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1親族の範囲
①親族は法律で決まっている
相続が発生したら、親族のうち一定の範囲の人が相続人になります。
一般的に親族というと、親戚より堅苦しい言い方といったものでしょう。
親族になる人については、法律で決められています。
親族人になる人は、次のとおりです。
(1)6親等内の血族
(2)配偶者
(3)3親等内の姻族
相続人になる人についても、法律で決められています。
親族であっても、相続人にならない人がいます。
親族のうち一定の範囲の人が相続人になるからです。
「親戚」「親類」「家族」は、法律で決められていません。
法律で決められている「親族」より、あいまいな表現です。
親族になる人は、法律で決まっています。
②血族は血縁関係がある人
6親等内の血族は、親族です。
血族とは、血縁関係がある人です。
血縁関係があるとは、生物学上の血縁関係がある人だけではありません。
法律上の血縁関係がある人を含みます。
養子縁組をすると、生物学上の親子関係以外に法律上の親子関係が発生します。
養子縁組は、法律上の血縁関係を作る制度です。
養親と養子は、血族です。
血族は、血縁関係がある人です。
③姻族は血族の配偶者と配偶者の血族
3親等内の姻族は、親族です。
姻族とは、血族の配偶者と配偶者の血族です。
配偶者の血族の配偶者は、姻族ではありません。
配偶者の血族の配偶者は、親族ではありません。
姻族は、血族の配偶者と配偶者の血族です。
④親等は親族関係の遠近を表す
6親等内の血族、配偶者と3親等内の姻族は、親族です。
親等とは、親族関係の法律上の遠近を表す単位です。
1親等、2親等と表現します。
数字が小さいほど、近い関係です。
親等を数えるときは、本人と配偶者は同列に扱われます。
親等を数えるときは、本人を中心に世代を数えます。
2親等早見表で数え方
①親子は1親等
親等とは、親族関係の法律上の遠近を表す単位です。
親子など1世代ちがう関係を1親等と言います。
本人と子どもの関係は、本人→子どもの関係です。
1世代ちがう関係だから、1親等です。
②祖父母と孫は2親等
本人と孫の関係は、本人→子ども→孫の関係です。
2世代ちがう関係だから、2親等です。
本人と祖父母の関係は、本人→親→祖父母の関係です。
2世代ちがう関係だから、2親等です。
③兄弟姉妹は2親等
兄弟の関係は、共通の祖先までさかのぼって考えます。
本人と兄弟姉妹の関係は、本人→親→兄弟姉妹の関係です。
本人と兄弟姉妹は、2親等です。
④伯叔父母と甥姪は3親等
伯叔父母は、本人の親の兄弟姉妹です。
共通の祖先は、祖父母です。
いったん共通の祖先までさかのぼって考えます。
本人と伯叔父母は、本人→親→祖父母→伯叔父母の関係です。
本人と伯叔父母は、3親等です。
甥姪は、本人の兄弟姉妹の子どもです。
いったん共通の祖先までさかのぼって考えます。
本人と甥姪は、本人→親→兄弟姉妹→甥姪の関係です。
本人と甥姪は、3親等です。
⑤いとこは4親等
いとこは、それぞれの親同士が兄弟姉妹です。
共通の祖先は、祖父母です。
いったん、共通の祖先までさかのぼって考えます。
本人といとこは、本人→親→祖父母→伯叔父母→いとこの関係です。
本人といとこは、4親等です。
⑥親等はどこまでも続く
親等とは、親族関係の法律上の遠近を表す単位です。
親族のように、法律などで範囲が決められるものではありません。
10代前の先祖は10親等で、100代前の先祖は100親等です。
親等は、どこまでも続きます。
3配偶者は親等がない親族
①配偶者に親等はない
親等とは、親族関係の法律上の遠近を表す単位です。
本人に、親等はありません。
配偶者にも、親等はありません。
親等を数えるときは、本人と配偶者は同列に扱われるからです。
②離婚をすると婚姻関係と姻族関係が終了する
離婚をすると、婚姻関係が終了します。
法律上の配偶者でなくなるから、親族でなくなります。
離婚をすると、姻族関係が終了します。
配偶者の血族との親族関係が終了します。
③死別すると姻族関係終了届で親族でなくなる
離婚をすると、婚姻関係が終了します。
配偶者の一方が死亡した場合、婚姻関係が終了します。
配偶者と離婚しないまま配偶者が死亡した場合、姻族関係は終了しません。
配偶者が死亡した場合、希望すれば、復氏をすることができます。
生存配偶者が復氏をしても、姻族関係は終了しません。
配偶者が死亡した後も、配偶者の血族と親族のままです。
配偶者が死亡した後、生存配偶者が希望すれば、姻族関係を終了させることができます。
姻族関係を終了させる届出のことを、姻族関係終了届と言います。
役所に姻族関係終了届を提出することで、姻族関係を終了させることができます。
姻族関係終了届を俗に死後離婚と言います。
配偶者が死亡しただけで自動で姻族関係は終了しません。
④事実婚・内縁の配偶者は親族でないし相続人でない
事実婚・内縁の配偶者は、市区町村役場に届出を出していない関係です。
親族になる人は、法律で決められています。
親族になる配偶者は、法律上の配偶者のみです。
相続人になる人は、法律で決められています。
相続人になる配偶者は、法律上の配偶者のみです。
何年一緒にいても、事実婚・内縁の配偶者は親族ではないし相続人ではありません。
4子どもは1親等の親族
①離婚しても子どもは1親等の親族で相続人
親子など1世代ちがう関係は、1親等です。
本人の子どもは、1親等の親族です。
本人が離婚しても、子どもは子どものままです。
離婚して元配偶者が子どもを引き取ることがあります。
離婚すると、元配偶者は除籍されます。
元配偶者が子どもを引き取った場合、自分の戸籍に入れたいと望むことがあるでしょう。
離婚して元配偶者が復氏することがあります。
復氏した後、子どもが元配偶者と同じ氏を名乗ることがあるでしょう。
子どもが未成年である場合、子どもの親権は元配偶者が持つことがあります。
元配偶者が子どもを引き取っても、子どものままです。
子どもが除籍されても、子どものままです。
子どもが別の氏を名乗っていても、子どものままです。
子どもの親権がだれであっても、子どものままです。
子どもと長期間疎遠になっていても、子どものままです。
子どものままだから、子どもは1親等の親族です。
本人が離婚しても、子どもは1親等の親族で相続人です。
②認知した子どもは1親等の親族で相続人
認知とは、婚姻関係にないカップルの間に生まれた子どもについて自分の子どもと認めることです。
認知をして、自分の子どもだと認めるのは一般的には父親です。
通常、母は出産の事実によって母親であることが確認できるからです。
母親が出産後に、捨て子をしたようなレアケースでは、母親も認知をすることがあり得ます。
認知をすると、法律上の親子関係が発生します。
認知された子どもは、本人の子どもです。
単に、母親に自分の子どもだと認めるだけでは、法律上の認知の効果はありません。
市区町村役場に認知届を提出した場合、子どもになります。
市区町村役場に認知届を提出していない場合、生物学上の親子であっても法律上の親子ではありません。
認知した子どもは、1親等の親族で相続人です。
③養子は子どもは1親等の親族で相続人
養子縁組をすると、血縁関係がある親子関係以外に法律上の親子関係を作る制度です。
養子縁組をすると、養親と養子は法律上の親子になります。
本人が養親となる養子縁組をした場合、養子は子どもです。
養子は、本人の子どもです。
養子は、1親等の親族で相続人です。
④養子に行っても普通養子なら子どもは1親等の親族で相続人
養子縁組には、2種類あります。
普通養子と特別養子です。
子どもがいない夫婦が養子縁組をする、配偶者の連れ子と養子縁組をするといったことは日常的に聞くことがあるでしょう。
一般的に「養子」と言ったら、普通養子を指しています。
普通養子では、養子縁組後も実親との親子関係が継続します。
本人の実子が第三者の普通養子となる養子縁組をすることがあります。
第三者の普通養子になっても、実親との親子関係は継続します。
養子に行っても、実子のままです。
第三者の養子になる養子縁組をしても、子どものままです。
普通養子は、養子縁組後も実親との親子関係が継続するからです。
養子に行っても、実親から見て1親等の親族で相続人です。
養子は、養親の子どもです。
養子に行ったら、養親から見て1親等の親族で相続人です。
養子は、実親にとっても養親にとっても1親等の親族で相続人です。
⑤配偶者の連れ子は1親等の親族だが相続人ではない
3親等内の姻族は、親族です。
配偶者の連れ子は、配偶者の血族です。
配偶者の連れ子は、1親等の姻族だから親族です。
配偶者の連れ子は、本人の子どもではありません。
親族であっても子どもではないから、相続人にはなりません。
配偶者の連れ子と養子縁組をするといったことは、日常的に聞くことがあるでしょう。
配偶者の連れ子と養子縁組をした場合、養子は養親の子どもになります。
養子は、1親等の血族です。
養子縁組をすると、養親と養子は法律上の親子になるからです。
本人の子どもは、相続人になります。
配偶者の連れ子と養子をした場合、1親等の血族で相続人です。
配偶者の連れ子と養子をしていない場合、1親等の姻族で相続人ではありません。
⑥子どもが特別養子になると親子関係終了
養子縁組には、普通養子縁組の他に特別養子縁組があります。
特別養子では、養子縁組後に実親との親子関係が終了します。
特別養子縁組の成立は、親子の縁を切る重大な決定です。
特別養子縁組は、家庭裁判所の審判が必要です。
特別養子縁組では、子どもの福祉が重視されます。
子どもの福祉のために必要な場合、特別養子縁組の審判がされます。
親子の縁を切る重大な決定だから、家庭裁判所は非常に慎重に判断します。
子どもが特別養子になると、親子関係が終了します。
親子関係が終了するから、子どもは実親の親族ではないし実親の相続人ではありません。
5兄弟姉妹は2親等の親族
①異父兄弟・異母兄弟は2親等の親族で相続人
兄弟姉妹と言うと、父母が同じ兄弟姉妹だけをイメージしがちです。
父母の一方だけ同じ兄弟姉妹も、兄弟姉妹です。
親等を数えるときは、本人を中心に世代を数えます。
父母の一方だけ同じ兄弟姉妹であっても、同様です。
異父兄弟・異母兄弟は、2親等の親族で相続人です。
②夫婦の連れ子同士に親等はないし相続人ではない
配偶者の連れ子と養子をしていない場合、1親等の姻族で相続人ではありません。
配偶者の連れ子は、親族です。
夫婦のそれぞれに連れ子がいることがあります。
連れ子から見ると、本人の親の配偶者に連れ子がいるケースです。
夫婦の連れ子同士は、親族ではありません。
連れ子同士は血縁関係がないから、血族ではありません。
姻族は、血族の配偶者と配偶者の血族です。
連れ子同士は、姻族ではありません。
配偶者の連れ子と養子をした場合、1親等の血族で相続人です。
連れ子と実子は、兄弟姉妹です。
親の子どもになるからです。
親が配偶者の連れ子と養子縁組をした場合、2親等の血族で相続人です。
6相続人調査を司法書士に依頼するメリット
本籍地の変更や国による戸籍の作り直し(改製)で多くの方は、何通もの戸籍を渡り歩いています。
古い戸籍は、現在と形式が違っていて読みにくいものです。
手書きの達筆な崩し字で書いてあって、分かりにくいものです。
戸籍謄本収集は、慣れないとタイヘンです。
本籍地を何度も変更している人や結婚、離婚、養子縁組、離縁を何度もしている人は、戸籍をたくさん渡り歩いています。
たくさんの戸籍謄本を収集する必要があるから、膨大な手間と時間がかかります。
戸籍には、その人の身分関係がすべて記録されています。
ときには家族の方が知らない相続人が明らかになることがあります。
相続が発生した後に、認知を求めて裁判になることもあります。
相続人を確定させるために戸籍を集めるだけでも、知識のない一般の人にはタイヘンな作業です。
家族の方が知らない相続人が明らかになると、精神的な負担はさらに大きいものになります。
相続手続のうち、専門家に任せられるものは任せてしまうことができます。
家族の事務負担を軽減することができます。
戸籍や住民票の取り寄せは、司法書士は代行します。
相続人調査でお困りの方は、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。