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相続放棄してもお墓は放棄できない理由と対処法

2025-12-25

1相続放棄してもお墓は放棄できない

①相続放棄で放棄できるのは相続財産だけ

相続が発生したら、相続を単純承認するか相続放棄するか選択することができます。

家庭裁判所で相続放棄が認められたら、はじめから相続人でなくなります。

相続放棄が認められたら、相続財産は一切引き継ぐことはできません。

相続放棄で放棄できるのは、相続財産だけです。

相続財産以外の財産は、放棄できません。

お墓は相続財産ではない

②お墓を引き継ぎたくないと考えて、相続放棄をしようと考えるかもしれません。

お墓は、相続財産ではありません。

相続放棄をしても、お墓の管理とは無関係です。

相続放棄をしても、お墓を放棄できません。

③祭祀財産は相続財産とは別扱い

お墓は、相続財産ではありません。

祭祀財産とは、宗教や宗派を問わず、祖先や故人を祭るために社会通念上必要とされる物です。

お墓は、祭祀財産です。

次の財産は、祭祀財産にあたります。

・墓地、墓石、納骨堂

・仏壇、神棚、祭壇

・位牌、祖霊牌

・家系図、系譜録、過去帳、戒名・法名・諡号などを記した記録

・供物台・香炉・燭台など、祭祀にのみ使用される器具

次の財産は、祭祀財産にあたりません。

・祭祀費用に充てるための金銭

・投資目的の美術品、宝飾品

・日常生活と共用する家具、建物

祭祀財産は、相続財産とは別扱いです。

④祭祀財産は祭祀主宰者が引き継ぐ

祭祀主宰者とは、一族の先祖祭祀を主として行う人です。

祭祀主宰者が先祖祭祀を行うから、祭祀財産は祭祀主宰者が引き継ぎます。

相続放棄しても、祭祀主宰者になることができます。

相続放棄しても、祭祀主宰者に指名されることがあります。

相続と先祖祭祀を主として行うことは、別だからです。

祭祀財産は、相続財産とは別扱いです。

祭祀財産は、祭祀主宰者が引き継ぎます。

⑤相続放棄しても祭祀主宰者に指名される

祭祀主宰者は、被相続人の指定や慣習によって決められます。

相続人であるかに関係なく、祭祀主宰者が決められます。

祭祀主宰者は、相続人とは別のルールで決められます。

2祭祀主宰者の決め方

①第1順位 遺言書による指定

法律上、最も優先されるのは、遺言による指定です。

・〇〇〇〇を祭祀主宰者に指名する。

・先祖祭祀を主宰するものとして、次のものを指定する。

遺言書に上記のような記載があれば、遺言者の意思が最優先されます。

②第2順位 慣習による指定

遺言書を作成しても、祭祀主宰者の指名をすることはあまりありません。

遺言がない場合、地域の慣習が重視されます。

・同居していた子供が継ぐ

・家を継いだ者が継ぐ

・年長者が継ぐ

祭祀主宰者に関する慣習は、地域ごとに大きな差があります。

都市部では、年長者が継ぐ長男が継ぐといった慣習は薄まりつつあります。

③第3順位 家族の話し合いによる指定

現在では、実務上、家族の話し合いが最も重視されます。

家族の話し合いでは、次の点が考慮されます。

・だれが現実的に管理できるか

・だれが負担を受け入れられるか

・親族の合意が得られるか

・将来の負担をどうするか

法律の定めよりも、実務的な事情が優先されることが多いです。

④家族の話し合いがまとまらなかったら家庭裁判所が指定

家族の話し合いがまとまらなかったら、家庭裁判所が指定します。

被相続人が生前に指定したであろう人を優先して、指定します

家庭裁判所が重視する点は、次のとおりです

・被相続人との身分関係

・被相続人との同居の有無

・お墓などの管理実績

・祭祀財産との場所的つながり

・祭祀主宰者候補者の主宰意思や能力

・利害関係者の生活状況や意見

家庭裁判所は、さまざまな事情を総合考慮して判断します。

被相続人の子どもや親族がいても、事実婚・内縁の配偶者が指名されることがあります。

被相続人と密接な関係があることから、祭祀主宰者にふさわしいと考えられたからです。

長男がいても、次女が指名された事例があります。

被相続人との同居の有無や管理実績から、祭祀主宰者にふさわしいと考えられたからです。

相続人でなくても、祭祀主宰者にふさわしい判断されることは充分考えられます。

相続放棄した人が祭祀主宰者になりたくないと意見を述べても、家庭裁判所は総合的に判断します。

⑤祭祀主宰者は拒否できない

祭祀主宰者に指名されたら、拒否する方法はありません。

法律上、祭祀主宰者の指定を放棄したり辞退したりする手続が定められていないからです。

祭祀主宰者に指定されても、葬儀の実施や墓の管理といった積極的義務はありません。

祭祀を実際に行わなくても、法的ペナルティはありません。

積極的義務はなく行わなくても法的ペナルティはないから、拒否する方法はないと考えられています。

3相続放棄前後に重要な家族の調整

①祭祀主宰者になると負担が重い

親族全員が祭祀主宰者になりたがらないことは、割とよくあります。

先祖祭祀を主宰することには、精神的経済的負担があるからです。

お墓を引き継ぐと、維持管理費が継続的に発生します。

遠方に住んでいると、墓参りや清掃にも大きな負担になります。

②祭祀主宰者の判断に異議を述べない合意を取る

お墓を引き継いだ後は、大きな負担があります。

負担軽減のため、墓じまい、永代供養や改葬を考えることがあります。

祭祀主宰者の判断に親族が異議を述べると、トラブルになるでしょう。

相続放棄をする前に、家族の調整が重要です。

親族全員が祭祀主宰者になりたがらない大きな理由は、親族のトラブルが怖いからです。

祭祀主宰者の判断に異議を述べないと約束すると、トラブル防止に役立ちます。

③異議を述べる親族に対する合理的な交渉

先祖祭祀に対しては、さまざまな意見があります。

墓じまい、永代供養や改葬を許せないという考えの親族がいるかもしれません。

先祖祭祀について意見がある親族は、祭祀主宰者になるのが合理的です。

祭祀主宰者の判断に異議を述べないと合意できないのなら、その人に祭祀主宰者になってもらうと交渉することができます。

④相続放棄前の調整が有利

相続が発生したら、相続財産は相続人全員の共有財産です。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

祭祀主宰者になると、お墓の維持管理費が継続的に発生します。

墓じまい、永代供養や改葬をしようとすると、まとまった費用がかかります。

相続放棄前であれば、相続財産の分け方について相続人全員で話し合いに参加することができます。

祭祀主宰者の経済的負担を考慮して、遺産分割協議をすることができます。

祭祀主宰者の判断に異議を述べない合意を遺産分割協議書に盛り込むことができます。

祭祀主宰者になることを想定して、有利に交渉を進めることができます。

⑤相続放棄後も調整が不可欠

お墓を引き継ぐと、次のような判断が必要です。

・墓じまいをするか

・永代供養にするか

・改葬するか

・費用をだれが負担するか

・今後の管理方針をどうするか

お墓をどのように扱うのか、遺産分割協議とは別に家族の調整が必要になります。

⑥墓地の管理者は祭祀主宰者を重視する

祭祀主宰者は、墓じまい、永代供養や改葬をすることができます。

寺院など墓地の管理者は、祭祀主宰者がだれなのかを非常に気にします。

墓じまい、永代供養や改葬をする場合、祭祀主宰者の意思表示が重要だからです。

⑦墓地の管理者は親族間のトラブルを嫌う

墓地の管理者は、後から親族からあれこれ言われることをとても恐れています。

たとえ祭祀主宰者が墓じまいをしようとしても、親族全員の同意書を求めることがあります。

勝手に墓じまいをされたと、言われたくないからです。

⑧整理しきれないときは専門家に相談

先祖祭祀には、さまざまな考えがあります。

法律上の正解よりも、家族関係や負担感の問題が大きくなりがちです。

家族だけで判断することが難しくなった時点で、司法書士などの専門家に相談するのがおすすめです。

3祭祀主宰者になった時の現実的な選択肢

選択肢①近隣にお墓を改葬

(1)改葬でお墓を移す

改葬とは、遺骨を現在の墓地から別の場所へ移すことです。

お墓を自分の生活圏に移すと、管理がしやすくなります。

(2)改葬の手続方法

・新しい墓地の管理者から受入証明書を取得

・現在の墓地管理者から埋葬証明書を取得

・改葬許可申請をして改葬許可証を発行してもらう

(3)改葬のメリット

・管理がしやすくなる

・お墓参りの負担が減る

・将来の墓じまいも進めやすい

(4)費用

改葬にかかる費用は、地域によって大きく異なります。

総額で数十~数百万円程度かかることが一般的です。

選択肢②墓じまいで墓所を終了

(1)墓じまいで墓石を撤去

墓じまいとは、墓石を解体撤去して更地に戻すことです。

更地に戻して、墓地管理者に使用権を返還します。

改葬の前提として行われることも、単独で行われることもあります。

(2)墓じまいの手続方法

・石材業者に依頼し墓石解体・撤去

・更地確認後、墓地管理者に使用権返還

・墓地管理料等の清算

(3)墓じまいのメリット

・お墓参りの経済的・身体的負担減

・年間管理費や檀家料、お布施が不要になる

・子孫への負担を防ぐ

・無縁墓化を回避できる

(4)費用

墓石の解体撤去に、数十万円程度かかります。

選択肢③永代供養は個別の契約

(1)寺院や霊園が永代供養

永代供養とは、寺院や霊園が遺族に代わって遺骨を永代にわたり管理・供養する埋葬方法です。

寺院や霊園が遺族に代わって供養をしてくれるから、後継者不在でも利用することができます。

(2)永代供養の手続方法

永代供養は、寺院や霊園とする個別の契約です。

資料請求や見学などして、寺院や霊園を決定します。

(3)永代供養のメリット

・お墓掃除や年間管理費(数万円)が不要になります。

・一般墓より、初期費用も安価です。

・子孫がいなくても永代に供養されるから、安心です。

・宗旨宗派不問の施設が多く、家族の負担を考慮した選択肢です。

(4)費用

寺院や霊園によって、費用は大きく異なります。

10万程度から100万円以上かかることがあります。

4相続放棄を司法書士に依頼するメリット

相続放棄はプラスの財産もマイナスの財産も引き継ぎませんという裁判所に対する申立てです。

相続人らとの話合いで、プラスの財産を相続しませんと申し入れをすることではありません。

家庭裁判所で認められないと、マイナスの財産を引き継がなくて済むというメリットは受けられません。

家庭裁判所で相続放棄が認められたとしても、絶対的なものではありません。

相続放棄の要件を満たしていない場合、その後の裁判で相続放棄が否定されることもあり得ます。

相続の単純承認にあたる行為は、建物の取壊しや高価な宝石などの形見分けなども含まれます。

相続が発生すると、家族はお葬式の手配から始まって膨大な手続と身辺整理に追われます。

相続するのか、相続を放棄するのか充分に判断することなく、安易に相続財産に手を付けて、相続放棄ができなくなることがあります。

相続に関する手続の多くは、司法書士などの専門家に任せることができます。

手続を任せることで、大切な家族を追悼する余裕もできます。

相続人の調査や相続財産調査など適切に行って、充分に納得して手続を進めましょう。

相続放棄は、3か月以内の制限があります。

3か月の期間内に手続するのは、相続するよりハードルが高いものです。

相続放棄を考えている方は、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

失踪宣告の申立人は法律上の利害関係人のみ

2025-12-25

1失踪宣告で死亡と見なされる

①残された家族のため失踪宣告

相当長期間、行方不明になっている場合、死亡している可能性が高い場合があります。

条件を満たした場合、死亡の取り扱いをすることができます。

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告がされたら、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。

②普通失踪と特別失踪(危難失踪)

失踪宣告には、2種類があります。

普通失踪と特別失踪(危難失踪)です。

死亡したことが確認できないのに、死亡と見なされます。

死亡と見なされるという強い効果があります。

失踪宣告が認められるためには、次の条件があります。

(1)行方不明の人が生死不明であること

(2)生死不明のまま一定期間継続していること

普通失踪は、7年で死亡と見なされます。

特別失踪(危難失踪)は、1年で死亡と見なされます。

③死亡と見なされる日に死亡

失踪宣告は、家庭裁判所の審判です。

失踪宣告の審判が確定した後に、市区町村役場に届出が必要です。

失踪宣告の審判が確定した後に市区町村役場に提出する届出を失踪届と言います。

失踪届が受理されることで、失踪宣告がされたことが戸籍に記載されます。

普通失踪は行方不明になってから、7年経過した日に死亡と見なされます。

特別失踪(危難失踪)は危難が去ったときに、死亡と見なされます。

死亡と見なされる日は、家庭裁判所が判断します。

失踪宣告の審判日は、死亡日と無関係です。

死亡と見なされる日に、死亡したと扱われます。

2失踪宣告の申立人は法律上の利害関係人のみ

①利害関係人ではなく法律上の利害関係人に限定

失踪宣告の申立人は、民法上、利害関係人と定められています。

利害関係人と定められているものの、法律上の利害関係人に限定されると考えられています。

単なる利害関係人は、申立人になることはできません。

法律上の利害関係人に限定される理由は、次のとおりです。

・失踪宣告は、死亡扱いと言う重大な効果があるため。

・失踪宣告の悪用や濫用を防止するため。

・本人の権利や利益を保護すべきだから。

法律上の具体的な利害関係がある人だけが申立人になることができます。

②配偶者は法律上の利害関係人

(1)配偶者は常に相続人

行方不明者が死亡すると、配偶者は相続人になります。

行方不明者に財産があれば、財産を相続することができます。

(2)死亡により婚姻関係が消滅

行方不明者が死亡すると、配偶者は再婚することができます。

行方不明者が死亡すると、婚姻関係が消滅するからです。

単に再婚したいだけなら、失踪宣告をする必要がないかもしれません。

配偶者が3年以上生死不明である場合、離婚訴訟によって離婚ができるからです。

③相続人は法律上の利害関係人

(1)行方不明者が被相続人になるときの相続人

行方不明者が死亡すると、相続が発生します。

行方不明者に財産があれば、財産を相続することができます。

(2)行方不明者が共同相続人になるときの他の相続人

相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

一部の相続人が生死不明になると、相続財産の分け方について話し合いができなくなります。

④後順位相続人は法律上の利害関係人ではない

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

子どもが相続人になるから、親などの直系尊属や兄弟姉妹は相続人になりません。

行方不明者が死亡しても、財産を取得することはありません。

後順位相続人は事実上の利害関係があったとしても、法律上の利害関係が認められません。

⑤相続人以外の親族は法律上の利害関係人ではない

相続人以外の親族は、法律上の利害関係人に該当しません。

行方不明者が死亡しても、財産を取得することはありません。

相続人以外の親族は事実上の利害関係があったとしても、法律上の利害関係が認められません。

⑥受遺者は法律上の利害関係人

受遺者とは、遺贈を受ける人です。

遺贈とは、遺言書で相続人や相続人以外の人に財産を引き継ぐことです。

行方不明者が死亡すると、遺言書に効力が発生します。

遺言書に遺贈すると書いてあれば、財産を引き継ぐことができます。

失踪宣告の申立をする場合、受遺者であると証明する必要があります。

公正証書遺言を預かっている場合は、公正証書遺言で証明することができます。

封筒に入った自筆証書遺言や法務局保管の自筆証書遺言では、証明することができません。

受遺者と証明できないと、申立人と認められないでしょう。

⑦生命保険の死亡保険金の受取人は法律上の利害関係人

行方不明者に生命保険がかけてあった場合、死亡保険金が支払われます。

行方不明者が死亡すると、受取人は死亡保険金を受け取ることができます。

失踪宣告の申立をする場合、死亡保険金の受取人であると証明する必要があります。

生命保険の保険証書などを準備する必要があります。

⑧行方不明者の保証人は法律上の利害関係人

保証人とは、借金を肩代わりする人です。

借金を抱えたまま、債務者が長期間生死不明になることがあります。

債務者が返済を滞らせたまま生死不明になると、債権者は保証人に請求します。

保証人は肩代わりの約束をしているから、債権者からの請求を拒めません。

保証人は肩代わりをした後、債務者に請求することができます。

債権者からの請求を拒めない点と債務者に求償できる点に、法律上の利害関係があると考えられます。

⑨行方不明者の債権者は法律上の利害関係人ではない

行方不明者が死亡すると、債務は相続人に相続されます。

相続人に相続されても、債権自体に変化はありません。

債権者に利害関係があるとしても、事実上の利害関係に過ぎません。

失踪宣告は、債権回収の便宜のための制度ではありません。

行方不明の債務者に財産があるのなら、債権者は不在者財産管理人選任の申立てをすることができます。

不在者財産管理人とは、行方不明の人の財産を管理する人です。

債権者は、行方不明者の財産から債権を回収する手段があります。

債権者に利害関係があるとしても、事実上の利害関係に過ぎません。

⑩推定相続人の債権者は法律上の利害関係人ではない

行方不明者が死亡すると、行方不明者の財産は相続人に相続されます。

行方不明者の財産を相続したら、相続財産から借金の返済を期待するかもしれません。

相続財産を相続するか相続放棄するか、相続人が自由に決めます。

推定相続人の債権者があれこれ言うことではありません。

債権者に利害関係があるとしても、事実上の利害関係に過ぎません。

⑪行方不明者の債務者は法律上の利害関係人ではない

行方不明者が死亡しても、債務者には影響がありません。

債権者が行方不明で弁済ができない場合、受領不能を理由に供託をすることができます。

債務者に利害関係があるとしても、事実上の利害関係に過ぎません。

⑫不法行為加害者が法律上の利害関係人

不法行為加害者とは、故意または過失によって他人に損害を与えた人です。

例えば、交通事故の加害者は、典型的な不法行為加害者です。

交通事故で被害者が死亡した場合、近親者は固有の慰謝料を請求することができます。

近親者が行方不明者である場合、不法行為加害者は法律上の利害関係人と言えます。

近親者が交通事故の前に死亡したと見なされたら、近親者による固有の慰謝料を請求されないからです。

近親者による固有の慰謝料請求権の発生の有無が法律上の利害関係です。

⑬不在者財産管理人は法律上の利害関係人

不在者財産管理人は、行方不明者が帰ってくるまで財産管理を続けます。

行方不明者が死亡すると、不在者財産管理人の任務は終了します。

行方不明者の財産は、相続人が相続するからです。

不在者財産管理人は、行方不明者の金銭を法務局に供託することができます。

行方不明者の財産が金銭のみであれば、供託することで不在者財産管理人の任務終了になります。

わざわざ失踪宣告をする必要はないでしょう。

⑭不動産の共有者は法律上の利害関係人

不動産など共有物の管理の決定は、持分割合の過半数で決定します。

不動産など共有物の処分の決定は、共有者全員の同意が必要です。

共有者の一部に行方不明者がいると、管理や処分の決定が停滞します。

行方不明者が死亡すると、共有持分は相続人が相続します。

相続人が意思決定に参加するから、他の共有者の法的地位が安定します。

⑮事実婚・内縁の配偶者は法律上の利害関係人ではない

法律婚の配偶者は、法律上の利害関係人です。

事実婚・内縁の配偶者は、法律上の利害関係人ではありません。

婚姻関係や相続関係に、具体的な権利がないからです。

事実婚・内縁関係の人は、遺言書を作成していることがあります。

遺言書で遺贈を受ける人であれば、法律上の利害関係があります。

事実婚・内縁の配偶者で法律上の利害関係がなくとも、受遺者なら法律上の利害関係があります。

⑯単なる友人知人は法律上の利害関係人ではない

「心配だから」「困っているから」だけの第三者は、法律上の利害関係人ではありません。

感情的理由だけで法律上の利害関係がないと、失踪宣告の申立てをすることはできません。

⑰役所や検察官は申立てができない

不在者財産管理人選任の申立ては、検察官が申立人になることができます。

失踪宣告の申立ては、役所や検察官が申立人になることができません。

財産管理と死亡扱いは、法的影響力の重さが大きく違います。

国家や自治体が職権で進める制度設計ではありません。

行方不明者の帰りを待つ親族の気持ちを尊重する目的もあります。

3失踪宣告の申立人になれないときの現実的対処法

①利害関係人に申立てを依頼

自分が法律上の利害関係人でなくても、法律上の利害関係人に依頼することはできます。

法律上の利害関係人が失踪宣告の申立てをすれば、結果的に失踪宣告がされます。

②不在者財産管理人選任の申立てをする

不在者財産管理人選任の申立ては、申立てできる人が広く認められています。

不在者財産管理人選任の申立てをして、不在者財産管理人が失踪宣告の申立てをすることができる可能性があります。

不在者財産管理人選任の申立てでは、予納金を納める必要があります。

事件によっては、予納金が100万円程度かかることがあります。

③所在等不明共有者持分取得制度を利用

所在等不明共有者持分取得制度とは、行方不明の共有者の持分を買取ることができる制度です。

不動産の共有者が行方不明者である場合、失踪宣告や不在者財産管理人制度より使いやすいことがあります。

④家庭裁判所で法律相談はできない

家庭裁判所は、法律相談をする機関ではありません。

裁判所の管轄や必要書類の有無を相談することはできます。

4生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続人が行方不明であることは、割とよくあることです。

行方不明の相続人がいると、相続手続を進めることができません。

相続が発生した後、困っている人はたくさんいます。

自分たちで手続しようとして、挫折する方も少なくありません。

失踪宣告の申立ては、家庭裁判所に手続が必要になります。

通常ではあまり聞かない手続になると、専門家のサポートが必要になることが多いでしょう。

信託銀行などは、高額な手数料で相続手続を代行しています。

被相続人が生前、相続人のためを思って、高額な費用を払っておいても、信託銀行はこのような手間のかかる手続を投げ出して知識のない遺族を困らせます。

知識のない相続人が困らないように高額でも費用を払ってくれたはずなのに、これでは意味がありません。

税金の専門家なども対応できないでしょう。

困っている遺族はどうしていいか分からないまま、途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。

自分たちでやってみて挫折した方も、信託銀行などから丸投げされた方も、相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続人は遺言書を他の相続人に見せる義務はない

2025-12-22

1相続人は遺言書を他の相続人に見せる義務はない

①見せてもらえないと不安に感じるのは自然

遺言書があると聞いたのに、他の相続人が見せてくれないことがあります。

自分だけが不利に扱われるのではないか、不安になるかもしれません。

・一部の相続人が遺言書を保管している

・他の相続人だけが内容を知っている

・自分は遺言書を見せてもらえない

上記の状況であっても、違法ではありません。

冷静でいようとしても、不信感が生まれやすいのは無理からぬことです。

②相続人であっても遺言書の開示を請求する権利はない

遺言書があると聞いたら、内容が気になるのは当然です。

相続人だから、他の相続人に遺言書の開示を請求する権利があるはずと思うかもしれません。

相続人であっても、他の相続人に遺言書の開示を請求する権利は認められていません。

相続人であることと他の相続人に遺言書の開示を請求することは、別問題です。

遺言書の開示を拒まれても、当然、権利侵害ではありません。

そもそも、他の相続人に遺言書の開示を請求する権利は認められていないからです。

権利がないのに他の相続人を責め立てると、不要なトラブルになるおそれがあります。

③相続人に対して遺言書を開示する義務はない

遺言書を保管しているなら、他の相続人に対して遺言書を開示する義務があるはずと思うかもしれません。

相続人は、遺言書を他の相続人に見せる義務はありません。

遺言書を保管していても、他の相続人に遺言書を開示する義務は認められていません。

相続人であっても、遺言書を開示する義務は認められていません。

相続人であることと他の相続人に遺言書の開示することは、別問題です。

遺言書の開示を拒まれても、当然、不正行為ではありません。

2遺言執行者は相続人に遺言書を開示する義務がある

①遺言執行者が遺言書の内容を実現する

遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書を作成するときに、遺言執行者を指名することができます。

遺言執行者に就職したら、相続人全員に遺言書の内容を通知する義務があります。

遺言執行者に就職したのに、遺言書を開示しないときは問題になります。

相続人であれば、遺言執行者に対して遺言書の開示を請求する権利があります。

相続人であれば、遺言執行者は遺言書を開示する義務があります。

②相続人は遺言執行者の妨害はできない

遺言執行者が就職したら、相続人は遺言執行を妨害することができません。

遺言執行者が就職したのに通知をしないと、相続人は自分で相続手続を進めようとするでしょう。

結果として、そのつもりがないのに遺言執行の妨害行為をしてしまうおそれがあります。

相続人と遺言執行者がトラブルにならないようにするため、通知が義務付けられています。

③遺言書を開示しない遺言執行者に解任請求ができる

遺言執行者が遺言書を開示しない場合、遺言執行者としての義務を果たしていないと言えます。

義務を果たさない遺言執行者を解任するように、家庭裁判所に請求することができます。

3相続人が遺言書の内容を知る方法

①公正証書遺言は謄本請求ができる

(1)公正証書遺言は公証役場で厳重保管

遺言書を作成する場合、公正証書遺言か自筆証書遺言を作成することがほとんどです。

公正証書遺言とは、遺言内容を公証人に伝え公証人が書面に取りまとめる遺言書です。

公正証書遺言を作成したら、遺言書原本は公証役場で厳重に保管されます。

(2)遺言者の生前は答えてもらえない

遺言書には、プライベートな内容が書かれています。

遺言者の生前は、遺言者本人以外の人は内容を知ることができません。

公証役場に遺言書の内容を尋ねても、答えてもらえません。

遺言書を作成したか作成していないかも、プライベートな内容と考えられています。

遺言者の生前は、遺言者本人以外の人は遺言書の有無を知ることができません。

公証役場に遺言書の有無を尋ねても、答えてもらえません。

たとえ相続人になる予定の人でも、遺言者本人ではありません。

たとえ遺言者本人が重度の認知症であっても、答えてもらえません。

重要な秘密だから、公証役場は厳重に管理しています。

(3)遺言者が死亡しても通知されない

公正証書遺言を作成後に遺言者が死亡しても、公証役場からは何も通知されません。

公証役場は、遺言者が死亡したことを知る方法がないからです。

公証役場は、だれが相続人になるか知る方法がないからです。

公正証書遺言を作成した後、公証役場は保管するだけが役割です。

(4)公正証書遺言の有無を調べることができる

遺言者が死亡した後、相続人は単独で公証役場に公正証書遺言の有無を調べることができます。

公正証書遺言の有無は、日本中どこの公証役場でも調べてもらうことができます。

適切な書類があれば、相続人はだれでも調べることができます。

(5)謄本請求で内容確認ができる

公正証書遺言が作成されていることが判明したら、相続人は謄本請求をすることができます。

公正証書遺言の謄本を取得したら、遺言書の内容を知ることができます。

相続人は単独で、公正証書遺言の謄本を取得することができます。

公正証書遺言は、隠す余地がない遺言書です。

②法務局保管制度利用の自筆証書遺言は遺言書情報証明書

(1)自筆証書遺言を法務局で保管してもらえる

自筆証書遺言は、遺言者が自分で書いて作る遺言書です。

自筆証書遺言は、保管場所に困ります。

保管場所を家族と共有すると、改ざんや破棄のリスクがあります。

保管場所を家族と共有しないと、紛失や見つけてもらえないリスクがあります。

自筆証書遺言を法務局に提出して、保管してもらうことができます。

法務局保管制度を利用すると、法務局が厳重に保管します。

(2)遺言者の生前は答えてもらえない

遺言書には、プライベートな内容が書かれています。

公証役場同様に法務局も、遺言者本人以外の人に遺言書の内容は答えてくれません。

公証役場同様に法務局も、遺言者本人以外の人に遺言書の有無は答えてくれません。

重要な秘密だから、法務局は厳重に管理しています。

(3)相続人に通知される

法務局保管制度を利用すると、自筆証書遺言を預かっていることが相続人に通知されます。

たとえ通知がされなくても、相続人は自筆証書遺言の保管の有無を調べてもらうことができます。

適切な書類があれば、相続人はだれでも調べることができます。

(4)遺言書情報証明書で内容確認ができる

相続人に通知されるのは、自筆証書遺言を保管している事実のみです。

通知書で遺言書の内容を知ることはできません。

遺言書情報証明書とは、遺言書の内容の証明書です。

遺言書情報証明書を取得したら、遺言書の内容を知ることができます。

相続人は単独で、遺言書情報証明書を取得することができます。

法務局保管制度利用の自筆証書遺言は、隠す余地がない遺言書です。

(5)遺言書情報証明書で相続手続

遺言者が預けた自筆証書遺言は、遺言者本人以外の人に返還されません。

遺言者本人が死亡したら、だれにも返還されません。

遺言書情報証明書を取得して、相続手続を行います。

③自宅保管の自筆証書遺言は検認手続

(1)検認とは家庭裁判所で開封してもらう手続

自宅などで遺品整理をしていると、自筆証書遺言が見つかることがあります。

自筆証書遺言を見つけた人や預かっていた人は、家庭裁判所へ届け出る必要があります。

検認手続とは、自筆証書遺言を家庭裁判所へ提出して開封してもらう手続です。

(2)検認期日は欠席してもいい

自筆証書遺言検認の申立てを受付けたら、相続人全員を家庭裁判所に呼び出します。

相続人に立会いをしてもらって、遺言書を開封するためです。

家庭裁判所に呼び出されても、欠席しても差し支えありません。

相続人は、単なる立会人だからです。

検認期日に出席すると、自分の目で開封の瞬間を確認することができます。

遺言書の状態を自分で確認できるから、安心できるでしょう。

検認期日に欠席しても、不利に扱われることはありません。

(3)検認調書謄本で内容確認

検認期日では、遺言書の内容や形状を確認します。

家庭裁判所が確認した内容は、検認調書に取りまとめられます。

検認手続は、遺言書の偽造変造を防止する手続だからです。

相続人は単独で、検認調書の閲覧やコピーを請求することができます。

たとえ検認期日に欠席しても、検認調書の閲覧やコピーを請求することができます。

検認調書を見れば、遺言書の内容を知ることができます。

検認調書は、相続人間で隠す余地がありません。

(4)検認しないと相続手続ができない

検認手続は遺言書の偽造変造を防止する手続であって、遺言書の有効無効は判断しません。

検認手続が必要なのに検認していないと、相続手続を進めることができません。

相続手続先は、検認済証明書の提出を求めるからです。

検認済証明書がないと、銀行の預貯金は口座凍結解除ができません。

検認済証明書がないと、不動産の名義変更ができません。

(5)検認を怠るとペナルティー

自宅などで見つけた自筆証書遺言は、すみやかに検認手続をする必要があります。

検認が必要なのに検認を怠ると、ペナルティーになります。

ペナルティーの内容は、5万円以下の過料です。

(6)遺言書を隠すと相続欠格のおそれ

自分の利益のために遺言書を隠すと、相続欠格になります。

相続欠格とは、相続人の資格を奪う制度です。

すみやかに自筆証書遺言検認の申立てをしないと、他の相続人から疑いの目を向けられるでしょう。

相続人間で、深刻なトラブルになるおそれがあります。

4遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書がある場合、相続財産について、相続人全員で、分け方を合意する必要はありません。

もっともトラブルになりやすい遺産分割協議で、相続人全員で合意をしなくていいのは大きなメリットです。

せっかく遺言書を作成しても、遺族に見つけてもらえなければ意味がありません。

同時に、死亡する前に自分に都合の悪い遺言書を隠したり捨ててしまったりする心配があります。

さらに、遺言書には厳格な書き方ルールがあります。

ルールが守られていない遺言書は無効になります。

書き方のルールは守られていても、内容があいまいだったり、不適切であったために、実現できない遺言書も少なくありません。

せっかく遺言書を書くのであれば、家族を幸せにできる遺言書を確実に作りましょう。

司法書士は確実な遺言書を作るお手伝いをします。

家族のために適切で確実な遺言書を作りたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

親子共有名義で親が死亡したときの名義変更

2025-12-21

オリーブの木司法書士事務所にご依頼をいただきましてありがとうございました

1 オリーブの木司法書士事務所にご依頼いただく前に、どのようなことでお困りでしたか。

名義変更に困った

2 たくさんの事務所がある中から、オリーブの木司法書士事務所にご依頼いただきまして、ありがとうございました。

オリーブの木司法書士事務所を知ったきっかけをお聞かせください。

相談会

3 オリーブの木司法書士事務所に相談をしてから依頼をするまで時間はかかりましたか。

また時間がかかったとしたらどんな理由がありましたか。

すぐに、依頼しました。

4 オリーブの木司法書士事務所に依頼するときに、重視したことをお聞かせください。

親切で安心感

5 実際にオリーブの木司法書士事務所にご依頼いただいたご感想をお聞かせください。

すべて、安心しました。

6 このアンケートをオリーブの木司法書士事務所のホームページやパンフレット等に掲載してよろしいでしょうか。

氏名を掲載してよい

氏名 直井弘さま

オリーブの木司法書士事務所からコメント

オリーブの木司法書士事務所にご依頼をいただきましてありがとうございました。

直井弘さまから、相続登記をご依頼いただきました。

司法書士が登記簿を確認したところ、親子で不動産を共有していました。

親子で共有していても、共有者のひとりである子どもが自動で不動産を取得することはできません。

被相続人の共有持分は、相続財産だからです。

司法書士が戸籍謄本を取得して相続関係を調査したところ、10名近くの相続人が判明しました。

相続人全員が健在であるものの、全員が相当高齢でした。

遺産分割協議は、一堂に会して話し合いをする必要はありません。

分け方について合意ができたものの外出が難しいことから、1人1枚方式で合意を書面に取りまとめました。

相続人全員の合意書面と印鑑証明書を準備して、相続登記が完了しました。

直井弘さまからは、本当に安心しましたとのお言葉をいただきました。

安心していただけて、大変うれしく思っております。

今回、ご依頼をいただきましてありがとうございました。

再婚後の相続を円滑に進める準備のポイント

2025-12-20

1準備の目的は衝突を避けるための整理

①準備をしても相続人を排除できない

相続が発生したら、法律で決められた人が相続人になります。

法律上のルールは、シンプルです。

法律で決められた相続人は、変えられません。

配偶者は、必ず相続人になります。

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

婚姻形式と血縁関係だけで、形式的に相続人が決まります。

相続人の確認は、単なる事実の確認に過ぎません。

②遺留分を奪う手続には高いハードル

遺留分とは、被相続人に近い関係の相続人に認められた最低限の権利です。

配偶者と子どもは、どちらも遺留分が認められています。

配分された財産が遺留分に満たない場合、遺留分侵害額請求することができます。

遺留分を奪う手続には、非常に高いハードルがあります。

事実上準備をしても、遺留分を奪えないと言えます。

③再婚後の相続を準備して衝突を回避する

再婚後の相続では、準備が重要です。

適切な準備をしておけば、相続人の衝突を回避できるからです。

準備の目的は、衝突を避けるための整理です。

2再婚後の相続を円滑に進める準備のポイント

ポイント①だれが相続人になるのか確認する

(1)疎遠であっても相続人

相続人になる人は、法律で決まっています。

相続人の都合で、法律の内容を変更することはできません。

再婚後の相続では、被相続人の家族と疎遠な相続人が現れることがあります。

長期間疎遠であったとしても、相続人が相続人です。

特に配偶者と前婚の子どもは、相続が発生するまで面識がなかったかもしれません。

たとえ面識がなくても、法律で決められた人が相続人になります。

(2)相続人の地位は心理的な家族の感覚と別物

配偶者にとって、前婚の子どもは家族とは思えないでしょう。

前婚の子どもにとって、配偶者は家族とは思えないでしょう。

相続人の地位は、心理的な家族の感覚と別物です。

たとえ心理的に家族と思えなくても、法律で決められた人が相続人になります。

(3)配偶者の連れ子は相続人ではない

被相続人と配偶者の両方が再婚である場合、配偶者にも前婚の子どもがいることがあります。

配偶者に前婚の子どもは、相続人ではありません。

前婚の子どもは、被相続人の子どもではないからです。

例えば被相続人と長年同居していても、被相続人の子どもではありません。

(4)養子は相続人になる

養子縁組とは、血縁関係がある親子とは別に法律上の親子関係を作る制度です。

被相続人と配偶者が結婚しても、配偶者の連れ子は相続人ではありません。

被相続人と配偶者の連れ子が養子縁組をしたら、親子になります。

養子は、相続人になります。

(5)子どもの相続分は平等

被相続人に子どもがいる場合、子どもは相続人になります。

被相続人の子どもは、平等です。

前婚の子どもも再婚後の子どもも、同じ子どもです。

実子も養子も、同じ子どもです。

同じ子どもだから、同じ相続分です。

前婚の子どもも再婚後の子どもも、優先権はありません。

ポイント②財産情報を共有する

(1)情報の非対称性がトラブルを招く

相続人が再婚すると、夫婦で財産情報を共有することが多いでしょう。

被相続人が再婚しても、子どもと財産情報を共有することはあまりありません。

前婚の子どもには、財産状況が正しく伝わっていません。

相続が発生すると、財産情報は強制的に開示されることになります。

前婚の子どもが想像していた財産状況と異なると、不信感を覚えるでしょう。

(2)財産の帰属を明確にする

再婚した人の財産は、境界があいまいです。

・前婚時代に築いた財産

・再婚後に築いた財産

・再婚相手との共有財産

・生前贈与した財産

・再婚相手名義にした財産

相続財産には、さまざまな財産が含まれています。

同じ財産であっても、当事者ごとに違う考えを持っています。

財産情報の整理は、将来の相続手続を円滑にするための基礎資料づくりです。

ポイント③自宅をどうしたいのか意思確認をする

(1) 自宅は最大の財産

被相続人が自宅を保有していた場合、自宅は相続財産になります。

相続財産の大部分が自宅であるという事例は、少なくありません。

自宅は、最大の財産であると言えます。

自宅など不動産は、分けにくい財産の代表例です。

(2)自宅は生活基盤そのもの

自宅は、預貯金などとは決定的な違いがあります。

自宅が住む場所であり、生活の基盤だからです。

自宅に住み続けた配偶者は、これからも自宅に住み続けたいでしょう。

(3)自宅の分け方で利害が衝突する

配偶者にとって、自宅は生活基盤そのものです。

前婚の子どもにとって、自宅は最大の財産です。

配偶者と前方の子どもの利害が正面から衝突します。

(4)前婚の子どもは配偶者の相続人ではない

配偶者が住む場所を確保するため、自宅を配偶者に相続させることがありますあります。

配偶者が自宅を相続したら、自宅は配偶者の財産です。

配偶者が死亡したら、前婚の子どもは自宅を相続することはできません。

配偶者と前婚の子どもに、血縁関係がないからです。

配偶者が死亡したら、配偶者の血縁関係者に相続されます。

(5)自宅を売却する選択肢

不動産は、分けにくい財産の代表例です。

相続財産の大部分が自宅などの不動産である場合、売却して金銭で分割する方法があります。

家族にとって自宅に象徴的な意味合いがある場合、自宅を守ってもらいたいと考えるでしょう。

自宅を売却する選択肢を持てるのか、確認しておく必要があります。

ポイント④同時に満たせない事情を自覚する

(1)全員を満足させることはできない

再婚後の相続では、複数の立場の相続人が登場します。

相続人全員を満足させることは、経済的にもできません。

(2)守りたい人と配慮すべき人

再婚後の相続を円滑に進めるため、きれいごとを言ってはいられません。

守りたい人とは、最優先で保護する対象です。

配慮すべき人とは、可能な範囲で不利益を緩和したい対象です。

守りたい人と配慮すべき人は、同列にできません。

自分の価値観として血縁と婚姻のどちらを重く見るか、突きつけられると言えます。

(3)不満を受け入れる覚悟

再婚後の相続は、甘い言葉で済まされません。

できるだけ公平にという言葉は、耳あたりよく聞こえます。

現実は、だれも守らない結果となります。

だれかを守れば、だれかに不利益を受け入れてもらわなければなりません。

相続人の覚悟が優先順位に現れます。

ポイント⑤前婚の子どもとの情報共有の方針を決定する

(1)知らされないことで感情的不満が権利行使に転化する

再婚後の相続では、前婚の子どもに何も知らされていないことが少なくありません。

自分だけ蚊帳の外だったと感じると、感情的な怒りを招きます。

前婚の子どもを相続人から、除外することはできません。

感情的な怒りは、権利行使に転化します。

たとえ法的に問題がない遺言書や設計でも、感情的な怒りから深刻なトラブルに発展します。

(2)情報共有のタイミング

生前に早い段階で知らせる方法と死亡後に知らせる方法があります。

どちらが正解であるか、ではありません。

どちらにも、メリットとデメリットがあります。

どちらのリスクを取るのか、自覚的に選ぶことが重要です。

(3)情報共有の範囲を決定する

情報共有の範囲は、次のレベルがあります。

レベル①事実のみ伝える

遺言書を作成したなどの事実を伝えます。

レベル②方向性のみ伝える

配偶者の生活を守ることを優先するが一定の配慮をしているなど、方向性のみ伝えます。

レベル③具体的な内容まで伝える

自宅は配偶者に相続させ預貯金は子どもに相続させるなど、具体的な内容まで伝えます。

情報共有の範囲に、正解はありません。

家族の事情や財産の状況によって、適切な範囲が異なるからです。

(4)どうやって伝えるのか決める

被相続人本人が伝える方法と遺言執行者などから伝える方法があります。

どうやって伝えるのか、実務上非常に重要です。

感情の衝突を回避しながら、伝える必要があるからです。

(5)何も決めないのが最大のリスク

優先順位を決めることは、だれかに不利益を受け入れてもらう覚悟をすることです。

先延ばしをしたくなるかもしれません。

先延ばしをすると、確実に前婚の子どもは裏切られたと感じるでしょう。

感情的な怒りを爆発させる最悪の結果を招きます。

何も決めないのは、最大のリスクです。

3公正証書遺言で再婚後の相続を円滑にする

①遺言書を作成して遺産分割の方法を指定する

被相続人は遺言書を作成して、相続財産をだれに引き継がせるのか自由に決めることができます。

遺言書があれば、遺言書のとおり遺産分割をすることができます。

遺言書のとおり遺産分割ができるから、遺産分割協議は不要です。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方を決めるため相続人全員でする話し合いです。

遺言書のとおりに遺産分割ができるから、配偶者と前婚の子どもが話し合いをする必要がなくなります。

②遺留分に配慮する

配偶者と子どもは、どちらも遺留分権利者です。

遺言書を作成するだけで、相続人の遺留分を奪うことはできません。

遺言書の内容が大きく偏る場合、遺留分を侵害してしまうでしょう。

相続人間で、深刻なトラブルに発展します。

遺留分に配慮した遺言書を作成することで、トラブルを最小限にすることができます。

③遺言執行者を指定する

遺言書は、作成するだけでは意味がありません。

遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。

遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人です。

遺言書で、遺言執行者を指名することができます。

④公正証書遺言がおすすめ

遺言書を作成する場合、自筆証書遺言か公正証書遺言を作成することがほとんどです。

自筆証書遺言とは、自分で書いて作る遺言書です。

公正証書遺言とは、遺言内容を公証人に伝え公証人が書面に取りまとめる遺言書です。

公正証書遺言は、公証人が本人確認のうえ本人の意思確認をして作成します。

公正証書遺言には、高い信頼性があります。

公証人が関与するから、遺言書の有効無効などのトラブルはほとんどありません。

トラブル防止の観点から、公正証書遺言はおすすめです。

4再婚後の相続で準備が重要な理由

理由①法律上のルールは動かせない

相続人になる人は、法律で決められています。

法律上のルールは、心理的な家族の感覚とは異なります。

再婚後の相続では、複数の立場の相続人が登場します。

・配偶者

・前婚の子ども

・再婚後の子ども

だれが家族であるのか、各相続人によって感覚が異なります。

法律上のルールは、動かせません。

心理的に家族と思えなくても、相続人になります。

理由②配偶者も子どもも生前は本音を隠している

家族とは思えなくても、日常生活は成り立っているかもしれません。

配偶者と前婚の子どもは、被相続人とつながっているだけの関係です。

財産の分配に関して、配偶者も子どももそれぞれの期待と意見を持っています。

各相続人の期待が交錯しています。

財産分配に関する意見や期待を口に出したら、日常生活が成り立たなくなることは分っています。

配偶者も子どもも被相続人の生前は、本音を隠しています。

本音を口に出したら、日常生活は成り立たなくなることが分かっているからです。

日常生活が成り立つから、相続を円滑に進められるという期待に根拠はありません

配偶者と前婚の子どもは、微妙な緊張を感じていています。

理由③財産の帰属があいまい

再婚した人の財産は、境界があいまいです。

・前婚時代に築いた財産

・再婚後に築いた財産

・再婚相手との共有財産

・生前贈与した財産

・再婚相手名義にした財産

相続財産には、さまざまな財産が含まれています。

名義と実質が異なる財産があると、財産の帰属があいまいになります。

同じ財産であっても、当事者ごとに違う考えを持っています。

理由④配偶者と子どもには遺留分がある

再婚後の相続においては、相続人間に信頼関係がないことが多いでしょう。

遺留分侵害額請求を受けたら、現金で支払わなければなりません。

現金がなければ、自宅などを売って支払う必要があります。

理由⑤遺産分割協議が成立しないと相続人全員が困る

相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。

1人でも合意できないと、遺産分割協議は成立しません。

相続手続は、法律に従って進めます。

相続人全員の合意ができないと、相続手続は停滞し相続人全員が困ります。

相続手続の停滞を放置できなくなると、家庭裁判所に持ち込むことになるでしょう。

準備しておかないと、決めておきたいことを自分では一切決められません。

相続発生後は、被相続人は相続手続に何も関与することができないからです。

5生前対策を司法書士に依頼するメリット

生前対策=相続「税」対策の誤解から、生前対策はする方はあまり多くありません。

争族対策として有効な遺言書ですら、死亡者全体からみると10%未満です。

対策しないまま認知症になると、家族に大きな面倒をかけることになります。

認知症になってからでは遅いのです。

元気なうちに、準備する必要があります。

大切な家族に面倒をかけないために生前対策をしたい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

任意後見人の役割と財産管理のポイント

2025-12-19

1任意後見契約で認知症に備える

①任意後見契約でサポートを依頼する

任意後見契約を締結するためには、物事のメリットデメリットを適切に判断する能力が必要です。

判断能力がないまま、契約締結をしても無効です。

元気なうちに、任意後見契約でサポートを依頼します。

②自分で選んだ人と任意後見契約

任意後見は、だれと契約するのか本人が自分で決めることができます。

自分の財産管理などを依頼するから、信頼できる人と契約します。

多くの場合、本人の子どもなど近い関係の家族でしょう。

次の人は、任意後見人になれません。

(1)未成年者

(2)後見人を解任されたことのある人

(3)破産者で復権していない人

(4)本人に訴訟をした人と訴訟をした人の配偶者、直系血族

(5)行方不明の人

任意後見契約では、本人が選んだ人にサポートを依頼することができます。

③サポート内容は契約書に明記

任意後見は、サポートを依頼する契約です。

サポート内容は、契約書にはっきり記載します。

サポート内容がはっきりしていないと、サポートする人が困ります。

サポートする人が勝手にやったことと、判断されるからです。

例えば、自宅を売却して施設の入所費用に充てたい場合、売却権限を与えると明記します。

自宅は売却しないで守ってほしい場合、売却権限は与えないと明記します。

任意後見契約の内容は、登記簿に記録されます。

サポートする人の権限は、登記簿謄本で証明することができます。

将来任意後見人が権限不足で困らないように、バランスをとるのがおすすめです。

法定後見では、包括的に代理権が与えられます。

任意後見では、本人の意思が尊重される点が特徴です。

④公証人が法務局に登記嘱託

任意後見契約は、判断能力が低下したときに財産管理を依頼する契約です。

重要な契約だから、公正証書で契約する必要があります。

任意後見契約を締結すると、契約の内容は登記されます。

任意後見契約をした当事者は、自分で登記申請をする必要はありません。

自動的に、公証人が法務局に登記を嘱託するからです。

後見登記簿を確認すると、任意後見人の権限が分かります。

2任意後見人の役割

①財産管理

財産管理とは、本人の財産を適切に守り運用処分を代理することです。

具体的には、次のことを行います。

・預貯金の管理や支払手続

・不動産や株式の維持管理や売却手続

・契約などの締結解約

・定期的な収入と支出の確認

本人の判断能力が低下した後、任意後見契約に基づいて任意後見人が財産管理をします。

任意後見人に権限があるか、後見登記簿謄本で確認することができます。

任意後見契約で依頼されたこと以外は、代理できません。

②身上監護

身上監護とは、本人の日常生活や健康管理、介護など生活全般について重要な決定をすることです。

具体的には、次のことを行います。

・医療機関への入院手続

・介護サービスの利用契約

・介護施設の入所手続

・日常生活環境の整備

財産管理とは異なり、本人の暮らしや尊厳を守る役割です。

本人の判断能力が低下した後、任意後見契約に基づいて任意後見人が身上監護をします。

任意後見人に権限があるか、後見登記簿謄本で確認することができます。

任意後見契約で依頼されたこと以外は、代理できません。

③死亡届を提出できる

本人が死亡したら、死亡届を提出します。

死亡届の届出人になるのは、本人の親族や家主、地主などです。

任意後見人や任意後見受任者は、届出をすることができます。

3任意後見監督人は不要にできない

①任意後見監督人選任でサポート開始

任意後見契約を締結しても、サポートは開始しません。

任意後見契約をするためには、本人に充分な判断能力が必要です。

本人は充分な判断能力があるから、サポートは必要ないはずだからです。

任意後見監督人選任で、任意後見人によるサポートが開始します。

任意後見人によるサポートが必要になるのは、本人の判断能力が低下した後です。

本人の判断能力が低下したら、家庭裁判所に対して任意後見監督人選任の申立てをします。

家庭裁判所が任意後見監督人を選任したら、任意後見契約に効力が発生します。

任意後見契約に効力が発生したら、任意後見人がサポートを開始します。

任意後見監督人は、不要にできません。

任意後見監督人選任は、任意後見によるサポート開始の条件だからです。

②任意後見監督人に対して報告義務がある

任意後見人は、任意後見監督人に対して後見事務を報告する義務があります。

任意後見監督人には、次の書類を提出します。

(1)任意後見事務報告書(定期報告)

(2)財産目録(定期報告用)

(3)収支報告書・収支予定表

(4)本人の預貯金通帳のコピー

任意後見人の報告は、家庭裁判所へする報告の基礎資料です。

任意後見監督人は、家庭裁判所へ報告する義務があるためです。

家庭裁判所が間接的に監督するから、任意後見の公平性と透明性を確保されます。

本人の利益を守るため、任意後見監督人に対する報告は重要です。

③任意後見監督人の役割

(1)任意後見人の監督

任意後見監督人は、任意後見人を監督する人です。

任意後見人を監督して、サポート内容の透明性を確保します。

(2)財産管理の監査

任意後見監督人は、本人の財産状況報告書や収支状況報告書を提出してもらいます。

任意後見人は任意後見人の財産管理を監査して、不正を防止する責任があります。

任意後見監督人はただ監視するだけでなく、任意後見人の相談相手になります。

適切な判断ができるように、任意後見人を支援します。

(3)身上監護の確認

任意後見監督人は、福祉サービスの利用状況や医療機関の利用状況を確認します。

任意後見人は身上監護を確認して、本人の生活支援を見守る責任があります。

(4)家庭裁判所へ報告

任意後見監督人は、年に一度家庭裁判所に報告する義務があります。

財産管理状況や本人の生活のサポート状況を家庭裁判所と情報共有します。

本人の財産管理状況や身上監護状況は家庭裁判所と共有されるから、本人の利益が守られます。

(5)任意後見人の解任請求

任意後見人が不適切なサポートをした場合、任意後見監督人には解任請求をする権限があります。

任意後見人は任意後見人の解任請求をして、公平性や透明性を確保する責任があります。

4財産管理のポイント

①預貯金口座の管理や支払手続

本人名義の口座を任意後見人が管理します。

金融機関に成年後見登記事項証明書を提示して、代理人として取引します。

公共料金や税金の支払、医療費や介護費用を期限までに納めます。

任意後見人名義の口座に本人の預貯金を移すと、横領や背任を疑われるでしょう。

財産管理不適切と判断されると、解任されるおそれがあります。

本人の口座の預貯金は、本人の利益のためにのみ利用します。

支出内容を記録し請求書や領収書を添えて、任意後見監督人に報告します。

②不動産や株式の維持管理や売却手続

任意後見人は、本人の口座の資金から固定資産税や管理費を支払います。

必要に応じて修繕や除草などの手配をします。

売却手続をする場合、任意後見契約で明示された売却権限が必要です。

任意後見契約では、やってもらいたいことを契約書で明示してあるはずだからです。

売却権限が明示されていれば、家庭裁判所の許可は不要です。

任意後見契約で売却権限が与えられていない場合、任意後見人は不動産を売却することはできません。

たとえ本人の利益であっても、売却権限がないと売却できません。

売却権限があっても、任意後見監督人や家庭裁判所と協議のうえ進めるのが望ましいと言えます。

③契約などの締結解約

任意後見人は、医療機関への入院手続や介護サービスの利用契約を代理します。

医療機関への入院手続や介護サービスの利用契約は、身上監護であると同時に財産管理です。

医療費や契約に伴う利用料の支払いを伴うからです。

契約などの締結解約にあたっては、次の事項を確認します。

・入所一時金

・月額利用料

・介護保険自己負担額

・解約条項

・解約時の返還金

本人の生活状況と財産状況を考慮して、本人のために合理的判断をすることが重要です。

④投資や資産運用に関する制限

任意後見人は、本人の利益を最大限優先して財産管理をする必要があります。

本人の利益を損なうことは、許されません。

高いリスクを取った資産運用は、本人の利益を損なうおそれがあると判断されるでしょう。

本人が死亡したときの相続税対策のため、生前贈与はできなくなります。

相続税対策は、相続人のためであって本人には利益がないからです。

⑤財産目録の作成

本人の財産内容を整理し財産目録を作成して管理します。

預貯金通帳や各種重要書類を保管管理します。

⑥日々の業務遂行

(1)定期的に訪問面談

本人との面談を定期的に実施します。

生活状況や本人の希望を確認します。

(2)関係機関との連絡調整

本人の生活に関与する機関との連絡役になります。

医療機関、介護施設、役所、金融機関等と連絡を取り合い、必要な手続をします。

(3)支払業務

本人が負担すべき費用は、期日までに間違いなく支払います。

(4)書類の整理保管

契約書、請求書、領収書等の書類を整理し、任意後見監督人へ報告します。

5任意後見で起きやすいトラブルと対策

トラブル①任意後見人による私的流用

任意後見人は、本人の子どもなど近い関係の家族が多いでしょう。

近い関係の家族は、他人の財産であるという意識が薄いことがあります。

軽い気持ちで、財産を流用し使い込むことがあります。

トラブル1つ目は、任意後見人による私的流用です。

対策は、財産管理の透明性を確保することです。

任意後見人になったら、家族であっても本人をサポートする公的な立場になります。

他人の財産を管理する公的な立場を意識し、財産管理の透明性を確保します。

財産管理方針は任意後見契約の中で明文化し、当事者以外の家族にも共有します。

具体的には、任意後見監督人に適切に報告し財産管理の監査を受けることです。

トラブル②他の親族から不信感

任意後見人は、本人に利益のために本人の財産管理をする義務があります。

決して任意後見人がほしいままに、財産を使うことができるわけではありません。

長期間任意後見人として財産管理をすると、他の親族から疑いの目を向けられることがあります。

トラブル2つ目は、他の親族から不信感を持たれることです。

対策は、任意後見監督人の監査を受けることです。

任意後見契約を締結する前から、親族間で財産管理方針を共有するのがおすすめです。

任意後見がスタートした後も、定期的に情報共有をすると不信感が和らぎます。

任意後見監督人の存在は、任意後見の公平性と透明性に大きな意義があります。

任意後見人が不安になりながら後見事務をするより、任意後見監督人に相談することができます。

任意後見監督人が支援し監査があるからこそ、誠実な行動を促し不正防止に役立ちます。

トラブル③契約条項があいまい

任意後見人の権限は、任意後見契約に明記されたことに限定されています。

任意後見契約の内容があいまいな場合、権限範囲が分からなくなります。

トラブル3つ目は、契約条項があいまいです。

対策は、任意後見契約をする際に司法書士などの専門家のサポートを受けることです。

サポートを受けると、必要な条項やあいまいな条項を指摘してもらえます。

ときには、任意後見契約以外の契約が必要になることも指摘してもらえるでしょう。

トラブル④任意後見監督人と関係悪化

任意後見監督人選任が任意後見のスタート条件になっているからです。

任意後見監督人は、家庭裁判所が決定します。

任意後見監督人と関係がうまくいかなくなることがあります。

トラブル4つ目は、任意後見監督人と関係悪化です。

任意後見監督人選任の申立てで、候補者を推薦することができます。

事前に相性のいい専門家を推薦するといいでしょう。

定期的な話し合いの場を設けて日常的なコミュニケーションを促進すると、関係を良好にすることができます。

トラブル⑤報告義務の怠慢

任意後見人は、任意後見監督人に報告する義務があります。

任意後見監督人への報告を怠ると、家庭裁判所から不審視されるでしょう。

ときには、任意後見監督人から解任請求が出されることがあります。

トラブル5つ目は、報告義務の怠慢です。

対策は、任意後見監督人への報告ルールを明示することです。

任意後見契約を締結するときに、充分に納得して契約をすることです。

報告義務の怠慢があると、解任請求がされることを明確化することです。

6任意後見契約を司法書士に依頼するメリット

任意後見は、あらかじめ「必要になったら後見人になってください」とお願いしておく契約です。

認知症が進んでから、任意後見契約をすることはできません。

重度の認知症になった後は、成年後見(法定後見)をするしかなくなります。

成年後見(法定後見)では、家庭裁判所が成年後見人を決めます。

80%のケースで、家族以外の専門家が選ばれます。

任意後見契約では、本人の選んだ人に後見人になってもらうことができます。

家族以外の人が成年後見人になることが不安である人にとって、任意後見制度は有力な選択肢になるでしょう。

本人が自分らしく生きるために、みんなでサポートする制度です。

任意後見制度の活用を考えている方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

養子縁組で氏を変えたくない

2025-12-17

1養子縁組後の養子の氏は養親の氏

①養子の氏は原則養親の氏

養子縁組とは、血縁関係による親子関係の他に、法律上の親子関係を作る制度です。

養子縁組をすると、養子は養親の氏を称します。

養子が養親の氏を称することは、法律で決められています。

養子が自由に選択する制度は、ありません。

例えば、婚姻すると、夫婦の氏を称します。

配偶者に連れ子がいる場合、連れ子の氏は自動で変更されません。

連れ子と養子縁組をすると、連れ子は養親の氏を称します。

連れ子は、法律上の親子になることができます。

養子縁組後の養子の氏は、自動で決まります。

②大人同士の養子縁組で養親の氏

養子縁組は、幼い子どもだけの制度ではありません。

大人同士で、養子縁組をすることができます。

大人同士で養子縁組をしても、養子は養親の氏を称します。

養子が養親の氏を称することは、法律で決められているからです。

養子が大人であっても、氏を自由に選択する制度はありません。

③婚姻後に養子縁組をしても養親の氏

大人同士で養子縁組をしても、養子は養親の氏を称します。

養子になる人が婚姻中に、養子縁組をすることができます。

婚姻中の夫婦は、同じ氏を称します。

婚姻のときに、一方は氏を変更しません。

婚姻のとき氏を変更しなかった人が養子になる養子縁組をした場合、養親の氏を称します。

養親の氏を称するから、養子の配偶者も養親の氏を称します。

婚姻中の夫婦は、同じ氏を称するからです。

婚姻後に養子縁組をしても、養子は氏を選択することはできません。

④複数の養子縁組で最後の養親の氏

養子縁組に、回数制限はありません。

複数の養子と養子縁組をすることができます。

複数の養子全員が養親の氏を称します。

複数の養親と養子縁組をすることができます。

最後に養子縁組をした養親の氏を称します。

養子縁組の順番を選択できるのなら、氏を選択することができます。

⑤養親と養子が同姓でも養親の氏

養子縁組をすると、養子は養親の氏を称します。

養子縁組をする前から、養親になる人と養子になる人が同じ氏を称していることがあります。

同じ氏を称しても、養子は養親の氏を称します。

養子が養親の氏を称することは、法律で決められているからです。

同じ氏を称していると、見た目に変わりはないように見えます。

法律上養親の氏に変更したから、戸籍は作り直しになります。

作り直した新しい戸籍に、養子縁組事項が記録されます。

⑥特別養子の氏は養親の氏

養子縁組には、2種類あります。

普通養子と特別養子です。

普通養子には、年齢制限がありません。

特別養子には、年齢制限があります。

特別養子は、原則として15歳未満です。

特別養子は、未婚未成年のための制度と言えます。

特別養子は、原則どおり養親の氏の氏を称します。

⑦安易に氏の変更はできない

養子縁組後は、養親の氏を称するのが原則です。

元の氏を維持したい場合、家庭裁判所の許可が必要です。

家庭裁判所は、氏の変更に関して正当な理由を求めます。

単に変えたくないなどの軽い事情では、認められないでしょう。

日常生活や社会生活において、重大な事情があることを客観的証拠で示す必要があります。

家庭裁判所は、正当な理由に関して非常に厳格な審査をします。

氏を変えずに済ませるのは、非常に限定的なケースに限られます。

2養子縁組をしても氏を変えたくない

①氏は自由に選択できない

養子縁組をする場合、市区町村役場に養子縁組届を提出します。

養子縁組届に、氏の選択欄はありません。

養子が氏を自由に選択することができないからです。

養子の氏は、法律の定めによって自動で決まります。

②婚姻による氏は養子縁組の氏に優先する

婚姻中の夫婦は、同じ氏を称します。

婚姻のときに、一方が氏を変更します。

婚姻のとき氏を変更した人が養子になる養子縁組をした場合、養親の氏を称しません。

養子は、婚姻による氏を称します。

婚姻による氏は、養子縁組の氏に優先するからです。

婚姻後に養子縁組をしても、養子は氏を選択することはできません。

養子の氏は、法律の定めによって自動で決まるからです。

③養子縁組後に離婚で養親の氏

婚姻によって氏を変更した人は、離婚によって復氏します。

養子縁組をしているので、養子は原則として養親の氏を称します。

離婚の日から3か月以内に届出をすると、婚姻中の氏をそのまま使うことができます。

届出の名称は、離婚の際に称していた氏を称する届出です。

④養子の子どもの氏に変更はない

養子になろうとする人に、子どもがいることがあります。

子どもがいても、養子縁組をして養子になることができます。

婚姻のとき氏を変更しなかった人が養子になる養子縁組をした場合、養親の氏を称します。

子どもがいても、養子縁組をすると養子は養親の氏を称します。

養親の氏を称するから、養子の配偶者の氏も変更されます。

養親の氏に変更されるのは、養子と養子の配偶者のみです。

養子に子どもがいても、子どもの氏はそのままです。

養子の子どもは、養子縁組の当事者ではないからです。

⑤父母婚姻中は入籍届のみで養子の子どもの氏を変更できる

養子縁組をすると、養子の氏は自動で変更されます。

養子に子どもがいても、養子の子どもの氏は自動で変更されません。

養子と養子の子どもの氏が違うと、不都合が多いでしょう。

父母が婚姻中に限り、戸籍法の届出のみで子どもの氏を変更することができます。

養子の子どもが15歳未満である場合、親権者などの法定代理人が代わりに届出をすることができます。

父母が婚姻中に限り、家庭裁判所の許可は不要です。

子どもが成年であっても未成年であっても、家庭裁判所の許可は不要です。

⑥養子の子どもの氏の変更で家庭裁判所の許可

(1)父母が婚姻中でない場合は家庭裁判所の許可が必要

子どもと父母の氏が異なる場合、子どもの氏の変更には家庭裁判所の許可が必要です。

(2)養子の子どもが成年でも家庭裁判所の許可

子どもの氏の変更には、家庭裁判所の許可が必要です。

子どもが成年であっても未成年であっても、家庭裁判所の許可が必要です。

(3)申立先

子の氏の変更の許可の申立ては、子どもの住所地を管轄する家庭裁判所に提出します。

複数の子どもが同時に申立てをする場合、いずれか1人の住所地を管轄する家庭裁判所に提出することができます。

家庭裁判所の管轄は、裁判所のホームページで確認できます。

(4)申立人

子どもが15歳以上のとき、子ども本人が申立てをします。

子どもが15歳未満のとき、親権者などの法定代理人が申立てをします。

(5)必要書類

子の氏の変更の許可の申立書に添付する書類は、次のとおりです。

・子どもの戸籍謄本

・父母の戸籍謄本

(6)費用

子ども1人につき、手数料800円です。

手数料は、収入印紙で納入します。

手数料とは別に、裁判所が手続で使う郵便切手を予納します。

裁判所ごとに、切手の額面や枚数が決められています。

3養子縁組を解消しても氏を変えたくない

①養子縁組解消で復氏

養子縁組をすると、養子は養親の氏を称します。

養子縁組を解消すると、養子は元の氏を復します。

②条件を満たせば氏はそのまま

養子縁組を解消しても、条件を満たせば養子は氏をそのままにすることができます。

養子が氏をそのままにできる条件は、次のとおりです。

・養子縁組の日から7年以上経過

・養子縁組解消から3か月以内に届出

届出の名称は、離縁の際に称していた氏を称する届です。

離縁の際に称していた氏を称する届は、養子離縁届と同時に提出することができます。

③一方の養子縁組継続中で氏はそのまま

夫婦が養親となる養子縁組をすることがあります。

養子は、養父と養母との養子縁組をしたと言えます。

夫婦の一方との養子縁組のみ、解消することができます。

一方との養子縁組を解消しても、他方との養子縁組は継続中です。

他方との養子縁組は継続中だから、養子は継続中の養親の氏を称します。

養親両方との養子縁組を解消したら、養子は元の氏に復します。

4氏と相続は別問題

①養子は養親を相続する

養子縁組は、養親と養子の間に親子関係を作る制度です。

養子は、養親の子どもです。

養親に相続が発生したら、養子は相続人になります。

養親に実子がいても、養子は相続します。

養子は、養親の子どもだからです。

②普通養子は実親を相続する

養子縁組には、2種類あります。

普通養子と特別養子です。

普通養子は、養子縁組後も実親との親子関係が継続します。

特別養子は、養子縁組後に実親との親子関係が終了します。

実親に相続が発生した場合、普通養子は相続人になります。

普通養子は、養親と実親の両方で相続人になります。

養子縁組をしても氏が別であっても、子どもだからです。

③養子の子どもが養親を代襲相続するケースしないケース

養子縁組をした後に、養子が先に死亡することがあります。

代襲相続とは、相続人になるはずの人が被相続人より先に死亡した場合に子どもなどが相続する制度です。

養子が先に死亡した後で養親が死亡した場合、代襲相続ができるケースとできないケースがあります。

養子縁組前に出生した養子の子どもは、代襲相続ができません。

養子縁組後に出生した養子の子どもは、代襲相続ができまます。

養子の子どもの氏は、無関係です。

5養子縁組がある相続を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、被相続人のものは相続財産になります。

相続財産は相続人全員の共有財産ですから、分け方を決めるためには相続人全員の合意が必要です。

相続人の一部を含めない合意や相続人でない人を含めた合意は無効になります。

相続財産の分け方の話し合いの前提として、相続人の確定はとても重要です。

被相続人に養子がいる場合、養子は相続人になります。

代襲相続や数次相続が発生している場合、一挙に難易度が上がります。

インターネットが普及したことで、多くの情報を手軽に得ることができるようになりました。

簡単に情報発信ができるようになったこともあって、適切でない情報も有益な情報もたくさん出回っています。

相続の専門家と名乗っていながら、適切でないアドバイスを見かけることも度々あります。

スムーズに相続手続を行いたい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

遺言事項とは遺言書で法的効力が発生する事項

2025-12-15

1遺言事項とは遺言書で法的効力が発生する事項

①遺言事項は法律で決まっている

遺言書は、遺言者の意思を尊重する制度です。

遺言書は、遺言者が死亡したときに効力が発生します。

遺言書に書くことで法的効力が発生することは、法律で決められています。

遺言事項とは、遺言書に記載することで効力が発生する事項です。

遺言事項は、次の3つに分類できます。

(1)相続に関する遺言事項

(2)身分に関する遺言事項

(3)その他の遺言事項

遺言事項は、法律で決まっています。

②法的効力がなくても遺言書に記載できる

遺言書には、さまざまなことを書くことができます。

法的効力がなくても、遺言書に記載することができます。

法的効果がない事項は、付言事項を言います。

例えば、遺言書に家族への感謝の気持ちを書くことができます。

家族への感謝の気持ちに、法的効力はもちろんありません。

感謝の気持ちが書いてあると、温かな気持ちになるでしょう。

遺言事項以外のことを遺言書に書くことができます。

③遺言書は死亡後に開封される

遺言書は、遺言者が死亡した後に効力が発生します。

遺言者の生前に遺言内容を共有することは、あまりありません。

遺言者の意思を尊重するため、生前に遺言書を見ることは遠慮するでしょう。

遺言者が死亡しても、すぐには開封されません。

追悼の区切りなどで親族が集まったタイミングで、遺言書は開封されます。

遺言者死亡後およそ1~2か月程度経過していることが多いでしょう。

例えば、遺言書に葬儀の希望が書いてあると、家族が心理的負担を感じるかもしれません。

本人の希望をかなえてあげることができなかったからです。

④遺言書が無効になると内容も当然に無効になる

遺言書には、厳格な書き方ルールがあります。

書き方ルールに違反すると、遺言書は無効になります。

たとえ遺言事項を書いてあっても、無効の遺言者に効力はありません。

2相続に関する遺言事項一覧

遺言事項①相続分の指定

相続人になる人は、法律で決められています。

相続人になる人が相続する割合も、法律で決められています。

遺言書を作成して、法定相続分と異なる相続分を指定することができます。

自分で指定しないで、第三者に指定するように委託することができます。

被相続人の子どものみが相続人である場合、法定相続分は平等です。

例えば、長男と二男が相続人である場合、法定相続分はそれぞれ2分の1です。

遺言書を作成して、長男3分の2、二男3分の1と、定めることができます。

各相続人は具体的な財産の分け方を決めるため、遺産分割協議をします。

遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話し合いです。

遺言事項②遺産分割の方法の指定

遺言書を作成して、どの財産をだれに相続させるか具体的に指定することができます。

例えば、自宅は長男に相続させる、預貯金は長女に相続させるなどと記載します。

遺産分割の方法を指定すると、遺産分割協議は不要です。

自分で指定しないで、第三者に指定するように委託することができます。

遺言事項③遺産分割の禁止

遺言書を作成して、遺産分割を禁止することができます。

遺産分割を禁止する期間は、相続発生から5年を超えない範囲です。

例えば、次の理由がある場合、遺産分割を禁止することが合理的かもしれません。

・家業の継続を希望する

会社の株式を遺産分割せず維持することで、経営の安定を確保します。

・不動産を保全

土地を分割すると、価値が下がることがあります。

・相続人の感情的対立の調整

遺産分割を禁止して、感情的対立を緩和します。

・未成年者の成人を待つ

未成年者は、自分で遺産分割協議をすることができません。

成人すれば、自分で遺産分割協議をすることができます。

5年を超える期間を禁止しても、5年に短縮されます。

遺言事項③遺贈

遺贈とは、遺言書を作成して相続人や相続人以外の人に財産を引き継ぐことです。

遺贈には、2種類あります。

特定遺贈と包括遺贈です。

特定遺贈とは、遺言書に「財産〇〇〇〇を遺贈する」と財産を具体的に書いてある場合です。

包括遺贈とは、遺言書に「財産すべてを包括遺贈する」「財産の2分の1を包括遺贈する」と割合だけ書いて財産を具体的に書いてない場合です。

包括遺贈を受けたら、具体的な財産の分け方を決めるため遺産分割協議をします。

特定遺贈を受けたら、遺産分割協議に参加する権利も義務もありません。

遺言事項④特別受益の持戻しの免除

特別受益とは、一部の相続人だけが特別に受けた利益です。

一部の相続人のみが特別に利益を受けた場合、そのまま遺産分割をするのは不公平です。

特別受益は、相続財産に戻して計算します。

持戻しとは、特別受益を相続財産に戻して計算することです。

特別受益の持戻しをすることで、相続人が公平に遺産分割をすることができます。

遺言書を作成して、特別受益の持戻しを免除することができます。

特別受益の持戻しが免除されると、特別に受けた利益は相続財産に戻して計算しません。

相続人間の公平より、遺言者の意思が尊重されます。

特別受益の持戻しの免除がされると、他の相続人は不公平感を募らせます。

相続人間のトラブルに発展するリスクがあります。

遺言事項⑤相続財産の担保責任

遺産分割によって取得した財産について、後から欠陥が見つかることがあります。

例えば、「被相続人の財産と思っていたけど実は他人の財産だった」「問題がない建物と思っていたけど実は壊れていた」などです。

欠陥がある財産を取得した相続人は、ソンをします。

欠陥がある財産を取得した相続人がソンをするのは、不公平です。

相続財産の担保責任とは、相続人全員で損害を分担する仕組みです。

遺産分割後の不測の損害を公平に調整するため、安全装置と言えます。

遺言書を作成して、相続財産の担保責任を変更することができます。

例えば、次のように定めることができます。

・相続財産の担保責任を免除する

後に相続財産に欠陥や権利の問題があっても、他の相続人に填補責任は発生しません。

・責任の範囲を限定する

遺言書で、負担割合を軽減することができます。

・責任の範囲を拡張する

遺言書で、相続分を超えて負担割合を指定することができます。

・特定財産のみ定める

株式については責任を免除するが、不動産は原則どおり責任を負うと定めることができます。

相続人間の公平より、遺言者の意思が尊重されます。

遺言事項⑥遺留分侵害額請求の負担方法

遺留分とは、相続人に認められた最低限の権利です。

被相続人に近い関係の相続人に認められます。

配分された財産が遺留分に満たない場合、相続人は遺留分侵害額請求をすることができます。

遺留分は、利益を受けた人に請求するのが原則です。

遺言書を作成して、遺留分侵害額請求の負担方法を指定することができます。

例えば、次のように定めることができます。

・特定の相続人に負担させる

・相続分の割合に応じて負担させる

・各相続人の負担割合を指定する

・財産ごとに負担を指定する

相続人間の公平より、遺言者の意思が尊重されます。

遺留分は相続人の最低限の権利だから、遺留分侵害額請求を排除することはできません。

3身分に関する遺言事項一覧

遺言事項⑦認知

認知とは、婚姻関係にない男女の間に誕生した子どもを自分の子どもと認めることです。

遺言書を作成して、子どもを認知することができます。

認知された子どもは、相続人になります。

認知されると、被相続人の子どもになるからです。

成人した子どもを認知する場合、子どもの承諾が必要です。

遺言書で認知した場合、遺言執行者が認知届を提出します。

遺言執行者が指定されていない場合、家庭裁判所で遺言執行者を選任してもらうことができます。

遺言事項⑧相続人の廃除・廃除の取消

相続人の廃除とは、相続人の資格を剥奪することです。

遺言書を作成して、相続人の廃除や廃除の取消を申し立てることができます。

遺言書で相続人を廃除した場合、遺言執行者が相続人廃除の申立書を提出します。

遺言書に相続人を廃除すると書いても、実際に廃除するか家庭裁判所が判断します。

相続人廃除が認められるのは、次の場合です。

・相続人が重大な侮辱をした

・暴力を振るうなどの虐待をした

・重大な非行があった

家庭裁判所は、客観的証拠に基づいて非常に慎重に判断します。

相続人の廃除には、高いハードルがあります。

遺言事項⑨未成年後見人・未成年後見監督人の指定

未成年後見人とは、親権者がいない未成年のための法定代理人です。

未成年後見人は、親権者と同様の権利義務があります。

未成年者に最後に親権を行う人は、遺言書を作成して未成年後見人や未成年後見監督人を指定することができます。

遺言書で未成年後見人を指定していない場合、家庭裁判所に未成年後見人選任の申立てをすることができます。

家庭裁判所が未成年者の利益を考慮して、未成年後見人を選任します。

遺言書なしで生前に依頼しても、家庭裁判所の判断によります。

4その他の遺言事項一覧

遺言事項⑩遺言執行者の指定

遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人です。

遺言執行者を指定すると、遺言者にとって安心です。

遺言執行者が確実に、遺言書の内容を実現してくれるからです。

遺言執行者を指定すると、相続人にとって安心です。

遺言執行者が複雑で、手間と時間がかかる相続手続を行ってくれるからです。

遺言書で遺言執行者に指名されても、ご辞退することができます。

遺言事項⑪死亡保険金の受取人の変更

被相続人に生命保険がかけてある場合、死亡保険金が支払われます。

遺言書を作成して、生命保険の死亡保険金の受取人を変更することができます。

死亡保険金の受取人を変更しても、保険会社は自動で知ることができません。

変更前の受取人が死亡保険金を請求すると、支払ってしまいます。

生命保険の契約によっては、受取人の範囲が指定されています。

第三者や事実婚・内縁の配偶者などを指定できない可能性があります。

遺言事項⑫祭祀の主宰者の指定

祭祀の主宰者とは、先祖祭祀を主宰する人です。

祭祀の主宰者は、先祖の系譜やお墓などを引き継ぎます。

祭祀の主宰者として、相続人以外の人や血縁関係者以外の人を指定することができます。

遺言書を作成して、祭祀の主宰者を指定することができます。

遺言事項⑬信託の設定

信託とは、財産管理を依頼する契約です。

遺言による信託では、信託目的、受託者、受益者、信託財産を遺言で指定します。

銀行などが販売する遺言信託と言う名前の商品は、遺言による信託と無関係です。

遺言事項⑭財団法人の設立

遺言書を作成して、財団法人を設立するために財産を拠出することができます。

拠出する財産、定款で定めるべき重要事項、機関設計などを遺言で指定します。

多くの場合、具体的な定款作成や財団法人の設立は遺言執行者に委任します。

5遺言事項以外は遺言書でかなえられない

①尊厳死の希望は遺言書でかなえられない

尊厳死は、過剰な延命治療を行わずに尊厳を保持しつつ自然な死を迎えるものです。

尊厳死の希望は、遺言事項ではありません。

医師などの医療関係者が遺言書を見ることは、考えられません。

尊厳死を希望は、生前に尊厳死宣言書で医師などの医療関係者に伝えておく必要があります。

②献体や臓器提供の希望は遺言書でかなえられない

臓器移植とは、臓器の機能が低下した人に他の人の臓器と取り換えて機能回復を図る医療です。

第三者の善意による臓器提供がなければ、臓器移植をすることはできません。

献体や臓器提供の希望は、遺言事項ではありません。

医師などの医療関係者が遺言書を見ることは、考えられません。

献体や臓器提供の希望は、生前に献体や臓器提供の意思表示をする必要があります。

③葬儀や納骨の希望は遺言書でかなえられない

遺言書は、遺言者が死亡したときに効力が発生します。

葬儀の方法について記載しておこうと、考えるかもしれません。

葬儀の方法の希望は、遺言事項ではありません。

現実的にも葬儀が終わった後、一定期間経過してから遺言書が開封されます。

葬儀や納骨の希望は、死後事務委任契約などでかなえることができます。

6遺言書作成を司法書士に依頼するメリット

遺言書は、遺言者の意思を示すものです。

自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。

遺言書は遺言者の意思を示すことで、家族をトラブルから守るものです。

遺贈とは、遺言によって、法定相続人や法定相続人以外の人に、財産を譲ってあげるものです。

遺贈は簡単に考えがちですが、思いのほか複雑な制度です。

遺言執行には法的な知識が必要になります。

遺言の効力が発生したときに、遺言執行者からお断りをされてしまう心配があります。

せっかく遺言書を書くのですから、スムーズな手続を実現できるように配慮しましょう。

お互いを思いやり幸せを願う方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

失踪宣告で死亡と見なされる

2025-12-14

1失踪宣告で死亡と見なされる

①残された家族のため失踪宣告

相当長期間、行方不明になっている場合、死亡している可能性が高い場合があります。

条件を満たした場合、死亡の取り扱いをすることができます。

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告がされたら、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。

行方不明が長期化した場合、家族が困ります。

家族であっても、行方不明の人の財産を処分することができません。

行方不明者の配偶者は、再婚することができません。

残された家族のために、行方不明者を死亡したものと扱う制度が失踪宣告の制度です。

失踪宣告がされると、死亡した取り扱いをします。

失踪宣告がされた人に、相続が発生します。

相続財産は、相続人全員の共有財産になります。

相続人全員の合意があれば、相続財産を自由に分けることができます。

遺産分割協議によって相続した後は、相続人が自由に処分をすることができます。

②失踪宣告には条件がある

失踪宣告には、2種類があります。

普通失踪と特別失踪(危難失踪)です。

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

死亡したことが確認できないのに、死亡と見なされます。

死亡と見なされるという強い効果があります。

失踪宣告が認められるためには、次の条件があります。

(1)行方不明の人が生死不明であること

(2)生死不明のまま一定期間継続していること

2普通失踪は7年で死亡と見なされる

一般的に失踪宣告といった場合、普通失踪を指しています。

生死不明の期間を失踪期間と言います。

普通失踪では、失踪期間が7年必要です。

生死不明のまま7年経過した場合に、自動的に死亡と見なされるわけではありません。

家庭裁判所が失踪宣告したときに、死亡と見なされます。

生死不明の人の家族や利害関係人は、家庭裁判所に失踪宣告の申立てをすることができます。

家庭裁判所に失踪宣告の申立てをした後、家庭裁判所が死亡と認めていいか調査します。

家庭裁判所の状況や事件の内容によっては、調査のために1年ほどかかる場合もあります。

生死不明のまま7年以上経過したと認められる場合、家庭裁判所は失踪宣告をすることができます。

3特別失踪(危難失踪)は1年で死亡と見なされる

行方不明の人が大災害や大事故にあっていることがあります。

大災害や大事故に遭った場合、死亡している可能性が非常に高いものです。

特別失踪(危難失踪)とは「戦地に行った者」「沈没した船舶に乗っていた者」「その他死亡の原因となる災難に遭遇した者」などを対象にする失踪宣告です。

死亡している可能性が非常に高いので、失踪期間は短い期間です。

特別失踪(危難失踪)では、失踪期間が1年で済みます。

生死不明のまま1年以上経過したと認められる場合、家庭裁判所は失踪宣告をすることができます。

4失踪宣告による法的な死亡日

①普通失踪は7年満了の日

普通失踪では、生死不明になってから7年間以上経過したときに失踪宣告をすることができます。

生死不明になってから7年間経過したときに、死亡したものと見なされます。

生死不明になってから7年間経過した日が死亡日です。

失踪宣告により死亡と見なされる日は、失踪宣告の申立日ではありません。

失踪宣告により死亡と見なされる日は、失踪宣告の審判があった日ではありません。

失踪宣告により死亡と見なされる日は、失踪宣告の審判が確定した日ではありません。

生死不明になってから7年間経過した日に死亡と見なされます。

②特別失踪(危難失踪)は危難の去った日

特別失踪(危難失踪)では、生死不明になってから1年間以上経過したときに失踪宣告をすることができます。

危難の去った日に、死亡したものと見なされます。

特別失踪(危難失踪)では、生死不明になってから1年間以上経過したときに死亡したものと見なされるわけではありません。

危難の去った日が死亡日です。

5失踪宣告後は死亡届でなく失踪届

①失踪届提出で戸籍に記載される

失踪宣告は、家庭裁判所の審判です。

家庭裁判所が失踪宣告の審判をした後、審判が確定しても市区町村役場に連絡されることはありません。

失踪宣告の審判が確定した後に、市区町村役場に届出が必要です。

失踪宣告の審判が確定した後に市区町村役場に提出する届出を失踪届と言います。

失踪届が受理されることで、失踪宣告がされたことが戸籍に記載されます。

失踪宣告が記載された戸籍謄本を提出することで、生死不明の人が法的に死亡した取り扱いがされることを証明できます。

戸籍には次のように記載されます。

【死亡とみなされる日】令和〇年〇月〇日

【失踪宣告の裁判確定日】令和〇年〇月〇日

【届出日】令和〇年〇月〇日

【届出人】親族 ○○○○

②失踪届は行方不明者届(捜索願)とは別物

失踪届は、失踪宣告の審判が確定した後に市区町村役場に提出する届出です。

市区町村役場は、失踪届を受理したら失踪宣告がされたことを戸籍に記載します。

失踪届を出しても、市区町村役場が生死不明の人を探してくれることはありません。

失踪届は、死亡と扱ってもらうための届出だからです。

生死不明の人を探してもらいたい場合、警察へ行方不明者届を提出します。

行方不明者届は、以前は捜索願と呼んでいました。

失踪届と行方不明者届(捜索願)は、まったく別の届出です。

6失踪宣告後生きていたら

失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

死亡したことが確認できないのに、死亡と見なされます。

失踪宣告がされた後、帰ってくることがあります。

失踪宣告がされた人が帰ってきた場合、失踪宣告を取り消してもらう必要があります。

失踪宣告された人が生きていることが分かった場合、家庭裁判所に失踪宣告の取消の審判の申立てをします。

失踪宣告されたときと異なる時期に死亡したことが判明した場合も同様に、家庭裁判所で失踪宣告を取り消してもらう必要があります。

失踪宣告がされると、死亡と見なされるからです。

失踪宣告がされた場合、たとえ生きていても死亡したと扱われます。

失踪宣告を受けた人が生きている場合でも、家庭裁判所で失踪宣告を取り消されるまで死亡したと扱われます。

家庭裁判所で失踪宣告が取り消された後、審判が確定しても市区町村役場に連絡されることはありません。

失踪宣告取消の審判書と確定証明書を添えて、市町村役場に10日以内に届出が必要です。

7失踪宣告で相続が開始する

失踪宣告は、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。

失踪宣告を受けた人は、死亡したと取り扱われます。

死亡と見なされる日に、相続が発生します。

死亡と見なされる日を基準として、相続人を確認します。

相続人になるはずだった人が被相続人より先に死亡した場合、代襲相続が発生します。

相続が発生したときに元気だった相続人が被相続人より後に死亡した場合、代襲相続が発生しません。

相続が発生したときに元気だった相続人が後に死亡した場合、数次相続が発生します。

数次相続は、相続人の地位が相続されます。

失踪宣告の前後で家族が死亡した場合、相続人の確認が重要になります。

代襲相続も数次相続も、相続が複雑になります。

だれが相続人でだれが相続人でないか日付をよく確認しましょう。

相続人を間違えると、相続手続がすべてやり直しになります。

8生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット

相続人が行方不明であることは、割とよくあることです。

行方不明の相続人がいると、相続手続を進めることができません。

相続が発生した後、困っている人はたくさんいます。

自分たちで手続しようとして、挫折する方も少なくありません。

失踪宣告の申立ては、家庭裁判所に手続が必要になります。

通常ではあまり聞かない手続になると、専門家のサポートが必要になることが多いでしょう。

信託銀行などは、高額な手数料で相続手続を代行しています。

被相続人が生前、相続人のためを思って、高額な費用を払っておいても、信託銀行はこのような手間のかかる手続を投げ出して知識のない遺族を困らせます。

知識のない相続人が困らないように高額でも費用を払ってくれたはずなのに、これでは意味がありません。

税金の専門家なども対応できないでしょう。

困っている遺族はどうしていいか分からないまま、途方に暮れてしまいます。

裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。

途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。

自分たちでやってみて挫折した方も、信託銀行などから丸投げされた方も、相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

任意後見契約で予備的受任者を決めておく工夫

2025-12-12

1任意後見契約でサポートを依頼する

①任意後見契約人は自分で決める

任意後見契約とは、将来に備えてサポートを依頼する契約です。

だれにサポートを依頼するか、本人が自分で決めます。

判断能力が低下した後に財産管理を依頼する契約だから、信頼できる人が適任です。

多くの場合、本人の子どもなど近い関係の家族でしょう。

任意後見契約をしておくと、本人が選んだ人がサポートします。

②公正証書で任意後見契約

任意後見契約は、財産管理と身上監護を依頼する契約です。

身上監護とは、本人の日常生活や健康管理、介護など生活全般について重要な決定をすることです。

重要な契約だから、公正証書で契約します。

公正証書とは、公証人が関与して作成する公文書です。

公証人は契約するときに、本人確認のうえ本人の意思確認をします。

公正証書には、高い信頼性があります。

③任意後見監督人選任で任意後見スタート

任意後見契約を締結するだけでは、契約に効力がありません。

任意後見契約は、本人が元気なときに締結するからです。

任意後見人によるサポートが必要になるのは、判断能力が低下したときです。

本人の判断能力が低下したとき、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立てます。

任意後見監督人とは、任意後見人を監督する人です。

家庭裁判所が任意後見監督人を選任したら、任意後見契約に効力が発生します。

任意後見契約に効力が発生したら、任意後見人がサポートを開始します。

任意後見監督人がいるから、任意後見の公平性と透明性が維持されます。

任意後見監督人選任で、任意後見がスタートします。

④不測の事態発生で法定後見開始

任意後見人に不測の事態が発生すると、任意後見は終了します。

不測の事態とは、次のような事態です。

・任意後見人の死亡

・任意後見人の判断能力喪失

・任意後見人の辞任

・任意後見人の解任

任意後見人がサポートを開始しているのに不測の事態が起きると、本人が困ります。

本人は、判断能力が低下しているからです。

判断能力が低下しているのに、サポートなしで放置することは許されません。

任意後見人に不測の事態が発生すると、法定後見が開始されます。

⑤法定後見のデメリット

デメリット(1)本人の意向が反映されない

任意後見では、本人がサポートしてもらいたいことを決めて契約します。

任意後見契約は、本人の意向を反映した契約をすることができます。

法定後見では、包括的代理権が与えられます。

本人の判断能力が低下した後だから、本人の意向が反映されない制度設計です。

デメリット(2)成年後見人は家庭裁判所が選任

任意後見では、本人が信頼できる人にサポートを依頼します。

任意後見人は、本人が信頼できる人を自分で決めることができます。

多くの場合、本人の子どもなど近い関係の家族でしょう。

法定後見では、家庭裁判所が成年後見人を選任します。

本人の家族が成年後見人に選任されるのは、全体の20%程度です。

本人の家族を候補者に立てても、家庭裁判所は見知らぬ専門家を選任することができます。

家族が選任されなかったことについて、異議を述べることはできません。

デメリット(3)成年後見人報酬の負担が重い

任意後見では、任意後見人の報酬は任意後見契約で決定します。

家族が任意後見人になる場合、無報酬の定めにすることができます。

法定後見では、80%程度が見知らぬ専門家です。

成年後見が終了するまで、報酬がかかり続けます。

⑥予備的受任者で法定後見を回避

予備的任意後見人とは、任意後見人が欠けたときに備えて代わりに任意後見人になる人です。

予備的任意後見人がいると、任意後見によるサポートを続けることができます。

予備的任意後見人を決めておくと、法定後見移行を回避することができます。

2任意後見契約で予備的受任者は認められない

①予備的受任者の定めは登記できない

予備的受任者の定めをおく任意後見契約と言うと、主任任意後見人に長男、予備的任意後見人に長女と言った契約をイメージするでしょう。

三者契約をする場合、次の条項を設定することが考えられます。

第○条(受任者の順位)

受任者○○が任意後見人として職務を遂行することを原則とし、受任者○○が死亡、辞任、心身の故障その他の理由により職務遂行が不可能または著しく困難となった場合には、受任者◇◇が任意後見人として職務を遂行するものとする。

第○条(任意後見監督人選任請求)

受任者◇◇は、前条の事由が発生した場合に限り、家庭裁判所に対して任意後見監督人の選任請求を行うものとする。

任意後見は、公正証書で契約します。

任意後見契約をしたら、公証人の嘱託で契約内容が登記されます。

登記できる内容は、法律で決められています。

たとえ、任意後見契約で予備的受任者を決めても、登記することができません。

当事者間で契約しても、第三者に対して効力がありません。

②予備的受任者に任意後見監督人を選任の申立てができない

任意後見監督人選任で、任意後見がスタートします。

予備的受任者は登記されていないから、家庭裁判所に任意後見人と認められません。

任意後見契約で予備的受任者を決めておいても、家庭裁判所に対しては効力がありません。

家庭裁判所が任意後見監督人を選任しないから、予備的受任者が任意後見人としてサポートすることはできません。

③三者契約は主任後見人死亡で任意後見終了

任意後見の終了理由は、法律で決められています。

任意後見人が死亡したら、任意後見は終了します。

三者契約で主任後見人が死亡すると、任意後見契約が終了します。

任意後見契約で主任後見人が死亡したときのことを決めても、終了します。

家庭裁判所が予備的受任者を任意後見人に認めない以上、終了させるより方法がないからです。

3任意後見契約で予備的受任者を決めておく工夫

①任意後見人は複数選任できる

任意後見契約は、委任契約のひとつです。

委任契約は、複数の人と契約することができます。

複数の人と任意後見契約をして、任意後見人を複数選任することができます。

②共同代理方式では法定後見を回避できない

任意後見人を複数選任した場合、どのように本人を代理するのか決めておきます。

共同代理方式とは、任意後見人全員が協議のうえ、共同して代理権を行使する方法です。

共同代理の定めがある場合、共同代理の定めが登記されます。

任意後見全員が共同で、代理権を行使します。

任意後見人のうち一人でも欠けると、任意後見が終了します。

共同代理方式では、法定後見に移行するリスクが高まります。

共同代理方式では、法定後見を回避できません。

③権限分掌方式では法定後見を回避できない

権限分掌方式とは、各任意後見人が事務を分担する方法です。

例えば、長男は身上監護、長女は財産管理などです。

各任意後見人は、自分が分担する事務のみ代理権を行使します。

任意後見人のうち一人でも欠けると、担当していた事務を行うことができません。

任意後見全体が機能しなくなるから、法定後見に移行することになるでしょう。

権限分掌方式では、法定後見を回避できません。

④各自代理方式のメリットデメリット

各自方式とは、各任意後見人が単独ですべての事務を代理できる方法です。

各自代理方式のメリットは、次のとおりです。

メリット(1)迅速な対応ができる

各任意後見人が単独で代理できるから、緊急時でも即座に対応できます。

メリット(2)業務分担による負担軽減

任意後見人が複数いるから、各任意後見人の時間的・精神的な事務負担が軽減されます。

メリット(3)代替性の確保

一部の任意後見人が病気や不在などで対応できなくても、他の任意後見人が対応できます。

メリット(4)本人のサポートが継続できる

任意後見人が補充し合うから、本人のサポートが途切れにくくできます。

各自代理方式のデメリットは、次のとおりです。

デメリット(1)意思決定の不一致

任意後見人間で判断が分かれると、本人の利益が損なわれます。

各任意後見人が矛盾した行為や意思表示がされるおそれがあるからです。

例えば、一部の任意後見人は自宅を売却して施設入所、他の任意後見人は自宅を売却せず自宅介護を継続などです。

デメリット(2)情報共有の不徹底による混乱

任意後見人間で情報共有が不徹底だと、重複対応や矛盾した対応が生じがちです。

デメリット(3)信頼関係の維持が困難

本人のサポートを開始すると、サポート方針の違いが表面化します。

任意後見人間の信頼関係が損なわれると、本人の利益より任意後見人の利益を優先しがちです。

デメリット(4)任意後見監督人の負担増

各任意後見人の行為を個別に監督する必要があります。

任意後見監督人の業務が複雑になります。

⑤異なる任意後見人と2つの任意後見契約

任意後見契約は委任契約だから、任意後見人を複数選任できます。

異なる任意後見人と2つの任意後見契約を締結します。

例えば、次のような契約です。

主任任意後見人に長男、予備的任意後見人に長女

第1契約 主任任意後見人長男と通常の任意後見契約

第2契約 予備的任意後見人長女と発効条件付任意後見契約

第2契約で、「長男が死亡、辞任、職務不能になった場合、任意後見監督人選任の申立てをする」条項を明記します。

第1契約と第2契約は、別の契約です。

第1契約と第2契約は、どちらも登記されます。

主任任意後見人と予備的任意後見人は、どちらも任意後見監督人選任の申立てをすることができます。

⑥特約があっても任意後見監督人選任の申立てができる

第2契約で「長男が死亡、辞任、職務不能になった場合、任意後見監督人選任の申立てをする」と定めても、発効条項は登記されません。

発効条項は、家庭裁判所を拘束しません。

発効条項を無視して、任意後見監督人選任の申立てをすることができます。

任意後見監督人が選任されたら、予備的任意後見人もサポートを開始することができます。

⑦費用は倍増

1契約につき約11,000円の公正証書作成基本料がかかります。

第1契約と第2契約があるから、公証人手数料が倍増します。

登記費用や謄本手数料も、それなりに倍増します。

費用面での負担増は、無視できません

4任意後見契約で予備的受任者を決めるときの注意点

注意①登記制度との整合性

三者契約で任意後見契約をすると、予備的受任者の情報や特約は登記されません。

2本契約で任意後見契約をすると、主任任意後見人と予備的任意後見人は同じように登記されます。

登記制度の限界と契約設計の工夫を区別することが重要です。

注意②当事者で合意しても家庭裁判所は拘束されない

「長男が死亡、辞任、職務不能になった場合、任意後見監督人選任の申立てをする」特約を設けても、当事者間の合意に過ぎません。

家庭裁判所は、契約条項に拘束されません。

予備的受任者には、任意後見監督人選任の申立てをする条件を理解してもらうことが重要です。

契約当事者には、本人の意思を尊重する義務があります。

注意③公証人との事前協議が欠かせない

任意後見契約をする場合、契約条項の決め方と登記実務の整合性を確認します。

任意後見契約で予備的受任者を決めるときは、公証人との事前協議が欠かせません。

5任意後見契約を司法書士に依頼するメリット

任意後見契約はあれこれ自分で決められなくなる前に、自分らしい生き方を自分で決めて、自分らしく生きようという制度です。

前向きに生きていくためにみんながサポートしますが、メリットもデメリットもたくさんあります。

ひとりで判断できるうちに、メリットとデメリットを確認して、自分らしい生き方、自分らしい好み、自分らしい趣味を家族や周囲の人と共有しましょう。

特に、不動産は重要な財産であることが多いので、処分や管理についての意見共有は重要です。

任意後見契約をする人は年々増加していますが、多くの方は良く知らない状況です。

任意後見契約をする前から司法書士などの専門家に相談し、その内容を周囲の人と共有しましょう。

任意後見契約の認知度があまり高くなく、契約について誤解や不理解でトラブルを起こしたり、トラブルに巻き込まれたりする事例が多く起きています。

任意後見契約でサポートをお願いする人もサポートをする予定の人も安易に考えず、司法書士などの専門家に相談し、家族と意見共有することをおすすめします。

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