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特別縁故者に対する相続財産分与の申立て

2024-06-10

1相続人になる人は法律で決まっている

①相続人になる人

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続します。

相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することを代襲相続と言います。

(1)~(4)の関係の親族は、行方不明であっても、お葬式に来なくても、相続人です。

②相続人になれない人

相続人になれない人は、次のとおりです。

(1)事実婚・内縁関係の配偶者

(2)配偶者の連れ子

(3)養子縁組はしていない事実上の養子

(4)認知していない子ども

(5)子どもの配偶者や配偶者の親など血縁関係がない人

相続人になる人は、法律で決まっています。

民法で決められた人以外の人は、相続人になれません。

2特別縁故者になれる人

①特別縁故者とは

相続が発生したら、被相続人のものは相続人が相続します。

相続人になる人は、法律で決まっています。

法律で決められた相続人がまったくいないケースがあります。

法律で決められた相続人はいるけど、相続人全員が相続放棄することがあります。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、相続放棄をした人ははじめから相続人でなかったと扱われます。

相続人がまったくいない場合、相続財産は最終的には国庫に帰属します。

国庫に帰属するより、被相続人と特別な関係にあった人に分与した方がいいことがあります。

被相続人と特別な関係があったと認められた場合、特別縁故者として相続財産の一部または全部の分与を受けることができます。

特別縁故者として相続財産の分与を受けるためには、家庭裁判所で認められる必要があります。

相続人がいない場合であっても、勝手に財産を引き継ぐことはできません。

②被相続人と生計を同じくしていた者

被相続人と生計を同じくしていた人とは、同一家計で生活していた人です。

被相続人と同居して、事実上、家族として暮らしていた人が該当します。

例えば、次の人が該当します。

(1)事実婚・内縁の配偶者

(2)同性パートナー

(3)配偶者の連れ子

(4)養子縁組はしていない事実上の養子

(5)認知していない子ども

③被相続人の療養看護に努めた者

療養看護に努めたとは、献身的に被相続人のお世話をしたことです。

被相続人が介護施設に入居している場合であっても、頻繁に施設に出向いてお世話していた人は特別縁故者と認められる可能性があります。

相続人でない人が私生活を犠牲にして被相続人に貢献している場合、特別縁故者として認められることがあります。

看護師や介護ヘルパーなどが報酬を得てお世話をしていた場合、特別縁故者となるのは難しいでしょう。

報酬を得てお世話をしていた場合、報酬以上に献身的にお世話をしていたことが要件になります。

④その他被相続人と特別の縁故のあった者

被相続人が生前どのような生活をしていたかは、人それぞれです。

被相続人の生活状況を考えて、相続財産を分与することが相当であることがあります。

上記の人と同様な特別な縁故があると認められる場合、特別縁故者になることができます。

⑤死後の縁故は特別縁故者と認められない

生前被相続人と疎遠であった人が葬儀や埋葬などに尽力することがあります。

葬儀や埋葬などに多額の費用を負担した場合、原則として、特別縁故者とは認められません。

もともと、お葬式の費用は喪主などお葬式を出す人が負担するものだからです。

相続財産があるからと言って、特別縁故者となるのは筋違いだからです。

⑥法人は特別縁故者になれる

被相続人の療養看護に努めた者は、特別縁故者として認められます。

被相続人の療養看護に努めた人が法人であるケースがあります。

特別縁故者は、自然人に限定されていません。

法人であっても法人格のない社団であっても、家庭裁判所に認められる可能性があります。

⑦相続人がいるときは特別縁故者に認められない

特別縁故者が認められるのは、法律で決められて相続人がいない場合に限られます。

相続人がいない場合とは、はじめから不存在であるか相続人全員が相続放棄をした場合です。

相続人は存在するけど疎遠である場合、相続人がいない場合ではありません。

相続人は存在するけど音信不通である場合、相続人がいない場合ではありません。

相続人は存在するけど行方不明の場合、相続人がいない場合ではありません。

相続人がいる場合、特別縁故者に認められることはありません。

3特別縁故者が財産分与を受けるまでの流れ

①相続財産清算人選任の申立て

相続人がまったくいない場合、相続財産は最終的には国庫に帰属します。

相続財産清算人とは、相続財産を清算して国庫に帰属させる人です。

相続人がまったくいない場合、家庭裁判所に相続財産清算人を選んでもらいます。

相続財産を清算する人を家庭裁判所に選んでもらうことを相続財産清算人選任の申立てと言います。

家庭裁判所が相続財産清算人を選任した場合、官報で公告します。

この公告で、相続人捜索の公告も一緒にします。

②債権者受遺者へ申出の公告

家庭裁判所に選任された相続財産清算人から、債権者や受遺者に対して公告が出されます。

債権者は、お金を払ってもらう権利がある人です。

受遺者は、遺言書で財産を受け取る権利がある人です。

被相続人が払うべきお金を払わないまま死亡することがあります。

債権者は、相続財産から払ってもらいたいと考えるでしょう。

相続財産清算人は、相続財産から支払をして清算します。

被相続人が受け取るべきお金を受け取らないまま死亡することがあります。

相続人がいれば、相続人が受け取ることができるはずです。

相続財産清算人は、きちんと支払をしてもらって清算します。

③相続人不存在が確定

相続人捜索の公告の期間が満了した場合、相続人不存在が確定します。

特別縁故者に対して財産が分与されるのは、相続人がいないときです。

相続人がまったくいないと思っていても、戸籍謄本などで確認する必要があります。

戸籍謄本で確認するだけでなく、相続人捜索の公告をします。

ここまで手続を履んで、相続人不存在と言えます。

④特別縁故者に対する財産分与の申立て

相続人不存在が確定した場合、特別縁故者に対する財産分与の申立てをすることができます。

特別縁故者に対する財産分与の申立てができるのは、相続人不存在が確定してから3か月以内です。

3か月を過ぎると、申立てができなくなります。

⑤特別縁故者に対する財産分与の審判

家庭裁判所で特別縁故者として認められた場合、相続財産の一部または全部が分与されます。

特別縁故者として認められなかった場合、相続財産は国庫に帰属します。

4特別縁故者に対する財産分与の申立ての方法

①申立てができる人

特別縁故者になれる人で説明したとおりです。

②申立先

被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

家庭裁判所の管轄は、裁判所のホームページで確認することができます。

③申立てに必要な書類

特別縁故者に対する財産分与の申立書に添付する書類は、次のとおりです。

(1)申立人の戸籍謄本

(2)被相続人の戸籍謄本

④申立手数料

特別縁故者に対する財産分与の申立てにかかる手数料は、800円です。

収入印紙を申立書に貼り付けて納入します。

収入印紙は、貼るだけで消印はしません。

申立書を受け付けたとき、家庭裁判所の人が消印をします。

手数料とは別に、予納郵券を納入します。

予納郵券とは、裁判所が手続で使う郵便切手です。

裁判所や手続の種類によって、納入する切手の種類や枚数がちがいます。

裁判所のホームページを見ると、納入する切手の種類や枚数が記載されていることがあります。

5特別縁故者の相続税

特別縁故者が多額の財産を受け取る場合、相続するのではありませんが、相続税の対象になります。

相続税がかかるのは基礎控除を超える場合です。

相続税の基礎控除=3000万円+600万円×法定相続人の人数

特別縁故者が財産を受け取る場合、法定相続人はいないはずです。

3000万円を超えて財産を受け取ったとき、相続税がかかります。

特別縁故者が相続税を納めるとき、通常時の2割加算がされます。

6遺言書があると手続がラク

被相続人が死亡してから、国庫に帰属するまで1年以上の時間がかかります。

相続財産清算人選任の申立てなど裁判所の手続は、時間と労力がかかります。

特別縁故者に対する相続財産分与の申立てをしても、家庭裁判所は必ずしも認めてくれません。

相続人がいない人は、遺言書を書いて財産の行き先を指定しましょう。

お世話になった役所や慈善団体に寄付をして、財産を活かしてもらうことができます。

財産を受け取ってもらうのは、相続人でなければならないというルールはありません。

近年は、おひとりさまなどが慈善団体への寄付を望むことが多いです。

田舎の山林など寄付する財産の種類によっては、寄付を受けてもらえないこともあります。

使い道が指定してある寄付は自由に使えないから困ると言って断られることもあります。

財産の行き先を決める場合、相手方の都合を聞いて決めましょう。

遺言書を書く前に相談することが必要です。

遺言書の内容を実行するために、遺言執行者も指定しておくと安心です。

7遺言書作成と遺言執行を司法書士に依頼するメリット

相続手続はタイヘンですが、相続人がいない場合もタイヘンです。

相続人がいないから、財産は国に持っていかれて、何もしなくていいと軽く考えがちです。

実際は、被相続人が死亡してから、国庫に帰属するまで1年以上の時間がかかります。

財産の内容によっては、100万円以上の費用の負担があることも見逃せません。

国に持っていかれるよりは、お世話になった人に受け継いでもらいたい、自分の気持ちを活かしてくれる慈善団体などに使ってもらいたいという気持ちがある人もいるでしょう。

お世話になった人に受け継いでもらいたい、自分の気持ちを活かしてくれる慈善団体などに使ってもらいたいという意思は遺言書で実現できます。

お世話になった人に受け継いでもらいたい場合、特別縁故者に対する相続財産分与の申立ができますが、必ずしも認められるとは限りません。

認められても、財産の一部のみの場合もあります。

何より、家庭裁判所に対する手続ですから、一般の人には高いハードルです。

遺言書に、遺贈することを書き、遺言執行者を決めておけば、手間はかかりません。

お世話になった人は待っているだけで済みます。

遺言書は書き方に細かいルールがあります。

細かいルールを守っていないと遺言書は無効になってしまいます。

適切な遺言書作成と遺言執行者選任は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

養子縁組の条件

2024-05-31

1普通養子と特別養子のちがい

①普通養子は実親との親子関係が継続する

養子縁組とは、血縁関係による親子関係の他に、法律上の親子関係を作る制度です。

養子には、2種類あります。

普通養子と特別養子です。

子どものいない夫婦が養子縁組をする、配偶者の連れ子と養子縁組するといったことは日常的に聞くことあります。

一般的に、単に「養子」と言ったら、普通養子を指していることがほとんどです。

普通養子による養子縁組をした場合、血縁関係のある実親との親子関係は継続します。

普通養子は、養親も相続するし実親も相続します。

普通養子は、実親の子どもで、かつ、養親の子どもだからです。

普通養子は、実親との親子関係が継続します。

②特別養子は実親との親子関係が終了する

特別養子による養子縁組をした場合、血縁関係のある実親との親子関係が終了します。

特別養子による養子縁組は、親子の縁を切る重大な決定です。

厳格な要件で、家庭裁判所が決定します。

実の父母による著しい虐待がある場合やその他特別の事情がある場合で、かつ、子の利益のため特に必要があるときに、認められます。

特別養子は、養親を相続しますが実親は相続しません。

配偶者の嫡出子である実子と特別養子縁組をする場合、特別養子は実親である養親の配偶者との親子関係が存続します。

実親である養親の配偶者が死亡した場合、特別養子は相続人になります。

実親である養親の配偶者が死亡した後、実親である養親の配偶者の親が死亡した場合、代襲相続人になります。

特別養子は、実親の子どもでなくなり、養親の子どもです。

特別養子は、実親との親子関係が終了します。

2普通養子による養子縁組の条件

①養親になる人と養子になる人の合意

養子縁組をするためには、当事者の合意が不可欠です。

養子になる人が15歳未満の場合、自分で判断することはできません。

養子になる人の代わりに、親などの親権者が承諾します。

②養子縁組届を提出

養子縁組は、市区町村役場に養子縁組届を提出することで成立します。

養子縁組届の押印は、任意です。

養子縁組の当事者と証人の署名があれば、だれが市区町村役場に持って行っても差し支えありません。

持って行く人は、使者だからです。

持って行くだけであれば、委任状は不要です。

提出先は、養親または養子の本籍地か住所地の市区町村役場です。

③養親は20歳以上

養親になれるのは、20歳以上の人です。

成年になるのは、18歳です。

成年が18歳になっても、養親になるのは20歳以上です。

養親の年齢に、上限はありません。

④養子は尊属や年長者でない

尊属は、養子になることができません。

尊属とは、前の世代の血族です。

本人から見て、父母や祖父母は前の世代の血族です。

年長者は、養子になることができません。

年少者であっても、尊属は養子になることはできません。

伯叔父や伯叔母が年少であることがあります。

伯叔父や伯叔母は、尊属です。

伯叔父や伯叔母が年少であっても、養子になることはできません。

⑤未成年者を養子にするときは家庭裁判所の許可

未成年者を養子にする場合、家庭裁判所の許可が必要です。

養子になる人が自分の卑属や配偶者の卑属である場合、家庭裁判所の許可は不要です。

⑥結婚している人が未成年者を養子にするときは夫婦共同縁組

結婚している人が未成年者を養子にする場合、夫婦が共同で養子縁組をします。

未成年者を養子にする場合、家庭裁判所の許可が必要です。

家庭裁判所の許可を得ても、夫婦ともに養親になる必要があります。

配偶者の連れ子と養子縁組をする場合、夫婦共同縁組をする必要がありません。

⑦養親または養子が結婚しているときは配偶者の同意

養親または養子が結婚している場合、配偶者の同意が必要です。

結婚している人が未成年者を養子にする場合、夫婦が共同で養子縁組をします。

結婚している人が未成年者を養子にする場合でなければ、夫婦共同縁組をする必要はありません。

配偶者の同意を得るだけで済みます。

⑧後見人が被後見人を養子にするときは家庭裁判所の許可

後見人が被後見人を養子にする場合、家庭裁判所の許可が必要です。

後見人の任務が終了した後でも、管理の計算が終わらない間は家庭裁判所の許可が必要です。

家庭裁判所の強化が必要なのは、成年後見人と未成年後見人の両方です。

⑨養子の年齢に制限はない

養親になれるのは、20歳以上の人です。

養子になる人に、年齢制限はありません。

養親より年長者が養子になれないだけです。

高齢者になっても、養子になることができます。

⑩独身の人が養子縁組ができる

普通養子による養子縁組をする場合、独身の人が養親になることができます。

養親または養子が結婚している場合、配偶者の同意が必要です。

配偶者がいない人が養親になれないという意味はありません。

特別養子による養子縁組をする場合、独身の人が養親になることができません。

⑪養子の人数に法律上の制限はない

養親になる人と養子になる人の合意で、養子縁組することができます。

養親は、複数の養子と養子縁組をすることができます。

養子縁組の数に、法律上の制限はありません。

養子は、養親の子どもです。

養親が死亡したときに、養子は相続人になります。

被相続人の財産規模によっては、相続税の対象になるでしょう。

相続税を計算する場合、養子の数に制限があります。

被相続人に実子がいる場合、養子は1人までです。

被相続人に実子がいない場合、養子は2人までです。

上記の養子の数の制限は、相続税を計算するときだけの話です。

被相続人に実子がいても、複数の養子がいることがあります。

複数の養子全員が被相続人の子どもです。

被相続人の子ども全員が相続人です。

養子縁組の数に、法律上の制限はないからです。

⑫養親の人数に法律上の制限はない

養子縁組の数に、法律上の制限はありません。

養子は、複数の養親と養子縁組をすることができます。

養子は、養親の子どもです。

養親が死亡したときに、養子は相続人になります。

最初の養親が死亡したときに、養子は相続人になります。

次の養親が死亡したときに、養子は相続人になります。

最初の養親にとっても次の養親にとっても、養子は子どもだからです。

実親が死亡したときに、普通養子による養子は相続人になります。

実親にとっても、養子は子どもだからです。

子どもは、相続人になります。

養親の人数に法律上の制限は、ありません。

⑬養子縁組に収入要件はない

養子縁組をする場合、収入の基準はありません。

養親になる人も養子になる人も、収入による制限はありません。

養親になる人が共働きであっても、問題にはなりません。

3特別養子による養子縁組の条件は厳しい

①養親は結婚している人であること

特別養子の養親になるためには、配偶者がある人でなければなりません。

配偶者は法律上の配偶者に限られます。

内縁・事実婚の配偶者や同性パートナーは、特別養子を迎えることはできません。

夫婦共同で養親になる必要があります。

養子が一方の血縁関係のある嫡出子である場合は、配偶者のみ特別養子になることができます。

②養親は25歳以上であること

特別養子の養親になるためには、養親は25歳以上でなければなりません。

夫婦のうち一方が25歳以上であれば他方が25歳未満であっても、構いません。

③養子は15歳未満であること

特別養子の申立てをする時点で15歳であれば特別養子になることができます。

家庭裁判所が特別養子を成立させるまでに18歳になってしまったら特別養子になることはできません。

養子が15歳になる前から引き続き監護をされている場合で、かつ、やむを得ない理由で特別養子の申立てができなかった場合は特別養子になることができます。

やむを得ない理由があるかは、家庭裁判所が決定します。

やむを得ない理由があると認められて、かつ、養子が18歳未満であれば特別養子になることができます。

④養子が15歳以上であれば養子の同意があること

特別養子は子どもの福祉のために成立させる制度です。

15歳未満であれば養子の同意は必要ありませんが、子どもの意思は重視されます。

⑤実親の同意があること

特別養子では、養子縁組をした後、血縁関係のある実親との親子関係がなくなります。

実親の同意が必要になります。

次の場合は、実親の同意は必要ありません。

(1)父母が意思表示ができないとき

(2)父母による虐待、悪意の遺棄があるとき

(3)養子となる子どもの利益を著しく害するとき

一定の条件がある場合、父母の同意は撤回することができません。

⑥監護期間が6か月以上あること

養親による監護期間が6か月以上あることが条件になります。

養親による監護期間がスタートしたときには、実親が特別養子に同意していなくても構いません。

実親が特別養子に同意するか同意しないか分からない状態で、監護をスタートするのは精神的に負担が大きいものです。

4成人同士の養子縁組の条件

①成人同士の養子縁組は普通養子のみ

養子縁組には、普通養子と特別養子の2種類があります。

特別養子による養子は、15歳未満であることであることが条件です。

普通養子による養子は、年齢制限がありません。

成人同士が養子縁組をする場合、普通養子による養子縁組だけです。

②成人同士の養子縁組は当事者の合意が重要

成人同士で養子縁組をする場合、特別な条件はありません。

成人同士の養子縁組で重要な条件は、次のとおりです。

(1)養親になる人と養子になる人の合意

(2)養子縁組届を提出

(3)養子は尊属や年長者でない

養子縁組の条件は、先に説明したとおりです。

成人同士で養子縁組をする場合、あまり考慮する必要がないものが多いでしょう。

③養子縁組をすると養親の氏

養子縁組をすると、養子は養親の氏を名乗ります。

成人同士で養子縁組をしても、養子は養親の氏を名乗ります。

成人同士で養子縁組をした場合、氏が変更される点に注意する必要があります。

氏の変更は、社会生活上の負担が大きいからです。

養子になる人が結婚していても戸籍の筆頭者の場合、養親の氏に変更されます。

戸籍の筆頭者が養親の氏に変わるから、配偶者の氏も自動で変更されます。

養子になる人が戸籍の筆頭者の配偶者である場合、養親の氏でなく婚姻時に決めた氏を名乗ります。

養子に子どもがいる場合、養子の子どもの氏は自動で変更されません。

養子の子どもの氏を変更したい場合、別の手続が必要です。

5相続人調査を司法書士に依頼するメリット

本籍地の変更や国による戸籍の作り直し(改製)で多くの方は、何通もの戸籍を渡り歩いています。

古い戸籍は現在と形式が違っていて、読みにくいものです。

手書きの達筆な崩し字で書いてあって、分かりにくいものです。

慣れないと、戸籍集めはタイヘンです。

本籍地を何度も変更している方や結婚、離婚、養子縁組、離縁を何度もしている方は、戸籍をたくさん渡り歩いています。

戸籍謄本を集めるだけで、膨大な手間と時間がかかります。

戸籍には被相続人の結婚や離婚、子どもや養子の存在といった身分関係がすべて記録されています。

時には、家族の方が知らない相続人が明らかになることもあります。

相続が発生した後に、認知を求めて裁判になることもあります。

相続人を確定させるために戸籍を集めるだけでも、知識のない一般の人にはタイヘンな作業です。

家族の方が知らない相続人が明らかになると、精神的な負担はさらに大きいものになります。

相続手続のうち、専門家に任せられるものは任せてしまえば、事務負担を軽減することができます。

戸籍や住民票の取り寄せも司法書士は代行します。

相続人調査でお困りの方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

特別失踪(危難失踪)は危難が去ってから1年で申立て

2024-05-27

1失踪宣告には普通失踪と特別(危難) 失踪がある

①普通失踪は生死不明7年で死亡

一般的に失踪宣告といった場合、普通失踪を指しています。

生死不明の期間を失踪期間と言います。

普通失踪では、失踪期間が7年必要です。

生死不明のまま7年経過した場合に、自動的に死亡と見なされるわけではありません。

家庭裁判所が失踪宣告したときに、死亡と見なされます。

②特別失踪(危難失踪)は事故や災害で生死不明

行方不明の人が大災害や大事故にあっていることがあります。

大災害や大事故に遭った場合、死亡している可能性が非常に高いものです。

特別失踪(危難失踪)とは、次の事情がある人が対象です。

(1)戦地に行った者

(2)沈没した船舶に乗っていた者

(3)その他死亡の原因となる災難に遭遇した者

死亡している可能性が非常に高いので、失踪期間は短い期間です。

特別 (危難) 失踪では、失踪期間が1年です。

生死不明のまま1年経過した場合に、自動的に死亡と見なされるわけではありません。

家庭裁判所が失踪宣告したときに、死亡と見なされます。

③失踪宣告をしなかったら行方不明のまま

相当長期間、行方不明になっている場合、死亡している可能性が高い場合があります。

条件を満たした場合、死亡の取り扱いをすることができます。

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告がされたら、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。

長期間行方不明であっても失踪宣告をしなかったら、単に行方不明のままです。

相当長期間行方不明であっても死亡と扱うことはできません。

生きている扱いがされるから、行方不明の人の財産は行方不明の人のものです。

他の人が勝手に処分することはできません。

④残された家族のため失踪宣告

行方不明が長期化した場合、家族が困ります。

家族であっても、行方不明の人の財産を処分することができません。

行方不明者の配偶者は、再婚することができません。

残された家族のために、行方不明者を死亡したものと扱う制度が失踪宣告の制度です。

失踪宣告がされると、死亡した取り扱いをします。

失踪宣告がされた人に、相続が発生します。

行方不明者の配偶者は死別した扱いになるから、再婚をすることができます。

2特別 (危難) 失踪は危難が去ってから1年で申立て

①特別 (危難) 失踪になる危難とは

大災害や大事故に遭った場合、死亡している可能性が非常に高いものです。

死亡している可能性が非常に高い危難が特別失踪(危難失踪)になる危難です。

民法には、戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者と例示されています。

飛行機やヘリコプターの墜落事故に遭遇した場合、死亡の原因となるべき危難と言えます。

大災害にあった人は、死亡の原因となるべき危難に遭遇した者と言えるでしょう。

例えば、大地震や水害、土砂崩れ、雪崩などです。

大災害でなくても、登山中に行方不明になることがあります。

山の天候は、急変しやすく予想が難しいでしょう。

行方不明になった人の登山経験や登山技術から充分な装備を携行していないことがあります。

登山ルートや標高によっては、凍死する危険があるでしょう。

死亡の原因となるべき危難があったと認められることがあります。

特別 (危難) 失踪になる危難とは、死亡している可能性が非常に高い危難です。

②失踪宣告は利害関係人が申立て

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

人を死亡と見なす手続だから、非常に強い効果があります。

自動的に、失踪宣告がされることはありません。

失踪宣告の申立てをすることができる人は、限定されています。

失踪宣告の申立てができるのは、利害関係人だけです。

法律には利害関係人と書いてありますが、法律上の利害関係がある人と解釈されています。

相当長期間行方不明であっても、家族が行方不明の人の帰りを待っていることがあります。

失踪宣告を受けた人は、死亡と扱われます。

帰ってくると信じて待っている家族にとって、死亡扱いを強制するのは酷でしょう。

検察官は、失踪宣告の申立て人にはなれません。

失踪宣告は、利害関係人からの申立てが必要です。

③1年経過後に失踪宣告の申立て

相当長期間行方不明の場合、家族の気持ちに整理をつけるために失踪宣告の申立てをすることができます。

家族の気持ちの整理がつかないと、失踪宣告の申立てはできないでしょう。

危難が去ってから1年経過以上経過した後であれば、失踪宣告の申立てをすることができます。

1年以上経過した後さらに長期間経過してから、失踪宣告の申立てをすることができます。

④死亡と見なされる日は危難が去ったとき

特別失踪(危難失踪)は、大災害や大事故に遭ったときの失踪宣告です。

大災害や大事故に遭った場合、非常に死亡の可能性が高いものです。

特別失踪(危難失踪)では、危難が去ったときに死亡と見なされます。

危難が去った日が失踪宣告と受けた人の死亡日です。

現実的には、大災害や大事故に遭ったときは危難が去ったときと言えるでしょう。

失踪宣告の申立ては、危難が去ってから1年以上経過してから提出します。

1年経過したときに死亡と見なされるわけではありません。

1年以上経過してから申立てをするけど、死亡と見なされる日は危難が去った日です。

⑤死亡と見なされる日に相続が開始する

失踪宣告がされると、死亡した取り扱いをします。

失踪宣告がされた人に、相続が発生します。

死亡と見なされる日で相続が発生します。

家族の気持ちの整理がつかないと、失踪宣告の申立てをするまでに長期間経過していることがあります。

危難が去ってから失踪宣告を受けるまでの前後で家族が死亡することがあります。

死亡と見なされる日の前に相続人になるはずだった人が死亡した場合、代襲相続が発生します。

死亡と見なされる日の後に相続人が死亡した場合、数次相続が発生します。

相続が発生した場合、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

だれが相続人になるのかよく確認することが大切です。

3認定死亡で死亡と見なされる

①行政機関の報告に基づいて認定死亡

人が死亡した場合、通常、医師が死亡の確認をします。

海難事故や震災などで死亡は確実であっても遺体を確認できない場合があります。

遺体が見つからない場合、医師が死亡の確認をすることができません。

海難事故や震災などで死亡が確実の場合、行政機関が市町村長に対して死亡の報告をします。

死亡の報告書を添えて、市区町村役場に死亡届を提出することができます。

死亡の報告によって死亡が認定され、戸籍に記載がされます。

行政機関による死亡の報告に基づいて、戸籍上も死亡と扱う制度が認定死亡です。

事実上、死亡の推定が認められます。

認定死亡により、相続が開始します。

行政機関による報告に基づいて、死亡が認定されます。

②認定死亡がされたときは相続が開始する

認定死亡の場合、死亡が確実であっても死亡日が分からないことがほとんどです。

推定令和○年○月○日死亡

推定令和○年○月○日頃死亡

令和○年○月○日から同月○日の間死亡

年月日不詳

戸籍を確認した場合に、上記のような記載がされている場合があります。

このような記載であっても、相続が開始しますから相続手続をすることができます。

相続手続をする場合も、戸籍のとおり記載すれば支障はありません。

4生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続が発生した後、相続手続を進めたいのに行方不明の相続人や長期間行方不明で死亡の可能性の高い相続人がいて困っている人はたくさんいます。

自分たちで手続しようとして、挫折する方も少なくありません。

失踪宣告の申立てなどは、家庭裁判所に対して手続が必要になります。

通常ではあまり聞かない手続になると、専門家のサポートが必要になることが多いでしょう。

信託銀行などは、高額な手数料で相続手続を代行しています。

被相続人が生前、相続人のためを思って、高額な費用を払っておいても、信託銀行はこのような手間のかかる手続を投げ出して知識のない遺族を困らせます。

知識のない相続人が困らないように高額でも費用を払ってくれたはずなのに、これでは意味がありません。

税金の専門家なども対応できず、困っている遺族はどうしていいか分からないまま途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして相続手続を進めることができます。

自分たちでやってみて挫折した方も、信託銀行などから丸投げされた方も、相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

普通失踪は生死不明7年で死亡

2024-05-17

1普通失踪と特別失踪(危難失踪)のちがい

行方不明になってから長期間経過している場合、死亡している可能性が高いことがあります。

死亡した可能性が高い行方不明者を法律上死亡した取り扱いにする手続が失踪宣告です。

失踪宣告には、2種類あります。

普通失踪と特別失踪(危難失踪)です。

一般的に失踪宣告といった場合、普通失踪を指しています。

生死不明の期間を失踪期間と言います。

普通失踪の失踪期間は、7年です。

特別失踪(危難失踪)は、行方不明の人が大災害や大事故にあっている場合の失踪宣告です。

大災害や大事故に巻き込まれた場合、死亡の可能性が非常に高いものです。

死亡の可能性が非常に高いから、失踪期間は短い期間です。

特別失踪(危難失踪)の失踪期間は、7年です。

2普通失踪は生死不明7年満了で死亡

①失踪宣告で死亡と見なされる

行方不明の人は、法律上生きている人です。

長期間行方不明になっていても、法律上生きている人のままです。

生きている人だから、行方不明の人の財産を家族が処分することはできません。

財産を処分することができるのは、持ち主本人だけだからです。

生きている人だから、行方不明の人の配偶者は再婚することができません。

失踪宣告は、行方不明のまま相当長期間経過した人に対して死亡と扱うための手続です。

失踪宣告を受けた人は、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いがされます。

死亡と確認されていないのに、死亡と扱うから強い効果があります。

行方不明になってから長期間経過している場合、死亡している可能性が高いことがあります。

法律上死亡の扱いをすることで、家族は気持ちの整理をつけることができます。

失踪宣告は、家族が気持ちの整理をつけて前に向かって進むための制度です。

失踪宣告で死亡と見なされます。

②失踪宣告は申立てが必要

相当長期間行方不明になって死亡の可能性が高い場合、家庭裁判所は失踪宣告をします。

相当長期間行方不明になって死亡の可能性が高い場合であっても、勝手に失踪宣告がされることはありません。

相当長期間行方不明であっても、家族は帰ってくると信じて待っていることがあります。

気持ちの整理をつけていないのに、死亡と扱われるのは家族にとって酷だからです。

申立てがあってから、家庭裁判所が失踪宣告をします。

失踪宣告の申立てができるのは、法律上の利害関係人のみです。

主な申立人は、次のとおりです。

(1)配偶者

(2)推定相続人

(3)受遺者

失踪宣告は、家庭裁判所が職権ですることはできません。

失踪宣告は、市区町村長や検察官が申立てをすることはできません。

失踪宣告は、家族が気持ちの整理をつけて前に向かって進むための制度だからです。

家庭裁判所が失踪宣告をするためには、利害関係人から申立てが必要です。

③死亡日は生死不明7年満了の日

普通失踪の失踪期間は、7年です。

行方不明になってから7年以上経過している場合、家庭裁判所は失踪宣告をすることができます。

家庭裁判所が失踪宣告をするためには、申立てが必要です。

家族が気持ちに整理がつかない場合、7年を大幅に超しても申立てをする気になれないでしょう。

行方不明になってから何十年も経過してから、失踪宣告の申立てをすることがあります。

失踪宣告の申立てをした日は、死亡と見なされる日とは無関係です。

何十年も経過してから失踪宣告の申立てをした場合であっても、死亡と見なされる日は行方不明になってから7年満了した日です。

失踪宣告による死亡日は、死亡と見なされる日です。

最後に生存が確認された日から、7年満了した日に死亡と見なされます。

失踪宣告の申立てをした日より大幅に前の日に死亡と見なされることがあります。

失踪宣告で死亡と見なされるのは、生死不明7年満了の日です。

④死亡届でなく失踪届で戸籍に反映

家庭裁判所が失踪宣告をした場合、失踪宣告を受けた人は死亡と見なされます。

家庭裁判所が失踪宣告をしても、市区町村役場に通知されません。

失踪宣告の申立てをした人は、市区町村役場に届出をする必要があります。

失踪宣告を受けた人について、死亡届ではなく失踪届を提出します。

失踪届が受理されると、戸籍に記載されます。

失踪宣告が戸籍に記録されることで、死亡と見なされたことを戸籍謄本で証明することができます。

死亡届でなく失踪届で、戸籍に反映します。

⑤失踪届と行方不明者届(捜索願)のちがい

家庭裁判所で失踪宣告を受けた場合、申立てをした人は市区町村役場に失踪届を提出します。

失踪届は、家庭裁判所で失踪宣告を受けたことを戸籍に記録してもらうための届出です。

失踪届を受け付けても、市区町村役場は生死不明の人を探しません。

失踪届を提出しても、警察が捜査することはありません。

生死不明の人が事件や事故などに巻き込まれているおそれが高いので探して欲しい場合、警察に行方不明者届を提出します。

行方不明者届は、以前は捜索願と呼んでいました。

生死不明の人や他の人の生命や身体に危険を及ぼすおそれが大きい場合、警察の捜査の対象になります。

3失踪宣告で相続が開始する

①相続開始日は死亡と見なされる日

家庭裁判所で失踪宣告を受けた場合、失踪宣告を受けた人は死亡と見なされます。

たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをするから、相続が開始します。

死亡と見なされる日に、相続が発生します。

失踪宣告による死亡日は、死亡と見なされる日です。

失踪宣告の申立てをした日は、死亡と見なされる日とは無関係です。

死亡と見なされる日を基準にして、相続手続をします。

②死亡と見なされる日で相続人を確認

行方不明になってから何十年も経過してから、失踪宣告の申立てをすることがあります。

失踪宣告の申立てをしてから、裁判所が失踪宣告をするまで長期間かかります。

相続手続の基準になるのが、死亡と見なされる日です。

死亡と見なされる日に、相続が発生します。

被相続人は、死亡と見なされる日に死亡したと扱われます。

死亡と見なされる日を基準にして、相続人を確認します。

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、代襲相続が発生します。

相続が発生したときに元気だった相続人が被相続人より後に死亡した場合、代襲相続が発生しません。

相続が発生したときに元気だった相続人が後に死亡した場合、数次相続が発生します。

数次相続は、相続人の地位が相続されます。

失踪宣告の前後で家族が死亡した場合、相続人の確認が重要になります。

代襲相続も数次相続も、相続が複雑になります。

だれが相続人でだれが相続人でないか、日付をよく確認しましょう。

相続人を間違えると、相続手続がすべてやり直しになります。

相続開始日は、死亡と見なされる日です。

③失踪宣告後に相続放棄ができる

莫大な借金をしたまま、音信不通になる人がいます。

いつか自分に借金が降りかかってくるのではないかと不安になることでしょう。

被相続人の生前に、相続放棄をすることはできません。

行方不明の人は、生きていると判断されます。

相続放棄ができるのは、相続人だけだからです。

行方不明なだけで生きているのだから、相続放棄を受け付けてもらえません。

失踪宣告は、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告がされた場合、相続が発生します。

相続放棄の申立てをする場合、被相続人の戸籍謄本を提出します。

被相続人の戸籍に失踪宣告の記載がされている必要があります。

相続放棄の申立ての期限は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内です。

「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。

失踪宣告後に、相続放棄ができます。

4生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続が発生した後、相続手続を進めたいのに行方不明の相続人や長期間行方不明で死亡の可能性の高い相続人がいて困っている人はたくさんいます。

自分たちで手続しようとして、挫折する方も少なくありません。

失踪宣告の申立などは、家庭裁判所に手続が必要になります。

通常ではあまり聞かない手続になると、専門家のサポートが必要になることが多いでしょう。

信託銀行などは、高額な手数料で相続手続を代行しています。

被相続人が生前、相続人のためを思って、高額な費用を払っておいても、信託銀行はこのような手間のかかる手続を投げ出して知識のない遺族を困らせます。

知識のない相続人が困らないように高額でも費用を払ってくれたはずなのに、これでは意味がありません。

税金の専門家なども対応できず、困っている遺族はどうしていいか分からないまま途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして相続手続を進めることができます。

自分たちでやってみて挫折した方も、信託銀行などから丸投げされた方も、相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

養子に行っても実親を相続

2024-05-13

1養子には2種類ある

①単に「養子」と言ったら普通養子

養子には2種類あります。

特別養子と普通養子です。

養子縁組とは、血縁関係による親子関係の他に、法律上の親子関係を作る制度です。

子どものいない夫婦が養子縁組をする、配偶者の連れ子と養子縁組するといったことは日常的に聞くことあります。

一般的に、単に「養子」と言ったら、普通養子を指していることがほとんどです。

普通養子では、養子縁組をする当事者が合意が重視されます。

当事者が合意をして、役所に届出をするだけで手続ができます。

特別養子は、子どもの福祉が重視されます。

子どもの福祉のために家庭裁判所が慎重に判断して決定します。

②特別養子になると実親との親子関係はなくなる

特別養子では、養子縁組をした後、血縁関係のある実親との親子関係がなくなります。

親子の縁を切る重大な決定なので、厳格な要件が満たされたときだけ特別養子が認められます。

実の父母による著しい虐待がある場合やその他特別の事情がある場合で、かつ、子の利益のため特に必要があるときです。

特別養子になると、実親との親子関係がなくなります。

特別養子は、養親を相続しますが、実親は相続しません。

特別養子になると実親との親子関係がなくなりますから、父から認知を受けないまま特別養子になった場合、実の父はもはや認知をすることができなくなります。

配偶者の嫡出子である実子と特別養子縁組をする場合、特別養子は実親である養親の配偶者との親子関係が存続します。

実親である養親の配偶者が死亡した場合、特別養子は相続人になります。

実親である養親の配偶者が死亡した後、実親である養親の配偶者の親が死亡した場合、代襲相続人になります。

③普通養子になっても実親との親子関係は続く

普通養子では、養子縁組をした後、血縁関係のある実親との親子関係は続きます。

子どもが第三者の養子になる養子縁組をした後も、実親の子どもです。

養子から見ると、養子縁組をした養親も実親も親です。

2養子に行っても実親を相続

①養子が実親を相続

相続が発生した場合、被相続人の家族が相続人になります。

被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。

被相続人の実子は、被相続人の子どもだから相続人になります。

被相続人の子どもが第三者の養子になる養子縁組をすることがあります。

普通養子による養子縁組である場合、子どもと実親の親子関係は続きます。

被相続人の子どもが第三者の養子になる養子縁組をした場合、普通養子であれば被相続人の子どものままです。

被相続人の子どもだから、養子に行っても相続人になります。

②養子は養親を相続

養子縁組は、法律上の親子関係を作る制度です。

被相続人が第三者と養親になる養子縁組をすることがあります。

養子縁組をしたことで、養子は養親の子どもになります。

養子が実親の子どもであっても実親の子どもでなくなっても、養親の子どもになります。

養親が被相続人に場合、養子は被相続人の子どもです。

被相続人の子どもは、相続人になります。

③複数の養親と養子縁組

養子縁組は、法律上の親子関係を作る制度です。

養子縁組の回数に制限はありません。

養親に複数の養子がいることがあります。

養子に複数の養親がいることがあります。

養子が他の第三者の養子になる養子縁組をすることができます。

被相続人の子どもが第三者の養子になる養子縁組をした場合、実親との親子関係は続きます。

養子が他の第三者の養子になる養子縁組ををした場合、最初の養親との親子関係は続きます。

他の第三者の養子になる養子縁組ををしたことを理由として、自動的に親子関係がなくなることはありません。

最初の養親との親子関係を終了したいのであれば、離縁をする必要があります。

離縁をしない場合、最初の養親と次の養親の間で親子関係があります。

実親にとっても最初の養親にとっても次の養親にとっても、子どもです。

被相続人の子どもだから、相続人になります。

④死後離縁をしても養親を相続

養子縁組を解消することを離縁と言います。

養親と養子の両当事者が生きている場合、当事者の話し合いで離縁をすることができます。

両当事者の一方が死亡した場合、親子関係は終了しません。

養親が死亡しても、養親の親族と養子の親族関係は続きます。

両当事者の一方が死亡した場合、当事者の話し合いで離縁をすることができません。

両当事者の一方が死亡した後は、家庭裁判所の許可を得て離縁をすることができます。

養子縁組の当事者の一方が死亡した後、家庭裁判所の許可を得て離縁することを死後離縁と言います。

養子が死後離縁をした場合、養親を相続します。

養親が死亡したとき、養子は養親の子どもだったからです。

死後離縁は、養子縁組の当事者の一方が死亡した後の手続です。

養親が死亡した後に相続を受けてからの話です。

養子が死後離縁をしても、養親の相続人になります。

⑤特別養子は実親を相続しない

特別養子では、養子縁組をした後、血縁関係のある実親との親子関係がなくなります。

親子の縁を切る重大な決定なので、厳格な要件が満たされたときだけ特別養子が認められます。

養子縁組が特別養子による養子縁組だった場合、実親の子どもでなくなります。

特別養子は、実親の相続人になりません。

3養子に行っても実方の兄弟姉妹を相続

①父母の両方が同じ兄弟姉妹を相続

相続が発生した場合、被相続人の家族が相続人になります。

被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。

父母が同じ兄弟姉妹が死亡した場合、当然、相続人になります。

②父母の一方が同じ兄弟姉妹を相続

兄弟姉妹というと父母が同じ兄弟姉妹だけをイメージしがちです。

父母に再婚歴がある場合、異父兄弟や異母兄弟がいることがあります。

異父兄弟や異母兄弟は、疎遠であることが多いかもしれません。

疎遠であっても会ったことがなくても、兄弟姉妹です。

父母の一方が同じ兄弟姉妹が死亡した場合、相続人になります。

③父が認知した子どもを相続

認知とは、婚姻関係にない男女間に生まれた子どもを自分の子どもと認めることです。

母と子どもは、分娩の事実によって親子関係を確認できるから認知は不要です。

父が認知した子どもに対して、兄弟姉妹という気持ちを持ちにくいことがあるかもしれません。

父が認知した子どもは、兄弟姉妹です。

父が認知した子どもが死亡した場合、相続人になります。

④父母の養子を相続

父母が第三者と養親になる養子縁組をしていることがあります。

養子縁組をしたことで、養子は養親の子どもになります。

父母の養子は、兄弟姉妹です。

父母の養子が死亡した場合、相続人になります。

⑤父母の一方の養子を相続

父母の一方だけが養親になる養子縁組をすることがあります。

父母の一方だけが養親になる養子縁組をした場合、父母の一方の子どもです。

異父兄弟や異母兄弟と同様に、養子縁組においても兄弟姉妹になります。

父母の一方だけが養親になる養子縁組をした養子が死亡した場合、相続人になります。

4遺産分割協議は相続人全員で

被相続人と連絡を取り合っていても、他の相続人とは絶縁状態になっているケースがあります。

被相続人が遺言書を残していなければ、相続財産の分け方は、相続人全員の合意が不可欠です。

絶縁状態の他の相続人に関わりたくなければ、相続放棄をすることも一案です。

相続放棄をすると、はじめから相続人ではなかったとされるからです。

相続人でなくなれば、相続財産の分け方について、相続人全員の話し合いにも参加する必要がなくなります。

相続人が相続を希望する場合、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めなければなりません。

関係性の薄い相続人がいる場合、話し合いは難航しがちです。

だれか一人でも合意しない相続人がいると、相続財産を分けることはできません。

相続財産の分け方は、多数決で決めることはできないのです。

5遺言書作成がおすすめ

相続が発生した場合、だれが相続人になるかは法律で決まっています。

相続人を調査すると、思いがけない相続人が見つかることがあります。

思いがけない相続人は、相続人同士の気心が知れていることはありません。

遺産分割協議の成立には、相続人全員の合意が不可欠です。

受け継いでもらう立場であれば、相続人らの関係に気づいているでしょう。

疎遠な相続人がいると話し合いはまとまりにくいものです。

遺言書を書いてあげて、相続手続をスムーズにしてあげるのがいいでしょう。

6遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書を書くというと真っ先に思い浮かぶのが、財産に関することでしょう。

「揉めるほど財産はないから」などと言って、遺言書を書き渋る人は多くいます。

実際は家族でトラブルになって、家庭裁判所の助力が必要になるケースは年々増えています。

その3分の1は資産総額1000万円以下です。

疎遠な相続人がいると話し合いはまとまりにくくなります。

遺言書があれば、家族のトラブルは確実に減ります。

遺言書があれば、相続手続は格段にラクになります。

高齢になると判断能力が心配になる方が多くなります。

判断能力が心配になった時点では、遺言書は作れません。

家族をトラブルから守りたい方は早めに司法書士などの専門家に遺言書作成を依頼することをおすすめします。

相続人が生死不明なら失踪宣告

2024-05-09

1遺産分割協議は相続人全員で

相続が発生した後、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

相続財産を分けるためには、相続人全員の合意が必要になります。

相続人調査をすると、ときには思いもよらない相続人が判明することがあります。

相続人であることを知っていても、連絡を取ったことがない人が現れることがあります。

相当長期間、行方不明で親族のだれとも連絡を取れていない場合など、死亡の可能性が高い場合があります。

このような場合であっても、相続財産の分け方は、相続人全員での合意しなければなりません。

連絡が取れないからと言って、一部の相続人を含めないで遺産分割協議をしても無効です。

銀行などの金融機関は口座の解約や名義変更に応じてくれないし、法務局も不動産の名義変更に応じてくれません。

被相続人と音信不通だったからとか、お葬式にも来ていないのにという気持ちは分かりますが、相続財産の分け方は相続人全員で合意する必要があるのです。

2失踪宣告とは

①失踪宣告がされると行方不明の人は死亡と見なされる

相当長期間、行方不明になっている場合、死亡している可能性が高い場合があります。

条件を満たした場合、死亡の取り扱いをすることができます。

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告がされたら、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。

死亡した取り扱いをしますから、失踪宣告がされた人に相続が発生します。

失踪宣告には、普通失踪と特別失踪の2種類があります。

②普通失踪とは

普通失踪とは、行方不明の人について7年間生死不明の場合、申立てができるものです。

普通失踪の申立てをした場合、失踪宣告がされるまでおよそ3か月以上かかります。

家庭裁判所の状況や事件の内容によっては、1年ほどかかる場合もあります。

生死不明になってから7年間経過したときに、死亡したものと見なされます。

③特別失踪(危難失踪)

特別失踪とは、「戦地に行った者」「沈没した船舶に乗っていた者」「その他死亡の原因となる災難に遭遇した者」について、危難が去ってから1年間生死不明の場合、申立てができるものです。

特別失踪の申立てをした場合、失踪宣告がされるまでおよそ1か月以上かかります。

危難が去ったときに、死亡したものと見なされます。

④失踪宣告後生きていることが分かったら失踪宣告の取消

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告がされたら、たとえ生きていても死亡した取り扱いがされます。

行方不明の人に失踪宣告がされた後、本人が帰ってくることがあります。

失踪宣告がされた後、生きていることが分かった場合、失踪宣告を取り消してもらいます。

失踪宣告した日と違う日に死亡していたことが判明する場合があります。

失踪宣告がされた後、失踪宣告した日と違う日に死亡していたことが分かった場合、失踪宣告を取り消してもらいます。

失踪宣告をするときも失踪宣告を取り消すときも、家庭裁判所の関与が必要です。

失踪宣告は、死亡したと扱う重大な手続だからです。

3失踪宣告の申立ての手続方法

①失踪宣告の申立てができる人

(1)行方不明の人の配偶者

(2)相続人にあたる人

(3)債権者などの利害関係人

不在者財産管理人選任の申立ては、検察官が申立てをすることができます。

失踪宣告の申立ては、検察官は申立てすることができません。

失踪宣告は、死亡した取り扱いをするという強力な効果があります。

行方不明の人の帰りを待つ家族の心情に配慮したためです。

②失踪宣告の申立先

失踪宣告の申立先は、行方不明の人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

家庭裁判所の管轄は裁判所のホームページで調べることができます。

③失踪宣告の申立ての添付書類

失踪宣告の申立書に添付する書類は以下のとおりです。

(1)行方不明の人の戸籍謄本

(2)行方不明の人の戸籍の附票

(3)行方不明であることが分かる資料

(4)利害関係の分かる資料

4失踪宣告の手続の流れ

①家庭裁判所が失踪の調査をする

家庭裁判所は、申立書を受け付けた後、独自で調査をします。

申立人にいろいろな書類の提出を求めたり、文書で照会したりします。

ときには、家庭裁判所から呼出がある場合もあります。

②公示催告をする

家庭裁判所は、官報と裁判所の掲示板にお知らせを出します。

お知らせは、以下の内容です。

・失踪宣告の申立てが出されています。

・本人は生きていますと届出を出してください。

・本人の生死を知っている人はその旨届出をしてください。

官報と裁判所の掲示板に出すお知らせの期間は、普通失踪の場合で3か月以上です。

特別失踪の場合で1か月以上です。

③審判

官報と裁判所の掲示板に出すお知らせの期間中に、だれからも届出がなければ家庭裁判所は失踪宣告の審判をします。

④審判の確定

家庭裁判所が審判をした後に、不服を言う人がいなければ失踪宣告の審判は確定します。

家庭裁判所が審判をした後に不服を言うことができる期間は、2週間です。

失踪宣告の審判がされた後、なにごともなく2週間経過すると失踪宣告の審判は確定します。

失踪宣告が確定した場合、家庭裁判所はあらためて官報にお知らせを出します。

このお知らせは「失踪宣告がされました」という意味です。

⑤審判の確定証明書の取得

失踪宣告の審判がされたら、家庭裁判所から審判書謄本が送付されます。

審判書が届いても、審判が確定するわけではありません。

失踪宣告の審判がされた後、2週間は不服を言う人が現れるかもしれないからです。

なにごともなく2週間経過すると失踪宣告の審判は確定します。

確定しても何も連絡はありません。

2週間経過後に家庭裁判所に申請をして、確定証明書を取得します。

確定証明書の請求は、家庭裁判所に出向いて手続をすることもできるし、郵送で手続をすることもできます。

⑥失踪届を提出する

失踪宣告の審判が確定した後でも、家庭裁判所から市区町村役場に連絡がされることはありません。

審判が確定した後、審判書謄本と確定証明書を添えて10日以内に市区町村役場に届出が必要です。

⑦戸籍に失踪宣告が記載される

市区町村役場に届出をして、はじめて戸籍に記載がされます。

相続手続では、失踪宣告の記載のある戸籍が必要になりますから、届出をしないと相続手続が進まなくなります。

戸籍には次のように記載されます。

【死亡とみなされる日】令和〇年〇月〇日

【失踪宣告の裁判確定日】令和〇年〇月〇日

【届出日】令和〇年〇月〇日

【届出人】親族 ○○○○

5失踪宣告されたら相続が開始する

失踪宣告されたら、行方不明の人は死亡した取り扱いをします。

失踪宣告された人は、死亡した取り扱いなので相続が開始します。

失踪宣告された人を被相続人として相続手続をします。

相続が発生する日は、死亡とみなされる日です。

失踪宣告の申立てをした日ではありません。

だれが相続人になるのかよく確認して手続を進めましょう。

6行方不明の相続人に失踪宣告がされたら

①被相続人の死亡日より前に死亡と見なされたら代襲相続

失踪宣告により死亡と見なされる日は、失踪宣告の申立日ではありません。

普通失踪であれば、生死不明になってから7年間経過したときです。

特別失踪であれば、危難が去ったときです。

相当長期間、行方不明になっていた後に失踪宣告がされる場合があります。

行方不明の相続人に失踪宣告がされた場合、被相続人の死亡日より前に死亡と見なされることがあります。

失踪宣告により死亡と見なされる日は、失踪宣告の申立日ではないからです。

被相続人の死亡日より前に死亡と見なされる場合、代襲相続が発生します。

相続手続に参加するのは、失踪宣告がされた人の子どもなど代襲相続人です。

②被相続人の死亡日より後に死亡と見なされたら数次相続

行方不明の相続人に失踪宣告がされた場合、被相続人の死亡日より後に死亡と見なされることがあります。

被相続人の死亡日より後に死亡と見なされる場合、代襲相続が発生しません。

被相続人の死亡日より後に死亡と見なされる場合、数次相続になります。

数次相続が発生した場合、失踪宣告された人の相続人が相続します。

代襲相続ではないから、直系卑属に限られません。

死亡と見なされる日が被相続人の死亡日の前になるのか後になるのかよく確認しましょう。

失踪宣告がされた人の相続人を確定するために、死亡とみなされた日は重要です。

相続手続に参加する人を間違えると手続が無効になりかねません。

7遺言書があれば遺産分割協議は不要

相続が発生したら、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

何も対策していなかったら、相続人全員で相続財産の分け方についての合意が不可欠です。

相続人の中に、疎遠な人や行方不明の人がいる場合、残されたれた相続人は大変な負担を負うことになります。

遺産分割協議はそうでなくても、トラブルになりやすい手続です。

対策しておけば、遺産分割協議を不要にすることができます。

この対策は、遺言書を書いておくことです。

遺言書があれば、相続財産の分け方について、相続人全員の合意は不要になります。

相続人に行方不明の人がいても、いなくても、遺言書のとおり分ければいいからです。

遺言書は隠匿や改ざんのおそれのない公正証書遺言がおすすめです。

8生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続人が行方不明であることは、割とよくあることです。

行方不明の相続人がいると、相続手続を進めることができません。

相続が発生した後、困っている人はたくさんいます。

自分たちで手続しようとして、挫折する方も少なくありません。

失踪宣告の申立ては、家庭裁判所に手続が必要になります。

通常ではあまり聞かない手続になると、専門家のサポートが必要になることが多いでしょう。

信託銀行などは、高額な手数料で相続手続を代行しています。

被相続人が生前、相続人のためを思って、高額な費用を払っておいても、信託銀行はこのような手間のかかる手続を投げ出して知識のない遺族を困らせます。

知識のない相続人が困らないように高額でも費用を払ってくれたはずなのに、これでは意味がありません。

税金の専門家なども対応できないでしょう。

困っている遺族はどうしていいか分からないまま、途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。

自分たちでやってみて挫折した方も、信託銀行などから丸投げされた方も、相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続で兄弟姉妹の戸籍謄本を取得する方法

2024-05-08

1兄弟姉妹相続は戸籍謄本収集がタイヘン

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②相続人は戸籍謄本で証明する

相続手続の最初の難関が相続人の確定です。

相続が発生した場合、だれが相続人になるのか家族にとっては当然分かっていることでしょう。

家族にとっては当たり前のことでも、第三者には分かりません。

相続の手続先には、客観的に証明する必要があります。

相続人を客観的に証明するとは、戸籍謄本で証明するということです。

戸籍には、その人の身分事項がすべて記載されています。

身分事項とは、その人の出生、結婚、離婚、養子縁組、離縁、認知、死亡、失踪など身分関係の項目です。

過去の身分関係の事項を家族に秘密にしているかもしれません。

戸籍謄本を確認すると、すべて明るみに出ます。

戸籍には、身分事項がすべて記載されているからです。

戸籍謄本をすべて揃えることで、相続人を客観的に証明することができます。

③兄弟姉妹相続で必要になる戸籍謄本

被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。

兄弟姉妹相続で必要になる戸籍謄本は、次のとおりです。

(1)被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

(2)被相続人の父の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

(3)被相続人の母の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

(4)兄弟姉妹全員の現在戸籍

被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本で、被相続人に子どもがいないことを証明することができます。

兄弟姉妹が相続人になると聞くと、父母が同じ兄弟姉妹だけを想像しがちです。

相続人になる兄弟姉妹は、異父兄弟と異母兄弟を含みます。

異父兄弟と異母兄弟の存在を確認するため、父と母の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要になります。

ときには異父兄弟と異母兄弟と面識がないかもしれません。

見知らぬ相続人が見つかっても、相続手続から除外することはできません。

兄弟姉妹相続では、たくさんの戸籍謄本が必要になります。

兄弟姉妹相続は、戸籍謄本の収集がタイヘンです。

2戸籍謄本は本人のみが取得できる

①同一戸籍の人は無条件で取得できる

戸籍は、その人の身分事項が記録されています。

身分関係の項目は、その人のプライベートな項目です。

自分のプライベートな情報は、みだりに他人に知られたくないでしょう。

戸籍謄本は、第三者が興味本位で取得することはできません。

戸籍に記載されている人は、自分の戸籍謄本を請求することができます。

本人が自分の戸籍謄本を取得する場合、本人確認のうえ交付されます。

自分の戸籍謄本だから、委任状が要らないのは当然です。

結婚や離婚、養子縁組や離縁などで、その戸籍から別の戸籍に移ることがあります。

別の戸籍に移った後でも、自分の戸籍です。

除籍された後でも、自分の戸籍を取得することができます。

同一戸籍の人は、無条件で取得することができます。

②直系血族と配偶者は委任状なしで取得できる

戸籍に記載されている人の配偶者は、委任状なしで戸籍謄本を請求することができます。

本人から、委任状を出してもらう必要はありません。

戸籍に記載されている人の直系尊属と直系卑属は、委任状なしで戸籍謄本を請求することができます。

本人から、委任状を出してもらう必要はありません。

直系とは、親子関係によってつながっている関係のことです。

本人から見て、父母や祖父母は親子関係によってつながっています。

本人から見て、子どもや孫は親子関係によってつながっています。

父母、祖父母、子ども、孫などは、直系です。

尊属とは、前の世代の血族です。

本人から見て、父母や祖父母は前の世代の血族です。

本人から見て、父母や祖父母は直系尊属です。

父母や祖父母は、委任状なしで戸籍謄本を請求することができます。

卑属とは、後の世代の血族です。

本人から見て、子どもや孫は後の世代の血族です。

本人から見て、子どもや孫は直系卑属です。

子どもや孫は、委任状なしで戸籍謄本を請求することができます。

3兄弟姉妹の戸籍謄本を取得する方法

①親の戸籍にいる兄弟姉妹の戸籍謄本は取得できる

兄弟姉妹が親の戸籍にいることがあります。

直系血族は、戸籍謄本を取得することができます。

親の戸籍を取得すると、兄弟姉妹が記載されています。

直系血族は、無条件で取得することができます。

②兄弟姉妹に委任状を出してもらって取得できる

婚姻をすると、新たな戸籍が編製されます。

兄弟姉妹が婚姻している場合、親の戸籍から除籍されています。

新しく編成された戸籍の謄本は、無条件で取得することはできません。

兄弟姉妹は、直系尊属ではありません。

兄弟姉妹は、直系卑属ではありません。

戸籍謄本は、本人のみが取得できます。

兄弟姉妹に委任状を出してもらった場合、戸籍謄本を取得することができます。

③権利行使や義務の履行に必要なとき取得できる

権利行使や義務の履行に必要な場合、委任状なしで戸籍謄本を請求することができます。

権利行使や義務の履行に必要な場合、戸籍謄本を取得するための正当な理由があると言えます。

権利行使や義務の履行に必要な場合であると認められるためには、客観的な具体的な理由が必要です。

客観的な具体的な理由の裏付けとなる書類を準備する必要があります。

会社などの法人が権利行使や義務の履行のため、戸籍謄本が必要になることがあります。

権利行使や義務の履行に必要な場合と認められれば、会社などの法人が請求することができます。

権利行使や義務の履行に必要な場合であることが認められた場合、委任状なしで戸籍謄本を請求することができます。

④国等に提出する必要があるとき取得できる

国や地方公共団体に提出する必要がある場合、委任状なしで戸籍謄本を請求することができます。

国や地方公共団体に提出する必要がある場合、戸籍を取得するための正当な理由があると言えます。

相続登記をする場合、法務局にたくさんの戸籍謄本を提出します。

相続登記は、国や地方公共団体に提出する必要がある場合です。

国に提出する必要がある場合だから、委任状なしで戸籍謄本を請求することができます。

国や地方公共団体に提出する必要があると認められるためには、客観的な具体的な書類が必要です。

国等に提出する必要があると認められた場合、委任状なしで戸籍謄本を請求することができます。

⑤兄弟姉妹の戸籍謄本を発行してもらうためには

兄弟姉妹は、直系血族ではありません。

兄弟姉妹の戸籍謄本を請求する場合、担当者から発行できませんと言われてしまうことがあります。

兄弟姉妹の戸籍謄本は、無条件で発行してもらうことはできません。

正当な理由があれば、発行してもらうことができます。

正当な理由があることを担当者に分かってもらうことが重要です。

権利行使や義務の履行に必要なとき取得できることは、戸籍法第10条の2第1項第1号にはっきり書いてあります。

国等に提出する必要があるとき取得できることは、戸籍法第10条の2第1項第2号にはっきり書いてあります。

担当者に法律の条文を示して説得する必要があるかもしれません。

そのうえで権利行使や義務の履行に必要であることや国等に提出する必要があることを分かってもらう必要があります。

分かってもらうために必要な書類は、事案によって異なります。

適切な書類を準備して、市区町村役場の担当者に分かってもらうことが重要です。

発行できませんと言われてしまうのは、担当者に分かってもらえていないことが原因です。

兄弟姉妹の戸籍謄本を発行してもらうためには、準備が重要です。

4兄弟姉妹の戸籍謄本は広域交付で取得できない

①近隣の市区町村役場で戸籍謄本を取得できる

相続が発生したら、相続手続先に相続人を証明しなければなりません。

本籍地の市区町村役場に戸籍謄本を請求するのは、大きな手間と時間がかかります。

令和6年3月1日から戸籍謄本の広域交付が始まりました。

広域交付制度を利用すれば、本籍地以外の市区町村役場で戸籍謄本を請求することができます。

広域交付制度を利用して、近隣の市区町村役場で戸籍謄本を取得することができます。

②広域交付は第三者請求ができない

権利行使や義務の履行に必要なとき、兄弟姉妹の戸籍謄本を取得することができます。

国等に提出する必要があるとき、兄弟姉妹の戸籍謄本を取得することができます。

本人や直系血族、配偶者以外の人が請求することを第三者請求と言います。

第三者請求ができるのは、権利行使や義務の履行に必要なときや国等に提出する必要があるときです。

戸籍にはその人のプライベートな事柄が記載されています。

特別な理由について、厳格な審査が必要です。

特別な理由が明らかにできない場合、戸籍謄本を発行してもらうことはできません。

第三者が戸籍謄本を請求する場合、広域交付を利用することはできません。

5住民票の広域交付は使えない

①近隣の市区町村役場で住民票を取得できる

住民票は、住民票を置く市区町村役場で取得するのが原則です。

住民基本台帳ネットワークシステムを利用することで、近隣の市区町村役場で住民票を取得することができます。

例えば、名古屋市に住民票を置く人が名古屋市以外の市区町村役場で住民票を取得することができます。

名古屋市以外に住民票を置く人が名古屋市の各区役所で住民票を取得することができます。

②広域交付の住民票は本籍が記載されない

相続登記をする場合、被相続人や相続人の住民票が必要になります。

相続登記で必要になる住民票は、本籍の記載が必要です。

戸籍謄本に記載されている人と同一人物であることを確認するためです。

広域交付で発行される住民票には、本籍が記載されません。

広域交付の住民票は本籍が記載されないから、相続登記で使うことができません。

③住民票の除票は広域交付で取得できない

相続登記をする場合、被相続人の住民票の除票が必要になります。

広域交付では、住民票の除票は発行されません。

被相続人の住民票の除票は、住民票を置いていた市区町村役場に請求する必要があります。

④戸籍の広域交付で附票は取得できない

相続登記をする場合、被相続人や相続人の住民票が必要になります。

住民票に代えて、戸籍の附票を提出しても差し支えありません。

戸籍謄本は、条件を満たせば近隣の市区町村役場で取得することができます。

戸籍謄本の附票は、戸籍の広域交付の対象外です。

戸籍の附票は、本籍地の市区町村役場に請求する必要があります。

6相続人確定を司法書士に依頼するメリット

本籍地の変更や国による戸籍の作り直し(改製)で多くの方は、何通もの戸籍を渡り歩いています。

相続手続のために、たくさんの戸籍謄本を集めなければなりません。

古い戸籍は現在と形式が違っています。

慣れないと、読みにくいものです。

現代とちがって、古い戸籍は手書きで書いてあります。

手書きの達筆な崩し字で書いてあると、分かりにくいものです。

戸籍集めは、相続以上にタイヘンです。

本籍地を何度も変更している人は、たくさんの戸籍を渡り歩いています。

結婚、離婚、養子縁組、離縁を何度もしている人は、戸籍が何度も作り直されています。

戸籍をたくさん渡り歩いているので、戸籍集めは膨大な手間と時間がかかります。

段取りよく要領よく手続するには、ちょっとしたコツがいります。

お仕事や家事でお忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続をおまかせできます。

相続人調査でお困りのことがあれば、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

廃除と欠格で相続人になれない

2024-05-05

1相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

①配偶者は必ず相続人になる

②被相続人に子どもがいる場合、子ども

③被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

④被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することがあります。

これを代襲相続と言います。

2相続人廃除で相続人になれない

例えば、被相続人に虐待をした人に、相続をさせたくないと考えるのは自然なことでしょう。

被相続人が相続させたくないと思って、他の相続人にすべての財産を相続させると遺言書を書いたとしても、遺留分を奪うことはできません。

遺留分侵害額請求をしたら、相続財産のいくらかは虐待した相続人が受け継いでしまいます。

被相続人の意思で、相続人の資格を奪うのが、相続人廃除です。

相続人の資格を奪うというのは、実質的には、遺留分を奪うことです。

遺留分のない兄弟姉妹は、廃除する必要がありません。

相続財産を受け継がせたくないのなら、他の相続人に相続させる旨の遺言書を書けばいいからです。

相続人廃除の申立ては被相続人が生前に申し立てることもできるし、遺言書で行うこともできます。

遺言書で廃除をする場合、「遺言者の長男○○を廃除する。理由は○○である。」とはっきり書きます。

「遺言者の長男○○には一切相続させない。」は不適切です。

廃除するの意思なのか、廃除はしないが財産を受け継がせないの意思なのか不明確だからです。

廃除はしないが財産を受け継がせない場合、遺留分があります。

廃除する場合、遺留分侵害額請求ができなくなります。

「遺言者の長男○○には一切相続させない。」の場合、遺留分侵害額請求ができるかできないかをめぐって相続人間でトラブルになるおそれがあります。

遺言書に「遺言者の長男○○を廃除する。理由は○○である。」の記載の他に遺言執行者を指名しましょう。

遺言による廃除の申立ては、遺言執行者がする必要があるからです。

遺言書で遺言執行者を選任しておかない場合、相続発生後、家庭裁判所に遺言執行者を選んでもらう必要があります。

家庭裁判所は、被相続人の家族の事情を知らない専門家を遺言執行者に選ぶでしょう。

相続人廃除は家庭裁判所に申立てをして、家庭裁判所が判断します。

被相続人が相続人廃除したいと言い、相続人が廃除されていいと納得していても、家庭裁判所が相続人廃除を認めないことがあります。

家庭裁判所に廃除を認めてもらうためには、廃除の根拠になる客観的証拠が不可欠です。

家族の事情を知らない専門家は、客観的証拠を集められないでしょう。

遺言書で廃除する場合、被相続人は死亡しています。

家庭裁判所で証言することはできません。

廃除の客観的証拠を準備しておく必要があります。

相続人廃除になると、遺留分も奪われます。

相続人が相続人廃除になる場合、代襲相続ができます。

相続人廃除の相続人に相続させることはできませんが、遺贈はできると考えられています。

被相続人の意思で、相続人の資格を奪うものだから、被相続人の意思で許してあげることもできるからです。

被相続人の意思で許してあげることもできるから、相続人廃除は取消の申立てもできます。

相続人廃除の申立先は被相続人の住所地の家庭裁判所です。

廃除が認められた場合、廃除の審判書と確定証明書を添えて市区町村役場へ廃除届を提出します。

家庭裁判所から役所へ連絡はされません。

相続人廃除が認められるのは、次の場合です。

①相続人が重大な侮辱をした

②暴力を振るうなどの虐待をした

③重大な非行があった

単なる親子げんかで家に寄り付かなかったとか、親の言いなりにならなかったなどの軽い理由では認められません。

暴力をふるうなども一時の激情から出たものであるとして認められない事例もあります。

相続人廃除は、非常にハードルが高い手続です。

3相続欠格で相続人になれない

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

同時に、民法では相続人になれない人も決められています。

例えば、被相続人を殺した人が相続することは、社会感情からみても許せない、相続する人としてふさわしくないということは納得できるでしょう。

このような相続人として許せない、ふさわしくない場合、相続人の資格が奪われることになります。

相続人としてふさわしくない人の相続資格を奪う制度を相続欠格と言います。

相続欠格は、被相続人の意思とは無関係に相続人の資格を奪う制度です。

裁判所で手続きがあるわけでなく、当然に相続資格を失います。

相続欠格になると、遺留分も奪われます。

相続人が相続欠格になる場合、代襲相続ができます。

相続欠格の相続人に相続させることはできませんし、遺贈もできないと考えられています。

相続欠格者に対して、生前贈与はできますし、生命保険金を受け取らせることはできます。

次の人が欠格になります

①故意に被相続人、同順位以上の相続人を死亡させた人、死亡させようとした人

故意がポイントです。

殺人や殺人未遂の場合、刑事事件で有罪判決を受けると欠格になります。

実刑判決だけでなく、執行猶予判決でも、欠格になります。

事故などの過失で死亡させてしまった場合は、欠格になりません。

正当防衛などで、止むを得ず、死亡させてしまった場合も、欠格になりません。

同順位以上の相続人を死亡させた場合、欠格になります。

例えば、父を死亡させた相続人は父の相続で欠格になりますが、母の相続でも欠格になります。

母の相続において、父は同順位以上の相続人になるからです。

②被相続人が殺害されたのを知って、告訴や告発をしなかった人

被相続人が殺害されたことを知っていて、犯人をかばおうとする人です。

物事のメリットデメリットを充分判断できない子どもは欠格になりません。

殺人犯が配偶者や直系血族の場合は、欠格になりません。

傍系は欠格になりますから、兄弟姉妹が殺人犯の場合は、告訴告発をしなければなりません。

③詐欺・脅迫で遺言の取消・変更をさせたり、妨害した人

遺言は遺言者の意思を示すものです。

詐欺や脅迫で意思をねじ曲げさせようとすることは、許されることではありません。

④遺言書を偽造・変造・廃棄・隠匿した人

遺言書を見つけて、自分が不利になるから偽造したり、変造したり、捨てたり、隠したりすると、欠格になります。

不当な目的がある場合だけ欠格になりますから、遺言書の内容を実現してあげたいと考えて変造した場合は、欠格になりません。

相続欠格は戸籍謄本に記載されません。

金融機関などの相続手続では、欠格者である旨の証明をしない場合、相続人と扱ってしまいます。

欠格者であることの証明としては、相続欠格者が自分で作成した相続欠格者であることを認める証明書に印鑑証明書を添付したものがあります。

実際には、欠格の相続人が自分が相続欠格であることは認めないでしょう。

相続人が欠格であることを争う場合、相続権不存在確認の訴えをすることになります。

例えば、相続人ABCDの4人である場合で、相続人Dが欠格であることの確認を求める場合、原告は自分以外の相続人全員を被告にします。

原告が相続人Aである場合、相続人BCDを被告として、相続人Dが欠格であることの確認を求める訴えを起こします。

相続資格の有り無しは合一確定の必要があるからです。

4相続人調査を司法書士に依頼するメリット

本籍地の変更や国による戸籍の作り直し(改製)で多くの方は、何通もの戸籍を渡り歩いています。

古い戸籍は現在と形式が違っていて読みにくかったり、手書きの達筆な崩し字で書いてあって分かりにくかったりしますから、慣れないと戸籍集めはタイヘンです。

本籍地を何度も変更している方や結婚、離婚、養子縁組、離縁を何度もしている方は、戸籍をたくさん渡り歩いているので、膨大な手間と時間がかかることが多くなります。

お仕事や家事でお忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続を丸投げできます。

ご家族にお世話が必要な方がいて、お側を離れられない方からのご相談もお受けしております。

集めてみたけど途中で挫折した方や全部集めたと思ったのに金融機関や役所からダメ出しされた方もいらっしゃいます。

このような場合、司法書士が目を通して、不足分を取り寄せします。

相続人調査でお困りのことがあれば、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

平日の昼間に役所にお出かけになって準備するのは負担が大きいものです。

戸籍や住民票は郵便による取り寄せもできますが、書類の不備などによる問い合わせはやはり役所の業務時間中の対応が必要になりますから、やはり負担は軽いとは言えません。

このような戸籍や住民票の取り寄せも司法書士は代行します。

相続人調査でお困りの方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

失踪宣告で死亡と見なされる

2024-04-25

1失踪宣告で死亡と見なされる

①残された家族のため失踪宣告

相当長期間、行方不明になっている場合、死亡している可能性が高い場合があります。

条件を満たした場合、死亡の取り扱いをすることができます。

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告がされたら、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。

行方不明が長期化した場合、家族が困ります。

家族であっても、行方不明の人の財産を処分することができません。

行方不明者の配偶者は、再婚することができません。

残された家族のために、行方不明者を死亡したものと扱う制度が失踪宣告の制度です。

失踪宣告がされると、死亡した取り扱いをします。

失踪宣告がされた人に、相続が発生します。

相続財産は、相続人全員の共有財産になります。

相続人全員の合意があれば、相続財産を自由に分けることができます。

遺産分割協議によって相続した後は、相続人が自由に処分をすることができます。

②失踪宣告には条件がある

失踪宣告には、2種類があります。

普通失踪と特別失踪(危難失踪)です。

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

死亡したことが確認できないのに、死亡と見なされます。

死亡と見なされるという強い効果があります。

失踪宣告が認められるためには、次の条件があります。

(1)行方不明の人が生死不明であること

(2)生死不明のまま一定期間継続していること

2普通失踪は7年で死亡と見なされる

一般的に失踪宣告といった場合、普通失踪を指しています。

生死不明の期間を失踪期間と言います。

普通失踪では、失踪期間が7年必要です。

生死不明のまま7年経過した場合に、自動的に死亡と見なされるわけではありません。

家庭裁判所が失踪宣告したときに、死亡と見なされます。

生死不明の人の家族や利害関係人は、家庭裁判所に失踪宣告の申立てをすることができます。

家庭裁判所に失踪宣告の申立てをした後、家庭裁判所が死亡と認めていいか調査します。

家庭裁判所の状況や事件の内容によっては、調査のために1年ほどかかる場合もあります。

生死不明のまま7年以上経過したと認められる場合、家庭裁判所は失踪宣告をすることができます。

3特別失踪(危難失踪)は1年で死亡と見なされる

行方不明の人が大災害や大事故にあっていることがあります。

大災害や大事故に遭った場合、死亡している可能性が非常に高いものです。

特別失踪(危難失踪)とは「戦地に行った者」「沈没した船舶に乗っていた者」「その他死亡の原因となる災難に遭遇した者」などを対象にする失踪宣告です。

死亡している可能性が非常に高いので、失踪期間は短い期間です。

特別失踪(危難失踪)では、失踪期間が1年で済みます。

生死不明のまま1年以上経過したと認められる場合、家庭裁判所は失踪宣告をすることができます。

4失踪宣告の死亡日

①普通失踪は7年満了の日

普通失踪では、生死不明になってから7年間以上経過したときに失踪宣告をすることができます。

生死不明になってから7年間経過したときに、死亡したものと見なされます。

生死不明になってから7年間経過した日が死亡日です。

失踪宣告により死亡と見なされる日は、失踪宣告の申立日ではありません。

失踪宣告により死亡と見なされる日は、失踪宣告の審判があった日ではありません。

失踪宣告により死亡と見なされる日は、失踪宣告の審判が確定した日ではありません。

生死不明になってから7年間経過した日に死亡と見なされます。

②特別失踪(危難失踪)は危難の去った日

特別失踪(危難失踪)では、生死不明になってから1年間以上経過したときに失踪宣告をすることができます。

危難の去った日に、死亡したものと見なされます。

特別失踪(危難失踪)では、生死不明になってから1年間以上経過したときに死亡したものと見なされるわけではありません。

危難の去った日が死亡日です。

5失踪宣告後は死亡届でなく失踪届

①失踪届提出で戸籍に記載される

失踪宣告は、家庭裁判所の審判です。

家庭裁判所が失踪宣告の審判をした後、審判が確定しても市区町村役場に連絡されることはありません。

失踪宣告の審判が確定した後に、市区町村役場に届出が必要です。

失踪宣告の審判が確定した後に市区町村役場に提出する届出を失踪届と言います。

失踪届が受理されることで、失踪宣告がされたことが戸籍に記載されます。

失踪宣告が記載された戸籍謄本を提出することで、生死不明の人が法的に死亡した取り扱いがされることを証明できます。

戸籍には次のように記載されます。

【死亡とみなされる日】令和〇年〇月〇日

【失踪宣告の裁判確定日】令和〇年〇月〇日

【届出日】令和〇年〇月〇日

【届出人】親族 ○○○○

②失踪届は行方不明者届(捜索願)とは別物

失踪届は、失踪宣告の審判が確定した後に市区町村役場に提出する届出です。

市区町村役場は、失踪届を受理したら失踪宣告がされたことを戸籍に記載します。

失踪届を出しても、市区町村役場が生死不明の人を探してくれることはありません。

失踪届は、死亡と扱ってもらうための届出だからです。

生死不明の人を探してもらいたい場合、警察へ行方不明者届を提出します。

行方不明者届は、以前は捜索願と呼んでいました。

失踪届と行方不明者届(捜索願)は、まったく別の届出です。

6失踪宣告後生きていたら

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

死亡したことが確認できないのに、死亡と見なされます。

失踪宣告がされた後、帰ってくることがあります。

失踪宣告がされた人が帰ってきた場合、失踪宣告を取り消してもらう必要があります。

失踪宣告された人が生きていることが分かった場合、家庭裁判所に失踪宣告の取消の審判の申立てをします。

失踪宣告されたときと異なる時期に死亡したことが判明した場合も同様に、家庭裁判所で失踪宣告を取り消してもらう必要があります。

失踪宣告がされると、死亡と見なされるからです。

失踪宣告がされた場合、たとえ生きていても死亡したと扱われます。

失踪宣告を受けた人が生きている場合でも、家庭裁判所で失踪宣告を取り消されるまで死亡したと扱われます。

家庭裁判所で失踪宣告が取り消された後、審判が確定しても市区町村役場に連絡されることはありません。

失踪宣告取消の審判書と確定証明書を添えて、市町村役場に10日以内に届出が必要です。

7失踪宣告で相続が開始する

失踪宣告は、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告を受けた人は、死亡したと取り扱われます。

死亡と見なされる日に、相続が発生します。

死亡と見なされる日を基準として、相続人を確認します。

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、代襲相続が発生します。

相続が発生したときに元気だった相続人が被相続人より後に死亡した場合、代襲相続が発生しません。

相続が発生したときに元気だった相続人が後に死亡した場合、数次相続が発生します。

数次相続は、相続人の地位が相続されます。

失踪宣告の前後で家族が死亡した場合、相続人の確認が重要になります。

代襲相続も数次相続も、相続が複雑になります。

だれが相続人でだれが相続人でないか日付をよく確認しましょう。

相続人を間違えると、相続手続がすべてやり直しになります。

8生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続人が行方不明であることは、割とよくあることです。

行方不明の相続人がいると、相続手続を進めることができません。

相続が発生した後、困っている人はたくさんいます。

自分たちで手続しようとして、挫折する方も少なくありません。

失踪宣告の申立ては、家庭裁判所に手続が必要になります。

通常ではあまり聞かない手続になると、専門家のサポートが必要になることが多いでしょう。

信託銀行などは、高額な手数料で相続手続を代行しています。

被相続人が生前、相続人のためを思って、高額な費用を払っておいても、信託銀行はこのような手間のかかる手続を投げ出して知識のない遺族を困らせます。

知識のない相続人が困らないように高額でも費用を払ってくれたはずなのに、これでは意味がありません。

税金の専門家なども対応できないでしょう。

困っている遺族はどうしていいか分からないまま、途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。

自分たちでやってみて挫折した方も、信託銀行などから丸投げされた方も、相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

代襲相続でトラブル

2024-04-24

1代襲相続は相続人が先に死亡したケース

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

①配偶者は必ず相続人になる

②被相続人に子どもがいる場合、子ども

③被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

④被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することがあります。

これを代襲相続と言います。

相続人になるはずだった人の子どもの子どもが相続することを再代襲相続と言います。

代襲相続ができるのは、相続人になるはずだった人の子どもなど被代襲者の直系卑属だけです。

相続人になるはずだった人を被代襲者と言います。

被代襲者の子どもなど被代襲者の直系卑属以外は、代襲相続ができません。

被代襲者の配偶者も、被代襲者の親などの直系尊属も、被代襲者の兄弟姉妹も、代襲相続ができません。

2代襲相続でトラブルになる

①代襲相続ができることを知らない

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

配偶者や子どもが相続人になることは、多くの人が見聞きしたことがあるでしょう。

被相続人の子どもが被相続人より先に死亡した場合、死亡した子どもの子どもが代襲相続します。

代襲相続について、まったく聞いたことがないかもしれません。

代襲相続ができることを全く知らなくても、代襲相続人であることに変わりはありません。

被相続人の財産は、プラスの財産もマイナスの財産も、相続人が相続します。

被相続人に莫大な借金があることがあります。

相続したくないのであれば、相続放棄の手続をしなければなりません。

相続放棄の手続をしていない場合、莫大な借金を背負うことになります。

代襲相続ができることを全く知らなかったと言っても、意味はありません。

代襲相続ができることを知らないと、相続人間でトラブルに発展しやすくなります。

②代襲相続人と疎遠な関係

相続人の関係が近い場合、気心が知れています。

気心が知れた相続人間では、あまりトラブルに発展しません。

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

被相続人と相続人は面識があっても、相続人間では疎遠な場合があります。

被相続人の兄弟姉妹が相続人になる場合、長い間に疎遠になっていることがあります。

先に死亡した兄弟姉妹とは気心が知れていても、下の世代の代襲相続人とは関係性が薄いことが多いでしょう。

兄弟姉妹の子どもとは、音信不通であることも珍しくありません。

気心の知れた相続人でない場合、トラブルに発展しやすくなります。

③共同相続人が増える

代襲相続が発生した場合、単純に相続人が増えることがあります。

人数が増えると、話し合いによる合意が難しくなりがちです。

共同相続人が増えた場合、トラブルに発展しやすくなります。

④代襲相続人を無視する

代襲相続が発生した場合、下の世代の代襲相続人とは関係性が薄いことが多いでしょう。

代襲相続人の存在を知っているのに、あえて無視することがあります。

関係性の薄い代襲相続人と関わりたくない場合や自分が年長者だから言いなりになって当然だと考えている場合です。

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の話し合いによる合意で決める必要があります。

代襲相続人を無視して、相続財産の分け方の合意をしても無効な合意です。

代襲相続人を無視したら、相続人全員ではないからです。

代襲相続人を無視して相続財産の分け方を合意した場合、大きなトラブルに発展するでしょう。

⑤遺産の全容を教えない

代襲相続人と交流がある場合、代襲相続人を無視して相続手続を進めることは難しいでしょう。

代襲相続人は下の世代の相続人です。

他の相続人と対等に話ができないことがあります。

他の相続人は、年長者でしょう。

年少の代襲相続人は当然言いなりになるべきだと考えていることがあります。

当然言いなりになるべきだと考えていると、話し合いをする気持ちはないでしょう。

当然言いなりになるべきだと考えて、遺産の全容や遺言書の内容を教えないことがあります。

何も聞かされない場合、相続人が疑心暗鬼になります。

遺産の内容を開示すれば、安心して話し合いが進むことも少なくありません。

遺産の全容や遺言書の内容を教えない場合、相続人間で大きなトラブルに発展します。

⑥相続分の放棄を強要

代襲相続人は、若い世代の相続人です。

若い世代の代襲相続人であっても、他の相続人と同様の権利があります。

対等に権利があることに対して、快く思わないことがあります。

下の世代だから上の世代の自分たちに権利を譲るべきだと考えている場合です。

若い代襲相続人に対して、一方的に実印と印鑑証明書を渡すように迫ることがあります。

実印と印鑑証明書を受け取ったら、全権委任を受けたと思うでしょう。

合意もしていないのに、遺産分割協議書を作成して押印するかもしれません。

手間のかかる相続手続を負担してあげたつもりになっていることがあります。

相続分の放棄を強要すると、大きなトラブルになるでしょう。

⑦家族の合意事項を知らない

財産の分け方について、被相続人と相続人が合意していることがあります。

先祖代々引き継いだ不動産は、長男が相続する、親の面倒を見ていた人が自宅を相続するなどの合意です。

関係の近い相続人の場合、合意内容にみんなが納得しているでしょう。

家族間の暗黙の合意事項を知らない相続人がいる場合、自分の利益を主張しがちです。

代襲相続人は下の世代だから、家族間の暗黙の合意事項を知らないかもしれません。

家族間の暗黙の合意事項を知らない場合、トラブルに発展しやすくなります。

3トラブル防止には遺言書が有効

気心が知れた相続人間では、あまりトラブルに発展しません。

代襲相続が発生した場合、関係性の薄い相続人が含まれることになりがちです。

関係性の薄い相続人がいる場合、トラブルに発展しやすくなります。

相続トラブルを防ぐために、被相続人が財産の行き先を決めてあげることが有効です。

遺言書を作成して財産を開示し、財産を受け取る人を指名します。

遺言書がある場合、原則として、遺言書のとおり財産を分ければ済みます。

相続人間で話し合いをしなくても、相続手続を進めることができます。

遺言書を作成する場合、遺言執行者を指名することができます。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する権限が与えられます。

相続手続は、想像する以上に手間と時間がかかります。

遺言執行者がいる場合、わずらわしい相続手続をおまかせすることができます。

相続財産の分け方について合意ができても、相続手続に手間取ってトラブルに発展することがあります。

遺言執行者がいる場合、相続人は相続手続に関与する必要がありません。

遺言執行者は、法律の知識が必要です。

家族などよりは専門家に依頼する方がいいでしょう。

4代襲相続があると戸籍集めがタイヘン

代襲相続とは、相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することです。

相続人調査をする場合、被相続人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本を集めなければなりません。

代襲相続がある場合、先に死亡した人も同様に出生から死亡まで連続した戸籍謄本を取得する必要があります。

家族にとってだれが相続人であるか当たり前のことと軽く考えているかもしれません。

相続手続先に対しては、客観的に証明しなければなりません。

代襲相続人を漏れなく探すため、戸籍謄本を漏れなく準備する必要があります。

代襲相続が発生した場合、収集すべき戸籍謄本がたくさんになります。

5代襲相続がある相続を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、被相続人のものは相続財産になります。

相続財産は相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方を決めるためには、相続人全員の合意が必要です。

相続人の一部を含めない合意や相続人でない人を含めた合意は、無効になります。

相続財産の分け方の話し合いの前提として、相続人の確定はとても重要です。

代襲相続や数次相続が発生している場合、一挙に難易度が上がります。

インターネットが普及したことで、多くの情報を手軽に得ることができるようになりました。

簡単に情報発信ができるようになったこともあって、適切でない情報も有益な情報もたくさん出回っています。

相続の専門家と名乗っていながら、適切でないアドバイスを見かけることも度々あります。

代襲相続や数次相続が発生している場合、信頼できる専門家のサポートが欠かせません。

スムーズに相続手続を行いたい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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