Author Archive
高齢者消除後における不在者財産管理人の限界
1高齢者消除がされても死亡扱いはできない
①法務局の許可を得て戸籍を整理する
相続人調査をすると、戸籍謄本に高齢者消除の許可と記載されていることがあります。
生年月日を確認すると、100歳以上の高齢者であることがほとんどです。
高齢者消除とは、戸籍の整理のための行政措置です。
100歳以上の高齢者が戸籍に記載されているものの死亡の可能性が高い場合に、戸籍から抹消する制度です。
法務局長の許可を得て、市長村長が職権で抹消します。
②高齢者消除は戸籍の整理に過ぎない
高齢者消除は、戸籍整理のための行政措置に過ぎません。
行政上は死亡扱いするけど、法律上は生きている扱いです。
高齢者消除がされても、法律上、死亡扱いはできません。
単に、戸籍の整理をしたに過ぎません。
高齢者消除によって除籍されても、生きている扱いです。
③高齢者消除がされても相続は開始しない
高齢者消除がされても、法律上、生きている扱いです。
生きている扱いだから、相続は発生しません。
高齢者消除の戸籍謄本で、相続手続はできません。
高齢者消除がされても、法律上、死亡扱いはできないからです。
④高齢者消除で代襲相続は発生しない
相続人調査をすると、相続人の戸籍が高齢者消除されていることがあります。
代襲相続とは、相続人になるはずの人が被相続人より先に死亡した場合に子どもや孫が相続することです。
高齢者消除と記載されて除籍されても、代襲相続は発生しません。
高齢者消除と記載されても、生きている扱いだからです。
⑤高齢者消除の戸籍謄本でできない相続手続の具体例
(1)不動産の相続登記
高齢者消除された人が不動産を保有していることがあります。
相続が発生したら、相続登記をします。
高齢者消除の戸籍謄本で、相続登記をすることはできません。
(2)預貯金の名義変更や払戻
相続で預貯金の名義変更や払戻をする場合、死亡の記載がある戸籍謄本が必要です。
高齢者消除の戸籍謄本で、預貯金の名義変更や払戻はできません。
(3)遺産分割協議書の作成
相続人の戸籍が高齢者消除されても、相続人のままです。
高齢者消除がされても、その人は生きている扱いだからです。
高齢者消除された人を含めずに、遺産分割協議を成立させることはできません。
遺産分割協議を成立させることができないから、遺産分割協議書を作成することができません。
2高齢者消除後における不在者財産管理人の限界
①家族が不在者財産管理人制度を望む理由
家族が不在者財産管理人制度を望むのは、制度を大きく誤解しているからです。
具体的には、次の誤解があります。
誤解(1)行方不明者の財産を自由に使える
誤解(2)相続手続よりカンタンな制度
誤解(3)手間と費用をかけたくない
誤解(4)他の人からあれこれ言われなくて済む
実際の不在者財産管理人制度は、行方不明者の利益を守る制度です。
家庭裁判所が関与する厳格な財産管理制度です。
②不在者財産管理人は行方不明の人の財産を管理する人
相続人調査をすると、思いもよらない相続人が見つかることがあります。
被相続人や被相続人の家族と疎遠で、連絡が取れないことが多いでしょう。
不在者財産管理人は、行方不明の人の財産を管理する人です。
不在者財産管理人は、家庭裁判所が選任します。
③不在者財産管理人制度を利用しても死亡扱いできない
不在者財産管理人は、生きている行方不明の人の財産を管理する人です。
不在者財産管理人制度を利用しても、行方不明者は死亡扱いになりません。
不在者財産管理人制度を利用しても、相続は発生しません。
行方不明者は、生きている扱いだからです。
④不在者財産管理人には行方不明者の利益を守る義務がある
不在者財産管理人は、家族からの申立てによって家庭裁判所が選任します。
家族が申立てをしても、不在者財産管理人は家族の代理人ではありません。
不在者財産管理人は、家族の希望をかなえる人ではありません。
不在者財産管理人には、行方不明者の利益を守る義務があるからです。
不在者財産管理人が家族であっても家族以外の専門家であっても、同様の義務があります。
たとえ家族が希望しても、行方不明者の不利益になることは認められません。
⑤家族の希望どおりの遺産分割協議はできない
不在者財産管理人には、行方不明者の利益を守る義務があります。
たとえ家族が望んでも、行方不明者に不利益な遺産分割協議をすることはできません。
行方不明者の相続分を確保できない遺産分割協議は、不利益な遺産分割協議です。
相続税を減らすことができる遺産分割協議であっても、行方不明者に不利益な遺産分割協議はできません。
不在者財産管理人は、家族の希望をかなえる人ではないからです。
⑥財産処分には家庭裁判所の許可が必要
不在者財産管理人は、行方不明の人の財産を処分する権限はありません。
行方不明者の財産を管理する権限しかないからです。
財産を処分するためには、家庭裁判所の許可が必要です。
行方不明者の不利益になる財産処分に、家庭裁判所は許可を出しません。
たとえ家族が望んでも、行方不明者の財産を自由に売却することはできません。
不在者財産管理人は、行方不明者の財産を守る義務があるからです。
家庭裁判所にも、同様に行方不明者の財産を守る義務があります。
家庭裁判所は、財産処分について非常に慎重な審査をします。
維持費が非常に高額であって使い道がない不動産の売却など、許可されるケースは非常に限られています。
不動産の管理が大変だから売却したいなどの理由は、許可されにくい傾向です。
⑦売却代金は不在者財産管理人が管理
家庭裁判所の許可を得て不動産を売却した場合、売却代金は行方不明者の財産です。
売却代金は、家族が自由に使うことはできません。
不在者財産管理人が管理します。
不在者財産管理人は、行方不明者の財産を管理する人だからです。
不在者財産管理人制度を利用すると、家族は自由に財産を使うことができなくなります。
不在者財産管理人制度を利用することは、家庭裁判所の監督下に置かれることです。
⑧不在者財産管理人の任務は継続
相続手続が完了しても、不在者財産管理人の任務は終了しません。
不在者財産管理人の任務は、行方不明者の財産を管理することだからです。
行方不明者が見つかるまで、または死亡が確認されるまで、財産を管理する義務があります。
不在者財産管理人の任務が続く限り、不在者財産管理人に報酬が支払われます。
⑨家族が不在者財産管理人を解任できない
家族が不在者財産管理人を解任したいと、考えるかもしれません。
家族は、不在者財産管理人を解任することはできません。
家族で財産管理をするから辞めてほしいなどの希望は、出せません。
不在者財産管理人を解任できるのは、家庭裁判所です。
家庭裁判所は、正当理由があるときに不在者財産管理人を解任します。
家庭裁判所が認める正当な理由とは、次のような理由です。
・行方不明者に不利益な財産処分をした
・財産を放置して必要な管理行為をしなかった
・家族の利益を優先して行方不明者の財産を減らした
・家族間のトラブルの中心にいる
次のような理由は、正当理由として認められません。
・家族の意向に沿わない
・家族で管理できるから不在者財産管理人は不要
・家族が財産を自由に使いたい
正当理由が認められて解任されても、新しい不在者財産管理人が選任されます。
行方不明者が見つかるまで、または死亡が確認されるまで、財産を管理する義務があるからです。
3不在者財産管理人より失踪宣告が合理的なケースが多い
①高齢者消除された人の生存可能性は非常に低い
高齢者消除とは、極端な高齢者の戸籍と整理する行政措置です。
戸籍に長期間動きがない場合などが高齢者消除の対象です。
極端な高齢者だから、生存の可能性は非常に低いと考えられます。
②失踪宣告で死亡と見なされる
戸籍が高齢者消除されている場合、死亡の可能性が非常に高いと言えます。
失踪宣告とは、行方不明の人を死亡した扱いとするための手続です。
失踪宣告がされたら、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。
行方不明が長期化した場合、家族が困ります。
家族であっても、行方不明の人の財産を処分することができません。
残された家族のために、行方不明者を死亡したものと扱う制度が失踪宣告の制度です。
失踪宣告がされると、死亡した取り扱いをします。
行方不明が長期化した場合、家族が困ります。
家族であっても、行方不明の人の財産を処分することができません。
残された家族のために、行方不明者を死亡したものと扱う制度が失踪宣告の制度です。
失踪宣告がされると、死亡した取り扱いをします。
③不在者財産管理人制度は生きていることが前提
不在者財産管理人は、生きている行方不明の人の財産を管理する人です。
行方不明者が生きていることが前提の制度です。
高齢者消除の対象者は非常に高齢だから、生きていることの前提が揺らぎます。
不在者財産管理人制度と失踪宣告は、制度の目的が全く異なります。
不在者財産管理人制度を利用すると、生きている扱いが続きます。
生きていることが前提だから、不在者財産管理人の任務は終了しません。
④終局的には失踪宣告が必要になる
高齢者消除の対象者は非常に高齢だから、帰ってくる見込みは非常に低いでしょう。
生きている扱いが続く限り、相続は発生しません。
生きている扱いが続く限り、行方不明者の財産は家族が自由にすることはできません。
行方不明の人を死亡扱いにするためには、あらためて失踪宣告の申立てが必要です。
⑤不在者財産管理人制度を選ぶべきケース
・行方不明者が生きている可能性が高い
・財産処分が必要ない
・相続を発生させたくない
・財産を家族で管理するより専門家に管理してもらいたい
⑥失踪宣告を選ぶべきケース
・行方不明者の財産を売却したい
・相続手続を進めたい
・長期間行方不明で帰ってくる見込みがない
・不在者財産管理人制度の負担が重い
・家庭裁判所が財産処分を許可してくれない
⑦家族が納得できたら失踪宣告
失踪宣告は、行方不明者を死亡扱いにする重大な結果があります。
家族にとって、反発や困惑が生じることがあります。
長期間行方不明でも、失踪宣告の申立てをする義務はありません。
長期間行方不明のままになると、家族が困ります。
失踪宣告は、家族の救済手段です。
高齢者消除された場合、法律上は失踪宣告が合理的なケースがほとんどです。
家族の納得のため、費用と手間を覚悟して不在者財産管理人制度を利用するのも選択肢です。
不在者財産管理人制度を利用した後、家族が納得できたら失踪宣告の申立てをすることができます。
4住所が分からない相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット
相続が発生した後、相続手続を進めたいのに住所が分からない相続人や行方不明の相続人がいて困っている人はたくさんいます。
自分たちで手続しようとして、挫折する人も少なくありません。
不在者財産管理人選任の申立てなど家庭裁判所に手続きが必要になる場合などは、専門家のサポートが必要になることが多いでしょう。
裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。
途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。
自分たちでやってみて挫折した人や相続手続で不安がある方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
遺産分割協議書で設定する支払期限の内容
1遺産分割協議で相続財産の分け方を決定する
①相続人全員の合意で遺産分割協議成立
相続が発生したら、相続財産は相続人全員の共有財産です。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定します。
遺産分割協議とは、相続財産の分け方を決めるため相続人全員でする話し合いです。
代表相続人が勝手に遺産分割を決定することはできません。
相続人全員の合意がまとまったら、合意内容を書面に取りまとめます。
②遺産分割協議書は相続人全員の合意内容の証明書
相続人全員による合意内容を取りまとめた書面を遺産分割協議書と言います。
遺産分割協議書は、相続人全員による合意内容の証明書です。
どのような分け方で合意したのか、遺産分割協議書にはっきり書いておきます。
支払期限を決めたら、遺産分割協議書にはっきり書いておきます。
相続人全員による合意内容がはっきりするから、相続人間のトラブルを減らすことができます。
③代償分割で公平な遺産分割
相続財産には、さまざまな種類の財産が含まれます。
不動産は、分けにくい財産の代表例です。
現金は、分けやすい財産の代表例です。
相続財産の大部分が不動産である場合、公平な遺産分割が難しくなりがちです。
不動産は、高価で分けにくいからです。
代償分割とは、一部の相続人が高価な不動産を相続し他の相続人が代償金を受け取る方法です。
代償金は相続分ではなく、調整金です。
代償金で調整するから、公平な遺産分割をすることができます。
2 遺産分割協議書で設定する支払期限の内容
①支払期限は代償金の支払期限
代償分割では、代償金が相続分を調整します。
代償金を支払ってもらえるからこそ、公平な遺産分割が実現します。
公平な遺産分割が実現するため、代償金に支払期限を設定します。
支払期限は、代償金の支払期限です。
遺産分割協議で合意した財産の支払期限ではありません。
遺産分割協議で合意した財産は、だれかが支払うものではないからです。
②自分の相続分はだれかが支払うものではない
遺産分割協議では、各相続人が受け取る財産を決定します。
遺産分割協議で決められた財産は、だれかが支払う財産ではありません。
自動で自分の相続分が支払われると考えるのは、誤解です。
代表相続人が支払う義務は、ありません。
自分の相続分は、原則として自分で相続手続をします。
支払期限を設定するものではありません。
遺産分割協議書は、相続財産の分け方について相続人全員による合意内容の証明書に過ぎません。
待っていても、自動で入金されることはありません。
遺産分割協議書は、相続手続を代表相続人に依頼する契約書ではないからです。
③支払期限があるとトラブル防止になる
代償金の支払期限は、法律上、必須ではありません。
支払期限があると、トラブル防止になります。
代償金の支払いが惜しくなると、支払いを先延ばしします。
支払期限がないと、あれこれと言い訳を始めるからです。
・まだ準備ができていない
・ローンの審査が通ってから支払う
・売却できてから支払う
あれこれと言い訳を始めると、相続人間で不信が募ります。
・約束を守ってくれない
・だまされた
・最初から払う気がなかった
相続人間で、トラブルに発展します。
代償金の支払期限を明確にしておくと、法的整理がはっきりします。
支払期限の翌日から、履行遅滞になります。
遅延損害金の請求が可能になります。
法的手続を進めやすくなります。
④遺産分割協議書に支払期限を書く方法
(1)一括払いの書き方
第〇条
相続人〇〇〇〇は、相続人〇〇〇〇に対し、本件遺産分割に基づく代償金として、金〇〇〇〇万円を令和〇年〇月〇日限り、相続人〇〇〇〇指定の口座に振り込みの方法で支払う。
振込手数料は、相続人〇〇〇〇の負担とする。
(2)遅延損害金を付ける書き方
前項の期限を経過しても支払いがない場合、相続人〇〇〇〇は、期限の翌日から完済に至るまで、年〇%の割合による遅延損害金を支払う。
(3)不動産売却後に支払う書き方
相続人〇〇〇〇は、第〇条の不動産の売却代金から、代償金〇〇〇万円を支払う。
ただし、令和〇年〇月〇日までに売却できない場合であっても、同日限り支払う。
(4)分割払いの書き方
相続人〇〇〇〇は、相続人〇〇〇〇に対し、本件遺産分割に基づく代償金として、金〇〇〇〇万円を次のとおり、分割して支払う。
①令和〇年〇月〇日限り 金〇〇〇万円
②令和〇年〇月〇日限り 金〇〇〇万円
③令和〇年〇月〇日限り 金〇〇〇万円
④令和〇年〇月〇日限り 金〇〇〇万円
⑤令和〇年〇月〇日限り 金〇〇〇万円
期限を1回でも怠ったときは、当然に期限の利益を失い、残額全額を直ちに支払う。
⑤代償金を払ってもらえなくても一方的解除はできない
代償金を払うと合意したのに、代償金の支払いが惜しくなることがあります。
代償の支払いがない場合、遺産分割協議をやり直ししたいと考えるかもしれません。
一般的な売買契約において、代金を支払わない場合、契約を一方的に解除することができます。
遺産分割協議においては、このような一方的な解除制度はありません。
いったん相続財産の分け方について相続人全員で合意した場合、遺産分割協議は終了します。
遺産分割協議が終了した後は、代償を支払う人と受け取る人の問題になります。
金銭を支払う人と受け取る人の話し合いで解決を図ります。
代償金を支払うと約束した人が支払ってくれなくても、相続財産の分け方の合意をなかったことにはできません。
⑥代償金を確実に支払ってもらう方法
(1)支払ってもらえなかった後より事前に対策
代償金を払ってもらえなくても、遺産分割協議は一方的解除はできません。
代償金が支払われなかった場合、最終的には裁判手続になります。
後で対処するより、確実に支払ってもらうように事前対策するほうが重要です。
(2)同時履行で押印と印鑑証明書
代償金の支払いと同時に、遺産分割協議書に押印し印鑑証明書を渡す方法です。
遺産分割協議書に押印し印鑑証明書を添付しないと、相続手続が進められなくなります。
(3)抵当権の設定
抵当権とは、代償の支払いを確実にするため担保に取る権利です。
代償が支払われなかった場合、抵当権を実行することができます。
(4)連帯保証人を立ててもらう
連帯保証人とは、代償の支払いを確実にするため主債務者と同様の返済の義務を負う人です。
代償が支払われなかった場合、連帯保証人に返済を請求することができます。
(5)公正証書で遺産分割協議書
遺産分割協議書は、相続財産の分け方について相続人全員の合意内容を取りまとめた文書です。
一般的に遺産分割協議書は、私文書で作成します。
代償金の支払いを確実にするため遺産分割協議書を公正証書にすることができます。
公正証書で遺産分割協議書を作成した場合、強制執行認諾文言を入れることができるからです。
(6)分割払いの合意には滞納リスクがある
代償金の支払いは、一括払いが一般的です。
相続人が合意できるのであれば、分割払いにすることができます。
代償金の支払いを分割払いにした場合、将来、支払われなくなるリスクがあります。
3自分の相続分は自分で相続手続をする
①相続人全員が他人まかせでトラブル
相続手続には、膨大な手間と時間がかかります。
だれもが他の相続人に任せたいと考えています。
相続人全員が他人まかせにすると、だれも相続手続を進めないでしょう。
代表相続人が相続手続を担っているのは、代表相続人の好意です。
代表相続人の好意に甘えて、相続分の支払いが遅いと不満が出ることがあります。
代表相続人は、都合よく使える便利屋ではありません。
他の相続人全員が代表相続人の好意に甘え続けると、トラブルに発展します。
代表相続人は、相続人全員の相続手続をする義務はないからです。
相続手続の膨大な負担に堪えかねることは、割とよくあることです。
②遺産分割協議で決めておく
遺産分割協議では、財産の分け方だけでなく相続手続の分担についても話し合うといいでしょう。
膨大な手間と時間を担うことを考慮して、財産の分け方を決めておくとトラブル防止になります。
③相続手続は各相続人が自分でできる
遺産分割協議書は、各相続人が1通ずつ保管するのが通常です。
代表相続人に、相続手続をする義務はありません。
各相続人が自分で、相続手続をすることができます。
戸籍謄本一式、遺産分割協議書と印鑑証明書等があれば、通常は相続手続を進めることができます。
④相続手続は専門家に依頼できる
相続手続は、各相続人が自分で進めることができます。
相続手続には、膨大な手間と時間がかかります。
膨大な手間と時間の負担を嫌って、他の相続人まかせにしたくなります。
相続人全員が他人まかせにするから、相続人間でトラブルに発展します。
相続手続は、専門家に依頼することができます。
家族と利害関係がない専門家であれば、相続手続の進捗で家族のトラブルになることはありません。
中立的立場の専門家だから、安心して印鑑証明書を預けることができます。
専門家に支払う報酬は、相続財産である預貯金で清算することができます。
相続財産である預貯金で清算すれば、相続人の痛みが少なく済むでしょう。
専門家は、確実に相続手続を進めることができます。
必要であれば、支払予定などの見通しを尋ねることができます。
代表相続人の好意に甘えるより、相続人全員が安心することができます。
4遺産分割協議書作成を司法書士に依頼するメリット
遺産分割協議書は遺産の分け方について、相続人全員による合意を取りまとめた文書です。
合意がきちんと文書になっているからこそトラブルが防止できるといえます。
書き方に不備があるとトラブルを起こしてしまう危険があります。
せっかくお話合いによる合意ができたのに、取りまとめた文書の不備でトラブルになるのは残念なことです。
トラブルを防止するため、遺産分割協議書を作成したい方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
生前の遺留分放棄は念書に実印でも成立しない
1遺留分は最低限の権利
①遺留分で遺言の自由を調節する
被相続人は、生前自分の財産を自由に処分することができます。
遺言書を作成して、自分の財産をだれに引き継がせるか自由に決めることができます。
遺言者に完全な自由を認めると、一部の相続人に財産を集中させるなど極端な事態が起きます。
被相続人の名義になっていても、財産は家族の生活基盤の一部です。
一方的に生活基盤を奪われると、生活が立ち行かなくなります。
被相続人に近い関係の相続人には、最低限の権利が認められています。
遺留分とは、相続人に認められた最低限の権利です。
遺留分の制度で、遺言の自由を調整しています。
②遺留分が認められる人
相続人になる人は、法律で決められています。
配偶者、子ども、親などの直系尊属、兄弟姉妹です。
遺留分が認められる人は、被相続人に近い関係の相続人です。
具体的には、配偶者、子ども、親などの直系尊属に遺留分が認められます。
兄弟姉妹は相続人になっても、遺留分は認められません。
③遺留分侵害額請求は最低限の権利を回復する救済制度
遺言書などで配分された財産が遺留分に満たない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。
遺留分侵害額請求をすることは、家族に対する裏切り行為ではありません。
最低限の権利を回復する救済制度だからです。
遺留分を奪う行為こそが法の正義に反する行為と言えます。
④生前の遺留分放棄は家庭裁判所の許可が必要
遺留分は、希望すれば放棄することができます。
相続発生前に遺留分を放棄する場合、家庭裁判所の許可が必要です。
遺留分を放棄すると、法律で保障された最低限の権利を失います。
弱い立場の相続人を守るため、家庭裁判所の許可が必要です。
家庭裁判所の許可は、相続人を守る盾と言えます。
2生前の遺留分放棄は念書に実印でも成立しない
①サインしても実印で押印しても念書は無効
遺留分放棄は、放棄する人の自由意志が最重要です。
家族間の合意で、生前の遺留分放棄をすることはできません。
念書にサインしても実印で押印しても、法律上の効力はありません。
念書にサインしても実印で押印しても、相続発生後に遺留分侵害額請求をすることができます。
家族間の合意に、遺留分放棄の効力はないからです。
②家族間の念書はすべて無効
(1)被相続人に念書を書いても無効
被相続人が相続人に遺留分を放棄するように、命令することがあります。
被相続人の命令に、法律上の意味はありません。
被相続人に差し入れた念書は、無効の念書です。
念書があっても、相続発生後に遺留分侵害額請求をすることができます。
(2)相続人間で念書を書いても無効
相続人間で遺留分を放棄すると、合意することがあります。
相続人間の合意に、法律上の効力はありません。
相続人間で取り交わした念書は、無効の念書です。
念書があっても、相続発生後に遺留分侵害額請求をすることができます。
(3)元配偶者が念書を書いても無効
被相続人が離婚する際に、子どもが遺留分を請求しない取り決めをすることがあります。
被相続人と元配偶者の取り決めに、法律上の意味はありません。
被相続人と元配偶者が取り交わした念書は、無効の念書です。
念書があっても、相続発生後に遺留分侵害額請求をすることができます。
③念書・契約書・合意書・誓約書すべて無効
家庭裁判所の許可を得ずに、生前の遺留分放棄はできません。
家族間で念書を作成しても、すべて無効です。
文書の名称は、関係ありません。
念書・契約書・合意書・誓約書すべて無効です。
生前の遺留分放棄には、家庭裁判所の許可が必要だからです。
④念書で生前の遺留分放棄が認められない理由
理由(1)家族間に力関係の差があるから
家族間で決めたから従って当然という主張に、意味はありません。
相続開始前は、家族間に力関係の差があります。
親子関係、扶養関係、生活費の依存関係があるからです。
家族間の力関係によって、自由意思は容易にゆがめられます。
例えば遺留分放棄をしないなら生活費を出さないと言われれば、従わざるを得なくなるでしょう。
自由意思をゆがめるような不当な圧力は、許されません。
家族間の念書では、自由意思がゆがめられるリスクを大きいと言えます。
自由意思がゆがめられたのに、有効な遺留分放棄とは認められません。
理由(2)将来の不確定な利益の包括的放棄だから
生前に遺留分を放棄する場合、放棄する遺留分は将来の不確定な利益です。
相続財産規模が未確定で、債務の有無が未確定で、他の相続人の状況も未確定だからです。
多くの場合、被相続人は自分の財産状況を把握しています。
遺留分放棄をする人は、充分な情報がないでしょう。
適切な判断ができないまま、全面的に将来の利益を放棄することは非常に大きなリスクです。
遺留分を放棄した後に、巨額のプラスの財産があっても覆せません。
適切な判断ができないのに、取り返しがつかない損失を確定させるリスクがあります。
理由(3)遺留分制度が形骸化するから
遺留分の制度は、相続人に最低限の権利を保障する制度です。
念書で容易に遺留分を放棄させることができるなら、遺留分制度が崩壊します。
弱い立場の相続人から最低限の権利を奪うことは、許されません。
家庭裁判所の許可は、立場の弱い相続人を守る盾です。
相続人を守る盾がないから、家族間の合意による遺留分放棄は許されません。
理由(4)遺留分には生活保障の性質があるから
遺留分は、単なる財産権ではありません。
生活保障の性質があるからです。
遺留分の制度は、被相続人による処分の自由と相続人の生活保障を調節する制度です。
相続人の生活保障だから、当事者の合意だけで処分することは許されません。
念書などで容易に処分できるとすると、生活保障による保護機能が失われるからです。
理由(5)家庭裁判所の許可が効力要件だから
遺留分の放棄には、家庭裁判所の許可が必要です。
家庭裁判所の許可は、遺留分放棄の効力発生要件です。
家族間の念書には、家庭裁判所の許可がないでしょう。
家庭裁判所の許可なしで、遺留分放棄に効力が発生しません。
⑤家庭裁判所の許可は立場の弱い相続人を守る盾
家庭裁判所の許可なしで、遺留分放棄は認められません。
家庭裁判所の許可は、立場の弱い相続人を守る盾です。
遺留分を放棄するように言われたとき、立場の弱い相続人は自力で抵抗できません。
家庭裁判所は盾となって、次の客観的基準を守ります。
・遺留分放棄をする人の自由意思があること
・遺留分制度を充分理解していること
・生活保障の確保
・合理性や必要性
家庭裁判所は被相続人の自由のためではなく、相続人の保護を重視して判断します。
上記の基準が守られていない場合、遺留分放棄は許可されません。
家族間の念書で遺留分放棄を認めないのは、上記の基準が守られないからです。
家庭裁判所による盾で守られるから、立場の弱い相続人は攻撃されっぱなしにならずに済みます。
⑥家族の都合だけで家庭裁判所は許可しない
家庭裁判所の許可制度は、遺留分制度の守るべきラインを示す仕組みです。
家庭裁判所の許可制度があることで、遺留分制度を空洞化する場面に自然と歯止めがかかります。
・親が望んでいるから
・兄弟で話しあったから
・家族のためだから
家族の中では、上記の言葉が強い力を持ちます。
家族の希望は、法律上の効力と無関係です。
家族の事情や家族間の感情より、相続人の保護が優先されます。
家庭裁判所は、合理的な客観的基準を重視します。
家庭裁判所が重視する客観的基準は、遺留分放棄が本当に本人の意思に基づくものなのか確認するために不可欠です。
家庭裁判所は感情を裁くのではなく、合理性と公平性を確認するからです。
家族内で当然と思っていたことや暗黙の圧力が客観化されます。
一部の相続人による犠牲的判断が白日の下に出されます。
家庭裁判所の許可制度は、家族という閉じた空間の論理を法の外部基準で検証する装置です。
家族の事情や家族間の感情だけでは、基準を満たすことはできません。
家族の事情や家族間の感情だけで、家庭裁判所は遺留分放棄を許可しません。
3念書を書かせること自体がトラブルを招く
①無効な念書は後で覆される
生前に遺留分放棄の念書にサインして実印を押しても、無効の念書です。
相続が発生した後に、遺留分侵害額請求をすることができます。
遺留分放棄の念書にサインして実印を押したと主張しても、遺留分侵害額請求を拒否することができません。
家庭裁判所の許可がない念書は、後から覆されます。
生前に遺留分放棄の念書にサインして実印を押しても、法的拘束力はないからです。
②無効な念書が認識のずれを増幅する
無効な念書があっても、遺留分侵害額請求ができるのは当然です。
無効な念書があるから、裏切られたと感じます。
遺留分侵害額請求をする人と受ける人の認識が大きくずれます。
無効な念書があるからこそ、認識のずれが大きくなります。
無効な念書に基づく認識のずれが深刻なトラブルを招きます。
③無効な念書は自由意思をゆがめた証拠になる
家庭裁判所は、家族間の力関係を非常に慎重に審査します。
遺留分放棄の許可を得ようとした際に、無効な念書が証拠として提出されることがあります。
家庭裁判所からは、自由意思をゆがめた証拠に見えるでしょう。
無効の念書は、家族間の圧力の証拠です。
自由意思をゆがめた証拠を前に、家庭裁判所は遺留分放棄を許可しません。
④無効な念書は家族の都合で決めようとした証拠になる
家庭裁判所の許可制度は、家族の感情や家族間の事情だけで決められないことを示す鏡です。
無効の念書は、家族の感情や家族間の事情だけで決めようとした証拠に見えます。
無効の念書は家庭裁判所の鏡に照らされて、家族の身勝手さをさらけ出します。
家族の都合で決めようとした行為は、立場の弱い相続人から盾を奪い無防備にする行為です。
家族間の圧力の痕跡を前に、家庭裁判所は遺留分放棄を許可しません。
⑤安心したいなら遺留分に配慮するしかない
念書を書かせても、家族は安心できません。
家族間の話し合いをしても、家族は安心できません。
安心できるのは、遺留分に配慮したときのみです。
遺留分に配慮した財産配分だから、トラブルを回避することができます。
遺留分に配慮した財産配分だから、家族関係が壊れません。
4遺言書作成を司法書士に依頼するメリット
被相続人は、原則として、自分の財産をだれに受け継がせるかは自由に決めることができます。
自由に決めることができるものの、完全に自由に決めることができるわけではありません。
遺留分を侵害するような遺言書である場合、相続発生後に大きなトラブルになりかねません。
侵害された相続人は遺留分侵害額請求をすることができます。
遺留分を侵害するような遺言書である場合、遺言書自体が無効だと主張されるおそれがあります。
遺言書自体が無効だと主張される場合、多くは修復困難な家族のもめごとになるでしょう。
あえてトラブルになる遺言書に固執するより遺留分を侵害しない遺言書を作成した方が現実的です。
家族のトラブルを減らすためには、遺留分を侵害しない遺言書を作成する方が有効です。
家族の幸せを思って遺言書を作成したいと考えるのであれば司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
特別縁故者の判断基準と認められる人の共通点
1特別縁故者に財産が分与される
①相続人になる人は法律で決まっている
相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。
だれが相続人になるかについては、民法で決められています。
②相続人不存在なら国庫帰属
相続人になる人は、法律で決まっています。
相続人がまったくいない天涯孤独の人がいます。
相続人はいるけど、相続放棄をすることがあります。
家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、はじめから相続人でなかったと扱われます。
相続人が不存在の場合、相続財産は国庫に帰属します。
③特別縁故者に対する財産分与は家庭裁判所の判断
特別縁故者とは、被相続人に特別な縁故があった人です。
相続財産を国庫に帰属させるより、特別な縁故にあった人に分与した方が適切なことがあります。
相続人不存在である場合、家庭裁判所に対して特別縁故者財産分与の申立てをすることができます。
特別縁故者に認められる要件は、次のとおりです。
(1)生計を同じくしていた人
(2)被相続人の療養看護につとめた人
(3)その他被相続人と特別な関係にあった人
家庭裁判所の判断で、特別縁故者に対して相続財産が分与されます。
特別縁故者に対する財産分与は、家庭裁判所が客観的な証拠に基づいて判断します。
客観的な証拠を充分に準備できないと、強い思いがあっても認められません。
④相続人がいると特別縁故者は認められない
特別縁故者に対する財産分与は、例外的な制度です。
相続人がいる場合、相続財産は相続人が相続します。
たとえ被相続人に特別な縁故があったとしても、相続人がいれば特別縁故者として認められることはありません。
2特別縁故者の判断基準と認められる人の共通点
①家庭裁判所が特別縁故者を判断するときの基本姿勢
(1)形式よりも実質的な生活関係を重視する
特別縁故者に認められる人は、親族であることも親族でないこともあります。
家庭裁判所は、形式よりも実質的な生活関係を重視します。
親族であるか親族でないかは、あまり重視されません。
重要なのは、被相続人の生活をどれだけ支え密接な関係をどれだけ築いていたかです。
家族同然の実態があれば、血縁よりも高く評価されます。
(2)個別事情を最大限考慮する
特別縁故者に対する財産分与は、例外的な制度です。
特別縁故者に認められるか、一律に判断することはできません。
特別縁故者の判断は、ケースごとに事情が大きく異なるためです。
特別縁故者に認められるか、次の事情を考慮します。
・共同生活の密度
・精神的な結びつき
・生活の依存度
・金銭的援助の有無
・介護の内容・期間
・被相続人の意思
家庭裁判所は、上記の内容を総合的に判断します。
その人を例外的に扱う合理性があるか、慎重に判断します。
(3)被相続人の意思を尊重する
遺言書を作成する人は、あまり多くはありません。
家庭裁判所は、被相続人の生前の言動を非常に重視します。
被相続人が遺言書の作成を検討していた場合、遺言書の内容は重要な資料になります。
被相続人の意思が読み取れる場合、特別縁故者として認める方向に傾きやすいからです。
(4)財産分与は恩恵でなく公平の回復
特別縁故者に対する財産分与は、家庭裁判所による恩恵ではありません。
被相続人の生活を支えてきた分は、本来だったら報われるべきと考えられます。
特別縁故者に対する財産分与は、報われるべき公平を後から調整する制度です。
公平の観点から、その人が支えてきた分を回復します。
(5)特別縁故者の認定は慎重姿勢
家庭裁判所の出発点は、相続人以外の人は受け取れない原則です。
例外を認めるのに、ふさわしい特別な縁故が必要です。
例外的な制度だから、特別縁故者の認定には非常に慎重です。
例外的な制度だから、分与する相続財産は必要最小限です。
自分は受け取れるはずと考えている申立人とは、出発点が違うと言えます。
国庫帰属の原則を崩すことが第三者から見ても適切であるのか、非常に慎重に判断します。
家庭裁判所は、申立人の人生や努力を評価しません。
特別縁故者に認めるのは、国庫に帰属される原則を崩す合理性があるかを評価します。
②主張より客観的証拠により判断
家庭裁判所は、特別縁故者の認定に慎重姿勢です。
申立人が自分は特別縁故者だと主張しただけで、認められることはありません。
国庫帰属より自分が受け取るほうが公平という感覚は、家庭裁判所の判断基準にありません。
原則を崩す合理性を第三者目線で評価するからです。
国庫に帰属するはずの財産を例外的に分与するから、特別扱いする合理性が必要です。
特別扱いする合理性が第三者にも分かる形で、明確に示される必要があります。
申立人の主張が客観的事実と一致しているのか、客観的証拠で確認します。
家庭裁判所は、主張より客観的証拠を重視します。
被相続人に特別な縁故があることを客観的証拠で確認したいからです。
③生計同一と判断されるための評価ポイント
ポイント(1)生活費の負担状況は最重要
生計同一とは、生活費が一体化していることです。
家庭裁判所は、お金の流れを客観的証拠で確認します。
・食費・光熱費・家賃などを共同で支払っていた
・一方が生活費の大部分を負担していた
・銀行口座の出入りが生活共同を示している
上記の事情を客観的に立証できると、特別縁故者に認められやすくなります。
ポイント(2)同居の実態がある
同居の実態とは、生活空間を共有していたことです。
住民票だけで形式的に判断せず、実質を重視します。
・同じ家に住んでいた期間
・寝食を共にしていた事実
上記の事情を客観的に立証できると、特別縁故者に認められやすくなります。
ポイント(3)家事や生活支援の実態
生計同一には、生活の相互扶助も含まれます。
金銭面だけでなく、一体として生活を営んでいたか評価されます。
・食事の準備、掃除、洗濯などを互いに行っていた
・通院付き添い、買い物、日常生活の支援
・被相続人が申立人の支援に依存していた
上記の事情を客観的に立証できると、特別縁故者に認められやすくなります。
ポイント(4)収入・支出の依存関係
家庭裁判所は、被相続人が申立人に依存していたか重視します。
・被相続人が無収入または低収入で、申立人の援助が不可欠だった
・申立人の収入で生活が成り立っていた
上記の事情を客観的に立証できると、特別縁故者に認められやすくなります。
ポイント(5)被相続人の意思
生計同一の背景に、被相続人の意思があるか確認されます。
被相続人の意思の存在は、生計同一の実態を補強する強力な要素だからです。
④療養看護につとめたと判断されるための評価ポイント
ポイント(1)看護・介護の量が最重要
家庭裁判所は、看護・介護の量を客観的証拠で確認します。
療養看護につとめたと判断されるためには、様子見のお見舞いでは不足です。
・毎日またはほぼ毎日
・数年単位の長期間に及ぶ
・入院中も頻繁な付き添い
上記の事情を客観的に立証できると、特別縁故者に認められやすくなります。
ポイント(2)看護・介護の質が最重要
家庭裁判所は、看護・介護の量を客観的証拠で確認します。
療養看護につとめたと判断されるためには、単なるお手伝いでは不足です。
被相続人の生活維持に不可欠な看護や介護であることが重視されます。
・排泄介助、入浴介助、食事介助など身体介護
・夜間の見守り
・医師の指示に基づく医療的ケア
・認知症の対応など精神的負担の大きいケア
上記の事情を客観的に立証できると、特別縁故者に認められやすくなります。
ポイント(3) 看護・介護の中心的人物であること
家庭裁判所は、看護・介護の中心的人物であることを重視します。
申立人が中心的人物として被相続人を支えていたことは、決定的評価ポイントです。
・他に介護者がいない、または申立人が中心だった
・親族がいても、実際に介護していたのは申立人だった
・介護サービスを利用していても、申立人が全体を支えていた
上記の事情を客観的に立証できると、特別縁故者に認められやすくなります。
ポイント(4)医療機関・介護施設との関与
療養看護は、家庭内だけではありません。
医療・介護の現場で、家族同然に動いていたかが評価されます。
・入院中の洗濯、食事補助、身の回りの世話
・医師・看護師との連絡調整
・退院後のケアプラン調整
上記の事情を客観的に立証できると、特別縁故者に認められやすくなります。
ポイント(5)看護・介護のために申立人が払った負担
家庭裁判所は、申立人がどれだけ自分の生活を犠牲にしたか客観的証拠で確認します。
自分の生活を犠牲にして被相続人の生活を支えた事情は、決定的評価ポイントです。
⑤被相続人と特別な関係にあったと判断されるための評価ポイント
ポイント(1)被相続人との精神的な結びつきの深さが最重要
家庭裁判所は、家族同様の精神的な結びつきを重視します。
被相続人と特別な関係にあったと判断されるためには、単なる親友では不足です。
・長年にわたる深い信頼関係
・互いに相談し合う関係
・被相続人が申立人を“家族同然”に扱っていた
・申立人が被相続人の精神的支柱になっていた
上記の事情を客観的に立証できると、特別縁故者に認められやすくなります。
ポイント(2)生活上の密接な関与
生活上の密接な関与とは、生活の中で不可欠な存在であることです。
・日常的に生活を助けていた
・生活の相談役・実務の代行役であった
・被相続人が申立人に生活の多くを依存していた
上記の事情を客観的に立証できると、特別縁故者に認められやすくなります。
ポイント(3)被相続人の生前の言動
家庭裁判所は、被相続人の意思を尊重します。
被相続人の意思を客観的に立証できると、特別な関係の評価が一気に高まります。
ポイント(4)経済的・時間的な支援の実態
家庭裁判所は、精神的な結びつきだけでなく実際の支援行動を重視します。
支援の実態が立証できると、特別な関係として認められやすくなります。
・金銭的援助
・重要な支払いの代行
・生活支援のための時間的負担
上記の事情を客観的に立証できると、特別縁故者に認められやすくなります。
ポイント(5)長期間にわたる継続性
長期間にわたる継続性は、特別な関係の根拠になります。
・数年単位の継続性
・生活の節目ごとに関わっていた
・被相続人の老後を通して支えていた
上記の事情を客観的に立証できると、特別縁故者に認められやすくなります。
⑥複数のポイントの重なりで評価される
家庭裁判所は、一つの事情だけで判断しません。
単に同居していただけ単に介護していただけでは、認められません。
特別縁故者と認めるか、総合評価するからです。
上記ポイント全部をまんべんなく、客観的証拠で示すことが重要です。
上記ポイント全部を客観的に示せないと、認められるのは難しくなります。
⑦特別縁故者に認められない典型例
ケース(1)相続人がいる
特別縁故者は、相続人不存在のときに認められる例外的な制度です。
疎遠であっても相続人がいる場合、特別縁故者に認められません。
ケース(2)死後の縁故のみ
特別縁故者は、被相続人の生前に特別な縁故があった人です。
被相続人の死亡後に葬儀や祭祀を行っても、生前に縁故があったとは言えません。
死後の縁故のみの場合、特別縁故者に認められません。
3特別縁故者に認められるハードルは高い
①形式的な証拠は集めやすい
形式的な証拠は、比較的準備しやすい証拠です。
例えば、次の証拠です。
・同居の有無を示す住民票
・入院・通院の付き添い記録
・生活費の振込記録
・家賃や光熱費等の支払い記録
上記は、生活の一部です。
被相続人の死亡後であっても、比較的準備しやすい証拠です。
準備しやすい証拠だけでは、決定打とはなりません。
評価ポイント全部を網羅する証拠が必要だからです。
②実質を裏付ける証拠は集めにくい
(1)日常生活の行為は証拠が残らない
家庭裁判所は、共同生活の密度や生活の依存度を重視します。
共同生活の密度や生活の依存度は、日常生活の行為そのものです。
日常生活の中で行っていたことを客観的に分かる形で、残すことは困難です。
現実にも、やっていたことは事実なのに証明できないという結果になります。
(2)精神的な支えあいは証拠化が難しい
家庭裁判所は、精神的な結びつきや支えあいを重視します。
深い信頼関係があったことは、客観的な証拠にしにくいものです。
家族同然だったなどの当事者の主張だけでは、客観的に認められにくいと言えます。
(3)被相続人の意思が残っていない
家庭裁判所は、被相続人の意思を尊重します。
被相続人の意思は、遺言書以外で示されることはほとんどないでしょう。
③例外的制度だから家庭裁判所は慎重姿勢
特別縁故者に財産を分与するのは、例外です。
例外だから、家庭裁判所は非常に慎重な姿勢で判断します。
当事者の主張だけでなく、客観的な証拠によって厳格に判断します。
4特別縁故者に期待するより遺言書を作成して遺贈
遺言書を作成して、自分の死後だれに財産を引き継がせるか自由に決めることができます。
遺贈とは、相続人や相続人以外の人に財産を引き継がせることです。
特別縁故者に認められるか、家庭裁判所が判断します。
家庭裁判所は、非常に慎重な姿勢で判断します。
多大な貢献があっても充分な証拠が準備できないと、特別縁故者に認められません。
特別縁故者に認められるハードルは、非常に高いと言えます。
多大な貢献は、被相続人自身が一番分かっているはずです。
多大な貢献に報いるため、遺言書を作成して遺贈することがおすすめです。
5遺言書作成を司法書士に依頼するメリット
遺言書は、被相続人の意思を示すものです。
自分が死んだことを考えたくないという気持ちがあると、抵抗したくなるかもしれません。
民法に遺言書を作ることができるのは、15歳以上と定められています。
遺言書を作成すれば、法定相続人や法定相続人以外の人に財産を引き継ぐことができます。
遺言書があって遺言執行者がいれば、相続手続はおまかせできます。
遺言者にとっても財産を受け取る人にとっても、安心です。
相続人がいない場合、想像以上に手間と時間がかかります。
手間と時間をかけても、確実に財産を引き継ぐことができるわけではありません。
お互いを思いやる方は、遺言書作成を司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
兄弟姉妹死亡で甥姪相続の法定相続情報一覧図
1兄弟姉妹が死亡して甥姪が相続人になる
①相続人になる人は法律で決められている
相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。
だれが相続人になるかについては、民法で決められています。
相続人になる人は、次のとおりです。
(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。
(1)配偶者は、必ず相続人になる
(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども
(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属
(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹
②異父兄弟・異母兄弟が相続人になる
兄弟姉妹が相続人になると聞くと、父母が同じ兄弟姉妹のみを想像しがちです。
相続人になる兄弟姉妹には、父母の一方のみが同じ兄弟姉妹も含まれます。
異父兄弟・異母兄弟がいるか、客観的に証明します。
客観的に証明するとは、戸籍謄本を準備することです。
戸籍には、その人の身分関係がすべて記録されているからです。
異父兄弟は、被相続人の母の出生から死亡までの連続した戸籍謄本で確認することができます。
異母兄弟は、被相続人の父の出生から死亡までの連続した戸籍謄本で確認することができます。
兄弟姉妹が相続人になるときは、たくさんの戸籍謄本が必要になります。
③兄弟姉妹が先に死亡したら甥姪が代襲相続人
相続人になるはずだったのに、兄弟姉妹が被相続人より先に死亡することがあります。
兄弟姉妹が被相続人より先に死亡したら、甥姪が相続人になります。
兄弟姉妹相続でも、代襲相続が発生するからです。
代襲相続とは、相続人になるはずだったのに被相続人より先に死亡したから子どもなどが相続することです。
兄弟姉妹相続では、代襲相続は一代限りです。
甥姪が被相続人より先に死亡しても、甥姪の子どもは代襲相続できません。
兄弟姉妹が先に死亡したら、兄弟姉妹の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を準備します。
甥姪の存在は、兄弟姉妹の出生から死亡までの連続した戸籍謄本で確認することができるからです。
2兄弟姉妹死亡で甥姪相続の法定相続情報一覧図
①法定相続情報一覧図とは家系図型の公的証明書
法定相続情報一覧図は、家系図型で作成するのが一般的です。
相続関係が一目で分かるから、とても便利です。
法定相続情報一覧図とは、家系図型の公的証明書です。
法定相続情報一覧図は公的証明書だから、たくさんの戸籍謄本等と同じ効力があります。
法定相続情報一覧図は公的証明書だから、厳格な書き方ルールに従う必要があります。
②死亡した兄弟姉妹は被代襲者と記載する
被相続人より先に兄弟姉妹が死亡した場合、兄弟姉妹は相続人ではありません。
被相続人より先に死亡した兄弟姉妹は、氏名を記載することはできません。
「被代襲者」と記載して、死亡年月日を記載します。
被相続人より先に兄弟姉妹が死亡した場合、甥姪が代襲相続人です。
法定相続情報一覧図は、甥姪の氏名を記載します。
③兄弟姉妹相続では「父」「母」を記載する
兄弟姉妹相続の場合、親などの直系尊属は被相続人より先に死亡しているはずです。
法定相続情報一覧図には、相続人でない人を記載できないのが原則です。
兄弟姉妹が相続人になる場合、父母両方が同じ兄弟姉妹と父母一方のみ同じ兄弟姉妹は異なる取扱いがされます。
父母両方が同じ兄弟姉妹と父母一方のみ同じ兄弟姉妹を区別できるほうが便利です。
法定相続情報一覧図には、「父」「母」と記載することができます。
父母の具体的な氏名や生年月日、死亡年月日を記載することはできません。
父母の具体的な氏名などを記載した場合、書き直しになります。
④2枚以上に渡る一覧図を作ることができる
相続人がたくさんいる場合、1枚に書き切れないことがあります。
1枚で書き切れない場合、複数枚で作成することができます。
1/2、2/2と書いて複数枚であることを明示します。
書き切れない相続関係に「2/2の①に続く」と書いておくと分かりやすいでしょう。
⑤数次相続は1枚にまとめることができない
相続が発生したときには元気だった兄弟姉妹が相続手続中に死亡することがあります。
数次相続とは、相続が発生したときには元気だった相続人が相続手続中に死亡して新たな相続が発生することです。
代襲相続では、被相続人より先に兄弟姉妹が死亡しています。
数次相続では、被相続人より後に兄弟姉妹が死亡しています。
法定相続情報一覧図があると、相続関係が一目で分かるからとても便利です。
数次相続が発生した場合、1通の法定相続情報一覧図にまとめることはできません。
相続発生時に元気だった相続人は、法定相続情報一覧図には生きている扱いで記載します。
法定相続情報一覧図を作成する時点で死亡していても、死亡日を記載することができません。
⑥数次相続は相続関係説明図で補足
法定相続情報一覧図は、公的書類にふさわしい厳格な書き方ルールがあります。
複数の相続が発生したのに、1通の法定相続情報一覧図にまとめることはできません。
数次相続が発生した場合、被相続人ごとに法定相続情報一覧図を作成します。
複数の法定相続情報一覧図があると、相続手続が混乱しがちになります。
相続手続先のため、相続関係説明図に取りまとめると親切です。
相続関係説明図は、家系図型の説明資料です。
法務局が認証する公的書類ではありません。
相続関係説明図は、分かりやすく自由に書くことができます。
数次相続が発生したら、相続関係説明図で補足説明をすると親切です。
3兄弟姉妹死亡で甥姪相続で必要になる戸籍謄本
①法務局は戸籍謄本を集めてくれない
兄弟姉妹相続で相続手続をする場合、戸籍謄本の収集が最初の難関です。
兄弟姉妹相続では、大量の戸籍謄本が必要になるからです。
法定相続情報一覧図を提出した場合、あらためて戸籍謄本を提出する必要がありません。
難関の戸籍謄本の収集から逃れられると、感じるかもしれません。
法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をする際に、法務局に大量の戸籍謄本を提出しなければなりません。
法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をしても、法務局は戸籍謄本を集めてくれません。
法定相続情報一覧図があると、相続手続先の事務負担が大幅に削減されます。
法定相続情報一覧図があっても、相続人の事務負担が大幅に削減されるわけではありません。
②法定相続情報一覧図で準備する戸籍謄本
(1)被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
兄弟姉妹が相続人になる場合、被相続人には子どもがいないはずです。
被相続人に子どもがいないことは、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本で証明します。
(2)父の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
(3)母の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
兄弟姉妹が相続人になる場合、父母両方が同じ相続人のみではありません。
父母一方のみが同じ兄弟姉妹も、相続人になります。
父母一方のみが同じ兄弟姉妹も相続人になるから、父母両方の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要です。
(4)先に死亡した兄弟姉妹の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
相続人になるはずだった兄弟姉妹が先に死亡した場合、甥姪が代襲相続人になります。
甥姪をもれなく確認するため、死亡した兄弟姉妹の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を準備します。
(5)相続人の戸籍謄本
相続人になるのは、相続が発生した時点で生きている人のみです。
相続人になる人が生きていることを証明するため、相続人の戸籍謄本を用意します。
③古い戸籍謄本を再利用できる
法定相続情報一覧図の保管および交付の申出では、たくさんの戸籍謄本を準備する必要があります。
法務局に提出する戸籍謄本に、有効期限はありません。
古い戸籍謄本を再利用して、法定相続情報一覧図の保管および交付の申出をすることができます。
兄弟姉妹が相続人になる場合、親などの直系尊属は死亡しているはずです。
親などの直系尊属が死亡したときに、相続手続をしているでしょう。
親の相続手続で使った古い戸籍謄本を再利用することができます。
兄弟姉妹が先に死亡して甥姪が代襲相続をする場合、兄弟姉妹の相続手続をしているでしょう。
兄弟姉妹の相続手続で使った古い戸籍謄本を再利用することができます。
④兄弟姉妹の戸籍謄本は広域交付を利用できない
戸籍謄本は、本籍地の市区町村役場に請求するのが原則です。
戸籍謄本は広域交付とは、条件に当てはまるとき本籍地以外の市区町村役場で戸籍謄本を取得できる制度です。
戸籍謄本の広域交付が利用できる条件は、次のとおりです。
条件(1)請求人と配偶者、請求人の直系血族の戸籍謄本
条件(2)請求人が窓口請求
兄弟姉妹相続では、大量の戸籍謄本が必要になります。
被相続人の父母は、相続人の父母であることが多いでしょう。
請求人の父母は、請求人の直系血族です。
請求人の直系血族の戸籍謄本は、戸籍謄本の広域交付の対象です。
被相続人の父母の出生から死亡までの連続した戸籍謄本は、広域交付で取得することができます。
請求人の兄弟姉妹は、請求人の直系血族ではありません。
被相続人や他の相続人の戸籍謄本は、戸籍謄本の広域交付の対象外です。
原則どおり、本籍地の市区町村役場に請求する必要があります。
⑤郵送請求は手間と時間がかかる
(1)請求書類の書き直しができない
戸籍謄本は、郵送請求することができます。
本籍地が遠方である場合、郵送請求すると便利です。
郵送請求は、窓口請求と比べて慎重に手続をする必要があります。
窓口で相談しながら、請求書類を書き直すことができないからです。
請求書類が適切に作成できなければ、市区町村役場から電話連絡があります。
電話連絡に対応できなければ、請求書類は送り返されるでしょう。
(2)手数料は定額小為替で納入
戸籍謄本を発行してもらうためには、手数料を支払う必要があります。
窓口請求する場合、その場で現金で支払うことができます。
郵送請求をする場合、現金で支払えません。
あらかじめ定額小為替を購入して、納入します。
(3)返信用封筒と切手を同封
郵送請求をする場合、返信用封筒と切手を同封します。
返信用封筒には、返送先を記載しておきます。
4最初に相続登記と法定相続情報一覧図同時申請が合理的
①最初に相続登記がスムーズ
相続登記は、相続手続の中でも難しい手続です。
すぐに売却する予定がなければ、先延ばししがちです。
相続手続をスムーズにするには、最初に相続登記をするのがおすすめです。
相続登記では、たくさんの書類を準備する必要があります。
たくさんの戸籍謄本や遺産分割協議書、印鑑証明書などです。
相続手続のほとんどで、同じ書類が必要になります。
最初に相続登記をすると、戸籍謄本の収集や遺産分割協議書の作成は司法書士におまかせできます。
司法書士が準備して法務局が目を通した書類に、不備はほとんどありません。
相続手続先であれこれ指摘される心配は、大幅に減ります。
②相続登記と法定相続情報一覧図同時申請が合理的
相続登記と法定相続情報一覧図は、同時申請をすることができます。
相続登記と法定相続情報一覧図は、どちらも必要書類が共通しています。
相続登記と法定相続情報一覧図は、どちらも申請先である法務局が共通しています。
相続登記と法定相続情報一覧図は、どちらも司法書士に依頼することができます。
相続登記と法定相続情報一覧図をまとめて、司法書士に依頼するのが合理的です。
③広域交付対象外の戸籍謄本だけ依頼するとコスパがいい
法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をしても、法務局は戸籍謄本を集めてくれません。
広域交付対象の戸籍謄本は、知識がなくても自分で取得できることが多いでしょう。
戸籍謄本の郵送請求は、手間と時間がかかります。
戸籍謄本の取得は、司法書士に依頼することができます。
自分で取得できる戸籍謄本は自分で取得して、手間と時間がかかる戸籍謄本はおまかせできます。
自分で取得できる戸籍謄本は自分で取得しているから、コストを抑えることができるでしょう。
広域交付対象外の戸籍謄本だけ依頼すると、コストパフォーマンスが良くなります。
5法定相続情報一覧図の作成を司法書士に依頼するメリット
法定相続情報一覧図は、後に登記官が認証文を付して交付されるので、書き方が厳格に決まっています。
法定相続情報一覧図と似たものに、相続関係説明図があります。
相続関係説明図は、登記官が点検をするものではなく、単なる事情説明の書類に過ぎませんから、比較的自由に書くことができます。
これらの違いを理解して、ポイントを押さえて書くことが重要です。
相続手続が少ない場合など、法定相続情報一覧図を作るまでもないこともあるでしょう。
逆に、銀行口座をたくさん持っているなど、相続手続をする手続先が多い場合は、法定相続情報一覧図は大変便利です。
前提として、戸籍収集や遺産分割のための話し合いもあります。
お仕事や家事で忙しい方はこのような手続きはすべてお任せいただけます。
すみやかな手続を考えている方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
相続放棄で借金があるか分からない不安の現実
1借金があるか分からない不安は合理的警戒
①プラスの財産とマイナスの財産両方を相続する
相続が発生したら、被相続人の財産は相続人が相続します。
相続財産というと、プラスの財産だけイメージしがちです。
プラスの財産だけでなくマイナスの財産も、相続財産に含まれます。
例えば、次の財産は相続財産です。
・銀行からの借入れ
・クレジットカード債務
・未払の税金
・家賃などの滞納
・連帯保証債務
・奨学金
・飲食店のツケ
・友人間の貸し借り
②財産状況を共有していない
被相続人の財産状況をすべて共有する家族は、ほとんど存在しません。
被相続人の経済活動も、共有していないことが多いでしょう。
借金があることを家族に秘密にすることは、割とよくあります。
債務者が死亡しても、金融機関などの債権者は死亡の事実を知ることができません。
たとえ死亡の事実を知っても、積極的に債権があることを通知しません。
借金があるか分からないのは、当然と言えます。
③相続放棄には3か月の期限がある
相続が発生したら、相続人は相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。
相続放棄を希望する場合、家庭裁判所に対して相続放棄の申立てをします。
相続放棄には、期限があります。
相続があったことを知ってから、3か月です。
相続があったことを知ってから3か月以内を経過したら、相続放棄は認められません。
3か月の期間内に、相続を単純承認するか相続放棄をするか判断する必要があります。
3か月の期限があるから、借金があるか分からない不安は合理的警戒です。
④相続財産を利用処分すると単純承認
相続財産は、相続人が相続します。
相続放棄をすると、はじめから相続人でなくなります。
相続財産を利用処分すると、単純承認になります。
家庭裁判所で相続放棄が認められた後でも、無効になります。
相続財産を利用処分することは、単純承認を前提とする行為だからです。
相続財産を利用処分すると、相続放棄はできません。
2 相続放棄で借金があるか分からない不安の現実
①相続放棄は各相続人が自分で判断
相続を単純承認するか相続放棄をするか、各相続人が自分で判断します。
連絡が取れない相続人がいても、相続放棄をすることができます。
相続放棄をするにあたって、他の相続人の同意や承諾は不要だからです。
他の相続人の協力がなくても、自分の責任で選択することができます。
相続を単純承認しても、他の相続人からあれこれ言われる筋合いはありません。
相続放棄をしても、他の相続人からあれこれ言われる筋合いはありません。
単純承認も相続放棄も、各相続人が自分で判断する事柄だからです。
②相続人は単独で相続財産調査ができる
相続を単純承認するか相続放棄をするか判断するため、相続財産を調査することが一般的です。
相続財産を調査するにあたって、他の相続人が協力しないことは珍しくありません。
相続人はだれでも、単独で相続財産を調査することができます。
遺産分割をするためには、相続人全員の協力が不可欠です。
相続財産を調査することは、遺産分割ではありません。
相続を単純承認するか相続放棄をするか判断するための前提行為に過ぎません。
他の相続人の協力がなくても、判断を先延ばしすることはできません。
自分で相続財産調査をして、自分で相続を単純承認するか相続放棄をするか判断します。
③借金があるか分からないときの調査リスト
方法(1)信用情報機関に開示請求
信用情報機関とは、個人の借入れや返済状況を管理している機関です。
相続人はだれでも単独で、信用情報機関に対しての開示請求をすることができます。
他の相続人の同意は、不要です。
主な信用情報機関は、次の3つです。
・株式会社シー・アイ・シー(CIC)
・株式会社日本信用情報機構(JICC)
・全国銀行個人信用情報センター
被相続人の信用情報を確認すると、次のことが判明します。
・銀行からの借入れ
・クレジットカード債務
・カードローン
・消費者金融からの借入れ
・保証債務の一部
借金があるか分からない不安の多くを客観的に確認することができます。
方法(2)郵便物の確認
相続が発生しても、債権者は死亡を知らないことがほとんどです。
被相続人あてに、郵便物が届くことがあります。
郵便物を確認すると、借金があるか手がかりをつかむことができます。
・督促状
・金融機関などからの通知
方法(3)預貯金口座の取引履歴を取得
銀行などの預貯金口座は、日常生活に欠かせません。
被相続人の預貯金口座を探して、取引履歴を取得します。
相続人はだれでも相続人であることを証明して、単独で取引履歴を請求することができます。
被相続人の取引履歴を確認すると、次のことが判明します。
・定期的な返済
・利息の引落
・不審な送金
取引履歴から被相続人の経済活動を把握することができます。
方法(4)不動産の担保確認
被相続人が不動産を保有している場合、不動産を担保に差し出していることがあります。
法務局で、登記簿謄本を取得します。
不動産の登記簿謄本は、相続人でも相続人以外の人でも取得することができます。
不動産を担保に差し出すと、抵当権や根抵当権が登記されています。
登記簿謄本を確認すると、抵当権者や根抵当権者が判明します。
方法(5)会社関係の確認
被相続人が会社を経営していたケースがあります。
被相続人が代表者である場合、会社に債務について連帯保証をしていることがあります。
会社が借入をする場合、代表者が連帯保証をする慣行があるからです。
代表者が連帯保証をしているか確認するためには、会社の協力が必要です。
④相続財産調査の限界
相続財産調査をしても、完全な調査をすることはできません。
信用情報機関に開示請求をしても、登録情報以外の情報は見つかりません。
預貯金口座の取引履歴を取得しても、その金融機関以外の取引履歴は見つかりません。
個人間の貸し借りなどは、当事者以外知らないことが多いでしょう。
相続財産調査をしても漏れがある気がするのは、当然です。
相続財産調査には、限界があるからです。
完璧な相続財産調査を目指すと、永遠に終わりがありません。
⑤相続財産調査の客観的基準は存在しない
相続財産調査の客観的基準は、存在しません。
自分が納得するために、相続財産調査をするからです。
多くの人は、借金があるか分からないときの調査リストの調査をすれば納得できるでしょう。
ここまで調査したのだから納得できると言えるところまで、調査するのが妥当です。
家族の状況や財産状況、精神的負担は、相続人ごとに異なるからです。
納得できるところまで相続財産調査をしたら、相続を単純承認するか相続放棄をするか判断します。
判断自体が不安になるのは、当然です。
万人に共通する客観的基準は、そもそも作ることができないからです。
完璧な調査は不可能で判断基準も存在しない以上、最終的には自分が納得できるかで決めるしかありません。
自分が納得できれば、その判断はすべて適切な判断です。
⑥借金が分からなくても相続放棄ができる
相続財産調査をしても、プラスの財産がほとんど見つからないことがあります。
万が一にも借金が見つかったら、債務超過になるでしょう。
借金があるか分からないから、相続放棄をすることができます。
相続放棄をすると、借金があるか分からない不安から逃れることができます。
相続放棄をする場合、理由は重視されません。
⑦関わりたくないから相続放棄ができる
被相続人や被相続人の家族と疎遠であると、相続手続は精神的負担が大きくなります。
相続財産調査をするだけでも、精神的に追い詰められることがあるでしょう。
被相続人の家族と関わりたくないから、相続放棄をすることができます。
相続放棄をすると、はじめから相続人でなくなります。
相続放棄をすると、被相続人の家族と関わる必要がなくなります。
相続放棄は逃げではなく、合理的な選択になり得ます。
相続を単純承認するか相続放棄をするか、各相続人が納得できることが重要です。
3相続放棄の期限3か月のスタートは知ってから
①相続発生からスタートではない
相続放棄には、3か月の期限があります。
相続放棄の期限3か月のスタートは、知ってからです。
「相続があったことを知ってから」とは、被相続人が死亡して相続が発生し、その人が相続人であることを知って、かつ、相続財産を相続することを知ってから、と考えられています。
被相続人が死亡してから、3か月以内ではありません。
相続財産を相続することを知ってから、3か月以内です。
②3か月を知らなかったからは認められない
相続放棄の申立ては、相続があったことを知ってから3か月以内にしなければなりません。
相続放棄ができる期間は3か月を知らないまま3か月経過した場合、相続放棄は認められません。
法律の定めを知らなくても3か月過ぎてしまえば、単純承認になります。
単純承認になったら、相続放棄は認められません。
法律を勉強したことがないからなども、理由になりません。
3か月過ぎてしまえば、単純承認になります。
③相続の承認または放棄の期間の伸長の申立て
相続財産調査をすると、財産の種類や内容が非常に複雑であることがあります。
3か月では判断できない財産内容である場合、3か月の期間を延長してもらうことができます。
相続の承認または放棄の期間の伸長の申立てとは、3か月の期間を延長してもらう手続です。
期間延長の必要性や理由が妥当なものであると家庭裁判所が判断した場合、3か月程度延長されます。
4相続放棄を司法書士に依頼するメリット
相続放棄はプラスの財産もマイナスの財産も引き継ぎませんという裁判所に対する申立てです。
相続人らとの話合いで、プラスの財産を相続しませんと申し入れをすることではありません。
家庭裁判所で認められないと、マイナスの財産を引き継がなくて済むというメリットは受けられません。
家庭裁判所で相続放棄が認められたとしても、絶対的なものではありません。
相続放棄の要件を満たしていない場合、その後の裁判で相続放棄が否定されることもあり得ます。
相続に関する手続の多くは、司法書士などの専門家に任せることができます。
手続を任せることで、大切な家族を追悼する余裕もできます。
相続人の調査や相続財産調査など適切に行って、充分に納得して手続を進めましょう。
相続放棄は、3か月以内の制限があります。
3か月の期間内に手続するのは、相続するよりハードルが高いものです。
相続放棄を考えている方は、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
失踪宣告をしない選択肢と代替手段の限界
1失踪宣告で死亡とみなされる
①家族のために失踪宣告
相当長期間、行方不明になっている場合、死亡している可能性が高い場合があります。
条件を満たした場合、死亡の取り扱いをすることができます。
失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。
失踪宣告がされたら、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。
行方不明が長期化した場合、家族が困ります。
家族であっても、行方不明の人の財産を処分することができません。
行方不明者の配偶者は、再婚することができません。
残された家族のために、行方不明者を死亡したものと扱う制度が失踪宣告の制度です。
失踪宣告がされると、死亡が確認できなくても死亡と見なされます。
実際に、死亡したと証明する制度ではありません。
②失踪期間は普通失踪7年と特別失踪(危難失踪)1年
失踪宣告には、2種類があります。
普通失踪と特別失踪(危難失踪)です。
一般的に失踪宣告といった場合、普通失踪を指しています。
生死不明の期間を失踪期間と言います。
普通失踪では、失踪期間が7年です。
特別失踪(危難失踪)とは「戦地に行った者」「沈没した船舶に乗っていた者」「その他死亡の原因となる災難に遭遇した者」などを対象にする失踪宣告です。
特別失踪(危難失踪)では、失踪期間が1年です。
③自動で失踪宣告はされない
失踪期間が経過したら、家庭裁判所に対して失踪宣告の申立てをすることができます。
失踪期間が経過するだけでは、何も起きません。
国家や家庭裁判所が自動で、失踪宣告することはありません。
失踪宣告の申立てをしていないのに、自動で失踪宣告がされることはありません。
失踪宣告は、家族が行方不明になって困っている人を救済する制度だからです。
④住民票が職権消除されても死亡扱いではない
長期間行方不明になって居住実態がないと、住民票が消されることがあります。
職権消除とは、本人の届出がなくても市町村が職権で住民票を消除することです。
職権消除は、住民登録を整理するための行政処理に過ぎません。
住民票が職権消除されても、死亡扱いではありません。
⑤戸籍が高齢者消除されても死亡扱いではない
極端な高齢になると、戸籍が消されることがあります。
高齢者消除とは、家族の届出がなくても市町村が職権で戸籍を消除することです。
高齢者消除は、戸籍を整理するための行政処理に過ぎません。
戸籍が高齢者消除されても、死亡扱いではありません。
2失踪宣告をしないという選択肢と代替手段の限界
①行方不明者の財産を家族が管理している
行方不明者の財産は、家族が日常的に管理しているでしょう。
行方不明者の財産を家族が管理しているから、生活上は特に支障がないかもしれません。
生活は維持できているから、失踪宣告の必要を感じにくいでしょう。
生活の現状を維持する限り、家族が困ることはありません。
財産を処分するときになって、行方不明者本人による手続が必要になります。
家族による手続ができないから、初めて困ることになります。
家族が困るまで、失踪宣告の申立てを渋ります。
②行方不明者の借金は行方不明者の借金のまま
多大な借金を抱えたまま、家族が行方不明になることがあります。
失踪宣告を受けなければ、行方不明者は生きている扱いです。
行方不明者の借金は、行方不明者のものです。
借金を抱えて行方不明になっても、家族は借金を返済する義務はありません。
借金の相続を恐れて、失踪宣告の申立てを渋ることがあります。
③他の相続人から説明を求められる
失踪宣告を受けると、死亡扱いがされます。
失踪宣告を受けた人を被相続人として、相続が発生します。
相続手続の過程で、被相続人の財産状況を明らかにする必要があります。
過去の財産の使い道について、他の相続人から説明を求められる場面があるでしょう。
失踪宣告を放置しておけば、心理的にも実務的にもラクです。
説明を求められる場面を想像して、失踪宣告の申立てをためらうことがあります。
④失踪宣告の申立てをする義務はない
失踪宣告は、家族が行方不明になって困っている人を救済する制度です。
行方不明が長期間になっても、失踪宣告の申立てをする義務はありません。
家族が生存を信じて、帰りを待ち続けることがあります。
帰りを待つ家族にとって、死亡扱いにすることは強い葛藤があります。
家族の心情を尊重して、失踪宣告の申立ては家族の意思に委ねられています。
失踪宣告の申立てを先延ばしすると、デメリットが積み重なります。
⑤失踪宣告をしないと起きるデメリット
デメリット(1)財産処分ができない
失踪宣告をしないと、行方不明者は生きている扱いです。
行方不明になっても、行方不明者の財産は行方不明者のものです。
行方不明者の財産を処分できるのは、行方不明者だけです。
財産の処分とは、次のような行為です。
・不動産の売却
・預貯金の解約
たとえ家族であっても、行方不明者の不動産を売却することはできません。
たとえ家族であっても、行方不明者の預貯金を解約することはできません。
行方不明者の預貯金を管理していても、解約には行方不明者本人が手続をする必要があります。
デメリット(2)契約の変更解除ができない
生活をするうえで、生命保険契約や賃貸借契約をしています。
契約の当事者が行方不明になっても、契約は自動でなくなりません。
行方不明になっても、家族が勝手に契約を変更解除することはできません。
契約の変更解除には、行方不明者本人が手続をする必要があります。
デメリット(3)生命保険の死亡保険金が支払われない
生命保険が掛けてある人が死亡した場合、死亡保険金が支払われます。
長期間生死不明であっても、生きている扱いです。
たとえ家族が経済的に困窮しても、生命保険の死亡保険金は支払われません。
デメリット(4)遺族年金を受け取れない
遺族年金とは、年金に加入していた人が死亡したときに遺族に対して支給される年金です。
失踪宣告を受けていないと、遺族年金は支給されません。
たとえ家族が経済的に困窮しても、生きている扱いだからです。
デメリット(5)配偶者が再婚できない
配偶者が長期間行方不明になっても、婚姻は継続中です。
婚姻関係を終了する方法は、離婚か死別のみです。
失踪宣告をしなくても、離婚訴訟で離婚する方法があります。
離婚訴訟で離婚する方法には、充分な客観的証拠が不可欠です。
離婚訴訟で離婚できるだけの証拠を準備するのは、非常に高いハードルがあります。
3失踪宣告をしないときの代替手段の限界
①代替手段として不在者財産管理人
失踪宣告をしない場合、不在者財産管理人制度を利用することが考えられます。
不在者財産管理人とは、行方不明者の財産を管理する人です。
行方不明の人は、生きている扱いのままです。
死亡扱いにしなくて済むから、家族の心理的抵抗が少なく済みます。
②行方不明者が相続人になる相続で不在者財産管理人
(1)遺産分割協議には相続人全員の合意が必要
相続人になる人は、法律で決められています。
相続が発生したのに相続人が行方不明の場合、相続手続を進められなくなります。
相続財産の分け方は、相続人全員の合意で決定する必要があるからです。
遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話し合いです。
相続人が長期間行方不明であっても、行方不明の相続人を除外できません。
(2)遺産分割協議のため不在者財産管理人
行方不明者が相続人になる相続が発生した場合、相続分は行方不明者の財産と言えます。
行方不明者の財産を管理するするため、家庭裁判所に不在者財産管理人選任の申立てをすることができます。
不在者財産管理人は、家庭裁判所が選任します。
行方不明者に代わって、不在者財産管理人が遺産分割協議に参加します。
(3)不在者財産管理人は家族の希望をかなえる人ではない
不在者財産管理人は、行方不明者の財産を管理する人です。
家族が選任の申立てをしても、家族の希望をかなえる人ではありません。
不在者財産管理人は、行方不明者の利益を守る義務があるからです。
不在者財産管理人が遺産分割協議をする場合、行方不明者の相続分を確保する必要があります。
不在者財産管理人が専門家であっても家族であっても、相続分を確保する必要があります。
相続分を確保していない遺産分割協議は、家庭裁判所が許可しません。
(4)遺産分割協議が終わっても不在者財産管理人
遺産分割協議が終わっても、不在者財産管理人の任務は終了しません。
不在者財産管理人は、行方不明者の財産を管理する人だからです。
行方不明者が帰ってくるまで、または行方不明者の死亡が判明するまで、任務は続きます。
遺産分割協議が終わっても、行方不明者の財産を管理する必要があるからです。
任務が続くから、不在者財産管理人の報酬がかかり続けます。
③不在者財産管理人は不利益処分ができない
(1)行方不明者の財産処分は許可されない
不在者財産管理人は、家族の希望をかなえる人ではありません。
行方不明者の利益を害することは、許されません。
たとえ家族が財産処分を望んでも、行方不明者の利益を害する処分は許可されません。
例えば、不動産の売却は行方不明者の利益を害すると、判断されることが多いでしょう。
行方不明者の自宅を売却して売却代金を家族が自由に使いたいなどの理由は、行方不明者の利益を害すると判断されるでしょう。
空き家で維持費だけがかかるなどの理由であれば、行方不明者の利益と判断されるでしょう。
(2)売却代金は家族が使えない
たとえ売却が許可されたとしても、売却代金は行方不明者の財産です。
行方不明者の財産は、不在者財産管理人が管理を続けます。
家族の財産だから家族で自由に使いたいという希望は、叶えられません。
④不在者財産管理人で行方不明者に相続は発生しない
不在者財産管理人とは、行方不明者の財産を管理する人です。
行方不明者を死亡扱いにする効果は、ありません。
不在者財産管理人が選任されても、行方不明者は生きている扱いです。
不在者財産管理人は、生きている行方不明者の財産を管理します。
生きている扱いだから、相続は発生しません。
行方不明者の財産は、不在者財産管理人が管理を続けます。
たとえ家族であっても、行方不明者の財産を引き継ぐ理由がないからです。
⑤二度手間になる現実
不在者財産管理人は、一見して便利な制度です。
あくまで、一時しのぎの制度です。
不在者財産管理人を選任してもらっても、死亡扱いをすることができないからです。
最終的には、失踪宣告をすることになります。
結局のところ二度手間になる現実を知ったうえで、判断することが重要です。
4失踪宣告を選択するかの判断基準
①家族の心理的ハードル
失踪宣告の法律上の要件は、判断基準にならないことがほとんどです。
法律上の失踪期間を大きく越しても、心理的ハードルがあるからです。
家族の中で失踪宣告に反対する人がいれば、失踪宣告の申立てのハードルとなるでしょう。
法律で、解決できる問題ではありません。
②失踪宣告をしないと不利益が積みあがる
失踪宣告を受けないと、いつまでたっても生きている扱いです。
財産を処分できなくなるから、財産は凍結されます。
生活の支障が目立つようになると、決断を迫られるでしょう。
不在者財産管理人制度は、一時しのぎに過ぎません。
③心理的抵抗は専門家が解決できない
失踪宣告をしない最大の理由は、家族に心理的抵抗です。
専門家に相談しても、解決できません。
次のようなときは、専門家によるアドバイスが有効です
・不在社財産管理人制度をよく理解したい。
・家庭裁判所による財産処分の許可基準を知りたい。
制度を理解する助けとして、専門家に相談する価値があります。
④メリットデメリットを考慮して判断
失踪宣告をするタイミングは、自動的に決まるものではありません。
家族が生活上の支障を感じたときが、判断のタイミングです。
失踪宣告によって得られるメリットと心理的な負担を比較し、納得できたときに判断します。
心理的ハードルで不在者財産管理人を選択するなら、二度手間と費用を覚悟すべきです。
家族の平和のためデメリットを飲めるなら、それも適切な選択です。
5生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット
相続人が行方不明であることは、割とよくあることです。
行方不明の相続人がいると、相続手続を進めることができません。
相続が発生した後、困っている人はたくさんいます。
自分たちで手続しようとして、挫折する方も少なくありません。
困っている遺族はどうしていいか分からないまま、途方に暮れてしまいます。
裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。
途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。
相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
孫に代襲相続させたくない遺言書に誤解と限界
1孫に代襲相続させたくない背景に誤解がある
①さまざまな誤解で孫に代襲相続させたくないと考えている
相続は、財産の承継です。
自分の財産をだれに引き継がせるのか、自分で決めたいと考えるのは自然なことです。
孫に代襲相続させたくないと考えることは、不自然なことではありません。
孫に代襲相続させたくないと考えるとき、背景にはさまざまな誤解が積み重なっています。
②遺言書は万能ではない
自分の財産をだれに引き継がせるのか、遺言書で決めておくことができます。
遺言書は、万能ではありません。
誤解をほどくと、遺言書の限界が見えてきます。
③子どもが相続人になると孫は相続人ではない
相続が発生すると、法律で決められた人が相続人になります。
被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。
子どもが相続人になる場合、孫は相続人ではありません。
相続人になるはずだったのに子どもが先に死亡した場合、孫が代襲相続人になります。
家族ならだれでも、相続人になれるわけではありません。
相続人になれる人は、法律で決められているからです。
2 孫に代襲相続させたくない遺言書に誤解と限界
誤解①遺言書で自由に財産を配分できる
(1)遺言書のとおりに遺産分割ができる
遺言書を作成するというと、財産の配分について書くことをイメージするでしょう。
遺言書で相続財産の分け方を書いておくと、遺言書のとおりに遺産分割をすることができます。
相続人全員で相続財産の分け方について、話し合いをする必要がなくなります。
相続人全員の合意が不要になる点は、遺言書の大きなメリットです。
(2)孫は遺留分権利者
被相続人に近い関係の相続人には、遺留分が認められています。
遺留分とは、相続人に認められた最低限の権利です。
遺留分が認められるのは、次の人です。
・配偶者
・子ども
・親などの直系尊属
孫が相続人になる場合、子どもの遺留分を引き継ぎます。
孫は、遺留分権利者です。
(3)遺言書があっても遺留分侵害額請求
確かに遺言書を作成して、どの人にどの財産を引き継がせるか決めておくことができます。
配分された財産が遺留分に満たない場合、遺留分侵害額請求をすることができます。
一部の相続人に全財産を引き継がせる遺言書を作成すると、遺留分を侵害することが多いでしょう。
遺言書で自由に財産を配分できるは、誤解です。
遺言書があっても、遺留分侵害額請求をすることができます。
(4)遺留分を認めない遺言に効力はない
法律上効力がない事項を遺言書に書くことができます。
遺留分を認めない遺言に、効力はありません。
遺留分侵害額請求を禁止すると書いても、法律上の効力は認められません。
遺留分を認めない遺言があっても、遺留分侵害額請求をすることができます。
(5)遺留分に配慮した遺言書がおすすめ
遺留分を侵害する遺言書であっても、無効になりません。
遺留分侵害額請求権は、遺留分がある相続人の権利だからです。
遺留分を侵害する遺言書は、おすすめできません。
正当な遺留分侵害額請求を受けたら、拒否できません。
遺留分侵害額請求があると、家族間で深刻なトラブルになります。
孫に代襲相続させない遺言より、遺留分に配慮した遺言書がおすすめです。
誤解②遺言書だけで代襲相続をさせたくない
(1)法律の効力を遺言書で消せない
代襲相続は、法律で定められた相続の仕組みです。
遺言書を作成して、法律の定めを消すことはできません。
遺言書だけで、代襲相続をさせたくないは実現できません。
遺言書は、万能ではないからです。
(2)代襲相続させない遺言の解釈
遺言書を確認すると、代襲相続させないと書いてあることがあります。
代襲相続させないと書かれた遺言書は、2通りに解釈することができます。
解釈(1)相続させないが、遺留分侵害額請求は認める
解釈(2)相続させないうえに、遺留分侵害額請求も認めない
内容が不明な遺言書があると、家族が困ります。
(3)遺言書だけで遺留分は奪えない
遺留分とは、相続人に認められた最低限の権利です。
遺言書を作成するだけで、一方的に遺留分を奪うことはできません。
遺留分を奪う手続は、家庭裁判所による廃除のみです。
代襲相続させない遺言が遺留分侵害額請求も認めない趣旨なら、廃除すると書くべきです。
(4)家庭裁判所による廃除には高いハードルがある
廃除とは、相続人の資格を奪う手続です。
相続人の資格を奪うとは、実質的に遺留分を奪うことです。
廃除できるのは、次の事情があると家庭裁判所が認めたときです。
・重大で継続的な被相続人に対する虐待
・親子関係が破壊される程度の重大な侮辱
・著しい非行
相続人に認められた最低限の権利が奪われるから、家庭裁判所は極めて慎重に審査します。
次のような軽い理由では、認められません。
・性格が合わない
・わがままを聞いてくれない
・言いなりにならない
・面倒を見てくれない
廃除が認められるのは、極めて厳しい条件を満たした例外的なケースのみです。
(5)相続人以外の人は廃除できない
廃除されると、相続人の資格が奪われます。
相続人以外の人は、廃除できません。
子どもが相続人になる場合、孫は相続人ではありません。
相続人以外の人だから、孫を廃除することはできません。
(6)子どもに非行があっても孫を廃除できない
子どもに重大な非行があると家庭裁判所に認められれば、廃除されます。
子どもの非行は、孫の非行ではありません。
子どもに非行があっても、自動で孫を廃除することはできません。
子どもを廃除しても、孫まで一括で家系すべてを廃除することはできません。
孫を廃除するためには、孫自身に重大な非行があることを立証する必要があります。
廃除は、血縁単位で相続人資格を奪う制度ではないからです。
(7)廃除で孫に代襲相続させたくないは実現できない
廃除が認められるのは、極めて厳格な条件を満たしたレアケースのみです。
廃除で孫に代襲相続させたくないは、事実上実現できません。
誤解③代襲相続と数次相続を混同している
(1)代襲相続と数次相続のちがい
孫が相続するのは、代襲相続と数次相続があります。
孫に代襲相続をさせたくないと考えている場合、代襲相続と数次相続を混同していることがあります。
代襲相続とは、相続人になるはずだった子どもが被相続人より先に死亡したため孫が相続することです。
数次相続とは、相続人になった子どもが相続手続中に死亡して孫が相続することです。
どちらも最終的には、孫が相続します。
(2)数次相続は子どもが相続している
被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。
相続が発生した時点が子どもが元気なら、子どもが財産を相続します。
相続手続をしないまま子どもが死亡しても、子どもは財産を相続しています。
(3)子どもが相続した財産は子どもの自由
子どもが相続した財産は、子どもの財産です。
子どもが自由に、処分することができます。
子どもが死亡したときにだれに引き継がせるか、子どもが判断します。
だれから引き継いだ財産であっても、子ども自身が判断します。
子どもが相続した財産は、子どもの自由だからです。
たとえ遺言書を作成しても、効力があるのは遺言者の相続についてのみです。
子どもが相続した財産は、子ども自身が決める領域です。
(4)孫に非行があれば子どもが廃除
相続人を廃除できるのは、自分の相続における相続人のみです。
自分以外の人の相続における相続人を廃除することはできません。
孫に非行があれば、廃除される可能性があります。
孫を廃除できるのは、孫の親である子どものみです。
たとえ自分の財産を引き継いだ子どもであっても、子どもの相続人を廃除することはできません。
だれから引き継いだ財産であっても、子ども自身が判断するべきことだからです。
たとえ遺言書を作成しても、効力があるのは遺言者の相続についてのみです。
子どもの相続人を廃除するか、子ども自身が決める領域です。
(5)子どもが遺言書作成
子どもが相続した財産は、だれに引き継がせるか子どもが判断します。
子どもが遺言書を作成して、自分でだれに引き継がせるか決定します。
子どもの死後の相続をコントロールすることはできません。
(6)相続は世代ごとに完結する
相続は、その世代で完結する制度です。
一つの世代の判断が、次の世代の相続まで及ぶことはありません。
受け継いだ財産は、その人の財産になります。
受け継いだ財産をどうするのか、その人自身に委ねられます。
誤解④遺言書の内容も孫が代襲相続できる
(1)子どもが先に死亡すると遺言が無効になる
遺言書を作成して、子どもに配分する財産を決めておくことができます。
遺言書を作成した後、遺言者が健在のまま子どもが先に死亡することがあります。
財産を受け取る予定の子どもが先に死亡した場合、遺言書の条項は無効になります。
遺言書全体が無効になるのではなく、死亡した相続人に関する事項だけ無効になります。
(2)受取人がない財産は遺産分割協議で決定
財産を受け取る予定の子どもが先に死亡したら、遺産分割協議が必要です。
遺産分割協議とは、相続財産の分け方について相続人全員でする話し合いです。
相続人全員の合意で、だれがその財産を受け取るのか決定します。
遺言書の内容も孫が代襲相続できるは、誤解です。
孫が財産を受け取るためには、相続人全員の合意が不可欠です。
(3)予備的遺言が有効
予備的遺言とは、遺言で指定した人が先に死亡したときに備えて代わりにだれに相続させるのか指定する遺言です。
予備的遺言があると無効を回避できるから、遺産分割協議を回避することができます。
(4)遺言書は作り直しができる
遺言書を作成するためには、遺言能力が必要です。
遺言能力とは、遺言書に書いた内容を理解し遺言の結果のメリットデメリットを充分に判断できる能力です。
遺言書を作成してから、遺言書に効力が発生するまで長い期間があることが多いでしょう。
遺言書作成後、財産や相続人の状況が大きく変わることがあります。
遺言者の気持ちが変わることもあるでしょう。
遺言書は、何度でも作り直しをすることができます。
財産や相続人の状況が大きく変わった場合、遺言書の作り直しが合理的です。
遺言書を作り直す場合、相続人などの許可や同意は不要です。
3甥姪に代襲相続させたくない遺言書は実現できる
①兄弟姉妹に遺留分はない
被相続人に子どもがなく親などの直系尊属が先に死亡した場合、兄弟姉妹が相続人になります。
兄弟姉妹が被相続人より先に死亡した場合、甥姪が代襲相続します。
兄弟姉妹は相続人になっても、遺留分は認められません。
甥姪は代襲相続人になっても、引き継ぐべき遺留分はありません。
甥姪は、遺留分権利者ではありません。
②遺言書で自由に財産を配分できる
遺言書を作成して、どの人にどの財産を引き継がせるか決めておくことができます。
甥姪が代襲相続人になっても、遺留分は認められません。
遺言書で自由に財産を配分することができます。
家族ならだれでも、相続人になれるわけではありません。
相続人になれる人は、法律で決められているからです。
4遺言書作成を司法書士に依頼するメリット
遺言書を作成して、自分の財産をだれに引き継ぐのか自由に決めることができます。
書き方ルールに違反した遺言書は、無効になります。
遺言書の内容に不満を持つと、相続人は遺言書の無効を主張するでしょう。
ひとりで遺言書を作るより、司法書士などの専門家のサポートを受けるのがおすすめです。
遺言書を作成するだけでは、意味がありません。
遺言書の内容は、自動で実現するわけではないからです。
遺言書で遺言執行者を指名するのがおすすめです。
遺言執行者とは、遺言書の内容を実現する人です。
遺言書作成をサポートする司法書士に、遺言執行を依頼することができます。
遺言書の内容を見て遺留分を侵害しないように、アドバイスをしてもらうこともできます。
円滑に相続手続を完了させたい方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
相続人が兄弟姉妹のみの法定相続情報一覧図
1相続人が兄弟姉妹のみ
①相続人になる人は法律で決められている
相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。
だれが相続人になるかについては、民法で決められています。
相続人になる人は、次のとおりです。
(2)~(4)の場合、先順位の人がいる場合、後順位の人は相続人になれません。
(1)配偶者は、必ず相続人になる
(2)被相続人に子どもがいる場合、子ども
(3)被相続人に子どもがいない場合、親などの直系尊属
(4)被相続人に子どもがいない場合で、かつ、親などの直系尊属が被相続人より先に死亡している場合、兄弟姉妹
②異父兄弟・異母兄弟が相続人になる
兄弟姉妹が相続人になると聞くと、父母が同じ兄弟姉妹のみを想像しがちです。
相続人になる兄弟姉妹には、父母の一方のみが同じ兄弟姉妹も含まれます。
異父兄弟・異母兄弟がいるか、客観的に証明します。
客観的に証明するとは、戸籍謄本を準備することです。
戸籍には、その人の身分関係がすべて記録されているからです。
異父兄弟は、被相続人の母の出生から死亡までの連続した戸籍謄本で確認することができます。
異母兄弟は、被相続人の父の出生から死亡までの連続した戸籍謄本で確認することができます。
兄弟姉妹が相続人になるときは、たくさんの戸籍謄本が必要になります。
③相続人が生きていることを戸籍謄本で証明
相続人になるのは、相続が発生した時点で生きている人です。
相続人が生きていることは、戸籍謄本で証明します。
家族にとって相続人になる人が分かっていても、相続手続先の人には分かりません。
相続人が生きていることを客観的に証明するため、兄弟姉妹全員の戸籍謄本を準備します。
兄弟姉妹相続では、相続人になる兄弟姉妹全員の戸籍謄本が必要です。
④兄弟姉妹が先に死亡したら甥姪が相続人
相続人になるはずだったのに、兄弟姉妹が被相続人より先に死亡することがあります。
兄弟姉妹が被相続人より先に死亡したら、甥姪が相続人になります。
兄弟姉妹相続でも、代襲相続が発生するからです。
代襲相続とは、相続人になるはずだったのに被相続人より先に死亡したから子どもなどが相続することです。
兄弟姉妹相続では、代襲相続は一代限りです。
甥姪が被相続人より先に死亡しても、甥姪の子どもは代襲相続できません。
兄弟姉妹が先に死亡したら、兄弟姉妹の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を準備します。
甥姪の存在は、兄弟姉妹の出生から死亡までの連続した戸籍謄本で確認することができるからです。
⑤子どもがいないことは戸籍謄本で証明
被相続人に子どもがいる場合、子どもが相続人になります。
兄弟姉妹が相続人になる場合、被相続人に子どもがいないことが前提です。
被相続人に子どもがいないことは、戸籍謄本で証明します。
子どもがいないことは、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本で確認することができます。
2 相続人が兄弟姉妹のみの法定相続情報一覧図
①法定相続情報一覧図とは家系図型の公的証明書
法定相続情報一覧図は、家系図型で作成するのが一般的です。
相続関係が一目で分かるから、とても便利です。
法定相続情報一覧図とは、家系図型の公的証明書です。
法定相続情報一覧図は公的証明書だから、たくさんの戸籍謄本等と同じ効力があります。
②相続手続がスムーズになる
相続手続では、たくさんの戸籍謄本を提出します。
家族にとって、だれが相続人であるか当然のことでしょう。
相続手続先には、客観的に証明する必要があるからです。
戸籍には、その人の身分事項がすべて記録されています。
たくさんの戸籍謄本を読み解くのは、相続手続先にとって負担が重い事務です。
法定相続情報一覧図は、公的書類です。
法定相続情報一覧図を提出した場合、あらためて戸籍謄本を提出する必要がありません。
たくさんの戸籍謄本を登記官が点検して間違いないことを確認しているからです。
法定相続情報一覧図を見たら、どのような人が相続人になるのか一目で分かります。
相続手続先の事務負担が大幅に削減されます。
法定相続情報一覧図があると、相続手続がスムーズになります。
③家系図は法務局で作ってくれない
法務局に戸籍謄本等の点検をお願いすることを法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出と言います。
法務局は、戸籍謄本等と家系図を点検して印刷するだけです。
法務局で、家系図を作ってくれるわけではありません。
④書き方ルールが厳格
法定相続情報一覧図は、家系図型の公的証明書です。
公的証明書にふさわしい詳細な書き方ルールが厳格に決められています。
法務局は家系図を点検するだけで、実際に作るのは申出人です。
適切な記載をしていないと、書き直しになります。
例えば、「愛知県名古屋市」と書くべきところに愛知県を省略し「名古屋市」と記載すると、書き直しになります。
「名古屋市」と書くべきところに愛知県を追加して「愛知県名古屋市」と記載すると、書き直しになります。
公的証明書にふさわしい詳細な書き方ルールが厳格に決められているからです。
⑤法務局は戸籍謄本を集めてくれない
兄弟姉妹相続で相続手続をする場合、戸籍謄本の収集が最初の難関です。
兄弟姉妹相続では、大量の戸籍謄本が必要になるからです。
法定相続情報一覧図を提出した場合、あらためて戸籍謄本を提出する必要がありません。
難関の戸籍謄本の収集から逃れられると、感じるかもしれません。
法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をする際に、法務局に大量の戸籍謄本を提出しなければなりません。
法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をしても、法務局は戸籍謄本を集めてくれません。
法定相続情報一覧図があると、相続手続先の事務負担が大幅に削減されます。
法定相続情報一覧図があっても、相続人の事務負担が大幅に削減されるわけではありません。
⑥兄弟姉妹の戸籍謄本は広域交付の対象ではない
戸籍謄本は、本籍地の市区町村役場に請求するのが原則です。
戸籍謄本は広域交付とは、条件に当てはまるとき本籍地以外の市区町村役場で戸籍謄本を取得できる制度です。
戸籍謄本の広域交付が利用できる条件は、次のとおりです。
条件(1)請求人と配偶者、請求人の直系血族の戸籍謄本
条件(2)請求人が窓口請求
兄弟姉妹相続では、大量の戸籍謄本が必要になります。
被相続人の父母は、相続人の父母であることが多いでしょう。
請求人の父母は、請求人の直系血族です。
請求人の直系血族の戸籍謄本は、戸籍謄本の広域交付の対象です。
被相続人の父母の出生から死亡までの連続した戸籍謄本は、広域交付で取得することができます。
請求人の兄弟姉妹は、請求人の直系血族ではありません。
被相続人や他の相続人の戸籍謄本は、戸籍謄本の広域交付の対象外です。
原則どおり、本籍地の市区町村役場に請求する必要があります。
⑦郵送請求は手間と時間がかかる
(1)請求書類の書き直しができない
戸籍謄本は、郵送請求することができます。
本籍地が遠方である場合、郵送請求すると便利です。
郵送請求は、窓口請求と比べて慎重に手続をする必要があります。
窓口で相談しながら、請求書類を書き直すことができないからです。
請求書類が適切に作成できなければ、市区町村役場から電話連絡があります。
電話連絡に対応できなければ、請求書類は送り返されるでしょう。
(2)手数料は定額小為替で納入
戸籍謄本を発行してもらうためには、手数料を支払う必要があります。
窓口請求する場合、その場で現金で支払うことができます。
郵送請求をする場合、現金で支払えません。
あらかじめ定額小為替を購入して、納入します。
(3)返信用封筒と切手を同封
郵送請求をする場合、返信用封筒と切手を同封します。
返信用封筒には、返送先を記載しておきます。
⑧数次相続では法定相続情報一覧図は別に作成
数次相続とは、相続が発生したときに元気だった相続人が後に死亡して新たな相続が発生したことです。
数次相続が発生した場合、法定相続情報一覧図はまとめて作成することはできません。
まとめて作成すると、作り直しになります。
被相続人ごとに、法定相続情報一覧図は別に作成します。
⑨数次相続は相続関係説明図が有効
兄弟姉妹相続は、相続手続が複雑です。
戸籍謄本を準備するだけでも、手間と時間がかかります。
数次相続が発生すると、相続手続がさらに複雑になります。
法定相続情報一覧図は、相続が発生した時点の相続人を記載します。
相続が発生したときに元気だった相続人が後に死亡しても、死亡の記載をすることはできません。
相続手続をするときは、相続関係説明図を添付すると有効です。
相続関係説明図とは、相続関係を説明するための資料です。
相続関係説明図は公的書類ではないから、相続関係を自由に記載することができます。
3最初に相続登記と法定相続情報一覧図同時申請が合理的
①最初に相続登記がスムーズ
相続登記は、相続手続の中でも難しい手続です。
すぐに売却する予定がなければ、先延ばししがちです。
相続手続をスムーズにするには、最初に相続登記をするのがおすすめです。
相続登記では、たくさんの書類を準備する必要があります。
たくさんの戸籍謄本や遺産分割協議書、印鑑証明書などです。
相続手続のほとんどで、同じ書類が必要になります。
最初に相続登記をすると、戸籍謄本の収集や遺産分割協議書の作成は司法書士におまかせできます。
司法書士が準備して法務局が目を通した書類に、不備はほとんどありません。
相続手続先であれこれ指摘される心配は、大幅に減ります。
②相続登記と法定相続情報一覧図同時申請が合理的
相続登記と法定相続情報一覧図は、同時申請をすることができます。
相続登記と法定相続情報一覧図は、どちらも必要書類が共通しています。
相続登記と法定相続情報一覧図は、どちらも申請先である法務局が共通しています。
相続登記と法定相続情報一覧図は、どちらも司法書士に依頼することができます。
相続登記と法定相続情報一覧図をまとめて、司法書士に依頼するのが合理的です。
③広域交付対象外の戸籍謄本だけ依頼するとコスパがいい
法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出をしても、法務局は戸籍謄本を集めてくれません。
広域交付対象の戸籍謄本は、知識がなくても自分で取得できることが多いでしょう。
戸籍謄本の郵送請求は、手間と時間がかかります。
戸籍謄本の取得は、司法書士に依頼することができます。
自分で取得できる戸籍謄本は自分で取得して、手間と時間がかかる戸籍謄本はおまかせできます。
自分で取得できる戸籍謄本は自分で取得しているから、コストを抑えることができるでしょう。
広域交付対象外の戸籍謄本だけ依頼すると、コストパフォーマンスが良くなります。
4法定相続情報一覧図の作成を司法書士に依頼するメリット
法定相続情報一覧図は公的書類だから、書き方が厳格に決まっています。
法定相続情報一覧図と似たものに、相続関係説明図があります。
相続関係説明図は、登記官が点検をするものではなく、単なる事情説明の書類に過ぎません。
比較的自由に、書くことができます。
これらの違いを理解して、ポイントを押さえて書くことが重要です。
相続手続が少ない場合など、法定相続情報一覧図を作るまでもないこともあるでしょう。
銀行口座をたくさん持っているなど、相続手続をする手続先が多い場合は、法定相続情報一覧図は大変便利です。
仕事や家事で忙しい方は、手続をすべてお任せいただけます。
スムーズな手続を考えている方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
行方不明の配偶者と婚姻解消は離婚か失踪宣告
1行方不明になっても婚姻関係は継続
①自動で婚姻関係は解消しない
配偶者が行方不明になっても、婚姻関係は継続します。
たとえ何年も連絡が取れない状態になっても、法律上は「夫」「妻」の身分があります。
長期間行方不明になっても、自動で婚姻が解消されることはありません。
長期間行方不明になっても、生きている扱いです。
婚姻関係の解消には、法的手続が必要です。
法的手続を行わない限り、法的関係の整理は進みません。
②長期間の行方不明で前に進めない
(1)財産を処分できない
長期間行方不明になっても、財産は行方不明の人のものです。
家族が行方不明の人の財産を自由に処分することはできません。
(2)再婚ができない
長期間行方不明になっても、自動で婚姻関係は解消しません。
戸籍上は、配偶者が生きている既婚者のままです。
婚姻関係が継続しているから、再婚は重婚になってしまいます。
(3)相続が発生しない
長期間行方不明になっても、相続は発生しません。
行方不明の人の財産のまま、だれも利用することができなくなります。
③婚姻関係を解消する方法
婚姻関係の解消とは、法律上の夫婦関係を終了することです。
戸籍上の婚姻関係を終了させると、再婚や相続などの財産整理を進めることができます。
婚姻関係を解消する方法は、2つあります。
離婚と失踪宣告です。
離婚とは、当事者の意思によって法律上の婚姻関係を終了することです。
失踪宣告とは、生死不明の人を死亡扱いにする手続です。
生死不明の配偶者が失踪宣告を受けたら、離婚でなく死別扱いです。
今すぐ手続を始める必要は、ありません。
今すぐ判断をする必要は、ありません。
離婚と失踪宣告は、どちらも重大な影響を及ぼします。
落ち付いて、制度を理解することが大切です。
2裁判離婚で行方不明の配偶者と婚姻解消
①離婚は当事者が生きていることが前提
離婚は、当事者双方か一方の意思によって婚姻関係を終了する制度です。
生きている配偶者との婚姻関係を終了させます。
死亡した配偶者と離婚はできません。
配偶者が死亡したら、死亡によって当然に婚姻関係は終了するからです。
②長期間行方不明になっても生きている扱い
長期間行方不明になっても、自動で死亡扱いにはなりません。
行方不明の人が、どこにいるか分からないだけです。
長期間行方不明の人は、生きている前提です。
③生きている前提だから離婚の対象
行方不明の配偶者は生きている前提だから、離婚の対象になります。
夫婦が離婚する場合、3つの方法があります。
協議離婚、調停離婚、裁判離婚です。
協議離婚と調停離婚は、当事者の話し合いによる離婚です。
行方不明の配偶者と離婚する場合、裁判離婚が選択肢になります。
④裁判離婚では離婚原因の立証が必要
裁判で離婚する場合、離婚原因が認められなければなりません。
離婚原因は、客観的証拠によって立証することが重要です。
離婚したいと主張するだけでは、裁判所は離婚を認めれくれません。
多くのケースでは、ハードルが高いと言えます。
⑤行方不明と3年以上の生死不明は別物
配偶者が3年以上生死不明である場合、離婚原因に該当します。
生死不明と行方不明は、別物です。
離婚原因となる生死不明とは、生きているのか死亡しているのか分からない状態です。
典型的には、次の事情があるケースが挙げられます。
・事故
・大災害
・海難
生存の可能性が非常に低いケースです。
配偶者が行方不明で婚姻関係を解消したい場合、生きている可能性が高いケースが多いでしょう。
・単なる家出
・音信不通
・生活費を入れない
・住所を転々としている
家庭裁判所は、生死不明に該当するか非常に厳格に審査します。
単なる行方不明3年以上は、離婚原因に該当しないと判断します。
⑥悪意の遺棄は故意を立証する必要がある
悪意の遺棄がある場合、離婚原因に該当します。
夫婦は、同居、協力、扶助の義務があります。
悪意の遺棄とは、同居、協力、扶助の義務を正当な理由なく意図的に放棄することです。
家庭裁判所は、次の点を重視します。
・意図的に家族を捨てたか。
・正当な理由なく義務を放棄したか。
配偶者が行方不明になる場合、さまざまな事情があるでしょう。
・仕事などのトラブル
・うつ病などの精神疾患
・借金問題
・生活の困窮
・事件や事故に巻き込まれた可能性
上記の事情は、家族を捨てる故意があったか不明確です。
単に行方不明であるだけで、悪意の遺棄とは認められません。
例えば次の事情があると、悪意の遺棄が認められやすいでしょう。
・生活費を入れず、他の異性と暮らしている。
・DVから逃れるために避難したのに、生活費を渡さない。
・家族を捨てて別居し、連絡を拒否している。
上記の事情は、家族を捨てる故意が明確だからです。
たとえ10年以上行方不明であっても、それだけで悪意の遺棄は認められません。
悪意の遺棄は、故意の立証が必要だからです。
⑦婚姻を継続しがたい重大な理由は立証困難
婚姻を継続しがたい重大な理由がある場合、離婚原因に該当します。
婚姻を継続しがたい重大な理由とは、夫婦関係が客観的に破綻して回復の見込みがないことです。
家庭裁判所は、夫婦の実態が失われているかを重視します。
例えば次の事情がある場合、夫婦関係が客観的に破綻していると認められやすいでしょう。
・5~10年以上の別居
・DV
・不貞行為
・深刻なモラハラ
・重度の依存症
上記の事情は、夫婦関係の破綻が明確で証拠が残りやすいでしょう。
単に行方不明であるだけで、婚姻を継続しがたい重大な理由とは認められません。
行方不明は、夫婦関係の破綻の結果であって原因ではないからです。
原因が分からないと、婚姻を継続しがたい重大な理由があるのか分かりません。
たとえ長期間行方不明であっても、夫婦関係が破綻していない可能性があります。
行方不明の配偶者がいないから、夫婦関係の悪化を証明する資料を準備できないでしょう。
事実関係によっては、認められる余地があります。
多くのケースでは、ハードルが高いと言えます。
3失踪宣告で行方不明の配偶者と婚姻解消
①残された家族のため失踪宣告
相当長期間、行方不明になっている場合、死亡している可能性が高い場合があります。
条件を満たした場合、死亡の取り扱いをすることができます。
失踪宣告とは、行方不明の人が死亡した取り扱いとするための手続です。
失踪宣告がされたら、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。
死亡扱いする重大な手続だから、手続を進めていいのか不安に思うかもしれません。
行方不明が長期化した場合、家族が困ります。
家族であっても、行方不明の人の財産を処分することができません。
行方不明者の配偶者は、再婚することができません。
残された家族のために、行方不明者を死亡したものと扱う制度が失踪宣告の制度です。
失踪宣告がされると、死亡した取り扱いをします。
失踪宣告がされると、配偶者は再婚をすることができます。
②自動で失踪宣告はされない
失踪宣告を受けると、死亡が確認できないのに死亡と見なされます。
失踪宣告には、次の条件があります。
(1)行方不明の人が生死不明であること
(2)生死不明のまま一定期間継続していること
上記の条件を満たしたうえで、家庭裁判所に失踪宣告の申立てをします。
長期間行方不明であっても、自動で失踪宣告がされることはありません。
家庭裁判所が失踪宣告したときに、死亡と見なされます。
③普通失踪は7年で死亡と見なされる
失踪宣告には、2種類があります。
普通失踪と特別失踪(危難失踪)です。
一般的に失踪宣告といった場合、普通失踪を指しています。
生死不明の期間を失踪期間と言います。
普通失踪では、失踪期間が7年必要です。
家庭裁判所に失踪宣告の申立てをした後、家庭裁判所が死亡と認めていいか調査します。
生死不明のまま7年以上経過したと認められる場合、家庭裁判所は失踪宣告をすることができます。
普通失踪における法的な死亡日は、7年満了した日です。
④特別失踪(危難失踪)は1年で死亡と見なされる
行方不明の人が大災害や大事故にあっていることがあります。
大災害や大事故に遭った場合、死亡している可能性が非常に高いものです。
特別失踪(危難失踪)とは「戦地に行った者」「沈没した船舶に乗っていた者」「その他死亡の原因となる災難に遭遇した者」などを対象にする失踪宣告です。
死亡している可能性が非常に高いので、失踪期間は短い期間です。
特別失踪(危難失踪)では、失踪期間が1年で済みます。
生死不明のまま1年以上経過したと認められる場合、家庭裁判所は失踪宣告をすることができます。
特別失踪(危難失踪)における法的な死亡日は、危難が去った日です。
⑤失踪宣告で相続が発生する
失踪宣告がされたら、たとえ死亡していなくても死亡した取り扱いをします。
死亡の扱いがされるから、相続が発生します。
普通失踪における法的な死亡日は、7年満了した日です。
特別失踪(危難失踪)における法的な死亡日は、危難が去った日です。
失踪宣告を受けた人の財産は、法律で決められた相続人が相続します。
⑥生きていることが分かったら失踪宣告の取消
失踪宣告がされた後、本人が帰ってくることがあります。
失踪宣告がされた後、生きていることが分かった場合、失踪宣告を取り消してもらいます。
失踪宣告をするときも失踪宣告を取り消すときも、家庭裁判所の関与が必要です。
失踪宣告は、死亡したと扱う重大な手続だからです。
⑦失踪宣告の取消があったら財産は返還
失踪宣告がされると、相続が発生します。
失踪宣告が取り消されると、死亡はなかったことになります。
死亡がなかったことになるから、相続もなかったことになります。
相続によって財産を得た人は、失踪宣告を受けた人に財産を返さなければなりません。
たとえ、生きているとは思わなかったとしても、財産は返す必要があります。
返還する財産は、現に利益を受けている限度とされています。
現に利益を受けている限度とは、同じ形で残っている意味ではありません。
形を変えて残っている場合も含みます。
生活費として使ったのであれば、自分のお金をその分使わずに済んでいます。
生活費分の利益を得ていると言えます。
⑧再婚した配偶者は後婚のみ有効
(1)婚姻関係は復活する
行方不明の配偶者に失踪宣告がされたら、死別の扱いです。
失踪宣告が取消されたら、婚姻関係も復活します。
(2)再婚したら復活しない
残された配偶者は、再婚をすることができます。
再婚した後で、行方不明だった配偶者が帰ってくることがあります。
残された配偶者が再婚していた場合、前婚は復活しません。
後婚のみ有効という意見が有力です。
後婚のみ有効になるのは、残された配偶者と再婚相手が行方不明者が生きていることを知らなかった場合だけと考えられます。
4生死不明の相続人がいる相続を司法書士に依頼するメリット
相続人が行方不明であることは、割とよくあることです。
行方不明の相続人がいると、相続手続を進めることができません。
相続が発生した後、困っている人はたくさんいます。
失踪宣告の申立ては、家庭裁判所に手続が必要になります。
通常ではあまり聞かない手続になると、専門家のサポートが必要になることが多いでしょう。
困っている遺族はどうしていいか分からないまま、途方に暮れてしまいます。
裁判所に提出する書類作成は、司法書士の専門分野です。
途方に暮れた相続人をサポートして、相続手続を進めることができます。
自分たちでやってみて挫折した方も、信託銀行などから丸投げされた方も、相続手続で不安がある方は司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続や遺産承継の手続きは、専門家選びが重要です。
「オリーブの木司法書士事務所」では、司法書士の宮木由加が最初から最後まで一貫して対応することで、お客様一人ひとりに最適なサポートを提供します。
相続放棄や不動産登記はもちろん、近年注目される家族信託など、多岐にわたる相続関連業務に幅広く対応。
提携する税理士や弁護士との連携により、多角的な視点から複雑な案件もスムーズに解決へと導きます。
愛知・岐阜県にお住まいの方や、全国の不動産に関するご相談も承っております。
お仕事帰りに立ち寄りやすい上前津駅から徒歩2分という立地も、当事務所の強みです。
「面倒な手続きをプロに任せたい」「最適な方法を知りたい」という方は、ぜひ「オリーブの木司法書士事務所」の無料相談をご利用ください。
