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相続した遺産が振り込まれない

2024-11-18

1相続手続完了までにかかる時間の目安

①遺言書は検認してから相続手続

相続が発生した後に遺品整理をしていると、遺言書を見つけることがあります。

被相続人が遺言書を作成して、預かっておくように頼まれることがあります。

相続人であれば、遺言書の内容が気になることでしょう。

遺言書を見つけても、勝手に開封してはいけません。

自筆証書遺言は家庭裁判所に提出して、開封してもらう必要があるからです。

遺言書の検認とは、家庭裁判所に遺言書を提出して開封してもらう手続です。

相続人に立会いをしてもらって、開封します。

封筒に入っているだけで封がされていない遺言書であっても、検認が必要です。

封筒に入っていない遺言書であっても、検認が必要です。

遺言書の検認が必要なのに検認手続をしていない場合、相続手続をすることができません。

検認手続をしていない遺言書を提出しても、銀行などの金融機関は口座を解約してくれません。

検認手続をしていない遺言書を提出しても、法務局は不動産の名義変更をしてくれません。

公正証書遺言は、検認不要です。

自筆証書遺言保管制度を利用して法務局で保管されていた場合、検認は不要です。

家庭裁判所に遺言書検認の申立てをしてから検認手続が完了するまで、1か月程度かかります。

②相続財産調査に時間がかかる

被相続人が遺言書を作成していた場合、遺言書のとおりに財産を分けることができます。

遺言書がない場合、相続人全員の話し合いをする必要があります。

相続財産の分け方を決める話し合いをするため、相続財産の全容を知りたいと思うでしょう。

相続財産には、さまざまな種類があるでしょう。

相続財産というと、プラスの財産だけに注目しがちです。

マイナスの財産も、相続財産に含まれます。

相続財産調査には、時間がかかることが多いでしょう。

相続財産の種類や量によって異なりますが、1か月程度は想定する必要があります。

③遺産分割協議書に押印してから相続手続

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続人が相続する財産が相続財産です。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。

1人でも反対の相続人がいると、相続財産の分け方を決めることができません。

ときには遺産分割協議が長引いて、長期間経過することがあります。

相続が発生してから遺産分割協議が成立するまで、短ければ1日です。

長ければ、数年単位で時間がかかります。

④相続手続に時間がかかる

遺言書があれば、遺言書のとおりに財産を分けることができます。

遺産分割協議書があれば、遺産分割協議書のとおりに財産を分けます。

各相続手続先に対して、相続手続をします。

相続手続にかかる期間は、相続手続先によって異なります。

相続手続完了までにかかる時間の目安は、次のとおりです。

・銀行の預貯金 金融機関1か所につき半月~1か月

・株式の移管 証券会社1か所につき1~3か月

・不動産の名義変更 法務局1か所につき半月~1か月

2相続した遺産が振り込まれないときの対処法

①代表相続人がいるケース

相続手続は、想像以上に手間と時間がかかります。

相続手続で使われるのは、法律用語です。

日常的に、法律用語を聞くことは少ないでしょう。

相続手続は、何度も経験するものではありません。

だれにとっても、初めての手続です。

相続人全員がわずらわしい相続手続が関与するより、代表相続人に任せる方が合理的でしょう。

代表相続人を立てたとしても、代表相続人が不慣れなのは同じです。

相続した遺産が振り込まれない場合、代表相続人が相続手続を進められなくなっていることが考えられます。

仕事や家事で忙しい相続人である場合、早く手続したい気持ちがあっても手続を進められなくなるでしょう。

相続手続先は、いずれも平日の昼間だけ業務をしているからです。

相続手続は、司法書士などの専門家に依頼することができます。

相続手続を司法書士などの専門家に依頼することを提案すると、手続がスムーズに進みます。

②遺産分割協議書があるケース

遺産分割協議書は、相続財産の分け方について相続人全員の合意内容の証明書です。

通常、遺産分割協議書があれば相続手続はスムーズに進められるでしょう。

相続財産には、さまざまな種類の財産があります。

分けやすい財産と分けにくい財産があるでしょう。

相続財産が預貯金など分けやすい財産のみであれば、支払いが遅れることは少ないでしょう。

不動産などは、分けにくい財産の代表例です。

一部の相続人が不動産を相続して、他の相続人は不動産を相続した相続人から代償金を受け取る合意をすることがあります。

不動産を相続しても、代償金が準備できないかもしれません。

代償金を準備できても、支払いが惜しくなることがあるでしょう。

相続財産の分け方の話し合いにおいて、代償金を準備できるのか確認しておくことが重要です。

代償金の支払期限についても、遺産分割協議書に明記するといいでしょう。

③遺言執行者がいるケース

被相続人が遺言書を作成していた場合、遺言書のとおりに財産を分けることができます。

遺言書は、作成するだけでは意味がありません。

遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者がいる場合、相続人は遺言執行者の妨害をすることはできません。

相続手続は、遺言執行者におまかせすることができます。

遺言執行者に指名されても、遺言執行者に就任する義務はありません。

遺言執行者が相続手続をしてくれると期待していたのに、就任を辞退していることがあります。

遺言執行者が就任を辞退した場合、相続手続をすることはありません。

相続した遺産が振り込まれるはずはないでしょう。

遺言執行者がいない場合、原則として、相続人全員の協力で相続手続をします。

相続人全員の協力が難しい場合、家庭裁判所に遺言執行者選任の申立てをすることができます。

3遺産分割協議は一方的に解除できない

①売買契約は一方的解除ができる

一般的に、売買契約をしたのに、買主が売買代金を払ってくれないことがあります。

買主が売買代金を支払ってくれない場合、売主は売買契約を一方的に解除することができます。

売買契約を解除して、他の人に買ってもらう方が合理的だからです。

遺産分割協議では、売買契約のように一方的に解除する制度はありません。

遺産分割協議で合意したのに、一部の相続人が代償金を払ってくれないことがあります。

相続人が代償金を払ってくれない場合、遺産分割協議は一方的に解除することはできません。

②相続人全員の合意で遺産分割協議のやり直しができる

遺産分割協議書は、相続財産の分け方について相続人全員の合意内容の証明書です。

遺産分割協議で合意した内容を守ってもらえない場合、遺産分割協議をやり直したいと思うでしょう。

遺産分割協議は、一方的に解除することはできません。

相続財産の分け方について相続人全員が合意した場合、遺産分割協議は成立し話し合いは終了するからです。

遺産分割協議のやり直しを希望する場合、相続人全員の合意が必要です。

相続人全員の合意があれば、遺産分割協議のやり直しをすることができます。

③遺産分割協議成立後は相続人同士の話し合い

相続財産の分け方について相続人全員が合意した場合、遺産分割協議は成立し話し合いは終了します。

相続人全員の合意がなければ、やり直しはできません。

遺産分割協議で合意した内容を守ってもらえない場合、当事者同士の話し合いで解決を目指します。

4遺産分割協議の内容を確実に守ってもらう方法

方法①代償金の支払と遺産分割協議書の押印は同時履行

遺産分割協議では、売買契約のように一方的に解除する制度はありません。

遺産分割協議で合意した内容を守ってもらうことが重要です。

例えば、代償金を支払う合意をしたのに、支払ってもらえないことがあります。

代償金の支払と遺産分割協議書の押印を同時履行にすることができます。

代償金の振込を確認して、遺産分割協議書に押印する方法です。

当事者同士が一緒に銀行に出向いて、振込を確認するといいでしょう。

スマートフォンなどから、振込を確認することができます。

代償金の振込を確認できなければ遺産分割協議書に押印をしないから、合意した内容を守ってもらえるでしょう。

代償金の支払と遺産分割協議書の押印を同時履行にするのは、有効な方法です。

方法②公正証書で遺産分割協議書作成

遺産分割協議書は、相続財産の分け方について相続人全員の合意内容の証明書です。

多くの場合、相続人同士で書面を作成するでしょう。

公証役場で遺産分割協議書を公正証書にしてもらうことができます。

遺産分割協議書を公正証書にする場合、金銭の支払いをする点だけでなく支払いをしなかったときのことを書いてもらうことができます。

相続人○○が上記金銭の支払いをしなかったときは、直ちに強制執行に服する旨を認諾した。

上記のような文言がある場合、公正証書で強制執行をすることができます。

公正証書でない遺産分割協議書では、強制執行をすることはできません。

代償金を支払ってもらう人にとって、強制執行ができる点は心強いものと言えます。

公正証書で遺産分割協議書を作成するのは、有効な方法です。

方法③代償金支払いに連帯保証人を立ててもらう

連帯保証人とは、金銭の支払いを確実にするため主債務者と同様の返済の義務を負う人です。

代償金の支払いがない場合、連帯保証人に請求することができます。

連帯保証人を立ててもらった場合、代償金の支払を確実にすることができるでしょう。

連帯保証契約は、書面で締結する必要があります。

代償金支払いに連帯保証人を立ててもらうのは、有効な方法です。

方法④不動産に抵当権設定

抵当権とは、金銭の支払いを確実にするため担保に取る権利です。

代償金の支払いがない場合、抵当権を実行することができます。

抵当権を実行するとは、担保に取った不動産を取り上げて競売して売却代金から代償金を支払ってもらうことです。

抵当権を設定した場合、抵当権設定登記をします。

抵当権設定登記には、登録免許税を納めなければなりません。

抵当権設定登記を司法書士などの専門家に依頼した場合、報酬がかかります。

抵当権設定をした場合の費用負担について、合意しておく必要があります。

代償金支払いに不動産に抵当権設定するのは、有効な方法です。

方法⑤支払期限を決めて遅延損害金の約束

お金の貸し借りをする場合、返済期日までに返済できないときに備えて遅延損害金を払う約束をします。

遅延損害金は、通常の利息より高い利率で約束するでしょう。

高い利率の遅延損害金を払うことになるから、何とかして返済期日までに返済します。

代償金が支払期日までに支払われない場合に備えて、遅延損害金を払う約束をすることができます。

高い利率の遅延損害金を払うことになるから、心理的プレッシャーを与えることができます。

代償金の支払いに支払期限を決めて遅延損害金の約束をするのは、有効な方法です。

方法⑥家庭裁判所で遺産分割調停

遺産分割調停とは、家庭裁判所の助力を得て相続財産の分け方について話し合いをすることです。

相続人全員が相続財産の分け方について合意した場合、合意内容は調停調書に取りまとめられます。

調停調書は、確定判決と同じ効力があります。

遺産分割調停で合意した内容が守られない場合、調停調書に基づいて強制執行をすることができます。

代償金を支払ってもらう人にとって、強制執行ができる点は心強いものと言えます。

家庭裁判所で遺産分割調停をするのは、有効な方法です。

5遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット

遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。

合意がきちんと文書になっているからこそトラブルが防止できるといえます。

書き方に不備があるとトラブルを起こしてしまう危険があります。

せっかくお話合いによる合意ができたのに、取りまとめた文書の不備でトラブルになるのは残念なことです。

トラブルを防止するため、遺産分割協議書を作成したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

葬儀費用を遺産分割協議

2024-09-11

1葬儀費用は相続財産ではない

①葬儀費用は相続発生後の債務

相続が発生すると、原則として、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続人が相続する財産が、相続財産です。

相続財産には、プラスの財産とマイナスの財産があります。

どちらも、相続財産です。

葬儀費用は、相続財産ではありません。

被相続人が生前に葬儀費用を負担することはないからです。

葬儀費用は、被相続人から引き継ぐ費用ではありません。

葬儀費用は相続発生後に、負担する債務です。

②香典は相続発生後の贈与

葬式の弔問客の意識としては、香典は被相続人に手向ける気持ちかもしれません。

被相続人は死亡しているので、香典を受け取ることはできません。

香典は、相続財産ではありません。

被相続人が生前に香典を受け取ることはないからです。

香典は、被相続人から引き継ぐ財産ではありません。

香典は、喪主に対する贈与です。

同様に、香典返しも喪主から弔問客への贈与です。

葬儀費用、香典、香典返しは、相続財産ではありません。

香典は、相続発生後の贈与です。

③葬儀費用の負担者は明確には決まっていない

葬儀費用は、葬式の契約をした人が支払います。

だれが葬式の契約をするかについて、法律の定めはありません。

だれが葬儀費用を支払うかについて、明確な定めはありません。

裁判所や学者は、次のような意見があります。

(1)相続人全員の負担にする説

(2)喪主が負担する説

(3)相続財産から負担する説

(4)地域の慣習で決める説

被相続人や相続人のそれぞれの事情があるから、一概に決められません。

葬儀費用の負担者は、明確には決まっていません。

④被相続人の口座は凍結される

被相続人の預貯金を払い戻して支払いをすればいいと考えるかもしれません。

金融機関は口座の持ち主の死亡を確認した場合、口座を凍結します。

口座が凍結された場合、原則として、引出しや解約はできなくなります。

被相続人の口座は、凍結されます。

2葬儀費用は遺産分割協議で合意できる

①葬儀費用を負担する人を合意する

葬儀費用、香典、香典返しは、相続財産ではありません。

相続財産でない財産であっても、遺産分割協議の話し合いの対象にすることができます。

相続財産ではないから、法定相続分とは別の話です。

相続人全員でよく話し合ってみんなが合意できる結論を出すのが大切です。

葬儀費用の負担で話し合いがまとまらない場合、他の財産の分け方の合意も難しくなりがちです。

相続人全員の合意で、葬儀費用を負担する人を決めることができます。

②立替払いをした人は費用の記録と領収書を保管

実際のところ、特定の相続人が葬儀費用を立て替えているでしょう。

葬儀費用を立て替えた人は、費用の記録と領収書を保管しておきましょう。

僧侶へのお布施や遠方の弔問客等へのお車代など、領収書が出ないときは相手先と金額を記録しておきます。

同様に、受け取った香典についても、記録を付けておくといいでしょう。

疑心暗鬼になると、トラブルになりやすいからです。

葬儀費用を立替払いした人は、費用の記録と領収書を保管することが重要です。

③葬儀費用の範囲を合意する

葬儀費用といった場合、どの範囲の費用が葬儀費用なのかは人によって異なります。

例えば、次のような費用があります。

(1)死亡診断書の発行手数料

(2)葬儀会社へ支払う費用

(3)通夜や葬式の後の飲食代

(4)初七日や四十九日法要の費用

(5)香典返しの費用

(6)僧侶へのお布施

(7)遠方の弔問客等へのお車代

(8)お墓の購入費用

(9)納骨の費用

葬儀費用負担で話し合う場合、どのような費用をだれが負担するか合意するとトラブル防止に役立ちます。

④遺産分割協議は債務不履行で解除できない

相続財産の分け方について、相続人全員で合意したら、確定して話し合いは終了になります。

相続人全員で合意して、相続財産の分け方が確定します。

その後に葬儀費用を支払わなくても、遺産分割協議のやり直しはできません。

一部の相続人が遺産分割協議を法定解除をすることはできません。

法定解除とは、契約などで義務を負担する約束をしたのに履行されない場合に相手方が契約を一方的に解除することです。

遺産分割協議で約束したことを履行しない場合、他の相続人は遺産分割協議を解除をすることはできません。

遺産分割協議のやり直しは、相続人全員の合意が必要です。

相続人全員の合意がある場合、遺産分割協議の合意解除ができます。

遺産分割協議は、債務不履行で解除ができません。

3葬儀費用を遺産分割協議書に書く方法

①特定の相続人が負担する記載例

記載例

第○条

相続人全員は、被相続人にかかる葬儀費用合計金300万円について、相続人○○○○が負担することを合意する。

遺産分割協議書には、葬儀費用の具体的な金額を記載することをおすすめします。

葬儀費用の金額について相続人の合意がある場合、トラブル防止に役立つからです。

葬儀費用、香典、香典返しは、相続財産ではありません。

遺産分割協議で、葬儀費用などの負担について合意をすることができます。

相続人全員の合意内容を取りまとめた書面が遺産分割協議書です。

相続財産の分け方以外の項目について相続人全員で合意した場合、遺産分割協議書に盛り込むことができます。

相続財産の分け方以外の項目について記載してある場合であっても、遺産分割協議が無効になることはありません。

②複数の相続人が分担する記載例

記載例

第○条

相続人全員は、被相続人にかかる葬儀費用合計金300万円について、相続人○○○○が金200万円、相続人□□□□が金100万円負担することを合意する。

相続人□□□□は相続人○○○○に対して、令和○年○月○日までに、葬儀費用負担金100万円を振り込みの方法により支払う。

振込手数料は、相続人□□□□の負担とする。

喪主は、葬式を主宰します。

多くの弔問客の対応など、気苦労が多い役目でしょう。

葬式で大変な思いをしたうえに葬儀費用をすべて負担するとなると、不満に思うかもしれません。

複数の相続人で分担するように合意することができます。

③預金等で調整する記載例

記載例

第○条

相続財産中、次の被相続人名義の財産については、相続人○○○○が相続する。

金融機関名 ○○銀行 ○○支店

預金種別  普通預金

口座番号  ○○○○○○○

第○条

相続人全員は、被相続人にかかる葬儀費用合計金300万円について、相続人○○○○が負担することを合意する。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方についての相続人全員による話し合いです。

相続人全員が合意できるのであれば、どのような分け方をすることもできます。

相続発生後に被相続人名義の口座は、凍結されます。

葬儀費用は、一部の相続人が立替ているでしょう。

葬儀費用を立て替えている相続人に、預貯金を多く相続してもらう合意をすることができます。

実質的に、相続財産から支出することができます。

4遺産分割協議がまとまらないときは家庭裁判所

①遺産分割調停で合意

相続人で合意ができない場合、家庭裁判所の助力を得て合意を目指します。

遺産分割調停は、家庭裁判所の調停委員を交えた相続人の話し合いです。

調停委員の助言があるとはいえ相続人同士の話し合いだから、相続財産以外のことについて話し合いができます。

遺産分割調停では、相続財産以外の葬儀費用についても話し合いことができます。

相続人だけで話し合いをした場合、感情的になって収拾がつかなくなるかもしれません。

家庭裁判所の調停委員を交えると、ある程度冷静になることができます。

第三者を交えることで、相続人全員が折り合いをつけることができるかもしれません。

②遺産分割審判は葬儀費用が対象外

遺産分割調停で合意ができない場合、遺産分割審判に移ります。

遺産分割審判は、相続人の話し合いではありません。

裁判官が遺産分割の内容を決定します。

遺産分割審判は、相続財産の分け方についての決定です。

遺産分割の内容を決定するだけだから、葬儀費用については決定されません。

葬儀費用は、相続財産ではないからです。

③民事訴訟

遺産分割審判では、相続財産の分け方が決定されます。

葬儀費用負担については決定されないから、遺産分割審判では解決しません。

葬儀費用負担について合意できない場合、あらためて民事訴訟をすることになります。

5遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット

遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。

前提として、話し合いによる合意ができていなければ、文書にできません。

内容よりもとにかく文書さえあればいいという意識の低い人がいるのも事実です。

遺言書がなければ、遺産分割協議書は必要になると言って差し支えありません。

悪いようにしないからとにかく印鑑を押せとか、相続税の申告期限をちらつかせて押印を迫るとか、他に財産はないからと言われてトラブルになることも多いです。

有効な話し合いによる合意があって、有効な合意を文書に取りまとめるから、トラブルを防ぐことができるのです。

相続財産を分け方について相続人全員で合意することは原則としてやり直しができません。

司法書士は合意を確認して、書類を作成しています。

申告期限のためにとにかく書類だけ作るなど絶対にやめましょう。

適切な遺産分割協議書を作り、家族のトラブルを避けたい方は、司法書士などの専門家にサポートを依頼することをおすすめします。

遺産分割協議書を公正証書に

2024-08-20

1遺産分割協議書は相続人全員の合意の証明書

相続が発生した後、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

相続人のひとりが勝手に処分することはできません。

相続人全員で相続財産の分け方について話し合いによる合意をして、分け方を決める必要があります。

相続財産の分け方にについて、相続人全員でする話し合いのことを遺産分割協議と言います。

遺産分割協議がまとまったら、相続人全員の合意内容を文書に取りまとめます。

相続人全員の合意内容を取りまとめた文書のことを遺産分割協議書と言います。

遺産分割協議は、必ず、全員で合意する必要がありますが、全員が一つの場所に集まる必要はありません。

電話でもメールでも差し支えありません。

一度に全員合意する必要もありません。

一部の相続人と合意をして、次に、残りの相続人と合意をすることでも問題ありません。

最終的に相続人全員が合意できれば良いのです。

全ての財産をまとめて合意しなければならないといったこともありません。

一部の財産についてだけ合意をすることもできます。

遺産分割協議書は、司法書士などの専門家に作ってもらうこともできるし相続人のひとりが作ることもできます。

より確実にするのであれば、公証役場で公正証書にしてもらうといいでしょう。

2遺産分割協議書を公正証書にするメリット

①公正証書は信用力が高い

遺産分割協議書を公正証書にする場合、公証人という法律の専門家が関与します。

公正証書を作成したい当事者の本人確認と本人の意思確認をします。

法律の専門家が公正証書にしますから、書き方の不備のために相続手続ができないという事態はあり得ません。

公証人が確認をしたうえで公正証書にしますから、一般の書面と較べると後から無効を主張されにくくなります。

裁判などに提出した場合でも高い証拠力があります。

公証人が関与するから、公正証書には高い信頼性があります。

②公正証書は公証役場で20年間保管される

遺産分割協議書を公正証書にした場合、原本が公証役場で20年間保管されます。

公証役場で厳重に保管されるから、紛失や改ざんの心配がありません。

③強制執行することができる

遺産分割協議の合意において、金銭の支払いを約束する場合があります。

遺産分割協議書を公正証書にする場合、金銭の支払いをする点だけでなく支払いをしなかったときのことを書いてもらうことができます。

相続人○○が上記金銭の支払いをしなかったときは、直ちに強制執行に服する旨を認諾した。

上記のような文言がある場合、公正証書で強制執行をすることができます。

お金を払ってもらう人にとっては、心強いものと言えます。

公正証書でない遺産分割協議書では、強制執行ができません。

強制執行をするためには、裁判所で訴訟をして勝訴判決などの債務名義を得る必要があります。

約束したお金を払ってもらうために裁判をしなければならないとなるとハードルが高いものです。

遺産分割協議書を公正証書にすると、裁判をすることなく直ちに強制執行することができます。

3遺産分割協議書を公正証書にした方がいいケース

①相続人間のトラブルを防止したい場合

(1)相続人同士の仲が良くない、疎遠である

(2)相続人間に関係性が薄い相続人がいる

(3)包括受遺者など親族でない人がいる

(4)財産が多種類で複雑である

相続財産の分け方は、相続人全員の合意が不可欠です。

上記のような事情がある場合、相続人全員の合意がまとまりにくい傾向があります。

相続人全員で合意ができたはずなのに、無理矢理印鑑を押させられたから白紙に戻すべきだなどと話を蒸し返すことが考えられます。

遺産分割協議書を公正証書にする場合、公証人が本人確認と本人の意思確認をします。

後になって、だまされたから白紙にしたいと言っても、認められることはほとんどありません。

公正証書にすることでトラブル防止に役立ちます。

②代償分割をした場合

相続財産の大部分が自宅不動産の場合、相続財産の分け方の合意は難しくなります。

一部の相続人が不動産を相続し、残りの相続人は不動産を相続した人から、その分のお金をもらう方法で合意がされる場合があります。

一部の相続人が不動産を相続し、残りの相続人は不動産を相続した人から、その分のお金をもらう方法のことを、代償分割と言います。

相続財産の大部分が不動産で、かつ、値段の高い不動産だった場合、残りの相続人に払うお金を用意することが難しい場合があります。

相続人同士の関係性が良くない場合、代償金を払うのが惜しくなるかもしれません。

売買契約などで買主が売買代金を支払わない場合、売主は売買契約を解除することができます。

遺産分割協議では、代償金を支払わない場合でも遺産分割協議を解除することはできません。

代償分割をする場合、代償金をきちんと支払ってもらうことが重要になります。

遺産分割協議書を公正証書にした場合、強制執行をすることができます。

代償金の支払いがない場合、裁判で勝訴判決などの債務名義を得なくても強制執行をすることができます。

代償金を支払ってもらう人にとっては、公正証書にすることは心強いものと言えるでしょう。

4遺産分割協議書を公正証書にする方法

①相続人を調査する

相続が発生したら、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を取得します。

相続人は、戸籍謄本を読み解けば判明します。

相続人が判明したら、相続人の戸籍謄本を取得します。

②財産調査をする

相続人調査と並行して、財産調査をします。

不動産があれば、名寄帳を取得して登記簿謄本を確認するといいでしょう。

銀行などの預貯金がある場合、残高証明書を取得するといいでしょう。

③相続人全員で相続財産の分け方を合意する

相続人全員で相続財産の分け方の合意をします。

相続人全員が一堂に会して話し合いをしてもいいし、電話やメールで話し合いをしても構いません。

相続人全員が一度に合意してもいいし、一部の相続人で合意した後に残りの相続人で合意しても差し支えありません。

最終的に相続人全員が合意できればいいのです。

④遺産分割協議書を公正証書にする

公証役場に遺産分割協議書を公正証書にする予約をします。

公証人の指示に従って書類を用意します。

5遺産分割協議書を公正証書にするときの必要書類

公証役場に遺産分割協議書を公正証書にする予約をするときに、必要書類が指示されます。

一般的な必要書類は、次のとおりです。

①遺産分割協議書案

②被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

③相続人の戸籍謄本

④相続人の印鑑証明書

⑤財産についての証明書

(1)不動産 固定資産評価証明書、登記簿謄本

(2)預貯金 預金通帳の写し、残高証明書

(3)負債 借入残高証明書

遺産分割協議書を公正証書にする場合、公証人に手数料を支払う必要があります。

公証人に支払う手数料は財産の規模によって違います。

公正証書にするまでに打合せが必要ですから、手数料の額について確認しておくといいでしょう。

6遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット

遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。

合意がきちんと文書になっているからこそトラブルが防止できるといえます。

つまり、書き方に不備があるとトラブルを起こしてしまう危険があります。

もともとトラブルの火種があるのなら、いっそう慎重になる必要があります。

遺産分割協議書は公正証書にしなくても済むことが多いものですが、慎重を期して公正証書にした方がいい場合があります。

せっかくお話合いによる合意ができたのに、その後にトラブルになるのは残念なことだからです。

公正証書にするためには、手間と費用がかかります。

公正証書にする手間と費用を惜しむと、裁判をするなど大きな手間と高額な費用を負担することになります。

トラブルを防止するため、遺産分割協議書を公正証書にしたい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

遺産分割協議書に押す実印と印鑑証明書

2024-07-25

1実印と印鑑証明書で相続人全員の合意を証明する

①遺産分割協議書は相続人全員の実印押印と印鑑証明書が必要

相続が発生したら、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

相続人のひとりが勝手に処分することはできません。

相続財産の分け方について、相続人全員で合意をする必要があります。

相続財産の分け方にについて、相続人全員でする話し合いのことを遺産分割協議と言います。

相続財産の分け方について、相続人全員で合意したら、確定して話し合いは終了になります。

全ての財産をまとめて合意しなければならないといったこともありません。

一部の財産についてだけ、合意をすることもできます。

相続人全員の合意ができたら、合意内容を文書に取りまとめます。

相続財産の分け方について相続人全員の合意内容を取りまとめた文書を遺産分割協議書と言います。

遺産分割協議書は、相続人全員が記名して実印で押印します。

遺産分割協議書の押印が実印であることを証明するために、印鑑証明書を添付します。

遺産分割協議書には、相続人全員の実印押印と印鑑証明書が必要です。

②自分で話し合いができない人は代わりの人の実印押印と印鑑証明書が必要

相続財産の分け方は、原則として、相続人全員の合意で決定します。

遺産分割協議には、法定相続人でない人が参加する場合があります。

遺産分割協議に参加しなければならない人が参加していない場合、遺産分割協議は無効になります。

法定相続人でなくても遺産分割協議に参加しなければならない人全員が「相続人全員」です。

相続財産の分け方を決める話し合いに参加するのは、原則として、相続人本人です。

相続人本人が物事メリットデメリットを充分に判断できない場合、自分で話し合いによる合意はできません。

例えば、赤ちゃんなどの未成年者は自分で物事のメリットデメリットを充分に判断できません。

未成年者の代わりに、親などの親権者が相続財産の分け方の合意をします。

重度の認知症の人は、自分で物事のメリットデメリットを充分に判断できません。

認知症の人の代わりに、成年後見人が話し合いに参加します。

成年後見人とは、認知症の人をサポートする人です。

成年後見人は、家庭裁判所が選任します。

赤ちゃんや重度の認知症の人は、遺産分割協議に参加しても意味がありません。

自分で判断できない人は、遺産分割協議書に記名することも押印することもありません。

赤ちゃんの分は、親などの親権者の名前で記名し、親権者の実印を押印します。

親権者の押印であることを証明するために、親権者の印鑑証明書を添付します。

認知症の人の分は、成年後見人の名前で記名し、成年後見人の実印を押印します。

成年後見人の押印であることを証明するために、成年後見人の印鑑証明書を添付します。

成年後見人は、家庭裁判所に印鑑を登録することができます。

成年後見人の印鑑証明書は、市区町村役場が発行する印鑑証明書でも家庭裁判所が発行する印鑑証明書でも差し支えありません。

自分で話し合いができない人は、代わりの人の実印押印と印鑑証明書が必要です。

③遺産分割協議書に添付する印鑑証明書の有効期限

印鑑証明書自体に、有効期限はありません。

印鑑証明書に「有効期間令和〇年〇月〇日まで」などと記載されることはありません。

印鑑証明書に有効期限はないけど、相続手続をする機関は独自で有効期限を決めています。

相続登記をする場合、法務局では印鑑証明書の期限はありません。

古い印鑑証明書であっても、問題なく受け付けてもらえます。

銀行や保険会社などは、独自で書類の有効期限を決めています。

取得してから長期間経過した場合、取得し直してくださいと言われます。

銀行や保険会社などの独自ルールなので、一概には言えませんが、多くは3か月や6か月で取得し直しと言われてしまいます。

相続税の申告が必要な場合、原則として、書類の有効期限はありません。

2実印を押してもらえない印鑑証明書を渡してもらえないときの対処法

①印鑑登録をしてもらう

相続財産の分け方を決めるためには、相続人全員の合意が必要です。

遺産分割協議書には、相続人全員が記名押印をして相続人全員の印鑑証明書を添付しなければなりません。

遺産分割協議書に押印をしてくれない場合、印鑑登録をしていないことがあります。

印鑑登録をしたはずだけど、実印を紛失してしまっていることもあります。

市町村役場に出向いて、印鑑登録をしてもらうといいでしょう。

本人が市区町村役場に出向いた場合、即日、印鑑証明書の発行をしてくれます。

②遺産分割協議書真否確認の訴え

相続人全員の合意内容を遺産分割協議書に取りまとめて記名押印をしたのに、印鑑証明書を渡してくれない場合があります。

遺産分割協議は、口頭でも成立します。

口頭で成立した遺産分割協議では、相続手続ができません。

口頭で成立した遺産分割協議は、第三者に信用してもらえないからです。

口頭で遺産分割協議が成立したのに印鑑証明書を渡してくれない場合、相続手続ができなくなって困ります。

印鑑証明書を渡してくれない場合、遺産分割協議書真否確認の訴えを提起することができます。

裁判所で遺産分割協議書が真正であると確認してもらいます。

遺産分割協議書真否確認の訴えの勝訴判決を得ることで、印鑑証明書に代えることができます。

③所有権確認の訴え

相続財産の分け方について相続人全員で合意したのに、遺産分割協議書に押印をしてくれない場合があります。

押印をしてくれない場合は、印鑑証明書を渡してくれないでしょう。

遺産分割協議書に押印をしてくれない場合、所有権確認の訴えを提起することができます。

相続財産の分け方について相続人全員で合意した時点で、合意した人の財産になるからです。

裁判所で所有権者であると確認してもらいます。

所有権確認の訴えの勝訴判決を得ることで、協力しない相続人の記名押印と印鑑証明書に代えることができます。

④遺産分割調停

相続財産の分け方について合意していないと主張して、遺産分割協議書に押印をしてくれない場合があります。

相続財産の分け方について相続人間で話し合いがつかない場合、遺産分割調停を申し立てることができます。

裁判所の助力を借りて、相続人全員の合意を目指します。

3印鑑証明書を渡したくない場合

①司法書士などの専門家に相続手続を依頼する

遺産分割協議書は、相続人全員が記名して実印で押印します。

遺産分割協議書の押印が実印であることを証明するために、印鑑証明書を添付します。

相続人全員の印鑑証明書がない場合、原則として、相続手続を進めることはできません。

一部の相続人から一方的に印鑑証明書を渡すように迫られた場合、不安な気持ちになるでしょう。

日ごろから金遣いが荒い相続人や多額の借金を負っている相続人から言われた場合、印鑑証明書を悪用されるのではないかと疑心暗鬼になるかもしれません。

遺産分割協議の内容に納得しているが、印鑑証明書などの悪用が心配な場合です。

相続手続は、司法書士などの専門家に依頼することができます。

司法書士などの専門家に依頼して、直接、司法書士に渡すといいでしょう。

相続手続が終わった後も、直接返して欲しい旨を伝えると直接やり取りができます。

②自分が代表相続人として相続手続をする

司法書士などの専門家に依頼しない場合で、自分が代表相続人として相続手続をする方法があります。

相続手続は、一般的に手間と時間がかかります。

自分が面倒な手続をすると申し出ると、喜んで印鑑証明書などの相続書類を渡してくれるかもしれません。

4遺産分割協議書と印鑑証明書は原本還付ができる

相続登記を申請する場合、たくさんの添付書類が必要になります。

法務局に提出した書類のうち、登記のためだけに作成された書類と委任状は返してもらえません。

遺産分割協議書と印鑑証明書は、手続をすれば原本還付を受けることができます。

銀行などの金融機関も、申し出れば原本還付をしてくれます。

5相続手続を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、相続人は悲しむ暇もなく相続手続に追われます。

ほとんどの人は相続手続は不慣れで、聞き慣れない法律用語で疲れ果ててしまいます。

インターネットの普及で多くの人は簡単に多くの情報を手にすることができるようになりました。

多くの情報の中には正しいものも、適切でないものも同じように混じっています。

相続登記も簡単にできる、ひとりでできたという記事も散見されます。

不動産は、重要な財産であることも多いでしょう。

相続手続は、一般の方から見ると些細なことと思えるようなことでやり直しになることも多いものです。

法務局の登記手続案内を利用すれば、シンプルな事例の申請書類などは教えてもらえます。

通常と異なる事例に関しては、相談する側から話さないとわざわざ説明してくれません。

知識のない方にとっては、通常と異なっているかどうか判断がつかないでしょう。

司法書士などの専門家から見れば、トラブルのないスムーズな相続手続であっても、知識のない一般の方はへとへとになってしまいます。

住所がつながらない場合など、シンプルな事例とは言えない事情がある場合は申請を取下げて、やり直しになることが多いでしょう。

司法書士は、登記の専門家です。

スムーズに相続登記を完了させたい方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

遺留分を現金で払えない

2024-06-23

1遺留分を渡したくないと拒否できない

①遺留分は最低限の権利

被相続人は、原則として、自分の財産をだれに受け継がせるかは自由に決めることができます。

財産は被相続人が1人で築いたものではないでしょう。

家族の協力があってこそ、築くことができた財産のはずです。

被相続人の名義になっているからといって、まったく無制約の自由にすることはできません。

今まで協力してきた家族に、酷な結果となることがあるからです。

被相続人に近い関係の相続人には、相続財産に対して最低限の権利が認められています。

相続財産に対して、認められる最低限の権利のことを遺留分と言います。

②遺留分は現金で支払う

遺留分は、相続財産に対して認められる最低限の権利です。

遺留分を侵害された場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分侵害額請求を受けた場合、遺留分に相当する金額を現金で支払います。

相続で受け取った財産を渡す必要はありません。

遺留分に相当する金額を請求できるだけだからです。

現金で支払うルールは、令和元年7月1日以降に発生した相続に適用されます。

2遺留分侵害額請求がされたら

①遺留分は最短1年で時効消滅

遺留分を請求しないまま長期間経過した場合、遺留分侵害額請求をすることができなくなります。

遺留分侵害額請求権には、時効があるからです。

遺留分侵害額請求権の時効は、次のとおりです。

(1)侵害の事実を知ってから1年

(2)侵害がされたときから10年

権利が消滅した後に、遺留分侵害額請求があっても拒否することができます。

遺留分侵害額請求権は、最短1年で時効消滅します。

②兄弟姉妹に遺留分はない

遺留分は、相続財産に対して認められる最低限の権利です。

すべての相続人に遺留分が認められているわけではありません。

遺留分が認められるのは、配偶者、子ども、親などの直系尊属です。

被相続人に子どもと親などの直系尊属がいない場合、兄弟姉妹が相続人になります。

兄弟姉妹には、遺留分が認められていません。

兄弟姉妹は、相続人であっても遺留分はありません。

遺留分が認められていないのに、遺留分を請求して来ることがあります。

遺留分が認められていない相続人からの請求は、拒否することができます。

相続人になるはずだった兄弟姉妹が被相続人より先に死亡することがあります。

兄弟姉妹の子どもが相続します。

相続人になるはずだった人の子どもが相続することを代襲相続と言います。

代襲相続があった場合、被代襲者の相続分と遺留分を引き継ぎます。

相続人になるはずだった人が兄弟姉妹である場合、遺留分はありません。

兄弟姉妹の子どもが代襲相続人になる場合、引き継ぐべき遺留分はありません。

兄弟姉妹には、遺留分がありません。

兄弟姉妹の子どもにも、遺留分はありません。

③遺留分侵害額の確認が重要

遺留分を侵害された場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分は、現金で請求します。

相続で受け取った財産を請求することはできません。

遺留分を侵害された相続人は、遺留分侵害額を計算して請求します。

遺留分権利者が計算した遺留分侵害額が適切な金額でないことがあります。

相続財産が金銭だけであれば、金額を争う余地はないでしょう。

相続財産には、いろいろな種類の財産があるのが通常です。

いろいろな種類の財産をいくらと考えるのか評価方法は複数あります。

被相続人が不動産を所有していることがあります。

不動産をいくらと考えるのか評価方法はいくつかあります。

どの評価方法で不動産を評価するかで、不動産の金額は大きく変わります。

遺留分侵害額請求をする人は、不動産の金額が高く評価されると有利です。

支払われる遺留分侵害額が高くなるからです。

遺留分侵害額請求を受ける人は、不動産の金額が低く評価されると有利です。

支払う遺留分侵害額が少なくなるからです。

評価方法がちがうと、相続財産全体の金額が大きく変わります。

当事者による話し合いで合意ができない場合、家庭裁判所の助力を受けることができます。

当事者は、遺留分侵害額請求の調停を申し立てることができます。

不動産は、重要な財産であることが多いものです。

評価方法で金額が大きく変わるから、適切に評価されているのか確認することが重要です。

④支払方法の合意

遺留分侵害額請求を受けた場合、遺留分に相当する金額を現金で支払います。

一括で支払うのが原則です。

当事者の合意があれば、どのような支払方法にするのか決めることができます。

相続で受け取った財産の大部分が不動産であることは少なくありません。

遺留分侵害額請求を受けた人が現金を準備できないでしょう。

遺留分侵害額請求を受けた場合、不動産を売却しなければならなくなります。

不動産を売却するためには、ある程度長期間かかります。

すぐに払ってもらいたいけど、売却期間を譲歩できるのであれば話し合いがまとまりやすくなります。

いつまでに支払うのか話し合いによる合意が大切です。

相続財産の大部分が事業用財産であることがあります。

事業用財産を売却してしまったら、事業を続けることができなくなります。

当事者が譲歩できるのであれば、分割払いの合意をするといいでしょう。

当事者の話し合いによる合意なので、話し合いがまとまらないおそれがあります。

⑤期限の許与を求める裁判

遺留分侵害額請求を受けた場合、遺留分に相当する金額を直ちに支払わなければなりません。

現金で一括払いが原則です。

財産の状況から現金で一括払いが難しいことがあります。

当事者で話し合いができれば、支払方法の合意をすることができます。

支払方法の合意ができるかどうかは、相手方次第です。

かたくなに直ちに現金一括払いを主張することが考えられます。

支払方法の合意ができない場合、裁判所に期限の許与を求める方法があります。

裁判所に期限の許与を求める場合、訴訟を提起します。

遺留分侵害額を請求する裁判中で、反訴を提起することもできます。

裁判所は遺留分侵害額の全部に期限を許与することができるし遺留分侵害額の一部だけ期限を許与することができます。

3遺留分侵害額請求を無視すると裁判手続

①調停や訴訟を提起される

遺留分は、相続財産に対して認められる最低限の権利です。

遺留分を侵害された場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

相続した財産を渡したくないという気持ちがあるかもしれません。

遺留分侵害額請求を受けた場合、無視することはおすすめできません。

遺留分侵害額請求は、遺留分権利者の正当な権利だからです。

気に入らない相続人だから渡したくないと言えるものではありません。

遺留分侵害額請求を受けたのに放置した場合、裁判所に持ち込まれることになるでしょう。

調停とは、家庭裁判所のアドバイスを受けてする当事者の話し合いです。

当事者だけで話し合いをすると、感情的になって話し合いができないことがあります。

家庭裁判所の調停委員が間に入ると、冷静になって話し合いができるかもしれません。

調停では、当事者の話し合いによる合意を目指します。

家庭裁判所が合意を強制することはできません。

当事者が一方的な主張をした場合、調停では解決できません。

調停は、当事者の話し合いで解決を目指す手続だからです。

調停では、強制的に解決方法を決めてしまうことはありません。

家庭裁判所のアドバイスを受けても話し合いがつかない場合、調停は成立しません。

調停が成立しなかった場合、遺留分を請求する訴訟を提起することができます。

話し合いに応じてもらえない場合、調停を申し立てずに直ちに訴訟を提起することができます。

訴訟が提起された場合、裁判所から訴状が届きます。

訴状が届いたら、絶対に放置してはなりません。

訴訟が提起されたのに放置した場合、欠席裁判になります。

欠席裁判では、相手方の言い分を認めた扱いがされます。

たとえ不当に過大な請求であっても、適切に主張立証をする必要があります。

適切に主張立証をしない場合、裁判所は相手方の主張どおりの決定をします。

遺留分侵害額請求を無視すると、裁判手続になります。

②財産差押など強制執行ができる

調停は、家庭裁判所のアドバイスを受けてする当事者の話し合いです。

調停で当事者の話し合いによる合意ができた場合、合意内容を文書に取りまとめます。

調停における合意内容を取りまとめた文書を調停調書と言います。

当事者の話し合いによる合意ができたのだから、当事者が合意内容を実現するでしょう。

当事者が任意で合意内容を実現しない場合、調停調書の内容は強制執行ができます。

銀行預金などの財産に差押をして、支払を受けることができます。

調停で合意ができなかった場合、訴訟を提起することができます。

訴訟を提起したものの、和解することがあります。

和解で当事者の話し合いによる合意ができた場合、合意内容を文書に取りまとめます。

和解における合意内容を取りまとめた文書を和解調書と言います。

当事者が任意で合意内容を実現しない場合、和解調書の内容は強制執行ができます。

和解による合意ができなかった場合、裁判所が判決を出します。

当事者が任意で判決内容を実現しない場合、判決の内容は強制執行ができます。

4公正証書遺言を作成しても遺留分が優先

①遺言書で遺留分は奪えない

さまざまな家族の事情から特定の相続人に相続させたくないことがあります。

相続人が配偶者、子ども、親などの直系尊属である場合、遺留分が認められます。

遺言書で自分の財産をだれに受け継がせるかは自由に決めることができます。

遺留分を侵害するような遺言書であっても、有効な遺言書です。

有効な遺言書であっても、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分は、相続財産に対して認められる最低限の権利だからです。

遺留分を侵害された場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺言書を作成するだけで、遺留分を奪うことはできません。

②相続人廃除はハードルが高い

相続人廃除は、被相続人の意思で相続人の資格を奪う制度です。

相続人の資格を奪うというのは、実質的には、遺留分を奪うことです。

相続人廃除は家庭裁判所に申立てをして、家庭裁判所が判断します。

被相続人が相続人廃除したいと言い、相続人が廃除されていいと納得していても、家庭裁判所が相続人廃除を認めないことがあります。

相続人廃除は、相続人の最低限の権利を奪う重大な決定だからです。

相続人廃除が認められるのは、次の理由です。

(1)相続人が重大な侮辱をした

(2)暴力を振るうなどの虐待をした

(3)重大な非行があった

親の言いなりにならなかったなどの軽い理由では認められません。

家庭裁判所に廃除を認めてもらうためには、廃除の根拠になる客観的証拠が不可欠です。

遺言書で廃除する場合、被相続人は死亡しています。

家庭裁判所で証言することはできません。

廃除の客観的証拠を準備しておく必要があります。

相続人が相続人廃除された場合、代襲相続ができます。

相続人廃除は、非常にハードルが高い手続です。

③付言事項は法的効力がない

さまざまな家族の事情から特定の相続人に相続させたくないことがあります。

相続人が配偶者、子ども、親などの直系尊属である場合、遺留分が認められます。

自称専門家は、遺言書の付言事項を書けばいいと言っています。

付言事項に遺留分侵害額請求をしないようにと書けばトラブルにならないといったアドバイスです。

遺言書の付言事項は、単なるお願いです。

法的法力はありません。

付言事項に書いてあっても、遺留分侵害額請求をすることができます。

5遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

自筆証書遺言の多くは、専門家のサポートなしで一人で作ります。

遺言書の厳格な書き方ルールが守られていないと、無効になってしまいます。

形式的な書き方ルールは守られていても、内容があいまいで遺言書を実現できないことも多々あります。

相続人の遺留分に配慮されておらず、トラブルに発展することあります。

せっかく遺言書を作るのなら確実な公正証書遺言をおすすめします。

司法書士などの専門家は、遺言書文案作成から公正証書遺言作成、遺言執行までトータルでサポートします。

司法書士からトータルでサポートを受けると、確実な遺言を作成できるから安心できます。

相続人は、相続発生後の面倒な相続手続から解放されます。

遺言者も家族も安心できる公正証書遺言作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続した不動産を共有名義にするデメリット

2024-05-06

1相続した不動産を分割する方法

方法①現物分割

相続財産には、いろいろな財産が含まれていることが一般的です。

不動産は、分けにくい財産の代表例です。

現物分割とは、現物の不動産を相続人の人数で分割する方法です。

現物の不動産を分割することは、広大な土地でないと実現できません

極端に小さな土地は、使い勝手が悪くなります。

価値も下がってしまうでしょう。

あまり現実的ではないかもしれません。

方法②代償分割

代償分割とは、一部の相続人が不動産を相続し、残りの相続人は不動産を相続した人から代償金を受け取る方法です。

現物の不動産を分割しないので、価値が下がることはありません。

不動産を相続する人は、他の相続人に代償金を支払う必要があります。

相続財産の大部分が不動産であることがあります。

価値の高い不動産である場合、他の相続人に支払う代償金が高額になります。

不動産を相続する人が代償金を準備できないかもしれません。

不動産をいくらと考えるのかについて、基準はいくつかあります。

代償金を支払う人は、不動産の値段が低い基準を採用した方が有利です。

支払う代償金が少なくなるからです。

代償金を受け取る人は、不動産の値段が高い基準を採用した方が有利です。

受け取る代償金が多くなるからです。

代償金を決めるとき、どの基準を採用するのか話し合いがまとまらないことがあります。

方法③換価分割

換価分割とは、不動産を売却してお金に換えた後にお金を分ける方法です。

不動産を実際に売却してお金に換えてから分けるので、不動産の値段をいくらと考えるのかで話し合いをする必要はありません。

被相続人が守ってきた財産を手放すことに、罪悪感があるかもしれません。

合理的な方法であっても相続人の感情面から話し合いがつかなくなるおそれがあります。

不動産を売却するつもりであっても、買い手がつかないかもしれません。

売却できるまで相続手続が長引くおそれがあります。

方法④共有

相続人全員で相続財産の分け方について話し合いによる合意ができない場合、共有が選ばれることもあります。

最も公平に見えるからです。

共有は弊害が多く、安易に共有にする方法はもっとも避けるべきです。

共有にした場合、全員の同意がなければ売却することはできません。

共有の不便を解消するため、後々、共有物分割をしようという話になります。

結局のところ、問題の先送りになるだけです。

相続トラブルが長期化しますから、家族の絆が壊されてしまいます。

方法⑤用益権の設定による分割

用益権とは、不動産を自分で使ったり、人に貸して賃料を得たりする権利のことです。

配偶者居住権は、用益権のひとつです。

一部の相続人に使う権利を設定して、他の相続人が使う権利のない所有権を相続する方法です。

家族が守ってきた不動産を手放すことなく相続ができます。

相続人のうち、だれが使う権利を得るのかで、使う権利のない所有権をだれが相続するのかで話し合いがまとまらないおそれがあります。

2相続した不動産を共有名義にするデメリット

デメリット①共有物を処分するには共有者全員の合意が必要

相続が発生した後、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

相続人のひとりが勝手に処分することはできません。

共有財産は、共有している人全員が合意しないと、処分ができないからです。

相続財産の分け方を「共有する」と決めた後も、同じです。

共有財産は、共有している人全員が合意しないと、処分はできません。

処分するとは、共有物を売却する、第三者に賃貸することなどです。

たくさんの人で共有していると合意がまとまりにくくなります。

売却したい人も賃貸したい人もいるでしょう。

売却するのはいいが時期が良くないと思う人もいるでしょう。

もっと高値で売れるはずだという人もいるでしょう。

賃貸するのはいいが賃貸条件が合意できない人もいるでしょう。

合意できる場合でも、合意するために時間がかかりがちになります。

売却したいという場合でも、合意に時間がかかるとチャンスを逃すことになります。

親族同士であっても共有物の管理方針が違うと、共有者の意見対立が起きやすくなります。

売却する場合も、売却時の重要事項説明や売買契約の締結など共有者全員が手続に参加する必要があります。

遠方に住んでいる共有者には時間と手間がかかります。

共有者がたくさんいると、だれか一人が認知症などになるかもしれません。

認知症などで判断能力が低下する人が現れる確率も上がります。

物事のメリットデメリットを充分に判断できない人は、売却などの合意はできません。

後見人を選んでもらって代わりに判断してもらうことになります。

デメリット②共有者に相続が発生する

共有物を売却するためには、共有者全員の合意が必要になります。

共有者全員の合意がしにくくなると、売却などの判断は先延ばししがちです。

先延ばしにより長期間経過すると、共有者に相続が発生することがあります。

共有者に相続が発生すると、共有者の持分は相続財産になります。

共有者の相続人全員の相続財産になります。

共有者の管理方針が違うことで適切な管理ができない共有物を相続したがらないかもしれません。

このとき、死亡した共有者の共有持分を、複数の相続人が法定相続分で細分化して共有することがあります。

このような相続が何人もの共有者の間で発生すると、共有者がたくさんになり、持分が細分化されます。

適切に相続登記がされないと、だれにどれだけの持分があるのか分からなくなります。

共有者が増えると、共有者同士が顔も見たことない見知らぬ人であることが多くなります。

単純に、たくさんの人で管理や処分の合意をすることは難しいものです。

それが顔も見たことない見知らぬ人である場合、一挙に難易度は上がります。

見知らぬ人何十人もの合意は、現実的には無理でしょう。

共有物の処分は、共有者全員の合意が必要です。

1人でも反対の人がいると、処分はできません。

共有物を売却するには、1人でも反対の人がいると、できないのです。

見知らぬ人何十人で共有すると、共有物の賃貸や売却は、事実上、できなくなります。

デメリット③共有持分を売却するおそれ

共有物全体を売却するためには共有者全員の合意が必要です。

それぞれの共有者が持っている共有持分を売却するためには、他の共有者の合意は不要です。

あまり知られていませんが、共有者が持っている共有持分を買い取る業者がいます。

ひょっとすると、経済的に困っている共有者がいる場合、共有持分を売却してしまうかもしれません。

通常、市場価格よりはるかに低廉な価格でしか売れません。

共有持分を買い取る業者はビジネスですから、遠慮なく共有者としての権利を主張してきます。

共有持分買取請求や共有物分割請求などです。

話し合いで解決できなければ、当然、裁判所に持ち込まれることになるでしょう。

知識のない一般の人では対応できません。

弁護士に依頼することになるでしょう。

3共有を避ける方法

相続が発生すると、相続人はたくさんの相続手続をすることになります。

相続は、何度も経験するものではありません。

どの手続も不慣れで、スムーズに行かないものばかりです。

相続財産の分け方について、相続人全員による話し合いで合意をしなければなりません。

不慣れな手続で疲れが出ていると、丁寧な話し合いは面倒になります。

共有名義にする方法は、とりあえず平等に見えます。

安易に法定相続分で共有するという選択をしてしまうケースが目立ちます。

いったん名義変更をしてしまうと、さらに変更するのは手間も時間も余計にかかります。

共有は、デメリットが大きいのものです。

被相続人が健在なら、家族で今後不動産をどうしていきたいか全員で明確にしましょう。

どの不動産をだれに相続させるか遺言を書くといいでしょう。

共有名義にしてしまってから対策するより、共有名義にしないように対策する方がはるかに簡単ではるかに有効です。

税金の専門家からは、売却する場合に売却益にかかる3000万円の特別控除を共有者の数だけ受けられるから非常に有利などと安易な共有をすすめられます。

相続税の申告までに遺産分割協議を終わらせられる点を大きなメリットとして強調して、共有を強くすすめられるでしょう。

解決を先延ばしすること以外にメリットはわずかしかありません。

デメリットは、家族が引き受けることになります。

デメリットの大きさを十分理解して相続人全員が今後どうしていきたいか明確にしておくことが重要です。

何も決まっていない状態で、とりあえず法定相続で共有は避けるべきです。

小さなメリットに惑わされて、面倒を先延ばしする必要はありません。

相続財産の分け方について相続人全員が合意をする場合、名義変更をした後さらに変更するのは難しいこと、共有にはデメリットが多いことを相続人全員が理解しておく必要があります。

4遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット

遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。

前提として、話し合いによる合意ができていなければ、文書にできません。

遺産分割協議書があるとトラブル防止になりますが、後々のトラブルが見えていないと、単なる問題の先送りになります。

不動産の共有はその最たるものでしょう。

安易に共有を選ぶと後々トラブルに巻き込まれます。

共有にすることで今後どのような問題が発生するのか、自分達だけではそのリスクは見えにくいかもしれません。

司法書士はこのようなリスクの説明もします。

適切な遺産分割協議書を作り、家族のトラブルを避けたい方は、司法書士などの専門家にサポートを依頼することをおすすめします。

5遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書は被相続人の意思を示すものです。

自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。

法律で決まっているから法定相続の共有にすればよい。

家族が仲がいいから、好きなように分ければいい。

言い訳をして、遺言書作成を先延ばししている方も多いものです。

遺言書があることでトラブルになるのは、ごく稀なケースです。

遺言書がないからトラブルになるのはたくさんあります。

遺言書1枚あれば、相続手続は格段にラクになります。

家族を幸せにするために遺言書を作ると考えましょう。

実際、家族の絆のためには遺言書が必要だと納得した方は遺言書を作成します。

家族の喜ぶ顔のためにやるべきことはやったと安心される方はどなたも晴れやかなお顔です。

家族の幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続手続で印鑑証明書を渡したくない

2024-04-17

1遺産分割協議書に印鑑証明書を添付する

①遺産分割協議書は相続人全員による合意内容の証明書

相続が発生したら、被相続人のものは相続人が相続します。

相続人が相続する財産が相続財産です。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

一部の相続人が勝手に処分することはできません。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。

相続財産の分け方を決めるため相続人全員でする話し合いを遺産分割協議と言います。

相続財産の分け方について相続人全員で合意がまとまったら、確定して話し合いは終了になります。

相続人全員の合意内容は、文書に取りまとめます。

相続人全員の合意内容を取りまとめた文書を遺産分割協議書と言います。

遺産分割協議書は、相続人全員による合意内容の証明書です。

②遺産分割協議書に実印で押印し印鑑証明書を添付する理由

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。

相続財産の分け方について相続人全員で合意がまとまったら、遺産分割協議は成立します。

相続人全員が合意できれば、口頭の合意であっても有効に成立します。

口頭で合意した場合、相続手続先の人は信用できないでしょう。

遺産分割協議書は、相続人全員による合意内容の証明書です。

相続人全員に合意内容を確認してもらって、記名し実印で押印してもらいます。

実印とは、市区町村役場に印影を登録した印章です。

重要な契約や大切な場面では、実印で押印します。

実印は、本人が大切に保管しています。

実印が押印されている場合、本人の意思で押印されたと言えるでしょう。

印鑑証明書は、市区町村役場に登録した印影の証明書です。

印鑑証明書の印影と照らし合わせることで、実印に間違いないことを証明することができます。

遺産分割協議書に実印で押印し印鑑証明書を添付する理由は、第三者に本人の意思であることを信用してもらうためです。

③相続登記で遺産分割協議書が必要なとき実印と印鑑証明書が必要になる

相続人が複数である場合や遺言書がない場合、遺産分割協議が必要になります。

相続登記で遺産分割協議書を提出する場合、実印で押印し印鑑証明書を添付します。

相続人が一人の場合、話し合いをするべき他の相続人はいません。

遺言書がある場合、相続人全員の話し合いは必要ありません。

遺産分割協議が必要ない場合、遺産分割協議書は必要ありません。

遺産分割協議書を作成しない場合、印鑑証明書を提出する必要もありません。

印鑑証明書は、遺産分割協議書の押印が実印によるものであることを証明するために添付するからです。

相続登記で遺産分割協議書と印鑑証明書を提出する場合、印鑑証明書に期限はありません。

古い印鑑証明書を提出しても、差し支えありません。

相続登記で提出した遺産分割協議書と印鑑証明書は、希望すれば原本還付をしてもらうことができます。

④相続税申告で遺産分割協議書が必要なとき実印と印鑑証明書が必要になる

相続税の申告書等の書類には実印を押印する必要はありません。

認印で差し支えありません。

実印で押印が必要になるのは、遺産分割協議書です。

遺産分割協議書に相続人全員が実印で押印する必要があります。

遺産分割協議書に実印で押印したことを証明するために印鑑証明書を添付します。

相続人が一人の場合や遺言書がある場合、印鑑証明書は不要です。

相続税申告で遺産分割協議書と印鑑証明書を提出する場合、印鑑証明書に期限はありません。

古い印鑑証明書を提出しても差し支えありません。

相続税申告で提出した印鑑証明書は、原本還付をしてもらうことができません。

⑤相続放棄に実印と印鑑証明書は不要

家庭裁判所に対して、必要な書類をを添えて相続放棄をしたい旨の申立てをします。

申立先の家庭裁判所は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

家庭裁判所の管轄は、裁判所のホームページで調べることができます。

相続放棄をしたい旨の申立ての書類のことを、相続放棄申述書と言います。

相続放棄申述書は、相続放棄の申立てをする人が押印をします。

実印で押印してももちろんいいのですが、押印は認印で充分です。

実印を押さないから、印鑑証明書を提出することもありません。

にもかかわらず、相続放棄の手続のため実印と印鑑証明書を用意して欲しいと他の相続人に言われたというケースがあります。

相続放棄のためと称していますが、相続放棄の手続のはずがありません。

相続放棄の手続は、相続放棄をする相続人が自分でするものだからです。

相続放棄の手続には、実印も印鑑証明書も不要です。

実印と印鑑証明書を渡して欲しいと言ってきた場合、別の手続をしようとしています。

具体的には、遺産分割協議と相続放棄を混同していると言えます。

自称専門家の場合、遺産分割協議と相続放棄を混同しているケースは度々あります。

2相続手続で印鑑証明書を渡したくないときの対処法

①司法書士などの専門家に相続手続を依頼する

遺産分割協議書は、相続人全員が記名して実印で押印します。

遺産分割協議書の押印が実印であることを証明するために、印鑑証明書を添付します。

相続人全員の印鑑証明書がない場合、原則として、相続手続を進めることはできません。

一部の相続人から一方的に印鑑証明書を渡すように迫られた場合、不安な気持ちになるでしょう。

遺産分割協議の内容に納得しているが、印鑑証明書などの悪用が心配になります。

相続手続は、司法書士などの専門家に依頼することができます。

司法書士などの専門家に依頼して、直接、司法書士に渡すといいでしょう。

相続手続が終わった後も、直接返して欲しい旨を伝えると直接やり取りができます。

②自分が代表相続人として相続手続をする

司法書士などの専門家に依頼しない場合で、自分が代表相続人として相続手続をする方法があります。

相続手続は、一般的に手間と時間がかかります。

自分が面倒な手続をすると申し出ると、喜んで印鑑証明書などの相続書類を渡してくれるかもしれません。

3相続手続で印鑑証明書を渡してもらえないときの対処法

①印鑑登録をしてもらう

遺産分割協議書に押印をしてくれない場合、印鑑登録をしていないことがあります。

印鑑登録をしたはずだけど、実印を紛失してしまっていることもあります。

市町村役場に出向いて印鑑登録をしてもらうといいでしょう。

本人が市区町村役場に出向いた場合、即日、印鑑証明書の発行をしてくれます。

②代償金の支払いと同時履行

被相続人の財産には、さまざまな財産があるでしょう。

現金や預貯金は、分けやすい財産です。

不動産は、分けにくい財産です。

相続財産の大部分が不動産のような分けにくい財産の場合、相続人全員の合意が難しくなるでしょう。

相続財産の大部分が不動産のような分けにくい財産の場合、代償分割をすることで合意ができることがあります。

代償分割とは、一部の相続人が不動産を相続し、残りの相続人は不動産を相続した人から、その分の代償をもらう方法です。

代償金を払うと合意したのに、代償金の支払いが惜しくなることがあります。

代償金を払うと合意したけど、資力に不安があることがあります。

代償の支払いがない場合、遺産分割協議をやり直ししたいと考えるかもしれません。

一般的な売買契約において、代金を支払わない場合、契約を一方的に解除することができます。

遺産分割協議においては、このような一方的な解除制度はありません。

代償金を払ってくれないのではないかと疑心暗鬼になることがあります。

代償の支払いと印鑑証明書の引渡しを同時履行とするといいでしょう。

代償が高額である場合、銀行振出の小切手による支払をしてもらうことができます。

振込で代償を支払う場合、口座残高はスマートフォンやパソコンで確認することができます。

代償金の支払いと印鑑証明書の引渡しを同時履行にしたら、安心してもらえるでしょう。

③遺産分割協議書真否確認の訴え

相続人全員の合意内容を遺産分割協議書に取りまとめて記名押印をしたのに、印鑑証明書を渡してくれない場合があります。

遺産分割協議は、口頭でも成立します。

口頭で成立した遺産分割協議では相続手続ができません。

口頭で遺産分割協議が成立した後、印鑑証明書を渡してくれない場合、相続手続ができなくなって困ります。

印鑑証明書を渡してくれない場合、遺産分割協議書真否確認の訴えを提起することができます。

裁判所で遺産分割協議書が真正であると確認してもらいます。

遺産分割協議書真否確認の訴えの勝訴判決を得ることで、印鑑証明書に代えることができます。

④所有権確認の訴え

相続財産の分け方について相続人全員で合意したのに、遺産分割協議書に押印をしてくれない場合があります。

このような場合は印鑑証明書を渡してくれないでしょう。

遺産分割協議書に押印をしてくれない場合、所有権確認の訴えを提起することができます。

相続財産の分け方について相続人全員で合意した時点で、合意した人の財産になるからです。

裁判所で所有権者であると確認してもらいます。

所有権確認の訴えの勝訴判決を得ることで、協力しない相続人の記名押印と印鑑証明書に代えることができます。

⑤遺産分割調停

一部の相続人が相続財産の分け方について合意していないと主張していることがあります。

合意していないと主張する場合、遺産分割協議書に押印をしてくれないのは当然です。

相続人全員による話し合いで相続財産の分け方について合意をする必要があります。

相続人間で話し合いがつかない場合、遺産分割調停を申し立てることができます。

遺産分割調停とは、家庭裁判所のアドバイスを受けてする相続人全員の話し合いです。

裁判所の助力を借りて、相続人全員の合意を目指します。

遺産分割調停で相続人全員の合意がまとまったら、合意内容は調停調書に取りまとめられます。

調停成立の調停調書があれば、印鑑証明書は不要です。

4遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット

遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。

合意がきちんと文書になっているからこそトラブルが防止できるといえます。

書き方に不備があるとトラブルを起こしてしまう危険があります。

せっかくお話合いによる合意ができたのに、取りまとめた文書の不備でトラブルになるのは残念なことです。

トラブルを防止するため、遺産分割協議書を作成したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

遺産分割協議書を強制執行

2024-04-08

1遺産分割協議は相続人全員による合意の証明書

相続が発生した場合、被相続人のものは相続人が相続します。

被相続人の財産は、相続人全員の共有財産です。

相続人のひとりが勝手に処分することはできません。

相続財産の分け方は、相続人全員による合意で決めなければなりません。

相続財産の分け方について、相続人全員でする話し合いを遺産分割協議と言います。

相続財産の分け方について相続人全員の合意ができた場合、合意内容を文書に取りまとめます。

相続人全員の合意内容を取りまとめた文書を遺産分割協議書と言います。

遺産分割協議書は、相続財産の分け方について相続人全員による合意内容の証明書です。

2遺産分割協議は一方的解除ができない

①代償金を払わなくても一方的解除はできない

一般的な売買契約において代金を支払ってもらえない場合、契約を一方的に解除することができます。

被相続人の財産には、さまざまな財産があるでしょう。

現金や預貯金は、分けやすい財産です。

不動産は、分けにくい財産です。

相続財産の大部分が不動産のような分けにくい財産の場合、相続人全員の合意が難しくなるでしょう。

相続財産の大部分が不動産のような分けにくい財産の場合、代償分割をすることで合意ができることがあります。

代償分割とは、一部の相続人が不動産を相続し、残りの相続人は不動産を相続した人から、その分の代償をもらう方法です。

遺産分割協議で代償金を払う合意をしたのに、代償金が惜しくなることがあります。

代償金の支払いがない場合、遺産分割協議をやり直したいと考えるかもしれません。

遺産分割協議では、一方的に解除することができません。

一般的な売買契約において代金を支払ってもらえない場合、契約を一方的に解除することができます。

遺産分割協議において代償金を支払ってもらえない場合、遺産分割協議を一方的に解除することができません。

②不動産を引き渡さなくても一方的解除はできない

代償分割とは、一部の相続人が不動産を相続し、残りの相続人は不動産を相続した人から、その分の代償をもらう方法です。

代償は、金銭で支払われるのが一般的です。

不動産を相続した相続人に代償を支払う現金が用意できないことがあります。

相続人が合意できるのであれば、代償は金銭以外の財産でも差し支えありません。

不動産を相続した相続人が代償として、固有の財産である不動産を譲渡する合意をすることができます。

遺産分割協議で不動産を譲渡する合意をしたのに、不動産が惜しくなることがあります。

不動産を引き渡してもらえない場合、遺産分割協議をやり直したいと考えるかもしれません。

遺産分割協議では、一方的に解除することができません。

遺産分割協議において不動産を譲渡してもらえない場合、遺産分割協議を一方的に解除することができません。

③遺産分割協議のやり直しは相続人全員による合意が必要

一般的な売買契約において、契約を一方的に解除することができます。

遺産分割協議において、遺産分割協議を一方的に解除することができません。

遺産分割協議において、相続人全員が合意できれば遺産分割協議のやり直しをすることができます。

相続人の多数決では、不足です。

遺産分割協議のやり直しは、相続人全員による合意が必要です。

一般的に代償を払ってもらえない場合、代償を払う人と払ってもらう人の話し合い解決を図ります。

他の相続人を含めて全員がやり直しに賛成することは、あまりありません。

遺産分割協議のやり直しは、高いハードルがあります。

3遺産分割協議書を公正証書にして強制執行

①強制執行認諾文言で金銭債権を強制執行

遺産分割協議書は、相続財産の分け方について相続人全員の合意内容を取りまとめた文書です。

一般的に遺産分割協議書は、私文書で作成します。

私文書とは、一般の民間人が個人的に作成した文書です。

遺産分割協議書は、公証役場で公正証書にしてもらうことができます。

遺産分割協議書を公正証書にした場合、代償金の支払いを確実にすることができます。

公正証書で遺産分割協議書を作成する場合、強制執行認諾文言を入れることができるからです。

強制執行認諾文言とは「代償金が支払われない場合、直ちに強制執行に服する」といった文言です。

強制執行認諾文言がある場合、公正証書は裁判による判決と同様の効力が与えられます。

公正証書で遺産分割協議書を作成する場合、公証役場に手数料を支払う必要があります。

代償金が支払われない場合、直ちに強制執行をすることができます。

「代償金が支払われない場合、直ちに強制執行に服する」と約束しているからです。

②不動産の引渡しで公正証書は債務名義にならない

代書分割をする場合、代償は金銭以外の財産でも差し支えありません。

遺産分割協議書は、公証役場で公正証書で作成してもらうことができます。

公正証書で強制執行できるのは、金銭債権だけです。

代償金の支払いは、金銭債権です。

代償金の支払いがされなかった場合、公正証書で強制執行をすることができます。

金銭以外の財産の引渡しは、金銭債権ではありません。

金銭以外の財産の引渡しは、公正証書で強制執行をすることができません。

金銭以外の財産の引渡しを強制執行するためには、別の方法で債務名義を得る必要があります。

債務名義とは、裁判所が強制執行を許可する前提となる文書です。

金銭以外の財産の引渡しでは、公正証書は債務名義にはなりません。

4裁判手続で債務名義を得る

①遺産分割後の紛争調整調停で調停調書

相続財産の分け方について相続人全員合意ができた場合、遺産分割協議は成立します。

遺産分割協議で代償金を払うと約束したのに払ってもらえない場合でも、一方的に解除することはできません。

遺産分割協議の合意内容を守ってもらえない場合、遺産分割後の紛争調整調停を申し立てることができます。

遺産分割協議が成立してから長期間経過した後に、紛争調整調停を申し立てることができます。

調停とは、裁判所のアドバイスを受けてする当事者の話し合いです。

当事者同士で話し合いをした場合、感情的になってしまうかもしれません。

家庭裁判所の調停委員と話をすると、冷静に話ができるでしょう。

家庭裁判所の調停委員から公平な意見を根拠にしてアドバイスがされると、納得しやすくなるでしょう。

代償金の支払いについて合意ができた場合、合意内容は調停調書に取りまとめます。

代償金が支払われない場合、強制執行をすることができます。

調停調書は、債務名義になります。

②代償金支払い請求訴訟を提起して勝訴判決

遺産分割後の紛争調整調停は、当事者の話し合いです。

話し合いで合意を目指します。

遺産分割後の紛争調整調停で話し合っても合意ができない場合、代償金支払い請求訴訟を提起することができます。

代償金支払い請求訴訟は、通常の裁判です。

家庭裁判所でなく、地方裁判所や簡易裁判所の管轄です。

当事者の話し合いで合意できる見込みがない場合、調停をせずに代償金支払い請求訴訟を提起することができます。

代償金支払い請求訴訟を提起した後、判決を得るには相当の時間と費用がかかります。

代償金支払い請求訴訟で勝訴した場合、強制執行をすることができます。

代償金支払い請求訴訟の勝訴判決は、債務名義になります。

5遺産分割協議の内容を守ってもらうために

①同時履行で押印と印鑑証明書

相続財産の分け方について相続人全員が合意した場合、遺産分割協議は終了します。

代償分割で代償の支払いがなくても、一方的な解除をすることはできません。

代償分割をする場合、代償を確実に支払ってもらうことが大切です。

代償の支払いと遺産分割協議書の押印を同時履行とするといいでしょう。

代償が高額である場合、銀行振出の小切手による支払をしてもらうことができます。

振込で代償を支払う場合、口座残高はスマートフォンやパソコンで確認することができます。

遺産分割協議書に押印しない場合、相続手続を進めることはできません。

遺産分割協議書に押印と代償の支払いを同時履行とした場合、確実に支払ってもらうことができます。

②抵当権の設定

抵当権とは、支払いを確実にするため担保に取る権利です。

代償が支払われなかった場合、抵当権を実行することができます。

抵当権を実行するとは、不動産を取り上げて競売して売却代金から代償を払ってもらうことです。

抵当権を設定した場合、抵当権設定登記をします。

抵当権設定登記には、登録免許税を納めなければなりません。

抵当権設定登記を司法書士などの専門家に依頼した場合、報酬がかかります。

抵当権設定をした場合の費用負担について、合意しておく必要があります。

③連帯保証人を立ててもらう

連帯保証人とは、代償の支払いを確実にするため主債務者と同様の返済の義務を負う人です。

代償が支払われなかった場合、連帯保証人に返済を請求することができます。

連帯保証契約は、書面で締結する必要があります。

連帯保証人が相続人以外の第三者である場合、遺産分割協議書とは別に連帯保証契約書を作成します。

連帯保証人は、主債務者に請求して欲しいと文句を言うことはできません。

連帯保証人を立ててもらうことで、代償の支払いを確実にすることができます。

④分割払いの合意には滞納リスクがある

代償金の支払いは、一括払いが一般的です。

相続人が合意できるのであれば、分割払いにすることができます。

代償金の支払いを分割払いにした場合、将来、支払われなくなるリスクがあります。

将来、代償金が支払われなくても、法定解除はできません。

確実に支払ってもらうために、代償金を分割払いにすることができます。

分割払いにすると、滞納リスクがあります。

⑤遅延損害金の合意で心理的プレッシャー

お金の貸し借りをした場合、返済期日までに返済できないときに備えて遅延損害金を払う約束をします。

遅延損害金は、通常の利息より高い利率で約束するでしょう。

高い利率の遅延損害金を払うことになるから、何とかして返済期日までに返済します。

代償金が支払期日までに支払われない場合に備えて、遅延損害金を払う約束をすることができます。

高い利率の遅延損害金を払うことになるから、心理的プレッシャーを与えることができます。

⑥代償分割より換価分割

代償分割は、任意に代償を払ってもらう方法です。

代償金が払われない場合、そもそも代償分割が適切でないかもしれません。

相続財産の分け方には、換価分割の方法があります。

換価分割とは、不動産を売却してお金に換えた後、お金を分ける方法です。

売却代金を分けるから、代償金を払ってもらえないと心配する必要はありません。

換価分割では、不動産を売却してお金に換えます。

せっかく家族が守ってきた不動産を手放すことへの罪悪感にかられて、話し合いがまとまらないおそれがあります。

そもそも代償分割より換価分割が適切かもしれません。

6遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット

遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。

合意がきちんと文書になっているからこそトラブルが防止できるといえます。

書き方に不備があるとトラブルを起こしてしまう危険があります。

せっかくお話合いによる合意ができたのに、取りまとめた文書の不備でトラブルになるのは残念なことです。

トラブルを防止するため、遺産分割協議書を作成したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

配偶者居住権を設定したときの遺産分割協議書

2024-03-25

1配偶者短期居住権と配偶者居住権のちがい

①配偶者居住権は設定が必要

配偶者短期居住権と配偶者居住権は、どちらも相続が発生してから、配偶者が住む場所を失うことがないように保護するために作られた権利です。

配偶者短期居住権は要件を満たしていれば、何もしなくても自動的に発生します。

配偶者居住権は、自動的に発生することはありません。

遺言書や遺産分割協議などで、権利を設定する必要があります。

②被相続人と配偶者以外の人と共有建物の場合は配偶者居住権は成立しない

建物を被相続人と配偶者以外の人と共有しているケースがあります。

被相続人と配偶者以外の人と共有建物であっても、配偶者短期居住権は成立します。

配偶者居住権は、被相続人と配偶者以外の人と共有建物の場合は成立しません。

③配偶者居住権は原則配偶者の終身存続

配偶者短期居住権は、期間制限があります。

遺産分割をするべき場合、次の日のどちらか遅い日までです。

(1)遺産分割が成立した日

(2)相続が発生してから6か月経過した日

遺産分割協議は、相続人全員の合意が必要です。

相続人全員の合意ができないまま、長期間経過することがあります。

遺産分割が成立しない場合、何年でも配偶者短期居住権は存続します。

配偶者が死亡するまで、遺産分割が成立しないことがあります。

結果として、終身配偶者短期居住権は存続します。

配偶者が相続放棄をしたなど遺産分割をする必要がないことがあります。

建物の所有者が配偶者短期居住権の消滅請求をしてから6か月経過するまで、配偶者短期居住権は認められます。

配偶者居住権は、原則として、終身です。

遺言書や遺産分割協議などによって、存続期間を決めることもできます。

④配偶者居住権は建物全体が対象

配偶者短期居住権で認められるのは、従前の居住部分のみです。

配偶者居住権では、居住部分だけでなく建物全体が対象になります。

店舗付き住宅などでは、店舗も含めて対象になります。

配偶者居住権では、店舗などから得た収入は配偶者のものにできます。

⑤配偶者居住権は登記できる

配偶者居住権は、登記できます。

配偶者短期居住権は、登記できません。

配偶者短期居住権と配偶者居住権のいずれも、要件を満たせば成立します。

登記は、成立の条件ではありません。

配偶者居住権はせっかく登記できるのに、登記しないと大きな不利益があります。

例えば、建物所有者が建物を売却してしまうことがあります。

建物の買主は、建物を使うため立ち退きを求めるでしょう。

配偶者短期居住権は、登記できません。

建物の買主に配偶者短期居住権があるから立ち退きたくないなどと文句を言うことはできません。

登記があれば、建物の買主に立ち退きたくないなどと文句を言うことができます。

配偶者居住権は、登記できます。

登記がしてあれば、建物の買主に配偶者居住権を盾にそのまま住み続けることができます。

登記がしてなければ、建物の買主に配偶者居住権があるから立ち退きたくないなどと文句を言うことはできません。

建物の買主に立ち退きたくないなどと文句を言うことができるのは、登記の重要な効力です。

配偶者短期居住権が成立する場合、建物所有者は配偶者を追い出すことはできません。

建物所有者は、配偶者短期居住権の行使の邪魔をすることができないからです。

配偶者が建物から立ち退かなければならなくなったのは、もとはと言えば、建物所有者が建物を売却したせいです。

建物所有者が建物を売却したことで、配偶者は追い出されたと言えます。

配偶者が追い出されたのは、配偶者短期居住権の行使の邪魔をしたと言えます。

配偶者短期居住権の行使の邪魔をしたことに対して、配偶者は損害賠償請求をすることができます。

配偶者は損害賠償請求をすることができますが、住み慣れた自宅を立ち退くこと負担は大きいと言えます。

配偶者居住権は登記しないと、大きな不利益があります。

⑥配偶者居住権は相続税の対象になる

配偶者短期居住権は、財産的価値はないとされています。

配偶者短期居住権は、相続税の対象とされません。

配偶者居住権は、財産的価値があります。

配偶者居住権は、相続税の対象とされます。

配偶者居住権は、配偶者のみに認められる権利です。

配偶者居住権がある配偶者が死亡したら、配偶者居住権は消滅します。

配偶者居住権が消滅しますから、相続財産になりません。

配偶者居住権がある配偶者が死亡したら、当然相続税の対象になりません。

2配偶者居住権を設定するには

①配偶者居住権を設定できる条件

(1)法律上の配偶者であること

配偶者居住権は、法律上の配偶者だけ取得することができます。

内縁・事実婚の配偶者は、配偶者居住権を取得することはできません。

同性婚のパートナーは、配偶者居住権を取得することはできません。

配偶者以外の相続人も、取得することはできません。

配偶者居住権を取得できるのは、法律上の配偶者のみです。

(2)その建物に居住していたこと

相続が発生したときに、その建物が生活拠点であったことが条件です。

一時的に使用する別荘などは対象になりません。

(3)建物が被相続人の所有であること

賃貸マンションなどに住んでいた場合、配偶者居住権を取得することはできません。

(4)共有建物の場合は被相続人と配偶者の共有であること

建物は、被相続人の所有であるか、被相続人と配偶者の共有である必要があります。

被相続人と配偶者以外の人が共有者である場合、配偶者居住権を取得することはできません。

相続税対策などで建物持分を子どもなどに生前贈与していた場合、配偶者居住権を取得することはできません。

(5)配偶者居住権を設定すること

配偶者短期居住権は要件を満たしていれば、何もしなくても自動的に発生します。

配偶者居住権は、自動的に発生することはありません。

②配偶者居住権を設定する方法

(1)遺言書で配偶者居住権を遺贈する

(2)被相続人と配偶者で配偶者居住権を贈与する死因贈与契約を結ぶ

(3)遺産分割協議で配偶者居住権を取得する

3配偶者居住権を設定したときの遺産分割協議書

記載例

第1条

相続財産中、次の不動産については、相続人○○○○が相続する。

所在 ○○市○○町○丁目

家屋番号 ○番○

種類 居宅

構造 木造瓦葺2階建

床面積 1階 50.00㎡ 2階 50.00㎡

第2条

被相続人の配偶者◇◇◇◇は相続開始時に居住していた前項の建物について配偶者居住権を取得する。

配偶者居住権の存続期間は、配偶者◇◇◇◇の死亡までとする

配偶者居住権の存続期間は、配偶者の死亡時以外の合意をすることができます。

合意内容に合わせて、記載します。

4配偶者居住権は登記することができる

配偶者短期居住権は、登記できません。

配偶者居住権は、登記できます。

配偶者居住権はせっかく登記できるのに、登記しないと大きな不利益があります。

登記しないと、配偶者居住権を取得したことを第三者に主張できなくなるからです。

配偶者居住権設定の登記は、前提として、相続登記が必要です。

配偶者居住権は、建物の所有者が設定するものだからです。

被相続人は、死亡しているから設定できません。

配偶者居住権設定の登記は、配偶者を権利者、建物所有者を義務者として共同で申請します。

5遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット

遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。

合意がきちんと文書になっているからこそトラブルが防止できるといえます。

つまり、書き方に不備があるとトラブルを起こしてしまう危険があります。

せっかくお話合いによる合意ができたのに、取りまとめた文書の不備でトラブルになるのは残念なことです。

トラブルを防止するため、遺産分割協議書を作成したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

遺産分割協議の効力

2024-03-01

1相続財産の分け方は相続人全員の合意で

相続が発生した後、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

相続人のひとりが勝手に処分することはできません。

相続財産の分け方について、相続人全員で話し合いによる合意をして分け方を決める必要があります。

相続財産の分け方にについて、相続人全員でする話し合いのことを遺産分割協議と言います。

遺産分割協議がまとまったら、相続人全員の合意内容を文書に取りまとめます。

相続人全員の合意内容を取りまとめた文書のことを遺産分割協議書と言います。

遺産分割協議は、必ず、全員で合意する必要があります。

相続人全員が一つの場所に集まる必要はありません。

電話でもメールでも、差し支えありません。

一度に相続人全員が合意する必要もありません。

一部の相続人と合意をして、次に、残りの相続人と合意をすることでも問題ありません。

最終的に相続人全員が合意できれば良いのです。

全ての財産をまとめて合意しなければならないといったこともありません。

一部の財産についてだけ、合意をすることもできます。

遺産分割協議書は、司法書士などの専門家に作ってもらうこともできるし相続人のひとりが作ることもできます。

2遺産分割協議の効力

①遺産分割協議書は相続人全員の合意内容の証明書

遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容を取りまとめた文書です。

文書にしておかない場合、後からそのような合意をしていなかったと言い出す相続人が現れるかもしれません。

合意内容を文書にしておくことで、言った言わないのトラブルを回避することができます。

遺産分割協議書を作成することで、相続人全員の合意内容を証明することができます。

遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容の証明書です。

②遺産分割協議は債務不履行で一方的解除ができない

相続財産の分け方について相続人全員の話し合いがまとまった場合、合意内容どおりに相続財産を受け取ります。

不動産のように高額で分けにくい財産を受け取った人は、自己の固有の財産から金銭を支払うことで調整することがあります。

一般的な売買契約において代金を支払わない場合、契約を解除することができます。

遺産分割協議においては、解除制度はありません。

いったん相続財産の分け方について相続人全員が合意した場合、遺産分割協議は終了します。

遺産分割協議が終了した後は、代償金を支払う人と受け取る人の問題になります。

金銭を支払う人と受け取る人の話し合いで、解決を図ります。

代償金を支払うと約束した人のに、支払ってくれないことがあります。

支払ってくれなくても、相続財産の分け方の合意をなかったことにはできません。

相続財産の分け方の合意において、代償金の支払が重要な要素であっても債務不履行を理由として解除することはできません。

③公正証書による遺産分割協議書は強制執行ができる

遺産分割協議書は、相続人全員の合意内容を取りまとめた文書です。

多くの場合、司法書士などの専門家に作ってもらいます。

適切に作成することができるのであれば、相続人のひとりが作ることができます。

遺産分割協議書は、公証役場で公正証書にしてもらうことができます。

公正証書にせず私文書で作成した場合、遺産分割協議書の内容を直ちに強制執行することはできません。

強制執行をするためには、裁判所で訴訟をして勝訴判決などの債務名義を得る必要があります。

公正証書で遺産分割協議書を作成する場合、支払いをしなかったときのことを書いてもらうことができます。

「相続人○○が上記金銭の支払いをしなかったときは、直ちに強制執行に服する旨を認諾した。」

上記のような文言がある場合、公正証書で強制執行をすることができます。

お金を払ってもらう人にとっては、心強いものと言えます。

約束したお金を払ってもらうために裁判をしなければならないとなるとハードルが高いものです。

公正証書による遺産分割協議書は、裁判なしで強制執行ができます。

④遺言書があっても遺産分割協議は有効

被相続人が生前に遺言書を作成していることがあります。

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

被相続人の財産は、原則として、被相続人の意思が最大限尊重されるべきものでしょう。

被相続人が遺言書を作成して相続財産の分け方を指定した場合、相続人全員の話し合いによる合意は必要ありません。

ときには遺言書の内容が相続人の現状を反映していない内容であることがあります。

相続人の現状を反映していない遺言書であった場合、そのまま執行すると相続人が困惑するかもしれません。

遺言書をあえて執行して、相続人を困惑させる必要はありません。

相続財産の分け方について、相続人全員で合意した方が合理的です。

相続人全員が合意すれば、遺言書の内容と異なる内容で遺産分割協議をすることができます。

遺言書があっても、遺産分割協議は有効です。

⑤遺産分割禁止の定めは無視できない

遺言書で遺産分割が禁止されている場合があります。

遺産分割禁止の対象は、相続財産の全部でも一部でも構いません。

遺言書で5年を超えない期間について、遺産分割を禁止することができます。

遺産分割禁止の定めは、遺言書以外の方法で生前に定めることはできません。

遺言書で遺産分割が禁止されている場合、相続人全員の合意があっても遺産分割ができません。

相続人全員の合意で遺産分割協議をした場合、遺産分割協議が無効になります。

遺産分割禁止の定めは、無視できません。

⑥遺産分割協議書のコピーで相続手続はできない

相続財産の分け方について相続人全人の合意ができた後は、相続手続をします。

相続手続において、遺産分割協議書原本を提出しなければなりません。

遺産分割協議書のコピーは、受け付けてもらえません。

遺産分割協議書原本を提出する場合、原本は返して欲しいと依頼しましょう。

相続手続先でコピーをとって返却してくれます。

法務局などでは、遺産分割協議書原本と一緒にコピーを添付してコピーに「原本と相違ない」と記載のうえ記名押印が必要になります。

相続手続先に問い合わせをして、原本還付の方法を確認するといいでしょう。

遺産分割協議書は相続人の人数分作成し、相続人全員が原本を保管します。

相続人全人の合意内容について争いが発生した場合、遺産分割協議書のコピーでは証明力が弱いからです。

遺産分割協議書のコピーで、相続手続はできません。

⑦遺産分割協議の内容に遡及効がある

相続が発生した後、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

相続人全員で相続財産の分け方について話し合いによる合意をして、分け方を決めます。

相続財産の分け方について相続人全員で合意ができた場合、相続人全員の合意は相続発生時にさかのぼって効力が生じます。

相続人全員の合意ができたときに、効力が生ずるのではありません。

相続人全員の合意の効力は相続発生時にさかのぼって効力が生ずることを、遺産分割の遡及効と言います。

遺産分割協議の内容には、遡及効があります。

⑧被相続人の債権者に遺産分割協議の内容を主張できない

相続が発生した後、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

相続財産には、プラスの財産とマイナスの財産があります。

プラスの財産とマイナスの財産の両方が相続財産です。

相続財産は相続人全員で話し合いによる合意をして、分け方を決めます。

マイナスの財産も相続財産だから、相続人全員の合意で分け方を決めることができます。

相続人全員の合意でマイナスの財産の分け方を決めた場合、相続人間の内部的合意です。

被相続人の債権者には、関係のない合意です。

被相続人の債権者は、相続人全員に対して法定相続分で借金の返済を請求することができます。

相続人全員の合意でマイナスの財産は相続人〇〇が負担すると合意したから、借金の請求をしないで欲しいと文句を言うことはできません。

相続人全員の合意でマイナスの財産の分け方を決めた場合、相続人間の内部的合意だからです。

被相続人の債権者に対して、遺産分割協議の内容を主張することはできなせん。

⑨相続人の債権者に遺産分割協議書の内容を主張できない

遺産分割協議の内容には、遡及効があります。

相続人全員の合意の効力は、相続発生時にさかのぼって効力が生じます。

相続人が、莫大な借金を負っていることがあります。

債務者が相続人になる相続が発生した場合、債権者は相続財産から借金を払ってもらえると期待します。

債権者は債権の保全のため、債務者の財産を差し押さえることができます。

債権者は差押など強制執行の準備のため、相続登記を申請することができます。

差押などの強制執行をするためには、相続人名義である必要があるからです。

法定相続分で共有する場合、共有する一部の相続人から相続登記を申請することができます。

債務者が権利行使をしない場合、債権者は債権の保全のため債務者に代わって権利行使をすることができます。

債務者が相続登記をしない場合、債権者は債権保全のため債務者に代わって相続登記をすることができます。

債務者がするべき登記申請を債権者が代わりにすることを代位登記と言います。

代位登記をした後、債権保全のため差押をすることができます。

債権者は、債務者の事情などお構いなしで登記します。

相続人全員の話し合いによる合意がどうなったのか待つことはありません。

遺産分割協議の内容に遡及効があっても、登記されていなければ代位登記ができます。

代位登記と差押の登記がされた後で、相続人全員の合意内容と違うから消して欲しいなどの文句を言えません。

債権者は、差押など強制執行の準備のために代位登記をします。

相続人が勝手に消すことはできません。

相続人の債権者に対して、遺産分割協議書の内容を主張することはできません。

⑩相続人から権利を取得した第三者に遺産分割協議書の内容を主張できない

相続が発生した後、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

相続人全員が法定相続分で共有しています。

相続人全員が法定相続分で共有する場合、共有する一部の相続人から相続登記を申請することができます。

一部の相続人が自分の共有持分を処分することがあります。

不動産を共有する場合、自分の共有持分は自分の判断だけで処分することができます。

他の共有者の同意を受けなくても、売却したり担保に差し出したりすることができます。

不動産の共有持分を買い受けた場合、すぐに持分移転登記をしてもらうでしょう。

登記がないと、権利主張ができないからです。

遺産分割協議の内容に遡及効があっても、登記されていなければ持分移転登記ができます。

持分移転登記がされた後で、相続人全員の合意内容と違うから消して欲しいなどの文句を言えません。

買主の権利主張のために登記をしたものです。

相続人が勝手に消すことはできません。

相続人から権利を取得した第三者に対して、遺産分割協議書の内容を主張することはできません。

3遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット

遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。

合意がきちんと文書になっているからこそトラブルが防止できるといえます。

書き方に不備があると、トラブルを起こしてしまう危険があります。

せっかくお話合いによる合意ができたのに、取りまとめた文書の不備でトラブルになるのは残念なことです。

トラブルを防止するため、遺産分割協議書を作成したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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