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相続放棄-家族信託

2022-09-09

1家族信託とは

所有者はものを自由に売ったり、自由に管理したりして、ものから利益を受け取ることができます。

だから、所有権は、自由にものを売る権利であるし、自由に管理する権利であるし、ものから利益を受け取る権利であるといえます。

所有権はよく見ると、たくさんの権利の集合体といえます。

たくさんの権利の集合体である所有権から、自由に売る権利や自由に管理する権利を信頼できる家族に渡して、自分はものから利益を受け取る権利だけ持っていることができます。

自由に売る権利や自由に管理する権利を信頼できる家族に渡して、自分はものから利益を受け取る権利だけ持つ仕組みを家族のための信託といいます。

この仕組みを利用すると、信頼できる家族は自由にものを売ることができるし、自由に管理することができます。

自由に売る権利や自由に管理する権利を渡す相手は信頼できる家族であればよく、親子でなくても差し支えありません。

2信託財産は独立した財産になる

家族信託をすると、信託財産は信頼できる家族の名義になります。

名義は信頼する家族のものになりますが、その人の財産ではありません。

自由に売る権利や自由に管理する権利を預ける人を、委託者と言います。

自由に売る権利や自由に管理する権利を預かる信頼できる家族のことを受託者と言います。

信託財産は管理や処分をお願いしているだけだから、受託者の固有の財産とは別に扱われます。

信託財産は、受託者の名義になっているだけで、独立した財産です。

信託財産は、委託者の固有の財産でもありません。

信託財産は委託者の財産でもないし、受託者の財産でもなくなります。

信託財産は、だれの財産でもない独立した財産です。

委託者の固有の財産ではないから、委託者に相続が発生した場合、信託財産は相続財産になりません。

相続財産になるのは、委託者の固有の財産だけです。

信託契約では、いつ信託が終了するのか、信託が終了したら信託財産はだれが受け継ぐのか決められます。

信託財産は、信託契約で決められたときに終了し、信託契約で決められた人に受け継がれます。

3家族信託があっても相続放棄はできる

家族信託の委託者に相続が発生した場合、相続財産になるのは委託者の固有の財産だけです。

相続人は、相続放棄をすることができます。

相続放棄をしたら、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け取ることはできません。

受け取ることができないのは、相続財産についての話です。

相続放棄をしたら、相続財産のうちプラスの財産も、相続財産のうちマイナスの財産も受け取ることはできません。

委託者が信託した財産は独立した財産だから、相続放棄の影響を受けません。

信託契約で決められたときに終了し、信託契約で決められた人が受け継ぎます。

委託者が死亡したとき信託が終了すると決められているケースもあるでしょう。

信託が終了したら信託財産を受け継ぐと指定された人が、相続人であることもあるでしょう。

信託が終了したら信託財産を受け継ぐと指定された人がだれであっても、相続人は、相続放棄をすることができます。

相続人として相続放棄をした場合であっても、信託契約は影響を受けません。

信託財産は、信託契約の定めに従って受け継がれます。

相続人が相続放棄をした場合であっても単純承認をした場合であっても、信託契約に従って信託財産を受け継ぐことができます。

4借金逃れで家族信託を悪用することはできない

信託財産は、委託者の固有の財産でもありません。

信託財産は委託者の財産でもないし、受託者の財産でもなくなります。

信託財産は、だれの財産でもない独立した財産です。

原則として、相続放棄をしても、信託が終了したら信託財産を受け継ぐと指定された人は信託財産を受け取ることができます。

例えば、委託者の財産がわずかなプラスの財産と莫大なマイナスの財産であるようなケースで問題になります。

この状況で、委託者がわずかなプラスの財産すべてを信託契約で信託財産にすることが考えられます。

莫大なマイナスの財産は委託者の固有の財産のままです。

この後、相続が発生した場合、相続人は相続放棄をするでしょう。

原則どおりでは、相続財産と信託財産は別物だから、マイナスの財産を受け継がずに、わずかなプラスの財産を受け取ることができるとなってしまいます。

このようなことができると、債権者にあまりに気の毒です。

債権者は、裁判所に訴えて、理不尽な信託の取り消しを請求することができます。

借りたお金を返さなければならないのに、不当に家族信託にして結果、お金を返せなくしているからです。

自分の財産を不当に減少させたら、お金を貸した人はお金を返してもらえなくなる結果になります。

お金を貸した人が困ることを分かっていて、契約した信託を詐害信託と言います。

お金を貸した人が困ることについて、委託者と受益者が知っていた場合、信託は詐害信託と言えます。

裁判所に詐害信託と認められたら、信託は取り消されます。

お金を貸した人が困ることについて、受託者は知っていても知らなくても関係がありません。

受託者は信託財産を預かって管理しているだけだから、保護の必要性がないからです。

お金を貸した人が困ることについて、知っていても知らなくても、受託者は裁判の被告になります。

お金を貸した人が困ることについて、受益者が知っていた場合、第三者に受益権を譲渡することがあります。

詐害信託に認定されると、裁判所から信託財産からの給付が取り消されてしまうからです。

信託財産からの給付を取り消されないようにするために、お金を貸した人が困ることについて、何も知らない第三者に信託受益権を無償で譲渡しようとするのです。

このような行為は、不当な行為です。

このような不当な行為をした場合、お金を貸した人が困ることについて、受益者は知っていても知らなくても、受益者は知っていたと扱われます。

つまり、受益者はお金を貸した人が困ることについて知らなかったから、保護して欲しいとは言えなくなるという意味です。

無償で譲渡するとは、無償のときだけでなく、通常とは不釣り合いな有償の場合を含みます。

わずかな有償は、無償と同視されるという意味です。

わずかな額で、保護されることは不当だからです。

5家族信託を悪用すると取消される

債権者は、裁判所に訴えて、理不尽な信託の取り消しを請求することができます。

さらに、次のような効果があります。

①信託財産からの給付が取消される

信託財産からの給付がされる前の場合で、かつ、受益者全員が債権者が困るのを知っていた場合、信託財産からの給付が取消されます。

信託財産からの給付がされた後の場合で、かつ、債権者が困るのを知っていた受益者について、信託財産からの給付が取消されます。

②信託受益権の譲渡請求ができる

債権者が困るのを知っていた受益者について、信託受益権を委託者に譲渡するように請求することができます。

③自己信託の特例

家族信託は、委託者と受託者が同じ人で設定することができます。

委託者と受託者が同じ人になる信託を、自己信託と言います

自己信託であっても、信託財産と固有の財産は別物と扱うのが原則です。

借金逃れなど債権者を困らせる目的で、自己信託を設定することはやはり許されることではありません。

自己信託が詐害信託である場合、債権者を保護するため、信託財産と固有の財産は別物と扱いません。

債権者は、信託財産であっても差押などの執行をすることができます。

借金逃れなど家族信託を悪用することはできないのです。

6家族信託を司法書士に依頼するメリット

家族信託は、信託契約によって柔軟に設計することができます。

今までの遺言書や後見などでできないことも実現することができます。

柔軟で自由に設計できるからこそ、契約内容や手続きは難しく専門家のサポートが欠かせません。

委託者の固有の財産から切り離して、だれの財産でもない独立した財産にできることも大きな魅力でしょう。

一方で、このような魅力を悪用することを考える人がいるかもしれません。

借金から逃れるために信託を利用するなどは、典型例でしょう。

このようなことをすると大きなトラブルになってしまいます。

これ以外にも、委託者の固有の財産から切り離して、だれの財産でもない独立した財産にできることから、遺留分を侵害する恐れもあります。

遺留分侵害額請求から逃れるために信託を悪用する事例もあります。

委託者、受託者、受益者の関係者がすべて家族で完結するから安心と言えますが、全員に知識がないことが多くトラブルに発展しやすいと言えます。

家族全員が家族信託について話し合い、充分知識をつけて、何でも相談できるのであれば、円滑に運用することができるでしょう。

充分な知識がないのに、信託を設定するとトラブルが起きると言えます。

受託者監督人など家族以外の専門家のサポートを受ける方が安心できる場合もあります。

家族信託は、公正証書で契約しなくても有効になります。

公正証書は公証人という専門家の目も通るし、契約内容についてのトラブルを防ぐこともできます。

やはり専門家のサポートが欠かせないというべきでしょう。

家族信託を考えている方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続放棄-アパート経営

2022-09-07

1貸主の地位は相続財産

被相続人が賃貸マンションや賃貸アパートを保有していることがあります。

お部屋を貸している人が死亡しても、賃貸借契約は終了しません。

相続が発生すると、原則として、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続人が相続する財産が、相続財産です。

賃貸マンションやアパートのような収益不動産は、人に貸して収益をあげています。

賃貸マンションやアパートのような物は相続財産としてイメージしやすいでしょう。

これ以外にも、大家の地位も相続の対象になります。

2債務超過なら相続放棄ができる

被相続人が賃貸マンションや賃貸アパートを保有していた大家と聞くと、一般的に資産家のイメージが浮かびます。

被相続人が収益不動産を上手に活用して、大きな収益をあげていたかもしれません。

家族が全く関与していない場合、不動産経営に不安を感じることでしょう。

不動産の収益状況が良く資産価値が高いのであれば、相続して不動産を売却するのがいいでしょう。

賃貸マンションや賃貸アパートの立地によっては、空室が多く収益がよくないことがあります。

賃貸マンションや賃貸アパートが老朽化して、多額の修繕費が必要な場合もあるでしょう。

賃貸マンションや賃貸アパートを建築するとき多額のローンが残っているかもしれません。

収益が悪化しているなど相続すると相続人の人生が破綻する場合、相続放棄をすることができます。

相続放棄は、相続人間の話し合いで賃貸マンションや賃貸アパートを受け継がないと申し入れをすることではありません。

相続人全員の遺産分割協議書に賃貸マンションや賃貸アパートを受け継がないと記載して全員で署名実印押印をすることでもありません。

家庭裁判所に書類を揃えて、相続放棄の申出をすることです。

家庭裁判所に相続放棄を認めてもらうことが重要です。

家庭裁判所が相続放棄を認めても、相続財産を処分した場合、相続放棄は無効になります。

相続財産を処分するとは、典型的には、被相続人の預貯金を使った、被相続人あての請求を相続財産で支払ったというものでです。

賃貸マンションや賃貸アパートの経営に関わるものとしては、家賃を入居者に請求した、家賃の受取口座を自分名義の口座にしたなどがあります。

相続財産を処分したと判断されると、相続放棄は無効になります。

3相続放棄をしても連帯保証人の義務はそのまま

被相続人が賃貸マンションや賃貸アパートを建築するとき、不動産ローンを組むことがあります。

多額の融資を受けることになるので、金融機関は連帯保証人を立てることを求めてきます。

被相続人がローンを組む場合、相続人が連帯保証人になっていることがあります。

連帯保証人は、ローンを組んだ人がお金を返せなくなった場合に肩代わりをしますと銀行に約束した人です。

銀行は、ローンを組んだ人がお金を返せなくなっても、肩代わりの人に請求できるので安心してお金を貸せます。

被相続人が多額のローンを残したまま死亡した場合、相続人は相続放棄をすることができます。

相続人が相続放棄をした場合、被相続人の借金を相続することはありません。

相続人として被相続人のアパートローンを返す義務はなくなりますが、肩代わりの義務は残ります。

借金を肩代わりする義務は、銀行と相続人がした契約だからです。

相続とは関係ない相続人の固有の義務だからです。

被相続人が不動産ローンを残したまま死亡した後、相続人が相続放棄をしたら借金を返してもらえなくなります。

ローンを組んだ人がお金を返せなくなった場合に肩代わりをしますと約束してもらったのだから、銀行は約束どおり肩代わりをしてくださいと言ってきます。

相続放棄したから、肩代わりはしませんということはできません。

肩代わりの義務は、相続とは関係ない相続人固有の義務だからです。

4不動産ローンの連帯保証人になるのは慎重に

アパート経営は、事業リスクがある不動産事業です。

被相続人の名義でアパートローンを組んだ場合であっても、実態としては不動産事業は家族で経営していることが多いものです。

だから、銀行は家族を連帯保証人に立てるように求めてきます。

連帯保証人でない相続人は相続放棄をした場合、被相続人の借金を相続することはありません。

連帯保証人である相続人は相続放棄をした場合、連帯保証人として被相続人の借金から逃れられません。

連帯保証人は、アパート経営を引き継がなければならなくなるのです。

連帯保証人が死亡した場合、連帯保証人の地位は相続人に相続されます。

連帯保証人の配偶者や子どもなどは何も知らないところで連帯保証人の地位を相続してしまうおそれがあります。

アパートローンを組んだ人が順調にローン返済ができている間は、銀行は困ることがないからです。

順調に不動産ローンが返済されている間は、連帯保証人に何も言って来ないのが通常です。

アパートに空室や家賃の滞納が多くなった場合、貯金を切り崩してローンを返済することなります。

アパートの家賃以外の収入や貯金を使って返済しきれなった場合、ローン返済が滞ることになります。

連帯保証人の地位を相続して長期間経過してローンの返済が滞ってから、銀行は肩代わりを求めてきます。

今まで何も教えてもらえなかったのにと文句を言いたい気持ちは分かりますが、銀行に非はありません。

連帯保証人の家族間の連絡不足です。

相続放棄は、相続の発生を知ってから3か月以内に家庭裁判所に手続をしなければなりません。

相続の発生を知ってから3か月以上経過している場合でも、大きな借金があることを知ってから3か月以内であれば、相続放棄は認められる場合があります。

相続が発生してから長期間経過している場合、銀行預金などの解約や自宅などの名義変更をしているでしょう。

銀行預金などの解約や自宅などの名義変更をした場合、単純承認をしたとみなされます。

単純承認をした場合、相続放棄をすることはできません。

家庭裁判所が事情を知らずに相続放棄を認めてしまった場合であっても、単純承認した場合は相続放棄が無効になります。

5家族を不動産ローンの連帯保証人にしない方法

不動産投資は株式投資と比べると、一般的に言ってリスクが低いとされています。

不動産投資でまとまった金額が必要になるため、家族を連帯保証人にしたくない人もいるでしょう。

①団体信用生命保険に加入する

連帯保証人は、ローンを組んだ人がお金を返せなくなった場合に肩代わりをしますと銀行に約束した人です。

団体信用生命保険は、債務者が死亡した場合や高度障害を負った場合、ローン残債を返済してくれる保険です。

不動産ローン商品によっては団体信用生命保険に加入することで連帯保証人を立てなくても済みます。

ローンの返済義務がなくなった場合、家賃収入があれば相続人は安心できるでしょう。

一方で、団体信用生命保険に加入する場合、ローンの金利が上乗せされます。

ローンの借り入れ額が通常より制限されることがあります。

年齢によっては、団体信用生命保険に加入することができない場合があります。

②法人化する

個人事業を法人にしたうえで、法人がアパート経営をする方法があります。

法人がアパートローンを組み、法人の代表者が連帯保証人になる方法です。

法人化すると、家族を連帯保証人にすることなく済みます。

一方で、法人設立の手間と費用がかかります。

税務申告や税金の負担、社会保険の強制加入になるなどの負担があります。

6アパート経営の相続放棄を司法書士に依頼するメリット

大切な家族を失ったら、大きな悲しみに包まれます。

やらなければいけないと分かっていても、気力がわかない方も多いです。

収益物件を保有している人は、資産家であることが多いので収益物件の評価額も気になることが多いでしょう。

賃貸マンションや賃貸アパートの収支状況がいい場合ばかりではありません。

賃貸マンションや賃貸アパートを相続すると、相続人の人生が破綻しかねない場合もあります。

相続人が遠方に住んでいる、アパート経営に関心や自信がない場合もあるでしょう。

ローン残債が多額で多額の修繕が必要であるなどメリットがない場合は相続放棄をすることができます。

相続放棄の手続も司法書士はサポートします。

賃貸マンションや賃貸アパートの相続について、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

遺産分割協議-寄与分が認められるケース

2022-09-05

1寄与分が認められるのはハードルが非常に高い

寄与分とは、被相続人の財産の維持や増加について特別な貢献をした人がいる場合、特別な貢献をした人に対して、相続分以上の財産を受け継いでもらう制度です。

寄与分の制度は、特別な貢献をした人に対して相続分以上の財産を受け取ってもらうことで、相続人間の実質的な公平を図ろうとするものです。

寄与分が認められるためには次の条件を満たす必要があります。

①特別の寄与があること

②財産が実質的に増加したこと

③特別の寄与と財産増加に因果関係があること

①~③の条件のうち、①を満たすハードルが非常に高いのが実情です。

①が認められるためには、通常の寄与でなく特別の寄与が条件になります。

特別の寄与とは、被相続人との身分関係から考えて、通常期待される程度を超える貢献のことです。

通常、家業や療養看護で苦労してきた人は相続で報われたいと考えます。

寄与分の制度は、苦労してきた人に報いて実質的公平を図る制度です。

多くの場合、被相続人との身分関係から考えて、寄与が特別であると認められるのは非常に高いハードルがあります。

2寄与分が認められるケース

寄与の内容について、「相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法」と民法は定めています。

①相続人の事業に関する労務の提供のケース

典型的には、被相続人が農業や個人事業をしていたケースで、相続人が一緒に協力してきた場合です。

通常であれば従業員を雇用してやる程度の仕事を無償で、かつ、長期間継続していたことがポイントになります。

無償とは、完全に無償でない場合も含みます。

報酬名目ではあるが、無償と同視できるような低額の小遣いである場合などです。

会社のお休みの日に手伝っていた場合、①特別の寄与があったとは認められないでしょう。

帰宅してから短時間手伝っていた場合、①特別の寄与があったと判断されないでしょう。

特別な寄与があったと認められる場合でも、財産の維持増加に貢献したというためには、数か月では足りません。

明確な基準はありませんが、少なくとも1年以上は継続して従事していたことが必要でしょう。

労務の提供は被相続人個人に対してしたものである必要があります。

被相続人の事業が会社組織になっている場合があります。

被相続人が代表者の会社に労務を提供した場合、被相続人に対して寄与があったとは認められません。

会社と会社の代表者は別の人格だからです。

無償で、被相続人の事業に従事していた場合、相続人の生活費は被相続人が負担していたことでしょう。

寄与分が認められる場合でも、相続人の生活費分は減額されます。

②財産上の給付のケース

具体的には、被相続人が事業を始める際に、開業資金を援助した場合や借金の肩代わりをした場合です。

通常の生活費を援助していた場合、①特別の寄与があったとは認められないでしょう。

日常の小遣いを渡していた場合、①特別の寄与があったとは言えないでしょう。

被相続人の経済状況を踏まえて、ある程度まとまった金額を渡したことがポイントです。

相続人による援助によって財産が実質的に増加し、かつ、相続発生時に増加の効果が残っていることが必要です。

相続発生時に増加の効果が失われている場合、寄与分が認められません。

被相続人にある程度まとまった額を貸し付けた場合、通常、相続人に返済を求めることができるはずです。

相続人に返済を求めることができる場合、①特別の寄与があったと認められるのは稀です。

労務の提供と同様に、給付の対象は被相続人でなければなりません。

被相続人が代表者を務める会社に対して資金を給付した場合、被相続人に対して寄与があったとは認められません。

会社と会社の代表者は別の人格だからです。

③被相続人の療養看護のケース

寝たきりや身体が不自由な被相続人のため、療養看護や介護をした場合です。

会社のお休みの日に自宅へ行って介護をしていた場合、①特別の寄与があったとは認められないでしょう。

仕事帰りに短時間介護をしていた場合、①特別の寄与があったとは言えないでしょう。

介護ヘルパーを利用していたケースであっても、ヘルパー代金を相続人が負担していた場合は財産の減少を阻止したと言える場合があります。

被相続人の収入や資産で生活していた相続人については、①特別の寄与があったとは認められにくいものです。

寄与分が認められるためには、①特別の寄与によって財産が実質的に増加したことが必要です。一生懸命介護したとか、心を込めてお世話をしたなどは、財産増加とは無関係です。

財産の実質的増加と無関係な事実は、寄与分になりません。

被相続人が完全看護の病院に入院していた場合、①特別の寄与があったとはほとんど認められません。

完全看護の病院なのに、相続人がつきっきりでお世話をしなければならないような事情があるような特殊なケースでは、①特別の寄与があったと認められる余地があります。

④被相続人と同居のケース

被相続人と同居して面倒を見ていた場合が考えられます。

単に、被相続人と同居して面倒を見ていた場合、①特別の寄与があったとは認められないでしょう。

夫婦であれば相互扶助義務がありますし、親族であれば扶養義務があるからです。

被相続人と同居して面倒を見ていた点は、通常の寄与と判断されることが多いです。

同居して苦労したなどは、財産増加と無関係な事実です。

財産の実質的増加と無関係な事実は、寄与分になりません。

⑤財産管理のケース

典型的には、被相続人が収益不動産などを所有していたケースで、相続人が財産管理をしていた場合です。

具体的には、被相続人に代わって、賃貸借契約を締結、家賃の回収、賃借人の立ち退き交渉など収益不動産の管理をしている場合です。

賃貸アパートの管理を管理会社に委託している場合、仕事がお休みの日に清掃や除草をしている程度では特別の寄与と認められないでしょう。

収益不動産を運用管理して、財産が増加したように見えるかもしれません。

実際に財産が増加していても、①特別の寄与があったとは認められにくいものです。

一般的に言って、資産運用にはリスクがあるからです。

資産運用のリスクは被相続人が負担しています。

資産運用が偶然うまくいったことを理由に寄与分を認めるのは、不公平だからです。

このことは不動産だけでなく、株式などのリスクのある資産運用全般に対して同じことが言えます。

相続人が被相続人の成年後見人に就任している場合があります。

成年後見人が報酬を得ていない場合は寄与分があるように見えるかもしれません。

成年後見人は公的な職務で本人の財産管理をするものです。

公的な職務でやるべきことをしただけだから、寄与分が認められるべき特別の寄与にあたるというのは難しいでしょう。

3生前対策を司法書士に依頼するメリット

通常、家業や療養看護で苦労してきた人は相続で報われたいと考えます。

わざわざ報われない苦労をする人はいません。

寄与分は被相続人のために貢献した人に対して、相続分以上の財産を受け取ってもらうことで報いようとする制度です。

相続人の貢献に報いることで実質的な公平を図ろうとする制度です。

寄与分が認められるためには、非常に高いハードルを超えなければなりません。

家業や療養看護で苦労してきた人はだれなのか、どれだけ苦労をしてくれたのか被相続人は分かっているはずです。

被相続人は、家業や療養看護で苦労してきた人対して、報いてあげることができます。

トラブルにならない形で、家業や療養看護で苦労してきた人対して、報いてあげることができるのは、被相続人だけです。

被相続人が生前に対策しておけば、家族のトラブルを確実に減らすことができます。

家族がトラブルにならず相続を経験すると、家族の絆が強まります。

家族の幸せのために、生前対策を考えている方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

アパート経営を相続

2022-08-29

1大家の地位は相続財産

被相続人が賃貸マンションや賃貸アパートを保有していることがあります。

お部屋を貸している人が死亡しても、賃貸借契約は終了しません。

相続が発生すると、原則として、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続人が相続する財産が、相続財産です。

賃貸マンションやアパートのような収益不動産は、人に貸して収益をあげています。

賃貸マンションやアパートのような物は相続財産としてイメージしやすいでしょう。

これ以外にも、大家の地位つまり貸主の地位も相続の対象になります。

貸主の地位には、賃借人から差し入れられた敷金を返す義務も含まれています。

賃貸マンションやアパートを建設するとき、アパートローンを組んでいることがあります。

アパートローンも相続財産です。

被相続人がアパート経営をしていると、収益不動産の他に、大家の地位、アパートローンが相続財産になります。

2まずは遺産分割協議

相続が発生すると、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

相続人全員は自動的に貸主との地位を受け継ぎます。

貸主の地位は物ではないので、準共有という言い方をします。

賃借人から差し入れられた敷金を返す義務も相続財産として、相続人に受け継がれます。

2人以上相続人がいる場合や遺言書がない場合は、遺産の分け方について相続人全員で話し合いをする必要があります。

相続財産の分け方について、相続人全員で、合意が不可欠です。

貸主の地位は相続財産ですから、相続人全員で、合意が必要になります。

銀行の預貯金などと同じように、貸主の地位をだれが受け継ぐのか決めましょう。

どのように分けるかは、相続人全員で合意できるのであれば、どのように分けても構いません。

相続人全員で合意がまとまったら、遺産分割協議書に取りまとめておきます。

貸主の地位をだれが受け継ぐのかについて、借主や管理会社に相談する必要はありません。

賃借人の同意や承諾は必要ありません。

新しい家主が決まったら、借主に通知しましょう。

相続で自動的に受け継がれるものなので、相続が発生したことによって賃貸借契約を新規締結したり、契約変更したりする手続は必要ありません。

相続があったことで、契約内容がうやむやになったり、賃料や敷金関係があいまいになりがちです。

家主や管理会社と相続人の間で、賃借権の内容を合意事項として文書にしておくと、以降のトラブル防止に役立つでしょう。

相続で貸主の地位を相続した相続人が、賃借人を変更したいと思っても、簡単に契約を終了させることはできません。

建物所有目的の土地賃貸借や建物賃貸借では、借地借家法が適用されます。

借地借家法が適用される場合、貸主から解約や更新拒絶するのは正当理由が必要になります。

正当理由が非常に高いハードルとなっているからです。

3遺産分割までの家賃

①遺産分割までの家賃は法定相続分で分割して取得

相続が発生してから遺産分割までに発生した家賃は、相続財産とは別個の財産です。

相続人の法定相続分に応じて、相続が発生してから遺産分割までに発生した家賃を分配します。

後から、遺産分割によって、賃貸不動産を相続する相続人を決めても、賃貸不動産を相続する相続人が家賃をすべて取得することはできません。

相続財産の分け方について、相続人全員で、合意するまでは、相続財産は相続人全員の共有物だからです。

現実的には、代表相続人が家賃を受け取って管理し、相続財産の分け方について、その賃料についても相続人全員の合意をするのが一般的です。

その合意に基づいて、清算します。

②遺産分割までの家賃は法定相続人の1人に払えばよい

貸主が死亡しても、賃貸借契約は終了しませんから、家賃を払わなければなりません。

死亡した貸主の口座に振り込んでも、差し支えありません。

銀行などの金融機関は、口座の持ち主が死亡したことを知ると口座を凍結します。

家賃を振込しようとしても、振込ができないこともあります。

貸主としての地位は相続人に相続されていますから、相続人に支払うことができます。

相続人の1人に家賃全額を払えば、二重払いを強いられることはありません。

万が一、相続人と称するだけで相続人でない人であった場合、無過失であれば二重払いをしなくて済みます。

無過失の証明のために、戸籍謄本や身分証明書を受領しておくと安心です。

4入居者に家賃を請求するためにはアパートの名義変更が必要

家賃を請求するなど貸主の地位を借主に主張するためには、対抗要件が必要になります。

まず、賃借人が賃借権を対抗する場合、次のような方法があります。

①不動産賃借権の登記

②登記した建物を所有(土地の賃貸借の場合)

③建物の引渡(建物賃貸借の場合)

賃借人が賃借権に①~③の対抗要件を備えた後、貸しているものが譲渡された場合、貸主の地位は自動的に譲受人に移ります。

譲渡によって移った貸主の地位を借主に主張するためには、所有権移転の登記が必要です。

登記があれば、所有権があることを第三者に主張することができます。

第三者に主張することができない状態では、借主から見ると、家賃をだれに払えばいいのか分からなくなって困ります。

所有権移転登記を経ることで、相続人は貸主としての地位を借主に対抗できることになります。

借主が家主と称する人に家賃を払ったのに、家主でなかったというトラブルをなくすためにこのような定めがあります。

5アパートローンの名義変更は銀行の承諾が必要

相続が発生すると、原則として、被相続人の財産は相続人が相続します。

被相続人の財産は、原則としてプラスの財産もマイナスの財産も相続財産です。

賃貸マンションやアパートを建設するとき、アパートローンを組んでいることがあります。

アパートローンも相続財産です。

相続財産は相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意が不可欠です。

相続人全員の合意でアパートローンを特定の代表相続人が引き継ぐことを決めることができます。

代表相続人がアパートローンを引き継ぐと決めた場合であっても、この取り決めは相続人間の内部的な合意に過ぎません。

被相続人が遺言書に「アパートローンは相続人○○に相続させる」と書いた場合も同様です。

遺言書の内容は、相続人間の内部的な取り決めに過ぎません。

相続人間の内部的な取り決めに過ぎませんから、銀行は相続人全員に対して法定相続分でローンの返済を求めることができます。

アパートを引き継がない相続人に対して、銀行は法定相続分でローンの返済を求めることができます。

アパートローンを引き継ぐと決められた相続人が、債務超過で資力がない場合があるからです。

債務超過で資力がない場合、多くの場合、自己破産することになるでしょう。

自己破産をした場合、銀行はローンを返済してもらえなくなります。

銀行を保護するため、アパートローンを特定の代表相続人が引き継ぐには金融機関の承諾が必要です。

金融機関は新たにローンを組む時と同様に、相続人の返済能力やアパートの収益性を審査をします。

銀行の審査が通らなかった場合、新たに連帯保証人を立てることを求められるでしょう。

銀行の審査が通った場合、債務引受契約を締結します。

不動産に抵当権が設定されている場合、抵当権の債務者変更登記が必要になります。

アパートを引き継がない相続人は、アパートローンの引継ぎができたのか確認しておく必要があります。

6賃貸アパートの相続を司法書士に依頼するメリット

大切な家族を失ったら、大きな悲しみに包まれます。

やらなければいけないと分かっていても、気力がわかない方も多いです。

収益物件を保有している人は、資産家であることが多いので収益物件の評価額も気になることが多いでしょう。

借地借家法の適用を受ける不動産は存続期間が長く、更新拒絶理由も厳しいので評価額が低く抑えられているのが通常です。

経済的価値は賃借人に移転していると評価されるからです。

賃貸借契約の取り扱いは、貸主にとって不動産をどのような利用活用できるか、どのように収益をあげることができるかという点から、重要な問題です。

法律上は、貸主も借主も相続が発生すれば相続人にその地位が相続されるだけですが、契約内容や賃料関係、敷金関係があいまいになってトラブルになりがちです。

貸主の地位を主張するためにも、相続登記は不可欠です。

相続するのであれば、まず相続登記を確実に済ませましょう。

登記があれば、特段手続に心配はありませんが、トラブルにならないように適切に対応していくことが重要です。

司法書士が、必要な手続や適切な対応についてサポートします。

相続登記を済ませていない方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

遺産分割協議-寄与分

2022-08-26

1寄与分とは

寄与分とは、被相続人の財産の維持や増加について特別な貢献をした人がいる場合、特別な貢献をした人に対して、相続分以上の財産を受け継いでもらう制度です。

寄与分の制度は、特別な貢献をした人に対して相続分以上の財産を受け取ってもらうことで、相続人間の実質的な公平を図ろうとするものです。

具体的には、被相続人の事業に従事して財産増加に貢献した人、被相続人が重度の介護が必要になった場合にお世話をして財産減少を防いだ人が挙げられます。

これらの人の特別な貢献によって、財産が増加した場合や財産が維持されたと認められる場合、寄与分が認められます。

2寄与分がある人は相続人、特別寄与者は親族

①寄与分があるのは相続人だけ

民法上、寄与分があるのは相続人と定めています。

事実婚や内縁の配偶者は、相続人ではありません。

同性パートナーは、相続人ではありません。

長男の妻は、相続人でありません。

子どもが単純承認をした場合、親などの直系尊属は、相続人でありません。

相続人でない人は、寄与分がありません。

相続人本人は貢献していないが相続人ではない人が貢献している場合、相続人自身の貢献と判断できるケースがあります。

相続人自身の貢献として、寄与分を主張することができます。

具体的には、長男の妻の貢献を長男の貢献として長男が寄与分を主張する場合です。

②特別寄与者は親族であること

特別な貢献をした人が相続人でなくても親族である場合、特別寄与者になることができます。

親族にあたるのは次の人です。

(1)6親等内の血族

(2)配偶者

(3)3親等内の姻族

具体的には、配偶者の連れ子や甥姪、甥姪の子や孫、いとこ、はとこなどです。

事実婚や内縁の配偶者は、親族ではありません。

同性パートナーは、親族ではありません。

長男の妻は、親族です。

おじ、おばも、親族です。

いとこは親族ですが、いとこの配偶者は親族ではありません。

いとこは4親等の血族で、いとこの配偶者は4親等の姻族だからです。

だれが親族なのかは、法律で決められています。

法律で決められた範囲の人だけが親族です。

親戚は、範囲があいまいで法律の定めがありません。

③代襲相続人は寄与分がある

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することがあります。

これを代襲相続と言います。

代襲相続人は、寄与分があります。

代襲相続人の寄与分には、代襲相続人自身が特別な貢献をした場合と被代襲相続人が特別な貢献をした場合があります。

代襲相続人は、自分の貢献分と被代襲者の貢献分を両方主張することができます。

代襲相続人は、被代襲者の貢献も相続しているからです。

④包括受遺者は寄与分がある

遺贈には、2種類あります。

特定遺贈と包括遺贈です。

特定遺贈とは、遺言書に、「財産〇〇〇〇を遺贈する」と財産を具体的に書いてある場合です。

包括遺贈とは、遺言書に、「財産すべてを包括遺贈する」「財産の2分の1を包括遺贈する」と割合だけ書いて財産を具体的に書いてない場合です。

包括遺贈では、財産を譲ってもらう人は相続人と同一の権利義務が与えられます。

包括遺贈で財産を受け継いでもらう人を包括受遺者と言います。

包括受遺者は、相続人と同一の権利義務がありますから、寄与分があります。

もっとも包括遺贈がされること自体が、被相続人の財産の維持、増加に貢献した人に対する評価といえますから、寄与分は考慮済みと考えられることが多いです。

包括遺贈を受けた人の貢献の度合いと受け取る財産の全体的なバランスを考えて、包括遺贈の他に寄与分を認めるべきか判断することになります。

⑤放棄、廃除、欠格の相続人は寄与分がない

相続放棄をした人は、相続人でなくなります。

相続廃除された人と相続欠格の人は、相続資格が奪われます。

相続放棄をした人、相続廃除された人と相続欠格の人は、相続人ではありません。

相続人でない人は、寄与分がありません。

3寄与分が認められる条件はとても厳しい

①特別の寄与があること

寄与分が認められるのは特別の寄与がある場合のみです。

特別の寄与とは、被相続人との身分関係から考えて、通常期待される程度を超える貢献のことです。

具体的には、被相続人が家事を全く行わず、配偶者が家事労働をしていた場合、通常の貢献と評価されます。

夫婦間の協力扶助義務があるからです。

子どもが高齢の被相続人と同居して家事援助を行っている場合、通常の貢献と評価されます。

親族間の扶養義務や互助義務があるからです。

次のような条件を満たした場合、通常期待される程度を超える貢献と評価されることが多いです。

(1)対価を得ていないこと

完全に無償である場合や無償に近い不釣り合いな低い報酬であった場合です。

(2)一定程度の長期間であること

数か月程度のものではなく、少なくとも1年以上程度継続されていた場合です。

(3)片手間ではなく、つきっきりであること

日常生活の合間に看護介護していたのではなく、つきっきりで看護介護に専念していた場合です。

②財産が実質的に増加したこと

寄与分が認められるのは、実質的に財産の増加した場合のみです。

財産の減少や負債の増加が免れたこと、財産の増加や負債の減少が必要です。

財産の経済的価値の実質的増加が必要ですから、精神的援助は寄与分の対象にはなりません。

具体的には、頻繁にお見舞いに行ったことや話し相手になったことは寄与分の対象になりません。

お見舞いや話し相手で財産が実質的に増加することはないからです。

精神的援助は金銭的評価が困難です。

③特別の寄与と財産増加に因果関係があること

寄与分が認められるのは、特別の寄与が財産の実質的増加につながった行為のみです。

4寄与分の決め方

①寄与分は遺産分割協議で合意する

相続が発生した場合、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の話し合いによる合意が不可欠です。

相続財産の分け方を決める話し合いの前提として、相続人全員で寄与分を決めます。

被相続人が遺言書で寄与分を指定している場合があります。

遺言書で定めた寄与分に法的な意味はありません。

相続人は話し合いをするときに、参考にすることができます。

寄与分を決めること自体は、目的ではありません。

最終的に相続人全員が相続財産の分け方について、合意をすればよいのです。

合意をしたら、合意内容を文書に取りまとめます。

遺産分割協議書に、寄与分を明示することもできます。

多くの場合、寄与分を明示せず、寄与分を考慮した後の具体的な分け方だけを記載します。

②寄与分の請求に時効はない

相続人が寄与分を主張する場合、時効はありません。

相続財産の分け方を決める話し合いの前提なので、相続財産の分け方の合意がされた場合、寄与分の主張はできなくなります。

時効の定めはありませんが、長期間経過すると主張を裏付ける証拠が集められなくなります。

主張を裏付ける証拠が集められない場合、寄与分が認められるのは困難です。

特別寄与について、権利行使期間があります。

特別寄与者が相続発生と相続人を知ってから、6か月です。

特別寄与者が相続発生を知らなかった場合、相続発生から1年経過すると権利行使ができなくなります。

6か月と1年は時効ではなく、除斥期間です。

時効ではないから、時効の更新のように進行を止めることはできません。

③寄与分の上限は相続財産マイナス遺贈

被相続人が遺言書で遺贈をしているケースがあります。

遺言書は遺言者の意思を示すものです。

相続財産の行方は、遺言者の意思が優先されます。

寄与分は、遺贈を侵害することはできません。

遺言者の意思に反して、寄与分を主張することはできません。

相続財産から遺贈を支払った後、残った財産が寄与分の上限になります。

④遺言書と寄与分では遺言書が優先する

遺言書ですべての財産について相続させる人や遺贈を受ける人が決まっている場合、寄与分を請求する余地はありません。

⑤寄与分は原則遺留分より優先する

相続財産から遺贈を支払った後、残った財産が寄与分の上限になります。

原則として、遺留分より寄与分が優先します。

遺留分を大きく侵害するような寄与分は、寄与分の決め方が適切でないことがあります。

寄与分を決める場合に、遺留分についても一定の配慮が求められます。

5生前対策と遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット

遺産分割協議書作成は、相続手続最大の山場です。

相続財産の分け方を決めるのは、トラブルになりやすい手続だからです。

被相続人の事業を手伝っていた、療養看護に努めた相続人がいる場合、この苦労を相続で報いてもらいたいと思います。

寄与分は、一部の相続人の苦労に報いるための制度ですが、認められるためのハードルは非常に高いものです。

高いハードルを越えて寄与分が認められた場合であっても、本人が思うような金額になることはほとんどありません。

法律で実質的公平が図られるのは、残念なことですが事実上困難です。

だから、相続財産を分けるのはトラブルになるのです。

遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。

前提として、話し合いによる合意ができていなければ、文書にできません。

相続手続が大変だったという人は、分け方を決めることができないから大変だったのです。

生前に相続財産の分け方を対策しておくことが相続をラクにします。

相続財産の分け方が決まれば、遺産分割協議書作成は一挙にラクになります。

相続手続がラクに済めば、家族の絆が強まります。

家族の幸せのために、生前対策と遺産分割協議書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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