Author Archive

成年後見人をやめるには

2023-09-15

1成年後見制度は任意後見と成年後見(法定後見)の2種類ある

①任意後見は本人と任意後見人の契約

任意後見とは、本人が信頼できる人にサポートを依頼する契約です。

認知症などになると、物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなるおそれがあります。

物事を充分に判断できる間に、将来に備えて、やってもらいたいことを決めてサポートを依頼します。

契約ですから、本人の判断能力がしっかりしているうちしかできません。

この契約は公正証書でする必要があります。

サポートを依頼された人を任意後見人といいます。

任意後見人はひとりでも、何人でも差し支えありません。

契約をしたときは、本人の判断能力に問題はないはずです。

任意後見契約をするだけでは、後見が開始しません。

この契約は本人がひとりで決めるのが心配になったら、効力が発生します。

本人が物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなったら、家庭裁判所は任意後見監督人を選任します。

任意後見監督人が選任されたら、任意後見契約が効力が発生して任意後見人がサポートを開始します。

任意後見人は適切に仕事をしているか、任意後見監督人にチェックされます。

任意後見監督人は適切に仕事をしているか、家庭裁判所にチェックされます。

だから、安心して任意後見制度を使えます。

②成年後見(法定後見)は家庭裁判所が選任する

法定後見とは、家庭裁判所が選んだ人がサポートする制度です。

任意後見契約は、自分で選んだ人と契約します。

将来に備えて、信頼できる人と契約するでしょう。

何の準備もしないまま物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなった場合、家庭裁判所がサポートする人を決めます。

申立てをするときに、家庭裁判所に同居の家族を選任してもらいたいなどと候補者の希望を出すことができます。

家庭裁判所は、候補者を選任することも見知らぬ専門家を選任することもあります。

成年後見人に家族が選ばれるのは、およそ20%程度です。

物事のメリットデメリットを充分に判断できない人は、自分に不利益になることが分からずに契約をしてしまったり、不必要であることが分からずに契約をしてしまうことがあります。

物事のメリットデメリットを充分に判断できないことに付け込んでくる、悪質な業者の被害にあうかもしれません。

本人が被害にあわないようにするために、成年後見人は本人をサポートします。

2任意後見契約は解除できる

①任意後見監督人選任前は一方的に解除できる

任意後見契約は、本人の判断能力がしっかりしているうちにします。

判断能力がいつ低下するかは人によってそれぞれでしょう。

10年後かもしれません。

20年後かもしれません。

任意後見契約は、任意後見監督人が選任されてからスタートします。

任意後見契約の効力が発生していないうちは、いつでも一方的に解除できます。

本人の判断能力がはっきりしているうちは、本人の同意はなくても解除ができます。

委任契約は一方的に解約できるからです。

任意後見契約を解除する場合、公証人の認証を受けた書面による必要があります。

本人と任意後見人が合意して解除する場合、任意後見契約合意解除書を作成します。

任意後見契約合意解除書に、本人と任意後見人が署名押印のうえ、公証人の認証を受けます。

本人か任意後見人のいずれかが一方的に解除する場合、任意後見契約解除通知書を作成します。

任意後見契約解除通知書に解除する人が署名押印のうえ、公証人の認証を受けます。

解除書を配達証明付き内容証明郵便で相手方に通知します。

配達されたら証明書のハガキが届きます。

②任意後見監督人選任後の解除は正当理由と家庭裁判所の許可が必要

任意後見契約は、任意後見監督人が選任されてからスタートします。

任意後見監督人は、本人が物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなった場合に選任されます。

任意後見がスタートしたということは、本人は物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなっているという意味です。

物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなっているのに、サポートする人がいなくなると本人は困ります。

任意後見監督人が選任された後は、本人を保護するため一方的に解除することはできません。

任意後見契約を解除するためには、家庭裁判所の許可が必要です。

家庭裁判所は正当な理由がある場合に限り、許可をします。

正当な理由とは、任意後見人の事務が困難と認められる理由です。

具体的には、病気などで療養に専念したい、遠方に転居した、本人や本人の家族と任意後見人の信頼関係がなくなったなどです。

家庭裁判所の許可を得てから、相手方に意思表示をして契約を終了させます。

3成年後見(法定後見)人をやめるには正当理由と家庭裁判所の許可

①正当理由と認められないと辞任は許可されない

成年後見(法定後見)人は、物事のメリットデメリットを充分に判断できない人をサポートする人です。

本人をサポートするために、大きな権限が与えられます。

成年後見人が心得違いをしないように、家庭裁判所にチェックされます。

いったん成年後見人に就任したら、原則として、辞めることはできません。

本人は物事のメリットデメリットを充分に判断できないから、サポートを失うととても困るからです。

基本的に、本人が死ぬまで成年後見人を続ける必要があります。

成年後見人を辞任するためには、正当理由が必要です。

正当な理由とは、任意後見人の事務が困難と認められる理由です。

例えば、次のような理由は正当理由として認められやすいでしょう。

・病気などで療養に専念したい。

・遠方に転居した、転勤になった。

・本人や本人の家族と信頼関係がなくなった。

このような理由があったとしても成年後見事務を続けられる場合はやめる必要がありません。

正当理由があると言えるかどうかは、家庭裁判所が判断します。

家族が勝手に決めつけて辞任をさせることはできません。

②簡単に正当理由と認めてもらえない

例えば、次のような理由は正当理由として認められにくいでしょう。

・不動産売却のために成年後見人に就任したが、売却ができた。

・成年後見監督人がつくことになったので、わずらわしい。

・本人の家族からいろいろ要望が多く、面倒だ。

・本人の財産が少ないから、報酬が少ない。

・家庭裁判所に提出する書面作成の手間がかかる。

成年後見開始の申立てをする場合、本人の家族を選んで欲しいと候補者を立てることができます。

家庭裁判所は候補者を選ぶことも候補者以外の人を選ぶこともあります。

いったん選ばれたら、簡単にやめることはできません。

本人の家族であっても、他人の財産を預かる立場になります。

本人の大切な財産を管理する立場だから、家庭裁判所の監視下に置かれます。

本人が元気であれば財産を管理する場合、他人の財産という意識はあまりないことが多いでしょう。

家庭裁判所からあれこれ言われると、わずらわしく感じるかもしれません。

事務仕事をやったことがない、苦手だなどの理由で報告を怠った場合、厳重指導になるでしょう。

家庭裁判所の注意や指導がわずらわしいことを理由にやめたいと言っても、認めてもらうことは難しいでしょう。

4成年後見を解除することはできない

①判断能力が回復したら成年後見をやめることができる

成年後見人(法定後見人)が辞任したら、新しい成年後見人(法定後見人)が選任されます。

成年後見制度の利用をやめたわけではないからです。

成年後見制度を使い続ける限り、成年後見人(法定後見人)が死亡しても、解任されても、辞任しても、新しい成年後見人(法定後見人)が選任されます。

成年後見制度は、原則として、やめることができません。

成年後見制度をやめることができるのは、本人の判断能力が回復したときです。

判断能力が回復した診断書がある場合、成年後見制度をやめることができます。

本人や家族が、判断能力が回復したと主張するだけでは、成年後見をやめることができません。

②遺産分割や不動産の売却が終わっても成年後見をやめることはできない

認知症の人が相続人になる相続が発生した場合があります。

認知症の人の不動産を売却する必要がある場合があります。

遺産分割協議や不動産の売却の必要がある場合、成年後見開始の審判を申し立てるきっかけになります。

成年後見制度を使うきっかけとなった遺産分割や不動産売却が終わった場合でも、成年後見をやめることはできません。

ひとりで判断することが不安になったり心細くなったりしてしまう人をサポートする制度が成年後見の制度だからです。

ひとりで判断することができない人を放置することは許されません。

家族が成年後見人(法定後見人)は不要だからやめたいと希望しても、本人の保護のため成年後見(法定後見)は続きます。

5成年後見開始の申立てを司法書士に依頼するメリット

認知症や精神障害や知的障害などで、判断能力が低下すると、物事の良しあしが適切に判断することができなくなります。

また、記憶があいまいになる人もいるでしょう。

このような場合に、ひとりで判断することが不安になったり心細くなったりしてしまう人をサポートする制度が成年後見の制度です。

本人自身も不安になりますし、家族も不安になります。

身のまわりの不自由を補うために、身近な家族がお世話をすることが多くなるでしょう。

成年後見の申立ては家庭裁判所へ手続が必要です。

身のまわりのお世話をしている家族が本人の判断能力の低下に気づくことが多いです。

身のまわりのお世話をしながら、たくさんの書類を用意して煩雑な手続をするのは負担が大きいでしょう。

司法書士は裁判所に提出する書類作成もサポートしております。

成年後見開始の申立てが必要なのに忙しくて手続をすすめられない方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

損害賠償債務があっても相続放棄

2023-09-13

1損害賠償債務とは

社会生活を送っていると、わざとでなくても他の人のものを壊してしまったりケガをさせてしまったりすることがあります。

法律や契約に違反して、損害を与えてしまうこともあるでしょう。

他の人の財産や身体に損害を与えてしまった場合、損害を償う必要があります。

損害を償う義務が損害賠償債務です。

物を壊してしまったときの修理代やケガをさせてしまったときの治療費は、損害賠償債務です。

2損害賠償債務は相続放棄ができる

①マイナスの財産もプラスの財産も相続財産

相続が発生した後、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

相続財産というとプラスの財産だけをイメージしがちですが、マイナスの財産も相続財産です。

被相続人が他の人の財産や身体に損害を与えてしまった場合、相続人が損害を賠償しなければなりません。

例えば、交通事故で被害者にケガをさせてしまった場合、被害者の治療費や慰謝料などを負担することになります。

例えば、ビルの高層階から転落して地上の施設を破壊した場合、施設の原状回復費用を賠償することになります。

この後に被相続人が死亡した場合、相続人が損害賠償債務を相続することになります。

②相続放棄とは

相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も相続人が受け継ぎます。

被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継がないことを相続の放棄といいます。

相続放棄をすると、プラスの財産を引き継がなくなりますが、マイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

③損害賠償債務は相続放棄ができる

被害者に大きなケガをさせてしまった場合、被害額が高額になることがあります。

相続人は家庭裁判所で相続放棄の申立てをすることができます。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、損害賠償債務を免れることができます。

相続放棄をした場合、プラスの財産も相続することができなくなります。

相続によって巨額の債務を相続することになると、相続人の人生が破綻してしまいます。

相続放棄の制度は、相続人の人生が破綻しないように相続人を守るためにあります。

相続人が損害賠償債務を免れると、被害者に酷だという意見があるでしょう。

家族が責任を取るべきだと考えるかもしれません。

相続放棄は、相続人の人生を守るためにあるから、やむを得ないと言えます。

3損害賠償額が分からなくても相続放棄をすることができる

相続放棄の申立ては、家庭裁判所に対して手続をします。

家庭裁判所に提出する相続放棄申述書を見ると、相続財産の概略を記載する欄があります。

相続財産の概略で資産と負債の書く様式になっています。

資産と負債を記載しなければならないように感じるかもしれません。

相続財産の概略は、相続人の分かる範囲で記載すれば充分です。

分からなければ、分かりませんと書いて問題はありません。

例えば、鉄道におけるホームからの転落事故など賠償額が甚大になる場合、鉄道会社であっても賠償額はすぐには判明しません。

調査を終えないと、被害額を計算することができないからです。

鉄道会社が損害額を計算するためには、長期間かかるのが通常です。

相続放棄の期限は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内です。

「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。

被相続人にめぼしいプラスの財産がなく、かつ、明らかに甚大な損害賠償債務がある場合、相続放棄の手続をするといいでしょう。

4自己破産の場合は免責されない債務がある

損害賠償額が甚大である場合、まず相続放棄をすることが最初の選択肢です。

相続放棄ができなかった場合、相続してしまった相続人が自己破産をする方法が考えられます。

自己破産をする場合、債務のすべてが免責されるとは限りません。

他の人の生命や身体に対して損害を与えた場合で、かつ、故意や重大な過失がある場合、その損害賠償債務は免責されません。

被相続人が故意や重大な過失で他の人の生命や身体に対して損害を与えた場合であっても、相続人は相続放棄をすることで、損害賠償債務を免れることができます。

相続放棄は、自己破産と較べると強い効力があります。

5相続放棄をした後に自己の財産から支払をすることができる

①相続放棄が認められたら支払いは不要

相続放棄が認められた場合、プラスの財産もマイナスの財産も引き継ぐことはありません。

損害を賠償して欲しいと要求されても、応じる必要はありません。

②相続放棄申述受理通知書の提示が有効

相続放棄が認められたと口頭で伝えるだけでは、信用してもらえないかもしれません。

家庭裁判所が相続放棄を認めた場合、相続放棄申述受理通知書を送ってきます。

相続放棄申述受理通知書のコピーを提示すると納得してもらうことができるでしょう。

③相続放棄をした後に自己の財産から支払をすることができる

相続放棄が認められた場合、本人の債務を引き継ぐことはありません。

債務の支払義務はなくても、家族が迷惑をかけたのだから、いくらか支払いたい場合があります。

相続財産を処分した場合、単純承認したとみなされます。

本人の預貯金で支払をした場合、相続財産を処分したと判断されるおそれがあります。

相続財産を処分した場合であっても、保存行為にあたる場合は、単純承認したとみなされません。

あえてトラブルに巻き込まれる危険を冒す必要はありません。

相続人の固有の財産から支払をした場合、相続財産を処分したと言われることはありません。

家族が迷惑をかけたのだから、被害者に支払いたい場合、相続人の固有の財産から支払をすることをおすすめします。

6相続放棄を司法書士に依頼するメリット

実は、相続放棄はその相続でチャンスは1回限りです。

家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続を取ることはできますが、高等裁判所の手続で、2週間以内に申立てが必要になります。

家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。

一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。

相続放棄では、戸籍や住民票が必要になります。

お仕事や家事、通院などでお忙しい人には平日の昼間に役所にお出かけになって準備するのは負担が大きいものです。

戸籍や住民票は郵便による取り寄せもできますが、書類の不備などによる問い合わせはやはり役所の業務時間中の対応が必要になりますから、やはり負担は軽いとは言えません。

このような戸籍や住民票の取り寄せも司法書士は代行します。

3か月の期限が差し迫っている方や期限が過ぎてしまっている方は、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

祖父母など直系尊属が相続人

2023-09-11

1祖父母は直系尊属

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どももいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続します。

相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することを代襲相続と言います。

②直系尊属とは

直系とは、親子関係によってつながっている関係のことです。

本人から見て、父母や祖父母は親子関係によって繋がっています。

本人から見て、子どもや孫は親子関係によって繋がっています。

父母、祖父母、子ども、孫などは、直系です。

養子縁組は、血縁関係がなくても親子関係を作る制度です。

養子縁組によって、親子関係が作られます。

養子縁組であっても、親子関係によってつながっている関係は直系です。

同じ祖先から親子関係でつながっているけど別の直系でつながっている人を傍系と言います。

本人から見て、伯叔父、伯叔母、甥姪は同じ祖先から親子関係でつながっているけど別の直系でつながっています。

伯叔父、伯叔母、甥姪は、直系ではありません。

尊属とは、前の世代の血族です。

本人から見て、父母や祖父母は前の世代の血族です。

本人から見て、父母や祖父母は尊属です。

後の世代の血族は、卑属と言います。

本人から見て、子どもや孫は後の世代の血族です。

本人から見て、子どもや孫は卑属です。

血族には、自然血族と法定血族がいます。

自然血族は、通常の血縁関係がある人です。

法定血族は、養子縁組をして血縁関係がある人と同様の扱いを受ける人です。

2祖父母など直系尊属が相続人になる

①父母や祖父母は直系尊属

本人から見て、父母や祖父母は親子関係によって繋がっています。

父母や祖父母は、直系です。

本人から見て、父母や祖父母は前の世代の血族です。

父母や祖父母は、尊属です。

父母や祖父母だけでなく、曽祖父母、高祖父母などもみな直系、かつ、尊属です。

父母や祖父母などは、直系尊属です。

②祖父母など直系尊属が相続人になる条件

祖父母など直系尊属が相続人になる条件は、次の2つです。

(1)被相続人の子どもがいないこと

(2)被相続人の親がいないこと

親などの直系尊属が相続人になるのは、被相続人に子どもがいない場合です。

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、代襲相続が発生します。

相続人になるはずだった人の子どもなど子孫がいない場合、親などの直系尊属が相続人になります。

直系尊属に該当するのは、被相続人の親だけではありません。

父母、祖父母、曽祖父母、高祖父母などもみな直系尊属です。

被相続人の直系尊属のうち、複数の世代の人が健在であることがあります。

複数の世代の直系尊属が健在の場合、被相続人と最も近い世代の人が相続人になります。

相続が発生したときに父母と祖父母が健在である場合、父母が相続人になります。

祖父母は、直系尊属ではあっても相続人になりません。

父母と祖父母では、父母の方が近い世代の人だからです。

③親が相続放棄をすると祖父母など直系尊属が相続人になる

祖父母など直系尊属が相続人になる条件の2つ目は、被相続人の親がいないことです。

被相続人の親がいないとは、被相続人の親が被相続人より先に死亡した場合や相続放棄をした場合です。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなかったと扱われます。

被相続人の親が相続放棄した場合、相続人でなくなるから祖父母が相続人になります。

祖父母が相続するのは、代襲相続ではありません。

親の次に世代が近い人だから相続人になります。

相続放棄をした場合、代襲相続はできません。

子どもが相続放棄をした場合、子どもの子どもは相続人にはなりません。

④被相続人の親が養子であっても祖父母が相続人

被相続人の親が養子になる養子縁組をしていることがあります。

被相続人の親が養子縁組をして養子になった後に被相続人が誕生した場合、養親は被相続人の直系尊属になります。

養親は、被相続人の祖父母になります。

祖父母など直系尊属として、相続人になります。

⑤被相続人が養子の連れ子のときは相続人にならない

被相続人の親が養子縁組をして養子になる前に被相続人が誕生していることがあります。

養子縁組は、血縁関係がなくても親子関係を作る制度です。

養子縁組をした場合、養親と養子の間に親子関係が作られます。

すでに誕生している被相続人との間には、親族関係が作られません。

養親は、被相続人の祖父母ではありません。

養親は直系尊属ではないから、相続人にはなりません。

⑥養親の親は祖父母ではない

被相続人が養子になる養子縁組をしていることがあります。

養子縁組は、血縁関係がなくても親子関係を作る制度です。

養親と養子の間に親子関係が作られます。

養親の父母と養子の間に親族関係は作られません。

養親の父母は養子の祖父母ではありませんから、相続人にはなりません。

3祖父母など直系尊属が相続人になるときの注意点

①祖父母など直系尊属に遺留分がある

遺留分とは、相続財産に対して、認められる最低限の権利のことです。

兄弟姉妹以外の相続人に認められます。

祖父母など直系尊属が相続人になる場合、遺留分が認められます。

被相続人に配偶者がいる場合、配偶者は常に相続人になります。

配偶者と祖父母が相続人になる場合、あまり親しい関係でないことがあります。

相続人の関係性が薄い場合、相続財産の分け方の話し合いがまとまりにくい傾向があります。

祖父母が相続人になる場合、被相続人は若いことが多いでしょう。

相続財産は、自宅不動産だけの場合があります。

住宅ローンは団体信用生命保険で返済しなくて済むかもしれません。

祖父母など直系尊属が遺留分を請求した場合、資金が用意できないかもしれません。

自宅を担保にして借金をするか、自宅を売却することを検討する必要があります。

②認知症など判断能力がないと遺産分割協議ができない

被相続人の祖父母など直系尊属が相続人になる場合、相続人は相当高齢でしょう。

相続人が高齢である場合、認知症になっている可能性が高くなります。

相続が発生した場合、被相続人のものは相続財産になります。

相続財産は相続人全員の共有財産だから、一部の相続人が勝手に処分することはできません。

相続人全員の話し合いによる合意をして相続財産の分け方を決めなければなりません。

相続人のひとりが認知症になっている場合、自分で話し合いができなくなります。

認知症になると、物事のメリットデメリットを充分に判断することができなくなるからです。

遺産分割協議書に印鑑さえ押せばいいものではありません。

相続人が自分で物事のメリットデメリットを充分に判断できない場合、家庭裁判所に代わりの人を決めてもらわなければなりません。

認知症の人の代わりに判断する人を成年後見人と言います。

家庭裁判所に成年後見人を選んでもらった場合、本人が死亡するまで成年後見をやめることはできません。

遺産分割協議をするために成年後見人を選任してもらったのに、遺産分割協議後も成年後見は続きます。

成年後見は、認知症の人をサポートするための制度だからです。

4配偶者と祖父母など直系尊属が相続人になるときの法定相続分

被相続人に配偶者がいる場合、配偶者は必ず相続人になります。

配偶者と親などの直系尊属が相続人になる場合、法定相続分は次のとおりです。

・配偶者 3分の2

・親などの直系尊属 3分の1

相続が発生したときに、親などの直系尊属が複数健在の場合があります。

複数の直系尊属が健在の場合、世代が近い人が相続人になります。

祖父母と曽祖父母が健在の場合、祖父母が相続人になり曽祖父母は相続人になりません。

祖父母が複数いる場合、法定相続分を平等に分け合います。

祖父母が2人健在の場合、1人あたり6分の1です。

5祖父母など直系尊属が相続人になる相続を司法書士に依頼するメリット

相続が発生した場合、配偶者や子どもなどの家族が相続人になることは多くの人が知っています。

子どもの次の順位の相続人は、親などの直系尊属です。

多くの人にとって相続というと、高齢者の相続だけがイメージされます。

親などの直系尊属が相続人になるケースはイメージしにくいものでしょう。

インターネットな書籍などを調べても、あまり詳しい情報は得られないかもしれません。

だれが相続人になるのかを間違えると、相続手続が難航します。

親などの直系尊属が相続人になる場合、相続人が認知症などになっていると自分で手続をすることができません。

認知症になっていなくても、体が不自由であることがあります。

通常の相続手続よりも難易度が上がると言えます。

司法書士などの専門家のサポートを受けながら、相続手続を進めるといいでしょう。

スムーズな相続手続のため、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

共有持分があるときの遺産分割協議書

2023-08-23

1被相続人が共有者であるとき共有持分は相続財産

①共有持分とは

被相続人が不動産などを第三者と共有している場合があります。

被相続人が不動産などを第三者と共有していた場合、被相続人が持っていた共有持分は相続財産になります。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方を決めるためには、相続人全員の話し合いによる合意が不可欠です。

相続財産は、相続人全員で話し合いによる合意ができれば、どのように分けても構いません。

被相続人と不動産を共有していた共有者が、相続人である場合があります。

被相続人の共有持分は、共有者である相続人が相続すると合意することができます。

共有者でない相続人が相続すると合意することができます。

話し合いによる合意ができれば、どちらでも構いません。

どのような合意をするかについて、他の共有者に承諾を得る必要はありません。

被相続人の共有持分をだれが相続するかについて、他の共有者は不服を言うことはできません。

一般的に、共有はデメリットが多いものです。

合意できるのなら、被相続人と不動産を共有していた共有者である相続人が相続するといいでしょう。

②被相続人が私道を共有している場合がある

普段、道路を使っていろいろな所へ出かけます。

一般の交通の用に用いるのが道路です。

行政が設置管理をする道路が公道です。

一般私人が設置管理する道路が私道です。

私道は、ひとりで所有していることも、近隣住民とみんなで所有していることもあります。

私道をみんなで共有している場合、分割した割合で道路を所有しています。

被相続人が自宅を所有している場合、自宅の土地と建物を所有しています。

土地建物の他に、自宅に至る私道を近隣住民とみんなで所有している場合があります。

現実には、私道であっても公道と同じように地域の人が通行しているでしょう。

所有者本人も私道を近隣住民とみんなで所有していることを忘れているかもしれません。

所有者本人が忘れている場合、家族はなおさら認識すらしていないでしょう。

土地や建物を所有している場合、固定資産税がかかります。

条件を満たした場合、私道には固定資産税が課されません。

固定資産税が課されないから、固定資産税の課税明細書に記載されません。

土地を購入したときの売買契約書や自宅の権利証を確認すると、判明することがあります。

2共有持分があるときの遺産分割協議書

①共有持分があるときの遺産分割協議書の記載例

所在 ○○市○○町○丁目

地番 ○番○

地目 宅地

地積 200㎡

持分 ○分の○

所在 ○○市○○町○丁目

家屋番号 ○番○

種類 居宅

構造 木造瓦葺2階建

床面積 1階 50.00㎡ 2階 50.00㎡

持分 ○分の○

②共有持分があるときの遺産分割協議書の注意点

相続財産は、相続人全員の話し合いによる合意で分け方を決めます。

相続人全員の合意内容を取りまとめた文書が遺産分割協議書です。

遺産分割協議書には、相続財産の分け方についてのみ記載します。

被相続人が共有者の一人であったとしても、他の共有者について記載する必要はありません。

被相続人の共有持分は、共有者である相続人が相続すると合意することができます。

遺産分割協議書には、被相続人の共有持分についてのみ記載します。

共有者である相続人がもともと持っていた分については、何も書きません。

共有者である相続人がもともと持っていた分は、相続財産ではないからです。

被相続人の共有持分は、共有者でない相続人が相続すると合意することができます。

どのような合意をするかについて、他の共有者に承諾を得る必要はありません。

遺産分割協議書に他の共有者が記名押印することはありません。

他の共有者から、別途書類を書いてもらう必要はありません。

被相続人の共有持分をだれが相続するかについて、他の共有者は不服を言うことはできないからです。

③相続登記用の遺産分割協議書は不動産のみ記載でよい

合意の対象となった不動産を特定できるように記載します。

「自宅」などの記載は客観的に特定できるとは言えません。

家族にとっては自宅は当然のことですが、法務局など第三者にとっては自宅はどこにあるどの不動産なのか分からないからです。

不動産の所在は自宅住所と異なることが多いので、登記簿謄本を書き写しましょう。

固定資産税の課税明細書は、登記簿謄本と異なる表記がされていることや内容が省略されている場合があります。

登記簿謄本と異なる表記の場合、相続登記が認められない可能性があります。

登記簿謄本の記載を見て、書き写します。

財産すべてを1通の遺産分割協議書で作成することが多いですが、財産ごとに分けて作っても差し支えありません。

相続登記用の遺産分割協議書は、不動産だけ書いて預貯金などは別に作ることも多いものです。

たくさんの不動産がある場合、法務局の管轄ごとに別に作成することもあります。

それぞれの遺産分割協議書に添付書類を用意すれば、同時に相続登記を進めることができるからです。

3後から共有持分が見つかったら

自宅の土地や建物は相続財産と認識していても、私道持分は見落としがちです。

被相続人のものは、原則として、相続財産になります。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

自宅の土地や建物のみ分け方の合意をして遺産分割協議書を作成した場合、原則として、自宅の土地や建物のみの合意として有効です。

私道については、相続人全員の共有財産のままです。

自動的に、自宅の土地や建物を相続する相続人のものになることはありません。

私道持分について合意がない場合であっても、相続財産全体について合意をやり直す必要はありません。

私道持分を見落としていた場合、あらためて、私道部分について相続人全員で合意をすることができます。

相続財産を分け方は、相続人全員の合意が必要です。

相続人全員の合意ができるのであれば、相続財産全部についてまとめて合意をする必要はありません。

合意できる財産から、順次合意した方が合理的なこともあるでしょう。

一部の相続財産だけ合意した遺産分割協議書も問題はありません。

私道持分は相続財産であることを見落とされがちです。

自宅の土地や建物について分け方の合意をしてから長期間経過した後、私道持分があることに気づくケースが少なくありません。

相続が発生した後に長期間経過した場合、相続人全員による合意が難しくなりがちです。

当初の相続人が行方不明になっているかもしれません。

当初の相続人が認知症になっているかもしれません。

当初の相続人が死亡しているかもしれません。

時間が経過すれば、相続人の事情が変わることがあります。

相続財産の分け方の合意は、できる限り早く済ませましょう。

4遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット

遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。

前提として、話し合いによる合意ができていなければ、文書にできません。

話し合いによる合意を適切に文書にする必要があります。

自宅や収益不動産を家族と共有している場合、被相続人も家族も共有していることをよく認識しているでしょう。

私道持分などを近隣住民とみんなで所有している場合、被相続人も家族も共有していることを見落としがちです。

私道持分がないと私道を使う権利がありません。

宅地を使うために、ガスや水道などの引き込み工事が必要になります。

私道持分がないと、引き込み工事ができなくなります。

他人の土地を勝手に掘り起こすことはできないからです。

宅地だけでは資産価値が著しく低下します。

自宅の土地と建物の分け方について合意しても、自宅の土地と建物の分け方についてのみの合意です。

自動で私道について合意があったとされることはありません。

相続人全員で合意をして、合意内容を文書にすることが重要です。

相続手続では、このようなトラブルに知らず知らずに巻き込まれてしまいます。

相続手続で不安になったら、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続時精算課税制度を選択しても相続放棄

2023-08-21

1相続放棄をするととプラスの財産もマイナスの財産も相続しない

相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も相続人が受け継ぎます。

被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継がないことを相続の放棄といいます。

相続放棄をすると、プラスの財産を引き継がなくなりますが、マイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に手続をする必要があります。

一般的に、相続人同士の話し合いにおいて相続財産を受け取らない申出をしたことを相続放棄と表現することがあります。

家庭裁判所で手続をしない場合、相続放棄の効果はありません。

相続人同士で話し合いをしただけでは、相続放棄と認められません。

2相続財産を処分したら相続放棄が無効になる

相続放棄はできないのに、家庭裁判所に相続放棄の手続をして、相続放棄が認められても無効です。

単純承認したとみなされる行為は、法律で定められています。

相続財産の名義変更をした、相続財産である銀行の預貯金を引き出して使ってしまった場合が典型的です。

単に、引き出しただけであれば、処分とは言えないことが多いでしょう。

引き出したうえ、自分の口座に送金して保管すると、「処分した」と評価される可能性が高くなります。

銀行の預貯金を引き出してお葬式の支払にあてた場合、状況によっては、処分したと判断されることもあります。

被相続人が払い過ぎた税金などの還付金の支払を受けた場合、「処分した」と判断されます。

相続財産の分け方について、相続人全員で合意をした場合も、相続財産を「処分した」場合に当たります。

相続財産に株式がある場合、株式に基づく株主権の行使が「処分した」になることがあります。

被相続人が会社役員かつ株主の場合、安易に株主総会を開催して、役員変更すると相続放棄が無効になるおそれがあります。

3相続時精算課税制度を選択しても相続放棄ができる

①相続時精算課税制度とは

相続時精算課税制度とは、贈与税の計算方法のひとつです。

贈与をする人と贈与を受ける人が一定の条件にあてはまる場合に、相続時精算課税制度を選択することができます。

相続時精算課税制度を選択した場合、贈与した財産の累計2500万円までは贈与税がかかりません。

与した財産の累計2500万円を超えた部分に対して一律20%の贈与税がかかります。

贈与者に相続が発生した場合、贈与財産と相続財産を合計して相続税を計算します。

支払い済みの贈与税がある場合、相続税から差し引いて残額の相続税を納めます。

②相続時精算課税制度を選択できる人

相続時精算課税制度は、贈与をする人と贈与を受ける人が一定の条件にあてはまる場合に選択することができます。

贈与をする人の条件は、60歳以上であることです。

贈与を受ける人の条件は、18歳以上であることです。

贈与をする人と贈与を受ける人は、直系の血族でなければなりません。

相続時精算課税制度は、高齢者が持つ資産を現役世代に移転しやすくするための制度だからです。

③相続時精算課税制度を選択しても単純承認にならない

相続時精算課税制度は、高齢者が持つ資産を現役世代に移転しやすくするための制度です。

相続時精算課税制度を選択できる人は、直系血族です。

贈与をする人に相続が発生した場合、贈与を受ける人が相続人なるでしょう。

相続時精算課税制度を選択して財産の贈与を受けた場合、相続財産の前渡しに見えます。

財産の贈与を受けても一定額までは贈与税がかからず、贈与財産は相続財産と合計して課税するからです。

財産の贈与を受けた場合、受け取った財産を使ってしまいます。

相続財産を処分した場合、単純承認したとみなされます。

単純承認をしたとみなされた場合、撤回することはできません。

単純承認をした後で、相続放棄をすることはできません。

単純承認をした事情を知らずに、家庭裁判所が相続放棄を認める決定をすることがあります。

事情を知らずに相続放棄が認められても、後から無効になります。

相続時精算課税制度を選択して財産の贈与を受けた後に財産を使ってしまっても、単純承認になりません。

相続時精算課税制度を選択して財産の贈与を受けることは、単なる生前贈与だからです。

受け取った財産を使ってしまっても、相続放棄は無効になりません。

生前贈与を受けた場合、贈与された財産は贈与を受けた人の固有の財産です。

相続財産ではありません。

相続時精算課税制度を選択して財産の贈与を受けた後に財産を使ってしまっても、相続放棄をすることができます。

④相続放棄をしても相続税申告

相続放棄をした相続人は、相続財産を受け取ることはできません。

相続税は相続財産を受け取った場合に課されます。

相続放棄をした相続人は、原則として、相続税が課されることはありません。

相続時精算課税制度を選択して財産の贈与を受け取った場合、贈与財産は相続財産と合計して相続税を計算します。

贈与財産と相続財産の合計が基礎控除を超える場合、相続税の対象になります。

財産の贈与を受け取った人が相続放棄をした場合でも、相続税の対象になります。

相続時精算課税制度を選択した場合、税務署に対して相続時精算課税選択届出書を提出します。

税務署は、相続税の申告義務があることを把握しています。

相続時精算課税制度の適用を受けて生前贈与を受けた場合、忘れずに相続税の申告の有無を確認しましょう。

4債権者は詐害行為を取り消すことができる

①詐害行為とは

お金を借りた人は、借りたお金を返さなければなりません。

借りたお金を返さなければならないのに、自分の財産を不当に減少させて、結果、お金を返せなくなることがあります。

自分の財産を不当に減少させたら、お金を貸した人はお金を返してもらえなくなる結果になります。

お金を貸した人が困ることを知っているのに、自分の財産を不当に減少させることを詐害行為と言います。

お金を返してもらうため、お金を貸した人は詐害行為を取り消すことができます。

詐害行為として取り消すことができるのは、財産行為のみです。

お金を返さなければならないのに、自分の財産の大部分を贈与した場合、お金を返せなくなるでしょう。

自分の財産の大部分を贈与した場合、お金を返せなくなって、お金を貸した人が困るのは知っていると言えます。

このような贈与は、合法であっても、詐害行為にあたります。

お金を貸した人は、詐害行為を取り消すことができます。

②債権者は生前贈与を取り消すことができる

被相続人の財産がわずかなプラスの財産と莫大なマイナスの財産ということがあります。

この状況で、わずかなプラスの財産を相続人に生前贈与することがあります。

わずかなプラスの財産と莫大なマイナスの財産の場合、贈与契約はできないというルールはありません。

財産を譲り渡す人と譲り受ける人の契約で贈与をすることができます。

被相続人と相続人が相談してこのような契約をしたのでしょう。

贈与契約をした後、被相続人が死亡した場合、相続人は相続放棄をすることができます。

原則どおりでは、相続放棄をしているから、相続人は莫大なマイナスの財産を受け継ぐことはありません。

原則どおりでは、遺贈は相続放棄と別物だから、わずかなプラスの財産を受け取ることができるとなってしまいます。

このようなことが許されると、債権者にとってあまりに理不尽です。

債権者は、裁判所に訴えて、理不尽な生前贈与の取り消しを請求することができます。

借りたお金を返さなければならないのに、自分の財産を不当に減少させて、結果、お金を返せなくしているからです。

自分の財産を不当に減少させたら、お金を貸した人はお金を返してもらえなくなる結果になります。

お金を貸した人が困ることを知っているのに、自分の財産を不当に減少させることを詐害行為と言います。

理不尽な遺贈として裁判所に認められれば、詐害行為は取り消すことができます。

③債権者は相続放棄を取り消すことができない

相続が発生したら、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

被相続人の財産は、プラスの財産もマイナスの財産も相続財産です。

被相続人が多額の借金を抱えたまま死亡した場合、お金を貸した人は相続人にお金を返してもらおうとするでしょう。

相続人は被相続人の借金を引き継がないために、相続放棄をすることが考えられます。

お金を貸した人は相続人にお金を返してもらおうと思っていたのに、相続放棄をされたら、請求できなくなって困ります。

お金を貸した人が困るのは知っていると言えるから、相続放棄を詐害行為として取り消したいと思うでしょう。

このような場合、相続放棄を詐害行為として取り消すことはできません。

相続放棄をしても、自己の財産を不当に減らしたわけではありません。

お金を貸す人は、お金を借りた人が生前に自己破産するリスクを検討してお金を貸すか貸さないか決めているはずです。

お金を借りた人が死亡した後、相続人が相続放棄するリスクも検討してお金を貸すか貸さないか決めべきと言えます。

5相続放棄を司法書士に依頼するメリット

相続放棄はプラスの財産もマイナスの財産も引き継ぎませんという裁判所に対する申立てです。

相続人らとのお話合いで、プラスの財産を相続しませんと申し入れをすることではありません。

家庭裁判所で認められないとマイナスの財産を引き継がなくて済むというメリットは受けられないのです。

相続放棄をする場合、相続問題だけでなく、被相続人や相続人の借金の問題が隠れている場合が多いです。

このような複雑な事情がある場合、相続人だけでなく債権者を巻き込んでトラブルになりがちです。

あいまいな知識では、余計トラブルが大きくなります。

相続放棄を考えている人は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

兄弟姉妹が相続放棄

2023-08-16

1相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は次のとおりです。

①配偶者は必ず相続人になる

②被相続人に子どもがいる場合、子ども

③被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

④被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

2相続人になる兄弟姉妹とは

①父母が同じ兄弟姉妹

先順位の相続人がいない場合、兄弟姉妹が相続人になります。

兄弟姉妹というと、父母が同じ兄弟姉妹だけをイメージしがちです。

②父母の一方が同じ兄弟姉妹

父や母の一方だけ同じ兄弟姉妹がいることがあります。

異父兄弟姉妹や異母兄弟姉妹は、兄弟姉妹として相続人になります。

父や母の一方だけ同じ兄弟姉妹を、半血兄弟姉妹と表現することがあります。

③養子に行っても兄弟姉妹

養子縁組とは、血縁関係による親子関係の他に、法律上の親子関係を作る制度です。

養子には2種類あります。

普通養子と特別養子です。

子どものいない夫婦が養子縁組をする、配偶者の連れ子と養子縁組するといったことは日常的に聞くことあります。

一般的に、単に「養子」と言ったら、普通養子を指していることがほとんどです。

普通養子では、養子縁組をした後、血縁関係のある実親との親子関係は続きます。

特別養子では、養子縁組をした後、血縁関係のある実親との親子関係がなくなります。

被相続人が第三者と普通養子による養子縁組をして養子になっていることがあります。

普通養子による養子縁組をした場合、実親との親子関係は続きます。

被相続人の実親の他の子どもは、被相続人の兄弟姉妹です。

被相続人の実親の他の子どもは、被相続人の兄弟姉妹として相続人になります。

④実親の養子が兄弟姉妹

被相続人の血縁関係のある実親が養親になる養子縁組をしていることがあります。

養子縁組は、法律上の親子関係を作る制度です。

実親と養子縁組をした養子は、実親の子どもになります。

養子と血縁関係がある実子と区別はありません。

被相続人に血縁関係がある兄弟姉妹がいる場合でもいない場合でも、実親の養子は兄弟姉妹になります。

被相続人の実親の養子は、被相続人の兄弟姉妹として相続人になります。

⑤養親の実子が兄弟姉妹

被相続人が第三者と普通養子による養子縁組をして養子になっていることがあります。

被相続人の養親に血縁関係がある実子がいることがあります。

養子縁組をした場合、養子は養親の子どもになります。

養子と血縁関係がある実子と区別はありません。

被相続人に血縁関係がある兄弟姉妹がいる場合でもいない場合でも養親の実子は兄弟姉妹になります。

被相続人の養親の実子は、被相続人の兄弟姉妹として相続人になります。

⑥養子同士で兄弟姉妹

被相続人が第三者と普通養子による養子縁組をして養子になっていることがあります。

養子縁組をするのに、法律上人数制限はありません。

養親に複数の養子がいる場合があります。

養親に何人も養子がいたとしても、養親と養子縁組をした養子は、養親の子どもになります。

何人目の養子であっても区別はされません。

養親の他の養子は、被相続人の兄弟姉妹になります。

養子同士であっても、被相続人の兄弟姉妹として相続人になります。

⑦複数の養親と養子縁組ができる

養子縁組をするのに、法律上人数制限はありません。

養親が複数の養子と養子縁組をすることができます。

同様に、養子が複数の養親と養子縁組をすることができます。

普通養子による養子縁組の場合、実親との親子関係は続きます。

養子が複数の養親と養子縁組をする場合、普通養子による養子縁組であれば最初の養親との親子関係は続きます。

養子には、実親と最初の養親と次の養親がいることになります。

養子縁組を解消する手続は、離縁と言います。

離縁をした場合、戸籍の身分事項で確認することができます。

戸籍の身分事項に離縁が記載されていなければ、親子関係は続いていると判断できます。

複数の養子縁組をしても親子関係は続くからです。

戸籍に記載されている者欄で氏名の下に、父の氏名、母の氏名、養父の氏名、養母の氏名が記載されます。

複数の養子縁組をしている場合、最終の養父の氏名、最終の養母の氏名のみ記載される取り扱いです。

戸籍に記載されている者欄に記載されていない養父や養母がいる場合があり得ます。

被相続人が複数の養親と養子縁組をしている場合、すべての養親のすべての子どもはすべて兄弟姉妹になります。

最初の養親と次の養親に区別はないからです。

すべての養親の子どもは、被相続人の兄弟姉妹として相続人になります。

⑧親が認知した子どもが兄弟姉妹

婚姻関係にないカップルの間に生まれた子どもについて、自分の子どもと認めることを認知と言います。

実親であっても養親であっても、認知した子どもは兄弟姉妹になります。 親が認知した子どもは、被相続人の兄弟姉妹として相続人になります。

3相続放棄とは

①相続放棄は家庭裁判所の手続

相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの遺産もマイナスの遺産も相続人が受け継ぎます。

被相続人のプラスの遺産もマイナスの遺産も受け継がないことを相続の放棄といいます。

相続放棄をすると、プラスの遺産を引き継がなくなりますが、マイナスの遺産も引き継ぐことがなくなります。

借金を引き継がないために相続放棄をするなどのケースが一般的です。

一般的に、相続人全員の話し合いで相続財産をご辞退することを相続放棄と表現することがあります。

本来、相続放棄は家庭裁判所に対する手続です。

相続人に相続財産をご辞退することではありません。

家庭裁判所に対して手続をしていない場合、相続放棄の効果はありません。

②相続放棄ができるのは相続人だけ

相続の放棄は、被相続人のプラスの遺産もマイナスの遺産も受け継がないことの申立てです。

相続放棄ができるのは、相続人だけです。

被相続人の生前は、相続放棄はできません。

相続人になる予定の人であって、まだ相続人でないからです。

先順位の相続人がいる場合、相続放棄はできません。

先順位の人が相続人になるからです。

先順位の相続人全員が相続放棄をした場合、相続放棄の手続をすることができます。

先順位の相続人全員が相続放棄をした場合、相続人になるからです。

順位の異なる相続人は、同時に相続放棄をすることはできません。

先順位の相続人の相続放棄が認められない場合、後順位の人はまだ相続人でないからです。

③相続放棄の期限3か月のスタートは「知ってから」

相続放棄は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内に申立てをする必要があります。

相続があったことを知ってからとは、必ずしも、被相続人の死亡してからではありません。

被相続人が死亡した後3か月以上経過してから、相続放棄の申立てをして認められることがあります。

相続放棄ができる3か月以内のスタートは、相続があったことを知ってからだからです。

相続があったことを知らなかった場合、相続放棄ができる3か月がスタートしていません。

相続放棄の申立てをしてから、家庭裁判所が相続放棄を認める通知が届くまでおよそ1か月程度かかります。

親などの直系尊属は先順位の子ども全員が相続放棄するまで、相続放棄の申立てはできません。

相続放棄の期限3か月が過ぎてしまうのではないかと気が気でないかもしれません。

先順位の子ども全員が相続放棄をしたことを知って自分が相続人であることを知ります。

相続放棄の期限3か月のスタートは知ってからだから、知ってから3か月以内であれば手続をすることができます。

第三順位の兄弟姉妹も同じことです。

第三順位の兄弟姉妹は自分が相続人であることを知るのは、子ども全員が相続放棄をして、次順位の親などの直系尊属全員が相続放棄をした後です。

第三順位の兄弟姉妹は、被相続人が死亡してから3か月以上経過してから自分が相続人であることを知ることになるかもしれません。

相続放棄の期限3か月のスタートは知ってからだから、知ってから3か月以内であれば手続をすることができます。

このポイントは、相続が発生してから3か月以内に届出ができなかったのは止むを得なかったと家庭裁判所に納得してもらうことです。

3か月届出ができなかったのは仕方なかったと家庭裁判所が納得できる理由があるときだけは、家庭裁判所も相続放棄を認めてくれるのです。

家庭裁判所は相続放棄を認めた場合、相続放棄の申立てをした人にだけ通知します。

家庭裁判所から次順位相続人に相続放棄を認めたから相続人になりましたよという通知はありません。

相続放棄が認められた人は、次順位相続人に相続放棄が認められましたと通知する義務はありません。

普段から連絡を取り合っている場合、相続放棄をしたことを知らせてくれるようにお願いしておくといいでしょう。

疎遠な相続人の場合、何も連絡がないことも少なくありません。

債権者や市役所などから手紙が来て相続があったことを知った場合、この通知は大切です。

この手紙を見て相続があったことを知ったという証拠になるからです。

④相続放棄の管轄

相続放棄は、家庭裁判所に対する手続です。

相続放棄の申立ての提出先は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

家庭裁判所の管轄は、裁判所のホームページで調べることができます。

被相続人と疎遠である場合、被相続人の最後の住所地が分からなくなっていることがあります。

被相続人の最後の住所地は、被相続人の除票を取得すれは判明します。

被相続人の除票は、住民票を置いていた市区町村役場に請求します。

被相続人の家族と連絡を取り合っていた場合、住民票を置いていた市区町村は容易に判明するでしょう。

生前に連絡をとりあっていなかった場合、相続が発生した後、長期間経過してから相続人であることを知ることがあります。

音信不通であった場合、被相続人に関する情報が全く分からないかもしれません。

被相続人に関する情報が全く分からない場合、被相続人の最後の住所地を探さなければなりません。

被相続人がどこに住民票を置いていたか分からない場合、戸籍の附票で調べることができます。

被相続人の戸籍の附票は、被相続人の本籍地の市区町村役場に請求します。

被相続人に関する情報が全く分からない場合、まず自分の本籍地の市区町村役場に自分の戸籍謄本を請求します。

自分の本籍地が分からない場合、自分の住民票のある市区町村役場に自分の住民票を請求します。

自分の住民票を請求するときに、本籍地の記載のある住民票と指定します。

自分の住民票に自分の本籍が記載されているから、自分の本籍地は判明します。

自分の戸籍謄本を取得したら、順番に被相続人の戸籍までたどっていきます。

死亡時の戸籍までたどり着いた場合、戸籍の附票を請求すると死亡時の住所が判明します。

4相続放棄を司法書士に依頼するメリット

相続放棄するためには、家庭裁判所に手続をする必要があります。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、プラスの財産もマイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

相続放棄をすると、初めから相続人でなかったと扱われます。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、相続に関する手続には関与しなくて済むと安心してしまいがちです。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合であっても、相続財産を処分した場合、相続放棄が無効になります。

相続放棄は簡単そうに見えて、実はいろいろなことを考慮しなければならない手続です。

相続放棄を考えている方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

遺言書を無視して遺産分割協議

2023-08-14

1遺言書があれば遺産分割協議は不要

遺言書は遺言者の意思を示すものです。

被相続人の財産は、原則として、被相続人の意思が最大限尊重されるべきものでしょう。

相続人としても、被相続人の意思を尊重し、遺言書の内容を実現させてあげたいと思うでしょう。

遺言書がない場合、相続財産は相続人全員の共有になります。

相続人全員の共有になった相続財産は、相続人全員で、分け方の合意をしなければなりません。

相続人だけで話し合いをしても合意できない場合、家庭裁判所で調停や審判をします。

関係性の薄い相続人がいる場合、相続人全員による話し合いでの分け方の合意はまとまりにくくなります。

遺言者は、相続財産の分け方を指定することができます。

遺言書がある場合、相続人全員で相続財産の分け方について話し合う必要はありません。

遺言書の内容どおりに相続財産を分ければいいからです。

2遺言書があっても遺産分割協議が必要になるケース

①遺言書に記載のない財産がある場合

遺言書がある場合、遺言書のとおりに相続手続をします。

遺言書を作成する場合、全ての財産について分け方を記載する必要はありません。

財産の一部だけ遺言書に記載されている場合があります。

遺言書に記載のない財産が見つかった場合、記載のない財産は原則どおり相続人全員の共有財産になります。

相続人全員の共有財産になるから、相続人全員で分け方の合意をしなければなりません。

②遺言書が無効の場合

遺言書は厳格な書き方のルールがあります。

この書き方ルールに添わない遺言書が見つかることがあります。

せっかくの遺言書ですが、書き方ルールに添わないと、遺言書は無効になります。

遺言書が無効になる場合、遺言書はなかったものとして扱われます。

遺言書がない場合、被相続人の財産は原則として相続人全員の共有財産になります。

相続人全員の共有財産になるから、相続人全員で分け方の合意をしなければなりません。

③特定遺贈の放棄があった場合

遺贈とは、被相続人が遺言によって法定相続人や法定相続人以外の人に財産を譲ってあげることです。

遺贈には、2種類あります。

特定遺贈と包括遺贈です。

特定遺贈とは、遺言書に、「財産〇〇〇〇を遺贈する」と財産を具体的に書いてある場合です。

遺言書は相続人らの関与なしに作ることができます。

遺言に書いてあるからとは言っても、受け取ると相続人に気兼ねすることがあります。

遺贈は、ご辞退することができます。

特定遺贈をご辞退した場合、相続人全員の共有財産になります。

相続人全員の共有財産になるから、相続人全員で分け方の合意をしなければなりません。

④受遺者が遺言者より先に死亡した場合

受遺者とは、遺贈によって財産を受け取る人のことです。

遺言書を作成したときには元気だったのに、遺言者より先に受遺者が死亡することがあります。

遺贈によって財産を受け取る人がいなくなった場合、その財産は、相続人全員の共有財産になります。

受遺者の子どもなどが、代わりに受け取るのではありません。

相続人全員の共有財産になるから、相続人全員で分け方の合意をしなければなりません。

「遺言者より先に受遺者が死亡した場合、受遺者の子どもに遺贈する」遺言を作ることができます。

遺言者がこのような遺言をしたいのであれば、遺言書に明記しておく必要があります。

遺言書に書いてないのに、自動的に先に死亡した受遺者の子どもが代わりに受け取ることはできません。

⑤包括遺贈があった場合

遺贈には、2種類あります。

特定遺贈と包括遺贈です。

包括遺贈とは、遺言書に、「財産すべてを包括遺贈する」「財産の2分の1を包括遺贈する」と割合だけ書いて財産を具体的に書いてない場合です。

包括遺贈を受けた場合、財産の分け方について相続人全員と合意する必要があります。

遺言書の記載は2分の1などの割合だけで、具体的財産の記載がないからです。

包括遺贈では、財産を譲ってもらう人は相続人と同一の権利義務が与えられます。

3遺言書を無視して遺産分割協議ができる

①相続人全員の合意で遺産分割協議ができる

遺言書の内容は遺言者の意思を示すものですから、最大限尊重するべきです。

遺言書の内容があまりに偏ったものである場合、そのまま執行するとトラブルになる気がかりがあります。

トラブルを起こすおそれのある遺言書なのに、あえて執行してトラブルを起こす必要はないでしょう。

相続財産の分け方について、相続人全員で合意した方が合理的です。

相続人全員が合意すれば、遺言書の内容と異なる内容で遺産分割協議をすることができます。

②遺贈がある場合は受遺者の同意が必要

遺言を確認したところ、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげることが記載されている場合があります。

遺言書の内容どおりにしないで相続人の話し合いで遺産分割をしたい場合、あらかじめ受遺者の同意を受けておく必要があります。

遺言書で財産を受け取れるはずだったのに、一方的に受け取る権利を奪うことはできないからです。

③遺言執行者がいる場合は遺言執行者の同意が必要

遺言書で遺言執行者が指名されている場合があります。

遺言執行者がいる場合、相続人は遺言書の記載にかかる相続財産を処分することはできなくなります。

遺言書に記載されているとおりに遺言執行者が財産を分配する義務があるからです。

遺言書の内容を無視して相続人全員の合意で遺産分割協議をしたい場合、あらかじめ遺言執行者の同意を受けておく必要があります。

4遺産分割禁止の定めは無視できない

遺言書で遺産分割が禁止されている場合があります。

遺産分割禁止の対象は、相続財産の全部でも一部でも構いません。

遺言書で5年を超えない期間について、遺産分割を禁止することができます。

遺産分割禁止の定めは、遺言書以外の方法で生前に定めることはできません。

遺言書で遺産分割が禁止されている場合、相続人全員の合意があっても遺産分割ができません。

相続人全員の合意で遺産分割協議をした場合、遺産分割協議が無効になります。

5遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット

遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。

合意がきちんと文書になっているからこそトラブルが防止できるといえます。

つまり、書き方に不備があるとトラブルを起こしてしまう危険があります。

せっかくお話合いによる合意ができたのに、取りまとめた文書の不備でトラブルになるのは残念なことです。

トラブルを防止するため、遺産分割協議書を作成したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続放棄しても公共料金

2023-08-11

1未払い公共料金は相続財産

相続が発生すると、原則として、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続人が相続する財産が、相続財産です。

相続財産はプラスの財産とマイナスの財産があります。

どちらも、相続財産です。

プラスの財産は、財産と言われたときにイメージしやすいでしょう。

マイナスの財産は、一般的に借金やローンなどです。

被相続人に未払いの公共料金がある場合、未払いの公共料金は相続財産です。

未払いの公共料金は、相続で相続人に受け継がれます。

2相続放棄をしたら相続財産は受け継がない

①相続放棄が認められたら未払い公共料金の支払いは不要

相続放棄をするためには、家庭裁判所に対して必要書類を添えて申立てをします。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、プラスの財産もマイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

マイナスの財産を引き継ぐことがなくなるから、未払い公共料金を支払う必要はありません。

②相続財産を処分したら相続放棄は無効になる

法律で定められた一定の条件にあてはまるときは、単純承認したとみなされます。

単純承認とは、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継ぐものです。

単純承認とみなされた場合、相続放棄はできません。

相続放棄はできないのに家庭裁判所に相続放棄の手続をして、相続放棄が認められても無効です。

家庭裁判所が事情を分からずに相続放棄を認めてしまっても、後から無効になります。

単純承認したとみなされる行為は、法律で定められています。

相続財産を処分した場合、単純承認したとみなされます。

相続財産である銀行の預貯金を引き出して使ってしまった場合が典型的です。

相続財産を使って未払い公共料金を支払った場合、単純承認になります。

③相続放棄が認められても債権者に連絡されない

家庭裁判所は相続放棄を認めた場合、申立てをした人に通知します。

相続放棄の申立てをする場合、家庭裁判所にたくさんの必要書類を提出します。

相続放棄の申立てで提出する書類は、次のとおりです。

(1)被相続人の戸籍謄本

(2)被相続人の除票

(3)相続放棄する人の戸籍謄本

この他に、裁判所が使う郵便切手や収入印紙が必要です。

必要書類には、債権者の名簿などはありません。

家庭裁判所は、提出された書類を見て審査をします。

被相続人がだれから借金していたのか家庭裁判所は知りません。

家庭裁判所は、被相続人が何を滞納していたのか自主的に調査をすることはありません。

家庭裁判所は債権者がだれなのか知らないから、債権者に連絡することはありません。

債権者から見ると、知らないうちに相続放棄の申立てがされて知らないうちに相続放棄が認められたとなります。

何も知らないから、債権者は被相続人の未払い金を相続人に払ってもらいたいと考えて催促をしてきます。

債権者は何も知らないから、催促されたら相続放棄が認められたことを知らせてあげるといいでしょう。

ほとんどの場合、相続放棄申述受理通知書のコピーを渡せば分かってくれます。

④未払い公共料金は相続人の固有の財産で支払いができる

相続財産を使って未払い公共料金を支払った場合、単純承認になります。

相続人の固有の財産を使って未払い公共料金を支払った場合、単純承認になりません。

相続人の固有の財産を使ったのだから、相続財産の処分ではないからです。

相続放棄が認められた場合、被相続人の債務を引き継ぎません。

被相続人に公共料金の未払いがあっても、支払う義務はありません。

支払い義務はなくても、事業者に申し訳がないから相続人が支払いたいケースがあります。

未払いの公共料金は、相続人の固有の財産から支払うことができます。

電気や水道などの公共料金の未払いが続いた場合、供給が止められてしまいます。

被相続人と相続人が同居していた場合、ライフラインの供給が止められると困ってしまいます。

ライフラインの供給を維持するため、公共料金の未払いを解消する必要があります。

未払いの公共料金は、相続人の固有の財産から支払うことが重要です。

⑤解約や名義変更は単純承認にならない

電気、ガスや水道などのライフラインの契約は、名義変更や解約をしても財産処分にはあたりません。

相続放棄をした場合、相続放棄の連絡だけすれば解約手続が不要になることがあります。

被相続人の契約に手を付けずに、新たに契約をする方法で対応してもらうケースがあります。

新たに契約をする方法であれば、より安心できるでしょう。

3日常家事債務は支払義務がある

①夫婦の日常家事債務は連帯債務

被相続人の配偶者は、日常家事債務について連帯責任があります。

日常家事債務とは、夫婦の共同生活で必要となる債務のことです。

日常家事債務は、夫婦2人の連帯債務です。

日常家事債務は、夫婦2人のそれぞれの固有の義務です。

連帯債務は、債務者がそれぞれ独立して全額の債務を負担します。

債務者のひとりが債務を弁済した場合、他の債務者も債務の弁済を免れます。

公共料金の支払いは、日常家事債務にあたります。

被相続人が電気、ガスや水道などのライフラインの契約をした場合、夫婦の共同生活で必要になるから契約しているはずです。

被相続人の配偶者は契約の当事者でない場合であっても、支払義務があります。

日常家事債務は、夫婦2人の連帯債務だからです。

②相続放棄をしても連帯債務は消えない

相続放棄が認められた場合、被相続人の債務を引き継ぎません。

被相続人のマイナスの財産を引き継ぐことがなくなるから、未払いがあっても支払う必要はありません。

日常家事債務は、夫婦2人の連帯債務です。

被相続人の配偶者は、独立して全額の債務を負担しています。

被相続人のマイナスの財産を引き継がない場合、連帯債務に影響はありません。

日常家事債務は、被相続人の配偶者の固有の義務だからです。

被相続人の配偶者は、独立して全額の債務を負担しています。

債務の2分の1だけ払えば済むといったものではありません。

被相続人の配偶者は、相続放棄をしても公共料金の支払義務があります。

③日常家事債務を相続財産から支出すると単純承認になる

日常家事債務は、夫婦2人の連帯債務です。

被相続人の配偶者は相続放棄をしても、公共料金の支払い義務があります。

被相続人の配偶者に支払い義務があるのは、被相続人の配偶者の固有の義務だからです。

被相続人の配偶者は、固有の財産から公共料金の支払いをする必要があります。

相続財産から支払いをした場合、相続財産の処分になります。

相続財産を処分した場合、単純承認になります。

④夫婦関係が破綻していたら日常家事債務ではない

日常家事債務とは、夫婦の共同生活で必要となる債務のことです。

法律上の夫婦ではあっても夫婦関係が破綻している場合、夫婦の共同生活の実態がなく日常の家事が観念できません。

単なる別居中や離婚のための話し合い中では、夫婦関係が破綻しているとは認められません。

ある程度長期間別居していて生計が別になっている場合、日常の家事が観念できなくなると言えます。

夫婦関係が破綻しており当然に支払い義務がないことは、請求された配偶者が客観的に証明する必要があります。

どのような債務が夫婦の日常家事債務になるのかは、夫婦の関係性によって異なります。

収入や資産規模、地域性によっても一概に言えないから、個別事情を踏まえて判断されます。

4相続放棄を司法書士に依頼するメリット

相続放棄はプラスの財産もマイナスの財産も引き継ぎませんという裁判所に対する届出です。

相続人らとのお話合いで、プラスの財産を相続しませんと申し入れをすることではありません。

つまり、家庭裁判所で認められないとマイナスの財産を引き継がなくて済むというメリットは受けられないのです。

実は、相続放棄はその相続でチャンスは実質的には1回限りです。

家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続を取ることはできますが、高等裁判所の手続で、2週間以内に申立てが必要になります。

家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます

一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。

相続放棄は慎重に判断する必要がありますが、いろいろな誤解から利用をためらう人が多いのも事実です。

利用をためらっていると3か月はあっという間です。

相続が発生すると、家族は親戚や知人へ連絡などで悲しみに浸る暇もないくらい忙しくなります。

3か月以内に必要書類を揃えて手続をするのは想像以上にハードルが高いものです。

相続放棄を考えている方はすみやかに司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

配偶者が相続放棄

2023-08-07

1配偶者は常に相続人

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は次のとおりです。

①配偶者は必ず相続人になる

②被相続人に子どもがいる場合、子ども

③被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

④被相続人に子どももいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

2配偶者は相続放棄ができる

①相続人は相続放棄ができる

相続が発生した場合、被相続人のものは原則として相続財産になります。

相続財産というとプラスの財産だけをイメージするかもしれません。

プラスの財産だけでなくマイナスの財産も相続財産です。

莫大なマイナスの財産がある場合、財産を引き継ぎたくないと考えるでしょう。

相続人は、家庭裁判所に対して相続を放棄する申立てをすることができます。

相続人でない人は、相続放棄をすることができません。

配偶者は相続人だから、相続放棄をすることができます。

相続放棄は、相続人ひとりひとりが自分の意思で自由に判断できるものです。

相続人は、一人だけ相続放棄をすることができます。

相続放棄をする場合、他の相続人の同意は不要です。

他の相続人が反対していても、一人だけ相続放棄をすることができます。

ときには他の相続人が何も知らないところで相続放棄をすることがあります。

相続放棄をすることで一人だけ借金から逃れたとしても、後ろめたく思うことはありません。

②配偶者が相続放棄をしても相続権は移らない

配偶者は必ず相続人になります。

相続順位とは無関係に、必ず相続人になります。

配偶者が相続放棄をした場合、相続人でなくなります。

先順位の相続人が相続人でなくなった場合、次順位の人が相続人になります。

配偶者が相続人でなくなっても、他の人が相続人になることはありません。

配偶者は相続順位とは無関係の存在だからです。

③配偶者が相続放棄をしたら相続分と遺留分が変更

配偶者が相続放棄をした場合、配偶者以外の相続人で相続財産を分け合います。

配偶者以外の相続人の法定相続分が変わります。

例えば、配偶者と長男、長女の場合の法定相続分

配偶者 2分の1

長男 4分の1

長女 4分の1

配偶者が相続放棄をした場合

配偶者 2分の1 →相続しない

長男 4分の1 →2分の1

長女 4分の1 →2分の1

配偶者以外の相続人に遺留分がある相続人の場合、遺留分が変わります。

遺留分とは、相続財産に対して認められる最低限の権利のことです。

遺留分は、兄弟姉妹以外の相続人に認められます。

被相続人の子どもが相続人になる場合、遺留分が認められます。

例えば、配偶者と長男、長女の場合の遺留分

配偶者 4分の1

長男 8分の1

長女 8分の1

配偶者が相続放棄をした場合

配偶者 2分の1 →相続しない

長男 8分の1 →4分の1

長女 8分の1 →4分の1

3相続放棄をしても年金を受け取ることができる

①未支給年金を受け取ることができる

銀行などの金融機関は預金者が死亡したことを確認すると、口座の取引をできなくします。

口座の取引を止めることを口座の凍結といいます。

被相続人が年金受給者である場合、年金の振り込みを受けることができなくなります。

年金は死亡した月の分まで支給されます。

年金は、後払いで支給されます。

例えば、4月分と5月分の年金は、6月に支給されます。

年金を受け取っている人が4月に死亡した場合、4月分の年金まで支給されます。

4月分の年金は、6月に振込みがされます。

多くの場合、6月の年金支払い日には、口座が凍結されているでしょう。

6月に支給される年金の振込みを受けることができません。

口座が凍結などでまだ受け取っていない年金のことを、未支給年金と言います。

未支給年金を受け取る権利は、相続財産ではありません。

未支給年金を請求することができる人は、相続とは別に決められています。

未支給年金を受け取る権利は、未支給年金を請求することができる人の固有の財産です。

配偶者は、未支給年金を請求することができます。

配偶者がすでに相続放棄をした場合でも、これから相続放棄をするつもりでも、未支給年金を受け取ることができます。

②遺族年金を受け取ることができる

遺族年金は、年金に加入していた人が死亡したときに遺族に対して支給される年金です。

遺族年金を受け取る権利は、相続財産ではありません。

被相続人の死亡をきっかけにして、遺族に対して支給されます。

被相続人が生前に遺族年金の受給権を得てはいませんから、被相続人から受け継ぐものではありません。

遺族年金の受給権は、遺族の固有の権利です。

被相続人から相続するものではないから、相続放棄とは無関係です。

配偶者が遺族年金を受け取るための条件をすべて満たしている場合、遺族年金を受け取ることができます。

配偶者が相続放棄をしても相続放棄をしなくても、遺族年金を受け取ることができます。

4相続放棄をしても生命保険の死亡保険金

①生命保険の死亡保険金を受け取ることができる

生命保険の死亡保険金は金額が大きいことが多いので、気になる人も多いでしょう。

原則として生命保険の保険金を受け取る権利は、相続人の固有の財産です。

受取人が「相続人」と指定してあっても、相続で受け取るものではありません。

被相続人の死亡をきっかけにして、保険契約によって受取人が保険金を受け取るものです。

多くの場合、被相続人は生前に生命保険の死亡保険金を受け取る権利を持っていなかったでしょう。

相続によって、被相続人から受け継いだものではありません。

生命保険の死亡保険金の受取人に配偶者が指定されている場合、配偶者は死亡保険金を受け取ることができます。

配偶者が相続放棄をしても相続放棄をしなくても、生命保険の死亡保険金を受け取ることができます。

生命保険の保険金を受け取ったことで、相続放棄が無効になることはありません。

②相続税の生命保険金の非課税枠は使えない

原則として生命保険の保険金を受け取る権利は、相続財産ではありません。

相続財産ではないけど相続税の対象になります。

生命保険の保険金について、相続人全体の非課税枠は 500万円×法定相続人の人数 です。

相続人全員の非課税枠を計算するときは、相続放棄した人も含めて計算します。

相続放棄した人は、相続人全員の非課税枠を計算するときは含めるのに、その人の相続税を計算するときには、500万円の非課税枠を使うことはできません。

500万円分非課税にできないので、その分だけ税金を余計に負担しなければなりません。

5相続放棄をしても配偶者短期居住権

配偶者短期居住権とは、被相続人の家に住んでいた配偶者が一定期間無条件かつ無償で住み続けることができる権利です。

相続が発生してから、配偶者が住む場所を失うことがないように保護するために作られた権利です。

次の要件を満たせば、何もしなくても自動的に発生します。

①配偶者であること

配偶者短期居住権を取得する配偶者は、法律上の配偶者のみです。

内縁の配偶者や事実婚の配偶者は、配偶者短期居住権を取得することはできません。

法律上の配偶者でも、相続廃除された人や相続欠格になった人は配偶者短期居住権を取得することができません。

法律上の配偶者が相続放棄をした場合、配偶者であることという条件を満たしていると言えます。

②被相続人の所有していた建物であること

被相続人と配偶者以外の人と共有建物であっても、配偶者短期居住権は成立します。

③相続開始時に無償で居住していたこと

6相続放棄をしても日常家事債務

被相続人の配偶者は、日常家事債務について連帯責任があります。

日常家事債務とは、夫婦の共同生活で必要となる債務のことです。

日常家事債務は、夫婦2人の連帯債務です。

日常家事債務は、夫婦2人のそれぞれの固有の義務です。

連帯債務は、債務者がそれぞれ独立して全額の債務を負担します。

債務者のひとりが債務を弁済した場合、他の債務者も債務の弁済を免れます。

被相続人が電気、ガスや水道などのライフラインの契約をした場合、夫婦の共同生活で必要になるから契約しているはずです。

被相続人の配偶者は、契約の当事者でない場合であっても支払義務があります。

日常家事債務は、夫婦2人の連帯債務だからです。

被相続人の配偶者が相続放棄をした場合、日常家事債務に影響はありません。

相続放棄が認められた場合、被相続人の債務を引き継ぎません。

日常家事債務は、被相続人の配偶者の固有の義務です。

相続放棄をしても相続を単純承認しても、固有の義務に影響はありません。

被相続人の配偶者は、独立して全額の債務を負担しています。

被相続人の配偶者は、相続放棄をしても日常家事債務の支払義務があります。

自称専門家はこの点を強調して配偶者は相続放棄ができないと称して、他の債務の返済を求めます。

日常家事債務の範囲は、夫婦の関係性や収入、資産状況から一概に言えるものではありません。

自称専門家の言うことを鵜のみにする前に、信頼できる専門家に相談しましょう。

7相続放棄を司法書士に依頼するメリット

実は、相続放棄はその相続でチャンスは1回限りです。

家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続を取ることはできますが、高等裁判所の手続で、2週間以内に申立てが必要になります。

家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。

一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。

相続放棄は撤回ができないので、慎重に判断する必要があります。

せっかく、相続放棄が認められても、相続財産を処分した判断されたら無効になりかねません。

このような行為をしてしまわないように、あらかじめ知識を付けておく必要があります。

相続放棄を自分で手続したい人の中には、相続放棄が無効になることまで考えていない場合が多いです。

司法書士は、相続放棄が無効にならないようにサポートしています。

せっかく手続きしても、相続放棄が無効になったら意味がありません。

相続放棄を考えている方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

郵送で相続放棄

2023-08-04

1相続放棄の必要書類は郵送で取り寄せができる

①相続放棄の必要書類

相続放棄は、家庭裁判所に対する手続です。

相続放棄申述書に必要書類を添えて家庭裁判所に提出します。

家庭裁判所に提出する書類は、次のとおりです。

(1)相続放棄申述書

(2)被相続人の除票

(3)相続放棄する人の戸籍謄本(3か月以内のもの)

(4)収入印紙

(5)裁判所が手続で使う郵便切手

(6)被相続人の戸籍謄本

②相続放棄申述書は裁判所のホームページからダウンロードができる

相続放棄は、家庭裁判所に対して申立てが必要です。

家庭裁判所に提出する相続放棄の申立ての書類のことを相続放棄申述書と言います。

相続放棄申述書は、裁判所のホームページからダウンロードすることができます。

全国の家庭裁判所で様式を受け取ることもできます。

③被相続人の除票は郵送で取り寄せることができる

相続放棄は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に手続をします。

家庭裁判所の管轄は、裁判所のホームページで確認することができます。

被相続人の除票は、被相続人の最後の住所地を確認するために提出します。

被相続人の除票は、被相続人の住民票があった市区町村役場に請求します。

書類さえ揃っていれば、郵送で請求することができます。

市区町村役場によっては、郵便請求を受け付ける専門部署があります。

郵便請求受付の専門部署がある市区町村役場の場合、直接専門部署に送付するといいでしょう。

専門部署あてでなくても市区町村役場内で回送してもらえますが、手続に時間がかかることがあります。

④被相続人と相続放棄する人の戸籍謄本は郵送で取り寄せることができる

相続が発生する前は、相続放棄ができません。

相続放棄は、家庭裁判所に対して、必要な書類をを添えて相続放棄をしたい旨の届出をします。

家庭裁判所は、生前に相続放棄の受付はしません。

相続発生後に取得した戸籍謄本を提出する必要があります。

⑤裁判所が手続で使う郵便切手は家庭裁判所に問い合わせる

相続放棄申述書を提出するとき、裁判所が手続で使う郵便切手を一緒に提出します。

提出する郵便切手の種類や枚数は、家庭裁判所によって異なります。

家庭裁判所に問い合わせて、準備するといいでしょう。

家庭裁判所によっては、ホームページに記載されている場合があります。

2 相続放棄申述書は郵送で提出できる

①相続放棄申述書の提出先は被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所

相続放棄申述書の提出先は被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所です。

相続放棄する人の住所地の家庭裁判所ではありません。

ときには相続放棄をしたい人の住所地からはるか遠方の家庭裁判所である場合があります。

相続放棄申述書は、家庭裁判所に出向いて提出することができるし郵送で提出することができます。

郵送する場合は期限に間に合うように余裕を持って提出しましょう。

②記録の残る郵便が安心

相続放棄申述書を提出するのは、書留やレターパックなど記録の残る郵便で提出することをおすすめします。

相続放棄は、相続があったことを知ってから3か月以内に相続放棄申述書を提出する必要があります。

普通郵便は記録が残らないから、家庭裁判所に届いたか確認することができません。

家庭裁判所が相続放棄申述書を受け付けた場合、本人に受け付けたことを通知しません。

3か月以内に相続放棄申述書を提出する必要があるから、家庭裁判所に届いたか心配になることがあるでしょう。

普通郵便は、迷子になると探せなくなります。

書留やレターパックは、追跡番号があります。

郵便局のホームページで、郵便物の配達状況を調べることができます。

提出した相続放棄申述書について家庭裁判所に問い合わせをする場合、到着した日付を伝えると探してもらいやすくなります。

③家庭裁判所に出向く場合は受付時間に注意

相続放棄申述書は家庭裁判所に出向いて提出することができます。

家庭裁判所は平日の日中だけ業務を行っています。

業務時間中であれば、いつでも相続放棄申述書を受け付けてくれるとは限りません。

家庭裁判所によっては、書類の受付時間を限定している場合があるからです。

家庭裁判所に出向いて提出する場合は、受付時間に注意しましょう。

相続放棄申述書の提出は、家族が家庭裁判所に出向くこともできます。

④提出書類はコピーを取っておく

家庭裁判所に対して相続放棄の申立てをすると、相続放棄照会書が届きます。

相続放棄照会書とは、家庭裁判所から届く相続放棄についての意思確認です。

相続放棄は、影響の大きい手続なので間違いがないように慎重に確認します。

万が一、相続放棄申述書の内容と矛盾した回答をすると相続放棄を認めてもらえなくなるかもしれません。

提出した相続放棄申述書のコピーを取っておくと安心です。

相続放棄照会書は家庭裁判所によって名前が違うことがあります。

⑤相続放棄の提出書類は原本還付してもらうことができる

相続放棄申述書は、必要書類を添えて家庭裁判所に提出します。

家庭裁判所に提出した書類は、請求すれば原本還付してもらうことができます。

添付書類を返してもらえれば、財産を相続する相続人が使うことができます。

相続放棄申述書に原本還付申請書と返してもらいたい書類のコピーを添付します。

コピーに原本に相違ありませんなどの記載は不要です。

⑥原本還付を希望する場合は返信用封筒を添付する

戸籍謄本や住民票の原本還付を希望する場合、返信用封筒を添付します。

返信用封筒に返送先の宛名を記載します。

返信用のレターパックを用意すれば、切手の心配はしなくていいでしょう。

3相続放棄申述受理証明書も郵送申請ができる

家庭裁判所が相続放棄を認めた場合、相続放棄申述受理通知書が届きます。

相続放棄が認められた場合、家庭裁判所は本人にのみ通知します。

債権者や他の相続人に自主的に通知をすることはありません。

債権者や他の相続人に見せるため、相続放棄をしたことを証明してもらうことができます。

相続放棄申述受理証明書は、家庭裁判所で相続放棄を認めてもらったことの証明書です。

相続放棄申述受理証明申請書を家庭裁判所に提出します。

相続放棄申述受理証明申請書は、郵送で提出することができます。

相続放棄申述受理証明書の申請先は、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所です。

郵送で相続放棄申述受理証明書を提出する場合、返信用封筒を添付します。

返信用封筒に返送先の宛名を記載します。

返信用のレターパックを用意すれば、切手の心配はしなくていいでしょう。

4相続放棄を司法書士に依頼するメリット

実は、相続放棄はその相続でチャンスは1回限りです。

家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続を取ることはできますが、高等裁判所の手続で、2週間以内に申立てが必要になります。

家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。

一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。

相続放棄は撤回ができないので、慎重に判断する必要があります。

せっかく、相続放棄が認められても、相続財産を処分した判断されたら無効になりかねません。

このような行為をしてしまわないように、あらかじめ知識を付けておく必要があります。

相続放棄を自分で手続きしたい人の中には、相続放棄が無効になることまで考えていない場合が多いです。

司法書士は、相続放棄が無効にならないようにサポートしています。

せっかく手続しても、相続放棄が無効になったら意味がありません。

相続放棄を考えている方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

« Older Entries Newer Entries »

keyboard_arrow_up

0527667079 問い合わせバナー 事前相談予約