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特別縁故者の申立期間は3か月

2025-04-02

1特別縁故者に財産が分与される

①相続人不存在なら国庫帰属

相続人になる人は、法律で決まっています。

相続人がまったくいない天涯孤独の人がいます。

相続人はいるけど、相続放棄をすることがあります。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなかったと扱われます。

相続人が不存在の場合、相続財産は国庫に帰属します。

②特別縁故者は家庭裁判所が判断

相続人が不存在であっても、遺言書があれば遺言書の指示どおりに財産を引き継ぐことができます。

遺言書を作成する人は、多くはありません。

遺言書がない場合、相続財産は国庫に帰属するのが原則です。

特別縁故者とは、被相続人に特別な縁故があった人です。

相続財産を国庫に帰属させるより、特別な関係にあった人に分与した方が適切なことがあります。

相続人不存在である場合、家庭裁判所に対して特別縁故者財産分与の申立てをすることができます。

家庭裁判所に特別縁故者と認められれば、相続財産を分与されます。

特別縁故者は、自動で認められるものではありません。

特別縁故者であるか、家庭裁判所が判断します。

2特別縁故者の申立期間は3か月

①相続人不存在確定後にスタート

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続人がいるのに、特別縁故者が認められることはありません。

相続人が存在するのか存在しないのか、確定させるのが先決です。

相続人の存在が分からないまま、特別縁故者の申立は受け付けてもらえません。

特別縁故者財産分与の申立ては、相続人不存在確定後に提出します。

特別縁故者の申立期間のスタートは、相続人不存在が確定したときです。

②催告期間満了から3か月

相続人が不存在の場合、相続財産は国庫に帰属します。

相続人が見当たらないからと言っても、自動で国庫に帰属するわけではありません。

相続財産清算人が国庫に帰属させます。

相続財産清算人とは、相続財産を清算して国庫に帰属させる人です。

家庭裁判所は、申立てによって相続財産清算人を選任します。

相続財産清算人を選任したら、家庭裁判所は官報に公告を出します。

相続財産清算人の選任・相続権主張の公告です。

相続権を主張する人は催告期間満了日までに裁判所に申出てくださいと言う内容です。

催告期間満了日までに申出ないと、相続権を行使できなくなります。

催告期間中にだれも申出ないと、相続人不存在が確定します。

催告期間満了で、相続人不存在が確定します。

特別縁故者の申立期間のスタートは、相続人不存在が確定したときです。

催告期間満了から3か月以内に、特別縁故者財産分与の申立てをします。

③申立期間のスタートは連絡されない

家庭裁判所は、相続財産清算人の選任・相続権主張の公告を官報に出します。

公告期間は、6か月以上です。

官報を見ると、相続権を主張する人に対して催告期間満了日が掲載されています。

催告期間満了日になっても、連絡はありません。

家庭裁判所も相続財産清算人も、特別縁故者財産分与の申立てができますよと知らせてはくれません。

自主的に催告期間満了日を確認して、自分から家庭裁判所に特別縁故者財産分与の申立てをする必要があります。

申立期間のスタートは、連絡されません。

④申立期間3か月は延長されない

特別縁故者財産分与の申立期間は、3か月です。

催告期間満了から3か月以内であることは、民法第958条の2第2項にはっきり書いてあります。

申立期間3か月を延長する制度は、ありません。

法律にはっきりと書いてあるから、厳格に運用されます。

相続財産清算人の選任・相続権主張の公告期間は6か月あるから、その間に準備ができるはずです。

申立期間3か月は、延長されません。

⑤申立期間3か月経過で国庫帰属

特別縁故者財産分与の申立期間は、3か月です。

申立期間3か月は、延長されません。

申立期間3か月を経過すると、特別縁故者財産分与の申立ては受付されません。

申立期間3か月経過後は、救済制度がありません。

申立期間3か月を経過すると、相続財産は国庫に帰属することになります。

3特別縁故者の申立期間3か月を逃さないための方法

①相続財産清算人の選任・相続権主張の公告を確認

相続財産清算人の選任・相続権主張の公告には、催告満了日が記載されています。

催告満了日に、相続人不存在が確定します。

特別縁故者の申立期間3か月を逃さないための方法1つ目は、相続財産清算人の選任・相続権主張の公告を確認することです。

②相続財産清算人に確認

相続財産清算人は、相続財産を国庫に帰属させるまで財産管理をする人です。

国庫に帰属させるまでのスケジュールを把握しています。

相続財産清算人に対して、直接問い合わせることができます。

特別縁故者の申立期間3か月を逃さないための方法2つ目は、相続財産清算人に確認することです。

③家庭裁判所に確認

相続財産清算人の選任・相続権主張の公告は、家庭裁判所が出します。

家庭裁判所は、公告の内容を把握しています。

家庭裁判所に対して、直接問い合わせることができます。

特別縁故者の申立期間3か月を逃さないための方法2つ目は、家庭裁判所に確認することです。

4特別縁故者に対する財産分与の申立ての流れ

①相続財産清算人選任の申立て

相続人がまったくいない場合、相続財産は最終的には国庫に帰属します。

相続人がまったくいない場合、家庭裁判所に相続財産清算人を選んでもらいます。

②債権者受遺者へ申出の公告

相続財産清算人から、債権者や受遺者に対して公告が出されます。

債権者は、お金を払ってもらう権利がある人です。

受遺者は、遺言書で財産を受け取る権利がある人です。

債権者は、相続財産から払ってもらいたいと考えるでしょう。

相続財産清算人は、相続財産から支払をして清算します。

③相続人不存在が確定

相続権主張の催告期間が満了した場合、相続人不存在が確定します。

特別縁故者に対して財産が分与されるのは、相続人がいないときです。

戸籍謄本で確認するだけでなく、相続権主張の公告をします。

④特別縁故者に対する財産分与の申立て

相続人不存在が確定した場合、特別縁故者に対する財産分与の申立てをすることができます。

特別縁故者に対する財産分与の申立期間は、3か月です。

⑤特別縁故者に対する財産分与の審判

家庭裁判所で特別縁故者として認められた場合、相続財産の一部または全部が分与されます。

特別縁故者として認められなかった場合、相続財産は国庫に帰属します。

5特別縁故者に期待するよりも遺言書作成で遺贈

①特別縁故者財産分与の申立ての期限は3か月

特別縁故者財産分与の申立ての期限は、3か月です。

相続人不存在が確定しても、だれも連絡してくれません。

期限3か月は、想像以上に短いでしょう。

特別縁故者財産分与の申立ての期限は、3か月です。

②特別縁故者は家庭裁判所が判断

相続人不存在の場合、相続財産は国庫に帰属するのが原則です。

特別縁故者に認められた場合、相続財産の分与を受けることができます。

特別縁故者に認められる要件は、先に説明したとおりです。

特別縁故者に認められるか、家庭裁判所が判断します。

主観的に特別縁故者であると思っても、証拠がないと家庭裁判所は認めてくれないでしょう。

家庭裁判所は、客観的な証拠を基に判断するからです。

特別縁故者に認められるのは、想像以上に高いハードルがあります。

特別縁故者は、家庭裁判所が判断します。

③分与される財産は家庭裁判所が判断

相続財産から分与される財産は、家庭裁判所の裁量で判断します。

莫大な相続財産があっても、わずかな財産だけ分与されることがあります。

わずかな縁故だけであれば、わずかな財産だけ分与されるでしょう。

主観的に深い縁故があると思っても、充分な証拠がないと家庭裁判所は認めてくれないでしょう。

証拠に不足があると、深い縁故があると認められません。

家庭裁判所は、客観的な証拠を基に判断するからです。

特別縁故者に認められても全財産が分与されるには、想像以上に高いハードルがあります。

分与される財産は、家庭裁判所が判断します。

④遺言書作成で迅速確実に遺贈

特別縁故者に対する相続財産分与の申立てをしてから財産が分与されるまで、1年程かかります。

特別縁故者と認められるか、家庭裁判所が判断します。

分与される財産は、家庭裁判所が判断します。

特別縁故者として財産分与を受けるためには、想像以上に高いハードルがあります。

遺言書を作成しておけば、確実に遺贈することができます。

遺言執行者を指名すれば、いっそう確実になるでしょう。

証拠提出をして家庭裁判所の審査を受ける必要がないからです。

家庭裁判所の審査などがないから、迅速に財産を引き継ぐことができます。

特別縁故者に期待するより、遺言書を作成して遺贈がおすすめです。

⑤公正証書遺言作成がおすすめ

遺言書を作成する場合、自筆証書遺言か公正証書遺言を作成することがほとんどです。

自筆証書遺言は、自分で書いて作る遺言書です。

公正証書遺言は、遺言内容を公証人に伝え公証人が書面に取りまとめる遺言書です。

公正証書遺言は公証人が関与するから、高い信頼性があります。

公正証書遺言を作成することで、トラブル防止になるでしょう。

公正証書遺言作成がおすすめです。

6遺言書作成と遺言執行を司法書士に依頼するメリット

相続手続はタイヘンですが、相続人がいない場合もタイヘンです。

相続人がいないから、財産は国に持っていかれて、何もしなくていいと軽く考えがちです。

実際は、被相続人が死亡してから国庫に帰属するまで1年以上の時間がかかります。

財産の内容によっては、100万円以上の費用の負担があることも見逃せません。

国に持っていかれるよりは、お世話になった人に受け継いでもらいたい、自分の気持ちを活かしてくれる慈善団体などに使ってもらいたいという気持ちがある人もいるでしょう。

お世話になった人に受け継いでもらいたい、自分の気持ちを活かしてくれる慈善団体などに使ってもらいたいという意思は遺言書で実現できます。

お世話になった人に受け継いでもらいたい場合、特別縁故者に対する相続財産分与の申立てができます。

特別縁故者は、必ずしも認められるとは限りません。

認められても、財産の一部のみの場合もあります。

何より、家庭裁判所に対する手続ですから、一般の人には高いハードルです。

遺言書に、遺贈することを書き、遺言執行者を決めておけば、手間はかかりません。

適切な遺言書作成と遺言執行者選任は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続手続で必要な戸籍謄本

2025-03-17

1相続人調査の重要性

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②相続人は戸籍謄本で証明

相続人になる人は、法律で決まっています。

家族にとって、だれが相続人になるか当然のことと考えているでしょう。

相続人になる人は、戸籍謄本で客観的に証明する必要があります。

相続人は、戸籍謄本で証明します。

③相続人調査が重要な理由

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

相続財産の分け方について相続人全員でする話合いを遺産分割協議と言います。

一部の相続人を含めずに遺産分割協議をしても、無効です。

相続人調査をしていないと、遺産分割協議が無効になるおそれがあります。

無効の遺産分割協議で、相続手続をすることはできません。

相続人調査をすると、ときには思いもよらない相続人が見つかることがあります。

思いもよらない相続人が見つかれば、遺産分割協議に参加してもらう必要があります。

思いもよらない相続人がいないことを証明するため、戸籍謄本は必要です。

有効な遺産分割協議のため、相続人調査は重要です。

2相続手続で必要な戸籍謄本

①被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

被相続人の子どもは、全員が平等に相続人です。

被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を確認すると、子ども全員を確認することができます。

被相続人に子どもがいない場合、被相続人の戸籍に記載されていないはずです。

相続が発生したら、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が欠かせません。

②相続人全員の現在戸籍

相続人になる人は、相続が発生した時点で生きている人のみです。

相続が発生した時点で生きていたことを証明するため、相続人全員の現在戸籍を取得します。

1通の戸籍に複数の相続人が記載されていることがあります。

同じ戸籍謄本を複数取得する必要は、ありません。

例えば、被相続人の死亡時の戸籍謄本を取得すると、被相続人の配偶者が記載されているでしょう。

死亡時の戸籍謄本1通あれば、相続人である配偶者の現在戸籍として使うことができます。

③戸籍抄本より戸籍謄本

戸籍抄本とは、戸籍の内容の一部を証明した書類です。

戸籍謄本とは、戸籍の内容の全部を証明した書類です。

相続手続では、戸籍抄本より戸籍謄本を取得するのがおすすめです。

戸籍抄本と戸籍謄本で、発行手数料にちがいはありません。

わざわざ戸籍抄本を取得すると、戸籍謄本1通で済むのに複数取得する必要があります。

単純に、手間と費用が余計にかかります。

戸籍抄本より戸籍謄本取得がおすすめです。

3相続手続で必要な戸籍謄本の取得方法

①直系血族の戸籍謄本は広域交付の対象

相続が発生したら、相続人は相続手続をします。

相続手続の最初の難関は、相続人調査です。

親が亡くなった場合、死亡した親の出生から死亡までの連続した戸籍謄本をすべて用意する必要があります。

親の戸籍謄本は、広域交付で取得することができます。

直系血族の戸籍謄本は、広域交付の対象だからです。

戸籍謄本の広域交付とは、本籍地の市区町村役場以外の市区町村役場で戸籍謄本を取得する制度です。

例えば、本籍地が名古屋市以外の人が名古屋市内の各区役所で、戸籍謄本を取得することができます。

出生から死亡までの連続した戸籍謄本をすべて近隣の市区町村役場で取得することができます。

親の本籍地でなくても近隣の市区町村役場に出向いて取得することができるので、とても便利です。

直系血族の戸籍謄本は、広域交付の対象です。

②本籍が分からないときは本籍地入り住民票を取得

多くの場合住所は、知っているでしょう。

住民票を取得すると、本籍地を知ることができます。

住民票に本籍地を記載してもらうことができるからです。

普段目にする住民票は、本籍地が記載されていないかもしれません。

住民票を請求する場合、何も言わないと本籍地は記載省略になります。

亡くなった人の住民票は、相続人が取得することができます。

本籍地入りの住民票を請求すると、亡くなった人の本籍地を調べることができます。

③本人確認書類を提示して請求

戸籍には、その人の身分事項が記録されています。

身分事項とは、結婚や離婚、養子縁組や離縁、認知などの事項です。

身分事項は、その人のプライベートな事柄です。

第三者がみだりに戸籍謄本を取得することは、許されません。

戸籍に記録された個人情報を保護するため、本人確認が行われます。

本人確認書類を提示して、戸籍謄本を請求します。

本人確認書類として、次の書類を提示します。

・運転免許証

・マイナンバーカード

・パスポート

・国又は地方公共団体の機関が発行した身分証明書

④広域交付対象外の戸籍謄本は郵送で請求できる

広域交付を利用できない場合、本籍地の市区町村役場に請求します。

本籍地の市区町村役場が遠方である場合、郵送で請求することができます。

多くの人は、たくさんの戸籍を渡り歩いています。

複数の本籍地があることが多いでしょう。

それぞれの市区町村役場に、戸籍謄本を請求する必要があります。

広域交付ができない場合、本籍地の市区町村役場へ請求する必要があります。

広域交付対象外の戸籍謄本は、郵送で請求できます。

⑤戸籍謄本の郵送請求で定額小為替

戸籍謄本や戸籍の附票を請求する場合、市区町村役場に発行手数料を払う必要があります。

窓口請求をする場合、その場で現金や電子マネーで支払うことができます。

戸籍謄本や戸籍の附票を郵送請求する場合、発行手数料は定額小為替で納入します。

定額小為替は、「ていがくこがわせ」と読みます。

現金は、普通郵便で送ることができません。

現金封筒を送る場合、書留料金が追加でかかります。

定額小為替は、普通郵便で送ることができます。

定額小為替は、郵便局の貯金窓口で購入することができます。

戸籍謄本や戸籍の附票を郵送請求する場合、一緒に定額小為替を送ります。

⑥司法書士などに依頼して代理請求

広域交付を利用できるのは、請求人が窓口まで出向いて請求するときのみです。

市区町村役場は、平日の昼間のみ業務を行っています。

仕事や家事で忙しい人にとって、平日の昼間に時間を作るのは難しいでしょう。

代理人に依頼して、戸籍謄本を取得することができます。

代理人を立てて戸籍謄本を取得する場合、広域交付を利用することはできません。

司法書士などに依頼して、戸籍謄本を取得してもらうことができます。

⑦1通取得して法定相続情報一覧図

戸籍謄本は、たくさんの相続手続先に提出します。

市区町村役場で発行された戸籍謄本をそのまま提出します。

相続手続先がたくさんあると、発行手数料もかさむでしょう。

戸籍謄本を1通だけ取得して、法定相続情報一覧図を発行してもらうことができます。

法定相続情報一覧図とは、被相続人を中心にして、どういう続柄の人が相続人であるのか一目で分かるように家系図のように取りまとめた書類です。

たくさんの戸籍謄本を読み解くのは、相続手続先にとっても負担の重い事務です。

たくさんの戸籍謄本と家系図を法務局に提出して、内容を点検してもらうことができます。

内容に問題がなかったら、地模様の入った専用紙に認証文を付けて印刷して、交付してくれます。

法定相続情報一覧図は法務局が点検しているから、たくさんの戸籍謄本を提出したのと同じ取り扱いを受けることができます。

法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書に、必要枚数を書く欄があります。

複数枚の法定相続情報一覧図を発行してもらうことができます。

戸籍謄本を1通取得して、法定相続情報一覧図を発行してもらうことができます。

⑧戸籍謄本を取得する費用と時間

戸籍謄本を取得するために、市区町村役場に手数料を支払う必要があります。

現在戸籍は、1通450円です。

除籍謄本や改製戸籍謄本は、1通750円です。

郵送で請求する場合、往復の郵便料がかかります。

レターパックライトで送る場合、1通430円です。

定額小為替の発行手数料は、1通200円です。

郵送で請求する場合、発送してから届くまで10日ほどかかります。

届いた戸籍謄本を読み解いて、次の本籍を確認します。

複数の戸籍謄本を取り寄せるから、相応に時間がかかります。

4戸籍謄本を取得するときの注意点

注意①相続手続先の独自ルールで戸籍謄本に有効期限

戸籍謄本に「有効期限〇年〇月〇日まで」と記載されることはありません。

戸籍謄本は、その時点での戸籍の内容を証明した書類だからです。

相続登記で戸籍謄本を提出する場合、古い戸籍謄本を提出することができます。

相続税申告で戸籍謄本を提出する場合、古い戸籍謄本を提出することができます。

口座凍結解除で戸籍謄本を提出する場合、各金融機関のルールに従います。

多くは、発行後6か月以内や発行後3か月以内の書類が必要になるでしょう。

戸籍謄本の注意点1つ目は、相続手続先の独自ルールで戸籍謄本に有効期限が決められていることです。

注意②戸籍謄本のコピーで相続手続ができない

相続手続で戸籍謄本を提出する場合、市区町村役場で発行された戸籍謄本をそのまま提出します。

戸籍謄本のコピーで相続手続を進めることはできないでしょう。

戸籍謄本を提出した後、希望すれば原本還付してもらえることがほとんどです。

原本還付するための方法は、相続手続先によって異なります。

相続登記で提出する戸籍謄本について原本還付を希望する場合、相続関係説明図を添付します。

法定相続情報一覧図なら複数発行してもらえるから、原本還付をしてもらう必要がないでしょう。

戸籍謄本の注意点2つ目は、戸籍謄本のコピーで相続手続ができないことです。

注意③必要な戸籍謄本の見落とし

相続人調査では、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要です。

戸籍謄本の記載内容を見落とすと、必要な戸籍謄本が揃わないことがあります。

特に古い戸籍謄本は達筆な手書きで書いてあるうえ、現在とは様式が異なります。

戸籍謄本の読解は、想像以上に高いハードルがあります。

戸籍謄本の注意点3つ目は、必要な戸籍謄本の見落としです。

注意④戸籍謄本の取得に時間がかかる

市区町村役場に出向いて戸籍謄本を請求する場合、その場で発行してもらえます。

郵送請求をする場合、往復の時間がかかります。

相続手続によっては、期限が決められていることがあります。

戸籍謄本の注意点4つ目は、戸籍謄本の取得に時間がかかることです。

注意④手数料の不足

戸籍謄本を発行してもらうためには、発行手数料を納める必要があります。

発行手数料は、定額小為替で納入します。

送付した定額小為替が不足すると、市区町村役場から連絡が入ります。

連絡が取れないと、発行されないまま返送されるでしょう。

定額小為替は多めに送るのがおすすめです。

戸籍謄本の注意点4つ目は、手数料の不足です。

5相続人調査を司法書士に依頼するメリット

本籍地の変更や国による戸籍の作り直し(改製)で多くの方は、何通もの戸籍を渡り歩いています。

古い戸籍は、現在と形式が違っていて読みにくいものです。

手書きの達筆な崩し字で書いてあって、分かりにくいものです。

慣れないと戸籍謄本集めは、タイヘンです。

本籍地を何度も変更している方や結婚、離婚、養子縁組、離縁を何度もしている方がいるでしょう。

戸籍をたくさん渡り歩いていると、膨大な手間と時間がかかります。

戸籍には被相続人の結婚や離婚、子どもや養子の存在といった身分関係がすべて記録されています。

時には、家族の方が知らない相続人が明らかになることもあります。

相続人を確定させるために戸籍謄本を集めるだけでも、知識のない人にはタイヘンな作業です。

家族の方が知らない相続人が明らかになると、精神的な負担はさらに大きいものになります。

相続手続のうち、専門家に任せられるものは任せてしまうことができます。

事務負担を軽減することができます。

戸籍謄本や住民票の取り寄せは、司法書士は代行します。

相続人調査でお困りの方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

養子縁組をしたときの戸籍の記載

2025-03-10

1養子縁組で相続人になる

①子どもは相続人になる

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②相続人は戸籍謄本で証明

相続人になる人は、法律で決まっています。

家族にとって、だれが相続人になるか当然のことと考えているでしょう。

相続人になる人は、戸籍謄本で客観的に証明する必要があります。

相続人は、戸籍謄本で証明します。

③養子になったときの戸籍の記載例

●養親の戸籍の記載例

身分事項 養子縁組

【縁組日】年〇〇月〇〇日

【共同縁組者】〇〇〇〇 

【養子氏名】〇〇〇

●養子の戸籍の記載例

身分事項:養子縁組

【縁組日】〇年〇〇月〇〇日

【養父氏名】〇〇〇〇

【養母氏名】〇〇〇〇

【従前戸籍】〇〇〇市〇〇区〇〇町一丁目〇〇番地  〇〇〇〇(筆頭者)

④実子と養子は平等

養子縁組をすると、養子は養親の子どもになります。

被相続人に実子がいても、養子は相続人です。

実子と養子は、同じ子どもだからです。

実子と養子は、区別されません。

実子と養子は、同じ相続分と同じ遺留分です。

遺留分とは、相続人に認められる最低限の権利です。

実子と養子は、平等です。

⑤養子縁組届をしてから戸籍反映まで2週間

養子縁組をする場合、市区町村役場に養子縁組届を提出します。

養子縁組届の提出先は、養親または養子の本籍地もしくは住所地の市区町村役場です。

養子縁組をすると、戸籍に記録されます。

戸籍に記録するのは、本籍地の市区町村役場です。

本籍地の市区町村役場に提出した場合、戸籍に反映するまでに1週間程度かかるでしょう。

本籍地でない市区町村役場に養子縁組届を提出した場合、本籍地の市区町村役場に回送されます。

本籍地の市区町村役場に提出した場合、戸籍に反映するまでに2週間程度かかるでしょう。

急いで養子縁組の記載がある戸籍謄本を取得したい場合、窓口で申し出ると配慮してもらえることがあります。

養子縁組届をしてから戸籍反映まで、2週間程度かかります。

2単身者が養子になったときの戸籍の記載

①単身者が養子になったときは養親の氏になる

単身者が養子になったときは、養親の氏になります。

養子が成年でも未成年でも、養親の氏になります。

養親の氏は、変更されません。

単身者が養子になったときは、養親の氏になります。

②養親の現在戸籍に養子が入るパターン

単身者が養子になる養子縁組をした場合、戸籍の記載は3パターンあります。

パターン1つ目は、養親の現在戸籍に入るパターンです。

③戸籍は異動せず身分事項が記載されるだけのパターン

養親と養子が同じ戸籍にいる場合、戸籍を異動させる必要はありません。

例えば、父母が離婚した後に再婚すると、配偶者と連れ子が同じ戸籍になります。

同じ戸籍にいても、配偶者と連れ子は親子ではありません。

配偶者と連れ子が養子縁組をすると、親子になります。

パターン2つ目は、戸籍は異動せず身分事項が記載されるだけのパターンです。

④新戸籍が編製されて養親子が入るパターン

養親が戸籍の筆頭者や筆頭者の配偶者でない場合、新戸籍が編製されます。

新戸籍が編製された後、養親と養子が入ります。

例えば、親の戸籍に入っている子どもが養親になるケースです。

パターン3つ目は、新戸籍が編製されて養親子が入るパターンです。

3婚姻中の人が養子になったときの戸籍の記載

①戸籍の筆頭者が養子になると養親の氏になる

婚姻をすると、夫婦のために新戸籍が編製されます。

婚姻をするときに、氏を改めなかった人が戸籍の筆頭者です。

戸籍の筆頭者が養子になる養子縁組をした場合、養子は養親の氏になります。

養子の配偶者は、養子縁組をしなくても養親の氏になります。

夫婦は、同じ氏になるからです。

戸籍の筆頭者が養子になると、養親の氏になります。

②新戸籍が編製されて養子夫婦が入るパターン

戸籍の筆頭者が養子になる養子縁組をした場合、養子夫婦のために新戸籍が編製されます。

新戸籍が編製された後、養子と養子の配偶者が入ります。

戸籍の筆頭者が養子になる養子縁組をした場合、養子は養親の氏になります。

新しい氏の戸籍が必要になるからです。

パターン4つ目は、新戸籍が編製されて養子夫婦が入るパターンです。

③子どもを新戸籍に入れるときは入籍届

婚姻中の人が養子になる養子縁組をした場合、養子夫婦に子どもがいることがあるでしょう。

新戸籍が編製された後、養子と養子の配偶者が入ります。

養子の子どもは、元の戸籍に残ったままです。

養子の子どもは、自動で養親の氏になりません。

子どもを同じ氏にして同じ戸籍に入れるためには、入籍届が必要です。

父母が氏を改めたことで父母と子どもの氏が異なる場合、家庭裁判所の許可は不要です。

家庭裁判所の許可が不要になるのは、父母が婚姻中のみの取り扱いです。

子どもを新戸籍に入れるときは、市区町村役場に対して入籍届を提出します。

④戸籍の筆頭者の配偶者が養子になると氏はそのまま

戸籍の筆頭者の配偶者が養子になる養子縁組をした場合、氏は変更されません。

婚姻時の氏が優先されるからです。

養親と養子は親子になるけど、別の氏です。

戸籍の筆頭者の配偶者が養子になると、氏はそのままです。

⑤戸籍は異動せず身分事項が記載されるだけのパターン

婚姻をすると、夫婦のために新戸籍が編製されます。

夫婦は、新戸籍に入っています。

戸籍の筆頭者の配偶者が養子になる養子縁組をした場合、養親の戸籍に入りません。

戸籍には、夫婦と未婚の子どもしか入れないからです。

戸籍の筆頭者の配偶者が養子になっても、養親の氏に変更されません。

戸籍の筆頭者の配偶者が養子になった場合、戸籍は異動しません。

戸籍は異動せず、身分事項だけ記載されます。

パターン5つ目は、戸籍は異動せず身分事項が記載されるだけのパターンです。

4特別養子になったときの戸籍の記載

①特別養子は実親との親子関係が終了する

養子には、2種類あります。

特別養子と普通養子です。

養子縁組とは、血縁関係による親子関係の他に、法律上の親子関係を作る制度です。

子どものいない夫婦が養子縁組をする、配偶者の連れ子と養子縁組するといったことは日常的に聞くことあります。

一般的に、単に「養子」と言ったら、普通養子を指していることがほとんどです。

特別養子では、養子縁組をした後、血縁関係のある実親との親子関係が終了します。

普通養子では、養子縁組をした後、血縁関係のある実親との親子関係が継続します。

特別養子になると、実親を相続しません。

実親との親子関係が終了しているからです。

特別養子は、実親との親子関係が終了します。

②実親の戸籍→養子ひとりの戸籍→養親の戸籍へ異動

特別養子であることは、戸籍謄本を読み解けば判明します。

特別養子は、実親の戸籍→養子ひとりの戸籍→養親の戸籍へ異動します。

特別養子であることは、他人に知られたくないと考える人も多いでしょう。

特別養子の福祉のため、専門的な知識がないとカンタンには分からないような配慮がされています。

特別養子は、実親の戸籍→養子ひとりの戸籍→養親の戸籍へ異動します。

③特別養子になったときの戸籍の記載例

●実親の戸籍の記載例

身分事項 特別養子縁組

【特別養子縁組の裁判確定日】 令和〇年〇月〇日

【届出日】 令和〇年〇月〇日

【届出人】 養父母

【送付を受けた日】 令和〇年〇月〇日

【受理者】 〇〇県〇〇市長

【新本籍】 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号

【縁組後の氏】 〇〇

この記載がされると、実親の戸籍から除籍されます

●特別養子ひとりの戸籍の記載例

本籍 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号(実親の本籍地)

氏名 〇〇〇〇(養親の氏)

戸籍に記録されている者

名 〇〇

生年月日 令和〇年〇月〇日

父 〇〇〇〇(養父の氏名)

母 〇〇〇〇(養母の氏名)

続柄 長男

(途中省略)

身分事項 特別養子縁組

【特別養子縁組の裁判確定日】 令和〇年〇月〇日

【養父氏名】 〇〇〇〇

【養母氏名】 〇〇〇〇

【届出日】 令和〇年〇月〇日

【届出人】 父母

【送付を受けた日】 令和〇年〇月〇日

【受理者】 〇〇県〇〇市長

【従前戸籍】 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号 〇〇〇〇

【入籍戸籍】 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号 〇〇〇〇

実親の本籍地と同じ本籍地、養親の氏の名前で、養子が筆頭者になった新戸籍が作られます。

普通養子のように養父、養母ではなく、父母の欄に、養親の氏名が記載されます。

続柄の欄には、普通養子のように養子、養女ではなく、長男、長女などと記載されます。

新戸籍が作られたら、その日のうちに除籍されて養親の戸籍に入籍します。

●養親の戸籍の記載例

身分事項 民法817条の2

【民法817条の2による裁判確定日】 令和〇年〇月〇日

【届出日】 令和〇年〇月〇日

【届出人】 父母

【従前戸籍】 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号 〇〇〇〇

養親の身分事項には、何も記載がされません。

養子の身分事項にだけ、民法817条の2と記載がされます。

法律の専門知識がない人が見ても、何のことか分からないでしょう。

従前戸籍に実親の本籍地と同じ本籍地が記載されるものの、筆頭者は養子本人です。

実親の氏名は、記載されません。

特別養子であることを知られたくない人のための配慮がされています。

④特別養子は実親の戸籍謄本を取得できない

特別養子では、養子縁組をした後、血縁関係のある実親との親子関係が終了します。

特別養子は、実親の直系卑属でなくなります。

実親が死亡しても、相続しません。

特別養子は、実親が死亡しても直系卑属として戸籍謄本を取得することはできません。

5相続人調査を司法書士に依頼するメリット

本籍地の変更や国による戸籍の作り直し(改製)で多くの方は、何通もの戸籍を渡り歩いています。

古い戸籍は現在と形式が違っていて読みにくかったり、手書きの達筆な崩し字で書いてあって分かりにくかったりします。

慣れないと戸籍謄本集めは、タイヘンです。

本籍地を何度も変更している方や結婚、離婚、養子縁組、離縁を何度もしている方がいるでしょう。

戸籍をたくさん渡り歩いていると、膨大な手間と時間がかかります。

戸籍には被相続人の結婚や離婚、子どもや養子の存在といった身分関係がすべて記録されています。

時には、家族の方が知らない相続人が明らかになることもあります。

相続人を確定させるために戸籍謄本を集めるだけでも、知識のない人にはタイヘンな作業です。

家族の方が知らない相続人が明らかになると、精神的な負担はさらに大きいものになります。

相続手続のうち、専門家に任せられるものは任せてしまうことができます。

事務負担を軽減することができます。

戸籍謄本や住民票の取り寄せは、司法書士は代行します。

相続人調査でお困りの方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

養子縁組で代襲相続

2025-02-09

1養子には普通養子と特別養子がある

①普通養子は実親との親子関係が継続する

養子縁組とは、血縁関係による親子関係の他に、法律上の親子関係を作る制度です。

養子縁組には、2種類あります。

普通養子と特別養子です。

子どものいない夫婦が養子縁組をする、配偶者の連れ子と養子縁組するといったことは日常的に聞くことあります。

一般的に、単に「養子」と言ったら、普通養子を指していることがほとんどです。

普通養子は、縁組後も実親との親子関係が継続します。

普通養子は、養親を相続するし実親を相続します。

普通養子は、実親との親子関係が継続します。

②特別養子は実親との親子関係が終了する

特別養子は、縁組後に実親との親子関係が終了します。

特別養子縁組をすることは、親子の縁が切れることです。

親子の縁を切る重大な決定だから、厳格な要件で家庭裁判所が判断します。

実の父母による著しい虐待がある場合やその他特別の事情がある場合で、かつ、子の利益のため特に必要があるときに、認められます。

特別養子は、養親を相続しますが実親は相続しません。

特別養子は、実親との親子関係が終了します。

③養子が死亡しても養子縁組は終了しない

養子縁組は、養親と養子が合意して市町村役場に届出をします。

養子縁組の解消は、養親と養子が合意して市町村役場に届出をします。

養親と養子のどちらかが死亡しても、何もしなければ養子縁組は終了しません。

養親と養子のどちらかが死亡しても、親子関係は続きます。

養子が死亡しても、養子縁組は終了しません。

2養子縁組で代襲相続

①養子縁組後に出生した子どもは代襲相続ができる

相続が発生したら、相続人が相続します。

相続人になる人は、法律で決められています。

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

相続人になるはずだった子どもが被相続人より先に死亡することがあります。

相続人になるはずだった子どもの子どもが相続します。

代襲相続とは、相続人になるはずだった人の子どもが相続することです。

養子は、養親の子どもです。

養親に相続が発生したら、養子は相続人になります。

相続人になるはずの養子が被相続人より先に死亡することがあります。

相続人になるはずだった養子の子どもが相続します。

代襲相続ができるのは、養子縁組後に出生した子どものみです。

養子縁組後に出生した子どもは、養親の卑属になるからです。

養子縁組後に出生した養子の子どもは、代襲相続ができます。

②養子縁組前に出生した子どもは代襲相続ができない

養子縁組をしたときに、子どもがすでに出生していることがあります。

養子の連れ子は、代襲相続をすることができません。

養子縁組前に出生した子どもは、養親の卑属にならないからです。

養子縁組前に出生した養子の子どもは、代襲相続ができません。

③養子の子どもが実子の子ども

実子の配偶者と養子縁組をすることがあります。

養子の子どもは、実子の子どもです。

相続人になるはずの養子が被相続人より先に死亡することがあります。

相続人になるはずだった養子の子どもが相続します。

養子縁組後に出生した子どもは、代襲相続をすることができます。

養子縁組前に出生した子どもは、代襲相続をすることができます。

養子の子どもは、実子の子どもだからです。

養子縁組前に出生しても養子縁組前に出生しても、養親の卑属になるからです。

養子の子どもが実子の子どもである場合、養子縁組の前後不問で代襲相続をすることができます。

④死後離縁で代襲相続しない

養親と養子のどちらかが死亡しても、何もしなければ養子縁組は終了しません。

死後離縁とは、養親と養子のどちらかが死亡した後に養子縁組を解消することです。

養親が死亡した後に死後離縁をしても、養子は相続人です。

死後離縁をした後に養親の親が死亡した場合、養子は代襲相続しません。

死後離縁によって、養子縁組は終了したからです。

死後離縁で、代襲相続しません。

⑤特別養子になると実親の代襲相続をしない

特別養子は、実親との親子関係が終了します。

実親が死亡しても、特別養子は相続しません。

実親が死亡した後に実親の親が死亡することがあります。

被相続人である実親の親から見ると、実親は子どもです。

相続人になるはずだった子どもが被相続人より先に死亡したと言えます。

相続人になるはずだった子どもの子どもが相続します。

特別養子は、代襲相続をしません。

特別養子は、実親との親子関係が終了しているからです。

相続人になるはずだった子どもの子どもではありません。

特別養子になると、実親の代襲相続をしません。

3代襲相続の注意点

注意①養子縁組をした孫は代襲相続ができる

被相続人が孫と養子縁組をすることがあります。

養子は、養親の子どもになります。

養子縁組をして被相続人の子どもになっても、孫であることは変わりません。

孫である身分と子どもの身分を持っています。

被相続人の実子が孫の実親です。

被相続人の実子である孫の実親が被相続人より先に死亡することがあります。

相続人になるはずだった子どもが先に死亡したから、子どもの子どもが相続します。

養子になった孫は、子どもの子どもです。

養子になった孫は、代襲相続人になります。

養子になった孫は、被相続人の子どもの立場で相続し、代襲相続人の立場で相続します。

被相続人の子どもの立場で相続するから、代襲相続人の立場で相続できないといったルールはありません。

養子と実子に、区別はないからです。

養子になった孫には、子どもの相続分と孫の相続分があります。

代襲相続の注意点1つ目は、養子縁組をした孫は代襲相続ができる点です。

注意②養子縁組で兄弟姉妹になると代襲相続

被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。

被相続人の親が養子縁組をしていることがあります。

親の養子は、兄弟姉妹です。

養子縁組で、兄弟姉妹になります。

相続人になるはずの兄弟姉妹が被相続人より先に死亡することがあります。

相続人になるはずだった兄弟姉妹の子どもが相続します。

被相続人の親と養子縁組をして兄弟姉妹になった場合、養子縁組前に出生した子どもは代襲相続をすることができません。

養子縁組前に出生した子どもは、養親の卑属にならないからです。

養子縁組後に出生した子どもは代襲相続をすることができます。

代襲相続の注意点2つ目は、養子縁組で兄弟姉妹になると代襲相続ができるときと代襲相続できないときがある点です。

注意③代襲相続人は遺産分割協議に参加する

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定する必要があります。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話合いです。

代襲相続人は、遺産分割協議に参加する必要があります。

代襲相続人を含めないで遺産分割協議をしても、無効です。

代襲相続の注意点3つ目は、代襲相続人は遺産分割協議に参加する点です。

注意④代襲相続人が相続放棄

相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄の申立てをします。

家庭裁判所から相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。

代襲相続の注意点4つ目は、代襲相続人は相続放棄が必要になる点です。

4代襲相続する条件

①代襲相続が発生する原因

(1)相続人になるはずだった人が死亡

相続が発生したときには元気だった人が相続手続中に死亡したときは、代襲相続ではありません。

相続が発生したときには元気だった人が相続手続中に死亡したときは、数次相続です。

数次相続では、死亡した相続人の相続人が相続します。

代襲相続と数次相続では、相続手続に参加する人が異なります。

代襲相続が発生する原因1つ目は、相続人になるはずだった人が死亡したときです。

(2)相続人が廃除

相続人廃除とは、被相続人の意思で、相続人の資格を奪う制度です。

相続人廃除は家庭裁判所に申立てをして、家庭裁判所が判断します。

相続人が被相続人に対して重大な侮辱をしたり虐待をしたと家庭裁判所に認められた場合、廃除されます。

単なる親子げんかや相続人が気に入らないなどで、廃除は認められません。

家庭裁判所で廃除が認められた場合、代襲相続が発生します。

代襲相続が発生する原因2つ目は、相続人が廃除されたときです。

(3)相続人が欠格

欠格とは、相続人としてふさわしくない人の相続資格を奪う制度です。

欠格になる理由は、法律で決められています。

主な理由は、被相続人を殺害したり、殺害しようとしたり、遺言書を偽造したり、遺言書を隠したりしたなどです。

相続人としてふさわしくない理由に該当した場合、相続資格を失います。

相続人が欠格になったら代襲相続が発生します。

代襲相続が発生する原因3つ目は、相続人が欠格になったときです。

②子どもの子孫は何代でも代襲相続

相続人になるはずだった人を被代襲者と言います。

被相続人の子どもが被代襲者の場合、被相続人の子どもの子どもが代襲相続人になります。

子どもの子どもも被相続人より先に死亡した場合、子どもの子どもの子どもが代襲相続人になります。

相続人になるはずだった人の子どもの子どもが相続することを再代襲相続と言います。

被代襲者が子どもや子どもの子孫の場合、再代襲相続に制限はありません。

子どもの子孫は、何代でも代襲相続をすることができます。

③兄弟姉妹の代襲相続は一代限り

相続人になるはずだった兄弟姉妹が先に死亡した場合、兄弟姉妹の子どもが代襲相続をします。

兄弟姉妹の代襲相続は、一代限りです。

兄弟姉妹の子どもが被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹の子どもの子どもは代襲相続をすることができません。

被代襲者が兄弟姉妹の場合、再代襲相続はできません。

昭和23年1月1日から昭和55年12月31日に開始した相続については、再代襲相続ができました。

兄弟姉妹の代襲相続は、一代限りです。

5代襲相続がある相続を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、被相続人のものは相続財産になります。

相続財産は相続人全員の共有財産ですから、分け方を決めるためには相続人全員の合意が必要です。

相続人の一部を含めない合意や相続人でない人を含めた合意は無効になります。

相続財産の分け方の話し合いの前提として、相続人の確定はとても重要です。

代襲相続や数次相続が発生している場合、一挙に難易度が上がります。

インターネットが普及したことで、多くの情報を手軽に得ることができるようになりました。

簡単に情報発信ができるようになったこともあって、適切でない情報も有益な情報もたくさん出回っています。

相続の専門家と名乗っていながら、適切でないアドバイスを見かけることも度々あります。

代襲相続や数次相続が発生している場合、信頼できる専門家のサポートが欠かせません。

スムーズに相続手続を行いたい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

同性婚は相続対策が不可欠

2025-02-06

1同性パートナーは遺産相続ができない

①相続人になる配偶者は法律上の配偶者だけ

配偶者は、必ず相続人になります。

配偶者は、法律上の配偶者を指します。

法律上の婚姻をしていない配偶者は、相続人になれません。

日本においては現在のところ同性婚は認められていません。

同性パートナーは、法律上の配偶者ではありません。

相続人になる配偶者は、法律上の配偶者だけです。

②パートナーシップ制度を利用しても相続人になれない

パートナーシップ制度とは、法律上の婚姻と異なる形態のカップルについて各自治体が婚姻に相当する関係と認め証明書を発行する制度です。

愛知県や名古屋市ではファミリーシップ制度が施行されていますが、すべての自治体で施行されているわけではありません。

パートナーシップ制度が施行されている自治体では、パートナーシップ宣誓をすることができます。

自治体から、パートナーシップ宣誓受領証を発行してもらうことができます。

パートナーシップ宣誓受領証を提示することで、婚姻に相当する関係と認めてもらいやすくなるでしょう。

パートナーシップ宣誓をしても、法律上の配偶者ではありません。

パートナーシップ制度を利用しても、相続人になれません。

③同性パートナーに遺留分がない

遺留分とは、相続財産に対する最低限の権利のことです。

兄弟姉妹以外の相続人に認められます。

同性パートナーは、相続人になれません。

同性パートナーには、遺留分が認められません。

④同性パートナーに寄与分がない

寄与分の制度は、特別な貢献をした相続人に対して相続分以上の財産を受け取ってもらう制度です。

同性パートナーは、相続人になれません。

同性パートナーは、寄与分を請求することはできません。

⑤同性パートナーは特別寄与料を請求できない

特別な貢献をした人が相続人でなくても親族である場合、特別寄与者になることができます。

親族にあたるのは、次の人です。

(1)6親等内の血族

(2)配偶者

(3)3親等内の姻族

同性パートナーは、親族ではありません。

同性パートナーは、特別寄与者になることはできません。

⑥同性パートナーに配偶者居住権と配偶者短期居住権がない

配偶者居住権と配偶者短期居住権は、いずれも、被相続人の家に住んでいた配偶者が無償で住み続けることができる権利です。

配偶者居住権も配偶者短期居住権も取得することができる配偶者は、法律上の配偶者のみです。

同性パートナーは、配偶者居住権も配偶者短期居住権も取得することはできません。

死亡したパートナー名義の自宅で暮らしていた場合、住む家を失うおそれがあります。

2遺言書を作成して財産を引き継ぐ

①同性パートナーに遺贈する

遺贈とは、被相続人が遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげることです。

相続では、法定相続人だけに譲ってあげることができます。

遺贈では、法定相続人に譲ってあげることもできるし、相続人以外の人に譲ってあげることができます。

譲ってあげる相手は、相続人以外の人でも構いません。

同性パートナーにも譲ってあげることができます。

相続では、遺言がなくても相続人が受け取ることができます。

遺贈は、遺言があるときだけ譲ってあげることができます。

同性パートナーは相続人になれませんから、相続はできません。

遺贈であれば、同性パートナーに財産を譲ってあげることができます。

遺贈とは、遺言によって、財産を譲ってあげることです。

遺贈をするためには、遺言書が不可欠です。

同性パートナーが特別な寄与をしている場合でも、同性パートナーは寄与分を請求することはできません。

被相続人は、遺贈をすることで寄与に報いてあげることができます。

②遺言書より遺留分が優先

遺留分とは、相続財産に対する最低限の権利のことです。

兄弟姉妹以外の相続人に認められます。

被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。

被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属が相続人になります。

被相続人の子どもや親などの直系尊属が相続人になる場合、遺留分があります。

相続人の遺留分を侵害するような遺言書を作成した場合、大きなトラブルになります。

遺留分権利者は、遺留分侵害額請求をすることができるからです。

遺言書を作成するだけで、遺留分を奪うことはできません。

遺留分は、相続人に認められた最低限の権利だからです。

遺言書の内容より遺留分は、優先します。

③遺言執行者選任で手続をおまかせできる

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

遺言書は、作成するだけでは意味がありません。

遺言書の内容は、自動的に実現するわけではないからです。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者がいない場合、相続人全員が協力して遺言書の内容を実現します。

相続人の中には、遺言書の内容を快く思わないことがあります。

遺言書の内容に賛成できない場合、遺言書の内容を実現することに協力をしないでしょう。

遺言執行者がいる場合、遺言執行者が遺言書の内容を実現してくれます。

相続人全員の協力は、不要です。

遺言書の内容に反対の相続人がいても、協力してもらう必要はありません。

遺言執行者は、遺言書の中で選任することができます。

遺言執行者を選任しておくと相続手続をおまかせすることができるから、安心です。

④公正証書遺言がおすすめ

遺言書の種類は、法律で決められています。

遺言書を作成する場合、自筆証書遺言か公正証書遺言を作るケースがほとんどです。

自筆証書遺言は、専門家の関与がなくひとりで作ることができるのでお手軽です。

遺言書には、厳格な書き方ルールがあります。

厳格な書き方ルールに合わない遺言書は、無効になります。

法律の知識がない人が遺言書を作ることがあります。

厳格な書き方ルールに抵触して無効になってしまう可能性があります。

公正証書遺言は、公証人が文書に取りまとめて作る遺言書です。

公証人は、法律の専門家です。

法律の専門家が関与するから、書き方ルールで遺言書が無効になることは考えられません。

作成した遺言書は、公証役場で厳重に保管されます。

紛失や改ざんの心配がありません。

公正証書遺言を作るのは手間がかかりますが、メリットが圧倒的に大きい遺言書です。

遺言書を作る場合は、公正証書遺言がおすすめです。

3養子縁組で相続人になる

①養子縁組で養親の子どもになる

養子縁組とは、法律上の親子関係を作る制度です。

同性パートナーの気持ちは、婚姻に相当する関係でしょう。

親子関係を作るのは、違和感があるかもしれません。

養親になる人と養子になる人が合意すれば、養子縁組をすることができます。

養子縁組をすることで、養子は養親の子どもになります。

養子は、養親の氏を名乗ります。

養子は、養親の親族になります。

養親が死亡した場合、子どもは相続人になります。

②パートナーシップ宣誓をすることができなくなる

同性パートナー間で養子縁組をした場合、法律上は親子です。

多くの場合で、パートナーシップ宣誓をすることができなくなります。

パートナーシップ宣誓をする条件に、親子関係がないことがあるからです。

③相続税の基礎控除が少なくなる可能性

同性パートナーが死亡したときに、相続税がかかることがあります。

相続財産が基礎控除の範囲内であれば、相続税はかかりません。

基礎控除は、次の計算式で求めることができます。

基礎控除=3000万円+600万円×法定相続人の人数

養子縁組をしなかった場合、兄弟姉妹が相続人であることがあります。

例えば、法定相続人になる兄弟姉妹が3人いた場合、基礎控除は4800万円です。

同性パートナー間で養子縁組をした場合、養子1人が法定相続人になるでしょう。

基礎控除は、3600万円になります。

養子縁組をすることで、たくさんの相続税を払うことになるおそれがあります。

4死因贈与契約で贈与

①遺留分は無視できない

死因贈与とは、贈与者が死亡したときに贈与する契約です。

死因贈与は契約だから、贈与する人と贈与を受ける人の合意で成立します。

贈与する人と贈与を受ける人の合意があっても、相続人の遺留分を奪うことはできません。

相続人の遺留分を侵害するような死因贈与契約を締結した場合、大きなトラブルになります。

遺留分権利者は、遺留分侵害額請求をすることができるからです。

死因贈与契約の内容より遺留分は、優先します。

②死因贈与執行者に手続はおまかせできる

死因贈与契約をする場合、執行者を選任することができます。

執行者は、死因贈与契約の内容を実現する人です。

執行者がいない場合、相続人全員が協力して死因贈与契約の内容を実現します。

執行者がいる場合、執行者が死因贈与契約の内容を実現してくれます。

相続人全員の協力は、不要です。

執行者を選任しておくと手続をおまかせすることができるから、安心です。

③贈与契約書は公正証書がおすすめ

死因贈与契約には、遺言書のような厳格な書き方ルールはありません。

贈与する人と贈与を受ける人の合意があれば、文書がなくても有効です。

死因贈与契約をしたと言っても、書面がないとだれも信用してくれないでしょう。

相続人とトラブルになることを避けるため、死因贈与契約は書面に取りまとめましょう。

死因贈与契約は公正証書にするのがおすすめです。

5特別縁故者は期待できない

①特別縁故者で財産を引き継ぐ

特別縁故者とは、被相続人に特別な縁故があったと認められた人です。

相続が発生したら、被相続人のものは相続人が相続します。

相続人になる人は、法律で決まっています。

相続人になる人がまったくいない場合、被相続人の財産は国庫に帰属します。

特別縁故者と家庭裁判所に認められた場合、被相続人の財産を引き継ぐことができます。

同性パートナーは法律上の配偶者でないだけで、事実上の配偶者でしょう。

同性パートナーが特別縁故者として認められることがあります。

特別縁故者として認められる可能性があるから、何も対策しなくていいという考えはおすすめできません。

②特別縁故者は相続人不存在のときだけ

法律上の相続人がいる場合、被相続人の財産は相続人が相続します。

特別縁故者が財産を受け継ぐ余地はありません。

③相続財産清算人選任の申立てに高額な予納金

特別縁故者として認めてもらう前提として、相続財産の清算が必要です。

被相続人の債権者がいる場合、債権者の支払いが先だからです。

相続財産の清算をする人は、家庭裁判所で選任してもらいます。

相続財産清算人選任の申立てには、予納金を納める必要があります。

財産規模にもよりますが、予納金は100万円程度になることが多いものです。

④特別縁故者はハードルが高い

特別縁故者は、家庭裁判所で認めてもらう必要があります。

特別縁故者であると主張するだけでは、認めてもらうことはできません。

家庭裁判所が納得する客観的証拠を準備する必要があります。

特別縁故者として認められるか認められないか家庭裁判所が判断します。

特別縁故者として認められても、わずかな財産だけ引き継ぐ決定がされる可能性があります。

6遺言書作成と遺言執行を司法書士に依頼するメリット

相続手続はタイヘンですが、相続人がいない場合もタイヘンです。

相続人がいないから、財産は国に持っていかれて、何もしなくていいと軽く考えがちです。

実際は、被相続人が死亡してから、国庫に帰属するまで1年以上の時間がかかります。

財産の内容によっては、100万円以上の費用の負担があることも見逃せません。

国に持っていかれるよりは、お世話になった人に受け継いでもらいたい、自分の気持ちを活かしてくれる慈善団体などに使ってもらいたいという気持ちがある人もいるでしょう。

お世話になった人に受け継いでもらいたい、自分の気持ちを活かしてくれる慈善団体などに使ってもらいたいという意思は遺言書で実現できます。

遺言書に、遺贈することを書き、遺言執行者を決めておけば、手間はかかりません。

お世話になった人は待っているだけで済みます。

遺言書は、書き方に細かいルールがあります。

細かいルールを守っていないと、遺言書は無効になってしまいます。

適切な遺言書作成と遺言執行者選任は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

認知された子どもは戸籍で判明

2025-02-06

1認知されると親子関係が発生する

芸能人や政治家などの有名人に隠し子がいたとか、認知したとか言う話題を聞いたことがある人もいるでしょう。

婚姻関係にないカップルの間に生まれた子どもについて、自分の子どもと認めることを認知と言います。

認知をして、自分の子どもだと認めるのは一般的には父親です。

婚姻関係にないカップルの間に生まれた子どもについて出生届が提出された場合、母の戸籍に入ります。

母が戸籍の筆頭者でない場合、新たに母が筆頭者の戸籍が作られます。

新しい戸籍に母と子どもが入ります。

同じ戸籍に入ることができるのは、2世代までだからです。

子どもの戸籍には、母は記載されますが父は空欄です。

出産の事実によって、母と子どもに親子関係が発生します。

出生届が出されただけでは、父と子どもに親子関係が発生しないからです。

母親が出産後に、捨て子をしたようなレアケースでは、母親も認知をすることがあり得ます。

認知をするには、市区町村役場に認知届を提出する必要があります。

母親に自分の子どもだと認めるだけでは、法律上の認知の効果はありません。

子どもは父に対して扶養を請求することも父を相続することもできません。

市区町村役場に認知届を提出した場合、戸籍に記載されます。

認知をしたことを家族に内緒にしておいても、戸籍を見れば分かります。

認知された子どもは、相続人になります。

2誕生後に認知届を提出すると戸籍に記載される

①父の戸籍に認知事項が記載される

役所に認知届を提出した場合、父と子どもに親子関係が発生します。

父が未成年である場合でも、単独で認知をすることができます。

親などの親権者の同意は不要です。

父と子どもに親子関係が発生しますから、父の戸籍に認知事項が記載がされます。

記載されるのは、次の事項です。

身分事項 認知

認知日 令和〇年〇月〇日

認知した子の氏名 〇〇〇〇

認知した子の戸籍 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号  〇〇〇〇

認知をしたことを家族に内緒にしておいても、戸籍を見れば分かります。

認知届を出すだけでは、認知された子どもが父の戸籍に入ることはありません。

認知された子どもは父の戸籍に入りませんが、父自身の戸籍の認知事項が記載されます。

他の家族が戸籍を見た場合、認知した事実が判明します。

②子どもの戸籍に認知事項が記載される

役所に認知届を提出した場合、父と子どもに親子関係が発生します。

子どもの戸籍の父の欄に、父の氏名が記載されます。

父と子どもに親子関係が発生しますから、子どもの戸籍に認知事項が記載がされます。

記載されるのは、次の事項です。

身分事項 認知

認知日 令和〇年〇月〇日

認知者の氏名 〇〇〇〇

認知者の戸籍 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号  〇〇〇〇

送付を受けた日 令和〇年〇月〇日

受理者 〇〇県〇〇市長

③認知された子どもの住所は子どもの戸籍の附票で判明

認知された子どもは、相続人になります。

被相続人が認知された子どもの存在を家族に秘密にしていることがあります。

家族は戸籍謄本収集の過程で、認知された子どもの存在を知るでしょう。

認知された子どもに相続手続の協力を求めたくても、連絡先が分かりません。

認知された子どもの戸籍謄本を取得したら、一緒に戸籍の附票を請求します。

戸籍の附票は、住民票の異動が記録されている書類です。

戸籍の附票は、本籍地のある市区町村役場に請求します。

相続人調査で戸籍謄本を集めますから、本籍は必ず判明します。

住民票上の住所は、戸籍の附票で調べることができます。

3胎児認知をしたら戸籍の附票に記載される

①胎児認知には母の承諾が必要

父親は子どもが誕生する前に認知届を出すことができます。

子どもが誕生する前に認知届を出すことを胎児認知と言います。

胎児認知をする場合、母の承諾が必要です。

母が未成年である場合でも、単独で承諾をすることができます。

親などの親権者の同意は不要です。

②胎児認知をしたら母の戸籍の附票に記載される

胎児認知届を提出した場合、子どもが誕生するまでは父の戸籍には何も記載されません。

母の戸籍の附票に記載がされるのみです。

③子どもの戸籍に認知事項が記載される

子どもの出生届が提出された時点で、子どもの戸籍が作られ認知事項が記載されます。

記載されるのは次の事項です。

身分事項 認知

胎児認知日 令和〇年〇月〇日

認知者の氏名 〇〇〇〇

認知者の戸籍 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号  〇〇〇〇

④父の戸籍に認知事項が記載される

子どもが誕生したことで父と子どもに親子関係が発生します。

出生届が提出されてから、父の戸籍に認知事項が記載がされます。

記載されるのは次の事項です。

身分事項 認知

胎児認知日 令和〇年〇月〇日

認知した子の氏名 〇〇〇〇

認知した子の戸籍 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号  〇〇〇〇

送付を受けた日 令和〇年〇月〇日

受理者 〇〇県〇〇市長

⑤子どもが誕生しなかった場合は戸籍には何も記載されない

仮に子どもが流産や死産であった場合、母の戸籍の附票から認知の記載が削除されます。

父の戸籍は何も記載されていないから、何も影響はありません。

4父の戸籍から認知事項が消える

戸籍の作り直し(改製)がされる場合や戸籍のお引越し(転籍)をする場合があります。

戸籍が新しく作り直しがされる場合、新しい戸籍に書き写される項目と書き写されない項目があります。

父の戸籍の認知事項は、新しい戸籍に書き写されない項目です。

父が認知したときの戸籍に認知事項が記載されても、作り直し(改製)やお引越し(転籍)があった場合、書き写されません。

新しい戸籍だけを見ると、認知事項がないから認知した子どもの存在に気付かないでしょう。

相続人調査をする場合、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要になります。

認知した子どもの存在の有無は、出生から死亡までの連続した戸籍謄本で証明できるからです。

5父の氏を名乗り父の戸籍に入るためには家庭裁判所の手続

認知届を出すだけでは、認知された子どもが父の戸籍に入ることはありません。

認知届を出すだけでは、認知された子どもが父の氏を名乗ることはありません。

子どもが父の氏を名乗り父の戸籍に入るためには家庭裁判所で手続が必要です。

子どもが父の氏を名乗り父の戸籍に入る手続を、子の氏の変更許可申立てと言います。

子の氏の変更許可申立ての提出先は、子どもの住所地を管轄する家庭裁判所です。

家庭裁判所の管轄は裁判所のホームページで調べることができます。

子の氏の変更許可申立てができるのは、子どもです。

子どもが15歳未満の場合は、親などの法定代理人が代理します。

子の氏の変更許可申立てに添付する書類は以下のとおりです。

①子どもの戸籍謄本

②父母の戸籍謄本

家庭裁判所で子の氏の変更許可がされた場合、市区町村役場へ届出が必要です。

市区町村役場へ届出をする場合、家庭裁判所が出す審判書謄本の他に戸籍謄本が必要になることがあります。

6相続人調査を司法書士に依頼するメリット

本籍地の変更や国による戸籍の作り直し(改製)で多くの方は、何通もの戸籍を渡り歩いています。

古い戸籍は現在と形式が違っていて読みにくかったり、手書きの達筆な崩し字で書いてあって分かりにくかったりしますから、慣れないと戸籍集めはタイヘンです。

本籍地を何度も変更している方や結婚、離婚、養子縁組、離縁を何度もしている方は、戸籍をたくさん渡り歩いているので、膨大な手間と時間がかかることが多くなります。

戸籍には被相続人の結婚や離婚、子どもや養子の存在といった身分関係がすべて記録されています。

ですから、時には家族の方が知らない相続人が明らかになることもあります。

相続が発生した後に、認知を求めて裁判になることもあります。

相続人を確定させるために戸籍を集めるだけでも、知識のない一般の人にはタイヘンな作業です。

家族の方が知らない相続人が明らかになると、精神的な負担はさらに大きいものになります。

相続手続のうち、専門家に任せられるものは任せてしまえば、事務負担を軽減することができます。

戸籍や住民票の取り寄せも司法書士は代行します。

相続人調査でお困りの方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

兄弟姉妹は相続人でも遺留分はない

2025-02-04

1兄弟姉妹は相続人になる

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②兄弟姉妹が先に死亡したら甥姪が代襲相続人

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することがあります。

これを代襲相続と言います。

被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。

相続人になるはずだった兄弟姉妹が被相続人より先に死亡することがあります。

相続人になるはずだった兄弟姉妹の子どもが代襲相続をします。

兄弟姉妹の子どもは、被相続人から見ると甥姪です。

兄弟姉妹が被相続人より先に死亡した場合、甥姪が代襲相続人になります。

甥姪が被相続人より先に死亡した場合、再代襲相続はしません。

兄弟姉妹の代襲相続は、一代限りだからです。

③子どもがいない夫婦の相続人は配偶者のみではない

被相続人の配偶者は、必ず相続人になります。

被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。

夫婦に子どもがいない場合、配偶者のみが相続人という考えているかもしれません。

被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。

兄弟姉妹が被相続人より先に死亡した場合、甥姪が代襲相続人になります。

配偶者のみが相続人になるのは、稀なケースです。

子どもがいない夫婦の相続人は、配偶者のみではありません。

④兄弟姉妹の相続分

配偶者がいる場合、法定相続分は次のとおりです

(1)相続人が配偶者と子ども 配偶者2分の1 子ども2分の1

(2)相続人が配偶者と直系尊属 配偶者3分の2 直系尊属3分の1

(3)相続人が配偶者と兄弟姉妹 配偶者4分の3 兄弟姉妹4分の1

兄弟姉妹が数人いる場合、人数で均等に分割します。

兄弟姉妹は、実父実母同じ兄弟姉妹だけではありません。

異父兄弟姉妹や異母兄弟姉妹が含まれるからです。

父だけ同じ兄弟姉妹や母だけ同じ兄弟姉妹は、父母同じ兄弟姉妹の半分になります。

父だけ同じ兄弟姉妹や母だけ同じ兄弟姉妹は、半血兄弟と言います。

2兄弟姉妹に遺留分はない

①遺留分は相続人の最低限の権利

遺言書を作成して、自分の財産をだれに受け継がせるかは自由に決めることができます。

とはいえ、財産は被相続人がひとりで築いたものではないでしょう。

家族の協力があったからこそ、築くことができた財産のはずです。

被相続人の名義になっているからといって、まったく無制約の自由にすることはできません。

今まで協力してきた家族に、酷な結果となることがあるからです。

被相続人に近い関係の相続人には、相続財産に対して最低限の権利が認められています。

遺留分とは、相続財産に対して認められる最低限の権利です。

②遺留分が認められる相続人

遺留分は、被相続人に近い関係の相続人にのみ認められます。

遺留分が認められる相続人は、次のとおりです。

・配偶者

・子ども

・親などの直系尊属

被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。

兄弟姉妹は相続人になっても、遺留分は認められません。

③甥姪に遺留分はない

遺留分が認められる人を遺留分権利者と言います。

兄弟姉妹は相続人になっても、遺留分権利者ではありません。

代襲相続とは、相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもが相続することです。

代襲相続があった場合、法定相続分と遺留分は受け継がれます。

甥姪が相続人になるケースは、相続人になるはずだった兄弟姉妹が被相続人より先に死亡したケースです。

兄弟姉妹が被相続人より先に死亡したため代襲相続が発生した場合、被代襲者の法定相続分と遺留分は受け継がれます。

被代襲者は、先に死亡した兄弟姉妹です。

兄弟姉妹には、遺留分がありません。

受け継ぐべき遺留分が認められていないから、代襲相続人にも遺留分は認められません。

甥姪が相続人になる場合、甥姪に遺留分は認められません。

④兄弟姉妹が相続人になるときは相続人調査が煩雑

相続が発生したら、相続人調査をします。

だれが相続人になるか、家族にとっては当然のことと軽く考えているでしょう。

兄弟姉妹が相続人になるときは、被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合です。

被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を取得します。

被相続人の父母それぞれについて、出生から死亡までの連続した戸籍謄本を取得します。

兄弟姉妹が先に死亡した場合、死亡した兄弟姉妹の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要です。

相続人になる人の現在戸籍も必要です。

兄弟姉妹が相続人になるときは、相続人調査が煩雑です。

3兄弟姉妹に遺留分がない理由

①兄弟姉妹は関係が遠いから

法定相続人は、配偶者、子ども、親などの直系尊属、兄弟姉妹です。

法定相続人の中で、兄弟姉妹は被相続人との血縁関係が遠いと言えます。

法定相続人の中で、兄弟姉妹は低い相続順位です。

遺留分を認める必要も低いと考えられています。

被相続人との関係が遠いから、兄弟姉妹は遺留分が認められません。

②兄弟姉妹は代襲相続ができるから

兄弟姉妹が被相続人より先に死亡すると、代襲相続が発生します。

代襲相続人は、兄弟姉妹の子どもです。

被相続人から見ると、甥姪の関係になります。

法定相続人の中で、兄弟姉妹は被相続人との血縁関係が遠いと言えます。

兄弟姉妹に遺留分を認める必要も低いと考えられています。

代襲相続が発生した場合、兄弟姉妹より関係が遠い甥姪が相続人になります。

兄弟姉妹ですら遺留分を認める必要も低いのだから、甥姪に遺留分を認める必要はさらに低いでしょう。

遺留分を認める必要が低い兄弟姉妹よりも、被相続人の意思を優先するべきと言えます。

代襲相続ができるから、兄弟姉妹は遺留分が認められません。

③兄弟姉妹は生計が別だから

財産は、被相続人がひとりで築いたものではないでしょう。

家族の協力があったからこそ、築くことができた財産のはずです。

今まで協力してきた家族のため、遺留分の制度があります。

兄弟姉妹は、被相続人と同じ世代です。

兄弟姉妹は、お互いに独立して生計を立てているでしょう。

被相続人が財産を築くにあたって、兄弟姉妹が大きな協力していることは少ないでしょう。

配偶者、子ども、親などの直系尊属の協力が大きいはずです。

配偶者、子ども、親などの直系尊属は、被相続人の財産に依存して生活をしていたでしょう。

配偶者、子ども、親などの直系尊属を優先するのが妥当であると考えられます。

生計が別だから、兄弟姉妹は遺留分が認められません。

4兄弟姉妹相続では相続トラブルになりやすい

①兄弟姉妹は遺留分侵害額請求をすることはできない

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

被相続人の財産は、原則として、被相続人の意思が最大限尊重されるべきものでしょう。

兄弟姉妹が相続人になる場合、兄弟姉妹に遺留分はありません。

被相続人が遺言書を作成した場合、一部の相続人はまったく財産を相続させない内容であることがあります。

財産をまったく相続させない遺言書であっても、兄弟姉妹は異議を述べることはできません。

兄弟姉妹には、遺留分がないからです。

例えば、次のケースで兄弟姉妹は相続人であっても財産を受け取ることができません。

●ケース1

「配偶者に全財産を相続させる」遺言書を作成することがあります。

相続人が配偶者と子どもである場合、子どもの遺留分が侵害されているでしょう。

子どもは、遺留分侵害額請求をすることができます。

相続人が配偶者と兄弟姉妹である場合、兄弟姉妹に遺留分は認められません。

兄弟姉妹は、異議を述べることはできません。

兄弟姉妹には遺留分が認められていないから、遺留分侵害額請求をすることはできません。

●ケース2

「慈善団体に全財産を相続させる」遺言書を作成することがあります。

相続人が配偶者と兄弟姉妹である場合、配偶者に遺留分は認められます。

配偶者は、遺留分侵害額請求をすることができます。

兄弟姉妹には遺留分が認められていないから、遺留分侵害額請求をすることはできません。

相続人が兄弟姉妹のみである場合、兄弟姉妹に遺留分は認められません。

兄弟姉妹には遺留分が認められていないから、遺留分侵害額請求をすることはできません。

②具体的なトラブル事例

●トラブル事例1

一部の相続人が相続財産を独り占めする事例

相続が発生したら、相続財産は相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

分け方に合意ができないまま、一部の相続人が独り占めすることで大きなトラブルになります。

●トラブル事例2

相続人調査で異父兄弟や異母兄弟が見つかる事例

相続人調査をすると、思いもよらない相続人が見つかることがあります。

一部の相続人を含めずに、相続財産の分け方を合意しても無効です。

●トラブル事例3

甥姪が代襲相続人になる事例

兄弟姉妹相続では、相続人間の関係が薄いことが多いでしょう。

甥姪は、兄弟姉妹より若い世代です。

兄弟姉妹から一方的な主張をされて不満を持つと、トラブルに発展します。

上記のトラブルを防止するためには、遺言書を作成するといいでしょう。

財産の分け方を指定すると、相続財産の分け方について話し合う必要がないからです。

遺言書で遺言執行者を決めておくと、遺言書を確実に実現してくれます。

相続トラブルを防止するために、公正証書遺言の作成がおすすめです。

③遺言書の内容と異なる遺産分割協議ができる

遺言書があれば、遺言書のとおりに遺産分割をすることができます。

ときには相続人全員が他の分け方の方がいいと考えていることがあります。

相続人全員にとって不都合になる遺言書をあえて執行する必要はありません。

相続人全員で、相続財産の分け方を合意した方が合理的です。

遺言書の内容と異なる遺産分割協議をするためには、相続人全員の合意が必要です。

相続人全員が合意すれば、遺言書の内容と異なる内容で遺産分割協議をすることができます。

④公正証書遺言がおすすめ

遺言書を作成する場合、自筆証書遺言か公正証書遺言を作ることがほとんどです。

自筆証書遺言は、自分で書いて作る遺言書です。

公正証書遺言は、遺言内容を公証人に伝え公証人が書面に取りまとめる遺言書です。

遺言書には、厳格な書き方ルールがあります。

書き方ルールに違反した遺言書は、無効になります。

遺言者が法律に詳しいことは、あまりないでしょう。

公証人は、法律の専門家です。

公正証書遺言が書き方ルールの違反で、無効になることは考えられません。

遺言書の内容に不満があると、遺言書の無効を主張するでしょう。

公正証書遺言は公証人が関与するから、高い信頼性があります。

相続トラブルを防止するために、公正証書遺言の作成がおすすめです。

5遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

自筆証書遺言の多くは、専門家のサポートなしで一人で作ります。

その結果、遺言書の厳格な書き方ルールが守られておらず、無効になってしまいます。

相続人間でトラブルに発展するでしょう。

せっかく遺言書を作るのなら確実な公正証書遺言をおすすめします。

司法書士などの専門家は、相続人になる予定の人の遺留分にも配慮します。

遺言書文案作成から公正証書遺言作成、遺言執行まで、司法書士がトータルでサポートします。

司法書士からトータルでサポートを受けると、遺言者は確実な遺言書を作成できるので安心できるでしょう。

相続発生後も、相続人は面倒な相続手続から解放されます。

遺言者も家族も安心できる公正証書遺言作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

特別養子は相続人

2025-02-02

1特別養子と普通養子のちがい

①特別養子は家庭裁判所の審判が必要

養子には、2種類あります。

特別養子と普通養子です。

養子縁組とは、血縁関係による親子関係の他に、法律上の親子関係を作る制度です。

子どものいない夫婦が養子縁組をする、配偶者の連れ子と養子縁組するといったことは日常的に聞くことあります。

一般的に、単に「養子」と言ったら、普通養子を指していることがほとんどです。

普通養子では、養子縁組をする当事者が合意が重視されます。

当事者が合意をして、市区町村役場に届出をするだけで手続ができます。

特別養子は、子どもの福祉が重視されます。

子どもの福祉のために家庭裁判所が慎重に判断して決定します。

②特別養子になると実親との親子関係がなくなる

特別養子では、養子縁組をした後、血縁関係のある実親との親子関係がなくなります。

親子の縁を切る重大な決定なので、厳格な要件が満たされたときだけ特別養子が認められます。

実の父母による著しい虐待がある場合やその他特別の事情がある場合で、かつ、子の利益のため特に必要があるときです。

特別養子になると、実親との親子関係がなくなります。

特別養子は、養親を相続しますが、実親は相続しません。

特別養子になると実親との親子関係がなくなりますから、父から認知を受けないまま特別養子になった場合、実の父はもはや認知をすることができなくなります。

配偶者の嫡出子である実子と特別養子縁組をする場合、特別養子は実親である養親の配偶者との親子関係が存続します。

実親である養親の配偶者が死亡した場合、特別養子は相続人になります。

実親である養親の配偶者が死亡した後、実親である養親の配偶者の親が死亡した場合、代襲相続人になります。

③相続税の基礎控除が増える

相続税を計算する場合には、基礎控除があります。

相続税の基礎控除=3000万円+法定相続人の人数×600万円

基礎控除が増えれば、その分だけ相続税が少なく済みます。

法定相続人として相続税の基礎控除を計算するとき、実子がいない場合で、かつ、普通養子がいる場合は2人まで含めることができます。

実子がいる場合で、かつ、普通養子がいる場合は1人まで含めることができます。

特別養子がいる場合、法定相続人に含める人数に制限はありません。

2特別養子には厳格な条件がある

①養親は結婚している人であること

特別養子の養親になるためには、配偶者がある人でなければなりません。

配偶者は法律上の配偶者に限られます。

内縁・事実婚の配偶者や同性パートナーは、特別養子を迎えることはできません。

夫婦共同で養親になる必要があります。

養子が一方の血縁関係のある嫡出子である場合は、配偶者のみ特別養子になることができます。

②養親は25歳以上であること

特別養子の養親になるためには、養親は25歳以上でなければなりません。

夫婦のうち一方が25歳以上であれば他方が25歳未満であっても、構いません。

③養子は15歳未満であること

特別養子の申立てをする時点で15歳であれば特別養子になることができます。

家庭裁判所が特別養子を成立させるまでに18歳になってしまったら特別養子になることはできません。

養子が15歳になる前から引き続き監護をされている場合で、かつ、やむを得ない理由で特別養子の申立てができなかった場合は特別養子になることができます。

やむを得ない理由があるかは、家庭裁判所が決定します。

やむを得ない理由があると認められて、かつ、養子が18歳未満であれば特別養子になることができます。

④養子が15歳以上であれば養子の同意があること

特別養子は子どもの福祉のために成立させる制度です。

15歳未満であれば養子の同意は必要ありませんが、子どもの意思は重視されます。

⑤実親の同意があること

特別養子では、養子縁組をした後、血縁関係のある実親との親子関係がなくなります。

実親の同意が必要になります。

次の場合は、実親の同意は必要ありません。

(1)父母が意思表示ができないとき

(2)父母による虐待、悪意の遺棄があるとき

(3)養子となる子どもの利益を著しく害するとき

一定の条件がある場合、父母の同意は撤回することができません。

⑥監護期間が6か月以上あること

養親による監護期間が6か月以上あることが条件になります。

養親による監護期間がスタートしたときには、実親が特別養子に同意していなくても構いません。

実親が特別養子に同意するか同意しないか分からない状態で、監護をスタートするのは精神的に負担が大きいものです。

3特別養子の離縁はほとんど認められない

特別養子は、子どもの福祉が重視される制度です。

当事者のが合意すれば縁組できる普通養子とは違い、家庭裁判所が慎重に審査して決定します。

特別養子の離縁は、縁組以上に非常に厳格な条件があります。

事実上、認められることはないと言っていいでしょう。

特別養子の離縁の申立てすら、ほとんどありません。

特別養子で離縁ができるのは、次の条件すべて満たした場合です。

①養子の利益のために特に必要があると認めるとき

②養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する理由があるとき

③実父母が相当の監護をすることができるとき

特別養子は、実父母による監護ができないか監護が不適当である場合に成立されているケースが多いです。

①~③の条件をすべて満たすのは相当困難で、事実上、不可能と言えるでしょう。

養子が成人したら、離縁をすることができなくなります。

③実父母による監護をすることができるときが条件になっているからです。

成人したら父母による監護が不要になります。

養子が成人になったら、③実父母による監護をすることができるときが満たせなくなるからです。

4特別養子は戸籍調査で判明する

①特別養子は実親の戸籍→養子ひとりの戸籍→養親の戸籍へ異動する

特別養子であることは、戸籍を読み解けば判明します。

特別養子は、実親の戸籍→養子ひとりの戸籍→養親の戸籍へ異動します。

特別養子であることは他人に知られたくないと考える人も多いでしょう。

特別養子の福祉のため、専門的な知識がないとカンタンには分からないような配慮がされています。

②実親の戸籍の記載例

身分事項 特別養子縁組

【特別養子縁組の裁判確定日】 令和〇年〇月〇日

【届出日】 令和〇年〇月〇日

【届出人】 養父母

【送付を受けた日】 令和〇年〇月〇日

【受理者】 〇〇県〇〇市長

【新本籍】 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号

【縁組後の氏】 〇〇

この記載がされると、実親の戸籍から除籍されますから、除籍と記載されています。

③養子ひとりの戸籍の記載例

本籍 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号(実親の本籍地)

氏名 〇〇〇〇(養親の氏)

戸籍に記録されている者

名 〇〇

生年月日 令和〇年〇月〇日

父 〇〇〇〇(養父の氏名)

母 〇〇〇〇(養母の氏名)

続柄 長男

(途中省略)

身分事項 特別養子縁組

【特別養子縁組の裁判確定日】 令和〇年〇月〇日

【養父氏名】 〇〇〇〇

【養母氏名】 〇〇〇〇

【届出日】 令和〇年〇月〇日

【届出人】 父母

【送付を受けた日】 令和〇年〇月〇日

【受理者】 〇〇県〇〇市長

【従前戸籍】 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号 〇〇〇〇

【入籍戸籍】 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号 〇〇〇〇

実親の本籍地と同じ本籍地、養親の氏の名前で、養子が筆頭者になった新戸籍が作られます。

普通養子のように養父、養母ではなく、父母の欄に、養親の氏名が記載されます。

続柄の欄には、普通養子のように養子、養女ではなく、長男、長女などと記載されます。

新戸籍が作られたら、その日のうちに除籍されて養親の戸籍に入籍します。

④養親の戸籍の記載例

身分事項 民法817条の2

【民法817条の2による裁判確定日】 令和〇年〇月〇日

【届出日】 令和〇年〇月〇日

【届出人】 父母

【従前戸籍】 〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号 〇〇〇〇

養親の身分条項には、何も記載がされません。

養子の身分事項にだけ、民法817条の2と記載がされます。

法律の専門知識がない人が見ても、何のことか分からないでしょう。

従前戸籍に実親の本籍地と同じ本籍地が記載されるものの、筆頭者は養子本人です。

実親の氏名は、記載されません。

特別養子であることを知られたくない人のための配慮がされています。

特別養子であることを知られたくない人のための配慮がされています。

5相続人調査を司法書士に依頼するメリット

本籍地の変更や国による戸籍の作り直し(改製)で多くの方は、何通もの戸籍を渡り歩いています。

古い戸籍は現在と形式が違っていて読みにくかったり、手書きの達筆な崩し字で書いてあって分かりにくかったりしますから、慣れないと戸籍集めはタイヘンです。

本籍地を何度も変更している方や結婚、離婚、養子縁組、離縁を何度もしている方は、戸籍をたくさん渡り歩いているので、膨大な手間と時間がかかることが多くなります。

戸籍には被相続人の結婚や離婚、子どもや養子の存在といった身分関係がすべて記録されています。

時には家族の方が知らない相続人が明らかになることもあります。

相続が発生した後に、認知を求めて裁判になることもあります。

相続人を確定させるために戸籍を集めるだけでも、知識のない一般の人にはタイヘンな作業です。

家族の方が知らない相続人が明らかになると、精神的な負担はさらに大きいものになります。

相続手続のうち、専門家に任せられるものは任せてしまえば、事務負担を軽減することができます。

戸籍や住民票の取り寄せも司法書士は代行します。

相続人調査でお困りの方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

代襲相続人の遺留分

2025-01-28

1 代襲相続とは

①相続人が先に死亡したら代襲相続

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

子どもが相続人になるはずだったのに、被相続人より先に死亡することがあります。

相続人になるはずだった子どもが先に死亡した場合、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続します。

代襲相続とは、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することです。

相続人になるはずだった人が先に死亡したら、代襲相続ができます。

②相続欠格になると代襲相続

欠格とは、相続人としてふさわしくない人の相続資格を奪う制度のことです。

欠格になる理由は法律で定められています。

相続人が相続欠格になる場合、代襲相続ができます。

③相続人が廃除されたら代襲相続する

相続人廃除とは、被相続人の意思で、相続人の資格を奪う制度のことです。

例えば、被相続人に虐待をした人に、相続をさせたくないと考えるのは自然なことでしょう。

相続人廃除は家庭裁判所に申立てをして、家庭裁判所が判断します。

相続人が廃除された場合、代襲相続ができます。

④孫が先に死亡すると再代襲相続

相続人になるはずだった子どもが先に死亡したら、孫が代襲相続ができます。

代襲相続人になるはずだった孫が先に死亡したら、曽孫が代襲相続ができます。

再代襲相続とは、相続人になるはずだった人の子どもの子どもが相続することです。

相続人になるはずだった人が子どもである場合、再代襲に制限はありません。

直系卑属がいる限り、どこまでも続きます。

直系卑属とは、直接的に親子関係でつながる下の世代の人です。

孫が先に死亡すると、再代襲相続ができます。

⑤兄弟姉妹の代襲相続は一代限り

被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。

相続人になるはずだった兄弟姉妹が先に死亡したら、甥姪が代襲相続ができます。

代襲相続人になるはずだった甥姪が先に死亡したら、甥姪の子どもが代襲相続ができません。

相続人になるはずだった人が兄弟姉妹である場合、再代襲はできません。

昭和23年1月1日から昭和55年12月31日に開始した相続については、再代襲相続ができました。

兄弟姉妹の代襲相続は、一代限りです。

2遺留分とは

①遺留分は最低限の権利

被相続人は、生前に自分の財産を自由に処分することができます。

遺言書を作成して、自分の財産をだれに引き継がせるのか自由に決めることができます。

被相続人の名義になっているとは言っても、無制約の自由にすることはできません。

財産はひとりで、築いたものではないでしょう。

家族の協力があってこそ、築くことができたはずです。

無制約の自由にすると、今まで協力してきた家族に酷な結果となるおそれがあります。

被相続人に近い関係の相続人には、最低限の権利が認められます。

遺留分とは、相続人に認めれる最低限の権利です。

②兄弟姉妹に遺留分は認められない

遺留分は、被相続人の近い関係の相続人に認められます。

具体的には、次の相続人に遺留分が認められます。

(1)配偶者

(2)子ども

(3)親などの直系尊属

被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。

兄弟姉妹は相続人になっても、遺留分は認められません。

兄弟姉妹には、遺留分は認められません。

③遺留分割合の具体例

●事例1

相続人が配偶者、子どもが1人の場合

・法定相続分

配偶者 2分の1

子ども 2分の1

・遺留分

配偶者 4分の1

子ども 4分の1

●事例2

相続人が配偶者、子どもが2人の場合

・法定相続分

配偶者 2分の1

子ども それぞれ4分の1

・遺留分

配偶者 4分の1

子ども それぞれ8分の1

●事例3

相続人が配偶者、子ども1人、先に死亡した子どもの子ども2人(代襲相続人)の場合

・法定相続分

配偶者 2分の1

子ども 4分の1

子どもの子ども(代襲相続人) 8分の1

・遺留分

配偶者 4分の1

子ども 8分の1

子どもの子ども(代襲相続人) 16分の1

●事例4

相続人が配偶者、兄弟姉妹が1人の場合

・法定相続分

配偶者 4分の3

兄弟姉妹 4分の1

・遺留分

配偶者 2分の1

兄弟姉妹 なし

3代襲相続人の遺留分

①遺留分が認められる代襲相続人

相続人になるはずだった配偶者が先に死亡した場合、代襲相続はできません。

相続人になるはずだった配偶者に連れ子がいても、連れ子は代襲相続人ではありません。

相続人になるはずだった子どもが先に死亡した場合、代襲相続はできます。

相続人になるはずだった親などの直系尊属が先に死亡した場合、代襲相続はできません。

相続人になるはずだった兄弟姉妹が先に死亡した場合、代襲相続はできます。

代襲相続はできるのは、子どもと兄弟姉妹が先に死亡したケースだけです。

子どもが相続人になる場合、遺留分が認められます。

子どもが先に死亡した場合、代襲相続人が遺留分を引き継ぎます。

兄弟姉妹が相続人になる場合、遺留分が認められません。

兄弟姉妹が先に死亡した場合、代襲相続人に引き継ぐ遺留分がありません。

遺留分が認められる代襲相続人は、先に死亡した子どもの代襲相続人のみです。

具体的には、孫や曽孫です。

②代襲相続人は子どもの遺留分を引き継ぐ

子どもが先に死亡した場合、代襲相続人が遺留分を引き継ぎます。

代襲相続があっても代襲相続がなくても、他の相続人に留分に影響はありません。

相続人になるはずだった子どもの遺留分を引き継ぐだけだからです。

代襲相続人が複数いることがあるでしょう。

先に死亡した子どもの遺留分を細分化して、引き継ぎます。

代襲相続人は、子どもの遺留分を引き継ぎます。

③甥姪に遺留分は認められない

兄弟姉妹が相続人になる場合、遺留分が認められません。

兄弟姉妹が先に死亡した場合、代襲相続人に引き継ぐ遺留分がありません。

甥姪は代襲相続をしても、遺留分が認められません。

④代襲相続させない遺言書があっても遺留分

遺言書を作成して、自分の財産をだれに引き継がせるのか自由に決めることができます。

遺留分は、被相続人の近い関係の相続人に認められた最低限の権利です。

遺言書を作成するだけで、遺留分を奪うことはできません。

甥姪には、遺留分が認められません。

甥姪に相続させない遺言書があった場合、甥姪は何も言うことはできません。

孫や曽孫には、遺留分が認められます。

配分された財産が遺留分に満たない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

代襲相続させない遺言書があっても、遺留分侵害額請求をすることができます。

4遺留分侵害額請求をする方法

①遺言書があっても遺産分割協議

遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話合いです。

遺言書を作成して、自分の財産をだれに引き継がせるのか自由に決めることができます。

遺言書があまりに偏った内容である場合、相続人はがっかりするでしょう。

配分された財産が遺留分に満たない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分侵害額請求をすると、相続人間で深刻なトラブルに発展するおそれがあります。

トラブルに発展するおそれがある遺言書なのに、わざわざ執行してトラブルにする必要はありません。

相続人全員で、分け方を合意した方が合理的です。

遺言書があっても、遺産分割協議をすることができます。

②遺留分侵害額請求権は最短1年で時効消滅

遺留分を侵害された相続人は、遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分侵害額請求権は、最短1年で時効消滅します。

1年のスタートは、相続が開始したことと遺留分が侵害されていることの両方を知ってからです。

相続が開始してから10年経過すると、除斥期間によって権利消滅します。

すみやかに遺留分侵害額請求をする必要があります。

③遺産分割協議の申入れが遺留分侵害額請求にならない可能性

遺言書を確認したところ、内容が遺留分を侵害していることがあります。

相続人が遺言書が無効であると主張して遺産分割協議を申入れる場合、相続人全員で合意できるのは難しいでしょう。

遺留分侵害額請求権は、最短1年で時効消滅します。

遺産分割協議の申入れと同時に、遺留分侵害額請求をする意思を明確に表示することが大切です。

遺産分割協議の申入れが遺留分侵害額請求にならない可能性があります。

④遺留分侵害額請求は配達証明付き内容証明郵便で

内容証明郵便は、郵便サービスのひとつです。

どのような内容の文書をだれからだれに差し出したか郵便局が証明してくれます。

内容証明郵便に、オプションで配達証明をつけることができます。

配達証明で、配達した事実を証明してもらうことができます。

遺留分侵害額請求の方式は、決められていません。

証拠が残らない場合、相手方が請求を受けていないと反論するでしょう。

時効消滅した後に遺留分侵害額請求をした場合、請求は認められません。

配達証明付き内容証明郵便で遺留分侵害額請求をした場合、相手方にきちんと請求したことを証明することができます。

遺留分侵害額請求は、配達証明付き内容証明郵便がおすすめです。

⑤合意できなければ遺留分侵害額請求調停の申立て

遺留分は、相続財産に対して認められる最低限の権利です。

財産を渡したくないという気持ちがあると、遺留分侵害額請求に応じてもらえないかもしれません。

遺留分侵害額請求に応じてもらえない場合、遺留分侵害額請求調停の申立てをすることができます。

調停とは、家庭裁判所のアドバイスを受けてする話合いです。

相続人だけで合意できなければ、遺留分侵害額請求調停の申立てをすることができます。

⑥調停が成立しなければ遺留分侵害額請求訴訟

調停員から公平なアドバイスを受けても、当事者が一方的な主張を続けることがあります。

調停手続で解決できない場合、遺留分侵害額請求訴訟を提起することができます。

遺留分侵害額請求訴訟を提起したら、適切に主張し証拠を提出することが重要です。

不当な主張であっても適切に反論しないと、相手側の主張どおりの決定がされるからです。

遺留分侵害額請求に応じないとき、遺留分侵害額請求訴訟を提起することができます。

5代襲相続がある相続を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、被相続人の財産は相続財産になります。

相続財産は、相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方を決めるためには、相続人全員の合意が必要です。

相続人の一部を含めない合意や相続人でない人を含めた合意は無効になります。

相続財産の分け方の話し合いの前提として、相続人の確定と相続分の確認はとても重要です。

代襲相続や数次相続が発生している場合、一挙に難易度が上がります。

インターネットが普及したことで、多くの情報を手軽に得ることができるようになりました。

インターネット上には、適切でない情報も有益な情報もたくさん出回っています。

相続の専門家と名乗っていながら、適切でないアドバイスを見かけることも度々あります。

代襲相続や数次相続が発生している場合、信頼できる専門家のサポートが欠かせません。

スムーズに相続手続を行いたい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

死亡届提出から戸籍反映まで2週間程度

2025-01-15

1家族が死亡したら死亡届提出

①死亡届は戸籍法の届出

人が死亡したら、死亡届の提出が義務付けられています。

死亡届は、戸籍法の定めにより行う届出です。

死亡届を提出する場合、死亡診断書(死体検案書)が必要になります。

死亡届と死亡診断書(死体検案書)は、1枚の用紙に印刷されています。

左半分が死亡届で、右半分が死亡診断書(死体検案書)です。

死亡届は、届出人が記載します。

死亡診断書(死体検案書)は、医師が記載します。

死亡診断書と死体検案書は、人の死亡を医学的・法律的に証明する文書です。

死亡診断書は、医師が診療していた傷病に関連して死亡したときに作成されます。

死体検案書は、医師が診療していた傷病に関連して死亡したとき以外に作成されます。

死亡診断書と死体検案書の効力に、ちがいはありません。

死亡届を提出すると、戸籍に死亡が記録され住民登録が抹消されます。

②死亡届の提出先

死亡届の提出先は、次の市区町村役場です。

(1)死亡した人の本籍地

(2)届出人の住所地

(3)死亡地

死亡した人の住所地の市区町村役場に、提出することはできません。

③死亡届の提出期限

死亡届の提出には、提出期限があります。

死亡の事実を知ってから、7日以内です。

国外で死亡した場合は、死亡の事実を知った日から3か月以内です。

④死亡届の届出人

死亡届の届出人は、次のとおりです。

(1)同居の親族

(2)その他の同居人

(3)家主、地主又は家屋若しくは土地の管理人

上記の人は順序に関わらず、届出人になることができます。

次の人は、届出をすることができます。

(1)同居の親族以外の親族

(2)後見人、保佐人、補助人、任意後見人

(3)任意後見受任者

死亡届の届出義務は、ありません。

⑤届出人が記入した後に使者が市区町村役場に提出できる

死亡届は、届出人が記載します。

死亡診断書(死体検案書)は、医師が記載します。

届出人と医師が記入したら、死亡届はできあがりです。

できあがった死亡届は、だれが市区町村役場に持って行っても構いません。

市区町村役場に持って行く人は、届出人ではなく使者だからです。

葬儀業者の人が使者として市区町村役場に持って行っても差し支えありません。

⑥死亡届提出後に埋火葬許可証

死亡届の提出と一緒に、埋火葬許可証の発行申請をします。

埋火葬許可証とは、死亡した人を埋火葬する許可を証明する書類です。

死亡してから24時間経過した後、火葬します。

埋火葬許可証がないと、火葬を執行することができません。

火葬を執行すると、埋火葬許可証に執行済のスタンプが押されます。

執行済の埋火葬許可証は、納骨のときにも必要になります。

無くさないように、大切に保管しましょう。

2死亡届提出から戸籍反映まで2週間程度

①死亡を戸籍に記載するのは本籍地の市町村

戸籍とは、その人の身分関係が記録されている帳簿です。

本籍地の市町村役場に、備えてあります。

死亡届は、死亡した人の本籍地の市区町村役場に提出することができます。

提出された市区町村役場で、死亡届は処理されます。

本籍地の市区町村役場に提出した場合、死亡届提出から戸籍反映までおおむね1週間程度かかります。

提出した市町村役場で処理するから、比較的早く戸籍に反映します。

死亡届は、本籍地以外にも届出人の住所地や届出人の住所地に提出することができます。

本籍地以外の市区町村役場に提出した場合、受付をするだけです。

死亡届は、本籍地の市町村役場に回送されます。

少なくとも、回送する手間と時間分は余計に時間がかかります。

回送の時間を考えると、戸籍に反映するまで時間がかかります。

本籍地以外の市区町村役場に提出した場合、死亡届提出から戸籍反映までおおむね2週間程度かかります。

②死亡の記載例

死亡届が提出されると、戸籍に死亡事項が記録されます。

戸籍には、次のように記載されます。

【死亡日】令和〇年〇月〇日

【死亡時分】午後〇時〇分

【死亡地】愛知県名古屋市中区

【届出日】令和〇年〇月〇日

【届出人】親族 〇〇〇〇

相続手続において、死亡日が最も重要です。

死亡日によって、相続人が決まるからです。

複数の人が死亡した場合、死亡の前後で相続人が変わります。

相続人になるはずだった人が先に死亡した場合、代襲相続になります。

相続人が後に死亡した場合、数次相続になります。

同じ日に死亡した場合、時分を見て前後を判断します。

代襲相続では、被代襲者の直系卑属が代襲相続人になります。

相続人になるはずだった人に配偶者がいる場合、配偶者は相続人になりません。

配偶者は、直系卑属ではないからです。

数次相続では、死亡した相続人の相続人が相続します。

死亡した相続人に配偶者がいる場合、配偶者は相続人になります。

配偶者は、必ず相続人になるからです。

相続人調査は、戸籍の記載を見て慎重に判断します。

③相続手続で死亡が記載された戸籍謄本が必要になる

相続手続では、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要になります。

死亡届を提出した直後に、戸籍謄本を取得しても死亡が反映していません。

死亡が記載されていない戸籍謄本では、相続手続を進めることはできません。

相続手続では、死亡が記載された戸籍謄本が必要になります。

④失踪宣告がされたときの戸籍の記載例

戸籍には、次のように記載されます。

【死亡とみなされる日】令和〇年〇月〇日

【失踪宣告の裁判確定日】令和〇年〇月〇日

【届出日】令和〇年〇月〇日

【届出人】親族 〇〇〇〇

家族が行方不明になってから、長期間経過していることがあります。

相当長期間、行方不明になっている場合、死亡している可能性が高い場合があります。

条件を満たした場合、死亡の取り扱いをすることができます。

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告がされたら、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。

残された家族のために、行方不明者を死亡したものと扱う制度が失踪宣告の制度です。

失踪宣告がされると、死亡した取り扱いをします。

死亡の取り扱いがされるから、相続が発生します。

失踪宣告によって相続が発生する場合、死亡とみなされる日が最も重要です。

死亡とみなされる日によって、相続人が決まるからです。

相続人調査は、戸籍の記載を見て慎重に判断します。

⑤認定死亡の戸籍の記載例

認定死亡があったとき、戸籍には次のように記載されます。

【死亡日】令和〇年〇月〇日

【死亡時分】推定午後〇時

【死亡地】千葉県南房総市沖

【報告日】令和〇年〇月〇日

【報告者】館山警察署長

大災害や大事故に巻き込まれたとき、遺体が発見できないことがあります。

遺体が見つからないと、行方不明と言わざるを得ません。

医師が死亡診断書を作成することができないからです。

大災害や大事故に巻き込まれて死亡の可能性が非常に高いのに、行方不明と扱うのは不都合が多いでしょう。

認定死亡とは、大災害や大事故に巻き込まれて死亡の可能性が非常に高いときに官公署の報告で死亡と取り扱う制度です。

官公署による死亡の報告で、戸籍に死亡の記載がされます。

認定死亡で相続が発生します。

相続人調査は、戸籍の記載を見て慎重に判断します。

⑥高齢者消除の戸籍の記載例

高齢者消除があったとき、戸籍には次のように記載されます。

【高齢者消除の許可日】令和〇年〇月〇日

【除籍日】令和〇年〇月〇日

100歳を大幅に超えているにもかかわらず、戸籍に死亡の記載がない人がたくさんいます。

高齢者消除とは、100歳以上の高齢者で所在不明の人について法務局長の許可を得て戸籍から消除する制度です。

高齢者消除は、単なる戸籍の整理作業に過ぎません。

失踪宣告や認定死亡とちがい、死亡と扱われません。

「高齢者につき死亡と認定」と記載がされるものの、死亡ではありません。

高齢者消除は戸籍に死亡と認定と書かれても、相続が発生しません。

高齢者消除されていても、生きている扱いだからです。

高齢者消除されている人は、現実的にも死亡の可能性が非常に高いでしょう。

死亡と扱うためには、あらためて失踪宣告を受ける必要があります。

相続人調査は、戸籍の記載を見て慎重に判断します。

3死亡届は提出前にコピー

①死亡届のコピーが必要になるケース

死亡届は、提出先の市区町村役場の窓口に提出します。

書類に問題がなければ、受理されます。

受理された後、死亡届は返却されません。

死亡届を提出する前に、コピーを取っておきましょう。

死亡届と死亡診断書(死体検案書)は、セットになっています。

死亡届と死亡診断書(死体検案書)のコピーが必要になるからです。

例えば、次の手続で必要になります。

(1)健康保険の喪失

(2)雇用保険の喪失

(3)労災保険の請求

(4)生命保険の請求

(5)自動車保険・損害保険の手続

(6)携帯電話の解約

(7)国民年金・厚生年金・共済年金の受給

(8)埋葬料・葬祭費の請求

(9)自動車などの名義変更

(10)公共料金の名義変更

上記を参考にして、多めにコピーを取っておきましょう。

②死亡届のコピーをとるタイミング

死亡が確認されたら、医師が死亡診断書(死体検案書)を作成します。

死亡日当日に死亡診断書(死体検案書)が渡されます。

届出人が死亡届を作成します。

死亡届を市区町村役場に提出するのは、死亡日当日か翌日でしょう。

死亡届を提出する場合、一緒に埋火葬許可証の発行申請をします。

火葬するためには、埋火葬許可証が必要です。

火葬場を予約するため、死亡届の提出が最優先になります。

少なくとも死亡日の翌日までに死亡届のコピーを取っておくのがおすすめです。

家族が死亡すると、親戚や知人への連絡で忙しくなります。

死亡届の提出期限は、7日以内です。

火葬することを考えると、余裕はありません。

葬儀業者の人に死亡届を提出してもらう場合、コピーも一緒に依頼するといいでしょう。

③コピーを忘れたら死亡届記載事項証明書を請求

市区町村役場で死亡届が受理されたら、返却されません。

死亡届のコピーを忘れた場合、死亡届記載事項証明書を発行してもらうことができます。

死亡届記載事項証明書を請求できるのは、利害関係がある人で、かつ、特別な理由がある場合だけです。

死亡届記載事項証明書の請求先は、市区町村役場か法務局のいずれかです。

死亡届のコピーを忘れたら、死亡届記載事項証明書を請求します。

④コピーを忘れたら死亡診断書や埋火葬許可証で

市区町村役場で死亡届が受理されたら、返却されません。

死亡届は、原則として、非公開です。

死亡届記載事項証明書を請求できる人は、限られています。

死亡届記載事項証明書を請求できる人であっても特別な理由が認められない場合、発行してもらえません。

死亡届のコピーを忘れた場合、別の書類を提出することができるかもしれません。

手続先に問い合わせてみましょう。

多くの手続先は、死亡の確認がしたいだけでしょう。

死亡の事実を確認する方法は、複数あります。

医師に依頼して、死亡診断書を作成してもらうことができます。

埋火葬許可証や埋火葬許可証発行済証明書を用意できるでしょう。

死亡の記載がある住民票や戸籍謄本を取得できます。

死亡届のコピーを忘れても、手続ができなくなることはありません。

4遺産承継サポート(遺産整理業務)を司法書士に依頼するメリット

家族が死亡した場合、最初に行う手続が死亡届の提出です。

たくさんの相続手続が始まります。

大切な家族を失ったら大きな悲しみに包まれます。

悲しみに包まれていても、日常の家事や仕事をする必要があります。

たくさんの用事と相続手続が押し寄せてきます。

相続は一生の間に、何回も経験するものではありません。

相続手続で使われる言葉の多くは、法律用語です。

ふだん聞き慣れない言葉があふれています。

ほとんどの人にとって、相続手続は不慣れなものです。

大切な家族を亡くして、力を落としているでしょう。

相続手続をするのは、大きな負担になります。

事例によっては、家庭裁判所の助力が必要になる場合があります。

専門家のサポートがないと難しい手続があります。

司法書士などの専門家に、相続手続を丸ごと依頼することができます。

確実に相続手続をしたい方は司法書士などの専門家に遺産整理業務を依頼することをおすすめします。

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