Archive for the ‘遺産分割協議’ Category
相続放棄した人がいる遺産分割協議
1相続放棄と相続分の放棄はまったく別物
①相続放棄とは
相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も相続人が受け継ぎます。
被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継がないことを相続の放棄といいます。
相続放棄をすると、プラスの財産を引き継がなくなりますが、マイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。
相続の放棄は被相続人ごとに判断できますから、例えば、父について相続放棄をするが、母について単純承認するでも差し支えありません。
相続の放棄は相続人ごとに判断しますから、例えば、父の相続人ついて長男は相続放棄するが、長女は単純承認するでも差し支えありません。
②相続分の放棄とは
プラスの財産は受け取りませんと申し入れをすることを、相続放棄すると表現する場合があります。
家庭裁判所で手続をしないで、相続放棄をすることはできません。
相続放棄をすると表現していますが、内容は相続分の放棄のことです。
相続分の放棄と相続放棄はまったく別物です。
相続分の放棄は、家庭裁判所で手続をする必要はありません。
他の相続人にプラスの財産は受け取りませんと申し入れをして、文書に取りまとめれば済みます。
手続がカンタンである点を過度に強調して、相続分の放棄をすすめる自称専門家が散見されます。
相続分の放棄と相続放棄のメリットデメリットを充分に理解して、適切に対処しましょう。
2相続放棄をした人は相続人でなくなる
家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなかったと扱われます。
相続人でなくなるから、相続財産の分け方の話し合いに参加する必要はありません。
相続財産の分け方の話し合いに参加しないから、相続人全員の合意をすることもありません。
相続人全員の合意をしていないから、遺産分割協議書に押印することはありません。
相続手続に関与することがなくなります。
相続放棄をした人がいる場合、相続手続に相続放棄をしたことの証明書が必要になります。
相続放棄をした場合、戸籍謄本などには記載されないからです。
遺産分割協議書に押印してもらうことがないから、ハンコ代が支払われることもほとんどありません。
ハンコ代とは、遺産分割協議書に押印をしてもらうための贈与のことです。
3相続分の放棄をした人は遺産分割協議
他の相続人にプラスの財産は受け取りませんと申し入れをした人は、依然として相続人です。
相続人だから、相続財産の分け方の話し合いに参加する必要はあります。
相続財産の分け方の話し合いに参加するから、相続人全員の合意をする必要があります。
相続人全員の合意をしているから、遺産分割協議書に実印で押印しなければなりません。
遺産分割協議書の押印が実印であることを証明するために、印鑑証明書を用意しなければなりません。
相続分の放棄をした人は、相続人です。
相続人として、相続手続に関与しなければなりません。
相続人として、マイナスの財産を受け継がなければなりません。
プラスの財産は受け取りませんと申し入れをする人の気持ちとしては、納得がいかないかもしれません。
プラスの財産を受け継がないのにマイナスの財産も受け継ぐことになるからです。
実際、マイナスの財産はプラスの財産を受け継ぐ相続人が引き受ける約束をしている場合があります。
遺産分割協議書に「マイナスの財産は相続人〇〇が相続する」と記載して相続人全員が実印を押しているかもしれません。
このような合意であっても、無効になるわけではありません。
「マイナスの財産は相続人〇〇が相続する」合意は、相続人内部の合意事項です。
債権者には関係のない話です。
債権者には無関係の合意事項だから、債権者は相続人全員に対して法定相続分で借金の返済を請求することができます。
債権者が借金の請求をしたときに「マイナスの財産は相続人〇〇が相続する」合意があるからということはできません。
債権者の請求を拒むことはできません。
4相続分の放棄をした人がいるときの遺産分割協議書の書き方
遺産分割協議書は、相続財産の分け方について相続人全員の合意内容を取りまとめた文書です。
相続財産の分け方について相続人全員の合意があったことが明らかになっていなければなりません。
次の方法をとるのが一般的です。
①具体的に「財産〇〇は相続人〇〇が相続する」などと1枚の紙に取りまとめ、相続人全員が記名のうえ実印で押印します。
実印であることの証明として印鑑証明書を添付します。
②同じ内容の遺産分割協議書を相続人の人数分用意して、各相続人が記名のうえ実印で押印する方法をとることができます。
各相続人が記名押印するので、日付は別々で差し支えありません。
相続分の放棄をした人が「私は何も相続しません」と書いた文書を差し入れても意味はありません。
相続分の放棄をした人は相続人なので、相続財産の分け方について相続人全員の合意が必要だからです。
「私は何も相続しません」では、相続財産の分け方について合意があったとは言えません。
家庭裁判所で遺産分割調停をする場合、相続放棄書(相続分放棄届出書兼相続分放棄書)という書類が使われる場合があります。
相続人が遺産分割調停に関与したくない場合、家庭裁判所に対して提出する書類です。
相続放棄書を家庭裁判所に提出した場合、遺産分割調停から外れることができます。
相続放棄書を提出した相続人の相続分は、他の相続人の相続分を考慮して遺産分割調停が行われます。
5遺産分割協議をしたら相続放棄はできない
家庭裁判所で相続放棄を認めてもらった場合、被相続人のマイナスの財産は引き継ぎません。
相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなかったとみなされるためです。
相続放棄をしたら相続人でなくなるから、プラスの財産もマイナスの財産も受け継ぐことがありません。
遺産分割協議をした場合、債権者は相続人全員に対して法定相続分で債務の支払を請求することができます。
債権者が借金の請求をしたときに「マイナスの財産は相続人〇〇が相続する」合意があるからということはできません。
プラスの財産を引き継がないのだからマイナスの財産も引き継ぎたくないと思うと、相続放棄をしたいと考えるかもしれません。
遺産分割協議をした場合、相続放棄をすることはできません。
遺産分割協議は、相続を単純承認することを前提とした行為だからです。
遺産分割協議は、相続分があることを認識し相続分を処分する行為です。
単純承認した後は、相続放棄をすることはできません。
相続放棄が撤回できないように、単純承認も撤回できません。
遺産分割協議をした後であっても相続放棄が認める大阪高裁の判例がないわけではありません。
遺産分割協議が無効と言えるようなケースで、ごく例外的な事例です。
6相続放棄を司法書士に依頼するメリット
相続放棄はプラスの財産もマイナスの財産も引き継ぎませんという裁判所に対する届出です。
相続人らとのお話合いで、プラスの財産を相続しませんと申し入れをすることではありません。
つまり、家庭裁判所で認められないとマイナスの財産を引き継がなくて済むというメリットは受けられないのです。
相続放棄は取消できないと言われますが、これは撤回できないの意味で使われています。
日常使う言葉が法律上異なる意味で使われると分かりにくくなります。
相続放棄は撤回できませんが、条件を満たせば取消できるし、無効になることもあります。
相続手続は、何度も経験するものではありません。
だれもが不慣れでだれもがスムーズに手続することはできません。
相続手続は法律の知識が不可欠なので、司法書士などの専門家にサポートを受けるといいでしょう。
相続放棄を考えている方はすみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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法定相続人以外の人が遺産分割協議
1相続財産の分け方は相続人全員の合意で決める
相続が発生した後、相続財産は相続人全員の共有財産になります。
相続人のひとりが勝手に処分することはできません。
相続人全員で相続財産の分け方について話し合いによる合意をして、分け方を決める必要があります。
相続財産の分け方にについて、相続人全員でする話し合いのことを遺産分割協議と言います。
遺産分割協議は、必ず、全員で合意する必要がありますが、全員が一つの場所に集まる必要はありません。
2合意が必要になる「相続人全員」とは
相続財産の分け方は、原則として、相続人全員の合意で決定します。
遺産分割協議には、法定相続人でない人が参加する場合があります。
遺産分割協議に参加しなければならない人が参加していない場合、遺産分割協議は無効になります。
法定相続人でなくても遺産分割協議に参加しなければならない人全員が「相続人全員」です。
3法定相続人の代理人が遺産分割協議に参加する
相続財産の分け方を決める話し合いに参加するのは、原則として、相続人本人です。
相続人本人が遺産分割協議に参加できない場合があります。
相続人本人が参加できない場合、相続人の代わりの人が参加します。
①親権者
相続人の中に赤ちゃんなどの未成年が含まれている場合があります。
未成年は、物事のメリットデメリットを充分に判断することができません。
未成年者が契約などの法律行為をする場合、親などの親権者が代わりに行います。
例えば、被相続人の子どもが被相続人より先に死亡している場合があります。
死亡した子どもに子どもがいた場合、子どもの子どもは代襲相続人になります。
子どもの子どもが赤ちゃんなどの未成年であることがあります。
死亡した子どもの配偶者は、代襲相続人の親権者です。
被相続人の財産の分け方の話し合いは、親権者が参加します。
②成年後見人
相続人の中に認知症の人が含まれている場合があります。
認知症の人は、物事のメリットデメリットを充分に判断することができません。
認知症の人が契約などの法律行為をする場合、成年後見人が代わりに行います。
被相続人の財産の分け方の話し合いは、成年後見人が参加します。
③後見監督人
認知症の人が相続人になった場合、通常は、成年後見人が代わりに遺産分割協議に参加します。
成年後見人が本人に代わって法律行為をすると、不適切な場合があります。
一方がトクをすると、他方がソンをする関係になる場合です。
本人と成年後見人が相続人になる場合、一方がトクをすると、他方がソンをする関係になります。
このような一方がトクをすると、他方がソンをする関係のことを利益相反と言います。
利益相反する場合、法定代理人なのに成年後見人は本人を代理できません。
利益相反の場合で、かつ、成年後見監督人がいる場合、成年後見監督人が遺産分割協議に参加します。
④特別代理人
成年後見では、成年後見監督人が選任されている場合と選任されていない場合があります。
一方がトクをすると、他方がソンをする関係になる場合、成年後見人は本人を代理できません。
成年後見人が本人を代理できない場合に、本人を代理するのが特別代理人です。
利益相反の場合で、かつ、成年後見監督人がいない場合、特別代理人が遺産分割協議に参加します。
一方がトクをすると、他方がソンをする関係になる場合は、本人と成年後見人だけに限りません。
未成年者と親権者が相続人になる場合、一方がトクをすると、他方がソンをする関係になります。
一方がトクをすると、他方がソンをする関係になる場合、親権者は未成年者を代理できません。
親権者が未成年者を代理できない場合に、特別代理人が未成年者を代理します。
利益相反の場合、特別代理人が遺産分割協議に参加します。
⑤保佐人と補助人
相続人の中に判断力が多少充分でない人が含まれている場合があります。
判断力が多少充分でない人に対して、サポートする人を付けています。
判断力の度合いに応じて、保佐人や補助人を付けてサポートします。
サポートをしてもらう人は、保佐人や補助人の同意を得れば自分で遺産分割協議をすることができます。
保佐人や補助人に遺産分割協議に関する代理権が付与されている場合、保佐人や補助人が遺産分割協議に参加します。
⑥保佐監督人と補助監督人、臨時保佐人と臨時補助人
サポートをしてもらう人と保佐人が相続人になる場合、一方がトクをすると、他方がソンをする関係になります。
サポートをしてもらう人と補助人が相続人になる場合、一方がトクをすると、他方がソンをする関係になります。
利益相反の場合、保佐人と補助人は遺産分割協議に関する同意をすることができません。
利益相反の場合で、かつ、保佐人や補助人に遺産分割協議に関する代理権が付与されている場合、本人を代理することはできません。
利益相反の場合で、かつ、保佐監督人や補助監督人が選任されている場合、保佐監督人や補助監督人が本人を代理します。
利益相反の場合で、かつ、保佐監督人や補助監督人が選任されていない場合、臨時保佐人や臨時補助人を選任してもらいます。
臨時保佐人や臨時補助人が本人を代理します。
被相続人の財産の分け方の話し合いは、保佐監督人や補助監督人、臨時保佐人や臨時補助人が参加します。
⑦不在者財産管理人
相続人の中に行方不明の人が含まれている場合があります。
行方不明の人は居場所が分からないから、遺産分割協議に参加することができません。
行方不明の人が契約などの法律行為をする場合、不在者財産管理人が代わりに行います。
不在者財産管理人は、本来、行方不明の人の財産管理をする人です。
相続財産の話し合いをするのは、財産管理の範囲を越す行為です。
不在者財産管理人が行方不明の人に代わって遺産分割協議をする場合、家庭裁判所から特別に許可をもらう必要があります。
被相続人の財産の分け方の話し合いは、不在者財産管理人が参加します。
⑧破産管財人
相続人の中に自己破産の申立てをした人が含まれている場合があります。
自己破産とは、破産者のプラスの財産を債権者に公平に分配して、借金の支払を免除してもらう手続のことです。
破産手続き開始決定がされた時点で、破産者のプラスの財産は債権者に公平に分配されます。
自己破産では、自己破産の申立ての後に破産手続き開始決定がされます。
相続が発生した後、破産手続き開始決定がされる場合があります。
相続が発生した場合、被相続人の財産は相続人全員の共有財産になります。
債権者に公平に分配される財産は、破産手続き開始決定がされた時点の破産者の固有の財産と相続人全員で共有している相続財産です。
相続人全員で共有している相続財産の共有持分は、債権者に公平に分配される財産です。
自己破産した相続人が相続人同士で話し合いをして、処分することは許されません。
相続財産の共有持分は、債権者に公平に分配される財産だからです。
破産管財人は、本来、破産財団の財産管理をする人です。
相続財産の話し合いをするのは、破産財団の財産管理の範囲を越す行為です。
破産管財人が遺産分割協議をするためには、裁判所から特別に許可をもらう必要があります。
被相続人の財産の分け方の話し合いは、破産管財人が参加します。
⑨任意代理人
相続財産の分け方を決める話し合いに参加するのは、原則として、相続人本人です。
他の相続人と話し合いができない場合、弁護士などの専門家に委任することができます。
弁護士は依頼人の利益最大化のために働く人なので、他の相続人は強硬な態度になることが多いです。
相続手続が終わった後には、絶縁することも少なくありません。
もともと絶縁しているのであれば、弁護士などの専門家に委任することが有効な場合もあるでしょう。
被相続人の財産の分け方の話し合いは、弁護士などの専門家が参加します。
4包括受遺者が遺産分割協議に参加する
遺贈とは、被相続人が遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげることです。
遺贈で財産を譲ってあげる人のことを遺贈者、譲ってもらう人を受遺者と言います。
相続では、法定相続人だけに譲ってあげることができます。
遺贈では、法定相続人に譲ってあげることもできるし、相続人以外の人に譲ってあげることができます。
遺贈には、2種類あります。
特定遺贈と包括遺贈です。
特定遺贈とは、遺言書に、「財産〇〇〇〇を遺贈する」と財産を具体的に書いてある場合です。
包括遺贈とは、遺言書に、「財産すべてを包括遺贈する」「財産の2分の1を包括遺贈する」と割合だけ書いて財産を具体的に書いてない場合です。
包括遺贈を受けた場合、財産の分け方について話し合いによる合意が必要です。
包括遺贈では、財産を譲ってもらう人は相続人と同一の権利義務が与えられます。
被相続人の財産の分け方の話し合いは、包括受遺者が参加します。
5相続分の譲受人が遺産分割協議に参加する
相続人全員による話し合いによる合意がされる前であれば、相続人が自分の法定相続分を譲渡することができます。
相続分を譲渡するのは、他の相続人のうちだれかでも構いませんし、それ以外の第三者でも構いません。
譲渡するのは、有償でも無償でも構いません。
自分の法定相続分の全部を譲渡することができるし、自分の法定相続分の一部を譲渡することができます。
相続分を譲渡すると、相続分を譲渡した相続人は相続権を失います。
相続分の譲渡を受けた人は、他の相続人以外の第三者であっても、相続分を譲った人に代わって相続人全員の話し合いに参加する必要があります。
被相続人の財産の分け方の話し合いは、相続分の譲受人が参加します。
6特別寄与者が遺産分割協議に参加する
寄与分とは、被相続人の財産の維持や増加について特別な貢献をした人がいる場合、特別な貢献をした人に対して、相続分以上の財産を受け継いでもらう制度です。
特別な貢献をした人が相続人の場合、寄与分を主張することができます。
特別な貢献をした人が相続人でないけど親族である場合、特別の寄与分を請求することができます。
特別の寄与分を請求する人は、遺産分割協議で特別の寄与に応じた金銭を請求します。
被相続人の財産の分け方の話し合いに、特別寄与者が参加します。
7死亡した相続人の相続人が遺産分割協議に参加する
相続が発生したときには元気だった相続人が遺産分割協議中に死亡することがあります。
相続人が死亡した場合、相続人の地位が相続されます。
当初の被相続人の相続人でない人に相続されることがあります。
当初の相続人が死亡した場合、死亡した相続人の相続人が遺産分割協議に参加しなければならない人です。
遺産分割協議に参加しなければならない人が参加していない場合、遺産分割協議は無効になります。
当初の相続の法定相続人でなくても遺産分割協議に参加しなければならない人全員が「相続人全員」です。
8遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット
遺産分割協議書は遺産の分け方について、参加すべき人全員による合意を取りまとめた文書です。
前提として、話し合いによる合意ができていなければ、文書にできません。
銀行などの金融機関から遺産分割協議書を提出するように言われて、とにかく書きたいという方もいます。
遺産分割協議書があるとトラブル防止になりますが、参加すべき人全員の合意があり、合意を取りまとめているからです。
有効な合意を文書にしているから、後々のトラブルを防止できるのです。
参加すべき人全員が有効な合意をしていない場合、かえってトラブルになってしまいます。
参加すべき人は簡単そうに見えて、間違いやすいものです。
参加すべき人を間違えると、せっかくの合意が無効になりかねません。
司法書士はこのような複雑な相続においても対応しています。
適切な遺産分割協議書を作り、家族のトラブルを避けたい方は、司法書士などの専門家にサポートを依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
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包括受遺者がいるときの遺産分割協議
1包括受遺者とは
遺贈とは、被相続人が遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげることです。
遺贈で財産を譲り渡す人を遺贈者、譲り受ける人を受遺者と言います。
遺贈には、2種類あります。
特定遺贈と包括遺贈です。
特定遺贈とは、遺言書に「財産〇〇〇〇を遺贈する」と財産を具体的に書いてある場合です。
包括遺贈とは、遺言書に「財産すべてを包括遺贈する」「財産の2分の1を包括遺贈する」と割合だけ書いて財産を具体的に書いてない場合です。
2種類を組み合わせることもできます。
2特定遺贈も包括遺贈も放棄することができる
遺贈とは、被相続人が遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげることです。
遺言書は相続人らの関与なしに作ることができます。
遺言で遺贈や相続のことを定める場合、遺言者が受け取る人の意見を聞かずに、一方的に決めることができます。
遺言に書いてあるからとは言っても、受け取ると相続人に気兼ねすることがあります。
相続人とトラブルになりたくないから、ご辞退したい場合もあるでしょう。
遺贈は、特定遺贈であっても、包括遺贈であっても、放棄することができます。
包括遺贈の放棄は、家庭裁判所へ手続をします。
包括受遺者は相続人と同一の権利義務があります。
相続財産にマイナスの財産がある場合は、マイナスの財産も受け継ぎます。
包括遺贈の放棄は、包括遺贈すべてを放棄することになります。
包括遺贈の放棄で一部の財産だけ放棄することはできません。
包括遺贈を放棄する場合、相続を放棄する場合と同じ手続をします。
家庭裁判所に対して、包括遺贈放棄の申立をします。
自己のために包括遺贈があることを知ってから、3か月以内に手続きしなければなりません。
包括遺贈放棄の申立先は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所です。
家庭裁判所の管轄はホームページで調べることができます。
3包括受遺者が遺産分割協議をするケース
①相続人と包括受遺者で遺産分割協議をする
遺言書に「財産の2分の1を包括遺贈する」と割合だけ書いてあることがあります。
具体的にどの財産を受け取るのかは、相続人全員と合意をしなければなりません。
包括受遺者は、相続人と同一の権利義務が与えられます。
包括受遺者が遺産分割協議に参加するのは、権利であるし義務でもあります。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。
相続人全員の合意だけで包括受遺者の合意がない場合、遺産分割協議は無効です。
包括受遺者は、相続人と同一の権利義務が与えられているからです。
相続人でない人が包括遺贈を受けた場合、相続人全員と包括遺贈を受けた人全員の合意が必要になります。
②複数の包括受遺者で遺産分割協議をする
複数の人に対して、包括遺贈をすることができます。
複数の包括受遺者がいる場合、具体的にどの財産を受け取るのか包括受遺者全員で合意をしなければなりません。
一部の包括受遺者が参加しない遺産分割協議は無効です。
4包括受遺者が遺産分割協議不要になるケース
①全部包括遺贈は遺産分割協議不要
遺産分割協議は、相続財産を共有する相続人全員で具体的にどの財産を受け取るのか決めるものです。
全部包括遺贈を受けた場合、相続財産を他の相続人と共有することはありません。
すべての財産を包括受遺者が受け取るから、財産の分け方を決める必要がありません。
全部包括受遺者は、遺産分割協議をする必要がありません。
②特定財産を除く包括遺贈は遺産分割協議不要
包括受遺者は相続人と同一の権利義務があります。
相続財産にマイナスの財産がある場合は、マイナスの財産も受け継ぎます。
特定財産を除く財産について遺贈がされた場合、プラスの財産もマイナスの財産も引き継がせる趣旨でしょう。
相続分に対応する割合が明示されていなくても、包括遺贈になると考えられます。
特定財産を除く財産すべてを受け継ぐから、財産の分け方を決める必要がありません。
特定財産を除く包括受遺者は、遺産分割協議をする必要がありません。
5全部包括受遺者が相続人に財産を譲る方法
①全部包括受遺者は相続人と遺産分割協議はできない
全部包括遺贈を受けた場合、相続財産を他の相続人と共有することはありません。
相続が発生したときに、遺言書が効力を発します。
遺言書が効力を発したときに、全部包括受遺者が財産すべてを受け継ぎます。
全部包括受遺者は、遺産分割協議をする必要がありません。
相続人や全部包括受遺者が遺産分割協議を望んでも、遺産分割協議の余地がありません。
②遺贈された財産を贈与する
全部包括遺贈を受けた場合、相続財産は包括受遺者のものになります。
相続人が相続財産の一部を引き継ぐことを望むことがあります。
相続人とトラブルになりたくないから、一部の財産を相続人に引き継いでもらおうと考えるかもしれません。
相続人が相続したいと望んでも相続することはできません。
相続財産は、包括受遺者のものだからです。
包括遺贈の放棄で一部の財産だけ放棄することはできません。
包括受遺者が包括遺贈の放棄をした場合、すべての財産を受け継ぐことができなくなります。
相続人が相続できなくても、財産を引き継ぐことはできます。
だれでも自分の財産を自由に贈与することができるからです。
包括受遺者は、包括遺贈を受けた後、相続人に財産を贈与することができます。
財産を贈与した場合、金額によっては贈与税の対象になります。
贈与税は、想像以上に高額になりがちです。
③相続人は遺留分侵害額請求をすることができる
遺留分とは、相続財産に対して認められる最低限の権利のことです。
兄弟姉妹以外の相続人に認められます。
相続人が被相続人の兄弟姉妹以外である場合、全部包括遺贈によって遺留分が侵害されています。
遺留分を侵害された相続人は、遺留分侵害額請求をすることができます。
遺留分侵害額請求は、金銭で支払いを受ける権利です。
相続財産を直接相続する権利ではありません。
4合意したら遺産分割協議書にとりまとめる
2人以上相続人がいる場合や遺言書がない場合は、遺産の分け方について相続人全員で話し合いをする必要があります。
相続人全員で話し合いのことを遺産分割協議といいます。
話し合いの合意内容を取りまとめた文書を遺産分割協議書といいます。
合意したことの証明として、遺産分割協議書は相続人全員が実印で押印し、印鑑証明書を添付します。
遺産分割協議書があれば合意内容が書いてあります。
後になって、合意していなかったなどとトラブルになることを防ぐことができます。
包括受遺者がいる場合であっても、遺産分割協議書に合意内容を取りまとめます。
包括受遺者がいない場合の遺産分割協議書と比べて、大筋は同じです。
包括受遺者は、多くの場合、相続人ではありません。
戸籍謄本を見ても、現れてきません。
包括遺贈を受けたから遺産分割協議に参加していることを明示するといいでしょう。
相続財産の分け方は、相続人や包括受遺者全員で合意する必要があります。
相続人や包括受遺者全員でない場合は、無効になります。
相続人や包括受遺者以外の人を含めて合意をした場合も無効になります。
相続人や包括受遺者全員で、かつ、余計な人を含めずに合意をしなければなりません。
何も書いてない場合、相続手続を受ける銀行などが勘違いをしてしまいかねません。
相続手続をする相続人に何も非はなくても、相続手続が長引くおそれがあります。
合意内容を簡潔にまとめて、相続人と同様に包括受遺者が署名し実印で押印します。
遺産分割協議書の押印が実印であることを証明するために、印鑑証明書を添付します。
5遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット
遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。
包括遺贈を受けた人がいる場合、相続人の他に包括遺贈を受けた人も遺産分割協議に参加します。
相続財産の分け方は、相続人や包括遺贈を受けた人全員で合意する必要があります。
相続人や包括遺贈を受けた人全員でない場合は、無効になります。
相続人や包括遺贈を受けた人以外の人を含めて合意をした場合も無効になります。
遺言書の書き方によっては、法律知識がない人が読むと包括遺贈なのか特定遺贈なのか判断しにくい場合があります。
遺言者が専門家のサポートなしで遺言書を書いた場合、あいまいな記載が起こりがちです。
単なる、相続財産の分け方の話し合いですらまとまりにくいものです。
包括遺贈を受けた人がいる場合、多くは、家族以外の人でしょう。
家族以外の関係性が薄い人がいる場合、相続財産の分け方はいっそう合意が難しくなります。
このような場合、専門家のサポートが必要になるでしょう。
合意がきちんと文書になっているからこそトラブルが防止できるといえます。
つまり、書き方に不備があるとトラブルを起こしてしまう危険があります。
せっかくお話合いによる合意ができたのに、取りまとめた文書の不備でトラブルになるのは残念なことです。
トラブルを防止するため、遺産分割協議書を作成したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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