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相続登記用の遺産分割協議書を自分で作成
1遺産分割協議書とは
2人以上相続人がいる場合や遺言書がない場合は、遺産の分け方について相続人全員で話し合いをする必要があります。
相続人全員で話し合いのことを遺産分割協議といいます。
話し合いの合意内容を取りまとめた文書を遺産分割協議書といいます。
遺産分割協議は、相続人全員の合意が不可欠です。
相続人全員の合意の証明として、遺産分割協議書は相続人全員が実印で押印し、印鑑証明書を添付します。
相続登記では遺産分割協議書が必要な場合と必要ない場合があります。
次の場合は、遺産分割協議書が必要ありません。
①相続人がひとりだけの場合
他の相続人が相続放棄をした結果、相続人がひとりになった場合を含みます。
②遺言書があるため相続人全員による合意が必要ない場合
遺言書があれば遺言書のとおり分ければ済みます。
③法定相続をする場合
相続人全員で法定相続分で共有する相続です。
不動産を共有することになりますから、デメリットが大きくあまりおすすめできません。
④遺産分割調停の場合
相続人全員の話し合いで合意ができない場合、家庭裁判所の助力を借ります。
家庭裁判所が作成する調停調書で相続登記をします。
相続登記用の遺産分割協議書は、客観的に適切に作成されていないと相続登記ができなくなります。
遺産分割協議書は相続人のひとりが作成しても差し支えありませんが、相続登記と一緒に専門家に依頼する方が安心です。
2相続登記用の遺産分割協議書の書き方と注意点
①被相続人を特定する書き方
被相続人の最後の本籍、被相続人の最後の住所、被相続人のの氏名、被相続人の生年月日、被相続人の死亡日を記載します。
相続が発生した後、相続手続のために戸籍謄本や住民票を集めているでしょう。
戸籍謄本や住民票の記載どおりに、一字一句間違いなく記載しましょう。
記載例
被相続人の最後の本籍 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番地
被相続人の最後の住所 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号
被相続人のの氏名 〇〇 〇〇
被相続人の生年月日 昭和〇〇年〇〇月〇〇日
被相続人の死亡日 令和〇〇年〇〇月〇〇日
共同相続人である私たちは、上記の相続について、下記のとおり遺産分割の協議をした。
②相続登記用の遺産分割協議書は不動産のみ記載でよい
合意の対象となった不動産を特定できるように記載します。
「自宅」などの記載は客観的に特定できるとは言えません。
家族にとっては自宅は当然のことですが、法務局など第三者にとっては自宅はどこにあるどの不動産なのか分からないからです。
不動産の所在は自宅住所と異なることが多いので、登記簿謄本を書き写しましょう。
固定資産税の課税明細書は、登記簿謄本と異なる表記がされていることや内容が省略されている場合があります。
登記簿謄本と異なる表記の場合、相続登記が認められない可能性があります。
登記簿謄本の記載を見て、書き写します。
財産すべてを1通の遺産分割協議書で作成することが多いですが、財産ごとに分けて作っても差し支えありません。
相続登記用の遺産分割協議書は、不動産だけ書いて預貯金などは別に作ることも多いものです。
たくさんの不動産がある場合、法務局の管轄ごとに別に作成することもあります。
それぞれの遺産分割協議書に添付書類を用意すれば、同時に相続登記を進めることができるからです。
(1)土地の記載例
所在 ○○市○○町○丁目
地番 ○番○
地目 宅地
地積 200㎡
(2)建物の記載例
所在 ○○市○○町○丁目
家屋番号 ○番○
種類 居宅
構造 木造瓦葺2階建
床面積 1階 50.00㎡ 2階 50.00㎡
(3)敷地権のあるマンションの記載例
(土地の表示)
所在 ○○市○○町○丁目
地番 ○番○
地目 宅地
地積 ○○○.○○㎡
持分 ○○○○○○分の○○○○○○(敷地権の割合)
(一棟の建物の表示)
所在 ○○市○○町○丁目○番地○
構造 鉄筋コンクリート造陸屋根3階建
床面積 1階 ○○○.○○㎡
2階 ○○○.○○㎡
3階 ○○○.○○㎡
(専有部分の建物の表示)
家屋番号 ○○町○丁目○番○の○
建物の名称 ○○○○マンション
種類 居宅
構造 鉄筋コンクリート造1階建
床面積 ○階部分 ○○.○○㎡
(4)被相続人が共有持分を持っていたときの記載例
所在 ○○市○○町○丁目
地番 ○番○
地目 宅地
地積 200㎡
持分 ○分の ○
③日付を記載する
相続が発生した日以降であれば、いつでも差し支えありません。
遺産分割協議はいつまでにやらなければならないといった期限はないからです。
④相続人全員の記名と実印で押印する
遺産分割協議は、相続人全員の合意が不可欠です。
話し合いの合意内容を取りまとめた文書が、遺産分割協議書です。
相続人全員が合意したことの証明として、遺産分割協議書に記名し、実印で押印をします。
本人が合意したことの証として、署名した方がよりいいでしょう。
記名でも署名でも、どちらでも問題ありません。
住所と氏名は印鑑証明書の記載どおり、一字一句間違いなく記入します。
遺産分割協議書は実印で押印します。
実印がない人は、あらかじめ印鑑登録をしなければなりません。
印鑑証明書を添付しない場合や印鑑証明書の印影と異なる印影の押印の場合、相続登記は認められません。
未成年者が相続人である場合、自分で相続財産の分け方の合意ができません。
未成年者は物事のメリットデメリットを充分に判断することができないからです。
合意ができないから、遺産分割協議書に記名押印をしても無効です。
未成年者は契約などの法律行為をする場合、親などの親権者が代理をします。
遺産分割協議は法律行為だから、親などの親権者が代理をするのが原則です。
親などの親権者が代理できる場合、遺産分割協議書には未成年者に代わって親などの親権者が記名押印をします。
未成年者と親などの親権者が2人とも相続人である場合、親などの親権者は未成年者を代理することはできません。
一方がソンすると他方がソンする関係になるからです。
一方がソンすると他方がソンする関係のことを、利益相反と言います。
利益相反になる場合、親などの親権者は未成年者を代理できません。
親などの親権者に代わって遺産分割協議をしてもらう人を選任してもらう必要があります。
親などの親権者に代わって遺産分割協議をしてもらう人を特別代理人と言います。
親などの親権者が代理できない場合、遺産分割協議書には未成年者に代わって特別代理人が記名押印をします。
⑤複数ページになるときは相続人全員の契印が必要
遺産分割協議書が複数ページにわたる場合には、相続人全員が実印で契印を施します。
袋とじにして、相続人全員が実印で契印を施しても構いません。
⑥印鑑証明書に有効期限はない
遺産分割協議書には、印鑑証明書を添付します。
印鑑証明書に有効期限はありません。
以前に取得したものがある場合、古い印鑑証明書を使うことができます。
古い印鑑証明書を添付する場合、印鑑証明書の住所や氏名と遺産分割協議書の氏名や住所が異なる場合があります。
氏名や住所が異なる場合、氏名や住所の移り変わりを証明する必要があります。
3遺産分割協議書は原本還付をしてもらうことができる
相続登記のために提出した遺産分割協議書や印鑑証明書などの添付書類は、手続をすれば原本を返してもらうことができます。
登記申請をする際に、返してもらいたい書類をコピーし、コピーに「原本に相違ありません」と記載して申請人が記名押印をします。
「原本に相違ありません」と記載して申請人が記名押印する場合は、認印で構いません。
「原本に相違ありません」と記載する余白がない場合は、コピーの裏に記載することができます。
4遺産分割協議証明書でも相続登記ができる
遺産分割協議書も遺産分割証明書も、相続人全員の話し合いの合意内容を取りまとめた文書です。
遺産分割協議書は、相続人全員が連名で記名押印する形式の文書です。
遺産分割協議証明書は、相続人全員の人数分の同じ書類を作り各自が記名押印する形式の文書です。
相続人の人数が少なく集まりやすい場合、遺産分割協議書で記名押印するといいでしょう。
相続人の人数が多く全国各地に住んでいて集まりにくい場合、相続人全員が連名で記名押印する形式では不便です。
各相続人が遺産分割証明書に記名押印して相続人全員の分が集まったら、相続人全員の合意を証明できます。
遺産分割協議書と遺産分割協議証明書は、同じ効力を持つものとして相続登記で提出することができます。
5遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット
遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。
合意がきちんと文書になっているからこそトラブルが防止できるといえます。
書き方に不備があるとトラブルを起こしてしまう危険があります。
せっかくお話合いによる合意ができたのに、取りまとめた文書の不備でトラブルになるのは残念なことです。
トラブルを防止するため、遺産分割協議書を作成したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
相続放棄しても入院費介護費の支払
1相続の承認と相続放棄
相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も相続人が受け継ぎます。
相続財産というとプラスの財産だけイメージしがちですが、マイナスの財産も含まれます。
マイナスの財産が多い場合、相続放棄をすることができます。
法律で定められた一定の条件にあてはまるときは、単純承認したとみなされます。
単純承認とは、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継ぐものです。
単純承認とみなされたら、相続放棄はできません。
相続放棄はできないのに、家庭裁判所に相続放棄の手続をして、相続放棄が認められても無効です。
家庭裁判所が事情を分からずに相続放棄を認めてしまっても、後から無効になります。
単純承認したとみなされる行為は、法律で定められています。
相続財産を処分した場合、単純承認したとみなされます。
相続財産の名義変更をした、相続財産である銀行の預貯金を引き出して使ってしまった場合が典型的です。
単に、引き出しただけであれば、処分とは言えないことが多いでしょう。
引き出したうえ、自分の口座に送金して保管すると、「処分した」と評価される可能性が高くなります。
相続財産の分け方について、相続人全員で合意をした場合も、相続財産を「処分した」場合に当たります。
2相続放棄をした後の入院費や介護費の支払
①相続放棄をした場合、被相続人の債務は支払不要
相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの遺産もマイナスの遺産も相続人が受け継ぎます。
被相続人のプラスの遺産もマイナスの遺産も受け継がないことを相続の放棄といいます。
相続放棄をすると、プラスの遺産を引き継がなくなりますが、マイナスの遺産も引き継ぐことがなくなります。
病院や介護施設から本人の相続人として入院費や介護費の支払を請求してきた場合、支払いを拒むことができます。
②相続人が連帯保証人の場合、連帯保証人として支払が必要
病院に入院する場合や介護施設に入所する場合、入院契約や入所契約をします。
契約を締結した場合、入院費や介護費が発生します。
これらの費用をきちんと払ってもらえるか心配なので、払ってもらえないとき肩代わりをする連帯保証人を立ててもらいます。
肩代わりの人は、多くの場合、被相続人の家族でしょう。
病院や介護施設と本人の家族は、入院費や介護費の肩代わりの約束をします。
入院費や介護費の肩代わりの約束のことを、連帯保証契約と言います。
入院契約や入所契約は、病院や介護施設と本人の契約です。
連帯保証契約は、病院や介護施設と本人の家族の契約です。
入院契約や入所契約と連帯保証契約は、当事者が異なるまったく別の契約です。
病院や介護施設は本人の入院費や介護費を、通常、本人の相続人に請求します。
相続人は相続放棄をしたことを理由として、支払いをしてくれません。
支払いをしてもらえないときに備えて、肩代わりの人を立ててもらっています。
相続人に支払いをしてもらえないから、肩代わりの人に請求をします。
連帯保証契約に基づく肩代わりの義務は、本人の家族の固有の義務です。
相続が発生しても、連帯保証契約は影響を受けません。
相続とは無関係だから、相続放棄をしても相続放棄をしなくても、肩代わりの義務はなくなりません。
病院や介護施設から連帯保証人として入院費や介護費の支払を請求してきた場合、支払いを拒むことができません。
③入院費や介護費を支払いたい場合、固有の財産から支払うのが安全
相続放棄が認められた場合、本人の債務を引き継ぐことはありません。
入院や入所のときに、連帯保証人になっていなければ本人の債務を支払う必要はありません。
債務の支払義務はなくても、お世話になった病院や施設だから、本人の入院費や介護費を支払いたい場合があります。
相続財産を処分した場合、単純承認したとみなされます。
本人の預貯金で入院費や介護費の支払をした場合、相続財産を処分したと判断されるおそれがあります。
相続財産を処分した場合であっても、保存行為にあたる場合は、単純承認したとみなされません。
期限到来後の入院費や介護費であれば、本人の預貯金から支払をしても単純承認にあたらないという意見があります。
本人に莫大な借金がある場合、債権者は単純承認をしたと言って取立をしてくるおそれがあります。
あえてトラブルに巻き込まれる危険を冒す必要はありません。
相続人の固有の財産から支払をした場合、相続財産を処分したと言われることはありません。
お世話になった病院や施設だから、本人の入院費や介護費を支払いたい場合、相続人の固有の財産から支払をすることをおすすめします。
3生命保険は受け取れるものと受け取れないものがある
入院費や介護費の支払は高額になりがちです。
将来の備えとして、被相続人が生命保険に加入している場合があります。
①生命保険の死亡保険金は受け取れる
相続が発生したときは、被相続人が死亡したときですから、被相続人に生命保険がかけてあれば、保険金が支払われます。
原則として、生命保険の死亡保険金は、受取人の固有の財産です。
受取人として「相続人」と指定してある場合であっても、相続放棄した人が受け取ることができます。
生命保険の死亡保険金は、相続財産ではありません。
相続財産ではないのに、相続税の課税対象になります。
相続税の課税対象になるから相続財産であると誤解している人は多いです。
家庭裁判所で相続放棄の手続をした人も、生命保険の死亡保険金は受け取ることができます。
生命保険の死亡保険金を病院に支払った場合、単純承認になりません。
生命保険の死亡保険金は被相続人の相続財産でないから、相続放棄とは関係がないからです。
②生命保険の入院給付金は受け取れない
生命保険の中には死亡保険金以外の給付金を重視した設計の商品があります。
入院給付金や手術一時金がその代表例です。
入院給付金の受取人は、被相続人が指定されているでしょう。
入院給付金は相続財産になります。
相続放棄をしたのに入院給付金を受け取ったら、単純承認したとみなされます。
生命保険の入院給付金を病院に支払った場合、単純承認になります。
給付金を受け取ったから、支払いができたからです。
4健康保険の高額療養費を受け取れる場合と受け取れない場合がある
①協会けんぽ、健康保険組合、共済の場合
健康保険の高額療養費は、被保険者に支給されます。
被相続人が被扶養家族の場合、高額療養費を請求し給付金を受け取ることができるのは、健康保険の本人である被保険者です。
健康保険の本人である被保険者の資格で受け取りますから、相続放棄は有効です。
被相続人が扶養家族でなく被保険者本人の場合、高額療養費の給付金は相続財産になります。
被相続人が被保険者本人の場合で、かつ、高額療養費を請求し給付金を受け取った場合、相続放棄は無効です。
②国民健康保険の場合
健康保険の高額療養費は、世帯主に支給されます。
被相続人が世帯主でない場合で、かつ、高額療養費を請求し給付金を受け取った場合、相続放棄は有効です。
被相続人が世帯主の場合、高額療養費の給付金は相続財産になります。
被相続人が世帯主の場合で、かつ、高額療養費を請求し給付金を受け取った場合、相続放棄は無効です。
③限度額認定証がおすすめ
健康保険の高額療養費は、高額な医療費を払ったときに後から現金で払い戻しを受ける制度です。
限度額認定証は、病院から高額療養費分を差し引いて請求してもらう制度です。
病院への支払いが少なく済むうえ、後から高額療養費の請求する必要がなくなります。
入院など医療費が高額になる見込みの場合、限度額認定証を発行してもらうといいでしょう。
高額療養費を受け取ることがないから、相続放棄が無効になる心配がなくなります。
5相続放棄を司法書士に依頼するメリット
実は、相続放棄はその相続でチャンスは1回限りです。
家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続を取ることはできますが、高等裁判所の手続で、2週間以内に申立てが必要になります。
家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。
一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。
相続放棄は撤回ができないので、慎重に判断する必要があります。
せっかく、相続放棄が認められても、相続財産を処分した判断されたら無効になりかねません。
このような行為をしてしまわないように、予め知識を付けておく必要があります。
相続放棄を自分で手続きしたい人の中には、相続放棄が無効になることまで考えていない場合が多いです。
司法書士は、相続放棄が無効にならないようにサポートしています。
せっかく手続しても、相続放棄が無効になったら意味がありません。
相続放棄を考えている方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
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遺言執行者が相続登記
1遺言執行者が遺言書の内容を実現してくれる
遺言書は遺言者の意思を示したものです。
遺言書を書いただけでは、意味がありません。
遺言書を書いただけで、自動的に遺言内容が実現するわけではないからです。
遺言書の内容を実現する人が遺言執行者です。
遺言執行者の職務は、遺言書の内容を実現することです。
相続が開始したら、膨大な手続があります。
手続きする先は、銀行などの金融機関や役所、法務局、家庭裁判所などです。
いずれも、平日の昼間しか手続できません。
相続人は遺言の内容を見たら、被相続人の意思を尊重し、実現してあげたいと思うでしょう。
相続人にとって不利な内容になっている場合、遺言の実現に協力してくれないこともあります。
協力してくれない場合に備えて、遺言執行者を選任しておくことが有効です。
遺言執行者は遺言の内容を実現するために、必要な行為をする権限があります。
協力しない相続人が遺言執行を妨害した場合、原則として、妨害行為は無効になります。
遺言執行者はいてもいなくても、遺言書の効力に違いはありません。
遺言執行者がいると、確実に遺言者の意思を実現してもらえますから、安心です。
2遺言執行者は相続登記ができる
「不動産〇〇を相続人〇〇に相続させる。」
被相続人が上記のような遺言書を作成している場合があります。
特定の財産を特定の相続人に相続させる遺言です。
特定の財産を特定の相続人に相続させる遺言のことを、特定財産承継遺言と言います。
特定財産承継遺言がある場合、遺産分割協議は必要ありません。
相続が発生した時に、その財産はその相続人に帰属するからです。
財産がその相続人に帰属する場合でも、自動で相続登記がされることはありません。
相続登記は法務局に対して申請が必要だからです。
特定財産承継遺言がある場合、遺言執行者は相続手続をすることができます。
遺言執行者は相続手続のひとつとして、相続登記をすることができます。
遺言執行者が相続登記をすることができるのは、令和元年7月1日以降作成の遺言書に限られます。
遺言執行者がいる場合でも、相続人は自分で相続登記をすることができます。
遺言執行者が相続登記を申請することができるから、遺言執行者から司法書士などの専門家に相続登記を依頼することができます。
司法書士などの専門家に相続登記を依頼する場合、遺言執行者が委任状に記名押印をします。
3遺言執行者は遺贈の登記ができる
「不動産□□を□□に遺贈する。」
被相続人が上記のような遺言書を作成している場合があります。
遺贈とは、被相続人が遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげることです。
相続では、法定相続人だけに譲ってあげることができます。
遺贈では、法定相続人に譲ってあげることもできるし、相続人以外の人に譲ってあげることができます。
譲ってもらう人は自然人でもいいし、法人などの団体でも差し支えありません。
遺言書に「遺贈する」とあれば、譲ってもらう人が相続人であっても相続人以外の人でも、遺贈で手続します。
遺贈には、2種類あります。
特定遺贈と包括遺贈です。
特定遺贈とは、遺言書に「財産〇〇〇〇を遺贈する」と財産を具体的に書いてある場合です。
包括遺贈とは、遺言書に「財産すべてを包括遺贈する」「財産の2分の1を包括遺贈する」と割合だけ書いて財産を具体的に書いてない場合です。
特定遺贈では、受け継ぐ財産が具体的に特定されています。
具体的に特定されているから、特定遺贈では遺産分割協議は必要ありません。
相続が発生した時に、その財産は遺贈を受け取る人に帰属するからです。
財産が遺贈を受け取る人に帰属する場合でも、自動で遺贈の登記がされることはありません。
遺贈の登記は法務局に対して申請が必要だからです。
遺贈する遺言がある場合、遺言執行者は相続手続をすることができます。
遺言執行者は、遺贈を受け取る人と協力して遺贈の登記をすることができます。
遺言執行者がいる場合、相続人全員は遺贈を受け取る人と協力して遺贈の登記をすることができません。
遺言執行者がいる場合、遺贈の登記は必ず遺言執行者が遺贈を受け取る人と協力して登記申請をする必要があります。
遺言執行者が遺贈登記を申請することができるから、遺言執行者から司法書士などの専門家に遺贈の登記を依頼することができます。
司法書士などの専門家に遺贈の登記を依頼する場合、遺言執行者が委任状に記名押印をします。
遺贈の登記申請書に添付する印鑑証明書は、遺言執行者の印鑑証明書です。
4遺言執行者は遺贈の登記の前提として住所変更登記ができる
①遺贈の登記の前提として住所変更登記が必要
被相続人の財産調査のため登記簿を確認すると、登記簿上の住所が古い住所のままになっていることがあります。
遺贈の登記を申請するためには、前提として、住所変更登記をする必要があります。
遺言執行者は遺贈の登記を申請するために、前提として、住所変更登記をすることができます。
遺言執行者が住所変更登記を申請することができるから、遺言執行者から司法書士などの専門家に住所変更登記を依頼することができます。
司法書士などの専門家に住所変更登記を依頼する場合、遺言執行者が委任状に記名押印をします。
②相続登記の前提として住所変更登記が不要だが証明書類が必要
相続登記をする場合、前提として、住所変更登記をする必要はありません。
住所変更登記をする必要がないだけで、被相続人の住所の移り変わりを確認する必要はあります。
被相続人の住所の移り変わりを確認できない場合、法務局は同じ名前の別の人と判断するからです。
同じ名前の別の人に相続があったと判断された場合、相続登記は認めてもらえません。
被相続人の住所の移り変わりを公的書類で証明すれば、相続登記をすることができます。
5遺言執行を専門家に委任することができる
遺言者は、遺言執行者を自由に指名することができます。
親族のうちから選んでも構いませんし、司法書士などの専門家に依頼することもできます。
家族から選んだ場合、相続人同士の関係性や財産状況が分かっているので、手続がスムーズに進むかもしれません。
一方で、難易度の高い相続手続や財産状況が複雑な場合、対応しきれなくなることがあります。
司法書士などの専門家に遺言執行者になってもらう場合、専門性や中立性の面から安心です。
遺言執行者がするべき職務は、多岐に渡ります。
専門知識を必要とすることも多いものです。
令和元年7月1日以前作成の遺言書で遺言執行者に指名された場合、止むを得ない理由があれば司法書士などの専門家にその任務を任せることができます。
遺言執行者に指名されたのが令和元年7月1日以降作成の遺言書であれば、遺言執行者は自己の責任で司法書士などの専門家にその任務を任せることができます。
止むを得ない理由がなくても、司法書士などの専門家に任せることができるように変更になりました。
遺言執行は法律知識が必要な手続が多いので、専門家に任せる方がスムーズでしょう。
法律改正で、専門家に任せやすくなったといえます。
6遺言書作成と遺言執行を司法書士に依頼するメリット
遺言執行者は遺言書の内容を実現する人です。
相続人が遺言書の内容に納得していて、手続に協力的であれば、必ずしも、遺言執行者を選任する必要はありません。
子どもの認知など遺言執行者しかできない手続がある場合、遺言執行者を選任しておかないと、相続人に余計な手間をかけさせることになります。
遺言執行者は、相続開始後すみやかに手続を進めることができる時間と知識がある人を選ぶことが重要です。
その意味でも、家族より司法書士などの専門家に遺言執行を依頼する人が増えています。
以前は、遺言執行者は止むを得ない場合だけ、他の人に職務を任せることができるとされていましたが、現在は、止むを得ないなどの理由は不要になりました。
遺言執行者に指名され、職務をしてみたところ、思ったよりタイヘンだという場合、自己の責任で司法書士などの専門家におまかせすることもできます。
今後も、専門家に依頼する人は増えていくでしょう。
遺言執行を司法書士などの専門家に依頼した場合、相続人は基本待っているだけなので、トラブルになることが少なくなるからです。
家族を笑顔にするためにも、遺言書作成と遺言執行者選任しましょう。
家族の幸せのためにも、遺言書作成と遺言執行者選任を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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相続放棄しても未支給年金
1相続放棄をしても相続財産以外は受け取りができる
相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も相続人が受け継ぎます。
相続財産というとプラスの財産だけイメージしがちですが、マイナスの財産も含まれます。
マイナスの財産が多い場合、相続放棄をすることができます。
法律で定められた一定の条件にあてはまるときは、単純承認したとみなされます。
単純承認とは、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継ぐものです。
単純承認とみなされたら、相続放棄はできません。
被相続人が払うべきお金を相続財産から支払う場合、単純承認とみなされます。
相続財産を処分したと判断されるからです。
被相続人が払うべきお金であっても、相続人が自分の財産から払う場合、単純承認とみなされません。
被相続人が死亡したことをきっかけに受け取るお金には、被相続人の財産を引き継ぐものと相続人自身の固有の権利として受け取るものがあります。
被相続人の財産を引き継ぐ場合、単純承認とみなされます。
相続人自身の固有の権利として受け取る場合、単純承認とみなされません。
相続放棄をした場合、相続財産を受け取ることはできませんが、相続財産以外であれば受け取ることができます。
2預金者が死亡すると口座凍結で年金を受け取ることができない
銀行などの金融機関は預金者が死亡したことを確認すると、口座の取引をできなくします。
この口座の取引をできなくすることを口座の凍結といいます。
口座取引をできなくしますから、ATMや窓口での引き出しはできません。
振込みもできないし、公共料金などのお引落もできなくなってしまいます。
口座が凍結された場合、年金の振込みを受けることができなくなります。
年金は死亡した月の分まで支給されます。
年金は、後払いで支給されます。
例えば、4月分と5月分の年金は、6月に支給されます。
年金を受け取っている人が4月に死亡した場合、4月分の年金まで支給されます。
4月分の年金は、6月に振込みがされます。
多くの場合、6月の年金支払い日には、口座が凍結されているでしょう。
6月に支給される年金の振込みを受けることができません。
年金を受け取っている人が死亡した場合、口座が凍結されていれば年金を受け取ることができなくなります。
年金は後払いだから、必ず、まだ受け取っていない年金が発生します。
口座が凍結されたことなどで、まだ受け取っていない年金のことを、未支給年金と言います。
3未支給年金は相続財産ではない
死亡した被相続人が受け取るはずの年金だから、相続財産の一部に見えるかもしれません。
相続財産を処分した場合、単純承認をしたとみなされます。
単純承認をした場合、相続放棄をすることはできません。
未支給年金を受け取る権利は、相続財産ではありません。
未支給年金は、法律で一定の遺族に認められた権利です。
死亡した被相続人が受け取るはずの年金を受け継いだものではありません。
法律で認められた遺族の固有の権利です。
被相続人から相続した相続財産ではないから、相続放棄とは無関係です。
相続人が相続放棄をした場合でも相続放棄をしない場合でも、法律の定めに基づいて未支給年金を受け取ることができます。
未支給年金を受け取っても、相続の単純承認をしたと言われることはありません。
未支給年金を受け取る権利は、相続財産ではなく遺族の固有の財産だからです。
相続放棄をした後に未支給年金を請求した場合、相続放棄が無効になることはないし、未支給年金を返還するように言われることはありません。
未支給年金を受け取った後に相続放棄をした場合、相続放棄が無効になることはないし、未支給年金を返還するように言われることはありません。
未支給年金を受け取る権利は、遺族の固有の権利だから、相続放棄とは無関係です。
すでに相続放棄をした場合でも、これから相続放棄をするつもりでも、未支給年金を受け取ることができます。
4未支給年金を受け取る方法
①未支給年金を請求できる人
未支給年金は、年金を受け取っていた人と生計を同じくしていた人が受け取ることができます。
遺族年金と未支給年金は、別の制度です。
遺族年金を受け取ることができる場合で、かつ、未支給年金を受け取ることができる場合、それぞれの手続が必要です。
未支給年金を受け取ることができるのは、次の人のうち優先順位の高い人です。
(1)配偶者
(2)子
(3)父母
(4)孫
(5)祖父母
(6)兄弟姉妹
(7)その他これら以外の3親等内の親族
②未支給年金を請求に必要な書類
未支給年金を受け取るためには、受給権者死亡届と未支給年金・未払い給付金請求書の提出が必要です。
受給権者死亡届に添付する書類は、次のとおりです。
(1)年金証書
(2)死亡の事実を明らかにできる書類
(2)死亡の事実を明らかにできる書類は、戸籍謄本、市区町村長に提出した死亡診断書のコピー、死亡届の記載事項証明書などです。
未支給年金・未払い給付金請求書に添付する書類は、次のとおりです。
(1)年金証書
(2)被相続人と請求者の続柄が分かる戸籍謄本
(3)被相続人と請求者が生計を同じくしていたことが分かる住民票と除票
(4)受け取りを希望する金融機関の通帳
(5)生計同一についての申立書(被相続人と請求者が別世帯の場合)
(2)戸籍謄本(3)住民票は、死亡日より後に発行されたものが必要です。
(2)戸籍謄本(3)住民票は、原本を返してもらうことができます。
③未支給年金は5年で時効消滅する
未支給年金を受け取るためには、請求をしなければなりません。
未支給年金を受け取る権利は、何もしないで放置すると時効で消滅します。
年金支払い日の翌月の初日から起算して5年で時効になります。
これを過ぎると、未支給年金を受け取ることができなくなります。
未支給年金を受け取る権利が亡くなる前に、請求しましょう。
④繰り下げ受給の待機中の死亡は未支給年金で請求できる
被相続人が年金の繰り下げ受給の待機中に死亡する場合があります。
年金の繰り下げ受給の待機中に死亡した場合、本人が受け取るはずだった年金を遺族が請求することができます。
65歳から死亡した月の分までの年金が、未支給年金として支給されます。
未支給年金には、待機した分の増額は反映されません。
この場合、時効の起算は65歳からです。
⑤未支給年金は受取人の所得になる
未支給年金は、法律で一定の遺族に認められた権利です。
受取人の固有の財産だから、受取人の所得になります。
受け取る金額によっては、所得税がかかります。
受け取った年の翌年3月15日までに確定申告が必要になる場合があります。
5相続放棄を司法書士に依頼するメリット
実は、相続放棄はその相続でチャンスは1回限りです。
家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続を取ることはできますが、高等裁判所の手続で、2週間以内に申立てが必要になります。
家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。
一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。
相続放棄は撤回ができないので、慎重に判断する必要があります。
せっかく、相続放棄が認められても、相続財産を処分した判断されたら無効になりかねません。
このような行為をしてしまわないように、予め知識を付けておく必要があります。
相続放棄を自分で手続きしたい人の中には、相続放棄が無効になることまで考えていない場合が多いです。
司法書士は、相続放棄が無効にならないようにサポートしています。
せっかく手続しても、相続放棄が無効になったら意味がありません。
相続放棄を考えている方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
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相続放棄した人がいる遺産分割協議
1相続放棄と相続分の放棄はまったく別物
①相続放棄とは
相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も相続人が受け継ぎます。
被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継がないことを相続の放棄といいます。
相続放棄をすると、プラスの財産を引き継がなくなりますが、マイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。
相続の放棄は被相続人ごとに判断できますから、例えば、父について相続放棄をするが、母について単純承認するでも差し支えありません。
相続の放棄は相続人ごとに判断しますから、例えば、父の相続人ついて長男は相続放棄するが、長女は単純承認するでも差し支えありません。
②相続分の放棄とは
プラスの財産は受け取りませんと申し入れをすることを、相続放棄すると表現する場合があります。
家庭裁判所で手続をしないで、相続放棄をすることはできません。
相続放棄をすると表現していますが、内容は相続分の放棄のことです。
相続分の放棄と相続放棄はまったく別物です。
相続分の放棄は、家庭裁判所で手続をする必要はありません。
他の相続人にプラスの財産は受け取りませんと申し入れをして、文書に取りまとめれば済みます。
手続がカンタンである点を過度に強調して、相続分の放棄をすすめる自称専門家が散見されます。
相続分の放棄と相続放棄のメリットデメリットを充分に理解して、適切に対処しましょう。
2相続放棄をした人は相続人でなくなる
家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなかったと扱われます。
相続人でなくなるから、相続財産の分け方の話し合いに参加する必要はありません。
相続財産の分け方の話し合いに参加しないから、相続人全員の合意をすることもありません。
相続人全員の合意をしていないから、遺産分割協議書に押印することはありません。
相続手続に関与することがなくなります。
相続放棄をした人がいる場合、相続手続に相続放棄をしたことの証明書が必要になります。
相続放棄をした場合、戸籍謄本などには記載されないからです。
遺産分割協議書に押印してもらうことがないから、ハンコ代が支払われることもほとんどありません。
ハンコ代とは、遺産分割協議書に押印をしてもらうための贈与のことです。
3相続分の放棄をした人は遺産分割協議
他の相続人にプラスの財産は受け取りませんと申し入れをした人は、依然として相続人です。
相続人だから、相続財産の分け方の話し合いに参加する必要はあります。
相続財産の分け方の話し合いに参加するから、相続人全員の合意をする必要があります。
相続人全員の合意をしているから、遺産分割協議書に実印で押印しなければなりません。
遺産分割協議書の押印が実印であることを証明するために、印鑑証明書を用意しなければなりません。
相続分の放棄をした人は、相続人です。
相続人として、相続手続に関与しなければなりません。
相続人として、マイナスの財産を受け継がなければなりません。
プラスの財産は受け取りませんと申し入れをする人の気持ちとしては、納得がいかないかもしれません。
プラスの財産を受け継がないのにマイナスの財産も受け継ぐことになるからです。
実際、マイナスの財産はプラスの財産を受け継ぐ相続人が引き受ける約束をしている場合があります。
遺産分割協議書に「マイナスの財産は相続人〇〇が相続する」と記載して相続人全員が実印を押しているかもしれません。
このような合意であっても、無効になるわけではありません。
「マイナスの財産は相続人〇〇が相続する」合意は、相続人内部の合意事項です。
債権者には関係のない話です。
債権者には無関係の合意事項だから、債権者は相続人全員に対して法定相続分で借金の返済を請求することができます。
債権者が借金の請求をしたときに「マイナスの財産は相続人〇〇が相続する」合意があるからということはできません。
債権者の請求を拒むことはできません。
4相続分の放棄をした人がいるときの遺産分割協議書の書き方
遺産分割協議書は、相続財産の分け方について相続人全員の合意内容を取りまとめた文書です。
相続財産の分け方について相続人全員の合意があったことが明らかになっていなければなりません。
次の方法をとるのが一般的です。
①具体的に「財産〇〇は相続人〇〇が相続する」などと1枚の紙に取りまとめ、相続人全員が記名のうえ実印で押印します。
実印であることの証明として印鑑証明書を添付します。
②同じ内容の遺産分割協議書を相続人の人数分用意して、各相続人が記名のうえ実印で押印する方法をとることができます。
各相続人が記名押印するので、日付は別々で差し支えありません。
相続分の放棄をした人が「私は何も相続しません」と書いた文書を差し入れても意味はありません。
相続分の放棄をした人は相続人なので、相続財産の分け方について相続人全員の合意が必要だからです。
「私は何も相続しません」では、相続財産の分け方について合意があったとは言えません。
家庭裁判所で遺産分割調停をする場合、相続放棄書(相続分放棄届出書兼相続分放棄書)という書類が使われる場合があります。
相続人が遺産分割調停に関与したくない場合、家庭裁判所に対して提出する書類です。
相続放棄書を家庭裁判所に提出した場合、遺産分割調停から外れることができます。
相続放棄書を提出した相続人の相続分は、他の相続人の相続分を考慮して遺産分割調停が行われます。
5遺産分割協議をしたら相続放棄はできない
家庭裁判所で相続放棄を認めてもらった場合、被相続人のマイナスの財産は引き継ぎません。
相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなかったとみなされるためです。
相続放棄をしたら相続人でなくなるから、プラスの財産もマイナスの財産も受け継ぐことがありません。
遺産分割協議をした場合、債権者は相続人全員に対して法定相続分で債務の支払を請求することができます。
債権者が借金の請求をしたときに「マイナスの財産は相続人〇〇が相続する」合意があるからということはできません。
プラスの財産を引き継がないのだからマイナスの財産も引き継ぎたくないと思うと、相続放棄をしたいと考えるかもしれません。
遺産分割協議をした場合、相続放棄をすることはできません。
遺産分割協議は、相続を単純承認することを前提とした行為だからです。
遺産分割協議は、相続分があることを認識し相続分を処分する行為です。
単純承認した後は、相続放棄をすることはできません。
相続放棄が撤回できないように、単純承認も撤回できません。
遺産分割協議をした後であっても相続放棄が認める大阪高裁の判例がないわけではありません。
遺産分割協議が無効と言えるようなケースで、ごく例外的な事例です。
6相続放棄を司法書士に依頼するメリット
相続放棄はプラスの財産もマイナスの財産も引き継ぎませんという裁判所に対する届出です。
相続人らとのお話合いで、プラスの財産を相続しませんと申し入れをすることではありません。
つまり、家庭裁判所で認められないとマイナスの財産を引き継がなくて済むというメリットは受けられないのです。
相続放棄は取消できないと言われますが、これは撤回できないの意味で使われています。
日常使う言葉が法律上異なる意味で使われると分かりにくくなります。
相続放棄は撤回できませんが、条件を満たせば取消できるし、無効になることもあります。
相続手続は、何度も経験するものではありません。
だれもが不慣れでだれもがスムーズに手続することはできません。
相続手続は法律の知識が不可欠なので、司法書士などの専門家にサポートを受けるといいでしょう。
相続放棄を考えている方はすみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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相続放棄後の共有持分
1共有者は共有持分を放棄することができる
①共有者の一方的意思だけで共有持分の放棄ができる
共有者は自分の持分を放棄することができます。
持分を放棄した場合、放棄した共有持分は他の共有者のものになります。
他の共有者の持分割合に応じて、分割されます。
共有者の一方的な意思表示だけで、共有持分の放棄ができます。
他の共有者の承諾は必要ありません。
共有物を放棄するのに、決まった文書が必要といったことはありません。
口頭の意思表示であっても効果が発生します。
口頭で通知するより、文書で通知することをおすすめします。
後でトラブルになることを防止するため、内容証明郵便で通知するといいでしょう。
②持分移転登記は共同申請
共有者が持分を放棄した場合、他の共有者に持分が移転します。
他の共有者に持分が移転した場合、持分移転登記の申請が必要です。
持分の放棄は、一方的な意思表示で効果が発生しますが、登記は単独で申請することができません。
持分の放棄をする人を登記義務者、他の共有者全員を登記権利者として共同申請をします。
持分の放棄は、口頭の意思表示であっても効果が発生しますが、登記申請においては持分の放棄があったことを証明する書類が必要になります。
③共有持分が高額である場合、税金に注意
共有者の一方的な意思表示で、共有持分の放棄をすることができます。
財産を譲ってあげる人と譲ってもらう人の契約である贈与とは別物です。
法律においては贈与ではないにもかかわらず、税金においては贈与税が課されます。
共有持分が移転するという意味では、贈与と実質的に同じ効果だからです。
贈与税の免脱行為として、持分の放棄を使うことを防ぐためです。
共有持分の評価額が高額である場合、他の共有者に贈与税が課される場合があります。
固定資産税は、1月1日現在の登記名義人が課税対象者になります。
年内に持分の放棄の意思表示をした場合、年内に他の共有者に権利が移転します。
持分移転の登記が年を越した場合、所有権がないのに固定資産税の納税義務者のままになります。
2相続人全員が相続放棄してもいい
相続放棄は、多くの場合、被相続人のマイナスの遺産を引き継がないために行われます。
相続人が全員相続放棄をしたら、被相続人の借金なのに、相続人のだれも責任をとらないことになります。
相続人がだれも責任をとらないことに対して、後ろめたく思う人もいるかもしれません。
相続放棄は、相続人ひとりひとりが自分の意思で自由に判断できるものです。
結果として、相続人全員が相続放棄を選択することになっても、法律上、やむを得ないことです。
配偶者と子ども全員が相続放棄をした場合、次順位の親などの直系尊属が相続人になります。
親などの直系尊属全員が相続放棄をした場合、次順位の兄弟姉妹が相続人になります。
兄弟姉妹全員が相続放棄をした場合、次順位の相続人はいません。
相続人全員が相続放棄をした場合、相続人不存在になります。
相続人が全員相続放棄をしたとしても、やむを得ません。
3共有者である被相続人に相続人がいない場合の共有持分の行方
被相続人が天涯孤独で親族がいないこともあります。
相続人がいても相続放棄をして相続人でなくなっている場合があります。
①相続債権者がいる場合
家庭裁判所に相続財産清算人を選んでもらいます。
通常、相続財産清算人を選んでもらうためには家庭裁判所に予納金を納めます。
予納金は管理する財産の状況によって違いますが、100万円程度かかる場合があります。
相続財産清算人によって相続財産は売却されて、相続債権者への支払にあてられます。
通常、共有持分は売却しようとしても、買い手が見つかりません。
買い手が見つかったとしても、著しく価格が低くなってしまいます。
共有持分を買い取る業者がいますが、買い取り額はおおむね時価の1~3割程度です。
多くの場合、被相続人と共有していた人に買取をお願いすることになります。
被相続人と不動産を共有していた人が対価を支払って、被相続人の共有持分を買い取ることになります。
②特別縁故者がいる場合
特別縁故者とは、内縁の配偶者や事実上の養子など被相続人と生計を同じくしていた者や被相続人の療養看護に努めた者など特別な縁故のあった人のことです。
家庭裁判所に認められれば、特別縁故者は被相続人の財産を受け取ることができます。
受け取る財産は、家庭裁判所が決めます。
被相続人の財産の全部のこともあるし、一部だけのこともあります。
被相続人がたくさんの財産を残しても、特別縁故者が受け継ぐ財産はほんの少ししか認められないこともあります。
③相続債権者も特別縁故者もいない場合
被相続人と不動産を共有していた人が共有持分を取得します。
共有持分を持つ人が死亡した場合、まずは相続人、次に相続債権者、その次に特別縁故者、特別縁故者もいなかったら他の共有者が受け継ぎます。
そのためには、手続が複雑で、費用も時間もかかります。
共有者が特別縁故者と話し合いをしたり、財産を勝手に分けたりすることはできません。
被相続人が死亡してから、共有者が受け継ぐまで1年以上の時間がかかります。
4マンションは共有者が取得できない
マンションは、建物部分と敷地権の共有部分があります。
建物部分は単独所有、敷地権は共有です。
建物部分と敷地権の共有部分は、所有者を一致させるルールになっています。
所有者を一致させないと、売却のとき混乱するからです。
相続債権者も特別縁故者もいない場合、相続財産は国庫に帰属します。
建物部分は単独所有なので、国庫に帰属します。
所有者を一致させるルールがあるから、敷地権が共有になっていても、他の共有者が取得することはできません。
所有者を一致させるルールを守れなくなるからです。
建物部分が国庫に帰属しますから、所有者を一致させるルールによって、敷地権も国庫に帰属します。
5生前対策がしてあると手続がラク
相続人がいないおひとりさまは、遺言書を書いて財産の行き先を指定しましょう。
共有持分は、遺言書で共有者に遺贈することや死因贈与をすることができます。
相続財産清算人と家庭裁判所の手を借りて、1年以上の時間をかけて手続するよりはるかにラクです。
遺贈は、相続人や相続人以外の人に、財産を受け取ってもらう制度です。
だれに受け取ってもらうかは遺言者本人が決めることができます
共有持分を特別縁故者に遺贈することや死因贈与をできます。
家庭裁判所は特別縁故者と認めてくれることも、認めてくれないこともあります。
被相続人がたくさんの財産を残しても、特別縁故者が受け継ぐ財産はほんの少ししか認められないこともあります。
6遺言書作成と遺言執行を司法書士に依頼するメリット
相続手続はタイヘンですが、相続人がいない場合もタイヘンです。
相続人がいないから、財産は国に持っていかれて、何もしなくていいと軽く考えがちです。
実際は、被相続人が死亡してから、国庫に帰属するまで1年以上の時間がかかります。
財産の内容によっては、100万円以上の費用の負担があることも見逃せません。
国に持っていかれるよりは、お世話になった人に受け継いでもらいたい、事情を知っている共有者に受け継いでもらいたい人もいるでしょう。
お世話になった人に受け継いでもらいたい、事情を知っている共有者に受け継いでもらいたいという意思は、遺言書で実現できます。
家庭裁判所の手続は一般の人にはハードルが高いものです。
遺言書に、遺贈することを書き、遺言執行者を決めておけば、手間はかかりません。
お世話になった人は待っているだけで済みます。
遺言書は書き方に細かいルールがあります。
適切な遺言書作成と遺言執行者選任は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
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貸したお金と抵当権を相続
1被相続人が貸したお金は相続財産
マイホームを購入したときに、銀行などから融資を受けることがあるでしょう。
お金の貸し借りというと、銀行などの金融機関でローンを組むことをイメージするかもしれません。
銀行などの金融機関からお金を借りるだけでなく、個人間でお金の貸し借りをすることがあります。
個人間でお金を借りることも、個人間でお金を貸してあげることもあるでしょう。
被相続人がお金の貸し借りをしているケースがあります。
第三者にお金を貸している場合、お金を借りた人から貸したお金を返してもらう権利があります。
被相続人がお金を貸していた場合、被相続人はお金を返してもらう権利を持っていたはずです。
お金を貸した人に相続が発生した場合、貸したお金を返してもらう権利は相続財産になります。
貸したお金を返してもらう権利は相続財産として、相続人に相続されます。
お金を貸した人が死亡した場合に、借金が消えてなくなることはありません。
相続人は、貸したお金を返してもらう権利を相続しますから、お金を借りた人に対して、貸したお金を返すように請求することができます。
2抵当権は相続財産
第三者に対してまとまった額を貸してあげる場合、借金の返済が滞ったときに備えて、不動産を担保に取ります。
返済が滞ったときに備えて、担保にする権利を抵当権と言います。
お金を貸した人を債権者と言います。
担保に取った人を抵当権者と言います。
お金を貸した人が担保に取りますから、債権者は抵当権者です。
貸したお金を返してもらう権利は相続財産として、相続人に相続されます。
担保にする権利は相続財産として、相続人に相続されます。
抵当権は、借金の返済が滞ったときに備えて、担保に取る権利です。
具体的には、借金の返済が滞った場合、担保に取った不動産を競売にかけて売却代金から優先的に借金を返してもらうことができます。
担保に取った不動産を競売にかけて売却代金から優先的に借金を返してもらう権利が相続されます。
お金を貸した人が死亡した場合に、担保に取る権利が消えてなくなることはありません。
担保に取る権利は借金が滞ったときの備えですから、借金が消えるときまで一緒についています。
貸金債権と抵当権は、抵当権者(債権者)の財産です。
貸金債権と抵当権は、抵当権者(債権者)のプラスの財産のひとつとして、抵当権者(債権者)の相続人に受け継がれます。
原則として、貸金債権と抵当権は一緒についていくことになります。
3被相続人が貸したお金を相続人が返してもらうことができる
①まずは遺産分割協議
貸金債権と抵当権は、相続財産になります。
相続財産の分け方は、相続人全員で話し合いによる合意が不可欠です。
貸金債権と抵当権を、だれが引き継ぐのか決めましょう。
貸金債権と抵当権を相続する人の合意がまとまったら、合意内容を書面に取りまとめます。
②債権者が死亡しても時効は進行する
お金を貸した人が死亡した場合、生きているときと同様に時効は進行します。
時効期間が経過すると、お金を借りていた人は時効を援用することができます。
債務者が時効を援用した場合、貸したお金を返してもらうことができなくなります。
時効が完成しないようにするために、時効中断する必要があります。
時効中断の代表例は、債務者に対して、お金を返してくださいと請求することです。
単に、お手紙などでお金を返してくださいと請求した場合、6か月以内に裁判などの強力な手続をしなければなりません。
6か月以内に裁判などの強力な手続をした場合、時効は中断します。
時効が中断した場合、今まで経過した期間が無効になります。
今まで経過した期間が無効になったら、あらためて、時効が進行します。
③相続人が請求すると債務者からあやしまれる
個人間でお金の貸し借りをする場合、親しい関係の人であることが多いでしょう。
お金を貸した人とは親しい間柄だったとしても、お金を貸した人の相続人と面識がないことがあります。
被相続人が貸したお金は、相続人が返してもらうことができます。
お金を貸した人の相続人と面識がない場合、被相続人が貸したお金を返して欲しいと言われても戸惑うでしょう。
本当にお金を貸してくれた人の相続人なのか、不安になります。
お金を貸した人が死亡した後、無関係の人なのに相続人と称して、被相続人が貸したお金を返して欲しいと要求するケースがあるからです。
本当は無関係の人なのに、借りたお金を返すつもりで安易にお金を支払った場合、返済したとは認められません。
本当の相続人から被相続人が貸したお金を返して欲しいと請求された場合、あらためて、返済しなければなりません。
お金を返済する人が安易にお金を支払った場合、二重払いをしなければなりません。
借りたお金を返すつもりで無関係の人に支払ったお金は、ほとんどの場合、返ってこないでしょう。
④債務者は弁済供託をすることができる
お金を返す人は、誠実に借りたお金を返したいと思っているでしょう。
次々と相続人と称する人が現れて被相続人が貸したお金を返して欲しいと要求するケースがあります。
だれもが自分こそは本当の相続人であると称するから、困ってしまいます。
本当は無関係の人なのに、借りたお金を返すつもりで安易にお金を支払った場合、返済したとは認められません。
まとまったお金の貸し借りの場合、利息を付ける約束をしているでしょう。
返済期限に返済できなかった場合、遅延損害金も支払わなければなりません。
誠実に借りたお金を返したいと思っている誠実な債務者のため、一定条件の下で法務局にお金を預けることができます。
法務局にお金を預けた場合、お金を返したと扱われます。
法務局にお金を預けることを、弁済供託と言います。
弁済供託ができるのは次のとおりです。
(1)受領拒否:債権者が受け取りをしてくれないとき
(2)不受領意思が明確:債権者が受け取りをしない意思を明確にしているとき
(3)債権者不確知:債権者がだれか分からないとき
(4)受領不能:債権者が受け取りができないとき
次々と相続人と称する人が現れた場合であれば、債権者不確知を理由として、弁済供託をすることができます。
お金を返したと扱われますから、二重払いや利息、遅延損害金の心配がなくなります。
供託した後は、被相続人が貸したお金を返して欲しいと言われても応じる必要はありません。
被相続人が貸したお金を返したと扱われるからです。
本当の債権者であれば、法務局に対してその事実を証明して供託したお金を払ってもらうことができます。
4抵当権が消えるのは借りたお金を完済したとき
抵当権は、返済が滞ったときに備えて、担保にする権利です。
貸したお金が返し終わるまで、いつ返済が滞るか分かりません。
抵当権は、原則として、貸したお金を返し終わるまで消えません。
貸したお金が相続人に相続された場合、抵当権も一緒に相続人に相続されます。
抵当権が相続されても、抵当権の登記は自動で移転することはありません。
抵当権の相続登記が必要です。
抵当権が消滅する前に相続が発生していますから、抵当権の相続登記が必要になります。
抵当権の相続登記は、所有権の相続登記と同様に、相続人の単独申請です。
借りたお金を完済した場合、借金が消滅します。
借金が消滅した場合、抵当権は一緒に消滅します。
借金が相続された後に借金を完済した場合、抵当権の相続登記を省略することはできません。
抵当権は、被相続人→相続人→消滅になったからです。
実体のない登記を認めた場合、登記制度への信頼が失墜します。
このようなことは許されません。
抵当権の相続登記をした後、抵当権抹消登記を申請します。
抵当権抹消登記は、抵当権者になった相続人と不動産の所有者の共同申請です。
5抵当権抹消登記はすみやかに
わざわざ抵当権付き不動産を買う人はいません。
不動産を売却するときになって抵当権がついたままになっていることに気がつきます。
おそらく借金の返済が終わったことで安心したのでしょう。
安心して抵当権の登記がついたままであることを忘れてしまったのでしょう。
借金がすべて返済されれば、抵当権は消滅します。
抵当権が消滅しても、抵当権の登記は自動で消滅することはありません。
法務局が自動で消してくれることもありません。
担保に取った人と担保に差し出した人が一緒に、法務局に抵当権を消す申請しなければ、抵当権の登記は登記簿に残り続けます。
抵当権は、返済が滞ったときに備えて、担保にする権利です。
返済が滞ったら、抵当権者は不動産を売り払って、借金の返済に充てることができます。
このような権利が付いた不動産は、いつ抵当権者が現れて売り払われるか分からないので、怖くて売買できません。
借金の返済が終わった後、すみやかに抵当権抹消登記をしておかないと手間と時間が余計にかかります。
借金の返済が終わったのか終わっていないのか事実関係が分からなくなるからです。
借金の返済が終わったはずであっても、証拠を用意できないこともあります。
事情を知らない相続人がいる場合、抵当権抹消に協力してくれない可能性もあります。
相続人が行方不明になって連絡が取れないこともあります。
抵当権抹消登記に協力しない相続人がいた場合、裁判を起こして判決をとる必要があります。
長期間経過するほど、難易度は上がります。
抵当権消滅登記はすみやかに済ませましょう。
6抵当権移転登記と抵当権抹消登記を司法書士に依頼するメリット
借金の返済が終わると、ほっとします。
抵当権の抹消登記は多少遅くなっても特段の不都合がないから、多忙にまぎれがちです。
不動産を売却したり、相続が発生したときに気がつくことが多いです。
借金返済が完了してから長期間経過すると、事実関係が確認できなくなったり、関係者と連絡が取れなくなったり、連絡を無視されたりします。
通常の抵当権抹消登記は、司法書士であれば難しい手続ではありません。
借金返済が完了してから長期間経過すると、関係者の協力を得るのが難しくなりがちです。
関係者の協力を得られない場合、裁判所の助力が必要になります。
抵当権の抹消登記を先延ばしした代償は、非常に高くつきます。
抵当権消滅登記はすみやかに済ませましょう。
スムーズに登記を完了させたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
公正証書遺言があっても相続放棄
1公正証書遺言があっても相続放棄ができる
被相続人に莫大なマイナスの財産がある場合、まず相続放棄を検討するでしょう。
公正証書遺言に「相続人〇〇に財産〇〇を相続させる」と書いてあったら、相続放棄ができるのか心配になるかもしれません。
公正証書遺言であっても自筆証書遺言であっても、相続放棄をすることができます。
遺言書に何と書いてあっても何も書いてなくても、相続放棄をすることができます。
遺言書があっても遺言書がなくても、相続放棄をすることができます。
相続放棄をする権利は、相続人の固有の権利です。
遺言書で相続放棄をする権利が奪われることはありません。
遺言書の記載内容によって、手続の方法が違います。
2相続と遺贈のちがい
遺贈とは、被相続人が遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげることです。
遺贈で財産を譲ってあげる人のことを遺贈者、譲ってもらう人を受遺者と言います。
相続では、法定相続人だけに譲ってあげることができます。
遺贈では、法定相続人に譲ってあげることもできるし、相続人以外の人に譲ってあげることができます。
遺贈では譲ってあげる相手は、人だけでなく、会社や役所などの団体にすることもできます。
お腹の中の赤ちゃん(胎児)には、相続でも遺贈でも、財産を引き継いでもらうことができます。
相続では、遺言がなくても相続人が受け取ることができます。
遺贈は、遺言があるときだけ譲ってあげることができます。
遺言書は相続人などの関与なしで作ることができます。
遺言で遺贈や相続のことを定める場合、遺言者が一方的に決めることができます。
遺贈や相続とよく似たものに、死因贈与があります。
死因贈与とは、被相続人が生前に、自分が死亡したら財産を贈与する契約です。
契約なので、一方的に決めることはできません。
財産を譲ってあげる人と譲ってもらう人が合意して、契約が成立するからです。
3「相続」を放棄する場合は家庭裁判所へ申立て
家庭裁判所に対して、必要な書類をを添えて相続放棄をしたい旨の申立てをします。
相続放棄をすると、プラスの財産もマイナスの財産もすべて受け継ぐことがなくなります。
公正証書遺言に書いてある財産も書いてない財産も、すべて受け継ぐことができません。
申立てをする先の家庭裁判所は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。
この申立ては相続があったことを知ってから、原則として、3か月以内にする必要があります。
相続放棄をしたい旨の申立てに添える書類は裁判所のホームページに詳しく書いてあります。
①被相続人の戸籍謄本
②被相続人の除票
③相続放棄する人の戸籍謄本
④収入印紙
⑤裁判所が手続で使う郵便切手
申立ては直接、出向いて提出してもいいし、郵便で送っても差し支えありません。
申立書の書き方や提出書類が心配な方は、出向いて裁判所の受付で目を通してもらうと安心です。
4「特定遺贈」を放棄する場合は遺言執行者・相続人に通知
特定遺贈とは、遺言書に、「財産〇〇〇〇を遺贈する」と財産を具体的に書いてある場合です。
特定遺贈を放棄する場合、遺贈義務者に対して意思表示をします。
遺贈義務者は次のとおりです。
①遺言執行者がいる場合、遺言執行者です。
②遺言執行者がいない場合、相続人です。
③遺言執行者も相続人もいない場合、相続財産清算人です。
口頭で通知しても有効ですが、後のトラブルを防止するために内容証明郵便で通知するといいでしょう。
特定遺贈を放棄する場合、3か月などの期限はありません。
特定遺贈は、一部だけ放棄をすることも、全部を放棄することもできます。
遺言執行者や相続人から、特定遺贈を受けるか、放棄するか質問することができます。
質問に答えない場合、特定遺贈を受けるとみなされます。
5「包括遺贈」を放棄する場合は家庭裁判所へ申立て
包括遺贈を放棄する場合、相続放棄と手続は同じです。
家庭裁判所に対して、必要な書類をを添えて相続放棄をしたい旨の申立てをします。
申立てをする先の家庭裁判所は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。
この申立ては相続があったことを知ってから、原則として、3か月以内にする必要があります。
6相続放棄しても遺贈は受け取れる
①原則として相続放棄しても遺贈は受け取れる
相続放棄をすると、はじめから相続人でなかったものと扱われます。
遺贈では、法定相続人に譲ってあげることもできるし、相続人以外の人に譲ってあげることもできます。
相続放棄をした人に対しても、遺贈をすることができます。
このような遺言書も有効です。
相続と遺贈は別問題だからです。
相続放棄をした後、遺贈を受けるか遺贈を放棄するかあらためて判断することができます。
遺贈も放棄する場合、遺贈を放棄する手続が必要です。
②詐害行為になる場合、遺贈が取り消される
被相続人がわずかなプラスの財産と莫大なマイナスの財産ということがあります。
この状況で、わずかなプラスの財産を相続人に遺贈するという遺言書が見つかることがあります。
おそらく、被相続人に頼んで、このような遺言書を書いてもらった場合でしょう。
原則どおりでは、相続放棄をしているから、相続人は莫大なマイナスの財産を受け継ぐことはありません。
原則どおりでは、遺贈は相続放棄と別物だから、わずかなプラスの財産を受け取ることができるとなってしまいます。
このようなことが許されると、債権者にとってあまりに理不尽です。
債権者は、裁判所に訴えて、理不尽な遺贈を取り消すことができます。
借りたお金を返さなければならないのに、自分の財産を不当に減少させて、結果、お金を返せなくしているからです。
自分の財産を不当に減少させたら、お金を貸した人はお金を返してもらえなくなる結果になります。
お金を貸した人が困ることを知っているのに、自分の財産を不当に減少させることを詐害行為と言います。
理不尽な遺贈として裁判所に認められれば、詐害行為は取り消すことができます。
適切な遺言書によってされた遺贈であっても、理不尽な遺贈は詐害行為にあたります。
7遺言書の内容と異なる遺産分割をすることができる
遺言書は遺言をした人の意思を示すものです。
相続人は遺言をした人の意思を尊重し、遺言書の内容を実現させてあげたいと思うでしょう。
遺言書の内容があまりに相続人の実情にあわない場合、遺言書の内容をそのまま実現すると相続人が困ってしまう場合があります。
例えば、近くに住む相続人を差し置いて、遠方に住む相続人に不動産を相続させる遺言書です。
相続人が困ってしまうおそれのある遺言書なのに、あえて執行して相続人を困らせる必要はないでしょう。
相続財産の分け方について、相続人全員で合意した方が合理的です。
相続人全員が合意すれば、遺言書の内容と異なる内容で遺産分割することもできます。
相続人全員の合意が必要ですから、一人でも反対の人がいたり、合意できない人がいたら、この方法は取れなくなります。
遺言執行者がいる場合は、遺言執行者の同意も必要になります。
正当理由があれば、遺言執行者は辞任することができます。
「相続人全員の合意で遺言とは異なる内容の遺産分割をしたいから」は、辞任の正当理由に認められます。
遺贈で相続財産を受け取る人がいる場合、その人の同意も必要になります。
財産を受け取れるはずだったのに、相続人が一方的に取り上げるのは理不尽だからです。
相続放棄をすると、遺言書に記載のある財産も遺言書に記載のない財産も、すべて受け継ぐことができなくなります。
相続人全員の話し合いで分け方を決めた方が、合理的なことも考えられます。
8相続放棄を司法書士に依頼するメリット
被相続人に莫大な借金がある場合や相続人間の話し合いに関わりたくない場合、相続放棄をすることが考えられます。
公正証書遺言は、公証人に作成してもらう遺言書です。
高い信頼性がある確実な遺言書の方式として知られています。
公正証書遺言書があることで、相続放棄ができなくなるのでないか心配になることもあるでしょう。
公正証書遺言書の内容に縛られてしまうのではないかを不安になる相続人もいるでしょう。
公正証書遺言書があってもなくても、相続放棄はできます。
公正証書遺言書があっても自筆証書遺言書があっても、相続放棄はできます。
遺言書の内容によって、手続が異なるだけです。
どのように手続するかは、遺言書の記載内容によります。
どのような意図で書いたのか遺言書の記載内容を読み解いて判断します。
相続放棄をするより、他の方法がいいのかもしれません。
相続人全員で相続財産の分け方について話し合いをした方が円満に相続ができるかもしれません。
相続放棄をして、遺贈を受けた方が有利かもしれません。
相続放棄をして遺贈を受けると、債権者とトラブルになるかもしれません。
どうしたらいいのか考えるべきことはたくさんあります。
相続はだれにとっても不慣れでスムーズに行かないことばかりです。
100人いれば100通りの相続があります。
遺言書や相続放棄で困ったら、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
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法定相続人以外の人が遺産分割協議
1相続財産の分け方は相続人全員の合意で決める
相続が発生した後、相続財産は相続人全員の共有財産になります。
相続人のひとりが勝手に処分することはできません。
相続人全員で相続財産の分け方について話し合いによる合意をして、分け方を決める必要があります。
相続財産の分け方にについて、相続人全員でする話し合いのことを遺産分割協議と言います。
遺産分割協議は、必ず、全員で合意する必要がありますが、全員が一つの場所に集まる必要はありません。
2合意が必要になる「相続人全員」とは
相続財産の分け方は、原則として、相続人全員の合意で決定します。
遺産分割協議には、法定相続人でない人が参加する場合があります。
遺産分割協議に参加しなければならない人が参加していない場合、遺産分割協議は無効になります。
法定相続人でなくても遺産分割協議に参加しなければならない人全員が「相続人全員」です。
3法定相続人の代理人が遺産分割協議に参加する
相続財産の分け方を決める話し合いに参加するのは、原則として、相続人本人です。
相続人本人が遺産分割協議に参加できない場合があります。
相続人本人が参加できない場合、相続人の代わりの人が参加します。
①親権者
相続人の中に赤ちゃんなどの未成年が含まれている場合があります。
未成年は、物事のメリットデメリットを充分に判断することができません。
未成年者が契約などの法律行為をする場合、親などの親権者が代わりに行います。
例えば、被相続人の子どもが被相続人より先に死亡している場合があります。
死亡した子どもに子どもがいた場合、子どもの子どもは代襲相続人になります。
子どもの子どもが赤ちゃんなどの未成年であることがあります。
死亡した子どもの配偶者は、代襲相続人の親権者です。
被相続人の財産の分け方の話し合いは、親権者が参加します。
②成年後見人
相続人の中に認知症の人が含まれている場合があります。
認知症の人は、物事のメリットデメリットを充分に判断することができません。
認知症の人が契約などの法律行為をする場合、成年後見人が代わりに行います。
被相続人の財産の分け方の話し合いは、成年後見人が参加します。
③後見監督人
認知症の人が相続人になった場合、通常は、成年後見人が代わりに遺産分割協議に参加します。
成年後見人が本人に代わって法律行為をすると、不適切な場合があります。
一方がトクをすると、他方がソンをする関係になる場合です。
本人と成年後見人が相続人になる場合、一方がトクをすると、他方がソンをする関係になります。
このような一方がトクをすると、他方がソンをする関係のことを利益相反と言います。
利益相反する場合、法定代理人なのに成年後見人は本人を代理できません。
利益相反の場合で、かつ、成年後見監督人がいる場合、成年後見監督人が遺産分割協議に参加します。
④特別代理人
成年後見では、成年後見監督人が選任されている場合と選任されていない場合があります。
一方がトクをすると、他方がソンをする関係になる場合、成年後見人は本人を代理できません。
成年後見人が本人を代理できない場合に、本人を代理するのが特別代理人です。
利益相反の場合で、かつ、成年後見監督人がいない場合、特別代理人が遺産分割協議に参加します。
一方がトクをすると、他方がソンをする関係になる場合は、本人と成年後見人だけに限りません。
未成年者と親権者が相続人になる場合、一方がトクをすると、他方がソンをする関係になります。
一方がトクをすると、他方がソンをする関係になる場合、親権者は未成年者を代理できません。
親権者が未成年者を代理できない場合に、特別代理人が未成年者を代理します。
利益相反の場合、特別代理人が遺産分割協議に参加します。
⑤保佐人と補助人
相続人の中に判断力が多少充分でない人が含まれている場合があります。
判断力が多少充分でない人に対して、サポートする人を付けています。
判断力の度合いに応じて、保佐人や補助人を付けてサポートします。
サポートをしてもらう人は、保佐人や補助人の同意を得れば自分で遺産分割協議をすることができます。
保佐人や補助人に遺産分割協議に関する代理権が付与されている場合、保佐人や補助人が遺産分割協議に参加します。
⑥保佐監督人と補助監督人、臨時保佐人と臨時補助人
サポートをしてもらう人と保佐人が相続人になる場合、一方がトクをすると、他方がソンをする関係になります。
サポートをしてもらう人と補助人が相続人になる場合、一方がトクをすると、他方がソンをする関係になります。
利益相反の場合、保佐人と補助人は遺産分割協議に関する同意をすることができません。
利益相反の場合で、かつ、保佐人や補助人に遺産分割協議に関する代理権が付与されている場合、本人を代理することはできません。
利益相反の場合で、かつ、保佐監督人や補助監督人が選任されている場合、保佐監督人や補助監督人が本人を代理します。
利益相反の場合で、かつ、保佐監督人や補助監督人が選任されていない場合、臨時保佐人や臨時補助人を選任してもらいます。
臨時保佐人や臨時補助人が本人を代理します。
被相続人の財産の分け方の話し合いは、保佐監督人や補助監督人、臨時保佐人や臨時補助人が参加します。
⑦不在者財産管理人
相続人の中に行方不明の人が含まれている場合があります。
行方不明の人は居場所が分からないから、遺産分割協議に参加することができません。
行方不明の人が契約などの法律行為をする場合、不在者財産管理人が代わりに行います。
不在者財産管理人は、本来、行方不明の人の財産管理をする人です。
相続財産の話し合いをするのは、財産管理の範囲を越す行為です。
不在者財産管理人が行方不明の人に代わって遺産分割協議をする場合、家庭裁判所から特別に許可をもらう必要があります。
被相続人の財産の分け方の話し合いは、不在者財産管理人が参加します。
⑧破産管財人
相続人の中に自己破産の申立てをした人が含まれている場合があります。
自己破産とは、破産者のプラスの財産を債権者に公平に分配して、借金の支払を免除してもらう手続のことです。
破産手続き開始決定がされた時点で、破産者のプラスの財産は債権者に公平に分配されます。
自己破産では、自己破産の申立ての後に破産手続き開始決定がされます。
相続が発生した後、破産手続き開始決定がされる場合があります。
相続が発生した場合、被相続人の財産は相続人全員の共有財産になります。
債権者に公平に分配される財産は、破産手続き開始決定がされた時点の破産者の固有の財産と相続人全員で共有している相続財産です。
相続人全員で共有している相続財産の共有持分は、債権者に公平に分配される財産です。
自己破産した相続人が相続人同士で話し合いをして、処分することは許されません。
相続財産の共有持分は、債権者に公平に分配される財産だからです。
破産管財人は、本来、破産財団の財産管理をする人です。
相続財産の話し合いをするのは、破産財団の財産管理の範囲を越す行為です。
破産管財人が遺産分割協議をするためには、裁判所から特別に許可をもらう必要があります。
被相続人の財産の分け方の話し合いは、破産管財人が参加します。
⑨任意代理人
相続財産の分け方を決める話し合いに参加するのは、原則として、相続人本人です。
他の相続人と話し合いができない場合、弁護士などの専門家に委任することができます。
弁護士は依頼人の利益最大化のために働く人なので、他の相続人は強硬な態度になることが多いです。
相続手続が終わった後には、絶縁することも少なくありません。
もともと絶縁しているのであれば、弁護士などの専門家に委任することが有効な場合もあるでしょう。
被相続人の財産の分け方の話し合いは、弁護士などの専門家が参加します。
4包括受遺者が遺産分割協議に参加する
遺贈とは、被相続人が遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげることです。
遺贈で財産を譲ってあげる人のことを遺贈者、譲ってもらう人を受遺者と言います。
相続では、法定相続人だけに譲ってあげることができます。
遺贈では、法定相続人に譲ってあげることもできるし、相続人以外の人に譲ってあげることができます。
遺贈には、2種類あります。
特定遺贈と包括遺贈です。
特定遺贈とは、遺言書に、「財産〇〇〇〇を遺贈する」と財産を具体的に書いてある場合です。
包括遺贈とは、遺言書に、「財産すべてを包括遺贈する」「財産の2分の1を包括遺贈する」と割合だけ書いて財産を具体的に書いてない場合です。
包括遺贈を受けた場合、財産の分け方について話し合いによる合意が必要です。
包括遺贈では、財産を譲ってもらう人は相続人と同一の権利義務が与えられます。
被相続人の財産の分け方の話し合いは、包括受遺者が参加します。
5相続分の譲受人が遺産分割協議に参加する
相続人全員による話し合いによる合意がされる前であれば、相続人が自分の法定相続分を譲渡することができます。
相続分を譲渡するのは、他の相続人のうちだれかでも構いませんし、それ以外の第三者でも構いません。
譲渡するのは、有償でも無償でも構いません。
自分の法定相続分の全部を譲渡することができるし、自分の法定相続分の一部を譲渡することができます。
相続分を譲渡すると、相続分を譲渡した相続人は相続権を失います。
相続分の譲渡を受けた人は、他の相続人以外の第三者であっても、相続分を譲った人に代わって相続人全員の話し合いに参加する必要があります。
被相続人の財産の分け方の話し合いは、相続分の譲受人が参加します。
6特別寄与者が遺産分割協議に参加する
寄与分とは、被相続人の財産の維持や増加について特別な貢献をした人がいる場合、特別な貢献をした人に対して、相続分以上の財産を受け継いでもらう制度です。
特別な貢献をした人が相続人の場合、寄与分を主張することができます。
特別な貢献をした人が相続人でないけど親族である場合、特別の寄与分を請求することができます。
特別の寄与分を請求する人は、遺産分割協議で特別の寄与に応じた金銭を請求します。
被相続人の財産の分け方の話し合いに、特別寄与者が参加します。
7死亡した相続人の相続人が遺産分割協議に参加する
相続が発生したときには元気だった相続人が遺産分割協議中に死亡することがあります。
相続人が死亡した場合、相続人の地位が相続されます。
当初の被相続人の相続人でない人に相続されることがあります。
当初の相続人が死亡した場合、死亡した相続人の相続人が遺産分割協議に参加しなければならない人です。
遺産分割協議に参加しなければならない人が参加していない場合、遺産分割協議は無効になります。
当初の相続の法定相続人でなくても遺産分割協議に参加しなければならない人全員が「相続人全員」です。
8遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット
遺産分割協議書は遺産の分け方について、参加すべき人全員による合意を取りまとめた文書です。
前提として、話し合いによる合意ができていなければ、文書にできません。
銀行などの金融機関から遺産分割協議書を提出するように言われて、とにかく書きたいという方もいます。
遺産分割協議書があるとトラブル防止になりますが、参加すべき人全員の合意があり、合意を取りまとめているからです。
有効な合意を文書にしているから、後々のトラブルを防止できるのです。
参加すべき人全員が有効な合意をしていない場合、かえってトラブルになってしまいます。
参加すべき人は簡単そうに見えて、間違いやすいものです。
参加すべき人を間違えると、せっかくの合意が無効になりかねません。
司法書士はこのような複雑な相続においても対応しています。
適切な遺産分割協議書を作り、家族のトラブルを避けたい方は、司法書士などの専門家にサポートを依頼することをおすすめします。

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相続放棄しても遺族年金
1相続放棄をしても相続財産以外は受け取りができる
相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も相続人が受け継ぎます。
相続財産というとプラスの財産だけイメージしがちですが、マイナスの財産も含まれます。
マイナスの財産が多い場合、相続放棄をすることができます。
法律で定められた一定の条件にあてはまるときは、単純承認したとみなされます。
単純承認とは、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継ぐものです。
単純承認とみなされたら、相続放棄はできません。
被相続人が払うべきお金を相続財産から支払う場合、単純承認とみなされます。
相続財産を処分したと判断されるからです。
被相続人が払うべきお金であっても、相続人が自分の財産から払う場合、単純承認とみなされません。
被相続人が死亡したことをきっかけに受け取るお金には、被相続人の財産を引き継ぐものと相続人自身の固有の権利として受け取るものがあります。
被相続人の財産を引き継ぐ場合、単純承認とみなされます。
相続人自身の固有の権利として受け取る場合、単純承認とみなされません。
相続放棄をした場合、相続財産を受け取ることはできませんが、相続財産以外であれば受け取ることができます。
2相続放棄をしても遺族年金を受け取ることができる
遺族年金は、年金に加入していた人が死亡したときに遺族に対して支給される年金です。
遺族年金を受け取る権利は、相続財産ではありません。
被相続人の死亡をきっかけにして、遺族に対して支給されます。
被相続人が生前に遺族年金の受給権を得てはいませんから、被相続人から受け継ぐものではありません。
遺族年金の受給権は、遺族の固有の権利です。
被相続人から相続するものではないから、相続放棄とは無関係です。
相続放棄をしても相続放棄をしなくても、遺族年金を受け取ることができます。
遺族年金を請求しても、相続財産を消費したと判断されることはありません。
相続財産を消費した場合、相続の単純承認をしたと判断されます。
遺族年金を受け取っても、相続の単純承認をしたと言われることはありません。
遺族年金を受け取る権利は、相続財産ではなく遺族の固有の財産だからです。
相続放棄をした後に遺族年金を請求した場合、相続放棄が無効になることはないし、遺族年金が取り消されることはありません。
遺族年金を受け取った後に相続放棄をした場合、相続放棄が無効になることはないし、遺族年金が取り消されることはありません。
遺族年金の受給権は、遺族の固有の権利だから、相続放棄とは無関係です。
すでに相続放棄をした場合でも、これから相続放棄をするつもりでも、遺族年金を受け取ることができます。
3遺族年金等を受け取る方法
遺族年金を受け取るための条件をすべて満たしている場合、遺族年金を受け取ることができます。
①遺族基礎年金
次の要件のいずれかを満たしている人が死亡した場合、遺族基礎年金が支給されます。
(1)国民年金加入中の人
(2)国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の方で、日本国内に住所を有していた人
(3)老齢基礎年金の受給権がある人
(4)老齢基礎年金の受給資格を満たした人
(1) (2)においては、保険料納付済期間等が国民年金加入期間の3分の2以上あることが必要です。
死亡日が令和8年3月31日までのときは、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいとされます。
直近1年間に保険料の未納がなければよいのは、死亡した人が65歳未満の場合です。
(3) (4) においては、保険料納付済期間等が25年以上あることが必要です。
遺族基礎年金を受け取ることができるのは、次の人です。
(1)子のある配偶者
(2)子
子は、18歳になった年度の3月31日までになる人、または、20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある人を指します。
子は、婚姻していない場合に限ります。
子のある配偶者が遺族年金を受け取っている場合、子は支給停止になります。
厚生年金加入者は、国民年金2号被保険者として国民年金加入者です。
厚生年金加入者が死亡した場合、条件を満たせば、遺族厚生年金を一緒に受け取ることができます。
②寡婦年金
遺族基礎年金を受け取る条件を満たせない場合であっても、寡婦年金を受け取ることができる場合があります。
寡婦年金を受け取る条件は次のとおりです。
(1)死亡した人が夫であること
(2)死亡した夫に国民年金1号被保険者期間があること
(3)死亡した夫の国民年金1号被保険者期間の保険料納付済期間等が10年(平成29年7月31日以前の死亡の場合25年)以上あること
(4)死亡した夫と10年以上継続して、婚姻関係にあること
(5)死亡した夫に生計を維持されていた妻であること
(6)妻の年齢が60歳から65歳までの間であること
(7)死亡した夫が老齢基礎年金や障害基礎年金を受けていないこと
(8)妻が老齢年金を繰り上げ支給されていないこと
③死亡一時金
死亡一時金は、文字どおり一度だけ支給されます。
年金ではありません。
死亡一時金を受け取る条件は次のとおりです。
(1)死亡した人に国民年金1号被保険者があること
(2)死亡した人の国民年金1号被保険者期間の保険料納付済期間等が36か月以上あること
(3)死亡した人が老齢基礎年金や障害基礎年金を受けていないこと
(4)遺族が遺族基礎年金を受けることができないこと
寡婦年金を受け取る権利がある場合、どちらかを選択することができます。
死亡一時金を受け取る権利は、死亡日の翌日から2年で時効で消滅します。
死亡一時金を受け取ることができる人は次のとおりです。
(1)配偶者
(2)子
(3)父母
(4)孫
(5)祖父母
(6)兄弟姉妹
優先順位の高い人が一度だけ請求することができます。
④遺族厚生年金
次の要件のいずれかを満たしている人が死亡した場合、遺族厚生年金が支給されます。
(1) 厚生年金加入中の人
(2)厚生年金加入中に初診日のある病気やけがで初診日から5年以内に死亡した人
(3)1級2級の障害厚生年金を受給中の人
(4)老齢厚生年金の受給権がある人
(5)老齢厚生年金の受給資格を満たした人
(1) (2)においては、保険料納付済期間等が国民年金加入期間の3分の2以上あることが必要です。
死亡日が令和8年3月31日までのときは、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいとされます。
直近1年間に保険料の未納がなければよいのは、死亡した人が65歳未満の場合です。
(4) (5)においては、保険料納付済期間等が25年以上あることが必要です。
遺族厚生年金を受け取ることができるのは、次の人です。
(1)子のある妻、子のある55歳以上の夫、子
(2)子のない妻、子のない55歳以上の夫、
(3)55歳以上の父母
(4)孫
(5)55歳以上の祖父母
(2)子のない30歳未満の妻は5年のみ受給ができます。
(1)子(4)孫は、18歳になった年度の3月31日までになる人、または、20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある人を指します。
夫、父母、祖父母の受給開始は、60歳からです。
夫が遺族基礎年金と併給できる場合、55~60歳の間は遺族厚生年金を受け取ることができます。
4確定拠出年金の死亡一時金は5年以内なら受け取りができる
被相続人が確定拠出年金を積み立てている場合があります。
確定拠出年金を積み立てていた場合、死亡一時金が支給されます。
確定拠出年金の死亡一時金を受け取る権利は、相続発生後5年以内は受取人の固有の財産です。
確定拠出年金に加入した後、死亡一時金の受取人を指定することができます。
相続発生後5年以内であれば、相続放棄をしても確定拠出年金の死亡一時金を受け取ることができます。
5相続放棄を司法書士に依頼するメリット
実は、相続放棄はその相続でチャンスは1回限りです。
家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続を取ることはできますが、高等裁判所の手続きで、2週間以内に申立てが必要になります。
家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。
一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。
相続放棄は撤回ができないので、慎重に判断する必要があります。
せっかく、相続放棄が認められても、相続財産を処分した判断されたら無効になりかねません。
このような行為をしてしまわないように、予め知識を付けておく必要があります。
相続放棄を自分で手続きしたい人の中には、相続放棄が無効になることまで考えていない場合が多いです。
司法書士は、相続放棄が無効にならないようにサポートしています。
せっかく手続きしても、相続放棄が無効になったら意味がありません。
相続放棄を考えている方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
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