Author Archive

相続放棄の管轄は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所

2024-09-23

1相続放棄でプラスの財産もマイナスの財産も相続しない

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続人が相続する財産が相続財産です。

相続財産というと、プラスの財産だけ注目するかもしれません。

プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も相続財産です。

被相続人の一切の財産を受け継がないことを相続の放棄といいます。

相続放棄をすると、はじめから相続人でなくなります。

相続財産は、プラスの財産もマイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

相続の放棄は、被相続人ごとに判断できます。

例えば、父について相続放棄をするが、母について単純承認するでも差し支えありません。

相続の放棄は、相続人ごとに判断します。

例えば、父の相続人ついて長男は相続放棄するが、長女は単純承認するでも差し支えありません。

2相続放棄の管轄は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所

①相続放棄は相続が開始した地を管轄する家庭裁判所へ申立て

家庭裁判所に対して、必要な書類を添えて相続放棄を希望する申立てをします。

申立てをする先の家庭裁判所は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所です。

相続が開始した地とは、被相続人の最後の住所地です。

相続放棄を希望する人の住所地の家庭裁判所ではありません。

例えば、被相続人の最後の住所地が名古屋市の場合、名古屋家庭裁判所に相続放棄の手続をします。

相続人の住所が東京であっても大阪であっても、名古屋家庭裁判所が管轄するからです。

被相続人の最後の住所地が分かれば、裁判所のホームページで管轄する家庭裁判所を調べることができます。

②相続放棄は家庭裁判所へ手続

相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して手続する必要があります。

相続放棄をしたと言いながら、家庭裁判所に手続をしていないケースがあります。

相続が発生した場合、被相続人の財産は相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。

相続財産の分け方を決める話し合いにおいて、相続財産を受け取らないと宣言することがあります。

相続人全員の話し合いで財産を受け取らないと合意しても、相続放棄ではありません。

相続放棄をすると、プラスの財産もマイナスの財産も引き継ぐことがなくなります。

家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、プラスの財産もマイナスの財産も引き継ぐことはありません。

家庭裁判所に対して手続をしていない場合、相続放棄とは認められません。

3被相続人の最後の住所の調べ方

①被相続人の除票を取得する

被相続人と連絡を取り合っていた場合、相続が発生した後の早い時期に相続手続をすることができます。

相続放棄は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して手続をします。

被相続人の最後の住所地は、被相続人の除票を取得すると判明します。

被相続人の除票は、住民票を置いていた市区町村役場に請求します。

死亡した人について、広域交付住民票を取得することはできません。

広域交付住民票は、住民票を置いていた市区町村役場以外の市区町村役場で住民票を取得することができる制度です。

例えば、名古屋市に住民票を置いている人が名古屋市以外の市区町村役場で住民票を取得することができます。

名古屋市以外に住民票を置いている人が名古屋市の各区役所で住民票を取得することができます。

住民票の広域交付制度で、住民票の除票を発行してもらうことはできません。

住民票を置いていた市区町村役場で除票を取得すれば、最後の住所地は判明します。

②被相続人の戸籍の附票を取得する

生前に連絡をとりあっていなかった場合、相続が発生した後、長期間経過してから相続人であることを知ることがあります。

例えば、父母が離婚した後に一度も会っていない親が死亡した場合、相続人になります。

子どもがいない伯叔父や伯叔母が死亡した場合、相続人になります。

被相続人や被相続人の家族と音信不通であった場合、被相続人に関する情報が全く分からないかもしれません。

被相続人に関する情報が全く分からない場合、被相続人の最後の住所地を探さなければなりません。

被相続人の最後の住所地が分からない場合、戸籍の附票で調べることができます。

被相続人の戸籍の附票は、被相続人の本籍地の市区町村役場に請求します。

被相続人に関する情報が全く分からない場合、まず自分の本籍地の市区町村役場に自分の戸籍謄本を請求します。

自分の本籍地が分からない場合、自分の住民票のある市区町村役場に自分の住民票を請求します。

自分の住民票を請求するときに、本籍地の記載のある住民票と指定します。

自分の住民票に自分の本籍地が記載されているから、自分の本籍地は判明します。

自分の戸籍謄本を取得したら、順番に被相続人の戸籍までたどっていきます。

被相続人の戸籍までたどることができたら、被相続人の死亡時の戸籍までたどり着きます。

死亡時の戸籍までたどり着いた場合、戸籍の附票を取得することができます。

被相続人の戸籍の附票を取得すれば、最後の住所地は判明します。

③住民票が消除されている人がいる

住民票や戸籍の附票に、最後の住所地が記載されていないことがあります。

住民票を置いているのに長期間更地である場合、居住していないことは明らかです。

市区町村役場から郵便が届かないまま長期間行方不明になっている場合、調査のうえ市区町村役場が住民票を消除するからです。

住民票が消除されると、最後の住所地が判明しません。

④住民票や戸籍の附票は保存期間経過で廃棄される

住民票や戸籍の附票は該当の市区町村役場に請求すれば、取得することができます。

住民票や戸籍の附票は、永年保管ではありません。

今でこそ保存期間は150年ですが、令和元年までは5年でした。

市区町村役場は、保存期間を過ぎた書類を順に廃棄します。

相続が発生した後、長期間経過してから相続人であることを知ることがあります。

住民票や戸籍の附票は保存期間経過した場合、取得することができなくなります。

住民票や戸籍の附票が廃棄済になると、最後の住所地が判明しません。

4死亡届の記載事項証明書で住所を調べる

①死亡届の記載事項証明書に死亡者の住所が記載されている

相続放棄の手続をする場合、被相続人の除票や戸籍の附票を提出するのが原則です。

被相続人の最後の住所地が判明しない場合、家庭裁判所の管轄が定まりません。

被相続人の最後の住所地が分かる公的書類を探す必要があります。

人が死亡した場合、市区町村役場に死亡届を提出します。

死亡届の記載事項証明書とは、市区町村役場に提出した死亡届の写しです。

死亡届には、死亡者の氏名、本籍地の他に住所を記載します。

死亡届の記載事項証明書を取得した場合、被相続人の最後の住所地を確認することができます。

②死亡届の提出先

死亡届の提出先になる市区町村役場は、次のとおりです。

(1)死亡者の死亡地

(2)死亡者の本籍地

(3)届出人の住所地

死亡届が提出された後、一定期間は受け付けた市区町村役場で保管されます。

受け付けた市区町村役場で保管されている期間中は、受け付けた市区町村役場に対して死亡届の記載事項証明書を請求します。

③死亡届の記載事項証明書を請求できる人

死亡届は、原則として、非公開です。

利害関係がある人で、かつ、特別な事由がある場合のみ、死亡届記載事項証明書を請求することができます。

死亡届の記載事項証明書を請求することができる人は、次の人です。

(1)配偶者

(2)6親等内の血族

(3)3親等内の姻族

上記(1)~(3)の人であって、かつ、特別な事由がある人が死亡届記載事項証明書を請求することができます。

④死亡届の記載事項証明書の請求先

死亡届が提出された後、一定期間後、死亡した人の本籍地を管轄する法務局に送られました。

令和6年2月までに市区町村役場で受理された死亡届は、一定期間経過後、法務局で保管されます。

法務局に送られた後は、管轄の法務局に対して死亡届の記載事項証明書を請求します。

法務局は、市区町村役場から送付を受けた年度の翌年から27年間保管しています。

令和6年3月以降に市区町村役場で受理された死亡届は、市区町村役場で保管されます。

市区町村役場での保管期間は、次のとおりです。

・電子化された届出書は10年

・紙で保管されている届出書5年

市区町村役場で保管されている期間中は、受け付けた市区町村役場に対して死亡届の記載事項証明書を請求します。

住民票や戸籍の附票が廃棄された後でも、死亡届の記載事項証明書を取得できることがあります。

死亡届の記載事項証明書を取得すれば、最後の住所地は判明します。

5死亡者所有の不動産の登記簿謄本で調べる

空き家等の登記名義人が死亡した場合、現在の管理者が適切に管理していないことがあります。

適切な管理を促すため、市区町村役場は相続人に通知を送ります。

市区町村役場から届いた通知を見て相続の発生を知ることがあります。

ほとんど面識のない遠縁の親族の相続人である場合、被相続人に関する情報が全く分からないでしょう。

適切な管理を促すために市区町村役場が連絡する場合、長期間空き家等になっているケースでしょう。

多くの場合、住民票や戸籍の附票は保存期間経過で廃棄されています。

被相続人が不動産を所有していた場合、登記がされているのが一般的です。

所有権登記がされている場合、所有者の住所が登記されています。

不動産の登記簿謄本を取得すれば、最後の住所地は判明します。

6住所の手がかりが何もないときは東京家庭裁判所

被相続人が死亡してから長期間経過していた場合、被相続人に関する情報を全く取得することができないことがあります。

被相続人の住所に関する情報が全くない場合、家庭裁判所の管轄が定まらなくなります。

このような場合、法律の定めで事件にかかる財産の所在地の管轄の家庭裁判所が管轄します。

さらに、財産に関する手がかりもないことがあります。

最後の住所地について手がかりになる資料が全くない場合、東京都千代田区として扱われます。

東京都千代田区は、東京家庭裁判所が管轄します。

7相続放棄を司法書士に依頼するメリット

相続放棄は、その相続でチャンスは1回限りです。

家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続を取ることはできます。

高等裁判所の手続で、2週間以内に申立てが必要になります。

家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。

一挙に、ハードルが上がると言ってよいでしょう。

相続が発生してから3か月以内に届出ができなかったのは止むを得なかったと家庭裁判所に納得してもらって、はじめて、家庭裁判所は相続放棄を認めてくれます。

通常は家庭裁判所に対して、上申書や事情説明書という書類を添えて、説得することになります。

家庭裁判所が知りたいことを無視した作文やダラダラとした作文では認めてもらうことは難しいでしょう。

司法書士であれば、家庭裁判所に認めてもらえるポイントを承知しています。

認めてもらえやすい書類を作成することができます。

通常の相続放棄と同様に、戸籍謄本や住民票が必要になります。

仕事や家事、通院などで忙しい人には、平日の昼間に市区町村役場に出向いて準備するのは負担が大きいものです。

戸籍謄本や住民票は、郵便による取り寄せができます。

書類の不備などによる問い合わせは、市区町村役場の業務時間中の対応が必要になります。

事務負担は、軽いとは言えません。

戸籍謄本や住民票の取り寄せは、司法書士におまかせすることができます。

3か月の期限が差し迫っている方や期限が過ぎてしまっている方は、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

遺贈による所有権移転登記を単独申請

2024-09-22

1遺言書を作成して遺贈

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②相続人にも相続人以外にも遺贈ができる

自分が生きている間、自分の財産は自由に処分することができます。

遺言書を作成して自分が死亡した後、自分の財産をだれに引き継いでもらうのか自由に決めることができます。

遺贈とは、遺言書で相続人や相続人以外の人に財産を引き継いでもらうことです。

相続人になる人は、法律で決まっています。

相続できるのは、法律で決められた相続人のみです。

疎遠になった相続人より、お世話になった人に財産を引き継いでもらいたいことがあるでしょう。

相続人以外の人は、相続できません。

相続人は、相続することができるし遺贈を受けることができます。

遺贈を受ける人を受遺者と言います。

相続人以外の人は、相続することはできないけど遺贈を受けることができます。

遺言書を作成すれば、相続人にも相続人以外の人にも遺贈をすることができます。

2相続人に遺贈するとき単独申請ができる

①令和5年4月1日以降単独申請ができる

相続人は、相続することができるし遺贈を受けることができます。

遺言書に「相続させる」と書いていれば、相続で手続をします。

遺言書に「遺贈する」と書いていれば、遺贈で手続をします。

相続人が不動産を相続する場合、相続登記をします。

相続登記は、相続人の単独申請です。

相続人が不動産の遺贈を受ける場合、遺贈による所有権移転登記をします。

遺贈による所有権移転登記は、権利者と義務者の共同申請です。

令和5年4月1日に、法改正がありました。

相続人が不動産の遺贈を受ける場合、権利者の単独申請ができます。

令和5年4月1日以降に申請する登記は、単独申請が認められます。

令和5年4月1日以前に相続が発生していても、単独申請が認められます。

相続人に遺贈する場合、令和5年4月1日以降は単独申請ができます。

②相続人に遺贈で単独申請するときの登記申請書

記載例

登記の目的 所有権移転

原因 令和〇年〇月〇日遺贈

権利者(申請人) 〇〇市〇〇区〇〇町〇丁目〇番〇号

           〇〇〇〇 印

義務者 〇〇市〇〇区〇〇町〇丁目〇番〇号

      〇〇〇〇

添付情報 登記原因証明情報

       住所証明情報

令和〇年〇月〇日申請 〇〇法務局

課税価額 金〇〇〇〇万円

登録免許税 金〇〇〇〇円

③相続人に遺贈するとき権利証と印鑑証明書は不要

相続人に遺贈する場合、単独申請ができます。

義務者の関与は、不要です。

所有権移転登記をする場合、義務者の意思確認のため権利証と印鑑証明書を提出します。

相続人に遺贈する場合、権利証と印鑑証明書は不要です。

④相続人であることは戸籍謄本で証明する

遺贈による所有権移転登記をする場合、権利者と義務者の共同申請が原則です。

相続人に対する遺贈の場合のみ、単独申請が認められます。

単独申請をする場合、受遺者が相続人であることを証明する必要があります。

相続人であることは、戸籍謄本で証明します。

⑤相続人に遺贈するとき登録免許税は1000分の4

所有権移転登記を申請する場合、登録免許税を納める必要があります。

登録免許税は、固定資産税評価額に対して税率をかけて計算します。

遺贈による所有権移転登記をする場合、登録免許税の税率は1000分の20です。

相続人に遺贈である場合、登録免許税の税率は1000分の4に軽減されます。

⑥相続人に遺贈するとき住所変更は不要

不動産を取得したら、登記をするでしょう。

登記簿には、不動産を取得したときの住所が記録されています。

遺贈の登記をする場合、遺言者の住民票の除票を提出します。

遺言者の住民票の除票には、死亡時の住所が記録されています。

登記簿を確認すると、登記簿上の住所と死亡時の住所が異なることがあります。

住民票を移しても、登記簿上の住所は自動で変更されないからです。

登記簿上の住所と死亡時の住所が異なる場合、別人と判断されます。

別人と判断されたら、登記をすることはできません。

相続人に対する遺贈の登記をする場合、前提として住所変更登記をする必要はありません。

登記簿上の住所と死亡時の住所が異なるまま、遺贈の登記をすることができます。

住所変更登記をしなくていいけど、住所の移り変わりを証明する必要があります。

住所の移り変わりは、住民票や戸籍の附票で証明します。

3受遺者を遺言執行者に指名して単独申請

①遺言執行者は遺言書で指名できる

遺贈とは、遺言書で相続人や相続人以外の人に財産を引き継いでもらうことです。

遺言書を作成するだけでは、意味がありません。

遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書の内容を実現するため、必要な権限が与えられます。

遺言者は、遺言執行者を自由に選任することができます。

遺言執行者は、遺言書で指名することができます。

②受遺者を遺言執行者に指名できる

遺言執行者は、遺言者が自由に指名することができます。

遺言執行者になるのに、特別な資格はありません。

未成年者と破産者が遺言執行者になれないだけです。

遺言執行者として、相続人や受遺者を指名することができます。

不動産を遺贈をする場合、遺贈による所有権移転登記をします。

遺贈による所有権移転登記は、権利者と義務者が共同で申請します。

権利者は、受遺者です。

義務者は、遺言執行者です。

受遺者が遺言執行者である場合、他の人の協力が不要です。

受遺者が遺言執行者である場合、事実上の単独申請になります。

③受遺者が遺言執行者のときの登記申請書

記載例

登記の目的 所有権移転

原因 令和〇年〇月〇日遺贈

権利者 〇〇市〇〇区〇〇町〇丁目〇番〇号

        〇〇〇〇 印

義務者 〇〇市〇〇区〇〇町〇丁目〇番〇号

       亡〇〇〇〇

上記遺言執行者 〇〇市〇〇区〇〇町〇丁目〇番〇号

              〇〇〇〇 印

添付情報 登記原因証明情報

       登記識別情報

       印鑑証明書

       住所証明情報

令和〇年〇月〇日申請 〇〇法務局

課税価額 金〇〇〇〇万円

登録免許税 金〇〇〇〇円

④権利証がないときは遺言執行者の本人確認

相続人に遺贈するとき、権利証と印鑑証明書は不要です。

相続人以外の人に遺贈するとき、権利証と印鑑証明書は必要です。

権利証は、被相続人が不動産を取得したときの権利証です。

印鑑証明書は、遺言執行者の印鑑証明書です。

被相続人が不動産を取得したときの権利証は、被相続人の家族が保管しているでしょう。

権利証の保管場所を家族と共有していないかもしれません。

法務局に権利証を提出できない場合、司法書士が本人確認をします。

相続人以外の人に遺贈するとき、遺言執行者の本人確認をします。

⑤遺言執行者が住所変更登記

登記簿を確認すると、登記簿上の住所と死亡時の住所が異なることがあります。

住民票を移しても、登記簿上の住所は自動で変更されないからです。

登記簿上の住所と死亡時の住所が異なる場合、別人と判断されます。

別人と判断されたら、登記をすることはできません。

相続人に対する遺贈の登記をする場合、前提として住所変更登記をする必要はありません。

相続人以外の人に対する遺贈の登記をする場合、前提として住所変更登記をする必要があります。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書の内容を実現するため、必要な権限が与えられます。

登記簿上の住所と死亡時の住所が異なる場合、そのままでは遺言書の内容を実現できません。

遺言執行者は、被相続人の住所変更登記をすることができます。

遺言書の内容を実現するため、住所変更登記をする必要があるからです。

登記簿上の住所と死亡時の住所が異なる場合、遺言執行者が住所変更登記を申請します。

4遺言執行者がいないときは相続人全員の協力

①遺言執行者がいなくても遺言書は有効

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者は、遺言書の不可欠な内容ではありません。

遺言書の有効無効と遺言執行者の指名の有無は、無関係です。

遺言執行者が指名されていても指名されていなくても、有効な遺言書は有効です。

遺言執行者が指名されていても指名されていなくても、無効な遺言書は無効です。

遺言執行者がいなくても、遺言書は有効です。

②相続人全員の協力で所有権移転登記

遺言執行者がいなくても、遺言書は有効です。

遺言書で遺言執行者を指名しても、遺言執行者に就任する義務はありません。

遺言執行者の就任は、ご辞退することができます。

遺言執行者がいない場合、遺言書の内容は相続人全員の協力で実現させます。

遺言書の内容に相続人全員が納得している場合、相続人全員の協力が得られるでしょう。

遺言書の内容に不満がある相続人は、協力してくれないかもしれません。

相続人全員の協力が得られない場合、相続手続が進まなくなります。

遺言執行者がいない場合、相続人全員の協力が必要です。

③遺言執行者は家庭裁判所で選任してもらえる

遺言執行者がいない場合、家庭裁判所に対して遺言執行者選任の申立てをすることができます。

家庭裁判所に申立てをして、遺言執行者を選任してもらうことができます。

遺言執行者がいない場合、遺言書の内容は相続人全員の協力で実現させます。

相続人の中には、音信不通で協力してくれないことがあります。

行方不明で連絡が取れないこともあるでしょう。

家庭裁判所に遺言執行者を選任してもらった方がラクに手続を進めることができます。

遺言執行者は、家庭裁判所で選任してもらうことができます。

5不動産の名義変更を司法書士に依頼するメリット

大切な家族を失ったら、大きな悲しみに包まれます。

やらなければいけないと分かっていても、気力がわかない方も多いものです。

一般的に不動産は、家族にとって重要な財産でしょう。

登記手続は、一般の方から見ると些細なことと思えるようなことでやり直しになります。

住所変更登記が必要になるか必要にならないかなども、そのひとつでしょう。

相続手続は、一生のうち何度も経験するものではありません。

だれにとっても、不慣れで手際よくできるものではありません。

相続手続で使われる言葉は、法律用語です。

一般の方にとって、日常で聞き慣れないものでしょう。

司法書士は、登記の専門家です。

相続手続も、登記手続も、丸ごとお任せいただけます。

相続手続でへとへとになる前に、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

遺贈する不動産に住所氏名変更登記

2024-09-22

1遺言書を作成して遺贈

①相続人になる人は法律で決まっている

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②相続人にも相続人以外にも遺贈ができる

自分が生きている間、自分の財産は自由に処分することができます。

遺言書を作成して自分が死亡した後、自分の財産をだれに引き継いでもらうのか自由に決めることができます。

遺贈とは、遺言書で相続人や相続人以外の人に財産を引き継いでもらうことです。

相続人になる人は、法律で決まっています。

相続できるのは、法律で決められた相続人のみです。

疎遠になった相続人より、お世話になった人に財産を引き継いでもらいたいことがあるでしょう。

相続人以外の人は、相続できません。

相続人は、相続することができるし遺贈を受けることができます。

相続人以外の人は、相続することはできないけど遺贈を受けることができます。

遺言書を作成すれば、相続人にも相続人以外の人にも遺贈をすることができます。

2住所や氏名を変更しても登記は変更されない

①登記の住所氏名は自動で変更されない

不動産を所有している人は、登記をしているでしょう。

登記簿には、所有者の住所や氏名などが記録されています。

不動産を所有した後で、引っ越しをすることがあります。

引っ越しをしたら、市区町村役場などに手続をします。

住民票を移しても、市区町村役場から法務局へ連絡されません。

結婚・離婚や養子縁組・離縁で氏名を変更しても、市区町村役場から法務局へ連絡されません。

市区町村役場に手続をしても、登記の記録は自動で変更されることはありません。

所有者の住所が変更になった場合、住所変更登記をする必要があります。

所有者の氏名が変更になった場合、氏名変更登記をする必要があります。

法務局に住所氏名変更登記を申請していない場合、登記簿上は旧住所旧氏名のままです。

②相続登記の準備で登記記録の確認

登記申請を準備する場合、現在の登記記録を確認します。

現在の登記記録を確認しないと、どのような準備をすればいいか分からないからです。

登記記録を確認する方法は、2つあります。

法務局で登記簿謄本を取得する方法と登記情報を取得する方法です。

内容は、どちらも同じです。

近くの法務局で日本中どこの不動産の登記簿謄本であっても、取得することができます。

3相続人に遺贈するとき住所氏名変更登記は不要

①遺言書に遺贈とあれば遺贈で手続

相続人は、相続することができるし遺贈を受けることができます。

遺言書に「相続させる」と書いてある場合、相続で手続をします。

遺言書に「遺贈する」と書いてある場合、遺贈で手続をします。

②遺贈の登記で遺言書の住民票を提出

不動産を遺贈する場合、不動産の名義変更をします。

遺贈の登記をする場合、遺言者の住民票の除票を提出します。

遺言者の住民票の除票には、死亡時の住所が記録されています。

登記簿を確認すると、登記簿上の住所と死亡時の住所が異なることがあります。

住民票を移しても、登記簿上の住所は自動で変更されないからです。

登記簿上の住所と死亡時の住所が異なる場合、別人と判断されます。

別人と判断されたら、登記をすることはできません。

遺贈の登記で、遺言書の住民票を提出します。

③住所氏名変更登記をせずに遺贈の登記ができる

相続人に対する遺贈の登記をする場合、前提として住所氏名変更登記は不要です。

登記簿上の住所氏名と死亡時の住所氏名が異なるまま、遺贈の登記をすることができます。

④住所氏名の移り変わりを証明する書類は必要

登記簿上の住所氏名と死亡時の住所氏名が異なる場合、別人と判断されます。

相続人に対する遺贈の登記をする場合、前提として住所変更登記は不要です。

住所氏名変更登記をしなくても、住所氏名の移り変わりを証明する必要があります。

住所氏名の移り変わりが証明できないと、別人と判断されるからです。

別人と判断されたら、登記をすることはできません。

住所氏名変更登記は不要ですが、住所氏名の移り変わりを証明する必要があります。

⑤住所氏名の移り変わりを証明する書類に保管期限

住所の移り変わりを証明するために、住民票を提出することができます。

住民票には、死亡時の住所だけでなく前住所が記載されているからです。

登記簿上の住所が前住所地より以前の住所地であることがあります。

住所の移り変わりを証明するために、戸籍の附票を提出することができます。

戸籍の附票には、その戸籍が作られた以降の住所の移り変わりが記録されています。

住民票と戸籍の附票は、永年保管ではありません。

保存期限が過ぎたものは、順次廃棄されます。

保管期限は、現在は150年です。

令和元年6月20日までは、たったの5年でした。

保存期限経過によって廃棄されてしまった後は、取得することはできません。

住民票や戸籍の附票を取得できなくなると、住所の移り変わりを証明することができなくなります。

⑥住所氏名の移り変わりを証明できないときの対処法

住所氏名の移り変わりを証明できないときは、次の対処法があります。

(1)権利証を提出する

権利証は、不動産の所有者が大切に保管しています。

権利証を提出した場合、所有者であることを証明できたと言えます。

(2)不在籍・不在住証明書を提出する

不在籍証明書とは、申請があった本籍・氏名に該当する戸籍がないことを証明する書類です。

不在住証明書とは、申請があった住所・氏名に該当する住民票がないことを証明する書類です。

登記上の住所・氏名に該当する住民票と戸籍がないことが証明されます。

(3)固定資産税の納税証明書を提出する

固定資産税は、固定資産を保有している人に課される税金です。

不動産の所有者であれば、固定資産税を納めているでしょう。

固定資産税を納めているのであれば、所有者である可能性が高いと言えます。

(4)相続人全員の印鑑証明書付き上申書を提出する

上申書とは、「不動産の所有者は被相続人に間違いありません」という法務局宛てのお願いです。

相続人全員が実印を押して、印鑑証明書を添付します。

上申書には相続人が実印で押印し、相続人の印鑑証明書を添付する必要があります。

住所の移り変わりを証明できないときの対処法は、法務局によってまちまちです。

複数の書面を提出するように言われることがあります。

あらかじめ法務局と打合せのうえ、登記申請をするといいでしょう。

4相続人以外に遺贈をするとき住所氏名変更登記が必要

①孫は相続人ではない

家族以外の赤の他人にも、遺贈をすることができます。

相続人は、相続することができるし遺贈を受けることができます。

相続人は相続できるから、遺言書にも相続させると書かれることが多いでしょう。

相続人以外の人は相続できないから、遺贈すると書かれます。

赤の他人という表現は、相続人以外の人を強調する意味です。

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

子どもが相続人になる場合、孫は相続人ではありません。

孫は、家族のひとりでしょう。

赤の他人と同様に言うことについて、納得できない気持ちになるかもしれません。

孫は、相続人ではありません。

孫に遺贈することができます。

孫は相続人でないから、相続人以外の人に遺贈する方法で手続をします。

②一部の相続人が住所氏名変更登記

登記簿上の住所氏名と死亡時の住所氏名が異なる場合、別人と判断されます。

相続人に対する遺贈の登記をする場合、前提として住所氏名変更登記は不要です。

相続人以外の人に対する遺贈の登記をする場合、前提として住所氏名変更登記は必要です。

相続人以外の人に対する遺贈の登記をする前提として住所氏名変更登記をする場合、一部の相続人が住所氏名変更登記をすることができます。

住所氏名変更登記は、保存行為だからです。

登記申請は、知識のない人にとって難しいことが多いでしょう。

登記申請を司法書士などの専門家に依頼することができます。

司法書士に依頼する場合、一部の相続人から委任状を出すだけで差し支えありません。

一部の相続人が住所氏名変更登記をすることができます。

③遺言執行者が住所氏名変更登記

遺贈とは、遺言書を作成して財産を引き継いでもらうことです。

遺言書は、作成するだけでは意味がありません。

遺言書の内容は、自動で実現するわけではないないからです。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書の内容を実現するため、必要な権限が与えられます。

遺言書で相続人以外の人に遺贈する場合、前提として住所氏名変更登記が必要です。

登記簿上の住所氏名と死亡時の住所氏名が異なる場合、別人と判断されるからです。

遺言書の内容を実現するため、遺言執行者は住所氏名変更登記をすることができます。

登記申請を司法書士などの専門家に依頼する場合、遺言執行者から委任状を出します。

遺言執行者が住所氏名変更登記をすることができます。

④住所氏名の移り変わりを証明できないときは遺言執行者が上申書

住所氏名の移り変わりを証明できないときは、権利証を提出します。

被相続人の権利証を紛失していることは、少なくありません。

法務局宛て上申書を提出する場合、遺言執行者が上申書を提出します。

上申書に添付する印鑑証明書は、遺言執行者の印鑑証明書です。

5相続した不動産に住所氏名変更登記は不要

登記記録上の住所氏名と被相続人の住民票の住所氏名が異なる場合、別人であると判断されます。

登記記録上の住所氏名と被相続人の住民票の住所氏名が異なる場合であっても、相続登記の前提として住所氏名変更登記をする必要はありません。

相続登記では、住所の移り変わりを証明すればよいとされているからです。

遺言執行者がいる場合、遺言執行者が相続登記をすることができます。

6不動産の名義変更を司法書士に依頼するメリット

大切な家族を失ったら、大きな悲しみに包まれます。

やらなければいけないと分かっていても、気力がわかない方も多いです。

不動産は、重要な財産であることも多いものです。

登記手続は一般の方から見ると、些細なことと思えるようなことでやり直しになります。

住所変更登記が必要になるか必要にならないかなども、そのひとつでしょう。

相続手続は、一生のうち何度も経験するものではありません。

だれにとっても不慣れで、手際よくできるものではありません。

相続手続で使われる言葉は、法律用語です。

一般の方にとって、日常で聞き慣れないものでしょう。

司法書士は、登記の専門家です。

相続手続も登記手続も、丸ごとお任せいただけます。

相続手続でへとへとになる前に、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

任意後見契約は登記される

2024-09-20

1任意後見契約は公正証書で契約

①信頼できる人と契約する

認知症や精神障害や知的障害などで判断能力が低下すると、物事の良しあしを適切に判断することができなくなります。

記憶があいまいになる人もいるでしょう。

任意後見とは、将来に備えて信頼できる人にサポートを依頼する契約です。

任意後見は、だれと契約するのか本人が自分で決めることができます。

任意後見契約をした場合、物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなった後にサポートしてもらいます。

自分の財産管理などを依頼するから、信頼できる人と契約します。

多くの場合、本人の子どもなど近い関係の家族でしょう。

家庭裁判所で成年後見開始の審判をしてもらう場合、成年後見人は家庭裁判所が決めます。

家族が成年後見人に選ばれるのは、20パーセント程度です。

任意後見契約では、本人が選んだ人にサポートを依頼することができます。

②任意後見契約は公正証書で作成

任意後見契約は、判断能力が低下したときにサポートを依頼する契約です。

重要な契約だから、公正証書で契約をしなければなりません。

公正証書は、公証人に作ってもらう文書です。

単なる口約束や個人間の契約書では、効力がありません。

公証人は、法律の専門家です。

法律の専門家が当事者の意思確認をして、公正証書を作成します。

任意後見契約は、公正証書で作成します。

③公証人が法務局に登記嘱託

任意後見契約を締結すると、契約の内容は登記されます。

任意後見契約をしても後見が開始しても、戸籍に記載されません。

仮に戸籍に記載されるとしたら、不安を覚える人がいるでしょう。

戸籍ではなく後見登記簿で管理されています。

任意後見契約をした当事者は、自分で登記申請をする必要はありません。

自動的に、公証人が法務局に登記を嘱託するからです。

④任意後見契約をするだけでは効力がない

任意後見は、将来に備えて信頼できる人にサポートを依頼する契約です。

契約だから、物事のメリットデメリットを充分に判断できるときに締結します。

任意後見契約は、締結するだけでは効力がありません。

任意後見契約をしたときは、物事のメリットデメリットを充分に判断できるはずです。

物事のメリットデメリットを充分に判断できる間、サポートは必要ないでしょう。

物事のメリットデメリットを充分に判断できなくなったら、サポートが必要になります。

サポートが必要ないから、任意後見契約は効力がありません。

任意後見契約をするだけでは、任意後見人として本人を代理することはできません。

2任意後見契約は登記される

①任意後見契約締結後発効前の登記事項

任意後見契約を締結すると、公証人が登記を嘱託します。

任意後見契約を締結した後で発効前の登記事項は、次のとおりです。

(1)公証人の氏名、所属、公正証書の番号、作成年月日

(2)本人の氏名、生年月日、住所、本籍

(3)任意後見受任者の氏名、住所

(4)代理権の範囲

任意後見契約は、締結するだけでは効力がありません。

任意後見契約をするだけでは、任意後見人として本人を代理することはできません。

任意後見契約を締結しただけの状態では、任意後見人ではありません。

任意後見人ではなく、任意後見受任者です。

任意後見受任者とは、任意後見契約が発効したら任意後見人になる人です。

後見登記事項証明書を見ると、任意後見人ではなく任意後見受任者と記載されています。

記載の仕方がちがうから、任意後見人として本人を代理できるのか代理できないのか判断することができます。

②任意後見契約発効後の登記事項

(1)公証人の氏名、所属、公正証書の番号、作成年月日

(2)本人の氏名、生年月日、住所、本籍

(3)任意後見人の氏名、住所

(4)代理権の範囲

(5)任意後見監督人の氏名、住所

任意後見契約が発効したら、任意後見人はサポートを開始します。

任意後見人は、任意後見契約に従って本人を代理することができます。

後見登記事項証明書を見ると、任意後見受任者ではなく任意後見人と記載されています。

記載の仕方がちがうから、任意後見人として本人を代理できるのか代理できないのか判断することができます。

③任意後見監督人選任後に効力発生

任意後見契約は、締結するだけでは効力がありません。

任意後見契約が発効するのは、任意後見監督人が選任された後です。

本人が認知症を発症したら、家庭裁判所に対して任意後見監督人選任の申立てをします。

家庭裁判所が任意後見監督人を選任した後、任意後見契約が発効します。

任意後見契約が発効してから、任意後見人が本人をサポートを開始します。

法定後見では、後見監督人が選任されることも選任されないこともあります。

任意後見では、任意後見監督人は必ず選任されます。

任意後見監督人が選任されないと、任意後見契約が発効しないからです。

任意後見監督人選任後に、任意後見契約の効力が発生します。

④任意後見人の代理権は後見登記事項証明書で証明できる

任意後見契約が発効した後、任意後見人は本人のサポートを開始します。

任意後見契約に従って、本人を代理します。

任意後見契約が発効した後は、本人は判断能力を失っています。

判断能力を失った後だから、本人が委任状などで代理権を証明することはできません。

後見登記事項証明書を取得すると、代理権の範囲が記載されています。

任意後見契約で本人がサポートを依頼した内容は、登記されています。

任意後見人の代理権は、後見登記事項証明書で証明することができます。

3後見登記事項証明書の取得方法

①窓口請求は本局のみ

後見登記事項証明書は、法務局の窓口に出向いて発行請求をすることができます。

東京であれば、東京法務局後見登録課のみです。

東京以外であれば、法務局・地方法務局本局の戸籍課のみです。

例えば、愛知県内には、14か所の法務局があります。

後見登記事項証明書の発行請求ができるのは、名古屋市中区三の丸の名古屋法務局本局だけです。

名古屋市内であっても、熱田出張所や名東出張所で発行請求をすることはできません。

本人や任意後見人の住所・本籍による制限はありません。

住所や本籍がどこにあっても、上記窓口に出向けば手続できます。

後見登記事項証明書の窓口請求は、法務局・地方法務局の本局のみです。

②郵送請求は東京法務局後見登録課のみ

法務局・地方法務局の本局に出向くことができる人は、窓口請求が便利でしょう。

法務局・地方法務局は、平日の昼間のみ業務を行っています。

仕事や家事で忙しい人にとって、近くであっても出向くことは難しいでしょう。

後見登記事項証明書は、郵送で請求することができます。

後見登記事項証明書の輸送請求を受け付けているのは、東京法務局のみです。

各地の法務局・地方法務局に郵送しても、受け付けてもらえません。

名古屋法務局本局は、窓口請求に対応していますが、郵送請求に対応していません。

後見登記事項証明書の郵送請求は、東京法務局後見登録課のみです。

③請求できる人

後見登記事項証明書を請求することができるのは、次の人です。

(1)本人

(2)4親等内の親族

(3)任意後見人

(4)任意後見監督人

不動産や会社の登記事項証明書は、だれでも取得することができます。

後見登記事項証明書は、取得できる人が限定されています。

任意後見契約が発効している場合、本人は認知症などで判断能力を失っています。

本人にとっても家族にとっても、他の人に知られたくないことでしょう。

本人のプライバシーに配慮して、請求できる人が制限されています。

任意後見人は、本人を代理して取引をすることができます。

任意後見人が代理できるのは、本人がサポートを依頼した内容のみです。

取引の相手方は、任意後見人の権限を確認したいと思うでしょう。

本人がサポートを依頼した内容以外は、任意後見人は代理ができないからです。

後見登記事項証明書を取得すると、代理権の範囲が記載されています。

取引の相手方は、後見登記事項証明書を取得することはできません。

任意後見人が後見登記事項証明書を取得して、相手方に見せる必要があります。

後見登記事項証明書は、請求できる人が制限されています。

④申請書・委任状は押印不要

後見登記事項証明書を取得する場合、登記事項証明申請書を提出します。

登記事項証明申請書は、法務局の窓口に備え付けてあります。

登記事項証明申請書は、記名するだけで押印は不要です。

後見登記事項証明書は、請求できる人が自分で申請してもいいし代理人を立てて依頼することもできます。

代理人を立てて依頼する場合、代理人に対して委任状を発行します。

委任状は、記名するだけで押印は不要です。

後見登記事項証明書を取得する場合、申請書や委任状に押印は不要です。

⑤手数料は収入印紙で納入

後見登記事項証明書を取得する場合、手数料を納入する必要があります。

後見登記事項証明書の手数料は、1通あたり550円です。

登記事項証明申請書に収入印紙を貼り付けて納入します。

貼り付けるだけで、消印は押しません。

登記事項証明申請書を受け付けたとき、法務局の人が消印を押すからです。

収入印紙は、法務局の印紙売りさばき窓口の他、郵便局の郵便窓口で購入することができます。

後見登記事項証明書の手数料は、収入印紙で納入します。

⑥後見登記事項証明書の有効期限

後見登記事項証明書自体に、有効期限はありません。

後見登記事項証明書に「有効期限令和〇年〇月〇日」と記載されることはありません。

後見登記事項証明書は、発行した時点の証明書に過ぎないからです。

古い証明書の場合、現在では内容が異なっていることがあるでしょう。

提出先が有効期限を決めていることがあります。

例えば、相続登記で後見登記事項証明書を提出する場合、発行後3か月以内の証明書である必要があります。

本人のために融資を受ける場合、金融機関などは独自ルールで有効期限を決めていることが多いでしょう。

後見登記事項証明書の有効期限は、提出先に確認することが重要です。

4任意後見契約を司法書士に依頼するメリット

任意後見制度は、あらかじめ契約で「必要になったら後見人になってください」とお願いしておく制度です。

認知症が進んでから任意後見契約をすることはできません。

重度の認知症になった後は、成年後見(法定後見)をするしかなくなります。

成年後見(法定後見)では、家庭裁判所が成年後見人を決めます。

家族が成年後見人になれることも家族以外の専門家が選ばれることもあります。

任意後見契約では、本人の選んだ人に後見人になってもらうことができます。

家族以外の人が成年後見人になることが不安である人にとって、任意後見制度は有力な選択肢になるでしょう。

任意後見契約は締結して終わりではありません。

本人が自分らしく生きるために、みんなでサポートする制度です。

任意後見制度の活用を考えている方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

遺言執行者と相続人は同一でいい

2024-09-19

1遺言執行者が遺言書の内容を実現する

①相続手続は遺言執行者におまかせできる

被相続人は、自分の財産を自由に処分することができます。

遺言書を作成して、自分が死亡後にだれに引き継いでもらうのか自由に決めることができます。

遺言書は、作成するだけでは意味がありません。

遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者がいると、相続手続は遺言執行者におまかせすることができます。

相続手続は、何度も経験することはありません。

だれにとっても初めてで、知らないことや分からないことばかりでしょう。

相続手続は、想像以上に手間と時間がかかります。

遺言執行者がいると、家族はラクができます。

手間と時間がかかる相続手続は、遺言執行者が負担してくれるからです。

相続手続は、遺言執行者におまかせできます。

②遺言執行者を指名しなくても遺言書は無効にならない

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書を確認したところ、遺言執行者について何も書いてないことがあります。

遺言書の内容を実現する人がいないと、遺言書が無意味なものに思えるかもしれません。

遺言書には、厳格な書き方ルールがあります。

書き方ルールに違反した遺言書は、無効になります。

遺言書の書き方ルールに、遺言執行者を指名することはありません。

遺言書で遺言執行者を指名しなくても、遺言書が無効になることはありません。

③家庭裁判所で遺言執行者を選任してもらえる

遺言執行者がいると、相続手続は遺言執行者におまかせすることができます。

遺言執行者は、遺言書で指名することがほとんどです。

遺言執行者がいると、家族はラクができるからです。

遺言書の内容を実現してくれるから、遺言者にとっても安心です。

遺言書で遺言執行者を指名しても、指名された人が先に死亡することがあります。

遺言執行者を指名していなくても、遺言書は有効です。

遺言執行者がいない場合、家庭裁判所に対して遺言執行者選任の申立てをすることができます。

家庭裁判所に申立てをして、遺言執行者を選任してもらうことができます。

④子どもの認知は遺言執行者が届出

認知とは、婚姻関係にないカップルの間に生まれた子どもについて自分の子どもと認めることです。

認知をして、自分の子どもだと認めるのは一般的には父親です。

通常、母は出産の事実によって母親であることが確認できるからです。

父が生前に認知届を提出する他に、遺言で認知をすることができます。

子どもを認知する場合、市区町村役場に認知届を提出する必要があります。

父が生前に認知をする場合、自分で市区町村役場に持って行くことができます。

遺言で認知をする場合、認知届は遺言執行者が提出します。

遺言で認知をするためには、遺言執行者が欠かせません。

遺言で子どもを認知するときは、遺言執行者が市区町村役場に届出をします。

⑤相続人廃除は遺言執行者が申立て

相続人になる人は、法律で決められています。

例えば、被相続人に虐待をした人に、相続をさせたくないと考えるのは自然なことでしょう。

被相続人が相続させたくないと思って、他の相続人にすべての財産を相続させると遺言書を書くことがあります。

遺言書を作成したとしても、遺留分を奪うことはできません。

遺留分侵害額請求をしたら、相続財産のいくらかは虐待した相続人が受け継いでしまいます。

相続人廃除とは、被相続人の意思で相続人の資格を奪う制度です。

相続人の資格を奪うというのは、実質的には、遺留分を奪うことです。

被相続人が生前に廃除の申立てをする他に、遺言で廃除をすることができます。

遺言で廃除する場合、遺言執行者が家庭裁判所に申立てをします。

廃除は家庭裁判所に申立てをして、家庭裁判所が判断します。

遺言で廃除をするためには、遺言執行者が欠かせません。

遺言で相続人を廃除するときは、遺言執行者が家庭裁判所に申立てをします。

2遺言執行者は相続人と同一でいい

①遺言執行者になれる人なれない人

遺言執行者になれない人は、民法で決められています。

遺言執行者になれない人は、次のとおりです。

(1)未成年者

(2)破産者

遺言執行者は、遺言書で指名することができます。

遺言書を作成した時点で、未成年者であっても差し支えありません。

遺言執行者が欠格に該当するかどうかは、相続が発生した時点で判断します。

原則として、だれでも遺言執行者になることができます。

遺言執行者は、相続人や受遺者と同一で差し支えありません。

受遺者とは、遺言書で遺贈を受ける人です。

相続や遺贈で財産を受け取る人が遺言執行者になることができます。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書の内容を実現できる知識があって、相続手続をする時間がある人を指名するといいでしょう。

遺言執行者は、相続人や受遺者と同一で差し支えありません。

②遺言執行者は辞退できる

遺言執行者は、遺言書で指名することができます。

遺言書は、遺言者がひとりで作ります。

言わば、一方的に遺言執行者に指名することができます。

遺言書で遺言執行者に指名された場合、指名された人は就任する義務はありません。

指名された人が就任するか辞退するか選択することができます。

遺言書で遺言執行者に指名されても、遺言執行者への就任は辞退することができます。

遺言執行者への就任辞退は、理由を言う必要はありません。

  • 何となく、気が進まない
  • 遺言執行なんて、手間と時間がかかりそうだ
  • 相続手続に、自信がない
  • 相続人から、あれこれ言われそう

上記のような理由で、遺言執行者への就任を辞退することができます。

遺言執行者への就任を辞退する場合、すみやかに意思表示をしましょう。

遺言執行者が引き受けてくれるのか辞退するのか分からないと、相続人が困るからです。

遺言執行者への就任を辞退することができます。

③遺言執行者の辞任はハードルが高い

遺言執行者への就任を辞退するときに、理由を言う必要はありません。

遺言執行者への就任を辞退する理由は、自由です。

いったん遺言執行者に就任した後は、自由に辞任することはできません。

遺言執行者が辞任するときは、遺言執行者辞任の許可の申立てをします。

辞任するにあたって正当な理由があるときだけ、遺言執行者の辞任が許可されます。

正当な理由には、次のような理由があります。

  • 病気などで長期の療養が必要
  • 長期の出張
  • 遠隔地への転居

正当理由は、客観的に困難であることが重視されます。

  • 遺言執行が難しくて続けられない
  • 面倒でやる気がなくなった

上記のような理由は、客観的に困難とは認められないでしょう。

遺言執行者に就任する前は、自由に辞退することができます。

遺言執行者に就任した後は、自由に辞任することができません。

遺言執行者に就任した後の辞任は、ハードルが高くなります。

④包括的に遺言執行を依頼する

原則として、だれでも遺言執行者になることができます。

遺言執行者は相続人や受遺者と同一であっても、問題になりません。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者は、遺言執行のため相続手続します。

相続手続は、想像以上に手間と時間がかかります。

「遺言執行が難しくて続けられない」「面倒でやる気がなくなった」などの理由で、辞任は許可されないでしょう。

遺言執行者は、遺言執行を包括的に依頼することができます。

遺言執行は、法律知識が必要な手続が多いものです。

司法書士などの専門家に任せる方がスムーズでしょう。

遺言執行者に指名されたのが2019年7月1日以降作成の遺言書であれば、遺言執行者は自己の責任で司法書士などの専門家にその任務を任せることができます。

2019年7月1日以前作成の遺言書で遺言執行者に指名された場合、止むを得ない理由があれば司法書士などの専門家にその任務を任せることができます。

包括的に遺言執行を依頼する場合、相続人などの同意は不要です。

遺言執行者は、遺言執行を包括的に依頼することができます。

⑤特定の事務だけ専門家に依頼する

遺言執行者の事務は、多岐にわたります。

比較的簡単な事務と難しい事務があるでしょう。

例えば、不動産の名義変更は、相続手続の中でも難しい手間のかかる事務です。

遺言執行者は、自分の手に余る難しい事務だけ専門家に依頼することができます。

不動産の名義変更は、相続登記と言います。

相続登記だけ、司法書士に依頼することができます。

相続登記だけ司法書士に依頼する場合、相続人などの同意は不要です。

遺言執行者は、特定の事務だけ専門家に依頼することができます。

3遺言執行者と相続人が同一のときのデメリット

①遺言執行者になれなかった相続人が不満

遺言執行者として相続人を指名する場合、相続人の代表を指名するでしょう。

相続人の代表者として、相続人から注目を集めたいかもしれません。

遺言執行者に指名されなかった相続人が不満を覚えることがあります。

②相続財産の横領を疑われる

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

相続人全員のために、公平公正に職務を行います。

遺言書で相続財産の配分を決めるとき、一部の相続人に有利になっていることが多いでしょう。

受け取る財産が期待に足りないとき、遺言執行者の横領を疑うことがあります。

③遺言執行者に時間的負担が大きい

遺言執行者に指名されると、安易に就任を承諾することがあります。

遺言執行者は、相続人全員のため相続手続をします。

相続手続は想像以上に手間と時間がかかります。

相続手続先は、平日の昼間のみ業務を行っています。

仕事や家事で忙しい人にとって、時間的な負担が大きいでしょう。

④相続手続に時間がかかると相続人から不満

相続手続を何度もすることはありません。

だれにとっても初めてで、知らないことや分からないことでいっぱいです。

見慣れない言葉や聞き慣れない表現で、精神的負担は少なくありません。

仕事や家事で忙しい中、精神的負担の大きい事務を行うと疲れ果ててしまうでしょう。

遺言執行者がいると、他の相続人はラクです。

わずらわしい相続手続をおまかせして、待っているだけだからです。

待っているだけの相続人にとって、財産を手にするまでの時間は長いと感じるでしょう。

相続手続に時間がかかると、相続人から不満が出ます。

4遺言執行を司法書士に依頼するメリット

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

相続人が遺言書の内容に納得していて、手続に協力的であれば、必ずしも、遺言執行者を選任する必要はありません。

子どもの認知など遺言執行者しかできない手続がある場合、遺言執行者を選任しておかないと、相続人に余計な手間をかけさせることになります。

遺言執行者は、相続開始後すみやかに手続を進めることができる時間と知識がある人を選ぶことが重要です。

その意味でも、家族より司法書士などの専門家に遺言執行を依頼する人が増えています。

以前は、遺言執行者は止むを得ない場合だけ、他の人に職務を任せることができるとされていましたが、現在は、止むを得ないなどの理由は不要になりました。

遺言執行者に指名され、職務をしてみたところ、思ったよりタイヘンだという場合、自己の責任で司法書士などの専門家におまかせすることもできます。

今後も、専門家に依頼する人は増えていくでしょう。

遺言執行を司法書士などの専門家に依頼した場合、相続人は基本待っているだけなので、トラブルになることが少なくなるからです。

家族を笑顔にするためにも、遺言書作成と遺言執行者選任しましょう。

家族の幸せのためにも、遺言書作成と遺言執行者選任を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

不動産を相続させるときの遺言書の書き方

2024-09-19

1遺言書があると相続人の話し合いが不要

①分けにくい財産があると相続人全員の話し合いは難航する

相続財産にはいろいろな財産が含まれています。

不動産のように分けにくい財産もあるし、金銭のように分けやすい財産もあります。

相続が発生した場合、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

相続財産の大部分が不動産のような分けにくい財産の場合、相続財産の分け方についての合意が難しくなるでしょう。

②関係の薄い相続人がいると相続人全員の話し合いは難航する

相続人になる人は法律で決まっています。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

被相続人に離婚歴がある場合、元配偶者が引き取った子どもは、子どもとして相続人になります。

被相続人自身も、長期間疎遠にしていたかもしれません。

被相続人の配偶者が子どもの存在を知らなかったかもしれません。

絶縁していても行方不明になっていても、相続人です。

相続財産の分け方を決めるためには、相続人全員の合意が必要です。

相続が発生してからお互いの存在を知ったような場合、話し合いが難しくなります。

関係の薄い相続人がいる合、相続財産の分け方についての合意が難しくなるでしょう。

③遺言書で財産の行き先を決めておく

相続が発生したら、相続財産は相続人全員の共有財産になります。

何も対策していなかったら、相続人全員で相続財産の分け方についての合意が不可欠です。

遺産分割協議はそうでなくても、トラブルになりやすい手続です。

話し合いが難航すると、トラブルに発展するおそれがあります。

難航するおそれがある場合、遺言書を作成することがおすすめです。

遺言書があれば、遺言書の内容とおり分ければいいからです。

2土地を相続させるときの遺言書の記載例

①単独所有の土地の記載例

遺言者は、次のとおり遺言する。

第1条

次の財産を、相続人○○に、相続させる。

所在 ○○市○○町○丁目

地番 ○番○

地目 宅地

地積 200㎡

②土地の共有持分の記載例

遺言者は、次のとおり遺言する。

第2条

次の財産を、相続人○○に、相続させる。

所在 ○○市○○町○丁目

地番 ○番○

地目 宅地

地積 200㎡

持分 4分の1

③公衆用道路の記載例

遺言者は、次のとおり遺言する。

第3条

次の財産を、相続人○○に、相続させる。

所在 ○○市○○町○丁目

地番 ○番○

地目 公衆用道路

地積 3㎡

持分 10分の1

公衆用道路も土地のひとつです。

通常の宅地などと同様に、登記簿があります。

登記簿の記載を書き写せば問題ありません。

公衆用道路は、付近住民と共有していることが多いでしょう。

共有持分を一緒に記載します。

3建物を相続させるときの遺言書の記載例

遺言者は、次のとおり遺言する。

第4条

次の財産を、相続人○○に、相続させる。

所在 ○○市○○町○丁目

家屋番号 ○番○

種類 居宅

構造 木造瓦葺2階建

床面積 1階 50.00㎡ 2階 50.00㎡

4敷地権付きマンションを相続させるときの遺言書の記載例

遺言者は、次のとおり遺言する。

第5条

次の財産を、相続人○○に、相続させる。

(一棟の建物の表示)

所在 ○○市○○町○丁目○番地○

建物の名称 ○○○○マンション

(専有部分の建物の表示)

家屋番号 ○○町○丁目○番○の○

建物の名称 ○○○

種類 居宅

構造 鉄筋コンクリート造1階建

床面積 ○階部分 ○○.○○㎡

価格 金○○○○万円

(敷地権の表示)

符号 1

所在 ○○市○○町○丁目

地番 ○番○

地目 宅地

地積 ○○○.○○㎡

(敷地権の種類)

所有権

(敷地権の割合)

持分 ○○○○○○分の○○○○○○

符号 2

所在 ○○市○○町○丁目

地番 ○番○

地目 宅地

地積 ○○○.○○㎡

(敷地権の種類)

所有権

(敷地権の割合)

持分 ○○○○○○分の○○○○○○

5不動産を相続させるときの遺言書の書き方のポイント

①不動産を相続したら相続登記

不動産を相続したら、不動産の名義を変更します。

相続による不動産の名義変更を相続登記と言います。

不動産は重要な財産であることが多いので、相続登記は法務局が厳格に審査します。

遺言書の内容に従って相続登記をする場合、遺言書を法務局に提出します。

遺言書の書き方が不適切な場合、名義変更が認められません。

不動産を相続させるために遺言書を作成する場合、相続登記ができるように書くことが重要です。

②不動産は登記簿謄本を書き写す

対象の不動産は、客観的に特定します。

客観的に分からない場合、法務局は不動産を特定できないからです。

「自宅」などの記載は、客観的に特定できるとは言えません。

家族にとっては、自宅は当然のことでしょう。

法務局など第三者にとっては、自宅はどこにあるどの不動産なのか分からないからです。

不動産の所在は自宅住所と異なることが多いので、登記簿謄本を書き写しましょう。

固定資産税の課税明細書は、登記簿謄本と異なる表記がされていることや内容が省略されている場合があります。

登記簿謄本の記載を見て、書き写します。

③土地は所在、地番、地目、地積で特定する

「自宅」などの記載は、客観的に特定できるとは言えません。

自宅に住所があるのだから、住所を書けばいいだろうと考えがちです。

土地の所在は、土地の所在する場所を表すものです。

登記簿を調べると、住所地に複数の土地が所在していることがあります。

複数の土地がある場合、地番が異なります。

地番は、土地についている番号です。

同一の所在で同一の地番の土地が複数あることはありません。

登記簿謄本の記載を見て、土地の所在と土地の地番を書き写します。

念のため、地目と地積を書き写して特定します。

④建物は所在、家屋番号、種類、構造、床面積で特定する

「自宅」などの記載は、客観的に特定できるとは言えません。

人によっては、自宅が複数あることがあります。

建物の場合も、住所と建物の所在は別物です。

広い土地に建物が複数あることはよくあることです。

複数の建物がある場合、家屋番号が異なります。

家屋番号は、建物についている番号です。

建物が建っている主たる土地の地番と同じ番号が付けられることが多いです。

同一の所在で同一の家屋番号の建物が複数あることはありません。

登記簿謄本の記載を見て、建物の所在と建物の建物を書き写します。

念のため、種類、構造、床面積を書き写して特定します。

⑤敷地権付きマンションは特定するための項目が多い

マンションには、2種類あります。

敷地権付きマンションと敷地権がないマンションです。

分譲マンションのように1棟の建物の一部を独立して所有できる建物を区分建物と言います。

区分建物が建っている土地が敷地です。

敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利を一体化して処分するようにしたのが、敷地権付区分建物です。

敷地権付区分建物の場合、マンションを売買するとき敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利は一緒についてきます。

敷地を使う権利だけ取引することやお部屋だけ担保に差し出すことはできません。

敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利は、命運を共にする運命共同体です。

新しいマンションのほとんどは、敷地権付区分建物です。

敷地権付区分建物を特定するためには、次の項目を記載します。

(1)一棟の建物の表示

家屋番号、種類、構造、床面積で特定する

(2)専有部分の建物の表示

家屋番号、建物の名称、種類、構造、床面積で特定する

(3)敷地権の表示

土地の符号、所在、地番、地目、地積で特定する

マンションを特定するためには、たくさんの項目を記載しなければなりません。

⑥敷地権がないマンションは土地と建物を別々に特定する

古いマンションの中には、敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利を一体化して処分できるルールができる前に建てられた場合があります。

ルールができる前に建てられたマンションは、敷地を使う権利とマンションのお部屋の権利を一体化していない場合があります。

土地と建物を特定する項目は、先に説明したとおりです。

土地は、所在、地番、地目、地積で特定します。

建物は、一棟の建物の表示として家屋番号、建物の名称、種類、構造、床面積を記載します。

専有部分の建物の表示として家屋番号、建物の名称、種類、構造、床面積を記載します。

土地は、マンションの所有者全員で共有しているでしょう。

共有持分の割合も記載します。

6遺言書作成と遺言執行を司法書士に依頼するメリット

遺言書は遺言者の意思を示すものです。

遺言書の書き方ルールは民法という法律で、細かく決められています。

自分が死んだ後のことは考えたくないという気持ちから、先延ばししがちです。

いろいろ言い訳を考えてしまうかもしれません。

不動産は、分けにくい財産の代表例です。

目立った財産がないから、家族がもめ事を起こすことはないという言い訳はよく聞きます。

相続財産は自宅不動産だけの場合、目立った財産がない場合と言えるでしょう。

分けにくい不動産だけの場合、家族がトラブルになりやすいケースです。

家族がトラブルに巻き込まれることを望む人はいないでしょう。

死んだ後のことを考えるのは不愉快などと言えるのは、判断力がしっかりしている証拠ですから、まず遺言書を書くことをおすすめします。

トラブルにならない場合でも、遺言書があると相続手続は格段にラクになります。

状況が変われば、遺言書は何度でも書き直すことができます。

家族を幸せにするために遺言書を作ると考えましょう。

遺言書の書き直しのご相談もお受けしています。

家族の喜ぶ顔のためにやるべきことはやったと安心される方はどなたも晴れやかなお顔です。

家族の幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

配偶者居住権を遺贈するため遺言書作成

2024-09-16

1配偶者居住権で自宅に住み続ける条件

条件①配偶者であること

配偶者居住権とは、被相続人が所有していた家に住んでいた配偶者が一定期間無条件かつ無償で住み続けることができる権利です。

相続が発生してから配偶者が住む場所を失うことがないように、保護するために作られた権利です。

配偶者居住権を取得する配偶者は、法律上の配偶者のみです。

事実婚配偶者や内縁の配偶者は、配偶者居住権を取得することはできません。

法律上の配偶者でも、相続廃除された人や相続欠格になった人は配偶者居住権を取得することができません。

相続廃除された人や相続欠格になった人は、保護する必要がないからです。

配偶者居住権を取得する条件の1つ目は、法律上の配偶者であることです。

条件②被相続人の所有していた建物であること

配偶者居住権を設定する建物は、被相続人の所有していた建物でなければなりません。

被相続人の単独所有であるか、被相続人と配偶者の共有の場合のみ、配偶者居住権の対象にすることができます。

被相続人と配偶者以外の人と共有建物の場合、配偶者居住権は成立しません。

自宅が借家の場合、配偶者居住権は取得できません。

配偶者居住権を取得する条件の2つ目は、被相続人の所有していた建物であることです。

条件③相続開始時に無償で居住していたこと

配偶者居住権を設定するためには、配偶者が相続開始時に無償で居住していた事が必要です。

居住していたとは、生活の本拠にしていたことを指します。

自宅以外の別荘は、配偶者居住権の対象にはなりません。

生活の本拠とは、言えないからです。

配偶者が介護施設などに入所している場合、生活の本拠はその介護施設と言えるでしょう。

入院やショートステイなどで一時的に自宅を離れていたに過ぎない場合、自宅が生活の本拠と言えます。

相続が発生した時に生活の本拠の場合、配偶者居住権の対象にすることができます。

配偶者居住権を取得する条件の3つ目は、配偶者が相続開始時に無償で居住していたことです。

条件④配偶者居住権の設定をしたこと

配偶者短期居住権と違い、配偶者居住権は設定が必要です。

配偶者居住権は、要件を満たしたら自動的に権利があるというものではありません。

配偶者居住権を設定する方法は、次の4つです。

(1)遺贈

(2)死因贈与

(3)遺産分割協議

(4)遺産分割調停

上記のうち遺贈と死因贈与は、被相続人が生前に対策することができます。

相続人間のトラブル防止の観点から、生前に対策することがおすすめです。

配偶者居住権を取得する条件の4つ目は、配偶者居住権の設定をしたことです。

2配偶者居住権を遺贈するため遺言書作成

①配偶者居住権を設定するときの遺言書の書き方

記載例

遺言者△△は次のとおり、遺言をする。

1遺言者は、遺言者の所有する次の建物の配偶者居住権を遺言者の配偶者〇〇に遺贈する。

所在    名古屋市中区〇〇丁目〇〇番地〇〇

家屋番号 〇番〇

種類    居宅

構造    木造瓦葺

床面積  〇〇・〇〇平方メートル

2遺言者は、遺言者の所有する次の建物の負担付所有権を遺言者の長男◇◇に相続させる。

所在    名古屋市中区〇〇丁目〇〇番地〇〇

家屋番号 〇番〇

種類    居宅

構造    木造瓦葺

床面積  〇〇・〇〇平方メートル

3遺言者は、本遺言の遺言執行者として、□□を指定する。

   令和〇年〇月〇日

名古屋市中区〇〇丁目〇〇番地〇

  遺言者 △△  印

②遺言書には遺贈すると書く

配偶者居住権は、遺贈によって設定することができます。

遺贈とは、遺言書で相続人や相続人以外の人に財産を受け継いでもらうことです。

法律上の配偶者は、必ず、相続人になります。

「相続人◇◇に◇◇を相続させる」

相続人に財産や権利を受け継いでもらう場合、上記の書き方が一般的です。

配偶者居住権について書く場合、「配偶者〇〇に配偶者居住権を相続させる」と書いてしまいそうです。

「配偶者〇〇に建物〇〇の配偶者居住権を遺贈する」と書きます。

配偶者居住権は、法律上、遺贈されたとき取得すると決められているからです。

③「配偶者居住権を相続させる」でも登記ができる

遺言書の記載が「配偶者〇〇に配偶者居住権を相続させる」であった場合、遺言は無効にはなりません。

「配偶者〇〇に配偶者居住権を相続させる」の記載は、特段の事情がない限り、遺贈の趣旨である考えられます。

相続させると書いた遺言書で、配偶者居住権の設定登記を申請することができます。

遺言書の書き方は、厳格なルールがあります。

実際に遺言書を作成するときは、専門家のサポートを受ける方がいいでしょう。

確実で紛失等の心配のない公正証書遺言がおすすめです。

3配偶者居住権を設定するメリット

メリット①配偶者が自宅に住み続けることができる

相続財産の大部分が自宅不動産であるケースは、少なくありません。

相続人間でトラブルが起きると、自宅を売却して遺産分割をすることになるでしょう。

遺言書で配偶者居住権を遺贈しておくと、引き続き自宅で住み続けることができます。

メリット②金融資産も確保できる

配偶者が自宅の所有権を相続する場合、預貯金などの金融資産を受け継ぐことが難しくなります。

配偶者居住権を設定した場合、自宅は配偶者居住権と負担付所有権に分けられます。

配偶者居住権は、自宅そのものよりも評価額が低くなります。

配偶者が預貯金などの金融資産をより多く受け継ぐことができます。

メリット③配偶者居住権は第三者に主張できる

配偶者居住権を設定した場合、配偶者居住権設定登記をすることができます。

配偶者居住権設定登記があれば、第三者にも配偶者居住権を主張できます。

例えば、負担付所有権を取得した相続人が建物を売却した場合、建物の買主は建物を使いたいと考えるでしょう。

建物の買主が配偶者に対して、建物の明渡を請求することが考えられます。

あらかじめ配偶者居住権設定登記がある場合、配偶者は建物の明渡請求を拒むことができます。

建物の明渡を拒むことができることは、配偶者居住権の登記がしてあることの重要な効果です。

4配偶者居住権のデメリット

デメリット①配偶者居住権は配偶者だけのもの

配偶者居住権は、財産的価値があります。

配偶者居住権は、だれかに譲渡することも売却することもできません。

配偶者居住権は配偶者だけのものだからです。

配偶者は、勝手に第三者に使用させることはできません。

負担付所有権者の許可を得ずに建物を賃貸した場合、配偶者居住権消滅請求がされるリスクがあります。

配偶者居住権消滅請求がされた場合、配偶者は自宅から追い出されてしまいます。

配偶者が介護施設などに入所して自宅に住むことがなくなっても、配偶者居住権は存続します。

配偶者居住権は、配偶者だけのものです。

デメリット②建物の売却が難しい

配偶者は、配偶者居住権を第三者に売却することはできません。

負担付所有権者は、法律上は、配偶者の許可なく建物を売却することができます。

配偶者居住権の設定登記がされている建物を買い取っても、配偶者に明渡請求ができません。

配偶者居住権の設定登記がある場合、配偶者は権利主張をすることができるからです。

買い取っても、使うことができない建物を買う人はほとんどいないでしょう。

配偶者が介護施設などに入所して自宅に住むことがなくなった場合でも、配偶者居住権は消滅しません。

負担付所有権者と協力して建物を売却する場合、まず、配偶者居住権を外す必要があります。

配偶者居住権は、第三者に売却や譲渡ができません。

配偶者が負担付所有権者に対して、配偶者居住権を放棄することになります。

配偶者居住権を放棄するためには、配偶者が物事のメリットデメリットを充分に判断できる必要があります。

配偶者が物事のメリットデメリットを充分に判断できる間しか、配偶者居住権を放棄することはできないという意味です。

配偶者が認知症になった場合、自分で配偶者居住権を放棄することはできません。

配偶者居住権を放棄したら、負担付所有権は負担のない所有権になります。

配偶者居住権は、財産的価値があります。

客観的に見ると、財産的価値が移転したと言えます。

財産的価値の移転に対しては、多くの場合、高額な贈与税が課されます。

配偶sh亜居住権を設定した場合、建物の売却が難しくなります。

デメリット③固定資産税などの負担がある

固定資産税は、原則として、所有者が納税義務者です。

配偶者居住権を取得した配偶者は、建物の必要費を負担する必要があります。

負担付所有権を取得した相続人は、配偶者に固定資産税などの必要費を請求することができます。

配偶者居住権者は、固定資産税を負担する必要があります。

デメリット④増改築をするために所有者の同意が必要

配偶者居住権は、建物に住む権利です。

住むために必要な修繕をする権利はありますが、増改築をする権利はありません。

修繕のレベルを超える増改築をするためには、負担付所有権者の同意が必要です。

5配偶者居住権の遺贈を司法書士に依頼するメリット

配偶者居住権は、期間を定めることもできますが、原則として、配偶者の死亡まで存続します。

配偶者が死亡したら、配偶者居住権は消滅します。

配偶者の保有していた財産的価値が消滅することから、配偶者が死亡したときの相続税を減らすことができる点に注目が集まっています。

デメリットについては、あまり考慮されていません。

配偶者居住権は、配偶者だけの権利です。

配偶者居住権の譲渡ができません。

配偶者居住権の設定された建物は、取引されることは通常考えられません。

配偶者が介護施設などに入所したために自宅に住むことがなくなっても、配偶者居住権は消滅しません。

配偶者が自宅に住まなくなったため、自宅を売却しようとする場合、配偶者居住権があるため買い手が見つかりません。

配偶者居住権を外すためには、配偶者が配偶者居住権を放棄する必要があります。

配偶者居住権を放棄するためには、物事のメリットデメリットを判断できる能力が必要です。

将来、自宅を売却する可能性があるのなら、配偶者居住権を設定するのは慎重に判断するべきでしょう。

配偶者居住権を設定するのなら、認知症対策はセットで考えることが重要です。

高齢化社会になって、多くの方は長生きになりました。

長生きになったことは、認知症になるリスクが高くなったということです。

認知症対策がとても重要になっています。

配偶者居住権は、遺言書を適切に書くことで遺贈することができます。

遺言書を書く前に、配偶者居住権を遺贈することが本当に適切なのかを考えなければなりません。

配偶者居住権を設定するのがいいのか、別の方法をとった方がいいか、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

葬儀費用を遺産分割協議

2024-09-11

1葬儀費用は相続財産ではない

①葬儀費用は相続発生後の債務

相続が発生すると、原則として、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続人が相続する財産が、相続財産です。

相続財産には、プラスの財産とマイナスの財産があります。

どちらも、相続財産です。

葬儀費用は、相続財産ではありません。

被相続人が生前に葬儀費用を負担することはないからです。

葬儀費用は、被相続人から引き継ぐ費用ではありません。

葬儀費用は相続発生後に、負担する債務です。

②香典は相続発生後の贈与

葬式の弔問客の意識としては、香典は被相続人に手向ける気持ちかもしれません。

被相続人は死亡しているので、香典を受け取ることはできません。

香典は、相続財産ではありません。

被相続人が生前に香典を受け取ることはないからです。

香典は、被相続人から引き継ぐ財産ではありません。

香典は、喪主に対する贈与です。

同様に、香典返しも喪主から弔問客への贈与です。

葬儀費用、香典、香典返しは、相続財産ではありません。

香典は、相続発生後の贈与です。

③葬儀費用の負担者は明確には決まっていない

葬儀費用は、葬式の契約をした人が支払います。

だれが葬式の契約をするかについて、法律の定めはありません。

だれが葬儀費用を支払うかについて、明確な定めはありません。

裁判所や学者は、次のような意見があります。

(1)相続人全員の負担にする説

(2)喪主が負担する説

(3)相続財産から負担する説

(4)地域の慣習で決める説

被相続人や相続人のそれぞれの事情があるから、一概に決められません。

葬儀費用の負担者は、明確には決まっていません。

④被相続人の口座は凍結される

被相続人の預貯金を払い戻して支払いをすればいいと考えるかもしれません。

金融機関は口座の持ち主の死亡を確認した場合、口座を凍結します。

口座が凍結された場合、原則として、引出しや解約はできなくなります。

被相続人の口座は、凍結されます。

2葬儀費用は遺産分割協議で合意できる

①葬儀費用を負担する人を合意する

葬儀費用、香典、香典返しは、相続財産ではありません。

相続財産でない財産であっても、遺産分割協議の話し合いの対象にすることができます。

相続財産ではないから、法定相続分とは別の話です。

相続人全員でよく話し合ってみんなが合意できる結論を出すのが大切です。

葬儀費用の負担で話し合いがまとまらない場合、他の財産の分け方の合意も難しくなりがちです。

相続人全員の合意で、葬儀費用を負担する人を決めることができます。

②立替払いをした人は費用の記録と領収書を保管

実際のところ、特定の相続人が葬儀費用を立て替えているでしょう。

葬儀費用を立て替えた人は、費用の記録と領収書を保管しておきましょう。

僧侶へのお布施や遠方の弔問客等へのお車代など、領収書が出ないときは相手先と金額を記録しておきます。

同様に、受け取った香典についても、記録を付けておくといいでしょう。

疑心暗鬼になると、トラブルになりやすいからです。

葬儀費用を立替払いした人は、費用の記録と領収書を保管することが重要です。

③葬儀費用の範囲を合意する

葬儀費用といった場合、どの範囲の費用が葬儀費用なのかは人によって異なります。

例えば、次のような費用があります。

(1)死亡診断書の発行手数料

(2)葬儀会社へ支払う費用

(3)通夜や葬式の後の飲食代

(4)初七日や四十九日法要の費用

(5)香典返しの費用

(6)僧侶へのお布施

(7)遠方の弔問客等へのお車代

(8)お墓の購入費用

(9)納骨の費用

葬儀費用負担で話し合う場合、どのような費用をだれが負担するか合意するとトラブル防止に役立ちます。

④遺産分割協議は債務不履行で解除できない

相続財産の分け方について、相続人全員で合意したら、確定して話し合いは終了になります。

相続人全員で合意して、相続財産の分け方が確定します。

その後に葬儀費用を支払わなくても、遺産分割協議のやり直しはできません。

一部の相続人が遺産分割協議を法定解除をすることはできません。

法定解除とは、契約などで義務を負担する約束をしたのに履行されない場合に相手方が契約を一方的に解除することです。

遺産分割協議で約束したことを履行しない場合、他の相続人は遺産分割協議を解除をすることはできません。

遺産分割協議のやり直しは、相続人全員の合意が必要です。

相続人全員の合意がある場合、遺産分割協議の合意解除ができます。

遺産分割協議は、債務不履行で解除ができません。

3葬儀費用を遺産分割協議書に書く方法

①特定の相続人が負担する記載例

記載例

第○条

相続人全員は、被相続人にかかる葬儀費用合計金300万円について、相続人○○○○が負担することを合意する。

遺産分割協議書には、葬儀費用の具体的な金額を記載することをおすすめします。

葬儀費用の金額について相続人の合意がある場合、トラブル防止に役立つからです。

葬儀費用、香典、香典返しは、相続財産ではありません。

遺産分割協議で、葬儀費用などの負担について合意をすることができます。

相続人全員の合意内容を取りまとめた書面が遺産分割協議書です。

相続財産の分け方以外の項目について相続人全員で合意した場合、遺産分割協議書に盛り込むことができます。

相続財産の分け方以外の項目について記載してある場合であっても、遺産分割協議が無効になることはありません。

②複数の相続人が分担する記載例

記載例

第○条

相続人全員は、被相続人にかかる葬儀費用合計金300万円について、相続人○○○○が金200万円、相続人□□□□が金100万円負担することを合意する。

相続人□□□□は相続人○○○○に対して、令和○年○月○日までに、葬儀費用負担金100万円を振り込みの方法により支払う。

振込手数料は、相続人□□□□の負担とする。

喪主は、葬式を主宰します。

多くの弔問客の対応など、気苦労が多い役目でしょう。

葬式で大変な思いをしたうえに葬儀費用をすべて負担するとなると、不満に思うかもしれません。

複数の相続人で分担するように合意することができます。

③預金等で調整する記載例

記載例

第○条

相続財産中、次の被相続人名義の財産については、相続人○○○○が相続する。

金融機関名 ○○銀行 ○○支店

預金種別  普通預金

口座番号  ○○○○○○○

第○条

相続人全員は、被相続人にかかる葬儀費用合計金300万円について、相続人○○○○が負担することを合意する。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方についての相続人全員による話し合いです。

相続人全員が合意できるのであれば、どのような分け方をすることもできます。

相続発生後に被相続人名義の口座は、凍結されます。

葬儀費用は、一部の相続人が立替ているでしょう。

葬儀費用を立て替えている相続人に、預貯金を多く相続してもらう合意をすることができます。

実質的に、相続財産から支出することができます。

4遺産分割協議がまとまらないときは家庭裁判所

①遺産分割調停で合意

相続人で合意ができない場合、家庭裁判所の助力を得て合意を目指します。

遺産分割調停は、家庭裁判所の調停委員を交えた相続人の話し合いです。

調停委員の助言があるとはいえ相続人同士の話し合いだから、相続財産以外のことについて話し合いができます。

遺産分割調停では、相続財産以外の葬儀費用についても話し合いことができます。

相続人だけで話し合いをした場合、感情的になって収拾がつかなくなるかもしれません。

家庭裁判所の調停委員を交えると、ある程度冷静になることができます。

第三者を交えることで、相続人全員が折り合いをつけることができるかもしれません。

②遺産分割審判は葬儀費用が対象外

遺産分割調停で合意ができない場合、遺産分割審判に移ります。

遺産分割審判は、相続人の話し合いではありません。

裁判官が遺産分割の内容を決定します。

遺産分割審判は、相続財産の分け方についての決定です。

遺産分割の内容を決定するだけだから、葬儀費用については決定されません。

葬儀費用は、相続財産ではないからです。

③民事訴訟

遺産分割審判では、相続財産の分け方が決定されます。

葬儀費用負担については決定されないから、遺産分割審判では解決しません。

葬儀費用負担について合意できない場合、あらためて民事訴訟をすることになります。

5遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット

遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。

前提として、話し合いによる合意ができていなければ、文書にできません。

内容よりもとにかく文書さえあればいいという意識の低い人がいるのも事実です。

遺言書がなければ、遺産分割協議書は必要になると言って差し支えありません。

悪いようにしないからとにかく印鑑を押せとか、相続税の申告期限をちらつかせて押印を迫るとか、他に財産はないからと言われてトラブルになることも多いです。

有効な話し合いによる合意があって、有効な合意を文書に取りまとめるから、トラブルを防ぐことができるのです。

相続財産を分け方について相続人全員で合意することは原則としてやり直しができません。

司法書士は合意を確認して、書類を作成しています。

申告期限のためにとにかく書類だけ作るなど絶対にやめましょう。

適切な遺産分割協議書を作り、家族のトラブルを避けたい方は、司法書士などの専門家にサポートを依頼することをおすすめします。

孫に農地を相続させたい

2024-09-09

1農地の名義変更に農地法の許可が必要

①農地の権利移動で農地法3条の許可が必要

農地は、食糧生産のために重要な役割を担っています。

勝手に手放したり勝手に農業をやめてしまうと、国の食糧生産に大きな影響があります。

農地の権利移動には、農地法第3条の許可が必要です。

許可が必要になる権利移動は、売買、贈与、賃貸などです。

農地法第3条の許可の要件は、次のとおりです。

(1) 全部効率利用要件

全部効率利用要件とは、農地の全部をつかって効率よく農業をすることです。

農地を耕作するのに充分な労働力が確保されているか技術があるか審査されます。

労働力が不足する場合、充分な能力がある機械があるか審査されます。

(2)農作業常時従事要件

農作業常時従事要件とは、農作業に常時従事することです。

常時とは、年間150日以上とされています。

住居と生計を同一する家族が満たせば認められます。

権利者本人だけでなく家族で助け合えば、要件を満たすことができます。

(3)下限面積要件

下限面積要件とは、農地を取得する人の耕作する面積の要件です。

下限面積は、5000平方メートルです。

すでに耕作している土地がある場合、合算して審査されます。

地域によっては、下限面積要件を緩和しています。

新規の就農者を増やしたいことがあるからです。

(4)地域調和要件

地域調和要件とは、地域の取組に協力的であることです。

地域の活動に支障がある場合、許可されにくくなります。

例えば、地域全体で無農薬栽培に取り組んでいる場合、協力しない人には許可されにくいでしょう。

②農地の転用で農地法4条の許可が必要

農地の転用とは、農地を農地以外の土地にすることです。

例えば、農地を宅地にして家を建てる場合、農地の転用に該当します。

農地の転用には、農地法第4条の許可が必要です。

③農地の転用と権利移動で農地法5条の許可が必要

農地の転用と権利移動をする場合があります。

例えば、農地を売却したうえで宅地にして家を建てる場合です。

農地の転用と権利移動をするには、農地法第5条の許可が必要です。

④許可がないと権利取得ができない

農地の権利移動には、農地法第3条の許可が必要です。

農地法の許可は、権利移動の効力発生要件です。

農地法の許可書が到達したときに、権利が移転します。

農地法の許可がないと、権利を取得することはできません。

2孫に農地を相続させることができる

①孫は相続人ではない

相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

相続人になる人は、次のとおりです。

(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。

(1)配偶者は必ず相続人になる

(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども

(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属

(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹

②子どもが先に死亡すると孫は代襲相続人

被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。

子どもが相続人になる場合、孫は相続人ではありません。

相続人になるはずだった子どもが被相続人より先に死亡することがあります。

相続人になるはずだった子どもが被相続人より先に死亡した場合、子どもの子どもが代襲相続します。

子どもが先に死亡すると、孫は代襲相続人になります。

③孫と養子縁組をすると相続人になる

養子縁組とは、血縁関係がある親子とは別に法律上の親子関係を作る制度です。

被相続人は、孫と養子縁組をすることができます。

被相続人が養親で、孫が養子になります。

養子は、養親の子どもです。

被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。

養子は、相続人になります。

被相続人の実子と養子は、同じ子どもです。

被相続人に実子がいても、養子は相続人です。

養子は、養親の子どもだからです。

孫と養子縁組をした場合、孫は相続人になります。

④相続で農地を取得するときは3条の許可不要

相続人になる人は、法律で決まっています。

法律で決められた人だけが相続人になります。

相続できるのは、相続人だけです。

相続人が農地を取得する場合、農地法第3条の許可は不要です。

孫が相続人になる場合、孫が農地を取得するときに農地法第3条の許可は不要です。

農地法第3条の許可を得ずに農地を取得する場合、農地法第3条の3の定めにより届出が必要です。

農地法第3条の3の定めによる届出は、農業委員会に対して提出します。

提出期限は、相続があったことをしてから10か月以内です。

相続で農地を取得するときは、農地法第3条の許可は不要です。

3孫に農地を特定遺贈をすることができる

①相続人以外の人に特定遺贈ができる

孫が相続人でない場合、孫は相続することはできません。

孫に農地を受け継いでもらいたい場合、別の方法を考える必要があります。

被相続人は遺言書を作成して、自分の財産を遺贈することができます。

遺贈とは、遺言書によって相続人や相続人以外の人に財産を譲ってあげることです。

特定遺贈とは、財産を特定して譲ってあげることです。

遺言書に「財産○○を遺贈する」と具体的に書いてある場合です。

特定遺贈では、遺言書に書かれた財産を受け継ぐだけです。

他の財産を受け取ることはありません。

相続人以外の人に、特定遺贈ができます。

特定遺贈は、相続人にも相続人以外の人にもすることができるからです。

孫が相続人でなくても、特定遺贈をすることができます。

②相続人でない孫に特定遺贈するときは3条の許可が必要

遺贈は、遺言書で財産を受け継ぐことです。

遺贈は、相続ではありません。

相続人以外の人が特定遺贈で財産を受け継ぐことができます。

相続人以外の人が特定遺贈で農地を受け継ぐ場合、農地法第3条の許可が必要です。

相続人以外の人に特定遺贈をしたい場合、許可されるのか農業委員会に確認しておくといいでしょう。

農業委員会の許可が得られない場合、遺言の内容は実現できなくなります。

子どもが相続人になる場合、孫は相続人ではありません。

孫に相続させることはできません。

孫に遺贈することができます。

孫が特定遺贈で農地を受け継ぐ場合、農地法第3条の許可が必要です。

孫は、相続人以外の人だからです。

③相続人である孫に特定遺贈するときは3条の許可が不要

被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。

相続人になるはずだった子どもが被相続人より先に死亡した場合、子どもの子どもが代襲相続します。

子どもが先に死亡すると、孫は代襲相続人になります。

被相続人が孫と養子縁組をした場合、孫は被相続人の子どもです。

孫が被相続人の養子になった場合、孫は相続人になります。

遺言書を作成して、相続人に対して特定遺贈をすることができます。

相続人である孫に農地を特定遺贈をした場合、農地法第3条の許可が不要です。

農地法第3条の許可なしで、農地を取得することができます。

農地法第3条の許可なしで農地を取得したときは、農地法第3条の3の定めによる届出が必要です。

4孫に農地を全部包括遺贈することができる

①相続人以外の人に全部包括遺贈ができる

遺贈とは、遺言書によって相続人や相続人以外の人に財産を譲ってあげることです。

包括遺贈とは、財産を特定せずに譲ってあげることです。

全部包括遺贈は「財産すべてを包括遺贈する」と記載してある場合です。

全部包括遺贈をする場合、法定相続人や法定相続人以外の人に全財産を譲ってあげることができます。

孫が相続人でなくても、全部包括遺贈をすることができます。

②全部包括遺贈を受けると遺産分割協議の余地はない

全部包括遺贈を受けた場合、相続財産は相続人と共有することがありません。

相続が発生したときに、遺言書が効力を発します。

遺言書が効力を発したときに、全部包括受遺者が財産すべてを受け継ぎます。

全部包括受遺者は、遺産分割協議をする必要がありません。

相続人や全部包括受遺者が遺産分割協議を望んでも、遺産分割協議の余地がありません。

③孫に全部包括遺贈するときは3条の許可が不要

包括遺贈を受けた場合、相続人と同一の権利と義務があります。

包括遺贈で農地を受け継ぐ場合、農地法第3条の許可が不要です。

農地法第3条の許可なしで、農地を取得することができます。

農地法第3条の許可なしで農地を取得したときは、農地法第3条の3の定めによる届出が必要です。

5孫に一部包括遺贈することができる

①相続人以外の人に一部包括遺贈ができる

遺贈とは、遺言書によって相続人や相続人以外の人に財産を譲ってあげることです。

包括遺贈とは、割合だけ指定して譲ってあげることです。

一部包括遺贈は「財産の3分の1を包括遺贈する」と記載してある場合です。

包括遺贈では、何を遺贈するのか具体的財産は記載されていません。

②一部包括遺贈を受けたら遺産分割協議

一部包括遺贈は、指定した割合で財産を譲るものです。

一部包括遺贈を受けた場合、遺産分割協議に参加します。

包括受遺者が遺産分割協議に参加するのは、権利であるし義務でもあります。

遺言書は割合だけ書いてあるだけで、具体的な財産は記載されていないからです。

相続財産は、包括遺贈を受けた人と相続人全員で共有しています。

相続財産の分け方について、包括遺贈を受けた人と相続人全員で合意する必要があります。

包括受遺者がいるのに、相続人全員だけで遺産分割協議をしても無効です。

包括受遺者は、相続人と同一の権利義務が与えられているからです。

遺産分割協議の結果次第では、農地を受け取ることができないかもしれません。

一部包括遺贈を受けただけでは、何を受け取るのか決められていないからです。

一部包括遺贈を受けたら、遺産分割協議が必要です。

③孫に一部包括遺贈するときは3条の許可が不要

包括遺贈を受けた場合、相続人と同一の権利と義務があります。

包括遺贈で農地を受け継ぐ場合、農地法第3条の許可が不要です。

農地法第3条の許可なしで、農地を取得することができます。

農地法第3条の許可なしで農地を取得したときは、農地法第3条の3の定めによる届出が必要です。

④包括遺贈は負債も受け継ぐ

特定遺贈では、遺言書に書いてある特定の財産を受け継ぐだけです。

遺言書に書いていない他の財産を受け継ぐことはありません。

特定遺贈では、負債を受け継ぐことはありません。

包括遺贈を受けた場合、相続人と同一の権利と義務があります。

相続財産に負債がある場合、指定された割合で負債を引き継ぎます。

農業を営んでいる場合、多額の負債があることがあります。

包括遺贈を受ける場合、農地だけでなく多額の負債を引き継ぐことになります。

6孫に農地を贈与することができる

①孫に農地を生前贈与で3条の許可が必要

生前贈与をする場合、贈与する人と贈与を受ける人の合意が必要です。

農地を贈与の対象にすることができます。

贈与を受ける人は、親子でも親子以外の人でも差し支えありません。

農地を生前贈与する場合、農地法第3条の許可が必要です。

農地法の許可がないと、権利を取得することはできません。

孫に農地を生前贈与する場合、農地法第3条の許可が必要です。

②孫に農地を死因贈与で3条の許可が必要

贈与は、贈与する人と贈与を受ける人の契約です。

死因贈与は、贈与する人が死亡したときに効力が発生する贈与契約です。

農地を死因贈与の対象にすることができます。

農地を死因贈与する場合、農地法第3条の許可が必要です。

農地法の許可がないと、権利を取得することはできません。

孫に農地を死因贈与する場合、農地法第3条の許可が必要です。

7遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書は、被相続人の意思を示すものです。

自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。

民法に遺言書を作ることができるのは、15歳以上と定められています。

死期が迫ってから、書くものではありません。

遺言書は被相続人の意思を示すことで、家族をトラブルから守るものです。

遺贈とは、被相続人が遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげるものです。

遺贈は簡単に考えがちですが、思いのほか複雑な制度です。

受け継いでもらう財産に不動産がある場合、譲ってもらう人だけでは登記申請ができません。

遺言執行者がいない場合、相続人全員の協力が必要です。

遺言書で遺言執行者を決めておきましょう。

遺言執行には、法的な知識が必要になります。

遺言の効力が発生したときに、遺言執行者からお断りをされてしまう心配があります。

遺言の効力が発生した後の場合、遺言執行者は家庭裁判所に決めてもらう必要があります。

不動産以外の財産であっても、遺言書の内容に納得していない相続人がいる場合、受遺者に引渡そうとしないこともあります。

せっかく遺言書を書くのですから、スムーズな手続を実現できるように配慮しましょう。

遺言執行者を選任することで、家族をトラブルから守ろうという気持ちを実現することができます。

お互いを思いやり幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

遺言書を見せてくれない

2024-08-30

1遺言者が遺言書を見せてくれない

①遺言者の生存中は遺言書に効力がない

被相続人は、自分の財産を自由に処分することができます。

被相続人は、遺言書を作成して自分の財産を自由に引き継いでもらうことができます。

遺言書を作成したと聞いたら、内容が気になることでしょう。

遺言書を作成しても、遺言者の生存中は効力がありません。

遺言書の効力が発生するのは、遺言者が死亡したときだからです。

②遺言者は遺言書を書き直しができる

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

遺言者の最終の意思が優先されます。

遺言者は、遺言書を書き直すことができます。

遺言書を作成した後に、事情が変わることがあるからです。

財産の状況が変わる場合、書き直しが必要になるでしょう。

新たに誕生した孫や曽孫に、財産を譲りたくなるかもしれません。

財産を相続させる予定だった相続人が先に死亡することがあります。

遺言書は、何度でも書き直しができます。

複数の遺言書がある場合で、内容が両立しない場合、日付の新しい遺言書が有効になります。

相続人らと遺言書の書き直しはしないと約束しても、無効の約束です。

遺言書を書き直しするにあたって、相続人などの同意を受けなければならないと言ったルールはありません。

③遺言者は見せる義務はない

遺言書を作成したと言うのに、遺言書を見せてくれないことがあります。

たとえ、相続人になる予定の人であっても秘密にしておきたい内容があるでしょう。

遺言者の生存中、遺言書を見ることはできません。

遺言書を書き直しした場合、相続人などに報告する必要はありません。

遺言書は遺言者がひとりで作成できるから、ひとりで書き直しをすることができます。

遺言者本人は、他の人に遺言書を見せる義務はありません。

遺言者が見せてくれない場合、相続が発生するまで見ることはできません。

2相続開始後に公正証書遺言を見せてくれない

①公正証書遺言は公証役場で厳重保管

公正証書遺言は、遺言内容を公証人に取りまとめてもらって作る遺言書です。

証人2人に確認してもらって作成します。

公正証書遺言を作成した後、原本は公証役場で厳重保管されます。

公正証書遺言を作成した場合、遺言書の正本と謄本が渡されます。

正本や謄本を紛失しても、原本は公証役場で厳重保管されています。

公正証書遺言原本は公証役場に厳重保管されるから、紛失や改ざんの心配がありません。

②公証役場で検索ができる

公正証書遺言を作った場合、公証役場はデータを管理しています。

公証役場で遺言の有無を調べてもらうことができます。

昭和64年1月1日以降に作った公正証書遺言、秘密証書遺言が対象です。

コンピューターに登録されているのは、次の事項です。

・遺言した人の名前

・公証人の名前

・公証役場の名前

・遺言書を作った日

調べてもらうための手数料は、無料です。

全国どこの公証役場でも、調べてもらうことができます。

まずは近くの公証役場に出向いて、調べてもらいましょう。

郵便で調べてもらうように、請求することはできません。

遺言者が生存中は、遺言者本人と遺言者本人の代理人だけが調べてもらうことができます。

たとえ、家族の人が調べてもらおうとしても、答えてもらえません。

③公証役場で謄本請求ができる

遺言書の有無は、近くの公証役場で検索してもらうことができます。

公証役場のコンピューターで公正証書遺言があると分かった場合でも、内容については教えてもらえません。

公正証書遺言原本は、遺言書を作成した公証役場で厳重保管されています。

遺言書を作成した公証役場に対して、謄本を請求することができます。

謄本を見ると、遺言書の内容を知ることができます。

遺言者が生存中は、遺言者本人と遺言者本人の代理人だけが請求することができます。

たとえ、家族の人が請求しても、答えてもらえません。

遺言者の死亡後は、法律上の利害関係がある人だけが請求できます。

遺言者の相続人は、利害関係がある人です。

謄本を請求する場合、所定の手数料がかかります。

3相続開始後に自筆証書遺言を見せてくれない

①自筆証書遺言は家庭裁判所に提出

相続が発生した後に遺品整理をしていると、自筆証書遺言が見つかることがあります。

自筆証書遺言を見つけた人や預かっていた人は、家庭裁判所に提出する必要があります。

遺言書を家庭裁判所に届出ることを遺言書検認の申立てと言います。

遺言書検認の申立てを受け付けたら、家庭裁判所は相続人全員を家庭裁判所に呼び出します。

封筒に入って封がされている遺言書は、相続人立会いで家庭裁判所で開封してもらいます。

勝手に開封すると、5万円以下のペナルテイーになるおそれがあります。

遺言書であることに気づかず開封してしまっても、遺言書は無効になりません。

慌てて小細工をせずに、正直にそのまま提出します。

②検認調書が作成される

遺言書の検認とは、家庭裁判所で遺言書の状態を確認してもらう手続です。

遺言書の有効無効を確認する手続ではありません。

検認手続では、遺言書のの状態や形、書き直しや訂正箇所、日付や署名がどうなっているか裁判所が確認します。

確認した内容は、検認調書に取りまとめられます。

検認期日以降に遺言の改ざんや変造があった場合、検認調書と照らし合わせて確認することができます。

検認調書を見ると分かってしまうから、改ざんや変造を予防することができます。

遺言書の検認手続は、遺言書の改ざんや変造を予防する手続です。

遺言書の検認手続で、検認調書が作成されます。

③検認調書の謄本請求ができる

遺言書検認の申立てを受け付けたら、家庭裁判所は相続人全員を家庭裁判所に呼び出します。

遺言書があることを相続人に知らせ、立会の機会を与えるためです。

遺言書の検認期日に呼び出しがあった場合、申立人以外の人は欠席して差し支えありません。

検認期日に出席しても欠席しても、財産を相続できなくなることはありません。

検認期日に出席すれば、遺言書の内容を見ることができるでしょう。

検認期日に欠席しても、検認調書の謄本を請求することができます。

検認調書には、提出された遺言書のコピーが付いています。

検認調書の謄本請求で、遺言書の内容を知ることができます。

④検認をしないと相続手続ができない

検認を受けても受けなくても、遺言書の効果に変わりはありません。

検認を受けても受けなくても、無効の遺言書は無効です。

検認を受けても受けなくても、有効の遺言書は有効です。

検認は遺言書の状態を確認してもらうことであって、遺言書が有効か無効かを判断してもらうことではないからです。

検認を受けても受けなくても遺言書の効果は変わりませんが、検認を受けていない遺言書で相続手続はできません。

検認の後、検認済証明書の交付を申請しましょう。

遺言書と検認済証明書を一緒にして、相続手続を行います。

⑤検認を怠ると欠格のおそれ

だれが相続人になるかについては、民法で決められています。

同時に、民法では相続人になれない人も決められています。

例えば、被相続人を殺した人が相続することは社会感情からみても許せない、相続する人としてふさわしくないということは納得できるでしょう。

相続人としてふさわしくない人の相続資格を奪う制度を相続欠格と言います。

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

相続人としても、遺言者の意思を実現させてあげたいでしょう。

相続人が遺言書を隠匿して不当な利益を得ようとする場合、相続する人としてふさわしくないと言えます。

自筆証書遺言を見つけた人は、家庭裁判所に提出して検認を受けなければなりません。

遺言書の検認を怠ると、遺言書の隠匿にあたると判断されるおそれがあります。

遺言書の内容が自分に不利な内容である場合、不当な利益を得ようとしたと言えるでしょう。

他の相続人が遺留分侵害額請求をするのを避ける目的がある場合、不当な利益を得ようとしたと言えるでしょう。

不当な利益を得る目的で遺言書を隠匿した場合、相続欠格になるおそれがあります。

4法務局保管の自筆証書遺言を見せてくれない

①法務局保管の自筆証書遺言は検認不要

自筆証書遺言を作成した後、自分で保管するのが原則です。

自筆証書遺言は、保管場所に困ります。

遺言書の保管場所を家族と共有していないと、相続が発生した後に遺言書を見つけてもらえないかもしれません。

遺言書の保管場所を家族と共有していると、遺言書を破棄されたり改ざんされたりする心配があります。

自筆証書遺言を法務局に提出して、保管してもらうことができます。

法務局で保管してもらっている自筆証書遺言は、家庭裁判所の検認手続が不要です。

法務局保管の自筆証書遺言は、法務局で厳重保管されているからです。

②自筆証書保管事実証明書の交付請求ができる

自筆証書遺言を預かった場合、法務局はデータを管理しています。

法務局で遺言の有無を調べてもらうことができます。

遺言の有無を調べてもらうことができる法務局は、遺言書保管事務を扱っている法務局のみです。

名古屋市内であれば、名古屋法務局本局のみです。

熱田出張所や名東出張所では、遺言の有無を調べてもらうことができません。

遺言書保管事務を扱っている法務局は、法務局のホームページで調べることができます。

遺言書保管事務を扱っている法務局であれば、日本中どこの法務局でも請求することができます。

自筆証書遺言を預かっているか調べてもらうことを、遺言書保管事実証明書の交付請求と言います。

遺言者が生存中は、たとえ家族であっても交付請求をすることはできません。

遺言書保管事実証明書の交付請求には、所定の手数料がかかります。

郵送で請求する場合は、返信用の切手と封筒を添付します。

遺言者が自筆証書遺言を法務局に預けたとき、法務局は保管証を渡します。

保管証があれば、遺言書保管事実証明書の交付請求を省略することができます。

③遺言書情報証明書の交付請求ができる

遺言をした人が預けた遺言書は、預けた本人以外には返してはもらえません。

遺言をした遺言者本人が死亡した後は、相続人であっても返還されません。

その代わりに、遺言書の画像を印刷して交付するように請求することができます。

遺言書の画像を印刷して交付するように請求することを遺言書情報証明書の交付請求と言います。

遺言書情報証明書を見ると、遺言書の内容を知ることができます。

相続手続では、遺言書原本の代わりとして使うことができます。

相続人が遺言書情報証明書を受け取ったら、法務局から他の相続人全員に対して、遺言書を預かっていることが通知されます。

5遺言執行者には遺言書の開示義務がある

遺言書は作成するだけでは意味がありません。

遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書の内容を実現するために、必要な権限が与えられます。

遺言執行者が職務を開始した場合、相続人に遺言書の内容を通知をする義務があります。

遺言執行者がいる場合、遺言書の開示を求めることができます。

遺言書の内容によっては、相続人の遺留分が侵害されていることがあるでしょう。

遺留分侵害額請求をする機会を与えるためにも、遺言書の内容を知らせることは重要です。

遺言執行者には、遺言書の開示義務があります。

6遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書がある場合、相続財産について、相続人全員で、分け方を合意する必要はありません。

もっともトラブルになりやすい遺産分割協議で、相続人全員で合意をしなくていいのは大きなメリットです。

せっかく遺言書を作成しても、遺族に見つけてもらえなければ意味がありません。

同時に、死亡する前に自分に都合の悪い遺言書を隠したり捨ててしまったりする心配があります。

さらに、遺言書には厳格な書き方ルールがあります。

ルールが守られていない遺言書は無効になります。

書き方のルールは守られていても、内容があいまいだったり、不適切であったために、実現できない遺言書も少なくありません。

せっかく遺言書を書くのであれば、家族を幸せにできる遺言書を確実に作りましょう。

司法書士は確実な遺言書を作るお手伝いをします。

家族のために適切で確実な遺言書を作りたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

« Older Entries Newer Entries »

keyboard_arrow_up

0527667079 問い合わせバナー 事前相談予約