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特別縁故者が受け取れる財産
1特別縁故者に相続財産が分与される
①相続人不存在で相続財産は国庫帰属
天涯孤独の人に、相続人はいません。
相続人がいても、相続放棄をすることがあります。
家庭裁判所で相続放棄が認められると、はじめから相続人でなくなります。
相続人がまったくいない場合、相続財産は国庫に帰属します。
②特別縁故者が受け取れる財産が相続財産を受け取れる
特別縁故者とは、被相続人に特別な縁故があった人です。
相続財産を国庫に帰属させるより、特別な関係にあった人に分与した方が適切なことがあります。
相続人不存在である場合、家庭裁判所に対して特別縁故者財産分与の申立てをすることができます。
家庭裁判所に特別縁故者と認められれば、相続財産を分与されます。
③分与される財産は家庭裁判所の判断
相続財産を引き継ぐためには、家庭裁判所に特別縁故者と認められることが重要です。
主観的に特別縁故者であると主張するだけでは、相続財産を引き継ぐことはできないからです。
どの財産をいくら引き継ぐのか、家庭裁判所が決定します。
特別縁故者に認められても、相続財産全額が分与されない可能性があります。
濃密な縁故には高額な財産が、薄い縁故にはわずかな財産が分与されるからです。
濃密な縁故があると主張しても充分な証拠を準備できなければ、家庭裁判所は認めてくれないでしょう。
特別縁故者であるか、家庭裁判所が慎重に判断します。
特別縁故者に分与される財産は、家庭裁判所が慎重に判断します。
④特別縁故者制度の意義
(1)被相続人の意思の尊重
被相続人が生前に親密な関係を築いた人が存在することがあります。
仮に遺言書を作成すれば、親密な関係の人に財産を引き継ぐでしょう。
被相続人の潜在的意思を尊重して、相続財産を分与します。
(2)社会的配慮・人道的配慮
事実婚・内縁の配偶者や長年療養看護に尽力した人は、実質的に被相続人をサポートしていたと言えます。
実質的に被相続人をサポートしていた人に対して、生活保障の役割を果たします。
社会的配慮・人道的配慮から、相続財産を分与します。
(3)国庫帰属を抑制
特別縁故者制度によって、相続財産の国庫帰属が抑制されます。
国庫に帰属させるより、国民感情に添った柔軟な分配をした方が社会的に有益と言えます。
国庫帰属を抑制するため、相続財産を分与します。
2特別縁故者が受け取れる財産
①縁故の濃さで一部財産の分与
(1)縁故の濃淡で分与金額に差がつく
特別縁故者は、複数の人が認められることがあります。
各特別縁故者に分与する財産は、家庭裁判所が判断します。
縁故の濃淡で、分与金額に差がつきます。
東京家庭裁判所平成24年4月20日審判のケースを紹介します。
相続財産は、総額1億4000万円でした。
申立人1人目は、被相続人の甥の妻です。
被相続人の甥の生前に、親密な交流があると認められました。
被相続人の甥の死亡後は、疎遠になりました。
被相続人が自分が死亡した後は財産の管理処分を甥に任せると、伝えたことが評価されました。
裁判所は、縁故の程度が比較的に薄いと評価しました。
被相続人の甥の妻は特別縁故者に認められ、500万円のみ分与されました。
申立人2人目は、被相続人の妻の従妹です。
被相続人が死亡する7年前から自宅の鍵を預かり、高い頻度で自宅を訪問し家事をしました。
歩行困難になった被相続人の妻の世話を続けた点や被相続人とともに妻の葬儀を行った点が評価されました。
裁判所は、通常の親戚付き合いを超えた親密な関係と評価しました。
被相続人の妻の従妹は特別縁故者に認められ、2500万円分与されました。
特別縁故者に認められたものの、縁故の濃淡で分与金額に差がつきました。
(2)生前の交流が限定的で一部分与
東京高等裁判所平成26年5月21日決定のケースを紹介します。
相続財産は、総額3億7875万円でした。
申立人は、被相続人の従兄です。
被相続人は自宅に引きこもりがちで、周囲と円滑な交際が難しくなっていました。
被相続人宅の害虫駆除作業や建物の修理など、重要な対外的行為をしました。
民生委員や近隣と連絡を取り、時々被相続人の安否確認をしました。
裁判所は、縁故の程度が比較的に薄いと評価しました。
被相続人の従兄は特別縁故者に認められ、300万円分与されました。
②成年後見人に一部分与
大阪高等裁判所平成20年10月24日決定のケースを紹介します。
相続財産は、総額6283万円でした。
申立人は、被相続人の叔母の孫とその配偶者です。
被相続人の叔母の孫の配偶者は、被相続人の成年後見人でした。
申立人2人は遠距離にも関わらず、多数回老人ホームや入院先を訪問しました。
親身になって療養看護や財産管理に尽くし、相当の費用を負担して葬儀や供養を行いました。
裁判所は、成年後見人の一般的職務を超える親密な関係と評価しました。
被相続人の叔母の孫とその配偶者は特別縁故者に認められ、それぞれ500万円分与されました。
③薄い縁故で分与が認められない
(1)従姉の養子に薄い縁故で分与なし
東京高等裁判所平成26年1月15日決定のケースを紹介します。
申立人は、被相続人の従姉の養子です。
被相続人とは、本家と分家として親戚付き合いがありました。
被相続人の葬儀や供養をするため、多額の支出をした主張がありました。
被相続人宅の庭木や草木の伐採や掃除をし、継続していく意思がありました。
裁判所は、生前の交流が比較的に薄いと評価しました。
被相続人の従姉の養子は特別縁故者に認められず、分与はされませんでした。
(2)いとこに通常の交流のみで分与なし
東京高等裁判所平成27年2月27日決定のケースを紹介します。
申立人は、被相続人のいとこ5名です。
申立人は、被相続人の親族です。
血縁関係があるものの、生活や日常的継続的な交流は薄いものでした。
被相続人の生前に、特段の援助や療養看護など密接な関係は認められませんでした。
裁判所は、特別縁故者と認める客観的事情や裏付けとなる証拠は充分でないと評価しました。
被相続人のいとこ5名は特別縁故者に認められず、分与はされませんでした。
④死後の縁故のみで分与なし
(1)遠縁の親族に生前の交流なしで分与なし
鹿児島家庭裁判所昭和45年1月20日審判のケースを紹介します。
申立人は、被相続人の遠縁の親族です。
被相続人と生前の交流がほとんどありませんでした。
死後に葬儀を主宰し、財産管理を行いました。
裁判所は、生前の縁故がほとんどないと評価しました。
死後の縁故のみで、特別縁故者と認められないと判断しました。
遠縁の親族は特別縁故者に認められず、分与はされませんでした。
(2)遠縁の親族に生前の縁故を補強して一部分与
大阪高等裁判所平成20年10月24日決定のケースを紹介します。
申立人は、被相続人の遠縁の親族です。
被相続人の生前に、療養看護を尽くし財産管理をしました。
そのうえで死後に葬儀を主宰し、財産管理を行いました。
裁判所は、療養看護や財産の管理に加え死後の供養についても充分に斟酌すると判断しました。
遠縁の親族は特別縁故者に認められ、500万円分与されました。
3特別縁故者に認められる条件
①生計を同じくしていた人
例えば、事実婚・内縁の配偶者は、相続人ではありません。
事実婚・内縁の配偶者は、被相続人と一緒に暮らして生計を同じくしていたでしょう。
相続人不存在である場合、特別縁故者に認められる可能性があります。
例えば、配偶者の連れ子は被相続人の子どもではないから、相続人ではありません。
連れ子が相続人と一緒に暮らして、生計を同じくしていることがあります。
相続人不存在である場合、特別縁故者に認められる可能性があります。
特別縁故者に認められるか、家庭裁判所が判断します。
家庭裁判所は当事者の主張だけでなく、客観的な証拠を重視します。
被相続人と一緒に暮らして生計を同じくしていた場合、同一の住民票があるでしょう。
事実婚・内縁の配偶者は、住民票に「夫(未届)」「妻(未届)」と記載してもらえます。
長年同居していたことも、住民票で証明することができます。
住民票は公的書類だから、有力な証拠になります。
長年同居して生計を同じくしている場合、特別な縁故があったと認められやすくなるでしょう。
②被相続人の療養看護につとめた人
療養看護につとめた人とは、被相続人の身の回りの世話を献身的にした人です。
例えば、子どもの配偶者やいとこが被相続人の療養看護につとめていることがあります。
親族として助け合いをする以上に献身的に療養看護に努めていた場合、特別縁故者に認められる可能性があります。
例えば、11年間にわたり被相続人を我が子同様に看護養育し病気となってからも療養看護に努めた叔母は、特別縁故者として認められました。
療養看護につとめたことは、次の書類で証明することができます。
(1)医療費や介護費の領収書
(2)療養看護のための交通費の領収書
(3)被相続人と頻繁に交流していたことが分かる手紙、写真、メール、日記
(4)献身的に療養看護につとめていたことが分かる手紙、写真、メール
証拠は長期間に渡って複数回準備できると、親密な関係が認められやすいでしょう。
一時的な縁故や短期間の関係は、認められにくい傾向があるからです。
領収書は、患者の氏名、期間、金額を確認します。
手紙、写真、メール、日記などは、日付が入っていることを確認します。
③その他被相続人と特別な関係にあった人
特別縁故者とは、被相続人に特別な縁故があった人です。
遺言書がなくても、その人に相続財産を受け継がせるのが適当と考えられる特別な関係がある人は特別縁故者と認められる可能性があります。
例えば、被相続人が生前設立し発展に尽力してきた法人があることがあります。
被相続人が心血注いできた法人は、相続財産を受け継がせるのに適切と考えられるでしょう。
被相続人と特別な関係にあったと認められた場合、特別縁故者に認められることがあります。
被相続人と特別な関係にあったことは、次の書類で証明することができます。
(1)被相続人と親密な関係にあったことが分かる手紙、写真、メール、日記
(2)被相続人と頻繁に交流していたことが分かる手紙、写真、メール、日記
(3)被相続人が相続財産を引き継がせる意思があったことが分かる書類
家庭裁判所は証拠の真実性、継続性、被相続人との関係の深さを重視しています。
4特別縁故者が受け取る財産に相続税
①基礎控除額は3000万円のみ
相続財産の規模が一定以上である場合、相続税の対象になります。
相続税には、基礎控除があるからです。
基礎控除額は、次の計算式で求めることができます。
基礎控除額=3000万円+600万円×相続人の人数
特別縁故者に相続財産が分与される場合、相続人は不存在のはずです。
基礎控除額は、3000万円のみです。
②相続税2割加算の対象
被相続人の配偶者や2親等内の血族以外の人は、相続税2割加算の対象になります。
被相続人と関係が深く生活上のつながりが強い人に、税制上の優遇があるからです。
特別縁故者が相続財産を引き継ぐ場合、相続税が2割加算されます。
③分与の審判確定から10か月以内に申告納税
相続税は、被相続人の死亡を知った翌日から10か月以内に申告納税をするのが原則です。
特別縁故者が申告納税をする場合、相続財産分与の審判確定した翌日から起算します。
審判確定は、確定証明書で確認することができます。
5特別縁故者に対する相続財産分与の申立て
①相続人不存在確定から3か月以内に申立て
特別縁故者に対する相続財産分与の申立てができるのは、相続人不存在確定から3か月です。
相続財産管理人が選任されたら、家庭裁判所が相続人捜索の公告を出します。
相続人捜索の公告期間は、6か月です。
相続人不存在確定とは、相続人捜索の公告期間6か月が満了したときです。
相続人不存在確定から3か月経過してしまうと、申立てを受付けてもらえません。
相続人不存在が確定しても、だれも知らせてくれません。
②申立てに必要な書類
特別縁故者に対する相続財産分与の申立書に添付する書類は、次のとおりです。
(1)申立人の戸籍謄本
(2)被相続人の戸籍謄本
上記必要書類の他に、濃密な縁故があったことを証明する客観的証拠を添付します。
③家庭裁判所の裁量が大きい
特別縁故者に認められるか認められないか、家庭裁判所が判断します。
分与される財産は、家庭裁判所が判断します。
家庭裁判所に、大きな裁量が認められています。
主観的に特別縁故者であると主張しても充分な客観的証拠が準備できないと、特別縁故者に認められないでしょう。
特別縁故者に認められても充分な客観的証拠が準備できないと、少額の財産だけ分与されるでしょう。
分与が認められなかった場合、救済措置はありません。
6特別縁故者に期待するより遺言書作成で遺贈
特別縁故者に認められるためには、想像以上に高いハードルがあります。
遺言書を作成して、自分の死後だれに財産を引き継がせるか自由に決めることができます。
遺贈とは、相続人や相続人以外の人に財産を引き継がせることです。
家庭裁判所には大きな裁量があるから、特別縁故者に認められるか不確実です。
遺言書を作成しておけば、確実に遺贈することができます。
遺言執行者を指名すれば、いっそう確実になるでしょう。
特別縁故者に期待するより、遺言書を作成して遺贈がおすすめです。
7遺言書作成を司法書士に依頼するメリット
遺言書は、被相続人の意思を示すものです。
自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。
民法に遺言書を作ることができるのは、15歳以上と定められています。
遺言書を作成すれば、法定相続人や法定相続人以外の人に財産を引き継ぐことができます。
遺言書があって遺言執行者がいれば、相続手続はおまかせできます。
遺言者にとっても財産を受け取る人にとっても、安心です。
相続人がいない場合、想像以上に手間と時間がかかります。
手間と時間をかけても、確実に財産を引き継ぐことができるわけではありません。
お互いを思いやる方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。
特別縁故者が知るべき相続財産清算人の役割
1相続人不存在のときに相続財産清算人
①相続人がいないと相続財産は国庫帰属
法律で決められた相続人がまったくいないことがあります。
相続人がまったくいないとき、相続財産は国庫に帰属します。
②相続財産清算人が相続財産を清算する
被相続人が借金を抱えたまま、死亡することがあります。
相続人がいれば、相続人に借金の請求をすることができます。
相続人がいなくても相続財産があれば、借金を払ってもらいたいと望むでしょう。
相続財産清算人は、相続財産を清算する人です。
被相続人が受け取るべきだった金銭を受け取り、払うべきだった金銭を支払います。
相続財産を清算して、残った財産を国庫に帰属させます。
③特別縁故者が相続財産を受け取るまでの流れ
手順(1)相続財産清算人選任の申立て
利害関係人は、相続財産清算人選任の申立てをすることができます。
利害関係人とは、次の人です。
・債権者
・受遺者
・特別縁故者
申立先は、被相続人の最期の住所地を管轄する家庭裁判所です。
相続財産清算人は、家庭裁判所が選任します。
通常は、弁護士が選任されます。
手順1つ目は、相続財産清算人選任の申立てです。
手順(2)相続人捜索の公告6か月以上
相続財産清算人を選任したら、家庭裁判所は公告をします。
同時に、相続人捜索の公告をします。
相続人捜索の公告の公告期間は、6か月以上です。
戸籍謄本を見ても、確認できない相続人を確認するためです。
例えば、次の人は戸籍謄本で確認することができません。
・死後認知を受けようとする非嫡出子
・海外在住で養子縁組届が戸籍に反映されていない養子
手順2つ目は、相続人捜索の公告6か月以上です。
手順(3)債権者・受遺者への請求申出の公告2か月以上
相続財産清算人は、債権者・受遺者への請求申出の公告をします。
債権者・受遺者への請求申出の公告の公告期間は、2か月以上です。
知れている債権者には、個別に通知も出します。
公告期間中に申出をしないと、請求は除斥されます。
手順3つ目は、債権者・受遺者への請求申出の公告2か月以上です。
手順(4)相続人不存在が確定
相続人捜索の公告と債権者・受遺者への請求申出の公告は、同時にすることができます。
債権者・受遺者への請求申出の公告は、相続人捜索の公告の期間内に満了する必要があります。
だれからも申出なく両方の公告期間が満了したら、相続人不存在が確定します。
手順4つ目は、相続人不存在が確定です。
手順(5)特別縁故者に対するの財産分与申立て3か月以内
被相続人に特別な縁故があった人は、相続財産の分与を受けることができます。
特別縁故者に認められるか、家庭裁判所が判断します。
分与される財産の種類や金額は、家庭裁判所が判断します。
手順5つ目は、特別縁故者に対するの財産分与申立て3か月以内です。
手順(6)相続財産の清算換価
相続財産清算人が相続財産を清算します。
手順6つ目は、相続財産の清算換価です。
手順(7)相続財産の国庫帰属
清算が完了したら、国庫に帰属します。
手順7つ目は、相続財産の国庫帰属です。
2特別縁故者が知るべき相続財産清算人の役割
役割①相続人捜索の公告と相続人調査
相続財産清算人を選任したら、家庭裁判所は相続人捜索の公告をします。
相続財産清算人も、相続人を調査します。
特別縁故者が知るメリットは、特別縁故者に対する相続財産分与の申立てのタイミングを逃さない点にあります。
特別縁故者に対する相続財産分与の申立期間は、たったの3か月です。
いつ相続人捜索の公告が満了するのか、注視する必要があるからです。
役割1つ目は、相続人調査と公告です。
役割②相続財産の保存
相続財産清算人は、相続財産を適切に保存します。
遺産の紛失や隠匿を防ぎ、分与の対象になる財産をきちんと維持します。
特別縁故者が知るメリットは、相続財産の保全状況を把握できる点です。
相続財産清算人が相続財産を適切に管理しているか、監視することができます。
相続財産清算人が財産を過少評価して、不当な処分をすることを防ぐことができます。
役割2つ目は、相続財産の保存です。
役割③相続財産の清算
相続財産清算人は、被相続人の債務を弁済します。
相続財産清算人は、被相続人の債権を回収します。
相続財産を清算するから、純粋なプラスの財産が残るはずです。
相続財産清算人は相続財産目録を作成し、家庭裁判所に提出します。
特別縁故者が知るメリットは、相続財産の全体像が明確になることです。
相続財産清算人が提出する相続財産目録が審判の基礎資料になります。
相続財産目録に基づく証拠資料を提出すると、生活実態との関連性を強めることができます。
相続財産清算人が財産を過少評価をした場合、補足資料を提出することができます。
役割3つ目は、相続財産の清算です。
役割④特別縁故者に対する財産分与の申立てに意見書提出
特別縁故者に対する財産分与の申立てでは、さまざまな証拠資料を家庭裁判所に提出します。
家庭裁判所は、相続財産清算人の意見を聞いて分与の審判を行います。
相続財産清算人は家庭裁判所に対して、特別縁故者の貢献度や分与の可否を報告します。
特別縁故者が知るメリットは、意見書に対する反論書面や補足資料を提出できることです。
相続財産清算人が提出した意見書は、家庭裁判所で閲覧することができます。
意見書の内容を確認すると、誤解や事実誤認が見つかることがあります。
適切に反論書面や補足資料を提出することが有効です。
相続財産清算人が選任された段階で打ち合わせをしておくと、申立書と意見書の内容が整合性あるものになるでしょう。
家庭裁判所に対して、説得力ある申立ては審判において有利に働きます。
役割4つ目は、特別縁故者に対する財産分与の申立てに意見書提出です。
役割⑤財産の分配
特別縁故者に対する相続財産分与をするか、家庭裁判所が審判で決定します。
特別縁故者にどの財産を分与するのか、いくら分与するのか、家庭裁判所が判断します。
相続財産清算人の意見は家庭裁判所の判断に、大きな影響を与えます。
特別縁故者が知るメリットは、相続財産清算人の判断に影響を与えられる点です。
相続財産清算人に、被相続人と自分の縁故関係や生活状況を正確に伝えることができます。
相続財産清算人に、財産状況や評価内容に要望を出すことができます。
他の申立人との比較において、不利にならないよう補強資料を提出することができます。
相続財産清算人の役割を知ると、戦略的に行動することができます。
役割5つ目は、財産の分配です。
3特別縁故者に認められる条件
①生計を同じくしていた人
例えば、被相続人に配偶者がいる場合、配偶者は必ず相続人になります。
相続人になる配偶者とは、法律上の配偶者のみです。
事実婚・内縁の配偶者は、被相続人と一緒に暮らして生計を同じくしていたでしょう。
相続人不存在である場合、特別縁故者に認められる可能性があります。
例えば、配偶者に連れ子がいることがあります。
法律上の配偶者は、相続人になることができます。
連れ子は、被相続人の子どもではありません。
被相続人と連れ子が養子縁組をしていない場合、連れ子には親族関係がありません。
被相続人の相続人になることはできません。
連れ子が相続人と一緒に暮らして、生計を同じくしていることがあります。
相続人不存在である場合、特別縁故者に認められる可能性があります。
家庭裁判所は、当事者の主張だけでなく客観的な証拠を重視します。
被相続人と一緒に暮らして生計を同じくしていた場合、同一の住民票があるでしょう。
事実婚・内縁の配偶者は、住民票に「夫(未届)」「妻(未届)」と記載してもらえます。
長年同居していたことも、住民票で証明することができます。
長年同居して生計を同じくしている場合、特別な縁故があったと認められやすくなるでしょう。
②被相続人の療養看護につとめた人
療養看護につとめた人とは、被相続人の身の回りの世話を献身的にした人です。
子どもの配偶者は、相続人ではありません。
被相続人のいとこなども、相続人ではありません。
子どもの配偶者やいとこが被相続人の療養看護につとめていることがあります。
親族として助け合いをする以上に献身的に療養看護に努めていた場合、特別縁故者に認められる可能性があります。
例えば、11年間にわたり被相続人を我が子同様に看護養育し病気となってからも療養看護に努めた叔母は、特別縁故者として認められました。
療養看護につとめたことは、次の書類で証明することができます。
(1)医療費や介護費の領収書
(2)療養看護のための交通費の領収書
(3)被相続人と頻繁に交流していたことが分かる手紙、写真、メール、日記
(4)献身的に療養看護につとめていたことが分かる手紙、写真、メール
③その他被相続人と特別な関係にあった人
特別縁故者とは、被相続人に特別な縁故があった人です。
遺言書がなくても、その人に相続財産を受け継がせるのが適当と考えられる特別な関係がある人は特別縁故者と認められる可能性があります。
例えば、被相続人の家族同然に暮らしてきた内弟子がいることがあります。
被相続人がわが子同然に可愛がっていて、事業を引き継がせたいと常々言っていることがあります。
被相続人が後継者にしたいと考えていた人に、相続財産を受け継がせるのに適切と考えられるでしょう。
被相続人と特別な関係にあったと認められた場合、特別縁故者に認められることがあります。
例えば、身内の中で被相続人の信頼を唯一得ており、相談にのったりしていた従兄弟の子は、特別縁故者として認められました。
被相続人と特別な関係にあったことは、次の書類で証明することができます。
(1)被相続人と親密な関係にあったことが分かる手紙、写真、メール、日記
(2)被相続人と頻繁に交流していたことが分かる手紙、写真、メール、日記
(3)被相続人が相続財産を引き継がせる意思があったことが分かる書類
④相続人が存在すると認められない
特別縁故者が認められるのは、相続人が不存在の場合のみです。
相続人がいれば、相続人が相続するからです。
家族のさまざまな事情から、被相続人と疎遠になっている家族がいることがあります。
家族と音信不通になっていたり、家族が行方不明になっていることがあります。
長期間疎遠になっていても、相続人がいれば相続人が相続します。
相続人が存在する場合、特別縁故者が認められることはありません。
4特別縁故者が知るべき注意点
注意①特別縁故者は家庭裁判所の判断
特別縁故者に認められれば、相続財産が分与されます。
特別縁故者に認められるか、家庭裁判所の判断します。
注意点1つ目は、特別縁故者は家庭裁判所の判断です。
注意②客観的証拠が重要
特別縁故者に認められるには、客観的証拠が重要です。
特別縁故者と主張するだけで、家庭裁判所は認めてくれないでしょう。
注意点2つ目は、客観的証拠が重要です。
注意③申立期間は3か月厳守
特別縁故者に対する相続財産分与の申立ては、相続人不存在が確定してから提出します。
申立期間は、たった3か月です。
期間が過ぎると、提出できません。
注意点3つ目は、申立期間は3か月厳守です。
注意④不動産取得税の対象
特別縁故者に対して、不動産が分与されることがあります。
特別縁故者に対する不動産の分与に対して、不動産取得税が課されます。
特別縁故者に対する分与は、相続ではないからです。
注意点4つ目は、不動産取得税の対象です。
注意⑤相続税の対象
分与された財産全体の規模が一定以上である場合、相続税の対象になります。
特別縁故者に対する分与では、基礎控除額は3000万円です。
特別縁故者は、2割加算の対象です。
注意点5つ目は、相続税の対象です。
5特別縁故者に期待するより遺言書作成して遺贈
特別縁故者に認められるか、家庭裁判所が判断します。
特別な縁故があっても客観的証拠を準備できない場合、家庭裁判所は認めてくれないでしょう。
特別縁故者に期待することは、おすすめできません。
被相続人は、特別な縁故があることをだれよりも分かっているでしょう。
遺言書を作成して、遺贈するのがおすすめです。
遺贈とは、遺言書を作成して相続人や相続人以外の人に財産を引き継ぐことです。
遺言書で遺言執行者を決めておくと、相続手続はおまかせできます。
6遺言書作成を司法書士に依頼するメリット
遺言書は、被相続人の意思を示すものです。
自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。
民法に遺言書を作ることができるのは、15歳以上と定められています。
遺言書を作成すれば、法定相続人や法定相続人以外の人に財産を引き継ぐことができます。
遺言書があって遺言執行者がいれば、相続手続はおまかせできます。
遺言者にとっても財産を受け取る人にとっても、安心です。
相続人がいない場合、想像以上に手間と時間がかかります。
手間と時間をかけても、確実に財産を引き継ぐことができるわけではありません。
お互いを思いやる方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。
特別縁故者は相続人がいないときだけ
1相続人がいないときの問題点
①相続財産を引き継ぐ人がいない
相続が発生したら、一定の範囲の家族が相続します。
相続人になる人は、民法で決められています。
相続人になるのは、次の人です。
(1)配偶者
(2)子ども
(3)親などの直系尊属
(4)兄弟姉妹
相続人以外の人は、相続人になりません。
相続人になる人がいない場合であっても、遠縁の親族が相続することはできません。
相続人がいない場合、相続財産を引き継ぐ人がいません。
②相続財産は国庫帰属
おひとりさまなど天涯孤独の人には、相続人がまったくいないことがあります。
相続人がいても、相続放棄をすることがあります。
家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなくなります。
相続人がまったくいない場合、相続財産を引き継ぐ人はいません。
相続人不存在の場合、原則として、相続財産は国庫に帰属します。
③国庫帰属まで手続が複雑
相続人がいない人は周囲が好きにするだろうと、軽く考えているかもしれません。
相続人がいない場合であっても、自動で国庫に帰属するわけではありません。
例えば、被相続人に債権がある人は相続財産から払ってもらいたいと考えるでしょう。
被相続人の債権や債務を清算した後でないと、国庫に帰属させることはできません。
家庭裁判所に申立てをして、相続財産清算人を選任してもらいます。
相続財産清算人とは、相続財産を清算する人です。
相続財産清算人が相続財産の精算する手続は、非常に複雑です。
④特別縁故者に対する財産分与の申立てが必要
特別縁故者とは、被相続人に特別な縁故があった人です。
相続人不存在の場合、被相続人の財産は原則として国庫に帰属します。
財産を国庫に帰属させるより、被相続人に特別な縁故がある人に引き継いだ方が適切な場合があります。
自分は特別縁故者に該当すると思っても、自動で財産を引き継ぐことができるわけではありません。
家庭裁判所に特別縁故者に対する財産分与の申立てをする必要があります。
家庭裁判所に特別縁故者と認められたときだけ、相続財産が分与されます。
特別縁故者に該当するか、家庭裁判所が判断します。
⑤相続人不存在のときの国庫帰属までの流れ
手順(1)相続財産清算人選任の申立て
利害関係人は、相続財産清算人選任の申立てをすることができます。
利害関係人とは、次の人です。
・債権者
・受遺者
・特別縁故者
相続財産清算人は、家庭裁判所が選任します。
通常は、弁護士が選任されます。
手順1つ目は、相続財産清算人選任の申立てです。
手順(2)相続人捜索の公告6か月以上
相続財産清算人を選任したら、家庭裁判所は公告をします。
同時に、相続人捜索の公告をします。
相続人捜索の公告の公告期間は、6か月以上です。
戸籍謄本を見ても、確認できない相続人を確認するためです。
例えば、次の人は戸籍謄本で確認することができません。
・死後認知を受けようとする非嫡出子
・海外在住で養子縁組届が戸籍に反映されていない養子
手順2つ目は、相続人捜索の公告6か月以上です。
手順(3)債権者・受遺者への請求申出の公告2か月以上
相続財産清算人は、債権者・受遺者への請求申出の公告をします。
債権者・受遺者への請求申出の公告の公告期間は、2か月以上です。
知れている債権者には、個別に通知も出します。
公告期間中に申出をしないと、請求は除斥されます。
手順3つ目は、債権者・受遺者への請求申出の公告2か月以上です。
手順(4)相続人不存在が確定
相続人捜索の公告と債権者・受遺者への請求申出の公告は、同時にすることができます。
債権者・受遺者への請求申出の公告は、相続人捜索の公告の期間内に満了する必要があります。
だれからも申出なく両方の公告期間が満了したら、相続人不存在が確定します。
手順4つ目は、相続人不存在が確定です。
手順(5)特別縁故者に対する財産分与申立て3か月以内
被相続人に特別な縁故があった人は、相続財産の分与を受けることができます。
特別縁故者に認められるか、家庭裁判所が判断します。
分与される財産の種類や金額は、家庭裁判所が判断します。
手順5つ目は、特別縁故者に対する財産分与申立て3か月以内です。
手順(6)相続財産の清算換価
相続財産清算人が相続財産を清算します。
手順6つ目は、相続財産の清算換価です。
手順(7)相続財産の国庫帰属
清算が完了したら、国庫に帰属します。
手順7つ目は、相続財産の国庫帰属です。
⑥相続人不存在のケースが増加している背景
(1)おひとりさまの増加
配偶者や子どもがいない人が増加しています。
(2)少子高齢化の進行
子どもが先に死亡することも、少なくありません。
(3)相続放棄の増加
相続人は、相続を単純承認するか相続放棄するか選択することができます。
被相続人と疎遠な相続人全員が相続放棄すると、相続人不存在になります。
(4)管理困難な不動産の増加
不便な地域の空き家や価値の低い土地など、メリットがない不動産が増加しています。
相続してもメリットがない場合、相続放棄をして相続人不存在になります。
2特別縁故者は相続人がいないときだけ
①特別縁故者に認められる人と立証ポイント
(1)生計を同じくしていた人
例えば、事実婚・内縁の配偶者は、相続人ではありません。
事実婚・内縁の配偶者は、被相続人と一緒に暮らして生計を同じくしていたでしょう。
例えば、配偶者の連れ子は、相続人ではありません。
配偶者の連れ子は、被相続人と一緒に暮らして生計を同じくしていたでしょう。
事実婚・内縁の配偶者や配偶者の連れ子は、特別縁故者に認められる可能性があります。
被相続人と一緒に暮らして生計を同じくしていた場合、同一の住民票があるでしょう。
事実婚・内縁の配偶者は、住民票に「夫(未届)」「妻(未届)」と記載してもらえます。
長年同居していたことも、住民票で証明することができます。
(2)被相続人の療養看護につとめた人
療養看護につとめた人とは、被相続人の身の回りの世話を献身的にした人です。
子どもの配偶者は、相続人ではありません。
被相続人のいとこなども、相続人ではありません。
子どもの配偶者やいとこが被相続人の療養看護につとめていることがあります。
親族として助け合いをする以上に献身的に療養看護に努めていた場合、特別縁故者に認められる可能性があります。
療養看護につとめたことは、次の書類で証明することができます。
・医療費や介護費の領収書
・療養看護のための交通費の領収書
・被相続人と頻繁に交流していたことが分かる手紙、写真、メール、日記
・献身的に療養看護につとめていたことが分かる手紙、写真、メール
(3)その他被相続人と特別な関係にあった人
遺言書がなくても、その人に相続財産を受け継がせるのが適当と考えられる特別な関係がある人は特別縁故者と認められる可能性があります。
例えば、被相続人が生前設立し発展に尽力してきた法人があることがあります。
被相続人が心血注いできた法人は、相続財産を受け継がせるのに適切と考えられるでしょう。
被相続人と特別な関係にあったことは、次の書類で証明することができます。
・被相続人と親密な関係にあったことが分かる手紙、写真、メール、日記
・被相続人と頻繁に交流していたことが分かる手紙、写真、メール、日記
・被相続人が相続財産を引き継がせる意思があったことが分かる書類
②特別縁故者に分与する財産は家庭裁判所が決定
特別縁故者に認められたら、相続財産の全部または一部が分与されます。
特別縁故者に認められても、全額の分与が認められないことがあります。
深い縁故があれば、多額の財産が分与されるでしょう。
うすい縁故であれば、少額の財産が分与されます。
縁故の深さによって、分与される金額が決められます。
分与される財産の額は、家庭裁判所が判断します。
③相続人がいるときは相続人が相続
特別縁故者が認められるのは、相続人が不存在の場合のみです。
相続人になる人は、法律で決められています。
相続人がいれば、相続人が相続するからです。
家族のさまざまな事情から、被相続人と疎遠になっている家族がいることがあります。
家族と音信不通になっていたり、家族が行方不明になっていることがあります。
長期間疎遠になっていても、相続人がいれば相続人が相続します。
相続人が存在する場合、特別縁故者が認められることはありません。
3特別縁故者に対する財産分与の申立て
①申立先
被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。
家庭裁判所の管轄は、裁判所のホームページで確認することができます。
②申立てに必要な書類
特別縁故者に対する財産分与の申立書に添付する書類は、次のとおりです。
(1)申立人の戸籍謄本
(2)被相続人の戸籍謄本
家庭裁判所は、当事者の主張だけでなく客観的な証拠を重視します。
特別縁故者に認められるため必要に応じて、客観的証拠を提出します。
③申立手数料
特別縁故者に対する財産分与の申立てにかかる手数料は、800円です。
収入印紙を申立書に貼り付けて納入します。
手数料とは別に、予納郵券を納入します。
予納郵券とは、裁判所が手続で使う郵便切手です。
裁判所や手続の種類によって、納入する切手の種類や枚数がちがいます。
④手続に時間がかかる
相続財産清算人選任の申立てをしてから選任されるまで、1か月程度かかります。
相続人捜索の公告と債権者・受遺者への請求申出の公告は、公告期間6か月以上です。
特別縁故者に対する財産分与の申立てから決定されるまで、2~4か月程度かかります。
特別縁故者が財産分与を受けるまで、1年以上かかるのが通例です。
4特別縁故者の注意点
注意①特別縁故者は家庭裁判所が判断
特別縁故者に認められる人は、説明したとおりです。
特別縁故者に認められる人であっても、自動で財産が分与されるわけではありません。
特別縁故者に認められるか、家庭裁判所が判断するからです。
特別縁故者に認められる人であっても、客観的証拠を提出できないと家庭裁判所は認めてくれません。
特別縁故者に認められても、分与される財産は家庭裁判所が判断します。
薄い縁故であれば、わずかな財産が分与され残りは国庫に帰属します。
特別縁故者の制度はあっても、期待することはおすすめできません。
注意点1つ目は、特別縁故者は家庭裁判所が判断です。
注意②遺言書作成して遺贈ができる
遺贈とは、遺言書を作成して相続人や相続人以外の人に財産を引き継ぐことです。
自分の財産をお世話になって人に、引き継ぎたいことがあるでしょう。
自分の気持ちを活かしてくれる慈善団体などに、使ってもらいたいことがあるでしょう。
特別縁故者は、家庭裁判所が判断します。
自分が思うような決定をしてくれるか、分かりません。
遺言書は、自分の意思で作成することができます。
遺言書に遺贈のことを書き、遺言執行者を指名するのがおすすめです。
遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人です。
家庭裁判所に財産分与を決定してもらうより、はるかに少ない手間と時間で済ませることができます。
注意点2つ目は、遺言書で遺贈ができることです。
注意③不動産取得税の対象になる
不動産取得税とは、不動産を取得したとき1回だけ課される税金です。
不動産の取得とは、売買、建築、増改築、贈与、交換です。
相続は、不動産取得税の対象外です。
特別縁故者に対して不動産が分与された場合、不動産取得税の対象になります。
注意点3つ目は、不動産取得税の対象になることです。
注意④相続税の対象になる
分与される財産が一定以上である場合、相続税の対象になります。
特別縁故者が財産を受け取る場合、法定相続人はいないはずです。
基礎控除額3000万円を超えて財産を受け取ったとき、相続税がかかります。
特別縁故者が相続税を納めるとき、通常時の2割加算がされます。
注意点4つ目は、相続税の対象になることです。
5遺言書作成を司法書士に依頼するメリット
遺言書は、被相続人の意思を示すものです。
自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。
民法に遺言書を作ることができるのは、15歳以上と定められています。
遺言書を作成すれば、法定相続人や法定相続人以外の人に財産を引き継ぐことができます。
遺言書があって遺言執行者がいれば、相続手続はおまかせできます。
遺言者にとっても財産を受け取る人にとっても、安心です。
相続人がいない場合、想像以上に手間と時間がかかります。
手間と時間をかけても、確実に財産を引き継ぐことができるわけではありません。
お互いを思いやる方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。
戸籍謄本の代理請求で委任状の書き方
1戸籍謄本を請求できる人は限られている
①本人・配偶者・直系血族は請求できる
相続が発生したら、相続人は相続手続をします。
相続手続の最初の難関は、相続人調査です。
相続の手続先には、相続人であることを客観的に証明する必要があります。
相続人を客観的に証明するため、戸籍謄本を取得します。
戸籍には、その人の身分事項がすべて記載されています。
身分事項とは、その人の出生、結婚、離婚、養子縁組、離縁、認知、死亡、失踪など身分関係の項目です。
身分事項は、その人のプライベートな内容です。
戸籍謄本を請求できる人は、限られています。
本人、配偶者、直系血族は、その人の戸籍謄本を請求することができます。
直系血族とは、父母、祖父母、子ども、孫など縦のつながりのある家族です。
②代理人に依頼して請求できる
戸籍には、その人の身分関係が記録されています。
身分関係の項目は、その人のプライベートな項目です。
自分のプライベートな情報は、みだりに他人に知られたくないでしょう。
戸籍謄本は、第三者が興味本位で取得することはできません。
本人が自分の戸籍謄本を取得する場合、本人確認のうえ交付されます。
他人の戸籍謄本を取得する場合、原則として、本人から委任状をもらって請求します。
委任を受けた人の本人確認をしたうえで、交付されます。
③委任状は依頼内容の証明書
第三者に戸籍謄本の請求を依頼する場合、委任状が必要です。
委任状は、依頼内容の証明書です。
第三者が興味本位で戸籍謄本を請求することがないように、委任状を提出します。
適切な委任状を提出することで、戸籍謄本が正当な目的で取得することが保証されます。
2戸籍謄本の代理請求で委任状の書き方
①委任者と代理人の情報
委任者は、戸籍請求を依頼する人です。
依頼する人が客観的に特定できるように、記載します。
具体的には、依頼する人の住所、氏名、生年月日を書きます。
市区町村役場によっては、記名だけでなく委任者が自署する必要があります。
例えば、名古屋市では署名または記名が必要です。
代理人は、依頼を受けて窓口へ出向く人です。
依頼を受けた人が客観的に特定できるように、記載します。
具体的には、依頼を受けた人の住所、氏名、生年月日を書きます。
窓口では、代理人の本人確認があります。
代理人の身分証明書を提示して、請求します。
身分証明書の住所、氏名、生年月日と異なる場合、依頼を受けた人ではないと判断されるでしょう。
委任状に記載する代理人の住所、氏名、生年月日は、身分証明書の記載をそのまま書き写します。
②委任内容の明確化
委任状は、依頼内容の証明書です。
委任状には、依頼内容をはっきりと記載します。
具体的には、次のように記載します。
・戸籍謄本1通
・〇〇〇〇について戸籍抄本1通
・本籍地 名古屋市中区〇〇一丁目〇番
・筆頭者 〇〇〇〇
・筆頭者と委任者の関係 本人
③委任者の押印
委任状の委任者が朱肉を使う印章で押印をします。
スタンプ印などでは、押印と認められないことが多いでしょう。
市区町村役場によっては、戸籍謄本のみの請求であれば押印不要の取り扱いをしています。
例えば、名古屋市では戸籍謄本の請求を依頼する場合、委任状は押印不要です。
戸籍の附票の請求を依頼する場合、委任状の押印が必要です。
どちらか分からない場合、押印しておく方がいいでしょう。
④電話番号などの連絡先
委任状に委任者の連絡先を記載します。
委任状の内容によっては、委任者に確認する必要があるからです。
例えば、名古屋市では戸籍謄本の請求を依頼する場合、委任者の電話番号は必ず記載します。
⑤委任状のひな形と記載例

3代理請求で使う委任状作成の注意点
注意①ペン書きをすること
委任状は、ボールペンなどのインクで記載します。
消えるペンや鉛筆による記載の場合、適切な委任状と認められないことがあります。
注意点1つ目は、ペン書きをすることです。
注意②委任状原本を提出すること
作成した委任状は、原本を窓口に提出します。
作成した委任状をコピーして窓口に提出しても、適切な委任状と認められないでしょう。
注意点2つ目は、委任状原本を提出することです。
注意③代理人の本人確認
代理請求で委任状を提出しても、代理人の本人確認がされます。
代理人は、委任状の他に身分証明書を提示する必要があります。
身分証明書には、次の書類があります。
・マイナンバーカード
・運転免許証
・パスポート
・在留カード
注意点3つ目は、代理人の本人確認です。
注意④任意様式でもよい
多くの市区町村では、委任状を用意しています。
ホームページを確認すると、ダウンロードすることができます。
市区町村が用意した様式を利用すると、形式的な不備を減らすことができます。
必要事項が適切に記載されていれば、所定の様式でなくても差し支えありません。
注意点4つ目は、任意様式でもよいです。
注意⑤手書きで作成できる
委任状は、全文手書きで作成することができます。
縦書きでも横書きでも、差支えありません。
注意点5つ目は、手書きで作成できることです。
注意⑥修正箇所に訂正印
委任状を作成する際に、書き誤りをしてしまうことがあります。
書き誤りを見つけたら、二重線を引いて近傍に正書します。
訂正箇所には、委任者欄の押印と同一印を押します。
修正液や修正テープで訂正すると、適切な委任状と認められないことがあります。
注意点6つ目は、修正箇所に訂正印です。
4相続で戸籍謄本を取得するときは委任状不要
①国等に提出する必要があるときは第三者請求ができる
国や地方公共団体に提出する必要がある場合、委任状なしで戸籍謄本を請求することができます。
国や地方公共団体に提出する必要がある場合、戸籍を取得するための正当な理由があると言えます。
相続登記をする場合、法務局にたくさんの戸籍謄本を提出します。
相続登記は、国や地方公共団体に提出する必要がある場合です。
国に提出する必要がある場合だから、委任状なしで戸籍謄本を請求することができます。
国や地方公共団体に提出する必要があると認められるためには、客観的な具体的な書類が必要です。
請求者との家族関係が分かる戸籍謄本のコピーなどを準備する必要があります。
国や地方公共団体に提出する必要がある場合であることが認められた場合、委任状なしで戸籍謄本を請求することができます。
②第三者請求は広域交付の対象外
本籍地の市区町村役場に戸籍謄本を請求するのは、大きな手間と時間がかかります。
令和6年3月1日から戸籍謄本の広域交付が始まりました。
広域交付制度を利用すれば、本籍地以外の市区町村役場で戸籍謄本を請求することができます。
例えば、名古屋市に本籍がある人が名古屋市外の市区町村役場で戸籍謄本を請求することができます。
名古屋市外に本籍がある人が名古屋市内の各区役所で戸籍謄本を請求することができます。
第三者が戸籍謄本を請求できるのは、特別な理由があるときのみです。
戸籍にはその人のプライベートな事柄が記載されています。
特別な理由について、厳格な審査が必要です。
特別な理由が明らかにできない場合、戸籍謄本を発行してもらうことはできません。
第三者が戸籍謄本を請求する場合、広域交付を利用することはできません。
他人の戸籍謄本は、本籍地の市区町村役場に請求する必要があります。
5相続人確定を司法書士に依頼するメリット
本籍地の変更や国による戸籍の作り直し(改製)で多くの方は、何通もの戸籍を渡り歩いています。
相続手続のために、たくさんの戸籍謄本を集めなければなりません。
古い戸籍は、現在と形式が違っています。
慣れないと、読みにくいものです。
現代とちがって、古い戸籍は手書きで書いてあります。
手書きの達筆な崩し字で書いてあると、分かりにくいものです。
戸籍集めは、相続以上にタイヘンです。
本籍地を何度も変更している人は、たくさんの戸籍を渡り歩いています。
結婚、離婚、養子縁組、離縁を何度もしている人は、戸籍が何度も作り直されています。
戸籍をたくさん渡り歩いているので、戸籍謄本収集は膨大な手間と時間がかかります。
段取りよく要領よく手続するには、ちょっとしたコツがいります。
仕事や家事で忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続をおまかせできます。
相続人調査でお困りのことがあれば、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
おひとりさまの相続で兄弟姉妹が相続人
1おひとりさまの相続で兄弟姉妹が相続人
①相続人になる人は法律で決まっている
相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。
だれが相続人になるかについては、民法で決められています。
相続人になる人は、次のとおりです。
(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。
(1)配偶者は必ず相続人になる
(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども
(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属
(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹
②配偶者や子どもがいないと兄弟姉妹が相続人
被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。
兄弟姉妹と言うと、父母が同じ兄弟姉妹を想像しがちです。
父母の一方だけ同じ兄弟姉妹も、相続人になります。
父母の一方だけ同じ兄弟姉妹は、父母が同じ兄弟姉妹と同じ相続分ではありません。
父母の一方だけ同じ兄弟姉妹の相続分は、父母が同じ兄弟姉妹の相続分の半分です。
③兄弟姉妹が先に死亡すると甥姪が代襲相続
相続人になるはずだったのに被相続人より先に死亡した場合、代襲相続が発生します。
相続人になるはずだったのに兄弟姉妹が先に死亡した場合、甥姪が代襲相続をします。
甥姪の相続分は、相続人になるはずだった兄弟姉妹の相続分を平等に引継ぎます。
④兄弟姉妹相続で再代襲はしない
兄弟姉妹が相続人になるはずだったのに先に死亡した場合、甥姪が代襲相続人になります。
代襲相続人になるはずだった甥姪も先に死亡した場合、代襲相続は発生しません。
兄弟姉妹相続では、再代襲ができないからです。
⑤兄弟姉妹相続では戸籍謄本収集がタイヘン
相続人になる人は、法律で決められています。
相続手続をする場合、相続人であることを客観的に証明する必要があります。
兄弟姉妹が相続人になる場合、たくさんの戸籍謄本が必要になります。
具体的には、次の戸籍謄本を用意します。
・被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
・被相続人の父の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
・被相続人の母の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
・兄弟姉妹の現在戸籍
上記の戸籍謄本を全部準備するためには、多くの時間と手間がかかります。
兄弟姉妹相続では、戸籍謄本収集がタイヘンです。
⑥兄弟姉妹相続で相続税2割加算
相続財産の規模が一定以上大きい場合、相続税の対象になります。
兄弟姉妹や甥姪が相続人になる場合、相続税が2割加算になります。
2兄弟姉妹相続で起きやすいトラブル
トラブル①遺産分割協議がまとまらない
相続が発生したら、被相続人の財産は相続人全員の共有財産です。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。
遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話し合いです。
兄弟姉妹相続において、遺産分割協議がまとまらないことがあります。
幼少期は仲よく遊んでいても、大人になると交流が少なくなるからです。
互いの近況が分からなくなると、価値観のちがいが表面化します。
トラブル1つ目は、遺産分割協議がまとまらないことです。
相続発生後できるだけ早期に、相続人全員が意見共有します。
相続人間で話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所の助力を得ることができます。
家庭裁判所の中立的な第三者のアドバイスを通して、合意形成をします。
対策は、早期に相続人の意見共有をすることです。
トラブル②相続人が疎遠
さまざまな家庭の事情から、相続人と疎遠になっていることがあります。
疎遠になっても、相続人です。
一部の相続人を含めずに相続財産の分け方を合意しても、無効です。
疎遠な相続人がいると、相続手続を進められなくなります。
トラブル2つ目は、相続人が疎遠です。
疎遠になっても相続人だから、遺産分割協議に参加してもらう必要があります。
丁寧に対応して、相続手続に協力してもらいます。
対策は、丁寧な対応です。
トラブル③相続人が行方不明
長期間疎遠になったまま、だれとも連絡が取れなくなっているかもしれません。
行方不明になっても、相続人です。
一部の相続人を含めずに相続財産の分け方を合意しても、無効です。
行方不明の相続人がいると、相続手続を進められなくなります。
トラブル3つ目は、相続人が行方不明です。
相続人が行方不明である場合、家庭裁判所に代わりの人を選任してもらうことができます。
行方不明の人の代わりの人を不在者財産管理人と言います。
家庭裁判所が不在者財産管理人を選任したら、不在者財産管理人と遺産分割協議をします。
行方不明であるだけでなく、生死不明であることがあります。
事件や事故に巻き込まれている場合、非常に死亡の可能性が高いでしょう。
死亡の可能性が非常に高い場合、家庭裁判所の判断で死亡の取り扱いをすることができます。
家庭裁判所の判断で死亡の取り扱いをすることを失踪宣告と言います。
失踪宣告を受けたら、相続が発生します。
行方不明の相続人の相続人と、遺産分割協議をします。
対策は、不在者財産管理人の選任と失踪宣告です。
トラブル④財産の使い込み
相続が発生したら、被相続人の財産を調査します。
一部の兄弟姉妹が被相続人の財産を管理していた場合、相続財産の内容を開示しないことがあります。
相続財産の内容を開示しないと、他の相続人は強い不信感を持つでしょう。
相続財産を開示しなくても、相続人は単独で相続財産を調査することができます。
例えば、被相続人の通帳を見せなくても、銀行に取引履歴や残高を照会することができます。
相続財産を調査した結果、使い途が分からない金銭が見つかることがあります。
トラブル4つ目は、財産の使い込みです。
使い途が分からない金銭が見つかると、深刻なトラブルに発展します。
おひとりさまの財産管理を依頼された場合、領収書の保管が重要です。
相続発生後に、通帳の取引履歴を確認して財産状況を客観的に把握します。
使い込みなどの不正行為が疑われる場合、弁護士などに相談して法的手続きを検討します。
対策は、財産状況の客観的把握です。
トラブル⑤寄与分や特別受益
相続財産の分け方は、相続人全員が合意できれば自由に決めることができます。
一部の相続人が介護や生活支援で貢献したと主張しても、他の相続人は納得できないことがあります。
寄与分とは、被相続人の財産の維持や増加について特別な貢献をした人がいる場合、特別な貢献をした人に対して、相続分以上の財産を受け継いでもらう制度です。
一部の相続人が被相続人から特別に利益を得ていることがあります。
特別受益とは、一部の相続人が被相続人から特別に得た利益です。
寄与分や特別受益の主張があると、納得できない相続人が現れます。
トラブル5つ目は、寄与分や特別受益です。
寄与分や特別受益の内容は、客観的証拠で確認します。
相続人間の不公平感だけで話し合いをすると、深刻なトラブルに発展します。
相続人間で話し合いができない場合、家庭裁判所の調停を利用します。
対策は、客観的証拠と家庭裁判所の手続です。
トラブル⑥不動産の評価方法や分割方法
被相続人が不動産を保有していた場合、遺産分割協議で分け方を決定します。
不動産は、分けにくい財産の代表例です。
不動産をいくらと考えるのか、評価方法が決められません。
不動産をどのように分けるのか、分割方法が決められません。
不動産の評価方法や分割方法をめぐって、トラブルになりがちです。
トラブル6つ目は、不動産の評価方法や分割方法です。
不動産をいくらと考えるのか、客観的な評価方法が有効です。
代償分割や換価分割を検討し、公平な分割をします。
代償分割とは、一部の相続人が不動産を相続して他の相続人は代償金を受け取る方法です。
換価分割とは、不動産を売却して金銭で分割する方法です。
対策は、客観的な評価と柔軟な分割方法です。
トラブル⑦遺言の有効性の疑い
被相続人が生前に遺言書を作成していることがあります。
遺言書の内容に不満がある相続人がいる場合、遺言書の無効を主張するでしょう。
遺言書の有効無効が争われる場合、深刻なトラブルに発展します。
トラブル7つ目は、遺言の有効性の疑いです。
遺言書を作成する場合、自筆証書遺言か公正証書遺言であることがほとんどです。
自筆証書遺言は、自分で書いて作る遺言書です。
公正証書遺言は、遺言内容を公証人に伝え公証人が書面に取りまとめる遺言書です。
公証人は、法律の専門家です。
公正証書遺言は、高い信頼性があります。
有効性が争われることは、ほとんどありません。
対策は、公正証書遺言の作成です。
3おひとりさまの相続で遺言書が重要な理由
理由①遺産分割協議が不要
被相続人が遺言書を作成していた場合、遺言書のとおりに遺産分割をすることができます。
相続人全員で遺産分割協議をする必要がありません。
兄弟姉妹相続では、遺産分割協議がまとまりにくい傾向があります。
理由1つ目は、遺産分割協議が不要になるからです。
理由②遺言書で遺贈
遺贈とは、遺言書を作成して相続人や相続人以外の人に財産を引き継ぐことです。
一部の相続人が寄与分の主張をすると、他の相続人は納得できないことがあります。
特別な貢献をした場合、被相続人が一番よく分かっているでしょう。
特別な貢献をした人に、遺言書で遺贈をすることができます。
理由2つ目は、遺言書で遺贈ができるからです。
理由③兄弟姉妹に遺留分がない
遺留分とは、被相続人に認められる最低限の権利です。
被相続人に近い関係の相続人にのみ、認められます。
具体的には、被相続人の配偶者、子ども、親などの直系尊属です。
兄弟姉妹は相続人になっても、遺留分は認められません。
被相続人が遺言書で遺産分割の方法を指定した場合、異議を述べることはできません。
理由3つ目は、兄弟姉妹に遺留分がないからです。
理由④遺言執行者に相続手続をおまかせできる
遺言書は、作成するだけでは意味がありません。
遺言書の内容は自動で、実現するわけではないからです。
遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人です。
遺言書を作成するときに、遺言執行者を指名することができます。
遺言執行者がいると、遺言者にとって安心です。
遺言執行者が確実に、遺言書の内容を実現してくれるからです。
遺言執行者がいると、相続人にとって安心です。
遺言執行者に、手間と時間がかかる相続手続きをおまかせできるからです。
理由4つ目は、遺言執行者に相続手続をおまかせできるからです。
4おひとりさまの生前対策
対策①相続人の確認
おひとりさまの相続では、相続人が疎遠であることが少なくありません。
あらかじめ相続人になる予定の人を確認しておくことが重要です。
対策1つ目は、相続人の確認です。
対策②不動産の整理や資産の組み換え
不動産は、分けにくい財産の代表例です。
あらかじめ不動産の分け方を検討しておくことは重要です。
不動産を整理しておくことが選択肢になるでしょう。
対策2つ目は、不動産の整理や資産の組み換えです。
5遺言書作成を司法書士に依頼するメリット
自筆証書遺言の多くは、専門家のサポートなしで一人で作ります。
その結果、遺言書の厳格な書き方ルールが守られておらず、無効になってしまいます。
相続人間でトラブルに発展するでしょう。
せっかく遺言書を作るのなら確実な公正証書遺言をおすすめします。
遺言書文案作成から公正証書遺言作成、遺言執行まで、司法書士がトータルでサポートします。
司法書士からトータルでサポートを受けると、遺言者は確実な遺言書を作成できるので安心できるでしょう。
相続発生後も、相続人は面倒な相続手続から解放されます。
遺言者も家族も安心できる公正証書遺言作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。
広域交付を利用して本籍地以外で戸籍謄本を取得
1広域交付を利用して本籍地以外で戸籍謄本を取得

①全国どこの市区町村役場でも請求できる
戸籍は、本籍を定めている市区町村役場に備えられています。
戸籍謄本は、本籍地の市区町村役場に請求するのが原則です。
広域交付を利用すると、近くの市区町村役場で戸籍謄本を取得することができます。
本籍地の市区町村役場以外であっても、住所地や勤務先の市区町村役場で取得できます。
例えば、名古屋市に本籍地がある人が名古屋市以外の市区町村役場で戸籍謄本を取得することができます。
名古屋市以外に本籍地がある人が名古屋市内の区役所で戸籍謄本を取得することができます。
全国どこの市区町村役場でも、戸籍謄本を請求できます。
②近くの市区町村役場でまとめて請求できる
広域交付を利用すると、近くの市区町村役場で戸籍謄本を取得することができます。
多くの人は、過去に複数の本籍地があるでしょう。
戸籍の本籍地が全国各地にあっても、1か所の市区町村役場の窓口でまとめて請求することができます。
近くの市区町村役場でまとめて、請求できます。
③広域交付で取得できるのは戸籍謄本のみ
広域交付で取得できるのは、戸籍謄本のみです。
戸籍抄本は、広域交付の対象外です。
戸籍抄本とは、戸籍の一部だけ証明した書類です。
現在戸籍だけでなく除籍謄本や改製原戸籍謄本も、広域交付の対象です。
④戸籍の附票は対象外
相続登記をする場合、戸籍謄本と一緒に住民票や戸籍の附票を提出します。
住民票は、住民票を置く市区町村役場に請求します。
戸籍の附票は、本籍地の市区町村役場に請求します。
住民票より戸籍の附票を準備する方が便利です。
相続手続では戸籍謄本を準備するから、本籍地は必ず判明するからです。
戸籍の附票は、広域交付の対象外です。
戸籍の附票は、本籍地以外の市区町村役場で請求することはできません。
今までどおり、本籍地の市区町村役場に請求します。
⑤広域交付で戸籍謄本取得の負担軽減

相続手続では、たくさんの戸籍謄本を準備する必要があります。
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本や相続人全員の戸籍謄本を準備する必要があるからです。
戸籍謄本の広域交付制度が始まるまでは、本籍地の市区町村役場に請求する必要がありました。
各本籍地の市区町村役場に請求すると、多大な手間と時間がかかります。
必要な戸籍謄本が集められないと、相続手続を進めることができません。
戸籍謄本の広域交付で、手続が大幅に簡素化されました。
相続登記がされないことの一因になっていると考えられます。
広域交付で戸籍謄本取得の負担軽減されると、相続登記が促進されると期待されています。
2広域交付を利用して戸籍謄本を取得する方法
①広域交付が利用できる人の範囲
戸籍謄本の広域交付が利用できるのは、次の人です。

(1)その戸籍に記載がある人
(2)記載がある人の直系血族
被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。
被相続人の子どもは、被相続人の直系血族です。
被相続人の本籍地がどこにあっても、近隣の市区町村役場で戸籍謄本を取得することができます。
本人と直系血族は、広域交付で戸籍謄本を請求することができます。
②請求時に顔写真付き本人確認書類が必要
戸籍の記載事項は、その人のプライベートな内容です。
みだりに、人目にさらすものではないでしょう。
戸籍謄本の請求時に、顔写真付き本人確認書類を提示する必要があります。
例えば、次の書類です。
・運転免許証
・マイナンバーカード
・パスポート
・在留カード
顔写真付き本人確認書類を提示できないと、戸籍謄本の請求はできません。
③広域交付を利用して戸籍謄本を取得する手順
手順(1)市区町村役場の窓口へ行く
近隣の市区町村役場の窓口に、出向きます。
自治体によっては、事前予約が必要です。
手順(2)広域交付申請書を作成
窓口に備え付けてある広域交付申請書に、必要事項を記入します。
あらかじめ本籍地を調べておく必要があります。
本籍地が分からないと、戸籍謄本を請求できないからです。
手順(3)広域交付申請書を窓口に提出
本人確認書類を提示して、広域交付申請書を提出します。
手順(4)戸籍謄本の受取り
内容に問題がなければ、戸籍謄本が発行されます。
戸籍謄本と引き換えに、手数料を支払います。
現在戸籍450円
除籍謄本、改製原戸籍謄本 750円
原則として、即日交付されます。
広域交付申請書を窓口に提出してから発行されるまで、1時間以上かかることがあります。
ときには、当日発行されずに翌日以降に発行されることがあります。

④兄弟姉妹は直系ではない
戸籍謄本を請求することができる人は、原則として、本人と直系血族です。
相続が発生した場合、相続人調査をします。
被相続人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本を準備する必要があります。
自分の親が死亡した場合、親の戸籍謄本を請求することができます。
自分から見て、親は直系血族だからです。
直系血族は、戸籍謄本を請求することができます。
被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を確認したら、被相続人の子どもがすべて判明します。
相続手続をする場合、相続人全員の現在戸籍を準備します。
相続が発生した時点で、相続人が存在したことを証明する必要があるからです。
被相続人に複数の子どもがいる場合、被相続人の他の子どもは自分の兄弟姉妹です。
兄弟姉妹は、直系血族ではありません。
兄弟姉妹が被相続人の戸籍に入っている場合、一緒に取得することができます。
兄弟姉妹が結婚や養子縁組などで、親の戸籍とは別の戸籍にいることがあります。
直系血族ではないから、原則として、戸籍謄本を請求することはできません。
⑤代理人は広域交付の対象外
戸籍謄本の請求は、代理人を立てて手続をしてもらうことができます。
相続のために戸籍謄本を収集する場合、手間と時間がかかります。
家族などに依頼して戸籍謄本を取得してもらうことがあるでしょう。
本人が作成した委任状を提示すれば、戸籍謄本を取得することができます。
代理人が戸籍謄本を請求する場合、広域交付を利用することはできません。
代理人が司法書士などの専門家であっても、広域交付を利用することはできません。
代理人が戸籍謄本を請求する場合、本籍地の市区町村役場に手続をする必要があります。
代理人は、広域交付を利用することができません。
⑥郵送請求は広域交付の対象外
市区町村役場の窓口は、平日の昼間のみ業務を行っています。
仕事や家事で忙しい人にとって、近隣の市区町村役場窓口に出向くことは難しいでしょう。
窓口に出向いて請求するほかに、郵送で請求することができます。
返信用封筒を入れておくと、郵送で送り返してもらえます。
郵送請求をする場合、広域交付を利用することはできません。
郵送請求は、本籍地の市区町村役場に請求する必要があります。
広域交付を利用できるのは、市区町村役場の窓口請求だけです。
郵送請求では、広域交付を利用することができません。
⑦第三者請求は広域交付の対象外
第三者が戸籍謄本を請求できるのは、特別な理由があるときのみです。
戸籍にはその人のプライベートな事柄が記載されています。
特別な理由について、厳格な審査が必要です。
特別な理由が明らかにできない場合、戸籍謄本を発行してもらうことはできません。
第三者が戸籍謄本を請求する場合、広域交付を利用することはできません。
⑧コンピューター化されていない戸籍は広域交付の対象外
相続人調査では、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を準備します。
被相続人が高齢で死亡した場合、相当古い戸籍謄本が必要になります。
相当古い戸籍の一部は、コンピューター化されていません。
広域交付を利用できるのは、コンピューター化された戸籍のみです。
コンピューター化されていない戸籍は、広域交付の対象外です。
⑨受付時間・窓口に注意
多くの人は、過去に複数の本籍地があります。
近隣の市区町村役場で請求した場合、本籍地の市区町村役場に確認して戸籍謄本が発行されます。
たくさんの本籍地に確認する場合、連絡が取りにくいことがあるでしょう。
戸籍謄本の請求をしてから交付されるまで、相当長時間かかります。
交付までに長時間かかることを考慮して、受付時間が短縮されていることがあります。
例えば、名古屋市内の各区役所で、最新の現在戸籍の請求は5時15分まで受付してもらえます。
除籍や改製原戸籍といった古い戸籍謄本の請求は4時までしか受付してもらえません。
受付をしてもらえたとしても、本籍地の市区町村役場に確認ができないことがあります。
戸籍謄本の請求をした当日に交付できずに、あらためて窓口に出向くことがあるでしょう。
市区町村役場によっては、休日に窓口を開いていることがあります。
近隣の市区町村役場が休日に窓口を開いていても、本籍地の市区町村役場は業務を行っていないでしょう。
休日窓口などでは、広域交付を受け付けてもらえないでしょう。
広域交付を利用する場合、受付時間・窓口に注意が必要です。
3本籍地が分からないときの対応方法
方法①本籍記載の住民票を取得
自分の住所は、だれもが知っているでしょう。
自分の住民票を請求します。
住民票を請求するときに何も書かないと、本籍の記載は省略されます。
本籍記載の住民票を取得すると、本籍地が判明します。
方法1つ目は、本籍記載の住民票を取得することです。
方法②運転免許証で確認
2007年までの運転免許証には、本籍地欄がありました。
自宅などを探すと、古い運転免許証が見つかることがあります。
運転免許証を更新するときに、古い運転免許証を返してもらうことができるからです。
現在の運転免許証には、本籍地欄はありません。
現在の運転免許証の表面に記載されていないだけで、ICチップに本籍地が入力されています。
ICチップに記録されている本籍地を読み取れば、本籍地が判明します。
次の方法で、ICチップを読むことができます。
・コンビニエンスストアのマルチコピー機で読み取り
・スマートフォンアプリで読み取り
・警察署の端末で読み取り
方法2つ目は、運転免許証で確認することです。
方法③親族に尋ねる
子どもが誕生したら、親の戸籍に入ります。
親に本籍を聞くと、分かるかもしれません。
婚姻したら、夫婦のために新しい戸籍が作られます。
配偶者に本籍を聞くと、知っているかもしれません。
方法3つ目は、親族に尋ねることです。
方法④過去の書類で確認
住民票や戸籍謄本を取得することがあります。
以前取得した住民票や戸籍謄本がある場合、本籍地を確認できることがあります。
方法4つ目は、過去の書類で確認することです。
4相続人確定を司法書士に依頼するメリット
本籍地の変更や国による戸籍の作り直し(改製)で多くの方は、何通もの戸籍を渡り歩いています。
相続手続のために、たくさんの戸籍謄本を集めなければなりません。
古い戸籍は、現在と形式が違っています。
慣れないと、読みにくいものです。
現代とちがって、古い戸籍は手書きで書いてあります。
手書きの達筆な崩し字で書いてあると、分かりにくいものです。
戸籍集めは、相続以上にタイヘンです。
本籍地を何度も変更している人は、たくさんの戸籍を渡り歩いています。
結婚、離婚、養子縁組、離縁を何度もしている人は、戸籍が何度も作り直されています。
戸籍をたくさん渡り歩いているので、戸籍集めは膨大な手間と時間がかかります。
仕事や家事で忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続をおまかせできます。
相続人調査でお困りのことがあれば、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
廃除と欠格で相続人になれない
1相続人になる人は法律で決まっている
相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。
だれが相続人になるかについては、民法で決められています。
相続人になる人は、次のとおりです。
①配偶者は必ず相続人になる
②被相続人に子どもがいる場合、子ども
③被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属
④被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹
相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡したため、相続人になるはずだった人の子どもや子どもの子どもが相続することがあります。
これを代襲相続と言います。
2相続人廃除で相続人になれない
例えば、被相続人に虐待をした人に、相続をさせたくないと考えるのは自然なことでしょう。
被相続人が相続させたくないと思って、他の相続人にすべての財産を相続させると遺言書を書いたとしても、遺留分を奪うことはできません。
遺留分侵害額請求をしたら、相続財産のいくらかは虐待した相続人が受け継いでしまいます。
被相続人の意思で、相続人の資格を奪うのが、相続人廃除です。
相続人の資格を奪うというのは、実質的には、遺留分を奪うことです。
遺留分のない兄弟姉妹は、廃除する必要がありません。
相続財産を受け継がせたくないのなら、他の相続人に相続させる旨の遺言書を書けばいいからです。
相続人廃除の申立ては被相続人が生前に申し立てることもできるし、遺言書で行うこともできます。
遺言書で廃除をする場合、「遺言者の長男〇〇を廃除する。理由は〇〇である。」とはっきり書きます。
「遺言者の長男〇〇には一切相続させない。」は不適切です。
廃除するの意思なのか、廃除はしないが財産を受け継がせないの意思なのか不明確だからです。
廃除はしないが財産を受け継がせない場合、遺留分があります。
廃除する場合、遺留分侵害額請求ができなくなります。
「遺言者の長男〇〇には一切相続させない。」の場合、遺留分侵害額請求ができるかできないかをめぐって相続人間でトラブルになるおそれがあります。
遺言書に「遺言者の長男〇〇を廃除する。理由は〇〇である。」の記載の他に遺言執行者を指名しましょう。
遺言による廃除の申立ては、遺言執行者がする必要があるからです。
遺言書で遺言執行者を選任しておかない場合、相続発生後、家庭裁判所に遺言執行者を選んでもらう必要があります。
家庭裁判所は、被相続人の家族の事情を知らない専門家を遺言執行者に選ぶでしょう。
相続人廃除は家庭裁判所に申立てをして、家庭裁判所が判断します。
被相続人が相続人廃除したいと言い、相続人が廃除されていいと納得していても、家庭裁判所が相続人廃除を認めないことがあります。
家庭裁判所に廃除を認めてもらうためには、廃除の根拠になる客観的証拠が不可欠です。
家族の事情を知らない専門家は、客観的証拠を集められないでしょう。
遺言書で廃除する場合、被相続人は死亡しています。
家庭裁判所で証言することはできません。
廃除の客観的証拠を準備しておく必要があります。
相続人廃除になると、遺留分も奪われます。
相続人が相続人廃除になる場合、代襲相続ができます。
相続人廃除の相続人に相続させることはできませんが、遺贈はできると考えられています。
被相続人の意思で、相続人の資格を奪うものだから、被相続人の意思で許してあげることもできるからです。
被相続人の意思で許してあげることもできるから、相続人廃除は取消の申立てもできます。
相続人廃除の申立先は被相続人の住所地の家庭裁判所です。
廃除が認められた場合、廃除の審判書と確定証明書を添えて市区町村役場へ廃除届を提出します。
家庭裁判所から役所へ連絡はされません。
相続人廃除が認められるのは、次の場合です。
①相続人が重大な侮辱をした
②暴力を振るうなどの虐待をした
③重大な非行があった
単なる親子げんかで家に寄り付かなかったとか、親の言いなりにならなかったなどの軽い理由では認められません。
暴力をふるうなども一時の激情から出たものであるとして認められない事例もあります。
相続人廃除は、非常にハードルが高い手続です。
3相続欠格で相続人になれない
だれが相続人になるかについては、民法で決められています。
同時に、民法では相続人になれない人も決められています。
例えば、被相続人を殺した人が相続することは、社会感情からみても許せない、相続する人としてふさわしくないということは納得できるでしょう。
このような相続人として許せない、ふさわしくない場合、相続人の資格が奪われることになります。
相続人としてふさわしくない人の相続資格を奪う制度を相続欠格と言います。
相続欠格は、被相続人の意思とは無関係に相続人の資格を奪う制度です。
裁判所で手続があるわけでなく、当然に相続資格を失います。
相続欠格になると、遺留分も奪われます。
相続人が相続欠格になる場合、代襲相続ができます。
相続欠格の相続人に相続させることはできませんし、遺贈もできないと考えられています。
相続欠格者に対して、生前贈与はできますし、生命保険金を受け取らせることはできます。
次の人が欠格になります
①故意に被相続人、同順位以上の相続人を死亡させた人、死亡させようとした人
故意がポイントです。
殺人や殺人未遂の場合、刑事事件で有罪判決を受けると欠格になります。
実刑判決だけでなく、執行猶予判決でも、欠格になります。
事故などの過失で死亡させてしまった場合は、欠格になりません。
正当防衛などで、止むを得ず、死亡させてしまった場合も、欠格になりません。
同順位以上の相続人を死亡させた場合、欠格になります。
例えば、父を死亡させた相続人は父の相続で欠格になりますが、母の相続でも欠格になります。
母の相続において、父は同順位以上の相続人になるからです。
②被相続人が殺害されたのを知って、告訴や告発をしなかった人
被相続人が殺害されたことを知っていて、犯人をかばおうとする人です。
物事のメリットデメリットを充分判断できない子どもは欠格になりません。
殺人犯が配偶者や直系血族の場合は、欠格になりません。
傍系は欠格になりますから、兄弟姉妹が殺人犯の場合は、告訴告発をしなければなりません。
③詐欺・脅迫で遺言の取消・変更をさせたり、妨害した人
遺言は遺言者の意思を示すものです。
詐欺や脅迫で意思をねじ曲げさせようとすることは、許されることではありません。
④遺言書を偽造・変造・廃棄・隠匿した人
遺言書を見つけて、自分が不利になるから偽造したり、変造したり、捨てたり、隠したりすると、欠格になります。
不当な目的がある場合だけ欠格になりますから、遺言書の内容を実現してあげたいと考えて変造した場合は、欠格になりません。
相続欠格は戸籍謄本に記載されません。
金融機関などの相続手続では、欠格者である旨の証明をしない場合、相続人と扱ってしまいます。
欠格者であることの証明としては、相続欠格者が自分で作成した相続欠格者であることを認める証明書に印鑑証明書を添付したものがあります。
実際には、欠格の相続人が自分が相続欠格であることは認めないでしょう。
相続人が欠格であることを争う場合、相続権不存在確認の訴えをすることになります。
例えば、相続人ABCDの4人である場合で、相続人Dが欠格であることの確認を求める場合、原告は自分以外の相続人全員を被告にします。
原告が相続人Aである場合、相続人BCDを被告として、相続人Dが欠格であることの確認を求める訴えを起こします。
相続資格の有り無しは合一確定の必要があるからです。
4相続人調査を司法書士に依頼するメリット
本籍地の変更や国による戸籍の作り直し(改製)で多くの方は、何通もの戸籍を渡り歩いています。
古い戸籍は現在と形式が違っていて読みにくかったり、手書きの達筆な崩し字で書いてあって分かりにくかったりしますから、慣れないと戸籍集めはタイヘンです。
本籍地を何度も変更している方や結婚、離婚、養子縁組、離縁を何度もしている方は、戸籍をたくさん渡り歩いているので、膨大な手間と時間がかかることが多くなります。
お仕事や家事でお忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続を丸投げできます。
ご家族にお世話が必要な方がいて、お側を離れられない方からのご相談もお受けしております。
集めてみたけど途中で挫折した方や全部集めたと思ったのに金融機関や役所からダメ出しされた方もいらっしゃいます。
このような場合、司法書士が目を通して、不足分を取り寄せします。
相続人調査でお困りのことがあれば、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
平日の昼間に役所にお出かけになって準備するのは負担が大きいものです。
戸籍や住民票は郵便による取り寄せもできますが、書類の不備などによる問い合わせはやはり役所の業務時間中の対応が必要になりますから、やはり負担は軽いとは言えません。
このような戸籍や住民票の取り寄せも司法書士は代行します。
相続人調査でお困りの方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
相続手続で必要な戸籍謄本の取得方法
1相続人調査の重要性
①相続人になる人は法律で決まっている
相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。
だれが相続人になるかについては、民法で決められています。
相続人になる人は、次のとおりです。
(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。
(1)配偶者は必ず相続人になる
(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども
(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属
(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹
②相続人は戸籍謄本で証明
相続人になる人は、法律で決まっています。
家族にとって、だれが相続人になるか当然のことと考えているでしょう。
相続人になる人は、戸籍謄本で客観的に証明する必要があります。
相続人は、戸籍謄本で証明します。
③相続人調査が重要な理由
相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。
相続財産は、相続人全員の共有財産です。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。
相続財産の分け方について相続人全員でする話合いを遺産分割協議と言います。
一部の相続人を含めずに遺産分割協議をしても、無効です。
相続人調査をしていないと、遺産分割協議が無効になるおそれがあります。
無効の遺産分割協議で、相続手続をすることはできません。
相続人調査をすると、ときには思いもよらない相続人が見つかることがあります。
思いもよらない相続人が見つかれば、遺産分割協議に参加してもらう必要があります。
思いもよらない相続人がいないことを証明するため、戸籍謄本は必要です。
有効な遺産分割協議のため、相続人調査は重要です。
2相続手続で必要な戸籍謄本
①被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。
被相続人の子どもは、全員が平等に相続人です。
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を確認すると、子ども全員を確認することができます。
被相続人に子どもがいない場合、被相続人の戸籍に記載されていないはずです。
相続が発生したら、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が欠かせません。
②相続人全員の現在戸籍
相続人になる人は、相続が発生した時点で生きている人のみです。
相続が発生した時点で生きていたことを証明するため、相続人全員の現在戸籍を取得します。
1通の戸籍に複数の相続人が記載されていることがあります。
同じ戸籍謄本を複数取得する必要は、ありません。
例えば、被相続人の死亡時の戸籍謄本を取得すると、被相続人の配偶者が記載されているでしょう。
死亡時の戸籍謄本1通あれば、相続人である配偶者の現在戸籍として使うことができます。
③戸籍抄本より戸籍謄本
戸籍抄本とは、戸籍の内容の一部を証明した書類です。
戸籍謄本とは、戸籍の内容の全部を証明した書類です。
相続手続では、戸籍抄本より戸籍謄本を取得するのがおすすめです。
戸籍抄本と戸籍謄本で、発行手数料にちがいはありません。
わざわざ戸籍抄本を取得すると、戸籍謄本1通で済むのに複数取得する必要があります。
単純に、手間と費用が余計にかかります。
戸籍抄本より戸籍謄本取得がおすすめです。
3相続手続で必要な戸籍謄本の取得方法
①直系血族の戸籍謄本は広域交付の対象
相続が発生したら、相続人は相続手続をします。
相続手続の最初の難関は、相続人調査です。
親が亡くなった場合、死亡した親の出生から死亡までの連続した戸籍謄本をすべて用意する必要があります。
親の戸籍謄本は、広域交付で取得することができます。
直系血族の戸籍謄本は、広域交付の対象だからです。
戸籍謄本の広域交付とは、本籍地の市区町村役場以外の市区町村役場で戸籍謄本を取得する制度です。
例えば、本籍地が名古屋市以外の人が名古屋市内の各区役所で、戸籍謄本を取得することができます。
出生から死亡までの連続した戸籍謄本をすべて近隣の市区町村役場で取得することができます。
親の本籍地でなくても近隣の市区町村役場に出向いて取得することができるので、とても便利です。
直系血族の戸籍謄本は、広域交付の対象です。
②本籍が分からないときは本籍地入り住民票を取得
多くの場合住所は、知っているでしょう。
住民票を取得すると、本籍地を知ることができます。
住民票に本籍地を記載してもらうことができるからです。
普段目にする住民票は、本籍地が記載されていないかもしれません。
住民票を請求する場合、何も言わないと本籍地は記載省略になります。
亡くなった人の住民票は、相続人が取得することができます。
本籍地入りの住民票を請求すると、亡くなった人の本籍地を調べることができます。
③本人確認書類を提示して請求
戸籍には、その人の身分事項が記録されています。
身分事項とは、結婚や離婚、養子縁組や離縁、認知などの事項です。
身分事項は、その人のプライベートな事柄です。
第三者がみだりに戸籍謄本を取得することは、許されません。
戸籍に記録された個人情報を保護するため、本人確認が行われます。
本人確認書類を提示して、戸籍謄本を請求します。
本人確認書類として、次の書類を提示します。
・運転免許証
・マイナンバーカード
・パスポート
・国又は地方公共団体の機関が発行した身分証明書
④広域交付対象外の戸籍謄本は郵送で請求できる
広域交付を利用できない場合、本籍地の市区町村役場に請求します。
本籍地の市区町村役場が遠方である場合、郵送で請求することができます。
多くの人は、たくさんの戸籍を渡り歩いています。
複数の本籍地があることが多いでしょう。
それぞれの市区町村役場に、戸籍謄本を請求する必要があります。
広域交付ができない場合、本籍地の市区町村役場へ請求する必要があります。
広域交付対象外の戸籍謄本は、郵送で請求できます。
⑤戸籍謄本の郵送請求で定額小為替
戸籍謄本や戸籍の附票を請求する場合、市区町村役場に発行手数料を払う必要があります。
窓口請求をする場合、その場で現金や電子マネーで支払うことができます。
戸籍謄本や戸籍の附票を郵送請求する場合、発行手数料は定額小為替で納入します。
定額小為替は、「ていがくこがわせ」と読みます。
現金は、普通郵便で送ることができません。
現金封筒を送る場合、書留料金が追加でかかります。
定額小為替は、普通郵便で送ることができます。
定額小為替は、郵便局の貯金窓口で購入することができます。
戸籍謄本や戸籍の附票を郵送請求する場合、一緒に定額小為替を送ります。
⑥司法書士などに依頼して代理請求
広域交付を利用できるのは、請求人が窓口まで出向いて請求するときのみです。
市区町村役場は、平日の昼間のみ業務を行っています。
仕事や家事で忙しい人にとって、平日の昼間に時間を作るのは難しいでしょう。
代理人に依頼して、戸籍謄本を取得することができます。
代理人を立てて戸籍謄本を取得する場合、広域交付を利用することはできません。
司法書士などに依頼して、戸籍謄本を取得してもらうことができます。
⑦1通取得して法定相続情報一覧図
戸籍謄本は、たくさんの相続手続先に提出します。
市区町村役場で発行された戸籍謄本をそのまま提出します。
相続手続先がたくさんあると、発行手数料もかさむでしょう。
戸籍謄本を1通だけ取得して、法定相続情報一覧図を発行してもらうことができます。
法定相続情報一覧図とは、被相続人を中心にして、どういう続柄の人が相続人であるのか一目で分かるように家系図のように取りまとめた書類です。
たくさんの戸籍謄本を読み解くのは、相続手続先にとっても負担の重い事務です。
たくさんの戸籍謄本と家系図を法務局に提出して、内容を点検してもらうことができます。
内容に問題がなかったら、地模様の入った専用紙に認証文を付けて印刷して、交付してくれます。
法定相続情報一覧図は法務局が点検しているから、たくさんの戸籍謄本を提出したのと同じ取り扱いを受けることができます。
法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書に、必要枚数を書く欄があります。
複数枚の法定相続情報一覧図を発行してもらうことができます。
戸籍謄本を1通取得して、法定相続情報一覧図を発行してもらうことができます。
⑧戸籍謄本を取得する費用と時間
戸籍謄本を取得するために、市区町村役場に手数料を支払う必要があります。
現在戸籍は、1通450円です。
除籍謄本や改製戸籍謄本は、1通750円です。
郵送で請求する場合、往復の郵便料がかかります。
レターパックライトで送る場合、1通430円です。
定額小為替の発行手数料は、1通200円です。
郵送で請求する場合、発送してから届くまで10日ほどかかります。
届いた戸籍謄本を読み解いて、次の本籍を確認します。
複数の戸籍謄本を取り寄せるから、相応に時間がかかります。
4戸籍謄本を取得するときの注意点
注意①相続手続先の独自ルールで戸籍謄本に有効期限
戸籍謄本に「有効期限〇年〇月〇日まで」と記載されることはありません。
戸籍謄本は、その時点での戸籍の内容を証明した書類だからです。
相続登記で戸籍謄本を提出する場合、古い戸籍謄本を提出することができます。
相続税申告で戸籍謄本を提出する場合、古い戸籍謄本を提出することができます。
口座凍結解除で戸籍謄本を提出する場合、各金融機関のルールに従います。
多くは、発行後6か月以内や発行後3か月以内の書類が必要になるでしょう。
戸籍謄本の注意点1つ目は、相続手続先の独自ルールで戸籍謄本に有効期限が決められていることです。
注意②戸籍謄本のコピーで相続手続ができない
相続手続で戸籍謄本を提出する場合、市区町村役場で発行された戸籍謄本をそのまま提出します。
戸籍謄本のコピーで相続手続を進めることはできないでしょう。
戸籍謄本を提出した後、希望すれば原本還付してもらえることがほとんどです。
原本還付するための方法は、相続手続先によって異なります。
相続登記で提出する戸籍謄本について原本還付を希望する場合、相続関係説明図を添付します。
法定相続情報一覧図なら複数発行してもらえるから、原本還付をしてもらう必要がないでしょう。
戸籍謄本の注意点2つ目は、戸籍謄本のコピーで相続手続ができないことです。
注意③必要な戸籍謄本の見落とし
相続人調査では、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要です。
戸籍謄本の記載内容を見落とすと、必要な戸籍謄本が揃わないことがあります。
特に古い戸籍謄本は達筆な手書きで書いてあるうえ、現在とは様式が異なります。
戸籍謄本の読解は、想像以上に高いハードルがあります。
戸籍謄本の注意点3つ目は、必要な戸籍謄本の見落としです。
注意④戸籍謄本の取得に時間がかかる
市区町村役場に出向いて戸籍謄本を請求する場合、その場で発行してもらえます。
郵送請求をする場合、往復の時間がかかります。
相続手続によっては、期限が決められていることがあります。
戸籍謄本の注意点4つ目は、戸籍謄本の取得に時間がかかることです。
注意④手数料の不足
戸籍謄本を発行してもらうためには、発行手数料を納める必要があります。
発行手数料は、定額小為替で納入します。
送付した定額小為替が不足すると、市区町村役場から連絡が入ります。
連絡が取れないと、発行されないまま返送されるでしょう。
定額小為替は多めに送るのがおすすめです。
戸籍謄本の注意点4つ目は、手数料の不足です。
5相続人調査を司法書士に依頼するメリット
本籍地の変更や国による戸籍の作り直し(改製)で多くの方は、何通もの戸籍を渡り歩いています。
古い戸籍は、現在と形式が違っていて読みにくいものです。
手書きの達筆な崩し字で書いてあって、分かりにくいものです。
慣れないと戸籍謄本集めは、タイヘンです。
本籍地を何度も変更している方や結婚、離婚、養子縁組、離縁を何度もしている方がいるでしょう。
戸籍をたくさん渡り歩いていると、膨大な手間と時間がかかります。
戸籍には被相続人の結婚や離婚、子どもや養子の存在といった身分関係がすべて記録されています。
時には、家族の方が知らない相続人が明らかになることもあります。
相続人を確定させるために戸籍謄本を集めるだけでも、知識のない人にはタイヘンな作業です。
家族の方が知らない相続人が明らかになると、精神的な負担はさらに大きいものになります。
相続手続のうち、専門家に任せられるものは任せてしまうことができます。
事務負担を軽減することができます。
戸籍謄本や住民票の取り寄せは、司法書士は代行します。
相続人調査でお困りの方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
戸籍謄本等の広域交付が利用できない
1近隣の市役所で戸籍謄本が請求できる
①相続人になる人は法律で決まっている
相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。
だれが相続人になるかについては、民法で決められています。
相続人になる人は、次のとおりです。
(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。
(1)配偶者は必ず相続人になる
(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども
(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属
(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹
②相続人は戸籍謄本で証明する
家族が死亡した後は、相続手続をします。
相続手続先には、相続人であることを証明しなければなりません。
家族にとって相続人になる人は、当然に分かっていることと軽く考えるかもしれません。
家族以外の第三者に対しては、客観的に証明する必要があります。
客観的に証明するとは、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を準備することです。
戸籍とは、その人の身分事項が記録された帳簿です。
結婚や離婚、養子縁組や離縁、認知などを家族に秘密にしている人がいます。
戸籍には、その人の身分事項がすべて記録されています。
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を確認すると、被相続人の身分事項をすべて確認することができます。
離婚歴や子どもの存在も、すべて明らかになります。
相続人は、戸籍謄本で証明する必要があります。
③戸籍は本籍地の市区町村役場にある
戸籍は、本籍が定めている市区町村役場に備えられています。
戸籍謄本は、本籍地の市区町村役場に請求するのが原則です。
④戸籍謄本等の広域交付を利用できる

相続が発生したら、相続手続先に相続人を証明しなければなりません。
本籍地の市区町村役場に戸籍謄本を請求するのは、大きな手間と時間がかかります。
令和6年3月1日から、戸籍謄本の広域交付が始まりました。
広域交付が利用できるのは、次の人です。
(1)その戸籍に記載がある人
(2)記載がある人の直系血族
広域交付制度を利用すれば、本籍地以外の市区町村役場で戸籍謄本を請求することができます。
広域交付制度を利用して、近隣の市区町村役場で戸籍謄本を取得することができます。

2戸籍謄本等の広域交付が利用できない
①配偶者の戸籍謄本は広域交付が利用できない
相続が発生したら、配偶者は常に相続人になります。
相続手続をする場合、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を提出します。
被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になるからです。
被相続人の配偶者は、被相続人と同じ戸籍にいます。
被相続人の配偶者は、広域交付を利用して戸籍謄本を取得することができます。
広域交付で取得できるのは、被相続人と婚姻してから死亡までの戸籍謄本のみです。
被相続人と婚姻するまで、配偶者は別の戸籍にいるはずです。
被相続人の配偶者は、直系血族ではありません。
被相続人の出生から婚姻までの戸籍謄本は、広域交付を利用して取得することができません。
配偶者の戸籍謄本は、広域交付が利用できません。
②兄弟姉妹の戸籍謄本は広域交付が利用できない
被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。
相続手続をする場合、相続人の戸籍謄本を提出します。
相続が発生した時点で、相続人の存在することを証明するためです。
兄弟姉妹の戸籍謄本は、広域交付で請求することはできません。
兄弟姉妹は、直系血族ではないからです。
広域交付を利用して戸籍謄本を請求することができるのは、その戸籍に記載がある人と記載がある人の直系血族だけだからです。
兄弟姉妹が親の戸籍にいる場合、親の戸籍謄本を請求すると一緒に記載されます。
兄弟姉妹が結婚や養子縁組で親の戸籍から離れていることがあります。
兄弟姉妹の戸籍謄本は、広域交付が利用できません。
③代理人請求は広域交付が利用できない
一般的に、戸籍謄本等は代理人を立てて依頼することができます。
本人が作成した委任状を提示して、代理人が戸籍謄本を請求することができます。
相続手続のため戸籍謄本を集める場合、たくさんの手間と時間がかかります。
だれかに依頼して手続をしてもらいたいと考える人もいるでしょう。
代理人が戸籍謄本を請求する場合、広域交付が利用できません。
代理人に依頼する場合、本籍地の市区町村役場に請求する必要があります。
広域交付が利用できるのは、請求人が窓口に出向く場合だけです。
代理人請求では、広域交付が利用できません。
④第三者請求は広域交付が利用できない
戸籍は、その人の身分事項が記載されている帳簿です。
身分事項とは、結婚や離婚、養子縁組や離縁、認知などの事項です。
身分事項は、プライベートな事柄です。
みだりに人目にさらすものではありません。
戸籍謄本を請求することができる人は、原則として、本人と直系血族です。
特別な理由がある場合、第三者が戸籍謄本を請求することができます。
第三者とは、本人と直系血族以外の人です。
被相続人の配偶者が被相続人の出生から婚姻までの戸籍謄本を請求する場合、第三者請求です。
赤の他人であっても、特別な理由を明らかにして請求することができます。
相続手続のため相続人を特定することは、特別な理由に該当します。
一般的に、相続人特定のために第三者が戸籍謄本を請求することができます。
第三者が戸籍謄本を請求する場合、広域交付が利用できません。
第三者請求をする場合、本籍地の市区町村役場に請求する必要があります。
広域交付が利用できるのは、本人や直系血族が窓口に出向く場合だけです。
第三者請求では、広域交付が利用できません。
⑤郵送請求は広域交付が利用できない
戸籍謄本等の広域交付は、市区町村役場の窓口請求のみの対応です。
仕事や家事で忙しい人にとって、市区町村役場の窓口に出向く時間はないでしょう。
市区町村役場の窓口は、平日の昼間だけ業務を行っているからです。
一般的に、戸籍謄本等は郵送で請求することができます。
郵送で請求した場合、返信用封筒を入れておくと郵送で送り返してもらえます。
郵送請求を希望する場合、本籍地の市区町村役場に請求する必要があります。
郵送請求は、戸籍謄本等の広域交付が利用できません。
⑥戸籍の附票は広域交付が利用できない
相続登記をする場合、被相続人の住民票の除票か戸籍の附票を必要になります。
住民票の除票は、住民票を置いている市区町村役場に請求します。
住民票の除票は、住民票を置いている市区町村役場が分からない場合、請求できません。
戸籍の附票は、本籍地の市区町村役場に請求します。
本籍地は、相続人調査で必ず判明します。
戸籍の附票の方が請求しやすいでしょう。
戸籍の附票は、本籍地の市区町村役場に対して請求する必要があります。
戸籍の附票は、戸籍謄本等の広域交付が利用できません。
⑦コンピューター化されていない戸籍は広域交付が利用できない
相続人調査では、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を準備します。
被相続人が高齢で死亡した場合、相当古い戸籍謄本が必要になります。
相当古い戸籍の一部は、コンピューター化されていません。
コンピューター化されていない戸籍謄本は、本籍地の市区町村役場に請求する必要があります。
コンピューター化されていない戸籍謄本は、戸籍謄本等の広域交付が利用できません。
⑧戸籍抄本は広域交付が利用できない
戸籍謄本は、その戸籍に入っている人全員分の証明書です。
戸籍抄本は、その戸籍に入っている一部の人の証明書です。
戸籍の内容は、プライベートな事柄です。
他の人の内容を人目にさらしたくないことがあるでしょう。
戸籍謄本は、広域交付を利用して取得することができます。
戸籍抄本は、本籍地の市区町村役場に請求する必要があります。
戸籍抄本は、戸籍謄本等の広域交付が利用できません。
3広域交付は受付時間・窓口に注意
広域交付を利用すると、とても便利です。
本籍地がどこにあっても、近隣の市区町村役場で戸籍謄本を取得することができるからです。
多くの人は、複数の本籍地があります。
近隣の市区町村役場で請求した場合、本籍地の市区町村役場に確認して戸籍謄本が発行されます。
たくさんの本籍地に確認する場合、連絡が取りにくいことがあるでしょう。
戸籍謄本の請求をしてから交付されるまで、相当長時間かかります。
交付までに長時間かかることを考慮して、受付時間が短縮されていることがあります。
例えば、名古屋市内の各区役所で、最新の現在戸籍の請求は5時15分まで受付してもらえます。
除籍や改製原戸籍といった古い戸籍謄本の請求は、4時までしか受付してもらえません。
受付をしてもらえたとしても、本籍地の市区町村役場に確認ができないことがあります。
戸籍謄本の請求をした当日に交付できずに、あらためて窓口に出向くことになるでしょう。
市区町村役場によっては、休日に窓口を開いていることがあります。
近隣の市区町村役場が休日に窓口を開いていても、本籍地の市区町村役場は業務を行っていないでしょう。
休日窓口などでは、広域交付を受け付けてもらえないでしょう。
広域交付を利用する場合、受付時間・窓口に注意が必要です。
4戸籍謄本の取り寄せはおまかせできる
戸籍謄本は、本籍地の市区町村役場に請求します。
近隣の市区町村役場であれば、窓口で係の人に確認しながら請求することができます。
ときには住所地からはるか遠方の市区町村役場であることがあります。
遠方の市区町村役場に請求する場合、郵送で請求することができます。
郵送で請求する場合、難易度が上がります。
窓口で係の人に確認しながら、請求することができないからです。
適切な書き方をしていない場合、市区町村役場から確認の電話連絡が入ります。
市区町村役場は、平日の昼間しか業務を行いません。
仕事などで忙しい人は、対応が難しいでしょう。
戸籍謄本の取り寄せは、司法書士などの専門家におまかせすることができます。
5相続人調査を司法書士に依頼するメリット
本籍地の変更や国による戸籍の作り直し(改製)で多くの方は、何通もの戸籍を渡り歩いています。
相続手続のために、たくさんの戸籍謄本を集めなければなりません。
古い戸籍は現在と形式が違っています。
慣れないと、読みにくいものです。
現代とちがって、古い戸籍は手書きで書いてあります。
手書きの達筆な崩し字で書いてあると、分かりにくいものです。
戸籍集めは、相続以上にタイヘンです。
本籍地を何度も変更している人は、たくさんの戸籍を渡り歩いています。
結婚、離婚、養子縁組、離縁を何度もしている人は、戸籍が何度も作り直されています。
戸籍をたくさん渡り歩いているので、戸籍集めは膨大な手間と時間がかかります。
段取りよく要領よく手続するには、ちょっとしたコツがいります。
お仕事や家事でお忙しい方や高齢、療養中などで手続が難しい方は、手続をおまかせできます。
相続人調査でお困りのことがあれば、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
特別縁故者に認められない
1 特別縁故者に財産が分与される
①相続人になる人は法律で決まっている
相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。
だれが相続人になるかについては、民法で決められています。
相続人になる人は、次のとおりです。
(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。
(1)配偶者は必ず相続人になる
(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども
(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属
(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹
②相続人不存在で国庫帰属
相続人になる人は、法律で決まっています。
相続人がまったくいない天涯孤独の人がいます。
相続人はいるけど、相続放棄をすることがあります。
家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなかったと扱われます。
相続人が不存在の場合、相続財産は国庫に帰属します。
③特別縁故者は家庭裁判所が判断
特別縁故者とは、被相続人に特別な縁故がある人です。
相続財産を国庫に帰属させるより、特別縁故者に分与する方が適切な場合があります。
特別縁故者であるか、家庭裁判所が判断します。
家庭裁判所に認められれば、特別縁故者に相続財産を分与されます。
2特別縁故者に認められる人
①生計を同じくしていた人
相続が発生したら、一定の範囲の家族が相続人になります。
相続人になる人は、法律で決められています。
例えば、被相続人に配偶者がいる場合、配偶者は必ず相続人になります。
相続人になる配偶者とは、法律上の配偶者です。
事実婚・内縁の配偶者は、相続人ではありません。
事実婚・内縁の配偶者は、被相続人と一緒に暮らして生計を同じくしていたでしょう。
相続人不存在である場合、特別縁故者に認められる可能性があります。
例えば、配偶者に連れ子がいることがあります。
法律上の配偶者は、相続人になることができます。
連れ子は、被相続人の子どもではありません。
被相続人と連れ子は、当事者が合意すれば養子縁組をすることができます。
養子縁組をした場合、養子は養親の子どもになります。
養親が死亡したとき、養子は相続人になります。
養子は、養親の子どもだからです。
養子縁組をしていない場合、連れ子には親族関係がありません。
被相続人の相続人になることはできません。
連れ子が相続人と一緒に暮らして、生計を同じくしていることがあります。
相続人不存在である場合、特別縁故者に認められる可能性があります。
特別縁故者に認められるか、家庭裁判所が判断します。
家庭裁判所は、当事者の主張だけでなく客観的な証拠を重視します。
被相続人と一緒に暮らして生計を同じくしていた場合、同一の住民票があるでしょう。
事実婚・内縁の配偶者は、住民票に「夫(未届)」「妻(未届)」と記載してもらえます。
長年同居していたことも、住民票で証明することができます。
長年同居して生計を同じくしている場合、特別な縁故があったと認められやすくなるでしょう。
②被相続人の療養看護につとめた人
療養看護につとめた人とは、被相続人の身の回りの世話を献身的にした人です。
例えば、被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。
子どもの配偶者は、相続人ではありません。
被相続人のいとこなども、相続人ではありません。
子どもの配偶者やいとこが被相続人の療養看護につとめていることがあります。
親族として助け合いをする以上に献身的に療養看護に努めていた場合、特別縁故者に認められる可能性があります。
例えば、11年間にわたり被相続人を我が子同様に看護養育し病気となってからも療養看護に努めた叔母は、特別縁故者として認められました。
療養看護につとめたことは、次の書類で証明することができます。
(1)医療費や介護費の領収書
(2)療養看護のための交通費の領収書
(3)被相続人と頻繁に交流していたことが分かる手紙、写真、メール、日記
(4)献身的に療養看護につとめていたことが分かる手紙、写真、メール
③その他被相続人と特別な関係にあった人
特別縁故者とは、被相続人に特別な縁故があった人です。
遺言書がなくても、その人に相続財産を受け継がせるのが適当と考えられる特別な関係がある人は特別縁故者と認められる可能性があります。
例えば、被相続人が生前設立し発展に尽力してきた法人があることがあります。
被相続人が心血注いできた法人は、相続財産を受け継がせるのに適切と考えられるでしょう。
被相続人と特別な関係にあったと認められた場合、特別縁故者に認められることがあります。
他にも、被相続人の家族同然に暮らしてきた内弟子がいることがあります。
被相続人がわが子同然に可愛がっていて、事業を引き継がせたいと常々言っていることがあります。
被相続人が後継者にしたいと考えていた人に、相続財産を受け継がせるのに適切と考えられるでしょう。
被相続人と特別な関係にあったと認められた場合、特別縁故者に認められることがあります。
例えば、身内の中で被相続人の信頼を唯一得ており、相談にのったりしていた従兄弟の子は、特別縁故者として認められました。
被相続人と特別な関係にあったことは、次の書類で証明することができます。
(1)被相続人と親密な関係にあったことが分かる手紙、写真、メール、日記
(2)被相続人と頻繁に交流していたことが分かる手紙、写真、メール、日記
(3)被相続人が相続財産を引き継がせる意思があったことが分かる書類
3特別縁故者に認められない
①相続人が存在する
特別縁故者が認められるのは、相続人が不存在の場合のみです。
相続人になる人は、法律で決められています。
相続人がいれば、相続人が相続するからです。
家族のさまざまな事情から、被相続人と疎遠になっている家族がいることがあります。
家族と音信不通になっていたり、家族が行方不明になっていることがあります。
長期間疎遠になっていても、相続人がいれば相続人が相続します。
相続人が存在する場合、特別縁故者が認められることはありません。
特別縁故者に認められないケース1つ目は、相続人が存在するケースです。
②療養看護で報酬
被相続人の療養看護につとめた人は、特別縁故者に認められる可能性があります。
被相続人の療養看護につとめた人とは、被相続人の身の回りの世話を献身的にした人です。
被相続人から相当の対価を得ていた場合、献身的とは言えないでしょう。
看護師やヘルパーとして対価を得ていた場合、特別縁故者に認められるのは難しいでしょう。
対価を得ていたものの対価の程度を大きく超えて献身的に尽くしていた場合、特別縁故者に認められる可能性があります。
特別縁故者に認められないケース2つ目は、療養看護で報酬を受けていたケースです。
③通常の親戚付き合い
被相続人に特別な縁故があれば、特別縁故者に認められる可能性があります。
被相続人と親戚関係にある場合、通常の親戚付き合いがあるでしょう。
通常の親戚付き合いだけであれば、特別な縁故とは認められません。
特別縁故者に認められないケース3つ目は、通常の親戚付き合いのケースです。
④客観的証拠がない
特別縁故者に認められる人は、先に説明したとおりです。
特別縁故者に認められるか、家庭裁判所が判断します。
特別な縁故があったと主張するだけで、家庭裁判所が認めてくれることはないでしょう。
特別な縁故があったことを裏付ける客観的証拠が重要です。
家庭裁判所は、客観的証拠で判断するからです。
たとえ特別な縁故があっても、客観的証拠がないと特別縁故者に認められません。
特別縁故者に認められないケース4つ目は、客観的証拠がないケースです。
⑤死後の縁故のみ
特別縁故者とは、被相続人の生前に特別な縁故があったと認められる人です。
被相続人が死亡した後、被相続人の遺体を引き取ったり葬儀を行ったりする必要があります。
多くの場合、生前にも特別な関係があった人が遺体を引き取ったり葬儀を行ったりするでしょう。
生前にほとんど関与や交流がなかった人が、遺体を引き取ったり葬儀を行ったりすることがあります。
被相続人に身寄りがないため、葬儀や祭祀を行うような事例です。
被相続人の生前に関与や交流がない場合、特別縁故者に認められません。
遺体を引き取ったり葬儀を行ったりすることは、生前にも特別な関係があったことが推察されます。
生前に特別な関係があったことを主張したうえで、遺体を引き取ったり葬儀を行ったりしたことを主張するといいでしょう。
葬儀は、人生最後の儀式として重要なものです。
被相続人の死亡後に葬儀や祭祀のための費用を負担した場合、合理的な金額であれば相続財産から支払われるのが通常です。
特別縁故者に認められないケース5つ目は、死後の縁故のみのケースです。
⑥うすい縁故は少額の分与
特別縁故者に認められたら、相続財産の全部または一部が分与されます。
特別縁故者に認められても、全額の分与が認められないことがあります。
深い縁故があれば、多額の財産が分与されるでしょう。
うすい縁故であれば、少額の財産が分与されます。
縁故の深さによって、分与される金額が決められます。
分与される財産の額は、家庭裁判所が判断します。
うすい縁故であれば、ほとんどの財産が国庫帰属になるでしょう。
4特別縁故者に期待するよりも遺言書作成で遺贈
①特別縁故者財産分与の申立ての期限は3か月
特別縁故者財産分与の申立ての期限は、3か月です。
相続人不存在が確定してから、3か月がスタートします。
相続人不存在が確定しても、だれも連絡してくれません。
期限3か月は、想像以上に短いでしょう。
特別縁故者財産分与の申立ての期限は、3か月です。
②特別縁故者は家庭裁判所が判断
相続人不存在の場合、相続財産は国庫に帰属するのが原則です。
特別縁故者に認められた場合、相続財産の分与を受けることができます。
特別縁故者に認められる要件は、先に説明したとおりです。
特別縁故者に認められるか、家庭裁判所が判断します。
主観的に特別縁故者であると思っても、証拠がないと家庭裁判所は認めてくれないでしょう。
家庭裁判所は、客観的な証拠を基に判断するからです。
特別縁故者に認められるのは、想像以上に高いハードルがあります。
特別縁故者は、家庭裁判所が判断します。
③分与される財産は家庭裁判所が判断
相続財産から分与される財産は、家庭裁判所の裁量で判断します。
莫大な相続財産があっても、わずかな財産だけ分与されることがあります。
わずかな縁故だけであれば、わずかな財産だけ分与されるでしょう。
主観的に深い縁故があると思っても、充分な証拠がないと家庭裁判所は認めてくれないでしょう。
証拠に不足があると、深い縁故があると認められません。
家庭裁判所は、客観的な証拠を基に判断するからです。
特別縁故者に認められても全財産が分与されるには、想像以上に高いハードルがあります。
分与される財産は、家庭裁判所が判断します。
④遺言書作成で迅速確実に遺贈
特別縁故者に対する相続財産分与の申立てをしてから財産が分与されるまで、1年程かかります。
特別縁故者と認められるか、家庭裁判所が判断します。
分与される財産は、家庭裁判所が判断します。
特別縁故者として財産分与を受けるためには、想像以上に高いハードルがあります。
遺言書を作成しておけば、確実に遺贈することができます。
遺言執行者を指名すれば、いっそう確実になるでしょう。
証拠提出をして家庭裁判所の審査を受ける必要がないからです。
家庭裁判所の審査などがないから、迅速に財産を引き継ぐことができます。
特別縁故者に期待するより、遺言書を作成して遺贈がおすすめです。
⑤公正証書遺言作成がおすすめ
遺言書を作成する場合、自筆証書遺言か公正証書遺言を作成することがほとんどです。
自筆証書遺言は、自分で書いて作る遺言書です。
公正証書遺言は、遺言内容を公証人に伝え公証人が書面に取りまとめる遺言書です。
公正証書遺言は公証人が関与するから、高い信頼性があります。
公正証書遺言を作成することで、トラブル防止になるでしょう。
公正証書遺言作成がおすすめです。
5遺言書作成を司法書士に依頼するメリット
遺言書は、被相続人の意思を示すものです。
自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。
民法に遺言書を作ることができるのは、15歳以上と定められています。
遺言書を作成すれば、法定相続人や法定相続人以外の人に財産を引き継ぐことができます。
遺言書があって遺言執行者がいれば、相続手続はおまかせできます。
遺言者にとっても財産を受け取る人にとっても、安心です。
相続人がいない場合、想像以上に手間と時間がかかります。
手間と時間をかけても、確実に財産を引き継ぐことができるわけではありません。
お互いを思いやる方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。
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