このページの目次
1認知症になると契約ができない
①認知症になると判断ができない
認知症になると、物事のメリットデメリットを適切に判断することができなくなります。
記憶があいまいになる人もいます。
物事のメリットデメリットを適切に判断できない場合、売買契約などの法律行為はできません。
自宅の持ち主であっても、判断能力が低下すると売却ができなくなります。
自宅を売却するためには、判断能力が必要だからです。
②判断能力低下で本人による財産管理ができなくなる
判断能力が低下すると、本人による財産管理が難しくなります。
自分の財産であっても、自分の判断で管理や処分をすることができません。
有効に財産の管理や処分をするには、充分な判断能力が必要だからです。
③共有する不動産の管理で日常的に調整が必要になる
共有する不動産の管理に関する事項は、原則として共有持分の過半数で決定します。
・空き家を賃貸するか
・雨漏り、外壁、設備などを修繕するか、どこまで修繕するか
・固定資産税、火災保険料、修繕費をどうやって負担するか
・庭木、残置動産、近隣苦情にどう対応するか
・駐車場として使うか、更地にして活用するか
共有者は、共有する不動産について日常的に判断を迫られます。
不動産管理で、日常的に共有者間の調整が必要になります。
④共有者が増えるほど認知症リスクが高まる
各共有者が持つ共有持分は、各共有者の財産です。
判断能力が低下すると、本人による財産管理が難しくなります。
共有する不動産の管理で日常的に調整が必要になるのに、判断ができなくなります。
共有者のうち一人が判断できなくなると、不動産全体の管理が難しくなるリスクがあります。
共有者のうち一人が判断できなくなると、不動産全体の処分ができなくなるリスクがあります。
共有する不動産全体の処分に関する事項は、共有者全員の合意で決定します。
共有者が増えると、認知症リスクが蓄積します。
物事のメリットデメリットを適切に判断できないと、有効な合意をすることができないからです。
共有者全員の合意がないと、不動産全体を処分することはできません。
認知症で判断能力が低下した共有者の共有持分がわずかであっても、不動産全体を処分することができなくなります。
共有者全員による有効な合意がないと、不動産全体を処分できないからです。
2認知症対策の家族信託で不動産の共有持分を信託
①信頼できる家族と信託契約
認知症になると、資産があるのに利活用ができなくなります。
認知症になる前に、資産凍結に備える必要があります。
認知症による資産凍結対策として、家族信託が有効です。
家族信託契約とは、信頼する家族に財産管理を依頼する契約です。
所有権をよく見ると、財産を管理する権利と財産を利用する権利に分けることができます。
家族信託を利用すると、財産を管理する権利と財産を利用する権利を別の人にすることができます。
財産を管理する権利を信頼できる家族に渡して、財産を利用する権利だけ自分が持っていることができます。
家族信託とは、財産を管理する権利を信頼できる家族に渡して、財産を利用する権利だけ持っている仕組みです。
家族信託を利用すると、認知症による資産凍結に効果的な対策になります。
財産を管理する権利を信頼できる家族に渡してあるからです。
資産凍結する理由は、所有者が自分で財産を管理できないからです。
家族信託を利用すると、信頼できる家族が財産を管理してくれます。
家族信託の当事者は、次の3つです。
・委託者 もともとの財産の所有者
・受託者 信託契約で財産管理を任される人
・受益者 財産を利用する権利を持つ人
認知症対策で家族信託を利用する場合、委託者と受益者は認知症の心配がある親、受託者は信頼できる家族です。
信頼できる家族と信託契約をすることで、効果的に認知症対策をすることができます。
②認知症になると信託契約はできない
家族信託契約は、信頼する家族に財産管理を依頼する契約です。
物事のメリットデメリットを適切に判断できない場合、契約などの法律行為はできません。
重度の認知症になると、有効に信託契約をすることはできなくなります。
家族信託契約をするなら、判断能力が低下する前である必要があります。
充分な判断能力がある間に、信託契約を締結します。
③委託者が認知症になった後も受託者が信託財産を管理
受託者は、信託契約で財産管理を任される人です。
信託契約を締結した後、信託した財産は受託者が管理処分をします。
委託者が認知症になって判断能力が低下しても、受託者の判断で管理処分をすることができます。
信託財産の管理方針は、信託契約で決めておきます。
受託者は信託契約で決められた信託財産の管理方針に従って、管理処分をします。
信託財産は受託者の名義になるけど、受託者の固有の財産ではありません。
受託者の判断で管理処分をすることができるけど、受託者が自由に使うことはできません。
信託財産は、信託契約の定めに従う財産だからです。
④不動産の共有持分を信託できる
不動産の共有者が持つ共有持分は、各共有者の財産です。
不動産の共有者は委託者となって、共有持分を信託することができます。
共有者は、共有する不動産について日常的に判断を迫られます。
委託者となった共有者は、自分で判断する必要がありません。
信託財産を管理するのは、受託者だからです。
委託者が認知症になって判断能力が低下しても、受託者の判断で管理処分をすることができます。
⑤一部の共有者が共有持分を信託できる
共有持分は、各共有者が自分の判断で処分することができます。
不動産の共有者が信託契約を締結する場合、他の共有者の同意は不要です。
共有持分を信託財産にする場合、他の共有者の同意は不要です。
受託者は、信託された財産についてのみ管理処分をすることができます。
他の共有者の共有持分について、管理処分をすることができません。
例えば父母が共有する不動産で、父が共有持分を信託した場合、受託者は父の共有持分のみ管理処分をします。
母の共有持分は、母が自分で管理処分をします。
不動産全体を売却などする場合、共有者全員の合意が必要です。
父が認知症で判断能力を失っても、受託者が信託契約の定めに従って合意をすることができます。
受託者と母に判断能力があれば、信託契約の定めに従って不動産全体を売却することができます。
母が認知症で判断能力を失ったら、不動産全体を売却することができません。
認知症で判断能力を失ったら、有効な合意ができなくなるからです。
⑥共有者全員が共有持分を信託できる
一部の共有者が共有持分を信託した場合、他の共有者の認知症リスクはそのままです。
共有者全員が共有持分を信託することができます。
共有者全員が共有持分を信託する場合、同一の受託者とすることができます。
共有者全員が共有持分を信託すれば、各共有者は自分で判断する必要はありません。
管理処分権限を受託者ひとりに集約することができます。
一人の受託者にすると、迅速な意思決定をすることができます。
受託者一人の合意で、信託契約の定めに従って不動産全体を売却することができます。
⑦信託の終了理由は信託契約で決めておく
信託は、永久に継続させることはできません。
信託契約を締結する際に、信託の終了理由を決めておきます。
信託の終了理由は、信託目的から考えます。
委託者の認知症対策で家族信託をする場合、委託者の死亡で信託を終了させる設計をするkとができます。
委託者の認知症対策の他に配偶者の生活の安定のため家族信託をする場合、委託者が死亡しても信託を終了させないことがあります。
配偶者の生活の安定のため、家族信託を継続させる方が信託目的にかなうでしょう。
委託者が死亡した後も、受託者は委託者の配偶者の生活の安定のため信託財産の管理処分を継続します。
委託者と委託者の配偶者が死亡したら、信託目的は達成したと言えます。
委託者と委託者の配偶者が死亡したことを終了理由にすることができます。
⑧信託財産は帰属権利者が引き継ぐ
信託が終了したとき、残った信託財産は帰属権利者に引き継ぎます。
信託契約を締結する際に、帰属権利者を決めておきます。
帰属権利者として、相続人でも相続人以外の人でも指定することができます。
信託財産は、信託契約の定めに従う財産です。
委託者が死亡しても、相続財産になりません。
信託が終了しても、相続財産とは別の財産です。
信託契約で、相続人のひとりを帰属権利者に指定することができます。
信託契約で、相続人以外の人を帰属権利者に指定することができます。
相続人であっても、信託財産は相続で引き継ぐのではありません。
相続人であっても相続人でなくても、信託契約で帰属権利者に指定されたから引き継ぎます。
複数の委託者が同一の帰属権利者を指定することができます。
共有者全員が共有持分を信託する場合、同一の帰属権利者を指定することができます。
共有者全員が同一の帰属権利者を指定した場合、最終的に共有を解消することができます。
3家族信託で共有持分を信託するときのメリットデメリット
メリット①管理処分権限の一元化
家族信託で共有持分を信託すると、受託者が信託財産の管理処分を担います。
受託者は信託契約の定めに従って、管理処分をすることができます。
共有者全員が同一の受託者に信託した場合、管理処分権限を一元化することができます。
売却や大規模修繕などの重要な意思決定を受託者のみの判断で行うことができます。
共有者全員による個別の同意を得る必要がなくなるから、迅速な意思決定をすることができます。
メリット②利益配分を維持したまま管理は一元化
管理処分をまかせても、経済的利益は各共有者に帰属させることができます。
従来どおりの利益配分を維持したまま、管理処分を一元化することができます。
メリット③相続による共有持分細分化の防止
共有者に相続が発生した場合、共有持分は相続財産の一部として共有者の相続人に相続されます。
共有持分の分け方を決められないまま、共有持分をさらに細分化して相続することがあります。
相続を繰り返すと、共有者が増え共有持分が細分化されます。
家族信託で共有持分を信託すると、信託財産は相続の対象になりません。
信託が継続する限り、管理処分の窓口は受託者です。
共有者が増えて意思決定が停滞することを防止することができます。
デメリット①受託者の権限集中によるリスクがある
家族信託では、受託者に権限が集中します。
受託者以外の家族から見ると、財産の管理や処分が分かりにくくなります。
家族の関係性によっては、不公平感や不信感が生まれることがあります。
不公平感や不信感を放置すると、トラブルに発展します。
実務では、受託者の権限を明確にし、報告義務を定めるなどして対策します。
デメリット②信託終了時の帰属権利者
信託終了時の帰属権利者は、信託契約で決めておくことが一般的です。
信託が終了したときに信託財産を引き継ぐ帰属権利者をあいまいにすると、終了時にトラブルになるおそれがあります。
信託を始めるときに、信託が終了したときのことを決めておく必要があります。
4家族信託を司法書士に依頼するメリット
家族信託は、信頼できる家族と締結する契約です。
委託者兼受益者と受託者だけでなく、家族みんなで意見共有が重要です。
家族信託を考え始めてから、実際に契約ができるまでに時間がかかることが通常です。
認知症は、進行性があります。
今日は元気だから、明日も元気で、これからずっと元気と思いたいものです。
急に、症状が進むことがあります。
認知症が心配になってから、家族信託の検討を始めるので、家族で争いが起きるのです。
まだまだ元気!若い者には負けない!と言える時こそ、対策のはじめどきです。
家族信託を考えている方は、早めに司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
