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相続人・受遺者が先に死亡したときの遺言書
1遺言書は元気なときに作成する
①重度の認知症になると遺言書は作成できない
15歳以上の人は、遺言書を作成することができます。
遺言書を作成するには、遺言能力が必要だからです。
遺言能力とは、遺言書の内容を理解しメリットデメリットを充分に判断する能力です。
遺言書は、判断能力がしっかりしているうちだけ作成することができます。
認知症になると、物事のメリットデメリットを充分に判断することが難しくなります。
初期の認知症で、簡単な内容の遺言書であれば作成できるかもしれません。
重度の認知症になると、物事のメリットデメリットを判断することができなくなるでしょう。
物事のメリットデメリットを判断することができない状態で、遺言書を作成することはできません。
遺言書のつもりで書いても、無効です。
②高齢で遺言書を作成すると相続人間のトラブルを招く可能性
高齢化社会になって、多くの人は長寿になりました。
高齢になると、認知症を発症することがあるでしょう。
80歳後半になると、2人に1人は認知症になっているというデータもあります。
遺言書は、高齢になってから作成するイメージがあるかもしれません。
高齢になってから遺言書を作成するのは、おすすめできません。
重度の認知症になると、遺言書を作成することができなくなるからです。
遺言書を作成する場合、財産の分け方について書くでしょう。
一部の相続人にとって、期待どおりの分け方ではないことがあります。
期待した財産を受け取れないと、がっかりします。
遺言者が認知症になっていて、判断能力がなかったからと考えるでしょう。
期待した財産を受け取れない相続人は、遺言書の無効を訴えるでしょう。
遺言書の無効を争うとき、相続人間で大きなトラブルになります。
遺言書は、元気なときに作成します。
だれから見ても認知症の疑いがないくらい、元気なときに作成するのがおすすめです。
高齢で遺言書を作成すると、相続人間のトラブルを招く可能性があります。
2相続人・受遺者が先に死亡したときの遺言書
①遺言者が死亡したときに遺言書は効力発生
遺言書は、元気なときに作成するのがおすすめです。
遺言者が死亡するまで、遺言書には効力がありません。
遺言者が死亡したときに、遺言書に効力が発生します。
遺言書を作成してから遺言者が死亡するまで、長期間経過することが多いでしょう。
長期間経過しても、遺言書が無効になることはありません。
遺言書に、有効期限はありません。
遺言書に効力が発生するのは、遺言者が死亡したときだからです。
②先に死亡した相続人は相続できない
相続人になる人は、法律で決められています。
相続人になる人は、相続が発生したときに生きている人のみです。
先に死亡した人は、相続人になることはできません。
「相続人〇〇〇〇に財産〇〇を相続させる」
上記のような遺言書を作成しても、遺言者が生きている間は効力がありません。
上記のような遺言書を作成しても、遺言者が生きている間は何の権利もありません。
遺言書に効力が発生するのは、遺言者が死亡したときだからです。
相続が発生したら財産を引き継ぐことができると予想しているでしょう。
遺言者が生きている間は、期待権すらありません。
遺言者が死亡するまで、遺言書に効力が発生しないからです。
先に死亡した人は、相続人になることはできません。
先に死亡した相続人は、財産を引き継ぐことはできません。
相続人が先に死亡した場合、遺言は無効になります。
遺言書に効力が発生したときに、相続人は生きている必要があるからです。
先に死亡した相続人は、相続できません。
③先に死亡した受遺者は遺贈を受けることができない
被相続人は、生前に自分の財産を自由に処分することができます。
遺言書を作成して、自分の死後にだれに引き継ぐのか自由に決めることができます。
遺贈とは、遺言書を作成して相続人や相続人以外の人に財産を引き継ぐことです。
遺贈によって財産を引き継ぐ人を受遺者と言います。
相続人は、相続することができるし遺贈を受けることができます。
遺贈を受けることができるのは、、相続が発生したときに生きている人のみです。
先に死亡した人は、受遺者になることはできません。
「〇〇〇〇に財産〇〇を遺贈する」
上記のような遺言書を作成しても、遺言者が生きている間は効力がありません。
上記のような遺言書を作成しても、遺言者が生きている間は何の権利もありません。
遺言書に効力が発生するのは、遺言者が死亡したときだからです。
先に死亡した人は、受遺者になることはできません。
先に死亡した受遺者は、財産を引き継ぐことはできません。
受遺者が先に死亡した場合、遺言は無効になります。
遺言書に効力が発生したときに、受遺者は生きている必要があるからです。
先に死亡した受遺者は、遺贈を受けることができません。
④遺言書の内容は代襲相続できない
相続人になる人は、法律で決められています。
被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。
相続が発生した時点で、子どもが先に死亡していることがあります。
相続人になるはずだった子どもが先に死亡した場合、子どもの子どもが相続人になります。
子どもの子どもが相続人になることを代襲相続と言います。
相続人が先に死亡した場合、遺言は無効になります。
受遺者が先に死亡した場合、遺言は無効になります。
相続人・受遺者が先に死亡した場合、代襲相続をすることはできません。
遺言書によって財産を受け取る権利は、本人限りだからです。
遺言書の内容は、代襲相続ができません。
⑤受け取る人がいない財産は相続財産
相続人が先に死亡した場合、遺言は無効になります。
受遺者が先に死亡した場合、遺言は無効になります。
相続人・受遺者が先に死亡した場合、代襲相続をすることはできません。
相続人・受遺者が受け取るはずだった財産は、受け取る人がいなくなります。
遺言書で受け取る人の指定がない財産は、相続財産になります。
相続財産は、相続人全員の共有財産です。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。
相続人になるはずだった人が先に死亡した場合、死亡した相続人の子どもは代襲相続ができます。
死亡した相続人の子どもは代襲相続人として、遺産分割協議に参加します。
死亡した相続人の子どもが代襲相続人であっても、優先権はありません。
遺言は無効になっているからです。
相続人全員の合意が得られれば、その財産を相続することができます。
⑥遺言書自体は有効
遺言者より相続人・受遺者が先に死亡したとき、遺言は無効になります。
無効になるのは、遺言者より先に死亡した相続人・受遺者にかかる部分のみです。
遺言全体が無効になるのではありません。
遺言書自体は、有効です。
遺言者より先に死亡した相続人・受遺者にかかる部分以外は、有効です。
3相続人・受遺者が先に死亡したときの対処方法
①遺言書は何度でも書き直しができる
遺言書は、遺言者の意思を示すものです。
遺言書を作成してから、遺言者が死亡するまでに長期間あるのが通常です。
長期間経過するうちに、財産状況が変わることがあるでしょう。
長期間経過するうちに、相続人や受遺者が先に死亡することがあるでしょう。
遺言者自身が考えを変えることがあります。
遺言書を作成した後に、書き直しをすることができます。
書き直しをするにあたって、相続人や受遺者の同意は不要です。
遺言によって財産を取得することが予想できるとしても、遺言者の生前は期待権すらないからです。
遺言書の書き直しをしないと約束していても、無効の約束です。
遺言書の書き直しをしないと約束していても、遺言書の書き直しをすることができます。
遺言書は、何度でも書き直しができます。
②死亡したときに備えて予備的遺言
相続人が先に死亡した場合、遺言は無効になります。
受遺者が先に死亡した場合、遺言は無効になります。
遺言書を作成する場合、財産を引き継ぐ人は遺言者より長生きすることを想定しているでしょう。
遺言者より若い世代の人であっても、先に死亡する可能性は否定できません。
相続人・受遺者が先に死亡した場合、相続人・受遺者の子どもなどに引き継ぐ希望があることがあります。
財産を引き継ぐ人が先に死亡したときに備えて、二次的に承継先を決めておくことができます。
二次的に承継先を決めておくことで、遺言者が別段の意思表示をしたと言えます。
遺言者が別段の意思表示をした場合、遺言者の意思に従います。
予備的遺言は、遺言者の別段の意思表示です。
予備的遺言について、さらに予備的遺言をすることもできます。
予備的遺言をすると、遺言が複雑になりがちです。
司法書士などの専門家のサポートを受けて遺言書を作成するのがおすすめです。
③家族信託を利用する
家族信託とは、自由に売る権利や自由に管理する権利を信頼できる家族に渡して、自分はものから利益を受け取る権利だけ持つ仕組みです。
本人と信頼できる家族で、家族信託契約を締結します。
家族信託契約において、さまざまなことを決めておくことができます。
例えば、信託する期間や信託が終了したときに残った財産を引き継ぐ人を決めておくことができます。
家族信託で残った財産を引き継ぐ人を帰属権利者と言います。
信託終了時に財産を引き継ぐ人が先に死亡していることがあるでしょう。
先に死亡したときに備えて、予備的帰属権利者を決めておくことができます。
家族信託を上手に利用すると、家族のトラブルを減らすことができます。
4受遺者が後に死亡したときは遺贈は有効
①受遺者が死亡しても名義変更ができる
遺言者が死亡した後に相次いで受遺者が死亡することがあります。
遺贈された財産の名義変更をする前に受遺者が死亡しても、遺贈は有効です。
受遺者が死亡しても、財産の名義変更をすることができます。
例えば、遺贈された財産が不動産である場合、死亡した受遺者名義に変更することができます。
受遺者が生前に不動産の所有者であったことを公示する必要があるからです。
遺言執行者と受遺者の相続人が協力して、所有権移転登記をします。
②受遺者の相続人は遺贈の放棄ができる
遺贈とは、遺言書で相続人や相続人以外の人に財産を引き継いでもらうことです。
遺言書は、遺言者がひとりで作ります。
遺言書は、相続人などの関与なしで作ることができます。
遺言で遺贈や相続のことを定める場合、遺言者が受け取る人の意見を聞かずに、一方的に決めることができます。
遺言に書いてあるからとは言っても、受け取ると相続人に気兼ねすることがあります。
相続人とトラブルになりたくないから、ご辞退したい場合もあるでしょう。
遺贈は、放棄することができます。
受遺者が相次いで死亡した場合、遺贈の放棄をする権利は相続人に相続されます。
受遺者の相続人は、遺贈を放棄することができます。
5遺言書作成と遺言執行を司法書士に依頼するメリット
遺言書は、遺言者の意思を示すものです。
遺言書の書き方ルールは民法という法律で、細かく決められています。
自分が死んだ後のことは考えたくないという気持ちから、先延ばししがちです。
いろいろ言い訳を考えてしまうかもしれません。
不動産は、分けにくい財産の代表例です。
目立った財産がないから、家族がもめ事を起こすことはないという言い訳はよく聞きます。
相続財産は自宅不動産だけの場合、目立った財産がない場合と言えるでしょう。
分けにくい不動産だけの場合、家族がトラブルになりやすいケースです。
家族がトラブルに巻き込まれることを望む人はいないでしょう。
死んだ後のことを考えるのは不愉快などと言えるのは、判断力がしっかりしている証拠です。
まず、遺言書を書くことをおすすめします。
トラブルにならない場合でも、遺言書があると相続手続は格段にラクになります。
状況が変われば、遺言書は何度でも書き直すことができます。
家族を幸せにするために遺言書を作ると考えましょう。
遺言書の書き直しのご相談もお受けしています。
家族の喜ぶ顔のためにやるべきことはやったと安心される方はどなたも晴れやかなお顔です。
家族の幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
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法定相続情報一覧図は手書きで作成できる
1法定相続情報一覧図は便利
相続が発生したら、相続人は相続手続をします。
相続手続先は、市区町村役場や金融機関などたくさんあるでしょう。
相続手続では、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要になります。
相続手続のたびに、たくさんの戸籍謄本の束を提出します。
たくさんの戸籍謄本を持ち歩くと、汚してしまったり紛失したりする心配があります。
相続手続先にとっても、たくさんの戸籍謄本の束を解読しなければなりません。
たくさんの相続手続先で、一々手間のかかる事務をすることになります。
法定相続情報一覧図は、被相続人を中心にして相続人の関係を取りまとめた書類です。
家系図のように取りまとめると、どのような続柄の人なのか一目で分かります。
家系図とたくさんの戸籍謄本の束を法務局に提出して、登記官に点検してもらうことができます。
登記官は内容に問題がなかったら、認証文を付けて交付してくれます。
これが法定相続情報証明制度です。
地模様が入った紙に認証文を付けて印刷してしてくれる証明書を法定相続情報一覧図と言います。
多くの場合、家系図のように取りまとめます。
相続人をずらっと書き並べても、差し支えありません。
相続人を書き並べる形式の法定相続情報一覧図は、税務申告などで使うことはできません。
作成前によく確認するといいでしょう。
2家系図を手書きで作成できる
①家系図は法務局で作ってくれない
法定相続情報証明制度では、家系図とたくさんの戸籍謄本の束を法務局に提出して点検してもらうことができます。
家系図と戸籍謄本等の点検をお願いすることを法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出といいます。
法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をした場合、法務局は点検するだけです。
法務局で家系図を作ってくれるわけではありません。
②ミスがあると家系図は作り直しになる
家系図と戸籍謄本等の点検を点検して、問題がなければ法定相続情報一覧図が交付されます。
提出する家系図は、手書きで作成しても差し支えありません。
作成する場合、ボールペンなど容易に消えない筆記具を使う必要があります。
鉛筆で作成したまま、提出することはできません。
はっきりとした楷書で、書きましょう。
達筆な崩し字で書いた場合、書き直しになるおそれがあります。
書き直しにならなかったとしても、相続手続先の人が読めないかもしれません。
せっかく法定相続情報一覧図を作成しても、相続手続を進められなくなるおそれがあります。
登記官が点検して問題が見つかった場合、作り直しになります。
指摘事項だけを二重線などで訂正することはできません。
法定相続情報一覧図を提出した場合、たくさんの戸籍謄本の束を提出したのと同じ効果があります。
法定相続情報一覧図は、法務局の認証文が入った証明書だからです。
作り直しになった場合、全部を書き直す必要があります。
家系図を手書きで作成することはできますが、あまりおすすめできません。
③家系図の書き方ルールは厳格
法定相続情報一覧図は、法務局が認証文を入れて発行する証明書です。
法定相続情報一覧図は、書き方が厳格に決まっています。
必要な事項が書いてなかったり、余計なことが書いてあると書き直しになります。
被相続人の本籍や相続人の住所は、書いてもおくことができます。
相続登記など相続手続において、相続人の住所が求められることも多いものです。
住所を書いておく方が便利でしょう。
住所を記載する場合は、添付する住民票などの資料の記載どおり一字一句間違いなく書く必要があります。
〇〇県の表記を勝手に追加したり〇〇県の表記を勝手に省略したりすると、書き直しになります。
大字や番地などの記載を省略するだけでも、書き直しになります。
戸籍謄本や住民票の記載と異なる略字を書いた場合、書き直しになります。
「子」は受理されますが、「実子」は書き直しになります。
戸籍謄本には「実子」という表現がされないからです。
非嫡出子であって戸籍の記載が「男」「女」の場合、「子」は受理されます。
「長男」「長女」などの記載は、書き直しになります。
登記官が点検して問題が見つかれば、書き直しをする必要があります。
家系図を手書きで作成した場合、書き直しが大変になります。
3法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書は手書きで作成できる
①法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書はダウンロードできる
家系図と戸籍謄本等の点検をお願いする場合、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書を提出します。
法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書は、法務局のホームページからダウンロードすることができます。
ダウンロードした様式を印刷して、手書きで作成することができます。
②複数の人が申出人になることができる
法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出ができるのは、相続人とその代理人です。
遺言執行者は、遺言執行の一環として法定相続情報一覧図の保管及び申出の申出人になることができます。
相続人が複数いる場合、複数の相続人が共同で申出人になることができます。
法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書は、申出人氏名などを連記します。
後日、法定相続情報一覧図が追加で必要になるかもしれません。
法定相続情報一覧図は、再交付をしてもらうことができます。
再交付をしてもらえるのは、最初の申出で申出人になった人だけです。
複数の人が共同で保管及び交付の申出をした場合、各自で再交付の申出をすることができます。
③法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書は押印不要
法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書は、記名だけで差し支えありません。
申出人の押印は、不要です。
従来どおり、押印して提出しても受け付けてもらえます。
4委任状を手書きで作成できる
①申出人は代理人に委任できる
法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出は、申出人が自分で手続することができます。
申出人は代理人を立てて、依頼することができます。
法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出の委任を受けることができる人は、限られています。
親族のほか、司法書士などの専門家です。
親族にあたる人は、次のとおりです。
(1)6親等内の血族
(2)配偶者
(3)3親等内の姻族
専門家は、次の資格のある人です。
(1)弁護士
(2)司法書士
(3)土地家屋調査士
(4)税理士
(5)社会保険労務士
(6)弁理士
(7)海事代理士
(8)行政書士
複数の申出人がいる場合、一部の申出人が代理人を立てて手続を依頼することができます。
相続手続を司法書士などの専門家に依頼する場合、一緒に依頼することができます。
相続登記がある場合、法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出を一緒に手続をすることができます。
相続登記と法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出は、司法書士に依頼することができます。
②委任状で依頼内容を証明する
法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出は、代理人に依頼することができます。
代理人になる人に委任状を渡して、依頼内容を証明します。
委任状は、手書きで作成することができます。
委任状に書く内容は、次のとおりです。
(1)代理人の住所と氏名
(2)希望する法定相続情報一覧図の写しの交付通数
(3)被相続人の最後の住所(又は本籍)、氏名、死亡年月日
(4)委任日
(5)申出人の住所と氏名
委任状の内容が適切に記載されていない場合、適切な委任を受けていないと判断されるでしょう。
委任状の内容は本人が委任した内容だから、補正が認められないことが多いものです。
適切な委任を受けていないと判断された場合、いったん取下げてやり直しになります。
③委任状は押印不要
委任状は、記名だけで差し支えありません。
申出人の押印は、不要です。
従来どおり、押印して提出しても受け付けてもらえます。
5法定相続情報一覧図の再交付の申出書を手書きで作成できる
①法定相続情報一覧図の再交付は最初の申出人だけ申出ができる
最初の申出をするときには、判明していなかった財産が見つかることがあります。
相続手続が追加で必要になります。
相続手続先によっては、独自ルールで法定相続情報一覧図の有効期限を決めています。
期限が切れてしまった場合、法定相続情報一覧図の再交付を受けることができます。
法定相続情報一覧図の再交付の申出書は、法務局のホームページからダウンロードすることができます。
ダウンロードした様式を印刷して、手書きで作成することができます。
法定相続情報一覧図の再交付の申出書は、最初の申出をしたときの申出人だけ提出できます。
相続人であっても最初の申出で申出人になっていない人は、再交付の申出をすることはできません。
②最初の申出人から委任状
最初の申出のとき、申出人になっていない人は法定相続情報一覧図の再交付の申出書を提出することができません。
最初の申出で申出人になった人に依頼して、手続してもらう必要があります。
親族であれば、申出人の代理人になることができます。
最初の申出で申出人になった人から委任状を出してもらうことで、手続をすることができます。
最初の申出人から委任状を出してもらうとき、委任状は手書きで作成することができます。
委任状は、記名するだけで押印は不要です。
従来どおり、押印しても差し支えありません。
6法定相続情報一覧図の作成を司法書士に依頼するメリット
法定相続情報一覧図は、後に登記官が認証文を付して交付されるので、書き方が厳格に決まっています。
法定相続情報一覧図と似たものに、相続関係説明図があります。
相続関係説明図は、登記官が点検をするものではなく、単なる事情説明の書類に過ぎません。
比較的自由に、書くことができます。
これらの違いを理解して、ポイントを押さえて書くことが重要です。
相続手続が少ない場合など、法定相続情報一覧図を作るまでもないこともあるでしょう。
銀行口座をたくさん持っているなど、相続手続をする手続先が多い場合は、法定相続情報一覧図は大変便利です。
仕事や家事で忙しい方は、手続をすべてお任せいただけます。
すみやかな手続を考えている方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
子どもがいない夫婦の相続人は配偶者のみではない
1子どもがいない夫婦の相続人は配偶者のみではない
①相続人になる人は法律で決まっている
相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。
だれが相続人になるかについては、民法で決められています。
相続人になる人は、次のとおりです。
(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。
(1)配偶者は必ず相続人になる
(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども
(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属
(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹
②事実婚・内縁の配偶者に相続権はない
配偶者は、必ず相続人になります。
相続人になる配偶者は、法律上の配偶者のみです。
事実婚・内縁の配偶者は、相続人になれません。
何年一緒にいても、事実婚・内縁の配偶者は相続人になれません。
被相続人に莫大な借金があっても、事実婚・内縁の配偶者が借金を引き継いでしまうことはありません。
莫大な借金を心配して、相続放棄をする必要はありません。
事実婚・内縁の配偶者は相続人でないから、土地などの不動産を相続することもできません。
離婚して法律上の配偶者でなくなった元配偶者も相続人になれません。
法律上の配偶者でなくなった元配偶者が、離婚後、内縁の配偶者であっても、相続人になれません。
事実婚・内縁の配偶者に、相続権はありません。
③前婚の子どもは相続人になる
被相続人に離婚歴があることがあります。
離婚した元配偶者は、相続人になりません。
離婚した元配偶者との間に、子どもがいることがあります。
被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。
被相続人が離婚しても、子どもは相続人になります。
離婚して元配偶者が子どもを引き取っても、子どもは子どもだからです。
子どもが未成年である場合、元配偶者が親権を持つことがあります。
だれが親権者であっても、子どもは子どもです。
子どものために養育費を払っていることも払っていないこともあるでしょう。
養育費を払っていても払っていなくても、子どもは子どもです。
養育費を受け取っていても受け取っていなくても、子どもは子どもです。
子どもは、相続人になります。
離婚した後に元配偶者が再婚することがあります。
元配偶者の再婚相手と子どもが養子縁組をすることがあります。
子どもとの縁が切れた気持ちになるかもしれません。
普通養子による養子縁組をした場合、実親との親子関係は継続します。
普通養子による養子縁組であれば、子どもは子どものままです。
子どもは、相続人になります。
④疎遠になっても相続人になる
相続人になる人は、法律で決まっています。
さまざまな家族の事情から、被相続人や被相続人の家族と連絡を取り合っていないことがあります。
家族の事情とは無関係に、相続人になる人は法律で決められています。
疎遠になっても、相続人になります。
長期間連絡を取り合っていない場合、連絡先をだれも知らないことがあります。
だれも連絡先を知らなくても、相続人は相続人です。
行方不明の人も、相続人になります。
⑤半血兄弟が相続人になる
被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。
兄弟姉妹と言うと、父母が同じ兄弟姉妹だけを想像しがちです。
兄弟姉妹には、異父兄弟と異母兄弟が含まれます。
異父兄弟と異母兄弟をまとめて、半血兄弟と言います。
異父兄弟や異母兄弟と関係がいいことは、あまりないでしょう。
被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、半血兄弟も相続人になります。
⑥相続人は配偶者のみは珍しい
相続が発生したら、配偶者や子どもが相続人になることはよく知られています。
子どもがいない夫婦の場合、配偶者のみが相続人になると誤解しているかもしれません。
配偶者以外に相続人はいないと言いながら、実際は疎遠な兄弟姉妹がいることがあります。
半血兄弟がいる場合、被相続人自身も半血兄弟の存在を知らないかもしれません。
被相続人が知らなくても、相続人は相続人です。
実際のところ相続人は配偶者のみは、珍しいケースです。
2子どもがいない夫婦の相続人と相続分・遺留分
①配偶者と子どもが相続人
被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。
配偶者と子どもが相続人になる場合、法定相続分は次のとおりです。
・配偶者の法定相続分 2分の1
・子どもの法定相続分 2分の1
子どもが複数いる場合、2分の1の相続分を平等に分け合います。
配偶者と子どもには、遺留分が認められます。
遺留分とは、相続人に認められる最低限の権利です。
被相続人に近い関係の相続人に認められます。
配偶者と子どもが相続人になる場合、遺留分は次のとおりです。
・配偶者の遺留分 4分の1
・子どもの遺留分 4分の1
子どもが複数いる場合、4分の1の遺留分を平等に分け合います。
②配偶者と親などの直系尊属が相続人
被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属が相続人になります。
配偶者と親などの直系尊属が相続人になる場合、法定相続分は次のとおりです。
・配偶者の法定相続分 3分の2
・親などの直系尊属の法定相続分 3分の1
親などの直系尊属が複数いる場合、3分の1の相続分を平等に分け合います。
配偶者と親などの直系尊属には、遺留分が認められます。
配偶者と親などの直系尊属が相続人になる場合、遺留分は次のとおりです。
・配偶者の遺留分 3分の1
・親などの直系尊属の遺留分 6分の1
親などの直系尊属が複数いる場合、6分の1の遺留分を平等に分け合います。
③配偶者と兄弟姉妹が相続人
被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹が相続人になります。
配偶者と兄弟姉妹が相続人になる場合、法定相続分は次のとおりです。
・配偶者の法定相続分 4分の3
・兄弟姉妹の法定相続分 4分の1
兄弟姉妹が複数いる場合、4分の1の相続分を平等に分け合います。
配偶者と兄弟姉妹には、遺留分が認められません。
配偶者と兄弟姉妹が相続人になる場合、遺留分は次のとおりです。
・配偶者の遺留分 2分の1
・兄弟姉妹の遺留分 なし
④配偶者と全血兄弟と半血兄弟が相続人
兄弟姉妹が相続人になる場合、全血兄弟だけでなく半血兄弟も相続人になります。
全血兄弟とは、父母が同じ兄弟姉妹です。
全血兄弟と半血兄弟の法定相続分は、同じではありません。
嫡出子と非嫡出子の法定相続分は、同じになりました。
半血兄弟の法定相続分は、半分のままです。
配偶者と兄弟姉妹が相続人になる場合、法定相続分は先に説明したとおりです。
兄弟姉妹が複数いる場合、平等に分け合います。
例えば、全血兄弟1人と半血兄弟1人がいる場合、4分の1の相続分を次のように分け合います。
全血兄弟の法定相続分 6分の1
半血兄弟の法定相続分 12分の1
兄弟姉妹には、遺留分は認められません。
3配偶者に全財産を相続させる遺言書
①遺言書を作成して遺産分割の方法を指定
子どもがいない夫婦であっても、残された配偶者のみが相続人になるのは珍しいケースです。
多くの場合、残された配偶者と被相続人の親族が相続人になります。
被相続人の親族と残された配偶者の関係が良くないことがあります。
長年疎遠になっていても、相続手続では協力してもらう必要があります。
被相続人が遺言書を作成して、相続財産の分け方を指定することができます。
遺言書で遺産分割の方法を指定した場合、遺言書のとおりに分けることができます。
疎遠な相続人と話し合いをする必要はありません。
関係が良くない親族がいる場合、残された配偶者の精神的負担は大きいでしょう。
遺言書のとおりに分けることができるから、残された配偶者はラクができます。
遺言書を作成して、遺産分割の方法を指定することができます。
②遺言執行者を指名して相続手続をおまかせ
遺言書を作成するだけでは、意味がありません。
遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。
遺言執行者は、遺言書の内容を実現する人です。
遺言書の中で、遺言執行者を指名することができます。
相続を何度も経験する人は、あまりいません。
だれにとっても初めてで、不慣れなものです。
相続手続は、想像以上に手間と時間がかかります。
遺言執行者がいる場合、手間と時間がかかる相続手続をおまかせできます。
遺言執行者にわずらわしい相続手続をおまかせできるから、残された配偶者には心強いでしょう。
遺言執行者が遺言書の内容を実現してくれるから、遺言者にとっても心強いでしょう。
遺言執行者を指名して、相続続をおまかせすることができます。
③兄弟姉妹に遺留分はない
遺言書を作成して、遺産分割の方法を指定することができます。
疎遠になった兄弟姉妹に財産を引き継ぐより、協力して財産を築いた配偶者に引き継いでもらいたいでしょう。
兄弟姉妹に、遺留分はありません。
どのような財産配分にしても、兄弟姉妹は文句を言うことはできません。
例えば、全財産を配偶者に相続させる遺言書を作成しても、兄弟姉妹は遺留分を請求することはできません。
相続が発生したときに、兄弟姉妹が先に死亡していることがあります。
相続人になるはずだった兄弟姉妹が先に死亡した場合、兄弟姉妹の子どもが相続人になります。
兄弟姉妹の子どもは、甥姪です。
甥姪が代襲相続人になる場合、甥姪に遺留分はありません。
甥姪が代襲相続人になっても、甥姪は遺留分を請求することはできません。
兄弟姉妹にも甥姪にも、遺留分はありません。
④配偶者居住権を遺贈して住む場所を確保
遺言書を作成する場合、相続人に遺留分に配慮することは重要です。
遺留分を侵害する遺言書がある場合、相続人間でトラブルになるおそれがあるからです。
子どもや親などの直系尊属が相続人になる場合、遺留分が認められます。
相続財産の大部分が自宅などの不動産である場合、遺産分割が難しくなるでしょう。
残された配偶者に住む場所を確保させたいと思って、自宅を相続させるかもしれません。
不動産の価値が高い場合、遺留分を侵害することになるからです。
配偶者に住む場所を確保させたい場合、配偶者居住権を遺贈する方法があります。
不動産の所有権を相続させるより、配偶者居住権の経済的価値は低いでしょう。
配偶者居住権を遺贈して、住む場所を確保することができます。
⑤夫婦一緒に遺言書作成なら予備的遺言
子どもがいない夫婦が相続対策をする場合、夫婦一緒にするといいでしょう。
遺言書を作成する場合、夫婦一緒に作成します。
子どもがいない夫婦が遺言書を作成する場合、相手に全財産を相続させる内容であることがほとんどです。
夫婦が相手に全財産を相続させる遺言書を作成した場合、残された配偶者の遺言書は無駄になります。
相続が発生したときに、遺言書は効力が発生するからです。
残された配偶者が死亡したとき、残された配偶者の遺言書に効力は発生します。
残された配偶者の遺言書は、先に死亡した配偶者に全財産を相続させる内容でしょう。
先に死亡した配偶者に、相続させることはできません。
財産を受け取る人が先に死亡した場合、遺言は無効になるからです。
夫婦が遺言書を作成する場合、どちらが先に死亡するか分かりません。
財産を受け取る人が先に死亡したときに備えて、予備的遺言をするのがおすすめです。
先に死亡したときに備えて、財産を受け取る人を指定しておく方法です。
夫婦一緒に遺言書作成なら予備的遺言がおすすめです。
4遺言書作成を司法書士に依頼するメリット
遺言書は、遺言者の意思を示すものです。
自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。
実は、民法に遺言書を作ることができるのは15歳以上と定められています。
死期が迫ってから、書くものではありません。
遺言書はいつか書くものではなく、すぐに書くものです。
遺言書は遺言者の意思を示すことで、家族をトラブルから守るものです。
子どものいない夫婦の場合、遺言書の威力は大きいものです。
遺言書があることで、残された配偶者が守られます。
お互いを思いやり幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
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相続財産は時効取得ができない
1取得時効には要件がある
相続登記をしないまま、先延ばしをしている例はたくさんあります。
相続手続は済んでいると思い込んだまま、放置して持ち主が死亡することもあります。
自分のものだと信じて使い続けた自宅なのに、登記を調べてみたら、祖父の名義のままだったという話も多々聞くことです。
他人のものでも自分のものと信じてずっと使い続ければ、自分のものになるはずと思う人も多いでしょう。
時効取得が認められた場合、他人のものでも自分のものになります。
自分のものだと信じて使い続けた自宅だから、時効取得できると考えるかもしれません。
時効取得するためには、要件があります。
要件を満たせば、時効取得することができます。
2時効取得するための要件
①所有の意思がある
単に、自分のために使っている、自分のために持っているだけでは不足です。
所有する意思をもって使っている、持っている必要があります。
借りているものを使っていても、所有する意思は認められません。
長期間借り続けていても、時効取得することはできません。
所有の意思は、使っている人が心の中で思っていることで決まるものではありません。
使うことの原因になった理由や持っている事情によって、外形的に客観的に決まります。
通常、売買の買主は所有する意思を持っています。
泥棒にも、所有の意思があります。
外形的に客観的に、自分のために使っている、自分のために持っているからです。
買ったものがだれのものでも、時効取得ができる可能性があります。
泥棒が盗んだものでも、時効取得ができる可能性があります。
他にも相続人がいることを知りながら使い続けている場合、所有の意思は認められません。
相続財産は、相続人全員の共有財産です。
相続財産を使い続けている場合、他の相続人のために管理していると考えられるからです。
他の相続人のために管理していても、所有の意思は認められません。
②公然かつ平穏
公然とは、こっそり使っていたり、隠し持っている場合でないという意味です。
平穏とは、暴行や脅迫によって、持っていたり、使っている場合ではないという意味です。
使っている場合や持っている場合、公然かつ平穏であると推定されます。
③他人の物
法律には、わざわざ「他人の物」と明示してあります。
他人の物と言っていますが、自分のものも含めて考えます。
他人の物でも、時効取得できます。
自分のものを時効取得できるのは、なおさらのことです。
時効制度は長い間、続いてきた平穏な事実を権利として認めようという制度です。
自分のものであっても、長い間に自分のものであるという証拠がなくなることがあります。
だれが所有者なのか分からないと、トラブルになることがあるでしょう。
長い間、平穏に使い続けた事実を権利として認めることで、救済しようとするものだからです。
④善意無過失
善意とは、自分のものと信じていたという意味です。
無過失とは、自分のものと信じていたことについて、落ち度がなかったという意味です。
自分のものと信じており、自分のものと信じることについて落ち度がない場合、10年で時効取得ができます。
自分のものと信じており、自分のものと信じることについて落ち度がないのは、最初の時点で判断します。
最初の時点で、自分のものと信じており、自分のものと信じることについて落ち度がなければ、10年で時効取得ができます。
途中で、自分のものでないのかもと疑うような事実を知ってしまっても、10年で時効取得ができます。
最初の時点で、他人のものと知っていたり、自分のものと信じることに落ち度がある場合でも、20年で時効取得ができます。
⑤時効を援用すること
時効が完成したら、所有者に「時効取得しました」と主張する必要があります。
3相続財産は時効取得ができない
①相続財産は相続人全員の共有財産
相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。
相続財産は、相続人全員の共有財産です。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。
相続人全員の合意がまとまるまで、相続人全員の共有財産です。
相続財産は、相続人全員の共有財産です。
②相続財産に所有の意思は認められない
時効取得の要件をすべて満たしたら、時効取得をすることができます。
重要なポイントは、所有の意思があることです。
相続が発生した後、相続財産は相続人全員の共有財産です。
相続財産である実家に、一部の相続人が住み続けていることがあります。
相続財産である実家は、相続人全員の共有財産です。
相続人全員の財産を、使っているに過ぎません。
借りているものを使っているのと同様に、所有の意思は認められません。
使うことの原因になった理由や持っている事情によって、外形的に客観的に決まります。
所有の意思は、使っている人が心の中で思っていることで決まるものではありません。
相続財産は、客観的に外形的に相続人全員の共有財産です。
相続財産を使い続けても、所有の意思が認められません。
③所有の意思が認められないと時効取得はできない
時効取得の制度は、長い間、平穏に使い続けた事実を権利として認める制度です。
客観的に外形的に、所有の意思をもって使い続けることが重要です。
代々伝わる実家だからなどの理由は、所有の意思と無関係です。
相続財産は、相続人全員の共有財産です。
相続人全員の共有財産を使い続けても、所有の意思は認めれません。
所有の意思が認められないと、時効取得はできません。
④遺産分割協議が成立した後は所有の意思がある
相続財産の分け方は、相続人全員で合意で決める必要があります。
合意をせず実家を使い続けただけで、時効取得はできません。
父に相続が発生して登記簿を確認したところ、祖父の名義のままということがあります。
父が実家を使い続けただけで、時効取得をすることはできません。
祖父の相続のとき、相続人が遺産分割協議をしたでしょう。
遺産分割協議に基づいて、相続手続をしているでしょう。
すべての相続財産について手続をしているのに、実家だけ相続登記を忘れてしまうことがあります。
父が相続することについて、祖父の相続人全員が合意をしていたでしょう。
多くの場合、実家などの不動産は家族にとって重要な財産です。
祖父の相続人全員が合意をしなかったと考えるのは、不自然でしょう。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。
相続人全員の合意があれば、口頭の合意でも有効です。
遺産分割協議が成立した後は、相続した人の財産です。
所有する意思をもって使っていると認められます。
長期間所有の意思をもって使っている場合、時効取得をすることができます。
4時効取得しても登記手続は必要
①~⑤の要件を満たして、時効取得したら所有権を得ることができます。
不動産を時効取得した場合、所有権の移転登記が必要になります。
所有権を時効取得しても、自動で登記されることはありません。
法務局は、時効取得したことが分からないからです。
時効取得による所有権移転登記を申請する場合、登記名義人と時効取得した所有者が協力して申請する必要があります。
登記名義人が死亡している場合、登記名義人の相続人全員の協力が必要です。
時効取得されて不動産の所有権を失う元所有者や元所有者の相続人が登記手続に協力してくれることは、まず考えられません。
登記手続に協力が得られない場合、裁判所に訴えを起こすことになります。
裁判所から、所有権移転登記手続をせよという判決を出してもらう必要があります。
所有権移転登記をせよという判決があれば、時効取得した所有者が単独で登記申請をすることができます。
5時効取得の登記はすみやかに
要件を満たせば、時効取得をすることができます。
時効取得で所有権を失う元所有者は、登記申請に協力してくれないことがほとんどです。
協力してくれないからと言って、登記申請をせずに先延ばしをすることはおすすめできません。
せっかく時効取得した権利を失ってしまうかもしれないからです。
時効取得をした後、所有権移転登記をしない間の登記名義人は、元所有者です。
登記名義があるから、元所有者は不動産を売買などで譲渡することができます。
元所有者から不動産を譲り受けた人は、すぐに所有権移転登記をするでしょう。
権利主張をするためには、登記が必要です。
時効取得したから自分のものだと主張するためには、登記をしておく必要があります。
登記申請は、時効取得する人と不動産を譲り受けた人の競争です。
登記申請は、早い者勝ちだからです。
不動産を譲り受けた人が先に登記をしたら、時効取得した人は権利主張をすることができません。
不動産は、譲り受けた人のものになります。
時効取得をしたら、すみやかに登記手続をすることが重要です。
6相続登記を司法書士に依頼するメリット
相続が発生すると、相続人は悲しむ暇もなく相続手続に追われます。
不動産を相続した場合、すぐに売却したいといった事情がなければ先延ばししがちです。
先延ばししているうちに、相続登記を忘れてしまいます。
相続登記したものと思い込んでしまうことが多くなります。
実際のところ、何代も前の名義のまま放置されている例はよく見かけます。
何十年も住み続けた自宅なのに、自分のものでないを知るとショックを受けます。
相続財産は、相続人全員の共有財産です。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決める必要があります。
何十年も住み続けたから、自分のものだと主張したくなるでしょう。
何十年も住み続けた自宅であっても、相続人全員の合意は欠かせません。
長い間経過していると、相続人が死亡することがあります。
相続人の相続人と話し合いが必要になるかもしれません。
関係が薄い相続人かいると、疎遠になっているでしょう。
疎遠な相続人がいると、分け方の合意は難しくなりがちです。
時効取得を持ち出してくること自体、トラブルは始まっています。
日常会話の中で、時効という言葉は軽く使われがちです。
法律上の時効は、考えるよりハードルが高く、認められるのが難しいものです。
きちんと相続登記をしておけば、家族のトラブルにならないことがほとんどでしょう。
相続が発生した後、すみやかに相続登記を済ませましょう。
スムーズに相続登記を完了させたい方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
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遺留分の放棄をしても相続できる
1遺留分の放棄とは
遺留分の放棄とは
被相続人は、原則として、自分の財産をだれに受け継がせるかは自由に決めることができます。
とはいえ、財産は被相続人がひとりで築いたものではないでしょう。
家族の協力があったからこそ、築くことができたはずです。
被相続人の名義になっているからといって、まったく無制約の自由にすることはできません。
今まで協力してきた家族に、酷な結果となることがあるからです。
被相続人に近い関係の相続人には、相続財産に対して最低限の権利が認められています。
遺留分とは、相続財産に対して認められる最低限の権利です。
遺言書などで遺留分を侵害された相続人は、遺留分侵害額請求をすることができます。
遺留分を侵害した相続人に対して、遺留分に相当する金銭を請求します。
遺留分の放棄は、相続財産に対して認められる最低限の権利を相続人自身の意思で放棄することです。
相続人自身の意思で、遺留分侵害額請求をしないという制度のことです。
被相続人からすでに充分な贈与を受けている場合や相続争いに巻き込まれたくない場合に遺留分放棄がされます。
2遺留分放棄と相続放棄のちがい
相続が発生したら、原則として、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も相続人が受け継ぎます。
被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も受け継がないことを相続の放棄といいます。
一方、遺留分の放棄は、相続財産に対して認められる最低限の権利を相続人自身の意思で放棄することです。
遺留分の放棄は最低限の権利を放棄するだけだから、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も相続人が受け継ぎます。
ちがい①遺留分放棄は相続できる
相続放棄は相続できない
遺留分の放棄をしても、相続をすることができます。
ちがい②遺留分放棄は借金を相続する
相続放棄は借金を相続しない
相続をするから、マイナスの財産も受け継ぎます。
お金を貸した人が被相続人の借金の法定相続分を返してくださいと言ってくることがあります。
遺留分の放棄をしたから、被相続人の借金は払いませんということはできません。
遺留分の放棄をしても、相続をすることができるからです。
ちがい③遺留分放棄は遺産分割協議に参加する
相続放棄は遺産分割協議に参加しない
相続をすることができるから、相続財産の分け方を決める話し合いに参加する必要があります。
遺留分の放棄をした人を含まずに相続財産の分け方の合意をした場合、無効になります。
相続財産の分け方の合意は、相続人全員の合意が必要だからです。
相続放棄をした場合、はじめから相続人でなかったと判断されます。
相続放棄をした人は相続人でないから、相続財産の分け方を決める話し合いに参加する必要がありません。
相続放棄をした人を含まずに相続財産の分け方の合意をした場合、有効になります。
相続放棄をした人ははじめから相続人でなかったと判断されるからです。
遺留分放棄をした場合、依然として相続人であることに変わりはありません。
遺留分放棄をした相続人は相続人のままだから、遺留分放棄をした相続人を含まずに合意をした場合、合意が無効になります。
ちがい④遺留分放棄は代襲相続ができる
相続放棄は代襲相続があり得ない
遺留分放棄をした場合、依然として相続人であることに変わりはありません。
遺留分の放棄をした後、被相続人より先に死亡することがあります。
相続人が被相続人より先に死亡した場合、代襲相続ができます。
死亡した相続人の子どもや子どもの子どもが相続します。
遺留分放棄をした場合、依然として相続人であることに変わりはありませんから、代襲相続ができます。
遺留分放棄をした相続人の地位を相続しますから、子どもや子どもの子どもは遺留分を請求することはできません。
相続放棄をする場合、相続が発生してから手続する必要があります。
被相続人より先に相続人が死亡している場合、死亡した相続人が相続放棄をすることはできません。
相続放棄では、代襲相続があり得ません。
ちがい⑤生前の遺留分放棄は家庭裁判所の許可
生前の相続放棄はできない
被相続人の生前に家庭裁判所の許可を得ることで、遺留分の放棄をすることができます。
被相続人の生前は、相続放棄をすることはできません。
遺留分の放棄と相続放棄は、どちらも家庭裁判所でする手続です。
「遺留分侵害額請求をするな」「相続を放棄するな」という被相続人の命令は、法律上無効です。
「遺留分侵害額請求をしません」「相続を放棄します」という被相続人と相続人の口約束は、法律上無意味です。
生前に「遺留分侵害額請求をしません」「相続を放棄します」という念書を書かせた場合、法律上意味はありません。
生前に他の相続人と「遺留分侵害額請求をしません」「相続を放棄します」という契約書を作った場合、法律上何の価値もありません。
生前に他の相続人に対して「遺留分侵害額請求をしません」「相続を放棄します」という申入書を差し入れた場合、効力はありません。
生前の遺留分の放棄は家庭裁判所の許可が必要です。
被相続人や他の相続人と話し合いで、生前に遺留分の放棄はできません。
生前の相続放棄は、家庭裁判所が受け付けてくれません。
被相続人や他の相続人と話し合いで、生前に相続の放棄はできません。
ちがい⑥相続発生後、遺留分放棄は自由にできる
相続放棄は3か月以内に手続する
相続が発生した後であれば、遺留分は自由に放棄することができます。
相続が発生した後は、相続権も遺留分も自分に帰属した具体的権利だからです。
具体的な自分の権利だから、家庭裁判所の許可は必要ありません。
遺留分侵害額請求権は、遺留分がある権利者からの請求が必要です。
遺留分を侵害されたとしても、遺留分侵害額請求をしないことができます。
遺留分侵害額請求をしない場合、遺留分を放棄したことと同じ効果になります。
相続放棄は、相続の発生を知ってから3か月以内に家庭裁判所で手続します。
ちがい⑦遺留分放棄は他の相続人に影響なし
相続放棄は他の相続人に影響あり
遺留分の放棄をした場合、他の相続人の遺留分に影響はありません。
相続放棄をした場合、他の相続人の相続分に影響があります。
3生前の遺留分放棄を認められる基準は厳しい
遺留分は、相続財産に対して認められる最低限の権利です。
遺留分を放棄した場合、相続財産に対して認められる最低限の権利を失います。
最低限の権利を失う重大な決定だから、家庭裁判所の許可が必要になっています。
相続財産に対して認められる最低限の権利を失った場合、権利主張ができなくなります。
遺留分放棄をさせれば口封じができるから、相続トラブルを無くせると安易にすすめる自称専門家は少なくありません。
被相続人や他の相続人からの不当な干渉で、無理矢理、遺留分放棄をさせられているのではないか家庭裁判所は慎重に審査をします。
遺留分の放棄は、相続人の意思が重視されます。
気に入らない相続人の遺留分を放棄させる危険が大きいことから、相続人の意思だけでなく、合理的理由があるかも判断の対象になっています。
合理的理由とは、遺留分の放棄の申立てをする必要性や充分な理由があることです。
遺留分の放棄の申立てをする充分な理由とは、遺留分の放棄をするに見合う充分な代償を得ていることです。
多くの場合、充分な生前贈与を受けている場合や事業などに充分な出資をしてもらっている場合が該当します。
親の言いなりにならないからとか気に入った相続人に財産を受け継がせたいからなどは、認められないでしょう。
4遺言書作成を司法書士に依頼するメリット
被相続人は、原則として、自分の財産をだれに受け継がせるかは自由に決めることができます。
自由に決めることができるものの、完全に自由に決めることができるわけではありません。
兄弟姉妹以外の相続人には、遺留分があるからです。
遺留分を侵害するような遺言書である場合、相続発生後に大きなトラブルになりかねません。
侵害された相続人は遺留分侵害額請求をすることができます。
自分の思い通りの遺産分割を実現させるために、遺留分を放棄させようと考えるかもしれません。
相続発生前の遺留分の放棄には、家庭裁判所の許可が必要です。
遺留分の放棄をさせれば、自分の思い通りの遺産分割を実現できると思えます。
書類さえ提出すれば、家庭裁判所がカンタンに許可をしてくれるわけではありません。
念書を書かかせても法律上意味はなく、かえってトラブルの火種になります。
遺留分を侵害するような遺言書である場合、遺言書自体が無効だと主張されるおそれがあります。
遺言書自体が無効だと主張される場合、多くは修復困難な家族のもめごとになるでしょう。
あえてトラブルになる遺言書に固執するより遺留分を侵害しない遺言書を作成した方が現実的です。
家族のトラブルを減らすためには、遺留分を侵害しない遺言書を作成する方が有効です。
自分の思い通りの遺産分割と家族の幸せを比べたときに、どちらがより重要か考えましょう。
家族を幸せにしたいと思って築いた財産のはずです。
生涯をかけて築いた財産で、家族がトラブルになるのであれば本末転倒です。
家族の幸せを思って遺言書を作成したいと考えるのであれば司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
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死亡退職金が相続財産になる例ならない例
1死亡退職金が支給規程で支給されるとき相続財産ではない
①国家公務員死亡なら国家公務員退職手当法で支給
国家公務員が退職する場合、退職手当が支給されます。
退職する国家公務員に支給される退職手当は、国家公務員退職手当法によって定められています。
国家公務員が死亡によって退職した場合、遺族に退職手当が支給されます。
国家公務員退職手当法は、退職手当を受け取る遺族について次のように定めています。
(遺族の範囲及び順位)
国家公務員退職手当法
第2条の2第1項 この法律において、「遺族」とは、次に掲げる者をいう。
一 配偶者(届出をしないが、職員の死亡当時事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。)
二 子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹で職員の死亡当時主としてその収入によつて生計を維持していたもの
三 前号に掲げる者のほか、職員の死亡当時主としてその収入によつて生計を維持していた親族
四 子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹で第二号に該当しないもの
死亡した国家公務員に配偶者がいる場合、配偶者に退職手当が支給されます。
配偶者は、法律上の配偶者だけでなく事実婚・内縁の配偶者を含みます。
死亡による退職手当は、相続によって受け取るものではありません。
事実婚・内縁の配偶者は、相続することができないからです。
死亡による退職手当は、国家公務員退職手当法で遺族に支給されます。
国家公務員退職手当法で遺族に支給される死亡退職金は、相続財産ではありません。
②地方公務員死亡なら職員退職手当条例で支給
地方公務員が退職する場合、退職手当が支給されます。
退職する地方公務員に支給される退職手当は、職員退職手当条例によって定められています。
例えば、名古屋市では職員退職手当条例が定められています。
職員退職手当条例は、多くの場合、国家公務員退職手当法に準じて決められています。
地方公務員が死亡によって退職した場合、遺族に退職手当が支給されます。
名古屋市の職員退職手当条例は、退職手当を受け取る遺族について次のように定めています。
(遺族の範囲及び順位等)
名古屋市の職員退職手当条例
第3条 この条例において「遺族」とは、次の各号に掲げる者をいう。
(1) 配偶者(届出をしないが、職員の死亡当時事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)
(2) 子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹で職員の死亡当時主としてその収入によって生計を維持していたもの
(3) 前号に掲げる者の外、職員の死亡当時主としてその収入によって生計を維持していた親族
(4) 子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹で第2号に該当しないもの
死亡した名古屋市の職員に配偶者がいる場合、配偶者に退職手当が支給されます。
配偶者は、法律上の配偶者だけでなく事実婚・内縁の配偶者を含みます。
死亡による退職手当は、相続によって受け取るものではありません。
事実婚・内縁の配偶者は、相続することができないからです。
死亡による退職手当は、職員退職手当条例で遺族に支給されます。
職員退職手当条例で遺族に支給される死亡退職金は、相続財産ではありません。
③会社員死亡なら退職金規程や就業規則で支給
会社員が退職する場合、退職手当が支給されることがあります。
会社が支給する退職金については、退職金規程や就業規則について定めていることが多いでしょう。
退職金に関する定めは、多くの場合、労働基準法施行規則や労働者災害補償保険法を参考にして決められています。
労働基準法施行規則は、次のように定めています。
第42条 遺族補償を受けるべき者は、労働者の配偶者(婚姻の届出をしなくとも事実上婚姻と同様の関係にある者を含む。以下同じ。)とする。
労働基準法施行規則
労働者災害補償保険法は、次のように定めています。
第16条の7第1項 遺族補償一時金を受けることができる遺族は、次の各号に掲げる者とする。
一 配偶者
二 労働者の死亡の当時その収入によつて生計を維持していた子、父母、孫及び祖父母
三 前号に該当しない子、父母、孫及び祖父母並びに兄弟姉妹
労働基準法施行規則や労働者災害補償保険法は、退職金についての定めではありません。
生計を維持されていた人が生活に困窮しないようにするために、支給する点は読み取れます。
会社の退職金規程の内容によりますが、死亡による退職手当は相続によって受け取るものではありません。
会社の退職金規程で遺族に支給される死亡退職金は、相続財産ではありません。
④中退共加入者死亡なら中小企業退職金共済法で支給
中退共制度は、昭和34年に中小企業退職金共済法に基づき設けられた中小企業のための国の退職金制度です。
中退共制度を利用して、管理が簡単な退職金制度が手軽に作れます。
中退共加入者が退職した場合、中退共から退職金を受け取ることができます。
中退共加入者が死亡によって退職した場合、遺族は退職金を受け取ることができます。
中小企業退職金共済法は、退職金を請求できる遺族について次のように定めています。
(遺族の範囲及び順位)
中小企業退職金共済法
第14条第1項 第10条第1項の規定により退職金の支給を受けるべき遺族は、次の各号に掲げる者とする。
一 配偶者(届出をしていないが、被共済者の死亡の当時事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。)
二 子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹で被共済者の死亡の当時主としてその収入によつて生計を維持していたもの
三 前号に掲げる者のほか、被共済者の死亡の当時主としてその収入によつて生計を維持していた親族
四 子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹で第2号に該当しないもの
死亡した中退共加入者に配偶者がいる場合、配偶者は退職金を請求することができます。
配偶者は、法律上の配偶者だけでなく事実婚・内縁の配偶者を含みます。
死亡による退職手当は、相続によって受け取るものではありません。
事実婚・内縁の配偶者は、相続することができないからです。
死亡による退職金は、中小企業退職金共済法で遺族が請求できます。
中小企業退職金共済法で遺族に支給される死亡退職金は、相続財産ではありません。
2受取人の指定がないと相続財産になる
①相続財産は相続人全員の共有財産
死亡退職金は、支給規程で支給されます。
支給規程には、受取人が決められています。
死亡退職金は、原則として、受取人の固有の財産です。
会社の中には、退職金規程や就業規則を整備していないことがあります。
退職金規程や就業規則を整備していなくても、死亡退職金を支給することがあります。
退職金規程や就業規則がない場合、受取人を定めているとは言えません。
受取人を定めていない場合、死亡退職金は相続財産になります。
相続財産は、相続人全員の共有財産です。
相続人以外の人は、相続財産を相続することはできません。
②生前に受け取った退職金は相続財産になる
退職金は、退職する社員に支給されます。
退職した社員が退職金を受け取った後に死亡した場合、受け取った退職金は相続財産です。
退職金は、すでに退職した社員の財産になっているからです。
被相続人が生前に受け取った退職金は、相続財産です。
③生前に退職して受取前に死亡したら相続財産
退職金は、退職日に支給されないことがあります。
生前に退職して退職金の支給日までに、死亡することがあります。
退職した社員が退職金を受け取る前に死亡した場合、退職金を受け取る権利は相続財産です。
社員が退職した時点で、退職金を受け取る権利は発生しているからです。
退職金を受け取る権利は、すでに退職した社員の財産になっています。
退職した社員が退職金を受け取る前に死亡しても、退職金を受け取る権利は相続財産です。
3死亡退職金が特別受益になる可能性
①特別受益は相続人間の公平のルール
特別利益とは、一部の相続人が特別に受けていた利益です。
例えば、一部の相続人だけが多額の贈与を受けているケースです。
一部の相続人だけが特別に利益を受けていたのに、無視して財産を配分すると不公平です。
相続人全員の公平のため、特別受益を持ち戻して相続財産を計算します。
特別受益者は、相続人だけです。
特別受益の制度は、相続人間の公平を図る制度だからです。
相続人以外の人が多額の贈与を受けていても、特別受益にはなりません。
特別受益を持ち戻して相続財産を配分すると、相続人間の公平を図ることができます。
特別受益の制度は、相続人間の公平のルールです。
②死亡退職金は原則として特別受益にならない
死亡退職金が支給規程で支給される場合、相続財産ではありません。
死亡退職金を受け取る権利は、受取人の固有の財産です。
相続放棄をしても、死亡退職金を受け取ることができます。
事実婚・内縁の配偶者が死亡退職金を受け取ることができます。
死亡退職金は、相続財産ではないからです。
相続人以外の人が死亡退職金を受け取った場合、特別受益の対象外です。
特別な事情がない限り死亡退職金を受け取っても、特別受益とは言えないでしょう。
③特別な事情があれば特別受益で持ち戻しの可能性
死亡退職金と同様に生命保険の死亡保険金も、相続財産ではありません。
生命保険の死亡保険金は高額になることが多いでしょう。
生命保険の死亡保険金を特別受益として認めない場合、到底是認できないほど著しい不公平が生じることがあります。
到底是認できないほど著しい不公平が生じる場合、特別受益の持ち戻しの対象になります。
死亡退職金も、到底是認できないほど著しい不公平が生じる場合、特別受益の持ち戻しの対象になる可能性があります。
4死亡退職金に相続税
死亡退職金は、原則として、受取人の固有の財産です。
相続放棄をしても、死亡退職金を受け取ることができます。
民法上、受取人の固有の財産なのに、死亡退職金は相続税の課税対象です。
死亡退職金の合計額が非課税限度額を超えるとき、相続税の課税対象になります。
非課税限度額=500万円×法定相続人の人数
相続人でない人が死亡退職金を受け取る場合、非課税限度額はありません。
5受取人以外の相続人が死亡退職金を受け取ると贈与税の対象
死亡退職金が支給規程で支給される場合、相続財産ではありません。
死亡退職金は、支給規程で定められた受取人の固有の財産です。
受取人の固有の財産だから、遺産分割の対象ではありません。
被相続人の資産規模が大きい場合、死亡退職金を含めて相続税の対象になります
死亡退職金は支給規程で決められた受取人の財産だから、受取人に相続税が課されます。
決められた受取人以外の人が死亡退職金を受け取る場合、受取人から贈与されたと考えられます。
高額な贈与がされた場合、贈与税の対象になるでしょう。
贈与税は、想像以上に高額になりがちです。
6財産調査を司法書士に依頼するメリット
相続が発生したら、ご遺族は大きな悲しみに包まれます。
大きい悲しみのなかで、もれなく迅速に相続財産を調査するのは身体的にも精神的にも大きな負担になります。
負担の大きい財産調査を司法書士などの専門家に依頼することができます。
遺族の疲れも、軽減されるでしょう。
被相続人の財産は、相続人もあまり詳しく知らないという例が意外と多いものです。
悲しみの中で被相続人の築いてきた財産をたどるのは切なく、苦しい作業です。
調査のためには、相続が発生したことの証明として戸籍謄本等の提出が求められます。
戸籍謄本等の取り寄せも含め、手続をおまかせいただけます。
仕事や家事で忙しい方や高齢、療養中などで手続きが難しい方は、手続を丸ごとおまかせできます。
家族にお世話が必要な方がいて、頻繁に家を空けられない方からのご相談もお受けしております。
財産調査でお疲れが出る前に、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
滞納した税金を相続放棄
1相続人は納税義務を引き継ぐ
①滞納者が死亡しても支払い免除にはならない
相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。
相続財産というと、プラスの財産だけを想像するかもしれません。
プラスの財産の他に、マイナスの財産も相続財産です。
マイナスの財産は、借金やローンなどです。
被相続人が納めるべき税金を滞納したまま、死亡することがあります。
滞納者が死亡しても、滞納した税金は支払免除になりません。
滞納した税金の支払義務は、相続されます。
滞納した税金は、マイナスの財産のひとつです。
マイナスの財産のひとつとして、相続人に相続されます。
滞納者が死亡しても、滞納中の税金は支払い免除になりません。
②相続人は法定相続分で支払い義務がある
相続人になる人は、法律で決まっています。
相続人が相続する相続分も、法律で決まっています。
各相続人が引き継ぐのは、滞納していた税金の法定相続分のみです。
相続人全員が法定相続分で、滞納していた税金を納めます。
③遺産分割をしても支払い義務は免れない
被相続人が滞納した税金は、相続財産です。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めることができます。
相続財産の分け方を決めるため、相続人全員でする話し合いを遺産分割協議と言います。
被相続人が滞納した税金をだれが負担するのか、相続人全員の合意で決めることができます。
相続人全員で合意ができたら、書面に取りまとめます。
相続人全員の合意内容を取りまとめた書面を遺産分割協議書と言います。
遺産分割協議書の内容に問題がないか相続人全員に確認してもらいます。
問題がなければ、相続人全員が記名し実印で押印します。
遺産分割協議書の押印が実印によることを証明するため、印鑑証明書を添付します。
相続人には、法定相続分で滞納した税金の支払い義務があります。
被相続人が滞納した税金をだれが負担するのか相続人全員の合意で決めても、相続人間の内部的合意に過ぎないからです。
遺産分割協議で滞納した税金を負担する人を決めても、支払い義務は免れられません。
遺産分割協議で税金を負担する人を決めたから、税金を払いたくないと拒否することはできません。
相続人間の合意は、内部的合意だからです。
遺産分割協議書に実印で押印しても、相続人以外の人には何の効力もありません。
相続人間のトラブル防止のため、遺産分割協議書を作る効果はあります。
遺産分割協議で相続する人を決めても、相続人全員に税金の支払義務があります。
④滞納した税金の典型例
滞納する税金の典型例は、次のとおりです。
(1)住民税
(2)国民健康保険税
(3)固定資産税・都市計画税
(4)所得税
税金の滞納があるのか分からない場合、税務署や役所の税務課に確認することができます。
⑤滞納した税金の時効消滅は現実的ではない
権利行使ができるのに長期間経過すると、権利行使ができなくなります。
消滅時効とは、権利行使ができるのに長期間経過した場合に権利行使が許されなくなることです。
税金を徴収できるのに長期間経過した場合、税金は時効消滅します。
長期間滞納していた場合、税金が時効消滅することを期待するかもしれません。
滞納した税金の時効消滅は、現実的にはあり得ません。
時効が完成する前に、督促や差押えなどの滞納処分が行われるからです。
滞納処分とは、税金などを強制的に取り立てる手続です。
被相続人に対して滞納処分が開始していた場合、死亡しても滞納処分は止まりません。
滞納者が死亡しても、滞納中の税金は支払い免除にならないからです。
滞納した税金の支払義務は、相続されます。
滞納した税金を放置した場合、相続人の財産に滞納処分が行われるでしょう。
被相続人が滞納した税金のために、相続人の財産が差押えられる可能性があります。
納した税金の時効消滅に期待するのは、現実的ではありません。
⑥税金の滞納はブラックリストに載らない
被相続人が借金を残しているのか、分からないことがあります。
被相続人が莫大な借金を残していたのに相続したら、相続人の人生が破綻します。
消費者金融やクレジット会社は、信用情報機関に加入しています。
信用情報機関に確認をすることで、被相続人の借金を確認することができます。
(1)消費者金融からの借入 日本信用情報機構(JICC)
(2)クレジット会社からの借入 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
(3)銀行からの借入 全国銀行協会全国銀行個人信用情報センター
すべてではありませんが、信用情報機関に連帯保証人が登録されている場合があります。
信用情報機関に照会することで、被相続人が連帯保証人になっていたことが判明するかもしれません。
信用情報機関に事故情報が記録されることを、一般的にブラックリストに載ると表現します。
税金を滞納滞納しても、ブラックリストに載りません。
税務署などは、信用情報機関に加入していないからです。
信用情報機関に確認をしても、税金の滞納は判明しません。
税金の滞納は、ブラックリストに載りません。
⑦納税義務承継通知書で納税義務を知る
税金を滞納したまま死亡した場合、課税権者は相続人を調査することができます。
課税権者とは、税務署や市区町村など税金を徴収する権限がある公的機関のことです。
課税権者は、市区町村から滞納者の戸籍謄本を取り寄せて相続人を調査します。
相続人が判明したら、納税義務承継通知書を送付します。
納税義務承継通知書とは、納税義務が通知書の受取人に承継されたことのお知らせです。
納税通知書には、次の項目が書かれています。
(1)納税義務が継承された旨
(2)税金の滞納額
(3)納税義務の割合
(4)請求期限
さまざまな家族の事情から、被相続人と疎遠になっていることがあるでしょう。
納税義務承継通知書が届くことで、自分が相続人であることを知るかもしれません。
税金を滞納したまま死亡した場合、納税義務承継通知書が届きます。
2相続放棄は家庭裁判所で手続
①相続放棄は最後の住所地の家庭裁判所が管轄
相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択できます。
相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄の申立てを提出します。
提出先の家庭裁判所は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。
家庭裁判所の管轄は、裁判所のホームページで確認することができます。
家庭裁判所で相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。
相続人でないから、被相続人の財産は相続しません。
莫大な借金があっても、相続することはありません。
相続放棄を希望する場合は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に手続をします。
②相続放棄の期限3か月のスタートは知ってから
相続放棄は、いつでもできるわけではありません。
相続放棄には、3か月の期限があるからです。
相続放棄の期限3か月のスタートは、相続があったことを知ってからです。
「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。
被相続人や被相続人の家族と疎遠であることがあります。
相続が発生してから長期間経過してから、相続人であることを知るでしょう。
ときには、納税義務承継通知書を受け取って、納税義務を相続したことを知るかもしれません。
相続が発生してから長期間経過しても、知ってから3か月以内であれば相続放棄をすることができます。
納税義務承継通知書を受け取ったことで、知ったのであればこの通知は重要です。
相続があったことを知ったことの証拠になるからです。
相続放棄の申立てをするときに、一緒に提出します。
証拠があると、説得力が増すからです。
相続放棄の期限3か月のスタートは、知ってからです。
③相続放棄をしても次順位相続人に通知されない
相続放棄の申立てを受け付けたら、家庭裁判所は申立てをした人に結果を通知します。
家庭裁判所から、自主的に他の相続人に連絡しません。
家庭裁判所で相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。
子どもが相続放棄をしたら、はじめから相続人でなくなります。
子ども全員が相続放棄をしたら、相続人となる子どもはいなくなります。
子どもがいない場合、親などの直系尊属が相続人になります。
親などの直系相続に対して、家庭裁判所から通知されません。
相続放棄をした相続人は、他の相続人に連絡する義務はありません。
義務はなくても、できることなら連絡してあげると親切でしょう。
先順位の相続人がいる場合、借金や滞納した税金を引き継ぐことはないと安心している可能性があるからです。
急に借金や滞納した税金を払ってくださいと債権者から連絡されたら、びっくりするでしょう。
家庭裁判所で相続放棄が認められても、家庭裁判所から通知はされません。
3相続放棄をするときの注意点
注意①相続放棄は撤回できない
相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択できます。
は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択した後は、撤回することはできません。
相続放棄をした後になって、借金を上回るプラスの財産が見つかることがあります。
相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。
プラスの財産を相続することはできません。
撤回を認めると、相続の現場が混乱するからです。
相続放棄が認められたら、撤回することはできません。
注意②遺産分割協議で相続放棄はできない
相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。
相続財産は、相続人全員の共有財産です。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定する必要があります。
相続人全員で合意できれば、どのように分けても差し支えありません。
一部の相続人が財産をまったく相続しない合意をすることがあります。
相続人全員の合意でプラスの相続財産をまったく受け取らない場合、相続放棄をしたと表現することがあります。
相続放棄を表現するだけで、相続放棄ではありません。
家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、滞納した税金や借金を相続することはありません。
遺産分割協議でプラスの相続財産をまったく受け取らない場合、滞納した税金や借金を相続します。
遺産分割協議の内容は、相続人間の内部的合意に過ぎないからです。
遺産分割協議で、相続放棄はできません。
注意③相続財産を利用処分すると単純承認になる
相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択できます。
相続財産を処分したり利用したりすると、単純承認をしたと見なされます。
単純承認をしたら、相続放棄をすることはできません。
相続放棄が撤回できないように、単純承認も撤回できないからです。
相続放棄ができないのに、家庭裁判所に相続放棄の申立てをすることがあります。
相続放棄の申立てを受け付けたら、家庭裁判所は提出された書面を見て審査をします。
書面に問題がなければ、相続放棄を認める決定をするでしょう。
家庭裁判所が相続放棄を認める決定をしても、無効の決定です。
後から裁判などで無効の決定がされます。
相続財産を利用処分すると、単純承認になります。
注意④相続放棄をしても税務署などに通知されない
相続放棄の申立てを受け付けたら、家庭裁判所は申立てをした人に結果を通知します。
家庭裁判所から、積極的に税務署や債権者などに連絡しません。
税務署や債権者などから見ると、何も知らないうちに相続放棄の手続がされたと言えます。
何も知らないから、相続人調査をして滞納した税金などを払って欲しいと言ってくるでしょう。
税務署などから滞納した税金を払って欲しいと言われると、不安になるでしょう。
相続放棄が認められたら、はじめから相続人ではありません。
被相続人の滞納した税金を相続することは、ありません。
相続補記が認められたら、家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が届きます。
相続放棄申述受理通知書を見せれば、分かってくれます。
相続放棄をしても、税務署などに通知されません。
4相続放棄を司法書士に依頼するメリット
相続放棄は、プラスの財産もマイナスの財産も引き継ぎませんという裁判所に対する申立てです。
相続人話合いで、プラスの財産を相続しませんと申し入れをすることではありません。
家庭裁判所で認められないと、マイナスの財産を引き継がなくて済むというメリットは受けられません。
家庭裁判所で相続放棄が認められたとしても、絶対的なものではありません。
相続放棄の要件を満たしていない場合、その後の裁判で相続放棄が否定されることもあり得ます。
相続の単純承認にあたる行為は、建物の取壊しや高価な宝石などの形見分けなども含まれます。
相続が発生すると、家族は葬式の手配から始まって膨大な手続と身辺整理に追われます。
相続するのか、相続を放棄するのか充分に判断することなく、安易に相続財産に手を付けて、相続放棄ができなくなることがあります。
相続に関する手続の多くは、司法書士などの専門家に任せることができます。
手続を任せることで、大切な家族を追悼する余裕もできるでしょう。
相続人の調査や相続財産調査など適切に行って、充分に納得して手続を進めましょう。
相続放棄には、3か月以内の制限があります。
3か月の期間内に手続をするのは、想像以上にハードルが高いものです。
相続放棄を考えている方は、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
遺贈の登録免許税は受取人によって税率がちがう
1遺贈とは遺言書で財産を引き継いでもらうこと
①相続人や相続人以外の人に遺贈ができる
生きている間、自分の財産を自由に処分することができます。
自分の死亡後に、だれに財産を引き継いでもらうのか自由に決めることができます。
遺言書を作成して、引き継ぐ人と引き継ぐ財産を指定することができます。
遺贈とは、遺言書を作成して相続人や相続人以外の人に財産を引き継いでもらうことです。
相続できるのは、相続人だけです。
相続人になる人は、法律で決められてます。
相続人でも相続人以外の人でも、遺贈を受けることができます。
会社や慈善団体などが遺贈を受けることができます。
相続人以外の人が遺贈を受けることができるからです。
相続人は、相続することができるし遺贈を受けることができます。
遺言書を作成して、相続人や相続人以外の人に遺贈ができます。
②特定遺贈は具体的な財産を指定して引き継ぐこと
特定遺贈とは、遺言書に「財産〇〇〇〇を遺贈する」と財産を具体的に書いてある場合です。
特定遺贈を受けた場合、遺言書に書いてない財産を引き継ぐことはありません。
特定遺贈をする場合、遺言書に基づいて手続をします。
遺言書にあいまいな書き方をすると、手続できなくなることがあります。
相続手続先の人に分かるように、具体的に財産を特定することが重要です。
特定遺贈は、具体的な財産を指定して引き継ぐことです。
③包括遺贈は割合を指定して引き継ぐこと
包括遺贈とは、遺言書に、「財産すべてを包括遺贈する」「財産の2分の1を包括遺贈する」と割合だけ書いて財産を具体的に書いてない場合です。
包括遺贈では、具体的な財産は指定されていません。
包括遺贈を受けた人は、相続人全員と相続財産の分け方について合意する必要があります。
相続財産の分け方について相続人全員の話し合いを遺産分割協議と言います。
具体的にどの財産を引き継ぐのか、遺産分割協議で合意します。
包括遺贈を受けた人は、相続人と同一の権利義務があります。
相続財産には、さまざまな種類の財産があるでしょう。
プラスの財産とマイナスの財産の両方が相続財産に含まれます。
相続財産にマイナスの財産がある場合、マイナスの財産も指定された割合で受け継ぎます。
包括遺贈は、割合を指定して引き継ぐことです。
④登記をしないと権利主張ができない
相続財産に不動産が含まれる場合、不動産の名義変更をします。
不動産の名義変更は、所有権移転登記です。
所有権移転登記は、相続手続の中でも難しい手続です。
すぐに売却ことがなければ、先延ばししたくなるかもしれません。
登記手続の先延ばしは、おすすめできません。
登記がないと、権利主張ができないからです。
遺言書で不動産の遺贈を受けても、登記がないと権利主張ができません。
見知らぬ第三者がこの不動産は自分のものだから、明け渡して欲しいと言ってくるかもしれません。
登記があれば、所有者だから明け渡す必要はないと言い返すことができます。
登記がなければ、不動産を明け渡すことになるかもしれません。
登記がないと、権利主張ができません。
2遺贈の登録免許税は受取人によって税率がちがう
①相続人以外の人への遺贈は1000分の20
所有権移転登記をする場合、登録免許税を納める必要があります。
登録免許税は、固定資産税評価額によって計算します。
固定資産税評価額は、固定資産財課税明細書で確認することができます。
遺贈による所有権移転登記の登録免許税の税率は、原則として、1000分の20です。
固定資産税評価額の1000分の20が登録免許税です。
例えば、子どもが相続人になる場合、孫は相続人ではありません。
孫は、遺贈を受けることができます。
相続人以外の人が遺贈を受けることができるからです。
孫が遺贈を受ける場合、登録免許税の税率は1000分の20です。
孫は、相続人以外の人だからです。
相続人以外の人への遺贈の税率は、1000分の20です。
②相続人に対する遺贈は1000分の4
遺贈とは、遺言書を作成して相続人や相続人以外の人に財産を引き継いでもらうことです。
相続人は、遺贈を受けることができます。
相続人が遺贈を受ける場合、登録免許税が軽減されます。
相続人が遺贈を受ける場合、登録免許税の税率は、1000分の4です。
相続人が相続する場合、登録免許税の税率は、1000分の4です。
相続人が財産を引き継ぐ場合、遺贈でも相続でも同じ税率です。
例えば、相続人になるはずだった子どもが先に死亡した場合、孫は代襲相続人です。
孫は、遺贈を受けることができます。
相続人が遺贈を受けることができるからです。
孫が遺贈を受ける場合、登録免許税の税率は1000分の4です。
孫は、相続人だからです。
相続人に対する遺贈の税率は、1000分の4です。
③包括遺贈による登録免許税は受取人によって税率がちがう
包括遺贈では、具体的な財産は指定されていません。
包括遺贈を受けた人は、相続人全員と相続財産の分け方について合意する必要があります。
遺産分割協議で、不動産を引き継ぐ人が決まるでしょう。
不動産を引き継ぐ人が相続人であれば、税率は1000分の4です。
不動産を引き継ぐ人が相続人以外の人であれば、税率は1000分の20です。
不動産の価額によっては、大きなちがいになるでしょう。
登録免許税のちがいを理解して、相続財産の分け方に合意する必要があります。
包括遺贈による登録免許税は、受取人によって税率がちがいます。
3遺贈の登録免許税が非課税になる特例
①死亡した相続人に対する遺贈は非課税
相続が発生したときには、元気だった相続人が相続手続中に死亡することがあります。
相続が発生した当時元気だったから、相続人は遺贈を受けることができます。
相続手続中に死亡しても、遺贈が無効になることはありません。
死亡した相続人が生前に遺贈を受けたから、遺贈による所有権移転登記を受けることができます。
死亡した相続人が生前に遺贈を受けた場合、遺贈による所有権移転登記で登録免許税はかかりません。
遺贈による所有権移転登記をする場合、「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と記載します。
非課税になるのに登録免許税を納付して登記が完了した場合、還付を受けることはできません。
死亡した相続人に対する遺贈による所有権移転登記は、非課税になる特例があります。
②相続人が100万円以下の土地の遺贈を受けたときは非課税
登録免許税は、固定資産税評価額によって計算します。
100万円以下の土地の遺贈を受けた場合で、かつ、遺贈を受けた人が相続人である場合、遺贈による所有権移転登記で登録免許税はかかりません。
相続人以外の人が遺贈を受けた場合、100万円以下の土地であっても課税されます。
100万円以上の土地の遺贈を受けた場合、100万円分減税されるわけではありません。
対象は100万円以下の土地だけだから、建物は対象外です。
複数の土地の遺贈を受けた場合、土地ごとに判断します。
例えば、70万円と80万円の土地の遺贈を受けた場合、両方とも登録免許税がかかりません。
被相続人が第三者と土地を共有していることがあるでしょう。
土地の共有持分を遺贈することがあります。
土地の共有持分を遺贈する場合、土地全体の固定資産評価額に持分を乗じて計算します。
例えば、全体が150万円の土地で持分2分の1を遺贈した場合、移転した持分の価額は75万円です。
100万円以下と言えるから、登録免許税はかかりません。
遺贈による所有権移転登記をする場合、「租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」と記載します。
非課税になるのに登録免許税を納付して登記が完了した場合、還付を受けることはできません。
相続人が100万円以下の土地の遺贈を受けた場合、非課税になる特例があります。
4遺贈による所有権移転登記の登録免許税の計算方法
ステップ①固定資産税評価額を調べる
遺贈による所有権移転登記をするときは、法務局に登録免許税を納めます。
登録免許税は、不動産の評価額を基にして計算します。
不動産の評価額とは、固定資産税評価額のことです。
固定資産税評価額は、固定資産税評価証明書を取得すると判明します。
固定資産税評価証明書は、不動産が所在する市区町村役場に請求すると発行してもらうことができます。
市区町村役場によっては、登記申請用の固定資産税評価通知書を発行する場合があります。
登記申請用の固定資産税評価通知書は、多くの市区町村役場は無手数料です。
固定資産税は、5月ごろ納付書が届きます。
納付書の表紙に課税明細書が添付されています。
課税明細書にも、固定資産税評価額が記載されています。
固定資産税評価額は、最新のものである必要があります。
固定資産税評価証明書、固定資産税評価通知書、課税明細書には、年度が記載されています。
固定資産税評価証明書、固定資産税評価通知書、課税明細書は、毎年4月1日に新年度になります。
遺贈による所有権移転登記を申請するときに、最新年度の証明書を提出します。
3月中に取得した証明書を添付して、4月に相続登記を申請すると証明書を取り直すように言われます。
新年度になると、固定資産税評価額が変更されます。
ステップ②1000円未満の端数を切り捨て
登録免許税は、不動産の評価額を基にして計算します。
評価証明書を見ると、不動産の価格以外にたくさんの数字が書いてあります。
評価証明書に記載してある課税標準金額は使うことができません。
評価証明書に記載してある課税標準金額は、固定資産税を計算するときに使う金額だからです。
最新の固定資産税評価額から、1000円未満の端数を切り捨てます。
ステップ③遺贈による所有権移転登記の登録免許税は受取人によってちがう
遺贈による所有権移転登記の登録免許税の税率は、財産を受け取る人によってちがいます。
相続人に対する遺贈の税率は、1000分の4です。
相続人以外の人に対する遺贈の税率は、1000分の20です。
端数切捨てた額に税率をかけた金額を計算します。
ステップ④100円未満の端数を切り捨て
1000分の4をかけた金額を納めるわけではありません。
1000分の4をかけた金額から100円未満の端数を切り捨てます。
100円未満の端数を切り捨てた金額が登録免許税です。
5遺贈による所有権移転登記を司法書士に依頼するメリット
相続が発生すると、相続人は悲しむ暇もなく相続手続に追われます。
ほとんどの人は相続手続は不慣れで、聞き慣れない法律用語で疲れ果ててしまいます。
インターネットの普及で多くの人は簡単に多くの情報を手にすることができるようになりました。
多くの情報の中には正しいものも、適切でないものも同じように混じっています。
登録免許税の計算を間違えた場合、法務局から補正指示がされます。
計算間違いで納付不足の場合、追加納付をすれば済みます。
計算間違いで納め過ぎの場合、過誤納額還付請求書を提出すれば、還付してもらえます。
登録免許税が還付されるまでに、1か月程度かかります。
司法書士は登記の専門家です。
スムーズに登記手続を完了させたい方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
自己破産しても相続人
1自己破産した人は相続人になる
①相続人になる人は法律で決まっている
相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。
だれが相続人になるかについては、民法で決められています。
相続人になる人は、次のとおりです。
(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。
(1)配偶者は必ず相続人になる
(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども
(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属
(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹
②自己破産しても相続欠格にならない
相続欠格とは、相続人としてふさわしくない人の相続資格を奪う制度です。
相続人になれない人は、民法で決められています。
欠格になるのは、次のような理由がある人です。
(1) 故意に被相続人、同順位以上の相続人を死亡させた人、死亡させようとした人
(2) 被相続人が殺害されたのを知って、告訴や告発をしなかった人
(3) 詐欺・脅迫で遺言の取消・変更をさせたり、妨害した人
(4) 遺言書を偽造・変造・廃棄・隠匿した人
相続人が自己破産をしただけであれば、欠格になることはありません。
③自己破産しても相続人廃除できない
相続人廃除とは、被相続人の意思で、相続人の資格を奪う制度です。
相続人の資格を奪うというのは、実質的には、遺留分を奪うことです。
相続人の廃除は遺留分を奪う重大な決定だから、家庭裁判所は慎重に判断します。
相続人の廃除は、次のような理由があるときに認められます。
(1)被相続人に虐待をした
(2)度重なる重大な親不孝をした
(3)被相続に重大な侮辱をした
(4)重大犯罪をして有罪判決を受けた
(5)多額の借金を被相続人に払わせた
(6)愛人と暮らすなどの不貞行為をする配偶者
単に、相続人が自己破産をしただけであれば、相続人廃除が認められることはないでしょう。
自己破産の理由によっては、廃除されるかもしれません。
2自己破産をすると破産者の財産は債権者に配当される
自己破産とは、借金の支払を免除してもらう手続のことです。
破産者のプラスの財産を債権者に公平に分配して、マイナスの財産をなしにします。
マイナスの財産が無くなるから、人生のやり直しの機会を得ることができます。
自己破産では、自己破産の申立ての後に破産手続開始決定がされます。
破産手続開始決定がされた後、相続が発生しても破産手続が取り消されたり止まったりすることはありません。
3相続発生後に破産手続開始決定
①相続財産は相続人全員の共有財産
相続が発生した場合、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。
相続に財産の分け方を決めるための相続人全員の話し合いを遺産分割協議と言います。
相続財産の分け方を決めるまでは、相続財産に対して共有持分を持っています。
相続財産に対する共有持分は、相続人の財産です。
相続人は、法定相続分で相続財産に対して財産を持っていると言えます。
②自己破産をすると財産管理権を失う
自己破産をした場合、破産者の財産は債権者に公平に分配されます。
債権者に公平に分配するため、破産者は財産の管理処分権を失います。
破産管財人は、中立公平の立場で破産手続を進める人です。
中立公平の立場から破産管財人が債権者に財産を分配します。
債権者に分配されるのは、破産手続開始決定がされた時点の破産者の財産です。
破産管財人は、中立公平の立場で破産者の財産を管理処分します。
③遺産分割協議は破産管財人が参加
相続人は、法定相続分で相続財産に対して財産を持っていると言えます。
相続人が自己破産をした場合、相続財産に対する法定相続分は債権者に公平に分配されるべき財産です。
破産者の財産を債権者に公平に分配するため、遺産分割協議は破産管財人が参加します。
破産者は財産の管理処分権を失っているから、自分で遺産分割協議に参加することはできません。
遺産分割協議は、相続財産に対する法定相続分を処分することだからです。
破産管財人は、裁判所の許可を得て他の相続人と話し合いをします。
遺産分割協議書に記名し押印をするのは、破産管財人です。
④破産者の相続分は債権者に分配される
自己破産をした場合、破産者の財産は債権者に公平に分配されます。
遺産分割協議によって相続財産を取得した場合、取得した財産は債権者に分配されます。
⑤自己破産をしても相続放棄ができる
相続が発生した場合、相続人は単純承認をするか相続放棄をするか選択することができます。
相続人が多額の借金を抱えている場合、お金を貸した人は相続した財産からお金を返してもらいたいと期待するでしょう。
相続すれば多額の財産がたやすく手に入るのに、相続放棄をしたら相続財産は受け継ぐことはできません。
お金を貸した人が困ることを知っているのに、自分の財産を不当に減少させることを詐害行為と言います。
債権者は、裁判所に訴えて詐害行為を取り消すことができます。
債権者は、相続放棄を詐害行為として取り消したいと思うかもしれません。
相続放棄は、財産処分行為ではありません。
相続人が相続放棄をした場合、詐害行為として取り消すことはできません。
4破産手続開始決定後に相続発生
自己破産をした場合、破産者の財産は債権者に公平に分配されます。
債権者に分配されるのは、破産手続開始決定がされた時点の破産者の財産です。
破産手続開始決定がされた時点以降に、破産者が財産を取得することがあります。
破産手続開始決定がされた時点以降に取得した財産は、債権者に分配されません。
自己破産の制度は、人生のやり直しの機会を得る制度だからです。
破産手続開始決定がされた時点以降に取得した財産を債権者に分配できるとしたら、破産者は人生のやり直しをすることができなくなります。
相続が発生した場合、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。
相続人は、法定相続分で相続財産に対して財産を持っていると言えます。
相続人が相続財産の共有を始めたのは、相続が発生したときです。
破産手続開始決定がされた時点以降に相続が発生した場合、破産手続開始決定がされた時点以降に相続財産の共有持分を取得したと言えます。
破産手続開始決定がされた時点以降に取得した財産は、自己破産した人が人生のやり直しをするための財産です。
自己破産した人が自由に処分することができます。
遺産分割協議は、相続財産に対する法定相続分を処分することです。
自己破産した人が自由に処分できるから、遺産分割協議は自分で参加することができます。
5破産手続開始決定直前の遺産分割協議
相続が発生した場合、被相続人のものは相続人全員の共有財産になります。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決めることができます。
遺産分割協議が成立してから長期間経過した後に破産手続開始決定があった場合、遺産分割協議にあれこれ言われることはないでしょう。
破産手続開始決定直前に相続が発生していた場合、問題になります。
破産手続開始決定がされた時点の破産者の財産は、債権者に分配される財産です。
自己破産した人が取得する財産は、債権者に分配されてしまいます。
破産手続開始決定がされる前に、遺産分割協議を成立されることを考えるかもしれません。
破産手続開始決定がされる前であれば、財産の管理処分権があります。
相続財産の分け方について、相続人として話し合いに参加することができます。
自己破産をしたら取得した財産は債権者に分配されてしまうから、他の相続人が取得する合意をするかもしれません。
遺産分割協議は、相続財産に対する法定相続分を処分することです。
お金を貸した人が困ることを知っているのに、自分の財産を不当に減少させたと言えます。
合理的な理由がなく自分の財産を不当に減少させる内容の遺産分割協議は、詐害行為です。
破産管財人は、詐害行為にあたる遺産分割協議に対して否認権を行使することができます。
否認権を行使した場合、破産管財人は財産を取り返すことができます。
6相続放棄を司法書士に依頼するメリット
自己破産をするといろいろなことが制限されるというイメージがある方は少なくありません。
そのイメージとあいまって、相続することもできないという誤解があります。
自己破産をしても相続権は失われません。
自己破産をしたから相続放棄をしなければならないといったことはありません。
自己破産を検討しているのであれば、早めに準備を進めるのがいいでしょう。
相続の発生が予想されるのであれば、なおさら早めに破産手続き始決定を受けておくことを目指しましょう。
破産手続開始決定を受けた後であれば、取得した財産は破産手続とは無関係になるからです。
大切な家族を失ったら家族は大きな悲しみに包まれます。
大きな悲しみで何もする気になれないことも多いでしょう。
相続手続は一生に何度も経験するものではありません。
だれにとっても不慣れでだれにとっても聞き慣れない言葉でいっぱいです。
相続放棄をはじめとして相続手続全般をサポートしています。
相続放棄を検討している方は、すみやかに司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
遺言書で臓器提供はできない
1遺言書で臓器提供はできない
①遺言事項は法律で決められている
日本で臓器移植法が施行されたのは、1997年です。
施行されてから、20年以上経過しています。
臓器移植を希望する人は年々増えていますが、臓器移植の件数は多くはありません。
臓器移植とは、臓器の機能が低下した人に他の人の臓器と取り換えて機能回復を図る医療です。
第三者の善意による臓器提供がなければ、臓器移植をすることはできません。
自分が死亡した後に、最後に社会貢献をしたいと考えることがあるでしょう。
最後の社会貢献として、臓器提供をして社会に役に立ちたいという希望があるかもしれません。
臓器提供をするために遺言書を作成するのは、意味がありません。
遺言書は、厳格な書き方ルールがあります。
遺言書に書くことで法律上意味がある事項は、法律で決められています。
遺言書に書くことで法律上意味がある事項を遺言事項と言います。
遺言事項は、次のとおりです。
(1)財産に関すること
(2)身分に関すること
(3)遺言執行に関すること
(4)それ以外のこと
臓器提供に関することは、遺言事項にありません。
遺言事項は、法律で決められています。
②臓器提供の希望は付言事項
遺言書には、法律上意味がないことを書くことができます。
遺言事項以外のことは、付言事項と言います。
付言事項に、法律上の意味はありません。
例えば、家族への感謝の気持ちや家族仲良く幸せに暮らして欲しいなどの気持ちです。
家族仲良く幸せに暮らして欲しい気持ちに、法的な拘束力はもちろんありません。
臓器提供の希望は、付言事項に過ぎません。
付言事項に、法律上の拘束力はありません。
遺言書に臓器提供の希望を書くことができます。
臓器提供の希望を書いても、法的効力はありません。
臓器提供の希望は、付言事項です。
③遺言書は火葬後に開封される
遺言書は、プライベートな内容が書かれています。
遺言者本人が積極的に家族に見せることは、あまりありません。
家族にとっても、遠慮して見ないことが多いでしょう。
封筒に入った自筆証書遺言は、相続発生後に家庭裁判所で開封してもらいます。
法務局保管の自筆証書遺言は、相続発生後に遺言書保管事実証明書や遺言書情報証明書の発行請求をすることができます。
公正証書遺言は、相続発生後に相続人が謄本請求をすることができます。
遺言者の死亡直後は、家族が遺言書の内容を知らないことが大部分でしょう。
遺言書の内容を知らないまま、火葬されます。
葬儀などがひと段落して落ち着いてから、相続手続の準備を開始します。
家族が遺言書の有無を調べるのは、死亡後1か月以上経過していることが多いでしょう。
遺言書に臓器提供を希望すると書いても、死亡直後に家族は気づきません。
家族から臓器提供を希望することを医師に伝えてもらうことができません。
火葬した後で遺言書の内容を知ったら、家族はショックを受けるでしょう。
本人の希望をかなえてあげることができなかったからです。
確かに、遺言書に臓器提供の希望を書くことができます。
遺言書に臓器提供の希望を書いても、臓器提供ができないことがほとんどです。
遺言書を見た家族は、希望をかなえてあげられなかったと後悔します。
遺言書に臓器提供の希望を書くことは、おすすめできません。
2臓器提供の意思表示の方法
①健康保険証・運転免許証・マイナンバーカードに記入

臓器移植法が改正され、健康保険証・運転免許証に意思表示欄が設置されました。
マイナンバーカードにも、意思表示欄が設置されています。
健康保険証・運転免許証・マイナンバーカードに記入することで、臓器提供の意思表示をすることができます。

健康保険証・運転免許証・マイナンバーカードに記入することも記入しないこともできます。
意思表示は、任意だからです。
意思表示欄をよく見ると、「臓器を提供しません」という項目があります。

臓器提供する意思表示も希望しない意思表示もすることができます。
臓器提供する意思表示も希望しない意思表示も、本人の意思表示です。
本人の意思表示が尊重されます。
健康保険証・運転免許証・マイナンバーカードは、身分証明書として提示することがあります。
意思表示の内容を第三者に知られたくないことがあるでしょう。
意思表示欄は、保護シールを貼って人目に触れなくすることができます。
健康保険証・運転免許証・マイナンバーカードに記入することで、臓器提供の意思表示をすることができます。
②インターネットで意思登録
日本臓器移植ネットワークのホームページから臓器提供の意思表示をすることができます。
インターネットで意思登録をしておくと、臓器提供に関する意思が確実に確認することができます。
インターネットで意思登録をすると、意思登録カードが届きます。
臓器提供の意思が変わったら、意思を変更することができます。
意思登録を削除したくなったら、意思登録を削除することができます。
臓器提供に関する本人の意思表示が尊重されるからです。
健康保険証・運転免許証・マイナンバーカードを持ち歩けなくても、インターネットで意思登録をすることができます。
③臓器提供意思表示カードに記入

臓器提供意思表示カードは、次の場所に設置してあります。
・都道府県市区町村役場窓口
・保健所
・運転免許試験場(センター)
・一部のコンビニエンスストア等

入手した臓器提供意思表示カードに記入して携帯します。
臓器提供意思表示カードに記入することで、意思表示をすることができます。
3臓器提供の希望は本人の意思と家族の同意が必要
①本人の意思は尊重される
臓器提供においては、本人の意思が尊重されます。
臓器提供をする意思も臓器提供をしない意思も、本人の意思です。
本人の意思が尊重されます。
本人の意思だけでなく、家族の承諾が必要になります。
本人が臓器提供を拒否している場合、家族が臓器提供をすることはできません。
本人の「臓器を提供しません」という意思が尊重されるからです。
本人の意思が分からない場合、家族が判断します。
本人の意思表示がないまま判断する場合、家族は動揺するでしょう。
臓器提供について家族と話し合って、情報共有をしておくことが大切です。
②親族優先の希望ができる
臓器提供を希望する場合、親族優先提供の希望をすることができます。
親族優先提供を希望の意思表示をしたい場合、「親族優先」と記入します。
親族への優先提供ができるのは、次の条件をすべて満たす場合です。
(1)臓器提供を希望する意思表示に併せて、親族優先提供を書面で表示
(2)親族が移植希望登録をしている
(3)医学的な適合条件に合致している
優先提供がされる親族は、次の人です。
(1)配偶者
配偶者は、法律上の配偶者のみです。
事実婚・内縁の配偶者は、対象外です。
(2)子ども
(3)父母
実の親子だけでなく、特別養子による養親、養子を含みます。
普通養子による養親、養子は、対象外です。
親族が移植希望登録をしていても、医学的適合条件に合わないことがあるでしょう。
対象となる親族がいない場合、親族以外の人に移植が行われます。
優先提供する親族を指名した場合、指名された人を含めた親族全体への優先提供の意思と扱われます。
「〇〇さんにだけしか提供したくない」場合、親族の人を含め提供がされません。
自殺者から親族優先提供は行われません。
臓器提供では、親族優先の希望をすることができます。
③家族の同意がないと臓器提供ができない
臓器提供においては、本人の意思が尊重されます。
本人が臓器提供を拒否している場合、家族が臓器提供をすることはできません。
本人が臓器提供を希望する意思表示をしている場合、最終的に意思決定するのは家族です。
たとえ本人が臓器提供を希望する意思表示をしても、家族が提供しないと判断したら臓器提供をすることはできません。
臓器提供について家族と話し合って、情報共有をしておくことが大切です。
実際の現場では、家族のうち一人でも反対の人がいると臓器提供を断念することになります。
家族の同意がないと、臓器提供ができません。
4遺言書作成を司法書士に依頼するメリット
遺言書は、遺言者の意思を示すものです。
自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。
遺言書は遺言者の意思を示すことで、家族をトラブルから守るものです。
遺贈とは、遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげるものです。
遺贈は簡単に考えがちですが、思いのほか複雑な制度です。
遺言執行には法的な知識が必要になります。
遺言の効力が発生したときに、遺言執行者からお断りをされてしまう心配があります。
せっかく遺言書を書くのですから、スムーズな手続を実現できるように配慮しましょう。
お互いを思いやり幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
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