Author Archive

相続放棄で借金があるか分からない不安の現実

2026-03-06

1借金があるか分からない不安は合理的警戒

①プラスの財産とマイナスの財産両方を相続する

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続財産というと、プラスの財産だけイメージしがちです。

プラスの財産だけでなくマイナスの財産も、相続財産に含まれます。

例えば、次の財産は相続財産です。

・銀行からの借入れ

・クレジットカード債務

・未払の税金

・家賃などの滞納

・連帯保証債務

・奨学金

・飲食店のツケ

・友人間の貸し借り

②財産状況を共有していない

被相続人の財産状況をすべて共有する家族は、ほとんど存在しません。

被相続人の経済活動も、共有していないことが多いでしょう。

借金があることを家族に秘密にすることは、割とよくあります。

債務者が死亡しても、金融機関などの債権者は死亡の事実を知ることができません。

たとえ死亡の事実を知っても、積極的に債権があることを通知しません。

借金があるか分からないのは、当然と言えます。

③相続放棄には3か月の期限がある

相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄の申立てをします。

相続放棄には、期限があります。

相続があったことを知ってから、3か月です。

相続があったことを知ってから3か月以内を経過したら、相続放棄は認められません。

3か月の期間内に、相続を単純承認するか相続放棄をするか判断する必要があります。

3か月の期限があるから、借金があるか分からない不安は合理的警戒です。

④相続財産を利用処分すると単純承認

相続財産は、相続人が相続します。

相続放棄をすると、はじめから相続人でなくなります。

相続財産を利用処分すると、単純承認になります。

家庭裁判所で相続放棄が認められた後でも、無効になります。

相続財産を利用処分することは、単純承認を前提とする行為だからです。

相続財産を利用処分すると、相続放棄はできません。

2 相続放棄で借金があるか分からない不安の現実

①相続放棄は各相続人が自分で判断

相続を単純承認するか相続放棄をするか、各相続人が自分で判断します。

連絡が取れない相続人がいても、相続放棄をすることができます。

相続放棄をするにあたって、他の相続人の同意や承諾は不要だからです。

他の相続人の協力がなくても、自分の責任で選択することができます。

相続を単純承認しても、他の相続人からあれこれ言われる筋合いはありません。

相続放棄をしても、他の相続人からあれこれ言われる筋合いはありません。

単純承認も相続放棄も、各相続人が自分で判断する事柄だからです。

②相続人は単独で相続財産調査ができる

相続を単純承認するか相続放棄をするか判断するため、相続財産を調査することが一般的です。

相続財産を調査するにあたって、他の相続人が協力しないことは珍しくありません。

相続人はだれでも、単独で相続財産を調査することができます。

遺産分割をするためには、相続人全員の協力が不可欠です。

相続財産を調査することは、遺産分割ではありません。

相続を単純承認するか相続放棄をするか判断するための前提行為に過ぎません。

他の相続人の協力がなくても、判断を先延ばしすることはできません。

自分で相続財産調査をして、自分で相続を単純承認するか相続放棄をするか判断します。

③借金があるか分からないときの調査リスト

方法(1)信用情報機関に開示請求

信用情報機関とは、個人の借入れや返済状況を管理している機関です。

相続人はだれでも単独で、信用情報機関に対しての開示請求をすることができます。

他の相続人の同意は、不要です。

主な信用情報機関は、次の3つです。

・株式会社シー・アイ・シー(CIC)

・株式会社日本信用情報機構(JICC)

・全国銀行個人信用情報センター

被相続人の信用情報を確認すると、次のことが判明します。

・銀行からの借入れ

・クレジットカード債務

・カードローン

・消費者金融からの借入れ

・保証債務の一部

借金があるか分からない不安の多くを客観的に確認することができます。

方法(2)郵便物の確認

相続が発生しても、債権者は死亡を知らないことがほとんどです。

被相続人あてに、郵便物が届くことがあります。

郵便物を確認すると、借金があるか手がかりをつかむことができます。

・督促状

・金融機関などからの通知

方法(3)預貯金口座の取引履歴を取得

銀行などの預貯金口座は、日常生活に欠かせません。

被相続人の預貯金口座を探して、取引履歴を取得します。

相続人はだれでも相続人であることを証明して、単独で取引履歴を請求することができます。

被相続人の取引履歴を確認すると、次のことが判明します。

・定期的な返済

・利息の引落

・不審な送金

取引履歴から被相続人の経済活動を把握することができます。

方法(4)不動産の担保確認

被相続人が不動産を保有している場合、不動産を担保に差し出していることがあります。

法務局で、登記簿謄本を取得します。

不動産の登記簿謄本は、相続人でも相続人以外の人でも取得することができます。

不動産を担保に差し出すと、抵当権や根抵当権が登記されています。

登記簿謄本を確認すると、抵当権者や根抵当権者が判明します。

方法(5)会社関係の確認

被相続人が会社を経営していたケースがあります。

被相続人が代表者である場合、会社に債務について連帯保証をしていることがあります。

会社が借入をする場合、代表者が連帯保証をする慣行があるからです。

代表者が連帯保証をしているか確認するためには、会社の協力が必要です。

④相続財産調査の限界

相続財産調査をしても、完全な調査をすることはできません。

信用情報機関に開示請求をしても、登録情報以外の情報は見つかりません。

預貯金口座の取引履歴を取得しても、その金融機関以外の取引履歴は見つかりません。

個人間の貸し借りなどは、当事者以外知らないことが多いでしょう。

相続財産調査をしても漏れがある気がするのは、当然です。

相続財産調査には、限界があるからです。

完璧な相続財産調査を目指すと、永遠に終わりがありません。

⑤相続財産調査の客観的基準は存在しない

相続財産調査の客観的基準は、存在しません。

自分が納得するために、相続財産調査をするからです。

多くの人は、借金があるか分からないときの調査リストの調査をすれば納得できるでしょう。

ここまで調査したのだから納得できると言えるところまで、調査するのが妥当です。

家族の状況や財産状況、精神的負担は、相続人ごとに異なるからです。

納得できるところまで相続財産調査をしたら、相続を単純承認するか相続放棄をするか判断します。

判断自体が不安になるのは、当然です。

万人に共通する客観的基準は、そもそも作ることができないからです。

完璧な調査は不可能で判断基準も存在しない以上、最終的には自分が納得できるかで決めるしかありません。

自分が納得できれば、その判断はすべて適切な判断です。

⑥借金が分からなくても相続放棄ができる

相続財産調査をしても、プラスの財産がほとんど見つからないことがあります。

万が一にも借金が見つかったら、債務超過になるでしょう。

借金があるか分からないから、相続放棄をすることができます。

相続放棄をすると、借金があるか分からない不安から逃れることができます。

相続放棄をする場合、理由は重視されません。

⑦関わりたくないから相続放棄ができる

被相続人や被相続人の家族と疎遠であると、相続手続は精神的負担が大きくなります。

相続財産調査をするだけでも、精神的に追い詰められることがあるでしょう。

被相続人の家族と関わりたくないから、相続放棄をすることができます。

相続放棄をすると、はじめから相続人でなくなります。

相続放棄をすると、被相続人の家族と関わる必要がなくなります。

相続放棄は逃げではなく、合理的な選択になり得ます。

相続を単純承認するか相続放棄をするか、各相続人が納得できることが重要です。

3相続放棄の期限3か月のスタートは知ってから

①相続発生からスタートではない

相続放棄には、3か月の期限があります。

相続放棄の期限3か月のスタートは、知ってからです。

「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。

被相続人が死亡してから、3か月以内ではありません。

相続財産を相続することを知ってから、3か月以内です。

②3か月を知らなかったからは認められない

相続放棄の申立ては、相続があったことを知ってから3か月以内にしなければなりません。

相続放棄ができる期間は3か月を知らないまま3か月経過した場合、相続放棄は認められません。

法律の定めを知らなくても3か月過ぎてしまえば、単純承認になります。

単純承認になったら、相続放棄は認められません。

法律を勉強したことがないからなども、理由になりません。

3か月過ぎてしまえば、単純承認になります。

③相続の承認または放棄の期間の伸長の申立て

相続財産調査をすると、財産の種類や内容が非常に複雑であることがあります。

3か月では判断できない財産内容である場合、3か月の期間を延長してもらうことができます。

相続の承認または放棄の期間の伸長の申立てとは、3か月の期間を延長してもらう手続です。

期間延長の必要性や理由が妥当なものであると家庭裁判所が判断した場合、3か月程度延長されます。

4相続放棄を司法書士に依頼するメリット

相続放棄はプラスの財産もマイナスの財産も引き継ぎませんという裁判所に対する申立てです。

相続人らとの話合いで、プラスの財産を相続しませんと申し入れをすることではありません。

家庭裁判所で認められないと、マイナスの財産を引き継がなくて済むというメリットは受けられません。

家庭裁判所で相続放棄が認められたとしても、絶対的なものではありません。

相続放棄の要件を満たしていない場合、その後の裁判で相続放棄が否定されることもあり得ます。

相続に関する手続の多くは、司法書士などの専門家に任せることができます。

手続を任せることで、大切な家族を追悼する余裕もできます。

相続人の調査や相続財産調査など適切に行って、充分に納得して手続を進めましょう。

相続放棄は、3か月以内の制限があります。

3か月の期間内に手続するのは、相続するよりハードルが高いものです。

相続放棄を考えている方は、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

失踪宣告をしない選択肢と代替手段の限界

2026-03-04

1失踪宣告で死亡とみなされる

①家族のために失踪宣告

相当長期間、行方不明になっている場合、死亡している可能性が高い場合があります。

条件を満たした場合、死亡の取り扱いをすることができます。

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告がされたら、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。

行方不明が長期化した場合、家族が困ります。

家族であっても、行方不明の人の財産を処分することができません。

行方不明者の配偶者は、再婚することができません。

残された家族のために、行方不明者を死亡したものと扱う制度が失踪宣告の制度です。

失踪宣告がされると、死亡が確認できなくても死亡と見なされます。

実際に、死亡したと証明する制度ではありません。

②失踪期間は普通失踪7年と特別失踪(危難失踪)1年

失踪宣告には、2種類があります。

普通失踪と特別失踪(危難失踪)です。

一般的に失踪宣告といった場合、普通失踪を指しています。

生死不明の期間を失踪期間と言います。

普通失踪では、失踪期間が7年です。

特別失踪(危難失踪)とは「戦地に行った者」「沈没した船舶に乗っていた者」「その他死亡の原因となる災難に遭遇した者」などを対象にする失踪宣告です。

特別失踪(危難失踪)では、失踪期間が1年です。

③自動で失踪宣告はされない

失踪期間が経過したら、家庭裁判所に対して失踪宣告の申立てをすることができます。

失踪期間が経過するだけでは、何も起きません。

国家や家庭裁判所が自動で、失踪宣告することはありません。

失踪宣告の申立てをしていないのに、自動で失踪宣告がされることはありません。

失踪宣告は、家族が行方不明になって困っている人を救済する制度だからです。

④住民票が職権消除されても死亡扱いではない

長期間行方不明になって居住実態がないと、住民票が消されることがあります。

職権消除とは、本人の届出がなくても市町村が職権で住民票を消除することです。

職権消除は、住民登録を整理するための行政処理に過ぎません。

住民票が職権消除されても、死亡扱いではありません。

⑤戸籍が高齢者消除されても死亡扱いではない

極端な高齢になると、戸籍が消されることがあります。

高齢者消除とは、家族の届出がなくても市町村が職権で戸籍を消除することです。

高齢者消除は、戸籍を整理するための行政処理に過ぎません。

戸籍が高齢者消除されても、死亡扱いではありません。

2失踪宣告をしないという選択肢と代替手段の限界

①行方不明者の財産を家族が管理している

行方不明者の財産は、家族が日常的に管理しているでしょう。

行方不明者の財産を家族が管理しているから、生活上は特に支障がないかもしれません。

生活は維持できているから、失踪宣告の必要を感じにくいでしょう。

生活の現状を維持する限り、家族が困ることはありません。

財産を処分するときになって、行方不明者本人による手続が必要になります。

家族による手続ができないから、初めて困ることになります。

家族が困るまで、失踪宣告の申立てを渋ります。

②行方不明者の借金は行方不明者の借金のまま

多大な借金を抱えたまま、家族が行方不明になることがあります。

失踪宣告を受けなければ、行方不明者は生きている扱いです。

行方不明者の借金は、行方不明者のものです。

借金を抱えて行方不明になっても、家族は借金を返済する義務はありません。

借金の相続を恐れて、失踪宣告の申立てを渋ることがあります。

③他の相続人から説明を求められる

失踪宣告を受けると、死亡扱いがされます。

失踪宣告を受けた人を被相続人として、相続が発生します。

相続手続の過程で、被相続人の財産状況を明らかにする必要があります。

過去の財産の使い道について、他の相続人から説明を求められる場面があるでしょう。

失踪宣告を放置しておけば、心理的にも実務的にもラクです。

説明を求められる場面を想像して、失踪宣告の申立てをためらうことがあります。

④失踪宣告の申立てをする義務はない

失踪宣告は、家族が行方不明になって困っている人を救済する制度です。

行方不明が長期間になっても、失踪宣告の申立てをする義務はありません。

家族が生存を信じて、帰りを待ち続けることがあります。

帰りを待つ家族にとって、死亡扱いにすることは強い葛藤があります。

家族の心情を尊重して、失踪宣告の申立ては家族の意思に委ねられています。

失踪宣告の申立てを先延ばしすると、デメリットが積み重なります。

⑤失踪宣告をしないと起きるデメリット

デメリット(1)財産処分ができない

失踪宣告をしないと、行方不明者は生きている扱いです。

行方不明になっても、行方不明者の財産は行方不明者のものです。

行方不明者の財産を処分できるのは、行方不明者だけです。

財産の処分とは、次のような行為です。

・不動産の売却

・預貯金の解約

たとえ家族であっても、行方不明者の不動産を売却することはできません。

たとえ家族であっても、行方不明者の預貯金を解約することはできません。

行方不明者の預貯金を管理していても、解約には行方不明者本人が手続をする必要があります。

デメリット(2)契約の変更解除ができない

生活をするうえで、生命保険契約や賃貸借契約をしています。

契約の当事者が行方不明になっても、契約は自動でなくなりません。

行方不明になっても、家族が勝手に契約を変更解除することはできません。

契約の変更解除には、行方不明者本人が手続をする必要があります。

デメリット(3)生命保険の死亡保険金が支払われない

生命保険が掛けてある人が死亡した場合、死亡保険金が支払われます。

長期間生死不明であっても、生きている扱いです。

たとえ家族が経済的に困窮しても、生命保険の死亡保険金は支払われません。

デメリット(4)遺族年金を受け取れない

遺族年金とは、年金に加入していた人が死亡したときに遺族に対して支給される年金です。

失踪宣告を受けていないと、遺族年金は支給されません。

たとえ家族が経済的に困窮しても、生きている扱いだからです。

デメリット(5)配偶者が再婚できない

配偶者が長期間行方不明になっても、婚姻は継続中です。

婚姻関係を終了する方法は、離婚か死別のみです。

失踪宣告をしなくても、離婚訴訟で離婚する方法があります。

離婚訴訟で離婚する方法には、充分な客観的証拠が不可欠です。

離婚訴訟で離婚できるだけの証拠を準備するのは、非常に高いハードルがあります。

3失踪宣告をしないときの代替手段の限界

①代替手段として不在者財産管理人

失踪宣告をしない場合、不在者財産管理人制度を利用することが考えられます。

不在者財産管理人とは、行方不明者の財産を管理する人です。

行方不明の人は、生きている扱いのままです。

死亡扱いにしなくて済むから、家族の心理的抵抗が少なく済みます。

②行方不明者が相続人になる相続で不在者財産管理人

(1)遺産分割協議には相続人全員の合意が必要

相続人になる人は、法律で決められています。

相続が発生したのに相続人が行方不明の場合、相続手続を進められなくなります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定する必要があるからです。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話し合いです。

相続人が長期間行方不明であっても、行方不明の相続人を除外できません。

(2)遺産分割協議のため不在者財産管理人

行方不明者が相続人になる相続が発生した場合、相続分は行方不明者の財産と言えます。

行方不明者の財産を管理するするため、家庭裁判所に不在者財産管理人選任の申立てをすることができます。

不在者財産管理人は、家庭裁判所が選任します。

行方不明者に代わって、不在者財産管理人が遺産分割協議に参加します。

(3)不在者財産管理人は家族の希望をかなえる人ではない

不在者財産管理人は、行方不明者の財産を管理する人です。

家族が選任の申立てをしても、家族の希望をかなえる人ではありません。

不在者財産管理人は、行方不明者の利益を守る義務があるからです。

不在者財産管理人が遺産分割協議をする場合、行方不明者の相続分を確保する必要があります。

不在者財産管理人が専門家であっても家族であっても、相続分を確保する必要があります。

相続分を確保していない遺産分割協議は、家庭裁判所が許可しません。

(4)遺産分割協議が終わっても不在者財産管理人

遺産分割協議が終わっても、不在者財産管理人の任務は終了しません。

不在者財産管理人は、行方不明者の財産を管理する人だからです。

行方不明者が帰ってくるまで、または行方不明者の死亡が判明するまで、任務は続きます。

遺産分割協議が終わっても、行方不明者の財産を管理する必要があるからです。

任務が続くから、不在者財産管理人の報酬がかかり続けます。

③不在者財産管理人は不利益処分ができない

(1)行方不明者の財産処分は許可されない

不在者財産管理人は、家族の希望をかなえる人ではありません。

行方不明者の利益を害することは、許されません。

たとえ家族が財産処分を望んでも、行方不明者の利益を害する処分は許可されません。

例えば、不動産の売却は行方不明者の利益を害すると、判断されることが多いでしょう。

行方不明者の自宅を売却して売却代金を家族が自由に使いたいなどの理由は、行方不明者の利益を害すると判断されるでしょう。

空き家で維持費だけがかかるなどの理由であれば、行方不明者の利益と判断されるでしょう。

(2)売却代金は家族が使えない

たとえ売却が許可されたとしても、売却代金は行方不明者の財産です。

行方不明者の財産は、不在者財産管理人が管理を続けます。

家族の財産だから家族で自由に使いたいという希望は、叶えられません。

④不在者財産管理人で行方不明者に相続は発生しない

不在者財産管理人とは、行方不明者の財産を管理する人です。

行方不明者を死亡扱いにする効果は、ありません。

不在者財産管理人が選任されても、行方不明者は生きている扱いです。

不在者財産管理人は、生きている行方不明者の財産を管理します。

生きている扱いだから、相続は発生しません。

行方不明者の財産は、不在者財産管理人が管理を続けます。

たとえ家族であっても、行方不明者の財産を引き継ぐ理由がないからです。

⑤二度手間になる現実

不在者財産管理人は、一見して便利な制度です。

あくまで、一時しのぎの制度です。

不在者財産管理人を選任してもらっても、死亡扱いをすることができないからです。

最終的には、失踪宣告をすることになります。

結局のところ二度手間になる現実を知ったうえで、判断することが重要です。

4失踪宣告を選択するかの判断基準

①家族の心理的ハードル

失踪宣告の法律上の要件は、判断基準にならないことがほとんどです。

法律上の失踪期間を大きく越しても、心理的ハードルがあるからです。

家族の中で失踪宣告に反対する人がいれば、失踪宣告の申立てのハードルとなるでしょう。

法律で、解決できる問題ではありません。

②失踪宣告をしないと不利益が積みあがる

失踪宣告を受けないと、いつまでたっても生きている扱いです。

財産を処分できなくなるから、財産は凍結されます。

生活の支障が目立つようになると、決断を迫られるでしょう。

不在者財産管理人制度は、一時しのぎに過ぎません。

③心理的抵抗は専門家が解決できない

失踪宣告をしない最大の理由は、家族に心理的抵抗です。

専門家に相談しても、解決できません。

次のようなときは、専門家によるアドバイスが有効です

・不在社財産管理人制度をよく理解したい。

・家庭裁判所による財産処分の許可基準を知りたい。

制度を理解する助けとして、専門家に相談する価値があります。

④メリットデメリットを考慮して判断

失踪宣告をするタイミングは、自動的に決まるものではありません。

家族が生活上の支障を感じたときが、判断のタイミングです。

失踪宣告によって得られるメリットと心理的な負担を比較し、納得できたときに判断します。

心理的ハードルで不在者財産管理人を選択するなら、二度手間と費用を覚悟すべきです。

家族の平和のためデメリットを飲めるなら、それも適切な選択です。

5生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続人が行方不明であることは、割とよくあることです。

行方不明の相続人がいると、相続手続を進めることができません。

相続が発生した後、困っている人はたくさんいます。

自分たちで手続しようとして、挫折する方も少なくありません。

困っている遺族はどうしていいか分からないまま、途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。

相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

法定相続情報一覧図の申請先

2026-03-03

1法定相続情報一覧図は公的書類

①法定相続情報一覧図は高い信頼がある

法定相続情報一覧図とは、被相続人を中心にして、どういう続柄の人が相続人であるのかを取りまとめた書類です。

相続手続では、たくさんの戸籍謄本等を準備します。

相続手続先に対しては、相続人を客観的に証明する必要があるからです。

たくさんの戸籍謄本と家系図を法務局に提出して、点検してもらうことができます。

内容に問題がなければ、地模様や透かしの入った紙に印刷されて、登記官の認証文が入ります。

法定相続情報一覧図は、公的証明書です。

法定相続情報一覧図は、登記官が確認した信頼性が高い証明書です。

②法定相続情報一覧図は複数枚発行してもらえる

たくさんの戸籍謄本と家系図を法務局に提出して点検してもらうことを法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出と言います。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をするときに、法定相続情報一覧図の必要枚数を申し出ることができます。

相続手続先の数だけ、法定相続情報一覧図を発行してもらうことができます。

法定相続情報一覧図は、複数枚発行してもらうことができます。

各相続先に同時進行で、相続手続をすることができます。

③法定相続情報一覧図は再発行してもらえる

相続手続をしていると、新たな相続手続先が見つかることがあります。

法定相続情報一覧図は、後日、交付してもらうことができます。

法定相続情報一覧図を後日、交付してもらうことを法定相続情報一覧図の再交付の申出と言います。

法定相続情報一覧図が不足した場合、追加で発行してもらうことができます。

2法定相続情報一覧図の申請先

①被相続人の本籍地

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出は、被相続人の本籍地を管轄する法務局に提出することができます。

被相続人の本籍地とは、被相続人の死亡時の本籍地を指しています。

相続手続では、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を準備します。

本籍は、各戸籍の最初に書いてあります。

出生から死亡まで本籍地が同じ人は、あまり多くありません。

ほとんどの人は、本籍地が移っています。

法定相続情報一覧図の申請先になるのは、死亡の記載がある戸籍謄本の本籍地です。

死亡の記載がある戸籍謄本の本籍地を管轄する法務局に、申請することができます。

②被相続人の住所地

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出は、被相続人の住所地を管轄する法務局に提出することができます。

被相続人の住所地とは、被相続人の死亡時の住所地を指しています。

被相続人が実際に住んでいた住所ではなく、住民票を置いていた住所地です。

住民票上の住所地には、実際は住んでいなかったということがあります。

例えば、住民票は自宅に置いたまま、老人ホームなどの施設で暮らしていることがあるでしょう。

住民票が自宅にあるのなら、自宅を管轄する法務局に申請します。

老人ホームなどの施設に入所するタイミングで、住民票を施設に移していることがあります。

住民票が老人ホームにあるのなら、老人ホームを管轄する法務局に申請します。

住民票上の住所地は、被相続人の住民票や戸籍の附票を取得すると判明します。

法定相続情報一覧図の申請先になるのは、死亡の記載がある住民票の住所地です。

死亡の記載がある住民票の住所地を管轄する法務局に、申請することができます。

③申出人の住所地

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出は、申出人の住所地を管轄する法務局に提出することができます。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出ができるのは、相続人です。

申出人の住所地とは、申出人の住民票上の住所地です。

住民票上の住所地は、申出人の住民票や戸籍の附票を取得すると判明します。

実務的に言えば、申出人の住所地を管轄する法務局が便利です。

申出をした後に指摘があれば、窓口対応が必要になることがあるからです。

申出人の住民票の住所地を管轄する法務局に、申請することができます。

④被相続人名義の不動産の所在地

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出は、被相続人名義の不動産の所在地を管轄する法務局に提出することができます。

被相続人名義の不動産がある場合、不動産の名義変更をします。

不動産の名義変更を相続登記と言います。

相続登記は、不動産の所在地を管轄する法務局に提出します。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出と相続登記は、同時に申請することができます。

被相続人名義の不動産の所在地を管轄する法務局に、申請することができます。

⑤遺言執行者の住所地は申請できない

被相続人が生前に、遺言書を作成していることがあります。

遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書を作成するときに、遺言執行者を指名することができます。

遺言執行者は、遺言執行の一環として法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をすることができます。

遺言執行者が法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をする場合、遺言執行者の住所地を管轄する法務局に提出することはできません。

遺言執行者の住所地を管轄する法務局に、申請することができません。

⑥申出人複数のときはいずれかの住所地

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出は、複数の相続人が連名で申請することができます。

法定相続情報一覧図の再交付の申出は、最初の申出の申出人のみができるからです。

連名で申出をすると、各申出人が再交付を受けることができます。

複数の相続人は、別々の住所地でしょう。

各相続人の住所地を管轄する法務局がバラバラである場合、いずれかの住所地を管轄する法務局に提出することができます。

申出人複数のときは、いずれかの申出人の住所地を管轄する法務局に申請することができます。

⑦再交付は最初の申出の法務局のみ

法定相続情報一覧図は、後から再交付をしてもらうことができます。

法定相続情報一覧図の再交付の申出は、最初に申出をした法務局に対してのみ申請することができます。

法定相続情報一覧図は、最初に申出をした法務局に保管してあるからです。

⑧申請先に郵送できる

法定相続情報一覧図の再交付の申出は、郵送で申請することができます。

法務局の管轄と住所は、法務局のホームページで調べることができます。

3法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出と相続登記を同時申請

①相続登記と法定相続情報一覧図は不動産の所在地の法務局に申請できる

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出と相続登記には、管轄があります。

相続登記の申請先は、不動産の所在地を管轄する法務局です。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出は、不動産の所在地を管轄する法務局に提出することができます。

②相続登記の必要書類は法定相続情報一覧図の必要書類と重なる

相続登記では、たくさんの必要書類を準備します。

相続登記の必要書類は、法定相続情報一覧図の必要書類とほとんど重なります。

相続登記で必要な書類を使って、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をすることができます。

③相続登記と法定相続情報一覧図は司法書士に依頼できる

相続登記は、相続手続の中でも難しい手続です。

相続登記を司法書士などの専門家に、依頼することが多いでしょう。

法定相続情報一覧図は、公的書類にふさわしい厳格な書き方ルールが決められています。

法定相続情報一覧図の作成を司法書士などの専門家に、依頼することができます。

④最初に同時申請で相続手続がスムーズ

相続登記は難しいから、先延ばししがちです。

最初に、相続登記と法定相続情報一覧図の保管および交付の申出をするのがおすすめです。

相続手続をスムーズに、進めることができるからです。

相続登記では、司法書士が必要書類を確認し申請します。

法務局は、非常に慎重に審査します。

司法書士が確認し法務局が審査した戸籍謄本や書類に、誤りがあることはほとんどありません。

司法書士が確認し法務局が審査した書類を使って、相続手続をすることができます。

各相続手続先の独自書類の書き誤りなどであれば、知識がなくても対応できるでしょう。

最初に相続登記と法定相続情報一覧図の同時申請で、相続手続がスムーズになります。

4法定相続情報一覧図の作成を司法書士に依頼するメリット

法定相続情報一覧図は、書き方が厳格に決まっています。

後に登記官が認証文を付して、交付されるからです。

法定相続情報一覧図と似たものに、相続関係説明図があります。

相続関係説明図は、登記官が点検をするものではありません。

単なる事情説明の書類に過ぎませんから、比較的自由に書くことができます。

これらの違いを理解して、ポイントを押さえて書くことが重要です。

相続手続が少ない場合など、法定相続情報一覧図を作るまでもないこともあるでしょう。

相続手続をする手続先が多い場合は、法定相続情報一覧図は大変便利です。

仕事や家事で忙しい方はこのような手続はすべてお任せいただけます。

すみやかな手続を考えている方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

アパートローンを相続するときの注意点

2026-03-03

1アパートローンは相続財産

①相続財産にはプラスの財産とマイナスの財産がある

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続財産には、プラスの財産とマイナスの財産が含まれます。

アパートローンは、マイナスの財産と言えます。

マイナスの財産の一部として、相続人に相続されます。

②団体信用生命保険未加入・対象外なら借金は残る

住宅ローンでは、団体信用生命保険でローンが完済されることが一般的です。

団体信用生命保険とは、生命保険契約のひとつです。

ローン債務者が死亡などしたときに、ローン残高を保険会社が支払う仕組みです。

被相続人が団体信用生命保険に加入していた場合、団体信用生命保険でローンが完済されます。

アパートローンでは、団体信用生命保険に加入しないことが少なくありません。

保険料の負担が収益性に影響するためです。

被相続人が団体信用生命保険に加入していない場合、アパートローンは相続人に相続されます。

③アパートローンだけ相続放棄はできない

相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄の申立てをします。

家庭裁判所で相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。

相続放棄をしたら、被相続人の借金から解放されます。

相続放棄をしたら、被相続人のプラスの財産を相続できません。

アパートローンだけ、相続放棄はできません。

相続放棄をすると、はじめから相続人でなくなるからです。

相続放棄では、財産の選り好みはできません。

2アパートローンを相続するときの注意点

①だれが相続するのか相続人全員の合意で決定する

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

アパートをだれが相続するのか、遺産分割協議で決定することができます。

アパートローンをだれが相続するのか、遺産分割協議で決定することができます。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方ついて相続人全員でする話し合いです。

②遺産分割協議は銀行に効力がない

遺産分割協議の内容は、銀行には効力がありません。

遺産分割協議は、相続人間の内部的合意だからです。

遺産分割協議に銀行は関与しないから、遺産分割協議の内容に拘束されません。

アパートローンをだれが相続するのか決めても、銀行には関係がありません。

遺産分割協議の内容に関わらず、銀行は相続人全員に対して法定相続分でローンの返済を求めることができます。

遺産分割協議書に実印を押しても、アパートローンの返済を拒むことはできません。

遺産分割協議の内容は、銀行に効力がないからです。

③アパートを相続しなくてもアパートローンの返済

アパートとアパートローンは、別の財産です。

アパートを相続していなくても、アパートローンの返済を拒むことはできません。

遺産分割協議の内容に関わらず、銀行は相続人全員に対して法定相続分でローンの返済を求めることができます。

アパートを相続しない相続人に対して、アパートローンの返済を求めることができます。

④アパートローンを集中させる方法

方法(1)免責的債務引受契約

免責的債務引受契約とは、新債務者が債務をすべて引き受け旧債務者が債務から解放される契約です。

免責的債務引受契約は、銀行と新債務者との間で締結します。

アパート経営を引き継ぐ相続人がアパートとアパートローンを相続することを望むでしょう。

アパート経営を引き継ぐ相続人が債務を引き受ける免責的債務引受契約をします。

銀行は、免責的債務引受契約をする義務はありません。

免責的債務引受契約をするか、あらためて審査します。

銀行にとっては、債権の回収先の人数が減る不利益変更だからです。

銀行は、債権を請求できる人が減ることを非常に嫌います。

債権を請求できる人が減ると、債権回収ができなくなる可能性が高まるからです。

免責的債務引受契約を承諾するか、判断基準は次のとおりです。

・債務者の収入資産

・アパートの収益率

・修繕リスク

・アパートの担保価値

アパートローンの返済が確実と判断できれば、免責的債務引受契約を承諾します。

返済能力に疑問符が付けば、免責的債務引受契約を拒絶します。

方法(2)ローンの借換で相続債務を完済する

免責的債務引受契約に対して、銀行は非常に慎重姿勢です。

銀行にとっては、債権の回収先が減る不利益変更だからです。

免責的債務引受契約を拒絶された場合、借換を検討することがあります。

いったんアパートを相続する相続人が新規でローンを組んで、相続したアパートローンを完済する方法です。

アパートを相続する相続人が新規でローンを申し込んだ場合、あらためて審査します。

融資審査が通らなければ、ローンを組むことはできません。

新規のアパートローンは、アパートを相続する相続人のみが債務者です。

相続したアパートローンは完済されるから、他の相続人に請求される心配はなくなります。

⑤遺産分割協議を成立させる前に銀行の承諾

遺産分割協議は、相続人全員の合意で成立させることができます。

銀行が承諾しなければ、免責的債務引受はできません。

銀行が承諾しなければ、借換をすることはできません。

銀行による承諾なしで遺産分割協議を成立させても、アパートローンの返済を求められます。

アパートローンを引き受けるから、アパートを相続することに合意したはずです。

アパートローンの返済を求められると、裏切られたと感じるでしょう。

銀行による承諾なしで遺産分割協議を成立させると、深刻なトラブルに発展します。

売買契約など一般的な契約の内容が守られなかった場合、一方的に解除することができます。

遺産分割協議には、一方的に解除する制度はありません。

遺産分割協議の内容が守られなくても、一方的解除をすることはできません。

遺産分割協議を成立させる前に、銀行の承諾を得ることが不可欠です。

⑥銀行の承諾を得られないときの選択肢

選択肢(1)アパートローンを相続する前提で遺産分割協議

銀行は、免責的債務引受契約をする義務はありません。

銀行は、新規の融資をする義務はありません。

銀行は、相続人全員に対して法定相続分でローンの返済を求める権利があります。

銀行の承諾を得られない場合、相続人は債務者のままです。

債務者としてアパートローンを引き継ぐことを前提に、遺産分割協をします。

選択肢(2)相続放棄

家庭裁判所で相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。

相続放棄をしたら、相続財産を一切引き継げなくなります。

一切の相続財産を引き継げなくなることを受け入れれば、アパートローンから逃れることができます。

アパートローンを引き継ぎたくない場合、相続放棄は合理的方法です。

3遺産分割協議で選べる方法

①現物分割

(1)手続がシンプル

現物分割とは、個々の財産をそのままの形で分ける方法です。

個々の財産をそのままの形で分けるから、手続がシンプルです。

個々の財産をそのままの形で分けようとすると、公平に分割できなくなることがあります。

(2)アパートローンは相続人全員が債務者

アパートを特定の相続人が相続しても、アパートローンは相続人全員が請求されます。

免責的債務引受契約には、銀行の承諾が必要です。

②代償分割

(1)代償金で公平な遺産分割

代償分割とは、一部の相続人がアパートを相続し、他の相続人は不動産を相続した人から、その分の代償をもらう方法です。

他の相続人は代償金を受け取れるから、公平な遺産分割をすることができます。

アパートを相続する相続人に資金力がないと、代償分割は実現できません。

代償金を払うと約束したのに払ってもらえないと、深刻なトラブルに発展するからです。

(2)アパートローンは相続人全員が債務者

アパートを特定の相続人が相続しても、アパートローンは相続人全員が請求されます。

免責的債務引受契約には、銀行の承諾が必要です。

アパートを相続する相続人には、アパートローンと代償金を負担できる資金力が必要です。

③換価分割

(1)売却して金銭で分ける

換価分割とは、分けにくいアパートを売却して金銭に換えた後、金銭を分ける方法です。

売却して金銭に換えるから、公平な遺産分割をすることができます。

売却条件によっては、不動産の売却代金に大きな差が出ます。

売却条件をどのように決めるか、相続人間で意見が一致しないと売却が難しくなります。

(2)売却代金でアパートローンを返済

アパートを売却したら、売却代金を取得します。

アパートの売却代金で、アパートローンを返済することができます。

(3)オーバーローンで追加資金

アパートローン以上の金額で売却できれば、残額は相続人間で分配することができます。

アパートローン未満でしか、売却できないことがあります。

アパートを売却しても、アパートローンは残ります。

相続人は、アパートローンを相続したからです。

④共有分割

(1)不動産と債務の名義が一致する

共有とは、相続人全員が名義人になる方法です。

アパートとアパートローンの名義が一致します。

アパートを共有にすると、将来トラブルになりがちです。

管理や処分で、意見対立を招くからです。

(2)家族信託でアパート経営を集約する

不動産の共有は、時間の経過とともに機能不全に陥ります。

仲がいい兄弟姉妹であっても、さまざまな経営判断によって意見対立が生まれるからです。

家族信託とは、財産管理を依頼する契約です。

自由に売る権利や自由に管理する権利を渡して、自分はものから利益を受け取る権利だけ持っている仕組みです。

家族信託を利用して、アパート経営を一部の相続人におまかせすることができます。

一部の相続人にアパート経営を集約できるから、共有のデメリットを軽減することができます。

(3) 共有が破綻する前に家族信託がおすすめ

家族信託は、家族間でする契約です。

当事者全員の合意が不可欠です。

意見対立が生まれた後に、信託契約をすることは難しいでしょう。

不満と不信が積み重なった後に、信託契約をすることはほとんどできません。

家族信託は、受託者に権限を集中させる制度だからです。

契約当事者全員が受託者に対する信頼がないと、家族信託が機能しません。

4賃貸アパートの相続を司法書士に依頼するメリット

賃貸マンションや賃貸アパートを保有している大家と聞くと、資産家のイメージが浮かびます。

相続税を心配してアパート経営を始める人もいるでしょう。

アパート経営は不労所得に見えがちですが、リスクがある不動産事業です。

アパートローンの返済が終わったら、家賃収入を資産として残すことができます。

そのためにはアパート経営をする知識と時間と労力が必要です。

空室にしないためにどのような投資をしていくか経営判断が必要になるでしょう。

被相続人がアパート経営をしていた場合、相続人は関与していなかったことは少なくありません。

相続でアパート経営を引き継ぐ場合、築年数の経過した賃貸アパートになります。

築年数の経過した賃貸アパートは空室が多くなりがちで、修繕の負担が多くなりがちです。

アパート経営に関与していなかった相続人が引き継ぐ場合、難しい経営判断を迫られることになります。

家賃収入を資産として残すどころか、相続人の固有の財産で損失を補填することになるでしょう。

いったん相続をして、損失が大きくならないうちに売却する方がいいかもしれません。

このような相続して売却する場合も司法書士はサポートします。

賃貸マンションや賃貸アパートの相続について、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

法定相続情報一覧図を使ってできること

2026-03-03

1法定相続情報一覧図は公的書類

①法定相続情報一覧図は法務局が発行する

法定相続情報一覧図とは、被相続人を中心にして、どういう続柄の人が相続人であるのかを取りまとめた書類です。

一目で分かるように、家系図のように書くのが一般的です。

記載内容が正しいか、法務局が点検します。

内容に問題がなければ、地模様や透かしの入った紙に印刷されて、登記官の認証文が入ります。

法定相続情報一覧図は、公的書類です。

法務局が発行するから、高い信頼性があります。

②法定相続情報一覧図は戸籍の内容を記載する

相続人なる人は、法律で決められています。

相続手続先に対しては、相続人を客観的に証明する必要があります。

客観的に証明するとは、戸籍謄本を用意することです。

戸籍には、その人の身分事項がすべて記録されているからです。

被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本は、どのような相続でも必要になります。

法定相続情報一覧図は、相続関係の証明書です。

たくさんの戸籍謄本を読み解くのは、相続人にとっても相続手続先にとっても負担が大きい事務です。

たくさんの戸籍謄本と家系図を法務局に提出して、点検してもらうことができます。

法定相続情報一覧図は、戸籍の内容を記載します。

③法定相続情報一覧図は複数枚発行してもらえる

たくさんの戸籍謄本と家系図を法務局に提出して点検してもらうことを法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出と言います。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をするときに、法定相続情報一覧図の必要枚数を申し出ることができます。

法定相続情報一覧図は、相続手続で使います。

相続手続先の数だけ、法定相続情報一覧図を発行してもらうことができます。

相続手続の書類は、原本還付してもらえることが一般的です。

法定相続情報一覧図は、原本還付してもらえるか考える必要がありません。

法定相続情報一覧図は、複数枚発行してもらうことができるからです。

④法定相続情報一覧図は再発行してもらえる

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をすると、法務局で5年間保管されます。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をした人は、必要に応じて再交付をしてもらうことができます。

2法定相続情報一覧図を使ってできること

できる①相続登記

相続登記とは、不動産の名義変更です。

法定相続情報一覧図は、相続登記をするときに利用することができます。

法定相続情報一覧図には、右上に法定相続情報番号が記載されています。

相続登記では法定相続情報一覧図を紙で提出することもできるし、法定相続情報番号を提出することもできます。

相続登記で提出した法定相続情報一覧図は、希望すれば原本還付をしてもらうことができます。

法定相続情報番号を提出する場合、登記申請書に番号を記載するだけです。

原本還付をするより、カンタンです。

法定相続情報一覧図を利用すると、たくさんの戸籍謄本を提出する必要がありません。

できる②預貯金の凍結解除

銀行などの預貯金は、日常生活に欠かせません。

銀行などの口座の持ち主が死亡すると、口座は凍結されます。

口座の凍結とは、口座取引を停止することです。

口座取引には、次のものがあります。

・ATMや窓口での引出し、解約

・公共料金などの引落し

・年金などの振込み

法定相続情報一覧図は、預貯金の凍結解除をするときに利用することができます。

戸籍謄本の束を提出するよりも、法定相続情報一覧図を求められることが増えています。

複数の法定相続情報一覧図が発行されるから、同時進行で相続手続を進めることができます。

できる③信用情報機関への照会

相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄するか選択することができます。

単純承認するか相続放棄するか選択するために、被相続人の財産状況を調査する必要があるでしょう。

信用情報機関に照会することで、被相続人のマイナスの財産を調査することができます。

信用情報機関は、次の3つがあります。

・日本信用情報機構(JICC)

・株式会社シー・アイ・シー(CIC)

・全国銀行協会全国銀行個人信用情報センター(KSC)

法定相続情報一覧図は、信用情報機関への照会をするときに利用することができます。

法定相続情報一覧図を利用すると、たくさんの戸籍謄本を提出する必要がありません。

できる④生命保険の照会と請求

被相続人に生命保険がかけてある場合、死亡保険金が支払われます。

生命保険の有無が分からない場合やどこの保険会社か分からないことがあるでしょう。

生命保険照会制度を利用することで、生命保険の有無や保険会社を調査することができます。

法定相続情報一覧図は、生命保険の照会をするときに利用することができます。

生命保険照会制度で生命保険会社が分かったら、各生命保険会社に契約内容を照会し保険請求をします。

法定相続情報一覧図は、保険請求をするときも利用することができます。

法定相続情報一覧図を利用すると、たくさんの戸籍謄本を提出する必要がありません。

できる⑤証券保管振替機構への照会と凍結解除

被相続人が株式投資をしていることがあります。

上場株式は、証券会社などの口座で管理されています。

被相続人がどこの証券会社に口座を持っているのか分からないことがあるでしょう。

証券保管振替機構へ登録済加入者情報の開示請求をすることで、口座がある証券会社を調査することができます。

法定相続情報一覧図は、証券保管振替機構へ登録済加入者情報の開示請求をするときに利用することができます。

登録済加入者情報の開示請求で分かるのは、口座を開設している証券会社のみです。

保有銘柄、保有株式数、取引履歴は、口座がある証券会社に照会します。

証券会社の口座の持ち主が死亡すると、口座は凍結されます。

法定相続情報一覧図は、証券会社の口座の凍結解除をするときに利用することができます。

法定相続情報一覧図を利用すると、たくさんの戸籍謄本を提出する必要がありません。

できる⑥自動車の名義変更

被相続人が自動車を持っていたら、自動車の名義変更をします。

ローンを組んで自動車を購入した場合、所有者が信販会社やディーラーになっているかもしれません。

所有者は、車検証の所有者欄で確認できます。

自動車の名義変更は、運輸支局で手続をします。

軽自動車の名義変更は、軽自動車検査協会で手続をします。

法定相続情報一覧図は、自動車の名義変更をするときに利用することができます。

法定相続情報一覧図を利用すると、たくさんの戸籍謄本を提出する必要がありません。

できる⑦死亡による役員変更登記

被相続人が株式会社などの役員であることがあります。

株式会社の取締役などの役員は、登記されています。

登記された役員が死亡した場合、死亡による役員変更登記が必要です。

法定相続情報一覧図は、死亡による役員変更登記をするときに利用することができます。

法定相続情報一覧図を利用すると、戸籍謄本を提出する必要がありません。

できる⑧死亡による年金手続

被相続人の死亡によって、年金手続が必要になることがあります。

遺族年金とは、死亡した人によって生計を維持されていた遺族が受け取る年金です。

未支給年金とは、年金受給者が死亡したときにまだ支給されていない年金です。

死亡一時金とは、国民年金の第1号被保険者が死亡したときに老齢基礎年金や障害基礎年金を受けないときに支給される金銭です。

遺族年金、未支給年金、死亡一時金を請求する場合、死亡した人との身分関係を証明する書類が必要です。

法定相続情報一覧図は、死亡による年金手続をするときに利用することができます。

法定相続情報一覧図を利用すると、たくさんの戸籍謄本を提出する必要がありません。

老齢年金の手続では、法定相続情報一覧図を利用することはできません。

老齢年金の手続は、死亡による年金手続ではないからです。

できる⑨相続税申告

被相続人の財産規模が一定以上ある場合、相続税の対象になります。

相続税申告では、すべての相続人を明らかにする書類が必要です。

法定相続情報一覧図は、相続税申告をするときに利用することができます。

法定相続情報一覧図を利用すると、たくさんの戸籍謄本を提出する必要がありません。

3法定相続情報一覧図を使ってできないこと

できない①戸籍にないことは記載できない

法定相続情報一覧図には、相続放棄した人が相続人として記載されます。

相続放棄が認められても、戸籍には記載されないからです。

戸籍にないことは、記載できません。

できない②日本国籍がない人がいると使えない

日本国籍がない人がいると、法定相続情報一覧図は使えません。

日本国籍がない人には、戸籍がないからです。

法定相続情報一覧図は、戸籍謄本の内容を取りまとめた書類です。

日本国籍がない人がいると、使えません。

できない③相続登記以外で法定相続情報番号は使えない

法定相続情報番号が使えるのは、相続登記だけです。

法定相続情報番号は、法務局のシステムに登録された番号だからです。

法務局以外の機関は、法務局のシステムにアクセスできません。

紙の法定相続情報一覧図は、どこでも利用することができます。

4法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出と相続登記を司法書士に依頼するメリット

法定相続情報一覧図と相続関係説明図は、ポイントを押さえて書くことが重要です。

相続手続が少ない場合など、法定相続情報一覧図を作るまでもないこともあるでしょう。

相続手続をする手続先が多い場合は、法定相続情報一覧図は大変便利です。

要領よく相続手続を進めるためには、不動産の相続登記を先行させるのがおすすめです。

相続登記は、相続手続の中でも難易度が高い手続です。

司法書士などの専門家は、相続登記に必要な戸籍謄本などの書類をすべて準備してくれるからです。

難易度の高い相続登記で使った書類があれば、銀行などで書類の不足を指摘されることは大幅に減ります。

すみやかな手続を考えている方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

孫に代襲相続させたくない遺言書に誤解と限界

2026-03-02

1孫に代襲相続させたくない背景に誤解がある

①さまざまな誤解で孫に代襲相続させたくないと考えている

相続は、財産の承継です。

自分の財産をだれに引き継がせるのか、自分で決めたいと考えるのは自然なことです。

孫に代襲相続させたくないと考えることは、不自然なことではありません。

孫に代襲相続させたくないと考えるとき、背景にはさまざまな誤解が積み重なっています。

②遺言書は万能ではない

自分の財産をだれに引き継がせるのか、遺言書で決めておくことができます。

遺言書は、万能ではありません。

誤解をほどくと、遺言書の限界が見えてきます。

③子どもが相続人になると孫は相続人ではない

相続が発生すると、法律で決められた人が相続人になります。

被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。

子どもが相続人になる場合、孫は相続人ではありません。

相続人になるはずだったのに子どもが先に死亡した場合、孫が代襲相続人になります。

家族ならだれでも、相続人になれるわけではありません。

相続人になれる人は、法律で決められているからです。

2 孫に代襲相続させたくない遺言書に誤解と限界

誤解①遺言書で自由に財産を配分できる

(1)遺言書のとおりに遺産分割ができる

遺言書を作成するというと、財産の配分について書くことをイメージするでしょう。

遺言書で相続財産の分け方を書いておくと、遺言書のとおりに遺産分割をすることができます。

相続人全員で相続財産の分け方について、話し合いをする必要がなくなります。

相続人全員の合意が不要になる点は、遺言書の大きなメリットです。

(2)孫は遺留分権利者

被相続人に近い関係の相続人には、遺留分が認められています。

遺留分とは、相続人に認められた最低限の権利です。

遺留分が認められるのは、次の人です。

・配偶者

・子ども

・親などの直系尊属

孫が相続人になる場合、子どもの遺留分を引き継ぎます。

孫は、遺留分権利者です。

(3)遺言書があっても遺留分侵害額請求

確かに遺言書を作成して、どの人にどの財産を引き継がせるか決めておくことができます。

配分された財産が遺留分に満たない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

一部の相続人に全財産を引き継がせる遺言書を作成すると、遺留分を侵害することが多いでしょう。

遺言書で自由に財産を配分できるは、誤解です。

遺言書があっても、遺留分侵害額請求をすることができます。

(4)遺留分を認めない遺言に効力はない

法律上効力がない事項を遺言書に書くことができます。

遺留分を認めない遺言に、効力はありません。

遺留分侵害額請求を禁止すると書いても、法律上の効力は認められません。

遺留分を認めない遺言があっても、遺留分侵害額請求をすることができます。

(5)遺留分に配慮した遺言書がおすすめ

遺留分を侵害する遺言書であっても、無効になりません。

遺留分侵害額請求権は、遺留分がある相続人の権利だからです。

遺留分を侵害する遺言書は、おすすめできません。

正当な遺留分侵害額請求を受けたら、拒否できません。

遺留分侵害額請求があると、家族間で深刻なトラブルになります。

孫に代襲相続させない遺言より、遺留分に配慮した遺言書がおすすめです。

誤解②遺言書だけで代襲相続をさせたくない

(1)法律の効力を遺言書で消せない

代襲相続は、法律で定められた相続の仕組みです。

遺言書を作成して、法律の定めを消すことはできません。

遺言書だけで、代襲相続をさせたくないは実現できません。

遺言書は、万能ではないからです。

(2)代襲相続させない遺言の解釈

遺言書を確認すると、代襲相続させないと書いてあることがあります。

代襲相続させないと書かれた遺言書は、2通りに解釈することができます。

解釈(1)相続させないが、遺留分侵害額請求は認める

解釈(2)相続させないうえに、遺留分侵害額請求も認めない

内容が不明な遺言書があると、家族が困ります。

(3)遺言書だけで遺留分は奪えない

遺留分とは、相続人に認められた最低限の権利です。

遺言書を作成するだけで、一方的に遺留分を奪うことはできません。

遺留分を奪う手続は、家庭裁判所による廃除のみです。

代襲相続させない遺言が遺留分侵害額請求も認めない趣旨なら、廃除すると書くべきです。

(4)家庭裁判所による廃除には高いハードルがある

廃除とは、相続人の資格を奪う手続です。

相続人の資格を奪うとは、実質的に遺留分を奪うことです。

廃除できるのは、次の事情があると家庭裁判所が認めたときです。

・重大で継続的な被相続人に対する虐待

・親子関係が破壊される程度の重大な侮辱

・著しい非行

相続人に認められた最低限の権利が奪われるから、家庭裁判所は極めて慎重に審査します。

次のような軽い理由では、認められません。

・性格が合わない

・わがままを聞いてくれない

・言いなりにならない

・面倒を見てくれない

廃除が認められるのは、極めて厳しい条件を満たした例外的なケースのみです。

(5)相続人以外の人は廃除できない

廃除されると、相続人の資格が奪われます。

相続人以外の人は、廃除できません。

子どもが相続人になる場合、孫は相続人ではありません。

相続人以外の人だから、孫を廃除することはできません。

(6)子どもに非行があっても孫を廃除できない

子どもに重大な非行があると家庭裁判所に認められれば、廃除されます。

子どもの非行は、孫の非行ではありません。

子どもに非行があっても、自動で孫を廃除することはできません。

子どもを廃除しても、孫まで一括で家系すべてを廃除することはできません。

孫を廃除するためには、孫自身に重大な非行があることを立証する必要があります。

廃除は、血縁単位で相続人資格を奪う制度ではないからです。

(7)廃除で孫に代襲相続させたくないは実現できない

廃除が認められるのは、極めて厳格な条件を満たしたレアケースのみです。

廃除で孫に代襲相続させたくないは、事実上実現できません。

誤解③代襲相続と数次相続を混同している

(1)代襲相続と数次相続のちがい

孫が相続するのは、代襲相続と数次相続があります。

孫に代襲相続をさせたくないと考えている場合、代襲相続と数次相続を混同していることがあります。

代襲相続とは、相続人になるはずだった子どもが被相続人より先に死亡したため孫が相続することです。

数次相続とは、相続人になった子どもが相続手続中に死亡して孫が相続することです。

どちらも最終的には、孫が相続します。

(2)数次相続は子どもが相続している

被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。

相続が発生した時点が子どもが元気なら、子どもが財産を相続します。

相続手続をしないまま子どもが死亡しても、子どもは財産を相続しています。

(3)子どもが相続した財産は子どもの自由

子どもが相続した財産は、子どもの財産です。

子どもが自由に、処分することができます。

子どもが死亡したときにだれに引き継がせるか、子どもが判断します。

だれから引き継いだ財産であっても、子ども自身が判断します。

子どもが相続した財産は、子どもの自由だからです。

たとえ遺言書を作成しても、効力があるのは遺言者の相続についてのみです。

子どもが相続した財産は、子ども自身が決める領域です。

(4)孫に非行があれば子どもが廃除

相続人を廃除できるのは、自分の相続における相続人のみです。

自分以外の人の相続における相続人を廃除することはできません。

孫に非行があれば、廃除される可能性があります。

孫を廃除できるのは、孫の親である子どものみです。

たとえ自分の財産を引き継いだ子どもであっても、子どもの相続人を廃除することはできません。

だれから引き継いだ財産であっても、子ども自身が判断するべきことだからです。

たとえ遺言書を作成しても、効力があるのは遺言者の相続についてのみです。

子どもの相続人を廃除するか、子ども自身が決める領域です。

(5)子どもが遺言書作成

子どもが相続した財産は、だれに引き継がせるか子どもが判断します。

子どもが遺言書を作成して、自分でだれに引き継がせるか決定します。

子どもの死後の相続をコントロールすることはできません。

(6)相続は世代ごとに完結する

相続は、その世代で完結する制度です。

一つの世代の判断が、次の世代の相続まで及ぶことはありません。

受け継いだ財産は、その人の財産になります。

受け継いだ財産をどうするのか、その人自身に委ねられます。

誤解④遺言書の内容も孫が代襲相続できる

(1)子どもが先に死亡すると遺言が無効になる

遺言書を作成して、子どもに配分する財産を決めておくことができます。

遺言書を作成した後、遺言者が健在のまま子どもが先に死亡することがあります。

財産を受け取る予定の子どもが先に死亡した場合、遺言書の条項は無効になります。

遺言書全体が無効になるのではなく、死亡した相続人に関する事項だけ無効になります。

(2)受取人がない財産は遺産分割協議で決定

財産を受け取る予定の子どもが先に死亡したら、遺産分割協議が必要です。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話し合いです。

相続人全員の合意で、だれがその財産を受け取るのか決定します。

遺言書の内容も孫が代襲相続できるは、誤解です。

孫が財産を受け取るためには、相続人全員の合意が不可欠です。

(3)予備的遺言が有効

予備的遺言とは、遺言で指定した人が先に死亡したときに備えて代わりにだれに相続させるのか指定する遺言です。

予備的遺言があると無効を回避できるから、遺産分割協議を回避することができます。

(4)遺言書は作り直しができる

遺言書を作成するためには、遺言能力が必要です。

遺言能力とは、遺言書に書いた内容を理解し遺言の結果のメリットデメリットを充分に判断できる能力です。

遺言書を作成してから、遺言書に効力が発生するまで長い期間があることが多いでしょう。

遺言書作成後、財産や相続人の状況が大きく変わることがあります。

遺言者の気持ちが変わることもあるでしょう。

遺言書は、何度でも作り直しをすることができます。

財産や相続人の状況が大きく変わった場合、遺言書の作り直しが合理的です。

遺言書を作り直す場合、相続人などの許可や同意は不要です。

3甥姪に代襲相続させたくない遺言書は実現できる

①兄弟姉妹に遺留分はない

被相続人に子どもがなく親などの直系尊属が先に死亡した場合、兄弟姉妹が相続人になります。

兄弟姉妹が被相続人より先に死亡した場合、甥姪が代襲相続します。

兄弟姉妹は相続人になっても、遺留分は認められません。

甥姪は代襲相続人になっても、引き継ぐべき遺留分はありません。

甥姪は、遺留分権利者ではありません。

②遺言書で自由に財産を配分できる

遺言書を作成して、どの人にどの財産を引き継がせるか決めておくことができます。

甥姪が代襲相続人になっても、遺留分は認められません。

遺言書で自由に財産を配分することができます。

家族ならだれでも、相続人になれるわけではありません。

相続人になれる人は、法律で決められているからです。

4遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書を作成して、自分の財産をだれに引き継ぐのか自由に決めることができます。

書き方ルールに違反した遺言書は、無効になります。

遺言書の内容に不満を持つと、相続人は遺言書の無効を主張するでしょう。

ひとりで遺言書を作るより、司法書士などの専門家のサポートを受けるのがおすすめです。

遺言書を作成するだけでは、意味がありません。

遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。

遺言書で遺言執行者を指名するのがおすすめです。

遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書作成をサポートする司法書士に、遺言執行を依頼することができます。

遺言書の内容を見て遺留分を侵害しないように、アドバイスをしてもらうこともできます。

円滑に相続手続を完了させたい方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続人が兄弟姉妹のみの法定相続情報一覧図

2026-02-27

1相続人が兄弟姉妹のみ

①相続人になる人は法律で決められている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。                                   

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は、必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②異父兄弟・異母兄弟が相続人になる

兄弟姉妹が相続人になると聞くと、父母が同じ兄弟姉妹のみを想像しがちです。

相続人になる兄弟姉妹には、父母の一方のみが同じ兄弟姉妹も含まれます。

異父兄弟・異母兄弟がいるか、客観的に証明します。

客観的に証明するとは、戸籍謄本を準備することです。

戸籍には、その人の身分関係がすべて記録されているからです。

異父兄弟は、被相続人の母の出生から死亡までの連続した戸籍謄本で確認することができます。

異母兄弟は、被相続人の父の出生から死亡までの連続した戸籍謄本で確認することができます。

兄弟姉妹が相続人になるときは、たくさんの戸籍謄本が必要になります。

③相続人が生きていることを戸籍謄本で証明

相続人になるのは、相続が発生した時点で生きている人です。

相続人が生きていることは、戸籍謄本で証明します。

家族にとって相続人になる人が分かっていても、相続手続先の人には分かりません。

相続人が生きていることを客観的に証明するため、兄弟姉妹全員の戸籍謄本を準備します。

兄弟姉妹相続では、相続人になる兄弟姉妹全員の戸籍謄本が必要です。

④兄弟姉妹が先に死亡したら甥姪が相続人

相続人になるはずだったのに、兄弟姉妹が被相続人より先に死亡することがあります。

兄弟姉妹が被相続人より先に死亡したら、甥姪が相続人になります。

兄弟姉妹相続でも、代襲相続が発生するからです。

代襲相続とは、相続人になるはずだったのに被相続人より先に死亡したから子どもなどが相続することです。

兄弟姉妹相続では、代襲相続は一代限りです。

甥姪が被相続人より先に死亡しても、甥姪の子どもは代襲相続できません。

兄弟姉妹が先に死亡したら、兄弟姉妹の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を準備します。

甥姪の存在は、兄弟姉妹の出生から死亡までの連続した戸籍謄本で確認することができるからです。

⑤子どもがいないことは戸籍謄本で証明

被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。

兄弟姉妹が相続人になる場合、被相続人に子どもがいないことが前提です。

被相続人に子どもがいないことは、戸籍謄本で証明します。

子どもがいないことは、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本で確認することができます。

2 相続人が兄弟姉妹のみの法定相続情報一覧図

①法定相続情報一覧図とは家系図型の公的証明書

法定相続情報一覧図は、家系図型で作成するのが一般的です。

相続関係が一目で分かるから、とても便利です。

法定相続情報一覧図とは、家系図型の公的証明書です。

法定相続情報一覧図は公的証明書だから、たくさんの戸籍謄本等と同じ効力があります。

②相続手続がスムーズになる

相続手続では、たくさんの戸籍謄本を提出します。

家族にとって、だれが相続人であるか当然のことでしょう。

相続手続先には、客観的に証明する必要があるからです。

戸籍には、その人の身分事項がすべて記録されています。

たくさんの戸籍謄本を読み解くのは、相続手続先にとって負担が重い事務です。

法定相続情報一覧図は、公的書類です。

法定相続情報一覧図を提出した場合、あらためて戸籍謄本を提出する必要がありません。

たくさんの戸籍謄本を登記官が点検して間違いないことを確認しているからです。

法定相続情報一覧図を見たら、どのような人が相続人になるのか一目で分かります。

相続手続先の事務負担が大幅に削減されます。

法定相続情報一覧図があると、相続手続がスムーズになります。

③家系図は法務局で作ってくれない

法務局に戸籍謄本等の点検をお願いすることを法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出と言います。

法務局は、戸籍謄本等と家系図を点検して印刷するだけです。

法務局で、家系図を作ってくれるわけではありません。

④書き方ルールが厳格

法定相続情報一覧図は、家系図型の公的証明書です。

公的証明書にふさわしい詳細な書き方ルールが厳格に決められています。

法務局は家系図を点検するだけで、実際に作るのは申出人です。

適切な記載をしていないと、書き直しになります。

例えば、「愛知県名古屋市」と書くべきところに愛知県を省略し「名古屋市」と記載すると、書き直しになります。

「名古屋市」と書くべきところに愛知県を追加して「愛知県名古屋市」と記載すると、書き直しになります。

公的証明書にふさわしい詳細な書き方ルールが厳格に決められているからです。

⑤法務局は戸籍謄本を集めてくれない

兄弟姉妹相続で相続手続をする場合、戸籍謄本の収集が最初の難関です。

兄弟姉妹相続では、大量の戸籍謄本が必要になるからです。

法定相続情報一覧図を提出した場合、あらためて戸籍謄本を提出する必要がありません。

難関の戸籍謄本の収集から逃れられると、感じるかもしれません。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をする際に、法務局に大量の戸籍謄本を提出しなければなりません。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をしても、法務局は戸籍謄本を集めてくれません。

法定相続情報一覧図があると、相続手続先の事務負担が大幅に削減されます。

法定相続情報一覧図があっても、相続人の事務負担が大幅に削減されるわけではありません。

⑥兄弟姉妹の戸籍謄本は広域交付の対象ではない

戸籍謄本は、本籍地の市区町村役場に請求するのが原則です。

戸籍謄本は広域交付とは、条件に当てはまるとき本籍地以外の市区町村役場で戸籍謄本を取得できる制度です。

戸籍謄本の広域交付が利用できる条件は、次のとおりです。

条件(1)請求人と配偶者、請求人の直系血族の戸籍謄本

条件(2)請求人が窓口請求

兄弟姉妹相続では、大量の戸籍謄本が必要になります。

被相続人の父母は、相続人の父母であることが多いでしょう。

請求人の父母は、請求人の直系血族です。

請求人の直系血族の戸籍謄本は、戸籍謄本の広域交付の対象です。

被相続人の父母の出生から死亡までの連続した戸籍謄本は、広域交付で取得することができます。

請求人の兄弟姉妹は、請求人の直系血族ではありません。

被相続人や他の相続人の戸籍謄本は、戸籍謄本の広域交付の対象外です。

原則どおり、本籍地の市区町村役場に請求する必要があります。

⑦郵送請求は手間と時間がかかる

(1)請求書類の書き直しができない

戸籍謄本は、郵送請求することができます。

本籍地が遠方である場合、郵送請求すると便利です。

郵送請求は、窓口請求と比べて慎重に手続をする必要があります。

窓口で相談しながら、請求書類を書き直すことができないからです。

請求書類が適切に作成できなければ、市区町村役場から電話連絡があります。

電話連絡に対応できなければ、請求書類は送り返されるでしょう。

(2)手数料は定額小為替で納入

戸籍謄本を発行してもらうためには、手数料を支払う必要があります。

窓口請求する場合、その場で現金で支払うことができます。

郵送請求をする場合、現金で支払えません。

あらかじめ定額小為替を購入して、納入します。

(3)返信用封筒と切手を同封

郵送請求をする場合、返信用封筒と切手を同封します。

返信用封筒には、返送先を記載しておきます。

⑧数次相続では法定相続情報一覧図は別に作成

数次相続とは、相続が発生したときに元気だった相続人が後に死亡して新たな相続が発生したことです。

数次相続が発生した場合、法定相続情報一覧図はまとめて作成することはできません。

まとめて作成すると、作り直しになります。

被相続人ごとに、法定相続情報一覧図は別に作成します。

⑨数次相続は相続関係説明図が有効

兄弟姉妹相続は、相続手続が複雑です。

戸籍謄本を準備するだけでも、手間と時間がかかります。

数次相続が発生すると、相続手続がさらに複雑になります。

法定相続情報一覧図は、相続が発生した時点の相続人を記載します。

相続が発生したときに元気だった相続人が後に死亡しても、死亡の記載をすることはできません。

相続手続をするときは、相続関係説明図を添付すると有効です。

相続関係説明図とは、相続関係を説明するための資料です。

相続関係説明図は公的書類ではないから、相続関係を自由に記載することができます。

3最初に相続登記と法定相続情報一覧図同時申請が合理的

①最初に相続登記がスムーズ

相続登記は、相続手続の中でも難しい手続です。

すぐに売却する予定がなければ、先延ばししがちです。

相続手続をスムーズにするには、最初に相続登記をするのがおすすめです。

相続登記では、たくさんの書類を準備する必要があります。

たくさんの戸籍謄本や遺産分割協議書、印鑑証明書などです。

相続手続のほとんどで、同じ書類が必要になります。

最初に相続登記をすると、戸籍謄本の収集や遺産分割協議書の作成は司法書士におまかせできます。

司法書士が準備して法務局が目を通した書類に、不備はほとんどありません。

相続手続先であれこれ指摘される心配は、大幅に減ります。

②相続登記と法定相続情報一覧図同時申請が合理的

相続登記と法定相続情報一覧図は、同時申請をすることができます。

相続登記と法定相続情報一覧図は、どちらも必要書類が共通しています。

相続登記と法定相続情報一覧図は、どちらも申請先である法務局が共通しています。

相続登記と法定相続情報一覧図は、どちらも司法書士に依頼することができます。

相続登記と法定相続情報一覧図をまとめて、司法書士に依頼するのが合理的です。

③広域交付対象外の戸籍謄本だけ依頼するとコスパがいい

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をしても、法務局は戸籍謄本を集めてくれません。

広域交付対象の戸籍謄本は、知識がなくても自分で取得できることが多いでしょう。

戸籍謄本の郵送請求は、手間と時間がかかります。

戸籍謄本の取得は、司法書士に依頼することができます。

自分で取得できる戸籍謄本は自分で取得して、手間と時間がかかる戸籍謄本はおまかせできます。

自分で取得できる戸籍謄本は自分で取得しているから、コストを抑えることができるでしょう。

広域交付対象外の戸籍謄本だけ依頼すると、コストパフォーマンスが良くなります。

4法定相続情報一覧図の作成を司法書士に依頼するメリット

法定相続情報一覧図は公的書類だから、書き方が厳格に決まっています。

法定相続情報一覧図と似たものに、相続関係説明図があります。

相続関係説明図は、登記官が点検をするものではなく、単なる事情説明の書類に過ぎません。

比較的自由に、書くことができます。

これらの違いを理解して、ポイントを押さえて書くことが重要です。

相続手続が少ない場合など、法定相続情報一覧図を作るまでもないこともあるでしょう。

銀行口座をたくさん持っているなど、相続手続をする手続先が多い場合は、法定相続情報一覧図は大変便利です。

仕事や家事で忙しい方は、手続をすべてお任せいただけます。

スムーズな手続を考えている方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

行方不明の配偶者と婚姻解消は離婚か失踪宣告

2026-02-25

1行方不明になっても婚姻関係は継続

①自動で婚姻関係は解消しない

配偶者が行方不明になっても、婚姻関係は継続します。

たとえ何年も連絡が取れない状態になっても、法律上は「夫」「妻」の身分があります。

長期間行方不明になっても、自動で婚姻が解消されることはありません。

長期間行方不明になっても、生きている扱いです。

婚姻関係の解消には、法的手続が必要です。

法的手続を行わない限り、法的関係の整理は進みません。

②長期間の行方不明で前に進めない

(1)財産を処分できない

長期間行方不明になっても、財産は行方不明の人のものです。

家族が行方不明の人の財産を自由に処分することはできません。

(2)再婚ができない

長期間行方不明になっても、自動で婚姻関係は解消しません。

戸籍上は、配偶者が生きている既婚者のままです。

婚姻関係が継続しているから、再婚は重婚になってしまいます。

(3)相続が発生しない

長期間行方不明になっても、相続は発生しません。

行方不明の人の財産のまま、だれも利用することができなくなります。

③婚姻関係を解消する方法

婚姻関係の解消とは、法律上の夫婦関係を終了することです。

戸籍上の婚姻関係を終了させると、再婚や相続などの財産整理を進めることができます。

婚姻関係を解消する方法は、2つあります。

離婚と失踪宣告です。

離婚とは、当事者の意思によって法律上の婚姻関係を終了することです。

失踪宣告とは、生死不明の人を死亡扱いにする手続です。

生死不明の配偶者が失踪宣告を受けたら、離婚でなく死別扱いです。

今すぐ手続を始める必要は、ありません。

今すぐ判断をする必要は、ありません。

離婚と失踪宣告は、どちらも重大な影響を及ぼします。

落ち付いて、制度を理解することが大切です。

2裁判離婚で行方不明の配偶者と婚姻解消

①離婚は当事者が生きていることが前提

離婚は、当事者双方か一方の意思によって婚姻関係を終了する制度です。

生きている配偶者との婚姻関係を終了させます。

死亡した配偶者と離婚はできません。

配偶者が死亡したら、死亡によって当然に婚姻関係は終了するからです。

②長期間行方不明になっても生きている扱い

長期間行方不明になっても、自動で死亡扱いにはなりません。

行方不明の人が、どこにいるか分からないだけです。

長期間行方不明の人は、生きている前提です。

③生きている前提だから離婚の対象

行方不明の配偶者は生きている前提だから、離婚の対象になります。

夫婦が離婚する場合、3つの方法があります。

協議離婚、調停離婚、裁判離婚です。

協議離婚と調停離婚は、当事者の話し合いによる離婚です。

行方不明の配偶者と離婚する場合、裁判離婚が選択肢になります。

④裁判離婚では離婚原因の立証が必要

裁判で離婚する場合、離婚原因が認められなければなりません。

離婚原因は、客観的証拠によって立証することが重要です。

離婚したいと主張するだけでは、裁判所は離婚を認めれくれません。

多くのケースでは、ハードルが高いと言えます。

⑤行方不明と3年以上の生死不明は別物

配偶者が3年以上生死不明である場合、離婚原因に該当します。

生死不明と行方不明は、別物です。

離婚原因となる生死不明とは、生きているのか死亡しているのか分からない状態です。

典型的には、次の事情があるケースが挙げられます。

・事故

・大災害

・海難

生存の可能性が非常に低いケースです。

配偶者が行方不明で婚姻関係を解消したい場合、生きている可能性が高いケースが多いでしょう。

・単なる家出

・音信不通

・生活費を入れない

・住所を転々としている

家庭裁判所は、生死不明に該当するか非常に厳格に審査します。

単なる行方不明3年以上は、離婚原因に該当しないと判断します。

⑥悪意の遺棄は故意を立証する必要がある

悪意の遺棄がある場合、離婚原因に該当します。

夫婦は、同居、協力、扶助の義務があります。

悪意の遺棄とは、同居、協力、扶助の義務を正当な理由なく意図的に放棄することです。

家庭裁判所は、次の点を重視します。

・意図的に家族を捨てたか。

・正当な理由なく義務を放棄したか。

配偶者が行方不明になる場合、さまざまな事情があるでしょう。

・仕事などのトラブル

・うつ病などの精神疾患

・借金問題

・生活の困窮

・事件や事故に巻き込まれた可能性

上記の事情は、家族を捨てる故意があったか不明確です。

単に行方不明であるだけで、悪意の遺棄とは認められません。

例えば次の事情があると、悪意の遺棄が認められやすいでしょう。

・生活費を入れず、他の異性と暮らしている。

・DVから逃れるために避難したのに、生活費を渡さない。

・家族を捨てて別居し、連絡を拒否している。

上記の事情は、家族を捨てる故意が明確だからです。

たとえ10年以上行方不明であっても、それだけで悪意の遺棄は認められません。

悪意の遺棄は、故意の立証が必要だからです。

⑦婚姻を継続しがたい重大な理由は立証困難

婚姻を継続しがたい重大な理由がある場合、離婚原因に該当します。

婚姻を継続しがたい重大な理由とは、夫婦関係が客観的に破綻して回復の見込みがないことです。

家庭裁判所は、夫婦の実態が失われているかを重視します。

例えば次の事情がある場合、夫婦関係が客観的に破綻していると認められやすいでしょう。

・5~10年以上の別居

・DV

・不貞行為

・深刻なモラハラ

・重度の依存症

上記の事情は、夫婦関係の破綻が明確で証拠が残りやすいでしょう。

単に行方不明であるだけで、婚姻を継続しがたい重大な理由とは認められません。

行方不明は、夫婦関係の破綻の結果であって原因ではないからです。

原因が分からないと、婚姻を継続しがたい重大な理由があるのか分かりません。

たとえ長期間行方不明であっても、夫婦関係が破綻していない可能性があります。

行方不明の配偶者がいないから、夫婦関係の悪化を証明する資料を準備できないでしょう。

事実関係によっては、認められる余地があります。

多くのケースでは、ハードルが高いと言えます。

3失踪宣告で行方不明の配偶者と婚姻解消

①残された家族のため失踪宣告

相当長期間、行方不明になっている場合、死亡している可能性が高い場合があります。

条件を満たした場合、死亡の取り扱いをすることができます。

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告がされたら、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。

死亡扱いする重大な手続だから、手続を進めていいのか不安に思うかもしれません。

行方不明が長期化した場合、家族が困ります。

家族であっても、行方不明の人の財産を処分することができません。

行方不明者の配偶者は、再婚することができません。

残された家族のために、行方不明者を死亡したものと扱う制度が失踪宣告の制度です。

失踪宣告がされると、死亡した取り扱いをします。

失踪宣告がされると、配偶者は再婚をすることができます。

②自動で失踪宣告はされない

失踪宣告を受けると、死亡が確認できないのに死亡と見なされます。

失踪宣告には、次の条件があります。

(1)行方不明の人が生死不明であること

(2)生死不明のまま一定期間継続していること

上記の条件を満たしたうえで、家庭裁判所に失踪宣告の申立てをします。

長期間行方不明であっても、自動で失踪宣告がされることはありません。

家庭裁判所が失踪宣告したときに、死亡と見なされます。

③普通失踪は7年で死亡と見なされる

失踪宣告には、2種類があります。

普通失踪と特別失踪(危難失踪)です。

一般的に失踪宣告といった場合、普通失踪を指しています。

生死不明の期間を失踪期間と言います。

普通失踪では、失踪期間が7年必要です。

家庭裁判所に失踪宣告の申立てをした後、家庭裁判所が死亡と認めていいか調査します。

生死不明のまま7年以上経過したと認められる場合、家庭裁判所は失踪宣告をすることができます。

普通失踪における法的な死亡日は、7年満了した日です。

④特別失踪(危難失踪)は1年で死亡と見なされる

行方不明の人が大災害や大事故にあっていることがあります。

大災害や大事故に遭った場合、死亡している可能性が非常に高いものです。

特別失踪(危難失踪)とは「戦地に行った者」「沈没した船舶に乗っていた者」「その他死亡の原因となる災難に遭遇した者」などを対象にする失踪宣告です。

死亡している可能性が非常に高いので、失踪期間は短い期間です。

特別失踪(危難失踪)では、失踪期間が1年で済みます。

生死不明のまま1年以上経過したと認められる場合、家庭裁判所は失踪宣告をすることができます。

特別失踪(危難失踪)における法的な死亡日は、危難が去った日です。

⑤失踪宣告で相続が発生する

失踪宣告がされたら、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。

死亡の扱いがされるから、相続が発生します。

普通失踪における法的な死亡日は、7年満了した日です。

特別失踪(危難失踪)における法的な死亡日は、危難が去った日です。

失踪宣告を受けた人の財産は、法律で決められた相続人が相続します。

⑥生きていることが分かったら失踪宣告の取消

失踪宣告がされた後、本人が帰ってくることがあります。

失踪宣告がされた後、生きていることが分かった場合、失踪宣告を取り消してもらいます。

失踪宣告をするときも失踪宣告を取り消すときも、家庭裁判所の関与が必要です。

失踪宣告は、死亡したと扱う重大な手続だからです。

⑦失踪宣告の取消があったら財産は返還

失踪宣告がされると、相続が発生します。

失踪宣告が取り消されると、死亡はなかったことになります。

死亡がなかったことになるから、相続もなかったことになります。

相続によって財産を得た人は、失踪宣告を受けた人に財産を返さなければなりません。

たとえ、生きているとは思わなかったとしても、財産は返す必要があります。

返還する財産は、現に利益を受けている限度とされています。

現に利益を受けている限度とは、同じ形で残っている意味ではありません。

形を変えて残っている場合も含みます。

生活費として使ったのであれば、自分のお金をその分使わずに済んでいます。

生活費分の利益を得ていると言えます。

⑧再婚した配偶者は後婚のみ有効

(1)婚姻関係は復活する

行方不明の配偶者に失踪宣告がされたら、死別の扱いです。

失踪宣告が取消されたら、婚姻関係も復活します。

(2)再婚したら復活しない

残された配偶者は、再婚をすることができます。

再婚した後で、行方不明だった配偶者が帰ってくることがあります。

残された配偶者が再婚していた場合、前婚は復活しません。

後婚のみ有効という意見が有力です。

後婚のみ有効になるのは、残された配偶者と再婚相手が行方不明者が生きていることを知らなかった場合だけと考えられます。

4生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続人が行方不明であることは、割とよくあることです。

行方不明の相続人がいると、相続手続を進めることができません。

相続が発生した後、困っている人はたくさんいます。

失踪宣告の申立ては、家庭裁判所に手続が必要になります。

通常ではあまり聞かない手続になると、専門家のサポートが必要になることが多いでしょう。

困っている遺族はどうしていいか分からないまま、途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。

自分たちでやってみて挫折した方も、信託銀行などから丸投げされた方も、相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

公正証書遺言があっても遺留分侵害額請求

2026-02-23

1公正証書遺言は高い信頼性がある

①公正証書遺言は公証人が取りまとめる

遺言書を作成する場合、自筆証書遺言か公正証書遺言がほとんどです。

自筆証書遺言は、自分で書いて作る遺言書です。

公正証書遺言は、遺言内容を公証人に伝え公証人が書面に取りまとめる遺言書です。

証人2人に確認してもらって、作ります。

遺言書には、厳格な書き方ルールがあります。

書き方ルールに違反すると、遺言書が無効になります。

公証人は、法律の専門家です。

公正証書遺言は公証人が取りまとめるから、書き方ルールに違反することは考えられません。

公正証書遺言は、形式面で無効になりにくい遺言書です。

②公証人は本人確認と本人の意思確認をする

公正証書遺言を作成するにあたって、公証人は本人確認と本人の意思確認をします。

間違いなく遺言者本人が間違いなく遺言をしたと、公的に明らかになります。

公証人が本人確認と本人の意思確認をするから、公正証書遺言には高い信頼性があります。

③公証人は内容の妥当性を判断しない

公証人は、内容の妥当性を確認しません。

公平な遺言書であっても不公平な遺言書であっても、公正証書遺言を作成することができます。

遺留分を侵害する遺言書であっても、公証人は何も言いません。

遺留分を侵害する遺言書を作成しても、遺言書は無効になりません。

公正証書遺言は、内容の公平性や妥当性を保証する制度ではありません。

④遺言書の形式で効力にちがいはない

公正証書遺言は、安心確実です。

公証人が関与するから、無効になりにくいからです。

有効な遺言書であれば、他の形式の遺言書と同じ効力です。

例えば、有効な自筆証書遺言と有効な公正証書遺言は、同じ効力です。

公正証書遺言が強い効力があると言ったことはありません。

2遺留分は相続人の最低限の権利

①配偶者・子ども・親などの直系尊属に遺留分が認められる

遺言書を作成して、自分の財産をだれに引き継がせるか自由に決めることができます。

被相続人の名義になっていても、ひとりで築いた財産ではないでしょう。

家族の協力があってこそ、築くことができたはずです。

被相続人の名義になっていても、無制約の自由にすることはできません。

今まで協力してきた家族に、酷な結果となるからです。

被相続人に近い関係の相続人には、最低限の権利が認められています。

遺留分とは、相続人に認められる最低限の権利です。

配偶者・子ども・親などの直系尊属に、遺留分が認めらます。

②相続人廃除は非常にハードルが高い

相続人廃除とは、被相続人の意思で相続人の資格を奪う制度です。

相続人の資格を奪うとは、実質的には、遺留分を奪うことです。

相続人廃除は、次の理由があるときに認められます。

・相続人が重大な侮辱をした

・暴力を振るうなどの虐待をした

・重大な非行があった

家庭裁判所に申立てをしたうえで、家庭裁判所が慎重に判断します。

家庭裁判所に廃除を認めてもらうためには、廃除の根拠になる客観的証拠が不可欠です。

相続人廃除は、非常にハードルが高い手続です。

③遺留分放棄は厳格な条件で家庭裁判所の許可

相続人が希望すれば、遺留分を放棄することができます。

相続が発生する前に遺留分放棄を希望する場合、家庭裁判所の許可が必要です。

家庭裁判所は、非常に厳格な条件を満たしたときだけ許可をします。

家庭裁判所が認める条件は、次のとおりです。

条件(1)放棄が自由な意思で行われていること

精神的に追い詰められていないか親族などから圧力をかけられていないか、慎重に判断します。

少しでも強制された疑いがあれば、遺留分放棄は許可されません。

条件(2)放棄の理由が合理的であること

家庭裁判所は、遺留分放棄の理由を重視します。

合理的とは、遺留分放棄に見合う充分な財産を受け取っていることです。

被相続人から頼まれたから他の相続人とトラブルになりたくないからなどは、不充分です。

条件(3)遺留分放棄で不当な不利益をうけないこと

家庭裁判所は、遺留分放棄をする人の生活状況を確認します。

遺留分放棄によって生活が破綻する可能性がある場合、遺留分放棄は許可されません。

④遺留分侵害額請求がされないのは充分な財産を受けているケースだけ

遺留分侵害額請求は、最低限の権利を回復する救済手段です。

一方的に、遺留分を奪うことはできません。

遺留分侵害額請求がされないのは、充分な財産を受けているケースだけです。

3公正証書遺言があっても遺留分侵害額請求

①遺留分を侵害しても遺言書は有効

遺言書を作成して、財産をだれに引き継ぐか自由に決めることができます。

さまざまな家族の事情から、大きく偏った内容であるかもしれません。

一部の相続人の遺留分を侵害するような内容であっても、遺言書は無効になりません。

②遺言書作成だけで遺留分は奪えない

遺留分は、相続人に認められた最低限の権利です。

相続人の遺留分を奪う手続は、相続人廃除です。

遺言書を作成するだけで、相続人の遺留分を奪うことはできません。

③遺留分は後から請求する権利

遺留分は、遺言書の内容を無効にする権利ではありません。

遺留分を侵害する遺言書を作成しても、遺言書は無効になりません。

遺留分は、後から請求する権利です。

配分された財産が遺留分に満たない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

公正証書遺言があっても、遺留分侵害額請求で救済を受けることができます。

相続人に認められた最低限の権利だからです。

④遺留分侵害額請求は救済手段

遺留分は、相続人に認められた最低限の権利です。

遺言書を作成するだけで、相続人の遺留分を奪うことはできません。

配分された財産が遺留分に満たない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分侵害額請求とは、相続人に認められた最低限の権利を回復する救済手段です。

公正証書遺言があっても、救済を受けることができます。

⑤持戻しの免除をしても遺留分侵害額請求

一部の相続人だけが被相続人から特別に利益を受けていることがあります。

一部の相続人だけが特別に利益を受けているのに、相続財産をそのまま分けるのは不公平です。

特別に受けた利益を相続財産に算入して、遺産分割をします。

持戻しとは、特別に受けた利益を相続財産に算入して遺産分割をすることです。

被相続人の意思で、持戻しの免除をすることができます。

持戻しの免除があると、特別に受けた利益を相続財産に算入せずに遺産分割をします。

遺留分を計算するとき、持戻しの免除をしても特別に受けた利益を相続財産に算入します。

持戻しの免除で、相続人の遺留分を一方的に奪うことになるからです。

持戻しの免除をしても、遺留分侵害額請求をすることができます。

⑥付言事項に法律上の効力はない

遺言書に、法律上意味がない事項を書くことができます。

付言事項とは、法律上意味がない事項です。

遺留分侵害額請求をしないようにと、遺言書に書いてあることがあります。

遺留分侵害額請求の自粛を書いても、付言事項と考えられます。

遺留分侵害額請求をしないように書いても、法律上の意味はありません。

遺言書を作成するだけで、相続人の遺留分を奪うことはできないからです。

遺言書に遺留分侵害額請求をしないように書いてあっても、遺留分侵害額請求をすることができます。

⑦遺留分侵害額請求の手順

手順(1)遺留分権利者であることの確認

手順(2)遺留分侵害額の計算

手順(3)遺留分侵害額請求の意思表示

遺留分侵害額請求には、法律上、次の期限があります。

・相続開始と侵害を知ってから1年

・相続開始から10年

手順(4)相手方と交渉

手順(5)遺留分侵害額調停の申立て

手順(6)遺留分侵害額請求訴訟を提起

4遺留分侵害額請求は拒否できない

①遺留分侵害額請求は金銭で請求する

遺留分が侵害されたら、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分侵害額請求をするときは、遺留分に相当する金銭を請求します。

②遺留分侵害額請求を無視すると裁判手続

正当な遺留分侵害額請求は、拒否できません。

正当な遺留分侵害額請求する手段は、法律上存在しません。

遺留分侵害額請求は、相手方の同意は必要ありません。

公正証書遺言があるから払いたくないなどの理由は、認められません。

遺留分侵害額請求を無視すると、裁判手続に移行します。

最終的には、遺留分侵害額請求訴訟で遺留分を回復します。

5遺言書作成段階で遺留分に配慮すべき

①家庭裁判所は金銭調整しかできない

遺留分の回復を求めて、家庭裁判所に持ち込まれることがあります。

家庭裁判所は、金銭による調整しかできません。

遺留分侵害額請求が家庭裁判所に持ち込まれたら、家族の絆は壊滅的に破壊されてしまいます。

家庭裁判所は、家族の絆や家族間の信頼関係を回復することはできません。

最低限の権利が回復されても、家族間の関係性は壊れたままになります。

②遺言者が遺留分に配慮すべき

遺留分侵害額請求が家庭裁判所に持ち込まれるのは、遺留分に配慮しない配分がされたときです。

家庭裁判所に持ち込まれるより、遺言者が遺留分に充分な配慮をするのが望ましい設計です。

遺言者が遺留分に充分な配慮をすれば、家族の絆が破壊されることは防げるからです。

③遺留分に配慮してスムーズな遺産分割を実現する

遺留分に充分な配慮をすると、相続人間のトラブルを最小限に抑えることができます。

配慮された財産分配で、遺留分侵害額請求自体を回避することができます。

遺留分が確保されることで、財産の分配が公平であることを示すことができます。

6遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

自筆証書遺言の多くは、専門家のサポートなしで一人で作ります。

その結果、遺言書の厳格な書き方ルールが守られておらず、無効になってしまいます。

形式的な書き方ルールは守られていても、内容があいまいで遺言書を実現できないことも多々あります。

さらに、相続人の遺留分に配慮されておらず、トラブルに発展する例もあります。

せっかく遺言書を作るのなら確実な公正証書遺言をおすすめします。

司法書士などの専門家は相続人になる予定の人の遺留分にも配慮して、遺言書文案作成から公正証書遺言作成、遺言執行までトータルでサポートします。

司法書士からトータルでサポートを受けると、遺言者は確実な遺言を遺せるので安心できるでしょう。

相続発生後も、相続人は面倒な相続手続から解放されます。

遺言者も家族も安心できる公正証書遺言作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

遺言書を見せてくれないときの対処法

2026-02-22

1遺言者が遺言書を見せてくれない

①遺言者の生存中は遺言書に効力がない

被相続人は、自分の財産を自由に処分することができます。

被相続人は、遺言書を作成して自分の財産を自由に引き継いでもらうことができます。

遺言書を作成したと聞いたら、内容が気になることでしょう。

遺言書を作成しても、遺言者の生存中は効力がありません。

遺言書の効力が発生するのは、遺言者が死亡したときだからです。

②遺言者は遺言書を書き直しができる

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

遺言者の最終の意思が優先されます。

遺言者は、遺言書を書き直すことができます。

遺言書を作成した後に、事情が変わることがあるからです。

財産の状況が変わる場合、書き直しが必要になるでしょう。

新たに誕生した孫や曽孫に、財産を譲りたくなるかもしれません。

財産を相続させる予定だった相続人が先に死亡することがあります。

遺言書は、何度でも書き直しができます。

複数の遺言書がある場合で、内容が両立しない場合、日付の新しい遺言書が有効になります。

相続人らと遺言書の書き直しはしないと約束しても、無効の約束です。

遺言書を書き直しするにあたって、相続人などの同意を受けなければならないと言ったルールはありません。

③遺言者は見せる義務はない

遺言書を作成したと言うのに、遺言書を見せてくれないことがあります。

たとえ、相続人になる予定の人であっても秘密にしておきたい内容があるでしょう。

遺言者の生存中、遺言書を見ることはできません。

遺言書を書き直しした場合、相続人などに報告する必要はありません。

遺言書は遺言者がひとりで作成できるから、ひとりで書き直しをすることができます。

遺言者本人は、他の人に遺言書を見せる義務はありません。

遺言者が見せてくれない場合、相続が発生するまで見ることはできません。

2相続開始後に公正証書遺言を見せてくれないときの対処法

①公正証書遺言は公証役場で厳重保管

公正証書遺言は、遺言内容を公証人に取りまとめてもらって作る遺言書です。

証人2人に確認してもらって作成します。

公正証書遺言を作成した後、原本は公証役場で厳重保管されます。

公正証書遺言を作成した場合、遺言書の正本と謄本が渡されます。

正本や謄本を紛失しても、原本は公証役場で厳重保管されています。

公正証書遺言原本は公証役場に厳重保管されるから、紛失や改ざんの心配がありません。

②公証役場で検索ができる

公正証書遺言を作った場合、公証役場はデータを管理しています。

公証役場で遺言の有無を調べてもらうことができます。

昭和64年1月1日以降に作った公正証書遺言、秘密証書遺言が対象です。

コンピューターに登録されているのは、次の事項です。

・遺言した人の名前

・公証人の名前

・公証役場の名前

・遺言書を作った日

調べてもらうための手数料は、無料です。

全国どこの公証役場でも、調べてもらうことができます。

まずは近くの公証役場に出向いて、調べてもらいましょう。

郵便で調べてもらうように、請求することはできません。

遺言者が生存中は、遺言者本人と遺言者本人の代理人だけが調べてもらうことができます。

たとえ、家族の人が調べてもらおうとしても、答えてもらえません。

③公証役場で謄本請求ができる

遺言書の有無は、近くの公証役場で検索してもらうことができます。

公証役場のコンピューターで公正証書遺言があると分かった場合でも、内容については教えてもらえません。

公正証書遺言原本は、遺言書を作成した公証役場で厳重保管されています。

遺言書を作成した公証役場に対して、謄本を請求することができます。

謄本を見ると、遺言書の内容を知ることができます。

遺言者が生存中は、遺言者本人と遺言者本人の代理人だけが請求することができます。

たとえ、家族の人が請求しても、答えてもらえません。

遺言者の死亡後は、法律上の利害関係がある人だけが請求できます。

遺言者の相続人は、利害関係がある人です。

謄本を請求する場合、所定の手数料がかかります。

3相続開始後に自筆証書遺言を見せてくれないときの対処法

①自筆証書遺言は家庭裁判所に提出

相続が発生した後に遺品整理をしていると、自筆証書遺言が見つかることがあります。

自筆証書遺言を見つけた人や預かっていた人は、家庭裁判所に提出する必要があります。

遺言書を家庭裁判所に届出ることを遺言書検認の申立てと言います。

遺言書検認の申立てを受け付けたら、家庭裁判所は相続人全員を家庭裁判所に呼び出します。

封筒に入って封がされている遺言書は、相続人立会いで家庭裁判所で開封してもらいます。

勝手に開封すると、5万円以下のペナルテイーになるおそれがあります。

遺言書であることに気づかず開封してしまっても、遺言書は無効になりません。

慌てて小細工をせずに、正直にそのまま提出します。

②検認調書が作成される

遺言書の検認とは、家庭裁判所で遺言書の状態を確認してもらう手続です。

遺言書の有効無効を確認する手続ではありません。

検認手続では、遺言書のの状態や形、書き直しや訂正箇所、日付や署名がどうなっているか裁判所が確認します。

確認した内容は、検認調書に取りまとめられます。

検認期日以降に遺言の改ざんや変造があった場合、検認調書と照らし合わせて確認することができます。

検認調書を見ると分かってしまうから、改ざんや変造を予防することができます。

遺言書の検認手続は、遺言書の改ざんや変造を予防する手続です。

遺言書の検認手続で、検認調書が作成されます。

③検認調書の謄本請求ができる

遺言書検認の申立てを受け付けたら、家庭裁判所は相続人全員を家庭裁判所に呼び出します。

遺言書があることを相続人に知らせ、立会の機会を与えるためです。

遺言書の検認期日に呼び出しがあった場合、申立人以外の人は欠席して差し支えありません。

検認期日に出席しても欠席しても、財産を相続できなくなることはありません。

検認期日に出席すれば、遺言書の内容を見ることができるでしょう。

検認期日に欠席しても、検認調書の謄本を請求することができます。

検認調書には、提出された遺言書のコピーが付いています。

検認調書の謄本請求で、遺言書の内容を知ることができます。

④検認をしないと相続手続ができない

検認を受けても受けなくても、遺言書の効果に変わりはありません。

検認を受けても受けなくても、無効の遺言書は無効です。

検認を受けても受けなくても、有効の遺言書は有効です。

検認は遺言書の状態を確認してもらうことであって、遺言書が有効か無効かを判断してもらうことではないからです。

検認を受けても受けなくても遺言書の効果は変わりませんが、検認を受けていない遺言書で相続手続はできません。

検認の後、検認済証明書の交付を申請しましょう。

遺言書と検認済証明書を一緒にして、相続手続を行います。

⑤検認を怠ると欠格のおそれ

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

同時に、民法では相続人になれない人も決められています。

例えば、被相続人を殺した人が相続することは社会感情からみても許せない、相続する人としてふさわしくないということは納得できるでしょう。

相続人としてふさわしくない人の相続資格を奪う制度を相続欠格と言います。

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

相続人としても、遺言者の意思を実現させてあげたいでしょう。

相続人が遺言書を隠匿して不当な利益を得ようとする場合、相続する人としてふさわしくないと言えます。

自筆証書遺言を見つけた人は、家庭裁判所に提出して検認を受けなければなりません。

遺言書の検認を怠ると、遺言書の隠匿にあたると判断されるおそれがあります。

遺言書の内容が自分に不利な内容である場合、不当な利益を得ようとしたと言えるでしょう。

他の相続人が遺留分侵害額請求をするのを避ける目的がある場合、不当な利益を得ようとしたと言えるでしょう。

不当な利益を得る目的で遺言書を隠匿した場合、相続欠格になるおそれがあります。

4法務局保管の自筆証書遺言を見せてくれないときの対処法

①法務局保管の自筆証書遺言は検認不要

自筆証書遺言を作成した後、自分で保管するのが原則です。

自筆証書遺言は、保管場所に困ります。

遺言書の保管場所を家族と共有していないと、相続が発生した後に遺言書を見つけてもらえないかもしれません。

遺言書の保管場所を家族と共有していると、遺言書を破棄されたり改ざんされたりする心配があります。

自筆証書遺言を法務局に提出して、保管してもらうことができます。

法務局で保管してもらっている自筆証書遺言は、家庭裁判所の検認手続が不要です。

法務局保管の自筆証書遺言は、法務局で厳重保管されているからです。

②自筆証書保管事実証明書の交付請求ができる

自筆証書遺言を預かった場合、法務局はデータを管理しています。

法務局で遺言の有無を調べてもらうことができます。

遺言の有無を調べてもらうことができる法務局は、遺言書保管事務を扱っている法務局のみです。

名古屋市内であれば、名古屋法務局本局のみです。

熱田出張所や名東出張所では、遺言の有無を調べてもらうことができません。

遺言書保管事務を扱っている法務局は、法務局のホームページで調べることができます。

遺言書保管事務を扱っている法務局であれば、日本中どこの法務局でも請求することができます。

自筆証書遺言を預かっているか調べてもらうことを、遺言書保管事実証明書の交付請求と言います。

遺言者が生存中は、たとえ家族であっても交付請求をすることはできません。

遺言書保管事実証明書の交付請求には、所定の手数料がかかります。

郵送で請求する場合は、返信用の切手と封筒を添付します。

遺言者が自筆証書遺言を法務局に預けたとき、法務局は保管証を渡します。

保管証があれば、遺言書保管事実証明書の交付請求を省略することができます。

③遺言書情報証明書の交付請求ができる

遺言をした人が預けた遺言書は、預けた本人以外には返してはもらえません。

遺言をした遺言者本人が死亡した後は、相続人であっても返還されません。

その代わりに、遺言書の画像を印刷して交付するように請求することができます。

遺言書の画像を印刷して交付するように請求することを遺言書情報証明書の交付請求と言います。

遺言書情報証明書を見ると、遺言書の内容を知ることができます。

相続手続では、遺言書原本の代わりとして使うことができます。

相続人が遺言書情報証明書を受け取ったら、法務局から他の相続人全員に対して、遺言書を預かっていることが通知されます。

5遺言執行者には遺言書の開示義務がある

遺言書は作成するだけでは意味がありません。

遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書の内容を実現するために、必要な権限が与えられます。

遺言執行者が職務を開始した場合、相続人に遺言書の内容を通知をする義務があります。

遺言執行者がいる場合、遺言書の開示を求めることができます。

遺言書の内容によっては、相続人の遺留分が侵害されていることがあるでしょう。

遺留分侵害額請求をする機会を与えるためにも、遺言書の内容を知らせることは重要です。

遺言執行者には、遺言書の開示義務があります。

6遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書がある場合、相続財産について、相続人全員で、分け方を合意する必要はありません。

もっともトラブルになりやすい遺産分割協議で、相続人全員で合意をしなくていいのは大きなメリットです。

せっかく遺言書を作成しても、遺族に見つけてもらえなければ意味がありません。

同時に、死亡する前に自分に都合の悪い遺言書を隠したり捨ててしまったりする心配があります。

さらに、遺言書には厳格な書き方ルールがあります。

ルールが守られていない遺言書は無効になります。

書き方のルールは守られていても、内容があいまいだったり、不適切であったために、実現できない遺言書も少なくありません。

せっかく遺言書を書くのであれば、家族を幸せにできる遺言書を確実に作りましょう。

司法書士は確実な遺言書を作るお手伝いをします。

家族のために適切で確実な遺言書を作りたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

« Older Entries Newer Entries »

keyboard_arrow_up

0527667079 問い合わせバナー 事前相談予約