Author Archive

遺言書を見せてくれないときの対処法

2026-02-22

1遺言者が遺言書を見せてくれない

①遺言者の生存中は遺言書に効力がない

被相続人は、自分の財産を自由に処分することができます。

被相続人は、遺言書を作成して自分の財産を自由に引き継いでもらうことができます。

遺言書を作成したと聞いたら、内容が気になることでしょう。

遺言書を作成しても、遺言者の生存中は効力がありません。

遺言書の効力が発生するのは、遺言者が死亡したときだからです。

②遺言者は遺言書を書き直しができる

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

遺言者の最終の意思が優先されます。

遺言者は、遺言書を書き直すことができます。

遺言書を作成した後に、事情が変わることがあるからです。

財産の状況が変わる場合、書き直しが必要になるでしょう。

新たに誕生した孫や曽孫に、財産を譲りたくなるかもしれません。

財産を相続させる予定だった相続人が先に死亡することがあります。

遺言書は、何度でも書き直しができます。

複数の遺言書がある場合で、内容が両立しない場合、日付の新しい遺言書が有効になります。

相続人らと遺言書の書き直しはしないと約束しても、無効の約束です。

遺言書を書き直しするにあたって、相続人などの同意を受けなければならないと言ったルールはありません。

③遺言者は見せる義務はない

遺言書を作成したと言うのに、遺言書を見せてくれないことがあります。

たとえ、相続人になる予定の人であっても秘密にしておきたい内容があるでしょう。

遺言者の生存中、遺言書を見ることはできません。

遺言書を書き直しした場合、相続人などに報告する必要はありません。

遺言書は遺言者がひとりで作成できるから、ひとりで書き直しをすることができます。

遺言者本人は、他の人に遺言書を見せる義務はありません。

遺言者が見せてくれない場合、相続が発生するまで見ることはできません。

2相続開始後に公正証書遺言を見せてくれないときの対処法

①公正証書遺言は公証役場で厳重保管

公正証書遺言は、遺言内容を公証人に取りまとめてもらって作る遺言書です。

証人2人に確認してもらって作成します。

公正証書遺言を作成した後、原本は公証役場で厳重保管されます。

公正証書遺言を作成した場合、遺言書の正本と謄本が渡されます。

正本や謄本を紛失しても、原本は公証役場で厳重保管されています。

公正証書遺言原本は公証役場に厳重保管されるから、紛失や改ざんの心配がありません。

②公証役場で検索ができる

公正証書遺言を作った場合、公証役場はデータを管理しています。

公証役場で遺言の有無を調べてもらうことができます。

昭和64年1月1日以降に作った公正証書遺言、秘密証書遺言が対象です。

コンピューターに登録されているのは、次の事項です。

・遺言した人の名前

・公証人の名前

・公証役場の名前

・遺言書を作った日

調べてもらうための手数料は、無料です。

全国どこの公証役場でも、調べてもらうことができます。

まずは近くの公証役場に出向いて、調べてもらいましょう。

郵便で調べてもらうように、請求することはできません。

遺言者が生存中は、遺言者本人と遺言者本人の代理人だけが調べてもらうことができます。

たとえ、家族の人が調べてもらおうとしても、答えてもらえません。

③公証役場で謄本請求ができる

遺言書の有無は、近くの公証役場で検索してもらうことができます。

公証役場のコンピューターで公正証書遺言があると分かった場合でも、内容については教えてもらえません。

公正証書遺言原本は、遺言書を作成した公証役場で厳重保管されています。

遺言書を作成した公証役場に対して、謄本を請求することができます。

謄本を見ると、遺言書の内容を知ることができます。

遺言者が生存中は、遺言者本人と遺言者本人の代理人だけが請求することができます。

たとえ、家族の人が請求しても、答えてもらえません。

遺言者の死亡後は、法律上の利害関係がある人だけが請求できます。

遺言者の相続人は、利害関係がある人です。

謄本を請求する場合、所定の手数料がかかります。

3相続開始後に自筆証書遺言を見せてくれないときの対処法

①自筆証書遺言は家庭裁判所に提出

相続が発生した後に遺品整理をしていると、自筆証書遺言が見つかることがあります。

自筆証書遺言を見つけた人や預かっていた人は、家庭裁判所に提出する必要があります。

遺言書を家庭裁判所に届出ることを遺言書検認の申立てと言います。

遺言書検認の申立てを受け付けたら、家庭裁判所は相続人全員を家庭裁判所に呼び出します。

封筒に入って封がされている遺言書は、相続人立会いで家庭裁判所で開封してもらいます。

勝手に開封すると、5万円以下のペナルテイーになるおそれがあります。

遺言書であることに気づかず開封してしまっても、遺言書は無効になりません。

慌てて小細工をせずに、正直にそのまま提出します。

②検認調書が作成される

遺言書の検認とは、家庭裁判所で遺言書の状態を確認してもらう手続です。

遺言書の有効無効を確認する手続ではありません。

検認手続では、遺言書のの状態や形、書き直しや訂正箇所、日付や署名がどうなっているか裁判所が確認します。

確認した内容は、検認調書に取りまとめられます。

検認期日以降に遺言の改ざんや変造があった場合、検認調書と照らし合わせて確認することができます。

検認調書を見ると分かってしまうから、改ざんや変造を予防することができます。

遺言書の検認手続は、遺言書の改ざんや変造を予防する手続です。

遺言書の検認手続で、検認調書が作成されます。

③検認調書の謄本請求ができる

遺言書検認の申立てを受け付けたら、家庭裁判所は相続人全員を家庭裁判所に呼び出します。

遺言書があることを相続人に知らせ、立会の機会を与えるためです。

遺言書の検認期日に呼び出しがあった場合、申立人以外の人は欠席して差し支えありません。

検認期日に出席しても欠席しても、財産を相続できなくなることはありません。

検認期日に出席すれば、遺言書の内容を見ることができるでしょう。

検認期日に欠席しても、検認調書の謄本を請求することができます。

検認調書には、提出された遺言書のコピーが付いています。

検認調書の謄本請求で、遺言書の内容を知ることができます。

④検認をしないと相続手続ができない

検認を受けても受けなくても、遺言書の効果に変わりはありません。

検認を受けても受けなくても、無効の遺言書は無効です。

検認を受けても受けなくても、有効の遺言書は有効です。

検認は遺言書の状態を確認してもらうことであって、遺言書が有効か無効かを判断してもらうことではないからです。

検認を受けても受けなくても遺言書の効果は変わりませんが、検認を受けていない遺言書で相続手続はできません。

検認の後、検認済証明書の交付を申請しましょう。

遺言書と検認済証明書を一緒にして、相続手続を行います。

⑤検認を怠ると欠格のおそれ

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

同時に、民法では相続人になれない人も決められています。

例えば、被相続人を殺した人が相続することは社会感情からみても許せない、相続する人としてふさわしくないということは納得できるでしょう。

相続人としてふさわしくない人の相続資格を奪う制度を相続欠格と言います。

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

相続人としても、遺言者の意思を実現させてあげたいでしょう。

相続人が遺言書を隠匿して不当な利益を得ようとする場合、相続する人としてふさわしくないと言えます。

自筆証書遺言を見つけた人は、家庭裁判所に提出して検認を受けなければなりません。

遺言書の検認を怠ると、遺言書の隠匿にあたると判断されるおそれがあります。

遺言書の内容が自分に不利な内容である場合、不当な利益を得ようとしたと言えるでしょう。

他の相続人が遺留分侵害額請求をするのを避ける目的がある場合、不当な利益を得ようとしたと言えるでしょう。

不当な利益を得る目的で遺言書を隠匿した場合、相続欠格になるおそれがあります。

4法務局保管の自筆証書遺言を見せてくれないときの対処法

①法務局保管の自筆証書遺言は検認不要

自筆証書遺言を作成した後、自分で保管するのが原則です。

自筆証書遺言は、保管場所に困ります。

遺言書の保管場所を家族と共有していないと、相続が発生した後に遺言書を見つけてもらえないかもしれません。

遺言書の保管場所を家族と共有していると、遺言書を破棄されたり改ざんされたりする心配があります。

自筆証書遺言を法務局に提出して、保管してもらうことができます。

法務局で保管してもらっている自筆証書遺言は、家庭裁判所の検認手続が不要です。

法務局保管の自筆証書遺言は、法務局で厳重保管されているからです。

②自筆証書保管事実証明書の交付請求ができる

自筆証書遺言を預かった場合、法務局はデータを管理しています。

法務局で遺言の有無を調べてもらうことができます。

遺言の有無を調べてもらうことができる法務局は、遺言書保管事務を扱っている法務局のみです。

名古屋市内であれば、名古屋法務局本局のみです。

熱田出張所や名東出張所では、遺言の有無を調べてもらうことができません。

遺言書保管事務を扱っている法務局は、法務局のホームページで調べることができます。

遺言書保管事務を扱っている法務局であれば、日本中どこの法務局でも請求することができます。

自筆証書遺言を預かっているか調べてもらうことを、遺言書保管事実証明書の交付請求と言います。

遺言者が生存中は、たとえ家族であっても交付請求をすることはできません。

遺言書保管事実証明書の交付請求には、所定の手数料がかかります。

郵送で請求する場合は、返信用の切手と封筒を添付します。

遺言者が自筆証書遺言を法務局に預けたとき、法務局は保管証を渡します。

保管証があれば、遺言書保管事実証明書の交付請求を省略することができます。

③遺言書情報証明書の交付請求ができる

遺言をした人が預けた遺言書は、預けた本人以外には返してはもらえません。

遺言をした遺言者本人が死亡した後は、相続人であっても返還されません。

その代わりに、遺言書の画像を印刷して交付するように請求することができます。

遺言書の画像を印刷して交付するように請求することを遺言書情報証明書の交付請求と言います。

遺言書情報証明書を見ると、遺言書の内容を知ることができます。

相続手続では、遺言書原本の代わりとして使うことができます。

相続人が遺言書情報証明書を受け取ったら、法務局から他の相続人全員に対して、遺言書を預かっていることが通知されます。

5遺言執行者には遺言書の開示義務がある

遺言書は作成するだけでは意味がありません。

遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書の内容を実現するために、必要な権限が与えられます。

遺言執行者が職務を開始した場合、相続人に遺言書の内容を通知をする義務があります。

遺言執行者がいる場合、遺言書の開示を求めることができます。

遺言書の内容によっては、相続人の遺留分が侵害されていることがあるでしょう。

遺留分侵害額請求をする機会を与えるためにも、遺言書の内容を知らせることは重要です。

遺言執行者には、遺言書の開示義務があります。

6遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書がある場合、相続財産について、相続人全員で、分け方を合意する必要はありません。

もっともトラブルになりやすい遺産分割協議で、相続人全員で合意をしなくていいのは大きなメリットです。

せっかく遺言書を作成しても、遺族に見つけてもらえなければ意味がありません。

同時に、死亡する前に自分に都合の悪い遺言書を隠したり捨ててしまったりする心配があります。

さらに、遺言書には厳格な書き方ルールがあります。

ルールが守られていない遺言書は無効になります。

書き方のルールは守られていても、内容があいまいだったり、不適切であったために、実現できない遺言書も少なくありません。

せっかく遺言書を書くのであれば、家族を幸せにできる遺言書を確実に作りましょう。

司法書士は確実な遺言書を作るお手伝いをします。

家族のために適切で確実な遺言書を作りたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

高齢者消除の戸籍謄本で相続登記をする方法

2026-02-20

1 高齢者消除の戸籍謄本だけで相続登記はできない

①高齢者消除で戸籍を整理する

相続人調査をすると、戸籍謄本に高齢者消除の許可と記載されていることがあります。

生年月日を確認すると、100歳以上の高齢者であることがほとんどです。

高齢者消除とは、戸籍の整理のための行政措置です。

生死不明のまま長期間動きがない高齢者の記録を抹消して、戸籍を整理する事務処理です。

100歳以上の高齢者など、事実上生存の可能性が極めて低い人が対象です。

法務局長の許可を得て、市長村長が職権で抹消します。

戸籍を整理することで、戸籍の正確性を保つことができます。

②高齢者消除がされても生きている扱い

高齢者消除で戸籍が整理されても、法律上は死亡扱いではありません。

高齢者消除は、戸籍を整理するための行政措置に過ぎないからです。

行政上は死亡扱いするけど、法律上は死亡扱いしません。

単なる戸籍の整理に過ぎないのに死亡扱いにすると、重大な公的効果が発生します。

死亡扱いにするためには、慎重で厳格な手続が必要です。

高齢者消除がされても、生きている扱いです。

③高齢者消除で相続は開始しない

戸籍が高齢者消除で除籍されても、死亡扱いはされません。

法律上は生きている扱いだから、高齢者消除された人に相続は発生しません。

高齢者消除された戸籍謄本で、相続手続をすることはできません。

高齢者消除された戸籍謄本で、相続登記をすることはできません。

④高齢者消除で代襲相続は開始しない

相続人調査をすると、相続人の戸籍が高齢者消除されていることがあります。

代襲相続とは、相続人になるはずの人が被相続人より先に死亡した場合に子どもや孫が相続することです。

高齢者消除と記載されて除籍されても、代襲相続は発生しません。

高齢者消除と記載されても、生きている扱いだからです。

2高齢者消除の戸籍謄本で相続登記をする方法

方法①法律上の死亡扱いにするためには失踪宣告

(1)生死不明の人に失踪宣告

失踪宣告とは、長期間生死不明の人を死亡扱いにする制度です。

戸籍が高齢者消除がされた場合、死亡の可能性が非常に高いと言えます。

死亡の可能性が非常に高くても、法律上は生きている扱いです。

生死不明のまま長期間経過すると、家族が困ります。

高齢者消除がされても、生死不明の人の財産は家族が勝手に処分できません。

失踪宣告は、残された家族を救済する制度です。

残された家族のために、生死不明の人に失踪宣告をします。

(2)失踪宣告で相続が開始する

失踪宣告は、生死不明の人を死亡扱いにする手続です。

失踪宣告を受けた人は、たとえ死亡していなくても死亡扱いがされます。

失踪宣告を受けると、相続が発生します。

失踪宣告を受けた人を被相続人とする相続が発生します。

失踪宣告を受けた人の財産は、失踪宣告を受けた人の相続人が相続します。

(3)家族から失踪宣告の申立てが必要

失踪宣告は、家庭裁判所の手続です。

長期間生死不明であっても、自動で失踪宣告がされることはありません。

家族など利害関係人から、失踪宣告の申立てが必要です。

失踪宣告には、死亡と見なされるという強い効果があります。

失踪宣告が認められるためには、次の条件があります。

①行方不明の人が生死不明であること

②生死不明のまま一定期間継続していること

上記の条件を満たしたと判断されると、家庭裁判所は失踪宣告をすることができます。

(4)失踪宣告は失踪届で戸籍に反映

失踪宣告がされても、自動で戸籍に記載されることはありません。

失踪宣告がされた後、市区町村役場に失踪届を提出する必要があります。

市区町村役場に失踪届が受理された後、戸籍に記載されます。

失踪届を提出するときは、失踪宣告の審判書と確定証明書が必要です。

(5)失踪宣告の戸籍謄本で相続手続

失踪宣告を受けると、死亡扱いがされます。

失踪宣告を受けた人を被相続人とする相続が発生します。

相続登記をする場合、失踪宣告が記載された戸籍謄本が必要です。

失踪宣告を受けた人は、死亡ではなく失踪宣告が記載されます。

失踪宣告が記載された戸籍謄本がないと、相続登記をすることはできません。

法務局は、戸籍謄本で相続関係を確認するからです。

(6)失踪宣告がされたときの戸籍の記載例

戸籍には、次のように記載されます。

【死亡とみなされる日】令和〇年〇月〇日

【失踪宣告の裁判確定日】令和〇年〇月〇日

【届出日】令和〇年〇月〇日

【届出人】親族 〇〇〇〇

失踪宣告がされたら、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。

死亡の取り扱いがされるから、相続が発生します。

方法②死亡診断書死体検案書があれば死亡届を提出

人が死亡したら、市区町村役場に死亡届を提出します。

高齢者消除された後であっても、死亡届を提出することができます。

死亡届を提出するためには、医師による死亡診断書や死体検案書が必要です。

死亡してから長期間経過すると、死亡診断書や死体検案書を取得することが困難になるでしょう。

やむを得ない理由によって死亡診断書や死体検案書を取得することができない場合、死亡の事実を証する書類を提出することができます。

例えば、次の書類を死亡の事実を証する書類として提出することができます。

・埋火葬許可証の写し

・寺院等の葬儀証明書

・過去帳の写し

方法③不在者財産管理人を選任しても最終的には失踪宣告が必要

(1)高齢者消除では遺産分割協議から除外できない

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話し合いです。

相続人全員の合意がないと、遺産分割協議は成立しません。

一部の相続人を含めずに合意をしても、無効の合意です。

一部の相続人が高齢者消除の対象であっても、遺産分割協議から除外できません。

(2)不在者財産管理人が遺産分割協議に参加

不在者財産管理人とは、行方不明の人の財産を管理する人です。

高齢者消除された人が相続人になる相続が発生した場合、遺産分割協議から除外できません。

不在者財産管理人は、高齢者消除された相続人に代わって遺産分割協議に参加します。

遺産分割協議書は、不在者財産管理人が記名し押印します。

(3)不在者財産管理人は家族の代理人ではない

不在者財産管理人が遺産分割協議をする場合、家庭裁判所の許可が必要です。

遺産分割協議は、財産の管理行為を越える財産処分行為だからです。

不在者財産管理人には、生死不明の人の財産を守る義務があります。

家族が不在者財産管理人選任の申立てをしても、家族の希望をかなえる人ではありません。

家族が希望する遺産分割協議をする人ではありません。

不在者財産管理人は、家族の代理人ではないからです。

不在者財産管理人は、生死不明の人の財産を守る人です。

不在者財産管理人が家族であっても家族以外の専門家であっても、同様です。

たとえ家族が希望しても、生死不明の人の相続分が守られない遺産分割協議はできません。

(4)遺産分割協議成立で相続登記

遺産分割協議が成立したら、相続登記をします。

相続登記では、高齢者消除された戸籍謄本を提出します。

不在者財産管理人が記名し押印した遺産分割協議書を提出します。

遺産分割協議書に添付する印鑑証明書は、不在者財産管理人の印鑑証明書です。

家庭裁判所に選任されたことを証明するため、不在者財産管理人選任審判書を提出します。

不在者財産管理人の権限外行為の許可の審判書も、必要です。

不在者財産管理人が遺産分割協議をする場合、家庭裁判所の許可が必要だからです。

不在者財産管理人を利用して相続登記をする場合、たくさんの書類が必要になります。

(5)相続登記が終わっても不在者財産管理人の任務は続く

不在者財産管理人は遺産分割協議が終わっても相続登記が終わっても、任務終了になりません。

不在者財産管理人は、生死不明の人の財産管理をする人だからです。

遺産分割協議が終わっても、財産管理は続きます。

遺産分割協議で得た財産は、家族が自由に使うことはできません。

生死不明の人の財産は、不在者財産管理人が管理するからです。

(6)不在者財産管理人を選任しても失踪宣告

不在者財産管理人制度は、生存を前提とした財産管理制度です。

戸籍が高齢者消除された場合、帰ってくる見込みは非常に低いでしょう。

不在者財産管理人を選任しても、最終的には失踪宣告をすることになるでしょう。

不在者財産管理人制度と失踪宣告のどちらを利用するのか、家族によって判断が異なります。

手間と時間を覚悟して、不在者財産管理人制度を利用することも選択肢です。

行方不明の人を死亡扱いにするためには、あらためて失踪宣告の申立てが必要だからです。

3戸籍が高齢者消除されても相続登記の義務はない

①相続登記の期限は3年以内

相続登記は、3年以内に申請しなければなりません。

相続登記の申請義務を果たしていない場合、ペナルティーが課されます。

令和6年4月1日以前に発生した相続であっても、ペナルティーが課される予定です。

②生きている扱いだから相続登記の義務はない

戸籍が高齢者消除されても、法律上は生きている扱いです。

法律上生きている扱いだから、相続登記の義務はありません。

生きている扱いだから、相続は発生しないからです。

高齢者消除された人が不動産を保有していても、相続登記をすることはできません。

高齢者消除された人の不動産に、相続登記の義務はありません。

③相続登記義務化のペナルティーの対象外

戸籍が高齢者消除されても、相続登記の義務はありません。

相続登記の申請義務を果たしていない場合、ペナルティーが課されます。

戸籍が高齢者消除されても、相続登記義務化のペナルティーの対象外です。

戸籍が高齢者消除されても、法律上は生きている扱いだからです。

④失踪宣告がされたら相続登記の義務

失踪宣告を受けると、死亡扱いがされて相続が発生します。

法律上も死亡扱いされるから、相続登記の義務が発生します。

失踪宣告が確定してから3年以内に、相続登記をする義務があります。

4住所が分からない相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続が発生した後、相続手続を進めたいのに住所が分からない相続人や行方不明の相続人がいて困っている人はたくさんいます。

自分たちで手続しようとして、挫折する人も少なくありません。

不在者財産管理人選任の申立てなど家庭裁判所に手続きが必要になる場合などは、専門家のサポートが必要になることが多いでしょう。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。

自分たちでやってみて挫折した人や相続手続で不安がある方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

アパート経営を相続放棄する前に知るべき現実

2026-02-19

1アパート経営の相続に不安を感じるのは当然の反応

①経営を相続すること自体が不安

アパート経営の相続は、単なる財産の相続ではありません。

アパート経営という事業を引き継ぐことです。

経営に携わって来ていないと、何をするのか分からないでしょう。

自分の経営能力に、不安を感じがちです。

経営を相続すること自体に不安を感じて、相続放棄を検討します。

②借金を相続する不安

アパート経営には、借金があることがほとんどです。

経営に携わって来ていないと、債務残高を知らないでしょう。

債務残高を知っていても、日常生活で目にする金額ではないことが多いでしょう。

日常生活で目にすることがない金額の借金に、不安を感じがちです。

借金を相続することに不安を感じて、相続放棄を検討します。

③家族のしがらみに不安

アパート経営には、家族の歴史や家族間で共有している感情が深く絡みついています。

アパート経営の相続は、家族の歴史や感情を引き継ぐことです。

家族のしがらみに、不安を感じがちです。

家族のしがらみから解放されたいと感じて、相続放棄を検討します。

2アパート経営を相続放棄する前に知るべき現実

①相続放棄で相続債務から解放される

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

プラスの財産とマイナスの財産両方が相続財産です。

相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか、選択することができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄の申立てをします。

家庭裁判所で相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。

相続放棄をしたら、相続財産を引き継ぎません。

たとえ莫大な借金があっても、相続放棄で相続債務から解放されます。

相続放棄した人が借金から解放されるだけで、借金は消えません。

②相続放棄で貸主としての義務から解放される

アパート経営をする場合、貸主には次のような義務があります。

・建物を使用できる状態で提供する義務

・敷金を返還する義務

・契約更新や解約に関する義務

・入居者の安全に関する義務

貸主に相続が発生した場合、相続人が貸主としての義務を引き継ぎます。

貸主としての義務は、契約当事者としての責任です。

相続放棄をしたら、貸主としての義務から解放されます。

③アパートだけ相続放棄はできない

相続放棄をしたら、はじめから相続人ではなくなります。

相続放棄では、財産の選り好みはできません。

一切相続しないか、すべて相続するかの選択です。

アパート経営が不安であっても、アパートだけ相続放棄する制度はありません。

④団体信用生命保険未加入・対象外なら借金は残る

住宅ローンでは、団体信用生命保険でローンが完済されることが一般的です。

団体信用生命保険とは、生命保険契約のひとつです。

ローン債務者が死亡などしたときに、ローン残高を保険会社が支払う仕組みです。

アパート経営でローンを組む場合、団体信用生命保険に加入しないことは珍しくありません。

保険料の負担が収益性に影響するためです。

団体信用生命保険に未加入のケースや対象外のケースでは、借金はそのまま残ります。

⑤相続放棄をしても連帯保証人の責任は継続

被相続人が借金をするときに、家族が連帯保証人になることがあります。

連帯保証人とは、債務者が借金を返せなくなったときに肩代わりをする人です。

債権者と連帯保証人の間で、連帯保証契約を締結します。

連帯保証人は、肩代わりに義務を負担します。

肩代わりに義務は、連帯保証人の固有の義務です。

相続放棄をすれば、被相続人の借金は相続しません。

相続放棄をしても、肩代わりの義務はそのまま継続します。

肩代わりの義務は、連帯保証人の固有の義務だからです。

相続とは無関係な義務だから、相続放棄で解放されません。

相続放棄をしても、連帯保証人の責任は継続します。

⑥相続放棄で次順位相続人

相続人になる人は、法律で決められています。

被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。

子どもが相続放棄をした場合、はじめから相続人でなくなります。

子ども全員が相続放棄をした場合、子どもがいない場合と判断されます。

子どもがいない場合、親などの直系尊属が相続人になります。

相続放棄をすると、次順位の人が相続人になります。

子どもが相続放棄をしても、借金自体は消えません。

借金は、次順位相続人に相続されます。

3アパート経営を相続放棄しないときの現実

①借金は法定相続分で請求される

相続放棄しない場合、プラスの財産とマイナスの財産は相続人が相続します。

相続人は、法定相続分で借金を相続します。

債権者は、法定相続分で各相続人に借金を請求することができます。

借金は、法定相続分で請求されます。

②アパートを相続しなくても借金を請求される

相続が発生したら、相続財産は相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

遺産分割協議で、アパートを相続する人を決めることができます。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方を決めるため相続人全員でする話し合いです。

アパート経営に不安がある場合、アパートは他の相続人が取得する合意をするでしょう。

多くの場合、アパートを相続する人が借金も相続する合意をするでしょう。

遺産分割協議で借金を相続する人を決めても、債権者は各相続人に法定相続分で借金を請求することができます。

遺産分割協議で借金を相続する人を決めても、相続人間の内部的合意に過ぎないからです。

債権者には関係ない内部的合意だから、債権者は各相続人に借金を請求することができます。

遺産分割協議で借金を相続する人を決めたから、払いたくないと拒否することはできません。

アパートを相続しないから、払いたくないと拒否することはできません。

アパートを相続しなくても、被相続人の借金を請求されます。

アパート経営に関与しなくても、被相続人の借金を請求されます。

4現実を知ったうえで相続人ができる選択肢

選択肢①相続放棄でアパート経営から離脱

(1)相続放棄したらアパート経営に関与しない

家庭裁判所で相続放棄をしたら、はじめから相続人でなくなります。

相続人でなくなるから、アパートを相続しません。

相続人でなくなるから、債務を相続しません。

相続人でなくなるから、貸主としての義務を相続しません。

相続放棄をすると、アパート経営に関与することはありません。

相続放棄で、アパート経営から離脱することができます。

(2)次順位相続人と情報共有

相続放棄をすることで、次順位の人が相続人になる可能性があります。

次順位の人が相続人になることは、迷惑をかけることではありません。

アパート経営は、放置することができません。

相続放棄をしても、債務や貸主としての義務は消えません。

債務や貸主としての義務をどう処理するのか、次順位相続人が判断する必要があります。

相続放棄で離脱すると、アパート経営や借金の判断が次順位相続人に移るだけだからです。

ときには相続放棄をして問題を押し付けたと、誤解されることがあります。

相続放棄が認められても、家庭裁判所は次順位相続人に通知しません。

あらかじめ次順位相続人と情報共有をしておくと、誤解されにくくなります。

情報共有する内容は、次のとおりです。

・相続放棄すること

・次順位相続人であること

・相続放棄をすれば借金などは引き継がないこと

・相続放棄には3か月の期限があること

・相続財産の状況

(3)相続放棄の期限3か月を厳守

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄の申立てをします。

相続放棄には、期限があります。

相続があったことを知ってから、3か月以内です。

「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。

相続放棄の期限3か月は、厳守する必要があります。

(4)相続人全員相続放棄で相続財産清算人

相続人全員が相続放棄をした場合、相続財産は国庫に帰属します。

相続財産清算人は、相続財産を清算して国庫に帰属させる人です。

相続財産清算人選任の申立てには、多額の費用がかかることがあります。

選択肢②遺産分割協議で他の相続人が相続

(1)遺産分割協議でアパートの分け方を決める

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めることができます。

アパート経営に意欲がある相続人がいることがあります。

アパート経営に意欲がある相続人がアパートを相続する合意をすることができます。

(2)アパートを相続しなくても借金を相続

遺産分割協議で借金を負担する人を決めても、債権者には関係ない話です。

遺産分割協議は、相続人間の内部的合意に過ぎないからです。

たとえアパートを相続しなくても、法定相続分の借金を請求されます。

選択肢③相続してアパートを売却

(1)アパートを売却して責任を整理

相続したアパートは、相続人の財産です。

所有者として、自由に処分することができます。

アパートの買主がアパート経営を引き継ぎます。

アパートの買主が貸主としての義務を引き継ぎます。

アパートを売却することは、貸主の責任を整理することです。

アパートを売却することは、合法で合理的な選択で無責任ではありません。

アパートを売却しても、入居者に迷惑をかけることはありません。

(2)アパートを売却しても借金は消えない可能性

アパートを売却したら、売却代金を取得します。

売却代金で借金を返済します。

収益性が低いアパートは、売却代金が低額になることが多いでしょう。

売却代金で借金全額が返済できないことがあります。

残債は、相続人が負担します。

(3)アパートを売却した後に譲渡所得税の可能性

譲渡所得税とは、不動産の売却で利益が出たときに課される税金です。

相続人が不動産を売却する場合、被相続人が不動産を取得したときの価格を引き継ぎます。

被相続人が低額で購入した場合や長期間保有していた場合、税金が課されやすくなります。

選択肢④限定承認は稀

限定承認とは、相続財産の範囲で借金を相続する方法です。

限定承認は制度として存在しても、実務ではほとんど使われません。

手続が非常に複雑で、相続人全員の合意が必要になるからです。

5想定される責任で判断するのが現実的

アパート経営の価値やリスクを短期間で、正確に把握することは容易ではありません。

限られた情報の中で、どの責任を引き受けるかという観点で判断することが現実的です。

6相続放棄を司法書士に依頼するメリット

相続放棄は、その相続でチャンスは1回限りです。

家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続を取ることはできますが、高等裁判所の手続で、2週間以内に申立てが必要になります。

家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。

一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。

相続放棄は撤回ができないので、慎重に判断する必要があります。

せっかく、相続放棄が認められても、相続財産を処分した判断されたら無効になりかねません。

このような行為をしてしまわないように、あらかじめ知識を付けておく必要があります。

相続放棄を自分で手続したい人の中には、相続放棄が無効になることまで考えていない場合が多いです。

司法書士は、相続放棄が無効にならないようにサポートしています。

相続放棄を考えている方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

再婚後の相続トラブルは準備不足で表面化する

2026-02-18

1再婚後の相続で起きるトラブルは突然ではない

①問題は生前から存在している

被相続人に再婚歴がある場合、相続トラブルになりがちです。

家族が崩壊する深刻なトラブルにならなくても、わだかまりが残ることが多いでしょう。

再婚後の相続で起きるトラブルは、死亡した後に急に発生するわけではありません。

実際には、問題のタネが生前から存在するケースがほとんどです。

相続が発生するまでは、表面化していないだけです。

②配偶者と子どもは両方とも大切な家族

被相続人が再婚した場合、配偶者は大切な家族です。

前婚に子どもがいる場合、前婚の子どもは大切な家族です。

被相続人にとって、配偶者も子どもも同じ家族です。

大切な家族と思っているから、分かってくれるはずと思っています。

配偶者と前婚の子どもに、血縁関係はありません。

もちろん被相続人の生前は、日常生活が成り立っているでしょう。

問題のタネはあっても、あいまいに日常生活を続けることができます。

日常生活が成り立っているから、問題のタネに気が付きにくくなります。

③生前は遠慮して本音を言わない

配偶者も子どもも、生前は遠慮して本音を言いません。

あいまいに日常生活を続けることを優先するからです。

トラブル回避を優先するから、沈黙し続けます。

生前は本音を隠していても、相続では露骨に現れます。

④配偶者と子どもは気が付いている

配偶者と子どもは、生前は遠慮して何も言いません。

沈黙し続けるのは、トラブル回避を優先するからです。

あいまいに日常生活を続けることができなくなることは、充分に分かっています。

口に出したらトラブルになることは、充分に分かっています。

不安や不満は、口に出されず静かに積み重なっています。

配偶者と子どもはどちらも、微妙な緊張を感じ取っています。

2再婚後の相続トラブルは準備不足で表面化する

①再婚後の相続トラブルが表面化する場面

(1)法定相続分が可視化

相続人になる人は、法律で決められています。

各相続人が相続する相続分も、法律で決められています。

受取る相続分が数字で可視化されます。

(2)相続財産が一覧化

生前は被相続人の財産を正確に知らないことが多いでしょう。

相続手続にあたって、相続財産が一覧化されます。

相続財産が開示されると、疑心暗鬼になりやすいでしょう。

財産が取られた奪われたなど認識が発生します。

(3)遺産分割協議では家族の貢献が評価対象になる

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話し合いです。

遺産分割協議では、被相続人に対する家族の貢献が議題に上ります。

生前の関係性の不均衡が法的な主張として可視化されます。

②再婚後の相続トラブルが深刻化する理由

理由(1)相続人の構成が複雑

再婚後の相続では、次の人が登場します。

・配偶者

・前婚の子ども

・再婚相手との子ども

・再婚相手の連れ子

それぞれの人に、それぞれの思惑があります。

法律上の立場が異なる人が混在し、利害が衝突します。

理由(2)家族の感覚と法律上の家族が異なる

相続が発生したら、家族が相続すると感じています。

配偶者にとって、前婚の子どもは家族であるとは認識しにくいでしょう。

前婚の子どもにとって、配偶者は家族であるとは認識しにくいでしょう。

家族と感じていない人が法律上の相続人になります。

法律上の相続人が相続する事実に対し、財産を奪われたと感じやすくなります。

家族の感覚と法律上の家族が異なるから、トラブルに発展します。

理由(3)財産の帰属があいまい

再婚した人の財産は、境界があいまいです。

・前婚時代に築いた財産

・再婚後に築いた財産

・再婚相手との共有財産

・生前贈与した財産

・再婚相手名義にした財産

相続財産には、さまざまな財産が含まれています。

同じ財産であっても、当事者ごとに違う考えを持っています。

財産の帰属があいまいな場合、話し合いの論点が増えます。

財産の帰属の話し合いに自分の貢献などを主張をし始めて、話し合いが混乱します。

財産の帰属があいまいだと、トラブルに発展しやすくなります。

理由(4)財産情報の非対称性

再婚した人は、夫婦で財産情報を共有するでしょう。

親子で財産情報を共有することはあまりありません。

配偶者は財産情報を知っているのに、前婚の子どもは何も知らされていないことになります。

相続が発生すると、相続財産が可視化されます。

前婚の子どもがイメージした財産状況と大きく異なると、不信感を募らせます。

理由(5)介護の負担が不公平

再婚した人が日常生活に不自由すると、同居する配偶者が介護などを担うでしょう。

前婚の子どもは、介護などに関与しないことがあります。

介護などに関与しなくても、相続人として主張するでしょう。

介護の不公平が遺産分割の場面で、強い対立を生みます。

③最大の要因は被相続人の根拠がない安心感

再婚後の相続で問題が発生する原因は、相続人同士の性格や関係性ではありません。

最大の要因は、被相続人の根拠がない安心感にあります。

日常生活が成り立っているから、自分の家族は大丈夫と被相続人自身が信じています。

確かに、被相続人にとって配偶者と子どもは大切な家族です。

被相続人がいるから、配偶者と子どもはつながっています。

言わなくても分かってくれるはずという被相続人の甘い期待に、根拠はありません。

相続は感情でなく、法律に基づいて手続をします。

被相続人が準備しなければ、各当事者が自分の立場で考えることになります。

再婚後の相続トラブルは、だれかの悪意で発生するのではありません。

被相続人の準備不足によって、表面化するのです。

3配偶者に相続させた財産の行方

①配偶者に相続させた財産は配偶者のもの

被相続人が死亡した後、配偶者に財産を相続させることがあります。

配偶者が相続した財産は、配偶者のものです。

配偶者が死亡したら、配偶者の子どもや配偶者の兄弟姉妹などが相続します。

②前婚の子どもは配偶者の相続人ではない

被相続人にとって、配偶者と前婚の子どもは大切な家族です。

配偶者と前婚の子どもに、血縁関係がありません。

前婚の子どもは、配偶者が死亡したときの相続人になりません。

前婚の子どもは、配偶者の財産を相続することはできません。

もともとは被相続人の財産であっても、配偶者に相続させたら配偶者の財産になるからです。

③遺言書で遺贈ができる

遺贈とは、遺言書を作成して相続人や相続人以外の人に財産を引き継ぐことです。

前婚の子どもは配偶者が死亡したときの相続人ではなくても、遺贈を受けることができます。

④遺言書は書き直しができる

配偶者に遺言書を作成してもらえば、解決できると考えるかもしれません。

配偶者に、遺言書の作成を強制することはできません。

受取った財産を前婚の子どもに遺贈する内容の遺言書を作成しても、遺言書は書き直しができます。

被相続人が死亡した後に、遺言書を書き直しをすることができます。

遺言書の書き直しをする際に、前婚の子どもなどの同意は不要です。

遺言書の書き直しをしませんと約束しても、無効の約束です。

遺言書は、遺言者の意思が重視されるからです。

配偶者に遺言書を作成してもらう方法は、現実的ではありません。

4配偶者の住む場所を守る善意の判断

①配偶者に自宅を相続させると子どもは相続できない

被相続人が特に不安を感じるのが、配偶者の住まいです。

配偶者の住む場所を守るため、自宅を配偶者に相続させようと考えるケースは割とよくあります。

配偶者に自宅を相続させた場合、自宅は配偶者のものになります。

前婚の子どもは、配偶者の財産を相続することはできません。

配偶者が相続した自宅は、配偶者の死亡後に前婚の子どもが相続できません。

配偶者の財産は、配偶者の血縁関係者に相続されるからです。

②配偶者居住権設定で自宅を子どもに相続させる

配偶者居住権とは、被相続人が死亡した後も配偶者が自宅に住み続けられるようにするための権利です。

配偶者居住権を設定したうえで、自宅は前婚の子どもに相続させることができます。

配偶者居住権を設定すると、自宅を相続しなくても配偶者は自宅に住み続けることができます。

配偶者が死亡した後は、配偶者居住権は消滅します。

子どもは、配偶者居住権の負担がない自宅を取得することができます。

③配偶者居住権は万能ではない

(1)自動で配偶者居住権は発生しない

配偶者居住権は比較的新しい制度だから、内容が詳しく知られていません。

配偶者を守る制度と説明されるから、自動で取得できると誤解していることがあります。

配偶者居住権は、自動で発生しません。

配偶者居住権設定には、次の方法があります。

・遺産分割協議で設定

・遺言書で遺贈

・被相続人と配偶者で死因贈与契約

配偶者居住権があれば配偶者は自宅に住み続けることができますが、自動で発生する権利ではありません。

配偶者が何もしないと、自宅を相続した子どもとトラブルになる可能性があります。

(2)自宅を売却できなくなる

自宅を相続した子どもが自宅を処分したいと考えても、配偶者居住権の負担があります。

配偶者居住権の負担があるから、事実上、買う人はいません。

住み続けたい配偶者と売却したい子どもがトラブルになります。

(3)住めないのに管理費用の負担

不動産を所有していると、固定資産税が課されます。

自宅は配偶者が使っているのに子どもに固定資産税が課されると、不満に思うでしょう。

自宅が老朽化すると、修繕が必要になります。

修繕の負担を嫌がって、配偶者と子どもが責任を押し付け合うかもしれません。

住めないのに管理費用の負担があるから、配偶者と子どもがトラブルになる可能性があります。

(4)配偶者居住権に経済的価値がある

配偶者は今まで自宅に住み続けてきたのだから、自宅に住み続けるのは当然と考えがちです。

配偶者居住権は配偶者を守る権利だから、財産的価値は無いと根拠なく思い込みます。

配偶者居住権は自宅を使う権利だから、経済的価値が認められます。

配偶者居住権を取得すると、預貯金などは経済的価値の分だけ少なくなるでしょう。

配偶者居住権は、建物の耐用年数や配偶者の平均余命などを考慮して評価されます。

自宅を相続した子どもから見ると、配偶者居住権の評価額は不当に低く見えます。

配偶者居住権があると、自分は使えないし売却ができないし固定資産税は負担しなければならないからです。

特に相続財産の大部分が自宅である場合、配偶者と子どもがトラブルになる可能性が高まります。

(5)配偶者居住権は売却できない

配偶者居住権は、配偶者の住む権利を守る権利です。

身の回りが不自由になると、施設などに入所することがあるでしょう。

身体能力の衰えなどから自宅に戻ることが困難になっても、配偶者居住権は自動で消滅しません。

施設費用をまかなうためであっても、配偶者居住権は第三者に譲渡することができません。

配偶者居住権があると、子どもは自宅を売却できません。

自宅に戻ることが困難になっても、子どもは空き家の管理費用を負担し続けることになります。

(6)配偶者居住権の放棄に判断能力が必要

配偶者が希望すれば、配偶者居住権を放棄することができます。

配偶者居住権を放棄したら、子どもの所有権は負担がない完全な所有権に戻ります。

配偶者居住権の放棄には、配偶者の判断能力が必要です。

物事のメリットデメリットを判断できないのに、放棄はできないからです。

配偶者が認知症などで判断能力を失っている場合、成年後見人がサポートします。

成年後見人は、配偶者居住権の放棄に同意しないでしょう。

配偶者居住権の放棄は、配偶者の財産を減らす行為だからです。

(7)配偶者居住権の放棄で贈与税の対象

配偶者居住権には、経済的価値が認められます。

配偶者居住権を放棄すると、子どもは完全な所有権を取得します。

客観的には、配偶者から子どもに経済的価値が移転したと認められます。

経済的価値が移転したから、原則として贈与税の対象になります。

5問題を表面化させない準備が欠かせない

再婚後の相続で重要なのは、被相続人が事前準備をすることです。

相続人が迷うことなく、行動できるように道筋をつけておくことが重要です。

被相続人が道筋をつけておけば、相続人は対立することなく済むからです。

そのためには、次の準備が欠かせません。

・遺言書を作成して、意思を明確にする

・配偶者と子どもの両方に話し合いをする

・想定される状況を整理する

家族関係が比較的落ち着いている生前しか、対策はできません。

何もしないと、結果として最も大きなリスクになります。

6生前対策を司法書士に依頼するメリット

生前対策=相続「税」対策の誤解から、生前対策はする方はあまり多くありません。

争族対策として有効な遺言書ですら、死亡者全体からみると10%未満です。

対策しないまま認知症になると、家族に大きな面倒をかけることになります。

認知症になってからでは遅いのです。

元気なうちに、準備する必要があります。

大切な家族に面倒をかけないために生前対策をしたい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続人の一人と連絡が取れない

2026-02-17

オリーブの木司法書士事務所にご依頼をいただきましてありがとうございました

1 オリーブの木司法書士事務所にご依頼いただく前に、どのようなことでお困りでしたか。

兄の連絡がとれないので、わかりません。

(相ぞくのことで)

2 たくさんの事務所がある中から、オリーブの木司法書士事務所にご依頼いただきまして、ありがとうございました。

オリーブの木司法書士事務所を知ったきっかけをお聞かせください。

相談会

3 オリーブの木司法書士事務所に相談をしてから依頼をするまで時間はかかりましたか。

また時間がかかったとしたらどんな理由がありましたか。

すぐに連絡がとれました

4 オリーブの木司法書士事務所に依頼するときに、重視したことをお聞かせください。

女性の方で話しやすかったです。

5 実際にオリーブの木司法書士事務所にご依頼いただいたご感想をお聞かせください。

いろいろと話を聞いていただきました。

6 このアンケートをオリーブの木司法書士事務所のホームページやパンフレット等に掲載してよろしいでしょうか。

イニシャルを掲載してよい

イニシャル K.F

オリーブの木司法書士事務所からコメント

オリーブの木司法書士事務所にご依頼をいただきましてありがとうございました。

K.Fさまから、遠方に住んでいたお母さまの相続登記をご依頼いただきました。

詳しくお話を聞きましたところ、相続人と連絡が取れないことが分りました。

長期間疎遠になったまま、連絡が取れなくなることは少なくありません。

K.Fさまは、警察に行方不明者届を出していました。

オリーブの木司法書士事務所で住民票を請求しましたが、消除されていました。

相当長期間の行方不明であることから、死亡の可能性が非常に高いと考えられます。

相続をきっかけに、K.Fさまから失踪宣告の申立てをすることにしました。

今回、ご依頼をいただきましてありがとうございました。

死亡届の届出人になれる人がいない

2026-02-17

1死亡届を提出しないと火葬できない

①届出人が死亡届に署名する

死亡届は、戸籍法の定めにより行う届出です。

人が死亡したら、死亡届の提出が義務付けられています。

死亡届の届出人とは、死亡届を記入して署名する人です。

死亡届の届出人が死亡届を記入して、市区町村役場に提出します。

②提出期限は7日間

死亡届の提出には、提出期限があります。

死亡の事実を知ってから、7日以内です。

国外で死亡した場合は、死亡の事実を知った日から3か月以内です。

提出期限以内に死亡届を提出しないと、ペナルティーになるおそれがあります。

ペナルティーの内容は、5万円以下の過料です。

③役所や警察は死亡届を出してくれない

身寄りがない人が死亡すると、役所が何でもやってくれると期待しがちです。

市区町村役場は、死亡届を受付ける立場です。

市区町村役場は、死亡届を出す権限がありません。

警察は、死亡の事実の事件性について関与することができます。

事件性の確認のみで、警察には死亡した人に関与する権限がありません。

たとえ身寄りがない人であっても、自動で死亡届を出してくれません。

④死亡届提出後に火葬許可

死亡届は、単なる形式的な手続ではありません。

死亡届提出後に、埋火葬許可証を渡されます。

死亡届を提出しないと、火葬ができません。

2死亡届の届出人になれる人がいない

①死亡届の届出義務者と届出資格者がいる

死亡届の届出人は、届出義務者と届出資格者がいます。

届出義務者とは、死亡届を提出する義務が課された人です。

届出資格者とは、死亡届を提出する義務はないけど届出をすることができる人です。

届出義務者でなくても、届出資格者は死亡届を提出することができます。

届出義務者と届出資格者は、どちらも法律で決められています。

届出義務者は、次の人です。

(1)同居の親族

(2)その他の同居者

(3)家主、地主又は家屋若しくは土地の管理人

上記の順序に従って、死亡届の届出義務が課されます。

先順位の届出義務者がいても、死亡届を提出することができます。

②同居の親族は届出義務者

同居の親族は、死亡届の届出義務者です。

親族とは、次の人です。

・6親等内の血族

・配偶者

・3親等内の姻族

③その他の同居者は届出義務者

同居の親族がいない場合、その他の同居者に死亡届の届出義務が課されます。

親族以外の人と、同居していることがあります。

例えば、事実婚・内縁の配偶者は、法律上の親族関係はありません。

長期間同居していても、親族ではありません。

法律上の親族ではなくても、同居しているでしょう。

事実婚・内縁の配偶者は同居人だから、死亡届を提出する義務が課されます。

事実婚・内縁の配偶者は、同居人として死亡届の届出人になることができます。

同性婚のパートナーも同様に、同居人として死亡届の届出人になることができます。

④家主、地主又は家屋若しくは土地の管理人は届出義務者

ひとり暮らしの人が死亡した場合、同居の親族やその他の同居者はいません。

ひとり暮らしの人が死亡すると、家主、地主又は家屋若しくは土地の管理人に死亡届の届出義務が課されます。

⑤公設所の長又は管理人が届出義務者

公設所とは、国や地方自治体が設置管理する施設です。

例えば、公立病院や刑事施設などが該当します。

公立病院や刑事施設などで死亡した場合、施設長に死亡届を提出する義務が課されます。

私立病院などで死亡した場合、家主、地主又は家屋若しくは土地の管理人に義務が課されます。

私立病院の管理者に、死亡届を提出する義務が課されます。

⑥同居の親族以外の親族は届出資格者

ひとり暮らしの人が死亡した場合、同居の親族やその他の同居者はいません。

同居していなくても、親族は死亡届の届出人になることができます。

同居の親族とちがい、死亡届の届出義務が課されていません。

死亡した人の従兄弟や甥姪は、6親等内の血族です。

同居していなくても、従兄弟や甥姪は死亡届の届出人になることができます。

同居の親族以外の親族は届出資格者に過ぎなくても、結局のところ、届出をすることになります。

⑦後見人、保佐人、補助人、任意後見人は届出資格者

後見人、保佐人、補助人、任意後見人とは、認知症などで判断能力が低下した人をサポートする人です。

後見人などは、死亡届の届出人になることができます。

後見人などが死亡届の届出人になる場合、後見人であることの証明書が必要になります。

後見人であることは、次の書類で証明できます。

・後見登記事項証明書

・後見開始の審判書と確定証明書

戸籍法上は後見人であることの証明書に有効期限は、定められていません。

古い書類を持って行くと、最新のものを準備してくださいと言われるでしょう。

古い書類では、現在も後見人であるのか分からないからです。

⑧任意後見受任者は届出資格者

任意後見受任者とは、任意後見人になる予定の人です。

任意後見契約を締結しても、すぐに効力は発生しません。

効力が発生しないまま当事者が死亡した場合、任意後見受任者が死亡届の届出人になることができます。

⑨遠縁の親戚等は届出人になれない

法律上の親族は、死亡届の届出人になることができます。

法律上の親族より遠縁の人は、死亡届の届出人になれません。

生前に親しく親戚付き合いをしていても、届出人になれません。

⑩死後事務受任者は届出人になれない

人が死亡した後に、さまざまな手続が必要になります。

死後事務とは、死亡した後に必要になる事務です。

生前に、死後事務を依頼することができます。

死後事務受任者とは、死後事務委任契約をした相手方です。

死後事務委任契約で、死亡届の届出を依頼することはできません。

死後事務受任者は、死亡届の届出義務者でも届出資格者でもないからです。

届出義務者と届出資格者は、どちらも法律で決められています。

法律で決められていないから、死亡届の届出人になれません。

⑪行旅死亡人制度は遺体処理のための制度

行旅死亡人とは、身元不明や身寄りがないなどの理由で遺体を引取れない状態で死亡した人です。

行旅死亡人として火葬されても、死亡届は出されません。

行旅死亡人制度は、遺体処理のための制度です。

身元が判明した後に、親族などが死亡届を提出する必要があります。

⑫葬儀社は死亡届の使者

葬儀社のサイトなどを見ると、死亡届を提出しますと書かれていることがあります。

葬儀社は、死亡届の届出義務者でも届出資格者でもありません。

葬儀社は、単に使者に過ぎません。

死亡届の届出人が作成した死亡届を市区町村役場に持って行くだけの人です。

3死亡届の届出義務者に拒否されたときの対応

①家主や地主などが届出人になりたがらない

家主、地主又は家屋若しくは土地の管理人に死亡届の届出義務が課されても、届出人になりたがりません。

法律上の義務があっても、実務では拒否されることは珍しくありません。

②家主や地主などが届出人になりたがらない理由

理由(1)死亡届の内容に責任を負いたくない

死亡届には、本人に関する情報を記載する必要があります。

家主や地主などは、本人に関する情報を詳しく把握していないことが多いでしょう。

記載内容に誤りがあったときに、責任を負いたくないと考えます。

理由(2)親族とトラブルを回避したい

親族が死亡届の届出人と、一般的に考えられています。

家主や地主などが届出人になると、親族から不満が出ることがあります。

親族とトラブルを回避したい気持ちから、親族が届出人になるように促します。

家主や地主などに届出義務があっても、届出人になりたがりません。

理由(3)届出義務者であることの認識がない

多くの家主や地主などは、死亡届の届出義務について認識していません。

実務慣行から親族が届出人になるものと考えています。

法律上の義務を知らないから、親族に死亡届の届出人になるように促します。

理由(4)役所などの問い合わせが届出人に来る

死亡届の届出人になると、役所からの問い合わせが来ることがあります。

家主や地主などにとって手間と時間がかかるから、嫌がります。

親族が届出人になれば、問い合わせも親族へ行くと考えます。

③死亡届が提出されないと親族が困る

死亡届が提出されないまま放置されると、火葬することができません。

戸籍に、死亡が記載されません。

相続手続を進めることはできないし、死後事務を進めることができません。

放置すればするほど、親族が困ります。

④同居していない親族は死亡届の届出資格者

同居していない親族は、死亡届の届出義務者ではありません。

死亡届を提出しないまま長期間放置すると、結局困るのは親族です。

同居していない親族は、死亡届の届出資格者です。

長期間放置して親族が困るより、届出資格者として死亡届を提出する方が合理的です。

届出義務者がいても届出資格者は、届出をすることができます。

同居していない親族は死亡届の届出資格者だから、当然に死亡届を提出することができます。

4死亡届の届出人が抱く不安と解消法

不安①死亡の事実に責任を負うのでは

(1)不安の内容

死亡届が受理されると、戸籍に死亡が記載されます。

死亡届の届出人になると、死亡の事実を確定させる気持ちになるかもしれません。

(2)不安の解消法

死亡届を提出する場合、死亡診断書か死体検案書を添付する必要があります。

死亡診断書や死体検案書は、医師が作成します。

死亡の事実は、医師が確認しています。

届出人は、単に市区町村役場への届出をするに過ぎません。

死亡の原因や死亡の日時について、届出人は責任を負いません。

不安②死亡届の記載内容に責任を問われるのでは

(1)不安の内容

死亡届には、本人に関する情報を記載する必要があります。

記載誤りをしてしまうと、訂正に手間や時間がかかるのではと不安になるかもしれません。

(2)不安の解消法

死亡届の記載内容は、市区町村役場で確認しています。

たとえ書き誤りがあっても、刑事責任や民事責任を問われることはありません。

住民基本台帳や戸籍で確認するから、届出人の負担は非常に小さいものです。

多少の書き誤りは、役所の人が補正してくれます。

不安③親族とトラブルになるのでは

(1)不安の内容

死亡届を提出した後に、勝手に提出したと責められないか気になるかもしれません。

親族間のトラブルに巻き込まれたくはないでしょう。

(2)不安の解消法

死亡届には、7日以内の提出期限があります。

死亡届を提出しないと、火葬することができません。

火葬しないまま放置することはできなかったと説明することができます。

不安④相続や死後事務手続の責任者になるのでは

(1)不安の内容

人が死亡すると、たくさんの相続手続や死後事務手続をする必要があります。

相続や年金、保険などの手続をすべて背負うことになるのではないか、心配になります。

(2)不安の解消法

死亡届の届出人は、単独の届出をするに過ぎません。

相続や年金、保険などの手続と、切り離されています。

他の手続を背負う義務は、ありません。

不安⑤役所などから問い合わせが来るのでは

(1)不安の内容

後から面倒な問合せが来て、面倒なことになるのではないか不安になります。

(2)不安の解消法

死亡届の届出人に対して、行政などが継続的に連絡する制度はありません。

ほとんどの場合、何も連絡はありません。

5遺産承継サポート(遺産整理業務)を司法書士に依頼するメリット

家族が死亡した場合、いちばん最初に行う手続が死亡届の提出です。

ここから、たくさんの相続手続が始まります。

多くの場合、大切な家族を失ったら大きな悲しみに包まれます。

悲しみに包まれていても、日常の家事や仕事をする必要があります。

そのうえ、たくさんの用事と相続手続が押し寄せてきます。

相続は、一生の間に何回も経験するものではありません。

相続手続で使われる言葉の多くは法律用語なので、聞き慣れないものでしょう。

ほとんどの方にとって、相続手続は不慣れなものです。

大切な家族を亡くして力を落としているところに、このような手続をするのは大きな負担になります。

事例によっては、家庭裁判所の助力が必要になる場合があります。

専門家のサポートがないと難しい手続があります。

司法書士は家庭裁判所に提出する書類作成の専門家です。

相続手続を丸ごと依頼することができます。

確実に相続手続をしたい方は司法書士などの専門家に遺産整理業務を依頼することをおすすめします。

任意後見は解除できる

2026-02-17

1任意後見契約でサポートを依頼する

①任意後見人は自分で決める

任意後見は、サポートを依頼する契約です。

財産管理や身上監護を依頼するから、信頼する人と契約します。

身上監護とは、本人の日常生活や健康管理、介護など生活全般について重要な決定をすることです。

食事や入浴の世話などの事実行為は、身上監護ではありません。

任意後見では、サポートする人を自分で選ぶことができます。

多くの場合、本人の子どもなど近い関係の家族でしょう。

任意後見人は自分で決めることができるから、安心です。

②サポート内容は自分で決める

サポートしてもらいたいことは、任意後見契約書にはっきり書いておきます。

任意後見では、サポート内容をひとつひとつ具体的に契約書に書いておきます。

例えば、自宅を売却して施設に入りたい場合、自宅を売却する権限や施設入所契約をする権限を与えておくことができます。

家族が守ってきた自宅は売却して欲しくない場合、自宅を売却する権限を与えないでおくことができます。

任意後見は、本人の意思を生かして自分らしく生きる制度です。

③適切にサポートしているかチェックしてもらえる

本人の判断能力が低下したら、任意後見人はサポートを開始します。

任意後見人が適切にサポートをしているか、本人は自分で判断できません。

任意後見がスタートするのは、任意後見監督人が選任されたときです。

任意後見監督人は、任意後見人が適切にサポートをしているか監督する人です。

任意後見監督人がいるから、安心して任意後見制度を利用することができます。

2任意後見監督人選任前は自由に解除ができる

①任意後見監督人選任前は判断能力がある

任意後見契約を締結しても、任意後見受任者はサポートはできません。

任意後見受任者とは、任意後見人になる予定の人です。

任意後見契約をした時点で、本人の判断能力は充分あるはずだからです。

判断能力が充分にあるから、自分で何でも判断ができます。

任意後見人のサポートは、必要ありません。

任意後見受任者は、本人の財産管理を代理する権限はありません。

②判断能力がある間は自由に合意解除

充分な判断能力がある間は、本人は自分で判断することができます。

任意後見契約が不都合であれば、契約を解除する合意をすることができます。

本人が自分で判断できるから、任意後見契約は自由に解除することができます。

当事者の合意で任意後見契約を解除する場合、合意解除の書面を作成します。

合意解除の書面に、当事者が署名押印して公証人の認証を受けます。

③判断能力がある間は一方的に解除ができる

(1)本人から一方的解除ができる

任意後見契約は、委任契約と考えられます。

委任契約は、当事者が一方的に解除することができます。

委任契約は、当事者の信頼関係を基礎にする契約です。

信頼関係が失われたのに契約を維持するのは、デメリットが大きいと考えられるからです。

任意後見契約を締結すると、任意後見人には財産管理の権限が与えられます。

任意後見契約を締結した後に、任意後見受任者に対する信頼関係が揺らぐことがあります。

任意後見受任者に対する信頼関係が揺らいでいるのに、契約に縛られるのは適切ではありません。

本人の自己決定権を尊重するため、一方的に任意後見契約を解除することができます。

(2)任意後見受任者から一方的解除ができる

任意後見契約を締結すると、任意後見人には長期間に渡る重い責任と義務が課されます。

長期間に渡る重い責任と義務が課されるのに、強制的に引き受けさせることはできません。

委任契約は、当事者の信頼関係を基礎にする契約です。

基礎となる信頼関係は、双方向です。

本人から任意後見受任者に対する信頼関係と任意後見受任者から本人に対する信頼関係です。

任意後見契約を締結した後に、本人や本人の家族に対する信頼関係が揺らぐことがあります。

本人や本人の家族に対する信頼関係が揺らいでいるのに、契約に縛られるのは適切ではありません。

適切な後見事務が遂行できないのに契約を解除できないと、デメリットが大きいと考えられます。

適切な後見事務を担保するため、任意後見受任者は一方的に任意後見契約を解除することができます。

(3)一方的解除は実務的安全弁の機能がある

任意後見受任者が不適格と分かった時点で、早期に排除することができます。

一方的に解除できるから、トラブルを予防することができます。

いつでも辞められるからこそ、任意後見制度を安心して利用することができます。

一方的に解除できるから、無理を抱え込むことがありません。

後見事務が手に余ると考えたとき、辞任することができます。

一方的に解除できるから、不意適切な後見事務を行わずに済みます。

後見事務をめぐって家族が対立した場合、任意後見受任者が離脱した方がいいことがあります。

一方的に解除できるから、対立の激化を防止することができます。

(4)配達証明付き内容証明郵便で通知

一方的に解除する場合、任意後見契約解除通知書を作成します。

任意後見契約解除通知書に解除する人が署名押印のうえ、公証人の認証を受けます。

配達証明付き内容証明郵便で、解除書を相手方に通知します。

配達されたら、証明書のハガキが届きます。

④家族は解除できない

任意後見契約を解除できるのは、契約の当事者のみです。

任意後見監督人選任前は、本人に充分な判断能力があるはずです。

任意後見契約を解除するか維持するか、本人が判断するべきです。

任意後見監督人選任前は任意後見契約を締結しても、サポートを受けることはできません。

本人に充分な判断能力があるはずだからです。

本人が自分で適切な財産管理ができない場合、すでに判断能力が低下しているかもしれません。

本人の判断能力が低下している場合、家族は任意後見監督人選任の申立てをすることができます。

任意後見監督人が選任されたら、任意後見契約に効力が発生します。

任意後見受任者は、任意後見人になります。

任意後見人は、任意後見監督人の監督を受けて本人の財産管理をスタートします。

3任意後見監督人選任後は正当理由と家庭裁判所の許可が必要

①任意後見監督人選任後は自分で判断できない

任意後見人によるサポートが必要になるのは、判断能力が低下したときです。

判断能力が低下したら、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立てます。

家庭裁判所が判断能力の低下を認めたら、任意後見監督人を選任します。

任意後見監督人が就任したら、任意後見契約に効力が発生します。

任意後見契約に効力が発生した後、任意後見人がサポートを開始します。

任意後見監督人選任後は、本人は自分で判断できません。

②判断能力が低下したら自由に解除できない

本人の判断能力が低下したと認められたら、家庭裁判所は任意後見監督人を選任します。

任意後見監督人選任後とは、本人が自分で判断できないという意味です。

本人を保護するため、当事者が自由に解除することは許されません。

③任意後見契約解除に正当理由が必要

本人の判断能力が低下した後は、自由に契約解除をすることはできません。

任意後見契約解除に、正当理由が必要です。

正当な理由とは、任意後見人の事務が困難と認められる理由です。

次の理由は、正当理由と認められやすいでしょう。

・病気で療養に専念したい

・遠方に転居した

・本人や本人の家族と信頼関係がなくなった

次の理由は、正当理由と認められにくいでしょう。

・後見事務が面倒になった

・本人や本人の家族とのやり取りが煩わしい

・軽微な不満

・仕事や家事で忙しい

正当理由があるか、客観的資料に基づいて判断します。

任意後見人による主張だけで、解除が認められることはありません。

任意後見人によるサポートを失うと、本人が困るからです。

本人保護のため、家庭裁判所は慎重に判断します。

家庭裁判所が正当理由があると判断した場合のみ、任意後見契約の解除を許可します。

任意後見監督人選任後に任意後見人が任意後見契約を解除する場合、家庭裁判所の許可が必要です。

④家族は情報提供ができる

任意後見人は、本人の財産を管理する大きな権限が与えられます。

任意後見人には、本人の利益のために財産管理をする義務があります。

任意後見人には、自分の利益のために本人の財産を自由に使う権限はありません。

ときには、不正行為や私的流用が見つかることがあります。

家族は契約当事者ではないから、任意後見契約を解除することはできません。

不正行為や私的流用に気付いた場合、任意後見監督人や家庭裁判所に情報提供をすることができます。

任意後見監督人は、任意後見人が適切にサポートをしているか監督する義務があります。

任意後見人が適切な財産管理をしていない場合、是正を求めることができます。

適切な財産管理ができない場合、任意後見人に対して辞任を勧告します。

適切な財産管理ができないまま辞任しない場合、解任の申立てをすることができます。

家庭裁判所で不正行為や私的流用が認められた場合、任意後見人を解任します。

⑤任意後見契約を解除しても家族が財産管理はできない

(1)家族には代理する権限はない

任意後見人は、本人を代理する権限が与えられた人です。

任意後見契約が解除されると、任意後見人の代理権は失われます。

家族が財産管理をすることは、できません。

家族には、本人を代理する権限はないからです。

無権限で本人を代理すると、本人の財産が守られないおそれがあります。

(2)法定後見に移行

任意後見契約が解除されると、任意後見では対応ができなくなります。

家庭裁判所は、任意後見監督人に後見開始の申立てをするように促します。

任意後見監督人には、本人を保護する義務があります。

たとえ家族が拒否しても、本人を保護するため任意後見監督人は後見開始の申立てをします。

(3)もともと複数の任意後見契約をしていた

任意後見契約は、本人に充分な判断能力があるときに締結します。

本人が複数の任意後見契約をすることがあります。

一部の後見契約が解除されても、他の任意後見契約が継続しているはずです。

他の任意後見契約が継続している場合、任意後見人が本人のため財産管理をします。

4任意後見契約を解除したら終了登記

①任意後見は登記されている

任意後見は、登記されています。

任意後見契約を締結したとき、公証人が自動で登記を嘱託します。

②終了登記は当事者が申請

任意後見契約を解除したら、当事者が終了登記を申請します。

申請先は、東京法務局後見登録課です。

窓口で申請することも、郵送で申請することもできます。

終了登記に登録免許税は、課されません。

5任意後見を司法書士に依頼するメリット

任意後見とは、本人の判断能力がしっかりしているうちに、将来、認知症や障害によって判断能力が低下してしまったときに備えて、信頼できる人にやってもらいたいことを決めて、サポートを依頼する契約です。

契約ですから、本人の判断能力がしっかりしているうちしかできません。

早め早めに準備するものなので、任意後見が実際にスタートするのは契約してから長期間経過してからです。

実際に任意後見がスタートするまでに事情が変わることもあるでしょう。

任意後見の重要ポイントである任意後見人と代理権の範囲の変更は、契約変更はできません。

いったん契約を解除して、あらためて任意後見契約をする必要があります。

一方で、報酬の変更は重要な内容と言えません。

報酬の変更は、契約の変更で済みます。

契約の変更で済みますが、公正証書にする必要があります。

任意後見契約は締結することばかり注目されがちですが、締結して終わりではありません。

本人のよりよく生きることを支えるために、みんながサポートしています。

任意後見契約を考えている方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

家族信託の税金で注意すべきポイント

2026-02-16

1家族信託で財産管理を依頼する

①家族で信託契約を締結する

所有者はものを自由に売ったり、自由に管理したりして、ものから利益を受け取ることができます。

所有権は、自由にものを売る権利であるし自由に管理する権利であるし、ものから利益を受け取る権利であるといえます。

所有権はよく見ると、たくさんの権利の集合体です。

信託契約をすると、自由に売る権利や自由に管理する権利を渡して、自分はものから利益を受け取る権利だけ持っていることができます。

家族信託は、自由に売る権利や自由に管理する権利を渡して、自分はものから利益を受け取る権利だけ持っている仕組みです。

信託契約を締結して、信頼できる家族に自由に売る権利や自由に管理する権利を渡します。

②家族信託の登場人物

(1)委託者

委託者とは、もともと財産を所有している人です。

家族信託で、財産管理を依頼する人です。

(2)受託者

受託者とは、財産を預かって管理運用する人です。

家族信託で、財産管理の依頼を受ける人です。

(3)受益者

受益者とは、財産から発生する利益を受け取る人です。

認知症対策で家族信託をする場合、委託者と受益者は同じ人です。

信託契約の内容によっては、委託者と受益者は別の人にすることができます。

③家族信託で節税は期待できない

家族信託に節税メリットを期待すると、失敗します。

家族信託をすると、自由に売る権利や自由に管理する権利を受託者に渡します。

ものから利益を受け取る権利は自分で持っているから、財産的価値は移転していないと言えます。

税務上は、管理方法が変わっただけです。

家族信託は財産管理を依頼する契約であるという点からも、整合的です。

管理方法が変わっただけだから、直接的な節税効果はありません。

2家族信託でかかる税金

①受託者が対象の税金

(1)登録免許税

不動産を信託財産にした場合、不動産の名義変更をします。

家族信託では、所有権移転登記と信託登記をします。

登録免許税とは、名義変更をするとき納める税金です。

登録免許税は、信託財産から支出するのが通常です。

実質的に、受益者が負担していると言えるでしょう。

(2)固定資産税

固定資産税とは、固定資産に対してかかる税金です。

1月1日現在の所有者は、固定資産税を納める義務があります。

家族信託を利用して不動産を信託財産にした場合、形式上受託者の名義になります。

固定資産税の納税通知書は、受託者あてに届きます。

認知症対策で家族信託を利用する場合、受託者が固定資産税の納付管理をするから安心です。

受託者は、信託事務にかかる費用の一部として信託財産から支出します。

実質的に、受益者が負担していると言えるでしょう。

②受益者が対象の税金

(1)贈与税

贈与税は、対価なしに財産的価値の移転があったときに課される税金です。

認知症対策で家族信託を利用したとき、委託者と受益者は同じです。

委託者と受益者が同じ場合、財産的価値が移転したとは言えません。

単に、管理方法が変わっただけです。

実質的な財産価値は、受益者が持っているからです。

委託者と受益者が同じ場合、贈与税の対象になりません。

家族信託の目的や設計によっては、委託者と受益者は別にすることができます。

委託者と受益者が別の場合、委託者から受益者に贈与があったと言えます。

実質的な財産価値は、受益者に移転したからです。

委託者と受益者が別の場合、金額によっては贈与税の対象になるでしょう。

(2)相続税

・委託者兼受益者死亡で家族信託が終了するケース

相続財産の規模全体が一定以上大きい場合、相続税の対象になります。

認知症対策で家族信託を利用する場合、委託者兼受益者が死亡したときに家族信託を終了させます。

信託終了時に信託財産は、帰属権利者に引き継ぎます。

残余財産受益者に引き継ぐタイミングで、相続税が課されます。

・受益者死亡で家族信託が終了せず後継受益者に引き継ぐケース

受益者が死亡しても、家族信託を終了させない設計をすることができます。

受益者が死亡した後、受益権は後継受益者が引き継ぎます。

受益者が持つ受益権は、財産的価値があると考えられます。

受益権は、相続税の対象になります。

受益者の死亡により受益者が変更されるたびに、相続税の対象になります。

(3)譲渡所得税

譲渡所得税とは、不動産や株式を譲渡したことで得た利益に対して課される所得税です。

例えば、信託財産である不動産を売却したときに、利益を得ることがあります。

不動産を譲渡したことで得た利益に対して、譲渡所得税が課されます。

家族信託を利用しなくても譲渡したことで得た利益があれば、譲渡所得税が課されたはずです。

家族信託を利用しても利用しなくても、譲渡所得税はかかります。

家族信託を利用しても利用しなくても、譲渡所得税は同じです。

(4)所得税

所得税とは、事業所得や給与所得が発生したときに課される税金です。

家族信託を利用して信託財産から生じた利益がある場合、受益者に対して所得税が課されます。

家族信託を利用しなくても財産から生じた利益があれば、所得税が課されていたはずです。

家族信託を利用しても利用しなくても、所得税はかかります。

家族信託を利用しても利用しなくても、所得税は同じです。

③委託者が対象の税金はない

委託者が対象の税金は、ありません。

税金は実質所得者課税の原則に基づき、受益者に課税されるからです。

認知症対策で家族信託を利用する場合、委託者と受益者は同じです。

委託者が対象ではないけど、受益者として課税されます。

3家族信託の税金で注意すべきポイント

注意①贈与税の課税リスク

家族信託は、契約内容を自由に設計できる点が魅力です。

自由に設計できるから、契約内容によっては贈与税が課税されるリスクがあります。

実質的な財産価値が移転したときに、贈与税が課されます。

家族信託を設定するとき、委託者と受益者が異なると贈与税の対象になります。

実質的な財産価値は、受益者に移転したからです。

家族信託継続中に受益者が変更されると、贈与税の対象になります。

実質的な財産価値は、新しい受益者に移転したからです。

贈与税は、想像以上に高額になりがちです。

家族信託は自由に設計できるから、課税リスクを十分に検討しておく必要があります。

税法のルールを理解しないまま進めると、予期せぬ課税や追徴課税のリスクが高まります。

注意点1つ目は、贈与税の課税リスクです。

注意②損益通算非適用による納税増加

信託による不動産所得と信託以外の所得は、損益通算をすることができません。

損益通算とは、ある所得の損失と他の所得の利益を通算して課税所得を減らすことです。

信託による不動所得で損失が出ても、信託外の所得の利益と通算して課税所得を減らすことができません。

家族信託で信託財産から生じた損失は、なかったものと見なされるからです。

損失はなかったものと見なされるから、翌年に繰り越すこともできません。

仮に家族信託を利用していなければ、損益通算によって税金が計算されるでしょう。

不動産所得による損失を通算できるから、税金は少なく済ませることができます。

家族信託を利用すると、損益通算ができません。

不動産所得による損失を通算できないから、税金が増加する可能性があります。

注意点2つ目は、損益通算非適用による納税増加です。

注意③受益者に確定申告が必要

信託財産から得られる収益は、受益者が確定申告します。

信託財産から得られる収益は、受益者が取得するからです。

受託者が確定申告するわけではありません。

家族信託を利用しても、受託者は管理する人に過ぎないからです。

注意点3つ目は、受益者に確定申告が必要です。

注意④相続税の課税タイミング

相続税は、相続財産を取得したときに課される税金です。

家族信託を利用しても、相続税を免れることはできません。

家族信託は、管理方法が変わっただけだからです。

委託者が死亡したタイミングで、信託財産を取得すると相続税が課されます。

注意点4つ目は、相続税の課税タイミングです。

注意⑤信託設計から税務知識が欠かせない

認知症による資産凍結を回避するために、家族信託は有効です。

家族信託を利用すると、財産の名義は受託者に変更します。

信託契約をすると、自由に売る権利や自由に管理する権利を渡して、自分はものから利益を受け取る権利だけ持っているからです。

名義変更をするタイミングで、課税される可能性があります。

信託設計は、当然法律的に有効なものでなければなりません。

法律的に有効であることと別に、税務上の意味を充分に理解しておく必要があります。

税務上の意味を充分に理解しないと、予想外の課税リスクが発生するからです。

注意点5つ目は、信託設計から税務知識が欠かせないことです。

注意⑥税制や法改正がある

家族信託は、長期間の契約になることが多いでしょう。

数年から10年以上継続します。

家族信託継続中にも、税制や法律は改正されます。

信託契約の見直しが必要になることがあります。

税制や法律の改正に注意して柔軟に対応しないと、予想外の課税リスクがあります。

注意点6つ目は、税制や法改正があるです。

4家族信託の専門家に相談の必要性

①無効リスクと税務リスクの回避

家族信託は自由に設計できる一方で、適切に設計しないと信託自体が無効になります。

無効な信託契約を締結してしまったら、あらためて契約をする必要に迫られるでしょう。

家族信託自体、あまり知られているとは言えません。

家族信託を検討し始めたときから、司法書士や税理士など専門家を交えて話し合うのがおすすめです。

専門家に相談すれば、無効リスクや税務リスクを指摘してくれるでしょう。

家族全員が家族信託について理解を深めることができるから、トラブル防止に役立ちます。

②信託と申告の一体運用サポート

司法書士は、法律や登記の専門家です。

家族信託の設計や信託の登記手続をサポートします。

税理士は、税金の専門家です。

税務申告などのシミュレーションを行い、税務トラブルを防止します。

家族信託は、法律と税務の一体運用しないと失敗するでしょう。

各専門家の業務範囲と得意分野を正しく理解して、相談先を利用することが重要です。

③専門家の連携による安心設計

家族信託の設計によって、相続税や贈与税が課されます。

だれにどのような権利が移転するかによって、課税の有無や種類が変わります。

いつ税務申告が必要で税金をいくら納付するのか、明確にします。

専門家の連携によって、ミスを回避します。

5家族信託を司法書士に依頼するメリット

高齢化社会が到来したといわれて、多くの方は長生きになりました。

平均寿命は男性も女性も80歳を超して、認知症になる方が多くなりました。

認知症になると、物事のメリットデメリットが充分に判断できなくなります

本人の財産は本人しか処分できないため、本人が判断できなくなると資産が凍結されてしまいます。

認知症対策は、本人が元気なときしかすることができません。

いつか認知症対策をしようではなく、今なら元気だから対策しようが正解です。

資産が凍結されてしまうと、家族であっても使うことができなくなります。

家族信託は、認知症対策として有効です。

柔軟な設計ができることから、本人と家族が検討しておくことがたくさんあります。

家族信託自体の知名度も低いことから、制度の理解が難しいかもしれません。

まずは、1歩を踏み出すために、司法書士などの専門家の話を聞くといいでしょう。

自分のためにも家族のためにも認知症対策を考えている方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続登記完了後に登記識別情報が発行される

2026-02-13

1相続登記完了後に登記識別情報が発行される

①登記識別情報は権利者の証明書

相続登記が完了したら、登記識別情報が発行されます。

相続登記に限らず不動産の権利者に対して、登記識別情報が発行されます。

登記識別情報は、現在の権利者であることを示す本人確認手段です。

登記識別情報は、12桁の数字とアルファベットの組み合わせです。

登記識別情報は、不動産の権利者であることを証明する重要な秘密情報です。

不動産を手放すとき権利者であることを証明し意思を確認するため、登記識別情報を提供します。

②相続人ごとに登記識別情報

相続登記が完了したら、申請人である相続人ごとに登記識別情報が発行されます。

不動産を複数の相続人で共有する相続登記をすることがあります。

登記識別情報は、共有者の数だけ発行されます。

共有者である相続人全員が、権利者だからです。

例えば、1件の不動産を3人で共有する相続登記を申請した場合、3通の登記識別情報が発行されます。

将来、不動産を手放すとき、共有者全員の意思確認をする必要があります。

共有者全員が権利者であることを証明し意思を確認するため、それぞれの登記識別情報を提供します。

③申請人である登記名義人にのみ登記識別情報

(1)登記名義人でない相続人に発行されない

登記識別情報は、申請人である相続人にのみ発行されます。

申請人でない相続人には、登記識別情報が発行されません。

登記名義人でない相続人は、将来、不動産を手放すときに関与することはありません。

登記識別情報を発行する意義がありません。

(2)申請人でない登記名義人に発行されない

登記識別情報は、不動産の権利者であることを証明する重要情報です。

登記識別情報は、本人確認の手段だからです。

登記名義人が申請人でない場合、登記識別情報は発行されません。

登記名義人が申請人として関与していない場合、重要情報を他人に渡すことになるからです。

④死者名義の相続登記で登記識別情報

相続登記をする間もなく、相続人が死亡することがあります。

相続人が死亡した後であっても、相続した事実は無効になりません。

死亡した相続人名義に、相続登記をすることができます。

死亡した相続人名義で相続登記が完了した場合、死亡した相続人の登記識別情報が発行されます。

⑤登記識別情報の受け取り方法

(1)司法書士に依頼したら司法書士から受け取る

相続登記は難しい手続きだから、司法書士に依頼することが多いでしょう。

司法書士に依頼したら、登記識別情報は司法書士が法務局から受領します。

司法書士から各相続人に、登記識別情報が渡されます。

登記識別情報は重要な秘密情報だから、慎重に管理する必要があるからです。

(2)原則として窓口で受領

本人申請をした場合、登記完了後に原則として窓口に出向いて受領します。

登記識別情報を受領する際に、本人確認が行われます。

本人確認書類と認印が必要です。

登記識別情報は本人確認手段だから、本人以外の人に渡すことができないためです。

(3)希望すれば郵送してもらえる

登記識別情報は、希望すれば郵送してもらうことができます。

相続登記を申請するときに、添付書類と一緒に返信用封筒と切手を提出します。

郵送方法は、本人限定受取郵便です。

登記識別情報は、重要な秘密情報だからです。

郵便を受け取るときに、本人確認が行われます。

家族であっても、代理で受け取ることはできません。

⑥登記識別情報の失効請求

登記識別情報は、重要な秘密情報です。

登記識別情報である12桁のパスワードを他人に知られると、不正使用されるおそれがあります。

12桁のパスワードの情報漏洩は、権利証の盗難と同じです。

登記識別情報は他人に知られることがないように、厳重に保管する必要があります。

紛失して、どうしても見つからないことがあるでしょう。

登記識別情報を不正な登記申請に使用されることがないようにするため、登記識別情報の失効制度があります。

登記識別情報の失効制度を利用すると、登記識別情報を無効にすることができます。

⑦登記完了証は単なる報告書

相続登記が完了した場合、登記識別情報とは別に登記完了証が発行されます。

登記完了証は、単なる報告書です。

登記申請には、登記識別情報が発行されないことがあります。

登記完了証は、すべての登記で発行されます。

単なる報告書だから、権利者であることを証明するものではありません。

登記完了証は、登記識別情報の代わりにはなりません。

2相続登記を完了したのに登記識別情報が届かない

①申請人でない相続人に発行されない

登記識別情報緒は、権利者である申請人に発行されます。

権利者なのに申請人でない場合、登記識別情報は発行されません。

相続登記をする場合、法定相続分で相続人全員が共有する登記をすることがあります。

相続人全員が権利者になります。

相続登記をする場合、権利者になる相続人全員で申請するのが原則です。

法定相続分で相続人全員が共有する相続登記をする場合、一部の相続人だけが申請人になることができます。

一部の相続人だけが申請人になる場合であっても、自分の分だけ登記することはできません。

一部の相続人だけが申請人になる場合であっても、相続人全員の分の相続登記をします。

相続人全員の権利が登記されるのに、申請人になっていない相続人が存在します。

申請人になっていない相続人には、登記識別情報が発行されません。

登記識別情報は、権利者である申請人にのみ発行されるからです。

②登記識別情報の通知を希望しない欄にチェック

相続登記を申請するときに、登記識別情報の通知を希望しませんと申し出ることができます。

登記識別情報は、権利者であることの証明書です。

盗難や紛失が不安だから、自分で持っていたくないことがあるでしょう。

登記識別情報の通知を希望しませんと申し出た場合、登記識別情報は発行されません。

実務的には、登記識別情報の発行を受けておくことが安心です。

不動産を売却するときや担保に差し出すときに、必要になるからです。

③司法書士が受け取っている

相続登記を司法書士に依頼したら、登記識別情報は司法書士が法務局から受領します。

司法書士から各相続人に、登記識別情報が渡されます。

④後から発行してもらえない

相続登記で申請人でない相続人には、登記識別情報が発行されません。

債権者代位権で相続登記をする場合、登記識別情報は発行されません。

登記識別情報の通知を希望しませんと申し出た場合、登記識別情報は発行されません。

登記が完了したのに、登記識別情報が発行されないことがあります。

登記が完了した時点で登記識別情報が発行されない場合、後から発行してもらうことはできません。

⑤紛失しても再発行してもらえない

登記識別情報は、どのような理由があっても再発行をしてもらえません。

登記識別情報を紛失した場合、登記識別情報の失効の申出をすることができます。

登記識別情報の失効の申出をした場合、登記識別情報は無効になります。

登記識別情報が無効になっても、新たに発行してもらうことはできません。

登記識別情報を誤ってシュレッダーに入れてしまうことがあります。

自分の手でシュレッダーに入れてしまっただけだから、不正使用の心配はないでしょう。

登記識別情報の失効の申出をする必要はないと言えます。

登記識別情報の失効の申出をしなくても、登記識別情報を再発行してもらうことはできません。

登記識別情報は、いかなる理由であっても再発行をしてもらえないからです。

3紛失などで登記識別情報がないときは

①司法書士による本人確認

相続登記完了後に、不動産を売却することがあります。

不動産の売却による所有権移転登記をする場合、原則として、登記名義人の登記識別情報を提供します。

登記識別情報は、登記名義人が大切に保管しています。

登記識別情報を提供することで、所有者であることを証明し意思を確認することができるからです。

紛失などで登記識別情報を提供できない場合、司法書士などが本人確認をします。

司法書士が本人確認情報を作成して、法務局に提出することで登記識別情報の代わりにします。

司法書士による本人確認は、売買など金銭のやり取りがある場合で確実に登記をする必要があるときに用いられます。

第三者との間で売買する場合、ほとんどの場合で司法書士による本人確認がされます。

司法書士による本人確認をする場合、本人確認情報作成費用が別途かかります。

②法務局からの事前通知

不動産の売却による所有権移転登記をする場合、原則として、登記名義人の登記識別情報を提供します。

登記識別情報を提供せず、かつ、司法書士による本人確認情報を提出しない場合、法務局から事前通知がされます。

事前通知では、登記義務者に本人限定郵便が郵送されます。

事前通知の内容は、登記申請の内容に間違いないか確認するものです。

本人限定郵便は、代理の人が受け取ることはできません。

本人確認書類を提示して、登記義務者本人が受け取ります。

登記申請の内容に間違いないか確認した後、署名し実印で押印して返送します。

事前通知では、法務局が発送してから2週間以内に法務局に返送される必要があります。

2週間以内に法務局に返送されない場合、申請が却下されます。

③公証役場で本人証明

司法書士が本人確認をする方法の他に、公証役場で本人証明をしてもらう方法があります。

登記義務者本人が公証役場に出向いて、手続をします。

公証人の面前で、司法書士あて登記委任状に署名し実印で押印します。

これに公証人の証明文を付けてもらいます。

公証人の本人証明書を登記識別情報の代わりに提出します。

4相続登記を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、相続人はたくさんの相続手続に追われて悲しむ暇もありません。

ほとんどの方は相続を何度も経験するものではありません。

手続に不慣れで聞き慣れない法律用語で、へとへとになります。

一般的にいって、相続登記は、相続手続の中でも難しい手間のかかる手続です。

不動産は、家族にとって重要な財産であることが多いものです。

一般の方からすると些細なことと思えるようなことで、やり直しになります。

簡単そうに見えても、思わぬ落とし穴があることもあります。

インターネットなどの情報では、どうしたらいいか分からないことも多いでしょう。

相続登記をスムーズに完了させたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

戸籍が高齢者消除されても失踪宣告が必要になる

2026-02-11

1戸籍が高齢者消除されても相続手続はできない

①高齢者消除で戸籍を整理する

相続人調査をすると、戸籍謄本に高齢者消除の許可と記載されていることがあります。

生年月日を確認すると、100歳以上の高齢者であることがほとんどです。

高齢者消除とは、戸籍の整理のための行政措置です。

100歳以上の高齢者が戸籍に記載されているものの死亡の可能性が高い場合に、戸籍から抹消する制度です。

法務局長の許可を得て、市長村長が職権で抹消します。

多くの場合、家族が何も知らないところで、高齢者消除がされます。

②高齢者消除があったときの戸籍の記載例

高齢者消除があったとき、戸籍には次のように記載されます。

【高齢者消除の許可日】令和〇年〇月〇日

【除籍日】令和〇年〇月〇日

③高齢者消除で相続手続ができない理由

高齢者消除で戸籍が整理されても、法律上、死亡扱いはされません。

高齢者消除は、単に戸籍の整理に過ぎないからです。

戸籍を整理して、行政手続の効率化を図ります。

行政上は死亡扱いするけど、法律上は生きている扱いです。

高齢者消除の戸籍謄本があっても、次の手続はできません。

・相続登記

・預貯金の名義変更

・生命保険の死亡保険金の請求

戸籍を高齢者消除で除籍しても、相続手続ができないのは当然です。

高齢者消除をしても、生きている扱いだからです。

高齢者消除の戸籍謄本を提示しても、死亡の証明にはなりません。

2戸籍が高齢者消除されても失踪宣告が必要になる

①失踪宣告で死亡と見なされる

戸籍が高齢者消除されている場合、死亡の可能性が非常に高いと言えます。

失踪宣告とは、行方不明の人を死亡した扱いとするための手続です。

失踪宣告がされたら、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。

長期間生死不明のままであると、家族が困ります。

生死不明の人の財産は、家族であっても勝手に処分することができません。

失踪宣告は、家族が売却などの処分をするための制度と言えます。

②失踪宣告をしないと何もできない

失踪宣告をしないと、生死不明の人は生きている扱いのままです。

生きている人の財産だから、家族は何もできないままです。

たとえ家族であっても、持ち主以外の人は勝手に処分ができないからです。

③普通失踪と特別失踪(危難失踪)

失踪宣告には、2種類あります。

普通失踪と特別失踪(危難失踪)です。

一般的に、失踪宣告と言うときは普通失踪を指しています。

特別失踪(危難失踪)とは「戦地に行った者」「沈没した船舶に乗っていた者」「その他死亡の原因となる災難に遭遇した者」などを対象にする失踪宣告です。

④失踪宣告で相続が開始する

失踪宣告がされると、行方不明者は死亡と見なされます。

高齢者消除で行政上死亡扱いされたうえ、失踪宣告で法律上も死亡扱いになります。

死亡と見なされる日に、相続が発生します。

死亡と見なされる日は、次のとおりです。

・普通失踪 7年経過した日

・特別失踪(危難失踪) 危難が去った日

相続が発生するから、相続手続をすることができます。

失踪宣告が記載された戸籍謄本を提示して、相続手続を進めます。

失踪宣告は、死亡扱いする制度だからです。

⑤失踪宣告の条件

失踪宣告には、重大な効力があります。

失踪宣告の条件は、次のとおりです。

(1)行方不明の人が生死不明であること

(2)生死不明の期間が一定以上継続していること

失踪宣告の種類によって、生死不明の期間が異なります。

普通失踪は、7年です。

特別失踪(危難失踪)は、1年です。

生死不明のまま上記の期間を経過したと認められる場合、家庭裁判所は失踪宣告をすることができます。

⑥申立先

行方不明の人の住所地や居住地を管轄する家庭裁判所です。

家庭裁判所の管轄は、裁判所のホームページで確認することができます。

⑦失踪宣告の申立人は利害関係人のみ

生死不明のまま長期間経過しても、自動で失踪宣告はされません。

申立人が失踪宣告の申立てをする必要があります。

失踪宣告の申立てができるのは、利害関係人に限られています。

法文上は利害関係人というものの、法律上の利害関係人がある人に限られています。

例えば、次の人は法律上の利害関係人と考えられます。

・行方不明の人の配偶者

・行方不明の人の相続人

・行方不明の人と遺産分割協議をする他の相続人

単なる友人で心配している人とか相続人以外の家族は、法律上の利害関係が認められません。

失踪宣告には重大な効力があるから、申立人を限定しています。

⑧高齢者消除された戸籍謄本を提出できる

失踪宣告の申立書に添付する書類は、次のとおりです。

・行方不明の人の戸籍謄本

・行方不明の人の住民票または戸籍の附票

・失踪を証する資料

高齢者消除された戸籍謄本を提出することができます。

高齢者消除で戸籍が除籍されている場合、住民票は職権消除されているでしょう。

職権消除された住民票を失踪を証する資料として提出することができます。

警察に行方不明者届を提出している場合、行方不明者届受理証明書を提出することができます。

・申立人の利害関係を証する資料

⑨費用

(1)手数料

失踪宣告の申立てにかかる手数料は、800円です。

申立書に収入印紙を貼り付けて、納入します。

(2)連絡用郵便切手

失踪宣告の手続で、家庭裁判所が使う郵便切手を予納します。

予納する郵便切手の額面や枚数は、家庭裁判所ごとに異なります。

(3)官報公告料

家庭裁判所の指示があってから、官報公告料4816円を納入します。

失踪宣告の手続では、2回官報公告があります。

⑩失踪宣告にかかる期間

失踪委宣告の申立てから失踪宣告がされるまで、1年程度かかります。

⑪失踪宣告の申立ての流れ

手順(1)失踪宣告の申立て書の提出

手順(2)家庭裁判所による調査

手順(3)官報による公示催告

手順(4)家庭裁判所による失踪宣告の審判

手順(5)失踪宣告の確定

手順(6)市区町村役場に失踪届を提出

手順(7)戸籍に失踪宣告が記載される

⑫失踪宣告がされたときの戸籍の記載例

戸籍には、次のように記載されます。

【死亡とみなされる日】令和〇年〇月〇日

【失踪宣告の裁判確定日】令和〇年〇月〇日

【届出日】令和〇年〇月〇日

【届出人】親族 〇〇〇〇

失踪宣告がされたら、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。

死亡の取り扱いがされるから、相続が発生します。

3失踪宣告は他の手段で代替できない

①死亡届が使えない現実

人が死亡したら、医師が死亡を確認し死亡診断書を作成します。

死亡診断書を添付して、市区町村役場に死亡届を提出します。

死亡を確認できないと、死亡届を提出することはできません。

戸籍が高齢者消除された場合、理論上は死亡届を提出する余地がないわけではありません。

現実的には、死亡を確認することは極めて困難でしょう。

死亡届を提出できるのは、極めて稀なケースに限定されます。

実際の死亡を確認できないと、生きている扱いが続きます。

失踪宣告を受けないと、死亡の扱いをすることはできません。

②不在者財産管理人選任後に失踪宣告

(1)不在者財産管理人選任の申立て

財産を残したまま、持ち主が行方不明になることがあります。

長期間行方不明になっても、家族など持ち主以外の人は勝手に処分ができません。

不在者財産管理人とは、行方不明の人の財産を管理する人です。

家庭裁判所に申立てをして、家庭裁判所が選任します。

(2)不在者財産管理人選任後も生きている扱い

不在者財産管理人が選任されても、相続は発生しません。

行方不明者は、生きている扱いです。

戸籍が高齢者消除された場合、現実的には生きている可能性は低いでしょう。

不在者財産管理人は、行方不明者の生死が明らかになるまで管理を続けます。

不在者財産管理人が管理を続ける間、報酬がかかり続けます。

(3)不在者財産管理人は家族の希望をかなえる人ではない

戸籍が高齢者消除された場合、長期間行方不明であると言えます。

長期間行方不明である場合、失踪宣告の条件を満たしているかもしれません。

失踪宣告がされると、死亡と見なされる重大な効果があります。

帰りを待つ家族の中には、心理的抵抗を覚えるかもしれません。

不在者財産管理人選任は生きている扱いだから、帰りを待つ家族の心情に適う可能性があります。

不在者財産管理人がいても、行方不明者の財産について家族は処分できないままです。

不在者財産管理人は行方不明者の財産を管理する人であって、家族の希望をかなえる人ではないからです。

(4)失踪宣告で死亡扱いができる

失踪宣告は、行方不明者を死亡と見なす制度です。

失踪宣告がされると死亡扱いがされるから、相続が発生します。

不在者財産管理人が選任されても、相続は発生しません。

不在者財産管理人が選任されても、結局のところ失踪宣告が必要になるでしょう。

失踪宣告がされないと、相続が発生しないからです。

4失踪宣告は取消しができる

①生きていたら失踪宣告取消の申立て

長期間行方不明であっても、新天地で元気に生きていることがあります。

失踪宣告は、生きて帰ってくることを前提とした制度です。

失踪宣告を受けた人が帰ってきたら、失踪宣告取消の申立てをします。

②失踪宣告取消で受取った財産は返還する

失踪宣告を受けたら、相続が発生します。

失踪宣告が取消されたら、相続で受取った財産は返還します。

相続で財産を受け取った後、相続人が財産を処分することがあるでしょう。

第三者に渡った財産は、取り返すことができません。

相続人も第三者も行方不明者が生きていたことを知らなかったのに、返還するのは酷だからです。

失踪宣告の取消を受けた人は、相続人に対して現に利益を受けている限度で返還請求をすることができます。

5生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続人が行方不明であることは、割とよくあることです。

行方不明の相続人がいると、相続手続を進めることができません。

相続が発生した後、困っている人はたくさんいます。

自分たちで手続しようとして、挫折する方も少なくありません。

失踪宣告の申立ては、家庭裁判所に手続が必要になります。

通常ではあまり聞かない手続になると、専門家のサポートが必要になることが多いでしょう。

信託銀行などは、高額な手数料で相続手続を代行しています。

被相続人が生前、相続人のためを思って、高額な費用を払っておいても、信託銀行はこのような手間のかかる手続を投げ出して知識のない遺族を困らせます。

知識のない相続人が困らないように高額でも費用を払ってくれたはずなのに、これでは意味がありません。

税金の専門家なども対応できないでしょう。

困っている遺族はどうしていいか分からないまま、途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。

自分たちでやってみて挫折した方も、信託銀行などから丸投げされた方も、相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

« Older Entries Newer Entries »

keyboard_arrow_up

0527667079 問い合わせバナー 事前相談予約