相続登記で複数の不動産を一括申請する条件

1相続登記で複数の不動産を一括申請する条件

①登記簿が別なら別の不動産

被相続人が複数の不動産を保有していることがあります。

不動産を保有している場合、相続登記をします。

複数の不動産がある場合、それぞれの不動産について相続登記をします。

登記簿は、不動産ごとに備えられています。

登記簿が別なら、別の不動産です。

複数の不動産とは、登記簿が別になっている不動産が複数あることです。

自宅には、土地と建物があるでしょう。

土地と建物は、それぞれ登記簿が備えられています。

登記簿が別だから、複数の不動産です。

自宅の敷地とは別に、私道を保有していることがあります。

自宅の敷地と私道は、それぞれ登記簿が備えられています。

自宅の敷地に至る私道は、近隣の人と共有していることがあります。

共有とは、1つの登記簿に複数の人が記録されている状態です。

自宅と駐車場が地続きになっていても、登記簿は別になっていることがあります。

自宅と駐車場を一体利用していても、登記簿が別になっていれば複数の不動産です。

自宅の敷地の上に、2棟の建物が存在することがあります。

2棟の建物に、それぞれ登記簿が備えられていることがあります。

2棟の建物を自宅として使っていても、登記簿が別になっていれば複数の不動産です。

②複数の不動産を一括申請する条件

(1)申請する法務局が同じ

登記申請は、不動産の所在地を管轄する法務局に提出します。

法務局の管轄は、法務局のホームページで確認することができます。

法務局は、管轄外の登記申請を審査する権限がありません。

申請する法務局が同じ場合、複数の不動産を一括申請することができます。

例えば、名古屋市内の不動産管轄は、次のとおりです。

名古屋法務局本局

中区、東区、北区、中村区、西区、千種区、昭和区

熱田出張所

熱田区、南区、中川区、港区、瑞穂区、緑区

名東出張所

名東区、守山区、天白区

例えば、名古屋市中区と東区の不動産がある場合、一括申請することができます。

名古屋市内であっても、名古屋市中区と熱田区の不動産がある場合、一括申請することができません。

名古屋市中区は名古屋法務局本局管轄で、名古屋市熱田区は名古屋法務局熱田出張所の管轄だからです。

名古屋法務局本局は、名古屋法務局熱田出張所管轄の申請を審査する権限がありません。

(2)相続する権利が同じ

不動産には、さまざまな権利があります。

所有権は、最も一般的な権利です。

相続する権利が同じ場合、複数の不動産を一括申請することができます。

相続する権利が異なる場合、それぞれ別の申請書で申請します。

(3)登記名義人が同じ

登記簿の登記名義人が同じ場合、複数の不動産を一括申請することができます。

登記簿謄本を確認すると、一部の不動産について被相続人の名義になっていないことがあります。

被相続人が複数の不動産を保有していたのに、先代名義のままになっていることがあるからです。

登記名義人が異なる場合、別の相続です。

別の相続だから、一括申請をすることはできません。

例えば、自宅の土地は父名義で自宅に至る私道は亡祖父名義のままである場合、一括申請することができません。

登記簿の登記名義人が同一でない場合、一括申請することができません。

(4)不動産の取得者が同じ

不動産の取得者が同じ場合、複数の不動産を一括申請することができます。

例えば、自宅の土地は配偶者が相続し自宅建物は子どもが相続する場合、一括申請することができません。

不動産の取得者が異なる場合、それぞれ別の申請になるはずです。

登記申請は、不動産の取得者が手続するからです。

別の申請だから、一括申請をすることはできません。

不動産の取得者が異なる場合、それぞれ別の申請書で申請します。

(5)4条件全部を満たす必要がある

複数の不動産を一括申請することができるのは、4条件をすべて満たすときだけです。

一括申請することができないのに一括申請をすると、却下や取下げになります。

4条件をすべて満たすことができない場合、それぞれ別の申請書を提出します。

③単独所有権の不動産と共有の不動産は一括申請できる

被相続人が複数の不動産を保有していた場合、一部は単独所有で一部は共有であることがあります。

例えば自宅の土地は単独所有で自宅に至る私道は、近隣の人と共有しているケースです。

複数の不動産がある場合、それぞれ相続登記が必要です。

単独所有権の不動産と共有の不動産であっても、4条件を満たせば一括申請をすることができます。

④異なる共有持分の相続登記は一括申請できる

被相続人が複数の不動産を共有していた場合、それぞれ共有持分が異なることがあります。

例えば自宅建物は持分2分の1で、自宅に至る私道は5分の1で共有しているケースです。

共有持分が異なる不動産であっても、3条件を満たせば一括申請をすることができます。

⑤複数の相続登記を連件で提出できる

条件を満たせないときは、複数の登記申請をします。

同一管轄であれば、複数の登記申請をまとめて提出することができます。

複数の登記申請であっても、必要書類は共通することが多いでしょう。

連件申請をする場合、必要書類は1通提出するだけで済ませることができます。

2複数の不動産があっても法務局は申請した不動産だけ審査

①複数の不動産があるときは全部相続登記が必要

被相続人が複数の不動産を保有していた場合、保有していた不動産全部について相続登記が必要です。

自宅の土地について相続登記をしたら、名義変更ができるのは自宅の土地だけです。

自動で、自宅建物の名義変更がされることはありません。

自動で、自宅に至る私道の名義変更がされることはありません。

②法務局は申請があった不動産だけ審査する

法務局は、申請された不動産だけ審査をします。

自宅の土地について相続登記を申請したら、法務局は自宅の土地だけ審査します。

自宅建物の名義変更について、審査しません。

自宅に至る私道の名義変更について、審査しません。

複数の不動産があっても、申請されていない不動産について知らせてくれません。

自宅建物や自宅に至る私道の名義変更を見逃しても、法務局に文句を言うことはできません。

名義変更を見逃したのは、相続人の責任です。

不動産を売却などするときに、名義変更がされていないことに気づきます。

③名寄帳を取得して不動産を調査する

名寄帳は「なよせちょう」と読みます。

名寄帳とは、土地や家屋を所有者ごとにまとめた一覧表です。

不動産などの固定資産を保有していると、固定資産税の対象になります。

市町村は、固定資産税を賦課徴収するため、固定資産課税台帳を作成しています。

名寄帳は、固定資産課税台帳から所有者ごとに一覧表に取りまとめた書類です。

名寄帳を見ると、被相続人の不動産を一覧で確認できます。

名寄帳は、所有者ごとに情報が取りまとめてあります。

被相続人の不動産を一覧で確認できるから、名寄帳はとても便利です。

④令和8年2月2日から所有不動産記録証明制度

所有不動産記録証明制度とは、法務局で名寄せができる仕組みです。

名寄帳は、市町村ごとに請求する必要があります。

所有不動産記録証明制度では、日本中を対象に不動産を一覧で確認することができます。

所有不動産記録証明制度は、相続登記義務化に伴って導入された制度です。

3相続登記で複数の不動産を一括申請する方法

①申請書に対象不動産をまとめて記載

4条件を満たせば、一括申請をすることができます。

申請書に対象となる不動産をまとめて記載します。

例えば土地と建物をまとめて記載することができます。

土地の全所有権と土地の共有持分をまとめて記載することができます。

まとめて記載できる不動産の件数に、制限はありません。

②登録免許税は不動産の評価額合計から計算

相続登記をする際に、登録免許税を納める必要があります。

不動産が複数であっても、特別なルールはありません。

課税価格は、不動産の固定資産税評価額を合計した金額です。

登録免許税は、課税価格の1000分の4です。

③申請件数に応じて司法書士報酬

相続登記は、相続手続の中でも難しい手続です。

自分で手続せずに、司法書士などの専門家に依頼することができます。

司法書士報酬は、申請件数に応じて計算されることが一般的です。

一括申請ができるのに別で申請すると、司法書士報酬が高くなる可能性があります。

4相続登記を司法書士に依頼するメリット

相続が発生すると、相続人はたくさんの相続手続に追われて悲しむ暇もありません。

ほとんどの方は、相続を何度も経験するものではありません。

手続に不慣れで、聞き慣れない法律用語でへとへとになります。

一般的にいって、相続登記は、その中でも難しい手間のかかる手続です。

不動産は、重要な財産であることが多いものです。

一般の方からすると、些細なことと思えるようなことでやり直しになります。

本人が自分で申請している場合、些細なことであれば法務局の窓口まで出向いて申請書の記載を補正することができるケースがあります。

申請書の記載誤りがあると、委任状も記載誤りになります。

代理人に依頼して申請している場合、委任状の記載も一緒に補正する必要があります。

委任状の記載内容は、本人が依頼したことのはずです。

代理人が補正することを認めてもらえない場合が多いものです。

申請書と委任状の記載が一致していない場合、適切な委任を受けていないと判断されます。

適切な委任を受けていない場合、申請書は受け付けてもらえません。

いったん申請を取り下げて、やり直しになります。

相続登記は簡単そうに見えても、思わぬ落とし穴があることもあります。

法務局の登記相談に行っても、何が良くないのか分からなかったというケースも多いです。

司法書士はこのような方をサポートしております。

相続登記を自分でやってみたけど、挫折した方の相談も受け付けております。

相続登記をスムーズに完了させたい方は、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。

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