家族信託で不動産の共有回避と公平な相続を両立

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1不動産を共有しなくても公平な相続は実現できる

①子ども全員で共有すると公平に見える

不動産は、分けにくい財産の代表です。

相続財産の大部分が不動産である場合、公平な遺産分割が難しくなります。

相続人全員による話し合いがつかなくなったとき、共有を選択することがあります。

共有にすると、子ども全員が同じ持分で取得することができます。

一見して公平な相続ができると考えて、不動産を共有することがあります。

②共有する不動産の管理で日常的に調整が必要になる

共有する不動産の管理に関する事項は、原則として共有持分の過半数で決定します。

・空き家を賃貸するか

・雨漏り、外壁、設備などを修繕するか、どこまで修繕するか

・固定資産税、火災保険料、修繕費をどうやって負担するか

・庭木、残置動産、近隣苦情にどう対応するか

・駐車場として使うか、更地にして活用するか

共有者は、共有する不動産について日常的に判断を迫られます。

不動産管理で、日常的に共有者間の調整が必要になります。

③公平にするための共有が負担になる

負担(1)固定資産税・都市計画税の納付義務がある

不動産を保有していると、固定資産税・都市計画税が課されます。

固定資産税・都市計画税は、共有者全員が連帯して納付する義務があります。

共有者間で固定資産税・都市計画税を負担する人を決めても、連帯納付義務から逃げられません。

負担(2)修繕費がかかる

共有物の管理費用は、各共有者が持分に応じて負担します。

例えば、次の費用です。

・屋根、外壁、基礎、雨漏りなどの修繕費

・給排水管、給湯器、電気設備などの修理費

・庭木の剪定、除草、害虫駆除費

・火災保険料・地震保険料

修繕が必要なのに、一部の共有者が費用を出さないと大きなトラブルになります。

近隣への迷惑を防止するため、他の共有者が費用を負担せざるを得なくなる可能性があります。

負担(3)使用方法をめぐる負担

共有者は、原則として共有物全体を持分に応じて使用することができます。

一部の共有者が単独で不動産全体を使用している場合、他の共有者との間で問題が生じます。

例えば被相続人と同居していた相続人がそのまま自宅として使用しているケースです。

負担(4)売却や賃貸の調整が負担になる

不動産全体を売却など処分するには、共有者全員の同意が必要です。

一分の共有者が反対したら、不動産全体の処分が進められなくなります。

多人数で共有するほど、共有者全員の合意がまとまりにくくなります。

共有者間の調整が共有者全員の負担になります。

④共有者が死亡でさらに複雑になる

共有者のひとりが死亡しても、共有関係は終了しません。

死亡した共有者が持っていた共有持分は、死亡した共有者の相続人に相続されます。

共有者の相続人に、共有持分が細分化されて相続されることがあります。

共有者が増えると、共有不動産に関する意思決定がますます難しくなります。

2家族信託で不動産の共有回避と公平な相続を両立

①相続が発生する前に家族信託をする

家族信託契約とは、信頼する家族に財産管理を依頼する契約です。

所有権をよく見ると、財産を管理する権利と財産を利用する権利に分けることができます。

家族信託を利用すると、財産を管理する権利と財産を利用する権利を別の人にすることができます。

財産を管理する権利を信頼できる家族に渡して、財産を利用する権利だけ自分が持っていることができます。

家族信託とは、財産を管理する権利を信頼できる家族に渡して、財産を利用する権利だけ持っている仕組みです。

家族信託の当事者は、次の3つです。

・委託者 もともとの財産の所有者

・受託者 信託契約で財産管理を任される人

・受益者 財産を利用する権利を持つ人

不動産を共有すると、管理で日常的に共有者間の調整が必要になります。

管理方針を共有できなくなると、やがて共有の負担に耐えられなくなります。

共有者間の調整が難しくなった後では、共有者間の信頼関係が崩壊していることが多いでしょう。

共有者間の信頼関係が崩壊した後では、受託者に財産管理を任せられなくなります。

家族信託は、家族間の信頼関係が基礎になるからです。

被相続人が元気なうちは、家族の信頼関係が保たれているでしょう。

相続後に問題が起きてから対応するのではなく、問題が起きる前に管理と承継の仕組みを決めておくことができます。

相続が発生する前に家族信託をすることで、信頼関係を維持することができます。

②家族信託は認知症による資産凍結の対策になる

家族信託は、共有回避だけでなく認知症による資産凍結対策として有効です。

財産を管理する権利を信頼できる家族に渡してあるからです。

資産凍結する理由は、所有者が自分で財産を管理できないからです。

家族信託を利用すると、信頼できる家族が財産を管理してくれます。

信頼できる家族と信託契約をすることで、効果的に認知症対策をすることができます。

③信託財産は信託契約の定めに従う財産

家族信託で不動産を信託する場合、不動産の名義は受託者に変更されます。

受託者の名義に変更されても、受託者は自由に利用することができません。

信託財産は、信託契約の定めに従う財産だからです。

信託財産は、受託者の固有の財産とは別の財産です。

④委託者兼受益者が死亡しても信託を継続できる

家族信託に関することは、信託契約で詳しく決めておくことができます。

委託者兼受益者が死亡しても、信託は自動で終了しません。

信託の終了理由は、信託契約で決めておきます。

委託者兼受益者が死亡したら、信託を終了させる設計をすることができます。

委託者兼受益者が死亡しても、信託を継続させる設計をすることができます。

信託契約に終了理由として決められているから、委託者兼受益者の死亡によって信託が終了します。

信託の終了理由は、信託目的に応じて考えます。

委託者兼受益者が死亡した後の共有回避が目的なら、委託者兼受益者が死亡した後も信託は継続させるといいでしょう。

信託継続中、信託契約の定めに従って受託者が信託財産を管理処分します。

⑤委託者が死亡しても信託財産は相続財産に変容しない

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

被相続人が信託契約をした場合、信託した財産は信託財産です。

委託者が死亡しても、信託財産は相続財産に変容しません。

信託財産は、信託契約の定めに従う財産です。

委託者が死亡した後も信託が継続する場合、信託財産は信託契約の定めに従って管理処分されます。

信託財産は、相続財産とは別の財産だからです。

⑥相続人全員を後継受益者に指定できる

委託者兼受益者が死亡した後に受益者になる人をあらかじめ信託契約で決めておくことができます。

公平な相続を目指す場合、相続人全員を後継受益者に指名することができます。

信託継続中、信託契約の定めに従って受益者は不動産からの利益を受け取ることができます。

不動産を共有しなくても、実質的に公平な相続を設計することができます。

⑦受託者に対する報酬を払うことができる

委託者兼受益者が死亡した後、相続人全員を後継受益者に指名することができます。

各相続人が受け取る利益を平等にしても、負担まで平等とは限りません。

受け取る利益を平等にしたのに負担が平等でないと、公平な相続にはなりません。

受託者になる人は、相続人の一人でしょう。

受託者は不動産を管理する手間と時間がかかるのに、他の相続人は手間と時間を負担しません。

信託契約で、受託者に対する報酬の定めを置くことができます。

受託者に対する報酬の定めを置くことは、公平な相続を目指す設計のひとつです。

公平な相続を目指すなら、受託者の負担と報酬のバランスを考えておく必要があります。

⑧信託終了後の不動産の帰属先を決めておく

信託の終了理由は、信託契約で決めておきます。

信託終了後の不動産の帰属先は、信託契約で決めておきます。

信託終了後の不動産の帰属先を決めておくことで、信託終了後に共有になることを回避することができます。

3家族信託で共有回避と公平な相続を両立するときのポイント

①家族全員が信託契約の内容を理解しておく

家族信託は、信託契約でさまざまなことを決めておきます。

信託契約は、委託者と受託者のみで契約を締結することができます。

家族信託で共有回避と公平な相続を両立するとき、家族全員が信託契約の内容を理解しておくことが重要です。

信託財産は、受託者が管理処分を担います。

受託者が管理処分をするとしても、受託者が自由に管理処分をすることはできません。

信託は、信託契約の定めに従って運用するからです。

信託財産は、信託契約の定めに従って管理処分をします。

受託者以外の家族は、最低でも次の点を理解しておきます。

・共有にしない理由

・受託者が管理処分をすること

・受託者が管理処分する財産

・受益者になる人

・最終的な不動産の帰属先

信託契約の内容を理解しておくことは、家族の信頼関係を支えます。

②受託者の権限と監督方法を決めておく

信託財産は、受託者が管理処分を行います。

他の家族は、直接不動産を管理処分をしません。

受託者は、信託契約の定めに従って管理処分を行います。

信託契約の定めに従って管理処分がされているか、報告する仕組みを決めておきます。

信託契約において、受託者を監督する仕組みや報告・承認を受ける仕組みを決めておきます。

必要に応じて、信託契約において受益者代理人や信託監督人を置くことができます。

受託者に権限が集中するからこそ、信託の運営の透明性の確保が重要になります。

③遺言書と家族信託はできることが違う

(1)遺言書でも不動産の共有を回避できるケースがある

遺言書を作成して、財産を引き継ぐ人を決めておくことができます。

相続財産の配分によっては、不動産の共有を回避できるケースがあります。

(2)遺言書で生前の認知症対策はできない

遺言書に効力が発生するのは、遺言者が死亡したときです。

遺言者の生前は、遺言書に効力がありません。

信託契約は、原則として契約締結時から効力が発生します。

委託者が元気な間から、受託者に財産の管理処分をまかせることができます。

委託者が認知症などで判断能力を失った後も、受託者に財産の管理処分をまかせることができます。

委託者が死亡した後の受益者について、決めておくことができます。

信託終了後の不動産の帰属先について、決めておくことができます。

不動産の共有を回避するだけでなく、不動産の管理と承継を一体で考えることができます。

4家族信託を司法書士に依頼するメリット

家族信託は、信頼できる家族と締結する契約です。

委託者兼受益者と受託者だけでなく、家族みんなで意見共有が重要です。

家族信託を考え始めてから、実際に契約ができるまでに時間がかかることが通常です。

認知症は、進行性があります。

今日は元気だから、明日も元気で、これからずっと元気と思いたいものです。

急に、症状が進むことがあります。

認知症が心配になってから、家族信託の検討を始めるので、家族で争いが起きるのです。

まだまだ元気!若い者には負けない!と言える時こそ、対策のはじめどきです。

家族信託を考えている方は、早めに司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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