットを充分に判断できないでしょう。
遺言能力が失った後に作成した公正証書遺言は、無効になります。
③複数の遺言書が見つかったら古い遺言書は撤回
遺言書が複数見つかることがあります。
複数の遺言書があっても内容が両立できるなら、遺言書は有効です。
複数の遺言書があって内容が両立できない場合、古い日付の遺言書は撤回されたと扱われます。
④公正証書遺言があっても遺産分割協議
遺言書を確認したところ、内容が大きく偏っていることがあります。
一部の相続人の遺留分を侵害するような遺言書である場合、相続人間で大きなトラブルになるでしょう。
遺言者が高齢になってから作成した遺言書は、遺言能力を失った後に作成された可能性があります。
相続人間でトラブルを起こす可能性がある遺言書なのに、あえて執行してトラブルにする必要はありません。
相続人全員で相続財産の分け方を合意した方が合理的です。
公正証書遺言があっても、相続人全員の合意で遺産分割協議をすることができます。
⑤成年後見人に利益になる遺言
成年後見人とは、認知症などで判断能力が低下した人をサポートする人です。
成年後見人にサポートを受けている人が成年後見人に利益になる遺言書を作成しても、無効です。
成年後見人が次の人である場合は、無効になりません。
・配偶者
・直系血族
・兄弟姉妹
5遺言書作成を司法書士に依頼するメリット
自筆証書遺言の多くは、専門家のサポートなしで一人で作ります。
その結果、遺言書の厳格な書き方ルールが守られておらず、無効になってしまいます。
形式的な書き方ルールは守られていても、内容があいまいで遺言書を実現できないことも多々あります。
さらに、相続人の遺留分に配慮されておらず、トラブルに発展する例もあります。
せっかく遺言書を作るのなら確実な公正証書遺言をおすすめします。
司法書士などの専門家は相続人になる予定の人の遺留分にも配慮して、遺言書文案作成から公正証書遺言作成、遺言執行までトータルでサポートします。
司法書士からトータルでサポートを受けると、遺言者は確実な遺言を遺せるので安心できるでしょう。相続発生後も、相続人は面倒な相続手続から解放されます。
遺言者も家族も安心できる公正証書遺言作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
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「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
相続で兄弟姉妹の戸籍謄本を取得する方法
1兄弟姉妹相続は戸籍謄本収集がタイヘン
①相続人になる人は法律で決まっている
相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。
だれが相続人になるかについては、民法で決められています。
相続人になる人は、次のとおりです。
(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。
(1)配偶者は必ず相続人になる
(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども
(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属
(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹
②相続人は戸籍謄本で証明する
相続手続の最初の難関が相続人の確定です。
相続が発生した場合、だれが相続人になるのか家族にとっては当然分かっていることでしょう。
家族にとっては当たり前のことでも、第三者には分かりません。
相続の手続先には、客観的に証明する必要があります。
相続人を客観的に証明するとは、戸籍謄本で証明するということです。
戸籍には、その人の身分事項がすべて記載されています。
身分事項とは、その人の出生、結婚、離婚、養子縁組、離縁、認知、死亡、失踪など身分関係の項目です。
過去の身分関係の事項を家族に秘密にしているかもしれません。
戸籍謄本を確認すると、すべて明るみに出ます。
戸籍には、身分事項がすべて記載されているからです。
戸籍謄本をすべて揃えることで、相続人を客観的に証明することができます。
③兄弟姉妹相続で必要になる戸籍謄本
被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。
兄弟姉妹相続で必要になる戸籍謄本は、次のとおりです。
(1)被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
(2)被相続人の父の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
(3)被相続人の母の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
(4)兄弟姉妹全員の現在戸籍
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本で、被相続人に子どもがいないことを証明することができます。
兄弟姉妹が相続人になると聞くと、父母が同じ兄弟姉妹だけを想像しがちです。
相続人になる兄弟姉妹は、異父兄弟と異母兄弟を含みます。
異父兄弟と異母兄弟の存在を確認するため、父と母の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要になります。
ときには異父兄弟と異母兄弟と面識がないかもしれません。
見知らぬ相続人が見つかっても、相続手続から除外することはできません。
兄弟姉妹相続では、たくさんの戸籍謄本が必要になります。
兄弟姉妹相続は、戸籍謄本の収集がタイヘンです。
2戸籍謄本は本人のみが取得できる
①同一戸籍の人は無条件で取得できる
戸籍は、その人の身分事項が記録されています。
身分関係の項目は、その人のプライベートな項目です。
自分のプライベートな情報は、みだりに他人に知られたくないでしょう。
戸籍謄本は、第三者が興味本位で取得することはできません。
戸籍に記載されている人は、自分の戸籍謄本を請求することができます。
本人が自分の戸籍謄本を取得する場合、本人確認のうえ交付されます。
自分の戸籍謄本だから、委任状が要らないのは当然です。
結婚や離婚、養子縁組や離縁などで、その戸籍から別の戸籍に移ることがあります。
別の戸籍に移った後でも、自分の戸籍です。
除籍された後でも、自分の戸籍を取得することができます。
同一戸籍の人は、無条件で取得することができます。
②直系血族と配偶者は委任状なしで取得できる
戸籍に記載されている人の配偶者は、委任状なしで戸籍謄本を請求することができます。
本人から、委任状を出してもらう必要はありません。
戸籍に記載されている人の直系尊属と直系卑属は、委任状なしで戸籍謄本を請求することができます。
本人から、委任状を出してもらう必要はありません。
直系とは、親子関係によってつながっている関係のことです。
本人から見て、父母や祖父母は親子関係によってつながっています。
本人から見て、子どもや孫は親子関係によってつながっています。
父母、祖父母、子ども、孫などは、直系です。
尊属とは、前の世代の血族です。
本人から見て、父母や祖父母は前の世代の血族です。
本人から見て、父母や祖父母は直系尊属です。
父母や祖父母は、委任状なしで戸籍謄本を請求することができます。
卑属とは、後の世代の血族です。
本人から見て、子どもや孫は後の世代の血族です。
本人から見て、子どもや孫は直系卑属です。
子どもや孫は、委任状なしで戸籍謄本を請求することができます。

3兄弟姉妹の戸籍謄本を取得する方法
①親の戸籍にいる兄弟姉妹の戸籍謄本は取得できる
兄弟姉妹が親の戸籍にいることがあります。
直系血族は、戸籍謄本を取得することができます。
親の戸籍を取得すると、兄弟姉妹が記載されています。
直系血族は、無条件で取得することができます。
②兄弟姉妹に委任状を出してもらって取得できる
婚姻をすると、新たな戸籍が編製されます。
兄弟姉妹が婚姻している場合、親の戸籍から除籍されています。
新しく編成された戸籍の謄本は、無条件で取得することはできません。
兄弟姉妹は、直系尊属ではありません。
兄弟姉妹は、直系卑属ではありません。
戸籍謄本は、本人のみが取得できます。
兄弟姉妹に委任状を出してもらった場合、戸籍謄本を取得することができます。
③権利行使や義務の履行に必要なとき取得できる
権利行使や義務の履行に必要な場合、委任状なしで戸籍謄本を請求することができます。
権利行使や義務の履行に必要な場合、戸籍謄本を取得するための正当な理由があると言えます。
権利行使や義務の履行に必要な場合であると認められるためには、客観的な具体的な理由が必要です。
客観的な具体的な理由の裏付けとなる書類を準備する必要があります。
会社などの法人が権利行使や義務の履行のため、戸籍謄本が必要になることがあります。
権利行使や義務の履行に必要な場合と認められれば、会社などの法人が請求することができます。
権利行使や義務の履行に必要な場合であることが認められた場合、委任状なしで戸籍謄本を請求することができます。
④国等に提出する必要があるとき取得できる
国や地方自治体に提出する必要がある場合、委任状なしで戸籍謄本を請求することができます。
国や地方自治体に提出する必要がある場合、戸籍を取得するための正当な理由があると言えます。
相続登記をする場合、法務局にたくさんの戸籍謄本を提出します。
相続登記は、国や地方自治体に提出する必要がある場合です。
国に提出する必要がある場合だから、委任状なしで戸籍謄本を請求することができます。
国や地方自治体に提出する必要があると認められるためには、客観的な具体的な書類が必要です。
国等に提出する必要があると認められた場合、委任状なしで戸籍謄本を請求することができます。
⑤兄弟姉妹の戸籍謄本を発行してもらうためには
兄弟姉妹は、直系血族ではありません。
兄弟姉妹の戸籍謄本を請求する場合、担当者から発行できませんと言われてしまうことがあります。
兄弟姉妹の戸籍謄本は、無条件で発行してもらうことはできません。
正当な理由があれば、発行してもらうことができます。
正当な理由があることを担当者に分かってもらうことが重要です。
権利行使や義務の履行に必要なとき取得できることは、戸籍法第10条の2第1項第1号にはっきり書いてあります。
国等に提出する必要があるとき取得できることは、戸籍法第10条の2第1項第2号にはっきり書いてあります。
担当者に法律の条文を示して説得する必要があるかもしれません。
そのうえで権利行使や義務の履行に必要であることや国等に提出する必要があることを分かってもらう必要があります。
分かってもらうために必要な書類は、事案によって異なります。
適切な書類を準備して、市区町村役場の担当者に分かってもらうことが重要です。
発行できませんと言われてしまうのは、担当者に分かってもらえていないことが原因です。
兄弟姉妹の戸籍謄本を発行してもらうためには、準備が重要です。
4兄弟姉妹の戸籍謄本は広域交付で取得できない
①近隣の市区町村役場で戸籍謄本を取得できる
相続が発生したら、相続手続先に相続人を証明しなければなりません。
本籍地の市区町村役場に戸籍謄本を請求するのは、大きな手間と時間がかかります。
令和6年3月1日から戸籍謄本の広域交付が始まりました。
広域交付制度を利用すれば、本籍地以外の市区町村役場で戸籍謄本を請求することができます。
広域交付制度を利用して、近隣の市区町村役場で戸籍謄本を取得することができます。
②広域交付は第三者請求ができない
権利行使や義務の履行に必要なとき、兄弟姉妹の戸籍謄本を取得することができます。
国等に提出する必要があるとき、兄弟姉妹の戸籍謄本を取得することができます。
本人や直系血族、配偶者以外の人が請求することを第三者請求と言います。
第三者請求ができるのは、権利行使や義務の履行に必要なときや国等に提出する必要があるときです。
戸籍にはその人のプライベートな事柄が記載されています。
特別な理由について、厳格な審査が必要です。
特別な理由が明らかにできない場合、戸籍謄本を発行してもらうことはできません。
第三者が戸籍謄本を請求する場合、広域交付を利用することはできません。
5住民票の広域交付は使えない
①近隣の市区町村役場で住民票を取得できる
住民票は、住民票を置く市区町村役場で取得するのが原則です。
住民基本台帳ネットワークシステムを利用することで、近隣の市区町村役場で住民票を取得することができます。
例えば、名古屋市に住民票を置く人が名古屋市以外の市区町村役場で住民票を取得することができます。
名古屋市以外に住民票を置く人が名古屋市の各区役所で住民票を取得することができます。
②広域交付の住民票は本籍が記載されない
相続登記をする場合、被相続人や相続人の住民票が必要になります。
相続登記で必要になる住民票は、本籍の記載が必要です。
戸籍謄本に記載されている人と同一人物であることを確認するためです。
広域交付で発行される住民票には、本籍が記載されません。
広域交付の住民票は本籍が記載されないから、相続登記で使うことができません。
③住民票の除票は広域交付で取得できない
相続登記をする場合、被相続人の住民票の除票が必要になります。
広域交付では、住民票の除票は発行されません。
被相続人の住民票の除票は、住民票を置いていた市区町村役場に請求する必要があります。
④戸籍の広域交付で附票は取得できない
相続登記をする場合、被相続人や相続人の住民票が必要になります。
住民票に代えて、戸籍の附票を提出しても差し支えありません。
戸籍謄本は、条件を満たせば近隣の市区町村役場で取得することができます。
戸籍謄本の附票は、戸籍の広域交付の対象外です。
戸籍の附票は、本籍地の市区町村役場に請求する必要があります。
6相続人確定を司法書士に依頼するメリット
本籍地の変更や国による戸籍の作り直し(改製)で多くの方は、何通もの戸籍を渡り歩いています。
相続手続のために、たくさんの戸籍謄本を集めなければなりません。
古い戸籍は現在と形式が違っています。
慣れないと、読みにくいものです。
現代とちがって、古い戸籍は手書きで書いてあります。
手書きの達筆な崩し字で書いてあると、分かりにくいものです。
戸籍集めは、相続以上にタイヘンです。
本籍地を何度も変更している人は、たくさんの戸籍を渡り歩いています。
結婚、離婚、養子縁組、離縁を何度もしている人は、戸籍が何度も作り直されています。
戸籍をたくさん渡り歩いているので、戸籍集めは膨大な手間と時間がかかります。
段取りよく要領よく手続するには、ちょっとしたコツがいります。
お仕事や家事でお忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続をおまかせできます。
相続人調査でお困りのことがあれば、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
換価分割のメリットデメリット
1換価分割で公平な遺産分割
①換価分割は売却して金銭で分ける方法
相続財産には、いろいろな財産が含まれています。
不動産は、分けにくい財産です。
預貯金は、分けやすい財産です。
大部分が分けにくい財産の場合、相続財産の分け方についての合意が難しくなるでしょう。
分けにくい財産がある場合、換価分割で合意ができることがあります。
換価分割とは、分けにくい財産を売却して金銭に換えた後、金銭を分ける方法です。
換価分割で、公平な遺産分割をすることができます。
②換価分割がおすすめのケース
次のケースでは、換価分割がおすすめです。
(1)相続人間の公平を重視して遺産分割をしたいケース
(2)不動産の共有を避けたいケース
(3)相続税などの出費が予想されるケース
(4)遺産分割協議がまとまらないケース
③換価分割で相続登記は省略できない
相続登記をするためには、手間と時間がかかります。
相続登記を申請すると、登録免許税が課されます。
登録免許税は不動産の評価額によって決まるから、ときには無視できない金額になります。
相続した不動産を売却する場合、相続登記を省略したいと思うかもしれません。
相続登記を省略して、買主に所有権移転登記をすることはできません。
登記は、現在の所有者だけを公示しているわけではないからです。
相続登記を省略すると、登記の信頼が失われます。
実際に被相続人→相続人→買主と、所有権は移転しています。
換価分割で、相続登記は省略できません。
2換価分割のメリット
メリット①公平な遺産分割ができる
不動産などの財産は、物理的に分けにくいでしょう。
相続財産や相続人の一切の事情を考慮して、遺産分割をすることができます。
相続人全員が合意できるのであれば、どのような分け方でもすることができます。
現物分割は、財産をそのままの状態で分割します。
例えば、一部の相続人が不動産を相続し、他の相続人が預貯金を相続することができます。
ときには、不動産は非常に高額で預貯金がわずかな額であることがあるでしょう。
合意できればいいのですが、相続人全員の合意は難しいかもしれません。
換価分割は、いったん売却して金銭に換えた後に金銭を分ける方法です。
金銭だから、公平に分けることができます。
換価分割のメリット1つ目は、公平な遺産分割ができる点です。
メリット②出費に対応できる
不動産を相続したら、名義変更をします。
不動産の名義変更を相続登記と言います。
相続登記をする場合、登録免許税が課されます。
登録免許税は、不動産の価格の1000分の4です。
例えば、固定資産税評価額1億円の不動産であれば、登録免許税は40万円です。
換価分割をすると、不動産などをいったん売却します。
必要な資金を確保しやすくなります。
換価分割のメリット2つ目は、出費に対応できる点です。
メリット③不動産の管理負担がなくなる
不動産をそのまま保有していると、固定資産税が課されます。
必要に応じて不動産の修繕や除草を行う必要があるでしょう。
換価分割では、不動産を手放します。
手放した後は、不動産の管理負担がなくなります。
換価分割のメリット3つ目は、不動産の管理負担がなくなる点です。
メリット④代償金を準備しなくてよい
相続財産の大部分が自宅などの不動産だけという例は珍しくありません。
便利のいい場所にある土地は、わずかな面積であっても高い評価額になるでしょう。
わずかな面籍なのに、土地を現物で分割するのは現実的ではありません。
極端に小さな面積の土地は、使い勝手が良くないからです。
土地の価値が低くなってしまうでしょう。
代償分割とは、一部の相続人が不動産を相続し、他の相続人は固有の財産から代償を受け取る方法です。
代償分割をする場合、不動産を相続する相続人は代償金を払う必要があります。
いつまでたっても、代償金を払ってもらえないとトラブルに発展するでしょう。
換価分割では、売却してから売却代金を分割します。
代償金を準備する必要はありません。
換価分割のメリット4つ目は、代償金を準備しなくてよい点です。
メリット⑤共有トラブルを回避できる
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。
話合いがまとまらない場合、安易に共有が選ばれることがあります。
一見して、公平に見えるからです。
不動産の共有は、デメリットが大きくおすすめできません。
不動産を共有すると、管理や売却の意思決定が難しくなります。
共有者全員の同意が必要になるからです。
共有者全員の同意ができなくなると、共有者間で深刻なトラブルに発展するでしょう。
換価分割では、不動産を売却します。
共有トラブルを回避することができます。
換価分割のメリット5つ目は、共有トラブルを回避できる点です。
3換価分割のデメリット
デメリット①売却益に課税
被相続人が不動産を取取得してから不動産を売却するまでに、値上がりしていることがあります。
不動産を売却すると、譲渡所得を得たと言えます。
譲渡所得に対して、譲渡所得税が課されます。
換価分割のデメリット1つ目は、不動産の売却益に課税される点です。
デメリット②売却価格が市場状況に左右される
不動産などの財産は、市場の状況によって値動きがあります。
売却したいと思っても、相続人が期待するような金額が付かないことがあるでしょう。
換価分割のデメリット2つ目は、売却価格が市場状況に左右される点です。
デメリット③売却条件で相続人トラブル
不動産などの財産は、市場の状況以外にも売却条件によって金額が変わります。
一部の相続人は、金額は安くてもいいから早く売却したいと考えるかもしれません。
一部の相続人は、時間はかかってもいいから高く売却したいと考えるかもしれません。
市場状況が良くない場合、相続人間で話し合いがつかない可能性があります。
換価分割のデメリット3つ目は、売却条件で相続人トラブルになる点です。
デメリット④売却の手間と時間がかかる
換価分割では、不動産を売却するために費用がかかります。
例えば、次のような費用です。
・不動産仲介手数料
・名義変更のための登記費用
・境界確定のための測量費用
・残置物の処理費用
費用以外にも、手間と時間がかかります。
売却条件によっては、売却活動に数か月以上かかるでしょう。
換価分割のデメリット4つ目は、売却の手間と時間がかかる点です。
デメリット⑤感情的に納得できない
不動産が生まれ育った実家であるかもしれません。
相続人の中には、人手に渡ることが感情的に納得できなくなることがあります。
換価分割のデメリット5つ目は、感情的に納得できない点です。
4換価分割における注意点
注意①換価分割は遺産分割協議書に明記
相続財産は、相続人全員の共有財産です。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。
遺産分割協議書は、相続財産の分け方について相続人全員の合意内容の証明書です。
不動産を売却して売却代金を分割する場合、遺産分割協議書に明記します。
遺産分割協議書に明記しないと、売却代金の分割が単なる贈与に見えるからです。
代表相続人に名義を取得させるのは、換価分割のためであることを明確にします。
そのうえで売却代金から売却にかかるすべての費用を控除した残金を分配することを明記します。
このような記載があれば、原則として、贈与税の課税はされません。
単なる贈与と判断されたら、贈与税の対象になるでしょう。
贈与税は、想像以上に高額になります。
換価分割における注意点1つ目は、換価分割は遺産分割協議書に明記することです。
注意②長期間売却できないと贈与税
遺産分割協議書に「換価分割のため」「売却代金から売却にかかるすべての費用を控除した残金を分配する」とあれば、原則として、問題になることはありません。
不動産が長期間売却できない場合、売却金の分配が何年も後になることがあります。
売却できなければ、このようなことも止むを得ないことです。
一方で登記名義を得た後、長期間経過してから売却金を分配した場合、実態としては贈与として課税されるおそれがあります。
法律上、換価分割による売却金の分配であって、かつ、遺産分割協議書に記載があっても、課税されるリスクがあります。
このようなリスクを考慮に入れて、代表者名義にすることや売却条件の合意をする必要があります。
換価分割における注意点2つ目は、長期間売却できないと贈与税のリスクがあることです。
注意③換価分割で確定申告
被相続人が不動産を取得してから、値上がりしていることが多いでしょう。
不動産などを譲渡して所得を得た場合、譲渡所得税の対象になります。
登記名義人になった相続人だけでなく、売却代金を受け取った相続人全員が確定申告をします。
値上がり益を得ても、特別控除を適用できれば譲渡所得税は課されません。
重要な特別控除は、2種類あります。
居住用不動産の特別控除と被相続人の居住用不動産の特別控除です。
特別控除を適用できれば、譲渡所得から3000万円を控除することができます。
特別控除適用で、譲渡所得税が課されなくなることがあります。
換価分割における注意点3つ目は、換価分割で確定申告する必要があることです。
注意④相続人間で合意できないと遺産分割調停・遺産分割審判
相続人間で遺産分割協議がまとまらないことがあるでしょう。
家庭裁判所の助力を得て、話合いをすることができます。
遺産分割調停とは、家庭裁判所で調停委員のアドバイスを得ながらする話合いです。
遺産分割調停では、数か月から1年以上かかることが多いでしょう。
弁護士などを代理人に立てると、弁護士費用もかさみます。
遺産分割調停で話し合いがつかない場合、遺産分割審判で裁判官が判断します。
遺産分割調停・遺産分割審判になると、追加で時間と費用がかかります。
換価分割における注意点4つ目は、相続人間で合意できないと遺産分割調停・遺産分割審判になることです。
5遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット
遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。
合意がきちんと文書になっているからこそトラブルが防止できるといえます。
つまり、書き方に不備があるとトラブルを起こしてしまう危険があります。
せっかくお話合いによる合意ができたのに、取りまとめた文書の不備でトラブルになるのは残念なことです。
トラブルを防止するため、遺産分割協議書を作成したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
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提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
相続登記で不動産番号
1不動産番号で不動産を特定できる
①不動産番号は13桁の数字
不動産番号は、一筆の土地または一棟の建物ごとに付けられた番号です。
不動産番号は、13桁の数字です。
13桁の数字で、不動産を特定することができます。
不動産番号は、表示に関する登記事項のひとつです。
登記簿謄本を取得すると、表題部に記載されています。

②所在・地番や所在・家屋番号は分かりやすい
土地の登記簿謄本を取得すると、表題部に土地の所在と地番が記載されています。
地番とは、一筆の土地ごとに付けられた番号です。
土地の所在と地番を組み合わせて、土地を特定することができます。
建物の登記簿謄本を取得すると、表題部に建物の所在と家屋番号が記載されています。
家屋番号は、一棟の建物ごとに付けられた番号です。
建物の所在と家屋番号を組み合わせて、建物を特定することができます。
地番と番地は、別のものです。
番地は、住居表示です。
番地は、街を分かりやすく表示するために付けられた番号です。
地域によっては、地番と番地が同じことがあります。
土地の所在や建物の所在は、〇〇市〇〇区〇〇町〇丁目などと表現されます。
書類に取りまとめた場合、所在・地番や所在・家屋番号は分かりやすい書類になります。
③不動産番号で登記簿謄本を請求することができる
不動産番号で、不動産を特定することができます。
登記簿謄本は、インターネットを使って請求することができます。
不動産番号を記載するだけで、インターネット請求をすることができます。
13桁の数字を入力するだけなので、ラクに手続をすることができます。
不動産番号で登記簿謄本を請求できるのは、インターネットで請求する場合だけです。
法務局の窓口で請求する場合や申請書を郵送して請求する場合は、従来どおり、所在・地番や所在・家屋番号を記載します。
登記簿謄本は不要だけど、登記の内容を知りたいことがあるでしょう。
インターネットを使って、登記情報を取得することができます。
登記情報を取得する場合、不動産番号を記載するだけで請求することができます。
13桁の数字を間違えて入力すると、まったく別の不動産になってしまいます。
不要な登記簿謄本や登記情報を取得してしまうおそれがあります。
不動産番号はカンタンで便利な反面、分かりにくいのが欠点です。
④不動産番号がない不動産がある
インターネットを使って取得した登記簿謄本や登記情報には、必ず、不動産番号が記載されています。
登記簿は、コンピュータ化されている登記簿とコンピュータ化されていない登記簿があります。
コンピュータ化されていない登記簿の不動産には、不動産番号がありません。
コンピュータ化されていない登記簿は、インターネットで登記簿謄本を請求することができません。
⑤登記識別情報は不動産の所有者の証明
不動産について権利を取得した場合、原則として、権利証が発行されます。
権利証は、古いものは登記済証、現在では登記識別情報と言います。
オンライン指定庁になったときから、登記識別情報が発行されています。
登記識別情報は、12桁の数字とアルファベットの組み合わせです。
登記識別情報は、不動産の権利者であることの証明です。
不動産を売却するときや担保に差し出すとき、不動産に登記申請をします。
不動産の権利者が登記申請に関与していることの証明として、登記識別情報を法務局に提供します。
登記申請以外で、登記識別情報が必要になることはありません。
通常は、登記申請直前に開封して直ちに申請します。
登記識別情報を他人に知られると、権利書が奪われた場合と同じ危険があります。
登記識別情報は不動産の所有者の証明だから、他の人に知られないようにする必要があります。
2相続登記の申請書で不動産番号
①不動産を特定して相続登記
相続による不動産の名義変更を相続登記と言います。
相続登記をする場合、名義変更をする不動産を特定しなければなりません。
家族にとって自宅などは当然知っていることです。
法務局などの第三者には、どこにあるどの不動産なのか分からないからです。
申請の対象となる不動産を特定して、相続登記をします。
②不動産番号だけ記載して相続登記ができる
不動産番号のみ記載するときの記載例
不動産番号 1234567890123
不動産番号 2345678901234
不動産番号 3456789012345
不動産番号は、不動産を特定するための番号です。
相続登記をする場合、不動産を特定して登記申請をしなければなりません。
相続登記の申請書に、不動産番号を記載することができます。
不動産番号で不動産を特定することができるからです。
不動産番号だけ記載して、相続登記をすることができます。
③不動産番号と所在・地番の両方記載がおすすめ
(1)不動産番号と所在・地番の両方記載の記載例
不動産番号 1234567890123
所在 ○○市○○町○丁目
地番 ○番○
地目 宅地
地積 200㎡
(2)不動産番号と所在・家屋番号の両方記載の記載例
不動産番号 2345678901234
所在 ○○市○○町○丁目
家屋番号 ○番○
種類 居宅
構造 木造瓦葺2階建
床面積 1階 100.00㎡ 2階 100.00㎡
不動産番号を記載すれば、不動産を特定することができます。
不動産番号は、13桁の数字です。
一目でどの不動産なのか分かりにくいのが欠点です。
13桁の数字を記載するときに間違えてしまっても、気がつきにくいでしょう。
関係ない不動産に相続登記を申請してしまうことがないように、所在・地番や所在・家屋番号を記載する方が安全です。
相続登記をする場合、不動産番号と所在・地番や所在・家屋番号の両方を記載することができます。
土地について申請する場合、次の事項を記載します。
(1)所在
(2)地番
(3)地目
(4)地積
建物について申請する場合、次の事項を記載します。
(1)所在
(2)家屋番号
(3)種類
(4)構造
(5)床面積
不動産番号を記載した方が法務局にとって審査しやすいでしょう。
法務局が相続登記を受付した場合、受付のお知らせが発行されます。
相続登記の申請に不動産番号と所在・地番や所在・家屋番号の両方を記載した場合、受付のお知らせにも両方記載されます。
受付のお知らせを見ることで、確実に登記申請をしたことが確認できます。
不動産番号と所在・地番や所在・家屋番号の両方を記載した場合、申請内容が一目瞭然です。
④不動産番号を間違えたら登記できない
不動産番号は、13桁の数字です。
一目でどの不動産なのか分かりにくいのが欠点です。
数字を間違えた場合、まったく別の不動産になります。
相続登記を申請しても、認められません。
不動産は重要な財産であることが多いから、厳格に審査されます。
軽微なミスであれば、申請を補正することができます。
相続登記の対象となる不動産を間違えた場合、軽微なミスとは言えません。
重大なミスでは、申請を補正することができません。
いったん登記申請を取り下げて、やり直しになります。
⑤敷地権付マンションは不動産番号だけでは不足
敷地権のあるマンションの記載例
(一棟の建物の表示)
所在 ○○市○○町○丁目○番地○
建物の名称 ○○○○マンション
(専有部分の建物の表示)
不動産番号 3456789012345
家屋番号 ○○町○丁目○番○の○
建物の名称 ○○○
種類 居宅
構造 鉄筋コンクリート造1階建
床面積 ○階部分 ○○.○○㎡
価格 金○○○○万円
(敷地権の表示)
符号 1
所在 ○○市○○町○丁目
地番 ○番○
地目 宅地
地積 ○○○.○○㎡
(敷地権の種類)
所有権
(敷地権の割合)
持分 ○○○○○○分の○○○○○○
符号 2
所在 ○○市○○町○丁目
地番 ○番○
地目 宅地
地積 ○○○.○○㎡
(敷地権の種類)
所有権
(敷地権の割合)
持分 ○○○○○○分の○○○○○○
分譲マンションのように1棟の建物の一部を独立して所有できる建物を区分建物と言います。
区分建物が建っている土地が、敷地です。
敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利を一体化して処分するようにしたのが、敷地権付区分建物です。
敷地権付区分建物の場合、マンションを売買するとき敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利は一緒についてきます。
敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利は、命運を共にする運命共同体です。
新しいマンションのほとんどは、敷地権付区分建物です。
敷地権付マンションは、お部屋の権利に不動産番号が付いています。
敷地権付マンションの相続登記は、敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利の名義変更です。
敷地権付マンションの相続登記をする場合、不動産番号だけでは不足です。
敷地を使う権利を含めて相続登記をするからです。
3相続登記の委任状に不動産番号
相続登記は、相続手続の中でも難しい手続です。
多くの人は、司法書士などの専門家に依頼します。
司法書士などの専門家に依頼する場合、法務局に委任状を提出します。
委任状は、代理人に依頼した内容を証明する書類です。
どの不動産について、どういう内容の登記を依頼したのか委任状で明らかにします。
委任状に不動産を記載する場合、不動産番号だけ記載することができます。
不動産番号だけ記載した場合、分かりにくいのが欠点です。
分かりやすさを考えるのであれば、不動産番号と所在・地番や所在・家屋番号の両方記載がおすすめです。
不動産番号の記載誤りがあった場合、適切な委任があったとは認められません。
多くの場合、いったん取下げてやり直しになるでしょう。
4遺産分割協議書に不動産番号は記載しなくてもよい
相続が発生した場合、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。
相続人全員の合意内容を取りまとめた文書が遺産分割協議書です。
遺産分割協議書は、相続人全員に確認してもらいます。
問題がなければ、相続人全員が記名し実印で押印します。
相続人全員が確認するときに、分かりやすい表現をするといいでしょう。
不動産番号で不動産を特定することができます。
相続人は13桁の数字を見て、どの不動産なのか分からないでしょう。
土地であれば、所在、地番、地目、地積を記載するといいでしょう。
建物であれば、所在、家屋番号、種類、構造、床面積を記載するといいでしょう。
13桁の数字を記載する場合、間違いやすいものです。
記載しても問題にはなりませんが、よく注意して間違いのないようにしましょう。
記載誤りが心配ならば、あえて記載する必要はありません。
5相続登記を司法書士に依頼するメリット
相続が発生すると、相続人は悲しむ暇もなく相続手続に追われます。
ほとんどの人は相続手続は不慣れで、聞き慣れない法律用語で疲れ果ててしまいます。
インターネットの普及で多くの人は簡単に多くの情報を手にすることができるようになりました。
多くの情報の中には正しいものも、適切でないものも同じように混じっています。
相続登記もカンタンにできる、ひとりでできたという記事も散見されます。
不動産は、重要な財産であることも多いものです。
登記手続は、一般の方から見ると些細なことと思えるようなことでやり直しになります。
法務局の登記手続案内を利用すれば、シンプルな事例の申請書類などは教えてもらえます。
通常と異なる事例に関しては、わざわざ説明してくれません。
司法書士などの専門家から見れば、トラブルのないスムーズな相続手続であっても、知識のない一般の方はへとへとになってしまいます。
住所がつながらない場合など、シンプルな事例とは言えない事情がある場合は申請を取下げて、やり直しになることが多いでしょう。
司法書士は登記の専門家です。
スムーズに相続登記を完了させたい方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
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「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
相続登記義務化で相続人申告登記
1令和6年(2024年)4月1日から相続登記義務化
①令和6年(2024年)4月1日から相続登記は義務
所有権移転登記をしない場合、所有者はソンをします。
不動産に対して権利主張をする人が現れた場合、所有者のはずなのに権利主張ができないからです。
相続登記は、手間のかかる手続です。
自分で相続登記をしようとするものの、多くの人は挫折します。
相続登記をする場合、登録免許税を納付しなければなりません。
相続登記を専門家に依頼する場合、専門家に報酬を支払う必要があります。
不動産の価値が低い場合、相続登記で手間と費用がもったいないと考える人が少なくありません。
相続登記がされない場合、登記簿を見ても土地の所有者が分からなくなります。
所有者不明の土地の発生を防止するため、相続登記をすることは義務になりました。
②相続登記の猶予期間は3年
令和6年4月1日から相続登記は、3年以内に登記申請をする義務が課されました。
相続登記の猶予期間は、3年です。
相続登記の期限3年のスタートは、知ってからです。
自己のために相続の開始があったことを知って、かつ、不動産を取得することを知った日から、スタートします。
相続が発生したら、近親者には真っ先に連絡するでしょう。
さまざまな家族の事情から、疎遠になっている相続人がいます。
疎遠な相続人は、相続発生から長期間経過してから相続があったことを知るでしょう。
相続があったことを知るまで、期限3年はスタートしません。
相続登記の猶予期間は、たった3年です。
③過去の相続も相続登記義務化の対象
令和6年4月1日から、相続登記は義務になりました。
令和6年4月1日以降に発生した相続は、もちろん対象になります。
令和6年4月1日以前発生の相続も、義務化の対象です。
令和6年4月1日以前発生の相続では、令和6年4月1日に期限3年がスタートします。
④相続登記を怠ると10万円以下のペナルティー
相続登記の期限3年以内に登記申請をしないと、10万円以下のペナルティーの対象になります。
ペナルティーは行政罰だから、前科は付きません。
ペナルティーを払っても、相続登記を代わりにやってくれることはありません。
⑤相続登記義務化の背景
相続登記義務化の背景には、所有者不明土地の問題があります。
不動産の権利を取得したら、通常はすぐに登記申請をします。
価値の低い土地では、相続登記が行われないことがあります。
適切に登記がされないと、所有者が不明になります。
土地の売買や公共事業の実施に、大きな支障をきたします。
社会全体にとって損失となるため、相続登記が義務化されました。
2遺産分割ができないときに相続人申告登記
①相続人申告登記で義務を果たす
相続人申告登記とは、相続人が法務局に対し自分が相続人であることを申告する制度です。
申告に基づいて、登記官が職権で相続人の住所や氏名を登記に付記します。
相続人申告登記をした場合、相続登記の義務を履行したと扱われます。
相続人申告登記は、相続登記の義務を履行しやすくする制度です。
相続人申告登記で、相続登記の義務を果たすことができます。
②遺産分割未了は言い訳にならない
相続が発生したら、相続財産は相続人全員の共有財産です。
不動産を共有するのは、不自由が多いでしょう。
多くの場合、相続人全員で不動産の分け方の合意をします。
さまざまな家族の事情から、分け方の合意が難しいかもしれません。
相続登記には、3年の期限が決められました。
相続財産の分け方に合意ができないから相続登記ができないは、言い訳になりません。
自己のために相続の開始があったことを知って、かつ、不動産を取得することを知っているからです。
相続登記の期限3年が経過すると、ペナルティーの対象になります。
遺産分割未了は、言い訳になりません。
③正当理由でペナルティーの対象外
行政上の義務に違反すると、ペナルティーが課されます。
正当な理由があれば、ペナルティーの対象外です。
法務省ホームページで、正当な理由について次のように示しています。
(1)相続登記の義務に係る相続について、相続人が極めて多数に上り、かつ、戸籍関係書類等の収集や他の相続人の把握等に多くの時間を要する場合
(2)相続登記の義務に係る相続について、遺言の有効性や遺産の範囲等が相続人等の間で争われているために相続不動産の帰属主体が明らかにならない場合
(3)相続登記の義務を負う者自身に重病その他これに準ずる事情がある場合
(4) 相続登記の義務を負う者が配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成13年法律第31号)第1条第2項に規定する被害者その他これに準ずる者であり、その生命・心身に危害が及ぶおそれがある状態にあって避難を余儀なくされている場合
(5) 相続登記の義務を負う者が経済的に困窮しているために、登記の申請を行うために要する費用を負担する能力がない場合
正当な理由があると認められれば、ペナルティーの対象外になります。
3相続人申告登記のやり方
①登記名義人の相続人が申出
相続人申告登記は、登記名義人の相続人であることを公示する制度です。
相続人申告登記では、次の事項を申出します。
(1)申出人の氏名及び住所
(2)代理人の氏名及び住所
(3)申出の目的
(4)申出に係る不動産の所在事項
相続人になる人は、法律で決められています。
多くの場合、複数の人が相続人なるでしょう。
相続人申告登記では、自分が相続人のひとりであれば申出をすることができます。
他の相続人について調査することなく、自分が相続人であることを申し出することができます。
相続人になる人が相続人申告登記の申出をします。
②相続人申告登記は押印・電子署名不要
相続人申告登記の申出書に、押印は不要です。
相続人申告登記の申出書は、オンラインで提出することができます。
オンライン請求で、電子署名は不要です。
相続人申告登記は、委任状を発行して司法書士などの専門家に依頼することができます。
相続人申告登記の委任状に、押印は不要です。
③相続人申告登記の必要書類
相続人申告登記の必要書類は、次のとおりです。
〇配偶者または子どもが申出をする場合
(1)被相続人の除票
(2)被相続人の戸籍謄本
(3)申出人の戸籍謄本
(4)申出人の住民票
(5)委任状
〇親などの直系尊属が申出をする場合
(1)被相続人の除票
(2)被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
(3)申出人の戸籍謄本
(4)申出人の住民票
(5)委任状
相続人申告登記は、法定相続情報一覧図を利用することができます。
複数の相続人申告登記をする場合、添付書類を援用することができます。
相続人申告登記の添付書類は、希望すれば原本還付してもらえます。
住所の記載入り相続関係説明図を添付した場合、住民票もコピーを提出したと扱われます。
住民票上の申出人の氏名のふりがな及び生年月日を記載した場合、住民票は提出不要です。
住民票コードを提出することで、住民票の提出を省略することはできません。
相続登記義務化は、令和6年4月1日以前に発生の相続であっても対象になります。
古い相続の場合、被相続人の住民票を取得できないことがあります。
住民票には、保存期間が決められているからです。
保存期間が経過したら、順次廃棄されます。
住民票や戸籍の附票を提出できない場合、申出人から法務局長あて上申書を提出します。
上申書とは、被相続人と所有権登記名義人は同一人物ですという申立てです。
上申書には、申立人の印鑑証明書を添付します。
被相続人の死亡日から考えて廃棄済であることが明らかである場合、不在籍証明書などの公的書類は不要です。
④相続人申告登記で登録免許税はかからない
相続人申告登記では、登録免許税は課されません。
相相続人申告登記があった場合、登記官職権で登記されるからです。
⑤相続人申告登記の申出書は郵送で提出できる
相続人申告登記の申出書は、紙で作成することができます。
紙で作成した相続人申告登記の申出書は、郵送で提出することができます。
普通郵便で送付しても、差し支えありません。
相続人申告登記の申出書は戸籍謄本や住民票を一緒に送るから、記録が残る郵便が安心です。
⑥相続人申告登記の手順
手順①相続の開始を確認
被相続人の死亡を戸籍謄本で確認します。
戸籍謄本を取得すると、死亡日が確認できます。
相続人申告登記の手順1つ目は、相続の開始を確認することです。
手順②相続人を確認
相続人の戸籍謄本を取得して、相続人であることを確認します。
相続人申告登記の手順2つ目は、相続人を確認することです。
手順③必要書類の準備
必要書類は、先に説明したとおりです。
相続人申告登記の手順3つ目は、必要書類の準備です。
手順④相続人申告登記の申出書を作成提出
相続人申告登記の申出書は、紙で提出することができます。
登記・供託オンライン申請システムを利用して、オンラインで提出することができます。
相続人申告登記の手順4つ目は、相続人申告登記の申出書を作成提出することです。
手順⑤登記完了
法務局の審査が完了すると、登記が実行されます。
相続人申告登記の手順5つ目は、登記完了です。
⑦売却するときは相続登記が必要
相続人申告登記は、登記名義人の相続人であることを公示する制度です。
相続登記をすると、所有者であることが公示されます。
相続人だから、所有者になる可能性がある人に過ぎないと言えます。
相続人申告登記の名義人は、所有者になることも所有者にならないこともあります。
相続人申告登記と相続登記の大きなちがいです。
不動産を売却する場合、相続登記を省略することはできません。
不動産を売却したのは、所有者のはずだからです。
所有権は、被相続人→相続人→買主と移動しています。
登記は、権利の移転の過程も公示しています。
所有権移転の実態を表していない場合、登記制度への信頼が失墜するからです。
このようなことが許されるはずがありません。
相続人申告登記では、登記名義人の相続人であることを公示したに過ぎません。
不動産を売却する場合、相続人申告登記をした後であっても相続登記が必要です。
4相続人申告登記のメリットデメリット
メリット①相続人申告登記でペナルティー10万円を回避
相続人申告登記をすると、ペナルティー10万円を回避することができます。
相続人申告登記のメリット1つ目は、ペナルティー10万円を回避できる点です。
メリット②単独で相続人申告登記ができる
相続人全員の協力がなくても、相続人申告登記をすることができます。
相続人申告登記のメリット2つ目は、単独で相続人申告登記ができる点です。
メリット③登録免許税が課されない
相続人申告登記は、登記官に対して相続人であることを申告する制度です。
相続人と申告した後、登記官が職権で登記します。
職権登記に、登録免許税は課されません。
相続人申告登記のメリット3つ目は、登録免許税が課されない点です。
メリット④手続がカンタン
相続人申告登記をする場合、申告する人が相続人であることが分かる戸籍謄本のみで差し支えありません。
相続人申告登記のメリット4つ目は、手続がカンタンである点です。
デメリット①あらためて相続登記が必要
相続人申告登記をしてもペナルティーを回避できるだけで、相続登記がされていません。
相続人申告登記のデメリット1つ目は、あらためて相続登記が必要である点です。
デメリット②相続人申告登記だけで売却ができない
相続人申告登記は、登記名義人の相続人が公示されます。
相続人申告登記には、相続登記の効果はありません。
相続人申告登記のデメリット2つ目は、相続人申告登記だけで売却ができない点です。
デメリット③他の相続人にペナルティーのおそれ
相続人申告登記でペナルティーを回避できるのは、申出人だけです。
相続人申告登記のデメリット3つ目は、他の相続人にペナルティーのおそれがある点です。
5相続登記を司法書士に依頼するメリット
大切な家族を失ったら、大きな悲しみに包まれます。
やらなければいけないと分かっていても、気力がわかない方も多いです。
相続手続は一生のうち何度も経験するものではないでしょう。
だれにとっても不慣れで、手際よくできるものではありません。
相続登記は、相続手続の中でも手間がかかる難しい手続です。
相続登記は難しい手間がかかる手続なので、司法書士などの専門家に依頼するでしょう。
相続手続で挫折しがちなのは、戸籍謄本などの書類収集や遺産分割協議書の作成です。
書類収集や遺産分割協議書の作成は、司法書士に依頼することができます。
司法書士が戸籍謄本や遺産分割協議書を準備したうえに、法務局の厳重な審査をします。
法務局の審査が通った戸籍謄本や遺産分割協議書だから、銀行などの相続手続先で指摘があることはありません。
銀行などの独自書類の内容などに指摘があるとしても、簡単に済むことがほとんどでしょう。
相続手続をスムーズに進めたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
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