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成年後見人をやめるには

2023-09-15

1成年後見制度は任意後見と成年後見(法定後見)の2種類ある

①任意後見は本人と任意後見人の契約

任意後見とは、本人が信頼できる人にサポートを依頼する契約です。

認知症などになると、物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなるおそれがあります。

物事を充分に判断できる間に、将来に備えて、やってもらいたいことを決めてサポートを依頼します。

契約ですから、本人の判断能力がしっかりしているうちしかできません。

この契約は公正証書でする必要があります。

サポートを依頼された人を任意後見人といいます。

任意後見人はひとりでも、何人でも差し支えありません。

契約をしたときは、本人の判断能力に問題はないはずです。

任意後見契約をするだけでは、後見が開始しません。

この契約は本人がひとりで決めるのが心配になったら、効力が発生します。

本人が物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなったら、家庭裁判所は任意後見監督人を選任します。

任意後見監督人が選任されたら、任意後見契約が効力が発生して任意後見人がサポートを開始します。

任意後見人は適切に仕事をしているか、任意後見監督人にチェックされます。

任意後見監督人は適切に仕事をしているか、家庭裁判所にチェックされます。

だから、安心して任意後見制度を使えます。

②成年後見(法定後見)は家庭裁判所が選任する

法定後見とは、家庭裁判所が選んだ人がサポートする制度です。

任意後見契約は、自分で選んだ人と契約します。

将来に備えて、信頼できる人と契約するでしょう。

何の準備もしないまま物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなった場合、家庭裁判所がサポートする人を決めます。

申立てをするときに、家庭裁判所に同居の家族を選任してもらいたいなどと候補者の希望を出すことができます。

家庭裁判所は、候補者を選任することも見知らぬ専門家を選任することもあります。

成年後見人に家族が選ばれるのは、およそ20%程度です。

物事のメリットデメリットを充分に判断できない人は、自分に不利益になることが分からずに契約をしてしまったり、不必要であることが分からずに契約をしてしまうことがあります。

物事のメリットデメリットを充分に判断できないことに付け込んでくる、悪質な業者の被害にあうかもしれません。

本人が被害にあわないようにするために、成年後見人は本人をサポートします。

2任意後見契約は解除できる

①任意後見監督人選任前は一方的に解除できる

任意後見契約は、本人の判断能力がしっかりしているうちにします。

判断能力がいつ低下するかは人によってそれぞれでしょう。

10年後かもしれません。

20年後かもしれません。

任意後見契約は、任意後見監督人が選任されてからスタートします。

任意後見契約の効力が発生していないうちは、いつでも一方的に解除できます。

本人の判断能力がはっきりしているうちは、本人の同意はなくても解除ができます。

委任契約は一方的に解約できるからです。

任意後見契約を解除する場合、公証人の認証を受けた書面による必要があります。

本人と任意後見人が合意して解除する場合、任意後見契約合意解除書を作成します。

任意後見契約合意解除書に、本人と任意後見人が署名押印のうえ、公証人の認証を受けます。

本人か任意後見人のいずれかが一方的に解除する場合、任意後見契約解除通知書を作成します。

任意後見契約解除通知書に解除する人が署名押印のうえ、公証人の認証を受けます。

解除書を配達証明付き内容証明郵便で相手方に通知します。

配達されたら証明書のハガキが届きます。

②任意後見監督人選任後の解除は正当理由と家庭裁判所の許可が必要

任意後見契約は、任意後見監督人が選任されてからスタートします。

任意後見監督人は、本人が物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなった場合に選任されます。

任意後見がスタートしたということは、本人は物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなっているという意味です。

物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなっているのに、サポートする人がいなくなると本人は困ります。

任意後見監督人が選任された後は、本人を保護するため一方的に解除することはできません。

任意後見契約を解除するためには、家庭裁判所の許可が必要です。

家庭裁判所は正当な理由がある場合に限り、許可をします。

正当な理由とは、任意後見人の事務が困難と認められる理由です。

具体的には、病気などで療養に専念したい、遠方に転居した、本人や本人の家族と任意後見人の信頼関係がなくなったなどです。

家庭裁判所の許可を得てから、相手方に意思表示をして契約を終了させます。

3成年後見(法定後見)人をやめるには正当理由と家庭裁判所の許可

①正当理由と認められないと辞任は許可されない

成年後見(法定後見)人は、物事のメリットデメリットを充分に判断できない人をサポートする人です。

本人をサポートするために、大きな権限が与えられます。

成年後見人が心得違いをしないように、家庭裁判所にチェックされます。

いったん成年後見人に就任したら、原則として、辞めることはできません。

本人は物事のメリットデメリットを充分に判断できないから、サポートを失うととても困るからです。

基本的に、本人が死ぬまで成年後見人を続ける必要があります。

成年後見人を辞任するためには、正当理由が必要です。

正当な理由とは、任意後見人の事務が困難と認められる理由です。

例えば、次のような理由は正当理由として認められやすいでしょう。

・病気などで療養に専念したい。

・遠方に転居した、転勤になった。

・本人や本人の家族と信頼関係がなくなった。

このような理由があったとしても成年後見事務を続けられる場合はやめる必要がありません。

正当理由があると言えるかどうかは、家庭裁判所が判断します。

家族が勝手に決めつけて辞任をさせることはできません。

②簡単に正当理由と認めてもらえない

例えば、次のような理由は正当理由として認められにくいでしょう。

・不動産売却のために成年後見人に就任したが、売却ができた。

・成年後見監督人がつくことになったので、わずらわしい。

・本人の家族からいろいろ要望が多く、面倒だ。

・本人の財産が少ないから、報酬が少ない。

・家庭裁判所に提出する書面作成の手間がかかる。

成年後見開始の申立てをする場合、本人の家族を選んで欲しいと候補者を立てることができます。

家庭裁判所は候補者を選ぶことも候補者以外の人を選ぶこともあります。

いったん選ばれたら、簡単にやめることはできません。

本人の家族であっても、他人の財産を預かる立場になります。

本人の大切な財産を管理する立場だから、家庭裁判所の監視下に置かれます。

本人が元気であれば財産を管理する場合、他人の財産という意識はあまりないことが多いでしょう。

家庭裁判所からあれこれ言われると、わずらわしく感じるかもしれません。

事務仕事をやったことがない、苦手だなどの理由で報告を怠った場合、厳重指導になるでしょう。

家庭裁判所の注意や指導がわずらわしいことを理由にやめたいと言っても、認めてもらうことは難しいでしょう。

4成年後見を解除することはできない

①判断能力が回復したら成年後見をやめることができる

成年後見人(法定後見人)が辞任したら、新しい成年後見人(法定後見人)が選任されます。

成年後見制度の利用をやめたわけではないからです。

成年後見制度を使い続ける限り、成年後見人(法定後見人)が死亡しても、解任されても、辞任しても、新しい成年後見人(法定後見人)が選任されます。

成年後見制度は、原則として、やめることができません。

成年後見制度をやめることができるのは、本人の判断能力が回復したときです。

判断能力が回復した診断書がある場合、成年後見制度をやめることができます。

本人や家族が、判断能力が回復したと主張するだけでは、成年後見をやめることができません。

②遺産分割や不動産の売却が終わっても成年後見をやめることはできない

認知症の人が相続人になる相続が発生した場合があります。

認知症の人の不動産を売却する必要がある場合があります。

遺産分割協議や不動産の売却の必要がある場合、成年後見開始の審判を申し立てるきっかけになります。

成年後見制度を使うきっかけとなった遺産分割や不動産売却が終わった場合でも、成年後見をやめることはできません。

ひとりで判断することが不安になったり心細くなったりしてしまう人をサポートする制度が成年後見の制度だからです。

ひとりで判断することができない人を放置することは許されません。

家族が成年後見人(法定後見人)は不要だからやめたいと希望しても、本人の保護のため成年後見(法定後見)は続きます。

5成年後見開始の申立てを司法書士に依頼するメリット

認知症や精神障害や知的障害などで、判断能力が低下すると、物事の良しあしが適切に判断することができなくなります。

また、記憶があいまいになる人もいるでしょう。

このような場合に、ひとりで判断することが不安になったり心細くなったりしてしまう人をサポートする制度が成年後見の制度です。

本人自身も不安になりますし、家族も不安になります。

身のまわりの不自由を補うために、身近な家族がお世話をすることが多くなるでしょう。

成年後見の申立ては家庭裁判所へ手続が必要です。

身のまわりのお世話をしている家族が本人の判断能力の低下に気づくことが多いです。

身のまわりのお世話をしながら、たくさんの書類を用意して煩雑な手続をするのは負担が大きいでしょう。

司法書士は裁判所に提出する書類作成もサポートしております。

成年後見開始の申立てが必要なのに忙しくて手続をすすめられない方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

成年後見人を解任しても成年後見は解除できない

2023-04-24

1成年後見人(法定後見人)を解任できる

認知症や精神障害や知的障害などで判断能力が低下すると、物事のメリットデメリットを適切に判断することができなくなります。

記憶があいまいになる人もいるでしょう。

ひとりで判断することが不安になったり心細くなったりしてしまう人をサポートする制度が成年後見の制度です。

成年後見人(法定後見人)は、本人をサポートする人です。

成年後見人(法定後見人)がサポートに適さない場合、家庭裁判所は成年後見人(法定後見人)を解任することができます。

本人のサポートと無関係な理由で解任することはできません。

2成年後見人(法定後見人)を解任する条件は厳しい

①不正な行為があった場合は成年後見人(法定後見人)を解任できる

不正な行為の典型例は、本人の財産の使い込みです。

本人の財産を成年後見人(法定後見人)が自分の生活費などに使う行為は、横領などの犯罪でもあります。

利益相反行為は、不正な行為にあたります。

利益相反とは、一方がトクすると他方がソンする関係のことです。

例えば、成年後見人(法定後見人)が自分の借金をするために、本人の不動産を担保に差し出すことは、利益相反になります。

利益相反にあたる場合、成年後見人(法定後見人)は本人を代理できません。

②著しい不行跡があった場合は成年後見人(法定後見人)を解任できる

著しい不行跡とは、品性または素行が甚だしく悪いことです。

成年後見人(法定後見人)の品性や素行が著しく悪い場合、本人の財産管理に悪影響が起きかねないからです。

③後見の任務に適さない場合は成年後見人(法定後見人)を解任できる

財産管理が不適当である

成年後見人(法定後見人)としての義務違反

成年後見人(法定後見人)が病気療養のため、職務ができない

成年後見人(法定後見人)が遠方に転居したため、職務ができない

任務に適さない場合には、上記のような理由が考えられます。

④家族の希望で成年後見人(法定後見人)を解任できない

家族の意向をかなえてくれないから成年後見人(法定後見人)を代えて欲しいという希望は多いものです。

ひとりで判断することが不安になったり心細くなったりしてしまう人をサポートする制度が成年後見の制度です。

本人を適切にサポートをしているのであれば、成年後見人(法定後見人)を解任できません。

成年後見人(法定後見人)の愛想がよくないから、代えて欲しい

成年後見人(法定後見人)が家族でないから、代えて欲しい

成年後見人(法定後見人)の後見方針に賛成できないから、代えて欲しい

成年後見人(法定後見人)が気に入らないから、代えて欲しい

成年後見人(法定後見人)が誠実に職務を行っている場合、成年後見人(法定後見人)を解任できません。

家族の意向をかなえてくれない、愛想がよくないなどは、本人のサポートとは無関係な理由です。

本人のサポートと無関係な理由で解任することはできません。

3成年後見人(法定後見人)を解任するのは家庭裁判所

①成年後見人解任の申立てが必要

成年後見人(法定後見人)を解任する条件は、法律に定めがあります。

解任する条件は、とても厳しいです。

厳しい条件にあてはまる事実があった場合、家庭裁判所に申立てをします。

成年後見人(法定後見人)を解任する条件にあてはまると家庭裁判所が認める場合、家庭裁判所が解任します。

成年後見人(法定後見人)が不正な行為をしていることが明白な場合であっても、家族は解任することはできません。

家族は、成年後見人(法定後見人)が不正な行為をしている客観的証拠を集めて、申立てをします。

家庭裁判所に対して成年後見人解任の申立てをして、家庭裁判所に解任してもらいます。

家族が不正な行為をしているというだけでは、家庭裁判所は認めてくれないでしょう。

解任してもらうためには、家庭裁判所が納得できる客観的証拠を準備しなければなりません。

②成年後見人解任の申立てができる人

成年後見人解任の申立てができる人は、次のとおりです。

(1)後見監督人

(2)被後見人

(3)被後見人の親族

(4)検察官

家庭裁判所は、申立てがなくても職権で成年後見人(法定後見人)を解任することができます。

③成年後見人解任の申立先

成年後見人解任の申立書の提出先は、成年後見開始の審判をした家庭裁判所です。

④成年後見人解任の申立ての必要書類

成年後見人解任の申立てに必要な書類は、次のとおりです。

(1)申立人の戸籍謄本(親族が申し立てる場合)

(2)本人の戸籍謄本

(3)本人の住民票または戸籍の附票

(4)後見登記事項証明書

成年後見人解任の申立てには、手数料がかかります。

手数料は、申立書に収入印紙を貼り付けて納入します。

収入印紙は、郵便局やコンビニエンスストアで購入することができます。

収入印紙は貼り付けるだけで、消印をせずに提出します。

必要書類とは別に、家庭裁判所が使う郵便切手を提出する必要があります。

提出する郵便切手は、各家庭裁判所で異なりますから問い合わせをするといいでしょう。

⑤成年後見人(法定後見人)が解任されたら後任の成年後見人(法定後見人)が選任される

ひとりで判断することが不安になったり心細くなったりしてしまう人をサポートする制度が成年後見の制度です。

本人が物事のメリットデメリットを充分に判断することができないことを確認して、成年後見開始の審判がされます。

本人は物事のメリットデメリットを充分に判断することができないから、サポートする人をなしにするわけにはいきません。

成年後見の制度は本人のサポートのための制度だからです。

家族が、本人のサポートは不要ですと主張しても意味はありません。

成年後見人(法定後見人)が解任されたら、新しい成年後見人(法定後見人)が選任されます。

後任の成年後見人(法定後見人)をだれにするのか、家庭裁判所が決めます。

家庭裁判所の人選に家族が不服を言うことはできません。

4成年後見を解除することはできない

①判断能力が回復したら成年後見をやめることができる

成年後見人(法定後見人)が解任されたら、新しい成年後見人(法定後見人)が選任されます。

成年後見制度の利用をやめたわけではないからです。

成年後見制度を使い続ける限り、成年後見人(法定後見人)が死亡しても、解任されても、辞任しても、新しい成年後見人(法定後見人)が選任されます。

成年後見制度は、原則として、やめることができません。

成年後見制度をやめることができるのは、本人の判断能力が回復したときです。

判断能力が回復した診断書がある場合、成年後見制度をやめることができます。

本人や家族が、判断能力が回復したと主張するだけでは、成年後見をやめることができません。

②遺産分割や不動産の売却が終わっても成年後見をやめることはできない

認知症の人が相続人になる相続が発生した場合があります。

認知症の人の不動産を売却する必要がある場合があります。

遺産分割協議や不動産の売却の必要がある場合、成年後見開始の審判を申し立てるきっかけになります。

成年後見制度を使うきっかけとなった遺産分割や不動産売却が終わった場合でも、成年後見をやめることはできません。

ひとりで判断することが不安になったり心細くなったりしてしまう人をサポートする制度が成年後見の制度だからです。

ひとりで判断することができない人を放置することは許されません。

家族が成年後見人(法定後見人)は不要だからやめたいと希望しても、本人の保護のため成年後見(法定後見)は続きます。

5成年後見開始の申立てを司法書士に依頼するメリット

認知症や精神障害や知的障害などで、判断能力が低下すると、物事の良しあしが適切に判断することができなくなります。

また、記憶があいまいになる人もいるでしょう。

このような場合に、ひとりで判断することが不安になったり心細くなったりしてしまう人をサポートする制度が成年後見の制度です。

本人自身も不安になりますし、家族も不安になります。

身のまわりの不自由を補うために、身近な家族がお世話をすることが多くなるでしょう。

成年後見の申立ては家庭裁判所へ手続が必要です。

身のまわりのお世話をしている家族が本人の判断能力の低下に気づくことが多いです。

身のまわりのお世話をしながら、たくさんの書類を用意して煩雑な手続をするのは負担が大きいでしょう。

司法書士は裁判所に提出する書類作成もサポートしております。

成年後見開始の申立てが必要なのに忙しくて手続をすすめられない方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

任意後見は解除できる

2022-10-10

1任意後見とは

任意後見とは、本人の判断能力がしっかりしているうちに、将来、認知症や障害によって判断能力が低下してしまったときに備えて、信頼できる人にやってもらいたいことを決めて、サポートを依頼する契約です。

契約ですから、本人の判断能力がしっかりしているうちしかできません。

この契約は公正証書でする必要があります。

サポートを依頼された人を任意後見人といいます。

任意後見人はひとりでも、何人でも差し支えありません。

この契約は本人がひとりで決めるのが心配になったら、効力が発生して、後見が始まります。

家庭裁判所は、本人がひとりで決めるのが心配になったら、後見監督人を選任します。

つまり、家庭裁判所が後見監督人を選任したら、任意後見契約の効力が発生して、任意後見人が本人のためにサポートを開始します。

任意後見人は適切に仕事をしているか、任意後見監督人にチェックされます。

任意後見監督人は適切に仕事をしているか、家庭裁判所にチェックされます。

だから、安心して任意後見制度を使えます。

この先あれこれ決められなくなる前に、自分らしい生き方を自分で決めよう、サポートを受けて自分らしく生きようという制度です。

2任意後見契約は解除できる

①任意後見監督人選任前は一方的に解除できる

任意後見契約は、本人の判断能力がしっかりしているうちにします。

判断能力がいつ低下するかは人によってそれぞれでしょう。

10年後かもしれません。

20年後かもしれません。

任意後見契約は、任意後見監督人が選任されてからスタートします。

任意後見契約の効力が発生していないうちは、いつでも一方的に解除できます。

本人の判断能力がはっきりしているうちは、本人の同意はなくても解除ができます。

委任契約は一方的に解約できるからです。

任意後見契約を解除する場合、公証人の認証を受けた書面による必要があります。

本人と任意後見人が合意して解除する場合、任意後見契約合意解除書を作成します。

任意後見契約合意解除書に、本人と任意後見人が署名押印のうえ、公証人の認証を受けます。

本人か任意後見人のいずれかが一方的に解除する場合、任意後見契約解除通知書を作成します。

任意後見契約解除通知書に解除する人が署名押印のうえ、公証人の認証を受けます。

解除書を配達証明付き内容証明郵便で相手方に通知します。

配達されたら証明書のハガキが届きます。

②任意後見監督人選任後の解除は正当理由と家庭裁判所の許可が必要

任意後見契約は、任意後見監督人が選任されてからスタートします。

任意後見監督人は、本人が物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなった場合に選任されます。

任意後見がスタートしたということは、本人は物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなっているという意味です。

物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなっているのに、サポートする人がいなくなると本人は困ります。

任意後見監督人が選任された後は、本人を保護するため一方的に解除することはできません。

任意後見契約を解除するためには、家庭裁判所の許可が必要です。

家庭裁判所は正当な理由がある場合に限り、許可をします。

正当な理由とは、任意後見人の事務が困難と認められる理由です。

具体的には、病気などで療養に専念したい、遠方に転居した、本人や本人の家族と任意後見人の信頼関係がなくなったなどです。

家庭裁判所の許可を得てから、相手方に意思表示をして契約を終了させます。

3任意後見契約を解除したら終了登記

任意後見契約をした場合、公証人が登記申請をしてくれます。

任意後見契約を解除した場合、終了登記は自分でする必要があります。

任意後見契約は、任意後見監督人が選任されてからスタートします。

任意後見監督人が選任される前に任意後見契約を解除する場合も任意後見監督人が選任された後に任意後見契約を解除する場合も、終了登記は必要です。

終了登記は、本人の住所地や本籍地に関係なくすべて東京法務局後見登録課が扱います。

終了登記は、窓口に出向いて申請することも郵送することもできます。

任意後見監督人が選任される前に契約を解除した場合、添付書類は次のとおりです。

①公証人の認証を受けた解除書原本(認証のある謄本でも差し支えありません。)

②配達証明付き内容証明郵便で送ったときの差出人保管の謄本(一方的解除の場合)

③配達証明のハガキ(一方的解除の場合)

任意後見監督人が選任された後に契約を解除した場合、添付書類は次のとおりです。

①任意後見契約解除通知書

②家庭裁判所の許可の審判書

③確定証明書

添付書類は、希望すれば返してもらえます。

返してもらいたい書類がある場合、コピーと返信用封筒を添付します。

コピーに「原本に相違ありません。」と記載して申請人の記名と押印をします。

登記手数料は無料です。

申請に不備があれば連絡がありますが、登記が完了しても連絡はありません。

おおむね、申請が受け付けられてから10日程度で登記が完了します。

終了登記の申請書と一緒に後見登記事項証明書申請書送ると、登記完了後送ってくれます。

後見登記事項証明書は東京法務局以外の法務局でも取得することができます。

4任意後見契約の内容変更でも契約解除の可能性

任意後見契約は、本人の判断能力がしっかりしているうちに締結する契約です。

将来、認知症や障害によって判断能力が低下してしまったときに備えて、信頼できる人にやってもらいたいことを決めて、サポートを依頼します。

信頼できる人にやってもらいたいことを決めてサポートを依頼する点が任意後見契約のポイントです。

信頼できる人とやってもらいたいことは、内容変更をすることはできません。

任意後見人を変更したい場合、現在の任意後見契約をいったん解除してあらためて新たに任意後見契約を締結します。

やってもらいたいことは、代理権目録に記載されています。

代理権目録の内容を変更したい場合、現在の任意後見契約をいったん解除してあらためて新たな任意後見契約を締結します。

新たな任意後見契約でやってもらいたいことを決め直します。

やってもらいたいことを単に増やすだけであれば、追加部分の契約で済みます。

新たな任意後見契約は、公正証書にしなければなりません。

任意後見契約は、必ず公正証書にする必要があるからです。

任意後見は契約ですから、本人が物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなったら契約ができなくなります。

その場合は、成年後見制度を検討する必要があります。

5任意後見を司法書士に依頼するメリット

任意後見とは、本人の判断能力がしっかりしているうちに、将来、認知症や障害によって判断能力が低下してしまったときに備えて、信頼できる人にやってもらいたいことを決めて、サポートを依頼する契約です。

契約ですから、本人の判断能力がしっかりしているうちしかできません。

早め早めに準備するものなので、任意後見が実際にスタートするのは契約してから長期間経過してからです。

実際に任意後見がスタートするまでに事情が変わることもあるでしょう。

任意後見の重要ポイントである任意後見人と代理権の範囲の変更は、契約変更はできません。

いったん契約を解除して、あらためて任意後見契約をする必要があります。

一方で、報酬の変更は重要な内容と言えません。

報酬の変更は、契約の変更で済みます。

契約の変更で済みますが、公正証書にする必要があります。

任意後見契約は締結することばかり注目されがちですが、締結して終わりではありません。

本人のよりよく生きることを支えるために、みんながサポートしています。

任意後見契約を考えている方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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