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1相続放棄で借金を相続しない
相続が発生したら、相続を単純承認するか相続放棄をするか選択することができます。
単純承認は、プラスの財産とマイナスの財産を相続します。
相続放棄は、プラスの財産とマイナスの財産を相続しません。
家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、プラスの財産とマイナスの財産を相続しません。
被相続人が莫大な借金を抱えていても、相続放棄が認められたら相続する必要はありません。
相続放棄は、被相続人ごとに判断できます。
例えば、父について相続放棄をするが、母について単純承認するでも差し支えありません。
相続の放棄は相続人ごとに判断します。
例えば、父の相続人ついて長男は相続放棄するが、長女は単純承認するでも差し支えありません。
家庭裁判所で相続放棄が認められた場合、借金を相続しません。
2市役所は相続人を調査して通知する
①相続人代表者指定届のために通知する
毎年5月ごろに市区町村役場から、固定資産税や都市計画税の納税通知書が送られます。
固定資産税や都市計画税は、不動産の所有者が納める税金です。
不動産の所有者が死亡した場合、納税通知書を送ることができなくなって困ります。
相続人も納税通知書を受け取ることができないと、税金を納めることができなくなって困ります。
市区町村役場は、相続人代表者指定届を提出するように通知を出します。
相続人代表者指定届とは、固定資産税や都市計画税の納税通知書を受け取る人を指定するための届出書です。
納税通知書を受け取る人が代表者です。
市区町村役場は、同居していた相続人やその市町村に住民票がある相続人を優先して通知します。
被相続人と疎遠である場合、被相続人の死亡が連絡されないことがあります。
市区町村から相続人代表者指定届を提出するように通知が届いたことで、相続が発生したことを知ることがあります。
②空き家の相続人に通知する
空き家等の登記名義人が死亡した場合、現在の管理者が適切に管理していないことがあります。
適切な管理を促すため、市区町村役場は相続人に通知を送ります。
空き家等の登記名義人が死亡してから、長期間経過していることがあります。
登記名義人の直接の相続人も、死亡しているかもしれません。
ほとんど面識のない遠縁の親族の相続人であると聞いて、びっくりするかもしれません。
相続を単純承認した場合、空き家等の管理をすることになります。
③地籍調査の立会いのために通知する
地籍調査とは、国土調査のひとつです。
土地の所有者、地番、地目を調査して、境界の位置と面積の測量をします。
市区町村役場は境界を確認するため、所有者の立会いを求めます。
所有者が死亡している場合、相続人に立会いをしてもらいます。
市区町村役場から地籍調査の立会いのお願いが届いたことで、自分が相続人であることを知ることがあります。
④被相続人が税金等を滞納していた場合に通知する
被相続人が納めるべき税金を納めないまま、死亡することがあります。
相続が発生した場合、納めるべき税金は相続財産になります。
被相続人が納めるべき税金は、相続人に相続されます。
税金を納める義務は、相続人全員に法定相続分で相続されます。
市区町村役場は、相続人に対して納税義務承継通知書を送ります。
納税義務承継通知書は、滞納していた税金を納める義務が引き継がれましたよというお知らせです。
納税義務承継通知書を無視していると、滞納処分が開始されます。
滞納処分とは、税金を納める義務がある人の財産から強制的に取り立てる手続のことです。
市区町村役場から納税義務承継通知書が届いたことで、自分が相続人であることを知ることがあります。
⑤生活保護受給者が保護費を過誤受給していた場合に通知する
被相続人が親族と疎遠になっている場合、生活保護を受けていることがあります。
生活保護受給中に、資力が回復することがあります。
資力が回復していた期間中、満額の生活保護費を受け取ることはできないでしょう。
受け取り過ぎになった保護費を返還する義務が発生します。
真実ではないことを申請して生活保護を受給していることがあります。
適切な生活保護費と差額があった場合、差額は本来受け取ることができないはずです。
受け取り過ぎになった保護費を返還する義務が発生します。
誤って生活保護費を受け取っていた場合、過大に受け取った分を返還しなければなりません。
市区町村役場から生活保護費の返還通知が届いたことで、自分が相続人であることを知ることがあります。
3相続放棄の期限3か月のスタートは知ってから
相続が発生したら、相続人は各自単純承認をするか相続放棄をするか選択することができます。
相続放棄は、原則として、相続があったことを知ってから3か月以内に申立てをする必要があります。
相続があったことを知ってからとは、必ずしも、被相続人の死亡してからではありません。
被相続人が死亡した後3か月以上経過してから、相続放棄の申立てをして、認められることがあります。
相続放棄ができる3か月以内のスタートは、相続があったことを知ってからだからです。
市区町村役場から通知が届いて相続があったことを知った場合、通知が届いたときに3か月がスタートします。
相続があったことを知らなかった場合、相続放棄ができる3か月がスタートしていません。
このポイントは、相続が発生してから3か月以内に申立てができなかったのは止むを得なかったと家庭裁判所に納得してもらうことです。
3か月以内に申立てができなかったのは仕方なかったと家庭裁判所が納得できる理由があるときだけは、家庭裁判所も相続放棄を認めてくれます。
市区町村役場は、相続が発生してからすぐに通知する場合もありますが、ときには長期間経過してから連絡してくる場合があります。
市区町村役場から手紙が来て相続があったことを知った場合、この通知は大切です。
市区町村役場からの手紙を見て相続があったことを知ったという証拠になるからです。
市区町村役場から通知が来た後に相続放棄を希望する場合、手続先は家庭裁判所です。
通知を送った役所に相談に行って相続放棄をすると話しても、効果はありません。
4相続放棄をしても市区町村役場に連絡されない
家庭裁判所に相続放棄を認めてもらったら、家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書という書類が届きます。
家庭裁判所は相続放棄を認めた場合でも、自主的に市区町村役場に連絡することはありません。
だれが相続放棄をしたか、市区町村役場は知るきっかけがありません。
相続放棄をした場合でも、市区町村役場に届出をするルールはありません。
戸籍や住民票に、相続放棄が記載されることはありません。
市区町村役場は、相続放棄をしたかどうか全く知ることはないのです。
相続放棄が認められた後になって、被相続人が滞納していた税金などを払ってくださいと督促してくることがあります。
相続放棄しているので、払う必要のない税金です。
市区町村役場は相続放棄をしたことを知らないので、相続人に払ってもらおうと考えて催促します。
相続放棄申述受理通知書を提示して事情を説明すれば督促をやめてくれます。
5期限を過ぎた相続放棄を司法書士に依頼するメリット
相続放棄は、その相続でチャンスは1回限りです。
家庭裁判所に認められない場合、即時抗告という手続きを取ることはできます。
高等裁判所の手続で、2週間以内に申立てが必要になります。
家庭裁判所で認めてもらえなかった場合、即時抗告で相続放棄を認めてもらえるのは、ごく例外的な場合に限られます。
一挙にハードルが上がると言ってよいでしょう。
相続が発生してから3か月以内に届出ができなかったのは止むを得なかったと家庭裁判所に納得してもらって、はじめて、家庭裁判所は相続放棄を認めてくれます。
通常は家庭裁判所に対して、上申書や事情説明書という書類を添えて、説得することになります。
家庭裁判所が知りたいことを無視した作文やダラダラとした作文では認めてもらうことは難しいでしょう。
司法書士であれば、家庭裁判所に認めてもらえるポイントを承知しています。
認めてもらいやすい書類を作成することができます。
通常の相続放棄と同様に、戸籍謄本や住民票が必要になります。
仕事や家事、通院などで忙しい人にとって、平日の昼間に市区町村役場に出向くのは負担が大きいものです。
戸籍謄本や住民票は、郵便による取り寄せをすることができます。
書類の不備などによる問い合わせは、市区町村役場の業務時間中の対応が必要になります。
相続人の負担は、軽いとは言えません。
戸籍謄本や住民票の取り寄せは、司法書士におまかせすることができます。
3か月の期限が差し迫っている方や期限が過ぎてしまっている方は、すみやかに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。