相続登記の必要書類の有効期限

1相続登記の必要書類

①遺言書がないときの必要書類

登記申請書には、通常、相続関係説明図を添えます。

遺言書がないときの必要書類は、次のとおりです。

(1)被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

(2)相続人の現在戸籍

(3)被相続人の住民票

(4)不動産を相続する人の住民票

(5)遺産分割協議書

(6)相続人全員の印鑑証明書

(7)固定資産税の評価証明書

②遺言書があるときの必要書類

遺言書があるときの必要書類は、次のとおりです。

(1)被相続人の死亡の戸籍謄本

(2)相続人の現在戸籍

(3)被相続人の住民票

(4)不動産を相続する人の住民票

(5)遺言書

(6)検認済証明書

(7)固定資産税の評価証明書

③権利証は不要

相続登記では、原則として権利証は不要です。

特別な事情があるときだけ、権利証を提出します。

2相続登記の必要書類の有効期限

①被相続人の戸籍謄本に有効期限はない

(1)古い戸籍謄本を提出できる

相続登記では、たくさんの戸籍謄本が必要になります。

相続手続の最初の難関が戸籍謄本の収集です。

戸籍謄本の収集を始めたものの、あまりの大変さに挫折してしまうことがあります。

挫折後しばらく放置してしまった場合、すでに準備した戸籍謄本が使えるか心配になるかもしれません。

相続登記では、戸籍謄本に有効期限はありません。

相続登記で戸籍謄本を提出する場合、発行後〇か月以内でなければ受付しませんといったことはありません。

(2)最終の戸籍謄本は死亡の記載が必要

被相続人の戸籍謄本は、死亡まで連続した戸籍謄本が必要です。

最終の戸籍謄本は、死亡の記載が必要です。

生前に取得した戸籍謄本は、取り直しになります。

最終の戸籍謄本以外は、生前に取得した戸籍謄本を提出することができます。

②相続人の戸籍謄本は相続発生後に取得

相続人の戸籍謄本は、相続発生時に相続人が健在だったことを証明するために提出します。

相続人の戸籍謄本は、相続発生後に取得する必要があります。

相続発生後に取得した戸籍謄本であれば、取得後長期間経過しても問題はありません。

相続登記では、戸籍謄本に有効期限はありません。

相続登記で戸籍謄本を提出する場合、発行後〇か月以内でなければ受付しませんといったことはありません。

③被相続人の住民票は相続発生後に取得

登記簿には、所有者の住所と氏名が記録されています。

被相続人の戸籍謄本には、本籍と氏名が記録されています。

被相続人の住民票は、登記簿の所有者と被相続人が同一人物であると証明するために提出します。

被相続人の住民票には、本籍、住所、氏名が記載されているからです。

被相続人の住民票は、相続発生後に取得する必要があります。

相続発生後に取得した住民票であれば、取得後長期間経過しても問題はありません。

相続登記では、住民票に有効期限はありません。

相続登記で住民票を提出する場合、発行後〇か月以内でなければ受付しませんといったことはありません。

④不動産を相続する人の住民票に有効期限はない

(1)古い住民票を提出できる

不動産を相続する人の住民票は、不動産を相続する人の住所を証明するために提出します。

相続登記では、住民票に有効期限はありません。

相続登記で住民票を提出する場合、発行後〇か月以内でなければ受付しませんといったことはありません。

(2)旧住所の住民票は取り直し

住民票を取得してから長期間経過した場合、相続人が住所変更をすることがあります。

旧住所が記載された住民票は、住所を証明する書類として適切ではありません。

住民票を取り直して、最新の住所を証明します。

⑤遺産分割協議書に有効期限はない

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

相続人全員による合意がまとまったら、合意内容は書面に取りまとめます。

遺産分割協議書とは、相続人全員による合意内容の証明書です。

遺産分割協議書作成後長期間経過してから、相続財産が見つかることがあります。

長期間経過しても、相続登記は必要です。

遺産分割協議書に、有効期限はありません。

相続登記で遺産分割協議書を提出する場合、作成後〇か月以内でなければ受付しませんといったことはありません。

⑥相続人全員の印鑑証明書に有効期限はない

(1)古い印鑑証明書を提出できる

遺産分割協議書は、相続人全員が記名し実印で押印します。

実印による押印であることを証明するため、印鑑証明書を添付します。

一部の相続人が印鑑証明書を出し渋っている場合、すでに準備した印鑑証明書が使えるか心配になるかもしれません。

印鑑証明書に、有効期限はありません。

相続登記で印鑑証明書を提出する場合、発行後〇か月以内でなければ受付しませんといったことはありません。

遺産分割協議書を作成する前に取得した印鑑証明書であっても、差し支えありません。

相続発生前に取得した印鑑証明書であっても、差し支えありません。

(2)旧住所の印鑑証明書は取り直し

住民票を取得してから長期間経過した場合、相続人が住所変更をすることがあります。

旧住所が記載された印鑑証明書は、遺産分割協議書の相続人と別人であると判断されるでしょう。

住所の移り変わりを証明する必要があります。

遺産分割協議書の相続人と同一人物であることを証明しなければならないからです。

印鑑証明書を取り直した方が簡単でしょう。

⑦固定資産税の評価証明書は登記申請年度のもの

相続登記をする際に、登録免許税が課されます。

登録免許税は、登記申請年度の固定資産税評価額をもとにして計算します。

固定資産税の評価証明書は、4月1日に新年度になります。

登記申請が4月1日以降になったら、新年度の固定資産税の評価証明書が必要です。

登記申請が3月31日までであれば登記完了が4月以降になったとしても、新年度の固定資産税の評価証明書は必要ありません。

⑧遺言書に有効期限はない

(1)作成後長期間経過した遺言書を執行できる

遺言書は、遺言者が元気なときに作成します。

遺言書を作成しても、遺言書に効力はありません。

遺言書の効力発生時期は、遺言者が死亡したときです。

遺言書を作成してから長期間経過しても、遺言書の効力が無くなることはありません。

作成後長期間経過しても、遺言書の効力が時効消滅することはありません。

遺言書に有効期限は、ありません。

作成後長期間経過しても、遺言者が死亡したとき遺言書に効力が発生します。

作成後長期間経過しても、遺言者が死亡したとき遺言執行をすることができます。

(2)遺言者死亡後長期間経過した遺言書を執行できる

遺言者死亡で、遺言書に効力が発生します。

遺言書に効力が発生してから長期間経過しても、遺言書の効力が無くなることはありません。

死亡後長期間経過しても、遺言書の効力が時効消滅することはありません。

遺言書に有効期限は、ありません。

遺言者が死亡した後長期間経過してから、相続財産が見つかることがあります。

遺言者死亡後何十年経過しても、遺言執行をすることができます。

⑨親権者を証明する戸籍謄本は取得後3か月以内

未成年者が相続手続に関与することがあります。

未成年者は、物事メリットデメリットを充分に判断することができません。

未成年者の代わりに、親権者が法律行為をします。

未成年者が相続登記をする場合、親権者が代理します。

親権者であることを証明するため、戸籍謄本を提出します。

親権者であることを証明する戸籍謄本は、取得後3か月以内の期限があります。

3銀行などは独自ルールで有効期限がある

①銀行などは3か月や6か月以内

相続が発生したら、さまざまな機関に相続手続をします。

相続の手続先は、銀行などの金融機関や保険会社などがイメージしやすいでしょう。

銀行などの金融機関や保険会社は、独自で書類の有効期限を決めています。

取得してから長期間経過した書類を提出すると、取得し直してくださいと言われます。

一概には言えませんが、多くは3か月や6か月で取得し直しと言われてしまいます。

②相続税申告は有効期限がない

相続財産全体の規模が一定以上である場合、相続税申告の対象になります。

相続税申告で書類を提出する場合、有効期限はありません。

相続税は、10か月以内に申告納税をする必要があります。

4期限切れの戸籍謄本で法定相続情報一覧図を取得できる

①法定相続情報一覧図は法務局発行の公的書類

法定相続情報一覧図とは、相続関係の公的証明書です。

戸籍謄本等と家系図を法務局に提出して、法務局で点検してもらいます。

問題がなければ、法務局の認証文を入れて発行してもらえます。

法定相続情報一覧図は、家系図型で作成するのが一般的です。

相続関係が一目で分かるから、とても便利です。

法定相続情報一覧図は公的証明書だから、たくさんの戸籍謄本等と同じ効力があります。

②法定相続情報一覧図の必要書類に有効期限はない

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出で、たくさんの戸籍謄本を提出します。

提出する戸籍謄本に、有効期限はありません。

古い戸籍謄本や住民票提出することができます。

③古い戸籍謄本で法定相続情報一覧図の申出

銀行などの金融機関や保険会社は、提出書類に3か月や6か月の有効期限を設けています。

期限切れの提出書類は、取り直してくださいと言われるでしょう。

3か月や6か月の期限切れの戸籍謄本で、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をすることができます。

法定相続情報一覧図の必要書類に、有効期限はないからです。

法定相続情報一覧図の発行から3か月や6か月以内であれば、期限内の書類と判断してもらえるでしょう。

法定相続情報一覧図を活用すると、スムーズに相続手続ができます。

④法定相続情報一覧図は再発行してもらえる

法定相続情報一覧図が不足したら、5年間は再発行をしてもらうことができます。

法定相続情報一覧図の交付日から、3か月や6か月の期限が切れてしまうことがあるでしょう。

再発行をしてもらえば、新しい交付日の法定相続情報一覧図を取得することができます。

銀行などの金融機関や保険会社のルールによりますが、スムーズに相続手続ができます。

5相続登記を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、相続人は悲しむ暇もなく相続手続に追われます。

ほとんどの人は相続手続は不慣れで、聞き慣れない法律用語で疲れ果ててしまいます。

インターネットの普及で多くの人は簡単に多くの情報を手にすることができるようになりました。

多くの情報の中には正しいものも、適切でないものも同じように混じっています。

相続登記も簡単にできる、ひとりでできたという記事も散見されます。

不動産は重要な財産であることも多いので、登記手続きは一般の方から見ると些細なことと思えるようなことでやり直しになることも多いものです。

法務局の登記相談を利用すれば、シンプルな事例の申請書類などは教えてもらえますが、通常と異なる事例に関しては、相談する側から話さないとわざわざ説明してくれません。

知識のない方にとっては、通常と異なっているかどうか判断がつかないでしょう。

司法書士などの専門家から見れば、トラブルのないスムーズな相続手続であっても、知識のない一般の方はへとへとになってしまいます。

住所がつながらない場合など、シンプルな事例とは言えない事情がある場合は申請を取下げて、やり直しになることが多いでしょう。

司法書士は登記の専門家です。

スムーズに相続登記を完了させたい方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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